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1962/05/21 第43回国会 参議院 参議院会議録情報 第043回国会 運輸委員会 第22号
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1962/05/21 第43回国会 参議院

参議院会議録情報 第043回国会 運輸委員会 第22号

#1
第043回国会 運輸委員会 第22号
昭和三十八年五月二十一日(火曜日)
   午前十時二十五分開会
    ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     金丸 冨夫君
   理事
           天埜 良吉君
           谷口 慶吉君
           天坊 裕彦君
           岡  三郎君
   委員
           江藤  智君
           野上  進君
           平島 敏夫君
           村松 久義君
           相澤 重明君
           大倉 精一君
           小酒井義男君
           吉田忠三郎君
           浅井  亨君
           加賀山之雄君
  政府委員
   運輸省海運局長 辻  章男君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       吉田善次郎君
  説明員
   日本国有鉄道総
   裁       石田 礼助君
  参考人
   東京大学名誉教
   授       脇村義太郎君
   日本船主協会副
   会長      児玉 忠康君
   全日本海員組合
   副組合長    南波佐間豊君
   日本港湾労働組
   合連合会委員長 古賀  勲君
   三菱銀行頭取  宇佐美 洵君
   全日本海運労働
   組合連合会委員
   長       松尾  隆君
   全国港湾荷役振
   興協会専務理事 紀野  実君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○海運業の再建整備に関する臨時措置
 法案(内閣提出、衆議院送付)
○外航船舶建造融資利子補給及び損失
 補償法及び日本開発銀行に関する外
 航船舶建造融資利子補給臨時措置法
 の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(金丸冨夫君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。
 海運業の再建整備に関する臨時措置法案、外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法及び日本開発銀行に関する外航船舶建造融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案、以上両案を一括して議題といたします。
 本日は、両案について、お手元に配付のとおり、七名の参考人の御出席をお願いいたしておりますので、順次御意見を承ることにいたします。
 参考人の皆様に一首ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中にもかかわりませず、当委員会のために御出席を賜わり、まことにありがとうございました。御出席の各位におかれましては、それぞれ海運関係につきましては深き御識見と御経験をお持ちと存じまするので、両法案について忌憚のない御意見を承りたいと存じます。
 なお、時間の関係もございますので、参考人の各位の御意見開陳は、一人約二十分程度といたし、後刻委員からの質疑にお答えいただくことといたしまして、進めて参りたいと、かように存じておりますので、御了承をいただきます。
 それでは、まず東京大学名誉教授脇村義太郎参考人にお願い申し上げます。
#3
○参考人(脇村義太郎君) 私、脇村義太郎でございます。海運造船合理化審議会の一委員といたしまして、今回御審議中の二法案の基本要綱の答申に関係した一人として、意見を申し述べる機会を与えられましたことを、たいへん光栄に存じております。
 私は、海運、造船、石油等を専攻いたして参ったのでありますが、戦後運輸省の要請によりまして、海運復興計画、いわゆる四百万トン計画の作成に当たりました。そして、昭和二十一年以来船員中央労働委員会の委員として今日に至って、三十年から会長を勤めております。海運造船合理化審議会の委員には昭和三十年以来引き続き任命されて参っておりますが、昨年十月末、造船合理化審議会の内部に設けられました海運対策委員会のさらに小委員会――通称七人委員会と呼ばれておる委員の一員になることを運輸省から依頼を受け、委員長の植村氏と御相談の上、それをお引き受けして、作成に当たったものでございます。
 ただいま御審議中の二法案につきましては、私たちが作成いたしまして、海運造船合理化審議会、海運対策委員会及び総会の審議を経て答申いたしましたところと比較いたしてみますと、若干異なるところがございます。同一とは申されません。しかし、大綱といたしまして見ますと、私の考えでは、条件が非常に厳格になったものもありますが、また反対に寛大となったものもございます。私といたしましては、必ずしもこれらの修正に全面的に賛成しておるものではございません。若干異なる意見を持ったところもございます。しかし、総合的に考えてみますと、原案よりも現在の案はより実際的になっており、より実行しやすくなっておるのではないかと、こういうふうに考えております。したがって、今後法案は一日も早く御決定をいただいて、実施に移されますならば、日本海運の再建に寄与するところが非常に大きいと考えておる次第でございます。
 二月本案が衆議院に提出されて以来、いろいろな質疑が行なわれ、また意見も出ておることを承知いたしております。あるいは論議はほとんど尽くされているのではないかと思うのでございますが、今日まで出された疑問のうち、いまだ答えられていないものが若干あるように思いますので、そのうち一、二根本的な点についてこの機会に私見を述べさしていただきたいと思います。
 第一は、集約という考え方が今日までなぜ取り上げられなかったかということでございます。ところが、集約、統合の必要ということは、今日まですでに海運造船合理化審議会の決議といたしましては提出されておるのでございますが、政府におかれましては、集約統合は業者の自発的実行に待つという態度をとっておられる。すでに業者におきまして一、二合併合同を実行したものもございますが、政府のほうにおきまして積極的にこれを奨励するということをいたしませんで、今日に至ったものでございます。全面的集約が今日何ゆえ具体化したかということを考えてみますと、この集約に対して具体的な目標と、そして時間の限定をしたことが一つのきっかけとなったのではないかと思います。すなわち、五十万トンの所有と、所有、運航合わせて百万トン、これを一年以内に実行するということを限定したことがその具体的な内容でございます。海運業における集中、合同運動は、内外の歴史の示すところによりますれば、通常十年前後の年月がかかっております。これは正常な状態における大産業における資本の運動法則の実現に要する所要時間が大体これくらいではないかと思うのでございます。しかし、今日の海運は、世界的にも、また日本といたしましても、正常な状態ではございません。非常に激しい変動期にございます。異常な状態にあると見られるのでございます。造船技術における大きな変革、造船生産力の異常な発達、船舶の変化、巨大化、あるいは自動化、また一面における貿易構造の激変等によって、いろいろな影響を海運が、世界的にも、日本といたしましても、受けておるのでございます。そして、そういうふうな変化が一ぺんに起こったということが今日の特徴でございまして、過去の長い海運造船の、あるいは貿易の歴史において、こういうふうな激変が起こったということは、われわれは、歴史においても、また自分の経験といたしましても、知らなかったところでございます。そして、そういうふうな変化の起こった結果といたしましては、予想もしなかったような一方には貿易の拡大がございますが、他方船舶と国際貿易量との不均衡が起こっております。しかも、他方には造船能力が非常に発達しまして過剰となっており、船舶も非常に過剰になっておるのでございます。しかも、船舶は通常十五年、二十年の寿命があるものとされておりますにもかかわらず、今日におきましては、十年前に建造された船舶、いや五年前に建造された船舶がすでに不経済船として国際競争場裏から脱落していかなければならないような状態にあるのでございます。今日の海運業の不況の深刻さとか、その広がりが非常に広いということは、次第に一般に認識されて参っておるのでございます。そして、日本におきましても、御承知のとおり、無配当の状態がここ数年来続いており、償却未済、延滞が年年累積して参っておりまして、日本の海運業は、経済的に見ますと、まさに破産状態にあると言わなければならないような状態に陥っております。しかも、日本の貿易が拡大いたしておりますために、日本船舶の必要は年々増加いたしましても、低下するということはございません。ところが、日本船舶の積み取り比率は、日本経済の高度の成長とともに漸次低下する状態になっております。船腹の拡大の必要は非常に今日では強くなっておるのでございます。これが今日の状態でございまして、こういうふうな異常な状態にある、異常な状態に陥っておるというふうに、われわれ海運業の状態を認識いたしまして、異常な時期におきましては異常な手段を必要とする、正常な手段ではこの困難を切り抜けることができない、こういうふうな事態の認識が、今回の一挙集約を船主が自発的に実行しようと決意するに至った根本的な事情と私は考えるのでございます。こうした決意がございましたために、各方面の協力、同情が集まって、新海運政策の樹立ということが今回初めて成功したのではなかろうか、こういうふうに考えます。
 第二に、集約の実行の目標となっております所有船腹五十万トン、所有・運航船腹巨万トンというものについて、その根拠をいささか明らかにいたしておきたいと思うのでございます。国際競争力の強化と過当競争の排除の二つが今次集約の目的でございます。過去の日本の海運政策、特に計画造船は総花主義というふうな考え方に立っており、他方またアメリカの日本の強力なる経済力を破壊するという考え方もその中に加味された結果でございましょう、戦後の日本におきましては、オペレーター、オーナー非常な乱立となって、これが過当競争及び国際競争力の弱化を招いたものと考えられますので、こうした状態から脱出し、寡占状態を実現するには集約を必要と考え、その集約に対して、従来どうしてもこれを実行するに至りませんでしたことは、集約の必要は唱えましても、どういうふうに集約するか、いつ集約するかという目標を具体的に与えなかったということにあるかと考え、過去における海運業の合同集中の歴史と、現代の世界における海運企業の集中の実情を参照して、具体的の数字を帰納的に計算して、それにわが国の外航船腹のトン数とその分散所有状態とを勘案し、これを寡占状態に導くための集約の目標を、五十万トン所有、所有。運航百万トンと決定したのでございます。所有五十万トン――重量トンを総トンに換算すれば三十五万トン前後となりますが、これは単一海運企業における最適の所有トン数であり、世界的な大海運グループの中核体の規模から見ましても、この数字が適当と考えられるのでございます。それで、中核体の所有は五十万重量トンとし、もし今日所有量がすでに五十万トンに達しているものがあれば、新たに合併を強制する必要はないと、海運造船合理化審議会では答申したのでございます。合併強制を不要と考えて参った理由は、そういうところにあるのでございます。国際的な海運競争には一定の大きさを必要とすることは、申すまでもございません。資本力が相当の大きさにならなければならぬということもございますが、海運界の変動に対処するためには、一定の大きさを持ち、これによってそのグループは各種の定期航路を経営するほか、タンカー、鉱石船等の経営をも兼ね行ない、多角経営を行なう。すなわち、バランスのとれたフリートを持たなければならないということがわれわれの考えでございます。そのためには、少なくとも百万トンの船腹を傘下におさめる必要があり、それが最低であって、国際的な今日の水準といたしましては、百五十万トン――二百万トンというところが望ましいのではないかと考えるのでございますが、わが国の外航船腹の現有のトン数から見まして、最低規模としては百万トンが実際的であり、実行可能と私たちも考え、また船主の方々もそういうふうに主張されたのでございます。百万トン以上としておけば、中には百五十万トン――二百万トンに上るグループの結成も行なわれ、結果としては寡占状態を必ずや招来できるというのがわれわれの見通しでございました。ただし、専用船とか、タンカー、不定期船だけでもって一つのグループの結成を試みるものが出てきても、私たちはこれは排斥すべきものではないというふうに考えました。ギリシャ船主とか、ノルウェー船主とかの実情を見ましても、タンカー、専用船、不定期船でもってもしも百万トンあるいはそれ以上の大船隊を有するならば、定期船航路を経営しなくても、国際的な競争に十分耐え得、安定的な経営を行なって不況にも耐え得る条件を備えておるということが、われわれが過去十数年の海運界の歴史から引き出した結論でございます。したがって、今日のこの五十万トン、百万トンという集約目標に対しまして、これは定期航路別の条件を掲げてないとか、あるいは近来非常に重要になってきているタンカー、専用船など船種別の考慮が不十分であるという批判を聞くのでございますが、五十万トン、百万トンという非常に簡単な数字は、こうした激動期の海運界の変動に十分対処できる非常に抽象的な数字でございますが、その内容としては非常に具体的な現実的な意味を持った数字と私たちは考えておるのでございます。したがって、またこの目標は、戦後日本が海運政策の基本として長く考えて参りました定期船中心主義の考え方にも若干批判的な意味を持っておるものでございまして、今後の海運界は、定期船中心主義から、漸次タンカー、専用船との併存状態に移っていくものと考え、それに対して十分な用意ある目標としてこういうふうな抽象的な数字を考えたのでございます。
 さらに、現在わが国において最も問題になっておりますニューヨーク航路の整備につきまして、はたしてどういうふうなことをわれわれが考えたかということでございますが、この点につきましても、これだけの目標を掲げておくならば、ニューヨーク航路の整備につきまして、最低必要とされている月ツー・セーリング以上のオペレーターの統合集約ということは十分に達成できるという確信を持ってこういうふうな数字を提示したのでございます。以上が五十万トン、百万トンの数字についての私たちの考えでございます。
 最後に、この新しい政策に対応して行なわれます利子の五カ年間のたな上げその他の点につきまして、私の考えを申し述べさせていただきます。私たちは、五カ年間の利子の全額たな上げを基礎にいたしまして、三カ年間で海運業が自立できないだろうか、こういうふうな考え方を持っているのでございます。その考えのよって出て参りましたのは、昨年議会に提案されて廃案となりました法案では、利子の二分の一の五カ年間のたな上げをもって自立達成ということが要求されておったのでございますが、それを全額たな上げするならば、昨年非常に困難だといって反対されたところもあるいは突破できるのではないか。政府としましては、一〇〇%たな上げすれば、もうそれ以上することはないのではないか、こういうふうな考え方であったのでございます。ところが、今度の法案におきましては、自立達成ということではございませんで、未償却の解消だけを条件といたしておりますので、条件は非常に緩和されておって、この点はより実際的、あるいは実行的になっておるのではなかろうかと考えるのでございます。しかし、私は、海運会社は過去五カ年間無配当の状態に放置されて参っておりますし、また、一般に破算会社の整理は大体二年ないし三年で配当を復活するということを目標とすべきである、こういうふうになっておりますので、海運業も二年ないし三年で自立体制に持っていくことが必要なのではないか、こういうふうに考えております。そのためには、国家、金融機関、従業員も経営者に協力して、できるだけ経営者の自立体制達成を助け、また応分の犠牲を払うのが当然ではなかろうか、こういうふうに考えて参ったのでございます。
 むろん、そのためには、海運業における合理化ということが必要でございます。この合理化の点につきましては、すでに船員関係におきましては、昨年来定員の削減ということが非常に進んでおります。四分の一の減少は可能だというふうにいわれておりますが、もしも現在進んでおります造船技術の研究が進むならば、さらに定員の大幅な削減、二分の一以下になることもそう遠くはないのではなかろうか、こういうふうに私は考えております。海上乗組員の合理化がこういうふうに進んでいくならば、陸上従業員の合理化も当然進むべきだろう、またそれは不可能ではないのではないか。関係者の一そうの研究努力をその点において私は希望するものであります。
 最後に、この新造船の金利を四%、六%に低下されましたことは、国際競争上非常にこれは日本の海運業にとって喜ばしい措置と考えておるのでございます。しかし、この措置につきまして、当初私たちは、日本の大部分の船主が集約をすることに対して、こういうふうな思い切った国家が恩典を与えるということが望ましいというふうに考えましたが、しかし、その恩典を単に集約した船主に限定するかどうかということについては、若干ちゅうちょしたのでございます。その理由は、もしも法案のごとくに限定いたしますと、今後日本で船を作る場合を考えてみますと、集約をした船主と外国人の船主は比較的低利でもって日本の造船所で船を作ることができますが、集約に参加しない善良なる日本の船主は何ら恩典を受けることができない、外国人よりも高い金利で日本の造船所で船を注文しなければならないというふうな状態が発生するのではなかろうか、こういうふうに考えております。この点は、将来の問題として御考慮を願いたいのでございます。
 大体現在の法案についての私の考えを申し上げた次第でございます。
#4
○委員長(金丸冨夫君) ありがとうございました。
 次に、日本船主協会副会長児玉忠康参考人にお願いいたします。
#5
○参考人(児玉忠康君) 私は日本船主協会の児玉でございます。
 ただいま参議院で御審議中の海運業の再建整備に関する臨時措置法案並びに利子補給制度の強化に関する法案についての考えを申し述べさせていただきたいと思います。
 これらの二法案は、海運会社が外航船舶の建造にあたって日本開発銀行から融資を受けております建造資金の利子を五年間支払いを猶予するとともに、今後の新造船について利子補給を強化することによりまして海運会社の資本費の負担を軽減し、企業体質の改善、国際競争力の強化をはかることを目的といたしております。これらの点につきましては、海運界といたしましては長年要望をして参ったところでございまして、私どもといたしましては本二法案に賛成でございます。
 世界の海運市況は、御高承のとおり、この数年来最低水準に低迷いたしておりました。国際海運におきましても、このような情勢にかんがみまして、遠洋不定期船あるいはタンカーにつきまして共同係船などの船腹安定計画が検討されております。しかしながら、今日の世界的海運不況につきましては、いろいろの見方もございまするが、一時的な船腹需給関係の不均衡に基づくものというよりは、むしろ世界経済の変革、海運市場の構造的変化に原因するものであるという見方が強くなって参っております。したがって、私どもは、海運市況が大幅に回復するというようなことに大きな期待を持たずに、海運の構造的変化に対処いたしましてあらゆる努力を傾注しておる次第でございます。
 このような世界の海運情勢を背景といたしまして、海運の国際競争はますます激しくなっております。この国際競争に打ち勝っていくためには、わが国海運は、企業体制の整備、資本費負担の軽減、船隊構成の革新、船員配乗の合理化など、あらゆる面におきまして合理化を徹底いたしまして、国際競争力を強化する必要に迫られております。これを達成することによりまして、わが国海運は初めてその使命を果たすことになると考えております。
 このためには、企業合理化の徹底とともに、抜本的な施策の実施が必要でございます。幸い、関係各界におかれまして、業界の実情を御認識いただき、この二法案によって開発銀行の利子徴収猶予、利子補給の強化措置が講ぜられようとしておりますことは、まことに感謝いたしておるところでございます。
 また、企業の徹底的合理化をはかるためには、企業相互間における協調体制を強化するとともに、過当競争の排除、企業規模の拡大強化をはかることが必要であると考えております。今日の世界の主要海運国における企業グループの規模などを勘案をいたし、わが国海運といたしましても、海運経営上の船舶の運営単位として、保有量五十万重量トン、扱い量五十万重量トン、合計百万重量トンを標準とすることが適当と考えております。
 このたびの法案が企業の集約化について規定いたしておりますことは、私どものこの考え方と方向を同じくするものでございまするが、具体的実施面におきまして困難な面を生ずるおそれもありますので、企業再建の立場から、その運用面につきましての希望、意見を申し述べたいと存じます。
 法案は、会社の合併、資本支配などを集約の条件として規定しておりますが、長い歴史と実績とを持つ企業をきわめて短期間のうちに合併することは、困難な問題が数多く生ずることが予想されております。主要海運国において大規模な企業グループが結成されているというものの、ここに至るまでには数十年の長い日時を要したのでございます。私どもはこれら予想される諸問題の解決につきまして最善の努力を尽くす所存でございまするが、政府におかれましても、会社合併によってかえって企業の力が弱くなるようなことのないように、法の運用につきまして格段の御配慮がなされますことを希望する次第でございます。また、法案に規定されております自立体制の確立は、海運企業の収支の現況から見ますと非常に困難な問題でございます。もとより企業といたしましては、経費の節減、収入の増大に努力をいたし、収支の改善をはかるほかに、減資など思い切った方法をとって整備計画を作成する所存ではございまするが、同時に、償却の計算方法その他につきましても、実情に即した取り扱いを希望する次第でございます。私どもといたしましては、できるだけ数多くの会社が集約体に参加いたし、このたびの法案による政府施策の適用を受け、わが国海運の再建に力を尽くしたいと念願をいたしておる次第でございます。
 企業集約の目的は、海運企業の基盤強化にございます。もし集約の実施にあたりまして、その方法を誤れば、海運強化本来の目的を達成し得ないおそれも生じます。この際、政府がこの二法案の運用にあたりまして、海運界の実情に即した適切な措置をとられることを重ねてお願いを申し上げる次第でございます。
 なお、海運界の再建をはかるためには、海運構造の変化によりまして急速に陳腐化した船舶や、老齢船、戦時中に建造いたしました低性能の標準型船などのいわゆる不経済船について対策を講じる必要があると考えております。これらの船舶は、全部でわが国保有船腹の一割以上を占めております。これらの船舶の処理対策といたしましては、代替建造を促進し、あるいはこれを改造して他の用途に転用をはかるなどの対策が今後とられますことを切望しておる次第でございます。
 以上の問題のほかに、企業の集約、会社の合併にあたりまして、雇用の問題がございます。私どもは基本的には海運はわが国の基幹産業として今後ますます拡大強化していくものと確信をいたしておりますので、長期的な観点からは今後多くの優秀な人材を必要とすると考えております。ただ当面の問題といたしまして、一時的に雇用調整を要することも考えられますが、原則的には各社ごとに職場の配置転換あるいは関連事業への進出などによりまして善処できるものと考えております。また、海員につきましては、去る四月末に全日本海員組合との間に覚書を結びまして、これに基づいて解決をはかっていく所存でございます。
 このほか、定期航路の安定、不定期船部門などにおける輸送秩序の確立などに努めておりまするが、これらの問題につきまして各界の御協力を賜わりたいと存じます。
 多数の海運企業が数個のグループに集約されますことは、わが国海運界にとりましてまことに画期的なことであり、これが実行の上において幾多の困難がございまするが、私どもは、わが国海運を再建をいたし、国民の要望にこたえるように、最善の努力を払うことを決意いたしておる次第でございます。
 各界におかれましてこれまで海運界に寄せられました御支援と御協力につきまして、この際深く感謝申し上げるとともに、今後とも一そうの御支援をお願い申し上げる次第でございます。
 最後に、ただいま御審議中の法案は、いずれも外航海運についての政府施策に関するものでございまするが、御高承のとおり、わが国の内航海運につきましても、数多くの困難な問題がございまして、その解決に迫られております。内航海運につきましては、政府においても対策検討のための機関を設けられましたが、近い将来におきまして適切な施策が実施されますことを、この機会をかりましてお願いを申し上げる次第でございます。どうも御清聴ありがとうございました。
#6
○委員長(金丸冨夫君) ありがとうございました。
 次に、全日本海員組合副組合長南波佐間豊君。
#7
○参考人(南波佐間豊君) 海員組合の副組合長の南波佐間であります。
 海員組合は、日本の海運は非常に重要な基幹産業であり、当然成長発展すべき産業だと考えているわけであります。ところが、実際はだんだん斜陽化の一途をたどりまして、現にこれで働いている船員の立場から見ますると、海運に希望を失う、あるいは若い諸君が海上から陸上に転出するというような傾向が出て参っているのであります。そういう状況にかんがみまして、われわれは、海運対策というものをわれわれなりに考えまして、あらゆる機会にその実現に努力して参ったのであります。われわれは、なぜ海運がそうなったかと申しますと、なるほど船はたくさんできましたけれども、商船隊の量的整備ばかりを考えて、船の国際競争力なりあるいは業界の状態というものが考えられなかった。業界におきましても、とにかく、水商売的といいますか、何年かたてばブームが出るのだ、したがってまず船を持たなければいかぬ、そういうようなことから、業界にたくさんの中小船主ができまして、そしてそれが過当競争をやってみずから収益を下げている。国際競争の前に、国内の業界の体制というものがそういう状態にある。したがいまして、まずわれわれは、日本の海運を再建をして発展をさせ、そして船員の生活を守るという立場から考えまして、業界に対しまして、過当競争の排除、経営規模の適正化ということを主張して参ったのであります。それから、今日のような破産寸前の状態にある企業をいかにして企業基盤の強化をするかといいますれば、やはり今まで膨大な借金を背負っておって、その負担というものが非常に重圧になっているのだから、われわれの立場からいいますならば、一定期間今までの借金の利払いを免除すべきである。さらに日本の経済の立場からいいますと、まだ船は必要だ、船は作らなければいかぬといいまするが、今のような状態で船を作るならば、いかに船ができて、いかに忙しく働いても、借金の金利を払うために働いているような状態が続くわけでありますから、できる船が国際競争に耐えるためには、金利負担というものを下ぐべきだ。したがって、われわれは、具体的に申しますならば、少なくとも金利は四分以下に下げるべきだ、こういう主張をして参ったのであります。
 そこで、今この委員会で御審議になっておりまするところのいわゆる海運二法案というものを見ますると、私どもはこの法案の成立によって日本の今の海運が必ずしも救われるとは考えませんけれども、内容的にはかなり進んだ対策であると理解をいたしますので、この法案の早く成立することを期待するわけであります。
 そこで、この集約の問題でありますけれども、われわれは実は、海運造船合理化審議会の答申があり、法案が国会に出て、今日まで一体この問題に業界がどのように取り組んでいるのかということに対して、いささか疑問を持っている者であります。少なくとも、日本の海運が国際的に立ち向かっていくためには、今の状態ではだめである。これはニューヨーク航路の例にもありますとおり、盟外船の問題もさることながら、日本の海運自体にやはり問題があるのではないか。そういう意味合いにおきまして、今後海運の構造変化ということが言われておりますけれども、そういう面から見ましても、やはり相当の思い切った合同なり集約ということは必要ではないか。しかし、そのことがあくまでも、日本海運が国際競争力をつけ、むだをやめて投資力をつける、そういう観点から、経営の認識と責任において自主的にやるべき問題ではなかろうかと考えておるわけであります。これは金融機関の債権確保の手段であってはならない。少なくとも、そのことが今後の日本海運が安定をして発展する基礎を作るのだ、そういう意味合いにおいて、あくまでも業界がそういう考え方に立って進むべきであって、金融機関や政府当局はこれに援助をし協力をすべきものだとわれわれは考えております。もちろん、この海運業界の合併集約という問題は、われわれにとっても大きな影響が当然予想されます。これは、申すまでもなく、雇用の問題であります。しかし、われわれは、この雇用の問題というものは、必要にしてやらなければならない。その転換期にどのようにしてやっていくかということにつきましては、私たちは、石炭などと違いまして、先ほども申しましたように、海運というものは成長発展をするんだ、そういう観点に立ちまして、この問題を業界対組合で真剣に諸種の対策を考えるならば、解決の方法はあるとわれわれは確信をしておるのであります。しかし、個々の企業との間においてはこれは解決はできない。したがって、海員組合は船主全体との関係においてこの問題を解決しようとしておるわけであります。われわれは、船員の雇用について、共同雇用というようなことも数年前から提唱しておるわけでありますけれども、しかし実際にはなかなか進展をしておりませんけれども、こういう機会にこそ、従来の考え方にとらわれず、前向きでそういう問題を解決する一つの機会でないかとさえわれわれは考えておるわけであります。
 なお、この法案に先ほども申しましたように基本的には賛成をしておるわけでありますけれども、これだけでもっていいんだというふうにはわれわれは考えられないのであります。と申しますのは、今日、先ほどもほかの参考人の方から述べられましたように、国際的に海運の構造というものが変化をする過程にあります。専用船ができる、大型化していく、あるいは自動化、こういうようなことが進みますと、在来ある船というものは、物理的には動いても、経済的には成り立たない。そういう観点から、経済船の対策というものがぜひ必要ではなかろうかというふうに考えるわけであります。
 なお、今までの計画造船によりますと、たとえばスエズ・ブームのときとか、そういうときは銀行も金を出しやすくなる、そうして高い船を作る。そういう船が今日日本の海運を圧迫しておる大きな一つの原因であることも、否定できない事実だと思います。そういう点につきましても、やはり今後の問題として対策というものを立てていただきたい。
 もう一つは、内航の問題であります。御承知のように、日本の内航海運は年間一億トン以上の物資を輸送しております。しかも、これが日本の経済の成長につれてさらにこの量は年々ふえておるということは、間違いのないところであります。これを輸送距離と物資の量で考えますならば、その仕事量は日本の国内の輸送機関の中で最大の役割を果たしておるとわれわれは考えております。ところが、そういうように仕事がたくさんあって、今日日本の内航海運はどういう状態にあるか。従来、海運対策といいましても、外航については多少の政策はあったかもしれませんけれども、内航については全然と言っていいくらい見放されておったわけであります。しかも、この中には、戦標船――非常に劣悪な船から、あるいは中小企業金融公庫、あるいは東北開発公庫ですか、あるいは北海道の開発公庫ですとか、あるいは石炭合理化資金が投入されてできた専用船とか、いろいろな船があります。あるいはまた新しい船主がどんどんできてきている。そうしてその中で、みずから運賃を下げて過当競争をして、そうして業界というものは歩一歩とやっていけないような状態になってきております。そこで、この内航に一つの筋を立てるということはぜひ必要だろうと考えております。
 従来、海運は自由だというようなことで、何らの手も打とうとしない。私はやはり、この内航という問題を解決するには、もう少し立法措置なり、あるいは行政指導もありましょうけれども、建造調整をするとか、あるいは悪い船を解撤をするとか、あるいは業界に免許制を取り入れるとか、そういう方法をぜひとらなければならぬ。外航の問題につきましても、対策をもっと早くやれば少ない金で効果のある対策ができたと思いますけれども、内航も同様でありまして、このまま放置するならば、次には同じ金をつぎ込んでも効果は期待できない。そういう意味合いにおきまして、早い機会に、内航をどうするかというものを当局においても真剣に検討され、あるいは各政党におきましてもそういう対策を真剣に御検討になって、早い機会に具体化していただきたいと希望するものであります。
 特に内航の場合、いろいろと事件が起きております。しかし、法規の面におきましても、あるいは安全対策の面におきましても、あるいは労働基準の面におきましても、何らの考慮が払われていないと言っても過言ではないと思うのであります。このことが次々と、われわれはよく言うんでありますけれども、宿屋のおやじが船を作る、パチンコ屋が船を作る、そういうことから内航が混乱をしておる。このことは、われわれの立場から言いますならば、働けど働けどどうにもならぬ。で、企業の状態がそうだからがまんをしろと言われましても、一体それならばいつそれが直るのだ、いつよくなるのだというふうに考えた場合に、もしわれわれに希望がないとするならば、一体それはどういうことになるでしょうか。結局、そういうところからやめていくか、あるいはそれに何らかの方向で対策をしていくか、そのどちらかをとらざるを得ないのではないか。外航海運におきましても、そういう状態がだんだんと近づいてきた。私はやはり、海運の発展なくして――船員の労働諸条件あるいは船員の権利を守ったというところで、そういう海運の発展なくしてはそれができないと認識するがゆえに、今までできるだけのいわゆる船主の合理化にも協力をしたつもりでおります。今後におきましても、われわれはほんとうに業界対われわれでもって問題の処理に真剣に取り組むならば、同時に政策というものがほんとうにポイントをついて出てくるならば、われわれは日本海運の一翼をになう立場で海運の再建に協力を惜しむものではありません。
 そういう意味におきまして、この海運二法案というものは、われわれは少なくとも、従来実現できなかったものを今度踏み切った。中身必すしも十分とは申しませんけれども、これが施行されるならば、同時に業界がその気になって取り組むならば、効果は期待できる。しかし、これがすべてではないと申しましたように、この次の問題もひとつ真剣に御検討願いたいということを申し上げまして、私の意見を終わります。
#8
○委員長(金丸冨夫君) ありがとうございました。
 次は、日本港湾労働組合連合会委員長古賀勲君。
#9
○参考人(古賀勲君) 私は、国内主要港湾の船内、沿岸労働者を主体として組織しております日本港湾労働組合連合会、略称日港労連の中央執行委員長の古賀勲でございます。港湾労働者の立場から組合を代表して参考意見を述べさしていただきます。
 私たち港湾労働者は、海運貿易の使命達成の始終をつかさどる重要な労働を行なっておるので、海運と密接不可分の関係にある者として、本委員会において御審議中であります海運二法案につきましては大きな関心を寄せておるのでありまして、幸い所見を申し上げる機会を与えていただきましたことを、心から感謝し、光栄に存ずるものであります。
 日本の海運産業の国民経済上からの重要性は、今さら申し上げるまでもないことであります。この重要な海運産業を今日の不況に立ち至らしめた要因は、世界的な船腹過剰による海運不況や、経営の責任、そのほかいろいろありますが、何といっても戦後から今日までに至る政府の海運政策の不備を指摘せざるを得ないのでございます。今日政府が、機を失した感はあると申しましても、立法措置をもって海運政策を邁進しようとなされております熱意につきましては、深く賛意を表するものでございます。
 私は、日本海運の国家国民経済上からの重要性から見て、日本海運の現況を脱皮して、国際競争力に打ち勝つ成長産業としての体制を作らしめることを大前提としたところの根本的な施策を樹立せらるべきであると思うのでございます。したがって、海運業全般とこれに関連する各業種をも含めた施策が必要であると考えるのでございます。もとより一挙に広範な施策を行なうということは困難な場合もありましょうし、段階的に推進すること等もあると思いますけれども、成長産業とせしめるという根本的な構想がなくて、産業上大きな力を持つ大手筋から着手するという漸進的、段階的な政策の推進には、必ず一方において犠牲を生み、国民の批判を買うことが多いと考えるのでございます。
 本法案を見ましても、海運業の再建整備をはかる目的であって、暫定措置というふうになっておりますが、外航大手船主を中心として一定の集約を行ない、そのものにだけ尊い国民の血税がつぎ込まれることになるわけであります。大手海運の集約が大前提となっておりまして、内航海運、小型船舶運送業者及びオーナーの中小海運は全く除外せられておりまして、その恩恵はこうむらないのであります。それのみか、逆に大手の資本系列的な体制の確立の犠牲が彼らにしいられてくるということが考えられるのでございます。すなわち、中小企業存立の範囲というものが運命づけられてしまうことになるのでありまして、この対策を含め、あるいはこの対策を先行させるということでなければ、片手落ちの対策であるという批判は免れないのであります。したがって、経済政策としても誤っているのではなかろうかというように考えられる次第でございます。
 御承知のように、中小海運は一千社以上といわれまして、年間の輸送量も一億数千万トンにも達しておるのでございます。なおかつ、逐次増加の傾向にあるわけでありますが、乱立状態である。それがために、過当競争が非常に激しいし、彼ら自身の秩序も乱しておりまして、海運界としての自立体制移行への足を引っぱっておるということは事実であろうかと思うのでございます。しかしながら、これも一言にして申しますならば、当局の行政指導あるいは監督の不備、不徹底と経済構造の誤りによるものであろうと思うわけでございます。内航輸送の大きな役割を果たしているものに対しまして、これを倒産消滅させるというような政策は行なわるべきでないというように思考いたすものでございます。
 第二に、集約化についてでありますが、さきにもちょっと触れましたように、政府は海運再建整備の大前提として、系列的、専属的に幾つかのグループに集約を行ない、海運、金融、政府が一体となって推進に努力するというように考えております。ところが、一般にそのことは、金融機関中心の系列化によるグループの独占集中であり、官僚独善となることが心配されております。そうして、各企業の生い立ちそのほか相当の違いがあるものを集約するものでありますから、自由意思のものでないのじゃないか、そうして半強制的な様相さえあるのではないか、したがって無理がこれには伴っているのではなかろうか、海運として、一年以内に集約を終わって、五カ年間において完全な自立体制を作らなければならない。国民の批判にこたえるために、集約の条件というものはできるだけきびしいものでなければならないと思うのでございますが、この間の企業努力というものはたいへんであろうというように思われるのでございます。しかも、経済的な見通しの上に立った未来像というものができ上がっているというようにはどうも見受けられないようでございますし、そうなりますと、企業努力のためにより以上の金融機関の力添えが必要であるというように思われます。そこで、法案の内容の中の株式保有という形の幅広い中で金融機関の発言が強くなるのではないか。グループ別競争に加えまして、債権確保優先というような金融機関の本性というものがここに出てくるのではなかろうか。また政府といたしましても、法の運用、行政指導は大きな責任があるわけでありますから、勧告権等の乱用によるところの独善になりかねないというような心配もあるように見受けられます。集約が大前提となっておりますから、露骨な表現で申しますならば、官僚統制になってしまうのではないかというような心配があると思うのでございます。もとより、集約が外航海運としての適性規模、業界相互の協調によるところの近代化への脱皮、企業の体質改善などにつきましてはもちろん役立つことでありますので、異議を差しはさむものではございませんが、これによって従業員を犠牲にするというようなことがなく、総合的な中において労使が十分雇用問題について話し合えるというように当局としても援助をなさるべきであろうと思うのでございます。海運企業も、この機会におきまして根本的に対策を樹立するために、利子補給、あるいは損失補償につきましても、現状と見通しの上に立って、助成についてどうしてもらうべきかというようなことを率直に詳細に出されることがよいのではないかというように考えるわけでございます。適切な当局の指導がどれだけ積極的に行なわれるかという点は疑問視はされますけれども、これもまた指導いかんに大きな成否がかけられておるわけでございますので、政府当局といたしましても、積極的に指導、監督を行なわれるようになされなければならないと思うのでございます。
 第三に、日本海運が国際競争力に勝つためには、国際運賃の確保が必要であると考えます。したがって、当然、日本海運の定航、あるいは不定航、あるいはタンカー対策はもとより、盟外船、あるいは便宜置籍船対策を確立するためには、やはり海上運送法の適切な改正をあわせて行なわるべきであるというように思考いたすのでございます。もとより、海上運送法改正につきましては、国際感情等の問題もありましょうし、慎重を要するというように考えられますけれども、運賃水準の維持に力を注がれなかったならば、国内でいくら対策や施策を進められましても、役に立たないのではないかというような気がするわけでございます。特に、海運の運賃に占めておりまする荷物費あるいは港湾費として外国における支出費は、国内の支出費に比べますと相当の高額となっておるように見受けられるのでございます。したがって、わが国の船舶の積み取り比率の増大をはかられるとともに、貿易外の収入の一端をになうところの港湾運送料金も国際水準に改定して、港湾経費全般の値上げを含めたところの海運企業の経常企画を立てさせなければならないというように考える次第でございます。
 第四といたしまして、不経済船あるいは高船価対策等、先ほどほかの参考人の方からもお話がございましたけれども、これがどうも表面に出ていないようでございます。もちろん、政府といたしましては、海造審において十分に審議をせられるというように聞き及んではおりますが、私は特に不経済船について衆議院の運輸委員会において船主側の参考人が公述なさったように聞き及んでおりますけれども、この公述を実は重要視いたしておるわけでございます。それは、タンカー等の不経済船舶は輸入食糧輸送に改造するというように言われていることでございます。ごくわずかな費用をかけて改造をして、危険な非衛生的な状態で食糧が積載されて、港に参りまして荷役作業が強制される危険性が多分にあることでございます。聞くところによりますと、すでにこのことについて船主側と政府はその対策の構想が練られているというようにも伺っているのでございます。このような危険な作業の例が、実は昨年の十二月十八日、ギリシャ船で神戸港においてあったのでございます。タンクの中には菜種の種を積んできて、そうして人間が入ったら非常に危険な状態になるというような例があって、荷役を拒否したわけでございますが、このような例が日本船に起こりますと、外国船はこぞってこういうようなことをまねしてしまう、そうして危険な作業が押しつけられてくるという心配があるわけでございます。したがって、私どもは荷役作業に対する設備に対しては万全の措置をとられることをお願いしたいと思うのでございます。解撤予定船等の安全設備につきましては、非常に不備な点が多いわけでございます。こういう点から見ましても、特に改造されると言われるならば、荷役作業における安全というものを十分考慮をしていただかなければならないと思うのでございます。
 さらに、船舶におけるところの荷役労働者のために、ILO決議あるいは条約等にあります便所あるいは休憩所、食堂というような港湾労働者の作業のための設備というものは全くない状態でございます。したがって、ILO決議、条約等を尊重するという意味合いにおいて、改装、新造されるところの船舶につきましては、これらの配慮を千分行なっていただきたいということを希望いたす次第でございます。
 最後に、冒頭申し上げましたように、海運再建整備は、海運全般についてはもちろんのこと、関連業種について広範に考えられるべきであると思いますが、政府として関連するものについて何らお考えになっていないということを指摘しなければなりません。特に港湾運送と港湾労働者について直接の大きな影響がありますが、その対策は何ら示されていないのであります。海運の集約は、再建に必要な合理化であると思うのでございます。この合理化によって、企業基盤の確立、発展が約束されるのであるが、労働組合は何でもかんでも合理化と名がつけば反対するというようにお受け取りの向き毛あるかと思いますけれども、そうではなくて、私の申し上げることは、建設的な意見という形でお聞き取りをいただきたいと思うわけでございます。海運集約がどのように港湾に影響があるかという点を申し上げてみますると、
 まず第一に、海運集約が外航中心に行なわれ、この集約から取り残された内航とオーナーの動揺は、ここを専業としている港湾運送事業者と労働者の死活の問題となるのでございます。
 第二に、海運集約は資本の系列ごととなるというように考えられます。したがって、荷主、貿易商社の動きによって、同一系列内の港湾運送事業者間においても作業量の移動が出る上に、港運業者の直接の取捨選択が行なわれ、系列内にありつくために、不当競争は弱肉強食というような様相を呈してくるということが心配されるのであります。したがって、この系列外にあるような下請専業的立場の港湾運送事業者の存立の危険というものは、まことにきびしいものであるというように考えなければならないのでございます。
 第三に、金融機関は、メーカー、貿易商社に対して大きな力を持っているわけでございます。海運に対して新たな力を持つ、こういうことになるのでありますが、各資本系列ごとの流通経済全般の合理化という形で、従来の港湾の貨物の流れが一変してしまう、港湾運送事業者の既得権というものは全く失われるというようなことになってしまうような状態が生まれてくると思うのでございます。特にバースターム・カーゴの多いところ、横浜、神戸におきましては、この不安が大きいわけでございます。
 第四に、航路別、貨物別の配慮が当然行なわれると考えられますし、不経済船、専用船の改造、新造は、港湾運送料金というものを特定の料金、すなわち特殊料金という形に変革をさしてしまう。そうしますと、能率等の問題もございますけれども、料金そのものが切りくずされて、労働者には労働強化が強制をされてくる、ひいては労働条件全般に対しても非常に悪らつな労働条件を押しつけてくる、こういう結果になって参るということが考えられるわけでございます。
 第五に、海運集約体制確立の一年間並びに猶予期間の五年間というような間は、船主、荷主の大きな圧力が弱いところの港湾にかかってくるということが心配されるのでございます。したがって、港湾運送企業としての健全性が一体どうなるのかという心配があるのでございます。これは作業料金も当然国際的な公共料金という形に日本としては移行していかなければならないというように考えますけれども、この国際的な港湾運送料金に移行していくそのものも押えられてしまうという心配があるわけでございます。これは、すなわち、労働者の労働条件へのしわ寄せということになるわけでございます。
 第六に、船主、荷主は独禁法が緩和されるという形になって参ると思うのでございます。ところが、逆に中小企業でありますところの港湾運送事業者の建設的な、あるいは良識あるところの行為すらも、共同行為という形で圧力がかかってきて、規制をされてしまう、こういう心配があるのでございます。そうなりますと、日本の場合に、当然外国船主等はこれ以上の圧力をかけてきて、そして日本船舶と競争するという形になると思うのでございます。
 以上のように、海運集約は港湾産業に大きな不安と動揺を与えながら、経済的な圧力をもって変革をもたらそうとしているのでございます。すなわち、港湾の再編成を行なおうとしておるのでございます。経済界から言わすならば、港湾は輸出入貿易海運の流通経済上の一ポイントというようにはなっておるけれども、港湾産業としての力も中身も何もないではないか、経済構造の変化からくる港湾の再編成というものは当然のことではないか、またこれが港湾企業の近代化のためにかえっていいことではないか、こういうように言われる向きもあると思います。それでは、港湾産業の公共性の強い使命ということから申しますと、政府として所得倍増計画に基づくところの総合的な政策のビジョンというものがあるのかどうか、いわゆるそういう中に港湾運送と港湾労働行政対策というものが確立されているかどうかと申しますと、何もないではないかということを申し上げなければならないと思うのでございます。そうしますと、政府も、経済界の言い分のように、港湾運送事業は流通技術なんだ、経済支配産業に包含されてしまうべきものだとお考えになっているのではなかろうかというような疑問を抱かざるを得ないのでございます。しかし、そうであるとするならば、不思議に思われますのは、港湾運送事業というものは、これは業界の保護立法である、運送事業者に対するところの一種のカルテルである、こういうように思いますし、港湾労働対策にどういうわけで、公共性の強い立場からいって、港湾労働対策について無意識であるのかということを不思議に思うようなわけでございます。港運業がどっちにころびますにいたしましても、港湾労働者というものは必要であるということははっきりいたしております。それに国際的な関連が非常に強いし、国民経済からの公共性が強い。それをなぜ今まで放置しておられるのであろうかというように疑わざるを得ないのでございます。したがって、この疑いを解く一端とするために、簡単に港湾行政の姿というものを見てみたいと思います。
 港湾運送事業法の一部が改正されまして、特に本院の附帯決議までつけられまして成立をして、現在施行されておるわけでございます。昨年の十月から全面施行となったのでございます。ところが、改正の主たる目的であった乱立の防止、運送秩序を確立することによって健全な発達が望まれたのでありますけれども、免許基準が大綱を示しただけでありますために、法の運用面におきまして、逆に免許申請件数というものは既存業者をはるかに上回る増加の大勢にあるわけでございまして、しかも港湾運送秩序というものは全く確立をせられていないという現状にあるわけでございます。そうして、船主、荷主に直接つながっておりますところの乙種仲立業、あるいは税関貨物取扱人、そのほか無登録、無免許の業者が違法行為をやっておりますが、こういうものに対して政府当局は全く黙認をせられておるという現状であるわけでございます。さらに、免許に際しましては、これらの違法業者に特例措置まで設けて免許をなさろうとしておる。したがって、乱立防止というものは全く忘れてしまって、逆に港湾運送事業者が増加しようとしておるのでございます。ところが、一方におきまして、この海運の集約化は、資本系列化によるところの整理を行なおうという形に通じてくるわけでございます。前述の経緯から見て判断いたしますならば、資本に隷属させた細分化をしようというようなことも考えられるわけでございます。
 次に、港湾運送における運賃料金というものが、直接荷主、船主と作業契約をした場合とされていながら、はなはだ不明確で、これは港運業者の下請、元請間の力の配分にまかされてしまっている、こういう関係にあるわけでございます。なおかつ、港湾運送事業が免許制度になりまして、認可料金ということになったわけでありますが、この認可料金として、作業量の六割近くが外国船でありますが、国際的な料金に移行するというようなお考えも全く見受けられないのではないかというように思われるのでございます。全く配慮されていない、こういうように申し上げても差しつかえないのではないか。なるほど、総理大臣のお考え等もいろいろ新聞に出されておりますけれども、なかなか具体的に進みそうな気配が見受けられませんので、あえてそういうように私は申し上げるのでございます。そうしてさらに、港湾運送事業の中におきましても、公団はしけその他融資の割当等につきましても大手筋だけに行なわれておる、こういう状態でございます。特に最近小型海運の港湾運送への協力というものが、伊勢湾海運等におきましては特にあるわけでございますけれども、こういう点におきましても便宜主義的に扱われてしまって、小型海運業に基づくところの船であるのか、あるいははしけ回漕事業に基づくところのはしけであるのか、こういうような区別すらもつまびらかにされていない、こういうような状態が見受けられるのでございます。こういうような港湾運送の現状は、港湾労働者の賃金、労働条件に大きくしわ寄せされているということは、御承知のとおりでございます。一昨年になりますけれども、未曽有の船込みになったように、港に働く労働者が他産業にどんどん流れていってしまって、労働力が非常に不足を来たしておるのでございます。今日もこの状態は続いているのでございますけれども、政府当局は船込みはすでに解決したのだというような表現をされているようでございます。港湾の推定から見ますならば、四十五年までには一千三百三十五万総トン、今後六百七十五万トン船腹量をふやされる、こういうようなお考えのようでございますけれども、こういうものに対する、需要に対する供給というものについて、いわゆる港湾運送と港湾労働について政府としてお考えになっているのかどうかというと、全くお考えにはなっていないんではないか。特に港湾の宿命的な月末集中等の波動性におきましても、これに基づくところの日雇い労働者に依存するというようなものも、これは全く人為的なものであるというように言わなければならないと思うのでございます。港湾運業の基盤の薄弱な現状も、政府の責任においてやはり解決をみていただくべきであろう。いかに、中小企業であり、いわゆる弱小企業にひとしいところの港運業者のみが、自立体制の確立のためにその指示を受けて動こうといたしましても、なかなか解決ははかり得ない、こういうように考えられる次第でございます。これらはすべて、二言に申しまするならば、政府としての大資本擁護、こういうために港湾運送事業等の小さいところというものは、あるいは港湾労働者というものは、忘れられてしまっていたんではなかろうかというようにさえ私どもは思うのでございます。目下総理府に設置されております港湾労働等対策審議会に、総理大臣は港湾労働及び港湾の運営利用について諮問をせられているのでありまして、私もその委員の席をけがさせてもらっているわけでございます。したがって、政府は港湾労働そのほか一切の港湾問題についてはそこでやっているのだと言われるかもしれませんけれども、政府当局がほんとうにやる気になって積極的に取り組んでおやりにならなければ、関連するところのそれぞれの分野からのしわ寄せによりまして、大きな犠牲が知らぬ間にしいられてくるという結果になるのでございます。今回の海運集約の港湾への犠牲ののがれ道といたしまして、港湾労働の問題については港湾労働等対策審議会でやっているのだ、こういうようなことをもしお考えになっているようでございましたら、とんでもない政府としての誤りだというように私どもは考えるわけでございます。今回の海運集約化の影響が、港湾産業の総合的なビジョンもないし、無法地帯の様相の中に、さらに上積みをされるものでございます。決して港湾の中小企業や労働者を守るというようなことは考えられないのでございます。したがって、これが早急に通過をいたすということになりますれば、港に一陣の旋風が巻き起こって、跡形もないようなごたごたした状態に陥ってしまいはしないかということさえ懸念いたす次第でございます。
 以上申し述べましたように、海運再建整備につきましては、ほかに犠牲者を生むことなく、海運全般――総花的と申される向きもあるかと思いますけれども、足を引っぱっている部分もあるわけでございますので、海運全般に対しまして、成長産業ということを大前提として、根本的に助成の面をもっと強化をして、積極的な施策を樹立されることが必要である。そうして、関連する業種、特に港湾労働対策を含むところの港湾産業対策をあわせて行なわれるべきであるというように考えます。特にこの点を本委員会の皆様方にお願いを申し上げまして、私の所見の公述を終わりたいと思います。
#10
○委員長(金丸冨夫君) ありがとうございました。
 では、ただいまから参考人に対する委員の質疑に移りたいと思います。委員各位におかれましては、できるだけ要点を明らかにして御質疑を進めていただきたい、かように存じます。
#11
○岡三郎君 児玉さんにちょっと聞きたいのですが、不経済船が大体一割ある、これは利用をどうはかるか、非常に大きな問題であるというようなお話があったわけであります。先日の衆議院においても、不経済船の問題について船主協会を代表して二、三述べられておるようでありますが、具体的に不経済船をどういうふうにしていったらいいとお考えなんでしょうか。
#12
○参考人(児玉忠康君) お答え申し上げます。
 非常にむずかしい問題で、実は本年度の船主協会の主題の目的といたしまして研究することになっておるのでございますが、一言で言えば、非常にむずかしい問題でございまして、今これという方策もつかないわけなんでございます。ことしはこれを一つの大きな課題として、唯一と言ってもいいくらいの課題として、いろいろ研究しておるのでございますが、しばらく御猶予を願いたいと思います。いずれにいたしましても、不経済船は、先ほどからもお話がございましたとおり、オーナーがよけいに持っておるわけでございます。したがいまして、この法案によりまして、オペレーターは大体において努力次第によりましては自立体制が確立できると思いますが、オーナーのほうは、この不経済船を多く持っておる関係も非常に災いいたしまして、非常に自立体制に持っていくのに容易でないと考えて心配しておるのであります。何とかこれの対案を作りまして、いずれ政府当局にも申し述べまして、この方策につきまして大方の御後援を願いたいということにしたいと存じております。重ねて申し上げますけれども、ことしも船主協会の唯一と申してもいいくらいの課題にして研究をいたすことにいたしております。
#13
○岡三郎君 脇村さん、今の問題についてどうお考えなんでしょうか。海運再建という面に大きな一つの課題だと思うのですがね。
#14
○参考人(脇村義太郎君) 私は、不経済船につきまして、その不経済船をどうして所有したか――実は海運造船合理化審議会で数年前に、どういう船を作るかというときに、議論をしたのでございますが、そのときに相当われわれの意見を申し上げましたが、その意見に反対しまして、いわゆるスタンダード・タンカーをお作りになられた向きが多いのでございます。これが今日の不経済船になっているのでございますから、少なくとも、お作りになるときには、われわれは、これは不経済船で、作るべきでないというふうに予想したわけでありますが、それを今持ってこられて、どうしてくれるかと言われましても、これはどうも横を向いているよりほか仕方がないのでございます。ただし、政府といたしましては、当時その二つの議論に対して、海運造船合理化審議会の議長は、今から申せば不経済船を作ることに御賛成になり、政府もその多数意見としてそれを御採用になったのでございますから、これはやはりその意味では幾らかその責任の一端を背負っていただけるのではないかと私はひそかに考えておりますが、私自身は横を向いている次第でございます。しかし、そういうふうな予想のできなかったような事態も実はないではございません。つまり、その当時スタンダード・タンカーを作るべきでないということを申したのでございますが、つまり、作るならばそれは自己責任でおやりなさい、国の金を使ってまでスタンダード・タンカーを作る必要はないのでないか、国の金を使って作るのには、将来どうしても必要だと考えられるものを作るのが合理化資金の使い方ではないか、まあこういうふうに申したのでございます。ところが、これに対して、日本の港湾の実情から見て、スタンダード・タンカーが適している、将来もそうなんだ、こういうふうなお考えだったわけでございます。これは、港湾の状態がだんだん変ってくる、その変わり方が非常に激しいということのつまり予想、あるいは認識の差でございまして、したがって、ある意味から申しましたら、私は、そういうふうな間違った指導者がおった船会社が今日非常な不況に立っているのも、これはどうもやむを得ない状態であって、思い切って減資をしていただくということ以外に、これを国の財政資金にすがるということは無理ではなかろうか、他の産業とのつり合い上非常に無理ではなかろうか、こういうふうにも考えられます。しかし、一般に不況対策が行なわれている石炭などにつきましても、私はもう二十年、三十年前から、石炭業はこれは企業採算に乗るべきものではないのだ、こういうふうに考えております。まあ現在でもまだ石炭業は自立できるというふうにお考えになっている向きもございますが、これは私は、もうそういう考えは間違っているのだ、こういうふうに思っておりますが、そこは見解の相違でございますが、結果から見ますと、不幸にして石炭業というものはだんだんとわれわれの予想したとおりになっている。しかし、そのときに国としては、これにやむを得ず資金を投ずるということはやっておられるわけでありますから、不経済船というもの、今日のこの状態になってみたならば、やはり不経済船については、国として海運業全体を立て直すためにお考えになるということ、これは私は決して他の産業との振り合いから見ればやってやれないことではなかろう、こういうふうにも考えます。
#15
○大倉精一君 児玉参考人さんにお伺いしたいのですけれども、今の岡君の質問に関連しまして、先ほどの脇村さんのお話の中に、最近の船が大体五年ないし十年でもって不経済船になる、こういうお話がございました。そうであろうと思います。そこで心配されることは、五年、十年でもって不経済船になるというようなことになれば、次次と新建造船のたびに、やはり大きな借金を背負い込まなければならぬという、こういうことが繰り返されていくのじゃないかと思うのですね。そうなって参りまするというと、この法案でかりに一時しのいでみても、やはり将来大きな禍根を残していくのではないか、ひいてはこの法案の目的、農業には沿うことができないという結果になるのではないかと思いますけれども、そういう点に心配があるのですけれども、船主協会としてどういう工合にこういう点お考えなのかお聞かせ願いたいと思う。
#16
○参考人(児玉忠康君) お答え申し上げます。おっしゃるとおりだと思いますが、先ほど来お話がございましたとおり、船の寿命が十年ぐらいになったということは、まさにそのとおりだと思います。それは、先ほどからお話がありましたとおり、経済構造が変わり、海運の構造がだんだん変わって参りまして、大型になり、そして専用船ができる、こういうことで変わって参りましたので、実は私ともの――自分の会社のことを申し上げると何ですけれども、昔の船は三十年ぐらい――償却を済まして、ただで十五年も、極端なことを申し上げれば二十年も使っておったわけです。ところが、今申し上げたように、現在は全然様子が変わって参りました。したがいまして、今おっしゃいました御心配は十分あると思いますげれども、これから作ります船は、主として、定期船を別問題にいたしまして、タンカーあるいは鉱石船という大型船の大体採算を十年ということに目安を置きまして船を作りますので、十年くらいたってその船があるいは構造がまた変わってくるというような場合がありましても、十年で大体償却も済まし清算をしてしまえるような船をだんだん作っていくことの傾向も多いし、また船会社もそういうことを考えております。それで、今の御心配は、さほど御心配いただかなくてもいいのではないかと存じます。
#17
○大倉精一君 脇村さんにお尋ねしたいのですけれども、まあたいして心配ないというお話でございますので、安心するわけなんですけれども、と同時に、計画造船というものに対しても、将来構想はいろいろあると思うのですが、こういう問題についても、この際いろいろ検討すべきじゃないかというような気がするのですけれども、そういう点についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#18
○参考人(脇村義太郎君) その点につきましては、したがって、その海運業の自立をいつ何年でするかということにつきまして、私は三年という、あるいは二年ないし三年という非常に短期間を限っておる。と申しますのは、三年ぐらいならば大体今の海運事業、あるいは現在の船の構造とか技術が発達したのは大体見通しをつけることができますから、なるべく早く自立体制まで持って行ってしまう。これが五年になりますと、五年後に海運の技術がどうなるかということにつきましては、若干私たちは予想がつかないのでございます。今研究室で研究されておる技術がどういうふうに開発されてくるかというと、三年ぐらいまでならば、大体それが開発される――現実に船となって出てくるということについての見通しは持っているわけです。それで、当初の構想におきましては、三年間で自立してしまう。しかし、国としては五年間利子をたな上げしてやる。そうしますと、二年間のそこにギャップがあるわけです。自立したあとでもまた国のほうでたな上げしてもらいますから、海運業としては幾らか内部蓄積ができる、内部保留ができる。そうしますと、今度利子を支払う猶予期間が過ぎましても、あとは国際競争に立ち向かっても耐え得るのではなかろうか、こういうふうに私は考えております。ですから、理想を言えば、五年間で自立体制に持っていくとすれば、五年で利子補給を打ち切らないで、七年まで利子の猶予を延ばしてやって、自立体制ができてからあと二年くらいは船会社に少しゆとりができるのを大目に見てやるというくらいの親心があれば、理想ではなかろうかと私は考えておる次第であります。
#19
○岡三郎君 先ほどの不経済船においても、それは無理だと言ってもどんどん作ってしまった、そういう不経済船と、海運構造の変化に伴って自動的に不経済船になってきたものもある。そういうふうな要素を含めて、先ほど、集約しない業者にも利益を与えていく必要があると、こう言われておったのですが、しかしそれが非常にむずかしいと思うのですがね。たとえば炭鉱のような問題については、労務者の配置転換とか、いろいろな問題を含めて――これも海運業にあると思いますが、大体雇用面が非常に大きな問題になってくると思うのですが、今回の場合は、これは斜陽産業じゃなくて成長産業だ、そういうふうなことを言われておる中において、不経済船に対してここに一つの援助なり助成を与えるということによって立ち直ることができ得る見通しなんですか。要するに、不経済船は、あくまでも金を入れたって不経済船なんだ、そんなものにかかり合っていないで、もっと基本的な方向でやれということなのか、そう言ってもあまり乱暴だから少しめんどうを見てやったらどうかという、その点の具体的な問題なんですがね。端的に言って、もう不経済船を、この際減資するなら減資し、そうしてもう切るものなら切っていかなければ、全体の動きがとれなくなるのか、その点はどうなんですか、脇村さんにお願いしたい。
#20
○参考人(脇村義太郎君) 具体的な、不経済船を持った企業と、その企業の内容等については、私詳しいことを承知いたしていないのでございますが、会社経営の立場から申しますと、不経済船と高船価船の二通りあると思うのでありますが、これを作りました時期が今から数年前――十年にはなっていないと思うのでございますが、その間に償却ができればこれは償却してあるだろうと思います。非常にスエズ直後のブームでございますから、そのブームのときに思い切った償却をしてあれば、いかに今日から見て不経済船があっても、帳簿価額は非常に安くなって、私は運航できるようになっているべきはずだと思うのです。これが現実にそうなっていないというのは、おそらくその船会社が非常に規模が小さくて、そういう船を二隻とか三隻しか持っていないということになるのではなかろうか。これが規模の大きな船会社でございますれば、その船はいかに不経済船であっても、他に経済的な船がある限り、その他の経済的な船の収益でもってこれはどんどん帳簿価額を落としてあるわけです。ですから、大きな規模の船会社にしておかないと不況に耐え得ない、変動に耐え得ないというは、そういうふうな大きなものにしておれば、たとえ不経済船を持っておりましても、利益のあるほうでもってこれを自分で償却する力があるのでございますが、それがどうも、そういう船のみしか持っていないという船会社になってきますと、償却が非常に困難になってくる、不経済船が不経済船のままとして今日に残っておるということがあるだろうと思うのであります。
 それからもう一つは、高船価船ということがそこで問題になってくるわけです。つまり、帳簿価額を落とすことができないために、非常に高い船価のままで残っておる。つまり、数年前には、大体一重量トン造船原価が日本で二百ドル前後した場合もあるわけであります。それが今日は百ドルを切っておる。そうすると、百ドルだけは、これはもう全く経済的な価値を失っているわけでございます。しかし、これらに対しても、その当時造船合理化審議会で、われわれは、この景気のいい、船価の高いときに船を作らないで、黙って見送って、これを輸出するなら輸出したらどうですか、今にこの船価は安くなるのだから、安くなったときに船を作るのが、これが海運業経営の鉄則じゃございませんか、安いいい船を持たないで、高い悪い船を持って、どうして海運業がうまく経営できますか、こういう議論をしたのでございますが、景気のいいときに船を作らないと、景気が悪くなったときには船は作れないのだ、こういうふうなお考えをその当時の船主の方々は主としておとりになったと思います。これは、財政資金の使い方といたしましては、好景気のときには自分の責任で自分で調達してお作りなさい、不況になってだれも作らないときに、初めて国が資金を投入して、そうして、船主に船を作ってもらうことにすることが、また奉る一面から申しまして、景気維持の、あるいは景気をよくする一つの作用をも公共投資としてするのではなかろうかと思うのでございます。不幸にしてわれわれの主張がその当時通りませんで、景気のいいときに多くの船が作られる、それが今日の高船価船の大きな原因になっているのではないかと、こういうふうに私は考えております。
#21
○岡三郎君 そうすると、児玉さんにお伺いしますが、先般本委員会で政府に質問したところが、スエズ当時好況に恵まれて、当時大体どのぐらいもうかったのかといったら、大体一千億ぐらいはもうかったのではないか、ところがその金で次々と高い船を作っていったために抜き差しならなくなってきた、こういう説明があって、一体、そういう思惑をやったのに対して、政府がいつまでもそういうものに援助とか助成するということの価値があるのかという質問応答がなされたのですが、こういう点について、高船価の問題については、われわれ自体としても、政府、国全体の国策として造船界の発展を期さなくてはならぬということはわかっておっても、そういう思惑がなされたものについて、造船界としては、それもやむを得ない、一緒に救っていけと、こういうことを考えておられるのですか、この点はどうなんですか。
#22
○参考人(児玉忠康君) お答え申し上げます。スエズ・ブーム当時に一千億ももうかったというお話でしたが、少なくとも私のほうは、配当もいたしませんし、もうかっていなかったのですが、あるいは一千億ですか、五百億もうかっていたのかもしれませんですが、今脇村さんからお話がございましたとおり、スエズ・ブーム当時確かに景気がよくて、高船価の船を作ったことは事実でございます。しかし、これはスエズ・ブーム当時景気がよかったと同時に、日本の経済が非常に大きな速度で発展をしていたところでございまして、したがって、御承知のとおり、それに即応すべく、輸入の原材料というものが非常によけいに来たわけでございます。これは国家から御指命があったわけではございませんが、国家の要請と言ってもいいぐらいに船がその当時要ったのでございます。それで、高船価を知りながらもそのときに作ったというのが現状でございまして、今から考えますれば、たいへん弱気なことを申し上げるのですが、確かに方向を多少見失ったと言ってもいいと思います。しかし、これは私が言いのがれを言うわけではございませんけれども、世界各国が全部誤りに陥ったわけです。そのために、今世界の船腹が非常に余っておりまして、いわゆる不経済船の船腹が余っておりまして、不定期船では三百万重量トンぐらい余っておる――係船をしておるはずでございますけれども、その需給の関係がそごを来たしまして、今運賃が上がらないという状況になっておりまして、まあ言いわけ的になりますけれども、日本海運も誤りました――ある程度、しかし世界的に誤ったと言ってもいいのではないかと存じております。
#23
○岡三郎君 世界的に誤った――確かに、動乱が起こって、それもうかるぞというので作られる気持はわかるけれども、しかし、それに伴っての将来の見通しについても、まあ船会社は、八年なり十年なりに一ぺん何か一つ戦争でもあれば、そこで経費が伴う、会社ももうかると、こういうことでやってこられたのが、根本的に構造が違ってきたというふうなことも言われておるわけですが、聞きたいのは、結局そういうふうな高船価を持っておられる点について、まあ集約できない、そういったものがやはり減資をするというふうなお考えなんですか、船会社自体はどうなんですか。やっぱり助成かなんかをしてもらって、それも細々とつないでいこうと、その点についてちょっとお答え願いたいと思うのですが。
#24
○参考人(児玉忠康君) お答え申し上げます。
 今度の、今御審議願っておる法案というものが、私考えますと、まあ非常に高度の助成だと思います。したがいまして、この助成を背景にいたしまして、船会社がほんとうに真剣になって取っ組んで参りますれば、先ほども申し上げましたとおり、オペレーターのほうは自立体制はつくと思いますが、オーナーのほうはなかなかむずかしい問題が残るというわけでございます。オペレーターでも、私どもは、自主的にやります場合に、どうしても減資あるいは資産の処分までしてやらなければならない場面が出てくるのではないかと存じます。オーナーにおいてはもちろんのことだと私は考えております。これは、この犠牲は当然払わなければならないと私は存じております。ちょっとオーナーのことに立ち至りましたが、オーナー自身も犠牲を払いますけれども、場合によりましては、そのオーナーに非常に関連のあるオペレーターも、あるいはいろんな手段で多少の犠牲を、相応の犠牲を払わなくちゃならないと思います。そんな場合に、あるいはオーナーの船を買い上げるとか、あるいはでき得ることになりますれば用船料をある程度増すとか、あるいはこれから作って参ります新造船を共有の形にいたしまして、上がりました利益を多少なりともオーナーさんに分けるとか、何とか方策を、できるだけの方策を作ってやっていくつもりでおるのでございます。その辺はみんな真剣になって考えております。しかし、何といっても、先ほどからお話のあるとおり、商船価船あるいは不経済船と申しますか――の問題は、なかなかむずかしい大きなガンになっておりますので、これをどうしてさばいたらいいかということを、先ほどから申し上げておるとおりに、今後研究をして参るはずでございますけれども、これに対しまして、はなはだ勝手ではございまするけれども、具体案でも出ましたときには、何分の御方策を願いたいというふうに考えております。
#25
○小酒井義男君 脇村先生にちょっと一、二点お尋ねしたいのですが、先ほどのお話で、これだけの助成がとられれば、現在の海運市況のもとで進んでいくとして、三年で大体自立をして、あとの二年ぐらいで基礎強化ができるだろうと、こういうお話のようでありましたが、その過程で船主協会のほうとして集約をしていく、その中で合理化される点が、どういうところが合理されていって、経営者のほうの努力というものの焦点がどこにしぼられていくべきであろうかということについて、御意見をお持ちだろうと思いますので、承りたいと思います。
#26
○参考人(脇村義太郎君) 御質問の点に対して少しはずれたお答えになるのではないかと思うのでございますが、集約の構想をいたしましたときには、どういう点、あるいはどういうふうなことを船主がおやりになるかということについては、これは全くその船主の自主的なお考えでやっていただく。われわれとしては注文をつけない。注文は、五十万トン、百万トンだけの注文だけで、それ以外の注文は一切つけないということにいたしまして、その数字を出したわけであります。したがって、船主がどういうふうにおやりになるか、これは全くその船主の自主的な判断におまかせする。ただし、どういうふうな方向で努力するかというと、それは私は三年後に配当できるように努力をして下さい、利子を五年間たな上げしましょう、こういうことで話を進めたのでございますが、今の法案では、そうではなくて、五年間猶予してやろう、そして五年間に未償却だけ解消しなさい、こういうふうになっておるわけでございます。だから、船主としては、その間、これは出せるだけ知恵を出して、償却を片づけるなり、あるいは三年目にできるところは配当してもらう、こういうことで、どういうふうな方向でどういうふうに努力なさるかということについては、これは一切船主におまかせするという考えでございます。
#27
○小酒井義男君 そこで、児玉さん、今の話なんですが、先ほども、五年間やる、努力するなら、あとの二年くらいこれを延ばしてもというようなこともちょっと出たのですけれども、私はやはり五年間で基盤の強化までやっていただかなければいかぬと思うのです。それを、できなければまた延ばしてもらうのだというようなことを考えておられるということは、やはりこれは問題だと思うのですよ。そういう点について、船主協会としてのひとつ、この助成にこたえて五年で強化まで持っていくという心がまえをお持ちになっておると思うのですが、どうなんですか。
#28
○参考人(児玉忠康君) お答え申し上げます。
 法律で五年間ときめられておりますが、何か弾力性を持たすとかなんとかいうことがございますようでございますけれども、私どもといたしましては、決してその五年間を二年間延ばしていただこうというふうなことを現在は考えておりません。五年間の間にあらゆる先ほど申し上げたように努力を払いまして、これだけの助成をいただくのですから、それに報いるためにあらゆる手段を講じてやっていきたいという覚悟をみんな持っております。
#29
○小酒井義男君 もう一点、ほかの問題なんですが、政府の提案説明等から、あるいは質疑を通じて、現在の外航船舶の積み取り比率というのが非常に低い。これを今後所得倍増政策に基づき船舶増強をやっていけば、その過程で積み取り比率は引き上げられるのだというような説明を聞いておるのですが、数年前の設備投資の旺盛なとき非常に積み取り比率が上がったことがあるのですね。そうすると、船舶の不足と積み取り比率との関係がどうなるかということに少し疑問を持っておるのです。これは、政府の所得倍増政策にしても、いろいろ国際経済の今後の推移で、今の計画が手直しされなければならぬ必要ができてくるということは、これは考えられるのですが、かりに現在のような状態でずっと進んでいって、四十五年に予定されておるような船舶ができた場合に、世界的にやはり船舶過剰の起こるような危険性がないかどうか、積み取り比率を引き上げる何か妙案でもほかにないのか、お尋ねしたいのです。
#30
○参考人(脇村義太郎君) 私は、終戦後最初の四百万トン計画を立てましたときに、戦後の積み取り比率というものを大体五〇%に目標を置いております。で、今日、日本におきましても、今日となってみましても、私はやはり五〇%以上に積み取り比率を上げるということは、全体として、また少し長期にわたって考えますと、困難だ。ですから、わが国の海運政策の目標としては、五〇%を積み取り比率の不動の目標にしておかなければならない。つまり、最近になりまして、各国――新しい国ができて、その国がみな船を持とうということを考えるわけでございます。そうしますと、どうしてもこれは五〇%まで持ちたいものだ、世界じゅうの国が船を持って、おのおの五〇%というふうに大体なるだろう。それは、イギリスの現実を見ましても、イギリスがあれだけの長い海運の伝統と、それから海運を維持する政策を長年やってきたわけでございますが、それで積み取り比率は五〇%こすかこさないかというところでございます。イギリスは二千万トンの船を持っている。その船はイギリス外の荷物を運んでいるのだから、日本としても大体政策としての目標は五〇%の積み取り比率で、もしも日本がいい船を作ることができ、またいい船員がいるわけでございますから、それだけ余る船は第三国間へ持っていってまるまる外貨運賃をかせぐということにしておけば、万一のことがあったならば、その船を日本に引き揚げて、この外国の船が五〇%以上来なくなったときに、その船を日本に引き揚げて、この日本の積み取り比率を、つまり外国船がいなくなって困ったときの補充になる、そういうふうに将来の海運政策としてはしなければならぬのではなかろうか。つまり、三国間航海ということにできるだけ重点を置くということが必要なのではないか、こういうふうに私は考えております。
#31
○相澤重明君 脇村さんに聞きたいのですが、今になって利子補給を行なうということは、先ほどのお話にもあったように、高船価を作るというときに、実際はある程度考えておけば、こういう事態はなかったということもお話しになったのですが、いま一つは、どうなんですか、いわゆる造船疑獄事件があってから、やはり船主側でもなかなかそれを言いにくかったというようなこともあったのじゃないですか。それが少し手術がおくれた。こういうふうに、いま少し早く対策を立てれば、今日のような無配当というか、あるいはぎりぎり決着のところまで追い込まれなかったということは言えるのじゃないかと思うのですが、その点、あなたはその七人委員会の一人であるのですが、その議論はなかったのですか。
#32
○参考人(脇村義太郎君) それは私よりも船会社のほうからお答えいただくのが当然かと思いますが、利子のたな上げを私たちが主張いたしております理由は、過去の日本の造船に対する財政資金の金利が高過ぎた、つまり国際水準に比べて高過ぎたということが、つまり高金利の是正という意味で私たちは主張しておる。したがって、これはむしろ、たな上げではなしに、免除するのが当然と思います。あるいは返してもいいのではなかろうか。しかし、それはいろいろの関係から容易にできないので、たな上げということで進んでおるわけでございますが、たな上げによって過去の高金利を――つまり国際的水準に照らして高金利、あるいは日本の輸出船と比べて高い金利を国内の船主に課したのを是正する、過去の誤った金利政策を是正する、こういう意味で私たちはたな上げを主張しておるのでございます。
#33
○相澤重明君 それから、もう一つ脇村参考人に聞いておきたいのですが、先ほど、海運業の再建整備を進めていけば、四分の一ぐらいは可能であろうということだと思うのですがね。さらに、将来その定員等の問題については、半分ぐらいまでは削減できるのではないかというような御説明があったと思うのです。そうすると、実際に船のほうはふえるけれども、やはり職員のほうは減っていく、船員のほうも減っていく、こういうようなことを端的にお考えになっているのですか。
#34
○参考人(脇村義太郎君) 私は、船だけじゃなしに、すべての工場などにつきましても自動化を進めて、ノー・マン・ファクトリーと申しますか、労働者を使わないような工場を作るということが理想であり、現実の現在の技術革新というものは、大体肉体労働を工場から排除して、ただ監視しておるだけで工場が動く、人間は原材料に全然手をつけずに、そのまま自動的に加工されて製品になって出てくる、こういう状態にだんだん移りつつあるのですが、船もできるだけ早くそういうふうな状態にして、人を乗せない船が理想である、まあこういうふうに考えておるわけでございますが、幸いにこの十年来の新しい技術が船のほうにも応用されて参りまして、それの実施ということになって、海員組合の協力を得て船主が現在実施しております定員の削減問題は、大体四分の一ぐらい定員を減らすことができつつある。今、造船技師は、大体現在までの定員を半分にするということを目標にして船を懸命に設計しているわけであります。これはむろん、そういうふうな船を作ることにしましたならば、設備が相当高くなるということは考えられますが、おそらく今後五年以内にその研究が実を結ぶのではなかろうか、まあこういうふうに私は期待しておる次第でございます。
#35
○相澤重明君 そこで、一つ児玉参考人にお聞きしておきたいのですが、脇村参考人からの先ほどのお話と、いま一つは、陸上勤務者に対する合理化も必要であるということが述べられて、今のようなお話もあったのです。それから、先ほど海員組合の南波佐間さんからのお話もありまして、今度の企業整備についても、海員組合自身も船主協会の皆さんに協力をすると言っているのだが、船員の場合、やはり具体的に働らく場所がなければならない。そのことについてはきちっと協約をされるというように受け取れるわけだったのですが、そのように受け取っていいのかどうか、それが一つ。
 それから、陸上勤務の人たちについても、合理化は今脇村参考人も主張さておるが、合理化ということが私は直ちに首を切るということではないと思う。そういう意味で、船主協会としては陸上勤務の人たちについてどういう考えを持っておるのか、その点を聞かせていただきたい。
#36
○参考人(児玉忠康君) お答え申し上げます。
 最初の御質問の海員のほうは、先ほど申し上げましたとおり、全日本海員組合と四月末に雇用調整協議会というものを作りまして、今後労使協調してやって参るという打ち合わせをいたしましたが、文字どおり労使協調で何とか片づけていきたいと存じます。
 陸上社員のことについて申し上げます。御承知のとおり、先ほど来お話がございましたが、海運というものは、私、斜陽産業じゃなくて、基本産業の一つとして将来に伸びていくものだと自信を持っておるのでございまするが、したがいまして、将来は相当な人数も要りますし、また相当に優秀な人も持たなければならないと存じております。がしかし、こういう短期間の集約と申しますか、統合がもしも実施された場合には、何といってもこの問題を調整していかなくちゃならないような問題が起こるのではないかということは、これはまあ当然考えなくちゃならないのでございます。非常に私どもが今度の問題で頭を痛めている大きな問題の一つでございます。具体案として何かあるかと、こうおっしゃられますと、非常に困るのでございますけれども、私どもの今の考えといたしましては、できるだけいわゆる配置転換を行なうと同時に、各船会社の持っております関連産業とか子会社とかいう方面にも移行してもらう。また、グループができましたら、グループ内でひとつ融通をしていくというようなことに必死になりまして、労使協調で、これは海員組合と性質が違いまして、単一組合でございませんので、各企業別の組合でございますから、企業内で片づけていくように努力したいと思います。非常にむずかしい問題でございますけれども、労使の努力次第によっては何とかこの五年間のうちには片がついていくのではないかと私は存じております。
#37
○相澤重明君 まあいずれあなたも、船主協会の総会があるでしょうから、そういうことに取っ組むことだろうと思うのですが、やはり一番心配せられるのは、資本家に対する財政支出を国会できめても、今度はそれが合理化の名によって働く者が場所を失っていくのだということでは、私はこれは全く意味がない。したがって、働く人もやはり希望を持った、今のお話のような方向に努力することが、やはり国民の税金というもので財政支出をする大きな意義があると思う。そういうところで――まあ国会の場で私が別に協約をするとか何とかいうのじゃなくて、やはり今の児玉参考人のお話じゃないけれども、企業主の努力というのが私はそこに出なければいかぬと思う。そういう点で、今のお話はたいへんよいお話を聞いたと思うのですが、いま一つ、次に、先ほどの不採算船なりあるいは高船価の問題の処理について、たとえば共有船問題の、いわゆるこれからの新造船についての方針やら、あるいは不採算船のオーナーの比率の問題をできるだけ少なくしていく、そういう中に共有船等によるところの若干の利潤をつぎ込んでいくということも考えられるのかどうかという、一つの新しい方法かもしれぬけれども、そういうようなことも研究はされておるのですか、どうなんですか、その点は。
#38
○参考人(児玉忠康君) 私のほう――自分の会社のことを申し上げてたいへん恐縮なんでございますけれども、こういうことが起こり得るのではないかということを考えておりまして、私どもの関係のオーナーさんには前からいろいろできるだけの手を打っていたわけなんでございますけれども、今御質問の、共有船の一部を分けることができるかという御質問でございましたが、現に私のほうは、たしか二つの会社に対しましてもうすでに共有をやりまして、そのおかげで、まあごくわずかではございますけれども、非常に役に立っておるような現状でございます。それですから、現にやっておりますから、今後もやっていきたいと存じております。
#39
○加賀山之雄君 二点だけ脇村先生にお伺いします。
 この集約統合がなかなかむずかしかった、今度の措置でそれができるようになるという見込みができるわけで、このこと自体はけっこうなんですが、先生のお話によると、これは外国の例でも合併によるマイナスが非常に多いということがある。ほんとうにできるのは十年あるいはもっとそれ以上かかるという問題が一方にあるわけですね。それですから、企業は企業としての一つの努力を企業家にさせて、それを合併に対する条件にするということは、かえってマイナスの場合もある。あるいは、いいのと悪いのと合併したために、いいのは企業努力をしてそこまできたのが、今度は合併したためにマイナスが出て、かえってマイナスの面もあるのじゃないか。そこで、バランスがとれるということが一番大事なわけでございますから、五十万、百万という数字できちっといくことも、非常に一方においてはいいかもしれませんが、必ずしもなかなかそういうふうにうまく数字が合わないような場合がある。そういう場合に、バランスがとれるということを考え、また経営合理化などの、企業体として国際競争力の面から見て適当であれば、あるいは多少の数字的なあれがあっても認めるとか、そういうような――この法律にはそういうあれはございませんけれども、そういうようなことをお考えになったかどうか、そういうことがいいか悪いか、そういう御判断をひとつ承らしていただきたい。
#40
○参考人(脇村義太郎君) 御質問のポイントがどの点にあるか、つまり五十・五十、合わせて百、五十と百というあの組み合わせでございますか。――その組み合わせにつきましては、弾力的なことはあまり考えないで、その数字を最低にして出せば、おそらくそれよりは上回るだろう、こういうふうに私は当初来予想をしておったのであります。ところが、そのときに、すでに現在そういう状態にあるところは一体さらにそれ以上の努力を必要とするかどうかということが問題になりまして、それは集約が目的なんではなくて、五十・百というところが目的なんだから、集約合同ということ自体が必要な条件ではない、こういうふうにお答えをしまして、したがって、五十・百すでにお持ちのところが、そのままでおればいいんだと言われれば、それもやむを得ない、それも一つの方法です、考え方ですと、こういうふうにお答えしたのですが、現在の法案では、その点がそうはなりませんで、まず集約ということが、合同を実行するということが先決になっているのでございます。ですから、その点が少し、船主の立場から見ますと、不必要な合同を強制しているというふうなお感じをお持ちになるのではなかろうかとも思うのです。ですから、もしも船主の自主性をできるだけ尊重するという建前をとることがいいとするならば、当初の考えのほうがよくて、今の法案の形ははなはだまずいのではなかろうか、こう私はその点だけをとれば考えるのですが、先ほど当初に申し上げましたとおり、二つの法案全体を比べてみますと、プラスとマイナスの面があって、総合的に見れば今のほうがよりよくなっているのではないか。この二つの法案というものは、バラバラでございませんで、非常に密接に関連した法案でございますから、今のほうがより実際的なのではなかろうか。と申しますのは、当初のような形でずっと進んできたならば、希望しておるような集約合同をやらぬのではなかろうかという御心配がかなりあるのでございますが、今度の形になりますと、そういうふうな心配は解消されているわけでございますから、せっかく国がこういうふうな思い切った措置をとるときに、船主のほうもひとつ思い切ったことをやってもらいたい、船主は自主的にやると言っているが、だいじょうぶか、こういう形の面を持っている。これでお答えになったかどうかわかりませんが。
#41
○加賀山之雄君 もう一点。脇村先生は、積取率五〇%がいいところだ、運輸省あたりでも言っておるのですが、先生は海運造船合理化審議会にお出になって、やはり運輸省にそういう答申をされた。運輸省においては、積取率を六〇%、六五%に持っていくのだ、そうして四十五年ですか、千三百五十万トンの船腹を持つのだ、こう言って力んでいるわけでございますね。これは、今後のトン数ばかりでなく、船種――船の種類にも非常に違いがくる。そういうことにそごがありますと、今後また、計画造船が千三百五十万トン――今後そのままいくとは思いませんよ、思いませんけれども、そういう方針で進んでいくと、間違いが起こるじゃございませんでしょうか。非常に私はその点を、私も積取率五〇%がいいところだと思いますけれども、しかし肝心の運輸省はそういう方針をとっておらぬのですが、その点についてどういうふうにお考えですか。
#42
○参考人(脇村義太郎君) 積取率の問題になってきますと、もう一段進んだ議論をしますと、輸入と輸出があるわけでございますね。輸出はなかなか積取率が上げにくい。輸入については、日本のほうの力でもって積取率を上げようと思えば、五〇%をこえて上げ得るわけでございます。特にこの点が問題になって参りますのは、石油――今後の日本の輸入の数量というものを考えますと、石油が断然圧倒的なパーセンテージを占めるわけでございまして、もう五年あるいは数年のうちにおそらく一億トンの輸入を石油においてしなければならないということが目の前にきておるわけであります。そうしますと、この石油の積取率をどういうふうにするかということが一番積取率の問題に大きな影響を与えるわけでございまして、これは御承知の、昨年議会でお通しになりました石油業法というものがあって、あの業法は石油の低廉な安定的供給ということを目的としてできた法律なんですが、これは私は決してあの法律には賛成でございませんので、反対を終始いたしておるわけでございますが、それは二点ございまして、一点は、やはり自由企業の原則をあの法律は根本から否定しているということ。第二点は、安定的供給といいながら、輸送のことを全く忘れている。精油所を建てればそれで統制ができるという、こういう考え方なのでございますが、石油を安く安定的に供給するということについては、いいタンカーをたくさん持つという以外に方法はないのですが、それを全く忘れた法案でございます。ですから、ああいうふうな法律の考え方からすれば、できるだけタンカーをたくさん持たなければならない、安定的供給のためには。石油は外国にたくさんあるのですが、その石油を運んでくる方法がない、いわんや、スエズ動乱のようなことが起これば、外国のタンカーはみんなどこかに行ってしまうのですから、そのときに日本のタンカーがないと――それが安定的供給をはかる唯一の目的なんでございますから、その目的を忘れておるわけでございますから、タンカー船隊の充実、そしてふだんは第三国間の油を運んでおいて、いざというときには全部日本へ帰ってきて日本の油を運ぶ、こういうふうにするのが必要なのではなかろうか、まあ今後の積み取り比率については、タンカー船隊の充実ということが一番重要なんではなかろうか、こういうふうに考えております。
#43
○委員長(金丸冨夫君) 参考人の方々に一言御礼を申し上げます。
 本日は、公私まことに御多用中のところ、長時間にわたりまして貴重な御意見を述べていただきまして、まことにありがたく、御礼を申し上げます。委員会を代表して、ここに厚く謝意を表する次第でございます。
 では、午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時五十二分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時四十分開会
#44
○委員長(金丸冨夫君) 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。
 まず、参考人の方に一言ごあいさつ申し上げます。
 本日は、御多用中にもかかわらず、御出席を賜わりまして、まことにありがたく、厚くお礼を申し上げます。
 参考人の皆様には、それぞれの立場から両法案につきまして忌憚なき御意見を賜わり、今後の審査に貴重な参考といたしたいと存じますので、何とぞよろしくお願いを申し上げる次第でございます。
 なお、時間の関係もございますので、まず、お一人約二十分程度の範囲で御意見をお述べいただき、後刻、委員からの質疑にお答えを願うことにいたして進めて参りたいと、かように存じます。よろしくお願い申し上げます。
 それでは、まず、三菱銀行頭取宇佐美洵参考人にお願いいたします。
#45
○参考人(宇佐美洵君) ただいま御指名を受けました三菱銀行の宇佐美でございます。
 このたび、海運の再建整備並びに利子補給の問題につきまして、参考人として出席するように御命令がございまして出席した次第でございます。私ども考えておりますことを率直に申し上げたいと思いますので、お聞き取りをお願いいたします。
 わが国の海運再建問題につきましては、ここ数年来、いろいろの経緯があったことは申し上げるまでもないのでありますが、しかし、直接今回の法案のきっかけになりましたのは、昨年夏の臨時国会で結局審議未了になりました再建整備法案であったと言えるのではないかと思うのであります。ところが、この前回の法案では、一昨年海造審の答申にありましたような、財政融資比率の引き上げ、利子補給の強化等、前向き対策が全然織り込んでないのみならず、利子たな上げといううしろ向き施策につきましてさえ、きわめて不十分であったわけであります。また、海運企業自身においても、資産処分のほかに、減資、合併等のきびしい企業努力が要請されていたのでありますが、むろん、国家財政の負担においての助成である限り、企業努力は当然でありますが、しかし、当時私どもの考えでは、たとえば合併にしても、ただ合併せよというだけではなく、まず、政府あるいは民間金融機関を含めまして、前向き、うしろ向きの相当の助成を行なって初めて合併ができるのであって、まず、合併しやすいような素地を作ってやることが大切ではないかと考えた次第でございます。
 幸いなことに、その後、こうした声が次第に各方面で高まって参りまして、昨年十二月の海造審の建議を経て、今回の法案に立ち至ったわけでありますが、これを前回の法案と比較して見て参りますと、新たに前向きの助成策が講ぜられることになったばかりでなく、うしろ向き対策にも相当助成の幅が厚くなって参りました。大体において、海造審の答申の趣旨がそのまま生かされているように思うのであります。
 一方、保有船腹五十万トン、扱い船腹百万トンという集約化は、海運企業にとって、申すまでもなく、非常な大問題とは思いますけれども、わが国海運界の現状が、多数企業が乱立し、したがって、過当競争のための収益力の低下、あるいは投資力の不足によって、船腹増強の上でも、大きな支障になっていることを考えますと、やはり大幅助成の前提として、この程度の企業努力と申しますか、集約化は、ぜひ必要ではないかと考えるのであります。したがって、私としては、これら両法案が一体となって公布施行せられ、運用よろしきを得れば、海運再建の上に非常に大きな効果が期待できると信じますので、本法律案に対し、賛意を表するものでございます。おそらく、民間金融機関全体といたしましても、このような措置に対しまして、こまかく見ればいろいろ問題もありましょうが、国家的大局的見地から協力することにやぶさかではないと考えております。
 さて、戦後の日本海運を考えてみますると、戦争で、八百万トンといわれる大きな被害を受けました後、政府としては、計画造船等によって、いろいろ財政面から手を打ってこられたのでありますが、どちらかといえば、毎年、量の増加に主として力を注がれまして、わが国の海運が真に国際競争場裏に伍してやっていけるような抜本的な対策は今まで打ち出されなかったのではないかと思うのでございます。この意味で、今回の法律案は一つの大きな進歩であると思います。また、われわれ民間金融機関としましても、こうした線に沿って資金は出して参りましたが、やはり、どちらかといえば、この政府の線に沿って、惰性的であり、銀行の融資のあり方としては一考を要する点があったように感ずるのでございます。十年に一度の好況があれば海運は大丈夫なんだといったような甘い考え方が、はたしてなかったろうかどうか、私どもも大いに反省をいたしておるところでございます。
 しかし、最近の国際環境は、海運業にとって一そうきびしくなって参りまして、たとえば、スエズ動乱のような一事件をきっかけに立ち直りを期待するようなことは全く甘い考えでございまして、ここ数年間、一般的に見て、会社の内容はほとんど悪いほうへ走っておるように思うのでございます。しかも、海運業界の現状を見ますると、船腹の大型化、専門化が進んで参りまして、民間金融機関といたしましても、今や漫然としてこれについていけない状態であることを認識いたしておるのでございます。一方、現在は自由化に備えて、国際収支健全化の要請が一そう高まっておるのでありますが、この一環として、貿易外収支改善のためにも、海運再建の要請は日に日に強いわけでございます。たとえば、わが国の海運関係国際収支を見てみますると、まずその規模は、受け取り、支払いを合わせて約十億ドルございますが、これは、わが国の現在の貿易量合計で、ざっと百億ドルといたしますと、その一割にも達する大きな数字なのでございます。しかも、この十億ドルの内訳を見ますると、このところ、毎年受け取りが三億ドル程度に対しまして、支払いは七、八億ドルと、例年四億ドルないし五億ドルの経常収支の赤字を海運関係で出しているのでございます。こう考えますと、今後の船舶増強を進めるためにも、今のような海運企業が多数乱立しておって過当競争を行なっていては、国家的にも大きなマイナスであり、今後は、この法律案の趣旨に沿って、集約化を始め、ぜひ各会社が大局的見地から協力してやっていく、また、各会社がその実力に応じて、船腹の増強を通じ、海運関係収支の不均衡を直すようにしていただきたいと思うのでございます。金融機関といたしましても、このように深く考えておるのでございます。
 以上が、いわば、私どもの基本的考えでありますが、次に、この法律案に関連いたして、若干要望と申しますか、今後この法律が実施されることになった場合、私どもとして、ぜひ留意していただきたいと思うことを二、三申し述べさしていただきます。
 まず第一は、この法律案のねらいは、ただいま申し上げましたとおり、現在乱立している船会社を集約化することによって、とにかく競争力をつけることが最重点だということでございます。この意味で、保有船腹五十万トン、扱い船腹を含めて百万トンを一応の単位とすることは、私どもとしてまず妥当と考えるのでありまして、今後各船会社が、航路、荷主その他いろいろの点から、最もよいとされるところに従って自主的に集約化の方向を考えていただきたいと思っておるのであります。むろん、金融機関としても、船会社から御相談があれば、われわれの考えることを申し上げるつもりでございますが、基本は、あくまでも船会社の自主的な交渉に待つべき問題でありまして、金融機関としても、受け身の形でこの交渉の結果を見守っているところでございます。しかし、わが国の海運再建の上に集約化がいかに大事かということを考えますと、ぜひ五十万トンあるいは百万トンの線はくずさないでいただきたいということでございます。
 さらに希望を申し上げますと、船会社としては、単にこの基準に合致するというだけでなく、いわば、これを契機として、海運界の体質改善と対外競争力の強化への努力を引き続き払っていただかなければならないと考えるのでございます。したがって、こうした集約化の効果自体について、新しくできた会社の努力いかんが一番大切だと思うのでありまして、金融機関としては、こうした船会社の努力に対し、側面からできるだけ協力するという立場を守っていきたいと考えるのでございます。
 第二に、わが国今後の国際収支を考えますと、集約化による企業基盤の確立と同時に、わが国が優秀船を多数保有することも、これに劣らず重要なわけでございます。したがって、集約化した企業に対しましては、さらにこれを強化し、どこまでも盛り立てる気魂を、政府におかれても施策の上に進めていただきたいと思うのでございます。むろん、これには集約化等、今後の企業努力はあくまでも必要な前提でありまして、海運企業がいたずらに国家に頼るというような風潮は払拭しなければならぬことはもちろんでありますけれども、ただ、海運関係は、特に海運市況のようなものは非常に動きやすく、予測困難なものもございますので、万一さらに困難な事態が生じました場合には、こうした企業努力を払った企業に対して、政府もあくまで援助するという決心をしていただきたいと思うのでございます。われわれも、このような企業に対しましては、企業努力を一心に努めます船会社に対しましては、今後ともできるだけ援助をいたさなければならないと考えております。
 こうした点を考えますと、もう今回の処置だけで十分である、これで立ち直らなければ海運企業自体が悪いのだというふうに固定的に考えないでいただきたいと思うのでございます。この法律の運用の各過程においても、何か実情にそぐわぬ点が起こってくれば、やはり改むるにやぶさかであってはならないと思います。海外を見てみますと、詳しいことは存じませんが、日本と同じように戦災を受けた西独はむろん、米国や英国でも海運に対してはいろいろ手厚い助成策を講じているようでございます。海運の重要性を考えますときに、こうした海外の実情をもにらみ合わせながら、今後ともできるだけの助成は実際に即して行なってやるべきだと考えるのでございます。
 第三に、この集約化に伴います海運企業の減資その他が当然予想されるのでありますが、このことによっても、これまで長い間無配に甘んじ、海運企業に協力してきた一般株主にも非常な損害を与えることになるわけであります。政府としては、この点もよく考えておいていただきたいと同時に、集約化の後にさらにこうした迷惑を国民に、あるいは大衆に繰り返さぬように心がけることが必要だと思うのでございます。この意味でも、荒療治は今回を最後として、今後は海運企業の経営がほんとうに軌道に乗るように、その育成強化に万全を期していただきたいのでございます。われわれ銀行の立場から申しましても、国策に協力したためとは言いながら、このようなことになりましたにつきまして、預金者あるいは株主に対して責任というものを強く感じておるのでございます。今後の海運に対する施策をついて、先生方を初め、政府当局の善処を切にお願いする次第でございます。
 第四に、この法律による集約化にいわば漏れるオペレーターあるいはオーナー対策の問題でございます。これらは、今後当然起こってくる問題かと存じますが、やはり、わが国の海運全体を確固たる基盤に乗せるという見地からは、過去のいきさつにとらわれず、政府として妥当な策を考慮していただきたいと考えるのであります。
 以上、いろいろ申し上げましたが、要は、わが国基幹産業の一つであり、さらに長い目で見ますと成長産業である海運企業がどうしたらりっぱに軌道に乗っていくかという問題でございます。さきにも少し触れましたとおり、海運企業の基盤強化は、長期的にわが国の国際収支に好影響を与え、また、これによって運賃の合理化等が見込めますならば、貿易に依存する度合いの大きいわが国の場合、全産業にいろいろ好影響を与えることは申すまでもないのでありまして、海運企業に対する助成の利益は、決して海運企業だけにとどまるものではなく、日本経済に全産業的に大きな利益が期待されると考えますので、私どもも、海運の問題は決して海運固有の問題ではなく、国民あるいは国民経済全体の問題としてこれに御協力しなければならないと考えるのであります。このような見地から、今回の法案が一つの有力なきっかけとなりまして、海運再建への道が一日も早く現実にスタートするよう、成立を心からお願いする次第でございます。
 御清聴まことにありがとうございました。
#46
○委員長(金丸冨夫君) ありがとうございました。
 次に、全日本海運労働組合連合会委員長松尾隆参考人にお願いします。
#47
○参考人(松尾隆君) 全海連委員長の松尾でございます。
 私、どこへ参りましても、すぐ、まず自分の組合の御紹介をしなくちゃいけないような非常に弱い組合なんでございますが、全日本海運労働組合連合会、これは外航オペレーター大体十三ないし十四社の社員を主力といたしまして、邦船、外船の陸上従業員六千五百名、三十六社の組合員を包含いたしております陸上労働組合でございます。そして加盟上部団体は総評でございまして、総評の中で五十幾つ単産がございますが、その中では純粋のホワイト・カラー・ユニオンとしてきわめて独自な存在を保っております。現在の海運産業の陸上従業員の総数、これは代理店業務を含めまして、大体において日本全国で一万ちょっと、このように推定されておりますので、大体におきまして、私どもの組織率というものは六割ないし七割、特に郵、商、三井を初めといたしまして、タンカー・グループ、不定期船グループ、これをほとんど網羅いたしておりますので、今度の法案の対象となります諸会社の陸上従業員の立場、こういったものを非常によく代表しておる機関ではないか、このように自負いたしております。
 ここにおきまして、こういう御紹介のあとでございますが、私どもが、組合といたしまして、この海運二法案、特に再建整備法案につきまして、基本的な態度を一月の二十一日に決定いたしております。その態度は、この海運二法案、特に整備法案だけにつきましては反対、結論から申し上げますと、反対という立場であります。なぜ反対なのか、これは後ほど申し上げますが、機関決定に基づきました四項目に上りますこの海運集約化、海運産業の再編成に対する組合の態度、私どもの態度、これがございますので、ちょっと読み上げさしていただきます。
 まず第一に、海運の集約化による人員整理、労働条件低下には絶対に反対である。
 第二番目に、海運の体制整備は、あくまで組合員の雇用安定と労働条件維持に関する十分なる施策を伴った業界の自主調整及び関係各方面の協力に基づいて行なわれるべきであって、一方的な官僚統制はこれを排除する。
 第三番目に、体制整備に伴い、組合員の生活と労働条件に影響を及ぼす事項につきましては、組合との事前協議を行なうように要望する。
 第四点といたしまして、海運の再建強化のためには、体制整備にとどまらず、全般的な海運諸施策が必要であり、その早急な実施を要求する。
 以上四項目でございます。
 私どもが、こういうふうなことを一月の初めにきめております。なぜかと申しますと、すでに昨年の五月以来、海運業の再建、またそのための再編成、こういったものがいろいろと進行いたしておりまして、そのための準備が行なわれておったわけでございますが、その中で、業界あるいは関係各方面におきまして、従業員の立場、こういったものを考慮される動きが全然ない。またこれに対しまして、新しい組合の動きといたしまして、何も、出てきたものに全然反対である、現象面における人員整理にだけ反対しておればよろしい、こういう旧態依然的な公式論的な組合態度はとらない。むしろ、政策面に積極的に取り組んで、進言すべきものは進言し、提案すべきものは提案して、各界の御理解と御認識の上に、正しい産業の姿勢、こういったものを作るべきではないか、こういう観点から、相当な覚悟と、また責任をもちまして立案しましたのが、昨年十二月の私どもの海運政策要綱でございます。
 これは後ほど申し上げますが、今回の海運再建整備法案の本質的な性格、これを今視野を変えて考えてみますときに、ます何よりもはっきりしている特徴が二つある、このように考えます。
 その第一は、現在の乱立しております海運会社、特に北米定航におきましても、十一社もライナーがあって、非常に過当競争が繰り返されておる。また、不定期船分野、さらには専用船分野におきましても、海運産業が金融資本の支配下にあり、それだけではなくて、むしろ産業資本、さらには商業資本に対しても全然発言権がない、きわめて従属的な立場に置かれておる、こういう意味合いから申しましても、第一といたしまして、船会社の数を少なくすること、すなわち集約によりまして寡占体制を確立する、少なくとも理想的な寡占体制を施行して、集約合併あるいは統合を行ない、過当競争を排除するとともに、企業の規模拡大を行ない、国際競争力をつけようとする、これに対して反対するものではございません。私どもといたしましては、これからの日本の産業が、産業再編成の過程を経まして国際競争力をつけていく、こういう中におきまして、今回のこの海運集約化は一つの産業再編成のテスト・ケースあるいはモデル・ケースではなかろうか。この集約構想の具体的な本質はまずここにある。必ずしもそれを否定するものではございません。
 その次に、第二番目の非常に特徴的なことは、この点は、ここに宇佐美頭取もおられますけれども、一番はっきりしていることは、今回のこの年間百十八億円に上ります利子猶予、これはきわめて金融資本中心の債権保全を目的とした法案である。また、現実に取りざたされております集約の動き方、こういったものを見ますときに、どうしても、この新しい法案がほんとうに日本の海運の国際競争力をつける、そうしてそれによりまして国民経済の中におきます第三次産業としての、しかも第三次産業の中でも基幹産業でありますこの海運産業を何とかして強化して、再建して、成長さしていかなければならぬ大命題に合致してない点があるのではないか。むしろ焦点が若干ズレている。借金の取り立てに重点があるのではないか。その証拠には、ただいま海運局長が見えておりますけれもど、整備計画審議会、このメンバーが大体八名と私ども承っておりますけれども、その中で三名ないし四名が銀行出身の方である、このように聞いております。したがいまして、この寡占体制の施行、金融資本中心の集約化、この二点に法案の特別な性格がある。これがまたこの法案の特性である。したがいまして、それから出て参りますいろいろな問題点、こういったものがございます。こういったものに対する配慮というものがなされないままにこの法案が通過することにはきわめて疑問なしとしない、こういうふうに考えるわけでございます。また、付随して出てきます問題は、こういう金融中心の集約化が行なわれますというと、基幹産業としてきわめて重要でございます、企業としての、あるいは産業としての中立性、これが全く失われてしまう可能性がある。これは、はたして流通経済の一端をにないます海運といたしまして、日本経済全般から見て正しい姿であるかどうか、きわめて疑問である、このように考えます。
 次に大事な点は、この集約化によりまして寡占体制を施行するあまり、中小受益者、これは、具体的に申しますと、アメリカ航路、あるいはアフリカ航路、あるいは欧州航路、ここに定期船が走っているわけでございますけれども、この定期船に、月に五トンとか、あるいは十トンとか、こまごまとした輸出貨物を積んでおられる中小シッパー、この利益保護において若干欠けるところが出てくるのではないか。むしろ、独占の弊害というものに対するチェックをどのように政府当局は考えておられるのか。この点におきまきしてきわめて不満がある。不満と申しますよりも不安がある、このように申し上げたい。
 そこににおきまして、私どもといたしましては、先ほど申し上げた基本態度の最後の項目で、海運再建のための諸施策の数々があると申し上げましたが、それをかいつまんで申し上げますと、まず第一には、この海運再建備整法案、こういったものが出るからには、少なくとも、その法案というものは、一つのはっきりしたテーゼを持つべきである。何をテーゼとすべきであるか、これはすなわち船腹の拡充、国際海運、国際マーケットにおきまする日本海運のマーケット・シェアの確立、それのまた伸張、こういったふうな国家的な命題がまず第一にはっきりと前提されなければならない。そういう焦点がぼけているから、この法案は非常に評判が悪くなっている、このように考えます。
 したがいまして、そういった命題のもとに、まず第一には、最近ますますもって邦船の積み取り比率が、これは輸出輸入両方ともに低下をしておりますけれども、少なくとも、当面の目標といたしまして、積み取り比率五〇%の回復を目標に、船腹の増強、これは量、質ともでございますが、この増強を行なうべきである。
 第二番目には、経済船腹の充実、これは第一の項目と若干重復しますが、すなわちアメリカにおきましては、もはや定員十四名の高速貨物船の建造が青写真に上っておる。すでにプランニングが行なわれておる。こういうふうな段階でございまして、今後ハイスピード、しかも自動化された経済性の高い船腹というものが、特に北米航路あるいは欧州航路においては投入される可能性が十分にある。これに対するためには、やはり経済船腹の充実が必要である。
 第三番目には、海運専業者の保護育成。はっきり申しますと、ただいまも申し上げましたように、海運業者というのは今何をやっているのか、銀行さんのために利子を稼いで、それから鉄鋼さんとかあるいは石油会社のために
 一生懸命運賃をもうけておる、こういうふうな段階である。したがいまして、さっぱり海運業には胃袋がない。食うたものがみなよその産業に吸い上られておる。これは、私の立場から申しますと、いかにも海運産業の産業防衛、こういうふうに聞こえますが、しかしながら、それは現実でございまして、こういった点をチェックしない限り、幾らこの国民の血税を注ぎ込んだにしましても、これは穴のあいたバケツに水を注ぐようなもので、全く意味がない。こういうことでございます。したがいまして、海運産業の、海運専業者の保護育成のためには、外航内航両業者あわせての外航内航の免許制、それから第二番目に、長期外船用船の規制、インダストリアル・キャリアの規制、こういったものが当然並行して取り上げらるべきであろう、このように考えられます。
 第四番目には、先ほども問題になりましたような――先ほどでございません。三月に問題となりました海上運送法の改正でございます。すでに北米航路におきまして問題とされておりますように、定期航路はきわめて今脅威にさらされております。この盟外船の活躍によりまして、年間失っておる賃収というものは、邦船におきまして大体三十億から四十億と一説にはいわれております。このような状態というものを放置するわけにはいかないはずでございます。したがいまして、海上運送法の改正というものはその第一歩である。この海上運送法の改正が必要である。
 次に、自主外交の推進と経済外交の強化、シップ・アメリカン政策の是正、さらにはまた、対欧州、対英国、特に欧州同盟におきまする邦船の積み取り比率の向上、こういったものも目途といたしまして、自主外交の推進と経済外交の強化が必要である。
 第六番目には、貿易構造の転換に備えまして、やはり対米貿易あるいは対EEC貿易のみに目をとらわれることなく、共産圏を含めまして、東南アジア、この近い地域における、アジア圏における貿易の発展の可能性、こういったものにも並行して目を向ける必要があるのではないか。
 最後に、これは政策といいますよりも、政策の中の一項目であります具体的な助成措置でございます。これにつきましては、すでに今までの審議過程でわかっておりますように、年間百十八億円の利子猶予、これだけでは海運産業は絶対に立ち直らないはずでございます。償却不足を五年以内に解消する、こういうことが一つのめどとなっておるようでございますけれども、すでに今年三月期の決算をごらんになれば、海運会社の財務内容というものがますます低下しつつある。また、年間百十八億程度の利子猶予では、これでは海運産業の自立再建はおぼつかない。ただいまのままの、このままの法案であれば、二年後あるいは三年後に再度この問題を取り上げなければいけない、こういう大きな問題がございます。この点の御配慮を十分にしていただきたい。
 大体、法案と並行してとらるべき海運政策の数々につきましては、ただいま申し上げたとおりでございます。
 最後に、三月以来の私どもの立場というものを若干ここで御説明申し上げまして、御参考までにしたい。これは、経営側の立場もございますので、幾らかの御参考になろうかと、このように考えます。
 御承知のとおり、三月二十九日に衆院を、この法案に四項目の附帯決議をつけて、通過して以来、船主の中にはきわめて安易な緩和ムードが出て参りました。五月に入りまして、その傾向は若干是正されたかに見えますが、あの自主性のない単なる附帯決議にのっとりまして、いかにも集約条件が緩和されたがごとくこのムードに酔う、こういうふうな態度はきわめて嘆かわしいことでございます。また、その関係もありまして、合併交渉というものもきわめてもつれておる、このように聞いております。これはすなわち海運会社の各社におきますリーダーシップの欠如、それから業界内の自主調整への基盤が全くない、この二つに尽きるのではないか。こういう会社側を相手にいたしまして交渉いたします私どもの立場、こういったものもある程度御理解いただけるのではないか。私どもは、昨年の十一月二十八日船主協会の理事会で、態勢整備に関する意見、こういったものを決定いたしまして、五十万トン、百万トンのあの意見に賛成の見解を表明いたしました船協理事会の決定に対しまして、十二月十四日に、組合といたしまして申し入れをいたしました。経営の真意、今後の従業員の地位に対する配慮、これの対策いかん、こういうことをただしましたが、さっぱり明確なる返答は得られません。これはすなわち自主性のないことにつながることだと思います。このように考えます。
 その後も、運輸大臣あるいは開発銀行総裁、さらには船主協会長、さらには各海運経営者、これに対しまして、海運集約に伴うすなわち海運再編成の中での従業員の立場の保護、保全、これに対していかなる努力を払っておるのか、いかなる考慮を払い、いかなる具体策を用意し、いかなるアプローチでこれに進むのか、こういうことを再三再四にわたりまして公開質問状の形で問い合せておりますが、本日現在に至るまで何ら明確なる御返答をいただいておりません。御承知のとおりに、衆院段階におきます政府委員あるいは池田総理初め各大臣、それから運輸委員会の先生方との間でかわされましたこの従業員の地位の保護、これに関しまする質疑応答にも明かなように、ここでやはり海運集約というものが全産業レベルで行なわれる場合には、陸上従業員の立場というのは、やはり全産業レベルでこれを当然考慮すべきである。私は、かつて、海運局長が、一万人のうち二、三千人、大体二、三割は過剰人員だと、こういうふうな御発言がございましたので、これには過剰人員という言葉はおかしいのではないか、その算定根拠はどこにあるのかということをお伺いしたことがございますが、少なくとも、そういうことが危惧されるならば、それをどういうふうに吸収するのか、吸収し切れないならばどういうふうにしてこれを吸収するのか、そういったことまで海運各経営者は目の色を変えて心配しなくちゃいけない、これが少なくとも新しい経営であり、労務政策である、こういう経営政策のない会社首脳部というのは全くもってこれは糾弾されねばならない、このように考えておる次第であります。
 私どもは、たまたま六月一日を目標といたしまして、四月三十日に十三組合でスト権を確立いたしまして、五月十三日には第一波の統一行動を行ないました。さらにまた先週――先週と申しますよりも今週でございます。五月十七日から二十日にかけまして第二波の統一時間外ストを打っております。その第一の目的は、あくまでも生活保全のための賃上げ要求でございます。それと並行いたしまして、私どもが重視いたしておりますのは、雇用の安定の要求でございます。したがいまして、先ほどからも申し上げておりますように、経営あるいは経営で解決できないことであれば産業レベルにおきます労使の事前協議制の確立と、それから労働条件の安定と労働条件の維持向上、それから雇用の安定、この二つに対します産業レベルでの努力、具体策、こういったものがそろそろ用意されていい段階ではないか。これにつきましては、以前から船主協会長にも再三要請しておりますが、いまだに返答をいただいておりません。
 こういう状況の中で、私どもといたしましては、少くとも法案審議の段階でいろいろと御意見は申し上げましたが、力関係から申しまして、あるいはこの法案がすんなりと通ってしまうこともあり得るかと、かように考えております。したがいまして、その場合には、個々の組合の場におきまして抵抗線を作る用意をいたしたのでございますが、参議院運輸委員会におきまするこの審議段階におきまして、私がただ一つだけこの時点におきましてぜひやっていただきたい、お願いしたいことがございます。それはすなわち、この法案の本旨というものを全く変えるというようなものではございません。単に従業員の地位保全、権益保護、こういう意味におきます一項目の追加要求でございます。これはすでに準備されておると聞いております。最初、国際競争力強化法案――特定産業振興法案がまだ国際競争力強化法案と銘打っておりましたころに、その中に、企業の合併合同、こういったものは従業員の地位を不当に害するものであってはならない、この一項があったはずであります。また、そういう一項目を掲げ、そのために努力するのが正しい国の政治のあり方であり、また新しい資本主義社会における経営態度である、このような確信を持っております。したがいまして、この再建整備法案の第五条第四項に、従業員の雇用安定と労働条件の維持向上のための一項目を追加されるように修正要求を出しまして、私の見解陳述といたします。
 御清聴をありがとうございました。
#48
○委員長(金丸冨夫君) ありがとうございました。
 次に、全国港湾荷役振興協会の専務理事をいたしております紀野実参考人にお願いします。
#49
○参考人(紀野実君) 私は、社団法人全国港湾荷役振興協会の専務理事をいたしております紀野実でございます。
 この全国港湾荷役振興協会と申しますのは、その支部が、東京、横浜、清水、名古屋、大阪、神戸、門司のわが国主要七大港にございまして、東京港、千葉港、川崎港、横浜港、横須賀港、清水港、名古屋港、四日市港、大阪港、尼崎港、神戸港、門司港等の港湾運送事業者、そのうちでも特に船内荷役事業者の大部分が加盟しております事業者団体でございます。通称全港振と申しておりますが、この全港振の会員が、直接港湾労働者を雇用いたしまして、荷役作業のための機具、機材をもって港湾における荷役作業の実務を行なっておるのでございますが、わが国の外国貿易貨物の大宗を取り扱っておるといえるのでございまして、この立場におきまして、本日、これらの二法案について意見を申し述べる機会を得られましたことを非常に幸いと存じておるのでございます。
 四面環海という地理的環境と、狭隘な国土からして、わが国は貿易立国を建前とせざるを得ないのでございまして、必然的にその貿易のにない手としての海運が必要になって参るのでございまして、海運業はわが国経済にとりましてはきわめて重要な基幹産業といわねばならないのでございます。わが国の経済は、御承知のごとく、世界の驚異の的になるほど急激な発展向上をして参ったのでございますが、それに伴って、当然貿易量が増大して参るのでございまして、それに比例して、ますます海運の重要性が増して参るのでございます。したがいまして、海運業の基盤を強固にして、その経営を近代化し、海運をしてわが国の経済の発展に即応せしめねばならないと存ずるのでございます。
 そこで、戦前、戦中、戦後を通じまして、海運業は国家の手厚い保護を受けて参ったのでございまして、西欧諸国と比べて比較的後進国のわが国が、海運だけは早くから世界有数の勢力を保持しておったのでございます。この建前からいたしましても、当然国民の総力を結集して強力な海運力を育成、保持せねばならないと存じておるのでございます。ところが、戦争中の破壊と、終戦による旧秩序の崩壊から、海運を再建してわが国経済の復興の礎石とせんとすることを急ぐあまりに、総花的な割当による計画造船を行なったために、弱小企業が乱立したり、採算ベースを無視した高船価造船を行なったりした上に、近年の運賃市況の悪化のため、融資のための金利と償却不足の累増を増長し、戦後海運の再建を志してから十幾星霜でありますが、今や海運は、矢尽き刀折れて瀕死の状態に陥っておると思うのでございます。まして、国際舞台という自由競争の場において、諸外国の海運は、その豊富な資力と、または国家の援助をもって、世界貿易の進展と構造の変革に順応してますます近代化し、進歩しつつあるのでございまして、もはや、わが国海運に行なわれておりますごとき糊塗的な援助をもってしては、とうてい国際的な競争にはたえ得ない状態ではないかと存ずるのでございます。したがいまして、海運界の抜本的な構造変革と奮起とを前提といたしまして、思い切った施策が必要ではないかと存ずるのでございます。
 ここで、翻ってお考えいただかねばならないのは、海運と港湾運送との関係でございますが、港湾は、御承知のごとく、海上運送と陸上運送の接点でございまして、海運がその機能を百パーセント発揮するためには、港湾運送が海運の発展と軌を一にして進歩し、その機能を十分発揮し得ることが必要なのでございまして、この両者の関係は、文字どおり唇歯輔車の関係にあるのでございます。したがいまして、海運が近代化し、合理化し、高度化するならば、港湾運送も当然進歩向上して、海運をしてその持てる力を十分発揚せしめるという、港湾運送の強力な態勢を養わねばならないと存ずるのでございます。
 しかるに、私ども港湾運送業の現状は、昭和三十六年から七年において見られましたごとく、内外の経済の好況時になりまして、諸産業が活発となり、貿易量が増大いたしまして、海運なり港湾運送が繁忙期に入りますと、すぐさま、第一に労働力の不足をきたし、次いで港湾における設備施設が不足して、その機能が麻痺状態となって、船舶がせっかく貨物を積んで港に参りましても、滞船がひどくなりまして、港に入れないか、または入港することができましても貨物の積みおろし作業が行なわれず、幾つも滞船する結果となって、海運会社はもちろんのこと、いろいろな産業に大きな損失を生ずることになるのでございまして、これが進んで参りますと、わが国の生産活動が停滞するおそれも生じて参るのでございます。
 これは、どういうところに原因があるかといいますと、大きくは、国民所得倍増計画に基づくわが国の産業の急激な拡大のひずみが港湾にしわ寄せられたといえるのでございますが、直接的には、これほど公共性の強い港湾産業に今まで何ら特別の保護が加えられなかった上に、海運事業の不況ということに藉口しまして、港湾事業が経済的に非常に抑圧されてきたということでございます。このままでは、港運業の発展はこれ以上望めないのでございまして、入出港船舶の波動性によって、その閑散時には港湾運送業は企業体制を維持するにきゅうきゅうとして萎靡沈滞いたしまして、繁忙期にはその機能が飽和状態となって麻痺するという悪循環を繰り返して、わが国の経済発展に大きな障害となるおそれがあるのでございます。したがいまして、少なくとも海運事業の不振が港湾運送事業を抑圧するというこの因果関係を解消し、海運業と港湾運送業とが、相ともに手を携えて発展し得るということが前提となるならば、これらの二法案につきましては、その内容につきましては不十分とは思うのでございますが、賛成するものでございます。
 しかし、前に申し述べましたように、海運の再建をはかるために強力な援助が必要であって、そのためには、海運界に相当思い切った手術を施さなければならないということは理解されるのでございますが、それだからといって、「大行は細瑾を顧みず」というたとえのように、この至上目的の達成のために、関連事業、特に中小企業を主体といたします港湾運送事業に大きな迷惑がかかってくるという心配が十分にあるのであります。すなわち、現在の港湾運送事業は、港湾運送事業法に基づきまして、その港湾の規模、性格と、その企業の内容に応じまして、また長年の経験に基づきまして、自然発生的に生まれました最も良好な港湾運送秩序を保持いたしておるのでありまして、これは、われわれ港湾業者が多年にわたって独力で築き上げました努力の結晶であるのであります。それにもかかわらず、長年にわたって国家的援助を受けて参りました海運が、真にやむを得ない事情からとはいえ、再建整備のやむなきに立ち至りまして、いわば今までの温床から一転して荒波にさらされることになるのでありますが、それがために、せっかく今までに築いて参りました最も現状にマッチいたしました港湾運送秩序が悪い影響を受けて混乱をするということは、絶対に避けていただかねばならないのでございます。
 そこで、もし集約系列化等を強行するのあまり、港湾のよき慣行が乱れたり、あるいは海運企業の再建を急ぐのあまりに、港運業の実情を無視した変革や押しつけが行なわれますならば、港湾運送秩序は大混乱に見舞われまして、その結果は、かえって大きな国家的損失となるのは明白でございますので、私たちは、そういうことでございますならば、この二法案には絶対に反対するものでございます。
 したがって、われわれといたしましては、この二法案が採決されるにあたりまして、次のことをお願いするものでございます。
 第一番に、さきに海運業の不振が港湾運送事業を抑圧していると申しましたが、それは、われわれが港湾運送事業法に基づきまして、船主なり、あるいは荷主なりから収受いたします運送料金は運輸大臣の認可によるものでございますが、われわれとしては、年々増高いたします労働賃金だとか物価に対処いたしまして、適正な運賃料金設定のために、非常に大きな努力と時間をかけまして、また各関係官庁の指導をも受けながら原価計算をいたしまして、この改定の申請をするのでございますが、そのつど、海運の不況ということが大きな原因となって、不当なまでに値切られるのでございまして、そのときすでに支払っておる労働賃金すら盛り込まれないということがあるのでございます。したがいまして、賃金は、他産業と比べまして比較的低廉を余儀なくされますし、厚生福利関係も不十分であり、また、労働力の再生産はもとよりのこと、その定着の手段すらなかなかとることができないのでありまして、これがため、他産業が好況になりますと、労働力の調達は困難となり、いな、むしろ逃避いたしまして、数年前のごとく決定的な労働力不足を生ずるのでございます。これは一例にすぎないのでございますが、港湾設備とか、あるいは荷役設備、資材等についても、またその他、港湾に関する全般のことについても同じことが言えるのでございまして、港湾運送として外国の船舶を取り扱うことによりまして大いにかせぎ得る外貨をすら、こういうことで非常に縮小されておるということが言えるのであります。このことは、港湾労働者の雇用の安定ということが政府でも問題になりまして、中央に港湾労働者対策審議会というものが設けられまして審議されておるのでございますが、こういう状態で雇用の安定をはかろうということを考えましても、とうてい、われわれ業者の独自の力をもってしては不可能であるというふうに考えておるのであります。
 まあこういうふうに、最近は、港湾運送が、事業またはその労務面ともに問題化しておりますが、このようだ先ほど申し上げましたような海運業の不況ということが港湾運送事業を経済的に非常に抑圧しておる、このような事情が根本的に潜在しておるのでございまして、このような悪循環を解消して、港湾運送をして真に海運の協力者たらしめるためには、国際的な水準に立った、きわめて適正な運送料金を設定して、その企業を健全に育成されねばならないのでございまして、少なくとも、船会社がそれだけの能力を保持されるまでに成長することをわれわれは願ってやまないものでありまして、この意味において、ぜひ国際的な競争力を維持し得るようにお考え願いたいと思うのでございます。
 第二に、これも前述いたしましたように、海運と港湾とは唇歯輔車の関係にあると申しましたが、これはその字句からくる意味よりも、もっと直接密接な関係にあるのでございまして、尊い国民の血税をもって海運を増強し発達せしめましても、港湾が旧態依然といたしておりましては、何らの実効が上がらないことは、もうすでに御承知のことと思っておるのでございますが、この際、港運業の進歩発展をはかるための援助計画を根本的に再検討されることをお願いする次第でございます。
 第三には、これも前に触れましたが、みだりに現状の港湾運送秩序を混乱せしむるような強行措置がとられないようにお願いをしたいのでございます。これは、外国の海運会社との関係も大いに考えねばならないのでございますが、われわれは、港湾運送の公共目的の達成のために、あらゆる悪条件を克服して日夜奮闘を続けておるわけでございますが、その責務を果たすために、最も良好と思われます港湾運送の秩序をそれぞれの特色に応じて確立しておるのでございまして、海運の集約なり系列化が、資本融資系統なり、あるいは集貨運航上の理由なりで行なわれると思われるのでございますが、このことが、せっかく確立されております港湾運送の秩序に悪影響を及ぼすならば、近く予想されます貿易のいんしん時に港湾運送の重責を完遂するため、営々として努力いたしておりますわれわれ業界を混乱させる結果となるおそれがあるのでございます。もちろん、われわれも、現状において足れりとしておるのではございませんので、われわれの業界がますます発展をして、よりよき港湾運送秩序が助長されますならば、それらの施策に応ずるのは決してやぶさかではございませんし、また、より以上の企業努力を惜しむものでは決してございません。どうぞ慎重に、十分業界の意見をくみ取っていただいて、発展的な建策をお願いしたいと思うのでございます。
 第四番目には、海運企業の整備再建に急なあまりに、港湾運送業の企業内容や作業の実態を無視していろいろな対策が打ち出される傾向があるのでございますが、時間の関係上、その詳細は申し上げられませんが、老朽船や不経済船の処分について、これらを他の方面に転用したり、また、過剰、余剰となる船舶関係の施設や設備、また労働力を港運業の分野に転用する等の計画があるやに聞いておりますが、これらが事実とすれば、不経済船の転用については、海運界のみならず、各関係事業の意見も十分に取り入れて抜本的な改装を行なって、名実ともに効率船としての体裁を整える必要があるのでございまして、糊塗的な手段は絶対に避けられたいのでございます。また、海運業が、その資力と立場とをもちまして、港湾運送業の分野に進出してこれを圧迫するようなことがありますれば、ただに業界の紛争を惹起するばかりでなく、前者――すなわち不経済船の転用と相待ちまして、労働問題にも波及して重大事態ともなりかねないのでございますので、これも絶対にこういうことのないようにお願いしたいと思います。
 以上、いろいろとお願い申し上げましたが、要するに、海運の再建整備の必要なことは当然理解できるのでございますが、港湾運送業の実情を無視して、海運の立場のみを考えて事が推進されますならば、港湾の運送秩序がいろいろの面で混乱して、港湾の機能は鈍化し停滞することになって、せっかく海運を再建いたしましたとしても、海運の正常な流れが港湾で混乱し、長期の滞船が余儀なくされ、港湾諸経費の増大となって、再建の目的の大障害となるおそれがあるのでありまして、さきに、「大行は細瑾を顧みず」のたとえを申しましたが、海運の再建途上におきまする港湾の瑕瑾は、決して細瑾にとどまらないのでありまして、放置すれば大瑾となってはね返ってくるおそれが十分あるのでございますが、どうぞ、この点を十分お考えの上、よろしくお取り計らいをお願いいたす次第でございます。
 どうもありがとうございました。
#50
○委員長(金丸冨夫君) ありがとうございました。
 では、ただいまより参考人の各位に対し、委員各位から質疑を行なうことにいたしますが、よろしくお願いいたします。
 委員の各位は、問題の焦点をしぼりまして、質疑、御意見をお述べ願いたいと思います。
#51
○相澤重明君 宇佐美参考人にお尋ねしたいのですが、先ほどあなたが御説明された、特に要望のあった点ですが、集約をし競争力をつける、そのことについては、法案について、大体保有船舶が五十万トン、扱い船舶百万トンぐらいは妥当と思う、こういう御説明を行なわれたのでありますが、しかし、その中で、やはりそれを行なうにしても、これは船会社が自主的に行なうのだ、こういう御説明だったと思うのです。
 そこで、自主性という中に、たとえば、十八次計画造船の中でも、政府がとった措置が途中で変更されて、できるよいところから行なう、こういうふうに、金融界の協力があったと私は思うのですが、そういう自主性の問題についていま少し突っこんだ意見を、金融界ですから、ひとつ述べておいてもらうと、私どもも非常に参考になると思うのですが、いま少し御意見を述べていただきたい。
#52
○参考人(宇佐美洵君) ただいまの御質問にお答えいたしますが、先ほど、集約化につきまして、自主的にお願いしたい、そういうつもりでわれわれは今見守っておるというふうに申し上げたつもりでございますが、私どもは、御承知のとおり、銀行全体といたしますと、開発銀行が非常に出しておられますが、それに金額的には劣っておりますけれども、千二百億ぐらいの今貸し出しをいたしておるわけでございます。したがいまして、船会社が今後どういうふうになっていくかということは、われわれどうしても関心を持たざるを得ないのでございます。それで、過般来、これはもう何年も前からなんでございますが、われわれとしては、海運業が非常に大事なことはわかるけれども、民間資金を建造計画に使われる以上は、もっとわれわれが安心して出せるような姿にしていただきたいということを常にお願いしておるわけでございます。われわれの資金というものは、今さら申し上げるまでもないのでありますが、大部分、九十何パーセント国民の預金でございます。したがって、その大事な預金をお頂かりして、これを海運界に、その一部でございますけれども、出しておることについて、常に関心を持つことは当然の務めだと思っておるのでございますが、しかし、さらば今度こういう法律案に沿って合併あるいは集約化ということをなさるということになりますと、私どもは、やはり正直に申しますと、何から何まで船会社のことはわかっておるわけではございません。われわれの関係の船会社に対しましても、それぞれ、銀行は同じことだと思いますが、この線に沿ってひとつ案を作ってくれということを、これはわれわれが言うまでもなく、船会社も考えておられるわけであります。したがって、その案を背景にして、そうしてわれわれもごもっともだということになったときに、これに賛成する。と申しますのは、今度の法案によりましても、私どもはさらに大きな犠牲を払うわけでございますので、従来の犠牲に、さらに海運界のために、将来のことを楽しみに、預金者にも理解していただけるだろうと思って、今考えておるわけでございますから、したがって、まず自主的にいろいろ考えていただきたいということをお願いしておるところでございます。
 ただいま申し上げましたとおり、われわれも、船会社のことを一応金融面からは検討をしておりますけれども、全般から見ますと、ほんの一部であろうと思うのでございまして、ぜひ自主的に考えていただきたいということをお願いしておるわけでございます。
#53
○相澤重明君 それからいま一つ。オーナーに対しては、政府のいわゆる善処といいますか、対策を立ててほしいということを言われておると思うのです。過日、日銀の総裁から、公定歩合の引き下げのときにも、あなたのほうに非常に協力を求めたと思うのですが、今のオーナー対策ですね、市中金融としては、どういうふうにお考えになっているのか、ひとつ御説明いただきたいと思うのですが。
#54
○参考人(宇佐美洵君) ただいま申し上げましたとおり、オペレーター、オーナーという問題は、なかなかむずかしい問題でございまして、私のほうもどうしたらいいのか、むずかしいことに考えております。ただ、オーナーのほうは、私どもが承っているところでは、かなりいろいろ大会社のほうの保証等もございますので、これもわれわれ放っておけない問題ではないかと、こういうふうに考えております。したがって、第一段階として集約化が行なわれまして、その次には、やはりその問題に当然入ってくるのではないか、こう思っておりますが、要望と、まあたいへんむずかしく申し上げましたけれども、要するに、私どもの考えでは、今のこの法案がこれでもうすべて万事解決だと、こういうことにお考えになっては因るのではないか。これからまた具体的にいろいろ問題が出てきますと、大筋は、定期航路その他の大型、大会社の場合はこの趣旨に沿っていくけれども、付随していろいろな問題が出てくるのじゃないか。私どもは、実は、これで万事解決で、あとはもう船会社と、これを助けた金融機関が悪いのだからといって見放されては困るのじゃないか、こういうふうに思って、具体策はまだ何も考えておりませんが、必ず出てくる問題ではないかと、こういうふうに考えておるわけでございます。
#55
○大倉精一君 宇佐美さんにちょっとお伺いしたいのですけれども、今度の法律案をずっと検討しまして、素朴な感じが、海運界の破産のような気がする。破産して新しい会社を作る、新しくやっていくというような感じがするのですよ。そこで、一番心配になることは、たとえば、利子のたな上げを、あるいは補給を、法律ができればできるでしょうが、いうところの船主側にも、自主的に集約合併をやれという――自主的にですね、これがはたして所期の目的どおりにできるかどうかということが一番肝心なことなんですね。あるいは、場合によっては、集約合併の仕方によっては、かえって企業の基盤の弱体化を招くことがある。だから容易じゃないと思うのですね。やはり、こういう見通しも、銀行としてはお持ちにならぬというと、これから先が非常に不安だろうと思うのですが、そういう点に対する見通しといいまするか、あなたのほうの将来にわたっての、あるいは企業合併に対してのめど、見通しですね、どういう工合にお考えになっておるか、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
#56
○参考人(宇佐美洵君) この問題がいよいよ出ましたときに、実は私も心配いたしまして、はたしてこういうことでできるかどうかということでございましたが、通称七人委員会というものができまして、実は私は初めそれに出てくるように――ちょうどそのとき、私は全国銀行協会の会長をしておりましたんで――今はやめましたが、その関係もあったんだと思いますが、出てこいということでございました。ところが、当時私病気をして入院しておりましたが、なおって出てきましたときは、もうすでに七人委員会に、さらに船主協会の会長とそれから専務理事の米田さんでございますが、お二人が始終そこに御列席になりまして、その意見を聞いておったわけでございます、お二人の意見を。そうして非常にむずかしいだろうけれども、ひとつわれわれは努力してやってみましょうと、こういうことでございましたので、私もそれならたいへんけっこうだ、しかし、実際問題として、私も経験がございますが、合併ということは非常にむずかしいことでございますので、たいへんな努力が要るんではないか、こう思っておるのでございまして、この御努力に対しまして、われわれもできるだけ御協力しなくちゃならないんじゃないか、これはほんとうに容易じゃないと思っております。
 今、松尾さんからもお話がございましたが、単に金融とか何とかの問題以外に、組合の問題も非常に大きな問題でございますし、しかし、それじゃそういうことをおそれてやらないで、このままでいていいのかどうかということを考えますと、やはりここは非常にむずかしくて困難は多いだろうけれども、組合の方にも十分御理解を願って、五年、十年後のことを考えてやらなければいけないんじゃないか、当面は苦しいから、これを全部ほうっておくということでは、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、海運の今後の競争が非常に激しくなりますし、また国際収支の関係から言いましても、今のように大会社だけで二十数社やっておるということは、これはどうしてもいけないんじゃないか、この集約化、これはもうほとんど組合の方も、先ほど松尾参考人もおっしゃいましたし、紀野さんもおっしゃいましたが、これはいたし方ないんじゃないか、合併については。ただ、方法が問題ではないか。これにつきましては、まず船会社の経営者が十分考えて、なるべく皆さんに譲歩をしていただいて、船会社も泣くし、組合も泣くし、金融機関も泣くというような、みんなが協力する形でこれをやっていくより仕方がないんじゃないか、こういうことで、私も、いろいろお話がございましたとおり、決して容易なものだとは思っておりません。しかし、ぜひひとつ、これはやらなくちゃいけないんじゃないか、こういうふうに考えておるわけであります。
#57
○大倉精一君 これは、あまり御質問申し上げてもきりがないと思うのですけれども、やらなければならないという願望と、実際できるかといったら、だいぶ違うと思うのですね。船会社のほう、船主協会のほうでは、この法律によっていろんな命令をいただく、ありがたいような迷惑のような、ということじゃないかと思うのですね。それでもって、しかも一年間にやれ、やらなきゃ何にも世話してやらぬぞと、こういうきびしい命令ですから、これは破産宣告ですよ。お前のほうはこれをやれ――破産宣告ですからね。これをやるということは容易なことじゃないと思う。一年間でできなかったらどうなるかということは、そういうことはよけいな心配かもしれませんけれども、それがスムーズに、効果的に進行しなければ、この法案をいくら通してみても何にもならなくなりますね。これが心配になったわけですよ。ですから、金融機関としてのお見通しを伺ったわけですけれども、政府のほうとしても、よほど腹を締めてかからぬというと。船会社のほうに自主的にまかせるのだ、自主的にまかせるということは、非常に民主的ないいような言葉ですが、全部の責任を船会社におおいかぶせてしまう。たとえば、海運造船合理化審議会あたりも、五十万トンなら五十万トンと、それから企業の合理化合併を一年間にやれ、方法はお前のほうで勝手にやれ――これでは受けるほうの船主協会は困ってしまう。いやだといって、これをやらなければ世話してもらえない、しようがないからやろうということになると思う。問題は見通しです。その見通しをいろいろこれから明らかにしたいと思いますけれども、この点は、今度の法案の一番大事な点だと思います。
 もう一つ、これは松尾さんにお伺いするのですけれども、人間の問題です。やはり合理化の一つとして、人件費、人間の問題が大きな問題だと思う。そこで、この前の委員会で、この集約合併によって余剰人員はどのくらい出るかという私の質問に対して、大体一万人くらいという答弁があったわけです。私は、もっとあるのじゃないかということを言ったわけですが、特に陸上関係にあると思うが、それに対して、大体船会社のほうとの話し合い等によって全部吸収できる見込みでございます、こういう答弁があったわけです。私は、それならけっこうであると言っておったわけですけれども、事実はもっと深刻じゃないかと思う。あるいは一万人以上をこすのではないか。さらに、紀野さんもおっしゃいましたが、そういう人員なり、あるいは不経済船、老朽船を含めた非常に大きな問題をかかえている。港湾関係のほうにも、非常に各方面に影響があると思います。そういう点について実は心配しているのですけれども、この人間の問題は一体どうなるか、これをお尋ねしたいのです。
#58
○参考人(松尾隆君) お答えします。
 大倉先生は一万人とおっしゃったのですけれども、おそらく海員のほうを含めてのことじゃないかと思います。三月からの審議段階で、非常にラフな数字、目の子算で、陸上従業員は大体二、三割の二千人か三千人、海上のほうにつきましては、私はまだ数字を伺っておりません。それと相殺というか、足して引くというか、引けば、海員のほうが七、八千人、こういう数字が出てくるのではないかと思いますが、海員組合のほうは、御承知のとおり、労使協議機関の統一交渉機関を持っておりまして、それによりまして、共同雇用制をとっております。海員組合におきましても、集約合併が実現した暁には、来年度におきまして、おそらく外航汽船部員で、六万人のうち最低二千人は何とかしなければならないのではないか。これは非公式な組合の汽船部長の考え方でございますけれども、そういうふうに私は伺っております。したがいまして、海員のほうで七千人くらいということは、私はまだ聞いておりません。ただ陸上部門に関しまして、少なくとも一万人のうち二、三千人は余ってくるのではないか、こういう御発言があったのに対しまして、私どもの算定では、必ずしもそうならぬわけです。かりに大同、商船、日東が合併すれば、巷間うわさされているように、そこに営業定航課長が三人いる、それが一人でいいのではないか、こういうような目の子算式にポストを機械的に足したり引いたりすれば、二、三千という数字が出てくるかもしれぬ。しかし、これは業務分析がきわめて粗雑なものである。
 私も衆議院の運輸委員会で申し上げたんですけれども、実際に、ここ五年間くらいの陸上の従業員の数と、それから扱いトン数、これを比較してみますと、扱いトン数が非常にふえておる。運航トン数というものが大体四、五年の間に五五、六%から五八%ふえておる、陸輸のほうはほとんどふえておらない。これは、船腹構造が非常に変わりまして、船自体が大型化しておる、こういうことにも一因があろうかと存じますけれども、やはり、このシビヤな海運産業の状態の中で、各海運の相当血の出るような合理化努力があった。また組合もそれには相当協力をしておる。その結果、労働強化というものが非常に現われておる。現実に、会社のホワイト・カラー、これを見てみますと、大体月に二十時間くらいのオーバー・タイムをやっております。これが現状なんです。でございますから、今あるやつを合わせてポストが少なくなったから、たとえば重役さんの場合には、二社合併した場合は重役さんの数を三分の二、これは通産省の基準か何かにありますけれども、そういったように機械的に陸員の問題が処理できるかどうか。これは、私は海運局にお尋ねしたいわけです。また、海運局の御意見に対して何ら反駁されない船主協会にもお尋ねしたい。
 したがいまして、私どものほうとしましては、海運集約化は否定するものではない。なぜ否定するものではないといいかげんな言葉を使うかというと、少なくとも、私は、政府と経営者に信用がおけない。まかせておけない。なぜならば、今までは、海運整備法案の審議過程におきましても、こういう要求が、これもやれ、あれもやれ、こういった点に問題があるという問題の指摘を海運界がしたか、しておらぬ。これは、まあひそかにやったかもしれませんけれども、そんなものは国民にアッピールするものではございません。少なくとも、堂々と船主協会はアッピールを行なうべきであって、そのこと自体が海運産業の従属性を現わしている。私どもは、こういうことでは、運輸省の一片の通達と申しますか、回答では満足しきれない。したがいまして、まず第一に、業務分析に基づきました役職の割当、さらには人員の配置、これを考えました上で、どうしても余ってくる可能性があるならば、それについては事前に十分協議をしましょう、組合としても耳をかしましょう、常にそういう態度を持っておるということを申し上げたわけであります。したがいまして、ここで申し上げたいことは、そのための準備段階として、労使協議会の設置、事前協議の確立、この二点をお願いしたい、非常にはっきりしておるわけであります。
 以上であります。
#59
○相澤重明君 松尾参考人にお尋ねしておきますが、今のあなたのお話を聞いておると、船主協会のほうは、組合のお話についてあまり聞き入れておらないというように思うんですが、先ほど、午前中ですね、私が実は児玉参考人に、一体陸上勤務者についてどうするのかという質問をしたわけです。その際に、船員についてはとにかく協約ができているから、それでやっていけるが、確かに陸上勤務員については非常に大事業だ。そこで、私のほうとしては、企業合理化というものが直ちに首切りになるということはないだろう、こういうような質問をしたところが、とにかく首を切ることでなくて、できるだけ他産業に、どうしてもいけない場合には系列下あるいは他産業にも配転もすることもあるけれども、という話をして、誠意をもってやります、こういうことを述べられたと思うのです。こまかい点は速記録であとで見ればわかりますが、そういう答弁をされておるのですが、あなたのほうには回答はないのですか、船主協会から。
#60
○参考人(松尾隆君) 来ておりません。
#61
○大倉精一君 それで松尾さん、今の協議機関というものは設置されたのですか。
#62
○参考人(松尾隆君) まだ設置いたしておりません。
#63
○大倉精一君 見通しはあるのですか。
#64
○参考人(松尾隆君) 見通しは非常に薄うございます。
#65
○岡三郎君 紀野さん、ちょっと伺いますが、港湾運送業の適正運賃について、国際水準に合うようにという話が出たが、現実にはどの程度になっているのですか。いろいろとあるけれども、国際的に比べて日本の料金はどのくらいになっているのですか。
#66
○参考人(紀野実君) ただいま的確な資料を持っておりませんのですが、アメリカ本土なんかと比べますと、七分の一ないし十分の一ということになりまして、これを私どもなぜ強調いたしますかと申しますと、数年前から太平洋港湾労働者の国際会議がございまして、その中でいろんな話し合いをいたしまして、労働賃金からする港湾運送料金という問題が今いろいろ港湾で論議されておるのでございまして、そういうことで言及したわけでございます。
#67
○岡三郎君 そうするというと、結局、あまり運送料金が安いから、荷物扱い料金が安いので、しかも好況、不況で非常に波の起き方が大きい、そういうふうな点で、雇用の安定というのは非常にむずかしいのだという話に受け取ったわけですが、もう十年以上前になるのに、イギリスあたりに行ってみると、非常によくできておるのですね、港湾の労働者関係の組織なり福祉対策について。こういう点について、政府のほうとしても思いを全然いたしてくれない、こういうことなんですが、かりに、やはり海運整備の関係から、海上輸送から陸上輸送、港湾、これはもう一貫したものであって、イギリスあたりは全部一本の労働組合になると思うのですがね。そういうふうにしないというと、やはり弱いと思うのですが、日本の港湾運送関係の前近代的ということ、これは一体どこに問題があるのでしょうかね、根本的な。
#68
○参考人(紀野実君) お答えいたします。
 港湾運送の近代化と申しますことは、その企業体と、それから作業の形態、あるいはまた労働問題等にいろいろ分けて考えられると思うのでありますが、その歴史的な発達過程からいたしまして、港湾運送事業は、荷主なり船主なりに今まで従属してきた。独立した、非常に自主的な業態であるという見方が少なかったわけでございますまして、事ごとに隷属してきたということが一つの大きな原因になっております。それがために、企業の経営にいたしましても、ひいては労働問題につきましても、自主的な動きが少なかったということで、事ごとに荷主なり船主なりの顔色をうかがってみてやらざるを得なかったということが、その大きな原因ではないかと思います。したがいまして、数年前に滞船問題で非常な大きな問題を引き起こしたのでございますが、それを契機にいたしまして、内閣直属の港湾労働等対策審議会というものが設けられまして、その中で、港湾の施設、運営、港湾労働者の雇用安定という問題を審議していただいておるわけでございますが、私どもは、その中において、港湾運送事業並びに港湾労働についてのわが国の産業における価値づけをまずしてもらいたい、そうして、その価値づけに従って港湾運送事業というもののビジョンを作っていただいて、いろいろな施策を推進していただきたい、ということを意見具申しておるわけでございますが、したがいまして、労働問題も、そこからおのずから生まれてくるのではないか、こういうように考えております。
#69
○岡三郎君 もう一つ。今度宇佐美さんにちょっとお聞きしたいのですが、これは参考ですが、今までどのくらい民間としての金融をしているわけですか、大体全額。目の子でけっこうです。
#70
○参考人(宇佐美洵君) 融資でございますか。
#71
○岡三郎君 そうです。
#72
○参考人(宇佐美洵君) 融資は、大体、これは去年の九月の数字でございますが、開発銀行からの、つまり政府資金でございますが、これが千七百五十八億、それから一般銀行のほうが千二百二十九億、合計で二千九百八十八億、大体三千億近い数字でございます。そうして、そのうち、延滞金でございますね、それが入っておるわけでございまして、そのほうは、開発銀行が、その千七百五十八億のうち三百九十億、それから民間金融機関のほうが、千二百二十九億のうち五百三億、こういうふうになっております。つまり、延滞金のほうは、市中銀行が非常にいろいろよく事情がわかるものですから、延べ延べになって、こういう大きな数字になっておるわけです。
#73
○岡三郎君 これも参考ですが、先の楽しみでやっているという話ですが、どのくらいのところでこれはうまくいくのですか。専門家の立場からひとつ……。
#74
○参考人(宇佐美洵君) これは非常にむずかしい御質問なんですが、まあ、一応この法律案が実施されまして、計画ができますと、われわれは、四、五年のうちにはめどをつけてもらいたい、こういうふうに考えておるわけなんです。御承知のように、もう長い間、一番いいという郵船にしろ、もう無配状態を、何年ですか、ずっとやっておるわけでございまして、これはもう非常に迷惑がかかっておるわけでございますので、とにかく配当ができるところまでは早くやらないと、増資もできませんし、何もできない、こういうわけでございますので、一応五年をめどに、ひとつこの計画をやっていこう、こういう計画が――これは、第一は、やはり何といっても、経営者がしっかりやってもらうことが大事だと思うのですが、その経営者が非常にやって下さるという前提で考えておるわけなんでありますから、そこいらでないと、そう長く、十年も二十年もかかるというんじゃ、これはもう話になりませんので、まあ無理かもしれませんが、それくらいの意気込みでやってもらわないと困る、こういうふうに考えております。
#75
○委員長(金丸冨夫君) 参考人の各位にお礼を申し上げます。
 本日は、御多用中にもかかわらず、長時間にわたりまして貴重な御意見を拝聴いたしました。まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。
    ―――――――――――――
#76
○委員長(金丸冨夫君) ただいま新国鉄総裁がお見えになりまして、皆様方にごあいさつをいただくことになりました。御紹介申し上げます。
#77
○説明員(石田礼助君) ただいま御紹介にあずかりました、今度国鉄総裁を任命されました石田礼助でございます。
 この委員会には、たしか昨年の九月ごろと思いますが、監査委員長として出席いたしまして、いろいろの御質問にお答えしたことがあります。私、一体、こういう席に出て御答弁することは、まだきわめてふなれでございまして、それに、国鉄のことにつきましては、監査委員長の立場からなら、六年も勉強したのでありますが、ほんとうの責任の地位における総裁としてのあれは、昨日任命を受けたばかりで、全くのほやほやであります。したがいまして、こちらへ参りましていろいろ質問を受けまするが、そのうち、あまりテクニカルな、技術的なことやなにか聞かれてもわからない。そのほかについてもわからぬことがたくさんある。そのときには、私は正直にわからぬと答えます。決してごまかしはしない。そうして、間違いはありましょうが、どこまでも誠意をもってお答え申し上げたい。いずれにいたしましても、国鉄の運命というものは、結局、政府と議会にあるのであります。国鉄の立場というものを十分にひとつ御理解いただいて、御協賛を仰ぐ、こういうことにしたいと思います。
 なお、きょう衆議院のほうでも申しましたが、私は、どうも生来きわめて粗野で、ほかの、この前の総裁及びここで拝聴していました運輸大臣のごとき低姿勢で答弁するというようなことは私にはできないし、また柄でもない。しいてこれをしようとすると、モンキーにかみしもを着せたような変なことになりますので、どこまでも正直に、ありのまま申し上げます。どうぞひとつ十分の御理解をいただきますように、切にお願いしておきます。
 どうも初めからこういう言いわけをするということは変なことなんですが、結局、そういうことになると思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。これから、議会に対しては、私は万難を排して出席いたします。(拍手)
#78
○委員長(金丸冨夫君) それでは、本日はこれをもって散会いたします。
   午後三時十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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