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1962/02/26 第43回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第043回国会 予算委員会第三分科会 第9号
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1962/02/26 第43回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第043回国会 予算委員会第三分科会 第9号

#1
第043回国会 予算委員会第三分科会 第9号
昭和三十八年二月二十六日(火曜日)
   午前十時十分開議
 出席分科員
   主査 中村三之丞君
      相川 勝六君    仮谷 忠男君
      周東 英雄君    松野 頼三君
      加藤 清二君    川俣 清音君
 出席国務大臣
        農 林 大 臣 重政 誠之君
 出席政府委員
        農林政務次官  津島 文治君
        農林事務官
        (大臣官房長) 林田悠紀夫君
        農林事務官
        (大臣官房予算
        課長)     太田 康二君
        農林事務官
        (園芸局長)  富谷 彰介君
 分科員外の出席者
        農林事務官
        (林野庁林政部
        長)      厚味荘之助君
        農 林 技 官
        (林野庁業務部
        長)      若林 正武君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和三十八年度一般会計予算中経済企画庁、農
 林省及び通商産業省所管
 昭和三十八年度特別会計予算中農林省及び通商
 産業省所管
     ――――◇―――――
#2
○中村主査 これより会議を開きます。
 昭和三十八年度一般会計予算中、経済企画庁、農林省及び通商産業省所管、昭和三十八年度特別会計予算中、農林省及び通商産業省所管を議題といたします。
 農林省所管について質疑の申し出がありますので、これを許します。川俣清音君。
#3
○川俣分科員 農林大臣に一括まとめて質疑を続行いたしますので、御答弁願いたいと存じます。
 第一点は、農業構造改善事業が最近非常に進展を見せようといたし、農林当局もこれに努力中でございますが、それであればあるほど、これと足並みをそろえて林業基本法をすみやかにつくるべきではないかという質問を申し上げたいのでございます。それはくどくどしく今理由を申しませんけれども、構造改善事業の中心でありまする果樹園の造園地域あるいは畜産の地域というものと、林業地域とが衝突をするおそれがあるのでありまして、すみやかに林分あるいは畜産区分あるいは果樹区分と、この狭い領土を配分をしなければならないのではないかと思うのであります。一部にすでに国有林地の非常に多い所におきましては、まだ伐採期に至らないような立木地帯をあえて払い下、げて、畜産地域にしようという希望が出て参りましたり、あるいは畜産地域が適当であるところを、林地としょうという反対な努力が払われたりいたしまして、構造改善事業を進めていく上からは、林業に対しての林分または指定の区域、あるいは畜産の振興度をどういうふうにしていくかということとにらみ合わせて、林業基本法というものができて、林業基本法と農業基本法とを調整する役割を農林省が果たしていかなければならないと思うのであります。両方華本法がなければ、一方を侵略する、一方の進展を阻害するということになりますので、すみやかに林業基本法の制定を待って、それと相待って調整をする。別な表現をもってするならば、やはり林業もまた日本の農業の中にあるのでありまして、農業問題としなければならないと思うのであります。そういう意味で、いずれにしたって農民でありますから、やはり農業問題として林業も考えていかなければならない事態にきておる。そこで、これを調和をし、林業と畜産あるいは果樹とがお互いに協力し合う態勢をつくらなければならないと思うので、すみやかに林業基本法を制定すべきであるという私の意見に対して、大臣の所見を伺いたいのであります。
#4
○重政国務大臣 林業基本法につきましては、その内容はいろいろ調査会等にも御答申を得ておりまして、そういうものにつきましては、それぞれ金融の問題は金融の問題として解決するとか、あるいは団体の強化の問題は団体の強化の問題で解決するというふうに、個々の可能な問題はそれぞれ実行に移しつつあるわけでございますが、ただいま御指摘になりました構造改善の問題は、実は御指摘の通りであります。ただ、御承知の通りに、山村におきまして農業と林業を兼ね行なうというのが現在のわが国の山村の姿でありますので、そこで農業の構造改善を行ないます場合におきましては、やはり農業を主にして林業と組み合わせて構造改善をやっておる。ところが、そうでない逆の、林業が主で農業が従の場合があるわけであります。その場合は、ただいま御指摘になりました川俣先生の御意見の通り、これをいかにするかということが実はまだはっきり検討がついておらないわけであります。従って、それらの点につきましては、目下鋭意検討を加えておるわけであります。いずれ、これらにつきましても方針を具体的に立てまして、その措置をとりたい、こういうふうに考えております。
#5
○川俣分科員 次に、林野庁には林野の憲法として尊重されております経営規程、管理規程というものがあるわけでございますが、これは訓令という形でこれが尊重され、順法されて、林野の事業が遂行されておるわけでございます。これは管理規程であり、経営規程でございまして、いずれも林野の職員はこれを順法をして事業を遂行しておるわけでございます。ところが、これは訓令でありますために、いわゆる林野特別会計というのは法律であり、これは訓令でありますために、とかくこの訓令を軽視される。内部においては非常に尊重されるけれども、対外的には、訓令であるために軽視される結果が出て参っておる。たとえば大蔵省との折衝の場合におきましても、これは訓令じゃないか、これは法律だということで差別をつけられまして、事業遂行の上に障害になることが一つはございます。
 それともう一つ質問申し上げたいのは、同じことでございますが、国有林野特別会計というのは、どうも旧態でございまして、企業経営というものを理解しない硬直した会計法であります。最近の企業経営は、機械化をしなければならない、あるいは合理化をしなければならない幾多の問題を抱えておるのでありますが、この法律は非常に硬直性で、林野のような事業の弾力性というものを非常に否定をしておる。無方針に弾力性を発揮されることも困るでありましょうけれども、ある程度の弾力性を持たなければ企業経営のできないことはもちろんであります。先般も大臣のおいでにならないときに、一つの例を申し上げたのですが、日本の専売公社、大蔵省の所管にかかわる専売公社等が多大のたばこの宣伝費を持っておる。専売でありますから、あえて宣伝費などをかける必要はない、広告費などをかける必要はないはずでありますけれども、たばこの売り上げに非常な影響を与えるということで、これらの歳出を勇敢に認めておるわけであります。広告費などの歳出すら認めておるのでありまするから、林野の場合におきましては、基本財産をつくるところの造林の費用などについては惜しみなく出していかなければならないものだと思うのです。基本財産をつくることなんですから、いたずらなる歳出じゃない、消耗歳出じゃないわけです。山をつくっていこうという歳出について、その歳出すらを制限する、制約をするということであるならば、企業経営は成り立たなくなってくるのじゃないか。ただ山を切らせることについては非常に寛大でありまするけれども、木を植えることは財産をつくることなんです。長期資本なんです。長期投資なんです。それを制約するような格好がありまするので、弾力性を発揮できるような会計法に変えてはどうでありましょうかということと、先ほどに関連いたしまして、いわゆるこれと同等な力を持つようにせっかく運営されておりまする管理規程及び経営規程を法律化して、細末なところは政令でも訓令でもよろしいですが、基本的なところだけは法制化して、今後の経営を基礎づける必要がある。何といいましても林野というのは長期の経営でしょう。ですから基本的には法律ですっかりやっておいて、そして政令によるような部分は、その情勢に応じて変化していってもいいので、基本だけは訓令という形でなく、基本法としてしっかりしたものを持つ。このままでもよろしい、幾らか修正されてもよろしいですが、せっかくりっぱなものを単なる訓令だけだということで対外的に軽視されるようなことがないようにしなければならぬのじゃないか。お互いが法律によって制約を受けて運営するという基本方針を立つべきじゃないか。この二点をあわせて御答弁願いたいと思います。
#6
○重政国務大臣 御指摘の訓令を法律にしたらどうかという御意見でありますが、現在までのところは、大なる支障なしにこれでやって参っておるわけであります。しかし、御意見のように特別会計法は法律であり、そしてこれを運営する実体が訓令になっておるというのは、訓令の方はよほど古い時代につくったものでそのままになっておると思うのであります。御意見ごもっとものところもあると私は思うのでありまして、これは林業の基本対策を今検討しておりますから、これとあわせて一つその際に考えたらどうか、こういうふうに考えております。
 なお、その訓令の内容に関連して、企業体であるから支出等について弾力性を持たなければいかぬではないかというお話でありました。先般弾力条項を歳入歳出について考えたこともあるようでありますが、これは重要な問題でありまして、御指摘の通りに乱に流れるおそれも一面においては大いにございます。それからまた、一面においてはあまり窮屈にしておくと事業の遂行に支障がある。こういうことでありますので、そこらの点を十分検討いたしまして、林業の基本対策と同時に、先ほどお述べになりました訓令の法律化の問題もあわせて考えたい、こういうふうに考えております。
#7
○川俣分科員 次に、もう一問でございますが、林野の独立採算制を強調される結果、林野の過去の実績によって蓄積されたものを、今伐採して収入を上げていくというやり方にかなり力を入れ過ぎまして、将来の山をつくる造林につきまして熱意を欠いておるのではないかという点がたくさんあるのであります。時間がありませんけれども、一例をあげますと、伐採作業員については手取り額全国平均大体一日千二百円くらいになっておる。造林の方へいきますると大体六百円程度でございます。半分なんです。もちろん仕事の内容は違いますよ。労働の消費量も違いますけれども、今では伐採だから多く払う、造林だから少なくするというわけにはいかなくなってきておるということが一つでありますが、私どもが見るところによると、やはり造林というものは、三年後、五年後に初めてあの植栽がよかった悪かったということがわかってくる。そのときにはなかなかわからぬものです。従って、熟練度の高い者が植えた場合と、あるいは地ごしらえ等が粗末であった場合は改植をしなければならぬ、保育に非常な経費がかかるということで、結局は損をするという結果になっておるわけです。そこで一方、民間の民有林についてはどういう指導をしているかというと、林野庁は、一般民有林に対しては、伐採よりも造林に非常に力を入れている。よその方に対しては、民間に対しては造林が大切だと言いながら、自分の方はどうかというと、木を切る方には、収入を上げる方には熱心だけれども、長期投資になるようなことについてはお粗末だという結果になると、これが四、五十年後に現われてくる結果というものを見ますと、今、やはり造林について十分な心得を持って、民間を指導するようにみずからも造林に励まなければならないのではないかと思うのです。そういう意味で一つ大臣の所見を伺いたいのですが、特に造林については歴代の大臣は決して粗末にしておるわけではないのですが、予算面ではふえているからやっているだろうと言いますが、決して思うようには行なわれていない。長官や部長になると、予算をつけたからやっているだろうと言いますけれども、地ごしらえが悪いために規定の本数が植えられないで、苗木が横の方にたまっているというのがたくさんある。これは別に対外的に悪いということを指摘するわけではないのですが、もう少し熱が加わらなければいけないのではないか。これは二十年、三十年後に現われてくることですから、あのときにやり方が悪かったというふうに二十年、三十年後に反省してもおそい。ことに今後水資源の涵養については特段の努力を払わなければならぬようになって、需要がふえてきております。従来の水資源というのは、保安林があるからこれで水資源になるのだ、水源涵養林というものがある。この保安林だけを持っておればいいのだという考えでしたが、今後はさらに進んで、今外国でやっておるような拡水法というのがある。大臣、これはちょっとむずかしいかもしれませんが、あとで勉強をなすってもけっこうですが、伐採跡地については計画的な植栽をやる。これは二年、三年おくれることがありましても、伐採跡地については里山に近いものですから割合に行なわれているが、改植、保育というような点において劣っている。造林の面積については、ある程度伐採した跡に植えるというのはやっております。これは私はそれをやらなかったと言っておるのじゃない。むしろ、地ごしらえだとか、改植だとか、保育という費用が、造林の総体の費用ですが、こういう点に欠けておるのではないかという点、それからせっかく保安林を持っておるからには、水源涵養林を持っておるからには、この機能をもっと発揮するような施設を講ずる必要があるのではないか。なぜかというと、工業用水道、上水道あるいは電力等におきまして、水の需要が産業の発達に伴ってますます重要になって参ります。この重要なものに供給するだけの力を山林が持つべきではないか。ことに保安林というものはそのためにあるものでありますから、その使命を十分発揮させるようにしなければならぬ。ほうっておいてはいけない。改植しなければいけないということも一つであろうし、保安林の機能をもっと高める手入れが必要である。施設として最近とられている拡水法というのがあるのです。これは山の等高線にみぞをつくって、一ぺんに流れ出ないように、徐々に穏やかに下流に流してやろう、そうすると流砂も少ないであろう。あるいは山に冠水をいたしまして、水を一ぺんためておいて徐々に流していく、こういうのであります。これなどは集中豪雨のような場合には割合に成績をおさめている。ただ長雨の場合は耐え切れないであまりいい成績がなかったということもございますけれども、こういうものも研究しなければならぬ段階にきたのではないか。一般のほかの産業は進んできたのですから、その産業に対して供給源であるところの保安林は十分機能を発揮しなければならぬ事態にきたのではないか。そういう歳出については、すぐ利益が上がらないために、間接に他の産業に寄与するためにおろそかにされておるという点を反省していかなければならぬのじゃないか。来年からすぐやりなさいとは言わぬけれども、十分検討して、農林省のできる範囲内において水資源の確保に協力するという建前をみずからとるべきではないかと考えますので、この点について――拡水法についてはむずかしいですから、いろいろな、冠水法があり、溝渠式があり、あるいは縦穴式、穴をずっと掘って、一時水をそこでためておいて、あとからだんだん地下水にして流していくというのがあるのですけれども、それは専門的なことですから別にして、どれがいいかということを私は別に言うのではないが、そういう施設をみずから講じて水資源涵養の役割を果たすべきではないか。それと同時に、保安林の買い上げ等をもっと進んでやって、ことに大都市の水の供給の不円滑なところは進んで水源林を涵養するという役割を果たすことによって、農林省の価値というものは非常に高まるであろうと私は期待するわけです。どうかその期待に沿うような施設と施策をお願いいたしたい、こう思うのですが、所見をお伺いしたい。
#8
○重政国務大臣 まことにごもっともな御意見でございます。造林の必要なこと保安林の経営を合理的にやっていき、あるいはこれをふやしていくというようなこともきわめて必要なことであり、治山治水の上からも非常に重大なことでありまして、私どももそういうような点につきましては格別の努力をいたして今日に至っておるわけでありますが、御説の通り、ただ従来通り跡地の造林をするとか、あるいは造林面積をただふやすということだけでなしに、時代の進運に伴いまして今お話しのような水資源の涵養林、保安林をさらに造成していく、これはきわめて必要なことであろうと思うのであります。今後におきましては、十分そういう点にも重点を置きまして林業の経営をいたしたい、こういうふうに考えます。
#9
○川俣分科員 大臣はもうそれでけっこうです。
 続いて林野当局にもう少し専門的な点についてお尋ねをしたいと思うのです。林野の特別会計についてでございますが、分科会なので、やはりもう少し会計の内容にわたって審議することが適切だと私は思うので、今度は少し議論でない面からお尋ねをしていきたい、こう思うのです。これはちょっとむずかしいので、あっさりとお尋ねしておきます。
 それは、林野特別会計におきます立木価格の評価あるいは土地価格の評価は、いずれも林野の資産であります。この資産の評価が適正であるかどうかということが、林野会計全体の合理化の前提にならなければならぬ。どれだけの資産を運営してどれだけの利益を上げておるのかというその資産勘定がはっきりしなければ、ほんとうの収益というものも出てきませんし、次に対する施策もまた出てこないと思うのです。これはもう私が言うまでもなく、関係当局は十分御承知の通りなんです。ところが、従来の惰性と申しますか、従来通りの取得価額に幾らか手入れをする、物価修正をする程度で、旧態依然の資産状況であります。これが林業経営でなければ、あるいは工場の敷地のような場合、あるいは工場に関する住宅というような場合は、それほど評価をしないでもよろしいが、民間におきましては、これらの土地あるいは住宅、建物等につきましては、相当資産の中に入れて、これらの投資したものによって一体採算のとれるところまで工場製品の利益が上がるかどうかということを見ておるのが民間の普通の経営であります。ところが林野の場合は、特にこれらを資本にして運営をしているのでありますから、適正な評価が行なわれなければならない。まず内部のいろいろな合理化の問題もありましょうけれども、林野としてはこれが合理化の基本であろうと思うのです。ところが、ほんとうをいうと実はこれはなかなかむずかしいのです。それは、たとえば不動産研究所の林野の林木地、これは不動産研究所は薪炭林地あるいは用材林地と分けておりますけれども、これらの評価とは非常に大きな隔たりがあり過ぎる。また立木につきましては、法律で林野庁が立木価格の算定基準というのを出しております。民間の立木についてはこれらの基準価格を出しておるのですが、自分の方はこの基準価格にはのっとらない。こういう建前になっておるようです。これは非常におかしいと私は思うのです。いや、おかしくないのだ、切ったときに立木価格が出てくればそれでいいのだ。こういう考え方だったら、民間だって切ったときに立木価格が出てくればいいじゃないか、こういうことになるので、民間と国有林と区別しなければならぬ理由は、立木価格につきましては一つも一ない。しかし、いろいろな国民経済に与える影響が大きいのであるから、地価も、あるいは立木も幾らか安目にしておくのだということは、これはあり得てもいいと思いますが、そんなに大きな隔たりをつけてまで評価しておかなければならないということは、怠慢なのか、そういう政策上やっておるのか、この点を一つお聞かせ願いたい。
#10
○若林説明員 国有林野事業特別会計の資産の評価につきましては、先生も御承知のように、取得価格によりますいわゆる原価主義という建前をとっておるのでございます。一般物価の著しい変動等によりまして、固定資産の価格というものが著しく不適当と相なりました場合には、その価額を改定することができるということに相なっておるのでございます。昭和二十九年に一度再評価を行なったことがございますが、その後現在までの間におきましては、必ずしも資産の再評価を適当とするような一般物価の変動その他の事由があるとは考えられませんので、現在におきましては、資産を再評価するということにつきましては考えておらないのでございます。
#11
○川俣分科員 大蔵省が、国有財産の増減及び現在高に関する説明書、国有財産の無償貸付状況に関する説明書というのを四十三国会に提出いたしておりますが、これによりますと、三ページの下段でございますが、原則として取価格主義が採用されておるということは出ておりますが、「この登録価格は、その後の物価変動にともない時価額に修正する必要があるため、台帳価格の攻定制度を設け、五年ごとにその年の三月三十一日現在で国有財産を時価に再評価して、その評価額により台帳価格を改定している。」こう説明しておるんです。確かに従来は帳簿価格と申しますか、取得価格である。大体林野庁というのは、取得価格というのは本来はないんです。そのまま財産を引き受けたんです。帝室林野にしても、北海道の国有林にしましても、従来のものをただ引き受けただけで、取得価格もないんです。そのことが悪いというのではない。それは歴史的な経過ですから、そういうことは否定しませんけれども、やはり大蔵省の財産管理に関する方針がここに出ておるのでありますから、林野がこれにはずれるわけがない。むしろ、企業財産でありますがゆえに、企業財産であればあるほど、これは普通の公用財産であれば、農林省の敷地の評価を高くしたから安くしたからといっても大した影響はない。処分のときに問題がありますが……。企業財産でありますだけに、これはやはり五年ごとの評価がえをするという方向が望ましいのではないかと思うのだが、どういうふうに考えますか。わかった範囲内でいいですよ。
#12
○厚味説明員 今先生の御指摘になりました点、これは一般会計についての原則をそこに述べられておるのだろうと考えておりますが、国有林野の特別会計につきましては、先生十分御承知の通りに、特別会計法及びその施行令、こういう法規に基づいて運営の全きを期しているわけでございますが、その施行の九条でしたか、九条にも、一般物価と著しく情勢の変動がありまして、国定資産の評価をしなければならぬという際には、その評価がえをするけれども、そうでないときには一般の原則の取得価格主義によっていくというような規定になっておりますので、国有林野の特別会計につきましては、さような考えのもとに運営をしておるわけでございます。
#13
○川俣分科員 そこで非常にむずかしいでしょうということを前提に置いたんですがね。これはしつこく言うつもりはありませんが、国有財産は御承知の通り行政財産と普通財産に分かれる、そして行政財産の中でも企業用財産と公用財産に分かれる。これはいつでもすべてを総括した管理上の説明なんです。従って、この中から区別さるべきものじゃないのですむしろ公用財産等については、あえて評価がえをする必要はないのじゃないかという議論がありますが、これも一面からいうと国有林所在町村交付金の問題がありまして、評価が安ければ町村に対する交付金が少な過ぎて、これも問題が起きているのです。一般の民有地と国有地の間において、国有地については固定資産の評価が安過ぎる。従って、安過ぎるというのは、別に払い下げの問題ではなくて、国有林の所在しておる町村に対して固定資産税に見返りする身がわりの財源を与えるという意味での町村財政負担の行為なんです。それが評価が安ければ固定資産税に見合うところの交付金も下がってきますために問題にはなっております。それは一応問題でしようけれども、特に企業財産につきましては、やはり正確なと言うか、再評価して、その再評価によってなお一体採算が合う経営ができるのかできないのかという検討をすべきではなかろうかと思うのです。無償で預ったみたいにして、切ればみんなもうけだという考え方を一掃させなければならぬと思うのです。一体、民間も土地を取得して林業をするのですから、土地価格が高ければ林業は成り立たないということもあり得るわけです。一方、民有林の奨励、指導をやっておられる林野庁ですから、みずから資産評価をして、これだけの資産評価では運営ができるのかできないのかという反省をしながら計画を立てていかなければならぬじゃないかと思うのです。もちろん、国有林全体には、企業の対象となるべき林地もありますし、立木もあります。あるいは企業の対象とならない保安林等、これは経営、採算を度外視して運営をしなければならぬ使命も持ってはおります。持ってはおりましようけれども、やはり区分して、これらの財産の評価を行なって、保安林というものはこれだけの価格があるものだけに、これだけの効果を国民経済の上に与えなければならないのだというほんとうの心がまえが出てこないと思うのです。無償の山だからどんなにやっておってもいいんだという考え方を一掃させたいという意味で、こういう質問をしておるのです。これは時間があればもっと根本的にやりますけれども、考えは、この評価が悪いから直したらいいというけちな考え方じゃないのです。林野の運営をしていく上に、自分の持っている財産というものをどの程度に評価して、どの程度の収益を上げるのかということがなければ、従業員に対してあるいは職員に対して合理化せよなんて、自分の持っているものが合理化できないで強要するということは、力がなさ過ぎるということになりましょう。また一般国民経済にも、保安林等はこれだけの価値があるのだからして、その効果というものはこういうところに出てきているのだということを示していかなければならないだろうと思うのです。水はただもらえるものだ、従来天から降ってくるものだからただだという考えからやはり一応脱却して、必要なものについては安価に提供するのだ、しかし無償ではなかなか得られないのだということも示していかなければならないのじゃないかと思うのです。それにはやはり保安林の価値をどのように評価していくのか、その価値に対応するだけの施設が行なわれておるのかどうか、こういう判定の上に立たなければならないであろうために、立木についての適正価格あるいは林地についての適正価格というものを再検討され、再評価して運営をすることが必要なのではないか、要はこういう質問なんです。
#14
○若林説明員 私の方といたしましては、今すぐ資産の再評価をやるというふうなことにつきましては考えておりませんので、御了承願います。
#15
○厚味説明員 国有林が一般の林業の経営の中に占める地位、それから一般の林業の施策がどうあるべきだというような、最近の情勢の中においての国有林ということも考えまして、今先生が御指摘になられましたような心がまえ、考え方で、国有林のあり方、の仕方についても考えるべきだという点はまことにその通りだと思います。そのような気持を持って今後とも運営の充実をはかって参りたいと思っております。
#16
○川俣分科員 大体それで了承します。そうでないと、国有林を一つ無償で払い下げてはどうかというような要望に、自分のものが一体どの程度のものだということなしに、いや、時価で見て安いから売れるとか売れないとか、そういう基本に動揺を与えることがあってはいかぬと思うのですよ。これが所属がえすることによって、あるいは畜産に提供することによって、林地として持つよりもその方がいいのかどうかということを、感情的でなくほんとうに農業構造改善を進めていく上においては、自分がこれだけの評価をして、これだけの収益を上げておるのだが、畜産に回した場合には、はたして国民経済にそれだけプラスできるのかどうかという土台を持たなければだめです。ただいやだなんて言ったって、これじゃだめだと思うのです。それにはやはり自分の立木価格についても、売る売らないは別にして、これだけの価格のものに育て上げたのだ、これだけの支出をしてこれだけの立木にしたのだ、従って価値はこれくらいあるのだという計算なしに、植えれば何とかなるだろうということでは、これは合理化なんていうことじゃないと思う。文書を見ると合理化々々々とずいぶん出ております。あれも合理化する、これも合理化するという。この合理化ができないで、末端の合理化だけやってもとてもよい運営だということは言えないじゃないか。林政部長が大いに反省をしてやろうというのですから、それ以上は追及しませんよ。だけれども、従来マンネリズムで運営しているが、この際、新しい時代に沿うような前進の姿が出てこなければならぬじゃないか。ここが問題なんです。ところが大蔵省は、新規要求というものはすべていけないのだ、こうくるようでございます。そこで予算課長が必要なんです。新規要求だって、事業をしていく上においては全部新規要求です。民間会社が新規事業をやらなくて発展ができますか。どうして新しい構造の設備に改善をしていくか、どういう機械を入れるかということに専念をしているでしょう。そのために設備の拡張が起きたとかいう弊害も出ておりますほどに進展を示しております。殿様が山を持っておって、おれの山だから切ればよいのだというような経営から全く脱却しなければならぬ。それには予算上の新規は当然出てくるはずなんです。将来林業行政なりあるいは林野会計なりが前進するというのであるならば、新規だっていいじゃないですか。ただ公共予算のように、国の予算のように、なるべく歳出を押えていくという性質のものとは違いまして、企業ですから、企業が前進するための歳出でありますならば、予算で支出して前進をはからなければならぬと思うのです。予算課の建前はそうじゃないですか。一般の行政予算につきましてできるだけ歳出を制限していくということ、これはあり得るはずである。しかし、それですらも世の中の進歩に従って歳出がふえてくるという傾向なんです。ましてや企業経営でありますから、企業の実態に沿うような運営をしていかなければならぬと思うのです。これから林野から出てくる新規要求、これは特別会計ですから予算課長のところは通らないでしょうけれども、予算課長の心がまえを聞いて、私の質問はこれで終わりたいと思います。
#17
○太田政府委員 今先生からいろいろ示唆に富んだお話があったわけでございますが、もちろん私の方でも、国有林野事業特別会計の歳入歳出予算につきましては、林野庁から一応説明を伺いまして、私どもの方の意見も申し上げて予算編成をいたしているわけでございまして、国有林野の経営の合理化というような面で新しい機械を入れていくというような点につきましては、積極的にやって参りたい、こういう方針で従来も査定をいたしておりますし、今後もそういう考え方でして参りたい、かように考えております。
#18
○中村(三)主査 それでは、ほかに御発言はありませんか。――なければ、これにて本分科会における質疑は全部終了いたしました。
    ―――――――――――――
#19
○中村(三)主査 この際、お諮りいたします。
 昭和三十八年度一般会計予算中、経済企画庁、農林省及び通商産業省所管、昭和三十八年度特別会計予算中農林省及び通商産業省所管に対する討論採決は予算委員会に譲ることといたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#20
○中村(三)主査 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。
 これにて本分科会の議事は全部終了いたしました。
 連日御熱心に御審議を尽くされました分科員各位に心から敬意を表するとともに、運営に寄せられました御協力に対しまして厚くお礼を申し上げます。これにて散会いたします。
   午前十時五十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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