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1962/02/25 第43回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第043回国会 予算委員会第一分科会 第8号
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1962/02/25 第43回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第043回国会 予算委員会第一分科会 第8号

#1
第043回国会 予算委員会第一分科会 第8号
昭和三十八年二月二十五日(月曜日)
   午前十時九分開議
 出席分科員
   主査 櫻内 義雄君
      井出一太郎君    植木庚子郎君
      正示啓次郎君    綱島 正興君
      山口 好一君    川村 継義君
      野原  覺君    滝井 義高君
      横山 利秋君
   兼務 加藤 清二君 兼務 川俣 清音君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 田中 角榮君
 出席政府委員
        内閣法制局参事
        官
        (第一部長)  山内 一夫君
        大蔵事務官
        (理財局長)  稲益  繁君
        大蔵事務官
        (管財局長)  白石 正雄君
        大蔵事務官
        (銀行局長)  大月  高君
        厚生事務官
        (社会局長)  大山  正君
        厚生事務官
        (年金局長)  山本 正淑君
        中小企業庁長官 樋詰 誠明君
        郵政事務官
        (貯金局長)  金澤 平藏君
        郵政事務官
        (簡易保険局
        長)      田中 鎭雄君
 分科員外の出席者
        大蔵事務官
        (大臣官房財務
        調査官)    松井 直行君
        大蔵事務官
        (大臣官房財務
        調査官)    柏木 雄介君
        国税庁次長   泉 美之松君
        中小企業金融公
        庫総裁     舟山 正吉君
    ―――――――――――――
二月二十五日
 分科員西村直己君及び横路節雄君委員辞任につ
 き、その補欠として綱島正興君及び滝井義高君
 が委員長の指名で分科員に選任された。
同日
 分科員綱島正興君及び滝井義高君委員辞任につ
 き、その補欠として西村直己君及び横山利秋君
 が委員長の指名で分科員に選任された。
同日
 分科員横山利秋君委員辞任につき、その補欠と
 して横路節雄君が委員長の指名で分科員に選任
 された。
同日
 第三分科員加藤清二君及び川俣清音君が本分科
 兼務となった。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和三十八年度一般会計予算中大蔵省所管
 昭和三十八年度特別会計予算中大蔵省所管
 昭和三十八年度政府関係機関予算中大蔵省所管
     ――――◇―――――
#2
○櫻内主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。
 本日は、昭和三十八年度一般会計予算中大蔵省所管、同特別会計予算中大蔵省所管、政府関係機関予算中大蔵省所管について質疑を行なうことといたします。
 質疑の通告がありますので、順次これを許します。綱島正興君。
#3
○綱島分科員 当初に大臣、というよりはむしろ法制局の方へ意見を伺いたいし、大臣も、しかし国務大臣でありますから御意見は述べていただきます。
 世の中に、よく議員立法という言葉が使われておりまして、その意味は特殊なものであるがごとくに使われておる。議員が立法するのは特殊な、ある意味においては危険性を持ったり個別性を持ったり特殊性を持ったりしておるもののような考え方で使われておることが多い。これは実は行政官のうちの、そういうことの担当じゃないけれども、従来法制局というようなものが、考え方が旧来の踏襲をそのまま維持してきて、つまり帝国議会そのままの形を維持していこうという考え方から起こってきておる、こう思うのですが、新憲法のもとの議員、特に立法府というものについてどういう考えをしておられるか。ことに新憲法四十一条の、国会は唯一の立法機関である、唯一という、特に排除的規定を規定してある、これをどういうふうに考えておられるか、これについての御意見をお伺いします。
#4
○田中国務大臣 ただいま綱島さんが御指摘になりましたことは、新憲法施行後、長いこと問題になっておる重要な点でございますので、考え方を率直に申し上げます。新憲法が旧憲法の思想を大幅に改めました重大な一点は、その立法権でございます。でありますから、新憲法の制定の精神からいいますと、純法律論から申しましても、立法は議員が行なうことが原則であると考えております。ただし、ただし書きと、政府も法律案の提案をすることを認めておるわけでございます。でありますから、旧憲法のように、予算はもちろん行政大権でございますが、同時に予算関係法及び法律は、政府提案を原則としておったものとは大幅に思想が変わりまして、立法は主として議員が行なうということを規定いたしたものでございまして、法律の条文そのまま、憲法の条章そのままをすなおに読む場合には、政府が旧憲法時代に提案をしておった法律の提案権そのままをそのまま認めたというのではなくて、ある意味では予算に関係する法律案に限定せらるべきだという議論も識者の中にはあるのでございますから、法律案は議員提出というものが主であることを規定したことは御説の通りだと考えております。がしかし、なかなか長い伝統もございますし、それから予算の編成権、拠出権が行政府の専権でありますので、その意味で憲法のその条章は、議員に提出権があることはもちろんでありますが、行政府も除外例としてただし書きとして認めたものではなく、その権限に優劣を付すべきではなく、同列に論ずべきであるという議論もございますので、議員が立法の提出権があることは憲法の示す通りであるとともに、在来通り、政府は旧憲法に基づいて予算を提出し、その予算関係法案の提出はもとよりのこと、他の議案についても、何ら新憲法によってその権限を制約せられるものではないという考え方が支配的でございます。
#5
○綱島分科員 実は、憲法だけから見ますると、政府に提案権ありということは非常に例外でございます。御承知の通り、憲法七十三条に内閣の職能が書いてございます。一般行政事務のほかになし得ることは限定してございまして、法律を誠実に守って、国務を総理するということ、外交を処理する、外交に関しての承認を国会に求める案を提出する、法律の定めるところに従って官吏に関する事務を掌理する、官吏を統率する、それから予算を編成して国会に提出する、第六で、政令を定める、それから第七で、大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除等に対する処置をする、これだけしかない。憲法の中には、それは相違もなく、政府は特殊な外交承認の案件あるいは予算の案件、大赦、特赦の案件だけが法案を出し得るものであって、そのためにこの七十二条、内閣総理大臣のことに関する規定におきましても、議案を国会に提出するとありまして、法律案とはございません。ただ、いかにも政府が法律案を出していいんじゃないかと思うのは、実は内閣法の中に、第五条に、御承知の憲法違反の偽造規定とでもいうようなものを規定してある。法制局に言わせると、それは憲法ができてから一年後に議員が賛成しておつくりになったものじゃありませんか、こう言うのだが、その当時の間違いを今も継承しなければならぬということは、たとい自分が間違うておっても、それを継承するということはよくない。そこで、実は当時の法制局長官からないしょの話を聞いたことがある。新憲法は、政府には法律案の提案権はない、そこで内閣法をつくるときに、法律案を提出するということをちょっと書いて出したら、それが実は当時占領政府で、オーケーがきたので、うまいというので立法したいきさつでございます。これが僕は真相だと思う。法律の正面から見れば、四十一条に国権の最高機関であると規定してある。それから唯一の立法機関である。この点で私は、少なくともこの内閣法もあるものだから認めぬわけにはいかぬということで、改正するまでは認めていくとするなら、非常に注意深く、遠慮深く、やむを得ざる最小限度のときだけに考えることであって、これが本則的なものであるかのごとくに考えたり、議員が立法すれば議員立法というようなことを書いたり、こういうごまかし的な、非学問的な、非憲法的な言葉は世の中から消滅せしめていかなければならぬと考えておるのでありますが、大臣及び法制局の御意見はいかがですか。
#6
○田中国務大臣 お答え申し上げます。
 先ほど申し上げました通り、新しい憲法は四十一条において、御説の通り、国会は唯一の立法機関であるというふうに規定いたしてございます。唯一の立法機関であるという規定そのものが、行政府が議案を国会に提案することを制約しておると読むべきではないというのが定説でございます。でありますし、先ほど申し上げた通り、旧憲法で認められなかったものを新憲法において強く表わしたものでありますから、議員が憲法四十一条の条章によりまして立法権のあることは当然でございますし、これが旧憲法に比較をして非常にその権限が拡大せられたということも論を待たないのでございますが、しかし予算、外交に対する大権は内閣の専権であると規定いたしておりますし、それに付属する議案の提出権はもとよりでございますが、他の法律案の提案も認めておるのでありますので、先ほど申し上げた通り、議員の立法権はもとよりでありますが、この条章そのものが内閣の法律提案権を制約をするものではない。また、制約をするものではないというだけではなく、在来内閣が持っておりました旧憲法上の規定通りの法律提案権というものをそのまま認めており、議員も出し得るが内閣も出し得るというのが戦後十七、八年間の検討した結果の結論でありますし、憲法の解釈はそのように法制上も理論上も法律論としても解釈をせられておるわけでございます。
#7
○山内(一夫)政府委員 先生の御質問の中心は、議員立法つまり議員が国会で法律案を発案なさるということが非常に異例的なものであると考えるのは間違いじゃないかということが、まず根本の御質問だと思います。私は、と申しますか、法制局では、そういった議員が法律案を国会で提案なさることが異例とかおかしいというようなことを毛頭考えてはおりませんで、むしろそれが本来の姿だ、かように思います。
 それから一方、内閣が法律案を提案できるかということは憲法解釈としてどうかという問題が次の点だと存じます。これは今先生がおっしゃったように、内閣は法律案を国会に提案できないのじゃないか、現行憲法のもとでは、今お読みになりました七十三条の解釈からできないのじゃないかという学説も確かにあるのでございます。しかし、学説としてもほとんど大多数の学行は、国会に内閣が提案できるという解釈をとっております。その根本の考え方は、確かに憲法七十三条の文字には法律案を提出するということは書いてございませんけれども、現憲法下の内閣制度というものは、御承知のように議院内閣制になっております。そこで議院内閣制は国会の多数党の信頼のもとにできている内閣でございますから、議院内閣制の沿革から申しまして、内閣が法律案を国会に提出できるという考え方はむしろ当然なんじゃないかというのが学説でも大体一致した意見だと私は思います。内閣法の方には、御承知のように五条には法律案ということが書いてございます。内閣法は憲法よりも下位の法律でございますけれども、あの当時、新憲法と一体のものとして制定され公布されたものと私は考えております。ですから、やはり内閣法の考え方というものは、憲法の解釈論の一つの手がかりを私どもはなすと思っております。そういったことと、もう一つ議院内閣制の本来的な姿ということから見まして、内閣が国会に法律案を提出するということはできるのだという解釈の方が私は正しいと思います。しかし、さらばといって、おっしゃったように、国会は唯一の立法機関でございます。ですから、その構成員たる議員が法律案を国会で提出されることは当然のことで、これは何らおかしいとか不合理だとか、そういう点は全然ない、かように私は思っております。
#8
○綱島分科員 全然ないというと驚くほどのことだが、立法ということはそれじゃあなたはどういうふうに考えるか。立法行為とはどんなことだ。それを御説明願いたい。
#9
○田中国務大臣 憲法にも定めております通り、内閣が行政を行なう場合、これが基準になり、内閣の行政を拘束する性質のものでございまして、行政府だけではなく、三権が、憲法に背反しない限り法律に基づいて各段の分野に分かれて国の事務を行なう、その基準的なものを定めたものが法律であり、これを国会で議決をしたときに法律となるわけであります。
#10
○綱島分科員 法制局、立法という内容を一つおっしゃっていただきたい。
#11
○山内(一夫)政府委員 大へんむずかしい御質問なんですけれども、普通立法と申しますのは、広く言えば一般的抽象的な法規範を定めることだというふうに私どもは考えておるわけでございます。形式としては、国会の議決を要しますところの法律あるいは内閣自体がつくる政令というものも、その内容が一般的抽象的規範の定律でありますならば立法だというふうに考えております。むろん制定の根本的な権限は内閣にあるというふうに思うわけでございます。さらに立法の概念を、一般的な統治権に基づきまして国民の権利義務を拘束するという観念で把握いたしますれば、そういった権力行政上の法規範を定律することが立法という考えになります。その場合の立法というのは、さきに申しました立法よりもやや狭い観念になるかと思いますが、立法の観念には大体広狭そういった二つの観念がある、かように私どもは心得ております。
#12
○綱島分科員 それなら分けてお尋ねするが、立案、提案、審議、採決、こういう四階段がある。そのすべての階段を立法というのか、そのうちの一部を立法というのか、これをお答え願いたい。
#13
○山内(一夫)政府委員 立法の全体的な手続からいえば、それは全部が立法という行為の観念に入ると思います。ただ内閣が国会に法律案を提案できるということになりますれば、その準備段階の権限が一応内閣にある、こういうふうな考え方になろうかと存じます。
#14
○綱島分科員 これは、特に憲法上の最も国民の基本に関する観念などの規定というものは、厳密に国際的に通用する解釈でなければいけない。日本だけの解釈だとか、また明治時代と今とは違う解釈だという概念はいけない。立法行為というものは、明治憲法でも認めておる解釈に従わなければならぬし、これは学者としてあなた方そう思うでしょう。日本だけしか通らぬ言葉を使うということは、この憲法の解釈においては特に慎まなければならぬ。そうすると、英国だけは特にあの通りの事実の例証による国だから別としても、ドイツでもフランスでも、特に日本がこの点においては学んだと思う旧憲法時代の独仏の思想においても、立法というものは立案、提案、審議、採決の四要素よりなることは学説の一致しておるところでございます。それ以外の学説はありはしない。立案、提案、審議、採決の四つからなっておる。立案と提案を政府がやってきて、審議と採決をやるのは立法行為じゃない、半立法行為だ。これをどう思われますか。要するに、審議するから同じことじゃないかという俗論と、法律の、特に憲法の解釈なんだから厳密に解釈しなければならぬ、そういうものをいいころかげんに、特にそのために唯一の立法機関であるというような規定が積極的にされておるのに、そこをあいまいに、ただ内閣法の中にちょこっと法律案を提出するということがあるからということで、それをそのように曲げることができるかどうか、どう考えられますか。これは学者としての良心で答えてもらいたい。もし大蔵大臣が答えられるなら、政治家としての良心で答えなければならぬ。これはちょっと財政がやりいいとか、やりにくいということよりも、もっと大切なことだ。ちょっと長くなりますが、幕末に学説が一つもわからなくなったのだ。勝手ほうだいにそのときの出まかせを言うから。そこで山県大弐の正名論とか、小沢安の正名論とかいう、物事の概念を正しうする――あなた方学校で大義名分論というのを習うてきたけれども、そうでないのだ。概念を正しくする、そらしなければ学問はわからないのですよ。隣の者は運動法則と言う、こっちの者はその運動法則を引力の法則と言うとすれば、わからない。従って世界じゅう物質科学では統一しています。精神科学では山ネコ解釈がたくさんあるんだな。法制局の言うのは山ネコ解釈でないかどうか、僕はまさに山ネコ解釈と思うが、それはどうですか。
#15
○田中国務大臣 政治的良心に従ってお答えをいたしておるわけでございますが、あなたの言われておりますことと、私たち行政府が言っておりますことは何ら変わらないことでございます。あなたが今言われたのは、立法の定義に対して、立案、提出、審議、採決、その通りでございます。またこれを別々に分けて立案、提出、審議、採決は立法の段階における手段であります。でありますから、あなたの申されておる通り、憲法で国会は唯一の立法府であるということであるから、この構成要件である四件ともすべてが立法府以外では行なえないという結論をきっとお出しになろうとしておるのでございますが、先ほど申し上げた通り、立法に対する定義は以上四件の構成要件を持つものでございますが、政府が提案をし、国会において審議、採決を求めておりますことは、あなたの言われるその立法というものの定義に何ら背反するものではない、これはもう政治的良心でお答えできることでございますし、当然の解釈だと考えます。要は、立法の効力を発する場合は、国会の採決という段階において最終的効力を発生するのでございますから、その過程において、国会の審議というものを拘束しない以上、起案、提出が行政府にあっても、憲法に認める人により行なわれれば何ら憲法に背反するものでもなく、法律的解釈に間違いはございません。
#16
○山内(一夫)政府委員 今、大蔵大臣がお答えになった通りでございます。私も法律家としての良心でお答えいたしますが、現在、内閣が提案権を持っているという解釈をいたしましても、国会はその提案に対して何ら拘束されないで、それを修正することも否決することも、むろん可決されることも自由なのでありまして、最終的な意思は国会の全くの権限にあるという点からいって、何ら国会が立法の唯一の機関であるという性格を棄損するものではないと私は思います。今、先生は、イギリスはそうだろうというお言葉でございましたが、(綱島分科員「そうじゃない、事実は違う」と呼ぶ)いや、政府の解釈通りだろうというふうにおっしゃいましたが、さらに第四共和制のフランス憲法、あるいはボン憲法におきましても、議院内閣制の立場をとっておりますから、大統領はおりますけれども、本来的な大統領制、アメリカのような厳密な意味での三権分立の大統領制ではございませんで、議院内閣制でございまして、この制度のもとにおきましては、内閣もやはり法律案を国会に提出できるというふうに考えております。そういう点からいきますと、議院内閣制をとっている国におきましては、提案は内閣も国会に対してなし得るんだという解釈というか、制度をとっているのが普通ではないかというように私どもは心得ております。
#17
○綱島分科員 そこで歴史を――今フランスの話がありましたが、フランスは除外例をちゃんと規定している。だからそれはやれるようになっておるので、その学説上、立法行為とは立案、提案、審議、採決からなるということには間違いない。ことにフランスはそこを少しやかましく言うて、立案、選案、提案、審議、採決と、選案というやつを別に加えておる学説もあるようですが、大体は立案、提案、審議、採決と書いてある。そこで今度は歴史に基づいて考えていただきたい。旧憲法の第五条にはどう書いてあるか。僕が条章を言います。大体天皇は国会の協賛をもつて立法権を行なうと旧憲法の五条に規定してある。立法権者は、旧憲法では天皇なんです。国会じゃないのです。今、内閣でやりよることと少しも違わぬことを当時やっておる。その当時は立法権者は天皇であって、今は国会であるという議論がどうなるか、学説上それはどういうことなんですか。旧憲法では、国会には立法権はなかったんですよ。いいですか。旧憲法の第五条に、天皇は国会の協賛をもって立法権を行なうと書いてある。それで帝国議会とかなんとか言っておったけれども、あれはしろうとがつけた名前で、帝国議会じゃないのです。協賛議会だ。それで偽称して帝国議会、こうくっつけて、帝国議会議員といっても、あれは立法権を持たない議員、立法権を持たない議会、これは世界的ふしきな――そのためになるべく人民の権利を伸ばさせぬようにしようということで、その功によって伊藤さんが玄関にいばっておるのだと僕は思う。(笑声)旧憲法時代には、国会というものは立法権はないものということを明文にはっきり書いてある。それと同じことを今もしておるのだが、今は立法権がある、こういうのは、学説上どこでつないでいくか、どういうことか、その点を一つ御意見を伺っておきたい。
#18
○山内(一夫)政府委員 むろん現在の私どもが考えておる解釈というのは、旧憲法の考え方をそのままなるべく生かそうという考え方じゃないと私は思います。むろん帝国憲法下におきましては、天皇が大権を全体的に総攬する、立法権、行政権、司法権というのは、すべて天皇の権限にあるという考え方でできておる。そういう意味で、議会といえども、非常に名目的な権能しかある意味では持っていなかったのであります。それは確かにそうなんでございますが、今の日本国憲法は、先にも申しましたように、内閣は、国会の多数党の信頼によってできておる、そういった内閣でございます。それでございますから、そういった基礎のもとに内閣が法律案の提出権を持つということは、民主主義的な体制に対してちっとも不合理ではなく、むしろその方が国政の運営にとって円滑な運営ができる、こういうふうに私は考えられる、かように思うわけでございます。
#19
○綱島分科員 もっとなるべく簡単に聞いたことをそのまま答えないと、今の方がいいか悪いか、そういうことを聞いておるのじゃない。旧憲法時代の立法行為というものと新憲法時代の立法行為というものを、言葉の上で、概念の上で、どうつないでおるかということ、旧憲法時代は、天皇に立法権があるのだから、明らかに審議、採決は立法行為でなかったのですね。新憲法時代はそれをやっても、それが立法行為、それはどうしてそういう学問上の言葉を一日の開きで別にするか、こういうことなんです。立法行為という言葉ですよ。
#20
○田中国務大臣 どうも釈迦に説法のようでございますが、少し憲法論を楽しんでおられるような気持にどうも感じられるのですが、これは綱島先生十分おわかりになっておって、何か目的があって、こう御質問になっておるようでありますから、私から申し上げますと、立法というのは、先ほど言われた通り、構成要件は、立案、提出、審議、採決ということでございますから、これが発効して国民の権利拘束という――いわゆる法律が法律として発効する場合には、旧憲法においては天皇が発議者でございまして、また天皇は立法、行政、司法に対する大権者でありましたので、国会の協賛を経た場合には、これを天皇の名において公布をする。現憲法においては、御承知の通り国会は唯一の立法機関でございますと規定いたしておりますから、国会の採決によって立法せられるわけでありますが、これが最終的な発効手段につきましては、憲法第七十四条の条章に基づきまして「法律及び政令には、すべて主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣が連署することを必要とする。」こういうことでありまして、天皇が行なった法律公布の最終的な権限を内閣総理大臣の連署によって発効せしめておるだけでありまして、旧憲法と新憲法との立法に対するつながりは、ここで十分要件を備えておるわけでございます。
#21
○綱島分科員 旧憲法では立法行為と言わないのだが、新憲法では、今は立法行為と言う、それはどういう……。
#22
○山内(一夫)政府委員 立法行為という概念が、それが発案まで含む観念であるということはその通りだと思います。ただ、それを内閣が発案するということは、唯一の立法機関であるというその性格に反するかどうかということが私は根本問題だと思うのです。ですから、内閣に発案権があるということによって、憲法四十一条の規定が非常にゆがんだ形になるかどうかということが私は問題だと思う。ですから、その言葉の解釈として、立法に発案が含むということと、その立法の行為のうちの一部である発案を内閣が持つということは、必ずしも、立法という概念をそうとらまえてみても、不合理はないではないか、かように思うわけでございます。
#23
○綱島分科員 これは法制局には少し無理かもしれないけれども、一体日本がとった民主主義というものは何であるか、それから君主主義というものは何か、立憲君主主義ならあなたの言う通りです。それでいいのだ。民主主義というものは、そこに変革を来たしたのが民主主義である。いいですか。そこを、議会内閣制度をとっておるから差はないと、こういうふうに言うてきておる。それから日本の学名も大体そういうふうに言っておるんだ。それも私は承知しておる。もう百も承知しておる。学者のうちのだれがこう言うておるかも大体私は知っておる。これはみな現行法や何かを維持しようという一つの小乗的な、非良心的な考え方なんだ。そういうことで国が大きな代償を払わなければならぬ時代を生むことが間々あるのです。シナに宦官という利口な者がおる。便利な者がおる。そうして大革命を来たした。いろいろ小ざかしい、そのときに都合のいい議論というものは、民族の大きな生命には必ずしも利益しないことが多い。そこでまず、今しいて言えば、内閣法の五条にもああいう変な規定を設けたから、あれをきょうからひっくり返して、政府が出した議案がみんな無効だという訴訟を起こすわけにもいくまい。それもいくまい。そこで問題は、いかによくこの国会の機能というものを十分に活解し得るようにするか、そうして議員の立法行為というものはいかにとうとくて、いかに重責なもので大切なものであるかということを世の中が知るようにならなければならぬ。なるべく知らぬようにするような学説を出してみたり判決を出してみたりすることは、一つの大きな人類の流れを、さしあたりのものさしで解決しようという、便利な、実は非常に危険な思想である。ようございますか。人類はかようなことで非常な災難を得て、主権代行者のような者を断頭台にさらしたり、いろいろなことをした歴史を持っている。そういうことを一つもないようにしようということが民主主義の基本の建前だ。その基本の建前と違う建前で学説を立ててくるということは、ことに法制局なんていうのは学問するところだから、ちょっと人の前に来て言うのには恥ずかしいような議論をしてはいけないですよ。そこで、この話はこのくらいにしておきましょう。ただこれを採決をしようとかなんかということより、大きな国の流れというものを見そこなわぬように、民族の必然的通らなければならぬコースを見落とさぬように、今まではこういうことのための質問であります。これは法制局でも勉強されて、なるべく世界に持っていっても変わらぬように、旧憲法とあわせて見れば、すぐ立法行為というものはなんだか衝突しているようなことをせぬように。旧憲法は伊藤博文という人が西洋の議論をそのまま引き受けてつくったものだから、さすがに立法行為という字を偽造しなかった。偽造しなかったものだから国会には立法権はない。天皇が立法するんだという規定を特に書いている。これは伊藤博文だって書きたくはなかったに違いない。当時、憲法発布を待ちわびて争乱でも起こそうという時代だから、それは書きたくはなかったには違いないけれども、学説を尊重すればそう書くよりほかにないんですよ。それでやはり新憲法四十一条の規定を正しく守るならば、今たくさんの言葉を尽くして説明されたような説明はやめて、一路邁進、正しい規定に服従する考え方に変わった方が、実は日本の大きな生命のためには資するのです。しかしこれはいろいろな考え方で、絶えず大乗的考えにおる者と、間に合わせなこと、だんながお好きならばそうしましょうということをしておる老と別だから。ただそういうことは、学説を基礎にしてものをしていこうという人には考え直してもらわなければならぬことだと思うのです。これは私の寓話というか、それにしておいてもらいたい。私はここでとっちめようと思って言うておるんじゃない。事態を明らかにして、今日本が流れておる――もっとも、文化を扱う新聞社でも、議員立法といえば何か特殊なもののように考えている。そういうことで文化が進むものじゃないんだから、ちっとは学問したがいいんだ。そこで、この話はこれで終止符を打っておきます。大臣も有為青年の大臣だから、よく将来をあやまたぬようにお考えを願いたい。
 次に、今度本問題ですが――文化的には今のが本問題なんだ。だけれどもさしあたりの問題を一応――時間が十分までしかないというものだから、そこでお尋ねをしますが、実は農地補償問題で、これは戦後処理とよく言うんです。これも新聞社がつけた名前だし、内閣がついて歩いた名前だが、農地問題を戦後処理と考えられておるかどうか。あれは戦争で起こった問題ではないが、戦後処理というておられる。戦後処理なら、これは珍しく下手な処理であるが、戦後処理のお考えから、戦争で起こったものと考えられておるかどうか、この点を伺います。
#24
○田中国務大臣 戦後処理という言葉は、憲法や立法の概念、定義というようなものではなく、学説がないわけでございます。これは戦後のマス・コミがそのまま使用いたしておりますものを、国民が平たくすなおに、戦後処理といえばおおむねこんなことだなあというふうにほぼ概念をきめて読み、かつ理解をしておるというものでありまして、こまかく戦後処理という字句にこだわることはないだろうし、また定義を下す必要もないというふうに、すなおな意味で考えております。農地問題が戦後処理というワクの中に入るかどうかという問題に対しては、これは理論的にこまかく分けて考えれば、戦後処理という言葉そのものの定義、概念が定説化しておらないのでございますから、この中に入るともいえないでありましょうし、また普通からいえば、大ざっぱに戦後処理ということがいろいろいわれておるのでありますから、入るかなあという議論にもなるという程度のものだと思います。
#25
○綱島分科員 それでは具体的にお尋ねをしますが、御承知の通り、自作農創設法は昭和二十二年に制定されたものでありますが、それによって起こった事柄であって、政府の、これは国会のともいえるが、立法行為が基礎になって起こった事柄であって、戦争で起こったことではない。あれは戦争のまま、せずにおけばそのままだった。その根本は一体どういうところであったか、何のために自作農を創設しなければならなかったか、その根本の理念をお伺いしたい。
#26
○田中国務大臣 法律的には、国会で議決をいたしまして、憲法の条章の定むるところにより、立法行為によって国民の権利が一部制約せられると同時に、受けた側は非常に利益を得たわけでございますし、また法律の大きな精神は、自作農創設という、民主的な、文化的な国家をつくらなければならないという基本的理念に立って立法せられたものでございますが、その前提となるべきものは、もう天下周知の事実であって、時に日本の憲法、天皇権に優先するといわれた占領軍最高司令部のメモランダムによってこれらの発議がなされたことには間違いはありません。
#27
○綱島分科員 由来、資本主義社会の弊害として最も大きくあげられておったものは、地代と金利と誇大広告であります。そのうちの地代というものは全く不労所得である。不労所得が自由経済の中に主要なる役割を占むることは不健全経済であるという立場から、実はこれを修正するということで自作農創設法ができた。これは非常にそのやり方が不用意であり、知らぬものがよたの指図をしたようなふうで、一つも行き渡っておらない。まるでざるで水をすくうような法律で、めちゃな法律でありますために、今日すでにあの法律で目ざしたものは維持していかれなくなっております。そのうちで最も多く維持されぬようになりましたものは耕作面積の問題であります。いやが上にも細分化したり、また地主であるならば、それがある程度強力なる自作農になる手段と時期を選ばせる規定もない。地主だったということで、おいそれということで取り上げておる。はなはだしきは小学校の教員などが、大体師範学校出の子弟というものは地主のせがれである、これが隣の村か何かにいて教員をしておると、ごっそり自分の地所はとられる。そして一定の年限になり、恩給がついたら帰って、埴墓の地で祖先の霊にこたえて自分も営農をやっていこうと思っておったものが、ごろっとルンペンのように追い出される。はなはだしきは、いくさきに行っておった。これはなるほど施行令だったかに規定がございます。昭和二十年八月十五日以前に召集されておった者は不在地主として取り扱わぬでもいいという規定がございますが、各村々の農地委員会はほとんどそれを選んでいない。選んだ村もございますが、大体は取り上げている。なるほど、そのとき裁判すればいいじゃないか、こういうことにも相なるだろうが、それは行政府が、それこそそういうことがないように指導しなければならぬ。一つもかまってやらぬ。そして今日のような状態を起こしている。政府のたとえば農業政策なんというものは、商業政策とかなんとかいうものとは違います。どうしても長期にわたって安定し得る政策でなければならぬ。それが制定以来十五年を出ずして、どうにもならない。ごらんなさい。今の農業の実態は、耕作面積をふやすこと、従って機械化をすること、そして個人所得を増していくこと、その結果人員が当然に減少してくる、その人員の減少に対する措置を講ずること、こういうふうなことが基本的な条件であります。それだけのことを一つも考えないで、やりほうだいで、まず気違いに火を持たせたようなもので、家を焼いたごたる。これに対する処理ということは、政府の一番の責任じゃないか。自分がしたことだ。よそにあった財産が、戦争が頂けた結果失われたということは、何もそれを政府が特に失わせようとしたものじゃない。しかし、この農地問題は相違もなく政府がやったものだ。なるほどメモランダムに近いものがきたことは認めます。それは認めますが、それにしても政府がやったことだ。これについては他のものと一連にしてものを考えることが一体妥当であるかどうか、この点について大蔵大臣の御意見を伺います。
#28
○田中国務大臣 綱島さんが今言われた通り、自作農創設という立法は政府が提案し、国会の議決を経て法律になったわけでございます。法律効果というものに対しては、現在国が非常にりっぱに発展をしたその礎石をなしにしたものでありまして、国としては実にありがたいという観点に立っておりますが、あなたが今言われた通り、その当時の物価の変遷、また非常に急を要した法律の施行において、地主なるものに対して適切な考慮を与える機会もなかったし、強制的にこれが収用的な権限を行なったということに対して、いろいろな批判が生まれることは事実でございます。でありますから、政府もそれらを十分勘案し、特にその当時自作農創設以外に転用しないという土地に対して、その後の時代の要請によって、他に転用することができる、第三者に売ることもできるというような昭和二十七年の法律改正を行なっておりますので、そういう事態を十分検討した結果、農地被買収者に対しては何らかの報償に関し措置を必要と思うがというところまで、政府といたしましては行政の焦点をそのところに置きまして、三十八年度の予算には御承知の一億九千万円に近い調査費を計上いたしまして、これから世論の動向に待ちながら最終的決定を行ないたいというように、前向きで調査費を計上いたしましたのも、あなたが今言われたような事実認識に立ってのことでございます。
#29
○綱島分科員 農地は、御承知の通り、強制収用したものについては他に転売することはできぬ規定である。それをあとから立法をし直して、何にでも売っていい、こういうことにして――それも実は売らなければならぬ、工場をつくるとか、道路をつくるとか、いろいろなことでそういう実情も生まれてきたでしょう。生まれてきて、実情がそうであるなら、売ってはならぬという規定をしたことは、その後の実際の発展から見れば間違いであったのですね。それならば、それに対する処置をして、売るなら売るということも考えねばならぬ。手放しだ。これは、政府は、一部の者の騒ぎなどに耳をかして、地の底まで埋めるような、国民の一部の恨みを買うというようなことは慎まねばならない。そういうことをした政府は相当な報いを受けねばならぬと私は思う。その政府が受くればいいけれども、受くるときは別の者が受くるようなふうで、それだから中間の人は非常に意を用いねばならぬ。安上がりの議論でものを処置することは非常な間違いであります。たまたま起こった事柄と、第三者によって起こされた事柄と、自分がみずからしたこととを同一に考えて、そして一括処理をするとか、よく前向きの議論というが、前向きということは一体どういうことなんだ。もう少し政府はせにゃならぬことをせなくちゃならない。いいですか、せにゃならぬことをせにゃならぬ。まず第一、幾らいいことをすると言ったって、自分の家庭をほうっておいて隣のうちの加勢ばかりしておる者が決していいのじゃない。世の中を見れば、何とかのおばさんというあの道案内するおばさん、あれは大へんいいようだけれども、これがうちの方はほうっておいてしたとしたら、これはおかしなものです。政府が一番せにゃならぬことは――農地買収において深刻な打撃を与えた、それなかりせばそうでなかった者に深刻な打撃を与えた。それも、大地主で、五町も幾らも持っておる者以上というなら格別です。あの農地買収でとられた者は、件数で見ると、四反歩、五反歩が一番多い。こんなものが一体地主であるか。地主という言葉に共鳴して大騒ぎをするということは、僕は不謹慎なことだと思う。八〇%まで四反歩以下である。そういうことをやっていいか。それを地主と言うていいか。何かそういうことを努力すればうしろ向きのようなふうに考えて……。そういう全くばかばやしみたような議論で国政を担当していくか。真に国民の憂いを憂いとし、その自分がしたことによって生じたことに対しては、政府は最も慎重な方法をもってこれを償うの道を立てねばならぬじゃないか。それについて、いろいろ大臣や総理大臣たちが逃げ口上を言うて、やるがごとくやらざるがごとく、ちょうどコロンブスのアメリカ発見と同じことで、夜があけてみれば島である、日が暮るれば雲である、近づくがごとく、近づかざるがごとく、コロンブスはしまいにアメリカを発見したけれども、政府の考えておる農地問題は、コロンブスのアメリカ発見よりもうちょっと手前のような気がするんだよ。(笑声)どういうつもりか。政府がちゃんとしたなにがなければ――何のために議員の立法ということをやかましゅう言うたかといえば、私は議員立法をしようと思うから言うたのですよ。何も学説をここへ引き出して議論しようというのではない。たった今やるのですよ。だから、そのときに政府の考え方がどうか、法制局はどういうアドバイスをするかということを、一つの大論争を巻き起こそうと思うておるからこれをお尋ねしたので、だてや酔狂でお尋ねしたわけじゃございません。
 そこで、一体大蔵大臣は、ほんとうにひどいものについては、ほんとうのひどいことをし――それも、五町歩以上、十町歩以上も持っておるという人には、私はそうする必要もないと思うが、国民の受けた打撃について、これがために自殺した人もいろいろおるのですよ。この間も練馬の辺だったけれども、何でもたしか二万円か幾らで売ったのが、三億円で小作人は売ったそうだ。そこで火をくっつけてぼやになって、中馬君がぼや消しに大へん骨を折ったという話を四、五日前に聞きましたが、そういうことはしょっちゅうあり得るのですよ。これについて、議員の立法については御協力願うのかどうか、なるべく火を消す方に回られるのか、この御意見をちょっと伺いたい。
#30
○田中国務大臣 農地問題につきましては、もう御高説は長い間承っておりますので、私も党員時代からこの問題に対しては真剣に検討いたしております。昭和二十二年に立法せられた当時の立法の趣旨は、国会において議決をせられ、適法な処置をとられて行政的に運用されたわけでありますから、法律上の問題はないと思いますが、いずれにしても事実問題として、当時終戦直後であり、非常に混乱をしておった状態でありますので、法の運用に適切を欠いた、また欠くるような状態であったことは御指摘の通りであろうと思います。われわれも、卑近の事例等についてそのような例を承知をいたしております。でありますので、そのような問題に対して、政府は、農地被買収者に対して何らかの報償措置をとる必要があると思うがということで、国民の血税の中から一億九千万円に上る調査費の計上をお願いし、今議決を求めておるわけでございます。政府がこの問題に対して一億八千九百万円の調査費を計上したということが、すなわち前向きであるという一つでございます。
 議員立法をなさるということでございますが、議員立法に対しては、憲法の定むるところ、先ほどからるる申し述べられておる通り、国会は唯一無二の立法府であると規定いたしておりますから、もとより議員の提案権に対しては問題はありません。が、しかし、議院内閣制でございますし、与党と政府とはこれは緊密一体となって国民の負託にこたえなければならない、こういうことでございますので、また特に綱島さんはわが与党の有力な幹部でございますので、やはり政府与党一体の大原則という政党政治の建前にもまた立ちまして、できるだけ政府与党の意思を十分調整をせられた後、御行動賜わりたいと切にお願いをいたしたいと存じます。また政府自体は、これに対して責任を回避するような、雲かかすみかなどという考えではございません。いずれにしても民主主義の建前でございますので、元も子もなくするようなことがあってはなりません。国民大多数の意のあるところを十分把握をして、民意のおもむくところ、立法によらなければならない問題に対しては立法によるべし、また行政的に予算措置を行なうような問題に対しては行政的に措置をすべしという基本的な観念に立っておりまして、このたびは予算の適正な執行によりまして国民世論の動向を十分把握して、しかる後に政府としての態度を決定いたしたいと考えておるのであります。真意を十分御理解賜わりまして、綱島さんが憲法の条章に基づいて予算を拘束する立法を行なう、こういうようなお考えになるべくおなりにならないように懇願をいたしておきます。
#31
○綱島分科員 ちょうど十分になりましたから……。
#32
○櫻内主査 加藤清二君。
#33
○加藤(清)分科員 私は、この際金融正常化について二、三御質問をいたしたいと存じます。
 まず、政府のいうところの金融正常化の基本骨子は一体何と何であるか、これを承りたい。
#34
○田中国務大臣 金融の正常化というのは、現在が不正常であるという常識的な見方に立っておるわけでございます。それを正常化をしなければならぬということを申し上げておるのでございます。具体的に申し上げますと、戦後金融機関の中立性、自主性は、法律的にもまた制度の上でも守られておりますし、また、大蔵省といたしましても戦前のような考えではなく、将来の新しい事態に対処しての金融機関の正常な発展をこいねがうように、行政の運用に対しても慎重な態度をとっておるわけでございます。
 しかし、非常に需要は増大いたしておるにもかかわらず、資金量が非常に少ないということで、コールに依存する度合いが高かったり、また含み貸し出しが多かったり、日銀依存度が非常に高かったりということで、現在の状態で金融が完全に正常化されておるというような考えには立てないわけでございます。特に八条国移行、自由化というような国際的な情勢に対処しての日本の金融の情勢がこれで一体いいのかという問題になりますと、これからよりよき正常な金融機関として発展をせしめるために、しかるべき措置を必要とする段階であろうと思います。
 第三点には、金利が高いという問題が言われております。当然国際経済の一員としてこれに対処して参る日本の産業の状態を考えますときに、できるだけ国際金利にさや寄せをするようなことをしなければならないわけでありますが、これもただ行政措置によりできるものでもなく、立法によってできるものでもございません。いろいろな環境の整備を行なう必要がございますし、梗塞状態にある事態等に対してはこれをできるだけ早く正常なものに戻していかなければならない、というような諸般の考え方を金融の正常化と称しておるわけでございます。
#35
○加藤(清)分科員 しからば、その金融正常化のスローガンのもとに、さしあたって大蔵省としては何と何と何をやる御予定でございますか。
#36
○田中国務大臣 金融の正常化は、御承知の昨年の七、八月ごろよりも国際収支が非常によくなって参りましたので、政府、民間一体でいろいろ意思の疎通をはかっており、同時に適切な手段を適時行なっておりますために、金融環境は漸次整備されつつございます。昨年度の政府、民間で行ないましたものの中には、公定歩合の二回にわたる引き下げがあります。それから、日銀が新しく制度として行ないました買いオペレーションの制度がございます。同時に、政府も財政余裕金をもちまして長興銀債の引き受け等を行ないました。なお、今までには国内の支店その他の預金吸収及び貸し出しの窓口整備という意味で、いわゆるサービス部門の向上という意味で支店網の整備等に対して弾力的な運用をはかる措置を行なっております。なおそのほかに、おとといも御質問がございましたが、相互銀行、信用金庫、それから県信連等と日銀との間に信用取引の窓口開設を行なうというような措置もとっております。なお、信用金庫、相互銀行と大蔵省との話し合いによりまして、準備率の引き上げとか、公社債手持ち額をどうきめるとか、あらゆる意味において正常化の方向をとるように努力して参ったわけでございます。
 これからの問題としては、これが一方的なものになってはと思いまして、民間有識人の希望もございますので、金融懇談会というようなものをつくったり、金融関係相互間の連絡協議会を行ないましたりいたしまして、官民一体となった正常化を考えておるわけでございます。なおその上に、資金運用審議会や財政制度審議会その他の御審議もわずらわしながら、総合的円満な調整を行なおうという段階でございます。
#37
○加藤(清)分科員 郵政省に承ります。全国の郵便局で集められております保険及び預金、これの金額ないしは契約高、現在高、と同時に今年度の推定等について御説明願いたい。
#38
○金澤政府委員 郵政省の貯金局長でございます。
 本年度――本年度と申しますと昨年の四月一日から三月三十一日まででございますが、貯蓄は、いろいろな原因がございまして、郵便局の諸君もよく働いてもらいましたし、また経済的な客観的な情勢も非常にようございまして、目標額は年度当初には千五百五十億というふうに定めたのでございますが、今年度の三月三十一日の見通しといたしましては二千億は優にいけるのじゃないか、こういうふうに考えております。それから、来年度の目標額は千九百億というふうになっております。これも私たちは大いに努力してやりたい、こう考えております。
#39
○加藤(清)分科員 三十七年度は大体二千億、三十八年度の予定が千九百億、ただし、今年度の予定額と目標額を比較しますと約五百億の増加でございますから、従って、今年度予定千九百億にそれと同等なものをプラスしますと優に二千四百億余の預金がことしは想定されるということでございますね。想定されませんか。
#40
○金澤政府委員 郵便貯金の増加というものは、私たちの考えといたしましては、まず第一に郵便局の諸君が大いに働いてもらわなければならぬわけでございます。それと同時に、経済的の条件がございまして、その条件のいかんによりましてはなかなかそうもいかぬ場合もあるわけであります。これは過去の例に徴しましてそういうことは言えると思います。
#41
○加藤(清)分科員 ここで集められます金の種類は一個人単位からいきますと大体どの程度のものでございましょうか。たとえば一人平均百万円とか、あるいは二百万円になっておるとか、あるいは一千万円程度になっておるとか、その一人平均は大体どんなものでございましょうか。
#42
○金澤政府委員 今こまかい数字を持っておりませんが、通常貯金は郵便局の場合に非常にむずかしい問題は、過去においていろいろの場合に帳面をお持ちでございまして非常に冊数が多いわけでございまして、冊数で割りますと非常に低くなるのでございます。現在最高額の制限は五十万円でございます。それで、定額が三万三千円、積み立てが九千円じゃないかと思いましたけれども……。
#43
○加藤(清)分科員 あとで調べて答えて下さい。要は郵便局で集められます預金にしても、保険契約高にいたしましても、低額のものが非常に多い。つまり庶民の金が集められている。下世話にいえば奥さんたちのへそくり、あるいはほんの子供の預金等々、言うなれば家庭から勤倹貯蓄し、質素倹約によってひねり出されたへそくりである、かように考えたら間違いでございましょうか。
#44
○金澤政府委員 私たちは、今、先生のおっしゃいましたように、郵便貯金は九九%までは家庭の婦人、あるいはへそくり貯金と申しますか、ほんとうの零細な大衆預金と考えておるわけでございます。
 数字は先ほどちょっと申し上げかねましたけれども、通常貯金は一万七千円弱でございます。積み立て貯金が九千九百円、約一万円弱でございます。定額は先ほど申しましたように三万円をちょっとオーバーしている、こういう格好でございます。
#45
○加藤(清)分科員 零細な金が全国から郵便局で働かれる方々の努力によって集め集めてこられます結果、これは一体どこで利用されておりましょうか。
#46
○金澤政府委員 この零細な貯金を集めまして、私たちは大蔵省の方に預託いたしましてやっているわけでございます。
#47
○加藤(清)分科員 日本の金融体系は非常に複雑多岐のようでございます。各省において、農林省の農林中金、通産省の商工中金、あるいはあなたの方の郵便等々……。金利もまた複雑多岐にわたっているようでございます。ところが、集め集められる道筋だけは一致しているようでございます。それはみんな田中さんの手元へ集まるようであります。
 さて、その利用のことでございますが、利用を改定する場合の発議権は大蔵大臣にあると思いますが、間違いでございますか。
#48
○田中国務大臣 これらの金は、ただいま貯金局長から申し上げました通り、資金運用部資金として運用せられるわけでございます。これは大蔵大臣だけでもってやるのでなくて、資金運用部資金運用審議会というのがございまして、内閣総理大臣が会長であり、大蔵大臣と郵政大臣が副会長だと思います。この審議会の議を経て運用せられておるわけであります。これが学校になり、上下水道になり、国民大衆の利益擁護のために使われておるわけでございます。
#49
○加藤(清)分科員 私の聞いておるのは、改定の発議権のことでございます。今どのように運用されておるかということでなしに、これをもし改定するとするなれば、もちろん先ほどのお話のように立法措置が必要なことはよくわかっておりまするが、私の言わんと欲するところは、これは以前はこうでなかった。戦後統制令によって、何でもかでも統制せい統制せいで、こうなってきたわけなんです。終戦後、ずいぶん長いことたっているわけですが、しかし、このスタイルだけはそのままなんです。そこで、もし今後改定するとするなれば、発議権は郵政省の方にあるのか、あなたの方にあるのかを聞いておる。
#50
○田中国務大臣 御承知の通り、郵便貯金法によりまして法定でもって利息等全部やっております。これを改正したいという場合には、郵政、大蔵両省がまず下打ち合わせをいたしまして、話がまとまれば、法律上は内閣の提出として国会の審議をわずらわすわけでございます。
#51
○加藤(清)分科員 本件に関しては、すでに郵政省の方からは何回かにわたって大蔵省に対して、集めた金を手元で貸し出しできるようにしてもらいたいという意思が表明されているはずでございます。そのつど大蔵省は協議に名をかりて、一向に郵政省の方の趣旨を、尊重はするか知らぬけれども、実行に移さない、こう解釈してよろしゅうございますか。解釈じゃない、事実を私は言うておるのだ。
#52
○田中国務大臣 郵便貯金法の改正を郵政省と大蔵省と合議をしましたときに、法律事項である郵便貯金の金利を政令事項にゆだねてもらいたい、こういう改正案を協議いたしたわけでございますが、郵政省側からはそれと同時に、郵便貯金は大衆、零細な預金者から集めておるのでありますし、またこれが資金運用部資金の中で非常に大きなウエートを持っておるものであり、この資金を将来大きく伸ばしていくためにも、また国のために大きくこれを使用するためにも窓口貸付という制度を開くようにしたらどうかという提案がございました。これはもう昭和三十二年私が郵政大臣当時からこういうことを大蔵省に申し入れているわけでございます。なお、衆参両議院の逓信委員会においては、何回かにわたつて将来こういうことをすべきであるというような付帯条件もついております。が、何ぶんにも国家財政多端の折柄でございますし、重点的な配分をより必要とする事態でございますので、将来はともかくとして、現段階においてはいろいろな方々の御意見を聞いたりして、何とか一つ私の方の意見を入れてもらいたい、郵政省側の窓口貸付の意見に対しては少しお互いに前向きで検討をしたい、こういうことで両省の間で話を進めておるわけでございます。
#53
○加藤(清)分科員 私は、あなたが大蔵大臣の場合が一番チャンスだと思う。なぜかなれば、今おっしゃるように零細な金が集め集められている。それを郵政省は窓口貸出ができない。結果は何かというたら、郵政省の方はミツバチの仕事をやらされている。その具体的事実を郵政大臣であったあなたはよく御存じで、かつては大蔵省に対してこのことを強く要望した立場なんです。今度は受ける立場なんです。両方のことがよくわかるから、あなたの大臣のときにこれを解決することが最もスムーズにいくのではないか。いつまでも郵政省側をミツバチの役にしておいて、それではたして正常であるのかどうか、これをお伺いします。
#54
○田中国務大臣 非常にむずかしい問題でありますが、いつまでも大蔵省側の考え方だけで押し切っていこうなどという考えを持っているわけではないのであります。私が郵政大臣のときに申し上げましたのは、ほんとうに窓口を開設しようというような馬車馬的な考え方で言ったのではない。これは今あなたが申された通り、集めさせるばかり集めさしておきまして、これが費用分担の問題とか、また窓口で働いておる方々の報奨金の問題とか、いろいろ設備の問題とか、そういう問題等は私もつまびらかにいたしておりますので、大蔵省側としては一番猛反対することをまずぶつけたわけでございます。私のときは相当政治的な立場で、そういうことを鬼面を掲げてということで、その当時から、相当郵政特別会計に対して窓口の整備を行なったり、また郵便局の新営、営繕その他に対して特別大蔵当局の譲歩を求めたり、いろいろなことをいたしまして、私は当時の目的は幾分達成はせられたというふうに考えておったわけでございます。
 しかし、今出てきておりますのは、これは国会の意思決定もございますし、もう一つは、郵便貯金というものをこれから一つ大きく国の財政に寄与せしめるためには、新しい視野と角度に立って、一つ新しい制度として窓口金融ということを行なうことがいいのだ、こういう考え方で郵政省側は意見をまとめておりますし、私もこれに対してはわからないわけではありません。理解はいたしております。これは大蔵大臣とか郵政大臣の経験者であるからというような立場でなく、すなおな国会議員としての立場から検討をいたしておりますのですが、今の段階では多少時期尚早だという感じを持っておるわけでございます。これはどういうことかといいますと、郵便貯金というのは非常に大きいので、窓口がたくさんあります。一万一千局という局でございます。これは災害とかその他いろいろな場合に、員外貸付的なもので、実際きょう月給を受けるまでの間、十日か十五日二万円ほしいとか、二万円ほしいとか、確かにそういうことはございましょう。また、現在の他の金融機関ではそういう零細なものが直ちに手に入らないという実情はよくわかるのです。その面だけでもって運用せられる場合にはさしたる問題はないと思うのです。ただ、地方公共団体が、今土地の造成をやったり、新産業都市としての町づくり、国づくりをやったりということで、私はこれらの制度をよほど慎重に、具体的な問題に対しても深く検討して踏み切らないと、郵便貯金というものは、ある意味において、名前は郵便貯金の加入者、預金者の名前であっても、これが村別、町別で相当大幅に引き出される、これが資金運用部資金原資確保に対しても相当の障害になり得る可能性があるというふうにも考えられるわけであります。私は相互の事情をよく知っておりますので、慎重にこの問題を検討いたしております。でありますので、こういう問題を何とか解決するためには、現在短期運用として、市町村等に対して各郵政局でもって短期の運用をいたしております。短期起債といいますか、いずれにしても三月三十一日に一応返済して、また四月か仁お貸ししますというようなことで、地方公共団体等に貸し付ける制度がございます。今度の豪雪等では相当大幅な運用が行なわれておるわけであります。これと預金者との間の調整がどういうふうな状態でつくのかというような専門的分野に対しても検討いたしておりますので、現在の郵便貯金法の改正で、直ちに窓口貸付の業務を新設するかどうかというところには、現在まだ私個人としても踏み切れないというのが実態でございます。
#55
○加藤(清)分科員 時期尚早といわれますが、あなたも郵政大臣で御存じの通り、銀行という銀行は人の金を預かりながら、町という町のりっぱな場所、繁華街のいい場所をほとんど銀行がとっておる。ところが、郵便局はどうなんです。郵便局は、自分の庁舎は戦前のものを使っているところが多い。もっとも、都市において大きくなったところは別でございますが、ほとんど戦前の建物、しかも、それは借りものなのです。よそから借りているのですよ。政府が借家を使って仕事をやらしているという勘定ですが、事実でしょう。あなたよく御存じなんだ。それのみならず、最も問題になる点は、零細な金が集め集められて、持っていかれる先が大蔵省。その大蔵省が今度逆にまた零細なところへ貸し戻すというなら、これはまだ話がわかる。ところが、今あなたのおっしゃるように、資金運用部資金の金は一体どこに使われるかといえば、ここで今審議するまでもなく、過去の例からいけば、これはほとんど大企業、大きな公共投資に使われておるわけです。事実なんです。あなたが何べん首を振ったってだめだ。もしそうでないとおっしゃるならば、時間をかりて詳細に討議したいと思うのですが、特に私は、政府の姿勢の建前からいってもこれは矛盾していると思う。
 なぜかならば、大体都市集中を排除しなければならぬとか、中央地方の格差を是正せぬければならぬとか、低開発地の開発をせぬければならぬということが、掛け声に終わっている。なぜそうなるか。重要なポイントが忘られている。いなかで集めた金までが都会に使われている。事実そうなんです。それが連鎖反応となりまして、どうなるか。地方銀行もまたみつバチの仕事をやらされている。現にあなたの郷里の銀行を調べてごらんなさいよ。どこへ貸すか。集めることは地元で集めているが、これを利用するのはどこで利用しているか。都市銀行におきましてもそうです。農村地帯あるいは小さな町の支店などでは、集めることが本務になって、貸すことは二の次なんです。だから、借りに行くと、ありません、そういうことはできません、とこうくる。で、集め集めて、これは中央へ中央へと、中央集権の悪いことだけがここで行なわれておるわけです。ついでのことに、農業預金までが農業者以外のところへ貸し出されているというのが実態なんだ。これは事実なんだ。あなたがいなというなら、出してごらんなさいよ。私は実例で幾らでもあげてみますから。
 そこで、要は、金融の面だけでながめてみますと、集め集めるときは、農民からも、零細な庶民からも集められて、それが中央へ、都市へといき、それが大蔵省の今までの態度によって大企業へ大企業へと、こういくわけなんだ。それでもなお足らずに、大企業は含み貸し出し、オーバー・ローンをしている。その結果はどうなっているか。過剰投資。しかも、自分の系列はどうか。自由化に備えてそれをどうしても生き残らせなければならぬというので、設備過剰。結果は操短。遊体設備が完成するまでちょっとストップだ。ここにどえらい投資のロスが行なわれておる。その結果はコスト高、コスト高はやがて物価高を呼んでいる。悪循環がかくのごとく行なわれておるわけなんだ。
 だから、この際、いなかで集めたものはいなか、低開発地を開発するためにいなかで貸すようにしたらどうか。特に、産業の面もさることながら、せめて消防ポンプを買わせるようにしたらどうか。学校建設に使わせるようにしたらどうか。それを今では、自分らが預金したものが、大蔵省へ来て起債を何べんも何べんも陳情しなければもらえない。その起債を陳情しても、雀の涙程度しかもらえない。従って、高等学校はできない。こういうことになっているわけなんです。せめて地元で消防の設備とか、あるいは今緊急に必要な高等学校の設備等々にぐらいは使わせるか。ないしは、全然いかなくても――郵政省の一番よく働く末端の人たちが借家住まいの悲しさを味わっておるじゃございませんか。せめてこれくらいは自分の金でつくらせるようにしたらいかがでございますか。私の考えは間違っているでございましょうか。
#56
○田中国務大臣 財源的に集めたものに還元しろという思想に立ってでございますが、おおむね政府も、財政投資に対してはそのような観点に立っておるわけです。それだけでは困るのです。これはたばこ譲与税等は地方税に移転してしまえ、こういう長いあれがありましたが、結局、そういうことをしましても、富裕県の方でたばこはよけいのみ、酒もよけい飲み、鹿児島や北海道では少なくしか飲まないということで、より格差は開く。地域格差の解消、大都市に対する過度集中を排除するために、政府がやはりより高い立場において財政投資に対する調整権を発動するということで、国が比率をきめて、低開発援助その他によって別な率で投資をする方がより効果的だ、こういう考え方に立っておるわけでございます。財政投融資一兆一千九十七億円の使途でございますが、この中で郵便貯金千九百億の原資を見込んでおるわけでございます。いつも申し上げておりますように、住宅、生活環境整備、厚生福祉施設、文教施設、中小企業、農林漁業、小計で五千四百四十五億。それから国土保全災害復旧、道路、運輸、通信、地域開発に三千七百二十一億。相当大企業にいっているじゃないかという大企業の基幹産業、輸出振興等につきましては千百二十一億に八百十億でございますから、約千九百億でございます。一兆一千億のうち、いわゆる直接国民生活に密接不可分、こういうところに約八〇何%も投資をせられております。あなたが今言われたようなもの、いわゆる窓口で千万円預かったら二百万円、二千万円だったら四百万円投資をすることもまた一つの考え方でございますが、現在のような状態で、より大きく高い立場において、政府が、地元で集まったものを全額返すというだけでなく、その二倍、三倍に増額していかなければならないという事態に当面したことを考えますと、現在の財政投融資その他資金運用部資金の活用は円満に行なわれておる、こういう考え方に立っております。
#57
○加藤(清)分科員 いずれ詳細は実例をあげて委員会で討論をするということにしますが、大臣としては、私の言うことが根も葉もないうそのことである、だからそんなことは聞かれぬとおっしゃるのか、それとも、先ほど来のお話の通り、実態をよく把握して前向きの姿勢でこれに対処するという態度をとられようとしているのか。ここは予算委員会ですから、大まかなことだけで……。
#58
○田中国務大臣 衆参両院の逓信委員会における決議も何回も行なわれておるのでございますし、これは郵政大臣のみを拘束するものではない、内閣全体を拘束するものであるという建前からも、また私のただいままで検討いたしました思想上から考えましても、何らかマイナス面が露呈せられないで適当に運用せられるという保証があるならば、やはり将来考えなければならない方途であるとは考えております。
#59
○加藤(清)分科員 近き将来にというよりも、今国会のうちに、逓信委員会の決議を尊重した態度、すなわち、地方で集めた金は地方で使われる、地方が開発され、地方が潤うようにしていただきたい。
 次にお尋ねしたいことは、金融正常化の一つの柱でございます低金利政策、これはもうすでに新聞にも出ておることでございますから簡単にお尋ねしますが、一体いつの時期にどの程度金利を下げようとなさるのか、具体的にお答え願いたい。
#60
○田中国務大臣 具体的にという御質問でございますが、なかなか具体的にお答えできない問題でございます。これは政府が一方的に資金調整法等を持っておりまして行政的に何でもやれるという体制ではありませんし、また、現状及び将来はそのような方向で行くべきではないという考えでございます。やはり国民全体が十分連絡調整をとりながら、また、お互いが自分の自由な意思で明朗濶達に金融が運営せられるような環境をつくりながら行く問題でございますので、どのくらい公定歩合を下げるとか、何月このような措置によって金利をこう下げる、こういう問題は申し上げられないと思います。また、そういうことを言うことは不謹慎であり、ことにあなたが言われようとしていると思われます公定歩合の問題等は、金融の情勢を見て日銀の総裁がやることでございます。日銀総裁がまだ意思表示も何もしておらないのを、大蔵大臣が一方的に国会でもって、こうあるべきである、こうでありましょうと言うことは、日銀総裁の権限を拘束することでありまして、私が言明する段階でもなく、言明することは非常に困難だと存じます。
#61
○加藤(清)分科員 やはり大蔵大臣よりは法王の方が権限が上でございましょうか。
 それはそれとして、今日自由化を前にして、日本経済の他国と比べて最も特質的な問題は、低賃金に高金利ということなんです。それはやがて物の売り買いの自由だけでなくして、投資の自由、円交換の自由が許されることが前提となって、外国資本がウの目タカの目で投資の垂涎のまとになり、それはやがてフィリピン経済のように植民地化されるおそれが十分にある。従って、自由化に対処する一つの方法としては低金利政策をとらなければならぬ。つまり、国際金利水準にさや寄せするのが自由化の準備の大切な一つの問題である、私はかように心得ているものでございます。従って、大臣としては、今いつの時期、何月何日にとは言えないにしても、そういう前向きの姿勢でいくと何回か今までの予算委員会でおっしゃって見えますが、もうきよらは分科会の最後と心得ます。従って、この際、あなたとしては、それでは端的に大臣の任期中にそれを行なう覚悟があるかないか、あなたの覚悟だけを聞きたい。
#62
○田中国務大臣 私の任期はまだ相当ございますし、また、あした問題になるかもわかりませんので、私の任期に関連してお答えするわけには参りません。しかも、私が任期中にこうしたいなどということを申し上げると、七月はやめるだろうと思っている人たちは、七月までにやるのだということになりますし、また、来年まで続くだろうと思っている方は、田中もまだ当分あるからすぐはやらぬのだからわれわれもまだそれほどやらぬでもよろしいと、これは及ぼす影響が非常に甚大でございますので、そのようなことを具体的には申し上げられないと存じます。
 しかし、これはオーソドックスな考え方で申し上げて、日本がいつ八条国に移行するのか、それから自由化のスケジュールは一体どういうふうになるのか、それから、日本だけでそういうことを検討いたしましても、ガットの場において、六月に残った品目に対して一体どのような自由化のスケジュールを出すのか、また、工程だけ出して品目別の表は出さないで済むのか、こういう問題とからみ合っている問題でございます。特に日米通商航海条約の問題とか外資法の問題とか、いろいろな問題がからんでおります。同時に、財政投融資といういわゆる国内産業の保護、国内産業に対する自由化対策、立法が、一体この国会でもってどの程度できるのか、臨時国会を開く必要があるのか、三十九年度予算編成の審議の国会を待って主要な法制整備が行なえるのか、こういう問題がやはり全部前提としてそろわなければ、なかなかめどは立ちがたいのでございます。では、立ちがたいとばらばらになるじゃないかということではありません。大蔵省も、日銀、各金融機関も、懇談会、協議会その他のもので随時会いながら、相当スピードアップをしていかなければならないのだ、こういう前向きの姿勢をとっておるのでございますから、これらの金融環境の正常化という問題、また整備という問題は相当な速度で進むであろうと考えます。特に去年の七月からとりました各般の措置によって、もうすでに当時五銭までといわれておったコールも二銭五厘になり、二銭三厘になり、二銭一厘になり、やがて二銭にもなろうということでございますし、含み貸出も千五百億、千五百億ずつと月間減っており、数字の上では二月一ぱいたてば含み貸し出しもなくなるだろう、事実はそれよりも二千億よけいあるにしても、年内でどのくらい正常化され、日銀に対する買いオペの弾力的運用によって日銀貸出というものも相当整理をされておりますので、こういう現実的な施策と相待って、大体どの程度にお互いが――私から一方的に言うよりも、金融懇談会で民間の責任者あたりから、この程度で大蔵大臣やりましょというようなことが、同じ出るにしても非常に合理的だろう、こういう考え方を持っております。
#63
○加藤(清)分科員 民間の声待ちといったところなんですか。それじゃ、あなたは前向きの姿勢じゃないじゃないですか。
#64
○田中国務大臣 間違いがあるといけませんから申し上げますが、民間の声待ちということで何ら処置を行なっておらないのではありません。私が昨年大蔵大臣に就任後、今日まで何をやってきたか、毎日これ金融の環境整備という問題に対しては、日々日報を片手にしながらやっておるわけでございます。でありますから、そういう姿勢と民間が相応じて、お互いにかみしもを脱いでお話をしましょう、政府の意のあるところを私たちも聞きます、しかし、それをやるためにはこういうこともやってもらいたい、私たちの意見も聞いてもらいたい、こういう態勢までいっておるのでありますから、非常にピッチを上げておるのだということは国民各位からも理解がいただけると思います。
#65
○加藤(清)分科員 金融正常化について、もう一つ絶対にやってもらいたいことがある。やらなければならぬことがある。あなたが大臣就任以来、その姿勢で一生懸命やっていると今おっしゃったにもかかわらず、姿勢が正されていない面がある。それは歩積み、両建の問題なんです。含み貸出なんです。総理も先回の私のここの質問において、大へん悪いからさっそくこれは何とかしますというお話であり、本委員会におきましても、各委員から口をそろえて言われたことは、歩積み、両建が行なわれておる、それは中小企業の悩みの種である。中小企業が借りる場合に、だれもかれも一様に歩積み、両建の苦い薬を飲まされている。だから、どうするのだと、こういうことなんです。
 そこで、きょうは分科会のおしまいでございますから、大臣、あなたにこれに対してどうするかということを聞きたい。ただ直しましょうとか、姿勢を正しましょうでは、あなたが一年有余努力してきても、なお依然として行なわれておる。おそらくきょうも町のどこかで行なわれておることなんです。きょうもどこかで中小企業はこれのために苦しみ、おかげで金が借りられないという状況が起きているわけなんです。現に火がついている。どうしてくれますか。
#66
○田中国務大臣 毎度お答えをいたしておりますように、歩積み、両建という問題は、これからの金融の正常化に逆行しておるものであるということの認識のもとに、大蔵省、日銀、また金融関係等、おのずからこの姿勢を正すべく今努力をいたしております。
 具体的な問題としては、日銀、大蔵省で連絡を取りながら、窓口検査を行なうことで検査の実施に入っておるわけでございます。検査の実施に入ったならば、その基準をどう押えて検査をするのかということでございますが、歩積み、両建というのは、ただ歩積み、両建によって低金利が低金利でなく、実質金利は計算をすれば倍にもなるじゃないかというような問題、もう一つは、必要なときに必要な量を貸し付けたと帳簿上はなっておるけれども、実際は半額しか貸し付けられておらないとか、もう一つは、今どうにもならない、もうそれを借りれば非常によくなるのだというときに、一割、二割の歩積みを要求せられるために、いわゆる借り主の恩恵に反してやられるために、その一部を市中金利、いわゆる高金利や高利貸に依存するために、元も子もなくしてしまうという事例があります。もう一つ、もっと大きいのは、政府機関から間接的にいわゆる代理貸し業務を行なっておりながら、自分たちもそれと同額貸したということを言いながら、自分たちの分はそのまま歩積みにしておく。政府から借りた分にさえも手をつけて歩積みにしておいて、自分のバランスの上の預金額をふやそうというに至っては言語道断でございます。しかし、そういう問題もあるとさえいわれておるのでありますから、これらの問題を正さなければならぬというところに確かに立っておるわけでございます。ただ、歩積み、両建がすべて悪いんだということに極論をしてしまうと、非常に混乱が起きるのでございます。でありますから、私がただいま言ったように、いわゆる借り主、預け主の自発的な意思に基づくものは歩積み、両建も一向差しつかえないわけでございますから……。がしかし、銀行の政策によって、いわゆる借り主、預け主の意思に反して、銀行が自分の営業上の立場から預金額を上げたいとか、またいつでも現金で担保をとっておきたいとか、実質的に高利回りに回したいとか、こういう考えで一方的に要求せられる歩積み、両建というものは厳に排さなければならぬ。この限界が、腹の中でもって、これは銀行に要求されたんですと非常に言いたいんだが、言えば次に貸さないからというので、言わない。これを一体どこで捕捉するかという問題に対しては、こまかい配慮をいたしておるわけでございます。
#67
○加藤(清)分科員 大臣はそれほど詳しくよく知って見えるんだから、もはや具体的事象をここで論議する必要はないと思う。やるかやらないか、何をやるか、こう答えていただけばいいのであって、一つそのつもりで……。
#68
○田中国務大臣 借り主、預け主の意思に反して行なわれる歩積み、両建は全廃するような方針で一つ処置して参りたい。
#69
○加藤(清)分科員 借り主の意思によらず行なわれる歩積み、両建は全廃する、こういうことですね。これは一つの前進です。
#70
○田中国務大臣 これは革命的な発言でございます。私もそれを意識して申し上げておるのでございますが、基本的な態度はそうあるべきでありますし、そのような方針で指導して参りたいと存じます。
#71
○加藤(清)分科員 この言葉を聞いたら、中小企業は、さすがは田中大蔵大臣だと、みんな拍手かっさいして迎える言葉でありましょう。ぜひそれを実行に移してもらいたい。
 中小企業金融公庫の総裁が見えますので,そこであえて総裁にお尋ねしたいと存じます。今までの話は全般的な話でございます。あなたのところは政府の資金を扱っていますね。ところで、あなたのところは直貸しの場合には非常にうまくいっております。これは大へんけっこうでございます。ところが、代理貸しの場合において、いうなれば政府のひもつきの金であってしかるべきにかかわらず、これが今大臣の言った強制歩積み、両建、その結果金利が非常に高くなる。もう説明する必要はありませんね。しかも、自分のところで集めた金と同じ貸し出しの方法で行なわれておる。明らかにこれは中小企業金融公庫法違反でございます。それがあとを断ちません。すでにこの公庫ができてから十年になる。くる年もくる年も、毎年大蔵委員会と商工委員会でこれが論議され、忠告が発せられておるわけでございます。決議も行なわれておるわけでございます。前の坂口さんあるいは森永さん、皆御存じのところでございます。ところが、新しくあなたは総裁になってこられたのでございますから、この点について、一体事実をどう把握していらっしゃるか、まずそこから……。あると思いなさるか、私の言うことがうそと思いなさるか。うそだと思うなら証拠を出します。
#72
○舟山説明員 お答え申し上げます。歩積み、両建の問題につきまして、金融公庫におきましてしばしばその例があるから、即刻これを直せという御注意が、この数年来国会において御指摘を受けておることは、私よく存じております。
 そこで、公庫といたしましても、厳重にこれが防止、是正の方法を考えております。代理店には厳重なる通達をたびたび出しておるのでございますが、遺憾ながら最近におきましても、ごく少数でございますが、大部分は非常に自粛され、改善されておると思いますが、まれにそういう例が私の方の監査の結果でも散見されるということは、はなはだ遺憾と考えております。私は今後従来の方針を引き継ぎまして、特に歩積み、両建が問題になっておりますこの際、厳重にこれが発生をしないように措置をとって参りたい、こう考えております。
#73
○加藤(清)分科員 総裁から新しく就任の弁を承ったわけでございます。その言は、おそらく全国のあなたの公庫に関係あるもの、あるいは将来関係しようとしている中小企業の非常な期待を持っている言葉でございます。特に基本法が審議されまする場合に、詳細はそちらで論議したいと思いますが、この際特に、銀行が集めた金ならばいざ知らず、代理貸しという恩典を受けておきながら、政府資金でもって自分の銀行を繁栄させるための手段にこれが使われておるということは、私は非常に遺憾に思う。その手段の結果は、今大臣のおっしゃった強制歩積み、両建。強制歩積み、両建どころの騒ぎじゃございません。借りようとすれば、新しい取引先はまず半年も月々十万円ずつ貯金をして、六カ月の後になってから、ようやく百万円借りたと思ったら、以後ずっと一年間十万円ずつ取り上げられて、借りてから半年後に調べてみたら、借りた金よりも預けた金の方が多くなっている。それでないと貸してくれない。こういう歩積み、両建のやり方。借りようとすれば最初にどえらい頭金をとられる。それでは金融公庫法の精神に違反すると言わなければならない。公庫法に違反する行為がどんどん行なわれている。これについて、中小企業庁の長官は一体どのようにお考えでございますか。
#74
○樋詰政府委員 今総裁からお答えがございましたが、大蔵省ともよく相談いたしまして、総裁が新しく御就任になりました直後の二月二日付をもちまして、全国の代理店、それから中小公庫の各支店等に、今先生の御指摘のようなことのないように、もしあった場合には厳重な措置をとるからということの通知を特に出していただいたわけでございます。今までもわれわれといたしましては、公庫の監査部の監査を通じ、あるいはそれを管轄する部店を通じまして代理店に対して警告をしてきたところでございます。今後もそれをやっていきたいと思っております。一部に非常な悪質の代理店があるために、中小企業のかたがたに御迷惑をかけている点はまことに申しわけない、こう思っておりますが、しかしこれは今後といたしましては、俗に申します一罰百戒と申しますが、場合によっては、単なるワクの保留とかあるいは停止ということのほかに、代理店の取り消しというようなことまで進むという厳重な態度を一つ公庫にもとっていただく。また、役所といたしましても、公庫法に基づきまして、場合によっては直接的にいろいろな検査をするというようなことにもいたしたいというようなことで、今のような悪弊を除去するように努力していきたいと思います。
#75
○加藤(清)分科員 一罰百戒といういいお言葉をいただいたわけでございまするが、今まで行なわれておりました注意は、それこそ百回以上でございましょう。にもかかわりませず、それが依然として直らないということは、まさに一罰に匹敵する悪らつな行為である。しかも、それは公庫法に違反する行為である、かように断ぜざるを得ません。
 そこで、長年の実績にかんがみて、このたびは新しく別な態度で臨まなければならぬと思います。通知をなさったことはけっこうでございます。しかし、それだけでこの長年行われ来たった悪弊が一掃するとは考えられぬわけでございます。
 そこで、提案をいたしまするが、これを実際に行なう窓口の方々は、この法律の精神を御存じないお方が多いのです。たとえば、私どもがバッジをはずしていきますと、けんもほろろのあいさつで、そんな金はございません、とこう言う。ところが、今度これをつけていきますというと、まるっきり違った態度で、ありますという答えが出てくる。もちろんこれは支店長決裁ではできない仕事でございまするので、支店長が逃げ口上を使うことはわかりますけれども、現にあるものをないと断わったり、あるいは当然貸し出しが可能な担保その他の物件を持っておるものに対しても、なお自分の取引を拡張する材料ならば使うけれども、そうでなければ使わない。しかも、歩積み、両建はきびしい。こういうことに対しては、これは過去の教育も反省しなければならぬと思います。
 あなたのところで、実際窓口の業務を行なう責任者の支店長教育をやられたことがございますか。直貸しの方ではなくて、代理貸しの方の支店長教育をやられたことがありますか。
#76
○舟山説明員 歩積み、両建がいけないという趣旨は、公庫からも代理店に対しましてたびたび警告を発しております。それでありますから、代理店の首脳部におきましてはこの趣旨はよく了解しておると思いますが、御指摘の通り、窓口にはふなれの者や、あるいは新しくそちらに配置された方等もございまして、特にそういうような者について問題があるのかと思います。そこで、公庫といたしましても、代理店の担当者の教育ということにも力を尽くしております。これはそれぞれの支店が代理店との連絡会を設けまして、政府資金の扱い方はこうでなければならぬということは口をすっぱくして徹底に努めておるはずでございます。なお今後も一そう先に向かってのそういう教育的の面ということにも、御指摘もございましたので、公庫としては力を尽して参りたいと存じます。
#77
○加藤(清)分科員 次に、あなたのところの監査部はどうなっていますか。これがどうも国民金融公庫と比較いたしますると、お宅の方がルーズになっているのではないかと思われる。もっとも、これは発足が新しゅうございまするから、員数等の関係もございましょうけれども、言えば国民金融公庫の方は母店に本店からの監査員が直配されている。そうしてこれが直接監査をして歩かれる。ところがお宅の方にはそういう制度はない。本店からの直接に監査員が行っておるということがございますか。
 ころでやれることは、直貸しをふやすそこで、私は提案をしたい。ぜひ一つこの際、本店から母店に監査員を直配してもらいたい。この方が各代理店の業務を直接監査する、抜き打ち監査する、こういうことでないと、駐在所の巡査ではこそどろはつかまりまするけれども、大どろぼうやばくちはつかまらないのと一緒でございます。どんな書類審査をおやりになったって、ほんとうの実績は吸い上がってこないのです。吸い上がるのは、声なき声は私らのところへ吸い上がってくる。だから、あなたのところに実績が吸い上がるように、実情が調査できるような組織、すなわち監査部の強化拡充、そんなものが多くできちゃって困るというなら、できてそれが正常化されたならば、この方は審査部に回るようにしたら、あなたの方は将来直貸しをふやすのですから、そうでしょう、だからかえってけっこうなことではないかと思うのです。だから今の監査部を強化拡充するところの考え方ありやいなや。
 次に、一罰百戒と同様に、もう一つあなたのところでやれることは、直貸しをふやす、代理貸しをだんだん削っていく。ネコを呼ぶより、皿を引いた方が早いはずなんです。従って、直貸しをふやしていくという制度を拡充なさることの方が賢明ではないか、いかがなものでございましょうか。
#78
○舟山説明員 公庫の本店から直接の監査につきましては現にやっておるのでございます。本店の監査部要員は今十六名ございますが、これが全国に出張いたしまして、代理店の貸付状況を監査いたしますのみならず、必要があれば代理店からの借り入れ先につきましても実情を調査して、この公庫資金が適切に使われておるかどうかを見ておるわけでございます。さらに拡充強化の問題、お話がございましたが、来年度も定員増加を幸いにして認められましたので、そのうちから監査部にもなお担当者をふやすように心がけたいと存じます。
 それから直貸しは、これも毎回御指摘をいただいておるのでございますが、だんだんふやしていく方向に進んでおります。近く直貸し五〇%、代理貸し五〇%の線に持っていきたい、来年度もその計画で一部実現するように計画を組んでございます。
#79
○加藤(清)分科員 直と代理を五〇%、五〇%になさるのですね。それはいつです。
#80
○舟山説明員 これは担当人員の教育等の問題もございますので、四十五年度あたりに五〇、五〇に持っていくような目標のもとに、来年度は直貸しを三六%、現在は残高で昨年末あたりで三一%、見当でございますが、それをふやしていきたい、こう考えております。
#81
○加藤(清)分科員 詳細は中小企業基本法を審議するときに申し上げたいと思いますが、私がとっておりまする直貸しとあれとのデータからいきますと、少し御答弁に食い違いがあるようでございますが……。
#82
○舟山説明員 私ちょっと申し上げ間違いましたが、四十年を目標に五〇、五〇に持って参りたい。
#83
○加藤(清)分科員 次に、大蔵大臣にお尋ねいたしますが、担保物件というのは、借りる場合に一体どの程度が妥当なものでございますでしょうか。もし何でしたら、銀行局長でもけっこうでございます。
#84
○大月政府委員 それぞれ担保物件の性格によると思います。土地の場合とか、株式の場合とか、あるいは金融債、社債というようなものと、いろいろあると思いますが、大体土地あたりでは現在六〇%ぐらいの担保価値をとっていると思います。また株式あたりも大体そういうところ、それからほかの社債等についてはもう少し上を見ておると思います。
#85
○加藤(清)分科員 実は実際の具体的なところはそんな六〇%や七〇%じゃございませんですよ。三倍、四倍というのが常識になっている。たった二百万円を借りるのに、土地の物件として一千万円以上のものを要求される。しかもそれが二百万円借りた場合に、百万円返し、次に五十万円返して、残り五十万円になっても、一千万円の担保はちゃんととっておる。絶対にこれを動かそうとはさせない。もう金を払ったからあれを返してくれ、次の金の担保にしたいからといっても、絶対に返さない。これは私は銀行の行き過ぎであり、法律違反の疑いが生じてくると思いますが、大月さん、いかがですか。
#86
○大月政府委員 今のお話は、具体的にどういうことか、ちょっとわかりかねますが、あるいは根抵当として入れておる場合に、現実に借りておる金額は少なくても、将来借ります担保としてある程度預かっておるということはあるかと思います。具体的に今おっしゃいましたようなこと自体といたしますと、それは行き過ぎであろうと思います。
#87
○加藤(清)分科員 行き過ぎはぜひ是正していただきたい。時間の関係でこれを突っ込むことはやめますが、必ず基本法のときに詳細データを出して討議したいと思います。
 そこで大臣にお尋ねせんければならぬことは、中小企業に金が貸し出されます場合は、政府の方から与えた、言うなればひもつき融資であっても、なお歩積み、両建、しかも担保は二倍も三倍もとる。ところが、大企業に貸されます場合にオーバー・ローン、含み貸し出し、ない金までも貸して、しかも担保物件はといったら、これは大企業の場合に、百億、二百億と貸し出す場合に、それと同等の担保をとられたためしがありません。担保は貸し出す金よりもずっと少ないのでございます。中小企業に貸し出す場合は、貸し出すその金の三倍、四倍の担保をとられる。片や設備が行き過ぎて過剰設備まででき、片や老朽化したまままだ設備が新しくなれない、設備状況はびっこの状態、ここに大きな原因があるのです。そこで大臣としては、こういう状況が正常であるとお考えでございますか。もし正常でないとするならば、一体どうしたらいいと思いますか。
#88
○田中国務大臣 私もあなたが言われるような事実は知っております。これは大蔵省側から――というよりは、いわゆる金融の所管省としての立場で申し上げれば、今まで言われておる御答弁としては、中小企業というものは不安定であり、回収の見通しに対してもなかなかむずかしいという問題がある。もう一つは、大企業というものは、いずれにしても回収見通しという問題、それから銀行が一行で貸し出すというようなことでなく、数行以上が協調融資を行なう、こういう問題で企業が安定しておる、中には、国家的に見ても将来性が予測できる。中小企業というものは、きょうはよくても、あしたはどうかわからない、こういう在来の観念が、そのような担保の要求、非常に担保をよけい要求する、それから長期の金は貸せない、それから短くとにかく手形を切りかえておどる、金利は高い、みんな条件が悪いのです。私の方でもよく知っております。そういう問題では困るのでして、中小企業基本法というものを制定したことを契機に、これから抜本的な金融制度をつくらなければいかぬ、こういうことを考えておるわけです。
 そういう問題でもって、これは民間の力だけではどうにもならぬというので、政府金融機関というものができたわけです。だから、補完というよりも、自粛もしなさいというようなことで政府関係機関というものができたので、代理貸しというのは直貸しよりも非常に条件が悪いというけれども、ある意味で、代理貸しをせしむるために、直貸しよりも倍、もしくは政府関係機関から出るものの三倍くらい貸せられるならば、よりいいという望外の望みを託して代理貸しもやったということなんですが、事実は全く逆になっておって、政府からくる金まで一部歩積みにしようという不逞な人が中に幾ばくか存在する、こういうことでして、これからの中小企業という問題に対しては、指導とか、それから協業化、組織化、こういうものが――中小企業というのは非常にアイデアはいいのですが、私も中小企業の経験を持って今日まで来ておるのですが、それだけ個人的な考えで思い切って業種を転換したり、そういう金融機関として対象にするには不安定であるということがあったのです。しかし、国の政策そのもの、中小企業の持つ産業全体の中のウエート、こういうことを考えますと、そういう慣習だけ、また歴史的な問題だけにまかしておくわけにはいかない状態になりつつございますので、今度は今まで五〇%から六一%くらいまでしか中小企業に貸し付けなかった地方銀行にも、これを一つ七〇%に上げてくれとか、八〇%までしか貸しておらなかった中小企業関係の相互銀行とか信用金庫は、九〇%まで貸してもらいたいとか、そういうこまかいことをこれからだんだんと推し進めていくことによって、中小企業の安定化、金利負担の低下、それから担保の合理的な運用、こういうものを一つ総体的に片づけて参りたい、こういう考え方です。

#89
○加藤(清)分科員 本件に関して最後にもう一点だけお尋ねしたいのですが、先ほどあなたは、強制させた場合にはと、こうおっしゃいましたね。そういうことは絶対にとおっしゃいましたが、銀行はそれ以上利口にできておる。そこで、金融公庫の総裁や監査員が行っても、強制という実態を消しているのです。だから見つからない。たとえばどうするか、先ほど申し上げましたように、二百万円貸す場合には、一千万円の担保をとった、これは強制でとったのでなくして、私のところには余分に担保がありますから、どうぞとって下さいという一札を先に書かしてそうしてやる。次には、歩積み、両建の場合も、加藤清二が借りた場合には、加藤清二に歩積み、両建をやらせない、私の妻にやらせる、私の兄弟に歩積み、両建をやらせる、妻の名儀でこの金は預けなさい、こういうことになるわけです。だから、簡単に調べにいったってわかりっこないのです。もはやこの問題はきのうきょうの問題じゃない。だんだんと手段方法が悪らつになってきている。特にひどいのはこういう件がある。名前まで言いましょう。機械工業振興法の金がことしも百億余ありますね。去年もありましょう。ことしはふえた。これを通産省の重工業局機会課において長年月にわたって審査し――これはほとんどひもつきで貸される。借りる方は、通産省の試験が受かったから、これでいけた、こう思う。ところが、これが窓口へ行きますると、君のところには貸せられぬ、こう言われる。貸さぬということを本人にその銀行の窓口で言うたのでは工合が悪いから、どうするかというと、ここで試験を受かった者がもらいにいったときに、私はその金は要りませんという一札を書きなさい、こう言う。そうして、強制してやめさせたのではないという既成事実をつくって、それからよそへ持っていって貸す、こういうことが行なわれている。これはいずれ次の機会に詳細にわたって私は審議いたします。
 ところが、こういう問題が行なわれているということになりますと、表向き、強制した場合に云々という言葉があっても、一そう方法が悪らつになって、もぐりの方法でますます中小企業が痛めつけられていくというおそれが十分にございますが、これについて大臣としてはどう対処なさろうとするのか、中小企業金融公庫の総裁としてはどうなさるのか。きょう答弁は要りません。この次にやりますから、そのときまでにお考えおきを願いたいと存じます。
 きょうの最後には、税金についてちょっとだけ大臣にお尋ねいたしたいのでありますが、大蔵省の徴税はいっときに同じ物件に対して二重に課税することはあり得ますか。
#90
○田中国務大臣 税制上の建前上ございませんが、しかし……(加藤(清)分科員「あったらどうです」と呼ぶ)あったらというのですか。それは、法制上違法でない、また還付の方法がないというものが、法律と法律との間にあり得るのであります。また法律と行政措置との間にあり得るのであります。そういうものに対しては、還付の手続がない場合には還付ができない。一歩進めて、還付の法律をつくればいいじゃないかという御議論まで進展すると思いますが、そういうような場合には、四囲の情勢上均衡を失するとか、他に及ぶとかいうようなことで、より高い立場で判断した場合、還付手続に対する立法上の手続をとらない場合もあります。
#91
○加藤(清)分科員 これは去年、本委員会のこの席で佐藤通産大臣は、まことにごもっともで、御迷惑かけておりまするから、至急これは善処いたしますと、かたい約束がかわされている。あなたの大将の方が約束された。それが一年たっている。あなたは、立法上そういう場合が起こり得るとおっしゃられて、立法措置で逃げられるなら、私は言いたいことがある。本件に関する限りは、これは明らかに立法措置のときに手落ちがあったのだ、なぜかならば、前の法律とあとの法律が行なわれる場合、必ず移行措置というものがあってしかるべきなんです。その移行措置が行なわれていない、そこに問題がある。つまり特定物資のあの法律、今も大蔵委員会にかかっているはずですが、これが時限法だから、だんだん消滅してくる時期がきている。それで別の法律によって徴収しようとする。さすれば、こちらの方で権利は期限だけは生きている。商行為というものは、その日ずばりでできるものではないのですから、有効期限をつけずに、立法措置の責任だ――その責任はどうします。あなたが法律の関係だと言って逃げられるなら、私は立法措置で責任追及をやります。
#92
○田中国務大臣 私は、あなたがどういう事件をおさしになっておるのか、どういう事態をおさしになっておるのか、つまびらかにいたしませんが、まず一般論からいたしまして、あなたが今お示しになろうとしておる事態は、新しい法律と古い法律の間に経過措置が適切でなかったということから起こった事態だと思います。(加藤(清)分科員「欠けているのです。ないんだ」と呼ぶ)具体的事例を御説明になりませんから私はつまびらかにいたしませんが、一般論としては、一ペン取ったものでも、違法なものであれば還付をするのが当然のことでありますし、取り過ぎたものは還付をするというのが税法の徴税の建前になっております。しかし、今あなたがお示しになろうとするものがどういう立法上のそごであったのか、しかもそれが、審議の過程において、こういう経過措置をしないとこういう事態が起こるぞとさんざん言ったにもかかわらず、政府は、いや起こりません、こう言って強行したのか、事態が明らかになっておりませんから、これ以上の御答弁は申し上げられないのであります。
#93
○櫻内主査 加藤君、だいぶ時間が経過いたしましたので……。
#94
○加藤(清)分科員 時間がきたけれども、つまびらかにせぬから答えれれぬとおっしゃるから、つまびらかにしましょう。これでおしまいです。
 問題は特定物資の問題なんです。ウォッチの輸入だけが一昨年の十月一日から自由化に先んじて行なわれたわけです。特定物資の法律が生きておるわけです。特定物資の中から時計だけがピック・アップされて先に自由化になったわけです。そこで、御承知の通り、特定物資の税金は、外割をいただくと同時に銀行に納めるのです。行為が完成すると必然的に銀行からとられるようになっておる。銀行へ先に歩積みしておくのです。ところでどうなったか。実際は飛行機の事故の関係で二時間おくれて、十月一日午前二時に羽田に着いた。そうしたらきょうから法律が違いますから、ここでもう一ぺん関税をとらなければなりません、品物はあげられません、保税倉庫に入れておきます、こういう事件が五つある。ところが、保税倉庫へ入れておいたら、これは御承知の通り年末時期でしょう、背に腹はかえられぬから、もう一度関税を払って品物をもらった。完全に二重なんです。なぜか。特定物資のときにはそうなっていたが、自由化に対する関税は、その分だけがここでアップされておる。特定物資でとっておったものは、今度は自由化にするから関税をアップするのだといってアップされた。だから両方とられたわけです。あなたのところの稲益君は時の部長であった。それから局長になった。そういうことが行なわれて以来、私は二年越しこれを言うておる。去年は幸いにして、特定物資がバナナも何も消滅するときには、十二月まで有効であると経過措置をつくったわけです。ところがあの際は、時計だけの場合はそれだけいったものだから、経過措置を忘れてしまって、経過措置がない。そこで、返されませんということになっておる。そこで、あなたたちは、貿易に関する限りはアメリカ流が好きでございますから、私はここでアメリカ流にこれを解釈しましょう。そうしたらこれは完全に合法行為――あなたの方が違法行為で、これは関税を納めぬでもいいことになる。なぜかならば、日本からアメリカへ毛製品を輸出する、五%以上をこえたときには――五%というのは総生産の五%、ここは走っていきます。二〇%の余分の関税がかけられるという時期が来るわけです。そのときにどうするか。イタリアは飛行機で運ぶ。日本はどうするか。ハワイへ着ける。つまりアメリカに着けろということは、サンフランシスコに着けろということじゃない、アメリカ国内のどこかに着けばいいわけです。本件はどうなるか。二時間おくれた。スイスの飛行機は、もうそのときには日本の領域内にちゃんと入っておる、九月三十日の十二時までに。こういう場合は、アメリカ流に解釈するとこれは合法なんです。だからこそ、ハワイの港に着けちゃう。日本の船がアメリカの領海内に入っておったかどうかによって判定がきまる。あくまで合法なんです。そんなことは税関のお役人さんが知るはずはない。これはそのキャップの局長や部長やあなたたちが処理しなければならぬ問題なんです。現にアメリカだってそうなっておる。それを去年懇々説明をしたところ、時の通産大臣佐藤さんは、ごもっともです、こんなことで中小企業に御迷惑をかけたら、商社を指導育成なんていうことは言えません。だからこれは送球に処理いたしましょう、こう言うている。ところが、直接の担当官は、ああまいたこうまいた。なぜかならば、経過措置を忘れておったということは言われたくない。通産省は、自分のやったことがいいと言う。大蔵省は、自分のやったことがいいと言う。お互いになわ張り根性のあれで、結局すり違いで困るのは中小企業です。しかもこれはわずかの金です。あなたたちは税金がおくれたら延滞利子をつけるでしょう。いよいよとなると、これは決算委員会か裁判所に訴え出て勝負をつけなければならぬが、そこまで持っていきたくないから、あえてここでおとなしい方法で申し上げているわけです。そんないっときに一つの物件に対して二重課税をして、わしのやり方は法律に合っているから、それでよろしい――冗談を言ってはいかぬ。その法律が変わったからこうなった。変えるときの変え方に経過措置が忘れられておったから、こうなった。これは一にかかって立法者の責任なんです。

#95
○田中国務大臣 お答えします。
 加藤さんの言われることは、事実問題としては非常によくわかりますが、立法は政府が行なったのではない。先ほどの綱島さんのあれによっても、立法とは、国会で意思決定をしたわけでありますから、これは立法が行なわれている以上、行政庁としてはその法律違反を行なわないようにしてやるべきであります。この間非常に面白い判例が出ておりましたが、これは日本の領海内に入っておった場合というよりも、判例は、あくまでも法律で定める場所に提示せられた時刻をいうのでありますから、これは法律上の争いでははっきりしております。またあなたもそれを承知しておりますが、ともかく立法段階というよりも、当然とるべき経過措置をとらなかったのではないか、また経過措置がなくても、行政上、関税法の運用や税の運用でも十分配慮できる問題じゃないかというところに御意見があるわけでございます。私は当時の佐藤通産大臣がどういう御言明をされたかは承知いたしておりません。この問題に対して通産、大蔵がどういう話し合いをしているかもわかりませんが、税当局から私に説明したような観点では、ただ違法ではない、還付の手続はない、法律改正をする意思があるか、ない、こういうことでございますが、違法でないということだけで妥当性の問題、また、それよりも一歩進めて中小企業の輸出振興問題をどうするかというような問題があれば議論の存ずるところでございますので、ここではっきりした法律改正の意思もありません、還付の意思もありませんなんという四角ばった御答弁は保留いたしまして、私の手元でもっても一ぺん事態を調査してみます。○櫻内主査 川俣清音君
#96
○川俣分科員 きょうは特に大蔵大臣に対して、あなたの一番お困りの点かとも思うのですが、お尋ねをいたしたいと思います。
 大蔵大臣は財政のことについては相当権威を持たれて参りましたし、その点についてはあえてお尋ねするものはないのです。ところが、これは大蔵省の持っている一つの盲点でもあるわけですが、金の面についてはなかなか渋く予算をたてられておりますことは、その通りでなければならないと思います。ところが、一方、物の管理については非常にルーズだといいましょうか、管理の仕方について非難さるべき問題が非常に多いと思うのです。それは一つの例で、私は銀行の名前をあげたくはないのですけれども、徹夜でもそれを整理するというやり方、ところが、ある計算機がなくなった場合にはそれほど騒ぎにならなかった、こういう例もあるわけです。銀行はとかく金については非常に精密に神経質に取り扱いまするけれども、物件になりますると非常にルーズだという例があるわけです。あなたの直接の開銀におきましても物品の紛失がかつてあったわけです。金銭については絶対にそういうことはないのだけれども、物品になるととかくそういうことが起こりがちです。従って、どうもそういうくせが――と申しますか、そういう欠陥が大蔵省にもあるように見受けますので、この際、予算審議を通じまして、国有財産の管理についてお尋ねをしたい。これは国会におきましても比較的じみな問題ですから、分科会においてすらあまり取り上げられておらないわけです。一段と関心を深めたいと思いましてお尋ねをするわけですけれども、国有財産の増減及び現在額に関する説明書、国有財産の無償貸付状況に関する説明書が出ておりますが、そこには「これが国有財産の総括といわれるものであり、この国有財産の総括を行なうのは大蔵大臣である。つまり大蔵大臣は各省各庁の長として、その所管に属する行政財産を管理する一方、普通財産の所管大臣として普通財産の管理を行ない、さらに、国有財産の総括を行なうわけである。」という説明をしておられます。そこで一つ具体的にお聞きしたいんですが、これから二点出てくるわけです。一つは、文部省の、これは行政財産でしょうが、墓地を約七千坪ばかり持っておる。もっと詳細に申し上げますと、これを無償貸与しておるわけです。それから郵政省がため池を持っておって無償貸与しておるわけです。あなたの決算書にあるんですから、間違いない。墓地を七千坪もなぜ文部省が持たなければならぬのか。持っておって無償貸与してます。おそらく、これは墓地でございますから、ほかのものと違いまして、買い上げたときに当然その墓地は上ぐべきものでなかったのだろうと思いますが、それをあえて国有財産に編入しましたために、無償貸与しなければならぬことが起こったのであろうと思います。これはまだ大蔵省が持っておるなら別ですよ。行政財産として郵政省がなぜ無償貸与しなければならぬのかという問題です。特に文部省の七千坪なんというのは、これは調べてみると、北海道の大学の演習林の中にあるものだそうです。それならば、無償貸与しなければならぬものを――墓地ですから、将来これが廃止になるなんということはなかなか考えられない問題です。無償貸与しておくよりも、国有財産の処理として処置すべきものじゃないか、こう思うんですが、これは大臣、どうですか。一々の問題は別ですけれども、例を申し上げただけですから。○田中国務大臣 国有財産法第十九乗は、同法第二十二条を準用して、行政財産につきましても、公共団体において、緑地、公園、ため池、火葬場、墓地等に使用できる、こういうことでありますから、法律的には違法ではないということは今御指導の通りでございますが、一体文部省に火葬場までどうして持たしているんだ、学校で火葬場をもっているのはおかしいじゃないか、やるにしても、厚生省くらいだったらまだ筋が通るけれども、これは筋のお話では当然でございまして、現在大蔵省としても、文部大臣に対しまして、これを行政財産から返してくれ、そうして違法でないというだけではなくて、妥当性のあるものにしなければいかぬ、特に普通財産、行政財産の使用目的に対していかがわしきものがございます。これは東京都内にもたくさんあります。東京都に公園として貸したものに対して料理屋ができておるとか、道路を広げようとすれば立ちのき料を要求してくるとか、こういう問題がいつでも問題になります。河川敷とか外堀を埋めて、いつの間にやら店が建ってしまうとか、国会で取り上げられた問題だけでももう多数に上っております。こういうことを御指摘になっておるわけでありますので、こういう問題は大蔵省の業務の中で盲点的なものだったと言われたこともたびたびございます。私は就任後、こういうものを正さなけたばいかぬ、いわゆる国有財産法の法律的な解釈というよりも、実際運用面において十分国民の支持、理解を求め得るような体制に一大変革を行なおうということで、ある意味においては国有財産庁というものをつくって、建設省が今やっております官庁営繕の仕事等を一体にするか、アメリカのように調達庁のごときものをつくるのか、いずれにしても、法制上機構的にも問題を整備しなければならないというようには考えておりますし、法律上の条文整理等が必要であれば法律改正もあえて行なわなければならぬのだろうということを考えておるわけであります。
#97
○川俣分科員 田中さんの言われる通りなんです。言われる通りのことを、総括の責任者としての大蔵大臣が歴代放任されておった。ずいぶん国会でも指摘された問題です。それをいまだに放任しておくことは、大蔵省の怠慢じゃないかと思うのです。これが予算でありまするならば、不要額としてすぐ計上して翌年の予算に回さなければならぬ。相当きびしいでしょう。国有財産であるというとそのままに放任されておる。今、大臣のおっしゃる通り、東京都へ払い下げたもの、あるいは東京都へ無償貸与しておるものが、いつの間にやら宅地になっておるものがあるのですよ。農林省の持っておる緑地の中にも、東京都へ無償貸与しておって、それを東京都では有料に貸し付けておる。しかも宅地になっておる。立ちのきがなかなか困難だという問題が起きておるのですよ。ひどいのです。なぜ一体――一年か二年なら、手続がおくれたというようなこともありましょう。しかし、もう長年にわたっての問題なんです。いまだに処理ができないということは、これは問題なんです。私は、これは財産法上非合法だというのではない、すみやかにそういう処置については取り上げるとか、還付させるとか、あるいは有料にするとかいう処置をとらなければならぬ。財産管理については非常に無責任で放任だ、こういうそしりだけは甘んじて受けなければならぬと思う。無償というからには、公共用のものに使うということなんでしょう。そうでしょう。公園敷地を料理屋に有料で貸しておる。権利をとっておる。当然無償の対象にならないはずじゃないか。それを無償というのはどういうわけですか。だからこれは理屈じゃないのです。
#98
○田中国務大臣 国会では、御指摘の通り、戦後、不当財産取引調査特別委員会、隠退蔵物資委員会、決算委員会、予算委員会その他でもって絶えず問題になっておりますから、大蔵省当局としましても、これが姿勢を正さなければいかぬという考え方は、先ほど申し上げた通りでございます。同時に、これは観念の上からでありますが、国有財産法、それから財政法、これはまさに両々相待つ問題でございますが、財政法議論は非常に派手でございますけれども、国有財産法の議論というものは、これは非常に古い条件そのままをずっと今日まで持ってきておるというような問題、特に行政庁間の問題がありまして、返してくれと言ってもなかなか返さない。政府部内においても、違法でないが妥当性のないやり方が非常にたくさんございます。特にこういうことで大蔵省の権限というのは相当強いにもかかわらず、この問題に対してなぜ弱いかといいますと、戦前軍との関係がございましたのと、戦後のこれが処理に対して種々な問題があったということ、あまりにも問題が及びますので、これに対しては、やろうという気魄はあっても、なかなかできなかった。しかもこの関係法令だけでも、国設宿舎法までずっと入れますとそれは膨大もない構成になりますので、これは平仄を合わせるだけでも大へんな仕事であります。ではありますが、現在羽田行きの高速道路に使われました外堀を埋める、いわゆる代官掘も埋めるというような問題のときにこれが大問題になったことは、御承知の通りでありますし、特に東大わきの道路を広げる場合、換地を要求する。同じ国有財産でありながら、各省各庁及びその政府関係機関に分属をしておりますので、政府は代替地を与えるために公共事業の執行さえも相当長期間放置されるというような例がありまして、これに対して何とかしなければいかぬという問題、特に河川敷地の問題、道路、港湾その他の国有財産――これは私はこの間アメリカへ参りまして、アメリカの国有財産の問題を調べて参りましたが、アメリカは国有地というのは非常に大きいものですから、これに対しては、公共用地として提供するような場合、思い切った措置をやっておるわけです。でありますから、都市改造もできますし、それから官庁や衛星都市の建設もできますし、高速度道路の用地というようなものは思い切ってとれるわけであります。そこに非常に日本とは事情が違っておりますが、国土の高度利用、国有財産の効率的な運用をはかる場合に、当然これと取り組むべきだというので、私は大蔵省に参りますと同時にこの問題を提議をし、現在検討いたしておりますし、内閣でもこの問題を絶えず閣議で議論をいたしておりまして、あなたの御発言を契機にしましてこの問題と私も取り組みたい、こういうことを一そう真剣に考えておるわけでございます。
#99
○川俣分科員 私もっと指摘したいのですけれども、時間がありませんから、これからほんとうにやるという決意であれば、私はこの程度でやめておきます。それは国会ではいつも国会答弁でおざなりになる。管財局など、その責任を負っておる局がこれは非常に無責任ですよ。法律によって大蔵大臣が総括の管理責任者ですから、ほかの人がやかましいといったって、すべてあなたがしょわなければならぬ問題です。これは今問題になったのなら別ですよ。何といったって今の問題じゃないのですから、国会でも前から問題になっていた。大臣の指摘される通りなんです。あなたでも政府にならぬ前はこういう問題は指摘されておったのですよ。ところが、財政の方の問題については忙しく陳情があるものですから、そちらの方については非常に熱意を持っておられますけれども、一面、国有財産の管理については非常に疎漏だ。これを次の国会までに――本当は国会の審議中ですから、次の国会なんということは権威がなさ過ぎるのです。予算委員会終了までにほんとうは訂正して処理して出さるべきだと思うのです。きょうは一つかんべんしますけれども、決意のほどをもう一度確かめておきたいと思います。
#100
○田中国務大臣 私があなたの御質問に対しておざなりの答弁をしておらぬという考え方は、よくおわかりになると思うのです。これは法制上の建前の問題もある。私は、斜め読みでございますが、いずれにしても大蔵省の関係法令に目を通してみたわけでございます。一体どこに欠陥があるのか。これは国の財産を譲与する場合、貸し付ける場合、左の各号に適合する場合は貸し付けてもよろしいということにウェートを置いての法律体系でございます。ところが、その法律、命令というようなものに背反したり、他に軽用せられた場合の罰則、自動的に国有財産に還元されるとか、そういう問題は全然書いてないのです。ここにもう法体系上の重大な欠陥があるということが私はもうすぐわかったのです。これは今までの国の法律は大体みんなそんな体系をとっておる。いわゆる行政官が行為を行なう場合に準拠する条項だけを法律にしておる。だから、この間、日比谷のかどに一つございましたが、道路が広がらぬで困っているのです。それで東京都に対して、あの問題を六十日以内に片づけなさい、片づけない場合どうする、法律の改正をやろう、私はこういう考え方さえ持っておるのであります。これはまず法律に基づいて国が特定の地方公共団体等に公益上当然として無償で譲与してものを、もらったらもう何に使ってもいいのだ、こういう考え方でやられては大へんでございます。今度は公園として北の丸一帯を無償にやろうというよりな議論もございます。これは、都市公園をつくらなければならぬこと、自然公園をつくらなければならぬことはもうあたりまえでございます。この中にいろいろなパチンコ屋でも建ったら、もうこれは大へんなことでございますから、私も科学財団に必要な極小部分に限って財産審議会に諮問をいたしましたが、他のすべての問題に対しては現在未定のままにしておくわけであります。それは、もしあのようなものを在来のように国有財産法の条文に基づいて無償譲与をしなければならぬ、無償貸付を行なうということであるなら、それに対していわゆる他に転用した場合の措置、及び原型に復すべきものに対して復せざる場合の国における損害賠償の責任、こういうものを明らかにしませんと、国有財産であればもう何に使ってもいいのだ、違法でなければ妥当性はなくてもいいのだということでは、行政は正せないのでありまして、一般会計の支出となんら異なるところはないわけでございます。国の行政財産、普通財産――国有財産は国民全部のものでありますから、これが運用に対しては、もう財政法の適用と同じく、より厳密なものにしなければならぬ、こういうファイトを持っておるのでございますから、一つそれだけは御理解願います。
#101
○川俣分科員 では次に、国有財産所在町村交付金というのがございます。これは国有財産に対して課税することができないために、課税のかわりに交付金を払っているわけでございますが、この価格が、他の民間の固定資産に対する課税と比較してみてあまりに低過ぎるという非難があるわけです。ところが、一面、低過ぎてもよろしいのだ、なぜかというと、土地の値上がりを政府が積極的に認めるようなことはまずいのであるからして、できるだけ土地の値上がりになるような課税の対象になる土地価格を引き上げないで交付金を押えておくことが、土地の値上がりを押えるゆえんだ、こうも称せられております。ところが、大蔵省はそういうこともよく言うのですけれども、実際はどうか。たとえば今度は宅地その他、税金を民間から取るときには、あるいは建物の税金、あるいは土地の税金を取るときには、時価が幾ら幾ら上がったのだから、あるいはどうだからして所得があがったであろう、このくらいの高い土地に建物を建てたのだから、これくらいの収入はあったであろうというふうに、一方では時価というものを基礎にして課税の対象にしておる。その土地そのものに課税はしませんけれども、そういう土地を取得したならば、あるいはそういう高いところに建物を建てたならば、少なくともこれだけの収益が上がるであろうという計算をやっている。地価の値上がりを抑えるために交付金を押えておくというならば、課税の方でも押えておかなければならぬだろうと思います。私はその課税の問題を今対象にしているのではないのです。交付金につきましては、五年に一回か調整をしておるけですけれども、最近のように地価の値上がりが激しい場合は、五年というと相当な開きが出てくる。地方の所在町村に対する交付金です。これに対して大臣はどういうお考えでありますか。これは地方に出られておそらく陳情もあることだと思いますから、ある程度御理解がいっておると思います。そこで大臣から直接御答弁願います。
#102
○田中国務大臣 理論的な問題、地方税との関係等、政府委員から後ほど答弁を補足いたしてもけっこうでございますが、基本的な考えを申し上げますと、これはあなたが今申されたとおり、国の財産と言うものは、適正価格――というよりも、これは賃貸価格そのものが非常に低く押えられておるということと同じことであり、国が考えておる価格よりも物価の値上がりが多少急速だったというような事態においては、低く押えて、物価騰貴の原因を政府みずからがつくらない、これは国有財産の払い下げの場合も適正価格というものをそう押えておるわけであります。もう一つは、国及び政府関係機関というものがその地方に存在するということは、住民福祉の向上という、そういう根本的な問題もあるわけであります。鉄道にしろ、港湾にしろ、電電公社の建物にしろ、郵便局にしろ、そういうような状態がありまして、請願物件であったからというのではなく、国が特定の政策目的を達するために――政策目的というものは、結局その地域住民の福祉向上、産業の発展というような、基本的な国の施策を行なうためにつくられたものでありますので、安く見積もっておるというようなことも第二点に考えられます。また国有林野においては、一部において国が太政官布告以前からずっと所有しておるものは、南九州や四国のように、国有林野を地元市町村に払い下げるという場合に、非常に低廉な価格もしくは無償で払い下げるというような今の国有財産法の条文が適用せられるわけであります。保安林その他国が今持っておるものは、明治初年から百年間にわたって当時の価格でこれを買い上げて国が自分の財産として国有林野、保安林としておりますが、そのために水源涵養その他、なだれ防止や地すべり防止とか、その地域住民のために国が直接施策を行なっておる、また支出負担も行なっておるというような事情がありますので、いろいろの民間の物件に対しては、非常に安く見積もられておるというようなことがございます。しかし、これも新しい観点に立って、一体いいのか悪いのか、こういう問題は、大蔵省だけではなく、学識経験者たちの意見を聞きながら対処していかなければならぬだろう、もう今のままでもってどうしてもいいのだというふうに強弁するつもりはございません。
#103
○川俣分科員 そこで、さらにこういう説明が加えられておるのです。三ページですけれども、「登録価格は、その後の物価変動にともない時価額に修正する必要があるため、台帳価格の改訂制度を設け、五年ごとにその年の三月三十一日現在で国有財産を時価に再評価して、その評価額により台帳価格を改定している。」こう説明されております。従って、これが当然に所在町村交付金にも影響してくるであろうし、特に私が指摘したいのは企業財産についてですよ。特別会計の企業財産です。これは、一般の公共予算、国の予算のようなところでありますならば、できるだけ過大な徴収をしない、苛斂誅求にならないように、収入を上げるというわけにいかない、むしろ押えていかなければならない、減税をしていかなければならぬという方向だろうと思います。ところが、企業会計におきましては、あなた方のところでやっておられる通り、歳出については相当大胆にやらなければ企業にならないということで、たばこ等の広告費もずいぶんかけておられる。これはすぐ収入源になりますから、歳出についてはそうしぶくは言ってない。広告など何だ、きまっておる専売の広告など必要ないじゃないかといいますけれども、あれは広告するとしないでは収入に非常な影響を与えるのだ、こういうわけです。それならばあの歳出というものはむだでないということになってくるだろう。これは一般会計だと、広告費なんというものはとても――田中大蔵大臣の広告費なんというのはとても歳出に出せないものだと思いますけれども、たばこという特殊なものですから、専売ではありますけれども、やはり広告費を見なければ収入がふえないということになりましょう。従って、歳出の点については、企業会計であれば、企業成績を上げるための歳出については、一般会計、公共予算などと違いまして、寛大でなければならない――というよりも、企業利潤が上がるように、企業成績が上がるようにしていかなければならないと思うのですが、これらに対する査定も一般会計並みな査定をせられて、企業収益を上げるというよりは、企業意欲をむしろ押えるようなことをやっておられるように思うのですが、やっておられませんか、やっておりますか。
#104
○田中国務大臣 専売の問題につきましては、ただいま言われたようなことにつきまして私も十分内容を聞いておるわけでありますし、関心も持っておりますが、専売公社で必要な経費は十分認めております。これは企業ができるだけ円満に行なえますように配慮をいたしておりますので、特に過酷な取り扱いをしておるというような考えはございません。しかし、また一歩つき進んで申し上げますと、これは大蔵省で長いこと一つの中でやっておった仕事でございますし、民間の仕事のようにしてもうけなければいかぬ、利潤追求をしなければいかぬというよりも、財政収入源を得るという、いわゆる歳入源確保という問題がありますので、他の官庁がやっておる企業、他の公舎五現業よりも多少手きびしい査定をしておるのじゃないかというような気持で私どもは見ておるわけでございます。これは先ほどの加藤委員の歩積み、両建の問題と同じことで、専売局の諸君に聞いてみますと、いや、必要な予算はいただいております、こう言います。また主計局も、十分査定いたしてございますから、大臣御心配ないように、こういうことを言っておりますが、やはり他の省に対してよりも、大蔵省はみずから正そうという気持が先行しておりますので、やはり一般会計に近い観念で査定をしておるのじゃないかと言われても、言われるところはあるだろうと思う。これは徴税の方を見ればわかるのです。今どき馬小屋を改造した中に人が住んでいるというのは少ないんだ。しかし、国民から国のために税金を納めてもらっておるのでありますから特に私たちは身を正しております、とこう言っておるのですが、これは今の徴税機構や徴税の実情を私は見ますと、やはりもっと税務官吏等が国民の付託にこたえて働けるためには相当予算も計上しなければならないだろうということを、私自身が第一線を見て回って感ずるのでございますので、これは大蔵省のいいところであるし、大蔵省所管の事項といえども、より高い立場から実情に合った予算を盛るべきだという御議論も当然生まれるわけでございまして、これらに対して私自身もまじめな意味で実情を調査し、適正な予算を盛るべきだという考え方に立っておるわけでございます。
#105
○川俣分科員 時間がありませんので、先を急ぎますが、特に林野特別会計を見ますと、これはたばこのような製造と違いまして、三十年、四十年かかる森林を養成するわけであります。ところが普通の民間では植林をすることは一つの投資だと見ている。単なる歳出と見ないわけです。むしろ切ることの方が財産を減らすことなんです。ところが大蔵省の査定は、主計局もおいでになっておりませんが、常に切ることについては非常に寛大なんですけれども、歳出については非常に渋い。特に造林等については非常に渋いのです。たとえば造林の作業員と伐採の作業員とは現実に手収金倍ぐらい違うのです。それから小屋の設備も違う。歳入の上がる方の伐採夫の宿舎は割合に完備している。ところが造林夫の小屋になりますと、畳などはもちろんのこと、むしろもあるかないか、電灯もあるかないか、それほど差別をつけておる。財産をふやす方の、農業上でいえば生産事業ですが、いわゆる植林をし、保育するということについては非常に渋い査定をしておられる。切り出すのだけは奨励しておられる。従って大臣はこういうことを言っておる。今木材価格が安いために予定収入を上げるのに増伐しなければならぬ。増伐して、物価統制をして価格を下げるための増伐ならまだいいですよ。今価格が下がっておる。下がったためにさらに一定収入を上げなければならないということでさらに伐採量をふやしていっている。財産を減らすことには割合に寛大だ。収支を償わせる。ある木だから切ったっていいじゃないか、切ったならば、そこに造林しなければならない。それでなければ財産のバランスがとれなくなる。特に最近のように水資源の問題がやかましくなって参りますと、この水資源確保のために新しい施設を講じなければならぬだろうと思うのです。工業用水にいたしましても、上水道にいたしましても、もちろん都市に偏重いたしておりますけれども、供給が不可能な状態に陥っておる。あるいは消火装置も十分に活用できないという状態まで水源を枯渇している。これをどうして培養するか。今までは単なる水源保安林として山があればいいのだ、こういうだけの考え方だけではなくして、もっと水の保有量をふやすような、外国でもやっている拡水方式というような施設を講じて、常に水を水源地においてたたえておくという方策をとらなければならぬ。こういう予算につきましては、なかなか大蔵省が新規要求だということで試験をすることですら渋いようでございます。そうでない水はどうするか。工業用水のためには予算を組む、あるいは上水道のためには予算を組む。水のないのに幾ら予算を組んだって、これはぶんどりのし合いだけだ。ぶんどりのための予算は組ませる。それが供給をする源泉地に対する予算については渋い。これは私、前の予算委員会で大臣に質問したことなんです。林野の管理規程あるいは経営規程にはこれらの施設ができるようになっておりますが、なかなか企業的にも必要なこれらのことがやれないでおる。おそらくもう四十年後には木材は枯渇するかもしれぬほど伐採量が多過ぎるといわれておる。今にして補充の策を講じておかなければならぬ。国土保安の上からいっても、水源地培養の上からいっても、何らかの施策を講じていかなければならなくなってきておる。こういう意味で大臣の所見を一つ伺っておきたい。
#106
○田中国務大臣 じみな問題のようでございますが、国家百年のためには非常に重要な問題であります。私も常にこのような問題には趣味を持っておるとさえいわれるくらいに、国土保全、治山、水源涵養という問題に対しては取り組んでおるものでございますが、こういう将来の問題に関しては、長期投資というより高い立場で歳出計画の中で重点を置いて考うべきは当然でございます。これは戦後つくられた企業会計、いわゆる公社、公団その他すべてのものにいわれるのですが、独立採算制というようなものをあまり強調されて、出先はもう国有林野であり、また特別会計になる以前の先人が歩いた道を忘れてしまって――忘れるというよりもやはり数字でもっと追いかけられてしまうので、結局は与えられる予算の範囲内でまかなう、また足りない場合は何らかその中でもって切り抜けよう、幾らかでも残そう、こういうことが本来の目的を全く曲げておるということもあり得るわけでございます。特に国土保全や水源涵養という問題は、これは大へんな問題であり、木材の価格安定や木材の事情等によって増伐その他が左右せらるべきことは、これは国有林野そのものからというと本末転倒な議論であります。それよりも国土保全という問題にウエートを置いて再検討すべきだと思いますので、これらの問題に対しては私もそういう思想で長いこと検討を続けてきましたので、林野当局、農林省、大蔵省とも十分連絡をとりながら、ただ数字に上だけバランスをとるというような考えではなく、国土保全の実をいかにしてあげ得るかということに対しては、長期見通しに立って考えたいと存じます。
#107
○川俣分科員 大体これで終わります。
#108
○櫻内主査 午後二時より再開することとし、この際暫時休憩といたします。
  午後一時十八分休憩
  ――――・――――
  午後二時十八分会議○櫻内主査 休憩前に引き続き会議を開きます。
 大蔵省関係について質疑を続行いたします。滝井義高君。
#109
○滝井分科員 まず私のお尋ねいたしたい点は、最近生命保険会社が健康保険を計画しようとしておる点でございます。私的健康保険でございますが、これについて御存じの通り、日本では健康保険は、政府管掌の健康保険と組合管掌の健康保険と二つあるわけです。最近損害保険会社が傷病、盗難、火災等を含めた総合保険を始めております。現在日本の健康保険は従ってまだこういう保険の対象になっていないわけです。いないその健康保険に対して、生命保険会社が生命保険会社だけではもはや開拓分野が限界にきておる。そこで新しい種類の保険をつくらなければならぬというので、私的健康保険に乗り出そうとする傾向が出てきたということを新聞その他も報じているわけです。これはヨーロッパ諸国、特にアメリカ等においては、御存じの通り、日本と比べてはるかにお金持ちが多いものですから、政府の健康保険というものはほとんど発達していないわけです。そこで私的健康保険が異常な勢いで発展をしております。多分七千万くらいアメリカでは加入しているんじゃないかと思いますが、一体大蔵大臣として、御存じの通り現在政府管掌の健康保険にしても、あるいは国民健康保険にしても、国民皆保険制度は樹立をせられたけれどもまだ魂が入っていない、そういう段階で生命保険会社が健康保険に乗り出してくるということについては非常に問題があると思うのですが、生命保険業界を指導監督としていらっしゃる大蔵大臣としての基本的な考え方をまず表明していただきたいと思うのです。
#110
○田中国務大臣 保険業界で健康保険問題に対して議論がありますことは承知をいたしておりますが、この問題に対しては、まだ全く調査の段階でございまして、外国における健康保険の問題、社会保険の中における健康保険の問題、政府管掌保険との関連、その他いろいろ分野にわたって検討をしようという動きだけでございまして、現在まだ大蔵省にこの種のものに対して事前に意見を求めたり、また業界としてのまとまった意向は提示をせられておりません。ただいま滝井さんが御発言になられたように、これらの問題は、わが国の保険制度の中において、民営保険の分野に対して十分検討を要する問題でありまして、直ちに保険業界が民営健康保険にまで踏み出すということが一体保険業界の育成強化になるのかどうか、またいろいろな問題等が含まれておりますので、これらに対しては、大蔵省としては別の角度からこれらの問題が提起をせられた場合を想定して種々検討いたしておる段階でございます。
#111
○滝井分科員 御検討になっているとすれば、一体日本において生命保険会社が健康保険をやるという場合に、どういう点に問題点があり、政府としてどういう点で問題点があるのでこれをチェックをするのか、それとも促進をするのか。聞くところによりますと、三月末までくらいには生命保険会社として政府に許可の申請をしたい、こういう具体的な報道まで出ているわけです。事実私の知っている限りでは安田生命がすでに認可申請をやった事実もある。最近何か、それは生命保険業界に対して独走するものだといって、他の保険会社から非難をこうむって取り下げたということも聞いているのであります。これは大臣、日本の社会保障の伸展の上にきわめて重要な関係を持つ問題ですから、大蔵省がおやりになっておるとするならば、その検討の段階の問題点くらいを少なく明らかにしておいていただきたいと思います。
#112
○田中国務大臣 先ほど私が申し上げたように、検討中であるというようなことは少し行き過ぎのようであります。これはあなたが言われた通り、こういう問題は業界で波紋を描いているという程度のことでありまして、大蔵省に対して意見を求めたり、また業界側の考え方もまとまっておりませんので、大蔵省に提示をいたしておりませんので、これが大蔵省に対する提示等を持って慎重に検討したいということでございまして、確たるこの問題に対する結論は現在まだ持っておりません。
#113
○滝井分科員 前の答弁では、カタツムリが頭を出しておったけれども、今の答弁では、頭を引っ込めたようですね。財政投融資の中で生命保険の借入金がことし二百九十億あるわけですね。現在生命保険が損害保険業界に負けないように私的健康保険を生命保険制度の中に取り入れようとする構想を持つに至るためには、相当の金の余裕が出てこなければ、こういう考え方は起こらないはずです。一方、金の余裕ができてくる、一方においては生命保険業界としての行き詰まりが出る、こういうことから新しく業種を開拓しよう、こういうことになってくるわけです。一体現在生命保険というものには、その純投資の残高がどの程度ありますか。
#114
○田中国務大臣 事実問題でありますので、政府委員をして答弁せしめます。
#115
○柏木説明員 昨年九月末におきます生命保険会社の総資産は一兆五百六十九億円でございます。
#116
○滝井分科員 三十七年九月末一兆五百六十九億円ですね。相当莫大な金があるわけです。そうしますと、これが一年に大体どの程度伸びていきつつあるかということです。含み資産としてどの程度伸びていっておるか。
#117
○柏木説明員 大体二千二、三百億円はふえております。
#118
○滝井分科員 大臣お聞きの通り一兆こえる資産を持ち、それが二千三百程度伸びる、こういうことになりますと、一体この金をどうするかという問題も起こってくるわけです。それからそんな急速な伸び方をしていくということになれば、やはり新しい分野の開拓をしないと、これは膨大な機構と人員を持っておるわけですから、そこでまず住宅が問題になってくるわけです。そこで生命保険会社は住宅について新しい保険をつくろうと企図したことがあるわけなんですが、これについては田中大蔵大臣どうお考えになっておりますか。
#119
○田中国務大臣 生命保険会社が住宅に対してどういう貸し出しをするか、また住宅保険を作るかという問題に対しはなかなかむずかしい問題もございます。外国ではどういうことをやっておりますかということをまず申し上げればわかるわけでありますが、外国では生命保険会社、損害保険会社等の余裕金の運用に対しては、法律をつくって住宅部門に重点的に投資をせしめておるという例はございます。イタリア等では、非常に都市改造を行なったり、高層の労務者住宅等をつくっておりますものには国有地を提供したり、不動産取得税を免除したり、また固定資産税の減税等を行なうことによって、生命保険会社及び損害保険会社の健全な財政運営をはかるとともに、これが住宅建設に寄与せしめておるということが一つでございます。これは環境をよくするために火事がなくなる、火事はなくなるけれども、自分が作った建物ですから、火災保険は自動的につけるということになりますし、環境がよくなるので、その中に入っておる人は生命保険には加入しますが、長生きをする、こういう一石三鳥というようなことでやっております。日本は戦後御承知の通り産業投資という面に相当資金が活用せられましたが、今になってみると、協調融資ということでもって生命保険会社がこれから新しい立場において剰余金その他を不特定多数の産業に投資をすることがいいか悪いか、また、より合理的であるかどうかというよな問題がございます。住宅金融に対しては、住宅公団等に対しての貸付、出資を行なっておるようなことで、現在の段階においては、画期的なものではございませんが、相当程度住宅施策に貢献をいたしております。新しい住宅保険というものが、どういうふうに発足するのかという題問に対しては、現在まだまとまった考え方を持っておりません。
#120
○滝井分科員 そうしますと、生命保険会社は一兆円をこえる含み資産を持ち、年々二千三百億程度財産が増加をしてくる、しかも、生命保険だけでは行き詰まるということになれば、どうしてもやはり新しい保険をつくって、さらに生命保険の普及を助長する政策をとらざるを得ないと思うのです。私は、今のような説明から、今客観的にそういう情勢が出てきておると思うのです。そうすると、あなたの言われるように、ヨーロッパ諸国では住宅をやっておる。あなたもおそらく住宅は得意のところだろうと思いますが、私がちょっと調べたところでは、どうも日本では住宅はペイしないような感じでするわけです。だからこそ、生命保険会社は積極的にやらずに、今度生産性本部を中心としたアメリカ、西ドイツ等を見て回った結果、これはやはり住宅よりも健康保険の方がいいような感じがするということを持って帰って、あの報告書を出したと思うのです。従って、何かそこらあたり、どうも私の見るところでは、住宅はちょっとペイしにくいような感じがするということになると、皆保険政策のもとで、今非常に不満があるのは、政府管掌の健康保険なり国民健康保険については、給付率が低いからというので、非常に不満を持っておるわけです。特に中以上の階層、五十五才で定年で退職をすると、あとは貧弱な国民健康保険にいかなければならぬ、こういう不満があるわけです。そういうところに目をつけたのが、アメリカあるいは西ドイツ等を見て回った生産性本部の諸君ではないかと思うのです。そこでこれは生命保険でやろうということで、安田生命がまず先に大蔵省に申請をしたのじゃないかと思うのです。そこらあたりはむしろ隠さずに、大蔵省の見解を先にきちっとしておく方がいい。生命保険会社その他がやって、さあやれやれと言い出してから、今の貧弱な社会保障に生命保険が加わってくるということは困るのです。どうして私がそれを主張するかというと、実は昨年あなたの方は、厚生年金の変形である企業年金を法人税でやってしまったでしょう。現在退職金の支払いというのが、企業にとっては非常な圧力になってき始めたわけです。賃金総額の、どんなに低く見積もっても五%、少しよけいに、正確に見積もっていくと、これはおそらく七%か八%になるのじゃないかと思う。そこで、企業が二百万、三百万の退職金を一挙にとられることは大へんなので、これを分割払いしておったわけです。ところが分割払いにするというなら、十年の分割払いを十年の有期の年金にする、こういう構想で、租税特別措置法によって恩典を与えようとする作法を出してきて、そうして昨年われわれが負けまして、これが大蔵委員会を通ったのです。私は大蔵委員会にいて、だいぶがんばりましたけれども負けたのです。そうして無期年金はやらぬ、有期だけだということで、有期年金にしたわけです。老後を保証する長期の年金に、すでに政府管掌の厚生年金と企業年金と、こう二つ出てきて、さあ厚生年金の改革をやろうとした場合に、この企業年金が前に立ちふさがって、厚生年金の前進ができないでおるわけです。厚生省は今度の国会に厚生年金法の改正を出したいのですが、日経連その他の強い反対で出すことができなくておる。なぜならば、日経連としては、資本家側としては、厚生年金にも金を出しておる。二つ出すのでは企業は大へんだということで出してないわけです。ところが今度もし、政府管掌の健康保険の保険料は折半原則ですが、これを生命保険会社が、いわゆる生命保険に加入できる可能性もある、財力を持っている人たちだけをこの私的健康保険に生命保険と一貫をして加入せしめていくことになれば、もう日本の健康保険制度、社会保障というものは貧乏人だけのかたまりになって、これは今の池田内閣の状態ではなかなかこういうものに金を出さない、こういう問題があるわけです。そこですでに老後を保証する長期の保証体制の中においては、企業年金がくさびを打ち込まれております。そうすると短期の保険である医療にもし生命保険会社が入ってきて、そうしていいところだけつまみ食いされてしまったら、もう日本の社会保障はおしまいですよ。だからこの点を一体どう考えているのか。これはもうきめてしまってからまた出たのでは、社会党は力が弱いのですから負けてしまうのです。そこで前もってわれわれとしてはこれははっきりさせる必要がある。あなたの方の研究がもう固まってしまってからではだめなんです。これは大蔵省は研究していないことはないのです。私調べてみたら、銀行局その他でちゃんとやっていますよ。そうしてこういう膨大な報告も出ているのですからね。「生命保険のマーケッティングとPR」という本がちゃんと出ているのです。こういうものが出ているのだから、大蔵省の勉強家がやらないはずはないのです。もう安田生命は現実に一ぺん出したのです。だからこれは大臣が少し研究不足ならば、事務当局でもけっこうですから、一体あなた方の検討段階における問題点はどこにあったかということを一つはっきりしておいていただきたいと思うのです。それを私がどうして自信をもって言うかというと、厚生省の保険局当局はもう私に答弁をしておるのです。こうしてやっておりますということを答弁しておる。今大蔵省でもやっておりますという答弁をしておるわけですからね。今大臣の方で、初めは検討しておると言っておったけれども、しておらぬと言っても、ほかの方からうそはちゃんとばれてしまっておりますから、この際、大臣がそこまで御研究になっていなければ、事務当局でけっこうですから、一つ問題点を明らかにしておいていただきたいと思う。
#121
○柏木説明員 昨年、生産性本部関係のチームが参りまして、アメリカにおきます生命保険のマーケッティングその他いろいろ研究して参りました中に、今お話しの民営健康保険の研究がございました。この生産性本部チームは日本でもそういうふうな健康保険をやるということが非常にいいのではないか、特に今後生命保険を伸ばすためにはそういうものとあわせてやるということが非常に有意義ではないかということでございました。その生産性本部の報告書を私どもも見ておりますが、保険業界の方から、その問題について役所でこうしてほしいという具体的な話はまだ聞いておりません。それにつきましては、まず業界の中で、その生産性本部チームの報告書を中心というか、それを出発点として研究するための委員会を作って目下研究している段階である、そのように私は聞いております。まず外国における健康保険がどうなっているか、その法制なり実情をつかむということ、日本における社会保険としての健康保険との関係をどういうふうに考えるかとか、いろいろ問題があったろうかと思いますが、それは目下研究している段階でございまして、役所の方に具体的にどういうふうにしたいというような話はまだ聞いていないのでございます。
#122
○滝井分科員 こういうPRの書物ですね、こういうものをあなた方も御研究になっておると思うし、それからすでに住宅等については大臣も相当御研究になっておるわけです。住宅を研究すれば、当然西ドイツもやっているのですからね。もう西ドイツにしてもアメリカにしてもやっているわけですから、これは当然専門家のあなた方としては、この私営健康保険、民営健康保険について研究されておると思うのです。一体、大蔵省の見方としては、日本の実情において、こういうものがきた場合に問題点というものはどういうところにあるとお考えになりますか。
#123
○柏木説明員 日本におきましては、御承知のように、社会保険としての健康保険が非常によく発達しておる。これはアメリカとその点非常に事情異にするのでございまして、アメリカでは、御承知のように、社会保険としての健康保険はございません。従ってその生産性本部チームの報告も、アメリカが中心でございますので、実は日本の実情から見れば必ずしも参考になるものではないと思うのでございます。従いまして、もちろん私どもとしまして日本における民営の健康保険を考えます場合には、やはり社会保険との関係をどういうふうに考えるのか、それが一つの大きなポイントではないかと思います。それからもう一つは、やはり健康保険というものが一体日本で事業としてやっていけるかどうか、民営保険というものは企業的に運営しなければならぬという場合に、企業としての民営保険というものがうまく成立するのかどうか、さらにそういうふうな保険というものがどの程度の必要性があるのかどうか、そういうような点も十分研究を要するものかと存じます。従いまして、生産性本部チームのレポートがあるから直ちに日本でやらなければならぬというような問題ではなくて、そういう民営の健康保険というものが日本の実情から申しまして一体どの程度必要なのか、どの程度できるのか、そういうことを十分考えて結論を出したいと存じます。
#124
○滝井分科員 そうしますと、生命保険業界の実態としては、今すぐやる情勢にはありませんか。たとえば三月末とか四月末くらいに認可を申請するという情勢にはないわけですね。
#125
○柏木説明員 三月末とか四月早々というようなことはとても無理だと思います。
#126
○滝井分科員 それでは一つ十分慎重に御研究になっておいていただきたいと思います。いずれ機会を改めてこの問題はなお質問をいたしたいと思います。
 それから次に移りますが、国債整理基金特別会計に一般会計から千百六十一億余りの金を入れているわけですね。一体この千百六十一億はどういうものか、それをずっと、ちょっと読み上げてみてくれませんか。
#127
○稲益政府委員 お尋ねの千百六十一億と申しますのは、国債整理基金特別会計が一般会計から受け入れる資金であります。
#128
○滝井分科員 何の目的に幾ら……。
#129
○稲益政府委員 歳入ではありますから目的というあれじゃございませんが、一般会計から入って参りますものは、千百六十一億のうちでは大部分を占めますのが前々年度の決算剰余金の二分の一、これが千六十七億円であります。内訳を申し上げますと、ただいま申し上げました剰余金の繰り入れが千六十七億円、それから国債利子の一般会計からの繰り入れ八十五億、これは内国債と外貨債の利子両方含めております。それから大蔵省証券の割引差額、これが六億でございます。それから国債事務取扱費、事務費であります。これが二億七千万円、以上合計でございます。
#130
○滝井分科員 そうしますと、その大きな歳出は何ですか。
#131
○稲益政府委員 大きな歳出は国債の国債の元木の償還費、それから利子支払い…。
#132
○滝井分科員 それは幾らですか。
#133
○稲益政府委員 三十八年度で現在予定いたしておりますものを申し上げますと、償還計画、一応の予定でございますが、内国債関係で四百九十五億、外貨債関係で二百十三億、合計いたしまして七百十億、これを現在のところ三十八年度での償還予定といたしております。それから実は七百十億と申し上げましたが、ごく最近に例の未亡人の交付国債が出るわけでございます。これがどの程度になりますか、まだ算定が実は困難でありますが、かりに四十三万人でありますか、口数に初年度一万円出るといたしますと、約四十億ほどこれに加わる、従って七百五十億程度になろうかと存じます。
#134
○滝井分科員 実は私が聞きたいのは今の点なんです。いわゆる未亡人の給付金ですね。国債整理基金の――われわれがもらっているこの予算書のどこを探してもわからぬのですよ。そうすると、千六十七億の中から内国債四百九十五億ですから、四百九十五億に四十億を足すのか八十億を足すのか、もし二万円やれば八十億になるし、一万円ならば四十億そこそこになるわけです。そこで私はきょうは田中さんにそこを聞きたいのです。幾ら一体あなたはお出しになるつもりなのかということですね。
#135
○田中国務大臣 今年度は一人一万円程度ということでございます。
#136
○滝井分科員 それはちょっとおかしいのですよ、法案で十年均等償還になっているんだから、法律では均等償還といいながら、大蔵大臣が勝手に、それはことしは一万円だというわけにはいかぬのです。
#137
○田中国務大臣 予算年度において十ヵ年というのではございませんで、実質十ヵ年間でというのでございますから、今年度の十月ないし十一月からいえば、ちょうど十ヵ年、百二十ヵ月目に、十二ヵ月に対して二万円ずつ均等できればいいという考え方でございます。
#138
○滝井分科員 そうしますと、ことし四十三万なら四十三億になるわけですが、四十三億出して、そして来年か再来年かあるいは十年目には三万円出すことになるのですか。
#139
○田中国務大臣 こまかい問題でございますから、政府委員をして答弁せしめます。
#140
○稲益政府委員 現在のところ年二回の償還を予定いたしておるわけであります。そうしまして三十八年度に一万と申し上げましたのは、法律の施行が四月一日になりましても、国債が発行の手続その他の関係で一ヵ月くらいずれまして、今のところ一応五月一日になろうかと思います。そういたしますると、最初の年度はその一回分だけがくる。従いまして次年度以降は年二回償還が行なわれるわけなのであります。従って二万円ずつになるわけであります。
#141
○滝井分科員 そうしますと、最後は三万円になるわけですね。一万円ずつでは一万円足らぬことになる。
#142
○稲益政府委員 ずっと年限で申し上げますと、十年ですから、つまり三十八年十月三十一日に一万円が始まるわけであります。そういたしますと、年二回をずっとやって参りますると、四十八年四月三十日に最後の一万円が出る、こういうことになります。
#143
○滝井分科員 わかりました。一万というところが二度あるわけですね。そうしますと、これは利子はつかないのですか。
#144
○田中国務大臣 無利子でございます。
#145
○滝井分科員 国債に利子のつかぬ前例はありますか。
#146
○田中国務大臣 今年度は国会の議決を経て無利子にいたしたい、こういうのが政府提案でございます。
#147
○滝井分科員 国債に利子のつかない前例はありますか。
#148
○稲益政府委員 通常の場合はございません。ただ、いささか例が違うかと存じますが、例のIMFに対する出資国債、こういったものは無利子でございます。
#149
○滝井分科員 わかりました。IMFと未亡人とはどうもあまり結びつかないけれども、それを聞いておけばいいです。日本でやった前例は、こういうのにはないでしょう。――そうしますと、これは記名ですか無記名ですか。
#150
○田中国務大臣 記名でございます。
#151
○滝井分科員 そうしますと、今四十億お出しになると言いましたが、これはあとにきまったわけですね。予算上四百九十五億の内国債と二百十三億の外国債、七百十億ときまった中には入っていないわけです。そうしますと、千六十七億から七百十億のほかに四十三億の金をぽっとここにつけてくると、国債の償還上支障を来たすことがないかどうかという点です。
#152
○田中国務大臣 支障はございません。
#153
○滝井分科員 そうすると、あとの残りは今までどういう予定にしておっらのですか。それをちょっと説明して下さい。
#154
○田中国務大臣 国債整理基金は先ほど申し上げました通り、財政法の規程に基づきまして前年度決算剰余金の二分の一を繰り入れるということになっておりまして、これは歳出を全部予定しなければならないというのではないわけでございます。でありますから、三十八年度に歳出が予定せられておったものは大体七百十億円程度だと言っておりましたが、その上なお進んで国債償還を行なおうとすることもできるわけでありますし、なお予定をいたしておっても、その後の日銀との話し合いによって借りかえもできるわけでございますし、そういう意味で剰余金は後年度の国債償還その他国会で議決が定まったものに対しての支出に充てられるという性質のものでございます。
#155
○滝井分科員 社会局長いらっしゃっていますか。――ちょっとお尋ねしますが、この四十三万の対象者の中に、生活保護の関係者というのは、どのくらいおりますか。
#156
○大山(正)政府委員 今回の特別給付金の対象になります人のうちに、生活保護該当者が何名かということは的確な数字は私どもの方でもただいまのところつかむことができません。一応この年齢階層におきます保護率から推計いたしまして大体八千人ないし九千人であろうという推計を一応いたしております。
#157
○滝井分科員 日本の母子家庭というものは他の世帯に比べてその保護率は四倍くらいですよ。非常に高いわけです。そこで大蔵大臣に尋ねるわけですが、この八千ないし九千の生活保護家庭と推定をされる未亡人については併給をするかどうかということです。これは併給するかしないかによって国債整理基金から約一億の金が出るかでないかの問題に関連してくるわけです。
#158
○田中国務大臣 本件法律の提出は厚生大臣が提出をすることになっておりますので、厚生省政府委員をして答弁せしめます。
#159
○大山(正)政府委員 私からお答え申し上げます。ただいま併給というお話でございましたが、結局これを収入として認定するかどうかという形の問題になろうかと思います。私から申し上げるまでもなく、生活保護制度のもとにおきましては、あらゆる収入が認定されまして、その一定の基準に対して足らない部分について保障を行なうということになっておるわけでございますので、原則としてはあくまであらゆる収入が収入認定になるという建前でございます。ただ、今回の特別給付金の性格にかんがみまして、ある特定の場合等に運営上何らかの例外を認めるべきではあるまいか、かように考えまして、目下検討中でございますが、省内でまだ結論を得ておりませんので、早急に結論を出したい、かように考えておる次第でございます。
#160
○滝井分科員 そうしますと、特定の場合にだけ運営上の特例を認めよう、こういうことだと、全部収入認定をしないということではない、こういうことになるわけですね。
#161
○大山(正)政府委員 まだ事務的な検討段階でございますので、あまり具体的なお答えは差し控えた方がよろしいかと思いますが、私ども事務当局の考えといたしましては、今回の給付金の性格にかんがみまして、たとえば戦没した夫の慰霊を行なうというような場合、そういうような特定な場合にはこれを収入認定することは適当ではないのではないか、そういうような場合についてどのような場合を考えるべきかを目下検討をいたしております。
#162
○滝井分科員 なかなか事務的ですけれども、これは収入認定するかしないかということで一億円違うわけですよ。これは国債整理基金から出ていったものがまるまる本人に入るか、それとも収入認定すれば、生活保護費の方が一億円余ることになるわけです。従ってこれは重要な予算との関連ですよ。きょうこれは答弁できなければ困るわけです。こんなものは、政府が態度をきめるまでちょっと予算は待ってもらわなければならぬということになるわけです。だからそこを一つ大蔵大臣からはっきりしてもらいたい。
#163
○田中国務大臣 生命保護法の趣旨から申しますれば、収入認定すべきでございますが、過去におきまして弔慰金を交付いたしたことがございます。一件五万円のいわゆるお灯明料ということでございますが、この場合は収入認定をしなかったわけでございます。特に法律の建前からいいますと収入認定すべきではございますが、また、することを法律の建前上きめるのは簡単でございますが、少なくとも問題が生活保護を受けておる人の収入というものに関する問題でありますので、法律通りしゃくし定木に政府の腹を決定するということではなく、未亡人加給という問題の性質上、できるだけ優遇措置を講じたいということで今せっかく検討しておりますということでございますので、あなたがこれを収入認定するとかしないとかいうことをきめなければ、予算審議に重大の影響があるというものではないように考えております。
#164
○滝井分科員 そうではないわけです。これは収入認定をすれば生活保護費、一億円余ってくるわけですから。そうすると、生活保護費を一億円だけ削減しなければならぬわけです。
#165
○田中国務大臣 これは足らない場合は困りますが、生活保護というのも、三十八年度予算編成当時の確定したものにだけ生活保護を行なうのではなく、日々生活保護基準に達する人があればこれを拾い上げていくというのでございますから、一応の積算基礎は御承知の通り、予算編成時における人員をもって単価を乗じ積算をしておりますけれども、これを収入とした場合、一億円減額しなければならないというものでは、予算の性質上ありません。
#166
○滝井分科員 田中さん、ここは一つ、やはりお互いに政治家ですから、あっさり認定をしないならしないということにしてもらう方がいいのですよ。するがごとく、せざるがごとくでは困るのです。だから、しないならしないと、こうはっきりしてくれればこれで問題は片付くのですよ。ところがするがごとく、せざるがごとく言うから、した場合としない場合では異なりますよ、とこういうことになるのですよ。
#167
○田中国務大臣 ちょっと待って下さい。――先ほども申し上げましたように、法制の建前上、原則としては認定すべきでございますが、先ほども申し上げた通り、この種の案件の非常に人道的な、また問題の重要性を考えまして、できるならば除外例が設けられないかということを今せっかく検討いたしておるのでございます。しかしこれをまた認定をしないというようにした場合、他の恩給その他いろいろな問題に対する原則を一体どう変えるのかという問題もありますので、法律案を提出し、その審議が始まるまでには当然政府も確たる法律的な解釈根拠を持ちたいと考えておるのでございますから、きょうのところ、あなたがどうしてもということになれば、認定をしないというふうに答える以外にないわけでございますが、そこは一つ、いろいろな問題として今検討中であるということでございますので、この問題の結論につきましては、暫時御猶予をお願い申し上げたい。
#168
○滝井分科員 あなたがどうしても答えよというなら認定しないということを言うしかないというのなら、それでいいのです。認定しなければ、それでいいのですよ。認定しなければ本人の収入になるのですから、生活保護の認定をしなければ本人のものになってしまうのだから、いいわけです。
#169
○田中国務大臣 全く逆でございまして、あなたがどうしてもといえば認定をするということしか答弁できない状態でございますが、私が先ほども申し上げております通り、政府もこの問題に対しては慎重であり、受ける人たちも戦災未亡人であるということに対して何らかの方法はないかということさえも苦慮しておるのでございますから、一つここで私が確たる御答弁をしないということをもって追い詰めないようにお願いを申し上げたいということを申し上げているわけであります。
#170
○滝井分科員 まあ大体腹は読めました。読めましたからあれしますけれども、まあ一つ前向きの形でやっていただく、どうして私がこれを積極的に言うかというと、こういう非常にお気の毒な人たちに対して、今の生活保護というのは非常に峻厳苛烈に収入の認定をやっていくわけです。従ってこれらの未亡人の皆さん方に、年額二万円ずつ十ヵ年間定期的に入ってくるのだから収入だというのが原則ですよ。ところがこれはそういう原則だけれども、政治というものにやはりヒューマニズムがなくてはいかぬから、そのヒューマニズムを発揮する意味でやはり私はここで言ってもらいたいというのです。しかしこれは主管の厚生大臣もおりませんから言いませんが、田中さんが政治的責任をもって前向きでやるということで、今御答弁の中に言外にそれが現れておりましたから、そういうことでこれ以上責めないことにいたしましょう。
 次はもう一つあるのですが、それは一体この交付公債は沖縄に適用するかどうかです。これはいつも前もって問題にしておかぬと、金を出すことになってからキャラウエーさんから文句を言われて日本はよたつくですからね。教科書と同じです。これは一つはっきりしておいて下さい。
#171
○田中国務大臣 沖縄も日本人でありますから適用いたします。
#172
○滝井分科員 これで大体未亡人の問題はいいです。あとこまかいことは法案のときに聞きます。
 次は厚生年金の還元融資の問題についてでございます。財政投融資の総論的なことはあとでお尋ねさしていただきますが、昭和三十五年の三月でございましたか、当時の内閣総理大臣の岸信介さんに対して、私還元融資の問題について質問をいたしたのです。ところが岸さんが直接被保険者の福祉の増進のために、現在は一割五分程度毎年蓄積されてくる金の中から――現在は一割五分程度被保険者の福祉のために使っておるが、今後はさらにこれを増加をしていきたいという答弁をしたわけです。その後三十五年の九月六日に、資金運用部資金運用審議会が答申をしております。この答申によりますと、直接被保険者のための住宅、病院、保健厚生施設等の整備にそういう金を充てられているが、このような被保険者に対する直接還元の要望がきわめて強いから、従来のワクである一割五分を二割五分にしたいという意味の建議を、これは大蔵大臣、厚生大臣等にしておるわけです。ところが、この厚生年金保険積立金還元融資、国民年金特別融資の実態を見ますと、三十六年において約四十五億、三十七年において五十四億、三十八年において六十億が一般地方債に回されておるわけです。これは明らかにこの建議にも反するし、岸総理がわれわれに言明したことにも反するわけです。もっと正確に言うと、実は医療金融公庫等についても問題のあるところなんです。これは三十六年で二十億、三十七年で二十四億、三十八年で二十五億、こう持っていっているわけです。その建議と違った方向にこれを使うということは、非常に迷惑をするわけです。大蔵省は一体どうして一般地方債なんかにこういうものを持っていくかということなんです。財政投融資計画の中で。
#173
○稲益政府委員 ただいまお話ございましたように、三十五年度にそういう答申が出ております。従いまして、私どもといたしましても、こういったいわゆる還元融資、特別融資、これを二五%程度で委譲して参りたい。お尋ねの一般地方債でありますが、これは一般地方債のうちでも、こういった還元の趣旨の非常にはっきりしております分野があるわけでありまして、たとえば清掃関係でありますとか、あるいは簡易水道、上水道といった国民生活に非常に密接な関係のあります分野、こういう方面に出しておりますものは、やはりこれは一つの還元だという考え方で、一応従来ともに私どもそういう計算をいたしまして、大体答申のご趣旨に沿った運用をいたしておる、かように考えておるわけでございます。
#174
○滝井分科員 直接被保険者の福祉に関係するものをそういう一般地方債における分野まで広げていくことになると、限りがなくなっちゃうわけです。そこで私は、やっぱりこういう点は年金福祉事業団の住宅、病院、厚生施設――それから御存じの通り、特別地方債というのがあるわけです。これにおいても、住宅及び生活環境で上下水道なり汚物の処理なんかには、特別融資で、それから同時に特別地方債で出ていくわけです。生活環境の整備のために出すわけですから。そうすると、また今度は一般地方債でやるということは、どうも還元融資の本来の二割五分という目的に反する。なおあとに7割五分残っておるわけですから、それでおやりになったらいい。現在そういう還元融資の組み方をするために、労働者諸君が住宅を申し出、あるいは体育館や会館を申し出ても、借りられないわけです。あとで触れていきますが、こういうものは私は折り目を正す必要があると思うのです。直接被保険者の福祉に関係するところに持っていくという形にすべきじゃないかと思うんです。そういう点で今年たとえば国民年金と厚生年金の還元融資を合わせますと、一般地方債は国民年金を入れて八十一億あるわけです。厚生年金だけならば先ほど言ったように六十億です。こういう約百億に近い金を総額五百億ちょっと、五百二十二億ぐらいしかない中からその五分の一近くもとられるということは、非常に私は問題だと思うのです。こういう組み方というのは、私はきわめて不明朗だと思うのです。今、労働者諸君は厚生年金の奪還闘争というものをやっておるのですが、結局自分たちの福祉に直接来るところがないわけです。当然政府は、清掃とかあるいは上下水道というのは、むしろ一般会計から出すべきものなんです。それを労働者のこういうなけなしの金を積み立てた、血の出るような福祉の金を持ってこなければそれをやれないということ自体が、私は政策の貧困を表わすと思うんです。大蔵大臣、どうですか。ことしはこういう形になっておるのですが、一般地方債にまで厚生年金なり国民年金の還元融資をとることは問題だと思うんです。しかも、答申の建議の趣旨にもこれは反しておるわけです。
#175
○田中国務大臣 御説の問題につきましては、多少議論せられてきておる問題でありますが、ただいまの御発言もございますので、昭和三十九年予算編成までには十分政府側でも検討いたします。
#176
○滝井分科員 三十九年のときには検討するということですから、保険局、よく一つ覚えておって下さい。今の発言を赤まる二重くらいつけて覚えておいてもらいたい。あなたの方だってだらしがないですよ。あれだけ声を大にしてわれわれが獲得したのに、いつの間にか予算折衝では、三十六年以来毎年一般地方債が計上せられて、しかもそれが年々増加してくるということは、非常によくないことだと思うんです。ぜひ一つ気をつけておいて、今も大臣は三十九年に検討するというから、ふんどしを締め直して検討してもらうようにお願いします。
 次は公共投資ですが、少し一般論を聞きたいわけです。予算というのは一国の顔だと言われておるわけですが、アメリカの予算を見ると、非常に軍事的な経費というのが大きく予算のまん中ににすわっている。ロンドン・タイムスも、ノー・バター・ウイズアウト・ガン、大砲なくしてバターはない、と言っている。アメリカは大砲を一生懸命つくっているときに初めて上等のバターを食うことができる。アメリカが大砲をつくっておるときには、日本の国民の九倍の生活を保つことができるのだ、こういうことをロンドン・タイムスは書いておるのですが、そういう形です。イギリスの予算は社会保障が中心となっているのです。ところが日本の予算は、この性格がはっきりしなかった。今までは目鼻立ちがはっきりしなかった。しかし昭和三十年以降における日本の予算を見ますと、大体目鼻立ちが出てきたのです。三十年以降、公共投資というものが非常に前面に出てきたわけです。いわば日本の予算の顔は、公共投資という顔が浮かんできたわけです。それは今まで公共投資、減税、社会保障、それから文教、こういうように三十五年十一月の選挙以来、公共投資というのを一番先に掲げているのですから、ますますそういう顔がはっきりしてくることは明らかです。私はそれに関連してほんとうは少しくやりたかったのですが、それをやるとまた一時間くらいかかるのです。時間があと十九分というのですから、公共投資のいろいろなことは抜かして、三十八年度のところだけ、もう少し時間をいただいてしゃべらせていただきたいのです。
 三十八年度の財政投融資の問題点ですが、昨年に比べて二十二.六%、昨年は私はやあ御苦労とこう覚えておるわけですが、八千五百九十六億、ところが今年は一兆一千九十七億、こうなったわけです。この財政投融資というものは、景気回復に名をかりて、いわゆる社会資本の充実――社会資本の充実というと、何か下水道から汚物の処理ぐらいにうんとちからを入れる感じがするのだが、実際には社会的な労働手段と申しますが、用地、用水、港湾、土地の造成、こういうところが中心になってくるわけですね。そういうところが非常に重点になってきた。その結果どういう傾向が出てきておるかというと、これは収益事業的な色彩が非常に濃厚になってきたわけです。いわばお金を投資するけれども、そこからなんぼか利益が上がらないところには金がいかないという傾向が、非常に強く出てきておる。たとえば公共事業の、一般会計だけを見ても四千五百二十三億。ところがわれわれ住民に直接関係のある住宅対策費とか、環境衛生費とか、文教の施設というようなものは、それらのものを合わしても六百二十億ぐらいしかないわけです。そういう傾向が一つ顕著に出ておる。それから、そういう公共事業が収益事業化してきているということです。もう一つは、ことしの財政投融資は昨年よりか二十二.六%も増加しておるので、どうも財政難をカバーしているのじゃないかと疑われるような節があるのです。第一点と二点について少し質問したいのですが、時間がないですから――どうも財政難に陥っているのではないかと疑われる点を少し質問してみたいのです。
 それはまず、公募債の借り入れです。この公募債の借り入れが千八百二十二億で、昨年が千四百八十二億、三百二十億増しております。それから外債は前年が四百五十六億、ことしは五百六十八億で、百十二億増加しておるわけです。表面的に見ると二兆八千五百億、日本はいいわという、その二兆八千五百億の数字は均衡を保っておるけれども、そういう公募債が去年よりか四百億も多くなっておるし、外債が多くなっておるという点を見ると、どうもことしの予算というものは、本質的には赤字財政じゃないかという感じがするわけです。こういう点については、あなたは一体どう考えておるか。○田中国務大臣 健全均衡予算である、こういうふうに考えておるわけでございます。一般会計は二兆八千五百億、よく健全性を貫いておるということをあなたも今お認めいただきましたが、財政投融資につきましては九千五十二億が一兆一千九十七億円になっておる。非常に大幅だという考えでございますが、これは昭和三十六年、七年の両年度予算に比べて、対前年度比を見ますと、そのようにはふえておりません。しかも今の原資の問題として、千五百五十億であった郵便貯金を千九百億に見たことも、もう一カ月たった今日では、過大な見積りどころではなく、もうすでに今年度二千三百億も郵便貯金が上がっておりまして、二月、三月の払い出し期を十分計算いたしましても、二千億になんなんとしておるのでありますから、これは自然のままをとらえておるわけであります。また、公募債借入金等四百億対前年度比でふえておりますが、これは去年と違いまして、金融が非常に緩和しておりますし、現在の金融環境の状態で三十八年度の消化を見ますと、十分こなし得るということでございまして、無理をしてこなさなければならないというような数字ではございません。特に金融審議会等における業界各氏との懇談においても、かかるものに対しては自然的、自動的増加として十分消化し得るという引き受けを前提といたしておりますので、過大な見積もりではございません。外貨債につきましては、ことしは三千万ドルの戦前国債の償還等もございまして、現在の状態から考えて、アメリカ市中における資金調達に対しましても、予期以上の消化ができ得るという見過しでございまして、過大な見積もりではございません。そうしてこの全部の資金源を見ていただいても、一つとして赤字財政に連なるというようなものはございませんから、一般会計及び財政投融資を通じて健全、均衡を保持しておるものだと据えておるのであります。
#177
○滝井分科員 田中さんなかなか自画自賛されておるのですが、こういうように、結局財政投融資というのが一般会計の扇がわりの傾向を帯びてきておることは明らかなんです。一般会計でやらなければならぬものを、財政投融資でやるという形が出てきておるわけです。しかもその財政投融資を公募債、外債その他に依存をするという傾向は、これはもう明らかに公債依存の方向というものを萌芽的には示していると私は思うのです。これは水かけ論になるかもしれぬが、私はそういう方向だと思います。そうしますと、一体三十七年度の公募債千四百八十二億の実績はどうなっておるかということです。
#178
○稲益政府委員 三十七年度の公募債借入金は千四百八十二億円でありますが、今日までのところ、そのうち政府保証債千二十二億円は大体三月、年度末一ぱいには消化可能だ、かように見ております。
#179
○滝井分科員 今はどのくらいか。現在が知りたい。
#180
○稲益政府委員 一月末で八百三十九万億でございます。
#181
○滝井分科員 そうしますと、政府保証債千二十二億のうち八百三十九億、それからあと公募地方債二百十億と生命保険借入金二百五十億、この一月末の実績を合わせて説明願いたいと思います。
#182
○稲益政府委員 保険の方は現在幾ら借りたか、実績をちょっと銀行局の方で調べますから……。地方債の公募債ですが、これが一月末で発行べ−スで二百三十一億円であります。
#183
○滝井分科員 それだけ実績が済んでいるのか。
#184
○稲益政府委員 これだけ発行済みでございます。
#185
○滝井分科員 今千二十二億の政府保証債は八百三十九億で、なお二百億残っているわけです。大臣が言うように必ずしも楽観を許さずで、全部うまくいきますというわけにはいかぬですよ。政府保証債がこうですからね。地方債の方は今二百十億で、二百三十億ちょっと出ておりますけれども、そういう点もある。もう一つは郵便貯金です。郵便貯金は千五百五十億から千九百億ことしは見稿もっているわけです。郵便貯金というのは、景気がいいときには伸びないけれども、景気が悪くなると伸びるという魔力を持っておるとよくいわれておるわけです。ところがこの過去の実績を三十三年から調ベてみますと、昭和二十三年の目標が千百五十億、実績は九百二十七億ですよ。それから三十四年が千億の目標に対して千三百二十二億、このときは三百二十二億伸びた。ところが三十五、三十六の実績を見ますと、三十五年千三百億に対して、千三百三十八億ですよ。それから三十六年が千四百五十億に対して千五百十五億と、過去の実績で三百億以上伸びたというのは、三十四年一回です。あとは三十八億伸び、六十五億伸び程度です。と二ろが、ことしは千五百五十億から一挙に予算は千九百億になっておるのですが、今咋の実績は今大臣は二千三百億と言われたけれども、そんなになっておるのですか。
#186
○田中国務大臣 現在すでに二千億を突破しております。二千三百億くらいだと思います。しかし二月、三月は相当な払い出しがございますが、十二月と一月末は非常に郵便貯金はいいのでございます。二月、三月でもって三百億ないし三百五十億払い出しますと、大体今年度が千九百五十億ないし二千億という実績ではないか、こういうふうに考えるわけでございます。郵便貯金は、私も昭和三十二年からずっと検討しておるのでございますが、三十五年、六年伸びなかったというのは、御承知の岩戸景気だとかなんとかといって、株価が非常に高騰したときでございまして、そういう意味で多少郵便貯金が伸びなかったということであろうと思います。現在は相当伸びておりますが、来年度は一体どうか、じゃ、郵便貯金が伸びるのは非常に景気が悪いということかというと、そうではなく、簡保の集中満期がございまして、三十七年末からずっと集中満湖がございますので、これを郵便貯金に相当吸収するということでありますから、千九百億の見積もりは過大ではなく、場合によっては少し低いかと思うくらいな数字を見たわけでございますので、合わせれば妥当な数字ということでございます。
#187
○滝井分科員 実際は一月末現在で、今大臣は、千九百億ないし二千億くらいにはなるだろう、実際は二千三百億だ、こうおっしゃっていますが、御存じの通り、地方税その他税金の支払いその他が、二月から三月に集中するわけです。従って、相当のものが農村その他から出ていくわけです。それから入学その他もありますし、三月、四月は金の要るところなんです。過去の実績からいっても、最近学者その他の意見を聞いてみても、郵便貯金の不況期における伸長率というものが魔力を発揮する状態はだんだんなくなりつつあるということが、財政学者の中では相当言われてきておるわけです。そこで、そこらをもう少し確実なところを言ってみて下さい。
#188
○田中国務大臣 現在の郵便貯金の伸び率は二千三日二十四億二千三百万円でございますから、私が申し上げた二千三億というのは大体的確な数字でございます。
#189
○滝井分科員 そこらあたりは私はもうちょっと少ないのじゃないかと思いましたけれども、二千三百二十四億伸びておれば、ことしの実績千五百五十億にはもうはるかにいくであろうことは推定できます。
 次は、最近の公共投資というものの矛盾が、地方財政に非常に集中して現われてきたということです。今度国が相当莫大な公共事業その他を予算の面で組んでいるのですが、一体、地方自治体がそれに見合ったものを組んでいけるかどうかということです。と申しますのは、最近における地方財政の中では社会労働資、いわゆる社会保険関係、社会保障関係、あるいは失対関係、こういうものが非常に伸びてきているわけです。歳出面ではそういうものが伸びて、同時に歳入面では住民税、事業税、こういう所得課税の比重というものが、歳入の中に大きな比重を占めてきているわけです。従って、それだけに地方財政の中に、景気の変動の影響というものを非常に受けやすい状態が出てきているわけです。そういう中で、今度莫大な財源というものを中央は組んだ。同時に地方自治体の一般会計も、それからその中における公共的な投資というものも、産業基盤の建設、工場誘致、こういう方向にぐっとみな注ぎ込まれてきているわけです。そのために、景気の変動を受けますと、いわばそこにきた企業と密接に地方財政というものが結びつく形が出てきておるわけです。そこで景気が悪くなる、企業が仕事を中止するということになれば、即そのまま自治体の財源に影響してくるわけです。たとえば具体的に言いますと、千葉県で東京湾を埋める、工場を誘致するということで海を埋め立てる、そうすると、これは当然そこに来る企業が負担すべきものだけれども、企業が負担することができない。だから自治体が、千葉県なら千葉県が、漁業補償五十億かわりに払いましょうといって払っておる。名古屋でも同じです。そうしますと、こういうときになって、企業の停滞が金融引き締めその他で起こる。そうしますと、企業が自治体に払わなければならない漁業補償の肩がわりその他の金が、入らなくなってきておるわけです。こういう状態が出てきたわけです。地方自治体というものが国の財政投融資の状態につれて、そういうことをやってきている。そのあわせた結果が、景気、不景気の影響というものが自治体に微妙な影響を及ぼして、自治体自身が苦しまなければならぬという事態が起こってきている。これがいわば公共投資、財政投融資というものが陰に陽に自治体を左右して、自治体の財政を硬直せしめる状態が出てきているわけです。従って、御存じの通り、昭利二十八年から九年に不況が起こりますと、地方財政というものは軒並みにみな赤字になってしまった。それが地方財政再建整備法ができて、六年間くらいかかってようやく今立ち直ってきておるわけです。ところが今度は、池田内閣の高度経済成長政策で、また財政投融資をばっと収益事業的な形で持っていくのですから、それにつれて、地方財政もこれに呼応せざるを得ないような形になってきた。今度もしやりそこなえば、また同じことを繰り返すことになる。すでに産炭地ではそういう形が顕著に、一番典型的に出てきているわけです。もう地方自治体は生けるしかばね、生きておるだけです。吏員の給料を払うだけで、何もできないという状態ですね。これはおそらく景気のいい名古屋あたりでも、千葉県でも出てきているでしょう。五十億の肩がわりをして漁業補償を払ったけれども、企業がそれをくれないのです。名古屋も百九十億くらいありますよ。こういう実態が出てきているわけです。こういう地方財政へ財政投融資が微妙な影響を及ぼして、地方財政に苦しい影響を与えているという点に対する考え方を、一体どう思っているかといろうことです。
#190
○田中国務大臣 一般会計の総額は二兆八千五百億でございます。地方財政の方は二兆三千億ですか、二兆三千億だと思います。いずれにいたしましても、これがワクを対比しますときに、国が行なう公共投資に対しましては、国の負但率の方が金額にしては大きい。府県単独工事費というものは非常に小さいのでございますから、一般会計においては負担があるというのではなく、より多く地方公共団体が仕事をしたいという方向にありますことは、御承知の通り。財政投融資というのは、地域格差の解消、産業基盤、社会資本の拡充という意味で組まれておるのでありまして、二れが一兆一千九十七億円の財政投融資計画がつくられたことによって、地方財政を圧迫するという考え方には立っておらないわけでございます。また特に、住宅、生活環境整備、厚生福祉、文教、中小企業、農林漁業、これでもって五千四百四十五億、それから国土保全、道路、運輸、地域開発でもって三千七百二十一億、こういうことでございまして、この内訳に対してはこれでもなお足らない、こういうことでございますから、問題は、必要性があるということはもう十分お互いとも理解し合えるのでございますが、これが地方財政にどの程度影響しているかという問題を検討しますときに、まあ計画は今年もこうであり、昨年もこうだったから、来年度に対しては一つこうなるだろうというふうに先行投資をやると、これは大へんなんです。これは府県が軒並みに新産業都市をつくるために、まず府県でもって公社をつくって、一般会計から投資をして、土地造成を行なうとかというようなもので五年、十年――またこれを小規模でやるよりも、思い切って十年分やった方がいいというので、多少自分の財政規模とは無関係に投資をしたところは、非帯に地方財政を圧迫いたしておる例を私も知っております。これらの諸君は一つ外債でもって間に合わせようというようなことを言っておりますが、こういう特殊な例を除きましては、地方財政をそう圧迫しておるというような――これはもう財政投融資そのものが公団、公庫、政府関係機関によって行なわれておりまして、地方の財源を財源といたしておりませんから、そういう意味では財政投融資計画そのものが大きく地方財政に影響を及ぼすということは考えておりません。ただ、農林漁業関係等でもって農業構造改善等の事業を行なう場合、一体市町村に対してめんどうを見ておるその府県の財政を圧迫していないかというような問題に対しては、財政需要額にこれを算入するような、きめこまかい処置も考えておりますので、交付金等の事情も勘案をしますときに、特に財政投融資の金額が大きくなったために地方財政を拘束しておるというようなことは、考えておらないわけであります。
#191
○櫻内主査 滝井君、だいぶ時間が経過しております。
#192
○滝井分科員 もうこれで終わりますから……。
 社会資本の充実と地域格差の解消をやっていくというふうにおっしゃっておられるわけですが、ところが所得倍増計画で、大臣、三十六年から四十年に既成の四大工業地帯行政投資の総額の二割九分はつぎ込むわけです。しかもその周辺の太平洋ベルト地域に四一%、合わせると七割がこれらの先進都市につぎ込まれていくわけでしょう。その七割がつぎ込まれてどういうことになるかというと、四十年までに行政投資の七割がつぎ込まれる、しかも生産を見ますと、大体東京と神奈川と愛知と大阪と兵庫と福岡の六府県で、この四大工業地帯で生産の六割を占めておるわけでしょう。投資は七軒を持っていくわけです。そうすると、そこに持っていった行政投資の主たるものは何かというと、道路、港湾、用地、用水です。特に交通機関である道路です。そして私が冒頭にあげましたように、住宅とか水の不足とか、ごみとか屎尿処理とか、あるいは交通の麻痺とか青少年の犯罪とか、公害、こういうものには金がいかないのです。ことしの厚生省予算を見ても、一般会計からもらわずかしか出ていかない。財政投融資でちょっぴり出ていきます。さいぜん言ったように、厚生年金の還元融資や何かでちょっぴり出ていきますけれども、それはいわゆる社会資本の充実という社会的な労働手段の造成に比べたらはなはだ低いです。だから、今のままだったら、東京とか大阪というのは、これは所得倍増計画が完成する四十五年とか四十七年になってごらんなさい。これじゃ人間が住めなくなってしまいますよ。こういう先進地域に過度に財政投融資が集中をしていく、そして、そこに集中したものが、道路とか港湾とかいう、いわゆる資本に有利なものばかりにどんどん食われてしまって、そうして人間が住むためのものにいかない。だから悪循環が起こってきているわけです。過大な投資をやる、従ってそこに資本がだんだん工場建設で集中してくる、そこへまた、それが不足するからやらなければならぬ。そして水の問題やら住宅の問題やら、汚物の処理の問題は一つも片づいていっていないわけです。一年に何百トンというほこりが、東京に降ってくるでしょう。そうして、東京で三代たってごらなんさい。人間の足はこんなに小さくなって、女の骨盤なんかもこんなに小さいものになってしまって、子供を生める状態じゃないですよ。三代たったらまた新しいやつがいなかから上ってきて、東京を制覇するという形になっちゃう。これは人類の悲劇ですよ。これはやっぱり一国の政治における、独占企業ばかりに奉仕する財政投融資というか、行政投資というか、こういうところのもが悪循環をして、そういう形をつくっているわけです。だから、今にしてここにメスを加えなければいかんと思うんですよ。私、週刊朝日を読んでおったら、池田信長のもとにおける田中藤吉郎と書いてあった。ほんとうにあなたが大阪城を築いた羽柴秀吉、木下藤吉郎の気宇を持っておるなら、今にして、大蔵大臣のときにこういう悪術環を断ち切る政策を立てる必要があると思うのです。そうしないと、これは大へんなことになるですよ。おそらく十年した。東京はほこりが多く自動車の排気ガス、一酸化炭素、亜硫酸ガスが多くて、住めなくなってしまいますよ。試みに、あなたの家の屋上に白いふとんを干してごらんなさい。一日ほしておったら、まっ黒になってしまう。ずっとばい煙がたまるでしょう。その中にわれわれは住んでおるのですからね。だから三代もしたら人間は生存競争に負けて、都落ちをしなければならない格好になってしまう。それはいかぬと思うのです。東京の人が東京を故郷にすることができる姿をつくってやらなければならぬ。とても東都知事だけじゃだめですよ。あるいは阪本さんがなったら少しはいいかもしれないけれども。だから田中さんが、財政投融資をがちっと握っている人が、その方向を変えなければならぬと思うのです。その点はどうですか。○田中国務大臣 藤吉郎になろうなどという考えは毫末もございませんが、今言われた産業政策、国土計画の御議論には傾聴するものがございます。これはもう与野党などと言わないで、本問題に対しては徹底的に取り組むべきであります。今までの考え方は非常に問題がありましたのですが、これは乏しい国の資本で効率的な運用を行なおうということが、長い間の経済財政の基本理念でありましたので、しかも耳ざわりのいい議論、国民の血税を投資をするのでありますから、長期投資というよりも、とにかくきょう投資してあした収益を得るというようなものでなければいけないというような議論が、今日になったということも一半の資任があります。私はそう認識をしておるのでございます。特に自由化に対応して国際競争力をつけなければならないということで、明治初年から百年間も国が集中投資を行なって基盤ができておるところに産業が寄り集まってくる、こういうことでございますので、産業が集まってくれば設備投資が非常に急速に伸びて、同時に公共投資がおくれる。でありますから、この過剰といわれておる設備投資が行なわれたところにマッチさせるように、重点的な公共投資が行なわれておる。これをずっと続けていけば、確かにあなたが言われる通り、悪循環を繰り返して、企業一つの採算ベースを見る場合には確かに、北海道でつくられる工場よりも東京の方がよりペイするといいますが、一体国が、東京都が投資をする公共授資全部の金額を計算をしてみますと、私は必ずしも効率投資ということではないと思うのです。それは現在よりも、これからだんだんに産業人口が過度に集中してくれば、ますますその比率は下がってきて、しまいにはアンバランスになる、しかもそれは十年、十五年を待たずしてアンバンスになるというような考えに立っております。でありますから、現在無料公開の原則であるべき道路等も、公共投資で一般会計から行なうという議論に対して、有料道路をつくって財政投資のワク内にしておりますのは、これはペイするからということであります。でありますから、私は一般の税金でまかなう一般公共投資では、低開発地の開発等が行なわるべきでありますし、現在どうしても、理論的にはあなたの言われる通りでありますが、といって百パーセントできておる産業施設をそのまま立ちぐされにするわけにもいきませんから、そういう面でやむを得ずやらなければならない投資は一応しまして、将来回収できる財政投融資の資金をもってまかなっていくというのが現在の政府の考え方でございます。でありますが、確かにこれから十五年このままの集中投資をもし行なうとしたら、地方鉄道においても、キロ三千五百万から五千万でできる単線が、東京都では全部地下道になれば、キロ百億もかかる銀座線が今建設されておるのでございますから、これはもう議論でないと思います。今までのままで産業の六〇%、人口の五五%が東京、大阪等四大工業都市に過度集中をするというような政策は排除しなければならないことは言うを待たないのであって、そこで新産業都市建設促進法、水資源開発促進法、低開発地域開発促進法、地域開発法、二十五年につくられた国土開発法に対する基準をようやく設定し、産炭地振興事業団をつくって産炭地の振興等各般にわたって政府は行なっておりますが、あなたが申された通り、長い間国民の税金というものは集中投資をすべきだという議論がなかなか変わらないものですから、私はやはり国会の審議を通じて新しい、日本民族が将来どう分布さるべきか、それに対して一体どう産業が再分布さるべきかという国土計画というものを基本にして、日本のほんとうの十年計画、二十年計画、百年の計画を立てなければ悔いを残すであろうということは、お説の通りと考えております。今年度も相当その意味では在来に比べて方向転換をしたわけでございますが、ローマは一日にしてならずということでございまして、来年、再来年、国民の理解を得ながら、より合理的な予算編成を行ないたいというのが、私の基本的な考え方でございます。
#193
○滝井分科員 これ一問で終わります。
 そうしますと、今あなたはいろいろおっしゃったけれども、御存じの通り、現実には公社、公団それから国、それから自治体もそれぞれ公営企業をたくさんつくっています。こういうものが競争し合って、もう全くそこには長期の計画も何もないのですよ。みんなわれ先に競っておるでしょう。だからこういうところにもう少しメスを入れないと、どういう形が出てきておるかというと、資本を投資するところは、資本の生産費とそれから流通費の引き上げの効果が大きいところに設備を持っていくわけです。それが至上命令でしょう。それから同時に、都市の不動産の所有者あるいは高額所得者の希望する設備をつくることになる。これはたとえば、レジャー産業なんかそうでしょう。貧乏人は相手にしない。今の公共投資というものが収益事業化してきたために、高額所得者に気に入るようなところには投資が行くけれども、低所得階層からは離れるという状態が出てきておるわけです。しかも高額所得者を目当てにしながら、公社、公団、国の財政投融資の収益事業化で、これらのものが各省競い合う。公団も競い合う、公庫も競い合う、事業団も競い合う、こういう形でしょう。しかもその公団とか公庫とかいうものは国会でほとんど審議されないのですから、素通りですから、もう全くコントロールしようもどうしようもない。日本という国はりっぱな政府があるようだけれども、内実に入ってみれば、まさに無政府状態ですよ。だから、これはやはりあなたの時代に、こういう無方針な、無計画な、ばらばらな状態で群雄割拠しておる状態を、戦国時代の状態を、藤吉郎の精神できちっと秩序づけることが必要だと思うんです。この点を宿題としてぜひ検討してもらいたいと思うんです。
#194
○櫻内主査 横山利秋君。
#195
○横山分科員 きょう私が大臣大臣並びに国税庁、主税局にお伺いをいたしたいのは、税の徴収に関する面であります。
 私どもは、国会において税法の改正を主として議論をし、その法律によってそのまま行なわれると思いがちでありますが、最近におきましての町の話は、法律の改正というものと、それから実際に税金がとられるというものとは別問題である、いわゆる税務署のさじかげんというものがどうしてもある、これが偽らぬ庶民、特に企業者の考えなのであります。従って、税法上の不公平ももちろんわれわれは重要視しなければなりませんが、徴税上の不公平もまた看過することのできない大問題だと思っています。大臣に一番最初に、感覚的なことを伺って恐縮でありますが、働いて得た収入よりも、働かずに不労所得でもうけた税金の方が安い、これが今日の私どもが直面しておる課題であります。もう一ペん言いますが、たとえば今度の税制改正、これによって、収用された土地については七百万円までは頭から税金のからむのを避けようとか、あるいは株ですと、株で上がった、もうけた分は全部税金はかからぬとか、配当については、今度は五分だとか、あるいはまた銀行の預金は分離課税で、どれだけ銀行の預金の利子をもらっても五分しかかからぬ。たとえば預金を五百万円もらったとする、五分なら二十五万円である。もし所得税でとられたとしたならば、おそらく百三、四十万円です。一生懸命働いて、夜は手なべ下げても女房と一緒に働いて、額に汗してもうけた税金は大へん高くて、遊んでおって、株を買って、土地を買って、売買して銀行に践を預けて、利子で左うちわで暮らしておる人間の方が、べらぼうに安い。場合によれば、株の配当なんか今度の改正で、大蔵省の計算によれば、五人家族で百六十五万円までは無税ということに計算上なる。そういうことが、どんな理屈をつけようと、そう言っては失礼でありますが、とうとう大臣が本会議やここで、税制改正の理由をどんなに言おうと、庶民には説得力がないと思いませんか。不労所得の方が税金が安くて、労働による、まともな、働いて得た収入の方が税金が高い。この厳然たる事実を大臣はどうお考えでございますか。
#196
○田中国務大臣 税に対しては、不労所得の方に高くして、街に汗して働くお互いの税金等は安くなければならぬ、これは当然のことでございまして、論のないところでございます。そういうことを是認する以上、今度の税制改正はどうするか、どうしてあのようなことをやったか、これでございますが、これは日本の税法が、直接税と間接税との比率が、現在のようになっておりますが、これからの日本の国つくりを行ないながら、日本の将来を見通す場合に、一体どうあるべきかということについては、ことしから税制調査会を拡充いたしまして、これらの方々の答申に待っておるわけでございます。今度三十八年度の予算におきまして、平年度五百四十億の減税を行なったわけでございます。これが内訳につきましては、どうも不労所得の方にウエートを置いて減税したのではないかというようなお考えに立って御質問になっておられるようでございますが、私はそのようには考えておらないのでございます。直接税と間接税との比率に対しては、これからの問題として検討をお願いしていると申し上げましたから、具体的な今年度の問題を申し上げると、今までにすでに一兆一千億に上る減税をいたしておりますが、その大半、八千億に近いものは所得税中心の減税を行なって参りました。行なって参りましただけではなく、今年度も行なっておりますし、来年度以後もまた行なって参りたいという姿勢に対しては、何ら変わっておらないのでございます。でありますから、勤労所得その他が非常に多い、また脱税等もできないで、目いっぱい、源泉徴収というものは待ったなしで取られるじゃないかというような制度上の問題も考えるときに、もっともっと基礎控除その他を上げなければならないという考えもわかりますし、また、政府もそのような基本的な考えに立って税制調査会の答申を求めておるわけでございます。
 それから、銀行の利子やその他に対して一体どうして減税をしたかということでございますが、これは自由化に対応し、国際社会の一員として立ち、国原経済の中にさおさしていかなければならない、好むと好まざるとにかかわらず、それが九千四百万民族のあしたの姿なんだ、こういうことを考えるときに、税の公平、また国民負担の公平ということに対しては、十分意を用いていかなければなりませんが、議論倒れになってしまって、日本の産業も何もみんな平均に貧乏すればいいのだというような考えには立てないわけであります。結局百年、千年の将来を考えるとまでいかなくても、少なくとも今日ただいま当面しておる日本の状態を考えるときに、産業を維持しなければ、国際競争力をつけなければならないのだ、それをつけるにはどうすればいいのだ、資本蓄積をやらなければいかぬ。特に日本の産業が自己資金と借入金の比率が、非常に借入金が多い。それだけではない。まだそれは日本の銀行と日本人との間の問題でございますが、国際資本が自由化されるようなときに、日本の産業資本というものは一体国際的な資本に対抗できるのかどうか。これはできないということではだめなのでございます。これは、できるような体制を築いていかなければいけない。そういう意味において、輸出依存の日本のことを考えれば、輸出産業を大いに伸ばさなければならぬとか、それによってまた、そういう産業がだんだんと国際競争カをつけていかなければ、民族資本を擁護することもできませんし、われわれの物価が自主的に下がることもできないし、通貨も安定しないのであります。そういう意味で観念的な一つの理論の上に組み立てられる理論だけではなく、やはり日本の総体的な産業の姿も十分検討しながら、これがバランスをとりながら減税政策を進めていくのでありまして、あなたが言われておるところの、所得税をもっと減税しなければならないという考え方には、私もその通りと同調しておるのでございます。でありますから、三十八年度の予算編成にあたって、今日の段階において、産業施策や資本の問題等に対しても、相当の重点を置かなければならないということでありまして、私は今度の減税政策が全く不公平なものである、いわゆる勤労所得者に対して――われわれも勤労所得者の一人でございますが、そういう意味に対して、勤労所得等に対して非常に税負担が重く、特に不労所得に重点を置いて減税をしたという考えではございません。事実を十分一つ考えていただきたいと思います。
#197
○横山分科員 大臣、私の言っていることを何か反駁をされるがための御説明のような気がしてならぬ。私は結果論として、こうなっているではないか、不労所得という言葉が悪ければ、何というか、じっとしておってもうける所得といいましょうか、結果論として不労所得の方が税金が安い、そして働いて得た方の税金が高い。この事実は事実なんですから、それを理論の上に組み立てられた理論だなんというのは、心外千万です。ですから、今あなたが原則は私に賛成だけれども、こういうことは必要なんだ、一体どちらにあなたの考えのウエートがかかっているのか、私にはわからぬ。物事をもっと単純明快に――あなたがこの予算委員会で、将来預金の利子も株の配当もただにしていくと言ったが、それがあなたの税制改正の方向なのか、それとも今あなたが、理論の上に組み立てられた理論だと言った、私の言うところの税の公平を徹底するということが、あなたの主眼なのか。あなたは税制調査会に今後まかせると言いながら、この国会の一番問題点である預金の判子と配当を将来ただにする、こういうことを先手を打って言ってしまっているではありませんか。けしからぬと思うのです。あなたが税制調査会にまかせるというならまかせるらしく、そんなことは言わるべきじゃない。税制調査会に対する自分の意見というものは、もっと根本的な、税制改正は今後かくのごとくあるべきであるという総合的なあなたの見解を明らかにしておいていただきたい。
#198
○田中国務大臣 この前の御質問に対して預金金利等は将来無税になるべきであるかもしれぬということにウエートを置いてお話ししましたのは、私たちが行ないました今度の税制改正につきまして、これは本末転倒もはなはだしいというような非常に強い初発言がございましたので、私も売り言葉に買い言葉式な――結果的には、そういうふうな激しい私たちを非難された御発言に対して、私も人の子でございますから、私たちの三十八年度税制改正でやったものは正しいことではないということに対しては、政府側の意向を十分御説明申し上げて、時代の要請上当然政策減税も必要でございましたということを申し上げたにすぎないのでございまして、これは大蔵委員会でも私の真意は十分申し上げておるわけであります。でありますから、私の思想はいずれにありとしても、税制調査会の答申を十分尊重いたしますということを申し上げておりますから、この点は一つ御理解を願いたいと思います。
 それから最後の、利子が不労所得であるから理論上の問題、いわゆる税制理論として、不労所得に対しては重く課税をすべきであるという趣旨の御意見でございますが……(横山分科員「そんなことは言っていない、公平に課税をしろと言っておるのですよ」と呼ぶ)課税の公平、いわゆる国民負担の公平ということは、一つの税法の考え方としては、十分尊重すべきであるし、またそれが基本的な理念となっていかなければならないということに対しては、御説と同じ考えを持っておるのでございますが、減税という実際問題を行なうときに対しては、諸般の情勢を十分考えて、国が当面必要な要件を満たすためにバランスのとれた減税を行なわなければならないし、また、その方向で政府は減税を行なったのでありますということを申し上げておるわけでございます。
#199
○横山分科員 具体的にお伺いしたいと思っておるのですが、大臣は、本年度の税制改正を国会に提案しておるその気持からいって、今後の税制改正は、それではどういうことをあなたは期待しておられるか。もちろん税制調査会に期待をすると言うておられるのであるけれども、世間に非常に疑惑と混乱を招いた、預金や配当の無税諭と相待って、あらためて次回に行なわれる裁制改正について、大蔵大臣の見解を具体的に一つ伺っておきたい。
#200
○田中国務大臣 私は、税制調査会に対しまして日本の将来の税制のあり方はどうあるべきか、また税法の書き方までも、一つ大衆にわかりやすく、国民にわかりやすく、納税をする方がよくわかって、理解をしながら、納得をしながら国に協力のでき得るような態勢のためには、税法の条文そのものの表現さえも変えていただきたいということを諮問をいたしておるわけでございます。なお、政策減税その他に対しても同様でございますし、直接国税、間接国税に対しても一つ抜本的な考え方を政府にお示し願いたいということをお願い申し上げておるわけでございます。私は先ほど申し上げた通り、この基本的な諮問に対して、税制調査会が行なう答申を尊重しつつ、将来の税制問題に対処していきたいと考えております。ただ私は個人的に考えれば、今の税制に対しても納得をいたしておるものではないのであります。もうこれは専門家でなければ読めない。大蔵大臣である私でも、税法全部を覚えるのは大へんなことでございまして、徴税官吏などになれるという自信はないのであります。またそういう意味で、税法の書き方そのもの、また現在の国際的なまた先進国の税制と比べまして、日本の間接税、直接税のバランスはちょうどとれておるのだというような議論も何回か聞くのでございますが、私は税はできるだけ消費をした人が税金を納めるという間接税中心主義者でございますが、しかし私の個人的な意向をそのまま推進することもできがたいわけでございますし、また財源確保という戦後の特殊な事情に沿って運営せられてきておる今までの税制の改正のあり方等も、全然無視することはできないのでございますので、私の持論は持論として、あげて税制調査会の専門家の意見の検討を待ちながら対処して参りたい、こういう考えでございます。
#201
○横山分科員 国税庁来ていますか。
#202
○櫻内主査 参っております。
#203
○横山分科員 最近の税の徴収状況について、国税庁から意見を伺いながら、大臣にお伺いしたいのであります。
 私どもは、税の行政に当たって最も公平にやるべきであると言うておるのでありますが、かりに一例を調査査察並びに特調にとってみますと、最近の事例を見ますと、その仕事の中心がどうしても中小企業に置かれておるように思われる。かって大蔵委員会でこれを中心に議論をいたしましたところ、大企業というものは内部監査制度が徹底をしておるから、もう問題はないのだ。むしろ同族会社である中小企業というものが、税法においてきわめて脱税が多い。いうならば、これはしていないところがないかのごとき口吻をもって言っておられるのでありますが、そもそも調査査察というものが出発をいたしました経緯から申しますと、明らかにわれわれの趣旨とするところは、大企業を中心としてこれを念査すべきである、大企業のマンモス的なものを議論をすべきであるという点にわれわれのねらいがあったはずであります。最近におきましては、どんどんそれが、大企業はもういいかげんにしておいて、中小企業を中心にしろというやり方が行なわれておると言われるのでありますが、いかがでありますか。
#204
○泉説明員 お答えいたします。国税庁といたしましては、お説の通り税の執行に当たりましては、中小企業に重点を置いてやるというようなことでなく、大法人に重点を置きまして調査をいたしておるのでございまして、一例をあげて申し上げますと、御承知の通り資本金百億円以上の法人につきましては、昭和三十五年以来東京国税局及び大阪国税局に特別調査官を置きまして、特に日数を十分かけまして徹底した調査を行ないまして、顕著な事績を上げておるところであります。またそれほど大きくない法人につきましても、調査の重点は比較的大きい法人に置きまして執行するという考え方をとっておるのでございます。従って、例を申し上げますと、更正決定の割合で申し上げますと、調査課所管の法人は、件数といたしまして八一%が更正決定を受けておる。税務署所管の中小法人の更正決定の件数割合は三八%になっておる、こういったような事情でございまして、私どもが中小法人に対して強く課税を行なうというようなことはいたしておらないのでございます。
#205
○横山分科員 ところが、最近東京国税局の例をとりますと、記者会見の席上で、東京の査察部長の説明によりますと、人も足りないので、これまでのように資本金十億円以上の大法人に平均八十五日もかけて調査をやっていたのでは、これはとうてい不可能だから、これを少し削って、中小法人に回すことにしておる、こういうことを言っておる。これはこの資料でなくて、ほかの資料にも、この東京の実情というものは、多く各所に載っておるわけなんです。従ってあなたが、口で大法人中心主義だと言いながら、実際は人手は、大法人の人手を削って中小法人に回しているじゃないか。しかも各地における調査査察の状況を見て、私も感ずることは、ほとんどが中小企業の同族会社を中心に行なわれておるではないか。私は必ずしもあなたの言うように、中小全業が中心に行なわれているとは言わない。結果としてそうなっているではないか。一体大企業の調査査察というものはどういうふうに行なわれ、どういう結果を示しておるのか、それを具体的に御説明を願いたい。
#206
○泉説明員 横山委員の言われますごとく、先日記者会見の席上、東京国税局の調査査察部長が申しましたのは、御承知の通り、資本金二千万円以上の法人が調査課所管になっているわけでございます。ところがよく言われることは、資本金百億以上の特別の大きな法人は特別調査官の念入りな調査を受ける、それから税務署所管の資本金二千万円未満の、中小法人のうちの比較的大きい法人につきましては、税務署の方で相当念入りな調査が行なわれる。それで先ほど申し上げましたように、調査課所管法人につきましては、従来比較的大きな法人に重点を置いておりましたために、税務署所管の比較的大きい法人と調査課所管のうちの比較的小さい法人との間に、課税のアンバランスがありはしないかということが問題になっておりました。その点から、調査課所管の法人のうちでも比較的小さいものに、税務署所管の法人とバランスのとれた調査を行なうということを申したのでありまして、それは特に中小の法人のうちで脱税あるいは申告割合の悪いものについて調査の重点を指向するという考え方を申したのでございます。なお先ほどお話し申し上げました特別調査官につきまして、三十六年度中の事績を申し上げますと、特別調査官の所属の十五法人に対しまして調査の結果、申告所得が千三百十三億でございますが、それに対しまして六十一億の増差事績を上げておるような次第でございます。
#207
○横山分科員 今あなたのお話を聞いておりまして、やはりあなたの御説明の中から、税の調査について実際問題として行政上不公平がある、不公平を薄めるために人の異動をやってみるのだというように、行政上の不公平、徴税上の重いところ、軽いところ、調査の行き届くところと行き届かないところ、そういうところがあることをあなた自身からも御説明になったわけであります。私はそのことが単に大法人、中小法人ばかりでなくて、あらゆる両にまだ存在しておると思う。局と税務署、それから大法人と中小法人あるいは法人と個人、あるいは一般的に言われるのは源泉所得のものと申告所得のもの、そういう不公平というものは全く各所にたくさんある。従って、税を出さないとは言わないけれども、隣と比べて、表の人と比べて不公平だからという、不公平論というものは、納税者の心理にいつもいつもつきまとっているわけであります。私が大臣に先ほどから声をからして言っているのは、納税者の立場になったらどうかと、こういうのです。銭を出す立場に立ったら、どんなに天下国家をあなたが論じられても、どんなに株でもうけても税金は一文もかかりません、あなたが夜勤を一日やっても税金がかかりますよと言うたら、あなた、いやいやそれは自由化でございましてというようなことを言いますか。納税者の心理というものをもう少し尊重しなければいかぬと私は言うのであります。われわれ政治家の周辺には、税金を負けてくれと言う人はきまっておるのであります。税の公平をやってくれといって陳情に来る人はまずないのであります。
  〔主査退席、正示主査代理着席]
われわれの周辺には、銀行が来る、株屋が来る、あるいは租税特別措置法のどこそこを適用してくれと言ってくる者が来る、業界の代表が来る、つまり不公平をやってくれというものしかわれわれの周囲には来ないのであります。大臣のところへだれが一体税の公平を徹底してもらいたいと言って陳情に来る人がありますか。税制調査会にわずかな良心がある。しかしその税制調査会の良心すらあなたは曲げて――私はあえて言いますが、いわゆる不公平の方へ、私の言う不公平の方へ曲げたというのです。なるほど租税特別措置法にもいろいろ理由はあろう。けれども自由化をやるためには資本の蓄積をしなければいかぬとか、そういうことは言われるけれども、税金を負けるばかりが能じゃないでしょう。それはあなたもうなずかれると思う。どうもこのごろ税金を負けることによって、政策減税というものによって、問題がすりかえられていく。もしもどうしてもやらなければならぬものなら、補助金を出すとか、いろいろなほかの手段がもっとあるはずだと私は思う。税金を出す身になって考えなさいよ。税金を出す人間に対して――あえてもう一ペん言いますけれども、株でどれだけもうけても税金は一文もかかりません、あなたがゆうべ徹夜して働いた超過勤務は税金がかかりますよと言ったら、どんな百の理屈をつけたってその人は納得しませんよ。ですから、それこそ声なき声に耳を傾けて、大臣はもっと税の公平の徹底を期してもらわなければいかぬ。私どものどういう同僚がどういう質問をしたか、私はそばにおって聞きません。けれども新聞の、あなたが預金の利子と株の配当は将来無税にするという報道を納税者が読んであぜんとし、銀行や株屋はほんとうに喜んだそうであります。そうして町のしがないうわさのスズメは、今度の選挙には大臣のところへ大へんお金が集まるだろうとすら言っておるのであります。こういうことが国会で――あなたは真意でないと言うけれども、そういう議論によって納税者の公平の理念、納税者の税に対する信頼感を喪失するもはなはだしい。ですから私は先ほどからあなたに、前の説明を一ペん取り消して、もう一ペん税のほんとうの原則の話を、あなたのお気持を言われたらどうか、こう言っておるのであります。問題が少し発展をして恐縮でありますが、私が泉さんに質問をしておる質疑応答の感想を大臣に一つ聞かせていただきたい。
#208
○田中国務大臣 査察の問題はあとから申し上げることにして、税の問題をまず申し上げます。減税の問題、これは今の状況におきまして源泉課税が非常にとりやすい税金でありますから、理論は別にして、勤労所得その他に対する直接国税というものはより多く減税をしなければならないだろうという考え方には、私もその通りでございますと言っておるのです。同時に、直接税と間接税の割合は今でいいんだとふうに識者は言いますけれども、私は個人的には間接税中心主義であり、消費をする人が税金を納めてくれることが一番合理的であって、少なくとも、できれば今のような直接税的な源泉徴収をする、いわゆる庫出し税金をとるというようなものは、私は個人としては性に合わないのですけれども、私の個人的な考えだけで推し進めるわけにはいきませんので、より専門家の意見を聞いて対処いたします、こうすなおにお答えをしておるわけでございます。しかしそこまではいいんだけれども、貯金や株式配当に対して減税したのは全く正しくないというような考え方には、遺憾ながら同調できないのでございます。これはそう簡単な税の議論だけでは――今公平議論だけを推し進めて、すべてのものはそれだけでいいんだという考えではいかないわけであります。いわゆる国民の消費をうんとあおる、国民消費が堅調でなければ産業ももちろん振興しないのでございますから、国民消費もある意味において堅調さをはからなければならないことは当然でございますが、しかし、ある意味においては消費に流れることのないように、できればそれが投資せられて、あしたより実質的な減税になり、実質的な増収になるような方法もあわせて行なわなければならぬことは当然なんです。これは今あなた方も言っておられる通り、海運というものは海運産業というのでなくて、国際収支改善という意味でも、一年間に三億ドル近い赤字を出しておったのではどうにもならない。年間三億ドルの外貨をかせぐには、三十億ドルの貿易をしても一割はもうからないのであります。でありますから、より高い立場から海運業に対しては特別税制を必要とするとか、それから産炭地振興に対しても税制上あらゆる措置をとらなければならぬとか、また低開発の促進のためには、一般税制の基本的な観念はもちろん堅持しなければならないけれども、政治的に、政策的に、国家的に、また民族的な目標を達成するためには、やはり税の特例というものは必要なのであります。今まで学者の皆さんが、特例というものは全部やめなければいかぬと言って、またやめて税法の理論だけですべてが律しられるほど豊かな日本になりたいと私は考えますが、少なくとも戦後の日本がこれから国際社会、国際経済の中にさおさしていくためには、あらゆる意味においててこ入れをしなければならない。いわゆる負担の公平、公平の原則は当然持ちながらも、ある面に対して相当強い税法の特例、いわゆる特別措置法の発動を促さなければならぬことは、私はしようがないと思うのです。またそれがやはりあわせて行なわれなければ、日本の産業はどうにもならないのであります。あらゆる産業に対して公平にやらなければならぬといったら、石炭に対して特別措置を必要としない、こうなるかならぬか、そうじゃないのです。政策的に現実を直視するときには、負担の公平というものは当然守らなければならないものさしではありますが、やはり重点的に必要なものに対してはある程度特例を弾力的に運用しなければならぬ。私はそういう意味で、資本蓄積やあらゆる角度から考えて預貯金の減税等に踏み切ったわけでありまして、これを踏み切ったことが直ちに税の公平論を侵すものだとは私は考えておらないのでございます。 それから査察の問題について申し上げますと、私は就任後非常にうるさく言っておりますし、国税庁の第一線視察に対してもこのようなことを言っております。ここに出ておる統計から申し上げますと、千万円未満の会社の数は五十五万八千七百九十六社、それから千万円以上のものは一万九千二百八十五社、これが比率は、千万円以下のものは九六・七%、それから千万円以上の会社の比率は三・三%でありますが、査察を行なわれたものは、三十七年度において千万円未満のものが八十三社、千万円以上のものが二十七社、この比率は七五・五対二四・五でありますから、中小企業に対してはムエートを置いて査察を行なっておらぬという数字は事務当局から出ておりますが、私はそうではなく、大きなものは比較的帳簿も整理されておる、中小というものは働くことがまず先であって、そんなに合理的な、税務署の目をごまかすようなりっばな書類がつくれようはずはない。またそれを望むのも無理であるという現状も、私たち自体の企業の経験として十分実情を認めておるわけでございます。でありますから、実際は、いろんな手だてでもって調べても、帳簿も組織もりっぱでありますというような大企業の方に、違法性はなくとも妥当性のないものもたくさんあるだろうと思う。しかし中小企業というもの、働きながら片手間で女子社員に帳簿を整理させておるような人たちは、査察を行なう、調査を行なえば、直ちに数字の間違いや脱税が摘発されやすいので、理屈や統計は別として、少なくとも中小企業に対して、査察をやれば的確にその査察ができるという事例がたくさん起こるであろうから、そういう問題に対しては十分注意しなければならない。特に東京や大阪のように大会社がたくさんあるところと、北海道や東北や裏日本のように会社の数が非常に少ないところは、中小企業であるといっても、査察、調査を行なえば直ちに間違いがわかるというような意味で、統計の数字よりも、実際に税の徴収面においては、不公平というよりも過酷になりやすいから十分注意をするようにというようにこまかく配慮し、指導をしておるわけでございます。
#209
○横山分科員 大臣の御答弁は、親切過ぎて少し長いですが、もう少し簡明直截にお答え願いたい。銀行預金の利子減税を今年度実行することによって、どのくらいの効果が具体的に上がると思いますか。そういうことを計算なさいましたか。少なくとも税制調査会では、銀行預金の利子の税金を下げたとて、株の配当の税金を負けたとて、今日までの数々の実績は、そのこと自体から預金を増し株を買う人がふえたというわけには参らぬということを、統計をもって示している。これは要するにムードだといっている。かりに庶民の金を持っている人の気持になってみましょう。銀行の預金の利子の税金が安うなったから銀行預金しようという人がありますか。株の配当の税金が安うなったから株を買おうという人がありますか。ないですよ。株がもうかるから株を買おうという人はあるけれども、株の配当の税金が安くなったから株を買おうという人はないです。そこのところの論理は大臣はわかっておるはずです。わかっておりながらなおかつそれに執着するのはどういうわけだろうと、町のうわさがさえずるのです。
#210
○田中国務大臣 現在の預貯金は一体どの程度になっておりますかと申しますと、二〇・五%くらいになっておるわけであります。これは世界でもって預金率は一番高いわけであります。この内容を見てみますと、法人その他を除きまして個人が預金をしておるものが一体どのくらいあるのかというと、一一%ないし一二%という数字が出ておるわけでございます。法人に対しては減免税を行なうとかいろんなことをしても、これはもう御承知の、今年前取りするものを来年度計算するのでございますから、これは一年間五十億の減収が立つというわけでございます。株に対しても総合課税をいたしておりますから、前取りの分が五十億、合計百億だけ減収が立つというわけで、来年度はこれを取り返すわけでございます。この一二%ぐらいの比率にある個人が預金をしておるということを考えますと、私はやっぱりこの預金者というものは守ってやらなければならぬと思います。世界的に見ても日本の預金率が高いのは、これは世界各国のように社会保障も充実しておりませんし、やはりこれは日本人の勤勉性、堅実さ、本能的な意味で、わが子のために預金をしておるのだと思うのです。わが子を学校へやりたいとか、お嫁さんをとるときの資金とか、老後のものとか、こういうことで本能的な貯蓄をしておるものであって、私はある一定以上の大口の預金者というものがそれほど多いものだとは考えておらないのでございます。そういう意味で、国民すべてがこの乏しい中で預貯金をしようという考え方、しかも預貯金をしたものが産業投資となり社会資本の充実となり、われらの生活に戻ってくるのでございますから、私は大きく国の施策に貢献しておる人たちに対して報いる施策をとることは政治の上でも必要であるという考えでございます。しかも、株の問題もそうでございます。今国民が六〇%以上株を持っているというのでございます。株はただ上がるから、また激動しておもしろいからというのじゃありません。去年八月から九月、一体政府は何をしているのか、もう株は何年か前の一定の投機家のものじゃないんだ、国民の六〇%が持っているときに、このように株が暴落をした責任は一体どうか、こういうことを言われた。あの当時のことを私は引例するわけじゃありませんが、私は少なくとも、新しい社員が入社をして新しい月給をもらったならば、自分でもってその会社の株を買おうという、そういうつましい立場でおる若い人たちの姿を見ても、より長期的な投資に目ざめながら、お互いがあしたのためにより堅実な産業発展や生活基盤を築こうという考え方、意欲に燃えているときに、私はこれに対して恩典的な施策を行なうことが政府として行き過ぎた施策だとは考えておらないのでございます。
#211
○横山分科員 私の言うことに答弁していないじゃありませんか。株の配当を負けたとて、銀行預金の利子を負けたとて、それで預金がふえる、株がどんどん買われるという実績は出てこない。それはムードだ。あなたの言っているのもムードじゃありませんか。かわいそうだから、若いのに株を買うから何とかしてやろう、そんな論理は私は若い人に通用しないと思う。そういうことを言うなら、かわいそうに若いのに徹夜で働いているから、徹夜料だけ税金を負けてやろうとなぜ言いませんか。そうでしょう。少なくともあなたのさっきの論理は、株の配当を負けたら、預金の税金を負けたら、それで株がどんどん売れ、預金がどんどん積んでいくであろうからという論理だった。ところが今はそうじやない。人情論ですね。そんなことは、私はまだ腹の中に釈然として落ちていないです。私はあえてもう一ペん言いますけれども、こういう税制をとったら預金がふえた実績があるか、株がどんどん売れていった実績があるか。ないと税制調査会は言っているじゃないか。それにもかかわらずあえてやろうというのはどういうわけだと、町のうわさがさえずっておるよというんであります。
#212
○田中国務大臣 私はあなたに反論するつもりで言うわけじゃありませんが、中小企業問題等を言われるときに、政府は一般会計から金を貸せろ、その場合に産炭地の中小企業に対しては政府が肩がわりをしなさい、金利が高いんだ、政府関係機関はもうちょっと金利を下げろ、と言われておるじゃありませんか。現在自由化に際して日本の金利が安いか高いか、これは論を待たない。どうして高くなるか、需要供給のバランスがアンバランスだからであります。
  〔「そればかりじゃない」と呼ぶ者あり〕
#213
○正示主査代理 御静粛に願います。
#214
○田中国務大臣 それは一つの問題であります。こういう問題を考えますときに、これから預貯金金利も下げなければならない、国際金利にさや寄せをしなければならない。これは外国の話じゃないのであります。われわれが今八条国に移行し、貿易の自由化をやるというときに、金融の環境の整備を行ない、国際金利にさや寄せするというようなことは、国の政策の中で最も大きな問題としてやはり考うべき問題であります。あなたが今言われた通り、ただ実質的に預金はふえない、ふえた例がないじゃないか、学者もまたそう言っている、でありますから、それに対して、環境つくりの一つとして預金金利の優遇策を税制の改正でもってやっても何にもならないと、私たちはそう考えておらないのであります。環境整備をやらなければいかぬ、またその一環としては今度の優遇政策というものは価値ある施策である、またわれわれが考えておる目的達成には十分効果がある、このように見ておるのであります。でありますから、私がどうも低所得者階層の一般的な減税をやることに消極的であるというようにまず前提を置いてお考えになっていただかないで、現在当面しておる問題をバランスをとって考えてみますと、やはり政府が行なったようなものがおおむね妥当なものであり、しかも今年やり得なかった所得減税に対しては、来年も再来年も税調の答申を待ちながら、これに対して前向き積極的に行なっていく方針でございますということでありますから、私はただいまの段階においては、政府が提案をした御審議を願っておる税制改正に対しては御理解願い得るのではないかと考えておりますし、まげて御理解賜わりたいと考えます。
#215
○横山分科員 私のような者が言って恐縮なんですけれども、大臣はわかった大臣として世間から評判よろしいけれども、事税金に関しては、口でおっしゃっておることと実際あなたが大臣になられてからの税制改正の方向とは、食い違いもはなはだしい。特に今回はそうだと私は言うのです。私どもがこれほどいたけだかになって預金の利子と株の配当についてけしからぬと言っておるのですから、あなたも、まあそれをそうだと言うわけに参りますまい。それこそ反論をなさるつもりになるのは無理はないと思う。けれども、こういう方向がオーソドックスな税制改正の方向だとあなたがほんとうに思われておるとは私は思わないのであります。けしからぬと私は思っておるけれども、あなただって、今回はまあ申しわけないことで、こういう事情だからかんべんしてくれ、次の税制改正には税の公平を徹底する気だ、こうでもおっしゃればともかく、預金の利子と配当は今度ただにします。そんなことをあなたはようもぬけぬけとおっしゃるはずがないと私は思っておった。ところが事実は、新聞でそれが報道されて、銀行や株屋は大喜びで、わあわあ騒小でおるという話ではありませんか。こと税金に関しては大蔵大臣は最も悪質だ、こういうような感じがするのです。ほかはともかくとして、税金に関してはですよ。どうですか。
#216
○田中国務大臣 ここまで私が答えておるのでございますから、私の真意は御理解賜わりたいと思います。社会党の代表質問であった勝間田さんの御質問に対しても申し上げたように、私も初めて大蔵大臣になったのでございますし、一生に一ペんの大蔵大臣でございますから、私の考え方としてはほんとうに税に対してもやりたかったのでございます。また将来もやりたい、こう考えておるのでございますが、とにかく予算編成の過程において、答申をいただいた直後から、三十八年度予算編成の状況では財源の見通しに対しても今よりもさだかなものを持っておりませんでしたし、私が考え得る状態において、また事務当局との間にお互いに十分検討しながらおおむねの妥結点を見出したのが今日の税制改正の姿でございます。でありますから、一般減税といわれておる――一般減税とは必ずしも所得税減税だけをいうのではなく、所得税の減税も政策的なものであるし、同時に政策減税といわれておる預貯金等の減免税もあるいは一般減税というか、私はそれに対してはなはだ疑問を持っておるのでございますが、とにかく低所得者の生活擁護のため、またレベル・アップのために、過去も現在も将来も減税を行なっていかなければならぬという基本的な考え方においてはあなたと同じ考え方でございます。これはもう減税論者として人後に落ちないと考えておるわけでございます。
 それから、預貯金の問題に対しては、これは私一人できめたわけではございません。政府であらゆる角度から検討しまして、産業政策上も、また自由化に対応してもこの原案が正しいということを、党とも十分相談の上決定したものでありまして、私は少なくとも、最良のものであるかどうかは別としまして、方向としては正しい現状認識に立った減税の改正案だと思っておるわけでございます。
#217
○横山分科員 それでは、もう一つ別な角度から泉さんにお伺いしたいのです。大臣が預金の利子をただにするという放送を行なったそのころ、銀行と税務署の問題についてそこはかとなくあちらこちらで議論がされる。銀行は預金者保護という天下の金看板があって、国会におきましても、個々の銀行についていろいろ議論することについては、政府側、大蔵省側としてはなるべく一つかんべんしてくれという。銀行に悪いこと、汚職があるようなこと等があっても、預金者保護という名目に隠れて、なかなか追及をさせない。税務署と銀行との関係は一体どういう関係になっておるのか。何か秘密な銀行協会と国税庁との申し合わせがあって、しかるべく適当にやってもらうという話があるが、それはどうであろうか。また、特別調査と査察権の発動による銀行調査はどういうような仕方になっておるか。銀行を調査するのは、税務職員及び国税庁の人が普通どういう権限を持って行くのか。一体だれが許可するのか。それらは任意に銀行へ行って調査するのか。その範囲はどういうことになっているのか。これは一般調査、特別調査、あるいはまた査察権の発動によるもの等の三段階で、銀行とその他と何ら変わることはないのか。銀行は特別に預金者保護によって何かの恩典を受けておるのか。この点を明らかにしていただきたい。
#218
○泉説明員 税務行政の執行にあたりまして、預金者の秘密保護との関係の調整をどういうふうに持っていくかということは、実際問題としてなかなかむずかしい問題でございます。ただ、私どもは、税務行政の執行にあたりましては、第一に課税の公平ということを心がけております。そのために、税務調査にあたって所得の真相を把握するためには、ある程度金融機関の調査を行なうことが必要であると思っておるわけであります。ただ、このために預金部の秘密を侵すということは慎しむべき点もありますので、税法におきましては、税務職員が職務上知り得た秘密を漏洩することにつきましては、特別の罰則規定を設けてこれを防止するということになっております。また、執行上におきましても、金融機関の検査にあたりまして預金者の権利が侵害されることのないように十分配意いたしておるのでございます。
 金融機関の調査にあたりましては、事前に国税局長または税務署長の承認を得て個別事案について検査を行なうということにいたしております。お話のように、金融機関を調査いたしますときは、査察で調査する場合もございます。特別調査班のいわゆる特調というので調査する場合もございます。また、一般調査に関連いたしまして金融機関を調査する場合もございます。そのいずれの場合におきましても、査察につきましてはもちろん局長の承認を得まして金融機関の調査を行なうわけでありますし、また特調及び一般調査におきましては、それぞれその国税局員が行なうか、あるいは税務職員が行なうかによりまして、国税局長または税務署長の承認を得て行なうということにいたしておるのであります。
#219
○横山分科員 私の質問に対して一つお答えがないのですが、金融機関と国税庁との間に何らかの合意があるのかないのか。
#220
○泉説明員 先ほど申し上げましたように、預金者の秘密を守るという見地からいたしまして、個別事案について調査する場合に、国税局長または税務署長の承認を得て調査に参る、そのときには金融機関が協力するという申し合わせになっておるわけでございます。
#221
○横山分科員 個別事案について局長の承諾を得て調査をするときには脱力する、こういうのですか。
#222
○泉説明員 と申しますのは、税務職員が金融機関に参りまして、そこの店舗の預金者のものを全部出せといったようなことになりますと、預金者にいろいろ不測の心配をさせるというようなこともありますので、そういうことでなしに、個別のケースについて局長ないし税務署長の承認を得た書面を持ちまして調査に参ったときには、金融機関はその調査に協力するということになっておるわけでございます。
#223
○横山分科員 時間があまりないようでありますから、もう一つお許しを願って……。
 その調査査察の令状を発行する責任者は局長だと思いますが、その局長の権限の限界というものは一体どういうものでございますか。とにかく疑わしきところを調査する一切の権限を与えるのでありますか、そこに何かの限界を持っていますか。
#224
○泉説明員 お尋ねの趣旨がはっきりいたしかねるのでございますが、査察を行ないます場合は、被疑事件につきまして検事に連絡いたしまして、裁判所の令状をいただいて執行するのであります。従いまして、局長が査察立件をするかどうかということにつきましては、もちろん税務行政の立場と、それから査察によって脱税者を罰すべきものと、その点についての十分な判断を行なわねばなりませんけれども、その際に何らかの制約があるというようなことはもちろんないわけでございます。
#225
○横山分科員 時間の関係上私の意見をまじえて見解を求めるのですが、普通調査と特別調査と、それから査察、令状による調査というものがある。かつて大蔵委員会において、その違いについてずいぶん痛烈に議論をしたわけでありますけれども、かりに調査査察を一つ例にとってみれば、令状があればどんなことでもできるか、またどんなことをしようとしても判こを押すのかというのが私の課題なんであります。
 私の言いたい結論としては、かつて戦後混乱な税務行政、あるいは道義の頽廃しておったときならいぎ知らず、経済が一応安定をし、税務行政も秩序が整ってきた今日においては、査察という文字を本来取るようなつもりでなさるべきである。ところが、人が足りないというようなことで、どうしても権力的なこの調査査察の風習というものが今なお残っておるようである。私は二、三の例を引用する時間がないのでありますけれども、ものの言い方、聞き方に至るまでがやはり問題になっておる個所があるわけであります。従って、私の希望をいたしたいことは、調査査察という査察を取って、ほんとうの合理的な近代的な調査によって、人もふやしまして、大企業中心の調査をさるべきである。それ心ら調査をするときにも、令状があればそこでどんなことでもできる、それに関連する一切の調査ができると私は考えていないわけです。少なくとも必要な限界というものがあってしかるべきであるが、その点はどういうふうに考えておるかということが私の聞きたかったことです。以上です。
#226
○泉説明員 お答えいたします前に、先ほどの点につきましてちょっと訂正を申し上げておきます。先ほど、金融機関を調査する際に、個別の事案について国税局長または税務署長の承認を得て調査に参るということを申し上げましたが、その了解は銀行局長との間の了解でございまして、金融機関との間の了解にはなっておらないのでございます。その点御了承いただきたいと思います。
 それから、先ほどお話のございました査察の点でございます。お話のように、査察を行ないます際は相当多人数の者が一時に脱税容疑者のところへ集中いたしまして諸種の証拠物件を捜索押収するという事情がございますが、その場合にも、もちろん納税者の人権の尊重その他十分考えなければならない点があるのでございまして、令状をもらえば何でもできるといったような性質のものではもちろんございません。従って、われわれといたしましては、令状の範囲内におきまして、またそういう納税者の人権を十分尊重した範囲内におきまして調査を行なっておるわけでございます。お話のように経済がだんだん落ちつてい参りました今日におきましては、皆のような考え方でなくて、新しい近代的な調査方法を用いるべきだというお考えはまことにごもっともでありまして、私どもといたしましては、今後ともそういう近代的な調査方法を取り入れることにつきましては十分努力いたしたいと思っておるのでございます。ただ、経済が落ちつきましたといいますものの、なおまだ今日の現況におきましては相当の大規模の脱税が見受けられますので、これらの点につきましてはなお査察行政というものは続けていかなければならないものと思っております。ただ、その執行の方法につきましては、先ほどお話のような意味を含めまして、今後とも改善の方法で努力いたしたい、かように考える次第でございます。
#227
○正示主査代理 横山委員に申し上げます。予定の時間が参りましたので、御結論をお急ぎ願いたいと存じます。
#228
○横山分科員 それでは、大臣に希望かたがた見解を伺いたいと思います。
 きょう私が実際の行政上のいろいろな問題を、税制上議論をいたしたかったのは、一つの結論として、税務職員の気持を考えてやってもらいたいということがあります。納税者から見た税務署と、それから税務職員から考えた税務署というのは、極端にと言っていいほど違うのであります。それは俗に言えば、取る者と取られる者の相違でありましよう。私が言うようなことは、実は税務職員が最も職務上日常痛感をしていることなんであります。かつて私が引用したことがあるのでありますが、ある税務職員が言いました。前の晩にマージャンでも徹夜でもやると、あくる日仕事がばさばさいく。前の晩にクラシックでも聞くと、あくる日やり切れない気持がするときがある、というのであります。これは税務職員の正義感からいって税の公平というものは、法律を知っている者として――これはあなたの言うように自由化とか、そんなものじゃないですよ。税の立場から見る公平というものが、職務にあたってやはり逡巡する気持がどうしても起こる。それから、調査の徹底しているところと徹底していないところは、自分がわかる。これがわかれば、どうしても税を徴収しなければならないけれども、あそこは行っていない、忙しくていけないという村というものはどうしてもある。真に自分が公平にならんと欲するならば、それは税法通りきちんと動くことであるか、それとも実際の納税者の公平論によってまずまずやることであるかということについて心に迷うときがある、こう言うのであります。私はその話を聞いて、まことに同情をすると言いますか、自分も気持が合うところがあるものでありますから、自分も国会で十分に諸君が熱意と誠実と勇気を持って税法通りやってもらえるようにするよと言って、慰めたわけでありますが、なかなか百年河清を待つような気がしてならぬのであります。しかも、私の言うような税の公平論の徹底には、大蔵大臣たるあなたとしてもある別の角度を考えてくれというのでありますから、私は何をもって税務職員に、勇気を出してやれよ、国会でこういう話になったからやれ、と言えるかという気がするわけであります。
 かつてあなたに、もう一つお願いしたことがあります。それは、税務職員というものは一つの独立した仕事をやっている。税務署を出て納税者のところへ行けば、それはまさに国家であります。納税者にとりましてはその税務職員は国家である。少なくとも全権を委任されてその納税者の所得を調査し、そして賦課し、決定をするくらいの全権を委任をされておる。かるがゆえに、お互いに汚職のないようにとか、あるいは人権をじゅうりんしないようにとかいうような責任がまた税務職員には非常に負荷されておる。それにもかかわらず、その負荷されておる使命と任務等に比ぶるならば、私はその報酬はまことに少ないと思う。かつてその住宅を論じたときに、あなたは、いや自分は知っておる、税務職員は、おれが聞いたところでは馬小屋みたいなところに下宿しておった。まことに気の毒だから、所管大臣としてはそう大きなことは言えないが何とかしようとおっしゃったのは、予算編成前のことであった。一体どのくらいの住宅があなたの御努力でつけられたか。ふえましたけれども、私の希望するところよりは少なかったと私は感じているわけであります。従って、税務行政を明るくするためには、まず税務署づくりから――税務職員がほんとうに確信を持ってやり、生活も十分とはいえないにしても、ゆとりを持たせることが必要だと私どもは考えておるわけであります。国税に働く諸君に対するあなたのお考えを伺いたい。
#229
○田中国務大臣 税務職員が非常に努力をしておられることに対しては深い敬意を払っております。税務職長が求められることのみ多くして与えられないということに対しては、私も遺憾と存じておりまして、できるだけこれが安定、優遇に対して施策を行なうべきであるということで検討を進めておるわけでございます。先ほども言いました通り、税務署の職員の特殊の立場――脱税をしておっても、取られる人は取られる人の立場でもって税務署を見ますし、税務署の職員といえば取られるものだというふうに、こう冷たい目で見られながら、黙々として法規裁量でやらなければならない職員の労苦に対しては、私は十分承知をいたしております。この間から検討いたしておるのでありますが、東京などはどんどんと会社がふえていく。税務署というのは、神田橋に総合庁舎をつくる予定でございますが、このようなことをしても、住宅から総合庁舎まで出てき、それから帰るだけでも大へんであります。だから、税務、徴税機構そのものは一体現在でいいのかどうかということで、私はこの間から国税局長会議などでもって自分の意見を申しておるのですが、少しこれは専門的な立場だけではなく、しろうとの意見も広く知恵をかりて、抜本的に問題を片づけなければならぬ。ある人は冗談に、これだけのものを集めておるのだから、その一%だけでもいいから、財源を特定するというわけではないけれども、そのくらいのものでもってわれわれの環境整備の歳出をしてもいいじゃないかという議論もあります。しかし、税務署なるがゆえにそういう財源を特定するようなものをつくれるわけはない。ないけれども、当然報いなければならないということで、私は税務署というものを、東京都に例をとりまして、三十五区に一つずつ今もありますというのですが、これは非常に権限の小さい昔ながらの税務署であります。麹町税務署などは格が非常によいといわれておりながら、小さな税務署でございます。これをもっと大きくして、もっと相当な人を配し、陣容も大きくし、機械化も行なって、大体国税局まで、国税庁まで出てくるだけでもって往復一時間、二時間でもってどうにもならないような状態をなくするために、徹税機構そのものに対しても再検討をする必要がある。それには税務署長権限というものを相当大きくする必要がございます。現在二千万円までの資本金の会社を、五千万円まではそれを税務署長にまかすとか、こういういわゆる制度上の問題が一つ大きくございます。
 もう一つは、税務署の職員の職掌柄、一年交代、長くとも二年でもって、同一任地に長く置かない、こういうことでもってどんどんと各地方を回しておる。こういうことが一体いいのかどうか。そうしなければ税務署のいわゆる姿勢を正せないのか。こんな信用しないようなことで一体いいのか。昔も小学校の教員などに対しては、確かに自分の村でやるよりも、隣村以外でもって勤務地をきめるというようなことがあったが、今日はそのようなことはありません。だから、こういうほかの業種でもってすぐ解決しておるものを、税務署員なるがゆえにそれほど姿勢を正さなければいかぬのか。そうしなければほんとうに税務署職員というものの規律は守れないのか、もっと真剣に大蔵省自体も国税局も検討すべきである、私はそういうことを言っております。
 もう一つは、今のように複雑な経済であり、複雑な経理でございますから、法人税係になる人は多いけれども、徴収などというじみないやな仕事に対しては、これはなかないやな仕事だと思います。また、法人税係になれば正面も広くなりますので、ほとんどエキスパートがどんどんと引き抜かれて民間会社に行ってしまう。あとに残る人は、一体希望をつなげるのかどうか。私はこういう問題に対して、もっと積極的になぜ検討しないのかと思います。
 もう一つあります。一体月給に対して、あなたが言われた調査査察などというのは非常にエキスパートであり、いやな仕事をやるわけでありますが、これに対し、副検事が検事になるように、また裁判所の書記官補が書記官になるように、何らか特別な手当を与えるということはできないのか。制度上の問題は、一体徴税官というようなもので特別な俸給制度がつくれないのかと、検討は相当やっておるのであります。それだけでなく、求めることだけ多いということでなく、バランスをとるために、今の国会でさんざん議論せられた公認会計士、それから税理士、計理士、こういう制度の中で、少なくとも税務講習所を出て十年間たった者はどう、十五年たった者はどう、二十年たった者は会計士になれるというような、制度上、法制上の問題もなぜ一体検討しないのか。
 私はしろうとなりに、これらの問題を全部自分から発議をして、国税局長会議でもって自分の意見を言っておるのであります。こういうことを一つずつ解決をしないで、税務職員にはなり手がないということで、これから一体どうなるのですか。
 しかも、それだけではない。私はあなたの御質問の中に、私もその通りというような気持でもってさっきお聞きをしておったのでありますが、確かに言葉の上や理論の上ではちゃんと割り切っておるのでありますが、実際の徴税の状態になるといろいろな不公平が行なわれる。それは、五千万円くらいの会社が東京や大阪にあってもお目こぼれの機会はたくさんある。ところが、青森県や北海道で五千万円の会社といえば五指に屈するということになるから、徹底的にやられるのであります。でありますから、全国の産業の本社は全部東京や大阪に集まっておる。自分の工場のあるところに本社を置けば、毎年必ず査察を受ける、調査を受けるけれども、大阪に行けば三年に一ペん、東京に行けば、うまくすれば十年くらいのがれられるかもしれない。これは事実であります。こういう事実に目をおおうて、徴税機構が法律上、理論上うまくいっておりますなどということで解決はしない。こういうことを私は自分で事例を全部あげまして、この間も言ったのですが、東京へ来たら逆に税率を少し高くする、このくらいやるのがほんとうです。そうでなければ、突際の徴税上一銭厘毫の目こぼれの余地もないというような地方の状態を考えてみるのと、東京や大阪や県庁の所在地における企業との間には、事実アンバランスがあるだろうと思う。こういう問題に取り組みなさい。
 私は、今の予算が通過したら、こういう問題に対して少なくとも二カ月でも三カ月でもかかって、この次の国会には、こういう問題に対してどの程度税務署を優遇することができるか、税務職員に希望を与えることができるか。そういうものに対して相当の突き当たりはあるでありましょう。いろいろな調整困難なものもあるでありましょうが、私は徴税機構というものは、今日のように秩序を守って法規裁量でがまんをしてくれておるところに、日本の健全財政もあるのであるし、ひいては日本の今日の建設もあるのありでますから、やはり報いるべきである。悪平等でそれをやれば、どこの官吏でも何でもみな同率に扱うべきであるというような考え方よりも、一歩も二歩も進めて、これらの環境整備、現状打開に前進をしたいということを私自身が考えており、私のアイデアもぶつけておるのでありますから、これが徴税の組織、またその他の機構の問題、それから施設の整備等に対しても、各般の措置をとるように、できるだけ早い機会にこれが案をまとめて実行に移したいという誠意を申し上げておきます。
#230
○横山分科員 大へん長時間にわたってお話を承り、共感を覚えるところが多いのであります。なぜ共感を大臣の話に覚えるかということは、だれでも言うのでありますけれども、庶民的な感覚であるということだと思います。
 それでは庶民の感覚は何か。庶民の感覚は、何度でも言いますけれども、税にあっては公平理論であります。この公平理論が、さて国会になると公平の税制でなくなっていくというところに、私はあなたのお話に対して、今日までは非常に期待を裏切られました。今後その庶民的感覚が、ほんとうの庶民の持つ公平の理論とともに結んで成果を上げていただくように強く希望いたしまして、私の質問を終わります。
#231
○正示主査代理 この際、御報告申し上げます。理事会の申し合わせによりまして、本日をもって終了いたす予定でありました分科会を、明二十六日まで延ばして審議することとなりましたので、明日は残余の諸君に質疑を行なっていただくこととなりました。御了承願います。
 明二十六日は、午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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