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1962/02/05 第43回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第043回国会 本会議 第5号
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1962/02/05 第43回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第043回国会 本会議 第5号

#1
第043回国会 本会議 第5号
昭和三十八年二月五日(火曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第五号
  昭和三十八年二月五日
   午後一時開議
 故議員阿部五郎君に対する追悼演説
 故議員三浦一雄君に対する追悼演説
    …………………………………
 第一 台風常襲地帯対策審議会委員の選挙
    …………………………………
 一 国務大臣の演説
 二 国務大臣の演説に対する質疑
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 三木武夫君の故議員阿部五郎君に対する追悼演
  説
 淡谷悠藏君の故議員三浦一雄君に対する追悼演
  説
 日程第一 台風常襲地帯対策審議会委員の選挙
 雪害対策に関する決議案(山村新治郎君外六十
  一名提出)
 重政農林大臣の農業基本法に基づく昭和三十七
  年度年次報告及び昭和三十八年度農業施策に
  ついての演説
 国務大臣の演説に対する質疑
   午後一時七分開議
#2
○議長(清瀬一郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○議長(清瀬一郎君) 御報告いたすことがあります。
 議員阿部五郎君は、去る一月二十三日逝去せられました。
 議員三浦一雄君は、去る一月三十日逝去せられました。
 まことに哀悼痛惜の至りにたえません。
 阿部五郎君に対する弔詞は、去る二月二日、また、三浦一雄君に対する弔詞は、昨二月四日、議長においてそれぞれ贈呈いたしておきました。今これを朗読いたします。
  〔総員起立〕
 阿部五郎君に対する弔詞衆議院は多年憲政のため尽力された議員従四位勲二等阿部五郎君の長逝を哀悼しつつしんで弔詞をささげます
    …………………………………
 三浦一雄君に対する弔詞衆議院は多年憲政のため尽力しかつて予算委員長の要職につきまたさきに国務大臣の重任にあたられた議員正三位勲一等三浦一雄君の長逝を哀悼しつつしんで弔詞をささげます
     ――――◇―――――
 三木武夫君の故議員阿部五郎君に対する追悼演説
 淡谷悠藏君の故議員三浦一雄君に対する追悼演説
#4
○議長(清瀬一郎君) この際、弔意を表するため、三木武夫君及び淡谷悠藏君からそれぞれ発言を求められております。順次これを許します。三木武夫君。
  〔三木武夫君登壇〕
#5
○三木武夫君 ただいま議長から御報告がありました通り、本院議員阿部五郎君は、去る一月二十三日の朝、九段議員宿舎において心筋梗塞症のため、こつえんとして波乱に富んだ五十八年の生涯を閉じられました。まことに哀惜の感にたえません。
 私は、ここに諸君の御同意を得て、衆議院議員一同を代表し、哀悼の辞を申し述べたいと存じます。(拍手)
 阿部五郎君は、明治三十七年徳島市に生まれ、大正十二年県立徳島商業学校を卒業、久原鉱業株式会社に入社されました。幾ばくもなく、青雲の志やみがたく、笈を負うて上京されましたが、不幸、病のため志を得ず、その後は門司港の荷役事務員、労働共済会の主事等を経て、九州小倉に転じ、この地において労働農民党に入党し、労働運動に身を投ぜられたのであります。
 次いで、昭和三年、北九州合同労働組合を結成し、みずから常任執行委員となりました。当時は労働運動に対する世間の理解も乏しく、君は幾多の迫害に抗しつつ、労働者の先頭に立って、日夜労働組合の指導に当たられました。
 昭和五年、郷里徳島に帰り、全国農民組合徳島県支部連合会顧問に推され、当時恵まれなかった農民のために根限りの活動を続けられました。この怱忙の間にあって、君は学問に対する情熱を失わず、独学よく司法科高等試験に合格し、徳島市において弁護士を開業されるに至ったのであります。
 終戦後、昭和二十年十月、日本社会党に入党、徳島県支部連合会を結成し、推されて初代会長になりました。
 昭和二十二年四月、県民多数の支持を得て、徳島県における初めての公選知事に選ばれました。在任の間、県財政の建て直し、各種産業の振興、教育施設の拡充等に意を用い、多大の業績をあげられました。
 昭和二十七年十月、第二十五回衆議院議員総選挙に徳島県から初出馬し当選せられてより、連続当選五回、在職十年四カ月に及びました。
 また、日本社会党にあっては、両院議員総会副会長の要職にあり、徳島においては、日本社会党徳島県連合会長のほか、徳島県労働組合評議会議長、日本農民組合徳島支部連合会長として在職長きにわたり、自他ともに許す徳島県労働界の第一人者でありました。
 思うに、阿部君は、外に対してははなはだ謙虚寛容であり、身辺にただよう庶民的な雰囲気は、接する人をして党派をこえた親愛の感を抱かせましたが、他面みずからを律することきわめて厳格、生活態度は常に清廉潔白でありました。
 また、阿部君の肉体は、むしろ虚弱というべく、風貌も一見ひよわい印象を与えますが、しかし、激しい迫害に抗しつつ労働連動を戦い抜き、あるいは、独学、弁護士試験に合格し、さらには県知事、衆議院議員選挙に当選する等、波乱の一生に耐え抜いて、よく立志伝中の人となり得たものは、実に君が強靱な意思と、あくなき向学心の持ち主であったからであります。(拍手)
 阿部君は、年齢五十八、議員歴十年余に及び、豊かな人生体験を持ち、才幹力量はまさに円熟の境にありました。ことに、昨秋欧米視察により得られた国際的視野に立って、日本政治のため長く貢献せられることをひとしく期待したのであります。今、君の急逝にあい、友人として哀惜の感にたえないばかりでなく、国家のため残念しごくに存ずる次第であります。(拍手)
 ここに、つつしんで阿部君の生前をしのび、功績をたたえつつ、衷心御冥福を祈って追伸の言葉といたします。(拍手)
     ――――◇―――――
#6
○議長(清瀬一郎君) 淡谷悠藏君。
  〔淡谷悠藏君登壇〕
#7
○淡谷悠藏君 ただいま議長から御報告のありました通り、本院議員三浦一雄君は、去る一月三十日東京において逝去せられました。
 私は、諸君の御同意を得て、議員一同を代表し、つつしんで哀悼の言葉を申し述べたいと存じます。(拍手)
 三浦君は、郷党の先輩であり、かつまた、本院において数年来予算委員会の委員としてともに審議に携わり、しかも、君のすぐれた人格と高い識見に対して日ごろ深い敬意を抱いておりましたので、予算委員会の審議中に君の急逝を知り、驚愕おくところを知らなかったのであります。まことに痛恨のきわみに存ずる次第であります。
 三浦君は、明治二十八年四月、青森県三戸郡五戸町に生まれました。長じて節二高等学校を経、東京大学法学部に入り、大正九年卒業、直ちに農商務省に勤務されました。三浦君は、ここに農村問題を自己終生の目標として、意義深い第一歩を踏み出されたのであります。
 その後、長年にわたり、主として山林、畜産行政に携わっておられましたが、君の勉強の成果とすぐれた手腕を遺憾なく発揮し、また、欧米へ出張して諸国の農業事情をつぶさに視察し、一そうの見聞を広め、識見を高められました。
 昭和四年の世界大恐慌の影響により、当時きわめて深刻な様相を呈していた農村を救済するため、昭和七年以来、農山漁村経済更生運動が起こされたのでありますが、三浦君は、農林省経済更生部において、この運動を直接指導し、農村の負債整理、失業帰農者の救済、その他諸施策の実施に当たられることになりました。君は、依然旧態のまま取り残された農山漁村の建て直しのために全国を行脚し、文字通り寝食を忘れて東奔西走されたのであります。
 次いで、昭和十三年企画院に転じ、食糧増産等、生産力の拡充計画の立案、推進を担当されましたが、昭和十六年には抜擢されて農林次官に就任されました。
 昭和十七年、君は政界に志して次官を退き、第二十一回衆議院議員総選挙に青森県第一区から出馬し、みごとに当選され、昭和十九年には、その力量才幹を認められて、小磯内閣の法制局長官兼内閣書記官長の重職に迎えられ、多難な時局に身をもって当たられました。
 平和が回復された後は、政界から身を退き、郷里の南部鉄道社長に推されるなど、郷土の産業開発に努めておられましたが、昭和二十七年十月に施行された第二十五回総選挙に改進党から立候補して、本院に復帰されたのであります。自来、引き続き本院に議席を占め、前後通算して当選回数六回、十四年一カ月の長きにわたって在職しておられます。
 本院にあっては、すぐれた政策通として同僚議員の信望を集め、国政の各分野において活躍されましたが、特に昭和三十年には予算委員長の要職に選ばれ、一年有半にわたって在職されました。その間、終始公正な態度をもって円満に委員会を運営し、温厚な性格の中にもきぜんたる態度を失わず、相待って与野党委員のひとしく敬服するところとなり、よく委員長の重責を果たされたのであります。(拍手)
 君は、党においては、改進党の政策委員長、日本民主党の総務、さらに自由民主党の総務、全国組織委員会委員長等を歴任し、常に党の指導的人物の一人として政策の推進、党務の処理に当たられました。
 昭和三十三年六月、岸内閣の成立とともに、三浦君は、豊富な知識経験を買われて農林大臣に就任されました。君が、かつて二十年前に情熱を傾けられた農業と他産業との所得格差の是正、農村の福利増進の問題は、今や、一そう複雑な姿をもって、わが国農政の焦眉の問題となっており、君は、新たなる見地に立って、大いに年来の抱負を実現すべく努められたのであります。はたして、君は、多年の懸案であった生産費・所得補償方式を米価算定に取り入れ、農業生産力の拡充と農家経済の向上に努めて、国民の期待にこたえられたのであります。
 大臣を退かれた後も、昭和三十六年には五十日間にわたって、西欧、北欧の諸国の農業事情を視察して新しい知識の体得に努められ、また最近は、全国奥地山村振興協会会長として、奥地農山村の農林業振興対策の樹立に尽くされるなど、君の農業に対する熱意はいささかも衰えを見せず、ますます広範な活動を続けておられました。
 三浦君は、本院に復帰されて以来、すぐれた識見力量をもって数々の指導的な役割を果たされ、その功績はきわめて大なりといわなければなりません。しかも、あくまでも一議員、一党員としての面目を重んじ、終始まじめな態度で審議に参加されたのでありますが、権謀術策の陰を持たず、誠実真摯に国政に尽くされたことは、新しい政治の方向を示すものとして、まことにわれわれ国会議員の範となすべきものと信じます。(拍手)
 今静かに六十七年の君の生涯を顧るとき、君は官界、政界を通じて約半世紀間、農業問題と取り組み、政策一筋に歩んでこられたのであります。その粘り強い性格と積み重ねられた努力の跡とは、いかにも東北出身人物の特色ともいうべき重々しい風貌、態度の中にそのまま現われていたのであります。謹厳重厚の言葉に尽きる人柄で、情誼に厚いきわめて穏やかな方でありました。その視野ははなはだ広く、常に大所高所に立って公正的確な判断を下し、これを実行に移されたのであります。
 三浦君は、若いころから剣道、野球その他各種のスポーツでからだを鍛え、健康を誇っておられました。昨年十二月の臨時国会においても、ほとんど連日登院し、本会議及び予算委員会の審議に参加しておられた姿が今まざまざと目に浮かん参ります。私は、三浦君のいささかやつれたお姿を見、ひそかに御案じ申し上げたのでありますが、今にして思えば、すでに病は君のからだを侵しており、議員の職責を重んずるの余り、苦しい身を押して国政審議に精励された御無理がこのたびの不幸を招いたものと思われるのであります。三浦君のみずからにきびしい御心情を思うとき、私どもは粛然としてえりを正し、深くこうべをたれるばかりであります。(拍手)
 現下の政局はますます複雑多岐であります。ことに農業は、時代的変革を必要とする場に立ち、早急に解決を要する幾多の重要な政治上の問題を持っております。これらの課題を解決し、わが国農業の発展と農民諸君の生活の安定向上をはかるためには、三浦君のごとき豊かな経験と高い識見を有する政治家に期待するところがはなはだ多いのであります。(拍手)にわかに君の長逝にあい、練達堪能な指導者を本院より失いましたことは、国家国民のためにまことに大きな不幸であり、惜しみても余りあることと申さなければなりません。(拍手)
 今、君が郷土の山々は、清冽な雪におおわれて静かに君の声なき永遠のお帰りを待っております。
 ここに、ありし日の三浦君の面影をしのび、その偉大なる功績をたたえ、もって追悼の言葉といたす次第であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 日程第一 台風常襲地帯対策審議会委員の選挙
#8
○議長(清瀬一郎君) 本日の日程に入ります。
 日程第一、台風常襲地帯対策審議会委員の選挙を行ないます。
#9
○草野一郎平君 台風常襲地帯対策審議会委員の選挙は、その手続を省略して、議長において指名されんことを望みます。
#10
○議長(清瀬一郎君) 草野一郎平君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○議長(清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。
 議長は、台風常襲地帯対策審議会委員に森本靖君を指名いたします。
     ――――◇―――――
 雪害対策に関する決議案(山村新治郎君外六十一名提出)
     (委員会審査省略要求案件)
#12
○草野一郎平君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、山村新治郎君外六十一名提出、雪害対策に関する決議案は、提出者の要求の通り委員会の審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
#13
○議長(清瀬一郎君) 草野一郎平君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#14
○議長(清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
 雪害対策に関する決議案を議題といたします。
    ―――――――――――――
雪害対策に関する決議案
右の議案を提出する。
昭和三十八年二月五日
提出者
山村新治郎外六十一名
賛成者
安倍晋太郎他三百五十名
―――――――――――――
雪害対策に関する決議
年初以来、北陸を中心として全国的に襲った豪雪は未曾有のものであり、多数の死傷者を出し、公共の施設、農林水産物、家屋等の被害もはなはだしく、各地の交通は長期間途絶し、民生に及ぼした影響もまた多大でありまことに痛心に堪えないところである。
  政府は、すみやかに除雪、交通の打開、物資の供給と物価騰貴の抑制、商工、農林水産業救済、保健衛生対策等、災害の復旧救助等の緊急措置に関係機関の総力を結集して最善を尽くし、今後予想される融雪、なだれ等による災害に備えて万全の応急対策を講ずるとともに、災害の情況に応じて「激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律」を適用する等適切な援助措置をとるべきである。
  また今回の豪雪にかんがみ、抜本的な恒久対策を確立し、災害の防除に遺憾のないよう措置すべきである。
  右決議する。
―――――――――――――



#15
○議長(清瀬一郎君) 提出者の趣旨弁明を許します。山村新治郎君。
  〔山村新治郎君登壇〕
#16
○山村新治郎君 私は、ただいま上程いたされました雪害対策に関する決議案につきまして、自由民主党、日本社会党、民主社会党を代表して、その趣旨弁明をいたさんとするものであります。(拍手)
 まず、決議の案文を朗読いたします。
  年初以来、北陸を中心として全国的に襲った豪雪は未曾有のものであり、多数の死傷者を出し、公共の施設、農林水産物、家屋等の被害もはなはだしく、各地の交通は長期間途絶し、民生に及ぼした影響もまた多大でありまことに痛心に堪えないところである。
  政府は、すみやかに除雪、交通の打開、物資の供給と物価騰貴の抑制、商工、農林水産業救済、保健衛生対策等、災害の復旧救助等の緊急措置に関係機関の総力を結集して最善を尽くし、今後予想される融雪、なだれ等による災害に備えて万全の応急対策を講ずるとともに、災害の情況に応じて「激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律」を適用する等適切な援助措置をとるべきである。
  また今回の豪雪にかんがみ、抜本的な恒久対策を確立し、災害の防除に遺憾のないよう措置すべきである。
  右決議する。
  〔拍手〕
以上であります。
 御承知の通り、本年の初めから全国各地に相当量の降雪がありましたが、たかんずく北陸地方を中心とする日本海側一帯は、去る一月十一日夜半から連続的に未曾有の集中豪雪の襲来を受けたのであります。このため、百名になんなんとするとうとい人命を奪われたばかりか、地域社会の生命線ともいうべき交通輸送施設も、国鉄、私鉄のほとんどが運転不可能に陥り、また、道路という道路が途絶という非常事態を現出したのであります。かくして、この豪雪による被害はきわめて深刻な様相になったのでありまして、住宅の全半壊は、現存判明いたしたものだけでも約六百戸、また、交通麻痺のため各市町村が孤立し、生鮮食料など生活必需物資は極度に欠乏を来たし、商工業は休業状態、原材料の入手難、製品の出荷不能に追い込まれるなど、その惨たんたる事例は枚挙にいとまなく、筆舌に尽くしがたい惨状を呈したのであります。
 われわれはここにつつしんで、とうとい犠牲者の霊位に対し深く哀悼の意を表するとともに、罹災者各位に対しても心から御同情申し上げる次第であります。(拍手)
 かくのごとき異常な災害に対処して、政府は、災害対策基本法に基づく非常災害対策本部を設置し、河野本部長みずから急遽現地を視察されるとともに、関係各省、各機関またその総力をあげ、敏速に応急措置を講じております。また、各政党におかれましてもそれぞれ調査団を派遣し、その実情究明と、応急並びに恒久対策の推進に万全を期している次第でありますが、今回の豪雪とそれによる被害は、これまでの常識をはるかにこえたものでありまして、今後さらに徹底した措置が必要と思うものであります。
 政府におかれては、さらに緊褌一番、すみやかに除雪、交通の打開、物資の供給と物価騰貴の抑制、さらには商工、農林水産業等の救済、保健衛生対策の強化など、復旧、救助の緊急措置を強力に実施し、一日も早く民生を安定せられんことを強く要望する次第であります。
 なおその際、これら地方の貧弱な財政力や今次災害対策の緊急性に思いをいたし、思い切った助成措置を講ずべきものと存じます。災害の状況に応じ、かの激甚災害財政援助法を適用することはもとより、必要ならば、その一部改正または特別立法によって対象の範囲を拡大するなど、特段のあたたかい援助措置を講ぜられるよう希望いたします。
 また、今後寒波がやわらぐにつれ、なだれや融雪による災害の危険は刻々と増大しているのであります。過去に例を見ないほどの回数と大きさで発生が予想されるこのおそるべき天災に備えて、政府も地方もその総力をあげて完璧な対策を講ずるよう特にお願いいたします。
 次に、われわれはこの大雪害に直面いたしまして、火災や水害に比べて雪害に対する認識があまりにも浅かったことを遺憾に思うのでありまして、今回の苦い経験をよい教訓として、豪雪を科学的に把握し、抜本的な恒急対策を策定、実施しなければならないことを痛感する次第であります。幸いに、去る第四十回国会で、地元住民多年の念願であった豪雪地帯対策特別措置法が成立を見、同法に基づく審議会が昨秋発足し、自乗、豪雪地帯の指定や基本計画の策定と真剣に取り組んでおられるところでありますが、さらに一そう審議のピッチを上げ、早急に確固とした総合対策を樹立せられんことを希望するものであります。
 最後に、今般の豪雪災害におきましても、自衛隊諸君の昼夜を分かたぬ献身的な復旧、救護活動はめざましく、多大の成果を上げつつあるのでありまして、関係機関並びに地元民から厚く感謝されておりますことをつけ加えまして、本決議案の趣旨弁明といたします。
 何とぞ、満場一致をもって、本決議案に御賛成あらんことをお願い申し上げる次第であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#17
○議長(清瀬一郎君) 討論の通告がございますから、これを許します。稲村隆一君。
  〔稻村隆一君登壇〕
#18
○稻村隆一君 私は、ただいま上程されました雪害対策に陶する決議案に対し、自由民主党、日本社会党、民主社会党を代表して、賛成の討論を行なわんとするものであります。(拍手)
 今回、北陸地方を中心として襲来しました豪雪の被害は、一刻も猶予すべからざる重大な問題であります。もちろん、政府においても応急策としてすでに種々なる施策を講じつつあることは承知いたしておりますが、なお不十分なる点が多々あると考えられるのであります。
 われわれは、去る一月二十八日より北陸各地を視察し、調査したのでありますが、交通機関の麻痺により孤立した地域においては、ある人々は飢えにおののき、また、ある人々は生命の脅威にさらされているのみならず、すでに幾多貨車なる人命が失われているのであります。商業は不可能となり、工場は閉鎖され、労働者は寒さの中に失業し、その惨状、まさに目をおおうものがあるのであります。なかんずく、金融の停滞は、経済恐慌のごとき現象を呈しているといっても過言ではありません。かかる実情は、第二次大戦の末期においてわれわれが経験せる空襲の混乱、戦争の悲劇をほうふつせしめるものでありまして、この機会に即時、抜本的にして断固たる救済策を講じなければ、被害は連鎖的に進展し、伝染病、洪水等が次々と発生し、収拾不可能なる事態に立ち至ることは明白であります。かかる実情と、被災地住民の切実なる要請にかんがみ、われわれは政府に対し、さらに広範にして強力な応急策を可及的すみやかに講ずるよう要請するものであります。
 すなわち、まず第一に、経済、民主の混乱の主要な原因となっている鉄道、道路交通の回復のため、大量の機械力と人員を投入することであります。国鉄は、一月二十三日以来半カ月になんなんとする今日、幹線であるところの上信越、北陸線においてすらいまだに平常ダイヤの四〇%から二〇%を運行せしめているにすぎず、支線に至っては開通の見込みさえ立っていないのであります。気象予報により今回の豪雪がはるか以前において予想されていたにもかかわらず、今日のごとき事態が惹起されましたことは、国鉄当局において雪害対策に欠けているところがあり、天災をさらに大規模な人災たらしめたかに見受けられる点があることは、まことに遺憾といわざるを得ないのであります。(拍手)なお、各戸ごとに除雪費を支給し、人海戦術により除雪を行なうならば、道路はたちまち開けるのでありまして、政府はかくのごとき金を決して出し惜しんではならないのであります。
 第二に、交通の復旧とともに焦眉の急を告げるものは、食糧、医薬品等を初めとする生活物資の払底に対し、すみやかに補給の道を講ずることであります。すでに現地においては物価の急騰はなはだしく、住民は負担の増大に苦しみ、生産活動の停滞による収入減や除雪及び復旧のための不時の出費と相待って、民心の不安は想像以上に深まろうとしているのであります。この際、さらに大規模な空中輸送等の手段を採用することが必要であると思考されるのであります。
 第三に、地方公共団体及び被災者に対する財政援助の手を差し伸べるため、今回の大災害に対し激甚災害として指定し、激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律を適用することを考慮すべきであります。政府において、むしろ積極的に地方公共団体を指導督励してこの措置をとることは、災害の復旧を早からしめる一助となるものであります。
 第四の要請といたしましては、深刻なる打撃を受けましたところの地方産業経済活動に対するてこ入れであります。最近の不況のうちであえいでいた中小商工業は、今回の雪害によりさらに大きな追い打ちをかけられる結果となり、早急に長期低利による特別の融資措置をとらざる限り、ほとんど回復しがたい状態に陥れられているのが真相であります。また、農業につきましても、九州地方においてすら果樹、園芸等に被害を出している状態で、全国農業の直接間接の損失は、はかり知れざるほどの額に達するであろうことが推定されるのでありまして、相当の配慮を要するものがあるのであります。
 以上述べました応急策のほかにも、要請すべき点が多々ありますが、なおこの際特に声を大にして当局の注意を喚起しなければならないことは、これまでの統計によりますならば、大豪雪の年には、二月中旬から下旬にかけて降雪のピークが襲来しているということであります。本年の気象予報も、それを警告しておりますが、これまでの降雪によってさえかかる大被害を生じているのにかんがみ、われわれは、復旧作業遂行の過程において、当局が万全の防除体制をとられんことを切望するものであります。
 さらに付言いたしますならば、豪雪の後には、融雪時において、洪水、土砂崩壊等が続発し、農耕地や各種施設の荒廃等が一挙に明らかとなるのは必然であります。かくのごとき現象に対処するため、即時十分なる措置を講ぜざるときは、筆舌に尽くしがたい真に深刻なる事態を結果することを、政府及び関係機関に指摘しておきたいのであります。
 今や、世界は軍事科学の進歩のために、人と人との戦争は不可能となり、人間と自然との戦いの時代に入りつつあるのであります。最良の政治は、自然との戦いに打ち勝って、人間の幸福を増進することであります。最悪の政治は、自然との戦いに敗北し、国土と人民を荒廃せしめることであります。真に偉大なる政府であるならば、現代の発達せる科学の力を自由に駆使し、自然との戦いに勝利を占めることができるのであります。この意味において、現代日本の政府は、この豪雪の被害を契機として、重大なる試練に直面しているといわねばなりません。
 以上の観点から、雪害対策に関する決議案に賛成を表明し、私の討論を終わる次第であります。(拍手)
#19
○議長(清瀬一郎君) 以上をもって討論は終局いたしました。
 採決いたします。
 本案を可決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#20
○議長(清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。
 この際、内閣総理大臣から発言を求められております。これを許します。内閣総理大臣池田勇人君。
  〔国務大臣池田勇人君登壇〕
#21
○国務大臣(池田勇人君) 今回の雪害はまれに見る大規模なものでございまして、被害を受けられました県民各位の御困苦に対し衷心より御同情申し上げる次第でございます。
 政府といたしましては、この豪雪の事態をきわめて重大視し、直ちに現地に災害調査団を派遣いたしました。また、その状況を調査するとともに、災害対策基本法を初めて発動いたしました。北陸地方豪雪非常災害対策本部を設置し、対策に万全を期しておる次第であります。
 当面の問題としては、積雪のため交通輸送が途絶いたしまして、陸の孤島と化した地区の住民の方々に、特にこの際生活必需物資の手配、医薬品等の輸送、郵便物等の輸送に十分なる措置をとることでございまするが、これにつきましては、国鉄の緊急輸送、自衛隊のヘリコプターによる航空輸送等により、その対策に万全を期しておるのであります。さらに海上保安部の巡視船、また自衛隊の輸送機にも待機の命令を出し、遺憾なきを期しております。
 次に、途絶いたしました鉄道及び道路の除雪を一日も早く行ない、その機能を回復することが必要でございます。このためには、政府は、自衛隊に対し災害出動を命じ、その機械力を十分に活用しておるのであります。現在におきまして除雪に従事しておる自衛隊員は一万二千名をこえておるのであります。車両等も二百台が動員されておるのでありまするが、今後必要がありと認むる場合は、なお動員を増加する予定でございます。国鉄、建設省ともその機能を十分に発動し、鉄道、道路の輸送がすみやかに回復するよう最善の努力を続けております。
 また、財政、金融につきましては、災害に伴い、現地の経済の正常化を確保するため、政府は、特に中小企業金融につきまして、国民金融公庫、あるいは中小企業金融公庫、中小企業信用保険公庫並びに商工組合中央金庫等よりの緊急融資を手配する等、災害における資金の融通に遺憾なきよう措置をいたしました。
 また、公共団体に対しましては、災害つなぎ資金あるいは交付税交付金の繰り上げ交付を行なっておるのであります。
 また、取引の安全を確保するために手形の決済期限の延長について現地金融機関に所要の指示を行なうとともに、輸出クレーム対策として災害証明書の発行等、所要の措置を講じておるのであります。
 災害地における救助を要する県民の救助のためには、今回は特に県知事の御判断で災害救助法を適用できるように措置いたしました。すでに新潟、福井の両県においては十一市、十一町、五カ村に救助法を発動しておるのであります。
 また、災害地における屎尿処理等、いわゆる環境衛生の保持は特に必要がございますので、今後十分配意する所存でございます。
 現在なお御承知の通り断続的に降雪がありますが、政府としては、今後予想されるなだれ、地すべり、あるいは融雪による洪水、家屋の倒壊等につき、万全の予防措置、また準備をいたしておるのであります。
 以上が本災害に対する政府の施策及び今後の方針の大要でありますが、河野国務大臣は、非常災害対策本部長として先般北陸三県を視察したのでありまするが、昨日より再び新潟県下の視察におもむいておりますので、さらに詳細につきましては河野本部長より適当な時期にお聞き取り願いたいと存するのであります。
 政府といたしましては、ただいまの院議の御趣旨を十分尊重いたしまして、さらに災害地に対する措置について万全を期する所存であります。また、今後とも予想される豪雪による被害の恒久対策として、豪雪地帯対策特別措置法等に基づく諸施策をすみやかに実行に移すよう努力いたしたいと存じます。(拍手)
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説
#22
○議長(清瀬一郎君) 重政農林大臣から、農業基本法に基づく昭和三十七年度年次報告及び昭和三十八年度農業施策について発言を求めておられます。これを許します。農林大臣重政誠之君。
  〔国務大臣重政誠之君登壇〕
#23
○国務大臣(重政誠之君) 先般国会に提出いたしました昭和三十七年度農業の動向に関する年次報告及び昭和三十八年度に講じようとする農業施策について、その概要を御説明いたします。
 申すまでもなく、これらの報告及び文書は、それぞれ農業基本法第六条及び第七条に基づいて政府が毎年国会に提出するものの三十七年度分であります。
 まず、昭和三十七年度農業の動向に関する年次報告について御説明いたします。
 この年次報告は、「第一部農業の動向」と、「第二部 農業に関して講じた施策」に分かれております。「第一部農業の動向」においては、農業基本法の趣旨に沿い、農業の生産性及び農業従事者の生活水準の動向を中心課題として、それに関連する農業の動向を分析するという考えのもとに、現状において利用可能な信憑性のある統計資料に基づいて、できるだけ客観的に実態を把握し、これについての政府の所見を明らかにすることといたし、検討分析の対象は三十六年度を中心に、可能な限り三十七年度にも及んでおるのであります。
 その概要を申し述べますと、三十六年度には、下期の景気調整にもかかわらず国民経済は前二年に続き著しく高い成長を遂げ、これに伴って農産物需要の高度化や農家人口の移動、さらには国際環境の変化等、農業をめぐる諸条件の変貌は著しいものがありました。その中にあって、農業はそれ自身としてはかなり高い成長を示し、農業の生産性も農業従事者の生活水準も向上を見たのであります。
 しかし、他産業と比較した場合には、その急速な成長に農業が歩調を合わせられなかった点も見受けられます。また、農業自体について検討しますと、種々問題と思われる諸現象が見られるのであります。
 まず、農産物の需給と価格について見ますと、野菜、果実、畜産物などいわゆる成長農産物の需給と価格の不安定な変動が目立っており、その背後には、これら農産物の需要の変化に対して生産、販売、流通面での対応が必ずしも円滑に進んでいないという事情があると思われます。
 次に、農業生産について見ますと、気象災害に加えて耕地転用の増加、裏作の減少等もあり、耕種生産が停滞的であった反面、畜産等の伸長によって農業生産はほぼ国民所得倍増計画で予想をいたした伸び率を示しております。しかし、畜産特に養鶏、養豚の伸長は飼料輸入の増大を招いております。また成長農産物の新しい産地の形成への動きが見られますが、まだ産地として十分定着するに至らないものが少なくありません。農業技術の面では、農家人口の流出に伴う農繁期労働力の不足と農業労賃の高騰等の諸情勢の中にあって、労働節約的栽培法の普及や機械化の進展にはかなり著しいものがあるとはいえ、まだ一貫した機械化作業体系は確立されていない現状であります。
 次に、農業経営の動向について見ますと、中小規模農家の兼業化の傾向と経営規模の大きな専業農家の上向き傾向とが目立ってきておりますが、全体的には、農地移動はやや活発化しているものの、なお非流動的であり、地価の水準もまだ高く、また経営高度化のための資金の供給について、量的にも制度的にも問題があり、さらにすぐれた経営担当者の養成と確保の必要等経営条件はなおきびしいといわざるを得ません。以上は第一部の概要であります。
 次に、「第二部農業に関して講じた施策」について申し上げますと、これは第一部と同様、昭和三十六年度を中心として、必要な限り三十七年度にも及んで、政府が農業に関して講じた諸施策をできるだけ客観的に、農業基本法に掲げる施策の事項に従って記述したものであります。
 最後に、「昭和三十八年度において講じようとする農業施策」について、その概要を申し述べます。
 この文書は、年次報告にかかる農業の動向を考慮して、来年度において政府が講じようとする農業施策を明らかにしたものであります。
 最近における農業の動向はただいま御説明した通りでありますが、このような動向に対処して農業の一そうの発展をはかるためにも、また、最近における国際環境の変化に適応して農業の国際競争力を強化するためにも、生産、価格、流通、技術、経営の各面にわたる体制の整備をはかることが必要でありますが、なかんずく、農業構造の改善をはかることがきわめて重要であると考えられます。従って、政府としては、今後、構造改善に関する諸施策を根強く展開することが必要でありますが、この際特に留意すべきことは、農業者が安心して構造改善を進めることができるような基本的諸条件を着々整備して参ることであると存じます。
 このような考え方に基づき、昭和三十八年度の農業施策としては、生産の選択的拡大、生産基盤の整備、技術の高度化、経営の近代化等農業の構造改善をはかる上において重要と思われる諸施策を推進することとし、特に構造改善を進めるについて不可欠な長期、低利資金の確保を第一義として取り上げ、同時に価格安定と流通の合理化に関する施策を一段と拡充強化するなど、農業の構造改善を安定的に進めるための体制を整備することをその基本方針としておるのであります。
 この文書においては、以上の基本方針のもとに、昭和三十八年度において講じようとする諸施策をおおむね農業基本法第二条の項目の分類に従って、農林省所管事項にとどまらず、各省所管事項を含め、農業に関する施策全般について記述いたしております。
 以上、年次報告及び三十八年度農業施策について、その概要を御説明いたした次第であります。(拍手)
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 国務大臣の演説に対する質疑
#24
○議長(清瀬一郎君) ただいまの農林大臣の発言に対し、質疑の通告がございます。これを許します。角屋堅次郎君。
  〔角屋堅次郎君登壇〕
#25
○角屋堅次郎君 私は、日本社会党を代表し、ただいま農林大臣より説明のありました農業基本法第六条に基づく昭和三十七年度農業の動向に関する年次報告及び同法第七条に基づく昭和三十八年度において講じようとする農業施策に関連し、政府の農政に対する基本方針と今後の具体策について、総理並びに関係閣僚に若干の質問を行なわんとするものであります。(拍手)
 質問に入ります前に、ただいま説明のありました年次報告と農業施策について率直な所見を申し述べてみたいと思います。
 そもそも、農業基本法が求めている農業の動向に関する年次報告は、日本農業、農村、農民の実態に即して農政の現状と欠陥を客観的に明らかにし、農業施策はそれを受けて立って、日本農業発展の観点から思い切った施策を講ずべきものであります。しかしながら、今回の年次報告は、農政審議会の機構と運営にも検討すべき問題がありますが、一応日本農業の現状を浮き彫りにしながらも、依然として自民党政府の政策に鋭いメスが加えられず、政府の意図する貿易自由化の促進や、食管制度の緩和、価格政策の後退、安い農村労働力の流出等について、高い次元からの解明を避けていることは、まことに遺憾であります。さらに、農業施策に至っては、農業構造改善事業の推進を柱として、新たに農林漁業経営構造改善資金融通制度の創設以外にはほとんど見るべきものなく、年次報告と農業施策の間には大きなギャップの存在していることはあまりにも明瞭であります。このことは、昭和三十八年度農林予算案の相対的な後退と相待って、池田内閣の農政に対する熱意はたしていずこにありやと疑わざるを得ないのであります。(拍手)
 そこで私は、まず第一に、日本農業に対する農政の基本方針についてお尋ねをいたします。
 わが国の農業は、長い歴史の試練を経て今日に及んでおりますが、戦後の日本農政を見ても、大きく三つの時期に分けて考えることができます。第一期は、戦後の農地改革の断行、農村の民主化、食糧増産を中心とした時期であり、第二期は、昭和二十九年を頂点として、適地適産の名のもとに食糧政策の転換が行なわれ、補助金政策の修正による農林予算の大幅な後退、食糧自給体制の放棄を始めた時期であり、第三期は、さらに貿易自由化の荒波の中に日本農業を組み入れ、国内的には池田内閣の所得倍増計画に伴う農民六割削減を内容とする農業基本法実施以降の時期であります。
 今回の年次報告が、農業と他産業との生産性の格差がかえって拡大し、農業従事者と他産業従事者の生活水準の開きもなお縮小するに至らず、兼業化はますます進行し、農村労働力の驚異的流出に伴う農業労働力の老齢化、女性化等、問題がきわめて深刻であることを指摘しているのは、長きにわたる保守党農政の当然負うべき政治的責任と申さなければなりません。(拍手)もちろんわれわれも、農業問題が今日洋の東西を問わず、先進諸国共通の政治的課題になっていることを十分承知しております。従って、日本農業についても、単なる批判のための批判でなく、憂いをともにする建設的な立場に立って、正しい方向を確立しなければならないと思います。しかも、その前提として、日本農業が今後ともわが国産業経済の重要な柱であることを確認し、特に敗戦の廃墟の中から日本経済が今日のごとき復興と発展を見た陰に、農民諸君の血のにじむような労苦と偉大な貢献があったことに思いをいたし、この際、わが国産業二重構造の底辺にある日本農業の抜本的な体質改善に思い切った保護助成措置を講じ、若い農村青年が喜んで農村に定着できる展望を明示すべきであります。総理大臣は、今後の農政の基本方針、いわば日本農業に対する池田ビジョンについて明確な答弁を願いたいのであります。
 なお、その際、農林大臣より、貿易自由化と日本農業の将来について具体的なプログラムとこれが対策、特に近く実施を伝えられる砂糖自由化問題と国内甘味資源保護対策についてお伺いいたしたいのであります。
 第二は、具体的な項目に入りまして、農業と他産業との所得均衡問題についてお尋ねいたします。
 今回の年次報告は、すでに明らかにした通り、農業と他産業との生産性の格差はかえって拡大し、農業従事者と他産業従事者との生活水準の開きもなお縮小するに至っていないと述べているのであります。すなわち、農業の就業人口一人当たりの実質所得の他産業のそれに対する割合、つまり比較生産性は、製造業に対して二五・三%、前年度二五・九%、非農業部門に対して二七%、前年度二八・六%と、さらに格差が拡大をしております。そしてこの農業の内部が、さらに地域別、階層別に大きな格差を生じていることも、今回の年次報告で新たに明らかにされているのであります。たとえば、農業従事者一人当たり、純生産で見た農業経営の生産性では、最高の北海道と最低の南海では二倍の開きがあり、農業経営規模別には中間層の生産性の伸びが悪く、さらに、五反未満層と二町以上の農家層では三倍近い開きがあります。このことは、高度成長政策がもたらした農業内部のひずみともいうべきものであって、これでは農業と他産業との所得均衡、同時にきめこまかい地域農政の展開を説く農業基本法も、空文にひとしいと断ぜざるを得ません。この際、総理は、農業の自然的、経済的、社会的制約による不利を補正し、いかなる見通しと計画に基づいてその格差を是正し、進んで所得の均衡を実現される御所存であるか、確信のある答弁を承りたいのであります。
 第二は、農業の構造対策について数点お尋ねいたします。
 第一点は、農業構造改善事業についてであります。
 現在進行中の農業構造改善事業は、十年という長期の事業を予定しながらも、法的根拠があいまいで、地方自治法、財政法上から問題のあることは、われわれのつとに指摘しておるところであります。従って、政府は、すみやかに立法措置を講ずべきでありますが、私は、その際、現行の農業構造改善事業のごとき箱庭的な構想に再検討を加え、国土総合開発の観点から、耕地、草地の造成、改良、農地の集団化、水利条件、農道の整備等を重点として、他省の関連施策も総合集中した新しい町づくり、村づくりの地域開発構想に発展すべきものでないかと考えるのであります。それは当然全国総合開発計画、新産業都市、低開発地区の開発と結びつくべきものであり、また治山治水、鉄道、道路、港湾、漁港等の実施計画とも有機的な関係がなければなりません。すでに本事業に対し、多くの批判と注文が出されており、指定地域からは、負担の軽減を初め、第二次計画への配慮、農業と林業、と漁業との複合的対策の樹立等が要請されているのを見ても、早急に検討を進めて、日本農業の将来に誤りなきを期すべきであります。この点について、経済企画庁長官並びに農林大臣の御所見をお伺いいたします。
 第二点は、自立農家の育成と協業の助長に関する今後の方針についてお尋ねいたします。
 池田総理は、一昨年の農業基本法審議の際、十年後におおむね二町五反の自立農家百万戸を育成すると、その構想を明らかにされました。現実の日本農業は、年次報告でも指摘している通り、総理の期待とは逆に、兼業への依存度がさらに強まり、その比率は、三十五年二月の六五・七%から、三十六年の十二月には七三・七%とふえ、特に第二種兼業が三二%から四三・二%と目立ってふえているのであります。そして当然のことながら、一町歩を境とした分界が、三十五年ないし三十六年では一町五反に上昇、専業農家も五町歩以上では農地拡大の傾向なく、一般に家族労働力を主体とした弱い基盤の上に営まれているのであります。そして三十五年センサスによれば、物販売額七十万円以上の農家は、内地に四万四千、北海道に二万二千を数えるにすぎません。三けた農業への農民の夢は、なお日暮れて道遠しというべきであります。反面、きわめて不十分な資料しか年次報告には出されておりませんが、近年における農業経営協業化の動きが、畜産を中心にしてかなり活発になっていることを明らかにしております。私は、以上のような兼業化の進行と、協業化への動きの中に、苦悩する農民の経営と、生活への探求が必死に続けられていることを学ばなければならぬと思うのであります。
 われわれは、農業基本法審議の際、日本農業のにない手は自立農家か共同経営かで相当な論戦を展開いたしましたが、問題は、今日農民がいずれの道を希望し、また、いずれの道が日本農業発展の方向に合致しているかによって決定するのであります。少なくとも政府が適切な指導と、積極的な助成措置を講ずれば、協業経営はさらに大きく発展する条件を持っていると確信するものであります。なお、この際、最近農地法上その取り扱いが注目されている請負耕作に対する御所見も、あわせ農林大臣より承りたいのであります。
 第三点として、新たに創設されました農林漁業経営構造改善資金融通制度についてお伺いいたします。
 農業の近代化と経営の充実をはかるために、豊富な資金量を必要とすることは、今さら論を待たないところであります。しかしながら、今日の農業金融の現状は、農業へ供給される資金量の絶対額不足、農業の実情に即応しない貸付条件、貸付手続の煩瑣等、多くの矛盾と欠陥を持ち、諸外国の農林金融が大体三分ないし五分の金利で、償還期間も三十年ないし六十年にも及ぶ長期のものがあるのに比べ、わが国の農業金融がはなはだしい立ちおくれを示していたことは、おおうべくもない事実であります。その意味で、今回創設されるこの資金融通制度は、むしろおそきに失した感さえありますが、農林大臣が新年度予算折衝において最大の力点であったと承知しております問題は、融資ワクの三百億円は、今後の資金需要から見て明年度以降大幅に増額さるべきであり、また、貸付条件の中でも、特に農地及び未墾地取得資金は、四分ないし四分五厘を少なくとも三分五厘に修正すべきであり、その他の貸付条件についても、農業金融として強く要請される長期低利資金という観点から、逐次改善される御所存であるかどうか、大蔵、農林両大臣よりお伺いいたします。その際、農地担保については農政上問題があり、かつまた、農林漁業金融公庫が入手した農地をいかに取り扱う方針であるか、あわせお答え願いたいのであります。
 第四点として、農業就業構造の改善について、特に農業経営者の養成確保と農村労働力の流出に伴う施策についてお尋ねいたします。
 今回の年次報告は、農業人口が引き続き大量に流出していることを明らかにし、その主体が新規学卒者を中心とする若年令層であり、新規学卒者で農業に従事する者は依然少なく、一町五反以上の農家でも、新規学卒者の男子の跡取りのうち六割しか残らず、後継者の確保が困難であることを訴えております。また、農家からの就職者の行き先は製造業が多く、雇用形態も、臨時雇いの占める比率が四二・八%と、きわめて高いことを明らかにしております。去るも地獄、残るも地獄とは極言かもしれませんが、この面における根本的な対策が要求されていると信ずるものであります。政府は、日本農業の将来のにない手たるべき後継者の確保についていかに考えておられるか、また、農業に関する学校教育、社会教育については、脚光を浴びている工業関係の教育から見れば、片隅に置かれておる感じがあるのでありまして、農業教育を受けた一人として、まことに遺憾千万に存ずるのであります。日本農業の発展を推進すべき農業教育の振興について、文部大臣の御所信のほどを承りたいのであります。
 さらに、労働大臣より、最近の雇用状況と今後の見通し、特にその中で農村労働力の受け入れ態勢と雇用条件の抜本的な改善対策について明快な答弁を承りたいのであります。
 次に第三として、特に食糧管理制度についてお伺いいたします。
 今回の農業施策は、食糧管理制度について、臨時食糧管理制度調査会を設置して、再検討することを明らかにしております。これは今後の貿易自由化の推進、価格政策の後退と関連して、近き将来米の間接統制切りかえへの布石ではないかとの疑念を払拭できないのであります。池田総理は、一昨年農業基本法審議の際、私が所得倍増計画と食管制度の問題について質問したのに対し、長い将来は別として、池田内閣としては食糧管理制度を堅持すると明言されたのでありますが、その点、特に総理よりあらためて明確に御方針を承りたいのであります。なお、重政農林大臣より、調査会を設置される目的について明らかにされたいのであります。
 最後に、昭和三十八年度農林予算案についてお伺いいたします。
 新年度の農林予算案は、農林省所管合計二千二百五十七億円、他省所管分を含めて二千五百三十一億円となり、前年補正後の予算より三十八億円、当初予算より七十二億円の増加にすぎず、総予算に占める比率もわずかに八・九%という弱体予算であります。農業と他産業との所得格差を初め幾多問題の山積するとき、あまりにも僅少であり、今後、農林予算の相対的低下の第一歩ではないかと危惧するものであります。大蔵大臣は農業県といわれる新潟の御出身であると承っておりますが、農業基本法第三年度の予算として十分計上がなされているとお考えであるか、農林予算に対する大蔵大臣としての御所信をこの際明らかにされたいのであります。
 以上、私は、昭和三十七年度農業の動向に関する年次報告並びに昭和三十八年度において講じようとする施策に関連して率直に質問して参りましたが、これも日本農業、農村、農民の将来を思う一念からであります。今日、為政者に農民が期待しておるのは、責任者の断の一字であります。昨年末の乳業メーカーの一方的値下げに対し、酪農民の要請にこたえて値下げ通告を撤回させるかどうかは、結局農林大臣の断にかかっているのであります。
 われわれは、今日の農業危機突破のため、いま一度農業基本法制定当時の情熱を想起し、日本農業、農村、農民にあたたかい政治の光を投じなければなりません。私は、この際、池田内閣の農政に対し、強い反省と今後の転換を要望いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
  〔国務大臣池田勇人君登壇〕
#26
○国務大臣(池田勇人君) お答えいたします。
 御質問の第一点は、日本農業に対する私の見解、所見でございます。私が組閣以来、一番初めに重要問題として取り上げたのは農業問題でございます。それは何で取り上げたかと申しますと、農業問題は、わが国経済産業の発展に欠くべからざる問題でございます。それは生産につながるのみならず、農民の所得向上が日本の生産物の消費に非常な影響があるからでございます。いわゆる生産面あるいは消費面に、農村は日本の経済にとって最も重要な要件であるのであります。また、これが経済面のみならず、私は当時も言っておりましたが、農村は民族の苗しろだと言っております。私はこういう意味におきまして、農村の発展につきましてはだれにも劣らないように熱意を示しておるのであります。従いまして、農村の発展こそが所得の格差を縮小し、近代福祉国家をつくるものであることを重ねて申し上げておきます。(拍手)
 なお、第二の質問の、農業が本質的に受けておる自然的、社会的、経済的不利をいかにするか、こういう御質問でございますが、この社会的、自然的あるいは経済的の不利は、農業基本法によってこれを是正することはたびたび申し上げておる通りでございます。着々その趣旨に沿いまして、今年も農業改善事業に相当の力を入れております。これは政府はできるだけの措置をいたしますが、農民もその気になって、ともにともにやっていかなければならぬ問題であるのであります。私は、今後も農民とともにほんとうに農業改善をして、りっぱな農業を打ち立てるべく努力いたしたいと思います。
 なお、食糧管理制度につきましては、私は先年申し上げましたごとく、食糧管理の根本原則は堅持して参ることをここに重ねて申し上げます。
 なお、角屋さんのお話のごとく、重大な問題でございます。与野党互いに争うということでなしに、建設的に意見を述べ合って、りっぱな農村をつくり上げるよう御協力をお願いいたしまして、御答弁にかえます。(拍手)
  〔国務大臣重政誠之君登壇〕
#27
○国務大臣(重政誠之君) お答え申し上げます。
 第一の御質問は、農政の基本方針はどうかという御質問であったかと思いますが、これは申すまでもなく、先年制定せられました農業基本法に従って、その諸条項を忠実に、できるだけすみやかに実現をいたしていく、こういうことにあると思うのであります。申すまでもなく、生産性の向上と農家所得の増大をはかって、できるだけ他産業との格差を縮小し、農家の生活水準を向上するという方向に向かわなければならぬ、こう考えるのであります。すなわち、基本法に定めております通り、農業の構造改善をやる、選択拡大をやる、その他価格政策に、金融に、いろいろの条項を定めてあるのでありますが、これらについて忠実に、できるだけすみやかにこれを実現をしていくということにあると思うのであります。
 第二の、構造改善事業について法的根拠があいまいである。従って立法したらどうかという御趣旨の質問でございますが、現在のところ私はあらためて立法する考えを持っておりません。法律を必要とするものにつきましては、その必要に応じましてこれは立法して参るつもりであります。国会において御審議を願い、御協賛を得た予算は、これはできるだけ弾力的に使用をした方が農村の実態に即すると考えておりますので、総括的にこの法律を立法するというような考えは持っておりません。
 次に、草地改良、あるいは水の関係でありますとか、あるいは新産業都市の関係、治山治水、こういうものを一つ総合的に考えて、構造改善をやるべきではないかという御意見であります。これはまことにごもっともな御意見と私は考えるのであります。現在におきましても、構造改善事業を進める上におきましても、その計画等は、これらの点を十分に参酌いたしまして、その計画を樹立いたしておるような次第であります。御意見の点は、さらにこれができるだけ実行の上に反映をするようにいたしたいと考えます。
 請負耕作の問題につきましての御質問がございましたが、御承知の通り、請負耕作は各地におきまして若干行なわれておると思うのでありますが、ただ、これは農地法に違反をするものにつきましては、十分に取り締まるつもりであります。その他のものにつきましては、これは必要であるものもあり、しばらくはまたその推移を見て考えたいと考えます。
 それから、新たなる農林金融制度について、三百億のワクであるが、これは少ないではないかという御意見でありましたが、三十八年度におきましては三百億円のワクで十分であると考えております。申すまでもなく、三十八年度におきましては、三十七年度に実行をいたします町村の分と、三十八年度で新たに実行をいたします分と、これらの構造改善に必要な資金の合計額、その他畜産の経営拡大であるとか、あるいは果樹園の造成、育成、植栽ということに必要な資金、その他土地の取得資金というようなものを合計いたしまして三百億、こう考えておるわけでありまして、これで大体やって参れる、こういう考えを持っております。
 なお、未墾地、あるいは上地、農地等の買い入れに対する融資について、その利子が四分ないし四分五厘というのは高過ぎるではないかという御意見でありますが、これは、御承知の通りに、現在は五分ないし五分五厘でありましたか、そういう程度の利子でありますから、これを四分ないし四分五厘といたしますと、おおむね一分ないし五厘の利子の低下に改善をいたしておる次第であります。
 さらに、農地担保の問題について御意見がございましたが、公庫融資につきましては、御承知の通り、今回の新制度におきましては、一戸当たりの貸付金額が相当に増加をいたしております。経営構造改善の事業につきましては、一戸当たり二百五十万円、さらに果樹園及び畜産の経営の拡大につきましても、たしか二百五十万円程度であったと思うのでありますが、そういたしますと、従来のように個人保証で、人的保証だけではなかなか金融の円滑を期することができない。そこで、農家がみずから持っております農地を担保に供することができることにいたしまして、そして金融の円滑をはかることにいたした次第であります。
 それから、食糧管理制度調査会について、何か、二年後には米の自由化をするというような下心を持ってやっておるのではないかというような、思いも寄らない勘ぐりの御質問があったわけであります。そういうことは断じて考えておりません。米が自由化できるなどということは、近き将来においてとうてい実現はできないと考えております。またその必要もないと私は考えておるのでありますが、今回調査会を設けましたゆえんのものは、先ほど総理大臣から御答弁がございました通りに、きわめてこれは重大な問題でございます。しかも経済、社会、その他いろいろの条件が、往年と現在異なっておるわけであります。これに対してはいろいろの御意見もあることでありますから、私といたしましては、さらに慎重を期する意味において、調査会を設置いたしまして、十分に一つ御意見を拝聴いたした上でその態度をきめたい、こう考えておる次第であります。
 それから、乳価の問題についてお触れになりましたが、私、しばしば、委員会等において御答弁いたしております通り、審議会においてこの乳価の支持すべき価格、一升五十二円というのがきめられております。現在問題になっておりますのは、この五十二円が安くなるというのではなくして、その上に奨励金を各社が出しておるわけでありますが、これを若干、一円とか二円とかを引き下げるという問題であります。しかし、私といたしましては、乳価はできるだけ下がらないような方向に持っていかなければならぬと考えまして、先般二十億の乳製品を買い上げます際に、これ以上奨励金を減額しないということ、さらには、できるだけすみやかに今減額をしております奨励金を復元することを強くその方面に申し入れをいたしておるわけであります。さらに、この点につきましては、できるだけ強力に業界の指導をいたして参りたい、こういうふうに考える次第であります。(拍手)
  〔国務大臣田中角榮君登壇〕
#28
○国務大臣(田中角榮君) 私に対する御質問は、農林関係予算と総予算との比率が、三十七年より三十八年は下がったじゃないかという御質問でございます。御説の通り、食管特別会計繰入金が百七十五億円ありますし、災害復旧事業費の高潮を含めた減が四十八億円ありますので、農林関係予算の予算総ワクに占める割合は若干下がっておりますが、これらの特殊経費を除けば、農林関係予算の三十六年当初に対する三十七年の伸び率は、御承知の通り一六%アップであったものが、三十八年度予算におきましては、三十七年当初に対し一九・二%のアップになっておるわけであります。なお、財政計画は、三十七年度に比して二八・一%の大幅の伸びを示しております。特に三十七年事業に着工いたしました農業改善事業費は、予算額で四十三億円から七十九億円と、大幅の増額をしておりますし、それから三十六年度創設いたしました農業近代化資金の融資ワクを五百億から五百二十億に、農業近代化助成促進費の予算額は、六十七億円から百二十六億円に増額をいたしてございます。新たに長期低利資金融通の円滑化のために、農林漁業金融公庫に農林漁業経営構造改善資金融通制度も設置をいたしたわけでございます。
 先ほどの御質問にもありましたが、私は、米どころ新潟県人であるだけではなく、財政責任者としても、農業基本法を尊重することはもちろん、農林漁業振興発展を期することに格別の熱意を持っておることを申し添えます。(拍手)
  〔国務大臣荒木萬壽夫君登壇〕
#29
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 日本の農業のために今後農業教育が大事であるが、どんなふうに考えて何をしておるかというお尋ねであったと思います。お答え申し上げます。
 第一に、農業高校教育について申し上げます。
 農業高校の振興の目標が、近代的な農業経営を担当するにふさわしい者の養成、確保にあることは申すまでもございません。特に農業自営者の養成という角度から、農業の近代化を推進することの必要にして十分な資質を備えなければならないと存ずるのであります。その意味で、数年来、国としては、農業高校教育におきまして、教育の体質改善に努力して参っております。第一に、農業に関する学科なり学校の適正配置をはかるということ、第二に、農業高校における教育の内容及び教育方法、これを改善充実していきたいということ、第三に、農業高校における実験、実習のための施設設備の整備充実をはかるということ、第四には、農業教員の現職教育を強化いたしまして、その資質の向上をはかるということ、こういうことを主眼としてやって参っておるのであります。具体的に申し上げれば、昭和三十八年度は約二億円の農業教育近代化促進費補助金を支出いたしまして、畜産科、園芸科、農業科、農産製造科、農業土木科、合わせまして百七十八科を新設することにいたしておるのであります。
 次に、大学における農業教育の振興策を申し上げます。
 従来に引き続きまして、三十八年度には、第一に、農学部の学科組織の整備を六大学につきましていたそうとしております。第二には、講座及び学科目の新設七大学、さらに大学における実習農場の近代化をはかるという施策を五つの大学についてやる予定であります。
 なお、このような考え方は、角屋さん仰せの通り、社会教育の面におきましても、たとえば青年団の育成の角度から見ましても、あるいは定時制学校における指導あるいは青年学級を通じまして、同様の趣旨に沿って努力をいたしたいと思います。(拍手)
  〔国務大臣大橋武夫君登壇〕
#30
○国務大臣(大橋武夫君) 農業から他産業への労働力の流出は、経済の成長及び産業構造の高度化、近代化に伴って生ずる現実の姿でありまして、これは農業と他産業との所得格差の是正の基盤ともなっておるのでございます。労働政策の立場からの、この場合の主要な問題は、一方において、農業から他産業への労働力移動の円滑化をはかりつつ、他方において、急激な労働力の流出が、農業に対して著しい摩擦をもたらすことのないように配慮することであると考えます。政府といたしましては、一方において、職業訓練及び職業紹介の拡充並びに地域開発政策の推進による農村地域における就業機会の増大によりまして、農業から他産業への労働力移動の円滑化をはかりまするとともに、他方において、農業経営者の養成確保のための施策と並んで、特に農繁期等の労働力不足に対処するため、季節労働力の需給調整に意を用いているところであります。さらに、全国都道府県及び市町村の各段階に設置してあります農業労働力調整協議会においても、関係官庁の低かに、農業団体及び産業団体が協力して、この間の調整をはかっておるところであります。
 次に、農業から他産業へ転職する者の雇用条件についてでございますが、農業就業者の転職形態が出かせぎ型が相当数見られるということが常用労働者としての就職を妨げる一因ともなっておるのでありますが、公共職業安定所等の職業安定機関において、農業労働力調整協議会を通じて、雇用条件の向上に努力いたしておるところでもありまするし、また技能のない者に対する職業訓練等も強力に推進いたしておるのであります。特に、交通の不便な農山漁村地帯には職業安定協力員を配置して、転職希望者に転職相談を実施いたしてもおります。
 以上の諸対策によりまして、近時これらの農業就業者等が転職する際、常用労働者として採用される割合は漸次ふえておるようでございますが、今後とも雇用条件の向上には努めて参りたいと思っております。(拍手)
  〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕
#31
○国務大臣(宮澤喜一君) 全国総合開発計画におきましては、今後の農業の発展の基本的方向につきまして、全国及び各地方の特質に応じまして説明をいたしてございます。そしてそれと農業基本法との関係につきましては、同計画の総説のところで、今後農業基本法に基づいて行なわるべき具体的施策と新計画とを十分調整する必要があるというふうに述べておりますので、御指摘のように、それに従って処置をいたすべきであると考えます。新産業都市の指定につきまして、農林大臣を要請大臣に加えてございますのも、同様の趣旨に出ておるものと存じます。(拍手)
#32
○議長(清瀬一郎君) これにて質疑並びに答弁は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#33
○議長(清瀬一郎君) これをもって本日は散会いたします。
   午後二時四十六分散会
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 出席国務大臣
        内閣総理大臣  池田 勇人君
        大 蔵 大 臣 田中 角榮君
        文 部 大 臣 荒木萬壽夫君
        厚 生 大 臣 西村 英一君
        農 林 大 臣 重政 誠之君
        通商産業大臣  福田  一君
        運 輸 大 臣 綾部健太郎君
        労 働 大 臣 大橋 武夫君
        自 治 大 臣 篠田 弘作君
        国 務 大 臣 宮澤 喜一君
 出席政府委員
        内閣法制局長官 林  修三君
        内閣法制局第一
        部長      山内 一夫君
        経済企画庁総合
        開発局長    大來佐武郎君
        建設政務次官  松澤 雄藏君
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ソース: 国立国会図書館
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