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1962/05/17 第43回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第043回国会 本会議 第24号
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1962/05/17 第43回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第043回国会 本会議 第24号

#1
第043回国会 本会議 第24号
昭和三十八年五月十七日(金曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第二十二号
  昭和三十八年五月十七日
  午後二時開議
 一 特定産業振興臨時措置法案(内閣提出)及
  び市場支配的事業者の経済力濫用の防止に関
  する法律案(田中武夫君外十名提出)の
  趣旨説明に対する質疑    (前会の続)
 二 地方行政連絡会議法案(内閣提出)の趣旨
  説明
    …………………………………
 第一 日本原子力船開発事業団法案(内閣提
  出)
 第二 下級裁判所の設立及び管轄区域に関する
  法律の一部を改正する法律案(内閣提出、参
  議院送付)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 会期延長の件
 特定産業振興臨時措置法案(内閣提出)及び市
  場支配的事業者の経済力濫用の防止に関する
  法律案(田中武夫君外十名提出)の趣旨説明
  に対する質疑        (前会の続)
 地方行政連絡会議法案(内閣提出)の趣旨説明
  及び質疑
 日程第一 日本原子力船開発事業団法案(内閣
  提出)
 日程第二 下級裁判所の設立及び管轄区域に関
  する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、
  参議院送付)
 地方財政法の一部を改正する法律案(内閣提
  出)屋外広告物法の一部を改正する法律案(
  内閣提出、参議院送付)
   午後六時七分開議
#2
○議長(清瀬一郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 会期延長の件
#3
○議長(清瀬一郎君) 会期延長の件につきおはかりいたします。
 本国会の会期は来たる二十二日をもって終了いたすことになっておりますが、五月二十三日から七月六日まで四十五日間会期を延長いたしたいと存じ、これを発議いたします。
 採決いたします。
 会期を五月二十三日から七月六日まで四十五日間延長するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#4
○議長(清瀬一郎君) 起立多数。よって、会期は四十五日間延長するに決しました。(拍手)
     ――――◇―――――
 特定産業振興臨時措置法案(内閣提出)及び市場支配的事業者の経済力濫用の防止に関する法律案(田中武夫君外十名提出)の趣旨説明に対する質疑(前会の続)
#5
○議長(清瀬一郎君) 特定産業振興臨時措置法案、及び市場支配的事業者の経済力濫用の防止に関する法律案の趣旨説明に対する質疑、前会の議事を継続いたします。春日一幸君。
  〔春日一幸君登壇〕
#6
○春日一幸君 私は、民社党を代表いたしまして、特定産業振興臨時措置法案、並びに市場支配的事業者の経済力濫用の防止に関する法律案について、政府並びに社会党提出者に対し、以降、重要なる諸点について質問をいたします。
 まず、政府に対し、特定産業振興臨時措置法案について伺います。
 この法案は、要約すれば、貿易自由化対策とか、国際競争力強化策などを題目といたしてはおりますが、その中身は、特定産業のため独禁法を骨抜きにして、いよいよその独占の強化をはかり、今後政府はこれら独占企業に対し、さらに資金上、税制上独特の優遇を加えんとするものであります。言うならば、この法案は、大企業と保守政権のやみ結託に基づく経済クーデター立法とも断ぜられます。(拍手)しこうして、この法案は、あたかもそのクーデターによる革命家たちに対し、終身的にその独占的地位を国家が保証せんとするがごときものでありまして、これは、まさに民主制度圧殺の一大反動立法であると思うのであります。したがいまして、この法案は、国民経済上含蓄するところきわめて深遠でありまして、その及ぼす影響は広範かつ甚大であります。そこで、私は、まず池田総理に対し、次の五点について質問をいたします。
 その第一点は、池田総理は、一体独禁法による国家宣言をどのように認識、理解されているのか。このような横暴きわまる法案を提出されるようでは、総理ははたして独禁法を尊重、擁護するの確固たる信念をお持ちであるのか、まず、この一点を明らかにいたされたいと存じます。
 申し上げるまでもなく、独禁法は、戦前における日本経済のあり方に対し、当時、全国民が敗残の廃墟に立って真摯なる猛反省を行なった結果、わが国経済の民主体制を確立し、これを確保するために厳然として独占禁止政策を明定したわが国経済の基本憲章であるのであります。しかるに、その後、保守政権のもと、大企業は次第に失地を回復してばっこ跳梁し、ために独占禁止政策は次第に抑圧されるに至りました。加えて、数次にわたる独禁法の改悪により、今日においては、不況カルテルや合理化カルテルの結成すらが法制上あるいは事実上容認されて、いまや経済民主化の原則は、経済の高度成長のためという美名のもとに、いよいよ後退を余儀なくされているのがわが国経済の憂うべき現状であるのであります。しかしながら、公正かつ自由な競争という独禁法上の理念は、民主主義国家が全国民の利益を念頭に置いて経済の発展をはかろうとする限り、これは不滅の真理と申すべく、この意味において、いまや危殆に瀕する独禁法を強化することこそは、むしろ、政府と国会に課せられたる緊急焦眉の一大要務であると思うのであります。(拍手)しかるに、池田総理は、かかる国家的要請に逆行し、ここにこのような反動法案の強行成立を企てるがごときは、これは明らかに独禁法を骨抜きとし、これを死文化せんとするものであって、かくては、労働者、消費者、中小企業者、農林漁業者、その他関連事業者に及ぼす悪影響は、まさにおそるべきものがあると思うのであります。
 池田総理は、独占禁止法を今後ともこれを尊重し擁護せんとするものであるか、それとも、これを否定的に改廃せんとするものであるのか、この際総理の所信を明らかにいたされたいと思います。
 質問の第二点は、池田総理は、国民経済を再編成し、しこうして、日本経済を戦前のような大企業優位の産業体制に復活せしめることを計画しておるのではないか。との問題について伺います。
 戦前の日本資本主義機構があのような不動の地歩を築いたのは、実にそれは当時熾烈に実行された産業合理化運動の結果によるものであることは明らかであります。すなわち、昭和五年に重要産業合理化のため、当時の商工省に臨時産業合理局が設置され、次いで、昭和六年に重要産業統制法が制定されて、以後、国家の手によるカルテルの結成が強制されて、大企業優位の産業体制が確立され、これが基礎になってその後の臨戦体制や戦時体制の展開を見るに至ったことは、われら国民の脳裏から離れ得ない冷厳なる歴史的事実であります。実に戦前のこの重要産業統制法の亡霊が、今日ここに装いを変えて、再びその魔性の力をほしいままにしようとするのがこの特定産業振興臨時措置法案でありまして、この法案のていさいは、さまざまに技巧、粉飾されてはおりまするが、その骨子においては、かつての重要産業統制法と何ら異なるところはありません。したがいまして、この法案は、かの重要産業統制法のごとく、日本の将来の歴史的運命を決するほどの重大意義を持つ天下の悪法となるおそれはないか、最も警戒を要するところであります。
 総理は、この法律の持つ経済的効果と、国民経済に与える影響をどのように判断されておるのであるか。本法案は、かの重要産業統制法とその性格と機能において一体どこが違うか。この際、総理の見解と池田内閣のいわゆる新産業体制なるものの構想について述べられたいと存じます。
 質問の第三は、池田総理は、意識的に、あるいは無意識的に、ここに官僚統制強化の道を開こうとしておるのではないか。この関連について伺います。
 この法案には、特定産業の指定とか振興基準の作成とか、いわゆる新産業体制づくりについて官民の協調方式を打ち出しておりますが、ここに巨額の金融と財政をささえとし、また、租税特別措置をその発展と成長の基礎としてきた独占企業が、これらの諸問題について官僚に対し対等の立場で話し合えるわけはなく、ゆえに、しょせんは、これが官僚統制におちいるであろうことは必然の帰趨とされているところであります。言うならば、この法案は、官僚が直接に経済へ関与することを強め、事実上官僚がカルテルやトラストの結成を強制することになるものであります。官僚統制が全国民にいかに多くの弊害をもたらしたか、その害毒については、いまさらここにちょうちょうするまでもありません。
 池田総理はこれらの問題点をいかに見るか。万一、あの敗戦の責任の一半をになう官僚が、鉄面皮にも、この法律によってかつての権力の復元を策するがごときことあらば、わが国民主政治の前途、まさにおそるべきものがあると思うのであります。(拍手)これに対する総理の御所見はいかがでありますか。責任ある御答弁を願います。
 質問の第四は、池田総理は本法案の提出にあたって、公正取引委員会の意見をはたして十分に尊重したかどうかという、この点について伺います。
 公正取引委員会は、内閣総理大臣の所轄に属する機関ではあるといたしましても、いわゆる行政委員会として、行政的権限と準司法的権限を有し、独禁法という経済憲章の守護者として特異の地位を認められているものであります。したがって、独占禁止政策に関する限り、その意見は十分に尊重されなければなりません。政府の本法案提出の経過におもんみるに、公正取引委員会としては、独禁法の最も主要な適用対象である重要産業分野に対し、これが適用除外法を設けることは、実質的に独禁法を無用化し、その統一的運用を妨げる結果になり、一般消費者や関連事業者の利益が十分に確保されないことになるおそれがあるといたしまして、この法案作成の過程において終始反対を唱えたものであります。しかるに、池田内閣は、行政権は内閣に属するということを切り札として、当該産業界の要請を実現するために、無理やりに公取を圧服して本法案を策定いたしました。かくて、この法案は、公正取引委員会に対し、第二次的な地位と空虚な権限を付与するととによって、申しわけ的に、枯木も山のにぎわい的な役割を演ぜしめるに至りました。かくして、公正取引委員会は、もはや、わが国経済憲章の厳然たる守護者にはあらずして、いまや、なきがらとなった独禁法の墓守にされようとしておるのであります。(拍手)
 総理は、公正取引委員会の国家的権能をこのように喪失せしめて、それで今後のわが国の経済秩序が公正、妥当に維持できるとお思いであるか、池田総理の責任ある御答弁を願いたいのであります。
 質問の第五は、池田総理は、自己の経済政策の失敗を糊塗せんとして、ことさらにこのような誤れるびほう策をとろうとしているのではないか。池田内閣の経済政策に対する基本的態度についてお伺いをいたします。
 この法案は、わが国産業が、いまや過小規模の企業の群立によってそれが過当競争におちいったから、というのがその立法の理由とされております。しかしながら、このような企業の過多性と過小性をもたらしたのは一体だれの罪でありましょうか。すなわち、池田内閣は所得倍増計画を喧伝して、無秩序な設備投資をあおり立て、これを輸入制限と為替管理によって助長し、ために今日このような深刻な事態を招来するに至りました。これ、明らかに池田内閣の無定見で、ずぼらな経済政策の総合集積したものにほかなりません。しかるに、池田内閣は、この明白なる因果関係に口をつぐみ、これをあたかも別問題のごとくにしつらえて、ここに貿易自由化とか国際競争力の強化などの名目をかりて、この法案の必要性と妥当性を理由づけんとしておるのであります。まことに責任を回避し、政策の本末をあやまつの最もはなはだしきものと申さなければ相なりません。(拍手)
 総理は、この際、かかる法案を提出する前に、財政金融、租税、組織等、その施策の全般について、労働者、農民、中小企業等、国民大衆の立場を基盤として、あらためて政策の基本を根本的に改めるべきであると思うが、総理の御所見はいかがでありますか、この際御答弁を願いたいのであります。
 次は、福田通産大臣に質問いたします。
 質問の第一は、福田通産大臣は、この法案によって労働者、消費者、中小企業者、農林漁業者、その他関連事業業の利益を十分に確保することができると考えておるのであるか。ここに、通産大臣は、今後この法案の主役を演ずる責任的地位に立つことになるのでありまするが、この法案のかなめともいうべき特定産業の振興基準の作成については、主務大臣、大蔵大臣、産業界代表及び金融界代表の四者が協議して決定することになっており、そこには労働者代表はもとよりのこと、消費者、中小企業者、農林漁業者その他関連事業者の利益を代表する者は一人も協議の当事者に加えられてはおりません。また、特定産業について、現実に共同行為や企業合併が行なわれようとする場合にも、これらのものの利益は公正取引委員会によって間接的、消極的に取り扱われるにすぎないたてまえとなっておるのであります。要するに、この法案は、国民大衆を全くのつんぼさじきに放置しているのであります。まことに、この法案は、独占資本や金融資本の支配体制を強化することだけに盲目的に没頭し、他の国民への影響など、まるで意に介してはいない唯我独尊のガリガリ立法にほかなりません。(拍手)ここに、わが国においては独占的大企業は常に最大限に利潤の追求をこれ事とし、いまだかつて全国民の利益のために行動したという実績はありません。
 このような、資本家と経営者がここにあらためて官僚と癒着して、そこに競争企業が新しく出現することを封殺し、もってその生産と価格について決定的支配力を握ることとなった場合、将来の日本経済は一体どのようなことになるのであるか。この際、通産大臣より、国民大衆が抱くこれらの不安について納得のできる御説明を願いたいのであります。
 質問の第二は、福田通産大臣は、大企業優位の産業体制を確立するためには、独禁法や公正取引委員会の存在を無視して、それでわが国の経済秩序が維持できると考えておるのであるか。この点について伺います。
 この法案を見ると、いわゆる新産業体制づくりなるものは、主務大臣によって強力に推進されることになっております。ために、公正かつ自由な競争という独禁法の理念は全くじゅうりんされ、独禁法の眼目である私的独占と不当な取引制限は、この法律によって公認されることになり、かくて、公正取引委員会は、主務大臣のかたわらから、ぼそぼそ声で、受け身の立場で、形式的に認可したり同意したりする役柄に格下げされることになるのであります。戦後、日本の政治と経済を民主的に建設するために、日本国憲法とこの独占禁止法が全国民のいかなる決意のもとに制定されたものであるか、当時の立法の経緯を回顧すれば、かかる反動立法を無理押しするがごときは、とうてい日本国民の一人として良心の許すところではないと思うが、この際、通産大臣の御所見を明らかにいたされたいと思います。
 最後に、田中大蔵大臣に伺います。
 質問の第一は、この法案は、国家権力が金融統制を強化することにならないかという点についてであります。
 この法案によると、政府は特定産業に必要な資金の確保につとめることになっておるのでありまするが、いやしくも、政府の資金確保義務がこの法文にこのように明記されておりまする限り、政府は、少なくとも責任を持って融資のあっせんを行なわなければ相なりません。このことは、結局、政府が資金上の介入権限を持つことになり、それは銀行の自主的判断による融資を妨げることになるものでありまして、これは実質的に融資規制そのものであります。これ、まさしく重要産業統制法の復元と軌を一にするものであって、まことに画期的な刮目すべき権力政策への出発と申さなければ相なりません。ここに、わが国金融のあり方については幾多の問題が山積いたしております。特に、金融機関の貸し出す資金の源泉は大衆預貯金であり、また、財政投融資の原資は、諸税その他これまた国民大衆の零細な資金の集積であることを忘れてはなりません。しこうして、大企業と金融機関の結託による偏向融資、集中融資の横行に対する国民怨嗟の声に耳をふさいではなりません。
 しかるに、この法案は、これらの諸問題を黙殺して、特に金詰まりにあえぐ中小企業の困窮を外に、特定少数の重要産業と称する独占企業に対して、さらに集中的に金融を行なおうとするものであるが、これは白昼堂々と居直り強盗的にその欲望と権力をむき出しにするものというべく、かくのごときは国民を無視した冷酷非情の暴虐政治と申さなければなりません。(拍手)これに対する大蔵大臣の御見解はいかがでありますか、全国民の納得できる御答弁をお願いいたします。
 質問の第二は、租税特別措置法の改正を、この法案はその附則で行なわんとしておるが、大蔵大臣は、これは他日に悪例を残すことになるとはお考えになりませんか。この問題について伺います。
 この法案によると、特定産業を営む法人の合併等の場合における課税の特例として、法人税または登録税を軽減することとしておるのでありまするが、今日まで租税特別措置法の改正を他の法案の附則で行なった例はきわめてまれであります。これは、租税特別措置法の規定が、負担の公平を著しく害する内容を持つものでありまするから、それは独立して、慎重な審議を要するものであるからにほかなりません。しかるに、田中大蔵大臣は、この慣行を無視して、あえて他日に悪例を残さんとしておるのであります。ここに租税特別措置によってその減税利益を受けているものは大企業が主であって、現状において、すでに租税負担のはなはだしい不公平を来たし、その根本的是正が強く叫ばれておりまするこのときに、さらにそのアンバランスの拡大をあえて辞せないというがごときは、いよいよ独善にして理不尽きわまるの態度と申さなければなりません。
 大蔵大臣は、租税行政の責任者として、租税制度の権威とその秩序を確保するために、このような異様な法案の立て方は厳に慎むべきであると思うが、御見解はいかがでありますか、責任ある御答弁を願います。
 なお、社会党提出の市場支配的事業者の経済力濫用の防止に関する法律案に対し、提案者に質問をいたします。
 この社会党案は、私どもの検討によれば、独禁法が厳格に順守実行され、かつ、公取がその権能を正確に行使すれば、この種の法律をことさらに立法するの必要はないと思うが、ここに社会党があえてこの法案の提出を行なった積極的理由は何か、この際、提案者より御説明を願いたいのであります。
 以上、私は、民社党の立場から、特定産業振興臨時措置法案、並びに市場支配的事業者の経済力濫用の防止に関する法律案に対し、特に重要とおぼしき諸点について質問を行ないました。総理並びに関係各大臣及び社会党提案者より、それぞれ明確なる御答弁を求めまして、私の質問を終わります。(拍手)
  〔田中武夫君登壇〕
#7
○田中武夫君 ただいまの春日議員と昨日の板川議員の質問に対しまして、お答えをいたします。
 まず、お二人の共通いたしました点は、本法案と独占禁止法との関係でございます。このことにつきましては、昨日自民党の浦野君の質問に対して詳細に答えておりますので、簡単に申し上げたいと思いますが、御承知のように、私的独占禁止法は、「一定の取引分野における」云々となっておって一それの範囲が限定せられております。したがって、独占、寡占の価格から一般消費者なり農民、中小企業を守るにはなお不足でございますので、本法案の内容のような、いわゆるきめこまかな施策をもちまして、十分に独占、寡占の弊害から一般消費者や中小企業、農民を守っていきたい、このように考えておるわけでございます。
 ことに、春日さんからは特に、社会党が本法案を提出いたしました積極的な理由は何か、かような御質問でございますが、御承知のように、政府原案は、国際競争力強化に名をかりまして、寡占、独占の状態をなお一そう大きくしようとするものであります。すなわち、独禁法に穴をあけ、これを大幅に緩和しようとするものでありまして、これに対してわれわれは、いま申しましたように、中小企業者、農民、一般消費者をこれらの弊害から守るために、積極的な理由をもって提出いたしましたことでございます。気心のわかっている春日さんのことでございますから、十分にわかっていただいて、賛成をしていただけるものであろうと考えております。
 板川君の質問の第二は、本法案の対象はどういうものか、こういうことでございますが、先ほど来申しておりますように、政府の提出法案は、寡占、独占産業を国際競争力という名においてつくっていく、こういうことでございます。そこで、具体的に提案説明においても業種に触れておきましたが、一、二の例をあげてみますと、業界におきまして大手数社、これでほとんどその生産の大部分を占めておるのがたくさんあります。たとえば、ビールは大手三社で九八・八%、ナイロンは三社で一〇〇%、テトロンは三社で一〇〇%、フィルムは映画及びエックス線が二社で一〇〇%、ロールフィルムが二社で九六%、ガラスが二社で九六・六%、そういったような状態でありまして、経済企画庁の出しました三十七年度の経済白書にもかかる状態を指摘し、生産が上がっておるにかかわらず、値段は一向に下がっていないということをいっておるのであります。(拍手)
 そこで、その生産が上がっているにかかわらず、値段があまり変わっていないという例を一、二あげてみます。
 ナイロンは、昭和三十年の生産が八千七十六トン、これに対しまして三十七年度は五万七千七百十九トン、このように伸びておりまして、価格はトン五千三百八十円が四千六百三十円になっている程度にすぎないのであります。さらに、ビールにおきましては、三十年は四十一万一千四百十九キロリットル、三十七年には百四十八万三千百三十キロリットル、このように伸びておりますが、価格のほうは、昭和三十年で百二十五円、現在が百十五円、この十円の差は税金が安くなっただけで、中身は何も安くなっていないのであります。ガラスにおきましては、板ガラス二平方メートルを一箱としました場合に、昭和三十年が五百八十二万五千箱、三十七年度は千二百二十八万三千箱とふえております。ところが、値段は二千八百五十円から二千七百三十円、こういうような状態でございますので、この一事を見ましても、いかに寡占、独占が暴利をむさぼっているか、こういうことがよくわかると思います。これをわれわれは対象といたしておるのであります。
 御質問の第三点は、独占価格にメスを入れようとするならば、あるいは物価安定をはかろうとするならば、なお本法では不足ではないか、こういうような御意見でございますが、それは、本法案が成立いたした後のその運用にかかっていると思うのであります。政府が真に物価安定、一般消費者等の保護と真剣に取り組み、公正取引委員会の機構を強化拡充し、そうして、本法の目的に沿うところの運用をなさしめるものならば、相当の効果があがるものだと思っております。
 なお、この際一言申し上げておきますが、本法案第四条二項の命令、たとえば差しとめ命令、価格引き下げ命令、そういうものに従わなかったときに罰則がないではないか、こういうことでありますが、われわれは、これら経営者の良心に訴えまして、その事実を公表するという一応の紳士的態度をとったのであります。だが、しかし、そういうことではだめだということなら、罰則の強化も考えなくてはならないと考えておりますが、願わくは、そういうことのないように願いたいのであります。
 最後に、もう一言申し上げておきますが、現在でも、会社の合併、集中、それはどう進んでおるかと申しますと、三十一年から三十五年までは、年間大体三百件ないし四百件でございました。ところが、三十六年になりまして六百件、三十七年では七百二十件と、政府の法案がないままの状態においてもこのような集中度でございます。いわんや、政府提出の特定産業振興臨時措置法が出てくるならば一体どういうことになるか、おそろしい状態ではなかろうかと思うのでございます。
 以上をもって答弁を終わります。(拍手)
  〔国務大臣池田勇人君登壇〕
#8
○国務大臣(池田勇人君) お答えいたします。
 自由主義経済のもとに立つわれわれとしては、独占の弊害を排除し、企業の自主責任のもとに、公正かつ自由な競争をたてまえといたしておりまする独占禁止法は、あくまで守っていく覚悟でございます。ただ、新しい情勢に即応いたしまして、わが国の経済の発展をはかるために、今回の特定産業振興臨時措置法を発案したのでございます。そのもとに流れておる精神は、やはり独占禁止法を守りつつ、新時代に即応するたてまえをとっておるのであります。
 次に、御質問の第二点の、特定産業振興臨時措置法の、以前行なわれておりました重要産業統制法との相違につきましてお答え申し上げます。
 御承知のとおり、重要産業統制法は戦時立法でございまして、販売カルテルあるいは価格カルテルによって日本の産業を一定の方向に秩序立てようとしているねらいを持っておったのでございます。しかし、今回のこの特定産業振興臨時措置法は、そういう販売カルテルあるいは価格カルテルをねらっておりません。いわゆる生産費の切り下げによりまして経営の効率化をはかり、国際競争力を強めようとしておるのでございます。その目的とするところが全然違っております。なおまた、重要産業統制法におきましては、いわゆる行政権の発動によってこれを強制しておりましたが、今回は、法案が示しますがごとく、業者の申し出によりまして、業者の自主性を守りつつ、しかもまた、公取がこれをきめることにいたしておるのでございまして、前の重要産業統制法とは、ねらい、内容が全然違っておることを御了承願いたいと思います。
 なお、この法案は官僚統制にはならないかというお話でございますが、先ほど申し上げましたごとく、業者団体の自主性を尊重しておりますから、そういうことには相なりません。業者団体、金融界、そして政府の三者が一体となって考えることにし、そうして、最後の決定は公取委員会がきめることに相なっておるのであります。
 なお、公取委員会の意思に反してという言葉がございましたが、当初はいざ知らず、私が関係してからは、公取委員会の気持ちを十分尊重いたして、両者の間に考え方のそごはございません。
 御質問の最後の、経済政策に失敗したからこういう法案を出した。これは春日さんのドグマでございまして、わが国の経済政策につきましては、世界各国の人がこれをいかに見ているかということをお考え願いたいのでございます。(拍手)
  〔国務大臣福田一君登壇〕
#9
○国務大臣(福田一君) お答えをいたします。
 振興基準、すなわち、特定のいわゆる重化学工業が中心でありますが、一つの産業をどういうふうにして合理的に、しかも、よい、安い品物ができるようにするかという振興基準というものをつくるにあたって、労働者や消費者等の利益代表者の参加を認めておらぬではないか、こういう御質問でございますが、この法案の第三条には、利害関係者の意見を聞いて振興基準を定めなければならないと書いてございますから、この点は御心配をしていただかないでもよろしいと思うのであります。
 なお、それの上に、今度はそういうことによって共同行為をやる、いわゆるカルテル的な行為をやる場合において、これを公正取引委員会が認可をするのでありますが、その認可にあたっては、労働者やあるいは消費者の利益を十分に考えなければならないという法律が現存いたしておりまして、二重にこの面で保護されておるということを御理解していただきたいと思うのであります。
 次に、この独占禁止法の目的であるところの、いわゆる私的独占と不当な取引制限という趣旨が、この法律ができると没却されるではないか、こういうことでございますが、これはわれわれは所見を異にいたしております。ということは、政治の、すなわち、少なくとも経済面において言いますならば、政治では、消費者に対して安い、よい品物を与えるということが、これがいい政治といわなければなりません。そうして、私的独占禁止法の目的も、またここに存しておるわけであります。これはもうお説のとおりでございます。しかしながら、今日の世界の経済の実情はどういうことであるかというと、漸次世界的にお互いの国々において安い、よい品物をつくって売り買いをするようにしようというのが、自由化の精神であります。そして、その自由化を行なうのでなければ、日本の経済はこれ以上発展はできないわけでありますが、その場合に、自由化をしたときに、外国から安い、しかも、よい品物がどっと入ってくれば、消費者には一時的には非常によい結果をもたらすでありましょう。しかしながら、これを製造しておるところの産業は、この輸入によってみなつぶれてしまうことになるでしょう。そうすれば、これに関係をいたしておりまするところの経営者といわず、勤労者といわず、非常な打撃を受けて、それがひいては日本の経済に大きな悪影響を与えることは、これは御理解をしていただけると思うのでございます。(拍手)
 そこで、そういうような立場において、しかも、なおかつ国民によい、安い品物を与えるという独占禁止法の目的を実現いたしますためには、どうしても国内においてよい、安い品物をつくるというくふうをいたさなければいけません。そこで、私たちは、この特定産業振興法というものをつくりまして、これによってよい、安い品物をつくり出そうといたしておるのであります。そうして、自由化をいたすのでございますから、たとえば、そういうふうにある共同のカルテル行為をやったといたしまして、値段をつり上げようとしても、そのときには外国から安い、よい品物がどっと入ってきますから、国内でそんな値段を上げようと思っても上げられる道理はないのでございまして、これによって、初めて日本重化学工業を世界的な水準に一歩近づけさせようというわけなのです。しかも、外国の重化学工業と日本の重化学工業を調べてみますと、資本においても、規模においてもまだ十分の一にも足りない。とうていいまの形では、これは競争ができないのであります。そこで、このいわゆる特定産業振興臨時措置法というような法律によって、そういうように日本の産業をりっぱに育てていこうというのが目的なのでございますからして、どうかこの点も誤解のないように御理解をしていただきたいと思うのであります。(拍手)
  〔国務大臣田中角榮君登壇〕
#10
○国務大臣(田中角榮君) 春日さんにお答えをいたします。
 私に対する第一の問題は、本法律案は、金融を国家権力の統制下に置いて、戦前の重要産業統制法のようなものになるのじゃないかということでございます。春日さんもそうお考えになっておられるわけではないと存じますが、この法案作成の過程において、このような考え方が起きては困るということで、私たちの考えを十分反映をいたしておるわけでございます。この法案によって、必要な産業体制を確立するために振興基準をつくりますときに、金融界の代表も入りましてこの実情をよく理解をするということが趣旨でございまして、これをもって、国家権力をもって融資をせしめるというような融資強制の部面は全然ないのでございまして、これが戦前における重要産業統制法のような力を持つものでないことは明らかでございます。
 それから第二の問題は、現在の財政金融原資は、国民大衆に還元をされておらないで、大企業に集中的に融資をせられておるということでございますが、これにつきましては、三十八年度の予算御審議の過程においても十分申し述べましたとおり、三十八年度の財政投融資の計画だけをごらんになっていただきましても、総額の四九・一%は住宅、生活環境整備とか、厚生福祉施設とか、文教施設とか、中小企業とか、国民大衆の生活安定のために必要なというよりも、直結する部門にこれを充てておるわけでありますし、なお、三三・五%にわたる面を国土保全や道路、運輸通信というような国民生活基盤の向上に資するように充てられておるわけでございます。残りの一七・四%さえも電源開発、輸出振興、石炭対策等に充てられておるのでございますから、本法案によりまして、国民の福祉を無視しておる、また、大企業にこれらの資金が集中的に投資をせられるというようなことは、当を得ないものと考えておるわけでございます。
 第三の問題は、本法の附則で租税特別措置を行なうことは、租税特別措置法の改正そのもので行なうべきであるという御議論でございますが、この議論は、滞日さんの御趣旨も十分私も了解いたします。いままでのこれらの租税特別措置の問題に対しては、特別措置法の改正をもって当てておりましたのが多いのでございますが、御承知のとおり、公共施設の整備に関連する市街地の改造に関する法律とか、防災建築街区造成法等によりましては、その附則で租税特別措置を規定いたしております。そういうことはあまり好ましいことではないという御議論でございますが、私は租税特別措置法との関連も十分検討して、本法においては附則で改正をすることがより合理的である、このような考えのもとに附則で租税特別措置を行なったわけでございます。御理解賜わりたいと思います。(拍手)
#11
○議長(清瀬一郎君) 以上をもちまして質疑並びに答弁は終了いたしました。
     ――――◇―――――
 地方行政連絡会議法案(内閣提出)の趣旨説明
○議長(清瀬一郎君)次に、内閣提出、地方行政連絡会議法案の趣旨の説明を求めます。自治大臣篠田弘作君。
  〔議長退席、副議長着席〕
  〔国務大臣篠田弘作君登壇〕
#12
○国務大臣(篠田弘作君) 地方行政連絡会議法案につきまして、その趣旨及び要旨を御説明申し上げます。
 今日、社会、経済の進展に伴う地域社会の広域化に相応し、地方行政の分野におきましても、都道府県の区域を越えて広域的に処理すべき問題が次第に増加し、その内容も複雑多様になってくるとともに、各種の行政が相互に密接に相関連してまいっておるのであります。とのような地方行政の動向に対処して、それぞれの地方において、広域にわたる行政が総合的に、かつ、円滑に実施されるように、地方公共団体が国の地方行政機関との連絡協調を保ちながらその相互の連絡協同をはかることを考えることが緊要と存ぜられるのでありまして、昨年十月、地方制度調査会におきましても、このような観点から、都道府県を越える広域行政についてこの種の連絡協議のための組織を設けるべき旨の答申がなされたのであります。
 このため、全国ブロックに地方行政連絡会議を組織し、都道府県及びいわゆる指定都市の長に地方の広域行政に関係のある国の出先機関の長を加えまして、地方公共団体相互間や地方公共団体と国の関係出先機関等との間の連絡、協議を組織的に行なわせ、地方における広域行政の総合的な実施と円滑な処理を促進し、もって地方自治の広域的運営の確保に資せしめることといたしたいのであります。
 次に、この法案の内容につきまして、その概略を御説明申し上げます。
 第一に、全国の都道府県を九つの地域に分け、それぞれの地域ごとに都道府県及び地方自治法第二百五十二条の十九の規定に基づく指定都市をもって連絡会議を組織することとし、地方における広域にわたる行政の計画及び実施について必要な連絡と協議を行なうものといたしました。この連絡及び協議を行なうための会議は、都道府県の知事及び指定都市の市長のほか、関係のある管区行政監察局長、管底警察局長、財務局長、地方農政局長、営林局長、通商産業局長、陸運局長、海運局長、港湾建設局長、地方建設局長等おおむね数府県の区域を管轄区域とする国の地方行政機関の長、その他地方における広域行政に密接な関係を持っている機関の長で構成するものとしております。
 第二に、会議の構成員は、協議のととのった事項については、これを尊重してそれぞれの担任事務を処理するようにつとめるものといたしまして、連絡、協議の成果を国、地方公共団体の行政に反映させるようにいたしております。
 次に、連絡会議と関係行政機関等との関係につきましては、連絡会議は、関係行政機関等に対して必要な協力を求めることができることとするとともに、これらの機関からの求めに応じて関係資料を提出しなければならないものとし、また、連絡会議は、必要に応じて、関係大臣、公共企業体等の長に対して意見を申し出ることができるものとするとともに、関係大臣は、所管事務について連絡会議の意見を聞くことができることといたしました。
 最後に、連絡会議の経費の負担、会議の結果の報告、その他連絡会議の運営等に関して必要な規定を設けた次第であります。
 以上が、地方行政連絡会議法案の趣旨及びその要旨であります。
     ――――◇―――――
 地方行政連絡会議法案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
#13
○副議長(原健三郎君) ただいまの趣旨の説明に対して、質疑の通告があります。これを許します。阪上安太郎君。
  〔阪上安太郎君登壇〕
#14
○阪上安太郎君 私は、社会党を代表いたしまして、ただいま趣旨説明のありました地方行政連絡会議法案について質問をいたします。
 戦後、わが国の地方自治は、憲法の保障するところとなりまして、一応、自治のていさいというものを整えておるようでございます。が、しかし、財政的にはむしろ中央集権の度合いが強くなり、そのことのため、自治体は地方自治の本旨に基づく固有の事務をわずかに三割程度しか実施できないような状態で、地域住民と結びつくところの独自の仕事ができないため、自治行政の特色と妙味を発揮することはできないのであります。そして七割を占める国からの委任事務に追い回されているというような実情でございます。このようにいたしまして、財政中央集権はますます強化され、都道府県知事や市町村長、こういった人々は、国の委任事務につながるひもつき財源獲得のためにうき身をやつす、こういった情けない姿でございます。
 いまや、地方自治体は、国の出先機関としての役割りが主となって、本来の地方自治事務というものは従となり、このため地方自治に対する住民の不信が高まって、そのおもむくどころは地方自治に対する住民の無関心となるのであります。このことは、今回の統一地方選挙の投票率が戦後最低であることが明白に物語っているのでありまして、このところ地方自治は真におそるべき危機に直面いたしておるのでございます。自民党がこの統一地方選挙で、いわゆる中央に直結する地方自治を公約、強調いたしましたことは、ますます中央集権制への疑惑を国民に与え、地方自治軽視の風潮を誘い、ひいては政府部内にもこの地方自治軽視の風潮が広がりまして、官僚の独善的な地方支配が露骨になりつつあることは、これはまことに遺憾でございます。(拍手)
 このような財政中央集権制の弊害が露呈されつつあるときに、さらに憂うべきいま一つの傾向が、実は頭をもたげてきたのでございます。それは最近、広域行政に名をかり、行政中央集権制が復活している事実でございます。財政中央集権制でもって、先刻申し上げましたように、地方自治が三割自治のみすばらしい姿になっておるときに、さらに行政中央集権制の台頭によりまして、自治体固有の権限が剥奪されようといたしておるのでございます。こうなっては、もはやわが国の地方自治というものは戦前の市町村制であるとか、あるいはまた府県制に逆戻りをすることになり、わが国民主主義の根底がくつがえされるおそれなしとしないのでございます。
 私は、以上申し述べましたような見地より、本法案につきまして総理並びに自治大臣の見解をただしたいのでございます。
 まず総理にお伺いいたします。
 最近地域間の格差是正、あるいはまた大都市における人口と産業の過度集中の排除、地域における雇用の安定・こういったことのために地域開発が重大な施策となってきております。そうして、これに対応する広域行政制度の確立が各方面で問題となっているのであります。ところが、これに対し政府部内では各種の機関が重複いたしまして、まちまちの方向をたどっている。すなわち、臨時行政調査会では地方庁案、その部会では地方行政府案、また地方制度調査会では道州制案、首都圏整備委員会におきましては首都圏庁案、自治省では事業団と二、三府県の合併案、そしてこの地方行政連絡会議法案、総理府では近畿圏整備法案、そうしてそれにさらに加えまして建設省では、建設省設置法の一部改正でもって出先機関の強化を期しております。河川法の改正で府県固有の権限を剥奪しようといたしております。農林省では、さきに設置法の一部改正でもって、これまた出先機関の強化をはかり、そのほかに水資源公団法であるとか新産業都市建設促進法であるとか、低開発地域工業開発促進法であるとか、こういったものに基づく広域制度等々、全く不統一、無方針の限りでございまして、しかも、法案作成の過程におきましては、各省のなわ張り争いがわざわいいたしまして、その結果、法案は支離滅裂、まことに醜態の限りでございます。地方自治というえさをハゲタカが寄ってたかって食い荒らしているというような姿でございます。(拍手)しかも、その方向はおそるべき地方自治の否定であり、官治行政への移行でございます。
 一体総理は、この状態にどう対処されるつもりでございますか。その善処の方法をこの際、明らかにせられたいのであります。(拍手)また地方自治擁護のたてまえより、広域行政制度のあり方に対する基本方針というものを、この際、明らかにせられたいのでございます。
 次に、自治大臣にお伺いいたします。この法律案は、自治省三年来の宿願であったのでありまして、そしてそれが日の目を見たのがようやく今日であります。ところがこれを見ますると、当初の構想からはるかに後退いたしております。連絡会議は決議機関でもなく、審議機関でもなく、単なる話し合いの場所にすぎず、これでは俗に言うところの、めしを食う会合に終わるのであります。一体、なぜこのような骨抜き法案を提出されたのでありますか。また、この程度の法律で所期の目的を達成することがはたしてできるのでありましょうか。この点をまずお伺いいたしたいのであります。
 次に、この法律案提出までの三年来の経過よりして、地方制度調査会の答申、例の道州制へのワン・ステップにするという意見もございます。このことは、地方自治体でも真剣に心配いたしておるところでございます。大臣は、参議院の委員会におきまして、この法案は実施してうまくいかなかったら別の方法を考える、このように答えておられるのでありますが、一体別の方法とは何でありましょうか、あるいはこのことは何を意味するのか、あわせてこの際お答え願いたいのでございます。
 さらに、この法案が広域行政制度としてたいした役割を果たすとは考えられないにもかかわらず、それでもなおこのようにして提案してきたのは、結局、各省の例のハゲタカによる地方自治侵害を食いとめようとするねらいなのかどうか、賛否の態度に大きく影響いたしますので、ひとつ率直にお答え願いたいと存じます。(拍手)
 また、最近閣僚が各地において府県合併を強調し、合併こそが唯一の広域行政制度である、こういうような印象づけをいたしておるのであります。自治省もこれに追随いたしまして、例の二、三合併に踏み切った様子でございますが、これはあまりにも軽卒である。そもそも、憲法が承認する地方公共団体というものは、地方自治法にいう普通地方公共団体としての都道府県、市町村等であって、特別区であるとか財産区であるとか一部事務組合、こういったものは法律が認めたものであります。そこで、この基礎的な団体である市町村や都道府県の合併というものを、一部財界だけの意向により、あるいはまた関係自治体とその住民の意思をはからずして、中央政府の一方的な意思によって押しつけようとする態度こそは、地方自治の本旨にもとる態度であります。(拍手)大臣の所見を承りたいのでございます。
 また、広域行政制度のあり方として、現在の都道府県の主権というものをそのままに認めながら、府県連合ないし市町村連合等の共同処理方式をとって、それに特別地方公共団体としての法人格を与えて、下世話にいうならばEECの国内版といったようなものを構想して、住民自治と広域行政との調整をはかるべきだと考えるのでありますが、一体この点はどうか、大胆にひとつ篠田大臣の所見を伺いたいのであります。
 最後に、最近の広域行政が産業基盤の整備に偏向いたしまして、住民の生活基盤の整備がおろそかになり、交通地獄でありますとか、あるいはスモッグの災害であるとか、水飢餓であるとか、凶悪犯罪等の続出であるとか、まさに住民生活が危機に瀕しておるのでございますが、地方自治本来の目的が無視されている点に留意して、産業開発上の見地よりの九ブロック地域割りにこだわることなく、より効果的なブロック割りとする考えはないかどうか、このことをお伺いいたしまして、質問を終わりたいと存じます。(拍手)
  〔国務大臣池田勇人君登壇〕
#15
○国務大臣(池田勇人君) お答えいたします。
 最近の社会、経済の急速な発展と成長に伴いまして、いま御質問の広域経済行政の問題が起こってきておるのでもります。新しい課題でございます。しこうして、この問題につきましては、各種の行政機関が密接に連絡していろいろ研究し、そして適切な答申が出されることを私は望んでおるのであります。したがいまして、臨時行政調査会、地方制度調査会等に諮問いたしますと同時に、関係各省あるいは関係各機関が国全般あるいは地方の総合調整ということにつきまして今後十分検討していただきまして、適切な広域行政についての結論を出したいと私は考えております。(拍手)
  〔国務大臣篠田弘作君登壇〕
#16
○国務大臣(篠田弘作君) 阪上議員の第一の御質問は、今度の連絡会議というものが地方自治の本旨を無視し、やがて道州制につながるものではないかという御問題であろうと思います。
 ただいま総理大臣が申されましたように、経済の成長発展あるいは地域の開発、あるいはまた文化の進歩、犯罪の捜査、あらゆる意味におきまして広域行政が必要であるというととは、おそらく阪上議員も認めておられるところであろうと思います。そこで、現在いろいろな案が考えられておるようでありますけれども、現在の制度のもとにおきましてこの広域行政の目的を達し、あるいはまたその能率をあげ、民主的な方法によってこれを行なうためには、地方公共団体を中心といたしまして、これに出先機関を加えて、一々東京まで来て陳情をしたり、そういうことをしなくてもいいようにするということが、私は、第一の広域行政の目的達成のために必要ではないか。そういう意味で、今度のものも地方の公共団体、府県知事等が中心となっておるのでありますから、決してこれは天下り的なものでもないし、また、国の機関を主としたものでもございませんので、私は、これはいわゆる地方の自治精神というものを侵すものではないと考えております。これは飯を食う会ではないかとおっしゃいますが、飯を食うような会も従来たびたびやっております。しかし、そういう散発的な会でありましては、ほんとうの目的を達することができません。これを組織的に、かつ恒常的に法律をもってきめるということが必要であると思いまして、今回この法案を提出した次第でございます。
 次に、広域行政という目的を達するためには、本法案では不十分ではないかというお話でございます。自治大臣は参議院の委員会において、この方法がまずければ別の方法を考えると言った、そういうお話でございますが、別な方法と考えるということではございません。少なくも、現在の組織のもとにおきまして、地方の自治の精神を尊重しながら能率をあげていくということを考えますと、これはもちろん最善の案とは思っておりません。これよりもっといい案があれば、もっといい案をやるにやぶさかではありません。しかしながら、現在の行政組織、地方自治体の状態においては、この段階ではこれが最善の案であるということを考えまして提出した次第でございます。
 それから、府県制の将来につきまして、何か政府あるいは中央が一方的に、現在の府県制度はまずいから合併しろ合併しろということを言っておる、こういうお話でありますが、そういうことは、政府といたしましても、また、私自治大臣といたしましても、一ぺんも申し上げたことはございません。ただ最近、広域行政の必要から、各府県におきましてそういうような機運が盛り上がっておるということは事実でございます。それは財界の発言であるか、あるいはまた言論界の発言であるかは別といたしまして、少なくとも、地域住民の中からそういう声が起こっておるということは、これは事実でございます。そこで、政府といたしましては、現在のいわゆる府県制度というものが、広域行政の目的達成のために十分な理想的な姿であるというふうには考えておらないのであります。そこで、そういう自発的な問題に対しましては、できるだけの指導をしたいというふうに考えておるのであります。しかし、この場合も、憲法において、いわゆる府県の合併というものをやる場合には、当然住民の投票によらなければならないという規定もございます。政府が一方的にそういうことをやろうとしても、現在の憲法はそういうことを許しておりません。そういう面から、将来そういう問題が起こったときには、できるだけ、地域住民の利益のために、そういう声を反映するように指導したいということを現在考えておるのでございまして、われわれのほうから一方的にそういうものを押しつけようという考えは毛頭ございません。(拍手)
#17
○副議長(原健三郎君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第一 日本原子力船開発事業
  団法案(内閣提出)
#18
○副議長(原健三郎君) 日程第一、日本原子力船開発事業団法案を議題といたします。
#19
○副議長(原健三郎君) 委員長の報告を求めます。科学技術振興対策特別委員会理事佐々木義武君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔佐々木義武君登壇〕
#20
○佐々木義武君 ただいま議題となりました日本原子力船開発事業団法案につきまして、科学技術振興対策特別委員会における審査の経過並びに結果について御報告を申し上げます。
 本案は、原子力基本法の精神にのっとり、原子力船の開発を行ない、もってわが国における原子力の利用の促進並びに造船及び海運の発達に寄与することを目的とするものであります。
 その要旨について簡単に申し上げますと、本事業団は、政府及び民間の共同出資の特殊法人でありまして、その当初資本金は、昭和三十八年度に予定されている政府出資一億円と民間出資予定額約五千万円の合計額約一億五千万円であり、役員は、理事長、専務理事各一人、理事三人以内及び監事一人を置き、その業務は、原子力船の設計、建造及び運航を行なうこと、乗り組み員の養成訓練を行なうこと、これらの業務に関する調査研究、成果の普及を行なうこと等であり、また、業務の運営については、原子力委員会の決定を尊重して、主務大臣が定める基本計画に基づいて行なうことといたしております。なお、本法案は昭和四十七年三月三十一日までに廃止するものとしております。
 委員会におきましては、去る二月十四日本案の付託を受け、二月二十日近藤国務大臣より提案理由の説明を聴取し、以来本案審査において、政府側より、原子力船の開発利用はあくまで平和利用であり、アメリカ合衆国原子力潜水艦寄港問題とは別個の問題であることが明らかにされ、また、参考人から意見を聴取するなど、慎重なる審議を行なったのでありまするが、その詳細は会議録に譲ります。
 かくして、昨日、質疑を終了し、採決を行なった結果、全会一致をもって可決すべきものと決した次第であります。
 なお、自由民主党、日本社会党及び民主社会党共同提案により、政府は、日本原子力船開発事業団法の施行にあたっては、原子力基本法に示された平和目的に限ること、開発計画の実施にあたっては、民主、自主、公開の三原則にのっとり、国産技術を活用すること、原子力船の安全性の確保については、その万全を期すべき旨の附帯決議を付すべしとの動議が提出され、これまた全会一致をもって可決いたしました。
 以上、御報告を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#21
○副議長(原健三郎君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#22
○副議長(原健三郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第二 下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
#23
○副議長(原健三郎君) 日程第二、下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
#24
○副議長(原健三郎君) 委員長の報告を求めます。法務委員会理事林博君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔林博君登壇〕
#25
○林博君 ただいま議題となりました下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、法務委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、最近における市町村の廃置分合、交通の利便等に伴い、簡易裁判所の名称及び管轄区域を変更しようとするものであります。
 その内容は、第一に、山梨県の日下部簡易裁判所及び富山県の石動簡易裁判所の名称を変更すること、第二に、名古屋簡易裁判所外五簡易裁判所の管轄区域を変更すること、第三に、下級裁判所の設立及び管轄区域に関する別表について所要の整理を行なうことであります。
 さて、法務委員会におきましては、去る三月二十日本案が参議院より送付されまして以来、慎重審議を重ねましたが、その詳細は会議録に譲ります。
 かくて、昨日、質疑を終了し、討論なく、直ちに採決に付しましたところ、本案は全会一致をもって政府原案どおり可決せられました。
 右、御報告申し上げます。(拍手)
#26
○副議長(原健三郎君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#27
○副議長(原健三郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 地方財政法の一部を改正する法律
  案(内閣提出)
#28
○草野一郎平君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 この際、内閣提出、地方財政法の一部を改正する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#29
○副議長(原健三郎君) 草野一郎平君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#30
○副議長(原健三郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
 地方財政法の一部を改正する法律案を議題といたします。
#31
○副議長(原健三郎君) 委員長の報告を求めます。地方行政委員会理事高田富與君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔高田富與君登壇〕
#32
○高田富與君 ただいま議題となりました地方財政法の一部を改正する法律案について、地方行政委員会における審査の経過及び結果の概要を御報告申し上げます。
 本案の内容は、
 第一に、都道府県は、都道府県立高等学校の施設の建設事業費について、これを市町村に負担させ、または住民に転嫁してはならないものとすることであります。
 第二に、地方公共団体以外のものが施行する鉱害復旧事業につき、地方公共団体が支出するために要する経費については、当分の間、地方債を発行することができることとするとともに、従来から認められていた地方公共団体の実施する鉱害復旧事業に要する経費についての地方債及び今回認められた地方債の元利償還金の一部を地方交付税の額の算定に用いる基準財政需要額に算入しようとするものであります。
 本案は、三月二十八日本委員会に付託され、五月七日篠田自治大臣より提案理由の説明を聴取し、自来慎重に審議いたしましたが、審議の詳細は会議録に譲ります。
 五月十七日、質疑を終了、討論を省略して採決を行ないましたところ、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 右、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#33
○副議長(原健三郎君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#34
○副議長(原健三郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 屋外広告物法の一部を改正する法
  律案(内閣提出、参議院送付)
#35
○草野一郎平君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 この際、内閣提出、参議院送付、屋外広告物法の一部を改正する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#36
○副議長(原健三郎君) 草野一郎平君の動議に御異議ございませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
#37
○副議長(原健三郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
 屋外広告物法の一部を改正する法律案を議題といたします。
    ―――――――――――――
 屋外広告物法の一部を改正する法律案右の内閣提出案は本院において可決した。よって国会法第八十三条により送付する。
 昭和三十八年三月二十日
    参議院議長 重宗 雄三
  衆議院議長清瀬一郎殿
    ―――――――――――――
#38
○副議長(原健三郎君) 委員長の報告を求めます。建設委員会理事加藤高藏君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔加藤高藏君登壇〕
#39
○加藤高藏君 ただいま議題となりました屋外広告物法の一部を改正する法律案について、建設委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、最近市街地等において、ビラ、ポスター等で都道府県の条例に違反したものがはんらんして、美観風致を著しくそこなっている実情にかんがみ、これら違反の張り紙について、行政代執行法の手続によることなく、すみやかに除却できるよう所要の改正を行なおうとするものであります。
 その内容は、市街地等において屋外広告物法に基づく都道府県の条例に違反して張られた張り紙の除却は、都道府県知事みずから、またはその命じた者もしくは委任した者が直ちに行なうことができるようにしたものであります。ただし、この処分は、一般行政処分と異なり、違反の事実が明らかなものに限って適用することといたしております。
 以上、本案の内容について御説明申し上げましたが、本案は、参議院先議のため、三月四日に本委員会に予備付託され、三月二十日本付託となり、五月十五日その審議に当たりました。委員会における審議の詳細につきましては、会議録に譲ることにいたします。
 五月十五日本案に対する質疑を終了し、本十七日、討論を省略して採決を行ないましたところ、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#40
○副議長(原健三郎君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#41
○副議長(原健三郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
#42
○副議長(原健三郎君) 本日は、これにて散会いたします。
   午後七時二十六分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  池田 勇人君
        大 蔵 大 臣 田中 角榮君
        通商産業大臣  福田  一君
        自 治 大 臣 篠田 弘作君
 出席政府委員
        内閣法制局長官 林  修三君
        内閣法制局
        第三部長    吉國 一郎君
        科学技術政務次
        官       内田 常雄君
        法務政務次官  野本 品吉君
        通商産業省
        企業局長    佐橋  滋君
        建設政務次官  松澤 雄藏君
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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