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1962/02/08 第43回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第043回国会 法務委員会 第2号
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1962/02/08 第43回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第043回国会 法務委員会 第2号

#1
第043回国会 法務委員会 第2号
昭和三十八年一月三十日(水曜日)委員長の指名
 で、次の通り小委員及び小委員長を選任した。
 再審制度調査小委員
      池田 清志君    上村千一郎君
      小島 徹三君    田中伊三次君
      林   博君    牧野 寛索君
      赤松  勇君    猪俣 浩三君
      坪野 米男君    田中幾三郎君
 再審制度調査小委員長
                林   博君
―――――――――――――――――――――
昭和三十八年二月八日(金曜日)
   午前十時八分開議
 出席委員
   委員長 高橋 英吉君
   理事 唐澤 俊樹君 理事 小島 徹三君
   理事 田中伊三次君 理事 林   博君
   理事 牧野 寛索君 理事 坪野 米男君
      上村千一郎君    岸本 義廣君
      千葉 三郎君    馬場 元治君
      赤松  勇君    久保田鶴松君
      松井 政吉君    田中幾三郎君
      志賀 義雄君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 中垣 國男君
 出席政府委員
        警察庁長官   柏村 信雄君
        警  視  監
        (警察庁保安局
        長)      野田  章君
        検     事
        (刑事局長)  竹内 壽平君
 委員外の出席者
        警  視  長
        (警察庁保安局
        防犯少年課長) 中原 英典君
        警  視  長
        (警視庁防犯部
        長)      渡辺  清君
        参  考  人
        (東京家庭裁判
        所首席調査官) 日野 照彦君
        参  考  人
        (協同組合歌舞
        伎町振興会理事
        長)      藤森作次郎君
        参  考  人
        (蔵前家政学院
        長)      松崎  米君
        参  考  人
        (浅草商店連合
        会盛場対策委員
        長)      澤田 要藏君
        専  門  員 小木 貞一君
    ―――――――――――――
二月五日
 委員池田清志君辞任につき、その補欠として藏
 内修治君が議長の指名で委員に選任された。
同月七日
 委員藏内修治君及び赤松勇君辞任につき、その
 補欠として中曽根康弘君及び中村英男君が議長
 の指名で委員に選任された。
同日
 委員中村英男君辞任につき、その補欠として赤
 松勇君が議長の指名で委員に選任された。
同月八日
 委員片山哲君辞任につき、その補欠として田中
 幾三郎君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 理事池田清志君二月五日委員辞任につき、その
 補欠として唐澤俊樹君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
二月五日
 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内
 閣提出第五八号)
同月二日
 岐阜地方、家庭裁判所多治見支部の甲号昇格に
 関する請願(金子一平君紹介)(第五六六号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
二月一日
 印鑑法の制定に関する陳情書(東京都千代田区
 九段一丁目十四番地全国市長会長高山義三)(
 第一八九号)
 住民登録法の一部改正に関する陳情書(東京都
 千代田区九段一丁目十四番地全国市長会長高山
 義三)(第二〇二号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の補欠選任
 参考人出頭要求に関する件
 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内
 閣提出第五八号)
 検察行政に関する件(暴力行為等の防止に関す
 る問題)
     ――――◇―――――
#2
○高橋委員長 これより会議を開きます。
 まず、理事の補欠選任の件についてお諮りいたします。
 理事池田清志君が、去る五日委員を辞任されましたので、理事が一名欠員になっております。この際、理事の補欠選任を行ないたいと存じますが、これは先例により委員長において指名するに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○高橋委員長 御異議ないものと認めまして、唐澤俊樹君を理事に指名いたします。
     ――――◇―――――
#4
○高橋委員長 次に、検察行政に関する件について調査を進めます。
 本日は、検察行政のうち暴力行為等の防止に関する問題について参考人から意見を聴取することといたします。ただいま御出席の参考人は日野照彦君、藤森作次郎君、松崎米君で、澤田要藏さんはまだ見えません。この三名であります。
 この際参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。本日は御多用中のところ御出席をいただき、まことにありがとうございました。さきに御連絡申し上げました通り、東京都における暴力的不良行為等の防止に関する条例が施行されて、約三カ月になりますので、その効果等について忌憚のない御意見の御開陳をお願い申し上げる次第でございます。
 なお、議事の進め方につきましては、日野参考人から二十分程度で意見の開陳をお願いいたします。他の参考人の方々には委員からの質疑がありますので、そのつど意見の開陳をお願いいたします。
 日野参考人。
#5
○赤松委員 今委員長がごあいさつ申し上げましたように、非常に多忙なところ本委員会の要請にこたえられまして御出席いただきましてありがとうございました。昨年の暮れ、私から委員長に要請をいたしまして、ぜひぐれん隊防止条例の効果について、これを警視庁当局に聞くことはもちろんでございますけれども、実際にぐれん隊防止条例の対象になっている人たちから陰に陽に圧迫を受けておられる善良な都民の皆様方から、本条例の長所短所、そういったものを忌憚なく聞かしていただきたい。と申しますのは、ぐれん隊防止条例は単に東京都だけでなしに、大阪、福岡、愛知を初め、主要な都市におきましてこれが施行されるようになっております。また、都民の中におきましても、この条例につきましてはかなり好評のように私も承っておるわけでございます。しかし、立法府のわれわれ、あるいは検察行政もしくは警察行政に携わっておる者といたしましては、ややもすれば独善に陥るおそれがある、どうしても主権者たる皆さんの御意見を十分にお聞かせを願いたい、こういう観点から御足労願っておるわけであります。従いまして、これは何ものにもとらわれないで、どういう御発言をしていただいてもけっこうでございますから、どうぞ忌憚なく自由に一つ御発言をお願いしたい、かように思う次第であります。
#6
○日野参考人 私は、東京家庭裁判所の首席調査官をいたしております日野でございます。本日参考人として参ったわけでございますが、私、家庭裁判所に勤めておりますので、主として少年保護と申しますか、その面からおのずから私の申し上げることも限定されると思いますが、そういう点でお聞き願いたいと思います。
 御存じのように、家庭裁判所には家事部と少年部がありまして、少年部が少年保護事件を扱っております。そこには調査官がおりまして、裁判官の命令を受けまして警察や検察庁から送られてきました犯罪少年、虞犯少年等につきまして環境を調査して、どういう保護的措置をとっていいかという意見を述べるということをおもな仕事としておるものでございます。昨年は刑法事件約三万四千件、交通事件は約十二万件処理いたしました。この仕事を約百二十名の調百官が当たっておるわけであります。そういう仕事をしております者から申し上げたいのでございますが、最初に少年犯罪とぐれん隊と申しますか、そういうものの関連性ということにつきまして申し上げたいと思います。
 今日の少年犯罪の特徴を簡単に申し上げますと、よく性、暴、集ということが言われております。性と申しますのはセックス、暴は暴力、集は集団でございます。御存じのように少年犯罪が非常に激増いたしまして、戦前が五、六万でございましたのが、戦後十万になり、それが現在では二十一万に上っておりまして、戦前は刑法犯総数の一割、一一%でございますが、少年犯罪でございましたのが、現在では約三分の一になっております。非常に少年犯罪は激増しておりますが、そのうちで特に増加しておりますのは粗暴犯でございまして、これは昭和二十六、七、八年平均を一〇〇といたしますと、現在は二九一に上っております。十年前の約三倍になっております。それから性犯罪は二七五になっておりまして、これも三倍近くの激増でございます。集団犯罪につきましては、概数を申し上げますが、少年犯罪の約三分の一、三割、四割が共犯の形になっております。
 こういうふうに少年犯罪は粗暴的な犯罪が多く、性的犯罪、それが集団によってなされるという形態をとっておりますが、これが、私思いますのに、ちょうどぐれん隊的行為に似ておるのでございます。ぐれん隊は御存じのように集団を組んでおりまして、衆を頼んで暴力をふるう。しかも、それが盛り場その他でセックスというものにからむというわけで、ぐれん隊的行為というのが少年犯罪の特徴と合致しておるのでございます。もちろん、ぐれん隊組織に入っておるぐれん隊もございますし、また、その周辺にある未組織の少年、これも粗暴犯、性犯罪等で家裁に送られて参りますが、特にわれわれの気をつけなければいけないのは、ぐれん隊的な行為が非行少年にある魅力を持っておることなのでございます。善良な少年はもちろんそういうことはございませんが、家庭、学校、環境その他である程度非行化して参りますと、必ず集団を組みまして、それでその背後にぐれん隊あるいはぐれん隊的な人間、先輩がおりましてそれを指導していく。それがだんだん本物になっていくというのが順序でございます。
 こういう例がございました。これは昨年の初めでございましたが、板橋方面に集団窃盗団がおりまして、中学生三年あたりが中心でございます。これが三十六名くらいの少年が集まりまして窃盗をやる。被害総額も七十万円くらいに上ったと思いますが、この子供たちが、ある何とか組と申しますぐれん隊をもじりまして日東会という名前をつけまして、会長、副会長を置いて会則をつくるわけです。ああいうテキ屋や博徒にはやくざ憲法がございますので、それに似たような、幼稚なものでありますけれども、規約をつくりまして、ちゃちなバッジをつけて、それで集団窃盗をやっておるわけでございます。この少年たちの姿、格好も、おとなのぐれん隊にまねたように、いかれた格好をしておりまして、すべて小ぐれん隊の形をとっておるわけなのです。その子たちのとってきました物は、おとなの本物のぐれん隊でございますか、そういう方面にうまく売り口を見つけてもらう。陰に陽におとなたちが背景で指導しているわけでございます。もちろんその指導している男も、大した男じゃないので、大きな博徒とかテキ屋の団体あるいはぐれん隊の相当なものに比べますと、その周辺のチンピラではございますけれども、そういうものが子供を導いているわけなんです。そういう点を非常に恐れるあけでございます。ある意味で、子供たちがある程度不良化いたしますと、ああいうものがあこがれの的になりまして、いかれた格好をして女の子を連れて、ぱっとやるということがやりたくなるわけでございます。そういう意味でわれわれとしましては、少年犯罪――いろいろな原因がごさいますけれども、一つの少年犯罪の温床としてああいうものをぜひ抹殺してほしいという気持を持っておったわけでございます。
 ところが、このたび御存じのようなダフヤ、ショバヤ、景品買い、押し売り、客引きなどの暴力行為を取り締まる条例ができたわけでございます。その目的は、公衆の福祉をはかるという点が最もねらいでございましょうが、その反射として、少年の犯罪につきましても非常に関係があるわけでございます。もちろん、今まで条例以前にも、軽犯罪法とか、道路交通法とか、あるいはたばこ専売法というような罪名でやって参りましたけれども、今度はっきりとこれが条例によって示されましても徹底的な取り締まりがされるわけであります。そこで昨年十一月十日に、条例施行前でございますが、警視庁の防犯部の方が来られまして、今度こういう条例ができるのだけれども、一つ十分協力してほしい。今度この条例が出ると、おとなはうしろに引っ込んで子供を使うおそれがある。少年ですと、おのずと彼らにとって被害が少なくなりますから。そこで、われわれもその結果いかんと待ちかまえておったのでございます。ことに御存じの練馬の鑑別所が収容定数がそう多くございませんので、一度に何十人もつかまってきた場合には、入れ場所に困るということすら考えたのでございます。
 ところが、実施いたしましたその結果、実に意外に少なかったのでございます。もちろん警視庁方面に聞きますと、本庁に暴力行為取り締まり推進本部を置かれまして、それから全都にわたり機動班をおつくりになったり、全部を十の地区に分けて、地区の推進本部を設けられたり、かなり力を入れ取り締まりになったようでございます。たとえば新宿地区でございますが、あそこは淀橋警察、四谷警察がございますが、六十人の専従員を置いてやられた。あの地区はそう広くございません。それを六十人で取り締まりますと、かなり成果が上がることも考えられるわけでございます。その実情を申し上げますと、われわれの家庭裁判所に参りますのには、警察を通します。まず警視庁の方の数字を聞くところによると、十一月十日から一月の末まで約八十日間でございますが、総計が八百十五名でございます。それを内訳をいたしますと、客引きが二百五十七名、暴力行為が二百五十五、景品買いが百九十八、ダフヤが四十五、押し売りが四十三、ショバヤが十五、合計八百十五でございます。このうち少年は客引きが十四、暴力行為が四十一、景品買いが二十二、ダフヤが〇、押し売りが三、ショバヤが一、合計八十一名という数字でございます。おとなに比べて少年は約一割でありますが、私どもは、この数が意外に少ないのに驚いておるわけであります。普通おとなの犯罪を二といたしますと、子供が一というのが刑法犯の全般の傾向でございますが、これは少年がきわめて少なくなっております。また、聞くところによりますと、十一月中には一日に全都で十五、六名ずつ検挙されたそうであります。十二月中が一日に十名、一月になってもお正月になりますと、こういうものはふえると思っておりましたが、それが一日にわずか五名という数字で、だんだん減っております。
 これが家裁に参るわけでございますが、このうち御存じのように罰金刑は警察から直送して参ります。体刑を含めたものが検察庁から送って参るのでございますが、その数が今日まで七十三件ございます。男が六十一、女が十二となっておりますが、この七十三件と申しますのは、八王子支部を含みませんので、大体警視庁の数と合うと思います。これが書類送致で参るのもございますし、身柄つきで参りまして、練馬の鑑別所に送られる子供もあるわけでございます。その年令を見ますと、十九才が一番多うございまして三十五、十八才が二十、十七才が四、十六才が七、十五才が五、十四才が二となっておりまして、年令構成は上にいくほど高いようであります。現在それを調査官がいろいろ調べまして、処置をとりつつあるところでありますが、現在ではそのうち一名を少年院に送っております。保護観察決定が十二名、不処分決定が六名、不開始決定が五名、在宅試験観察、これは在宅のまま調査官が観察をする制度でありますが、これが六名、それから地方から参りました子供、その少年を在住保護者のおるところに回した方がいい場合もございますので、移送いたします。これが五名ございます。中に年令超過によって回った者もございます。これを検察官に逆送いたします。こういうふうにまだ半数は未済として残っておりますが、これは現在調査し、毎日決定しておるわけであります。大体こういうわけでございまして、予想外に少なかったということが言われるわけでございます。当初は非常に多いと思っておりました。たとえば新宿だけでも千二百名が根城を持っておった。そういうものが出たり入ったりしておるということを聞きました。池袋に三百名、渋谷に四百名ぐらい、浅草に千名、そういう暴力不良行為をする連中がおるということを聞いておりましたので、もっとたくさん来ると思いましたところが、意外に少なかったわけでございます。
 その実例を申し上げますと、少年につきましては、比較的多いのはぐれん隊的行為、これは暴行あるいは傷害一歩手前でございますが、この条例で参りました一つの例を申し上げますと、土工の未成年の二名、その一人は少年院に入った経験がある者でございますが、これが電車の中で卑猥な言葉を大きな声をあげてわめいておる。他の乗客がそれを見てひんしゅくした目つきをいたしますと、それに突っかかっていく。まあ傍若無人のふるまい。これを警視庁の機動隊の一警官がつかまえました。こういう例はわれわれも車中でときどき見る例でございますが、こういうのが第五条にございます暴力行為に当たると思います。それから押し売りなども、これは少のうございますが、これも前件のある保護観察中の少年ですが、新聞配達に行って帰り道一ぱい飲んで、一ぱいが二はいになり、相当飲んでしまっていい気持になって、これから一つ勧誘に行ってこようというわけで回ったところが、最後のうらに行ってぴしゃり断わられたわけです。そのうちの中から、あの人変な人ねというような声が聞こえるものですから、何が変だというわけでわあわあわめきちらした。そのうちに電話がありましたので、一一〇番へかけてつかまってしまったというのがあります。それから下谷の御徒町の付近で、あるテキ屋の配下の未成年二名がぞっき本を売っていまして、わきである一会社員が立小便をしましたところが、それに因縁をつけまして、大事な品物をどうしてくれるんだというわけですごんで、そのものすごい勢いに会社員は逃げ回って下谷の郵便局に飛び込んだそうです。そこへ警官が来て、一人はつかまえ、一人は逃げました。こういうような例があります。
 こういうふうに、われわれ知り得ました数字等を申し上げたのでございますが、それならば一体今までいたぐれん隊の連中はどうなったかと申しますと、実態はわからないのでございますけれども、関係方面の推定によりますと、転業した者が相当あるということを聞いております。たとえば新宿方面のぐれん隊のある中堅幹部でございますが、子供が二人いて年令は三十五才ですが、生活に困ってきたわけです。これじゃ飯が食えないというので、親分に頼んで許しを得て組から脱退しまして、親戚の肉屋で今修業中だということを聞いております。われわれの家裁に来ました者も、クリーニング屋になったり、あるいはトビに変わった者もございます。中にはバーテンになった者もあるようでございますが、これなどはよくなったかどうか、まだ問題があると思います。それから人夫、土工、自動車の助手でございますね。それから、もとから腕があったのでしょうが、理髪屋に戻ったというのもございます。これは警視庁でお聞きしたのですが、約四千名について当たってみたら、転職した者が約八百名、国に帰った者が百五十名くらい、それから転出と言いますか、何をするのか、居所を変えた者が約三百人、湘南方面、千葉県等に出かせぎに行った者が約三百名、不明な者が二千五百名くらいということをお聞きしております。
 今度の条例によりまして、確かにわれわれの目から見まして街頭のダニが一応姿を消したような感じはいたします。私自身も、新宿あたりを歩いてみましたところが、確かに明るくなりまして、いい家のお嬢さんたちも少し多くなったような感じもするわけです。ただ、一般人のけんかがふえてきた。暴力団がいなくなりましたら、今度はおれたちの世界だというので、一ぱい飲んで普通の人たちのけんかがふえてきたということです。それからパチンコ屋さんが不景気になって売り上げが半減したという苦情もあるそうです。これはほかに売るためにプロのパチンコをやる人がおるわけで、そういう人たちが金になりませんから来なくなったというようなこともあると思います。それで一応現在の段階では、お話し申し上げたように、意外に数が少なくて町も明るくなったということは申し上げられますが、ただこれがどういうふうに、今度どぶネズミの穴を一方を押えた、そのネズミがどこに出てくるか、これは問題と思うのであります。
 ただ、この条例が、まだ東京、大阪でございますが、漸次各地にしかれるということで、われわれとしてはその点は賛成でございます。ただ、できるだけ均衡のとれたようなものがほしい。東京より大阪が重くなっております。三千円の罰金、科料、これが五千円でございますか、それから常習犯の三カ月が五カ月に、一万円が二万円というようになっておりますので、こっちに行けば甘い、こっちへ行くと辛いというと、ちょっと工合悪いので、できるだけ統一をとる必要があるのじゃないかと思います。ただ条例は地方性があっていいんじゃないかと思います。いなかに参りますと、ダフヤとかショバヤというのはあまりございません。暴力行為とか押し売りとかいうのはどこでもございますが、そういうことで地方的特性というものがあって、ある程度伸縮できる方がいいんじゃないかという気持がいたすわけでございます。
 最後に結論として申し上げますが、不良少年の一つの誘惑の的であり温床であったぐれん隊が、少なくとも町から姿を消したということは、彼らにとって一つの目標を消したわけでございまして、これが直接間接に非行少年を食いとめる――これがすべてではございません、もっと大きな問題がございますが、現象的に一つのよいことが起こったということは申し上げられると思います。
 以上でございます。
#7
○高橋委員長 それでは澤田要蔵さんも見えましたので、参考人は四人であります。
 赤松勇君。
#8
○赤松委員 今詳細な報告をいただきまして、特に戦前五万のそれが今二十一万になっておる、しかも粗暴犯が圧倒的に多い、昭和二十五年を一〇〇として現在は約三倍に少年犯罪がふえている。こういう家裁の日野さんのお話でございますが、これにつきまして松崎さんは、どうして少年犯罪がふえたのか、これについてどうお考えでございましょうか。
#9
○松崎参考人 私がちょっと考えますのに、戦後だんだんと教育方面も大へん自由主義と言ったりして、私ども母親の婦人の立場としましても、家庭においてもしつけ等というものがゆるやかになっちゃいまして、子供を育てるのに自由々々ということがおもに叫ばれちゃって、私どもずっと日月を過ごして参りますと、やはり、よい家庭によい子が育つというので、しつけというようなものは大切だと思っております。そのようなことにおいてやはり世の中がすさんで参ったりなんかして、青少年たちが自分の行く目的がよくわからないんじゃないかと思います。それで、何となく一つの目的に向かって行くというような的がはっきりしない。それには私ども母親とか父親の、おとなの方にもずいぶん責任があって、青少年が悪いということもありますけれども、青少年がお手本とする家庭の父親とか母親の方がまだそれほどよくいってないので、そういうところから青少年が疑問を持っちゃったりするようなこともございまして、ほんとうに真心でいけば、正義でいけばこの世の中は正しく渡れるのだ、そういう目標が薄れてきちゃっているんじゃないか。そういうまじめに渡っている人たちは何かりちぎで、少し唐変木のように考えられて、こすくいろいろな悪いことやなんかをたやすくやれる人の方が、何か英雄的でいいというようなことも青少年に思われているんじゃないかと思います。学校やなんかでも、まじめな人よりも、そういうグループで悪いことをするようなところへだんだんと――先みたいに個人がうまく教育されれば一生が正しく過ごされた時代と違っちゃって、何でもが集団的になっちゃったので、一人の人がよく育っていても、悪い人のクループの中に誘われて、一度その中に誘われると、自分が気がついて抜けたいと思っても出られなくなっちゃったりなんかすることがある。そういうので、何となく今のところ青少年の行く目標のはっきりした姿が、おとなにもよく指導するほどできてないし、また青少年たちにも何となく疑惑があるんじゃないかと思います。それで今そういうふうにだんだんと悪くなっていく、小さい方の方々がだんだんと悪くなっていく、そういうのもやはり導く方の人にまだずいぶん欠点があると思います。
#10
○赤松委員 条例は、法律的に見ましてやはり重大な問題を含んでおります。一つは憲法の中の公共の福祉の問題、それから基本的人権の問題、この二つのバランスをどのようにとっていくかということは、これはもう民主主義の基本に関する問題であります。しこうして、いわば法の盲点を条例という形で補っておる。そういうようにも考えられる。本来いえば、これは国の単一法で全体としてその基準を示していくということが正常だと思われるのでありますけれども、しかし、これは公安条例と違って、この条例が制定をされた。たとえば大阪におきましても、迷惑防止条例ですか、愛知におきましても、今県会に上程されようとしておりますが、四月からいよいよ施行される。だから、われわれから見れば、実際に一方におきましては、今おっしゃったように、この犯罪の数字に現われておるように、いわゆる享楽文化の影響を受ける。そして今十九才の犯罪が一番多いということをおっしゃったが、われわれ自身も振り返って十九才当時のことを思い出したらよくわかる。これは非常にヒロイズムの最も強い年令なんですね。そういう時期にこれがうまく、つまり近代文化、高い民主主義文化によって純化されていく、開化されていくということになりますと、これはもっともっと民主的なりっぱな近代的な教養を身につけたスタイルの青少年が生まれてくると思うのですね。それがいわゆるやくざあるいは享楽文化、セックス、これはもう映画だとかテレビだとかいろいろな影響があると思うけれども、そういうものと結びついてあれする。従って、警視庁にしても、警察庁にしても、また家裁にしても、非常な努力を払われておるにもかかわらず、その資本主義の悪の根源が断たれていないために、結局、上っつらのいわば現象的に現われたことだけを、裁判所もあるいは警察も追っかけ回しているということになるのであって、これは根本的には、われわれ自身の責任また政府自身の責任であって、取り締まる者にとっては全く迷惑条例だとぼくは思うんですね。ですから、問題をそのように考えていくと、これは必要悪、本来いえば条例なんというものはない方がいいと思うのです。ない方がいいけれども、どうしてもこれがないと、今言った軽犯罪法などだけでは取り締まることができないということでもいわばつぎはぎの形で条例というものが制定されている。
 もう一点は、青少年の犯罪を本質的に見る場合に、今参考人のおっしゃったことも私は非常に重要な問題であると思うのであります。それと同時に、制度的には、構造的には、やはり資本主義の文化そのものが問題になるのじゃないだろうか。たとえばわれわれがテレビを見ておっても、西部劇とかその他パチンコ、チャンバラ――チャンバラはまだ漫画的であいきょうがあるけれども、ピストルに至っては、人の五人や十人殺すのは平気なんで、そういうことが現実に青少年の目に映って、そうして生きた教育が施されていく。映画を見てもみなそうでしょう。一方においてしつけをやかましく申しましても、親だけのしつけでは何ともならぬ面があるのではなかろうか、つまり社会的なしつけと言いますか、そういうものが必要じゃないだろうか。こう思うのでありますが、さてそれにつきまして、この条例の短所、長所あるいは条例ができてこんなによかった、あるいはこういう点を少し直してもらいたいというような御意見があれば、これは一つ澤田さんと藤森さん、ぜひ貴重な御意見を拝聴したい、こういうふうに思います。
#11
○藤森参考人 私、新宿でございますので、新宿の住民としての、今回のぐれん隊防止条例についての状況をお話し申し上げたいと思います。
 御存じの通り、新宿は非常に暗い町であるとか、あるいは暴力等も非常にはびこっておるのだというお話、また、そういうふうに全体的に見られて参っておったのであります。これは何と言いますか、とにかく一日百万人以上の方が新宿に来られております。その雑踏の中での一番お客さんが恐怖的な気持を持たれるのは、やはり今のぐれん隊、チンピラ、暴力団等でありますけれども、特に今までわれわれが何ともしようがなかったのが、町々の私等で四、五人で若い者が立ち話をしておる。そして善良なる通行人の方々にくだらない話をしかけるというようなことが、非常に恐怖心を巻き起こしておったのでございます。そういうふえなところ、それからパチンコ屋の前の景品買いのたむろしておる状態、こういうふうなものが非常に通行人に恐怖心を起こさせるのであって、実際上の犯罪というような問題は、百万人も毎日来られておるのですから、そういう観点から申しますと、そう大した比率的に非常に大きな犯罪がせられておるのだというようなことは、われわれはその土地におりますと、特にそう痛感しておらなかったのであります。ただ、今申しましたような、外面的にちょっとしたつまらない粗暴の言動を――通行人に言葉をかける、あるいはいやらしいことを言うということが非常に恐怖心を巻き起こしておったのであります。しかし、この条例が施行されまして非常によくなったということだけは、間違いない事実だと思います。特にこの秋の防犯運動等、条例が発布されて、そして施行されるまでに一カ月あったわけでありますが、その間に警察等におきましては、盛り場に非常に小さい幾つもの座談会を催し、今回こういうものができるのだ、結局警察がいかに取り締まっても、これは常時そうでありますけれども、各地域の協力を得るということが非常に必要であるということで、非常にこまかく座談会等で宣伝もいたしました。また、各大新聞等におきましても、この条例について非常に宣伝をされておられましたので、おそらく十一月十日の発布のときにはもうそういう状況が――それらの宣伝によってチンピラやぐれん隊が非常におそれをなしてもそういう状態がなくなってきたということが言えるだろうと思うのであります。特に新宿では、御承知の通りコマ劇場が唯一の劇場でございますけれども、これは前は、昼間は非常に入っても夜はあまり入らぬというのが事実であったわけでございます。たとえば一日の一つ芝居の貸料は、昼間が六十万円とすれば、夜は五十万円でなければ借手がない、夜は帰りが非常にいやだということで、夜の方が閑散であったわけです。最近コマの支配人にいろいろ伺いますと、最近は夜と昼と同じ状態になってきた。これは歌舞伎座や演舞場と同じ状態で、昼間がよければ夜もいいのだ。今に夜の方がいいのだという状態になるのじゃないかと言っておられたのでございます。これは映画館でも同じような状況でございまして、夜の最終の映画の時間には非常に人が少なかった。それが最近はそれほど違わないようになったというのが現状でございます。パチンコ屋の前にたむろしておりました景品買いは、もうなくなるのが当然でございますし、パチンコ屋等では、実際に、最初の十一月、十二月等は二割から三割ぐらいの売り上げの減少を来たした。最近まただいぶ回復をいたしてきたそうでございますが、プロがいなくなったということでございます。これら景品買いなんか、ただいまでは自分の家にお客さんを連れて行って取引をするのだというような事例もあるようでございます。しかしながら、とにかく大きなパチンコ屋が新宿には非常にあるのでありまして、その前に二十人、三十人というよな者が――あれは暴力団等でなわ張りがあったのでありますけれども、これが一掃されてしまった。わずかの時間をほんとうに娯楽を楽しむ人たちの場所になってきたと思います。いずれにいたしましても、新宿の状況は非常に静かになりまして、夜等も一人歩きいたしましても、そう心配がないような状態になってきた、こういうことが申し上げられると思います。
 ただ大阪の条例、東京の条例等で考えますことは、この罰則が東京は非常に軽いのじゃなかろうか。先ほど先生のおっしゃられますように、基本人権と公共の福祉の問題、これが中心になる、またこれが根本になるだろうと思うのでありますけれども、言動においても、基本人権を非常に侵すというようなことについては、もう少し罰則を強くする方がいいのじゃないか。現状では、わずか三千円の罰金というのが普通のようであります。三千円といいますと、今はちょっとした自動車の簡単な違反でも三千円はすぐにとられるわけであります。これから言いますと、三千円ぐらいの罰金は大した問題ではないのじゃないか。今に、このような状態でいけば、やはり三千円ぐらいとられるならとられても差しつかえない、一ぺん何か打ち負かしてやれというようなことがあるのじゃないか。やはりもっと厳重にこれを取り締まる必要があるのではなかろうかと思いますので、私ども希望いたしますのは、今後罰則をもう少し強化していただく。そうすれば、そういうチンピラ、ぐれん隊等がばっこするのはさらに減少するのではなかろうかというふうに考えるわけであります。
 結論を申しますと、この条例によりまして新宿は非常に静かないい町になりつつあるわけであります。以上であります。
#12
○澤田参考人 私は浅草に住まっておりますが、皆さん御承知の通り、浅草は特に古い歴史を持っておりますために、現在でもなお浅草はこわい、浅草は何々というような世論が非常に大きいのでございます。しかし、どこの盛り場でも、この悩みを持つのは同じことでありまして、ぐれん隊のやからが徘回いたしまして、集まってくる人たちに迷惑をかけておりました。そういう状態はひとり浅草ばかりでなく、新宿にいたしましても、銀座にいたしましても、あらゆる盛り場において行なわれる事実でございます。私ども初め住民もこれに対して非常に悩んでおります。ところが、昨年都条例が発令されましてからというものは、警察方面の非常に強力な運動によりまして、昨年の暮れから本年にかけましての浅草の人出というものは、一年を通じて最大の人出を持つものでありますが、それにもかかわらず、本年正月の被害というものは、ほとんど目にとまらないという状態でありまして、都条例が発令されて、まあどんなことになるかということでおりましたところが、それが大へんな成果を上げて、浅草もほんとうに文字通り明るい町になって参りました。しかし、一たん警察の手がゆるみますと、彼らはおぜんの上のハエのように、また飛び出して参りまして、そうして警察のすきをねらっては、あちこちで客引きを行ない、またエロ写真を販売するというようなことは、現在も見のがせない事実であります。
 先ほど来、罰金のことについて出ておりますが、軽犯罪法のときでも罰金は三千円から七千円という程度でございましたが、今回都条例ができましてから三千円が最高であるということ、しかも大阪と条例の刑罰の点が非常に違いがあるということでございます。かようなことも、もう少し刑罰において厳重な罰則をもっていったならば、もう少し彼らも手も足も出ないような形になるのではないかと思われるのでありますが、現状から推しまして、一そうの御努力を警察の方面に願っておる次第であります。
#13
○赤松委員 地方行政委員会の方からただいま太田理事が来られましても法律がかかっており、警察庁の長官にぜひ出席してもらいたい。こういう要求でありますから、参考人の方にちょっとお待ち願いまして、私は警察庁の長官に質問したいと思います。
 私は、もっと重要な質問をする前に、ちょっと条例に関連して申し上げたいのですが、先ほど参考人の松崎米さんからお話がございましたが、私は、あの発言には、重要な問題が含まれていると思う。私も知らなかったのですが、週刊雑誌を見ますると、何か温泉場でヌード写真ですか、全裸のストリップ、これが公然と営業されており、これを廃止することは温泉業者が困る、こういうわけです。だからこれは残しておきたい。そうすると、松崎さんの御発言にありましたように、青少年の犯罪というものがそういうショッキングなセックスの問題とからんでいるということになると、一方警視庁や検察庁は条例をつくって一生懸命に追いかけ回す。たとえば今罰則をもっと強くしろというお話がありましたが、罰則を強くするといっても、片方で十八、十九才の最も発育盛りの、しかもセックスの問題について重大な関心を持った年令期に、そういうショッキングなものを目のあたり見たら、これは犯罪を犯すなと言う方が無理だと思うんですよ。結婚するというには早過ぎるし、といってお母さんとは何とも解決できない問題なんで、話し合うことはできません。そういたしますと、やはり片一方においては、そういうこともなくするような努力というものをしなければならぬと思うのです。私は、この間社労で厚生大臣にも言ったのですけれども、たとえば温泉はどんどん開発していく、建てほうだいです。温泉の管理なんてものは、実は政府がやることになっておるけれども、実際は管理できていない。いわんや、温泉地におけるそういう風俗の問題については全然取り締まりが行なわれていない。やむを得ませんから、ある温泉地区においては、興行場法ですか、あれを適用して取り締まっておるのです。これは一体そういう全裸のストリップというようなものはわいせつ行為にならないのか。もしそれを取り締まるとすれば、どういう法律で取り締まるのか。興行場法で取り締まっておるところもあるようです。ここに書いてある。これは長官いかがですか。
#14
○柏村政府委員 ストリップについて、全裸のものはわいせつ罪の容疑があるとして取り締まるようにいたしておるわけであります。ただ写真とか何か、それにまぎらわしいようなもので取り締まりの対象として取り上げることができるかどうかという非常にデリケートな問題がここにあるわけでございますけれども、いわゆるストリップ・ショウなどについては、全裸のものはわいせつ罪の容疑ありとして取り締まる方針でおるわけでございます。
#15
○赤松委員 この週刊雑誌によりますと「熱海には、いま十二軒のヌード・スタジオがあるが、興行場法を適用されると、このままでは一軒も営業できる店がない。そればかりか、十二軒中二軒ぐらいは、店に大改造を施して営業許可がもらえる水準になれるが、あとの十軒は、どんなに改造してもダメだ、ということがわかったからだ。興行場法施行規則には客席、床面積、出入り口の数、便所、換気装置などについて細かい規定があり、この基準に合格できないからである。」ひどいところになると、昼はラーメン屋をやって、夜はヌード・スタジオに早変わりするというようなところがある。柏村長官は非常にかたい人だから、おそらくそんなところは見たことがないと思うんだが、これは一ぺん調査する必要があるのじゃないか。こんなものは温泉場をずっと調べれば簡単に調査できるんだから、この次の委員会までに、これは調査してもらって――現実にそういうことが行なわれておるのであるからも調査をし、かつ、これに対しては、たとえば現状の法律をもっては無理なのかどうか。ここでは興行場法を適用すれば取り締まりを行なうことができる、こう書いてあるのですが、この点について一つ調査を願いたいということが一つ。
 それからもう一つは、この前、私はあなたの出席を要求して、そして姫路、尼崎の暴力団事件の問題で質問したときに、あなたはいなくて保安局長に来ていただいて、姫路と尼崎の暴力団の実態を詳しく説明して、答弁を求めた。そのときは厳重に取り締まるということだった。ところが五月早々、あそこでヒロポンの問題でパチンコで撃ち合いが始まって、そして現に一方のボスが殺されておる。どういうところからこのけんかが起きているかというと、ヒロポンは三千倍で売っているそうです。その三千倍のヒロポンの販売の問題、あるいはその場所というのですか、そういうものの取り合いからけんかになった。そして殺したやつは、何かおきてによって、本来ならばやられてしまうんだけれども、刑一等を減ぜられて、そして尼崎地区には帰ってこられない。全国どこに行っても、いわゆる親分というやつがめんどう見られないことになっているし、尼崎に帰ってくれば完全に殺されるというのでも全国を転々として逃げ回っている。しかも、その背後には右翼団体がおるということがこの週刊雑誌に書かれておるのです。これは「週刊読売」の一月二十日号です。私は現に尻崎へ行ったし、姫路に行きましたけれども、もう暴力団に対する恐怖というものは市民の間に非常に根強くはびこっておる。現実にこういうような事件が起き、しかもヒロポンが三千倍で販売されている。もっと腰をすえて暴力団検挙をやらなければ大へんだと思う。しかも三無事件の背後にも右翼団体がある。あれはそのものが右翼団体です。あれの計画は、この間の取り調べで明らかになったように、池田総理を初め、われわれを含めて百名、国会に乗り込んできて、そうしてみんなばらしてしまう。夕べの東京新聞を見ますると、「右翼がテロ計画」「対中ソ接近に不満、首相、高碕氏らねらう」「大阪で三人検挙、国粋同志会青年隊長ら」こういうことで、これは池田総理と松村謙三、高碕達之助、この三氏を殺すために大阪から上京しようとした。そうして持っておった手荷物の中からあいくち一つ、刺身ほうちょう二つ、ナイフなどが見つかったので、これを刀剣不法所持で逮捕した。さらに警視庁は池田首相や、高崎氏の身辺をさらに一そう警戒するように、身辺警戒を強化しておる。こういうことで、国粋同志会というのは、大阪府警の調べによると、国粋同志会は二十二年六月、旧国粋大衆党の青年隊長をしていた九鬼兵衛、三十四才が中心となって結成、現在事務所を池田において、会員は十七人、そうしてこれが昨年の五月、ソ連宇宙飛行士ガガーリン少佐が来日したとき、同会の隊員の一人が羽田空港わきで、小型四輪車で同少佐の車を妨害しようとして、道路交通法違反で検挙されたことがある。こういう事件が発生しておるわけです。私は、今いった暴力団、それから思想を持った右翼というものが、それが行動右翼であると思想右翼であろうとを問わず、そういうものとの間に深いつながりがある。彼らからすれば、今の自民党、池田政府の政策する――これはファッショ、ファシストですから、今の自民党及び池田政府のやり方すら気に食わない。こういうことから再びテロを計画している。前に浅沼委員長が殺された。そのときにも再びこういうことが起きないようにと言いいながら、岸さんがやられ、河上委員長がやられた。相続いて、今度はこの三人が現に凶器を持って、池田首相や高碕氏、松村謙三というような人たちを殺そうということで、こういうテロ行為が計画されただけでなしに、すでに実行に移されようとしていた。こういう点については、私は、暴力についてはもっともっと勇気をふるってやってもらいたい。この前あなたはいなかったけれども、下級警察官の諸君は、たとえば雪害地においては、非常な苦労をしながら、治安維持というよりも、むしろ復旧のために努力されておる。災害があれば、災害地においても非常に努力をされておることは、私はまのあたりに見て知っておる。歳末になれば、非常な薄給の中で、非常に夜おそくまでやっておる。このことについてはよく知っております。だから下級警察官に対する待遇の改善ということもわれわれは反対しないどころか、そのことについては賛成しておる。そういう労苦はともかくとして、しかし、指導者である警察庁長官なり、警視総監なりが、右翼テロは一切許さぬ、こういう不退転の決意で臨まないと、こういうことがしばしば起きてくると思うのであります。この点については警察庁はどうお考えですか。大阪の事件を一つ明らかにしていただきたい。
#16
○柏村政府委員 先にお話しの不良環境の浄化ということについては、よく調査をいたしまして、善処をして参りたいと思います。
 それから次にお話しの暴力団あるいは行動右翼、過激な行動に出るようなものにつきましては、これは単に事件が起こるという情報についてのみならず、平素からこれを組織、系統別にファイルして調べるように、ここ数年非常に努力を続けておるわけでございます。従いまして、できるだけ彼らの行動というものを未然に察知いたしまして予防措置を講ずるように努めておるわけでございます。一たんまた蠢動するような場合におきましては、いち早くこれを鎮圧するという体制を整えておるわけでございまして、この点については、第一線はもちろんしっかり努力をいたしておりまするけれども、私どもも当然そういう努力をすべく、不退転の決意をもって臨んでおることをここにはっきりと申し上げます。
#17
○赤松委員 それではこの件はさらに調査をしていただいて――大阪のテロ団についてですが、そして委員会に報告していただくようにしたい。
 それからもう一つお尋ねしたいのは、私がおかしいと思うのは、前に運輸委員会で十河総裁の辞任を要求して、私は例の新幹線用地買収の汚職の問題でやったことがある、ほんのこの間。その間、肝心の日本開発会社の中地という社長が疑惑を持たれて、たしか逮捕状が出ておるはずです。中地に対する逮捕状が出てますね。新聞の報道によれば、これが視察と称して今メキシコにおる。そして二カ月も当局は知らなかった。それで、これは法務省の入国管理局の問題になると思うのですけれども、一体、こういうような世間の疑惑が非常に強く、またその汚職を追及中の警視庁捜査二課が、事件のかぎを握る重要参考人として、彼がいなければこの事件のあれはわからない。ところが国外に逃亡した。二カ月も当局は知らなかった。私は実に怠慢の限りだと思う。今の条例も大切だ、その辺のチンピラを抑えることも大切だが、こういう国鉄の用地でちょっと情報を得て、ばっと人の土地を買っておるということで何億ともうけている。しかも、国鉄の上層部にその共犯がいるんじゃないかということで取り調べ中の、こういう国費を私する犯人を平気で国外に出すなんていうことはもってのほかだ。
 もう一つ私は驚いたことは、金剛丸の事務長がスパイだということで、たしか北鮮へ上陸を拒否されて日本に送り返されたんじゃないですか。あの金剛丸の事務長が、一月二十五日に第九管区海上保安本部に入った情報によると、二十四日の午前六時半ごろ、石川県羽咋郡志賀町の海津に水死体となって漂着しておるということがわかった。これは、この事務長は、昨年秋スパイ容疑で北鮮政府に捕えられた大阪市北区堂島船大工町、日信貿易大阪支店がチャーターした金剛丸の事務長――これは日本のスパイだというので北鮮が捕えた。それを釈放して、日本に帰ってきた。だれに消されたか、自分でまさか海に飛び込んで漂着するわけがない。だれかに消された。世はあげて無責任時代と言いますけれども、どうして創価学会が伸びるかよく考えなくちゃならない。それはだれもたよるものがない。政治にたよってもだめだ、裁判所にたよってもだめだ、警察にたよってもだめだ。結局は宗教なら宗教にたよる以外にはないのだ。そういう絶望感がああいうような宗教を伸ばしておるわけです。だから、そういうことを考えると、われわれは政治に対する信頼あるいは裁判や警察に対する信頼というものを回復しなければならぬ。しかるに一方で、今お聞きをすれば何か新聞配達が酔っぱらって勧誘に行っても最後に何か言ったというのでぽんと押えられる、それはいいでしょう。けれども一方では、何億と汚職でもうけたやつがさっと中米へ行って、今ごろメキシコでのんべんだらりと細君と遊んでいるというのですから、こんなばかな無責任な事態がありますか。こんなことを許しておいて、今の政治を信頼せよと言っても、だれが信頼しますか。ですから私は、この金剛丸の事務長の水死事件、それから先ほど申し上げました新幹線用地買収の汚職の疑惑の中心になっておるところの中地に関する、どうしてこういうことになったかという資料を、法務省並びに警察庁の方で十分捜査をして、そうして提出をしてもらいたい、こう思うわけであります。
 なお、長官に対してはまだたくさんございますけれども、何か警察に関する法律が出ておるようでございますから、これであなたに対する質問は一応留保いたしまして、大いに暴力団に対しては――あなた自身こっちの左翼のデモにはなかなか強いんだから、あの勢いで右翼のテロにも立ち向かっていただきたい。近時柏村名長官と呼ばれて、ぼくらもひそかに腹の中ではそう考えておるわけでありますから、一つ一そう不退転の決意を持ってやっていただきたいということを希望いたしまして、あなたに対する質問は留保いたします。
#18
○松崎参考人 ちょっと一言、さっき私は、青少年がどうして悪くなるかというふうなことだったものですから、大へん言葉が抽象的になってしまって、私の申したことと思っていることと反しているようでしたので……。
 私の万は、暴力防止条例が出ましてからとてもよく改良されまして、私の方の体育会館なんかに特別興行があったりするときとか、または国際劇場付近のダフヤなんかほとんど影をひそめて、あそこの姉ケ崎一家などというものもすっかりちりぢりになってしまいました。それからまた、私どもの力はパチンコ屋もどっさりございますが、そのパチンコ屋の景品買いなんかもずいぶんとよくなって参りましたし、またショバヤなんかでもほとんど影をひそめてしまいまして、一月ごろは出るかと思いましたら、一月にちょっと二、三日出ても、刑事の姿を見てすぐ引っ込んだり、もうこの条例ができたために大へん環境が浄化されて明るくなって参りまして、浅草のデンスケ賭博なんかも、お正月の朝参りに地方から来たお客さんなんかをやっているところなど取り締まったり、デンスケ賭博の方も影をひそめて参りましたし、防止条例が出ましてから、私ども浅草の方では大へん助かっておりまして、よく思っている次第でございます。
 それで、先ほどから皆様がおっしゃったようにも罰するのをもう少し――こういうことを女性が願ってはあれかと思いますけれども、罰金刑よりも、かえって拘留や何かしていただいて、十日でも二十日でもいやなところへ入ることの方が、二度と再びそういうことをやらないというようなこともありまして、そういうことも願っております。
 私が先ほど申しましたのはあまりに抽象的だったもので、自分の言うこととそごしてしまいまして申しわけなかったと思いますので、ちょっと訂正させていただきます。
#19
○赤松委員 防犯部長、愛知で今度できる条例の中で、路上でビラを配るのを禁止させようもこれは非常に問題があるわけです。県当局の方も非常に慎重なんですが、というのは、それはたとえば民主団体その他が一つのカンパニアを起こす場合に行なういわば基本的人権の行為の一つと、それから、そうでなく、営業行為で、たとえばこのごろよくあるらしいのですが、どこかに遊びに来いとか、ステッキ・ガールがいるとかいうようなビラをよくまくらしいですね。そういうのを取り締まるというのが目的らしい。だから条例の中では非常に慎重に、ビラを配布し、客引きの行為を行なうことを禁止するというように慎重にやってあるわけですが、東京都の場合は、その取り締まりの関係はどうなんですか。
#20
○渡辺説明員 東京都の場合には、ビラのことについては何もございません。執拗に人にまつわって客引きをするということを禁止をしております。愛知の件については、警察庁の方からお答えになった方が適当と思います。
#21
○赤松委員 それで、この警視庁の条例は、今参考人にお聞きすると、なかなかいいようですね。効果があるようです。これの施行以来、犯罪がだんだんとなくなってきておる。逆にもっと罰則規定を強化してもらいたい、こういう要望がございました。そこでお願いしておきたいことは、今のビラの件ですけれども、これはやはり将来問題になると思うのですね。これはおそらく各地でその条例をつくる行政指導を警察庁がやっていると思います。そういう点は十分注意してやっていただきたい。今の参考人の意見なども十分取り入れて、そして一つ警察庁及び警視庁の方も考えてもらいたい。こういうふうに思うわけです。
 以上をもちまして、参考人に対する私の質問を終わりまして、他の委員諸君がもし質問があれば、それに譲りたいと思います。どうもありがとうございました。
#22
○高橋委員長 これにて本日の参考人に関する議事は終了いたしました。
 参考人各位には、御多用のところ長時間にわたり貴重なる御意見の開陳をいただき、委員会を代表してここに厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。
#23
○赤松委員 あとから法務大臣の提案理由の説明があるようでありますから、私、簡単に一点だけ法務大臣に希望しておきたいと思うのでございすす。
 それは、例の帝銀の平澤に対するそれでありますが、御承知ように恩赦法施行規則の第一条の二によりまして、すでに平澤及び弁護人が中央更生保護審査会に特赦に関する申請をしております。これは三十八年一月十三日に法務省の恩赦課で受理をしておりますが、この点はいかがでございますか。
#24
○中垣国務大臣 ただいまお述べになりました通りに受理をいたしております。
#25
○赤松委員 今の法務大臣のお話で、すでに受理をされていることが明らかになりましたので、この審査会でいろいろ審議をされると思うのでありますが、そういう事情でございますから、平澤の問題につきましては格段の慎重な措置を講じていただきたいということを法務大臣に希望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
     ――――◇―――――
#26
○高橋委員長 次に、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。中垣法務大臣。
#27
○中垣国務大臣 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案について、その趣旨を説明いたします。
 この法律案の要旨は、第一審における訴訟の適正迅速な処理をはかる等のため、裁判所の職員の員数を増加しようとするものでありまして、以下簡単にその要点とするところを申し上げます。
 まず第一に、下級裁判所の裁判官の員数を増加しようとする点であります。政府におきましては、第一審の充実強化をはかるための方策といたしまして、数年来逐次裁判官の定員を増加する等の措置をとって参りましたが、右の方策の一環として、このたび特に裁判官の負担が重くなっている地方裁判所における事件の審理及び裁判の適正迅速化をはかるため、判事及び判事補の員数を増加するとともに、近時激増して参りました家庭裁判所及び簡易裁判所における交通事件の処理の円滑化をはかるため判事補及び簡易裁判所判事の員数を増加しようとするものでありまして、人員充足の見通し等を考慮した上、さしあたり判事、判事補及び簡易裁判所判事の員数をそれぞれ十人増加しようとするものであります。
 次に、裁判官以外の裁判所の職員の員数を増加しようとする点であります。特許法による審決に対する訴訟その他東京高等裁判所が取り扱う工業所有権関係訴訟の事件数の増加に対処し、その処理の適正迅速化をはかるため、裁判官の命を受けて事件の審理及び裁判に関し必要な調査をつかさどる裁判所調査官の員数を増加し、また、すでに述べました裁判官の定員の増加に伴い、地方裁判所における事件の審理及び裁判の適正迅速化並びに家庭裁判所及び簡易裁判所における交通事件の処理の円滑化をはかるため、裁判所書記官、家庭裁判所調査官及び裁判所事務官の員数をそれぞれ増加し、さらに、裁判所における庁舎の新営等に伴いまして、電話交換、機器の運転操作その他の業務に従事する行政職俸給表(二)の準用を受ける職員の員数を増加しようとするものであります。これら新たに増加しようとする裁判官以外の職員の員数の総数は二百十二人であります。
 以上が裁判所職員定員法の一部を改正する法律案の趣旨であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願いいたします。
#28
○高橋委員長 それでは本日は法務大臣の説明だけを聴取いたしまして、本件の審議は次会から始めることといたします。
     ――――◇―――――
#29
○高橋委員長 なお、この際、参考人出頭要求の件についてお諮りいたします。
 法務行政、入国管理及び難民問題について参考人の出頭を求め、その意見を聴取することといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#30
○高橋委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
 なお、日時、人数及び人選は委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#31
○高橋委員長 御異議なしと認め、さよう取り計らいいたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時二十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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