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1962/03/01 第43回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第043回国会 法務委員会 第6号
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1962/03/01 第43回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第043回国会 法務委員会 第6号

#1
第043回国会 法務委員会 第6号
昭和三十八年三月一日(金曜日)
   午前十一時四十二分開議
 出席委員
   委員長 高橋 英吉君
   理事 小島 徹三君 理事 田中伊三次君
   理事 林   博君 理事 牧野 寛索君
   理事 井伊 誠一君 理事 坂本 泰良君
   理事 坪野 米男君
      岸本 義廣君    小金 義照君
      竹山祐太郎君    千葉 三郎君
      馬場 元治君    松本 一郎君
      赤松  勇君    志賀 義雄君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 中垣 國男君
 出席政府委員
        警  視  監
        (警察庁刑事局
        長)      宮地 直邦君
        検     事
        (刑事局長)  竹内 壽平君
 委員外の出席者
        専  門  員 小木 貞一君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 法務行政に関する件
     ――――◇―――――
#2
○高橋委員長 これより会議を開きます。
 法務行政に関する件について調査を進めます。
 質疑の通告がありますので、これを許します。赤松勇君。
#3
○赤松委員 本委員会におきまして特に調査を進めましたいわゆるがんくつ王吉田石松氏の強盗殺人事件につきまして、その後幸い聰明な裁判所の措置によりまして再審が認められまして、昨日名古屋高等裁判所におきまして無罪の判決が確定したわけでございます。私も、本人及び家族の要望によりまして法廷に立ち会いました。裁判長の最後の言葉は、先輩の犯したあやまちについて深くおわびをする。被告と言って、それから言葉を変えて、いや吉田翁は五十年間無実の罪を訴え戦ってこられた、その努力に対しては深甚なる敬意を表する。どうぞからだを大切にして長命をしてもらいたい。まさに温情あふるる裁判長の判決であったわけであります。きのうは日本じゅうが一ぺんに明るくなったような感じがしました。これはかつて前の法務大臣の植木さんにも申し上げたのでありますが、疑わしきは罰せずということはもちろんのことでございますけれども、これは裁判のやり直しをすることによって、かえって裁判所の権威が高められるのじゃないか、威信が増大するのじゃないか、ぜひやり直しをすべきであるということを主張したのであります。本件に関しまして、日本の裁判所は独立の機関として、その持っておる良識がいかようのものであるかということが今や国民の前に明らかになりました。国民もまたひとしく現在の裁判所に対しましてその信頼度を高めたと確信をしております。
 そこで私は、おそらく検察庁側の方においてさような手続をおとりにならないというように確信をしておりますが、昨日の新聞談話によりますと、必ずしもそうは言い切れない面もございます。そこで、その死活の権を握っておられます法務大臣にお尋ねしたいのでございますが、このように本人ももう八十三才でございまして、これがもし上告をされ裁判が長引きますと、本人自身の生命は保証されない。同時に、そういう形でもし本人が死んでいけば、せっかく日本じゅうが一瞬明るくなったのに、再び検察行政に対する疑惑及び不信の念が高まってくると思うのであります。中垣法務大臣は聰明な方でございますから、おそらくそういう方向に検察行政を御指導なさらぬと思うのでございますけれども、この機会にぜひ法務大臣の御所信をお伺いしておきたい、かように思います。
#4
○中垣国務大臣 お答えいたします。吉田氏の事件がきのうの名古屋の高等裁判所におきまして無罪を宣告されたことにつきましては、私も、実は個人的には赤松さんと同じように非常に喜んでおります。ほっとしておるというのが私の偽らない気持であります。この問題を今後どういうふうにするかということは、御承知の通りにこれは検事総長の責任におきましてとられるわけでございますが、私は法務大臣といたしましてこういうふうにこの問題を考えております。もう四十年も五十年も前の問題を、裁判所がそれぞれの事実審理に基づいて、あるいはまた裁判官の良心に基づいてかような判決がなされたのであるから、この判決が誤審であったというような考えに基づいて検察陣が新しい証拠や資料をそろえるということはおそらく不可能なのではなかろうか、私個人は実はそういう考えを持っておって、率直に言いますと、もうなかなか新しい資料、材料をもって真相を究明することはできがたいのじゃなかろうか、そういう情勢だと思いますので、私個人の立場では、もうその上告などはしない方がいいのじゃないか、私はそう思っております。これは私の偽らない気持であります。しかしながら、先ほど申しましたように、どこまでも制度上の問題等もございまして、おそらくきょうあす、この問題につきましての会議が行なわれるのではないかと思うのでありますが、もちろん、あなたの御指摘の通りに、上告等を私が指導したり示唆したりしてなすようなことは断じてございません。この問題は、まだそういうきょうあすの会議に当然かかることであると思いますので、この程度の答弁にさしていただきたいと思います。
#5
○赤松委員 どうもありがとうございました。大臣のお気持は十分わかります。従いまして、そういう方向に一つ検察行政を指導していただきたいと思います。
 ただ、きのうの法廷の一断面を御紹介申し上げますと、判決の瞬間に、本人はどうも聞きとりにくかったようでありますが、私が口を耳に当てまして「無罪だぞ」と言いましたら、本人は涙を流しておりました。それから裁判所の方も、無罪の判決と同時に気がゆるんで失心をする、あるいは卒倒するという懸念もございましたので、特に医師を法廷に立ち会わせるというようなこまかい心づかいがあったわけであります。私は、あの姿を見まして、何だか裁判長が神様のように見られました。それからうしろの傍聴席、これは八十人しか傍聴券を発行されておりませんでしたから、満員でございましたけれども、傍聴席の中で声を出して泣いて、そして裁判長を拝んだというような、非常に劇的なシーンがあったわけです。
 今問題になっております平沢の問題につきましても、恩赦の請求をしております。同時に再審の請求をいたしておるのでございますが、この点につきまして、私、当時の警視庁の有力な証拠を入手しました。そして適当な機会にこれは明らかにしたいと思うのでございますが、この点につきましても、一つこの前の猪俣委員に対する御答弁のように、慎重にお願いをしたいということと、これは大臣に対する要望ではございませんが、本委員会には再審制度調査小委員会というものがございまして、林先生が小委員長をやっておられるわけであります。本委員会におきましても、林小委員長、高橋委員長など、一つ積極的に再審制度の調査及び改正の必要があるかどうかということの調査、これを進めていただきますように希望いたしまして、一言大臣に対する御質問を申し上げ、また次会にあらためて御質問したい、こう思っております。どうもありがとうございました。
#6
○中垣国務大臣 平沢の問題につきましては、ただいま御指摘の通りに、恩赦の審理中であります。それから再審につきましては、間違っておるかもわかりませんけれども、四回目か五回目の再審を、東京高等裁判所におきましてただいま審理中でありますので、この問題につきましては、これ以上私が深入りしてお答えすることは避けたいと思います。何といたしましても、すべての事件がそうでありますが、慎重にこしたことはない、こういう考え方で、慎重にやるようにということを、常々私、自分の主張として申し上げてあるところでございます。
 それから国会におきまして、再審制度につきまして小委員会が設けられ、御苦労をいただいておることも存じておりますし、この問題につきましては、委員会の方々の結論がどうなりますか、それを見ましてから、いろいろまた御意見を述べさしていただきたいと思います。
#7
○高橋委員長 志賀義雄君。
#8
○志賀(義)委員 ただいま赤松委員からも質問がございましたように、前の植木法務大臣とか、また中垣法務大臣によるいろいろ御努力の結果、こういう結果が生まれたということが言えるのでありまして、私ども非常に喜んでおるわけでございますが、三年前に当衆議院法務委員会が、和歌山にある婦人刑務所を視察しましたときに、徳島のラジオ商殺し――これはつまり後妻で、夫を殺したといわれておるもので、今長期の刑に服役している婦人があるのでございます。当時刑務所長の案内によりまして、その婦人にも二、三話をしてきたのでありますが、どう考えてみても一これは検察審査会の方からは再審の要求がありました。先日なくなられた法務委員であった社会党の阿部五郎君は、この点を非常に心配しておられたのですが、弁護士の費用がかかり過ぎるために途中で上告をやめた。そのために結局有罪ということになっているのであります。これは非常に奇々怪々な事件でありまして、偽証したというようなことまでも言い出している人間がありますが、どうも検察の威信、あるいは警察の威信を保つというようなところで、これがうやむやになっている事件があるのでございます。今もって徳島に参りますと、この事件は市民の間で大きい話題の中心になっております。疑惑に包まれているのであります。この問題は、熱心な人々が何とかして無実の状況を明らかにしたいということで努力しておりまして、いずれまた表面に現われてくることもございましょう。そのときには、法務大臣の方でよろしく処置していただきたいと思います。
 さて、ただいま検察長官会同がございまして、法務大臣も御出席のことだと思いますが、そこで清原検事総長の訓示がありました。新聞によりますと、こういうふうになっております。要点だけ。『国際情勢はさらに複雑化しつつあり、国内では共産分子が官公庁、基幹産業、労組青年部等での活動を活発化し、総評は中立労連とともに「総資本に対決する総労働の闘争」を呼号し「実力行使」を含む春闘をはじめ、日韓会談反対などの大衆運動も激しさを加えようとしている。』これだけでも不穏当であると思いますが、そのあとにさらに「これらの闘争は情勢によっては不法越軌行動に走ることも考えられ楽観を許さない。」こうなっております。検察庁の役割として、捜査の結果、これを起訴するかどうかというようなことを判断されるならともかく、こういうことを、あだかも政治検察のような態度で検察長官会同で言われることは、どうでしょうか、その点を一つ伺いたいと思うのです。
#9
○中垣国務大臣 検事総長の訓示は、私、新聞を見て知っておる程度でありまして、内容のこまかいことは存じておりませんけれども、たとえば日韓問題の反対であるとか、そういう御指摘なさったような運動が不法行為にわたらないようにという、そういうようなおもんばかりからそういう言動が出たのではなかろうかと私は考えるものでありまして、共産党や総評が合法的な運動をしておられる限り、これについてとやかく言う筋合いのものではないと思います。ただ、そういうような運動がもし不法行為にわたるようなことがあるとするならば、といったような点から、検事総長はそういう訓示をなされたのではないか、そういうふうに私は想像いたします。
#10
○志賀(義)委員 実はきょう、法務委員会理事会でも、検事総長を呼んで下さい、こう言ったわけです。と申しますのは、私がここで検察官の役割はどういうものであるか、その限度は何か、どういう職務を持っておるかということを申し上げるまでもなく、捜査の結果に基づいて、それを検察官として判断すべきものであって、万が一どうこうというようなことを前提としてやることは、これは捜査に当たる方のやるべきことではない。まして検察官ともあろう者が、それの長官ともあろう者が、共産党が官庁に潜入しているとか、全く検察官の分限と申しますか、限度をわきまえないようなことを言われるのでは困るのです。事実、最近だけをあげてみても、無罪となっている事件、また当然無罪である事件について、検察官があまりに横紙を破り過ぎるというような印象を与えている。しかし、それが起こった事件についての検察官の判断の範囲ならまだしも、こういう場合に、これでは予断を持って検察の長官が事に当たるということになりがちであります。まして、臨時司法制度調査会に臨む法務省側の態度決定に必要な資料を整えるために、法務大臣が清原検事総長を欧米に派遣なさるのでしょう。こういうことを平気で言われるような人が出て行ったら、何を調査してくるか、およそ見当もつこうというものです。こういうことについて法務大臣は、今、出ていないから新聞で知ったと言われるのですけれども、事実を確かめて、こういう行き過ぎがある場合には、法務大臣の方からおっしゃっていただきたいと思うのです。ただいま申し上げたところで、新聞に伝えられることが正しければ、明らかに検事総長の行き過ぎであります。あなたはいろいろおもんばかったと言われるが、それは検察官としての限度を越えたことであります。その点を実は検事総長自身にここへ来てもらって確かめようと思ったのですけれども、その前に一つ法務大臣のお話を伺って、その上できめようということになっているので、重ねて伺います。そういうことをおもんぱかってということですが、検察長官会同で公然と言ってよろしいものかどうか。こういうふうな、共産分子が官庁その他基幹産業に侵入しておる、総評が中立労連と一緒に総資本に対する総労働を呼号して春闘でよくないことをしようとしている。これは検事一体の原則に従えば、やはり長官の言うことは全体に一つの指揮として映ってくるのであります。重ねて伺いますが、こういうことが正しいのかどうか、それを伺った上で、法務大臣の御答弁に満足がいかなければ検事総長にここに来ていただく、こういうことになると思うのでありますが、その点をどうぞ。
#11
○中垣国務大臣 お答えいたします。検事総長の訓示の内容が、いろいろな予想に基づきまして行なわれたであろうということは、私もよく理解ができるのでありまして、これはおそらく幾つかの例の中の一つであろうと思うのでありますが、そういうことがもし行き過ぎであるというようなことでありましたならば、私からもただいまのような御意見のあるところを伝えまして、今後そういうことがないように私、注意をいたします。問題は、志賀さんもよく御承知の通りに、たとえば地方統一選挙の問題であるとか、交通違反、麻薬暴力等の問題につきましても、いろいろの予想に立っての発言をする場合は、これは法務大臣といたしましても、検事総長といたしても、あるわけでございます。問題は、いかなる意図で言われたか、それを十分私が承知してからでありませんと、ここであれは行き過ぎておるということを申し上げることはちょっとどうかと思います。帰りましたならば、十分意見を聞きまして、御指摘のような行き過ぎがあれば、私からよく彼にその意見を伝えることにいたします。
#12
○志賀(義)委員 私がこういうことを申すのは、ただ危惧からだけではございません。三月になりまして、共産党関係についてだいぶ広い範囲にわたっての計画があるようでございます。それを未然に防ぐ必要があって申しているのであります。これは共産党関係のことで、総評のことは今伏せておきますが、そういうこともあります。私自身についても――警察ではありませんよ、法務省関係で何かやっておられるのです。もし下手な動きをされたら、私どもでまたぎゅっと手をつかんでやろうと待ちかまえておりますから、あまり下手な動きをされない方がよろしいと思う。そういう意味も含めまして――こういうことを言われますと、それっといってやりがちなんですね。やって成功すればいいのだけれども、私に手をつかまれて天下の笑ものになることがわかり切っていることがあるのです。そういうことがありますので、ただいま検事総長に御注意なさるということでありますから、その結果がどうなるか見ました上で、またあらためてこの問題を提起するなら提起するようにいたしたいと思っております。
 それだけにいたしまして、この前、委員長を通じて請求しておきました例の立川におきましてアメリカ兵がどろぼうを射殺したというような記事が出ているのでありますが、命令を聞かないで逃げ出したので、刃向かった一人をとらえ、逃げた者を射殺した。こういう事件があるのでございます。これは法務委員会で各党派がぜひともこの点についての報告を請求しよう、こういうことになっておりましたので、今日までにお調べになった範囲のことを一応御報告いただきたいと思います。
#13
○竹内政府委員 立川基地における日本人射殺事件につきましては、ただいま捜査中でございまして、詳細なことはもとより確認するところまで至っておりません。今まで所轄警察等で取り調べており、それを検察庁が報告を受けておる、それをまた私どもが間接に報告を聞いておる。その範囲でございますので、事実関係が将来動くこともあり得るということを前提といたしましてお答え申し上げたいと思います。
 事件は、去る二十五日午前二時半過ぎごろ、駐留軍の憲兵事務軍曹という職にあるロジャー・G・デビットソンという者が、憲兵として職務上軍用パトロールカーで立川基地内を単独巡回警ら中に、二人の人影を発見しましたので、直ちに無線で応援を依頼するとともに、ジープでその二人の方に接近をいたしましたところが、近くの倉庫のドア用の戸袋内に隠れたということでありまして、そのことがわかったので、そこで拳銃を取り出しまして、安全弁をがちゃがちゃさせながら、銃口を空の方へ向けながら、いらっしゃいというような片言の日本語を五、六回大声で叫んだところが、一人が両手をあげて出てきた。ところがちょうどその際に、応援を無線で頼みました他の応援の憲兵がその場へ到着をいたしましたので、一瞬目が離れたわけで、そのすきをうかがったと思われるのでありますが、被害者である男が大声を上げながら逃げ出しました。そこでデビットソン事務軍曹は、これを追跡して、逃走する被害者に向かって発砲をしたようでございます。その距離等も十分確認できませんが、大体三十五メートルくらいの距離であったろうと現段階では言われております。発砲いたしまして、それからさらにその被害者は十数メートル行って倒れたのでございます。事務軍曹は直ちに救急車を手配いたしまして、基地内の病院に運んだわけでございますが、すでに死亡しておりました。診断の結果は、弾丸は左の上腰部から右の胸部に貫通していたということでございます。これが私どもの聞いております事実の概要でございます。
#14
○志賀(義)委員 ただいまのお話で、まだ十分あなたの方にも御報告がないようでございますから、いろいろと私の方でも質問の準備はいたしておりますけれども、そこまでは、そこまではということの方が多い結果になると思いますから、それはなお今後お調べいただくことにして、若干どうしても伺っておき、またあなた方が報告をお受けになるときに、こういう点はどうかという点を確かめていただきたい点もありますので、そういう点について伺いたいと思うのですが、場所は、今倉庫というふうにおっしゃったのですが、これは基地の中のどういう地域の――日本の新聞に発表されたものでは、東部地区一三六四号建物わきとなっておりますが、これは倉庫でしょうか、兵舎でしょうか、格納庫か、弾薬庫か、あるいは人の住む住宅地域なのか、そういう点の報告はございませんか。
#15
○竹内政府委員 三十六空中救助中隊第一倉庫という倉庫の戸袋なのでございますが、その中身がどういうものが入っておりますか、まだ確認いたしておりません。
#16
○志賀(義)委員 何か盗まれたようなことも書いてありますが、何か盗まれたのでございましょうか。それは既遂でしょうか、未遂でしょうか、その点について。
#17
○竹内政府委員 正確なことはわかりませんが、基地内に駐車場がありまして、そこからたばこだとか、キャンデーでございますか、それから酸素吸入器のようなものだとか、色めがねだとか、懐中電灯だとか、ライターのようなものを盗んだ、そういうふうに言われております。
#18
○志賀(義)委員 それは報告にあるのでございますか。
#19
○竹内政府委員 そういうふうに報告を聞いております。しかしながら、倉庫の中から何か盗んだかどうかということは、確認されておりません。
#20
○志賀(義)委員 お話では、空中救助中隊第一倉庫の戸袋に隠れておったというふうなお話でございますが、今お話を伺うと、それは自動車駐車場なんでしょうか、倉庫の中なんでしょうか。両方隣合っておるということなんでしょうか。それからまた盗んだ物は、たばこ、酸素吸入器、それから懐中電灯ですか、ものによってはサングラスなんて書いてございますが、それはどこにあった物を盗んだものか、そういう点がただいまの御説明では、まだはっきりいたしませんが……。
#21
○竹内政府委員 その駐車場がどの辺にありましたのか、私自身も実はわからないのでございますが、基地内の駐車場に置いてありました車の中から、今申しましたようなものを盗んだ形跡は認められるということでございまして、それから距離にいたしましてどのくらいございますか、その第一倉庫までの間百メートルぐらいあるのかもしれませんが、そういう距離のところへ逃げ込んだところで発見された、こういうことのようでございます。
#22
○志賀(義)委員 その車は、やはり基地の公用の車でしょうか。それともその車の所有者、将校なりあるいは軍属なりの名前はわかっておるのか。その車内に、私どもが考えて不思議な点もあるのですが、それは次に質問をするといたして、普通あなた方、警察の捜査をお調べになっても、この車は何という者の公用車であるとか、私用車であるとか、あるいはその中にこういうものがいつも置いてあるとかないとか、こういうことがはっきり報告されると思いますが、そういう点の報告はございませんか。
#23
○竹内政府委員 まだこまかい報告がないので、先ほど申し上げましたのは、国会で御質問もあるやに伺いましたものですから、とりあえず電話で聞いた程度でございまして、詳しいことはまだ私の方でわかっておりませんが、御指摘の通り、場所、車の種類、それが公用のものであるか、私用の車であるか、その他だれの所有車であるか、軍の所有車であるか個人のものであるか等は、今後捜査いたしまして、確認をして参らなければならない事項だと思います。
#24
○志賀(義)委員 私ども不思議に思うのは、酸素吸入器のようなものがそういう車の中にあるということです。日本の自衛隊の航空部隊の現状の知識からしても、懐中電灯ぐらいはよろしゅうございますが、酸素吸入マスクというようなものがいつも車の中に置いてあるのでしょうか。こんなものを盗んでどうするかと思われるようなものでございますからね。その点でどういうことなんだろう。普通の常識で考えて、どうもちょっと不思議な点としてまず頭に浮かぶのは、その点でございますが、その点についてはいかがでございましょうか、報告がありましたら……。私のようなしろうとでもすぐそこがくるのですが、竹内さんのような専門家としてその点はいかがだったでしょうか。
#25
○竹内政府委員 それはまだ確認されておらないのでございますが、おっしゃる通り、おそらく今のようなマスクは通常使用に供するものではございませんので、そういう公用物品の管理というような問題も、どうしてそこにあったのかというようなことは調査して、はっきりさせて判断をしていかなければならぬと思います。
#26
○志賀(義)委員 非常に不思議に思うのは、私どもの知り得た範囲内では、本人が働いておった店の主人または知人が、あの男は平生の行動から察して盗みをするような男ではなかったと、そう言っているのでございます。ところが今申しましたように、航空用の酸素吸入のマスクだとか何だとか、こんなものを盗んだというのですが、この被疑者たちは、お調べになった結果では、偶発的に基地に入ったのか――偶発的という言葉は表現がちょっとぴったりしませんけれども、何か計画的に入ったのか、つまりでき心の窃盗事件か、それとももう一つ突っ込んで申しますれば、基地の内部の者と関係があって、あるいはしめし合わせて入ったと認められるのかどうか。盗んだ物が物で、どうも未明といっても午前二時半ですからまだ暗いですね。基地の中だから明るくなっているかもしれないけれども、どうも幾ら射撃の名人でも、ただいまのお話では、三十五メートル、上膊部から右肺へ貫通したというお話でございますが、いささかやみ夜に鉄砲の名人みたいにも聞こえますので、よけいおかしくなってくるのですが、そういうおかしくなったことを今伺うのじゃありません。そういうおかしいと思う気持から、被疑者は偶発的な窃盗事件なんだろうか、それとも計画的なのか、あるいはもう一歩突っ込んで基地の内部の者との関係があるのかどうか、こういう点をお聞かせいただきたい。
#27
○竹内政府委員 ただいまの段階では、私どもに関します限りは、そこまで深く立ち入った捜査の結果を報告を受けておりませんけれども、捜査をいたします以上は、窃盗をしたというならば窃盗の動機、その共犯関係もあるようでございますが、そういう共犯者並びに共犯者とその他の者との関係等、可能なる限り捜査をいたしまして真相を明らかにしなければならぬ。これは当然なことでございますから、現にこの時間におきましてもそういう方面に向かって捜査が進められているものと私は考えております。
#28
○志賀(義)委員 時間の関係もありますから、これは今後捜査の結果がもっと正確になるに従って伺いたいと思うのですが、ただ、このデビットソンは勤務中だというのですが、どういう勤務をしていたのでしょうか。それだけ伺いまして、次にきょう伺いたいことについて入りたいと思います。
#29
○竹内政府委員 先ほど事実の概要を申し上げた際にも述べたわけでございますが、加害者のデビットソンというのは憲兵事務軍曹という地位だそうでございまして、事務という字が入っております。憲兵としての職務を執行しておった模様でございます。軍用のパトロールカーで基地内を巡ら警戒中であった、その際のできごとでございます。
#30
○志賀(義)委員 新聞にはコルト型の拳銃と出ていますね。拳銃についてコルトのどの程度のものなのか。先ほど伺いました三十五メートルという距離、これははっきり出ておりますね。そうしますと、拳銃の大きさいかんによって――新聞にはコルト型の拳銃と出ておりますが、距離その他を考えて、どの程度の大きさのものか、これは重要な一つの問題になるかと思いますが、その点調査がございましたら……。
#31
○竹内政府委員 これはわかっていなければならないのでございますが、私どもの方で地検から報告を受けます際の不注意であったかと思います。拳銃の型式その他については聞いておらないようでございまして、私どもはここでお答えができません。
#32
○志賀(義)委員 その点はおっしゃる通り距離その他から見て重要な点だと思います。その距離についても、確かに先ほど私三十五メートルと伺いましたが、新聞によると、その距離が違うようにも出ております。拳銃の型式の出ているのとあわせて、そういう点で、これはやはり御調査をなさる上で一つのお忘れになってはいけない点かと思います。どうも調査がまだ十分でないようでございますが、警察としてはどんな調査をなさったのでございましょうか。と申しますのは、昭和二十八年十月七日、法務省刑事局長通牒の中の捜査の原則というので、刑事訴訟法の通常の手段で捜査できることになっているのでございますが、アメリカ軍当局は、そのデビットソン憲兵事務軍曹に対してどういう処置をとっているのか、また今の刑事訴訟法の通常の手段で捜査できることになっているんだが、ただいまの通牒に従って日本の当局はどういうふうにやっておられるのか、その点を伺いたいと思います。
#33
○宮地(直)政府委員 二月二十五日、ただいま法務省の刑事局長がお答え申し上げましたような事実を知りまして、警視庁では直ちに捜査第一課長及び第三課長を立川基地に派遣いたしまして、これは基地内の問題でございますので、承認を求めて立ち入りまして、憲兵司令官の立ち合いのもとに実況検分をいたしております。さらにその後、これは一方におきまして窃盗犯というのがございますので、デビットソン軍曹が午後立川署に参りまして、日本警察におきましても調べておるのでございます。その後さらにデビットソン軍曹につきまして、昨日かと思いますが、日本警察におきまして調べておるのでございます。
#34
○志賀(義)委員 このデビットソン事務軍曹はアメリカの軍制でどういう役割をやっておったのかということは、今のお話の中では私どもまだよく存じませんが、これはアメリカ軍として、その基地の勤務の中で空中救助部隊としての通常の勤務をやっていたのか、それともMPとして独立あるいは協力の勤務をやっておったのか、そういう点はいかがでございましょうか。
#35
○宮地(直)政府委員 今までわれわれの知り得た範囲におきましては、デビットソン軍曹は憲兵として通常勤務しておったもののようであります。なお、立川警察署におきまして、デビットソン軍曹の勤務に関しましては、文書をもって請求をいたしておるのでございます。
#36
○志賀(義)委員 御承知の通り、行政協定十七条の三の規定がございまして、これは例の、公務中ならばアメリカ軍、公務でなければ日本側、こういうふうになっておるのでございます。そうなりますと、この事件の第一次裁判権は、日本側にあるのか、アメリカ軍側にあるのか、そこまで捜査の結果はいっていないのでございましょうか、どうでしょうか、その点を御答弁願いたい。
#37
○竹内政府委員 その点は捜査の結果おのずから明らかになって参る問題でございますが、ただいまの段階では、どちらに第一次裁判権があるかということは最終的にはきまっておらないわけでございます。
#38
○志賀(義)委員 これは今後問題になると思いますが、どちらに第一次裁判権があるのかの認定は、どこで、どのようにして、何に基づいてきめるのでしょうか。というのは、きょうは時間がございませんから、別の機会にいたしたいと思いますけれども、佐世保の基地において事件が起こりました。これは遺憾ながらアメリカ兵の日本婦人に対する強姦事件であります。アメリカ側は勤務中と申しますが、行政協定の規定によりますと、どうも強姦までは公務の中には入らないのでございまして、行政協定を縦に読んでも、横に読んでも、逆に読んでも、どうしても公務中の行為とは解釈できないのに、遺憾ながら、現地の検察官までが、これを問題にすると日本婦人にますます傷がつくからということでうやむやにしているようなことがあるのです。これはいずれ私、質問いたします。そのためにその婦人並びに夫に大へん工合の悪いお気の毒な事態が生じております。そこで一体第一次裁判権がどっち側にあるのか、その認定はどこできめるのかということをこの際確立しておきませんと、いずれ佐世保の問題は明らかにいたしますが、どうもはなはだ不愉快な奇怪な事件でございます。やはりそういう場合にはっきりしておきませんと、検察官自身が間に入り込んで、もうできたことじゃないか、しようがないから黙っておけ、本人に傷がつく、外聞が悪くなるじゃないかというようなことを言っているのですからね、これは困ります。そういうこともありますので、その点を一つ伺っておきたいと思います。
#39
○竹内政府委員 これは裁判権の存否に関する問題でございまして、うやむやに事を決するわけにはいかない重大な点でございます。ただいま、日本側に裁判権があるか、軍側にあるかということのけじめの一つとしまして、公務執行中の作為または不作為から生ずる罪、こういうものにつきましては第一次裁判権が軍側にあるということで協定が結ばれており、合意されておるわけでございます。そこで公務執行中の作為、不作為から生じた罪であるかどうかということの認定の問題がございます。御承知のように、かつてジラード事件というのやロングプリー事件というようなのがございまして、この点についての判例まで出ておるのでございまして、この解釈についてはただいまでは確立しておるというふうに申してもよろしいと思いますが、要するにどちらかということがわからない場合でございますが、軍当局では、そういう場合には公務証明書というものを検事正あてに出すことになっております。公務証明書というのは、つまり公務中に公務の執行として生じたことであるという意味の証明書でございますが、この証明書が出されたならば、日本側はもうそれを必ず受けて立たなければならぬかというと、そうではなくて、やはり勤務時間中でありましても、公務執行中という解釈につきましては、従来からも大体公務執行の過程においてという解釈になっておりまして、そうであるかどうかという事実の問題として争いがあるわけで、日本側において、いや、そう言うけれども、公務執行中とは認めがたい、こういう場合もあるわけであります。ジラード事件のときはまさにそういうことで争ったわけでございますが、そういう場合にはどうするかといいますと、日米合同委員会というのがございますが、その委員会に持ち寄りまして話し合いを行なって、いずれかの結論を出すことになるわけでございます。さらにまたその委員会でも話がつかぬということになりますと、これは国と国との問題でございますから、外交交渉できめるということになろうかと思いますが、大体ジラード事件のときは双方が主張を曲げなかったのでありますが、軍側がおりまして、自分の方では第一次裁判権を行使しないということで、ジラード事件は日本側が裁判権をとったわけでございます。ところが、同じようなケースのロングプリー事件におきましては、軍側で、この事件は公務執行中の事件ではないといって態度を明らかにして参りましたので、このときは日本側が直ちに裁判権を行使したわけでございます。この二つの事件の日本の判例と、この二つの事件の取り扱い等からいたしまして、今日では公務執行中かどうかということの運用上の疑義はまずないのじゃないかというふうに考えております。もちろん、それにはその前提として捜査をいたしまして、その捜査の事実に基づいての判断がございますが、運用上はほぼ確立した運用というふうに私ども解しております。
#40
○志賀(義)委員 今度の場合ですか。
#41
○竹内政府委員 今度の場合につきましては、前提となります事実関係を明らかにした上での結論ということになります。
#42
○志賀(義)委員 ただいま公務執行中の作為または不作為から生ずる罪についての御説明がございましたが、昭和二十八年十月二十六日最高裁判所事務総長から下級裁判所の長官または長にあてた通達において、行政協定が新たに改正されたことについて、その別添一の「改正行政協定第十七条および公式議事録に関する政府の解釈等」というところの後に、こういうことが書いてございます。「改正行政協定第十七条第三項(a)(ii)の「公務執行中の作為又は不作為から生ずる罪」につき「公務執行中」とは当該合衆国軍隊の構成員又は軍属が公務に従事している時間中と解すべきではなく、公務遂行の過程においてという意味である。」こういうふうになっております。そのあとにあげられた例が、「例えば、立哨中の兵士が挙動不審の者を発見し、これを誰何したが逃げ出したので守則に従って威嚇のために銃を発射したところ、過ってその者に傷を負わせたような場合がこれに当る。」こういうふうになっております。これは公務執行中に当たるが、「これに反し、勤務時間中であっても、食事のために帰宅すべく自動車を運転中過って人を轢いたような場合にはこれに当らない。」こうなっております。そこでジラードがたまをまいたのが公務かどうかということが問題になりました。今度の場合も、先ほど私質問をいたしましたが、ここのところの、やはり政府の解釈に、当たるかどうかという問題が当然出てくると思います。私の解釈――まだ捜査が十分でございませんから、今ここで申しますと、あるいはそれがかえって捜査の向こうのいろいろな工作なんかが出てくると困りますから、それは後日の話といたしまして、こういうこともはっきりしていただかなければならいと思います。
 それからまたそこに、「具体的事件において、それが公務執行中の作為又は不作為から生じたものであるかどうかの認定権は日本側にある」こういうふうにはっきり書いてございますね。そのあとにあなたのおっしゃった例の証明書の問題がございますが、日本側に認定権があるとすれば、今後捜査をはっきりさせていく場合において、やはりこの問題は最終的には日本側でその認定を必ずなさるおつもりかどうか、その点を宮地刑事局長に伺いたいと思います。
#43
○竹内政府委員 事実の認定は単なる意見ではございませんので、ただいま申しましたような、私もそのお読みになりました通りの解釈をいたしております。そういう解釈に当てはまる事実があるかないかということは、日本側とか向こう側とかいうことじゃなく、事実そのものでございます。そういうことでございますので、向こう側が意見としてどういう意見をお持ちになるか、それとは関係なく、わが方としましては、事実は事実として、今の公務執行中に生じた罪であるかどうかということは見きわめていかなければならぬ、そういうつもりでおります。
#44
○宮地(直)政府委員 われわれの方も、この問題は今御指摘のような問題点がございますので、あくまでも事実の真相を解明するという点に重点を置いて鋭意努力をいたしておるところでございます。
#45
○志賀(義)委員 いろいろまだ伺いたいのでございますけれども、まだ調べの方も、事前調査の方も十分できていないのでございますから、これは一つ十分早くやっていただきたい。その御決心かどうかということと、もう一つ、手を上げてつかまった方の赤間利二と申しますか、新聞によるとそういう名前でございますが、この者の取り調べの状況はどうなっているのか、また、この赤間は今どこに置かれているのか、そういう点はどうでございますか。
#46
○宮地(直)政府委員 赤間は直ちに日本警察に引き渡されまして、日本警察において取り調べをいたしておるのでございます。まだこれは赤間自身の供述だけで事実と認めるかどうか、相被疑者となります谷貝が死んでおりますから、これらの点につきまして慎重に調べているところでございますが、目下の状態では、基地内に窃盗の目的でさくを乗り越えて入った、こういう点につきましては事実間違いないようでございます。
#47
○志賀(義)委員 そこまで伺っておいて、その他の点については、まだいろいろ実情の調査については、先ほど来まだはっきりしてないという点もございますので、私の方からもお尋ねし、また希望した点もあわせて十分捜査していただきまして、それについてはまた追って伺うことにいたします。
 最後に一つ伺いたいのは、この前青森県の三沢基地の問題で伺ったことがございます。そのとき竹内局長ではなく別の方から御答弁があったと思いますが、例の起訴準備期間の問題でございます。これもそのうちデビットソンは勤務の都合上他に転勤したとかなんとかいうことにはなりませんか。起訴に至るまでの期間が遷延されていた――一週間だったのを幾日か延ばしたというのだけれども、もう事件が発生してからまごまごするとその時間が過ぎそうなおそれがありますが、どうでしょうか。
#48
○竹内政府委員 その点は御心配がないように処置をいたしております。
#49
○志賀(義)委員 というのは……。
#50
○竹内政府委員 その理由は、これは犯罪通知をいたしますと、つまり犯罪という前提に立つわけでございますが、そうすると合意によりましてできるだけすみやかに処置をしなければなりません。お互いに犯罪の連絡はいたしましたが、合意上の、協定上の犯罪通知という正式な手続を踏みますと、あとは時間の経過とともに非常に捜査が拘束されて参りますので、正式な手続はお互いにまだ控え合っておるわけでございまして、なお捜査をして、ある程度はっきりしたところで犯罪通知ということにして、そして犯罪通知というときには、正式に通知がありますと、それから先所定の期日内に処置をしていかなければならぬ、こういうことになるわけでございますので、よくわかっておりますが、お互いに真相を究明しようという立場から、正式な犯罪通知をまだ相互にいたさないことで捜査を進めておるわけでございます。
#51
○志賀(義)委員 今合意書のことをおっしゃったんですが、公務執行中ということがとかく拡大解釈される。そのために事実上日本側で起訴ができない場合が多いのでございます。先ほどちょっと申しましたが、アメリカがジラードの場合は別として、日本婦人に対する強姦事件が起こった場合に、公務中であると主張している事例があるのでございます。それを申し上げて、この問題をもう少しはっきりさしていただきたいと思うのであります。
 昨年九月、アメリカ軍の佐世保基地針尾弾薬庫においてアメリカ兵が日本婦人に対して暴行した、こういう事件が起きているのでありますが、これの報告は来ておりますか。
#52
○竹内政府委員 私の方で確かに承知いたしております。
#53
○志賀(義)委員 これについてどういう処置をとられましたか。
#54
○竹内政府委員 現地の検察庁からの報告でございますが、被害者の婦人から、事柄が事柄だと思いますが、これは御承知の通り親告罪でございますが、自分は告訴をしないということを申して参りましたので、告訴がありませんと問題を処罰するわけには参らない案件でございますので、去る二月二日でございましたか、現地では親告罪の告訴がないという理由で事件を不起訴にいたしております。
#55
○志賀(義)委員 法務大臣中垣さんは、昨年八月この法務委員会で、たとえば行政協定合意書などについても、行き過ぎがあったら今後は注意する、こういうふうにおっしゃっておることが議事録にも残っておるのでございますが、遺憾ながら、親告罪云々というのですけれども、アメリカ軍の方で困ったことに口どめをしているんですね。そういうことは御存じでしょうか。その婦人に対して、これを言っちゃいかぬと口どめをしておるんです。
#56
○竹内政府委員 その婦人に対して米軍側が口どめをしたかどうかということは、私どもの報告には出ておらないのでございますが、ただ米軍側の――これは先ほど来申しておる公務執行中とは認められない案件でございますので、裁判権は当然わが方に第一次裁判権がある案件でございます。にもかかわらず、米軍側が自分の方で、第一次裁判権という意味ではなく裁判をしてしまった。こういうことでございますので、わが方もそう簡単には裁判権の問題をおりられないわけです。そこでこれは手続に乗った裁判ではございませんから、日本側としましては、日本側に第一次裁判権があるから、一度裁判を受けた案件ではあるけれども、わが方でも裁判をする権利があるということをもちろん主張したわけでございます。
#57
○志賀(義)委員 それについて向こうは何と言っておりますか。
#58
○竹内政府委員 それはもうその通りだ、われわれの方が間違ったので申しわけないということで、向こうではあらためて本年一月十四日になりまして犯罪通知をして、この手続に乗せたわけでございます。従って、日本側としましては、向こうの裁判があるなしにかかわらず、現実にはありましたが、あっても、わが方でやれる案件として以後処置をいたしておるわけでございますが、先ほど申しましたように被害者が告訴をしないということでございましたので、それでは裁判をしたくてもできないわけでございますので、やむを得ず不起訴にしたわけでございます。
#59
○志賀(義)委員 こういうことというものは、一緒に働いている人がいますので、すぐわかるんですね。それで事件のあった翌日、同じ職場に働いていた、これも婦人だそうですが、これは佐世保弁で書いてありますからその通り読みますと、近所の商人の人にしゃべっているんです。「きのう弾薬庫で朝から強姦のあったげな。それがだれそれさんじゃげなたい。」こういうことでうわさがぱっと広がったというんですね。それで当の被害者の婦人が「恥ずかしゅうてたまりまっせん。」それで、「せっかくアメリカの隊長さんたちから口どめしてあるのに、あの人たちにはいやになります。」こういうふうにその婦人自体が言っているんです。こういうことがあります。こういう事件は、御承知の通りもう公務執行中とはどんなことをしても、強姦も公務だとは絶対に言えませんから、日本側がやるべきことでございますね。それはあなたもおっしゃって、抗議をなさったというんです。こういう事件であります。
 ところが、こういうことになりますと、こういううわさがばらまかれてだれが一番困るかというと、当の被害者だけでなく、被害者の夫である人ですね。ところが、この人が検察庁に行くと、いろいろとこういうことを問題にするなと言われているんですね。そこで普通の日本人として検察庁に行くと、警察や検察庁というところはこわいところです。そうすると、不承々々何かそこに書類を書いて署名をして捺印させられる、もうこれは問題にしませんということで。帰ると近所の人から励まされるものだから、また、ああ、あそこでああいうことをしてきたけれども、やっぱり問題にした方がいいだろうか、こういうことになる。そうすると、今度は細君との間が問題になってくる。非常に気の毒なことになるのですが、一体検事はこういうことをなさっていいものでしょうか、本人からこれを問題にしないということを。親告罪であるということは、これはあなたのおっしゃる通りだ。おっしゃる通りだけれども、夫としてこういうことを問題にする場合に、こういうことを問題にしませんの何のという書類を署名、捺印して検事あるいは警察官がとるというようなことは、いかがでございましょうか。
#60
○竹内政府委員 検察官は、これは親告罪でございますので、被害者の真意というものを確かめなければなりませんので、その真意を確かめることには、それはあらゆる角度から、口ではそう言っておるが腹の中は違うかどうか、いろいろ検討をすることは、これは当然だと思います。もう、ものを言うなというような意味で書面をとるなんということは、あろうはずがございません。ただ正式な手続が出るか出ぬかの境目でございますので、ただ口頭だけで告訴をするつもりがないとかなんとかいうふうに言いましても、あれは心ないことを言ったんだということがあとになってまた問題が起こるということも絶無でございませんので、それならば、その意思を書面で表明してくれということを言う場合もあろうかと思います。それはケース・バイ・ケースでございますが、本件につきまして、何もことさら意思を抑圧しなければならぬ筋合いではございませんし、先ほど申しましたように、裁判権はわが方にあるという建前で検察官も努力してきた事件でございますので、特にその意思を抑圧するなんということは、私は絶対にないというふうに思います。
#61
○志賀(義)委員 向こうの最初に口どめをしたというのは、アメリカ軍の佐世保の海兵隊のコマンダー、司令官でございますが、アメリカ軍の将校二、三名と日本人の警備班長と通訳を従えまして、実地検証を行ないまして、事件の内容を調べているのでございますね。それで通訳を通じて、部下がこんなことをして申しわけない、しかしこれを外に漏らしてはならない、漏らしたら罰する、こういうことも言っているんですね。その翌日被害者に面通しがありました。このアメリカ兵だ、こういうことになったのですが、そのあとでこういうことになっているんですね。非常に誘導があるんです。つまり和姦というふうに仕立てるというふうな誘導があるのでございますね。水くみに行くのに車に乗せて行ったというんです。アメリカでは水くみに一緒に行くというのは、男女の交際ができたことになるんだそうですな。そういうふうな誘導までちゃんとここに書いてあるんです。だからもう仕方がないのだというふうに言って、しかも向こうの裁判官が絶対に口外してはならぬと厳重に言っているのですね、今度は裁判官。そうして通訳を通じてそのあとで、十月二十二日ですが、一カ月余りたってから、電話で本人に対して、裁判は終わりました、もうこれで出頭されなくてよろしい、本人の兵隊はもうこちらにおりません、こういうことを言ったというのです。日本の検察庁の方で日にちのことをあとで調べていただきたいと思います。日本の男の警備員の間で、日本人の名誉のために黙っておられないということになったのでありますが、このあとで、おそらく検察庁の方にいく前に、佐世保市早岐警察署でこのことが問題になったわけであります。ところがその際に佐世保支部の支部長検事、この名前はあなた方の方で御存じでございましょう、基地司令官バンクリーブ少佐とこの検事との話がありまして、そのときにあなたの言われたような抗議をしたわけですね。バンクリーブ司令官にこちらの支部長検事が会ったときに抗議をされたらしい。それで、全く自分の一存の手落ちである、こういうことを言っているわけです。一存の手落ちというのは、向こうの判事ともあろう者が、公務執行中のことで行政協定の規定があることを知らないはずはなく、これも非常におかしいと思うのですが、ここで問題になってくるのは、検事が、いろいろと問題にするな、こういうふうに言っているのです。一つ検事の言ったことを申しましょう。あれほど大の男が――バンクリーブのことです。向こうの少佐です。あれほど大の男が、しかも司令官みずからが頭を下げてあやまっているのだから、これ以上過ぎ去ったことをどうするというようなことを言わなくても、今後このようなことのないように厳重申し入れしているが、それでよいでしょう、上司にも報告し、指示を求めるつもりです。と言っているのですが、資料は見ていません、こう言うのですね。いいですか、検事は、面会した被害者側を代表した人に次のように言っています。アメリカ兵は一言も発言していないようです。民主主義が徹底しているのです、資料は見ていません、通訳を通じて軍事裁判の内容を聞きました。礼儀上話を信用して、資料までは求めませんでした。うそは言わないはずです。私はアメリカ軍を信用しています。あなた方はアメリカ軍に一種の偏見を持っているのではないですか。アメリカ軍は公平です。こういうことを言って、今度は夫の人、この上は妻を迎えてやりたいというようなことを支部長検事に呼び出されたときに言った夫の人に、署名捺印で書かせている書類があるわけです。その書類は本人が後に取り返しております。もしあなたの方で写しがあるなら、ちょっと見せていただきたいと思うのです。それで、支部長検事は、それはその夫の人には、被害者の奥さんから要求があったので書いてもらいました、こういうふうに言っております。検察官としてそういうことまでしていいかどうかということがございます。そういう点について報告書ございますね。そういういろいろな点について、きょうは時間がございませんから、この次にします。きょう私が質問いたしましたことでいろいろと問題がある点をおわかりでございましょうから……。
 私が、なぜこれを関連して申し上げますかというに、合意書の場合に、公務中といってもこういうふうに拡大されて、暴行事件までが公務になりそうになっているのですね。しかもあとであやまっておきながら、その兵隊はとっくにどっかにやってしまう、こういうことがこの佐世保の場合にも起こっております。ですから、そういうことのないように一つやっていただきませんと、あとでいろいろ働きかけがありますから、奥さんも本人も恥ずかしいやらむしゃくしゃするやらで、こういうように考えてみたり、ああいうように考えてみたり、そこを警察署長あるいは検事が介入して署名捺印していろいろな書類までとるというようなことになってくる。しかも、この支部長検事の言われるところによると、書類を見てない、裁判の記録を見てないという。向こうが先に裁判権を執行したのだから不当だということで、こちらから抗議を申し込まれているでしょう。そうすればこちらの検事としては、向こうがどういう裁判をやったか、どういう捜査をしたかということをちゃんと書類を明確にとっておかれるべきだろうと思うが、その書類はとっておられるかどうか、そういう点をこの次に示していただきたいと思うのです。なお、警察の方のことも出ましたので、警察からもこれに関する書類を出していただいた上で、この次に立川の事件、まだ捜査が十分にできておりませんので質問いたしたいと思いますから、そのようにお願いいたしますし、委員長もそのように……。
#62
○高橋委員長 わかりました。
#63
○志賀(義)委員 あなたは返事はいいのだがね。
#64
○高橋委員長 わかりました。
 委員長からもちょっと御注文申し上げておきますが、米兵の射殺事件というのは重大問題だと思います、ある意味においては。日本人だからというので軽視してああいうふうな行為に出たのか、米国内でも、米国人に対してでも、怪しい者があった場合には基地の軍施設の外でもぼんぼん射殺するのかどうか、日本国内のほかの基地にそういうふうな例があるかどうか、法律上は過剰防衛とか、正当防衛とかいろいろなことがあるでしょうが、根本的に日本人に対する軽視観念があるということになると、重大問題だと思いますから、そういうところをよく調査して、例なんかもお知らせ願いたいと思います。
#65
○志賀(義)委員 アメリカ軍の判決の方は、わいせつ罪、わいせつ品陳列罪、それからもう一つ暴行罪がありました。何だかちょっと考えてみるとおかしいような罪名が並べられているのですが、そういうこともお調べになったのかどうか、陳列罪とは何をしたかわかりません。それで重労働六カ月、品行不良、除隊の判決、暴行わいせつ行為、わいせつ品陳列、公務中に起こした事件である。こういうようになっているのですが、この判決によると、アメリカの方はこれを公務中のできごととしたということになりますから、こういう点はもう少し日本の法務省並びに警察庁、検察庁はしっかりしていただきませんと、みっともないですよ。ちっとしっかりして下さいよ。最後に法務大臣お願いしますが、こういうことがありますので少し督励していただきたいと思います。それからいずれまた警察庁長官にもお願いいたしますけれども、どうでしょうか。
 先ほどの清原検事総長の訓示は、検察庁法第四条に規定した任務を明らかに越えていると思われるのでございますが、私ども、検事総長の訓示の本文、拝見できましょうか。
#66
○中垣国務大臣 これは部内に対する訓示であって公表すべき性質のものではないと考えておりますので、先ほど志賀さんから御指摘がありました通りに、私が一応よくこれを読みまして、その上で私の方からしかるべく措置することにいたします。
#67
○志賀(義)委員 部内とおっしゃるが、ところが訓示の要旨、これが新聞に出ますけれども、あれは新聞記者が想像で書いたものでしょうか。何かこういうことを言ったということを文書で示されたのか、また、おっしゃった方があるのか、その点はどうでしょうか。
#68
○竹内政府委員 これは本来、御承知のように内部の会議でございまして、その会議の席上で大臣、総長が訓示をなさるその訓示、文字通りのものは、もちろん外部に出すべきものじゃございませんが、どういう趣旨の訓示をしたかという要旨のようなものは、やはり新聞、報道機関も関心を持っておりますので、従来の慣例によりまして要旨をお知らせしておると思います。大臣の方の訓示につきましては、私どもが適当に要旨をお知らせしております。総長の方のは、私の方は関与しておりませんが、最高検当局で、法務大臣と同じような取り扱いをされて要旨をお知らせしたのだと思います。その結果だと思います。
#69
○志賀(義)委員 ただいま刑事局長からの御答弁があって、新聞社で関心を持っているから要旨を知らせた。そうすると、法務委員会で関心を持って悪いということはございませんね。関心を持っている当法務委員会に対してはどういうふうになさるおつもりでしょうか。検察庁に、そんな法務委員会の関心なんか無視してしまえとおっしゃるかどうか、その間であなたがどういうふうに対処なさるか、ちょっとおっしゃていただきたい。
#70
○竹内政府委員 新聞社と違いまして、国会の委員会での御要望は国勢調査権に基づくものでございまして、私どもは非常な敬意を払っておるわけであります。従いまして、できるだけの処置をしなければなりませんが、また検察の仕事でございますから、秘密事項もあるわけでございます。そういう点もおくみ取りいただきまして、もし要旨のようなものを作成して出せということでございますれば、そういう線で最高検と話し合って善処したい、こういうふうに考えておるわけであります。
#71
○志賀(義)委員 これは委員長に要望いたします。ただいま秘密事項と申しますけれども、検察庁の秘密事項というものは、捜査に基づいてやる場合に、いろいろ書類を押収するとか、あるいはまた被疑者の名誉を考えるとか、社会的影響その他検察の仕事が妨害されないように配慮されることはよろしい、これは検察庁法でも規定しているところでございます。しかし、この場合は共産党が官庁、基幹産業その他でやるとか、総評が、総資本に対して総労働を仕組んでやるとか、それだけなら一つの政治的見解になります。だから、検察庁はしっかりして、こういう点を云々ということになりますと、明らかに政治検察――もしあなたがおっしゃる秘密ということがここにあるならば、問題の秘密警察に対する秘密警察ということになり、非常に困ります。現にお隣の国の金鍾泌が来て、この間泣き言を言っているではありませんか。今の政府は冷淡だというようなことを言っている。あれも検察権までも自分が握って、政治検察、秘密検察、こういうことをやったこれは当然の報いです。そういうことがありますので、委員長、その要旨というものを、秘密々々というようなことで今の点を取りつくろったような作文をよこされても困りますから、あなた、しっかりして下さい。きちっとしたものを取るようにやって下さい。
#72
○高橋委員長 大いに奮闘しますが、要旨程度のものは今のようなことで出してもらうことにして、もし秘密書類にでも属して重大なものならば、理事会でも開いて相談した上で、委員会の総意ということになれば出してもらえないこともないですから、そういうことにしましょう。
 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後一時十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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