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1962/03/08 第43回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第043回国会 法務委員会 第8号
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1962/03/08 第43回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第043回国会 法務委員会 第8号

#1
第043回国会 法務委員会 第8号
昭和三十八年三月八日(金曜日)
   午前十一時五分開議
 出席委員
   委員長 高橋 英吉君
   理事 唐澤 俊樹君 理事 小島 徹三君
   理事 林   博君 理事 牧野 寛索君
   理事 坪野 米男君
      一萬田尚登君    上村千一郎君
      小川 半次君    岸本 義廣君
      竹山祐太郎君    赤松  勇君
      松井 政吉君    田中幾三郎君
      志賀 義雄君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 中垣 國男君
 出席政府委員
        検     事
        (大臣官房司法
        法制調査部長) 津田  實君
 委員外の出席者
        判     事
        (最高裁判所事
        務総局総務局
        長)      桑原 正憲君
        判     事
        (最高裁判所事
        務総局総務局第
        一課長)    長井  澄君
        専  門  員 小木 貞一君
    ―――――――――――――
三月八日
 委員片山哲君辞任につき、その補欠として田中
 幾三郎君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員田中幾三郎君辞任につき、その補欠として
 片山哲君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内
 閣提出第五八号)
     ――――◇―――――
#2
○高橋委員長 これより会議を開きます。
 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。質疑の申し出がありますのでこれを許します。上村千一郎君。
#3
○上村委員 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案につきまして、問題点を二、三あげましてお尋ねをいたしたいと思います。
 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案の理由を拝見いたしますると、「第一審における訴訟の適正迅速な処理を図る等のため」という目的が書いてあります。第一審における訴訟の適正迅速をはかることが、現在の裁判の実態から申しますれば、きわめて国家的な要請であることに間違いございません。その目的を達するために従事いたしまするところの裁判官の員数あるいは裁判官以外の裁判所の職員の員数を増加するということも、一つの大きな解決策であることは論を待たないと存ずるわけでございますが、それ以外にもいろいろと要因があるであろうと存じまするが、この点につきまして、御質問に入るに先だって、第一審における訴訟の適正迅速をはかる処理として、政府としてはどういう問題点を掲げてこれが処理に当たっておるのか、その点をお尋ねしておきたいと思います。
#4
○津田政府委員 今回の定員法の改正におきまして、主たる理由といたしましては、第一審における訴訟の適正迅速化についての増員をこの法案の内容として持っておるわけでございますが、ただいまお尋ねのそれ以外の問題点につきましては、いろいろと訴訟促進の問題について考えられることがあるわけでございます。しかしながら、何と申しましても根本的にこの問題を解決いたしまするためには、裁判所の裁判官の職員の増員等も必要でありましょうし、諸施設の拡充も必要でありましょうしするわけでございます。それらの問題につきましては、いろいろ大きな問題があることは御承知の通りでありまして、現在政府におきましては、臨時司法制度調査会におきまして、この問題を御検討いただくように処置をいたしておるわけであります。昨年の九月以来、臨時司法制度調査会におきましては、この問題について十分御審議を願っておるわけでございまして、すでに訴訟促進の問題につきましても、訴訟遅延の原因についての究明をされ、大体その究明が終わりつつある状況でございます。従いまして、そういう臨時司法制度調査会の進行とにらみ合わせまして、当面政府においてなし得るものはもちろんすみやかにこれを行なうわけでございますけれども、何と申しましても、裁判官の定員の増加等の点につきましては、臨時司法制度調査会の結論を待って政府としては措置をいたさなければならぬ、こういうような考えのもとに現在あるわけでございます。
#5
○上村委員 実は裁判所職員定員法について、昨年の二月八日に、第四十国会におきまして、当委員会において私詳細に質問を申し上げた。この点につきましては会議録に載っておりますので、その点を重複することを省いて参るわけでございます。たびたび人員の増加ということは行なわれて参りましたけれども、その人員を増加するということが、第一審の訴訟の促進並びに適正ということの要請に合致することは論を待ちませんけれども、再三行なわれても、その所期の目的が十分達し得られておるとは思いません。それで私がお尋ねするわけです。それで臨時司法制度調査会が開かれておるということですが、現在ではどういうような問題が論議されて、そしてどういう段階にあるのか、お尋ねしておきたいと思います。
#6
○津田政府委員 臨時司法制度調査会の進行状況の詳細につきましては、臨時司法制度調査会事務局の係官から申し上げるのが相当であると思いますけれども、法務省といたしましても、委員、幹事を出しておりますので、大体の事情についてはこの席で申し上げられると思うのでございます。
 昨年九月発足以来、すでに会議を数回重ねておりまして、先ほども申し上げましたように、当面は訴訟遅延の問題の調査をいたされておるわけであります。訴訟遅延の問題が一段落いたしますと、今度は外国におきまするところの裁判官及び検察官の任用制度の調査を行ない、さらにそれを本年の四、五月ごろまでに終えまして、今度は法曹一元の制度の調査を行なう。そういたしまして、本年末あたりまでに法曹一元の制度並びに現行の裁判官、検察官任用制度、その他法曹一元以外の裁判官、検察官の任用制度について調査を終わりまして、この秋に外国の調査をするために、外国に委員の方々が出張されまして調査をする。そして来年の一月から、わが国においてとるべき裁判官及び検察官の任用制度及び給与制度についての審議を行なう。そういたしまして、来年の六月ごろまでにその結論を出し、七、八月ごろに意見書を作成して政府に答申する。大体そういうスケジュールのもとに現在進められておりまして、現在は訴訟遅延の状況の調査というものが大体終わった段階でございます。明日総会が開かれますが、明日の総会におきましては、いよいよ外国の裁判官及び検察官任用制度の調査に取りかかりまして、大学の教授及び判事等を呼びまして、その調査を始めるというような段階になっておりまして、ただいま、先ほど申し上げましたそのスケジュールにつきましても、すでに大体そのように進むことにきまっておるわけでございます。
#7
○上村委員 実は非常に重要な問題であるとともにむずかしい問題であります。いろいろなそこに原因もあるし、多くの対策が総合的に行なわれませんと、とうてい所期の目的を達するとは考えられません。それで政府におかせられても御苦心のほどはよくわかります。また、臨時司法制度調査会の結論も追って出て参るでございましょうし、またその間旭につきましてもぜひ検討させていただきたいと思うわけでございますが、その結論を待って処理をする以外のこともたくさんあるのであります。任用制度の問題で大きないわば対策を講ずるということは、多くの従来の国会において論議をされてきたことであります。それと別に、現在法務省として、あるいは裁判所側としてとっておられる処置というものはどういうものであるか、この際一度お尋ねをしておきたいと思います。
#8
○津田政府委員 さしあたりの措置といたしましては、できるだけ訴訟遅延の原因というものにつきまして検討を加えて参ったわけでございますが、その検討の結果は、この臨時司法制度調査会におきます御調査の結果と非常に似た、ほとんど同じと言ってもいいくらいでありまして、何と申しましても、裁判官の不足というものが相当の原因になっておるということが判明いたしておるわけでございます。これは非常に常識的な結論のようでありますが、臨時司法制度調査会の御調査の結果におきましても、そういうことが大体わかっておると私は思うのであります。従いまして、いかにすれば現在の定員を充足し、定員を充足した上に定員を増加せしめ得るか、こういうことの問題に今帰着するのではないかと思うのでございます。しかしながら、何と申しましても、この裁判官の充員の問題は、やはり待遇、施設の問題に相当からんでくるわけでございまして、待遇の問題をやはり相当改めない限りは裁判官の充足は困難だということは考えられるわけでございます、そのほかいろいろなことが考えられるわけでございますけれども、当面行ない得ることは、やはり裁判官の充員ということであろうと思うのであります。いかにすればその充員の目的を達し得るかということについての施策ということになると思うのでございますが、この給与の問題待遇の問題等につきましては、やはり根本的な改善は、どうしましても臨時司法制度調査会の結論を待たざるを得ないというような状況でありますので、ほかの措置と申しましても、当面これといった特段の特効的措置というものは、今のところは考えられない状況でございますけれども、できる限り裁判官の充員をはかるということを中心にして今考えて参っております。しかも裁判官につきましては、いろいろ資格があるわけでございますから、そういう裁判官につきましても、事務の配分等によってできるだけ有効に人を配置することができる方法がないかという点についても、いろいろ検討をいたしておるわけでございます。たとえば簡易裁判所等の配置統合の問題等につきましても、政府といたしましてはいろいろ検討いたしまして、裁判官の適正配置をしてその能率化をはかるという方策はないかということを十分検討いたしておる次第でございます。
#9
○上村委員 そういたしますと、現在のところは裁判官の充員をするということが大きな対策である。こういうふうに承るわけでございますが、しからば最高裁判所は、三十八年度当初予算要求においては何名の定員増加を要求されておるのか、承りたい。
#10
○桑原最高裁判所長官代理者 最高裁が昭和三十八年度当初予算におきまして要求いたしました人員は、裁判官につきましては、判事二十四名、判事補五十一名、簡易裁判所判事三十五名、以上裁判官百十名でございます。そのほかに行政職の俸給表6表を準用する職員につきまして、これは裁判所調査官、事務官、書記官、家庭裁判所の調査官、技官等でございますが、合計七百二十九名、それから行政職の俸給表口表を準用いたします職員、これは電話交換手とか、自動車運転手、機関士、電工その他でございますが、合計四百十三名、それから医療関係の医療職俸給表。表準用職員、これは技官とか栄養士でございますが、これが八人、それから同じく医療職の俸給表日表を準用いたします職員、これは保健婦、看護婦でございますが十名、以上合計一千二百七十名というのが、裁判所が三十八年度予算におきまして当初要求した人員でございます。
#11
○上村委員 それと、現在御提出になっておる裁判所職員定員法の一部を改正する法律案というものの人員増とは、どういうように違うのですか。
#12
○桑原最高裁判所長官代理者 予算の要求として認められましたものが、判事は十名、判事補十名、簡裁判事十名、それから調査官二名、裁判所書記官が五十五名、それから家庭裁判所の調査官が六十五名、事務官が四十名、その他五十名ということでございます。
#13
○上村委員 そうすると、どのくらい――それは数字を当てはめればすぐわかると思いますが……。
#14
○桑原最高裁判所長官代理者 パーセンテージにいたしまして二〇%強ということになります。
#15
○上村委員 そうすると、これはなぜこういうことを質問いたすかと申しますと、私、この前のこの裁判所職員定員法の一部を改正する法律案のときにも質問しておる。その前にも質問しておるかと思うのです。そして、しかもこの第一審の訴訟につきましての迅速適正ということが大きな国家的要望であるという際に、しかも要求の人員も、そう大きな人員の要求じゃない。しかるにそれの二〇%程度でがまんをしなければならぬというような実情は、その原因は一体那辺にあるのかということにつきまして、お考えを承っておきたいと思います。
#16
○桑原最高裁判所長官代理者 定員の増員の要求が、最高裁判所として思うにまかせないという一番大きな隘路になりますのは、特に裁判官につきましては給源が十分見通しがつかないというところにあるわけでございます。そういった点から、予算の要求が必ずしもこちらの思う通り参らないということでございます。裁判官の任用につきましては、現在の制度といたしましては、判事補を養成して、そしてそれを十年たって判事に任官する。それから判事補につきましては、司法修習生の修了を終えて、そこから任官希望者をとるということでございますが、これがなかなか思うにまかせない実情でございます。そういった状況のもとに、裁判官の給源をいかにして確保するかという点が大きな問題になりまして、先ほど政府委員からも説明がございましたように、臨時司法制度調査会というものが発足した大きな原因もそこにあるというふうに私どもも考えておるわけでございます。そういった調査会の審議を通じまして、適正な方法によって裁判官の給源というものが広がっていかない限りは、訴訟遅延の解消ということが非常に困難な状況にあるわけでございます。もちろん、最高裁判所といたしましては、現在のもとにおきましても、できる限り裁判官の任用の充実ということに努力を払っておるわけでございますけれども、何分現在の状況におきましては、裁判官の希望者が非常に少ないということで、非常に憂慮すべき事態になっておるというふうに考えておるわけでございます。
#17
○上村委員 大体御苦衷の点はわかるわけですが。ただ私どもちょっと理解に苦しむのは、現在の裁判官の方々の給源というものについては、任用制度を基本的に検討していかないと、根本的に解決がむずかしいであろうということは容易に察知できますが、そういう給源の困難さということは予算請求のときにおおよそわかっておると思うのです。だから、予算の請求をする際におきましては、先ほどお話しになられた人員の給源というものは確保される見通しがあったものかどうか、承っておきたい。
#18
○桑原最高裁判所長官代理者 もちろん最高裁判所といたしましては、予算を要求いたしますときには、その増員を補充する給源というものをある程度見通しをつけて要求はいたすわけであります。しかし、現実の問題としては、なかなか困難な情勢ではありますけれども、予算要求の際におきましては、一応見通しとしては、われわれとしてはこういう方面から裁判官の増員を行なうのだということを見通しをつけまして、その点について大蔵省とも折衝をいたしておるわけであります。しかしながら、現実の問題として、その見通しがなかなかむずかしいということで話し合いがつかず、つい、最も確実な方法でとれるのは何人かということで、予算要求というものを、当初要求から少なくして妥結をしておるというような状況が繰り返されておるわけであります。
#19
○上村委員 私は、この点につきましては、臨時司法制度調査会の一刻も早く適切なる御結論の出ることを希望いたしまして、そしてこの部分につきましては、御質問を将来に譲っていきたい、こう思うわけであります。
 次に、本案によりますと、判事十名、判事補十名、簡裁判事十名、高裁調査官二名、地裁書記官四十名、家裁書記官が十五名、地裁事務官が二十名、家裁事務官が二十名、家裁調査官が六十五名、傭人、電話交換手とかボイラーマン、これらが五十名と、それぞれ増員になっておりますが、これらの職員の配置先というのはどういうふうになっておるのか、承っておきたいのです。
#20
○桑原最高裁判所長官代理者 今回の増員が行なわれます理由は、まず第一には、第一審の訴訟の審理期間を短縮するということが第一点でございます。この第一点で問題になっております訴訟事件の審理期間を短縮したいというのは、東京その他八大都市の裁判所、いわゆる大きな裁判所における訴訟審理期間というものが相当長くかかっておるという実情でございます。その大都市における訴訟事件の審理期間を少なくしたいという考えで予算を要求いたし、これが大蔵省から認められたわけでございますので、その線に沿いまして八大都市の裁判所に配置をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
 それから第二点は、交通事件の迅速処理ということに対処するために、簡易裁判所及び家庭裁判所関係の人員の増員が行なわれたわけでございます。これは、本年から全国の十の都市におきまして、いわゆる交通切符制というものが施行されたわけでございます。四月からは、そういう地域について少年事件についても交通切符制がとられることになるように予定されておるわけでございます。従いまして、今回の交通関係に関する増員の職員の配置先は、そういう主として切符制をとっておる都市の簡易裁判所に配置をいたして、交通事件の迅速な処理に当たりたいというふうに考えておるわけであります。
 その他傭人関係等につきましては、これは新営庁舎等につきまして、庁舎のでき上がりますとともに、それに必要な人員を適宜配置したいというふうに考えておるわけであります。
#21
○上村委員 次に、裁判官の退官とか任官とか欠員の状況についてお尋ねをいたしたいと思うのでございますが、下級裁判所の裁判官の定員は、近年、年ごとに増員されております。たとえば昭和三十三年度は判事補が二十名、三十四年度は判事補が二十名、三十五年度は判事が五十名、三十六年度は判事が二十八名、三十七年度は判事が十五名、過去五カ年間に百三十三名の定員増となっております。それで、その間に判事の退官をなされた数、あるいは新たに任官した者の数、それから任官者については、特に司法修習生からの者と弁護士から採用された者とに分けて、少しくその実態をお聞かせ願いたいと思います。
#22
○桑原最高裁判所長官代理者 まず、裁判官の退官者の数を申し上げますと、判事につきましては、昭和三十二年に二十五名、三十三年に二十名、三十四年に二十五名、三十五年に二十六名、三十六年に二十九名、三十七年に二十三名というふうになっております。それから簡易裁判所判事につきましては、昭和三十二年に二十三名、三十三年に十七名、三十四年に三十三名、三十五年が二十一名、三十六年に二十七名、三十七年に二十八名というふうになっております。
 それから任官者の方でございますが、弁護士から裁判官に任用された数は、年度によって多少のずれはあるわけでございますけれども、過去の三年間における弁護士から裁判官に任官された方の平均な数を申し上げますと、年間にして十五名くらいでございます。その十五名のうち判事が七名、判事補が二名、簡易裁判所判事が六名というふうな数になっております。それから修習生から裁判官になった者の数でございますが、昭和三十二年は七十七名、三十三年六十五名、三十四年六十九名、三十五年八十一名、三十六年八十四名、三十七年七十五名、以上のような数字でございます。
#23
○上村委員 次に、裁判官以外の職員の増員についてお尋ねをいたしたいと思いますが、書記官の増員については、定員の増加とともに従来いろいろと問題になっておりました代行書記官を昇格させて、いわゆる書記官補から組みかえとして千六十六名予算措置がとられておるかと思います。残りの代行書記官というのは現在何名くらいあるのか、お尋ねしておきたいと思います。
#24
○桑原最高裁判所長官代理者 昨年度及び今年度の予算で認められましたいわゆる書記官の組みかえの人数でございますが、その人数を差し引きまして、来年度にいわゆる代行書記官として残ります数は六百九十四名ということであります。
#25
○上村委員 この六百九十四名の方に対して将来どういうふうな措置を講じられようとしておるのか、その点お尋ねしたいと思います。
#26
○桑原最高裁判所長官代理者 最高裁判所といたしましては、いわゆる代行書記官というものをなるべく早い機会になくしたいというふうに考えて努力を続けて参ったわけでございます。実は本年度の予算要求におきましても、昨年度の予算で認められました組みかえの残りの代行書記官を本年度において全部解消したいというふうに考えまして予算の要求をいたしたわけでございますが、いろいろな関係で全部の組みかえが完了いたしませんで、残りが六百九十四名というふうになったわけでございますが、これは最高裁判所といたしましては、従来の方針通り少なくとも来年度には全部書記官に振りかえていきたいというふうに考えておるわけでございます。
#27
○上村委員 道路交通法違反の違反老に対して、ことしから切符制度を大都市に適用をしておる。これは裁判所の事務能率上どんな影響が起きておるか、その点についてお尋ねしておきたいと思います。
#28
○桑原最高裁判所長官代理者 交通切符制の実施は本年当初から行なわれましたので、まだ実施後の実績というものも十分にわかりにくい情勢でございますし、特に発足当初は古い手続によります事件もあわせて行なわれておりますので、今一般的に切符制の実施がどうかということを申し上げるだけの段階ではございませんけれども、全般的な空気といたしましては、少なくとも裁判所の手続というものは非常に迅速にいくようになるのだ、ただ現在の状況におきましては、第一線の警察官が必ずしも切符制の運用ということに習熟いたしていないような関係で、そういったことが裁判所の手続にもいろいろ問題を投げかけておるようなことを聞いておるわけでございます。たとえば交通裁判所に出頭いたしました被告人の流れがスムーズに行くように事件の送受その他の手続が行なわれれば、裁判所として相当てきばきと事件がはけるのだけれども、それがうまくいかないで、一気にどっと裁判所に切符制による事件が流れてくるというような関係で、一件々々をとってみると、確かに昔の手続よりも早くなっておるけれども、それが二十人、三十人というふうにまとまってくると、最初に裁判所に出頭したときから、一グループのうちで一番終わりに裁判所の窓口から離れていくという時間をはかってみると、かなりの時間がかかっておるというような状況であるようであります。従って、警察等におきます交通切符制の運用についての習熟がだんだんと進んで参りますならば、裁判所としても相当の能率を上げられるのではないかというふうに私どもは見ておるわけでございます。
#29
○上村委員 法務省では、麻薬検察の充実強化のために、今回検事三名、検察事務官六名という増員をもくろまれておるわけですが、家庭裁判所の方でも麻薬対策というものの必要を生じてくるであろうし、また家裁の調査官の増員は、少年の交通違反事件の激増に対処するためというようなことが提案理由の説明でも述べられておるわけであります。これと同じに麻薬関係も家裁に起きてくるだろうと思います。これが対策はどういうふうになさるのか。今度の裁判所職員定員法の一部改正という中にはどういうふうに考えられておるか、一つお尋ねしておきます。
#30
○桑原最高裁判所長官代理者 家庭裁判所関係で麻薬の関係の事件がどの程度あるかということは、今手元に資料がございませんので的確な数は申し上げられませんが、地方裁判所関係の麻薬取締法違反の関係の事件を見てみますと、過去四年間にそれほど大きな増加を示していないわけでございます。大体千四、五百件という横ばいの状況でございます。従って、家庭裁判所の関係でも、今すぐに急にそういった麻薬関係の事件が殺到して、それに対して特別の手当を本年の関係でしなければならないという状況にはないのではなかろうかというふうに判断しておるわけでございます。もちろん、今後の推移によりまして、必要に応じてそれについての職員の増員その他の手当をしなければならないというふうにも考えておるわけであります。けれども、現在の状況といたしましては、特にそのために職員の増員その他を必要とするような状況にはないのではなかろうかというふうにも考えておるわけであります。
#31
○上村委員 そうすると、結局、今後のいろいろと起きる事案に即して一つ対策を練っていこう、こういうふうに承っておいていいのか、お尋ねしておきます。
#32
○桑原最高裁判所長官代理者 ただいま御指摘の通りに考えておるわけでございます。
#33
○上村委員 家裁の調査官の待遇の問題でございますが、この点について少しお尋ねしておきたいと思うのであります。大学関係の助教授とか、高校の校長先生とか、いわば相当の経験あるいは知識というような高い前歴の人々が調査官になっておられると思うのでありますが、そういうような方は相当あられるのかどうか、一つお尋ねしておきたいと思います。
#34
○桑原最高裁判所長官代理者 家庭裁判所の調査官で、大学で教授をしておられたというような方はあまりないような状況でございます。大体大学を出て入ってくる方が大部分でございますので、特に大学の教授、助教授等をされておった方についてどうかということにつきましては、ただいまのところ実績がございませんですが、家庭裁判所の調査官になる人の前歴は、大体大学出で、心理学とか社会学、そういったことを勉強した人が学校を卒業して調査官になるというような進路をとっておるようでございます。
#35
○上村委員 家裁の調査官の方には、心理学とか社会学とか、いろいろと特殊な知識経験をお持ちになっておる方をお迎えすることが望ましいかと思うのであります。そういう場合、有能な調査官というものの待遇はどういうふうになっておりますか。何か優遇の措置が講じられるようなことになっているかどうかお尋ねしておきたいと思います。
#36
○桑原最高裁判所長官代理者 家庭裁判所調査官につきましては、いわゆる行政職の俸給表第一表のうちの上級職の方々のランクに格づけしているわけでございます。
#37
○上村委員 最後に一点だけ御質問申し上げて私の質問を終わりたいと思います。
 提出資料の四、裁判官以外の職員の定員と現在員の対比をしておる資料が出ておりますが、各官職別の欠員状況を見ますと、事務雇が四百五十三人の欠員となっておる。これは事務官がいわば定員を食っておるといいますか、そういう実態になっておるのかどうか、その点を一つお尋ねしておきたいと思います。
#38
○桑原最高裁判所長官代理者 事務雇につきましては、事務官とともに事務職ということで予算が組まれておりますので、事務官、事務雇の間の定員の充実状況は、これは予算はどちらでとっても予算の範囲内におればいいわけであります。従って、事務雇が少ないということは事務官の方に定員が移っておるということも考えられるわけでございます。
#39
○上村委員 次に、廷吏が二百二十七名、タイピストが八十四名の欠員になっておる。これは欠員になっておるのだから実態はこうでしょうが、実際の仕事をやっていく場合に支障が感じられておらぬのかどうか、その点をお尋ねしておきます。
#40
○桑原最高裁判所長官代理者 廷吏につきましては、廷吏という名目上の人数には欠員があるように見えるわけでございますけれども、廷吏につきましても、タイピストにつきましても、これを事務官にすることができるわけでございます。従って、実際問題としては、廷吏等につきましては、事務官ということで廷吏の仕事をしている方がいるわけでございますので、必ずしもその数が出ておるほど現実の欠員があるわけではないのでございます。少なくとも一つの法廷に一人の廷吏を配置するということで裁判所の運営を行なってきているわけでございますので、廷吏、タイピストという名目上の欠員があるように見えますけれども、実際上は充実されておるというふうに御了承願いたいと思います。
#41
○上村委員 今回は傭人五十名増員ということになっておるが、八十三名欠員となっておる。これも今のような御説明通り大体事足りていくというような状態になっておるのか、最後にお尋ねしておきます。
#42
○桑原最高裁判所長官代理者 傭人等についても、ただいまタイピスト、廷吏について申し上げた通りのことでございますので、さように御了承いただきたいと思います。
#43
○上村委員 これで大体私の質問を終わりますが、最後に御要望を申し上げておきたいのは、本案の提案理由にもうたってありまするように、第一審における訴訟の適正迅速な処理という目的の一環としまして、今後の裁判官の員数あるいは裁判官以外の裁判所の職員の員数というものを、現在の実情を勘案いたしますれば、相当大幅に、しかも急速に充員をしていく必要があるかと思のであります。その基本的な問題は、先ほど政府委員の御答弁の中にもございましたが、任用の問題などが非常にむずかしいけれども、問題解決の重点になってくるかと思うのであります。この点につきまして格別の御配慮を希望いたしまして私の質問を終わりたいと思います。
#44
○高橋委員長 坪野米男君。
#45
○坪野委員 ただいまの上村委員の質問に関連して一、二点お尋ねをしたいと思います。
 先ほどの裁判官の給源に因っているというようなお話、弁護士から裁判官を求めるという道と、一方司法修習生を終えた人から判事補を採用するということになろうかと思うわけでありますが、お尋ねしたい点は、最近数年間における司法修習生の判事補志望、検察官志望、弁護士志望の内訳を参考に聞かしていただきたいと思います。
#46
○津田政府委員 昭和三十二年以降のものについて申し上げます。昭和二千二年におきまして判事補に採用された者が七十七人、検事が四十五人、弁護士百四十三人、その他二人。三十二年度は判事補六十五人、検事四十五人、弁護士百四十四人、その他二人。三十四年は判事補六十九人、検事五十一人、弁護士百五十七人、その他五人。三十五年度は判事補八十一人、検事四十四人、弁護士百六十六人、その他なし。三十六年度は判事補八十四人、検事四十八人、弁護士二百十六人、その他なし。三十七年度は判事補七十五人、検事四十二人、弁護士二百二人、その他なし。以上であります。
#47
○坪野委員 判事補の採用人員は大体ふえてきておるような傾向――といっても年度によって増減があるようでございますが、検察官の方もあまり大きな変動なしにきておるわけでございます。判事補の志望者が少なくて裁判官の給源に苦慮しておるという事情は、先ほどの答弁でよくわかりましたが、私は検察官の点について法務省当局にお尋ねをしたいのです。検察官も、最近刑事事件の激増で第一線の検察官の事務は相当激務になっておるのじゃないか、私の接触する範囲内では、検事は相当忙しいように見ておるわけでありますが、法務省としては、検察官の現在の定員に対して、どの程度の定員増を必要として三十八年度予算に要求されたか、最初にそれを伺いたいと思います。
#48
○津田政府委員 三十八年度におきましては、先ほど御質問がございました通り、麻薬関係におきまして三人、それから交通関係におきまして検事十五人が増員されることになっておるわけでございます。その他の点につきましては、いろいろ要求事項もあったわけでございますが、ただいまその数はちょっと手元にございませんので申し上げかねますが、ただ本年二月十日現在におきまして、検事において五十三人の欠員があるわけです。従いまして昭和三十八年度に採用される見込みの修習生、つまり検事を考えますと、あまり大幅な定員増をいたしてみても、欠員の補充困難であるという状況が見られますので、この麻薬関係のみにとどめたというのが結論であるわけです。
#49
○坪野委員 三十八年度はまだ採用見込みということになると思うのですが、見込みでなしに、修習生の判、検事、弁護士の志望者の数の調べがあったら、参考に聞かしてもらいたい。三十八年度……。
#50
○津田政府委員 本年二月一日現在の内部的志望状況でございますが、判事補につきましては九十九人、検事につきまして四十二人、それから弁護士につきまして百九十人、その他九人、合計三百四十人、こういうことでございます。
#51
○坪野委員 そうしますと、欠員が五十三名あって、今年度の修習生から四十二名程度しか志望者が出ておらない。おそらく志望者の大半が採用されることになろうかと思いますが、そうすると法務省としては、一般刑事事件について現在の検察官でもって十分捜査が可能だ、あるいは捜査ができておるというようにお考えなのか、あるいはやはり五十三名ある欠員を埋めても、現在定員では一般の検察事務をやっていくのには不十分だというようにお考えなのか、それを伺っておきたい。
#52
○津田政府委員 もちろん、ただいま御指摘の通り、現在の検察官、ことに検事の数をもってしては、やはり事件の処理につきましては非常に困難を来たしておるわけでございまして、各個人についての負担は非常に増加いたしておりますのみならず、事件の処理の期間等につきましても非常に困難に逢着しておるわけでございます。しかしながら、これは裁判官の場合と全く同じような状況でございまして、いかにして修習生から多く採用できるかということに帰着するわけです。そういたしますと、やはり任用制度、給与制度の問題に当然問題が移ってくるわけでございまして、当面といたしましては、補充状況いかんによって定員増が可能であるということに考えざるを得ないわけです。ことに現在検察官につきましては、弁護士からほとんど採用することができておりませんから、勢い給源は司法修習生に求めなければならぬわけですが、現在の状況におきましては、何と申しましても修習生の大半は弁護士を志望するわけでございますので、それを何とか検察官なりあるいは裁判官志望者をふやしたいということを考えて、いろいろ考えておる面もございますが、なかなか思うにまかせぬわけです。ただ、本年の状況といたしましては、裁判官につきましては、ただいま申し上げましたように、従来にないかなり多数が志望したというような状況が出て参っておりますが、これはやはり何と申しましても当時の司法修習生採用者、すなわち司法試験の合格者が多かったということになるわけです。しかしながら、昨年度におきましても四百数十名の司法試験合格者を出しておりますので、将来はその面からかなり補充が容易になってくるのではないかというように考えておるわけでございます。
#53
○坪野委員 司法試験の合格者がふえ、裁判官の志望者が若干ふえたというにかかわらず、検察官の志望者が昨年並み、あるいは数年前から逆に減っておるということは、これは非常に重大な問題であると思うわけであります。第一線の検察官の仕事が非常に過重であるという事情もあり、また検察行政がいかに大切かということを考える場合に、根本的には、やはり判、検事の任用制度なり、あるいは待遇の問題なり、そういった根本的な問題で、今、臨時司法制度調査会で検討されておるわけでありますが、私は裁判官の定員をふやして裁判官を確保すると同時に、検察官についても、これらの欠員をいかにして補充するか、さらにはいかにして定員をふやすかということについて、これは法務省当局だけでなしに、われわれも、また司法制度調査会においても真剣にこれは検討を加えなければならぬ問題だと思うわけであります。そういった点について法務省当局としても一段の努力をされることを特に要望しておきたいと思うわけであります。ほかにお尋ねすることはありませんからこれで質問を終わります。
#54
○高橋委員長 本案に対する質疑はこれで終了いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#55
○高橋委員長 御異議なしと認めます。よって、本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#56
○高橋委員長 これより討論に入る順序でありますが、別に討論の通告もありませんので、直ちに採決いたします。
 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#57
○高橋委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決されました。
 お諮りいたします。ただいま可決されました本案に対する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#58
○高橋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
     ――――◇―――――
#59
○高橋委員長 この際、参考人出頭要求の件についてお諮りいたします。
 再審制度について参考人の出頭を求め、その意見を聴取することといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#60
○高橋委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
 なお、参考人の意見聴取は再審制度調査小委員会において聴取することとし、その人数及び人選は委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#61
○高橋委員長 御異議なしと認め、さよう取り計らいます。
 これにて散会いたします。
   午前十一時五十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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