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1962/05/07 第43回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第043回国会 法務委員会 第11号
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1962/05/07 第43回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第043回国会 法務委員会 第11号

#1
第043回国会 法務委員会 第11号
昭和三十八年五月七日(火曜日)
   午前十一時二十六分開議
 出席委員
   委員長 高橋 英吉君
   理事 唐澤 俊樹君 理事 小島 徹三君
   理事 田中伊三次君 理事 林   博君
   理事 坂本 泰良君
      一萬田尚登君    稻葉  修君
      上村千一郎君    小川 半次君
      小金 義照君    河本 敏夫君
      竹山祐太郎君    松本 一郎君
      松井 政吉君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 中垣 國男君
 出席政府委員
        法務政務次官  野本 品吉君
        検     事
        (大臣官房司法
        法制調査部長) 津田  實君
        検     事
        (民事局長)  平賀 健太君
        検     事
        (刑事局長)  竹内 壽平君
 委員外の出席者
        判     事
        (最高裁判所事
        務総局総務局
        長)      桑原 正憲君
        判     事
        (最高裁判所事
        務総局第一課
        長)      長井  澄君
        専  門  員 櫻井 芳一君
    ―――――――――――――
三月二十日
 委員田中幾三郎君辞任につき、その補欠として
 片山哲君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十八日
 委員飛鳥田一雄君が退職された。
四月二十四日
 委員久保田鶴松君辞任につき、その補欠として
 石村英雄君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員石村英雄君が死去された。
    ―――――――――――――
三月二十日
 下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の
 一部を改正する法律案(内閣提出第一四三号)
 (参議院送付)
四月一日
 刑事事件における第三者所有物の没収手続に関
 する応急措置法案(内閣提出第一六〇号)
同月二十四日
 商業登記法の施行に伴う関係法令の整理等に関
 する法律案(内閣提出第一六三号)(予)
三月二十八日
 皇室の尊厳をお守りするための法律の制定に関
 する請願(高田富與君紹介)(第二六八六号)
 長野地方法務局牟礼出張所存置に関する請願(
 倉石忠雄君紹介)(第二七一五号)
 同(小坂善太郎君紹介)(第二九四六号)
四月二十日
 水戸地方法務局出島出張所存置に関する請願(
 山口好一君紹介)(第三四七七号)
 天照大御神及び皇室の尊厳を守護する法律の制
 定に関する請願(上林山榮吉君外一名紹介紹
 介)(第三六七七号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
三月六日
 執行吏手数料及び執行吏国庫補助金の増額に関
 する陳情書(東京都千代田区霞ケ関一丁目一番
 地東京地方裁判所執行吏東京合同役場内日本執
 行吏連盟代表長田公麿外三百十一名)(第三五
 二号)
 民事調停制度改善に関する陳情書(八王子市長
 房町八百九十八番地木原円次)(第四〇一号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の
 一部を改正する法律案(内閣提出第一四三号)
 (参議院送付)
 刑事事件における第三者所有物の没収手続に関
 する応急措置法案(内閣提出第一六〇号)
 商業登記法の施行に伴う関係法令の整理等に関
 する法律案(内閣提出第一六三号)(予)
     ――――◇―――――
#2
○高橋委員長 これより会議を開きます。
 刑事事件における第三者所有物の没収手続に関する応急措置法案及び商業登記法の施行に伴う関係法令の整理等に関する法律案を議題とし、まず、提案理由の説明を聴取いたします。中垣法務大臣。
#3
○中垣国務大臣 ただいま議題となりました刑事事件における第三者所有物の没収手続に関する応急措置法案について、その趣旨を御説明いたします。
 刑法や各種の取り締まり法令の罰則の中には、再犯を防止する等の刑事政策的な見地から、犯人である被告人以外の第三者の所有する物についても、それが犯罪の用に供された場合等には、被告人に対する附加刑としてこれを没収する規定が設けられております。これがいわゆる第三者没収の制度でありますが、この第三者没収の手続に関しましては、かねてから論議の存するところでありました。昨年十一月二十八日、最高裁判所大法廷は、関税法違反事件に関して、第三者が被告人に対する附加刑の効果として所有物を没収される場合には、その第三者についても、告知、弁解、防御の機会を与えることが必要であり、これなくして第三者の所有物を没収することは適正な法律手続によらないで財産権を侵害する制裁を科するにほかならない、したがって、かような手続に関する規定が設けられていない現行法制の下で第三者の所有物を没収することは、憲法第三十一条に違反し、ひいては同第二十九条違反の結果となる旨の判決を言い渡しました。この違憲判決によって、手続規定が整備されない限り、麻薬、密輸貨物、密造酒等のような本来没収されるべき物件についても、それが第三者の所有物であるときは没収できないというはなはだ不合理な事態が生ずることとなり、早急にこれに対処する立法措置が必要とされるに至ったのであります。
 ところで、現行の没収制度につきましては、右の判決に示された手続規定の不備にとどまらず、諸外国における近時の立法例や改正刑法準備草案に見られるような、没収を附加刑としない立場からも再検討を要するのでありまして、そのためには、手続法のみならず実体法についても根本的な改正を加える必要があると考えられるのであります。それにはかなりの日時を要する見込みでありますので、今回の法案は、とりあえず右の違憲判決によって生じた障害を除去するための必要最小限度の応急措置を講ずるため、第三者保護のための手続規定を設けるにとどめたものであります。したがって、この法案は、将来刑法改正作業等によって没収制度が抜本的に整備されました暁には当然廃止されるべきものであります。
 この法案におきましては、まず第一に、刑事事件において被告人に対する附加刑として第三者の所有物を没収する場合には、事前にその第三者に対し被告事件に参加する機会を与え、参加が許された第三者には、没収に関し、意見陳述、立証、上訴等につき原則として被告人と同一の訴訟上の権利を付与し、このような手続がとられない限りは、没収の裁判をすることができないものと定めて、事前参加の方法による第三者保護の手続を規定いたしました。次に第二として、万一、法律上没収することのできない物について没収の裁判が確定した場合には、自己の責めに帰することのできない理由によりその裁判の言い渡し前に権利を主張することができなかった第三者に対し、事後救済の方法として一定の要件及び手続のもとに、確定裁判の没収部分の取り消しを請求する権利を認めることにいたしました。かように両者相まって、今回の違憲判決の要請する趣旨に適合するよう措置を講じたものであります。
 以上が刑事事件における第三者所有物の没収手続に関する応急措置法案の趣旨であります。何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
 次に、商業登記法の施行に伴う関係法令の整理等に関する法律案につきまして、提案の理由を説明いたします。
 この法律案は、商業登記法の施行に伴い関係法令の整理等を行なうとともに、所要の経過措置を定めようとするものでありますが、その要点を申し上げますと、
 第一、商業登記法の制定に伴って、現行非訟事件手続法中の商業登記に関する規定を削除するとともに、会社以外の法人の登記手続に関して非訟事件手続法中の商業登記に関する規定の準用を改めて商業登記法中の相当規定を準用することとする等関係法律に所要の整理を加えたものであります。
 第二、商業登記法において会社が本店を移転した場合に、旧所在地においてなすべき登記と新所在地においてなすべき登記とを同時にすることとしたことに伴い、会社が本店を移転した場合の登記の期間を改めるとともに、会社以外の法人が主たる事務所を移転した場合における登記の期間もこれに準じて改めたものであります。
 第三、会社以外の法人についても、その登記の申請は、会社の場合と同様に、原則として代表者がすることとし、また、その主たる事務所の移転、合併等の場合における登記の手続も、会社の場合と同様の手続に改め、これら法人の登記手続の合理化をはかったものであります。
 第四、特別法に基づく各種の法人について、現行法では役員の全部を登記することとしているものが少なくないが、役員の全部を登記することは実益がきわめて乏しいので、これらの法人についてはその代表者だけを登記すれば足りることとして、これらの法人の登記手続上の負担を軽減するとともに、登記事務の簡素化をはかったものであります。
 第五、商業登記法及びこの法律の施行に伴う所要の経過措置を定めました。
 以上がこの法律案の主たる内容であります。何とぞ慎重審議の上、すみやかに可決くださいますよう希望いたします。
#4
○高橋委員長 以上で両案に対する提案理由の説明を終わりました。
     ――――◇―――――
#5
○高橋委員長 次に、下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
 質疑の申し出がありますのでこれを許します。上村千一郎君。
#6
○上村委員 下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案につきまして二、三の要点についてお尋ねをいたしておきたいと思います。
 最近における市町村の廃置分合等に伴いまして、簡易裁判所の名称及び管轄区域を変更する等の必要を生じまして本法案を御提出になったということは、これはその経過といたしましては当然の措置であろうかと存ずるわけでありますが、これに関連いたしまして二、三お尋ねをいたしておきたいと思います。
 まず第一点といたしまして、北九州市内の簡裁についてでありますが、本年の二月十日に誕生いたしましたいわゆる百万都市の北九州市におきまする簡易裁判所の管轄につきまして、本案でどのような改正が行なわれておるのか。実情を見ますると、小倉の簡裁は旧小倉市、旧若松市、旧戸畑市、旧八幡市の一部を管轄することに相なっております。また門司の簡裁を見ますと、旧門司市を管轄される。これは小倉の簡裁、門司の簡裁はともに北九州の市内を管轄しておることになっておるのでありますが、直方の簡裁は旧八幡市の一部の外に出ておる。それから折尾の簡裁は同じく旧八幡市の一部の外に出ておるというように見受けられるのでありますが、五市が合併をいたしました実情と、この直方の簡裁、折尾の簡裁の管轄区域について、実情に合わない点が生じておるのではなかろうか、こういう点につきましてお尋ねをいたしておきたい。
#7
○津田政府委員 ただいまのお尋ねの点でございますが、御承知のとおり本年の二月十日に門司市、小倉市、若松市、八幡市及び戸畑市が廃止されまして、その区域をもちまして北九州市が置かれたのであります。北九州市は本年の四月一日から地方自治法第二百五十二条の十九の指定都市となりました。これは本年の政令第十号でそうなったわけでありますが、その区域を分けて、旧五市のそれぞれの区域をもって門司区、小倉区、若松区、八幡区及び戸畑区の五区が置かれることになったわけであります。その区につきましては、北九州市条例の第五十八号によって定められているわけでございます。そこで、この北九州市が生まれましたにつきましては、この北九州市内にあります簡易裁判所の管轄区域につきまして変更を加える必要があるかどうかという点につきましては、先般法務省より調査に参りましていろいろ検討いたしたわけでございますが、北九州市が発足いたしましても、直ちに従来の市の情勢が変わったわけではないわけでございます。ところが従来の、ただいま御指摘の管轄区域にそれぞれの市あるいは市の一部が置かれておった点につきましては、それぞれ従来のいきさつがございましてこういうふうな分け方になっております。したがいまして、地形的に見ましても若干問題の個所もないわけではないのでありまするけれども、地元としては、さしあたってこれを変えてもらいたいというような意向もないようでございますので、将来の市の情勢を見ました上、管轄区域の変更等適当な改正を加えるほうがよろしいのではないだろうかという結論になりまして、従来どおりということにいたしましたが、ただ、この市の名称がなくなりまして、北九州市内の区の名称になりましたわけでございますので、そういうふうに名称の変更というふうに形式的にいたしたわけでございます。
 なお、ただいま御指摘の旧八幡市、つまり現在の八幡区の区域は、直方、小倉、折尾の三簡裁に分属いたしておるわけでございますが、これはかなり異例なことに属するかもしれないわけでございますけれども、従来のいきさつでこのほうが地元としては便利であるということで、こういうふうなことになっておりますので、いま直ちにこれを変更するような事情はないというふうに考えております。
#8
○上村委員 そうすると、結局地元の実情としては、大体この点で不便はないというふうに地方は感じておるというふうに承っておいてよろしいわけですか。
#9
○津田政府委員 そのとおりでございます。
#10
○上村委員 次に、交通裁判所の新設に伴うことに関連いたしましてお尋ねをしておきたいわけでございますが、最高裁判所は、本年度予算におきまして、東京と横浜に交通事件の処理を主としましたところの簡易裁判所の新設を計画されました。その機構、設置場所等は現在どうなっておるか、並びにこれらの簡裁の設置、管轄区域とこの法案との関係はどうなるか、その点をお尋ねしておきたい。
#11
○桑原最高裁判所長官代理者 交通裁判所と俗に称されておりますのは、これは正式に申し上げますと簡易裁判所でございます。現在東京にございます交通裁判所といわれておりますのは、正式の名前で申しますと、墨田の簡易裁判所であります。そこで墨田の簡易裁判所で東京の一定の地区内に起こった事件を処理しておるわけでございますが、これと同じ構想に立つわけでございまして、東京におきましては、現在の予定といたしましては、北区にあります赤羽に第二の東京の交通裁判所を設置いたしたいというふうに考えております。横浜につきましては、西区に適当な地を得まして、そこに横浜の簡易裁判所を、横浜の交通裁判所を設置するわけでございます。したがいまして、別に交通裁判所という特別の法律上の名前のある裁判所ではございませんので、それぞれその所在地で管轄いたしております簡易裁判所ができるということになるわけであります。
#12
○上村委員 もちろん簡易裁判所に、要するに交通事件の処理を主として取り扱わせる意味でございましょうが、これらの簡易裁判所の設置とその管轄区域について、今回の法案との関連はどうかということをお尋ねしておきたい。
#13
○桑原最高裁判所長官代理者 交通裁判所と申しますのは、新たに簡易裁判所が設置されるわけではございませんで、現在の法律にありますように、東京で申し上げますと、北簡易裁判所の一つの分室のような形で、北簡易裁判所というものの一部としての交通裁判所というものが設置されるわけでございます。したがいまして、管轄区域につきましても、現在の法律によって定められております管轄区域が北区に設けられるべき交通裁判所の管轄区域になるわけでございます。
#14
○上村委員 この簡裁に交通事件の処理を主として扱わせる、その処理状況についてお尋ねをいたしておきたいと思いますが、本年の一月一日から道路交通法の改正による切符制が実施され、その切符制の実施に伴いまして簡裁の事務能率という面ではどんな影響を受けているか。要するに、どういうプラスがあらわれてきているかということをお尋ねしておきたい。
#15
○桑原最高裁判所長官代理者 御承知のとおり、現在十の地区におきまして交通切符制がとられるようになったわけでございます。一月一日からその切符制が施行されたわけでございますけれども、現在までのところでは、何ぶん施行後日が浅いわけでございますので、切符制の採用によって事件の推移等がどうなったかということは的確にはつかめないわけでございます。一般にわれわれが想像いたしておりましたように、逐年交通事件が累増しているという状況は、大体われわれの予想したような伸び方をしているわけでございます。これに対処いたしまして、交通切符制を施行するということは、検察及び裁判の事務を能率化するということであったわけでございますが、一般的な傾向といたしましては、切符制の採用によって裁判所に関する限りにおいては能率が非常に増進されるというように現場では言っているわけでございます。ただ、施行当初におきましては、警察官等のふなれのために多少切符制の施行について問題があったわけでございまして、だんだん警察において交通切符制の施行になれてくるに伴ってそういったふなれからくる裁判所に対する負担というようなこともだんだんなくなっていくだろう、交通切符制の施行によって裁判所の能率は非常に増進されるというふうに現地では言っているわけでございますけれども、何ぶん施行後まだ三、四カ月しかたっておりませんので、どういうような結果があらわれるかということについてはまだ予測もつきませんし、現在のところでは的確なことを申し上げるまでの段階になっておりません。
#16
○上村委員 ごもっともな点でございますので、事件の経過等についてはまたお尋ねをしたいと思います。
 次にいわゆる未開庁の簡裁の問題でございます。本法の別表第四表及び第五表で名称、所在地、管轄区域等が定められておって、しかもなおかついまだ開庁されていない簡易裁判所は一体まだ幾つあるか。この点は当法務委員会におきましても従来しばしば問題になっておる点でございまして、この点について少しく具体的にお尋ねいたしたいと思います。
#17
○桑原最高裁判所長官代理者 現在のところ、簡易裁判所で未開庁といわれておりますのが全国で十一カ庁あるわけでございます。具体的に申し上げますと、韮崎簡裁、都島簡裁、東淀川簡裁、西成簡裁、灘簡裁、宝塚簡裁、柳生簡裁、十津川簡裁、すさみ簡裁、愛知横須賀簡裁、鹿野簡裁、以上十一あるわけでございます。このうち宝塚簡裁、すさみ簡裁、愛知横須賀簡裁は、裁判所法施行と同時に一たん開庁いたしたわけでございますが、その後の情勢の変化によって、事務を他の庁に移転して現在は開庁をいたしておらないわけでございます。あとの八カ庁は裁判所法施行当時から開庁に至らない裁判所でございます。
#18
○上村委員 そうすると、いまの未開庁の簡易裁判所が十一カ庁ある。一体それは近い将来において開庁する予定になっておるのか、あるいはその間の実情はどうですか。
#19
○桑原最高裁判所長官代理者 この点は前々から当委員会でもたびたび御質疑を受けておった点でございまして、最高裁判所といたしましては、法律によって設置をされている裁判所でございますので、あらゆる努力を払って開庁の方向に進めたいというふうに考えて、その努力をいたしてきたわけでございますが、いずれもその開庁に至らない理由が、適当な庁舎を確保できないという点にあるわけでございます。いままでいろいろな努力をいたしてまいったわけでございますけれども、現在の状況におきましては、近い将来において庁舎の獲得ができるという見通しは非常に困難な状況であるわけでございます。したがって、近い将来において簡易裁判所が開庁されて事務を行なうというような見通しについてはかなり暗い見通しであるわけでございます。
#20
○上村委員 それで地元民関係者は未開庁の点について、何か要望、早く開庁してほしいと要望するのか、あるいはそのままにしておるのか、その間の実情はどうですか。
#21
○桑原最高裁判所長官代理者 これらの簡易裁判所は、たとえば大阪管内におきますように、比較的大都会の中で、それぞれもよりの地区に裁判所があるというふうな状況のところもありますし、あるいは僻地にあって、事件関係も非常に少ないというような実情にあるところもあるわけでございます。たとえば大都会の中にありますようなところにつきましては、現在事務移転をいたしまして、それぞれの庁において取り扱っておりますが、これらの点につきましては、交通事情等の関係から、事務移転庁に出頭して裁判を受けるということについてそれほどの不便はないわけでございます。また、その他の点につきましても非常に事件数が少ないわけでございますので、具体的な場合といたしまして、これらの庁において地元の方から早急に開庁してくれというような要望は、最高裁判所に関する限りにおいてはきておりません。
#22
○上村委員 しからばこれを処理する、要するに別表からはずすというようなことのお考えがあるのかどうか、その点を質問します。
#23
○津田政府委員 ただいまの未開庁の庁につきましては、これを別表から削除するのが相当かどうかという問題があるわけでございますが、これはかつて当委員会でも御審議をいただいておった際に出た問題であると思いますけれども、簡易裁判所は、設置当時から見ますると、今日、都市の配置、交通の状況等が非常に変わっておるわけでございまして、これを全面的に一応見直す必要があるということは痛感されるところであります。そこで、数年前からこの問題について慎重な現地調査その他を続けてまいりまして、ある程度の配置がえあるいは統合というようなことの案もできておるわけでございますが、しかしながら、事柄がかなり重要な問題でありますので、地元のみならず、最高裁判所方面とも十分な協議を遂げて、十分な意見の一致をはからねばならないというふうに考えられますので、現段階におきましては、その点につきましていろいろ連絡、意見交換を行なっておるわけでございます。御説のとおり、弁護士連合会におきましても、この問題を検討しておるようでございまして、それらをあわせまして十分案の熟したところで将来の問題としてこの再配置、統合等を考えたい。したがいまして、未開庁の問題もそのとき一挙に解決をいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
#24
○上村委員 私も、そういうお考えはけっこうであろうと思っておるわけであります。裁判所の設置、そういうような問題につきましては、各地方の実情等をよく十分調査をしたあげく、慎重に処理されることはけっこうだと思います。
 次に、愛知県の横須賀の簡裁は未開庁になっております。別表第五表によると、その管轄区域は常滑市と知多郡のうちの横須賀町、知多町それから大府町、上野町、有松町、大高町というふうになっております。この区域の事務はどこの簡裁に扱わさしておるのか、その点をお聞きしておきます。たぶん隣接の半田簡裁だと思いますけれども……。
#25
○桑原最高裁判所長官代理者 愛知横須賀簡裁の事件は、もよりの半田簡易裁判所において事件を処理しておるわけであります。
#26
○上村委員 そうすると、このような実情というものは、地元の住民にはどういうふうな方法でこれを知らしておるのか、この点をお尋ねしておきたいと思います。
#27
○桑原最高裁判所長官代理者 簡易裁判所の事務移転をいたす場合におきましては、適当な方法によって地元民に周知徹底をはかっておるわけでございます。たとえば掲示板に掲げるとか、あるいは最近においては官報に掲載をいたしまして、どこそこの簡易裁判所の事件は、いついつからどこそこの簡易裁判所でやるので事務移転をしたということを官報あるいは新聞に掲載するというふうな周知徹底の方法を講じておるわけでございます。
#28
○上村委員 官報とか掲示板といったって、これは地方民としましてはなかなか十分実情を知り得ないわけですね。だから、これを行政機構を通ずるとか、その他適切な措置を講じまして、個々の地元民にかかる実情になっておるということを周知徹底さしたことがあるのかどうか、その点をお尋ねしておきます。
#29
○桑原最高裁判所長官代理者 たとえば、その事務移転する前の庁舎がありますような場合においては、そのあとに掲示板を掲げるとか、あるいは管轄区域内の市町村の役場の掲示板に掲げるというふうな方法をとっておるわけであります。そのほかに、あわせていま申し上げましたような新聞、官報等に掲載というような方法をとっておりますので、それぞれ具体的な場合といたしましては、地元の裁判所におきまして、地元住民に十分周知徹底するような方法を講じておるわけでございます。
#30
○上村委員 これはそれ相応の御処置をとられて、万遺漏のないようにやっておられることかと思いますが、法律事務とかこういうような問題は、存外地方民としては、いわばわかりにくい問題でありますから、念には念を入れて、なおかつ親切にはより一そうに親切ということが必要かと思って聞いておるわけであります。
 次に、ただいまのような隣接の半田簡裁に愛知横須賀簡裁の管轄区域の事務を取り扱わしておる、これは結局裁判所法の第三十八条に基づいてやっておるのかどうか、この点をお尋ねしておきます。
#31
○桑原最高裁判所長官代理者 御指摘のとおり、裁判所法第三十八条の規定による事務移転の措置をとっておるわけでございます。
#32
○上村委員 この程度で大体本法案につきます私の質問を終えておきたいわけでありますが、未開庁の問題は当委員会におきましてもしばしば質問が行なわれておるわけであります。こういうふうな問題につきまして、地方住民が十分いわば納得のいく、しかも国全体としての合理的な処理というものの一刻もすみやかならんことを希望いたしまして、私の質問を終えておきたいと思います。
#33
○高橋委員長 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時五十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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