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1962/02/05 第43回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第043回国会 農林水産委員会 第3号
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1962/02/05 第43回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第043回国会 農林水産委員会 第3号

#1
第043回国会 農林水産委員会 第3号
昭和三十八年二月五日(火曜日)
    午前十時二十九分開議
 出席委員
   委員長 長谷川四郎君
   理事 秋山 利恭君 理事 田口長治郎君
   理事 丹羽 兵助君 理事 山中 貞則君
   理事 足鹿  覺君 理事 片島  港君
   理事 東海林 稔君
      安部晋太郎君    金子 岩三君
      草野一郎平君    倉成  正君
      田遇 國男君    寺島隆太郎君
      中山 榮一君    松浦 東介君
      松本 一郎君    米山 恒治君
      角屋堅次郎君    野口 忠夫君
      安井 吉典君    山田 長司君
      湯山  勇君
 出席政府委員
        農林政務次官  津島 文治君
        農林事務官
        (大臣官房長) 林田悠紀夫君
        農林事務官
        (農林経済局
        長)      松岡  亮君
        農 林 技 官
        (農地局長)  任田 新治君
 委員外の出席者
        専  門  員 岩隈  博君
    ―――――――――――――
二月二日
 委員伊藤幟君辞任につき、その補欠として西村
 直己君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員西村直己君辞任につき、その補欠として伊
 藤幟君が議長の指名で委員に選任された。
二月四日
 委員伊藤幟君辞任につき、その補欠として灘尾
 弘吉君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員灘尾弘吉君辞任につき、その補欠として伊
 藤幟君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
二月一日
 開拓者資金融通法の一部を改正する法律案(内
 閣提出第五四号)(予)
    ―――――――――――――
二月二日
 生産者乳価値下げ反対に関する請願(中島巖君
 紹介)(第三四一号)
 同(唐澤俊樹君紹介)(第四〇八号)
 同(下平正一君紹介)(第四〇九号)
 同(羽田武嗣郎君紹介)(第四一〇号)
 同(田中彰治君紹介)(第四九八号)
 農業共済組合等の事務費国庫負担増額に関する請願外百
 三十六件(永井勝次郎君紹介)(第三五〇号)
 同外百四十六件(永井勝次郎君紹介)(第三六四号)
 同外百五十件(永井勝次郎君紹介)(第四四一号)
 同外百二十六件(永井勝次郎君紹介)(第四六五号)
 同外百七十五件(永井勝次郎君紹介)(第五〇六号)
 多頭飼育化に伴う家畜共済加入奨励金交付に関
 する請願外百四十四件(永井勝次郎君紹介)(第三五一号)
 同外二百二十四件(永井勝次郎君紹介)(第三六五号)
 同外百五十六件(永井勝次郎君紹介)(第四二〇号)
 同外百四十一件(永井勝次郎君紹介)(第四四二号)
 同外七十八件(永井勝次郎君紹介)(第四六六号)
 同外百三十九件(永井勝次郎君紹介)(第五〇七号)
 農業災害補償制度改正の早期実現に関する請願
 外百四十四件(永井勝次郎君紹介)(第三五二号)
 同外百八十五件(永井勝次郎君紹介)(第三六六号)
 同外百二十九件(永井勝次郎君紹介)(第四二一号)
 同外百二十六件(永井勝次郎君紹介)(第四四三号)
 同外百四十六件(永井勝次郎君紹介)(第四六七号)
 同外八十八件(永井勝次郎君紹介)(第五〇八号)
 家畜共済病傷部分掛金半額国庫負担に関する請
 願外百四十三件(永井勝次郎君紹介)(第三五三号)
 同外百九十五件(永井勝次郎君紹介)(第三六七号)
 同外百六十件(永井勝次郎君紹介)(第四二二号)
 同外二百四十七件(永井勝次郎君紹介)(第四四四号)
 同外九十六件(永井勝次郎君紹介)(第四六八号)
 農林年金制度改正に関する請願外一件(青木正
 君外一名紹介)(第四〇二号)
 同(大沢雄一君外一名紹介)(第四〇三号)
 同(松永東君紹介)(第四四五号)
は本委員会に付託された。
二月一日
 木炭産業振興に関する陳情書(神戸市生田区下
 山手通二丁目八番地の二兵庫県木炭生産組合連
 合会長横山摂治外五名)(第五三号)
 生産者乳価値下げ反対に関する陳情書(栃木県
 議会議長星功)(第五四号)
 同(太田市議会議長堀江常彦)(第五五号)
 同(兵庫県議会議長木下顕太郎)(第五六号)
 同(鳥取県議会議長竹中栄)(第五七号)
 同(浦和市高砂町三丁目三十七番地埼玉県酪農
 会議会長足立良平)(第五八号)
 同(徳島県議会議長伊東董)(第五九号)
 土地改良事業地元負担の軽減に関する陳情書(
 徳島県議会議長伊東董)(第六〇号)
 食糧管理制度存続に関する陳情書(水沢市議会
 議長水田正治)(第六一号)
 農業災害補償制度改正等に関する陳情書(秋田
 市土手長町上丁十一、十二番地秋田県農業共済
 組合連合会長渡部正一)(第六二号)
 農業災害補償制度改正に関する陳情書(宮城県
 遠田郡南郷町木間塚字十王山四十番地南郷町農
 業共済組合長理事畑中武雄外十六名)(第六三
 号)
 同(九州地方知事会長大分県知事木下郁)(第
 六四号)
 同(東京都千代田区九段一丁目十四番地全国市
 長会長高山義三)(第二三四号)
 蚕糸業振興対策確立に関する陳情書(仙台市勾
 当台通二十七番地宮城県蚕糸協会長谷津儀十郎
 外三十六名)(第六五号)
 木炭産業振興対策確立に関する陳情書(東京都
 千代田区永田町二丁目一番地全国木炭生産者大
 会委員長石谷憲男)(第六六号)
 農村労働力の流失防止に関する陳情書(全国都
 道府県議会議長会長東京都議会議長建部順)(
 第一四三号)
 林業振興法の早期制定に関する陳情書(全国都
 道府県議会議長会長東京都議会議長建部順)(
 第一四四号)
 治山、林道事業設計監督費国庫補助増額に関す
 る陳情書(全国都道府県議会議長会長東京都議
 会議長建部順)(第一四五号)
 公有林野整備事業拡大に関する陳情書(全国都
 道府県議会議長会長東京都議会議長建部順)(
 第一四六号)
 国有林野開放に関する陳情書(全国都道府県議
 会議長会長東京都議会議長建部順)(第一四七
 号)
 漁業協同組合合併促進法の早期制定に関する陳
 情書(全国都道府県議会議長会長東京都議会議
 建部順)(第一四八号)
 第三次漁港整備事業に関する陳情書(全国都道
 府県議会議長会長東京都議会議長建部順)(第
 一四九号)
 水産物の流通改善及び魚価対策確立に関する陳
 情書(全国都道府県議会議長会長東京都議会議
 長建部順)(第一五〇号)
 沿岸漁業振興法の早期制定に関する陳情書(全
 国都道府県議会議長会長東京都議会議長建
 部順)(第一五一号)
 開拓農業第二次振興計画の実施促進
 に関する陳情書(全国都道府県議会議長会
 長東京都議会議長建部順)(第一五二号)
 たん水防除事業の強化対策に関する陳情書(全
 国都道府県議会議長会長東京都議会議長建部順
 )(第一五三号)
 国営土地改良事業の地方負担金軽減等に関する
 陳情書(全国都道府県議会議長会長東京都議会
 議長建部順)(第一五四号)
 農業協同組合合併促進のための国庫補助増額等
 に関する陳情書(全国都道府県議会議長会長東
 京都議会議長建部順)(第一五五号)
 園芸振興対策確立に関する陳情書(全国都道府
 県議会議長会長東京都議会議長建部順)(第一
 五六号)
 甘味資源振興に関する陳情書(全国都道府県議
 会議長会長東京都議会議長建部順)(第一五七
 号)
 農林業振興に関する陳情書(全国都道府県議会
 議長会長東京都議会議長建部順)(第一五八
 号)
 農業近代化資金に対する利子補給増額に関する
 陳情書(全国都道府県議会議長会長東京都議会
 議長建部順)(第一五九号)
 農業構造改善事業に関する陳情書(全国都道府
 県議会議長会長東京都議会議長建部順)(第一
 六〇号)
 同(東京都千代田区九段一丁目十四番地全国市
 長会長高山義三)(第二三二号)
 沿岸漁業構造改善対策事業費国庫補助増額に関
 する陳情書(東京都千代田区九段一丁目十四番
 地全国市長会長高山義三)(第二三三号)
 農地転用のための権利移動制限撤廃に関する陳
 情書(東京都千代田区九段一丁目十四番地全国
 市長会長高山義三)(第二三五号)
 農用地等開発道路設置に関する陳情書(東京都
 千代田区九段一丁目十四番地全国市長会長高山
 義三)(第二三六号)
 土地改良事業に関する陳情書(東京都千代田区
 九段一丁目十四番地全国市長会長高山義三)(
 第二三七号)
 農林漁業資金の金利引下げ等に関する陳情書(
 東京都千代田区九段一丁目十四番地全国市長会
 長高山義三)(第二三八号)
 老朽農道橋改修等に関する陳情書(東京都千代
 田区九段一丁目十四番地全国市長会長高山義
 三)(第二三九号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案(
 内閣提出第三〇号)
 農業近代化資金助成法の一部を改正する法律案
 (内閣提出第三一号)
 漁港法の一部を改正する法律案(内閣提出第三
 六号)
 沿岸漁業等振興法案(内閣提出第三七号)
 開拓者資金融通法の一部を改正する法律案(内
 閣提出第五四号)(予)
     ――――◇―――――
#2
○長谷川委員長 これより会議を開きます。
 農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案、農業近代化資金助成法の一部を改正する法律案、漁港法の一部を改正する法律案、沿岸漁業等振興法案、並びに予備審査のため付託になりました開拓者資金融通法の一部を改正する法律案、右各案を一括して議題といたします。
    ―――――――――――――
#3
○長谷川委員長 提案理由の説明を聴取いたします。津島農林政務次官。
#4
○津島政府委員 農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。
 近年におきます国民経済の成長発展に伴いまして、農林漁業の構造改善をはかることがますます強く要請されておりますが、これにこたえるためには、その資金的裏づけとして、農林漁業に対する長期かつ低利な資金の融通を拡充円滑化することが特に重要となっております。このような農林漁業の体質改善をはかるための資金需要にこたえるべく、政府は従来から農林漁業金融公庫の融資ワクの拡大等に努め、特に昭和三十六年度におきましては農業近代化資金制度を創設して農業関係施設資金の供給の円滑化をはかって参ったのであります。
 しかしながら、農業及び沿岸漁業の構造改善事業の実施の状況、農林漁業経営の現状等を見まするに、現行の制度金融のうちには、その貸付金利、償還期限、貸付限度額等について条件緩和を緊要とするものがあり、特に農業構造改善事業促進対策に基づく事業の実施に必要な経営近代化施設の融資については、各種の事業を総合的、計画的に、かつ短期間に実施いたします関係上、民間資金を原資とする農業近代化資金ではなく、長期低利の財政資金によるべきことが要請される等なお大幅な改善の必要が痛感されるのであります。このため、昭和三十八年度から、新たな構想のもとに、農業及び沿岸漁業の構造改善の計画的推進をはかり、農業経営及び林業経営の規模の拡大、改善と農業生産の選択的拡大を特に促進するため、これに必要な長期資金を特別に有利な貸付条件で農林漁業金融公庫から融通することを目的とする農林漁業経営構造改善資金融通制度を創設することといたしたのであります。
 本制度によって融通されます資金は、農業及び沿岸漁業の構造改善事業の実施に必要な施設資金等の構造改善事業推進資金を初めとし、農業の経営規模拡大のための農地及び未墾地取得資金、農業生産の選択的拡大の方向に即応する果樹園経営改善のための果樹の植栽育成資金、乳牛または肉用牛の飼養規模を拡大して畜産経営の改善をはかるための畜産経営拡大資金、林業につきましては林業経営の改善のための森林の取得、育林に必要な資金、さらに沿岸漁業経営の近代化をはかるのに必要な沿岸漁船の整備及び沿岸漁業の協業化促進のために必要な資金が含まれておりまして、昭和三十八年度におきましては総額三百億円の融資ワクを確保することといたしております。これら資金のうちには、従来農業近代化資金制度によって貸し付けられていたものも含まれておりますが、今後は、いずれも農林漁業の構造改善の促進に特に必要なものとして、系統融資機関の資金事情等に左右されない財政資金によりまして、あとう限りの長期かつ低利の条件をもって融通することといたしたのであります。この新制度を実施するため、農林漁業金融公庫の業務の範囲を拡充し、同公庫が貸し付けます農林漁業経営構造改善資金について特別に有利な貸付条件を定めるとともに、同公庫に対する政府からの出資金を増額する等の必要がありますので、本法案を提案した次第であります。
 以下、改正のおもな内容について御説明申し上げます。
 第一点は、資本金の増額であります。昭和三十八年度におきまして、農林漁業金融公庫は、ただいま申し上げました農林漁業経営構造改善資金三百億円を特に低利に貸し付けることとしておりますほか、その他の農林漁業の生産基盤の強化等に必要な資金についても農林漁業施策に即応して融通の拡充円滑化をはかることとし、総額では前年度に比較して百六十億円増の八百七十億円の貸付決定を行なう予定であります。新制度の実施によります低利資金の融通とこの貸付ワクの増加とに伴いまして、政府は、昭和三十八年度におきまして、一般会計及び産業投資特別会計から二百二十億円を出資することとしておりますので、現行の資本金に関する規定を改正することといた
 したのであります。
 第二点は、公庫の業務の範囲を拡充することであります。農林漁業経営構造改善資金の融通を行ないますには、公庫の貸し付け得る資金の範囲を拡大する必要がありますので、公庫の業務の範囲に関する規定を改正することといたしたのであります。すなわち、従来農業近代化資金によることとされておりました農業構造改善事業推進資金を新たに公庫が特別の貸付条件で融通すること及び畜産経営の拡大のために必要な資金の貸付の道を開くことに伴いまして、果樹以外の永年性植物の植栽資金及び家畜の購入資金を公庫が貸し付け得るようにすることとし、果樹園経営の改善のための資金として新たに果樹の育成に必要な資金の貸付を公庫の業務に加えますとともに、従来自作農維持創設資金融通法によって農地または採草放牧地に限って特に公庫が貸し付け得るものとされておりました土地取得資金を、今回新たに農地または採草放牧地として利用するために必要な未墾地の取得資金をも含めて、公庫の本来の貸付業務に加えることとしております。
 第三点は、農林漁業経営構造改善資金につきまして特別の貸付条件を定めることであります。従来公庫の貸付金の利率、償還期限及び据置期間は、特別な資金を除いては、法律で定められた限度の範囲内で公庫が定めることとされておりましたが、今回この貸付条件に関する規定を改正いたしまして、公庫の貸付金のらち新制度に基づいて融通される資金を特に他の一般の資金と区分し、これにつきまして一般の資金とは異なる特別の貸付条件を定めることといたしたのであります。これを具体的に申しますと、まず、農業構造改善事業推進資金は、従来年六分五厘の農業近代化資金によってまかなわれていた施設資金、家畜購入資金、果樹その他永年性植物の植栽資金について、年三分五厘という画期的な低利率を定めるとともに、その貸付期間も、農業近代化資金では果樹の植栽資金については十五年以内、その他の資金については最長十二年でありましたものを、果樹植栽資金の場合は二十五年以内、その他の資金の場合は二十年以内といたしております。沿岸漁業構造改善事業推進資金につきましても、漁船その他の施設の改良、造成、取得等に必要な資金については、農業の場合と同様、利率を年三分五厘といたしております。この貸付条件によりまして、構造改善事業の計画的推進と関係農漁民の負担の軽減に資することができるものと考えております。
 次に、農地及び未墾地の取得資金並びに森林の取得資金は、農林業経営の規模の拡大を促進するため、年四分五厘とするとともに、貸付期間を二十五年以内とし、ざらに農業構造改善事業と関連する農地等の取得の場合には、利率を特に年四分とし、この面からも農業構造改善事業の円滑な推進をはかることといたしました。
 また、農業経営の改善合理化にあわせて農業生産の選択的拡大の促進をはかるため、新制度資金として取り扱うことといたしました果樹園経営改善資金及び畜産経営拡大資金につきましては、従来の公庫資金または農業近代化資金よりも利率を年一分ないし五厘引き下げるとともに、畜産経営拡大資金については、家畜購入資金と施設資金とのセット融資により、従来農業近代化資金では十二年以内であった貸付期間を十五年以内に延長し、さらに沿岸漁船の整備、沿岸漁業の協業化の促進のための資金につきましても、従来の公庫融資より利率を年一分引き下げることといたしております。
 なお、本制度の実施にあたりましては、貸付限度額の引き上げ、行政庁による指導の強化等により、その効果の発現に万全を期することとしておりますほか、これと関連いたしまして、公庫の資金融通の円滑化に資するため、公庫が農地等を担保に徴する場合に、その担保評価額を引き上げるとともに、別途農地法に基づく農林省令を改正いたしまして、その担保権実行の際、公庫がみずから競落人となって担保に徴した農地等を取得し得る道を開くようにし、農地等の担保力の活用をはかって参りたいと考えております。
 以上がこの法律案の提案の理由及びおもな内容であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願いいたします。
 次に、農業近代化資金助成法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。
 農業近代化資金制度は、農家の預貯金等を長期低利の農業関係施設資金として還元することをねらいとし、このため農業協同組合系統機関の資金を活用することとして創設されたものでありまして、農業近代化資金助成法が昭和三十六年十一月に公布施行されましてからすでに一年余を経過し、昭和三十六年度におきましては約二百七十三億円が貸し出され、昭和三十七年度におきましても、その利子補給承認額は融資ワク五百億円のほぼ満額に達する見込みであります。この法律に基づく政府の助成によりまして、農業者等の資本装備の高度化、農業経営の近代化をはかるために必要な資金の融通が円滑となり、農業協同組合系統融資機関に蓄積されていた農家資金の農業への還元が促進されて参りまして、おおむね所期の成果を達成しつつあるものと考えております。
 しかしながら、農家の預貯金の状況を見ますに、地方銀行等の一般の金融機関にも相当な額の預金が預け入れられておりまして、一般金融機関と取引をしている農家も少なくないと考えられるのであります。従いまして、農家資金の農業への還元という制度本来の趣旨からいたしまして、また近年ますます旺盛になっている農家の資金需要を充足させますために、このような地方銀行等の保有しております農家資金を農業に還元し、また、農協系統融資機関から資金を借りがたい農業者等に農業近代化資金を借り入れる道を開く必要がありますので、この際、政府の助成にかかる農業近代化資金の融資機関の範囲を拡大し、銀行その他の金融機関で政令で定めるものをこの融資機関として加えることといたしたのであります。
 以上がこの法律案の提案の理由及びその内容であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願いいたします。
 次に、ただいま上程せられました漁港法の一部を改正する法律案の提案の理由を御説明申し上げます。
 漁港法は、御承知の通り、水産業の基盤である漁港に関する基本的法律といたしまして、昭和二十五年に制定、公布を見ましたが、それ以来本法の規定により漁港の維持管理の適正化をはかるとともに、漁港整備計画については、第十回及び第二十二回の両国会の御承認を得て、これに従い、漁港修築事業の施行を推進し、着々漁港整備の実をあげ、わが国水産業の発展に寄与しているものであります。
 しかしながら、最近におけるわが国水産業の発展と漁船の大型化、漁業情勢その他経済事情の著しい変化に伴い、現行の漁港整備計画を実情に即するように改める必要が生じてきているのであります。このために今次国会の御承認を得て漁港整備計画を変更することといたしておりますが、その変更整備計画におきましては、緊急に整備を要する重要な漁港につきまして重点的に整備をはかることといたしておるのでありまして、そのうち特定第三種漁港につきましては、今後事業の規模も大きくなり、地元地方公共団体の負担も増大して参りますので、この法律に基づく国の負担割合を引き上げる措置を講ずる必要が出て参ったのであります。このほか、本法の施行後における漁港審議会の運営の実情にかんがみ、その組織についての規定を整理することが一そうその運営の実情に即するゆえんと存じまして、この際漁港法の一部を改正することとし、本法律案を提案いたしました次第であります。
 以下、この法律案の内容について御説明申し上げます。
 まずその第一は、漁港審議会の組織についての改正規定でありますが、従来漁港審議会の委員九人のうち、一人は水産庁長官をもって充てることとされておりますが、本法施行後十二年間における運営の実態は、行政機関の長としての水産庁長官が委員として本審議会において意見を述べ、意思決定に参加するようにしておく必要はなく、また、委員として審議に参加するよりも行政機関の長として審議会に臨む方がより適切と考えられるに至りましたので、この規定を削除するとともに、関係条項を整理することといたしました。
 第二は、国庫負担率の引き上げに関する改正規定でありますが、国以外の者が特定第三種漁港について漁港修築事業を施行する場合における基本施設の修築に要する費用についての国の負担割合は、従来百分の五十であったものを、百分の六十に改めることといたしました。
 以上がこの法律案を提案する理由とその内容であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。
 次に、沿岸漁業等振興法案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
 わが国の漁業は、その漁獲高において世界最大であり、動物蛋白質食糧の重要な補給源として、国民経済上重要な役割を果たして参りましたが、その生産の態様は多様であり、大きく分けますと、大規模漁業、中小漁業及び零細な沿岸漁業の三つの類型になると考えられるのであります。このらち、漁業経営体の九割以上を占めている沿岸漁業は、一部の養殖業を除き、他産業と比較してその生産性及び従事者の生活水準がかなり低い状態にあり、また、漁業生産の中核をなしている中小漁業は、漁業種類、経営規模等により種々格差がございますが、不安定なものが多い現状でありまして、ことに最近における国民経済の成長発展に伴い、このような沿岸漁業等の傾向は、いよいよ顕著となってきているのであります。
 また一方、国民経済の成長発展は、わが国の就業構造に著しい変化をもたらし、漁業の就業人口も減少しており、能率的な漁法、漁具の導入等によって生産性の高い漁業を育成していく契機が生じてきておるのであります。
 このような沿岸漁業等及びこれを取り巻く条件の変化等を背景といたしまして、沿岸漁業等の従事者の自由な意思と創意工夫を尊重しつつ、沿岸漁業等の近代化と合理化をはかるとともに、あわせて沿岸漁業等の従事者が他産業従事者と均衡する健康で文化的な生活を営むことができるようにするため、沿岸漁業等に関する国の基本的施策の方向を示し、その重点的施策を明らかにすることが緊要とされるに至ったわけであります。政府といたしてましては、これらの事情を勘案検討いたしまして、沿岸漁業等振興法案を第四十国会に提出いたしましたが、この法律案は前国会において審議未了となりましたので、今回これと同一の内容のこの法律案を提出することとした次第であります。
 次に、この法律案の内容について概略御説明申し上げます。
 第一点といたしまして、この法律は、さきに述べました通り、沿岸漁業等の生産性の向上、その従事者の福祉の増進、その他沿岸漁業等の近代化と合理化に関し必要な施策を講ずることにより、その発展を促進し、あわせて沿岸漁業等の従事者が他産業の従事者と均衡する生活を営むことを期することができることを目途として、従事者の地位の向上をはかることを目的としているのであります。そしてこの目的を達成するための国の基本的施策の方向といたしまして、(1)水産資源の維持増大、(2)生産性の向上、(3)経営の近代化、(4)水産物の流通の合理化、加工及び需要の増進並びに価格の安定、(5)災害による損失の合理的補てん等による経営の安定、(6)近代的な沿岸漁業等の従事者としてふさわしい者の養成及び確保、(7)沿岸漁業等の従事者及びその家族の転職並びに沿岸漁業等の経営にかかる家計の安定、(8)漁村の環境の整備等による沿岸漁業等の従事者の福祉の増進の八項目を明らかにし、国は、その政策全般にわたり、これらの事項に関し、必要な施策を総合的に講じなければならないこととするとともに、これらの施策が画一的でなく、地域的に自然的、経済的、社会的諸条件を十分考慮して行なわれるべき旨を定めたのであります。
 さらに、このような国の基本的施策を実施するため政府は財政上の措置等を講じなければならないこととするほか、これを受ける沿岸漁業従事者等の自主的な努力を助長する旨の規定、沿岸漁業等について政府が講じた施策に関する年次報告等についての規定等を定めているのであります。
 次に、第二点といたしまして、これらの基本的施策にかかる重点的な国の具体的施策といたしまして、以下の四つの施策を明らかにしております。
 第一は、沿岸漁業についての構造改善事業であります。この事業は、沿岸漁業の構造改善をはかるため、生産、流通等広範にわたる事業を考えておりますが、沿岸漁業は、その規模が零細であり、従ってまた生産性も生活水準も低い現状にかんがみ、特に国は、都道府県が沿岸漁業の構造改善事業に関する総合的な計画を立て、これに基づいて構造改善事業が実施される場合に助言及び助成等の強力な援助を行なら等沿岸漁業の構造改善事業が総合的、かつ効率的に行なわれるよう必要な措置を講ずることとしております。
 第二は、中小漁業の振興のための措置であります。中小漁業の不安定要因といたしましては、水産資源の利用の問題、漁船及び漁具、漁撈装置の問題等種々考えられるところでありますが、国がその業種に特有の改善すべき基本的事項を定めて公表するとともに、その改善を行なら中小漁業等に助言、指導、資金の融通のあっせんを行なら等中小漁業の振興に関し必要な措置を講ずることといたしております。
 第三は、沿岸漁業等を対象とする試験研究機関の行なら調査及び試験研究の充実等に関する措置であります。
 沿岸漁業の構造改善事業及び中小漁業の振興のための施策の実施にあたってはもちろんのことへおよそ沿岸漁業等の発展をはかるためには、その前提といたしまして十分な水産資源の調査及び試験研究が必要であります。
 そこで、国の試験研究機関の行なう沿岸漁業等に関する調査及び試験研究の事業の充実をはかるとともに、他の試験研究機関と協力して効率的に実施する等の必要な措置を講ずることとしております。
 第四は、沿岸漁業等の改良普及の事業に関する措置であります。現在都道府県には、沿岸漁業等の技術及び知識の普及または従事者の生活改善の指導を行なう改良普及員とこの改良普及員を指導し専門的事項に関する調査研究を行なう専門技術員が置かれておりますが、国は、これらの都道府県の職員の設置及び養成につき助言及び助成を行なう等必要な措置を講ずるものとしております。
 最後に、この法律の施行に関する重要事項につきましては、中央漁業調整審議会の意見を聞くことといたしております。
 以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概略であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。
 次に、ただいま提案になりました開拓者資金融通法の一部を改正する法律案の提案の理由を御説明申し上げます。
 戦後緊急開拓に始まった開拓事業はすでに十七年を経過し、現在全国で約十五万戸の開拓農家が農業に従事しております。政府は、これら開拓農家の営農を早期に安定させるため、従来から建設工事、営農施設の整備を促進する等各般の施策を講じて参り、特に開拓者に対する助成措置の最も重要な一環である融資の面におきましては、各種農業用施設、住宅、共同利用施設等開拓者の営農の基盤となる諸施設の取得または設置に要する資金につき、開拓者資金融通特別会計から長期低利の融資を行なってきたのであります。
 さらに、昭和三十二年に開拓営農振興臨時措置法が制定されましてからは、開拓者資金の融通の面におきまして既入植者の営農の振興に重点を置き、同法の要振興農家に対しては、年利五分五厘、償還期間十五年、据置期間六年以内のいわゆる振興対策資金を融通し、その営農振興上相当の効果をもたらすことができたと考えられます。
 しかしこり反面、自立の精神と相当の経営的能力を有しながら立地条件の劣悪、資本装備の不足等開拓者自身の責に帰しがたい事由により、今なお営農の確立していない開拓農家も少なからず見られるのが現状でありまして、政府は、開拓営農振興審議会の答申に基づき、これらの開拓農家が自発的に営農の振興をはからんとする場合に、少なくとも近傍における在来の中庸専業農家の水準にまで到達きせることを目途とし、新たな観点に立って、昭和三十八年度から新しい営農振興計画を樹立して参りたいと考えております。
 このような見地から、既入植者に貸し付ける資金の償還条件の緩和をはかる等の必要があると考え、本法案を提出した次第であります。
 次に、法案の改正点について御説明いたします。
 第一は、開拓者資金融通特別会計から既入植者に融通いたしておりました資金の利率を五厘引き下げて五分といたすことであります。
 第二は、従来既入植者のうち、開拓営農振興臨時措置法の要振興農家以外の者はいわゆる振興対策資金を借りることができず、また開拓者資金を利用できる場合であっても償還期間五年、据置期間四年以内という短期の資金しか利用できないという不利な立場に置かれていたわけでありますが、この際、広く既入植者全体の中から償還期間及び据置期間の長期の資金の貸付対象者を選定し得る道を開いたことであります。
 これは開拓営農振興臨時措置法に基づく振興対策を実施して以来既入植者の間に相当の格差が生じており、また、同法施行時におきまして不振開拓者がすべて要振興農家となる機会を有したわけでもなく、現在では長期資金を貸し付けるべき対象者を要振興農家に限定することが妥当とは言いがたい事情になっていることによるものであります。
 以上が開拓者資金融通法の一部を改正する法律案の提案の理由であります。何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決下さるよらお願いいたします。
#5
○長谷川委員長 本日はこの程度にとどめます。
 次会は明六日午前十時から開会することとし、これにて散会いたします。
   午前十一時六分散会
ソース: 国立国会図書館
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