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1962/02/21 第43回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第043回国会 逓信委員会 第8号
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1962/02/21 第43回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第043回国会 逓信委員会 第8号

#1
第043回国会 逓信委員会 第8号
昭和三十八年二月二十一日(木曜日)
    午後一時五十一分開議
 出席委員
   委員長 本名  武君
   理事 大高  康君 理事 岡田 修一君
   理事 佐藤洋之助君 理事 栗原 俊夫君
   理事 森本  靖君
      上林山榮吉君    小泉 純也君
      椎熊 三郎君    鈴木 善幸君
      中山 榮一君   橋本登美三郎君
      畑   和君    安平 鹿一君
      谷口善太郎君
 出席政府委員
        運 輸 技 官
        (船舶局長)  藤野  淳君
        運輸事務官
        (船員局長)  若狭 得治君
        海上保安庁長官 和田  勇君
        郵政政務次官  保岡 武久君
        郵政事務官
        (電波監理局
        長)      西崎 太郎君
 委員外の出席者
        日本電信電話公
        社理事
        (運用局長)  山下  武君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 電波法の一部を改正する法律案(内閣提出第二
 八号)
     ――――◇―――――
#2
○本名委員長 これより会議を開きます。
 電波法の一部を改正する法律案を議題として審査を進めます。
 質疑の通告がありますので、これを許します。上林山榮吉君。
#3
○上林山委員 本問題は重要な問題であるわけですが、大臣が御出席でありませんから、結論的には他日またお聞きする場合があるかもわかりませんが、そうした前提のもとに御出席の政務次官ないし事務当局から、それこそ率直な、正直なお答えをお願いしておきたいと思います。
 私は、本案が一年ぐらい前に論議の対象になったころ、どちらかというと批判的でございました。時期尚早の感があるという考えから批判的でございましたが、最近の情勢から見て適当な時期に来ておるのではなかろうか、こういうように私自身は考えておりますけれども、先ほど申し上げた通り重要な案件でありますので、念のためもう一度お尋ねしておきたい点があるわけであります。
 第一点は、この問題は海運合理化政策の一環が重点なのか、それとも船舶の安全保持ということが重点になっているのか、この点は私は大事な要点だと思いまするので、まずこれを一つお答え願っておきたいと考えます。
#4
○西崎政府委員 船舶の無線局の使命といたしましては、御承知のように、今先生がおっしゃいました海上における人命の安全ということと、通信の疎通と両方の使命があるわけでありますので、そういった使命を無視したものということは考えられないわけであります。従いまして、今回の改正案も、当然船舶の安全は確保できる、こういう前提に立って、しかも海運合理化の要請も、御承知のように非常に熾烈でございますので、そういう観点から提出したわけでございます。
#5
○上林山委員 ただいまのお答えは不十分であると思うわけですが、ただいまのお答えは、通信上支障がない、ないし人命の救助に対しても支障がない、これが重点であって、海運合理化政策は従である、それも参考にしたのであるけれども従である、こういうふうに聞いたのであるが、そう解釈していいのかどうか、お答え願います。
#6
○西崎政府委員 多少言い方がまずくて真意をお伝えできなかったことを残念に思いますが、この船舶無線電信局の使命をそこなわない範囲で、しかも海運合理化という強い要請がありますので提出したと申し上げたわけでございまして、もちろん徹底的な安全度――安全にもいろいろ度合いがあるわけでございます。しかし、これはやはり国際水準並みの安全度、こういうことを前提にいたしたわけでございます。
#7
○上林山委員 海上保安庁長官が見えておられるようですが、ただいまの私の質疑に対して、あなたの立場からはこれをどういうふうにごらんになっておるか。あなたとしては、きわめて重大な関心を持たれているはずだと思うわけでありますが、あなたの立場から考えて、今郵政省の電波監理局長が答えたことに遠慮をしないで、一つ率直に見解を示してほしい、こう思うわけです。
#8
○和田政府委員 私の方は、実はいわゆる海上保安業務ということを遂行いたしておりますために、当庁で全国で二十三ヵ所の海岸局を設けております。それから巡視船は八十八隻、これは大体八割行動いたしておりまして、無休で船舶局からの通信を聞く態勢になっております。従いまして、アメリカであるとか、大西洋であるとか、そういうところは別でありますが、日本周辺で起こりました海難あるいは緊急通信、重要通信につきましては、かりにこのような改正が行なわれましても、別段支障がないというふうに考えております。
#9
○上林山委員 かねてからこの問題にきわめて熱心なあなたの言われることだから、私もそのお言葉を額面通り信用してこれから質疑を進めていきたいと思います。
 そこで、西崎電波監理局長に伺いたいことは、生命の危険を保持することもこの程度なら十分である、通信もこの程度なら十分である、しかも国際水準に照らして十分である、こういうふうにおっしゃったのですが、最後の国際水準に照らして十分であるという基準は何か。ことにオートアラームは、この一年間にどの程度改良研究をされたか。一、二年前の状態では、オートアラームは完全無欠とはいえないような状態であった。この一年間にどの程度の改良が加えられたか。
 それから、きょうは電電公社が見えていますね。電電公社として海岸局をどの程度三十八年度に整備をするのか。三十九年度にはどういうふうに拡充して支障がないようにしておるのか。私は海運合理化政策を支持する一人なんですが、そうであるからといって、電波監理局長も答えている通り、生命の危険がないように、しかも国際水準のようにこれができるという自信を持ってでないと、これを審議する者としては、大きな事故が起こった場合、一体国会は何をしておったんだ、こういうふうにわれわれも責任を分担しなければならないので、単にいやがらせではなしに、私は前向きの姿勢でこれを聞いておるわけなんです。だから、そういう意味合いにおいて、具体的に答弁願いたい、こういうわけです。
#10
○西崎政府委員 安全性という面からいって、具体的にその度合いはどうなのかということでございます。御承知のように、船の安全ということにつきましては、海上における人命安全条約というものがございまして、必要な施設につきましては、国際的な基準がきめられてあるわけです。われわれの方としましても、そういった基準を国内法に移しまして、それによって律しておるわけでございます。たとえば、具体的にオートアラームという問題になりますと、その基準に照らして機器の形式検定というものをやっております。従って、その国際的な基準に合致しておるかどうかということを具体的に検査する機会があるわけです。そうして、それによって郵政省としての検定合格証というものも出しておるわけであります。そういった意味で、日本のオートアラームは国際水準に、あるいは国際的な基準に合致しておる、こういうことがいえるわけでございますけれども、なおわれわれは、これだけで満足しないで、実際に船に装備した場合にどうなんだということで、過去数回にわたりまして、実地に試験をいたしました。最近におきましては、お手元に先般差し上げました資料にも報告さしていただいてあるわけでありますが、外国の製品、それから日本の製品等を装備しまして、いろいろ比較試験もやって参ったわけであります。その結果は、大体において同じところまでいっておる、こういうふうな結果が出たわけでございます。またもう一つ、これは多少蛇足になるかとも思いますけれども、オートアラームの機械というものが、そう高いものじゃございません。国産の製品で約五十万円、それから外国製品でも八十万円程度でございます。こういったように、貿易の自由化の時代も控えまして、もし国内製品に不安があるというふうな向きは、外国製品を使われても一向差しつかえないわけです。そういった点から見まして、少なくともオートアラームに関する限りは、外国並みの安全性が確保できるのじゃないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
#11
○本名委員長 岡田修一君。
#12
○岡田(修)委員 昨日に引き続きまして御質問いたしたいと思います。
 きのう、船舶無線通信士が今度の改正によって何人満員になるのか、その法定定員から見た経過期間中の需給の状況といいますか、それをお知らせ願いたい、こういうことを申しておいたのですが、まだ資料ができてないようでございますので、口頭でけっこうですからもう一度御説明を願いたい。
#13
○若狭政府委員 お尋ねの船舶通信士の需給の見通しにつきまして御説明申し上げます。
 御承知のように、船舶通信士には船舶職員法上甲種船舶通信士と乙種船舶通信士及び丙種船舶通信士と三種類あるわけでございますけれども、今法律改正と関連いたしまして問題になりますのは、甲種船舶通信士及び乙種船舶通信士でございます。これにつきましては、実在の人員と、それから法定の定員との間に相当の開きがございまして、具体的に申し上げますと、現在船舶の通信士として海運関係に在籍いたしております者は、甲種船舶通信士で千八百六十八名、それから乙種船舶通信士で千三百久程度というふうにわれわれは考えておるわけでございます。しかしながら、法定の定員数は甲種船舶通信士は千二名でございます。それから乙種船舶通信士は九百三名、これが今後の見通しといたしましては、新造船のために配慮しなければならない人員、それから現在人員の減耗補充のために必要とする人員が考えられなければいけないわけでございますけれども、そのほかに、船舶の乗組員の中には予備員というものがございまして、大体船舶通信士関係におきましては、乗組定員の二五%程度を予備員として現在保有しておるという状況でございます。従いまして、こういうものを総合的に考えますと、甲種船舶通信士につきましては、昭和三十八年度におきましては、新造船及び減耗補充等を入れまして千四百六十八名の甲種船舶通信士が必要になって参ると考えられるわけでございます。しかしながら、先ほど申しましたように、現在の実在の人員は千八百名余りでありますので、約四百名程度の過剰が出てくるわけでございます。それから乙種船舶通信士につきましては、現在の法定定員は九百三名でございます。これに予備員及び新造船の所要人員並びに減耗補充というものを加えまして、法定九百名に対して約千二百九十一名の乙種船舶通信士が必要になってくるわけでございます。従いまして、実在の乙種船舶通信士千三百名に比べますと約十名の過剰が出てくるというような状況になるわけでございます。ところが、三十九年度に至りますと、新造船及び減耗補充等を加えまして、甲種船舶通信士につきましては百九十名程度の余剰が出て参りますけれども、乙種船舶通信士につきましては約九十二名の不足が出て参るわけでございます。それから四十年度に参りますと――現行法の改正が通った場合を想定して言っておるわけでございますけれども、四十年度に参りますと、甲種船舶通信士につきましては二十二名の不足、それから乙種船舶通信士につきましては百九十二名の不足という状態になって参るわけでございます。四十一年度に参りましては、甲種船舶通信士につきましては二百二十五名の不足、それから乙種船舶通信士につきましては、法律改正後四年目から乗組定員が一名となりまして、甲種だけになる船舶が急増いたしますために、乙種船舶通信士が三百八十六名余剰が出るという状況でございますけれども、四十二年度にいきましては、甲種船舶通信士につきましては四百六十四名の不足、乙種船舶通信士につきましては二百六十名の不足というような数字が出て参りまして、年度別に多少の過不足――余剰人員というものはもちろんあるわけでございますけれども、約五年程度を通じて見ますと、昭和四十二年末におきましては、通信士全体といたしまして約六百名の不足人員が出てくるというような状態でございます。現実の問題といたしまして、法定の定員数というものと、実在の甲種及び乙種の資格の定数というものは必ずしもマッチいたしておるわけではございませんで、現在約七百名程度が甲種船舶通信士の資格を持ちながらも乙種の仕事に従事しているというものもあるわけでございますので、甲種及び乙種の法律の制度の変更による過不足の問題は、現実的に七百名程度の甲種船舶通信士によって十分調整がとれるというふうにわれわれは考えておるわけでございます。
#14
○岡田(修)委員 ただいまの説明によりますと、今度の法律改正によって、さしあたりは多少の剰員は出るけれども、二年あるいは三年後においてはほとんど剰員はなくなる、その後においては、むしろ非常に船舶通信士の不足を来たすといいますか、このまま新たな補充がなければ、相当数の不足を来たす、こういうふうに了解されるのですが、要はこれによる原因によって、船舶無線通信士については、何ら失職あるいは離職の心配はない、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。
#15
○若狭政府委員 船舶通信士の雇用の安定でございますけれども、これにつきましては、先ほど労使間におきまして新規採用の停止に関する協定が成立いたしまして、各海運会社で余剰となる船員については、各海運会社相互間において雇用調整のための委員会を設けてその余剰船員な吸収する。それから雇用調整委員会において解決できなかった余剰船員については、労使の間で雇用調整協議会をつくりまして、それによって余剰船員の処置をつける。そうしてその結果なお処理できない船員については、労使間において協議して、必要とあれば失業保険の適用という問題もございますけれども、最終的には雇用の関係は切らないでそのままにしておく、そして日本海運全体の中でその余剰の船員を処理しようという協定ができ上がったわけでございます。これは船舶通信士だけではなしに、船員全体の問題でございますけれども、そういう協定ができ上がったわけでございまして、船会社相互間の融通が円滑にいくということによって、われわれは失業というような事態は起こらないだろうというように考えておりますし、また現実の問題といたしましても、先ほど申し上げましたように、過剰の通信士が出るということは、非常に過渡的な問題でございまして、現実の船舶への配乗その他の時間的のズレという問題を考えますと、おそらく何らの困難なしに、こういう雇用の問題は不安を与えないで解決できるというように考えておるわけであります。
#16
○岡田(修)委員 ところで、船舶無線通信士につきましては、海上の方でそういうように定員削減の動きがある一方、陸上の方においても相当の需要がある、こういうことで、もともとつらい海上勤務をいやがってどんどんおりていく傾向がある、こういうことで、今後さらにこれを補充しようと思っても非常に困難じゃないか。特に、現在のように三名あるいは二名乗っておると、海上勤務における無線通信士の孤独性というものは緩和されるけれども、これが一人になると、孤独感が非常に強くなる、そういうことで海上から離脱する傾向が非常に強いというのですが、最近における状況はいかがですか。
#17
○若狭政府委員 お答えいたします。通信士の需給関係でございますけれども、一昨年から昨年にかけまして陸上産業への転出というものが非常に多うございまして、無線局をあるいは閉鎖してしまう、あるいは通信士の獲得ができないために出港を見合わさなければならぬというような状態が非常に頻繁に出ておったわけでございますけれども、最近におきましては、陸上の設備投資の抑制というような問題も影響しておるためでございますか、いささかそういう傾向は減少をしてきたのではないかというふうに考えるわけであります。ただ、学校卒業者につきましては、毎年海運界から三百名程度の新規採用の申し込みを電波関係の各学校に出しておるわけでございますけれども、それに応じて海運界に職を求めてくる者は大体六十名足らずというような現状でございます。しかしながら、現在の法律のままでおりますと、年間減耗補充を入れまして、大体三百名程度の新規の採用を必要としておるわけでございますので、六十名程度の学校卒業者ではとうていまかない切れないわけでございまして、その間、民間におります高齢者というようなものを海運界にひっぱってくる、あるいは内航の義務船舶でない船舶無線局からひっぱってくるというような、いろいろな手段を現在講じておるような状況でございます。
#18
○岡田(修)委員 運輸省の方から船員の各国の賃金比較表をもらったのですが、それによりますとアメリカはべらぼうに高い。これは別にして、英国、ドイツ、フランス、それに日本、これを比べてみると、日本の無線通信士の給料は割合にいいように見受けられるのですが、この点御説明を願いたい。
#19
○若狭政府委員 この表は二枚目の備考欄にいろいろ詳細な御説明が書いてあるわけでございますけれども、通信士の給与につきましては、日本船につきましては月間十五万四千六百四十五円という数字が出ておりますけれども、これは三名の金額でございます。アメリカ及びノルウェー、西独等につきましては一名でございます。給与ベースといたしましては、日本船の方がはるかに低いわけでございます。なお、この表全体といたしましては、各国の賃金制度についていろいろな相違点がございます。たとえば日本船の給与の実態はこういう状態でございますけれども、この表に現われない、たとえば予備員費というようなものにつきましては、日本だけの制度でございまして、外国にはそういう制度はないわけでございます。従いまして、この予備員費というものを入れて考えますと、大体この給与の一割程度のものを考えるのが実態に合うのじゃないかというふうに考えるわけであります。それから、たとえばアメリカの賃金でございますけれども、これは非常に高額な賃金でございますが、具体的には冬航路別に競争国の低い方の賃金と、それからアメリカ船の船員の賃金というものの差額につきましては、運航補助の中に含めて補助しているというような状態でございます。
#20
○岡田(修)委員 あなたの方からいただいた資料の三枚目を見ますと、通信士の給料、イギリスの場合は大体三万七千円、西独は七万六千円、フランスは四万二千円、これは基本給ですが、これに相当するものは日本は五万三千円だが、実際の賃金は七万三千円である。ノルウェーは実際の賃金で八万三千円。今あなたの話のように、これに予備員費を加えるとほとんどノルウェーに近いし、あるいはフランスだとか英国よりも日本の方が非常に高くなっておる。そのほかに二通、三通が乗っておる、こういうことになるのですが、この点はいかがですか。
#21
○若狭政府委員 日本の通信士は、御承知のように船舶の職員といたしまして、たとえば通信長は一等航海士、二等通信士は二等航海士、三等通信士は三等航海士あるいは機関士というところと同格の基本給、最低保障本給を労使間において協約いたしておるわけであります。ところが外国の状況は、大体におきましてそういろ職員としての待遇ではなしに、日本でいういわゆる部員でございます。部員としての待遇をしている国が非常に多いというところが、こういうような給与の差が出てきておるのではないかというふうに考えるわけでございます。
#22
○岡田(修)委員 ただいま外国では部員として待遇し、日本ではいわゆる船長、機関長待遇にしておる、こういうことでございますが、その点ちょっとわからないのです。といいますのは、私の過去の経験ですが、当初日本でも無線通信士は戦前においては一人だったのですが、メス・ルーム待遇といいますか、一般士官待遇であって、船長、機関長、あるいは一等機関士とは別の待遇をされておった。これに対して非常に不満があって、その後船長、機関長、一等機関士なんかと同じ待遇になった。私はこれは非常にけっこうなことだと思っておりましたが、しかし今の話では、外国では日本の昔のような状態のままに残されておる、こういうことでございますか。
#23
○若狭政府委員 わが国の制度といたしましては、先ほど申しましたように通信長は一等航海士、二等船舶通信士は二等航海士、三等船舶通信士は三等航海士と同格の最低保障本給が与えられ、職員として待遇されておるわけでございますけれども、外国におきましては、通常職員ではなしに、部員として待遇されておるものが非常に多いということを申し上げたわけでございます。
#24
○岡田(修)委員 私がただいまああいう質問を申し上げましたのは、日本の無線通信士の給料が非常に高いからこれを下げろとかなんとかいう意味ではございません。ことにこの法律改正によって無線通信士の乗組員が一人になりますると――その勤務がそう過重になるとは思いませんけれども、精神的な苦痛というものは非常に多くなる。従って、これに対しては、それを償うべきできるだけの待遇をいたすべきである、私はこう考えます。しかし、一面において外国船は一人だ、日本船も一人にするのならば、その待遇も同じようにすべきではないか、こういう意見があるやに聞き及びますので、その外国との無線通信士の給料の比較についてお伺いしたわけであります。これで見ますと、ほかの乗組員の給料が日本と外国と比べて相当差があるにかかわらず、無線通信士に関してはそう大きな差がない、こういうふうにこの表では見たのですが、いかがでありますか。
#25
○若狭政府委員 船舶通信士が船舶職員として船舶職員法に取り上げられましたのは昭和十九年の船舶職員法改正によってでございます。そうしてそれによりまして三名の乗組員が法律上義務づけられまして、さらに昭和三十二年の改正におきまして、船舶通信の通信長という制度が設けられたわけでございます。こういう例は各国に例がないわけでございまして、われわれといたしましては、船舶通信というものは非常に重要なものであるという意味で、船舶職員法に取り入れて参ったわけでございますけれども、それが具体的な賃金の体系の中にも取り入れられておるというように考えておるわけであります。
#26
○岡田(修)委員 運輸省の船舶局長がお見えであり、かつわれわれの手元に船舶の自動化に関する資料が配られてあるのですが、これによりますと、今後の乗組員の推移予想表というのがついておる。これは一番最後のところですが、これによりますと、現在四十七名なり四十二名乗っておるのが十年後には二十名くらいになる、こういう表が出ておるわけです。
 それからその前の、最近の計画造船における乗組員比較表を見ましても、十五次船では、三井の船が四十五名だったのが十七次では三十五名、非常な減少を来たすわけですが、この表について、一つ船舶局長から御説明願います。
#27
○藤野政府委員 今御提出申し上げた二つの表につきまして御質問がございましたが、これは運輸省が造船界を数年にわたって指導いたしております結果であるというふうに御説明できると思うのです。と申しますのは、国際海運の国際競争力を強化いたしますために、運航費の節減をいたしますためには、どうしても船を合理化、近代化あるいは自動化しなくちゃならぬということ、それから造船は重要な輸出産業でございますので、外国の船主にその好む船舶を提供して、競争国を打ち負かして輸出の伸張をはかるという、二つの目的で指導をして参ったのでございます。お手元の資料の最初にどのような施策を講じてきたかという具体的なことを、恐縮でございますが、こういうふうな点で自動化がされたということがおわかりいただけると思います。と申しますのは、簡単に申しますと、今まで船が人間の節減につきましてあまり大きな関心を持っていなかったのに、最近このようになりましたのは、時勢のしからしむるところでございまして、船が技術革新の波に乗りおくれておるということがいわれておりました。これは事実でございまして、おくればせながら船を近代化いたしまして、人数も大幅な削減をし、多人数でやっております作業は小人数でやる。人間のやっておることは機械力にたよる。現場におもむいて調整とか点検とかあるいは記録をとっているのは一ヵ所にまとめてやる。それから点検とか整備とかいうことは行なわないで済むようにするというようなこと、あるいは本人は現場でそれをいろいろいじくらないで、操舵室で、ブリッジで直接これを遠隔操作するといったような考え方で、技術の研究開発をして参りました結果が、この第四表のような、今先生の御指摘のような、大幅な乗員の節減という事実になって現われておるわけでございます。最後の表で、「今後の乗組の推移予想表」につきましては、現在の技術の開発研究の段階から推測いたしますと、このような、将来、貨物船は二十人あるいは油槽船では十九人程度に四十五年度にはなるであろうというふうな予想を立てた次第でございます。
#28
○岡田(修)委員 これで見ますと、職員の方はあまり減らないで、いわゆる部員の方で非常に減少を来たすようですが、むしろ技術関係とか職員の方でもう少し減らなければおかしいということは何ですが、職員の方で減る余地はないのかどうか。部員といいますと、どっちかというと、あまり高級な仕事をするものではない、職員の命を受けて、単なる一般の事務的なことをやるにすぎない、あるいは程度の低い技術的なことをやるにすぎないと思うのですが、この点はいかがですか。
#29
○藤野政府委員 士官と部員と比べて、減員の程度が、部員の方が多く、職員の方があまり減ってないじゃないかという御質問でございまするが、これは実際の職務の配分あるいは就労体制からきております。また、その範囲は、法規による法定要員という点から削減できないで、このようなアンバランスな結果になっておるというととも申せるわけでございます。
#30
○岡田(修)委員 この自動化の推移を見ますると、非常な定員減少になる、こういう中で無線通信士だけが現状のままでいったのでは、海上における労働配置に非常なアンバランスを来たすということが非常にはっきり出ると思うのであります。そういうことを認識する上において非常におもしろい表ではないかと私は考えるわけであります。
 そこで、電波監理局長さんにお尋ねするのですが、あなたの方からいただきました「電波法の一部を改正する法律案に関する資料」によると、日本船の一隻一日当たりの取り扱い通数は四・七通、この船が海岸局と連絡をして通信を終える所要時間が約五分、こういうふうに書いてありますが、この点御説明願いたい。
#31
○西崎政府委員 この点は、ここにも書いてありますように、電電公社で調べていただいたのであります。もしお許しを得られるなら、公社の方から御聴取願った方がいいのではないかと思います。
#32
○山下説明員 私の方で実際に取り扱った通数について調べました結果が、一隻当たり一日平均四・七通になっております。それに要する所要時分については、実際の通信の時分以内にいろいろと一括呼び出しを聞くとか、沈黙時間というのがございますので、実際上公衆電報を通し得る時間をはかりますると、一時間に大体十二通くらいはかせることができる条件になっておりますので、それで一時間を十二通で割った結果、一通当たり平均通信以外の時分をも含めて、五分間程度かかる、そういうふうに計算したわけであります。
#33
○岡田(修)委員 私は船舶通信のことはよくわかりませんから、こういう推論になるかと思いますが、一隻当たり四・七通、約五通、一通の所要時間が五分ということになると、船一隻通信のために働く平均時分というものは約二十五分間、こういうふうに解釈できますか。
#34
○山下説明員 船に乗っておられる無線通信士の方がどれだけ働いておられるかということは、私の方では直接わかりませんけれども、私の方の海岸局から見て、海岸局と船との間の通信時間を見ますると、そういう結果になるわけでございます。
#35
○岡田(修)委員 今まで三人でやっておったのが今度一人になった、そうすると、無線通信士の労務というものは非常に過重になるのではないかという議論が一部にあるわけであります。はたしてそうであるかどうかということを、今申し上げたような数字でお尋ねしたわけですが、皆さん方の方からお考えになって、そういう点どういうふうにお考えになるか。おそらくこれだけの時間じゃないと思うのです。海岸局へ連絡しても、海岸局が一ぱいでなかなか通話ができない、何回もそれを繰り返しますから、おそらく今機械的に五に五をかけて出た二十五分ということじゃないと思う。それに何倍かする時分だと思うのですが、それにしてもそう心配したものじゃないんじゃないか、かように考えられるのですが、そういう点、皆さん方はどういうふうにお考えになりますか。
#36
○山下説明員 電電公社の設備が足りないとか、非常に通信が輻湊しているようなときのことは別といたしまして、私の方から見ますると、ただいま先生がおっしゃったように、それほど負担が過重であるとか、通信士が足りないがためにどうだというようなことはないように思っております。
#37
○岡田(修)委員 それからやはりこの資料の四に、これは電波監理局長にお尋ねするのですが、主要海運国の船舶無線電信局の執務時間別局数というのが書かれている。それによると、二十四時間勤務のところは、アメリカが二十、イギリスが七十四、それに対して日本は五百三十六、十六時間勤務のところは、アメリカがなし、イギリスが二十四、日本が三百六十五、八時間のところは、アメリカが八百五十九、イギリスが二千二百三十二、日本はこれに反して二百五十七、こういうことになっておりまして、その次の不定執務局が各国は相当あるのですが、日本は全然ない。私は、もう一つこの面における知識がないのですが、不定執務局というのはどういうものであるか。それからもう一つ、アメリカとかイギリスは二十四時間局あるいは十六時間局が多いのは、これらの国には旅客船が相当多い、こういうことで、この二十局なりあるいは七十四局なるものが存在するんだと思うのですが、その辺、どういうふうにこの表を解釈していいのか、御説明願いたい。
#38
○西崎政府委員 今、先生御指摘のように、この表から見ますと、執務時間という点から見ますと、国際的に相当均衡を失した状態になっておることは事実だと思います。
 それから、不定執務局のお尋ねですが、これは御承知のように、現在国際電気通信条約によりまして、船舶無線電信局の種別を第一種局、第二種局、第三種局というようにいたしておるわけでございますが、そのうちの第三種局、すなわち二種局の執務時間よりも短い時間の執務、言いかえれば四時間であるとか二時間であるとか、それからまた、今度裏時間制というのを採用しようとしているわけですが、それはこの規則で時間の定めのない執務、すなわち、この国際的にきまった時間割によらない、こういうものをひっくるめまして不定執務局、こういうふうに言っております。それでこれは専門的なあれですが、HX――たとえば二十四時間の場合にはH二四、十六時間の場合はH一六、八時間の場合はH八というふうに呼んでおりますが、不定執務の方はHXこういうふうに呼んでおります。
 それから最後にお尋ねの、よその国における二十四時間、十六時間というのは、先生がおっしゃいましたように大半が旅客船に該当しておるもの、こういうふうに思っております。
#39
○岡田(修)委員 この不定執務局というのは、海上安全条約で規定している船舶無線局に該当するものなんですか。あるいはそれ以外のものもこれに含まれているのですか。
#40
○西崎政府委員 これには国際航海に従事するものもありますし、国内航路に従事しているものといったものも一部あると思います。
#41
○岡田(修)委員 この提案理由の中に、無線機器の発達状況にかんがみ、こういう言葉があるんですが、この無線機器といっている中には、オートアラーム以外に何か機器があるのですか。
#42
○西崎政府委員 このオートアラーム以外の無線の送信機であるとか受信機であるとか、こういうものの障害が少なくなった、あまり手がかからないということも含んでおりますし、また新しく気象放送をファックスして受信するといったようなそういう施設もできて参っております。そういったことを総称しておるわけでございます。
#43
○岡田(修)委員 オートアラームにつきましては、先ほど上林山委員から質問がありましたから、重ねて質問することを省略いたしまするが、ただもう一度、現在のオートアラームの信頼性について、あなたの御説明を求めたいと思います。
#44
○西崎政府委員 従来われわれの方で試験をした結果等につきましては、お手元の資料に報告さしていただいておるわけであります。それは率直に申しまして、従来ほとんどの船舶無線電信局には三百制と申しますか、三人の通信士を配置しておりますために、日本船におきましては、しいてオートアラームをつけなければならぬということはなかったわけであります。言いかえますと、それだけ国産のオートアラームとしてはマーケットが狭かったということで、それは率直に申しますれば、外国のしかも先進国の製品に比べましては、やはり多少見劣りするような、そういう製品もないではないわけであります。しかし、われわれが先ほど申し上げましたいろいろな試験の結果からいきますと、国際的にきめられた基準には合致しておる、言いかえれば国際水準まではいっておる、こういうことは言えると思っております。
#45
○岡田(修)委員 この前電波監理局長に、電波教育連盟からの陳情書について一つお尋ねしたのです。それは夏時間の執務が国際条約の精神に反するじゃないかと言うと、これはそうじゃないので、国際電気通信条約上当然認められている制度である、こういうあなたの御説明です。ところが、その陳情書にさらにこういうことをいっておる。「裏時間執務制定の結果第二種局甲乙とも裏時間の執務を余儀なくされる。即ち無線連絡設定、交信時間の協定及び通報送受等並びにその前提としての聴守のため、一日八時間執務の船舶局は十六時間の執務を強いられ、一日十六時間執務の船舶局は二十四時間の執務を強いられ、全船舶は事実上二名又は三名の船舶通信士の配置を必要とするに至る。この場合法定定員を固執するにおいては労使の紛争激化は必定で、ために船舶運行に支障を及ぼす事態の発生が予想される。」こういうことをいっておるのでありますが、この点についてどういうふうにお考えですか。
#46
○西崎政府委員 実はわれわれの方でもこの陳情書をいろいろ読んでみたのですが、どうもその真意がよくわからないわけであります。われわれの方としましては、こういったことはない、こういうふうに思っております。それからまた、船同士の通信という点で不便があるんじゃないかということでございますが、これは裏時間のきめ方によってそういう点は救済できる、こう考えております。
#47
○岡田(修)委員 海上保安庁長官にお尋ねするのですが、やはりこの陳情書の中に、世界における海難件数の三分の一以上はわが国船舶によって占められている、こういうことがあります。世界における海難件数の三分の一以上というと大へんな件数なんですが、はたしてこれだけの件数があるのでしょうか。近海における海難は非常に多い。しかしその海難の大部分は、従来から無線通信設備を持たない漁船であるとか、あるいは小型の機帆船、こういうものが日本は非常に多いわけです。そういうものの海難がほとんど大部分を占めておるんじゃないか、こういうふうに私は理解するのですが、あなたのお考えを一つ聞かせて下さい。
#48
○和田政府委員 実はこの書類を私どもの方もいただきまして、担当の課長からこの書類をおつくりになった方に伺ったのでありますが、私の方としては、大へん失礼な申し分ではございますが、推測の数字が入っておるやに存じます。と申しますのは、実は、日本は大体一年約三千五百隻、一日に十隻程度海難があるわけでございます。海難が多いことは事実でありますが、世界の統計をとりたい、それとの比較において検討してみたいというふうに考えまして、各方面に照会し、また国会等でもそういう統計の御要求がありましたので調べたことはございます。しかし、調べました結果、わずかにわかっておりますのは、北米合衆国程度でございまして、他のヨーロッパの先進国では幾らか回答があり、また、世界的に海難の全体の統計というものはございません。おそらくこれは今先生の御指摘の通りでございまして、最近の傾向を申しますと、やはり漁船、機帆船、それからその他の船舶、そういったものの海難が非常に多うございまして、これはトン数で申し上げますと、三十六年の統計でございますが、約三千三百四十一隻の海難がございました。百トン以上が七百三十六隻でございます。三十七年は非常に海難が減っておりまして、二千八百六十隻、このうち百トン以上のものが七百二隻でございます。さらに千トン以上にいたしますと、三十六年は五十二隻、三十七年七十六隻、この百トン以上から千トンまでのものにつきましても、無線電信等を持っておるものは非常に少なうございまして、たとえば機帆船等につきましてはゼロといったような状態でございます。実際に具体的に海難関係で無線設備を持っておった海難は――海難と申しましても全部が沈没ではございません。とにかくそういう海難というものは、昨年の実績では二百九十九隻、無線電話のみを持っておったものが五百六隻でございまして、こういう通信施設を持たないという、以前の非常に弱小な船舶がたくさん海難を起こしておるというのが実情でございます。
#49
○岡田(修)委員 最後に、これは電波監理局長さんにお尋ねしたいのですが、この法律で三年間の経過期間を設けておられるが、この経過期間をなぜ必要としたか、その理由と、法律実施までに四ヵ月の期間を置いている、この四ヵ月の期間がなぜ必要か、この点をお伺いいたしたいと思います。
#50
○西崎政府委員 最初に三ヵ年という経過期間を設けました理由でございますが、三ヵ年間にやることといたしましては、まず海岸局の施設を整備してもらう、それによって――現在の施設では通信のピークがございまして、はけ切れないといった現象を救おうということでございまして、この点につきましては、何でしたらあとで公社の方から説明があると思いますが、こういった海岸局の対抗設備を整備するために、三ヵ年の日時が必要だ、こういうわけでございます。なお、そのほかに先ほど来問題になっております裏時間の適用範囲をどういうふうにしたらいいのか、あるいはまた、これは最後の手段ですが、通信規制という問題についてもいろいろ検討をする期間が必要ではないか、そういった意味で三ヵ年間の経過期間ということを考えたわけでございます。
 次に、施行を四ヵ月の後ということにした理由は、これに関連しまして、電波関係の規則をこの法律に基づきまして改正する必要があるわけでございます。ところが、電波関係の規則は、その多くの部分がやはり聴聞という制度を活用する必要があるわけでございまして、そのためにやはり四ヵ月程度の期間が必要である、こういうわけでございます。
#51
○山下説明員 ただいま監理局長からもお話がありましたが、この法律が成立いたしますれば、電電公社といたしましては、現在設備の稼働をもっとふやすための措置を講じますと同時に、ある程度の周波数をいただきまして、新しい施設を増強したいと思っておるわけであります。それにはいろいろな設備をつくるための期間がかかりまするし、まあそういうことのためにああいう猶予期間を置いていただきたいと思っておるわけでございます。
#52
○岡田(修)委員 今の電電公社の御説明に関連して何か具体的に三ヵ年間にこことここはどうしたい、こういうふうな計画をもうすでにお立てになっておりますか。
#53
○山下説明員 これは案としては持っておりまするが、本案が通過いたしましたあとの臨時措置期間中におけるいろいろな通信の状況等を見てから、最終的にはきめることになりますけれども、とのことによって、それほどいろいろな方に御迷惑をかけないような準備はすべていたしております。
#54
○岡田(修)委員 これで終わります。
#55
○本名委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は来たる二十七日、午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、これにて散会いたします。
   午後三時一分散会
ソース: 国立国会図書館
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