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1962/03/26 第43回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第043回国会 大蔵委員会 第23号
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1962/03/26 第43回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第043回国会 大蔵委員会 第23号

#1
第043回国会 大蔵委員会 第23号
昭和三十八年三月二十六日(火曜日)
   午前十時三十五分開議
 出席委員
   委員長 臼井 莊一君
   理事 足立 篤郎君 理事 鴨田 宗一君
   理事 毛利 松平君 理事 山中 貞則君
   理事 吉田 重延君 理事 有馬 輝武君
   理事 平岡忠次郎君 理事 堀  昌雄君
      安藤  覺君    天野 公義君
      伊藤 五郎君    宇都宮徳馬君
      大久保武雄君    岡田 修一君
      金子 一平君    川村善八郎君
      久保田藤麿君    田澤 吉郎君
      田中 榮一君    濱田 幸雄君
      藤枝 泉介君    坊  秀雄君
      佐藤觀次郎君    滝井 義高君
      坪野 米男君    武藤 山治君
      春日 一幸君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 田中 角榮君
 出席政府委員
        公正取引委員会
        委  員  長 渡邊喜久造君
        公正取引委員会
        事 務 局 長 小沼  亨君
        大蔵政務次官  原田  憲君
        大蔵事務官
        (主計局次長事
        務代理)    岩尾  一君
        大蔵事務官
        (主計局法規課
        長)      上林 英男君
        大蔵事務官
        (関税局長)  稻田 耕作君
        大蔵事務官
        (理財局長)  稻益  繁君
        大蔵事務官
        (銀行局長)  大月  高君
        厚 生 技 官
        (医務局長)  尾崎 嘉篤君
 委員外の出席者
        大蔵事務官
        (理財局資金課
        長)      堀込 聡夫君
        大蔵事務官
        (銀行局検査部
        長)      佐々木庸一君
        文部事務官
        (大学学術局大
        学病院課長)  板谷 健吾君
        専  門  員 坂井 光三君
    ―――――――――――――
三月二十六日
 委員岡良一君辞任につき、その補欠として滝井
 義高君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員滝井義高君辞任につき、その補欠として岡
 良一君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国立病院特別会計法の一部を改正する法律案(
 内閣提出第二二号)
 外貨公債の発行に関する法律案(内閣提出第二
 五号)
 中小企業高度化資金融通特別会計法案(内閣提
 出第七九号)
 関税定率法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出第一〇六号)
 金融に関する件(歩積両建問題)
     ――――◇―――――
#2
○臼井委員長 これより会議を開きます。
 国立病院特別会計法の一部を改正する法律案、関税定率法等の一部を改正する法律案、外貨公債の発行に関する法律案及び中小企業高度化資金融通特別会計法案の四案を一括して議題といたします。質疑を続けます。通告がありますので、順次これを許します。堀昌雄君。
#3
○堀委員 最初に国立病院についてちょっと伺いたいのですが、一体国立病院は何のために設けられておるのか、国立病院が設けられておる趣旨を、一つ厚生省の方から承りたいと思います。
#4
○尾崎政府委員 国立病院は、終戦におきまして陸海軍の病院が要らなくなり、また海外からの引揚者に対しての医療だとか、当時の日本の国内の医療機関がだいぶ荒廃しておりましたので、その医療を確保するというふうな立場で、陸海軍病院を一般の用に転用する、そういうふうな事情から生まれたものでございまして、初めに国立病院自身を一定の目的でつくり上げていったというものでは大部分のものはないわけでございます。現在において国立病院の運営をします考え方といたしましては、この直営いたします国立病院をもちまして日本に適正な医療を普及し、また医療水準の向上に当たらしていく。特に一部のしっかりした病院は、各地区々々、北海道ブロックだとか東北、関東というふうな各ブロックにおきましての中心病院として、そこの中の大学等の問題もございますが、医療水準の最も高いものへそれを仕立てていく。できればそこにおきまして、その地区の最終的な、最高の医療を受けさせるようなところまで持っていきたい。また医者とか看護婦その他の教育、再教育というふうなものにつきまして、これを使っていくようにしていきたい。こういうふうな考え方を持ちます基幹病院、またそのほかの、府県府県におきましての中心病院というふうな性格を与えられておるものもございますし、そういうふうな地区々々におきましての病院の全体計画のもとの与えられた性格をそこで実現していく。またガンだとか高血圧だとかいうふうな特殊な疾病、その診療をいたします器具等には相当に大きな投資が要る、またそこに医者、看護婦等においてのエキスパートが要るというふうなのもにつきまして、ガン・センターをやるとかいうふうな仕事、また温泉治療というふうな、どちらかというとあまりバランスがとりにくいというような仕事につきましてやっていく。いろいろその病院々々につきまして、基幹病院以外はその特性に応じまして性格づけをいたし、そうして運営をしておる、こういうふうな状態でございます。
#5
○堀委員 今の国立病院の沿革としては軍の病院だったようですが、現在においては、今お話を聞きますと適正医療を普及するための一つのモデル病院という方向を考えておるということであります。実は私、考え方はそれで非常にいいと思うのですが、現実がはたしてそういう方向にいきつつあるかどうかという点に、それは沿革もありますから十分でない点があろうかと思うのです。そこで、まずあなたが今ここでおっしゃった適正医療の普及なり、最高の医療水準への方向、あるいは再教育なり基幹病院の問題というものを充足できておる国立病院が、それは完全にとはいかないかもしれませんが、おおむね充足できておる国立病院が今ありましょうか。
#6
○尾崎政府委員 まず全般につきまして適正な医療の普及と申しますか、これにつきましては、特別会計でやっておりますけれども、必ずしももうけ主義でやっているわけでなく、そこに勤務しております医者として必要と認めますものをどんどんやらすというふうにいたしまして、健康保険の点数以上のものはとらないでそれを実施しておりますので、私は適正な医療の普及には全般としては役立っておると思います。
 それから医療水準の向上につきましては、全部の病院がその地区での最高のものだと申すつもりはございませんが、しかし大部分の病院はその地区におきましての医療の水準の向上には役に立っておるのではないかと思うし、またそのうちの各ブロックの基幹病院につきましては、東京、仙台、名山尾、金沢、大阪という、ふうなところは、そこの地区においての中央病院的な役割をかなり実施している域に近寄っておると思います。それから北海道、岡山が今その点レベルを上げるように努力しており、特に岡山はまだ開設後二年くらいでございますので、その努力をしております。それから福岡はつい二カ月ほど前に開設いたしましたので、今からでございます。しかし九州大学、久留米大学等から相当講師、助教授級の方をいただきまして、これは今からどんどんよくなっていくものと考えております。そういうふうに基幹病院はかなり成果を上げておると思います。
 それから地区々々の病院につきましては、それ以外の県の中心病院なら中心病院というものにつきましては、建物は必ずしもよくはございませんが、そのスタッフ、特に検査機構等をこの三、四年間大蔵省関係にも御理解願いまして急速な充実をいたしましたので、そのような点で病院間では今かなり地位が上がってきておる、よくなってきておると思います。ただ建物の関係があまりよくないものでございますので、その関係を少しスピード・アップしようとして、この特別会計法の改正をお願いし、借入金等によって整備を急速にやっていきたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
 それから温泉関係の病院につきましては、日本で温泉病院として運営しておりますものはごく少なく、国立がその特殊なものではないかと思います。
 ガン関係につきましては、がんセンターは御承知の通り整備が大体終わりまして、日本の中心病院としての役割を果たせるものだと私自身思っております。
#7
○堀委員 実は今伺って、大体東一なりそういうところは新しい今の考え方による国立病院のいろいろな諸条件を備えておると思いますが、最初にこの問題の中で東一を例にとって伺いたいのですけれども、適正医療の普及という場合に、日本では今御承知のように皆保険ということになりました。皆保険になって保険でそのまま入院できるベッド数ですね、要するに差額をとられないで入院できるベッド、これが私は今の日本の医療として一番普遍的なものであるべきだと思うのです。今医務局長は、国立病院というのは大体もうけ主義をとらないでやりたいとおっしゃった。私も国立病院というのはもうけるためにあるのではなくて、今おっしゃったような適正医療の普及、医療水準の向上あるいは医師、看護婦の再教育としての機関、こういうふうな国が当然施設その他に費用をかけて、国がやるという以上は、そこに一つの病院としてのモデルをつくりたいのだろうと私も考えておるのですが、そうするならば、そういうところの病院はすべてが同じ条件で治療を受けられるのが当然だと思うのです。その中に所得の多い人は特別の部屋に入り、そうでない者は別途の差別をされたような待遇をされるというのは、私は国立病院というもののあり方から見ていかがかと思うのです。国立東京第一病院において、私はよく調べておりませんが、普通に保険でそのまま入れる部屋とそれ以外の差額を徴収しておる部屋との関係、一等、二等、三等という級別があればそういう級別等の実情もちょっと伺います。
#8
○尾崎政府委員 国立病院におきまして一等、二等、三等というふうな区別はつけておりません。ただ中で、小部屋という一人だけの部屋とそれ以外のものとがあります。二人部屋、三人部屋、四人部屋、六人部屋もあるかと思いますが、外国のように二十人、三十人というふうな大部屋は今はほとんどなくするような方向で進んでおります。昔のものがありましても中仕切りをしておるというふうな状態でございます。そうしまして、これに対しまして、小部屋だからすぐ室料をとるというわけではございませんが、多少設備をよくしておる部屋が中にはございます。しかしその率はごく低い状態で押えてありまして、全体といたしまして小部屋が――私ちょっと今数字を持っていないのでございますが、私の記憶では五プロだとか七プロ以内に押えておるはずでございます。その小部屋でも、たとえば生活保護の方といえども健康保険の方でございましてもその患者の症状において、一般の部屋へ入れておきますと工合が悪い、たとえばだいぶ重態で御臨終に近いというふうなときとか、あるいはいびきをかかれて部屋のほかの方にえらく御迷惑をかけるというような場合とか、診療上の目的で小部屋に移した場合には個室料をとってないはずであります。そういうふうな状態で、個室料をとります部屋は全体として、私の記憶ではたしか五プロちょっとくらいだったように思います。東一におきましてそういうような部屋がたしか北の三階のところに何ぽか固めて置いてあると思います。それじゃ個室はおかしいじゃないかというようなお話も中にはあるかと思いますが、今の社会の進展におきましていろいろ生活の程度も皆さん違ってきておりますし、病院に対する御要求も違ってきますので、全部の方を大部屋だけで一緒に均一にするのもはたしていかがか。医療というものは同じでございますが、部屋というものにはある程度差をつけるというのもやむを得ないのではないか。しかしそれが個室がぐんぐんふえて、えらく率が多くなる、病院全体が特別個室料をとるというふうな行き方は私たちはおかしいと思いますし、一定の率に押さえてあまりふやさないようにしておりますが、そういうふうなことだったと覚えております。なお生活保護の患者が二三%から二四%ぐらいのベッド数を占めておることもつけ加えておきます。
#9
○堀委員 私ども実情を見ておりませんけれども、五%ぐらいならけっこうだと思います。私どもが心配をしますのは、個室の使用の目的が診療上の理由に限られるならば私は問題がないと思っておるのですが、そうではなくて、そういう所得の関係で特別な人に特別な待遇をするということは、医療のあり方という本質的なものの見方からすれば望ましくないし、特に国立病院という場所は、その他に民間病院等があって、そういうデラックスなものを求められれば応ぜられるものがあるわけですから、できるだけそういうことのないようなふうに考えていただきたいと思うわけです。
 それからもう一つは治療上の問題になってくると思うのですが、さっきのお話を聞いておりまして、医療水準の向上のためには比較的自由なアカデミックな診療が認められておるということで、大へんけっこうだと思いますが、ちょっと聞いたところによりますれば、院内に売店があって、そこで薬品が売られて、入院患者がそういうところで薬品を買って治療を受けているような例もあるということですが、これもやはり一極の差額徴収のような格好の問題だと思うのですけれども、これはどうでしょうか。現実の問題として社会保険の適用の問題があったにしても、最近社会保険の方もそういう制限の問題というのは取りはずされてきているし、国立病院ではアカデミックな治療をしておるのだから、当然そういう点では社会保険の適用もその点では弾力があるのじゃないかと思います。私も事実をつまびらかにしておりませんが、社会保険適用患者の場合に、患者が薬を買って治療を受けるというような式の問題が今でもあるのかどうか。
#10
○尾崎政府委員 今の御質問は二つの問題があるかと思います。第一の問題といたしまして、病院で予算が少ないからというので、薬品費に一定の制限がある場合に、その不足を補うために、第二薬局を院内につくって予算外のものを患者に売るという問題がございます。この問題は国立病院にはございません。特別会計で弾力条項というものもございますし、診療が多くなって予算以上にふえていけば歳入もふえる、そうすれば薬もどんどん買い込める、こういうような形になっておりますので、国立病院の関係ではそういうような意味の第二薬局はずっとございません。これは二、三年前にいろいろ問題になったことがございますが、国立病院関係にはございません。
 それからもう一つの問題は、健康保険等で使われることが許されている薬には制限がある、その許されていない薬をどうしても使いたいという患者に買って使わせるような場合、これはできるだけないように指導しておりますし、また医者が新しくこの薬はどうしても使ってみたいというふうな場合には、研究費を医者につけてございますので、これは医者の収入にするわけではなく、病院の費用として買えるようになっておりますので、そういうような関係から出すとか、またサンプルとして寄付をしてもらうのもありますが、そういうふうなことでできるだけやらすようにしております。ことに最近におきまして保険の関係の制限もだいぶ解除せられましたので、現在そういうことはほとんどないと思います。われわれもそういうようなことはないように指導しております。
#11
○堀委員 今のことについては国立病院として非常に望ましいと私は思うので、やはり日本の医療の一つのモデルとして恥ずかしくない処理をしていただきたいと思う。
 次に、次長のかわりに総務課長に来ていただいたのですが、実はこれから国立病院に勤務する医師の処遇等の問題について、これは現実には人事院その他で医療職の給与等もきまっているのですが、一つ十分聞いておいていただいて今後の参考にしていただきたいと思います。そこで厚生省にお伺いをいたしますが、今医師の処遇で私ども非常に問題があると思うのは、社会保険というものの方で診療報酬がある一定の基準になっておりますから、各種病院においては、定められた時間内における稼働というものがきまってくれば収入はおのずからきまってくるわけです。ところが民間においては定められた稼働時間というものを相当に延長をして働いておる。私も診療に従事しておりましたときは夜間診療というようなことをやっておったわけでありますが、非常に長時間の労働をしておるから、民間の開業医は診療報酬の単価は比較的低いにもかかわらず収入があることはある。その他一般の病院はそれほどにはできないにしても、できるだけそれに近づけようと努力をしておる。それから公的病院は夜間診療等はやらないという三段階になっております。そこで大体今のそういう所得水準で見て、非常にオーバーワークをしている一般の町の医師、その他の一般の民間病院と国立病院の医師の収入の大まかな比率は現在どういうふうになっておりますか。
#12
○尾崎政府委員 医療職の一と申しますと医者でございますが、その関係の民間病院との比較を人事院で三十七年四月分の給与について、これは抜き取り調査だと思いますが、おやりになり、それと国とを比較したものがございますが、これによりますと、院長、副院長、医長、医師としていろいろやっておるのでございますが、平均いたしまして民間の方が国立に比べて三七・八プロ高い一三七・八プロというような数字になっております。国立病院だけで比べますと、これは病院、診療所といろいろございますので、うちの方の現在の給与から見ますと三九・二プロの差になっております。医療職の三、看護婦関係は逆に民間が一三プロくらい国より低うございまして、八七・〇というふうになっております。これはだから国の方が高いというわけでございます。なおこれは三十七年四月の状態でございまして、これから後にまたいろいろ変わっております。それからこれは民間の病院等でございまして、今のお話の民間の開業医の方の調査はないようでございます。
#13
○堀委員 今伺うと民間の病院と約四割の差がある。普通の常識でいうと四割も差があればみな高い方へ行って、国立病院の方は人が充足されないだろうと思うのですが、国立病院における医師の充足数というのは定員に対して何%ぐらいになっておりますか。
#14
○尾崎政府委員 国立病院の医師充足状況は、三十八年一月一日現在の調査でございますが、現員千七百七十六名に対して実人員が千七自四十三名で九八%の充員でございます。これはかなりいい数字だと思いますが、しかし実質上はこれだけの実績を上げますのに院長さん方が大学等の関係の折衝にはえらい苦労をしておられますが、その努力によりまして、こういうような実績が今確保できておるような状態でございます。
#15
○堀委員 今は御承知のように資本主義の世の中ですから、普通の社会なら四割給料の安いところが九八%も充足したりしないですね。なぜ九八%も充足しているかというと、今医務局長も言われましたけれども、国立病院の院長というのは大てい各大学の教授が横すべりをして、おやめになってからきておられる。そこで今の大学の医学部の実情というのは率直に申して、今の日本の中で最も封建的な社会ですね。そこに教室の制度があって、教授がいて、一つのサークルをつくっている。そこでいろいろ研究に従事をし、いい業績を上げたりいろいろなことをしていくためには、やはり教授が持っておるコントロールに服しなければならないという、きわめて古い人的関係が行なわれていて、そういうために自分たちの教室のかつての教授であった人が院長になっていっている国立病院に対しては、四〇%も一般の民間に出るより給与は低いけれども、そういういろいろな義理なりコンゴロールの結果として動いているというのが実情だと私は思うのです。しかしこれは今後だんだん限界に近づきつつある。というのは、われわれの年代の者はまだ比較的そういうふうな義理であるとか、いろいろなものをわきまえる傾向が強いわけですが、最近の若い人たちというのはよりドライになってきておりますから、今後はだんだんと、そんな収入の多くないようなところには行きたくないということになってしまう。また国立病院等にいても、適当な経験を積めば、民間に移動する、あるいはみずから開業するという格好になって、国立病院等における、今厚生省が考えておる医療水準の向上のためであるとか各種の目的は、今は何とかやっていけるけれども、今後、将来としては非常に問題が出てくるのではなかろうか、やはりそれ相応な給与というものも確保されていかないといけないような方向にだんだんなってくる、私はこういうふうに考えるわけです。
 そこで、これは単に国立病院の問題ということよりも、やはり大蔵省としては医療職の給与というものを考えていただく必要が非常に私はあると思うのです。そのことは国立病院の医療職がきまっておるために全国の各公立病院はこれに右へならえしておる。そうすると国立に比べては、他の公立病院というのは非常にコントロールが弱いために、今非常に医者の充足が困難になりつつある。これは先へ行けばいくほどそういう問題は困難の度を増してくるであろう。ですから何としても民間とのバランスをとっていくためには、私どもは医療職の給与というものは今後非常に重要な段階にかかってくるのではないか、こういうふうに考えるわけですが、主計局としてそういう医療職給与というような問題――これは給与課長の方に来てもらわねばまずかったのかもわかりませんが、一つ次長代理ということで、総務課長の方にこういう問題について、考え方を聞きたい。
#16
○岩尾政府委員 一般の医療職の給与の問題でございますが、今厚生省の方でお話がありましたけれども、民間賃金と国立病院等の医療職との比較という場合に、どういう比較をするかということが、やはり非常に問題でございまして、その辺私よく聞いておりませんけれども、概していえば民間の病院の方にはかなり経験の高い方が行っておられる。公立病院等は先ほど先生の申されましたように研究的な意味で先生の御指示で回るという方が多いわけでございます。その辺のつり合いをどういうふうに給与全体としておとりになったかやや不明でありますけれども、私らは率直に申しまして、今、民間と国立病院とそう開いておるというふうには考えておらないわけでございます。と申しますのは、まあ御承知のように公務員の給与というものは民間賃金と比較をとりながらベース・アップをやっております。その場合に、人事院の方で勧告していただくその勧告を尊重して政府は措置をしておるわけでございますが、従来とも医療職につきましてはほかの行政職に比べまして非常に大幅なベース・アップをやっております。三十二年四月以来の給与の累積の改善率は全体で四八・四%というような、各俸給表を通じまして最高のアップをしております。従いまして、人事院の方でごらんいただいておる民間給与との格差の是正の問題としては、医療職についてはほかのものと比べてかなりよく見ていただいておるような形であります。われわれの方もそういうことを尊重して給与の改善をやっておるわけでございまして、お医者さんの方にはいろいろそういった問題がございますが、先ほど厚生省のおっしゃいました医療職の三でございますが、こういった方はかえって高いというような現況が出ておりまして、その辺よく検討いたしましてできるだけ改善いたしたいと思います。
#17
○堀委員 今主計局のお話のように比較の問題は中身の問題がありますから、やはり経験年数等は横に並べなければ、総体だけの比較をしてのパーセンテージには確かに問題があると思います。そこらは私もあまり詳しく調べておりませんけれども、やはりそういう中身は点検をしていただいた上としても、医療の問題というのは何と言っても人間にとって非常に重要な問題でして、いい医師がよく勉強をして日本の医療水準が高くなることは、国民にとっても非常にいいことであって、それが単に収入だけの問題で民間に行くとして、設備の不自由なところにたくさんいくよりも、やはりいい設備のところでいい人が、安んじて医療に専心できるような条件をつくるということは、やはり国立病院が置かれておる趣旨との関連で必要な問題である、そこでそういう大学の教室等からの強制力がなくても、やはり優秀な人が喜んで国立病院に勤めて、不安なく医療に専心できるようにするということも、国立病院が置かれておる以上は、国として考えなければならない基本的な問題だと私は思いますので、今は具体的にはそういう中身のことはよくわかりませんけれども、そういう点は一つ十分に研究をしていただいて、国立病院が置かれておる趣旨を一つ生かしていくように、医療職の俸給等は一つ考えていただきたい。
 その次に今度の特別会計の問題なのですけれども、これまで一般会計から毎年繰り入れがすっと行なわれてきております。大体一般会計からの繰り入れというのは、施設設備費の全部と看護婦養成費の半額を大体過去には充ててあるように思いますけれども、それは一つのルールなのですか、何か法制的にきまったものがあるのでしょうか。
#18
○岩尾政府委員 これはまあルールといいますか、特に法制的にきまったものはございません。それから予算上、過去たしか二十四年からいろいろと、当時の状況によりまして必ずしも一貫しておりません。ただ現在の考え方は、国立病院は今先生のおっしゃいましたような趣旨でございますから、国といたしましてはそういった病院の施設等については、これは一般会計から出しましょう、それから看護婦の養成もそういう意味で別個の問題でございますから、これは半額持ちましょう。それからたとえば国立病院の業務にいたしましても、ほかの民間病院と違います、たとえば医師出張所とかあるいは本省等において行なわれる管理業務、こういうものの経費は一般会計で持ちましょう、あとはある意味で一般の民間病院と同じような独立採算的な意味もございますので、医療単価というものを基礎に、独自の運用をやっていただきたい、こういう趣旨で現在やっております。一時は、たとえばベース・アップの非常に上がったときには、現在の会計自体ではなかなか処理し切れないという場合もありまして、そういう場合にはベース・アップの財源として若干を入れたということもございます。
#19
○堀委員 私それは大へんけっこうだと思うのです。やはり国立病院としては施設は国の施設として残るわけですから、当然国の一般会計でその施設費を持っていくという考え方は、私非常に正しいと思うのですが、今度この法案を見ながらちょっと気になります点は、資金運用部から十億借り入れをする、そうしてこれは五年間据え置きの二十年償還というような形で返していく、その返していく返し方ですね。この借入金は施設費に充当されるのだと思うのです。施設費に充当するのならば、なるほど今の借り入れをすることは差しつかえがないけれども、その借り入れをしたものの返済の原資は、今の考え方から見て、一般会計から繰り入れをしながらその原資を返していくということなら、これは何らこれまでの考え方と差がないわけですから、そういう考え方の上に立っておるのならば、私は今度の借り入れの問題は何ら特別に論議をしなければならぬほどの問題ではないと思うのですが、その点はいかがですか。
#20
○岩尾政府委員 先ほど申しましたように、国立病院の施設費につきましては一般会計の方で負担しよう、こういう気持でやっておるわけでございますけれども、とにかく全部一般会計の方で持つということでもない、というのは、ちょっと変な表現でございますが、いわゆる運営収入から出していくということではなくて、現在ああいう陸海軍の古い病院をそのまま国立病院として使用しておるわけでございます。従いまして、それはもともと一般会計の土地であったというわけでございますけれども、それをお持ちになって運用をやっておられる、その土地は非常に余剰の分もありますし、これからの新しい医療のことを考えますと、あれほどの土地は要らない、従ってこれをそのまま処分していけばかなりの財源になるし、それをもって国立病院の新しい施設に充当していくことも考え方としては正しいのじゃないか、そういう意味から考えますと、現在一般会計だけで施設を全部見てしまうというようには、一般会計としては非常に財源の限度もございましょうし、そうたくさんの金を一時に充てるわけにはいかない、しかし国立病院の施設の改善ということは非常に必要だということになりますので、とりあえず借入金をもってまかないまして、そうして将来私の申し上げたような土地の処分その他、急にはできませんけれども、やっていけばかなりの財源も出てくる、そういうものも引き当てにし、あるいは高層化によりまして、従来の大病院でございますと、基幹病院として東京とか大阪等につきましては非常に収入が上がっております。そういう点も引き当てにして、返していただいたらどうだろうかという考え方で検討したわけでございます。
#21
○堀委員 今の土地を売却することによる収入、これは私いいと思うのです。当然そこで合理化がされて、そういうものを将来にわたって売却することによって設備の近代化をしていくことは、非常に重要だと思うのですが、ただ国立病院が特別会計になっておるということから考えますと、必ずしも国立病院は東京や大阪のように収人がよく上がる病院ばかりではないと私は思う。大体沿革が陸海軍病院の転用ということにあったために、都市の陸海軍のそういう中心部隊がいたところはいいわけですけれども、地方へ行くとかなりへんぴなところに国立病院があるわけですね。そうすると、その地方で将来は人口もそういう周辺にふえてくるでしょうけれども、現状としては必ずしもそうではないのじゃないか。医務局長の方にちょっとお伺いしますが、今独立採算制にはなっていないと思うのですが、大体の計算上、今国立病院は全体で八十五ある中で、黒字になっておる病院と赤字になっておる病院とは、これはそういう計算はされていないと思うので、大体の感触でもいいですが、大まかなところはわかるのじゃないかと思うのですが、どうですか。
#22
○尾崎政府委員 大体黒字、赤字の定義がなかなかむずかしい問題でございますが、一応病院の整備等に一挙にぐっと金をつぎ込むこと等をのけました病院の平常の運営に要する費用と、そこに入ってきます診療収入その他の雑収入、こういうようなものを比較してみますと、大体半分くらいがプラス、半分くらいがマイナスということになっております。
#23
○堀委員 そうすると今度は、今の半分ずつくらいだとすると、今おっしゃったような考え方で、半分の黒になっておる部分と赤になっておる部分これはどういう格好になるでしょうか。黒の方が結果として多いのか、赤の方がトータルとして見ると多いのか。
#24
○尾崎政府委員 今病院の施設の数で申し上げましたが、黒になっております。プラスの方の病院は、どちらかといいますと都市にあります大きな病院が多いわけでありまして、年によって違いますが、全体としてはバランスが大体ここ数年は今の診療収入と病院の一般運営に要します費用がとんとんで、だから一般会計からのつぎ込みは、先ほど主計官からお話がありましたように、設備費の投資、建物を建てるというような投資、それから看護婦の養成所の費用とか、大きな機械を買い取る費用、こういうようなところで、あとは大体とんとんでやっていける、こういうことになっております。
#25
○堀委員 大体とんとんでやれるというなら大へんけっこうなんであって、いいわけですけれども、そこで私が今気になる点は、国立病院がどんどん収入があることはいいわけですが、だんだんと一般会計が手を引いて、やがては一つ国立病院で施設費もやっていけというようなことになっていくと、さっきの人件費等の問題との関連が出てきて、やはり今の国立病院のあるべき姿へ問題を前進させていくのにどうしてもブレーキがかかることが起きてきやしないか、この点私は今度の借入金問題の原資の償還をやるときのやり方に非常に問題を感じておるわけです。そこでこれは、厚生省としては、できるだけ病院収入をもって引き当てとするよりも、一般会計の方で見てもらいたいし、あるいはそういう財産処分で見てもらいたいということだろうと思うし、私どももそうあってほしいと思っておるのです。だから今のところは五年先から償還することになるのだと思いますから、今日にあたってすぐ問題になる問題ではないけれども、やはりこういう会計法の改正をするときにあたって、少しそこらを明らかにしておきませんと、問題があると思うので、原則として今後の施設の拡充については一般会計で見るということが一つ、二つ目は、しかしできるだけすみやかな整備をするという意味においては、一般会計の財源にも限度があろうから、そこで借り入れをするということは私も理解できる。しかし借入金を返す段階においては、やはり優先順位としてまず一般会計で見るなり、そうして財産処分等をやるということが優先、順位であって、しかし、片一方、病院の収入は非常に余剰がある。特別会計として非常に金が余ってきておるのに、さらにそこへ繰り入れをするということは、論理的に合わないかもしれない。だからその場合に、今の、本来の国立病院がある目的の方に前進をさせながら、それの足を引っぱるようなことはない範囲においてのみ、その病院収入からくる余剰部分をそういう原資の償却に充てるというような考え方を大蔵省が明らかにしてもらうならば、われわれとしてはものの筋道としては、そういう考え方は理解できるわけですから、その点について、一つ大蔵省側の見解を伺いたい。
#26
○岩尾政府委員 国立病院の特別会計の運営の問題といたしましては、先生よく御存じの通り、たとえば貸借対照表の繰越利益というのがございますが、これは一般の利益ではなくて、一般会計の繰り入れによってふえました固定資産の増加というものをこれに計上しているというような形で現在特別会計の経理をやっております。これは、現在の特別会計をつくりましたもともとの趣旨というものが、非常に強い意味での独立採算制というものを国立病院にとりたいということではなくて、国立病院について、その経理の運営の適正と円滑化をはかりたいというところに目的があったわけでございます。従いまして、われわれといたしましても、あくまでも独立採算で国立病院をやってもらうのだというふうには考えておらない。ただ、今申しましたように、そういう意味でできております会計法でございますので、全体としてやや割り切れてない部分があるわけでございます。この点は今後において十分によく検討し、事態の進む状況に応じて判断をしていきたいと思います。従って、今申されましたような一般会計からの繰り入れの問題にいたしましても、現状におきましては一般会計の方で施設を見る。しかしながら、その施設費を見る限度におきましても、これは一般会計としても財源の限度がございますし、あるいは特別会計としての収益の状況もございますし、先ほど申しましたような所属資産の充当金の問題もございます。必ずしも全部一般会計であらゆるものを見ていくというふうなところまでは、まだ国立病院の運営自体は進んでいない。もう少し事態を見て大蔵省としても考えをまとめたい。今の状況ではとにかく経理を適正にするという趣旨でこの特別会計を分けたわけでございます。その趣旨に沿うように運用しているという段階で、お気持はよくわかりますので、できるだけ会計としても国立病院本来の使命に邁進できるような、そういう運用ができるようにしてもらいたいという気持でおります。
#27
○堀委員 ある部分は政治的になりますから、一つ政務次官にお答えをいただきたいと思います。
 方向としては、主計局も私の考え方を大体了解しておるようですが、これはやはり動いているものですから、今五年先の問題はどうかという議論はなかなか困難だと思います。施設の設備の問題は、沿革から見て非常に古い施設が多かったわけですから、これをある程度近代化しなければならぬことは当然なんですが、ある程度一巡をすれば、主要なる施設に対する一般会計からの繰り入れというのは大幅に減る時期が私はやがてはくると思うのです。無限にいつまでもどんどん、どんどんやる性格のものではないと思う。だから、少なくとも一巡をするまでは、一応のこれまで完全だというところにいかないにしても、たとえば東京なり大阪の国立病院はかなり整理されてきておるわけですが、こういうものが近代病院として、われわれが国立病院として恥ずかしくないところまで一応届く、地方も届く、そこまできたら先の問題については私は別個な特別会計としての考え方はあり得ると思うのですが、そこへいくまでは、これはやはり何としても国の責任として一般会計で負担をしていくという原則、それにプラス・アルファとして今の土地の売却なりその他多少の病院収入からの余剰も入れていくという問題もあり得る。しかし考え方の大宗は、やはりそういう施設が一応完備をするまでは一般会計から繰り入れをするという大蔵省側の基本的な考え方がないと、私は国立病院というものがあるべき姿の方へ十分発展ができないというふうに考えるので、政務次官、一つ大蔵省を代表して、これは当然のことを言っておるにすぎないと思うのですが、私の意見についてお考えをお述べいただきたいと思います。
#28
○原田政府委員 私は、原則論として堀委員の言われることはいいと思っております。しかしながら、それを実施をするという現実の問題にぶち当たりましたときに、今の実施官庁である厚生省が国立病院の根本の問題、適正なところにどう配置されていくべきかというようなことを十分納得ができるような計画を立てて、それに対してこういう方向で進みたいということもなければ、ただ施設は国がやらなければならぬのだ、こういうことで安易に流れておったのでは、ほんとうの国立病院のよさというものに持っていくのに、理屈はそうであっても実際は逆な方向へ進みはしないかという点も考慮しなければならないと思います。従いまして、現在では国立病院の充実ということについて相当国の方でも考えなければならぬと思って大いにやっておるのだけれども、一般会計だけでは足りない。そこで今度は財政投融資の面で資金運用部から金も借りて、それでそういう計画を立てて伸ばしていこう、こういうことでできるだけ早く整備をやっていこうということが今度の根本になっておると思います。従いまして、先ほど申し上げましたような、あなたのおっしゃている原則というものは私はそれでいいと思いますけれども、それに対する十分な厚生省側の用意というものが、納得させるだけの用意が必要である、こう考えます。
#29
○堀委員 今政務次官から用意があるかというお話ですが、厚生省、ありますか。
#30
○尾崎政府委員 厚生省といたしましては、国立病院のあるべき姿、これをもう少しはっきりさす、またその体系等につきまして、できるだけ考え方をはっきりさせまして、大蔵省の方に御納得のいくように努力していきたい、こう思うわけでございます。
 なお今のお話の一般会計からのみ注ぎ込んで整備をやっていくというのであれば、これはそこに限度がありまして、なかなか伸びない、そういうような関係から、われわれの方では整備をずっとよくしていただきますと、またそれだけ職員も張り切る。そういうようなことで、また今まで整備をずっと進めました病院の実績等も考えますと、診療収入もまたふえていく。これは無理やりそこでノルマを課すとかなんとかいう意味ではなしに、大丈夫ある程度の収入の増加は起こってくるという自信もありますので、その償還の一部はこちらの方でも責任を持っていきます。こういう立場をとっておるわけでございまして、なるべくこれによりまして病院の内容とともに、従業員の質の問題、それからいろいろな設備の問題とともに、いれもの、建物を急速によくしていきたい。ほかの地方公共団体その他の病院に比べまして建物はスタートがおくれたということもありますが、あまりに建物が劣っておりますので、これを直していく、こういうふうに自分たちも努力したい、こういうわれわれの気持でございます。
#31
○堀委員 今私一番気になるのは、前向きで問題が処理されていればいいと思うのですけれども、償還部分、返していく金の問題ですね。これが病院収入をある程度あげないと返せないとかなんとかいうこと、それが逆に病院の方へ独立採算的な要素を強化していきはせぬかという不安が、実は率直にいってあるわけです。国立病院独立採算ということになると、本来のあるべき姿が非常にそこなわれてくるのじゃないかという気がするものだから、そこで前段で、そういう収入をあげるために特別の部屋をつくって差額徴収をするということは、今あるけれども、率直にいうとできるだけ私は減らしてもらいたい。そして、今のたとえば薬を患者に買わせるとか、そういう一般の町でやっているようなことは、少なくとも国立病院に入ったらなくして、安心して国立病院では治療が受けられるというものにしてもらいたい。そういう前向きの姿勢を一本通した後に、さらに医療収入がふえれば、それを償還に持っていくということについては、私は反対しないわけだけれども、それがとかくねじ曲げられて、うしろ向きに、患者の方へ、あるいは医療担当者の方へしわが寄りはしないかということが、今度の改正の私が一番不安に思っておる点なんです。だからその点について、これは将来の問題だしするから、どうなるかは別として、少なくとも管理者の側の立場に立っておる厚生省としては、そういうことはやらせません、要するに、あるべき方向へ前進する中で生じてきた収入の剰余部分しか償還の方には入れないというはっきりした態度があなた方はあるかどうか。あなた方の態度がきちんとしてなければ、結局主計局の方はできるだけ一般会計からの繰り入れば減らしたい、これは主計局の立場としては人情ですから。あなた方の方にきちんとしたそういう立場があれば、それをわれわれの方は支持してあげるけれども、それが、あなた方の方がぐらついたらどうしようもないわけです。ですから厚生省は、そういう前向きにやる点について、そういう心配は一切しなくていいのかどうか、ちょっと明らかにしておいてもらいたい。
#32
○尾崎政府委員 医療機関のあるべき姿の方向にいく点については、申すまでもなく、これはわれわれの仕事でございますので、その方は大丈夫でございます。しかしその進み方につきまして、今の建物が改善がおくれておったのでは何ともならぬ。そういうふうな立場でいろいろ考えてみまして、その原則論を貫き得る方向のさらに推進力になるような方向として、この借入金制度を、これはわれわれの方から考えて大蔵省の方にお願いしたような状態でございまして、決してそれがブレーキになるような立場にはならないものだと確信しておりますし、独立採算制というような点は、先ほど主計官からもお話がございましたように、これで何もかもバランスをとっていくのだというような方向には、国立病院特別会計法でも、スタートするときからなってないわけで、経理を明らかにするという立場になっておるわけでございます。この点は御心配は要らないんじゃないか。またわれわれもそのつもりで努力したいと思います。
#33
○堀委員 実はあなたの方から頼んでいっているから、そこで金を返すときには少し国立病院でめんどうを見なさいと言われるのですよ、ものの考え方として。そこの不安があるので、私は大へんしつこいけれども伺っておるのです。あなた方はそうしないと言っているし、今度は主計局の方も、そういう無理なことはしないということを、ここで一つもう一ぺん念のために明らかにしていただいて、次の段階に移りたいと思います。
#34
○岩尾政府委員 先ほどから申し上げておりますように、国立病院の運営その他につきましては、国立病院が本来持っております趣旨にできるだけ従って運営されるように、それから特別会計の問題、いわゆる財源の問題としては、先ほど申し上げましたように、その意味合いにおいて、どの程度一般会計でどういう区分で持つか、あるいはどういう区分で特別会計の方で御努力願うか、そういう点をよく検討して、できるだけ御趣旨に沿うようにしたいと考えております。ただ先生からもお話がございましたが、先ほど政務次官もおっしゃいましたように、実は全体として国立病院の運営を見ますと、先生のおっしゃいますような個々の各病院の運営の問題もございますが、現在の日本の状況において、今政務次官がおっしゃいましたように、国立病院というものは全体の病院の中でどういう地位を占めるのか、そうすると、そういう地位を考えた場合には、どこにどういうものを置いて、そしてどういう仕事を医療機関として分担せしめればいいのかということはやはり一番大事でございます。これはやはり今後の問題としてはしっかりきめていただいて、その上さらに今申したような方向で努力をいたしたい、こういうふうに考えております。
#35
○堀委員 今のことは当然私も必要なことだと思うのです。今度医療制度調査会ですか、何かから答申も出ておるようですし、厚生省としては、これは一つ大所高所から十分検討して、やはり何といっても国民のためになる病院にしてもらわなければ困るわけですから、その点はそういうことでお願いをしておきたいと思います。
 次に、私はあわせてちょっと伺っておきたいのは、今、国立病院の看護婦の給与というのはよそよりはいいのだということですね。これは今お話があったのですが、それでは、国立病院で今完全に看護婦が充足をして、定められた完全看護等が十分行なわれているかどうかという点については、やや私は疑問があるわけです。大体、完全看護ではつき添い婦やつき添いの看護婦等を個人で雇う必要はないというのが、私は原則だと思っておるのです。ところが、どうも私の聞いておる範囲では、国立病院必ずしもそういう状態になっていないのです。これは、それじゃ看護婦が定員が充足をされていないのか、定員が少ないのか、一体問題はどこにあるのかをちょっと伺いたいのです。
#36
○尾崎政府委員 国立病院の看護婦の、まず定員の関係でございますが、定員の関係は、医療法の基準によりまして、一般病床――一般病床と申しますと、病床を結核、精神とか伝染病とか、それ以外に分けておりますその他の一般病床でありますが、それにつきましては四ベッドに一人、それから結核、精神は六ベッドに一人、それからあと外来は三十人に対して一人、大体そういうような基準にいたして、さらにプラスいたしまして、手術の数が多いところとか、また特殊な高血圧センターとか、その他をつけておりますところはまたそれをプラスして定員を出しておるような状態でございまして、それの充足率につきましては、三十八年一月一日付の数で申し上げますと、定員数看護婦七千百十五名に対しまして七千四十七名、看護助手が五百四十四名に対して五百二十四名、それから家政婦と申しますか、それに準じます者が四十四名の定員に対して七十三名、合計七千七百三名に対しまして七千六百四十四名で、九九%くらいの充足率になっております。従って、かなりな充足率を示しております。
 それから第二段の問題といたしまして、基準看護の問題でありますが、これは保険局の方の関係の問題ではございますが、今の一般病床につきまして、これを一類、二類、三類と分けておりますが、一類におきましては四ベッドに対して一人の看護要員でございまして、そのうちの二割は看護助手でよろしい。だから、四・何ベッドに対して一人の看護要員ということになります。従って、国立病院の看護婦は、その基準看護よりも、だいぶ上回っておるような配置になっておるところが多いわけです。ところが、さらに病院によりまして、診療の濃度が、患者の構成とか等によっていろいろ違ってくるわけであります。重症患者とか、手術をせねばいかぬ患者とか、いろいろ検査をせねばならぬ患者がおりますと、それだけ医者もたくさん仕事をしなければならぬと同時に、やはり看護婦さんがする仕事が多くなって参ります。今のお話の、おそらく都会におきます基幹病院などというところになりますと、入院しております患者さんの点数で見ますと、入院料をのけて、あとの医療活動によります点数が、一般の平均の倍くらいになっております。それだけ仕事が多くなってきておるわけです。そういうようなところに対しまして、手術数が多いところとか診療センターというものにつきまして、多少今のように看護力を多く配当しておりますけれども、そういうような関係から、そこら辺ではかなり忙しくなる。重症の方では、看護婦さん以外に人をつけたいという希望者に対しまして、医者の方で必要があると認めるときは許しておるというようなことが行なわれておるところがございます。この点、今の全体の看護の数を機械的に、と言っては悪うございますが、四人に一人とかいうふうな考え方をしておること自体にも、もう少し検討を要するとわれわれ思うので、やはり必要数がどうかということをもう少し検討しなければいかぬと思いますが、今の状態ではそういうふうな事情でございます。基準看護という立場から、やはり保険局といたしましては、そういうつき添いをつけないことを原則としていられますが、この点今いろいろ問題が起こっておる状態でありまして、われわれの方でもつき添いをつけ始めますと、ついそれにたよってくるという傾向に対しましては心配し、そういうことのないようにいろいろ指導しておるような状態でございます。
#37
○堀委員 実は今の問題でちょっと明らかになりましたのは、都市の病院は非常に収益力が高い。収益力が高いということは、現実にはやはり手術等が非常にたくさんあるということです。手術明けの患者というものに対して、普通一般の患者割の看護婦の配当ではすでに無理がある。この責任は私は厚生省にあると思うのですが、やはりそこらの仕事の密度というものを十分勘案をして、収入はどんどんふえてきておるけれども、その他はともかく一般的な四床に一人というようなルールでやっておるから、ひまな病院の看護婦はロードが非常に少ないけれども、収益のどんどん上があるような病院の看護婦というものは、総体的に非常に密度の高い労働をさせられるという傾向になっているところに問題がある。だからその点は、当然そういう画一的な基準ではなくて、仕事の密度を勘案したところの定員というものを、厚生省側ではすみやかに検討しなければ、これは私は重大な問題が起きてくると思う。このことはやはり単に看護婦だけではなくて、医師の問題だって私はやはり同じことがあると思うんですね。だからそういう問題を十分に踏まえた上でものを考えてもらわないと、今の条件のままで収益があったからそれを施設費に注ぎ込めるのだという考え方は、少なくとも私は誤りだと思うので、この点はまず厚生省側として早急に一つ国立病院の仕事の密度を医師及び看護婦について十分検討をして、近い将来に少なくとも来年度の定員の問題については、まず定員増が科学的な根拠の上に立って、そして労働密度が異常にならないような配慮がされる必要があると思います。
 私の質問時間は大体終わりに近づいたのですが、もう一点だけ、看護婦の絶対数が非常に足らない、現在全国的に看護婦が非常に足らなくて、一般に困っておる。国立病院で養成をしておるんですが、そういう国立病院等で養成をした看護婦は一応国立病院が使う、大学病院で養成した看護婦は、優先順位としては大学病院が使うということで、一般の民間では非常に看護婦が不足をして困っておるというような実情なんですね。そして民間でそういうものを養成するというのは、なかなか大へんなので、さっきも主計局の答弁もありましたけれども、国立病院で看護婦を養成しておるのについては半分は一般会計で持っておるということは、やはりこれは単に国立病院の看護婦だけを養成するという目的ではないという面が、私はあり得るのだろうと思いますが、もう少し積極的に看護婦を養成をする専門の大学、今のところ医学については大学の医学部があって、そこに付属病院がくっついている。しかし、どうも私まだよく知りませんけれども、看護婦の大学があって、その大学に付属病院がついているというのはないんじゃないかと思うんですが、今後の問題としてはまず看護婦大学というか、ほんとうに医者と同じレベルにおける看護婦の大学ができ、そういう水準で教育もされ、各種の医療職としての報酬等も医師と同等に扱われるような条件に持っていかない限り、私は他産業との関係、いろいろな給与等の条件から見て、今後看護婦のなり手なんというのはなくなるんじゃないかという感じがして、これでは日本の医療というものは医師だけではできないわけですから、重大な問題だと思うわけですが、文部省はそういう問題に対して一体どういう考えを持っておられるか、厚生省側、医務局長は一体どういう考えがあるのか、そこらをちょっとお聞かせ願いたいと思います。
#38
○板谷説明員 御承知の通り現在の看護婦養成の制度は、終戦後保助看婦法というのができまして今日に至っておりますが、高等学校を卒業いたしまして、三カ年間の学習をするということになっております、それも学校教育法によったものではなくて、学校教育法の八十三条で各種学校ということになっております。従いまして、その専任教員等も三名以上ということになっておりまして、大体一名でやっております。しかし、こういうふうにいろいろの進んだ今日、それからまた終戦後十五年もけみした今日、これを改善すべきであるという問題がありまして、これは厚生省とも連絡いたしまして、いろいろとこの改善策を考えております。それで御承知の通り、大学には四年制の大学とあるいは短期大学もございますが、この四年制の大学のものが看護婦養成では現在二校ございます。それから短期大学では五校ございます。一部そういう高い程度の看護教育はやっておりますが、原則としては先ほど申し上げました各種学校でやっておるのでございます。そしてこれも従来のその病院の看護力なりその病院の要員を養成するという意味のものであり、いわば徒弟養成というようなことでありましたので、今日においては時代に沿わない。教育として看護教育を考えるべきじゃなかろうかということで、厚生省とも相談をしておるのでありますが、たまたま先日医療制度調査会からの答申もありまして、やはり学校教育法による看護教育はついて検討するようにということがありましたので、関係の方面とも相談し、またこれは予算を伴うことでもございますので、いろいろと関係当局とも御相談し、この問題は十分に検討していきたいと思っております。
#39
○尾崎政府委員 看護婦の大学の問題の前に、都会の病院についての忙しいところに対して医者、看護婦等の数の問題でありますが、この関係は先ほど申しましたように手術その他によって、現在においてもできるだけ考慮はしてプラスしておるということが第一であります。第二にやはり建物とか機械整備によりまして合理化をやらすということを努力したい、建物がよくなればそれだけ仕事がしやすくなるという問題があります。しかしできるだけ今の御趣旨の線で、われわれは検討しなければならないと考えておるものであります。
 それから第二の看護婦養成の点は、今大学病院課長からもお話がありましたように、今まで徒弟式に自分のところの要るものをつくるという立場がございましたが、これでは工合が悪いので、国でも養成力をぐんとふやしていく、それで三十八年度には五カ所新設を国立でもいたします。それから同時に地方公共団体とか日赤というふうな公的なところについて、その養成力をふやしてもらう。こういうふうなことで予算的に見まして、補助金等も三十七年度四百万くらいだったのが一億八百万に、二十七倍にこれを増額しておるというような状態でございます。それから大学につきましては、ただいまお話がありましたように、医療制度調査会のお話もございますし、また大臣からも新しくそういうふうな方式を十分考えろという御下命がありまして、たとえば国立の養成所の何ぽかを大学にして、大規模に養成するということも今検討中でございます。今お話しの、現在ございます大学または短大によります養成所の成績というふうなところも、あわせて今調べておるような状況でございます。
#40
○堀委員 いろいろ文部省、厚生省で基本的な対策を考えていただかないと、これは先に行っても大へん困ることですし、そういう対策をすみやかに立てると同時に、大蔵省側としても、やはり現実の問題として非常に看護婦が少ないという問題は日本の医療行政に困ることですから、そういう各省側における対案ができた場合には、やはりこれに協力をして、予算的な配慮等も十分考慮していただきたいという希望を述べまして、私の質問を終わります。
#41
○臼井委員長 滝井義高君。
#42
○滝井委員 国立病院の特別会計法の一部を改正する法律案について少し質問をしたいと思います。
 まず第一に、国立病院の多くは旧陸海軍病院から引き継いだものなのです。しかも非常に年数が経過しておって非能率であるという御説明を、提案理由の中でおやりになっているわけですが、まず、一体陸海軍から引き継いだものの数は、八十カ所ばかりの病院の中で幾つあるのですか。
#43
○尾崎政府委員 全体のうちで、旧軍施設のものは七十五でございます。それから傷痍軍人温泉療養所が、四、それから民間の建物の買収、これは都城ですが、一、それから医療団の関係のものが二、これは転換でございます。それから戦後新設をしたものが二、これはやはり結核療養所からの転換でございます。だから軍施設の転用が七十五でございます。
#44
○滝井委員 総計八十四ですね。そうしますと、これらの病院が非常に非能率であるという理由はどういうところにあるのですか。
#45
○尾崎政府委員 建物が、昔の、人件費をあまりかまわなかった軍の時代におつくりになったものではないかと思うのでありますが、そういうよりな関係で、近代の病院管理の立場から見まして、必ずしもそぐわないよりな建て方になっておる。広い土地に分散して建てられておるとか、その他いろいろ建物の運用しますための設備も逐次改善をしておりますが、能率がよくない、こういうような問題でございます。
#46
○滝井委員 経済白書は、もはや戦後ではないといったけれども、ここでは依然として戦後が続いておるわけですね。そうしますと、一体今まで、一般会計からどの程度の額を病院の特別会計に入れておったか、ずっとここ数年の、入れた額と、そのパーセントをちょっと御説明をしてもらいたい。三十年以降でけっこうです。
#47
○尾崎政府委員 三十年が十三億二千二百万、全額の中のパ一センテイジにいたしますと一六・八%、三十一年が十三億七千八百万、一六・九プロ、三十二年が十五億九千八百万で一八・三プロ、三十三年が十四億四千七百万、一五・九プロ、三十四年が十二億九千三百万で一三・五プロ、三十五年が十四億八千九百万、一三・四プロ、三十六年が二十八億二千百万で二〇・四プロ、これはがん・センター関係が入っております。それから三十七年が三十三億九千万で一三・九プロ、三十八年度は二十七億七百万で一二・八プロ、こういうふうな状態でございます。
#48
○滝井委員 今御説明をいただいたように、少なくとも三十年から三十二年までは一六%とか一八%であったわけです。自来ずうっと下がってきておるわけですね。がん・センターは最近における新しい成人病対策として、これは新設で別です。従って、これを除きますと、おそらく三十六年度も一三%かそこらの台だと思う。すでに、国立病院が非能率で、だだっ広いところに、昔の陸海軍の人をふんだんにつぎ込んでおったときにつくっておったと言うのに、一体政府としては、医療政策の重要な根幹である病院のために予算をつぎ込まなかったのはどういう理由ですか。どういう理由で、こんなわずかな金しかつぎ込まなかったのか。しかもそれがふえるならともかく、医療保障を前進させなければならぬとあれだけ池田総理も言っておるし、公共投資、減税、社会保障というのは、三十五年十一月の選挙における池田内閣の三大公約だった。最近はその減税を除いて、公共投資、社会保障、文教の前進という、いわゆる三つのものの中に社会保障を入れてやっておる。その社会保障の中で所得保障と医療保障が二大支柱であるということは、厚生大臣もしょっちゅう、歴代の厚生大臣が言ってきておるわけです、しかもその医療保障の支柱は何だということは、やはり国立病院をしっかりしておかなければならぬしところが国立病院への一般会計からの繰り入れ額は、だんだん減少していっている。そして今になったら、国立病院は非能率で、だだっ広くて、うんと人が要ります、人がよけい要れば人件費がよけいかかることはわかるから、人件費を削るためには何とかしなければならぬ、こういうことでは筋が通らぬと思う。今まで、昭和三十年から約十年になんなんとする日月がたっておるのに、その予算を削らなければならぬという理論的根拠は一体どこにあったのですか。こんなに予算を削らなければならぬ、総体的な比率を下げなければならぬという理由は、一体どこにあるのか。
#49
○尾崎政府委員 滝井先生のお話は、全体のうちのパーセンテージがここでふえていかなければならぬという御議論だろうと思いますが、厚生省の大体の考え方は、整備費の関係が十三、四億が大体コンスタントにあった。と申しますのは、一般の整備に対します予算は、第一基幹病院と申しますか、ブロックの基幹病院の整備をある程度計画的にやっておって、それが同じ数字で来ておった、こういうような状態でございます。一般の病院経営費その他がふえてきておる。ことにこのふえ方が急速だった。こういうために、全体の中での比率が下がってきておりますが、整備費自体としては、大体初めの第一基幹病院を建てましたときの計画の線に沿うて動いてきておるわけでございます。その第一次基幹病院の整備のときの計画自体の問題もあると思いますが、なおそれと同時に、できるだけ病院自体をよくしていくという立場でわれわれ自身も努力して、この努力で医療機械等の整備もどんどん伸びておりますが、そういうふうな点で、自分自身でもまかなえることも多くなってきた、こういうことだろうと思います。ただ第一次基幹病院の整備が大体終わりましたので、第二次に移っていくときにあたりまして、ここで飛躍的に考えたいといので、こういうふうな借入金の制度を考えたわけでございます。
#50
○滝井委員 第二次に移るとおっしゃるけれども、ここに書いている理由というのは、何と書いておるかというと、施設が相当の年数を経過したので、かつ非能率なものが多いのでと書いておられる。今まで十年間コンスタントにしか入れてきていない。非能率なものが多い。その結果収益が少ないということは、入れ方が少なかったということを証明している。入れ方が少なかったのに、今度はその入れ方の少なかったのを補うために借入金をやろうなんという、こういう矛盾した政策というのはありはしない。これは国立病院ですよ。普通の私的医療機関じゃないのですよ。国が責任を持っておやりになろうという病院について、今まで一般会計から入れておったのに、その入れるのがコンスタントであった。今度は第二次計画をやるのに非能率であるから借入金をやってまかなおうなんというのは、そんなことをしておったのでは、病院の経営というのは成り立たない。これを成り立たそうとすれば、営利主義に徹せざるを得ない。国立病院が営利主義に徹するということは、社会保障における医療保障が後退することを意味するのです。そうでなくてさえ、生命保険会社でさえ目をつけて、健康保険をやろうかという、こういう事態になってきたのでしょう。そういう生命保険会社が、今度は医療をだしにしてもうけようとするときに、国立病院が借入金をして、またもうけようとするならば、日本の医療というものは一体どうなるのですか。そこで、この八十四の国立病院の赤字と黒字の分布は一体どうなっておりますか。八十四の中でその病院の経営が赤字のものが幾らで、そして黒字のものが幾らなのか。黒字の病院はどういうところに集中し、赤字の病院はどういうところに集中しておるのですか。この八十四の赤字と黒字を仕分けして下さい。
#51
○尾崎政府委員 先ほど堀先生からお話があったのでございますが、どういうふうにバランスの計算をやるかによりまして、いろいろ違ってくるわけであります。一応病院の整備費等特別に継ぎ込むというものをのけまして、一般の運営費、それから診療収入によりまして入ってくるものとの比較をしてみまして、黒字、赤字が大体半々ぐらいの状態になっております、どちらかといいますと、都会の方の、これは整備をいたしました基幹病院でございますが、そういうふうなところが黒字で、いなかの方の病院が傾向的には赤字を示しておるということが言えます。ただ年によりましていろいろ変動がありまして、あまり成績のよくなかった病院が、その後スタッフがかわりましてから、またぐっと変っていくというのもありますので、一がいにこの病院が赤字ということも言えないところもありますが、対馬のように、年々赤字を出している例もあります。
#52
○滝井委員 そうしますと、都市の病院と基幹病院が黒字で、その他いなかにある中小都市の病院が赤字だししかもその赤字と黒字が半々だ、こういうことになってきた。そうしますと、この特別会計のねらいは、借入金を借りて、デラックスの病院をつくって、できるだけ人件費を減らして患者を吸収して、能率を上げながらもうけていこう、こういうわけなんですね、端的に言えばそういうことなんです。そこでなぜ一般会計から入れないのですか。大蔵省はどうして病院のために借入金なんかさせて一般会計から十億くらいの金を入れないのですか。二兆八千五百億、ニホンハイイワという予算ですよ。日本がいいなら、住みよいならば、病院に金を借りさせて病院の施設を整備させるというそんなけちな政策があるのですか。どうして一般会計からわずか十億の金を入れられないのですか。
 委員長、実は大蔵大臣に来てもらいたかった。少し大蔵大臣に尋ねたいこともあるのですがね。
#53
○岩尾政府委員 国立病院の借り入れでございますが、先ほど先生のおっしゃいましたように、一般会計からの繰り入れが年々減っておる、それから医療保障の中心として国立病院というものを強化していかなければならぬのに、こういう状況では非常に社会保障の後退ではないかという御意見がありますが、毎年の繰入額と全体の収益と御比較いただきまして、%がいかようであるかということで非常に社会保障に対する後退というふうにお話しでありますが、これはちょうど三十年当時から単価等も上がりまして現在では大体倍になっております、そういう状況で、本来一般会計から入れております金は――先ほども堀先生の御質問でお話をいたしましたけれども国立病院というものは経理を明確にするために一般会計から分けよう、しかし旧一般会計の資産というものは引き継いでそれを運用していただいて、なお増加していく資産については一般会計の方で見ていこう、こういう趣旨で入れておりますので、相対の、%でいいますと、片方の方で収益が非常にふえますと比率が下がったということもあり得るかというふうに考えております。われわれといたしましては、もちろん全体の予算を考えますれば二兆八千五百億ということでこれは膨大なものでありますけれども、それぞれ予算としては税金で入れるわけでありますから、どの程度のところにどういうふうに入れていったらいいかというおのずからの限度がございます。
 そこで一体国立病院の特別会計についてどれだけの一般会計の負担をしたらいいかということを考えますと、国立病院の従来からの考え方というものは、完全な独立採算ということではございませんけれども、経営運営というものは特別会計でやっていただく、そして資産については一般会計で入れていこうということで所要の一般会計からの繰り入れを行なうということで考えておりますので、その限度において必要なものは入れていくということで考えておるわけであります。ただ先ほど先生のおっしゃいますように、現状においては提案理由にもありますように、非常に病院としても施設が老朽しておるという状況でありますので、これをなるべく早くやりたい早くやるには現在やるような一般会計と特別会計との関係から申しますと、最初に一般会計から渡しております資産、これはかなり余剰が出てくるわけであります。また現に余剰があるわけであります。こういうものを売却していただけるならば相当の金が出てきますし、それによって所要の建設もできる。しかしそれはおくれてはいけないというわけで、さしあたり十億からの借り入れをもってまかなって、そして売却資産の代金等をもってやろう、こういった考え方であります。
 国立病院の持っている資産は売りなさい、それはけっこうでしょう。余った資産だったら売ってけっこうですが、一体一般会計からどうして入れられないのかということですよ。繰り入れができないのかということです。今まで戦後十七年閥、借入金というものをやらずに一般会計からの繰り入れでやってきた。そして基幹病院を建てる場合債務負担行為でやってきた、五億、六億……。債務負担行為をやらせたらいい、今まで基幹病院を建てるのには、債務負担行為でやってきたのですから。今年度の予算を見ても一億円の国庫債務負担行為というのがある。軍艦をつくったり、飛行機をつくったり、潜水艦をつくるときには、莫大な債務負担行為をやるわけなんですから、これは社会保障というのは、軍艦よりもっと大事なものですよ、今の貧しい日本にとっては。今までは五億、六億、はなはだしいときには十億から許しておったと思いますが、債務負担行為を許してやって、病院の建物を建てさせる、売るべき資産は売らせる、そうしておやりになったら、これは十億くらいですからいけるわけですよ。しかも国立病院なんですよ。今の岩尾君のような答弁になれば、これは借入金にすれば、今度はその元本を返さなければならないから、返すためには病院はかせがなければならぬ。今までは国立病院では、借りた金は払わなくてもいいんですから、それだけ余裕ができた。だから施設の整備をやったり、いろいろ内部的な充実をやったり、診療の高貴薬を使う方向に持っていく、医療内容の向上に持っていけたわけです。今度は建物の建設費を自前で持てということでしょう、借入金というのは。それならば借入金のかわりに債務負担行為をどうしてできないのかということです。もし、自衛隊に借入金でやれというよりか過酷ですよ。だからこういう点はどうして債務負担行為でできないのですか。医務局長、債務負担行為でできないのですか。
#54
○尾崎政府委員 債務負担行為でやりますれば、その次の年に、やはり予算でいかないというふうに、同じ一年ちょっとふえましても、その次の年に予算の額の中に食い込んでいきますので、これは一定の建物をどれだけのものをつくるかという問題ともからむ問題かと思いますが、今の一般会計からの繰り入れば、ほかとのいろいろバランスもあろうし、いわゆる実績をそうくずさないで、さらに急速に整備をやろうというので、借入金の関係をわれわれの方で実は考えて、大蔵省の方に交渉し、お願いしたわけです。その考え方につきましては、ほかの一般の病院等も借入金等で地方公共団体等がやっておられますので、また建物を一体化すれば、そこにだいぶ余裕の土地もできろ。それがかなり売れる。それでも払える。利子等につきましては、ある程度大蔵省の方でも一般会計から見ていただけるような大体の考え方もありますので、そういうようなことで十分われわれとしてはやっていける。特に建物がよくなりますと、今までの実績からいいまして、診療の点数もふえ、バランスもずっとよくなってきておる。これは先生はすぐ営利主義に徹して、人件費をカットする方法であろうなんていわれますけれども、そういう意味ではなしに、やはりみんなが張り切る状態で、また患者さんからも利用が多くなる、そして前向きに病院がよくなっていくことだろうと私は思うのですが、そういうふうにいたしまして、病院がよくなり、みんなも喜んでいきながら、そう無理をしないで借入金をやって、病院の建物をよくしていく。できますれば、さらに十億くらいじゃなく、もう少し大きく急速にこの借入金をふやして、整備を急速にやっていきたい。こういうようなことをわれわれ考えているので、その費用を全部親方日の丸で国庫におんぶするという格好でなく、自分たちでやれるところはやっていきたい。しかしそれがあまり無理な形ではなくして、やっていけるつもりで実はおるわけなんであります。
#55
○滝井委員 一体あなたは国立病院をどう考えているのですか。それならば全部借入金でやったらいい、その方が能率が上がるというならば。そういうものではないのです、国立病院は。だからこそ戦後十七年間借入金というものを法律には書かなかったのですよ。病院収入、一般会計及び積立金からの受入金、積立金から生ずる収入並びに付属雑収入をもって歳入とし、こういうことに法律はきちっとしているのです。借入金なんかやれれば、いわゆる企業経営という形になるからこそやらなかったのです。だから最近見てごらんなさいよ。地方病院の六、七割は赤字なんです。しかもそれが公営企業金融公庫から金を借りて、みんなどういう形をとりつつあるかというと、デラックスな病院をつくって、そして一等、二等、いわゆる差額徴収のできるベットをつくって、健康保健では入れないじゃないですか。その典型的なものが、博愛と人道をもって鳴る日赤です、日赤の中央病院に行ってごらんなさい。一体健康保険の患者が多いか、健康保険証の通用しない病棟が多いか。国立病院でもそういう傾向が出てき始めたじゃないですか。デラックスな病院をつくって、それで大実業家あたりを収容している。そうしなければ今の単価ではもうからないのですよ、病院はやっていけないのです。それを今から借入金を中心とするような行き方でいっていいのかどうかということですよ、これからの病院の経営というものは……。しかも模範的な国立病院の経営ですよ。あなたも御存じの通り、健康保険の病院でも一年間に、いわゆる社会保険病院は設備費を十四億くらい入れるのですよ。それから労災を調べてごらんなさい、労災病院は労災の特別会計から二十億入れるのですよ、病院を建てるために……。そうすると、一局部的な労働者のための健康保険の病院とか、あるいは労災の病院が労災の特別会計あるいは健康保険の特別会計から十四億とか、二十億入れるのに、九千万の国民の命を預かる国立病院、しかも模範的な国立病院がわずか二十七億、しかもそのうちの純粋の整備費の財源は十七億なんですよ。三十八年度でも十七億しか入れないのです。あまり均衡がとれないじゃないですか、事業主が金を出しているところの労災病院でさえもが二十億の財源を入れる。建設費だけでも昭和三十七年は十一億、三十八年度は十六億入れるのですよ。これでもって国立病院が一般会計から今まで年々固定のものをもらっておったからいいですなんて満足する医務局長がどうかしているのです。またそのくらいしか出さない大蔵大臣がどうかしている、一体国立病院の医療行政というものをどう考えておるかということですよ、健康保険の病院さえもあなた今申した通り十四億の整備費を入れておるのですから、これは保険局長なり、あるいは基準局長に医務局長、あなたは恥ずかしいですよ。あなたの力が足らぬということで……。また大蔵省はいかに病院行政について認識が浅いかということなんですよ。これは岩屋さんにも責任がある。あなたは主計官なんだから……。こういう体たらくであって、そうして今度は借入金をやったらいかにもうまく行くような錯覚をしろうとの議員に与えることはもってのほかですよ。人件費というものは合理化したところで五割を占めるのですからね。だからそういう点でどうも私はこの点は他の健康保険の関係、労災の関係からいっても納得がいかないのです。それならば今利子のことをちょっと片言隻句で、利子を国から出すがごとく出さざるがごとく答弁しておりましたが、大蔵省に尋ねますが、この利子は全部国が持つのでしょうね。
#56
○岩尾政府委員 現在計上しております三十八年度の利子は三千二百五十万円というものを計上しております。
#57
○滝井委員 それは全部国が持つでしょうねということを尋ねておるのですが、持つか持たないかということを一つ答弁してもらいたい。
#58
○岩尾政府委員 一般会計からの繰入金でございます。
#59
○滝井委員 そうしますと、今後繰入金がだんだん増加をしていきますと、この利子の額も多くなってくるわけですね。これは当然持つでしょうね、
#60
○岩尾政府委員 現在のところは負担していきたいという気持で考えております。
#61
○滝井委員 これは一つ政務次官、大臣として、しっかりそう持つということできちっとしていただきたい。――これは将来出てきますが、将来の計画を立てなければならないのですから、利子というものは重要な影響を及ぼすんです。将来当然これで持っていくんでしょうね。
#62
○原田政府委員 さきにそれに付随したような質問が堀君から出たのですが、これは五年開据え置き二十年で返還という問題でございますが、利子につきまして今総務課長から申しておりますように、そういう線でいきたいと考えております。今滝井さんのお話を聞いていると、都市の病院も赤字ばかり出している。労災の病院はいい、国はそれにならってうんとやれ、こういうことでは赤字を出してもかまわないんだというように聞こえる内容が御質問の中にあったのです。金もうけなんて思っていないが赤字を出しても幾らでもやっていいというものではない。一方にいい病院をつくっておいて、これに見合うところの病院をつくれつくれといって、小さい町まで程度も考えずにそんなデラックスな病院をつくるから、そういうような赤字が出てくるというような問題も僕はあると思う。この今の国立病院の問題に対しましても、膨大な土地を持っている、たくさんの土地を持っていながらその土地は遊んでいる、そういうような状態をよくして、そしてそういうような金を生かして、国立病院の施設、設備あるいは内容を充実していこうという考えをしているのであって、国の金が十億より出ていないじゃないかと言われるが、十億という金だって大事な金です。病院のことだけ言っていると、十億というのは何だ二兆八千億のうちのたった十億だということになるが、あんたのところの九州の石炭だって大事だし、みんなのことを考えていったら十億という金は決して少ない金ではありません。一生懸命やっているんですから、そうボロクソに言いなさんな。
#63
○滝井委員 私は何も赤字をつくれと言っておるのではないのです。また国立病院の余っている土地を売れなんとは言っていないんです。問題は借入金なんです。借入金のことを言っているのです。一体十億の借入金を今までやっておったかというと、今までやっていない。初めてやるんです。政策の転換なんです。だから、何で一体政策の転換をしなければならぬか、その理論的な根拠をはっきりしてくれ、こういうわけです。そうしますと、国立病院の半数は赤字ですと言うが、赤字ならば一体この病院が返せるかということです。それで、この問題は、赤字病院というのはどこが一体赤字ですかというと、いなかが赤字だ、こう言うわけです。そして、いなかの赤字のところをデラックスの病院にしたら黒字になります、こういう答弁なんです。それで、一体今の診療報酬の関係で大丈夫ですか、こういうことを聞いているのです。何もかみついておるわけでも何でもないんです。理論的に筋を通して質問をしておるわけです。今までは借入金をしなかった。そうして、ここ数年は一二、三%の歳入が一般会計から特別会計にあった、それでよかったんです、こう言っている。ところが、よかったと言っておきながら、だだっ広くて人間がよけいに要って、そうして黒字にならずに赤字です。だから今度病院を借入金で建てかえます、こうおっしゃるが、それならばその金は一般会計からお入れになったらどうですか、りっぱにしたらうまくいくんですから――この金ならば利子も払わなくてもいいんですし、その元本を返さなくてもいいのです。元本を返すということになると、返すだけのものをもうけなければならぬということです、だから、黒字のところがもうけようとすればどういうことになるかというと、今の状態ではデラックスな病棟を建てて、そうしてお金持を入れなければもうからぬですよと言うんです。それを指摘しておるわけです。現実の実態はそうなんです。日赤を見て下さい。日赤の病院が黒字になるためには、デラックスの病棟を建てて、健康保険の適用しない特一、特二というものをつくって、そして、かつては入院するときに二万円の身のしろ金を取られるんです。これが博愛人道の病院ですか、こういうことになるわけです、それと同じ道を国立病院は歩こうとしておるわけです。かつて東京第二病院は洋服だんすその他を貸して金を取っておったのです。そうしなければ病院のいろいろの雑費がまかなえなかったのです。国立病院が、いい部屋に入ったら洋服だんすやくつ箱を貸してくれたからといって金を取るような制度はいかぬじゃないかと私が指摘したから、これは大へんだと言ってやめたのです。そういう形でなければ東京の一流病院でさえやっていけない。それを今度いなかに――だだっ広いからといって国有の土地を売るのはいいですよ。だだっ広い土地を売ってデラックスの病院を建てた場合に、日本の農村地帯の住民の国民健康保険しか持たない、しかも四千五百万の国民健康保険のうち年間所得か二十万円以下の六割三分の人たちがデラックスの病院に入れるかというと入れない。そうすると、中以上のいい人だけがデラックスの病棟に入って、あとの金を持たない農民や中小企業者は、保険証を持っていってもそれはベッドの数が少なくなっているのですから、国立病院はできたけれどもまかなえないのではないか。そうしなければ、この借入金の元本の支払いができないのです。こういうことになるのです。そこで、それをお建てになるならば一般会計からおやりになることがいいのではないか。これは緊急の事態なんです。そうやらなければならぬ。そのやり力を――建てることはいいのだが、借入金の十億というのはなるほど莫大な額です。しかしどこか倹約すれば二兆八千五百億もあるのですから、十億くらいは出せるのではないか、こういう理論になるのです。こういうことを言っておるのです。原田さん、私は何もかみついておるわけでもないし、横車を押しておるわけでもない。今までの研究と経験との成果の上に理論を組み立てて質問申し上げておるのです。
#64
○尾崎政府委員 今のお話よくわかるのでございますが、多少考え方について異論のあるところもあるのではないか、こう感ずるものでございます。
 まず、確かに一般会計からの繰り入れを、従来十三、四億のものを二十億、三十億とふやしていただければありがたいわけでありますが、これはいろいろ全体のバランス等もありますし、われわれも努力して今まできておったのに対しまして、そう一挙にこれを三倍、五倍とふやすこともほかの病院――今労災等のお話もこざいましたが、全体の病院の状態等も考えまして、われわれの今までの努力の実績と経験によって考え、ここで借入金をやって急速にこの状態をよくしていくということを考え出したわけであります。その場合にもうけ主義に徹するのではないかということを御心配になっておりますが、国立病院につきましてはそういうもうけ主義的な行き方、またデラックス病棟というような行き方で、個室料でかせいでいこうというような考えはあまりないわけでございまして、そういうことではなしに、たとえば、従来、全般的に見ますと、特別室というのはあまり大きなベッドをつくらさぬような方針で、大体五プロ程度に全体としては押えておる方針であります。日赤の例をお話になりましたが、確かに今のところ保険の点数の単価につきましてはいろいろ問題もあるかと存じますし、これも将来また必要に応じて改正されるのではないかと思いますが、それはともかくといたしまして、現在におきましても、今までの推移におきまして第一次の地区々々の基幹病院、これが整備をいたしますとやはり診療収入がずっとふえてきておる。それだけ患者さんもふえ、また職員も張り切って働いてくれる、こういうような実績がございます。今お話しの特別室料でかせいでおるという状態ではないのであります。またこれから整備をしていきます三十病院が、全部赤字なのを黒字にしようということではなくて、黒字、赤字論は全般として申し上げたわけでありまして、今回の借入金等によって整備を重点的に進めていこうという病院は、必ずしも赤字の病院をこれで黒字に全部転換させようというわけではなくて、中にはかなり黒字の病院もあるわけでありまして、そういうもののバランスがよりよくなっていく、こういうようなことである程度バランスはさらに全体としてよくなる。自分自身も借入金の一部に、土地の売り払い以外に自分でも返していけろ。また足らない面は一般会計からお願いして、従来からお願いしておる面もあるわけでありますが、さらにほかのいなかの対馬病院というようなところの赤字なども、これでよりカバーしていってそれをさらにできれば整備していきたい、こういうふうに考えておるわけでありまして、われわれとしてはえげつない立場でなくて、前向きの姿勢で医療をよくしていく立場で考えておるわけでございまして、その点さらに一そう御忠言をいれまして研究してみたいと思います。
#65
○滝井委員 そうしますと、三十八年度の借り入れ及び償還の計画をちょっと説明して下さい。
#66
○尾崎政府委員 三十八年度には十億借り入れまして、三十八年には、これは据置でございますから償還いたしませんで利子を払うだけでございます。利子は一般会計から練り入れる予定であります。
 そうしますとその借り入れ先は、どこから借りますか。それから借り入れ病院がきまっておるはずですね、どの病院とどの病院に十億を配分するかきまっておりますね。
#67
○尾崎政府委員 借り入れするもとは財政投融資資金でございまして、その借り入れるものは国立病院特別会計全体として借り入れるわけでございます。そうしてその費用をどこに使うかということは今検討しておるところでございまして、どこの病院という決定をまだしていないところでございます。
#68
○滝井委員 この予算をつくるときにどこの病院という、ふうに決定しないのですか。当然、どこの病院、どこの病院というのを決定しなければ……。この七条の二項の五をごらんになりますと、「借入れを予定する年度にあっては、その借入れ及び償還の計画」をつくることになるわけですね。だから予算をつくるときは、その整備費というものは、大体どことどこの病院に――この二十七億の一般会計から受け入れた金のうち、二十一億円が整備費の財源になるわけですから、やはりこの二十一億が、こういうはしたまでついて出るからには、どこの病院とどこの病院を整備するからその積み上げがこういうことになるという予算が出てこなければ大蔵省はめくら判も押せやしないでしょう。それは労働省なんか、労災の会計なんか、十九病院がありますが、このほかに新設が何カ所でどこにどういうことをするということが大体出てきていますよ。あなたの方だけそういうものが出てこずに、ただつかみ金なら、われわれはわかりはしない。
#69
○尾崎政府委員 初めこの計画を立てました場合には、一応八十五病院のうちの十がブロックの基幹病院として整備が大体終わりましたので、そのあとの七十五に対しまして大体三十を考えて百五十億の予定をしたのでございますが、結論といたしまして、これが借入金が十億という形になりましたので、そのうちの一これはもちろん初めの計画とは多少実施においては異同が起こってきますが、そのうちの十億でまずどこから手をつけるかは今からこちらで検討し、また大蔵省と御相談をする、こういう状態にあるわけであります。
#70
○滝井委員 大蔵省にお尋ねしますが、今御説明の通り、厚生省としては少なくとも病院を今のような非能率の状態に置いてはいかぬので、速急に整備をしなければいかぬ、そうしなければ、原田さんの言うように赤字でない方がいいんだから、従ってその赤字を早く解消するためには百五十億程度必要です、ところがその十五分の一の十億しか認められませんでしたと、こうなる。一般会計から入れることも制御していく、借入金も百五十億出したけれども、たった十億だ、こういうように二重、三重のワクをかけられて、なお今度医務局長は、病院の前進をはかるために、こうおっしゃる。だからこれは本末転倒しておるんです。一般会計で要求したけれども、なかなか他との均衡もあってとれませんでした、そこで借入金をしたいと思います、だから今度この法律というものは借入金で出すのだ、ところが借入金の方も百五十億要求したけれども、その十五分の一の十億だ――ことしは二寸億くらい要求したのですか。
#71
○尾崎政府委員 今の百五十億は全計画でございまして、ことしの要求は借入金四十六億でございます。
#72
○滝井委員 同じことですよ。だから四十六億しか要求しなかったのに、その四分の一の十億しか認めなかった、こういうことなんですからね、そうしますと、医務局の、能率的にしてそうして何とか赤字をつくらぬようにしていきたいなんという企図は、はるか地獄のかなたに追いやられちゃっている。こういう点、一体医療行政というものは厚生省がやるのか大蔵省がやるのかということですよ、これもまた他の財政投融資計画との関係もありますからとこういうことになるのでしょう、おそらく。それならば社会保障を充実するという看板をちょっとおろしてもらわなければならぬですよ、これは三番目か四番目ということになってしまう。しかも、百五十億の、これは五カ年くらいの計画でしょう、おそらく、そうだったけれども、そんなものはくずれちゃった。従って、十億円の借入金をしますけれども、どこに金をやっていいかまだ計画をつくっておりません、こういう実態になってしまう。これでは一体、基幹病院をお建てになって、その基幹病院の網をどういうふうに張って国民医療の中核としての国立病院の機能を発揮せしめるかという点については、全くこれはわからぬじゃないですか。
 それならば、この十億は財政投融資からお借りになるというのですが、財政投融資のどこからお借りになるのです。大蔵省、どこからお出しになるのですか。
#73
○岩尾政府委員 資金運用部資金でございます。
#74
○滝井委員 資金運用部資金でも、これはあれから出すのじゃないのですか、厚生年金あるいは国民年金の特別融資から、そこらから出すのじゃないですか、資金運用部資金プロパーから出すのですか。
#75
○岩尾政府委員 財政投融資計画といたしましては半々ということになっております。
#76
○滝井委員 ここはまたおかしいのです。いいですか。岸総理と私との約束は、国民年金なり厚生年金の還元融資を国立病院に持っていくなんという約束はしておらぬ。直接国民の、労働者の福祉の方に持っていくのだ。先日の予算委員会でも、ことし一般地方債として八十一億の金がいっているわけですが、これだって大蔵大臣は、来年はこれはもうやりませんと言明している。ところが、国立病院を建てるのに労働者の福祉に持っていく金を五億円持っていくというのは何事ですか、そういう不明朗な借入金というのはありゃしない。こういうところにもからくりがありますよ。こういうことは、政府、内閣総理大臣の言明したものと違ったことを大蔵省の理財局かやっているということです。この半額をこういうところから持っていくのはけしからぬです。国会に対する言明と違うじゃないですか。医務局はまたそういうことでのこのこと引き下がっているのですか、国立病院ですよ。医療金融公庫さえこの金を出してはいかぬという議論か出てきている。あなたの方の年金局かそういう主張をしているのですよ。そういう主張をしていろのに、今度は国立病院か、民間の公的医療機関なりあるいはその他労働者の福祉に直接関係する病院、住宅等に持っていかなければならない金の中から、その五億を借入金に持っていくなんて、そんなばかなことはないですよ、こういう同じ厚生省の中で、かつて保険局、今は年金局の所管ですが、年金局は反対している。予算編成のときにも反対している。今度はそれを同じ厚生省の中の医務局は黙ってそっちから五億もらおうなんて、そんなばかなことはないですよ。これは総理の言明と違う。大蔵大臣の言明とも違う。一体これはどういうことです。われわれをいつもぺてんにかけるのですか。こういうでたらめなことばかりしてはいかぬです。
 〔「大臣が出るまで質疑を待とう」と呼ぶ者あり〕
#77
○臼井委員長 速記をとめて下さい。
  〔速記中止〕
#78
○臼井委員長 速記を始めて下さい。
#79
○滝井委員 御協力を申し上げなければいかぬから先へ進みますが、医務局長、これは省内不統一ですよ、あなたの責任は重大だ、従ってこれは資金運用部プロパーにかえてもらわなければならぬ。この予算書のカッコ書きは消してもらわなければならぬ。このくらいの財政投融資は資金運用部から余裕がありますよ。だからこの国立病院三十八年度資金運用部資金〔五〕億、それから十億、このカッコ書きの五億は消してもらわなければいかぬですよ、国立病院の施設費を支弁するため必要があるときは借入金をすることができることになっておるわけです。一体国立病院の施設費を借入金で持っていく基準というものはどういうことできめるのですか一ある場合は一般会計からやりますし、ある場合には借入金からもやるわけです。どういう場合には一般会計で持っていき、どういう場合に借入金でやることになりますか。施設費を借入金で持っていく基準ですね。どういう場合に借入金で持っていき、どういう場合に一般会計からまかないますか。これは法律の八条の二にあるわけですがね。
#80
○尾崎政府委員 本年度は一応十億とこういうふうになっておりますが、来年度以降といたしましては、この法律によりましてある程度のルールをつくっていくということになってくると思います。
#81
○滝井委員 どうもはっきりしなかったのですが、いいですか、八十四病院があるわけです。そこで、借入金ばかり借りた病院と一般会計からの施設整備費を受け入れた病院とでは差別が出てくるわけです。なぜならば一般会計からよけいにもらった病院は金を返さなくてもいいのですからね。ところが借入金でまかなった病院はよけいに返さなきゃならぬことになる。それだけそこの病院の運営というものに大きな影響が及んでくるわけです。従って、当然借入金によって設備費をまかなう何か基準というようなものがきまっておらなければならぬと思うのです。同時にまたその借り入れの限度額というものが毎年の予算で議決されるわけですね。これは特別会計の予算総則でちゃんと書いておるわけですから、従ってその借入金の限度額というものを絶えず頭に置きながら、各病院がやはり一般会計の受け入れと借入金による設備の更新とを平均化しておかないと、病院の中でアンバランスが出てくるわけです、これはあとで質問をしますけれども、なるほどこの特別会計は全部プールはしておるかもしれないけれども、それは病院における医療従事者なりそこで診療を受ける患者にとっても大へんな問題なんですよ。そこでその借入金の限度額というものは一体どういう方針できめるのか。従って、借入金をする施設の基準というか方針というか、どういう方針のもとに借入金をするという点をきちっとしておかないと、今言ったようにあなたの方でことしは四十六億必要だ、限度額は四十六億だと思っても、大蔵省との予算編成の過程で大蔵省がこれは四分の一以下の十億でよろしい、こうなったら十億になってしまって、そうしてあなた方の考えておった方針というものは根本からみんなくずれてしまうのですからね、そこでまたやり直さなければならぬということになる、そこらの八条の二の一項、二項との関係ですね。
#82
○尾崎政府委員 ただいまの考え方は、借入金で大体三十くらいの病院の整備を重点的にやるていきたい。それで金額といたしまては全体として百五十億、それを三カ年の予定で第一年に四十六億というふうな考え方でおったわけですが、今のお話のように、第一年は数が少なくて計画がだんだん延びていくという形にはなるわけでございます。ただし先生のお話しのように、その一つ一つの病院がおのおの金の責任を負うという意味でなく、これは特別会計全体として、たとえば第一次でできました基幹病院などの黒字もどんどん投入して一緒になってやっていく。またこれによって整備ができました病院のバランスがよくなった分で、ほかの残りの病院の改善というふうな点も助けてゆく、こういうふうなことになっていくと存じます。従いましてルールというふうな点は、お話でございますが、ある程度個々の病院について考えるというようなことは、今からこちらではあまり考えていなかったわけでございますが、しかしお話のように将来の計画を立てます際に、そういうような点ももう少し研究はしていきたい、こういうように思います。
#83
○滝井委員 個々の問題をお考えになっていないというけれども、医務局長、あなた日赤の全国の病院の金というのは百億をちょっとこえますよ、国立病院とあまりかわらない。しかし日赤の中央の病院と、いなかにある病院の実体を見てごらんなさい。しかし日がありますよ。使う薬品にしても、それからそこに雇う医局員の給与にしても全部違う。これは違ってくるのです。やはり働きのいいところにはいい医者が集まって同じ医者でも給料を高く出しておるのですよ。だから今後これから三十の病院は一体どういうところに借りるのか問題ですけれども、その三十が借りて赤字がずっと続いていったというときには返せないのです、そういう場合は今度他のところ、いわゆる黒字の病院からそこに持ってきて返さなければならぬことになるわけです。そうしますと、そこの国立病院の院長以下従業員というものはどういう気持になるか、肩身が狭いですよ。全国の病院長会議を開いても、何だ、お前のところはあんなりっぱな病棟を建てたけれども、いつも赤字で他の病院に迷惑をかけるじゃないか、こういう形になるわけです、そうしますとどういう結果が出てくるかというと、これはやはりうちの方も黒字にしなければならぬというので、どういうところにその影響が現われるかというと、あなた専門家だから御存じでしょう、診療内容です。あるいは食費に現われてくる。そういうところを倹約しなければ病院の会計というものは弾力がない。ですからある席で石炭のことを言ったけれども、石炭産業というのは人件費が五割を占めておる。そうして経費を節減しようとする場合は労働時間を延ばして労働強化をやるか、賃金を引き下げる以外には石炭産業というものはやっていけないという現状が出ておるところに問題がある、それと同じなんです。今の病院の経営というものは人件費が五割かかる。五割をこえたらその病院の経営というものは非常にやりにくくなる。あなた方のことしの統計を見てごらんなさい。人件費が三十五年の決算では五四・九%、三十六年が五三%、五割をこえているんですよ、だから国立病院の会計というものは弾力がないんです。弾力が乏しい。だからこういう弾力の乏しいところの病院は、いなかの経済力というものは池田内閣の所得倍増計画で都市といなかではますます格差が拡大をして、いなかの経済はよくない。だからこの三十の病院で、今あなたの仰せのように半分は赤字である。その赤字のところを建てかえて借入金をしてりっぱにやろうとすれば、その借入金の元本が払えぬという事態が起こってくるわけです。五年据え置かれても二十年では払えない。そういう場合に他のところでなしくずしにしてくれということになれば、その診療内容というものは病院長会議その他であなたの方から指摘されるわけです、診療内容が悪くなる、そうすると診療内容が悪くなるとまた患者が来なくなる、こういう悪循環を繰り返してくるわけです。だからそういう場合には一般会計から元利を償還してもらうことがでるきかどうかということです。これは私は大蔵省にお尋ねしたいと思うのですが、そういう場合には、政務次官の答弁では利子はできるだけ将来は国が持ちたいとおっしゃっている。しかし病院も借入金で建てかえたけれども、依然として赤字である。そのために他の病院に影響を及ぼすというような場合については、当然これは一般会計の受入金の中から元利償還ができるかどうかということが問題になるわけです。ここらに道を開いておかぬと私どもはこの制度を納得することができないのです。そうしないと、だんだん赤字が重なっていくと国立病院自体の診療内容が非常に低下をしてくるという事態が起こる。しかもまかないその他が悪くなって患者にしわが寄ってくる。それはなるほど全体としては一つのプールとしてまかなうかもしれぬけれども、しかしこれは個々の病院の責任で運営していくわけですから、そうはいかぬ。ここにやはり企業会計的な要素が出てくるのです。独立採算的な要素が、行政上医務局として指導せざるを得ない形が出てくるのです。その点政務次官どうですか。
#84
○岩尾政府委員 滝井先生の御指摘は、現在の一般会計から施設費の繰り入れあるいは借入金によりまして各病院についてそれぞれ、たとえば借入金の場合には借入金を返すために努力をし、あるいはなかなか返せないということでほかの病院がかぶる場合に、それによって非常な負担を受けてますます診療内容が低下していくのではないかというような御指摘だと思いますが、医務局長からもお話しございましたように、現在の施設予算全体は、先ほどお話しかありました四十六億という御要求でございましたけれども、実際上はそれが十億になったのではなくて、四十六億というような全体の施設計画でございますから、その中で一般会計から出すものは三十病院については約九億、それから借入金は十億、土地の売却等による収益は十億ということで、約三十億くらいのものを四十六億の計画について調整をした、こういうことでございます。四十六億を十億というふうに減らしたわけではございません。それから今申されましたように、借入金で調達をした財源と、それから一般会計から入れた財源と土地の売却の財源、こういうものは全体を込みにいたしまして、国立病院全体の施設というものをどういうふうにやっていったらいいかという適正な計画を立てて配分をしていくわけでありまして、その配分された金に糸目はないわけで、各病院は、おれの方は金を借りたから返さなければならぬ、あるいは利子を払わなければならぬということにはなりません。そこで将来の問題として、この病院がどうも赤であるとか、この病院が返せないという計算はそもそもできませんし、将来にわたってこの十億の借入金というものが返せなくなるという状態になるかどうかというお話でございますけれども、これは先ほど来申しておりますように、現在国立病院の土地は大体百五十万坪くらいございます。これは非常に余剰の土地もございますし、新しい高層化によりまして出てくる余剰もあるので、そういったものの中で処分し得るものを処分し、そうしてその余剰というものを使い、あるいは非常に収益の上がってくるところもございましょうし、そういうものを当てにして返していけば返せないという状態にはならないというふうに考えております。
#85
○滝井委員 返せないことにはならないとおっしゃっても、これは診療収入と労務費を比べてみると大して差はないのですよ。これは非常に接近しているのです。三十七年の国の予算をお読みになると一億四千万赤字と書いてあります。あなたの方の主計官がお書きになったのを見ると赤字と書いてある。だから売るものがある間はいいですよ。去年は雑収入が七億七千万出ています。ことしは十億九千万程度ございます。売るものがある間はいいのです。しかし、百五十万坪の土地があったからといって、どんどん売ってしまったら、今度あとになったら大へんなことになるのですね。だからそれはいかぬと思う。だからこれは病院の経営を借入金でおやりになるとするならば、診療収入で借入金が払えるという形が原則だ。だからこそ償還計画なんかを立てさせるわけです。そうすると、八十のうち半分は赤字であるとおっしゃるのだから、今の診療報酬のままで行きますと、結局将来現実に診療内容を低下させる以外にない、あるいは差額徴収を取っていく以外にないですよ。それから今国立療養所は二割ですね、それから国立病院も、結核病床だけですが、一割くらい引いていますか、こういうものをやめざるを得なくなるしこういうものをやめないとやっていけない。そうすると、それだけ医療報酬は後退になる。そうでなくても厚生省はあの二割をやめたくてしようがなWい。それから入院をしていらっしゃる生活保護にひとしいような人の金を、やはり法律を改正してでも取り上げようとしているわけです。これは入院しているのだから入院費を払うのは当然ですけれども、だんだんそういう苛斂誅求的な状態になってきつつある、こういうことなんですね。将来そういった場合に厚生省としては借入金の元本についても要求するわけでしょう。船会社を見てごらんなさい。あの造船疑獄まで起こしたけれども、やはりまた一時やめておった利子補給を始めたですね。医務局もあのくらいの心臓が必要ですね。あのくらいの心臓で赤字になったら元本も一つもらいたい。こういう点はちょっと私厚生大臣でないと医務局長じゃ気の毒です。大蔵省に頭が上がらないのですから、また四十八億要求しておって十億しかもらえなかったということですから……。そうしますと、岩尾さんの方は百五十億の総ワクはお認めになるでしょうね。
#86
○岩尾政府委員 今申しましたように、四十六億の要求が十億になったのではございません。四十六億というのは全体の施設費でございますから、従って、四十六億が減ったことは減りましたけれども、借入金十億と売却収入十億とそれから一般会計から入れるもの約十億で、三十億ということであります。
 それから百五十億の計画全体を認めるかどうかということでございますが、これはなお今後よく検討いたしたいと考えております。来年はさしあたりその分について、全体の施設費としては約三十億で三十病院をどういうふうにやっていくかということを検討いたしたい、こう考えております。
 それから矢ほど先生かおっしゃいました診療収入でもって払えなくなるというお話でございますが、これはわれわれはそう考えておらないのでありまして、実は先ほど来堀先生の御質問もございまして、御答弁しておりますが、国立病院の特別会計におきましては、施設費については一般会計でなるべく見たいという気持でやっておるわけでございます。そういった施設費の金を、もし全体の収益がよければこれは出していただくことはけっこうでございますけれども、必ずこれから払わねばならぬということには考えておりません。さらに先ほどからお話しになりますように、いなかの方では非常に赤字になるのではないかというお話がございました。確かにそうかと思います。しかしこれも先ほど来申しておりますように、全体の国立病院の配置というものをもう一度御検討願いたい。われわれは現在の国立病院というものを、このままの状態でどんどん施設をよくしていくというふうには考えておらないのでございまして、医療制度調査会の答申もございますように、本来の国立病院の使命を達成するために、どういう配置をしたらいいかということを検討してやっていただければ、そういった意味で、たとえば先生が先ほど申された特別室とか、そういうものをつくって収益がよくなるのではなくて、その配置の適正化によって、都会等の病院の収益がいいのも、これはデラックスな特別室があるからではなくて、全体としての患者が多いということが収益が上がっておる理由でございます。そういう点もございますので、必ずしも私は三十病院の整備をやりましても、そう赤が出るというふうには考えておりません。適正な配置、適正な計画を立てていただければ必ず収益も向上していくのではないか、こういうふうに考えております。
#87
○滝井委員 じゃちょっと医務局長から岩尾さんに教えてあげなければならない。外来患者が多かったら病院は黒字になりますか。
#88
○尾崎政府委員 今のお話の患者がふえたということは、入院関係の患者がふえる、また診療点数のふえることを大蔵省は言っておるのだろうと思います。施設によりますが、外来患者がふえても収益に必ずしもプスラにならない。なお今の先生のお話では設備を整えてデラックスの特別室を一度につくるということでありますが、そういうことではなしに、今までの第一次基幹病院などはかなりバランスがよくなってきておる実情でございますし、われわれの方は診療内容を落とすのではなく、よくする立場でバランスもよくなっていく。食費を切り下げるのじゃないかというお話は、われわれは全然考えていないのであります。これは流用がきかないのでありまして、そういうことは全然ありませんし、また国立病院の二割引の問題は、国立療養所と一般病院の会計とは全然別会計になっておるわけで、その点は全然関係がないわけでありますから御了承願いたいと思います。
#89
○滝井委員 外来がよけいにおりますと、必ずしもそうもうからない、収入がよけいに上がるというわけにはいかぬというデータは出ております。それから入院も、いわゆる健康保険が通用する病棟、いわゆる差額調整のない病棟ばかりでやってごらんなさい。今あなたの方の国立病院の傾向をごらんになると、建てかえたときには必ず特別病棟を少しふやすでしょう。今病院収入が、国立病院であなたの方が三十六年度の病院決算として診療収入百十八億九千二百万円、業務費が百十七億二千八百万円です。これから見て比べてみましてもほとんどとんとんなんです。こういう形の中で借入金をやって病棟をつくるとすれば、いわゆる一等室ですか個室ですか、そういうものを相当つくっていかないと、これは人件費が五割をこえている現時点で考えると、そう経理は黒字になってこないのです。少し病院経営の実態というものをあなたの方で大蔵省の主計局にレクチュァーする必要があるのです。そうしてやってもらわぬと、結局だんだん借入金をよけいにさせられて、それを返すのに苦労する。一般会計からの受け入ればだんだん少なくなる傾向にあるのに、ますます借入金が多くなる。もうことしの予算だって借入金を十億したために削られている。そこで、これは大蔵省にお尋ねいたしますが、現在の一時借入金の現状はどうなっておりますか。
#90
○岩尾政府委員 現在まで借りたことはございません。
#91
○滝井委員 厚生省は一時借入金を全然やらずにやっておりますか。
#92
○尾崎政府委員 一時借入金なしで、積立金を必要なときはくずしてやっております。
#93
○滝井委員 そういう場合にどうして国庫余裕金、これは無利子ですが、これをお借りにならないのですか。積立金をくずさずに一時借入金で国庫余裕金を借りれば、これは無利子ですからこれで泳ぐのが一番いいのです。かつて健康保険の会計でおやりになっておった。わずかしかない積立金を取りくずすよりもその方がいい。これはできるわけでしょう。「一時借入金の借入及び償還に関する事務は、大蔵大臣が行う。」というように十一条にある。わざわざ積立金を活用せずに、法律にあるのだから、大蔵省と相談して国庫余裕金をお借りになったらいい。それは何か経理上の隘路があるのですか。
#94
○尾崎政府委員 ちょっと今申し方が不十分だったと思いますが、自分の方の手持ち現金がかなり年度末にありますので、四月の歳入が入ってこないときでもそれを使って泳いでおる。だから一時借入金の必要があまりなかったのであります。
#95
○滝井委員 それならわかりました。積立金を取りくずすということだから……。
 そうしますと、現在国立病院と同じ形態で経営されている社会保険病院をみますと一体どういうことになっているかという、六十八の病院の中で四十が赤字です。今度国家公務員のべースアップがありましたので、そのベースアップと同じ形をとりますとそのくらいの赤字になってくるわけであります。御承知の通り昨年からべースアップがあったので、これは医療職ですから他の公務員よりかよけいに上がるわけですが、そういう関係は一体どういうことになるのです。国立病院の内部においてそういう関係は全然関係なくやっていけるということですね。
#96
○尾崎政府委員 三十七年度決算におきましては、人件費のアップを十月からやることになっておりますが、これは診療収入が予算より十数億多くなりまして、そういう関係でこの程度の運営ができております。三十八年度はそのべースアップを組み入れまして予算を計上しております。
#97
○滝井委員 私が心配するのは、さいぜん岩尾さんがどう言ったかというと、今後国立病院の配置について検討しなければならぬということをおっしゃったわけです。そうしますと、配置について検討するということはどういうことになるかというと、結局借入金を借りていて返せないような病院は、かつておやりになったように地方委譲するか廃止をするということになるわけです。すでに社会保険病院はどういう方針をとり始めた、社会保険病院はどういう方針をとって今のべースアップにこたえて赤字の病院を黒字にしようと努力しておるかというと、まず第一に賃下げ、労働時間の延長をやるわけです。それから人員の削減と定年制を実施しようとしておるわけです。それから病院の移転縮小をやるわけです。今言ったようないなかにあるような赤字の病院は縮小するか、あるいは移転をしてなるべく都市に持っていく。それから同時に病院の業務の一部を下請け化するわけです。給食その他みんな下請さしてしまうわけです、同時に新しく建てる移転した病院は、みんなデラックスなものを建てています。そうして差額徴収でやるという方針です。こういう五つの方針を併用してやっていっているわけです。これは、社会保険病院がそういう実態ですよ。社会保険病院というのは、さいぜん申しましたように、毎年健康保険の特別会計の中から、全社連に十四億程度入れるのですよ。それでこうやらなければやっていけないのです。借入金なしにはやっていけなかった。これではやっていけなかったので最近借入金をするようになってしまった。そうして借入金をどうするかというと、今言ったようにデラックスな病棟を建てて、差額徴収をやって、これで赤字を防ごうとしたが、私がこれに神経質になるのは、殷鑑遠からず、前者のこういう例があるからなんです。これは同じ公的医療機関ですからね。それがどこから借り入れるかというと、年金福祉事業団から借りてやっているのですが、それで今度のあなたの方のお借り入れになる半額の五億というのは、やはり同じような条件で借りてやるわけです。これは同じ条件で借りて、しかも健康保険の病院がそういう形でやらないとやれないのに、今度は国立病院が借り入れをしたら、それをゆうゆうと返して、今までと同じような診療内容、今までと同じような労働時間、今までと同じような五割なんぼの人件費でやっていくということは、これは木によって魚を求むのたぐいで、空理空論なにるわけです。現実の理論としては筋が通らぬです。これは同じ状態、労災病院だって同じです。労災病院も、最近はどういう形になってきたかというと、御存じの通り大きな労災病院に入っているのは脊損の患者、脊髄の骨折している患者、あるいはけい肺の患者、あるいは大腿骨を折っているというようなこういう長期の治療とそして特殊の研究を必要とするものなんです。しかし特殊なアフター・ケアの施設を必要とするのです。ですからこういう設備は金もうけにはならぬです。たくさんの人員がそれにかかり、そして機械設備をよけいに入れなければならぬ。従って労災病院というものがだんだんそういう経営が赤字になるので、どういう方向に労災病院が転換をし始めたかというと、労災の患者はあまり見ないのです。労災の患者を見ると、いわゆる設備費や研究費に金がよけいにかかって今言ったようにいわゆる病院が黒字に転換しない、赤字になる。それでどういうことにしてやるかというと、健康保険の患者を見るわけです。生活保護を見るわけです。そうして労災病院の労災の患者の入院というのは四割二、三分、そしてそれ以外の者が五割五、六分になってしまった。名前は労災の病院だけれども、それが健康保険病院と同じ形態をとっているのです。だからこういう国立病院と類似の、全く借入金その他をやって同じような形になっているから、国立病院だけが鶏群の一鶴で、例外ではあり得ないのです。やはり豚の群れは豚の群れの中におることになるのです。だからこういう何か国立病院だけ特別に借入金をしたら地獄から天国に上るような錯覚を与えてもろうたら困るのです。
 もうこれ以上言いませんがね、大臣が参りましたから留保しておったことを今お尋ねしますが、実は病院に十億資金運用部から金を出しますと、こういう御答弁だったわけです。私資金運用部プロパーから出すのだと思ってだんだん追及していったら、この前私が予算分科会で御追及申し上げました厚生年金と国民年金の還元融資、あるいは特別融資から結局半分は出すことにしてしまった。労働者の福祉のためにやるというので、医療金融公庫や地方債に出すのはおかしいじゃないかという議論が厚生省の内部にもあるわけです。それで予算編成の過程で、それは厚生省から相当強く反対を大蔵省に申し入れられておったはずなんです。年金審議会等の結論からいっても、これは労働者の福祉に使われることになっておったのですが、いつの間にか知らぬ間に、資金運用部プロパーで出すのかと思っておったら、今度は年金の金から五億出しますという今御答弁があったのです。これは借入金をするのに、労働者の住宅やらそれから体育館やら病院を建てようというのに使おうというのに、それに国立病院五億割り込んでくるというのは、あまりけちくさいではないか、こういうことなんです。これは約束が違う。資金運用部からというので、資金運用部プロパーだと思っておったら、労働者の金に国立病院の金が入り込んでくる。これは筋が違う、これは約束が違うし認めるわけにはいかぬから、予算書のカッコを消して下さい、こういうことなんですね。それはわからぬですかね、これは厚生省の年金局でも、こういうところに使うのは反対だということを言っているわけです。厚生省もそういう方向にはやらぬと言明している。ところが今度国立病院は財政投融資から金をもらいました、こう言うから、しかもそれは資金運用部からもらっております。だんだん問い詰めてみたら、何のことはない、それは結局年金福祉事業団からもらっているということになるわけですよ。年金福祉事業団の金を出す、そういうことでしょう。だからそれならば筋が通らぬじゃないかということになる。
#98
○田中国務大臣 厚生省側は、一般地方債や医療金融公庫や国立病院特別会計というようなところに還元融資から出すことはやめてもらいたいということは、長いこと言っておるようでござまいすが、三十八年度予算編成につきましては、ただいま御審議願っておるようなことで両省とも了解し、政府の共同責任で提案をいたしておるのでございますから、少なくとも三十八年度の財政投融資の計画におきましては、五億円還元融資からということで御審議を願っておるわけでございます。
 それから国立病院に還元融資から出すことはどうかという問題に対しては、これは将来の問題として検討する必要があるかもわかりません。私は前大臣がどういうようにお答えしたかわかりませんが、国立病院の整備という問題に対しては、私は非常に熱意を持って考えておったわけでございます。大体五億ぐらいでいいのかどうか、十億で一体いいのかということも私みずからが指示をしたのでございます。御承知の通り、昭和三十二年に私が郵政省におりましたときに、非常に有名な世界的なレベルになった東京逓信病院が、設立後三十年になるにもかかわらず、大して内容が充実をせられない。特に三公社の関係にある関東逓信病院等戦後つくられたものが、相当設備がよくなっているということを考えたときに、国立病院というのは租界的な立場に立って、より高度に、医療というものよりも病理学やその他の専門的な問題に対しても、大いに研究範囲も広げて参り、そういう立場においてより稗益するためにも、財源の問題を考えてやらなければいかぬということで、御承知のやむを得ずお年玉はがきの金までつぎ込もうとさえしたのでありますから、私は現在の立場からいいますと、将来はどういう方法で固有財源をつくっていくかということは別にしまして、いずれにしても国立病院を可及的すみやかに整備充実をせしめたいという考えに立っておるわけでございます、還元融資の中から貸し付けるということの問題に対しては、三十八年度はその意味で厚生、大蔵両省の意見が円満に合意が成り立ちまして、御審議をわずらわしておるのでございますから、将来の問題としては、また滝井さんの御発言等十分検討して参りたい、こう考えるわけでございます。
#99
○滝井委員 そうしますと、これは年金福祉事業団の厚生年金積立金還元融資、国民年金の特別融資、病院関係が、三十八億、この中からですね、どこから借りるのでですか。資金運用部から借りるといっても、カッコ書きの五億は、年金から持っていくというならば、この年金福祉事業団から借りるのですか、どうですか。
#100
○堀込説明員 かわりましてお答えします。
 国立病院に対する運用部からの貸付は、予算の説明にございますが、財政投融資計画のところに特別会計に対する運用がございます。この中の四番目に国立病院特別会計というのがございますが、この欄に十億を計上してございます。このうちかぎカッコして五億と書いてございますが、これが国民年金還元融資の数字でございます。従いまして、年金福祉事業団から出るわけでございません。年金福祉事業団は別にまた公団等の欄に年金福祉事業団に対する運用が計上してあるわけでございます。
#101
○滝井委員 そうしますと、厚生年金保険積立金還元融資、国民年金特別融資の中の年金福祉事業団で、病院に三十八年度は三十三億、それから国民年金の特別融資五億ですから、三十八億からではない、別にいわゆる還元融資を資金運用部に入れたものの中から出す、こういうことですね。
#102
○堀込説明員 先生のおっしゃる通りでございます。
#103
○滝井委員 それならば一応了承します。
 これできょうは終わります。
#104
○臼井委員長 これにて各案に対する質疑は終了いたしました。
#105
○臼井委員長 これより順次討論、採決に入ります。
 まず、外貨公債の発行に関する法律案について討論に入ります。通告がありますので、順次これを許します。坪野委員。
#106
○坪野委員 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました外貨公債の発行に関する法律案について、反対討論を行なわんとするものであります。
 政府は、さきに昭和三十三庫度において、産業投資特別会計の貸付の財源に充てるため、戦後最初の米貨公債三千万ドルを発行したのでありますが、今後は毎年度ある程度外貨公債を発行し得る見通しを得たので、今回本法律案によって昭和三十八年度だけの単年度法とせず、今後産投会計の貸付財源に充てるために、予算をもって国会の議決を経た金額の限度内で外貨公債を発行することができることとしようとするものであり、昭和三十八年度特別会計予算においてはすでに六千万ドルの外貨債の発行を予定しており、その発行手取金二百三億円は、これを開発銀行へ百十八億円、道路公団へ八十五億円貸し付けることにしているのであります。
 そこで、われわれ社会党が本法案に反対する等一の理由は、今回の外貨債の発行が、池田内閣のいわゆる金づくり政策の手殺、すなわち借金政策であり、事実上の国債発行に道を開くものであり、従来堅持してきた健全財政の線を突きくずして、インフレによる大衆収奪の懸念が濃厚に出てきたからであります。
 池田内閣は、党内派閥の実力者や、財界を初めとする党外の圧力団体に突き上げられて、二兆八千五百億円という走大型予算をでっち上げたのでありますが、昭和三十七年度の税の自然増収分をほとんど食いつぶして、等二次補正予算を組み、使途不明の産投会計の資金に三百五十億円を繰り入れ、また昭和三十八年度においても、一般会計から産投会計の歴入に四百九十七億円を繰り入れ、さらには財政投融資計画一兆一千九十七億円を計上して、社会資本充実の美名のもとに公共投資に再重点を罪く施策を立て、大資本、大企業に奉仕する経済政策を強行せんとしておりますが、その財源捻出のため、一方では消費者物価の高騰により実質上の増税にな勤労大衆のためささやかな所得税減税を答申した税制調査会の意見を無視して、一般減税をちびり、高額利子所得者の利子減税等を気前よくやってのけ、他方三十八年度の自然増収を目一ぱい見積ってその財源をほとんど食いつぶし、なお財政投融資計画の原資不足に詰まって、産投会計の財源として二百三億円を外貨公債によってまかなおうとしておるのであります。およそ外貨公債の発行は、内国債と異なり、国民経済的には純債務となるものでありますが、かかる借金政策は、一時的にはともかく、長期的には元利金支払いの負担となって国際収支を圧迫する要因となるものでありますから、相当慎重を要するところでありますし、また入手された資金が浪費されないで生産力を上げる部門に利用されることが大切でありますから、一般経費に用いることは断じて許されないのでありますが、今回の外債発行は、さきに述べたように、一般会計に目一ぱいの費用を充てたしりが産投会計の財源難となり、さらにはガリオア・エロア対米債掛の支払いを産投会計からするために産投会計の資金不足となり、これを外債で補おうとするものでありますから、事実上の国債発行となっているのであり、インフレ要因をはらんだ危険な借金政策、公債政策といわざるを得ないのであります。
 ところで、大蔵省では、昭和三十六年度末までは、将来の償還を考慮して年間五千万ドルが限度だといっていたのでありまするが、昭和三十七毎八月には、三十八年度以降年一億ドル目標に引き上げているのでありまして、田中蔵相も、一億ドル程度の外債発行は可能であり、インフレの懸念はないと言明しておりますが、これは昭和三十八年度に償還期限のくるものが六千万ドルにも上るので、借りかえあるいは新規の外債収入をふやしてこれに応じなければならなくなったためでありまして、このようなマラソン金融による雪だるま式借金政策は、インフレの懸念がないどころか、まちにインフレを助長する公債政策そのものであると断ぜざるを得ないのであります。
 また池田総理は、三十九年度も内国債の発行はいたしませんと言明しておりながらも、国債の発行をおそれるのは古い考え方でありまして、日本の成長した経済力のもとでは、インフレのおそれはありません、と強気の放言をしておりますが、これはまちに衣のそでからよろいがちらついているものでありまして、三十九年度以降の公債政策を暗に示唆したものといえましょう。自民党内外の圧力団体からの強要で、三十九年度以降の財政需要はさらに膨張するであろうことは火を見るよりも明らかでありまして、その財源捻出のためには、大幅大衆増税と公債政策の強行以外には道がないからであります。
 われわれ社会党は、今回の外貨債発行が、大企業に奉仕する産投会計の財源確保のための借金政策であり、しかも今後年々外貨債が増発されていく傾向は、大衆収奪のインフレ要因となり、さらには内国債発行政策への道を開くものとして、国民大衆の生活を守る立場から強く反対せざるを得ないのであります。
 なお、われわれは外貨債発行の相手国が主としてアメリカであることを考えろとき、日本経済がアメリカ経済との結びつきをますます強化しつつ、結局はアメリカ経済に従属せられるのではないかをおそれるものであります。
 一段貿易は国と国との友達づき合いであるが、資本取引はいわば親類づき合いだといわれていますが、米貨債発行が継続的に際限なく繰り返されることになれば・本家の言いなりになって頭の上がらない親類のはしくれに成り下がらないとも限らないのであります。
 次に、社会党が本法案に反対する第二の理由は、外貨債発行の手続として、その限度額を予算に計上して国会の承認を得るということは当然としても、発行の要件その他を法律で定めるに際してこれを単度年法とせず、予算で発行限度額が承認されると、当然に外債発行ができることとして、これを恒常化しようとしていることであります。これは産業投資特別会計法の一部改正案についてもいえることでありますが、政府は国民経済に重要な影響を及ぼす外貨公債の発行にあたっては、慎重の上にも慎重を要するのでありまして、従来通り予算案解義と法案審議の両面から国会の審議を十分尽くして、しかる後にこれを執行すべきものであるにもかかわらず、予審審議だけで直ちに執行できるように手続を簡易化しようとしておりますが、これはまさに行政権優位の思想の現われであり、国会軽視に通ずるものでありまして、われわれの断じて認めることのできないところであります。財政の民主主義、予算法定主義の建前からしても、予算で承認された外貨債発行額について、具体的にその発行の要件、手続を法律案の審議を通じて検討することが外債発行の手続を慎重にすることでありまして、国民の要請にこたえるゆえんであります。要するに政府は、本法案の通過によって、今後の外債発行にあたっては、膨大な予算案審議の中で、発行額の限度の承認を求め詳細な法案審議から免れようとする意図でありまして、われわれはこの点についても強く反対せざるを得ないのでございます。以上の理由によって、私は政府が本法案をすみやかに撤回されんことを要求して、私の反対討論を終わるものであります。
#107
○臼井委員長 伊藤五郎君。
#108
○伊藤(五)委員 私は自由民主党を代表して、外貨公債の発行に関する法律案に対し、賛成の意を表するものであります。
 一般に外資は国際収支に直接間接に貢献するものであり、かつ国内資本の不足を補てんし、国の経済の発展に非常な寄与をなすものでありますので、資本蓄積の貧弱な国が、外資導入、なかんずくその本命ともいうべき外債発行に努力することはきわめて適切にして妥当であると思うのであります。従ってわが国は、戦前においても、明治三年に英貨公債百ポンドをロンドンで発行して以来、わが国の急速なる工業化を進めるために必要な資本の多くを外債発行によってまかなったのであります。戦後の今日においても、わが国の国際収支や国内資本の現状にかんがみるとき、その必要は少しも変わらないのであります。戦後のわが国経済の必要性を一そう痛感するのが国経済の再建と、復興のためには、外資導入の必要性を一そう痛感するのでありますが、戦争による混乱で世界の資本市場そのものが弱体化したばかりでなく、わが国の信用も喪失してしまったので、外債発行のごときは思いもよらず、当初はわが国の外資導入も、米国の経済援助や世界銀行、米国輸出入銀行などからの借款が主流となったのであります。しかるところ、世界の経済がようやく戦後の弱体化を脱するに及んで、昭和三十四年一月、産業投資特別会計の貸付の財源に充てるため、戦後外債の第一号として、米貨公債三千万ドルが発行されるに至り、自来、電電債、開銀等の政府保証外債や民間債がしばしば発行され、海外起債市場開拓の努力が重ねられてきたのでありました。従って、わが国の海外市場における地位を一段と強化するためには、外貨公債発行のための恒久的な立法措置を講ずることが最も妥当と考えるものであります。しかもこのような必要性はわが国が好むと好まざるとにかかわらず、八条国に移行せざるを得ない現段階においてとみに強くなって参りました。しこうしてこの法律案は、産業投資特別会計の貸付の財源に充てるために、あらかじめ予算をもって国会の議決を経た金額の限度内で、随時外貨公債を発行する権限を政府に与えようとするものであり、きわめて適切、妥当な措置と認め、私は衷心より賛意を表するものであります。
 以上をもって私の賛成討論を終わります。(拍手)
#109
○臼井委員長 これにて討論は終局いたしました。
 続いて採決いたします。本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#110
○臼井委員長 起立多数。よって本案は原案の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
#111
○臼井委員長 次に、関税定率法等の一部を改正する法律案について討論に入ります。通告があります。これを許します。武藤山治君。
#112
○武藤委員 ただいま議題になりました関税定率法の一部を改正する法律案に対して、社会党を代表して反対の討論をいたしたいと思います。
 御承知のように、政府・自民党は、貿易自由化を基本方針に定めて、今日までやや九〇%近い貿易自由化に踏み切って参ったのでありますが、この自由化に対処する明確な見通しや目標、計画というようなものも示さず、行き当たりばったりの自由化であるという私たちは印象を持つのであります。
 私どもが本法案に反対する大前提となる反対の理由は、一つは特に地理的環境がアジアに位し、中国、ソ連、朝鮮、これらの社会主義の国々とも当然貿易の振興をはかり、ただ単に自由主義陣営とのみ密着をし、目を向けるがごとき貿易自由化体制というものは日本の将来の経済発展に対する大なる貢献をするとは考えられないのであります。私どもはかかる地理的環境にある日本の経済をほんとうに発展せしめ、政府の言う所得倍増政策を実現する道もこれら国々との一そうの貿易拡大をはかるという観点を忘れてはならないという考え方であります。従って、今回の貿易自由化に対処する関税率引き上げあるいは引き下げ、これらの措置に対しては賛成をすることができないのであります。
 第二に、特に自由化に対処する方策が確固たるものでなく、そのつどそのつどまことにおざなり対策にろうばいしているのが政府の態度ではないかと思うのであります。特にバナナの関税率はそのよい例証であります、昨律法改正が行なわれ、税率五〇%にいたし、本年九月末までの期限といたしたにもかかわらず、わずか半年有余で今回七〇%に引き上げ、しかも四月一日から実施するという、これまでは自由化に対処する準備もできず、果樹生産者、国内輸入業者の不安、動揺を激化するばかりであります。しかも自由化によって消費者に安いバナナを供給できるというならば、その明らかな論拠なり見通しなりを示すべきであります。農林省もあるいは通商産業省も、それらの見通しについては全く発表しないのであります。私たちは自由化によって一体消費者にどれだけの利益が与えられ、あるいは国内産業の打撃を最小限に食いとめる量は一体幾らであるか、かかる点をも政府に説明を要求したのでありますが、何ら具体的な答弁を得ることができないのであります。まことに今回の関税率の改正は政府の無責任、自信のないものであって、われわれの断じて賛成できるものではありません。
 第三は、国内産業の保護、業者の不安、動揺の解消という見地からももっと国内産業を整備し、果樹生産者に対する手厚い政府の指導、これを確立してから関税率をいじってもおそくはないのであって、日本はまる裸になって、貿易自由化に今すべて飛び込んでいくという政府の安易な考え方に対しては強い警告を発して、本法律案改正に反対の意を表明するものであります。
#113
○臼井委員長 これにて討論は終局いたしました。
 続いて採決いたします。
 本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の御起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#114
○臼井委員長 起立多数。よって、本案は原案の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
#115
○臼井委員長 次に、中小企業高度化資金融通特別会計法案につきましては、別に討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ることといたします。
 本案を原案の通り可決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#116
○臼井委員長 御異議なしと認めます。よって、本案は原案の通り可決いたしました。
 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#117
○臼井委員長 速記を始めて。
 次に、国立病院特別会計法の一部を改正する法律案につきましても別に討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ることといたします。
 本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の御起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#118
○臼井委員長 起立多数、よって、本案は原案の通り可決いたしました。
 ただいま議決いたしました国立病院特別会計法の一部を改正する法律案に関しまして、田中大蔵大臣より発言を求められております。これを許します。司中大蔵大臣。
#119
○田中国務大臣 この際一言申し上げます。
 厚生年金、国民年金の還元及び特別融資による国立病院への資金運用部資金に関する滝井委員の発言の趣旨につきましては、その趣旨に沿いまして十分調査、検討いたしたいと存じます。
#120
○臼井委員長 ただいま議決いたしました四法案に関する委員会報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#121
○臼井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 この際、本会議散会後まで休憩いたします。
  午後二時四分休憩
     ――――◇―――――
  午後四時五十一分開議
#122
○臼井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 金融に関する件について調査を進めます。質疑の通告がありますので、これを許します。春日一幸君。
#123
○春日委員 本日は、金融機関の行なっておりまする歩積み、両建なるものの独禁法上の違法性について、公正取引委員会委員長に質問を行ないたいと思います。
 まず最初に、公取委員長に一言ごあいさつを申し上げたいと存するのでありまするが、渡邊委員長には、このほど国会各党こぞっての、満場一致の御了解、賛成を得られまして、公取委員長として国会の承認を得られ、天皇の認証もつつがなく終えられました、まことに祝着に存ずる次第でございます。
 公取委員長の職責というものは、何といってもわが国の経済憲章でありまする独禁法の運用の最高責任者といたしまして、国民経済をになうその職責は非常に重いと思うのでございます。願わくば独禁法の各条章に照らして、いうなれば独禁法の番人として、厳正かつ公正に独禁法の運用についてその職責を尽くされますることをますもって強く御期待申し上げる次第でございます。
 まず質問に入ります前に、若干経過を申し述べて御了解を得たいのでございまするが、終戦後金融機関が手形を割るあるいは貸し出しを行なうとき、歩積みと称し、一定の割合を借受人から預金せしめ、これを拘束いたしておりまする慣習があるのでございます、それからまた別に両建預金と申しまして、貸出額の中から一定の部分を別段預金としてこれを拘束するというようないわゆる取引がなされて参っておるのでございます。このことは、中小企業に対しまするところの金利負担をはなはだしく重からしめるのみならず、いずれにしても中小企業者が自分の金を自分で使えない、銀行に拘束されて、そうして自分の金について金利を払って商売をやっておるというばかなことはないという非常な非難もございまするし、かつはまた独禁法の各条章に照らして判断をしてみまするとき、何といってもこれは不公正な取引であることの疑いが非常に濃厚でございます。
 本委員会はこのような問題についても本日までしばしば論じて参ったのでございますが、実は最近において特にこの問題が大きく取り上げられました端緒となりましたものは、このほど田中大蔵大臣と山際日銀総裁とのいわゆる金利問題についての記者発表にその端を発したことでございます。と申しますのは、田中大蔵大臣は、貿易の自由化に際会をいたしまして、わが国の金利水準を国際金利にさや寄せるためにさらにこれを低めなければならない。そのためには公定歩合の再々引き下げを必要とするであろうと述べられたのに対しまして、山際日本銀行総裁は、次のような見解を述べたのでございますしそれは、この際公定歩合の引き下げを行なっても、それは企業の金利の実質を軽くすることにはならぬであろう、というのは、日本の金融の中においては、現実に歩積みが行なわれ、再建預金がなされておる。従って幾ら公定歩合の引き下げを行ない、それに基づいて貸し出し金利が若干下げられたとしても、真の企業の金利負担の軽減をはかるためには、まずこの歩積み、両建という悪習慣をなくするのでなければ、企業の金利負担の軽減という目的を達することはでき得ないであろう、こういう意見を述べられたのでございます。すなわち、日本銀行の総裁たるものがそのようなことを述べられたということは、私は異様なことに思ったのでございます。と申しますのは、日本銀行がわが国の金融のある意味における総元締めといたしまして、日本銀行のさまざまな運用の過程の中において、日本の金融機関が現実に歩積み、両建を行なっておるということがさしも日本銀行にも目に余るものが見えてきたからこそ、日本銀行総数がそのような発言を行なったものであると私は重視をしたことでございます。
 かくて、その後大月銀行局長を中心といたしまして、これについて二、三の質疑を重ねて参ったのでございます。しかし銀行法にはこの歩積み、両建について格段の規定が明示されておりません。ただ独占禁止法の中には、御承知の通り独禁法が対象といたします業種は商業であり、工業であり、金融業でございますので、その対象業種について、それぞれの条文の中で、それぞれの行為に対する不公正取引あるいは不当な取引、そういうことに対する法の明示がなされている次第でございます。よってこの際、このような歩積み、両建のあり方については、すべからく公取委員長の御臨席を得て、この問題を根本的に一つ調査をしてみる必要があるであろうということで本日ここに公取委員長の御出席を願った、こういう経過でございますので、そのことを御承知の上一つお答えをいただきたいと存ずるのでございます。
 まず歩積みの問題から入りたいのでございますがこの歩積みの定義は、銀行が貸し出しをする際貸し出し元本に対する一定歩合の金額を貸出金の中から控除して、これを預金として併存させることをいうと思うのでございます。従いまして、この歩積みの性格でありまするが、これは私は二つに分類することができると思います。その一つは、本来の性格とでも申しましょうか、企業主がその企業利益金の一部のものを積み立てて、これによってみずからの資本蓄積を促進する、それから不渡り手形決済主義など、そういう不時の場合に備えて元本回収資金確保の一助としてこのような準備をしておく、こういうのは私は結局企業主が自主的に、また任意的に行なうのでございますが、これは私はこういうものはあってもよろしかろうと思うのでございますけれども、だといたしまするならば、こういう歩積みというものは、今申し上げましたようにその性格というものはあくまでも企業主の自主性それから任意的な行為でなければならぬと私は思うのでありまするが、このことについて銀行局長はどうお考えになりましょうか。すなわち歩積みというものが容認せらるべき限界というものは、私が今申し上げましたようにあくまでも企業主がみずから自主的にかつ任意的に今申し上げました二つの要件、一つは自己資本の蓄積、あるいは不時の事故の場合に備える準備として行なう場合にこれは容認されると思うのでありまするが、従って歩積みの容認し得る限界は、あくまでもその範疇の内側のものでなければならぬ、こう思うのでございますが、いかがでございますか。
#124
○大月政府委員 まことに仰せの通りでございます。
#125
○春日委員 だといたしますると、もしあの歩積みなるものが銀行の預金の増強または利さやかせぎの一個の手段としての性格を持つような場合、これは明らかに道義に照らしましても、また金を借りるもの、貸すものの利害関係に照らして判断をいたしましても、各銀行が貸出先に対して弱い立場につけ入った理不尽な行為、すなわち本人が、資金というものが不足であるから多々ますます弁ずである。今この自己資本を蓄積するゆとりもないし、それから万が一の事故に備えることのためにも、いろいろな手だては必要ではあろうけれども、しかし今そのような手だてをしておくような余裕がない。まずその日に追われておる、給料に追われておる、支払いに追われておる、そういうような情勢のもとにおいて、その金を借り受けまする場合、一律に歩積みをしいていくというようなことは断じて許されるべきではないと思うのでありますが、これについて政府の見解と公取の見解をお述べ願いたいと思うのであります。
#126
○大月政府委員 仰せの通りでございます。
#127
○渡邊(喜)政府委員 御承知のように独占禁止法には、第二条の七項の不公正は取引方法、これはそのあとの方に第十九条に「事業者は、不公正な取引方法を用いてはならない。」ということが書いてありまして、この不公正な取引方法とは何かということに関しまして、二条七項に一応の列挙があります。そしてそれについて五号がちょうど今お話のような事例に当てはまる一つの規定だと思いますが、五号に「自己の取引上の地位を不当に利用して相手方と取引すること。」こうございまして、この七項は、「左の各号の一に該当する行為であって、公正な競争を阻害するおそれがあるもののうち、公正取引委員会が指定するもの」、そしてこの第五号、さらにこれを受けまして、不公正な取引方法というものに対しても指定がございます。私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の第二条第七項の規定により、不公正な取引方法の指定がここに十二列挙してございますが、その一つに「自己の取引上の地位が相手方に対して優越していることを利用して、正常な商慣習に照して相手方に不当に不利益な条件で取引すること。」こういうようなことでありまして、従いまして、今のお話の場合、銀行が自己の優越的な地位を利用して相手方に無理をしている、それが不共正な取引方法になるというような場合は、それぞれの条項に一応該当するものと考えております。
#128
○春日委員 ちょっと堀さんから要請がありました通り、時間をせかれておりますので、あなたは昔から一つ聞くと六十ぐらい答弁する悪い習癖がありますので、今度は認証官になられたのだから、必要なことだけに限って一つできるだけ簡単に御答弁願いたいと思います。
 そこで銀行局長にお伺いをいたしますが、現在、以上のような理由によりまして、金融機関によって行なわれております歩積みは、すなわち、一つは純粋に企業家の任意に基づいて行なわれておるものもございます。それからほかは、企業家がその歩積みを承諾することなくしては貸し出しを受けることができないので、万やむを得ずして、泣く泣く銀行の強制に服して歩積みを行なっておるものと、両方が行なわれておると思うのでございます。
 そこで佐々木銀行検査部長がお見えになっておりますが、当然政府では銀行検査を通じてこれら歩積みの性格について実態調査、分類調査をなされておると思うのでありますが、その割合は今どのような実態になっておるのであるか。すなわち自主的な歩積みと強制的な性格の歩積みの対比率をこの際ここでお示しを願いたいと思います。
#129
○佐々木説明員 最近調べましたところでは、歩積みの額は総体の債務者の方、預金額のうちで非常にウエートが小さいのでございまして、最近調べました都市銀行につきましては、その債務者預金の〇・三%程度であります。このうちで御指摘のような好ましいもの、自発的な歩積みと、そうでない歩積みというものの区別は遺憾ながら数字を今準備しておりません。
#130
○春日委員 私は、このような歩積みに対するさまざまな非難、これが国会においてもしばしばされておる。いやしくも日本銀行の総裁たる者がこういうものはなくさなければならぬと思うとすら言っておる。こういうようなときに、日本銀行の総裁もわれわれも、こういう自主的な歩積み、これは正当な取引行為としてなされておる歩積み、これを論じておるものではありません。これは当然銀行が今取引委員長の述べられたごとく、みずからが優位な立場にあることを利用して相手に不利な取引をしいる結果として現われておる不公正な歩積みを指摘して言っておる。だとすれば、あなた方は、このような国会論議に対しても、日本銀行総裁が指摘したそのような事実関係をつまびらかにするためにも、こんな重大な問題については、正確な数字を把握していないということが一体ありますか。何のために銀行検査官はあるのですか。私は念のためにこの間大月銀行局長が今まで十五回も歩積み、両建の自粛をしたけれどもなかなかその効果があがらないという御答弁がございましたので、少なくともその金融機関が大蔵当局の通達があるにもかかわらず何ら効果をあげ得ないということについては、これは大蔵省というものは特に金融機関というものを保護育成するためにあるのかと思って、私は大蔵省設置法に基づいて銀行局のつかさどる事務、権限、これをいろいろ調べてみた。そうしたらあなたの方は銀行を監督することにあるのですね。それを保護育成したり。彼らがめちゃをやることを見のがすなどということはもってのほかなんだ、実際問題として、銀行を国民のために、国民経済の健全なる発達、発展、国民経済の円滑なる運用をはかるために大蔵省は銀行を監督することなんです。私はこんなデリケートな問題まで調べてきているのだから、この問題についてすっと私は深く論じて、願わくは、この機会において一個の結論を得たいと思うのでございますが、こういう重大な問題について、あなた方が何ら正確な数字を把握してないということは違憾千万である。何のために銀行検査を今までやってきておるのか。これはまことにわかりません。それでは私はこの機会に次の資料の提出を求めますから、ぜひともこのことはやってもらいたい。まず歩積みの総額が幾らになっておるかということであります、すなわちわが国の金融機関、すなわち都市銀行、相互銀行、地方銀行、信用金庫、信用協同組合別にそれらの金融機関が行なっておりまする歩積みの総額は幾らであるか、それからもう一つは、今申し上げましたように、公正に行なわれておりまする歩積み、それから独禁法の違反ありと思料せらるるがごとき性格の歩積みと、この対比率を一つ出してもらいたいと思います。よろしゅうございますね。それは重要なものですから、出してもらいたいと思います。もし間違っておれば、この問題は後ほど明らかになって参ると思うのでございますが、独禁法の中にはいろいろな権限を国家が持っております。これはもうそのことを要求することの権限、懲役二年以下に処する権限、損害賠償を請求することができる権限、いろいろな権限があるのでございますから、そういうような国民がはなはだしく被害を受けておるかもしれないと思料せられるような問題については、銀行を監督する本来の使命をあなたが果たすためには、調査してその実態を把握することなくして、どうしたら大蔵省の職責を果たすことができますか。だから、私が今申し上げましたように金融機関別に歩積み――両建はあとで申します。その歩積みの総額、それからその対比率――公正なるものと不公正なるものとの対比率を資料として御提出を願いたいと存じます。
 私は、なおこの際調査を進めるために伺っておきたいのでありまするが、金融慣習として、現在のところ実態関係において歩積みが行なわれておるのはどのような場合でありますか、たとえば中小企業が最も多いか、あるいは大企業にも同じようにそういうことが行なわれておるのであるか、あるいは手形の割引も含めて短期だけに限るのか、長期の場合も入るのか、この四つの場合、今歩積はどういうふうに行なわれておりますか、それを一つ、その実態関係をこの際明らかにされたいと思います。
#131
○大月政府委員 まず先ほどお話のございました資料についてお答え申し上げますと、この統計資料を作成することは不可能でございます。それは先ほど春日委員のお話のございましたように、債権者と債務者の主観的な関係を含んでおるわけでございまして、われわれが計数的に、たとえば預金が幾ら、貸し出しが幾ら、あるいは一人の債務者につきまして貸し出しと預金とがどうなっておるかというような調査よりもちらに一歩進んだ双方の主観を入れて見なければいけない問題でございます。しかもその主観自体につきましても、多分双方について相当デリケートなニュアンスの食い達いもあると思うわけでございまして、われわれ監督の立場にある者といたしましても、また検査の立場にある者といたしましても、実態を計数的にお示しをすることはほとんど不可能であろうと考えます。特にわれわれの持っております検査権能は、銀行その他の金融機関に対して任意検査という法律上の建前になっておりまして、一つは法律上強制、たとえば税でございますとかあるいは司法警察権でございますとか、そういうような意味の、本人の意思に反して強制的に捜査あるいは検査をする権能を持っておりません。これは銀行法上の建前でございます。
 それから第二の問題といたしましては、債務者に対して検査権を行使する権能は与えられておりません。従いまして、銀行サイドの任意の検査に応ずるということを前提といたすわけでございますから、そういうような検査の権限と歩積みというものの本質と両方からいたしまして、今のお話の問題については統計的な数字を示すことは非常にむずかしいと考えております。
#132
○春日委員 そういう態度でありまするから、銀行は、日本銀行が指摘するがごとくに、白昼公々然として天下何ものもおそれずして、このような歩積み、両建を強行いたしておるのでございます。よって、私はもはや銀行局にお願いいたしません。
 ここで、公正取引委員会は、この法律の条章の中において強制検査権がおありであろうと存じます。立ち入り検査、帳簿の強制検査、これはみなできるわけでございます。従いまして、私はこういうような実態関係があるかないか、この問題は調べでみなければわかりませんけれども、これはひとり春日委員が、ここで独断的に、あるいは単に想像的に申し上げておるのではなくて、いやしくも日本銀行総裁たるものが、そういうことがあるのでそれは早くなくさなければならぬと言っておるのでございまするから、これはどうか速記録によって十分御承知を願いたいのでございます。この赤線を引いたところに、みな日本銀行総裁山際さんがこれを述べております。従いまして独禁法によりますと、何人もこの独禁法に達反すると思料せらるることがあるときには、あなた方に向かってこれを告発することができるが、しかし同時にあなたの方は職権調査もすることができる形に相なっておると思うのでございます。あなたの方は下部機構、手足機関が十分ではございませんから、どの程度の調査資料の御提出が願えるかは知りませんけれども、いずれにしても、私は、わが国の経済の公正なる運営を確保することのためにも、この事柄は調査をしてもらわなければならぬ。これは法律の中に調査義務がございます。こういうことが思料せられるときには何人も公取に申し出ることができる。申し出たら、それぞれの手続の規定を追ってあなたの方はこれをしなければならぬ。これは独禁法にきちっと書いてありますから、この法律に基づいて今あなたの方にそのことを要求いたしますから、まず都市銀行、地方銀行、それから相互銀行、信用金庫、信用協同組合、これは四十五条の中に書いてありますね。「何人も、この法律の規定に違反する事実があると思料するときは、」――私が思料した、「公正取引委員会に対し、その事実を報告し、適当な措置をとるべきことを求めることができる。」それから「前項に規定する報告があったときは、公正取引委員会は、事件について必要な調査をしなければならない。」あなたはしなければならない。就任早々お気の毒でありますが、やってもらわなければならぬ、やらなければ、また住宅公団へ帰ってもらわなければならぬ。(笑声)私はこれは法律に基づいて強く求めます。
#133
○渡邊(喜)政府委員 おっしゃるように、この四十五条の規定は「何人も、この法律の規定に違反する事実があると思料するときは、公正取引委員会に対し、その事実を報告し、適当な措置をとるべきことを求めることができる。」第二項には「前項に規定する報告があったときは、公正取引委員会は、事件について必要な調査をしなければならない。」これはおっしゃる通りです。ただ私はまだ着任早々ではありますが、従来公正取引委員会として歩積み、両建についても問題を取り扱ったことはございます。しかしそれはいずれもある具体的な事実がそこにありまして、その具体的な事実に基づいてこれが独禁法に違反している、そういった報告があり、それに基づいてわれわれの方では、要すれば審判を行なう、こういったようなことでやっております。従って今お話のように一応のそういうような事実があると言いましても、きわめてデリケートな問題がそこに出てくる。従って、われわれの方がすぐそれを都市銀行なり信用金庫に直ちに立ち入ってそこにどれだけの事実があるか、私は正直言いまして、それはまずもって銀行検査なら銀行検査においてやっていただいて、それが一応歩積み、両建、しかもその悪質なものがあるといったら、その段階でわれわれの方に何銀行のどこにそういう問題があるんだという報告をいただき、それを受けてわれわれの方が仕事をしていくという段階でありませんと、ただすぐそのまま、春日委員の報告があった、われわれの方でそれを受けて調査するというのはいささか独禁法の趣旨とは違うのじゃないかと私は思います。
#134
○春日委員 これは何人かがこの問題について踏み切らねばならぬのです。銀行はなかなかそういう調査能力がないといっておるし、その調査権限が付与されていないといっておる。たとえばその本人がその事実関係を申し出るべきであります。今渡邊委員長が申されたがごとくに、その具体的事実について、私はこのような強制をされました、ほんとうに金が要るのに、泣く泣くこういう両建をしております、歩積みをしておりますと、あなたのところへ行こうと思えば言っていける立場にあるわけです。ところが行けばその銀行から取引停止になるのですね。そんなおそろしい人はもう来てちょうすなということになるのです。法律はそこを救済しているのですよ。そこを救済するために四十五条第三項は、「公正取引委員会は、この法律の規定に違反する事実があると思料するときは、職権を以て適当な措置をとることができる。」と書いてあるのです、しかも違反をする事実があると思料するかしないかは、あなた方の自主的な判断でありましょうが、これは春日一幸がここに不実なことを取り上げて言っておるのじゃないのですよ。これは山際日銀総裁がこういうことを言っております。「歩積み、両建なるものが行なわれております、そのために企業の実質負担金利が高くなっておるという事実、これはもうおおうべくもないことでございます、私の考えでは、この歩積み、両建の慣行が必要以上に出ている点もあろうと思いますので、」1あろうと彼が思料しておるわけですね、「まずこういうことをやめまして、そうして約定金利がそのまま実際の金利負担の水準ということで考えられていけるように、そういう慣行と申しますか、商習慣というものを確立していきたいという望みを持っておって、それを提起しておるわけであります。」こういうことを言っているのですよ。これをなくしたい、なくさなければ日本の企業の金利負担を軽減することはできない、幾ら公定歩合を下げたって、貸し出し金利を下げたって、銀行がこういうめちゃくちゃな貸し出しをしておるようではだめなんだと日本銀行総裁が言っておる。私も言っておる。これだけ言うてもあなたは思料しないのですか。あなたが思料したら――四十五条第三項はあなたの方の一種の権限ではあるけれども、国家国民に対する公取の義務ですよ、法律を守って――一あなたは行政官であり、同時に経済司法検察官として両様の権利を持っておられる、国民に対してそれだけの義務を持っておられる負託にこたえなければいかぬではありませんか。権利のない銀行にやらして、権利を持っておるあなたがいい顔をしておられるということは、やはり大蔵省育ちで、はなはだカンニングではありませんか。
#135
○渡邊(喜)政府委員 山際日銀総裁がおっしゃったという速記録を私まだ見ておりません。春日委員が……。
#136
○春日委員 速記録ですよ。私はうそを言いません。
#137
○渡邊(喜)政府委員 と思いますが、しかしその場合に山際総裁がどういう事実に基づいてそういうことをおっしゃっていたかという点は、私一ぺん調査してみたいと思います。そういった事実に基づいてのものが、どういう根拠に基づいて、そういうことがあったか、私もその話をいろいろな意味において聞かないではありません。現に幾つかの事案は私の方に出ております。しかしおっしゃるようになかなか主観性が入って参りまして、貸付を受けた者にすれば、はたしてそれが強制された歩積みか、あるいは任意の歩積みか、これは下手にいうと、おっしゃるように、銀行が将来金を貸さぬといった問題が出かねないでしょう。従うて、そこにおのずから非常にデリケートな問題があるのではないかといったようなこと、同時に、あなたもおっしゃったように、われわれの方で現在持っている職員の手などを考え合わせますと、われわれの方ですぐこの問題をどういう格好で取り上げていくかということについては、私の方なりあるいは大蔵省なり、関係のものがよほどよく打ち合わせた上でやるべき問題じゃないか、こういうふうに考えます。今ここでもって、そのお話を受けてすぐ調査しますということは、ちょっとお答えいたしかねます。
#138
○春日委員 この問題についての調査は今まだ序の口に入ったばかりですが、いかにしてその問題をなくすか、わが国の産業経済、分けて残酷な金融機関の仕打で泣く泣くしんぼうしております中小企業者、不当の被害を受けておるものをいかに救済するか、これはあなたの調査権発動もありましょうし、また他にいろいろの方法もあるでございましょう、それはこれから逐次私がいろいろ調べたところに従って銀行局の意見、公取の意見を練り合わせながら、一ついい救済の道を発見していきたいと思いますので、どうか断定的にお考えにならないで、真剣にどうしたらいいであろうか、そういう心がまえでやっていただきたい。ただ単に問題を糾弾するというのではなくて、問題を解決する、日本銀行総裁までも指摘するに至ってはよほどの事柄である、そういう認識の上に立ってあなたがその問題と取り組まれるのでなければ、この調査の意味はなさぬと思う。
 次は両建預金に入ります。両建というのは、銀行の取引先あるいは同一利害念係者から受け入れた預金を担保あるいは見返りとして貸し出しをなす場合、それからもう一つは、銀行が貸し出す場合、その貸し出し元本のうちの何ほどかをその直後に預金としてこれを強制的に接収する場合、そういう接収預金を大体両建預金といっておる、両建には以上申し上げました二つの場合があると思いますが、大体そういうふうに理解してよろしゅうございますか。
#139
○大月政府委員 今のお話の、貸し出しと同時に、あるいは貸し出しの直後という場合のほかに、あらかじめ預金をさしておいて貸すという問題もあると思いますが、いずれにいたしましても歩積みと同様、やはり本人の意思に反するという要素が非常に重要なこと、だろうと思います。
#140
○春日委員 そこで、そういうような貸し出しの中の、私が指摘いたしましたあとの場合ですね、すなわち貸し出しますその貸出元本のうちの相当上額、たとえば百万円貸すときに、そこの中の三十万円をいきなり定期にしておいて拘束し、これを見返りに置くという場合、これは明らかに銀行の預金増加工作の手段である、あるいは銀行の利ざやかせぎの一つの悪質行為であると断ずべきであると思うが、これはいかがでありますか。
#141
○大月政府委員 われわれが自粛の対象といたしたいと思っております歩積み、両建は、いずれも本人の意思に反する、本人の都合によらざるものでございます。そういう面から見まして、銀行がいかなる動機でそういうような預金を強制するかということを考えてみますと、仰せのように、一つは表面の預金の計数をふやすという点、これは銀行の競争意識から出ておると思います。第二は、それからくる貸し出しと預金との利ざやをかせぐ、こういうこと、これがやはりお話のように二つの大きな要素であろうと考えております。
#142
○春日委員 ここに銀行の本来。端的な使命を判断いたしますならば、欲する資金を欲する者に貸し与えるのが銀行の使命だと思うのです。銀行はそのためにあると思うのです。だから、かりそめにも貸し出しを欲する者に預金を接収するというようなことは銀行業務に許されてはないと思うのです。金のほしい人に金を貸すべきであって、金のほしい人からその金を接収するというようなことは、銀行行政として許すべき事柄ではない。黙認すべき事柄ではない、放置すべき事柄ではないと思いますが、いかがでありましょうか。
#143
○大月政府委員 銀行の業務は両面ございまして、一つは預金を預かって、これを確実に保管し、いつでも預金者に返し得る態勢にあるということ、第二は企業体として健全性を保ちますために、健全なる運用をするという二点であろうと思います。この貸し出しの面につきましては、今のあとの運用面の問題であろうと思いますが、そういうような銀行の性格から申しますと、ある意味では預金と貸し出しというものは大きな意味で両建になるべき性質のものであろうと思います。一方の金が預金になって、一方同じ金が貸し出しになるわけでありますから、バランス・シートから申しますと、当然大きな意味で国民経済的にいえば両建になるわけでございます。それがちょうど欲するところに流れるというふうにやってもらいたいというのが国民経済的な要請であろう思います。かつ、最近の貿易・為替の自由化というような問題に対処いたしまして、いかにして実質的に金利水準を下げていくかというような政策的要請から考えますと、その金が欲するところに、かつ低利でできるだけ回してやってもらいたい。この問題は、法律上の問題ではなくして、国民経済上、われわれとしては金融機関に期待いたしたい点であるわけでございます。そういう意味から申しますと、歩積みあるいは両建いわゆる好ましからざる預金を要求するということは、今申し上げました趣旨からいって、やはりよくないことである、われわれとしてはぜひやめてもらいたいことである、こういうふうに、思っております。
#144
○春日委員 これはいけないことである。公取委員長に伺いますが、今のことは、金を借りたい人から金を取り上げて、これを拘束して預金にするということですね。申し上げるまでもなく、預金金利と貸出金利の差は、大体平均が貸出金利九分三厘、預金金利は六カ月もの年五分、ですから四分三厘という利ざやがあるわけなんです。ですから、これをものにたとえて申すならば、ここにおられる堀君はお医者さんですからお医者の関係でいうならば、そのお医者さんが、自分が患者に盛る薬、これを十分もうけてその代金を患者に払わし、そうしてその薬の一部分を戻せ、その戻すときには自分の仕入れ原価で戻す、こういうことじゃないですか。そういうことになっていけば、日歩ですから毎日々々それを繰り返すのです。患者が毎日堀医院に行って薬を盛ってもらう、そうするとドクトル堀君が薬を目一ぱいで僕に盛って下さる。そうすると春日君、そこの中のこのくらい返せと言って、返すと言って返したら、今度分けてもらったものは、九分三厘と五分との差だから四分三厘、その銀行のもうけ分だけそこに大きな差額ができるわけです。それが毎日のことなんです。一体経済道義に照らしても、また金融というものの使命、性格、条理から判断しても、そういうことがもしありとすれば、事実上世論がそんなことを許すと思いますか。医者が薬を盛って目一ぱい取って、それの中からこれだけ返せ、返すのはこれはおれの仕入れ原価だ、その通りのことをやっておると思う。そんなばかな歩積み、両建、今申し上げた利さやかせき――私の言うのは正当に自主的に行なわれる両建、これは論ずるところではございません。けれども、強制的な性格を持つところの歩積みについては、私はそれとこれと何にも違わないと思う。そういうような取引行為を独禁法は一体これを何と見るか、渡邊委員長の御答弁を願います。
#145
○渡邊(喜)政府委員 先ほどもあげましたが、不公正な取引方法の一般指定の中の十号にある「自己の取引上の地位が相手方に対して優越していることを利用して、正常な商慣習に照して相手方に不当に不利益な条件で取引する」これに該当する場合は当然これは不公正な取引として独禁法の取り締まりの対象になる、こういうように解釈しております。
#146
○春日委員 問題はこういうことなんです。その金融というものの本来の使命は、それは産業に奉仕するものであって、産業に君臨すべき性質のものじゃないのです。そして企業を成長発展させ、そしてその企業を円滑に連行せしめ、これを助長するために金融というものがあるのでありますから、企業が必要とする金を公正に誠実に供給するというところにいわゆる金融機関としての国家的、社会的な一つの使命があると思うのです。ところが、金融機関がその本来の使命を誠実に果たさない、不公正あるいは不当にその銀行業務の運営を行なっていくという形になってくれば、問題はその金融機関が得をして、そして借り受ける企業者が損をするという問題ではおさまらないのです。損得の問題じゃない。それはその機関と機関とが本来の使命を果たさぬということになってくると、弱肉強食のやりたいほうだいのちゃらんぽらんになってくるのですから、公正取引委員会がこれこれの限界の職務権限、銀行は金融機関としての使命を持ち、産業界人はこういう限界において国民経済の中の一環としていろいろな公的使命をおのずから果たしていく、そういうものがみんなみずからの本来の機関としての使命を逸脱する、そうするとその機関の使命が変貌してきます。変貌してくると損得の関係ではなくして、わが国経済そのものの全貌を大いなる混乱の中に陥れていくおそれなしとはしない。さればこそ今日のわが国の経済が、経済学者あるいは経済評論家もこれを二重構造と言っております。かたわになっておる。国民の階層間、企業間、産業間、地域問、そういうようないろいろな所得格差の断層というものが大きくなっておる、こう言ってきておる。いわばわが国の経済をかたわ者にしてしまったわけです。そういうはかるべからざる弊害があるのだから、ただ単なる被害者の申し出によってこれを救済するというようなことでは公取の使命は果たせないのです。公取というものはただ単なる、被害届けがあったら、その事実の申し出があったら、それから重々しく腰をあげてそれの調査にかかるということならば、四十五条の三項というような規定は要らない。親告罪だけを律するのじゃないのです。わが国の経済というものの番人として、あなた方には懲役二年以下に処することができるというようなそんな大きな権限すら与えられておって、私はそういう親告罪的な限界において問題を処理するのだとか、事実関係がつまびらかにならなければ手をあげられないとかなんとかいうような筋合いのものではないと思うのです。公取委員長の所見はいかがですか。
#147
○渡邊(喜)政府委員 私は四十五条の関係は一応先ほどお話ししたような解釈を持っております。しかし個々の親告罪の問題以外に、それじゃこの今お話しになった歩積み、両建の問題を解消する手段がないかどうかという点については、私は公正取引委員会としても考えなければならぬ点はあるのじゃないかと考えております。ただ、しかしたとえば公正取引委員会の職員の数など考えまして、あるいはまた銀行としての経営者の地位を一応考えまして、私の方の職員がすぐに、一応山際総裁のおっしゃった話があるにしろ、あなたの話があるにしろ、個々の銀行に乗り込んでいって、あるいは召喚して、そして歩積み、両建について調査を始めるということがはたして適当か、あるいはそれ以外によりいい手段がないかという点になりますと、私は今のうちの職員、しかもそれが従来の経験から見ましても、金融というものについての知識というものにある限界を持っておるというものが、そういうことをこの際すぐにやることについて、はたしてそれ以外に手がないかといえば、私はまだ手があるのじゃないか、こういう見解を持っております。従って、すぐ私の方でもってそれを動き出すという点については、よほど慎重に考えなければならぬと思っております。
#148
○春日委員 私はこの際政務次官を通じて政府に、そうしてまた銀行局長を通じて大蔵省の主管行政の責任者諸君、また公取委員長を通じて、とにかくすべての経済検察機関に私は大いに注意を喚起したいと思うのです。と申しますことは、今や政府――政府とは銀行局も含め、公取も含めまして、そういうような人々が今言われたようなことを、大同小異なことをずっと今まで、何べんも同じようなことをおっしゃって参りました。おっしゃった結果何にも問題の解決がついていないのです。私どもは公正取引委員会に十一年間いろいろとおいでいただいて、ここでいろいろなことを言いました。二百何十名の定員じゃ何にもできない。たたき大工に丸ビルをつくれといって請け負わせる方が無理だ、能力の限界が定数からあるのだというようなことを、実際問題としてここでしばしば論じてきた。けれども一殺多生の剣というものがあるのです。あなたはたくさんの手足がなければいろいろな問題の処理ができないというような考え方では、私は天下の渡邊喜久造をわれわれ各党が合致してここに歓迎して、公正取引委員長に本会議において承認した意義をなさぬと思うのです。一殺多生の剣というものがある。三菱銀行の頭取だろうと住友銀行の頭取だろうと、それをやってみていかぬとなったら深謀遠慮、懲役に処してごらんなさい、すうっと解決してしまう。相互銀行だろうと信用金庫だろうと地方銀行だろうと幾らでも調べられる。そしてこれが独禁法に違反するものであれば第二条第七項の第五番目の項に照らしてこれはいかぬと差しとめる。差しとめるということを聞かなかったら、これは法律に照らして最後の処理をすることができるのです。それをやれば私は必ず効果があがると思う。人員の多きもって能力の展開を期待すべきではないと思う。法律というものはあなたの方にそのような大きな権限を与えているのだから、とにかく誠実に問題の執行をなさるべきであると思う。どうか御判断願いたいこと、ここに警告したいことは、こういうようなことがずっとなされてきた結果、ざっと、これは多少正確を欠くかもしれませんけれども、お聞き取りを願いたい、特に政務次賞にお聞き取りを願っておきたいのだが、そういうことで預金金利、これの六カ月ものの定期が年五分でしょう、それから貸出金利の平均金利か大体年九分三厘程度とする。そうすると大体歩積み、両建の推算がどのくらいあるか、正確にはわからぬといわれておりますが、こんなことがわからぬようなはずはない。いろいろな調査によって大づかみの腰だめでありますけれども、その推定はなされておる。大体においてこの歩積み、両建の推算は貸出高に対して銀行利子及び商工中金、こういうものは大体二割、それから相互銀行、信用金庫は大体四割、こういうことですから総預金高の平均二〇・四%と見るべきである。総預金は十八兆四千七百九十九億とすれば、その二〇・四は三兆七千六百九十九億。だとすると歩積み、両建の利ざやの推算は一年間にどれくらいかと見ると千五百十一億円です。千五百十一億円というものをその歩積み、両建の対象から言うならば、患者から医者がせしめ上げたその薬の売価のさやというものが、一年間に千五百十一億円、こういうように私は言っておりますが、このことは物事の事態を見ればわかると思う。たとえば銀行の建造物、そのオフィスはどうですか。金融機関は全国の各地において一等地を占め、その建物はまるで宮殿、パレスです。中小企業者はどういう状態かといいますと、税金と金利の収奪を受けて、(「尾羽打ち枯らしている」と呼ぶ者あり)尾羽打ち枯らしていると平岡君は言うけれども、ほんとうに一日の経営に苦心惨たんです。銀行なんてものがものすごく繁栄したところで、これは国民経済に対しては、何も生産するわけでなし、何らサービスを行なうわけのものでなし、彼らがどのような大理石の宮殿まがいのところで、冷暖房のところでえらい顔をしてやっておったところで、それは一体何になりますか。実際問題として金融機関だけが宮殿、パレスに住んで、肝心の産業の主人たる者、こういう連中が苦汁の中に置き忘れられておる。言うならば金融というものは産業に奉仕するいわば従僕である。従僕が王様になってしまって、肝心の主人公である企業者、産業者たちというものがその下で重圧の中にあえいでおるという、このような姿、これは公正取引委員会と銀行局と、この二人が共同謀議とは言わぬけれども、実際問題としてなすべき事柄をなさざりし結果として、このような奇怪な現象を招来現出しているのではないか。この推算が違っておったとしても、あたらずといえども遠からずだが、実際問題としてあたっているとすれば、中小企業者から一年間に千五百億。千五百億といったら大したものだ。そのくらいの大きな金が中小企業の自己資金として毎毎々々蓄積されてくるならば、今、日本に中小企業問題はない。われわれ大蔵委員会が今までしばしば外国を回って見てきたが、西ドイツだって中小企業問題はありませんよ。アメリカだってありませんよ。イギリスもないです。フランスもないし、日本だけあるのです。一年間に千五百億ということは十年間に一兆五千億ということですよ。一体これについて副大臣、ぜひともきょうは田中大蔵大臣が、実は僕が出ていろいろと応対したいのだけれども、僕がいかぬと言えばいかぬという形になる。だからむしろ僕が出ない方がいいから、君、存分に金融悪の根源をついて、わが国の経済の健全なる発展のために一つ論じてきてくれというような意味のことを言っておりました。(笑声)どうかそういう意味で一つ反省とともにこういう問題の根源にメスを入れてお願いしたい。
 そこで一つ本論に入ります。大体不公正な取引方法の禁止は、申し上げるまでもなく独禁法の私的独占と、それから不当な取引行為の制限とこれが三大支柱になっていることは御承知でしょうね。だといたしますと、この不公正な取引方法というのは独禁法の今委員長が申されましたこの第二条第七項、この定義規定において各号が列記されておりまするが、「公正な競争を阻害するおそれがあるもの」、ここから出まして、そこで公正取引委員会が告示した一般指定、特殊指定、この中で歩積み、両建と関連するものはどれであろうかといって探すならば、これは独禁法第二条七項五号、一般指定の第十項ですね。すなわち自己が優位な立場にある云々というもの、取引上の優越的地位の乱用。それからもう一つは独禁法第二条七項第一号の不当な差別的取り扱い及び一般指定第二項、取引条件等の差別的取り扱い、これに該当すろと思うがいかがでございますか。
#149
○渡邊(喜)政府委員 従来公取でもって具体的な事案について何件か今の歩積み、両建の問題につきまして、審判をした例はありますが、その場合におきましては、先ほど私が指摘しました第二条七項につきましてはその第五号、それからこれをさらに具体的なものとした公正取引委員会のいわゆる一般指定の十項、これに該当するものだとして取り扱ってきております。
#150
○春日委員 そこで第十項につきまして私の判断するところを述べて御見解を述べられたいと思うのですが、第十項は大規模事業者等取引土優位にあるものが中小企業者等取引上劣位に立つものを不当に圧迫するような取引を言う場合と、もう一つは、金融業のごとき特殊な性格の業務分野にありましては、金を貸すか貸さないかは自己の選択によるという、その取引にあたって主位に立つものが、そのものの意思に従って、借り受けるという従属的立場にあるものに対して、不当に不利な条件で取引を行なう場合と、こういうふうにいえると思うのです。すなわちみずからの地位を不当に利用して相手方と取引する行為というのは、一般的には大企業と中小企業との関係、もう一つは金を貸すか貸さぬか、それは貸し手の判断によって決定される。だからそれに従わなければならない立場にあるものに対して、その場を利用して不利益な、すなわち歩積み、両建をするにあらずんば金は貸さぬぞという、要するに不公正な取引をしようとする、この二つの中身をもって十項に該当すの行為であるると思うのですが、いかがですか。
#151
○渡邊(喜)政府委員 お話のように大企業者、いわば下請に対して優越的な地位に立つ大会社ですか、そういう場合における優越性、あるいは金融機関の借手に対する優越性、それらを使って、そして通常商習慣上認められておる限度以上に不当な利益を得よう、それがこれに該当する。おおむね春日委員のおっしゃる通りだと思います。
#152
○春日委員 それではもう一つは、一般指定の第一項は、取引上の合理的根拠がないのに差別的取り扱いをすることを厳に取り締まるために設けられておると思うのでありますし従いまして、大企業のごとく歩積そ、両建を免除されておるものとの対象比較においては、これはやはり不共正な取引だと思うが、いかがでありますか。大企業でありまするとか、その他歩積み、両建をとらないものととるものとは、金融機関というものの性格から、銀行の金は預金者の金であり、足らざれば日本銀行から借りを国家的性格のものである。そういうものを貸すのにあるものからは歩積み、両建をとり、大企業からはとらないというのは、その意味からいえばダブルの行為であると思うのですが、公正取引の一般指定の二項の規定に該当するものと思いますが、いかがですか。
#153
○渡邊(喜)政府委員 結局借り手、相手方についての差別的な待遇につきましては、第二項にありますように、正当な理由がないのにという注釈がついております。従いまして、そうした歩積み、両建の問題につきましても、その差別待遇が正当な理由がある場合があるし、あるいはない場合があるし、いろいろ問題があろうと思いますが、正当な理由がないのにそういうことをしたとすれば、二項にも該当する、こういう解釈はしてよろしいと思います。
#154
○春日委員 そこで結局この歩積み、両建は、正当な理由といったところで、これは公取が判断をすべきだと思うのです。本人たちに言わしむれば、どろぼうだってみんな三分の理がある。社会党の審議拒否だって、あるいは自民党のあのような単独審議だって、夜討ち、朝がけ、みんな相当な理由だということになって、これはけんか両成敗になってしまう。これでは法秩序は立てがたくなってくる。だから国家の金であり預金者の金である、それを貸すのであるから、そういう場合に銀行として預金昔に対する債権保金の道は当然抵当を設定しておりますよ。だから債権保全の道は立っておるのですよ。だからみんな対等の立場にあるべきだと見るべきである。だから大企業からはとらないで中小企業だけに歩積み、両建をとっておるとすれば、一般指定の中の二項目に該当する、正当な理由あるものとは認めがたいと思うのですが、いかがでございますか。
#155
○渡邊(喜)政府委員 審判をする場合にその判断は、これは公正取引委員会の責任においてやるべきものだと思います。しかしここにおける正当な理由とか、あるいは要するに通常認められている商習慣をこえているとか、そういったものはやはり原観的に判断ちるべきものである。ただその客観的な判断といいましても、この客観的な判断をするのは、これは公正取引委員会の責任でやる、こういう性格のものだと考えております。
  〔委員長退席、毛利委員長代理着席〕
#156
○春日委員 そこで私は、問題は、今までそのような一般指定だけではなかなかその問題の効済ということができ得なかった。現に公正取引委員会は、このような一般指定のほかに十三種の特殊指定をなちれました。これらみそ、しょうゆのほか、十三種の特殊指定のうち、百貨店業における不公正な取引方法の全部と新聞業における特定の不公正な取引方法の一部、これは一般指定第十項と同じく、独禁法二条七項五号で取引上の地位の不当利用、これに基づいてなちれたものでございましょう。それか三ら年か四年半前に下請代金支払遅延等防止法これも独禁法二条七項五号の規制が発展して法制的見解を示したものと見るべきである。ところでこの百貨店の特殊指定は、百貨店業者の納入についての返品、値引きの強要ですね、これはやはり二条七項五号ですね。それから新聞は、これまたここに幾つかあげてはおりますけれども、しかしこれも集約するならば、これは発行業者の販売店に対するいわゆる押し紙だ、これは二条七項五号の該当行為について定めたもの。こういう工合に二条七項五号というものは、いろいろと特殊指定が現実になされておるのであるから、だとすれば、この際これらの事例にならいまして、み、両建についても、金融業における特殊指定として、その達法性を明確にする必要があると考えますが、公正取引委員会の御見解はいかがでありますか。私はその前にちょっと申し述べておきたいのでありますが、歩積み、両建の基準を銀行局なり銀行協会なりが作成されて、そうして金融機関の自粛態勢を強化するというだけでは、今まで実効が上がっていない。三十年にもそういうような自粛基準がなされましたけれども、事実上守られてはいないのです。実効が上がっていないというばかりではなくして、私は本来このような不当な行為、不公正な行為というものは、明らかに法律の侵犯行為である。法の侵犯行為に対して自粛させるなんということがありますか。私はおかしいと思う。そういうことはいけないんだ。今公取委員長も述べられておるし、これはすべて常識ある者また法律を解釈する者ならば、みんなこれはいけないと言っておるのですね。それを一体自粛させるということはどういうことですか。たとえば大どろぼうに対して、君はずいぶん大きなどろぼうをやるから、被害者が非常に深刻な打撃を受けるから、盗むときには少し盗んでおけ、そんなばかなことが許されますか。私は法律侵犯行為は法によって処断すべきものである。私は処断しろというのではないのです。今後このことをなからしめるためには、やはり独禁法に基づいて所要の指定をなすべきである。みそ、しょうゆ、新聞、百貨店、マッチ、いろいろやってあるですよ。だったら銀行の歩積み、両建についても、金融業の不公正取引に関する特殊指定、これは今こそなすべきである。私は銀行局が自粛規定、自粛の基準をつくって、この間Wうち佐々木君が銀行局に行って押し問答しておるという話を伺ったんですけれども、おかしいことだと思うのですね。君たちは被害をずいぶん与えておるようだが、あんまり被害を与えぬようにやれや、ずいぶんどろぼうするそうだけれども、少し盗んでおけ、相手が破産するような盗み方をするな、こんなばかなことがありますか、どうですか。
#157
○渡邊(喜)政府委員 お話の点につきましては、公正取引委員会といたしましては、一応の研究はしてみました。で、特殊指定の問題につきまして、現在あげられております特殊指定というのは、それぞれ表に出ましたところで、いわば形式的にすぐ独禁達反の条項に概当するというような形態をとるとき、特殊指定というものが非常に意味があると思うのでございます。われわれの方として特殊指定ということを考えたらどうだろうかという一応の案をもとにして検討しました。歩積み、両建に関しましては、現在の段階において調査した限りにおきましては、結局特殊指定をしてみましても、特殊指定の中に両建してはいかぬ、歩積みはいかぬというだけで問題が解決するものではない。これは春日委員が先ほどからお話しになっている中に出たことと思うのですが、歩積みの中にも一応正当化される歩積みあるいは商習慣上認められている歩積み、こういったものがある、そうでない分がある。結局、特殊指定をしてみましても、特殊指定の中に商習慣上認められたものを越えて云々といったような字句が入らないと、どうも差別がつきませんし、また入りますと、一般指定との間に一体どれだけの違いがあるだろうか、こういうような問題になってきますので、少なくとも現在の段階においてわれわれの検討した限りにおきましては、特殊指定をやることについて、これは他の業界における特殊指定とだいぶ性格が違いまして特殊指定をすることがはたしてどれだけのプラスになるかということについて、まだ自信が持てないというのが現在の心境であります。
#158
○春日委員 問題は、今そこに言われているように、歩積み、両建なるものが任意に行なわれたものであるのか、強制的になされたものであるのか、この識別、分類というものが、本人がそれを宣言する場合は明確にできるが、第三者がこれを判断しょうということはなかなかむずかしい。しかしこのことは任意に行なったか、強制的に行なったかということが合法、非合法の分岐点になるんですよ。そうでございましょう。任意に行なったものはよろしい、強制的に行なったものはいけないのでございましょう、いかがですか。
#159
○渡邊(喜)政府委員 先ほどの銀行局長の解釈は、任意のものはいいが強制のものはいかぬ、非常にはっきり割り切っていますが、私はまだ多少その点についてはっきり割り切るだけの用意を持っておりません。と申しますのは、任意、強制というような言葉はありますが、その中にはある程度商習慣上認められておるものが要するに本人の任意のうちに全部入っているかどうかという点になりますと、これは銀行局と私の方の解釈が、まだもう少し詰めて検討すべきだと思いますが、単純に商習慣の土において過去においてなされてきた歩積み、両建の中に全然強制的なものが入らないかどうかということについては、私はまだ正直に言って、自信は持っておりません。もう少し検討させていただきたい。
#160
○春日委員 そういうことはおそるべきことですよ。これは何たることを言われますか。その強制的ということは、慣習上あったら強制的でもいい。慣習上そういうことがなされておれば、強制的にやったものでもいいかもしれないということは、それはおそるべきことですよ。そういう慣習は悪慣習である。悪慣習は法律の定むるところに従ってこれを根絶しなければならない。そういう慣習になずんで、そうして立法の厳然たる国家宣言を二の次に従属せしめるというようなことは、許されてはならぬのですぞ。明確にして下さい。慣習なんか問題じゃないです。法律の規定だけが問題です。銀行局長の答弁の方が正しい。
#161
○渡邊(喜)政府委員 私も法律だけを問題にしております。結局法律の根拠に基づいてできている指定なんですから、これも私は一応法律の上に乗っかったものと思いますが、そこに正常な商慣習に照らして相手方に不当の不利益を与える、こう書いてありますから、正常な商慣習というものが一体――私事実をもう少し調べてみないと、はっきりした答弁ができないというので、一つの留保をさせてもらっておりますが、正常な商慣習というものは結局ほんとうに任意なもの、強制的なものというように単純に割り切れるかどうかという点については、これは私もう少し調べた上で御返答申し上げたいと思います。
#162
○大月政府委員 私が自由な意思あるいは強制されているということをお答え申し上げましたときにも留保がつけてあったはずでございまして、その判定にはなかなかデリケートな問題がある。つまり強制されたかどうかというようなことにつきまして、なかなか状況判断がむずかしいと思います。従いまして、完全に本人がこれはいやだという以上は強制したということになるわけでございますけれども、一体どの程度の強制があったかどうか、まあこのくらい申し出ておけば借りられたじゃないかと思って申し出るということがはたして心理的強制かどうかというような具体的なケースがいろいろあると思います。そういう場合に、一般の慣習に照らしまして非常に高度な歩積み、両建があるというときには、推定として非常な強制があったというように解釈されると思いますし、普通に認められている歩積み、再建でございましたならば、それを強制と見ることはあまり適当でないというようなことでございますから、私は単純に強制であったかどうかというような言葉の問題ではなしに、もっと個別の事情に立ち入って判断しなくてはいかぬ。そういう問題が私は委員長の御懸念の点だろうと思います。
#163
○春日委員 そんなことで世の中が通りますか。それは問題はここが非常に重要なポイントですから、やはり善良なる国家の行政官とし、また私どもはその行政の根源をつくる立法府の責任者として、やはりこの問題は明かにしておかなければならぬのです。いいですか。特にこの金融業のごとき、借り受ける者が弱い立場にあるということを念頭に置いて物事の判断をしなければならぬのです。いいですか。事実上の問題として、本人はその金を借りたいのだ。相手方のごきげんを損すれば借りることができないのだという弱い立場にあるのです。独占禁止法は、弱者を保護するという立場、弱れの立場に立って、強い者が不当な力をふるうことができないように、これを禁止しておるのですよ。不当な取引とは力関係、不公正な取引とはすべて力関係なんです。力関係による取引というものは、みな刑事罰ですよ。実際問題として、偽ってやるのは詐欺だし、無理やりにやれば暴力行為ですね。だから、そういうものは、刑法上これを捕捉することのできないものをここでとらえていこうというのだから、これはその気になって、弱者の立場に立ってあなた方が判断をしないと、弱い中小企業者も、銀行も、対等の立場にあるのだからというような立場で物事を考えてはいけないのですよ。いいですか。問題はここなんです。不公正な取引であるのかどうか、公正な取引であるのかということは、これは第三者によるところの識別が困難である。困難であるけれども、真に不公正な取引であるということならば、これは一般指定によって違法行為でございましょう。不公正な取引ならば違法行為でありましょう。それならば、違法か合法かの分かれ目になるものは何であるかというと、その取引行為というものが任意性かあるいはそれが強制性のものであるか、それを識別することがキー・ポイントになる。だとすれば、その歩積みなり両建なるものが、合法であるか非合法であるかということを識別することは、第三者では困難であるということは、困難なことはやれぬということだ。過去にあることはやれぬとすることだ。今後はこういうものは不公正な取引だということを告示することがなぜできませんか。過去のことはいけない。識別が困難である。困難なことは、私はあなたにしいませんけれども、今後こういうことは不公正な取引だぞよと、これを国民に向かって独禁法の基準を明示することがどうしてできませんか。現在はある。あるけれども、これは不公正な取引ということが明確にわかるものならば、われわれは何も特殊指定を行なわんでも一般指定で十分それができます。あるいは詐欺行為でありますとか、法律違反行為なら刑法によってこれを捕捉することができます。けれども、そういう不公正な取引というものが識別ができない。本人も言えないんですよ。本人は弱い立場にあって、取引停止にあうと商売ができないから、本人も言えない悲しむべき立場だ。それから銀行が調べても公取が調べても、これは識別が困難である。識別困難であるとするならば、過去はやむを得ないではないか、だから、今後こういう取引は不公正な取引であるぞよと歩積み、両建について不公正取引の特殊指定を行なっていて、銀行をしてそれに寄らしめていく、借り受け人の権利弱き立場にある者をそれによってききえていくことは当然あってしかるべきではありませんか。いかがでありますか。
#164
○渡邊(喜)政府委員 私があなたの御意見に少なくとも現在の段階において全面的に賛成できないという理由は、一つ申し上げておきますが、たとえば金を貸すときに担保をとる。これはきわめて通常のこととして行なわれております。金を貸すときに担保をとる。これは要するに、借り手の方では、あるいは担保を出したくないかもしれないが、しかし貸し手の方では、やはりその債権を確保する意味において担保をとるのはきわめて通常のことであります。それと同じような意味で、不動産を担保にする、有価証券を担保にすると同じような意味において、過去においていわば貸し付けた金の一部をある程度預金にとっておいて将来の不渡りに備えるといったようなことがボランタリに純粋に行なわれる場合もありますが、しかし担保の場合において、銀行と借り手の間で話し合いがなされると同じような意味における話し合いがなされておる例があるというようなことを私は聞いておりますから、従って、単純にボランタリのやつかあるいはそうでないか、そういう二つだけにはっきり割り切って、そうして片方は公正であり片方は不公正であるというようなことにそう単純に割り切っていいかどうかという点について、実は私はまだ調査してみないと自信が持てないというのが、私が先ほど――きわめて単純化しなければ特殊指定の意味がないし、単純化した場合において、そうしたものが一応公取法にいう不公正取引というものに右、左分けられる、その分けられるちょうど中間的なものがそこに出てくる。はっきりしておるものと中間的なものが出てくる。そういったようなものをどう処理するかという自信が持てない限り、私として、現在の段階において特殊指定をいたしますということは言いかねるというのが現在の心境であります。
#165
○春日委員 その現在の段階ということは、私はこういう工合に今のところ了解しましょう。きのう就任したばかりできょうだから、そういうことについて見識ある責任的答弁ができないというふうに一つ理解をいたしておきたいと思います。従って、これは急速に御調査御研究を願って、ぜひともこの問題は特殊指定をなさるべきであると思う。と申しますことは、特殊指定とここにはっきり十三あります。ずっとゆうべから、新聞から百貨店から鯨肉から全部読んでみた。こういうようなやり方をしてはいかぬとこれは非常に詳細に書いてある。だから、今あなたがおっしゃったような、少なくとも商慣習上金を借りるのに根抵当を設定するということは、善良な商習慣です。だれもそんなものを攻撃するものはございません。それから、父祖伝来の財産があって、これはないものと思っておる。だから、そういう不動産を根抵当に設定するよりも、これを不動産になぞらえた見返り担保として、これを預けっぱなしにしておいて、これを見返りにして手形を割り、単名を借りる、そんなことは商習慣上とがめるべきではありません。私はそんなことを言っているのじゃない。端的に言うならば、金が借りたいというときに、百万円の金のうち三十万円定期にしておかなければ金を貸さぬぞ、一千万円だったら二百万の金融債を買わなければ貸さぬぞというので、借りたいものだから泣く泣く買っておるのです。金融債もほしくなければ融積もほしくない。けれどもそういうことがあるのです。銀行ではそれを定期にして拘束しておる。そういうことが非難事項なんです。そんなことは文章に書いて書けぬことはない。主税局長として国民の財産権に対して拘束する、このくらいの文章を書いてきたあなたがそんなことがあなたの手によって書けぬということがあるものですか。ばかなことをおっしゃい。今答弁ができないというのは、これはきのう私は天皇陛下の前で認証式を終わったきょうの御質問であるがゆえに、ここで即答することはできませんが、しかしその趣意というものはよくわかるので、十分慎重に検討して善処したい、こういう工合に答弁されたものと理解するが、いかがでありますか。
#166
○渡邊(喜)政府委員 私としましては、お訳しのように、昨日就任したばかりでございます。ただ、本日春日委員の御質問があるということを伺っておりますので、きのうの午後、さっそく委員会の人たちに参集してもらい、それから事務当局の人に集まってもらっての結論が、今のところの話です。しかし、われわれの方の研究にしましても、とにかく春日さんの質問がきょうあるというので、一応私としても、委員会へ出るについてはある程度の勉強をしなければ出れないと思いましたので、勉強しました。しかしそれが最終的な結論であるというふうな時間は、遺憾ながらまだありません。従いまして、特殊指定の方法によるのがいいか、あるいは他に方法があるかというような問題については、われわれとしてもさらに検討は続けていきたい。同時に、歩積み、両建、特に不当なる歩積み、両建について、これは公正取引委員会としても何とか取り締まるべきものであるということについての気持は、春日さんと同じような気持を持っているということを申し上げておきます。
#167
○春日委員 問題は、非常に誠実な渡邊委員長の人柄に私は期待をしておるのでありますが、民主主義というもの、民主政治というものは、やはり話し合いの政治なんですね。私はこう思っておる、しかし、あなたの意見も聞いてみるとなるほどなというところがある、だからその適切なもの、妥当なもの、公正なものを、これはこだわりなく取り入れて、そうして、みずからの考え方もやはりそれに合わして、いろいろと研究して、国家と国民のために万全を期していくというのが、私は民主政治のあり方だと思うのですね。春日委員の質問が通告されておるといったところで、私はこの研究をまだ一いろいろとおぼろには私の頭の中にはありましたけれども、要点、要点を集約したのはゆうべなんですね。だから、何もきのうあなたの方に通告したわけでも何でもない。ただ歩積み、両建の問題の独禁法上の違法、不公正の問題について質問する、こう言っただけなんです。ただ、本日私が質問をいたしましたことは、唐突に私がゆうべ思いついて研究したのじゃございません。これはずっと十年間大蔵委員会においてしばしば論ぜられ、特に通産委員会においても論じられ、近くは日銀総裁がこれを黙視しがたき事柄として指摘するなど、さまざまにこの問題が新しく提起されておりまする現時点にかんがみて、私の申し上げたことを十分判断をされて、一つこのような独禁法に違反すると思料される事柄については、法制上あなたの方にそれだけの権利と義務を与えておるわけです。すべからく善良にそれを執行されることを強く要望いたします。すなわち、歩積み、両建てなど金融業における不公正取引の特殊指定、それをすみやかに一つ告示されるように私は要望いたします。
 それから次は、不公正な取引方法の禁止規定の違反行為については、まず行政措置として公取は一定の手続に従って当該行為の差しとめ命令を兆することができる。独禁法第二十条。従いまして、公取はこの際、前にも申し上げましたが、四十五条第三項に基づいて金融機関に働きかけられるの意思はございませんか。差しとめをすべきであるか、すべからざるかは、調査してみなくてはわからぬでしょう。ここでかくのごとく本委員がこの問題を指摘しておる。日本銀行総裁もこれを言っておる。歩積み、両建というものは相当巨額にわたって現実に厳存いたしておる。従って、あなたの方は都合はよっては独禁法第二十条を発動して差しとめを命ずることもできる。これは特殊指定が行なわれなくても一般命令によって差しとめ命令ができる。差しとめ命令をするためには四十五条三項に基づいて職権発動もできる。何らかの行動を起こしてみるの意思はないか。御答弁願いたい。
#168
○渡邊(喜)政府委員 今、御指摘にありました各条文は、従来の解釈によりまして、個々の具体的な事例についてこの差しとめなり何なりということになっております。従いまして、一般論としてこういうことをやるべからずとか何とかいうこととして、差しとめ命令を出すというようなことは、これは従来やった例はございません。従いまして、この条文を使って、この手続によってやる、やらないという問題については、私の方としては現在の段階においてはまだよほど検討させていただきませんと何とも言えません。ただ私としては、結局春日委員が言われたように、一応それが好ましくない、不公正な取引方法というものを何とかしてこれをなくすべきだという努力については、はっきり申し上げておきます。春日委員の指摘された方法による、よらないの問題はこれは別とします、それについては別途御批判をいただきますが、そういう点の努力については、はっきり努力するということを申し上げておきます。
#169
○春日委員 非常に敬意を表します。今度は問題点だけを一つ明らかにしておきます。
 次に民事上、違反行為の効力については、一応このような違法の契約は無効であります。法律に違反する契約は無効である、これは民事上の保証事項である。従って、独禁法第二条第七項第五号に違反する歩積み、両建預金の、その拘束性は無効なものであると思うのです。違反をしておるとすれば無効だと思う。拘束することができない。要するに、民事契約に基づいて、定期預金というものはその期間中払い戻しを受けることができない建前になっておるが、しかしそれが独禁法第二条第七項第五号、これに違反をして行なわれた歩積み、両建の預金に対すろ拘束性というものは、法の保護を受け得られないものであると思うが、いかがでありますか。
#170
○渡邊(喜)政府委員 今の問題はかなり法律的に見まして、相当分解して考えなければならぬ問題があるのじゃないかと思います。確かに違法性は持ったとした場合におきましても、当初の貸借契約そのものが無効なものである、あるいは何と申しますか、その定期預金契約自体が無効なものであるというふうに簡単には言い得ないのじゃないか。結局問題となっているのは、その不当な取引条件というものを課したというところ、それが一応違法性を持つ部分なんでして、根っこから要するに違法性を持つというふうに単純には言い切れない。そうするとどの部分が要するに無効であり、どの部分が有効であるかという問題が残るわけであります。従来の公正取引委員会の見解によりますれば、そういったようなものにつきましては排除命令を出しまして、それで排除命令に違反した場合においては、排除命令に違反したその分についてだけ、一応違法性として罰則もありますし、それから事柄の内容によりますが、その民法上の有効、無効という議論もそこに出てくる、こういうふうな解釈になっておりまして、頭から要するに契約のために――春日さんもその趣旨ではないと思いますが、これはある程度分析的に考えていかなければならぬ、こういうふうに思います。
#171
○春日委員 問題は、この点を銀行局にも公取にも、またわれわれ委員もともに研究をしていきたい。またこのような記録を通じて、すべての国民が研究してもらいたいと思うのでありますが、申し上げるまでもなく日本は立憲法治国である。法律に基づいてすべての保護がなされ、義務が課される。法律によらずんば権利もないし、義務もないのです。だから民法の規定は、いわば違法の契約は無効である。無効な契約に基づいて権利を行使することは法的に保護は受けられない。これははっきりしておる。これは独禁法の規定じゃないのです。民法上の規定だと思うのです。
 私は銀行局長にこういうことを言いたのです。だとすれば純粋にその歩積み、両健が、これは第二条第七項第五号に違反をする不公正取引に基づいてなされた歩積み、両建である場合は、その領金の拘束性というものは、それは拘束力を持たないものである。銀行の側にすればその拘束権というものは保証されないものである、法律の保護を受けられないものである。だとすれば金融機関はすべからく自発的にその歩積みと両建をこの際解除して、そうして貸出元本に差し入れて相殺し、貸出額をその実質額に改めるべきであると思う。銀行がそのことを自発的にやらなければ、借受人はそのことを要求することができろと思うが、見解はいかがでありますか。
#172
○大月政府委員 先ほど公取委員長のお答えになりましたように、やはり違法であるということと無効であるということとは別であると思います。民法の原則によりましても、法律に違反した行為は、全部無効であるとは言っておりませんので、違法であれば、ある場合には……。
#173
○春日委員 違法のものは無効である。これは民法に書いてある。
#174
○大月政府委員 いや、必ずしもそうではないと思います。それは法律に違反した行為に対しましては、それぞれの法的効果が、それぞれの法律の趣旨に基づいて与えられておるわけでありまして、ある場合には刑事罰が与えられる。ある場合にはその違法に対して行政権を発動いたしまして、たとえば銀行で申しますれば、免許の取り消しとか、あるいは営業停止とか、あるいは役員の解任とか、そういうような行政行為発動の要件になることもございます。あるいは法律行為の性格によっては、無効になることもあると思います。そういう意味で今度の問題が、はたして無効になるかどうかという点につきましては、われわれ民事の専門家でございませんので、必ずしも今ここの場で断定はできないかと思います。
 ただ、今、公取委員長といろいろお話のございました、はたして独禁法違反としてどうするかという問題を越えまして、われわれがこの歩積み、両建について考えておりますことは、もう少し実質的な解決方法をまず先行さす必要があるのじゃないかということでございます。それは現在のように、歩積み、両建という問題がやかましくなりましたのは、やはり最近の金融というものが、どちらかといえば逼迫の状態にございまして、金融機関の立場が強いということにあるわけでございます。そういうことからいたしますれば、この歩積み、両建の問題を、基本的に解決する方法というのは、やはり実質金利が下がるような金融の状態ができていくということがポイントであると思うわけでございますので、われわれといたしましては金融の正常化を促進いたしまして、むしろ歩積み、両建というようなものを債務者から強制するということは、結局競争に負けるというような、むしろ金融機関の立場がどちらかといえば弱いという方向に持っていくのが本質的な解決だと思います。
 それから第二に、そういうようなことを待つまでもなく、刑罰あるいは独禁法の規制という前に、こういうような非常にデリケートな問題でございますので、金融機関自体として、やはりやらないという決意をし、自粛を求める。かつ行政指導及び監督をもってそれを促進するということがまず基本であると思います。公取の関係の問題もさることながら、われわれとしては金融行政として、この問題について真剣に取り組みたいと思っておるわけでございます。
#175
○春日委員 国民がそれぞれの立場において自粛自戒をするということは、これは当然のことでございます。けれども自粛自戒ということは、おのずからその限界があるから、たとえば道路交通取締規則というようなものがあって、車は車道、人は歩道、こういうように実際問題としてきまっている。そういうふうだから金融だって、これは都市銀行、地方銀行、相互銀行、信用金庫、信用共同組合、これらを加えていけば、しかもこれに従事する者が何十万人、そういうものに自粛しろと言うてみたところで、それは自粛するに越したことはないけれども、自粛しろということをあなたは今まで十五回通達して、なおかつ向こうはのんこのしゃー、カワズの頭にしょんべんというのかな、どこ吹く風やらで、全然効果が上がっていないから、私がここで今論じているのであります。だから私が前に申し上げましたように、自粛自戒は銀行、金融業者といわず、すべての国民が良心に基づいて、人の迷惑を考えて、当然自分の行動はみずから律すべきである。けれども立憲法治国というものは、法律の基準に基づいてすべての問題が処理される、こういうことになっておる。これが法体系の秩序です。独禁法に一般指定があり、特殊指定がある。私が今申し上げておりますことは、そういうような意味合いで、こういう問題はやっているのであります。だから今申し上げましたその問題は、結局差しとめ命令といい、今の有効、無効論といい、私は今こういう短かい時間でこんな大きな問題、三兆何千億の歩積み、両建があると推定されるものを、これを全部すぐ解除してしまって、そうして元本の中に相殺してやっていけといったって、私もそういうような事柄が事実上でき得るかでき得ないか、これもわかっておる。だから問題を提起して、そして銀行業務の基準というものは、これは銀行法の改正によるべきものか、あるいは独禁法の特殊指定によるべきものか、手段方法は幾らもあると思うが、そういう意味ですべからく民法上いろいろと国民に保障されておる権限を、この銀行の業務だけにおいて除外的な取り扱いをするということは許される事柄ではない。当然この問題は十分に独禁法の法律に照らし、また銀行法の使命、性格に照らして厳粛に判断して、そういうものをすべからく相殺することによって貸出元木にこれを繰り入れて、中小企業の金利負担を軽減せしめ、よってもって山際日銀総裁の言うがごとく、すなわち、国際競争力に対処することができるような低金利の実態をここにつくり上げていく、こういう方向に向かって大月銀行局長も、それから公取委員長も善処願わなければならぬと思うのです。このことは、問題を提起したにとどめますから、十分御研究を願いたいと存じます。
 次に、もう一つの問題は、独禁法はこの三十五条において、不公正な取引方法を用いた事業者は、被害者に対し、無過失損害賠償責任を負うべき旨を規定いたしております。従いまして、二条七、項五号に違反をした歩積み、両建――私は違反をした歩積み、両建を論じております。違反しない歩積み、両建は論じておりません。従って二条七項五号に違反をした歩積み、両建をすべて強制された被害者は、そのこうむった過去の損害金について賠償請求を行なうことができると思うが、公取委員長の見解はいかがでありますか。
#176
○渡邊(喜)政府委員 この問題は、御説の通りであります。ただ、一応損害賠償の問題でありますから、公正取引委員会におきまして審判をしまして、そして審決をする。その審決の結果として、今言ったような事項に該当しているということになれば、当然この二十五条による無過失賠償責任という問題が出て参ります。
#177
○春日委員 それでは時間も迫られておりますから、もう一点銀行局長にお伺いをいたします。
 こういうような事実関係につきましては、ひとり市中金融機関ばかりではない、政府関係の金融機関についても、独禁法は何らその適用除外を規定の中に設けてはいない。私はいろいろ調べてみたが、東北開発公庫でありますか何かに数カ条の適用除外を受けておるだけであって、商工中金も不動産金融もその他のものも、みんなすべてこの独禁法の規定に従ってその業務の運営がなされなければならない。従って、政府関係金融機関で第二条第七項第五号に違反をすると思料せられる取引行為があるかどうか、これは銀行検査官が検査をされておると思うが、いかがでありますか。たとえば、それは金融債をも含めて、歩積み、両建金融債の強制的押しつけ、こういうような事実関係、はどうなっておりますか。
#178
○大月政府委員 今お話しの政府金融機関につきましては、預金の受け入れを一切いたしておりませんので、そういう事態はないと思います、ただ、多分お話は、たとえば商工中金のように、政府機関ではございませんが、相当政府出資が入っておる、あるいは政府において金融債の引き受けをやっておるような機関のことであると思いますが、商工中金について無理な預金をさし、あるいは金融債の引き受けをさすというようなことがございましたならば、当然今お話しの歩積み、両建問題と同様に考えるべきものだと考えております。
#179
○春日委員 私はまだだいぶお伺いをしなければならぬところが多いのでありますが、同僚諸君の御迷惑もあろうと考えますから、この辺で終わりたいと思うのであります。
 ただ、私が公取委員長、それから大月銀行局長、大蔵政務次官、それから同僚議員各位に特に御要望申し上げておきたいことは、私はただ単に金融機関を攻撃するとかなんとかいうことが趣意ではございません。日本銀行総裁も指摘されておりますように、かつはまた各位もその地域地域において中小企業者のその切実たる訴えを耳にされておりますように、現実に中小企業の金利負担が重いのでございます。借りろときには、必ず両建預金の要請がございます。歩積みは頭から天引きされておるのでございます。こんなことを見のがしておいては、大蔵委員会として国民の前にその職責をむなしゅうするものである。私は、この機会に、特に日本銀行総裁が本委員会において述べられた意見というものは一個の論証と見るべきであるそういう意味において、善良で、誠実な人柄の渡邊さんが公取委員長に就任されたのを機会に、多年にわたるところの悪慣習を根本的に摘出して、正常な金融業務のあり方、そして中小企業の不当なる苦しみというものを解決されることに全力を振りしぼられることを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
#180
○原田政府委員 長時間にわたりまして春日先生から誠意こもるといいますか、熱情あふれる御質問をちょうだいいたしまして、まことに感謝をいたしております。大蔵省といたしましては、公取委員会の御厄介になるまでもなく、私たちの責任におきまして、今種々御質問のありましたような点について指摘をされないように努力をいたしていくつもりでございます。具体的な問題につきましては、先ほど御質問の中にありましたように、定期を積んでいる、これなどは相殺したらいいのではないか、こういうような面も考えながら1先ほど民主政治は話し合いの政治だ、話し合いが根本だと言われた、私どもは今まで十五回にわたってやったけれども、一ぺんも効果が上がらなかった、こういうお話でございますが、大蔵大臣にもよく伝えまして、私ども現在担当しております者がほんとうに、真剣に取り組んで歩積み、両建というようなことはなくするように努力をいたしていきたいと考えている次第でございます。
#181
○渡邊(喜)政府委員 私も昨日就任したばかりでございますが、今お話しの春日委員の御指摘の問題につきましては、公取として取り扱うべき大きな問題だという認識に立ちまして、これをどう解決するか、そうしたテクニックの問題については、あるいは春日委員と多少意見を異にするような場合も出てくるかもしれませんが、とにかくこの問題を解決するという熱意においては春日委員と変わらない気持を持っておりますことを一応申し上げさせていただいて、今後努力をいたしたいと思います。
#182
○毛利委員長代理 次回は、追って公報をもって通知することとし、本日は、これにて散会いたします。
  午後六時四十七分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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