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1962/05/21 第43回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第043回国会 大蔵委員会 第27号
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1962/05/21 第43回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第043回国会 大蔵委員会 第27号

#1
第043回国会 大蔵委員会 第27号
昭和三十八年五月二十一日(火曜日)
   午前十時五十二分開議
 出席委員
   委員長 臼井 莊一君
   理事 足立 篤郎君 理事 鴨田 宗一君
   理事 毛利 松平君 理事 山中 貞則君
   理事 吉田 重延君 理事 有馬 輝武君
   理事 平岡忠次郎君 理事 堀  昌雄君
      安藤  覺君    川村善八郎君
      田中 榮一君    高見 三郎君
      藤井 勝志君    藤枝 泉介君
      古川 丈吉君    坊  秀男君
      佐藤觀次郎君    坪野 米男君
      広瀬 秀吉君    武藤 山治君
 出席政府委員
        宮内庁次長   瓜生 順良君
        大蔵政務次官  原田  憲君
        大蔵事務官
        (主計局給与課
        長)      平井 廸郎君
        大蔵事務官
        (管財局長)  江守堅太郎君
 委員外の出席者
        総理府事務官
        (恩給局審議課
        長)      中嶋 忠次君
        日本専売公社総
        裁       阪田 泰二君
        専  門  員 抜井 光三君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 日本専売公社法第四十三条の十九の規定に基づ
 き、国会の議決を求めるの件(内閣提出、議決
 第一号)(参議院送付)
 国有財産法第十三条第二項の規定に基づき、国
 会の議決を求めるの件(内閣提出、議決第二号)
 (参議院送付)
 旧令による共済組合等からの年金受給者のため
 の特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣
 提出第一一五号)
     ――――◇―――――
#2
○臼井委員長 これより会議を開きます。
 国有財産法第十三条第二項の規定に基づき、国会の議決を求めるの件及び日本専売公社法第四十三条の十九の規定に基づき、国会の議決を求めるの件の両件を一括して議題といたします。
 質疑に入ります。通告がありますので、これを許します。佐藤觀次郎君。
#3
○佐藤(觀)委員 瓜生さんにちょっとお伺いしたいのですが、この間、エジプト展で、村山夫人に暴行したといわれておりますけれども、どういうことか知りませんが、真相を――大蔵委員会の問題と関係いたしますから、ひとつ……。
#4
○瓜生政府委員 これは三月の二十二日に両陛下が、上野博物館で開催されていたエジプト展においでになったときのことであります。この展覧会は、朝日新聞社と博物館の共同の主催でございましたので、主催者として、朝日新聞の村山社長と国立博物館の浅野館長が両陛下の近くで御案内をして、前のほうに進んでおられたわけであります。進まれて四分の三くらい行かれたときに、村山社長の御夫人がうしろからずっと前のほうへ出て、御主人の横へおいでになろうとした。場内の整理に当たっておりました宮内庁の総務課の課員が、そう前においでにならないようにと、こういうふうにして制止をいたしたのですが、ところが、この御夫人がずっと出てこられて、それで指先と胸の肋骨のところ、御夫人のからだにさわるというようなことになったわけであります。御夫人は非常に憤慨をなさってその当人があやまりに参りましたのですが、そのときにその当人のあやまり方が、釈明が主になるようなことで、御夫人のお気持ちには沿わなかった。その上官の課長補佐がさらにあらためてあやまりに参りました。ちょうどそのころは東宮妃殿下が入院されて御退院になるようなときで、課長も非常に忙しくて、結局課長補佐が参ったわけであります。課長補佐がおわびをいたして、その際の模様では、御夫人は、今後注意するようにという意味で御納得になったようなので、一応その問題は解決したというふうに考えておったのであります。ところが、大阪のほうにお帰りになってから、さわられたところが非常に痛むというので、厚生年金病院のほうで見てもらいましたところが、これが清水氏骨折といい、軟骨のところに、骨折といいますか、要するにひびが入ったというような診断で、非常に重いということで、宮内庁のほうとしては、それはまことに気の毒というので、とりあえず京都事務所長をお見舞いに、またおわびに伺わせようとしたのです。最初は一応お受けになるお話でしたが、行く日の朝になってそれは受け入れないというお電話があって本人は行かなかったわけであります。それから、宇佐美宮内庁長官は、お見舞いと、その中におわびも書いて、御上京の機会にお話を申し上げるというようなことで手紙を出されたのであります。四月の二十五日に御上京になって、そこで宇佐美宮内庁長官が伺っておわびをし、将来さらに注意するという意味のことを言われたのであります。ただ、そのときの会見の模様は、何か釈然としないものがあったようであります。しかし、それから三日ばかりたって朝日新聞社のほうから、問題は一応解決したというような話が宇佐美長官のところにあったのであります。しかし、御夫人のお気持ちはまだ釈然としないものがあったようであります。さらにあとから聞きますと、社からそういうふうに言ったのは必ずしもほんとうではないというようなことであります。制止してさわったくらいでどうだという問題が疑問に思われますが、われわれもちょっと疑問に思った点があるのであります。しかし、実は営内庁の外科医長に聞いてみますと、六十歳を越したような方はちょっとした衝撃でもそういうことが起こり得るのだ、よく電車が込んで押したりされて病院なんかで治療される場合もあるということであります。なお、ときによりますと、ゴルフなんかなさっておって、それでそういうひびが入られる方もあるように聞いております。手を触れて制止したのは穏当を欠き礼を欠いておるという点はわれわれも十分反省しなければいけないというので、この本人につきましては将来を十分戒め、なお、最近配置がえもしているわけであります。そういうようなことでございますが、宮内庁の関係の者としては、職務上の整理のような場合もございますが、今後そういう場合にはあくまでも皆さまの気持ちをそこなわないよう、また、おからだについてもそんなことの起きないよう十分に注意をしていきたいというふうに反省をいたしておる次第でございます。
#5
○佐藤(觀)委員 村山令夫人は女傑でございまして、私は会ったことはありませんけれども、ちょっとさわったぐらいで骨が折れるというようなことはないと思うのです。相当心臓の強い方でございますからそのようなことはないと思います。宮中の問題もだいぶいろいろ問題がありますが、戦後からは、国民も天皇に対しては人間天皇として親しみを持っております。瓜生さんはそこにおいでにならなかったようでありますが、そういう大ぜいおられるところでどうしてそんなことをやられたか、私はちょっと了解に苦しむのです。これは加藤シヅエさんや戸叶さんからも質問が出ておりますが、常識で考えて、村山夫人は六十二、三だと思うのでありますが、ちょっと制止したくらいで村山夫人の骨が折れるなんということはどう考えても考えられないのです。おそらく天皇陛下がそういうところへおいでになる場合には、これは展覧会においでになったのでありますから、そういうところの近くにいる人は常識もあるし、また危害を加えるような人がいるわけはないのですから、そういう点にどういう手落ちがあったのか、私らもちょっと解せないところがあるのですが、そういう点の真相をここでわれわれに判断できるように、もうちょっと真相を知らせていただきたいと思います。きょうも朝日新聞が投書が二つばかり出ておりました。投書を読んでもらえばわかりますが、朝日新聞が投書を採用して載せておるわけであります。村山夫人といえば関西の有名な上流婦人であるらしいのですが、そういう点についてどうも私たちには解せないような気がするのですが、もう少しわかるように御説明願いたいと思います。
#6
○瓜生政府委員 先方の御夫人のほうも出てこられようとした、こちらも制止しようとした、そうして両方でぶつかったので強い当たりがあったのじゃないかというふうに想像はいたしますが、その現場は、私はそのときお供しておりませんので模様は見ておりません。しかし他の見られた方、それからそういう場合には各新聞社の取材の記者の人、それからちょうどその前にはカメラマンなどもおられたわけですけれども、そういうような方は別に何もなかった、あまり気がついておられない程度のことであります。しかしUPIのホープライト氏の記事というものが英文で流されましたが、それにはヒット、たたいて、何か一メートルばかりもうしろのほうへ突き飛ばされて肋骨が二本ブロークン、折れたというように表現されておりますけれども、その記事は非常に誇張されておるようであります。しかしながら、夫人が痛まれるような原因をつくったことは何といっても申しわけないわけであります。御夫人は東京においでのときに朝日新聞社の診療所でレントゲンなどで見てもらわれたそうでありますが、そのときは異常がなかったというのが出ておるわけであります。大阪にお帰りになってから異常の御診断が出ております。われわれ医者でございませんので、どうもそこは、そういうふうにひびが入っていたと診断があれば、そうだと思って、お気の毒だった、まことに相済まぬという気持ちを持っておりますが、まあ診断の経緯は、東京では何でもなかったような診断で、大阪にお帰りになって御診断になって、そういうふうになっているということであります。そこらあたり専門でございませんのでわかりませんが、まことにお気の毒だったと思っております。しかし皇室に仕える者としては、皇室と国民との親しさを増されるためのことには十分配意しなければいけないので、陛下を慕ってお迎えになるために得ってこられる方に対しては、やはりこのお気持ちを尊重して、親切に、あたたかい気持ちでこの衝に当たらなければいけないので、われわれのやり方がまずいために、皇室と国民の親しさを阻害するというようなことがあっては、これはまことに相済まぬことだと思うのであります。その日の現場の状況を私はよく見ておりませんが、いろいろ聞きますと、最初村山夫人が、当日そこへおいでになるというような連絡が朝日新聞社からもなかったというようなこともあったわけであります。普通御案内役は、主催者の代表者の方がなさるのでありますが、陛下がいろいろごらんになっておる場合に、陛下のお近くにたくさんの方が寄ってこられて混雑いたしますと、十分に展覧会もごらんになれないというようなことにもなるものですから、陛下のお近くのところはあまり混雑しないようにある程度整理をしておる。そこへ御夫人が出ておいでになったものですから、そう前へ出ないでくださいと申し上げたところ、村山夫人が御主人と一緒にそばへ出るのが何が悪いのだろうというようなことで、強く前にお出になろうとして、手が触れたというような現実の状況のようであります。しかしその場合でも手が触れるような整理をすることは、あくまでも穏当を欠いておる、礼を失しておると思います。今後はそういうような場合について、一そう留意していきたいと思っております。
#7
○佐藤(觀)委員 たまたま朝日新聞の社長の夫人であるから社会的問題にもなるのでありますが、一般大衆ならばおそらくそんなことはうやむやになってしまうと思う。しかし国民の声なき声というものは非常におそろしいと思う。私たちは名流婦人だからそういうことを考えなければならぬというのではなくて、大衆がそういう同じような場面にぶつかったときどういう気持ちを持つか、一つだけの問題でありますからあまりいろいろなことは言いませんけれども、そういうときに、どうして守衛の人がわざわざそんな強いことをやるのか私にはわからない。乱闘でもあるようなところだとか、あるいは群衆が大ぜいでわっと押し寄せてくるような場合には、行き過ぎが多少あっても了解できますけれども、展覧会場で、両陛下がおいでになって、そして村山社長が案内をするような場面では、どう考えてもそんな荒っぽいことをやるようなことは常識的に考えられない。私は天皇陛下に対しては、兵隊に召集されて軍隊におりましたから、そういうような古い考えを持っておるわけてすけれども、戦後憲法が変わって、天皇が象徴になられて、大衆に非常に親しみを持たれてきた。私が名古屋で戦後すぐ代議士になったときでありますが、群衆の中から陛下に会わせてくれという一人の人が私の前に飛び出てきたのであります。どういうわけかというと、天皇陛下の命令で、おやじも戦争に行き、むすこも戦争に行った、一度だけ会わせてくれというのです。そういう場面にぶつかった経験を私は持っています。このごろはそういうことはないにしても、やはり大衆の心理というのはなかなか微妙なものでありますから、そういう点については、宮内庁の人たちが昔のような考え方でなく、もっと慎重にやるべきだということを考えておりますが、その点についてはどういうふうにお考えになっておられますか、お伺いしたいと思います。
#8
○瓜生政府委員 村山朝日新聞社の社長の御夫人だから特に問題としてわれわれは考えておるというだけではありませんで、これはいまおっしゃったように、どういう国民の方でありましても、その方たちに対して接する場合において、あくまでも扱い方ももっと穏やかに、陛下に親しみを持っておられる方のそのお気持ちをそこなわないように整理する。整理する必要のある場合なら整理しなければいけませんけれども、その整理する際の態度については十分反省していかなければいけないというふうにわれわれも思っております。
 いままでこれに似た事件が何かあったかということも聞かれたこともございますが、私の聞いているところでは、特にこういうことがあってどうもけしからぬじゃなかったかというようなことをあまり聞いていないわけであります。もちろんこういうふうにしたらもっといいのじゃなかったかということはございますけれども、宮内庁のそういう整理に当たっている者が相手方に傷を負わせるような、そういう行き過ぎた整理をしたということを聞いたのは今度が実は初めてであります。しかしながらわれわれが聞かないことでそういうことがあるいはあったのかもしれませんし、そういうようなこともございますので、今後われわれの部下に対しましては、そういう点の心がけについて一そう教養を深めて万全を期するように努力をしたいと思っております。
#9
○佐藤(觀)委員 そういうようなことで注意していただきたいと同時に、二重橋の改築の問題で私ども中を見たことがごさいますが、最近二軍橋以外に大きな改築の工事を考えておられるかどうか、これについて伺いたい。
#10
○瓜生政府委員 重要な部分での、いまあるものをこわしてつくりかえるというのは正門鉄橋、普通二重橋といわれている部分でございますが、そのほかに今度承認を求める件の中にあります宮内庁病院――倉庫の中にありますが、あれをいまの倉庫をこわして、かわりに病院らしい病院を大手門に入ったところにつくろうという問題がございます。
#11
○堀委員 さっきの前半の問題で瓜生次長の話では、当該制止をした人は配置がえになったという御答弁がありましたが、一体こういうことが起きるのはその当人に問題があるのか、ふだんそういうような指導を行なわれておる上長者に問題があるのか、そこのところをちょっと伺っておきたい。そういう制止をするようにふだん何か指示がされておらなければ、そんなことしないのじゃないかと私は思うのです。だから、そういうことをしたときに、その当該制止をした者ももちろんそれは適当でなかったと私も思いますけれども、その人間だけを配置がえして、あとは私どもはそういうことについては何にも知りませんという態度であるならば、私はその処置のしかたについてはやや公平を欠くのではないかという感じがするのですが、その点を少しつまびらかにしていただきたいと思います。
#12
○瓜生政府委員 その際の上の指導者である行幸主管というのができます。課長ですけれども、課長からも申しわけないという始末書が出ておりまして、その分については特に注意処分にして、将来一そう注意するようにと言っております。しかしながら課長だけでとどめるのでなくて、われわれ自身も反省して、そういうような面の部下の指導については今後一そうの留意をいたしたいというふうに責任を感じております。
#13
○佐藤(觀)委員 それからもう一点伺っておきたいのは、いま天皇家の財産と大蔵省管財局の財産と厚生省の所管の三つになっておることは、先回瓜生さんに御案内されて聞いておりますが、その後しばらく私は伺っておりませんけれども、そういう問題についてその後順調にいっておるのか。いろいろ所管の問題でなかなか複雑なようなことを聞きましたが、いまのところはうまくいっておるかどうか、その点も伺っておきたい。
#14
○瓜生政府委員 東側地区のところに、だいぶ前に御視察願いましたときには、その部分に、国有財産ではあるが皇室用財産の部分と、宮内庁の公用財産の部分と、それから大蔵省の所管の普通財産であるものと、厚生省の公園用地であるものと四つが入り組んでいる。御視察になりましたその部分について、それぞれの管理の比較的いい部分と悪い部分があったりして、目についておったことがございます。そのことに関しましては、昭和三十四年の皇居造営審議会が開かれました際に、これはやはり宮内庁一本の管理に整理してここを整備すべきだという皇居造営審議会の御答申がございました。その御答申の精神に基づきまして、大蔵省の普通財席でありました部分は三十五年度に構内庁の方へ所管がえをしてもらいました。残っておるのは厚生省の方の公園川地としての部分、これは中に入り込んでいるお堀の方の一部分でございます。この部分につきましては、厚生省の方でもこれを営内庁の所管一本にすることには御異議がないのですけれども、公園用地になっておりますので、公園用地をこの部分だけではなくて他のいろんな部分もあわせて一括していろいろ検討したいから、この趣旨には異議がないんだけれども、もうちょっと待ってほしいというので、その部分だけはまだ残っております。これも近いうちに解決すると思います。
#15
○佐藤(觀)委員 いま瓜生さんから伺いますと、私たちが心配しておったように、時日がたってみると、所管がえがなかなかむずかしくなると思うのです。大蔵省でも厚生省でも、役所というのは役所のなわ張りというものがあって、なかなかうるさい問題がございますから、いろいろ外部との問題にならないように、できるだけ早く整理するように考えていただきたい、そういう点について早く処理していただくようにお願いしておきます。
#16
○臼井委員長 これにて両件に対する質疑は終了いたします。
    ―――――――――――――
#17
○臼井委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ることといたします。
 お諮りいたします。
 両件を原案の通り可決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#18
○臼井委員長 御異議なしと認めます。よって、両件はいずれも原案の通り可決いたしました。
 ただいま議決いたしました両件に関する委員会報告書の作成等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#19
○臼井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
     ――――◇―――――
#20
○臼井委員長 次に、旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等の一部を改正する法律案を議題としたします。質疑の通告があります。これを許します。広瀬秀吉君。
#21
○広瀬(秀)委員 旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等の一部を改正する法神案について、若干の質問をいたしたいと思います。
 今回のこの件に関する改正法案の主要点といいますのは、恩給法の改正に伴って旧海軍共済組合の戦時災害による給付について存した不均衡を是正する等の必要があるというのが法律案提出の理由になっておるわけでありますが、等という文字はありますが、大体主要点は旧海軍共済組合の戦時災害と旧陸軍の戦時災害による給付上の両者間に存した不均衡を呈正する、このことが主眼点であることはわかるのでありますが、それ以外のところは、どういうところが改正になっているのでありますか。
#22
○平井(廸)政府委員 先生ただいま御指摘の点が今回の法律改正の主眼点の一つになっておりますが、そのほかにも恩給法等の改正に伴いまして、若干の改正を行なっておるわけでございます。
 第一は、旧外国特殊法人と申しますか、満鉄その他旧法人の職員でありまして、戦後わが国の政府に職を奉じたという方々につきまして、外国特殊法人の職員期間を通算するという問題があるわけでございます。この点につきまして 一応恩給法等におきまして恩給公務員期間に通算するという措置をとられましたので、これに合わせた措置をとったわけでございます。
 それから公務上の疾病による廃疾年金の最低保障額につきまして、恩給法におきまして最低保障額に付加される扶養加給につきまして、恩給法において組合員の退職後に出生した者一人につき二千四百円以上というのが従来の法律でございましたけれども、これが四千八百円に引き上げられましたので、これに合わせた改正を行なったわけでございます。
 そのほかやはり恩給法の一部改正に伴いまして、六十歳未満である年金受給者につきまして一部の改正を行ないまして、六十歳未満である年金受給者についても一万五千円ベースから二万円ベースまでの者につきましては、従来停止せられておったわけでございますが、今回それを恩給法に合わせて解除いたした、こういう点がおもな点でございます。
#23
○広瀬(秀)委員 改正点は大体わかりました。
 そこで、第四十回国会において、本委員会におきまして附帯決議がつけられておる。さらに参議院の内閣委員会においてもほぼ同趣旨の附帯決議がついておるわけであります。附帯決議の内容は給与課長十分御承知のことと思いますが、ちょっと読んでみます。
  将来において、本法適用者と新法施行後の退職者との間に、支給原因発生時期により共済年金間の均衡が失われるおそれがあるので、今後検討の上是正の措置を講ずべきである。
  なお、今後恩給法の改正が行なわれる場合には、これと相まつて同程度の是正の措置を講ずべきである。
 本委員会の附帯決議はそういうものでありましたけれども、この第二段のほうは今回恩給法の改正に見合った改正ということで尊重されておる、かように考えるわけであります。しかし第一項の本法適用者と新法施行後の適用者との間の不均衡を是正するという面についてはほとんど今回は考慮が払われていない、こういうように思われるわけでありますが、この点については一体どのようにお考えでしょうか、御見解をひとつ聞かしていただきたい。
#24
○平井(廸)政府委員 先生御指摘の附帯決議のございました点は私どもも肝に銘じておる点であります。御承知のとおり現在の国家公務員共済組合制度と申しますのは、一つには恩給制度の継続という形をとっておりますと同時に、一つには社会保険体系の一環ということにもなっておるわけでございます。したがいまして、前者の立場を貫きますならば、恩給の改定がある場合においては全然われわれの共済組合の年金等もベースアップをすることが妥当だということになろうかと思います。ただ一方におきまして、社会保険の一環という立場をとりますならば、直ちに恩給法の改正をもって共済年金の改正とすることはいかがかという議論もあるわけであります。たまたま昨年の恩給法改正に伴う共済組合の改正措置は、いわば旧法期間つまり雇用人等に適用されておりました期間についてのみの是正措置を行ないまして、新法になりまして後の公務員の年金については引き上げを行なわなかったわけでございます。この点は昨年も当然私ども問題にしたわけでございますが、何と申しましても制度そのものの基本的な性格をも検討しなければならない問題でありますし、かたがた昨年度の場合におきましては、新法施行後さほど大きなベースアップも行なわれていないという状況でございましたので、とりあえずは旧法のものに限ってベースアップの措置をとったわけでございます。
  〔委員長退席、毛利委員長代理着席〕
 そこで、その後どのような検討を進めているかということでございますが、私どもといたしましては、少なくともかりに社会保険の立場をとりましても、一般的な国民の所得水準が上がり、したがってまた公務員にふさわしい生活水準が上がってくるという場合におきましては、当然共済組合の年金についてもベースアップをする必要があろうということは考えております。ただ問題といたしましては、一方におきましてそのような財源をどのようにしてまかなうかという問題もございますし、またどのような形でどのような場合に引き上げを行なっていくかという問題につきましてもなかなか議論は尽きない点がございます。かたがた御承知のとおり今年度は社会保険の最も大きなものであります厚生年金保険について五年目の再検討の時期に当たっておりまして、これらにつきましても昨年の社会保障制度審議会の答申によりますと、やはり少なくとも最低保障分についての年金スライドというものは考えるべきだ、こういうような答申も出ているような経緯もございます。したがいまして、私どもといたしましては、そういった厚生年金等の動向も見ながら、かたがた私どもの立場におきましても、どのような時期にどのような方法で上げるかということについて目下鋭意検討をいたしておるという段階でございます。国家公務員の共済組合のみを先んじて厚生年金等と別に処理するということも困難な事情もございますが、できるだけすみやかなる機会に結論を得たいというふうに考えている次第でございます。
#25
○広瀬(秀)委員 公共企業体共済組合法の場合は昭和三十一年の四月一日から実施をされておる。国家公務員共済組合法に恩給法から移行した時期は昭和三十三年十二月、この間に二年六カ月のズレもあるわけでございます。そうしますと、公共企業体共済組合法の場合には、当時の恩給額といいますか、俸給額になるものが非常に低い時期であります。そうしますと現在の、現職公務員との出校においても、あるいはまた公務員の切りかわった時期との比較においても、一番低位に据え置かれているはずであります。一方において旧令共済の方が昨年二万円ベースに引き上げられました。そうしますと、昭和三十一年新法施行後に退職をして年令受給資格を得た者、こういうものの最低額というものがむしろ旧令よりも低いという、こういう事態がこの公企体の場合には特にはなはだしくアンバランスというものがあって、ほかのいずれとの比較において見ましても非常に低い状況に置かれておる。そういう点が非常に今日アンバランスとしてたえがたいものになりつつあるという現実は認められると思うのでありますが、その点いかがでしょうか。
#26
○平井(廸)政府委員 ただいま御指摘のとおり、三公社につきましては新制度に移行いたしましたのは三十一年の七月でございます。一般政府職員につきましては法律の通りましたのが三十三年十二月、一般公務員に適用になりましたのは三十四年十月でございます。したがいまして、その間に約三年間の差がございまして、その限りにおきまして昨年の恩給の二万円ベースヘの引き上げというのは三十四年の平均ベースということで一応考えておりますので、その間における約二年半というものについては、先生御指摘のように確かに若干低いのではないかという問題はございます。その限りにおきまして、一般公務員よりも三公社の場合においてさらに問題が大きいということも私ども認めるにやぶさかではございません。ただ、現在の制度のたてまえといたしまして、三公社のみを切り離して論ずるということもなかなかむずかしい問題でございますし、国家公務員、三公社あるいはひいては地方職員の共済組合とか、そういったものをもひっくるめて全体的な検討を現在の段階ではやっておる次第でございます。
#27
○広瀬(秀)委員 こまかくなりますが、大体昭和三十一年七月現在あたりでは一万八千円になるかならないかというベースだったと思うのであります。これはもしその資料がそちらにおありになればはっきりさせていただきたいのですが、せいぜい一万七千円から一万八千円の間程度が当時の現職公企体職員の平均べースあるいは政府職員の場合もそれとほぼ同じ程度のものだったと思います。そうなりますと、二万円ベースになったのは大体昭和三十三年、ちょうど公務員が新共済に移行した当時が二万円程度だったのじゃないかと思います。その前でございますから、いずれにしても一万七、八千円のところがベースだったと思います。これはもちろん私ども公共企業体だけいますぐ飛び離れても何でもやれという――基本的には当然矛盾のはなはだしいところから手をつけるべきだというものを持ちますけれども、しかし公務員のほうでもそういう具体的な事例というものがあるいは出ておるとも想像されますから、これは歩調を合わせてやっていただきたいと考えるわけです。こういうのを先へ送れば送るほどさかのぼってこれが適用されるわけにはまいりませんので、それだけは非常に公務員あるいは公共企業体職員というものが退職後における生活が著しく苦しくなっている者が多い。年金は受けているけれども、今日の物価の値上がりの現状の中で、さらに現職公務員等の給与の値上がりと対比をいたしまして、非常に気の毒な実情にあるということは先ほども平井さんも認められたように、これははっきりしている事実なんですね。これをできるだけ早く――あれもあるからこれもあるからという関連の否定的な要素ばかり拾い上げてなかなかやれぬ、なかなかやれぬでは、これはいよいよ矛盾が増大するだけでありますので、この点をことしはもうおそらくだめだろうと思うけれども、もし臨時国会が開かれる情勢ならばその臨時国会においてでも、あるいは次の通常国会においてでも出す用意があるかどうか、この点をひとつはっきり大蔵当局の方針を伺っておきたいと思います。
#28
○平井(廸)政府委員 先ほど若干触れましたように、厚生年金の再検討の問題がこの予算の要求期までに大体きまるであろうということが言われております。と申しますことは、先ほどちょっと触れました厚生年金についてのベースアップ問題ないしは最低保障瀬のスライド制の問題、こういった問題についても、ある程度の検討は行なわれて何らかの結論が出るものと私どもは期待しておる次第でございます。そういった、いわば一般的な社会保険の体系におけるスライド問題というものがある程度まとまってまいりましたならば、これと並行して私どもの問題というのも解決する道が開けるであろう、共済組合だけを先行してやるということも先ほど申し上げたようななかなかむずかしい問題があるのでございます。ことしはできれば通常国会の時期までにそういう結論が出ることを私ども期待いたしておるわけでございます。
#29
○広瀬(秀)委員 実はいま私が申し上げたような主張は、昨年二万円ベースに移行した新法適用以前の退職者の人たちが中心になってその点を推進しているのです。それは、われわれだけが幾分でもよくなって、新法施行後でありながらなおわれわれよりもむしろみじめな人がいるのだ、こういうことはわれわれとして、上げてもらったけれども非常にぐあいが悪いことだ、新法適用者も早くやってもらいたい、実はこの旧法の人たちの二万円べースも現職公務員の給与水準というようなものから比べれば著しく、五、六年の差をもって水をあけられておるわけですけれども、われわれはようやく二万円になった、しかしそれ以上気の毒な人たちが新法移行後の退職者にあるのだ、こういうものは非常に気の輝だから、これを何とかしてくれという運動を全国的に展開をしているわけです。こういうような実情を考えていただいたならば――やはりいろいろ関連の諸問題、困難な問題はあるだろうけれども、やはり一挙に何もかもやるということはなかなかむずかしいだろうと思うのです。今日のこういう制度がやはり保険システムというものになっていると私は思うのです。社会保障という筋は必ずしも貫徹されていないというようなことからいいましても、相当な困難があるということはわかりまするけれども、しかしこれらの人たちは、すべてやはりこれほど物価が上がるだろうとも思わなかったし、当時の年金額でどうにか老後の生活が保障されるだろうという気持ちで、少なからざる掛け金もずっとまじめにかけ続けてきたわけでありまして、そういうようなものに対してそのままどんどん政策のまずさによって物価を上げて、その人たちの固定した給与とのアンバランスから非常に生活の水準を低下せざるを得ない。しかももう老齢で、働く余力も何もないというような人たちが非常に気の毒な状況になっているということは、やはり去年引き上げたと同じように、少なくともその程度までは早急にやっておいて、それから総合的な問題を制度全般にわたる合理的な方法で改革というものに持っていくべきが当然であって、そのアンバランスだけは少なくともまず埋めておいて、それから全般の問題の考究に入っていく、制度の改革に入る、こういうような配慮が私は必要だろうと思うのですが、どうですか。
#30
○平井(廸)政府委員 先生御指摘の点、まことにごもっともとも思います。ただ一つの制度を動かしていくたてまえにおきまして、一たんある種の措置をとるということになりますと、なかなかその措置がその後のやり方をまた規定するという問題もございます。たとえば先生のただいまの御発言の御趣旨であるならば、昨年恩給が二万円べースに上がった場合においては、とりあえず二万円べースまで上げておいて、それからあと問題を研究するというような御議論になろうかと思うのでございますが、そういった恩給スライド方式というものがこういった制度にふさわしいものであるかどうかという問題も基本的には含まれておるわけでございます。もちろんべースアッブをしないというわけではございませんが、べースアップの基準なりあるいは方法をいかなるところに求めるかという議論がやはり根本に残っておるわけでございますので、この点について私どもは早急に結論を得て実施することにいたしたい、こう考えておるわけでございます。
#31
○広瀬(秀)委員 給与課長の答弁でも、私はやっぱり基本的な問題が非常に混乱があるのじゃないかと思うのですね。一体先ほども保険システムだということを言いましたけれども、しかし必ずしも保険システムだけだと言い切ってしまうほどのものでもなさそうだ。それはやはりある程度追いかけながらも、非常にずれながらも、べース改定が行なわれてきておるわけです。それはやはり老後の生活を保障しようという気持ちは何パーセントかはある。あるからそういうことがやられてきたと思うのですね。そういうような状態からするならば、基本的な立場が、老後の生活保障なんだ、保険システムはとるけれども生活保障をするのだということで、全部そういう期待権を持って今日共済組合の組合員たちはみんな掛け金を納めておるわけです。それで、やはり現職公務員の給与水準とは同じべースにはならない場合でも、それに近いもので絶えずかけていけるのだという期待があるわけです。そういうものをあまり裏切るということになりますと、制度自体に対する信頼感が非常に薄らいでくるし、一体基本的な考え方というのはどういうところにおいているのかということについても、われわれ自身もわからなくなってしまう。一体共済組合の本質というものは、特に長期給付の場合にどういうところにあるのかということを、もう一ぺん方針の問題として伺わなければならないと思うのですが、その点いかがでしょうか。
#32
○平井(廸)政府委員 たしかに先生御指摘のとおり、この問題は共済組合の基本的性格にも触れる問題であろうと思います。先生御指摘のように、旧令共済組合につきましては、恩給のべースアップがあるつどべースアップを行なって、しかもこれはスライドするというやり方をとってまいったわけであります。ただ旧令共済組合の性格は、確かに社会保険という形はとっておりましたけれども、本質的に言うならば、むしろ公務員における恩給に匹敵するものを雇用人について保障するといった性格が強かったのであります。したがいまして、その限りにおいて、必ずしも保険数理等にとらわれずに、恩給のべースアップにスライドするやり方をとってまいったのであります。ところが、新法に移りましたそもそもの基本的な考え方というのは、恩給公務員的な、いわば公務員の納付金と給付との間に何らの関係のないという体系を一つの社会保険の体系で考え直してみようということが基本的な考え方にあったわけであります。その限りにおきましては、ただちに恩給と同様の動き方をすると申しますか、恩給にスライドするという考え方は一応新しい法律のたてまえで切り離したということになろうかと思います。ただ一方社会保険においては、それではおよそ既裁定の年金についてのべースアップというのはないのかという点でございますが、これは私どもは、私的な保険とは違う。いわば掛け金とその運用によって保険事故をまかなっていくという私的保険の立場とは違うわけでございますので、その限りにおきましては当然ベースアップ等も考えなければならぬであろう。ただ社会保険におけるベースアップの必要性なり何なりは、公務員なるがゆえにベースアップが必要だと考えるべきなのか、あるいは社会保険全体の水準から見て現在の水準では低すぎるという場合において考えるべきなのか、あるいは先ほど御指摘のような恩給が上がった場合というのを一つの基準にして考えるべきなのか、この辺のところは非常に議論のあるところでございます。しかも共済組合のみをきめるということはなかなかむずかしい問題でございまして、先ほど申し上げました厚生年金等については現在盛んに論議されておるわけでございますが、これらをも合わせまして社会保険のべースアッブの問題を処理していく、こういうふうに考えておるわけでございます。
#33
○広瀬(秀)委員 厚生年金の場合が非常に社会保険の代表的なものになっておるわけでありますが、これの制度というものと私的保険制度とは非常に性格が違うわけでありまして、これは強制的に法律が加入させるというたてまえを、一定の条件はありますけれどもとっておるわけであります。それだけの強制をするからには、やはり老後の生活はそれによって保障をするのだというたてまえが貫かれると思うのです。そういう性格は、新法移行後における公務員やあるいは公企体職員等の共済組合とは性格的にも近似してきたと見てもいいのだと思うのです。したがって、厚生年金の場合も同じように見ていって、これを改革することにやぶさかでない立場に私は立つのでありますが、特にこの恩給法旧令の場合には、恩給法とのひっかかりといいますか、恩給法の思想がずっと貫かれてきておるからそうなのだ、新法の場合には、社会保険的なものに性格を百八十度転換された、こういうはっきりした割り切り方は私は必ずしもなかったと思うのであります。そこにやはり若干の差がある。やはり相互の仕事の内容にしても同じことをやってきているわけであります。もちろん、これは天皇に対する無定量の忠誠義務というような形ではないけれども、国家のために働き、人民のために働く、こういうことは、本質的にはただ天皇のために働いたかどうかというイデオロギー的な差はあるにしても、その仕事の内容なり実態はちっとも変わっていないわけであります。それは理屈のつけようであったと思います。そういうような立場である以上、やはりその後の経済情勢の変化、特に物価の値上がりによって年金の実質価値、購買力というようなものがどんどん低下をして、もう現実には生活を保障をする、老後の生活保障という年金額から非常に著しく離れてしまうというようなことは許されないことだと思う。すでに旧令の場合にはどうやら二万円べース、これは低きに失すると私どもは指摘してきておるところでありますが、さらに新法に移行したものが、先ほど給与課長が言ったように、考え方が幾らか変わっておるというような面から、むしろ旧令の人よりも低くてもがまんしなければならないという合理的な理屈は私ども納得できないわけです。したがって、そういう点については、やはり早急にやるべきだ、かように思うわけですが、これはどうしてもやれないということでしょうか。この年度内に、あるいは次の通常国会内にというような時点においてどうしてもやれないものでありますか、やるべきだと思いますか、どちらですか。
#34
○平井(廸)政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、私どもといたしましても、この問題についてはできるだけすみやかに結論を得たい、そのつもりで仕事をいたしておるわけでございまして、次の通常国会までに絶対できない事情があるということは毛頭ございません。ただ全体の社会保険の動きなり何なりの動き方がどういうふうになるか、いまのところはっきりした見通しがついておりませんので、いまの段階で必ず次の通常国会に提出できるというところの約束まではなかなかいたしかねるというところでございます。
#35
○広瀬(秀)委員 ここであまり水かけ論をやっておってもしかたがありませんから、やりたいという気持ちは強く持っているということを確認いたしまして、その線に従って関係方面とも十分打ち合わせながらその方向でひとつ努力をしてもらいたい、こういうことを要請いたしておきます。
 次の質問に移りますが、旧令の共済組合法の適用を受けて七十歳以上になっている老人の場合でございますが、特に遺族年金の場合、御主人がなくなって未亡人だけが七十一、二歳で生存されておるというような場合に、その遺族年金の額が大体月額三千三百四十五円――これは東京都に例をとりましたが、そういう状態の人が平均になっておる。さらに今度は生活扶助料の月額を東京都で保護基準の一類、二類、あるいは季節加算というようなものを合算してみますと、生活扶助料で同じ条件の場合に月額五千四百四十円というような状況になっておる。こういう点で非常に生活扶助料にも満たないという状況というものは、やはりこれは旧令で、先ほど平井課長が言われましたように、特に恩給法との関連において、恩給の思想というようなものから、老後の生活を、体面を維持できるだけの生活水準を保障しようということから見れば、これはあまりにもひどい状況にあるのであります。こういうものをどうしても最低保障なり何なりという形で、少なくとも生活保護者と同程度くらいまでは引き上げる必要があるのじゃなかろうかと思うのですが、この具体的な数字についても、こういう現実を認められるかどうか、認められた上に立って、これを是正する気持ちがあるかどうか、この点についてお伺いしたい。
#36
○平井(廸)政府委員 ただいまあけられました東京都の実例は、私必ずしもつまびらかにいたしませんが、御指摘のとおり、一般的に生活扶助料にも及ばない給付水準の者のあることは事実でございます。ただ現在の旧令共済組合法のたてまえと申しますのは、恩給法と平仄を合わせるという考え方でできておるわけでございます。また厚生年金等につきましても、同じような問題も起こっておるわけでございます。したがって、恩給の体系なりあるいは社会保険の体系いずれを通じましても、共通の問題としてそういうような問題が発生しているのではないかと私どもは考えております。その場合に厚生年金なりあるいは恩給の体系とのバランスをとりながら、どのようにこれを処理していくかということも、私どもの宿題の一つでございますが、いま直ちにこれをどうこうするということは、先ほども申し上げたような経緯もありまして、両者の動きをにらみ合わせながら答えを出していく以外にはないのではなかろうかというふうに考えております。
#37
○広瀬(秀)委員 さらにこういう具体的な現実があるということを私認めていただきたいのですが、その上に、月額で三千三百四十五円でございますから、年額に引き直しますと、大体四万円くらいになるわけでありますので、年額二万四千円をこえているという理由で、老齢福祉年金の適用もこの場合は排除されるわけです。ところが生活保護の場合には、老齢加算が別にあるというというようなことで、そういう面からも、また非常に取り扱いのアンバランスというものがそこに私はあるだろうと思うのです。こういう矛盾に対してどういうように考えられるか、この受給制限額二万四千円というようなものをもっと上げていくという形にするか、あるいは老齢福祉年金の併給を認めさしていくか、こういうような制度的な問題も当然からんでくるし、これらの問題についても何らかの形で善処をして、こういう不合理、アンバランスの解消に努力していただきたいと思うのですが、いかがでございましょうか。
#38
○平井(廸)政府委員 現在の共済年金なりあるいは恩給の場合も同じでございましょうが、これをもって完全に生活をカバーするという問題になりますと、なかなか十分でないという点も御指摘のとおりでございます。その場合において経過的に見ますと、生活扶助料にも足りないという者も出てきてまいっております。ただこういったようなものについて、全体の社会保障なりあるいは社会福祉の立場においてどのような考え方をとるべきかというような点は、政府部内でもなかなか議論が分かれておるわけでございまして、現在のところ直ちにこういう方向で処理するというところまでなっておりませんことは私ども遺憾でございますが、これらの点につきましても関係各省と十分連絡をとりまして、今後慎重に検討してまいりたいと思います。
#39
○広瀬(秀)委員 たしか池田総理の本会議かどこかでの答弁の中にあったと思うのですが、国民年金等の問題につきましても、物価の値上りというようなものにスライドさせる方式というものを考えていきたいというようなことを言っておられるのです。そういうようなところまできておるわけでありますから、こういう旧令共済組合法の適用を受ける老人たちが、しかももう全生涯をかけて公務員としてあるいは公共企業体職員として努力してきた人たちが、やめてから後も、何とかわれわれの年令を引き上げてもらいたいといって全国的にたいへんな運動を展開する、非常に苦労をしながらそういうことを要求されるというような事態は、まさに文化国家、福祉国家を目ざす政府としてもそういうことは望ましい姿ではないとお考えであろうと思う。こういうようなもの々何らか合理的な基準に従ってスライド制というようなものを設けて、人事院が物価の値上がり等あるいは民間給与等の比較検討の上に立って、それらとの格差が開いた場合に、五%程度以上開いた場合には必ず勧告をしなければならぬというような、現職公務員の給与についてはそういう規則があるわけであります。それと同じような考え方でこのすべての年金額について、やはり物価事情、生活水準の格差というようなものがどれだけ開いた場合には勧告をしなければならぬというようなものを制度的に保障していく、社会保障制度審議会でもいいし、何かそういうものにそういう勧告権というようなものを与えて、それを忠実に政府が守って自動的にスライドさしていく方式というものは、今の大蔵省当局においては考えられないことでございますか。そういうものも検討をいたしておるところですか、この点を伺いたい。
#40
○平井(廸)政府委員 私ども先ほどちょっと触れましたように、既裁定の年金のべースアップを行なう必要はあるだろうけれども、ただその場合の時期と基準と方法が問題であるということを申し上げたわけでございますが、その一つの方法として、先生がただいまお話になったような方法もあろうかと思います。ただそれは全体の社会保険を通じてどのように考えていくかという問題の一つの解答になろうかと思うのでございます。こういった点につきましても各省連絡会議等もございますので、十分検討をいたしてまいりたいと思います。
#41
○広瀬(秀)委員 スライド制というものはやはり何らかそういう時期なり基準なり方法なりというようなものについて、非常にむずかしい問題点はあるけれども、方向としてはそういう方向にいくんだ、こういう状況にいま政府内部の意思というものがある、こう認識してよろしいか、どうなんですか。
#42
○平井(廸)政府委員 まあ昨年私どもなりあるいは当時の次長からも答弁いたしておりますように、社会保険の体系というものにおきましても、当然生活水準なりあるいは所得水準がある程度上がりました場合に、既裁定の年金についてべースアップを考えなければならぬであろうということは申し上げているとおりでございまして、その限りにおいては基本的には先生の御意見に合致しておるのではないかと考えております。ただ、全体として社会保険の中でそういう問題が結論的に政府として出ておるかということにつきましては、現在の段階では、まだその段階にまでは至っておらない。ただ、先ほど申し上げましたように、社会保障制度審議会等の答申もございましたので、そういう点を含めまして各省で共同して研究いたしておるという段階でございます。
#43
○広瀬(秀)委員 今度の改正案の中に、昭和二十二年六月三十日以前に給付事由の生じた国家公務員共済組合法等の規定による年金の額の改定に関する法律云々で、恩給法等の改正に準じて一部を改正し、六十歳米満である年金受給者について行なわれている年金改定差額引き上げ相当額の支給停止を廃止するということがあるわけでありますが、昨年の二万円ベースの改定にあたっても、これが支給制限がやはりついておりまして、年金改定差額が完全に支給されるのはたしか昭和三十九年七月ですか九月ですか、そこらになるわけですが、これなども一年でも早く当然それだけのべース改定をしてやったり、いろいろなこまかい条件をつけずに全面的にすみやかに改定差額を全額やる、こういう方向にすべきだと思っておりますが、この点については全然昨年の法改正どおり、昨年も私質問したのでありますが、明確な答弁を得られなかったわけですが、これをことしからでも、そういう三十九年までわざわざ送るというようなことなしにやれないものかどうか、この点についてひとつ伺います。
#44
○平井(廸)政府委員 御承知のとおり、旧法時代と申しますか、国家公務員につきましては、雇用人について共済組合制度が適用されておりました時代の共済年金の性格は、いわば恩給に代替するような性格を持っておったわけであります。したがいまして、恩給のスライドなりべースアップなり、そういうものとバランスをとって改定していくのが基本的なたてまえでございまして、その限りにおきまして、先生ただいま御指摘の点もすべて恩給制度に改まったわけでございまして、恩給制度全体とのバランスをとって考えているたてまえから、これだけを一部手直しをするということもいかがと考えられますので、私どもといたしましては、恩給法と同じような進め方をいたしたいと考えておる次第でございます。
#45
○広瀬(秀)委員 先ほどから私が申し上げたことは、特に年金額の改定の問題というのは、当初その人たちがやめた当時、退職年金の裁定を受けた当時のものを実質的にふやせというような要求は何一つ含んでいないわけです。これは常にその実質価値が極端に減額されたと同じような結果になっているものを、せめてその当時と同じようにしてもらいたいという非常につつましやかな消極的な要求であるわけです。決して余分なものを求めているわけでも何でもない。実質価値が半分になってしまっているのを、せめて七割でも八割でも回復してもらいたいという程度の要求でしかないのだ。そういう旧令の人たちの気持ち、あるいはまた新法適用当時二、三年の間にその人たちもむしろ低い裁定を受けた、今日の物価水準、所得水準の中で非常な低位の生活をしいられている人たちのために、せめてその退職当時の生活水準に近いものを年金受給者にも保障してもらいたいという程度のものなんだ。こういうことをしっかりと大蔵省でもひとつ考えていただいて、そういう要求に対してこたえるように積極的に努力を要請いたしまして、私のこの問題に関する質問を一応終わりたいと思います。
#46
○堀委員 ちょっと関連。直接関係はないかもしれませんけれども、伺っておきたいのは、この共済組合――今度の問題は過去の問題でしょうけれども、現在はみな掛け金をかけておりますね。今後の問題として、いま掛け金をかけており、そうして給付を受ける時期の関係もありますが、最近のように物価がどんどん上がってくると、こういったことは一体どうなるのかという問題があるのです。共済組合の掛け金は千分の四十四のようですが、かなりの額を積み立てていって、片方ではどんどん物価が上がっていく。かなり貨幣価値の高い金を拠金し、先行き取るときには非常に貨幣価値が下がったものを受け取る。最近の傾向は毎年約七%物価が上がっていますから、十年たつと貨幣価値は半分になりますね。ところが、長期給付なんだから、こんなことでやっていったら、掛け金をかけた者は先にいって非常に損をしてしまうではないかという気が強くするのです。厚生年金は来年大幅な改正をやるということになっておりますが、物価がこう動いては長期給付の問題はちょっと考え直してみないといかぬじゃないか。おまけに共済組合の金はどこで運用しておるかわからないし、国民年金なり厚生年金なりというものが資金運用部に預託されておるかっこうでは、物価の上がり方のほうが預託の率よりは高いのですから、そういうことをしては逆ざやになってしまって何しているのかわからないという感じがするのでありますが、共済組合の今後に対する問題として、あなた方がいま共済組合の資金をどう運用しておるか、ちょっと伺いたいのと、物価が毎年七%近くも上がっておる情勢で今後一体どういうふうにしようとされるのか、その二点をちょっと伺っておきたい。
#47
○平井(廸)政府委員 現在の運用の問題をまず御説明申し上げますが、国家公務員共済組合を例にとりますと、国家公務員の給付水準というのは厚生年金の大体三倍程度であるという必要からいたしまして、おおむね掛け金並びに国の負担金の年間増加額、積み立て金増加額の三分の一を資金運用部に預託をするというたてまえをとっております。全体の四分の一については、一応組合員等への貸し付けに充てることもできる、それから二割については、たとえば不動産投資に充てることができる、その他有価証券投資ないし銀行預金等の形で保有する、こういうかっこうになっておるわけでございます。そこで、将来に向かって現在のような――現在のようなといいますか、傾向的に見て物価騰貴等もあるわけでございますので、給付が保障されないのではないかという問題は、一応ごもっともでございます。ただ、受け取るべき個人のたてまえからいたしますと、国家公務員共済組合法の場合でございますと、退職前三年間の平均俸給、それから三公社等の場合でございますと、退職時の俸給が基礎になりまして年金が計算されます。したがいまして、現在の掛け金が幾らあるから年金額が計算されておるというかっこうではなくて、退職当時の給与額というものが基準になるわけでございますので、個人的に見るならば、退職後のベースアップはともかくといたしまして、退職時までのべースアップの問題というのは解消いたしておるわけでございます。ただ、むしろそういう点になりますと、積み立て金自体は非常に低いベースで積み立てられておって、退職時の高い給付を払わなければならぬ。しかもその運用について、たとえば運用部預託であれば六分五厘とか、組合員貸し付けであれば六分とかいうことで、非常に低いものにのみ運用しておるというものであれば、逆に積み立て金のほうに穴があいてくるという問題が起こるわけであります。そこで、私どもといたしましては、現在、そういった将来起こり得べき穴をどういうふうに考えていくかという問題を真剣に検討いたしております。本来そういう場合には、当然掛け金をふやせという議論もありましょうし、あるいは国の負担金をふやせという議論もありましょうし、あるいは資産の運用面においてある程度物価変動にたえられる方向を考えてはどうかという議論もありましょう。さらに、ひいていえば、先ほど広瀬委員から御指摘のありましたように、すでに裁定された年金をべースアップをする、その場合の財源をどこに求めるかという問題も出てまいるわけでございます。そういう問題も、一つには、あるいは資産の運用のいかんによって対応し得る問題もあろうかということも考えられます。たとえば、極端な議論をいたしますと、株式投資であるとか、あるいは不動産投資を行なうということになれば、これは比較的物価変動にたえられる運用になるわけでございますので、その限りにおいては、比較的そういう問題も処理しやすくなるであろう。ただ、社会資本としての立場におけるこれらの積み立て金を、そういったもののみに運用していいかどうか、これは非常に疑問もございますし、それからまた共済組合制度をとっておる根本の趣旨も、職員の福利厚生をはかるというところにもあるわけでございますから、そういう面に対する運用を怠ってはならぬことも事実でございます。あれやこれやの問題を考えながら、現在私どもとしてはどのような運用をはかるべきかということを、実は共済組合の各種の機関にいろいろ諮問をいたしておりまして、検討をいたしておるところでございます。
 なお、先生すでに御承知と思いますが、現在の掛け金制度の基本になっております考え方は、一応物価騰貴というものを捨象して考えておるわけでございまして、その限りにおきまして、そういうものをもいわば保険計算の中に入れることができるかできないか、これは純粋の理論としては可能であるという議論は一応されておるわけでございますが、現実論として可能であるかどうか、こういった問題も一つに検討はいたしておるわけでございます。
#48
○堀委員 いまの話でいいのですがね。国家公務員共済組合というのは、一つの団体の福利施設だからということですが、その場合に、いまの運営で、初めてわかったのは、資金運用部三分の一ですね。その他はかなりアローアンスがついておるわけです。ところがここでちょっと疑問が出てくるのは、そういう片手間で国家公務員共済組合が行なうことはいいですよ。そのこと自体はいいのですけれども、これから問題になってくるのは、たとえばこの間から私がここで取り上げている簡保資金の運用の問題、この簡保資金については、私は、そんなに一括して資金運用部が財政投融資の原資としてみな吸い上げる必要はないと考えております。これも簡保に加入しておる加入者の一つのプールの中における問題であって、性格として、それはちょっと国家公務員共済組合と違いますけれども、しかし、それは加入者というプールの中で見れば、この加入者の利益を守ってやるべき性格のものであるし、さらに厚生年金を一つとってみれば、厚生年金と国家公務員共済組合とどう違うかといえば、本来的には同じですよ。しかし、原資については一元的運用だといって、大蔵省のほうでは資金運用部で一元的にやる。国民年金もそうだ。考えてみると、これは非常に不公平だと思うのです。これはきょうの問題ではないので、今後これをじっくりやりますが、ともかく、国家公務員共済組合はてまえたちが入っているやつだからひとつ別格にしておこう、それ以外の連中のやつは全部資金運用部で運営させるのだという考えは、ちょっと国民の立場からすると公平を欠くと思います。きょうは時間がありませんから、いずれそれらの諸問題について、資金運用部の運営の仕方――これは一ぺん資金運用部資金運用審議会の諸君にここに出てもらって論議をしたいと思っておりますが、国民年金、厚生年金、簡保資金、これらを含めての、そういう原資の扱い方が公平な立場でやられるという問題が一点と、それから最近の物価騰貴に関連をして、これらの原資の運用という問題については、非常に問題がある。逆ざやになっているわけですからね。運用部に預けていると物価騰貴より下の利回りにしかなってこないということでは、まさに何のために預託をしているのだかわからないという感じもするので、事務当局の問題ではないと思いますが、きょうはその内容をちょっと伺っておいて、次会の質問に譲りたいと思います。
#49
○毛利委員長代理 次会は公報をもって通知することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後零時十五分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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