くにさくロゴ
1962/03/22 第43回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第043回国会 災害対策特別委員会 第10号
姉妹サイト
 
1962/03/22 第43回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第043回国会 災害対策特別委員会 第10号

#1
第043回国会 災害対策特別委員会 第10号
昭和三十八年三月二十二日(金曜日)
   午前十一時開議
 出席委員
   委員長 稻葉  修君
   理事 秋山 利恭君 理事 細田 吉藏君
   理事 佐野 憲治君 理事 岡本 隆一君
      有田 喜一君    井村 重雄君
      小沢 辰男君    大野 市郎君
      小島 徹三君    砂原  格君
      前田 義雄君    毛利 松平君
      米山 恒治君    稻村 隆一君
      五島 虎雄君    島本 虎三君
      田口 誠治君    堂森 芳夫君
      西村 力弥君    山口丈太郎君
      玉置 一徳君
 出席政府委員
        林野庁長官   吉村 清英君
 委員外の出席者
        農 林 技 官
        (林野庁指導部
        長)      若江 則忠君
        建 設 技 官
        (河川局砂防部
        砂防課長)   木村 晴吉君
        建 設 技 官
        (道路局二級国
        道課長)    蓑輪健二郎君
        日本国有鉄道参
        与
        (施設局長)  山口 和雄君
    ―――――――――――――
三月五日
 委員松田鐵藏君辞任につき、その補欠として有
 田喜一君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十二日
 委員田口誠治君辞任につき、その補欠として山
 口丈太郎君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員山口丈太郎君辞任につき、その補欠として
 田口誠治君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
三月四日
 豪雪害対策等に関する請願(田中彰治君紹介)
 (第一八九六号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
三月六日
 福井県の豪雪による被害対策に関する陳情書(
 福井県知事北栄造)(第三三六号)
 富山県の豪雪による被害対策に関する陳情書(
 富山市総曲輪四百五十五番地富山県商工会議所
 連合会長井村荒喜外一名)(第三三七号)
 同(富山市舟橋北町五十番地富山県中小企業団
 体中央会長広瀬重造外五名)(第五〇七号)
 敦賀市の豪雪による被害対策に関する陳情書(
 敦賀市長畑守三四治)(第五〇五号)
 高岡市の豪雪による被害対策に関する陳情書(
 高岡市長堀健治外一名)(第五〇六号)
 大分県の連続降雪による被害対策に関する陳情
 書(大分市荷揚町大分県農業会議会長岩男仁
 蔵)(第五〇八号)
 三条市の豪雪による被害対策に関する陳情書(
 三条市議会議長佐藤精二)(第五〇九号)
 島根県の豪雪強風による漁業被害対策に関する
 陳情書(松江市御手船場町五百七十五番地島根
 県漁業協同組合連合会長理事室崎勝造)(第五
 一〇号)
 四国地方の雪害対策に関する陳情書(四国四県
 議会正副議長会代表愛媛県議会議長沖喜予市)
 (第五一一号)
 豪雪被害対策確立に関する陳情書(神戸市生田
 区下山手通五丁目一番地兵庫県農業会議会長岩
 谷源治)(第五一二号)
 同(長岡市議会議長長谷川繁雄)(第五二一
 号)
 同(全国都道府県議会議長会長東京都議会議長
 建部順)(第五一四号)
 同(富山県議会議長桜井与蔵)(第五一五号)
 同(兵庫県知事金井元彦外一名)(第五一六
 号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 災害対策に関する件(新潟県能生町における地
 すべりによる災害対策等)
     ――――◇―――――
#2
○稻葉委員長 これより会議を開きます。
 災害対策に関する件について調査を進めます。
 まず、去る十六日発生した新潟県能生町等における地すべりによる被害状況について、政府当局から順次説明を聴取することにいたします。三角警察庁保安局外勤課長。
#3
○三角説明員 去る三月十六日に新潟県能生町小泊地内で発生しました山くずれによる災害につきまして御報告いたします。
 事案の内容は、桐畑と原野がおもである商さ百五十メートルばかりの小泊山の地すべりによりまして、一つには、小泊部落の二割に近い人家が埋没して、四名の行方不明者その他相当の被害をもたらしましたことと、もう一つには、その土砂によって北陸本線の旅客列車が脱線し、その一部が押し流されまして、幸いに乗客の被害は僅少でございましたが、このことによって北陸本線が今日なお不通になっておりますこと及び国道八号線の交通が停止していることの二点でございます。
 最初に、山くずれが発生した当時の状況について申し上げます。
 初めに小さな山くずれがあったと推定されます時刻は、三月十六日の午後四時二十分を過ぎたころから午後四時三十五分ごろの間であったと思われます。すなわち、午後四時二十分ちょっと過ぎに現場付近を通過しております青森発吹田行き貨物列車の乗務員は、何ら異状を発見していない模様です。ところが、当日の午後一時三十分ごろから現場付近で作業をしておりました国鉄関係の作業員の方二名が、線路わきの電柱に登って作業中に、さきの貨物列車通過後の時刻と思われますが、白山トンネル出口のスノーセット上方の山の中腹からぽろぽろ落石のあるのを認めまして、それから少しすると桐の木の防雪林が次々に倒れまして下の方へすうっと動き出して、スノーセットの手前側から泥水が線路の方に流れ出し、線路が海手の方へ曲がり出したのを発見しました。直ちに線路下の人家に急を知らせ現場に引き返したときには、すでに線路上に土砂が流れ出しておりまして、そこへ旅客列車が白山トンネルを出てきて土砂に乗り上げまして、機関車及び客車一両、これは完全に脱線をしまして、二両目の一部がやはり脱線をした模様でございます。その直後にさらに大きな山くずれが発生しまして、その土砂が小泊部落を埋没したものと思われます。
 一方、能生駅信号係員は、午後四時十分ごろに送電線が切れて自家発電機が動き出しているのを知りまして、事故確認のためにオートバイで国道上を百川信号所の点検に向かいました。ちょうど事故現場付近に差しかかった際に山手を見たら、線路の方へ山の木がむくむくと動き出しておりましたので、オートバイをおりて線路の上に上がって、スノーセット入口で両手を広げて列車をとめようとしましたが、間に合わなかったという状況のようであります。
 次に、被災地住民の方々の待避状況について申し上げます。ただいま申し上げました三人の方々の行動と付近部落民の早期発見者とによりまして、部落内にある漁業協同組合に設置してあります非常サイレンを吹鳴いたしまして地すべりの発生を部落民に周知しましたので、住民は大急ぎで待避を開始した模様です。なお、列車が最初の土砂に乗り上げたそのときに、線路山側から多量の土砂が線路上にくずれ落ちまして、機関車及び前の客車一両を国道の方向に押し流しながら小泊部落の人家を埋めてしまいました。
 次に、この災害及び事故によります被害の状況は、お手元の資料の通りでございます。すなわち、部落の方の行方不明が四名、それから警察で確認いたしております負傷者につきましては、列車の乗客三名、それから救助作業中の消防団員がけがをされましたのが五名、合計八名の負傷者でございます。住家の被害は、全壊、半壊合わせまして三十棟、三十世帯百四十六名の罹災者に及ぶ大きな被害でございました。
 次に、旅客列車の脱線事故の模様について申し上げます。
 本件事故列車であります二二五普通旅客列車は、午前八時二十分敦賀を出まして直江津へ参ります七両編成、うち一両は荷物車でございますが、これが能生駅を定時から九分ぐらいおくれて午後四時三十二分ごろに発車しまして次の筒石駅に向かいましたが、能生駅から約一・一キロ進行しました地点にあります白山トンネルに差しかかりまして、時速約三十五キロぐらいで進行していた模様ですが、トンネルを出ました車両は、機関車と客車一両、それから二両目の半分ぐらいがちょうどトンネルを抜けた地点で、さきに申し上げましたような地すべりの最初の土砂に乗り上げました。幸いにして、乗務員等の適切な誘導によりまして、百名ないし百五十名ぐらいと推定されるわけでありますが、これらの乗客の中で数名の方が負傷されましたほかは、人の被害はございませんでした。
 次に、このたびの災害事故につきまして警察活動の概要を申し上げます。
 最初に警察で事案を認知いたしましたのは、十六日の午後四時四十六分ごろに小泊部落の方から能生警部補派出所に電話がかかって参りまして、そこから直ちに糸魚川の警察署本署に連絡をいたしまして、次長が当初四名を直ちに引率して自動車で事故現場の救済に向かいました。あとに残りました署長は、直ちに署員を非常招集いたしまして、三十名ばかり、これも車両によりまして現地に急行いたしました。現地には直ちに警備本部を設置いたしまして救護活動を開始いたしましたのを初め、県本部に報告をいたしまして、午後五時二十分には、県本部も、相当大きな被害であるという報告に基づきまして、関係幹部を非常招集いたしまして、県警本部にも警備本部を開設いたしまして、各部課の幹部を招集するとともに、警備部長など十三名の幹部と機動隊四十五名を現地に派遣いたしました。また、所轄糸魚川警察署員五十二名のほかに、隣接の直江津、高田、柿崎の警察署からも現地に出動を命じまして、当日二百三十五名の警察官が人命の救助、避難者の誘導、罹災者の救護活動、危険区域の警戒警備及び交通の整理と規制に当たった次第であります。お手元の資料の、出動警察官七百三十六名と申しますのは、二十日の午後三時現在でありますが、昨二十一日にも六十四名が現地で活動いたしておりまして、昨日までに合計八百名の警察官が、ただいま申し上げました――ことに、ただいまは危険区域の警戒警備と交通の整理規制並びに現地住民の方々の救護活動に当たっておる次第でございます。一方、県庁、国鉄、自衛隊、海上保安庁に連絡をとりまして救護活動の依頼をいたしました。
 災害発生当時の状況は以上でございますが、今日までの復旧状況その他詳細承知いたしておりますが、本日関係の各省からもお見えで、御説明があると存じますので、とりあえず、今次災害事故につきまして当庁で承知しております発生当時の状況につきまして御報告いたしたわけであります。
#4
○稻葉委員長 きょうの栃尾のことはわかっておりませんか。けさのラジオでは、栃尾で地すべりがあって、人が一人死んで、何世帯かを避難させたということが報道されているのですが、あなたの方にはわかっておりませんか。
#5
○三角説明員 実態はまだ聞いておりません。
#6
○稻葉委員長 木村建設省河川局砂防課長。
#7
○木村説明員 地すべり防止事業を担当いたしております建設省の砂防課長でございます。
 重複する点を除きまして要点のみ御報告させていただきますが、この災害発生に際しまして、現地の実態把握を命ぜられまして、私自身も翌日早朝現地の調査と応急指示をして参りまして先般帰ってきたわけでございますが、建設省担当の被害の現状といたしましては、先ほど報告がございました一級国道八号線の埋没でございまして、大体延長百メートルで深さ八メートル程度、土砂が大体一万五、六千立方程度の埋塞の状況になっております。これも二十日早朝から海岸寄りに仮道をつくりまして交通を開始いたしておる現状でございまして、引き続き本国道の復興にかかる段どりに相なっておる次第でございます。今回の地すべりの規模は大体長さ四百メートル程度で、広いところが百五十から大体百メートル程度、すべりました土砂は百十五万立米から百二十万立米近くじゃないかと思っておりますが、東海道沿線の由比でございました地すべりの大体十分の一程度と承知いたしております。
 原因といたしましては、御承知のように、融雪時における水の浸透によるものでございまして、先天的な第三紀地すべり地形のところに融雪水が浸透してすべった。それに対しまして小泊沢――今回すべりましたのは小泊部落の上方の山腹でございますが、それにやや接近いたしました東寄りの小泊沢流域は地すべり防止地域に指定いたしておりまして、三十三年から実施工事をやっておるのでありますが、その地域は今回は動かずに、小泊沢に比べまして比較的緊要性を感じておらなかったその隣りの地域につきまして今度はすべったわけでございまして、その地域は地すべり防止地域に指定してなかったような現状であります。今後の災害の恒久対策につきましては、引き続いて行ないます調査の結果を待ちまして早急にその方策を講じたいというふうに考えております。
 非常に簡潔でございますが、以上で説明を終わらせていただきます。
 それから先ほどお尋ねがございました新潟の栃尾の問題につきましては、県の当局からまだ正式な報告はございませんが、なだれのための家屋の埋塞というように私の方では承知いたしておりますが、早急に現地の方に照会いたしまして善処いたしたいというふうに考えております。
#8
○稻葉委員長 大野市郎君。
#9
○大野(市)委員 まず建設省に伺いたいのでありますが、地すべり等防止法がようやくできて、地すべり地帯の予防措置に対しての方法が緒についたことは知っておるわけでありますが、ただいまも報告にありました通りに、今回の能生の地すべりは指定地域でないところに発生したとただいま報告を聞いたわけであります。この点、せっかく地すべり等防止法ができて予防措置をとろうとするのに、その判定はむずかしいものであろうと予測するけれども、実際においては地すべり防止地域の隣りで起きたというようなことは、調査の不備ではないかと思うのですが、その点ただしておきたいと思います。
#10
○木村説明員 ただいまのお尋ねのことにつきましてお答えいたしますが、先ほど報告いたしましたように、地すべり指定地域以外ですべっておる現況でございまして、そういう危険なところが全国的にまだ相当あるのではないかという点が一点でございましょうが、その点につきましては、御承知のように、新潟県、長野県、それから富山、石川というような第三紀層の地帯に対しましては、地すべり防止指定地域以外におきましても、見方によりましては相当危険なところもあるのではないかと、一般の世論でいろいろ言われるのでございますけれども、私らの方といたしましては、現在のいわゆる私どもの方の技術調査の段階からいたしまして、大体動きつつある地点、それから動くおそれのある地点、それから動く行為を誘発する地域につきましては、大体地すべりの指定をおよそ終わっておるというような現況でございまして、その数は全国的におよそ六千七百カ所に及んでいたしておりまして、その面積も十四万町歩に及んでおるというような現況でございますが、やはり多岐にわたる複雑な地形の現況からいたしまして今般のようなことが出ておるような現況でございまして、この点につきましては、二月の下旬でございましたか、融雪災害対策の指示の中にも、地すべり防止指定地域及びそれに隣接するそういう比較的危険なところには、県は市町村長と十分連絡をし、警防団との連絡を密にしてその監視を十分にしてもらいたいという指示をしておる段階でございますが、不十分な点も多々あろうかと思うのでございまして、この点については、さらに行政出先関係機関とも協力いたしまして、微力でございますが努力いたしたいというふうに考えておる次第でございます。
#11
○大野(市)委員 私どもは、この災害を受けた地帯がその指定地帯でないだけに、罷災者に対して非常に同情にたえないのでございまして、当委員会の席をかりまして罷災者の諸君には深甚なる同情の意を表する次第でございます。
 そこで、建設省が担当でありますから、地すべり地帯の調査に漏れた、しかし先天的に地すべりの危険のある地帯という先ほどのあなたの報告があるのだから、こういう点で地すべりという問題にもう一歩真剣な対策というものを考えて、先天的に地形の上で危険性があるということであるならば、それらの指定地帯をもっと大幅に広げて、そしてあらかじめあたたかい手が伸べられる下地をつくっておくということが必要であろうと思うので、この点今の御答弁では漏れておりますから、あなたに今その政治答弁を求めても無理だけれども、しかし実務担当者だから、ぜひ一つ、これは技術的なことで可能なんだから、その点、これを機会にそれらの危険と想定される地域の指定の拡大というようなことに対して善処をしてほしい。あなたにそれ以上望んでも無理でありますから、ぜひこの点は建設省に大方針として立ててもらいたい、これを希望します。
 それから第二点は、それが八号国道の沿線であるという場合に、国道のそういう危険地帯の見回りの組織ですね、これはどういうふうになっていますか。
#12
○蓑輪説明員 ただいまの国道の危険個所見回りにつきましては、これは御存じかとも思いますが、現在の国道は、国が直接管理をいたしますいわゆる指定区間というところ、これが約三千キロございますが、あとは県知事が管理をしているところでありまして、おのおの、国道の直轄管理の場合及び県知事が管理しておる場合でも、道路の監視員をつけて、そういう危険なところはできるだけ早期に発見するように指導しておる次第でございます。ただ、県が管理をしております国道以外にまだ県道その他たくさんございます。なお県自身もそういう道路の危険な個所を管理する人が非常に手不足ではないかというように推察されますが、今後こういう危険個所の早期発見については、十分に県の道路管理者と打ち合わせて指導していきたいというように考えております。
#13
○大野(市)委員 きょうは課長さんだからそういう御答弁であろうと思うが、この点は、委員長、やはり政治判断も必要な点がありますので、それらの問題は追ってさらに政治的責任者から、大臣出席の上で具体的な方法について確言を得たいと思いますから、その点は留保いたします。
 それから事後処置でありますが、ただいまも海岸寄りにとりあえず応急道路をつくって、その後の具体的な復旧策は全貌判明次第という先ほどの報告なんですが、だいぶ日がたっておるのです。それで、あそこはやはり北陸の重要な確保路線ですから、これは日が一日たてばいいというふうに、罹災民は、無責任な答弁だとあるいは聞くかもしらぬので、この点、これは実務者でおわかりになるはずだから、そういうふうなその日延ばしでなくて、一万五千立米ですかの土砂が出たといっても、これは海中に入ったわけなんだから、いわゆる旧来の陸地の上にはそれだけの土砂はないわけだ。写真で見ても、海中に突き出しておるわけだから、従ってそれらの方策はもはや立ってなければならぬと思う。その点もう一回はっきりしていただきたい。
#14
○蓑輪説明員 ただいまの件につきましては、現在の国道が海岸沿いに鉄道と並行してあるわけでございます。これの復旧の方法でございますが、まずとりあえず、交通がとまることではいけませんので、応急的な工事ではございますが、海岸側に迂回路をつくりまして、鉄板などを敷きまして、一応四トン車以下のものは通すようにしたのでございます。今後の恒久的な復旧につきましては、これはちょっと時間がたっておるというお話でございますが、今の地すべりの原因、それのすべっておる層の厚さ、そういうものから調べていきませんと、実際どこまで土を切った方がいいのか、どこに擁壁をつくって安全なのか、その辺はもう少したたないとはっきりしたことが言えないのではないかと思います。また鉄道等の復旧もございますので、道路だけでなく、鉄道とも打ち合わせて、恒久的な、今後あの地区で地すべりが起こらないようにするためにはどういう工法が一番いいかということは、地質の調査を十分やってみないと、今はっきりした対策が講じられないのではないか。これをできるだけ早くするように、今後こちらも心がけていきたいというように考えております。
#15
○大野(市)委員 東京におってのお話だから、くつの裏からかくような話に聞こえて残念ですが、とにかくあの地帯の地すべりを今後どう防ぐかということは、時間がかかっても仕方がないと思う。ただ被害を受けた能生の町だけでなくて、北陸全体の幹線なんだから、私はしつこくこの点を言うのでありまして、雪害で雪を除いて道路が通ったといっても、その道路の管理の方法いかんによって交通量が非常に制約されるから、そういうふうな鉄板を敷く方法もけっこうでしょう。その場合、一つ道路交通を警察庁とよく連絡されて、前回の雪害の委員会でもわれわれ主張した通りに、道があきゃいいんでしょうということで、あとはほっておくというようなことでは混乱がありますから、そういう応急措置もけっこうですから、それらを警察庁とよく連絡されて、北陸全体の交通網の大事なところだから、これも善処をとりあえずきょうは望んでおきます。
 それから同様に、新潟県で松之山の地すべりが大々的に全国を驚かせておるわけなんです。この問題には、予算措置として別ワクで地すべり予算を新潟県の方に回すということで、政治的な具体的な財政措置の面からのめどはつけていただいたようでありますが、今度のような形でまた能生で起きた場合に、またぞろ、いわゆる予算面から見た地すべり予算の各府県配分という問題で大へんいろいろ御苦労があると思うのですが、この点、災害復旧に関する金がやはり要るのだから、そういう問題に対して、予備費で支出するとか、いろいろな方法があると思いますが、現在どういう方法でこれを処理されますか。
#16
○木村説明員 お答えいたします。
 松之山の問題につきましては、大体当面の応急的な措置といたしまして、予算的には一応県と協議を終わったような段階でありますが、今お尋ねのように、今後起こるであろうそういう問題に対して、事故が発生したときの予算措置としてどうなっておるかという問題につきましては、現在の予算制度といたしましては、当年緊急に起こった災害に対する緊急措置として、当年度予算内におきまして大蔵御当局の方と協議の上で支出する予定の予備的な保留金額がございます。これが、私らの建設関係で担当いたしております砂防事業では地すべりと砂防と両方ありまして、若干の金額を保留いたしております。これを、結局これから発生した災害に対しましていろいろ関係機関と協議いたしまして、その対策費に使えるという制度に相なっております。
#17
○大野(市)委員 これも主務大臣がおられないところでありますから、あなたはそれ以上言えないと思いますが、その問題も含めて、委員長、一つ次回の主務大臣御出席のときにそれらの点も明らかにして、方針を具体的にしてもらいたいと思います。
 建設省関係の地すべりの問題ではもう一点ございまして、今のは不慮の災害でございましたが、いわゆる指定区域内において、危険の予知をして、そのために生命を守るために住宅の移転の勧告あるいは移転の指示をすることができる地すべり法の内容がありますが、そのときに、現行法では、これに対して勧告、指示をしっぱなしであって――そのような地帯に住む人は、おおむね地理的条件の悪い場所をがまんして住んでいるような人たちであるために、財的資力がない。だから、命が危険だと思っても、住居を移転する金の出所もない、また、移転する金を貸してくれるといっても、返すめどがつかないというふうな悲惨な例がたくさんあるわけなんです。この点が、地すべり防止法を成立せしめるときの論争点であったわけですが、当時の状況でそれが実現しなかった。しかし、その後四年ほどの間ますますそういう悲惨な実例が続出しておるわけです。市町村あるいは県が見舞金を出して、親類縁者が寄って助けてやるというふうな、非常に悲惨な状況をわれわれは見聞しておるわけなんで、こういうような身体に危険を及ぼすような事例に対する国の援助の方法、そういうものに対して、われわれも腹に固めておるものがありますけれども、その所轄省である建設省として、部内において何らかの救済策が相談されておるかどうか、この点を明らかにしてもらいたい。
#18
○木村説明員 お答えいたします。
 担当課長の立場から事務処理的な経過の段階しか申し上げられませんが、率直に申し上げまして、先生が御指摘されている点については、十分私自身も実情を把握いたしておりますし、内々的に住宅局の総務課なんかの関係課と私らの方で二、三事例が起こるたびに協議をさしていただいておる現況でございます。それから、今話が出ました見舞金の関係等についても、新潟県下におきまして県御当局の方がいろいろ御努力していただいている点の実情も承知いたしておりますし、現在三十三年の法律立法当時の背景も承知いたしておりますし、事務当局として関係課と内々的にそのつど協議をいたしておるという点だけを報告さしていただきまして、簡単でございますが終わらせていただきます。
#19
○大野(市)委員 この点も四年来の大きな懸案でございますので、われわれも腹に期するところありますが、きょうの出席の政府委員の都合をしんしゃくしまして、この点は懸案として質問を留保しておきたいと思います。
 建設省関係はそれでけっこうでございます。
#20
○稻葉委員長 それでは、国鉄の状況を聴取いたします。山口施設局長。
#21
○山口説明員 国鉄の概況について申し上げます。
 今回、地すべりによりまして長時間に予測されます列車を不通にさせておることにつきまして、まず申しわけなく存じております。
 概況につきましては、ただいまお手元に配付いたしました資料にございますように、十六日の十六時三十六分、たまたま列車が能生駅を九分おくれて出たわけでございますが、白山隧道の出口に差しかかりましたときに、山の方面から若干の土砂崩壊の徴候がございまして、直ちに急停車したのでございますが、機関車並びに客車一両が乗り上げまして、すぐ機関士その他乗務員の適宜な手配によりましてお客さんは一応トンネルの中に待避していただいたわけでございます。その後二度目の崩壊によりまして、機関車並びに客車が土砂とともに海側に約百メートル近く押し流されてしまったわけでございます。お客様の方のけがをされた方その他は、大体軽傷者が十一名、乗務員その他の職員が五名となっております。私の方といたしましては、直ちにもよりの駅から急報がございまして応援隊を編成いたしまして、新潟の支社を合わせまして救援隊が当時約四百四、五十人現地に到着いたしました。本社といたしましても、私ども機械の輸送その他手配を全部いたしまして、翌日の朝までに土木機械その他も全部現地で待機さしたわけでございます。
 それで、復旧のやり方といたしまして、地元の方々の復旧対策本部、自衛隊の方が直ちに出動していただいておりましたので、自衛隊の幹部の方々、それから建設省の幹部の方が現地においでになっておりましたので、建設省の方々、もちろん県御当局の方々一緒になりまして、合同の対策委員会をお願いいたしまして、そして土砂の捨て方その他について打ち合わせをお願いしたわけでございます。その方針のもとに今後の土の捨て方を研究していただいたわけでございます。その後国鉄自体といたしましては、直ちに海の方に土砂を排出するという状況にはなかなかならないものでございますので、救援列車をもちまして、トンネルの側と、もう一つは直江津側と、工事用の列車を利用いたしまして貨車でもって土砂を捨てるということを計画したわけでございます。それが翌日あたりから始まったようなわけでございまして、両方に分かれまして、機械で積み込んだ土を捨てるという方法をとったのでございます。これが狭い場所でございますので、なかなか思うように現在まで進捗いたしておりません。また一方、死体と申しますか、行方不明の方々がおられるということで、海側の方はやはりまだ土砂を捨てる段階に至っていないということで、実は土の捨て場所に非常に困難をしておるわけでございます。
 また一方、現地の状況を聞きますと、山の上にまだ相当割れ目が残っておりまして、それがいつどういうふうに動くかということが危険でございますので、地元の消防団あるいはその他の方々と一緒になりまして、目下無電機あるいはサイレンあるいは電話機を据えつけまして、そしてその警戒を国鉄も一緒になって現在実施いたしております。それによりましてその動きを監視していただく。推定されますその割れ目付近の土量が、やはり数万あるいはそれ以上というふうに聞いておりますので、それを今後どういうふうに処置するかということも、現地で関係方面の方々と相談をお願いしておるわけでございます。目下のところ、この状況で参りますと、約一カ月くらい開通までにかかるんじゃなかろうか。くずれました土砂は、私ども建設省その他の方に御報告いただいたのでは、約十五万立方メートルというふうに聞いておりますが、国鉄自体が排除する土砂というものを約二万立方メートルというふうに推定してございます。昨日現在までに約二千立方メートルの土を列車でもって運んだという、約一割程度の進行率に現在なっておるわけでございまして、現地には私の方の専門家の土木課長並びに研究所から地質関係の専門家その他を動員して、現地の金沢の鉄道管理局幹部と一緒に現在対策に従事しておるわけでございます。
 列車関係といたしましては、とりあえず、特急その他の直通ができませんので、できるだけ折り返し運転で迷惑をおかけしないようにという手配を目下いたしておるわけでございまして、もうしばらくたちますと全体の土の推移がわかるんではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
 概況を申し上げますと以上でございます。
#22
○大野(市)委員 ただいま国鉄当局の事件並びにその処理策を承ったわけでありますが、とにかく当時の機関士や乗務員の方々が協力されて人命を未然に防がれたということは、大へん喜ばれておるようでございまして、その点は不幸中のしあわせであったと思います。今の土砂の捨て方、結局もう下ってきたものだから、取り除かなければ仕事にならぬのはあたりまえでございますが、一カ月くらいかかるということになりますとこれは大へんでありまして、二万立米、量は多いようでありますけれども、これは努力によって、一カ月などと言わないで、まだそれらを他の地へ運んでいって捨てる方法はきっとあると思う。そういうような問題も一つぜひ割り切らないで、とにかく困るので、あの線が一本とまりますと、裏日本の動脈がとまるわけなんだから、そういう意味合いで、私も技術的なことはわからぬから、無理なことを申し上げる筋はありませんけれども、やはり捨てる以外にないのだから、一つ極力その方法でやっていただきたい。
 それからもう一つは、警察庁の発表で、スノーセットの付近で地割れが発見されたという、最初の保線区の方々の活動が先ほど報告されたわけなんです。保線区関係が相当になだれに対して神経を使っておられることは、私どもの雪国地帯ではよく知っておるので、鉄道沿線のなだれの危険ということは、実は昨今では心配しなくなったんですよ。なだれがあっても事前にこれを見つけて、何か人工なだれで落とすとかいうようなことが進んでおるというので、国鉄に対する地すべり、なだれの危険ということは、磐越西線などの例を見ても、住民の信頼度は上がっておることは事実でございます。けれども、今のような指定地域でないところに起きたものだからこの災害になったものとわれわれは推測して、同じ質問でも大へんおとなしい質問をしておるわけなんですが、どうか一つ見回りをさらに厳重にしていただいて、被害を最小限度に食いとめるようにしていただきたい。今日の鉄道の施設方法では、われわれは、今別なところへトンネルを掘って別な線を引けなどと理想論を言われても、その土地に住んでおる者としては待ち切れないわけです。だから、やはり見回りをよくして、今の線でそうしてその被害が一番少なく済むような方法でやってもらわなければ、とたんに経済が困るわけですから、私どもは、日本海沿岸の、海に面して山のすそを伝わっておる地帯を、あそこはもうだめだから別な線に行けという説にはすぐに賛成ができないわけなんです。これらは実は鉄道の複線化の問題とともに、裏日本の鉄道の敷き方に対して政府部内でも意見があるようですけれども、私は、地形全体を見た上で、早急にそういうふうなとっぴな理想論というものに飛びつけない考え方を持っておるものだから、今の能生の被害に対しても、早急に、残った数千立米ですか、それらの事態の見きわめをつけられて、しかも監視員を置いてもらえばいいので、監視員を置いてもらって、やはり鉄道を通して下さい。そうしてとにかくそこは徐行しながらでも通すというようなことでいっていただかなければ、経済の大混乱が起きますから、この点、私はぜひ国鉄当局にそのことを要望いたします。国鉄の問題は結局事後処理でございますので、私の質問はそれだけであります。
 農林省でどなたかいらっしゃいましたら……。
#23
○稻葉委員長 林野庁長官が来ております。吉村林野庁長官。
#24
○吉村政府委員 松之山地区の地すべり対策について御説明申し上げます。
 先ほど来関係方面の御説明がありましたが、市街地付近は、建設省、農地局でやっていただくようになっております。従いまして、林野庁といたしましては、裏側の山地を所管いたすことにいたしておるわけでございまして、これは明年度から直轄の地すべり防止工事を実施いたしますように計画をいたしまして、ただいま県と折衝をいたしておるところでございます。従いまして、来年度から各関係の方面と十分協力をいたしまして早期に対策を講じたい、かように考えております。
#25
○大野(市)委員 今回能生の方の地すべりがあったのですが、そちらの方も十五万立米からの土砂が突き出したわけだから、農林関係の被害、特に治山関係の問題があると思うのですが、その報告を承りたいと思います。
#26
○若江説明員 能生の地すべりにつきましては、山くずれというふうに報道されておるわけでございますが、すべりました斜面は主として農用地になっておりまして、これが復旧は農地災害復旧というふうに省内できめられておるわけでございます。若干山間部もあるというふうには聞いておりますけれども、主体的に農地が占めておりますので、農地の方で災害復旧を行なう。なお、事後の全体的な地すべり防止の管理的なものにつきましては、現在のところ、建設省の方にお願いいたしたいというふうに考えておるわけでございます。なお、一般的に、能生に限らず、山間地で傾斜が急で地すべりの危険の多いところにつきましては、三者で打ち合わせをいたしまして、それぞれ地すべり防止区域の所管をきめておりまして、あの部分につきましては大体当方で所管する個所が少ないわけでございますが、松之山その他の地区につきましては、林野関係でも相当の分野を占めておるので、防止上遺漏のないような区域の指定並びに工事を行なっておりますが、能生につきましては、ほとんど林野関係としては関係がないという実情でございます。
#27
○大野(市)委員 この雪によるなだれを含む地すべりの災害の原因として、戦時中の立木の乱伐が原因であろうということも常識的に考えられるのですが、ただいまの松之山、さらに能生の地帯における大地すべりに対して、その心配はありましたか、どうですか。
#28
○若江説明員 一般的に地すべりと森林の関係でございますが、山の崩壊が、地質条件とあわせまして、林木の育成とかなり密接な相関関係を持っておるわけでありますが、地すべりは、林木の根茎が及ばない地層断面の状況によりまして発生するということで、地上木の伐採そのものが直接に地すべりを誘発するというふうなことは、今までのデータからもそう出てこないのでございます。しかしながら、仰せのように、なだれ等の発生につきましては、地上の立木がこの阻止あるいは軽減にかなりの効能を発揮するということで、伐採等を制限いたしますいわゆるなだれ防止保安林につきましては、林野庁の方において県と十分打ち合わせをいたしまして、現在までに、これは三十七年の三月末でございますが、一万五千ヘクタール程度の保安林を指定いたしまして立木の伐採制限をいたしておるわけでございますが、なお今次の豪雪と各地で起こっておりますなだれの実態にかんがみまして、現在県と協議をいたしまして、この保安林を積極的に拡充して参る、あわせてなだれ防止林業施設を治山事業として行なっていくということで、現在計画の変更を県で行なっておりますが、仰せのように、立木と関係いたしますなだれ防止の保安林につきましては積極的に拡充して参りたいというふうに考えております。
#29
○大野(市)委員 農地の災害が能生で起きたわけでございますが、これはその事後処理としての災害復旧は手だてがありますので、この点は質問から除きます。林野庁関係の治山関係、もっと掘り下げた方法論もあるのかと思いますけれども、きょうは用意もありませんので、農林省の関係はこれだけにいたします。
 残る問題は自治省に承りたかったのでありますが、政府委員の出席を要求いたしませんでしたから、次会に、住民の福祉の問題でありますので、指示、勧告いたしたときの国のそれら困った人たちに対する救済策を質疑いたしたいと思いますから、これを保留させていただきまして、きょうの私の質問を終わります。
#30
○稻葉委員長 本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
 次会は、二十七日午前十時から開会いたします。
  午前十一時五十四分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト