くにさくロゴ
1962/05/29 第43回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第043回国会 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第6号
姉妹サイト
 
1962/05/29 第43回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第043回国会 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第6号

#1
第043回国会 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第6号
昭和三十八年五月二十九日(水曜日)
   午前十一時二十一分開議
 出席委員
   委員長 辻  寛一君
   理事 青木  正君 理事 荒舩清十郎君
   理事 菅  太郎君 理事 丹羽喬四郎君
   理事 太田 一夫君 理事 畑   和君
   理事 掘  昌雄君
      仮谷 忠男君    田中 榮一君
      長谷川 峻君    松本 一郎君
      島上善五郎君    中村 高一君
      矢尾喜三郎君    山中日露史君
      門司  亮君
 出席国務大臣
        自 治 大 臣 篠田 弘作君
 出席政府委員
        警  視  監
        (警察庁刑事局
        長)      宮地 直邦君
        検     事
        (刑事局長)  竹内 壽平君
        自治事務官
        (選挙局長)  松村 清之君
    ―――――――――――――
五月二十九日
 委員大原亨君及び井堀繁男君辞任につき、その
 補欠として中村高一君及び門司亮君が議長の指
 名で委員に選任された。
同日
 委員中村高一君及び門司亮君辞任につき、その
 補欠として大原亨君及び井堀繁男君が議長の指
 名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
五月十四日
 公明選挙の推進に関する陳情書(福岡市薬院堀
 端七丁目百二十三番地福岡県町村長会長柿原種
 雄)(第六五七号)
 同(福岡市薬院堀端七丁目百二十三番地福岡県
 町村議会議長会長野見山麻邦)(第六五八号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 公職選挙法改正に関する件
     ――――◇―――――
#2
○辻委員長 これより会議を開きます。
 公職選挙法改正に関する件について調査を進めます。
 まず、去る四月十七日及び三十日に統一して行なわれました地方選挙につきまして、関係当局から報告を願うことといたします。松村選挙局長。
#3
○松村(清)政府委員 去る四月に行なわれました統一地方選挙の概要について、御説明申し上げたいと思います。お手元にプリントをお配りしてございますが、その薄いほうの、要約してありますプリントをごらんになっていただきたいと思います。
 今回の統一地方選挙は、昨年末の臨時国会で成立いたしました選挙期日等の臨時特例法に基づく選挙でございまして、第五回目の統一地方選挙にあたります。その選挙の執行の状況は、ただいまのプリントの最初の欄にございますように、都道府県議会議員につきましては全部、知事につきましては二十都道府県、特別市議会議員につきましては、いままでの五大市全部をはじめといたしまして、横浜、大阪の市長等を含めまして、全部で三千二百十三件の選挙が行なわれたわけでございます。これは地方選挙の総数の四六%にあたる件数でございます。選ばれた人も、その欄にございますように四万六千九百、約四万七千名に及んだのでございます。
 今回の統一地方選挙は、昨年、選挙の公明化をはかりますために大幅に選挙法が改正されたのでございますが、その改正選挙法に基づきます初めての統一地方選挙であったのでございます。また今度の統一地方選挙に際しましては、全国にわたりまして公明選挙への機運が盛り上がっておったと考えられるのでございます。たとえば、公明選挙宣言というものが高知、岐阜、福島の三県をはじめとして百九十六市町村について行なわれております。そのほか公明選挙宣言までいかなくても、議会で公明選挙の決議が行なわれたところも多数ございまして、また今度の地方選挙の公明化は国の選挙の公明化の基礎であるということで非常に重要視されまして、政府においても、地方選挙としては前例のない予備費の支出を昨年十二月に行なったのでございます。このような全国にわたっての公明選挙への機運、関係者の公明選挙への努力にもかかわりませず、警察庁の発表によりますると、選挙違反で検挙された件数、人数等が多数にのぼったということでございますが、まことに遺憾なことであると存ずるのでございます。
 次は競争率の問題でございますが、その次の欄にございます。今回の各種の地方選挙を通じて見ますると、前回の選挙に比べまして、知事選挙だけがほんのわずかに競争率が高くなっておりますが、他はおしなべて、わずかでございますが競争率が低くなっております。
 この点に関連して、今回の統一地方選挙で最も特色のあったと思いますのは、次の二ページの上欄にございますが、無投票の当選ということが非常に多かったということでございます。すなわち都道府県議会議員につきましては、前回の定数の九・四%が無投票当選である。知事につきましては二十人のうち四人が無投票当選であった。市長は二一%が無投票、町村長に至りましては四一%が無投票であった。こういう状況になっておりまして、今回の選挙の特色の一つだと考えられるのでございます。
 それから次は下の欄にございます投票率の問題でございますが、この投票率につきましては、特別市の選挙につきましては前回、三十四年に比べまして投票率がほんのわずか上昇いたしておるのでございますが、その他の選挙につきましては、すべて投票率が少し下回っておるのでございます。これは私は特に問題とするほどの投票率の低下ではないと思いますが、しいてその原因をあげるならば、ただいま無投票当選者が非常に多かったように、一部の地域を除きましてはこの競争というものがそれほど激しくなかったことに基因しておるのではないかと推測いたしております。ただこの投票率で注目すべきことは、今度の統一地方選挙につきましては、すべての選挙を通じまして婦人の投票率が男子の投票率を上回っておるということでございます。特に知事選挙と都道府県会議員の選挙につきましては、婦人の投票率が男子のそれを上回ったということは今度が初めてでございます。その他の選挙につきましては、前回も婦人の投票率が高くあったのでございますが、その傾向を今回は強めておるのでございます。この婦人の投票率が男子の投票率を上回ったということは、今度の地方選挙のこれまた一つの特色であろうかと思います。
 それから次は三ページの党派別当選人数という表がございますが、この表で見られますことは無所属の問題でございます。今度の統一地方選挙につきましては、選挙の政党化ということがいろいろ議論されたのでございますが、この政党化ということを何を基準にして言うかということにはいろいろ見方もあろうかと思いますが、その一つとして、当選人の無所属の状況ということも重要な資料になるのではないかと思います。各種選挙を通じて、前回と今回と、無所属の人の全体に占める割合がここに数字で掲げてございますが、これを見ますと、すべてにわたって無所属というものが減っておりますけれども、特に大きく減っておりますのは知事と、一般の市と東京都の区とを合わせました市区の議会議員、この二つが特に非常に減っております。非常にといってもそう大幅ではございませんが、ほかのものに比べて割合にこの減り方が多いのでございます。他の減り方はせいぜい一%ないし三%程度でございます。こういう状況から見ますと、無所属の減りぐあいというものはさほどでなかったというふうにも考えられます。また一方、無所属が全体においてどの程度になっておるか、そういう数字から見ますと、都道府県議会議員と特別市の議会議員は一〇%程度が無所属で、その他につきましては大半が無所属でございます。町村に至っては九%以上がまだ無所属である、こういうことを考えますと、政党化ということを申しましても、都道府県議会議員と特別市の議会議員、その辺までの問題ではなかろうか、こういうふうにも見られるのでございます。
 それからその次は、四ページの表で、新人の状況というのが出ております。今度の統一地方選挙におきましては、知事につきましては現職が二十都道府県のうち十八人出まして全員当選したわけでございますから、新しい人は二人しか出なかったわけでございます。しかし、ほかの選挙について見ますると、必ずしも現職が多く出ておるというわけでなくて、相当交代をいたしておるのでございます。新人の状況という欄で、広い意味の新人、新、元を含めた新しい議員の全体に占める割合というものを、ここでは%が出ておりませんが、その割合というものを申し上げてみますと、都道府県議会議員につきましては三五%が現職でない人が出ております。特別市議会議員については三一%、一般の市区の議会議員については四二%、市長については三九%、町村議会議員については四八%、町村長については四四%、こういうふうに、もう三〇%から五〇%近い人が現職と入れかわっておる、こういう状況になっております。
 それから最後に、選挙の管理、執行の面についてでございますが、今回は新しい改正選挙法で、管理、執行面にもいろいろと改正があったのでございますが、この管理、執行面に関しては、全国的に見ましてほとんど問題らしい問題というものがなかったと思います。また新しい制度である記号式投票というものも多くの地方団体で採用されたのでございますけれども、すべて予期どおりの成績をあげておった、そういうふうに考えるのでございます。
 以上が統一地方選挙の概要でございます。
#4
○辻委員長 次に警察庁宮地刑事局長。
#5
○宮地(直)政府委員 昭和三十八年四月の統一地方選挙の違反検挙状況につきまして、五月二十日現在で御説明申し上げます。
 この資料をお手元に差し上げてあると存じますが、検挙いたしました件数は二万三千三百二十三件、人員におきまして四万四千八百三十八人になっております。これは厳格な意味におきまして、これに対応する前回の統一地方選挙の数字が期日的にございませんので、ある程度推定を加えまして比較いたしますと、件数におきまして約二倍に増加いたしております。人員におきましては、一・二五倍でございます。これはまだ最終統計でございませんので、今回の選挙の傾向というようなものを論ずる段階ではございませんけれども、この数字でわかります限りにおいて申しますと、買収、利害誘導等のいわゆる悪質犯というものは検挙件数のうちの八四%を占めております。人員におきましては八八%を占めておりまして、いずれも前回の選挙等と比較いたしまして、警察の取り締まりの結果といたしましては、これらの罪種のものが多くあがっておるということでございます。先ほど申しましたように、まだ最終の段階でございませんので、全般的な批判ができない状況でございますので、簡単でございますが、以上で御説明を終わることにいたします。
#6
○辻委員長 次に、質疑の通告がありますので、順次これを許します。長谷川峻君。
#7
○長谷川(峻)委員 私は今度の統一選挙を見て、ひとつこれは委員の皆さん方にもお考えおきを願いたいと思っていることがあります。それは、統一選挙の執行団体が三千二百十三というように行なわれ、しかもこれがことしで五回目の統一選挙です。ところが地方によって三月三十一日で議会がなくなって、市町村議会議員は四月二十三日から選挙が始まって三十日が投票日になっている。そうしますと、この四月の間というものは、統一選挙という選挙の便宜のために町村に議会がなくなる。一方においては自治行政の拡大をということを言われながら、選挙運動の便宜のために四月中は町村に議会がないという状態が起こる。町村においては、その間の町村会議員の歳費と申しますか報酬というものも計上されている。それからかりに議会があったにしても、緊急の場合は町村長は専決処分ができるという規定がありますが、それは議会があっても間に合わない問題の場合です。しかし議会が全然ないという町村が出てきた。ですから四月の間に災害でも起これば、町村長は、前の町村議会の議員、一週間か十日後には落選するかもしれない諸君と協議会を開いて相談し合うという事態が起こっている。これについて選挙局長どうお考えになりますか。問題は、選挙運動という便宜のために、町村議会がなくなるという本質的な問題が起こっている。この点は一ぺん考え直してみる必要があるのではないかということを感じているのですが、この点の見解を伺いたい。
#8
○松村(清)政府委員 この問題は、昨年臨時特例法案ができます際にも、実は予想はしておった問題でございます。実は経過を申し上げますと、最初私どもは四月と五月に任期の満了する分だけを統一したいというふうに考えておったのでございますが、地方側で、三月に任期満了する分も、ひとつ統一地方選挙でやってもらって、一ぺん今度足並みをそろえていきたい、こういう要望が非常に強かったわけです。そこで私も、実はいま御質問のようなことをすぐ思いつきまして、非常に危惧したのでございますが、その折裏案として、二月中にその選挙をやり得る道だけは開いておきました。そういたしますと、三月一日から三十日までに任期満了する分は、二月中に選挙が行なえますから、別にその支障は起こらなかったのでございますが、支障が起きたのは、いま御指摘の三月三十一日にたまたま任期満了する分であったのでございます。それでこのことも、私は三月三十一日に任期満了する分がどの程度の数があったかということは、あらかじめ承知しておったのでございますけれども、確かに個々の地方団体としては、お説のように非常な問題であると思います。
 こういうことは非常に大事なことで、すべきものではなかろうかとも思いますが、ただ地方自治の上においては専決処分ということもありますし、議会が欠けておっても、仕事に支障を来たすということはあるまいということ、それから統一地方選挙として全国的に見て、そういう団体はほんのわずかな数である、その団体については非常に大問題だけれども、全国から見ればわずかな数であるということで、実は現在の法律のように立案されたのでございます。それで私は最初からそういうことを感じておりましたので、今度四年後の統一地方選挙で立法する際には、その点はやはり再考すべき事柄ではなかろうか、こういうふうに現在考えております。
#9
○長谷川(峻)委員 選挙局長が法律的に見られてそういうふうな懸念がある。とにかく町村において法律的に議会が一カ月ないのです。こういうことを便宜上やっているということは私はいかぬと思う。ということは、人ひとりの人権のために国があげて大騒ぎをするが、町村議会がなくなっていること――専決処分というものは、議会があっても、緊急間に合わざる場合にやるのですね。それですから、私は実態を見たのです。現に三月の三十一日に、統一選挙のために任期満了になったある町において、学校が四月の二日に焼けた。行ってみますと、そこに三日前までの町会議員が集まるが、これは何ら権限がないのです、四月二十三日から選挙に入るのですから。だからほんとうを言うと、いまの民主主義というものは、便宜上のために議会というものがなくなってもふしぎがらない町村議会議員がいるわけです。そういう場合に、一番大事な権限を持つ者が自覚しないから、こういうばかなことになったと思うのです。そうしたときに、私たちも、これは法案を審議するときに十二分に考えなければならぬことでもあるが、これはやはり実際に当たっておるあなた方も内心そういうことはわかっておる、予想もされたと言うかもしらぬが、一カ月間議会がないということですね。一ぺん失われたこのことは回復できないのです。人ひとりの人権のために国があげて大騒ぎをする、そのことから思えば、町村議会において議会がなくて、一カ月間何も知らずにそれであたりまえと思っているということは、これは議員としての職責もあるし、その立っている姿というものを明瞭にわからせなかったお互いの責任もある。ですから、これはポスターがどうのこうの、便宜上選挙を統一したほうが取り締まりに都合がいいとか、選管が都合がいいとかいうふうな技術論とは別に、本質的に考えなければならぬ問題ではなかろうかということに気がついて、せんだっての統一選挙が終わって以来、私はいろいろなところに法的――たとえば田中二郎先生その他の人々にずっとその意見を聞いているようなわけですから、局長がそういうふうに御認識されておったところを、こういう場面において皆によって思い出されて、これは大事なことであった、これはしっかりやろうじゃないかということになっていって、統一選挙という、ただ技術論のために大事な公権というものが侵害されないようにひとつ守ってやろう、やってやろうということになってもらうならば、私はしあわせだと思うのです。それを要望しておきます。これは委員長、ひとつお願いいたします。
 大臣に、選挙問題について少し御質問申し上げたいと思います。
 せんだっての統一地方選挙はいろいろ話題を呼んで、国会並びに日本全体の問題になっております。この委員会は、統一選挙以来きょう初めて大臣の御出席を得まして開会されるのですが、せんだっての統一選挙において、にせ証紙とかあるいは泡沫候補とか、いろんな問題が出まして、選挙の本質が非常にゆがめられて国民全体に理解され、誤解されることは非常に残念だと思っている一人です。というのは、私たち議会主義というものを信奉して、それの徹底の中にこういう制度を長くやっていこうと思っておる一人としますと、やはり日本国民の選挙に関する態度はずっと進歩してきたと思っているものです。第一回の明治二十四、五年の品川弥二郎の選挙干渉、これは権力で弾圧した。それから金権で買収をした。しかし、もう今日は有権者が何千万とふえているせいもありますし、ジャーナリズムに毎日どんなところでも見られているという関係がありまして、いわゆる公民教育というものが非常に普及しておりますから、権力はもうだめ、金力も下のほうまで買収はできないというふうなことになりまして、全体的な傾向としては私は進歩している、そういう気持ちを持っておるものです。その中に、今度の選挙において、やれにせ証紙、選挙そのものに影響しないようなああいうばかなことによって黒い血が流れて、選挙がよごされたという印象を非常に残念に思っているのですが、これに対しまして、私が申し上げた所感に対する大臣の選挙観について、まず第一にお伺いいたしたいと思います。
#10
○篠田国務大臣 お尋ねのとおり、幾多のにせ証紙などという事件は、私寡聞にして今回初めて知ったわけでありますが、とうてい常人の知識をもってしては考えつかないようなそういう悪質な違反等によりまして、また買収、供応等の悪質違反が非常にふえたということによりまして、選挙界が非常に汚されておる、こういうことは事実でございます。しかしながら、選挙というものはだんだん民主的になりまして、官憲の弾圧であるとか、選挙干渉であるとか、あるいはまた金力による大幅ないわゆる汚辱であるとかいうものはだんだん少なくなりまして、犯罪の件数はふえておりますけれども、犯罪の内容は個人的なものとなりつつあるということにより、またマスコミあるいは国会その他有識者等の選挙粛正運動というものによって、全体的な傾向として選挙そのものは進歩しておるという見解に対しましては、私は異議を申し述べるものではございません。ただしかし、われわれがこれだけの公明選挙運動をやっているにもかかわらず、こういったような個人的とはいいながら悪質違反が多くなるということについては、非常な心痛と同町に遺憾に思っている次第であります。
#11
○長谷川(峻)委員 そこで私は、出た問題の始末かれこれは検察当局とかあるいはそれぞれの批判を待ちつつ落ちつく問題だと思うのですが、私たちは実際政治をやっていることですから、そういうものを是正しつつ選挙の公明というものをはかっていく立場にある。現に私はここの委員会に所属しておりまして、終戦後、車のない時代に、候補者がトラックの上に乗って歩く。トラックが便利だというので、その上で選挙運動を長い間続けて、それが一つの習慣になった。トラックの上で演説し、トラックの上から有権者に向かって国会議員候補者が手を振って歩く。これはどう見ても世の中が落ちつきもし、車がふえた時代においては、国会議員の候補者としての権威にかかわりますし、おかしいことではないか。さらにそういうことによって、激動した一カ月余りの選挙期間の疲労によって、当選した議員さんの中には死んでいく者もある、あるいは病気になっていく者もある、もちろん落選した者はそれ以上の精神的苦痛で倒れていく者もあるというふうなことから、ずっと終戦以来国会議員で、なくなった人の病名、原因、死因等々を調べまして、これは私の党だけじゃありません、ほかの党の方々にも署名などをもらって、ようやくトラック廃止法案というものがこの前の国会で御審議いただいて通過したという、そういう立場において、いまから先の選挙のやり方について、効率的にやりつつ公明に行われて国民の信用を得、さらに政治運動の何ものかということを認識してもらうような方向に持っていくべきじゃないかというふうに考えております。早い話が、これは競争相手のあることですから、ポスターを一枚われわれが張る場合に、この六年前の選挙から、一人がそれにベニヤで裏打ちをして、さらにその上にビニールをかける。われわれは外でべたっと張っている。すると、雨が降るとみんなそののりが落ちてくる。ビニールを張ったほうは永久に落ちませんから、その次の改選からは、どの議員さんも大体見ならっていく。競争ですから、裏打ちをして移動していくことのほうが選挙運動上いいということがわかれば、それもやっぱりまねをする。今度ずっと歩いてみますと、大臣はそっちこっちおいでになったでしょうけれども、ビニールを張って裏にはベニヤあるいはボール紙、それに針金をつけてやっていく。あるいはくいを立てていく。あるいはだれかが演説する場合にはそれを二、三十枚持っていってデモンストレーションをやる。私はそれを見た場合に、これはたいへんなことじゃないか、候補者なり選挙専務所が本来の政治活動ができないで、そういうことに力を使って金をかけていく、ああいうことははやりで、また競争相手があるからやらさるを得ないけれども、一体これはどういうものだろうと思った。その間に、従来でありますと、無検印のポスターを張っても、選管が好意をもって選挙事務所に対して、無検印のものが発見されたから撤去したらどうですかという御注意などもあり、警察から御注意があったこともある。選挙運動をやった人は、そういう善意の忠告を受けながらやった例を一、二必ず持っていると思う。しかし、法律的には、無検印のポスターをばたばた張っても、にせ証紙を張ったポスターでも、法律的な犯罪としての処分というものはどうも同じらしいというふうなことなどもありますから、この際は、ああいうふうなポスターを張るというふうな手続を省く意味においても、ひとつポスターの問題について御研究願わなければならぬのじゃないか。従来は、一人の選挙区であれば、自分の非常に強い市なり郡なりに七割くらいのポスターを張って、残りをよその地方に張るという戦術もありましたが、この前からは全選挙区に、一投要所一枚ずつは各候補者のポスターが張られている。張るようになっている。であるから、国会議員は国会議員だが、地方のいわゆる利益代表であるというたてまえからすれば、まんべんなく。ポスターがいくことになった。今度東京都の知事選挙を見ると、十数名の候補者が出ておったそうであるけれども、せっかく選管が投票所の前につくったところの掲示板には、わずか東知事と阪本氏とだれか一、二枚のポスターしか張らない。あこの諸君は張っていかない。そこにおいて。ポスターの問題については、いまのようにだれかがやればみんな競争して右へならえでつまらぬ金と労力をかけますから、ひとつポスターなどは公営にできないものだろうか。受ける恩典はみんな同じ、受ける不便はみんな同じ、その共通の場において勝つというところに一つの進歩があるのじゃないかと思いますが、いかがですか。
#12
○篠田国務大臣 ポスターの問題につきまして、前には検印のないものがずいぶんあった。今度は証紙の問題になってきた。したがって、にせ証紙事件というようなものも非常に大きく問題になってきました。これはポスターそのものというか、証紙制度といいますか、枚数をきめたポスターの意味からいいますと、前の検印制度よりは証紙制度のほうが進歩してきたと思います。これはだれでもかれでもまねをするわけのものでもありませんし、また検印のないものはまあ張りやすいということもありますが、証紙というものをわざわざつくって張るということは、よほどのことでなければやりません。これは非常に悪質中の悪質と思います。そういう意味におきまして、ポスターを張るのにつきましても、ビニールを張ったりベニヤ板の裏づけをするということで、金が非常にかかってきていることは事実だと思います。選挙は、できるだけ金をかけない選挙をやるのが目的でございますから、できればポスターなどは公営にするということには大賛成でございます。ポスターばかりではありません。私、選挙の公明化というものに対して希望を持っておるものではございますけれども、しかしずいぶん国費を使い、いろいろな団体等においても公明化運動がやられておりますけれども、なかなか効果があがりません。その重大な面は、先ほどおっしゃいましたように、やはり候補者同士の競争というものがお互いを刺激しまして、だんだん選挙戦というものが白熱化し、あるいは理性を失し、あるいはまた勝つために手段を選ばないというような人が出てくる結果ではないか、こういうように考えるのであります。そういう意味におきまして、私は、できれば選挙全体を公営にするということが望ましいのじゃないか、そういうふうに考えております。この問題は、おそらく選挙制度審議会においても御検討になることと存じますが、私の考え方からいうならば、選挙でございますから個人というものを全然抹殺するというわけにはいきませんが、候補者は自分の政策、所信を述べるということができれば、あとの手続上のポスターであるとか演説会場であるとかいうような問題につきましては、私は全部公営にすることが望ましい、こういうように考えております。
#13
○長谷川(峻)委員 自治大臣の、非常に長い間自分で選挙をやられて、しかも北海道という広いところでやられた御経験と、それからまた大臣の職責という高い立場から見られて、人間以外は全部公営にしろということ、私は非常に政治的な判断として正しいと思います。この際、それに向かってぜひ邁進されるようにお願いしたいと思います。
 そこで、私は、大臣からはっきり結論が出ましたから、小さいことは申し上げませんが、その際にお考え願いたいことが一つある。ということは、日本はテレビが世界で二番目の発達をした国なのです。私は、民主主義というものは最低線におりていかなければまずい。ということは、一人一人の政治家のいろいろなことがマスコミにのっていく――大臣のように週刊文春に一週間の生活が載るような政治家ならばいいが、野球選手の長嶋、王が人気があるのと同じように、みんながのるような風潮、これは私はこの次の選挙あたりにはテレビというものを相当使うような具体的なものをお考え願いたい。ということは、この選挙が終わりましてから、私ども自民党のほうでも、にせ証紙の問題もあろうし、あるいは当選者の数の問題もあろうし、近い将来総選挙をやることははっきりしておりますから、いろいろな反省会なり勉強会をやっている。他の党でも、新聞を拝見し、あるいは政界情報を見ると、それぞれ将来に備えて今度の選挙について反省しながらいろいろな問題を御討議されておるように拝承します。一方においては、いまのような考え方から、三党の国会対策委員長の間においてもこれはお互いに、議会政治を守る上からは、自分の党の問題とかあなたの党の問題とかいうことではなくて、全体の問題だということで話し合いが若干つきかけて、またそういう良識ある動きが各党においてどんどん伸びつつあることを拝承しておりますので、そういうところにおいてもぜひ前進的に、具体的にお考えいただくことが一つ。もう一つは、いまのテレビと同じように、大阪のおっしゃるように公営という線が強ければ強いほど――せっかく東京都の知事選挙に選管が高い金を出して十三枚分のポスターの掲示板をつくったにかかわらず、張っているのは、わが党推薦の東君と社会党の阪本君の二人、あとの連中はさっぱり張ってないですよ。そして何をやるかというと、横流しをやったりいろいろな悪いことをするのです。ですから、これは公営でやって、銭のかからぬ選挙で、基本的人権があるからだれでもかれでも立候補する権利があるということになったらたいへんなことだと思う。かつて先日までは、東京にすわりながら、全国の町村長の選挙が一斉にある場合に、はがき一枚で立候補できた。どこの町でも見たこともない候補者に対して、やはり世の中には変わり者が多いから、三百とか四百は入る。これを計算すると、参議院の全国区にでも出るのではなかろうか、出れば落選する、こういうことではいけないというので、町村長の選挙に出ることは法律的にきめられ、禁止されたということからいたしましても、私は公営でやろうとし、また具体的にいまからお話をおつけいただきます場合、当選を目的としないで泡沫候補者が出るということに対しては、これはいますぐ民衆の皆さま方の御批判はなかなかできない時代ですから、これらに対する各党においての話においても、泡沫候補の立候補を禁止されるような方法などはぜひお考えいただくことのほうが正しい民主主義、正しい政治意欲というものを盛り上げるためにいいんじゃないか、こう思いますことをこの際つけ加えまして、どうせ来年、日本の大事な民主主義の拡張のための総選挙があることははっきりしておるのですから、ぜひひとつ大臣の具体的、前進的な施策を、お願い申し上げておきます。
#14
○篠田国務大臣 テレビの使用につきましては、非常に私は賛成でございます。ラジオ、テレビ等の最も効果の多いものを使うということは、もちろん演説会と並びまして非常に大事だと思います。ただテレビの使用の問題につきまして、従来いろいろ研究をしてみたのでございますが、一つは技術的な問題があるようであります。放送局が東京都内だけの放送をやっておらないということのために、東京都の候補者が演説をする場合は群馬県までもいってしまう、あるいは北海道までもいってしまう、また群馬県でやっておるのが東京都に来るということで、新聞なんかでもそうでございましょうけれども、とにかくその範囲の限定ということがきわめて技術的にむずかしいということと、それから費用がいまのテレビは非常に高い、この二つの問題で行き悩んでおるようでございますが、この近代的な選挙におきまして、最もその先端を行くテレビを使わないということも、いかにも時代おくれでございますから、できるだけ使うということを目途として、その欠陥と申しますか、そういう面について研究さしたい、こういうふうに考えます。
 それから泡沫候補の整理でございますが、これは何人でも立候補できるというような憲法上のたてまえがございますので、これを原則的に、おまえは泡沫候補であるということをきめる機関がない限りは、禁止はできないと私は思います。しかし、これは具体的に申せとおっしゃいますから私の考えを言うわけでありますが、まず政党の公認候補は、いかなる場合でも、たとえ落選いたしましても、泡沫のうちには入らない。そうでない、無所属であり、しかもだれも推薦しないで、五万円か十万円の供託金で出てくるというのが泡沫候補でございます。これに対しまして、私は公営にすることを前提として言っておるわけでありますが、公営にする以上、いわゆる法定選挙費用というものがあるわけですから、その法定選挙費用は、もちろんそれ以内でやる人もあるでありましょうけれども、今日までの現状は、大体の場合、法定選挙費用をオーバーしているということが一般の通念のようになっておるわけであります。そうしますと、法定選挙費用の三分の二なら三分の二、五分の四なら五分の四というものを立候補と同時に供託させる。そのかわり一切の費用を、残り幾らかかっても国がやるというような方法にすれば、そんな名前を売ったりはがきを売ったりするような泡沫候補というものは出ないのじゃないか。これは私の試案でありますけれども、そういうふうに考えております。やり方については十分にそれぞれの機関において研究しなければならない、こう思っております。
#15
○長谷川(峻)委員 非常に具体的なお話が出ましてけっこうですが、そこで私が最後にひとつお願いしたいことは、せっかくここで選挙というものは、せんだっての統一選挙後のいろいろな問題からみなが注目して、そして何とか直さなければいかぬという気持ちになっているのですから、この際に、大臣のいままでお考えになりあるいはまた御答弁いただいたその中において実施できるものについて、ぜひひとつ強力に私は御推進をお願いしたい。幸いにして三党の国対委員長の間においても話し合いがあるし、それぞれの党内においても、反省会あるいは勉強会等々において、いまから先の選挙方法についての積極的な改善というか改良の問題についてお考えいただいているのですから、事務当局あるいはこちらの政党間において話がちょうど煮詰まるときであるし、また国民の信用を回復し前進させる絶好な機会だと思いますから、それを要望申し上げまして大臣に対する質疑を終わります。
#16
○辻委員長 次に中村高一君。
#17
○中村(高)委員 昨日、八百板君が本会議で大体総論的なことを質問されて、大臣からも御答弁があったのでありますが、その中で資金関係について、八百板君も質問しておりましたが、今度は選挙違反件数もだいぶふえております。東京都の知事選挙についても、ずいぶん不正な金が横に流れて、選挙違反がたくさん出ておると思うのでありますが、けさの毎日新聞を見ますと、その一文に、事務主任の松崎がひとりでまかなえる金額でないことは明らかだ、背後に資金を出していた東選対の有力者があるなどの見方が強まってきたというようなことが出ておるのでありますが、こういう不正な金は、一事務主任というような使用人が出せる金額でないことは明らかであります。政党もしくは選対の関係から金が出ておるということはもう明らかでありますが、なかなかこれは調べてもおそらくどろを吐かぬのだと思うのでありますが、上層部に波及するというようなことに関連して、前の自治大臣でありました安井謙さんの事務所が家宅捜索をされたという記事が出ておりますが、大臣御存じであるか。あるいは警察庁のほう、あるいは法務省の関係でもけっこうでありますが、その事実についてまずお尋ねをいたしておきたいと思います。
#18
○篠田国務大臣 松崎何がしの使った金は、とうてい松崎個人で払える金でない、したがってそのバックに不正な金を流した者があるのじゃないか、そういう説につきましては、私、新聞等において知っておりますが、そういう報告は警察からはまだ私は受けておりません。私が警察から受けました報告は、この金は未払いである、現在の段階において払っておらないというふうには聞きましたが、そういう金を流して、その金が使われておるという報告は聞いておりません。
 安井謙氏の事務所が家宅捜索を受けたということは、これは検察庁が家宅捜索をしたのでありまして、けさ初めて私、新聞で知った次第でございます。
#19
○中村(高)委員 今度の事件で先ほど大臣の、寡聞にしてにせ証紙のことはあまり知らなかったというふうなことも、あるいは事実かもしれませんが、にせ証紙、はがきの横流し、悪質なやり方というようなものは、決して今度だけ出ておるのではないのであります。四年前の有田といまの東知事の選挙のときにも怪文書が流れまして、これも今度検挙された松崎が関係をしておることが明らかでありますし、参議院の選挙にもこの松崎という自民党本部の事務主任はやはり何か不正な事実があるらしい。それから千葉の知事選挙にもやはりこの事務主任が関係をして、そしてはがきを十万五千枚買っておるのであります。さらにまた福岡の知事選挙についても、この松崎事務主任が関係をして、そしてにせ証紙を飛行機で送っております。東京都の知事選挙についても、松崎が現段階ではやはり中心で動いておるようであります。こういうことを見ますと、ぽっと出たのではないのですね。ずっと四年前の知事選挙から、参議院、千葉の選挙、福岡の選挙、東京都の選挙というふうに関連をしておる事実が明らかであります。そしてやり方が実に悪質であると思うのです。こういうことは大臣も全然御存じないことはないと思うのでありますが、みんな知っておったとは言いにくいこともよくわかっておりますから、そんなことを知ったとか知らないとかいうことを攻撃するのではなくて、とにかくこれが組織的であるということですね。ずっと一貫して毎回の選挙にやっておるということ、これが一つ。もう一つは、今度の選挙に東京都庁の職員もしくは前任者が非常に関係の多いことです。いままでも関係しておったかもしれませんけれども、検挙されてみて実に驚くのであります。現に、きょうですか、起訴された飯田新太郎というのは、東京都教育庁の福祉係長で、これは現職です。それから前任者がいる。私は相当の地位にあった人がどうしてこういうことをやるのかと思うのでありますが、これも起訴されておるかどうか、あとでまたそれぞれの担当者からお答え願いたいのですけれども、高橋鉄也という検挙されておる者は、東京都の前の広報渉外局庶務課長、葛飾の税務事務所長で、東京都の国連協会本部の現職であります。それから若林忠市という者は二万円とかを動かして金をもらったとかいうのですが、前に食品衛生課長をやっておった人です。さらに谷合勘重郎という男は首都道路協議会の常任理事です。係長あるいは課長、現職の者、こういった者がとにかく多数検挙されておるということもいままでにない事実でありますが、こういう事実についてすでにもう新聞に全部出ておるのでありますから、都の職員もしくは前任者であったことはもう間違いないのであります。この前の選挙法の改正のときに、部下の公務員の選挙違反が出た場合は当選しても当選無効になるという規定が挿入されました。ところがそれは衆議院議員と参議院議員の場合だけであって、知事の場合どうしてこれが落ちておったのか、委員でもありませんからその当時のことは私にはよくわかりませんけれども、公務員を使う違反というのは知事の選挙に一番多い。これはもうほとんど公然と使う立場にあるのでありますから、これはこういう規定がある以上は、一番こういう場合の多い知事選挙について、部下の選挙違反というようなものがあれば当選が無効であるということを入れなければ、これは穴だということが批判されておるようでありますが、この点についてひとつお答えを得たいと思います。
#20
○篠田国務大臣 中村さんから、わかっていてもお前は全部わかっているということが言いにくいだろうというお話でございますが、私はわかっていることは全部何でも隠さずに申し上げるというたちでございますから、決して言いにくいから言えないなどということはございません。ただしかし、前々からあったというお話でございますが、この前の知事選挙に怪文書が流れたという新聞報道を私は知りまして、その怪文書なるものが非常にプライバシーに関するものであるということを聞きまして、当時まだ私大臣でも何でもございませんでしたので、ずいぶんつまらないことをやるやつがいるな、これは両方の陣営にとって非常な迷惑であるという批判をいたして、どうしてこういうばかなことをやるやつがいるかと思っておりましたが、にせの証紙という問題につきましては、ほんとうに私はびっくりいたしました。にせ札が流行の時代ではありますけれども、にせ証紙まで出るというふうに私は考えておりませんでしたので、ずいぶんつまらないことをというか、普通の人間なら考え及ばないようなことをやるということで、びっくりいたしました。松崎何がしにつきましては、実は私が広報委員長をやっておりましたときの事務局員でありまして、あの男がそんなことをするのかと、新聞を見てびっくりいたしました。その後、数多くの選挙に関係しておったということを聞きまして、私は自民党の事務局まで聞きにいきました。ぼくのもとにいたときにはそんな男に見えなかったけれども、一体これはほんとうかと聞きましたところが、事務局員がほんとうだというので、私はさらに二度びっくりというようなことでございます。したがいまして、私は、私が知っておるだけに、あの人間がああいうことをどうしてやったか、ほんとうにできたのか、いまでも半信半疑というような気持ちがあるわけでありますが、しかし厳正なる当局の調べによって判明したのでありますから、私はただ驚いているばかりであります。
 それから都庁の職員が選挙に関係したということも今回は非常に多いのでございまして、この点は全く遺憾であり、将来に向かって何らかの規制をしなければならないということはもう当然だと考えます。これは参議院議員の全国区の場合の高級公務員の立候補の制限という問題からこの問題が起こってきたために、国会議員だけに限られたものであろうと思います。将来そういうことに向かって研究しなければなりませんが、同時にまた、それでは部下の公務員が関係をすれば、それが悪質違反を起こした場合には候補者は失格するというようなことをやりますと、職員の中にもたくさんいろいろの組合もございますし、またいろいろな団体もございますし、必ずしも一人の候補者を支持するというふうには考えられておりません。それをよく研究しないと、じゃ落とすためにその陣営に参加をして悪質選挙違反を起こすという場合も考えられないことはありません。東京都知事という大きなポストを得るためには、一人の組合員であるとか、一人の職員なんというものを犠牲にするという場合もあり得るんじゃないか、そういうことがあってはたいへんでございますから、いまの状態におきましてこの都庁の職員がこういうことをやっておるということはどうしても規制しなくてはなりませんが、規制をするということになれば、いろいろな面を十分に考慮して、そういう心配がないように、そういう心配があった場合に対する制度というものをまたはっきりきめなければやれないのじゃないか、私はこういうふうに考える次第でございます。
#21
○中村(高)委員 公務員の問題が出ましたから、ついででありますが、もう一つ。大臣は御存じないかもしれませんが、行政管理庁長官秘書だと言われる根本米太郎という人が、千葉の知事選挙の問題で家宅捜索をされていま取り調べをされておるというのでありますが、行政管理庁長官秘書というのは川島大臣の秘書でありますかどうですか、警察庁で御存じでしたら、大臣でなくてもけっこうです。
#22
○篠田国務大臣 根本君という人は私もよく知っておりまして、これは川島さんのたしか国会秘書ではないかと思います。国会秘書であれば国会を調べればすぐわかることでありますが、秘書官のほうではない、国会秘書だ――国会秘書でないかもしれませんが、確かに秘書であるということは事実であろう、こう思います。
#23
○中村(高)委員 にせ証紙について昨日国会で御答弁になりました法務大臣の答えによると、東京が一万六千で福岡が二万五千だという御答弁があったのでありますが、新聞には、九州へ送ったのは四万と出ておるのもありますが、警察庁でお調べになっておわかりになるところでは、どれが事実でありますか。
 それから、北九州市の市長選挙が知事選挙のすぐ前に行なわれましたが、そのときには証紙でなくて打ち抜きスタンプで、これがまたにせが出て、検挙されたという事実があるようであります。
 それから福岡の選管では、打ち抜きのスタンプではどうも偽造されるというので、今度は精巧な証紙をつくって、そしてその中にふくせんという隠し文字を入れた。ところがまたにせ証紙をつくった。今度はこの隠し文字のふくせんが全然おっこっちゃっておるので、選管でも、どうしてこう実に悪らつなことをやるか、逃げれば追っかけてくるというやり方で、実に驚くと言うて答えておるんでありますが、数と、北九州市の市長選挙の違反と、それから福岡のいまの事実についてお答えを願いたいと思います。
#24
○宮地(直)政府委員 ただいままでの私のほうの捜査におきまして、東京都知事選挙におきます偽造証紙は約一万六千枚、それから福岡におきましてはこれが約二万五千枚と存じております。
 第二点の問題でございますが、先般行なわれました北九州市における偽造、これは私のほうは公印偽造と言っておりますが、確かにこれはスタンプでございまして、これはスタンプの偽造があったのでございます。
 それから第三の点でございますが、福岡の偽造は確かに、現在の私のほうの捜査の結果におきましては、東京からいま申しました枚数が運ばれて張られたものであり、ふくせんという文字の――これは印刷の関係がありましてないものもございますが、ふくせんという隠し文字もあるのでございます。
#25
○中村(高)委員 この福岡のにせ証紙を見つけたのが四月の十二日で、約一週間ばかり前に見つけて、そうしてわれわれのほうの仲間のものが県の選管と県の警察に申し入れたのです。そのときに県の警察の捜査二課の鈴木達也という人が応待に出たそうでありますが、その問答がなかなか問題でありまして、その捜査二課の鈴木達也という人の地位はよくわかりませんが、いくらにせものでも、はがせば違反になるから直ちに逮捕する、こう言ったというのです。あったことを教えたけれども、とればおまえ逮捕すると言ったというのだが、一体こういうにせ証紙を見つけたときに、持ってくれば、これは無断でやるのだから逮捕すると言ったという。それからもう一つは、偽造しやすいような証紙をつくるほうがいけない、そんなものをつくる選管のほうが悪いのだと答えたと言うております。そういう人物が捜査二課におるのかどうか。これは事実であるかどうか。
#26
○宮地(直)政府委員 福岡におきまして、にせ証紙が出るといううわさにつきましては、すでに警察は承知いたしております。これは情報でございますので、確認はいたしておりません。いま十二日と申されましたが、すでに福岡県警察本部といたしましては、四月十日に各警察署に対しまして、こういう情報がある、こういろものであるということを指示いたしておるのでございます。すなわち結果的に申しましても、四月十二日にはすでに融事の違反として二名を現行犯逮捕している状況なのでございます。
 いまお尋ねの鈴木某と申されましたのは、福岡県警察の捜査二課長でございます。これにつきまして私のほうで承知しておりますことは、十二日に社会党県連の篠原書記次長から電話で、にせ証紙を張った。ポスターを放置してあるのはけしからぬ、早くはがしてもらいたいという申し出、さらに、警察でこれを撤去しないならば、自分のほうでこれをはがすという電話の申し入れがあったことは私承知いたしているのであります。これに対しまして警察といたしましては、ポスターをはがすということにつきましては、これは捜査の必要上令状をもってしなければならない、また実際にせ証紙と申しましても、そう一見してわかるものではございませんから、ほんとうのものをそういう名のもとにはがしてもらっては困る、かってにそういうことによって他の選挙の自由妨害が起こらないようにという話をその電話においてしたということでございます。個々の話についてはまだ調べなければなりませんけれども、話の趣旨はそうなっておるのでございます。
 その他の点につきましては、まだ私のほうで調べてみなければわかりません。
#27
○中村(高)委員 もう一つは東京の場合でありますが、選対の本部から通知がありまして、にせ証紙が発見されたというので告発をしてもらいたいと言ってこられて、私が十六日の朝警視庁に行きましたが、警視総監はおらなかった。かわりに玉村という刑事部長が会ってくれました。そこで私は、にせ証紙の事実をすでに選管から警視庁に言っておるのですから、にせであることは、とにかくあれには隠し文字がひっくり返ったり場所が違っておるからすぐわかるのですが、あなたの方ではすぐに捜査に着手してもらいたい。ところが、私は数名の選挙の関係者を連れていったのですけれども、全然やる気がないのですね。私は別に大きな声をしたわけでも何でもないのです。きわめて丁重に申し上げたのですけれども、何となし被告か何かのような態度で、さっぱりやらない。そこで、あなたは知事から何か指令があるか、あるいは知事の選挙にこれは影響してはいけないというのでやらないのではないかと私が率直なことを聞いてみたのでありますけれども、そのときにも玉村刑事部長は、いや、そんなことはないからやるのだが、いま鑑識課か何かにやって鑑定している。そんな問題じゃない、肉眼でも、こうやって字がひっくり返ってさかさになったり、置き場所が違ったりしているから、すぐわかるじゃないかと言うたけれども、どうしてもやらない。そこで、私はこれはだめだと思って、検察庁の特捜部へ行ってみたのです。ところが、そうだろう、警視庁ではやりにくいのだろう、おれのほうでやってやるというきわめて率直な話で、すぐに着手してくれたのでありますけれども、これは何か私はいまの警察の選挙の取り締まりをやる警視庁と東京都の知事との間に、やはり予算関係というようないろいろなものがあってやれないということはわかるのでありますが、どうしてすぐにそういうことが着手できないのか。警察庁のほうでそういうことを、党の本部からも抗議をしておるはずでありますけれども、お調べになったことがありましたでしょうか。
#28
○宮地(直)政府委員 全般的な問題としてお答えいたしたいと思いますが、今回のにせ証紙あるいははがきの譲渡の問題、すべて警察が端緒を握り、必要なる捜査をいたしましてこれを検察庁に送致いたしております。ただいま御質問のように、なるほど警視庁と都との予算関係はございますが、そのために本件捜査が左右されたというような事実は、全くないのでございます。
 第一に、玉村部長にお会いになったときの話ということでございましたけれども、すでにそのときには警視庁は詳細に状況捜査をしておりまして、これは前日の夕刻、原宿署において第一回のにせのものが発見されまして、これには七時過ぎに警視庁の職員も参りまして、現場保存の措置を講じて帰ってまいってきております。しかしそれをもって直ちに警視庁といたしましてはこれをにせと断定する段階に至っておりません。その他各方面から、これは社会党の方面の告発もあり、事実は承知しておる。これは鑑識に回して私どもは精密なる鑑定をいたしておることも事実でございますが、その鑑定の一経過といたしまして、TSという隠し文字がさかさまであるということは、これは事実でございます。これをもってにせ証紙として取り扱って差しつかえなきゃということを、これは本物をつくりました凸版印刷に警視庁から照会いたしたのであります。そういたしますと、印刷過程でもって、万一にも逆に入った場合にはそういうことになり得る、したがってTSという隠し文字のさかさまであるということのみをもって、にせの証紙であるということを決定することについては自信がないという返事を受けたのであります。したがって、警視庁におきましてはさらに各点の精密なる鑑定を行ないまして、捜査の慎重を期したということでありまして、さような経過でありまして、結果からも御判断いただければよくおわかりだと思いますが、この新聞記事によって知りました山田淳なる者が、その日の正午過ぎと記憶しますが、情報の提供がございましたので、同時に捜査を開始いたしまして、すでに必要な証拠に基づいて四月十七日には必要な入倉、永里、さらに情報提供者も単なる情報提供ではなくて、知情性があるということでこれを逮捕して、実態を明らかにしていったまでのことでありまして、決して警視庁が政治的な関係を顧慮し、またそういうものがあってさような措置をとったのではなくて、捜査の必然的経過としてとったことでございます。
#29
○中村(高)委員 手心を別に警視庁は加えていないというお話でありますけれども、一般の選挙違反はいまでもまだどんどんやっているのですね。いまでも調べている。それはどこの警察でもやっております。ところが知事選挙の最近の起訴も捜査も、全部特捜でやっているのですよ。警視庁は全然手をつけておりませんよ。最初の何か印刷関係の人は何人かやったけれども、その後の右翼の連中の検挙も、あるいは本日あたり起訴されている東京都の職員の関係でも検察庁がやっておって、警視庁はもうそれをおまかせしたのか、やれなくてやめたのか、どこから命令が出たのか知らぬけれども、ほとんど警視庁はやっておりませんよ。そして全部検察庁がやっているではないですか。こんなだらしがないことで、あなたは別に手を加えていないというけれども、現実に手を加えているじゃありませんか。その点はどうですか。
#30
○宮地(直)政府委員 本件につきましては、基本的な面につきましては、私のほうの持ち時間という関係もありますが、すべて事件の全貌に関するものにつきましては、警察のほうにおきまして捜査をして、送致しておるのでございます。またこれは私のほうで申しますと、松崎、福岡、飯田、三沢、入倉、永里等が順次共謀して、こういうものをいかにしてつくったか、及びはがきの点、これも捜査いたしました。ただ、そういたしましたが、いまの出ました問題につきましては飯田の点だと思いますが、飯田は私のほうにおきまして偽造の共謀及び偽造証紙の使用という形におきまして逮捕して調べまして、四十八時間後をもちまして事件送致いたしましたら、いかなる理由か存じませんけれども、検察庁におきましてこれを直ちに身柄を拘置所に入れまして調べたのでありまして、これはわれわれのほうに身柄があるならば当然やるべきことでありまして、そういう点につきまして、私のほうは証拠に基づいて調べることについて何らちゅうちょしておりませんし、特捜のほうに全部やらせたわけではございません。
#31
○中村(高)委員 警察のやり方に対してはわれわれは満足しておらぬのでありますが、いまの捜査の段階において、ただいま申し上げたようなことに対しても満足しませんが、選挙期間中の立ち会い演説会の妨害、これはひとつ大臣もよく聞いていただきたいのであります。二十五日のうちで、阪本候補が自分で手記を週刊雑誌に書いておるのを見ると、やじのなかったのはたった二日だった、あとは私の演説はほとんど聞かれません、とにかく会場と会場を専門のやじ隊が三台の自動車に乗って、そして阪本の演説が一カ所で終わると、すぐ次の会場に行って用意をしておって、阪本の演説が始まるとその十五、六人の組織されたやじ隊というものは一斉に立ち上がってやじる。たった十分の演説でありますから、言いわけなんかを言ったり、やじと抵抗していれば、すぐ十分です。これは実に悪質な組織的な妨害であります。これに対して警察がどういう態度をとったのか、御答弁を願いたいのでありますが、一日や二日ならば、これもどうかしれません。しかし二十五日のうちの二十日以上は立ち会い演説会があったと思います。たった二日しかおれの演説は聞かれなかったというくらいにやじ隊がやる。そこで私は東京都の選管の事務局長にこの間会ってみたのです。一体君らは、こういう演説をさせておいて、選挙にならぬじゃないかと言うたのだけれども、そのときの事務局長の答えは、初めは静止してみましたけれども、どうにもなりません。にらみつけられて暴力をふるわれそうなので、うちのどこの選管の職員もふるえ上がってしまって、もう言えなくなりました。なぜ警察に頼まない。警察にも言うてあるし、警察も、毎晩々々ですから、警察はみんな知っているのです。一晩に三カ所も立ち会い演説会をやって、わあわあいって全然聞こえない。ある会場なんかでは、婦人が泣き出したというのです。だれかが、あんまり君ひどいじゃないかと言ったら、そこへ総がかりになって殺到したので、そばにいた婦人がふるえてしまって泣き出したという。こういうようなことをやらせておいて、そうして一体警察はどうするのだどんな状態だというと、実際の話を申し上げますと、苔口章という事務局長が、ほんとうのことをいうと、どこの会場だったか、警察官が静止して、ひっくり返された警察官があるのです。警察官さえやられてしまうのですから、選管の事務員なんかではとてもやれませんと言っておったが、普通の警察官が一人や二人では、とても強いので、だめです、警察官がひっくり返されて倒されましたから、これはもうとてもだめだと思いますと言っていたが、立ち会い演説会は、こういう状況でありました。
 私が一日、候補者が立ち会い演説会の前に食事をしたいというので、一時間ばかり阪本知事候補者の車に乗ったのです。ところが、うしろに三台他の候補者の車が続きまして、最初の一台は軍艦マーチをじゃんじゃんやり、こっちの車にぴったりくっつくのです。それからあとの二台はぼろくそに悪口言うて、約四キロ走ってみたけれども、ぴったりくっついてきた。そのうちにこっちがガソリンがなくなったので、ガソリンスタンドにとめてみた。そうすると向こうもとまっておる。ガソリンを入れる間休んでおる。そうしてどうもかなわぬというので、今度はとんでもない山の中へ私が車をやらせたら、とうとうそのときにはついてこなかったのでありますが、こういう選挙をやらせておいて、警視庁やあるいは警察庁は知らないとは言えませんよ、毎晩のことで、新聞に出るんですから。やじ隊は集団のやじで、選挙の自動車に乗って、あとをつけておって一斉にやる。こんなことを警察が見て見ぬふりをしておったということは前代未聞でありますが、これに対してはどういう取り締まりをおやりになったか、警察庁の御回答を願います。
#32
○宮地(直)政府委員 その選挙の告示前に警視庁の責任者と選管の責任ある者と打ち合わせまして、かような事態に対処するための具体的な取りきめをいたしております。これはもちろん各委員方御承知のとおり、立ち会い演説会における秩序維持をこの公選法の規定に基づいていかにするかということでございますが、当然その場内の秩序維持ということは、第一次的には選管にあるわけでありまして、その趣旨において私のほうはいたしております。ことに警視庁におきましては、告示の当日、東京駅前と私は記憶しておりますが、阪本候補の演説に関して、投石をした、選挙の自由妨害をしたという案件が発生いたしております。したがって、再度警視庁におきましては、これらについては注意を喚起いたしておるのでございます。第一次的には選管において、これは百五十九条の二項によって処置し、それに従わない場合、場内整理というような意味におきましては、警察は第二次的になるのであります。ただ、場内において暴行、直ちにそれが法に触れる行為を起こした場合におきましては、私のほうもこれを検挙しておる事例もあります。あるいはいま警察官がひっくり返されたという具体的な御指摘があったかと思いますが、私のほうにも、場内において検挙しておるという例の報告も受けておるのでございます。場内の問題まで直ちに警察が警察権をもって措置すべきことは、法の趣旨からいって必ずしも適当でないと思うのでございます。
#33
○中村(高)委員 大臣も、今度のこの選挙の妨害がひどいことを御存じないはずはないと思うのでありますけれども、こんなことをやらせておいて――そうして、さっきも政見は演説会でやることがいいというお話が出ましたが、私たちもほんとにもうポスターだとか、あんなくだらぬことで労力を費すような選挙はできるだけやめて、ほんとうに候補者の言うことが選挙民に徹底するような方法を講ずべきだという御趣旨で、非常にそれには賛成なんでありますけれども、せっかくの立ち会い演説会という最も重要な演説会に、全然声も、言うことも聞こえないというようなことをやらせておいて、そうして何か選管から指示がなければ警察は全然タッチできないのだというようなことは、どうもわれわれには納得がいかぬのであります。一つ二つのやじであれば、それは御答弁のとおりです。むやみやたらと一々やじを取り締まることはやめてもらいたい。けれども、集団をなしてずっと入ってきて、そうしてほかの人には一つもやじらないで、ただ特定の阪本候補にだけ一斉に立ち上がるという、こういう悪質なものを、どうもこれはやりにくいとか、法規では選管が責任者だなんていうようなことをおっしゃることは、あなた自身の言いわけのように私には考えられるのであります。一カ月の間続いて、だれが見てもひどすぎる。そうしてそれは法規に書いてあるとかなんとかいうことでは、どうしてもわれわれには納得いかぬのでありますけれども、その点どうでしょうか。
#34
○篠田国務大臣 実は、私は都知事の選挙には今回関係しなかった。特別に、中央であるから、自治大臣であるから、関係してはいけないというわけでもなかったのでありますけれども、今度北海道の方をおもに受け持ちまして、東京におったのは、閣議の日だけでありまして、あとは大体北海道の方を受け持った。そういう関係で、やじの問題も実はあとから承知したわけでありますが、そういうやじに対して、警察が何も取り締まりもしないで、責任のがれのようなことをやっているのは私もどうかというふうに考えます。責任のがれではなくて、あなたのような感じは私も持つのですけれども、しかしそうかといって、いまおっしゃいましたように阪本候補のときだけやじって、あとのときはおとなしくしている、そうすると、阪本候補のときだけ警官を入れなくてはならない、こういうことになるわけでありますから、ほかの候補のときに警官が演説会場に入るということは、法規の手前上あまり歓迎すべきことでもないし、慫慂すべきことでもないわけです。その点、騒ぐことがわかっておるのだから、そういう場合には、外にでも警官を待機させておいて、騒いだらすぐ選挙管理委員会から待機している警官に頼んでつまみ出す、こういうような配慮はしてよかったのじゃないか、そういうのが足りないので、あなたのおっしゃるように、初めから警官を中に入れておるというのはどうもどうかと思う。ただ、いま申しましたような適正なる配慮が足りなかった、あるいは選管等の連絡が不十分であったという点については、今後十分に反省をなすべき点があると私は考えます。
#35
○中村(高)委員 大臣から率直なお考えが述べられたのでありますから、この問題だけをあまり追及しているわけにもいきませんから、それはそれで一応いいのですが、ほかの諸君からもまた質問があると思うから、もう二、三だけでおしまいにいたしますが、幽霊候補で逮捕された橋本勝というのがあります。これは調べの結果はどうなったのですか。日本人であったのか、朝鮮の人であったのか、あるいは一体どこの人間で、本籍はどこにあるのやらさっぱりわからないで、幽霊のように消えてしまって、調べもどうなったのかわからないというのでは、世間は納得しませんよ。こんな例はいままでないのですから……。これをひとつお答え願いたい。
#36
○宮地(直)政府委員 これは法務省の方からお答えするのが適当なことかと思います。
#37
○竹内(壽)政府委員 ただいまのお話の候補者は、選挙権がないのに投票したという罪で、ただいま公判請求をしておりまして、公判継続中でございます。本人が日本人か、どこの国の人かという問題でございますが、本人は、自分は朝鮮人だということを自供しておるようでございますが、しかし朝鮮ならばどこだという点につきましては、何ら自供がありませんので、その点、わがほうで当然には司法共助をしていただける国でもないのでありますから、その取り扱い、それから先は、消えはしませんけれども、事実を明らかにすることが困難な状況になっておるのでございます。
#38
○中村(高)委員 そうすると、やはり橋本勝氏で起訴して、そういう人間がいないのに、判決は橋本勝を有罪にする、結果においてはどうなるのですか。橋本勝こと、橋本勝と称する某とかなんとかということになって判決するのですか。その辺はどうなるのですか。
#39
○竹内(壽)政府委員 それは今お話しのように、橋本勝こと何某でございます。名前を偽って判決を受ける場合もないとは限りませんが、その偽られた人に判決の既判力が及ぶのではなしに、それか詐称した本人そのものに及ぶものでございますから、橋本勝こと何某、これが自白しておりますから、おそらく朝鮮人の名前が出ると思います。
#40
○中村(高)委員 今の問題は裁判所にもう少し検討してもらいたいのでありますけれども、まだわれわれにはわけがわからぬのであります。
 大臣は選挙公報をごらんになっているかどうか存じませんけれども、今の選挙法では、公報の原稿は原文のまま載せるということになっているから、どうしようもないのかもしれませんけれども、もう当選を目的にしているというふうには全然考えられないばかりでなく、青少年の非行防止のために女の人造人間を何万体もつくって、東京都の周辺に部落をつくって、青年のエネルギーの発散場所にするというようなことを、いやしくも東京都の選挙公報に載せるということ、原文のままといっても、あまりにひど過ぎると思うが、どんなことでも原文のままであれば載せなければならぬのかどうか。ここにも選挙法の上で考えなければならぬ点があるのではないかと思う。全然なぐり書きで、寝ておって封筒に書いたのではないかというようなこと、原文のままという今の選挙公報のつくり方というものに対して、今後のこともありますから、考えてもらわなければならぬと思うが、一体どうお考えになりますか。
#41
○篠田国務大臣 先ほど申したように、実は私、北海道を受け持っておりまして、選挙の関係上選挙権も北海道に置いております。そのために公報が私のところに参っておりません。そこで私はそれを見る機会を失したわけでありますが、そういうことをあとで聞きまして、これはたいへんばかげたことだ、幾ら何だってそういうふまじめなものは何とか注意して、引っ込めさせたらどうかというような考えを持ちまして聞きさした。そうすると、憲法に、選挙公報は検閲してはならないという規定があるそうであります。そこで第一次選挙制度審議会におきましても、この問題が出まして、非常な議論になったそうでありますが、そういうものは一応警告でも発して、引っ込めさせたらどうか、書き直させたらどうかということでありましたが、そこにおりましたすべての憲法学者は、憲法の規定によって公報は検閲してはならないということになっているのだから、そういうことをするのは一応公報の検閲という憲法違反であるということで、第一次選挙制度審議会でも取り上げることができなかった。したがいまして、その中の文句が刑法にでも触れるようなことが書いてあった場合には、別の立場からこれを犯罪として摘発するということはできますが、公報そのものを検閲するということは憲法上できない、こういうことになっております。
#42
○中村(高)委員 それでは、もう一つだけでおしまいにしますが、例の横流しのはがきでありますが、全然無署名で郵便局に持っていったというのですね。そこで郵便局では、これはだれのはがきだかわからぬからといって、選管に問い合わせをしたというのであります。候補者を特定して、一人について何枚ということではがきを渡しておるのに、だれだかわからぬ、全然無署名のはがきを持ち込まれて、それを一体郵便局は拒否できないのかどうか。選挙のはがきでありますから、投票を得る目的であるならば候補者の名前を載せるということは常識でありますけれども、全然もう当選の意思とかなんとかいうことではなくて、初めからはがきを売るという目的であることは一見して郵便局でもわかったので、選管に聞いてみたけれども、選管もどうも明確な答えをしないので、しかたがないから、スタンプを押してあるから扱ったというのでありますけれども、選挙局長、一体これはどういうふうに考えておられますか。全然名前のないはがきを持ち込まれて、受け取っていいかどうか。
#43
○松村(清)政府委員 ただいまのお話の都選管への郵便局からの照会ということは、都選管に確かめましたところ、なかったそうでございます。それで、もしそういうことがありました場合には、前回の選挙法の改正以来、郵便はがきは、差し出し票、これは二百枚で一枚になっていますが、それを使って、その差し出し票とはがきと添えて郵便局に出すようになっております。その差し出し票には候補者の名前がきちんと明記されております。それでたとえば、はがきのほうの名前が他の候補者の名前で、差し出し票のほうが別の人の名前なら、これは郵便局のほうで、違うからということで拒否できるでございましょうけれども、しかしそういう名前がはがきのほうに何も書いていないとか、他人の名前を書くということは、選挙のときにほかの人に推薦はがきを出してもらうということでよくありますから、そうなりますと、はがきの中身まで十分調べなければわからないわけです。はがきの内容をいろいろ調べますことは問題がありまして、そういうことまでやるわけにいきませんので、あいまいなものはそのまま受け付けざるを得なかったのであろう、こういうふうに考えます。
#44
○中村(高)委員 選管にもし問い合わせがあったとすれば、そういう無署名のものでもよろしいと言いますか。
#45
○松村(清)政府委員 これは結局私がいま申し上げましたように答えざるを得ないのではないかと思います。差し出し票の候補者の名前とはがきに出る候補者の名前とが全く違っておればともかくとして、その辺のあいまいなものについては受け付けざるを得ない、こういうふうに同等するであろう、こういうふうに思います。
#46
○辻委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
    午後一時十四分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト