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1962/06/12 第43回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第043回国会 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第7号
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1962/06/12 第43回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第043回国会 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第7号

#1
第043回国会 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第7号
昭和三十八年六月十二日(水曜日)
   午前十時四十九分開議
 出席委員
   委員長 辻  寛一君
   理事 青木  正君 理事 荒舩清十郎君
   理事 菅  太郎君 理事 丹羽喬四郎君
   理事 太田 一夫君 理事 畑   和君
   理事 堀  昌雄君
      薩摩 雄次君    林   博君
      松本 一郎君    二宮 武夫君
      山中日露史君    井堀 繁男君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 中垣 國男君
        自 治 大 臣 篠田 弘作君
 出席政府委員
        警  視  監
        (警察庁刑事局
        長)      宮地 直邦君
        検     事
        (刑事局長)  竹内 壽平君
        自治事務官
        (選挙局長)  松村 清之君
 委員外の出席者
        自治事務官
        (選挙局選挙課
        長)      中村 啓一君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 公職選挙法改正に関する件
     ――――◇―――――
#2
○青木委員長代理 これより会議を開きます。
 委員長所用のため、指名によりまして私が委員長の職務を行ないます。
 公職選挙法改正に関する件について調査を進めます。
 質疑の通告がありますので、順次これを許します。堀昌雄君。
#3
○堀委員 実は、本日は、今回の地方選挙で非常にたくさんの選挙違反が出ました問題について、まず前段では、これは自治大臣とか法務大臣にお答えを願う筋のものでもないかと思いますから、そこで私は一方的に質問をいたしまして、この回答は追って総理大臣に御出席をいただいてお答えをいただければいいと思います。ただしかし、問題の経過がありますから、あとで事実関係について明らかにする部分については担当の大臣の御答弁をいただく、こういうふうに考えております。
 まず、今度の問題について一番重要なことは何かと申しますと、国民がその健全な常識に基づいて判断をするときに、政治上に非常に間違ったことが起きておる、こういうふうに感じておると思うのであります。そこでわれわれ政治に関与いたしております者としては、国民が間違ったことが起きたと思うこういうことに対して、当然何らかの処置をしなければならない責任があると思うわけであります。そこで、このことは単に政府なりいろいろな人の責任を追及すればそれで足りるかというのに、私はそれでは足りないと思うのであります。責任を追及することはもちろん必要であります。
  〔青木委員長代理退席、委員長着席〕
しかし、その責任をいかにはっきり感じたとしても、そのことが今後の政治の上に正しく反映をされるかどうかということが実は問題なのでありますから、私は今回は単なる責任の追及をするということでなくて、まず今回起きた事実をひとつ明らかにいたしまして、そうしてその事実を明らかにした中で原因を探ってみなければならぬと思うのであります。そうしてそれとともに、その責任の所在というものが一体どこにあるかということを含めて問題を明らかにしなければならない、こういうふうに私は考えるわけであります。
 私も長く選挙制度審議会に出ておりますけれども、特に選挙区制の問題を論議するときに最近しばしば言われておりますことは、これまでの選挙違反が起きておるのは一体何によるかというと、これは個人の選挙が行なわれているからである、すべからく政党の選挙に変えることがこれらの選挙を公明化する一番大事な問題であるということで、それが区制を変えようという一番大きな問題点になっているわけであります。ところが、今度の東京都の選挙を見て私たちが感じますことは、この東京都の選挙は言いかえれば一名を争う選挙のあり方でありますから、選挙の区の大きさは非常に大きいものになっておりますけれども、まさに概念的には小選挙区の体をなしておる選挙のスタイルであります。そうしてそういう選挙のスタイルになったとするならば、本来そこでは個人の選挙というよりも、政党としての選挙の争いが行なわれる姿になっておったはずであります。今回の選挙におきましては、東さんは自由民主党の推薦候補であり、さらに私どものほうの阪本勝氏は日本社会党、民主社会党の推薦の候補者であります。ですから、なるほど地方の小さな市の選挙等の場合にはそれほど政党の問題はないかもわかりませんが、少なくとも東京都という日本の首都における選挙でありますから、これはまさに自由民主党と日本社会党、民主社会党の政党の選挙にきわめて近い姿であったことは間違いございません。この選挙の中で一体何が起きたかといいますと、私どもが国民に対して一番遺憾だと思いますことは、この政党の選挙をやる際に政党みずからがあやまちを犯したということであるならば、国民は一体何を信用して今後政党本位の選挙を求めるということになるのか、大きな疑問があるわけであります。私どもはこの問題について、率直に申しまして、一体だれが答えるのかと考えてみました。自治大臣は、自治大臣としては選挙法の改正等についての主管相であるかもわかりませんし、公安委員長としては警察方面における責任者であるかもわかりません。法務大臣は検察あるいは法律等の面で責任者であるかもわかりませんけれども、問題はきわめて政治的でありますから、これらの政治的な問題に答え得る立場というものは、私はやはり内閣総理大臣でなければならないと思います。憲法六十六条の定めるところによって、私たちは、このような高度に政治的な問題については内閣総理大臣が答えられてしかるべきだと思います。
 そこで、今度の政党があやまちを犯した問題を少し分析をして申し上げますと、これには二つの重大な問題があったと思います。一つは、少なくとも特定の候補者に当選を得せしめる目的をもって法律の定めるところに違反したということは、これは何と申しましても選挙法としてきわめて重大なあやまちでございます。その次にもう一つ問題は、私どもはこれまで選挙制度審議会におきましても、いわゆる当選を目的としない泡沫立候補なるものをいかにして取り除くかということについていろいろと論議をしてまいりました。しかし残念ながらこの問題については、現在の憲法が私ども国民に許しております政治上の自由を拘束することになりかねない問題がありますので、憲法の定めのほうに比重を置いて、私どもはこの問題に取り組んできた経過がございます。ところが、この泡沫候補が立候補できるような条件をまたもや政党の側で行なったということは、これはまさにきわめて重大な問題だと私どもは考えておるわけであります。選挙の公正を守るために、そうして政党本位の選挙を進めたいということを常々主張しておられる政党の中から、選挙を乱すようなことをあえて行ない得る条件をつくって、そのことによってこれらの政党本位の選挙から逸脱をして、いろいろな適当でない各種の行動を起こすような候補者が立候補できることを許すことを政党がその一端をかついだということになるのであれば、政党本位の選挙というものに対して一体国民がどう考えるか、これは私は現在の政党自体が真剣に選挙というものについて反省をしなければならないことではないかと考えるわけであります。私たちは現在は政党政治としていまの政治を担当しておるわけでありますから、まず個人々々の政治家に対する不信がたとえあったにいたしましても、政党に対する不信が国民の中に広がっていくようなことになりまするならば、もはや民主政治というものの今後の発展は期待できないのではないかと思うわけでありますから、この問題の重大さというものは、単に今回の東京都知事の選挙という問題ではなくて、日本の今後の政党政治、民主政治について非常に大きな汚点を残しておると思うのであります。そこで私どもは、一内部の職員であったにいたしましても、この職員が相当長期にわたって実は自由民主党の職員であったということ、さらに自由民主党の職員として、職員の幹部的な位置にあった人が前回の総選挙において多大の買収を行なって、第一審の判決においては禁錮並びに五年間の公民権の停止がすでに言い渡されておるという、この二つの事実を考えてみますときに、私は自由民主党が少なくともその職員に対して、党の規律をはっきりさせるような態度をとられなければ、国民としてはこの問題についてますます不信を広げるのではないかというふうに考えるわけであります。今回三党によって選挙法の一部を改正をする問題が出ておりますけれども、私たちは、制度を改正する前に、今回ありました問題が、単ににせ証紙であるとか、あるいははがきを買ったとかいう個々の問題の前に、もっともっと重要な、そうして現在の政治の核心に触れる問題があるというふうに感じておるわけでありますから、その意味におきましては、私はこれらの私の申し上げておりますことについて、国民が疑っておるいろいろな問題に、政党の責任者としての立場から池田さんが率直な見解を述べられることなくして、新たな制度を考えることは全然無意味である、こういうふうに感じるわけでございます。
 そこで、少し事実関係についてこれからお伺いをいたします。お答えをいただくのは自治省あるいは法務省、どちらの関係の方でもけっこうでございますが、まず最初の第一点は、松崎氏はいつから自由民主党の事務員であったのか、その党内における経歴というのは、どういう経歴であったのかをお答えいただきたいと思います。
#4
○中垣国務大臣 お答えいたします。松崎が党のいかなる立場にあったか、また党との関係、経歴等についてでありますが、東京地検よりの報告によりますと、松崎長作は、昭和二十七年改進党事務局職員となったのをはじめといたしまして、昭和二十九年、当時の日本民主党宣伝局主任、昭和三十一年保守合同の際、自由民主党本部広報委員会事務主任となり、その後昭和三十五年九月、現在の肩書きである自由民主党本部事務局全国組織委員会事務主任となったのであります。この全国組織委員会事務主任という職責は、委員長や副委員長のもとで、自由民主党本部と全国の支部その他団体との連絡及び党の組織等の事務を担当する職務に携わっていたようでございます。
#5
○堀委員 私がいまの事実関係でよくわかりませんのは、その組織委員会の事務主任が、この東選挙の関係を担当するということは一体――これは法務大臣、自治大臣でお答えできるかどうかは別として、どうしてそういう職員が選挙に関係をしたのかどうか、よくわからないのですが、その点がわかりましたらお答えをいただきたいと思います。
#6
○中垣国務大臣 このたびの統一地方選挙に際しまして、自由民主党は、総裁をはじめ党の職員に至るまで、統一選挙のいわゆる政党の政治活動並びに選挙運動に携わったと思います。松崎もその一人でありまして、先回の予算委員会におきまして、総理大臣が、松崎に悪いことをせよと自分は言った覚えはない、ただし統一地方選挙に際して、一つみんな大いに協力してやってくれというようなことは、これは全党員に対して言ったことであって、そういう意味で、松崎君も党の職員の一人として携わったと思う、こういうことを言っておりますが、私もそのとおりであると思います。
#7
○堀委員 そうすると、別に特定の関係がなくても、自由民主党は当時東選挙に総力をあげておったのであるから、どの部局におる者もすべて東選挙の仕事をしたというふうにいまのお話で理解をいたします。
 そこでもう一つお伺いをいたしたいのは、この間、前東京都副知事の某なる者が、これは買収の容疑をもって逮捕されたように聞いておりますが、この人は一体東選挙の何に当たるのか、出納責任者、総括主宰者、あるいは実質的な出納責任者、総括主宰者、その他、私どもが法律的に選挙上における責任の範囲を確定する場合における東選挙の中の位置は、一体どういうことであったのかをお伺いしたい。
#8
○中垣国務大臣 地検からの報告によりますと、岡安彦三郎氏は、前に東京都の副知事をしておったものでありますが、それを退職後に都同人会――かつて東京都の職員であった者が、やめてから同人会というものを組織いたしておりますが、その同人会の一人でもあったようであります。なおまた、別に東龍太郎氏の後援会の事務局長もやっておったようであります。ただいま御指摘のとおりに、逮捕されました容疑といたしましては、その同人会に対して金額を供与した買収の容疑でありまして、総括主宰者であるとか出納責任者であるということは、ただいままでのところそのような報告は受けておりませんが、これは御承知のとおりに、その実体につきまして、たとえば部分的といいますか地域的といいますか、そういう影響力がどうであったかということを調査しておりますので、今後検察当局の調査を待たなければ、ここではっきり申し上げることはどうかと思うのでありますが、ただいままで私が入手しました資料によりますと、特別、たとえば届け出をした出納責任者であるとか、そういう地位にはなかったようであります。なおしかし、事実につきましては調査中でありますから、できるだけ早い機会に真相を明らかにしたいと考えております。
#9
○堀委員 今度の問題の中で、私は前段で申し上げましたように、買収自体については、現状では政党の職員が直接関与しておられないようでありますけれども、今後の経過いかんによっては、これはまだ私はわからないと思います。そこで、まず前段の証紙であるとかはがきを買ったとかいうようなことは、さっき申し上げたように、具体的な事実としては大したことはないのですが、本日の新聞紙上にも、自治大臣のお話として、今後は法定費用の半分を供託したらどうだろうかというような御意見が出ておりましたけれども、私は、選挙のためにある特定の候補者を妨害しようという意思が働くようなことが起きるならば、たとえ法定費用の半分であれ、同額であれ、倍であれ、金を出す人の側がその目的を達成するための手段として利用するということになれば、このことは金額の問題ではないのではないか。要するにこれらの諸君が立候補して、今回の東京都の知事選では一対十一の選挙といわれたわけでありますけれども、そのようなことをやらせる金を供給する側の人たちに問題があるわけであります。出る者はもちろん問題でありますけれども、この人たちは何らかの利益を得るという目的なくしては出ないわけでありますから、私はこの問題は、供託金の額の問題としてだけ理解をするわけにはいかない、こういうふうに考えるわけでありますけれども、この問題について自治大臣のお考えを聞いておきたいと思います。
#10
○篠田国務大臣 いわゆる泡沫候補問題を、だれかが何らかの目的を持ってやらしておるというふうに解釈すれば、ただいま堀さんがおっしゃったとおりのことであろうと思います。しかもそのうしろにおる者が非常に大きい者であるという場合には、いまおっしゃったことは成り立つと思います。私たちは――私たちと複数で申しましたが、実は私はそういうふうには考えておらないのです。ということは、私の選挙でもずいぶん泡沫候補が立つわけです。どのくらい一体この連中は票を取れるのかと思っておると、本人は真剣になってやっておる。それで、よく立ち会い演説の控え室なんかで、君たち一体幾ら取るつもりだということを私は聞きました。そうすると相当のことを言う、おかしくてしょうがない。君はほんとうにそう思っているのか、君その十分の一取ったら東京へ帰っておごってやろうというような話をしたこともありましたが、やはり僕らの思っているとおりで、その十分の一も取れない。ところによって違うかもしれませんが、そういうような候補が北海道の第四区におきまして、この前の選挙のときには相当立ちました。少なくとも四、五人立った。そういう実情を私はまのあたりに見てきまして、それはだれが立たしたのだというふうにももちろん考えないし、やはりあの連中はあの連中なりに自信を持って、ひとつやろうというふうに考えておるのじゃないか。私は今日までのいろいろな状態から見まして純粋にそう思っておりますし、ほんとうに泡沫なものに金を出させて妨害をしてみたって、その泡沫候補自身の力が弱いのですから、何もたいした妨害にならないだろうというふうに思っております。あなたのような考え方をすれば、もちろんあなたのような理屈になります。しかし私はいまの泡沫候補というものは、結局ある特定の人をとりましても、自分が立って、自分の子分も立たして、そのはがきを集めて売っております。それで何がしかの金をもうけたのでしょう。ところが、そういうものを売ってもなおかつ損をするというような制度にしていけば、犯罪を犯して損をするのですから、だれもやらなくなる、またそのはがきというものをなくしても、私は考え方によってはいいのじゃないかというような、純粋な意味の泡沫候補を整理するという立場から、私の意見は申し上げておるわけであります。
#11
○堀委員 いまのあなたの発言は、私は非常に重要な問題に触れておると思うのです。と申しますのは、私は泡沫候補には二通りあると思うのです。一つは、いまあなたのおっしゃったように真剣に選挙を考え、自分も日本国民の一人として被選挙権がある、ひとつ衆議院の選挙に出て当選をしようという、真剣な考えに基づいて出ておる人は、結果としては泡沫候補であるかもしれませんが、私はこれはりっぱな選挙だと思います。それはなるほどその人の能力、あるいはそれを支持する政党、各種の基盤があるかないか、客観的にはいろいろな問題があるかもしれません。しかしあなたがおっしゃるように、十分の一も取ったら東京でおごってやろうというのは、率直に申して、自治大臣としてあなたのおっしゃり方はたいへん誤りであると思うのです。真剣である人なら、ひとつがんばっておやりなさいというのが、私ども政治家のお互いの立場ではないでしょうか。当落だけが問題ではなくて、その中で政治運動をして、その人が一般の大衆にどう評価されるかという、その過程に意味があるのであって、得票だけに意味があるというのならば、選挙というものの現在の民主政治の中に果たす役割というのはたいしたことはないと思うのです。私はいまの考え方、当落がすべてを決するという考え方が、現在の日本の選挙を毒していると思う。民主政治というものはそういうものではなくて、国民が持っている権利をやはり最大限に使い得る立場を、われわれも保障してあげなければならぬと思うのです。だからそういう意味の泡沫候補を制限をするということは、私は憲法の問題に関連があると思うのです。しかし一方、もう一つの泡沫候補というのは、泡沫候補とは言いながら、これは御承知のように、現在日本では数名の特定の者があるわけです。全国の参議院の地方区に出てくる、あるいは県知事選挙に出てくる、各地に出てくる者は、これは一定の目的を持って出ておるわけでありますから、それとさっきの泡沫候補とは、きちっと区別をして考えていただきたい。そうすると、東京都の場合の今回の選挙をずっと調べてみますならば、そのほとんどは実は後者のほうです。前者の純粋な意味における泡沫候補というものはほとんどなくて、私どもの判断としては全部後者に属するものが多い。そうなると、なるほどはがきをやめれば、あるいははがきは売れなくなるかもしれません。しかしある特定の候補者の投票を得せしめ、その他の特定の候補者の得票を得せしめざる目的をもってするということが、さっき申し上げた当落にすべてを集中してくるならば、多数の者を妨害的に出してくる場合に、要するに言論によって立ち合い演説会で論議をしたい、少なくとも私どもは立ち合い演説会の瞬間というものは、二十分なければ自分たちの政策なり政見を述べることはできないと思いますが、それが人数がたくさん立候補したから十五分になる、十分になるということは、そのことの中に、言論をもって強く訴えることのできる側の候補者に不利益をもたらす手段になるわけでありますから、買収のために使う金があるならば、そのことによって、買収をするよりも、相手方に不利益を与えるために、特定の候補者に金を出し得ることは私はできるんじゃないか。ですから、いまの泡沫候補の問題については、問題が二つあるということをひとつ自治大臣も十分お考えをいただきたい。その上で対策を講じるのでなければ、供託金が非常に上がりましたならば、善意なる者が締め出されて、悪意ある、さっき申し上げた後段のほうの泡沫候補は何ら痛痒を感じないという現実の姿が起きるのではないかという感じがいたしますけれども、自治大臣はこれについてどうお考えでしょうか。
#12
○篠田国務大臣 私が東京に帰っておごってやろうといった、ひやかし半分のような態度できわめてまずい、こういうお話は、それはそこだけをとって批判すればそういうことも言える。しかし二十日間一諸に立ち合い演説会をやって、一緒に飯も食い、また宿屋も同じところに泊まり、裸で風呂にも入る、そうなると、泡沫候補といえども二十日の間には友人になっています。そこで懇意になって話をすることは、別に私は不謹慎でもないと思います。ただ私が申し上げたことは、そういった泡沫候補について経験した実態について申し上げたわけであります。かりにだれかが泡沫候補を立てたとしましても、私の選挙区においては、少なくともそれによって妨害されたり落ちたりする者はありません。そういうところですから、そういうふうな、後者のような泡沫候補というものは私は見ておりません。
 それから今度の東知事の選挙は、実は私北海道を受け持っておりまして、実態を見ておらない。しかし、それじゃだれが妨害するために泡沫候補をたくさん立てたかということになると、あなた方はそういう想像をしておられるようでありますが、これは真相をはっきり究明した後でなければ――そういうことは考え得ないわけではないかもしれないけれども、直ちにそれがそういう目的で立ったというふうに判断することは、少なくとも早計ではないかと私は考えます。
#13
○堀委員 私は、だれかが立てたとかいうふうには言っていない。ただ、その人たちが立候補する意思を持つようになる条件を提供しておることに間違いはない。それはこれからの調査の結果によるでしょうが、すでに根本某なる人も逮捕をされておりますね。この根本某という人が逮捕をされた要するに理由、逮捕をするには理由がなければならぬ。その理由はどういうことでございましょうか。
#14
○中垣国務大臣 根本君は、御承知のとおり、目下、逮捕いたしまして、身柄を拘束して捜査中でございますが、その逮捕の原因になりましたのは、東京都の知事の選挙ににせ証紙事犯が発生いたしまして、その捜査中に派生的に千葉県の知事、これはこの前の前の、加納・柴田の知事選のときでありますが、そのときに金員を送って買収をした疑いがある、そういう新しい容疑が出てまいりましたので、それを糾明するために逮捕をして捜査をしておる、こういうことでございます。
#15
○堀委員 聞くところによりますと、あのときの選挙にも、実は今回立候補したと同じ者が立候補をしておるようであります。いま自治大臣は、事実はまだわからないからとおっしゃいます。それはそのとおりかもわかりませんが、やはり泡沫候補というものの見方の中には、自治大臣がどういうふうにお答えになってもそれはかまいませんが、国民は、いま私が申したように理解をしておる者が多いと思うのです。私も実はそういうふうに理解をしております。そこで、私どもがこの選挙の問題について考えなければならない一番大事なことは、なるほど選挙は、さっき申し上げましたように、当選を目的としておるわけでありますから、当然当落の問題というものは非常に重要でありますけれども、片面、いまの選挙に日本の場合に欠けております重要な問題は、たとえばスポーツで申しますならば、これは集団のスポーツをやっておると同じだと私は思うのです。そうして、たとえば野球なら野球をやっておる。その中には、やはりキャプテンもいるし、その他の諸君がいて、そして試合をやる。そこで、なるほどキャプテンはフェアでないことをやらなかった。しかしそのゲームの中で、ゲームに参加しておるだれかがフェアでないことをやった。そうして、スポーツに勝った。いまのスポーツの世界では、少なくともフェアでないことをやって勝っても、それはほんとうに勝ったとは、形式的にはともかく、理解はされないわけです。最近日本でもスポーツは非常に盛んになっておるわけですけれども、選挙もやはりフェアにやるということが一番大事なことで、要するにいろいろと運動会や何かのときに、いろいろな方が来て子供たちにあいさつをされるときに、この運動会であなた方が勝たなければならぬと思ってやる必要はありません、あなた方が自分の力を十分に発揮をするということの中にきょうの運動会の意義があるということを、たいていの運動会では、校長さんとかいろいろな人があいさつをされるときに、そういうあいさつがよくされるわけです。子供たちに向かってはそういうことが述べられておりながら、最も大事な、スポーツと申しては語弊がありますけれども、民主主義の選挙という中で、スポーツでさえもこれだけのフェアな問題が要求されておるときに、キャプテンは、自分がやらなかったのだから知りません、ほかのだれかがやったんで、それについてまでは責任が負えませんという態度は、フェアにものごとをやろうという全体の空気がないことに問題があるのではないか、私はこういう感じがするわけです。そこで私どもは、まあどぎつい言い方でいえば、この前辞職勧告をしたらどうかというような意見もあって、法律的にはそんなことはできませんという御答弁がありました。しかし私どもが言いたいことは、そういうような法律の問題として私どもが選挙の問題を論ずる前に、やはり国民の道徳といいますか道義的な問題の中で、フェアな問題が要求されておるものについてフェアでなかったときには、それらに関与した人はどういう態度をとるべきかという問題が残されておるのではないか、こういう感じが私はするわけです。そのフェアでない問題にも、今度は順序があると思います。いま、言論文書による運動と、それから買収等の悪質な問題と、二つあって、言論文書による問題については比較的世論もゆるやかに問題を見ておると思うのです。買収のほうを強く見ておると思います。しかし私は、買収のしかたというものはいろいろあるのではないかということが今度は非常にはっきりわかりました。ということは、投票する人たちを買収するしかたも確かに一つの買収であります。しかし、そうではない者を買収することによって選挙を妨害するということは、やはり私は、選挙法にいうところの買収と同じだというふうに理解をするわけですが、これについて、その買収のあり方、私が言った後段もやはり広い意味の買収と理解をするかどうか、この問題をひとつ、これは法務省でしょうかね。どっちでもけっこうですが、お答えいただきたいと思います。
#16
○篠田国務大臣 選挙全体の問題でもありますから、私から先に申し上げます。
 ちょうどスポーツ――運動会とかあるいはまた野球の試合、対抗勝負等に行って、私も野球連盟の会長をしておりますが、やはり勝つだけが目的じゃない、いかにフェアに自分の実力を発揮するかということが大切だ、こう言います。私自身も選挙の始まりますときには、もう最近は言いませんが、やらないから言わなくなったが、初めの間は、違反をして当選をするよりも違反のない落選のほうがいいんだ、だから諸君は違反だけは起こすなということを、ぼくは自分の選挙区の関係者にいつも言っておりました。そこで、さっき野球の話がありましたが、野球の場合は選手が九人でやっています。だから、その選手九人の中に違反があれば、これはもう間違いなく失格です。ところが、選挙のときには九人だけの選手ではなくて、やじ馬が何百人と入ってくるわけです。そうすると、そのやじ馬が悪いことをした場合に一体選手は失格するかどうかという問題が、野球の場合と違う大きな問題ではないかと思います。そこでやはり警察当局なり検察当局なりが調べてみて、そのやじ馬が選手と気脈を通じ、あるいは選手の請託を受けてやったかどうかということが問題になってくるのであって、選挙の場合は非常に問題が違うと思います。それからもう一つ、スポーツの関係は、非常に卑近な例としてはけっこうでありますが、日本の国の政治というものを背負って立って、国民生活の立て直し並びに国際的には世界平和建設のための一員としての国の代表を選ぶ場合と、単なるスポーツの場合とでは、よほどここで慎重に考えないと、スポーツの場合は失格するから、そのようにしたらいいじゃないかという思想がもし国民の中に伝わるということになると、いわゆる国民代表である議員の立場というものは非常に軽視されるのではないか、こういうふうに一応考えるわけであります。
 最後の、選挙に勝つための有権者に対する買収行為も、これも買収である、相手を落とすための買収行為というものも、もちろん買収である、こういう御説であります。金をやれば私は全部買収ではないかと思います。しかし、法律上は、選挙の得票を得るための買収を買収といっておって、妨害のための買収は、選挙の妨害か何かそういう罪になるのではないか、私は法律家ではないので、その点は非常に弱いわけでありますが、そういうふうに私は考えております。しかし、事実は買収だろう、それはもう間違いないだろうと私は思います。しかし、ほんとうの法律家がそれをどういうふうに解釈するかということは、私にはちょっとわからないのであります。
#17
○中垣国務大臣 お答えいたします。堀さんが先ほど御指摘なさいましたように、非常に重要な問題に触れておられると思うのでありますが、その前に、私、泡沫候補という言い方が適当かどうか、これはもうお許しをいただくことにいたしまして、その泡沫候補にも二通りあるという解釈をしておられると思うのでありますが、私も実は、そういうふうに解釈をしなければならないような、そういう選挙もあるというふうに考えております。お互いに自分の選挙等では、私はそういうことは記憶がございませんけれども、このたびの東京都知事選におきまして、泡沫候補かどうか知りませんけれども、そういうふうに解釈されてもしかたのない候補者があったということは認めざるを得ないと思います。
 それからもう一つの、直接有権者を買収するのでなく、たとえば特定の候補をば勝たせる、当選せしめる目的を持ったそういう候補者に対する支援とか、あるいは立候補の協力援助とか、そういうことはやはり買収ではないかという御指摘でありますが、これは私もそういうふうに解釈をし得る場合があると思います。そのことは、具体的にそれでは今度の東京都の知事なり千葉県知事なりの泡沫候補と申しますか、その候補者のどれが当たるかというお尋ねだとお答えができませんけれども、これは事実関係を十分調査しなければなりません。法律解釈については慎重にやらなければならぬと思いますけれども、ただいま御指摘のような場合があり得る、そういうふうに私解釈をいたしております。したがいまして、慎重な態度でそれらの問題は決定していきたいと思っております。
#18
○篠田国務大臣 実はあまり条文に詳しくないものですから、きわめてあいまいなお答えをして申しわけありませんが、いま事務当局から条文を示されました。第十六章罰則、第二百二十一条に「買収及び利害誘導罪」というのがありまして、「左の各号に掲げる行為をした者は、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五万円以下の罰金に処する。」その中の一に、「当選を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて選挙人又は選挙運動者に対し金銭、物品その他の財産上の利益若しくは公私の職務の供与、その供与の申込若しくは約束をし又は饗応接待、その申込若しくは約束をしたとき。」とありますから、明らかに買収でございます。
#19
○畑委員 ちょっと関連。いま選挙人または選挙運動者とおっしゃったのですが、たとえば肥後亨の場合、肥後が東京都の選挙人でないときは、東さんの選挙運動者になるのかどうか。
#20
○松村(清)政府委員 私もまだ研究不十分ですが、金をくれてやったほうが、当選を得る目的、得しめる目的、得しめない目的、そういう目的を持ってやった、そして金をくれてやった相手方が選挙人である場合、これは必ず該当しますが、選挙人でなくても、おそらくいまお話のような場合は選挙運動者という概念に入るだろうと思いますから、買収罪になるように解していいのじゃないか。これは私ども研究しなければなりませんが、そういうふうに……。
#21
○畑委員 そうすると、東さんのほうの選挙運動者……。
#22
○松村(清)政府委員 だれの運動者に限らず、選挙運動者と認められれば……。
#23
○畑委員 だれかの選挙運動者ということになればひっかかるが、それにならなければひっかからない。別に新たに条章を設けなければ……。
#24
○松村(清)政府委員 たいていの場合、選挙人か選挙運動者のどっちかにかかってくると思います。
#25
○堀委員 私が疑問に思っておりました点の一つは、今後御検討はいただくとしても、方向としては私は明らかになってきておると思うのです。ですから、今回のはがきを買ったということ、このこと自体もやはり明らかに買収につながっておる。その買収をどう理解するかという点には問題がありますけれども、はがきを買ったというのは、はがきの代価という関係ではもちろん問題がありますが、はがきを買ったその資金が彼の選挙運動を利しているわけでありますから、その選挙運動が特定の候補者の当選を得せしめない目的を持って行なわれているということになるならば、私は今回のこのはがき事件というのはやはり買収であると考える。おそらく根本某という者が逮捕されてきた原因というのは、先ほどのお話だけではわかりませんが、そういう問題に関連をして、千葉県知事選における買収事犯という、問題の認定の仕方をされているのではないか、私はこういう判断をするわけです。ですから私が前段で申し上げたように、自由民主党の事務局員なるものが、単に証紙をつくったとか、はがきを買ったということ以上に、政党の職員として今回の選挙で重大なる、最も悪質なる過誤を犯している。その過誤の中には、先ほど申し上げましたように、政党本来の選挙の姿をそこなうだけでなくて、選挙本来の買収というきわめて重大な問題についても関連してきているという点で、私は今回のこれらの問題は、日本の選挙界においてかつて見ざる重大なる政治的な問題として問題を提起をしている、こういうふうに考えるわけであります。ですから、その点については私はさらに、さっきの岡安という人が買収容疑としていま資金関係をおそらく追及されていることだろうと思うのでありますけれども、やはりその資金関係を追及していく中では、またもや政党に波及するのではないかということを実はおそれているわけであります。私どもも政党員でありますから、いかに反対党であれ、政党が不名誉をこうむることについては決して快く思うわけにはいかないわけであります。日本の政治を正しく発展させるために、お互いに政策の相違をフェアに論争することにおいては、これはわれわれの任務でありますけれども、相手方が不幸な状態にあるときに、その不幸に対して私どもがかっさいをする意思はありません。ですがしかし、そのことはそのこととして、政党自体は、今後これらの問題については、ほんとうに国民の前に真剣に、再び繰り返さないという保証を与えることなくしては、次の選挙にわれわれ臨むことはできないと思います。そういう意味で、これらの問題は、単に事実関係をつまびらかにし、その責任を追及することによって足りる問題ではないので、自由民主党の総裁である池田さんが、やはり当委員会に出てこられて――本日の会議録を一回お読みになった上で、私は無理に要求をするのではなくて、自発的に総理大臣が、今回の選挙法を改正しようというその段階においては、この席に来られて、私が今日申し上げたいろいろな問題についてお答えをいただくのが、政党政治を正しく発展させるための正しい態度ではないか、こういうふうに判断をするわけでございます。その点をひとつ十分お考えをいただくこととして、私の質問はこれで終わります。
#26
○辻委員長 次に井堀繁男君。
#27
○井堀委員 法務大臣がお急ぎのようですから、先に法務大臣に関係したことをお尋ねいたします。先ほど同僚の堀さんからお尋ねのありましたことに関係した問題を先にお尋ねをしようと思います。
 今回の統一地方選挙の結果、かなり悪質な選挙違反が続発したと新聞などでは警告的な記事を掲げているわけであります。まことに遺憾千万と言わなければなりません。ことにこの委員会では、選挙法の改正をかつて審議会の答申を中心に熱心に検討をして改善をいたしたと思いますが、その結果は、統一選挙では、全く無意味に終わったのではないかと思われる悲観的な結果があらわれている。さらに私は、この責任を痛感いたしますとともに、いかに法律の改正に努力をいたしましても、行政の面でこれが生かされなければ全く意味をなさぬじゃないか、といって、今回の悪質違反が続出したことは行政の責任だけとは申し上げませんが、しかしかなり行政上の立場からも責任を感じ、反省すべきものが数々あったと思うのであります。この点を率直にきょうはお聞かせいただきたいと思っておったのでありますが、何か御予定があるようでありますから、長い時間御迷惑だと思いますから、要点だけ御答弁願いたいと思う。
 その具体的な事例として、東京都知事、福岡県の知事選挙の際のにせ証紙事件が浮かび上がって、国会でも大きな問題になろうとしておるわけであります。しかもその内容は、先ほど質疑の中で明らかにされたように、天下の公党、ことに政党政治の際における内閣首班の責任を負ういわゆる与党の中から、党員がそういうものに参画したということは、政党政治に対する自殺行為だと深く反省しなければならぬと思うのであります。日本国憲法の前文に厳然として規定しております、国民の正当な選挙によって選ばれた国会が国民を代表してわれわれの幸福並びに子孫の幸福のために行動するということは、決して飾り文句ではないはずであります。こういう点からも、私は東京都知事あるいは福岡県の知事選挙にこういう事態が起こったということを、簡単に取り上げるべきではないと思うのであります。ことに冒頭に申し上げましたように、今日の議会政治は政党によって運営されていることは事実であります。政党政治であります。政党が責任をとらないような政治は、これ以上の堕落はないと思います。でありますから、政党が責任を痛感しないようになりましたときは、この憲法の条文は全く無価値なものにおちいると思うのでありまして、こういう点で、今回の問題は私は重視さるべきだと思うのであります。特に、たまたま法務大臣と私ども、この委員会で仲間でありますから、あなたのお気持ちはよく理解できるのであります。悪くいえば、たいへん不運なときに法務大臣になられたことを御同情申し上げる。これはあなたの立場からいたしましても、軽々に処理すべき問題ではないと思うのであります。ことにあなたの所属する政党から出ておるのでありますから、いわば涙をふるって馬謖を切るということわざどおり、たいへんな立場に追い込まれてお気の毒に思っております。しかしこれは日本国将来のために断固として国民の前に事態を明らかにすると同時に、信賞必罰は議会政治の最も重要な責務の一つでもありますから、こういう点は私どもは今後真相がだんだん明らかになってくると思いますので、それと並行して、いなそれに協力をいたしまして、政党政治の実をあげ、日本の議会政治を守っていかなければならぬと思うのであります。そういう意味で、大乗について、いろいろな犠牲もあえてしのばなければならぬと考えましてお尋ねをしておるわけであります。そこで私どもは、そういう観点からこの問題を取り上げるのでありまして、統一選挙が結局悪質の違反がかなりたくさん出ている、それをできるだけ詳細に、早い機会に、あなた方の行政上の責任限界において、資料をこの委員会に御提出をまずお願いいたしたい。そして事実に基づいて検討をまずする。
 その前に、総括的なものでお尋ねをしておきたいのは、審議会の答申の中にありましたように、私どもの望むところではありませんけれども、制裁規定を強化して選挙の粛正をはかろうとしたことは、選挙法改正の一つの大きな眼目であったことは事実であります。ところが、その制裁規定を強化したけれどもその効果があがらないということになりますと、二つの問題が出てくる。一つは、行政上に何か手落ちか盲点があったのではないか。一つは、公明選挙運動を推進するための国民運動の上にも問題があると思うのでありますが、その後者はいずれかの機会にお尋ねをするとして、その前者についてひとつ行政責任者として率直な御意見を伺いまして、時間の許す限り具体的な点を一、二お尋ねいたしたいと思います。
#28
○中垣国務大臣 お答えいたします。井堀さんがいろいろ御指摘になられましたように、このたびの統一地方選挙につきましては、昨年の九月以来政府といたしまして、民主政治の基盤を築き上げるというような意味から、自由なかつ公明な選挙が行なわれるような公明選挙運動の推進を続けてまいったわけであります。特に政府といたしましては、かつてない予備費等を支出いたしましていろいろやってまいったのでありますが、その結果、今回の東京都知事選に見られるような、ほんとうに過去に類のない悪質な違反が起きたということにつきましては、全く遺憾にたえません。私も昨年の選挙法改正のときには委員の一人といたしまして、この改正をすればおそらく選挙違反というものは非常に少なくなる、特に井堀さんは当時、公明選挙運動を展開するためには五十億、百億の金を投じてもいいというような議論を展開されましたことも私、記憶に新たでありますが、ほんとうにこのたびの統一地方選挙にあらわれました数々の悪質の違反ということにつきましては、政府はもちろんでございますが、十分反省をすべきものだと心得ております。この悪質違反について非常に政府は重要視すべきであるという御指摘に対しましても同感でございまして、この問題につきましては、なぜこのようなことになったのかというような面の調査もいたしております。また事実関係につきましては、資金の関係、背後関係等も徹底的に究明するという考えに立ちまして、捜査陣容も特捜部だけにまかせず、どの捜査部からも検事をそこに集めまして、非常に規模を大きくいたしまして今日捜査を進めておるのでございます。
 悪質選挙違反の資料をできるだけ出してくれということでございますが、これは今後の選挙法の御審議をいただく上にも重要なことだと思いますので、責任を持ちまして資料は提出をさせていただきます。
#29
○井堀委員 資料をいただいてから討議をするのが一番よい方法だと思うのでございますが、きょうはその用意が私にもございませんし、提出もございませんから、一応私の目に触れた、私の調査の範囲内でお尋ねをいたすわけであります。
 抽象的に申し上げると、今度の選挙に対する取り締まりは私はかなり憶病であったと思うのであります。その理由はよく理解ができるのであります。まず第一線で活動しておりまする警察と地方の首長、この関係は私は他の問題でも論じなければならぬと思うのでありますが、この委員会で直接問題になりまする選挙管理委員会の独立性が今日いまだしであります。財政的な援助を受け、人の援助を受けなければ、今日選挙管理委員会は活動できません。すなわち法律で命ぜられておりまする行動に大きな制約があるわけであります。この点はこの委員会の責任でありますから、積極的なその地位の独立のための努力を払わなければならぬ、一つはここにあると思うのです。次の問題は、地方財政の中で警察の置かれておる地位というものはきわめて不安定である。悪くいいますならば、市長あるいは知事にたてつくような行為は、もちろん警察行政の上に大きな影響が起こってくることはあまりにも明瞭であります。この問題を改めるというととは、私は、必ずしも当を得たものとは、いまのところは考えておりませんけれども、そういう牽制があらかじめあるということをたてまえにして、選挙法の執行は厳粛に行なわなければならぬのであります。ところが、そういう点に対して、指導当局である法務大臣は、十分な注意を与えて万違憾なきを期したか。私の目に触れた一、二の具体的な例をあげますと、公然と事前運動をやっておる。しかもばく大な金を使ってやっておる。それは一つには、選挙公営が、国会議員に比較いたしまして地方の議員の場合にはほとんど見るべきものがありません。自治省の資料に見ましても、市で公報を出しているのはほとんど数えるほどしかありません。立ち会い演説ももちろんありません。国会議員の場合は、立ち会い演説もしくは選挙公報などによって、不徹底とはいいながらも、選挙公営の窓口が開けておるのです。地方にはそれがないわけです。でありますだけに、結局勝負に勝とうとすれば、やはり一番有効な手段は、今日の社会においては、所得倍増政策というのがインフレを招いているせいもありましょうが、物価高ですから、かなり選挙費用も多額にのぼるということは言うまでもないのであります。こういう点では、選挙法で規定しております費用の規制などというものは全く無意味になってしまう。事前運動は法で厳重に禁じておるにもかかわらず、手を染めようともされなかった。これはむずかしいといえばむずかしいのでありますが、むずかしい点は、冒頭に申し上げたように、今日の時勢の中に埋没しております警察の立場というものがありましょう。だから、それがいい悪いはこの際問題じゃなくて、その現実の前に、やはり選挙法を厳正公平に、しかも徹底させるという行政上の責任を憲法できびしく命じておるわけでありますが、そういう点では、私は、他の法律の行使と異なって、怠慢、意識的に手かげんをしたというよりは、むしろ見送ったということのほうが現実に近いことばだと思うのです。国民はそう感じております。このままの姿で次の衆議院の選挙ということになりますと、かなり選挙費用を用意しなければ、当落は別として、選挙運動になりますまいと思う。そういう傾向すら、今度の地方選挙の結果感ぜられるのであります。これは私の感じであります。それから理論的には、いま申し上げたような障害があるわけです。あらかじめそういう障害を克服するような立場を前提として、選挙法の制裁規定というものがあまねく徹底するというやり方をするためには、いままでのやり方は間違っていると思うが、何か特別な措置を指導されたのか。私どもの聞く範囲内におきましては、ただ従来通り厳正公平に、かつ徹底的にやるという抽象的な論議を、全国からそれぞれの関係者をお集めになって御指導をなさったということを聞いておる。しかし、いい悪いは別として、日本の国民経済が、インフレの高進しているとき、それから法律制度の上でも欠陥、盲点がある、そこへ選挙制度審議会から期待されました制裁規定の強化は、私は当然、それを実施するときには、そういう障害を克服して、これこれのことをやるべきだという指示が行なわれたはずであると思うのです。行なわれていないかもしれません。参考のためにこれも資料として、選挙取り締まりに関して今回それぞれの機関でいろいろ訓示や指示を出されていると思いますから、秘密は守りますから、そういうものをぜひ御提出願いたい。きょう発表が不可能ならば、文書ででもけっこうであります。できるならば、その点に対する特別な措置はどういうところにあったか、明らかにしていただきたいと思います。
#30
○中垣国務大臣 お答えいたします。ただいまの御質問の中で、都道府県の地方財政の中における警察関係予算の比重等の問題につきましては、自治省の局長さんが来ておられますから、そちらからお答えをしていただきます。
 取り締まりの状況についてでありますが、昨年の九月閣議におきまして、選挙取り締まりについては徹底を期すべきである、地方の選挙自体が衆議院や参議院の選挙の基盤になることであるから、公明化運動を推進すると同時に、あらゆる機関を動員いたしまして選挙の事前運動等については取り締まりをすべきであるという方針に基づきまして、法務大臣におきましても、また国家公安委員長におきましても、それぞれ出先の長を呼びまして、私の場合は検察庁長官会同をいたしまして、検事長並びに検事正、それから各地検における選挙関係の担当検事、そういうものを集めまして、たびたび非常に強く要請をいたしました。そういうことが、結果的に見ますと、悪質犯罪が今度の選挙に非常に新しい形として出ましたので、効果が上がらなかったような印象を国民に与えていると思うのでありますが、実際は、事前運動等は、投票前におきましても、告示前におきましても逮捕するという方針をとっておりまして、全国では相当多数の者が事前運動によって逮捕、捜査をされたのであります。また、これは結果論でございますけれども、検挙した警察並びに検察等が取り扱いました件数、人員とも非常に増加をいたしております。でありますから、選挙法を改正して効果がなかったといいますのは、悪質な選挙違反に対してこれがいえることでありまして、普通一般の選挙法違反者に対しましては、従来の取り締まりにない非常に強化された取り締まり、また、私ども検察行政の中におきましても、身柄を拘束するといったようなことにつきましても、かつてない多数の者を拘束して、実は徹底的にやっている、これが真相であります。
 それで、どういう訓示をしたか、どういう指示をしたかということにつきましては、できる限り私のほうも資料として出すことにいたしますが、これは法務省だけでなく、警察庁におきましても何回もおやりになったようでございまして、大体自然に私どもと歩調をそろえて、どちらが先あとということでなく、改善をいたしましてやってきたわけであります。これは私が法務大臣としてここで公式にどうのこうのというわけではございませんけれども、いままでにわかりました選挙違反者の概要を私が見まして想像いたしますことは、取り締まりそのものはかつてない充実を示しておった。これは警察の段階でもいえると思います。私のほうでもいえると思います。ただ、だんだん選挙違反の内容が、昨年の五月に行なわれました参議院の選挙等と比較いたしまして非常に悪質化している。たとえば買収等の比率等を見ましても、参議院選挙のときよりも今回の統一地方選挙の場合は非常に率が多い。なおまた、参議院の選挙のときに見られなかった傾向としましては、部落ぐるみの選挙違反といったような特徴も強くあらわれております。それから第三者運動と申しますか、どうも出納責任者あるいは候補者、総括責任者といったようなものの利用する、実際はどうかわかりませんけれども、いままでの捜査でいきますと、そういう純粋の第三者運動の悪質な違反も、今度の統一地方選挙には実に驚くほどの数字を示しておるようであります。そういう実態につきましては、今後統計的に最終的には真相を明らかにいたすつもりであります。今後の問題についてはということでありますが、これはやはりかつて昨年あなたが委員会で言われたように、公明選挙運動そのものを、もっと地についた、もっと真剣なものを展開する必要がある、私はこのように考えております。
#31
○宮地(直)政府委員 第一の、警察の財政上の措置から、選挙違反取り締まりについて何らか影響なきやという御趣旨だと思います。これを具体的に申しますと、国の選挙につきましては全額国費でございます。地方選挙の違反取り締まりにつきましては、これは補助金対象になっておる。こういう点からかと存じますが、今回予備費をもちまして補助金を支出いたしましたところ、各県におきましてこれに必要なる経費は追加予算をもって計上いたしております。中に一、二私のほうで、予備費を計上してないがどういうわけだというので点検いたしましたところ、あらかじめ財源等は持ち出しの形において、選挙に必要なる経費はすでに計上してあったということでございまして、財政面における制限というものはございません。
 なお、事前運動につきまして、警察は制度上いろいろ問題があるのではないかという御趣旨でございましたけれども、現在の警察制度は、御承知のように政治的中立性を担保せられる制度になっております。そういう面からにおいての事前運動の取り締まりということに困難性はいささかも感じていない。ただ事前運動の違反の取り締まりの困難性というものは、証拠の収集という点において、これは単に警察当局ばかりでなく、おそらく法務当局におきましても同様の証拠上の問題があるので、これが非常に困難だということだろうと思っております。ただ今回におきましては、この点につきましても、法務大臣も申されましたように、数字的に見ましても、期日前の検挙というものは、やはり従来になく積極的に、結果的にあらわれておるのでございまして、御趣旨の点が、いろいろな見地から見て不十分であったか十分であったかという点には、まだ批判があるかと思いますけれども、少なくともそういう方向にわれわれが努力をしたということは、数字においてもあらわれてきておるところと信ずるのでございます。
#32
○井堀委員 警察の組織なり社会的地位なり、それから地方自治体との財政その他の関係については、問題はたくさんあるところでありますが、それは政策に関連するところが多いのでありますから、これは関係大臣の御意見を伺うことになるので、自治大臣が来たらその点を伺おうと思うのですが、一つは、警察制度の問題に言及したのは選挙との関係において、一方では警察の民主化といいますか、警察と政治権力がいささかも結びつくことがないように厳重な警戒を実はいたしておるのであります。そういう立場からいいますと、選挙に警察をどの程度介入させるかということは、民主政治における大きな課題だとも思っている。でありますから、そういう問題をもわれわれは十分配慮をいたしまして、実は現実の問題をお尋ねしておるわけでありますが、そういう問題を解決していこうということになりますと、せっかく法務大臣も深く理解をしておいでになるいい機会でありますから申しますが、制裁規定を強化して、あるいは罰則で公明選挙を推進をするだけでは、日本ではまだ民主制度が各方面で未熟なんでありますから、だめなんです。その中でも一番未熟なものは、私は警察だと思うのです。警察ほど人民に対する直接的な権力を行使する行政機関は少ない。だからこそ公安委員のような権力と切り離して、人民自身が警察の運営をやろうという制度はまさに画期的なものだと思うのです。しかしそれがいれられない、はなはだしい民主主義の逆行だ、改悪だと何回か国会でも抵抗をした歴史を持っているのですが、そういうような問題がやはりここの場合にあるのです。私どもは現場におってよく理解できるのですが、皆さんは中央から指令なさる、地方の一線で動いております警察署長あるいは関係課長クラスの諸君が、地方の自治民とよほど融和していかなければ、ほんとうの民主警察は生じないと思う。ところが一方では、古い権力の行使を阻止するような強い態勢の中で選挙の違反を取り締まる場合、相手方は大体市会議員、県会議員あるいは市長、知事です。知事に至っては、いろいろな公式の会合で署長や警察の一線部隊におります人々と接触する。こういう人々も人間ですから、そのような関係を十分配慮してこの選挙法の行使を一体実施しておるかどうか、私は常に疑問に思っておる。法では罰則規定を強化しても、結局は隔靴掻痒に終わるというのがここにもあると思う。その問題を克服する義務が皆さんに負わされたわけです。私はそういう意味での民主政治の、特に成長の過程における矛盾は理解しておりますけれども、しかし一度法律できめた以上は、手かげんするなどのことは、行政の地位にある者のなさる行為じゃないはずです。もちろん自由裁量の範囲はそれぞれの法律によってありますけれども、選挙法ほどルーズに運営されておる法律はないと思う。これは国民の声にもそむきます。国会の選挙改正法の精神にも反すると思う。いままでの御答弁で私は大体理解できるのでありますけれども、選挙取り締まりあるいは矛盾をこうして克服しようという画期的な答弁がなければならない。データを出していただけるでありましょうけれども、そのデータだけでは納得はもちろんできぬわけであります。皆さんも地方においでになったことはおありだと思いますが、知事と警察署長がいがみ合ったら仕事はできませんよ。人間ですから……。私の知っておる人の中で、うらみに思っておる人がおりますよ。自分の悪いことをたなに上げまして、その人に言わせると、おれだけじゃない、みなやっておると言う。私の知っておる幾つかの市会で、今度公明選挙を実施するためにそれぞれ議決をしております。その会議の模様をちょっと紹介しましょう。それは、要するに方々で公明選挙都市とか何とかいう宣言をしましたね。そういう御指導をなさっておるかどうか、私はあとで自治省に聞こうと思っておる。そういう決定をした都市があります。埼玉県の都市で、ある市会議員がそれを提案をいたしました。ところが中に勇敢な正直な人がいて、みんな選挙法違反をやっているじゃないか、証拠もあがっておると発言をしたら、それを懲罰にかける、除名するとかで大騒ぎをしました結果、うやむやのうちに公明選挙を決定してしまった。しかし仲間はよく知っておるのです。ところがそれを地方紙が書き立て、その記事が問題になりまして、第二の真相を発表するときに、やみからやみに消えてなくなったという事実がある。ここで私はそれを問題にしようというのではないのです。結局その人たちの心理状態というものは、見つかったのが不運だ――何か警察とうまくやっていなければこういうときに犬糞的な、江戸のかたきを長崎で討つというようなことになる。だからますます警察と地方のそういう関係というものは深くなっていくのであって、それは正しい意味で民主化されていくならいいけれども、選挙法の関係で、むしろ警察の民主化がはばまれようとするという逆コースが出てきていることを私はおそれる。そういう点まで配慮が行なわれて、指導が各警察官あるいは検事に徹底していたかどうかということに私は多大の疑問を持つ。実はこういう点をきょうの質問の中心にいたしたいと思いまして、幾らか事実は持っておりますけれども、いずれひとつ警察のほうと法務省のほうから資料を、そういう意味で出していただきたい。外部に公表するのをはばかりますならば、約束は守ります。しかしそういう事実を中心にして、そういう大きな時代の悩みがあるわけです。その悩みをお互いに理解し合ってこそ前進ができると思っているので質問をいたしております。きょうのところは法務大臣も忙しいようでありますし、資料も出ておりませんから、この次はその資料を中心にして審議をする機会を、委員長にも要望しておきたいと思っております。
 そこでもう一つ、角度を変えてお尋ねをしておきたい問題があるわけであります。それは、今度の改正の中でも一つの画期的なものとしたのは、制裁規定と同時に、これは法務大臣の所管事項にかかる公民権停止の問題を、これは裁判所の仕事ではありますが、その問題についても、私どもはもう少し検討しなければならぬと思うのであります。問題は大赦でありますとか特赦でありますとか減刑あるいは刑の執行の免除や復権などに関する権限を法務大臣がお持ちになっておられる。これの運営のしかたが私は問題になると思うのです。もちろん地方選挙の場合には比較的影響はないんじゃないかと思いますが、国会議員の選挙になりますと、この問題は大写しに出てくると思います。いままでの例を見ますと、選挙違反だけは特に大赦、恩赦なとが――これはもう審議会でも非難のまとになっております。これは私は具体的にだれそれを大赦に、だれそれを恩赦にしたというような問題よりは、そういう行政権を持っておりまする法務大臣の選挙に対する取り締まり方針というようなものが大切になると思うのでありまして、この点の関係が今度の指示事項の中には、新聞などを通じてわれわれの拝見いたすところでは出ておりません。ただ厳重に取り締まれ、公平にやれというだけではいかぬのでありまして、こういう刑の執行に対する免除や復権の権限を握っておられるあなたが、事実の上でどうするかということがすぐ出てくるわけであります。この辺のことも、ひとつこれは資料にしてもらって、資料の中にもそれを示していただきたい。そこで、この問題について実はお尋ねをしたいと思いますのは、これは私どももよくやる手でありますけれども、いろいろ選挙民から頼まれますと――微罪処分というやつがありますからね、署長や検事の裁量の中に。そういうものは、いい意味では、やはりだれもかれも犯人にすることが法の正しい執行とは言えませんから、その辺のかげんがなかなかむずかしいところと思うのであります。特に与党の場合は直接権力と結びついてくる立場にありますから、野党のわれわれは頼むといったって効果が薄いからたいしたことはないにいたしましても、与党の場合はすぐにこれが響いてくる、こういう法の執行の関係で、選挙の中にはいろいろな事実が出てきておる。そういう点に重点を置いて調査をいたしましたことが少しあります。その事実は、もう時間があまりありませんからこれ以上申し上げませんが、その点について何か特に――法務大臣先ほど来の答弁の中にあるように、あなた方も非常によく御存じであります。こういうものに対する、地方選挙の際に何かなさったか、なさらないとするなら、次の衆議院の選挙があることでありますから、これは法律改正を、二百五十二条ですか、一部改正いたしましたけれども、この点で、この次の選挙法の改正の際に参考になると思いますから……。
#33
○中垣国務大臣 お答えいたします。ただいま御指摘になりましたように、選挙違反、特に悪質な選挙違反者に対しまして、私は法務大臣といたしましては、今回の統一地方選挙をめぐりまして求刑基準等を引き上げまして、どちらかというと厳罰主義をとっておるのでありまして、来たる十八日に再び全国の検事長会議、二十四日には次席会議――この次席というのが大体選挙を担当しております。それを呼びまして、特に悪質のものに対しましての法的措置につきましては、厳格な意味におきまして相当科刑を引き上げるという求刑をさせるつもりであります。それから私といたしましては、いままでずっと、参議院の選挙のときの違反者もそうでありましたが、絶えずこの選挙を通じて、政党政治というものを発展、育成せしめる、こういうような気持ちがあったのです。ところがどうも選挙のたびに、先ほど言われましたように政党政治の基盤がくずれる、これはもう非常に重大問題だと思います。今度の東京都知事選なども、政党政治への信を失うような一つの傾向を国民に与えたと思うのです。ですから、こういうことに対する法務大臣としての態度といたしましては、どこまでも厳正公平な態度に立ちまして、悪質違反者につきましては十分な措置をしていきたいと私は考えております。
#34
○井堀委員 法務大臣お急ぎの予定があるようでありますから、法務大臣に対する質疑はこの程度にいたしておきたいと思います。いま質疑応答の中で、言葉は足りなかったのでありますが、気持ちは十分理解していただきたいと思います。特に、にせ証紙事件を中心にいたしまする政党の立場とあなたの立場との、非常な苦しい立場にあることは、私ども理解はいたしております。私心を捨て、あるいは党利党略を離れて、ひとつ日本の議会制民主主義のために、あるいは政党政治の実をあげるために、敢然とあなたの職責を全うしていただきたいことを強く御要望申し上げて、あなたに対する質疑を終わりたいと思います。
 次に、自治省にいまの関係を通じてお尋ねをいたすつもりでありまするが、よく大臣にお伝え願って、この次はちぐはぐのないような御答弁を願いたいと思います。選挙局長からよく伝えて、間違いのないように準備をして御答弁を願いたいと思います。
 そこでいま、今度の選挙でもそうでありますが、一般の関心の的になっておりまする知事、市長の要するに三選をはばむ問題、これは結局、いまの憲法の解釈などで違憲論もあるようでありますけれども、大部分の学者は違憲論は否定的であります。でありますが、聞くところによると何かあなたのほうの大臣は出先で、三選まではしかたがないけれども四選はいかぬというようなことを言っておるようでありますが、その根拠はいずれにいたしましても、それは大臣に尋ねますが、自治省は何かこの首長の選挙に対する三選を阻止するための立法を用意されているとか、あるいは諮問されているとかいうことを新聞が伝えておるのでありますけれども、この点はどこまで進んでおいでになるか、それをちょっと聞かしていただきたい。
#35
○松村(清)政府委員 私が関与しておる限りにおきましては、自治省の内部におきましてはそういうことはございません。ただ自治省の関係のいろいろな機関でありまする地方制度調査会あるいは選挙関係の選挙制度審議会におきましては、特にこの知事の多選問題につきまして検討していきたい、こういうことが議論されていることはございます。
#36
○井堀委員 その点についてもできるなら資料をもらいまして、テンポを合わせていきたいと思います。われわれのほうでもそういう改正の要求を持っておりますので、要求いたしておきます。
 それから次に選挙公営に関する問題は、先ほどの論議の中でも、当然問題になってくると思うのであります。地方選挙の場合の選挙公営というのは、ほとんど見るべきものがなかった。今度選挙法の改正を、各党との話し合いでいろいろやらなければならぬものもあると思うのでありますが、その際参考にするために、選挙公営を――私らの知っている範囲内では、何か三千五百近くある市町村団体の中で七十八市ぐらいが公報を出し、それから大阪、神奈川ですかの首長選挙、そういうもので非常に私どもは効果が上がっていると思うのであります。そういうものに対する調査ができていると思いますが、どれだけの経費を使って、その結果が――まあ結果でそういうものはすぐどんぴしゃり数字でつかめるものではないにいたしましても、その当事者や関係者のそういうものに対する見解などをひとつまとめて出してもらいたい。これは選挙公営に関する一つの資料になるかと思います。
 それからもう一つ、ついでにお願いをしておこうと思いますのは、今度の地方選挙の中で、いろいろな選挙法の運営の関係を通じて、選挙管理委員会と取り締まり当局との有機的な連絡というものが、法律の精神からいえばかなり積極的なものを要請されておるのでありますが、事実上あの地方選挙の場合は、選管の意見を聞いて取り締まるなんということはほとんどなかったと思うのです。その辺の関係については、これは例がいろいろあると思うのです。私の二、三調べたものによると、緊密に連絡したところはわりあいいいものが出ているし、またあるところは別々な、まるきりちぐはぐのものが出ている。これは選管との関係があると思う。そういう点について、今度の選挙を通じて選管の関係、それから取り締まりに対する関係、そういうものについて調査されていると思いますが、そういうものをひとつできるだけ詳細に提出してもらいたい。
 きょうはこの程度要求いたしておきまして、いずれまた大臣が見えてから質問するときに留保しておきます。
#37
○辻委員長 次会は公報をもってお知らせいたすこととし、本日はこれにて散会いたします。
   午後零時二十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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