くにさくロゴ
1962/06/18 第43回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第043回国会 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第8号
姉妹サイト
 
1962/06/18 第43回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第043回国会 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第8号

#1
第043回国会 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第8号
昭和三十八年六月十八日(火曜日)
   午前十一時五十二分開議
 出席委員
   委員長 辻  寛一君
   理事 青木  正君 理事 岡崎 英城君
   理事 丹羽喬四郎君
      安藤  覺君    大上  司君
      仮谷 忠男君    久保田藤麿君
      田中 榮一君    田邉 國男君
      林   博君    藤原 節夫君
      松本 一郎君    井堀 繁男君
 出席国務大臣
        自 治 大 臣 篠田 弘作君
 出席政府委員
        警  視  監
        (警察庁刑事局
        長)      宮地 直邦君
        自治事務官
        (選挙局長)  松村 清之君
 委員外の出席者
        検     事
        (刑事局刑事課
        長)      羽山 忠弘君
        自治事務官
        (選挙局選挙課
        長)      中村 啓一君
    ―――――――――――――
六月十八日
 委員藏内修治君、薩摩雄次君、首藤新八君及び
 長谷川峻君辞任につき、その補欠として久保田
 藤麿君、安藤覺君、田邉國男君及び藤原節夫君
 が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員安藤覺君、久保田藤麿君、田邉國男君及び
 藤原節夫君辞任につき、その補欠として薩摩雄
 次君、藏内修治君、首藤新八君及び長谷川峻君
 が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 公職選挙法改正に関する件
     ――――◇―――――
#2
○辻委員長 これより会議を開きます。
 公職選挙法改正に関する件について調査を進めます。
 質疑の通告がありますので、これを許します。井堀繁男君。
#3
○井堀委員 前回は法務大臣にお尋ねいたしたのでありますが、たまたま、当選挙関係に関する最も重要な地位にあります自治大臣が不在でありましたために、御面相同席で実はお尋ねするほうが適切だったと思いましたが、まことに残念ではありますがばらばらにお尋ねいたしますので、多少私のほうの質問で重複するかもしれませんけれども、そういう事情でありますために、多少時間をとりましてお尋ねをいたしたいと思っております。私のお尋ねをいたしたいのは、実は本委員会でも熱心に討議をいたしまして、地方の統一選挙をぜひ公明選挙の実のあがるようなということを期待しながら、法案の審議の際にもそういうことを念じておったのでありましたが、結果はこれと相反しまして、従来にない悪質違反が続出する結果になったのであります。一体その原因がどこにあるかをわれわれは究明しなければならない立場に自然置かれるわけであります。前回もこの委員会で、選挙制度審議会の答申に基づいて公職選挙法の改正を行なったのも、そこにあったのであります。こういう立場からわれわれの責任をさらに痛感いたしますと同時に、今後の改正について、ぜひ核心に触れた改正をなすべきだという立場からお尋ねをするのでありますから、どうぞそういう立場を十分理解されまして、率直にお答え願いたいと思います。
 そこで第一にお尋ねをいたしたいと思いますのは、問題は、地方の選挙の結果それぞれであらわれております違反事実をまず徹底的に糾明することから始まると思うのであります。われわれはそういう、痛ましい経験ではありますけれども、そういうものを包み隠さず露呈させて、正確な実態を把握して次の改正に取り組むべきだと思うのであります。
 そこで、前回も法務大臣並びに警察庁に要望いたしましたが、取り調べの立場からいろいろな事実を把握されておろうと思うので、そういう目的のために一つ資料を提出願いたい、まあ取り調べ中のものもありましょうし、ことにそれぞれの秘密やあるいは法規による制約などもあろうと思うのでありますが、法規の制約がない限り提出を願う。また法規上の手続などについても、秘密を守る必要がありますれば国会の審議の上で考慮するので、資料の提出を願いたいと思うのであります。そういう考え方でおりますので、資料についても、ぜひ一つそういう目的を十分果たし得るような資料の御提出をまず希望しておきたいと思います。お尋ねすることもそういうところでありますから、どうぞずばずばと事実をお答えいただきたいと思います。
 まず第一に自治大臣にお尋ねいたしたいと思いますのは、さきにも三党が、そういう事態に対する解決の一助にもという考えもあるようでありますし、また次の総選挙を見通して法の改正を協議いたしましたことは、自治大臣も御承知だと思うのです。本来ならば政府が――いま選挙制度審議会に諮問をなさって、近くその答えが出るだろうと思うのでありますが、にもかかわらず、三党がそれに先がけて幾つかの改正を必要とするという意見がある程度高まっているわけでありますが、この辺について、実は私どもは――もちろん三党は独自の立場でそれぞれ検討いたすことも当然でありましょう。それよりは、従来の慣行からいたしますならば、政府がやはりこれに対する法律改正を出してくるのが通例だと思うのであります。三党の申し合わせにこぎつけようとするかの意図も、もちろん理解できるわけでありますが、まずこの点について、なぜ自治省は進んで――三党のそういう動きのあることも考慮されておると思うのでありますが、改正案を出そうとされなかったか。またその必要を認めないとするならば、なぜそういう立場をとるか、伺ってみたいと思います。
#4
○篠田国務大臣 三党の間にほぼ意見がまとまりつつあるということは事実でございます。選挙制度審議会におきましてもまた審議中でございます。そういう意味におきまして、そういう三党でまとまった意見を取り入れ、また審議会の答申も非常に急いでいただいておりますから、私はもう来年の衆議院議員選挙に間に合うように法律の改正をやる、そのためにはやはり各党の意見も取り入れ、審議会の答申も取り入れまして改正案を出したい。いまこの国会におきまして改正案を出すというふうには考えておらない。通常国会において改正案を出せるようにひとつ審議会のほうも答申をお願いしたいということを申してありますから、そういう方針でいっているわけです。
#5
○井堀委員 次の通常国会前に解散があるかどうかということは予断を許さぬことでありますが、しかし三党が一応意見の一致を見ておりまするところは、次の通常国会を待っては時期おくれになるだろうという考え方が前提のようであります。この点の考え方の違いは、あなたも政党人であるし、同時に閣僚の一人でありますから、与党の間の話し合いもあったものと思いますが、ここはあとの三党の話し合いの材料にもなると思いますので、政府のお考え方と与党の考え方が違っているとするならば、われわれはそのつもりで三党の話し合いに応じなければならないので、念のためにもう一度。
#6
○篠田国務大臣 私は政府と与党の意見が違っているというふうには考えておらない。ただこまかい点になってまいりますと、たとえばポスターを公営の掲示場に張るというような問題にいたしましても、東京都のような場合には、一体どこへそれだけの公営の掲示場がとれるのかというような、事務的と申しますか技術的な問題もありまして、多少選管等の意見とあるいは三党の調整されつつある意見との間に食い違いがあると思います。私の考え方は、選管に全部張ってもらいたいという考え方である。ところが選管のほうの集まりでは、そこまではやれない、だからひとつ公営掲示場をつくる、そこへ候補者が行って張ってもらう、そういうふうにいまのところ言っているそうです。そういうこまかいところに食い違いはあるかと思いますが、大筋はそんなに食い違いはないと思います。ほんとうのことを言いまして、まだそこまで意見の調整はしておりません。
#7
○井堀委員 具体的のことについてあとでお尋ねするつもりでありますが、その前提になるところで食い違いがあるとかないとかいう議論ではなしに、事実の問題として、三党がこの国会で改正をぜひやろうという意見と、比較的消極的な意見とあるようでありますが、いずれにしても、積極か消極かの違いはあっても、次の通常国会に時期を見送ることは不適当だという考え方は大体一致しているようであります。あなたは通常国会と言っているところに非常な食い違いがあるものですから、念のために聞いておきたい。
#8
○篠田国務大臣 私は、国会でおやりになることはいつおやりになってもいいと思います。ただ政府はいま、御承知の募り選挙制度審議会に諮問をいたしております。選挙制度審議会とのいろんな連絡をとってみますと、大体この秋ごろに答申を可能なものについては出す、こういうことですから、そうすると、いまここで政府が提案をして通常国会でまたやるということよりも、選挙制度審議会の答申を待って、通常国会なり次の臨時国会なりにおいてやるということが私はいいのじゃないか、こう考えて発言しているわけです。そういう選挙制度審議会とか三党の申し合わせとか等の案がいいものが出て、そしてこの国会に間に合うというなら、別にそれを無理にやらないというのではなくて、私は常識上この国会では間に合わないじゃないか、またそれほどコンクリートされた案も出てこないじゃないかということで、そう考えておるわけです。
#9
○井堀委員 次にもう一つお尋ねしておきたいと思いますのは、今度の地方選挙で著しい一つの傾向としては、自治体に政党色がだんだん強くなってきて、たとえば候補者が政党の公認を取りつけてやる傾向がはっきりかなり強く出始めている。私は、いいとか悪いとかいう問題の前に、今後選挙法を改正をしようとする場合には――地方の自治体それから国会の場合の著しい相違点は、国会特に衆議院の場合は政党によって運営されておるのであります。でありますから、日本の議会制度は政党政治だと言われるくらいに実質的には政党によって運営されるのであります。ここにもちろん特徴があるし、また補わなければならぬ欠点もあると思うのでありますが、その議論はさておきまして、地方の自治体が政党色を強めてくるということになりますならば、それに見合うようなやはり公職選挙法の改正を考えなければいけないと思う。そういう点に対する思想的統一を欠きますと、法案それ自身がちぐはぐなものになってくると思うのであります。こういうものに対するわれわれの考え方をやはりある程度整理する必要があると思うのでありまして、これに対して自治大臣がたびたび新聞にも発表しておりまするが、たとえば具体的な例をとりますならば、今回の選挙違反の事実をわれわれがどういうように把握していくかということの材料として二つのものが提供されております。
 一つは、いま当局の取り調べの対象になっておりまする東京都知事、福岡県の知事選挙にあらわれておりました、にせ証紙あるいはポスターの偽造でありますとか、こういう事件の中にあらわれておりまする一つの特徴は、政党がこういう地方の自治選挙に直接的に動いている。犯罪の上にあらわれてきているものはまだ氷山の一角かもしれませんけれども、松崎某氏が取り調べられておりまするし、またさきには川最前幹事長の秘書官が、はがき横流し事件の容疑者として取り調べを受けておる。その他政党の有力な党員が被疑者として取り調べを受けておる。こういう事実は、私はそれはそれとして事件として糾明されなければならぬと思うのでありますが、われわれが取り上げなければなりませんことは、地方の自治体の選挙に政党がこういう積極的な行動を起こしておるという事実をわれわれに教えるものだと思うのであります。こういうことになりますと、一方では地方自治のたてまえを貫く一つの思想があります。公職選挙法も一本の選挙法で、国会議員も地方の議員も首長の選挙も行なうということになっております。こういうものについて、もしいまのように政党が積極的に地方の自治に干渉するとか、介在するとか、あるいは支配的地位をつくるとかいうようなことばで言えぬことはないのでありますが、それの一番根幹をなすものは、私は選挙に対する党の態度が問題になってくると思うのであります。選挙法の中で一番問題になりまするのは、国会議員の場合でも政党活動の場合が出てくる。今度の三党の話し合いの中にもそれがちらほら出てくるわけでありますが、国会議員も衆議院の場合は、各政党が政策を掲げて、選挙民の審判を請うわけです。これはきわめて公明正大です。地方自治体の場合には、無所属だということで、実質的には、いま言うように違反を賭してまで当選せしめようとする力強い選挙活動が政党によって指導されているという事実は重視しなければならぬと思います。こういう基本的な問題もからんでおる選挙違反が、今回の地方選挙のときに出てきておる。でありますから、せんだって法務大臣にも私は大いにこの立場を強調して、要するにわれわれは部分的な痛手をのがれようとしておる、すなわち角をためて牛を殺すような結果にならぬようにということばで私はお尋ねをしたわけであります。こういう傾向をどういうように把握して次の選挙法と取り組むかということは、根本的な問題の一つだと思うのであります。もちろん政府では次の通常国会にということで、選挙制度審議会にいろいろなものを今後諮問なされるでありましょう。この問題は当然私は取り上げられてくるべきものじゃないかと思う。政府の諮問の際における考え方が、ここで大事になると思うのであります。質問のしかたとしては、きわめてばく然としたしかたをしたかもしれませんが、もう少し要約して申し上げますと、地方自治体に政党が介入していくというたてまえをとるならば、やっぱり正直に打ち出していくということでなければならぬと思う。そうすれば、結果から見ますならば、選挙法の中で一本の公職選挙法でいいか悪いか、あるいはその法律体系の中で区分を明確にすることが必要になってくるのじゃないかと思うのであります。そういう結果がいろいろあらわれてくると思うのでありまして、政府ではこの際、選挙制度審議会に諮問の際に、この問題が出てくるいい機会でありますから、この機会に自治大臣に見解を伺っておきたいと思います。
#10
○篠田国務大臣 地方自治体の選挙等に政党が介入しておることが好ましくないという議論はもういろいろあると思いますが、好ましくないという議論もあるし、政党政治だからそこまでいくべきだという議論もあると思います。しかし事実上は、戦後組合というものができまして、どこの組合でも――炭鉱であれば炭労というものがあります。それからまた地方の工業地帯であるならば、そこにいろいろな工場を拠点とした組合がある。そこから市会議員を選ぶという場合に、好むと好まざるとにかかわらず組合が公認候補を立てまして、そうして労働組合をバックとして当選された方は、みずから社会党であるとか、あるいは民社であるとかいうようなクラブをそこで結成して、終戦後の地方選挙というものは、組合を先頭としたいわゆる政党の介入というか、政党化というものが行なわれたことはあなた御存じのとおりであります。そういうような一つの事実に対しまして、やはり保守系の動きもだんだん活発になってきて、そうして労働組合を中心とした選挙運動、また当選後におけるそれらの所属の政党のクラブ、こういうものができてきたのであります。これに対しまして、最近において、保守系のほうもいつまでも黙っておられないという機運が醸成されたのじゃないか。保守系の政党が地方選挙にいろいろものを言い始めたのはずっと最近のことであろうと思います。そういうことを見ていきますと、どちらが先にやったとかあとにやったとかいう議論は別問題として、やはり地方選挙の中に政党が無関心であり得ないことは事実じゃないか、私はそう思います。この事実をどういうふうに批判し、検討して、選挙法の上にそれをどう持っていくかという問題については、衆議院選挙と参議院選挙と地方選挙を原則的には同じに取り扱うけれども、しかし、そこにおのずから相違というものがあるから、その相違というものを選挙法の上にはっきり出したらいいじゃないかというような意見もあります。出せるものならば、はっきりそういう相違について出したほうがいい。しかし、そういうことは一切選挙制度審議会でいま検討中でございますから、いずれ答申があるものと思います。ただ政党が介入するということから言えば、いま申し上げたような原因によって政党がだんだん地方選挙に無関心であり得ないという状態になってきた、こういうふうに私は解釈しております。
#11
○井堀委員 これは、選挙制度審議会が審議の対象にするかしないかについては、政府の態度が明確に出てきてでないと答申の上に明確に出てこない問題だと思いますからお尋ねしたわけであります。いまあなたの御答弁によりますと、地方の自治体に対して政党が無関心であり得ないということばでのお答えでありますが、もちろん無関心でないから行動が起こっておるわけであります。そういうものを公然と制度の上で認めていくようにするかしないかということは、今後の選挙法に私は重大な影響を持つものと思っておるわけであります。これは政府が選挙制度審議会に諮問をする際の問題ではありますが、この点について実はもう少しはっきりした見解をお尋ねいたしたいと思っておったのであります。これは総裁である総理から伺うべき事柄であるかと思うのでありますが、いきなり質問してもまずいと思いますから、その予備交渉のような意味で問題を投げておいたらどうか、いずれ閣議でもこういう問題についてお話し合いが出る機会があろうと思いますから、今後の地方自治体に対する政党のあり方といいますか、態度というものに対して、政府の考え方をこの際はっきりする必要があると思います。程度の差をどうするかとか、いろいろな問題はもちろんあるのでありますが、そういうものに対して、近い機会にまた総理に所見をそういう意味でただしたい。もう少し質問をじょうずにやれるように整理しておきたいと思っておりますが、話題だけを投げておきます。
 次に具体的な問題で問題になりますのは、今度の地方選挙で記号式の投票の形式を採用されて、その結果についてまだ伺っておりませんが、私どもの聞くところによると、非常に成績がいいというふうに聞きます。あるいはまだ問題があるという説もあります。たとえば自治省が今度の選挙にあたりましてそれぞれ選管に連絡をつけた事項の中にも、開票に関するいろいろな注意を促しておるようでありますが、そういう点からいえば、確かに有効投票か無効投薬かをきめるには単純でいいと思います。しかしまた、記号式の欠点は、候補者の選択について理解を深める別な運動もありますけれども、バッテンをつける、マルをつけるというような簡単な方法ですから確かに便宜だと思いますけれども、あの印刷の順序などをきめたりするのをくじでやるというようなことは何でもないように見られておりますが、印刷の際に順番は非常に重要だと思います。そういうようなものに対する扱い方も、もう少し当局の考え方を伺っておきたい。
 それからついでに、これも今度注意をされておるようでありますが、国会議員の場合には、選挙公報、それから立ち会い演説などの方法によって、選挙民に候補者の政見や、あるいは人物識見など、それから先ほどちょっとお尋ねしたように、国会議員の場合には、何といっても政党は選挙運動に入る前に、あるいはふだんに常時政党の政策を明らかにし、党の性格や候補者の政見を党がかわって紹介するというような道が開けておりますが、地方議員の場合は私は条件がたいへん違うと思います。そのかわりに選挙区が狭いとか、四六時中候補者と選挙民の接触が密だとかいうようないろんなものもあると思うのですけれども、そういうものをも考慮して、こういう方法は変えていかなければならないのじゃないかと思うので、やはり選挙公報は、この際、地方の首長あるいは議員の場合にどこまで広げていくかという段階的な措置もあるかと思いますが、私は、とにかく公報くらいは出すべきではないかと思うのであります。費用もうんとかかることだろうと思うのですが、これを候補者の負担にしないで、やはり公営の窓口を広げていく段階的な初歩として必要じゃないかと思うのですが、この点に対する見解。
 それから公務員の地位利用という規定がありますけれども、この問題についても、国会議員の場合と違いまして、地方自治体の場合は、事務的には市町村の吏員が事実上選挙管理委員会の推進母体になっているわけです。もちろん選管の意思によってということになるのでしょうけれども、実質的にはそういうことでありまして、上司であります現役市町村長の選挙をやるわけでありますから、こういう点については、必然的にその公務員というものはそのままの姿で選挙管理に従事するわけであります。この辺の関係は、国会議員の場合と、地方の議員よりはむしろ首長、市町村長の選挙の場合には、取り扱い上別なくふうが必要ではないか、これは私は具体的な幾つか例を持っております。注意も与えておりますが、抽象的な注意でなくて、具体的にはどのような注意をしなければならぬか、その弊害をどうしてチェックしようかというようなことについて、法に盲点があれば法を改めなければなりませんし、現行法の中でも行政指導あるいは選挙管理のくふうによってできるというのであれば、その辺をひとつ教えてもらいたい。
 もう一つは、これも事務的なことでありますが、選挙名簿の調製について。これは地方の場合は比較的少ないのでありますが、新興都市といいますか、人口の移動の非常に激しい都市におきましては――私の知っている選挙区内に起こった事件は、一部落ごそっと落ちちゃってる。今日のように団地がごそっとできますと、まあ団地の場合はそうでもないかもしれませんが、集団住宅がどんどんできてきますと、そういうものがごそっと落ちたりしておるのでありますが、そういうような問題は、選挙民にとっては、基本的な権利をそれによって失う結果になるわけであります。もちろん有権者のほうからの申し出その他の義務は負わしておるのでありますけれども、まだ今日の政治意識の上からいいますならば、行政指導の中で重要な仕事の一つだと思うのであります。こういうものに対してどういう措置をおとりになったか、問題が出てきていると思いますので、こういうような点について、今回の地方選挙を通じて経験をされた具体的事例を伺っておきたいと思います。また、できるならば、そういうものについて調査結果の資料などもぜひひとつわれわれのところに提出していただきたい。
#12
○篠田国務大臣 国会議員あるいは知事選等のように、地方選挙についても公報を出したらどうか、あるいは出せないものであるかどうかという御質問であります。しかし、これは、一つは、御承知のとおり数が非常に多い。村会議員にしましても、町会議員にしても、市会議員にしても数が非常に多い。しかも運動期間中というものは、たった十日間です。十日間に各候補者の意見をまとめさして、そうして、それを印刷して配るということは、おそらくいなかへ行けば行くほど不可能じゃないか。まだいなかへ行けば、何もそんなことをしなくてもみな顔を知っているのだから、街頭演説でも何でもやればいいんじゃないか。問題は、要するに金と選管の能力の問題にかかるし、かりに選管に金と能力があったとしても、一体十日間中にそういうことができるかどうかという一つの物理的な問題もあろうかと思います。ただ、問題は、中都市以上の都市において、候補者の政見あるいはまた顔が知られておらない、これをどういうふうにして知らせるかということがやはり研究しなければならない問題であろうと思いますが、これも公報を十日間の間に印刷して、何十人という人の意見をまとめて印刷するということがはたしてできるかどうかということは、やはり事実上相当問題だと私は考えております。
 名簿調製の問題については、事務的なことでありますから、選挙局長に答弁させます。
#13
○松村(清)政府委員 一番最初に記号式投票のくじのことを御質問になりましたが、現在のところ、くじによりまして、全選挙区を通じまして同じ順位にしております。しかし、これは、できましたならば、投票区というわけにいきませんけれども、選挙区の区域を若干分けて、たとえば開票区なら開票区という単位で順序を変更するような措置がとり得るならばそれが望ましいと思いますけれども、いま記号式投票を始めたばかりでございますし、また、非常に短期間にそういう資料の準備ができるかどうか疑問に思いますので、今後の問題として考えていきたいと思います。
 それから公報の問題につきましては、ただいま大臣からお話し願ったとおりでございますが、選挙人名簿につきましては、これもいまの市町村の選挙管理委員会で非常に苦慮いたしている問題でございます。毎年職権で地方の選挙人名簿をつくり、選挙の前には申請によって補充選挙人名簿をつくる、こういうことでやっておりますけれども、都市部におきましては人口の出入りがひんぱんでありますために、これを的確につかんで調製するということには非常に努力を払っておるわけでございます。したがって、従来からこの選挙人名簿の調製の方法については、何か現在の住民登録、こういうものを基礎に置いてつくるようにしたらいいじゃなかろうか、こういう議論がありまして、昨年の選挙法の改正におきましても、将来住民登録を基礎として選挙人名簿を調製するようにと、こういう方針を打ち出されておるのでございます。ところが、現在住民登録というものは、実は事実と不一致する部分が相当あるのでございます。大都市などになりますと、住民登録と真実の不一致は、多いところでは三割近くに及ぶということが調査の結果明らかであります。そういたしますと、住民登録を何らか正確に記載されることを前提といたしませんと、それに乗り移れないわけでございまして、これは法務省の所管でございますが、これらの点を総合して、現在名簿の問題をどういうふうにやっていくかということを検討中でございます。
 それからなお、私よく趣旨がのみ込めないのですが、市町村の選挙管理委員会が市町村長の選挙を管理するのに、地位利用という関係からの御質問でございましたが、私、ちょっとこの問題、そのような問題が実際あるのだろうかどうだろうか、内容を承知いたしておりませんので、そういう点を調べました上で考えてみたいと思います。
#14
○井堀委員 公報の問題は、現在、ある都市ではやっているし、ある都市ではやってないというような、任意にまかされているような形ですが、やはりある程度統一する必要があるのではないか。たとえば人口とかあるいはどの程度の都市とかいう問題は、いまのままにしておくべきではないのではないか。それは自治体ですから、それぞれの自治にまかせるという考え方ならまた別ですけれども、しかし選挙法は一つの規定であります。冒頭にお伺いしたのは、好むと好まざるとにかかわらず漸次政党が地方の自治体にそれぞれ影響力を伸ばそうとしておることは事実であります。でありますから、そういうものとの関係について、放棄しておけば、地方の自治体に政党が干渉するようなかっこうになると一番いけない。この問題は、やがて大きな弊害になって出てくると思います。現に今度の証紙事件なんかはそういう点で、取り締まりの面やその他にも障害が起きてくる。だから、この問題は小さな問題であるようでありますけれども、ある程度こういう選挙公営をこれから推進していこう、拡大していこうというわれわれの主張からいたしますならば、こういう問題については万全を期するわけにはいかぬにしても、小さな村会議員の選挙にまで公報が必要だと私も主張はいたしませんけれども、そういう点ではやはり一つの基準をつくるべきだ。
 それから次に御答弁願いました市長の選挙の際の例、これを取り上げてみると一指よくわかります。市の選挙管理委員会が事実上、いまのところは選挙の執行をやる上に市の力を借りなければどうにもならぬことはあまりにも明白です。むしろ言いかえれば、選管の制度は実はから回りしている。実際執行するものは市長の任免権による職員がやっていて、形式的に選挙管理委員会の意思がその上に乗っている。したがって一つの政党なりあるいは一人の市長が長くおる場合には、選挙管理委員の任期がきましても、結局同じ傾向の、表向きは一つの政党からというか、何も一つの政党の党員だということを登録するわけじゃありませんから、実質的に見てやはり時の市長のお気に入る者が選ばれる。そういう勢力下にだんだん選挙管理委員会が質を変えつつあるということも自然の勢いだと思います。それを阻止するような制度はちょっとむずかしいと私は思うのです。やむを得ぬ悪かもしれません。しかしそういうことがだんだんやむを得ないということで見送られて最近目に余るものがあるのは、選挙管理事務に従事している人々は臨時に回されてくるわけでありますけれども、そういう回す人にまで意を配って、自分の選挙に一番役に立つような者がだんだん抜てきされるという傾向にある。ひどいのになると、論功行賞で、そこをうまくやった者が抜てきされて昇進しているという例がかなり露骨になってきております。しかし、それを法律的に何も制約を加えることができないわけです。こういう傾向があるのでありまして、私は、こういう点では、いつも主張しているように、選挙管理委員会にもっと権限を与えると同時に、その権限が正しく施行できるように財政的な裏打ちといいますか、その独立を保障し得るような機構を確立しなければならぬということに結論されると思うのです。いま放任しておいたらだんだん悪くなって、それはいずれの政党がその地位につこうと同じ結果になると思うのであります。この問題は、いまにしてやはり根を断たなければいかぬのじゃないかと思われる一つであります。
 それから、選挙人名簿の調製の問題は事務的なものだと軽く片づけられないと思う。あなたも指摘しているように、住民登録をそのまま選挙人名簿の実態にスライドさせることが一番望ましい。こういうものは私どもは制度の上でも明らかにしていく必要があるのじゃないか。これは特に都市には非常に多いんです。そういうことがだんだん選挙に無関心な選挙民をつくり上げていくという結果になってきている。ささいなもののようで、なかなか大きな弊害を思想的に持ってきております。
 それから記号式の問題は、これから採用されるときでありますから、いろいろな長所短所についてわれわれも調べなければならぬと思いますが、そういう結果をそれぞれ詳細に把握されて資料として提供されるように希望しておきたいと思います。かなりありますよ。傾向的に見て、順番では一番右が一番得ですよ。地方の市町村なんかになりますと人物をみなよく知っておりますからいいけれども、大きな都市、人口の移動のあるようなところは、わかりません。一がいに地方選挙といいますが、東京の区会議員の選挙なんかになりますと、候補者の顔を見たことがないというのが八割から九割です、接触がないから。だから一番響くのは記号式の順番です。見ると、やはり一番右の者が得をしております。だからときどき点検しないと、鉛筆でいたずらをしておりますよ。そういうしるしがありますと、一気にしるしのある者を書く。そういうものが存外ばかにならない。記号式を今後使用する場合における一つのあれだと思いまして実はお尋ねしたわけであります。
 次に、いつもこれは問題になるわけでありますが、警察庁のほうから資料をいま手に入れたばかりであります。もっといろいろなことを知りたいと思ってお尋ねしたわけですが、この中で気のついたところを一、二引き出して、全体をお答え願うようにしたらいいと思います。事前運動に関する取り締まりを今回の場合でもかなり注意をされておったようでありますが、ここで具体的にいっておるように、年末年始といいますか、これは年末年始に限ったわけではありません。冠婚葬祭はもちろん、いろいろな記念行事がかなりあるわけであります。そういうものをどうして識別するかということは至難に近いのではないですか。社会通念で判断すればいいということかもしれませんが、この事前運動取り締まりをこれからやる場合に、一番ネックになるのは私はこれではないかと思う。たとえば盆暮れのあいさつ回りをいたしますのにも、どの範囲までが従来の儀礼の許される範囲かということになると、法律的には何も制約がないと思う。たとえば親類まではいい、親類は三等親までか五等親までか、そういう取り締まりの上で幾つかの問題点があるのをここでも指摘しております。――私はここで取り締まり当局の経験を伺って大臣にお尋ねをしていく順番だったのですが、いま理事のほうからのお話によると、大臣何かまた次の所用を持っておられるようですから、大臣の質問を先にしてくれということです。あと先になって不得要領になるかもしれませんが、やむを得ませんからそういうふうにしていこうと思います。いま私が一例をあげましたようなものについてお答えを聞けば、すぐわかるのであります。これはいま全体に通ずることですが、選挙法の取り締まりの中でも、事前運動の取り締まりというのは最も重要であって最も大事なことだと私どもは思う。もう衆議院の場合は解散風が吹いていますので、すぐ私どもその対象になるわけでしょう。地方でも同様かもしれませんが、特に国会議員の場合は半年以上国会にくぎづけされておる。今度はいよいよ休会になりますと選挙区へほおり出されるわけであります。これはやはりよい意味でいえば、猛烈に国政の調査をやりましたり、あるいは有権者のいろいろな政治に対する要請や不満や不平があると思うのですが、そういうものを要するにまんべんなく把握するということが、いい政策を生み、政治活動を正しく行なう原則であることも民主政治の当然の原則です。こういう活動と選挙活動、事前運動の見分けなんというものは、神さまでなければできないと思うのです。ところが、この法律を厳重に適用していけば、これは考え方によれば、たとえば私どもの道路の問題、橋の問題、持っていき方によれば地域の特定の人の利益を誘導するような方法は、選挙運動には一番効果的なんです。そうなってしまうと、それは品位を傷つけるという点で制約はあるかもしれませんけれども、法律的には制約はできぬ。そういうようなものも十ぱ一からげに取り締まりの対象にしているわけですから、結局運の悪いやつがひっかかって要領のいい悪いやつが得をしたり、あるいは警察庁あるいは検察庁の手かげんで不公平ができるといったような種類のものだと思うのです。こういう関係のものですから、私は選挙法の際における問題は、制裁規定をどこに重点を置くかということになるかと思うのであります。悪質違反の買収供応のことばかり言っておるのですが、買収の捜査の上に、これはもう露骨に言ってくれませんから、想像をして、誘導質問みたいになるわけですけれども、結局個別訪問をつかんでそれからだんだん引き上げていくとか、あとは大体仲間割れですね。仲間割れで、それぞれ材料を提供して、それが端緒になっているというのが普通だと思うのです。だからこういう点で、今後私どもがこの法律をどうするかという点について、正直こういう機会ならばいいと思うのです。もう済んだあとで具体的なものを出すと、あなた方は御答弁しにくいと思う。そういうことで、きょうは検察庁それから警察当局に、できるだけそういう事実を、あまりいろいろな立場にこだわらないで、選挙法をいいものにしていくという意味での答弁をしてもらいたいと思って実は質問しようと思ったわけであります。そういうわけでありますから、大臣が急ぐようでありますから、先にその問題をひとつお答え願って、大臣のほうへの質問はまたあとから……。
#15
○篠田国務大臣 現役の国会議員あるいは地方議員の場合におきましては、ただいまお話のありましたような国会報告であるとか、あるいはまた地方のたとえば流れた橋をかけるとか、あるいは道路を直すとかの問題について地元民と話し合いをしたり、あるいはまた自分の意見を述べたりするということについては、事前運動にも何にもならない。問題はそうでない人、あるいはまた議員であっても、選挙に出るからよろしく頼むというような、そういうポーズを示しながら人にごちそうしたり、あるいはまた買収をしたりするということが事前運動になるのじゃないか。むずかしいのは、やはり新しい人の事前運動が一番むずかしいと思うのでありますが、新しい人の場合の取り締まりは、一体何のためにふだんつき合ってもいないやつを呼んでごちそうしたとか、あるいは頼みにいったとか、そういうことが割合にはっきりわかると思います。ところが古い議員の場合には、どこまでが事前運動でどこまでが議員としての政治活動であるかということは、なかなかわかりにくいと思います。そこで事前運動というものはやはり悪質違反に限るべきであるというふうに私は解釈をしております。こまかい取り締まりにつきましては、警察庁並びに検察庁のほうからお聞き願いたいと思います。
#16
○井堀委員 とにかく私の質問として結論をどこに求めるかということは、制裁規定や取り締まり方針を強化するだけでは公明選挙というものは困難だということをたびたび私は主張してきて、いまもその主張点に立っているのです。そこで大臣にひとつこの際ぜひ御奮起願わなければならぬのは、選挙管理委員会が常時啓蒙啓発活動ができるような費用というものをぜひひとつとりなさいということで、私はたびたびそれを言っている。この前の選挙法改正のときでも、あなたは私と同じような意見で、どさくさではあったけれども――法務大臣はこの間私の質問を記憶しておられたようで、私の質問の中からそういう考えを得たのだと思うのでありますが、この際やはり公明選挙推進のための常時啓蒙啓発のための選挙管理委員会なり、あるいはその種の運動に対して五十億や百億の金を惜しんじゃだめじゃないかということを言われておりましたが、五十億や百億ではなくて、私は三百億か五百億ぐらいだという要求を当然だと思って、実は三党の話し合いのときにしたわけであります。それを次の新しい予算の中へ組むがごとく実はたいへん熱意を示してわが党を喜ばしてくれた。あなたもその仲間なんです。これはやはり悪いことではなくて、いろいろな問題を真剣に審議していけば出てくる結論だと思う。やはり公明選挙ですから、萎縮するようなきびしい取り締まり、あるいは制裁規定におびえて不正をやらないということだけでは――それも必要でしょうけれども、こういうようにいま三党で話し合いをしているのも、ほんの申しわけ的に法律を改正するようなやり方は一般からも批判されているし、やはりもっと抜本的なものにメスを入れる時期がきているからだと思うのであります。これは篠田自治大臣の腕のふるいどころで、そのために自治大臣になったのではないかと私は思っているわけであります。思い切って、この予備費の中のかなりの活用もできましょうが、次の予算にはぜひ新しく相当――いまのように一億を二億にしてみたり、三億が四億になってみたり、五十歩百歩ならばいいのでありますけれども、まるでおばあさんの小づかいを孫にくれているようなやり方というものは政治家のやるわざではないと思うのであります。そういう意味で、ひとつこの点はあなたのはっきりした意見を聞きたい。あなたも言いたいところだろうと思うのでありますけれども、いい機会ですから、そういう面に予算をうんととるお考えができているかどうか、なるべく具体的に答弁して下さい。
#17
○篠田国務大臣 啓蒙運動は、もちろん金が少ないより多いほうがやりやすいと思います。しかし、啓蒙運動のためにあなたのおっしゃるような五十億も百億もあるいは三百億ものそういう金をとるということは、あなたはそうおっしゃいますけれども、不可能だ。これはなんぼ自治大臣が一生懸命になりましても、いまの政府の予算の中から選挙の公明運動に五十億だの百億だのとるということはとてもできません。それは三十八年度に国費としまして五億円、それから地方費としまして三億五千万円、合計八億五千万円の常時啓発費はとっております。しかし、選挙の公明ということは、ただ公明運動だけをやるということではなかなか効果が少ないので、三党の話し合いのように制度的にもひとつ直していこうじゃないかということで、啓蒙運動と制度の改善という両面からいま研究しておるわけであります。そういう際でございまして、何ぼ私ががんばっても、百億だの三百億だのというような、そういう啓蒙啓発費をとるということは、私はお約束はとうていできません。
#18
○井堀委員 まことに残念な御答弁をいただいたわけでありますが、池田総理は割合はっきりしたことを前の国会で言っているのですよ。それはそれとして、たとえば三党でいま話し合いしている中でも、選管からきびしく突き上げられているわけですが、ポスターだけでも公営の窓口をひとつ開いていこうというささやかな改正、それに対して、選挙管理委員会がきびしい抵抗を示しておるのは、表には出しませんけれども、事実上ポスターの掲示板を一投票所三ヵ所を五ヵ所にふやせということだけでもできない、それはむちゃだ、やはり一つには執行経費というものを十分裏打ちしなければならないという結論が出て、実は与党の、しかも有力な先輩議員は、安心せいと胸をたたいておったようであります。それが自治大臣のいまのお話を聞くと、とてもというお考え、これもあとで選挙局長に聞きますなれども、相当の金額になると思うのです。これはほんとうに篠田大臣、よほどふんどしを締めなければいけない、従来の蛇足では……。あなたがおっしゃるように飛躍かもしれません。なるほど八億五千万円に対して五百億などという、それはとてつもないということになると思いますが、どこに重点を置いていくかということによって変わるけれども、いままでの姿勢をくずさなければ、これはちびりちびりだということになる。そういう意味で、実は長い時間をかけて他の方面からだんだんと質問を進めていったわけでありますが、そういう点でひとつもう一ぺん考え直して、もっと新しい方針を出さなければいかぬと思います。
#19
○篠田国務大臣 いまあなたのおっしゃいましたことと、先におっしゃったこととは違うと思います。先におっしゃったことは常時啓蒙費として百億か三百億というものが出せないかというお話、あとのいまのお話は、選挙を公営にする場合に、選管で人手が足りないとか経費が足りないために、ポスターを張るなどということはできない、こういうことです。そういうことであるならば、選挙を公営にするということが法律できまりますれば、その公営に必要なる経費というものは、当然これは政府が予算の上に支出いたしますから、それは百億であろうと八百億であろうと、当然私は出すべきである、こういうふうに考えております。先ほどおっしゃったような啓蒙の費用でありますと、そこがちょっと違うのであります。
#20
○井堀委員 なるほどそれは質が違うのです。常時啓蒙啓発の費用と、それからいま言うポスターの公営の必要経費とは、これは違います。だけど、私の言っているのは、要するにものの考え方をどこに置いて経費をはじき出すかということによって、大きく開きが出るということを言っているのです。しかし隗より始めよですから、ポスターの公営だけでも始めるとすれば、そのポスターを張るためには、選挙管理委員会が市の吏員やあるいは都の吏員を使ってやるということでは、らちがあかぬのだという説が出てきますと、やはり選挙管理委員会の意思によって、ある程度そういうものが用意されなければならぬはずです。だからポスターだけの問題じゃないのでありまして、そういう関係がやはりこの際考慮されなければならない。選管の諸君との話し合いは、あとで詳しく選挙局長からお聞きになればわかると思うのですが、言外にそういう意味を絶えず主張している。だから、この点はひとつそういう意味でお考えを直しを願うべきじゃないかと思うのであります。
 それから今度の三党の話し合いの中では、テレビ放送でありますとか新聞広告というものは、小さな改正ではありますが、新しい試みだと思う。いまの選挙公営を拡大していこうという考え方には意見の一致を見ておるわけであります。選挙公営を拡大していくということになりますと、ポスターの例や新聞広告の例は、これは自治省並びにそれぞれの経費の中からでも捻出できるかもしれません。しかしそういうものも地方の自治体の行政責任者やあるいは国の、自治省のような行政機関を通じて金を出すよりも、独立した選挙管理委員会のような機能を高めるような意味において、同じ一億の金でも、そういう出し方と非常な違いがあるということを私はさっきから言っておるのであります。自治大臣は承知してとぼけておるのか、あるいは私の質問が不得要領でのみこめないのか、そこら辺にあると思うのであります。あなたも先を急いでじりじりしておられるようでありますが、あまりかんしゃくを起こさないでもらいたい、大事なことですから……。
#21
○篠田国務大臣 選挙を公営にして、どういう公営を実行するかということがまず前提になると思います。ポスターは結局全部選挙管理委員会で張るのだということになれば、それだけの費用は選挙管理委員会に渡さなければなりませんし、またそのほか演説会場を全部公営にするということになれば、その費用はもちろん出す、どういう公営を行なうかということによって、費用というものは事務的にはじき出されるものであって、何も私がいまここで何ぼ出すとか、そういうことを言うべき筋合いのものではないと思う。あなたはかんしゃくを起こすなと言うけれども、あなたはほんとうにかんしゃくを起こさせるような質問をしています。承知の上でやっておるのじゃないですか。そうじゃないですか。どうしてそんなこまかいことがわかりますか。公営にするには、公営にして、それによってはじき出された費用というものを政府が出すべきであって、何ぼの金をどこで出すかということがどうしてぼくにわかりますか。あなたはかんしゃくを起こすなと言うけれども、わざと起こさせるようにあなたは質問しているのじゃないですか。
#22
○井堀委員 かんしゃくを起こすのは御随意だが、私の質問はそういう意味じゃないのです。しかし意思が通じなければ質問の目的を達することができませんから……。いま当面している問題は、選挙公営を拡大するという基本的な目的がどこにあるかということ、一つは、言うまでもなく当面したこういうようなにせ証紙事件あるいははがき横流し事件、これらの解決を迫られておるというととが一つあるでしょう。しかしそういう現象的な問題を解決するだけじゃない、それを足がかりにして、将来選挙公営の窓口を開いていこう、わが党がやはり同意をしておるのはそういうところです。ここではまだ未解決の問題です。これはこれとして追及していかなければならぬと思う。にせ証紙のような卑劣な選挙の競争をやめさせようという考え方だけではないのです。これをやめればまたほかのものをやります。そういうことじゃなくて、やはり一方にはそういう競争の心理というものが選挙にはつきものです。それを要するにチェックしていく、選挙民の協力を得ていくということ、選挙は選ばれる側だけの問題でなく、選ぶほうの側にも責任があるわけです。そういう人たちの選挙に対する関心を高めていく、常時政治と選挙との結びつきをどうして強めていくかということになれば、選挙管理委員会が常時そういう啓蒙啓発をやっていくことが一番必要ではないかと思う。そういう意味で、そういうところに経費をつぎ込むようにしていくべきじゃないかということが一つと、それから、いきなり五百億要求したら池田さんが出すとは私思っておりません。自民党内閣はそれほど思い切ったことをやれるとは思っていません。目標はそれほど高いものではない。やがて理解されるだろうという希望的なものを捨てないで私は主張しておる。それからいまその問題に結びつく段階として、三党の間で取り上げられた問題についても、――私はあなたに、ポスターの掲示を三ヵ所を五ヵ所にすれば幾ら金がかかるかということは聞いておりません。それは選挙局長だって計算はなかなか困難かもしれない。私の言っているのは、そういう経費を出すときに、大きな目的に向かって前進できるようなところに費用の出し方をくふうすべきではないか、政策上の問題についてあなたにお尋ねしたのであります。だから、金額をふやせばいいというばく然たる質問でもないのです。そういう新しい意味を含めた経費の捻出について、大臣は事務当局にそれぞれお命じになることがいま大切ではないかという質問をしたのです。それを否定されるような御答弁があろうとは私は思わなかった。それだけなんです。
#23
○篠田国務大臣 選挙の啓蒙費の増額ということは私は考えております。しかし、幾ら増額するからといって、いま八億五千万円の金額を百億だとか三百億だとか言われても、それはできないということを私は率直に申し上げておるのです。そんなことができると私が言っても、うそですよ。できっこない。
 もう一つは、きれいな選挙をやるために、あらゆる面から啓蒙もするし、制度の悪いところは制度を改めるし、公営もしていく。私は根本的に、個人の選挙をやらせるから違反が起きるのだ、あなたもいま言われたように、だれでも勝ちたいという心理状態で、弱い人は特にそういうことがあるのではないか、やはり選挙の公営というものは民主主義の浄化あるいは成長のために絶対必要であると考えております。私はいま、まだいろいろな具体的なアイデアをまとめて発表する段階には至っておりませんが、いま各方面の意見を聞いておるような段階ですけれども、私自身の考え方から言うならば、言論以外のものは全部公営にすべきだ、それが私の考えでございます。
#24
○辻委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後一時三分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト