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1962/05/24 第43回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第043回国会 外務委員会 第18号
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1962/05/24 第43回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第043回国会 外務委員会 第18号

#1
第043回国会 外務委員会 第18号
昭和三十八年五月二十四日(金曜日)
   午前十時二十九分開議
 出席委員
   委員長 野田 武夫君
   理事 安藤  覺君 理事 正示啓次郎君
   理事 福田 篤泰君 理事 穗積 七郎君
   理事 松本 七郎君
      菅  太郎君    北澤 直吉君
      椎熊 三郎君    岡田 春夫君
      河野  密君    堂森 芳夫君
      西村 関一君    細迫 兼光君
      森島 守人君    川上 貫一君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 大平 正芳君
        農 林 大 臣 重政 誠之君
 出席政府委員
        外務政務次官  飯塚 定輔君
        外務事務官
        (移住局長)  高木 廣一君
        農林政務次官  津島 文治君
        農林事務官
        (農政局長)  齋藤  誠君
 委員外の出席者
        大蔵事務官
        (理財局資金課
        長)      海堀 洋平君
        会計検査院事務
        官
        (第五局長)  白木 康雄君
        専  門  員 豊田  薫君
    ―――――――――――――
五月二十四日
 委員勝間田清一君及び帆足計君辞任につき、そ
 の補欠として堂森芳夫君及び西村関一君が議長
 の指名で委員に選任された。
同日
 委員堂森芳夫君及び西村関一君辞任につき、そ
 の補欠として勝間田清一君及び帆足計君が議長
 の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 海外移住事業団法案(内閣提出第九九号)
     ――――◇―――――
#2
○野田委員長 これより会議を開きます。
 海外移住事業団法案を議題とし、質疑を行ないます。質疑の通告がありますので、これを許します。
 西村関一君。
#3
○西村(関)委員 前回に引き続きまして外務当局に質疑を続けたいと思います。
 事業団の内容につきまして質疑に入ることにいたしたいと思いますが、まず、事業団の人事につきましてとかくのうわさが流れておるのでございます。この事業団の人事につきましては、大臣もしばしば言明しておられますように、適材適所、必ずしも外務省の部内にこだわらないで、各省からも適当な人物を起用して、十分にその機能の発揮できるような構成を考えなければならない、こういうふうに常に言っておられますが、どうも海協連と移住会社との間に見にくい派閥争いが続いておるというようなうわさが飛んでおりますし、また、私が受ける印象から申しましても、どうもそれが必ずしも単なるうわさでないと思われるような節があるのでございます。
 私は先日本法案につきましての質疑を用意いたしますために海協連と移住会社へ参りまして幹部の諸君と会見をいたしました。また、会社並びに海協連のPR用の映画を映してもらいまして、それを見たのであります。そのときにも、特に振興会社の幹部の諸君はどうも移住に対する熱意を失っておるというふうに私には受け取れたのであります。もうすぐ事業団ができれば自分たちは首になるのだというようなことを言わぬばかりの態度で便々と日を過しておる、そういうような印象を受けたのであります。幹部がそういう状態でありますから、その中堅から下部に至る人たちの仕事のぐあいというものは、事務所に入ってみたらすぐわかるのであります。こういうことでは行く先が案じられるという感じがいたしたのであります。
 また、海協連につきましても、多年の経験者でありますところの森重理事長に面会を求めましたが、まだ来てないということで、結局最後まで姿をあらわさなかった。私は知らなかったのでありますが、そのときすでに森重理事長は高木移住局長の勧告によってやめられたあとだというようなことをあとから聞いたのでありまして、おそらく、移住局長がそういう勧告をせられたというようなことは、私はデマだと思います。デマだと思いますが、何ゆえ森重海協連理事長がやめなければならなかったか。もちろん、人事の新陳代謝、人事の若返りということを考えることは当事者として必要なことでございますが、本会議の質問においても私が申し上げましたように、若い有能な人々を起用するとともに、多年の経験者を重用するということは、この種の事業においては特に必要だと思うのであります。人材は一日にしてできるものではございません。多年の生涯をかけての努力の積み重ねによりまして、豊富な経験と識見並びに手腕がつくり上げられていくのでありまして、私は、ただ単に森重前理事長の辞職ということだけを取り上げるつもりはないのでございますけれども、まだ移住事業団ができ上がっていないのに、森重氏が、海協連の事業団への統合事務の処理も済んでないのに、なぜこの矢先にやめなければならなかったのであるかというような点につきまして、私は若干の疑問を持たざるを得ないのであります。
 移住振興会社の二宮前社長につきましても、先ほど申しましたように、どうも熱意を失っておられましたが、後ほど外務官僚出の太田氏が社長に就任せられたということでございますが、現地の表情を聞いてみますと、太田氏は常務でサンパウロに駐在しておられたことがあるのでございまして、どうも、現地の表情は太田氏の社長就任に対しては多くの人々が疑問を投げかけておるということなどを考えると、もう一つ人事の明朗化が行なわれていないという印象を受けざるを得ないのであります。
 私は、先般も申し上げましたように、生涯をこの仕事に打ち込もうとする若い有能な人々が思う存分腕を振うというような場をつくるということは大事であると思うのであります。しかしながら、それらの若い人々が熱意のあまり行き過ぎをするということもこれはあり得るのでございまして、そういう点は、外務当局としては十分な注意を払って、かってな人事が行なわれないような十分な深い配慮が必要ではなかろうかと思うのでございます。いろいろな怪文書が飛んでおりますが、私はそういうものを読みまして一々取り上げるつもりはございませんし、そういうものは信憑性がないというように思いたいのでございますし、また、そういうことをこの委員会の席上において怪文書を種にして当局に質問するといったようなことはしないつもりでありますし、すべきでないと思っておりますが、いろいろなうわさが飛んでおる。そして、海協連においても、振興会社においても、不安動揺しているということだけは、私の受けた印象から申しましても、これは全然影も形もないとは言えないというふうに思うのでございますが、こういう点につきまして大臣の御見解をまず承りたいと思います。
#4
○大平国務大臣 最近、近来の移住の実績がきわめて不振の状況にあるということは周知の事実でございまして、各方面からの指弾を受けておるわけでございますが、そして、このことに対しまして、この前の委員会で私がお答え申し上げましたように、まずこれは、移住会社あるいは海協連の諸君の責任を問いあるいはそれを究明してまいるということではなくて、むしろ移住行政の主体になっておる政府が深い反省の上に立って事態の好転の基礎をつくらなければならぬということを方針とすべきだと存じまして、外務省の関係の皆さん、各省移住関係の方々に、まず政府が反省してやり直そうではないかということをお伝え申し上げて、皆さんの理解を得ておるわけでございます。
 しからば、そういう反省の上に立って政府が新しい移住行政をやる指針は何かと申しますと、これは、申すまでもなく、海外移住審議会の御答申があるわけでございまして、私は、この御答申は、各専門家が鋭意作案されたものでございまして、非常にすぐれた御答申であると存じます。したがって、それを指針といたしまして、私どもが新しい勇気を持って対処せなければならぬというのが基本の方針でございます。したがいまして、人事につきましても、いろいろ過去にこだわり、固有名詞を云々いたしまして旧悪を吟味するというような、そういう感覚では私はいけないと存ずるわけでございまして、全く新しい気持ちでやりましょうということを基本にいたしておりまするので、したがって、清新かつ公正な人事をやらなければいかぬ。ただいまの段階では固有名詞のところまでいってないのでございまして、基本の方針の清新で公正な人事をやりたい。幸いに、いま移住事業団法が国会で御審議をいただいておりますし、この間田原さんも御指摘されたように、国会では、与野党を通じまして、移住行政に御見識を持たれ、関心を持たれ、かつ御経験を持たれた方がたくさんおられますので、この国会の論議を十分承って、それを私どもが十分頭に入れてから人事に移りたいと存じておるわけでございまして、ただいまこのようにやるのだという腹案を持っておりません。したがって、いまからの御論議も十分承った上で、大方針でございます清新公正な人事をやって、この機会にひとつ移住行政というものを再発足させたいという悲願で一ぱいでございまして、何らこだわってないわけでございます。
 具体的に海協連の会長さんの問題あるいは移住振興会社の社長さんの問題についていま言及されましたが、おやめ願うということをこちらから勧奨したということはないわけでございます。その間の経緯は移住局長から補足して御説明いただきたいと思います。
 いずれにいたしましても、私どもとしては何らいまこだわっておりませんで、ただいま西村先生のおっしゃったように、若い人のはつらつたる御努力もさることながら、円熟した経験も活用しなければなりませんことは当然でございます。その再発足をやる場合、きれいにあとくされのないように、大事なことでございますから慎重にやりたいと思っておるわけでございます。
 ただいまの心境はそういう心境でございまして、それ以上進んで固有名詞の段階までいってないというのが実情でございます。
#5
○高木政府委員 ただいまの大臣の御答弁に補足して御説明申し上げます。
 今度事業団ができるということで、会社・海協連事務当局は、現在におきましては、新しい事業団の機構においては会社、海協連がいかに調和してやっていくか、その機構の問題、その他下の方の人の問題について両者が協力して会議を続けておる次第でございまして、一時、いまおっしゃいましたように、事業団ができればわれわれやめさせられるのじゃないかという動揺がございましたが、今日においてはむしろ新しくできる事業団の準備に忙しいという実情でございます。
 それから、森重理事長について私が辞職を勧告したというようなうわさがあって、それが間違いであろうと思うという先生のお話ですが、それは間違いでございます。あまりこまかいことを言うべきでないと思いますが、ことしの二月か三月ごろの海外協会連合会の理事会で、地方の方々も出られて相当激しい議論があったということを伺っております。森重理事長自身は、今度の事業団の支部の問題についてだいぶん地方理事からの意見がきつく、やめたいということを言われて、堀内会長にまで辞表を出されたのですが、堀内会長がこれを押えておられた。二度出されて二度押えられて、最後にどうしてもやめさせてくれということでやめられたので、これはわれわれの方は何ら干渉しておりません。
 それから、ただいまの移住会社の社長の二宮さんのことでございますが、これも、二宮さん自身が私のところにおいでになって、いまの情勢で自分はどうしたものであろうということで、自分からもういまやめるときではないかという意見を言うてこられて、それで私らの方としてもいろいろ考えた末に御意見を申し上げたというのが実情でございます。
 そうして、われわれといたしましては、ただいま先生がおっしゃいましたように、今度の事業団がはつらつたる新しい生命として動き出さなければ相済まぬと思っておりますと同時に、この海外移住は長い経験を要しますので、経験のある、移住に熱情をささげる方は、たとえ年がいっている方でも働いていただかなければならないこともあるというふうに思っておりますので、こういう点は十分バランスのとれた人事ができることを期待しております。しかし、これにつきましては、ただいま大臣がおっしゃいましたように、事業団法ができまして新しい理事長がきまれば、新しい理事長が中心になって決定してもらうべきものである、こういうふうに私たち考えている次第であります。
#6
○西村(関)委員 大臣は審議会のりっぱな答申に基づいて今後の移住行政をやっていきたいということを常に言われるのであります。私はそうありたいと願う一人でございます。この答申はどこから検討しましてもりっぱなものであるというふうに私も考えるのであります。ところが、実際の外務当局のやり方は大臣のそういう御趣旨とは必ずしもぴたっと一致していないという印象を受けるのでございまして、たとえば、いまの人事の問題とは離れますけれども、前回も御質問申し上げましたように、基本的な基本法あるいは移住振興法、援護法を含めたそういうものをあわせ国会に提出を願って、両々審議にのぼせるということがやはりこの答申の精神であると私は思うのです。それもいろいろな御事情があるということはこの前伺いました。しかし、次期国会には出すという御答弁でございましたが、それらの点もやはり答申の精神とは若干のズレがある、食い違いがあるというふうに思わずにはおれないのであります。人事の点につきましても、大臣の御方針まことにけっこうでありまして、そういうふうな御方針のもとにぜひやっていただきたいということを念願するものでございます。
 ただ、会社におきましても、海協連におきましても、どうなるのだろうかという不安動揺があるということについては、かつてはあったけれども現在は落ちついている、こういう局長の御答弁でございましたが、不安動揺しておった人がやめて他に転出してしまったので、あるいはやめざるを得ないような状態になったので現在落ちついているのであるか、あるいは、落ちついているということも表面的な一時的な現象で、実際に仕事に打ち込んでやれる状態なのかどうか。たとえ事業団が成立してもしなくても、まあするというたてまえではあるが、とにかく自分はこの移住の事業に打ち込むのだという考え方でみんなが真剣にやっているのかどうか。これは、二、三の中心的な人物は熱意を持ってやっていると思いますが、そのことがまた、一方において、新しい移住理念に立って移住行政を立て直そうという大臣や局長の意図をくんでやろうとするそういう熱意を持っている若い人たちの意図並びに動きについては私も必ずしも批判ばかりをするものではございませんが、先ほども申しましたように、その熱意のあまりに独断におちいるというようなことになってはならない。そういうことがあっては大臣の意図と反することになるのでございまして、そういう点に対して、私はいまの大臣並びに局長の御答弁を信頼して、そのように今後進めていただきたいということを心から願いますとともに、まだ一まつの危惧をぬぐい消すことができないのであります。
 とともに、この人事の問題につきましてもう一つ、二つお伺いをいたしたいと思いますことは、事業団法案の役員の項目の中に、理事四名のほかに非常勤理事四名以内を置くことが規定されております。これはどういう意味でございましょうか。答申によりましても、なるべく簡素化しよう、そして少数精鋭主義でいこうということがうたわれておりますが、何ゆえ非常勤の理事四名以内を置くことができるということを規定しなければならないかということでございまして、これは固有名詞をあげてAとかBとかいう方々をここにはめ込まなければならないという御意図のもとにこういう条項を入れておられるというならば、これは私は答申の趣旨に沿わないと思うのでございまして、国民の血税によってまかなわれますところのこの事業団において、不必要とは申しませんけれども、このような非常勤理事に給与を出すということがはたしていいものであるかどうか、こういうものが必要であるかどうか、人件費の節減の上から申しましても、むだではなかろうかというふうに思います。これは局長から御答弁をいただきたいと思いますが、いかがでございますか。
#7
○高木政府委員 ただいまの常任理事四名のほかに非常勤理事が四名あるのはむだではないかという御意見でございますが、現在、海外協会連合会は、会長、理事長と、それから理事三名のポストがあるのでございます。それから、移住会社が、社長、専務取締役、常務取締役三名ということになっておるのでございます。これを合わせまして、今度の事業団では、常任理事四名、そのほかに非常勤理事四名、こういうふうにしたのでございます。この二つの機能を合わせて、実は常任理事は四名だけに減らしたのであります。
 しかし、では非常勤理事は何を考えているかという点でございますが、これは、固有名詞で考えておりませんで、仕事の上で考えておるのでございます。非常勤理事は、毎月の俸給で働いてもらう人たちでなく、謝金でやってもらう人でございまして、経費では非常に節約になるわけであります。どういうことを考えておりますかというと、今度の事業団は従来の移住会社の金融面もやります。従来あまり力が入っておりませんでした衛生、教育、こういう面については、毎日毎日の常任理事としてやることはなくても、専門的な意見で事業団を推進し政策を動かし得るポストがなければいけない、こういうふうに思いまして、金融とか教育とか衛生とか、こういう関係の方々の権威のある方に非常勤理事になっていただいて、その意見が、単なるアドバイザーでなくて、事業団の方向を決定するという趣旨でございます。経費を節約しながら広くこれらの知識を入れて会の運営をしていきたいという考えでございます。
#8
○西村(関)委員 金融のことにつきましては従来の移住振興会社もやっておったのです。私が申すまでもなく、それが大きな仕事なんです。それをなぜことさらに非常勤の理事にやらせなければならぬかということも私には納得がいきませんし、それから、教育とか衛生とか厚生とかいうことも、海協連にしろ移住振興会社にしろ、現地の移住者の世話活動として当然やらなければならぬ。やっておったことであるし、やらなければならぬことなんです。それをことさらに事業団になったから非常勤理事を置いてそれに当たらせるのだということも、私には納得がいかないのであります。
 それから、もう一つは、この非常勤理事は給与ではなくて謝金でいくのだ、いわゆる非常勤だから謝金でいくのだと言われますが、年間どのくらいの謝金を考えておられるのですか。
#9
○高木政府委員 これはまだきまっておりません。謝金から出すということだけで考えて、常任理事のように俸給としては考えておらないのであります。
#10
○西村(関)委員 大体、予算を国会に提出せられて通っているのですが、予算の内訳というものがあるはずでしょう。それがきまっていないのはどういうわけですか。
#11
○高木政府委員 常任理事の給与水準はきまっておるのですが、非常勤理事につきましては、この事業団が確定いたしましたらこの謝金の中から大蔵当局とも相談して出す、実行予算というのですか、そういうぐあいにやることになっております。
#12
○西村(関)委員 いわゆる謝金だから、給与でないのだから、一般の常識から言ってきわめて低いものであるというふうに了解してよろしいですか。謝金にもいろいろありますから、謝金の名目において多額の給与に相当するような謝礼をしたのでは、これは私はおかしいと思うのですが、大体局長は年額どのくらい考えておられるのですか。
#13
○高木政府委員 ちょっといまオフハンドにお答えできないのですが、趣旨といたしましては、いま先生がおっしゃったことと同じことでありまして、非常勤の理事に多額の俸給を出したくないから、できるだけ少ない謝金で知恵だけを掛りたいという趣旨でございます。
#14
○西村(関)委員 その点了解いたしました。
 次に、人事の問題につきまして、大臣もこの前も答弁をせられましたが、外務省の畑からだけ考えないで、広く各省からもまた民間からも人材を集めて、そうして清新はつらつとした人事を行ない、運営を推進していきたい、これは事業団のみならず移住行政全般について大臣の御方針のように承ったのでございますが、そのような御方針によりましてぜひこの事業団の人事について遺憾のないようにしていただきたい。これは理事長がきまって理事長のもとで考えられるのでありますけれども、何と申しましても、これは政府のまるがかえの特殊法人でございますから、責任上政府が人事の面においても政府の考え方を示して人事に関与せられるということは私は当然だと思うのですが、そういう点からも、大臣の御方針が事業団の人事に反映するような配慮が必要ではなかろうかと思うのでございます。
 それにつきまして私のお願いを申しまして大臣のお考えを伺いたいと思いますが、移住の事業につきましては、中央におる人たちだけがやっておるのじゃございません。地方にありまして、地方の府県庁あるいは北海道の道庁、そういう地方自治体にあって営々としてこの仕事に従事しているところの人たち、また、地方海外協会の中にも、これは今度の統合からははずされておりますが、実際縁の下の力持ちをして日の目を見ないで労多くして報いられるところの少ない仕事をやっている移住の専門家がおります。掘り起こしていけばそういう人が相当ある。私はそういう人を若干は知っておりますが、そういう人材を掘り起こしていくという努力がなされなければいけないと思うのです。と同時に、海外にあって移住のことを寝てもさめても肌で体験し苦労しているそういう人たちの中にも隠れた人材があると思うのです。そういう隠れておる人材を掘り起こしていくという努力が外務当局においてなされなければならないと思うのであります。ほかの関係各省からも、特に農林省から、あるいは地方海協あるいは現地、そういう方面から、有能な、労多くしていままで報いられるところの少ない、しかも打ち込んで仕事をやっているところの人たちを掘り起こしていく、そしてこれを登用するという努力を外務当局はやっぱりやっていただきたいということを心底からお願いするものでございます。この前国会を通りまして発足をいたしております海外技術協力事業団の人事を見ますと、外務畑一色とまでは言いませんけれども、外務官僚が横すべりしている。こういうことを今度の事業団で繰り返すようなことでは、大臣の御趣旨が実際の上にあらわれてこないと私は思うのであります。海外技術協力事業団につきましては、私がいまさらその人事を申し上げるまでもないと思うのでございまして、どうもやはり外務省から横すべりという傾向が強かったというふうに私は感じておるのであります。そういうことのないように、いま私が申し上げましたような点を十分御配慮をいただきたい。いただけるかどうか、その点、非常にくどいようでございますけれども、大臣のお考えを承りたいと思います。
#15
○大平国務大臣 先ほどお答え申し上げましたように、いま私どもまだ白紙でおるわけでございますが、方針といたしましては、事業団に責任を持っていただいて自主的に御活動いただくという方針でございまして、広く清新な人材に来ていただきたいという方針でございまして、いまお示しのように、農林省をはじめ各省、それから地方、海外、広く見渡して、そういう方針に合致したお方にお願いしたいという気持でございます。貴重な御意見として十分拝聴いたしまして、善処いたしたいと思います。
#16
○西村(関)委員 今度の事業団法案によりますと、事業団に入るところの公務員は、恩給について勤務年数に加算されるというふうになっているように思いますが、そうでございますか。
#17
○高木政府委員 ただいまの御質問の、恩給が続くかということでございますが、それは切れるのでございます。恩給といたしましては一応対象として切れるわけでございます。しかし、戻ってきましたときには前の年数を通算するということになっております。
#18
○西村(関)委員 そうすると、事業団に入っている間だけの年数は、これはもちろん公務員でないのですからその間は省かれるけれども、前の勤続年数は、また外務省とか農林者へ帰ってきた場合には加算される、こういうことでございますね。私もそういうふうに理解しているのですが、そうでございますか。
#19
○高木政府委員 そのとおりでございます。これら事業団は一般にそういうふうになっておりますので、同じ形式をとっておるわけでございます。ただ、われわれといたしましては、役所からひもつきで行ってまた帰ってくるというような人事はなるべく希望しない、移住事業団についてはそこで一生移住の仕事にささげる人たちに来ていただきたい、こういうふうに思っております。
#20
○西村(関)委員 私の尋ねようと思うことをあなたが先に言ってしまわれたので、そこまでもう尋ねる必要が私はなくなったのですが、いわゆる外務省あるいは農林省、労働省の権限を押し広げていこうというような考え方で外務省等から事業団に入り込んでもらっては困ると思うのです。私は、ほんとうを言うならば、もう打ち切ってしまって、加算すべきではないと思うのです。これはほかの事業団もそうなっているということですが、それもおかしいと思うのです。しばしば局長もまた大臣も言われましたように、前途春秋に富むところの若い公務員が、ほんとうに自分の将来をなげうって、そして、困難な、あまりぱっとしないこの仕事に投げ込んでやる、そういうところに非常な評価、アプリシエーションがあるというふうに私も思うのでございます。また、そういう人を登用しなければいけないと思うのでございますが、やめるというとまた本省に戻ってきて、そうして恩給が加算されるということになるのでは、やはり腰かけ根性になるですよ。いまそれをすぐに改めて打ち切れというようなことは申しませんけれども、しかし、外務省の権益拡張のために人間を送って、そうしてまたある一定の期間が来たらまた引き戻すのだ、本人も戻るのだというような考え方で事業団に入ってこられては困る、こう思うのですが、局長いかがですか。
#21
○高木政府委員 先生のおっしゃった御意見に全く同感でございます。
 なお、今度の事業団は、海外協会連合会と会社の定員を合わせたよりも一割減になっておりまして、そういう意味におきましては、現在の人で非常に高給でありあるいは定年を越していて働けないというような人は落ちてもらってやりますが、なるべく現在の移住に携わっていて有能な人は残ってもらって、役人があとから来て上へ上がるというようなことはわれわれとしては好ましくないと思っております。そういう点も先生と同じ考えでおります。
#22
○西村(関)委員 大臣にお伺いいたします。御存じだと思いますが、地方海協の職員は身分の保障がないのでございます。非常に不安定な状態で仕事をしておる。先ほど申し上げましたように、ずいぶん苦労を重ねながら、山奥のすみずみまで回って募集その他の仕事をやっている。そういう人は、同じように県庁の一室に机を並べておっても、地方公務員である県庁の役人と同じように仕事をしておっても、退職金もなければいろんな公務員の受ける身分の保障も全然ないのです。そういう状態にある人たちのことも考えてもらいたい。それらの人たちのことを今度は事業団から省いております。どういう事情で省かれたかということは順を追うてこれから聞いてまいりますけれども、そういうところにも、同じ移住の仕事をしておっても不公平がある。これは何とか閣僚の一人として大臣に今後これらの地方海協の人たちをどうするかということを真剣に考えてもらいたい。これは農林省の管轄だからといって済まされるものじゃないと思うのです。こういう人たちの労に報いる手だてを政府としては考えなければいけないと私は思うのでございます。農林大臣はまだお見えになっておりませんが、局長は見えておるようですけれども、閣僚の一人として、外務大臣はこの問題に対して御承知であり、また、よくお考えをいただいておると思いますが、この機会に御見解を承っておきたいと思います。
#23
○大平国務大臣 仰せごもっともだと存じます。私は、地方の海外協会というのは、当初、非常にうかつでございますが、あれは海協連のブランチだと思っておったのです。ところが、調べてみますと、あれは別個の法人格を持っております。したがって、今回御提案申し上げて御審議をいただいておる事業団というのは、中央の統一した移住をお世話する機関をつくるということに限局されまして、地方にまでまだ及んでいないのでございます。これは行く行く将来の問題になるわけでありますが、私自身の考えでは、農林省と外務省との話し合いをするにいたしましても、先ほど先生が御指摘されたように、外務省がなわ張り意識を持っておったのでは農林省も警戒するだろうと思います。したがって、私は、今度の中央の事業団を御承認を得てつくっていく場合には、そういう懸念のないようにして、そして、これは安心できる事業団であり、今後事業団の運営も公正にするのだという保証があれば、農林当局のほうでも安心して、それでは海外協会というものを事業団に移してやろうというようなお気持になると思うのです。現に、各府県からも若干の方がお見えになって、そういう希望を持たれておる方もありますが、私の仕方といたしましては、中央にひとつすっきりしたものをつくって、将来の運営につきましてもフェアにまいるのだという信用をまず確立することが、いま御指摘の問題を解決していく場合におきまして先決の要件になるのじゃないかと思っております。私は、外務省が移住行政のお世話をする窓口になっていくことは、これは外務省の立場としてやむを得ないと思っておるのでございますけれども、外務省が不当に仕事の分野を広げていくなどという気持は毛頭ないので、むしろ私はそういうことには反対なんでして、極端に言えば、移住局などというものはほんとうは要らぬと思うのです。こういうものが大きくかまえをしておりますと、逆にそういう官僚機構自体の生存本能を持ちますから、したがって、できるだけ簡素に、予算とか決算とかあるいは首脳人事とかいうような政府に接触してくるところのお世話だけにして、実体はみな事業団で各省並びに民間の方々に入っていただいて責任を持ってやっていただくように順次持っていきたいと思っておるわけでございます。したがって、今度の事業団も、鬼っ子をつくったのでは、とても御指摘のようなことはできぬと思うものですから、つくり方が非常に大事だと思って、深く用心し、十分注意し戒心してやっていきたいと私は思って、おります。
#24
○西村(関)委員 どうも大平さんの御答弁を承っておると私のほこ先がにぶるので、伺いようがないのでございますが、そのとおり私もやっていただきたいという気持以外にはないのでございます。移住審議会の答申におきましても、行政機構は事務内容を簡素化して、実務的、技術的部分はできるだけ事業団に委譲するようにというふうになっております。この立場からいたしますと、いま大臣が言われましたように、移住局なんかはやめちゃって、移住に関する高度の企画、事業団の監督に専念する、そうして事業団自体が自主的な創意のある清新はつらつとした発展をとげていくような指導をやっていくということが、やはり行政のあり方としては答申の趣旨にも沿うし、そうありたいということを私は願っているものでございますが、そのような私の考え方と合致する大臣の御見解を承って、その点は私もまことに意を強くするものでございます。
 ただ、地方海協の問題につきましては、事業団が発足して、事業団が固まって成果をあげていくならば、これは逐次そこまで手が及んでいくようになるであろう、また、しなければいけないということで、これは海協連の下部組織でもなんでもないのだから、海協連を一緒にした場合に地方海協も一緒というわけにはいろいろな都合でまいらなかった、しかし順次その方向に持っていくように努力したい、こういうことでございますから、その点は了承するものでございます。ただ、この法案の第三条に、「必要な地に従たる事務所を置くことができる。」というふうにあります。この従たる事務所とは、従たる事務所を各都道府県に置くという意味なのでございましょうか、地方海協を事業団に吸収して支部にしようというお考えなのでございましょうか、その点をお伺いしたいと思います。
#25
○高木政府委員 従たる事務所は二つ考えておりまして、在外支部も従たる事務所でございます。それから、国内の各府県にございます地協が将来支部になっていくということも頭に入れておる次第でございます。
#26
○西村(関)委員 海外の支部並びに各道府県の地方海協をも支部にしていきたい、こういう意味でございますね。
#27
○高木政府委員 そうです。
#28
○西村(関)委員 それから、審議会は、この点につきましても、地方海外協会をもって事業団の支部または駐在員事務所に充てることが望ましいというふうに答申しております。でありますから、その点につきまして、いま局長の御答弁のあったように、また大臣の御答弁のあったように、地方海協の問題はぜひすみやかにその方向で解決をしていただきたいと思うのでございます。
 そうなってまいりますと、なぜ今回地方海協も海協連と一緒にこの事業団の構想の中に入れられなかったのであるか。答申も地方海協を支部にするのが望ましいというふうになっているのでございますから、地方海協も入れて事業団の構想を考えられるのが、私は答申の趣旨に沿うと思うのでございますが、何ゆえ地方海協をはずされたのであるか。こういうことは、農林大臣もお見えになりましたが、地方海協はこれは農林省の管轄だ、農林省の管轄だからどうも話し合いが十分についてないという印象をわれわれは受けざるを得ないのです。そうならばそれではっきりそのようにお答えを願えれば、それでけっこうです。農林大臣も見えましたから、農林大臣にも伺いますが、この点の話し合いは今度の事業団構想の中で農林省とはどういうふうな話し合いになったのですか。
#29
○大平国務大臣 先ほど御答弁申し上げましたように、海外協会というのは別個の法人でございまして、海協連と移住振興会社を一緒にするという表現の中には入らないのでございます。私は、実は、先ほど申し上げましたように、あれはブランチだと思っていましたから、当然入っていると思っていたら、そうではなくて、別個の人格を持っておるということで、そうぞんざいに取り扱うわけにいかぬということが一点でございます。それから、第二点として、農林省と私どものほうの今度の法案を作案する場合のいろいろな打ち合わせで、農林大臣も私も本来しろうとでございまするし、それから、事務方のほうの打ち合わせでは、相当従来の経緯がございまして、いろいろないきさつがあったのでございます。したがって、いま先生の御指摘のように、相互の理解が率直に言って十分でなかったと思うのです。そこで、私といたしましては、今度つくります事業団は、とりあえず、ともかく中央を固めるということに昭和三十八年度の任務としては限局をいたしまして、それをまず固めていこうということで、地方の問題はその次の段階の仕事になるのだということで、その場合に、どうしても農林省と外務省が十分の理解を持ってやらなければいかぬとすれば、そういうことが前提でございますから、どうしても中央のつくりぐあいをうまくやらないと、農林省も外務省を信用しないだろうと思うのでございます。そういう意味で、将来の課題にしてある。予算的にも三十八年度はとりあえずそうなっておるわけでございまして、三十九年度以降の問題として十分の理解と協力でやっていきたい。この事業団法ができ上がる最初の段階になってまいりまして、だんだん双方の理解ができ上がってきつつあるように私は思っております。
#30
○西村(関)委員 農林大臣がお見えになりましたから、農林大臣にお伺いをいたします。
 去る三月八日の本会議におきまして私がこの法案について質問をいたしましたときに、大臣は参議院の関係でお見えにならなくて、津島政務次官から御答弁があったのでございますが、そのときに私が伺いましたように、今度移住事業団法案が審議に入っておるわけでございますが、日本の移住の現状から申しますと、八割ないし九割は農業移民である。しかもそのような状態は当分続く。新しい移住の理念によって移住行政がなされていくことは、これは答申の冒頭にもうたわれておることでありますし、これは単なる内地で食い詰めた者を海外に送り出すというのではなくて、優秀な日本人を要求のある外地へ送り出して、そのフロンティアにおいて、その地域に対し、その国家に対し、また世界の平和に対して貢献させる、こういう考え方に立って新しい移住行政が発足しようとしている。また、現在までもそうであったと思いますが、そういう農業移民が現在においてもまた当分の間は中心になっていかなければならない日本の移住の現状から申しまして、農林大臣は重大な関心をお払いになっていらっしゃることはもちろんであるわけなんですが、そうであるにかかわらず、先ほどからもお伺いしておりますように、この事業団の中からは、海協連はもちろん入っておりますが、地方海協も省かれておるし、それから、農協を通して行なうもの、あるいは地方自治体が中心になって集団的な移民を送り出し、そして新しい村づくりを外地において行なうというようなこと、それから全拓連が行なっている移住事業というようなものも、この中から省かれておるわけなんであります。こういうことになりますと、やはり、これらの外務省のルートを通らないで現地へ送り出されるところの移住者に対して、もちろん外地の同胞に対する保護の責任が外務省にはございますが、しかし、このルートを通らないで農協を通じあるいは地方自治体を通じあるいは全拓連を通じて送り出されるところの移住者に対しまして、この事業団法においては、農林大臣にはその監督指導の法的な権限がない。関係大臣と緊密な連絡をとって協議をするということになっておりますが、法的な監督の根拠がないわけであります。こういう点につきまして、移住の窓口を外務省一本にするということは審議会の委員の多数の人たちの意見でありました。もちろん東畑会長は農林省、外務省の共管説を唱えられましたが、多数の意見がそうでありましたからそういうふうになったといういきさつも私は承知しておりますし、私はやはり外務省を窓口にするということに対しまして絶対に反対するものではないのであります。現在の状況におきましてはそうするよりほかにないというふうに考えるものでございますが、農林大臣としてはそういう点に対してどのような形で責任をおとりになろうとしていらっしゃるか。また、今後の農業移民の開発、また保護発展等につきましてどういうふうにやっていこうというふうにお考えになっていらっしゃるか。外務省を信頼して外務省にまかせきりというわけではございますまいが、先般の本会議におきまして津島政府委員は私の質問に対して、「監督はできるだけ簡素化する必要がございますので、外務大臣におまかせすることにいたしたのであります。」、監督を簡素化する、あっちからもこっちからも監督されたんじゃ現地からの事務的な報告その他も煩瑣でしょうがない、一本化するということで外務大臣におまかせしたのであります、こういうふうに答えておられます。「しかし、海外移住政策全般につきましては、農林省といたしましては、農業移住の促進と農業移住者保護の立場から、外務大臣を初め関係各大臣と密接に連絡協議をいたしまして、その万全を期するとともに、また、事業団運営の基本方針につきましても、海外移住事業団法により、外務大臣の協議に応ずるほか、外務省との実質的協力体制を確保することにいたしておるのであります。」、こういうふうに答えておられますが、どうもこれは抽象的でございまして、本会議のことでございますからさらに質問をするということができないままになっておりますが、あらためて農林大臣からこの点につきまして具体的に御説明を願いたい。外務大臣におまかせをいたして緊密に連絡協議をする、万全を期していく、外務大臣の協議に応ずる、いずれも消極的でありますが、この大事な農業移民の保護育成にあたって、あるいは指導監督にあたって、どのような具体的な連絡あるいは協議をしていく場をつくっていかれるか。この法案の雑則のところに関係各大臣と協議をするということがありますけれども、法的な根拠はきわめて薄弱だと私は考えますが、農林大臣の御見解はいかがですか。
#31
○重政国務大臣 御指摘のとおりに、現在の海外移民というものが農業移民に非常にウエートが高いということはそのとおりであろうと思うのであります。しこうして、今回の海外移住事業団の法案におきましては、事業団の監督は外務大臣の専管と一応なっておるわけであります。しかし、農林大臣の海外移住行政について持っております権限というようなものは、法律的には農林省設置法に定めておりますところと何ら変わりはございません。農林省設置法において農林大臣の権限、責任といたしておりますところは、移民の送出についての選定でありますとか、あるいは募集でありますとか、さらにはその教育、訓練というようなことは農林大臣の責任であり、農林大臣の権限に属しておるのでありまして、今回の法案においても、それらの権限は従来と何ら変わりはないわけであります。
 それから、お話中に出ましたが、事業団とは別個に農業団体とかその他の団体で移民を送るということにはなりません。やはり窓口はこの事業団が窓口になって移民を出す。その出すまでの訓練あるいは教育、募集、選考というようなものは、主として農林大臣の責任においてやるのでありますが、これはむろん事業団とよく協議連絡をいたしてやることは当然のことであります。そうして、向こうへ行きましてのいろいろの受け入れ体制、あるいは向こうでどういうことをやるかというようなことにつきましては、これは事業団がやるわけでありますが、これは、先ほども御指摘のとおり、その監督権限を持っておられる外務大臣とわれわれとが十分なる協議打ち合わせをいたしまして、遺憾のないような方法でこれをやろう、こういうことで話がなっておるわけであります。
 しからば具体的にどういう協議を一体やるのか、こういう御質問でございますが、外務、農林両省次官において具体的なある程度の打ち合わせをいたしておりますから、これは農政局長の方からひとつ御説明を申し上げたいと思います。
#32
○西村(関)委員 局長の御答弁の前に、いまの大臣の御答弁で私が理解しかねますのは、いまの大臣の御答弁によりますと、農林省設置法によって農林省は農林省独自の立場で募集もやれば移民の選出もやる、向こうへ行ってからは外務省の管轄だ、こういうふうに私は伺ったのでありますが、今度の事業団法案の趣旨、中身から申しますと、やはり、移民の募集も、それから訓練も、それから送り出しも、これは事業団を通じて外務省が一本でやるというのがたてまえになっておるのであります。そうすると、いまの大臣の御答弁だと二本建てだという印象を私は受けるのであります。そうだとすると、そこにやはり問題がまだ残っておるという印象をどうしても私はぬぐい去ることができないのであります。いまの大臣のお考えと外務当局のお考えとはまだ食い違いがあるというふうに私は受け取らざるを得ないのですが、重政さんどうですか、この点は。
#33
○重政国務大臣 これは私の表現が少し悪かったかもしれませんが、決して二本建てにはなっておらぬのであります。やはり事業団がやることにはなっておりますが、募集、訓練、教育についての行政的な権限というのは、これは農林大臣が持っております。でありますから、事業団とよく打ち合わせて、そうして農林省とよく打ち合わせて事業団が事業の執行をやる、こういうことになる、こう思うのであります。でありますから、決して二本建てにはなっておりません。
#34
○西村(関)委員 齋藤局長、それでいいんですか。ちょっとおかしいですよ。
#35
○齋藤(誠)政府委員 ただいま大臣からお話がありました点につきまして補足いたしたいと思います。
 御承知のように、事業団全体といたしましては外務大臣が専管ということに相なっておるわけであります。他面、また、農民の移住にあたりましては、現在農林省が募集、選考、訓練等につきまして各府県に補助金を流し、あるいはまた農業団体に補助金を流しまして、農業移住者の募集なり送出なりについての協力事務をいたしておるわけでございます。したがって、農協なり各府県なりが募集、選考して農業者が出てきました場合におきましては、最終的には事業団と連携して、つまりこれは公的機関でありますから、渡航の手続なりあるいは融資措置なり、これらの仕事は全部事業団を通じてやるということに相なるわけでございます。
 そこで、具体的な協力関係がどうなるかということで、実は、この法案の制定に伴いまして、外務省、農林省におきまして、両省の次官の覚え書きを取りかわしまして、具体的な協力関係を明らかにいたしたわけでございます。大体それによりまして、事業団の運営にあたりましては、いま農林省の行なっているようないろいろの農業移住者の募集あるいは訓練、送出というような業務につきまして協調してやるように両省において協議して進めてまいろう、また、われわれのほうがやる場合におきましても、事業団と協調してできるように、外務省と農林省とは協調してやりましょうというようなことにいたしまして、事業団の運営面とそれから農協その他の活動面と両方が協調してできるような運営方法を両省において考えていきましょう、こういう趣旨の覚え書きをいたしたわけでございます。したがいまして、いまお話しになりましたような二元的な行き方だということは、事実問題としてはあり得ないわけでございます。
#36
○西村(関)委員 私が御指摘申し上げるまでもなく、従来全拓連を通じて移住者を送り出しておった、それから、農協を通じて、あるいは一つの県もしくは幾つかの県が一緒になってブラジルのグアタパラ移住地に対して新天地を開拓するというようなことを行なっておったわけであります。相当な成績をあげておるのでありますが、どうもそういうような相当な成績をあげておる農業者の移住地に対して従来外務省の出先は非常に冷ややかであった。これは何とおっしゃっても事実なんです。それは齋藤さんがよく御存じなんです。そういうようなことがいまお話しになったような点で解消できるかどうかという点を私は心配しておるのです。事業団ができることによって従来のそういう問題が解消されて、一視同仁、外務省の出先の総領事館なりあるいは大使館なりが同じようにめんどう見てくれるというような見通しがつけば、今後も、農協を通じ、全拓連を通じ、あるいは地方自治体を通じての移住が進行していくと思うのです。また、そうでなければならないと思う。そこのところが、事業団との結びつき、外務省との連絡協議の中身になってくると私は思うのでございますが、それらの点について、今、簡単と言っては失礼でございますが、あっさりおっしゃったことだけで、はたしてそれができるかどうかという点について、私はまだ若干の心配を抱かざるを得ないのでございます。現にグアタパラの問題もいろいろな問題が起こっております。私は現地に行っておらぬですけれども、行ってない私でさえもいろいろなことを承知しておるのであります。そういうような状態に対しまして、こういう従来の関係を踏まえて、外務省一本の窓口で事業団を通じて、農林省がやる募集、農林省がやる指導、訓練というものを経て現地に送られた移住者も、そうでなくて今後できる事業団の支部を通じて募集されてそこから送り出される移住者も、同じように取り扱われるという保証がないと、今言われたことは私は一片の儀礼的な答弁になってしまうと思うのです。その点の話し合いが農林省と外務省との間に具体的にどのようにできておるかということを私は伺いたいのであります。
#37
○重政国務大臣 ごもっともなことです。それは、もう申し上げるまでもなく、制度が幾ら綿密にうまくできておりましても、その運用をする人、その運用が適正を得なければ、とうてい所期の目的を達することのできぬことは申し上げるまでもないことでありまして、結局、問題は、だれがこれを運営をするかということが重大な問題であると私は思うのであります。その点につきましては、かねがね外務大臣と私との間でお話をしておるわけでありまして、外務大臣は十分配慮をせられまして、今御指摘になりましたような懸念なく運用ができるような人事をやる、こういう御決意を外務大臣は持っておられますから、これはひとつわれわれを信用していただきまして、しばらく実績を見ていただきたい、こういうことに考えます。
#38
○野田委員長 西村君にちょっと御注意申しますが、重政農林大臣は十二時ちょっとくらいで退席したいということでありまして、次に堂森委員の質問も申し出されてありますから、あなたの方で御調整を願うよう御承知おき願います。
#39
○西村(関)委員 ただいまの重政農林大臣の御趣旨はよくわかりました。私も刮目して両省の間の緊密な連絡協議によって調和がとれてまいりますことを期待してまいりたいと思います。ただ、従来から、両巨頭の間で話ができましても、実際のあなたの部下、局長まではわかっておっても、それから下の部下の人たちがどれだけその点に対して十分な理解を持って協力していくか、これは外務大臣においても同じことが言えると私は思うのでありまして、そこのところが、農林・外務百年戦争なんというばかなことを巷間言われるような種になっているので、私は現実を心配しておるからあえて申し上げておるのです。しかし、大平外務大臣は先ほどからしばしばその点について言及しておられますし、ただいまも、重政農林大臣が、責任を持ってやるからひとつ今後を見守っておってくれ、こういうことでございますから、これ以上私はこの問題を追及と申しますか触れることを避けたいと、一応大まかなところではそういうふうに思いますが、こまかいところはあとからだんだん申し上げます。
 次に一問だけ伺って、堂森委員と交代します。私はまだたくさん残っておりますが、今後の委員会の審議を通じまして逐次お伺いしてまいるつもりであります。
 外務大臣にお伺いいたしますが、今度の移住事業団法案を見ますと、地方公共団体との関係が明確でございません。移住に関する啓発、募集につきましては、地方公共団体の協力なくしてはほとんど不可能であると私は思うのであります。審議会の答申におきましても、「海外移住に関する知識の普及公的実務機関の地方活動に対する監督、移住あっせん業者及び団体の取締り等は、国からの委任において行なうべきである。都道府県知事が明確な法的権限と責任をもって都道府県区域内における移住行政の中心となる体制を確立することが必要である。」と答申しておるわけです。ところが、法案第二十二条で、事業団の必要あるときはその業務の一部を地方公共団体その他の団体に委任することを規定し、また、第三十九条におきましては、「事業団は、その業務の運営については、地方公共団体と密接に連絡するものとする。」、こう雑則に触れられておるだけであります。また、「地方公共団体は、事業団に対し、その事務の運営について協力するよう努めるものとする。」というふうに規定しているわけでございまして、この点どうもこの法案の中身から申しますと地方公共団体との関係が非常に弱い。地方公共団体の長が地方における移住行政の中心になれるような体制が確立されるためには、地方公共団体の長の職務権限というものを法的に明確化することが必要だと思うのでございますが、この規定がないという点について私は非常に遺憾に思います。その点いかがでございましょう。
#40
○高木政府委員 事業団法といたしましては、事業団の業務の一部を地方公共団体に委任できますが、それ以外に、これは事業団の外でございますが、地方自治団体の固有事務として移住の推進が行なわれる、それを考慮に入れているわけでございます。
#41
○野田委員長 堂森芳男君。
#42
○堂森委員 農林大臣と外務大臣にお尋ねしますが、昭和二十九年の七月でありますか、閣議決定で、移住政策については主務大臣は外務大臣である、そしてこの主管をする、そして、農業移民に関しては、講習をやる、あるいはまた訓練といいますか、あるいは募集であるとか、あるいはさっき大臣が答弁されましたような事項は、外務大臣と農林大臣の共管である、しかし、実際にはこういう仕事は農林省がやっていく、責任を持って担当していく、こういう決定がなされたのであります。そういう意味の答弁であったと思います。そこで、今度事業団法ができまして、農林大臣と外務大臣が話し合いをされまして、外務大臣が唯一の主管大臣として従来とは違った意味の了解をしたように、これは新聞で見たのですが、かつてのこういう閣議決定事項が変わってきたのかどうかということをまず御答弁を願いたい、こう思います。
#43
○大平国務大臣 事業団法は、法案にお示ししてあるような骨格のものをつくろうというわけでございますが、それは、先ほど西村委員の御質問にお答えいたしましたように、つまり、これは中央の移住行政、移住実施実務機構を整備していくというのがとりあえずの私どもの任務でございます。地方の問題までまだ手が及んでいないというのが、正直に申しまして、いま私どもが立っている段階でございます。海外協会の問題もあとに問題が残っているということは先ほどお答え申し上げた通りでございます。一方、農林省におきましては、設置法上農林大臣はこれこれのことをやるのだというように書いてございます。したがって、今後事業団に関する限り外務大臣が専管するということになったわけでございます。
 問題は、事業団といたしまして、いま御指摘の農林省がやられる仕事との接触面、あるいはいま西村委員が言われた地方行政機関、地方庁、地方自治団体との関連をどうするか。事業団自身がその機構を地方までどのようにエクステンションしてやっていくかという問題は将来の問題になるわけでございます。したがって、現在御提案申し上げている法律案から直ちに結論づけるということは私はむずかしいと思っております。移住行政刷新の流れがいまちょうどそういう段階にあるということでございます。今後地方につきましてどのように整備してまいるかということは、これからの問題であります。ただし、移住はただいま今日行なわれているわけでございますから、農林省と外務省といたしましては、こういう段階に立ちましてそういう制度的な制約のもとでできるだけ一本化をやって能率をあげようじゃないかということで、先ほど齋藤君から御説明がありましたように、両大臣の申し合わせで協力を保っていこうということでいたしているわけでございます。
#44
○堂森委員 農林大臣、いかがでございますか。私はただいまの外務大臣の説明ではよく理解できないのです。
 それでは、質問を続けていきます。私ちょうど去年の秋列国議会同盟会議がブラジルでありましたものですから、南米に行きました機会に四十数日かけてわれわれの同胞が移住している地域をずっと回ったわけです。そうして現地で各地の移住者の諸君ともいろいろ懇談する機会が十数回ございました。それからまた、在外公館の諸君からも各国でいろいろな話を聞きました。それで、具体的に申し上げますが、たとえばパラグァイという国がございます。人口百七、八十万ございますか、このパラグァイのパラナ川に近いところにアルトパラナという移住地があるわけです。これは八万四千ヘクタールぐらいあります。それから、これにそう遠くないところでイグアスという移住地、これもやはり七、八万ヘクタールで、この大きな移住地を移住振興株式会社が買い取りまして、いま開拓しておりますが、これにことしから移住者を入れる、こういう段取りになっておるわけです。そこでパラグァイのアルトパラナの移住地というのは、二千家族入れる、こういう予定でありますが、現在、おそらく三百家族か四百家族に満たぬ、こういう状態にあると思うのです。そこで、私が非常に心配になったことは、百七十万くらいの人口の中に二千家族をさらに入れていく、これはすでに数百家族おるところです。イグアスへ新しく二千家族入れていく、こういうことになりますと、一体何をつくっていくのか、こういうふうに聞きますと、これからいろいろ研究していくという在外公館の話でした。そこで何をつくるか、しかも人口が百七十万くらいのところですから、もし移住者がどんどん仕事をフルにやって物をつくっていくということになりますと、一体何が売れるのだろうかということ。これははっきりした見通しを在外公館の大使も説明できない。わからぬと言うのです。そこに私は問題があると思うのです。ただ入れればいいだけじゃないわけでしょう。しかも、アルトパラナの移住地から大きなパラナ川を下りましてブエノスアイレスまで持ってくる輸送費というのは、ブエノスアイレスからさらにニューヨークへ持っていく輸送費と大体一緒だそうです。そうすると、そこでつくったものを百七十万ぐらいしか人口のないパラグァイで消化するということは非常に困難だということはだれでもわかることです。そこで、何をつくるかというと、油キリをつくる予定だ、こういう話です。これは市場性という問題ではたして売れるかどうか。御承知のように、油キリは中国が全世界の生産高の七、八割を占めておるのであります。しかもこれは合成樹脂によって相当植物性の油というものの塗料としての販路がだんだん狭まっていくという危険性が非常にあるわけです。これは現在はアメリカが相当買ってくれる。しかし、アメリカは国内でも相当奨励をしておって、今後そうアメリカにおける販路も安心はできない。
 農林大臣、これは具体的な答弁をせいというわけじゃないのです。そういうふうに、ことしから二千家族を入れるイグアス、あるいはすでに数百家族入れたアルトパラナの移住地に八万ヘクタールという土地を買って、移住振興株式会社が膨大な資金を投じてこれを売りつけていこうというふうになった場合、何をつくって何をどこへ持っていくかという計画性というか、あるいは科学的な調査をやっていないということなんです。在外公館の大使がそう言っておる。実際これは非常に困ったことなんです。将来の見通しというものもはっきりしておりません。ですから、私がいま外務大臣にもこういうことを聞いてもらうことは、ただ入れればいいのじゃないのです。人を送ればいいのじゃないのです。何をつくってどこへ売るか、あるいはここでつくったどのくらいのものがどこの地域で売れるかという科学的な調査、これは農林省としては重大な責任のある仕事です。でありますから、事業団ができて一本化していく、こういう形の上の一本化を幾らしても、ほんとうに日本の官庁が持っておる力を集中してやらないと、うまくいかない。農林省あるいは建設省、通産省、外務省、こういうふうな各官庁にたくさんの人がおる。その力をフルに動かせるような事業団にはたしてなり得るかどうか、私こういうことだと思うのです。ただ形が外務省一本になって主管していく、それだけではできないことであります。いまも西村さんがおっしゃいましたが、たとえばブラジルのサンパウロ郊外のグアタパラという移住地がございます。きょうもあなたのところの下僚から資料をもらいました。ことしは米がとれて非常に金がもうかったという話であります。ブラジルに行きますと、グアタパラの移住地、あんなものはあかん、将来見込みがない、こう申す古い経験者もたくさんあるわけです。しかも、外務省の出先である総領事館あるいは出先の海協連あるいは移住振興株式会社なんかでいざこざを起こしておる。さっきも百年戦争とおっしゃいました。そういううわさがもっぱらです。これも外務省と農林省が盛んにけんかをして、長い間かかってようやく農林省の主張が通ったのですが、非常に規模が小さくなって小さいものをやり出す、こういうふうな現状であります。ほんとうに政府のあらゆる機関が有機的にぴったり一緒になってやっていける体制ができるかどうか。そうでないと、向こうへ行った移民の諸君こそ非常な犠牲になるわけです。そういう意味で、大平外務大臣は何かこれから大いに構想を練ってりっぱなものをつくっていくのだというお話でありますが、なかなかそんなにうまくいくかどうか、私は非常に危惧を持つわけであります。従来、農林省としては、そういうふうに移住地をつくるときに、ほんとうに農林省と外務省が一体となって、たとえば農業移民について、そういうふうな有機的なぴったり呼吸の合った調査というものをやってきたのでありますか、承りたいと思います。
#45
○重政国務大臣 いまお話にありましたパラグァイの移住地につきましては、率直に申しまして、現地と十分なる連絡がとられておらないわけであります。ただいま堂森さんが御指摘になりましたことはまことにごもっともなことであります。私どもは、要するに、制度とかなんとかいうようなことも大事でありますが、移民がりっぱに成功するということが最終の目的であるわけでありますから、そのために移住行政の機構も簡素化をして統一的にやろうというので、今回の外務大臣との話し合いでこの法案になったわけであります。先ほども申しましたとおり、幾ら制度がかっこうがよくなりましても、結局これを運用するものは人間でありますから、これに人を得なければ、ただいま仰せになりましたようなことになると私は思うのです。その点は重々私どもは認識をいたしておるわけでありますから、幸いに御協賛を得てこの法案が成立をいたしますれば、そういうようなことが将来起こらないような運営をしてまいらなければならない、そういう場合においては十分調査もいたし、また、ある程度の見当も立て、あとになって始末が悪いというようなことにならぬようにいたしたい、こういうふうに私は考えております。
#46
○野田委員長 堂森君、農林大臣の時間が来ておりますから、よろしゅうございますか。
#47
○堂森委員 もうちょっといいですか。
#48
○野田委員長 あと一問にしてください。まだ次の質疑があるそうですから。
#49
○堂森委員 外務大臣も農林大臣もいらっしゃいますから、重ねてくどいようでありますが申し上げます。私は機構はできると思います。また、事業団もいい人を得まして運営もうまくいくと思いますが、しかし、そんな問題じゃないと思うのです。内閣全体の問題でございます。外務省と農林省あるいは通産省あるいはまた建設省もあります。そういう役所が一体になって協力し得る体制というものは、事業団がうまくいくということの前提になると思う。これは、あなた方がうまくいかなければ、また、あなた方がうまくいっても、下のほうがうまくいかなければ、万全の移住政策というものは成り立たないんですよ。そういう意味で、きょうの委員会で農林大臣も外務大臣も、今後の移住政策の振興の上に重大なる決意をしてもらわなければ、行く人は非常な犠牲になる。そういう意味で答弁は要らぬですが、私は警告を発しておくようなわけであります。
 そこで、外務大臣に二、三の問題をお尋ねしたいと思います。
 移民保護法という法律でがきたのは明治二十九年のようでありますが、いまごろになって、事業団法あるいは移住基本法ですか、そういうものを次の国会には出す、こういうお話でありますが、移住というものの基本理念といいますか、そういうものは外務大臣はどういうふうにお考えになっておりますか。これは基本的な問題でありますのでお尋ねをしておきたい、こう思います。
#50
○大平国務大臣 私も、先ほど申し上げましたように、移住問題については全くのしろうとでございます。えらそうなことは申し上げる勇気がないのでございますが、先ほど西村委員にもお答え申し上げましたように、私ども移住行政をやる場合に、せっかく御専門の方々が今日の事態を憂えて審議会ですぐれた答申を出していただいたわけでございます。したがって、これからの行政はこれを指針としてやるのだということを申し上げたわけでございます。その答申の最初に、移住の理念というのをお示しになっております。これは、一口で言えば、単なる労働の移動じゃない、日本人がすぐれた能力を海外に展開して、そして日本人の対外信用というものを高めていくばかりでなく、移住地の発展に寄与し、あわせて世界の平和に貢献するということでいかなければならぬというお示しでございます。私は、最近のように労働力が、これは日本ばかりじゃなく先進工業国いずこも不足いたしております段階で、労働の移動という観点からだけ言えば、つまり労働効率が高いところからわざわざ低いところに持っていくなんという理屈は出てこないわけでございまして、移住政策は成り立たないと思うのでございます。答申でお示しになったような理念でないと、これからの移住政策というのは推進できないと思うのでございまして、非常に的確に理念をお示しいただいたことを私は感銘いたしておるわけでございまして、この理念を把持いたしまして、移住に携わる方々ばかりでなく、政府自体がそういう決意で当たってまいらなければならぬと考えております。
#51
○堂森委員 外務大臣は審議会の答申の精神を基本理念として今後移住政策を推進する、こういう答弁であります。そうだと思うのであります。そこで、戦前でありますが、大体南米の移民が始まったのは明治二十七年ごろでありますか、チリへ移民が初めて行ったわけであります。戦争で中断いたしまして、戦後講和条約が発効して昭和二十七年からまた移民が始まってきた、こういうことであります。外務省から資料をもらいましたが、数字は全部読み上げることを省略しますが、昭和三十五年には八千数百名の人が移住しております。それから、三十六年は六千二百数十名行っておられます。ところが、三十七年は、十二月三十一日現在の調査では一千数百名であります。おそらく、三十七年度は、私数字を持っておりませんが、二千人ぐらいではないかと思うわけであります。戦後ぐんぐん伸びてきた移住者の数が、三十七年度は非常に減ってきた。激減してきておる。それから、三十八年度もあるいはそうではないか、こういうふうに言われておるわけでありますが、移住者がこのように三十七年度から激減してきた理由は、外務大臣はどういうところに原因があると思っておられるのか、この点について見解を承っておきたい、こう思います。
#52
○大平国務大臣 決定的な要因は、たびたびこの委員会でも御説明申し上げておりますように、経済の成長に伴う労働力の需要供給の関係から申しまして、人手不足という現象が生じてまいりましたことが大きな原因でないかと思っておりますが、同時に、不幸にいたしましてドミニカ移民等の問題から、移民政策に対する不信と申しますか、そういうものが懸念されまして、移住意欲というものが減退を余儀なくされたのではないか。総じて、いままでの移住行政というものがこの姿でいけないんじゃないかということになったわけでございまして、移住行政そのものも多々改善すべきものがあったということだろうと私は考えております。
#53
○堂森委員 もちろん、労働力の過剰ということが戦前の移住者の多く出た原因であるということも一つの理由でありましょう。たとえば、戦前の移住者の推移を見ますと、特に戦前多く移住者が出た年は、これは、大体農村恐慌が起こって、特に貧農の諸君が大量に移住をされた。こういう歴史を繰り返しておることは、これはもう歴史が示しておるところであります。しかし、戦後の移住者はかなり違ってきておる。大きな原因の一つとしてはドミニカのああした事件というのも大きな影響がありましょう。また、日本の移民、移住ということは中南米が主たる地域だと思うのでありますが、中南米は政治的にもかなり動揺が続いておる、あるいはブラジルにはひどいインフレーションが起きた、南米全体にもそういう傾向のあるということもその原因でありましょう。しかし、私がさっき申しましたような、たとえば、一例でありますが、パラグァイに対する農業移民の諸君に対するこのやり方ですね。無準備といいますか、あるいは無計画というものが、現地に行ってやはり移住者諸君がこれに非常に不安を持ちまして、内地の方へ手紙を出します。親戚や友人にも出します。そういうわけで、この移住者、移住したいという人たちの気持ちを鈍らす、そういうことも一つの原因でありましょう。もっとも、南米でも、私が見ましたアマゾンの流域のトメアスというところなどは、コショウをつくる地域で、非常な富裕な農村地帯を形成しておりまして、何でも、去年行きました当時は、従来の地域の倍くらいの地域に開墾を進めまして、主として山形県の諸君が、現在おられる移住者の倍ぐらいになる予定で、去年、ことしあたりからどんどん入っている。こういう地域もないではありません。しかし、一般にやはり中南米にはかなり移住意欲が鈍ってきておるという傾向は否定し得ないと思います。その責任の一つは、やはり政府の移住政策の怠慢にあると思う。無準備、無計画にあると思うのであります。結局、向こうへ行って移住者諸君が安心して働ける体制ができていない、こういうところに大きな原因があると思うのであります。したがって、経済成長で労働力が不足してきておるというだけではないということを私は指摘をしておきたい、こう思うわけであります。
 時間がもうないので、また次回にいろいろ聞きたいと思いますが、ここで外務大臣にわかったようなことでありますがお聞きしたいことがあるのです。沖繩の住民諸君のことです。沖繩は日本に潜在主権があるのでありましょう。いかがですか。
#54
○大平国務大臣 さよう心得ております。
#55
○堂森委員 そうすると、沖繩から出ていく移民諸君に対しては、日本政府は、潜在主権がある限り、その待遇といいますか、そういう面について内地人と区別すべきものかどうか、どう考えておられるか、その点をお聞きしたいと思います。
#56
○大平国務大臣 差別待遇をすべきものでもございませんし、現にしていないと承知しておりますが、実情は局長から説明させます。
#57
○高木政府委員 ただいま御質問の点、補足説明いたします。
 沖繩からの移住者は、海外へ出ましたら、他の内地の方々と区別いたしておりません。ただ、沖繩から直接行かれる場合には旅券の発行ができませんが、大部分の方は神戸へおいでになって、それから出られる。これは全く同じ待遇です。それから、海外移住地におきましても同じであります。ただ、ボリビアで、アメリカ政府が金を出して移住地をつくっているところがございます。これにつきましては、内地の人が入らないで沖繩の人だけが入り、従来、沖繩移住公社がございますが、この関係の人が世話をしておったのでございます。しかし、旅券その他につきましては、これは在外邦人でございますから、大使館としては同じ扱いをしておる。なお、今後、これらのアメリカが金を出しております移住地についても、日本政府が金を出してつくった移住地と同じような待遇をしていきたいということで、せっかく努力をいたしております。
#58
○堂森委員 いまの移住局長の答弁ですが、少し違いますよ。たとえば、神戸に寄って向こうに出ていくという人には、なるほど渡航費の貸し付けはあるでありましょう。もちろん、直接沖繩から行ったら渡航費は貸し付けない場合もあるかもしれません。しかし、向こうに行って、たとえばボリビアのサンファンの沖繩住民の移住地の諸君が訴えておるのは、海協連にしてもあるいは移住振興会社にしてもわれわれのめんどうを見てもらえない、こう言っておりますが、この点どうなんですか。
#59
○高木政府委員 ボリビアのいわゆる沖繩移住地につきましても、移住会社から融資しております。ただ、従来考えましたのは、ボリビアの沖繩移住地にアメリカが相当援助しているわけです。その援助を考慮に入れてサンファンの移住地とバランスのとれた援助をしないと、サンファンに行ないます援助と同じ援助を沖繩にいたしますと、それプラスアメリカ援助ということになりまして、今度はサンファンのほうから文句が出るということで、両方あわせてバランスのとれた援助をしておるわけであります。ただ、最近伺いますとアメリカの援助が非常に消極的になっておるということで、これはどうしても日本が取ってかわって世話をするようにしなければ困るということで、現地の大使館も工作しておりますし、ボリビア政府もそういうつもりでおるようでございます。最近ボリビアから見えました公使の方の話では、日本とボリビアの移住協定に基づかなければ、アメリカとの話し合いだけでは入れるようにしたくないのだということまで言っておられまして、ボリビア政府と日本政府は大体同じ気持ちでやっております。アメリカ政府もこれは認めておるようでございます。
#60
○西村(関)委員 時間がありませんので一問だけお聞きしておきますが、外務大臣が終始誠意を持って御答弁くだすっておることに対しまして、私は心から敬意を表するものであります。なお農林省との関係問題につきましてまだ質問が相当残っております。その他の問題につきましてもまだまだ残っておりますから、次回にお伺いをいたしたいと思います。きょう最後に一つだけお伺いをいたしたいと思いますことは、会計検査院からもお見えをいただいておるわけでございまして、外務当局と会計検査院当局から御答弁をいただきたいと思うのであります。
 それは、前国会においても問題になりました、いま本法案の対象になっております海外移住振興会社の決算についてであります。現在六億三千万円の欠損金となっておるようでございます。これはまだ現地邦人関係の欠損金三十六年度の六千万円その他を加算いたしますと七億数千万円になるかと思うのでございます。これが事業団に引き継がれます場合におきまして、――当然これは引き継がれなければならないと思いますが、この欠損金の処理につきましてはどのように考えておられるか、具体的な具体策についてお伺いをいたしたい。政令で定めるということになるだろうと思いますが、具体的にどういうふうに考えておられるか。
 それから、それと関連をいたしまして、私は振興会社が欠損金があるということがいけないと言っているのではございません。もちろんこれは政府の出資によるところの特殊の会社でありまして、やはり独立採算でもってやっていけるようにしていかなければならないものではございますけれども、一般の営利を目的とするところの株式会社とは違いますから、必ずしも私は欠損があったからといってそれを一般の法人と同じように取り扱うことが妥当とは考えておりません。ただ、非常に貴重な国費でまかなわれておるものでありますし、また、非常に貴重な外貨を使用するのでありますから、その点十分な監督がなされることは当然だと思うのであります。移住者の援護のためには、赤字が出ても、これは覚悟の上でこの大事業をやるのでございますから、やらなければならぬと思うのでありますが、しかし、放漫なやり方ではいけないと思うのです。振興会社は、私が言うまでもなく、現在十二地区に二十七万町歩の土地を購入いたしておりますが、うち、利用しているのはわずかに全体の一七%、五万町歩そこそこであります。あとの二十二万町歩につきましては、現在まだ未利用のまま放置されておる。その維持管理のためにむだに外貨が使われておるというようなことに対しましても、大蔵当局は問題にしている。どうもこんなのでは予算をつけることも心配だというような意向を漏らしているやに聞くのでありまして、そういうことでは、今後事業団に吸収されましても、まことにおぼつかないものを覚えずにはおれないのであります。こういうような点につきまして、外務当局からは、この欠損金の処理についてどういう考えであるか、会計検査院に対しましては、国会でも問題になりました移住振興会社の経理状態につきまして、非常に貴重な国費がつぎ込まれているのでございますから、どういうような立場で臨んでおられますかを伺いたい。これは現在検査中であると聞きます。非常に手薄な会計検査院の陣容からさいて現地で検査をやっておられるということを聞いておりますが、どういう方針で臨んでおられるか、また、その検査の結果はいつごろ判明するか、判明したならばどういうような方法で処理なさるか、その点、会計検査院の第五局長がお見えになっておりますから、お伺いをいたしたい。まず外務当局からお答えを願って、次に会計検査院からお答えを願う、それだけできょうの私の質問を終わらしていただきます。
#61
○高木政府委員 ただいまの移住会社の欠損金の性質について御説明いたします。
 移住振興会社は、最初、移住地の経済基盤強化のため、農業だけでなくて、商工投融資も活発に行なう予定でございました。これはやっておりますが、むしろ、その後の経緯といたしましては、農業融資、特に移住者への融資一本にしぼられつつございます。農業者への融資につきましては、最初は、採算ベースといいますか、経費だけはかせぎ出す考えであったように伺っております。その後、これは純コスト・ベーシスで金を貸すべきであるという農林部会等の強い御意見もあって、そういうふうに運営が変えられたというふうに伺っております。そういう意味におきまして、一般経費がどうしても欠損になっていくという傾向がそれ以来出ております。
 それから、もう一つ、この移住会社は、最初、移住地を買って造成するという考えはなかったようでございます。パラグァイのように、先住移住者がおらないところでは、どうしても会社が土地を買わなければすぐに入れないということで、当時で言えば例外的でございましたが、土地を買って会社がこれを造成する、これがその後はむしろ会社の大部分の仕事になっておるわけです。この移住地事業に関しましては、単なる金融機関として以上に、移住者の繁栄のための調査、指導というものも必要になってくるわけであります。ある意味において海外協会連合会と重なった仕事をやっておるわけですが、こういう経費がやはり赤字になっている。そこで、われわれも、また会計検査院でも御指摘になりましたが、移住地事業というものは、性質上移住地金融の機構から離すべきである、むしろ海外協会連合会の仕事になるべきであるというような意見が相当強くなりまして、今度の事業団では移住の金融だけは別に離してやる、そして移住地の経営のほうはむしろ一般の政府の補助対象という形で考えておるわけであります。
 それから、もう一つの赤字の原因は、在外移住者の大部分はブラジルでございますが、御承知の通り、ブラジルは激しい貨幣の下落がございまして、いわゆる為替差損というものが相当大きいのでございます。
 こういうことで、いま先生がおっしゃいましたように約七億円の欠損が出ているわけでありますが、相当膨大な土地を持っていてまだ移住者が入っておらないのがございます。これをいかに評価するか。現在の評価では造成に費しました費用だけが計算されておりますが、将来土地の値が相当上がればあるいはこの欠損が償えるということもあり得ると思います。たとえばサンパウロのごとき、二十年前の土地といまの土地とではお話にならない差がございます。パラグァイも同じようなことになるかもしれません。そういう意味におきましては、この欠損というものは確定したものとは言い切れないと思いますが、この点は将来十分研究したいと思います。事業団への引き継ぎは、権利義務をそのまま継承するということになっておりまして、旧会社関係の勘定は旧勘定として処理していくということで考えている次第であります。
#62
○白木会計検査院説明員 先ほどの西村委員の御質問に対して、検査の実施状況、それから、現在までの検査の結果の概要を簡単に御説明申し上げます。
 私どものほうへは、会社のほうから計算書及び証拠書類が送付されてまいりまして、この分は現地の支店の分も含めて参っておりまして、これに対する検査が現在私どもが実施しておる基本になっているのでございますが、検査の対象としましては、御承知のように、移住者に対する投融資関係、それから、移住地の造成事業が中心になっております。私どもはその全般について一応検査しておりまして、現在までに指摘した事項が若干ございますが、特に不当と認めて検査報告に掲載した事項はございません。ただ、先ほど来御指摘になりましたように、移住地事業はかなり困難な状態になっておるように承っております。私どもが現在検査しておりますのは三十六年度の決算まででございまして、現在三十七年度以降について検査中でございますが、三十六年度末の状態で、すでに取得した用地でかなり遊休しているものがある。特に、造成済みで、割り当ての段階に入ったもので、三十六年度末で申しまして、投下資本十数億円の一割に満たぬ程度しか現在まだ分譲収入が入っていない。御承知のように、政府出資のほか、相当金利を払い、当然償還期の来る外貨借り入れ金が事業資金になっております関係上、こういった事態が現在会社の財政を相当圧迫しておりまして、今後はたしてどういうふうに推移するか、かなり重大な段階に来ておるということで、三十六年度末の決算につきまして、監督官庁である外務省に対して御意見を申し上げる段階ではないかということも考慮をしたのでございますけれども、たまたま、ただいま御審議中の改組の問題、それから、何と申しましても事業の中心が現地でございますので、私どもとしましても、年に約一週間ないし十日くらい本社の御説明を承る程度の検査では十分に把握できないということで、どうしても現在の段階で現地を見る必要があるということで、大蔵省にも特に予算をお願いいたしまして、現在調査官二名で実地検査を現地について実施中でございます。そういう関係があって、正式に院としての見解を申し上げるのを差し控えております。今後、来月実は帰ってまいりますが、いろいろな関係もございまして本社の検査を九月に予定しておりますけれども、その結果もしわれわれのほうで結論が出れば、直接に会社あるいは監督官庁に対して御意見を申し上げ、また、必要があれば検査報告に掲記して私どもの見解を表明したい、かように考えております。
#63
○西村(関)委員 いまの会計検査院の検査が完了いたしましたならば本委員会に御提出を願いたいということを委員長においてお計らいをいただきたいと思います。それから、私の質問はこれで終わりませんので、次回に継続さしていただくことをお願いいたしまして、きょうの質問は終わります。
#64
○野田委員長 西村委員にお答え申し上げます。ただいまのお申し出は理事会にはかりまして御返事いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時四十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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