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1962/05/31 第43回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第043回国会 外務委員会 第21号
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1962/05/31 第43回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第043回国会 外務委員会 第21号

#1
第043回国会 外務委員会 第21号
昭和三十八年五月三十一日(金曜日)
   午前十時三十七分開議
 出席委員
   委員長 野田 武夫君
   理事 安藤  覺君 理事 正示啓次郎君
   理事 福田 篤泰君 理事 松本 俊一君
   理事 松本 七郎君
      菅  太郎君    椎熊 三郎君
      田澤 吉郎君    森下 國雄君
      黒田 寿男君    河野  密君
      西村 関一君    森島 守人君
      川上 貫一君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 大平 正芳君
 出席政府委員
        外務政務次官  飯塚 定輔君
        外務事務官
        (移住局長)  高木 廣一君
        農林事務官
        (農政局長)  齋藤  誠君
 委員外の出席者
        専  門  員 豊田  薫君
    ―――――――――――――
五月三十一日
 委員勝間田清一君辞任につき、その補欠として
 西村関一君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員西村関一君辞任につき、その補欠として勝
 間田清一君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
五月三十日
 通商に関する一方日本国と他方オランダ王国及
 びベルギー=ルクセンブルグ経済同盟との間の
 協定を改正する議定書及び一方日本国と他方オ
 ランダ王国及びベルギー=ルクセンブルグ経済
 同盟との間の貿易関係に関する議定書の締結に
 ついて承認を求めるの件(条約第二四号)
 通商に関する日本国とフランス共和国との間の
 協定及び関連議定書の締結について承認を求め
 るの件(条約第二五号)
 千九百六十二年の国際コーヒー協定の締結につ
 いて承認を求めるの件(条約第二六号)(予)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 通商に関する一方日本国と他方オランダ王国及
 びベルギー=ルクセンブルグ経済同盟との間の
 協定を改正する議定書及び一方日本国と他方オ
 ランダ王国及びベルギー=ルクセンブルグ経済
 同盟との間の貿易関係に関する議定書の締結に
 ついて承認を求めるの件(条約第二四号)
 通商に関する日本国とフランス共和国との間の
 協定及び関連議定書の締結について承認を求め
 るの件(条約第二五号)
 海外移住事業団法案(内閣提出第九九号)
 千九百六十二年の国際コーヒー協定の締結につ
 いて承認を求めるの件(条約第二六号)(予)
     ――――◇―――――
#2
○野田委員長 これより会議を開きます。
 通商に関する一方日本国と他方オランダ王国及びベルギー=ルクセンブルグ経済同盟との間の協定を改正する議定書及び一方日本国と他方オランダ王国及びベルギー=ルクセンブルグ経済同盟との間の貿易関係に関する議定書の締結について承認を求めるの件、通商に関する日本国とフランス共和国との間の協定及び関連議定書の締結について承認を求めるの件及び千九百六十二年の国際コーヒー協定の締結について承認を求めるの件、以上三件を一括議題とし、提案理由の説明を聴取することにいたします。大平外務大臣。
#3
○大平国務大臣 ただいま議題となりました通商に関する一方日本国と他方オランダ王国及びベルギー=ルクセンブルグ経済同盟との間の協定を改正する議定書及び一方日本国と他方オランダ王国及びベルギー=ルクセンブルグ経済同盟との間の貿易関係に関する議定書の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 わが国が昭和三十年ガットに加入した際、オランダ、ベルギー及びルクセンブルグのベネルックス三国がわが国に対しガット第三十五条を援用して以来、これら三国は、わが国の産品に対して差別的な輸入制限を行なってまいりましたので、その是正をはかるために昭和三十五年に現行の通商協定の署名を行ないました結果、双方の間の貿易関係は著しく改善されましたが、なおガット第三十五条の援用撤回を実現するに至りませんでした。ところが、昨年十一月池田内閣総理大臣のベルギー及びオランダ訪問の際に行なわれたベネルックスとの間の首脳会談におきまして、ガット第三十五条の援用撤回について原則的な了解に達し、その後引き続き交渉を行ないました結果、去る四月三十日に東京で現行の通商協定を改正する議定書及び貿易関係に関する議定書に署名が行なわれ、同時にガット第三十五条の対日援用撤回に関する書簡が交換されました。
 現行の通商協定を改正する議定書は、日本国とベネルックス三国との間にガットの規定が適用されることに対応して、現行の通商協定に所要の改正を加えるものであり、貿易関係に関する議定書は、市場撹乱の際の措置及び過渡的輸入制限品目に関する規定を内容とするものであります。
 これら両議定書の締結とベネルックス三国による対日ガット第三十五条の援用撤回により、日ベネルックス間の通商関係は、ますます緊密となり、かつ安定した基礎の上で発展することが期待されます。
 よって、ここに前記の二つの議定書の締結について御承認を求める次第であります。
 次に、通商に関する日本国とフランス共和国との間の協定及び関連議定書の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 わが国が昭和三十年にガットに加入した際、フランスがわが国に対しガット第三十五条を援用して以来、わが国は、この援用撤回の早期実現の素地を固め及び日仏貿易の拡大をはかるため、毎年の貿易交渉を通じて漸進的に対日輸入制限の緩和につとめてまいりましたが、この間仏側は国内産業の脆弱性を理由として最近に至るまでかなり大幅な対日輸入制限を残しておりました。
 しかるに、昨年十一月池田内閣総理大臣の訪仏の際行なわれた両国首脳間の会談の結果、仏側はガット第三十五条の対日援用撤回の意向を表明するに至り、その後引き続き両政府間で交渉を行ない、さる五月十四日にパリで通商に関する協定及び貿易関係に関する議定書が署名され、フランスは、同協定及び同議定書の発効とともにガット第三十五条のわが圏に対する援用を撤回することとなったのでございます。
 通商に関する協定は、関税、内国税及び輸出入制限について相互に最恵国待遇を与えることを骨子としておりまして、貿易関係に関する議定書は、市場撹乱の場合の措置及び従来の対日輸入制限を大幅に縮小した上で過渡的に残される輸入制限品目に関する規定を内容といたしております。
 この協定の締結とフランスによる対日、ガット第三十五条の援用撤回の結果、さきに行なわれたベネルックス三国による援用撤回と相まちまして、欧州経済共同体の加盟国のすべてにつきまして援用撤回が行なわれたこととなり、英国との間には先般援用撤回の実現を見ておりますので、わが国と世界の主要貿易国との間には正常なガット関係が設定されることに至ることとなるわけであります。
 よって、ここに本協定及び関連議定書の締結について御承認を求める次第でございます。
 最後に、千九百六十二年の国際コーヒー協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案の理由を御説明いたします。
 コーヒーの生産は一九五〇年代の半ばごろより世界的に過剰傾向が顕著となり、その国際価格も一九五四年以降下落の一途をたどっております。よって、コーヒー輸出に依存するところ大なる中南米、アフリカ等の諸国の経済は著しい困難に直面し、これを打開するため、従来もコーヒー生産国のみからなる若干の協定が作成されたのでありますが、これらはいずれも世界のコーヒー市況を基本的に安定せしめるに至らなかったのであります。
 かかる事態に対処するため、一九六二年七月から九月にかけて開催された国際連合コーヒー会議で採択されたのが木コーヒー協定でありまして、生産国のみならず消費国も参加するコーヒー協定としては最初のものでございます。
 この協定の骨子は、コーヒー輸出国に対し輸出割り当てを課し、この割り当てをこえて輸出することを禁止することにより、国際流通面において供給を需要にできる限り近づけ、その価格を現在以上に低落させないようにしようという点にありますが、輸出国はさらに生産及び在庫につきましても協定上規制を受けることになっております。他方、輸入国は、輸入量及び輸入価格について具体的に制約を受けることはございませんが、原産地証明書及び再輸出証明書制度の実施、及び一般的にコーヒー取引への障害をできる限り除去するよう努力すること等によって協定の目的の達成に協力することとなっております。
 この協定によりコーヒーの国際価格が安定するならば、後進国を主とするコーヒー生産国の経済の発展に寄与するところは顕著であり、そのため、できる限り多くの国の加盟が希望されております。この協定への加盟はわが国のコーヒーの貿易に直接に影響するところは必ずしも多いとは言えないのでございますが、コーヒーに関する情報のセンターである国際コーヒー機関への参加はわが国のコーヒー産業の発展を助けるものであるのみならず、この協定へのわが国の加盟は、国連、ガットにおいて急務となりつつある貿易を通ずる低開発国の援助及び一次産品問題の解決についてのわが国の積極的態度を明らかにするゆえんであると考える次第でございます。
 よって、ここにこの協定の締結について御承認を求める次第であります。
 以上三件につきまして、何とぞ御審議の上すみやかに御承認あらんことを希望いたします。
     ――――◇―――――
#4
○野田委員長 次に、海外移住事業団法案を議題とし、質疑を行ないます。
 質疑の通告がありますので、これを許します。西村関一君。
#5
○西村(関)委員 前回高木移住局長の御答弁の中で若干明確でなかった点を、まず最初にお伺いをして確かめておきたいと思います。
 その第一点は、移住事業団の人事に関しまして、国家公務員が移住事業団に就職いたします場合、また、さらに事業団からそれぞれの役所に復帰を希望いたしまする場合の取り扱いについてでございますが、その点もう一度明確にお示しをいただきたい。
#6
○高木政府委員 この前私の答えましたのが少し不正確でございまして、事業団法におきましては、国家公務員が事業団で勤務してまた帰る場合の恩給の通算関係は何ら規定しておらないのでございます。ただ、国家公務員等退職手当法というのがございます。これに、政令で定める事業団については退職手当について通算されるように規定されているということでございます。したがって、この事業団法はこの問題については何ら触れておらないというのが実際でございます。この点この前の答弁を訂正いたします。
#7
○西村(関)委員 そういたしますと、国家公務員退職手当法ですか、そういう法律があるのですか。
#8
○高木政府委員 国家公務員等退職手当法です。
#9
○西村(関)委員 それによりますと、公団、公社、事業団等に就職をしている者が復帰をいたします場合には、この法律によってその勤務年数が通算される、こういうことになっていると了解してよろしゅうございますか。
#10
○高木政府委員 国家公務員等退職手当法で規定されております公団、事業団につきましては、その第七条の二で、そのように、在職期間があとの職務の在職期間と続いたものと見なすという規定になっておりまして、そのとおりでございます。
#11
○西村(関)委員 施行令のことを言われましたが、施行令でどのような公社、公団、事業団に適用されるかということがたしか列記されているように思いますが、今回の場合はその施行令を改正しなければできないことだと思いますが、その点はどういうふうにお考えですか。
#12
○高木政府委員 そのとおりでございます。
#13
○西村(関)委員 それはどういうふうにやるつもりですか。
#14
○高木政府委員 その点は、そこまでまだわれわれは考えておりませんでした。従来のわれわれが伺っているところでは、公団及び事業団につきましては、この規定のある趣旨は、最初これらの公団をつくる場合に、十分経験のある人がない、だから一時政府から有能な人を借りてきて、そしてこれの基礎をつくり、そしてそれが済めば戻ってもらうというためにつくってあるんだというふうに伺っております。しかし、いずれにいたしまして、移住事業団につきましてはその点まだそこまで考えておらない次第でございます。
#15
○西村(関)委員 そういたしますと、考えておられないということは、そういう必要を認めない、むしろ通算なんかしないで、自分の身分はたとえば外務省から離れて事業団に生涯を打ち込むという考え方の者のみで事業団をやる、そういう腰かけの人は行ってもらいたくないというたてまえからですか。大臣もそういう趣旨の御答弁があったと思うのですが、そういうように取ってよろしいのですか。この施行令を改正して、帰ってくるときには勤務年数を通算するというような手続をしないでも、たとえば外務省の有能な公務員を事業団に送り込む場合に、本人の希望によって生涯を打ち込むという考え方の者でやってもらうんだ、そういうお気持ちと受け取ってよろしいですか。
#16
○高木政府委員 仰せのとおりの考えでおります。実際問題といたしましては、十分よく検討して、支障がないかどうか検討いたしたいと思いますが、現在は、ひもつきの役人が来て本省からとやかく事業団の独立性を傷つけるようなことがないようにしなければいけない、こういうふうに思っております。
#17
○西村(関)委員 いま局長から明らかに御答弁がありましたので、そのように理解をいたしたいと思いますが、従来の公団、公社、事業団の人事については、いま局長の示された国家公務員等退職手当法ですか、その法律によりまして身分が保障されるという必要性は認めますけれども、また同時にその弊害も多々あったと考えるわけでありまして、ひもつきにならぬように、事業団に入る者は、もうはっきり縁を切って、そうして終生使命を持って事業団の仕事に没頭する、将来の外務省の官僚としての昇進の道を断ち切ってこれに打ち込むという考えの人によってのみ事業団をやっていく、もちろん民間からの起用もありましょうが、外務省のみならず、ほかの関係各省からの人事の交流もございましょうが、それは単に外務省のみならずほかの官庁に対しても同等の見解で臨まれるというふうに考えてよろしいのでしょうか。この点外務大臣の御答弁をお願いいたします。
#18
○大平国務大臣 いま退職手当法に列記されておる公団、公社等に対しまして通算規定が適用されるわけでございますが、今度の事業団を新しく御承認を得てつくることになりました場合にどう考えるべきかというのは、確かに御指摘のように一つの立法政策の問題だと思います。いま局長から御説明申し上げましたような、人事全体について新しい決意で臨まなければならぬ非常に大事な岐路に立っておると思うわけでございまして、私どもの気持ちといたしましては、局長から御答弁申し上げましたとおりに、事業団に生涯の命運をかけてお働きを願うような方をこそお迎えすべきじゃないかと考えております。ただ、現実に人事のお話は、まだ事業団が御承認を得ていませんので、いま軽々にタッチするのはいかがかと思って、私どももまだそこまで具体的に事は運んでおりませんが、御承認を得た暁におきまして、人事関係は、ごく精細に見まして、支障がない限り、いま局長から御説明申し上げましたような基本的な方針を可能な範囲生かすように努力しなければならぬと思っております。
#19
○西村(関)委員 くどいようでございますが、支障のない限りというのはどういう意味なんでございますか。支障がある場合はどういう点が想定されるのでありますか。
#20
○大平国務大臣 現在外務省その他各省から行かれておる方がどのくらいおられるのか、私はよくは存じないのですけれども、その人たちが、今度生まれ変わりました事業団に引き続き生涯をおかけいただくのかどうか、自分の運命にかかわることでございますから、一応当たってみるのが親切じゃないかと私考えますが、それがどのくらいの人数がどういう姿においてあるかというところまで私はまだ見ていないわけであります。
#21
○西村(関)委員 いま大臣のお答えは私には納得がいかないのでありますが、大臣は、この事業団ができた場合には、清新はつらつたる人事をもって、生涯をこの事業に打ち込むところの人でやるのだということをしばしば言明しておられるのであります。ただいまも、私の質問に対しまして、高木移住局長の御答弁の趣旨を大臣は認めておいでになる。これから海協連や振興会社の外務省から出向している人たちの意向を一々聞いた上で、支障がなければそのとおりやりたいというのは、どうも大平さんらしくないお考えだというふうに私は思わざるを得ないのでありますが、むしろ、いままでの御答弁の趣旨から申しますならば、二つの団体を統合して新しい構想のもとに事業団を発足させようというお考えであるならば、一応両団体の役職員に一ぺん全部辞表を出させて、新しく出発するのですから、もう前のものを統合するという考えでなくて、新しいものを発足させるという考え方から、一応両団体の役職員は全部辞表を出して、その中から、さらにそれぞれ本人の希望、本人の適不適等を大所高所から御検討になって、新たなる構想のもとにお願いをなさる、あるいは希望を受け入れなさる、また、さらに他の官庁あるいはまた民間から有能な人たちを抜てきしてこの事業団の趣旨に沿うた人事を行なうということが、私は本法案の趣旨にも沿うのじゃないかと思うのでございます。そうでないと、どんなに機構ができましても、人事がごたついておりますと、これはかえって機構の整備をやっても効果はあがってこない、むしろ人事の抗争の中に巻き込まれてしまって、結局迷惑をするのは移住を志す人々である、また現地の移住者の人たちであるというふうに思うのでございますが、いま私の申しましたような考え方につきまして、大臣はどういうふうにお考えになりますか。
#22
○大平国務大臣 いま西村委員がおっしゃったとおりの考え方でおります。そのようにやってまいらなければならぬと思っておりますが、ただ、事業団法案が国会の御審議にゆだねられておる段階におきまして、行政権が先ばしりまして辞表を取りまとめるというようなことをやることは、必ずしも妥当でないのでございまして、国会の御論議もよく承り、この事業団法を御承認いただいた時点から行政権は動くべきものじゃないかと私は思っておりますので、人事について事前にいろいろな工作をするということは慎むようにということを私は事務当局に指示しておるわけでございまして、気持ちとしては、いま申されたような気持ちで、そういう意気込みでやってまいるつもりです。
#23
○西村(関)委員 それはいまからそういうことを大臣がなさるということは慎むべきことだろうと思いますが、私の申し上げておりますのは、移住事業団法案が国会を通過いたしまして、いよいよ発足にかかるということになりますと、この法案の規定によりまして準備委員会が発足する。そこでいろいろやることになるわけでございますが、理事長はやはり大臣が任命することになっております。理事及び職員については理事長が大臣の認可を得てこれを任命することになっております。そうなりますと、外務大臣の事業団に対する人事権は非常に強いものがあるというふうに私は解釈しているわけでございます。それだけに大臣の責任も重いと言わなければならぬのでございます。私の心配いたしておりますのは、すでに大臣が御心配になっておりますようなことが両団体の中でないとは言われない。今度事業団ができたらどうなるんだということで、いろいろな暗躍が行なわれておるといううわさがあるのでございます。うわさを一々取り上げてここで申し上げようとは私は思いませんけれども、そういうことはありがちのことだと思うのでございます。そういう点からも、断固たる態度で監督官庁であるところの外務省が臨まれるということが、私は大事だと思うのでございます。いま直ちに辞表を取りまとめるとかいうようなことは慎むべきでございましょうけれども、いよいよこの法案が国会を通過いたしまして発足の準備段階に入ったときには、そのくらいの決意で臨んでいただかないと、明朗、清新はつらつたる人事が行なわれないと思うのでございますが、その点について私はお伺いしているのでございます。
#24
○大平国務大臣 仰せのとおり心得ております。
#25
○西村(関)委員 それでは、その点につきましては責任ある大臣の御答弁がございましたから、そのようにお運びをいただきたいということを希望いたしまして、次の問題に移らしていただきます。
 前回、御答弁の中に、農林省設置法との関係につきましていろいろお答えがございました。農林省設置法を見ますると、第九条二十でございますか、「農政局においては、左の事務をつかさどる。」、「農業者の海外移住に関し、その募集、選考及び教育並びに移住地の調査を行なうこと。」こういうふうになっております。相当な権限が農林省には与えられておるわけでございます。ところが、この農林省の権限につきまして、今回の移住事業団法が発足いたしました場合におきましては、移住事業団の監督は外務省一本で行なう、事業団と別に農業者の海外移住に関して農協等が行なう移住者の募集、選考、訓練の監督は農林省が行なう、こういうような外務、農林両大臣の了解事項が決定されておるというふうに伺っておるのであります。
 そこで、私がお伺いをいたしたいと思いますことは、今回の事業団の構想の中には、公募するということはうたわれてないようであります。これは、むしろ、移住したいという人たちに対して助言をしお世話をしていく、また、移住せられた後の、事後のいろいろなめんどうを見ていく、そういうことについてのサービスを主体として、助言及び奉仕、そういうことが中心になっておるようでありますが、そこに、私は、農林省設置法の中にうたわれておる募集という仕事と、この事業団法案の中に盛り込まれておりますところの中身と若干の食い違いがあるというふうに受け取らざるを得ないのでございます。これは外務省の考え方と農林省の考え方の間にまだ十分な一致点がとられてないのじゃないかというふうに思うのでございます。外務省は移民というものは募集すべきものじゃないんだ、むしろ、ほんとうに移住したいという人たちに対して指導し、訓練し、教育し、またそれに関する事前事後のお世話をしていくんだという考え方に立っておられるようであります。農林省としてはむしろ募集していくんだということで、そのお考えのいかんにかかわらず、設置法にはそう明らかに書いてある。この点につきましては両省の間でどのようにお話し合いがついておるのか。これは農林省の募集は認めるというふうに一応平らかに受け取っておるのでございますけれども、その根本的な理念の違いをどういうふうに調整なさるのであるか、その点移住局長から……。
#26
○高木政府委員 ただいまの件につきましては、実は移住審議会の答申にもうたわれてございます。その答申の第二章、移住政策のあり方の2、援護施策の(1)、移住者に対する姿勢に、「海外移住は、国の事業に移住者が応募参加するのではなくて、移住者に対して国が活動の場を紹介し、場合によりこれを造って与えるものでなければならない。海外移住は、移住者が主体性を持って自らその運命を開拓する行為であって、国は、移住者の主体性を損わないように留意しつつ、国民の眼を開き、決意のための判断の素材を与え、以下に述べるような指導、援助を通じて、移住者の努力を促し自立の意欲を振い起させるべきである。」ということがうたってあります。それから、外務省の設置法では、募集ということばはございません。そこで、この移住審議会の答申にも、同時に民間団体が移住推進のために行なうことは大いに活発にすべきであって、この事業団と緊密な協力をすべきであるということがうたわれております。したがって、国が公式に援助する体制といたしましては、募集をするということが原則ではなくて、一般的には、いま申しましたような、移住地域の調査、啓発、それから移住相談、これが非常に重要なことになるわけであります。それから、そうするための援助というのが事業団の仕事であります。
 それから、それ以外に農村の立場から移住をさらに積極的に推進をすべきである、それから、現地の農協と日本の農協がタイアップして、現地でこれだけの移住者を募集したいからということで農協が連絡してきて、農林省を通じて募集するという場合には、これはその上積みとして認められる。同じようなことが、民間団体の旅行あっせん業者あるいは力行会のごときものが現地の団体とタイアップして募集するということもあり得るわけです。ただ、この場合の募集につきましては、それがあっせんである場合、職業安定法との関係もございますけれども、その規制下において募集あっせんということは考えられるわけでございます。
 事業団といたしましては、そういうふうにして行くことになった人に対して、さらに補足の移住相談が必要であれば行なうし、その他渡航費の貸し付け等、相談以後のほうは事業団が行なっていくということになるわけで、矛盾がないというふうに思います。
#27
○西村(関)委員 そういたしますと、外務省のお考えは、募集はほかの農協とかあるいは民間団体とかいうようなところがやるのであって、それに対してその上積みになるような指導、助言、世話活動をやっていくのだ、本来移民は募集すべきものじゃないのだという考え方に立っておられるようでございますが、そのような考え方も確かに答申の中にうたわれておると私は思うのでございます。しかし、それは理想でございます。そういうことが事実行なわれることが理想でございますが、しかし、現実の問題として、それだけ国民の関心が移住に向いているかどうか。やはり、啓蒙宣伝をする場合においては、ただ啓蒙宣伝のしっぱなしでは効果をあげることができない。啓蒙宣伝をしたならば、その実りを刈り取らなければいけない。刈り取るためには募集という形でまとめていかなければならない。そういうことが必要になってくると思うのでございますが、いまの局長の御答弁では、募集すべきものでない、しかし、それは必ずしも否定をしないが、それが主たるやり方ではないのだ、むしろそれは従たるやり方なのだ、こういう御見解のようでございますが、その点農林省のお考えと若干食い違いがある。先般来いろいろお答えをいただいておりますけれども、いまだにその点がもう一つ私は釈然としないのでありますが、齋藤局長、農林省のお立場としてはいかようにお考えになりますか。
#28
○齋藤(誠)政府委員 ただいま御指摘になりました点につきましては、基本的には、移住局長からいまお話がありましたように、何としても外に積極的に行きたいという人に着目いたしまして、これが円滑に送出され、現地に定住するようなことが基本であることは間違いないわけであります。ただ、運用の面におきましては、これはいろいろの行き方があろうかというふうに思うのでございます。募集いたします場合におきまして、もちろん現地の状況がどうであるかというようなことについて啓発宣伝することが一番大事なことでありますけれども、現状におきまして、農業者が外に出ていくという場合におきましては、やはり、相当の決意といいますか、準備をする必要があるわけでございまして、特に、長年持っておった土地を売却する、あるいは家屋を整理して行くというようなことにつきまして、その財産整理であるとか、あるいは援護措置の適正化であるとかいうようなことが現実問題としては移住の促進の一つの基盤になっておると思うのでございます。そういう観点から、農林省におきましては、従来とも、農村から移住する場合における財産整理その他の援護措置につきましていろいろの金融措置を講じ、また、それに必要な制度も設けて促進いたしておるわけでございます。そういう農業者に対しまして啓発宣伝するというばかりでなしに、具体的にはどういう地区にどのような受け入れ戸数があって、どのような営農状態が今後考えられるかというようなことを、講習会なりあるいは府県を通じてなりする分が非常に多いわけであります。つまり、送出についての指導なり、あるいは監督なり、勧誘なり、さらに援助、助言というような一連のことが必要になってまいるかと思うのでございます。そこで、完全に受け入れ条件をつくって、さあいらっしゃいというだけでは、現状における農業移住というものが必ずしもスムーズにいかない面があることはいま申し上げたとおりでございますが、そういう意味におきまして、農村に対します場合の送出にあたりまして、ある意味においてはことばの問題でございますけれども、どういう地区にどれだけ入植戸数が必要であるか、それは大体何月くらいの送出を予定しておるのかというようなことを地方庁を通じまして指導に当たるというような考え方を持っておるわけでございます。なお、先ほど移住局長からちょっと申されましたように、農協が向こうの団体と提携して送出する、たとえばコチア青年というものがありますが、これらは農業団体が向こうの団体と提携して募集に当たる、農林省はそれを指導し監督する、こういうふうになっておるわけでございます。そういうことを含めまして、われわれのほうで募集ということばを使っておるわけでございますが、農林省自身が募集するということでなくて、いま申し上げたようなことについて指導なり監督なりをする、こういう考え方でございます。
#29
○西村(関)委員 もちろん、農林省自体が募集するということは従来もなかったことですし、そういうことがこの設置法の趣旨ではないと私は思うのです。従来から、地方海協を通し、あるいは自治体を通し、あるいは農協を通してやられてきたことに対して、農林省は監督指導をしておられた。そういうことを、この法案が通りました後においても、いまなかなかことばをきれいにお話しになりましたが、農林省としてはやはり従来どおりおやりになるのか。つまり、募集じゃなくて勧誘ということばを使われまして、なかなかデリケートな表現をしておられますけれども、やはり従来どおりやるということに間違いないのでしょう。基本的には外務省の移住局長の御答弁の趣旨と同じだが、しかし、農林省は従来どおりやるのだ、こういうことなんでしょう。どうですか。
#30
○齋藤(誠)政府委員 従来は御承知のように海協連が募集の主体になっておったわけでございますが、これが今後事業団になってまいりました際にどういうふうに運営されるかは今後の問題でございますけれども、府県を通じ、あるいは農協等を通じまして、いま申し上げたような援護措置と一貫いたしまして、どのような地域にどれだけの入植戸数が可能であるかというようなことにつきましての啓発宣伝は、農林省としては従来どおり続けてまいりたい、こう思っております。
#31
○西村(関)委員 援護のことをお話しになりましたが、そういうことになってくると、かねてから問題にしております移住振興法と並行して審議しないと、いま齋藤局長の言われたようなこともできないわけです。そうじゃないですか。援護のこともうたわれている移住振興法、これが現在国会に提出をする準備中であるということで。次期国会には提出されると聞いておりますが、それと非常に密接な関係がある。そういうことをまだ審議しないのに、いま齋藤局長の言われたような考え方で、これは農林省と外務省とのお互いの信頼感の問題だと思いますから、私はそういう考え方で御答弁になっていらっしゃるというふうに理解をしたいと思うわけでありますが、まだ移住基本法と移住援護法を合体した移住振興法が国会に提案されていないけれども、その中で必ず外務省は農林省の考え方も十分織り込んでもらえるのだということで、そういう信頼を持って論議しておられるというふうに私は受け取りたいのでございます。農政局長、そのようでよろしいですか。
#32
○齋藤(誠)政府委員 いま申し上げましたような援護事業につきましては、従来とも予算措置を講じましてやっておりましたし、それからまた、農林省部面としては、たとえば内地における過剰入植地に対しまして、これから他に移住するような場合におきましては特別の助成措置をとりまして、一種の間引きでありますけれども、国内における過剰入植地帯に対しての措置といたしましてさらに海外に移住するような場合におきまして特別の助成措置を講ずるとか、あるいは外に行く者が残った者に対して土地を売り渡すといったような場合におきまして、自作農維持資金の融通というような措置によりまして土地の円滑な譲渡ができるような措置をとるというようなことをやっておりますので、これは間接的にといいますか、広い意味の移住の援護にはなっておりますが、予算の措置として、従来と同じような考え方で、必ずしも制度的にどうするということでなくても、運用上できるものもあろうと私は考えておるわけであります。これらの点につきましては、従来とも、移住局とよく連絡いたしまして、農林省でその部面はひとつ担当してもらいたいというような話し合いで進めてまいっておるわけでございます。先ほどの問題、それから、いまの問題につきましても、両方十分連絡協調してやろうということで話し合いも進んでおりますので、いまお話しになりました点については、私は従来と同じような形で十分やっていけるのではないかと思っております。
#33
○西村(関)委員 いま齋藤局長の御答弁の中にも過剰入植地の問題が出ましたが、これは戦後食糧増産の必要に迫られて政府がかなり無理をして条件の不利な開拓地に農地造成をして入植させたということがございまして、今日は、それを間引きをしなければならない、あまりたくさん入れ過ぎて、それでは営農の単位として見込みがないということで、間引きをやっておられる。さらに、不良入植地につきましても、これはせっかく入植したけれども将来見込みがないから他に転用すべきだというような考え方のところも相当あるわけであります。それらの移住者をもとの農家に戻すということは、できるところもありますが、なかなかできない。あるいは他の産業に従事させるということもなかなか理屈どおりにはいかないという場合が多いようでございます。さらに、もう一つ突っ込んで言うならば、農業基本法下の日本の新しい農政のあり方として、粗収入百万円を目途とする三名の稼働能力のいわゆる自立経営農家を向こう十カ年間に百万戸造成しようということがいまの政府の方針であることは、いまさら申すまでもないところでございます。そうなりますと、どうしても農業人口というものを減らしていかなければならない。六百万農家あるいは五百万農家と言われております。年々減っておりますが、しかし、農家の戸数はあまり減ってない。これは齋藤さんよく御存じであります。農業人口は減っておりますが、農家戸数は減ってない。農村の青年層は続々都会地あるいは工場地に集中してまいりますけれども、家ぐるみ離農していくところのものは数えるほどしかない。むしろ第一種、第二種兼業農家がふえていっておる。農家の戸数は減ってない。こういう現状において、大平大臣が言われましたような、いまの日本の産業構造下にあって農業人口を心配する必要はない、こういうお考え方もありますが、どうしても農業基本法下の新しい農政の立場から農業構造改善をやらなければならぬということで政府は一生懸命やっておられるわけなんです。そこにも問題がございますけれども、しかし、そういう考え方に立つならば、必然的に農村の中堅層農家の移動ということを考えなければならない。そういう点について外務省のお考え方と農林省の移住についてのお考え方がやはり若干の食い違いがあるというふうに私は受け取らざるを得ないのであります。そういう人たちを海外に送る必要はないという、極端に言えばそういうお考え方と、やはり、そういう農業の経験を持ち、技術を持ち、そしてまだ働ける人たちが一家ぐるみ海外の新天地に行ってそこで今までの経験を生かし技術を生かして現地の地域社会に貢献するということがそれらの人たちを生かす道であり、また日本の世界に奉仕する一つの道でもあるという考え方に立って農業移民を考える農林省の考え方との間に、若干の食い違いがあるというふうに私は受け取らざるを得ないのでありますが、その点農政局長はどういうふうにお考えになりますか。
#34
○齋藤(誠)政府委員 むずかしい問題でございますが、先ほど申し上げましたように、やはり、今後海外において農業をやっていきたいという人について、これが積極的な援助をはかるというのが私は基本の考え方であろうと思うのでございます。ただ、いまお話しになりましたように、大きく産業構造が変わるに応じまして、そこに人員の過剰が生ずるか、離農の問題が生ずるかというような条件が出てきたということは、これは事実でございます。特にそれに応じまして労働の移動性も非常に高まってきておるということも事実でございます。ただ、その中におきまして、人口が過剰であるから押し出すというふうな考え方ではよくないのではないかと私は考えておりまして、現状におきますこれらの移住者の意向によりますると、日本の内地ではとても農業経営についての十分な安定性がない、あるいはもっと大経営の農業をやりたいとかいうような希望が圧倒的に多いわけであります。しかも、外に行きます場合におきましても、青壮年齢層は御指摘のとおり割合に就職しやすいけれども、中高年齢層の農家になりますと必ずしも円滑な雇用の形態になっていない。しかも、そういう人は、いまさらほかの職業に転換するよりも、身につけた農業としてやっていきたい、こういう農家層というものが相当あるわけでございます。それを、われわれは、その技術と条件に着目いたしまして、海外に移住する希望がある者については積極的にこれに応ずるように指導いたしてまいりたい、こういう考え方を持っておるわけでございます。
#35
○西村(関)委員 基本的にはいま齋藤局長の言われた点に対して了解をいたしますが、そういう点につきまして、ただ単に余剰労働力の海外送出という考え方に立って移民をやるべきでないということは、これは冒頭から私も言っておるところであり、大平大臣もしばしば言明しておられるところでありまして、これは移住の理念に合わない。また、そういうことは受け入れ国側の歓迎しないところでありまして、そういうことはいまさら言うまでもないところでございます。しかし、後段で齋藤局長が言われましたように、日本の優秀な農業技術、またその経験、これは日本の農業と外地の農業とは必ずしも一律に論ずることはできないと思いますけれども、しかし、たとえば、先ほどお話の出ました開拓農地では、悪い条件のもとで、非常に苦労しながら、労多くして成果のあがらない営農をやっておる。間引きをしなければならぬ、整理をしなければならぬということになっている。それは政府の責任でそこへ入ってもらったのですから、政府の責任で問題を解決しなければならぬ事態に立ち至っておる。そういう不良開拓農地あるいは過剰入植地というようなもの、しかも、そこにおる人は、必ずしも条件の悪い人ではなくて、りっぱな技術・経験を持っているところの人だから、そういう人たちを海外の新天地に送って、思う存分その技術と経験を生かすというふうに計画的に考えるということは当然だと思うのです。また、同時に、今日の農業基本法下にある日本の農政を考える場合において、どうしたって数百万戸の農家をどこかに吸収しなければならない。ところが、現在の統計の示すところによると、若年層については、なるほど消化されていっているし、むしろ足らぬ。農村は老朽化しており、日本の農業はおかあちゃん農業になっている。みんなほかにつとめに行っているというような状態になっておるのでありますが、農家の戸数は現実に減らない。この問題をどうするかということを考える上に立ちましても、もちろんそれは移民、移住の問題だけで解決のつく問題ではございませんけれども、しかし、私は、そういうところにも高度な国の計画性というものが必要だと思うのです。そういう技術・経験を生かしていく。そうすれば、いままでは非常に苦しい状態にあった農家の方も、海外の新天地に入って、いままでのその経験と技術を生かして、日本人の特性のたゆまざる勤勉性を発揮して、そして現地社会に貢献することができる。そういうような指導をしていくことが必要ではないかと思う。ただ個々の自発的にひとつおれは海外に行こうか移住しようかという人の指導だけではなくて、そういう一貫した計画性のある指導を考えなければならないというふうに私は考えますが、その点、閣僚として大平大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
#36
○大平国務大臣 私も、いま西村委員がせん明されたようないまの時代の諸条件、産業構造の変革期に存在する諸条件を踏まえた上で、移住政策の位づけというものを考えなければならぬという基本の考え方、全く賛成でございまして、また、そうしなければ移住政策というものは実りが乏しいものになると思うわけでございます。いま言われたことに、私どもは全然異論をはさむ余地はないと考えます。
#37
○西村(関)委員 そういたしますと、この事業団に対して外務大臣の監督権というものは強化されております。関係各省とも緊密に連絡をし協議するということになっておりますが、この法案の趣旨は、窓口を一本化して行政の簡素化をはかっていく、そうしてまた、移住者及びその移住者の団体に対してそのお世話をするところの事業団の事務を単一化していくということに一つの重点が置かれておると思うのでございまして、私はその点については確かに理由があると思うのです。いままで報告書を何通もつくらなければならぬというのを、一つつくったらそれでいいということでありますから、それだけの理由はあると思うのです。しかし、いま私が指摘いたしました大事な今日の農業移民に対して農林大臣が全然監督権を持たないということでは、いかに大臣が有能であっても、外務大臣だけの監督ではなかなか思うようにいかない場合があるのではないか。特に、大臣はしばしばおかわりになりますから、少し事情がおわかりになった時分にぱっとほかにかわってしまわれるということになりますと、結局局長以下の人たちがやられるということになりますので、そういう点からどうしてもその点がもう一つうまくいかないのじゃないかという心配をするのであります。将来においてはいざ知らず、ここ当分の間は農業移民というものが移民の大宗であり大部分を占めるという現状におきまして、農林大臣が全然監督権を持たないということでは、それで農林省がはたして設置法の趣旨にしたがって仕事を完全にやれるかどうかという心配を私はするのであります。一つの方法としては、これはアメリカでもやっているところでございますが、農林省から農務官のような専門家を現地の領事館に派遣して、そこで農林大臣の監督のもとに仕事をやらせるというようなことができないものだろうか。もちろん現地の総領事館あるいは大使館の管轄のもとに置かれるけれども、仕事の面においては農林大臣の監督指導でもって仕事をする、そういうような独立した機関を現地の在外公館に置くというようなことができないものであろうか。アメリカでは農務官があり商務官があるというようなことで、在外公館にそういう制度を持っておると伺っておりますが、そういう点については御検討になったことがあるでしょうか。あるいは農林省と外務省の間でそういう話し合いがなされたことがあるでございましょうか。高木局長にお伺いします。
#38
○高木政府委員 この問題につきましては、われわれとしては問題は解決しているように了解しております。移住に関しましては、現在農林省からブラジルの大使館に一名の書記官を置いておられます。それから、サンパウロの総領事館に農業技師二人が行っておられますし、外務省移住局にも農林省の係官が見えております。しかしながら、そこにおきまして農林大臣が直接監督するということはございません。大使あるいは総領事のもとに服し、外務大臣のもとに服しますが、農業に関することは農林省から外務省を通じて現地に指示をしてやっていく。そうでないと、各省がそれぞればらばらで指揮するということになれば、混乱してしまう次第でございます。アメリカの場合も同じように大使館が指揮しているというように了解しております。しかし、移住に関する限り、農林省から専門家が見えることは、われわれとしても非常に有益であると考えておりますし、それ以外にも、移住事業団の中に農業知識を持った人が入っていることも非常に必要であると思っております。また、建設関係とかその他の関係の方々も必要に応じて外務省なり事業団の中に入るべきであるというように思う次第です。
#39
○西村(関)委員 そういう点について農林省と外務省の間でいままでの過程において話し合いがなされたかどうかということを私は伺っているのです。現在までは農林省から出向しておられる人があるということは、いま局長のお示しがあったとおり、私も若干承知いたしております。もちろん、身分の監督は出先の大使なり総領事なりひいては本省の外務大臣のもとに置かれるということは、在外公館に出向する以上は当然だと思いますが、仕事の指揮監督については、やはり自分の出身のたとえば農林大臣の指揮監督を受けるというようなことがうまく調和できないかどうか。私は官庁の機構についてはよく知りませんが、その点について農林省と外務省の間でうまく調和できるような方策がないだろうか。なぜこういうことを言うかというと、農林大臣の監督権というものは全然今度の事業団ではないわけです。ただ協議するということだけですから。その点について農林省ではどう考えておられるか、また、そういう話し合いが外務省との間にいままでの過程においてはたしてなされてきたかどうかということを伺っておるのでありまして、なければないでけっこうでございます。私は、うまくいけば、いままでの制度で、またいままでの実際のやり方でいいと思いますが、どうも、私が関知しております範囲におきましては、そういうことはないはずなんですけれども、外務省の役人のエリート意識で、ほかの省から来た人たちはまま子扱いされるというようなきらいがあるようです。私は南米には行ったことがありませんが、欧米を回りまして、やはり欧米の公館にも農林省、通産省、労働省等から多数の専門家が出向しておられますが、どうもそれが出先でしっくりいっていないという印象を受けているのであります。特に、この移住の問題につきましては、農林省から出向している方がアット・ホームな気持でむしろ外務省の出先公館から激励を受けて庇護されながら感謝されながら仕事ができるような雰囲気になっているかどうかという点を私は危惧いたしますので、あえてそういうことをお伺いしている次第でございます。
#40
○高木政府委員 ただいまの点、従来先生が危惧せられたようなケースがあったことも事実でございます。この点はわれわれの不徳のいたすところでございまして、最近におきましてはそういうケースはないと伺っております。全部双方とも満足してよくやっているように伺っております。
#41
○大平国務大臣 監督権の問題の御所見をいま拝聴いたしたのですが、私はこう考えているわけです。本来移住行政というのは権力行政ではないと思うのです。一つのサービス行政だと思うのでございます。したがって、どうしても政府が手をかさなければならないことというようなことが比較的少ない行政の分野じゃないかと思うのでございまして、いま御審議いただいております事業団というものができて、その人事が清新かつ適正にいきまして、移住の世話をする主体としての信用を内外に確立することができますならば、外務省も農林省も政府全体として事業団にまかしたほうがいいと私は思っているのです。したがって、農林省設置法、外務省設置法でいかめしいことを書かなくても、事業団というもので大体のことは円滑に運ぶという姿が私はいい状態じゃないかと思うのでございます。大体、日本の行政機構は、私どもも役人の経験を持っておりまして、自分も反省してみるのでございますけれども、大体監督というような感じですね。国民の上に立ってそれを監督し規制していく、そういうメンタリティーですか、それが比較的日本の官僚諸君には多いのじゃないかと思うのでございまして、アメリカなんかの感じ方は、むしろ非常にサービスのほうに重点が置かれておるように感じるわけでございます。私は、なるべく政府というのはよけいなことはせぬほうがいいと思っております。したがって、移住行政なんというものは、外務省だ農林省だなんという間柄の問題よりも、むしろ、事業団がりっぱなものに育って、そうしてそれがりっぱに仕事を片づけて能率的に一元的にやっていただくのが一番いいというのが基本的な考え方でございまして、農林省と外務省との権限争いというようなことは、もうセカンドリー、サードリーの問題だと私は思っておるわけでございます。しかしながら、この間西村委員の御質疑がありまして私も答えましたが、いま御審議いただいておる事業団というもののいままでの作案の経過を見てみますと、要するに、中央の中核の事業団をつくろう、また、いまつくり得る状態になっておるのでございますけれども、現地並びに地方というところにはまだ実態的にいろいろな問題が残っておるわけでございます。一方、いま御指摘のように、農林省の設置法がありまして、ちゃんと農林大臣の権限が明確に移住につきまして示されておる段階でございます。そういう段階でございますので、農林省と外務省と話をいたしまして、そういう条件のもとに置かれている協力体制をどうするかということをおきめいただいておるわけでございますが、私はこれは過渡的なことだと思うのでございます。いま御審議をいただいている事業団というものをりっぱに育て上げることに全力をあげていく。そういたしまして、これにおまかせする。極端に言いますと、この間も申し上げましたように、外務省の移住局なんかは私は要らないと思うのです。こういうものは解消していいと思うのです。それで、政府としては、最小限度、政府でなければできないこと、たとえば予算を取ってそれの執行を監督するとかということは、だれかがやらなければいかぬことでございますから、そういう仕事はひとつ外務省がやりましょうということで、そのもとに移住政策全体につきまして協議機構を設けて、政府は一つでございますから、そこで政府の方針というのをきめて、それに従って事業団がダイナミックな運営をしていただくというようにいけたらいいと思いまして、その方向に持っていくべきじゃないかと思っております。役所の間の権限争議というのは古くして新しい問題でございますけれども、私はあまり興味を持っておりませんで、そういうことはできるだけなくしていかなければならぬことでないかと思います。
#42
○西村(関)委員 いま大平さんのおっしゃった点はまことにりっぱなお考えでありまして、そういうふうにぜひやっていただきたいとわれわれ心から願うものであります。まだ現実がそうなってないということから若干の意見を申し述べて御見解をただしているのでございます。いま大平さんのおっしゃったようなぐあいにいけばもう問題はないのでありまして、設置法がどうの、監督権がどうの、どちらに中心があるのといったようなことは全部解消して、いまお話しのとおり、政府は一つなのでございますから、そういういわば末梢的な問題は取るに足りないことだと思うのであります。しかし、現実にいままでそういう問題が非常に多かったということのために、ここまでの論議をしなければならぬという点も御了解をいただきたいと思うのでございます。
 私は、監督権の問題につきましてはこれ以上お尋ねをする必要がないと思いますが、ただ、外務大臣に事業団の報告が行く、あるいは年次計画の計画書が行くという場合に、語弊がありますが、農林省はつんぼさじきということになる危険がある。それは関係各省と連絡協議をすることになっておりますから、そこでやられることになると思いますけれども、非常に重要なパーツを占めている農林省がつんぼさじきに置かれるようなことになったのでは、これは大平さんの意図しておられるところとそぐわない結果が生まれてくると思うのでございまして、運営の面でそういう問題は解決していくべきであると思いますから、私は、できればかちっと法令によってその点を明らかにできればいいと思いますけれども、しかし、それができないというならば、運営の面において十分にそれらの点ができるように、大臣がかわっても大臣の御趣旨に沿うような方針で行なわれるように何らかのきめがなされる必要があるのじゃないかということを申し上げまして、重ねてその点についての御答弁は要求いたしませんが、十分な御配慮をしていただきたいということをお願い申し上げる次第であります。
 次に、事業団の性格につきまして、私の問題といたしておりまする点を一つお伺いしたいと思うのでありますが、この事業団は政府機関的性格が強い。言うまでもなく、全額政府の出資である。全額交付金によってまかなっていくということでございます。このような事業団の存在を外国政府が必ずしも歓迎しないのじゃないか、むしろ警戒の気持ちを持つのではないかというふうに心配するのであります。特に、ブラジル国につきましては、そういう政府機関的性格を持っている事業団については、向こうの民法の立場から申しましても抵触するところが起こってきやしないだろうかという心配をするのでございます。御承知のとおり、ブラジルにつきましては事業団は土地の取得ができないことになっているはずでございます。土地の取得のできない事業団というものがはたしてどのような意味を持つかという点について危惧するものでございます。いまさら私が御指摘申し上げるまでもなく、ブラジル民法の一九四二年の法律第四千六百五十七号を見ますと、会社及び財団のごとく団体の利益の目的に向けられる組織はこれが設立される州の法律に従う、こういう点もありますが、事業団法案の中には、その国の法律に従うものであるということが明らかにされております。第何条でありましたか、いまちょっとさがす時間がありませんが、うたわれております。その国の法律に従わなければならないというこのたてまえに立ってブラジルの民法を検討してみると、外国政府及びこれが設立し支配すべきまたは公の職務を負うべき何らかの性質の組織はブラジル国において不動産または公用収用の可能性あるものを取得するを得ずという規定がございますが、この点につきまして、今度の事業団がはたしてこのようなブラジル国のほうの規定と抵触せずに仕事ができるかどうかという点について心配をするものでございますが、いかがでございますか。
#43
○高木政府委員 ただいまの点はわれわれも十分検討いたしたのでございます。それで、この問題は、事業団になって起こる問題ではなくて、移住会社自身がもうすでにこの法の適用の問題になっておるわけであります。外国政府が設立し支配しあるいは公の機能を与えた団体ということで、移住会社も同じ性質で何ら変わりはないのでございます。ただ、本件につきましては、伯国政府は、従来から移住会社の性格を十分承知の上、この移住会社がこの法律の規定にかかわらず、いまおっしゃったようなことで土地を所有すること等を容認してきておりますので、われわれといたしましては、この点、移住会社から事業団に名義が変わったことをブラジル政府に申し入れるとともに、さらに、ブラジル政府に手紙を出しまして、この事業団の設立を伝えて先方の了解を取る。つまり、現在でも移住会社はいまおっしゃった法律に抵触するわけでありますが、日伯の親善関係から、ブラジル側はこれを問題にせないで、むしろ認めておるのでございます。そういう意味におきましては事業団も何ら変わりございませんが、この機会にわれわれとしては日本側の立場をさらに強化するために先方政府に対して手紙を出すことを行なうということをいま考えております。なお、ブラジル以外は、アルゼンチン、パラグァイ、ボリビア等は、むしろ現地法人としないで日本政府の息のかかった事業団の直接の支部とするほうが移住協定その他政府の感触はよろしい、また、その他免税等においても便宜があるということで、ブラジル以外は、現地法人でなくて事業団の支部とする。ブラジルに関する限りは、法律がございまして、移住振興という金融会社と、土地を持つ植民会社と、どうしても二つのままにしなければいけませんので、現地の二つの法人は現状のままとして、ただ出資名義が変わったということだけを先方に申し入れるという態度でおります。
#44
○西村(関)委員 いま高木局長が言われましたが、振興会社の場合だと、アメリカの市中銀行もこれに融資をしております。それから、大阪商船も出資しております。わずかでありましても、そういうことができるようになっておる。今度の事業団ではそれが全然できない。全く政府の出資以外はできない。民間の出資はできないようになっているのでありますが、そういう点につきまして若干前の会社と性格が違ってきておりますし、それからまた、前の振興会社にしても問題があるのだが、いままで黙認の形で日伯友好関係がずっと続いておるこの段階においては何も心配ないのだ、ただ今度はこういうふうに変わるのだという一片の通告だけで了解が取られるのだ、こういう御見解のようでございますが、もしかりに、そういうことは願わないですけれども、ブラジル国の政情が変化するというような場合に、こういう法律の規定がある以上、それをたてにとって、これは認めないのだ、土地は没収するのだといったようなことになった場合、責任があると思うのです。そういうことはないことを望むし、いまの日伯友好関係の現状におきましてはそういうことは起こらない、起こる要素はどこにもないというふうに私は思いますけれども、しかし、向こうの法律の規定がある以上は、そういう点がやはり向こうがたてにとってくる場合には抵触してくる。ただ現在東京在住のブラジル大使の了解だけでそういうことができるかどうか。現に、最近日本冷蔵の東北ブラジルにあるところの冷凍機が東北伯開発庁によって買い上げられようとしておる。あまり能率がよ過ぎるので、これを向こうの政府が買い上げようとしておる。没収でなくて、向こうの政府の権力でもって買い上げようとしているという事実が最近起こっていることも御存じでありましょう。そういういわば接収と内容は変わらないような事態が起こってきた場合、この法律をたてにとってきた場合にどうするか、政府はどういう責任をとるかということについてやはり若干の危惧がある。その点は国会の審議におきましても一応政府のお考え方をただしておかないと、あとで問題が起こったとき、国会は何をしておったかということになりますから、ほかの国については、いま局長のお示しのとおり問題はございませんが、ただ、ブラジル国に関するのみそういう心配がございますから、その点重ねてお考えを伺いたいと思います。
#45
○高木政府委員 本件につきましては、現地ブラジルの法律家の意見を十分検討いたしました。そして、結論は、事業団と移住会社とは、民法の規定から言えば何ら変わりはないわけであります。したがって、もしそういうおっしゃったような接収の危険があるとすれば、移住会社も同じことでございます。しかしながら、われわれは、事業団ができました機会に日本の立場を現在よりも一歩強化するというその手段を講じたいということで、先ほど申しましたような処置を現地在伯大使と打ち合わせている次第であります。
#46
○西村(関)委員 この点だけを一応責任上聞いておくわけでございますが、心配がない、こうおっしゃられれば、これ以上のことを伺っても不必要かと存じます。ただ、そういう心配をしている点について、私の心配が杞憂であるかどうかということを国民にかわってお伺いしておかなければならぬ。ブラジル大使とお話し合いがあっても、ブラジル大使がかわった場合には、次の大使が、あるいは次の政権がどういう考え方をとるかということに対する心配を持って、この事業団法案の審議にあたってそういう質問をしたのですが、心配がないという御答弁があったので、これ以上私は追及はいたしませんが、その点は現地の法律専門家ともよく打ち合わせをせられて、あるいはまたブラジル国の政府当局と何らか責任のある取りきめをなすって、万遺漏のないようにやっていただかないと、まだいまの答弁だけでは国民は納得しないと思いますので、その点もひとつ御了承いただきたいと思います。
 十二時までという約束でしたので、きょうはこれで打ち切りまして、次回にまた質問を続行させていただきます。
#47
○野田委員長 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時六分散会
ソース: 国立国会図書館
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