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1962/02/14 第43回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第043回国会 科学技術振興対策特別委員会 第4号
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1962/02/14 第43回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第043回国会 科学技術振興対策特別委員会 第4号

#1
第043回国会 科学技術振興対策特別委員会 第4号
昭和三十八年二月十四日(木曜日)
    午前十時三十六分開議
 出席委員
   委員長 寺島隆太郎君
   理事 安倍晋太郎君 理事 佐々木義武君
   理事 松本 一郎君 理事 岡  良一君
   理事 西村 関一君 理事 山口 鶴男君
      細田 吉藏君    石川 次夫君
      田中織之進君    原   茂君
      村山 喜一君    内海  清君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣 近藤 鶴代君
 出席政府委員
        科学技術政務次
        官       内田 常雄君
        総理府事務官
        (科学技術庁長
        官官房長)   森崎 久壽君
        総理府事務官
        (科学技術庁長
        官官房会計課
        長)      松田 壽郎君
        総理府技官
        (科学技術庁計
        画局長)    杉本 正雄君
        総理府技官
        (科学技術庁研
        究調整局長)  芥川 輝孝君
        総理府事務官
        (科学技術庁振
        興局長)    杠  文吉君
        総理府事務官
        (科学技術庁原
        子力局長)   島村 武久君
        総理府技官
        (科学技術庁資
        源局長)    井上啓次郎君
        気象庁長官   和達 清夫君
 委員外の出席者
        科学技術事務次
        官       鈴江 康平君
        外務事務官
        (アメリカ局安
        全保障課長)  高橋正太郎君
        日本国有鉄道常
        務理事     滝山  養君
    ―――――――――――――
 本日の会議に付した案件
 科学技術振興対策に関する件
     ――――◇―――――
#2
○寺島委員長 これより会議を開きます。
 科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。
 科学技術振興の基本施策に対する近藤国務大臣の所信表明に対する質疑に入ります。
 質疑の通告がありますので、順次これを許します。岡良一君。
#3
○岡委員 近藤長官の御所信の中で、実は私ども豪雪の土地から参りましたので、雪に対する防災科学とでも申しましょうか、御方針を承りたいと思います。
 初めに、この防災科学とは一体何をしようとしているのか。センターをこしらえられるそうでございますが、この研究センターは雪についてどういう方針、目標をもって運営されるのか、まずこの点を明らかにしていただきたい。
#4
○近藤国務大臣 防災科学技術センターは、従来から各省でそれぞれの特殊な立場でやって参られました防災に関するものを総合的にいたしまして能率を上げていく、むだのないようにというようなことから、各省庁問のそれぞれの研究を調整していこうということで、もうすでに長い間この計画があったように聞き及んだわけでございますが、ことしようやく予算的にこれを処置をするという段階に参ったわけでございます。それにはあらゆる部門が入っていると思うのでありますが、特に雪に関しましては、従来から雪害対策、積雪の問題についていろいろの団体もございまして、十分それらの御意向をくんで取り入れて参りたいという意向でやっておるわけでございます。詳細につきましては政府委員の方からこまかく御説明させたいと思います。
#5
○芥川政府委員 雪につきましての一般方策という御趣旨の御質問と考えますので、防災科学技術センターにおきましてやろうといたしております点を若干詳細に御説明申し上げます。
 ただいま、防災センターにつきましては三十八年度からこれを設置したいと考えまして、国会の審議をお願いしておる次第でございます。私たちの計画しておりまする内容は、研究室を三つつくりまして、その三つの研究室の一つは、台風、高潮、洪水、そういったようなものを取り扱う。第二の研究室といたしましては、雪害に関する研究を主として取り扱う。第三の研究室におきましては、地すべり、山くずれというものを主として取り扱う。
 そういたしまして、このセンターは各省庁のやっております防災全般に関する研究推進する役目を持っておりますので、各省庁のやっております状況をきわめて簡単に申し上げますと、たとえば北海道開発庁におきましては凍上及び雪害、農林省の農業技術研究所におきましては農業気象、北陸農業試験場におきましては積雪地帯の作物環境その他、こういうふうな調子で、林野庁、気象庁、建設省、それから国鉄、そのほかに民間の財団法人といたしまして積雪研究会というのがございまして、積雪の調査等をやっておりますが、かかる研究を総合的にここで推進する役目を持たせます。と同時に、問題に応じましては一つの総合テーマを定めまして、この第二研究室のテーマとして取り扱いまして、防災に関します基礎的な技術問題、そこらを逐次解決して参りたいと思っております。
 なお、このセンターにつきましては、三十八年度から発足いたしまして、さしあたり三カ年計画程度で充足して参りたいと思いますので、ただいま申し上げました研究内容も逐次進展していくものと考えております。
#6
○岡委員 それでは、三十八年度の当初の出発される総合センターの規模は、どういうものでございますか。
#7
○芥川政府委員 三十八年度におきましては、ただいま御審議をいただいております防災センターの大きさその他は、当初だけにきわめて貧弱なものでございますが、一応一級官の所長を一人置きまして、それを含めまして二十一名の定員を要求しております。予算といたしましては、センター・プロパーのものが約二千九百万というふうに考えております。
#8
○岡委員 せっかく防災科学技術センターをつくられるので、私どももこの委員会で防災科学をもっと本腰を入れるべきだという主張をいたしたはずでございますが、これはもちろん防災科学でございますから、これまで各省庁がそれぞれ行なっておった研究の成果を取りまとめるということも、一つの目的ではございましょう。同時に、もっと高次な目標を掲げて、そうして防災科学というものを科学として確立し、それを行政面に生かしていく。そういうもっと高次な積極的な方針があっていいのじゃないかと思うのです。今承りました運営、あるいはまた今の予算、機構では、各省庁の研究された成果の取りまとめ役というか、世話役というような、きわめて受け身な消極的な印象がして仕方がないのだが、こういうことで防災科学、いわば人間の英知の力で自然を改造しようというような意欲をも加えられた防災科学が、はたしてうまく所期の目的を達することができるのだろうか、私はちょっと疑問を感ずるわけです。これは長官の御見解を承りたい。
#9
○近藤国務大臣 ただいまの岡委員の仰せは、まことにごもっともだと思うわけでございます。従いまして、当初の出発におきましても、もう少し予算的にも十分な処置をいたしたいし、各省の連絡事項とか調整事項だけでなくて、科学技術庁として防災センターに求める一つのものを実行していくようにいたしたいという気持は十分ございましたけれども、なかなか力及びませんでしたので、とりあえず当初の出発といたしましては、ただいま局長から申しましたような手順で進めて参りたいと思いますけれども、防災科学センターに対する将来につきましては、岡委員の仰せの通り、十二分にその機能が発揮できて、いかにも科学技術庁のセンターであるというな構想に進んでいきたいという気持は十分持っております。
#10
○岡委員 日本の災害に対する政策はもとよりでございまするが、日本の政治の非常に不幸な点は、いわば科学的な成果というものが政治の運営、行政の運営に活用されておらないというところに、今日までの日本政治の大きな不幸があったと思うのであります。その不幸をこの防災科学センターの設立を通じて打ち破ろうというのが、防災科学センターの持つ大きな使命ではないかと思うのであります。
 私自身、今度の北陸地帯の豪雪では、所用もありましたので、三日前まで郷里の金沢にとどまっておった。従って、私はつぶさに豪雪の実態をみずから体験して参ったのであります。この体験を通じて率直に見解、結論を申しますると、災害は忘れた時分にやってくるということは当てはまらないと思う。むしろ災害は手をこまぬいておった人々の前にふりかかってくるものだということをしみじみ感じたのであります。たとえば昨年の四月には、たしか雪害対策の特別措置法ができました。そして審議会ができた。けれども、地域の指定も行なわれない。従って、総合対策の基本方策も立っていない。あるいは一月の十一日から毎日々々大雪注意報、風雪注意報が気象台から出ておる。しかし、これはほとんど実際面においては、地方団体においては行政面に活用しておらない。とうとう二十三日になったら、とたんに汽車は不通になった、国道線は不通になった。あわてふためいて自衛隊に来てもらった。七百名も臨時に来た、何の装備もなしに自衛隊が来た、というような状態で、さあ、除雪機械、排雪機械を、どんどん各地に散在する建設局のものを集めようたって、鉄道も不通であり、国道が不通であるから、なかなかそんなものを持ってくるわけにいかない。もう日も押し詰まって、汽車が通らなくなって、一週間前に雪害対策本部ができた。そして河野さんが来られて、号令をかけられるけれども、今度は人も思うように動かない。さんざんばら地方の住民は苦労をされたあげくに、自衛隊が機械や設備を持ってきた。こういう事態を見ておると、全く手をこまぬいて災害のくるのを待っておった。
 こういう点から考えまして、政府の方でも重い腰を上げて、雪害対策に関する総合研究機関をつくるということを、政府の責任者もこの間、災害対策特別委員会で御所信を述べられたようでありますが、これと防災科学センターあるいは雪害に関するセンターというものとの関連性はどういうことになるのでしょうか。
#11
○芥川政府委員 ただいまお話の、雪害対策本部でいわれる雪害総合研究所というものの中身は私は詳細を存じておりませんけれども、それに関しまする総合研究所というものにつきましては、内閣総理大臣の諮問機関でございます豪雪地帯対策審議会におきましては、昨年の十二月に豪雪に関する総合研究所の早急設置ということを要望されております。それから、雪の降ります地方二十七道府県が参加されております積寒地帯対策協議会、会長は新潟県の塚田知事でございますが、そこからは雪に関する総合研究所の設置というものが要望されております。そこで、防災センターをつくりますときに、この審議会あるいは協議会といろいろ協議いたしまして、科学技術の面については防災科学技術センターにおきまして、他の防災と一緒に、他の自然的災害の防止研究と総合的に研究することが研究の能率を上げるということになりまして、この協議会または審議会も積極的に防災科学技術センターの設立を応援されたという経緯がございまして、先ほどの雪の総合研究所と防災センターとの関係につきましては、ただいま御説明申し上げた通りでございます。
 なお、考えられます審議会なり協議会が御要望になりました雪に関する総合研究所というものの内容は、雪に降り込められて非常に社会活動が思うようにできないときのその時間をいかに利用するか、そういうふうな面が入っているようでございまして、そこらは防災科学技術センターでは取り扱わないということでございます。
#12
○岡委員 今、国鉄の方もお見えになったようだが、現在たとえば雪の災害に対する総合的な施策ということになれば、やはり路面をどうするとか、住宅の建築をどうするとか、あるいはまた幹線に、長岡の町のように融雪溝を設けるとか、いろいろそういうこともあるでしょう。あるいはまた、厚生省関係では血清なり、あるいは乾燥血清なりの備蓄もあるでしょうし、農林省なら農林省でいろいろな施策もあるでしょう。そういうことは原形復旧なんで、事少なくとも科学と名を打つ以上、原形復旧じゃなく、もっと突っ込んだ対策があっていいと思う。それがこの防災科学センターの大きな使命だと思う。
 そこで、雪について専門に研究しておる研究所というのは、どことどこですか。国鉄では湯沢に何か雪の研究所があるように聞いておりますが、どういう研究をしておられますか。
#13
○滝山説明員 お答え申し上げます。国鉄には塩沢に、鉄道技術研究所の出店でございます雪害防止実験所というものを設けております。昭和二十三年に開設いたしまして、三十四年に改築したのでございますが、ここに約五名の人間を置いております。どういうことをやっているかと申しますと、雪の本質の研究、ここには低温室を二つ持っております。低温室におきます雪の性質の研究、それからなお、なだれとか雪の防止に対しまして基本的ないろんな実験をやっておりまして、この結果を生かしまして豪雪時に対処している。また、今回はなだれ防止に対しまして、従来の研究を生かして今対策を立てております。
#14
○岡委員 僕は、この防災科学という分野は二つの分野に分かれると思う。一つは、雪そのものの研究、もう一つは、これはやはり和達長官の分野に属するかと思いますが、なぜああいう豪雪が襲来してくるかというメカニスムスの研究、僕はこれが一つの大きなポイントじゃないかと思う。その結果として、さて、北海道の雪と北陸の雪とは違います。北海道は凍上現象があるが、北陸にはない。これも広い範囲における雪の性質の一つだと思うのだが、そういう雪の物理的な研究、あるいは豪雪の発生のメカニスムスの研究、こういう研究と同時にまた、発生した災害に対するもろもろの対策、これは道路とか住宅、厚生関係、農林関係、いろいろあるでしょう。二つに分けて考えられると思う。
 そこで、これは和達長官にお伺いをするが、今度の豪雪あるいは大雪に対して、気象庁あるいは地方の気象台ではしばしば予報なり警告を発しておられますが、どういうふうに、いっそういうものが発せられたか。たとえば長期予報とか週間予報とかが発せられたはずですが、いつ発せられたか、内容はどういう内容であったか。
#15
○和達政府委員 今回の大雪はまれに見る大雪と申してよろしいと思いますが、これに対して、まず気象庁の長期予報におきましては、前の年の暮れ、十二月に、雪は多いということを言っております。ただし、非常に多いということを的確につかむだけの長期予報の技術は、まだそこまでいっておらないと思っております。今後はそういう精度もますます向上していくと思っております。
 なお、一月に入りまして、翌日の天気予報、雪の警報、注意報、予報等におきましては、今回はかなりまでと申し上げるより、私どもとしては申し上げるのはどうかと思いますが、現在の技術、施設としては最善に近い予報、警報を発し得たと思っております。その量の推定におきましても、かなりまで実際と一致していると思っております。しかし、これが科学的に今後もこういうふうに的確にいくかどうかということについては、なお研究を要します。
 気象庁あるいは気象台におきましては、今回の大雪に対しては、警報、予報、注意報等は、任務を果たし得たと思っておりますけれども、この根底にある研究というものはさらに進めなければ、現在の程度が精一ぱいでございます。そのために前年あたりから、北陸の大雪の原因である北陸不連続線というものに対する特別観測を行ない、研究を開始しまして、ちょうど本年も豪雪のさなかにその観測をいたし、一方研究の資料を得、その観測が直接今回の気象業務に役立った次第でございます。
 なお、気象業務のやり方、特に施設等、また研究の進め方等については、今後いたしたいことがたくさんあるのでございますが、許されればまた後ほど申し上げます。
#16
○岡委員 私どもも新聞紙で拝見をしたのですが、たしか十二月の十日前後に、ことしの冬は雪が降るぞという予報があったはずでございます。しかし、あの予報は、ただ降るぞということであって、いつごろ、どの程度に降るかというふうな、もっと具体的なものがあれば、あれはさらに一段と住民なり、地方公共団体なり、国としても、いろいろな施策の資料として役立ったと思うんです。もう少し的確に、具体的な線を持った長期予報をする必要があるんじゃないか。何が一体足りないのか。人が足りないのか、施設が足りないのか。ことしのあの豪雪は、何か北極の上に冷たい空気があって、アメーバみたいにあっちに顔出し、こっちに顔出ししたようなことが説明されておったようです。施設なり人なりをもう少し充実すれば、もっと具体性を持った長期予報ができなかったか、そういうことを感ずるんですが、専門家の長官としていかがですか。
#17
○和達政府委員 長期予報はなお発達の道程にある分野でありますので、今後の発達は、もっぱらさらに研究を進めなければ、なかなか地域的とか量的にするのは困難であると思います。
#18
○岡委員 一月の初めに、たしか週間予報とでも言いましょうか、前の日にあすは大雪警報だという警報を出されるのではなくて、数日前に週間予報的なものが報ぜられておったように思います。あれも、もう少し具体性を帯びるように、人なり施設なりの問題があろうかと思いますが、いかがなものでしょうか。
#19
○和達政府委員 一カ月、二カ月前でなく、いわゆる週間予報と申すものにつきましては、かなりまで詳細に入り得る可能性がございます。しかし、これも研究をもう少し重ねたいと思っております。
 なお、週間予報に対しましては、仰せのように、さらにこれに従事する人員を増して、的確なる資料を処理するということが大切であろうと思います。
#20
○岡委員 たとえば、具体的にはよく全国的にやっていることですが、高空へ何か気球のようなものを打ち上げてセンサスをやるとか、あるいは観測船とか観測ブイとか、いろいろなことを聞いております。雪に対してのそういう施設というものは、現在の状況で十分なんでございましょうか。
#21
○和達政府委員 長期予報あるいは週間予報というものは、広い範囲の一般的の気象状況、特に高層観測に依存するものでございます。一日、二日前になりまして警報、注意報を出すにあたりましては、なお施設を要すると思う次第であります。すなわち、そのときのこまかい上空の気象状態を知るために高層観測を増す、あるいは現状を把握するレーダーを増設する、また、日本海における気象状況を知るために、何らかいかだの上に自動観測機がついておるような浮遊観測所を設置する、あるいはさらに、状況を知るために気象情報を広く集めるような組織を講ずるとか、また自動的にその気象観測値を知らせる装置をもっとたくさん山地方面に置くとか、いろいろ設備においていたしたい点がございますとともに、中央において作業をしたものを現地に早く的確に知らせるような気象通信の強化等がございます。
#22
○岡委員 さっきも申し上げましたように、気象台の方で、地方の気象台では、あすは三十センチぐらい降るだろう、その次になると、また、あすは五十センチぐらい降るだろう、というように次々に出される。そこで、とうとう二十三日になったところが、百八十センチをこえてしまった。さて、汽車も動かない、国道もバスが通らないというような状態になったわけであります。
 問題は、一つは、そういう気象台なり気象庁の出される警報、注意報というものが、一体地方庁がそれを生かしているのかどうか。国が実際それを具体的に採用し対策を講じていなかったというふうに、私は感じられてしょうがない。これは気象庁の長官という立場から見られまして、せっかくあなた方の御苦心の成果であるところの注意報や警報というものが、地方庁なり国の行政に生かされていなかったといううらみはございませんでしたか。率直な御意見を承りたい。
#23
○和達政府委員 気象業務が実際の方面に十分活用されるということは、従来からも努力して参りまして、近年に至りまして特に災害対策基本法ができまして以来というものは、十分なる気象情報と関係機関との問の連絡はとれるようになったと私は思っております。今回、私が北陸の方に参りまして、それぞれ伺いましたところ、私の見ましたところでは、かなりまで円滑にその連絡、協議が行なわれておるように思います。けれども、さらにこれは現在以上に密接に活用されるようにしなければならない点もございますし、また現地の方の御要望もありましたように、気象庁側としましてもさらに強く的確にこういうことを言ってほしいという御要望は、私どもも反省しなければならぬと思いました。
#24
○岡委員 これは私が現地での印象から言えば、どうも円滑にいってない。その証拠には、とにかく雪害対策の最高の責任者が現地にやってきて、自衛隊をもう少しどんどんよこせ、各管内にある除雪機械等に役立ち得るものは全部北陸三県、四県に集中しろ、と言ったのは一月三十一日のことです。ところが、一月二十三日には国鉄は上下線とも不通、国道幹線は麻痺状態。これでは、ちっとも生きてないと私は思う。
 御存じの通り、私どもの幼少のころには、やはり相当の雪が降りましても、私鉄は私鉄で終夜運転をやって、絶えず除雪に努めておった。そういうような計らいが何もない。暖冬異変、暖冬異変ということで、雪というものから若干関心が遠のいておったせいもあるかもしれません。聞くところによれば、暖冬異変という措辞はもはやわれわれの頭からなくしてもらわなければならないというような意見も聞くのであります。そうすると、ことしほどのことはなくても、相当なやはり冬型の雪が襲来してくるということは覚悟しなければならぬ。ところが、今回の経験は、なるほど異例の豪雪ではございましたけれども、実際問題として、国にしろ、地方団体にしろ、あるいは住民にしろ、民間のいろいろな職場にしろ、少し手おくれだということは、どうも皆さんのせっかくの御努力の成果である注意報なり警報なりというものが、十分に活用されないがままに三十センチ積もる、四十センチ積もる。ただ、ひやひやしながら、とうとうふたをあけてみたら百八十センチ積もっておった、そういうような状態であった。いわば後手に回っておった。いわば皆さんの警報というものが実際の行政面に生きてこなかったということは、私ははっきり言えると思う。
 そこで、防災科学センターの問題ですが、これは芥川君、この雪害に対する研究センターというものの中には、災害をやはり防ぐということになれば、災害を起こし得る自然現象のそういう大きな変化というものを予知することが、災害を防止する一つの大前提になろうと思う。起こってからどうするということじゃなく、まず起こるぞという予知をして、それに対し、て対策を立てるということが、一番大きな災害予防の前提になろうと思う。そうなってくると、今、和達長官からもお話があったように、とにもかくにも気象庁とすれば精一ぱいで、いろいろ週間予報なり、あるいは長期予報なりやっておられる。こういう機関と密接な連絡をとって、そして災害というものに対する対策についても、やはり防災センターは単なる研究じゃなく、こういうものをも取り入れて、気象庁のいろいろ科学的なデータというものも十分にこなし得る体制、生かし得る体制というものが必要になってくるのじゃないかと思う。そしてまた防災科学センターというものも、そういうことも一つの任務になってくるのじゃないかとさえも思うわけです。要するに、気象庁でやっておられることは、なぜ雪が降るかというメカニスムスを探究しつつ、だからいつ降るということがわかってくる。そういうことも科学センターの一つの仕事として、密接な連絡をとっていかなければならないと思うが、こういう点は一体どういうことになっておりますか。
#25
○芥川政府委員 気象庁の予報を聞きまして、それによって対策をどうするということではございませんけれども、防災科学技術センターにおきます災害に対する考え方、それは、あらかじめ科学技術的に防災を考えようということでございます。今考えております例で申し上げますと、たとえば河川の洪水という問題につきましては、その河川のシミュレーターをつくりまして、その河川に対しましていろいろの状況で水を電気的に流してみます。そうしますと、その状況に応じまして、あるいは広範囲な洪水になったり、あるいはいろいろの災害を引き起こすということが、あらかじめわかると考えております。そこで、一つの河川を取り上げまして、そういうスタディを防災センターとしてはあらかじめしておきます。次に、実際との結びつきにつきましては、これは防災科学技術センターが直接扱う面とは考えませんが、たとえば防災技術センターでやりました、ただいま申し上げましたような、あらかじめの科学技術的な研究に対しまして、そのときの気象予報を適用していただきまして、現地々々における防災に対しまする対策を迅速にやれるような状況になるんじゃないか、そういうふうな体制で考えております。
#26
○岡委員 気象庁では、今度の豪雪にかんがみて、大蔵省の予算査定後ではあるが、何か特別に長期の予報なり、あるいは週間予報なりについて、その正確さを高めるための人員とか、施設の増強について、積極的に予算の要求なり、あるいはそういうこことをなさることになっておりますか。
#27
○和達政府委員 現在なっておりませんが、検討したいと思っております。
#28
○岡委員 これは、やはり禍を転じて福となすという意味で、ぜひやってもらいたいと思います。そしてまた、これは国務大臣として近藤長官も、やはりこの災害をできるだけ少なくするためには、気象庁の充実された設備、あるいはまた必要な頭数をそろえた人員などでもって、できるだけ信憑性のある予報が提供される、この提供された予報を基礎にして、国、地方団体が事前にできるだけ災害を少なからしめるような具体的な施策を行なう体制に入っていく、こういうような方向に日本の雪害対策というものを進めていくことも、これは科学技術の一つの大きな防災に対する前進だと思う。そういう意味で、やはり近藤長官も、閣議等においてできるだけ――これから新しくできる総合研究所というものも、何だかはっきりしないようだが、ぜひこういう要素を大きな使命としていくように、御努力を願いたいと思うが、御所信はいかがでしょうか。
#29
○近藤国務大臣 防災科学センターを企図いたしました中には、日本の災害、年次的に襲って参ります洪水とか台風とか、そういうものに対して未然に防ぐという何らかの方途がないであろうか、そういうこととも取り組んでいかなければならないというようなことも考えられての防災科学センターでございますので、あらゆる災害に対して十分なる予知を受けて、それによってできるだけ災害が少なくあるようにという方針を打ち立てていきたいという願いを強く持っておるわけでございます。今度このような未曾有の豪雪というものに見舞われまして、今日までの研究があまり役に立たなかった。しかし、今回のこの豪雪というものに対して、私どもが努力をして把握したところの資料は、後日の場合に必ず役に立つものでなければならないというような考え方をもって処理しょうということも、十分話をいたしておりますし、また、当面気象庁の方に差し出すというわけには参りませんけれども、この豪雪の研究というものを将来に役立たせるという観点に立っては、私どもが持っております研究調整費というものを、もうすでに年次的の計画は大体ございますけれども、それを変更いたしまして、この研究に充てようということを計画いたしておるようなわけでございますが、なおそれでも十分ではございませんので、岡委員の御指摘の通り、できるだけの機会をもちまして、御趣旨に沿うように努力いたして参りたいと思います。
#30
○岡委員 実は私は四日前に、小松の飛行場を立って羽田へ来たのです。小松の飛行場はまだまだ白喧々で、地平線というより、われわれは滑走路の上では、雪平線をながめながら滑走して飛行機が飛び立った。十分間で白山の上に行った。十五分で岐阜の上に来ると、もう全く大地に雪がない。裏日本と表日本というものが、こういうふうに大きな違いがあるのだろうか。工場がこようというのが、くるのをやめた。既設の工場も、移転しょうかというておる。地域格差、地域格差と言うが、私は地域格差を生み出している原動力の一つに、何としてもこの気象条件というものをあげざるを得ない。
 それでは、この気象条件というものは、変えることができないのかどうか。今日の発展した人間の英知で変えられないのか。つまり、それは夢でありましょう。しかし、暖かい空気の中にある水蒸気が、雪になるのも雨になるのもエネルギーの転換だから、原子力からエネルギーを出せる世の中に、こんな夢だって必ずしも不可能じゃないじゃないかとさえ思いたい。ゴダードの研究所に非常に名文句が書いてある。「きのうは夢だった、きょうは可能性だ、あすはリアリティだ」と書いてある。やはりゴダードは五十年前に人工衛星の夢を描いたが、それがすでに現実になっている。そういうことは、これは私どもの個人的センチメンタリズムかもしれませんが、いずれにしろ防災科学センターとして出発した以上は、単にこれまでの原形復旧主義的な防災対策をこえた、もっと科学的データを基礎として、未然にできるだけこれを防ぐというような積極的な対策、場合によれば、そういう自然災害というふうなものを、できるだけ自然災害の原因となるような自然現象の変革をし得るような方向に積極的な研究を進めていただくということが、防災科学、防災科学と私ども委員会でいつも申し上げておった大きな理由でございます。たまたま豪雪のさなかに防災科学センターが発足したことは、非常によきはなむけだと思うんです。ぜひ一つ、科学技術庁というワクにとらわれないで、日本の政治の中に二千三百億というような莫大な国民の血税を浪費しておる災害復旧の費用、国民の負担を少なからしめるためには、もっと科学的なデータに基づく災害対策、積極的な責任を自覚し、センターはまたほんとうの意味での中核として施策を進めていただきたい。このことを心からお願いしたい。
 それから、この機会に、お願いというよりも御要望申し上げておきたいのだが、今非常に問題になっておる原子力潜水艦の問題について、原子力委員会の統一見解をぜひこの次の機会にお示しを願いたい。それだけです。
#31
○寺島委員長 田中織之進君。
#32
○田中(織)委員 ただいま岡委員が最後に、次の委員会で例の原子力潜水艦の問題についての原子力委員会の統一見解をぜひ明らかにしてもらいたいということで要望されました。私、別に外務省の出席を求めておるのでございますが、聞くところによると、外務省筋では、原子力委員会との十分な連携なしに、きわめて外交的な面だけの解釈で、この寄港の問題についての日本政府としての態度を決定しようとしておるやに聞くのであります。この点については、原子力による潜水艦の寄港による汚染対策という問題だけではなくて、日本の原子力基本法に示されておる、原子力の軍事利用というものは絶対に避けるというこの平和利用の原則から見ても、大きな問題があると私は思うのです。そういう関係から、原子力潜水艦の寄港問題については、原子力委員会としては、外務省から当然連絡を受けて、現在検討を進めておるのかどうかということについて、今までの経過なり、また現在の作業の状況なりを、統一見解はまだ次回でなければ報告できないとしても、現在の作業の経過を具体的に、できるだけ詳細にこの機会に説明していただきたいと思います。
#33
○近藤国務大臣 ただいまのお尋ねの件につきましては、外務省が原子力委員会の意向を聞かないで交渉しておるというようなお話のように伺ったわけでございますが、そうではなくて、外務省といたしましては、原子力委員会の方にその連絡をとって参りました。私どもといたしましてはこういう見解を持っておるのだということを外務省の方に通達いたしております。それに従って、外務省といたしましては交渉いたしておるのであろうと思いますが、詳細につきましては、原子力局長の方からお答えをさせたいと思います。
#34
○島村政府委員 米国の原子力潜水艦の寄港の問題につきましては、一月の末であったと思いますけれども、官房長官から記者会見でお話があった通りでございます。一昨年、一度米側からこのような意向がわが方に伝えられましたけれども、当時は、諸般の事情を慎重に検討する必要があるということでアメリカ側に返事した経緯があったわけでございます。ところが、最近新たに、在京の米国大使館から外務省に対しまして、口頭で本件に関する照会がございまして、それにつきまして、外務省としては差しつかえないと思うけれども、さらに検討中である、という態度を官房長官談話によって発表いたしましたわけでございます。
 科学技術庁といたしましては、先ほどもお話のございましたように、何よりもまず安全上の見地という問題について深い関心を持つと同時に、また万一の場合の責任体制というようなことが強くこの問題にあたりまして考えられねばならないということを外務省に伝えておるわけでございまして、外務省も当然そういうことも考慮して検討したいということで、外務省との間に連絡会等も持っておるわけでございます。
 安全の問題に関しましては、科学技術的な立場からいろいろと検討いたしまして、その結果につきましては、現在外務省からアメリカ側に対して、質問書の形でいろいろ問い合わせておりますけれども、今日、おそらくただいま現在まだ返事がございませんので、この問題の可否を含めまして、いかなることとするかということにつきましては、最終的な結論に至っていない状態でございます。
#35
○田中(織)委員 そういたしますと、本件に関して外務省から原子力委員会として連絡を受けている問題は、安全上の問題だけですか。その点はいかがですか。
#36
○島村政府委員 外務省から科学技術庁として相談を受けておりますことは、何も安全上の問題に限ってということで連絡を受けておるわけでございませんで、全般的な問題について相談に乗っておるわけでございます。
#37
○田中(織)委員 そういたしますと、外務省筋の新聞紙等に表われた見解によりますと、これは核装備をしておるポラリス潜水艦とは違うのだ、ただ潜水艦の推進力に原子力を使っているにすぎないのだ、こういう考え方で、問題の原子力の軍事的利用の問題と分離した考え方の上に立って処理しようとしておるやにわれわれは見るのでありますけれども、安全上の見地からの問題だけではなくて、全般的な観点から原子力委員会としては検討しなければならぬということでございますれば、必ずしも外務省筋が発表しておるようなことではなくて、基本法による平和利用、軍事的な利用というものは日本はやらないのだ、こういう観点からも原子力委員会としては検討する、こういうように理解してよろしいのですか。
#38
○島村政府委員 先ほど申しましたのは、外務省から安全上の見地からだけ意見を聞きたいという連絡を受けておるのではないということを申したわけでございますけれども、科学技術庁の立場と申しますのは、安全上の立場から意見を申し述べることが正しい立場ではなかろうか。いわばアメリカの潜水艦がどうだ、ソビエトの潜水艦がどうだというような角度でこの問題についての意見を出しますことは、科学技術庁としては筋が違うのじゃなかろうか、こういうふうに考えます。
#39
○田中(織)委員 外務省の方が、安全上の見地からの原子力委員会の見解を求めている、連絡をしておるということではない、総合的な観点の問題も含んでおるんだと、局長は今も答弁をされておるのでありますけれども、しかし、原子力委員会としては、ただ安全上の見地からこの問題についての見解なり態度をきめさえすればいいのだということは、原子力基本法によって本来あるべき基本的な立場がはっきり示されておる原子力委員会の立場から見るならば、私は原子力委員会としてはそれでは十分ではないのではないかと思うのです。やはり基本法の原則から見て、当然この問題についての原子力委員会としての見解というものも同時に、むしろそれが基調になるべきです。安全上の問題あるいは汚染による補償の問題等は、アメリカ自身が十分にやる、こういうことを言っておるのでありますから、放射線によるところのどういう障害が起こるかもわからないということはアメリカ側さえ予定しておることなんで、これは言うまでもないことなんです。日本の場合は、やはり原子力基本法の建前から見てこの問題についての態度というものをきめなければならぬ、こういうところにきておるのではないかと私は思うのです。外務省は、そういう観点から科学技術庁の方に対して、単に安全上の問題だけではなしに、あらゆる原子力の平和利用という大きな限界の中で、この寄港問題をどう処理するかということについての原子力委員会としての見解を求め、連絡をしてきておるのではないでしょうか。局長の答弁では、原子力基本法に基づいてできておる原子力委員会の基本的任務はたな上げされておるような感じを受けるのですが、その点はいかがでしょうか。
#40
○島村政府委員 私は、外務省からの連絡は安全上の見地についてだけ意見を聞かしてくれという言い方できておるのではないということを申し上げたのでございますけれども、先ほど申しましたように、科学技術庁として外務省に対して意見を申し述べるのは、安全上の見地からの意見であることが正しいというふうに考えております。また、先ほど岡委員の御発言で、原子力委員会の統一見解を次回に出せというお話でございますので、次回までに原子力委員会としての統一見解をまとめるようにいたしたいと考えておりますけれども、原子力委員会もまた、先ほど申しました科学技術庁としてということで申し上げた意見と大体同じ考え方をとっておられると思います。
#41
○田中(織)委員 岡さんが原子力潜水艦の寄港問題についての原子力委員会の統一見解を求めておるのは、局長が今言われるように、安全上の問題だけについての原子力委員会の統一見解というものを求めているのではないと私は思うのです。これは岡さんが今ここにおられますから、岡さんからその点を明らかにしていただいてもいいと思うのです。外務省ですら、安全上の問題だけのことについて科学技術庁に対して見解を求めてきている、連絡をしてきているのではないということを言われるその原子力局長が、安全上の問題だけについて外務省へ統一見解を連絡すればいいのだということは、やはり原子力基本法の建前、いわゆる平和利用だ、軍事的利用というものについては日本がやらないのだ、これは日本がやらないというだけの問題ではなくて、従って軍事的な原子力利用というものに対して、原子力委員会というものが中心になってこの軍事的利用によるところの日本へのいろいろな影響を受けるということにも対処していかなければならないのは、原子力委員会の基本的任務ではないかと思うのです。その点はあなたは、原子力委員会としては、原子力潜水艦の寄港の問題については安全上の問題についてだけ委員会としての統一見解を出せばいいのだ、こういう理解は、あなたの職責から見ても基本法に矛盾しているのではないか、私はこういう観点から伺っているのです。
#42
○島村政府委員 繰り返して申し述べますけれども、外務省は安全上の問題についてだけ意見を言ってくれという限定をいたしてはおりません、ということでございます。この潜水艦問題を原子力委員会の判断に待って是非をきめようというような考えは、外務省にはさらさらないようでございます。いわば安全上の問題についてだけ意見を言ってくれという言い方はいたしておりませんけれども、科学技術庁が安全上の問題について意見を述べるのが筋であると考えておりますように、外務省も限定はしておりませんけれども、そういうことを期待しておるわけでございます。なお、原子力委員会といたしましても、この問題について数回討議をいたしておりますけれども、原子力委員会自体といたしましても同じような考え方でおるということを申し上げておるわけでございます。
#43
○田中(織)委員 局長は自分の答弁を固執されますけれども、外務省ですらといえぱ語弊がありますけれども、今あなたの答弁にありますように、原子力委員会の態度いかんにかかわらず、外務省は外務省としてこの寄港の問題についての態度をきめようとしているかもしれません。しかし、それは国民の立場から見るならばきわめて不安なんです。そこで、やはり原子力基本法というものに基づいてできておる原子力委員会として、単に安全上の問題だけではなくて、基本的な平和利用という原則の上に立って、この問題について原子力委員会というものが国民の納得するような結論を出して、それでむしろ外務省を拘束してもらいたいというのが国民の私は念願だと思うのです。私もそういう立場に立って、原子力委員会が、岡委員が要請したように、次の委員会に統一見解というものを出してもらうのについては、単に安全上の問題だけではなくて、基本的な問題についての見解も出してもらいたいという立場から私はこの質問をしておるのです。原子力委員会は安全上の問題だけから本件に関しては判断をするのだ、そういうように限らなければならぬ根拠はどこにあるのですか。逆に伺います。
#44
○島村政府委員 統一見解を安全上の問題に限ってというつもりはさらにございません。岡委員のお話もございましたけれども、さらに田中委員のお話もございますので、次の原子力委員会の統一見解の際には、ただいまお尋ねになりましたようなことも含めまして、統一見解としてお出しいたしたいと考えております。
#45
○田中(織)委員 とにかくそういう原子力基本法の立場から見て、この問題にどう対処していかなければならぬかということの原子力委員会としての統一見解をぜひ出していただきたい。
 外務省の安全保障課長がお見えになっておるのでありますけれども、ただいま原子力局長の御答弁では、外務省は単に安全上の問題だけではなくて、本件についての原子力委員会の見解というものを求めてきておるということを言われたのであります。しかし、その原子力委員会の見解のいかんにかかわらず、外務省はこの寄港問題については、たとえば安保条約との関係であるとか、あるいは汚染に伴う補償の問題についての国際上の条約あるいは二国間の取りきめというようなものに基づいて処理されるやに、局長の答弁が伺われるのでありますけれども、やはり外務省としても、当然日本の国内法としての原子力基本法というものがあり、平和利用というものをその基本にしておるという考え方から、この問題に対処していかなければならぬことは当然だと思うのであります。その意味で、寄港の問題を日本が認めるかどうかということについては、原子力委員会の統一見解というものが、外務省が態度をきめ、日本政府として態度をきめる基本にならなければならぬと私は思うのでありますが、あなたたちはそういう考え方の上に立って原子力委員会に連絡をされたのかどうか。次の委員会には統一見解をこの委員会としても承りたい、こういう考え方の上に立っておるのでありますけれども、現在アメリカ側との折衝の過程というものがどうなっておりますか、高橋課長に伺いたいと思います。
#46
○高橋説明員 お答えいたします。ただいまの御質問につきまして現状を大ざっぱに御説明いたしますと、御案内の通りに、本年の一月九日に、本件は、在京アメリカ大使から外務大臣に対して寄港の申し入れが口頭であったわけでございます。それ以降、政府部内で検討をいたしておりまして、処理方針といたしましては、本件がアメリカの軍艦である、日本とアメリカとは安保条約を結んでいるという、そういう建前に立ちまして、軍艦の寄港は元来安保条約では自由に認めているところでございます。しかしながら、本件は、核装備は持っておりませんから、当然いわゆる安保条約上の事前協議の対象にはなっておりません。この点はポラリス潜水艦とは全く違うわけでございます。しかしながら、原子力推進であるという点においては、やはり単なる普通の軍艦とは違うというふうに思っております。従いまして、アメリカも日本側のことを考えまして、原子力推進であるから日本側の意向を打診してきたわけでございます。政府といたしましては、安保条約を結んでいる以上は、先ほども申し上げましたように、米国の軍艦の入港は自由でございますけれども、特にこれが原子力推進であるという点に留意をいたしまして、そのために、ただいまもお話がありましたように、安全上の問題であるとか、さらに万一の事故があった場合にどうするかという二点に主として焦点をしぼりまして、関係各省に検討する会合を持ちまして、そこで問題点をしぼり、先般アリカ側に、詳細なる質問状と申しますか、照会点を提示した次第でございます。アメリカ側といたしましては、これについて、全部でなくても、少しずつでもいいからできるだけ早く返答するということで、鋭意検討中というふうに聞いております。現在までにまだこれに関する回答は受領しておりません。以上でございます。
#47
○田中(織)委員 そういたしますと、外務省の本件に対する最終的な態度決定のためには、科学技術庁を初め関係各省との連絡によって、完全なる意見の一致というか、政府部内の意思が統一されない限りは、この問題についての結論は出さないということをここでお約束できますか。
#48
○高橋説明員 私自体としてはそういうお約束はできないわけでございますが、これは、先生方も御案内の通りに、予算委員員会その他の席上におきまして、本会議でもそうだったと思いますけれども、総理大臣並びに外務大臣からすでにお答えがしてあると思いますが、政府としては、差しつかえないと思うが検討中ということで、いろいろ問題となり得る点について検討をしているわけでございます。従いまして、繰り返すようで失礼でございますが、安保条約上、米国の軍艦はほかの国の原子力潜水艦、ほかの国の軍艦が寄港する場合とは全く事情が違うわけでございますので、その点は、安保条約を結んでおるアメリカの原子力潜水艦が入るということでございますから、別でございます。しかしながら、原子力推進であるという点で問題があってはいけないということで、いろいろ専門的な御意見その他を関係各省に伺っているわけでございます。そのまとまりましたところをアメリカ側に照会をいたして、まだ回答が来ないということでございます。
 それから、先ほど先生から、二国間条約を結ぶのであるかとか、協定が要るのかというお話もちょっとございましたけれども、それらの点につきましては、従来アメリカから聞いておりますところでは、過去このノーチラス型の潜水艦というのは、欧州及び太平洋の諸国に、これは全部で十三カ国くらいあると思いますけれども、ヨーロッパで九カ国、太平洋ではフィリピン、台湾、豪洲、ニュージランド、その他沖繩ということになっておりますが、それらの地域にすでに寄港をしております。アメリカ側の説明によりますと、これらの寄港したところでは事故は何らなかったというふうに言っておりますし、私どもといたしましても、外務省の方でも、アメリカ側の言うことはもちろん信用いたしますけれども、傍証固めという意味で、外務省として調査をいたしました結果では、すでに原子力潜水艦ノーチラス型が寄港をしたヨーロッパ並びに太平洋にあります国々におきましては、ただいま申しましたように事故はなかったから、その原子力潜水艦の入港に関して特別に公式または非公式の取りきめというものは何ら結んでいなかった、それから問題にもならなかった、そういふうに承知しております。
#49
○田中(織)委員 この問題についての国際条約を、その聞くところによれば、アメリカは批准していないということである。また、今までのところ、十三カ国でありますか、寄港したけれども、何ら事故も起こっていない、だから、日本に来た場合に事故は起こらない、とはもちろん断定できないわけです。何らかの事故が起こる危険性がある。万が一そういう事故が起こった場合については、アメリカとしては十分の補償をするということが明確になっているんだから、受け入れたらいいじゃないか、総理なり外務大臣の答弁はそういうニュアンスを持ってなされているように私どもにはうかがえる。その意味で、これはそういう場合の国際条約にアメリカがなぜ批准をしておらないかというところに、われわれ国民の側としての不安が一つあるのです。それから、その場合、国際条約によらない場合においても、万が一事故があった場合には補償すればいい、補償すると向こうは言っているということだけを信じてこれを受け入れるわけには参らない、という国民の側の意見が圧倒的ではないかと私は見るのです。政府部内の一部にも、事故が起こった場合の補償について、万一の場合を予定したところの二国間取りきめというものもアメリカとの間になされた上でなければ寄港は認めるべきでないという見解があるように私どもは伺っておるのであります。
 従って、この問題は、いずれ統一見解が表明された機会にまた詳しくは議論をしたいと思うのですけれども、今、前段の質問で申し上げたように、今各省連絡したことに基づいてアメリカ側に照会をしておることについての回答が全部参りましたならば、さらに各省の連絡会議等を開いて検討した上で態度がきめられる、こういうふうに理解していいのですか。それとも、回答が来れば、それに基づいてこのことについての断を下すというような段階に進んでおるのですか。その点はいかがです。
#50
○高橋説明員 ただいまお話しになりましたように、向こうから回答が参りましたら関係各省にその結果を御披露いたしまして、それで十分検討しようということになっております。ただ、その結果、先ほど申しましたように、たとえば補償の点でございますけれども、補償の点については政府部内で、条約、取りきめを結ぶ必要があるのではないかという意見があるという点御指摘がございましたが、これはまだ別に政府の態度がきまっているわけでもございませんし、それから、新聞なんかでは、アメリカ側は一応日本との地位協定を持っているので、補償の点は地位協定でやる、それでカバーされない場合はアメリカの公船法と申しますか、パブリック・ベッセルス・アクトでやりたいといっているというふうに伝えられておりますけれども、この点も、こまかいことがどうなっているのか、地位協定をいろいろいじりますと具体的な点で疑問も出て参りますので、そういう点についてアメリカ側にあわせて照会している段階でございます。でございますから、これらの点について納得がいけばきめるということになるわけであります。その断を下すかいなかということは、これは前々からお話いたしましたように、政府としては差しつかえないと思うけれども、特に原子力推進による船であるから、その点についての特に安全上並びに補償上の問題点を解明いたしまして、その点でわが方が納得がいくようになれば認めるということになると思います。
#51
○田中(織)委員 安保条約の条文上の解釈からいきますならば、政府が一応そういう結論の上に立って、安全上の問題であるとか、万が一の場合の補償のことであるとかという点についての明確なものをつかんだならば、その一応の結論を実行したいという考えがおありだということは、今の答弁でわかります。しかし、私が先ほど、あなたがお見えになる前であったけれども、まだ各省の連絡をとられておるということでありますけれども、安全上の問題についても、原子力委員会としての統一見解というものがまだこの委員会には報告されないんですね。次回の委員会までの間に原子力委員会も開かれて、その上で統一見解がまとまれば次回の委員会あたりに報告されるという段階なのです。しかも、私ども国民の側、野党の立場から見るならば、原子力委員会ではただ単に安全上の問題だけではなくて、日本の原子力基本法の立場から見て、日本でやる原子力の利用によるところの汚染その他の問題を処置するということだけではなくて、やはり原子力の平和利用という限界、これは潜水艦の推進力であろうと広い意味における原子力の軍事利用なんですから、これは基本法に抵触しないかどうかという問題も原子力委員会としては検討してもらわなければならない。あるいは私どもの期待するような、満足するような原子力委員会の見解が示されるかどうかは、これは結果論で、別問題でありますけれども、私どもはそれを原子力委員会に要望しておる段階ですから、その点で、政府の方は安保条約の関係からこれは受け入れて差しつかえないのではないかという前提を立てて安全上の問題等を今検討しておるという態度より、一応安保条約だけの建前から見ればそうなのかもしれませんけれども、政府はそれだけではないと思うのです。やはり国内法としての原子力基本法というものを、安保条約と同様に政府が守っていかなければならぬ立場に置かれておるわけであります。この点は、もちろんあなたは政府委員でもありませんしするから、政府としての責任のある答弁を求めることは困難であると思うのでありますけれども、外務省の、あるいは総理の答弁されている、これは一応安保条約の面だけから考えればそういう結論が出せるかもしれませんけれども、私ども野党の立場からいえば、原子力基本法の立場から、寄港そのものを、軍事的に原子力を利用しているものを日本に、たとい一時の寄港にしろ、認めるかどうかという点について、この際に基本的に検討していかなければならぬ問題があるという立場の意見もあるわけでありますから、そういう論議がこの科学技術特別委員会でなされておるという点は、私は外務省の首脳部に対して連絡をしておいてもらいたいと思うのです。そこで、その点についてはなお、安全上の問題に限った場合においても、安保条約の地位上の問題だけではなくて、すでに国際条約もある中に、具体的にその国際条約と安保条約による地位協定の問題との関連からさらに検討しなければならぬ問題が私はあると思うのですけれども、それは原子力委員会の統一見解を見た上でさらに議論することにし、本日は、単に安全上の問題というだけではなしに、原子力基本法の立場に立って、原子力の軍事利用を行なっておる原子力潜水艦の日本への寄港を認めるかどうかという立場に立って、原子力委員会で検討してもらいたいということを重ねて要望して、私の質問を一応打ち切ります。
#52
○寺島委員長 本件に関連して、岡良一君。
#53
○岡委員 先ほど来、私が統一見解をと申しましたのに関連して、いろいろ御議論があったようでございますが、私が統一見解をと申しましたのは、原子力潜水艦が日本に港するということは、原子力委員会としては、私は重大な関心事でなければならないと思うのです。なぜかという点は、田中委員も申されましたが、少なくとも原子力委員会の業務の中で第八項に該当すると私は思う。しかも、私が特に見解を明らかにしていただきたいと思うことは、潜水艦という強大な兵器に原子力エンジンが使われるということは、言うまでもなく軍事利用です。こういう軍事的利用というものに対する原子力委員会の態度をお聞きしたい。安全であるかいなかということは、条件つきなんです。軍事か平和目的かということは、条件のない問題です。だから、この点ははっきりしていただきたい。そういう点で、原子力委員会は、態度を決定したならば、内閣総理大臣に意見を具申する、そうしたらこれを尊重しなければならない。また、関係行政機関の長に対しても勧告することができることとなっておるが、何らしておられないということは、先ほど来の御答弁を聞いておると、全くこの問題に対しては無責任な態度でおられることは、非常に遺憾でありますので、この際、今申しましたような具体的な問題について、ぜひ統一見解をお願いしたい。
 なお、外務省から来ておられますので、この際特に資料の提出をお願いしたい。私は数年前、ワシントンでアメリカの国会の状況を拝見した。そのときに、核弾頭をつけた水雷、核弾頭をもつてする爆雷が予算要求されておる。従って、国防総省の核兵器の予算面において、核弾頭を持った水雷あるいは核爆雷について、どのように開発計画が進んでおるかいう具体的な事情と、予算の推移をこの際資料として御提出願いたい。
#54
○寺島委員長 次回は公報をもってお知らせすることといたしまして、本日はこれにて散会いたします。
   午後零時三分散会
ソース: 国立国会図書館
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