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1962/06/13 第43回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第043回国会 科学技術振興対策特別委員会 第14号
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1962/06/13 第43回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第043回国会 科学技術振興対策特別委員会 第14号

#1
第043回国会 科学技術振興対策特別委員会 第14号
昭和三十八年六月十三日(木曜日)
   午前十時四十九分開議
 出席委員
   委員長 寺島隆太郎君
   理事 安倍晋太郎君 理事 佐々木義武君
   理事 松本 一郎君 理事 山口 好一君
   理事 岡  良一君 理事 山口 鶴男君
      齋藤 憲三君    保科善四郎君
      細田 吉藏君    前田 正男君
      石川 次夫君    村山 喜一君
      内海  清君
 出席政府委員
        総理府事務官
        (経済企画庁総
        合開発局長)  大來佐武郎君
        科学技術政務次
        官       内田 常雄君
        総理府事務官
        (科学技術庁長
        官官房長)   森崎 久寿君
        総理府技官
        (科学技術庁研
        究調整局長)  芥川 輝孝君
        総理府事務官
        (科学技術庁原
        子力局長)   島村 武久君
        総理府技官
        (科学技術庁資
        源局長)    井上啓次郎君
        厚 生 技 官
        (環境衛生局
        長)      五十嵐義明君
 委員外の出席者
        原子力委員会委
        員       西村 熊雄君
        原子力委員会委
        員       兼重寛九郎君
        科学技術事務次
        官       鈴江 康平君
        総理府技官
        (科学技術庁原
        子力局原子炉規
        制課長)    佐藤  紀君
        外務事務官
        (アメリカ局安
        全保障課長)  高橋正太郎君
        通商産業事務官
        (企業局参事
        官)      馬郡  巌君
        通商産業事務官
        (企業局産業公
        害課長)    加藤 庄市君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 科学技術振興対策に関する件(スモッグ及び原
 子力行政一般に関する問題)
     ――――◇―――――
#2
○寺島委員長 これより会議を開きます。
 科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。
 スモッグに関する問題について質疑の通告がありますので、順次これを許します。岡良一君。
#3
○岡委員 先般この委員会で、大気汚染の問題で、それぞれそのことに専門的に努力をしていただいております参考人の方々の御意見を聞きました。
  〔委員長退席、山口(好)委員長代理着席〕
 私ども委員会といたしましても、こうして現在のような技術革新の時代には、新しい技術を採用して産業の近代化を進めようという立場をとっておるのでございますが、それに伴って、いわゆる公害というものが漸次増大をしてくるということになれば、委員会としてもやはりこの問題には大きな関心を払わねばなるまいし、また当然委員会としての責任において、公害の防止についても積極的な努力をいたさねばならないかと思うのでございます。そういうことから、先般参考人に、公害の中でも特にいま問題になっておる大気汚染の問題についていろいろ御意見を承りました。
 そこで、参考人の御意見に関連をして、このたび御出席をいただいた各省の担当の局長さん方に、いささか現在の日本の公害防止体制を教えていただきたいと思いまして、御出席をわずらわしたわけでございます。
 まず第一の問題は、いま私どもの調査した範囲内においては、公害に関する法制的な措置というものは、きわめて不十分なような気がいたしますが、現在はどういう法律があってこれに対処しておるのか、この点をひとつそれぞれの関係の方、あるいはまた環境衛生局長からお伺いいたしたいと思います。
#4
○大來政府委員 それでは、企画庁のほうから申し上げます。ただいま御質問のございました公害に関連した仕事でございますが、私どもの扱っております範囲では、公共用水域の水質の保全に関する法律ということで、企画庁の水資源局でこの水質汚濁に対する問題を扱っております。これはもともと科学技術庁の資源調査会で、水質汚濁防止のための勧告が出されまして、その勧告に基づいて最初に企画庁の調整局でこの水質保全に関する所管の課が置かれたわけでございますが、昨年水源局ができましてから、そのほうに合併して現在仕事をやっておるわけでございます。
 もう一つの公害の関連といたしましては、地盤沈下対策。これは地盤沈下対策審議会というものが企画庁に置かれておりまして、これは事務局は私どものほう、つまり総合開発局が扱っております。これは実は科学技術庁のほうの資源調査会が、新潟地盤沈下に関連いたしまして、地盤沈下対策の勧告を出されました。それを受けて行政的な面で企画庁の中に審議会が設けられて、一応従来私どものほうがお守役をやっておる。これは審議会は関係各省の相談の場でございまして、いろいろな水のくみ上げに対する規制、たとえば工業用水については通産省と、それぞれ所管の省で規制の政令等の措置を、あるいは法律という措置を扱っておるわけでございます。
 さしあたり企画庁所管関係のほうは、直接公害に関連して扱っております事項は以上のとおりでございます。間接的には、国民生活の関係で、企画庁所管の国民生活研究所というようなものがございます。あるいは国民生活向上対策審議会というようなものも設けられておりまして、その審議会の審議の中である程度こういう問題も出ておるように聞いておりますが、概略私どもの関係としては以上のとおりでございます。
#5
○五十嵐政府委員 現行の公害関係の法律につきましては、私ども厚生省と通産省との共同の所管になっておりますばい煙の排出の規制等に関する法律が第四十国会で成立いたしまして、去る十二月一日から一部実施されているような実情でございます。
#6
○馬郡説明員 通産省関係の法律といたしましては、ただいま厚生省からお答えのございました工場の大気汚染に関します法律のほかに、地盤沈下対策といたしまして工業用水法がございまして、これは地盤沈下の激しい地区を指定いたしまして、井戸水のくみ上げを規制いたします法律でございますが、これによりまして地盤沈下を防止するという働きをいたしておるわけでございます。
 そのほか、企画庁から御説明のございました水質保全法に関連いたします工場排水の規制に関する法律というようなもので公害の防止に当たっておる次第であります。
#7
○岡委員 いま各省庁が、それぞれ公害の問題については手分けをして御努力を願っておることは多といたすのでございますが、これは特に国土計画を担当しておられる大來さんの所見を承りたいと思います。
 そろそろ新産業都市指定も間近だと聞いております。また、低開発地域の工業開発促進法も成立を見ておるわけでありますが、一口に言えば、町も村も煙突を建てることを非常に急いでいるという現状が日本の姿だと思う。そうなりますと、やはり大気汚染、水質の汚濁、あるいはまた地盤の沈下、震動、騒音等々、思いがけぬ公害が起きまして、住民なり、またそこに働いておる人たちの健康をむしばむ。忍び寄る公害が増大してくる。
 いまお話を承りますと、水質汚濁についても、一部は企画庁に、また一部は通産省に、あるいは厚生省にも若干関係がある。また、ばい煙規制についても、厚生省のほうでもそれをやっておる。通産省のほうでもまた御努力を願っておる。これらの御努力を分散的にやっていただくことより、何か一本に取りまとめて、現在あり得る公害を総合的な法体系の中で包括をして、今後の新しい経済成長の裏づけとして公害に対する防止を住民なり国民に対する保障として与えていくというふうな措置が、今後は当然必要な時代に差しかかってきたのではないか、こう私は思うわけでございますが、局長の率直な御意見を承れればしあわせと存じます。
#8
○大來政府委員 ただいまの御質問につきましては、実はまだ企画庁としての正式の意見をはかったわけでもございませんので、ごく個人的なと申しますか、私の考えでごかんべん願いたいと思うのであります。確かに、工業化が進むに従いまして公害の問題も非常に深刻になってまいりますし、今後もますますこの問題は大きくなる一方ではないかというふうに感じておるわけでございます。諸外国の例等から見ましても、だんだんにこれを規制する措置が強化されておるように思うわけでございます。日本では、いままで資源調査会等の勧告に基づきまして、いわばそのときそのときに明白な弊害が生ずる場合についての対策が取り上げられてまいったわけでございますが、やはり将来は、公害というものを総合的に扱う必要が出てまいるかと思います。これにつきましては、やはり公害と私企業なり個人の負担関係、いろいろむずかしい問題があるわけでございますが、全般的に見まして、わが国の場合にはまだ体系的な対策が不十分であるというふうに感じております。どこかで総合的に扱うことが必要だと思うのでございますが、やはり公害問題については科学的な調査研究が基礎にならなければならない。国民の権利、義務に関する問題が非常に多いわけでございますので、その場合には相当科学的な規定が必要になってくるというような点も考えてみますと、この問題は、できますならば科学技術庁あたりで総合的にお取り上げになって、将来の対策を考えていただく、あるいはそういう公害を判断いたします基準を確立していただくということが、まずここしばらくとるべき方向ではなかろうか、これは私個人の意見でございますが、感じておるわけでございます。
#9
○岡委員 私どもも、局長の御意見にはもちろん賛成でございます。そこで、一応中心的にその任務を受け持つ場としては、科学技術庁研究調整局あたりがおそらく相談の場、協議の場を提供するお仕事におられるかもしれない。大來局長の言われるように、実際日本では、研究調査という点においていまだしの感がある。
 実際問題として、本年度予算でこの公害に対する調査費はどの程度計上されておるのか。
#10
○芥川政府委員 科学技術庁で担当しておりまする科学技術の問題に対しましては、ただいまの御質問にちょっとそれるかと思うので、恐縮でございますが、大気汚染、それから水質汚濁の関係、騒音の防止の関係をまとめまして、科学技術庁といたしまして環境科学技術という銘を打ちまして、関係各省の科学技術の開発、科学技術振興費でございますが、それを全部合わせますと、三十八年度約七千四百万円になっておるわけでございます。
 なお、調査費はどうかとおっしゃいましたが、その行政部費に入るべき調査費は、ただいま申し上げた七千四百万の中には入っておらないわけでございます。
#11
○岡委員 予算措置ですが、調査費は、三十八年度予算書で、私、通産省、科学技術庁、厚生省等の予算書は若干たんねんに調べてみましたけれども、きわめて不十分である。それとおぼしきもの全部ひっくるめてみても六千万をやや上回るような程度ではないかと思う。
 アメリカの数字を見ますと、昭和三十六年度の米連邦公衆衛生局の調査研究費が一千百万ドル、四十億というような数字が伝えられております。そうすると、日本では、技術導入はほとんどその大半はアメリカに仰いでおる。ところが、それによってもたらされる公害に対してはまことに手抜かりです。どちらかというと、そのほうもアメリカに学んでもらわなければならぬけれども、このほうはさっぱり学んでいただけないで、片手落ちな状態になっておると私は思う。
 そういうようなことでありますので、この予算面につきましては、よほど政府としても奮発をして、積極的にこの問題と取っ組んで予算措置を講じてもらわなければならぬと思うわけであります。
 一方、地方団体の予算を見ますると、東京都で大体九千万円弱、川崎市で三十七年度で千二百万円。そうかと思うと、いま非常にこの公害の集中的な攻撃を受けようとしておる四日市、三重県を含めて大体六百二十二万円が三十六年度予算です。
 こういうふうに地方団体においても手薄であり、でこぼこがあり、同時に、国としても問題にならない少額である。これでは調査研究をやり、公害を防止し得る基準の設定というようなことは、とてもとてもおぼつかないと私は思うのです。何で公害が起き、その公害がどういう影響を人体なりその他に与えるか、そのためにはどの程度の安全基準を設定しなければならぬか、これはもっと予算を多く奮発すると同時に、やはり中枢的な調査研究機関を設ける必要がある。そうして総合的に公害の調査研究、その結果に基づく安全基準の設定を急がなければならぬと私は思う。
 大來さん、どうでしょうか。これは早急にあなた方、新産業都市の指定をやられようとすれば、新聞の報道なんかを見ますと、産業都市として指定されれば殺到しようという石油化学工場なんかは相当あるらしい。しかも、大工揚、少なくとも敷地三万平方メートル以上の大工場の建設が、東京都、大阪府をむしろ敬遠をして、いわゆる太平洋沿岸ベルト地帯にほとんど集中的に集まる。そうなりますと、これは非常に公害の危険が増大するのであって、このままではとても私はいくまいと思う。
 であるから、まず第一の問題は、公害がなぜ起きるか、また、現在の公害防止の法律においてどこか欠点がないか。たとえばばい煙の排出の規制等に関する法律にいたしましても、火力発電所も放置されておるし、こうしてどんどん自動車がふえておるが、自動車の排気ガスも公害の大きな原因になっている。こういうものを含め、現在ある法律の不備を補うと同時に、水質汚濁なり、地盤沈下なり、大気汚染なり、今日われわれが公害として着目しているもののすべてを含む法体系をつくると同時に、まずこれが事実公害防止に役立つためには、中心的な調査研究機関をすみやかにつくる必要がある。この間、参考人に来ていただいて、非常に豊かな経験に基づくお話を聞いた。こういう民間の創意くふう、勉強というものもどんどん吸収し得るような調査研究機関をつくる。私は、これはやはり科学技術庁がつくるべきだと思う。科学技術庁が各省の関係の方々と協議をする場をつくる。同時にまた、そういう民間の知識をも十分に吸収し得るようなセンターをまず科学技術庁が世話人としてつくられていく必要がある。もちろんそういうものは、おそらく総理府のもとに所属することになるかもしれません。行政上の運営は別として、すみやかにこういうセンターをつくる必要があると思うが、内田さん、いかがなものですか。
#12
○芥川政府委員 調査の中心体の問題でございますが、私のほうでただいまやっておりますのは、先ほどちょっと申し上げましたように、さしあたりは各省との連絡協議会というのを設けまして、そして研究の推進に当たっておるわけでございます。仰せのとおり、調査の中心体というものの取り扱いにつきましては、今後慎重にこれを考えてまいたりたいと思います。
 なお、恐縮でございますが、先ほど申し上げました数字をちょっと訂正させていただきますと、先ほど私が申し上げました約七千四百万と申しますのは、大気汚染の関係だけでございます。環境科学としてこのほかに水質と騒音の関係を含めますと、三十八年度は一億八千五百万になるわけでございます。
#13
○内田政府委員 岡委員の御所見は、私はまことに傾聴すべきものがあると存じます。現在科学技術庁におきましては、御承知のように、各省庁がやります調査研究について、予算編成などに関連してその予算の見積もり方針の調整をいたすとか、あるいはまた各省庁の調査研究機関の研究につきましても、大気汚染あるいはその他の公害の問題につきましても、科学技術庁が握っております研究調整費を総合的な見地からこれらの機関にさき与えるというようなことをやっておったり、また、科学技術庁みずからも民間の適当な機関を選定いたしまして、共通的あるいは基準的課題のことについて研究の委託費を出すというようなことはやっております。
 しかし、それだけでは足りない。御承知のように、先般災害対策について防災科学技術センターというものをつくりました。しかし、この公害問題というものは、先般つくりました防災科学技術センターでは正面からこれを取り上げる仕組みになっておりません。いまの大気汚染あるいはスモッグの問題などにつきましても、スモッグの一部分の問題につきましては、それがたとえば気温の問題とか気流の問題とか、自然現象に関する限りは防災科学技術センターでも取り上げることになりましょうけれども、自然現象から離れた公害の問題につきましては、防災科学技術センターでもこれを正面から取り上げる仕組みになっておりません。そこで将来、先般つくりました防災科学技術センターと同じような機能、機構を持った機関を新たにつくるか、あるいは防災科学技術センターの中に、自然現象ばかりでなしに、こういう産業公害あるいは環境科学などに関する研究の総合調整機能を持たせるように、これを改組拡充する方向を検討すべきだと私は考えておる次第でございます。
#14
○岡委員 若干お聞き漏らしをした点もあったのでございますが、いずれにしましても、災害防止めためのセンターというか、災害科学確立のためのセンターというか、この災害という概念と公害という概念は、同じ災害であってもそれは違うわけです。そういう意味で、このパブリック・ニューサンスに対する独自な対策、こういう考え方で科学技術庁あたりが積極的に臨んでいただきたい。
 ニューヨーク州、それからカリフォルニア州の大気汚染の防止条例などを拝見いたしましても、あるいはソビエトの空気汚染防止に対する対策を見ましても、予算を見ましても、条例においても、相当ストリクトにしているわけです。とにかく、汚染防止委員会の決定によって罰金を取る。もしそのための喚問に応じないで法廷に出なかったら、法廷侮辱罪として検事が起訴するというような、相当ストリクトな規定をもって、大わらわにこの公害防止のために努力している。私どもはあまり法律で強く規制することはどうかとは思いますけれども、しかし、これは当然、国民の権利義務の基本的な問題としても、私どもは協力をするのがほんとうだろうと思います。
 それは別問題といたしましても、まず調査研究、そして安全基準の設定、これはぜひひとつ各省庁のこれまでの御努力を集約され、さらにはまた、民間の研究の成果を摂取されて、遺憾なき措置を私はとっていただきたい。これもばい煙排出の規制に関する法律にうたわれておるように、五年の間にやる、そしてまた二年間は経過措置をとるというふうなことでは、もうあとの祭りになる危険が私はあると思う。そういう点からも、相当短期間に結論を出し得るような体制を政府としてはぜひつくっていただいて、そうして責任体制をつくっていただいて、積極的にやっていただきたい。もし科学技術庁がその世話役をやられるなら、ぜひひとつ予算面においても、また人の問題についても、十分充実をされてやっていただきたいということを、私はこの機会に心からお願いをいたしておきたいと思います。
 それと関連して、先ほど若干お尋ねをいたしましたが、新産業都市の問題なんです。私の個人的な希望からすれば、公害防止、工場環境の整備という点においては、ここにサンプルともなり得るような都市形成をするのが望ましいことだと強く思っておったわけです。そういう意味で、新産業都市に指定されると、公共投資が優先的に投入されるようなことも聞いております。どの程度のものが投資されるのか、金額はきまってもおりますまいが、大ざっぱに、公共投資の優先的な集中というものは新産業都市にどの程度のものが期待されておるのか、また、その中において公害防止のための措置があるのかということが第一点。
 第二は、先般厚生省の環境衛生局が主宰をしておる審議会で、公害防止のための都市環境の整備について審議会の答申があったように思いますが、その内容において、特に公害防止に関係ある部分を環境衛生局長からお示しを願いたと思います。
#15
○大來政府委員 最初の御質問の新産業都市に関連いたしました問題でございますが、この点は、新産業都市の指定にあたりまして、その地域の開発基本方針を内閣総理大臣が指示することになっておりまして、その基本方針に基づいて地元で協議会を組織いたしまして、さらに具体的な基本計画を作成して中央に提出する、関係各省の審査を経て計画が本ぎまりになるという手続規定になっておるわけでございます。この基本方針なり基本計画の作成の過程におきまして、ただいま岡先生から御指摘のような点をできるだけ考慮すべきではないかと私ども考えておるわけでございます。新産業都市の行政大臣といたしましては、科学技術庁長官あるいは厚生大臣が入っておりませんのですが、やはり法律の規定によりまして、経済企画庁長官は関係行政機関の長に協議しなければならないことになっております。いまの御指摘のような問題につきましては、この指定地域の基本方針なり基本計画を作成する過程におきまして、十分関係省庁と協議をいたしまして、新たにできます工業都市につきまして、できるだけ公害の少ないものにしていくということは非常に重要だと考えておるわけでございます。実は私ども開発局におきましても、仕事の内容につきまして、従来厚生省関係との縁が非常に薄かったわけでございますが、昨年から一人、厚生省にお願いしまして事務官を私どものほうにも出していただいて、できるだけ地域開発と厚生行政との関係を今後密接にしていきたいというふうに努力いたしておるわけでございます。
#16
○五十嵐政府委員 お尋ねの新産業都市に関します厚生省関係の審議会の答申の中で、公害の部分について説明しろ、こういうお話でございました。実は御指摘のこの報告は、昭和三十七年度の厚生科学研究費で研究班を作成いたしまして、新産業都市における生活環境の造成に関する研究、こういう課題で、専門の学者の二十数名の方にお願いいたしまして、岡山県の水島をフィールドにいたして研究をしていただいたものでございます。
 その答申といたしましては二十数ページにわたるものが出ておるわけでございます。この概要を申し上げますならば、従来、先生の御指摘のように、ややともしますと産業の発展というようなことを急ぐあまり、その地域における生活環境等、工場の施設整備と同時に、あるいはそれに優先して考えていかなければならない点がないがしろにされている。そういう点を十分に当初の基本計画に織り込みまして、整備をしてまいらなければならないということがこの骨子でございます。たとえば、この総括のところに公害対策というようなことが書いてございますが、「新産業都市は一般に農業本位の地域が大工業化するところで、広い地域に対し公害が出ることは明白で、大小ながら時間の問題である観光資源も危険に瀕している。大気汚染、水質汚濁に関しても早急にモニタリング(観測計画)をやる必要がある。そのため試験検査業務をする態勢を強化する必要がある。」また「企業者側は設備投資として公害防除設備を見込まなければならない。中小企業団地における公害防除対策、特別下水道計画は早急に開始する必要がある。」これは一部分でございますが、こういうような問題を取り上げまして、産業の発達と同時に、そこに従事する者、あるいはその地域に住む市民の生活環境を保護するために設備を強化していく必要があるということを強調いたしておるわけでございます。
#17
○岡委員 これは大來局長にお願いをいたしておきたいのですが、いま局長もお答えになったように、厚生省からも適当な方が出向しておられるようです。また、工場あるいは工場周辺の住民の生活環境の整備についても、いま若干の報告があったような答申も出ておるようなわけでございます。ぜひ一つ新産業都市の建設にあたっては、国も地方団体も、公害防止という点に十分な留意を払い、むしろ都市建設の計画の中に適当な顧慮を払い、予算面においてもやはりそういう措置をとっていただく御努力を願いたいと思います。特に工場地帯と住宅地帯の隔離というようなことも、事実各国においても非常に問題になっておるようでありまして、ソビエトでは実施されておるようであります。答申案にしましても、四キロ以上というようなものが一応答申されておるようであります。ぜひ一つそこまで、やはり工場地帯の周辺の公害防止のための整備というものは思い切った対策を立てないと、私は今後に大きな悔いを残すのじゃないかと思いますので、御留意を願いたいと思います。
 同時に、あわせてお願いしたいことは、四日市にいたしましても、あるいは川崎にいたしましても、私が見聞する限りでは、従来あるところが住民が非常な公害にあつく立ちのかざるを得ないという状態に追い込まれている住民もあって、その地方団体との間に相当紛争をかもしておる事例もございます。やはり公害対策というものは、こういう現在ある住民のことをも含めて、将来に禍根を残さないように適切な対策を、予算的にも、また計画の内容においてもぜひ一つ御留意を願いたいということを、私は心からお願いをいたしておきたいと思います。
 次は予算の問題でございます。いま大來局長も、若干これについては考慮したいというふうな個人的な御希望のようでございましたが、先ほど申しましたように、どうも公害対策については、国ないし地方団体としても十分な予算措置が講ぜられておらない。そういう点について、公共投資というもののあり方でございますが、これは大來局長に率直にお伺いをいたしたい。元来、今日までの公共投資というものがあるいは水資源を開発するとか、あるいは道路を整備するとか、いわば公共投資の配分というものは生産手段の整備、充実に重点が置かれた。しかし、そうなればなるほど、大企業、大経営というものが殺到してくる。殺到してきて、そこで公害を起こす。これに対する顧慮が私は公共投資の中に十分じゃないと思う。
 そういう意味で、東京都は九千万円ばかりの予算の中で、百万円を限度とした貸し付けをやって、これを利用するものも相当あるというような話も聞いております。やはりこれは国自体として補助金制度をとって、公害防止のための施設なり設備をとろうとするものについてはとり得るような補助金を出してやるとか、あるいはまた、いま設備近代化資金が通産省のほうでは相当見積もられて、百億を上回っておるんじゃないかと思う。設備が近代化されればされるほど公害というものは起ってくる。特に設備近代化に伴う中小企業が原因となる公害というものが、公害の非常な大きな部分を占めつつあるわけです。そうなれば、やはり中小企業はなかなか自己資金でもって公害防止の設備というようなものはやれない。低利あるいは長期にわたる資金の融通、設備の近代化資金をやるならば、やはり並行的にこの点においても予算的に考慮すべきではないかと私は思う。あるいはまた、いなかの町へまいりますと、しばしば工場誘致条例なんかを出して、安い地価でもって工場敷地を提供する、固定資産税はどれだけか免除するというようなやり方もやっております。そういうようなことで、なるほど工場はやってくるが、そのことは、並行的に工場と一緒にお供してくる公害というものが度外視されておる。
 私は、こういう点でも、やはり公害というものを将来の禍根を断つ立場から防止をしようとするならば、そういう形で固定資産税を免除するならば、それが公害防止のためのそれぞれの企業の設備資金として活用されるような方途がないだろうかというようなことも考えてみるわけです。そういう設備については、これはばい煙の排出の規制等に関する法律でも若干触れられておると思いますが、特別償却制度なりを設けて、企業の大きな税負担にならないような措置を講ずる、こういうような形で国自体が補助金を出す。あるいは長期低利の金融の道を講じてやる。あるいはまた、現在における工場誘致条例の中における、各企業に対する諸種の恩典というものが公害防止の設備に活用されるような道がないか。あるいはまた、そういうような点について十分政府としては考慮していただいて予算的にも万全の措置をとられるような日が一日も近くあるべきだと私は思うわけです。そういう点で、ここには政府の責任ある大臣もお見えじゃございませんが、お帰りになったら、それぞれの大臣の方々に、この委員会においてもそういう意向があったということを、切にお伝えを願いたいと思うのです。
 同時に、科学技術庁のほうにお願いをいたしたいのです。これは通産省にも関係するかもしれませんが、公害の原因というものについてはいろいろございましょう。しかし、公害の原因を排除する技術的な指導と申しますか、あるいはまた公害の影響をできるだけ少なからしめるための防止をする施設なり設備、こういうものについて、科学技術庁あたりが中心になって、もっと研究し、新しい技術を開発し、新しい設備を実用化するというふうな努力があっていいのじゃないか。この点、私は科学技術庁においてもやはりこの面が大きく忘れられておったような気がするわけです。こういう点についても、科学技術庁はこの分野におけるもっと積極的な御努力が願えないか。当然せらるべきだと思うが、現にしておられるならばどういうことをしておられるのか。もし具体的な事例があったら、この機会にお示しを願いたいと思います。
#18
○大來政府委員 ただいま御指摘の点につきましては、日本の公共投資が、終戦後当時は、いわゆる低開発地域の河川の総合開発等に主として向けられておったように感ずるわけであります。その後、産業基盤の造成という形にかなり重点が向けられてまいりまして、この一両年以来、もっと総合的な公共投資の方向とか地域格差の問題、ただいまの過大都市の生活環境の問題に、より重点を置いていかなければならないというような方向に徐々に向かいつつあるように考えております。倍増計画の中におきまして、行政投資の配分を考えます際に、当面道路の投資の増加に重点が置かれたわけでありますが、将来生活環境的施設にさらに投資をふやすべきであるという考え方が、一応は頭を出しておるわけでございますが、御指摘のように現状ではまだ不満足な状況でございます。
 なお、補助金等あるいは融資等につきまして、通産省のほうでも一部規定があるようでございますので、通産省側からもお答え願ったらどうかと思います。
#19
○馬郡説明員 ただいま御質問のばい煙の処理施設、工場排出の汚水の処理の施設につきましては、企業に対しましていろいろと負担をかけることになりますので、これらの施設を積極的に設置できるように、固定資産につきまして、耐用年数を従来より相当大幅に短縮いたしております。
 なお、固定資産税につきましては、ばい煙処理施設につきましても、汚水処理施設につきましても、免除することにいたしております。
 なお、これらのばい煙処理施設、汚水処理施設を設置しますのに要します資金につきましては、開発銀行なり中小企業金融公庫、商工中金等の融資で全面的に応援、協力していただくように話し合いが進んでおります。
 なお、特に御指摘の中小企業につきましては、中小企業の近代化補助金もこれらの施設につきましてその貸し出しの対象ということにいたしております。通常の場合におきましては弁済期間が五年となっておりますのを、特に本件につきましては七年に延長するというような措置を講じておるような次第でございます。
#20
○芥川政府委員 大気汚染の発生源たるばい煙なり有害ガスの発生を防止するという点につきましては、ばい煙排出規制法等のたてまえ上、その研究も主として通産省の担当でございまして、資源技術試験所、機械試験所、計量試験所等で、ただいまその発生源別に、ばい煙の現象その他の装置の開発等の研究を行なっておるわけであります。
 科学技術庁でやっておりますのは、これに対しまして基礎的な、共通的と申しますか、たとえばこの基準までは許し得るというのが見出し得れば非常に科学的になると思うのですが、そこまで実は研究が進んでおりません。われわれといたしましては、三十五年度からそういうふうな基準と、それから測定機械の開発の方向に向けまして、基礎的な研究を進めておるわけでございます。
#21
○岡委員 一応私は質問を終えたいと思います。この際特に繰り返して皆さんにも御要望申し上げたい点は、調査研究ということにあまり時間をとられ過ぎないように。民間にも相当熱心な、マニアと思われるような研究家がいて、非常にりっぱな資料を私どもに自費で送ってくれる人もある。そういう民間の創意くふうも十分生かされて、できるだけ調査研究に時間を食われないで、すみやかに原因をつきとめ、ひいてはまた安全基準なども測定をしていただきたい。ばい煙の排出の規制等に関する法律では少しのんびりし過ぎるのではないかと思います。
 もう一つは、やはりこの際、自動車の排気ガスなり、発電所の煙突の問題なども含めて、政府はばい煙だけでなくて、公害全体を包括するたてまえの基本的な立法措置についても考慮すべきだ。
 同時にまた、こういう問題を推進するためにも、とりあえず総理府に公害対策に関する責任ある本部というか、センターというか、それくらいのものを置いて、そして住民に不安なからしめるようにやってもらいたい。いまお聞きをすれば、通産省でも予算面では相当配慮しておられるようでありますが、実際その活用の実績は存じませんけれども、事実問題としては公害はますます増大しつつあるわけであります。この点からも、予算面における努力は層一そうの御奮発を願わなければならぬと私は思います。こういう点については、ぜひひとつそれぞれの庁内においても、御研究、御努力を願いたいということを私は心から要望いたしまして、私の質疑を終わりたいと思います。
#22
○山口(好)委員長代理 関連質問として、齋藤憲三君。
#23
○齋藤(憲)委員 ただいまの岡委員と当局の質疑応答につきまして、一点だけ関連質問をさせていただきます。
 大気汚染、特にスモッグ問題は、新聞紙上によりますと、学童にはっきり影響がある、東京都の研究グループの医学的証明が出ております。したがいまして、主として工業都市におけるスモッグ問題は、通産行政の面、それから厚生行政の面、またはその他の面からも、だんだん重大な社会問題となっており、特に政治的にこの問題を解決しなければならない時期に立ち至っておるのではないかと思うのであります。私は主として、そういう問題が各省間にわたっての大きな問題となってきておる際に、科学技術庁として当然こういう問題には手を染めなければいかぬのじゃないかという立場から関連質問をしたいと思っておるのであります。
 とにかく、このスモッグを、私、しろうとなりに考えますと、主としてフライアッシュと亜硫酸ガスというものに分けて考えられるのではないかと思います。ですから、科学技術庁としては、このばい煙から出る有害物、フライアッシュをどうしてとるか、亜硫酸ガスをどうしてとるかという具体的な技術方面の検討を早く加えて、最も有効適切な、しかも経済的にあまり金のかからない方法によってこれを除去するという具体策というものは、やはり科学技術庁がイニシアチブをとってやるべきじゃないかと思うのです。そういう点に対して、もし何らかの御構想があって、もうしばらく時をかしもらえるならばこの問題の解決のめどが立つのだということがありましたならば、この際ひとつお知らせを願いたい、こう思うわけであります。
#24
○芥川政府委員 ただいまの問題は、非常にむずかしい問題と存ずるわけでございます。先ほど申し上げましたように、ばい煙にいたしましても、あるいは亜硫酸ガスにいたしましても、要するに一つの何らかの恕限度というものが技術的には考えられる必要があるのではないかと思うわけであります。もちろんゼロになれば最もいいわけでありますが、やはりそこには経済的な考慮その他がございまして、また人体その他の環境に対する影響がこの程度ならばいい、両方の歩み寄るような点があるのではないかと考えておるわけでございます。
 科学技術庁といたしましては、そこらの排出基準等につきましては、さしあたり厚生省なり、通産省なりの研究を推進いたしまして、私どもとしては、いかにして正確な測定をするかというふうな研究分担の形でただいま進めておるわけでございます。発生源からのばい煙その他有害ガスの除去について、科学技術庁みずからが直接やるというところまでは、ただいままでは、いっておらないわけでございます。
 しかしながら、いろいろお伺いいたしますと、本問題は非常に緊急を要する点もございますので、各省とよく相談いたしまして、要すれば研究調整費なりを活用いたしまして、この試験の推進をしてまいりたいと考えておる次第でございます。ただ、ただいまのところは、別に私どものほうで、それではこれで出すんだというような成案を持っておるわけではございません。
#25
○齋藤(憲)委員 私の申し上げておるのは、たとえばフライアッシュは一ミクロンから十ミクロンの微量であって、これが一平方メートルにどのくらいあれば、いわゆる気管に対して障害がある。亜硫酸ガスというものは、〇・一PPMというものが世界的に規定されたところの含有量の最低である。東京の排気は、〇・二PPMとか〇・三PPMとか、多いときには一PPMもあるというような状態であれば、当然厚生省として、このばい煙その他の排気というものに対して厳重な規制を加えていかなければならぬわけです。ところが、一方通産行政からいうと、そういう大きな規制を加えていけば生産に支障を来たす。だから通産行政の立場からスモッグというものを考えるのと、厚生行政の立場からスモッグというものを考えるのとでは、相反した面というものがたくさん私は出てくるのじゃないかと思うのです。これをいゆわる科学技術の立場から、やはり生産に支障を来たさないように、しかも、人体の障害を最小限度にとどめるところの点というものは、一体技術的にどうすればできるかというようなところに大きな焦点をもってやるのが科学技術庁のつとめではないか、そういうふうに私は考えるわけなんです。
 いま私が心配しておりますのは、通産行政の中にあるのですか、ばい煙防止に関する法律の一部改正法律案というものがまた出るという話を聞いておるのです。このばい煙防止の法律で非常に厳重に規制していくと、中小企業その他の生産というものに非常に大きな影響がくるのじゃないか。また、これを野放しにしておくと、学童その他に対して非常な健康上の影響がある。こういう問題こそ科学技術的な観点に立って、具体的に亜硫酸ガスをどうしたらとれるかとか、フライアッシュはどうすれば簡単に除去できるかとか、そういう点に対してどれだけの関心を持って、調整費なら調整費を用いて研究体制を進めておられるかということがあったら承っておきたい、こういうのであります。
#26
○芥川政府委員 研究調整費の問題につきまして、大気汚染に関しましては、昨年の六月法律が公布になりまして、同年十二月から施行というふうなお話でございました。そこで、この法律を施行するに必要な研究を至急行なう必要があるということで、研究調整費を約二千万これに出しまして、法律の十二月からの施行に支障を来たさないようにつとめたわけでございます。
 それで、その内容は、ちょっと詳細で恐縮でございますが、簡単に申し上げますと、ばい煙の人体に対する影響の関係、除去と測定に関する関係、自動環境測定用機器等でございます。これは、人体関係は厚生省の関係、ばい煙の除去等は通産省の関係、そういうふうな先ほど申し上げましたような研究の分担のほうへこれを移しかえて、研究を促進したわけであります。
#27
○山口(好)委員長代理 山口鶴男君。
#28
○山口(鶴)委員 岡委員のほうから全般的なお話があったかと思いますので、具体的な問題につきまして一、二お尋ねをいたしたいと思います。
 この大気汚染の問題は、一つは既成都市のいわゆる過大都市といいますか、そこの問題であり、さらに最近は、その対策として打ち出されております新産業都市、ここにおいてすら問題になっているというところに、私は一つの注目すべき問題があろうかと思うのであります。過大都市の分散等の問題につきましては、たぶん岡委員のほうからお話があったかと思いますので、最初に、現在新たに建設されつつある新産業都市においてすら大気汚染の問題が非常に住民に被害を与えている、このことについて一、二お尋ねをいたしてみたいと思うのです。
 私ども社会党におきましては、本年の正月全国の新産業都市に対して調査団を派遣いたしまして、私も四日市に参りまして、状況等をいろいろ拝見してまいったのであります。四日市では、従来ありました都市の中にいきなり工場が乗り込んだというような形になっているわけであります。従来住民が住んでおったところに急に石油化学の大工場ができる、あるいは火力発電所ができる、こういう形になっておりますために、特にひどい塩浜地区等においては、住民が住んでおられないで、集団で疎開をしたい、こういう話すら起きておることは、通産当局においてもよく御存じだろうと思うのであります。
 問題は、一つには新しく建設されつつある新しい工業地帯、たとえば四日市とか有馬、これからさらに指定されるであろうところの新産業都市、こういうところにおけるいわゆる都市計画というもの、工業地帯、あるいは商業地帯、あるいは住宅地帯、こういうものの計画は一体どう進めていくおつもりなのか。現在、四日市等へ行きますと、公園すら全くないという状況であります。こういった都市計画自体の問題について、厚生省なりあるいは通産省では一体どういうことをお考えになって、今日までそれぞれの責任において指導なされておられたのか。その点をまずお聞かせをいただきたいと思うのであります。
#29
○大來政府委員 私、企画庁の開発局長でございますが、新産業都市等についての御質問もございましたので、最初にお答え申し上げたいと思います。
 先ほど岡委員から御質問の際にも、新産業都市の今後の指定にあたって、こういう点を十分考慮するように、いろいろ御注意がございました。先ほどお答え申しましたように、法律によりまして新産業都市の建設基本方針を政府が指示をする、さらにそれにこたえて現地で建設基本計画をつくる、そういう過程におきまして、御趣旨の点をできるだけ織り込んでまいるようにいたしたいと思っておるわけでございます。先ほども申しましたが、新産業都市の行政大臣に厚生大臣が入っておりませんけれども、企画庁長官が関係大臣と協議するという規定がございますので、この過程を通じて、できるだけいまの御指摘の問題に対する手当てを
 してまいりたいと思うわけでございます。
 なお、四日市等、これは新産業都市の申請といいますか、要望も出ております。指定されるかどうかわからないわけでございますけれども、すでに相当工場ができつつある。新しい工場地帯にかなり激しい公害の問題が起こっておることは、私どもも聞いておるわけでございます。従来こういう地域に対しまして、鉱工業地帯整備協議会というのがございまして、主としてこれは産業基盤の隘路打開というような意味で、毎年予算期の前に関係各省が集まりまして、私どもも一応事務局としてお世話をして、各種の公共事業の間のアンバランスを調整するというようなことをやっておるわけでございますが、従来、正直に申しまして、厚生関係はたしか参加しておらなかったかと思うのでございます。これはなおよく検討して、できれば、御注意のような点について今後できるだけ措置が講ぜれるような体制に持ってまいりたいと考えるわけであります。
#30
○山口(鶴)委員 特に都市計画が全くなっていないというところに、いま言ったような地域での公害をはなはだしくしている傾向が非常にあると思います。この点は、いま総合開発局長さんからお話がございましたけれども、これは厚生大臣が行政大臣になっていなければ、ひとつ関係機関と折衝をする過程で、住民の健康を保持するという観点での十分な指導も行なう必要もありましょうし、この点は十分徹底していただきたいと思うのであります。
 関連して、四日市の問題をお尋ねしたいと思うのです。五月二十七日に、あそこに大協石油という大きな石油化学の工場がありますが、そこが大量の黒いすすの雨を四日市全体に降らした。工場を中心に東南約二キロ、東西一キロにわたって、直径約五ミリから二ミリの黒いすすが落下をして、洗たくものはまつ黒になったし、お店に並べてある品物はみなだめになった。野菜や生鮮魚類等については、四日市の保健所は、その破棄を当該業者に命じた。こういうような形で、非常に住民に迷惑をかけたという事例が起きたようであります。
 そうかと思いますと、翌日の五月二十八日、今度は中部電力の四日市火力発電所の工場におきまして、ボイラーのテストを通産省当局が出張されてやっておられた。ところが、検査中に大量にふき上げる蒸気が原因でありましょうが、十五分おきくらいに五分間にわたり継続的に非常に大きな騒音を発した。この音量は九十フォンといわれているわけであります。ボイラーのテストを通産省当局がやっている際に、このような公害をなすようでは、私は話にならぬと思うのです。ふだん出しますところのばいじん、突発的に出すひどいばいじんを規制することももちろん必要でありましょうが、ボイラーのテスト中に非常に大きな騒音を発して住民に迷惑をかけるというようなことについて、検査に立ち会いました通産当局は一体どうお考えになっているのか。お聞かせいただきたいと思います。
#31
○馬郡説明員 ただいま御指摘の大協石油及び中部電力の四日市火力の問題につきましては、私まだ聞いておりませんでしたので、さっそく事情を聴取いたしまして、処理いたしたいと思います。かかる事態は、はなはだおもしろくない事態と思いますので、できるだけ急速に原因を究明いたしまして、今後かかる事態の起こらないようにいたしたいと考えております。
 なお、先ほどから御指摘の四日市の亜流酸ガスによります公害問題につきましては、現在いろいろなテストを行ないまして、どこの工場にどういう施設をつくったらよろしいかという点につきまして検討いたしておる最中でございます。できるだけ早く結論を出しまして、公害が発生いたさないような施設を整備してまいりたいと考えております。
#32
○山口(鶴)委員 大協石油と中部電力の火力発電所の件につきましては、後日調査をして資料をお出し下さるということでありますから、次回の委員会に資料を御提示いただきたいと思います。
 特に問題は、こういった公害等についても、当然無過失賠償責任ということを考えてもいいのじゃないかと思うのです。そうなれば、社会党としましては、そういう観点に立ちました法律案等も実は用意をいたしておるのでありますけれども、通産省当局が立ち会った検査において非常な騒音を出し、このために近所の寝ておりました病人等については避難をさせるということすらやったのでありますから、こういったことに対する責任は一体通産省としてはどうするのかということを、見解をつけ加えて次の委員会に提示をいただきたいと思うのです。
 それから、重ねて四日市の問題でありますが、聞くところによりますと、技術院におきましてはばいじんの測定方法のJISを近く公示する、こういうことを伺っておるわけであります。この点は前進でございまして、非常にけっこうだと私は思うのであります。問題は、たとえば亜硫酸ガスの被害につきましては、一日の平均のPPMをとってどうだというようなことでは、あまり意味がないと思うのであります。四日市の例でありますけれども、気象条件、時間等によりまして、非常に濃度の変化が多いようであります。たとえば四日市の一番被害のひどい磯津という地区でありますが、そこでは、ふだんは大体〇・一PPMないし〇・二PPM程度であるそうでありますけれども、瞬間的には一PPMくらいになることもある。結局そういうときにぜんそくが起こって、いわゆる四日市ぜんそくになる。横浜においては横浜ぜんそくということになろうかと思うのであります。
 したがって、このようなJISを近く告示をするというお話だそうでありますが、いつ告示をなされるのか。また、測定方法の場合におきましては、やはり瞬間的な濃度を十分把握をして、平均的な濃度ではなしに、最高は一体どのくらいになるのか、こういった配慮をして測定方法を指示する必要があるかと思うのであります。この点に対するお考え方をお聞かせいただきたいと思うのであります。
#33
○馬郡説明員 従来、濃度の測定方法につきまして非常にたくさんの方法がございましたのを、今度一つの方法として新しくきめまして、七月一日に公布する予定でございます。
 御質問のとおり、最高濃度だけではなしに、常時の濃度を測定する必要はございますが、それらにつきましては厚生省のほうで非常にいろいろ御研究なされまして、機械も一部完成したものもあるようでございます。あるいは厚生省のほうからお答え願ったほうがよろしいかと思いますが、そういうふうな点で常時測定する装置も、近くだんだん数多く設置するということで、測定の万全を期していきたい、かように考えております。
#34
○山口(鶴)委員 厚生省にお伺いをいたしたいと思うのです。私はこういう問題については、通産省が出しましたばい煙の排出の規制等に関する法律も御同様だと思うのですが、あれすら今度の国会に改正法を提案しておられますね。東京や大阪等で、すでに条例を制定しておったところの規制のほうが、法律に基づく政令よりもいわば規制のしかたがきつくて、政令のほうがゆるいというような、非常にばかげたかっこうになっておる。今度はそれじゃまずいというので、それを上回って自治体が条例でもってきめることに道を開くというような、法律改正を出しているとお伺いをいたしておるわけであります。
 これと同じように、四日市におきましても、住民の間から、全部検診をさせろ。いわゆる四日市ぜんそくなるものが一体どの程度住民に被害を与えているのか、客観的に十分調査をする必要があるから、当該の保健所で全員診療させろ。診療費については、町内会が費用を持って無料で検診をする。できればさらに進んで無料治療までやってくれ、というような運動すらやっておるのであります。どうもやはり無料診療というようなことになると問題があるといって、かえって県当局のほうが、いろいろ口実を設けまして断わっておるというような状況があるようであります。もっと率直に、こういう問題が起きましたら、当該地域の人たちに対しては全員検診をする。そうして、明らかに公害によるところの疾病であるということになるならば、これに対して無料診療の道を考えていく、このくらいのことはやってもいいのではないかと思うのですが、厚生省はどうですか。
#35
○五十嵐政府委員 四日市市の問題について、いろいろと例をあげましてのお尋ねでございますが、厚生省におきましても、四日市の問題につきましては、すでに三十七年度の予算におきまして厚生科学研究費として、ばい煙の人体に及ぼす影響の研究の対象として取り上げ、また、石油コンビナートにおける大気汚染対策に関する研究ということでもその対象に取り上げまして、実は研究をいたしておるわけであります。また、この地域の大気汚染の対策といたしましては、三十八年度におきまして地域指定をするための調査を実施する対象にも取り上げまして、すでに数回係官も派遣いたしまして、実情などを調べておるわけでございます。
 全住民の無料検診あるいは無料診療というようなことにつきましてのお尋ねでございますが、この点につきましては、従来の研究によりまして、ばい煙あるいはスモッグの非常にはげしい場合に、それとの相関関係におきまして呼吸器等の疾患が増悪する、あるいは多発をするというような、相関関係が研究されております。しかし、これが完全な因果関係があるかどうかというようなことにつきましても、なおいろいろと研究の残された点があるわけでございます。しかし、私どもは、本年度の予算といたしまして実は科学技術庁にもお願いをいたしておるわけでありますが、たとえばそういった問題を調査研究いたします検診車のようなものを試作いたしまして、ばい煙あるいはスモッグ等の激しい地区におきます住民の健康診断を手がけて、人体に及ぼす影響を研究してまいりたい、こういうような考え方でおるわけであります。
#36
○山口(鶴)委員 四日市では、公害防止対策委員会というものを自治体に設置いたしまして、三重大学の先生等にいろいろ委託をいたしまして、詳細なデータ等もつくっておるようであります。それを拝見いたしますと、あそこは気候のいいところでありますから、呼吸器系疾患の死亡率は、人口十万に対しまして昭和三十年におきましては全国が五七・三でありましたものが、四日市は五〇・四であった。全国水準より非常に低かったわけです。それが昭和三十五年、大体四日市の公害がはなはだしくなりましたのは三十五年以降だと思いますが、三十五年におきましては四日市が六〇・三で、全国が五九・一と、全国水準を上回るような状態にまでなっておる。これは客観的に見ましても、明らかにこういったスモッグ、大気汚染という問題が人体に相当大きな影響を与えつつある証拠ではないだろうかと思うのであります。特に地域にもよるわけでございまして、先ほど申し上げました塩浜のような地区ではPPMが非常に高くなりまして、一・〇もあるような時間には御老人の人たちはみなぜんそくが出て困るというようなこともいわれております。
 ですから、単に四日市に限らず、こういった新しく化学工場、石油関係の工場、ないしは火力発電所等ができますところは、当然亜硫酸ガスの被害というものは明らかなのでありますから、そういう地域に対して検診を積極的に進めるという厚生省の態度は了といたしますけれども、さらにそれを徹底してやっていただきますと同時に、こういった明らかに公害が原因で起こしました疾病等に対する治療の道につきましても十分御研究をいただきたい。これはお願いを申し上げたいと思います。
 あと、科学技術庁にお尋ねいたしたいと思うのです。これは岡委員から御指摘もあったかと思うのでありますが、亜硫酸ガスを除去する方法は、なかなかむずかしいかと思うのであります。せっかく防災科学技術センターもできたようですが、この方法については積極的に御研究になるという気がまえはあるのですか。
 それから、自動車の排気ガス。お話によりますと、オクタン価を高めるために四エチル鉛等を使っておる、あるいはそういう石油化学工場もあるやに聞いております。そういうことになりますと、人体に与える被害というものは私は無視することはできぬと思うのであります。一酸化炭素等も同様でありましょう。外国等におきましては、マフラーをつけて自動車の排気ガスに対する規制をやっておる地域もあるそうであります。科学技術庁なり、あるいは通産省等でも、自動車の排気ガスを規制する具体的な方法等については御検討になっておりますか。あわせてお聞かせをいただきたいと思います。
#37
○馬郡説明員 自動車の排気ガスの点につきましては、従来から通産省関係の各試験所におきましていろいろ研究をいたしておるところがございますが、実はまだ正直のところ、これはというような設備が見つけられておりません。自動車の排気ガスの中に占めます有毒ガスにつきましては、もちろんこれはエンジンの整備なり運転状況、運転方法等々によりましても除去し得るところでございますが、基本的には排ガスの処理装置というものを発見するということでございます。先ほど申しましたように、いまだ実用化し得るようなものが開発されていないというのが実情でございます。
 なお、オクタン価を高めますための四エチル鉛でありますが、これのガソリンの中に入れます量は、ある程度の限度までに押えられておりまして、従来はこの程度の四エチル鉛ならば人体に被害がないというふうに定められた数字で押えておるような次第でございます。
#38
○芥川政府委員 先ほど、防災科学技術センターではこの問題を取り扱わないのかという御趣旨の御質問があったと思うのであります。防災センターがことしの四月一日発足で、科学技術庁の付属機関としてスタートしたわけでありますが、これは自然災害に限定をいたしておるわけでございます。ただ、自然災害と申しましても、災害の原因に自然的要素の占める比率の大きいものはこれで取り扱うということでございますので、具体的に申しますと、たとえばスモッグあたりまではこの防災センターで取り扱う範囲になるかと思うわけでございます。公害の問題は、自然的な条件もございますけれども、それより先に、むしろ発生源自体をどう技術的に改良するかという問題が重点だと思われますので、防災科学技術センターのほうでは直接にこれを取り扱うような体制にただいまなっておらないわけでございます。
 なお、具体的に発生源におきます有害ガスその他の除去につきましては、先ほどから申し上げておりますように、私のほうではそれを直接担当しておるわけではございませんので、通産省なり運輸省なり、そこの研究を見積る方針を通じて応援していくという形でございます。ただ、大気汚染の問題が急速に問題化してまいりましたような関係もございまして、予算編成時に予見されざる事項というふうなことで、今後三十八年度におきまして、テーマによりましては研究調整費を支出して各省の研究を促進してまいりたい、そういうふうに考えておる次第でございます。
#39
○山口(鶴)委員 これで終わりますが、防災科学技術センターがそういう一つの任務を持っておやりになっておるということならば、それはそれでけっこうでありましょう。亜硫酸ガスの除去につきましては工業技術院がおやりになるのなら、それでけっこうであります。これからは、黒いばい煙が出ることを規制することももちろん重要でありますが、エネルギー源が石油に移行しつつある現在におきましては、亜硫酸ガスの除去という問題について真剣に取り組む必要があるのじゃないか。だから、最近の公害は、石炭の時代と違って、目に見える公害でなく目に見えない。しかも、それだけ人体には大きな影響を与える。深く静かに潜航する公害だといわれておるようであります。そういう意味で、もし通産省のほうでそういう問題について真剣に取り組む御用意があるならばお聞かせ願いたいと思います。
 最後に、大來総合開発局長にお伺いしたいと思います。大きな都市を分散さしていくという意味で新しく産業都市を指定し、地域開発を積極的に進めていくということが一つの手だてだということは明らかだと思うのです。その場合、最近の新聞を拝見いたしますと、私はよくわからぬのでありますが、何か新産都市は十カ所というものを頭に置いて指定についていろいろ検討せられておるように、新聞では読み取られるのであります。しかし、あの法律を制定いたします際には、社会党のほうから修正案を提案いたしまして、単に大拠点ばかりではなしに、中拠点も含めてこの指定はやっていくようになったと私は記憶いたしておるのであります。そのような修正があったにかかわらず、なぜ大拠点十カ所、極端にいえば独占がつばをつけた地域だけに限定をしてこの指定をやっていくというふうに、こだわった方針を堅持しておられるのか、非常に疑問に思うのであります。第一次は大拠点だが、将来は法律の修正どおり中拠点まで進めていくのか、その時期は一体いつなのか。こういう点、御見解がありましたら、ひとつお聞かせを願いたいと思います。
#40
○馬郡説明員 先国会に御制定願いましたばい煙の排出の規制等に関する法律におきましては、ばい煙という中には、ただいま御指摘の亜硫酸ガスも含めておるわけでございます。したがいまして、今後この法律の運用によりまして、御指摘の面についても一そう推進いたしてまいりたいと考えております。
#41
○大來政府委員 ただいま御質問の点につきましては、昨年の暮れに地方産業開発審議会で、選定の基本基準といいますか、当面の基準をきめられたわけでございます。その中には「おおむね十ケ所程度」ということが一つございます。それから、たとえば「新産業都市の区域の指定は、全国総合開発計画にいう開発地域を優先するものとする。」というような点がございます。開発地域と申しますのは本州の中央部を除く地域でございまして、そういうような点から考慮いたしますと、法律の修正によりまして、「将来大規模」というのが「将来相当規模の産業都市」というふうに直ったわけでございますが、そういう趣旨にも合う程度のものが幾つか入ってまいるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
#42
○山口(鶴)委員 通産省のほうに申し上げておきたいと思うのです。ばい煙規制法の中に亜硫酸ガスも入っておって、その運用でもって規制していきたいというお話でありますが、先ほども申し上げたように、あの法律自体、政令の基準自体が、現行ございました東京都の条例あるいはその他の都市の条例よりも規制がゆるい。もちろん亜硫酸ガスについてどういうわけではありませんが、たとえばばい煙等を出す燃焼の面積というような規制におきましてはゆるいことは事実だったと思うのです。ですから、今度の改正案を出してまいらなければならぬわけです。私は、自治体の規制よりもゆるいような現在の法律の運用だけで公害の規制をやっていくといりようなことは、何かもの足りないような気がいたすのであります。
 それから、新産都市の問題につきましても、十カ所の中にもそういった中拠点らしきものが入るだろうというお話でありますが、私は常識的にそういうことは考えられぬと思う。法律修正の精神というのは、単に大拠点ばかりではなしに中拠点も含むという趣旨であると私は考えておる。十カ所の中にそういうものが入るというようなことは、どうも常識的に考えられぬ。こういう見解だけを申し上げておきまして、質問を終わりたいと思います。
    ―――――――――――――
#43
○山口(好)委員長代理 次に、原子力行政一般に関する問題について質疑の通告がありますので、これを許します。石川次夫君。
#44
○石川委員 きょうは、日米原子力会議の問題についてお話を伺いたいと思います。
 原子力関係には、御承知のように厳然として原子力基本法というものが存在しておりまして、あくまでも日本人の悲願である平和利用という鉄則のもとに、自主、民主、公開の原則を貫いていこうということは、再三この委員会でも繰り返されておるところであります このあと質問になろうかと思いますが、原子力潜水艦の寄港の問題にいたしましても、この公開の原則という一点だけを考えてもこれが守られない、すなわち軍の機密ということだけでこれが守られないということが、原子力基本法の精神にもとるのではないかという点も、この基本法から出た一つの問題であります。
 ところで、私が問題にしようと考えますのは、日米原子力会議が五月十三日に開かれておるわけであります。これが非常に原子力科学者を刺戟をしたといいますか、ショックを受けたのは、この燃料に関する日米会議が非公開で行なわれたということであります。いろいろそちらとしても事情もおありでしょうから、われわれは一がいにけしからぬというきめつけ方をしたいという気持ちはありませんけれども、この際あらゆる面で、非公開という形で公開の原則が破られていくのじゃなかろうかというような不安を持つわけであります。特に原子力科学者は、あくまでも平和利用と公開の原則を貫くのだということがあって初めて自分たちが原子力の科学に取っ組むという意欲も出てくるけれども、これがまかり間違ってゆがめられたという形になると自分たちは研究の情熱を失うのだということで、一つには原子力潜水艦の寄港に対しまして、原子力科学者がほとんど全員一致でもって反対の署名をしているということにもその情熱がくみ取れるというふうに考えられるわけであります。
 それで、まずお伺いいたしたいのは、昭和三十三年に、私はよくわかりませんけれども、非軍事利用に関する日米間の研究協力といいますか、これの一般協定では、秘密情報は含まないのだ、公開の情報を交換するのだという原則の上に立って今度日米の原子力の会議が行なわれたというふうに理解をするわけでありますけれども、これがなぜ非公開ということを銘打って行なわれなければならなかったのかという点を、まず原子力局長に伺いたいと思います。
#45
○島村政府委員 日米科学技術会議のほうのことだと思っておりましたので、燃料に関するミーティングの詳細な資料を持って参りませんでしたので、こまかい御質問になりましたならば、あるいはお返事を保留さしていただかなければならぬ点があるかとも思います。いまお尋ねのように、今度の会議が日米原子力協定に淵源を持って開かれたものであることは間違いございません。その会議を通じましてアメリカ側から日本に与えられましたいろいろな知識等、あるいは日本側から向こうに伝えました研究の成果というものが秘密というようなものでないことは確かでございます。いわゆる協定に淵源を持った形でミーティングが開かれて、非公開で行なわれたことは事実でございますけれども、絶対に秘密な情報の交換を行なったというようなことではございません。
#46
○石川委員 この会議の題目を見ますと、私、専門外でよくわかりませんが、炭化物系及び酸化物系の核燃料に関する日米の協力実施要領に基づいてこれが行なわれたということになっておるようです。これは非常に勘ぐった見方になるのじゃないかと思うのですが、セラミック燃料というものが当然この対象になるだろう。これは科学者に言わせますと、原子力潜水艦の原子炉の改良には最大の課題になっておるというようなことも含めて、非公開にしたというのはそういうようなことと関連があるのじゃないかという見方をする人すらある。これは私の意見ということではありません。そういうふうなこともありまして、原子力科学者は、平和利用からはずれるということを非常に警戒をし、さらに公開の原則を貫いてもらいたいというような非常な情熱を持っております。それから見ると、こういう不安感を与えるような形で、非公開というようなことで会議が行なわれたということについては、私は非常に問題があるのじゃないかと考えるわけです。秘密ではないというなら、なぜ非公開で行なわれなければならなかったかという点を、ひとつ御説明願いたいと思います。
#47
○島村政府委員 私は、秘密と非公開ということは決してイコールでないと思うものでございます。いろいろな都合で会議に参加する者を制限するということは、常識的に考えてもいろいろな場合にあり得ることでございます。実は今度の会合で取り上げられました議題ということでなしに、会議のやり方につきましては、まだ研究中のものをお互いにディスカスするということ。また、もう一つは、相互に日米対等の立場に立ちまして与え合うという原則を確認いたしました。アメリカ側からも教えてもらうかわりに、日本からも向こう側に、日本側の研究の状況、成果を伝える。したがいまして、日本側から提供する能力のない者を会議に参加させるということはちょっと困るというような意味があったわけでございます 私どもといたしましては、従来の日米間の技術の交流、原子力関係の知識の交流ということが、どちらかと申しますと、一方的にアメリカ側から教えてもらうばかりであったのに対して、今回がいわば公式には初めて対等の立場に立って知識の交換を行なうということに、むしろ非常な意義を感じておるわけであります。したがいまして、向こう側に対して何も提供し得る能力のない人がこれに参加するということは好ましくない。会議の成功を期待いたしまして、最初に第一回としてやります際には、こちらからも十分向こうに話のできる人という形で、人員の制限をしたわけでございます。
#48
○石川委員 実はこれは東海村でもって行なわれた会議でありまして、地元のほうでは、さしあたって当面研究所理事長にいろいろ質問をしたというふうないきさつを持っております。そのときの説明では、商業上の秘密があるのだ、という説明があったというふうに漏れ承っております。商業上の秘密ということになりますと、これは御承知のように、古河も三菱も日立も東芝も、ほとんどおもだったところが参加をしておるので、商業上の秘密というのは理由にならないのじゃないかという疑問が出てきたといういきさつがあるわけです。そうなりますと、会議には一つのルールがありますから、ルールに基づいて非公開で行なったという説明も理解できないことはありませんけれども、商業上の秘密があったのだという説明もその過程であったということになりますと、何かそれだけでは割り切れないという印象が残るわけであります。
 それで、商業上の秘密とは一体どういうことなのかということについて、御説明願いたいと思います。
#49
○島村政府委員 御質問のように、商業上の秘密ということも確かにあったと思います。そのうちの一つの理由でもあったろうと思いますが、おっしゃるように、商業上の秘密だけの理由で非公開にしたというわけではございません。商業上の秘密という観点から申しますと、お互いに、会議の参加者は、いわゆる研究途上の問題でございまして、アメリカ側も日本側もまだ特許の申請の段階までいっておりません。そこで知り得たものを、いきなり自分のものとして特許をいち早く申請するとか、あるいはそれをいきなり製品にアプライズするというようなことは、紳士的にやらないという約束をしまして始めたものでございます。たとえば古河がその会議で発表いたしましたものを三井、三菱、あるいは住友というようなところが利用する、横取りするというようなことは、参加者同士の紳士的な申し合わせによってやらないということになっておりますので、会議の参加者に限ってはその懸念がないわけであります。ただ、これがほんとうの意味でたれでも自由に入るということになりますと、そういうような紳士的な約束も不可能になりますので、参加者に対するある程度の制限を加えたわけであります。
 なお、冒頭の御質問に対して補足的に申し上げますと、この会議で発表せられましたいろいろな知識というものは、あるいは研究の成果と申しますものは、会議をやっております段階におきましてはいわば公開をはばかるようなものでございますけれども、研究が進展いたしますれば当然に公開される性質のものでございまして、日本側のものもアメリカ側のものも、当然研究の完結に従って公開されるというものでございます。
#50
○石川委員 これは実は原子力の研究に限ったことではありませんが、これからの研究というものは、総合的に衆知を集めた研究でなければならぬという意味で、この核燃料に関しては各社ともいろいろ研究をしているわけでありますけれども、ざっくばらんに言うと、発表されている大半は三菱だけということになっており、三菱は、自分のところだけが発表して、ほかが発表しないのはけしからぬということを漏れ聞いております。
 これはちょっと話がはずれますけれども、原子力の研究というものは、外国に比べて日本は必ずしも進んでいる状態でないということを考えますと、科学技術庁自体として、この原子力に関しては、公開の原則ということをたてにとるという意味ではございませんけれども、各社とも共同して、公開でもって衆知を集めて討論して、先進国に追いつくという体制をつくるために全力を尽くして御指導瀬いたいということをつけ加えておきたいと思います。
 私の申し上げているのは、決して責める意味で申し上げているわけではございませんけれども、非公開で会議が行なわれたということに関連いたしまして、原子力科学者その他がかなりショックを受けているということが厳然としてあるわけであります。したがって、そういうことについて、この委員会の席上で事情を明らかにしておかなければならぬ、こういう意味で質問しているわけでありますから、その点ひとつ誤解のないように願いたい。
 一つは、いろいろな情報の交換とか研究の成果を交換するというのには、ニュース・レターもあるし、会議を開きサンプルを交換するというような、いろいろな方法があるわけでありますけれども、この会議に参加する場合にはいろいろな条件がついているのであります。この条件が、考えようによっては、公開あるいは秘密ではないということに抵触する文字がたくさん使われている。たとえば、非公開であり、直接通信も含んでいるというようなこととか、この会議に参加する場合には念書を入れて参加する、秘密を漏らしてはならぬ、あるいは局部が適当と認めた者でなければ参加してはいけない、公開禁止の条件をつけた情報は第三者に漏らしてはならない、資格を失った後でもこの情報は漏らしてはいけない、というような一つの条件つきでもってこの会議が開かれた。
 ですから、いま局長が説明されたことをすなおに理解をすれば、まだこれが公開の段階にいっていない、あるいは各社とも秘密にしておるという研究の途中での結果の発表があった場合には、ほかにこれを漏らすというのは商業道徳に反するのだという理解もできないことはないのです。けれども、これを一つの立場というか、偏見とまではいかなくても、そういうものから見ますと、何か軍事関係のものをやる場合にはこういう条件が必要になってくるのじゃないか、こういうような見方も成り立たないわけじゃない。したがって、この点についてはかくかくの理由でこうなんだということを、この委員会を通じまして明確にしてもらわないと非常な誤解を与え、また原子力の科学に携わる人たちに動揺を与えておるという現実の姿でございますから、これをこの機会にひとつ解明をしておいていただきたい、こうお願いをいたします。
#51
○島村政府委員 まことにごもっともであると思うのであります。原子力の研究を遂行いたしてまいります場合には、他の一般の科学技術の研究と異なりまして、わが国では特別に原子力の基本法というものをつくっておる、しかも、その中に公開ということもうたっておるといたしますれば、私どもが絶えず基本法の精神にのっとりまして仕事を進めていかなければならないということは、もう当然のことであると思います。私どもも、決して基本法の精神に背馳しないようなやり方ということにいつも心をとめておるわけでございます。
 今回の場合についても、もう一度はっきり申し上げますと、このミーティングにおきまして交換ました知識、情報なりは決して秘密のものではないということでございます。いずれは研究がまとまり、あるいはものによっては特許等の手続も済めば、公開される性質のものでございます。また必ず公開するということをお約束申し上げてもさしっかえないと考えるわけでございます。
 第二番目に、公開の大原則にもかかわらず非公開といたしましたのは、まず、研究途上のものであるということでございます。原子力研究所の研究者の方々にも、個人的にはお伺いしてみたわけでございますけれども、いずれも、まだ自分が研究してまとまっていない途中の段階で、これを無制限に外に出すということは、やはり研究者としてはぐあいが悪い、自由な意見の交換というものを阻害する、というふうに考えておられる方も多いわけでございます。ほんとうに、いわばかみしもを脱ぎ、かきをはずして語り合いますのには、ある程度範囲を限定した場所で行なうことが望ましいというような御意見もあったわけであります。アメリカ側もそれを希望しましたので、そのような形にいたしたわけであります。
 第三番目の理由といたしましては、中にはということでございますが、商業上の秘密として会社が外に発表したがらないことまでも、お互い外には出さないという約束のもとに語り合うということが望ましいと考えたわけであります。いずれにいたしましても、会議参加者の感想から申しましても、今度の会議の意味は非常に大きくて、今後日本でそのような話し合いをやらずに別個に研究を進めたならば、相当の巨額のお金と、また相当の長い年月とが必要であったと思われるような成果が得られたということを語り合っておりましたし、さらにこれがアメリカだけでなくて、ほかの国との間にもこのようなことを考えてもらえないかというような話も出てまいりました。原子力のみならず、このような会議のやり方というものが、石川委員もおっしゃいましたように、科学技術の進歩というものが非常に国際的になってきて、多くの人の協力によってなされるというような傾向にあることから考えまして、他の部門においても、このような企てが今後続々出てくるのじゃなかろうかという気持ちさえ持っておるわけでございます。
 しかしながら、石川委員もおっしゃいましたとおり、曲解いたしますれば、いかにも軍事的な問題について話し合いをしておるような印象を持たれるという御意見につきましては、十分に傾聴しなければならぬと思いますので、今後そのような場合には、十分にその趣旨等について理解を求めまして、そのような誤解が起こらないように、最善の努力を払ってまいりたいと思うわけでございます。
#52
○石川委員 あと重要な質問が控えておるようですから、私の質問はこのくらいでやめたいと思いますけれども、一つ問題になりますのは、アメリカのほうの原子力に関する特許というものは、個人が持っておるのではなくて、あるいは会社のほうにまかせるということでなく、AECがほとんど持っておるということで、ほんとうに向こうは限られたものしか、AECの了解を得たものでなければ公開されないというような性格を持っておると私は思う。そういうことで、情報交換としてはおそらく相当得るところがあったにいたしましても、そうあからさまに向こうの研究の成果というものは得られるとは考えないわけです。
 それにしましても、こういう会議をやるということは、大きな前進の手がかりにはなるだろうと思います。思いますが、いま局長からもお話がございましたように、私たちはこれを軍事利用に使っておるというような曲解といいますか、そこまでは考えておりません。おりませんが、こういう形をとった会議が開かれていくうちには、そういう心配がないではないということだけは、少なくとも考えられる。たとえば研究者相互間の非公式な直接通信ですらも、いわば私信にあたりますが、そういうものですらも秘密を漏らしてはいかぬとか、あるいはまた情報を提供してはいかぬというようなことがありますと、何かそういうことでもって、せっかく公開の原則というものをつくっておきながら、それが黒い霧にだんだん包まれていくのではないかという不安を持つことは、根拠のないことじゃない。こういうことでありますから、たとえば非公開にするんだというふうな言い方を初めからしたのかどうか知りませんが、そういうかっこうでなくて、たとえば信用のできる新聞記者あたりはちゃんと入れるんだ、公開は原則なんだけれども、会議の性質上どうしてもこうならざるを得ないという事情をちゃんと了解を求めれば、会議の内容のほんとうに発表できないという点も中にはあると思いますが、かくかくの点はこういう成果をあげたんだということをはっきりさして、秘密ではなくて、秘密というのはかくかくの事情で秘密になっておる点はある、非公開ではなくて公開が原則であるが、これこれの事情で非公開であるというような経緯というものを明確にさして、今後この会議を進めていくということでないと、原子力科学者の間に特に大きな不安を与えておるという事情にかんがみまして、今後は非常にまずいことになるのではないかという点も考えられますので、この点は十分に注意をしていただいて、今後の運営等をやってもらいたいということを強く要望申し上げておきます。
#53
○山口(好)委員長代理 岡良一君。
#54
○岡委員 だいぶお昼の時間も回りましたので、私はごくはしょって、原子力潜水艦の寄港問題について、特に技術的な問題だけをお尋ねいたしたいと思います。主として原子力委員会の方々の責任ある御答弁を願いたい。
 まず、ここにたまたま高橋君が来ておられますから、お聞きをいたします。ノーチラス型の潜水艦というのは、一体具体的にどこまでの潜水艦を含んでおるか。ポラリス以外のものは全部含んでおるか。この点をひとつ、はっきりしていただきたい。
#55
○高橋説明員 お答え申し上げます。ただいま岡先生が御指摘になりましたとおり、ノーチラス型潜水艦と申しますのは、きわめて大ざっぱな概念でございますが、はっきり申し上げられますことは、ポラリス型の潜水艦でない潜水艦をノーチラス型潜水艦と言っておるのでございます。先生御存じのように、ノーチラス型というのは、ほんとうは――ほんとうと申しますか、文献などを見ましても、ないわけであります。ノーチラス・クラスというか、ノーチラス級の潜水艦は一隻あるわけであります。そのほかにスケートとかいろいろなクラスがあるわけであります。そういうものを総称いたしまして、しかもポラリス型の潜水艦に三つクラスがございますけれども、それらを除いたものを通称ノーチラス型の潜水艦と、最初にできたのにちなんでそういうふうに通称しているわけでございます。
 本年の当初に、アメリカ側から寄港についての打診がございましたのは、ただいま申し上げましたような、ポラリスでない、いわゆるノーチラス型の潜水艦ということでございます。
#56
○岡委員 第二に、原子力委員会にお尋ねをいたしたい。
 去る六月五日に、外務省は原子力潜水艦の寄港に関するいわゆる中間報告を発表された。原子力委員会はこれに同意を与えられたか、またその内容を承認されておられるのか、この点をお聞きしたい。
#57
○兼重説明員 外務省から、アメリカ側と折衝しました事柄についての中間報告を出すということについては相談がございまして、その事実を述べられることについては同意を与えております。その中身につきまして、公表される前に報告は受けております。あれが事実を客観的に述べたものという意味で、承認という正式な手続をしたわけではございませんけれども、そういうふうに認めておるわけでございます。
#58
○岡委員 原子力委員会は、正規な原子力委員会を開かれて外務省が発表せんとする中間報告の内容について検討を加えられましたか。たとえば、いま客観的にと仰せられたことは、アメリカ側が日本側に提示した説明なり公表資料そのものは事実であるから、そのものを公表することは差しつかえないという意味であって、その内容そのものについては、原子力委員会は承認を与えておらないという意味でございますか。
#59
○兼重説明員 原子力委員会を正式に開きまして、あの中身についていいとか悪いとかいうふうなことをしたことはございません。いままでの交渉の経過の中間報告をするということにつきまして、中間報告をすることが適当でないというふうに申すことは筋でもございませんし、それを承知しておるわけでございます。
#60
○岡委員 私は、そういう取り扱いは、原子力委員会としても非常に軽率だと思います。と申しますのは、すでにこの委員会に対して、原子力潜水艦の安全性については明確な保障を取りつけるというお約束をしておられる。そして、外務大臣はまた別な機会に国会において、原子力委員会の意見は尊重すると言うておられる。そこで、原子力委員会の安全性というものに対する認識、ないし安全性を守るということは、一つは原子力潜水艦そのものの構造なり、また廃棄物の処理なり、そういうことにもあるでしょう。いま一つはやはり放射能に対する安全性に対する国民の理解に私はあると思うのです。であるから、内容を吟味しないで、ただ外務省が公表すると言ったから、内容を吟味しないがままにこれに同意をしたということになりますと、原子力潜水艦の入港問題をめぐっていまいろいろ世論の焦点となっておる安全性の問題というものについて、原子力委員会は、中間報告に関する限りはいわばほおかむりしておったといわれてもしかたがない。私は、この中間報告の内容は国民を非常に欺瞞をする点が多いと思うから、特にこういうことを申し上げるのだが、当然内容は吟味あって、もし内容において非科学的な部分があり、あるいはまた原子力委員会の立場において承認しがたいものがあったならば、外務省にアイドバイスするのが、私は原子力委員会の従来の経緯から見て当然の仕事ではなかったかと思う。この点は私は非常に遺憾に思います。
 しかし、きょうは時間もありませんので、いまはそういう手続の問題や、あるいはまた政策面にかかわる問題は抜きにいたしまして、内容そのものに即して、原子力委員会の率直な科学的な御見解を私は承りたいと思います。
 まず第一に承りたいことは、いま高橋課長から、ノーチラス型潜水艦という概念は妥当ではない、ポラリス以外のものも含むということでございますから、スキップジャック以下六隻、あるいはそれ以上の、いわゆる攻撃的潜水艦を含むものと理解をいたします。
 そこで、この前の委員会においても申し上げたはずでありますが、このスキップジャック以下の原子力潜水艦の原子炉の安全性について、外務省の発表によれば、安全審査委員会は厳重な審査の上これを承認しておるというが、一体完全にこれを承認しておりますか。完全に承認をしておりましょうか。と申しますのは、たとえばアメリカの原子力合同委員会の記録の中に、この間も申し上げたように、はっきり保留しておるじゃありませんか。留保つきで、条件をつけて一応承認をするということであって、厳重な審査の上完全に承認をしておるというようなものでは私はないと思うのです。
 たとえば、いまスキップジャックとS5Wというこの原子炉については、一九五八年の八月五日の書簡として、ジョイント・コミッティーの会議録に付録としてついておる。それを読むと、「原子炉安全装置諮問委員会が指摘したいのは、原子力船がまだ一般大衆に危険を及ぼす可能性から完全には解放されていないことである。」といっており、決して完全に安全性を承認したのではない。さらに「放射能が漏れる可能性は少ないが、やはりいつもその可能性は存在している。」であるから「原力船を建設、運転、修理する際、安全が保障されるか否かは、最初に潜在的危険の可能性を正しく評価したか否かにかかっていることを、委員会は繰返して強調したい。」こう言って、その後の、いわゆるスキップジャック型の原子炉に関してであろうと思うが、ケース・バイ・ケースにおいて十分厳密に検討する必要があるということをうたっておる。特に原子力潜水艦がますます多く建造されればされるほど、このような検討が必要だろうということを言っておるのであるから、厳重に審査し、承認をしておるということは、少なくともアメリカの原子力委員会と独立をし、独自な立場において原子炉の安全性を審査しておるアメリカの原子炉安全装置諮問委員会というものは、完全な承認を与えておるものではないと私は思う。留保をつけ、条件をつけて承認を与えておるものではないかと、私はこの文章を見て思う。完全に安全性について承認したというあなた方の根拠はどこにあるのですか。
#61
○兼重説明員 外務省から発表されましたものは中間報告でございまして、そこに盛られておることは、外務省がアメリカ側と書簡、あるいは説明を聞き、あるいは公開の資料をもとにしてつくられたものと思います。したがって、その中間報告の中には、いままだ聞いておるということは書いてございませんけれども、中間という意味がそういうことだとも了解しております。外務大臣の談話の中には、現に質問をしておるということを書いてございます。したがって、私どもは、その質問の答えがきてからあとでなければ、別段何も見解を述べるつもりはございません。したがって、あの中間報告について私どもが、あれでどうこうという見解を述べるつもりもありませんし、述べても意味がないと考えております。
#62
○岡委員 いまの私の質問は、外務大臣にお尋ねする質問であったかもしれません。しかしいずれにしましても、兼重外務大臣代理の御答弁はあぶなっかしい。やはり発表されるなら、こういう安全性、しかも科学的なデーターに基づく安全性というものは、もっと、それこそ厳重に審査して発表さるべきものだと思うのです。ただ中間に一方的な資料だけを引用して、さも安全であるかのごとき印象を植えつけようなどということは、そうなってくると、これは原子力潜水艦の安全性ではなくて、むしろアメリカ政府にかわって国民に原子力潜水艦の安全性を宣伝する宣伝文書になっている。こういうような不見識なものは、私は出してもらいたくない。これは原子力委員会というより、外務大臣に申し上げるべきことだから、省略いたします。
 それで、技術的な問題で、これは兼重さんは専門でございますからお聞きいたしますが、たとえば原子炉の制御棒を減らすということがある。制御棒などの可動部分を全部取り除いて、静的な制御方式に切りかえた原子炉が理想的なものであるとリッコーバー中将は述べておる。もちろん私はこういうものができれば理想的だと思う。こういうものができれば、それこそ私は全く理想的であることには異議はない。しかし、具体的に現在そういうものが実用段階に入っているのかという問題に問題があるわけですね。今日は制御棒を少しでもふやして、安全性をできるだけ守ろうという立場にあるときに、制御棒を減らす、可動部分を減らそうということ、それが一体実用段階にあるのかどうか。この文書を見ると、原子力潜水艦は制御棒を減らしておることは事実であるということを書かれておる。制御棒を減らすということが、原子炉の安全性においては、もう実用段階にきておるのかどうか。原子力委員会はどう判断しますか。
#63
○兼重説明員 現在私どもは数を減らしたから安全であるとか、減らしたから危険であるとか、そういう結論には到達しておりません。したがって、そこに、中間報告は、おそらくアメリカ側が言ったことをそのまま取り次いでおるのだと思います。いまのリッコーバー中将の話もおそらくそういうふうな、理想的だと言っておるだけで、現在そうしておるとは言ってないと思うのでありますが、したがって、それをどういうふうにして安全であるというふうに認めるかどうかというのは、今後まだ残された問題と思います。
#64
○岡委員 そういう、原子力委員会としても科学的な根拠においてまだ明確な結論にも達しておらないものを、ただ相手方の言い分を、こう言ったからといって、しかも国民に公表するという態度が、私は無責任だということを言いたい。これもしかし兼重さんでは無理なので、外務大臣に申し上げたい。
 実際、ここの中に、シッピングポートの原子炉では制御棒の数を三十二本から二十本に減らしたということがある。島村君は知っておると思う。シッピングポートは、なるほど三十二本を二十本に減らして、そのかわりに別な制御装置をつけておるはずです。何をつけておるか。どういうふうにあなた方は御承知ですか。
#65
○島村政府委員 兼重委員から御説明申し上げましたとおり、中間報告は、原子力委員会がこれでいいと思ったから出した、いいと思った部分だけを出したということではございませんで、向こうから言ってきたことを早く明らかにしろというのにこたえて、向こうから言ってきたとおりを外務省から発表されたものだと思うのでございます。
 先ほどの御質問に関連いたしまして、兼重委員からの御見解、少しまだ足りないのじゃないかと思いますから、よけいなことでございますけれども、補足さしていただきますと、外務省から発表するということを聞きましたので、そのことを委員会に報告してございますが、委員会にそのもの自体の御審議をお願いしたことはございません。ただ、原子力委員会からは御注意がございまして、できるだけ外務省の主観を入れない、向こうから言ってきたことを客観的に発表してもらうように外務省に伝えるようにということでございましたから、その点は外務省によく伝えまして、これが向こうから言ってきたことを整理したものであるということでございます。そこに書かれておりますことのよしあしをつけておるわけではございませんので、その点は御理解をいただきたいと思います。
 なお、シッピングポートの原子炉で制御棒以外にいかなる制御装置をつけておるかということは、残念ながら私存じません。知っておる者がございますので、担当の課長からお答え申し上げます。
#66
○佐藤説明員 停止装置としてケミカル・ボロンと書いてありますから、おそらく硼酸を使った系統のものと思いますが、こういう安全装置と思っております。
#67
○岡委員 ボロンを使っておるということは、私どもも情報で聞いておるわけです。ところがそれは、あなたは詳しいからよく御存じだと思うが、一昨年の春アイダホで事故を起こしたSL1の事故は、一体どこに原因があったのですか。
#68
○佐藤説明員 SL1の報告は、最終報告を読んでおりますが、原因は安全棒が引き抜かれたからだ、こういうことになっております。そしてその安全棒がなぜ引き抜かれたか、故意に引き抜いたものか、過失によって引き抜かれたものか、わからない、こういうふうに聞いております。
#69
○岡委員 それだけではない。このアイダホの原子炉事故、アメリカではかつてないと当時言われた原子炉事故について、私が調査して、いただいた報告によりますと、この原子炉は大体が極地駐も部隊のために電力や暖房熱を供給するということのために、できるだけポータブルというか、モビールな小型の原子炉の開発ということで、制御棒の簡素化ということが大きな使命になっておった。そこで、あなたの言われたようにボロンを用いて中性子の吸収をはかろうとした。ところが、その後の原子炉の爆発後、実隊に原子炉を調査した結果によると、炉心寿命を長くするため装入される可燃性の毒物質として、核燃料体の外側にストリップ状のボロンが溶接してあったが、溶接個所にかなりの腐食が起こっており、全体で一八%のボロンが失われ、そのため超過反応度の増大が認められた、というようなことが書いてある。そうですよ。問題はやはり、制御棒を引き抜いた、なぜ引き抜いたかわからないのではなしに、中性子吸収のボロンの作用というものが一八%失われておったということが、何といっても大きな原因の一つなのだ。そうすると、シッピングポートにおいてもボロンを用いるから、三十二本を二十本に減らした。ところが、SL1ではボロンがこのように腐食しておったために結局制御的作用が失われておったということは、ボロンを使って制御棒に代替せしめることは、まだ実用段階どころか、実験段階としてもこういう大きな事故を起こしておるということです。
 してみれば、シッピングポートの原子炉の制御棒を三十二本から二十本に減らしたんだから、したがって原子力潜水艦は制御棒を減らしたところで差しつかえない一この表現はそうなっておる。向こう側の言い分だけを書いてある。公正な客観的に書いたと言うが、その結果は科学的な事実に触れておらない。デマゴギーを宣伝する結果になっておる。そうではございませんか。
#70
○佐藤説明員 私のただいま理解しておる範囲では、岡先生のおっしゃっていましたボロンの使用目的といいますか、役目が、SL1の場合とシツビングポートの場合とは違っておりまして、SL1のときに使われておりましたボロンというのは、初めからもう原子炉の中に装入されていまして、だんだんと原子炉が使用されてまいりますと、燃料の中に毒物ができてきて、それから初めから装入された毒物のほうは毒けが減っていって、使い初めから終わりまでに一様なエクセスを得よう、そういう目的で取りつけられておったのでございます。それから、最初に申し上げましたシッビングポートのボロンというのは、コントロールを失ったときにあとからハンドリングといいますが、で装入しよう、こういうものでございますから、これは全然目的が違っております。
#71
○岡委員 その点はわかりました。しかし、いずれにしても、シッビングポートの原子炉が三十二本を二十本に減らしたということは、その十二本の制御棒にかわる、やはり制御作用を持つものを代替せしめることによって減らし得たということであることは、私は間違いないと思うのです。それから、前々から、ボロンを用いようとすることは、SL1の事故にも見られるように、まだ実験段階でも成功しておらないということ、これははっきり言えると思うのです。であるから、そういう事実を全然言わないで、シッピングポートを例に出して、原子力潜水艦は制御棒を持っておらないけれども、安全だという印象を与えるような中間報告というものは、科学者の立場から見て非常に良心的でないということを言いたい。
 これは、こういうことがあるのです。外務省が発表しておられるのは、外務省がアメリカから提示されたものをそのまま発表されておられるのかもしれないけれども、これは一九六〇年のアメリカの上下両院の合同原子力委員会のヒヤリングにおけるリッコーバー中将の発言です。この発言をしておられるその前ですよ。その前にどう言っておるか。アメリカの下院議員のヴァン・ザントという人が聞いておる。どう聞いておるかというと、「われわれは、貴殿が自然な還流原子炉計画」――おそらく制御棒のない、あるいは可動部分のない原子炉でありましょう、「この原子炉計画を推進中であることは承知しておる。しかし、その計画はもちろん原子炉によって占められる空間を狭く切り詰めることを目的としていると考えてよいのか」、こう聞いておる。そうしたらリッコーバー中将はどう言っておるかというと、「結局そういうことになろう。とにかくこの計画は二つの重要な利益を提供する。第一の利益は、静かな、音のない潜水艦になることだ。」いま原子力潜水艦がきわめてデリケートなソナーなんかを据えつけるというときには、少なくとも制御棒から可動部分を取り払うということ、騒音のない潜水艦にしなければならないということは軍事的に至上命令なんです。ですから、音のない潜水艦、軍事目的に合致する潜水艦にするためには、制御棒の可動部分を取り除きたいということをはっきり言っている。「クワイトネスということは潜水艦の活動にはことのほか重要である」とリッコーバー中将は言っておる。「第二の利益は、潜水艦が非常に簡単な装置になることだ。」原子炉が、その重量なり、あるいはそのキャパシティにおいて非常に大きいということは、やはり作戦行動においては非常に不便なんです。これは常識的にわかる。であるから、原子炉をできるだけシンプルにしようという軍事的な要求に結びついて制御棒を減らしておるということを、外務省が発表されておられるこの発言の前に、ヴァン・ザントの質問に対してリッコーバー中将は言うておる。これは一九六〇年の合同委員会のセッションの記録の二十九ページです。こういう点を外務省はお調べにならなければいけない。調べておられて、なおかっこの部分だけを発表されるというならば、これはやはり国民に対して大きな欺瞞、とまでは申し上げかねるとしても、軽率だといわなければならない。こういう点、あなた方は国民に発表されるとするならば、事実についてもう少し掘り下げた検討を願いたいと思う。
 これは原子力委員会の方にお尋ねをするのだが、ここにいろいろ書いてあります。原子炉の一般公衆に対する安全性という点、したがって、それに伴う廃棄物の処理、特に冷却水の処理について、冷却水は飲んでも差しつかえないというようなことをリッコーバー中将が言ったということをここに書いている。こういうことは、原子力委員会の立場として、一体あなた方は承認されますか。
#72
○兼重説明員 先ほど来と申しますか、これまでずっと私どもが申してきましたことは、二月の二十日に出しました統一見解の線を守って、まだ問い合わせをし、検討を続けている途中でございます。したがって、この中間報告に書いてありますことについて、これでどう思うかということに対する御返事をすることは控えさせていただきたいと思うのであります。私どももこういうことで満足していないからこそ、まだ質問をしてもらっているわけでございまして、そういうような質問に対する答えが出た上で、またさらにあるいは質問するかもわかりませんが、私はこういうことについて、軍機上の制限がございますから、何もかもすっかり明らかにされるとは思っておりませんけれども、しかし、それにしても、まだもっといろいろやり方はあると考えているものですから、したがって、いま現在これだけの資料でとやかく言うことはかえって軽率だと思っております。
#73
○岡委員 私どもがあなた方の委員会に統一見解を求めたのは二月です。そして二月の二十日ごろお答えがあった。それからもう四月たっているが、そのときもそういうことを言っているし、いまもまたそういうことを言っている。私、その当時やはり、可能な最大事故の評価をすっかりつかみなさい、原子炉の安全性は、特に潜在的な危険性というものをはっきり把握する必要があるから、すっかりこれをつかむべきだと申しました。それには軍機の秘密で来ないものもあります。もちろんそれに伴う原子炉の構造も来ないわけであります。これはしかたがないと一応思っているのです。これをもらわないのはけしからぬということを言っているのではない。あなた方が、廃棄物、特に冷却水の安全性を評価できる資料はこういうことで出ているじゃありませんか。安全性を評価するのにまだ何が足りませんか。
#74
○兼重説明員 いま岡委員の御指摘になりました事故時のこともそうでございますけれども、平常時のことにつきましても、まだ実は質問していることがございまして、そういうものの回答を持ってからさらに検討したいと思っているわけであります。
 そこで、二月二十日と思いますから、もう四月近くなりますが、まだきめないというのは、別に私のほうが急いできめなければ、きめないうちに何か事が起こるというのならそうしなければなりませんけれども、私どもが意見を言う前に日本政府がどうこうするということもないと私どもは考えております。ということは、総理大臣も外務大臣も、原子力委員会の意見は尊重する。――表現は正確であるかどうかわかりませんけれども、そういう意味の発言があったと私どもは承知しております。それが取り消されたとは考えておりませんから、私どもが、いつまで待っても何も言わぬからきめた、というふうなことは起こらないと考えております。すでに判定ができるのに、じんぜん長引かしているということでは決してございません。
#75
○山口(鶴)委員 関連。岡委員の先ほどの御質問の関連ですけれども、原子炉の安全性についていろいろお答えがありました。その点は理解できないことはないのですが、六月六日の東京新聞でございましたか、それには、原子炉の安全性についてはまだまだ原子力委員会としては検討すべきものがあるので、アメリカにいろいろ質問をしている、しかし廃棄物の処理の問題についてはほぼ満足すべき結果を得たとしている、こういうことが新聞に報道されているのです。
 そうしますと、先ほどの岡委員の質問に対して、原子炉の安全性についてアメリカにまだ確かめているのだというそのお答えは理解できるのでありますが、廃棄物についてはほぼ満足している結果云々ということが新聞に出ているわけであります。そうしますと、先ほどのお答えは、お答えのほうが間違っておるのか、あるいは新聞の報道のほうが間違っておるのか、一体どちらか。私どもちょっと解せないのでありますが、これはどういうことなんですか。
#76
○兼重説明員 実は私、東京新聞がどういう記事を出しておるか見ませんので、存じませんけれども、私どもとしては別段、大体満足しておる、もう質問の要なしというふうに現になっておるわけではございません。すでにずいぶん前に質問はしてございまして、その返事は未だ来ない状況でございます。したがって、いまのその、大体満足しておるというのが、質問を出すより前のことであれば、質問をしたということとは相いれないことであります。質問を出したあとで返事も来ないのに満足したということなら、質問を出したことがおかしいことでございます。私にはその新聞の記事がどういう意味だかよくわかりません。
#77
○山口(鶴)委員 原子力局長さんは知っているようでしたな。そうすると、新聞が違っておった、真実を伝えておらなかった、こういうことですか。
#78
○島村政府委員 私も東京新聞の記事は記憶しておりませんが、ただいま御質問のようなことであるとすれば、それはりっぱな新聞でありますけれども、その点については原子力委員会の真意を誤り伝えておるというふうに私は感じます。
#79
○山口(鶴)委員 廃棄物の処理法、核燃料の交換、入港前と停泊中の潜水艦付近の測定、この三つの問題については満足すべき結果を得た、こう新聞は伝えておるのです。いまのお答えですと、そちらは間違っておって、なおこの廃棄物の処理方法の問題についてはアメリカに対して質問中である、こういうことですね。
#80
○島村政府委員 私どもといたしましては、東京新聞のみならず、どの新聞に対しましても、この点は満足である、この点は不満足であるというようなことを申したことは一度もございません。
#81
○岡委員 実はこういうデーターがある。ノーチラス号の放射性物質、アメリカの海軍艦船局が発表したデーターだから間違いないのです。これによると、冷却材中の放射性物質採取十五分後の放射能は平均が50×10−2乗採取十時間後の放射能は31×10−3乗最大の場合には36×10−2乗だ。しかも、この冷却水の中にはストロンチウム九0も含まれておる。コバルトも含まれておる。ヨードも含まれておる。これはイオン交換樹脂においても、相当高度な放射能物質が投棄されることになっておる。それが十二マイルとかなんとか制限して投棄している。
 ところが、東海村に発電所をつくるときこれは非常に大きな問題になった。この委員会でも非常に大きな問題になった。使用済みの冷却水を一点どう処分するかということは、非常に大きな問題になった。現在は多分東海村で10−7乗マイクロキュリー・パー・ミリリットル、大体そういう程度だ、いま放流さされておるのは10−7乗マイクロキュリー・パー・ミリリットルですよ。
 そうすると、ノーチラス号の放出する冷却水は採取十時間後に平均値でも31×10−3乗だから、〇が四つで十万倍だ。こういうものが投棄される。これはアメリカの艦船局の発表したデータだから間違いないと思う。一体こういうものを、あなた方原子力委員会は認めるかどうか、と私は聞いておる。こういう点はあなた方はお調べだろうと思ったから、私は聞いている。何も知ったかぶりをしてこんなデータを出さなくても、お調べだろうと思うのだが、一体こういうことでいいのですか。私はあなたに、原子力委員会にこういうデータを残していってもいい。この真偽を確かめられてきめる意図ならば、これだけでも原子力潜水艦に来てもらっては困るじゃないですか。こういう濃厚な放射能の冷却水を投棄されていいのですか、悪いのですか。
#82
○兼重説明員 いま岡委員のお話しになりましたことは、私は詳しいことは勉強しておりませんのでありますけれども、それに類したことは気がついておりまして、そういうことも含めて質問をしておるところでございます。
#83
○岡委員 兼重さんに、敬老の意もありますから、あまり無理な質問はいたしませんが、こういう問題は原子力委員会は責任を持ってもらいたいと思うのですよ。ただ一方的に向こうの言い分だけのんでいる。外務省ものんでいる。原子力委員会は安全性の保証を取りつけると言いながら、みずから御調査においては非常に不十分であるということでは、いつまでたっても原子力潜水艦の寄港問題についての安全性ということについて国民は納得できないと思う。やっぱり皆さん、努力を願たいと思う。
 それでは、今度は港へ入港するときのことです。お疲れであろうから一、二問に限りますが、これは私は非常に問題だと思うのですよ。これについても外務省の中間報告では、ニューヨークも入った、フィラルデルフィァも入ったということを書いて、安全だということを書いてありますが、アメリカの両院合同委員会における原子炉安全諮問委員会の書簡というものは、そういうのんきなものではない。たとえばその中で一九五九年のセッション記録に添付されておる原子炉安全諮問委員長からの書簡を私は若干引用してみたい。
 まず、原子炉安全諮問委員長からアメリカの原子力委員長のゼネラル・ディレクターにあてた一九五七年七月一二日付の手紙でございます。これはシーウルフが論議になったときの発言でございますが、「海軍が危険の問題の評価に基づいて適当な港を選び、原子力船操作のために特別な港を指定されるように希望する。」これは港に対しては特殊な条件が必要であるということを言っているわけです。
 さらに、同じ安全諮問委員会の委員長から原子力委員長にあてた一九五七年九月十九日、それから約二カ月後における書簡の抄録で、「原子力船の数がふえるにつれて人口の稠密な港内で船を操作する危険は実に大きいということを委員会は憂慮している。原子力船操作の計画はいずれもこの事実を考慮に入れるよう示唆があった。」こう言っている。
 それから、まだある。これはやはり安全諮問委員長から一九五八年三月八日付でアメリカ原子力委員会の委員長にあてた手紙、これも合同委員会のヒヤリングの記録の中に添付してある。「原子力船の数がふえるにつれて多数の船舶が停泊する港もしくは基地の設計に考慮すべきことを指摘し、原子力船が入港する港の数は軍事的必要に応じ最低限にとどめることが重要であると強調するものである。」ということを言っている。
 したがって、原子力潜水艦が入港するときの港の条件というものは、非常にストリクトなものであると私は思う。であるから、佐世保なり横須賀と相手方は言っているようでございますが、具体的にどういう条件が必要であるかということをあなた方は御検討になったことがあるか。少なくとも安全性については保証を取りつけると言っておられる原子力委員会としては、どういう条件が必要であるかということを、あなた方は御検討になったことがあるかどうか。中間報告を見れば、ニューヨークにも入っておる、フィルデルフィアにも入っておる、外国の繁華な商業港に入っておるということで、どこへ入ってもいいということになるが、事実はそうじゃない。アメリカの原子力合同委員会で、すでに安全諮問委員会  安全諮問委員会というのは、アメリカの原子力委員会と独立した、独自な判断を下す非常に権威の高い原子力炉の安全に関する機関です。これが原子力船の入港に対してはこういうストリクトな条件を要求しておる。あなた方は、どういう条件を要求をしておるかという事実を確かめられたかどうか。
#84
○兼重説明員 そのどういう条件であるかというようなことも、場合によっては得られないかと思うのでありますが、いま御指摘になりましたような書簡あるいは意見がアメリカの諮問委員会から出されておることも承知しております。しかし、ただそれは、その後ニューヨークやシアトルなどに入港したよりも前のことでございますから、それとあとの入港のこととがどういう関係になるかという問題があるわけでございますけれども、そういうふうなことも含めた上でないと全部その問題が、それだから入れられるとか入れられぬということにならないように思いまして、いずれも現在問い合わせた答えその他を待っておるのが現状でございます。
#85
○岡委員 そういうのんびりしたことでは、私はいかぬと思うんだ。とにかく向こうさまのほうはシアトルにも入った、ニューヨークにも入った、シドニーにも入ったということで、どこへ入ってもいいんだという理由をそういうところに持っていこうとしておる。ところが、原子炉安全諮問委員会の委員長としては、やはり人口稠密な港に対してはできるだけ入らないようにしなければならぬ。軍事的必要があろうとも、最低限度に押える必要があろうということを言っておるんです。そうなれば、なぜ押えなければならぬのか。少なくとも入るならばどういう条件が必要であるかということは、あなた方はやはり原子力委員会の独自な立場から、この統一見解に示された責任を全うせられると言うならば、検討されるべきだと思うんです。いま問い合わせ中であるということでございますが、どういう点をお問い合わせ中なのか、その結論がどうなるのか。こういうものはやはり早ければ早いほどいいんだから、できるだけひとつ回答を急がせて、こういう入港の基準についても、佐世保や横須賀そのものが該当するかどうかということから、根本的に公正な立場において御検討いただくように私は切にお願いをいたしたいと思います。
 それから、この外務省の中間報告というものは、全く荒唐無稽なことばかり書いてあるから、あまりまじめに私は取り上げたくないのであるが、しかしその中でも、若干科学的なデータのようなものもあるから申し上げるのであります。
 一つは、アメリカの原子力潜水艦の原子炉はコンテナーがない。これは高橋君は知っているか。コンテナーがあるかないか。
#86
○高橋説明員 私、技術的なことはこまかく存じません。ただ、巷間に出ておりますいろいろな資料ですと、コンテナーがないけれども船体が固いとかいうのもございますし、いろいろなことがございますけれども、私詳しい技術的なことは存じておりません。
#87
○岡委員 私の得た資料ではコンテナーがない。これは外務省でもお調べいただいてもいい。一九六二年の七月五日、ニュークレオニクス・ウィークという雑誌の二ページ、これには原子力潜水艦はノー・コンテナーとはっきり書いてある。しかも、燃料としてはきわめて高濃縮なウラン棒を使っておる。これは原子炉の安全性について若干でも物語るものからすれば、非常に大きな問題なんです。
 これは原子力委員の方々は、島村さんも御存じのとおり、アメリカは原子炉にコンテナーをつけるということは必須の条件だということを主張しておる。そうでしょう。だから、かつてアメリカの原子炉安全諮問委員会の委員長が、実用規模の動力炉における理論的可能性のある大事故という著書を出しておる。あの中においては委員長みずからが、コンテナーが一重あればそれでも原子炉そのものに、あるいは耐圧容器に事故が起きても放射能の拡散は大体百万分の一にできると言っておる。それほどの効用のあるものだから、コンテナーは持つべきだと言っておる。これはコールダーホール改良型を入れるときに大きな論争になった問題です。アメリカの文献もはっきりそう言っておる。そのアメリカにおいて、このコンテナーを持っておらない。しかも、サバンナ号はダブル・コンテナー、二重にコンテナーを持っておる。耐圧容器をさらにコンテナーで包み、もう一つコンテナーで包む。原子力潜水艦は高濃縮ウラン棒を燃料に使いながらコンテナーを持っておらぬ。アメリカにおいては、原子炉の放射能の安全性にとっては金科玉条ともいうべきコンテナーを持っておらないということなんです。そのことだけでも、私は原子力委員会としては慎重に吟味をしてもらわなければならない。そういうことでは、そのこと自体が、原子力潜水艦の安全性というものを全くわれわれは信用できないという事実を証明しておるものだ。この点については、一体原子力委員会としてどうお考えになっておりますか。
#88
○島村政府委員 コンテナーの重要性はおっしゃるとおりでございますが、いまおっしゃいましたすべてのことは陸上炉についていわれておることでございます。それだから原子力潜水艦は安全だというふうなことをいま結論的に申し上げるわけじゃ決してございませんが、私といたしましては、また原子力委員会でも審議中のことでございますけれども、陸上炉の場合、あるいは客船の場合と潜水艦の場合とは、やはり区別して考えなければならない、コンテナーの意義それ自体についても区別して考えなければならないというふうに考えております。コンテナーがないということ自体が、即安全でないということにはならないという考え方を持っております。
#89
○岡委員 それはとんでもない話だと思う。問題は、原子力潜水艦であるからできるだけボリュームを少なくしたい、ウエートを少なくしたいという立場からコンテナーを省略した。サバンナ号は貨客船であるけれども二重にコンテナーを持っておる。移動性の上にコンテナーを二重につけておる、ダブル・コンテナーと書いてある。ところが、原子力潜水艦では持っておらない、そうして高濃縮のウラン棒をたいておる。こういうことなんだから、島村さんの話は見当違いじゃありませんか。やはり原子炉の安全性ということからいえばコンテナーを持つべきであるが、何らかの理由によって持たない。何の理由であるか私は言わない。しかし、それだけ原子力潜水艦の安全性というものは、常識的にわれわれとしては疑義を持たざるを得ないということを、このコンテナーを持たないという事実、高濃縮ウランを燃料に使っておるという事実から、私どもはそう感ぜざるを得ない、印象づけられざるを得ない。あなたはそれを受けないのはおかしいと思う。
#90
○島村政府委員 潜水艦はコンテナーがないから、その点についてはよく考えろというお説だと思いますので、そのようにいたしたいと思いますが、私が申し上げておりますことは、原子力潜水艦は水にもぐるものでございまして、陸上の炉やサバンナと違いますので、コンテナーの意義自体についてもまたそういう角度からも考えなければならぬということを申し上げておるわけでございます。
#91
○岡委員 それじゃ水にもぐっていて、あまり近寄ってくれなければいいんだけれども、一週間も滞在するというから私は問題にしておる。そうすれば、固定した原子炉がこつ然として横須賀の埠頭に出てくるか、佐世保の埠頭に出てくるか。しかも、いつ超過燃焼をやって爆発するか、事故を起こすかわからないような高濃縮ウランを使って、制御棒も少ない、コンテナーも持っていないものが、人口の覆い佐世保、横須賀に出てくるということは、もっとあなた方は責任を持ってデータを集めて、慎重な考慮をする必要がある。島村君だって、いまの話を聞いていると、全くリッコーバー中将になりかわったと思うくらいだ。何もあなたがリッコーバーになる必要なんかない。やはり原子力委員会の事務局長として、もっと明確な合理的な話をしてもらわなければ困る。
 それからもう一つ、こういう事実がある。最近いただいた「原子力海外事情」という書物原子力産業会議が発行しておる一九六三年五月号、これを見ると、米原子力船停泊地基準というのが出ている。見ると、なかなかこれはたいへんなことである。サバンナ号が横須賀に来るとか言われておるけれども、サバンナ号でもよほど注意をしなければならぬというような条件が書いてある。問題は、舶用動力炉だから移動するということで、昔一年か二年前にアメリカ原子力委員会の方が固定した陸上の原子炉の場合における制限地域、それから人口の希薄なところ、それから濃厚なところにおける距離を出しました。あの距離を、今度は移動用原子炉だからというので距離を算定しないで、いわゆる二百万人−レムという全被曝線量というものを中心にこの停泊基準をきめたわけです。
 この中に、たとえばこういうことが書いてある。管理区域というのがある。これは船とその周辺。それから低人口密度地域。私は時間がないから内容は言いませんが、よく読んでください。次は人口密集地域。ところが、この前にアメリカ原子力委員会が発表した、陸上の固定された原子炉における低人口地域の外側までの距離が、六万キロの熱出力で大体丁六マイルに設定されておった。これが原子力船においては丁三分の一倍にしなければならぬ。だから、相当な距離――いわゆる管理地域じゃなくて低人口地域の外側地域までの船からの距離が相当ある。二マイル以上ある。そこに、いま申し上げたようにコンテナーがない、高濃縮ウランを使っておる、制御棒を減らしておるという、そういう潜水艦の原子炉の実態を考えるならば、もっと補正をしなければならぬ。アメリカでさえもサバンナ号の寄港についてこういう非常にストリクトな停泊基準というものをつくっておるのです。してみれば、いま申し上げたような種々のファクターによって、私どもとしては、安全性がサバンナ号よりもますます信頼できない原子力潜水艦については、横須賀や佐世保においては、もし来るならばこういう停泊基準をつくらなければいかぬ。あなた方は一体こういうものを読んで、こういうものを資料として、どういう算定をして、はたしてそれが佐世保、横須賀に入れると思いますか。こういう努力を、作業を、あなた方はなさったのかどうか。しておられるのかどうか。何かまたアメリカへ聞いておられるのかどうか。
#92
○島村政府委員 いま引用されました資料は、私どものほうでも承知いたしております。記憶によって完全に申し上げることはできませんけれども、たしかサバンナ号の場合には、公衆の居住していない区域は半径にして二百五十メートル、低人口地帯でなければならぬところは四百五十メートルであったと承知いたしております。つまりそれだけの配慮をしなければならぬということでございますが、これは入港までかりに原子炉を全出力で運転させた場合の計算数値でございまして、もし入港前に相当出力を下げて入港しますとしました場合にはその数字はまた変わるというふうに承知いたしております。それはいま岡委員が引用になりましたと同じ資料から、私どもはそのように理解しておるわけであります。つまり、寄港する港の事情によって艦の操作あるいは原子力船の操作というものを考えなければならないことは確かでございますし、一番はっきりした例で申しますと、同じ港にしても、どのくらい離れた所に停泊するとか、停泊地点はどこであったらいいかというようなことは、そのようないろいろな事情から勘案してきめられなければならないというふうに考えております。
#93
○岡委員 出力を下げてきたから炉の中に死の灰が少なくなったというなら、とんでもない話だ。そんなことはないです。問題は、いわば出力履歴とでもいうか、ずっと九〇%の濃縮ウランをたいて、太平洋から大西洋まで回ってくれば多くなる。東京湾の入口で出力をどんなに下げたって、ゼロにしてみたところで、多くなっている。だから、出力を下げたから死の灰が少なくなるなんて、とんでもない話だ。そんなことはどこにありますか。
 だから、ひとつ申し上げたいのは、原子力委員会がわれわれに安全性について保証を取りつけるというなら、もう少し責任を持ったらどうですか。こういうことは私にすればデマゴギーだ。外務省の中間報告は安全性を国民PRにするためのデマゴギーだ。かなめの一番大事なところ、われわれが真剣に検討しなければならぬところは全部省いてしまって、たとえば冷却水は飲んでも差しつかえない、そういうことを発表するなんていうことは全く問題外だ。一体放射能の害というものは、一ぺんに飲んで起こるなんていうのは例外なのだ。いま飲んで差しつかえなくとも、毎日毎日飲むと、蓄積されてくる放射能が知らず知らずの間に健康を害してくる。そこに放射能による疾病の重要性がある。いまの近代医学がそれをなおし得ない原因がそこにある。それをリッコーバー中将は、いま私の前において飲んでみてください、いま飲んだって差しつかえないということをこの中間報告に書いてある。そうすれば、何も知らない者は、飲んでも差しつかえない水ならば、幾らばらまいてくれたっていいだろうなんて、そういう印象を与えるような、まことに非科学的な、というよりもデマゴギーだ。こういうもので国民をたぶらかそうなんて、とんでもない話だ。まあ、これは外務省にはいずれまた言う機会があろうと思うが、原子力委員会として、もう少し、一応客観的に報告するからいいだろうと言ったなんていうことで、こういうものをまき散らすということは、安全性についての保証を取りつけようというあなた方の良心があったかどうか、私は疑わざるを得ない。その後もいろいろお尋ねをすると、一番重要な問題についてあなた方は――まあ私も勉強しないほうだが、あなた方のほうがずっと大きな機構を持っていて、ただ時をかせぐのにきゅうきゅうとしておるように感じられてしかたがない。これはぜひひとつ、来週も委員会があるから、もう一ぺん勉強し直してもらいたい。私も勉強し直しますから、もう一ぺんわれわれとして、問題をよく決着して、原子力委員会はどうあるべきかということを来週の委員会ではっきりきめて、それをぜひ守ってもらうように要求いたしまして、これで私の質問を打ち切ります。
#94
○山口(好)委員長代理 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後一時四十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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