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1962/03/08 第43回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第043回国会 運輸委員会 第12号
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1962/03/08 第43回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第043回国会 運輸委員会 第12号

#1
第043回国会 運輸委員会 第12号
昭和三十八年三月八日(金曜日)
   午前十時四十五分開議
 出席委員
   委員長 木村 俊夫君
   理事 佐々木義武君 理事 鈴木 仙八君
   理事 高橋清一郎君 理事 細田 吉藏君
   理事 山田 彌一君 理事 井手 以誠君
   理事 久保 三郎君 理事 肥田 次郎君
      有田 喜一君    伊藤 郷一君
      加藤常太郎君    川野 芳滿君
      關谷 勝利君    増田甲子七君
      井岡 大治君    加藤 勘十君
      田中織之進君    矢尾喜三郎君
      内海  清君
 出席国務大臣
        運 輸 大 臣 綾部健太郎君
 出席政府委員
        運輸政務次官  大石 武一君
        運輸事務官
        (大臣官房長) 広瀬 真一君
        運輸事務官
        (海運局長)  辻  章男君
        運 輸 技 官
        (船舶局長)  藤野  淳君
        運輸事務官
        (船員局長)  若狹 得治君
        運輸事務官
        (鉄道監督局
        長)      岡本  悟君
        郵政事務官
        (電波監理局
        長)      西崎 太郎君
 委員外の出席者
        農林事務官
        (水産庁漁政部
        長)      和田 正明君
        海上保安庁次長 山崎  城君
        日本国有鉄道総
        裁       十河 信二君
        日本国有鉄道常
        務理事     大石 重成君
        日本電信電話公
        社理事
        (運用局長)  山下  武君
        専  門  員 小西 眞一君
    ―――――――――――――
三月七日
 港域法の一部を改正する法律案(内閣提出第一
 三八号)(予)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
三月六日
 国鉄岡山、出雲市間の複線化に関する陳情書(
 中国五県議会正副議長会代表岡山県議会議長天
 野与市外四名)(第三二一号)
 山陽線電化促進に関する陳情書(中国五県議会
 正副議長会代表岡山県議会議長天野与市外四
 名)(第三二二号)
 鉄道踏切設備改良に関する陳情書(和歌山県議
 会議長町田義友)(第三二三号)
 海運再建政策促進に関する陳情書(東京都千代
 田区丸の内一丁目二番地経済団体連合会長石坂
 泰三)(第三七七号)
 国鉄五箇年計画実施促進に関する陳情書(仙台
 市清水小路三十八番地鉄道貨物協会東北地方四
 支部連絡会長宮脇参三)(第三七八号)
 東京湾横断鉄道等の建設促進に関する陳情書(
 千葉県議会議長高橋祐二)(第三八三号)
 国鉄岡多線及び北方貨物線の建設等に関する陳
 情書(愛知県議会議長橋本繁蔵)(第四二九
 号)
 鉄道網整備公団の設立促進に関する陳情書(四
 国四県議会正副議長会代表愛媛県議会議長沖喜
 予市)(第四九一号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 船舶安全法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第九号)(参議院送付)
 日本国有鉄道の経営に関する件(東海道新幹線
 に関する問題)
     ――――◇―――――
#2
○木村委員長 これより会議を開きます。
 日本国有鉄道の経営に関する件について調査を進めます。
 質疑の通告がありますので、これを許します。久保三郎君。
#3
○久保委員 国鉄総裁にお尋ねするわけでありますが、最近聞くところによりますれば、東海道新幹線の工事にからんで、近接せる地方鉄道あるいは軌道といいますか、そういうようなものに対してどうも当を得ない支払いをしているようなものがあるという話であります。特に具体的な問題の一つとしては、近江鉄道に対しての補償というか、この問題があるわけであります。いわゆるその言っているところは、減益補償をしたということ、あるいは踏切整備ということでこれまた補償をしているということでありますが、その中身について一応御説明いただきたい、こういうように思います。
#4
○十河説明員 補償の問題は、大体新幹線総局長に一任してありますので、具体的の事情を私よく覚えておりませんから、新幹線総局長の大石君からお答えいたしたいと思います。
#5
○大石説明員 ただいま御質問の近江鉄道と新幹線との関係につきまして御説明申し上げます。
 滋賀県下におきまして新幹線の路線をきめて参りますときに、非常に難航したのであります。と申しますのは、私たちが考えました計画につきまして、ほとんどの方々から、新幹線通過反対ということで拒否の空気が盛り上がって参ったのであります。これは他のことを申し上げてはいけませんが、新幹線を計画いたします前に、名神高速道路がやはり滋賀県下を通るというような問題がございましたときに非常な反対がございまして、ただいま名神高速道路が決定しておりますように、山間部の方に線を持っていかざるを得ないような状況でございました。しかしながら、新幹線の経過地を決定いたしますときには、道路の構造より以上に、勾配、曲線半径その他規格が荷いと申しますか、非常にむずかしいことでございますので、線路を曲げて人家の少ないところを通るということができませんので、種々折衝し、また考慮いたしました結果、近江鉄道に沿いまして一部近江鉄道の用地を使いまして、全く近江鉄道と並行していくことが、農地の構造また市街地の構造を変えることもなく、また市街地、農地のつぶれ地を一番少なくするというようなことからいたしまして、この近江鉄道に並行する以外に方法がないので、さよう決定をしたのであります。こういうようないきさつからいたしまして、近江鉄道に並行して路線を決定いたしました。
 しかしながら、次の問題は、御承知のように近江鉄道は滋賀県下におきましてほとんど路面を通っております。地表面から約五十センチないし一メートルというような高さで通りまして、従いまして踏切その他はほとんど全部平面交差であります。これはあの程度の鉄道でありますので、そういう構造もしかるべきかと存じますが、そういうような状態のところに参りまして、これに沿いました新幹線は踏切を除去するということからいたしまして、フォーメーションの高さが約六メートルということに相なっておりますために、近江鉄道との高低差が約五メートルないし五メートル五十というものができてきたのであります。二つの鉄道が並行して走りまして、一部は地表を走り、一部は高架でこれは築堤でございますけれども、高架構造のような、こういうふうに高さが違ったものができた、こういうことでありまして、いろいろとこの構造につきまして近江鉄道と交渉をしたのであります。そういたしまして、今お話しのように、過大な補償、こういうようなお話でございましたが、私たちといたしましては、踏切の防護の補強工事、そういったものをいたしますために算定いたしました金額、また今までは両方が平らでございましたのに、隣に大きな構造物ができましたので、保線保守その他そういったものにつきましての困難性を増してくる、これはほこりもたくさんかかりましょうし、いろいろな関係のものが増加をしてくる、こういったものの算定をいたしました。また沿線を沿って参りますために、近江鉄道の用地でございました用地、また途中近江鉄道の駅構内を通過する区間もできて参ります。この区間の用地買収その他のものにつきましてのそういう物件的な補償というものを算定をいたしまして、補償額を決定をいたしました。また一方、近江鉄道は観光的な鉄道でございますので、お客さんが、沿線の景色をながめながら走っていくというようなことを大きな目的にした鉄道でございますのに、これが隣に大きな築堤ができまして、あたかも谷の下を走っていくような状況になったということによりまして、この営業上の損失と申しますか、観光客が減っていくというようなことの算定もいたしました。先ほど申しました実害が二つの面があるということから算定をいたしまして、補償額を決定をしたのであります。
#6
○久保委員 実害を算定したというが、具体的に土地等を買収するのには当然費用が要ります。これは当然だと思う。ただその線路のわきに高い東海道新幹線をつくるから、それによって――今お話があったように近江鉄道は観光鉄道だ、そういう重大な観光地域で並行線があるのかどうか、これはよくわかりませんが、この算定基準ということはどういうことになりますか。あるいは踏切というか、線路保守の困難性というか、そんなに近接してぴたっと密着してやっているのかどうか、両側を包んだのならば、もちろん中に電灯もつけねばいけないでありましょうが、少なくとも片側で並行していく場合に、今お話しのような減益というか、観光客が減ったりあるいは線路の保守に困難があるとかいうようなことがあるのかどうかという問題、よしんばあったにしても、その補償の算定基準というものはいかなる基準から出したのか、どういう名目でそういう費用を出すのか。
 それからもう一つは、踏切の防護を補強するというが、どの点なのか。きょうは時間もありませんけれども、国鉄も今日まで七、八十年になりますが、今までそういう前例があったのかどうか。そういう点どうなんですか。
#7
○大石説明員 踏切の警報機をつけましたり、自動遮断機をつける、こちらの構造のためにこういうものをつけなければならないということで補償をした実例はたくさんございます。しかしながら線路が全く並行したところをつくりまして、これは起点が同じに、Aという駅からBという駅に私鉄がございまして、そこに新しい建設線ができてお客さんが全部減ってしまって、そちらの私鉄としての効能がなくなったというような例は、また別の例でございますけれども、いわゆる買収とか営業補償といったような例はございます。しかしながら、ただいまのように、長い区間全く別の性格の線路が並行していくというような場合は、今まであまりケースを見ておりません。これはそういうような線路をつくったことがございませんので、最近におきましてはさような例はございませんが、そのために近づきましたり、また道路をつけかえましたために踏切の改良をいたしましたり、またその他につきましての補償をしたという例はたくさんございます。
#8
○久保委員 今までも先例はあったようでありますが、並行したのは新しいというのですか、今回初めてですか、何キロほど並行しておるのか、図面その他われわれはわかりませんけれども、どの程度に密着しておるのか、それはどういうのですか。
 それともう一つは、さっきあなたのお話の中に、具体的な物件を補償した、それ以外にこの鉄道が観光客を輸送するので、ながめが悪くなるからそういう点も補償したというのでありますが、そういう補償が今まであるのか、おそらくないだろう。ないとすれば、算定基準はどういうふうにしてなされたのか、総額どういう費目で幾らこの鉄道に払ったのですか。
#9
○大石説明員 並行しております延長は約七キロ半でございます。
 それから密着の程度というのは、全く線路ののりが近江鉄道ののりにかぶさってくるということでございます。その間何ら余裕がなく、完全に複々線のような格好にくっついております。ですからこれは密着と申しますか、ほとんど同じ格好に線路がついております。
 それからながめが悪くなったために営業が減ってくるということは非常に算定がむずかしくて、近江鉄道の申し出と私どもの算定には非常に大きな開きがございましたけれども、結論といたしましては私たちの方でこまかく毎年毎年の収入を算定いたしまして、その累計いたしました結果を総合したので補償をいたしました。額は総額において二億五千万円でございます。
#10
○久保委員 そののり下が全く密着しておるというが、密着しておるだけであって、近江鉄道ののり面には新幹線ののり面は乗っておりませんね。
#11
○大石説明員 近江鉄道ののり承りにぴったりくっついておるわけでございます。ですから近江鉄道ののりしろの用地はこちらに買収をして、その間に何ら間隙のないような構造をとっております。
#12
○久保委員 そうしますと局長、のりじりだけが密着している、あとその余裕地は買収した、買収したものについては当然代価を払わなければいかぬ、高い安いは別です。それ以外に線路保守に困難であるものがあるとおっしゃいましたが、そういう要素も入って二億五千万円ですね。
#13
○大石説明員 お話の通り用地の買収費も含めまして、全部含めまして総額二億五千万円でございます。
#14
○久保委員 線路の保守が困難だという費用の算定方式は、具体的にどういうふうにしなさいましたか。
#15
○大石説明員 ただいまこまかい算定の資料を持っておりませんが、後ほど御報告いたすことにいたしまして、今先生がおっしゃいました線路保守その他の経費の増額分といたしましては、二億五千万円のうち七千七百万円あまりがその中に含まれて算定されております。
#16
○久保委員 七千七百万円というと、これはキロ一千万円に相当する、七キロ五百が並行しているのですから。それに対して七千七百万円の補償をする、そういう形に現われるものとして。そうですね。これは資料もわれわれは見ておりませんからよくわかりませんが――新幹線の予算は今参議院でやっておりますが、国鉄の新しい予算の比重は何といっても東海道新幹線であります。従来しばしばこの工事費や土地買収費の値上がりについてもいろいろ御説明がありました。しかし片方において汚職に類するようなものも巷間伝えられておる。どうもこれは大尽ぶるまいに類するものではないかと思うのでありますが、さように考えておりませんか。
#17
○大石説明員 私たちといたしましては、大尽ぶるまいとか、何かの圧力によってやられたのではないかというような話もいろいろ耳にはしておりますけれども、私たちが直接やっておりますものといたしましては、さようなことは毛頭考えておりません。純事務的に積み上げたものだと確信しております。
#18
○久保委員 あなたはそうお考えにならなくても、私を含めて世間はそう考える。無形の何かに対して一メートル一万円の補償費。だからこれは少なくとも算定基準はおありでありましょうが、これに対する資料を今持っておらぬとすれば、あとで出してもらいたい。さらにその密着の度合いもありますから、大へん恐縮ですが図面をつけて下さい。
 そこで、二億五千万円というのは全体としていつ払いましたか。
#19
○大石説明員 これは二回に分けて支払いをしておりまして、第一回は三十六年十二月に一億五千万円を工事着手を条件に支払いました。それから残余の分につきましては、三十七年の六月に一億円を支払っております。
#20
○久保委員 資料をいただいてから再び申し上げますが、そのほかにやはり新幹線工事で丹那の隧道のズリ捨て場に使おうとした鉄道用地をあるホテルに払い下げたそうでありますが、事実でありますか。
#21
○大石説明員 丹那の隧道のズリ捨て場を某ホテルに払い下げたという事実はございません。おそらく先生のお話はズリ捨て場の予定地をお話だと思いますが、これは前から西武鉄道に――丹那付近のくぼ地でございますが、ここをケ−ブルカーをつくるということで西武に貸してあったのであります。丹那トンネルの着工前にすでに貸してあったのであります。しかしながら直ちにその工事はやらないで、むしろ私たちといたしましては丹那トンネルのズリを捨てるのに適したくぼ地であるということを見まして、返してほしい、丹那トンネルのズリを捨てる間はこちらへ返せということで、丹那トンネルの着工と同時にそのくぼ地はこちらに返していただきました。そうして工事中そこにズリを捨てて工事を進めたのであります。最近に至りましてその土地を再び貸してくれ、ないし売ってくれというようなお話がございますので、私たちといたしましては、今申し上げましたようにもともと貸してあった土地でございますから、丹那の工事のズリをそこに一ぱい捨ててしまったのでありまして、国鉄といたしましては使用の目的もございませんので、これの適当な値段につきましては国鉄内に土地建物評価委員会というものがございますので、その委員会にかけまして値段をきめていただきまして、そうして運輸大臣の認可が得られましたならば貸す――ということよりも売却をいたしましょうというお話をしておりますので、まだ売却をしたというところまではいっておりませんが、そういうような意思を持っておる次第でございます。
#22
○久保委員 そうしますと、今まだ国鉄の所有地でありますね。賃貸借というか、貸借関係は今あるのですか。
#23
○大石説明員 ただいまは貸借関係もございません。まだ国鉄の用地になっております。
#24
○久保委員 それじゃその以前の貸借関係の書類の写しをいただきたい。以前に貸借関係があったのでしょう。それからいつ返してもらったのですか。
#25
○大石説明員 それは丹那トンネルの着工と同時に返していただきました。
#26
○久保委員 それではその資料を出して下さい。
 それから先ほどのお話でございますが、観光客のための鉄道であるからそれに対する補償もしたんだ、こういうお話ですが、近江鉄道はそうですね。
#27
○大石説明員 これは観光客だけではないのですが、観光客が非常に多いということでございますので、そういう面を見ましての収入減を見込んだ算定をいたしたのでございます。
#28
○久保委員 そうしますと、その性格は減益補償というものに当たりますか、お説の通りだとするならば。
#29
○大石説明員 その通りでございます。
#30
○久保委員 今あちらの方で声もありましたが、そのものに権益があると認めたその根拠ですね。これもあわせて一つ資料として出していただきたい。いずれにしてもこの問題は資料をいただかぬことにはなかなかむずかしいかと思うのであります。
 そこで最後にもう一点お尋ねしたいのは、東海道新幹線はいろいろな地方鉄道あるいは軌道、こういうものの場所を横断したり、あるいは交差しているように伺っているのでありますが、その全体に対してもやはり同様の補償をお払いになっておるわけですか。
#31
○大石説明員 たくさんの私鉄と交差をしておりますけれども、このように並行しておるところはほかにはあまり例はございません。他は立体交差と申しますか、ある地点におきまして交差をしておるのはたくさんございますけれども、並行しているところはほかにあまりございません。
#32
○久保委員 並行しているところでそんなに長いところはないと言うが、ほかに多少そういうふうに並行しているところはありますか。
#33
○大石説明員 京都と大阪の付近で一部並行しておりますが、これは阪急の方でレベルが違いますのをきらいまして、新幹線と同じレベルにする工事をやっておりますので、段がついた並行というのはここだけでございます。
#34
○久保委員 その工事費は国鉄負担ですか。
#35
○大石説明員 これはおのおの分担の範囲をきめて分担をいたしまして、こちらも分担をしておりますし、阪急自身が持つべきものは阪急自身が持つというふうに分担をしております。
#36
○久保委員 それではそれも資料として出して下さい。その例ですね。
 それから踏切というかいわゆる立体交差ですね。新幹線が他の鉄道と立体交差する場合の算定方式はどうなっておるか、その算定方式を具体的なものをあげてやはり資料として出してほしい。
 きょうは時間もありませんですから大体以上にいたしますが、東海道新幹線は、国鉄というよりは日本全体の鉄道の焦点になっていると同時に、新幹線の早急完成というか、これも望まれているところでありますが、ともすれば、言葉は悪いのでありますが、金はもうどんなに使ってもよろしいということで気前よくふるまって、とにかく早くできればいいのだというふうな気風がありやしないかと思うのであります。でありますから、巷間そういうふうな声が出てくるので、あなたの方は了解するかもしれませんが、国民全体としてはなかなか了解しにくい部分が相当出てくる。これはもうどう言ってもそういうことなのですから、やはり当委員会としてもこの問題に対してはこれから掘り下げてみなければならぬと思う。単にうわさ話でなくて、今お聞きすれば二億五千万円も一応お払いになったというのですが、その値打があるかどうかの問題も一つあると思う。もちろんこういう大きな工事でありますから、多少のゆるみというか、そういうものもあるかと思うのでありますが、やはり国民の鉄道として運営する場合には、厳正にやっていかなければならぬと思うのであります。しかも聞くところによれば、ここで金を出さぬとどこか別なところで何かじゃまをされるというと語弊があるが、そういうことがあるというのですが、そういうことがありますか。もちろん公式に聞けばないと言うでしょうが、もしそうだとすれば、少なくとも国鉄幹部は腹がすわっていないのではないかと私たちは思うのですが、念のために伺っておきたい。
#37
○大石説明員 今の近江鉄道その他の関連いたしました系列会社のものにつきまして、一つのものが話がつかなければほかのものの話がつかないというようなことはなく、私たちは個々の会社に個々の立場で折衝をしております。むしろこれは私たちのところでは、他の面ではそういう点ももちろんございますけれども、この部分につきましては個々に問題が解決をしておりますし、一つのものが解決したから全部解決するというものではございませんので、一つずつ別個の立場で解決をはかった次第でございます。
#38
○久保委員 いずれにしてもその程度にしておきますが、最後に総裁に一言お尋ねします。
 あなたは、今大石常務理事からお話があった通り、こういう二億五千万円もお払いになることは、総裁としてその程度の金はあまり関心を持っておりませんか、いかがですか。
#39
○十河説明員 もちろん関心を持っております。持っておりますが、東海道新幹線は従来の鉄道と違いまして、たとえば東海道の現在線には百数十の駅があるのであります。それが東海道新幹線はわずかに途中に十駅しかない。駅が方々にありますと、その地方の地方民にいろいろ便益があるということで、土地の買収なり補償なりが比較的楽に行なえますが、東海道新幹線はそれが少ないために、非常に困難が多いのであります。そういう点において担当の大石理事もいろいろ苦労しておることと思います。今のような金も払わざるを得ない、払うのが至当である、こう考えてやったことと存じております。
#40
○久保委員 いや総裁、こういう一つの鉄道に二億五千万円もの金を払う、そういう工事なり補償なりについては、あなたは面接に決裁されるか相談されるか知りませんが、そういうものはされないのかどうかということをお聞きしているのです。
#41
○十河説明員 初めに申し上げましたように、用地の買収とか補償は、他の工事も同様でありますが、全部大石常務理事を信頼いたしましてまかせてあります。私は二億五千万円払ったということは当時は存じておりません。
#42
○久保委員 大国鉄でありますから、なかなか気前がいいといっては語弊があるが、総裁も大事な仕事をされているし、信頼する部下だから、一私鉄会社に二億五千万円払うのは大石常務理事の全責任でやらしてもよろしいということにとりましょうが、今の新幹線のいわゆる予算執行については、十分監督するといっては信頼する部下に対して語弊があるが、しかし、あなたは総裁としての地位にあるものでありますから、ある一定限度のものは当然あなたが目をお通しになるのが当然ではなかろうか、私はそう思う。二億五千万円もの金を払う契約に、あなたがあとから知りましたということではないと私は思う。そう信じたいのです。あなたが知らぬで、大石常務理事の一つの判こでよろしいというような仕組みになっていても、あなたが全然御存じないということはないと思うのです。計算基礎やこまかいことはもちろん総裁は御存じないにしても、あなたの高い判断でこれはどうかというような考えがちっとも入らぬということは、私自身もおかしいと思う。いずれにしても、総裁も大物でありますから、常務理事もそれに相応した責任を持たれると思うので、大へん困難な仕事をおやりになっているのでありますが、どうも今までお聞きした範囲だけでは釈然としません。われわれは、実際言うと、こういうことをこの席で言いたくないのです。新幹線について世間ではいろんな批評をしております。本委員会にいる者は、新幹線はやはり必要であるという考えは、最小限度だれも持っているわけです。しかし、だからといっていかなることも許せるという気持は持っていないのです。しかも、まだ計算基礎を見ておりませんが、どうも今までのような雲をつかむような話で銭を使うということについても、これは当然国民から相当な批判を受ける。これを単に巷間のうわさであり、それは何かの政治的な配慮でやっているのだというふうに受け流すとすれば、これは大へんな間違いだと思うのです。一言だけ最後に申し上げておきます。
#43
○木村委員長 矢尾喜三郎君。
#44
○矢尾委員 ちょっとお伺いしたいのですが、この問題は私の選挙区の中のことでありますから地理は十分心得ております。それで、今の答弁の内容があまりにもでたらめでありますので、私はその実際を申し述べて、質問を簡単にしたいと思うのであります。資料が久保委員の方から要求されましたので、資料が出ましたらまた詳細に質問することといたします。
 今の答弁を聞いてみますと、二億五千万円の補償をされた、これに合わすためにこういう理屈が並べられている以外に何ものもないと私は考えます。というのは、近江鉄道をごらんになれば、大体北から南に走っておる鉄道です。新幹線は東から西に走っておる鉄道です。もしも並行線があるとすれば、米原−彦根間の、彦根から曲がって南に行く、この間が並行線なんです。こういう並行線を取り上げて補償の対象にするならば、京阪神電車と並行しているのは一体どうなんですか。もっと長い間ずっと並行しているじゃありませんか。神戸の方面に行けばもっと並行しているところがずっとあるじゃありませんか。そういう並行線によって近江鉄道の観光客が減る、よそからながめられたときにおいては、そういう説明が全面的に受け入れられるかもわかりませんけれども、電車をごらんになったことがあるのですか。観光客を乗せる電車が通っておるのです。あの電車は、ここらに走っている電車とは違って、何か板の上に薄いかっぱみたいなものを敷いているような電車じゃありませんか。改良もしていないし、日本で一番悪い電車でしょう。その内容を調べてみて、観光客を乗せる電車が走っておるかどうかということ。そうしてまた、この踏切の補償ということでやっておりますけれども、近江鉄道が通っている上を新幹線が通るでしょう。そうすると、近江鉄道というのは直接にこれは関係ないのです。近江鉄道が下に通っているのを、上を高架で通っていくのです。そうすると、近江鉄道がこれによってどういうような被害を受けるか、米原―彦根間においてどういう観光があるのですか。風致を害するようなことがあるのですか。彦根−米原間は近江鉄道が後に延ばした線なんです。並行するとすればこの間で、従来の近江鉄道に関しては何ら並行しておらぬのです。そういうことも十分に御検討になった上でこういうことをされたのであるかどうかということ。また、最初大石理事が申されましたように、滋賀県下においては、土地の回収について大きな反対があって地価が暴騰して困難であったということは、前の名神国道ができる前に、それも七、八年前に、弾丸道路建設反対という期成同盟ができて、全面的な反対運動をやったことがありますけれども、それの買収にかかる、あるいは着工するという最近の段階におきましては、全面的に協力の態勢をとっておるような状況です。その後に新幹線が計画されたのであって、新幹線に対しても反対するという機運はなくなったわけです。その大きな原因は、名神国道の工事が始まる、そうすると土地の者も相当雇われて農村の方から出て行った。そうしてこれはありがたいことだというようなことで、反対の機運というものはずっと下がってしまった。土地も進んで買ってもらいたいというような、前とは打って変わったような現象が現われておるのです。そういうときのことを理由にして、この新幹線の問題を理由に取り上げられておるということは、ちょっとふに落ちぬのです。そして並行線であるとかなんとかということに対しても、並行線に対して補償するというならば、東海道における並行線というものは、今答弁されたことを前提として今後補償の要求が来た場合においては、国鉄当局はその補償に応じられるかどうかということをお伺いいたしたい。
 それからこの近江鉄道の補償の問題について、実地に十分調査されたのであるか、これが観光鉄道であるかどうかということ、乗客の分布その他について十分に調査されたのであるかどうか。それは先に久保委員が要求いたしました資料の中で十分に回答してもらえると思いますが、そういうようなことにつきましても十分に――一部には、多賀の会社であるとか、彦根から三、四キロ行ったところはありますが、そのほかは農村を通っておる汽車です。そういうような点につきましても私はお伺いいたしたい。七キロ並行しておるということはいかにも理屈が立っておりますけれども、並行したからといって、新幹線の性格というものを考えてみると、各駅停車でいけばそれは被害がありますが、東京を出れば名古屋にとまって、特急は大阪までいって、そして急行にしてもあまりとまらない。近江鉄道にどういう影響があるのですか、何ら影響がないと思うのです。そして南北に走っておる汽車と東西に走っておる汽車と、これが会社に及ぼす影響というようなものは、かえってよい結果を与えるか知らぬが、悪い結果を与えるようなことはあり得ないと私は考えておる。そういう点についての御見解をお聞きしておきたいと思う。
#45
○大石説明員 近江鉄道と新幹線が並行しておる区間は米原−彦根間ではないかというお話でありますが、現に並行しておりますのは、近江鉄道では高宮という駅から五個華という駅までの間で、東海道線で申しますと彦根−近江八幡間を並行しております。この並行の仕方は、先ほど申しましたように、久保委員の御要求によりまして図面を提出をいたしますが、ぴったりとくっついた上を通って――お言葉がちょっと了解いたしかねますけれども、並んでおりまして高さが違っておるということでございますので、今まで近江鉄道の方といたしましては、踏切番や警報機のない踏切であったのが、片方に高いものができますから見通しが非常に悪くなって、踏切が危険の度を増しますので、そういうところに自動遮断機をつけましたり、あるいは警報機をつける、こういうような費用が要るようなことでございまして、この点につきまして国鉄と近江鉄道の間でいろいろと折衝をいたしました結果、補償額を算定をしたのであります。
 また、よく見ておるかという問題につきましては、この工事を担当しております大阪の工事局は、ここにもちろん局長以下全部が何回も視察をいたしますし、また現地も拝見をした結果、さような基礎をつくり上げたのでございます。現地を見ないできめたというようなことではないのでございます。
 それから並行しておるのはどうだというのは、ただいまお話のような補償というのではないということを先ほどちょっと申し上げましたが、御説明が足りなかったと存じますが、駅と駅が同じ駅でございまして、向こうのお客さんがこちらの鉄道に乗り移ってくる、こういうのが普通の営業補償というようなことによく出てくる例でございますが、今度の場合は、もちろんお話のように途中に駅はないのでございますが、今までまわりが広々としておりましたものが、今度はここに土盛りのこういうものができ上がってくるということによりまして、乗客が減ってくるというような主張がございまして、この問題につきましても、相当多額な要求がございましたが、後ほど資料を提出いたしますが、国鉄といたしましても、こまかく各面の乗客の減少を想定をいたしまして、その想定いたしましたものに対します補償額を決定した次第でございます。
#46
○矢尾委員 あの鉄道ができたからといって、客が減るということについても、それは向こうの主張を全面的に認められておるのであって、実際にそれを利用しておる者は、そのなにができたからといって、あの線には乗らぬというような――大体土地の人が多いんです。観光といっても、あの沿線に何の観光があるのです。両方とも田んぼとか山じゃないですか。そういうような、私は観光面において補償したとかなんとかいうようなことは理屈にはならぬと思う。そういうことにつきましても、どういう支障があって乗客が減るかというようなことにつきまして、今すぐお考えにならぬと思いますが、資料の中へ、それも資料として十分調査していただきたいと思います。並行線ができたからといって、その新線とそれから近江鉄道との間の間隔はどれほどあるのですか。
#47
○大石説明員 ほとんどぴったりくっついておりまして、間隔と申しましてもむずかしいのでございますが……。
#48
○矢尾委員 距離ですよ。
#49
○大石説明員 後ほど図面を差し上げますが、ぴったりくっついております。
#50
○矢尾委員 七キロほど並行しておるのですか。
#51
○大石説明員 そうでございます。
#52
○矢尾委員 この七キロというのは、近江鉄道の営業キロですか。
#53
○大石説明員 これは言うのはむずかしいのでありますが、私どもといたしましては本キロと申しますか、実際にはかりました距離でございます。
#54
○矢尾委員 実測の七キロですか。
#55
○大石説明員 そうでございます。
#56
○田中(織)委員 一点だけ関連して伺いたいのですが、実に近江鉄道については至れり尽くせりの補償をいたしております。今大石常務理事の御答弁を伺っておりますと、新幹線に並行している関係から、観光客等の乗客が減るという近江鉄道側の申し出に基づいて膨大な要求をこれだけに縮めてそれも補償の額になっておるというのですけれども、これは鉄道関係、いわゆる地方鉄道の関係ではございませんけれども、一つ伺いたいのは、大阪市の東淀川区に日の出町というのが今度の新幹線の関係で、町がほとんどずたずたになるのでありますが、これに対する補償問題は日の出町の特殊な事情から、国鉄にも相当いろいろな要求が出ておると思うのでありますが、これは補償はどういうようになされましたか、まず伺いたい。
#57
○大石説明員 今ちょっと資料を持っておりませんので、どの辺のところかここでは的確な御答弁ができませんので、取り調べまして御答弁申し上げます。
#58
○田中(織)委員 これは人口が相当大きな町でございますが、そのうちの約三分の一がいわゆる未解放部落なんです。そのどまん中を東海道新幹線が走ります関係から、直接立ちのきの対象になるところについては国鉄は補償をされておる。ところがそれでは町としての体裁が、東海道新幹線がまん中を走るためになくなっちまうのだ。いわゆる部落としての機能というか、その町としての機能が、東海道新幹線のためにこれがゼロになってしまう。そこでそういう問題で、ただ単に敷地の中にあるものだけではなくて、町全体としての運営のための補償というものを国鉄当局に、これは大阪府及び市からの要請をしてきておると思うのですが、承れば、そういう並行線あるいは交錯する私鉄に対しては莫大な補償をやられておるのに、何千何万という住民の共同生活をすることの機能が維持できないというような事態に対する補償というものは、国鉄は一体どう考えるかということを私は伺いたい。資料がなくても問題が問題だけに大きな社会問題として、国鉄の補償関係を担当されておる方が、御存じがないはずはないのですが、いかがですか。
#59
○大石説明員 今先生の具体的の問題でございますので、ただいま資料を持ち合わせませんので、取り調べまして的確な御返事を申し上げたいと思います。
#60
○田中(織)委員 それはいずれ近江鉄道のことについての資料と同時に出していただきたいと私は思う。その上で私質問をいたしますが、補償の原則としては、国鉄は直接幹線の敷地の中に取りくむ部分の家屋の立ちのきであるとか、そういうような関係だけしか補償しないというようなことで、住民との間の紛争が起こっておるのでありますが、その補償方針は間違いありませんか。
#61
○大石説明員 これはいろいろの場合がございますけれども、原則といたしまして国鉄所要の用地以外のところの補償というものは、私たちとしてはなかなか実際上困難なものがございます。ただ鉄道を敷きましたために、直接影響があるというようなものがはっきりいたしましたものには補償をいたしますが、用地以外のものにつきましての補償については非常にむずかしいというのが現状でございます。
#62
○田中(織)委員 影響がある、ないといって、第一ふろ屋さん、子供の保育園、それから商店関係のいろいろなショッピングの関係、そういうもの全般に、共同生活に耐えられないような形に分散しなければならぬ。その意味で、できるならばやはり新しい団地で町づくりをするということまで考えなければ、私は完全な補償をしたということにはならないと思うのです。ところがあなたたちは、今大石理事がたまたまお答えになられたように、国鉄の用地の直接的な関係だけしか補償しないというような形で、何千何万という住民が共同浴場へ行くことができないということになれば、各人がふろの設備をしなければならぬ、そういうことになるまでの関係について、わずか七キロの並行線に、観光客が少なくなるというので二億五千万円という大枚を出す、そういうものに出す金があるならば、むしろそういう部落のまん中を東海道新幹線が突き抜けるために集落としての運営ができないというようなことについては、私は当然補償すべきだと思う。そういう点をあなたたちがやっておらぬから、この問題が問題になっいる。ここでこの日の出町の問題が出ておるのについても、大阪工事事務所の管内では大きな社会問題になっておるはずなんです。そういう具体的なことについての資料を持っていないということであれば、次の資料の出る機会を待ちますが、私が今あげた、たとえば共同浴場の関係、保育園の関係、そういうような関係のものは、やはり新幹線の関係から来る直接的な影響で、補償の対象として当然私は考慮しなければならぬ問題だと思うのであります。その点はいかがですか。
#63
○大石説明員 たびたび申し上げて恐縮でございますけれども、今お話しのような共同浴場、保育園といったような具体的な問題につきまして、ただいま資料がございませんので、お話しの点につきまして詳細取り調べまして御返答申し上げたいと思います。
#64
○田中(織)委員 具体的なことについては資料を調べてお答えをいただかなければならぬと思いますけれども、そういう一般の公衆の利便に対する関係というものが、あなたが言われる直接的な影響の補償の範囲内に入るか入らないかくらいの答弁はできないはずはないじゃないですか。並行線という点は、十河総裁の答弁も私はおかしいと思うのです。新幹線は駅が十しかできないので、その意味から見れば地方鉄道は駅ができて連絡するということによって利益はあるけれども、新幹線の場合はないから、むしろそういうような関係についての補償をやるんだというようなこと、これは実情から見ればあべこべだと思うのです。そういう至れり尽くせりの面を特定の者にはやりながら、これは日本の社会の最底辺に生活しているところの多数の何万という人の生活に直接響く問題です。そういう問題をあなたたちがそのままにしておいてやるということは、私は納得できない。少なくともその地域の住民が、新幹線の工事の関係で直接的に受ける社会的な、経済的な、そういうようなものについては、あとう限りの補償をするという原則は貫かれなければならないと思うのです。その原則的な点はどうなんですか。日の出町の場合にどういう補償をやったか、あるいはやっていないから今後どうするかということは、具体的な資料によってお答えを願わなければなりませんけれども、私が例をあげているような問題については、あなたたちの方は知らぬ顔でまかり通れるものではありません。まかり通れるものであるならば、やはりこの近江鉄道に対する補償というようなものは、これは会計検査院からも指摘せられておる通りでありますけれども、これはわれわれは承諾するわけにはいかないということに相なると思うのです。その点、原則的なものはいかがですか。
#65
○大石説明員 お答えがあるいは十分でないかもしれませんけれども、町の中を新幹線が通りましたために、たとえばその線路にかかりましたところの家屋が移転をいたしましたために、その付近の商店街に及ぼします影響に対してどう考えるかというふうなことかと存じます。これは方々でそういう問題が出て参りますが、そういうような密集部落と申しますか、商店街を通りますところは、おおむね高架の構造になっておるところが多いと存じます。そういたしまして、あるいはその後の用地買収のときの条件と申しますか、その下に再び店をつくらせろというようなお話し合いのあるところもございます。またあるところにおきましては、町なり市なりがその下を別途のお考えで商店街にいたしまして、その付近を発展させる、こういうようなお話を承っておるところもございます。そういうようなお話はしておりますけれども、そこがどいたから、ある意味において人口が減ったから売り上げその他が減ってくる、この補償をせいというようなお話につきましては、ただいま私たちといたしましては、これが直接工事につながって補償をするというようなことがなかなか困難でございますので、現地におきましていろいろと困難なことを御説明し、また御了解を得るように努力しておる次第であります。
#66
○田中(織)委員 高架の場合は、高架がでまたあとでその下に新しく商店街ができる、その施設をするということによって、その住民の受ける影響というものを償うことができることは私もわかります。しかし日の出町の場合には結局部落が四つにも五つにも分散をさせられる。その意味で、部落の中心にありました共同浴場を地区民が利用で雪ないという状況が出てくるわけなんです。さらに保育園の設備の問題にいたしましても、従来一カ所であったものが何カ所かに分散をしなければならぬということも出てくるわけなんです。それだから、私は商店の個人の営業の問題についての補償ということまでは申し上げないのです、少なくともその地区の住民の共通の問題については、これは当然考えるべき範囲内の問題ではないか。あなたたちは、特定の営利会社の近江鉄道に対してすら向こうの言いなりの二億五千万円というばく大な補償金を出しておる。従って、並行線によって旅客が減少するとかいう関係を考慮して補償するということになれば、関西にある京阪にいたしましても、阪神にいたしましても、当然新しい要求が出てくるし、私の手元にある関係から見れば、名鉄の関係にいたしましても、あるいは近鉄の関係にいたしましても出てくる。ところがあなたたちは特定の近江鉄道にだけ、しかも近江鉄道と同一資本系統の、先ほど久保委員から指摘をいたしました、いわゆる西武熱海ホテルの用地の問題までからんで特定の私鉄にだけ特別なフェーバーを与えているというところに問題が出てくる。そういうことでありますならば、私は一般的にいって、新幹線の犠牲となって集団団地あるいは部落としての共同生活ができないような関係になり至っているものについては、当然どの線で線を引くかという実際問題が出てくるかと思うのでございますが、原則としてやはりそれは償いをするということでなければ、私は地区民の協力は得られないということになると思うのです。そういうことでは私は公平の原則に反すると存ずるのですが、その点はいかがですか。実情に基づいて、あなたたちは私が言っている点を検討する気持もないのですか。
#67
○大石説明員 ただいま資料がございませんので、まことに申しわけないのでございますが、さっそく現状を具体的に取り調べまして御返事を申し上げたい、かように考えます。
#68
○田中(織)委員 先ほどの資料をできるだけ詳細に願います。この日の出町の関係で、住宅関係、用地の関係、そういうものについて、具体的にどれだけ補償し、それから地区民からはどういうような要求が出ておるかという点を、具体的に出していただきたいと思います。
#69
○井手委員 ちょっと資料、要求をいたしたいと思います。ただいま、この問題の資料提出を求められておりますが、私は全般的な用地買収、家屋買収等の補償の基準、それから、ただいま問題になっております景色が悪くなるための補償だとか、いろいろな迷惑をかける迷惑料とか、そういう基準をこの次の委員会までに提出をしていただきたいと思います。
#70
○木村委員長 資料提出をお願いいたします。
     ――――◇―――――
#71
○木村委員長 次に、船舶安全法の一部を改正する法律案を議題として審査々行ないます。
 質疑の通告がありますので、順次これを許します。久保三郎君。
#72
○久保委員 前回からの残りで、二、三お尋ねするのですが、まず第一に、水産庁漁政部長にお尋ねしますが、漁船の安全性の問題で先般御質問をいたしたわけでありますが、いわゆる満載喫水線というか、あるいは適当な乾舷というか、その表示については、いかように今後進められる考えか、一応御説明いただきたい、かように存じます。
#73
○和田説明員 漁船の満載喫水線につきましては、前回もお答えを申し上げました通り、いろいろ複雑な事情がございますが、最近の漁船の海難事故の実情でございますとか、あるいは国際的な各種の条約の最近の動向等もございますので、明年度から二年間にわたりまして、調査予算を計上いたしまして、これは御存じのように、漁船の場合には一般の商船や客船と違いまして、一定の区画に幾らのものを入れればよろしいかということばかりでなしに、漁具を甲板上に積まなければいけませんから、そういう積載量と申しますか、全体の問題に、特に復原性の問題がございますので、現在、漁船が甲板上にどのような積載をいたしておるかというような実態を調べ、かつ、それがいろいろな経済の問題等に本影響がございますので、そういう問題等の調査もいたしまして、でき得れば昭和四十年度には、満載喫水線に見合いますような積載基準を決定いたすように、三十八年度から予算を計上いたしまして、逐次技術的に詰めて参りたいというふうに考えております。
#74
○久保委員 四十年度までにそういう措置をとるというお話でありまして、三十八年度から始まるということでありますが、これはもう少し技術的な能力の問題もあろうかと思うのでありますけれども、十分早めて、その安全性を高めるように努力してほしい、こういうように思います。
 それから、もう一つ漁政部長にお尋ねをしておきたいのは、先般も申し上げたいわゆる小さな船は、許可漁業以外のものもたくさんあると思うのでありますが、そういうものが外洋に遠く出て、長い期間操業するというような例を、たとえば三十九トン型のマグロ船の問題を例に出して申し上げたわけであります。これらなどは、少なくともある程度何らかの規制をしないと、大へんなことになると私は思うのであります。ついては、就業制限による一種、二種、三種の区別でありますが、これは漁法による区別だと思うのでありますが、これだけでは、今申し上げたような点の是正にはならぬかと思うので、これも当然慎重に検討して改正をすべきだろうと思います。この点はいかがですか。
#75
○和田説明員 三十九トン型のマグロ船について、特に例をお上げになりましたが、これにつきましては、御指摘のような問題がございますので、去る二月一日に省令を改正いたしまして、一般的に漁船の漁獲物を陸揚げいたします場合には、陸揚げの根拠地について許可手続をとらせるようにいたしておりますので、小型漁船については、海外基地での陸揚げは禁止をいたすように措置をいたしましたので、その面から、相当長期間海外に出かけるというようなことは、事実上、二月一日の省令改正後はチェックができるはずでございます。
 なお、漁業につきましては、水産資源が始終変動いたしますことに対応いたしまして、各漁業種類間で始終転換対策というようなことをとらなければなりません関係で、単純に、一定トン数のものは外へ出てはいかぬというふうにいたしますことにもいろいろ問題があるわけでございますが、御指摘のように、漁船の安全性の確保とか、乗組員の労働条件の改善とかいう見地に立ちまして、十分検討をいたしまして、現在省令改正をいたしました措置にさらにつけ加えて適切なる措置を講ずるように、一そう検討を進めたいと思います。
#76
○久保委員 そこで今度は、電電公社がいいと思いますが、無線電話のことで伺います。もっとも電波監理局でお答えができれば、それでもけっこうです。
 無線電話の問題については、先般關谷委員からもお尋ねがあり、私からもお尋ねしたが、政府部内での見解統一がなされたという点は、必ずしもそうではない。だからこの問題について、やはり関係省で討議をして、早急にこの方針を出すべきだと思います。もちろんわれわれが今まで申し上げたこと、これから若干申し上げますが、そういうことを加味して考えるべきであって、いわゆる電電公社の経営だけで物事を運んではならぬと思うのであります。というのは、陸上ならいざ知らず、海上の無線設備というのは、まず第一に、その船の営業の問題より以前に、安全性の問題からこれは考えるべきだと思います。どうも先般来の御説明だと、いわゆる商業通話に重点を置いての切りかえその他を云々されているようでありますが、これは少しく違うと思う。むしろ安全性を高める上において無線電話なり電信の設備が必要でありますから、そういう点を十分心してやってほしい。
 そこで、無線電話の問題でありますが、中短波でやるものと超短波でやるものとあります。その超短波でやる部分の電話は、たとえばほかの船が話し中の場合には、その船の超短波の電話は使えないのでありますか、いわゆる陸上におけるところの電話と機能は全く同じなのでありますか、いかがでありますか。
#77
○西崎政府委員 もちろん話し中のときには使えないわけでございます。
#78
○久保委員 中短波の場合の電話はどうですか。
#79
○西崎政府委員 同じでございます。
#80
○久保委員 陸上局との通話はできぬでも、その発信を傍受することは他の船はできるのですか。
#81
○西崎政府委員 傍受はもちろん他の船でできます。
#82
○久保委員 そうしますと、先般来問題になりました単に超短波に切りかえるという電電公社なりあなたの方の御説明だけでは、これはいかぬと思うのであります。中短波ならば、今御説明のように、たとえば海岸局が話し中であっても、他の回りの船はこれを傍受できる。超短波の場合は全然傍受できないでしょう。
#83
○西崎政府委員 超短波につきましても、いろいろな方式がございまして、他船でもって傍受できるという方式もあるわけでございますから、それを使えば他船で傍受ということは中短波と同じようにできるわけでございます。
#84
○久保委員 これは初めてお聞きするわけですが、それは普及しておりますか。
#85
○西崎政府委員 実は先般も御説明があったと思うのですが、内航船に対する超短波の問題につきましては、いろいろ陸上局の設計もいたしておりますし、それから船の方で使う方式につきましても現在準備をいたしておる段階でございまして、現在そのものが利用されておるという段階まではいっておらないわけであります。
#86
○久保委員 そうしますと、他の船は傍受できない電話ということになりますな。その点ははっきりして下さい。私が聞きたいのはそこなんです。
#87
○西崎政府委員 現在他船で傍受できる方式につきましては実験中でございます。
#88
○久保委員 実験中のものをお話いただいてもどうにもまだ実用性がありませんね。われわれが先ほど言ったように、船舶航行の安全即人命の安全ということでありますから、その機能が大幅に利用されるものが一番いいのであります。それを制限されるものは好ましくないということがまず一つあります。安全性の問題です。そういう点からいって、今の切りかえの方式は、そういう点にも欠点があると私は思います。これは何か考えてもらわなければいかぬ。
#89
○西崎政府委員 ちょっと説明が不十分で申しわけありませんが、内航船に対する超短波の電話の問題につきましては、これはまだ実施になっておらないので、三十八年度と三十九年度の三カ年間に全国的な置局をするということで、実用になるまでには、まだ多少そういう意味で時間的な余裕があるわけであります。その期間を利用しまして、ただいま申し上げましたような船におきましても中短波と同じような傍受のできる方式を実験いたしておるというわけで、従って、もちろこの超短波が実施されるまでの間にそういう点は全部解決される、こういうふうにわれわれ考えております。
#90
○久保委員 ちょっと局長教えて下さい。術語がわからないのです。VHFとSSBはどう違うのですか。
#91
○西崎政府委員 VHFと申しますのは、今超短波と申し上げました、そのことでございます。それからSSBというのは、これは中短波の電話と、こういうふうにお考えいただいていいのじゃないかと思います。
#92
○久保委員 今のあなたの御説明では、超短波の方は三十八年度からだ、こうおっしゃいます。そうですね。ところが私の聞いている範囲では、VHFに切りかえたものが相当あるということです。どうですか。
#93
○西崎政府委員 電電公社が施設する分が三十八年度、三十九年度かかって全国的に実施に移す、そういうわけで、現在個々の事業者と申しますかがローカル的にやっておるものが相当たくさんあるわけでございます。
#94
○久保委員 今そのローカルのものは禁止しておるのですか、あまりやらせないのですか、どうなんです。
#95
○西崎政府委員 電電公社の全国的なこういう通信網が整備しました暁には、よく実情本勘案しまして、できるだけそれを使っていただくようにお願いしたい、こういうふうに考えております。
#96
○久保委員 どうもやっぱり電電公社ができるまではだめだというのですな。そういう意味ですな。許可していないのでしょう。どうなんです。
#97
○西崎政府委員 別にわれわれの方で今そういう新しい申請を拒否しているというわけではございません。ただ将来そういうふうに移行していただく、公社の業務の方に切りかえていただくということがあり得るということを申し上げておる結果、そういったようなふうにとられておるんじゃないか、こういうふうに考えております。
#98
○久保委員 やはりこれは電電公社の営業方針が主のようだな。それはあとで自分の局を使うから、そのときには料金もずっともらえる。今のうちに許可されて単独で私でやられたのではかなわぬということじゃないですか。あなたは許可しないとははっきりは言わぬようですが、実際は期限をつけることは、この間もお話ししましたが、切りかえの条件でやるそういうことですな。これは政府部内の見解がやはり統一しないで電話電信のことは電電公社にまかせておけ、こういうことでありましょうが、これは少なくとも大方針を郵政省なり政府がきちっときめて電電公社に指令して、電電公社はその通りやるのがあたりまえで、電電公社の経営から出たいろいろな施策をもっていろいろなことをやられたんじゃかなわぬ。どうです。
#99
○西崎政府委員 公社の関係の方が出ておられますので、そちらからあとで話していただきたいと思いますが、公社も別にこの業務によってもうけようというわけじゃなくして、むしろ失費を覚悟で協力しよう、こういう考え方に出ているんだと思います。現に一般の無線電信の海岸局にしましても、決してこれは採算がとれておるものではありませんけれども、全国的に整備されておるわけでございます。
#100
○久保委員 あなたの話を逆にそのまま受け取ると、この間の答弁では海岸局の整備は四十年とかいう話でありましたね。これはなぜおくれておるか、ほんとうに電電公社が採算を度外視してやるということで最初からあったのなら、もっととっくにできておるはず。そうであるならば電話局ですか、そういうものを何もつくる必要はない。片方で整備をおくらせておいて、それは使っちゃいけないということは、話が違うじゃないかというのです。いずれにしても見解がどうもはっきりしてない。これは運輸省にも意見があるようですし、われわれも意見があるのですから、これは平急に見解を立てて実施を電電公社に命ずるようにしたらいいと思います。
 そこでもう一つ。これは船舶局長にお尋ねした方がいいと思うのでありますが、千六百トン未満でも沿海区域を走るもの、あるいは大体三百トン以下のものであって、旅客船で沿海区域だけのものは電話でもよろしい、こういうことになるわけですね。あるいは何もつけぬでもよろしいということになっておる。ところが今まで無線電信を設備しておるものがかなりある。法律には強制されないでも、無線電信を装備しているものがかなりある。ところが最近これを無線電話に切りかえるものがあるというのは事実たくさんありますね。
#101
○藤野政府委員 電話に切りかえまして中短波に切りかえる、あるいは最初からこれを装備しておりますのが約三百隻あるというように考えます。
#102
○久保委員 やはり先ほど来申し上げたように、安全性を保持するためには無線電信が一番有効であることは御承知の通りです。それもない場合には、やむを得ず電話にするということだと思うのです。現有設備からさらに安全性を若干でも低めるようなことは、昨今における航行の状況からいっても、厳に慎むべきだと思うのですが、いかがですか。
#103
○藤野政府委員 無線電話よりも無線電信が安全性が高いことは先生御指摘の通りでございますけれども、電話に切りかえましても、現在中短波でございますれば、海上保安官署が設備を設置しておりますので、安全の目的は達成できる。できない個所もございますが、できると考えます。
#104
○久保委員 安全の確保が全然できないという意味じゃなくて、むしろ安全性を比較的に低めるのじゃないか。そういうものは極力現在の電信設備を保持するようにあなたの方で指導するのが当然ではなかろうかというのです。いかがですか。
#105
○藤野政府委員 電信と電話の安全性の比較の御質問だと思いますが、無線電話でも海上保安官署が遭難信号を聴取いたしておりますので、安全性は確保できるということになっております。
#106
○久保委員 どうもよくわからぬ。私が言うのは、中短波になればそういうことになるでしょう。あなたにだめを押しているのは、そういうものはやはりそれを持続させるのが一番いいではないかというのです。いかがですか。
#107
○藤野政府委員 電話になりましても、超短波になりますと、今の郵政省の御説明の通りのような支障が現在あるわけでございます。従いまして、安全の見地から無線施設を施設するのでありますれば、設備は現在の段階においては適当であるということを申し上げておるわけであります。
#108
○久保委員 そう逃げなくてもいいですよ。あなたはいろいろな関係があるからおっしゃるけれども、それじゃこういうふうなだめを押しますから返事して下さい。やはり今までの無線電信があるなら、これをことさらに若干でも低いものに切りかえることは好ましくないと思うのですが、好ましいと思うのですが、どっちですか。
#109
○藤野政府委員 現在無線施設、無線電信々持っておるものを無線電話に切りかえるのは好ましいことではないと思います。
#110
○久保委員 好ましくなければ、行政指導としてはやはり好ましくないということで指導するわけですね。
#111
○藤野政府委員 船主の事情によって切りかえるのであれば、これはやむを得ないということでありまして、これは、ぜひ無線電信を設置しなければならないというふうな強制はできないわけであります。
#112
○久保委員 強制はできないから行政指導と言っておるのです。弧制はできませんよ、法律が法律だから。だけれども、船舶の安全をつかさどる局長としては、好ましくないものを、それはいいがということでいっておるだけでは困る。その点を確めておる。
#113
○藤野政府委員 無線電信の施設を無線電話に切りかえます場合にも、その船の航行区域とかその他の使用の状況を考えまして、中短波でありますれば支障ないということで、行政指導で電話に切りかえるのを抑止するということまでは、必要ないということをお答え申し上げたのであります。
#114
○木村委員長 内海清君。
#115
○内海(清)委員 この船舶安全法の一部改正につきましては、すでに同僚議員の皆さんから詳細な御質問がありました。私は時間の関係もありますので、できるだけ簡単に若干御質問申し上げたいと思います。
 今回の船舶安全法の一部改正は、これは一九六〇年の海上における人命の安全のための条約、この批准のため、それから船舶の検査の合理化といいますが、そういうふうなことで行なわれるのだと思うのであります。言うまでもございませんが、船舶安全法は、船体と機関あるいは各種の設備ないしは付属品、こういういわゆる船舶の物的安全の確保をはかることによってやっていこう、こういうことでございます。従って今回の改正にいろいろ義務づけや規制が設けられましたことは、確かに一つの進歩だと思うのであります。ところがすでに御承知のように、この船舶安全法の改正ということにつきましては、三十六年の三月、船舶局から改正案要綱というものが出されまして、そして造船技術審議会の船舶安全部会で、その後八回ばかりの審議が行なわれておる。そして昨年の四月に大体結論を得たのであります。ところが最初の全面改正の意図というものが大きく後退いたしておる。これはすでに運輸省当局も認められたところであります。このことははなはだ実は遺憾に思うのでありまして、要は今日までもいろいろ議論されて参りましたが、法の改正、条約の批准が目的でなくて、結局海上における人命の安全ということが基本でなければならぬ、こういう点から考えますならば、これがもっと国内法として、条約に関係がなくても、十分行なわれなければならぬと思うのであります。この安全法は先ほど申しましたように、物的面からこれを確保しようというのでありますが、もう一面から申しますと、いわゆる船舶職員の資格とか、定員というふうなものによって、航行の安全をはかろうというのが船舶職員法であります。この今回の船舶安全法と船舶職員法は、海上におきまする人命安全の最も重要な両面であります。いわば車の両輪にあたるものであります。そういう意味合いから申しまして、この両方から十分なる検討が行なわれなければならぬ。ただ今回のは船舶におきまする物的面からの安全確保、こういうことが考えられておると思うのでありますが、今後におきまして、今申し上げましたような両面からの検討が必要である、私はかように考えるのであります。今回の改正を見ますると、海上の安全については条約でこうなっておるから、最小限度の改正によって批准を済ませればいいというふうなきわめて消極的な考え方であると思うのであります。少なくとも今日までのわが国の海難の状況などから判断いたしますと、どうしても国みずからが海上におきます人命の安全を守るというきわめて積極的な意欲がなければならぬと思います。御承知のようにわが国は世界で有数の海難国――海運国ならまことにけっこうでありますが、海難国と言われているような状況でございます。条約の定める最低基準の改正にとどめるということでなしに、わが国の気象とか海象の特撮性を十分お考えいただいて、今後十分な対策をお願いしたい。早急にこの全面的な改正について、これはこの法の経過から申しましても、すでに三十年もたった非常に古い法律でございますし、さらに最近におきまするいろいろな技術でありますとか、あるいはその他の航海の計器とか無線の計器、こういうものの進歩、あるいは船の大型化、あるいは特殊船でありますとか、水中翼船でありますとか、あるいはカタマランとかというふうな特別のものもできてきておるときでありますので、これに即応した近代化、合理化、さらに経済性の向上ということが最も必要だと思うのであります。こういう面から考えましても、早急にこの点は十分なる御検討を願いたい、こう思うのであります。今いろいろ申し上げましたが、そういう点を考え合わせてみますると、海上安全の確保の方策について、条約との関連あるいは国内的な実施に対しまする基本的なお考えもいろいろあると思います。その点につきまして一つ次官の御見解を伺いたいと思います。
#116
○大石(武)政府委員 ただいま内海委員の仰せられましたことにわれわれも全く同感でございます。ただ今回の改正は最小限度の改正にとどめまして、とりあえず今の段階で間に合う程度にとどめたわけでございますが、これだけでは内海委員のおっしゃる通り決して十分ではございません。やはりすべて法律とか規則とかいうものは時代に相応してそれぞれ改正しなければならぬと思うのでありまして、人命と船舶安全のために総合的に検討を加えなければならぬと思う次第でございます。御趣旨の通り、近い将来にはできるだけそのような全面的な方向に総合的な対策を進めて参りたいと考えております。
#117
○内海(清)委員 時間の関係もありますので次に移りたいと思いますが、満載喫水線の表示の問題と、さらに先般来盛んに論議されております無線電信または無線電話施設の強制の問題、これは三条四条関係でございますが、この改正条項はいずれも条約の批准に足るだけの最小限の改正に相なっておると思うのでありまして、この点先ほど来いろいろ議論がございましたように、国内法としてこの際大幅に改正して、人命の安全のために十分なものにしていただきたいと思うのであります。この国際満載喫水線条約というのは、御承知のように国際航海に従事いたしまする百五十総トン以上の船舶のみに適用されることに相なっておるのでございます。ところが今回の改正案では、これを受けまして、従来の近海区域に加えてさらに沿海区域を航行する百五十総トン以上の船舶にも適用されることとなったのであります。ところが、それは国際航海に従事するものに限定するということになっておるのであります。従って実際の面から見ますと、満載喫水線の表示を必要とする国際航海に従事しない沿海船については従来通りにとどまっておる。この点私どもははなはだ遺憾に思うのであります。わが国の海難事故の現状から脅えて参りますと、海上安全行政の見地から規制されなければならないのは、こういう種類の船であると思うのであります。そこで一つお伺いいたしてみたいと思いますのは、今回の改正によりまして、百荒十トン以上の船舶で何隻ぐらいこの中に入ってくるか、これをお伺いしておきたいと思います。
#118
○藤野政府委員 今回の改正によりまして満載喫水線を新たに表示しなければならない船舶は約十一隻でございまして、これは対韓国航路に従事しております比較的小型の船で、百五十トン以上のものでございます。
#119
○内海(清)委員 大体韓国航路に従事するもので新たに表示を必要とするものは十一隻ということでありますが、そういたしますと、今風の改正におきましては、人命の安全に対するせっかくの改正でございますけれども、その効果というものは期待したほどのものでないということになると思うのであります。なおこれの必要な多くの船舶があるわけでございます。そこで一つお伺いしてみたいのは、海上保安庁がおいでになっておると思いますが、この満載喫水線がないために、積み過ぎ、いわゆる過積みということによって海難が起きたのがどの程度あるか、この点一つおわかりであればお答え願いたいと思います。
#120
○山崎説明員 お答えいたします。ただいまのお尋ねの点でございますが、積み過ぎによりまして遭難を起こしました船舶は、全体の総数の約三%でございます。
#121
○内海(清)委員 三%ということになりますと、最近の数字で何隻ぐらいになりますか、そしてそれは何トンぐらいのものが一番多いか、そういうこともおわかりならば、あわせてお伺いしておきたいと思います。
#122
○山崎説明員 一番最近の統計によりますと、三十七年でございますが、汽船が十二隻、機帆船が五十三隻、漁船が十三隻その他十三隻、合計九十一隻となっておりまして、全海難発生数に対します。パーセンテージは三・二%でございます。それからその前年はやはり大体同じような傾向でございますが、隻数は若干多うございまして、百三十六隻、その前年の三十五年は百十四隻、それから三十四年は百七隻、こういう状況でございます。
#123
○内海(清)委員 この今の数字を見ましても、やはりこの喫水線の表示があって、これが十分規制されなければ、相当の船が過重のために船舶の復元性というものが確保できないということで、海難にあっておるわけであります。従ってこれが十分に行なわれるならば、この海難は、全部とはいきませんでしょうけれども、大部分は救済できる、こういうことに相なると思うのであります。この点は今後早急に検討していただいて、きょうまたこれらに対する附帯決議も出て参ると思いますが、木船としてかなり困難な面もありましょうけれども、木船といたしましても、この趣旨に沿ったいわゆる適当な乾舷等の処置が確保される、そういう方面よりの海難防止に対しまして十二分の御配慮を今後お願いしなければならぬ、かように思うのであります。
 またこの陸上機関等への早期の連絡のための無線電信あるいは無線電話の問題でございます。この無線設備が一番強制されなければならぬ、今日までの海難状態などから見まして一番に強制されなければならぬのは、私どもは特に沿海区域を航行する船である、かように考えるのであります。これはやはり一九六〇年のロンドン会議の海上人命安全条約の国際条約によって見ますると、無線電信あるいは無線電話の適用につきましては、三百総トン以上、五百総トン未満の貨物船にも無線電信または無線電話の施設を備えつけを強制するように改正されておるのであります。今回の改正にあたりまして、船舶局の当初の船舶安全法の改正要綱を見ますると、三十六年三月に出されたもの、これを見ますと、この条約のこの問題を受けまして、貨物船については、近海区域以上を航行するか、または国際航海に従事する三百総トン以上の船には無線電信、それから沿海区域を航行する五百トンから千六百総トンの船には無線電信または電話の施設を要する。それから旅客船については、沿海区域を航行する百総トン以上の船にも無線電信の施設を要する、こういうふうなことが一応出ておるのであります。それでこれは先ほども申しましたが、今日一番こういう無線設備の必要なのはやはりこの沿海区域を航行する貨物船、こういうものにきわめてこれが緊要な問題だと私は考えておるのであります。
 保安庁にもう一つお尋ねしたいのは、こういう無線設備がないために海難にあったという状況を一つお知らせしていただきたい。先ほどと同様にお願いしたい。
#124
○山崎説明員 大体三十七年一年間におきまして、海難を起こしました船舶が二千八百六十隻あるわけでありますが、その内容を調べてみますと、無線電信を装備していたものが二百九十九隻、無線電話のみを装備していたものが五百六隻、こういう状況でございます。
#125
○内海(清)委員 そうすると、この二千八百六十隻の海難に対して、約八百隻がこれのどちらか々備えておる、こういうことになりますな。
#126
○山崎説明員 その通りでございます。全体の数は二千八百六十隻でございます。それに対しまして八百五隻が無線施設を備えておったということでございます。
#127
○内海(清)委員 そうすると、いま一つ保安庁にお尋ねしたいのですが、二千八百六十隻に対して八百何隻、それで海難で、こういう無線設備がもしあったらこの海難は防ぎ得たであろう、こういう海難をもあとで御調査になって、そういうものがございましたら一つお尋ねいたします。
#128
○山崎説明員 実はそのお尋ねの件でございますが、しさいにその隻数のそれぞれにつきまして調査いたしませんとわかりませんが、もし調査いたしましてわかりましたならば、その資料を提出いたしたいと一存じます。
#129
○内海(清)委員 資料はあとからちょうだいいたしますが、それでこの運輸省の資料によりますと、これは沿海区域の非旅客船、これは八百五十隻でございまして、うち三百五十隻はすでに強制によらずして無線設備を備えておる、残りの約六割の五百隻の船は無線設備、こういうものがないのであります。これにつきましては、これは保安庁よく御存じだと思いますが、ことしの一月の九日にこういう事実が生まれてきておる。三洋汽船の第八宝山丸というのが遠州灘を航行しておって、しけのために御前崎に避難した。そこでこれはこういう無線設備がないものでありますから、これを本社に知らすために、一等航海士と操舵手が伝馬でもって上にあがろうとした、ところがそれが行方不明になった、こういう事実があるのであります。連絡をとるためにこれが行方不明になった、こういうことがあるのであります。これは小野田から東京に通っておるセメント・タンカーだと思いますが、こういう事実があるのであります。これらはまさにこの設備があればこの二人の人命というものは十分救い得たものであります。このほかにもこういう事例は間間聞くことでございます。少なくともこの海上におきます人命安全の立場からいえば、さっき申しましたような、今日強制されておらないものも八百五十隻のうちに相当のものが設備されて六割が残っておるということでございます。これらにつきましてはこういう実際の状況を千分御勘案になって、これは早急に一つやってもらいたいと思いまするが、これに対しまする海運局長のお考えを一つお伺いしておきたい。
#130
○辻政府委員 御説のように船舶安全法で無線設備を強制されない船につきましても、できるだけ設備をするように行政指導をいたしております。
#131
○内海(清)委員 船舶局長の方で何かこれに対する適当な方法をお考えになっておりますか。
#132
○藤野政府委員 現在強制されておりません国内航路の旅客船が三百トン以上では八七・五%は何らかの無線施設を装備しておりますし、貨物船につきましては約五八%が任意に装備いたしておりますが、ただいまお話しの通り、無線施設の安全性における効果が非常に大きなことは、われわれも十分認識いたしておりますので、行政指導はもとよりでございますけれども、少なくとも危急の場合のためにラジオ・ブイのごときものを強制的に装備させることも、省令改正等におきまして考慮いたしたい、かように存じておる次第でございます。なお将来は電話も、海岸局の整備等に伴いまして強制範囲を拡大することは考えておる次第でございます。
#133
○内海(清)委員 海岸局の整備は三十九年といわれておりますが、ところが今日御承知のような内航無線利用協会というものが、これは民間団体でありますが、できております。従って、これに加入してやりますならば、十分今日におきましてもこういうものが活用でき、海難が防げる状態にあるわけであります。この点は行政指導なりあるいはまた省令等によりまして、今後できるだけ早急にこの問題については十分なる処置をとっていただきたい。これは強く要望しておきたいと思うのであります。
 もう一つ簡単に伺いたい。先ほど来いろいろ論議されておりますが、結局船員設備基準の法制化であります。これは昭和二十七年に運輸省に設けられました船員設備協議会によってすでにここ八年来ずっとやられてきておる。三十五年に五百総トン以上の船舶の船員設備基準について答申を行なってきておるのでありますが、これがいまだに法制化されない。このことはどういうことでありますか、一つお伺いしておきたい。
#134
○藤野政府委員 船員設備基準につきましては、すでに船員設備協議会の御答申も十分検討いたしまして、法制化する原案ができております。なお五百トン未満の小型船につきましても昨年一応成案を得ておりますので、事項によりまして、船員法による省令と安全法の改正による省令と両方に振り当てまして規定に盛り込むことを考えておる次第でございます。
#135
○内海(清)委員 すでに原案ができておるようでありますから、これは早急に実施に移すように御手配願いたい。
 最後に、この間神戸で衝突事件がありましたときわ丸の件につきまして、これはまた御質問があったようでありますが、この船舶設備規程によりますと――これは非常に古い法律で、たしか昭和九年の制定だと思う。その後三十五年に一応改正されておりますが、これによりますと救命設備、それから人命安全条約によって見ますと、こういう旅客船につきましては特に各舷に一〇〇%のいわゆる救命設備を持たなければならぬ。これは救命艇と五〇%の救命いかだ等、これは国際航路に従事する貨物船につきましてもそういうふうなことに相なっておると思うのでありまするが、これがはたして十分行わなれておるか。ことにこの小型旅客船においてこれが行なわれておるか。これは検査の問題でもいろいろ論議されたように、確かに検査のときにこの救命具をそろえておけば検査は通る。検査が済んでしまうとこれがまた他の船に移るというふうなこともあるわけであります。これは検査の面で随時に臨検などが行なわれることによって十分防ぎ得ると思うのでありますが、これについて一つお伺いしてみたいと思うのは、三、四年前か、ライフラフトというビニール製のものができておる。これは住友電工や三菱電機等がつくっておるようでありますが、私しろうとで、これがはたして油タンカーなどに十分使えるかどうかということは疑問がございますが、こういうふうなものが十分使えるならば、これは非常に便利である。この間のときわ丸の場合にも、こういうものがあれば、もっと犠牲が少なくて済んだのではないかということが考えられておるわけであります。これらに対しまする御所見をお伺いしたい。
#136
○藤野政府委員 最初に救命設備の装備の度合いでございまするけれども、旅客船につきましては、ときわ丸のような旅客船は一七五%装備いたしております。
 なおただいま御指摘のような膨張型救命いかだのような新型式の救命設備は、タンカーに対しましてはいろいろ疑問がございますけれども、国内船につきましてはこれを装備することを勧奨いたしております。なお救命器具につきましては今後近代化されたものが現われることをわれわれは期待し、また研究もいたしておりますので、この種の船舶につきましては救命設備を万全な態勢に持っていきたい、かように存じておる次第でございます。
#137
○内海(清)委員 それでは私はやめたいと思いまするが、特にただいま申しましたような問題につきましては、早急にこれを研究して実施していただく、こういうことがきわめて大事なことでございます。さらにこの船員設備につきましては、私どもは、特に、これもいろいろ論議されたと思いまするが、漁船等におきまして、格別の今後の改善が必要である。漁船を見学しますと、そのことを痛切に感ずるわけであります。こういう面につきまして、本日の附帯決議の中にもそういうことが十分述べられておると思いますので、これらの点につきまして今後十二分の御配慮を要望いたしたい、こういうふうに思うのであります。いろいろまだあるのでありますが、お急ぎでございますから、いつもながらのことでございますが、この辺で終わりたいと思います。
#138
○木村委員長 ほかに御質疑はございませんか。――ほかにないようでありますから、本案に対する質疑はこれにて終局いたしました。
    ―――――――――――――
#139
○木村委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#140
○木村委員長 御異議なしと認めます。
 これより採決いたします。
 船舶安全法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#141
○木村委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
#142
○木村委員長 この際、久保三郎君より発言を求められておりますので、これを許します。久保三郎君。
#143
○久保委員 私は自由民主党、日本社会党、民主社会党の三党共同提案による船舶安全法の一部を改正する法律案に対し、附帯決議を付する動議を提案したいと思います。
 附帯決議の案文を朗読して説明を省略します。
  船舶と人命の安全を保持するため政府は次の諸点について必要な措置を講ずべきである。
   記
 一、船舶航行の現状に照らし、次の諸点を含む本法の全面改正をすみやかに図るべきである。
  (イ) 原子力船に関する必要な事項
  (ロ) 漁船に対し救命設備等に関し他の船舶に対するものと同様の安全基準を確保するための事項
  (ハ) 沿海区域を航行する船舶について無線設備及び適正な乾舷を確保するための事項
  (ニ) 第二十九条、第三十二条に規定する船舶についてもそれぞれ現状に照らし、安全性を向上させるための事項
 二、次の諸点についてすみやかに対策を樹立すべきである。
  (イ) 船員設備に関する条約に即応するため船員設備基準を早急に制定する等国内体制を整備すること
  (ロ) 小型漁船についての安全性を確保するよう措置すること
  (ハ) 最近における海難事故にかんがみ、船舶検査体制を整備し、検査が一層有効適切に行なわれるよう措置すること
 以上であります。
#144
○木村委員長 ただいまの久保三郎君の動議のごとく、船舶安全法の一部を改正する法律案に対し附帯決議を付するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#145
○木村委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
 この際、政府当局より発言を求められておりますので、これを許します。綾部運輸大臣。
#146
○綾部国務大臣 ただいま御決議のありました船舶定全法の一部を改正する法律案に対する附帯決議につきましては、その御趣旨まことにごもっともでございます。政府といたしましては、船舶と人命の安全を保障するため、この決議の趣旨を体し、誠意をもって処理する所存であります。
    ―――――――――――――
#147
○木村委員長 なお、本案に関する委員会報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#148
○木村委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
 次会は公報をもってお知らせいたすこととし、本日はこれにて散会いたします。
   午後零時五十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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