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1962/05/21 第43回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第043回国会 運輸委員会 第24号
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1962/05/21 第43回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第043回国会 運輸委員会 第24号

#1
第043回国会 運輸委員会 第24号
昭和三十八年五月二十一日(火曜日)
   午前十時四十分開議
 出席委員
   委員長 木村 俊夫君
   理事 佐々木義武君 理事 高橋清一郎君
   理事 細田 吉藏君 理事 井手 以誠君
   理事 久保 三郎君 理事 肥田 次郎君
      有田 喜一君    有馬 英治君
      尾関 義一君    川野 芳滿君
      壽原 正一君    關谷 勝利君
      中馬 辰猪君    福家 俊一君
      井岡 大治君    加藤 勘十君
      勝澤 芳雄君    田中織之進君
      矢尾喜三郎君
 出席国務大臣
        運 輸 大 臣 綾部健太郎君
 委員外の出席者
        日本国有鉄道総
        裁       石田 禮助君
        専  門  員 小西 真一君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 日本国有鉄道の経営に関する件
     ――――◇―――――
#2
○木村委員長 これより会議を開きます。
 日本国有鉄道の経営に関する件について調査を進めます。
 この際、国鉄総裁に就任されました石田禮助君より発言を求められておりますので、これを許します。石田禮助君。
#3
○石田説明員 私は、今回日本国有鉄道の総裁に任命されました石田禮助であります。これからこちらへはたびたび御招集を受けてまいることと存じますが、どうぞよろしくお願いいたします。
 一言この機会を利用いたしまして申し上げたいと思いますが、私は昨年九月まで約六年間監査委員長として国鉄の監査の仕事をやっておりました。その間おととしの七月に衆議院の決算委員会、それから昨年九月に参議院の運輸委員会と二回呼び出されまして、そこで国鉄のことについて申し上げたのであります。
 それで実は私は初めからこういうことをお願いするのは変ですが、御承知のとおり、私は生来きわめて粗野です。卑ではないが、粗にして野です。こういう皆さんの前へまいりまして国鉄のことを説明するにいたしましても、たとえば、おととしの春決算委員会へ呼ばれてきたときにも、国鉄の者が私に向かっていわく、委員長、あなたのようなああいう態度で答弁するというようなことがあっては二度とあなたを呼びません、こう言うのです。私は決して倣慢じゃないのです。傲慢じゃないが、ここにいらっしゃる運輸大臣そのほかのような低姿勢でいくということは私はできないのです。(笑声)これをしいてやろうといたしますと、モンキーにかみしもを着せたようなことになる。私にはそういうことは絶対にできない。石田という男はそういう粗野の男で、低姿勢のできない男だということを十分御了解の上で私を見ていただきたいと思います。
 それから、さらに私はいぬ年です。ここにもいぬ年の人がおられると思いますが、どうもいぬ年の通性と申しますか、私はきわめて正直でありますが、ストレートでどっちかというとエチケットというようなことはあまり心得ない。そういうことで決してここに来てうそは申しません。知らぬことは知らぬと言う。それであなた方が私に答弁することのできないような難問を出されたときには、私は頭を下げます。知らぬと言う。そのかわりに勉強してきて次の機会に御説明申し上げますからして、その機会を与えていただきたい。こういうぐあいで決して私はごまかしはせぬ。うそも言わない。誤りはあるかもしれない。その点はどうぞ御承知願いたいと思います。どこまでも私は誠意を持って皆さまに国鉄に関して御答弁を申し上げるつもりであります。どうぞ御了承願いたいと思います。(拍手)
#4
○木村委員長 質疑の通告がありますのでこれを許します。久保三郎君。
#5
○久保委員 新総裁に二、三要望を兼ねてお尋ねするわけです。
 ただいまのごあいさつまことに適切かと思うのです。われわれも粗野の育ちでございまして、回りくどい論理とか、回りくどい話はいまの時代に合わぬと思うのです。そこでむしろお考えになっている点を率直にお述べになることが一番大事かと思うのです。私もそういうつもりでおりますので、今後ともどうぞよろしく。
 そこで前総裁のことをこの席で持ち出すのはいかがかと思うのでありますが、忘れもしませんが、ちょうど一年前の本日くらいだと思うのですが、御案内の三河島事故が起きまして、その直後当委員会でいろいろ質疑応答がかわされて、その際私から、現在の国鉄の実態からいって、たとえばいまの予算規模あるいは経理の状態、そういうところからいって、安全輸送にこれで十分と言い得ますかというお尋ねをしたわけです。ところが前総裁はそのとき、十分ではないというお答えがありました。しかし、その直後また前言を取り消されまして、実はただいまの答弁は誤りであるというようなことばを申された記憶がよみがえるわけであります。そういうことは国鉄のためにも、国民のためにもならぬと私は思うのであります。ただいまのごあいさつを聞きまして、私はそういうことはない、こういうふうに確信しておりますので、どうぞそのおことばどおり、国会においても、どこにおいても、所信のほどは率直にお述べいただきたい、こういうふうに考えております。
 そこで二つほど御要望を兼ねてお尋ねするわけでありますが、何といっても石田総裁は、長年、六年間も国鉄の経営の分析というか、そういうものについておやりになって一見識をお持ちのようでありますので、われわれからいろいろ申し上げる必要はないと思いますが、しかしその分析ができても、いわゆる公共企業体としての国鉄、なるほど文字に書けば正確に書けるのでありますが、中身はしごくあいまいであるというところに今日の国鉄のいろいろな問題の根本的な原因があることは新総裁も御案内のとおりであります。ついてはその性格をきっちりするということが一つだと思うのです。これは法制的にも財政的にも機構的にも非常に問題が多いかと思うのでありますが、いままで前総裁がいろいろそういうところを指摘しながらも、今日まで何ら前進がなかったことも事実であります。ついては勇猛果敢というか、粗野というか、そういう立場から、率直にこれからメスを入れることと思いますが、ぜひ新しい観点から、新総裁は国鉄の正しい時代に合った性格を解明し、それに応じたところの政策をとるようにこの際御努力いただきたいと思うのでありますが、この点いかがでございますか。
 それからもう一つは、いま国鉄で一番大事なのは、施設の面でもいろいろな問題がございますが、しかし何といっても人間関係がやはり最も大事かと私は思います。御案内のとおり、国鉄の労使の関係は、ともすればこの両三年というもの冷たいすき間風が入っていることも御承知かと思います。この冷たいすき間風がある限りは、残念ながら、いわゆる四十五万といわれる職員が上下一致して国民の要望にこたえることは、なかなか困難な面があろうと私たちは思います。ついてはその人間関係をどう密着させるかについても、ひとつ新総裁は力点を置いて御解決をいただきたい、かように考えるわけでありますが、いかがでございますか。
 以上、お尋ね申し上げます。
#6
○石田説明員 お答えいたします。
 まず第一に、人の問題から申し上げます。人の問題と申せば、国鉄の経費の五割以上というものは人件費であります。この人件費の増というものは収入の増以上である。それが主となりまして、国鉄というのは、いま年々の傾向といたしましては、収入より支出の方が多い、こういうことでずっといくということになりますと、これは大へんなことになるということで、この間諮問委員会の報告もごらんになったと思いますが、四十五年になりましたときの形というものは大へんなことになります。何とかくふうしなければならぬということ。それに関して、もう国鉄の公共企業体としての一体いまの構成がいいかどうか。これは公共企業体として私は全然これは変える必要はないと思います。公共企業体でよろしい。よろしいが、いまの悪いところを直して、もう少し国鉄に自主性を与えることが必要じゃないか。しかし、こういうような根本問題につきましては、私が就任早々どうするということはできませんので、おもむろに検討を加えて、理事の皆さんの御参考に供したい。われわれにしたってその決意というものは持たなければならぬと思います。
 それから人の問題でありまするが、御承知のとおり、国鉄というものは輸送力をとことんまで使っておる。むしろ過度に使っておる。その結果、この前の三河島の事件のときあたり、労働組合あたりが主張しているところは、運転士を酷使しているんだ、たとえば三河島のごとき、往復二百二十本やっている、普通はスタンダード百二十本、しかもその二百二十本を、いわく特急あり急行あり準急あり、のろ行あり貨物列車あり、普通、たとえば中央線のラッシュアワーに走らせる列車のごとき、同じような種類の、同じようなスピードの列車であるなら二分間隔でもよろしい、けれども、そういうあらゆる種類の、あらゆるスピードの車をやるというのに、百二十本というスタンダードに対して二百二十本やっている。これは実にきつ過ぎる。このきつ過ぎる運転をやらなければならぬ立場に立たされているのが現在の国鉄であります。フランスあたりの技術者が日本へ来て、日本の国鉄というのはまさに軽わざだと言う。軽わざ芸ということは何かといえば、軽わざ師がやっておる。だれがやるかといえばつまり現業員がやっておる。そこで、このむずかしい芸当をやるためには非常な指導、訓練というものが必要である。これはちょうどいい機会ですから皆さんにひとつお考え願いたいと思うのですが、この輸送力に余裕をつけるということは、いまの日本の財政の力をもってしては私はできないと思う。このできないものをできるようにしてくれといったって、これはもうしようがない。また、するにしても非常な年月がかかる。その間は軽わざ芸でもわれわれは技量をひとつみがいて大いに間違いのないようにやっていくということがわれわれの使命だと考えております。そこで組合というものの協力を求めなければならぬ。組合のほうも人命をひとつ尊重して、そうしてまた、奉仕の精神を発揮して、とにかく苦しくてもやる。終戦前における国鉄の指導訓練というものはなかなかようやっておった。終戦後においてはうまくいかぬ。なぜうまくいかぬかというと、十分の指導訓練をやるためには十分以上のあれがなければいかぬ。その結果はいわゆる人事の問題にひっかかってくる。いままでは機関区長一人の指導者のもとにやっておったものが、そこにあらわれ出たるものは組合だ。二君に仕えてやるのは不可能です。人は二人の主君に仕うるあたわず。そこでつまり指導訓練というものの弛緩がきた。そこに軽わざ芸にひびが入った。三河島事件のごときまさに私はこの事例だと思う。これは、組合はひとつこの点を考えてくれ、私は国鉄総裁としてとにかくこの四十五万の国鉄人の福祉を考える。これは私の重大なる責任問題です。できるだけやらなければいかぬ。しかし実に苦しい予算のもとにやらなければならぬ。これについてはあなた方も多少責任があるだろうと私は思う。この苦しい予算のもとにやらなければならぬだけに、給与だって思うようにできない。できない結果は、組合としては、これはもう私はある程度までやむを得ぬと思うが、いろいろな労働運動が起こってくる。そこで私は組合にこいねがうことは、やるなら堂々とやれということだ。スポーツマンライクにやれ、しかしお行儀の悪いことはいかぬ、どういうことがお行儀が悪いかというと、信号所の不法占拠その他レールの上にすわり込む、そのほか法に触れるようなあれはいかぬ、組合の権威に関するということで、これはあなた方もその点をひとつお考えいただいて、ほんとうにひとつ組合というものの御指導を願いたい、これが私の希望なのです。大体そんなことでよろしゅうございますか。
#7
○久保委員 私がお尋ねしておるのは、なるほど総裁としての組合というか、そういうことの見方もあるでしょうが、それは一面の見方でありまして、それは否定はしません、一面はそうでしょうが、しかし、私が言いたいのは、そういう、あなたが堂々でないという行動をなぜとるかということです。そういう問題は、少なくとも人間関係としていわゆるスポーツとしてやり得ないようなすき間風が入っているからだということもぜひ考えていただきたい。たとえば、新総裁はおわかりになっているかどうかわかりませんけれども、労働組合は、たとえば一つの企業体なら一つであるべきなんだ、ところが国鉄の内部には、七つとか八つとかいろいろな組合がたくさんあるそうで、それがいままでの国会を中心にした組合の問題になったりして、非常に無用な摩擦を起こしておるわけです。そういうことで、いわゆる人間関係として確立してない、いわゆる上下と言っては語弊があるが、管理者と従業員との間のすき間風がある。信頼性がない。そこにいろいろな問題が起こることもこれは否定し得ない事実だと思う。そういう点について、これは新しい陣容のもとにおやりになるのでありましょうから、そういう面を十分考えないと、あなたのおっしゃるようないわゆる正々堂々でない行為も今後続くであろうことをやはり心配するわけですから、こういう点、ぜひこの際しさいに点検して、そういう姿勢は改めていただくように御指導いただきたい、かように思います。
 本日はいずれにしてもこの程度で終わります。
#8
○木村委員長 次会は明二十二日午前十時より委員会を開会することといたし、本日はこれにて散会いたします。
   午前十時五十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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