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1962/09/01 第41回国会 参議院 参議院会議録情報 第041回国会 本会議 第9号
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1962/09/01 第41回国会 参議院

参議院会議録情報 第041回国会 本会議 第9号

#1
第041回国会 本会議 第9号
昭和三十七年九月一日(土曜日)
   午後五時五十一分開議
  ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第九号
  昭和三十七年九月一日
   午前十時開議
 第一 千九百六十年及び千九百六十
  一年の関税及び貿易に関する一般
  協定の関税会議に関する二議定書
  等の締結について承認を求めるの
  件(衆議院送付)
 第二 通商に関する日本国とニュー
  ・ジーランドとの間の協定を改正
  する議定書の締結について承認を
  求めるの件(衆議院送付)
 第三 公有林野の整備拡充に関する
  請願(二件)
 第四 傾斜二十度をこえる農地の災
  害復旧施策に関する請願(二件)
 第五 ホップの価格引上げに関する
  請願(二件)
 第六 営農改善資金に対し利子補給
  措置継続等に関する請願
 第七 福岡県の昭和三十七年七月の
  集中豪雨による農作物等の被害対
  策に関する請願
 第八 福岡県外三県の昭和三十七年
  七月の集中豪雨による被災漁家救
  済対策に関する請願
 第九 果樹農業の保護育成に関する
  請願(九件)
 第一〇 原料乳の安定基準価格改定
  等に関する請願
 第一一 霞ケ浦及び北浦における湖
  岸堤防整備促進に関する請願
 第一二 農業構造改善事業に関する
  請願
 第一三 日本酪農講習所の施設近代
  化に関する請願
 第一四 水産物の流通改善及び魚価
  対策確立に関する請願
 第一五 第三次漁港整備事業に関す
  る請願
 第一六 農業近代化資金に対する子
  補給率増額に関する請願
 第一七 農業近代化のための長期低
  利資金確保等に関する請願(四
  件)
 第一八 国有林野解放に関する法的
  措置の請願
  一九 青森県の昭和三十七年干害
  応急対策事業費国庫助成に関する
  請願
 第二〇 バナナ輸入自由化延期に関
  する請願(四件)
 第二一 海外移住の推進及び援護対
  策に関する請願
 第二二 日ソ近海漁業の安全操業確
  立に関する請願
 第二三 中小企業工場集団化に対す
  る国庫補助融資率引き上げの請願
 第二四 防犯燈に対する電気料金引
  下げ等に関する請願
 第二五 公共料金値上げ反対に関す
  る請願
 第二六 宮崎県日向延岡地域の新産
  業都市建設促進法適用地域指定に
  関する請願(三件)
 第二七 東京都城北地帯工業用水道
  の緊急整備に関する請願
 第二八 商工会の経営指導員等の補
  助対象制限撤廃に関する請願
 第二九 中小企業団地化資金に関す
  る請願
 第三〇 霞ケ浦放水路、利根川下流
  改修工事促進に関する請願
 第三一 公営住宅建築基準単価引上
  げ等に関する請願
 第三二 新道路整備五箇年計画改定
  等に関する請願
 第三三 東北自動車道の早期建設に
  関する請願
 第三四 国道一号線拡幅早期実現に
  関する請願
 第三五 一級国道五十一号線等整備
  促進に関する請願
 第三六 一級国道新潟平線中郡山、
  会津若松両市間道路の改修工事施
  行に関する請願
 第三七 国道十九号線中木曽地区改
  修工事促進に関する請願(二件)
 第三八 主要地方道石岡潮来線等整
  備促進に関する請願
 第三九 恩給法第七十五条第三号に
  規定する扶助料受給者の特別加給
  に関する請願(三件)
 第四〇 傷病者の増加恩給等是正に
  関する請願
 第四一 恩給法の一部改正に関する
  請願
 第四二 旧令による共済組合等から
  の年金制度に関する請願
  ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、産業投資特別会計法の一部を改
  正する法律案
 一、郵政省設置法の一部を改正する
  法律案
 一、日程第一 千九百六十年及び千
  九百六十一年の関税及び貿易に関
  する一般協定の関税会議に関する
  二議定書等の締結について承認を
  求めるの件
 一、日程第二 通商に関する日本国
  とニュー・ジーランドとの間の協
  定を改正する議定書の締結につい
  て承認を求めるの件
 一、日本放送協会昭和三十五年度財
  産目録、貸借対照表及び損益計算
  書並びにこれに関する説明書
 一、日程第三乃至第二十の請願
 一、日程第二十一及び第二十二の請
  願
 一、日程第二十三乃至第二十九の請
  願
 一、日程第三十乃至第三十八の請願
 一、日程第三十九乃至第四十二の請
  願
  ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
   ――――・――――
#3
○議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。
 この際、日程に追加して、
 産業投資特別会計法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。まず、委員長の報告を求めます。大蔵委員長佐野廣君。
  〔佐野廣君登壇、拍手〕
#5
○佐野廣君 ただいま議題となりました産業投資特別会計法の一部を改正する法律案について、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 前国会においては、いわゆるガリオア援助債務の最終的処理をはかる「日本国に対する戦後の経済援助の処理に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定」が承認され、また、同協定に基づく対米債務の第一回賦払いにかかる予算、並びに、産業投資特別会計の投資財源とするための一般会計からする繰り入れにかかる予算についても承認がなされたのでありますが、この二点について所要の整備をはかる産業投資特別会計法を改正する法律案は審議未了となりました。
 本案は、この前国会の法律案と同じものでありまして、
 改正の第一点は、「日本国に対する戦後の経済援助の処理に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定」に基づいて、政府が合衆国政府に対して負うこととなる債務を、米国対日援助見返資金特別会計廃止の際その資産を承継した産業投資特別会計の負担とし、債務の元金四億九千万ドル相当額の千七百六十四億円を資本から債務に振りかえる等の措置を行ない、債務の元利金の支払いを歳出として経理しようとするものであります。
 第二点は、産業投資特別会計の昭和三十七年度における日本輸出入銀行等に対する投資財源の一部に充てるため、同年度において二百三十億円を限り、一般会計からこの特別会計に繰り入れができることとしようとするものであります。
 本案は、今国会の最重要法案と称せられたものでありまして、去る八月十五日、本会議における趣旨説明の後、委員会におきましては、特に慎重を期し、六回にわたり、熱心に政府当局並びに参考人に対し質疑がなされたのであります。
 おもなる質疑点を申し上げますと、いわゆるガリオア援助債務を産業投資特別会計で支払うこととした根拠は何か。返済金の使途を明らかにすべきではないか。また、その使途は純粋な経済援助とする確約があるのか。対日援助のアメリカの提示額十九億五千四百万ドルとわが国の提示額十七億九千五百万ドルはいかに算出されたか、また、両者の間に一億六千万ドル近い開きがありながら、債務額を確定した間の経緯はどうか。昭和二十四年三月以前の貿易の実情、貿易資金特別会計の収支の実情はどうであったか、また、この間の商業物資及び援助物資の売り払い代金千四百九十五億円はいかに消費されたか。SP、BCOFといわれる物資の性格、価格の定め方、代価支払いの事情はどうであったか。そのほか、産業投資特別会計及び財政投融資の原資対策、日本開発銀行及び日本輸出入銀行の原資対策、海運企業対策等でありますが、その質疑応答の詳細は会議録によって御承知を願います。
 質疑を終わり、討論に入りましたところ、大矢委員より、「第一に、特に昭和二十四年三月以前の貿易や援助の内容が不明確であり、阿波丸請求権の放棄等から見て、贈与として受け入れられたものである。第二に、わが国は膨大な占領費を負担しており、また、貿易の実態からしても、債務は支払い済みである。第三に、対米債務の負担は産業投資特別会計の原資不足を招くものである。第四に、対米債務の支払いは、外貨蓄積、国際収支に悪影響を与えるものである。第五に、これら特殊債務の支払いは別の会計で行なわれるべきである。以上の諸点から本案に反対する。」との意見が述べられ、柴田委員より、「審議の過程において本案の妥当性は明らかになったところであり、多数国民の感情に沿い、また、国際信義を高めるものである。また、投資財源の補充措置は時宜を得たものである等の理由で本案に賛成する。」との意見が述べられ、永末委員より、「ガリオアは、戦後の飢餓状態下に、アメリカの余剰物資を押し着せでもらったものであり、貿易資金特別会計は、アメリカ占領軍の運用により、その後の見返り資金はその承認の限度で運用され、このような状況下での完全な債務性は認められない。また、これを支払うについても、産業投資特別会計で行なうことは、全く異質のものを含むことになるので、賠償会計で行なうべきである。審議過程で本会計の運用原則が明らかにされず、財政投融資に対する国民の監視が行き届かず、さらに、異質のものの受け入れにより、一そうあいまいにするおそれがある等の理由から、本案に反対する。」との意見が述べられました。
 次に、渋谷委員より、「対日援助物資の債務性については、米国政府の主張もあり、すでに前国会においてその意思が確定している以上、国際信義を守る上からいっても、また、今後日米両国の信頼を高めていかなければならない点からいっても、支払いを行なうことは当然である。しかし、その支払い方法については、国民に対し、二重払いの疑義を残さないよう留意すべきである。」との要望を付して賛成意見が述べられ、次に、鈴木委員より、「対日援助を債務と認めて支払うことは、根本的に日本民族の利益に反し、東アジアの平和と安全に本質的な危険性を持つものである。当時の援助は、アメリカの完全な管理貿易下にあり、その代金は貿易上の補給金としてアメリカに吸い上げられ、対日支配強化推進のための資金として利用されたものである等の理由から本案に反対する。」との意見が述べられました。最後に、大竹委員より、「債務性については、アメリカの占領政策の意図から見て、今日なお疑念はあるが、占領下であったこと、また、生きるに精一ぱいであった当時の食糧事情から見て、この援助に対する当時の感謝の気持をすなおに受け取って支払いを行なうことが妥当である。また、日米文化交流を拡大すること及び今後の海運対策について十分な配慮をすることを要望して、本案に賛成する。」との意見が述べられました。
 かくして討論を終わり、採決の結果、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 右御報告申し上げます。(拍手)
#6
○議長(重宗雄三君) 本案に対し討論の通告がございます。発言を許します。柴谷要君。
  〔柴谷要君登壇、拍手〕
#7
○柴谷要君 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま上程されました産業投資特別会計法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行なわんとするものであります。
 本法案は、ただいま大蔵委員長の報告のごとく、産業投資特別会計法の一部を改正することによって、さきに成立した「日本国に対する戦後の経済援助の処理に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定」に基づく債務を、産業投資特別会計資金のうち見返資金特別会計からの承継資産の運用益をもって返済せんとするものであります。
 私は、この法案の審議にあたり、政府の外交政策に対し重大な疑義を感じて参ったのであります。かつて南ベトナム賠償にあたって、「鶏三羽で二百億」と言われたり、借款として供与すべきタイ特別円問題解決に関する協定を突如として九十六億円の贈与にかえた事実、そして、今また、韓国に対する三億ドル、千八十億を支払おうとする態度等々を思い浮べるとき、一体、総理並びに与党の諸君は、貧乏にして忠実なる日本国民の利益を何と心得ているのか。アメリカとその同盟国に対する利益をはかるためには、国民にはなはだしい犠牲を押しつけながら、いわれなき支払い外交を続けるやり方に対し、国民の圧倒的多数は、あぜんたる状態であります。(拍手)それにもかかわらず、今回またもやガリオア・エロア返済協定を締結して、債務性なき援助物資代金四億九千万ドル、邦貨換算千七百六十四億円、利子を加えて五億七千万ドル、二千八十五億円を、産投会計法を改正して、米国に対して支払おうというのであります。
 以下、反対理由を申し述べたいと存じます。
 まず第一に、本法案改正の前提をなすガリオア・エロア援助の債務性については、積極的にこれを肯定する証明は何一つないという点であります。まず、ガリオァ・エロア援助を受けた当初、国民だれ一人として無償贈与であることを疑いを持ったものがいたでありましょうか。さればこそ、家畜や鶏のえさとして与えらるべき食糧に対しても感謝したのであります。国会の無条件の感謝決議が物語っているではありませんか。あの原子爆弾に対する損害賠償や阿波丸請求権を放棄したのも、このような国民感情を背景に行なわれたのであります。また、取引の不可欠の要素であり債務の基礎になる価格の表示すらなかったという事実、援助の総額すら明白なものがなかった事実等々は、債務性を否定する有力な根拠でありましょう。
 総理御自身が、昭和二十四年大蔵大臣当時、ガリオア・エロアが援助か債務かは平和条約によってきまるとお答えになりました。にもかかわらず、平和条約においては、これを債務とする何らの取りきめがないことは、条約の条文の厳密な解釈と国際法及び国際慣習の原則に従って判断すれば、あまりにも明瞭であります。したがって、占領終結とともに返済問題も解決済みと見るべきが至当でありましょう。本来ガリオア・エロア援助が債務たらざることは、当時、日本がアメリカの占領下にあり、絶対権力者と支配者の立場にあったのであります。本来、自由対等の関係にのみ成立することの可能な債権債務の発生の余地なき国際的地位にあったことは重要な点であります。
 しかも、ガリオア・エロア援助は、外国地域における占領に関し、アメリカの責任と義務に応ずるため必要な経費の支出であり、砕いていえば、占領地域住民の飢餓や病気による社会不安と混乱から、占領軍を守るための民生品の最小限度の供給にほかならなかったのであります。このことは、ヘーグ陸戦法規四十三条を援用するまでもなく、占領軍の必要と義務に基づく援助であったことを示すものであります。債務性をしいて求めれば、一九四六年七月二十九日、食糧輸入について一般指令に関する総司令部の覚書でありましょう。その中に「支払い及び経理の条件を後に決定する」という文言がございます。正しくこれを解決するならば、これが積極的にガリオア・エロア援助の債務性を証拠立てるものでは全くありません。しかも、この覚書は、講和会議のときまでが少なくとも常識的には有効であって、講和会議の際に処理さるべきであり、自後はその効力を失うとするのが、きわめて自然の考え方でありましょう。さらに阿波丸請求権放棄の際の了解事項において、「占領費並びに日本の降伏のときから米国政府によって与えられた借款及び信用は、日本国が米国政府に対して負っている有効な債務であり」を理由に債務性を立証しようとするが、借款は、協定を締結し、総額、返済方法を明記したものであり、信用とは延べ払いであり、ガリオア・エロアを対象にした了解事項でないことは明白でありましょう。
 かくのごとく見て参ります場合、ガリオア・エロア援助を債務だとする何らの根拠はなく、これを裏づけするがごとき発言を、二十八年七月七日、衆議院予算委員会において吉田首相が行なっているのであります。「法的債務ではないが、独立国民の名誉心から、終戦後の食糧難を救ってもらった援助は返したい」と言われているのであります。このことによって債務性が生まれたとするならば、国民と国会は、これに拘束され、義理立てをする理由は全くないのであります。
 第二に、かりに百歩譲って債務性ありとするも、今回このような形で返済することは、米国に対して二重払いとなるという不当を免れることはできないと思うのであります。昭和二十四年四月二十五日、一本の為替レートが設置されるまで、また、同年三月末までの日本とアメリカとの輸出入の数字は、連合軍管理下における統計によって見るも、輸出六億五千万ドル、輸入十七億四千万ドル、うち商業物資輸入五億四千三百万ドル、援助物資輸入十一億九千七百万ドルであり、通産省の計算は八億四千七百万ドルとしているのであります。当時は、一本レートではなく、輸出円安、輸入円高の不等価交換が行なわれ、輸出にあたっては、一ドルを得るために三百四十円の品物を売り、輸入にあたっては一ドルをもって百六十円相当の品物しか手に入らなかったのであります。すなわち、米国による日本製品の買いたたきが行なわれ、この結果、米国及び米国商社は、たっぷりもうけたのであります。ひどいものになると、一ドルで六百円の品物が買われたのであります。すなわち、等価交換が行なわれたとするならば、輸出六億五千万ドルは当然二倍以上に売られたはずであり、十三億ドル以上となり、輸入十七億四千万ドルは、半分の価値と見れば八億七千万ドル以下となり、差引四億ドル以上の受け取り分が出たはずであります。さらに、われわれは、長い米軍の占領を通じて、終戦処理費として、占領軍維持のために必要なる施設及び物資を調達するために、特に朝鮮戦争の必要を満たすために、ポツダム宣言の被占領国として負担する終戦処理費の範囲を越えて、四十七億ドルを負担しているではありませんか。これは援助額の二倍以上の額であります。政府の出した「国の予算」昭和二十六年版の数字をかりて見るも、十四億四千万ドル、邦貨五千二百三億円を支払っている事実こそ、まさに対米二重払いでなくて何でありましよう。
 さらに、米国が、その占領中において、ガリオア・エロア援助政策を通じて、日本を経済的にも政治的にも米国の従属的地位に組み込むことができた以上、ガリオア・エロア援助の支払いを求めたことは、アメリカのために惜しむべきことであります。
 以上の経過を見て参りますならば、今回、産業投資特別会計法を改正して支払おうとする債務返済こそ、さきに申し上げたごとく、豊かな米国に対し貧しい日本国民の分不相応な贈与とも言うべきものでありましょう。これこそドル防衛に対する忠実なる協力にほかならないでありましょう。
 第三に、政府は、債務については非常に忠実でありながら、債権については消極的な態度を持ち続けてきたということであります。たとえば、昭和二十四年のいわゆるスキャッピンによる占領軍家族住宅の二千戸建設の緊急指令に基づく建設費二千万ドル、七十四億九百万円について、それを三分の一に減額されながら、うのみとし、しかもその後無償で貸し与えている事実についても、見のがすわけには参りません。
 このような事実を見るならば、今回の返済は二重払いの方向にあることは明瞭であると思うのであります。
 さらに、それのみか、返済支払いによって産投会計を圧迫し、財源を窮屈にし、そのために、一般会計より繰り入れなければ、資金需要の盛んな開発銀行、輸銀、農林漁業、中小金融三公庫等の融資源の圧迫を通じて、二重三重の犠牲と負担を国民はしいられるのであります。
 本会計は、もとより産業投資の特別会計であります。本会計の資金は、見返り資金の承継資産、緊要物資輸入基金特別会計からの承継資産、一般会計からの繰入金等によって構成されて、これらの原資とその貸付による元利回収金の運用によりまして行なわれてきたのでありますが、昭和三十一年度以降は産投会計の機能は出資中心に切りかえられておりますので、おのずから減少しつつあるのであります。また、開銀よりの返済分も、海運の不況、炭鉱関係の焦げつき等で、頭打ちの状態にあります。このとき、本会計に二千八十五億円の対米債務の支払いを義務づけることは、本会計を構造上より大変革を与えることになり、産業投資の機能を明らかに阻害するものであり、なぜ本会計にこのような負担を負わしめるのか、全く理解に苦しむものであります。
 第四の反対理由は、今回の返済支払い財源を産投特別会計に求めたことが、特別会計に定めた財政法第十三条の原則を無視した財政会計の秩序を乱すという点であります。産業投資特別会計法の第一条は、「経済の再建、産業の開発及び貿易の振興のために国の財政資金をもって投資を行うため、」設置した旨、明らかに定めているのであります。一体、対日援助物資に対する返済支払いと、第一条の経済再建、産業開発、貿易振興に対する投資と、いかなるかかわりがあるのでありましょうか。全く異質の歳出を産投会計に持ち込むことによって、産投会計設置の目的をスポイルするばかりでなく、財政法第十三条二項の「国が特定の事業を行う場合、特定の資金を保有してその運用を行う場合その他特定の歳入を以て特定の歳出に充て一般の歳入歳出と区分して経理する必要がある場合に限り、法律を以て、特別会計を設置するものとする。」という規定に、明らかに反するのであって、財政法秩序破壊の暴挙と言わなければならないのであります。(拍手)政府がかかる措置をあえてなしたことは、本来債務でないものを債務とし、二重払いを二重払いでないと強弁する立場からであろうが、われわれは、財政憲法ともいうべき財政法に対する、かくも明らかな違反を、許すわけには参らないのであります。政府がどうしてもアメリカに、ガリオア・エロア援助に対する返済をしたいならば、賠償等特殊債務処理特別会計によって支払うべきが、正しい筋でありましょう。かつて、この法律が提案された際の政府代表の答弁の中にも、他日ガリオア・エロアを返済するがごとき場合があれば、本会計をもって処理される旨、明らかにされているのであります。
 さらに、英連邦軍の払い下げ物資も、ガリオア・エロアと同質の援助にあるにもかかわらず、一般会計から、あるいは平和回復善後処理費ないし賠償等特殊債務処理会計からと、猫の目の変わるように、御都合主義、便宜主義が払っているではありませんか。対米債務の二重払いを行ないながら、二重払いの印象だけを避けようとした政府の苦肉の策は、目にあまるものであります。タイ特例円解決において、借款を贈与と書きかえて平然たる政府の解釈をもってすれば、かかるあやまちは、あえて問うところではないのかもしれません。しかしながら、血税を納める国民の目をごまかすことは、国民大衆が見破ることでありましょう。政治の姿勢を正すとは、総理愛用のお言葉でありますが、真に総理がそのことをなさんとするならば、まずこの点を正すことから始めなければなりません。
 以上申し述べたごとく、あらゆる角度より検討した結果、産業投資特別会計法の一部を改正する本法案には断じて賛成するわけには参りません。政府は、今こそ勇断をもって本法案を撤回され、国民の利益を守る政治の正しい姿に戻られるよう、国民の名において強く要求いたしまして、私の反対討論を終わります。(拍手)
#8
○議長(重宗雄三君) これにて討論の通告者の発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。
 これより本案の採決をいたします。
 本案全部を問題に供します。表決は記名投票をもって行ないます。本案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行ないます。
  〔議場閉鎖〕
  〔参事氏名を点呼〕
  〔投票執行〕
#9
○議長(重宗雄三君) 投票漏れはございませんか。――投票漏れないと認めます。投票箱閉鎖。
  〔投票箱閉鎖〕
#10
○議長(重宗雄三君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
  〔議場開鎖〕
  〔参事投票を計算〕
#11
○議長(重宗雄三君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数      二百八票
  白色票       百四十票
  〔拍手〕
  青色票       六十八票
  〔拍手〕
 よって本案は可決せられました。(拍手)
     ―――――・―――――
  〔参照〕
 賛成者(白色票)氏名     百四十名
      森 八三一君    渋谷 邦彦君
      長谷川 仁君    林   塩君
      鬼木 勝利君    石田 次男君
      野知 浩之君    園木  登君
      大竹平八郎君    鈴木 一弘君
      中尾 辰義君    森部 隆輔君
      青田源太郎君    赤間 文三君
      加賀山之雄君    北條 雋八君
      増原 恵吉君    鈴木 恭一君
      堀本 宜実君    奥 むめお君
      高瀬荘太郎君    柏原 ヤス君
      上原 正吉君    古池 信三君
      松平 勇雄君    最上 英子君
      小林 篤一君    小平 芳平君
      岡崎 真一君    三木與吉郎君
      村上 義一君    佐藤 尚武君
      野田 俊作君    木暮武太夫君
      太田 正孝君    笹森 順造君
      中上川アキ君    二木 謙吾君
      山崎  斉君    丸茂 重貞君
      源田  実君    栗原 祐幸君
      熊谷太三郎君    久保 勘一君
      川野 三暁君    天埜 良吉君
      石谷 憲君    植垣弥一郎君
      井川 伊平君    鹿島 俊雄君
      村上 春藏君    仲原 善一君
      中野 文門君    豊田 雅孝君
      天坊 裕彦君    竹中 恒夫君
      鈴木 万平君    西田 信一君
      鍋島 直紹君    山下 春江君
      武藤 常介君    館  哲二君
      佐藤 芳男君    青柳 秀夫君
      平島 敏夫君    田中 茂穂君
      堀  末治君    藤野 繁雄君
      新谷寅三郎君    西郷吉之助君
      紅露 みつ君    木内 四郎君
      杉原 荒太君    小沢久太郎君
      大野木秀次郎君    寺尾  豊君
      植竹 春彦君    黒川 武雄君
      西川甚五郎君    井野 碩哉君
      重政 庸徳君    日高 広為君
      大谷 贇雄君    上林 忠次君
      田中 啓一君    野上  進君
      温水 三郎君    木島 義夫君
      岸田 幸雄君    谷村 貞治君
      山本  杉君    川上 為治君
      米田 正文君    谷口 慶吉君
      徳永 正利君    北畠 教真君
      金丸 冨夫君    前田佳都男君
      松野 孝一君    柴田  栄君
      大谷藤之助君    江藤  智君
      稲浦 鹿藏君    石井  桂君
      吉江 勝保君    塩見 俊二君
      井上 清一君    岡村文四郎君
      加藤 武徳君    剱木 亨弘君
      小林 武治君    高野 一夫君
      吉武 恵市君    高橋  衛君
      草葉 隆圓君    石原幹市郎君
      小柳 牧衞君    中山 福藏君
      杉浦 武雄君    林屋亀次郎君
      郡  祐一君    安井  謙君
      高橋進太郎君    青木 一男君
      鹿島守之助君    木村篤太郎君
      野本 品吉君    村山 道雄君
      鳥畠徳次郎君    櫻井 志郎君
      田中 清一君    佐野  廣君
      後藤 義隆君    林田 正治君
      横山 フク君    白井  勇君
      宮澤 喜一君    斎藤  昇君
      下村  定君    湯澤三千男君
    ―――――――――――――
 反対者(青色票)氏名     六十八名
      市川 房江君    矢山 有作君
      野々山一三君    柳岡 秋夫君
      瀬谷 英行君    稲葉 誠一君
      吉田忠三郎君    渡辺 勘吉君
      林  虎雄君    豊瀬 禎一君
      鶴園 哲夫君    山本伊三郎君
      武内 五郎君    柴谷  要君
      小柳  勇君    大矢  正君
      占部 秀男君    鈴木  壽君
      光村 甚助君    大河原一次君
      大和 与一君    大倉 精一君
      椿  繁夫君    米田  勲君
      田中  一君    藤原 道子君
      木村禧八郎君    永岡 光治君
      松澤 兼人君    阿具根 登君
      岩間 正男君    須藤 五郎君
      鈴木 市藏君    小林  武君
      松本 賢一君    佐野 芳雄君
      杉山善太郎君    高山 恒雄君
      中村 順造君    安田 敏雄君
      千葉千代世君    永末 英一君
      基  政七君    北村  暢君
      横川 正市君    鈴木  強君
      藤田藤太郎君    相澤 重明君
      田上 松衞君    向井 長年君
      伊藤 顕道君    秋山 長造君
      久保  等君    藤田  進君
      加瀬  完君    田畑 金光君
      岡  三郎君    成瀬 幡治君
      中田 吉雄君    中村 正雄君
      村尾 重雄君    千葉  信君
      近藤 信一君    加藤シヅエ君
      岡田 宗司君    松本治一郎君
      吉田 法晴君    羽生 三七君
   ――――・――――
#12
○議長(重宗雄三君) この際、日程に追加して、
 郵政省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#13
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長村山道雄君。
   〔村山道雄君登壇、拍手〕
#14
○村山道雄君 ただいま議題となりました郵政省設置法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、郵政省に人事局を新設することを主たる内容とするものであります。
 委員会における質疑の詳細は、会議録に譲りたいと存じます。質疑を終わり、別に討論もなく、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#15
○議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#16
○議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。
   ――――・――――
#17
○議長(重宗雄三君) 日程第一、千九百六十年及び千九百六十一年の関税及び貿易に関する一般協定の関税会議に関する二議定書等の締結について承認を求めるの件、
 日程第二、通商に関する日本国とニュー・ジーランドとの間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件、
  (いずれも衆議院送付)
 以上両件を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#18
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。まず、委員長の報告を求めます。外務委員長岡崎真一君。
  〔伊藤顕道君登壇、拍手〕
#19
○伊藤顕道君 ただいま議題となりました日本放送協会昭和三十五年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書について、逓信委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本件は、放送法第四十条の規定に基づいて、会計検査院の検査を経て、内閣より国会に提出されたものであります。
 日本放送協会の昭和三十五年度末の資産総額は二百六十六億四百余万円、負債総額は百四十二億五千八百余万円であります。
 次に、三十五年度の損益計算は、事業収入総額三百二十四億三千五百余万円、事業支出総額二百八十五億一千三百余万円でありまして、差引三十九億二千二百余万円の剰余となっております。これらについての詳細は説明書によってごらん願いたいと存じます。
 本件に対する会計検査院の検査の結果報告は、「記述すべき意見はない」というのであります。
 逓信委員会は、本件について、郵政当局及び日本放送協会につき質疑を行ない、慎重審議の結果、多数をもって、本件については、異議がないものと議決した次第でございます。
 右御報告申し上げます。(拍手)
#20
○副議長(重政庸徳君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 本件全部を問題に供します。本件は委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#21
○副議長(重政庸徳君) 過半数と認めます。よって本件は委員長報告のとおり決せられました。
   ――――・――――
#22
○副議長(重政庸徳君) 日程第三より第二十までの請願を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#23
○副議長(重政庸徳君) 御異議ないと認めます。まず、委員長の報告を求めます。農林水産委員長櫻井志郎君。
  〔櫻井志郎君登壇、拍手〕
#24
○櫻井志郎君 ただいま議題となりました公有林野の整備拡充に関する請願外三十四件について、農林水産委員会における審査の経過と結果を報告いたします。
 委員会におきましては、これらの請願を審査の結果、いずれも願意おおむね妥当と認め、これを議院の会議に付し、内閣に送付すべきものと決定いたしました。
 右御報告申し上げます。(拍手)
#25
○副議長(重政庸徳君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 これらの請願は、委員長報告のとおり採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#26
○副議長(重政庸徳君) 総員起立と認めます。よってこれらの請願は、全会一致をもって採択し、内閣に送付することに決しました。
   ――――・――――
#27
○副議長(重政庸徳君) 日程第二十一及び第二十二の請願を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#28
○副議長(重政庸徳君) 御異議ないと認めます。まず委員長の報告を求めます。外務委員長岡崎真一君。
  〔岡崎真一君登壇、拍手〕
#29
○岡崎真一君 ただいま議題となりました請願二件は、外務委員会において審査の結果、いずれも願意おおむね妥当と認め、これを議院の会議に付し、内閣に送付を要するものと決定いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#30
○副議長(重政庸徳君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 これらの請願は、委員長報告のとおり採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#31
○副議長(重政庸徳君) 総員起立と認めます。よってこれらの請願は、全会一致をもって採択し、内閣に送付することに決しました。
   ――――・――――
#32
○副議長(重政庸徳君) 日程第二十三より第二十九までの請願を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#33
○副議長(重政庸徳君) 御異議ないと認めます。まず委員長の報告を求めます。商工委員長赤間文三君。
  〔赤間文三君登壇、拍手〕
#34
○赤間文三君 ただいま議題となりました中小企業工場集団化に対する国庫補助融資率引き上げの請願外八件につきまして、商工委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本委員会におきましては、慎重審査の結果、いずれも願意を妥当なものと認め採択し、これを議院の会議に付し、内閣に送付することを要するものと決定いたしました。
 右御報告申し上げます。(拍手)
#35
○副議長(重政庸徳君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 これらの請願は、委員長報告のとおり採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#36
○副議長(重政庸徳君) 総員起立と認めます。よってこれらの請願は、全会一致をもって採択し、内閣に送付することに決しました。
   ――――・――――
#37
○副議長(重政庸徳君) 日程第三十より第三十八までの請願を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#38
○副議長(重政庸徳君) 御異議ないと認めます。まず委員長の報告を求めます。建設委員長木村禧八郎君。
  〔木村禧八郎君登壇、拍手〕
#39
○木村禧八郎君 ただいま議題となりました請願十件につきまして、建設委員会における審査の経過並びに結果について御報告申し上げます。
 これらの請願は、いずれも国土の開発及び保全に関するものであり、願意おおむね妥当と認め、議院の会議に付し、内閣に送付すべきものと決定いたした次第であります。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#40
○副議長(重政庸徳君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 これらの請願は委員長報告のとおり採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#41
○副議長(重政庸徳君) 総員起立と認めます。よってこれらの請願は全会一致をもって採択し、内閣に送付することに決しました。
#42
○副議長(重政庸徳君) 日程第三十九より第四十二までの請願を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#43
○副議長(重政庸徳君) 御異議ないと認めます。まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長村山道雄君。
  〔村山道雄君登壇、拍手〕
#44
○村山道雄君 ただいま議題となりました請願六件は、いずれも恩給共済関係のものでありまして、内閣委員会におきましては願意妥当と認め、これを議院の会議に付し、内閣に送付すべきものと決定いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#45
○副議長(重政庸徳君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 これらの請願は委員長報告のとおり採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#46
○副議長(重政庸徳君) 総員起立と認めます。よってこれらの請願は全会一致をもって採択し、内閣に送付することに決しました。
 次会は明日午前十時より開会いたします。議事日程は、決定次第、公報をもって御通知いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後六時四十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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