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1962/08/30 第41回国会 参議院 参議院会議録情報 第041回国会 法務委員会 第4号
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1962/08/30 第41回国会 参議院

参議院会議録情報 第041回国会 法務委員会 第4号

#1
第041回国会 法務委員会 第4号
昭和三十七年八月三十日(木曜日)
   午前十時二十九分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     鳥畠徳次郎君
   理事
           後藤 義隆君
           松野 孝一君
           亀田 得治君
           和泉  覚君
   委員
           杉浦 武雄君
           稲葉 誠一君
           大河原一次君
           辻  武壽君
           岩間 正男君
  委員以外の議員
   発  議  者 田畑 金光君
  国務大臣
   法 務 大 臣 中垣 國男君
  政府委員
   法務政務次官  野本 品吉君
   外務政務次官  飯塚 定輔君
   外務省アジア局
   長       伊関佑二郎君
  最高裁判所長官代理者
   最高裁判所事務
   総局総務局長  桑原 正憲君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       西村 高兄君
  説明員
   法務省入国管理
   局次長     富田 正典君
   外務省アメリカ
   局安全保障課長 高橋正太郎君
   外務省移住局長 高木 広一君
   外務省移住局旅
   券課長     志水 志郎君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○会社更生法の一部を改正する法律案
 (田畑金光君発議)
○労働関係訴訟における労働組合の当
 事者適格に関する法律案(田畑金光
 君発議)
○検察及び裁判の運営等に関する調査
 (出入国管理に関する件)
○皇室の尊厳を守るための法律制定に
 関する請願(第八五号)(第二三一
 号)(第三〇八号)
○皇室の尊厳をおかす者を処罰する法
 律制定に関する請願(第一一二号)
 (第一五三号)
○山口地方、家庭両裁判所庁舎新築に
 関する請願第一六四号)(第一七〇
 号)
○東京都台東区の法人商業登記管轄の
 東京法務局台東出張所移管に関する
 請願(第二四五号)
○継続審査要求に関する件
○継続調査要求に関する件
○委員派遣承認要求に関する件
  ―――――――――――――
#2
○委員長(鳥畠徳次郎君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 本委員会に付託されております会社更生法の一部を改正する法律案及び労働関係訴訟における労働組合の当事者適格に関する法律案を議題とし、順次発議者から提案理由の説明を聴取いたします。田畑君。
#3
○委員以外の議員(田畑金光君) 私は、提案理由の説明を申し上げたいと思いますが、最初に、会社の更正法の一部改正案の提案理由の説明を申し上げます。
 ただいま議題となりました会社更生法の一部改正案の提案につきまして、その理由を説明いたします。
 会社更生法は、窮境にあるが再建の見込みのある株式会社について、債権者、株主その他の利害関係人の利害を調整しながら、その事業の維持更生をはかることを目的としております。
 本法におきましては、第百二条によって会社に対して更生手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権は、更生債権と規定しております。この更生債権のうちには、本法第百十九条によって、特に共益債権として、更生手続開始前六カ月間の、会社の使用人の給料、並びに更生手続前の原因に基づいて生じた会社の使用人の預かり金及び身元保証金の返済請求権を含むことを規定しております。
 本法について改正を提案する点は、第一に、この共益債権の範囲内に一定範囲の下請代金を含め、第二に、会社の使用人の退職手当として従来から共益債権に入るものと認められていた範囲を拡大する点にあります。
 第一の改正点は、下請事業者の従業員の生活擁護に資するため、下請代金支払遅延等防止法に規定する下請事業者が親会社から支払いを受けるべき同法規定の下請代金であって、その支払い時期が更生手続開始前三カ月以内であるものを共益債権として認める点であります。現在、下請代金支払遅延等防止法によりまして、親中業者の下請事業者に対する取引の公正化と下請事業者の保護がはかられているのでありますから、国の法律として、会社更生法におきましても、下請代金の保護に当たるのは当然なのであります。この改正によりまして、下請事業者である中小企業者並びにそこで働いている従業員の賃金が正当に保護されるのでありまして、この改正はぜひとも必要なのであります。
 第二の改正点は、更生手続開始前の原因に基づいて生じた会社の使用人の退職手当について、その一部を共益債権として請求することができるようにしたことであります。すなわち、
 (イ) 会社の使用人が更生手続開始前
  に退職したときは、その退職手当
  の額を共益債権として請求するこ
  とができるようにいたしました。
  ただ、この場合におきましても、
  その額が退職当時の給料の月額
  の六倍に相当する額をこえると
  きは、そのこえる額を除くことと
  いたしました。
 (ロ) 会社の使用人で更生手続開始後
  引き続き会社の使用人であった者
  が退職した場合において、その者
  の受け得る更生手続開始後の会社
  における在職期間にかかる退職手
  当の額が、退職当時の給料の月額
  の六倍に相当する額に満たないと
  きは、その不足額に相当する額を、
  更正手続開始前の会社における在
  職期間にかかる退職手当の額のう
  ちから共益債権として請求するこ
  とができることといたしました。
 右の改正は、いずれも退職当時より六カ月の生活を保障するに足る退職手当を共益債権として確保せんとするものでありまして、これも本法第百十九条後段に規定している使用人の権利の確保の精神と一貫する当然の措置であります。
 なお、この二つの改正案は、いずれも公布の日より、周知期間として一カ月間を置いて施行するものしし、経過規定としては、この改正案の施行前にすでに更生手続を開始している会社には適用しません。
 このように、本法の改正点は、いずれも中小企業対策並びに労働者保護対策として緊急必要な措置でありますから、どうか本案を恒重審議の上、賛成あらんことを希望いたします。
 次に、労働関係訴訟における労働組合の当事者適格に関する法律案の提案理由の説明をいたします。
 現行民事訴訟法におきましては、訴訟上の当事者となる適格は、原則として法律関係の実体上の主体がこれを有することとなっております。したがいまして、賃金の請求や解雇の効力等に関する訴訟につきましても、当該法律関係の実体上の主体である個々の労働者がそれぞれ訴訟の当事者適格有するのであります。
 しかしながら、同一事情のもとにある企業の労働者につきましては、これら法律関係は、大量的に発生するのが通例であり、そのような同種の大量な法律関係を個々の労働者がそれぞれ別個に訴訟上の当事者として実現しようとしますと、訴訟手続は著しく複雑となる上に、相手方及び裁判所の労力ははかりしれないものがあるのであります。その結果個々の訴訟はもちろん、全体としての訴訟も著しく遅延することになるのであります。
 かような場合に、個々の組合員たる労働者のために労働組合にこれら法律関係の訴訟上の当事者となることができるようにしますことは、当該組合員たる労働者の訴訟上の権利の実現を全うすることができますとともに、事件の訴訟経済と訴訟促進をはかることができるのであります。なお、従来は、労働組合の当事者適格についての実定法上の根拠がないため、それに対して種々の見解があり、判例も否定、肯定の立場をとるものがほぼ同数に至っておるのであります。この際、これらを立法上統一化することも必要であると思うのであります。
 以上のような理由によりまして、労働契約に基づく労働関係上の権利義務を目的とする訴訟について組合員のために労働組合に当事者適格を付与することが妥当でむると思いまして、この法律案を提出した次第であります。
 以下この法律米の要点を御説明いたします。
 まず第一に、この法律案で当事者適格を付与する労働組合法は、労働組合法の規定に適合する労働組合、公共企業体等労働関係法の規定に適合する公共企業体等の職員に関する労働組合及び地方公営企業労働関係法の職員の労働組合とし、また、これら労働組合は、それぞれの規約に当事者適格についての規定を含んでいなければならないこととし、この法律案の適用を受ける労働組合の範囲を明確にいたしたのであります。
 第二に、労働組合が、労働契約に基づく労働関係上の権利義務について、組合員のために訴えを提起したときは、当該組合員は判決の確定するまでの間は、その訴えの全部又は一部に反対である旨を申し出ることができるとし、法律関係の実体上の主体である組合員個人の訴えに対する意思を尊重する建前をとったのであります。
 第三に、組合員の訴訟承継の制度を設けたことであります。労働組合が労働契約に基づく労働関係上の権利義務について訴えを提起し、または組合員に対する請求について被告として訴えを提起されたときに、当該組合員がみずから訴訟の追行を欲するときは、その訴訟の係属中当該訴訟の承継を裁判所に申し出ることができることとし、この申し出がありますと、当該組合員にかかる請求についての訴訟は、組合員に承継させることとしたのであります。
 第四に、個々の組合員が労働契約に基づく労働関係上の権利義務を目的とする訴訟の当事者である場合において当事者適格を有する労働組合は、当該組合員の同意を得て、その訴訟の係属中当該訴訟を承継することができることとし、当該組合員の訴訟追行上の便宜をはかることにしたのであります。
 そのほか、これら訴訟手続の特殊性にかんがみまして、それぞれ必要な規定を設けたのであります。
 以上がこの法律案の提案理由及び大要であります。何とぞ、慎重御審議の上、すみやかにご可決あらんことをお願いいたします。
#4
○委員長(鳥畠徳次郎君) これで提案理由の説明を終わりまして、両法案の審査は、一応この程度にとどめます。
  ―――――――――――――
#5
○委員長(鳥畠徳次郎君) 次に、検察及び裁判の運営等に関する調査を議題といたします。
 出入国管理に関する件について質疑を行ないたいと存じます。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。なお、ただいま政府委員として御出席の方は、法務大臣中垣国男君、政府委員、法務政務次官野本品吉君、外務政務次官飯塚定輔君、法務省入国管理局次長富田正典君、外務省移住同長高木広一君、法務省訟務局長青木義人君、以上の出席であります。
#6
○亀田得治君 私は、今年の七月、ソ連におけるピオネール・キャンプに参加しようとして、十名の中学生、高校生などが旅券の申請をしたわけですが、結局政府はそれを許さないという問題があったわけでありますが、具体的な問題としては、その件につきまして若干お聞きしたいと思うのですが、その前に、多少一般的な問題につきまして、旅券法の運営に関してお聞きをしたいと思います。ちょうど法務大臣がお忙しい中、わざわざお越しになっておりますから、お答えを願いたいと思うのですが、昭和二十六年に旅券法が制定されたわけでありますが、当時旅券法が制定されるにつきまして、法律の十三条の五号の規定に関しまして、国会においてもいろいろ議論がされたわけであります。その当時、法務総裁をしておりました大橋さんも、国会におきまして自分の考え方を述べておるわけですが、大臣にお聞きしたいのは、当時、政府が国会において旅券法制定の際に述べられた考え方、そういうものは現在でもやはり踏襲しておるというふうに解釈をしていいのかどうか、当然なことかもしれませんが、確かめたいと思うのです。といいますのは、旅券法制定のころには、決して政治的な含みでもってこの運用を左右することはないというふうなことが法務総裁自身からも言われておるわけですが、どうも最近の状況を見ておりますと、必ずしもそうではないのではないかというふうな感じもいたすわけでありまして、これは、外務大臣と法務大臣両方にお聞きしたいところですが、外務大臣はおりませんので、まず法務大臣にその点を大きな立場から確かめておきたいと思うのです。
#7
○国務大臣(中垣國男君) 亀田さんにお答えいたします。
 旅券法の第十三条第五号関係につきましての解釈というものは、その当時の法務大臣と私と、何も変わることはないと思います。
 それから、この問題につきましては、これは外務大臣の所管事項でありますから、法務大臣といたしましては、外務大臣から旅券法の協議をば求められた場合に意見を述べることになっておるのでございます。
#8
○亀田得治君 まあ出る場合のこの旅券の問題は、主体が外務大臣にあることは事実ですが、法律制定の際には、協議を受ける者の立場として、法務総裁も相当説明に当たっておるわけです。そういう意味で確かめたわけですが、外務大臣おられませんから、移住局長にその点をひとつお答えを願いたいと思うのです。旅券法制定当時の考え方と違ってきておるのではないかという疑いを私たち持っておるわけですが、その根本的な考え方をお伺いしたい。
#9
○説明員(高木広一君) 旅券法制定当時と現在と、解釈は変わらないと思います。外務省といたしましては、第十三条第五号の「著しく且つ直接に日本国の利益又は公安を害する行為」、「公安を害する行為」につきましては、法務省のほうに御相談申し上げます。それから「日本国の利益」ということは、外務省も判断をいたしまして、そういう行なうおそれがあると認めるに足る相当の理由がある者については旅券を発行しないということになっております。
#10
○亀田得治君 旅券法制定の際には、外務省のほうからも出られて、見解を明らかにしておるわけですが、たとえば、昭和二十六年十一月十三日、これは、衆議院の外務委員会におきまして、当時の西本説明員がこういうことを言っておる。「思想だけでは絶対に制限しない、事実がなければならない」あるいは同じ日に、島津政府委員が、共産党であるという理由だけで渡航ができないことはない、こういうことを言明されておりますが、これはそのとおりですか、現在の考え方も。
#11
○説明員(高木広一君) そのとおりで、共産党員でございましても、海外渡航を認めております。
#12
○亀田得治君 それから、もう一点お聞きいたしますが、私、当時の記録を精査いたしたわけですが、たとえば、大橋法務総裁は「著しく且つ直接に日本国の利益又は公安を害する行為」というのは、原則としては犯罪になるものに限るだろうと思います。」と、厳格にそれだけに限定されるというような表現にはなっておりませんが、今私が申し上げたように「原則としては犯罪になるものに限るだろう」、つまり予想される事柄が実行された場合には犯罪に発展するだろうというようなものに限るだろうと思います。こういうことを言っておる。これは、現在の法制局長官である林修三君も、当時政府委員として同じような説明をしております。そうしてその例といたしまして、たとえば、刑法の内乱罪、外患罪、国交を害する罪、あるいは外国為替管理、あるいは麻薬の取り締まり、銃砲刀剣類等の取り締まりに関する法令等があるわけですが、そういったようなものを例示されておるわけなんです。したがいまして、この考え方というものは、やはり抽象的に、何か日本の利益または公安を害するかもしれない、ばく然とそういうことが予想される、そういうことがあるかもしれないといったようなものではないわけなんですね。今私が例示したもの以外は絶対ないのだ、そういう説明にはもちろんなっておりませんが、考え方としては、非常にしぼられた考え方で来ておるわけなんです。どうもその点が、最近の政府の運用を見ておりますると、されてきておるというふうな感じを受けるわけですが、この点は、一体当時の今私が申し上げたような説明が速記録を見てもされておるわけですが、この点についてはどうですか、移住局長。
#13
○設明員(高木広一君) 今、先生がおっしゃいましたように、大橋総裁の言われたことだけに限定されないということは、先生のおっしゃったとおりであります。旅発券行に際しましては最近におきましては、国交のある国は、もちろんのこと、国交のない国でも、旅券を発行している例も多くございます。ただ、外務省といたしましては、国の利益を著しくかつ直接的に害するおそれありと認める場合におきましては、これは国の外交上の利益もあることと思います。そういう立場から制限するケースもございますが、最近におきましては、相当広く、むしろこの法律ができましたときよりも広範囲に旅券の発行が行なわれているのが実情でございます。
#14
○亀田得治君 私は制限する点をお聞きしておるわけなんです。その点につきまして、法律制定当時になされた説明というものが変えられておらないかどうか、その点を聞いておるわけです。
#15
○説明員(高木広一君) 私、当時おりませんでしたから、その説明について必ずしも十分よく存じませんが、現在旅券発行の責任者といたしましては、国の利益という場合には、外交上非常に支障を来たすおそれありと思う場合には、国の利益に反するという判断をいたしております。
#16
○亀田得治君 あなた、旅券法制定のときの質疑応答というものはごらんになったことがあるのですか。
#17
○説明員(高木広一君) ございません。
#18
○亀田得治君 速記録もごらんにならないでいて、当時と変わらないとか、変わっておるとか、そういうことは言えないんじゃないですか。いやしくもこういう人権に関する重大な法規でありますから、制定当時にはどういう気持でされたものであるか、これは、当該の局長としては、当然検討しておくべきことでしょう。また、私たちが国会で論議をするにいたしましても、やはり国会において提案者の気持というものを確かめて、その上に立って、そういう気持でこれは通っておるわけなんです。そういうものをごらんになっておらぬというのでは、第一問題にならぬじゃないですか。先ほど私が速記録を部分的に申し上げましたように、非常に限定された意味でおっしゃっておるわけなんです。この委員会が済んだら、一度よく読んでもらいたいと思う。
 そこで、次に問題に入る前に、さらに多少一般的なことをお聞きしますが、旅券の申請をした場合における手続ですね。概略は私たちも承知しておるわけですが、共産圏に渡航する場合とそうでない場合との手続の進め方の違いですね。その点を、実務上のことですが、まず御説明をいただきたい。
#19
○説明員(高木広一君) 原則的には、手続といたしましては、共産圏とその他の地域と、手続上区別いたしておりません。ただ、国交が回復しました共産圏への渡航、特に団体渡航は、外交上、公安上いろいろ問題が多うございますので、旅券申請前に、関係機関と協議をするのに便利なように、趣意書の提出を求めております。この手続は、法律に基づくものではありませんから、強制はしておりません。本措置により事務は円滑に運ばれるので、渡航者自身にとっても有益な制度であるというふうにわれわれは考えておるのであります。それ以外は何らの区別もございません。
#20
○亀田得治君 その共産圏渡航について、団体的なものについては、事前に趣意書を求めるというわけですが、それは、どこでどういうふうに御検討されるわけですか、受け取った後に。
#21
○説明員(高木広一君) この資料に基づきまして、関係各省で協議するわけでございます。
#22
○亀田得治君 関係各省というのを全部おっしゃって下さい。
#23
○説明員(高木広一君) 主として法務省でございますが、場合によればその他の関係省も呼ぶ場合もあります。
#24
○亀田得治君 主として法務省というふうなことじゃなしに、もう少し実情のままをおっしゃってもらわんと、それに対する質疑ができない。
#25
○説明員(高木広一君) 法務省は公安の関係でございますが、場合によりますと通産省、これは経済関係もございますが、通産省あるいは自治省あるいは文部省、これらは、そのケースによりまして関係省が協議していくのであります。
#26
○亀田得治君 そういう各省間の会議というものは、何か名前がついておるわけでしょう。
#27
○説明員(高木広一君) 特には名前がついておりません。
#28
○亀田得治君 渡航審査連絡会というようなのは、これはどういうことになるのですか。
#29
○説明員(高木広一君) 渡航審査連絡会は、むしろ外貨の点でございます。
#30
○亀田得治君 そうすると、そういう趣意書を出していただいて、そうして問題によりまして関係のある省との協議をする、こういうわけですが、それは、だれがそういう問題点の摘出なりをされるわけでしょう。この問題についてはここと協議すべきだと、何か内規があるわけでしょう。
#31
○説明員(高木広一君) 別に内規はございませんが、外務省が血となって協議をしていく次第であります。
#32
○亀田得治君 結局、具体的に言いますと、移住局長が判断をして、そして各省のだれと協議をするのです。どういうクラスの人と。外務省というのは、次官ですか局長ですか、そういう場合の協議は。
#33
○説明員(高木広一君) ときによりましては、私が中心になって協議いたします場合もございますし、ときには旅券課長が御相談することもございます。ケース・バイ・ケースでございます。
#34
○亀田得治君 実質上、この共産圏への団体的な渡航については、そういうところできまることになるんじゃないですか、そのような連絡会議で。どうなんです。
#35
○説明員(高木広一君) 通常の場合は、今の関係省の連絡でやっておるのであります。重要な問題になれば、またその上へ回すこともございますが、大体今言った関係でやっております。外貨の場合には、別に渡航連絡会議で決定する、最終的に決定することになっております。
#36
○亀田得治君 よく旅券の話が出ますとね。外務省はいいんだけれども、どこそこの省がうんと言わんのだとか、そちらはいいけれども、外務省がむずかしいのだとか、よく話が出るわけですね、私たち、そういう関係者から事情を聞きまして、できるだけ関係者の気持が生きるようにということで、お願いする場合もあるわけですが、はっきりしないわけですね、そこら辺が。今お聞きしますと、構成メンバーも、運用規則なども、何もきまっておらぬようなお話ですが、実際何もそんなものがきまっていないんですか。きまっておれば、そういうことをきちっと説明してもらえば、私たちも相手にする場合に非常に都合がいいわけなんです。
#37
○説明員(高木広一君) 旅券法の関係で、一応外務省が窓口になっておりますから、外務省がそれに対して責任をもってやっておるわけです。しかし、こちらとしましては、利益、公安の問題は、法務省のみならず、関係各省に関係のある場合もございますし、そういう場合には、その時に応じて関係省が寄って相談いたしまして、そしてそれを外務省を通じて外に御返事しているというのが実情でございます。
#38
○亀田得治君 私、何か運用規則でもあるのかと思ったんですが、ないようですが、まあ大体慣例的におやりになっておるようですが、そこで、たとえそれが慣例的なやり方だといたしましても、共産圏渡航とそうでないものにつきまして、そういう違った関門を設けることは、一体いかがなものだろうか。それ自体が差別扱いになるではないか。外部から見ると、そういうふうに感ずるわけなんです。一般のものは、直ちに法に基づく旅券申請書を外務大臣あてに出せるわけですね。それ以外のものについては、今おっしゃったような手続をひとつとらすと、これはちょっとおかしいんじ、やないですか。だれからも成規な手続、法律に基づく手続をきちっとしてきたら受け取るべきじゃないですか。
#39
○説明員(高木広一君) 一般渡航の場合も、先方のほうから趣意書を出して、早く審議をしてもらうように…される場合もございます。これは強制しているわけじゃございません。実際上の取り扱い便宜のためにやっておるわけで、これがなければ受け付けないということはございません。
#40
○委員長(鳥畠徳次郎君) 亀田君に申し上げます。ただいま志水旅券課長が説明員として出席いたしておりますので、それぞれ御質問を願います。
#41
○亀田得治君 まあ申請者が、自由な意思で、事前に審査してくれ、そういうことで役所に持ってこられる。そういう場合には、それを事前にごらん願うということは、それは大へん親切なやり方だし、それはいいことだと思う。ところが、共産圏渡航の場合には、まず趣意書のようなものを出して、そこの関門をきちっと通らないと、書類自体を受け付けようとせぬわけですね。正式の書類を出そうとしても、実際上そういうことになっているでしょう。
#42
○説明員(志水志郎君) そういうことはございません。この趣意書は、もちろん法に基づかないものでございまして、便宜のために設けておるものでございますので、それを出さずに、直接やるんだ、直接申請するんだということを主張されれば、ぞれを受け付けざるを得ないというのが実情でございます。ただ便宜のためにやるということで、しかも、今まで長い間これで、スムースに活動しているのが実情でございます。
#43
○亀田得治君 この旅券の交付が申請者の要求どおりうまくいかぬ場合には、それに対する法的な救済措置も、旅券法の十五条あるいは一般の行政訴訟に関する規定等によって道があるわけですね。だから、申請者の気持が生かされないという場合には、政府は当然それに対してきちっとした文書による回答をすべきなんです。そういう同等は要らんという方はいいですよ。しかし、ぜひ回答はほしいのだと言うておる者に対しても、なかなか政府は出そうとせん。そんな一体権限がどこにあるのですか。
#44
○説明員(高木広一君) これは、ピオネール・キャンプの件について若干誤解をしておられるのだろうと思います。正式の申請には、所要の外貨と申しますか、その他の手続が要るわけで、これは、ピオネール・キャンプの場合は、先方が全部持つ、オール・ギャランティでなく、一般外貨でいくという形でございます。ですから、その外貨申請が最初に出されたわけであります。この外貨が認められれば、それをつけて正式の申請になるわけであります。しかし、われわれのほうとしてはこういうものに外貨を出さないということはさまっておりますし、かりにオール・ギャランティになっても、旅券法士二条第五号に該当するから認められないということをはっきり申しておりますし、回答を、というお話でございましたが、その回答も、今申しましたような趣旨の回答をすべく手続をしているわけであります。ただ、正式の申請をするのには、正式の申請のフォーミュラを全うしなきゃいけないし、われわれは、それに対する回答ということは無理でしょうから、今考えておりますのは、たとえば、外貨の問題が心配なくなって申請されても、十三条五号に該当して無理であろう、無理であるというような趣旨の回答をすべく、今準備しているわけでございます。
#45
○亀田得治君 ともかく申請者は、旅券法の三条に基づく書類をそろえて申請すればいいわけなんです。この外貨がどうだとか、そんなことは政府内部の問題ですし、そんな政府の他の機関の許可書をつけなきゃならぬと言ったら、それは、その機関の関門を通ることが、事実上の、何といいますか、旅券問題の解決点になるでしょう。だから、そんなことは矛盾なわけでしてね。それは政府内部の問題だ。こちらとしては、あくまでも第三条に基づく書類をそろえて出せば、それに対する正式問答を早く出してくれ、これは当然なことなんです。そこで、こちらは正式問答をほしいと言っているわけですから、あなたのほうでも、それじゃ、趣意書じゃなしに、三条に基づく正式の書類を早く出して下さい、こう申請者に言うべきなんでしょう。それをなかなか言わないのです。すったもんだやって、最後にはそういうことなんです。そういうことじゃなしに、これは意見が対立しているのだから、対立すれば、対立したことに対してこちらがとるべき法的措置があるわけなんですから、それができやすいように、もしこちらが知らなかったら、そっちから教えてこういう書類を出して下さい、そうしたら私のほうではこういうふうに回答しますからと、これが民主的な役所のあり方ですよ。それを、出せるとか出せんとか何とか、すったもんだしまして、結局何でしょう。このピオネール・キャンプの問題については、八月三十八日にようやく受け取っておるわけです。あなたのほうは。しかも、その受け取る際にも、何か、それじゃちょっと預かっておくというようなこともちょっとおっしゃったらしいのですが、いかにもこう、受け取るのがいやなような、そんな印象を与えること自体がおかしいわけなんですね。受け取ったものに、預かりというようなことがあるものですか。三条に基づく正式な申請でしょう。これは。それに対する回答はいつ出るのですか。二十八日にお受け取りになって……。
#46
○説明員(志水志郎君) 私のほうでは、適式な申請であれば、それに対して正式に御回答いたしますというふうに、前々から言っております。
#47
○亀田得治君 八月二十八日に適式な申請が出たわけでしょう。それに対する同等はいつ出されるのかということを聞いておる。文書による同等です、申請者が求めておるのは。
#48
○説明員(志水志郎君) 出された申請が適式かどうかということを審査中でございますので、いつ正式に御回答するか、今のところちょっと申し上げられません。
#49
○亀田得治君 この旅券申請をして、それがはねられた場合には、申請者側としては、基本的人権の侵害という問題になる。したがって、第十四条では、政府は、そういう場合には、理由を付してすみやかに回答をする、こうなっておる。そんなことをしておる間に、期間が経過してしまうんじゃないですか。それから、七月以降現在まで、ずっとあなたのほうでは中身については検討済みの問題です。今さらいろいろ調べなければならぬという問題じゃないでしょう。なぜ、そんなふうなら、きょうにでも出すということをはっきり言えないのですか。
#50
○説明員(高木広一君) 政府の態度については、早くお答えしてあります。それは、外貨の件は別といたしまして、かりに外貨を要しなくても、先方から全部費用を負担するというような条件になっても、本件は認めるべきでないというのが政府の態度であるという御回答をしてあります。ただ正式の申請に対する正式の回答となると、正式の申請は、所要の費用についてはこういう準備があるとか、いろいろの条件を付け加えて、そうして申請をするわけであります。その条件が整わないわけです。しかし、整わなくても、何とか略式の御返答ができるようにと、方法を研究している次第であります。
#51
○亀田得治君 この旅券法三条のどれとどれが抜けているという意味なのです。そんな言いのがれは言いなさんなよ。引き延ばしじゃないか。
#52
○説明員(志水志郎君) これは、第三条の必要書類のうちでございますね。
 「渡航費用の支払能力を立証する書類」、これが抜けておるわけであります。
#53
○委員長(鳥畠徳次郎君) 説明員に申し上げます。もう少し大きく、明僚に御回答を願いたい。
#54
○亀田得治君 こういうものは、この第二項の下段のほうにも書いてありまするように、必ずしも必要書類じゃない。大体常識的にわかるような程度のことであれば、それは必ずしもつけなくてもいいわけです。十万円や二十万円の金がどうにもならない、そういうものじゃないわけです。そんなことが想像される場合には、必ずしもそんなものを一々、渡航費用を必ず自分で支払います。そんなことをつけなくてもいいわけだ。問題は一、二、三、四、五でしょう。これが絶対の必要書類です。そんな任意的なものにことさらにこじつけて、そして申請しておる親戚や親のほうは、そんなものを支払えぬような人は一人もおらぬ。事前審査でわかっておるはずだ。今ごろになってそんなことをこじつけられるということは、もってのほかじゃないですか。
#55
○説明員(高木広一君) ただいまの点は、少し誤解をしていられるように思うのですが、国の外貨はきわめて貴重でございまして、これをどういうふうに使うか、許可を認めるかということは、相当重大な問題として見ているわけです。本人が円で払うとか、そういうふうな問題でなくて、外貨の問題になるわけであります。これが外貨を使わなくて、全然外貨なしで、先方の費用で行くということになれば、話はまた違うのですが、その一段階前の問題でとまっておるのであります。しかしながら、それにもかかわらずかりにそういう問題が解決しても、これは国の利益を直接害するという点でだめですという御返事を申し上げ、その趣旨を何とかこの法律に沿って適法な回答ができるように、この法律でこういう必要な書類を整えたものの申請が正式な申請になっておるのですが、今言ったような外貨の点が欠けておりますけれども、お答えをしたいと思って、文書によるお答えについては方式を検討している、口頭ではずっと最初に申し上げ、また、この外貨の点も最初に申し上げたのでございます。
#56
○亀田得治君 この第六号は、そういう外貨の問題じゃないですよ。これは支払い者本人が申請者本人なりあるいはその後見人に能力があるかないか、財産上の問題なんです。旅券法の見方をそんなふうに変えちゃだめですよ。そんなことをすれば、外貨のところでとまってしまうわけなんです。そういう趣旨のものじゃないです。この規定は。この書類を受け付けたあとに、旅券法上の受付を皆さんがしたあとに、外貨事情からいってそれはむずかしいという事情が出てくれば、それはまた別個な問題なんです。旅券法の三条の第六号が外貨の問題だというのは、それはこじつけですよ。あなたは、制定当時の法律をよく検討しておらぬからそういうことになる。だから、この第二項の後段のほうの説明を見たって、そういう財産上の能力の問題だということははっきりしておるじゃないですか。そんな法律解釈は間違いですよ。
#57
○説明員(志水志郎君) お言葉ではありますけれども、「旅券法第三十二条第二項の規定に基き、渡航費用の支払能力を立証する書類並に渡航先及び渡航目的によって特に必要とされる書類の種類を定める告示」と、こういう外務省告示が出ておりまして、これによりますと、「旅券法第二十二条第二項の規定に基き、渡航費用の支払能力を立証する書類並びに渡航先及び渡航目的によって特に必要とされる書類の種類を次のように定め、」と書いてあります。そうして「渡航費用の支払能力を立証する書類」は、「一般旅券の発給または渡航先の追加を申請する者は、旅券法第三条第二項または第八条第二項の規定に基づき省略を認められる場合を除き、渡航費用の支払能力を立証するため、次に掲げるいずれかの書類の原本一通及び写一通を提出しなければならない。」とございまして、「外国為替管理法上の許可を要する場合にあっては、一般外貨資金による場合または交通費のみを円払いする場合は、主務大臣の支払許可またはこれに代る日本銀行もしくは外国為替公認銀行の承認を証明する書類」、こういうふうにきまっております。
#58
○亀田得治君 それじゃ、それがなければ申請自体ができないということになるじゃないですか。旅券法上の申請そのものができない。そんなことは、それはもう主客転倒ですよ。外貨なんか、あとからついてくる問題ですよ、そうでしょう。だから、そんなことを外務省の規則できめておりましても、そんな規則自体が、それはもう法律に反しているものですよ。行き過ぎた規則ですよ、外貨を第六号の中に含ませてくるということは、だから、外務省の規則、その点についての、それを規則のまま資料として提出して下さい。その上でひとつ旅券法制定当時の精神に立って、はたしてそういうことが適当かどうかを議論したいと思います。
#59
○岩間正男君 関連して。今、外貨の問題を一つの口実のようなことを言ったわけですね。そして何か、最初からもう出せないんだという先入感みたいなもので、ハマグリの口を閉じたようなことでやっておるわけですね。しかし、どうですか。いわゆる自由主義国家群という、そういうところに少年少女が今まで出ているのがたくさんあるでしょう。そのときも外貨は問題になったはずです。そんなら、外貨の問題をあなた方一つの大きな理由にするなら、なぜ今度のピオネールの場合にだけこの問題を問題にするんですか。非常におかしいじゃないですか。そこで、私がお願いしたいのは、一体自由主義諸国といわれる諸国に日本の青少年が今まで出た例がたくさんあるだろうと思う。それを資料として出してくれますか。今の亀田委員の資料と、それを追加して、一緒に資料として出して下さい、今までどんな例があるのですか。
#60
○説明員(志水志郎君) けさほど差し上げてあるはずでございます。
#61
○亀田得治君 じゃ、本論に入ります。そこで、今度のピオネール・キャンプの参加声を否定した理由ですね。これを正確にひとつおっしゃって下さい。こちらに文書が来ておらぬものですからね。
#62
○説明員(高木広一君) 本件ピオネール・キャンプは、国際共産主義的少年組織活動の一環として行なわれるものでございます、したがって、本件渡航希望者である少年少女たちがこれに参加することは、このような国際共産主義の前衛組織の中において特殊の偏向的な教育を受けさせることとなり、また、これらの者が帰国後に、わが国の少年少女の一般に及ぼすであろう影響から考えて、著しくかつ直接に日本国の利益を害する行為を行なうおそれがあると認めるに足りる相当の理由があるのであり、旅券法に基づく正規の申請があったとしても、同法第十三条第一項第五号の規定により、旅券の発給を制限する事由に該当したものであると、こういうふうに判断しておるわけでございます。
#63
○亀田得治君 それは、口頭で政府が今まで日ソ協会なり関係者の方にお答えしたのと若干違いますね。
#64
○説明員(高木広一君) 同じであると思います。文言はあるいは違うかもしれませんが、内容は同じことであると思います。
#65
○亀田得治君 言葉一つでも、非常に微妙になるわけなんです。私たちは、政府の決定に承服できないわけですから、それを根拠にして、いかなるそれでは救済手段をとるかということが申請者側では大問題になっているわけだ。それを、その趣旨は大体一緒だといったようなことは、今読み上げたのと私たちが今まで聞いているのと違う。だから、今あなたが読み上げたやつが、それが本物なのかどうなのか。私が前に聞いているやつは、ちゃんとここにありますから、これを見ながら聞いておった。どっちが本物なんです。前に旅券課長が関係者に口頭でおっしゃったのと今のやっと、どっちがほんとうなのか、はっきりして下さい。
#66
○説明員(高木広一君) 両方ともほんとうであります。
#67
○亀田得治君 両方ともほんとうというようなばかげたことがあるものですか。それは、言葉づかい一つにしても、たとえば裁判の対象になるという場合に、非常に重要になってくるわけでしょう。形容詞なども全然一致していますか。違うでしょう。だから、こういうことがあるから、ちゃんと早く関係者が文書回答を送れと言えば、出すべきなんです。そうなれば、そのことを基準にして、それは、法律に認められた手続をとる人はとったらいいわけです。そういう道すらふさいでしまうというようなことは、全くけしからぬ。中身について質問しようと思っているのだけれども、両方が食い違うのでは質問の仕方に困る。
#68
○説明員(高木広一君) この前申し上げたのは、こういうわけであります。
 青少年が何らの偏向的教育を受けることなく心身ともに健康な成長を遂げることは、それがわが国の次代を背負う者であるだけに、わが国の繁栄と発展に直接つながる最も重要な事項であるところ、本件ピオネール・キャンプは、国際共産主義的少年組織活動の一環として実施されるものであり、しかも、渡航を申請している少年少女は、昭和二十二年ないし昭和二十五年生まれの、目下義務教育途上にある心身未発達の中学生であって、これら純真無垢な少年少女が、父兄教師の庇護を離れて、長期間この極行事に参加してその影響下に立つことは、わが国現下の重要施策の一つである青少年対策に重大な悪影響を及ぼし、著しくかつ直接に国の利益を害するおそれがあるので、これを許可しないこととする。
 これをたしか申し上げた次第であります。しかし、私が先に申しましたのも同じ趣旨であります。
#69
○亀田得治君 第一に聞きたいことは、子供に対して責任を持っているのは、第一次的には私は両親だと思うのです。その点どうです。
#70
○説明員(高木広一君) そうだと思います。そのとおりであります。
#71
○亀田得治君 そうだとすれば、夏休み中を利用して、親は親なりに子供の将来ということも考えて、そうして適当な保護者等もつけてピオネール・キャンプに出そう、これはすなおに認めるべきことで、何も政府がかれこれ言うべき筋合いのものじゃないじゃないかと思うのです。それに関連してお聞きするわけですが、けさも若干の資料をいただいたわけですが、この資料を拝見しますと、中学生、高校生がずいぶん出かけているわけですね。これは急な資料要求でしたから、最近のものだけしか整理ができなかったようでありますが、ざっと大まかな計算で、どの程度今まで中学生、筒校生が自由主義諸国なり共産圏以外の所に出かけておるが、大まかなところをまずひとつおっしゃってほしいと思う。詳細な資料は、これはお願いしてありますから、これは迫っていただくことにいたしまして……。
#72
○説明員(志水志郎君) 何しろ非常に一般の渡航者の数が多いのでございまして、この中から拾い上げるので、作業も相当時間がかかります。これは、過去一年間の資料を差し上げたんでございますが、これで約七件、五十名くらいでございますが、この一番しまいの全国高等学校野球連盟が韓国に行きますのは、これはまだ出発しておりません。それで、まだここで概数もはっきり申し上げるわけにも参りませんけれども、そう多くない数だと思っております。
#73
○委員長(鳥畠徳次郎君) 一言申し上げます。先刻のお約束どおり、内閣委員会より法務大臣の出席を要求されておりますので、退席していただいて御異議ございませんか。
#74
○亀田得治君 これから実質的な問題に入るわけですが、きょうの質疑の結果に基づきまして、また別な機会に、大事な点についてだけ若干いずれお伺いしたいと思いますから、きょうはまあ会期末で、各委員会重なっているようですから、どうぞ。
#75
○委員長(鳥畠徳次郎君) 退席されてお差しつかえありませんか。なお、ただいま伊関アジア局長が出席されました。
#76
○亀田得治君 このほかに、バチカンに行くということで、これは最近のはずですが、二人高校生、中学生でしたかな、行ったんじゃないですか。そういう話を聞いておりますが……。
#77
○説明員(志水志郎君) はっきり覚えておりませんが、主として団体を調べましたので、あるいは落としているかもしれません。
#78
○亀田得治君 これは最近ですよ。ことしの六月か七月ごろのように私聞きましたが、これは特殊なことですから、あるいは御記憶があろうと思ってお聞きするわけですが、全然記憶がないですか、中学生二人。
#79
○説明員(志水志郎君) 記憶ございません。
#80
○亀田得治君 それから、これは三年くらい前になりますかね。アメリカのディズニーランドを見るために招待されて行った。これは小学生ですね、六年生、山内宏利君という。これは休暇でなしに出かけたはずですが、父兄もつかないで行ったはずですが、こういうことは御記憶にありますか。
#81
○説明員(志水志郎君) 三年前といいますと、私、着任以前のことでございますので、記憶がございませんが。
#82
○亀田得治君 その子供が帰ってきて、「ぼくのアメリカ日記」という、こういう本を出しているわけです。文部大臣賞ももらっておるわけでして、これはもうはっきりした事実なわけなんですが、ともかくこのけさ出された資料を拝見し、あるいは私たちが聞いておる、今一、二申し上げたわけでありますが、そういうものを認めておりながら、ピオネール・キャンプを認めないと、これは一体どこに理由があるのか、はっきりせぬですね。
#83
○説明員(高木広一君) 先ほど申しましたように、ピオネール・キャンプは、他のボーイスカウトその他の場合と質的に、性格上の違いがあるのであります。で、この義務教育下の青少年は、左右両方の政治的な問題から離れて、純粋に教育そのものに平静な、政治的な宣伝等から隔離して、隔離というのもおかしいのですが、そういうものにわずらわされずに教育を進めていくというのが教育の方針、あるいはこれが教育基本法の考え方であるように伺っております。その点につきまして、たとえば、このリストで申し上げましたように、ボーイスカウト等の場合には、各国のボーイスカウト連盟規約は、ボーイスカウト運動の厳重な非政治性をうたっております。日本ボーイスカウト連盟規約によりましても、「ボーイスカウト運動は、いかなる特定の政治団体に対してもこれを支持せず、また制約を受けない」「何人といえども、この運動を政治的目的のために利用することは許されない」「ボーイスカウトの組織は、政治的団体組織ではない。この組織によって政治的活動を行なってはならない」と明確に規定しておるのであります。それに対しまして、ピオネール組織は、単なる少年団体ではなくて、ソ連共産党の指導のもとに活動する政治組織であります。レーニン名称全連邦ピオネール組織は、一九二二年五月十九日の全連邦コムソモール(共産主義青年同盟)協議会で決定され、組織された。一九五八年九月十一日付コムソモリスカヤ・プラウダ紙上で発表された「ピオネール組織に関する規約」によると、ピオネール組織への採用者は十才ないし十五才の学童とされております。しかも、ピオネール組織に関する規約によると、ピオネール組織は、次のような政治的性格を持っております。「レーニン名称全連邦ピオネール組織は、ソ連の学童をその隊列に合同する大衆的な児童の共産主義組織である」「多数のソヴィエト児童は、ピオネール組織において共産主義的育成の初等学校を修了し、社会生活に参加し、共産主義の積極的建設者となるように養成される」「ピオネール組織は、ソ連共産党指導のもとに活動し、共産党の委任により、ピオネール組織の常時活動には全連邦レーニン共産主義青年同盟これに当る」。こういうようなことがこのピオネールの組織でございまして、ボーイスカウトとその点が非常に違うわけであります。こういう点が、われわれが別の取り扱いをいたしました根拠であります。
#84
○亀田得治君 その外務省でお持ちになっておる今お読みになった点も、これは資料として出していただきたい。あなたのほうで判断をされた根拠というのは、今御指摘になった点だけですか。
#85
○説明員(高木広一君) 義務教育下の青年に対する日本の教育方針と、それからピオネール組織の性格について、それだけであります。
#86
○亀田得治君 それだけですね。それでは、あなたのほうで判断された資料を見た上で、そのピオネール・キャンプの性格についての論議をあらためてしたいと思います。実際はそういうものではないわけでして、各国から、自由主義陣営の国からも、いろんな人がやってくるわけなんです。ただ共産主義国で行なわれると、当然それは共産党からのワク内でやられるのだといったような皆さんに偏見があるものですからね。判断が間違ってくるのです。だから、あなたのおっしゃったそれをひとつ土台にして、いずれこれは、その間違いを御指摘申し上げて論議したいと思うのですが……。
#87
○岩間正男君 ちょっと関連して。今あなたのお読みになったのは、どういう資料によるものですか。
#88
○説明員(高木広一君) これは、今申しましたように、この一九二二年のピオネール組織に関する規約でございます。
#89
○岩間正男君 ピオネール組織の規約とピオネール・キャンプというのは違うじゃないですか。同じだとあなた考えるのですか。これは、ユネスコの精神によって、国連加盟国の一環として、少年少女のそういう国際親善の交流のためにやられておるのです。あなたの言っておるのは、故意に問題を、ピオネール組織そのものによって、このピオネール・キャンプの問題を混同しておるのじゃないですか。ところが、そういうふうなことは根拠にならぬと思うのですが、現実に、亀田委員も今指摘されたように、これは、このキャンプには、イギリスもフランスもイタリアもデンマークも、その他の自由主義諸国といわれておる国はみんな参加しておるのですよ。日本だけがなぜ一体そんな、今のような、わざわざしいて、そうしてピオネールの創建当時のそういう、これは一国の問題です。国際的なキャンプの問題じゃありません。全然違いますよ。そういうものをあなたは、根拠にしてやっていていいのですか。これはまあまああとで、もっともっと詳細にそういう資料を明らかにしてやればいいことですが、とにかく私は、今聞いていただけで、それは承服できない問題です。その点はどうなんです。
#90
○説明員(高木広一君) 今度のキャンプの責任者氏名、開催場所、期間、参加国名、参加期間、行事日程等につきましても、関係者からその詳細を要求いたしましたが、これらも提出されておりません。したがってわれわれは、今申し上げました資料でもって判断しておるのであります。
#91
○岩間正男君 今の資料だけの判断だけでは不十分である。提出されないからということだけでは、そういう理由にはならないのです。曲解でしょう。故意の解釈だと言わざるを得ないでしょう。ピオネール・キャンプ、国際的な友好組織に対して、しかも、内におけるこのピオネールの組織を、そういう原則をもって推しはかるというやり方をことにあなたの立場でやってはいかぬと思います。これは、旅券を出さないための口実だと言われても仕方がないじゃないか。根拠がないのです。そういう推測のもとに立っておるということははっきりしておりますが、そんなことはいけません。それではさっきの旅券法の精神に反する。この点あなたは、そういう点は弁解、曲解になりますよ。その点違うのですよ。違うのだというのだということをはっきりして下さい。
#92
○説明員(高木広一君) 本件につきましては、外務省、法務省、文部省その他関係各省と十分検討の上で、以上のように決定したわけであります。
#93
○亀田得治君 ともかく一つのこの行事の性格をきめるのに、事実関係がよくわからぬで、ただそういう規約だけでやるといったようなことはこれはもう非常な危険性を冒すわけでして、まあ一応それなりに聞いておきましょう。そこで、次にお聞きしたいのは、一体この十名の者が行くことによって国の公安、法務省関係の公安とはおっしゃらないわけでしょうが、国の利益のほうをさしておるようでありますが、いかなる一体国の利益が侵害されるのですか。はっきりおっしゃって下さい。
#94
○説明員(高木広一君) これらの義務教育下の、まだ判断力も十分でない、まだ純真な少年たちが、現地におきまして共産主義的な偏向教育を受けるということによって、そういう偏向教育を受けて日本へ帰って、そしてそれが学校における小学校の他のお友だちに与える影響というものは非常に心配すべきものである。日本の国の利益を害するおそれありというのがわれわれの判断であります。
#95
○亀田得治君 問題点がたくさん出ましたね。まず、あなたのほうは、これは共産主義教育をこの場所で受けるんだと、こういうふうに断定している点、これが一つ問題点があろうと思うのです。キャンプの性格、見方の問題として、たとえこれは一歩を譲りましょう。この性格づけの問題は、あなたの資料を私は次に反駁しますから、その上でにしますが、そこがくずれたら全然誤りだということになりますね。そこで、一応その点で、あなたのような立場をとるとして考えてみた場合においても、一体十名の人が行くことが、どうしてこの旅券法十三条五号に書いてあるような利益の侵害になるのですか。ともかくその十名の人がひとつ、問題は、自分たちで行うというわけなんでしょう。たとえそれが、共産主義教育はある程度あるかもしれない、あなたのおっしゃるように、あるかもしれぬとしたって、ともかくいろいろ見たいのだと行って見たいのだと、第一次的に親が責任者、そのことはあなたも認めておる。休暇を利用して行きたいのだと、そんなことは自由でしょう。ほかの子供たちが、いや、イギリスのキャンプへ行きたい、ほかのキャンプ、あるいは私が指摘したバチカンに行きたい、これなどは、ある意味では、見方によっては、非常な危険性を持っておるかもしれないだから、そういうことに一体国が関与する必要があるでしょうか。本人たちが行きたいと思っておるのだから、たとえそうだとしたって、共産主義の勉強をしようと何をしようと、かまわぬでしょう。小さいからしてならぬということはないでしょう。それは、子供は非常な関心を持っておりますよ。共産主義も見たいと思うし、これだけ共産主義、社会主義、資本主義と、こうなっておれば、いろいろな関心を持つのはあたりまえです。あなたのほうは、結局この実績を見ると、資本主義の関係の国だけに行くなら幾ら影響を受けてもいいんだ、ディズニー・ランドで大いに遊んで、そういうもののアメリカ的な影響を受けて帰ってもいいんだ。見ようによっては、そのほうがよほどこのごろはやりの人物形成という面から見たら問題があるかもしれません。それはみんな考え方なんです。そこはそう思いませんか。あなたの前提を私認めるのですよ。認めたとしたって、だから、そこへ子供が行くのはけしからぬ。それなら、そういう子供は全部やらさぬようにしたらいい。どこかの国へ行けば、必ずその国のくさみというものが、カラーというものがあるわけですから、そんなことなら、全部日本へとめておかなければならぬ。全部に対しても、そういうものを全部やるなら、それも一つの方針かもしれませんが、そうなっておらぬじゃないですか。その点はどうなんですか。
#96
○説明員(高木広一君) 義務教育下の青少年に政治的偏向教育を与えないということが一つの国の大きな政策であります。本件につきましては、われわれも相当慎重な考慮をしたのであります。本件は、わずか十名でありますが、これが許可されれば、将来もっともっとふえていくだろうということも考えました。コムソモールのキャンプで偏向教育を受けた青少年たちがだんだんふえていって、小学校でそれが与える影響というものの国家的な関係というものが、われわれの判断の決定的な要素でありました。
#97
○亀田得治君 あなたのほうじゃ、なかなか拒否する答弁に困るものですから、なかなか筋のあったようなことは言いにくいようですが、今おっしゃった中でも、この十名を認めると、また将来ふえていく、だろう、これはまた一つの大きな問題ですね。それはおかしいのでしてね。この十名がはたして日本の国の利益を害するかどうか、その判断をすべきなんですよ、この時点において。あなた、ほかの人までが何百人とこう出てくるのを、それをこの十名にしわ寄せされて、お前はいかぬのだ、こんなばかげた判断の仕方なんてないですよ。それは、何百名というような大量になってくれば、それはまた昂というものはある程度問題を変えますからね。それは、そういう場合にはそういう場合として検討すべき問題でしょう。そんな旅券法は、単なる感じとか、そういうものじゃいけないということを、法律制定の当時にやかましくこれは言われているわけなんです。現実に、しかも直接だ、直接利益を害するという、その子供がそのキャンプへ行ってきて、たとえあなたの心配するような、共産主義的な社会主義的な影響が、私必ずしもそうはならぬと思うのですよ。この家族の職業なり党派関係なども、私みんな知っておりますが、そういう点から見ても、必ずしも
 そういうことにならないのですよ。大体皆さんの取り越し苦労なんです、ところが、あったとしても、一体それが国の利益を直接著しくどうして侵害することになるか。それを説明して下さい。
#98
○説明員(高木広一君) さっき申しましたように、今言ったような偏向教育を受けて帰った子供が、一本国内において、自分は意識せずしても、やはり他の義務教育下の子供に悪い影響を与えるということが国の利益を、これは面接的にそういう利益を害するというふうに見ているわけです。今私は、この十名を認めれば、さらにさらにふえていくだろうと申し上げましたことは、この十人が直接著しく国の利益を害しましても、たった十人じゃないかというふうにお考えになるだろうと思って、これを拡大して見た場合にどういうふうになるかのお感じをはっきりさすために私は言うただけであって、たくさんであればいけない、十名だけならよろしいという趣旨では毛頭ございません。
#99
○亀田得治君 結局、あなたの答えを聞いておりますと、共産主義だからいけないということになる。それに帰するわけなんです。だから、それを最初に私念を押したのです。それは、現在の政府の考えておることにどうもそりが合わぬ。それだけのことなんです。それなら、国内においても、子供がそういう政治的なものにタッチするということは、少しもこれは差しつかえないことですね。党員になるとか党活動をやるということまで考えなくたって、それは、政府がきらったって、本人たちがそうしようと思ったら、それをとめる権利が政府にありますか。ないでしょう。政府は好まぬかもしれぬけれども、本人がそうしようといった場合に、とめる権利が国内においてありますか。あったら、法的根拠を示して下さい。どうなんです。
#100
○説明員(高木広一君) それはないと思います。
#101
○亀田得治君 そんなものはないですよ。それはもちろん、一般的に政治活動についての、たとえば選挙権とか何とか、そういうものは、それはだれにだってあります。ところが、思想によって、方向によってそういうものはないわけなんです。国内においてないことを、外国へ出る場合に、なぜそれが問題にされる、全然間違いですよ。だから、感じだけなんです。
#102
○説明員(高木広一君) ピオネール組織とボーイ・スカウトとまるっきり違うことはさっき申し上げたように、ボーイ・スカウトは、初めからこういう政治を入れないということであります。ピオネールのほうは、政治活動のための政治組織であります。その点が根本的に違います。
#103
○亀田得治君 だから、日本の国内において、子供が共産党なら共産党に入り、社会党に入り、自民党にに入って活動する、それをとめることはできぬでしょう。国内でできぬことを国外のことが問題になったときに持ち出すということは、つまりそれが差別なんです。差別扱いなんです。実質上。そうならぬですか。かりにアメリカの共和党なら共和党あたりが何か主催した、あるいはその系統のものが主催したようなものであったら許すでしょう、どんどん。設したのはあるはずですよ。ここらにもいろいろこう書いてありますけれども、必ずそういうふうなつながりのものも、よく調べればあるいはあるかもしれない。そんなことを一々考えることがおかしい。それならば、子供がいかぬのならば、おとなが行く場合でもいかぬということになってきますよ。それは、子供が共産主義的な影響を受けるのを好まないと政府が考えるだけであって、本人がそう思う場合にはとめられぬのですよ。偏向教育の問題は起こらない。本人が考えている場合には起こらないのですよ。
#104
○委員長(鳥畠徳次郎君) お答えありませんか。
#105
○亀田得治君 答えて下さい。
#106
○説明員(高木広一君) おとなの場合は認めております。ただ、日本の義務教育は、そういう政治的な偏向、右にも左にも偏向した教育をしないという大原則に立っているわけでありまして、その精神に基づいて今言った判断をしているので、おとなの場合には、共産主義者であり、それを信奉しておられるから出さないということは全然ございません。
#107
○亀田得治君 だから、旅券法制定のときには、直接著しく国の利益を害する、そういうことをやかましく言われたわけなんです。これが現在の林法制局長官、彼が外務委員会に出て来て、直接に利益を侵害しなければならぬので、風が吹けばおけ屋がもうかるというような、そういう間接的な、何かこれがこうなって、そうしてこれがこういう影響を及ぼしてこうなるのだ、そんなようなものは入らぬのだ。風が吹けばおけ屋式のものはだめだ、そういう言葉を林君自身が委員会で使っているのですよ。あなたの説明を聞いても、まるきり、それはもうどこで国の利益が侵害されるのか、そんなものはちっともはっきり出てこぬじゃないですか。それは、ただ政府の文教政策から見てどうも気に食わぬ、それだけのことなんです。利益の侵害ということは、どうしてもはっきり説明できないでしょう 直接の利益の侵害ということは、十名の人々が侵害しなければだめですよ。十名の人が帰ってきて、そうしてそれが何か波及して、それがまた何かなるだろう、そんなものはみんな間接ですよ。そうならぬかもしれぬし、全くそんなものは単なる推測でしょう。
#108
○説明員(高木広一君) 義務教育下の青年に対して偏向政治を与えないということは教育の一大原則であります。教育基本法にもその精神が響いてあるわけであります。それで、この十名の少年が政治的偏向教育を受けて、しかもこれが、判断力も十分でない人が受けて帰ってきて、それが外に、他の子供たちに与える影響がすなわち直接国の利益を書する、これら十名の人が害する結果になるというのがわれわれの考えであります。
#109
○亀田得治君 そこですよ。その教育を受けたとしましょう。それが十名の人々、これは中学生、小学生、国のどの利益を害するのです。国の利益を、そんなばく然としたことをおっしゃったってだめだよ。北鮮への渡航の場合は、日韓会談があるからといったような理由が出され、これはまあ私も直接交渉をして、これはもう大臣からも数回聞かされた。これもはなはだ政治的な判断だが、しかし、まあ本件に比べれば、多少具体的な国の利益ということには関係はそれなりにあると思うのです。説明として、けれどもこの場合は、そんなものは一体十名が帰ってきて、またそんなことがはやったら困るだろうという、どうも気に食わぬ、こんなことは。だから私は、きょうの答弁でも、資料がまるきりそういうその現実をきちっと把握しておらぬようでありまするし、また、偏向教育なり、子供に関する、それこそ偏見だ。偏見を持ってやっておられるというふうに聞き取ったわけでして、こういうことはもうやめてもらいたい。こんな理由ではもっとほかに、こうこうこういう利益を害するのだというふうなことが出てくればまた別ですが、だから、こういう態度は改めてもらわなければいかぬと思っているのですが、これは、大臣なり党も参加してきめたような問題であるようですから、いずれ外務大臣にもきちっとこの点を確かめてみたいと思っております。岩間君のほうでも御質問があるようですから、一応私の質問はこの程度にしておきますが、資料ですね、ちょっとこれをお聞きしておきますがまあ最近の近いところから間に合う程度に並べてくれと申し上げたわけですが、三十七年の九月十日からさかのぼって、三十六年の六月十五日までのものしかここに出ておらぬわけですが、この中間に落ちておるものはないのですか。このもっと以前のものはこれからお調べ願いたいと思うのですが、中間で落ちているものはないですか。
#110
○説明員(志水志郎君) 落ちていないと思います。
#111
○亀田得治君 それではもう少しさかのぼって。それから、さっきのディズニーランドへ行った者、それから今年バチカンのほうに二人行った件、そういう点等もひとつお調べ願って、きちっとした表にして御提出を願いたい。この点を要望しておきまして、これはもうきょうで終わりませんから、一応私の質疑をきょうは中止しておきます。
#112
○委員長(鳥畠徳次郎君) 岩間君に申し上げます。先刻来この件につきましては一時間四十分ほど要しておりますので、あとまだ残りもありますから、できるだけ簡単に結論をつけて下さい。
#113
○岩間正男君 これは、亀田委員から今言われましたように、基本的人権に関する重大な問題ですから、きょうだけで終わる――時間の関係もありまして、やれるとは思いませんけれども、今応答されましたその中で、関連した二、三の問題についてお伺いしたいと思います。
 第一に、今の移住局長のお話を聞いておりますと、義務教育だからこのような措置をとったんだ、こういうことを言われましたね。そうしてそれは教育基本法にあるということを言われましたが、教育基本法のどこにあるのです。教育基本法の精神を見て下さい。教育基本法の前文には、「個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期する」、こういうことを言っております。それから第二条を見て下さい。「教育の目的は、あらゆる機会に、あらゆる場所において実現されなければならない。」あなたは、おそらく第八条の問題をこれは言っているのでしょうが、これは、政治教育その他政活活動をしたり、特定の政党を支持する。これが第八条第二項にはそういう規定があります。しかし、この問題とこれはまるきり違うじゃないですか。第一、あなたの言われたのは、義務教育であるからそのような統制を加えなければならぬ。これは、国家統制の教育の精神です。これは全く教育基本法の、精神に反します。今のような説明をされて、それがまかり通るということは、これは教育基本法違反になります。重大問題です。
 第二の問題は、これはソビエトのピオネールではなくて、国際親善の少年少女の交流のそういう営みに対して、あなた自身は、ピオネールの何か創設時代のこれは方針を持ってきて説明されておる。ここが根本的なこれは間違いですから、この点はさっき私も指摘したように、二つを混同してはいけませんよ。混同してやっておるところにすでに曲解があるんだと思う。そうするというと、この教育基本法の第八条の「特定の政党」云々という、そういうものにこれは適用されないんです。現に子供たちは何と言っておると思いますか。これに参加した子供たちはこう言っておる。代表に選ばれた少年少女の声を聞いて下さい。ソ連については、よく言う人も悪く言う人もいるので、自分たちでありのままの姿を見てきて、みんなに伝えたい。これが願いです。十人の子供たちの。これをあなた聞きましたか。お聞きになったんですか。こういう観点に立っておる。これは最も正しいじゃないですか、良識として、そうしてまた、この少年はこう言っておりますよ、あなたたちに拒否されたとき、こういうことを言っております。パスポートを出さない理由の中に、私たちが直接に国の利益を害するとありますが、私も日本人です。私たちの国に害になるようなことはしません。大臣は、もっと自分の仕事に責任を持ってもらいたいと思います。こう言っておる。この子供の批判をあなたはどう考える。今の政府、今の政治に対する、この偏向教育に対する痛烈な批判じゃないですか。そうしてこういうような良識が生まれてきていることについて、このような子供たちをあなたたちが規制するなんていうことができますか。できないでしょう。どういう法的根拠もない。それから現実について、あなた自身がすでにそういう形では、私はたいへんな立ちおくれじゃないかと思う。大体戦前の教育に国家統制を通じて今戻りつつあるのが、今のこれは文教政策だというふうに私は考えておりますけれども、これはたいへんなことです。戦前の教育は、反ソ反共の見ざる聞かざるの外交政策ですね。そうして偏見にあくまで自分をしばりつけてきた。これが日本を太平洋戦争に追い落としたところの根源です。こういうものをしないために、あらゆる知識を吸収して、あらゆるものを消化して、そうしてほんとうに良識のある公平妥当な、そういう国民を作っていくのが戦後の教育の方針です。ところが、すでにもう国家統制が出てきておる。この国家統制の手によって、権力の手によって、この子供たちの願いというものはむざむざとじゅうりんされておる。私は今、教育基本法をあげ、そうしてこの日本の教育の現状の一端をあげて、あなたたち自身のこれは大きな偏向のやり方について言っているんですが、これに対してどういうあなた答弁ができますか。
#114
○説明員(高木広一君) 政府といたしましては、このピオネール・キャンプにつきましては、政府の資料をもって判断し、さらに主催者からも、さっき申しましたように、どこでやってどういう期間でどうするんだというような質問もしておるんですが、これは出ておりません。どこでやるかも、極東のどこかでやるんだということ以外はわれわれ何ら聞かされていないのが実情であります。
 それから、教育基本法におきまして、青少年が心身ともに健康な成長を遂げる、政治的偏向を受けないで、心身ともに健康な成長を遂げるということが国家的の利益でありまして、この今の子供たちが、自分らはロシアを見てくるんだということを純心に思っている。しかもこれが、十分な判断力のない人々が行って、あそこで偏向教育を受けるという結果は、そうして偏向を受けて、また十分判断もできないで帰ってきたところを他の子供たちに伝えるということの影響がいかに重大であるか、少なくとも義務教育期間における青少年の生活においては、そういう政治的な、偏向活動がないようにするのが教育基本法の一大精神であると思います。
#115
○岩間正男君 あなた、とんでもないことを言っておりますよ。教育基本法にどんなことを書いていますか。義務教育について特にそんなことを規定していますか。義務教育の条項は、これには第四条にあります。そんなことを書いてありません。「国民は、その保護する子女に、九年の普通教育を受けさせる義務を負う。」そうして「国又は地方公共団体の設置する学校における義務教育については、授業料は、これを徴収しない。」これ以上の規定がありますか。法に立脚して言って下さい。そういうばく然とした考えが今の誤った、またこの逆行しつつある文教政策の国家統制、教育の考え方の中にそういうことがたまたま行われているのです。しかし、個人の尊厳をあくまでも尊重するとか、あらゆるところでやはり子供の良識を伸ばさなければならないとか、こういう問題について、あなたは全然考えていないですね。そういうような形で、今子供を故意に、そうして何か目的があるように、ことに歪曲してこの問題をねじまげていく考え方というものは、これは絶対に正しくないし、また、旅券法を作られた当時の、さっきの亀田委員の指摘された精神から考えても、明らかに違反だと私は思います。これは、ここで議論をやってもしょうがありせまんが、外務政務次官、どう思いますか。この政治的な見解を聞きたい。
#116
○政府委員(飯塚定輔君) ただいまの岩間委員の御質問は多岐にわたっているので、もう一ぺん、どの点をどう思うかということを御指摘願いたい。
#117
○岩間正男君 今のような解釈をとっているわけですね。しかし、これは私は、義務教育ということを言って、それで、国家としてはそういうものを統制するのだ、それが正しいのだと言っておりますが、これは教育基本法の明らかに違反です。さらにまた、旅券法の精神からいっても正しくないと考えますが、この点について次官はどう考えるか。
#118
○政府委員(飯塚定輔君) 私、外務省の仕事を受け持ちましてからきわめて日が浅いので、ただいまここで明確にお答えすることは不可能だと思いますけれども、これらの点についても、私もさらに勉強してお答えしたいと思います。
#119
○岩間正男君 ここはそういうことですから仕方がないので、それじゃ、二、三のこれに付随した問題を聞きますが、これは、最後に決定をしたのはだれなんですか。いろいろ相談をして、しかも最後に決定したのは、これは移住局長ですか。むろんこれは、外務大臣の名によってなされたと思うのでありますが、決定権者はだれなんですか。これを明確にしていただきたい。
#120
○説明員(高木広一君) 事務的には私、移住局長です。
#121
○岩間正男君 そうすると、あなたは、この問題については、どことどことどこと相談されましたか。
#122
○説明員(高木広一君) 関係省担当官を集めて協議いたしました。
#123
○岩間正男君 どこです。それを言って下さい。
#124
○説明員(高木広一君) 法務省、文部省、外務省でございます。
#125
○岩間正男君 そのときに、文部省の意見はどういうのでしたか。
#126
○説明員(高木広一君) さっき私が申しましたとおりであります。義務教育下の青少年に偏向教育を与えない、そういう影響を与えないということが国の大利益である、それを与えるようなことが国の利益を害するということであります。
#127
○岩間正男君 ついでに、法務省の意見はどうでしたか。法務省はだれに聞きましたか。法務省はどうでした。立会ったのは。
#128
○説明員(富田正典君) 法務省は、私が出席いたしましたか、もちろん、局内全部で相談いたしております。
#129
○岩間正男君 これには、公安調査庁は参加しておりますか。
#130
○説明員(富田正典君) 参加しております。
#131
○岩間正男君 法務省の意見はどういうのでしたか。いや、そちらから言ったほうがいい、あなたは総括責任者なんですから。
#132
○説明員(高木広一君) さっき申しました考え方に、法務省もこれに同調したわけであります。
#133
○岩間正男君 そうすると、外務省側の見解として、総括責任者としてのあなたの見解は、文部省、法務省の意見と全く一致したと、こういうことなんですか。そうして決定に至ったと、こういうことなんですか。
#134
○説明員(高木広一君) そのとおりであります。
#135
○岩間正男君 ところが、その今のあなたの決定の中には、少なくともピオネール・キャンプそのものについての資料そのものがすでに間違っておる。間違った基礎の上に立っておる。第二には、教育基本法に抵触します。今の見解は、国家統制ですから、個人の尊厳などというものは、全然これで吹っ飛んでしまいます。それから、第二条の「教育の目的は、あらゆる機会に、あらゆる場所において実現されなければならない。」こういうものをどういうふうに救済します。今度の措置でどんなふうに救済します。
#136
○政府委員(高木広一君) 質問の趣旨がちょっとはっきりしないので、もう少しはっきり……。
#137
○岩間正男君 これは侵されたのです。今の教育基本法の前文が、こういうことですっかり侵されます。個人の尊厳というやつが、こういうことですっかり侵される。個人は何を考えておるかというと、今言ったように、子供たちの総合した意見として私は聞いたのであり出すけれども、これは、ソビエトを悪く言う人もある、よく言う人もある。しかし、直接この目で見てきたい。これによって見てきたところを正しく伝えたい。実に客観的な冷静なものです。科学的です。批判的です。こういう子供こそ必要なんです。それから、ときの勢いなり判断、そういうものにふらふら動かされて、そうしてやっていったのが大東亜戦争の失敗なんです。それを繰り返さないためにこそ基本法は必要である。これは、個人の尊厳が力説された戦後の教育の大方針です。この方針によって、この教育基本法は、少なくともこの精神をもとにして成立された。そうしてこのような具体的な根拠がある。ところが、今のような事実をとらえまして、この子供の意思というものは、十人の子供の意思はじゅうりんされた。それから、これに賛同した親の意思もじゅうりんされた。この背後には何万の子供がいるのです。友人が喜んで送り出し、そうして送別をし、少年少女の国際交流という立場から、いろいろな作品、図画とかその他のものを持たせて、喜び勇んで送り出されてきたこれらの意思を全部じゅうりんしておる。しかも、はっきりこの教育基本法に抵解するのです。このような教育基本法の精神を、今のあなた方のやり方でどういうふうに救済するか。救済措置を言って下さい。
#138
○政府委員(高木広一君) 教育基本法の精神は、そういう判断力のない義務教育下の子供たちに、特定の目的に向けられた教育の影響に立たせないということでございます。大人が行って現地で見るならば別ですが、十分の判断力のない義務教育下の子供が現地に行って見てきて、それが絶対正しいと思って、間違った印象を持って帰る、その結果与える影響というものこそ心配だと思うのであります。
#139
○岩間正男君 一体それは、どうして判断力がないときめておるんです。あなたの判断力よりもっと鋭いですよ、子供の判断力は。子供ははっきり言っているんですよ。不偏不党で行くんです。悪いところは悪い、いいところはいいと見てくる。それを本土に伝えたい、この批判力なんか、あなたたちの批判力以上です、判断力がないと言うならば。この子供たちはこう言っています。旅券が出ないときは、全くくやし涙が出た。それからその次には、アメリカのディズニー・ランドの見学などには行かせるのに、すぐ隣のソ連には行かせないなんて不公平です。それから、先ほどあげた、パスポートを出さない理由の中に、私たちが直接国の利益を害するとありますが、私も日本人です、私たちの国に害になるようなことはしません。大臣は、もっと自分の仕事に責任を持ってもらいたいと思います。その次にはどうです。中学三年の、一般社会及び今までの学校で教わった外務省その他の役所か、今度自分の目で見た役所とあまり開きがあり過ぎてがっかりした。学校で習ったものは理想みたいな気がする、ほんとうに情けない。私もそう感ずる、同感です。この批判力は、あなたたちの今展開された議論よりも――速記録を見ればわかるけれども、展開された議論よりもはるかに批判力がある。これは、批判力がないどころではない。どうしてあなたたちは、偏見でもってこれを押えるのか。それは、教育基本法のどこにそういうことが書いてありますか。あなたは、教育基本法のごく一部の、政治活動の不偏という、そこのところを言っているのでしょう。それは、そういう理由はないということは、さっきのあなたのあげた資料そのものが、ピオネールの建設当時の方針だけをあげてきて、そうしてそうでないところの、全然違った国際交流団体そのものに当てはめて考えるのは間違いだということを明らかに言っているわけでしょう。そうでしょう。それで根拠がなくなっているのですよ。それなのに、いかにも教育基本法の精神は、義務教育を、そういう子供たちに対して国家が一つの統制を加えて、それに対して、自分の好きなほうにはどんどんやる、きらいなほうにはやらないのだという形でもって、おとなの偏見によってこれが左右されているということは、こういうことは許されますか。どこにありますか、教育基本法の。教育基本法をお読みになったですか。失礼ながら、お読みになったですか。何条ですか。
#140
○委員長(鳥畠徳次郎君) 岩間君に申し上げますが、ただいまの御質問は、単に外務省だけではありません。各省に関係がありますので、本日は他に発言もないようでありますから、本件はこの程度にとどめます。
 次回には、各省の方に出席を求めまして、引き続いて審議をいたしたいと思います。
#141
○岩間正男君 それでは、委員長からの御注意もございまして、時間の関係もございますから、私はこういうことで時間がひまどって……、そうしてあなたたちのほうも、どんどん聞くべきことは聞けばいいわけでしょう。当事者を呼んで、どこで開催するか、どういう運営をするとか、相談に言ってこないから、もうこれがまただめなんだとか何とかで理屈を作って、じんぜん日を送って、結局夏が過ぎてしまうのだ、間に合わせないということを目的にそういうことをやる。それは、そういう意図でやられるようにとられても仕方がないような行政の運営をやってはいかぬと思う。この問題については、てきぱきと処理をするように、しかも、今言ったような根拠のない上に立って、不当に日本人の尊厳、旅券法に認められた人権を無視するやり方は、私はやめてもらいたいと思います。これは、至急にやはり旅券を発給すべきではないかと、このように考えます。
#142
○政府委員(飯塚定輔君) 岩間委員に申し上げますが、先ほど申し上げたように、私は、外務省を担当してから日が浅いので、お答えすることはでき得ないと申し上げましたが、もし教育基本法に対しての外務省の解釈等に行き過ぎあるいは足りないところがありますれば、将来十分に研究させることにいたしますから、御了承願います。
#143
○委員長(鳥畠徳次郎君) 次に、請願の審査を行ないます。
#144
○岩間正男君 いや、まだあります。ピオネールの問題は、ただいま外務次官のお言葉がございましたので、私たちは、文部省の見解というものに外務省が無条件に同調するほど見識のない外務省だとは考えておりません。これはやはり大きな変化がありますから、こういう点については十分検討されて、今後、しかも早くこの問題を解決して、そうして当然旅券法制定当時の精神を実現できるように、著しい害を与えるなんということは、亀田委員も力説されましたが、これについては、もっと大きな立場から、ことに国の今後の運命をになう青少年の教育の問題ですから、こういうような見地から善処していただきたいと思います。
 次に、旅券の問題でお聞きしたいのであります。
 伊関さんに、お忙しいところをおいでをいただいたわけですが、第一にお聞きしたいのは、本年の二月末に、ベトナム民主共和国の貿易使節団五人が日本に来ることになっていたわけです。そのうち三人は、ベトナムでビザが発行されて来たのですけれども、外交部通商局長グエン・バンプー、輸入課長のグエン・ビン、この両氏は、広東で一度発行されたビザが取り消されて、一カ月も待機した、こういう事態が起こったことは御承知だと思います。これは、どういう理由によるものでありますか。
#145
○政府委員(伊関佑二郎君) 一度発行したビザを取り消したというのではございませんで、まあこちらで考慮しているうちに、向こうが、五人とも大丈夫だろうと思って広東まで見えたわけですが、ベトナムとの間につきましては、徐々に人事交流をやっていこう、これは、南ベトナムに対する国交等も考えまして、その関係を考えまして、御要望に沿いつつ、徐々に拡大しているというのが実情でございます。
#146
○岩間正男君 そうすると、この三人は許されて、二人は許可にならなかった、これはどういうわけですか。理由は何ですか。
#147
○政府委員(伊関佑二郎君) 二人ははっきりとした政府の官吏であるという点、ほかの三人は民間の人であるというところで区別をいたしたわけであります。
#148
○岩間正男君 何かそういり基準でもあるのですか。内規のようなものが……。
#149
○政府委員(伊関佑二郎君) そういう内規というものはございませんが、個々のケースにあたりまして、これが及ぼす影響、利害得失等を判断してきめております。
#150
○岩間正男君 役人は害があるといりわけですか。
#151
○政府委員(伊関佑二郎君) まあ政府の高官が来るということは、ある意味で、公的な色彩が濃くなるという点がございます。南ベトナム側からも、かねていろいろなことを言ってきておりますので、その辺を考えまして、実際の目的は達し得るようにというふうに、すこぶる現実的に考えてやっているわけであります。
#152
○岩間正男君 次は、朝鮮民主主義人民共和国のことですが、戦後十七年になりますが、ただの一人もまだ入国を認められた事例はないのですね。これは、さっきの外務省の方針だと、徐々に拡大する方針だというのですけれども、これは、北鮮の場合だけが例外になっているのですが、これはどういうわけですか。
#153
○政府委員(伊関佑二郎君) 北鮮については、昭和三十年の次官会議決宙というものがありまして、非常に厳格にやっておったわけでございますが、最近は、貿易等はかなりゆるめておりますので、そういう方向にはなっておりますけれども、まだ人事の交流を認めるのは過早であるというように判断いたしております。
#154
○岩間正男君 最近東工物産と金剛協同組合商社との間で、芝浦電機の中波放送機の輸出契約ができた際に、通産省も、当時は佐藤通産大臣のときですが、今回限りということで、一たん入国を許可しながら、結局これを取り消した、そうしてその製品はいまだに倉庫に眠っている、こういう事実があるのですが、これはどうなんですか。こういうふうに、一たん認めて、しかもそういう、今回限りということで認めたものでさえも取り消しているのですが、どうも今のお話の方針と違うように思うのですが、どうでしょう。
#155
○政府委員(伊関佑二郎君) その放送施設の話は解決したようにも聞いておりますが、私もはっきりいたしませんが、これは、通産省が許可したと申しましても、はたして正式に許可されたものかどうか、人を入れる入れぬの許可は外務省に権限があるわけでありまして、外務省が許可しない限りは、許可したことにはならぬわけであります。一たん認めたものを取り消したということにはならないわけでございます。大体一般的な方針に従いまして、そのケースも、私どものほうでは、まだ早いという判断をいたしたのであります。
#156
○岩間正男君 貿易の引き合いをやるという方針だというのですが、それに伴って、北鮮の場合だけビザを出さないというやり方では、やはり非常に大きな隘路になって、うまくいかないのじゃないか。外務省の方針としてこれをとられるということは、どうも納得がいかないのです。
#157
○政府委員(伊関佑二郎君) 貿易についても、初めは全然認めなかったというような実情でございましたが、逐次拡げて参りまして、いろいろ御要望に沿いまして、昨年の四月にも多少ゆるめております。一つゆるめますと、またすぐ次に、これもやってくれ、あれもやってくれという御要望が出てくるわけであります。もちろん、完全に自由になれば一番いいわけでありますが、そう矢つぎばやにやるのは早過ぎる、徐々にやっていこう、こう考えております。
#158
○岩間正男君 ビザは緩和する考えだというふうに了解していいわけですね。
#159
○政府委員(伊関佑二郎君) 今すぐ緩和するというふうに了解になるのは早過ぎるのではないかと思います。
#160
○岩間正男君 方針のほうに動きつつあるいうことは認めていいですか。
#161
○政府委員(伊関佑二郎君) 全般論といたしまして、共産圏の中で、北鮮だけが一番厳格な扱いを受けておりますこれは不思然な姿であるということは承知しております。
#162
○岩間正男君 もう北鮮がそういうふうにされているのに比べて、韓国の場合は、これはどうなんですか。韓国も、まだ国交を回復してない国ですね。そういう意味ではこれはもう朝鮮民主主義人民共和国とは法的な資格では違いがないと思う。ところがどうですか。日韓会談の立役者で、今よく活躍している崔英沢参事官の場合ですね。彼氏が日本に来る場合には、朴光浩という偽名を使って立川基地から入った。しばしばこれは往復した。これについては、これは外務省に認められるわけですか。
#163
○政府委員(伊関佑二郎君) 一回だけそういう名前で入って来た。そのときは特殊の任務を帯びておったので、本職を明らかにせずに来たんだということを向こうでは申しております。その後、代表部の参事官として参りまして、すぐ私の所へ参りまして、前回は、こういう特別の理由で、そういう別な名前で入ったから、それはそういう事情があったので、御了承を得たいということを言って参りましたので、そのケースに限っては、先方からそういうあれがございましたから、大目に見ることにいたしましたわけであります。
#164
○岩間正男君 どうもそこがわからぬのですけれども、都合のいいほうは大目に見て、都合の悪いほうは法さえ無視して、そして今のように強引なやり方で打ち切ると、これじゃ、国民感情としては私は納得しがたいと思うのですけれどもね。これはもう、大目で見るということはプライベートの問題じゃないですか。日本の法的根拠からいえばどういうふうになるのですか。米軍の立川基地から入って来た、偽名を使って、しかし、やむを得ない事態だと認定してこれを許した。許したのは、しかしこれはプライベートだ。国法からいってそういうものを許すならそして、そういう何なら、私は、ピオネールこれなんというものは、とてもこれは問題にならない。許されて、もうまかり通っていいような問題だと思うのですけれども、どういうふうにお考えになりますか、そういう点は。
#165
○政府委員(伊関佑二郎君) 日本にとりまして、韓国と北鮮とを同列に驚いては考えておりません。韓国とは、事実上の国交もございますし、近く国交を正常化しようというわけでありまして、非常に違った立場において問題を見ております。
#166
○岩間正男君 それは、政治的な判断を加えて、そして国法の建前はおろそかになるんだと、それでもやむを得ないという御答弁ですか。
#167
○政府委員(伊関佑二郎君) 入国をさせるかどうかということは、これはまさに政治的な判断でいいんじゃないかと思っております。
#168
○岩間正男君 しかし、政治的判断も、法を曲げてということは許されないでしょうね。
#169
○政府委員(伊関佑二郎君) 私は専門でございませんが、法を曲げているとは思っておりません。
#170
○岩間正男君 偽名を使ってもかまわないのですか、法を曲げていないというんだったら。移住局長からお聞きしたい。いいんですか。偽名を使ってかまわない、曲げていないなんて言っている、いいのですか。答弁して下さい。
#171
○説明員(高木広一君) これは入国のほうは外務省ではなくて、御承知のとおり、入国管理局の関係でございますから、ひとつそちらのほうへ。
#172
○岩間正男君 そうすると、法を曲げてというのは、あなた、そういう横車を押しはいけませんね。これは、私は、偽名を使って、それで入って来る、それについて許したというような形のプライベートな問題では、どうも国民感情は納得しないと思う。
 それから、どうですか。立川基地から入って来たというのだが、これも、こういうことを許されているわけですか。入管の方、見えておりますか。
#173
○政府委員(伊関佑二郎君) 事実問題として、立川から入ったのであるか、羽田で入ったのであるか、それは私は存じませんが、もちろん偽名で入ったという行為自体も、おもしろくない行為でありますが、あとでいわゆる代表部の職員として入って参りまして、まあこういうやむを得ない事情がふったのだということでございますから、それは代表部の職員でありましても、好ましからざる人物として、国外退去ということもあり得ますが、その辺のところは、いろいろな判断をいたしまして、先方でそういうふうに特殊な事情を述べて、了解を求めて参ったので、許したわけでありまして、初め入ったときには、法を曲げて入ったということは、こちらは全然知らなかった。
#174
○岩間正男君 入管の方に聞きます。
#175
○説明員(富田正典君) 私の着任以前の問題なので、詳細は存じませんが、一般的に申し上げますならば、旅券を持って参りまして、その旅券に表示された名前によって、入管としては入国手続をとるということになっておりますので、その朴何とかいう名前で入って参りまして、その旅券を持っておりますれば、それに従って入国手続をするより仕方がなかったのじゃないかと思います。
#176
○岩間正男君 立川の問題。
#177
○説明員(富田正典君) 行政協定第五条によりますと、そういう場合には通告するということに、そういう軍用機などによって一般人が入国して参った場合には通告するという建前になっておりまして、その通告に基づいて、当方の入国審査官が審査手続をとっているものと思います。
#178
○岩間正男君 そうすると、この行政協定第五条による日米合同委員会の分科会ですか、これの取りきめがあるはずですね。合意書ですか、出入国管理に関する、これはございますね。分科会には入管から入っているのですか、法務省として。この資料いただけますか。合意書の構成、運営、それから、それに付随したいろいろなあれをわれわれ検討する必要が出てきたわけです。今のような事態があるのですから、これについて、合意書はどういうふうになっているか。合意書には、概略的に
 いって、こういうのは認められていることになっているのですか。
#179
○説明員(富田正典君) 米軍当局の通告によって、こちらが審査するという建前になっております。
#180
○岩間正男君 この場合は審査をした
 のですか。米軍の通告がありました
 か。
#181
○説明員(富田正典君) この問題については、入管としては話を聞いておりません。
#182
○岩間正男君 責任者はだれですか。委員長。
#183
○説明員(富田正典君) もし御要望がございましたら、その名前を承って、調査して御返答してもけっこうだと思います。
#184
○委員長(鳥畠徳次郎君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#185
○委員長(鳥畠徳次郎君) 速記をつけて。
#186
○岩間正男君 それと、もう一つは、これに付随する日米合同委員会の分料会合意書をぜひいただきたい。文書で資料として出していただきたい。
#187
○説明員(富田正典君) 朴某の入国手続の実情については、後刻御報告することにいたしたいと思います。
 なお、日米合意議事録等について、これは、一応外務省の所管になっておりますので、もう少し外務省とも打ち合わせいたしまして、どの程度の範囲で出せるかどうか、相談した上できめたいと思っております。
#188
○岩間正男君 外務次官にお願いしますけれどもたいてい今まで、こういう資料はみないただいておりました。そうして行政協定、新しい地位協定の立場を私たち検討する必要があります。これは、ぜひ入管と何して、至急出していただきたい。ようございますね。
#189
○政府委員(飯塚定輔君) 従来これらの問題について、はたして資料を出しているかどうか、私にもわかりませんので、いずれ本省で相談をいたします。
#190
○岩間正男君 相談といいましても、もらっておりますよ。国政審議についてこれは必要なのです。
#191
○説明員(高橋正太郎君) 簡単に、ただいまの政務次官の……。
#192
○岩間正男君 出せるか出せないか、時間がありませんから。
#193
○説明員(高橋正太郎君) これは最近出してございます。岩間先生御存じの通りに、昭和三十五年の安保国会におきまして、衆参両院の安保特別委員会、これは昭和三十五年三月二十五日でございますが、第三十四国会の「合同委員会合意書に関連し実施されている主要事項」という中の一つとして国会に提出してございます。それをごらん願いたいと思います。
#194
○岩間正男君 もう一回出して下さい。全部出ていないんですがね。もう少し……。
#195
○説明員(高橋正太郎君) それじゃ、当時のものと同じものを再提出さしていただきます。
#196
○岩間正男君 まあこういうふうに、朝鮮民主主義人民共和国と、それから韓国の場合、非常に違いがあるわけです。これは、やはり法の建前というものが乱れるような形で、こういう乱用に類するようなことが行なわれるとしたら大きな問題なんで、こういう点はよく考えてほしいと私は思う。国交も回復していないんだし、こういうしかも手続の問題ですが、韓国の場合なんかは、日本の在外公館はないんでしょう。そういう場合なんかのときの手続というのは、これはどういうふうにやっているのか、どうもそこのところが国民にははっきりしない。特に米軍との関係ではっきりしません。
 それからもう一つは、たくさんの、台湾からもベトナムからも、SEATO、NEATOのいろいろなそういう関係の軍人が米軍機によって出入しているということは、だれでも知っている公然たる事実ですよ。こういう問題についても、一体日本はどういう立場をとらなくちゃならないのか。これは、安保条約、行政協定そのものの立場にかりに立つにしたって、これは相当乱用されているというふうに見るのですけれども、日本の主権は保たれないように感ずるので、こういう点について、これは、きょうは時間がありませんから、この点省きます。
 次に、伊関さんにお聞きしますが、モンゴル人民共和国との出入国はどうなるか。それからもう一つは、モンゴル人民共和国と、これは国交回復をいまだにしておらないのですが、国連加盟はもうすでに昨年これはできて、当然日本は国交回復していいと思うんですけれども、あなたは、アジア局長の立場に立って、どうお考えになりますか。
#197
○政府委員(伊関佑二郎君) 外蒙からの入国につきましては、たしか二つほどケースがございまして、向こうの持って参りました旅券に査証をしておるということだと存じます。ですから、外蒙といっても、旅券に関する限りは、もう普通の国交のある国と同じに扱っております。
 それから今、承認の問題でありますけれども、これは、国連に入るときに、日本も賛成をしたということによりまして、外務省といたしましては、事実上の承認は行なったものというふうに判断しておりますが、正式の国交を開くか開かぬかということは、今後の問題でございます。
#198
○岩間正男君 もう事実上の承認をしておる問題と同じものだとおっしゃいますけれども、これは外務委員会にもかかっているものじゃなしに、国会の意思としても決定されていないのですから、これは、早くそういう処置をとるべきだというふうに考えますが、アジアの平和と親善のためからいっても当然そう思いますけれども、これは外務次官、いかがでございましょう。
#199
○政府委員(飯塚定輔君) 私個人としては、岩間委員のお考えと大へん似ておりますけれども、外務省としてどういう取り扱いをするかということについては、これから私ども研究問題になってくると思いますから、御了承願います。
#200
○岩間正男君 それじゃ、まことに正しい個人の見解を進めて努力をしていただきたいことを要望しておきます。
 最後にお聞きしたいのですが、これは、十一日から五日まで東商ビルで開かれる予定のアジア人民自由連盟東京大会というのは、どんな性格の会議なんですか。これは、伊関さんにお伺いしたいのです。
#201
○政府委員(伊関佑二郎君) どうも申しわけありませんが、私はまだ聞いておりません。
#202
○岩間正男君 御存じないのですか。しかしこれは、巷間では非常にうわさをされているし、週刊誌にもくたさん出ているのですがね。これ、どうですか。これについては御承知ありますか。アジア人民反共連盟、そこから、この大会に対して、二十一カ国に案内状が発送されておる。こういうことで、おそらくどんな国からどんな人が来ることになっているか、すでに在外公館を通じて入国の申請をしているだろうと思う。旅券課長さん、それから法務省の入管の方。
#203
○説明員(志水志郎君) アジア反共連盟でございますか。うわさとしては聞いておりますけれども、まだ査証の申請は受け付けておりません。
#204
○岩間正男君 全然受け付けていないのですか。十月一日の会議なんですね。
#205
○説明員(志水志郎君) 受け付けておりません。
#206
○岩間正男君 全然ですか。間違いありませんか。
#207
○説明員(志水志郎君) はあ。
#208
○岩間正男君 法務省はいかがですか。
#209
○説明員(富田正典君) 私のほうも承知いたしておりません。
#210
○岩間正男君 これは資料もたくさんあるし、こんなに量がある。皆さんは、ごらんにならないとしたらおかしいのですがね。しかも、政府の国務大臣が参加して、政務次官が現に準備会のメンバーとして参加しているでしょう。これを御存じないのですか。法務省、御存じないのですか。
#211
○説明員(富田正典君) 入管局としては、まだ承知しておりません。
#212
○岩間正男君 政務次官はどうですか。
#213
○政府委員(野本品吉君) 全然知っておりません。
#214
○岩間正男君 非常な情報網を持つ内閣調査室を持ち、公安調査庁を持ち、あらゆる情報機関を持ち、莫大な予算をかけている政府側としては、私は非常な怠慢な感じがするのですがね、どうなんです。共産党のことはだいぶ知っておいでになるが、こういう反共連盟などというものも、相当右翼団体とのつながり、つながりどころか、全く深い関係がある。こういう母体の団体ということは明確だ。アジア並びに国際的な舞台の中で活動しているということは事実だ。これを御存じないか。これは怠慢じゃないか。こういう問題、これはいいのですか。しかも査証をまだ、十月一日にやるということになっておるのだが、そうすると、そういうものが公館を通じて全然来てないというのですか。こういう問題は、すでにきょうは八月の終わりです。あすで八月はなくなる。あと一カ月しかない。半年くらい要さなければ、この問題は査証を与えることができない問題だと思うのでありますが、これは、ばたばたと最後の段階に与えるという事態が起こったら、国民は了承しますか。これは、どうお考えになりますか。政治的判断で、法務政務次官並びに外務政務次官にお答え願いたい。
#215
○政府委員(野本品吉君) 先ほど申し上げましたように、私は全然関知しておりませんので、御返答申し上げるわけには参りません。
#216
○政府委員(飯塚定輔君) 私も、お答え申し上げるだけの資料を怠慢と仰せられるかもしれませんが、それを見ておりませんし、どうか御了承願いたいと思います。
#217
○岩間正男君 どうも御就任になってからまだ一カ月半ですか、二カ月にならないようですから、ここで知らないとおっしゃるのを、知っているだろうと言うわけにも参らない。しかし、こういう問題は、御両所の立場から、はっきり検討していただきたい。きょうは大臣が来ていないから、少なくともそれを代表して、かわりに答弁される、こういうことを私は、国会審議の能率増進の立場から特にお願いしたいというふうに考えるわけなんです。
 そこで、アジア人民自由連盟東京大会といっておりますが、これは、アジア人民反共連盟東京大会であることは、これは間違いない。名前をただカムフラージュ的に変えただけです。言い分は同じなんです。これは、何を一体目的とする会かといいますと、これは、この中で特に注目しなくちゃならないのは、一九六〇年五月、台北で開かれたアジア人民自由連盟第六回大会、今まで一回から七回まで開かれて東京が第八回目のようでありますが、第一回は韓国の鎮平、第二回が台北、第三回がサイゴン、第四回がバンコック、第五回が京城、第六回が台北、第七回がマニラ、そうしてこの台北の第六凶の一九六〇年に行なわれた大会で東京の開催を決定されているようであります。その中で、満場一致で次のような決議が採択された。この決議の中に、「日本政府が共産党及びその組織を非合法化することを勧告する。日本政府は反逆分子のために当面する危険について国民に警告を与える戦いを強化すること。この連盟の会員は日本の反共闘争について援助を提供すること。」ということをこれは決定したわけです。こういうことを政府は、御存じない、知らぬ存ぜぬの一点張りでありますけれども、これは、明らかに憲法違反の行為だと思うのであります。こういう行為に対して、これを一体政府は、ビザの申請がある場合に、まずどういうふうにされるか。これらの大会の開催というのは望ましいとお考えになるのか。さらに政府はこういう大会に対して物質的にも精神的にも今まで援助を与えなかったのかどうか。また、今後も与えないという保証がはっきりあるのかどうか、これは私は、池田内閣の方針から考えても、こういうことはあり得ないと考えるのです。そういう立場に立ちまして、これは御意見を承っておきたいのでありますが、伊関さんからひとつお願いしたい。
#218
○政府委員(伊関佑二郎君) 私は詳しいことを何も存じませんので、十分検討をいたしませんと、ちょっとこの場でお答え申し上げかねる次第であります。
#219
○岩間正男君 それじゃ次官どうぞ。
#220
○政府委員(飯塚定輔君) 先ほど岩間委員が一カ月半とおっしゃったことは、私はそれよりももっと短くて、一カ月にもまだ達しておりません。しかし、御質問に対しては、誠意をもって一つ一つをお答えしておるつもりでございます。ただし、私の関知しておる問題は、誠意をもってお答えいたしますけれども、せざるものに対しては、いかんせん、幾ら岩間さんの御質問でも、お答えは困難だと思いますので、これは、本省において十分調査の上でお答えしたいと思います。
#221
○岩間正男君 法務次官、どうですか。
#222
○政府委員(野本品吉君) ただいま外務政務次官からお答えになりましたように、私も、この問題については全然関知しておりません。ただいま岩間さんの御質問によりまして、かような問題があるということを初めて知ったので、したがって、これから、私どもといたしましても、それがどういうものであるかということについて研究をいたしまして、何分の御回答を申し上げたい、かように考えております。
#223
○岩間正男君 御存じないようですから、私が今お知らせをしたわけですが、こういうような会合についての御見解はいかがでございますか。
#224
○政府委員(野本品吉君) 先ほど岩間さんの御質問に、こういうものが望ましいかどうかということでありますが、事態の真想がわからない限りにおきましては、望ましいとも望ましくないとも、私からは申し上げられません。
#225
○岩間正男君 これでもいいです。あなたは今のような御答弁ですけれども、私の言ったようなことがかりに事実だとしたら、そういう前提においてでもいいです。御答弁願っておきたい、両次官から。私の言ったようなことは、とにかくあなた自身が調査された問題でないから、これに対しては答弁をしないのだ。私自身は、いろいろな出されているもの、ここに渡辺鉄蔵氏がどんどん出したやつがありますね、こんなに、こんなのは九牛の一毛にすぎないが、あなたたちのもとには不幸にして入っていない。私たちはこれを見たわけです。週間雑誌などで、切り抜きを持っておりますから、国民はみな知っているわけです、賞々と。こういうような事態を御存じないというのですが、しかし、こういうものについて私はお聞きしているわけです。日本の民主主義擁護の立場から、憲法擁護の立場からお聞きしている。したがって、当然憲法によって立っていらっしゃる政務次官の立場として、憲法を守り、日本の政治を守る、民主主義を守る、こういう立場からの御見解を私はお伺いする。これは御発表いただけるだろうと思うんですね。両次官の御意見をお伺いします。
#226
○政府委員(飯塚定輔君) その問題に対して、はっきりしたお答えというものは、野本政務次官からのお話と同じようでございますけれども、ただいま岩間さんから、これこれはこうだということを伺っただけでは、アウトラインだけでも、はっきりのみ込めないのでありますけれども、祖国の憲法に違反せず祖国の繁栄のための会合であるならば、いずれを問わず、歓迎しなければならないものと考えております。
#227
○岩間正男君 反対の場合はどうですか。
#228
○政府委員(飯塚定輔君) 憲法を阻害し、祖国の繁栄を阻害するものに対しては、日本人の一人として反対せざるを得ないと思います。
#229
○岩間正男君 法務政務次官、いかがです。
#230
○政府委員(野本品吉君) 憲法を尊重するということは、日本の国民の当然なことと思いまして、十分心得ているつもりでございます。
#231
○岩間正男君 時間がございませんから、もう終わりにしますけれども、御存じない御存じないということですけれども、これは、そう言えないような事実が実はあるんです。昨年十一月、小坂外相当時ですが、東南アジアに出張するとき、伊関局長に百万円支出することを命じた。伊関さんも、海外に出張して、中国課長に命じて、岸信介氏に百万円出した。これは公然の秘密になっている。こういう事実は、これはまた国民が知っている。われわれ共産党はうかつで、あまりこんなことを知っていない。国民は知っている。こういうんですね。これは、どういう理由でこういうものを出資されたか、予算項目はどういうところから出されたか。これは、当の伊関さんにお伺いしたい。
#232
○政府委員(伊関佑二郎君) 全然そういう記憶はございません。
#233
○委員長(鳥畠徳次郎君) 簡単に結論を出して下さい。
#234
○岩間正男君 多分そうおっしゃるだろうと思ったんですが、この事実は、もっと私たちも調査してみたいと思います。もう一つは、この東京大会には、準備委員として現閣僚がおられます。現次官もおられます。それからまた東京都公安委員に内定している岩佐凱実氏、神奈川県知事内山岩太郎氏、国連大使をやっている福島慎太郎氏のごときは大会の事務局長に内定をしている。こういう事、実も、国民が知っている事実です。このような公職にある人たちが憲法違反の国際会議の準備委員になっている。こういうことについては、どういうふうにお考えになりますか。法務次官のお聞えを。
#235
○政府委員(野本品吉君) ただいまお読み上げられましたことにつきましては、先ほども申しましたように、全然知りませんので、どう考えるこう考えるということはありません。
#236
○岩間正男君 御存じないんですから、これ以上責めても仕方がありませんけれども、これは、外務大臣、大臣その他の関係の方々の御出席をいただいて、当委員会でもっと真相を明らかにしたい。ただ問題は、十月一日になっている、期日は、やられてからでは、あとの始末では、これはまずいのでありますから、この問題について、ほんとうにこれは私は重大な問題だと思いますので、ぜひ当委員会でも、この真相を明らかにするように、理事会で取り上げていただきたいと思うんです。こういうところに公然とビザが出されて、先ほど申しましたように、いたいけな子供が世界を見よう、真実を知ろう、正しいものを正しく、白は白、黒は黒、赤は赤、はっきり見てきて、この目で伝えようという、全く公明正大な、そうして次の時代を背負うこの青少年の良識に立つ、そうして大東亜戦争のあの間違いをほんとうに明らかにするための新しい教育の方針に立ってのこのような方針がゆがめられているところに、今の旅券法の運用そのものにやはり疑点をいだかざるを得ないわけです。ですから、出入国管理令の運用の問題についても、私は、これは問題にせざるを得ない。非常に事は重大でございますから、私は、先ほど要求しましたこれらの資料をいただいて、さらに十分に検討をして、また関係者に、この関係書類たくさんございますから、もしないとおっしゃるのなら、これは、私のほうから差し上げてもいいし、まあその辺、ちょっとお調べになれば、どこにでもこれはある。ここに充満しておるものでありますから、お調べいただいて、この次の国会で十分に検討さしていただきたいと思います。委員長そのことをお取り計らいをお願いいたしまして、質問を終わります。
#237
○委員長(鳥畠徳次郎君) 他に御発言もないようでありますから、本件については、本日はこの程度にとどめます。
  ―――――――――――――
#238
○委員長(鳥畠徳次郎君) 次に、請願の審査を行ないます。
 本委員会に付託してきております請願第八五号外七件の請願を一括議題にいたしたいと思います。
 便宜、速記を中止いたしまして、皆様と御協議をいたしたいと思います。速記中止。
  〔速記中止〕
#239
○委員長(鳥畠徳次郎君) 速記をつけて下さい。
 会議を続行いたします。ただいま速記中止中に協議いたしましたとおり、請願第一六四号及び一七〇号、山口地方、家庭両裁判所庁舎新築に関する請願、同じく請願第二四五号、東京都台東区の法人商業登記管轄の東京法務局台東出張所移管に関する請願、以上総計三件は、議院の会議に付するを要するものにして、内閣に送付を要するものと決定いたしまして御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#240
○委員長(鳥畠徳次郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、報告書につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#241
○委員長(鳥畠徳次郎君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
  ―――――――――――――
#242
○委員長(鳥畠徳次郎君) なお、継続審査要求についておはかりをいたします。
 会社更生法の一部を改正する法律案及び労働関係訴訟における労働組合の当事者適格に関する法律案の継続審査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#243
○委員長(鳥畠徳次郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の内容及びその手続等は、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#244
○委員長(鳥畠徳次郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
  ―――――――――――――
#245
○委員長(鳥畠徳次郎君) 継続調査要求についてお諮りをいたします。
 検察及び裁判の運営等に関する調査につきましては、会則中に調査を完了することが困難でありますので、継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#246
○委員長(鳥畠徳次郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成等は委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#247
○委員長(鳥畠徳次郎君) 御異議ないと認め、さように取り計らいます。
  ―――――――――――――
#248
○委員長(鳥畠徳次郎君) 次に、委員派遣承認要求についてお諮りをいたします。
 検察及び裁判の運営等に関する調査のため、閉会中、委員派遣を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#249
○委員長(鳥畠徳次郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、議長に提出する委員派遣承認要求書の内容及び手続等は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#250
○委員長(鳥畠徳次郎君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
 以上でございます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時十三分散会
   ――――・――――
ソース: 国立国会図書館
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