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1962/08/21 第41回国会 参議院 参議院会議録情報 第041回国会 農林水産委員会 第2号
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1962/08/21 第41回国会 参議院

参議院会議録情報 第041回国会 農林水産委員会 第2号

#1
第041回国会 農林水産委員会 第2号
昭和三十七年八月二十一日(火曜日)
   午前十時二十四分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     櫻井 志郎君
   理事
           青田源太郎君
           堀本 宜実君
           安田 敏雄君
           北條 雋八君
           森 八三一君
   委員
           岡村文四郎君
           木島 義夫君
           中野 文門君
           仲原 善一君
           藤野 繁雄君
           山崎  斉君
           北村  暢君
           戸叶  武君
           矢山 有作君
           渡辺 勘吉君
           牛田  寛君
           天田 勝正君
  国務大臣
   農 林 大 臣 重政 誠之君
  政府委員
   農林政務次官  大谷 贇雄君
   農林大臣官房長 林田悠紀夫君
   水産庁次長   村田 豊三君
  説明員
   外務省アメリカ
   局北米課長   西堀 正弘君
   海上保安庁警備
   救難部長    樋野 忠樹君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○農林水産政策に関する調査
 (農林水産基本施策に関する件)
 (燃油によるノリ漁業被害に関する
 件)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(櫻井志郎君) ただいまから委員会を開きます。
 農林水産政策に関する件を議題といたします。
 まず、農林大臣から農林水産業の基本政策について所信をお述べ願うことにいたします。
#3
○国務大臣(重政誠之君) 今回、私、農林大臣の重職を拝命いたしまして、その責任の重大なることを痛感しておるのであります。浅学非才でありますが、皆様方の御理解ある御協力のもとに全力をあげて国家国民のために、また、農家諸君のために御奉公いたす覚悟でおります。何にとぞ皆様方の御理解ある御協力を賜わらんことを切にお願いをいたす次第であります。
 私の当面やりたいと思っております主要な事項を申し述べたいと思います。
 第一に農業につきましては、さきに制定されました農業基本法は新農政の方向を明示したものであり、申さば、農政の道しるべであります。
 私は、あるいは法律制度の制定により、あるいは財政的裏づけによって、可及的すみやかに農業基本法の内容を実現、実施して参る所存であります。まず第一は、農業生産の選択的拡大を進めたいと存じますが、特に需要の増加に対応して畜産物、果実等につきましては、その生産の伸展をはかるための施策を講ずることとし、その際適地適産と主産地形成に十分配意して参る所存であります。この場合、畜産につきましては、飼料自給基盤の確立、多頭羽飼養の促進、家畜の改良増殖等の施策を中心としてその振興に努めることといたし、果樹等につきましては、適地における生産の向上をはかることといたしたいと存じております。
 次に、農業技術の向上をはかるとともに、農業の生産性の向上と経営の近代化をはかるため、土地改良、区画整理等による土地の生産力の増大、草地の改良造成等、農業基盤の整備事業を促進する所存であります。
 さらに本年度から着手いたしております農業構造改善事業は、各地方の特殊性、すなわち各地の立地条件を重視して、これに対応しつつ前述の方針を取り入れて計画を樹立し、その実現を促進して参りたいと考えております。
 流通機構の改善につきましては、特に蔬菜、果実、牛乳、食肉等の生鮮食料品の最近における消費者価格の動向等にかんがみ、国民の食生活の安定をはかるためにも流通過程の合理化、中央卸売市場の整備、生産出荷体制の確立等の諸施策をすみやかに講じて参る所存であります。
 農産物の価格安定方策につきましては、農産物価格安定法その他によって実施せられつつありますが、さらに検討を加え、その内容を拡充いたしたいと考えております。
 国内甘味資源の開発を強力に推進いたし、一面においては農業経営の合理化に資するとともに、他面におきましては外貨の節約をはかりたいと考えております。
 農業金融につきましては、農業投資を多からしむるためには資金量、融資の条件、すなわち長期低利の資金を獲得する必要があり、これがためには現在の農業金融制度を根本的に検討いたし、これを合理化する必要があると存じます。
 食糧管理制度の改善につきましては、現行制度は米が少ないときにできたものでありますが、需給が均衡を得つつある現状におきましては、はたして適当であるかどうか、検討の要があると存じます。松村懇談会の意見を聞くとともに、さらに各方面の御意見を拝聴いたしまして慎重に対処いたしたいと存じます。
 さきに本年十月を目途として閣議において農林関係物資の自由化すべき品目を定めていたのでありますが、各品目ごとにその後の情勢等もさらに検討を加え、農業経営に及ぼす影響及びこれに対処する措置に十分配意いたしまして、慎重に決定する所存であります。
 第二に、林業につきましては、まず、国土保全対策として治山十カ年計画に基づき、治山事業を引き続き総合的に実施し、災害の防除に万全を期することといたす所存であります。
 次に、今後の経済成長に伴う木材需要の増大に対処してその供給確保のため林道網の整備をはかるとともに、森林資源の長期的な維持培養のため人工造林事業の計画的実施を進めて参る考えであります。
 さらに、林業経営の近代化と林業所得の増大をはかるため、林業機械の導入、林業技術の改良普及、森林組合の整備強化等の諸施策を総合的に実施して参りたいと存じます。
 第三に、水産業につきまして申し上げます。まず、沿岸漁業振興対策につきましては、全国的に地域を定め、漁場改良造成事業及び漁業近代化促進事業等の沿岸漁業構造改善に関する事業を、総合的、かつ計画的に実施することとし、これが積極的拡充をはかる所存であります。
 次に遠洋漁業につきましては、沿岸漁業等の振興と相待って、その推進をはかる考えでありますが、特に国際的に関係のある漁業については、関係国との協力のもとに資源保護に十分留意しつつ、その生産性の確保に努めるため、必要な措置を講じて参りたいと存じております。
 なお、水産物の価格流通対策につきましては、従来、主として多獲性の魚種の安定措置を実施してきたのでありますが、最近における消費者価格の動向等にかんがみ、より強力な施策が必要であると考えております。
 さらに、漁港の整備につきましては、漁港修築事業の早期完成を重点的に促進するとともに、漁業の実態の推移に伴い、漁港整備計画について検討を加えて参る所存であります。
 農林水産業の最近における動向は、地域的に相当の分化が見られますので、それぞれの地域の動向に即応したきめのこまかい農政を強力に展開することが必要であります。これがため、農林省の機構の再編整備を企図している次第であります。
 なお、本臨時国会におきましては、まず、第一に、前国会において継続審査となった漁業の基本的法制についての改正及び沿岸漁業等の振興等を目的とする水産関係法案並びに行政機構の整備等をはかるための農林省設置法改正案について皆様の御協力を得て、早期にその成立をはかりたいと考えております。
 最後に、本年発生災害に対する対策であります。六月の長雨、七月の豪雨等による被害は相当の額に達しております。これらの災害に対する対策としましては、農作物関係及び漁業関係等については、天災融資法の発動等による資金の融通、農業共済金等の仮渡し、または概算払い、施設の復旧については、農林水産業施設災害復旧暫定措置法等による助成措置、その他被害の実情に応じ適切な対策を講じて参る所存であります。
 なお、本国会において、激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律案が継続審査になっておりますが、その成立を待って特に被害の激甚な災害について特別の助成措置を講ずることといたしたいと存じております。
 以上、私が当面考えております主要な方針につきまして、その概要を申し述べたのでありますが、今後の施策が円滑に行なわれますよう、皆様方の御協力をお願いいたす次第であります。どうぞよろしくお願いいたします。
#4
○委員長(櫻井志郎君) ありがとうございました。
 大臣は、これより衆議院の農林水産委員会に出席いたさねばなりませんので、大臣に対する質疑は次回に行なうことにいたします。
 大谷農林政務次官から発言を求められております。これを許します。
#5
○政府委員(大谷贇雄君) 私大谷贇雄でございます。このたび農林政務次官を仰せつかりました。はなはだ任重く、はなはだ乏しいものでございますので、格別同僚のよしみをもちまして、皆さま方の御懇情を賜わりますようお願いを申し上げまして、簡単でございますが、ごあいさつといたします。よろしくお願いいたします。(拍手)
  ―――――――――――――
#6
○委員長(櫻井志郎君) 次に、燃油によるノリ漁業被害に関する件を議題といたします。
 本件は、御承知の方もございますが、去る二月十六日、富津沖等で発生いたしたイーグル・コーリヤ号の燃油によるノリ漁業の被害に関する件でありまして、前国会、当委員会で調査を進めて参ったのでありますが、その後の当局としてとられた措置について、この際説明を聴取することにいたします。村田水産庁次長。
#7
○政府委員(村田豊三君) 御承知の千葉県におきまするノリ被害に対する対策の経過でございますが、お手元に概要は刷りもので御配付を申し上げております。
 まず、事件の概要につきましては、御承知のように、去る、三十七年二月十四日に、千葉県の君津郡富津岬沖の第二海堡のありますところに米国の油送船イーグル・コーリヤ号が座礁いたしまして、燃料油を多量に流出をするという海難事故が発生したのであります。その後、事件発生後二日目でございまするが、十六日に至りまして、君津郡の富津町から同じく君津郡の大佐和町にわたる五組合のノリの養殖場に油が漂流いたしまして、ノリ養殖業に大きな被害を与え、さらに十九日には木更津市の七組合にも同様の被害が発生したのであります。
 この原因につきましては、当時の天候及び海況あるいは四囲の状況からイーグル・コーリヤ号から流出いたしました燃料油によるものと判断をされておるのであります。被害額は、千葉県庁の報告によりますと、三億八千三百九十一万五千円に相なっております。
 これがこの事件の概要でございまするが、この事件発生以後現在までにとられております措置の概要について申し上げますると、被害の発生を承知いたしました直後、直ちに調査官を現地に派遣をいたしまして、その実態の把握に努めますとともに、県庁におきましても、富津地区及び木更津地区の被害対策本部に対しまして、とりあえず見舞金百二十万円を交付をいたしております。さらに六月県会におきまして、千葉県といたしましては漁場復旧対策費として、五百二十五万円を予算化いたしますとともに、再生産資金のあっせん措置といたしまして、二千五百万円を千葉県の信漁連に県の再生産資金を預託いたし、あわせて借入資金の利子補給といたしまして、三百万円の予算を計上いたして、すでにこの利子補給に相当いたします借入金は一億五千三百八十六万六千円の融資が行なわれておる状況でございます。
 これらの以上申し上げました措置によりまして、被害を受けました漁場の復旧も終わりまして、これから始まりまする本年度のノリの養殖のための準備は、おおむね順調に進められていると承知をいたしております。
 一方、本事件のまあ核心にふれる事柄でございまする損害賠償の問題につきましては、目下これは積極的な指導をしてもらって目下進められつつあるのでございまするが、御承知のように富津地区につきましては、漁民側は弁護士を依頼をいたしております。その弁護士と船主側とがただいま折衝を続けておるのであります。木更津地区につきましては、交渉委員を選出いたしまして、この交渉委員と船主側弁護士とが交渉に当たっているという状況でございます。水産庁といたしましては、この損害賠償のすみやかな妥結を期待する意味から、外務省を通じまして、事件解決が迅速に促進されるように再三依頼をいたしましたし、また外務省も実は非常に積極的にこの問題につきましてはアメリカ本国に促進方を配慮していただいておる状況でございます。何分にもただいま両方の弁護士の間の、直接弁護士同士の折衝の段階にただいま入っておりまして、いずれ近くこの問題について目鼻がつくものと私どもは期待いたしております。
 以上がこの概略の印刷にございます点でございますが、特にこの際若干補足をさしていただきますと、この春の当委員会におきまして、私からもその後の進行状況の御報告を申し上げたのでございますが、その際に、一体この賠償の折衝がスムーズに進んでいるのかどうかという御指摘があったのでございますが、従来のこの折衝の過程におきまして、私ども二つの大きな点を指摘できると思っておりますが、その一つは、一体そもそもこの事件はイーグル・コーリヤ号によって惹起されたものであるかどうか、加害者ははたしてイーグル・コーリヤ号であるかどうかという点が非常に論議を招いたのでございますけれども、この点につきましては、イーグル・コーリヤ号側の弁護士もこの点を確認しておられるようでございました。この点は、一歩も二歩も事件の解決には前進をしたものと承知をいたしております。それから、しからば一体具体的に弁護士間でどの程度の話し合いが行なわれているかということでございますが、本年の五月にはイーグル・コーリヤ号側の弁護士から具体的な損害補償と申しまするか、見舞金と申しまするか、補償金額の提示が漁民側の弁護士になされたのであります。しかし、これにつきましては漁民側の弁護士があまりにも金額が低くて、とうていそれは問題にならないということで、弁護士限り漁民側の弁護士の一存でこれを拒否いたした事実がございます。その後実はイーグル・コーリヤ号側の弁護士といたしましては、そんなに損害というものが大きいのかどうかという何か当初はあんな大きな海にちょろちょろと動いているあんな草みたいなものがそんなに価値があるのかどうかという認識が実はなかったようでございます。しかし、だんだん弁護士間の折衝を続けておりますうちに、これは相当の被害があるのだということの認識がイーグル・コーリヤ号側の弁護士に出て参りまして、実はその後ただいま申しました五月に金額の提示がありました後に、先方から実はいろいろな詳細な資料の提出を漁民側が求められております。この資料の提出は、たとえば個人の仕切り伝票だとか、あるいは組合台帳でありますとか、あるいは県の漁獲統計でございますとか、実に微に入り細にうがった資料の提供要求があったそうでございますが、これらの資料の全部が、これは県の報告でございますけれども、県の報告によりますると、八月の十三日、今月の十三日には、要求されました資料の全部の提出を終わっておるようでございまして、大体両弁護士間の折衝は、これからはさらに核心に入るものと私どもは期待いたしておるような状況でございます。
 簡単でございますが、経過と対策の概要を御説明申し上げました。
#8
○説明員(西堀正弘君) ただいま水産庁次長のほうから御説明がありましたように、本事件に関しましては、事件が発生いたしまして、その後水産庁のほうから外務省といたしまして御連絡をお受けしまして、さっそくこれは水産庁の方にも御同席願ったわけでございますが、アメリカ大使館の担当の書記官を私どものほうに呼びまして、本件をるる説明いたしたわけでございます。それで、最初本件は米軍の航海用船による船が破損して、それが流した油でございましたので、あるいは米軍の地位に関する協定の十八条によりましてカバーされる問題ではないかと思ったのでございますが、本件は航海用船ということでございましたので、その条項に従いまして積荷を下ろした瞬間はその用船者の責任がなくなるのだということでございます。したがいまして、その地位協定というものが働いてこないわけでございます。かりにこれがこの地位協定のもとで解決ができるということでありますならば、その十八条の規定に従いましてアメリカ側に責任があるわけでございますから、米側が七五%、それから日本側が二五%の損害の負担ということで結着がついたわけでございますけれども、今申しましたように米軍の責任でないということになりましたので、本件はこの船の会社でありますユナイテッド・マリタイム・コーポレーションというところと、それから直接被害をこうむられましたところの漁民の方々との間の純粋な民事事件、こういうことに相なるわけでございます。したがいまして、日本政府といたしましてもアメリカ政府といたしましても、厳格に申しますならば容喙できない問題なわけであります。しかしながら、何分にも関係しておられます漁民の方々が多数でございますし、またその被害も膨大なものでございますから、これをじんぜん解決が延びるということになりますと、思わしくない反米感情というようなものも起こるのではないかということを、担当のその書記官にも十分説明をいたしましたところ、当初その担当の書記官も、これは全く民事事件であって政府としては関与できないのじゃないかという意見でございましたけれども、それはなるほどそうだということで、よく本国政府に本件の解決を促進するように、直接介入はできないけれども、側面的にも何分の援助をするように強く言ってやろうということでございまして、そのように本国政府にも具申をいたしたようでございます。また実際に、アメリカ大使館といたしましては、本件の解決にはなみなみならぬ努力をしているようでございまして、実際問題といたしましても、このユナイテッド・マリタイム・コーポレーションの弁護士でありますカウフマン、それからクリスチャンセンと申しますか、こういう弁護士を累次呼びまして、本件の解決についての米国政府としての関心を十分に強調して、一日も早く、法廷ざたということになりますと、御承知のように四、五年ないしは六年ということになりますので、本件の解決を促進するという意味から、なるべくならば法廷ざたにしないで示談でやっていこうというような方向で努力をしているようでございます。
 で、その後われわれ外務省といたしましても、累次にわたって米国大使館を通じて本件の進捗状況を照会しているわけでございますが、つい最近わかりましたところでは、実はクリスチャンセンというのがニューヨークに帰っておりまして、これは船会社の弁護士でございますが、つい最近帰って参りまして、八月九日にこちらへ帰ってきまして、それを通じてわかったわけでございますけれども、本件の船会社のかけておるところの保険、これはプロテクション・アンド・インデムニティー・クラブスという保険会社でございますが、これはやはりこのような船によって他に与えたところの損害でございますね、ライアビリティと申しますか、それの損害は、これはこの保険で十分にカバー、十分と申しますのは金額の点でございません、何と申しますか、範疇的に、この保険でカバーされるということを向こうは言っておるそうでございます。それから本件がこの船によってこうむったところの損害であって、今申しましたライアビリティという範疇の保険で支払うべきものであると、要するに、支払う責任があるという点は、今申しました保険会社も認めておる、こういうことがこの八月九日に帰って参りましたクリスチャンセンの口を通じて、さらにはアメリカ大使館の担当書記官を通じて判明いたしておる次第でございます。問題は金額の点でございますが、これは今水産庁の次長から申し上げましたように、その点で両者の弁護士がただいま折衝中であるという点でございます。問題は金額ということに相なるかと、大体、これまでの経過はそのようなことになっております。
#9
○委員長(櫻井志郎君) 政府側から、なお海上保安庁の樋野警備救難部長が出席をいたしております。質問のある方は、順次御発言を願います。
#10
○森八三一君 ただいま水産庁と外務省のほうからその後の経過につきまして一応の報告を承りまして、概要は承知をいたしました。ただここで、まず最初に海上保安庁についてお伺いいたしたいのですが、今度の事件は幸いにアメリカ大使館のほうでも非常に好意を寄せて善処をしておられるということであり、加害者側のほうでも、一応確認をしたということでありまするから非常にけっこうでありますが、前国会当時、私どもはこの委員会で論議をいたしました際には、その当時調査をせられました海上保安庁等の見解といたしましては、イーグル・コーリヤ号の流した燃料重油であるかどうかということが判明しないというような見解が表明されておりまして、このことは、今まで起きましたこの種案件につきまして、ほとんど共通的に見られている状態であろうと思う。極端に批判いたしますと、ともいたしますると、非常に零細な漁民諸君が次から次へと頻発しているこの種災害の際に、証拠が確認されないというようなこと、それがともすると官庁側の怠慢からそういう結果が導き出されてきているというように私どもは考えざるを得ない状況にあったと思います。今度は幸いに関係の諸君の誠意によって問題は解明いたしましたけれども、官庁側といたしましては、この前の国会で御説明願った程度以上に進捗をしておらぬのかどうかという問題、これはこのことの問題ではなくて、将来にもつながる問題でありますので、そういう加害者を確認させるということについての処置はどうなっておりますのか。あのときには油が水にまざってしまって調査ができなかったというお話でありました。私は、子供のころから油というものは水にまざらぬということを教わっておりますが、日本の政府の、官庁の御調査では、近ごろの進歩した科学のために、油は水にまざってしまうということになったのかどうかというような笑い話をしたのですけれども、そういうことについて、このことに直接関係する問題ではありませんけれども、過去にもしばしばあったことであり、将来もそういうことで証拠が官庁側の怠慢によって消滅させられてしまうということになる危険があると思いますので、その点についての、その後の経過はどういうことになっているか、御説明願いたい。
#11
○説明員(樋野忠樹君) お答えいたします。先般油を本船のものと本船のそばのものと現場のものと、いろいろ五種類ほど神奈川県工業試験所に提出したのでございますが、そのうちの本船と本船の舷側のすぐそばのものと、油性が、油が非常に多いので分析ができたのでございますが、そのほかの三つのものは油量が少ない、取りました水の中に油の含有量が非常に少ないのでだめだということで、分析していただけなかった次第でございまして、先生御承知のように、油によるいわゆる同一性の鑑定というものは、私ども工業試験所の先生に教わったわけでございますが、専門家でないので、その点よくこまかいことは御答弁できかねる次第でございますけれども、とうていわかるものではないというふうなことでございまして、さように御答弁したかと存じます。それで私どもとしては、そういうふうな非常に専門家が二十日間ぐらいにわたりまして分析しても、なお確たる同一性というものが立証できないものをあてにしても、とてもこれは流出源の確認ということはできがたいと存じますので、今後は先生の御指摘のとおり、海難がございました場合には、普通の応急救難のほかに、油が流出するかいなかを十分確認するまで私どもの船艇をその遭難船艇から去らせないようにして、油が漏るかどうかということを十分確認したい。それから港内巡視または油が流れました場合には、なお残留しているような場合には、当庁の港内艇をできる限りその油についてやらしたい、こういうふうに考えている次第でございます。
#12
○森八三一君 もちろん、私どももそういう科学的な分析等に関しましてはしろうとでありまして、知識はありません。ありませんが、常識的に考えますと、船側に浮遊している油は分析できるけれども、ノリのさくにくっついてしまった油が微量であるから、その性格というものを判明せしめることは非常にむずかしいということが、これはしろうとではわかりませんが、常識的には相当大量の付着があったわけですから、そういうものを採取いたしますればできるのじゃないかという感じを持っております。たまたま工業試験所の専門家が不可能であるとおっしゃれば、将来の問題として十分研究いたしたいと思いますが、いずれにいたしましても、過去における事例というものは大半そういうようなことからして、被害者が泣き寝入りをせざるを得ないということになっている事例が、全部と申し上げても過言ではないと思う。これでは零細漁民はたまったものではございませんので、そのことについての取り締まりその他を担当しておられまする保安庁におかれましては、今お話の最後にございましたように、その他の方法によってでも、十分加害者を確認し得るというような措置をとっていただきたいということを希望しておきます。
 その次にお伺いいたしたいことは、外務省ですけれども、ただいまこの事件は非常に双方が誠意をもって早期に妥結するということのために努力をしておられまするから、このことを今とやかく申し上げようとは思いませんけれども、しかし問題といたしましては、究明しておかなければならぬと思いますることは、何か私仄聞しておるところによりますると、この事件の起きました直後に横浜の裁判所ですか県庁ですか、どっかで船長を招致いたしましていろいろ尋ねたときの証言が、今お話しのように、用船関係の責任が、必ずしも私どもの聞いておるところでは民事的なものではないというような証言がなされておるやに聞いておるのでありますが、外務省といたしましては、そういうことの御調査をなさっておるのかどうか。そうしてまたその用船契約というものが、一体今お話ありましたように確実にそういう形式を整えておるというものであったということについて、原文をお読みになりまして確認されたのか。ただ、そういう話だからそういうことで了解しておるという程度のことであるのかどうか。その点をはっきりしておきたいと思います。この案件は、申し上げまするように誠意をもって交渉を進められておりまするから、今寝た子を起こすような必要はないかとも思いまするけれども、委員会として取り上げておりまする限りにおいては、そういうようないきさつにつきましては、やはり明確にしておくということが非常に大切と思います。そういう証言等について実際にお調べになったのかどうか。それからまた契約書等についても、原文をごらんになって外務省としてそういう解釈が成立するということを確認されたのかどうか、その点をお伺いしたい。
#13
○説明員(西堀正弘君) ただいま御質問の点でございますけれども、これは直接的には調達庁の問題でございまして、最初申し上げましたように、米軍の直接責任ではないかというようなことでございましたので、調達庁のほうで本件を取り扱っていたような次第でございます。したがいまして、調達庁のほうで自分の関係することと了承して最初は事に当たっておった。しかしながら、調べてみたところが、今申し上げましたように航海用船であって、米軍の責任というものはここで解徐されたということでございまして、私のほうへ回ってきた、こういうことでございます。したがいまして、私のほうといたしましては、その大もとまでさかのぼりまして調達庁で調査されたものを見せていただけばよかったわけでございますが、さっきも申し上げましたように、調達庁から回されて参りましたものでございますから、調達庁の言うとおりにこれは航海用船ということで民事事件である、調達庁を全幅的に信頼いたしまして、それから私どもの行動を開始した、こういうことになっておりますので、ただいまの御質問に対してポイントをついた御答弁でございませんけれども、御了承願いたいと思います。
#14
○森八三一君 調達庁はお越しになっておりませんか。
#15
○委員長(櫻井志郎君) 来ておりません。
#16
○森八三一君 そうしますると、外務省のとにかくおとりになった態度はけっこうだと思うのです。それは官庁間のことであるから、第一線の官庁のほうでかくかくであるという確認の上に立って、外務省の協力を求められた。ですから、外務省はその確認を信じて行動をされたということでありまして、これは私は外務省をとやかく申す者ではございませんけれども、今申し上げました点につきまして、きょうは調達庁がお越しになっておらぬということでございますから究明できませんけれども、外務省のほうといたしましても、こういう問題を私の質問を通じて御承知願ったわけですから、一応確認をされておくということも、外務省の立場としては必要ではなかろうかと思います。証言等が現に行なわれておるという事実は存在しておるわけでありますので、その証言というものが、お話のように、米軍の責任に帰するようなふうの証言であるようにも私は聞いておるわけでありまするが、外交交渉を進めていきまする場合にも、これは非常に重要な要素になると思うのであります。そういうことを知らずにおやりになっているということは、これは善意なことでありますけれども、やはり十分なものとは言えないということにもなろうと思うので、これは調達庁がおいでになりませんから、ここでは申し上げません。
 その次に、水産庁にお伺いいたしますが、県庁の調査によると三億八千三百万円ということである。これはもちろん水産庁といたしましては、県を督励いたしまして御調査をなすった結果でありまして、地方庁と本省という関係でございますからそれでけっこうと思いますが、しかし当業者が出しておりまする資料では五億数千万円ということで、相当の金額の開きがあるので、今後この問題を煮詰めて参りますと、結局は損害額というものが非常に重要な要素になると思うのです。それを中心にして双方が誠意をもって交渉するということですから、低い金額が基礎になっていきまするのと、大きな金額が基礎になっていきまするのとでは、出てくる結論は当然違うわけですね。そういうことについて、水産庁として、当業者のほうで調査をいたしました資料というものを御承知になっておるのかどうか。承知をしておるけれども、それは水増しされておるのだから、県庁の調査のほうが正しいのだという感覚に立って、外務省等にすみやかに妥結するよう交渉を依頼されておるのかどうか。ただ単にこういう事件があるから、この折衝について外務省が誠意をもってやってくれというだけでは、これははなはだ本筋の私は依頼ではないと思うのです。水産庁の調査によればかくかくの実態に相なっておる、これに対して零細漁民を保護するために、ひとつ外務省の立場でも協力してくれと、内容を示しての依頼であろうと思うのですね。ただ抽象的にではないと思うのです。その場合に、県庁の調査に基づくものと、直接被害を受けた漁民諸君の調査に基づくものとの間には、倍、半分でもありませんけれども、それに近い数字が食い違っておる。一体どっちが正しいかということが重要なポイントになると思うのです。こういうことについて、水産庁としては善意の第三者としてどういうふうにお考えになっておるか。
#17
○政府委員(村田豊三君) 御指摘の点ごもっともでございます。実はただいま御指摘にございましたように県庁で調査をしましたものと、漁民側がみずから調査をいたしまして、自分たちでは損害はこれだけあると思うという金額とには、相当の開きがあることは事実でございます。これはなぜそのように開きが起こるかと申しますと、それぞれ損害額の何と申しましょうか、判定の基準がやや違っておるわけでございまして、当然そういう見る人々によりまして、損害の評価に相違があることはやむを得ないかと存じます。そこで、実はこの問題について、あくまで損害額が幾らであり、それをまた幾らそれについて補てんをするかという問題は、加害者と被害者がこういうふうにはっきりいたして参りますると、その当事者間できめるべき筋合いの問題でございまするけれども、われわれといたしましては、もちろん漁民側に少しでも多くの補償といいますか、補てんといいますか、そういう措置がとられることを希望する者でございます。ただ、先ほど来から申し上げておりまするように、ただいま両弁護士団間の折衝に事件が入っておりまして、しかもその損害額の評価等をめぐって、実は非常に両弁護士団の間でも論議がかわされておるわけでございます。そこで実際問題といたしましては、何か両方の主張を第三者的に判定をする、ここに介在をいたしまして判定をするものがほしいということは考えられるわけでございまして、この点につきましても、両弁護士団の話し合いによりまして、第三者的にそういう問題の裁定と申しますか、判断と申しますか、そういうことを仰ぐために、水産大学の殖田教授にその第三者的な立場に立ってもらうように両弁護士団から先般来依頼をいたしておりまして、したがって殖田教授はこの依頼を受けられまして、県のほうで作成いたしました被害の資料、漁民側で作成しておりまする被害の資料、両方を殖田教授が聴取をされておりまして、時おり殖田教授をまじえて両弁護士団の会談等が持たれております。今後おそらく相当頻繁にこの会談が持たれるのであろう、かように私どもはこの殖田教授のそういう第三者的な立場からの判断と申しますか、助言と申しますか、それによりまして事件がもっと急速に解決に向かいますことを期待しておるような状況でございます。
#18
○森八三一君 まあ殖田教授は専門家ですから、十分公正な立場に立って御判断を願えると思いますが、しかし、この件につきまして、この資料にも出ておりまするように、県の積極的な指導のもとに、とこういう表現が行なわれておる。その県は三億八千万円というものを確認しておるのですから、そういう立場に立つ県が指導するとなれば、三億八千万円というものが基礎にならざるを得ないと思うのですね。そうなりますると、やはり問題は私は非常にむずかしくなりはせぬかと。もちろん私も不当に水増しをしてむしり取ろうなんというさもしい考えを持つものでは断じてございません。正しいものはどこまでも正しいとしてそれは一歩も譲ってはいかぬと、こう思うのです。それには少なくとも国際的な関係の案件ですから、国内における官庁の調査と直接被害を受けた漁民諸君の調査とが食い違っておるとするならば、これが対外的に表示をされるときには、もう一つ上の立場にある水産庁が御指導なすって、両者の調査の実態というものをお聞きになれば、専門家もいらっしゃるのですから、どちらの調査のほうが正しいか正しくないかということは、非常にむずかしい問題ではあると思いまするけれども、そこにはおのずから常識的な判断を下し得ることではなかろうかと思うのです。ただ、双方の言い分はありましょう。ありましょうけれども、その言い分を御調査なすって、ここはこういうふうに考えるべきである、ここはこうなるべきであるということで、もう少し高い角度から御指導になりますれば、対外的に表示されまする金額というものは、双方了解のもとに一つの数字にまとめて、これが交渉の基礎になるということは可能でもあろうし、そういうことでございませんと、国際的なこういう問題には非常にまずい結果が出てくる私は危険を感ずる。そういうことについて今までお話し合いをなすったのかどうか。そういうお話をしても、県庁もがんとして譲らない、当業者のほうもおれのほうが正しいのだから譲らぬということになって、何ともそういう取りまとめについては進捗しなかったのか。そういうことをやらなかったのか。やってないとすれば、私は水産庁としては少し遺憾だという感じを持つのですが、いかがでしょうか。
#19
○政府委員(村田豊三君) 御指摘の点、よくわかるのでございますが、先ほども申しましたように、この事件の処理は、すでに両弁護士団と殖田教授をまじえての具体的な折衝に入っておるわけであります。ただいま折衝の最中でございます。そういう意味合いから、このすでに当事者間で納得されておる折衝の過程というものをやはり尊重いたさなければならないと、かように私どもは判断いたしておりまして、事件のなり行きを注視しておるわけでございます。もちろん水産庁は手をこまぬいて、なるべくこういうものに介入を避けていこうという趣旨では毛頭ございません。率直に申し上げまして千葉県の今度のこの被害額の調査につきまして、水産庁は調査する手足は十分に持っておりません。千葉県は相当の県の能力を動員されまして、つぶさにその調査もされているようであります。しかし一方、漁民側は長年ここで漁業を営んでおられる。漁業の実態についてもよくおわかりのはずでありまして、それぞれの立場からそれぞれの評価が生まれることはやむを得ないと存じます。これらについては、しかし現在それぞれ両当事者が納得の上で折衝を進めつつおられる段階でございますので、その折衝が一日も早く解決しますことを期待しておるような状態でございます。
#20
○森八三一君 現状はお話のとおりですが、その交渉のポイントになる損害額というものが、日本の側から二つ出ているという姿は、私は非常にまずい。だから今後の問題になると思いますけれども、十分そういう点につきましても、今後起きる問題につきましては、外国に対しまして何か二つのものが出てくるということは非常にまずいと思うのです。一つにまとめて折衝に当たっていくという態度が好ましいと思いますので、善処を願います。
 そこで、他の諸君から質問があると思いますので、私は一、二点だけお伺いしますが、県のほうでは一億五千三百万円の融資を金融機関との間に話をつけまして、とりあえず立ち上がり資金と申しますか、着業資金と申しますか、そういうものの手当をしたということですが、これはおそらく補助金ではなくて資金ですから、返済の時が迫ってくると思うのです。すでにことしの二月の十四日にこの事件が発生をいたしまして、その後の漁獲というものはゼロになっている。生活資金も相当のこれはなんぎをしたと思うのです。今後さらに新しい新年度の着業資金も入り用なんです。そう考えて参りますと、この一億数千万円の資金というものをただ単なる金融ベースで律していくだけでは、漁民諸君を救済することにならないと思う。これは特別なものとして、貸付条件その他についても勘案をしてやらなければならないと思うのです。もし幸いにこの交渉が早く妥結をいたしまして補償金等がもらえるということになりますれば、これは一応問題は解決されると思いますけれども、またそういうことを期待いたしまするが、もし万が一誠意を尽くして折衝いたしましても、条件に基づく返済期にその措置が完了しなかったという場合には、これはどうなるかということは、漁民諸君として非常に心配なものだと思うのです。そういうことについて水産庁といたしましてはどういうような援助措置を講ぜられておりますかをお伺いいたしたい。
#21
○政府委員(村田豊三君) 先ほど県当局では、県の六月県会におきまして、先ほど申し上げましたような予算措置を講じておられまして、その結果、すでにノリの付着いたしました資材撤去等の、漁場のそういう障害物の除去等につきましては、百パーセントこれを完了しており、また新しく着業いたしますためのノリの資材購入資金等の利子補給によりまして、現在新しい着業の準備が着々進められているわけであります。実はここまで至りまする過程におきまして、この春の当委員会におきましても御報告を申し上げましたけれども、農林省といたしましても、できるだけそういう地元の立ち上がりを御援助するという立場から、大蔵省に予備費の要求をいたしておったわけでございます。これは大蔵省にいろいろな言い分がございまして、加害者と被害者が明確になっているものについて、そういう人災に対して国が補助措置を講ずることはどうしてもいかぬということで、再三折衝いたしましたけれども、ついにこれは中央官庁の段階におきましては実現を見ないで、今日まで参っております。その中に、私どもが要求いたした中に借入金の利子補給という項目もあったわけであります。この点実現を見なかったことはたいへん私ども残念に思っております。ただいま御指摘になりましたのは、一応問題は、県のこういう資金のあっせん措置、あるいは借入金の利子補給措置によりまして必要な資金の借り入れを地元はほぼ終了いたしまして、来たるべき着業の準備も着々と進んでおるわけであります。これらのしかし着業が終わりまして、借り入れました金額も相当の金額になるわけでございますので、この金額の返済期にはたして返済が十分できるかどうか、またかりにできなかった場合の措置はどうかという御指摘でございますが、これらにつきまして私どもも実は重大な関心を持っておる次第でありまして、まだ返済期等が参りません先からとやかく申すのはどうかと思いますけれども、せっかく県でこれだけの措置もとっておられるわけでございますので、それらの具体的な事態が発生いたしました場合、あるいは以前におきまして十分県当局とも相談をいたしまして、さようなおそれのありまする場合には県庁と十分な連絡をとりまして中央でわれわれが資金のあっせん、その他、できますことは十分な措置を検討いたして参りたい、かように考えております。
#22
○森八三一君 本件につきましては、関係者の間で非常に双方とも誠意をもって努力が継続されております矢先でございますので、そのことのすみやかな妥結を私は希望をいたしますが、それにつきましても、日本政府といたしまして私今まで質疑をいたしました損害金額等につきまして十分漁民諸君の納得のできる数字というものをまとめて側面から御援助を願うようにいたしたいと思います。さらに着業資金は融資はされておりますけれども、極端な表現をいたしますれば、一種の二重投資の格好になったというようにも言えるかと思います。漁業の着業資金ですから、新しい漁業の収獲によってできる収入から払えばいいのだ、実態は、この前投資したやつが収穫皆無のために返済できなかったし、それによって生活資金にも因っておるということなんですから、見様によっては二重投資だというように言えると思います。一つの収穫で払うということは無理ですから、普通の金融措置では不十分だと思います。そこに金利補給ということで、県としては三百万円を計上してやっておるということではありますけれども、それだけでは問題の解決にはならぬと思います。そこで次長のお話のようにこの資金の返済期になりまして、その返済が漁民諸君の生活なり、漁業を伸展せしめまするためには非常に困るという事態が発生いたしまするときには、当然これは期間の延長であるとか、あるいは書きかえであるとか、他の方法によって救済されなければならぬ筋合いであろうと思います。といって、返し得るものを返さないという不心得な漁民はないと思います。だから誠意をもってそういう措置をもって対処されることを私は希望をいたします。一応私は当面の問題といたしまして以上で質疑を終わります。
#23
○安田敏雄君 水産庁次長に伺っておきたい。今説明の中で弁護士をあげて先方の弁護士と目下損害金について補償を交渉中であるということを言われますが、その際、説明の中に、イーグル・コーリヤ号側で加害者であるということを確認されつつある状態だという説明があったわけであります。はっきり確認したわけではないですね。この点をもう少し明らかにしてもらいたい。
#24
○政府委員(村田豊三君) 私の言葉があるいは足りなかったかと存じますが、両弁護士団が折衝いたしておりまする過程におきまして、イーグル・コーリヤ号側の弁護士が漁民側の弁護士に向かって、この事件はイーグル・コーリヤ号によって惹起されたものであると思うということを申したということを漁民側の弁護士から私どもが確認をしておるわけであります。
#25
○安田敏雄君 そうしますというと、はっきり加害者であるということを先方側においては認めたということにはまだ確証はつかめないわけですね。
#26
○政府委員(村田豊三君) 私どもといたしましては、日本側のその弁護士の報告を信頼いたしておる状況でございます。
#27
○安田敏雄君 どうもそこのところが前からの本委員会の審議においてあいまいになっておるのですね。状況判断からいけば確かに加害者である。しかしながら油の摘出試験、そういうものからいくと、はっきり加害者であるということが断定できない。こういうことを言っておるわけなんですね。そういう弁護士の確かにイーグル・コーリヤ号が加害者であるということは確認しないで、確かに加害者であるということだと思うというようなことでは、これははっきりした、根本的な問題が明確になって参らぬですよね。この点はもう少し突き詰めて確認させるということが、私は補償への一番大きな足がかりになるのじゃないかと思うわけです。この点はどうなんです。
#28
○政府委員(村田豊三君) 安田先生の御心配の点は、私どもにもよくわかります。ただ私は先ほど来、直接加害者を代表いたしまする弁護士から、私どもが直接その点を確認していないことは、たいへん残念に思いますけれども、ただ私が先ほど経過の御報告を申し上げました中に、特に補足して御説明も申し上げたつもりでございますが、自分のほうで加害者でないというもし認識があくまであるのでございますれば、今補償の額はこの程度でどうかという具体的な金額の提示ということはあり得ないと思う。これは常識的に考えてもそうでございまするし、また先方で払うつもりもないのに個人の仕切り伝票、これはなかなか漁民の間ではそこまでは資料の入手は困難だろうと思います。もちろん漁民側のほうも苦労されまして、仕切り伝票とか組合台帳、そういうようなきわめて克明な資料要求まで先方の弁護士から要求をしてきておるような状況でございますから、その点は、安田先生の御心配はお気持としてはよくわかりますけれども、私どもは本件の加害者、被害者の関係は一応十二分に確認されておる、かような考え方を持っておるわけです。
#29
○安田敏雄君 そういうようなことでなくて、はっきり先方が加害者だということを認めたということになりますと、示談の方向よりも訴訟という問題がこれは出てきますよ、常識的に言って。ですから加害者であるかないかということをぼやかしたことによって、訴訟問題は消えて示談のほうでいこう、どうもこういうような憶測ができるわけなんですね。ですからそういう点でなかなか向こうのほうが加害者であるということを確認しないのじゃないか、私はこういうように思われる。こういう点はどうですか。
#30
○政府委員(村田豊三君) すでに両弁護士の間では、あなたのほうが加害者、私のほうが被害者でございますということを確認をして折衝が進んでおるのでございますから、その点の御懸念はないのではないかと私は考えております。それからそれによって本件が一挙に訴訟に持っていくのがいいのか、あるいは示談で解決するのがいいのか、この辺は非常に実はデリケートな問題がいろいろあると存じます。訴訟で先ほども御発言の中にございましたように、数年もこれがいろいろと係争期間を争うというのでは、これはそれによってもちろん多額の金額が確保できれば、それも一案かと存じますが、それがよいのか、あるいは当面ただいま森先生から御指摘がございましたように、二重投資の形になる問題でもございますので、早く本件が解決するのが望ましいのか、その辺も漁民側の弁護士といたしましては、十分漁民側とも折衝の上で、相手側の弁護士と折衝しておられるものと私どもは了解しております。
#31
○安田敏雄君 その点はあとにしまして、そこで両交渉委員と弁護士でその交渉のさなかに提示された金額があまりにも低い、こういう御説明があったわけでございますが、富津地区に対してはどのくらいの金額が、木更津地区に対してはどの程度の金額が提示されたかおわかりになりませんか。
#32
○政府委員(村田豊三君) その点につきましては、直接水産庁の担当課長が漁民側の弁護士に会いまして、先方が五月に提示したというその金額は幾らかということをただしたのでございまするが、その際、漁民側の弁護士は、この金額はあまりにも額が小さいから自分の一存で拒否したいきさつもあるので、その額を具体的に言うことは、ひとつかんべんしてもらいたいということでございましたので、水産庁の担当課長もそれ以上立ち入らない。したがって、私どももそのときの具体的な金額は承知いたしていないような事情でございます。
#33
○安田敏雄君 まあ、一切を委任された弁護士側におきましては、なるほどそういう態度を富津地区に対してはとるかもしれませんが、片っ方のほうは木更津地区は交渉委員をあげているわけでしょう、このほうに対する金額の提示はわかりませんか。
#34
○政府委員(村田豊三君) 木更津地区に対して具体的な金額が提示があったかどうか、その点は承知をいたしておりません。
#35
○安田敏雄君 しかし、両方がそれは弁護士と交渉委員を立って、それぞれ別の角度で交渉しているけれども、片方に対しては金額の提示があった、片方についてはないというようなことではないと思うのですよ。この点は弁護士側に聞きましても、おそらく交渉委員に聞きましても、水産庁がもつと積極的にどの程度のものができたかというくらいのことは、指導する立場だったら探りを入れてでもなんでも一応把握しなければならぬだろうと思うのです。実際わかっているのでしょう、長官のほうには。ただ発表できないというだけじゃないですか。
#36
○政府委員(村田豊三君) こういう重大な事件でございまするので、その委任を受けておりまする弁護士のやはり立場を、われわれ十分に尊重いたす必要があると存じまして、先般担当課長が弁護士に会いました際に、それ以上のことを追及はいたさなかったのであります。したがって、私どもは全く具体的な金額は承知をいたしておりませんので、御了承願いたいと思います。
#37
○安田敏雄君 そこで、水産大学の殖田さんという教授を今第三者としての仲介の労をねぎらっているわけでございますけれども、実際私どもの地方における長い経験でも、こういう人工による損害というようなものは、これは最終的には政治的な解決だと思うのですよ。したがって、その資料の検討とか、この程度が正しいとかということは、なるほど大学教授でも正しい、妥当な結論が出るだろうと思いますが、問題は金額の最終的にはやりとりがこれは補償問題になるわけなんです。したがって、そういう面について、まあこの報告に基づきますというと、県が積極的に指導をしておるけれども、結局水産庁は何かしら、はれものにでもさわるような工合に、少しもこれについて積極的に指導をしていないというように考えられるわけなんです、今の説明では。ですから、最終的に政治的な手を打つとするならば、米軍当局におきましても、とにかく相当熱意を入れているという外務省の報告があったわけです。ですから、そういうような立場からいたしますならば、米軍当局と水産庁と折衝してそして問題の解決というような方向のことも考えられるわけだ。ですから、そういうような方向へもう少し指導性を私は発揮すべきだと思う。とにかく事件が起きてもう半年以上たっているわけなんですよ。こういうような点についてのお考えをひとつお聞きしたいと思うのですけれどもね。
#38
○政府委員(村田豊三君) アメリカ本国に対しまする本件の事件の解決促進につきましては、先ほどの外務省からお答えございましたように、絶えず水産庁と外務省と連絡をとりながら、この事件が一日も早く解決いたしますような措置をとっておるわけでございます。先ほど来、安田先生のおっしゃるお気持は私どもよくわかるのでございますが、たまたまただいまの時点におきましては、両方の弁護士団で事件解決のすでに核心に問題が入りつつあります。しかも第三者を加えてまで解決の核心に入りつつあるわけでございますので、私どももちろんこの事件の解決が一日も早く解決いたしますことを念じております。ただいまそういう方向で解決の途中でございます。いましばらく様子を見ていただきたいと存じます。
#39
○安田敏雄君 前の国会の終了まぎわ、この問題の御報告を受けたときに、向こうの弁護士と先方の弁護士と交渉中だと、事件の核心に入っておるという御報告を私ら受けているのですよ。あれから三月たっている。その後一歩も交渉が、多少は確認されつつあるというようなことで前進したかもしれませんが、まあ現在のところでは、難航しておるというように受け取るわけなんです。できるだけひとつ水産庁でも努力して解決をしてほしいと思います。
 それから海上保安庁のほうへお聞きしますけれども、この前の審議の際に、油の事件については神奈川県の県立の工業試験所に委嘱をしたと、こういう御報告だった。ところが、なるほどそこは設備が相当程度完備しておるかしらぬが、そうでなくて、そこで摘出ができないならば、もっと専門の大学の研究室なり、あるいは専門的に油をやっておる試験所、こういうようなところにさらに試験方を委託したらどうだということで要望したところが、そのような処置をいたしますと、こう言明があったわけです。その後それについての処置をどういうふうにいたしましたか。
#40
○説明員(樋野忠樹君) こういう非常に大きな問題の観点につきましては、できるだけ民間と申しますか、一般的の色彩のない、純粋のところにお願いしたいという考えと、それから当庁の現場のものと非常に近い、連絡がとれるところというような関係で、神奈川県の工業試験所にお願いしたわけでございますが、工業技術院のほうがよりよく分析ができるということでありますれば、むろんこれからは両方の資料を持っていって頼むつもりでございますが、何分採集する油が、かき集めてできるだけ余分に油を取るように心がけておりますが、一カ所に持っていきますと、向こうのほうに持っていけないというような関係もございまして、できるだけこの分析を、鑑定をお願いする場合には、できるだけより上の詳しいところへ持っていきたいと存じております。
#41
○安田敏雄君 そういう気持があったら、事件の当時とっくにすべきなんです。ところが、私は、神奈川県の県立工業試験所で試験しただけだというから、最初は国立かどっかの試験所で試験したと思っておったんだ。だんだん聞いておりますと、県立の工業試験所でした。それじゃいけないから、そこで摘出できないから、さらに専門的なところへ持っていってしなさいと、こういうことで御要望申し上げた。ところが、現在になってもそれが運んでない。そうしたところが、その当時は、じゃあそういう措置をいたしますと言っているんです。その後全然その問題については放擲したままなんです。今のじゃ答弁になっておりませんよ。したかしないかということについて聞いているんです。
#42
○説明員(樋野忠樹君) 持っていった資料は、先ほど来申し上げますように、神奈川県の工業試験所で全部使ってしまったわけでございますので、あとのやつはないわけでございます。この前も御答弁いたしたかと思いますが、これからのあとの場合はそういうように、先生の御指摘のような手段をとりたい、かように申し上げておきます。
#43
○安田敏雄君 あなたはそうおっしゃいますが、この前はそうじゃないんですよ。神奈川県の工業試験所で全部使ってしまって、もうないんだという答弁はなかったわけです。そして私どもの要望にこたえて、それでは専門的なほかのところで、さらに問題を明らかにするために試験しましょうという答弁だった。ところが、今ない。措置といいますか、そういうものが少しずさんではないかというように判断できるわけですがね。ないじゃしようがないですよ。そういうはっきりした答弁なら、あの当時そういうことを要求しなかった。しかも こういう油による被害というものは、水産庁のほうから、この前の審議のときにもたくさんの資料が出されておりますけれども、これは天田さんのほうからいろいろ指摘もあるとおり、過去の対策が非常に甘かったという点が指摘されております。ですから、そういう油のような問題につきましては、ないならしようがないわけなんです。どうしようもないんで、この点は今後も起きないとも限らない問題でございますから、ひとつ十分注意してほしい。また、非常に私としては不満足でございますけれども、やむを得ないと思います。
 そこで、外務省のほうへお聞きしたいと思いますが、イーグル・コーリヤ号はその任務を遂行して、すでに航海用船となっている。そのために直接米軍の責任でないために地位協定外だから、米軍当局が関与したことではない。しかし、イーグル・コーリヤ号が加害者であるという点は動かしがたい事実のようであるから、できるだけ問題を訴訟でなくて、訴訟だと四、五年かかるから、示談の方向に持っていきたいという意向なんです。そのおもなものは、損害に対する補償じゃなくて、何か日本国民の反米感情を押えるための措置をしよう、こういうようなことであっていいんですか。反米感情のために何とか措置しようということだったら、ずいぶんこれは見当が違ってますよ。問題は、弁護士間でも犯人だということが確認されておる。ですから、その損害補償について何とか世話しようというなら、これは筋が通るわけです。国民の反米感情を押えるために何とかしようといったって、損害はまるっきり考慮されておらん、そういうことになるわけなんですね。この点はどうですか。
#44
○説明員(西堀正弘君) ただいまの点でございますけれども、先ほど申し上げましたように、本件あくまで法律的に申し上げますならば、民事事件でございます。したがいまして、アメリカ政府といたしましても、日本政府といたしましても、法律的には介入する立場にはないわけでございます。したがいまして、これを先方のアメリカ政府の見地から、本件を放置したならば非常にゆゆしい問題になるぞという点を私交渉のときに強調した。その強調した点だけを実は先ほど御説明の際に申し上げましたので、ちょっと誤った印象をお与えしたかもしれませんけれども、もちろん本件損害の賠償でございます。あくまで要求しておるところは、民事事件にして要求しておる対象とというものは損害に対する賠償でございます。それをアメリカ政府としてもなるべく早い解決をするために何らかの介入といっては語弊がありますけれども、政府として善導しろ、指導しろということを先方に強調するために、実は先ほど申しました、何分にも多数の漁民の方々が貧乏されておる問題であるしということを先方の担当官に強調した、その強調した点だけをここに申し上げましたので、そういう誤った印象をお与えしたと思います。しかし、あくまで本件は民事事件としての相手に対する要求は、もちろん先生のおっしゃいましたとおり損害に対する賠償であって、そこには何ら反米感情とか、そういったものは全然入ってこない。あくまで純粋の民事事件であります。ただ、政府の立場としてこれに介入と申しますか、とにかく口をきく、あっせんをしろということを先方の担当官にインプレスする、そのためには今申しますような点も強調したのであるという点を実は御説明で申し上げたかった点であります。
#45
○安田敏雄君 それはそれとして、そこで行政協定というふうなものは、私も地位協定といいますか、そういうものは自分のところに演習地を持っているからよくわかるんですが、確かにこれは非常にざる法的な運用がなされるということはよくわかっております。しかし、これは確かに行政協定ではそういう米軍に責任がない、こういうことにはなろうと思いますけれども、問題はアメリカ軍の軍事目的を遂行するためにとにかくこのイーグル・コーリヤ号を使用したことは事実なわけなんです。このことだけは事実なんです。ですから、その協定上は確かに責任はないかもしれぬが、私は道義的な責任は米軍にも十分あると思うんですよ。そういうような観点からして、これはやっぱり損害については外務省、水産庁共同してもう少しく米軍に、自分で雇った船でございますから、使った船でございますから、それについて、船主に対してもっと強力な勧告ができるような外交交渉をすべきだと、こういうように思いますが、この点についてのお気持をひとつ聞かしていただきたいと思います。
#46
○説明員(西堀正弘君) ただいま先生から御指摘になりました道義的な責任、この点を最初に担当書記官を呼びましたときにも第一に申した点でございます。したがいまして、向こうのほうもそれがあるからこそ、純粋に民事事件といって突っぱねるわけにいかず、それをその後のアメリカ大使館の態度を見ておりましても、非常に誠意をもって累次にわたって本国政府に電報を打っているようでございますし、また現にその書記官は累次にわたって当地におります船会社の弁護士にも会っているようであります。したがいまして、向こうとしても十分に道義的な責任を感じておる。それだから、ただいままでのような態度をとっているものと私は信じております。
#47
○安田敏雄君 そこで参考までにお聞きしたいんです。このイーグル・コーリヤ号はアメリカ本土から油を積載して横須賀まで持ってきて、そこで荷をおろして、それからアメリカへ帰るわけなんですね。その際、保険会社と、航路の安全という意味で、船主が保険契約をする場合には、油をおろしたところでもって解除になるのですか、それとも米国本土へ帰ったところまでの保険契約を結ぶのか、その点はどういうような保険契約になっているのですか。
#48
○説明員(西堀正弘君) 御質問、おそらくこういうことではないかと存じます。航海用船、これはボエジ・チャーターと申しまして、米軍とアメリカの船会社でありますユナイテッド・マリタイム・コーポレーションとの間で結ばれた契約でございます。したがって航海用船のもとで米軍が雇って、それで油を持ってきて、横須賀でもって油をおろした。その瞬間に航海用船の契約は立ち消えたわけでございます。一方船会社のほうは、保険会社と、おそらくこれは船を持っている会社でございますから、その船自体に、この航海とは関係なしに、大まかにといいますか、一般的にその船についての保険がかけられている。したがいまして、船がかりに沈没いたしました場合には幾ら、あるいは今度のように海堡にぶつかりまして損害をこうむりましたその修繕費というものは、当然その船会社がかけておる保険でカバーされておると思います。それにつけ加えまして、その船がたとえば他の船に衝突して損害を与えた。その場合に損害賠償を求められます。その損害賠償を払わなければならぬ場合もまた、先ほど申しましたライアビリティという保険の範疇でカバーされておる。今度は衝突じゃございませんけれども、自分が流した油でもって漁民に損害を与えた、その損害を払わなければならない。その払わなければならない損害も、保険会社がカバーした同じライアビリティの範疇に入る、こういうことになっておりますので、その航海の横須賀でおろしたおろさないという問題でなしに、船自体として、船全体として保険会社との間では契約がなされておる。これはそこまで実は向こうに要求しておるわけでございますけれども、今のところ詳細なる情報は入っておりませんので、百パーセントそのようであると確言申し上げかねるのでございますが、おそらく今申し上げましたような契約の関係から申しますと、なっていると存じます。
#49
○安田敏雄君 その船自体を保険にかけるということはわかるのですが、問題は、油を積載してきて、おろしても、やはりおろしたあとで、から船にして帰っていって、全部本土へ戻らなければ任務を遂行したということにはならないと私は思うのです。これはそうなんですよ。日本だってそのとおりなんだ。労務者がいろいろな道具を持って外へ行って仕事して、道具をみんな置いてきて会社へ帰ってこなければ、任務遂行したことにならぬ。途中で帰り道で何か事故があっても、それは公務傷害ということになるわけなんです。ですから、そういうようなことからいきますと、横須賀でおろして帰る途中で、任務遂行中なんですね。船自体としてはそうなんですよ。ですから、そういうような問題を考えましたときに、やはりその遂行の途次に与えた事故ですから、これは当然責任があるわけなんだ。しかもさっき言うように、この行政協定では、明文上はアメリカに直接の責任はない、こう言うけれども、そういう任務遂行という途次で起きた問題であるということになれば、これは私はもっと責任が深まるのではないかと、こういうように常識的に考えられるわけなんですがね、そういう点はやっぱり外務省としても強調したのですか。
#50
○説明員(西堀正弘君) 先生のおっしゃる意味よくわかりました。しかし、法律的に申しますと、何回も申し上げることになりますけれども、航海用船という契約で、米軍はその船を雇ったのだ。その航海用船というものは、航海用船という契約の条項に従いまして、積荷をおろした瞬間に航海用船をやったチャーター主の責任が解除されるといいますか、契約は終わってしまいます。したがいまして、そのあと船を運行するのは、あくまでユナイテッド・マリタイム・コーポレーションの船会社の任務遂行ではありますけれども、米軍としては、雇ってしまったものを雇いどめにしてしまったのです、条件に従いまして横須賀で積荷をおろした瞬間に。したがいまして、米軍としては、法律的に申して、そこでは何らの責任は生じてこない。これは法律的には、どうも全く太刀打ちのできないはっきりした明確な議論でございますので、その点はわれわれも決して強調はいたさなかった次第であります。ただここへきたのは、何分にも、米軍の油を持ってきた。その帰りは、なるほど契約上は責任がなくなるかもしれないけれども、道義的な、先ほど先生がおっしゃったような道義的な責任はあるのじゃないか、それは向こうも十分に認める。ただ法律的に申しますと、やはり航海用船というものの条件上、積荷をおろした瞬間にチャーター主としての責任は済んでしまう。あとは、なるほど船を向こうに持って帰りますのは、任務の遂行と申しますか、それは船会社として船を自国に持ってくるというだけのことでありますので、その点は法律的にはこちらが主張いたしましても歩がないと、はっきり申しますならば言わざるを得ないかと存じます。
#51
○安田敏雄君 私は、今の日本の国際的な立場からして、こういう問題は、日本が軍事基地を持っておる限りにおいては、将来たくさん起きるかもわからぬ、起きないとはこれはもう保障できない。したがって、こういうような例があと頻発しますと、沿岸漁業の零細農民が政府から幾ら低金利で安いお金を借りて設備をしても、これは何にもならなくなってしまう。したがって、こういう米軍の軍事目的に使う船の雇い入れ方、あとの問題のただ横須賀ですぐにあけてしまってから船にして帰る場合も、今後これは相当行政協定の問題として考えなければならぬと思うのですよ。従来の解釈でいけば、こんなのはほとんど民事だなんて言っていたら、これは日本政府として全く力がなさ過ぎる、われわれの判断からすれば。ですから、こういう問題が今後頻発しないとも限らないということからして、これはもう少し外務省としても研究して対処していくということが、私は必要じゃないかと思うのですが、こういう点はひとつ善処をお願いしたいと思うのです。以上です。
#52
○委員長(櫻井志郎君) 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時五十八分散会
   ――――・――――
ソース: 国立国会図書館
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