くにさくロゴ
1962/08/27 第41回国会 参議院 参議院会議録情報 第041回国会 内閣委員会 第6号
姉妹サイト
 
1962/08/27 第41回国会 参議院

参議院会議録情報 第041回国会 内閣委員会 第6号

#1
第041回国会 内閣委員会 第6号
昭和三十七年八月二十七日(月曜日)
   午前十一時十九分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     村山 道雄君
   理事
           石原幹市郎君
           下村  定君
           鶴園 哲夫君
           山本伊三郎君
   委員
           大谷藤之助君
           源田  実君
           小柳 牧衞君
           野知 浩之君
           林田 正治君
           鬼木 勝利君
           小林 篤一君
  国務大臣
   法 務 大 臣 中垣 國男君
   国 務 大 臣 篠田 弘作君
  政府委員
   内閣法制局第二
   部長      野木 新一君
   行政管理政務次
   官       宇田 國榮君
   行政管理庁行政
   管理局長    山口 一夫君
   法務政務次官  野本 品吉君
   法務大臣官房司
   法法制調査部長 津田  実君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       伊藤  清君
  説明員
   内閣法制局総務
   主幹      真田 秀夫君
   行政管理庁行政
   監察局長    山口  酉君
   法務省矯正局医
   療分類課長   山田  弘君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○行政不服審査法案(第四十回国会内
 閣提出、衆議院送付)
○行政不服審査法の施行に伴う関係法
 律の整理等に関する法律案(第四十
 回国会内閣提出、衆議院送付)
○法務特設世法の一部を改正する法律
 案(内閣提出、衆議院送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(村山道雄君) これより内閣委員会を開会いたします。
 初めに、去る二十四日、衆議院から送付されました本委員会に付託の行政不服審査法案及び行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案、以上二案を便宜一括して議題といたします。
 まず、政府から提案理由の説明を聴取いたします。行政管理庁長官事務代理篠田国務大臣。
#3
○国務大臣(篠田弘作君) ただいま議題となりました行政不服審査法案について、その提案理由を説明申し上げます。
 訴願制度は、行政庁の違法なまたは不当な処分に関しまして行政庁に不服申し立てをさせ、よって、行政庁による簡易迅速な手続により国民の権利利益の救済をはかりますとともに、行政の適正な運営を確保する意義を有するものであります。
 このような趣旨のもとに、現行の制度は、一般法たる訴願法とその他の法令とによって運用されておりますが、明治二十三年に制定施行せられましてから一回の改正も行なわれることなく今日に至っております訴願法と、他の法令において個々に定められております不服申立制度との間には、種々不備、不統一の点が少なくない現状であります。
 すなわち、まず訴願法につきましては、一、その第一条で、訴願事項として「租税及手数料ノ賦課二関スル件」外五件を列挙しておりますが、その内容が不明確でありますため、訴願が認められるかどうか必ずしも明らかでない場合が多いこと、二、同条第七号の他の法律または政令で定める訴願事項が少ないこと、三、裁決庁に関する直接上級庁という規定の仕方が、行政組織の複雑化いたしました今日におきましては必ずしも明瞭であるとは言えないこと、四、執行停止、審理等の手続規定が不十分であること、等の欠陥を有しているのであります。
 また、他の法令で個々に認められております異議申し立てその他の不服申立制度につきましても、一、申立事項が不統一であること、二、申立期間が極端に短いものが相当にあること、三、申立手続に関する規定がほとんどないこと、等の欠陥があるのでありまして、いずれも、国民の権利救済のために十分であるとは言いがたいのであります。
 このような実情にかんがみまして、政府におきましては、さきに訴願制度調査会を設置し、制度の改善について諮問し、審議を求めておりましたところ、一昨年十二月答申を得ましたので、自来その結果に基づきまして、現行訴願制度の全面的な改正につき慎重に検討を加え、新たに行政不服審査法案として不服申立制度の整備をはかることとしたのであります。
 次に、行政不服審査法案のおもな内容について申し上げます。
 第一は、行政庁の違法なまたは不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に関しましては、従来の概括的列記主義を改めて一般概括主義を取り入れ、原則として広くこの法律案による不服申し立てを認めることとしたことであります。ただし、国会、議会の議決による処分、裁判による処分のごとく、事柄の性質上、この法律案による不服申し立てを認める必要のないもの、学校、刑務所のような施設における処分のごとく、この法律案による不服申し立てを認めることが適当でないもの、刑事事件に関する処分、当事者訴訟として争うべきものとされている処分のごとく、他の救済制度によらしめることが適当であるもの等につきましては、必要な限度において、これを除外することといたしております。
 第二は、行政庁の不作為につきましても、新たに不服申し立ての道を開くこととしたことであります。現在、法令に基づく申請に対しまして行政庁の行なう許可、認可等の処分は、遺憾ながらすべて必ずしも適正迅速に行なわれているとは言いがたく、特別な理由もないままに当該案件が相当長期間放置されている事例が間々見受けられるのでありまして、このことは、国民の受ける不利益並びに行政の運営の適正という見地から看過することのできない問題となっております。かかる現状にかんがみ、この法律案におきましては、行政庁が、法令に基づく申請に対しまして、相当の期間内に何らかの行為をすべきにもかかわらず、これをしない場合に、不服申し立てができることとし、この場合に、行政庁に対し、二十日以内に何らかの処分をすること、不作為の理由を開示すること等を義務づけることとしたのであります。なお、この法律案において、行政庁の処分につき一律に一定期間の制限を付しますことは、処分の個別性から見て適当ではないと考えられますので、それぞれの法規の適切な運用によって処分の促進がはかられるよう配慮して参りたいと存ずるのであります。
 第三は、訴願、異議の申し立て、不服の申し立て、審査の請求等種々の異なる名称が用いられている現状を是正して、審査請求、異議申し立て及び再審査請求の三種類に統一したことであります。
 第四は、このような新しい制度によって国民の権利利益の救済をはかろうといたしましても、まず、制度があることを知り、また、これを活用できるようにしなければ目的を達することはできませんので、新たに教示制度を採用し、行政庁が不服申し立てのできる処分を書面でする際には、不服申し立てができる旨並びに不服申し立てをすべき行政庁及び不服申立期間を教示すべきものとし、教示をしなかった場合、誤った教示をした場合の手当をも規定したことであります。
 第五は、不服申立期間についてでありまして、現行制度は、訴願法においては六十日を原則としておりますが、その他の不服申し立てにおいては三十日とか二週間とかその他極端に短いものがある等区々にわたっておりますので、これらを改め、原則を六十日とし、特殊なものについてのみ例外を認めようとしたことであります。
 第六は、審理につきまして書面審理を原則といたしますとともに、他面不服申立人に処分庁の弁明に対する反論書の提出を認め、口頭で意見を述べる機会を与える等審理手続についての現行規定の不備を改めることとしたことであります。
 なお、これらのほか、執行停止、裁決等制度の全般にわたりまして、規定の整備をはかることといたしました。
 以上が、行政不服審査法案を提出する理由であります。何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことを切望する次第でございます。
 次に、行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案について、その提案理由を説明申し上げます。
 この法律案は、行政不服審査法案が不服申し立てに関する統一法規として現行の訴願制度を全面的に整備するのに伴いまして、関係法律二百六十八件につき、必要な整理等を行なおうとするものであります。
 すなわち、第一は、行政不服審査法案が一般概括主義を取り入れたため、関係法律において、不服申し立てをできる旨の規定が重検することとなりますので、これらを削除したことであります。
 第二は、行政不服審査法案において、不服申し立てに関する名称を統一して審査請求、異議申し立て及び再審査請求といたしましたので、これに伴い、関係法律につき、名称を整理したことであります。
 第三は、審査請求に関しまして、直近上級行政庁以外の行政庁を審査庁とする必要のあるものにつき、特例を規定したことであります。
 第四は、不服中立期間につき、個々の制度の特殊性にかんがみ、必要なものにつき、例外的に特例を定めたことであります。
 第五は、ものの検査、検定等の結果にかかる処分、特に緊急を要する処分等、当該処分の性質上、行政不服審査法案による不服申すし立てを認めるのが適当でない処分等につきましては、これらを除外し、また、行政審判その他不服申立制度として班に整備された制度があり、これらによらしめるのが適当と認められるものにつきましては、行政不服審査法案による不服申し立てから除外することとしたことであります。
 以上が、行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案のおもな内容でありまして、いずれも、行政不服審査法案の趣旨並びに現行制度の運用の実態に照らし必要とされる関係法律の改正であります。何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことを切望する次第であります。
#4
○委員長(村山道雄君) 次に、両案について政府委員から補足説明を聴取いたします。なお、両案のうち、行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案につきましては、衆議院において修正が加えられておりますので、右の修正点につきましても便宜政府委員から説明を聴取することといたします。山口行政管理局長。
#5
○政府委員(山口一夫君) 大臣の御説明に補足いたしまして、行政不服審査法案――以下審査法と略称さしていただきます。――並びに行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案――以下整理法と略称いたします。――につきまして、審査法を中心にいたしまして必要に応じて整理法の内容に触れながら概要の御説明を申し上げたいと存じます。
 審査法は全文五十八カ条からなる法律案でございますが、これが三章に分かれまして、第一章総則、第二章手続、第三章補則、この三章からなっております。
 まず第一章におきまして、総則規定でございますが、問題点となる点が四つあるかと存じます。その第一が審査法の目的についてでございます。法案の第一条第一項によりますれば、審査法は「簡易迅速な手続による国民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することを目的とする。」とうたわれておるのでございまして、現行の訴願制度が国民の権利利益の救済と行政の適正な運営の確保の二面を持っておるものと言われながら、どちらかと申しますと、行政適正なの運営の確保に重点が置かれておる感がするのであります。それに対しまして今回提案されております審査法におきましては、国民の権利利益の救済の面に重点が置かれまして内容が構成されておるのでございます。もとより国民の権利利益の救済と行政の適正な運営とは表裏一体の関係にあるものでございますが、しいて両者の重点を分けますれば、ただいま申しましたように、今回の法案におきましては、国民の権利利益の救済をはかることに主力が置かれておるのでございます。
 次に、第一章における問題の第二は、審査法におきましては、不服申立事項として一般概括主義を採用しておる点でございます。これが現行の訴願法と異なる大きな特色でございますが、この一般概括主義につきましては、第一条第一項におきまして「行政庁の違法又は不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に関し、国民に対して広く行政庁に対する不服申立てのみちを聞く」旨を宣言いたしておりますことから明らかでございますが、さらに、第四条並びに第七条におきましてそれを具体的に一般概括の規定をいたしておるのでございます。すなわち、第四条におきまして、処分につきましては、原則として審査請求または異議申し立てができるし、また、第二条の定めるところによりまして、公権力の行使に当たる事実上の行為で継続的性質を有するものも処分の中に含めまして、原則として審査請求または異議申立てができるということになっておるのであります。次に、不作為に関しまして、第七条によりまして、「行政庁が法令に基づく申請に対し、相当の期間内になんらかの処分その他公権力の行使に当たる行為をすべきにかかわらず、これをしないこと」、この不作為に対しまして原則として異議申し立てまたは審査請求ができることにきめられておるのでございます。しかし、一般概括主義にもむろん例外があるわけでございまして、その例外につきまして、審査法は、第四条第一項におきまして、不服申し立てのできない事項といたしまして十一項目の事項を掲げておるのでございます。この十一項目は大体三つの類型に分けられると存ずるのでございますが、その第一のグループに入りますものは、慎重な手続で行なわれた処分であります。これらの処分につきましては、再考の余地がなく、不服申し立てをかりに認めましても結局同じ結果になると予想される処分でございまして、たとえば、国会、地方の議会もしくは裁判所の行なう処分、あるいは国会、議会もしくは裁判所の同意、承認等を得て行なわれる処分がこの第一のグループに入ると考えられるのであります。第二のグループといたしましては、他の手続によって処理することが適当である処分でございまして、刑事事件に関する法令、国税犯則事件に関する法令に基づく処分等がこれに属するものと考えられます。次に、第三のグループに属しますものは、その処分の性格から考えまして、審査法による手続によらしめるのが適当でないものでございまして、たとえば、学校、刑務所の中における処分、人の学識技能に関する試験検定の結果についての処分あるいは外国人の出入国もしくは帰化に関する処分等がこれに属するものと考えられるのであります。なお、審査法のほかに、他の法律におきまして一般概括の除外事項をきめておるものがあるのでございます。これらにつきましても、おおむねただいま申しました三つの範疇に分類することができると考えるのでありまして、たとえば、各種の行政委員会の処分、一例をあげますと、土地調整委員会の処分のごときものは第一のグループ、慎重な手続で行なわれた処分に入るものと考えられるのであります。緊急事態に対処するための処分、たとえば植物防疫法による処分等につきましては第三のグループに入るものと考えられるのであります。これらの除外事項を除きまして一般概括によりまして広く処分に対する不服申し立ての道を開いているのが本法案の趣旨でございます。なお、再審査請求につきましては、審査請求あるいは異議申し立ての場合と異なりまして、すべての処分について再審を認める必要がございませんので、原則として列記主義の立場をとっておるのであります。
 次に、第一章の総則規定における第三の問題点といたしまして、第三条によりまして、審査法による不服申し立ての名称を、一審といたしましては審査請求及び異議申し立てに、二審といたしましては再審査請求に統一をいたしたのであります。現在の制度のもとにおきましては訴願、異議の申し立て、不服の申し立て、再調査の請求、審査の請求等それぞれ名称がつけられておりますために、またその名称の異なるに従いまして手続におきましても少しずつ差異がありまして、国民に非常な不便をかけておりますので、この際名称を統一いたしまして、内容を明確にいたす趣旨でこの三つに限定いたしたのであります。
 次に、第一章の総則規定における最後の第四の問題といたしましては、審査請求と異議申し立てとの相互の関係でございます。内容が非常に複雑でございますが、処分の場合と不作為の場合につきまして申し上げますが、まず処分につきましては、処分庁に上級庁のある場合には原則として審査請求、処分庁に上級庁のない場合には原則として異議申し立てができるということになっておるのであります。なお、この場合例外といたしまして、法令によって審査請求ができる場合と、あるいは法律によって異議申し立てができる場合等におきましては、それぞれ審査請求または異議申し立てができることに相なっております。審査法全体を通じまして審査請求と異議申し立ての関係につきましては、なるべく審査請求にもっていくことができるように、できる場合を多くするように法案の内容ができておるのでありますが、不服申し立ての趣旨から申しまして、処分庁以外の行政庁において不服申し立ての審査をすることが適当であるためでございます。若干の例外を除きまして、原則としてそういう趣旨で異議申し立てと審査請求との関係が組み立てられておるのであります。
 なお、以上は処分の場合でございますが、不作為の場合につきましては、ややそれと方針を異にいたしまして、第七条によりますれば、異議申し立てまたは不作為の直近上級庁に対する審査請求のいずれか一方を、することになっておるのでありまして、不作為につきましてはむしろそのねらいがその事務の処理の促進をはかり、そのための手段として考えられますので、これにつきましては処分庁に対する異議申し立てをするということを、まず前に異議申し立てをして、しかる後に二次的に審査請求を認めておるのであります。
 以上第一章でございますが、次に第二章の手続関係でございますが、第九条から第五十六条にわたりまして申し立ての手続が詳細に規定されております。
 まず第一節の通則におきまして、原則として不服申し立てば書面をもって提出して行なうことが明らかにされておりますが、特に法律または条例で認める場合には口頭でもできるということになっております。処分規定のうちからおもなものを拾って申し上げますと、第十四条におきまして、審査請求の期間を原則として処分のあったことを知った日の翌日から起算して六十日以内ということにきめております。また、審査請求書は直接審査庁に出すことを建前といたしておりますが、処分庁を経由して出すこともできる旨を規定いたしております。そのほか審査請求人の立場を強化するための規定といたしまして、弁明書の写しを審査請求人に送付して反論書の提出を求めることとか、あるいは処分庁の提出した物件の閲覧を求める道が開かれているとか、あるいは申し立てによりまして口頭で意見を述べる機会を与えるとかという規定がございます。
 さらに、いわゆる執行停止の問題につきましては、第三十四条及び第三十五条におきまして審査請求がありましても、直ちに処分の執行停止の効果を生ずることにはなっておりませんが、審査請求人に執行停止の申立権を与え、執行により回復の困難な損害を避けるため緊急の必要があるとき、たとえば公売処分のごときは原則として執行停止しなければならないという規定がございます。なお、いわゆる事情裁決の規定等裁決に関し必要な規定が第二章において整備をされております。
 次に、第三章の教示の規定でございます。教示は行政不服審査制度そのものの内容としてではなく、行政不服審査制度と密接な関係を持ち、行政不服審査制度が十分にその価値を、真価を発揮することができるような、その手段として認められておるのでございまして、したがいまして、重要な規定ではございますが、第三章の補則に規定をされておるのでございます。教示に関する条文といたしましては、五十七条、五十八条のほかに第十八条、第十九条、第二十条、第四十一条、第四十六条等に、誤った教示の救済等の規定が掲げられております。これによりまして審査法は不服申し立てができる処分を書面で行なう場合に行政庁に対しまして教示の義務を課しておるのでございます。
 なお、以上総則、手続、補則のほか附則につきまして一言申し上げますと、審査法は昭和三十七年十月一日から施行し、同時に、現行の訴願法が廃止されるということに相なっております。
 以上をもちまして審査法並びにこれに関連する整理法の内容の概要の御説明を申し上げた次第でございます。
 なお、引き続きまして、衆議院におかれまして両法案の審査をお願いいたしました際、三党共同の御提案によりまして修正があったのでございます。本来、衆議院側におかれまして、この席において御説明をいたされるべきでございますが、便宜私からその内容を申し上げてくれということでございますので、修正の内容につきまして申し上げたいと思います。
 修正の第一は、修正はいずれも行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案、整理法に関するものでございます。その第一は、従来、木船運送法と称しておりました法律が、前国会におきまして小型船海運業法と名称を改められましたので、これに従いまして、本法案中の目次並びに第百九十条の内容をそれぞれ改めることにいたしたのでございます。
 次に第二の点は、本法案と密接な関係にあります行政事件訴訟法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律が前国会においてすでに成立公布されておるのでございますが、本法案が、この不服審査法の整理法が成立、公布されました場合、両法案が同時に施行されることになりますので、これら両法律によって関係法律がどのように改正されることになるか疑問を生ずる場合が予想されますので、その両者の関係を明らかにいたしますために、関係法律中同一法律につきこれら両法律の双方に改正規定のある場合には、その法律は本法案によってまず改正され、次いで、すでに成立いたしております行政事件訴訟法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律によって改正さるべきものとする規定を整理法の附則に一カ条追加いたすことでございます。
 その他字句等につきましての整理漏れが若干ございますので、あわせて修正をいたされたのでございます。
 以上修正の点につきまして、かわりまして私から説明さしていただきました。
#6
○委員長(村山道雄君) 以上で説明を終わりました。
 それでは、これより両案について質疑を行ないます。政府側から、ただいま説明されました山口行政管理局長のほか、宇田行政管理政務次官、真田内閣法制局総務主幹、野木内閣法制局第二部長が出席いたしております。質疑のある方は、順次御発言を願います。
#7
○山本伊三郎君 それでは私から審査法並びに整理法について質問したいと思いますが、まず整理法の問題、これは相当たくさんございますが、二百八十六法律に関連した問題ですが、まず一々説明を求めることはどうかと思いますが、この社会保険、労働保険関係では、相当審査制度が完備しておると私は見ておるのですが、その関連は整理法でやられておりますが、一口に言ってどういう点――ただ、先ほどの大臣代理ですかの趣旨説明を聞きますと、両方合わしたということで言われましたが、その点ひとつ概括的にどういう点を整理法において変えられたか。特に社会保険関係では、行政不服審査法以上に私は審査制度が前進しておると思うのですが、その点ちょっとまず知らしていただきたい。
#8
○説明員(真田秀夫君) 委員長の御指示によりまして、私から御説明申し上げます。
 社会保険関係におきましては、現行法といたしまして社会保険審査官及び社会保険審査会法という別個の法律がございまして、ずいぶん詳しい手続規定とそれから整った体系の不服制度が定められてございますので、なるべくそれは尊重するという原則に立ちまして、ただ今度の不服審査法が、先ほど来ここで説明がありましたように、一般概括主義をとっておりますので、原則としましては、不服審査法によって審査請求をするのではございますけれども、その手続につきましては、現在すでに先ほど申し上げました審査官及び審査会法によって整った体系もございますし、なお、関係者の方々がその審査会法によって運用されておりますので、その体系はなるべく尊重するという立場から、手続につきましては行政不服審査法をはずしまして、現行の審査官及び審査会法によって動かす、こういうふうに審査会法の整理をするという原案になっておるわけでございます。
#9
○山本伊三郎君 大体概括的な説明ですが、今言われたことはこう解釈していいですか。おのおの実体法によって規定されておる審査制度は、この行政不服審査制度よりも完備しておるものであればそれが優先してやられると、こういうことで理解していいですか。私はこれを実は調べる時間もないものですから全部知らないので、それを第一に私は心配しますので、手続については、今の説明ではおのおの実体法の手続によらない、これによるとかいう話ですが、その点もう少しちょっと具体的に聞きたい。
#10
○説明員(真田秀夫君) 御説明申し上げます。ただいまおっしゃいましたと同じ趣旨でございまして、大体審査官及び、審査会法のほうの規定は整っておりますので、それを尊重してそちらによって手続を動かすという原則を立てております。ただ、審査会法と不服審査法と読み比べまして、若干審査会法のほうが手続が足りない点も二、三ございますので、それはこの関係法律の整理法中におきまして、審査会法の一部改正をいたしまして、足りないところは補って、結局不服審査法による手続よりも不備にならないようにという点に非常に留意をいたしまして立案いたしてございます。
#11
○山本伊三郎君 冒頭に言っておきたいんですが、もちろん先ほど説明のありましたように、法務委員会で審議してすでに行政事件訴訟法がもう成立しておる。これがこの前の国会では不成立になったということで、非常に急がれていることはわかるのです。また、川島大臣もそういうことをあいさつしていかれたんですが、しかし、御存じのように、明治時代の訴願法を一挙に新しいのに変えるというんですから、膨大な法律に関係しておるので、できれば慎重に審議をして理解を得たいと思う。間違いはないと思いますけれども、いろいろ問題がある法律案でございますので、急速にこれを成立さすということについては、われわれも協力いたしますが、その点はひとつ御理解を願いたいと思います。
 そこで審査機構の問題でございます。なるほど訴願法から見ると、ある程度民主的なものになっておることはこれは認めます。この点はわれわれとしては、わが党としても賛成していると思うんですが、ただまあやはりこの審査制度にいたしましても、この内容を一覧すると、部内審査と申しますか、いわゆる第三者の審査権というものが含まれていないように思うが、社会保険の審査制度におきましては、御存じのように、第三者の意見もいれて審査制度をやられているんですが、このような行政全般にわたった審査制度ですね、そういうものでは若干問題があると思いますが、そこまで行きがたい理由というものは、どこにあるんですか、その点ひとつ。
#12
○説明員(真田秀夫君) お答え申し上げます。およそ行政処分につきましての救済制度といたしましては、第三者を審査機関にするというほうが制度として整備されたことになる点はもちろんでございますけれども、あらゆる処分、いろいろな形の処分をすべて対象にいたしますこの一般法である行政不服審査法におきまして、そのような機構を設けるということは、これはまた別の意味で、たとえばそのための行政機構を設けるということになりますと、別の意味で問題になろうかと存じます、この一般法といたしましては。そこでいかような考えで立案いたしたかと申しますと、なるべくならば自分、つまり処分をした当該行政庁以外のところへ持っていくことをやはり本則としたい、こういう考えでございます。したがいまして、原処分庁に対しまして上級行政庁がある場合には、原則として上級行政庁へ持っていかせる、上級行政庁があるにもかかわらず、処分をいたしました当該行政庁に異議の申し立てをさせるということは極力少なくしたい。こういうような考えで立案してございます。
 それからまた、それぞれの特別の法規におきまして、たとえば先ほど仰せになりました社会保険のごとく、第三者的な機関をもって審査、協議しているという制度がございますれば、それは全部尊重いたしまして、その構造をくずすというようなことは絶対しない、かようなつもりでいたしております。
  〔委員長退席、理事、石原幹市郎君着席〕
#13
○山本伊三郎君 大体理解できる点もあるのですが、これほど画期的な訴願法の改正と申しますか、改革というか、やられるのですから、もう一歩そういう点も考える必要があるのじゃないかと私は思うのです。なるほど上級官庁を審査庁とする、それは原則だということもこれはまあ一般行政の処分から見ると、あるいはそれは考えられないこともございませんが、やはり上級官庁といえども同じ系統の行政庁であるということから見ると、従来の訴願法の実績から見ても、やはり何かそこに部内、よくいって部内反省程度という程度にとどまる場合があるのじゃないかと思うのです。もちろんこれが実施されて業績を上げられてからしか批判はできませんけれども、やはりそういう若干の、やったというけれども、何かそこに足りないものがあるのじゃないかということを考えるのですが、大臣おられませんが、今後一歩前進するというような、そういう考え方があるかどうか、まず冒頭にちょっと聞いておきたい。
#14
○政府委員(山口一夫君) ただいまのお話につきましては、成立の暁におきまして、運用の場合に、当該処分庁以外の上級庁にやった趣旨、すなわち、先生のおっしゃった完全な第三者機関ではございませんが、少なくとも監督の責任を持った上級庁が審査するのが原則である。なるべくそういう機会を多くしたいという趣旨にかんがみまして、単に処分庁の処分を弁護したり、あるいはかばうというような考え方でなく、十分にその点第三者的に近い監督庁としての立場から厳正に審査をしまして、不服の申し立ての内容を十分に聴取して参るような措置を指導の面において十分考えたいと考えております。
#15
○山本伊三郎君 その点につきましては、後ほど具体的にちょっと聞いてみたいのですが、今言われましたからちょっと聞いておきますが、上級官庁以外でそういう審査庁というものは、例示するとどういうものがありますか。
#16
○政府委員(山口一夫君) 実例につきましては、法制局のほうからお話しいただきたいと思いますが、先ほど申しました審査会の場合ですけれども、それからその他公団の処分に対しまして大臣以外のこれもまた審査会、そういう横の組織というようなものにつきまして、整理法の中にそれぞれ規定がございます。実例につきましては、法制局のほうから申し上げます。
#17
○政府委員(野木新一君) 実例を今網羅的に……。
#18
○山本伊三郎君 例示でいいです。
#19
○政府委員(野木新一君) 一番典型的なのは、ただいま先生のおっしゃいました社会保険審査官及び社会保険審査会法及び労働省関係の労働保険審査官及び労働保険審査会法というのがあります。そのほかたとえば厚生省の戦傷病者戦没者遺族等援護法などにおきましては、これは審査会を経まして、これは大臣が不服申し立てについて決定するような場合には、審査会にかけて、それから決定するというような仕組みになっておるのもございます。そのほかたとえば大蔵省の税法などには、国税協議団ですが、ああいうものの参加を認めるというものもありまして、それぞれの行政処分の性質なりその冠なり、それからそれに伴うこちらの行政機構の効率的運用といいますか、いろいろな点から、それぞれの行政処分に応じて現在でもそういう第三者的の立場のものが関与する、そういうものは相当あるわけであります。本法の立案の過程におきましても、たとえば要するに一般の学者などは、俗にいう同じ穴のムジナ論と申しますか、今の訴願で一番欠点は、処分をやったそこへまず出す。そうすると一応一番よく知っているから、一番手近であるから非常にいいという面もありますけれども、他面自分のやったものを自分で直すというのはなかなか直しがたい、ここで握りつぶしてしまうというので非常に弊害があるということで、先ほど申し上げるように、原則は上へ持っていくというのを原則として、非常に例外だけ異議申し立てを認めるということにしたわけであります。それに関連していわゆる審議官ですか、不服申し立てを審議する際に何か独立の審議官みたいなものに審議さして、それに基づいてまた大臣がそれの報告でも聞いて、それに基づいて決定する。上級官庁ですね。そういうふうにしたらどうかというような意見も出ましたが、機構の問題になりますと、いろいろの人員の関係とか、そのために非常に組織が複雑になったりしますから、一がいに全部について一様にそういうふうに機構を設けるのはどうかということもありまして、その処分々々にあたって考えていったらどうかということで、一般法としてはそういうことを今度の改正には取り上げるまでに熟しなかったわけであります。
#20
○山本伊三郎君 今言われましたおのおの実体法によるところのいわゆる上級官庁、同一部内の審査庁以外でそういう機構を持っているということを言われましたが、それはそのとおりです。私も大体ある程度そういう点も聞いているのですが、一般行政に対する不服審査制度に対しましても、やはりそういうものを考える必要があるのじゃないかということを大臣に聞きたいのですが、大臣おられませんが、先ほどそういうものを指導監督をしてやるのだ、これは非常にいいと思いますが、実際問題として国民の立場から見ると、自分の処分をされた系統の官庁に異議申し立てなり審査請求というものをやっても何だか信用できないという感情があると思うのです。これを除くためにこういうものを考えてこられたのですが、やはりそういう点が、そういう人がどれだけ権力を持ってやるかどうか、わからないのですが、そういう人をひとつ参与さすということも何かの形で必要ではないかということは私が基本的に考えている問題です。先ほど指導監督でそういうものをやっていくと言われましたが、指導監督だけではなかなかいかないと思います。おそらく官庁部内には一つの空気というものがあって、たとえ下級官庁のやったことでも上級官庁としては人情的になるとか、これを合理化そうという気持もあることは、私は人情としてあると思います。それを裁判所のように公正厳正に第三者的にその処分の不当であるかどうかということを判断するのは、やはり若干そこに主観が入ってくるのじゃないか、行政官庁としての主観が入るのじゃないかと思いますが、この点について先ほど申しましたが、本法自身においてそういうものを将来考えるべきであるかどうかという点、こういう点で政務次官おられますね、ひとつ聞いておけば、これは事務的な問題ではなくして、政府としてどういう考え方であるか。
#21
○政府委員(山口一夫君) ただいまのお話、全然処分庁あるいは監督庁に関係のない第三者的のたとえば中央審査庁とか中央訴願庁とかいう別個の組織を作って、そこで扱うという御意見につきましては、実は立法論として、あるいは訴願制度調査会の審議の途中の御意見としてそういう御意見も出たように承っております。また、その御意見自体につきましては、相当傾聴に値するものがあると思います。ただ、現在そういう機構を別個に作るということ自体につきまして、これは相当の組織の改革であり、また、この行政不服審査法自体が、まあできるだけ努力をいたしまして公正な裁決なりそういう公正な決定なりをするという努力を極力いたすことによりまして、将来の問題として、今のお話の点につきましてはこれは大きな問題だと思います。別途に十分私どものほうで検討させていただきたいと思います。
#22
○山本伊三郎君 わかりました。それでまあ誤解があったらいけませんが、私は別個の審査庁とかという、昔の行政裁判所という意味じゃないのですが、そういうものを作るというのにはちょっと問題があると思います、これは問題がある。ただ私は、まあ上級官庁が審査庁でもいいです、ただそういうところに第三者的な意見をいれる余地が与えらるべきでないかということを言っておるのであって、単独の審査庁なんか作ると、これまた司法権との問題も起こってくると思う。また、これは手続簡素ということが問題で、かえってそれによって所期の目的が達せられないという逆の作用もありますから、私はそこまでやるというには問題があると思う。審査庁は上級官庁でもいい、いいですが、そういうものをいれるような、何かの道が中に織り込めないか、まあ、こういう趣旨で言っておりますので、これは答弁は要りませんが、誤解のないようにひとつその点はしていただきたい。
 それじゃ、次に移ります。そこで、先ほど説明の中では、今度は概括主義でやって、列記主義を廃した、こう言われておるのですが、なるほどその点はいいのですが、ここでまた逆に考えられることもあるのです。一般法律に明るくない人は、一般概括主義になるとどれが不服審査の条項になるのかという、非常にその点が国民の理解が、逆にできないやつだけをここにずっと列挙、列示してあるのですが、これ以外にできるのだというけれども、そういう問題に明るくない国民からすると、逆にできないものばかりあって一体何ができるのか、不服審査の申請をできるのは一体どういう事項かということになりますが、これについては教示制度をとられたことはいいのですが、しかし、その教示制度は当該関係者が初めて問題になったときに教示というものが発生するだけであって、一般国民に対しては別に教示という法律の義務はないのですね。これに対して、これはもう行政管理庁としての、所管庁としての問題になると思いますが、そういう点はどういう方法を、国民に知らす方法をとられるか、この点ちょっと前提に聞いておきたい。
#23
○政府委員(山口一夫君) お話しの概括主義になると例外ははっきりするが、逆に何を申し立てていいのかわからぬというお話でございますが、これは確かにそうでございまして、概括主義がよいか列記主義がよいかという両者の比較の場合に、概括主義の一つの欠点として、申し立て事項が不明確になる欠点を持っておることは遺憾ながら事実でございます。しかし、これに対しまして列記主義のほうは、個々の申し立て事項がはっきりいたします長所はあるのでありますが、しかし、その長短と、さらに国民の権利利益が広く救済されるか、それが狭められるかという不服申し立ての範囲の大小を比較いたしまして、長短彼此勘案いたしました結果、概括主義が結論において適当だということで踏み切ったのでございますが、確かに御指摘のように、不明確であるという欠点は概括主義自体が本質的に持っておるのでございます。条文を見ましても除外事項ははっきりしているが、むしろ除外事項だけはっきりしていて本体がはっきりしないという点につきましては、われわれ今後運用いたします場合に、まずその点十分に徹底させ、宣伝をして参らなければいけないと考えております。むろん、お話しの教示制度自体につきましても、関係の中央官庁並びに地方の行政庁を指導いたしまして、十分誤りなきを期する考えでございます。さらに、制度そのものにつきまして各種の普及徹底の措置を講じたいと考えております。さしあたり、一般の国民を対象といたします刊行物あるいは新聞、テレビ、ラジオ等のマスコミ機関というようなものを極力活用いたしまして、とにかく何でもできるのだという趣旨をよく徹底さして参りたい、かように考えております。
#24
○山本伊三郎君 これはまあ思いつきですが、一般行政処分に対する不服がある。これがこの本法によるところの異議申し立てなり、あるいはまた、審査の対象になるかどうかということを国民が判断するのはなかなかむずかしい問題ですが、幸いに行政管理庁では苦情相談所を各種持って、成績を上げられておるのを視察して見ておるのですが、そこへ行けば親切に、これだったらこういう方法でどこそこの官庁にやりなさいというような方法をとれないものかどうか。この点ひとつ、これは行管の業務としてどうです。
#25
○政府委員(山口一夫君) その点につきましては、私山口でございますが、山口監察局長のほうから答弁をさせていただきたいと思います。
#26
○説明員(山口酉君) 行政苦情相談におきましては、従来の訴願制度の場合につきましても、苦情相談の内容が訴願に該当いたします、訴願し得る事項でございます場合にはその道があるということをよく説明をしております。今度は非常に範囲が広くなりましたので、新たに不服審査法の制度によって異議申し立てなり審査の請求ができます道は非常にふえると思います。それらは苦情相談におきましてはよく説明をしてやるようにということを、この本法が施行になりました場合にはさらに徹底させたいと、かように考えております。
#27
○山本伊三郎君 それに関連するのですが、まあ本法第九条ですね、審査請求または不服申し立ての問題につきましては、方式については書面主義が原則になっておるのです。口頭が特別に条例とかそういうもので定めておる場合にはそれでやるけれども、書面で申し立てをしなければならぬという原則でありまするが、その場合に先ほど苦情相談所あたりでそういうものを相談に行った場合に、やはりこの書面で出すとなると、専門のやはりそういう方式を知った商売人に依頼しなくちゃならぬということになると思いますが、この点は苦情相談所でそこまでやるということになれば問題があるのですが、こういう点について、何か便宜な方法を考えられておるかどうか、口頭でやったが、その口頭を直ちに書面で提出する形式を備えるような、そういう手続は、簡素な手続を考えられておるかどうか、この点どうですか。
#28
○政府委員(山口一夫君) それらの京につきましては、今後指導いたします場合になるべく便利なような、できますればそこへ行ってすぐ用紙があって、不動文字が書いてあって、それに名前を書いて大体の内容をあれすれば申し立ての方式にかなうというようなことを指導面において十分徹底させて参りたいと考えております。この法律の趣旨自体が国民の権利救済の拡張という点にございます。なるべく不服の申し立てをしやすいようにという点につきましては十分解決いたしたいと考えております。
#29
○山本伊三郎君 それでは、法文の順に従ってちょっと尋ねていきたいのですが、先ほど第四条の概括主義で除外者だけここで消しておるんですが、このうち「検査官会議で決すべきものとされている処分」というのが入っておるんですが、そのほか、第七のカッコの「他の法令の規定に基づき、これらの職員の職務を行なう者を含む。」と、いろいろこういう工合に、専門的にいろいろと検討していっても、自分らのやつは当たるかどうかということで非常に迷うようなのがあるんですが、まず「検査官会議で決すべきものとされている処分」というのは、これにはどういうものがあるんですか。
#30
○政府委員(野木新一君) これは四号にこう掲げておきましたのは、しさいに検討したところでは、現行法に、現在にはこれにぴったり当てはまるものはございません。ただ言葉の性質上、やはりここに一つ掲げておくといったものでございます。それから七号のほうの、「他の法令の規定に基づき、これらの職員の職務を行なう者を含む。」、これはたしかたばこの関係の、専売公社関係でちょっと特殊な規定がありまして、その関係で入ったものでありまして、それ以外にはそうたくさん――それ以外にはないと思っております。
#31
○山本伊三郎君 こういう方法でやっていくと時間が長くかかるのですが、私はこういうものをちょっと尋ねておるというのは、一般国民が見たときにこれが何だろうという理解ができなければ、自分の問題がこれに入っておるのやら、入っておらぬのやら、除外されておるんじゃないか――大体処分をされて不服をするというのは、大きい問題であれば、弁護士とかそういうものを依頼してやりますけれども、私はこの立法精神は、そういう大きい問題よりも、日常国民が行政庁における処分の不服をやっていくということを取り上げるのがこの立法の趣旨だと思う。そういう場合に、自分らの問題で言っていて、また、逆に官庁に行って怒られるんじゃないかという気分を起こさせることは、もうこの立法の精神はほとんど殺されてしまいます。そういう点で非常に問題が、われわれとしても聞いておかなくちゃならない問題がたくさんある。今法制局部長が言われましたが、専売関係のものだろうということですが、専売にどういうものがあるのか、私も実は知らない。そういうことでいろいろ問題がありますが、きりがありませんので一応次に進みます。
 次に第五条のほうですね。ここにもそういうものがあるんですがね。第五条の第一項の第二号です。これも「前号に該当しない場合であって、法律(条例に基づく処分については、条例を含む。)に審査請求をすることができる旨の定めがあるとき。」、こういうものがあるんですが、これはどういうことをいっておるんですか。
#32
○政府委員(野木新一君) 五条一項第二号は、これは、「法律に審査請求をすることができる旨の定めがある」、その法律というのは、たとえば行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律、こういうもろもろの法律に、こういう場合には審査請求ができるといって具体的に書いてありますから、これは今言ったような疑問は起こらないわけでございます。
#33
○山本伊三郎君 この第一項の原則となっておる「処分庁に上級行政庁があるとき。ただし、」この「ただし」からが問題ですが、「処分庁が主任の大臣又は外局」、これはまあ理解ができるんですが、そういう場合を除くとなっておるんですが、そういう場合にはもう救済の道はないんですか。
#34
○政府委員(野木新一君) 御質疑の点につきましては、その次の第六条の第一号に「処分庁に上級行政庁がないとき。」、こういうときは、「行政庁の処分についての異議申立ては、次の場合にすることができる。」といって、その処分をやった、そこに――その二号です、今申したその問題点はですね。「処分庁が主任の大臣又は外局若しくはこれに置かれる庁の長である」このときに、そこに異議申し立てができる、そういうような仕組みがありまして、これはまあ処分をやったところでありますが、やむを得なくそこにいま一度させる、そういう意味の救済が設けられております。
#35
○山本伊三郎君 尋ねていけば、もうこれは幾らでもあるのですが、やはりこういう問題についてはもう最上の官庁の行政処分と申しますか、そういうものについては十分救済の道が私としては開けておらないのじゃないかと思うのですが、そういうところには異議の申し立てをすると言うが、同じところに同じものをやって、そしてうまくいくような実体構成ができるものかどうか。同じ人がそれを審査するのじゃなくして、実例としてはどういう方法でやることになるのですか。この場合は、今言われた場合は。
#36
○政府委員(野木新一君) 側々の処分によって一様には言えませんが、たとえば、異議申し立てをする場合に、たとえば通産省関係の法案に多いのですが、公聴会を開いたり、そういう手続になっているものもあります。で、そういう手続のない場合でも、実際の行政庁のやり方をいろいろ聞いてみますると、たとえばある行政の担当局が大臣を補佐してある処分をする、それに対して異議の申し立てがありますと、これは今度は別に官房関係か何かの人がその書面を見て、そういう人も加わって、さらにそれを審査して、それから大臣の決裁を仰ぐ、そういうような建前になって大体運用されておるようでありまして、そういう点は今後おそらく行管のほうで各省を指導と申しましょうか、この法律の趣旨にのっとってなるべくそういうような慣行をさらに強化するなり、また、運用方針をはかっていくものと存ずる次第であります。
#37
○山本伊三郎君 まあ一がいに言って、私は法律の体系趣旨はこれはいいことだと私は思っておりまするが、実際運用にあたっては、私はなかなかこれを徹底し、その効果といいますか、成績を上げるということは、相当私はむずかしい問題じゃなかろうかと思うのです。今までやられておる件数、私まだ十分調べておりませんが、おのおの実体法で処理されておるのが非常に多いと思うのです。あるいは社会・労働保険関係の件数が相当大きいのじゃないかと思いますが、まあそういうことはこの法律によって相当今後関係省は努力をしてもらわなくちゃいかぬと思いますが、これができてもただあまり法律が――政府はこういう方法をとっておるのだ、そういう不当な処分があった場合には、こういう道を開いておくのだ、そういう申しわけ、口実を作るためであっては、私はもうこの法律の精神がないと思いますが、この運用については、相当まだ皆さん方の関係官庁の努力と誠意とを私はお願いしたいと思います。
 それから次に、この不作為の問題について、これはまあなるほど大いに今度の法律にしては非常に前進しておりますが、この場合に具体的に聞いておきたいのですが、この行政庁に対してそういう、不服審査の請求をした場合に、それを一定期間、六十日ですか、三十日やらないという場合には、その場合にはここに書いてありまするが、単にやらないからもう一ぺんやれということだけであって、やらない官庁に対して処分というものがないのですか。この点についてひとつ伺いたい。
#38
○政府委員(野木新一君) 不作為に対する不服申し立てにつきましては、第七条のほかに第四節、四十九条以下にあるわけでございますが、この第十条第二項、これは、不作為庁に対して不作為について異議申し立てがあった場合でありますが、二十日以内に、申請に対する何らかの措置をするか――その申請どおりの、たとえば許可なら許可をするか、あるいは申請が不適当であったならば不許可にする、そういう措置をするか、または書面で、どうして今まで手続がおくれていたか、関係庁の連絡ができなかったとか、そういうようなことを示すわけです。こういうふうになっております。それから五十一条で、上級庁に来たという場合につきましても、実質的には五十一条の三項におきまして、不作為についての審査請求があって、理由があるときには、すなわち相当期間がたっておるにかかわらず、何にもしないといったような場合におきましては、当該不作為庁に対してすみやかに申請に対する何らかの行為をすべきことを命ずる。そうして裁決で、その旨を宣言する。そういう立て方になっておるのでございます。
#39
○理事(石原幹市郎君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#40
○理事(石原幹市郎君) 速記をつけて。
 午前の会議はこの程度にとどめまして、午後一時半まで休憩いたします。
   午後零時三十二分休憩
   ――――・――――
   午後一時五十七分開会
#41
○委員長(村山道雄君) これより内閣委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、行政不服審査法案及び行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案を議題とし、質疑を行ないます。
 政府側から宇田行政管理政務次官、山口行政管理局長、山口行政監察局長、野木内閣法制局第二部長、真田内閣法制局総務主幹が出席いたしております。
 質疑のある方は、順次御発言を願います。
#42
○山本伊三郎君 不作為の問題でひとつお聞きしたいのですが、まず最初に、現在まで訴願法で実施されておったわけでありますが、そのほかで、実体法でいろいろとやっておられたわけですが、その不作為による処分庁において今までうやむやに葬られておった、そういうケースは相当あるのですか。その点、ひとつ。
#43
○政府委員(山口一夫君) この問題は、統計的に何件という数字は、事の性質上あげることができませんが、実際問題としてかなりおくれている、また、ものによっては握りつぶしになっているというようなケースにつきまして、遺憾ながら、そういう事実があったのではないかということが想像されております。
#44
○山本伊三郎君 今資料を探しているのですが、ここに行政処分に対する不服審査制度を利用していかない場合に、裁判所に提訴するという件数が、非常に少ないように今聞いているのですが、そういう不作為によるところのいわゆる処分庁の怠慢行為に対して、まあこういう制度ができたのですが、もし今まで不作為で、審査庁が迅速にやらない、また、うやむやのままに終わるというときには、裁判所に提訴するというケースが少ないと思うんですが、行政管理庁でそういう点の把握する件数が、まあ件数といっても大体の目安でいいですが、相当あったかどうかということはわからないですか。裁判所に提訴されておるのは非常に少ない件数になっておるんです。
#45
○政府委員(野木新一君) 裁判所関係でありますが、便宜私からお答えいたしますが、現行の行政事件訴訟特例法――違法な行政処分になった場合には司法裁判所へ行けということを規定した行政事件訴訟特例法、それにおきましては、行政庁の単なる不作為に対して訴訟が起こせるかどうかという点について、はっきりした明文はございませんし、したがって、いろいろ説も分かれたりしておりまして、実際問題として、不作為それ自体に対して裁判所に直接訴えを起こす、たとえば不作為だからこういう作為をしろということを求めて裁判所に訴えを起こすことはできない。これはできないということは学説がはっきりしておりますが、ただ、不作為の違法確認というような訴訟が起こせるかどうかという点についてもいろいろの問題がありまして、現在はしたがってそういう確立した判例もないのではないかと思います。ところが、これは新しい、前国会で成立しました行政事件訴訟法におきましては、そういう点を考えまして、この不作為の違法確認の訴えというのですか、そういうのを特別の訴えのケースとして認めておりますので、今後はあるいはそうしたのも訴訟として起こるかもしれませんが、今までは今言ったような法律になっておりますので、先生のおっしゃるような訴訟はあまりなかったのではないかと存ずる次第であります。
#46
○山本伊三郎君 まあこれはもらった資料ですが、一九五三年から一九五九年までの受理件数――これはもう健康保険あるいは社会保険、あるいは労働保険、その他、戦没遺族援護とか、失業保険あるいは恩給、すべて大体網羅していますが、それが五万三千七百六十五件中、容認されたのが二万余り、容認率は二三・五%、却下は比較的少ないんですが、棄却されたのが二万六千二百四十七、こういうことで、相当容認された率が少ないんです。もちろん、これには内容を吟味しなきゃいけませんが、今度こういう法律ができた場合に、相当私はこの内容が変わってくると思うんですが、もちろんこれは、今度の法律ができた場合には、受理件数と却下とかあるいは棄却ということよりも、むしろこの受理件数が相当多くなるんじゃないかと思うんですね。今私が尋ねておるのはそれじゃなくして、今まででもこの受理件数から見ると容認件数というものは五分の一に足らないというものになっておるんです。これは私の数字が間違っておれば言ってもらっていいですが、そういうことで、今度の制度が確立された場合に、先ほど申しましたように受理件数、なるほど手続が簡易になり、そういう点においてはふえるか知らないけれども、容認率と申しますか、そういうものは依然として変わらない、この制度に改めたからといって、内部機構によって審査するということになると変わらないじゃないかと思うんですが、この点どう行政管理庁では考えておるか。なるほど私は、受理件数はふえてくると思います。この手続の簡素化とか、いろいろ方法がやられておりますが、受理されたもののいわゆる容認される――不当処分だとして認められる、そういう件数はこの法律ができて前進するだろうかどうかということを、まあこれは朝の私の質問と関連するんですが、非常に危惧するんですが、その見通しはどうですか。
#47
○政府委員(山口一夫君) ただいまお話しの、約二割という容認率と申しますか、救済率と申しますかの概数につきましては、私も大体その程度の数字のように記憶いたしております。この数字は少ないというお話でございますが、大体行政行為というものは通常の場合、正当に行なわれるのが筋でございます。また、かなりいろいろな手続を経て行なわれるものでございますから、その行なわれたものに対する反対の決定あるいは裁決というようなものは、通常のとおり正当に仕事が行なわれておれば非常に少ないと思うのであります。それにもかかわらず、現行の訴願制度の上においてなおかつ二割というものが容認されたということは私は数字としてはむしろ多いという感じを持っております。多いという感じを持っておりますが、多いということはそれだけ処分のほうが不当である、不適当であるということが言えるし、また、それだけ訴願の決定が公正であったということも言えると思うのでありますが、とにかく二割というものが容認されておるということにつきましては、制度自体として現在の訴願制度がいろいろ申し上げましたように、かなり不備を持った制度ではあるが、なおかつ現行の訴願制度のもとにおきましても御指摘になりましたような容認率であるということは、一面から申しますと、訴願というものがある程度目的を達しておる。また、逆に申しますと、行政がそれだけ欠陥があったということにもなるかと思うのでありますが、そういう意味におきまして、私は、二割というこの数字はかなりむしろ多い数字であるというふうに考えております。これが今後この改革によりましてお話のとおり、確かに申し立て件数が多くなることが一応予想されます。予想されますし、場合によりましては乱訴というようなこともあるいは一時的にはものによっては起こるかもしれませんが、とにかく拡張されました申し立ての事項に対しましてかなり受理件数がふえるということは一応想像されます。一応想像されますが、将来新制度のもとにおいて受理されましたものにつきましてはただいま御審議をいただいておりますような慎重な手続によって十分に申立人の申し立てが通るように、主張がはっきりするようないろいろな方法が講ぜられておりますので、かりに前と同じであったとすれば私はかなり容認の率もふえるのではないかという感じが一方にいたします。しかし、同時に、行政庁側からいたしますと、こういう新制度のもとにおきまして、広く不服申し立てが認められるということになり、特に今回の制度が上級庁に対する審査請求をまず優先的に考えておるというような点から考えまして、行政庁といたしましては処分の執行につきまして、あるいは不作為の行為につきましてかなり慎重になる。また、不作為等につきましてはできるだけ早くやるという気持がこの法律ができることだけによりまして促進されるのではないかと考えております。そういう意味におきましてかなり受理件数もふえると思いますが、そのもとになる処分自体が相当慎重になるということも予想されますので、今、にわかに今後どういうふうに容認率がふえていくかということにつきましては相反する二つの要素がありますので断定はいたしかねますが、いずれにいたしましても、制度ができますれば、できるだけ私は申し立ての件数を広くしてもらい、また、したがって、広く受付をいたしまして、受け付けたものにつきまして正当な、手続によって十分に申立人の意向を聞いてそれを裁決する、あるいは決定するということによりまして処置をいたして参りたいと考えております。したがって、手続に乗りましたものはそういうふうな措置をいたしますし、また、手続に乗る以前の処分そのものの取り扱いにつきましては行政庁が慎重な態度をもって事に当たる、また、迅速な処置をするということを強く期待をいたしておる次第でございます。
#48
○山本伊三郎君 時間の関係で十分な資料を私も手に入れかねたのですが、今言われましたが、私が言った今の比率ですが、五万三千幾らに一万と言いましたが、これは主として内容別に見ますと、先ほど言いましたように、内部機構における審査制度以外に、いわゆる社会保険審査制度におけるところのパーセンテージがうんと伸びている。このデータではそれ以外にいわゆる内部審査をやっておると見られる戦傷者戦没遺族援護、これは厚生関係ですが、内部機構でやっているところだと思うのですが、それに恩給、これらの比率を見ると、平均して今言いました二割、二〇%になっておりますが、戦傷者戦没遺族援護に関する容認率はわずか五・四%、恩給に関しましては、これは、〇・一%という、件数五千三百四十八件のうち四件しか容認されておらない。したがって、私冒頭に申しましたように、第三者の介入と申しますか、参与したそういう審査制度においては非常にこの容認率が多く出ておる。こういうところから見ると、今度せっかくこういう概括方式によって行政不服審査法というものが成立されるのですが、一般行政庁における内部機構による審査制度においては今言われたが、二割というようなことはとうてい考えられないと思うのです。それはまあ朝の問題を繰り返して相済まぬのですが、実は気がついて再びやっておるのですが、こういうことから見ると、今度のせっかくこういう立法をされてもよほどこの不作為行為に対して十分完備した方法をとっておかないと、私はこれは却下とか棄却ということになっておりますが、却下の中には不作為によって葬られているものが相当含まれておるのじゃないか。言いかえれば、国民の側からいうと、泣き寝入りに終わっておるものが相当私は一般行政部門にあるのじゃないか、こういう点に不作為の問題、この法律の中に入れたんですから、この点は十分生かしてもらいたい。かりに不作為によって、怠慢な方法でこれは捨てられても、これに対して審査庁に対しての行政訴訟とかそういうものは全然ないのですね。上級官庁に、上級審査庁において命令するとかなんとかいうことを言っておられますが、それもどこまでやられるか。私は初めての試みだからですが、非常に危惧するものですが、この点についての自信ありますか。
#49
○政府委員(山口一夫君) その点につきましては、われわれ行政部内におきましても、御指摘のような感じがするのであります。今後実施の面におきまして、特に内部における処理につきましては十分御発言の趣旨を生かしまして遺憾ない処置をとるようにいたして参りたいと考えております。
#50
○山本伊三郎君 これはこの法律ができた場合に、全般としてこれを監督するとかなんとかじゃなくて、いわゆる主管官庁としては行政管理庁が受け持たれるのですか、この機構についての。
#51
○政府委員(山口一夫君) 法律そのものは、私は行政運営の一つの問題であると考えております。行政運営の終わりのほうの段階における不適当な行政庁の処置に対する救済の方法でございますので、広い意味におきまして行政運営の一半をなすものと考えております。しかし、整理法自体が二百数十カ条にわたってできていることでも想像されますように、また、一般概括主義をとりました結果、この法律の施行にあたりましてはそれぞれの法律に関係する各省が、ほとんど全省が面接責任をもって処理する態勢になると思います。各省庁に対しましては十分その趣旨を徹底いたしますが、法律そのものの全般的の運用なり、あるいは将来の改正なり、そういうものにつきましては行政管理庁において十分見て参りたいと考えております。
#52
○山本伊三郎君 次に、教示制度の問題ですが、これはもう実際やられる方法によっては、効果があるかどうかということは熱意の問題だと思うのです。現在でも教示制度のようなものをやっている官庁があると思うのです。しかし、それはもうつけたりの用紙の端にちょっと書いておる、こまかい字で。したがって、そんなものは注意しないとわからぬという程度のものが相当今まででもあると思う。これは法律上の義務ではないけれども、やはりそういう所管官庁として今まででも好意的にやっているものがあるのですが、今度はこういう法律で法文化された場合、どういう方法でやられるか。大体ここに書いておるのですが、実際問題としてどういう方法でやられるのですか。ちょっと聞いておきたい。
#53
○政府委員(山口一夫君) 教示の問題は、今回の法案のねらいとしております権利の拡張という意味におきまして、最も重要な改正だと考えております。したがって、教示の方法につきましては、先ほど申しました関係各省においてそれぞれの処分をいたします場合に直接やってもらうわけであります。各省ごとに現在どういう処分が各省において扱われているかということにつきまして、十分詳細な検討を経まして、洩れのないように教示をいたすように指導いたしたいと考えております。
#54
○山本伊三郎君 それはもうわかるのです。まあ法文にそうしておるのですからね。実際問題でどういう方法でやるのが効果があるかということを、この法律提案の関係庁である行政管理庁としては考えられておるか。そういう点をちょっと。
#55
○政府委員(山口一夫君) その点につきましては、今後法律施行後、政令あるいは各省の省令等によりまして、それぞれ具体的な規定ができて参る予定でございます。お話の点は、たとえばある省におきまして申請の処分に対して許可しない。不許可にするという場合に、不許可の通知を大臣の名前におきまして相手に対して出します。その不許可処分を通達いたします文書に添えまして、この不許可処分に対して異議のある者は、不服のある者は審査請求ができる。あるいは異議の申し立てができる。そのときにはどこに行っていつまでというようなことを、その文書の、不許可にいたします文書に添えて出すということが一応通常の形としては考えられるのではないかと考えております。
#56
○山本伊三郎君 その場合、やらなかった場合には、この第五十八条で若干書いておりますが、もし行政庁がそういう教示をしなかった場合に、この五十八条以外に救済の方法はないのですか。
#57
○政府委員(山口一夫君) 今の点は法律解釈の問題になりますので、法制局からさらに補足をしていただきたいと思っております。教示規定は一応訓示的の規定でございまして、教示をしなかったことに対する制裁というものにつきましては、法律上の制裁というものにつきましては、今のところないというように解釈いたしております。なお、野木部長のほうから補足をしていただきたいと思います。
#58
○政府委員(野木新一君) 教示をしなかった、すべきにかかわらず全然しなかったという場合につきましては、この手続法規におきましては、その庁にとにかく不服申立書を出すのがいいという、これは処分を受けた者に対しては一番簡易な方法だと思いますからこれでまず救っておるわけであります。ただ、教示すべきにかかわらず教示しないということは、ある意味でこの法律違反になりますから、一種のそれ自体が違法行為になりますから、そういうことは一般の服務上のいろいろの問題、そっちの問題はまた別にあると思いますが、この法律としてはとにかくその処分庁に不服申請を出せばあとはこの手続に乗っかっていく、そういう構造で作っているわけでございます。
#59
○山本伊三郎君 この法律全般を見まして法律の立法趣旨はよく理解できます。これはわれわれとしても法律の内容を見まして、一歩も十歩も前進しているのはわかるのですが、ただ、これが運用上、間違えば、結局こういうものをこさえたのだというだけで、こういっては言葉は非常に悪いけれども、政府としては一般国民の行政官庁の不当処分に対して救済の方法をここまで考えておるのだという点の宣伝にすぎないし、実効がどこまで上がるのかということが問題だ。これはまだ施行されておらないのだから私はここでそういうような極言はいたしませんが、極力この実効を上げる方向に各官庁とも努力をしていただきたい。その点でひとつ行政管理庁として法律上は監督の権限も義務もありませんが、十分ひとつこの点やってもらわなければ、今の官庁の内部を見ますると、自分らの行政執行においても手一ぱいであって、こういう不服審査制度をまじめに親切にやろうという親切心はあると思うけれども、実際の余裕がないのじゃないか。税務署へ行きましてもどこへ行っても、国民の声もそういうところへ大きくきておる。そういう点で私はこの運用に大きく期待しておりまするが、行政管理庁としては十分これに対して方法、あるいは宣伝と申しますか、国民に対して権利に目さめるような措置をとってもらいたいと思いますが、その点どうですか。
#60
○政府委員(宇田國榮君) お説のとおりでございまして、この運用と指導のいかんによるのでございまして、これをPR、プロパガンダを大いにして、国民が納得のいくようにするために、この施行にあたりまして十分御趣旨を尊重してやりたい考えでございます。
#61
○石原幹市郎君 この行政不服審査法の第一条に、「この法律は、行政庁の違法又は不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に関し」云々とこうあるわけですが、この「行政庁の違法又は不当な処分その他公権力の行使」というのは、これは行政庁にもかかるのですか。どういうことになるのですか。
#62
○政府委員(野木新一君) 行政庁にかかると解しております。
#63
○石原幹市郎君 そうすると、「行政庁の違法又は不当な処分」それから行政庁の「公権力の行使に当たる行為」こういうことですか。
#64
○政府委員(野木新一君) さようでございます。
#65
○石原幹市郎君 そうすると、これは行政庁の「公権力の行使に当たる行為」別に定義はないのですが、どういうことをいうておるのか。また、その意義あるいは範囲といいますか、どういうことなんでしょうか。
#66
○政府委員(野木新一君) この「行政庁の違法又は不当な処分」のうち、行政庁の違法な処分ということは現行の行政事件訴訟特例法にもございまして、これは裁判所は違法性のみの問題を取り扱うのでありまして、行政庁の違反処分に対してということになるわけでございます。訴願では、すなわち新しい不服審査法では、不当処分の当不当の問題も行政部内でありますから取り扱う。そういう意味で行政庁の違法のほかにまた不当な処分とつけ加えたわけであります。それから「その他公権力の行使に当たる行為」これにつきましては、実は処分といいますと、在来の用例からいいまして、事実上の行為というのが入らない場合があるわけであります。昔の行政裁判所等におきましても、たとえば道路工事とかいうものは、狭義の処分のうちには入らない、広く解して処分に入れて救済しているといったようなことがあるわけであります。厳格にいいますと、そういう事実上の行為は処分というのには含まないというのが学説上も多いのでありますが、その点は広く救うという意味ではっきりさしたほうがいいのじゃないかと思い「その他公権力の行使に当たる行為」ということで、いわゆる事実上の行為、それに不作為もありますので、こういうものも今度の不服審査法では取り上げていくのだ、そういうことを明らかにする意味でこれをつけ加えたわけでございます。
#67
○石原幹市郎君 これは、本法の中では、定義とか、どういう程度のことをいうのかということは、どこにも規定がないわけですね。
#68
○政府委員(野木新一君) これは、定義を置くと、またそれの定義を置いたり、また、いろいろの反作用がありますので、これは在来いろいろの学説とか、判例とか、相当固まってきつつありますので、むしろ、こうしておきまして、運用なりにまかしておく。定義を置くと、どうしても何か学説を拘束するような格好、また、別の意味の弊害があると思いますので、こういうものは、行政事件訴訟特例法でも同じようなことがありまして、定義を置いてありませんので、それと合わして考えていこう、こういうことでありまして、ここではわざと定義を避けたわけであります。
#69
○石原幹市郎君 「公権力の行使」という言葉は、今までいろいろの法律に、これはあるのですね。行政事件訴訟特例法とか、今度の不服審査法これに出てくるのですが、これはあるのですね、法律に。
#70
○政府委員(野木新一君) 国家賠償法第一条に「国又は公共団体の公権力の行使」という言葉がございます。
#71
○石原幹市郎君 それから行政庁というのは、これは地方公共団体であるとか、その他いろいろのものをみな含んでおるわけですか。
#72
○政府委員(野木新一君) これは地方公共団体及びその機関ですね、国の機関のみならず、それを含んでいるわけであります。国の機関だけでしたら、行政官庁といったようなことになりますが、行政庁といったような場合には、一般の用例から見ても、国の行政機関のみならず、地方公共団体及びその機関も含むという趣旨になっております。
#73
○石原幹市郎君 公団であるとか、公社、こういうものも入るのですか。
#74
○政府委員(野木新一君) 「行政庁の違法又は不当な処分」といった場合におきましては、今の行政事件訴訟特例法の運用などを見ましても、たとえば、国会なども場合によっては行政庁に当たるといったような解釈もあるくらいでありまして、それは国会とか、裁判所も、場合には、行政庁に当たるという解釈を行なっておりまして、結局行政庁というほかに言いようがありませんので、こう書きましたが、行政庁の違法な処分というと違法行政処分ということとほとんど変わりがないと御解釈願ってけっこうであります。
#75
○石原幹市郎君 公団や公社のようなものは、これは行政庁とどういう関係になるのですか。
#76
○政府委員(野木新一君) この趣旨は、行政庁の違法な処分、すなわち国その他公共団体あるいはこれに準ずるものは、国民に対して優越的な地位に立って、国民に対して行為をする。そういうものに対して、普通の訴訟手続とは別に、行政権の分野の内部で簡易迅速な救済をはかろう、そういう趣旨でありまして、公団等におきまして、公団のなす行為は全部行政処分になるわけではありませんが、たとえば公団でも滞納処分の権限ようなものを与えられている場合がありますが、そういうような場合にはその分に関する限りは、一種の公権力の働くものでありますから、そういうものはその限りで、公団の処分は行政庁の処分と、そう見ていく、そう考えております。
#77
○石原幹市郎君 そうすると、公団あるいは公社のようなものが、国家の権力といいますか、国家行為の代行をするような場合、その範囲内において公団であるとかあるいは公社を行政庁と解釈する、そういうことですか。
#78
○政府委員(野木新一君) 大体そう考えてけっこうだと思います。
#79
○石原幹市郎君 第一条のこの言葉は、別に定義、範囲その他が規定されているところがないので、それではあとは判例とか、実際、実例とか、そういうことでだんだん解釈を固めていこう、こういうことですか。
#80
○政府委員(野木新一君) 大体私が今まで申し上げた点は、すでに行政事件訴訟法関係、行政訴訟特例法関係で、もう再三の判例などがありまして、裁判例も固まっておりますから、こちらにもそれで考えてよろしいのではないかと存じておる次第でございます。
#81
○石原幹市郎君 それからもう一点承っておきたいのでありますが、従来の僕らの知識では、昔の行政訴訟といいますか、今度の行政事件訴訟法でしたね。あれでやるについては、訴願というものをやって、それから行政訴訟といったようになるのですが、ところが、今度は不服審査のできると同時に、また、行政事件訴訟のほうもできる。極端にいえば、同時に両方やってもいいというようなことになっているのじゃないかと思うのですが、そこらの関係はどういうことになっているのでしょうか。
#82
○政府委員(野木新一君) 便宜私から御説明申し上げますと、御指摘の点はまさに行政不服審査法にも関連しますが、むしろ法務省のほうでやられた行政事件訴訟法、これは姉妹のような関係になっておりますが、行政事件訴訟法案立案の大問題としていわゆる訴願前置主義をとるかとらないか。そこで非常に長いことかかって議論になった問題でありまして、そして、従来の行政事件訴訟特例法は、いわゆる訴願前置主義をとっていたわけであります。新行政事件訴訟法は、結局それを採用しなかったのです。したがって、原則的にはお説のように、ある違法な行政処分があれば、権利を侵害せられたものは、すぐ裁判所にいくのが適当だと思えば裁判所にいくし、金があるからもっと簡易な手続で救済を求めたいといえば、こっちの手続をとる。行政不服審査法のほうにかけ込むことができる。どちらでも好むところによってできるというのが原則的な建前になっております。また、もっとも例外的に、大量集中的な処分ですね、税金のようなもの。こういうようなものにつきましては、やはり一応訴願前置主義の制度が現行法と同じ程度にとられております。これはむしろ例外的で、原則としては訴願前置主義をはずすということになっているわけでございます。
#83
○石原幹市郎君 そうすると、私先ほど申し上げましたように、極端にいえば、両方一ぺんに出しているというようなことが、同時に出しているというようなこともあり得るわけですが、そこらの関係を訴訟が出ておれば、不服審査のほうはとめておくとか、極端なことを言えば、不服審査の裁決と、それから訴訟の判決とが違ったようなことが出得る場合も極端に考えればあり得るというようなことも起こると思うのですが、そういうことの相互関係、関連、そういうことはこの法律の中にどこが規定されてあるのでしょうか。訴訟事件のほうもあまり僕は中身を読んでないものですから。
#84
○政府委員(野木新一君) この行政不服審査法のほうには、訴訟法との関係は直接にはうたっておりませんが、この行政事件訴訟法のほうにおきまして、第八条の――第八条と申しますのは取消訴訟、いわゆる抗告訴訟でして、この不服申し立てと同じような性格のものであります。初めから言いますと、第八条第一項「処分の取消しの訴えは、当該処分につき法令の規定により審査請求をすることができる場合においても、直ちに提起することを妨げない。ただし、法律に当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ処分の取消しの訴えを提起することができない旨の定めがあるときは、この限りでない。」本文は先ほど申し上げましたように、いわゆる訴願前置主義を原則としてとらないことをうたい、ただし書は、ある場合には訴願前脚主義をとる場合があるという規定であります。こういう規定を置きまして、第三項におきまして「第一項本文の場合において、」すなわち「審査請求をすることができる場合においても、直ちに訴えを提起する」、訴訟を提起したという場合におきまして「当該処分につき審査請求がなされているときは、裁判所は、その審査請求に対する裁決があるまで訴訟手続を中止することができる。」ということ。裁判所のほうに裁量権を与えまして訴願、この不服審査請求が出ておる場合には、訴訟手続を一時中止してこっちのほうの進行を待つほうがいいという場合にはこっちの手続にまかせ、訴訟手続を一時とめておく。そういうような調整ははかっておるわけでございます。
#85
○石原幹市郎君 そうすると、今のお話を聞きますと、中止することができるわけであって、中止しないで続行もできるわけですね。
#86
○政府委員(野木新一君) さようでございます。
#87
○石原幹市郎君 そういう場合に不服審査のほうと行政事件訴訟法のほうとがちぐはぐになるとか、そういう問題は起きないでしょうか。
#88
○政府委員(野木新一君) これは要するに、権利を侵害せられたものが二つの手続を与えられておって、どっちにいくか自由であります。どちらも両方起こしていくということもありますが、どうも行政庁に簡易迅速にやってもらったほうがいいという場合は、訴訟を起こしても弁護士に頼んで訴訟手続のほうは中止しておいてもらってこっちの促進をはかっていくか、初めからこちら一本でいく場合はそっちだけでやりますね。しかしながら、行政庁に不服申し立てをしてもどうも同じ穴のムジナであまり信用がないというんだったら、やはり裁判所にやってもらうということでありまして、結局権利を侵害せられた国民がその点はひとつまず自主的に判断する。両方に提起された場合には、やはり権利関係の最終的な判断権は裁判所にあるんですから、裁判所のほうでこれをどうするか、手続を一時中止するかどうかということの判断をまかせるというのがこの両者の仕組みになっておるわけであります。
#89
○石原幹市郎君 それじゃ結局二つが並行していって違ったというような場合には、もちろん判決のほうが強いわけですね。
#90
○政府委員(野木新一君) 原則として終局的にはそうなると思います。
#91
○委員長(村山道雄君) 他に御質疑はございませんか。――他に御発言がなければ、両案の審議は、本日はこの程度にとどめます。
  ―――――――――――――
#92
○委員長(村山道雄君) 次に、法務省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。本案につきましては、すでに提案理由の説明を聴取いたしておりますので、これより質疑を行ないます。政府側から、中垣法務大臣、野本法務政務次官、津田司法法制調査部長、なお説明員として、山田矯正局医療分類課長、副井矯正局参事官が出席いたしております。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
#93
○山本伊三郎君 本案はきわめて内容は簡単な内容ですが、少しお尋ねしておきたいと思います。
 ここに提案理由の説明がなされております。大阪市の都島区にある大阪少年鑑別所を堺へ移す。事情はあるのですが、これはもう問題はないと思いますが、これの移転について、地元のほうでは問題なくスムーズにいっておるわけですか。それをまず伺いたい。
#94
○政府委員(津田実君) ただいまのお尋ねの点でございますが、地元堺市当局並びに地元民の方々の十分なる御了解を得ておるわけでございます。
#95
○山本伊三郎君 資料をちょっと探しておるんですが、現在全国に少年鑑別所は幾つあるんですかね。出ていますか。
#96
○政府委員(津田実君) 全国で五十一カ所でございます。
#97
○山本伊三郎君 五十一カ所とすると、大体都道府県に一カ所、それから二カ所以上あるのはどこですか。
#98
○政府委員(津田実君) 全国に四十九カ所、すなわち各家庭裁判所のある地方にそれぞれ四十九カ所あるわけです。全国に家庭裁判所が四十九カ所ございますから、四十九カ所ございまして、そのほかに小倉と平にございます。合計五十一です。
#99
○山本伊三郎君 それじゃもう一ぺん尋ねますが、この少年鑑別所のまだ調査はしていない、全然知らないんですが、外から見ているだけですが、内容の設備はどういうものがなされておるのですか。
#100
○政府委員(津田実君) 御承知のとおり、少年鑑別所は、家庭裁判所から送致されました少年を収容いたしまして、医学、ことに精神医学、心理学、教育学、社会学等の専門的知識に基づきます科学的方法によりまして、少年の資質を鑑別いたしまして、家庭裁判所の少年に対する調査及び審判並びに保護処分の決定とその執行に資するための施設でございます。したがいまして、この科学的方法による鑑別をいたすわけでございますから、科学的な諸施設を完備するのが建前になっております。事実上完備いたすということに努めておるわけでございますが、いろいろ新しい機械器具等も必要でありますので、順次充実をはかっていくという段階になっております。
#101
○山本伊三郎君 これはまあ素朴な質問になりますが、鑑別所でそういう方法で鑑別されて、次には少年院とかそういうところへ収容されるというような段階になるのですか。
#102
○政府委員(津田実君) 家庭裁判所の少年に対する事件につきまして調査をいたします。それから審判をいたしまして、保護処分をすることになりますれば、今度は少年院という問題になるわけでありますが、それまでの家庭裁判所の審判に資するための調査、つまり少年の資質の鑑別をいたす、こういうことでありまして、同時に、少年のその鑑別をするまでの収容をいたしておる、こういうことでございます。
#103
○山本伊三郎君 少年鑑別所へ収容される期間は、それは個々によって違いましょうが、大体どの程度になっておりますか。
#104
○政府委員(津田実君) 法律の建前は十四日以内ということになっております。
#105
○山本伊三郎君 そうすると、鑑別所におるのはわずか二週間程度ですから、その設備も今言われましたが、そう、少年院とか、そういうほどの設備は要らないですね。
#106
○政府委員(津田実君) お説のとおりでございまして、鑑別に必要な程度の収容施設ということにはなるわけでございますが、本来少年院というような施設ということとはおのずから性質が違うわけであります。
#107
○山本伊三郎君 これはもちろん三十七年度の予算にすでにとられておると思うのですが、この堺に新しく鑑別所を施設される費用はどれくらいになっておりますか。
#108
○政府委員(津田実君) この移転工事につきましては、継続事業になっておりまして、昭和三十四年度から若干ずつ入っておりますが、三十七年度をもって終わりといたしまして、合計八千八百九十六万六千円、約八千九百万円でございます。
#109
○山本伊三郎君 それは、この敷地も入っておるのですか、その費用の中に。
#110
○政府委員(津田実君) 敷地は、これは大阪刑務所の耕耘地、耕地でございますので、国有財産でございますから、そのまま転用いたします。
#111
○山本伊三郎君 現在ある都島の鑑別所は、これは取り除かれた跡はどうなるのですか。
#112
○政府委員(津田実君) これは財務局のほうへ引き渡しまして、その跡はもっぱら大蔵省の所管において処理されるわけでございます。
#113
○山本伊三郎君 現在都島の少年鑑別所はどれくらいの広さですか。
#114
○政府委員(津田実君) 現在は都島区都島南通三丁目にございまして、敷地が約千六百、五十三坪、建坪の延べが八百六十四坪でございます。
#115
○山本伊三郎君 本件についてはまだほかの委員も御質問するようですが、本件には関係はないのですが、法務省全般の問題で若干伺いたいと思います。
 私もいろいろこういう点を見ておるのですが、刑務所については、戦後だいぶ内容が改善されてきておるのですが、そのほかのいわゆる法務省関係の収容所、いわゆる刑務所その他を含めた一般の内容を見ると、きわめて原始的というわけじゃないのですが、昔のいわゆる監獄を想像さすような建物が相当多いのですが、私はまだ幸いにして中に収容されたことはございませんが、非常に問題のあるやつがあると思う。それと同時に、最近まあ脱獄者が非常に多いということも、新聞紙上のことですから、統計の数字までは私はまだはっきりしませんが、多いようですが、そういう点で、法務省として刑務所に対する刑務行政と申しますか、刑務所行政といいますか、そういう点について近代的な収容施設内部においては、囚人といいますか、そういう人に対する待遇、それと逆に脱獄を防ぐという、こういう点について何か新しい考えというものがあるのですか。
#116
○政府委員(津田実君) 御承知のとおり、刑務所は明治以来多年継続されておるわけでございまして、施設の中には必ずしも新しいものばかりというわけには参りません。むしろ終戦後できました新しい施設はかなり少ないわけでございますが、逐次改善いたしておりますし、またさらに、刑務所が繁華な都市の中にあるというようなことから、これを移転して新しい施設にするということによりまして改善をはかって参っておるわけであります。したがいまして、改善されたものにつきましては、もちろん新しい近代的な考え方、並びに科学的な諸施設を設けておるわけでございますから、今の御指摘のような警備上の問題というようなものは減るわけでございますが、何分にも予算等に制約されておりますので、場合によりまして古い施設等において事故がないわけではないと思うのでありますが、それらの点につきましては、十分当局におきまして工夫、戒心をいたしまして、改善並びに人的運用によって防止するということに努めておるわけでございます。
#117
○山本伊三郎君 これはもう法務大臣にひとつ聞いておきたいのですが、少年の犯罪が累年ふえてきておるということを聞くのです。まあ事実かどうか、私は今資料持っておりませんから。しかも少年が一たびそういう罪を犯して少年院その他に収容されて、それから出てきたときに非常に問題があるのですが、少年院、いわゆる少年を収容しておるときには特に配慮されておるようですが、どうもこれは新聞紙上とか、雑誌などで見ると、そういうところに収容されたときに何らか別に悪いような教育というとおかしいですが、そういう習慣をつけて出てくる。こういうことで、収容されてよくなるのじゃなくして、悪くなるということも聞くのですが、法務省ではそういう統計上から見て、それはもう一般的に言うことであって、事実統計数字にはそんなことはない、こういうことが言えるかどうか、これを聞かしていただきたい。
#118
○国務大臣(中垣國男君) 山本さんにお答えいたします。ただいまのお尋ねでございますが、たとえば少年院なんかにおきましては、ただいま御指摘どおりに、かえって出てくるときに悪くなったというような事例が事実ときにはあるのでございます。そこで、ただいまの少年院は、そういう年配等を考えまして、たとえば十七才以上の者等は、質の悪い者は別に定めておるというようなことを同じ少年院の中でもやっておるのでございます。それから一応そこで義務を終えまして、外に出てきたときにそれをどういうふうにしておるかと申しますと、やはり家庭に引き取りまして、保護観察というものを保護司の手で行なっておるのでございますが、この点につきましても現在の制度が十分効果的に運用されておらないという点等も実は考えられるのでございます。それはたとえば人間の数の問題、あるいは給与と申しますか、実費弁償と申しますか、そういう点を見ても十分でないのではないかという点等も考えられるのでございます。
 それからいろいろ青少年の非行の問題につきましては、法務省としますと、どうしても触法少年とか、虞犯少年とか、そういう限られたものに重点を置いて諸施策を進めるわけでございますけれども、それだけでどうも万全とは考えられないわけでございまして、目下法務省内においてそういう調査の準備を進めておりまして、特に野木政務次官に中心になっていただきましてそれらの対策の準備を進めているという段階でございます。
#119
○山本伊三郎君 少年院のいわゆる指導といいますか、教育というか、そういうほうですが、何ですか、少年は特に母親に対する思慕心というものが強い、これは人間性だと思いますが、少年院のそういう世話をする人は、保母とかそういう人が相当おられるのですか。
#120
○国務大臣(中垣國男君) ただいまのところ、保母司というようなものは置いておりません。
#121
○山本伊三郎君 これは私は思いつきでもないのですが、日本の行刑行政といいますか、政策といいますか、どうも固苦しい中でやられるからあたたかい気持が少年の中から出ていくのじゃないか、これはしろうと考えかもしれませんが、感ずるのです。したがって、ああいう人を善導するというか、そういうためには理屈じゃなしに、やはり情愛に訴えるということが私は大切じゃないかと思う。そういう意味において保母司といいますか、そういうものが周囲において、母親のような気持で誘導、指導するということも必要じゃないかと思いますが、この点についてどう考えますか。
#122
○政府委員(津田実君) 少年院におきましても、これは刑務所の場合も同じなんですが、特殊の面接委員という事実上制度がございまして、その中には民間のいろいろ経験のある、ただいま御指摘のような方々も御依嘱いたしまして、面接をされていろいろ相談に応じられるということをいたしているのでありますが、常駐の職員というわけには参らぬわけであります。
#123
○山本伊三郎君 これはひとつお考え願いたいと思うのですが、少年といえども犯罪者ということになるのですが、特に少年は将来のある……、犯罪者といいますか、囚人といいますか、そういう人ですから、やはり教育刑主義に徹するという必要があるのじゃないかと思います。犯した罪に対する報復というときもあると思いますが、将来のある少年のそういう収容所においては、特にそういう空気をかもし出すということが、法務省のそういう行政が必要じゃないかと思います。今後そういうことを考えるということは法務大臣としては考えておらないのですか。
#124
○国務大臣(中垣國男君) お答えいたします。そういう虞犯少年や触法少年の問題につきましては、少年院並びに刑務所等におきましては決して刑罰主義でこれをやっているのじゃないのであります。一番保護、いわゆる教育主義というものを徹底してやっていることは事実でございます。先ほどちょっと御指摘になりましたように、非常に未成年者の犯罪というものが、特に十七才ぐらいを中心にいたしまして犯罪検挙数が一番多いようでございます。そこでそういう青少年のあやまちを犯した者、また、犯すおそれのある者、そういう者につきまして一貫した政策を進める必要があると、実は考えております。しかも、そればかりでなくて、やはり御指摘のように、再びあやまちを犯さない、二度とそこに世話にならないと、そういうことのためには、どうしても愛情のある教育を教師が真剣にやってもらう必要がございますので、そういう点もただいま検討を進めておりまして、それでもし必要であれば、三十八年度の予算要求等にも織り込むつもりで検討を進めております。
#125
○山本伊三郎君 別に本件に関係ないんですので、執拗に食い下がる必要もないんですけれども、特に私が要望しておきたいのは、少年には限りませんが、一ぺん刑務所へ入ったということになると、人間における一生の心理状態に大きい影響を与えますから、それを何か保護する必要があると思う。そうかといって、向こうが非常に住みよいということになると、また別の現象が起こりますから、そういうことは考えずに、やはり少年には少年としての刑を、行政政策と申しますか、そういうものを考えていく必要があるのじゃないかと思いますので、これは研究をしていただきたいと思います。やはり少年には少年という一つのやっぱり別な心理状態があると思いますから、そういうことはむろん研究されておると思いますが、いかめしい看視された生活よりも、そういう雰囲気の中にやっていくことによって初めて人間性に立ち返るということもありますから、特にそれをお願いしておきたいと思う。
 それから、もう一つついでですが、それと同じようなことですが、大体警察はだいぶ昔と変わってきた空気も出てきておるんですが、検察庁あたりへ行っても、何かこう悪いことをしておらないでも、向こうへ入るとあまり気分がよくならないという空気があるですね。そういうものは、かえって私は検察行政に逆の結果を起こすと思うんですね。もちろん検察官、検事としては法律の上で業務をとるんですが、その設備におきましても、その態度においても、きわめて何か人間性のない、別の世界のような感じがすると思うんです。これは、私は自分が引っぱられたんじゃなくして、証人で行った者に対してでも相当私は感じの悪い印象を与えるのじゃないかと思うんですね。だから、その点は、この点は人の問題ですから何とも言えませんが、もう少し考える必要があるんじゃないかと思うんです。犯罪人といいますか、そういう容疑者が引っぱられても、ああいう態度でやられると、今の人は反感を買うて逆に事実を言わないという場合が出てくるんじゃないかと思うんです。もっと普通の態度でやる必要があると思うんです。そうすればもっと効率も上がっていくと思うんです。その点新法務大臣としてそういう感じはいたしませんか。
#126
○国務大臣(中垣國男君) お答えいたします。
 検察庁全体についての御指摘ではなかったかと思うんでありますが、私、多分に検察庁というものが大衆に理解をされがたいような立場に置かされておるという点も一つの問題であろうかと思うんです。そこで、罪人であるかどうかということは裁判がきめることでございますから、少なくとも事件についての調査、捜査をしておる段階におきましては、反感を持たせるとか、あるいは非常に何と申しますか、権力主義と申しますか、そういうものを感じさせるようなそういう検察官の態度であっては相ならぬと、かように実は思うのでありまして、私は、こういうことが答弁になるかどうかわかりませんが、大臣になりましたときに、検察庁の職員を集めまして、次のような話をいたしました。三法をもって曲がれるを直すという言葉がある。この三法というのは論語から来た言葉であって、自然法の根底をなす思想だ。これは叡智の智と仁愛の仁とまことの勇気の勇と、この智、仁、勇というものをもって世の中の曲がった姿をただしていくというふうに自分は習ったので、そういう考え方に立っての検察陣の活動が望ましい、こういうことを私申し上げたのでありますが、もし、ただいま御指摘のような点がまだあるとしますならば、やはり私どもの努力によりまして、いわゆる民主化された検察と申しますか、人々に誤解を与えたりしない、理解された検察行政のあり方をしますように努力を続けたいと存じます。
#127
○山本伊三郎君 それはけっこうなことです。が、しかし、なかなか言うべくして行われがたいものだと思う。しかし、検事の立場として私は言い分があると思う。検事の仕事が非常に繁忙であって、そんな親切に応対をしておる時間がない、自分の消化する件案さえも一つも運ばないと、私はそういう意見を聞いておる、ごもっともだと思う。しかし、実際検察庁でも、これは全国どこでも、行った瞬間においてもう実際何もしない人だったら腹が立って帰るくらいの空気がかもされるんですね。呼び出しでも待っておってだれだれと呼びにくるというようなことですね。それは国民に対して私は失礼と思うんですね。もう容疑者であるなれば、ある程度忍従するかもしれないけれども、何も関係ない者を頼んで、来てくれというような呼び出しを出してさておいて、来たならば守衛か看守か知りませんが、そこで待っていて下さい。きわめて失礼な態度です。そうして番がきたら、何時間か待たしておいて名前を呼んでこちらに来て下さい、こういう状態、こういう態度です。これはどこへ行ってもそういうところはないです。残されておるのは検察庁だけです。これは長い慣習がそうさせておいたので、私はかえって反感を買うだけで、かりに容疑者であっても真実を述べない、言わないと思う。この点は十分ひとつやっていただきたい。検事は比較的素養のある人ですからだんだん変わってきておるし、人格者であると思いますけれども、その付随する書記官か、あるいはわきにおる人がこれまた非常に私感じが悪いと思うんですね。そういう点はなかなかむずかしいでしょうけれども、やはりそうすることが今後検察業務がスムーズにいく一つの方法ではなかろうかと思う。いばったからといって、それによって威圧されて今日それに屈するというような者はないですよ。やはり自分のやったことは悪いんだ、そういう自意識を起こさすような方法で取り締まれるということが必要であって、権力によって、それで抑えつけて言わそうというようなことは、そういうことはないと思いますけれども、どうもそういう空気があると思いますので、特にこの機会――法務委員会に行く機会がございませんので、特にこういう点を法務大臣にお願いしておきたいと思う。その点どうでしょううか。
#128
○国務大臣(中垣國男君) 全く同感でございまして、いわゆる検察庁の事務全体というものが権力主義になったり、あるいは証人等に呼び出された人が非常に威圧を感じたりするような行政のあり方というものは、これはどうしても一日も早くそれを取り除かなければならないと思います。非常にむずかしい点もあるかと思うのでありますが、たとえば暴力犯のようなものとか、あるいはまた、俗にいうぐれん隊等のようなものを調べておる検事諸君の話を聞きますと、もうどんなに親切にしてもなかなか捜査というものが簡単には進みにくい、進められない、能率が上がらないという点も現実論としてはあるようでございますが、そういう特殊なものに対するものでなくて、一般の検察行政といたしましては、御指摘どおりにやはり民主化された、国民のだれからも信頼される、そういう検察のあり方というものをば実現して参りたい、そういう努力をして参りたいと思います。
#129
○山本伊三郎君 大体わかりました。それで、これは変な話になりますが、選挙の場合に、当選した人はあまり引っぱられないのですが、落選したら徹底的にやられるという評判がある。そういうことを法務大臣感じませんか。
#130
○国務大臣(中垣國男君) お答えいたします。当落にかかわらず、選挙違反というものを現行法の建前から見ましても、厳正公正に取り調べ、捜査しておるということは、これは間違いのないことであると思いますけれども、そういう感じがするかどうかというお尋ねでございますが、なかなかここで御返事をいたしにくい問題ではないかと存じます。そういう落選したからといって非常に峻烈な捜査をする、当選した者については俗に申します大目に見るといったようなことがあってはならないと思いますし、私さようなことはしてはならぬと考えておりますので、そういうことがないように趣旨を徹底して参りたいと思います。
#131
○鬼木勝利君 私、一、二ちょっとお尋ねしたいと思いますが、先ほど来の御答弁で大体わかりましたが、堺市は御承知のとおり、これは大阪の中心地でありますが、地元の御了解は全然得ておられるというお話でしたが、それは間違いございませんか。
#132
○政府委員(津田実君) 先ほど申し上げましたとおりでございまして、地元におきましては昭和三十四年移転がほぼ軌道に乗りました当時、地元の方々といろいろ御懇談を申し上げ、いろいろ地元の方の御要望等もいれまして、そういたしまして、その結果御同意を得ておる、こういうことです。
#133
○鬼木勝利君 それでは、さように了解しておきますが、先ほどから法務大臣のまことにごもっともな御答弁があっておりましたが、いわゆるこれは鑑別所であって、ここで非行少年を収容するということではない。二週間程度ここにとめておくというようなお話でありましたが、心身ともに発展途上にあるこうした将来の大事な青少年に対して、差別的な、人権を侵害するようなお取り扱いがあるんじゃないかというようなきらいがあります。その点ひとつお答えを願いたい。
#134
○政府委員(津田実君) ただいまのお尋ねでございますが、差別的なと申しますのは、この少年鑑別所に収容いたしますということは、これは裁判所によって行なわれる処分によって収容いたすわけでございまして、全く裁判所の命ずるところに従って収容いたしておるわけであります。その収容した間におきます鑑別措置はもちろん鑑別所がいたすわけでありますが、その鑑別した結果をいかように裁判所が採択されるかということは全く家庭裁判所の裁判官の判断によることでございます。その後それによりまして処分がなされて、あるいは少年院に送られるということはあり得るわけでございますが、そういう意味のいろいろ一般の、普通の少年あるいは犯罪を犯したとされない少年という意味において、そういう者との区別ということは全部裁判所の処分によってなされておるわけでございまして、それ以外に差別的な処分というものは、この鑑別所あるいは少年院においてはいたしておらないわけでございます。
#135
○鬼木勝利君 そうなければならぬと私は思いますが、それでは都島にありました場合と今回予定をしておられる所と、敷地それから建物、ほとんど倍以上になっておるようですが、どういうふうな施設やどういうふうな計画のもとにされたのか、むろんこれは確定されたことを私はやかましく申し上げるわけじゃありませんけれども、ちょっとお聞きしたい。内容の施設設備がどういうふうに変わってきておるか、ちょっとお尋ねいたしたい。
#136
○政府委員(津田実君) この都島にございます現在の施設は、少年法が施行されましたときに緊急措置として建造いたしました。木造の建物を主体といたしまして、若干ブロック建の所もございますが、かなり損傷の度が進んでおるために新設するということになったわけでございます。今回移転いたしましょうといたしまする堺市にありまするものは、資料によりまして御承知のとおり、約現在の敷地の四倍くらいのものでございます。建物もやはり五割方大きいということになっております。それから収容定員につきましては、これは従来の実績を考えまして、将来の規模等も考えまして、収容人員をかなりふやし得るという予定になっております。それからさらに非行少年につきましての相談のセンターをここに設けるということができるような措置をいたしております。すなわち外来者の鑑別ができるようにいたしておるというような点におきまして、従来の都島にありますものよりもその施設を充実いたすことに相なっておるわけでございます。
#137
○鬼木勝利君 それでは大体そういう御計画でおやりになっているということは大体わかりましたが、先ほどから御質問もあったようですが、ただ単に鑑別するのみでなくして、一定期間、二週間でも収容されるということになりますれば、こうした青少年の私は教育が十分行なわれなければならないのは先ほどのお話のとおりですが、これに対して法務大臣は十分愛情のある教育を自分がやる考えだ、またやっておるつもりだ、まことに、これはけっこうな御答弁ですが、ところがそれに対して専任の職員がいないというようなお話ですが、どういうお考えでそういうことになったのですか、ひとつその点をお伺いしたい。
#138
○国務大臣(中垣國男君) 先ほど刑罰主義よりも教育主義に重点を置いてというお答えいたしましたのは、少年院においてのことを申し上げたのでありまして、鑑別所におきまして、先ほど来、調査部長から説明がございましたとおりに、家庭裁判所から回されてくる者をいやおうなしに少年鑑別所としてはお預かりしなくてはならない建前になっておりますので、それをお預かりするわけであります。それからいろいろ科学的な調べ方によりまして、たとえば精神医学であるとかあるいはまた、その他の心理学あるいはいろいろ学問的に調べまして、はたしてその非行というものがどういうところに原因があるかどうか、こういうことを調べるわけです。たとえば非常な極端な睡眠不足がこういう非行を行なわせたとか、あるいはまた、極端な胃腸障害がそういう非行を犯したとか、そういうようなことを鑑別するところでありまして、それを表に作って、また家裁のほうに一応返すわけであります。それをどういう資料にお使いになろうとも、少年鑑別所の仕事でこれはないわけでございますが、その二週間というのは、二週間までは預からなければならないという法律でございますから、その間に事務が進めば、あるいは三日か四日で出ていく場合もあり得るわけです。ところが、二週間まではそれを預かりまして、その間に結論を出していただく、そういう期間でございますから、そこの段階で、先ほど少年院の場合に申し上げたような、たとえば保母さんを置くとか、あるいは愛情教育をするとかとという、そういうことに重点を置いて、鑑別所の二週間をやるというようなことは、それはちょっとそう簡単にはできないのではないか、かように考えます。ただ先ほど申し上げましたように、少年院とか少年刑務所に行きましてからは、やはりほんとうに心のこもったやり方をして、善人に立ち返らせなければならぬと思いますけれども、鑑別の期間中というものは、どうもそれを中心にする養成というものはできないのではないか、かように考えております。
#139
○鬼木勝利君 いや、それは今法務大臣の御説明で私も了解します、よくわかりますが、鑑別を主体にするのだからむろんそうでしょう。だけれども、鑑別を主体としておるから教育のほうをそうできない。むろん教育が主体ではないでしょうが、少なくとも二週間、あるいはその間個々の立場においては三日で済むときもあろうし、四日で済むときもある、かようにおっしゃっているが、私はその間に、そういうときこそそういう青少年に対してあたたかい気持で、あなたのおっしゃるような愛情ある、先ほど御質問があったように、事務的にやられるからそういうところに行くのをきらうのであって、あたたかい気持で迎えてやって教育すべきである。たとえ一日であろうが二日であろうが、瞬時といえども教育を怠るということは、私は間違いだと思う。その点をひとつもう一度お伺いいたしたい。
#140
○国務大臣(中垣國男君) お説のとおりでございまして、鑑別所に回ってくる少年というものは、これは犯罪人でもなんでもないわけでございますから、もう鑑別所としての取り扱いというものは、ほんとうに親切な、丁寧な取り扱いを現在しておるわけでございます。決して被疑者扱いにしたり、罪人扱いにしたり、そういうことは全然やっておりません。
 それからお説のとおりに、たとえ三日であっても、二週間であっても、非常に影響しやすい、いろいろそういう感情的にもいろいろ影響しやすい年代であるから、これは大事にしてやる、愛情を持って扱ってやる、それはもうそのとおりであると思いますので、さようにいたして参りたいと思います。
#141
○鬼木勝利君 それではお尋ねいたしますが、厚生施設とか、福祉施設とかというものが鑑別所にどういうふうな形でなされておるか、その点ひとつ政府委員の方にお尋ねいたしたい。
#142
○政府委員(津田実君) ただいまのお尋ねでございますが、先ほど来大臣から御説明申し上げましたように、鑑別所はその資質の鑑別を中心にいたしておるわけであります。たとえばただいまの大阪の少年鑑別所でございますると、職員の構成といたしましては、三人の医師である技官、十一人の心理学者である技官とが配置されているわけであります。これらの技官によりまして十分の資質の鑑別をするわけであります。そこでその鑑別所におきましては、たとえば大阪におきましては、庶務課というようなもののほかに、観護課、鑑別課、医務課というのがございます。鑑別課におきましては、ただいまの本体である鑑別をいたしますし、医務課におきましては医療、保健衛生一般をやる。したがいまして、その間における、あるいはそこへ収容されるまでの病気等の医療については十分これを行なう。それから観護課というのにつきましては、大体におきまして在所中の身柄の確保、その他処遇をいたすわけでありますが、ここにおきましては、やはり生活指導、それからしつけというようなものをやるわけであります。何にいたしましても、短期間でございますので、教育的なものといたしましてはそういうことをやっておる。ただ本質的な教育を行なうということになりますと、静かに少年の資質を鑑別するということと、若干の差しつかえを生ずることもありますので、このしつけ、あるいは生活指導という面だけを行なうというのを建前にいたします。
#143
○鬼木勝利君 まあ鑑別を主体としておるとおっしゃることはよく私もわかっておりますが、生活指導をなさるとおっしゃっておりますが、その間、先ほど何かセンターみたいのものを作るのだとおっしゃっておりますが、その内容はどういうふうになっていますか。
#144
○政府委員(津田実君) この生活指導と申しますのは、入所いたしましてもこれが直ちに少年院にまた送られるようになるかどうかということは、これはわからないわけであります。いずれにいたしましても一般社会にまた出て参りますわけであります。その出ます日があるいは翌日になるかもしれませんし、あるいは保護処分を受けて先になるかもしりませんが、翌日でも出し得るという程度の生活指導をやっていくということはまあ当然必要になってくる。それをいたすわけであります。
 それから今の、先ほど申しました計画にございます非行少年の相談センターと申しまするのは、これは外来の方が、つまりそういう問題になっていない方々で外来の方で鑑別をしてもらう、あるいは問題の少年の相談をしたいという方々の利用をしてもらう、こういう施設の意味でございます。
#145
○鬼木勝利君 だったらここで鑑別を受けるところの非行少年が、今のあなた方のお話のように、必ずしも家庭裁判所に送られるとは限らない。直ちに家庭に帰る人もある。だったらもうこれは考えによっては鑑別所は一つの待合所みたいのものだから、そうした一般の鑑別を受けるところの青少年に対して、私はもっと有効な施設をしてやりたい。そういうふうなお考えはありましょうか。
#146
○政府委員(津田実君) この家庭裁判所、本来鑑別をされるここに収容されます者は、家庭裁判所の処分によって収容される。したがいまして、ここにおきます鑑別の結果は、家庭裁判所のその後の処分に資するわけでございます。したがいまして、家庭裁判所がその鑑別の結果を採用されるかどうかということは、全く裁判所の判断による、こういうことになるわけであります。したがいまして、この鑑別そのものは鑑別そのものとしての意味があるということでございますが、外来の方々が来られて、この少年の資質を鑑別してほしいということもできるという建前になっております。したがいまして、収容されて鑑別される場合と、そうじゃなくて外来として鑑別する場合とはおのずから性質が、鑑別そのものの性質は違いませんが、強制的に収容されているかどうかという点においては非常に意味が違うということになるわけでございます。
#147
○鬼木勝利君 それでは、まあこれはいずれ私らも拝見していきたいと思っております。そうしてなお私は検討を加えていろいろお話し申し上げたいと思っておりますが、何しろ見てもいないし、私も初めてで、あるいは質問が見当はずれがあるかもしれない。しかし、教育に関しては私も三十年の経験を持っておりますので、いささか私は考えを持っておるのですが、現在少年院とかあるいは鑑別所でお預かりになる場合に、一日のまかない費といいますか、食費といいますか、どういうふうになっておりますか。これをちょっとお伺いいたします。
#148
○政府委員(津田実君) 矯正局の説明員からお答をさせていただきます。
#149
○説明員(山田弘君) 主食が三十八円八十八銭、副食が三十円、合計六十八円八十八銭となっております。
#150
○鬼木勝利君 そういうことで心身発達途上にある青少年をまかなえると思っていらっしゃるのですか。その点ちょっと私お尋ねしたい。
#151
○説明員(山田弘君) ただいま申し上げました金額で、主食の一日の熱量が二千三百カロリー、それから副食の熱量が六百カロリー、大体二千九百カロリー、これは熱量から申しますと、国民一日のこの年令の人たちのとっておりますものと遜色はございません。
#152
○鬼木勝利君 いろんなことをあなたおっしゃったが、あなたは六十八円で――あなたは青少年でないでしょうけれども、六十八円で完全に保健ができると思っておりますか。これは、自衛隊あたりも百二十円か百三十円ですよね、一日のまかない費は。小学校や中学校の給食費でも二十円、三十円取っておりますよ。どういうわけで――どうなっておるのですか、内容は。もう少しはっきりした――あなた自身は六十八円で飯が食えますか。はっきりしなさいよ、はっきり。ふざけないで。
#153
○説明員(山田弘君) ただいま仰せのとおり熱量その他はどうにかあれしておるのでございますが、内容的に申しますと、一番大事な動物性の蛋白質あるいは、澱粉が遺憾な点がございまして、この点を調理その他あるいは購入その他によりまして補うように努力いたしますとともに、予算的にも年々増額をお願いしておりまして、本年度も三円増額になったわけでございます。なお満足すべきものではございませんので、係のものといたしましてはそう努力しておるわけでございます。
#154
○鬼木勝利君 今の答弁で少しはわかったが、先ほどはカロリーは何百カロリーで副食物はどうだこうだ、十分でございますなんて、そういうそれこそ私は青少年を何と心得ておられるかと申し上げたい。それでは不十分でございますので、もっともっとわれわれは優遇しなければならぬと、かように考えておりますとおっしゃる御答弁なら私は大いに敬意を表します。法務大臣はいかにお考えでありますか、これをひとつお答え願いたい。
#155
○国務大臣(中垣國男君) まあ副食、主食を合わせまして六十八円何がし、七十円未満ということでありますから、これはまあこれで十分ということはなかろうと実は思います。いかに少年院や少年刑務所の調理する人が非常に努力をしておられ、難儀をしておられるだろうと想像されます。この食糧費につきましてもどうもこれはもう少しよくしなければならぬという考え方をもちまして、この八月三十一日までに三十八年度の予算の概算要求をするわけでございますが、それにも実は一日の若干の値上げを要求しておりまして、まあただいまのお説のようにできるだけよくしてやりたい、こういう気持でやっております。
#156
○鬼木勝利君 さすがに法務大臣です。まことに親心のあるそういう私は答弁をしていただけば満足いたします。ああいう事務的な、人をばかにしたようなふざけた答弁は許しません。
 そこで私は先ほどから申しますように、全然内容も知りませんし、初めて参りましたものでよくわかりませんので、愚かな質問を申し上げて恐縮でございますが、この程度でやめますが、法務大臣のおっしゃるような、そういうあたたかい気持で将来次代を背負うところの青少年でございますので、事務的に事を運ばないで、あくまで慈悲ある、あたたかい気持でこういう青少年を迎えていただいて、将来のために私はますます意を用いていただきたい、かように要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。たいへんありがとうございました。
#157
○委員長(村山道雄君) ちょっと速記とめて。
  〔速記中止〕
#158
○委員長(村山道雄君) 速記を始めて。
 他に御質疑はございませんか。――他に御発言がなければ、本案の質疑は、本日はこの程度にとどめます。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後三時四十一分散会
   ――――・――――
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト