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1962/08/28 第41回国会 参議院 参議院会議録情報 第041回国会 内閣委員会 第7号
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1962/08/28 第41回国会 参議院

参議院会議録情報 第041回国会 内閣委員会 第7号

#1
第041回国会 内閣委員会 第7号
昭和三十七年八月二十八日(火曜日)
   午前十時二十三分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     村山 道雄君
   理事
           下村  定君
           鶴園 哲夫君
           山本伊三郎君
   委員
           大谷藤之助君
           栗原 祐幸君
           源田  実君
           小柳 牧衞君
           塩見 俊二君
           野知 浩之君
           林田 正治君
           横川 正市君
           田畑 金光君
           小林 篤一君
  国務大臣
   国 務 大 臣 大橋 武夫君
   国 務 大 臣 志賀健次郎君
  政府委員
   内閣法制局第二
   部長      野木 新一君
   人事院事務総局
   給与局長    瀧本 忠男君
   内閣総理大臣官
   房公務員制度調
   査室長     増子 正宏君
   行政管理政務次
   官       宇田 國榮君
   行政管理庁行政
   管理局長    山口 一夫君
   防衛庁防衛局長 海原  治君
   郵政政務次官  保岡 武久君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       伊藤  清君
  説明員
   内閣法制局総務
   主幹      真田 秀夫君
   行政管理庁行政
   監察局長    山口  酉君
   防衛庁教育局長 小幡 久男君
   防衛庁衛生局長 軽部弥生一君
   防衛庁装備局管
   理課長     藤田 忠寛君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国家行政組織及び国家公務員制度等
 に関する調査
 (公務員の給与問題に関する件)
○国の防衛に関する調査
 (国の防衛問題に関する件)
○行政不服審査法案(第四十回国会内
 閣提出、衆議院送付)
○行政不服審査法の施行に伴う関係法
 律の整理等に関する法律案(第四十
 回国会内閣提出、衆議院送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(村山道雄君) これより内閣委員会を開会いたします。
 国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査を議題とし、公務員の給与問題について調査を行ないます。政府側から大橋給与担当国務大臣、瀧本人事院給与局長、増子公務員制度調査室長が出席しております。
 質疑のある方は、順次御発言を願います。
#3
○横川正市君 予算委員会も開かれていることですから、先に大臣に二、三質問を済ましてしまいたいと思いますが、同位議員からたび重ねて質問をされておりますので、その内容については御案内のことと思いますが、まず勧告をいつから実施するのかという点について、先般大蔵省の政務次官の意見を聞きますと、三つの問題で検討しているので、現有確答ができないということでありました。その一つは、国民経済全般に影響する問題、第二には、一般職の公務員以外の地方公務員、自衛隊ないしは三公社五現業等に影響する問題、それから最後に、財源の検討、こういうことで現在検討中だという答弁があったわけでありますが、私はまず第一に、国民経済全般に影響する問題では、さきに鶴園君の言った経済の移行に伴って公務員の生活環境から追っかけっここそすれ、このことが日本経済に悪影響するというような状態ではないということで、すみやかにこれは解決をしなければならぬのだと思っているし、それから地方公務員、三公社五現業、上自衛隊等についても経済上の問題から言えば同一問題があると思う。それにもまして私は、これは影響するところが大だからということで最後の結論を左右するようなものではなくて、結論というのはおのずと人事院の勧告については善処、尊重するというのが、これは従来から池田内閣のとってきた方針でありますから、そういう意味からいきますと、これは理由にして理由にならないという考え方を持っております。
 最後に、財源の検討ということがありますが、財源の検討というのは、私どもは、在来この問題についてぶつかって何回か勧告を実施させるためにそれぞれの当局と話し合いをして参りましたけれども、今一の勧告と前回の勧告との政府の出しぶりというものを見ておりますと、日本経済の成長を約束をしたいわゆる初年度における池田内閣の出しぶりというものは非常によかったです。ことに勧告が出るとほとんど一週間を出てずしてこれを実施することを閣議決定をいたしております。それから今はそういう意味合いからいきますと、私は政府の言っております国会答弁あるいは新聞等でのいろいろな記事を見ますと、経済の成長率は行き過ぎを是正したのだとは言いながら、相当深刻な手直しが必要となってきておるという段階なので、それでこの勧告の受け入れを渋っておるのではないか、こういう判断も成り立つような、今回の同等がおくれておるような事情にあると思う。そういう点を勘案してみますと、私どもは財源の検討というのはこれは一体いつ結論が出るものなのか たとえば経済のある程度の見通しが立って、その上に立って結論を出すものなのか、それとも財源というのは これは役人の手先の中で三時間もあればこれくらいのことは出てくるわけですね。通常ぴんときたらかんとちゃんとやるわけですよ。私どもはそういうものだと思う。ああひねりこうひねりするものじゃないと思う。そういう点を考えると、一体前者なのか後者なのか、財源の検討についてこの際はっきりしてもらいたい、こう思うわけです。大蔵省当局とは折衝されておられるわけでありまして、前回鶴園君の質問に対して大橋国務大臣は、実施のために、しかも五月実施のために努力をいたしますと言い、大蔵省は大臣じゃありませんでしたけれども、政務次官は、その確約もお茶を濁してここを立たれておりますから、どうも私どもとしてはふに落ちかれる状況で、審議がそのまま停滞しておる、こう思っておるわけです。きょうはもう少し、日時もたっておることでありますから明らかにしていきたいと思いますので、御答弁いただきたい。
#4
○国務大臣(大橋武夫君) 財源の問題につきまして、どういう点が問題になるかということの御質問がございましたが、私どもは、大蔵当局との折衝におきまして承知いたしておるところでは、今年度の余剰財源についての見通しが今のところ立ちにくい状況である。で、いつになったらそれが立つかということでございますが、大蔵当局の説明では、経済手直しその他の関係もあって、今年度は諸情勢の推定が非常に困難であるので、いましばらく模様を見させてもらいたい、こう申しております。それはそれじゃいつかと申しますと、大体各会社の九月決算の状況がある程度明らかになれば財源についてのおよその見通しが立つだろう、こういうふうに聞いておるのでございます。
#5
○横川正市君 そうすると、前段の、大臣としては、他に影響するところ云々ということは勧告実施についてあまり問題としない、財源問題で現在検討している、その時期は九月ないし九月末と、こういうことだ、こういうことになると、この議会では、そうすると、勧告実施については明確に答弁をせずして、善処、尊重でもっていくつもりなんですか。それとももう少し明らかにして、実施期日についてほぼこの程度というような程度までの態度を明らかにするということはできないまま済まされるのかどうか、その点どうです。
#6
○国務大臣(大橋武夫君) 私自身といたしましては、できれば今国会の会期中にもおおよそのめどをつけて申し上げるようにいたしたいと思って努力をいたしたのでございますが、しかし、大蔵当局の財源についての見通しが困難であるという以上は、ちょっとこれはやはり時期を待つほかはないような印象を受けておるのでございまして、したがって、現在の段階といたしましては、まことに残念でございまするが、この国会の会期中に、いつから実施するというはっきりしたお答えをいたすことはむずかしいのではないかと思います。
#7
○横川正市君 これは私は勧告のよって来たる性格について今ここで再認識をしていただくために時間を取ることは避けたいと思います。前回の人事院の勧告は、これは非常にすみやかな時期に実施をすることを政府は声明をいたして、そういう意味ではきわめて勧告実施についての熱意を示したわけですね。今回は私はその経済の手直しが相当大幅に必要だと、こういう点は一般のこの経済情勢でわかるわけですけれども、こう言えば、私どもの政府のあげ足を取るように思われるかもわかりませんが、事実はそうでなしに、やはり議会答弁その他をずっと通して見ても、必ずしも手直しというのは行き過ぎの手直しなんであって、経済の大きな手直しを必要とするような、不況への判断からのものではないということは、再々政府としては絶えず声明しているわけですね。そういうふうな状態から勘案してみると、私は今回の勧告の実施について、大橋大臣の所信表明もありましたように、大体人事院としては五月実施を勧告の中にうたっているわけですから、それが実施のできるようにという、そういう方向に向かって善処をされる、こういうことが当然勧告が出されてからとってきた態度だと思うのですよ。そこでこの議会一カ月の間にもう相当日時を経過して、最終幕を迎えようとしているわけですが、その最終幕を迎えようとしている段階で、なおかつ、大蔵省のその態度がはっきりしないから実施の期日がこの議会中には明らかにできないということでは、私はどうもちょっとそのつじつまが合わないと思うのですよ、今の判断からいって。政府の経済の判断、それから勧告の尊重、善処、今までの例、池田内閣の昨日のとった勧告の実施、いろいろなものを総合してみて、今回こういうふうにしぶっている内容についてはどうも理解ができない、もっとはっきり態度を表明すべきではないか、こう私は思うのですが、まさかここで言うまでどうこうという、そういう行為はできないととですから、ただこれで口で言って口で答弁してもらうのであって、実施するのはそちらのほうなんで、早く実施してほしいというのはこちらのほうですが、ただ言葉のやりとりだけで私どもはこの国会を過ごしてしまう、そうすると、七、八十万の公務員の皆さんは仕事を、するのに張り合いがないでしょう、実際には。何月から幾ら上がるということを明確にしないで議会は終わっちゃった。そうすれば一体どうするんですかということで、これから実施されるまで二カ月なり、三カ月なり、半年なり過ごすわけですからね。私は、そういう意味では、この際大臣としては、責任をもってどうします、こういったことが明らかにされていいんじゃないかと思うんですがね。
#8
○国務大臣(大橋武夫君) 現在のこの経済政策についての手直しというものは、これは根本的な不況を予想してのものではなくて、行き過ぎの是正にすぎないということが今までの政府の説明である、そうだとすれば、前回の勧告に際して政府のとった態度は、相当熱意を持っておった、それに比べて今回は非常に消極的なような印象を受けるが、その点は経済事情についての判断、また、政府が勧告を尊重するといっている態度、こういうものからきて、どうも結果が前と一致しない点はおかしいではないかという御質問の御趣旨だと思います。確かに政府といたしましては、この勧告の実施につきましては、決して前回に劣らない熱意を持っていることは申し上げていいと思います。ただ、それならば、なぜ前回はすぐに実施の言明ができたのに、今回はそれができないかといいますと、これは結局国の財政事情が昨年と今年と多少違っている、すなわち余剰財源についての見込みが昨年に比べまして今年は特に困難であるという、それ以外に何ら理由はございません。しかしながら、政府といたしましては、もとより人事院の勧告の性質から見まして、これは最優先的に尊重すべきものである、こういう考えには変わりはないのでございまして、この考えのもとに今後とも努力をいたし、財源等についての見込みもできるだけすみやかに立てるようにいたしまして、できるだけすみやかに実施を決定いたしたい、こう思っております。
#9
○横川正市君 きょうは二十八日ですね。この国会は来月二日までです。私は、おそらくきょう私が質問をするのが給与関係については終わりになるんじゃないかという気もするわけですね。また、あとに時間とって質疑するということもあるでしょう。ことに私の不思議に思うのは、余剰財源の問題がまだ明確に計数上整理ができないからおくれているんですということは、実はそちらのほうの財布かげんまで検討してくる余裕がなかったものですから、財布の中に幾らあるのかまではわかりませんけれども、それは少し説明としてはおかしいと思うんですね。ことに九月の会社関係の決算が明らかになるからという、そういう点からいきますと、不況でないということははっきりしているわけでしょう。やはり成長の行き過ぎだけを一応手直しをするということであって、会社その他の決算期における不況その他からくる手直しということじゃ私はないと思うんですね。そうして納めるものが納められないということでもないと思うんです。そういうことになると、どうもわからないのは、余剰財源の計数がそれほど出し方にむずかしい情勢なのかどうかという点で、これは私が勘ぐるような結果になっちゃうわけですがね。それは一応私どもも別にそういう財布をのぞいてきて言っているわけじゃありませんから、結果がどうなってくるか、予断は許さないものだと思いますけれども、しかし、それにつけても、この議会中に何らかの形で大臣は大蔵省、総理とも相談をして、そうして勧告について明らかにしたいと、こういう意思は今もって強く持っておられるのじゃないかと思いますが、その点はどうでしょうか。
#10
○国務大臣(大橋武夫君) できれば、この国会の会期中にも明らかにしたいという考えは持っておりまするし、また、そのために努力もいたしておる次第でございます。で、この余剰財源の見込みはそれほどむずかしいかという点でございますが、御承知のとおり、昨年は年度当初からの自然増収が非常に実績上多額にございまして、そのために財源の見込みも容易についたわけでございます。今年は昨年に比べますというと、もとより当初予算の見込んでございまする税収入は、これは確実に入っておるようでございますが、それ以上の自然増収は昨年に比べましてそれほど多くない。したがいまして、はっきり実施をするということになりますと、その今年度中の自然増収、それからその他の財源等のめどをつけた上で、他の歳出等をも考えました上で方針をきめなくちゃならないというような点で、昨年とだいぶ事情が違っておるような次第でございます。しかしながら、できるだけすみやかに見込みをつけたいという熱意は十分に持っております。
#11
○横川正市君 私はこれは議会で政府の主要な人たちが集まって話をするときは、それほど、何といいますか、現状の態勢とか、情勢とかいうものを変更するような意思が動かないで、それで大臣が地方に行くと非常に思い切ったことを言って歩くわけですね。たとえば自衛隊の給与なんかの問題についても、今の隊員不足、質の向上なんかについての防衛庁上長官の地方でのいろいろな話とか、あるいは新聞記君会見等を見ると、あれも待遇をよくしよう、これも待遇をよくしよう、たいへんいい放送をするわけです。というのは、実は現実には担当大臣になってみて部下を見ると、あるいは担当大臣になって行政のやり方を見ると、非常に気のつくところがあって、これは直したいという意思を動かすのじゃないかと思うのですね。しかし、現実にはそれは一つも改善されないで、絵にかいたぼた餅みたいな格好で時を過ごしてしまうというのはいかぬことだと思う、実際には。人情として許されても実際は慎むべきだと思うのですね。それと同じように、今でも給与の問題については自衛隊の中にもあります、それから科学技術庁の中にもありますし、それから教育公務員の中にもありますし、いろいろな形で各省直さなければならぬ問題をたくさんかかえておるわけです。そういう意味では、しかし人事院の勧告が出たから、その勧告だけでもというのが私は偽らざる気持じゃないかと思うのです。それさえ実施の期日について明確でないなんていうことは、これは士気の問題にもなりますし、それから意欲の上にも影響することだと思うのであります。そういう点から担当大臣の責任というのはきわめて重要ですし、私どもは担当大臣を置かないという池田内閣の方針を、これを変更させて、担当大臣を置いてもらうように、もうすでに三議会要求して実現をしたわけですから、それにもぜひこたえていただく意味で、今回のこの勧告については明確に人事院は五月一日、しかも五月一日を明らかにしたのには前勧告から――その前の勧告には期日を明らかにしていないのです。それを議会の審議の過程で期日を明らかにすべきだ、それに理論的にも、それが実際的にも正しいということで、人事院は前勧告から勧告の中に実施期日を明らかにしてきたわけですからね。これを政府は、勧告は尊重します、善処しますというふうな中から削られたのでは、私はやはり結果的には非常にまずいことになるのじゃないかと思いますから、この点は念には念を入れて、勧告実施については期日の問題も十分考えていただくようにしていただきたいと思うのであります。そういうことで、あと幾ばくもない残された四十一議会でありますけれども、その間に大臣の努力を強く御期待申し上げて、きょうは、大臣に対する質問を終わりたいと思います。
 それから人事院にちょっとお聞きいたしておきたいんですが、実はおとついの新聞で、寒冷地の手当に対する人事院勧告の実施のための政令を公布するという記事がちょっと出ておりましたが、政令はすでにもう公布されたのですか。
#12
○政府委員(瀧本忠男君) 人事院の勧告に基づきます総理府令は公布されました。
#13
○横川正市君 実は質問の機会がおくれてしまって、少し時期を失したような感があるわけですが、実は根本問題で二、三やはり明らかにしておかなきゃいかぬと思う。
 第一は、人事院としては、法律二百号という法律の作られた経緯から、この寒冷、石炭、薪炭等の勧告について取り扱い上いささか議会の意思と違った考え方で取り扱いをしているんじゃないかという感じを持つわけです。それで議会は、なるほど人事院の今までのこの種の手当の増額ないしは地域変更等について議会がとってきた方針と私は違っておったと思うのであります。しかし、作られた法律がどういうような理由によって作られたかということは、これはやっぱり合理的に、科学的にある程度の調査資料というものも土台にありましたし、それからもう一つは、これは、いなめない問題としては、政治的な配意の問題もあったと思う。そこで、私どもは政治的な配意のある法律二百号としての一方的取り扱いを受けることは、これは私は間違いだと思っております。やはり給与上の問題として合理的資料に基づいて当然この法律二百号の内容についてはこの適切な変更をすべきではないだろうか、こういうふうに考えておるわけですが、具体的な問題はあとで御質問していきますが、以上、私の人事院に対しての態度について私の考え方を申し上げたわけでありますが、人事院としてはどうお考えになっておるか、まずお聞きしたいと思うのであります。
#14
○政府委員(瀧本忠男君) ただいま御指摘がございましたように、国家公務員に対する寒冷地手当、石炭手当及び薪炭手当の支給に関する法律第二百号というものが最初議員立法でできたということも十分承知いたしております。で、御承知のように、この法律は総理府所管でございまして、人事院が関与いたしまするのは、この法律の条文に基づきまして総理府に対して勧告をいたすという点と、それからあとでこれは追加されたのでございまするが、国会及び内閣に対しまして必要と認めるときには勧告をする、この法律に定める給与に関して調査研究をいたしまして、必要があると認めたときには国会及び内閣に同時に勧告することができるという点でこの法律にいたしておるわけでございます、人事院はやはり法の趣旨に従って忠実にやって参ったというようにわれわれは考えておるのでございまして、われわれふびんでありまするので、結果的に御期待に沿っていない点があろうかとも存じまするけれども、人事院といたしましては、この法律の趣旨に従いまして、誠意をもって研究調査いたし、必要がある場合には勧告もいたすということでやって参った、このように心得ております。
#15
○横川正市君 私は今の局長の答弁で、それが非常に正しい答弁といえばおかしいですけれども、そういうふうな意味で人事院が積極的に今回のこの寒冷地手当の勧告をやったというふうには、ちょっと答弁と実際とが合わないというふうに思うわけなんです。
 そこで具体的にお聞きをするわけですが、今回の場合には勧告は九市の選ばれた地域にだけ、特殊事情としては町村合併その他によって人事交流や気象条件等の類似したもので一部特例を認めて一級上位にした、こういう意味で行なわれておるわけなんですが、実際に私はこれは相当広範に同一条件に置かれる地域があったのじゃないかと思うのです。この九つを選んで勧告をしたというのは、特徴としては一体どこに特徴点を認められたわけですか。
#16
○政府委員(瀧本忠男君) 今回勧告をいたしましたのは、衆議院の内閣委員会におきまする附帯決議がございまして、同一合併市町村につきまして、同一行政区域内の人事交流の点について考えろ、こういう附帯決議がついたわけであります。これはほとんど時を同じくいたしまして、あるいは少し早い時期に暫定手当につきまして、やはり同様の考え方があったわけでございまして、この問題をやはり寒冷地についてもそういう配慮がされてしかるべきじゃないか。従前のような二十七年当時の行政単位というものでなく、その後合併が行なわれまして、非常に行政区域が広域になっておる。この中における人事交流という観点は当然配慮してしかるべきではないかという御意見が附帯決議になったものと心得ております。それは確かにそれなりにごもっともな点があるのでございまして、こういう点につきまして、やはり配慮をいたすのが当然であると人事院は考えた次第でございます。ただ、暫定手当の場合は同一行政区域内でも割にへんぴな所が級地が低い、こういうことになっております。寒冷地の場合はむしろ逆でございまして、条件の悪い所が支給率が高くなっておるのであります。だから原則的にはそのことのゆえに人事交流を阻害するという要因にはならない、このようにわれわれは考えておるのであります。ことに同一行政区域とは申しましても非常に広範な地域が合併によりまして同一市町村になっておる。そのときに山手のほうにかかります非常に寒冷、気象条件のきつい所と、それから比較的容易な所等が一緒になっておるというような例が非常に多いのでございます。したがいまして、これを同一市町村なるがゆえに寒冷地の支給を同じくするということにかりにいたすといたしまするならば、現在の寒冷地級地の格づけ基準というものが全然こわれてしまう。何のことか大げさにいえばわからなくなるというような点がございまして、やるといたしましても非常にこれは限られた限度においてしか取り扱われない。これはずいふん時間をかけて研究いたしたのであります。現在、寒冷地の支給地区分の異なりますものを含んでおります同一行政区域というものがどのくらいあるかといいますと、百六十幾つあるのです。その中にはこれは平野部にかかっております低級地が主体であって、そうして山手、気象条件の悪いところが一、二加わっておるというものも相当ございます。したがいまして、これを同一に取り扱うということは、非常に平等のようであって悪平等であるというふうにわれわれは感じましたので、この中を、地域の合併状況等を見まして、主としてその合併された町村の中において支給区分の高い地域を主として含んでおって、そうして低級地がその中に少し入っておるというようなものだけを問題にすべきじゃないかということで、一応百六十を洗い直したわけであります。御承知のように、寒冷地の支給区分というものは、積雪なら積雪は何センチから何センチまで、あるいは温度でいいますと、何度から何度までというふうに幅のあるものであります。そこで、われわれは、ただいま申し上げました、一応区分されました地域から、さらに低級地から上級地を比べまして気象条件がほとんど違わないというようなものだけを拾い出しまして、今回の例外的に取り扱う地域、こういうふうにいたしたのでございます。したがいまして、われわれの考えましたことは、やはり、現在の人事院で持っております格づけ基準というものを大きくは乱さない、しかし、寒冷地、気象条件等から見て非常に類似しておるというようなもの、また、そういう地域に在勤されております職員の方々はそれぞれそういう感じを非常に強く持っておられるのであります。そういう地域だけを問題にいたしたい、こういう次第でございます。
#17
○横川正市君 時間がないから、それでは考え方だけをお聞きいたしておきますが、今、私のところにもだいぶあちこちから来ているやつで、支給地域のいわゆる積雪、寒冷、風速、耐寒といった条件とほとんど同じないしはオーバーしている地域で、級地の引き上げはなかった、こういうような地域がたくさん来ているわけですが、そういったものは今回は摘出した結果九市ということになったけれども、さらに追加するということで、条件さえかなえば追加するというふうに理解していいかどうか、その点だけひとつお聞きしておきたい。
#18
○政府委員(瀧本忠男君) 今回やりましたのは、特に同一行政区域内における問題を取り上げたわけでございます。したがいまして、同一行政区域内でないところを比較いたしてみますると、今回の措置に準ずるものがあるかもしれません。しかし、それは今回の勧告が、主としてこれは国会でたびたび御議論になりましたし、また、衆議院の内閣委員会でもついております附帯決議ということに対して、人事院が考えた結果の措置でございます。これはあくまで同一行政区域内の問題でございます。人事交流のためのもの、したがいまして、われわれは今回の勧告にも述べておりますように、現存までに合併の行なわれました同一行政区域については、シラミつぶしに調べて九市ということにいたしたのでございまするので、この種のものについてはこれ以上あり得ない、このように考えておる次第であります。
#19
○横川正市君 たとえば、宮城県の支倉地域では、川崎町というものが四級で、支倉地域は三級というところです。具体的な問題としてはそういうような内容の問題があるわけです。同一市町村内であってもおそらくは条件というものの調べ方その他の資料によって、先ほど局長の言われたように、取り上げなかったという地域もあるんじゃないかとは思いますけれども、しかし、来ている資料を見ると、全部川崎地区の四級地とほとんど積雪、耐寒、風速、みなこれをオーバーをしているような地域なんであります。そういった地域でも残されている所があるわけですから、きょうは時間がないからこれは一体どうしたのだというような、こういうふうなことはやめますけれども、まずもって同一町村内でそういうようなものがあった場合には、これは是正することは当然だと思いますから、そういうふうにしていただきたいと思います。
 もう一つは、人事院にお聞きしたいのは、この前も、たしか二月だったと思うのですが、人事院に神田人事官その他にお会いしていろいろ話をしました。そのときの答弁は、風俗習慣的に薪炭その他使用しないという、まあそういう生活環境だから、だからその薪炭手当や寒冷地手当やその他の場合であっても、いわゆる生活環境を改善する、水準を高めるという意味での勧告というのは、人事院としてはする必要はないと思っておりますという意味のことを言われて、私のほうとしては少し冷た過ぎるんじゃないかという話をしたわけなんですが、そこで、まあ、いわば石炭をたいて生活をしなければならない地域というのは、私はまあおそらく日本の場合に六割以上あるんじゃないかと思う。北陸、信越、それから東北、いわゆる新炭手当をもらっているけれども、冬の薪炭費としてはとうていまかない切れないというような条件下にある所、それから寒冷地の実際上の手当では暖地における生活環境とはとうてい同一水準を維持することはできないという、そういう状況、いわゆる改善と、水準を高めるための調査、研究の結果ですね、勧告をするという意思があるかどうか、簡単でいいですから、この際お聞きしたい。
#20
○政府委員(瀧本忠男君) 人事院といたしましては、これはまあ寒冷地関係につきましてはなかなか資料等むずかしいのでございまするけれども、一方におきましては、実態的に寒冷増高費がどれだけかかるという研究もいたし、また、他方におきましては理論的に、寒冷増高費というものがどういう気象条件の場合にどういう増加をしていくかという研究までいたしております。したがいまして、将来に向かってやはりそういう研究はこれは十分いたしまして、そういうことの結果必要があるという場合にはこれは勧告するというようなこともあり得ると考えます。
#21
○横川正市君 いいです。
#22
○委員長(村山道雄君) 他に御質疑はありませんか。――他に御発言がなければ、本件の調査は、本日はこの程度にとどめます。
  ―――――――――――――
#23
○委員長(村山道雄君) 国の防衛に関する調査を議題といたします。
 質疑の通告がありますので、これを許します。
 政府側より志賀防衛庁長官、海原防衛局長、小幡教育局長、小野人事局長、軽部衛生局長が出席しております。
#24
○横川正市君 まず、しばらく防衛庁に質問をいたさないでいる間にいろいろな問題が起こっているわけであります。私はこれは防衛問題についての意見の根本的な相違ということは抜きにして、きょうは具体的に起こった事例についてただしておきたい点がだいぶたくさんありますが、時間の範囲内でやっていきたいと思います。
 まず第一に、最近の動きではラオスの出動問題をめぐって、日米の安保協議会が持たれるということがずいぶん長い間論議というか報道だけされておって、そうして実現を見ておりませんでした。あなたが就任してから初めて二回目の安保協議会というものが持たれているわけですが、その安保協議会の結果、具体的な内容についてはこれはほとんど発表をされておりません。私はなかったのじゃないかと思っております。ただ、この意見の交換をするための会議がたびたび持たれるというような意味のことが何か話されて、小委員会みたいなものが持たれたようなことを言われておりました。その経緯と会議の内容等について、発表できる範囲内でよろしゅうございますが、この際お聞きいたしておきたい。
#25
○国務大臣(志賀健次郎君) 去る八月一日に第三回目の日米安保協議委員会が開かれたのでありますが、この会は、ちょうど新しい内閣ができましたことと、それから米太平洋軍司令官フエルト大将がたまたま来日されるということでありまして、これを機会に、四人の委員のうち三人が新しくなっておるのであるから、顔合わせを含めて会合しようじゃないかという、いわば儀礼的な会合であったわけであります。したがって、この委員会におきましては、緊急を要する議題はございませんでした。内容は新聞でも当時発表せられましたとおり、極東のいろいろな情勢、また、防衛問題等について意見の交換を行なった程度でございまして、議論というものは一つもないのであります。大体収穫といたしましては、今後日米防衛のために緊密な連絡を一そうよくするために、年に二回この委員会を開こうじゃないかということに意見の一致を見たのであります。同時にまた、連絡の緊密化をはかるために何か一つ機関を設けたらどうであろうかということも意見の一致を見まして、その具体化についてこれから話し合いが始まると思うのでありますが、当時新聞に、一、二見られましたけれども、情報交換会のようなことは設置せられないのでありまして、今後具体化について両国において話し合いを進める段取りでございます。
#26
○横川正市君 儀礼的な顔合わせ程度で第二回会談が持たれて、その際に緊密化をはかるためにそういう機関を設けるということとあわせて年一回ときめられたと、この緊密化をはからなければならないという情勢については何にもなかったわけですか。ただ言葉上、儀礼上緊密化ということになったのですか、その点はどうですか。
#27
○国務大臣(志賀健次郎君) ただいま申し上げたとおり、緊急な事態もなければ議題もないのでありますから、今後一そう緊密化をはかろうということの意見の一致を見た次第であります。
#28
○横川正市君 私は外交問題や国際問題等もあることでありますし、安全保障条約を結んだ日米間のことでもありますから、そういう意味ではこういう会合が持たれて、かりに儀礼的であっても常に話し合いの場所を持っていくということは通常平和時において必要だということについてはわかるのです。ところが、これは、私どもの聞くところによれば、具体的問題ははずしますけれども、防衛庁としては相当熱心にこの問題をひっさげて外務省との間の論議を繰り返しておったけれども、外務省がなかなかみこしを上げないために、遷延をされておった会議だ、こういうふうに一部私どもとしては報道される内容等で知っているわけです。それは現実私どもが今の日本をめぐっておりますいろいろな情勢というものを見ますと、当然防衛の任務についておる防衛庁としては、まあ言って悪いかどうか知りませんが、気が気でなかった情勢というものがあったと思う。もしなかったとすれば、これは防衛庁は一体昼寝をしていたかということになるわけであります。しかし、そういうような事態が起こってくる事前に文保条約もあることですから、日米間で安保協議会を持って話し合いをしておこうじゃないか、こういうふうに積極的な意思を持ったのは私は当然だと思う。しかし、それが持たれないまま今回も持たれたと、そして大平さんとあなたとが出席をして、そして儀礼的にこれからひとつ二回以上持とうじゃないかということで、情報交換会のようなものを持つことをきめたと、これは実は新聞の報道なんですよ。私たちの知りたいのはそうじゃない。もっとその内容についてどうかというのは、もしこの会議が何もなかったというならば、それではお聞きいたしますけれども、防衛庁としてはこの会議には何の提案とか論議すべき問題とかもひっさげずに、ただ漫然と出席いたしましたか、お聞きします。
#29
○国務大臣(志賀健次郎君) ただいま申し上げたように、最初から新しいメンバーがそろったのでありますから、顔合わせを含めて儀礼的な会合にしようという考えでありますから、防衛庁から積極的な議題を出しませんし、また、防衛庁から積極的な発言もいたしておらないのであります。
#30
○横川正市君 私はこれはやはりいささか問題があると思います。少なくともこれは私どもが知りたいと思う内容についてはたくさんあるわけでありますけれども、限られた時間ですからきょうは具体的問題に触れません。しかし、次にこういう問題は一体それではあなたはどうお考えになっているかという点で、最近これは七月十一日の新聞の報道でありますけれども、在日米空軍が韓国との合同演習を行なっているわけですね。これは防衛庁としては全然そういうことは知りませんということでは私はないと思います。七月十一日に、韓国駐留の米第八軍第七歩兵師団と、それから第七艦隊、それに在日米軍が加わって、核戦争想定のもとで米韓の合同演習が行なわれた、非常に小さい記事でありますけれども、報道されております。これは私どもが非常に問題にしたいと思うのは、政府は核武装については一向前進した答弁はしません。非常に儀礼的な、中途はんぱな答弁しかしていません。具体的には規定のもとにというけれども、これは一体事実上の具体的な行動を想定して、そして在日米空軍も参加をして演習をするわけです。それが単なる共同作戦だけではなしに、次に起こるべき核戦争というものを予想して、具体的な防衛問題あるいは攻撃問題を含んで演習が行なわれると、そういうような場合、一体自衛隊としてはどういうふうにしているのですか。米韓の両軍が演習しているのだから自衛隊は知らないとこういうことなんですか。それとも相当やはりこれには具体的にその内容を知り、同時にまた、日本の自衛隊の行動についてもこれらの問題から学び取る態勢を整えるというふうに、私は積極的な一つの意思というものが動いておるのじゃないかと思うのですが、長官どうですかそれは。
#31
○国務大臣(志賀健次郎君) 私の就任するかなり前のことでありまして、この際防御局長から答弁させます。
#32
○政府委員(海原治君) ただいま先生のお述べになりました事実でございますが、在日米空軍が参加したということは、いささか私の聞いておるのと違っております。と申しますのは、先生も御存じのように、第五空軍というのは沖繩にその指揮下に三百十三空軍師団を置いております。第五空軍の管轄区域と申しますと、これは朝鮮、沖繩を含んでおります。この第五空軍が韓国の対応しますところと一緒になって演習をする、これは当然あり得ると思います。そういう演習があったということは私ども承知いたします。ただその演習が先ほどお述べになりましたような前提のもとに行なわれたかどうかということについては、私どもは承知いたしておりません。さらには、こちらの在日米空軍という資格で参加しているというふうには考えておりません。いろいろな第五空軍といたしましては、先ほど申し上げましたように、各地にそれぞれの派遣する部隊がございまして、これがそれぞれの派遣先の軍隊と共同してアメリカがいろいろ演習を行なっておりますので、そういうものにつきましては、私どものほうでは、連絡を受けておりません。その時期にあるいは第五空軍の一部の部隊が参加しておる、これはあろうかと思います。在日米空軍が韓国との核兵器の使用を前提とした演習に参加したということは、私どもの承知しておりますところとはいささか違っておるので、その点申し上げます。
#33
○横川正市君 記事はあなたのほうで責任を持たないものであるから、私のほうでは事実を知る材料としては不的確かもしれませんが、しかし、これには九州板付基地からバック大佐指揮の在日空軍第八戦闘機隊のF100セイバー・ジェット機が上陸作戦支援の目的で参加したと、明らかに記事として出ているわけですが、私たちは一体、それはあなたを担当者として、あなたの意見を信用しておればいいのかどうかわかりませんけれども、しかし、一般にこれは少なくとも何百万か発行している日本の一流新聞が、しかもこれは単に朝日だけではないので、毎日にも読売にも同じように報道されている同一記事です。これは朝鮮からの、ソウルからの記事ですが、私たちが心配しているのは、これは平時、平和なときには問題ないが、実際にはく今度のラオスの問題のときにも、防衛庁としては相当関心を持っておったんじゃないか、しかし、国内での動きとしては、全く水を打ったようなもので、何も国民には知らされていない。私たちの知りたいのは、どうやったら平和を守っていけるか、戦争に私どもが介入しないで済まされるかという点で関心を持っているわけですから、そういう意味ではある程度の問題については議会を通じては率直に言ってもらわないと困るのです。私はいいとか悪いとか言っておらない。私どもは実際上の問題が起きているので、その点防衛庁ではどういうふうに考えたかという点を聞いているのです。そういう点で、さらにこれはあなたのほうでは記事は間違いだととういう事実はないと、こういうふうに否定されるわけですか。
#34
○政府委員(海原治君) その記事は私も新聞で拝見いたしまして、さっそく米軍のほうに照会したわけです。先ほど申し上げましたように、その時期、新聞に伝えられます時期に米韓の両方の演習があった、これは事実でございます。同時に、その新聞にございますような板付の部隊が出たということも事実でございます。しかし、新聞に書いてありますように、その演習に参加した、その記事にあるように、演習の一部として支援したということはない、というのが私どもが米軍のほうから聞いた情報でございますし、その飛行機は即日帰ってきております。したがいまして、そういう方面に飛んだということもこれは事実でございます。その二つを結びつけてその報道にありますようなことがあったということにつきましては、私のほうはそのように考えておりません。
#35
○横川正市君 これは小型の核装備をつけた戦術用爆弾を落とす想定で協力したことを明らかにしたと結んでおります。今、あなたのほうではこういうことはなかったと、こういうことですが、事実でないと否定するのを、これは不実だろうと私のほうで言ってみても仕方がないが、かりにこういうととが起こった場合には、防衛庁としてはどういう対策を持っておられますか。ただただ傍観しておるのですか。
#36
○政府委員(海原治君) ただいまのことに関連いたしまして、従来委員会においても御説明申し上げておりますが、日本に現在来ておりますところの米空軍の飛行機が移動いたします場合には、従来の例といたしましては、それが二機、三機程度のものであれば通知を受けておりませんでした。まあ部隊、スクォドロン、すなわち飛行隊でございますが、これは大体十八機程度の編成のものでございますが、その飛行隊の移動というようなものにつきましては、それは演習訓練のものでありましても、必ず事前に通知を受けております。これがこの春ごろまでの私どものほうと米軍のほうとの話し合いの慣例でございました。しかし、先般のラオス派兵問題ということに関連しまして、日本におります飛行機の二機程度のものが行っておったということにつきましても非常に問題になりましたので、その後は逐一私どものところへ米軍機の移動については通知を受けております。そういうような事情でありますので、今、先生の御指摘のありましたようなことで行く場合には当然通報があるわけでございますが私どもはその通報は受けておりません。そういうようなことは今後ともないものと、このように考えております。
#37
○横川正市君 私は信用するしないは、結果から正しかったか正しくなかったかということからくるのであって、一応記事については信憑性があるという立場でお聞きをいたしておるわけです。そこで、こういう核戦争を想定するという意味での在日米空軍もこれはまあ支援態勢で参加したかしないかわかりませんが、一応数機のものが参加して行なわれたという、こういう事態に対して、日本の自衛隊としてはどういう態度をおとりになっているわけですか。これはまあ演習参加の何らの指示もあるいは具体的な要請もなければ、これはそのまま勝手におやりなさいということで見ている、見ているのじゃなくて、まあ何かやったようだと、しかし、まあそんなことは全然知りませんという、今答弁でしたがね、そういうことで大体過ごしていくわけですか、これからも。
#38
○政府委員(海原治君) 私の御説明が不十分で申しわけございませんが、従来私どもが在日米軍当局とのいろんな折衝の機会におきまして申しておりますことは、特に核兵器というものを前提にした演習ということは、それは米軍にとっては当然のことであるとしても、日本周辺において行なわれますことは非常に問題であるということで、その事情はよく先方知っております。したがいまして、過去におきましてもこの日本周辺におきましてそういうものを前提にした演習が行なわれたということは聞いておりません。しかし、先ほど申しましたように、その他の地域におります米軍というものが、それぞれ所作の部隊とそれぞれの任務に応じた演習を行なうこと、これは私どもとしては何ともチェックができないのです。まあ十分お答えにならないことになるかもしれませんが、私どもが米軍当局の間と従来折衝しました、あるいはいろいろ相談しましたいきさつもございまして、そこに書いてありますようなことはなかったと私は考えております。ただ、記事でございますので、先ほど申し上げましたように、空軍の米韓両軍の演習があったことは事実でございます。かつ九州からそういう飛行機が出たことも事実でございます。しかし、それを結びつけるということにつきましては、これは米軍当局も否定いたしておりますし、私どもとしても従来の米軍との長いつき合いから申しまして、そういう私どもとの間の信義にもとることは絶対していない、こういう工合に確信いたしております。
#39
○横川正市君 ちょっと方向を変えて防衛庁長官にお伺いしたいのですが、期日はちょっと忘れましたが、二、三週間ぐらい前の新聞だったと思うのです。中国の核装備についての中国要人の談話か何かをあげた配車がありました、ちょっと私取るのを忘れて失念いたしましたが、大体まあ防衛庁としては中国の軍事的な思想の動きについては相当詳細注目をしているのではないかと思うのです。ことにまあこの三十七年の防衛年鑑は、劈頭に中国の軍事思想問題を相当こまかく歴史的に分析をして、それに対処する――対処というよりか、その記事を載せております。そこで私がお聞きしたいのは、在日米空軍も参加をしてというふうに報道された核戦争想定の米韓の合同演習というのは、少なくとも核戦争を予想されるような極東における情勢といいますか、そういったものが、米ソ間の問題とか、それから中ソの問題とか、そういった観点から相当緊迫したものを想定しての私は対抗処置だろうと判断するのです。そこでまず防衛庁としては、いろいろ中国情勢について判断をされておるようでありますけれども、中国の核保有についての時期については一体いつごろだと判断をされておるのか、その点をお聞きしたいと思います。
#40
○政府委員(海原治君) 私どもが特別に判断をするデータというものはございません。いろいろと交換されておりますところの資料とかあるいは新聞報道であるとか、あるいはその他関係の人の談話とか、そういうものをいろいろと検討いたしました結果、私どもといたしましては、中共が核爆発を行なうのはおそらく早くても来年以降じゃないかという考え方でおります。このことは御参考までに申し上げますというと、本年の四月ごろにアメリカにおきましてもやはりラスク長官が次のように申しております。もしこの一年以内に中共が原子爆発を行なったとすれば、私は非常にびっくりするだろう、しかし、それが二年後に起こったとすれば、自分はたいして驚かない、こういうふうに証言をされたということが伝わっております。私どもの観測もそれと同じでございます。ただ、本日の一、二の新聞には数カ月内に核実験が行なわれる、あるいは来春品々に行なわれるんじゃないかというようなことがやはりUPI、APで伝わっております。このようになかなかその時期については非常にむずかしいわけでございます。おそらくは早くても来年以降でないか、こういうのが私どもの現在の推定でございます。
#41
○横川正市君 これは早いかおそいかということよりか、私は金とそれから技術のある程度の基礎的なものと、それから時間というものが三者一致すればいずれの国でも大体これは持てるものという判断をしなければならないという、これはアメリカのだれかが言ったその言葉を信用していいんじゃないかと思うんです。ただ、ばく然と中国の核武装される時期について今あなたの言われるように判断をしているということは、言ってみれば、これはもうどういう時期にそれが保有されてみても日本の知ったことじゃない、こういうふうに考える考え方もあるでしょうし、もう一つは、中国の核武装というものの意義は相当これは中国自身は高く評価しているわけですね、防御年鑑にも出ておりますけれども、しかもその持つ人の思想というのは、ここでは、核戦争というのはこれは実は中国にとっては決定的なものではないんだと、あの広範な地域に、核戦争が起こっても、人口さえ分散しておけば別に被害はないんだと、こういう考え方で核装備をするという、そういう内容が私どもとしては承知できるんじゃないかと思うんです。私たちの場合はそうではなくて、核についてはこれはもうどんなものであっても持つことは――これは絶対に保有しない。それからその被害については少なくとも日本のこの四つの鳥には相当大きな被害というものを想定して、全滅というものも想定して、その被害というものを感じているわけですよ。この思想の違いだけでも、中国の核装備というのは、私は相当関心を持っておく必要のあるものであるし、日本としてはそれに対して何らかの考え方を持たなければならないもんだと私は思うのでありますけれども、この点についてはどのようにお考えになっていますか、お聞きしたいと思います。
#42
○政府委員(海原治君) ただいまの問題でございますが、まず一点追加説明申し上げますと、原子爆発が起こるということと、現実にそれが核装備になるということは別個の問題でございます。と申しますことは、フランスの例を見てもわかりますが、フランスは実験用の原子炉から具体的にその製作用の原子炉が活動しましてから原子爆発を行いましたまで十二年かかっております。しかし、その原子爆発が起こった後におきましてこれの運搬手段、すなわち飛行機であるとかあるいはそれを運びますところのロケット、すなわちミサイルであるとかもそういうものの開発というものはまだはるかに時間がかかるわけであります。したがいまして、かりに原子爆発は行ない得ましても、それをいわゆる核装備というものにかえることにつきましては、さらにまだ日にちがかかり、たいへんな金がかかる。したがって、核装備というものは自力ではやり得ないのではないかというような観測もございます。先ほど私が申し上げました、中共は早くても来年以降じゃないかということは、最初の原子爆発を行なう時期でございます。これにつきましても、先生も御存じと思いますが、中共の既存持っておりますところの原子炉の数にしましても、一つのものは大体年出力一万キロワットということになっておりますが、その他の三つにつきましては、これは不明でございます。合計四つ、あるいは六つあるという報道もございますが、かりにそういうものが完全に稼働いたしましたとして、大体来年ころにはある程度の蓄積ができるのじゃないかというようなことを推定いたしますというと、先ほど申しましたフランスの場合でも十二年かかっておりますので、早くてもまあ来年以降であるというのが私どもの根拠でございます。
 その次に、今度はそれでは具体的な核装備に踏み切る、あるいは核装備を行ない得るという時期になるのは何年先かということになりますと、これまたおのずから別個の問題でございます。ということを先ほどの私の御説明に付加さしていただきまして、次は、中共がそういうことを待つことについてどう考えているかということでございますが、これは私どもとしましては、あくまで法律にうたわれておりますように、この自衛隊の任務といたしましてはこの四つの島を防衛するということでございますし、それに専念していろいろな計画をいたしておるわけであります。この日本の周囲に新たに核装備を持った国がふえるということは、それ自体確かに一つの大きな脅威ではございますけれども、こういう問題につきましては、政治問題としまして国際政治の場において解決されることを私どもとしては期待し、かつ希望しているわけでございます。
#43
○横川正市君 問題を変えて、大体国民の総所得の三%まで充当できる金額を予想して第二次防衛計画が行なわれたわけですね。その総額は大体完遂年次で金額とするとどのくらいになるのですか。
#44
○政府委員(海原治君) 国民所得との対比におきましての御質問と思いますが、当初立案のときには、大体四十一年度が一応の計画の最終年度でございますが、その時期におきまして推定国民所得の大体二%程度までは防衛費に充当していただいていいのではないかということで作業に取りかかったことは、これは事実でございます。ただでき上りましたものは、これは当時の推定国民所得でございますので、現在におきましてはこれは変わっておりますが、そのときの数値におきますというと、大体一・五%程度ということで、現在の二次計画の経費は積算してございます。これを具体的に申しますというと、昭和四十一年度におきましては、一応二千六百八十億程度に防衛庁費というものを推定いたしております。
#45
○横川正市君 そこでですね、具体的な問題では、たとえばナイキの装備について、神奈川、千葉、それから茨城、埼玉ですか、そういった取りきめを行なって具体的な仕事に取りかかっておるのだと思うのでありますけれども、一体その防衛の守り得る限度というものについての、いわば想定もあるでしょうが、ナイキを備えつけての防衛というものと、それから最近はこの弾道弾を要撃するためのミサイルも成功したといって伝えられておりますけれども、そういったものへの開発をも考えて防御をするということも一つの想定としてはあり得ると思うのですが、日本の場合は、一応の限度というのは、これは防衛思想でもって限度というものをきめていくのか、金のかさできめていくのか。そのきまり方というものは、私は全然内容や質について違ってくると思うのですよ。今回の年次計画を見てもわかるように、大体防衛庁としては、金のかさで防衛力の充実問題を考えても実際には防衛というのは、防衛思想というのは、実は金のかさではなくて、金については無限大を要求し、完全防衛するというのが、これが私は防衛思想だと思うのですが、防衛庁としては一体その点どれだけあればまずまずという点までいけるか。まず、それは金のかさの面からでも説明できる問題だと思うのですが、お聞きしたいと思う。
#46
○政府委員(海原治君) 現在の二次計画のもとにおきましては、これは当時政府からも発表されたことでございますが、防衛力整備の方針ということで、日米安全保障体制のもとに在来型兵器の使用による局地戦以下の侵略に対処するということを目標としてきめられております。したがいまして、先ほど委員のおっしゃいました金だけではなくて、一応ここに思想的と申しますか、私どもの四十一年度までの間において考えますところの基準がきまっております。と同時に、先ほど申しました国民所得との対比におきましての一応の推定もございます。なお、これにつきましては大蔵省側は数字的にはほぼ同じでございますけれども、国民総生産に対しましての比率でもって、この三月八日、水田大蔵大臣から説明されておりますが、これによりますというと、防衛庁費と国民総生産との比率を大体一・一五七%程度に押えていきたい、この範囲内で政府としては防衛を考えていきたいということで二次計画を作った、こういう説明でございます。
#47
○横川正市君 まあそういう結果になるでしょうが、大体その日米安全保障条約のもとで防衛をするという、この考え方は、実は私は防衛庁の国会での答弁かもわかりませんけれども、具体的に出てこないのですね。先ほど私がたまたまこの在日米空軍の参加したという報道というものは、実は日本の安全を保障する一つの変形した形だと見ていいのではないかという思想があるのじゃないかと思うのですが、それについては答弁はいつもはぐらかされたような答弁になるわけです。実際の防衛計画を聞くと、そうではなしに、自力でやれる金のかさでの防衛力というものは、これは防衛力にならないから、日米安全保障条約について国の防衛をするということは、これは一〇〇%要請される防衛力に対して日本の出すべき力が、たとえば一〇であっても九〇はアメリカが負ってくれるのだ、そういう思想でもって防衛というものが動いているのですね、実際は。そういうふうに私が聞こうとするポイントというものは、日本が核武装をしないというその決定があり、憲法では再軍備ができないとあるから、実は表面上の答弁はつくろうのだけれども、内容は実際には核の問題も取り入れた防御体制というものも、これはごく秘密のうちにどっかでびしっと合えば、いつでもそういう体制がとれるような情勢下で動いているのではないか。こういうふうに私どもは考えるのだけれども、その点は一体私どもの考え方はあまりにも勘ぐり過ぎるのかどうか。もしそれがそうでなかったら、今の防衛庁の思想的な防御力というものはこれは十分に発揮できないのではないかというふうに私どもは見るのですが、どうでしょうか。こういうことを私どもはお聞きしたいと思うのです。
#48
○政府委員(海原治君) ただいまの御質問に関しましては、具体的な例で御説明させていただきたいと思いますが、ナイキの導入にあたりまして、これは先生御存じのように、アジャックスとハーキュリーズと両方ございます。このナイキのハーキュリーズ型もそれは直ちに全部核弾頭のものではない。普通弾頭と核弾頭にも併用するんだということもこれは事実でございます。したがいまして、ハーキュリーズ型のほうが、アジャックス型のほうより、飛びます距離とか高さとか性能のほうがいいわけでございますから、ハーキュリーズ型のものを入れて、これに普通弾頭を使用するということであれば問題はないわけでございます。しかし、先ほど来のお話にもありますように、核が使えるということになりますと、非常にそこにいろいろな考え方、疑問等が起こって参りまして、不必要な混乱が起こるだろう。したがいまして、防衛庁としては、若干精度――精度と申しますか、効率は劣りますが、あえて誤解をおそれるためにアジャックスをとるんだということは、当時防衛庁のほうから御説明したとおりでございます。こういうことに私どもは非常に、十二分のと申しますか、きわめて気を使ってものを考えております。表向きはそう言いながら、うしろのほうで何か秘密なことをやっているんじゃないかというようなことのお尋ねのように伺っておりますが、そういうことは絶対にございません。また、そういうことができる条件でもございませんということを御了解願いたいと、このように考えております。
#49
○横川正市君 私は、防衛計画の中で、たとえばアジャックスを導入したのは、いわゆる核装備についての日本の国全体の核に対する関心というものを十分取り入れてやったことだと、こういうふうに説明されることと、それから日米安全保障条約に基づいての防衛計画がどういうふうに進捗するかということとは、おのずとその路線というものは違うというふうに見るわけですよ。それは、吉田さんがどこだか、フランスかイギリスかどっか回って帰ってこられて、すぐ日本も核武装すべきだ、核武装するくらいな意気込みがあってもいいんじゃないか、こういうふうなことを言って、そうしてそのことが報道されたという実例があるわけですが、こんなものはひとつ衣の下のよろいなのかどうかという疑いを私どもは持つわけですね。今当面の担当者であるあなたとしては、これは絶対の範囲はどこかといえば、これは内閣は核武装はしないというのですから、その線に従って武装はしない、こういう考え方で物事は処理していく、こういうことなんですか。私は中国の核爆弾保有についての年次についてどう推定するかということも、それから日米安全保障条約に基づいて防衛体制をどう作っていくかという問題も、また、具体的な事例としてあげた在日米空軍傘下の米韓のいわゆる演習の実相も、これは一体日本が現状のままでいけば核保有しないという考え方だけでこれが貫き通せられる情勢かどうかと、こう判断したときに、むずかしいじゃないかという結論が何か出てくるような気がするわけですよ。そういった意味で、防衛庁は与えられた任務で与えられた方向だけに従って今動けばいい、あとは知りませんと、こういうことでいいのか。そういろ一般的な情勢というものは十分察知しながら、将来の防衛についてどういうふうにあるべきかという構想を立てるその努力というものがあっていいし、その努力は一体どういう方向ですかと私はお聞きしたいわけですがね。今寺弁できないというならこれはやむを得ませんから、次の問題に移りたいと思いますけれども、ひとまずこれはお答えいただきたい。
#50
○政府委員(海原治君) 再度同じようなことを繰り返すことに相なるわけで申しわけございませんが、私どもとしましては、昨年七月十八日に御決定いただきました二次計画というものを四十一年までに何とかして実力の備わったものに作り上げていくということだけが当面の問題でございます。それからあと、遠い将来についてどうかということにつきましては、これは私ども知らないということでなしに、やはり国民として、国として決定することだろうと考えております。したがいまして、四十二年以降ということにつきましては、防衛庁としてどう考えるかということについては、これはひとつまあ御容赦願いたい、このように考える次第でございます。
#51
○横川正市君 隣に防衛庁長官がいるのだからね。この問題は、私どもはたとえば日米安保協議会というものが持たれた席上であっても、ほんとうはもう少し具体的な内容というのは報道されていいんじゃないか。ただ儀礼的に何々をやりましたと、何を食べたか知りませんけれども、そういうことだけでは、ちょっと私たちとしては安心しておられない問題があるので、そこでその問題とひっからめてお聞きしたいわけですが、いずれこれはあらためて――もう少し私も研究しますし、あらためた時期に御質問いたしたいと思います。
 それからこれは防衛局長で御答弁いただきたいと思うのでありますが、最近の日本ではロッキードF104Jの購入を決定いたしまして、すでにその作製も本年度三機というふうに、二百機への装備の計画が進捗をいたしておるわけでありますが、これは第一線機としてロッキードにもう全部依存をして、今のF86Fですか、これの使用については、一線機ではなくて、練習機というような意味での配分をするのか。そうだとすれば、第一線機千何ぼですね、現在保有しているのは。二百機というロッキードの保有は、数の上からいくとまるきり問題にならないわけですが、飛行機保有についての考え方としては、将来どういうふうにお考えになっているのか、それが一つです。
 もう一つは、アメリカの最近の悩みの種と報道されておりますソ連のミグを大体極東その他の各地域、ことに最近インドが契約をいたしておる、そういうことで非常に心配をしているようです。このミグという戦闘機の購入についてですね、ただこれがそのまま日本を取り巻く周辺の国で実際こういったことの装備ができたときに、ロッキードという戦闘機保有をするという考え方で、防衛庁としては他に別な機種を選んで、それをさらに装備強化をする、こういう考え方を持つかどうかというのは、私は数の上からも質の上からもどう考えているかを実はお聞きしたい。
#52
○政府委員(海原治君) ただいま104と86F・Dとの関連においての御質問でございましたので、ちょっと数字を申し上げますと、ただいま全天候の戦闘機部隊といたしましては、F86Dの部隊は四つございます。このほかに104の部隊が出て参りますので、全天候戦闘機部隊というものは、四十一年度におきましては七つ104がふえまして、合計十一になる。昼間戦闘機部隊といたしましては、86は現在十隊ございます。これは逐次減耗等もございまして、四十一年末には八隊になる、こういう姿でございます。この姿でおわかりいただきますように、私どもは、86F・Dというものが、104が出てくるに従って、いわば練習機だけとかほかの用途に使うことは考えておりません。と申しますのは、104という戦闘機は現在世界第一流のものでございまして、非常に上昇性能がよいこと。しかし、抵抗度におきまして、たとえば一万フィート前後におきましては、86F・Dにおきましても十分要撃戦闘の任務が果たせ得るものでございます。かつ飛行機そのものとしてはりっぱなものでございますので、私どもはその飛行機のそれぞれ持っております特色というものを十分尊重して部隊を編成し、この任務を組み合わせていく、これで日本の防空をやっていこう、こういう考えでおりますので、104が出てきたらFとDとは要らなくなるということではございません。
 次に、今お話がございましたミグとの関連でございますが、それはおそらくミグ19のことだと思います。ミグ19は104級の飛行機というように私どもは聞いております。しかし、104という飛行機は非常にいい飛行機でございまして、現在NATOにおきましても約九百五十機を生産中でございます。今後何年間かということにつきましては、いろいろ見方もございますが、少なくとも二次計画の達成時期後数年間というものは第一線機として十分使えるものである、このように考えておりますので、周辺の国にミグの19が参りましても、そのことで直ちにどうこうということは考えておりません。
#53
○横川正市君 そこで86の、最近の新聞紙上で見られる墜落事故その他の故障ですか、過度の練習によるための事故ですか、そういった86の落ちておるのはこれは昼間機ですか、全天候機ですか。
#54
○説明員(小幡久男君) 86Fは全天候ではございません。
#55
○横川正市君 昼間機ですね。
#56
○説明員(小幡久男君) そうです。
#57
○横川正市君 そうすると、昼間機は今はほとんど一線用というのは、事実上私どもは何といいますか、これは千歳で実際上見たのでは、一線に使える飛行機は、常時装備されているのはあまり機数は多くないのじゃないですか。ほとんど日常訓練用に使われておるというふうに見てきたのですが、いつでもあれは飛べる飛行機は一線用として使える、こういうふうに判断されておるわけですか。
#58
○政府委員(海原治君) 第一線におります飛行機が全部直ちに使えるかどうかということになりますと、若干のものは直ちに実戦に使うためには具体的に武器、火器等の積み込みが必要でございますが、飛行機そのものとしましては、現在おりますものが大部分直ちに使える、こういうことでございます。過日部隊においでになりまして、86FやDが飛んでおりますが、これは完成パイロットといいますか、完全に実戦用に役立つ技量を持ったパイロットでも、年間、月間の技量維持のための期間がございます。したがいまして、練習とおっしゃいましたが、練習と技量維持をかねまして飛行しておりますことは、これは各部隊共通の事項としてございますから、そういう意味では飛んでおる練習機とごらんになりましたのは、すなわち実用機である、こういうふうにごらんいただいてけっこうです。
#59
○横川正市君 これはちょっと気にかかっておることですから、この際にお聞きしておきたいと思うのですが、新聞の報道では、最近のこの事故、墜落するないしは搭乗員の人命損傷の人員数といいますか、それが非常に多いように思うのですね。私はこれは自衛隊は何といいますか、誓約書を入れているのだから命をささげたものと、皮肉な言い方をすれば、平和時に未亡人がどんどんできておるということはどうも感心しないことだが、お国のためだ、こういうふうな割り切り方は今は私はできないと思うのですよ。だからといって修練を怠って事が起こったとき、そんなことは万々ないとは思いますけれども、役に立たないような熟練度じゃ困る、こういうふうなジレンマはあるのだろうと思いますけれども、実際には少し事故が多過ぎるのじゃないですか。
 それからもう一つ、事故が多いということと、最近の事例からいきますと、東海道線のほとんどその近接地に飛行機が落ちたり、民家に墜落したり、それから今度はそういう事故によって全然関係のない一般の人たちが被害をこうむっているという事例もあるわけであります。これをどういうふうに判断すればいいのか。実は私どもはあれよあれよと見ておるのが常態であって、気の毒だということなのか、それともひどいことをするというのか、もっと何とかならないかというようないろいろなこもごもな意味のものがまざり合ってそのつどそのつど私どもとしては報道を聞いておるという立場なんですよ。防衛庁としてはこれはどう対処をされるわけですか。もちろんなくしてほしいというのは私どもの切なるあれですが、この際ですから、防衛庁の考え方をはっきりひとつ聞いておきたいと思うのです。
#60
○説明員(小幡久男君) 航空事故がことしの三月、四月ころに集中いたしましてたいへん御心配をかけたことは事実であります。その後、陸海空各自衛隊におきまして鋭意監察指導をやりました結果、大体の対策がまとまっておりますので、御報告をしておきたいと思います。大体の事故対策は、事故の種類をいろいろ分析いたしますと、操縦の錯誤あるいは監督指導の不適切あるいは気象の急変あるいは機材の欠陥といったような点が最近の事故のおもな原因でありますが、なおしさいに分けて対策を考えますと、操縦士関係につきましては、一例を申しますと、航空自衛隊を例にとりますと、非常に若年の操縦士が七五%を占めるというような体制に変わってきておるという点が一つの大きな特徴であります。もちろん事故率全体としましては漸減しておりますが、起こった事故の中の相対的割合はこの若年操縦者が多くなっております。こういう操縦者の年の若いということからくるハンデキャップを教育によっていかにカバーするかという点に重点を置きまして現在教育の改善策を考えております。
 なお、その次に監督、指導につきましては、教官の適正な配置というようなものに若干欠けるところがあったように考えております。たとえば非常に優秀な教育部隊には優秀な教官が配置されておる。しかし、一線のある所では非常にむらがあるというような例もあります。あるいは下位の段階の教育官には比較的古い教官がたまっておるというようなところがありまして、そういう教官の不適正な配置を一掃して適正な配置をしたいということで、これは現在すでに事実上の措置をとっております。なお、教官自身も若返っておりますので、一々操縦士がその日その日に飛び上がる個人々々の指導に若干欠けるところがないかということも十分反省いたしまして、個人々々の指導が十分できるように、教官の細微な注意力を喚起しております。
 それから気象につきましては、これは御承知のように、先ほどお話のありましたように、小田原の事故はほとんど不可抗力に近い気象の変化でございましたが、そういった気象につきましても事前にできるだけこれを察知する方法を考えまして、たとえば気象観測器材等が弱い気象地帯には早く観測レーダーとかその他の気象の観測装置を整備する、あるいは気象部隊の解析能力を増すために若干の要員の増員をいたしまして、気象庁から流れてきます放送をすみやかに図面に復元できて、それを早くパイロットに渡せるようにしたいと思っております。なお、現在船舶から刻々気象が参っておりますように、飛んでおる飛行機からも刻々気象がくるように、そういう措置をとりたいというふうに考えております。
 それから器材整備関係につきましては、たとえば今度の事故で、事故が起こりましてから通信が途絶した例が相当あります。これにつきましてはいろいろ調べたのでありますが、最近の新しい発見によりますと、エンジンが停止いたしますと飛行機によって通信の能力が急激に減衰するということが判明しておりますので、この点現在実験航空隊並びに技術本部でそういったエンジン停止が通信能力に及ぼす影響というものを徹底的に調べまして、もしその閥に相関的な関係があるならば直ちに排除ができるように努めたいと考えております。
 以上のような処置をとりまして、できるだけひとつ航空事故の絶滅を期したいつもりでおりますので、御了承を願いたいと思います。
#61
○横川正市君 これはどういうあなたが対策を立てられておっても事故というものはできるものだから、その事故の起こったものについては、これは何か手当をすればいいんだというような考え方でなしに、絶対事故が起こらないという私は対策というものがあってしかるべきものだと思うのですよ。その点は時間がありませんから次に移りたいと思います。
 もう一つ、最近の国内における防衛生産に対して相当意欲的に産業界でも動き始めているわけです。一説によりますと、低迷している日本経済の打破のためにも兵器生産を応力をかけて、そしてさらに一部は貿易不振の状況を打開のためにもこれを行ないたいという産業界の何か意思があるようであります。それから一方、兵器の生産について私はやはり思想的に言えば、自力でもってある程度のものは生産できるということでなければ、これはやはり防衛の実を上げることはできないという思想もあると思う。また一面、生産してみてもコスト商になって、事実上は合わないのだというような問題もあるわけです。私はまず第一に、兵器生産に対して防衛庁としては一体どう考えられておるのか。先般何か本会議の質問で聞きますと、助成金その他を出してまでも生産する必要はない、そういう考え方はないという答弁がたしか通産相かだれからかあったように思うのですが、一体防衛庁はどういう考え方で今兵器に対しての生産をお考えになっているのか、お聞きしたいと思います。
#62
○説明員(藤田忠寛君) 局長ただいま入院中でございますので、課長かわって恐縮でございますが、御答弁させていただきます。
 兵器輸出の問題につきましては、直接には今先生のおっしゃりましたように、通産省の所管でございますが、何分にもその兵器そのものの国産的な設備なり技術能力というものは防衛庁としても非常に関心のあるところでございます。それで兵器輸出に関する問題を防衛庁が積極的に考えるかどうかということでございますが、この点につきましては、わが防衛庁におきましては、それがコストの点において非常に安くなるという点から見れば、非常に有利な面もあるわけでございますけれども、何分にも輸出そのものの所管官庁は通産省でございますので、防衛庁としてはこれをさらに積極的にどうこうということは考えておりませんし、また、国連の決議等によりましても、国際紛争に関連があるといいますか、国際紛争に巻き込まれるといいますか、助長をするといいますか、そういった関係の兵器の輸出は差し控えるというような決議もされております現在、通産省の考えは別としまして、防衛庁としてはこれを意欲的に進めるのだというふうには考えておらないわけでございます。
#63
○横川正市君 それじゃ次の問題で、これはいろいろ大臣の記者会見その他でもって出ておった内容から二、三お聞きしたいと思うのでありますが、第一は、自衛隊用地を宅地に飲用したいという考え方で調査を始めた、こういうことなんですが、根本的な考え方は一体どういうことなんですか。
#64
○国務大臣(志賀健次郎君) 私が防衛庁に参りまして、非常に関心の強いのは、たくさん問題がありますが、特に演習場、基地の問題、さしづめ日本の国内にありまする演習場がどういうふうにあるか、そうしてまた、一つ一つの演習場がどういうふうに使用されているか、そういうことについて今後私が演習場なり基地問題について根本的な対策を練り直す資料として私は調査を命じておるのでありまして、最初から宅地用にこれを転用するというような目的じゃなしに、国土総合開発と競合する血があるのかないのか、あるいはどういうふうに現在使われておるか、そういうことを総合的に立体的に調べたいというのが私の趣旨でございます。したがって、都市周辺に限らず、日本全国至る所にありまする演習場なり空地の問題の調査を命じておる、さように御了承願います。
#65
○横川正市君 そこでひとつ、私はこれが出たから要望するわけではないのですけれども、今度は十二個師団になったですから、各師団の所在地ですね、それから部隊の配属されている地域等で、急激な都市の発展で都市のまん中になったやつがあるわけですよ。何というか、屯営というのですかね、部隊の駐在している地、建物がですね、そういった都市のまん中に、演習もできない、それかといって立ちのくには費用もかかる。しかし、宅地に転用すれば他に相当な地域を求めることもできるというような場合はこれは移転をするという計画をお持ちですか、どうですか。そのままそれについてはまだ何にも考えておらないですか。
#66
○国務大臣(志賀健次郎君) ただいまお尋ねの問題はまだ私は聞いておりません。
#67
○横川正市君 これは、要望しておきますが、私がおそらく調べた内容の中には、都市のまん中に演習地もなければ何にもないところに相当多数の部隊が駐屯をしている、屯営しているというところがあるわけですよ。在来私はこれはそういう発展をするということを予想しないで大体建てられたものだと思っているわけですが、そういった場合に、当然私は他に適地を求めて移転をするべきじゃないか、こう思っているわけですが、具体的な問題は後にいたしますけれども、検討していただきたいと思います。
 それからあと二、三、環境衛生の問題なんですが、これは山形の東根の神町の駐屯隊で、最近自衛隊の赤痢患者が五百人をこす不祥事が起こっているわけなんですけれども、実はこれは関連して私も北海道その他の屯所ずっと視察したことがあるのです。衛戌地としてはまさにこれは金のかけようがないのじゃないかと思われるくらい急激な増員体制とそれにマッチしない営繕関係というものがあり、施設関係というものがあり、いろいろな意味で過渡期だというような状況というものが見受けられるわけでありますけれども、そういう一つの不始末の現われがこの自衛隊の赤痢なんかの中にも出てくるのじゃないか旧軍隊なんかでも、私ども兵隊に行ったときには、もう最大のの、何といいますか、伝染病として赤痢なんかずいぶん蔓延したが、それは不衛生と設備の不完備、対策の全然ないというところでやられたのではなくて、相当のものがあってやはりそれだけのものをやられているわけですが、しかし、こういう格好の伝染というものは過去にはあまりないのじゃないかと思われるわけでありますけれども、一体自衛隊としては、こういうような事態が起こったということで、あとはその予防処置でここだけ事が済めばいいということでは私はないと思うのでありますが、対策としてはどう考えられておるか。また、この問題についてどう処置されたかあわせてお聞きしたい。
#68
○説明員(軽部弥生一君) 山形県の神町駐屯部隊にたいへんだくさんの赤痢保備考を作りましたことはまことに残念に存じております。山形県の件につきましては、ただいま冒頭にお話のございました施設上、部隊の数とその収容施設とが不つり合いなところが、現在の過渡的な時期において、管理上いろいろ、不便を作り出しておるのじゃないか、こういうお話でございましたが、部分的にそういうところは確かに認められるのが現状でございます。しかし、山形におきましては、かなり余裕がある施設でございまして、むしろ今回の発生の状態を考えてみますと、内部におきまして二次感染をいたしました。こういう点において非常に申しわけないということを実は感じておるわけであります。対策といたしましては、結局、赤痢というものが、現存わが国の衛生問題といたしまして、非常に大きな問題になっておるのでございますが、御承知のように、夏の伝染病であった赤痢が、今は夏、冬通しまして、年中出ておる、こういうような状態。しかも、以前のように、赤痢は必ず赤便を出すというようなことがございませんで、一日に一、二回の軟便程度で、ばい菌をまき散らしておるというようなふうに、病気の状態そのものが変わって参っております。そういうようなところから、今回たいへん大きな不始末をいたしておるのでございますが、今後とも環境の整備と、それからこういった状態をできるだけ早く把握するというために、こういう症状を、軽微な赤痢がからだに異常を示しましたときに、その個人がいち早くそれを自覚いたしまして、衛生当局に健康診断を求めるというふうに、むしろ一人々々の衛生教育というものを進めて参りませんことには、なかなか根絶がむずかしい状態に相なっておるのではないかと考えております。
#69
○横川正市君 私は、これは起こってしまって、あわ食ってああだこうだ、あとから理屈つけてしまっても、それは仕方のない問題だけれども、今は、もうこれは昔のように、隊員というのは部隊の中に閉じこもっておるわけじゃないのですね。毎日々々外へ出て行くのですよ。そういう意味では、入る者も、出て行く者も全く自由なわけですから、これはもう十分対策を立てておかないと、持っていって迷惑をかけて、持ってきて不祥事が起こるというようなことになるわけですから、この点は十分ひとつ気をつけていただきたいと思います。
 それから、時間がないので急いでやりますが、最後に、最近、神戸の港外の旅客船との衝突問題で、新聞記事が出ておりますが、この新聞記事のとおりだとすると、非常に遺憾だと思うのです。実は私はこういう経験があるのです。選挙のさなかだったわけですが、ちょうど事故現場、これは土砂くずれの事故現場から六キロないし七キロ離れたところに、何時から何時までに事故の実際上の被告を取り片づけもできるから、何時以降は通れますという掲示が出ておったのですね。それで、私は、選挙のときですから、いわゆる看板をつけたやつですよ。それでずっと来たら、ところがその事故現場に行くと、トラクターががけの下におりて、それを上げる作業を自衛隊がやっておったのです。それで、そのうしろのほうに両側から車が百台か百五十台ずつずっと続いているのですよ。どうしたのだと言ったら、もう数時間そういう状態で放任されておる、こういうことなんです。私、それを上がるのか、上がらないのかと現場を見たら、トラクターを上げるには、それは全然上がらぬような処置で、上げているわけじゃないのです。何となく機械を動かしてみたり、おろしてみたり、上げたりおろしたりしているので、全然上がるような状態にない。そこで、そのときの何か責任者である自衛隊の人に、百台も百五十台もあるのだから、これは一回全部通してしまったらどうなんだ。そう言ったら、言い分が、六キロか七キロあるところに、通っちゃだめだと掲示板出してあるのに、何で来たんだと、こういうふうに言うわけですよ。だから、それは掲示板が何時から以降通れるようになっておったのだ。そんなことはおれは知らぬ。そこへ来たおまわりさんが盛んに怒られているのです、何だお前は、というようなことで。それで、折衝して、ようやく、たまっておる車は通しましたけれども、私は、そのときは、実は少し隊員意識というものが、何といいますか、変な自尊心で、あるいは、もっと言い方をかえれば、もうお前たちのことは知らねえ、おれの任務は、これだけ上げればいいのだということでやっておるような状況だったので、これはいかぬというので、それは通したほうがいいよというので、一回りは通しましたけれども、そういうような気分、これは小さい気分だと思うのですけれども、自衛艦、護衛艦の当て逃げというところに出てきておるのじゃないかという心配をするのです。これは勘ぐりかどうか、そういう教育をしておらぬと思うのだけれども、たまたま最近の自衛隊の人たちは、一部にそういうようなことが生まれてきてないかと私ども心配するわけだけれども、ことにこの問題で端的に私が感じたのはそういう感じです。非常に遺憾だと思うのですが、大体事故のそのあとの始末と、それから隊としてはどういうふうにお考えになっておるかをひとつ。
#70
○説明員(小幡久男君) ただいまの御質問に対しまして、当時の事情を申し上げたいと思います。
 八月十四日の午前零時十分に、明石海峡におきまして、自衛艦のほうは、呉発横須賀向けの航路をたどってやって参りまして、それに対しまして、関西汽船の舞子丸は、神戸発高松行きの航路をたどっております。その際、自衛艦の航路筋を調べましたところ、あの辺は相当な急流もございまして、相当航路もむずかしいところでありますが、海図に示されております推薦航路と申しますか、そこが一番妥当であるという航路があるわけでございます。その航路筋に沿って行っておることは確かであります。この両船が出会った時分には、推定約三千メートルの距離があったと思われますが、その際に出会った姿勢は、自衛艦が舞子丸の右舷に緑灯を見た。これが相手の舞子丸が見える地点であったと推定されます。こういう状況の際には、海上衝突予防法によりますと、自衛艦のほうはまっすぐ行くべきもの、であるというように、権利船という態勢になっておるわけであります。また、義務船の舞子丸のほうが姿勢を転換する、こういうふうに海上衝突予防法では規定された姿勢になっておるものと推定されて、船長はそういうように判断しております。しかし、なお直進してきまして、千数百メートルの地点に参りましても舞子丸が転進いたしませんので、急遽警笛を鳴らしました。発火信号をしますとともに、エンジンを逆進せしめまして、急速なストップをかけたのであります。ところが、その努力が間に合いませず、軽い接触によりまして若干の負傷者を出したということになったのであります。ひき逃げをしたかどうかという点につきましては、決してそのようなことはございませず、直ちに負傷者の救助に向かいたいという発火信号を発すると同時に、ボートをおろしまして救難に向かおうとしたのでありますが、舞子丸のほうは負傷者があって直ちに神戸に帰りたいという返信がありまして、舞子丸はすぐに反転して神戸に引き返しております。「けやき」はそのすぐ跡を追おうとしたのでありますが、何せ、ボートをおろしておりますので、そのボートをおさめる時間等がかかりまして、約五海里の距離を置いて舞子丸の跡を求めて神戸港へ入港しております。すぐに舞子丸と連絡をしようとしたのでありますが、舞子丸は川崎重工の岩壁に入ったのであります。当時、あの辺は相当船込みもありますし、起重機等も多うございまして、夜中でありまして、なかなかその停船位置がつかめず、ようやく連絡がとれるまでに数時間を要するということでありまして、決して逃げたというようなことはございません。なお、その後直ちに海上幕僚監部から、責任者であります総務部長以下数名が負傷者の見舞を兼ねて現地におもむきまして、会社あるいは関係者にも了解を得、また、海上保安本部その他にもいろいろ連絡をしに参っております。現在詳細なことは海難審判庁、あるいは海上保安本部が調査しておりますが、最後の事態になってから以後の処置につきましての正確な判断は追って出ると思いますが、大まかな筋は以上申し上げたような点でございます。決して逃げたということはございませんで、御了解願いたいと思っております。
#71
○横川正市君 まあ変に自衛隊が悪いというようにとられるような記事を新聞が載せたとはちょっと思われないような情勢でもあるようですから、これは上級者の処置は今言ったように非常にいいわけですが、たまたまそういう場合に自己保身の問題も瞬間出てくるでしょうし、それからまあ日常胸を張って歩け歩けと言っていると、歩き過ぎるという問題も出てくるでしょうし、むずかしいことだと思うのですけれども、この点はぜひ注意をしていただきたいと思うのです。
 他に二、三質問を残しておりますけれども、時間がきておるので私のほうはきょうはこの程度でやめておきます。
#72
○下村定君 ただいまの横川委員の質問につきまして、私がふだん考えておることに触れる点があります。また、ある点におきましては、立場が違いますけれども、同感を表したい点もあります。これにつきまして簡単に御質問をいたしまして、長官の御意見を伺いたいと思います。
 第一は、安保条約に関連して日米両国間の緊密なる連携をはかるということでございます。今回承りますと、今後は原則として年に二回安保協議会を開く、また、そのことについても具体的手段を講ずるというお話でありまして、まことにけっこうだと思います。従来のことを見ておりますというと、もともと安保条約ができましたときに、日米両国はこの条約の運営を確実にするために常時、常時です、常に協議をするというのが最初の原案だったように思います。それが成案となりましたときには随時となっております。それでこれは文句の上だと言われればそれまででありますが、もう一つ考えることは、この随時協議のほかに事前協議というのがある、この事前協議ではたして条約にきめられていることが確実にできるかということは、実は私ども不安を持ちましたのです。それで随時協議ということが確実に行なわれるようにと考えておったのであります。また、少し詳しくなりますけれども、日米安保条約協議会というものは、日本から提案をされて向こうが同意したものです。そういういきさつもございます。ところが、常時が随時になって実際の運営においてはこれはもう申すまでもなく、これまで安保協議会は二回しか開かれていない。今回はまず顔合わせ程度だと、これではどうも私は不安にたえないのです。と申しますのは、この点はよほど緊密に提携しておきませんというと、情報の交換も確実にいかないと、また日本自体の自衛隊の整備ということについても非常に関係がある、ことに不幸なことでありますが、侵略を受けた場合にはたして共同防衛というものがもう寸分のすきもなくいくかという点において、私は不安を感ぜざるを得ないのです。安保協議会のいわゆる四人の方の首脳会談と申しますか、これがひんぱんに開かれるということは、他の理由から望みがたいかもしれませんけれども、少なくも一段下がったところでももう少し緊密にやっていただけないものかということを絶えず思います。その一端としましては、私はこの安保条約のできる前に、特別委員会におきましても、昨年の予算委員会におきましても、ことしもまあ名前はどうでもよろしゅうございますが、軍事小委員会の設置ということを関係大臣にお尋ねをいたしました。趣旨は皆さん御同意で、ただそれがどうしてできないかという点についての理由は、私はいまだに納得ができません。まあそれはそれとしまして、軍事小委員会にこだわるわけじゃありませんが、どうしてもこれはもう少し具体的に所要の機関を設けて緊密に連絡をする、そうすればいわゆる事前協議の繁を避けることもできましょうし、また、先般来起こっておりますような在日米軍の一部の移動というようなことも事前にちゃんとわかるのじゃないかと思う。まあそういう意味におきまして、今回の会合で一歩前進をしたということはまことにけっこうでございますが、どうかこの点ひとつ一そう具体的に推進して定例的にでもひとつ会合していただきたいという希望を持っております。長官の御意見、いかがですか。
#73
○国務大臣(志賀健次郎君) 先ほど横川先生にお答えいたしたのでありますが、先般の日米安保協議会におきまして、まあ今後緊密に連絡をしようということで意見の一致を見たのでありまして、まああわせてその具体的な方法を両国において研究しようということも意見の一致を見たのでありますから、やがて何かしら具体的な情報の交換なり、緊密化のあれが出てくると思います。また、そういう具体的な方法ができまするように最善の努力をいたす考えでございます。
#74
○下村定君 次は、兵器の国産化、防衛産業の育成ということであります。これにつきましては、私は本年の予算委員会において総理大臣、防衛庁長官、通産大臣お三方に対しまして、現在の情勢においてはただに自衛隊の装備を質量方面において充実をするという必要ばかりでなく、この兵器生産によって一般の技術工業の水準を臨める、経済上においても非常に大きな利益があり、また、輸出の振興にも寄与するであろう、そういう点から御質問を申し上げましたところが、実はお三方とも私が予想しておりました答弁よりもはるかに御理解のある答弁をいただきました。ことに佐藤通産大臣からは、さらに具体的にお答えもいただいたのであります。ところが、今質問応答を聞いておりますというと、どうもその点が少し一歩後退したような感じがするのです。もとより、私どもは国際連合の規約があるなしにかかわらず、現在の段階において日本から兵器を外国に輸出するなんということは、これは毛頭考えておりません。そういう意味でなく、兵器でない航空機なり、それから船なり、あるいは電気関係の器材、そういうものを促進するということは、これはもう非常にいいことじゃないかと、まあそういう意味から、志賀防衛庁長官は、防衛産業の育成ということにつきまして、ただいま私の述べました広い見地からどういうふうにお考えになりますか。
#75
○国務大臣(志賀健次郎君) 先ほど藤田課長からお答えいたしたのでありますが、まあ防衛生産を育成することは、これは日本としては必要なことでございます。防衛庁としては、防衛庁に与えられた任務として、防衛生産の育成に今後努力をして参る所存であります。
#76
○委員長(村山道雄君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#77
○委員長(村山道雄君) 速記をつけて。
 他に御質疑はありませんか。――御発言がなければ、本件の調査は本日はこの程度にとどめます。午前の会議はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時三十分休憩
   ――――・――――
   午後二時十分開会
#78
○委員長(村山道雄君) これより内閣委員会を再開いたします。
 行政不服審査法案及び行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案、以上一案を便宜一括議題とし質疑を行ないます。政府側から宇田行政管理政務次官、山口行政管理局長、山口行政監察局長、野木内閣法制局第二部長、真田内閣法制局総務主幹が出席いたしております。
 質疑のある方は、順次御発言を願います。
#79
○鶴園哲夫君 行政不服審査法案について伺いたいのですが、なかなかこれは大きな法案で、とてもちょっとやそっとで質問したり伺ったりするというわけにはいかないような気がするわけなんですが、こまかくまず伺っていって、最終的に大きなところを伺おうかと、こういうふうに思っておるところです。
 そこで、まず初めに伺いたいのは、これと関係があるのですけれども、行政管理庁の監察局で行なっておられます行政苦情相談所ですか、これが八つの管区監察局、それと各県にありますところの地方監察局に設けられて運営されておるわけですが、これが全国的に相当計画的に行なわれているんじゃないかと思っておるんですけれども、実情がはっきりわからないのです。したがって、この行政苦情相談所でやられました状況を伺いたいと思っておるわけです。まず年間どの程度の人間とどういうような計画でやっておられるのか、それをお伺いしたいと思います。
#80
○説明員(山口酉君) 苦情相談は大体出先機関が中心になってやっております。八つの管区行政監察局、それから各府県にあります行政監察局がそれぞれおおむね三、四名程度の職員を常時この仕事にあてております。そのほかに民間の方々を委嘱いたしまして、全国で市町村が三千六百あるわけですが、その約半分程度、千七百七十五名現在委嘱しておりますが、その方々がいろいろ問題を聞きまして伝達して下さる、こういうことで人員のほうはいたしております。監察の事務の合間にやるわけでございますので、おのずから監察事務が非常に量的に多くなって参りました際には、今申し上げました役所の側のほうの人員は多少減る場合もございます。大体計画というものは特にございませんが、一応いろいろ宣伝をいたしまして、こういう仕事をやっているということをいろいろラジオ、新聞その他政府関係の広報機関あるいは市町村等で出しております公報等を活用いたしまして、できるだけ周知徹底をするように努めております。そういうことで出て参りますもの、それからそのほかにやや計画的と申しますと、苦情がありましても距離の関係その他でなかなか役所に申し出にくいような事情もございますので、監察計画の合間を選びまして地方の都市へ出張をいたしまして、これは巡回苦情相談と言っておりますが、事前に市町村と協力をして、そういう仕事をやることを徹底させておきまして、そこへ出て行って苦情を聞く、こういうこともいたしております。それで、最近の苦情の出方と申しますか、苦情の受付の件数のほうから申しますと、昨年が一万九千余りございます。本年は半年でございますが、一万三千件余り、六月までで一万三千件余りございますので、二万五千を越すであろうと予想しております。さような状況でございます。
#81
○鶴園哲夫君 行政苦情相談所についてはこの委員会でも関心が高まっておりまして、何回か伺ったこともありますしするのですが、なかなか詳細にお伺いするという機会がないし、今回こういう行政不服審査法案が出て見ますと、これとの関係が非常に強いように思いますので今伺っておるわけなんですが、昨年が一万九千件で本年は二万五千件を越すのではないかというようなお話で、はなはだけっこうなことだと思っておりますが、もっと人数がふえたり、あるいはもう少し計画的におやりになっていただくと、さらに一そうこの面についての発展がはかられるのじゃないかというふうに思うわけですが、先般府県にあります行政監察局に伺いましたときに、こういう話を聞いたのですが、それは監察局の役所の中に苦情相談所という看板を掲げておきましてもこれではだめなんで、やはり市町村に行って、巡回をして、そして住民から話を聞くという、そういう中でほんとうにその行政苦情相談所というのは生きてくるのだというような話を聞いたことがあるわけなんです。その場合に、市町村に頼んで会場をあっせんしてもらってもまずい。それから市町村に頼んで住民を集めてもらってもいけない。やはりこちらから出向いて宣伝をし周知をさせ、そして会場等についても自分らでやるのだ、しかも町村役場の会議室を借りてもいけない、農協の会議室を借りてもいけない。そういうようなことをやっていれば住民のほうから意見が出にくい。また鶴まってきてもどうも芳しくない結果しか得られない。さらに会場における簡単な茶菓子等についても、市町村役場の御厄介になってはいけないのだ、非常に苦しい中だけれども行政管理庁のほうでやはり工面をしなければ、せっかく集まっても意見が出ないしするのだというような話を聞いたことがあるのです。なかなか非常にいい話だと思って感心をしたのですが、そういう形で行政に対します不服なりあるいは不満なりというものを相談をしておられるのだと思うのです。ところが、そういう感覚がだんだん上のほうの役所になってくると薄れて参りまして、これは各省ともそうだと思いますが、実際直接住民に接触している、あるいは農家に接触している公務員というのはそういうような非常に頭の働かしたといいますか、そういうようなやり方をやっているのだけれども、上になるほどだんだんだんだんそうでなくなるという感じを持っておるのですが、行政監察局長としてこういう面についてどういうふうに考えておられるのか伺いたいと思うのです。
#82
○説明員(山口酉君) 大体直接まあ苦情相談ということになりますと、直接行政が国民に密着する面に起こるわけでございまして、まあ大部分が管区地方という出先機関を通じて積み上げられてくるわけでございますが、これはまあ原則的な活動を申し上げましたのでございますが、中央の行政官庁の取り扱いにつきましても、これは問題があれば中央で受付をして取り扱いをする体制を持っております。まあこれは非常にケースとしましては少ないのでございますが、大体中央で直接民衆に接触するということは、行政の原則でないものですから、まあ大部分が問題は地方にある、かように考えております。しかし、お話のように、その地方で起こりましたものも、そのもとをただしていきますと、中央の方針にあるとか、あるいは地方で受け付けて中央で処理をするというようなものもございまして、結局地方で取り扱ったものは中央に上がってきて、中央で処理をされる、そういうものにつきましては、私どものほうの中央地方の系統を通じて処理いたしております。そのほうはかなりたくさんございまして、恩給の問題等になりますと、まあほとんど中央に上がってくるというようなことで処理をいたしております。まあ御質問の趣旨が実はよく理解できなかったかもしれませんけれども、中央においてもやはり問題はあることはございますので、それらについては中央のほうでその国民の苦情に対して答えるという体制をとっております。
#83
○鶴園哲夫君 この苦情相談所の実際の動きを現地で短い経験ですけれども、少ない経験ですけれども伺ってみて、国民の行政に対する不満とかあるいは不服というようなものは、容易になかなか出ないという私は感じを持つのですが、あったとしてもなかなか出にくいという感じを持つのですが、今度まあこういう行政不服審査法案というものが出て、内容を見てみまして、現実に行政管理庁でやっておられる行政苦情相談所で巡回していろいろ不満を聞く、あるいは不服を聞く、そうしてそれをできるだけ解決させていこう、こういう今度は非常にかけ離れた法案のようなふうに見とれるわけです。そういう矛盾は一体どこにあるのだろうかと思うのですけれども、どうですか。非常にかけ離れていると思うのですがね、この法案と。現実に今行政管理庁がやっておられる行政不服、不満、そういうものの解決のために努力しておられるその実情と非常に離れているように思うのです、この法案は。今新しくでき上がろうとする行政不服審査法というものによって一体行政の不服なり不満なりというものを解決していくのかどうかという点ですね。非常にかけ離れていると思うのですがね。これはこの法案を審議します最終的なところでもう一ぺん筋をただしておきたいと、こういうふうに思っておりますから、ただもう一つだけ今の問題について伺いたいのは、昨年一万九千件ほどあった、これは件数にしては非常に大きな件数だと思います。政府が出しておりますここ四、五年の間のこういうような、たとえば社会保険なり、健康保険なり、こういう問題についての不服の審査等の件数から見ましても非常に大きな数字だと思うのです。さらにまた、ことし二万五千件になるというのですが、もっとこの機構を拡充し、そうして積極的に先ほど申したように、非常な民主的なやり方で努力をされるならば、もっと大きな件数になるのではなかろうかと思うのですが、昨年一万九千件あった中で、これは行政管理庁としてその中で解決されたというふうに見られますのは、このうちどの程度のものが解決しているか、その点をひとつ伺っておきたい。
#84
○説明員(山口酉君) 昨年の、三十六年の一月から十二月までの一万九千件のうち約八千五百件はあっせんを行なって解決をいたしております。約五一%になりますが、そのほかのものにつきまして、あと残りの約半分は、これは苦情を申し出た側のほうが、法律を誤っておった、あるいは事実が違っておったというものであって、それを申し出てきましたときに、すぐこちら側ではわかりまして説明すると、それで納得されたというようなものが約半分でございます。その他は現在の制度としては、どうもやむを得ないというようなものがありまして、まあほかに訴訟をやっているとか、あるいは御承知のとおり、行政管理庁としては同一の行政についてやるわけでございますが、国の行政でない市町村の固有の事務であるというようなことで、市町村のほうに連絡をしてやるという程度しかできないというようなものが、その他のものでございます。
#85
○鶴園哲夫君 以上のことを大まかな前提にしまして、この法案の内容に入りまして、こまかく伺って参りますが、どうも法案全体を見まして、私非常にかけ離れた感じを持つわけです。訴願法とそう違わぬじゃないかという感じすら持つわけですし、どうも行政管理庁でやっておられるものとも非常にかけ離れておるような印象を持ちます。個々の中に入ってそれを具体的に感ずるわけですけれども、それはまあ総締めくくりとして伺いますけれども、まず初めに、この法案の中で今の問題と関連してやはり問題にしなければなりませんのは、今度の法案の中で教示制度を採用したと、これは答申の中に教示制度を採用するというふうに出ておるわけですが、ところが、具体的にこれが法案になりました場合に、一番最後の第三章補則というところの中に、この教示制度というものが入っておる。しかもこの教示制度は、何かその前にもばらばらに分割されまして入っておるのですが、これは条文の整理十、こういうことになったろうと思うのですけれども、何か教示制度を採用するというふうに大きくうたってはあるけれども、取り上げ方としましては、何かすみっこに追いやられたような感じを非常に強くするのですが、もっと教示制度というのを採用するように大きく取り出した以上、もう少しこれを大きく取り上げて独立の章なら独立の章にしなければならぬのじゃないかというふうに思うわけです。特に先ほど申し上げたような国民と行政との関係の状況というのは、先ほども申し上げたような実情にあるわけですし、この中で教示制度を活用していくということが非常に重要な内容をなすだろうと思うのですが、その場合に、こういうような形で何かすみっこに追いやられてしまって、しかも十八条、十九条というのは同じように教示制度の問題なんですが、ばらばらにされてしまって何か非常にあいまいな感じを受けるのですが、そうではないということなんでしょうか。その点をひとつお伺いします。
#86
○政府委員(山口一夫君) お話の教示制度は、今回の法案におきまして、国民と行政をつなぐ最も重要な手段であると考えております。したがって、私はこの法案の一つの柱であると考えておりますが、これが御指摘のように、筋三章の補則に規定をされておりますのは、教示制度が行政不服審査制度そのものの内容としてでなく、不服審査制度というものが第一章、第二章の規定で定められておりますような格好ででき上がっており、そのでき上がっておる不服制度と密接な関係を持つものとして、また、その不服審査制度を十分に発掘させる、その真価を発揮させる、そのための手段としてこの方法を設けたという意味におきまして、第三章の補則と、手続並びに総則と分けて規定をしておるのであります。さればといってこの制度がつけたりのものではなくして、制度それ自体といたしましては、私は非常に重要な制度であり、この運用につきましては十分法律の趣旨が徹底するように今後指導をして参りたいと考えております。
 なお、国民と行政との乖離、かけ離れているという問題につきましては、いずれ個々に御指摘をいただきまして、なお、私もその内容を十分に拝見いたしましたしてあらためてこちらの考えを申し上げたいと存じております。この制度それ自体が今私が申し上げるのが適当かどうか存じませんが、やはり行政庁の側と国民の側と両方が協力してこの制度を運用していく、生かしていくということが必要であり、そのためには国民の側に対して十分に趣旨を徹底する、十分に権利を伸長する機会なり、気持なりを与えてやることが今後必要である、かように考えております。しかる上において行政庁、国民両者相持ちまして、この制度の完全な運用をはかり、その目的を達成するように努力をいたしたいと考えております。いずれ具体的の御指摘を待ちまして、さらに考えを申しあげたいと存じます。なお、法制的の問題につきまして、第二部長から御説明をさしていただきたいと思います。
#87
○政府委員(野木新一君) 大体ただいま山口局長の御説明で尽きるわけでありますが、この教示制度につきまして十八条、十九条、二十条等にも条文を置きましたのは、それぞれの手続、それぞれの個所に、その段階に応じて置いたほうが適切だというのでこれは置いたものでありまして、五十七条以下は教示制度全般にわたるものでございます。しかもこの法律にいう不服申し立てのみならず、他の法令に基づく不服申し立て、これについても教示制度をしくのだというので少しふくらんだ点もありますので、やはりこの総則というより、むしろ別の章を設けまして補則というところに置いたほうが、決して軽視するという意味ではなくて、立法技術士適正ではないかと存じて五十七条、五十八条というように並べたわけでございます。
#88
○鶴園哲夫君 この教示は文書でやるのですか、それとも口頭でやるのですか。
#89
○政府委員(野木新一君) 教示は、まず原則は五十七条第一項にありまして、不服申し立てをすることができる処分を書面でする場合には、処分の相手方に対して一定の事項を教示しなければならない、そうしてこの教示は、必ずしもここでは書面で教示されるものではないと書いてありますので、ここでは教示自体は必ずしも書面でなければならないということになっておりません。ただ、第二項で、行政庁あるいは関係人から教示を求められたときは当該事項を教示しなければならないということ。それから第三項において、教示を求めた者が書面による教示を求めたときは、当該教示は、書面でしなければならない。そういうような仕組みになっておるわけでございます。
#90
○鶴園哲夫君 ですから文書、書面ではやらないわけですね、原則として。それで申し立て人のほうが文書で出した場合は、行政官庁は文書で出して念のためにとっておけ、文書で出したということを、教示したということをとっておけと、これだけのことでしょう。
#91
○政府委員(野木新一君) この五十七条で原則的には今申し上げたように書面でやる場合には、多くの場合は実際の運用におきましては、書面に書き添えて送る場合が多いと思いますが、この五十七条一項の規定それ自体としては、必らず書面でやらなければならないというところまでは御指摘のようになっておりません。
#92
○鶴園哲夫君 それからその処分をする文書に教示をしてあるということを原則とするのじゃなくて、何かいえばいいと、口頭でもなんでもいいからそういう非常にあいまいなものになりやしませんですか。教示の意味というのがここではっきり薄れるというのですよ、採用したというけれども、きわめてあいまいなものになりませんか。
#93
○政府委員(野木新一君) 五十七条一項におきましては、実際の運用におきましては、今でもたとえば、何か書面でいろいろ処分する場合には書く込んでおくということがありますので、行政管理庁側の指導で、なるべくそういうように動かす、そういうような実際の動きになっていくんじゃないかと存ずる次第であります。
#94
○鶴園哲夫君 せっかくですね、この教示制度というものを採用するというように出て、そうしてこの法案の中でも一つの新しい大きな柱になっておるが、しかし、実際は文書でするのか、口頭でするのかはっきりしない、文書でする場合もあるであろう、あるいは口頭でもいい、これはどっちでもいいわけですよ。だからせっかく処分書を出すのだから、それにちゃんと書き込んであればいい、これは教示するに一番いい方法だと思うのです。そういう教示するそのものすら、こういうあいまいな形でされたのでは、せっかく採用しても何だか妙なものになりゃしないかというように私は心配するわけですよ。文書の上では採用したけれども、法文の上では採用したけれども、口で言うのか、文書で出すのかはっきりしない、文書、処分書を出すのだから、それに書き込んでやれば一番はっきりするのですね、しかし、そういうようになっていないですね、それではせっかくの教示制度というもの、これを採用したのは、一つの大きな柱だと、こうおっしゃるけれども、何かしたという体裁だけにすぎないのではないかという私は気がするわけですがね。
#95
○政府委員(野木新一君) 書面でする場合は必ず書面で教示しなければならない、そういうように全部を義務づけてしまうのは、また実際の現状でもそれに違反した場合の効果はどうかという、いろいろな不備な点も起こったりしまして、いろいろそういう問題もありますので、今回の立案におきましては、原則はこうしておきまして、実際の印刷や何かの場合には、今言ったような印刷に書く、そういうような行政管理庁の善意の運用にまかせる、そういうような立場をこの法案ではとられておるのでございます。
#96
○政府委員(山口一夫君) ただいま説明のあったような趣旨でございますが、処分を伝達いたします場合、あるいは直接申請者が来て、そこで処分が申し渡されるというような場合もあります。いろいろな場合が予想されますので、一応全部書面ということにはなっておりません。しかし、お話のように、書面で処分の通知をするというような場合には、当然その処分の書面に添えて、同時に教示をするということにいたすべきだと思います。この点につきましては、今後各省が実施いたします場合、十分行政指導によりまして、この趣旨が徹底するようにいたしたいと、かように考えております。
#97
○鶴園哲夫君 重ねて申し上げますように、教示制度というものをとったけれども、この法案で見る限りにおきましては、はなはだしく精細を欠いてしまって、体裁だけのもののようになり下がる可能性が非常に強いわけでありますから、今山口政府委員のお話のように、ぜひそういうような行政指導でもけっこうですが、あるいはまた、これに基づいての政令なり、そういうものが出るかと思いますけれども、そういうものによって、やはりはっきりしておく必要があるのではなかろうかというふうに思います点を重ねて申し上げておきますが、行政指導だけでおやりになるわけですか、それとも政令なりそういうものによって処理されるというふうにお考えですか、何かこういう点がはっきりしない、はなはだあいまいになってしまいまして、口で言ってもこれははっきりしませんですよ。先ほど申しましたように、国民と行政との関係というものは、苦情相談所のところで申し上げたような実情ですから、ぜひひとつ大前提を置いてお考えいただく、これはやはり文書ではっきりつけなければ事実上有名無実になる、こういうように私は思うわけです。政令でやってもらうと一番はっきりすると思うのですがね。
#98
○政府委員(山口一夫君) ただいまの当方の予定といたしましては、本法案の成立いたしました直後に政令並びに関係の省令を引き続いて出す準備にとりかかるつもりでおります。その際、各省の省令におきましては、おそらく相当詳細に様式その他の手続が規定されることになると思います。御発言の趣旨は、十分にその段階において、省令なり政令なりの形の上に乗せ得る限り乗せます。また、そこにどうしても乗せられないというような問題につきましては、今後各省を通じまして、行政指導によって、その趣旨が徹底するように努めたいと考えております。
#99
○鶴園哲夫君 次に、第四条、答申では第三の(6)「内閣、主任の大臣又は外局の長の処分で、高度の政策的な見地から行なわれるもの」。これについては不服申し立てはできない、こうなっているのですが、これは条文ではどこに出てくるのですか。
#100
○政府委員(野木新一君) 御指摘の点は、この行政不服審査法それ自体には出ておりませんで、この各それぞれの法律において、こういうような趣旨のときには、たとえば行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案の、一例をあげますと、証券取引法の「第百五十五条に次の一項を加える」。として、「前項第二号の規定による処分については、行政不服審査法による不服申立てをすることができない。」これはたしか証券取引所の売買の、取引の停止の処分をするといったことであります。これは、非常に高度な政策的見地からやるというようなことでありまして、この不服審査法による不服申し立てば認めないということになっておりまして、それぞれの法律によりまして、この趣旨に合したものについて規定しているわけでありまして、不服審査法――本法自体には一般的には取り上げておりません。
#101
○鶴園哲夫君 この法案の第五条の一号ですか、ただし書きのところに、「処分庁が主任の大臣又は外局若しくはこれに置かれる庁の長であるときを除く。」第六条の二号、「処分庁が主任の大臣又は外局若しくはこれに置かれる庁の長であるとき。」を除く。少なくとも国務大臣なり外局の長がやった処分に対しては異議の申し立てができない、あるいは審査請求ができない。――これは一体どういうことなんです。法令に基づく限りにおいては、法治国である以上、これを長官に対してもあるいは大臣に対しても不服は申し立てできないということじゃ話にならない。そういうふうに私は率直に受け取ったんですが、そうじゃないんですか。たとえば外局長官というのは、これはほとんど外局長官ですよ。外局長官がたくさんおりますがね。この外局長官が出した処分に対しては異議申し立てはできない、不服は言えない、こういうばかげたことがあるのかというふうに私は受け取るのですが、間違いかどうか。
#102
○政府委員(野木新一君) ただいまの御質問の点につきましては、結論的に申し上げますと、主任の大臣、外局もしくはこれに置かれる庁の長であると、これにつきましては、六条第二号の規定によりまして異議申し立てができるわけでございます。ただ、そういうものでありましても、それぞれの法律で――黙っていれば異議申し立てになりますがが、特に、たとえば外局の長のような場合には、主務大臣に持っていったほうがいいという場合には審査請求ができる、というふうに法律に書いてある場合には、第五条第一項で、「前号に該当しない場合であって、法律に審査請求をすることができる旨の定めががあるとき。」、六条でいいますと、そのただし書きで、「第二号の場合において、当該処分について審査請求をすることができるときは、法律に特別の定めがある場合を除くほか、することができない。」こういうふうになりまして、両方かみ合わして考えてみますと、普通の場合ならば、大臣がまず処分をやった場合には大臣に異議申し立てができる、外局長官の場合には外局長官にできると。ただ、特別の場合に、大臣がやったものでも、第三者機関を設けてそっちに――独立の機関のようなものを設けまして、そっちに再審査させたほうがいいという場合には、大臣の処分でもそれに対して審査請求できるという法律の規定がありまして、そういう場合には大臣の処分でも審査請求ということはあるわけでありますが、そういうことがない限りは、この六条の二号によりまして、少なくとも先生のおっしゃったように、そこへ異議を申し立てるということはできることになっておるわけでございます。
#103
○鶴園哲夫君 それは非常に少ないいんじゃないですか。大部分のものはできないんじゃないですか。――この答申の第三の(6)というのは、できないと。だから原則はできないんじゃないですか。ただ例外的にできるんじゃないですか。答申の趣旨はそうでしょう。できない……。
#104
○政府委員(野木新一君) 答申の第三の(6)ですね、「内閣、主任の大臣又は外局の長の処分で、高度の政策的な見地から行なわれるもの」と、これでございますね。これは、内閣、主務大臣または外局の長の処分のほかにプラス・アルファ、高度の政策的見地から行なわれるものということでありまして、内閣及び主任の大臣または外局の長の処分、それすべてが同一項に当たるという意味合いではありませんわけでございます。したがいまして、この法律案におきましては、原則的には今いった大臣の処分、外局の長の処分でも異議申し立てができる。ただ、異議申し立てば処分をやった同じところへやりまするから、どこか別の機関、第三者機関があるような場合、さらに公平な機関がある場合はそっちに行く。こっちの法律は、やったところへ審査請求ということになりまして、これは原則的には全部そういうことになっておるわけです。特に先ほど申し上げたように、高度の政策的といった、非常に例外の場合はできないとしてあるわけでございまして、できないと書いてない限りはできると、そういうことになっておるわけであります。
#105
○鶴園哲夫君 そうすると、私の受け取り方と逆であって、大臣あるいは外局の長官がやった処分でもできるんだと、ただできてないのは、処分で高度の政策的な見地から行なわれたものはできないんだと、こういうわけですね。
#106
○政府委員(野木新一君) さようであります。そうして、そういうものは一々それぞれの法律書いております。
#107
○鶴園哲夫君 それでも、どういうわけで高度のはできないんですか。国民から見れば、これは高度であろうと何であろうと、不服がある。国民が被害を受けた、そういう場合になぜできないのですか。
#108
○政府委員(野木新一君) 一面ごもっともの御意見と存じますが、高度の政策的なものはやはりいろいろの事情を勘案しまして練りに練ってやる場合が多いのでありまするから、それに対してこの手続の不服審査申し立てを認めましてもあまり実益がないのじゃないかという点で除いたわけであります。それはほかにたとえば陳情とか請願とかあるいは非公式のいろいろの道でやったほうがいいじゃないか、こういうような法的手続については必ずしもそういうものは親しまれないのじゃないか、そういうような考え方から出ておるわけでございます。
#109
○鶴園哲夫君 要するに、主任の大臣なりあるいは外局の長官、外局の長官というのは多いですからね。たくさんおりますよ、雨後のタケノコみたいに。まあ、いずれにしてもその大臣なりあるいは外局の長官というものがやったものは、高度の政策的見地からやったものに対してはこれは不服を申し立ててもだめなんだ、結果的に。だから請願かあるいは陳情とか、そういうものでやれというふうにも裏返すと言いたくなるんですね。結論的には、そういうことじゃないでしょうかね。
#110
○政府委員(野木新一君) そういうような、まあ非常に上のほうの機関が両度の政策的見地に基づいてやるという処分は、もうそのとき慎重にいろいろのデータを調べて利害関係を調整して決断を下してやるわけでありまするから、不服申し立をしてみましても、この法律のような手続による審査などしてみましても、もう新たに資料も出ることも少ないだろうし、それがくつがえるということも決してない。かえってそういうことによっていろいろこういう法的な手続によって訴えをするのはどうか。あまり実益がないのじゃないか、そういうような見地から立案されてあるわけであります。
#111
○鶴園哲夫君 私は、あとでいろいろこまかくたくさん出ますが、こういう一例を見まして、一つの例をとってみましても、この行政不服審査法案というのが国民の権利なりあるいは国民を救済するというところに重点はなくて、上級官庁が下級官庁を統制し、監督するというところに重点があるという、そういう結論がやはりこういうところから出てくるんじゃないでしょうかね。そういう私は感じがしますね。ですから国務大臣がこの提案理由の中で、国民の利益あるいは救済のために重点を置いたとおっしゃるけれども、それは前よりも置いておるけれども、しかし、やはり重点は、こういうところにはっきり出てくるように、上級官庁が下級官庁の指導監督きあるいは監査そういう面にやはり強い心棒が入っているというような印象を受けるわけですが、それはあとの総括でもう一ぺんこの問題むし返しますけれども、次に、同じところで、概括主義をとったということで非常によくなったというお話なんですが、第四条に列挙してあります一号から十一号までの間を見てみまして、この中でこれは一、二、三、四というのはもう書かんでもわかった話みたいなもんですが、ただ、八とか九とか十、あるいは十一ですね、こういうものを対象から除いたということがどうもおかしいように思うのですけれどもね。八、九、十、十一ですね。こういうものを認めてもいいじゃないか。不服を認めてもいいじゃないかというふうに思うのですがね、いかがでございましょうか。例をあげてもよろしゅうございますよ。八、九、十、十一、具体的な例を一つ取り上げてみても、これはやはり行政庁に対して不服を申し立てていいじゃないか、なぜこういうものを暫くのか、こういうことです。その点について……。
#112
○政府委員(野木新一君) 八号につきましては、これは一番典型的なのは、学校において行なわれるところの処分であります。これは非常に教師というものに密接な関係がありまして、たとえば懲戒処分なども一種の教育の一環として行なわれるということになりますので、これは全然それに不服申し立てを法律上禁止するという意味じゃありませんで、この手続の不申し立てというのは、やはり一般的に親しまないのではないか。教育という、そういう見地から見た何か適当な申し立てでも考えるならば考えてもよいので、必要であるならば考えてもよいので、この一般的な不服申し立てには親しまないのではないか。そういう趣旨から除かれたわけであります。
 第九には刑務所において行なわれる処分。これは、刑務所における処分などは、現在の古い監獄法では情願という制度がありますが、刑務所関係の法律は、目下法務省で全面的改正を検討中でありますが、これも刑務所という一つの特殊なところにおける処分でございまするが、これも刑務所における教化という点と密接な関連を持っておりまするから、そちらの法律で適当な措置を考えたほうが適当であり、この一般的な不服審査制度に乗せるのはやはり不適当ではないかという考え方です。
 それから、十の「外国人の出入国又は帰化に関する処分」。これもまた非常に特殊なものでありまして、ことに外国人の出入国に関するものにつきましては、現在この法律よりも詳細な出入国管理令ですか、ができておりますし、まあそれによってよいのではないか。帰化に関する処分というのは、これは全く自由裁量的のものと考えておりますので、非常に特殊なものでありまするから、これも一般的なこういう不服申し立てに乗せなくて、もし必要ならば何か別のほうへ譲ってはどうかということであります。
 それから、十一の「もっぱら人の学識技能に関する試験又は検定の結果についての処分」。これも非常に特殊なものでありまして、これも、この一般的なこういうような不服申し立ての制度に乗せるのはやはり適正を欠くのではないかという点から除きまして、こういうものにつきましては、それぞれのものにおいて何らかの制度が必要かどうかという点は、それぞれその特殊の分野において考えてもらいまして、この法律といたしましては、第四条二項におきまして「前項ただし書の規定は、同項ただし書の規定により審査請求又は異議申立てをすることができない処分につき、別に法令で当該処分の性質に応じた不服申立ての制度を設けることを妨げない。」、そういうふうなことになっているわけで、そういうような考え方でできておる次第でございます。
#113
○鶴園哲夫君 ただ、この行政不服審査法案の中で、こういうものはできないのだという言い方、ただし書きがついていて、二項に、法令で性質に応じてと、こういうことになるのですが、ここでこう掲げてしまうと、こういう非常な断定を受けるわけです。一般法でこういう取り扱いを受けると。しかしまた、それぞれの法律でできると、こういうのですね。ですから、原則はできないということなんでしょう。
#114
○政府委員(野木新一君) できないということは、この法律案で書いてあるようなこういう手続に従って、というような不服申し立てはできないということでございまして、別個のその処分の性質に応じた何かあれを立てるならばそれは別問題ということでありまして、この法律には取り上げないというだけのことで、別にほかにその処分の性質に応じたものを規定してはいけない、そういうことまで言っているわけじゃ決してございません。
 なお、帰化の点につきましては、先ほど申し落としましたが、諸外国の例におきましても、これについては、別に不服申し立てという制度は認めておらないようでございます。
#115
○鶴園哲夫君 私は、これは第四条の一、二、三、こういうものと比較してみました場合に、それとの関連で、これを一緒にここへ載せるということはどうも穏当を欠くように思うのですね。これで見るとできないような形になる。ただ、うしろのただし書きで、ほかの法令でその性質に応じた不服申し立てばできる、妨げないという言い方ですけれども、こういうものについてもできると言っても何も差しつかえないじゃないでしょうか。法律であるわけでしょう。ほかの法律でこまかく規定したものもあるでしょうけれども、刑務所において、あるいは少年刑務所において侵害されたというものに対して不服の訴えはできない、この行政不服審査法ではできないというような規定をする必要はないじゃないかと私は思うのですが。
#116
○政府委員(野木新一君) その点は、先生のおっしゃるような言い方も一面あるだろうと存じまするが、やはりこの不服審査法は一般的な不服審査制度でありますから、こういうようなきわめて特殊なものにつきましては、やはりこのような一般的不服審査制度でいくのはあまり適当ではなかろうという議論が強くて、今度の案はこういうようになった次第であります。
#117
○鶴園哲夫君 次に伺いますのは、不作為に対する異議申し立てですね。これは確かにこういう新しい制度を設けられたことは一歩前進だというふうに思うのです。実際の行政を見てみた場合に、法律に従って申請は出したが、いつまでもほうっておかれるということが行政上非常に大きな問題であることは言うまでもないことでして、それに対して、こういうような不作為に対して異議の申し立てができるということは大きな前進だというふうに思うのですが、しかし、内容を見てみますると、非常にあいまいになりましてね。これもどうも羊頭狗肉のような感じが強いですがね。したがって、ちょっと伺いますが、第二条の第二項ですが、「この法律において「不作為」とは、行政庁が法令に基づく申請に対し、相当の期間内になんらかの……すべきにかかわらず、これをしない」、相当の期間すべきにかかわらずこれをしない、これはどういうことですかね。こういうふうなことを入れっちまうと、相当の期間すべきにかかわらずこれをしない、これで死んだようなものになりはしませんかね。どうですか。
#118
○政府委員(野木新一君) 「相当の期間内」という点が、あるいはもっとここに期間をきめたらどうかというような御意見を背後にしての御質問かとも存じまするが、そういう考え方も意見としてはあり得ると存じますが、何分今の行政上の処分その他公権力の行使に当たる行為というのは非常に千差万別でありまして、一がいに幾日の期間ということを限るのはやはり実情に適しませんので、相当な期間というのはやはり客観的に見て相当な期間というのでありまして、おのずからそこにわかるのではないかという考えてできておるのでありまして、そうしたためにこの規定が全然意味なくなるのではないか……、私どもはそう考えておりませんで、これでやはり現在の段階においては相当威力を持つ規定である、このため行政庁がやはり何ら特別の理由なく漫然と処分などを遅滞しておくということは、この規定があるために、そういうことがないように努力して、行政などの改善に資することになるのではないかと存じておる次第であります。
#119
○鶴園哲夫君 これは国民が客観的にどうというのでなくて、官庁の側の問題ですからね。判断するのは国民の側でなくて、官庁の側だから、相当の期間すべきにかかわらず――「相当の期間」という言葉が入ってしまうと、これははなはだしくこれまた精彩を欠いてしまうというように思うのですが、これを受けて五十条に「異議申立てがあった日の翌日から起算して二十日以内に、申請に対するなんらかの行為をするか、又は書面で不作為の理由を示さなければならない。」と書いてあるのですが、これは二十日以内にしない場合はどうなりますか。しない場合は、それに対して重ねて不服審査ができますか。
#120
○政府委員(野木新一君) このしない場合におきましては、さらにまた、今言った不作為についての不服申し立てを繰り返して何回も催促することができるわけでございます。
#121
○鶴園哲夫君 それはどこにそういうのが書いてありますか。
#122
○政府委員(野木新一君) 第七条に、「行政庁の不作為については、当該不作為に係る処分その他の行為を申請した者は、」不服申し立てできるということがありまして、これはやはり一定の条件のもとにおいて申し立てるわけでありますから、それに対してまた日がたてば、またそこに新しい条件が生ずるわけでありますから、また、それに新しい不服申し立てができる、こういう考えでございます。
#123
○鶴園哲夫君 それじゃ次から次に出せる……。
#124
○政府委員(野木新一君) さようでございます。しかも第五十条は、今言ったように、異議申し立てでありまするから、不作為庁であって、不作為をしているその庁ですから、工合が悪いということが心配があるならば、五十一条の上級のところに、審査庁に出すこともできますから、そうすると審査庁のほうは上級官庁でありますから、それを見てまた下級のほうに不作為庁に対して「すみやかに申請に対するなんらかの行為をすべきことを命ずるとともに、裁決で、その旨を宣言する。」という規定がありますから、この両者の活用によってその間は運用よろしきを得ていくのではないかと存ずる次第でございます。
#125
○鶴園哲夫君 次に不服申し立てについて、第九条、これは原則として書面になっておりますね。これは書面でなければならないのですかね。口頭でやれるようにしたらいいんじゃないかと思うのです。国民の顔見たって何ということないでしょう。国民の顔を見て話を聞いたらいいだろうし、国民の顔を見て受け付けてもいいだろうし、審査をしてもいいだろうと思うのだが、国民の顔を見るのがいやなような感じがするのです。どういうわけで、原則として書面審査とするのですか。しかも、他の法律で口頭でする旨が定めてあるものをそれは除くと書いてあります。それですから、むしろ口頭でするということ、口頭でできるということ、それを前進したほうがいいのじゃないかと思うのですが、どうもこれは、原則は、あくまでも書面の審査だと、書面による不服申し立てだと、こういう形にとれるのですがね、これはどういう思想なんでしょうかね。考え方ですね、国民と面と向かうのがいやなのかどうか。
#126
○政府委員(野木新一君) 九条の規定は、御指摘のように、個々の法律で、たとえば社会保険審査官及び社会保険審査会法などにはそういう規定がありますが、そういう場合は例外で、口頭でできるけれども、何もそういうことが書いてない場合には雪面でしろと、こういうことになっておることは御指摘のとおりであります。その点は、御指摘のように、全く御意見のようなことも十分成り立つと思いますが、やはり、どうも、こういう争訟手続と申しますか、一定の事項をもとにしてどんどん手続が発展していくという場合におきましては、明確を期するということが、やっぱり一面に非常に大切でありますので、どうもやはり不服申し立てというスタートではっきりしておかなければ、あとの手続がいろいろ混乱して、ごたごたになるとかえって遅延することがあるのじゃないかというようなことから、原則的にはやはり書面でやらせる、そういう建前をとっておるわけであります。
#127
○鶴園哲夫君 何か事態が進展しておる中で、書面で固定した形で審査しようという感じを受けるのですが、これは十六条の口頭で審査請求する場合には、陳述を受けた行政庁は、それの内容を録取してこれを陳述人に読み聞かせて誤りのないことを確認して、陳述人に押印させる、と書いてありますね。こういう処置をすれば、何も動いておっても差しつかえないじゃないですか。書面でしなくて、口頭で言ったのを書いて、判こをつかして確認しておけば、今おっしゃったことだけでは、あくまで書面審査が原則だということにはならないのじゃないかと思うのですがね。
#128
○政府委員(野木新一君) 十六条には、御指摘のような規定がございまして、これは口頭でできるというような場合を前提にして置いたわけであります。口頭でする場合は、どうしてもこういうようなことにしなければ明確が保たれないということで、こうしたわけでありますが、しかし、これを一般に広げるにつきましては、なお何といいますか、すぐそこで口頭で申し立てができるというのは、たとえば社会保険審査官及び社会保険審査会法などで認めておるのは、そういうような何か一つの類型とか、割合型がきまったやつに親しむのじゃないかと思います。ところが、一般には、いろいろ千差万別がありますから、それを何といいますか、すぐ連れてきて、そこで口頭で録取するといっても、なかなかまとまらなかったりして、かえって手続がおくれるのではないか、やはり自分が不服を申し立てるのですから、自分でひとつ考えてまとめてきてもらって、はっきりさしたほうがやはり間違いが少ないし、全体として早くなるのではないか。そういうような思想に出ておるわけでありまして、やはり全部にすぐこの段階において口頭受付を認めるというのは、やはりいろいろ問題があるということで、こういうことになった次第でございます。
#129
○鶴園哲夫君 私は冒頭に、行政監察局でやっておられる国民の行政に対する不服なり、不満なりというものを、どういう形で行政監察局が把握をされ、解決されておるかという具体的な事実を申し上げたわけなんです。文書で書いてこいというような制度で、これは行政不服なり、あるいは不満なり、あるいは国民の行政によるところの被害を救済できるか。これは非常に大きな問題だと思うのです。一個の独立した人格を想定したこういうもので処理し切れない問題が日本の実情じゃないかと思うのですがね。ですから、役場の会議所を借りたのじゃものを言わない。役場の町長さんなり助役さんの顔があるから、その前ではものを言わない。あるいは、町長さんがかり集めたのでは、町長さんのお気にいることしか言わない。だから、行政官庁がみずから行って集めなければいけない。茶菓子も役場が持ったんでは、ものが言い切れない。こういうような実情にあるのじゃないでしょうか。その場合、書面で持ってこい、書面で持ってこいという一本やりの原則論で押しまくるということは、これはどうもせっかくの行政不服審査法案が泣いてしまうということになりはしませんですかね。しかも、先ほど私があげましたように、十六条にあるように、口頭で述べさせて、何べんも聞いて、そして要領のいいように話を取りまとめて、そしてそれを文書にして、これでこういう不満なんだという程度のものはあっていいのじゃないかと思うのです。私もかつて公務員を長年やっておりまして、来るのですね。なかなかわからないですよ。しまいには、通訳を連れてこなければならぬ言葉も出てくる。福島の人が来ると、これは福島県人を連れてこないと理解つかない。文章に書けないのです。そういうような問題は、これはきわめて少ない例じゃないと思うのですね。そういう場合に、全部文書だ、原則は文書だ、あくまで、というような話では、どうも、せっかく口頭のものも相当出ておるわけだし、数型的とおっしゃいますけれども、相当出てくるわけですし、口頭でもできるんだ、どっちでもできるんだという程度の気持があってしかるべきじゃないかと思うのですけれどもね。どうでしょうか。原則論一本でいきますか。原則はあくまで文書だと。それで不満があれば出てこいということになるのです。これは私は非常に不親切だと思うし、こういう点からも、どうも行政不服審査法というのは、官庁内部の監査、上級官庁が下級官庁を監査するという点に重点があるのじゃないかという気がしてしようがない。いかがでございますか、文書と口頭とどっちでもよろしい……。
#130
○説明員(山口酉君) お話の点は、また行政指導の問題になると存じますが、申し立てを文書でするということは、野木政府委員からもお話がございましたように、赤松に準じた手続であります。ことに、期間の問題その他につきまして、相当明確を期するということが必要であるために、文書に残すというための趣旨でございまして、そのために、しかし非常に本人が字が書けないとか、あるいは口で言ったほうがわかりやすいというような事情が、むろん、いろいろな場合ですからあると思います。その場合に、一定の用紙に住所あるいは申立事項等につきましての欄を設けておいて、そこに任意申立事項について本人の言うことを書いてその文書を出すというようなことは、場合によっては考えられると思います。ただ、あくまでも手続の出発でありますので、だれが、いつ、どういう内容の申し立てをしたということを一応最小限度のことはまず出発においてはっきりさしておくことが、後々の手続の通行上必要であるということで第九条の規定があるというように解釈いたしております。それ以後の審理の過程におきまして書面審理をとりましたのは、これまた簡易迅速を期するということが唯一のねらいでありまして、決してめんどうな書面をたくさん取り寄せて、それによって審査するということではないのであります。そのために口頭審査の道もあわせて開かれておりますし、また、審査人の口頭で言ったものを筆記して、それを文書に残すというような方法も考えられておるのであります。もし、これを文書によらないで審査が全部進むということになりますと、場合によりましては、本人が処分庁まで、場所によっては遠いところまで出かけていかなければならぬということも起こりますし、また、そのために往復の経費、日数等もかかるというような、本法の立案の趣旨である簡易迅速に反する面がかなり具体的に起こってくるおそれがございますので、書面によって、書面さえ出せば、あとは役所のほうで書面によって審査をし裁決をする、決定するというのが、この法案のねらいでございます。決して、お話のように、繁文縟礼の意味で書面を出させるという趣旨では毛頭ない、かように考えております。
#131
○鶴園哲夫君 私は、文書でも、それから口頭でもいいのですが、しかし、口頭でいいといっても、口で言いっぱなしというわけにはいかない。それは第十六条というような形で、口頭で言ったものを役所の側が書いて、それを本人に見せて、そして、それに捺印して申し立てる、こういうやり方にしなければ、口頭で言いっぱなしでは話にならぬわけですから、ですから、そういうような口頭でもいい、文書でもいいという形のものでいいのじゃないか。それを書面を原則とするという言い方ではきついというように思うのですが、いや、まあ、その点は若干見解の相違のような点も感じますけれども、二十五条で、「口頭で意見を述べる機会を与えなければならない。」となっておりますが、これはどの程度の意見を述べられるのですか。書面が原則なんですね。書面審査、書面申し立てが原則。その場合に、機会を与えねばならぬというのですが、どの程度のものを与えるのですか。
#132
○政府委員(野木新一君) 審査請求人の申し立てがあったときには、申立人に意見を述べる機会を与えなければならぬということになっておるわけでありますが、これはやはり申立人は一定の、たとえば不服を申し立て、自分の主張が通るために必要な限度、それから自分の申し立てとかけ離れたということは、もちろんできません。その申し立て々通らせるに必要な限度であるならば、やはり意見を申し立てる機会々与えなければならないのではないかと存ずる次第でございます。
#133
○鶴園哲夫君 この執行停止の問題ですね。これも新しくというのか、非常にいい考え方だと思うわけで出ておるのですが、これも執行停止のやつを見てみると、前の訴願法とそう違わないように思うのですが、三十四条と三十五条、これは実際上、その三十四条の四項ですね、これを見てみるというと、これは訴願法の十二条とそう違わないのじゃないですか。執行停止ということが書いてあるけれども、実際上は訴願法十二条とたいして変わらないということになるのじゃないですか。執行停止というのはどうも羊頭狗肉の感がありますね、これは。そうじゃないという説明々伺いたいのですがね。
#134
○政府委員(野木新一君) 御指摘の、訴願法十二条におきましては「訴願ハ法律勅令ニ別段ノ規程アルモノヲ除ク外行政処分ノ執行ヲ停止セス但行政庁ハ其職権ニ依り又ハ訴願人ノ願ニ依リ必要ナリト認ムルトキハ其執行ヲ停止スルコトヲ得」こういう規定になっているわけでございます。本法におきましては、だいぶ、六項に分けて書いてあるように、いま少しきめこまかに規定したわけでありまして、第一に、その執行の停止といっても解釈上いろいろ疑問がありますので、処分の効力、処分の執行、手続の続行とか、こういうように詳しく書いているのであります。そうして四項におきまして審査請求人の申し立てがあった場合においては、そこに書いてあるような場合にはまず原則として審査庁は執行停止をしなければならない、こういうような規定を置いてあるわけであります。すなわち、「処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる回復の困難な損害を避けるため緊急の必要があると認めるときは、審査庁は、執行停止をしなければならない。」現行法におきましては「必要ナリト認ムルトキハ其執行ヲ停止スルコトヲ得」といったような書き方でありますので、こっちはともかくこういう場合には執行停止をしなければならない、一応原則的には義務づけてあるわけであります。ただ、ただし書きがありまして、「公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき、処分の執行若しくは手続の続行ができなくなるおそれがあるとき、又は本案について理由がないと認めるときは、この限りでない。」と、こういうような規定はありますが、ともかく回復の困難な損害を避けるため緊急必要があるときは執行停止しなければならないというような性質になっております。ですから、こういう精神は、たとえば税法のような場合の法律におきましても、たとえば公売処分のような、物を売ってしまう、こういうようなものはそれぞれの法律でやはり今度のこういう執行停止の精神をくみまして公売を停止しなければならないとしまして、ただ腐敗しやすいようなものはしようがないからこれは公売してもいい。そういうように、さらに特別の規定を置きましてその精神をさらに生かした、そういうようなことになっているのであります。現行法に比べますれば、やはり数段の進歩ではないかと存ずる次第であります。
#135
○鶴園哲夫君 いや、訴願法十二条とこの三十四条のこまかく詳細に規定していることを比較した場合には、そんな進歩はない、これは手続の続行によって生ずる回復の困難な損害を避けるために緊急の必要がある場合、こういう場合は訴願法の十二条だって当然そうなるでしょうし、こういう大きなただし書きがついてしまったらこれはどうにもならないですね。ですから、執行停止という条項を掲げているけれども、これはやはり羊頭狗肉の感があるのですね。数段の進歩だというお話でありますけれども、そういうふうには思えないですね。さらに執行停止の申し立てをしても、執行停止しないという決定をした場合には、これに対して不服の申し立てができますか。
#136
○政府委員(野木新一君) 本案では、これに対してたとえば特別の不服申し立てをするという点は認めておりません。ただ執行停止が違法だという場合には訴訟という道は残されておりますが、本案としては格別なあれは認めておりません。
#137
○鶴園哲夫君 せっかく執行停止という項を掲げて、こういうしかも……、それでは、訴願法の十二条よりも数段進んでおるというお話なんですけれども、問題は、執行を停止しないという決定をした場合に、それに対してさらに異議申し立てができないということでは、これはもう前とあまり変わらぬじゃないか、訴願法とあまり変わらぬじゃないかということにいよいよなってくるのじゃないでしょうか。
#138
○政府委員(野木新一君) 訴願法と異なりまして、こういうように詳細に規定したゆえんのものは、やはり法律といたしましては、執行停止相当の場合には、やはり執行停止したほうがいいんだといううようなそっちのほうに前向きにできておる法律でございますから、これがやはり行政管理庁等の指導なりによりまして、この法律の精神をよく普及徹底さして、運用上よろしきを得れば、現在よりもはるかに効果があるのではないかと存ずる次第でございます。
#139
○鶴園哲夫君 執行停止の条項、前向きにできておるんですけれども、ただし書きがついたりしまして、まあ、あまり訴願法の十二条とそう変わらぬように実際上の運営はなるんじゃないかと思うのです。そこへもってきて、せっかくこういう条項ができるんだけれども、執行停止をしない場合に、それに対して不服が申し立てられない、それは裁判だというような突っぱなし方では、執行停止というのはどうもその名に値しないのじゃないかという感じがするわけなんですよ。ですが、まあ、そこの点も問題を残して、私としては残して前のほうに進みますが、もう一つは、せっかくこういう案がいろいろな、若干ずつ前進したような感じのする形のものが出てきておるんですけれども、一番重大な審査関係ですね、これが前と同じなんですね、進歩がないわけですがね、この面についてもっと根本的に考える必要があったんじゃないかというふうに思うのですが、これは昨日も山本委員がこの問題を取り上げて御質問をいたしたわけですけれども、こういう審査機関が新しく作られなかったという点ですね、これはどうも画龍点睛を欠く感じがするんですが、まあ、龍にもまだなってないんですけれども、何かちょっと非常に残念な気がしますね。どういうわけでこういう審査機関というものを作られなかったのでしょうか、その点を伺います。
#140
○政府委員(山口一夫君) この法律案ができますまでの過程におきまして、一年半にわたりまして許願制度調査会において、期間は比較的短かったのでありますが、いろいろ御検討いただいておるのであります。その間に組織の問題もいろいろ御議論があったように承っておりますが、あるいは当時委員会に出ておられました山口監察局長あるいは野木部長からも都合によっては補足していただきますが、私行政管理局長としての立場として考えます点は、この制度もやはりしばしば申しておりますように、簡易迅速ということを一つのねらいとして、それからまた、行政が非常に、特に最近におきましては内容が複雑多端になっておりまして、かなり各部門が専門化しておる。したがって、その当否を判断する場合に、純然たる第三者がすべての問題について判断するということにつきましては、その面からも一長一短があるというふうに考えます。それらの点から、当該処分庁あるいはその上級庁あるいはそれに準ずるもの、それ以外の純然たる第三者的な訴願庁というような構想が実現をしなかったのではないか。また、しなかったとすればそれにはそういう理由があるというふうに私考えておるわけでございます。したがって、簡易迅速を主眼とする不服制度といたしましては、やはりこういう制度で、現行の体制で、この法案にきめられましたような体制でやることが、さしあたり一番能率的ではないかというふうに考えております。
#141
○鶴園哲夫君 この行政処分が確定する前あるいは発効する前ならともかくとして、処分してしまったあとの話なんですからね。処分してしまったあとの話なんだから、これはどうも第三者機関で判断するというのが建前じゃないか。発効前あるいは処分前ならそれは行政内部で判断されてもいいけれども、したあとなんですからね。ですからそれにはやはり第三者機関というもの々設ける必要があるというふうに私は思うのですがね。前のことならいいですよ。きまったあとなんですから。黙っていればそのままいってしまう話なんです。それ々国民が不服である、不満であるという場合に、その行政官庁は、しかも上級行政官庁は手前で判断するというのですね。これはやはり建前としては国民のためというよりも、やはりどうも、それも入っているけれども、やはり上級官庁が下級官庁を監督する、統制をするという、そういう点がどうしても重点になっているから、第三者機関というものを置きたがらない。置かないということになるのじゃないでしょうか。簡易迅速という言葉もありましたけれども、それはまあ使いようの話であって、運用の仕方のものであって、やはり原則がそこにあるからそういうようなことになるのではないでしょうか。
#142
○政府委員(野木新一君) 御意見の中にはまことにもっともな点もあると存じますが、そのうちでまず中央に訴願庁とでも申しましょうか、一つの訴願全部をそこに集めるような機関を設けたらどうだという議論も、たしか審議会の過程においてあったわけでありますが、これはまた一面弊害もあるわけでありまして、訴願の、まあ訴願という言葉を便宜使いますが、見ようによれば、やはりその行政をやった専門的の人がやはりそれぞれ見るというのが簡易迅速の道にかなうものであるという点が一つあるわけでありまして、中央に統一的に訴願庁など設けると、全くこれは裁判所に持っていくのとたいして違わないじゃないかといった議論もありまして、それはどうもあまりおもしろくないじゃないかという議論が非常に強く、そこで今度は各省にそれぞれ、たとえば大臣なりが訴願を裁決したりする場合には、審議会のようなものを設けてその議に基づいてやったらどうかというような議論もありましたが、これもまたその省の職務といっても、また今の行政の実情を見ますといろいろなものがありまして、それをたった数名の委員だけにまとめる――今言ったような訴願庁を設けるといったことの利益がある反面、先に申し上げた不利益もある、その不利益をやはりしょってくるんじゃないか。また、しかも行政機構も煩雑になるし、簡易迅速という点から見ても少し遠ざかるんじゃないかというような議論もありました。そうしてそれもやはり支配的にならず、次にそれならば、何か審理官みたいなものを置いてやったらどうかというような議論もありましたが、これもまたすべてについてそういうようにするのもどうかと、それは実際の運用上それぞれの省で運用できるんじゃないか、たとえばきのうも申し上げましたが、省によってはたとえば各局でやった処分について訴願が来たというような場合におきましては、今の官房――申立のようなものが加わって、審議する官房の人ももとの局にいたこともあったりするので、その知識もあるあるといったようなことで、あとう限り別個の人が見るというような構造もとられておりますので、やはりさしあたってそういう構造で運用してゆく、そうして簡易迅速に国民の権利、利益の保護をはかるということがやはりこの際としては適当ではないかというような結論になって、この案に落ちついたわけであります。御指摘のように、問題点としては、やはりいろいろの点がまだ将来としては残っておるといいましょうか、御意見のような点も確かに一つの見解だと存ずる次第でございます。
#143
○鶴園哲夫君 膨大な員数が要るとか、あるいは簡易迅速に反するとか、いろいろなお話ですけれども、現に行政管理庁の行政監察局の中で八管区の行政監察局、府県にあります地方監察局、その中の二、三人程度の人たちがさかれて、そしてそれも監察の合間を見て行政の実情相談、芳情相談に応じておられる、そうして二万五千件というものを処理して、その中の半数は解決している、そうしてそのほかのものについても誤解であるとかなんとかいうことで解決しているわけですね。ですから私はめんどうな話はないと思うんです。これはおそらくもう少し人員をふやして――もうちょっとふやせば十万件や二十万件は処理することはできると思うんです。一応行政監察局はある程度ほかの省と比べると、そういう意味では監察的な立場を持っていますが、その程度の人間で今やってるわけですね、それを少しばかり人間をふやせば十万件、二十万件は処理できる、どれだけ国民と行政との関係について是正できるかという点についてはこれ以上のことはないと私は思うんです。ただ人間がふえるとか、どうだこうだという問題じゃないんじゃないでしょうか、現にやれるのですから、こんないいことないと思いますがね、どうも私は今のお話になったのでは納得できないんですがね。まあきょうはことで一応終わります。
#144
○横川正市君 ちょっと具体的な問題で二、三お聞きをいたしたいと思います。
 一つは、各条項――該当する条項をちょっと私のほうでも的確にわかりませんから、不服申し立ての手続という点になろうかと思うんでありますが、一つは外国府社が取り扱い物件の委任を受けて日本国にこれを送ってきた、関税手続を了して、そして本人に通知があって、なおかつ本人は受け取りのための意思を表示したのにかかわらず、一年以上も大体その物件の手渡しがない、こういうような案件が起こった場合ですね。取り扱い商社は、たとえばアメリカで取り扱い商社は日本の取り扱い商社に、これは何か契約卒項でもってその取り扱いを行なっておるのだと思いますけれども、いずれのその取り扱いのものが大体担当者として該当するのか、その受け取る側からすればですね。その場合、税関がこれは入っております。それから税関と日本の取り扱い商社との関係はどうなっているのかという問題が一つありますね。その場合には、ちょっと調べてみますと、税関の何か委任規定みたいなものがあって、商社の代理人が税関業務の一部代理を行なうという何か制度みたいなものになっているようなんであります。ですから、税関そのものが手を下さないで、委任を受けた商社の職員がこれを行なうというその関係が一つあるわけなんです。
 それから第二番は、行政官庁としてはその商社の許可その他をやっておるわけでありますから、全然行政上の責任というものはその場合生じないものかどうかですね。まあ大体国際信用上の問題でもありますから、こういうような具体的な問題が起こって、現実に起こっておるわけですが、その不服の申し立てはどういうふうになるかというのが一つです。
 それからもう一つは、これは都市計画法施行令十三条によりまして、建設大臣はその風致地区の保護、保全の建前を明らかにしながら、その保全をするための取り締まり規則を都道府県知事に委任をすることになっております。そういう取り締まり規定ができておるのでありますけれども、具体的な事例としては、地域の風致地区に居住する者の居住権の侵害とか、あるいはまた、著しく風致を損傷するような工場の建築とかというような場合が起こって、住居者がこれに対して不服を申し立てようとする場合、手続としてはどういう手続をとるか。具体的な二つの問題を掲げて御質問申し上げます。
#145
○政府委員(野木新一君) 実は私、税関関係のほうにはあまり詳しくありませんので、ぴったりそれに適合した、お答えは今すぐにはできかねると思いますが、一応この不服審正法の観点から見て、抽象的に考えてみますると、税関はいろいろの職務を――通関に関する許可とかいろいろな職務をすると思います。それは行政処分になると思いますが、外国の商社が、たとえば日本に支店があって、許可を求めたが却下されたというような場合ですね。それにつきましては、外国の商社もこの法律では「国民の権利利益の救済を図る」と書いておりますが、これは外国の商社はその場合に国民と同じような立場に立つわけでありますから、外国人も決してこの法律から除外しておるという趣旨じゃありませんから、外国人なり外国商社もやはり行政処分によって権利を害された、という場合には、この法律に乗っかっていくものと思います。それから御指摘の具体的の場合はたしてそういう場合になるかどうかということは、また具体的事実との関係で、また税関の法律との関係ではっきり申し上げかねますが、抽象的の理論としてはそうなると思います。それから税関のほうで、何か商社のほうに職権の委任の規定があるかどうか。これは具体的の条項を存じませんから何とも言えませんが、法律によってはまあ権限の一部を委任することができるというような条文もあるのはありまするから、税関関係の法律にそういうものがあれば、その委任を受けたものもその限りで行政庁ということになって処分をする。公権力の行使に当たるような権限を委任されれば、その限りで行政庁であって行政処分をするということになると思います。したがって、それに対して不服申し立てができるということになります。ただ、委任した場合にはどこに不服申し立てが行くかと申しますると、その税関の法律にそれぞれ響いておるわけでありまして、黙って何ともたければその上級行政庁に審査請求できるということになります。ただ、税関のように、非常に事件が多いというような場合において異議申し立ての制度を認めておればその処分をやったところあるいはこれと同視されるところに異議申し立てができる。そしてさらに異議申し立てに対して今度審査請求という場合もあり得ると存じます。抽象的にはそういうことになるかと存じます。
 それからいま一つの都市計画法の施行令でございますが、これも具体的に私条文がありませんから、ちょっとにわかに言いかねますが、建設大臣が都道府県知事に何か委任している。その委任に基づいて都道府県知事が規則で何か一定の抽象的の定めをするということになると思います。規則で抽象的な慰めをしたのは、ここでいういわゆる行政庁の処分ではなくて、むしろ法規になると存じますので、それに対しては直ちに不服申し立てをするということにはならないのではないかと存じます。ただ、その規則において一般に地域を指定して一般にある行為はできない、しかし、こういう場合には許可があればできるといったような場合には、その許可を申請して、それに対して不許可になったというような場合には、これはそれで行政処分ではっきり不服申し立てをするということに乗ってくるわけであります。御指摘の場合が何か工場を作ってその近所の人が何か事実上の迷惑をこうむるというような場合に、ここに言うただ権利、利益を害された、権利を害されたということはあるいはちょっと言えない場合が多いのじゃないかと思いますし、利益という場合にはそういうような、何と言いましょうか、ばく然たる近所の利益、近所に住んでいる人たちが迷惑をするといったような抽象的な事案上の利益は、それはここにいう審査手続で保護していこうとしている利益に該当するかどうか。これは少し問題があるのではないかと存ずる次第でございます。
#146
○横川正市君 これは私は、この不服審査法を実際には相当法施行によって本来ならば具体的にしかも多数の利用者があっていいのじゃないかと思うのですよ。これは法は作ったけど、閑古鳥が鳴いているというような状態はほめた話ではないと思う。そこで、具体的にたとえば行政のいろいろな施行の結果から受ける許可、あるいは認可、または公権の侵害といった、そういった多数のものをもちろんこの窓口を通じて的確に処理をしていくというのがいわばいい政治の一つの現われですから、そういう意味では非常に大切な窓口だ。その大切な窓口を生かしていくのに、今具体的な二つの例々やりましたけれども、これは二つともがそのままにしておけば泣き寝入りの事件ですよ。何らかの形で救済をされるべきなのに、実際には、聞いてみますと、一年も一年半も放任されて泣き寝入りをするという事件なんです。だから、これを一つのいい例にして今ちょっと問題として取り上げたわけですが、一般のなにのいわば権能、権限もない、法律的に言えば、日本国の国民であることは明確でありますけれども、その者がたまたま外国から品物を送ってくるという通知をもらい、それから商社からも品物が届いたという通知をもらい、そしてその物件の内容も明らかになり、税関の手続も了したということがわかり、なおかつ、品物がもう一年半以上も来ない。こういう場合、私はその商社の不誠意とかなんとかということだけをこの際考えるのではなしに、機構上の問題についてある程度明らかにしながら、そういうことが起こらないようにするのが一つだと思う。もちろん起こったら、これに対して的確な解決の方策を与えてやる、これも一つだと思う。そこで不思議なのは、大蔵省の関税局にこの問題を持ち込んで、そして品物がなくなったときに、一体どうふうにあなたのほうでは処理するのかと聞いたところが、簡単にこう言ってきたんですよ。往々にしてそういう事件はありがちで、全く手がつけられませんと。これは一体何を意味しているのかということになれば、私たちとしては、これはもう法治国家に住んでいるような気がしないんですよ、そこまでいけば。
 もう少し具体的に問題を言うと、まず第一に、一体商社というのはどういう立場なのか。ただ、品物に保険金がついておって、紛失した場合にはその保険金だけを支払えばいいんだと、紛失したときの手続事項はそれだけでいいんだということでは、それはあまりにも信用上けしからぬことだと思う。
 それからもう一つは、税関が物件に対して幾らの税金をかけるべきかという、品物に対する何といいますか、査定といいますか、それを税関がみずからやらないで、商社の何か、私が聞いたのでは、小使い役みたいな、年令から言えば、二十才か二十才前のような者もいるようでありますけれども、そういう者に物件の査定を行なわせて、それが品物の税額というものを決定して送り込んでくる。貿易関係には私はないんだと思うんですがね。個人の品物のそご、その他にあるんじゃないかと思うんですが、そういう取り扱いをしている。私は、これも行政上としてはおかしいと思うのですがね。そういう事件が起こったときに、もう少しスムーズに解決する窓口というものを作ってやっておくべきじゃないか。それが一体できているかどうかということなんですよ。まず第一問として。
#147
○政府委員(山口一夫君) ただいまのお話は非常に具体的なお話でございまして、どういういきさつで、どういう品物がいつ紛失したかということにつきまして、なお詳細承知いたしませんと、私も的確なお答えがいたしかねますが、商社と商社との関係は、これは個人同士の関係でございます。したがって、その間にもし損害賠償のような事件が起こりますれば、それによって救済を求める。商社と商社との間の問題だろうと思います。その間に、行政庁が取引の間に何らかの関係で中間に介在して、しかもその介在した行政庁の措置が不当であった、そのために当然入るべきものがおくれた、あるいは入らなかったということになれば、その限りにおきまして、当然この手続に乗る、行政庁が関与し、その行政庁の処分によってそういうことが起こるということであれば、この手続きに乗ると思います。しかし、事件の内容そのものをもう少し明確に私どものほうで了解いたしました後でないと、はっきりどうとも申せませんが、大体考え方としてはそういう考え方ができる。
 それから、税関で一部事務を委任しているということでございますが、これもおそらく処分とか、あるいはその他の行政行為に該当するものを委任するということは考えなられないのでありますが、あるいは何らかの手続の中の一部、書面の作成とか、あるいは上の方針のきまりましたものの整理というような、何か中間の一部分の事務を、商社なり民間なりに依頼していることもあるいはあり得るかと思います。しかし、それが適当であるかないかということはあるんじゃないかと思いますが、行政行為そのものについて委任をするということは一応考えられないのであります。いずれにいたしましても、そういう事件が起こり、しかも相当な損害があったというような場合につきましては、まずその間に関与した行政庁、この場合でございますと税関であるとか、税関の関係の役所の行為につきまして、一応不服の申し立てをするとていうことによって損害の救済をはかる、あるいは現在行政管理庁で、先ほど先生の来られる前にお話の出ました苦情相談というような機関を通じまして苦情の実態を明らかにしてもらうということがさしあたり考えられるんじゃないかと思いますが、非常に抽象的なお答えで恐縮でございます。
#148
○横川正市君 私の答えとして欲しているのは、今私の言ったような事件の解決をここでどうすればいいかということを言っているんじゃないですよ。問題は、そういうような事件が起こったときに、国民の納得のいくような窓口というものを作る必要があるじゃないか。まあそういう事件は間々あるのですよということで帰される。それから税関へ行った、そうすると、何月何日の証明書を持ってこいと言う。それから商社に行った、取り調べておきます。――もう、せっかく品物をもらったのに、半年、一年もの間、あっちの役所、こっちの役所といって飛んで歩いて、今もって解決しないというばかな話というのはないはずだと思うのだけれども、訴えられてみると、それは現存しているわけです。
 これは、そういう事案ですから、私のほうで難件の内容は詳しく説明しませんけれども、概略を言うと、アメリカの市民権を持った日本人が日本へ旅行に来た、そうしてキャノンのカメラを買った。ところが、不信にして事故でアメリカでなくなった。ところが、身寄りたよりがないものですから、葬儀責任者というのが日本にある遺族に対してカメラだけは送り返してきた。商社を通じて。それで、日本の取扱商社が品物がありましたと言ってきた。そのときの返事は、税金はおそらく微々たるものでしょうから、商社が立てかえ払いをいたします、こういうふうに言ってきた。そこで今度は待っておったところが、いつまでたっても来ないので、何回も何回も督促をしたところが、いや実はそういう品物はございません。本人が行って今度は倉庫の中を調べたら、すでに品物のふたがあけられて、そこに品物があった。これは私の品物ですからというので、現物を確認してきた。ところが、その次に来たのは、今申しました四、五年前に買ったカメラよりかもつと優秀なカメラができておるのに、それの値段よりかもっと商い税金がかかってきた。そこでその税金は一体何なんだといって調べてみたところが、十九か二十才のあんちゃんが査定をした。これは委任でございます。そこで今度異議の申し立てということよりか、それはおかしいじゃないかといったら、買った商店の証明書と持ち出しの証明書を持ってこいというので、京橋の税務署から何から行って、そうして持ち出しの証明書、商店の証明書を持っていったところが、これでよろしゅうございます。それも三回ぐらい行っているわけです。そうして今度、受付をやってもう半年になるのに音さたもない。その間商社のほうから荷物のふたをあけるかぎがないかと言って来た。かぎがあるわけはないですよ。すでに一回は品物をあけて中の物件を調べた、あけて、あることを見てきたのですから、一体何でかぎが必要なのかと言ってやったら、それきり三月間にわたって何の返事もない。こういう事件なんですよ。概略として。私はおそらく国民の当然取得すべき権利が不法に行政官庁の誠意の取り違いかによって全く侵害をされているのです。こういう複雑な事件でなくてもたくさんあると思うのです。そういったものがすぐ窓口を通してスムーズに期待に沿うように解決をしてやれないものかどうか。そういう意味でこの法の運用ができるかどうか。その点をお聞きしているわけです。私がおそらく言うような格好にはなっておらぬでしょう。むずかしいいろいろな過程になっていて、お役所というところはおっかないところだから行かないほうがいい、閑古鳥が鳴く格好になると私は考えるわけですが、そういうことのないような方針というものはあってしかるべきじゃないか。それをもう少しあなたのほうで一般の国民の人たちに、今度は行政の不服審査法が通って手続上こうなった。最も簡単に窓口へ持っていったらあなた方の不平、不満は全部解決します、こういうふうにやれるかどうか、こういう点ひとつお聞きしておきたいと思うのです。
#149
○政府委員(山口一夫君) 例におあげになりました事件に相当するようなことはおそらくいろいろあるかと思いますが、今回の不服審査法のできました趣旨は、広くそういう、不満、不平、不服を申し立てるというのが大前提でございまして、行政庁のいろいろなやり方につきまして御不満があり、御意見があり、御不服があるという場合には気やすく申し立てをしていただくということがねらいでございます。ただしかし、先ほど申しましたように、そういう建前で法律ができておりますが、これが運用されますためには、なおわれわれとして十分にその趣旨を行政庁のほうと一般の国民のほうと両方に対しまして徹底いたしまして、この法律の趣旨どおり気軽に申し立てをするという機運を今後とも醸成するように努めて参りたいと、かように考えております。
#150
○横川正市君 二番目の問題は、これは主務大臣の、ここでは建設大臣でありますけれども、建設大臣の委任事項で都道府県知事が定めた規則がある。その規則に、立法の精神からいけば十三条の精神というのは、風致地区保護保全の法律です。ですから、その委任事項は、いわゆる取り締まり規則というのは、これは知事が建設大臣から委任を受けて制定をするわけです。それを施行するわけです。その場合、もちろん前提条件として風致地区を損傷ないしは、損害するような事態というのは何かというものがあります。その何かというのは、主観的にこれはもう損害を受けるんだ、あるいはいやこれは損害を受けないんだ、こういうふうに言う内容のものもあるわけでありますけれども、一応風致地区としての保護されるべきそういう事態が保護されない、こういう事態が起こったとき、当然この法律によって、規則によって、都道府県知事はそういう事態の起こらないように取り締まりをするということが、これは法律の建前です、格好は。ところが、その都道府県知事の作った取り締まり法規に都道府県の行政官が、今度は風致地区の保護あるいは保存ということではなしに、損害、損耗するような行為を行なったときに、だれにこれは不服申し立てをすることができるか。これは知事か建設大臣か。これは委任事項で行なわれておるのですから、私は本来ならば建設大臣ではないかというふうに思うのでありますけれども、そういう場合はだれがその不服申し立てを受ける当事者になるのかお聞きしたいと思います。
#151
○政府委員(野木新一君) ただいまの場合におきましては、私具体的に今その条文は記憶しておりませんので、的確なことは申し上げかねますが、都道府県知事が建設大臣の委任に基づいて規則を制定する、そうすると、規則というのはおそらく抽象的な規則になって、いわゆる法規であろうと存じます。その場合に、その都道府県知事の所轄のもとである役人がその規則を適正に執行しないということになる問題でありまして、適正に執行しないことによって何か風致地区を設ける趣旨をそこなう、風致地区を設けた立法の趣旨を害するというだけだとすると、どうもそれは国民の個人的と言いましょうか、その具体的の権利ないし法律上の利益は、具体的の何か行政行為によって侵害されたという場合に当たらないのではないか。その点にちょっと問題があるのではないかと存ずる次第であります。もしそれが具体的処分で国民の権利が害されたという場合に当たるとするならば、それは黙っておれば機関委任専務でありまするから、都道府県知事の名前でやったものならば建設大臣に来ますし、都道府県知事が権限をさらに下級の機関に委任しているものならば、これは上級官庁たる知事へ来るということに一応なり、さらに建設大臣に再審査の申し立てができるという構造になっているわけであります。
#152
○横川正市君 これは別のケースからいけば、煤煙防止だとかそれから工場公害だとか、それから騒音防止だとか、いわばそういうものと大体類似のものじゃないかというふうに私は判断をするわけですが、ただ、風致地区というのは一体これはどういう立法上の侵すべからざる保護を受けるべきものなのかどうかという点については、どうも法律も明確に番いていないわけですね。十三条を見ればわかるように、いろんな器物とか建物とか土を持っていくなとか、器物を損傷するなということだけであって、実際にはあまり明確に保護すべき趣旨を書いておらぬのが法律の内容で、その法律を受けて、今度は委任でもって取り締まり規則を作る。その取り締まり規則というのは非常に抽象的なものだ。これは法律の一つの姿なんです。ところが、実際に東京都なんかの状態を見ると、保護規則はそういうふうに非常に不完全な面にもかかわらず、保護されなければならない立場にあるものが非常に多いわけですよ。具体的に言えば、工場公害それから騒音防止、煤煙防止とかいう、そういういろいろなものがあるのに、この法律というのは実はあまり不完全な姿になり過ぎている。そこで工場公害とか煤煙防止だとか騒音防止だとか、そういうことをしてもらわなければ居住者の居住地における生活の安全と、それから安眠も、これは保護することができないという事態が起こって、そうしてこれに対して異議の申し立てをするということは間々あるわけですね。しかし、その場合、単に住宅地区、あるいは緑地帯とかなんとかいろいろな規定がありますけれども、そういう規定の中で適法であった場合には、芳情の申し立てということはなかなかできないというような格好になっているわけです。しかし、今度の場合は、私は不完全ながらも、風致地区という指定を受けたところにそういう居住者の居住権を侵害するような、そういう事態が起こったという場合に、これは居住者としてはやはり不服申し立てをして、そういう事態について取り除いてもらうという行為に訴えることが当然だと思う。そこで、今度の場合は、一体知事が委任事項を受けて取り締まり法規を作った、その知事が居住民の利益に反する工場を許可したと、しかもそこは風致地区だったという場合ですね、一体これは知事がやった許可ですから、知事に不服申し立てをするのはおかしいから、これは当事者は建設大臣かというと、何か建設大臣でもなさそうだという話を聞くので、この点、法制局として見解はどうですかということを、これは具体的な問題で聞いているわけです。
#153
○政府委員(野木新一君) 都市計画法施行令をここに持ってきましたが、十三条によりますと、「風致維持、ノ為指定スル地区内ニ於ケル工作物ノ新築改築増築若ハ除却、」云々、「其ノ他風致維持二影響ヲ及ホス虞アル行為ハ都道府県知事建設大臣ノ認可ヲ受ケ命令ヲ以テ之ヲ禁止シ又ハ制限スルコトヲ得」となっておりまして、これは何か抽象的の規則になってしまうのでありまして、こういういわゆる行政上の処分というものに、にわかに当たるかどうかという点は相当疑問ではないかと存ずる次第でございます。したがって、こういうようなものに対する一体不服申し立てはどうするのかという点につきましては、やはり法令制定行為に対する不服申し立てでありますから、これは何か別途、個人的利益、権利の救済というよりも、いま少し抽象的な問題にもなりますから、これはやはりはたしてその陳情とか、あるいは政治的の色の立法改正の運動とか、そういう法に待つべきであって、直ちにその法令の不適当な法令を是正するというようなことは、これは不服審査手続には乗ってこないのではないかと存ずる次第でございます。
#154
○横川正市君 そうなれば少しばかりこの審査法案に不服を申し立てなければいかぬわけですね、法そのものに。私は行政上風致地区と指定したというここは一つの事実行為ですよ。その事実があるから、その事実行為に対して法でこれを保護し、保存をしようとする具体的な内容が生まれたので、抽象的ではあるけれども、都市計画法施行令十三条というのは、これは都市計画法の法律に受けて立って施行令が施行されているわけですからね、抽象的であっても、私はこれは事実現存をしているので、まずこれを基本にしなければいけないと、建設大臣はこの取り締まりその他の具体的な事例は委任事項で都道府県知事にはやっているけれども、もしその事実が法の精神に反した行為が行なわれた場合には、建設大臣としてはこれは何らかの法律を守る義務か、そういったものはないですか、解釈として。
#155
○政府委員(野木新一君) この事務は一種の機関委任事務になると思いますから、建設大臣は所管の大臣として都道府県知事に対して指揮監督はできるのではないかと存じます。
#156
○横川正市君 そうすると、これは指揮監督ができるような事態かどうかは、これは大きいか小さいかどうかということは別として、事実その委任を受けた都道府県知事が立法の精神に反した行為を行なった、こういう事実が出てきた、その場合は、これはどういうことになりますか。そういう事実に基づいて被害をこうむった国民側からいきますと、どういう手続をとって、だれのところにその苦情を申し立てると、こういうことになりますか。
#157
○説明員(真田秀夫君) 私からお答え申し上げます。
 ただいま仰せられました風致地区の問題につきましては、どうも御質問の趣旨は、風致地区として指定がされまして、その区域内で風致地区の保護に反するような趣旨の許可が行なわれた。これに対して、たとえば隣人、周囲の人たちは、何か不服申し立ての道はないかという御質問のように承るわけですが、今の風致地区の保護のための行政処分――許可でございますが、これはもちろん機関委任事務だろうと存じます。したがいまして、その主務大臣であります建設大臣の指揮監督を受けるわけでございまして、建設大臣はその違法な都道府県知事の許可処分を是正するという方向で指揮権を発動することはもちろんあり縛ることであります。また、国民のほうからその指揮権の発動を促すという、陳情と申しますか、それをすることももちろん可能でございます。ただ問題になりますのは、そういう場合に、この本法によりますところの不服申し立てをすることができるかということでございますが、それにつきましては、実はこういう問題があるわけでございまして、風致地区の風致を維持するために行政処分は一体何を保護するためにやるかといいますと、それは風致の保護という一種のいわば公益でございます。公益が侵害されたという場合に、一個人がそれに対して不服申し立てを正式の争訟手段としてできるかという問題になるわけでございますが、この問題につきましては、現在行政事件訴訟につきましても、あるいは訴願におきましても、不服申立人のいわゆる原告適格なり訴願人の適格といたしましては、個人的な権利、利益の侵害があった場合に限るのだ、これが、こういう個人が当事者となる訴訟の当事者適格としてはどうしてもそういう要求があってもやむを得ないのだというような解釈でございます。公益が侵害された場合に、それでは一体何にも手がないのかということになりますと、これはそれぞれの法律におきまして、場合によりましてはそういう一種の民衆訴訟の道を設けるとか、あるいは場合によりましては、そういう法令におきまして実は公益の保証をはかるのだけれども、同時に、それはまた隣人の保護もはかるのであって、それはほうっておけないのだ、隣人にそういう場合も救済の権利を与えるのが法律であるという趣旨をもし法令で盛り込みます場合はそのことを実体法規に書いていただく、そういたしますとこれを受けましてこの本法が動き出しまして、しかるべき不服申し立てを、今の御説明の場合で申しますれば、建設大臣に対してすることができる、そのようになるわけでございます。そういう特別の規定が実体法規にございません場合には、この一般法である本法案としましてはこの手続によって隣人が不服申し立てをすることができない、かように相なるわけでございます。
#158
○横川正市君 そうすると、今言った風致地区の公益の侵害を代表するものがない場合はこれは不服申し立てをするという道はないということになるわけですね。ただ機関委任事項で建設大臣が許可、認可をすることの、是正のための命令を発することはできる。こうすると、私は十三条というこの法律は、実は制定されておっても有名無実になってしまって、このことによって損を受ける公のものというものは実際上守られないという結果になるわけですね。それは法の不備だと、こういうふうになってしまいますか。
#159
○説明員(真田秀夫君) 御質問の点は、実は仰せになりました風致地区保存規則と申しますか、都市計画法施行令十三条による規則だけの問題でございませんので、国の法律、地方の条例、規則、すべてそういう公益を目的とする法令につきましては、その実施に当たる行政庁といたしましては、もちろんこれは誠実に実施しなければならぬ義務を負っていることは当然でございますけれども、それが場合によりまして励行されない。そのために公益が侵害されたということが起きました場合には、現有のこういう行政訴訟あるいは訴願法、ないし行政不服審査法ではその救済は考えておらない。別途それはいわゆる民衆訴訟的な制度あるいはリコールとか選挙々通じてそういう行政庁に対する国民なり住民の不信を失明する、こういう制度になろうかと存じます。
#160
○委員長(村山道雄君) 他に御質疑はございませんか。――他に御発言がなければ、両案の質疑は終局したものと認め、これより両案を一括して討論に入ります。
 御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御発言がなければ、両案の討論は終局した本のと認め、これより採決に入ります。
 まず、行政不服審査法案全部を問題に供します。本案に賛成の方は、挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#161
○委員長(村山道雄君) 総員挙手と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の方は、挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#162
○委員長(村山道雄君) 総員挙手と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、ただいま議決いたしました二案について、本院規則第七十二条により、議長に提出する報告書の作成等につきましては、先例により委員長に御一任願います。
 なお、宇田行政管理政務次官より発言を求められておりますので、これを許します。
#163
○政府委員(宇田國榮君) ただいま可決していただきました両法案に対しまして、慎重審議、熱心なる御協賛を得まして、まことに感謝にたえません。御質問の要旨は、要するに、この運用と行政の指導が中心であると考えられますので、この点に留意いたしまして、万全を期し、御期待に沿いたいと思います。ありがとうございました。
#164
○委員長(村山道雄君) 本日は、これにて散会いたします。
   午後四時三十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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