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1962/08/24 第41回国会 参議院 参議院会議録情報 第041回国会 公職選挙法改正に関する特別委員会 第2号
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1962/08/24 第41回国会 参議院

参議院会議録情報 第041回国会 公職選挙法改正に関する特別委員会 第2号

#1
第041回国会 公職選挙法改正に関する特別委員会 第2号
昭和三十七年八月二十四日(金曜日)
   午前十時十七分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     青柳 秀夫君
   理事
           井川 伊平君
           小林 武治君
           占部 秀男君
           中尾 辰義君
   委員
           石原幹市郎君
           太田 正孝君
           後藤 義隆君
           郡  祐一君
           西郷吉之助君
           斎藤  昇君
           長谷川 仁君
           増原 恵吉君
           吉江 勝保君
           秋山 長造君
           久保  等君
           中田 吉雄君
           松本 賢一君
           市川 房枝君
  国務大臣
   自 治 大 臣 篠田 弘作君
  政府委員
   警察庁刑事局長 宮地 直邦君
   自治政務次官  藤田 義光君
   自治省選挙局長 松村 清之君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       鈴木  武君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○公職選挙法改正に関する調査
 (参議院議員通常選挙の実施状況等
 に関する件)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(青柳秀夫君) ただいまから公職選挙法改正に関する特別委員会を開会いたします。
 まず公職選挙法改正に関する調査を議題といたします。
 参議院議員通常選挙の実施状況等に関する件について、政府委員の説明を求めます。松村選挙局長。
#3
○政府委員(松村清之君) 七月一日に行なわれました参議院議員通常選挙につきまして、その概要を御報告申し上げます。
 今回の選挙は、地方区は七十六人、全国区は五十一人、合わせて百二十七人について行なわれたものであります。
 まず、今回の選挙は、前国会で公職選挙法のかってない大改正が行なわれたのでありますが、この改正法に基づく最初の選挙でありまして、この改正法の周知徹底につきましては、短い期間ではありましたけれども、あらゆる努力を払いました。
 次に、参議院の選挙につきましては、従来から国民の関心があまり高くなく、投票率は他の選挙に比べて低く、前回の参議院選挙におきましては、ついに投票率が五八・七%にまで下がったのでございます。この傾向でございますと、今回はさらに投票率が低下するのではなかろうかと懸念されましたので、政府といたしましては、特に総額六億円の経費で、全国の有権者のすべてが進んで参議院議員選挙の投票に参加し、公正かつ明朗な選挙が行なわれるよう啓発活動は積極的に展開いたしました。また、これと合わせましてわが国の選挙の悪弊であります買収、供応を今回の選挙からなくするよう買収供応を追放する運動を全国的に展開いたしました。今回の選挙の有権者数は、男子二千六百八十万人、女子二千九百三十万人、合計五千六百十万人でありまして、前回の選挙より約二百六十万人増加いたしております。今度の投票率は全国的に見まして予想外に良好でありまして、全国平均で六八・二%に達し、前回の選挙よりおよそ一〇%も上回ったのでございます。この投票率はこれまで行なわれました参議院議員選挙のうち、昭和二十五年の第二回選挙における投票率に次ぐよい成績でございました。なお、今回は従来きわめて投票率の低かった東京、大阪の大都市の投票率も著しく向上し、前回は四〇%台でありましたのが、今度は初めて六〇%台を上回る成績を記録いたしました。さらに、今回の選挙におきましては、婦人の投票率の向上が目ざましく、前回に比較いたしまして一一・三%上回り、投票率におきましてはなお男女の差が三・五%ございますが、投票者の絶対数におきましては、女子は男子を六十八万人もこえておることが注目されます。このように投票成績がよかった理由といたしましては、第一には近年特に活発化いたしました公明選挙運動によって国民の政治的関心がようやく高まってきたことをあげることができると思います。第二には、新聞、ラジオ、テレビ等の報道機関の全面的な協力があずかって力あったものと考えられます。昨年の夏、選挙制度審議会が選挙制度の改正に関する審議を始めましてから、今春選挙法が改正され、さらに今回の参議院議員選挙を終わりますまでの間、新聞、ラジオ、テレビ等の報道機関は、終始きわめて積極的に選挙に関する事項を取り上げ、国民の選挙に対する意識と関心を高める上に大きな貢献をいたしました。次に、今回の選挙法の改正によりまして、政党本位の選挙運動が重視され、各党とも活発な選挙活動を展開したことも大きな影響を与えておると考えられます。また、投票当日の天候も投票に好都合であったこともあげることができると思います。
 選挙の状況の詳細につきましてはお手元に御配付申し上げております資料につきまして御了承願いたいと思いますが、その中から二、三拾い上げてみますと、今回の立候補者数は全国区百七人、地方区二百二十一人で、前回と比較いたしますと、全国区では十五人少ない。これはこれまでの選挙の中で最も少ない候補者数でございますが、地方区では前回に比べて十三人増加いたしております。
 次に、今回選出されました議員についてみますと、新人は三十九人で前回の五十二人より減少し、これは今までの選挙のうち最も少ない数でありますが、逆に現議員は八十一人で前回の六十九人より増加し、これは今までのうち最も多い数であります。全国区の当選人の得票数は第一位の当選人が百十六万五千票であり、前回の九十四万一千票を大幅に上回る記録でしたが、最下位の第五十一位の当選人も三十七万六千票で、これも前回の二十六万六千票に比し大幅に上回っております。一方におきまして、今回の全国区の選挙で得票数が少なく、供託金を没収されました者が百七人のうち二十七人、約二割五分の多きに達しておる状況でございます。
 選挙違反のことにつきましては、後ほど所管当局からお話しがあると存じますが、今回は公職選挙法が改正され、また近年公明選挙運動がきわめて活発に行なわれておりますので、これらが選挙の公明化に大きく寄与するものと期待されておりましたが、選挙違反が依然として跡を断たない状況にあります。これはまことに遺憾に存ずるところでございます。今回の選挙の管理執行の面につきましては、改正選挙法が成立いたしましてから選挙の公示まで、わずか一カ月という短い期間でありましたにもかかわりませず、全国的に見まするとほとんど問題がありませんでした。このことは先ほど申し上げましたように、投票率が非常によかったことと並んで特筆していいことではないかと思います。しかし、選挙の管理執行の面につきましても、改善すべき点が少なからずあろうかと思いますが、各方面の御意見を聞いて、今後十分に検討して参りたいと思います。
 また投票率がよかったことはまことに喜ばしいことでございますが、これが今回の選挙だけの現象でなく、真の国民の自覚に基いたものになるような、そして、選挙が少しでも公明化されるような今後公明選挙の推進に一そう努力していかなければならないと思います。
 以上をもちまし、簡単でございますが、今回の選挙の結果の御報告といたします。
#4
○委員長(青柳秀夫君) 警察庁刑事局長宮地君。
#5
○政府委員(宮地直邦君) 選挙違反の取り締まりにつきまして御報告申し上げます。
 お手元に配付申し上げてあります数字は、選挙期日後一カ月の統計でございます。その検挙いたしました総件数は一万一千二件、人員におきましては約一万七千八百三十という数字になっております。これを前三十四年の選挙と比較して申しますというと、検挙件数におきましては一・七倍になっております。人員におきましてはちょうど二倍になっておるのでございます。
 今回特に増加の著しかった罪種は、件数は少のうございますが、選挙の自由妨害罪三百八十七件でございまして、前回と比へまして、これが六・四倍になっているのでございます。もちろんこの数字の中には演説会の妨害その他が入っておりますが、大部分はいわゆる五号ポスターをはいだり、あるいは全国区におきまして使われました証紙をはぎ取ったりという事例が、これが大部分なのでございます。従来ともこのポスターをはぐということは選挙の自由妨害と解釈しておりましたけれども、今回の改正におきましてその規定が明瞭になりましたことと、どういう理由かビラをはぐという悪い傾向が出ましたために、従来に増して、この選挙の自由妨害という罪名がふえてきた次第でございます。
 次に比較的ふえましたものが戸別訪問でございます。この件数は二千五百四十一件になっておりますが、これをまた前回と比較しますというと、三・五倍になっているのでございます。一部の地方におきまして相当執拗な戸別訪問等が行なわれた事実を承知しておるのでございます。
 次に買収、利害誘導三千四百四十九件でございますが、これは前回の選挙に比較しまして、数におきましては一・八倍になっておるのでございます。この内容につきましては、特に今回目立ちましたのは、金銭買収という形ではなくて、そう高額でない物品が配られた。しかもこれも全国的に配られたという事例が、今回の選挙におきましては相当目立ったのでございます。物品供与も買収でございますので、この買収罪の中に計上いたしたわけでございますので、数字が一・八倍になっているのでございますが、今回の選挙におきましては、今までのわれわれの捜査においては、そう多額の金額、公明選挙運動の影響もあろうかと思いますが、多額の金額が動いたというのはまだ承知していないのでございます。
 なお今回の選挙法改正につきまして、非常な関心を持たれました公務員の地位利用の規定でございますが、この件数は三百五件、こういう次第に相なっておるのでございます。
 以上、件数におきまして、最初申し上げましたように約一万一千件になっておりまして、これは一カ月後の統計でございますが、その後の最終統計になりましても、著しくこの数字を上回ることはない、大部分の選挙の捜査は一応終わっている、あと多少やらなければならぬものがあることは事実でございますか、大勢としましてはこの数字で御判断いただけるかと存ずる次第でございます。
 以上をもって説明を終わる次第でございます。
#6
○委員長(青柳秀夫君) 以上で本件についての説明を終わりました。本件に対して御質疑がおありの方は、順次御発言をお願いいたします。
 なお、自治大臣はもうじきこちらに見えると思います。閣議の関係でおくれております。
#7
○小林武治君 警察庁に伺いますが、「違反取締状況」の中に「公務員の地位利用」というのがありまするが、これは事例としてはどういうふうなことが「公務員の地位利用」として取り締まりの対象になっておるか、こういうことを伺います。
#8
○政府委員(宮地直邦君) 今回の三百五件は、選挙法の百三十六条の二の規定によるものがすべてでございます。内容的に申しましては、公務員がその地位を、影響力を利用しまして、あるいは業者に働きかける、こういう単に業者に働きかけるという場合もございますし、あるいはその働きかける際に、買収、文書違反、こういうものを伴って行なう、態様としましては、その二つの態様においてこの「公務員の地位利用」の数字が出ておる次第であります。
#9
○小林武治君 公務員が選挙運動をしてはならぬということは従来からあったのでありまするが、そういう違反があまり今まで摘発されておらぬと思うのですね。今度はこういうことでたくさんの検挙が行なわれておりまするが、どうしてこんなに違ってきたのか、こういうことを伺っておきたいと思います。
#10
○政府委員(宮地直邦君) 従来も「公務員の地位利用」に関する規定はあったわけでございますが、この場合にはそれぞれ措置がされておる次第でございまするが、この場合には、あるいは事前運動、あるいは買収供応、文書違反等の罪名においてそれぞれ措置されておりましたが、今回、今申しました条文が明らかになりましたので、この条項によって措置をいたしたということが一つでございますとともに、高級公務員の立候補制限というようなものが、改正選挙法の審議の過程からこれが非常に世論の反響があったと申しますか、非常にこれは国民の関心があった事項でございます。われわれのほうの取り締まりの見地から見ておりましても、公務員が地位を利用したという場合におきましては、むしろ国民側がこの違反を、認めないと申しますか、そういうような空気がございましたために、はっきりそういう形が浮き出てきた、こういうように私のほうは感じておる次第でございます。
#11
○小林武治君 これはほんとうに単純な地位利用ということでこれだけのものが出ておるのか、あるいはその他の事犯に関連して出ておるのか、その点はどうですか。
#12
○政府委員(宮地直邦君) この統計の数字の中には、さっき申しましたように、単なる地位利用というものと、その地位を利用して買収その他の犯罪等と競合したような場合、両方含んでおるのでございます。
 われわれのほうにおきまして、検挙にあたりましては、条項といたしましては「公務員の地位利用」ということに一括いたしておりますが、それぞれの場合におきましては、その悪性と申しますか、単なる頼んだというような事項、あるいは強制にわたったような、その内容につきまして個々に審査して、それに応じたような措置をとっておるのでございます。
#13
○小林武治君 今度の地位利用の摘発は、警察当局としては、われわれから見れば、むしろ神経質になり過ぎた。すなわちこの規定のむしろ乱用にわたるほどの摘発が行なわれたのじゃないか。そのために選挙運動というものが非常に、かえって陰惨なものになってきた、こういうふうな印象を与えて、何というか、選挙をできるだけ朗らかにやる、こういうことについての非常な障害になってきたのじゃないか、こういうことが言われておるので、「公務員の地位利用」のこの規定についても相当な再検討をしなければならぬのではないかという説もあるのでありまするが、その点はどうですか。
#14
○政府委員(宮地直邦君) ただいま申しました百三十六条の二の規定は、新しく設けられた規定でございますから、われわれといたしましても慎重にこの取り扱いに関しましては配慮いたしたのでございます。単に公務員が選挙運動の違反をしたからといって、この「地位利用」になるわけではございません。特にわれわれが全国を指導いたしましたときには、その内容について、平たい言葉で申しますというと、その内容について特に悪性というものに着目して、十分内容的に検討してくれ、こういうふうに指導いたしまして、われわれといたしましては、今申しましたように、非常な注意を払ったつもりでございます。
 一般の受けた印象といたしましては、われわれが「公務員の地位利用」という条項でなくて、買収その他の条項において論議しておる場合におきましても、それがたまたま公務員の場合におきましては、「公務員の地位利用」、こういうふうに理解し、また一部にはそういうふうに報道された面もあるのでございまして、われわれといたしましては、新条項であるだけに細心の注意を払った、こう存じておるのでございます。
#15
○小林武治君 私はどうも細心の注意を払ったとは思われない。特にこの新しい規定の統一解釈と申しまするか、事犯と申しまするか、その該当例というものが選挙が告示になってから出された。こういうふうなことで、この問題のいわゆる周知と申しまするか、この点が非常に不十分であった。ことに六月の選挙の始まってから、ああいう通牒が出たということが非常な悪影響を及ぼしているのじゃないか。これはもっと早く出しておけばともかく、もうすでに選挙が相当進んでからああいう措置をとったということは、私は非常な失敗、あやまちじゃないかと思います。これは自治省の方に関係しますが、その点どうですか。
#16
○政府委員(松村清之君) 「公務員の地位利用」の選挙運動ということにつきましては、従来も事前運動に関する限りにおいては法律の明文があったわけでございます。地位を利用して事前運動しますと、普通の人の事前運動よりも罰則が倍になる。したがって、二の「地位利用」というこの言葉につきましては、昭和二十九年以来法律の上であったわけでございます。この点につきましては、何分にも判例あるいは実例等もないと言っていいのじゃないかと思いますが、そういったような関係で、十分この言葉の意味というものがはっきりしておらなかったようにも思います。そこで今回地位利用の選挙運動については、事前運動のみならず、選挙運動期間中にまで広げたことを機会に、選挙の始まります前に、地位利用の選挙運動をしてはならぬことになったという通牒を官房長官から関係各省へ、各省からそれぞれの出先機関、自治体等へ通知をして、まず意味が不明確ではあったかもしれませんが、地位利用の選挙運動というものについての周知徹底をはかったわけでございますが、その後実際の取り締まりその他の関係から、これを具体的に明確化することが必要でございますので、事実がなかった関係もありますけれども、今御指摘のように、選挙の途中で、地位利用の具体的な中身を関係各省で打ち合わしてもう一度関係者へ全部通達する、こういうことになったような事情でございます。選挙法が改正されまして選挙まで日がさわめて短かかった関係もございますが、私どもとしてはできるだけ努めたつもりではございますけれども、選挙途中においてかようなことを明確化するということは、おそきに失したことはあろうかと思います。これはきわめて残念に思ってはおります。
#17
○小林武治君 これは、私はああいう通牒が選挙運動が相当行なわれてから出たということが、いろいろな、かえって検察あるいは警察当局にも悪い影響と申すか、変な刺激を与えた、こういうふうな考えを持ちますし、あれは適当でない、もう少し早くやったほうがよかったし、あるいは前にも一度通牒が出ておったのだから、それだけにしておけばまだあれほどの影響はなかった、こういうふうに思います。これは非常に遺憾に存じます。
 なお、私は警察当局に聞いておきたいのでありますが、選挙違反等については密告によって捜査に着手する、こういうことが非常に多いのでありまして、どうも日本人は密告好きであるし、あるいは中には密告狂というような者もある。これによって動き出した事例も非常に多いということを聞いておるのです。これは私は、まあこれがあまり乱用されれば人権の侵害になる、こういうふうに思いますが、何か密告についての基準と申すか、取り上げ方と申すか、この弊害を除く。警察が少しでも検挙の成績を上げるために密告によって動き出すと、こういう事例があるが、そういうことについて、ことに選挙犯罪については密告が多い、こういうことでありますが、あなた方のほうは何かこれ注意をしておるか。密告についての考え方、こういうものはどうですか。
#18
○政府委員(宮地直邦君) 小林委員から御指摘がございましたように、選挙に関しましては密告、一口に申して密告――投書、申告、こういう事例はきわめて多いのでございます。これらのものにわれわれの捜査が左右された場合におきましては、取り締まりの結果が公正を欠くということがあり得ることは、われわれよく存じておりますので、いかなる密告、投書がございましても、その裏づけ、つまり証拠のないものにつきましては、われわれはそれを取り上げておりません。あくまでもわれわれのほうの捜査は証拠に基づいて公正なる取り締まりをいたしたい。この点は徹底して指導いたしておるのであります。
#19
○小林武治君 どんな徹底の仕方をされているか、それはわかりませんが、要するに、密告の弊害というものは非常に多いのでございまして、たとえばこれについて警察庁が地方警察に対して、何か考え方と申すか、基準と申すか、注意をされたことはありますか、密告などにいたずらに動かされてはいけないということを。
#20
○政府委員(宮地直邦君) その密告の内容にもよることでございますが、われわれのほうでも、あまりにいい情報、平たく申せば情報というものに対しては、捜査の上の常識といたしまして、すぐ飛びつかない。やはりいい情報であっても、その裏づけをとって、事実であるかどうかということを判断しておりますし、またわれわれのほうでは、警察官の個々の情報というものによって漫然と捜査をいたしました場合には、結果的に非常に不公正なことも生じますので、十分本部長がみずから選挙違反については指揮をとり公正を期する。こういう面におきまして、事前に本部長会議並びに部課長の会合を求めまして、捜査に対して陥りやすき弊害、かくあるべき姿というものを具体的に指示をいたしておるのであります。
#21
○小林武治君 われわれのほうはきのう会合した。たとえば、ある県では警察から、違反ビラが張ってあるから取りに行け、あのままでおくと違反に問われる、こういう警告があった。そこへ行ってみたが、そういうものは何もなかった。またそれを注意された。こういうふうなことも、これは単なる密告によってやっているという事例ですね。こういうようなものはほかにもいろいろあると思うのですが、これは要するに何も調べないで、密告に動かされているということだと思いますが、どうもこの裏づけとかなんとか言うても、そういうものがないところで動いている。こういうことをしばしば聞くのでありますが、何かもう少し警察当局としてもやり方がありそうなものだと思うのですが、どうですか。
#22
○政府委員(宮地直邦君) 今のような事例は、おそらく検挙ということでなくて、軽微な違反については防犯的な意味において警察は相当今回は警告をいたしております。しかし、この警告というものは、まず第一に、ある場合におきましては選挙管理委員会からいたし、それから警察がいたす。こういう段階を踏む場合がある。警察が行った段階において、すでにその現物がない、こういう場合もわれわれは承知いたしておるのであります。今回の選挙におきまして、警察が発しました警告というもの、あるいは選管の発した警告というものにつきましては、割合によく守っていただいたというふうな印象を持っておりますので、警察段階において、なかったということも、われわれ承知いたしておりますが、これを、われわれのほうは決して密告というものによって警察の捜査の根本がゆらぐというようなことは、十分、先ほど来申しておりますように、ないように配慮いたしておる次第て、あります。
#23
○小林武治君 しかし、これはないと言っても、実際にあるので、これはまあ選挙犯罪にかかわらず、ほかのものについても非常に密告が多いのですね。善良な市民が非常に迷惑している事例が多いのでありまして、どうもこのままで、従来どおりでいいのだ、こういうふうな考え方を警察当局が持たれるとするならば、非常に私どもは不本意に存じますので、その点どうぞひとつ留意して下さい。
#24
○委員長(青柳秀夫君) ただいま自治大臣がお見えになりました。この際、篠田自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。篠田自治大臣。
#25
○国務大臣(篠田弘作君) 今回の池田内閣の改造によりまして、私、はからずも自治大臣に就任し、いろいろ選挙法、あるいは地方行政の面を担当することになりました。まことに経験も浅く、知識も乏しく、皆様方の御指導によってその責務を果たしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
#26
○委員長(青柳秀夫君) 次に、藤田自治政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。
#27
○政府委員(藤田義光君) 自治政務次官になりました藤田でございます。皆さん方の御指導をよろしくお願いいたします。(拍手)
#28
○小林武治君 大臣に選挙制度審議会のことを伺いたいと思いますが、選挙制度審議会は今どういうふうになっておりますか。
#29
○国務大臣(篠田弘作君) 委員の任期が全部満了いたしておりまして、今度新しく委員を選考してその承諾を求め、そうして審議会を新しく発足させる、こういう段階でございます。
#30
○小林武治君 その時期はいつを予想されておりますか。
#31
○国務大臣(篠田弘作君) ちょうど八月一ぱいは臨時国会の開催中でございまして、私自身としましても非常に多忙であり、また従来委員になっておった諸君、あるいはまた今後補充すべき諸君も、ちょうど避暑に行ったり、旅行したり、東京におらない人が非常に多いわけであります。そこで、九月になりまして国会が終わったらば、よく関係者と相談をいたしまして委員の選考に入りたいと、こう考えておる次第でございます。
#32
○小林武治君 これは選挙制度審議会は、政府としても非常に重要視しておる委員会でありまして、もうあなたが大臣になってから四十日になる。その間もそのままになっておる。それから、あなたは出先で、十月以降に任命するつもりだということを言われておるように新聞でも見たのでありますが、この大事な審議会をいつまでもこうしておくということは、私は政府が選挙制度の改正に熱意がない一つの証拠ではないかというようなことを考えざるを得ないのでありまするが、今夏休みだ、あるいは暑いからやらないと、こういうことを言われるかも一しれませんが、政府も昨日も臨時司法制度調査会、こういうものを九月一日に発足させるということで委員の任命もされておる。こういう事情でありまして、すでに通常国会に対する関係からも相当早くに審議を始めるべきであると思うのに、ただ漫然とこれを待っておるというふうに思われるのでありますが、その点はいかがですか。
#33
○国務大臣(篠田弘作君) そういうようにお考えになる方もあるかもしれないということは私も考えております。しかしながら、御承知のとおり、きょうも同じ十時に委員会が衆参同時に三つもある。そのほかに閣議があるとか、新聞記者会見があるとか、いろいろありまして、午後もずっと衆議院に委員会がある。そういうようなときに無理をしましてやってみても、時間的なあれができません。そこで私は、前の審議会のおもなる諸君にも、どうだ八月中にやろうかという話をしましたところが、いや八月は待ってもらいたい、政府のほうとしても、国会をおろそかにしてまで、国会の手間を省いてそういう方面に力をさくという時期でもないし、また今申し上げましたように、審議会の委員になるような人はほとんど東京におりません。これはお調べになったらわかりますが、ほとんどいない。そういう留守中にあわててやってみても、別に実績は何も上がらない。そこで、国会を円満に終わったあとで、九月に入ったら選考する。九月に選考するのでありますから、委員会の発足はおそらく十月ごろになるのじゃないか、こういうふうに言っておる次第であります。私の独断でやっておるのじゃなくて、いろいろな方面の意見を聞いてやっておるわけであります。
#34
○小林武治君 忙しいのはだれしも忙しいのです。何も八月にやれと言うのじゃない。九月になっておやりになっていい。それには早くに任命しなければできない。要するに、私どもは少なくとも次の国会あたりには続いて相当程度の改正をすべきであると思っておるが、今の政府のテンポでそういうことができるかどうかということを非常に危ぶんでおるので、そのためにお伺いしたのです。少なくとも九月には会合を開くならば、九月に開けるようにする、こういうふうなお考えはありますか。
#35
○国務大臣(篠田弘作君) これは任命するだけでは済まないのでありまして、相手の承諾を必要とするわけです。その承諾者が方々に旅行しておるわけでありますから、なかなか電話でやっても、そこまでやらなければならぬかどうかということはこれは認識の問題でございますが、私は少なくもみんなが東京に着いてからやってもいいんじゃないか、こういうような考え方でやっておるわけです。それから、まあやはりどうせやるなら、電話一本で、君なってくれと言うよりも、いろいろ懇談をしまして、そして中にはやめたいという人もあるわけでありますから、そういう人たちに対してもいろいろ懇談をする必要があるので、これはもう政府が辞令一本で任命するというわけにはなかなかいきません。そこで私は大体九月に入ったらみんなも東京に戻ってくるから、その機会が一番適当である、これは私の判断でありますが。そしてまた同時にいろいろな人にも相談してみた結果、そこがいいんじゃないか、こういうことです。
#36
○小林武治君 大臣はそう言いますが、もう一つその問題で伺いますが、国会から出ている特別委員は、これは任期があるのですか、ないのですか。
#37
○国務大臣(篠田弘作君) 国会から出ております特別委員は、特別の事項に対する調査が終われば任期が切れるということになっておるのでありまして、結局一般の委員の任期が切れると同時に切れることになっております。
#38
○小林武治君 これはもう別に特別委員は特別の事項の審議の委嘱を受けたわけでも一ありませんし、したがって、任期が終わったとか終わらぬとかいうのじゃないと思うのです。ことに、これは私は昨日の参議院公報を見ると、特別委員がやめたから後任を推薦してもらいたい、こういう要求書が内閣から出ておる。これはどういうことであるのか。すなわち、特別委員がやめたとなると任期があったのか。また昨日の新聞を見れば、衆議院では特別委員の後任を推薦しておると、こういう事実もありますが、特別委員に関する政府の考え方がどういうところにあるのか私にはわからない。
#39
○国務大臣(篠田弘作君) 実は今の小林さん御指摘の点は、私も参議院公報を見て初めて知ったわけでありまして、どの委員がやめたか、だれがはたして推薦を頼んだものであるかということは、全然わからない。そこでまあこれは私は全然知らないという話をしましたところが、本日内閣でやはり手違いがあったと、そういうことです。それで取り消しを実はしておるわけであります。
#40
○小林武治君 これはどうも、所管大臣が私は知らぬと、こう言っているのもおかしいので、あの要求書は総理大臣から明らかに国会に来ておる。それで何かまた取り消したと言いますが、取り消しのことはわれわれはわからない。どこにも出ておらないことに衆議院では後任を推薦した。これはどういうふうになりますか。
#41
○国務大臣(篠田弘作君) 知らぬのはおかしいと言われても、知らないことはやむを得ない。
#42
○小林武治君 いやしくも責任者の知らないものは知らないのだ、こういうことで、知らなかったから、われわれの連絡が不十分で悪かったとか……私は知らぬものは知らぬ、こういうお言葉はあまり乱暴じゃないかと思います。
#43
○国務大臣(篠田弘作君) 乱暴じゃないでしょう。どうして乱暴なんですか。僕が何も知らないうちによそのほうで手続をして、私の見たときに、私が何も知らない。そうすれば、自治大臣が知らないことを手続したことが誤りであるからといって取り消さしたというのですから、いいじゃないですか、それで。
#44
○小林武治君 どうも私は乱暴なお答えだと思うのですね。所管大臣が、知らぬものは知らぬ。これは内閣が出したので、だからして、連絡が悪くって、内閣のミスだと、あるいは自分のほうが不注意だったと、こう言うのならいいけれども、知らぬものは知らぬ、そんなことは非常に不適当だと思いますね。
 それから、私はもう一つ伺っておきたいんでありますが、選挙制度審議会には人口と定数のアンバランスの問題、あるいは選挙区制の問題、こういうようなものは懸案になってそのまま諮問になっておる問題だと思うんですね。先般ある新聞を見ますと、大臣は、私は小選挙区制には賛成でないと、こういうようなことを言われたということが新聞に出ておったが、そういうような事実はありますか。
#45
○国務大臣(篠田弘作君) そういう事実はありません。
#46
○小林武治君 これはもう諮問をして、そしてその答申を待って政府が何か善処しなきゃならぬと、こういう時期にあるのに、所管大臣がそういう問題についてあまりあからさまに、おれは反対だ。何か選挙制度審議会の審議を牽制する、あるいはこれに束縛を与えると、こういうことにとれないこともないと思うんで、ああいう言辞はあまりやらぬほうがいいと私は思いますが、そうではありませんか。
#47
○国務大臣(篠田弘作君) 私はそういう言辞は、御忠告を受けるまでもなく、やっておりません。ただ、こういう問題なんです。小選挙区制がいいか中選挙区制がいいかという質問がありましたから、私は、日本の選挙というものは、中選挙区も小選挙区も大選挙区も全部やってきたんだ。そこで、終戦後第一回の衆議院選挙は大選挙区でやったんだが、やっぱり大選挙区ではまずいというので中選挙区になっている。そこで、中選挙区がいいか小選挙区がいいかということは、審議会の決定によってわれわれが考えるべきことであって、今僕がここで、中選挙区がいいとか小選挙区がいいということは言うべきじゃない、こういう話をしたのです。
#48
○小林武治君 それでは、小選挙区制はあまり気が進まないと言うた事実はないと……。
#49
○国務大臣(篠田弘作君) ありません。
#50
○小林武治君 一応私は質問を留保しておきます。
#51
○秋山長造君 ちょうど自治省と警察庁と両方の方が見えておりますのでお伺いしますが、今度の改正選挙法を使って初めて選挙をやってみたんですが、選挙をやった結果、やっぱりいろいろ当局のほうでも、やってみての経験を集約されて検討をされているんじゃないかと思うんです。一口に言って、今度の改正選挙法をやってみての利害得失といいますか、利害得失について自治省のほうと警察庁のほうでまとめられたところを、率直なところを述べていただきたい。
#52
○国務大臣(篠田弘作君) 非常に世の中を騒がして改正された選挙法ではございましたけれども、実施の結果は、前回に比べまして七割ほど違反者が増加をしておる。これはまことに私たちばかりでなく、国民全体が遺憾と思っておるところだろうと私は考えます。その中で特にふえました選挙違反というものは、一番多いのは戸別訪問でございまして、事務当局から説明したとおりの経過でございます。それで大体申し上げますと、戸別訪問が一番ふえておる。その次には自由妨害あるいは詐偽投票といったようなものが、自由妨害は初めてじゃありませんが、詐偽投票というものは今回の選挙で初めて起こった現象でございます。それからもう一つは、公務員のいわゆる地位利用というものが、従来は事前運動だけを取り締まっておりましたが、今回の改正によりまして、事後の運動も地位を利用した者は厳重に取り締まるということになりまして、これもまた新しいケースとしまして一つ出て参った。こういうような状態でございまして、七割もふえたということにつきましては、非常に遺憾に思っております。今後いろいろなPRとか、あるいはまた指導とか、あるいはマスコミの協力等によりまして、改正された選挙法というものを徹底さして、違反の減少に向かって、あるいはまた撲滅に向かって努力したいと、こう考えております。
#53
○秋山長造君 今せっかく大臣の御答弁いただいたんですが、私のお尋ねしたのはそういう趣旨じゃないんです。それは今表をもらっていますから、選挙違反の状態はわかっておるんです。そうでなしに、実際に改正選挙法をやってみて、ああ、ああいう点はちょっと選挙法がまずかったとか、こういう点は少し選挙法を再検討したほうがいいんじゃないかというような点が相当あったんじゃないかということを推測しておるんです。ですから、そういう点について、どうしても自治省のほうは、選挙局長のほうは選挙を管理していく立場からの御答弁になると思うし、それから警察庁のほうは取り締まりの面からの利害得失ということが出てくると思うので、そういう点は、自分で作った選挙法をいいとか悪いとか言うことは言いにくいかもしれぬが、ひとつその点は率直なところ、やっぱり反省されておる点もあろうし、また足りぬ点があったと思うから、そういう意味で法律そのものの利害得失というものを率直なところをお尋ねしたいと、そういう意味です。
#54
○国務大臣(篠田弘作君) 私が感じておりますところは、まあ一番、今申し上げました公務員の選挙違反がふえたこの問題てつきまして、私自身は特に新しい法律であったために、選挙をされる側に対する趣旨の周知徹底を欠いておったんじゃないかと、こういうふうに自分は考えております。その他の点につきましては、自治省としましてもまとめているそうでございますから、事務当局に説明さしていただきたいと思います。
#55
○中田吉雄君 関連して。大臣、あるいは自治省当局かもしれぬが、「公務員の地位利用」の違反が多かったのを、この法律の周知徹底がまずかったから、周知徹底が十分でなかったから多いようにあちこちで弁明を聞くんですが、私は決してそうでない。私は知っておるので、たとえば土木なんかは今年の割当をしないで、本年度のどこの堤防を直すというようなことは、票の出工合を見てやる。あるいは砂防でも耕地整理でもみんなそうです。今年は非常に予算の執行がおくれると思っておるんです。そんなことは、この法律の「公務員の地位利用」のことが、この改正選挙法が周知徹底しなかったということはなかった。私の県は鳥取県なんですが、公共事業の割当を票の出工合を見て割るというんです。岡山の農地事務局は票の出工合を見て土地改良なり用水なり、みんな土木関係、港湾なんかはこんなことは毎回の選挙でやっておるんで、そういうことの違反が、たまたま厚生省その他で上がっておるんです。これは大臣はただいまも、改正選挙法の周知徹底が十分でなかったからと言うが、私は今年は事業の執行が非常におくれると思うのです。これはもうそういうことではないんです。その点はひとつ、反駁ということではないんですが、なかなか実情が大臣のお耳に入りにくいのかと思いますが、今年なんかは全くひどくて、公共事業の割当を実際しないで票の割当だけをして、その結果を見て割りましょう、こういうことが鳥取県なんかではざらなんです。そういうことがたまたま厚生省なんかが警察当局でやられたというので、それはもうたいへんな地位利用なんです。その点はひとつ今後十分気をつけていただきたい。
#56
○国務大臣(篠田弘作君) 今御指摘のようなことは、私直接存じませんけれども、そういうようなこともあるかと思われますから、十分注意するとともに、そういう問題については厳正な取り締まりをしていきたいと思います。
#57
○占部秀男君 関連。今大臣が言われた中で、周知徹底していないからというようなことを言われたのです。その結果、今の条項を変えようというのですか。それともそうでないというお考えを持っておるのですか。その点はいかがですか。
#58
○国務大臣(篠田弘作君) 前国会におきまして今回の選挙法というものは成立したのでございますから、今そういう面が出ましても、すぐ選挙法の改正をこの部面だけをとってやるということは、おそらく実際上できないと思います。そこで私の考えといたしましては、先ほど申し上げましたように、いろいろなPRとか、行政指導とか、あるいはマスコミの協力を得て、こういうことはよくないのだ、材木屋だから林野庁長官を推さなければならぬということは一つもないのだ、そういう意味のことを十分に徹底させましてやっていきたい、こう考えます。
#59
○政府委員(松村清之君) 秋山委員の御質問に対してお答えいたしますが、改正選挙法の実施の経過につきましては、投票者の立場、候補者の立場、選挙管理機関の立場、取り締まり当局の立場等からいろいろ検討をしなければならないと思いますが、先ほどお話しのように、選挙管理側の立場、選挙管理委員会の意見に限って申し上げたいと思いますが、いつも選挙が終わりますと、全国の選挙管理委員会からたくさんの選挙法の改正意見が出てくるのでございますが、今度も特に全国の選挙管理委員会から意見をとったのでございますが、今度はきわめて意見が少ないのでございます。それは前国会で選挙管理機関側の意見がほとんど改正法の中に取り入れられた関係だろうと思いますが、今御質問の、改正された部分につきましての選挙管理機関側の意見といたしましては、きわめて少ないのでございますが、共通しておる大きな点といたしましては二つあるのでございます。一つは公営掲示場――ポスターの公営掲示場についてでございますが、ポスターの公営掲示場が十分に利用されていないのではないかという意見が一つございます。この点につきましては、これが運用によって今後改善すべきであろうと思いますが、今回は公示の日からポスターが張れるようにということで、どの程度候補者が立つであろうかということをあらかじめこの選挙管理委員会で推定してやりましたために、非常にスペースに余裕を持って作られておった。そのためにいかにも未利用の部分が非常に目立ったわけでございますし、また一部の候補者には利用されない方もあったようでございます。そういう点からこの問題が提起されておるのだろうと思いますが、この点につきましては、選挙管理機関側も決定的によくなかったということでなくて、改善していくことによって、いい結果をもたらすのではないかと、こういうふうに言っておりますが、いま一つの点の街頭演説の場所についてだけは、これは全く利用されていないということで反対が強いのでございます。ある選挙管理委員会は、もう全廃しろ、あるところでは、大都市に限れ、こういうようなことを言っております。これは結局、人の集まるような場所には、交通事情等から街頭演説の場所を設けることが困難である、街頭演説の場所の設けられるようなところでは人があまり集まらない、こういうようなことがおもな原因だろうと思いますが、この二つの点が今度の改正部分の意見として選挙管理機関側から出ておる大きな点でございます。
#60
○政府委員(宮地直邦君) 具体的に申し上げますが、今回の改正によりまして、たとえば政党の政談演説会並びに街頭政談演説会に対していずれも選挙運動ができるというふうに規定ができております。これは旧法に比べますというと、旧法におきましては、政党の政談演説会においては候補者以外は選挙運動ができる、街頭政談演説ではできない、こういうふうな規定があったのでありますが、いずれもできるというふうにはっきりいたしましたために、警察側といたしましては、実に明快になっておるわけであります。つまり、警察官が、政党の選挙運動なりや、あるいは政党の政治活動なりゃというような点を判断しなくても、明快に割り切られたというような点におきまして、非常にけっこうだと感じております。われわれのほうとしては、警察官の個々の主観的判断が入らないという意味において非常にけっこうなことだと思っております。また、先ほども申しましたが、従来はポスターをはがした場合には、解釈上選挙の自由妨害というふうにしておったのでございますが、これは本文だけを読んではなかなか出てこないが、専門家だけが解釈しているということでございましたが、今回の改正で規定が明瞭になりましたために、取り締まりをする場合に非常に楽になったわけでございます。そういう意味におきまして、非常に今回の警察取り締まりにおきまして、取り締まりの便宜という意味ではなくて、警察の取り締まりの公正を期する意味において、そういう点が非常にけっこうだと思っているわけでございます。
 また、私どものほうにおいては具体的に改正選挙法が今後どうあるべきかということを検討いたしておりませんが、今申しましたような意味において、加えたいと存ずるのでございます。
#61
○秋山長造君 自治省のほうでは、今の政府側の御答弁としては、選挙を管理運営する立場、あるいは取り締まる立場だけからの御答弁なんですが、もう一つ重要なことは、選挙をやる当事者の経験なり意見なりというものも、何らかの機会か機関を通じて十分やっぱり吸い上げる必要があるのではないかと思うのですがね。で、もちろん選挙の当事者の意見には相当我田引水的な意見もあるでしょうけれども、しかし、案外国会あたりで論議されるのは、連座規定の問題だとか、高級公務員の立候補制限の問題だとか、あるいは政治資金の問題だとかいうような大きな問題ばかりで、実際に選挙をやってみて気のつくような技術的な問題がたくさんあるのですね。そういう問題は、選挙管理委員長を集めたり、あるいは取り締まりの府県の警察本部長を集めたりして経験交流をした程度では、なかなか上へ吸い上がってこぬのではないかという気がするのですがね。たとえば、今もおっしゃった公営掲示場、それから公営街頭演説会場、こういう問題は、さすがに選挙管理委員会でも、若干角度は違うけれども、気がついておられるようです。実際、選挙をやってみまして、これは私だけの経験でなしに、多くの、ほとんどすべての選挙の当事者の意見がそうだと思うのですが、街頭公営演説会場なんというものは、これはおよそ無意味なんですね。これは利用しないのがあたりまえなんで、市町村の選挙管理委員会にしても、選挙をやる立場でないからして非常におざなりな、とにかく場所さえあいておればそこへ公営演説会場の札を立てている。ところが、選挙をやる場合にはやっぱり相手があることですから、その場所の効果ということを考えなければいかぬでしょう。効果も何も考えないで、ただ空間があるからそこを指定するということに終わっている場合が多い。それから公営掲示場なんか利用されておらないというのは、おそらく今おっしゃったような理由だろうと思うので、実際には非常に効果的だと思うのですね。ただ、もしそれにもかかわらず利用されていないものがあったとすると、公営掲示場というもの、掲示板というものが、どこの町村のどこどこにあるのかということがはっきり選挙をやる当事者にわからないわけですね。いなかならすぐ目につくけれども、大都会なんかだったら、いろいろな広告の看板がたくさんあるわけですから、目につかない場合がある。ですから、そういう点を選挙の当事者に、どこの町のどことどこにこれがあるのだということを早急にはっきり徹底さす方法を今後は考えるべきじゃないか。それから同時に、むしろ公営の街頭演説会場なんていうものはもうやめて、それは自由にやらして、そうして公営掲示板をもっとうんとふやすということにしたほうが選挙をやる当事者にも非常に便利だし、それからまた選挙民にも非常に親切だろうと私は思うのですが、そういう点のごく技術的な法文改正になると思うのですが、将来の衆議院選挙なりあるいは地方選挙なりに備えて、そういう程度の改正ということは十分考えらるべきじゃないかという気がするのです。
 それからついでに申し上げますが、もう一つは連呼の問題ですね。連呼は新聞等ではずいぶん評判が悪くて、結局それが世論だということで、連呼は禁止されたわけですけれども、実際問題として、運動期間は以前は三十日だったのが、参議院の場合には二十三日と、一週間縮まっている。歩く範囲は非常に広いし、しかも農繁期で、みな家にいない。たんぼに出ている。そういう状態の中で短期間に選挙運動をやるというには、連呼以外にないですよ。これはよしあしでなく、実際問題として連呼以外にない。おそらくここへ列席されている委員の方だって、大臣自身だって、私は絶対に連呼は自分の選挙に関する限りしたことがないと断言できる方はおいでにならぬと思うのです。(「最初反対しておったじゃないか」と呼ぶ者あり)いやいや、そんなことはない。僕らは連呼を大いに最初強く言うておった。それは石原さんの聞き間違えで、訂正してもらわないと……。これも連呼を野放図に許すということは確かに弊害があるかもしれませんが、せめて国会の選挙ぐらいは、場所あるいは時間等の制限をつけるかどうかは研究するとして、連呼ということはむしろはっきり認めたほうがいいんじゃないか、そのほうが選挙民に対しても親切なんじゃないかと思う。これは松村さんやなんかはピンとこない点だと思うのですが、大臣はピンとくると思う。
 それからついでにもう一つ申し上げますが、自動車の制限ですね。私はきょうはあまり大きな問題を申し上げません。ごく技術的なことだけ申し上げますが、自動車の制限は、国会段階くらいの自動車の制限は、これはやむを得ないかもしれません。われわれはやむを得ぬとは思っていないのだけれども、一応は別として、地方選挙、市会議員なんかの選挙に至るまで乗用車一本にするということには、非常に無理があるのじゃないかという気がする。特に来年なんかのように、全国各府県、市町村一斉にやる選挙で、それぞれの候補者が全部乗用垣を調達しなければならぬと言ったら、費用の面もたいへんですが、大体実際問題として物理的に絶対量が間に合わぬのじゃないかと思うのです。いなかの、山あり、川あり、イノシシが出たり、サルが出たりするというような市もたくさんあるのですから、そういう市で三十人なり四十人の候補者が一挙にそれぞれ乗用車を調達してやるということは、物理的に不可能をしいることじゃないかという気がするのです。どうも地方選挙に至るまで乗用車一本に制限してしまうということには非常に無理があるのじゃないかという気がするのですが、それらの点についてひとつ大臣まず御答弁を願いたい。
#62
○国務大臣(篠田弘作君) 私も議員でありますから、今御指摘になりました点は、全く同様に不便を感じておるわけです。まず公の掲示板でありますけれども、公の掲示板といいますと、たいていいなかの町へ行きましても町はずれにできている。町のまん中の人が一ぱい来るような所には大体立っていません。私の経験として、私は北海道ですから、内地方面のことはわかりませんけれども、大体そういうふうです。それから街頭演説会場でございますが、街頭演説会場というものを指定したというのは、今度の参議院選挙からでございます。われわれは街頭演説をやる場合には、なるべくにぎやかな四つかどの人の集まる所でやります。それでなければ効果はありません。ところが、一方から言えば、そういう所でやられれば、交通整理の問題などいろいろありますから、適当な広々としてあまり人の来ないような所へ作るというのが、これは人情ではないかと思います。私は一々検査はしておりませんが、今のお話を聞くと、そういうふうに受け取れる。これは街頭演説場まで指定するということは、私はあまり賛成いたしません。
 それから連呼の問題がありますが、これは私は非常に連呼というものに不自由を感じております。前の衆議院の選挙のときにも、一緒に乗っておる人が、みんなやっているのだから連呼しろ、連呼しろということを言いましたが、私は、それは国会でわれわれがきめたのだからよそうじゃないかということで、連呼は一回もしません。しかし、参議院のようなああいう大きな選挙になってきますというと、どうも二十三日や二十五日でもって全県をかけ歩くとか、あるいは北海道全体をかけ歩くということは、そうして趣旨を徹底するということはおそらく不可能だと思います。われわれも連呼のほうには賛成しました。しかし、結局において、多数決でございますから、連呼はやらないことに、まあ連呼をやらないということに法律がきまったのであるから、連呼はみなできないのですから、連呼をやらないで何とかひとつ趣旨を徹底させるように改正まではやる以外にないのではないか。御趣旨から申しますと、私もあんな大きな選挙で連呼もしないでやれと言うのは無理だ、こういうふうに考えております。
 それから自動車の問題でありますが、町村議会議員はトラックを使って・いいということになっております。大体町村議会議員は、われわれの見るところでは、三輪車を使ってやっています。ただ問題は市会でございますが、市会までは乗用車、こういうことになっております。
#63
○秋山長造君 いや、その点が非常に現実離れがした法律だと言うのですよ、私は。府県会議員、市会議員あたりと言うたら、数が多いでしょう、候補者の。だから、そういうものでも、特にぽつぽつやられるならばともかくだけれども、来年の春のように、全国一斉にやるよう場合には、これはとても絶対数が間に合わんですよ。金の、費用の問題もありますよ。費用の点もあるが、費用の問題が解決したとしても、絶対数が間に合わない。それから、いなかの山中の市なんかで一挙に四十台、五十台の乗用車をそろえるというたら、これはたいへんなことです。
#64
○国務大臣(篠田弘作君) まあこれは所によって違うと思いますが、私たちの考え方から言えば、台数が間に合わないというようなことは私はないと思うのです。それで、ただ市のほうにまで乗用車を使わせることにしたという理由は、これはおそらく市というものはどこの市でも、交通にしろ、人口にしろ混雑しておりますから、そこへ大きなトラックを乗り入れて、三十台も四十台もでかき回されてはたまらないという考え方から、やはり乗用車にしたものと、こういうふうに考えております。
#65
○秋山長造君 その点は議論になりますけれども、大きなトラックでなしに、従来は小型上フックは使える。つまり、地方選挙には多くの場合、トラックといいましても三輪車ですね、三輪車あたりを小刻みに使っている例がほとんどだと思うんです。むしろ交通の面からこういう乗用車一本に統一するということが出てきたと思うんですけれども、交通取り締まりの面からいいましても、乗用車なら一々おりてやらにゃいかぬですね、街頭で。ところが、非常に混雑している所で一々おりてやるよりも、それは車の上からやったほうがはるかにあぶなくないし、はるかに徹底するし、はるかに交通の取り締まりにも沿うゆえんじゃないですか。一々雑踏する中で車をおりて、そうして街頭演説なんかやったら、それこそ非常に交通が混雑すると思うんです。
#66
○国務大臣(篠田弘作君) おっしゃるような面も確かにあると思います。ところが、われわれにいたしましてもそうでありますけれども、トラックに乗っておりますと、もう町へ入ると、先生立て、立てと、こう言うわけですね。結局立っても、あっちへおり、こっちへおりしなければ、前の人もやっていたのに、うしろのやつがしないとなまいきだということになりますから、なかなかそこがむずかしい。そこで、何と申しますか、トラックの上に立って、あっちへ礼をし、今こっちへ礼をしたらまたこっちへ礼する、またうしろ向きになって礼というようなことになったら、一体議員の候補者としての品位から言ってどうだろうか。そこまでやらなければならないということもないじゃないか。議員の候補者としての品位を保つということをまず前提とした場合には、まず乗用車に乗って、必要な場所においておりてやることのほうが品位もいいし、いいじゃないかということが一つと、それから、ちょうど私の選挙区――参議院の方はもっと広いわけでありますけれども、私の選挙区自体から言いましても、四国四県と同じ選挙区なわけです。冬、トラックで、ぴゅうぴゅう吹雪の吹いている中で立ってやらなければ、そういう制度があると立たなければならないし、そうして帽子をかぶっているわけにいきません、やっぱり票をもらうんですから。そうすると帽子を脱いで頭から雪だらけになって、外套も着ることができなくて、北海道の零下十何度というような所でトラックに乗せられて頭を一々下げているということは、実際議員の健康という面から言って、持たないですね。そういうあらゆるものを総合して、プラス、マイナスはある、だろうけれども、このほうがベターじゃないかということで今日の結論に達したのであって、そういう反面のマイナスの面を列挙すれば、あなたのおっしゃるとおり、数多くあると私は考えるんです。
#67
○秋山長造君 議論になりますから、これでやめますが、大臣のおっしゃる点は私も否定しないんです。だから、国会のような、衆参の選挙のような、広範囲にわたって歩く選挙は、これはおっしゃるような点はあると思うんです。ただ地方選挙については、やっぱり今までどおり乗用車もそれは許したらいいと思うんです。許したらいいと思うんですが、やっぱり同時に、従来のように、小型貨物車程度のものは許すということにしておいたほうが現実的じゃないかということを言っておるのです。
 それから、候補者の品位とおっしゃるけれども、品位ということもいろいろ解釈ができるんですが、それは国会議員の候補者が一々ぺこぺこ頭を下げて歩くということも、確かにその面から言えば品位という問題もでるかもしれぬが、地方議員なんかの場合は、品位を落としていいわけじゃないが、やはり小範囲だし、それから地域の住民との血の通い合いということが大事なんで、そういうことになりますと、何だ、市会の候補者、県会の候補者が、平生は自転車で歩くくせに選挙のときだけ乗用車で歩く、というのもかえってへんてこなもので、やはり小型貨物車、今の三輪車ぐらいでこまかく歩かなければ、乗用車なんかだと大体いなかの小さい道は入れぬですよ。そういう地方選挙の実際の姿というものを考え合わした場合に、乗用車一本に市会議員の選挙までしぼってしまうということには無理がありはせぬか、こういうことを聞いているのです。
#68
○国務大臣(篠田弘作君) 確かにおっしゃるような無理はあると思います。それで町村がトラックにしたということは、町村ではとてもあなたのおっしゃるような乗用車を集めることはできないだろう、町なら乗用車は集まるじゃないかというような、そういう考え方からやったようでございますけれども、この問題は御指摘のような点もありますので、将来の問題として研究したいと、こういうふうに思います。
#69
○秋山長造君 それで私が自治省の方へお願いしたいことは、今私が申し上げたような点は、これは選挙法の実際根本的な問題じゃない。これはもうごく枝葉の事務的な問題なんです。技術的な問題です。だから、そういうような点については、皆さんの立場だけでお考えになるのでなしに、実際に選挙をやる当事者なり何なりというような人たちの意見をも十分参考にされて、そしてちょうど来年は地方一斉選挙があるんだし、また遠からざるうちに衆議院選挙というようなこともうわさされているような時期ですから、別にこれは党派によって意見がひどく食い違うというような問題じゃないのですから、そういう点は率直にひとつ自治省のほうでも再検討していただいて、できることなら、やはり来年の一斉選挙なんかに間に合わすように、法律の一部改正ということもあえて辞さないというだけの弾力性を持った態度で検討していただきたい、こう思うのですが、いかがですか。
#70
○国務大臣(篠田弘作君) とにかく検討してみたいと、こう思います。
#71
○松本賢一君 先ほどからいろいろ御質問が出ておることについて、もう少し簡単にお尋ねしてみたいことがあるのですが、まず警察のほうの問題ですが、検挙が非常に今度多かったわけですが、これが実際に違反が非常に多かったということもあるかもしれませんが、検挙に今までよりもうんと力を入れた結果も現われているのじゃないかと思うのですが、そういう点はどうでしょうか。
#72
○政府委員(宮地直邦君) 選挙につきましては従来とも厳正公平、その他方針につきましては従来と全く変わりはございません。一般的に私どもが感じましたことは、今回選挙法の改正があったということによりまして、一般国民が非常に選挙の執行の面について関心があったというふうには警察のほうでも感じておるのであります。
#73
○松本賢一君 そうすると、特に今回厳重な取り締まりをして、そして検挙に従来より以上に力を入れたというようなことはないわけてすか。
#74
○政府委員(宮地直邦君) 方針において、従来と全く同じ思想、方針をとったわけであります。変わったことはございません。
#75
○松本賢一君 そうすると、現実の問題として、非常に違反が多かったということは言えるわけですね。それで、そうとすれば、これはいろいろ先ほどから皆さんのおっしゃることを聞きながら考えていたんですが、特に戸別訪問とか文書、図画の制限違反とか、そういうようなものが非常にふえているということは、戸別訪問が非常にふえたということは、私はやはり連呼を許さないということに非常に大きな原因があると思うのですよ。連呼ができれば、戸別訪問をああまでやらなくてもいいんじゃないかという点があり得ると思う。そういう点で、戸別訪問を一切やらせないとするためには、やはり連呼というものを許すのがいいのじゃないかということが考えられるわけですが、その点はどういうふうなお考えかお聞きしてみたいのと、それから文書、図画の制限、これはまあポスターやいろいろな文書の問題があると思うのですが、ポスターは先ほど秋山さんの話にもあったように、公営の掲示場というものをうんとふやして、私どもの経験からしますと、むしろもう公営掲示場を十倍にでも二十倍にでもふやして、そうしてそれ以外の所にポスターを張っちゃいけないというふうにしたほうがむしろいいのじゃないか、こういうふうに思うのですが、そういう点、どういうふうにお感じになるか、お聞きしてみたい。
 それから、そういったいろいろのことを考えて、今日もうすでにテレビというものが非常に普及されているわけなんで、演説会なんかに人が少ない原因をみると、演説会を聞きに行くよりテレビを見ているほうがおもしろいということがあって、演説会の聴衆が非常に少ないということもあるのですが、そういう点いろいろ考えて、テレビを選挙に利用するということをもっと積極的に考えていただかなければいけないのじゃないかと思うのですが、そういう点についてどの程度御研究になっておるか。それから将来テレビを大いに利用するという意思をお持ちかどうか。そういう点をひとつお聞きしてみたいと思います。
#76
○国務大臣(篠田弘作君) 公営掲示場の問題につきましていろいろ研究したんだそうでありますけれども、なかなかいい場所が見つからない。法律では一カ所以上というふうになっておるのだけれども、それが実際問題になるとなかなか見つからない、こういう困難があるそうであります。テレビのほうは技術的にいろいろな電波が重なり合ったり、地域的に重なり合いがありまして、これも十分研究したそうでありますけれども、何しろ、かりに北海道で衆議院選挙がありますと、議員の定数だけで二十二人でありますから、かりにまあ倍出るとすれば、四十四人の候補者が北海道のHBCなりNHKなりで重なっちゃう。そういうような関係で、今せっかくテレビというものが近代的な武器でありますから役立てたいということで考えておりますけれども、今申し上げたような技術的になかなか無理がある、こういうことであります。
 それから、戸別訪問が非常にふえたということの一つの理由、これはまたおしかりを受けるかもしれませんけれども、こういう答弁をすべきでないかもしれませんけれども、まあ率直に申し上げたほうがいいと思うのですが、連呼がなくなったから戸別訪問がふえたのじゃなくて、今まで戸別訪問というものを陰でやっていた人が多いのですが、今度の選挙においては積極的に乗り出してきて、激しいのはおまわりさんのところまで行って戸別訪問をしている。そういうことが非常にふえた。そのために、これはまあどちらかというと宗教的な関係ですね、折伏と称しておまわりさんをも説き伏せてみせるという一つの非常に強い決心で出かけているわけですから、これは戸別訪問が非常にふえたということは当然の話であります。連呼との関係では私はないと思います。
#77
○松本賢一君 今の戸別訪問と連呼との関係ですが、これは必ずしも関係がないという御答弁は、当たってないと思う。これは連呼がもう少し自由にできればやらない。戸別訪問というものをやはりどなたもやっていらっしゃると思うので、そういう点は私は大いに改善されると思いますし、また考えようによっては、ある時代では許されておった戸別訪問ですから、あるいは許してしまっていいのじゃないかという、これは軽い気持での発言ですが、そういうことも考えられるのじゃないかとも思います。
 それからテレビの問題でございますが、これは今立会演説会というのがございますね。これは地理的にとうてい聞きに行かれない人かずいぶんたくさんあるわけです。だとすれば、立会演説会ですらとうてい聞きに行けない人がたくさんあるのに、ただそれだけでやっているということであるとすれば、テレビだって見えない所も一部あるということはあっても、やっぱり利用すべきものは利用すべきじゃないかと、こういうことは考えられると思うのです。それは百パーセント見えるようになるまでテレビは利用しないのだというようになったら、それはもういつまでたってもおそらくできない、だろうと思いますから、そういう点はもっと積極的に御研究いただきたいと思うのでございます。
 それから公営掲示場の問題ですが、公営掲示場というものは何も……、ポスターの掲示場の問題ですがね、場所が得られないということがありますかもしれないけれども、しかし、そこのところはもっと場所を得ることを考えていただく。何も屋根のついた立て札でなくてもいいわけなんで、要するに、ポスターというものをほんとうに今度の選挙ではめちゃめちゃに張った候補者がたくさんあると思うのです。そういうことを町の美観とか何とかいう意味からも制限するために、公営掲示場をもっとうんとふやして、そうして、むしろそれ以外の所はポスターを張っちゃいけませんというくらいの考え方になるべきじゃないかと、そういうふうに思うのでございます。
#78
○国務大臣(篠田弘作君) 率直に申しまして、連呼と戸別訪問の関係はおっしゃるとおりだと思います。やはりもっと連呼を許して、あるいは炭鉱の長屋までずっと連呼ができるようになれば、戸別訪問というものは減ってくるだろう。ただ、私が申し上げましたのは、今回の戸別訪問の違反というものは従来と様相が違っておるということを申し上げたわけであります。
 それから公営掲示場の問題でありますが、これはまあ自治省とか選管とかで、場所がない場所がないと言っておりますが、場所がないと言ったって場所があるのだから、結局、予算を取って研究をして、場所がめっかりさえすればこれはおっしゃるとおりふえる可能性は十分あるのでありますが、これは私のほうとしまして研究して、御期待に沿うようにしたい。
 それからテレビの問題は、見えない場所があるからやらないのではありません。これは逆なんです。技術上やることができないわけなんです。たとえば東京都の候補者がテレビで演説する。そうすると、それは関東なら関東に全部行っちゃうわけです。必要のない所に全部来ちまうわけです。そういうふうに、電波とか地域の重なり合いというものを技術的に解決しておかないと聞こえないのは、御承知のとおり立会演説だって来ない人もありますし、投票権だって持ってこない人もありますから、やむを得ないと思うのですけれども、技術的に今申し上げたような困難がある、こういうことなんです。それを解決すればできると思います。
#79
○松本賢一君 まあ私は放送技術のことはよくわかりませんけれども、現在・ラジオでやっているのですから、ラジオでやっているのにテレビでやるというくらいのことはできないことはないと思うのです。
 それから次には立会演説会に関連して考えてみると、立会演説にはずいぶん長い時間を取っているわけなんで、そういう点、テレビである程度時間を取るというと、これは選挙民はテレビでやるということになると、相当興味を持ってテレビを見るだろうと思うのです。ですから、そういう点は、これは技術的な問題は、私は全くしろうとですから、わかりませんけれども、十分お考え願いたい。
#80
○国務大臣(篠田弘作君) これはもう松本さんのおっしゃるとおり、研究する課題だと思います。ただ、テレビがラジオと違うのは、ラジオのほうは割合に各県別に、福島のラジオだとか関東ラジオとか静岡のラジオだとか、そいうふうに割合狭い一県単位のラジオ放送局というものが非常に多いわけです。テレビの場合はそうじゃなくて、中央にテレビが集まっておりまして、そういうことで電波が同じになるわけですよ。結局、ですから、これは研究してみます。私も御承知のとおり技術者じゃありませんから、技術者の言うことを受け売りしているたけですから、ですから、あとで十分研究してみます。
#81
○松本賢一君 いずれにしても、大事をとるだけでなくて、やってもらいたいという希望は選挙民には非常に強いのですから、そういう点を御考慮いただいて、できるだけ拙速主義をとって
 テレビを利用することを考えていただきたいと思います。これで私は打ち切ります。
#82
○中尾辰義君 大臣にお伺いしますが、今度の選挙で投票率が非常に上がって六八・二%と好成績であった。それは政府が六億か八億からの相当な金を使ってPRをしたその結果だと思う、こういうふうな説明があったのですが、私は必ずしもそのように思わぬのですが、大臣の見解はどうですか。
#83
○国務大臣(篠田弘作君) これはいろいろな原因があるのじゃないでしょうか。政府も予算を使ってPRをしたということもあるし、また参議院選挙というものがいつも低調だ、衆議院に比べて低調だ、これじゃいけないという選挙民の自覚もあると思います。あるいはまた割合にりっぱな候補者がたくさんお立ちになったから、ぜひこの候補者に入れたいと、そういうふうなまた応援的な気持もあるのじゃないか。いろいろな要素が重なって投票率が上がったということは言えますけれども、その原因がこれ一つであるというふうに断定はできないと思います。
#84
○中尾辰義君 それで政府のPRについて相当な行き過ぎがあったように私は思うですがね、これは新聞にも出ておりましたけれども 投票に行った者は二千円の抽せん券を与えるとか、あるいは投票率が高い所には乗用車を贈与するとか、――これは自治省のほうで注意もあったようですが、このほかに補充選挙人名簿の申請について、役人が補充選挙人名簿の申請書を自分で職権でもって勝手に鉛筆で書いて、自分で拇印を押して補充名簿を作っている。こういう事実がこれは相当あった。私は現に見ている。この件については大臣は御存じないようですから、一応お耳に入れておきます。あとでまた局長にお伺いいたしますがね。
 それからさきの国会において公選法が改正になった。野党が相当反対をして、それにもかかわらず強引に骨抜き法案を通したわけですが、その結果買収等の犯罪も相当ふえた、こういうことに対して大臣はどうお考えですか。
#85
○国務大臣(篠田弘作君) 先ほど申し上げましたように、まあ今回の参議院選挙において違反が非常にふえたということは、まあ私たちとしましてはまことに遺憾であります。しかし、どうも選挙民と候補者と、そういう関係でこの買収供応というものが行われている以上は、両方の自覚に待たないというと、なかなかこれは減らすことはできないと思います。そこでこれはもちろん厳罰にするということも非常に必要でありますけれども、やはり選挙教育というものを、その選挙のときだけでなしに、ふだんから選挙教育をやらないと私はこれはまずいのじゃないか、こういうふうに思う。中にはこういう人があるのですね、これは私の選挙に起こった場合ですけれども、選挙のときに、非常に酒の好きな町会議員がおりまして、それが必ず自分一人で飲まないでほかの人と飲むのです。そこで私も、君、選挙中は酒やめろ、酒飲むな、それから友だちに飲ませるのはやめろという話をしたけれども、どうしても聞かない。おれのうちは酒屋なんだ、おれのところには人に売るほど酒がある、それをしょっちゅうおれも飲むし、人にも飲ませる、それをどうして選挙のときだけ飲ませて悪いか、そういう馬鹿な法律はないじゃないか、そう言って聞かない。それは君、ふだんはそれでいいけれども、選挙のときだけはやめろと言って友だちがとめても、何と言ってもがんばって、そんな法律はおれは守る必要はないと言って、とうとう違反にひっかかって、その人は公民権剥奪を食った。こういうがんこな人が世の中におりまして、これは非常に極端な例でありますけれども、何といいましても、やはり町会議員級の人ですから、相当村では指導者であるし、自覚もあるし、自分自身も選挙をやっておるわけですけれども、極端な例を引きますとそういうのがたまにはあります。ですから、こういう人はそのときになってやめろと言ってもなかなかやめませんから、ふだんからよく教育して、そうして選挙法というものをもっと徹底させて指導をやっていく。そこでいよいよ、そういう何べん言っても聞かないというときは厳罰に処する以外に方法がないであろう、こういうふうに考えております。
#86
○中尾辰義君 選挙意識の高揚ということも今まで再三言われてきておる。それはちょうど政府が、終戦後道義が頽廃をしておる、だから道徳教育をもう少しやって、人作り国作りをやろうというような考えと同じです。大体今の大臣は、ひな壇にすわっておる大臣は、昔は道徳教育をなさった。ところが、大先輩がいろいろな収賄を相当やっておる。まあ、そこで選挙意識を高揚させるということももちろんやらなきゃなりませんけれども、これは実際百年河清を待つようなものであって、それは別として、この前、選挙法の審議におきましても連座制の強化だとか、それが相当問題になって、近親者もこれは連座させるわけだ。ところが、それには同居して意思を通じておらなければならない、こういうふうに骨抜きになったわけですね。今度の選挙で候補者の近親者が相当買収をやっています。あれがあのとおり通れば、免れは失格になりますよ。実際そういうところで、今度大臣は選挙の腐敗防止のためにどういうふうな方向に改正をなさる意思があるのか、その点について、審議会の答申は答申として、見解をお伺いしたい。
#87
○国務大臣(篠田弘作君) 連座制が修正されたから買収供応が多くなった、そういうふうには私は考えません。連座制が修正されたという理由は……
#88
○中尾辰義君 そうじゃありませんよ。
#89
○国務大臣(篠田弘作君) まあ、いいですよ。今私が発言しているんですから、私の言うことを聞いて下さい。
 連座が修正されたということは、憲法上とかあるいはその他において、日本の国民というものは裁判を受けることなくして罰せられることがないという一つの憲法の規定があります。しかるに、親子兄弟が悪質違反を犯したからといって本人が全然裁判を受けないで連座するということは、この憲法の条項に違反するという疑いがあるので、そういう条項は修正されまして、そういう場合には本人も裁判を受けるということになった。でありますから、これはもう私は修正したほうが当然である、これは議論でありますが、そういうふうに思っております。
 それから先ほどおっしゃった、何か役人か大臣か収賄をするというお話がありましたけれども、私はよくわからなかったが、それはどういう意味ですか。
#90
○中尾辰義君 そういうような今までの傾向があったということを言っているのです。
#91
○国務大臣(篠田弘作君) それは私の答弁する限りでないと思いますが、どういうふうに今後やっていくか、こういうお話でございますが、先ほど来たびたび申しましたように、選挙法というものをそうたびたび改正するということは事実上不可能だ。かりに私がここで、この次の国会にひとつ改正しましょうなんと言ったって実際できないでしょう。これは議員生活をしていらっしゃる方はよくおわかりになると思いますが、しかしそれだからといって、そのままにしておこうというのじゃありませんが、来たるべき審議会におきまして、先般改正されたその法律によって行なった選挙というものがこういう事態になってきておるということであれば、それをも審議会としては検討されるのじゃないか、こういうふうに私考えております。一切審議会の経過にゆだねたい、こういうふうに考えております。
#92
○中尾辰義君 それで選挙局長にお伺いをしますが、基本選挙人名簿の調製に際しまして、三カ月以上市町村の区域内に住所を有する者の選挙資格を調査するのに、これは調査してやるわけですが、これがあちこちの地方団体において非常に調査のやり方というものが違うわけですがね、これはどういうふうになっておりますか。
#93
○政府委員(松村清之君) 法律では、御承知のように、職権でこれは今お話しの基本選挙人名簿――補充選挙人名簿はまた違いますが、基本選挙人名簿は職権でもって三カ月以上の住所を持っておるかどうか、これが問題点です。あと年令が合うかどうか、そういうようなことを調査して、選挙権があると認められる者を基本選挙人名簿に毎年登録することにしております。したがいまして、職権でございますから、それぞれの選挙管理委員会によりまして番確実にやれると思われる方法を選んでやっておると思います。地方へ行きますれば、各戸に歩いてみて調査するというようなこともやっております。また大都市等では、なかなかそういう各戸に出歩くということも不可能でございますから、住民登録というようなものを基本にいたしまして、それでもって大丈夫だ、こういうようなことで登録しておるのもあります。これは各地各様で、選挙管理委員会として実行のできる確実な方法にのっとってやっておるように思います。
#94
○中尾辰義君 住民登録による方法もありますし、あるいは日赤奉仕団とか、土地の有力者、世話人、そういうものを使って基本選挙人名簿を作る。ですから、非常に不備な点が多いように私は思うが、あれは統一するというわけにはいかないのですか。
#95
○政府委員(松村清之君) 私どもは長年研究いたしました結果、基本選挙人名簿にのっとって選挙人名簿を作ることが一番いいのじゃないか、こういうふうに考えておるのでございますが、現在の住民登録によって作るのが一番いいのじゃないかと思っているのでございますが、遺憾なことに、住民登録というものが、今の状態で見ますると、完全なものでないように思われるわけでございます。したがって、まず住民登録に基づいて選挙人名簿を作ることが一番いいと思いますが、それには住民登録というものを少し考えなければいかぬのじゃないか、こういうことで、実は先般の選挙法の改正におきましては、住民登録に基礎を置く選挙人名簿を作る法律案に実は私どもの手元では書き上げておったのでございますが、そういうようなことで少し期間を延ばしまして、ただ附則で、将来早く基本選挙人名簿は住民登録を基礎として作成するようにという宣言的な規定を改正選挙法に入れておるような状態でございまして、できるだけ早い機会に選挙人名簿に基づいて一斉に基本選挙人名簿を作るような方向へ将来参りたい、こういうように考えます。
#96
○中尾辰義君 私が申し上げたいことは、住民登録によるものは別といたしまして、土地の有力者等に頼む、そういった場合には、さっきは不備の点と申しましたけれども、不備と言うよりか、むしろ不正な点が若干見受けられておるのです。出したやつを没にするとか、そこに配らないとか、その点を今後ひとつ検討してみて下さい。
 それから次に補充選挙人名簿の申請の件ですが、これは基本選挙人名簿の調製が終わりましてからあと次の選挙の日まで、今回の場合ざっと六ヵ月くらいありましたが、その間において申請するわけでしょうが、これもまた三カ月以上住んでおる住民票を必要とする所もあれば、住民票でなくて何かはかの郵便か何か、あるいは家主さんの証明とか、あるいは場合によっては全然そういうものが要らない、とにかく申請してくれ、こういう所もあるのですが、こういう点はどうなっていますか。
#97
○政府委員(松村清之君) これは法律の規定では、申請によって補充選挙人名簿を調製するということになっております。したがって、自分は三ヵ月以上この市町村に住んでおるということで、補充選挙人名簿に載せてくれという申請があったときに、選挙管理委員会としては、やはりそれが事実であるかどうかということを調査しなければならないのでございますが、その場合に、先ほど申しましたと同じように、各選挙管理委員会としても、それが確かに証明されるものがほしいわけでございます。したがって、もう近所に住んでおって十分身元のわかるような人については何も要らなくて登録する人もありましょうし、あるいは今おっしゃいましたようないろいろな証明書を取って登録する場合もあると思います。これも先ほど申しましたように、選挙管理委員会として、一番どれが実効ある確実な方法であるか、そういうことによってやっておるわけでございまして、各地において、統一されないいろいろな方法がとられておるような状況でございます。
#98
○中尾辰義君 ところが、三カ月以上住んでおる証明、これは別としまして、住民票で行なうというような所は若干不公平になる、こういうことはありませんか。片方のほうは住民票でやっている。片方のほうはそういったような証明書でやっておる。あるいは片方のほうは何でもかんでもとにかく出して下さい、こちらで調査しますという……
#99
○政府委員(松村清之君) これは今おっしゃいましたように、いろいろな方法にのっとってやっておるのでございますが、これは選挙管理委員会として、一番これで証明できるのだ、こういうことでやっておるわけでございますから、不公平になるかどうかということは、あるいは全国的に考えてみた場合には起こり得ることがあるかもしれませんけれども、その地方に関する限りにおきましては、選挙管理委員会として、これが一番確実な方法だということでやっておるわけですから、これでもってやることについてはやむを得ないことであろうと思います。これも先ほど申しましたように、将来住民登録なら住民登録、今の住民票というのが住民登録になるわけですが、住民登録一本でやるのだという体制を確立いたしますことが一番いいことで、私ども補充選挙人名簿についてもそのように将来参りたいと考えております。
#100
○中尾辰義君 それじゃ住民登録法によりますと、登録をしなければ、あれは幾らですか、五百円の過料ですか、ああいうことになっていますね。それで、お前のところはまだ住民登録してないじゃないか、五百円の罰金だぞと、こういうふうにおどかされる所もあったのですよ。それではちょっと政府の総投票のPR運動と少しどうも矛盾しているような気もするのですが、そこら辺のところはどういうふうに考えていらっしゃるのですか。
#101
○政府委員(松村清之君) 確かにそういう事例の場合は、それは住民登録法違反で、これに対しては一定の過料という制裁があるわけですが、選挙管理委員会が住民登録に基づいて補充選挙人名簿を調製する場合に、今おっしゃいましたような、選挙管理委員会の所管しない法律違反を云々することは、いささか行き過ぎであったのではないかと、そういうふうに考えます。
#102
○中尾辰義君 そういう場合には、何も罰金も要らぬわけですね、あなたのほうは。
#103
○政府委員(松村清之君) まあこれは選挙管理委員会といたしましては、これは住民登録を所管しておる機関でございませんから、住民登録に違反しておるかどうかは、選挙管理委員会の関するところではございませんが、ただそれが住民登録法違反であることには間違いないわけで、他の機関においてそれに対して制裁が課せられるということは、これは十分考えられることでございます。
#104
○中尾辰義君 それはそうですけれどもね、たとえば同じ役所でもって、一番最初に住民登録票の係のほうに行って、それからまた選管のほうにその証明を持って行こうとした場合に、第一回の関所でぽんと、お前罰金だと言われた場合、まあそこら辺のところを検討してみて下さい、お願いしますよ。
 それから、さっき大臣にもお伺いしましたまうに、補充選挙人名簿を政府があまり猛烈にPRやるものですから、自分の役所としては成績を上げなければならぬ、そういうことで、区役所の役人が勝手に住民登録票を引っぱり出して補充申請書を数十枚書いてある。同じ筆跡なんです。わかっておる。そして拇印を押して、そういうもので調製しておる。こういう事実もあったわけですが、これは基本選挙人名簿の場合はもちろん職権でできるわけですね。補充選挙人名簿の場合は選挙人の申請によらなければならない。ですから、役人がそういうふうに書いて自分の成績をあげるというようなことは、これはもっと問題にしなければならないと私も思うのですが、局長はどうですか。
#105
○政府委員(松村清之君) これは実は法律では、申請により補充選挙人名簿を調製するとございまして、これは「申請により」というのは、これ本人の申請、あるいは本人から何らか明確な委任を受けたその代理の者の申請というふうに、法律的には私は厳格に解すべきだと考えておりますけれども、従来の私どもの選挙局の解釈といたしましては、できるだけ選挙の機会を与えるという趣旨で、補充選挙人名簿については、基本選挙人名簿は選挙管理委員会側で職権で調製できるわけでございますから、まあ選挙管理委員会が確かな事実を知った場合には、選挙管理委員会のだれかがまあ代理して申請をして名簿に載せると、こういうことも合法であると、こういうふうに解釈してきておるわけであります。これはできるだけこの補充選挙人名簿に登録して選挙していただこうと、こういう趣旨で、まあわかっている範囲の者は名簿に載せる。そのためには申請という行為が要る。しかし、これは本人は申請してこない。基本選挙人名簿は職権で調製できるのだから、補充選挙人名簿もそれと実質的には同じ方法で職員の代理申請、法律的には正確な代理ではないかもしれませんが、そういう申請でやれるということでやってきておるわけでございます。ただ今回の参議院選挙におきましては、補充選挙人名簿の申請ということで、特に大阪と東京におきましては、これはずいぶん選挙管理委員会は困ったわけでございます。たくさん補充選挙人名簿の申請が殺到した。しかしこういう大都市で一々、実際は大阪などは徴税吏員を各戸に派遣して調査はいたしましたけれども、非常にこれは困難な仕事であったわけで、今後は申請ということも厳格に解して、何かこうはっきり裏づけをしたものでないと載せない、こういうふうに厳格な解釈をとって来年の地方選挙あたりではゆかないと、これは補充選挙人名簿の調製はたいへんなことになるのではないか、そういうふうに考えております。
#106
○中尾辰義君 それならそれで法律を改正するなり、ちゃんとやって下さい。しかも、今度大阪は多かったとおっしゃいましたが、あれは去年十八号台風で大阪の港区だとか大正区、あの辺の区役所が選挙人名簿を相当なくしているところもある。ですから、ひとつなるべく出してくれ、こういうようなこともあったわけです。ところが、いろいろな問題で、これはジャーナリストがどういうことを書いたのか知れませんけれども、どの団体がどうだ、こうだと書いたことはけしからぬ話だと私はそう思っている。犯人は役人にもある、区役所の役人にも。しかも区の選管と市の選管というのはどういう関係にあるんでしょう。市の選管が区の選管を監督できないのか。
#107
○政府委員(松村清之君) 参議院選挙の地方区の選挙は、都道府県の選挙管理委員会が管理するという立場にあります。その仕事を市町村の選挙管理委員会がやるわけでございますが、この市町村の選挙管理委員会が参議院の地方区の選挙の管理執行をするにつきましては、都道府県選挙管理委員会は指揮監督できるということが法律の規定にあるわけでございます。
#108
○中尾辰義君 そうしますと、市の選管は区の選管に対して監督権があるわけですね。
#109
○政府委員(松村清之君) 法律の上では、府の選挙管理委員会が市の選挙管理委員会に対して指揮監督ができる。今おっしゃいました区の選挙管理委員会に対しましても、市の選挙管理委員会として、これは明文はありませんが、これは内部組織の問題として、大阪市役所という組織から考えまして、下部機関に対して指揮監督ができる、こういうふうに考えます。
#110
○中尾辰義君 そうしますと、市の選挙管理委員会は区の選管に対してそういうような補充選挙人名簿の不正な点について調査する権限はありますか。
#111
○政府委員(松村清之君) そういうような実態の調査は、これは市の選挙管理委員会においてできる、こういうふうに考えます。
#112
○中尾辰義君 それから投票所の入場券の問題ですが、これは全国で入場券を配ってるところもあれば、配ってないところもありますね。これはどういうふうになっていますか。
#113
○政府委員(松村清之君) おっしゃいますように、大体は配っておりますけれども、たとえば今問題になっております大阪市は、入場券を配っておりません。私はこれはよけいなことかもしれませんが、この入場券はできるだけ配ってやるようにすべきだ、こういうふうに考えて、今度の選挙に関連して、これからは大阪市も一つ入場券を配るようにしてほしい、こういうことは連絡してございます。
#114
○中尾辰義君 入場券を配れば、入場券の来なかったところは、これは補充名薄の申請をすればいいのですからね、私も非常にスムーズにゆくと思うのですが、その点はひとつ御検討を願いたい。
 それからもう一つお伺いしますが、代理投票の件ですが、あれはどういうふうになっておりますか、代理投票のやり方というのは。
#115
○政府委員(松村清之君) これは体の工合が悪いとか、あるいは字が読めない、こういう人が、投票所には参りますけれども候補者の氏名が書けない、こういう場合にはそこの投票所の管理職員の一人が立ち会って、もう一人がだれに投票するかということを聞いて書いて投票する、こういう仕組みになっております。
#116
○中尾辰義君 それでは今の代理投票の件ですけれども、それでこういうなにがあるんでしょう。たとえば字の書ける人を字の書けないようなふうにして引っぱってゆく、そうして立会人の前で、この人は字が書けないんだとやっちゃう。すぐ立会人を呼んできて、連れてきた人の前で大きい声でだれだれと、こう言わせるんです。こういうようなこともありますから、これはまあひとつ検討して下さい。
 それから、大臣がお帰りになりますから、一問だけ大臣の見解をお伺いしたいんですが、先ほど連呼の問題、戸別訪問の問題もありましたけれども、現在、二十三日の選挙運動期間で、しかも候補者の選挙運動というものは、昼は車に乗って街頭演説、夜は演説会が三カ所か四カ所、あとはラジオの放送が三回と、この程度なんです。これでもって実際四十万も五十万もの大量の票を取るということは、なかなかたいへんなことです。そうしますと、どうしてもこれは運動員の活躍にたよらなきゃならないと、こう私は思うんですよ。そこで、まあ戸別訪問のあれも選挙法に規定がございますけれども、大体、戸別訪問――自分の推薦する候補者の人格なり政見なり政策、そういうものをお願いしたいと人に宣伝をし、納得さしてやるということは、どういう点においてまずいのか、それをお伺いしたい。
#117
○国務大臣(篠田弘作君) 私らの若いときは戸別訪問しまして、御承知のとおり、紋付はかまで投票所の前に有志が立ちまして、そして来る人にみんな頭を下げてやってた。ところが、だんだん選挙人が多くなりまして、そのときは制限選挙ですから、一つの町か一つの部落に五人か八人しかいませんから、そういうことも可能であったわけだけれども、今度は非常に多くなった。多くなったというばかりでなく、名刺を勘定しまして、あいつは三回来たけど、こいつは五回来た、五回来たやつに入れる。あいつは一ぺんも来ないから入れないと、そういうような弊害がだんだん助長されたことが一つと、選挙のたびに、何か玄関に来るから出てみれば、全部かわるがわるに戸別訪問されちゃって、仕事もできなきゃ何にもできない。こういう弊害が、言いかえれば、選挙民のほうにあるわけです。そういうことがあって、世論として戸別訪問はやめたほうがいいじゃないか、まあこういうことから戸別訪問というものが要するに時代に即応しなくなったと、こういうことでやめになったと私は解釈しております。
#118
○中尾辰義君 まあ、そういう考えも確かに大臣のおっしゃったとおりなんですが、実際問題として大かたやってるんですね。そうすると、こういうものをまた警察のほうでは非常に拡大解釈して、相当オーバーな捜査をやってるんですよ。――大臣はもうお帰りになってけっこうです。宮地刑事局長にお伺いしますけれども、たとえばいなかの道を歩いていた。ところが、その両側にたんぼがあって、二、三人田植えをやってた。ところが、ついその人に、こういうりっぱな人があるんだが、ひとつ頼みます、これはどういうふうになりますか。
#119
○政府委員(宮地直邦君) 今、この人を頼みますというお言葉でございましたが、われわれのほうが捜査いたします眼目は、投票を得、あるいは投票を得せしめざる目的をもって選挙運動をしているかどうかという点なんです。頼みますという言葉の内容なんですが、それが単なる社交的辞令の言葉ならば、これはわれわれのほうであえて問題にすることではございませんが、日本語の不正確さと申しますか、幅の広い意味がありますので、その意味が選挙運動であるかどうかということをわれわれが判定せざるを得ない場合もあると思うのでございます。それが、その場所の状況から選挙運動というふうに判定せられるならば、これは、もしもこれが期間前なれば事前運動となり、あるいは選挙運動期間中に入って、これは個々面接の形というふうに認定されるならば違反とならない、こういうことでございまして、やはりその個々の事態に応じて判断をしなければならない、具体的な場合に応じて判断をすべき問題だと存じておるのでございます。
#120
○中尾辰義君 ですから、実際そういうものは形式犯なんです。もっとひどいのがありますよ。たとえば、そこの道を宣伝車が通った。故意にたんぼのあぜにひっくり返してしまって、田植えの人をみんな集めて、済まぬけれどひとつ上げてくれ。えんごした車を上げさしておいて、どうもたいへん御苦労さまでしたと、それに千円ずつお礼にやり平気な顔をして車に乗って行っちゃった。そういうものがひっかからぬで、田植えのそういうただ口でやったやつを五千円も一万円も罰金を取る。ですから、今の百三十八条の戸別訪問の件については、相当これは検討する必要があるのじゃないか、私はこう思うのですよ。そこで選挙局長にお伺いしますがね、百三十八条の立法精神というのはどこにあるのか、それが一つと、もう一つは、外国に戸別訪問を禁止しているという国があるのか、その点をお伺いしたいのです。
#121
○政府委員(松村清之君) 戸別訪問は、先ほど大臣からもおっしゃいましたように、以前はわが国においても認められておったわけでございますが、この戸別訪問の機会に買収等が行なわれる、こういうような理由で今日まで禁止されてきておるようです。もう一つは、大臣のおっしゃいましたように、一人の候補者は行き、他の候補者は行かない。そういうふうなことで不利、有利になる。こういうことも理由であるようでございます。したがいまして、買収等のようなものが戸別訪問の機会に行なわれない、わが国でも行なわれないのだ、こういうことになれば、−戸別訪問は、私の個人の見解ですけれども、選挙運動としては最もいい方法の一つじゃないかと思います。現に外国に例はあるかとおっしゃいましたが、こういう例があるかどうかは知りませんけれども、民主国家の模範でありますイギリスにおいては、戸別訪問というものを認めておる。これを有力な選挙運動としておることから見ましても、これはやはり選挙運動自体の形態としては許されていいものではないかと思います。
#122
○中尾辰義君 それで、買収を伴うからいけないのだ。それならば、買収を伴わない、今私が一例を申し上げたような、たんぼの横でちょっとなんていう、そういうものはこれははずしてもいいのじゃないかと思うのですがね、その点を一つ。
#123
○政府委員(松村清之君) たんぼのお話ですが、戸別訪問に似てそうでないのに、個々面接ということが認められておることは御承知であろうと思います。たまたまたんぼで会った人に、よろしく頼む、たまたま電車の中で会った人に、よろしく頼む、これは戸別訪問にはなりません。ただ計画的に人を道路上に呼び出して頼む、こういうことになれば、これは戸別訪問になりますが、たまたま会ったときに頼むことは、これは戸別訪問ではございませんから、そういうように一つ御承知おき願いたいと思います。
#124
○中尾辰義君 局長はそうおっしゃるんですがね、捜査当局はなかなかそうはいかないのですよ。宮地さんに私はお伺いしたいのですが、選挙取り締まりの行き過ぎの点について相当苦情が出ていますから、これは別に答弁は要りませんけれどもね、あなたの訓令がどこまで徹底したのか。警告を発した県もございますけれども、たとえばポスターを張るのに一々尾行していってみたり、あるいは取り調べの段階においてたばこの吸いがらを投げつけてみたり、あるいはまた警察署の二階に呼び出して、柔道五段くらいのやつが出てきて、お前、今度言わなければ張り倒してやるぞ、こういうふうに恐喝して、投げてもけっこうです、そのかわり私はかみつきますから、こういうような原始的な取り調べをやっているのだ。ですから、幾ら愛される警察になれと言っても、これでは警察をこわがることになりますからね。そこで、そういった点は今後ひとつ御注意願いたいと思います。
 それで最後になりますけれども、選挙の自由妨害という条文がありますが、二百二十六条ですか、これは、地方団体の公務員等は「故意にその職務の執行を怠り又は正当な理由がなくて公職の候補者若しくは選挙運動者に追随し、その居宅若しくは選挙事務所に立ち入る等その職権を濫用して選挙の自由を妨害したときは、四年以下の禁錮に処する。」。そこで「正当な理由がなくて」、これが一つと、「選挙運動者に追随し、」、これはどういうことですか、それをひとつお伺いしたい。
#125
○政府委員(宮地直邦君) 社会的に見まして、合理的な理由がなくて、その人のあとをたとえば尾行する云々というふうに、これは一応解釈しております。
#126
○中尾辰義君 その尾行が相当私はあったように聞いておりますが、まあいろいろと全国の長官会議等において局長のほうからも話があったと思いますけれども、いずれにいたしましても、違反もあったでしょうが、相当な行き過ぎによって摘発したということもあったと私は思います。
 それじゃ、私はこれで終わります。
#127
○委員長(青柳秀夫君) 本日は、これにて散会いたします。
   午後零時三十三分散会
   ――――・――――
ソース: 国立国会図書館
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