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1962/08/28 第41回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第041回国会 本会議 第8号
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1962/08/28 第41回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第041回国会 本会議 第8号

#1
第041回国会 本会議 第8号
昭和三十七年八月二十八日(火曜日)
    ―――――――――――――
  昭和三十七年八月二十八日
   午後一時 本会議
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 日韓会談に関する緊急質問(河上丈太郎君提
  出)
 国技の総合会館建設に関する決議案(正力松太
  郎君外四十一名提出)
 郵政省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
  出)
   午後一時九分開議
#2
○議長(清瀬一郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 日韓会談に関する緊急質問(河上丈太郎君提出)
#3
○草野一郎平君 緊急質問許可に関する動議を提出いたします。すなわち、この際、河上丈太郎君提出、日韓会談に関する緊急質問を許可されんことを望みます。
#4
○議長(清瀬一郎君) 草野一郎平君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。
 日韓会談に関する緊急質問を許可いたします。河上丈太郎君。
  〔河上丈太郎君登壇〕
#6
○河上丈太郎君 私は、ここに日本社会党を代表いたしまして、日韓会談に関し、政府に対して重要なる諸点について若干の質問をいたしたいのであります。(拍手)
 質問の第一点は、日韓会談に対する自民党政府の基本的態度についてであります。
 現在、朝鮮は三十八度線によって南北に分割されており、かつてはこの南北両朝鮮の間に戦争の砲火さえ交えられたのであります。これは、米ソ二大陣営の間の冷たい戦争の結果であり、朝鮮民族の意思から出たものではなかったことであります。従って、朝鮮民族としてはあくまで平和のうちに統一することが南北に共通した悲願であることは、多くの事実によって明らかにされておるのであります。(拍手)四十年にわたる植民地統治によって、朝鮮民族に多大の迷惑をかけた日本としては、この統一の悲願を尊重し、これが一日も早く実現することを願わざるを得ないのであります。(拍手)統一が困難であることは私ども百も承知しておりまするが、それだけになお、いざさかでも統一をじゃまするような行動を日本がとらないようにすることが、現在最も大切なことであると思うのであります。(拍手)
 それゆえにわが社会党は、南北両鮮に対しまして、経済、文化などの交流をするにとどめて、正式の国交正常化は、統一政府ができたあとにこれと行なうことを以前から主張しておったのであります。この社会党の主張が最も現実的なものであることは、これから私が述べるところによって明らかであろうと思います。
 ところが、自民党政府がやっておられることを見ますると、ちょうどこれと正反対の方向に向かって進んでいるとしか見えないのであります。四年前、当時の日韓会談の日本政府の代表者であった沢田廉三君が、三十八度線を鴨緑江の外に押し返さねば祖先に対し申しわけない、と公言いたしましたが、この言葉ほど、日韓会談の真のねらいをあけすけに告白したものはないと言っても過言ではないと思うのであります。(拍手)現在、韓国と日本とはアメリカと、北朝鮮はソ連、中国とそれぞれ軍事同盟を結んでおり、従って、この軍事同盟の網の目の中で、三十八度線を鴨緑江に押し返すようなことをすれば、それはほんとうに日本自身の破滅を招くことは火を見るよりも明らかでございます。(拍手)このような危険な内容を持つ日韓会談に対して、社会党が一貫して反対を表明し、その即時打ち切りを要求していることは当然であると思うのであります。(拍手)
 自民党政府は、日韓会談を正当化するために、韓国政府が唯一の合法政府であると強弁し続け、クーデター後成立した軍事独裁政権をも、そのいうところの自由陣営の一員に数えて、これを援助する態度を明らかにしておるのであります。しかしながら、自民党政府がその主張の根拠とする一九四九年の国連決議を見ても、韓国が全朝鮮を支配する権限を持つ唯一の政府などとはどこにも書いてないのであります。(拍手)ましていわんや、クーデターで成立した軍事独裁政権は、この決議にいう、選挙民の自由意思の有効な表現である政府という規定を根底からくつがえしたものといわざるを得ないのであります。また、さきの国連総会においても、朝鮮問題討議のために北朝鮮政府を招く決議が成立しており、朝鮮問題を論ずる場合に北鮮の存在を無視することができないことは、すでに世界の常識となっておるのであります。(拍手)このような情勢にもかかわらず、韓国政府のみを唯一の合法政府と認め、好んで火中のクリを拾うという冒険をあえてする理由は、一体どこにあるのでありましょうか。
 そこで、私は総理に次のことをお尋ねしたい。
 日韓会談を直ちに打ち切り、同時に南北両朝鮮それぞれの政府に対して、日本は朝鮮統一が完成するまでは両国のうちいずれとも正式の国交を持たず、しかし経済、文化などの面においての交流を進めることを通告する意思があるかどうかということであります。(拍手)
 第二の質問は、請求権についてであります。
 日韓会談の最大の問題点は、請求権であるとよくいわれておりまするが、この問題において日韓会談の非合理性が最もよく現われておるのであります。日韓会談の当面の相手である韓国の政権は、日本政府みずからも認めておるように、三十八度線以北にはその統治権が及んでおりません。しかも、北鮮政府は日韓会談に反対し、その一切の取りきめを承認しないという態度を明らかにしておるのであります。すると、われわれが韓国に対して支払う金は、将来朝鮮に統一政府が成立した場合には、全く意味がなくなってしまうのではないかと思うのであります。わが国はこの点について、白紙から再びやり直さなければならないわけであります。
 分割されている国の一方の政府に金を支払うことがどんなに無意味なものであるかについては、われわれは、すでに南ベトナムに対する賠償の支払いにおいて、いやというほど痛感しておるのであります。(拍手)御承知の通り、南ベトナムに対して二百億円の賠償を支払うことについては、初め日本政府の部内においてさえ反対の声があったのですが、それにもかかわらず、当時の岸内閣は、社会党の鋭い反対を押し切って、無理やりに賠償協定を成立せしめたのであります。ところが、それから三年を経た今日、どうなったかといえば、南ベトナムにおける反政府軍の勢力はますます強くなり、南ベトナム政府は、アメリカ軍の援助のもとに、サイゴン市においてのみ辛うじてその支配を続けておるというありさまであります。おまけに北ベトナム政府は、この賠償の支払いは、北ベトナムに対する非友好的行為であり、断じて認めることができないと宣言しておるのであります。(拍手)
 国民の血税の中から一方の政府に金を支払いながら、他方の政府から非友好的と非難され、しかも、支払った相手の政府が国民からほとんど支持されていない腐敗した独裁政権で、つぎ込んだ金は成果を上げないというのでは、一体何のためにその国に対してわれわれの税金を支払わなければならぬかという疑問の起こるのは当然ではないかと思うのであります。(拍手)ところが、このような現実に直面しながら自民党政府は、性こりもせず、韓国に対しまた同じことをやって国民の税金をむだ使いし、取引に加わる一部の大資本家だけが甘い汁を吸うというような結果に終わろうとしておるのであります。(拍手)
 韓国の経済情勢が著しく悪く、民衆の生活水準が低いことは、現在の軍事独裁政権さえ認めざるを得ない事実であります。しかも、このような状態に対する不満から、南北統一への欲求が高まることをおそれて、独裁政権は南北統一を唱えた新聞社の幹部を死刑にし、また、一切の政党や学生運動組織を解散し、その幹部を獄に投じ、独裁政権を支持する御用世論しか許さないありさまであります。このような言論の自由の圧迫は、逆にその政権の不安定性を示すものであります。(拍手)このような不安定な政権を相手に交渉の妥結を急ぎ、しかも、妥結した結果は国民の税金を浪費するに終わるというのでは、何のための日韓交渉かといわざるを得ないのであります。(拍手)
 昨年の一月三十一日、参議院の本会議におきまして、わが党の江田書記長が総理に対して行なわれた代表質問の中で、韓国の政権に対し長期の借款を与えるかどうかと聞いておるのであります。これに対し総理は、韓国への借款は考えていないと答えております。ところが、最近の新聞報道によれば、自民党政府は、韓国側に対し三億ドル、円に直せば一千八十億円の案を示し、その中で借款はもちろん、一部無償供与まで含めているとのことであります。もしこれが事実とするならば、これほど総理の国会における発言と違っておることはないのであって、国会を軽視する行動ではないかと私は心配をするのであります。(拍手)
 少し私事にわたりまするけれども、本年の五月通常国会の外務委員会におきまして、私が非核武装宣言を行なう決意があるかと総理にお尋ねしたのに対し、総理は、非核武装宣言を行なうにやぶさかでないと私に答えたのであります。ところが、そのあと参議院選挙において社会党が非核武装宣言を自民、社会両党の共同の選挙公約にしようと提案したのに対し、これを拒否し、今回の国会においてもまたこれを拒否しておられるのであります。一国の総理が国会において発言したことが、その後の政府の行動によって否定されるというのでは、一体国会の権威、政府の威信はどこにあるのでありましょうか。(拍手)私は、池田総理みずからが、その行動によって、議会政治に対する国民の不信の念を助長するような傾向を示すことを遺憾に思うものであります。
 四十年にわたる植民地統治に責任のある日本として、何らかの援助を行なうことに対しては、社会党も反対するものではございません。しかし、それは朝鮮統一後の政府に対して行なうべきものであります。
 そこで、私は総理にお尋ねいたしたい。
 第一は、南北両鮮政府に対し、朝鮮民族が統一された後に日本はその政府に対し何らかの援助を行なう用意があることを通告する意思があるであろうかどうかということであります。第二には、同時に韓国政府に対して、請求権に対する支払いはこれを行なわないことを通告する意思があるかどうかということであります。第三には、現在行なわれておる請求権に関する交渉において、日本政府の提案のうちには借款及び無償供与が含まれているかどうかということをお尋ねいたしたいのであります。
 第三の問題は、李ライン及び竹島についてのことであります。
 李ラインは、御承知の通り、対日平和条約発効の直前、一九五二年の一月十八日、当時の韓国大統領が一方的な宣言によって、いわゆるマッカーサー・ラインを引き継ぎ、これを韓国の主権の及ぶ海域と規定した結果生まれたものであります。以来十余年を経た今日、韓国においては、なおもこの李ラインを越えて出漁する日本漁船を拿捕し、その乗組員を裁判にかけることをやめていないのであります。およそ、公海の上に自分で勝手に線を引き、その線以内を領海と称して、その中に入る漁船を拿捕する、また、その線のうちにたまたま存在する島をこれまた占領するというようなことが許されるとするならば、もはや国際法や条約の存在の理由はないのであります。(拍手)特にわれわれが遺憾とすることは、との罪なき抑留漁夫をあたかも人質のごとくに取り扱い、これを日韓会談に圧力をかける一つの材料として利用するような韓国政府の態度であります。ところが、自民党政府の態度は、この韓国政府の不法行為を国連その他全世界の世論に強く訴え、これを中止せしむるというふうな方針をとらず、むしろこれを逆用して、日韓会談がまとまれば李ライン問題が解決され、漁船の拿捕がなくなり、抑留漁夫が返されるがごとき幻想をばらまいておるのであります。(拍手)しかし、これは全く事実に反することであって、昭和三十三年、三十五年の二回にわたり多数の抑留漁夫が返されましたけれども、この二回ともその当時日韓会談はまとまったわけではありません。むしろ抑留漁夫の留守家族がかんにん袋の緒を切り、会談の決裂を賭して東京の韓国代表部に対しデモを行ない、政府の力をかりずに自主的に強硬な要求を行なった結果として抑留漁夫が返されたのであります。(拍手)この事実は、国民の憤激の波が高まり、日韓会談の決裂を賭してもわが国の正当な要求を堂堂と主張すれば、相手もまた全世界の世論の前にその不当、不法のふるまいを続けることができないことを示したものであります。
 最近の新聞報道によれば、自民党政府は、懸案解決をたな上げにして、共同宣言という方式によってひとまず日韓の国交を正常化するということを考えていられるようであります。もしこれが事実とするならば、これほど道理にはずれた方式はなく、日韓会談によって李ライン、竹島問題は解決するという宣伝がでたらめであることをみずから告白するものといわなければならないのであります。(拍手)李ライン、竹島問題は、韓国側の不法不当の行為によって引き起こされたものである。従って、これは韓国がみずから李ラインの廃止を宣言し、日本漁船の拿捕を中止し、竹島から撤退することによって解決する問題である。日韓両国の外交上の取引によって解決するという性質のものではありません。ところが、この問題の解決をもたな上げにして、しかも、請求権の名において筋の通らない金を国民の税金から支払うというのでは、一体自民党政府は、日本国民の利益を守るためには、はたして真剣なのかを疑わざるを得ないのであります。(拍手)さすがに自民党政府も最近はいささか気がさしたのか、竹島問題で韓国政府が国際司法裁判所に日本が提訴したのに応じ、同裁判所に応訴するのが会談妥結の条件となるようなことをも言っております。しかし、こんなことは、国家間の紛争を処理する上では当然過ぎるほど当然のことで、今さら政府が口にすることさえおかしな話でございます。もともと竹島問題は李ラインの存在にその根源があります。従って、李ラインの廃止を韓国側が宣言しないことには決して根本的な解決に到達することはないのでございます。
 そこで、私は総理に次のことをお尋ねしたい。
 第一に、自民党政府は、李ラインの廃止、竹島からの撤退が実現しなければ、日韓会談を妥結させないと主張するのかどうか。第二に、李ラインの廃止、竹島からの撤退を実現するために、政府は今後どういう処置をとろうとしておるのか。次に、私は池田内閣の外交の基本方針についてお尋ねいたしたいのであります。
 南ベトナム賠償、新安保条約、タイ特別円、ガリオア・エロアと、ここ数年来の自民党政府の外交のあとを振り返ってみますると、そこに一貫して流れているものは、冷たい戦争を一歩一歩推し進めて、アジアにおける反共軍事体制の強化というアメリカの方針に密接に協力しようとする政策であるのであります。(拍手)アジアにおける緊張緩和と日本の平和と安全を願う国民が、これら一連の外交施策に対して強い反対を表明し、特に安保条約に対して、わが国未曾有の大規模の大衆運動が盛り上がったことは御承知の通りであります。ところが、池田内閣は、安保闘争で倒れた岸内閣の末路をとの目で見ながら、その行なうところは、岸内閣の外交路線をそのまま引き継ぎ、その路線の上に、さらにわが国の外交を推し進めようとしているのであります。日韓会談は、その一貫した政策の中で、現在最重大な意義を持つ案件であると私は思うのであります。(拍手)しかしながら、自民党政府のこのような外交路線に対し、国民の間の批判は一段と高まり、これに反し、わが国の外交を自主中立の方向に転換せしめようとする動きは、ますます大きくなっておるのであります。
 最近、この二つの路線の間での戦いを示す象徴的な事件が二つ起こっておる。その一つは、ソ連を訪問した経済使節団が、造船契約を初めとし、大きな成果を上げ、今後の日ソ貿易の拡大、シベリア開発への参加に大きな突破口を切り開いたことである。もう一つは、韓国を訪問する経済使節団が近く出発しようとしていることでございます。この二つの経済使節団は、平和共存か冷たい戦争かの二つの外交路線の戦いが、自民党の最大の支持者である財界においても存在することを雄弁に物語っているのであります。前者の立場に立つならば、当然、中ソとの貿易拡大から、進んで日ソ平和条約の締結、日中国交回復に向かわなければなりません。後者に立てば、日韓会談の妥結、韓国、台湾、フィリピンなどとの提携の強化に向かわなければなりません。池田内閣の外交を見ておりますと、口先だけでは日中関係には前向きの姿勢をとるなどと称しながら、政府間貿易協定さえ締結しようとはせず、実際の行動では、冷たい戦争の方向に進んでいる。日韓会談は、その最大の象徴であるのであります。(拍手)
 そこで、私は、総理に次のことをお尋ねしたい。
 日韓会談を中止し、わが国の外交路線を、中ソ貿易の拡大、日ソ平和条約の締結、日中国交正常化の方向に切りかえる意思があるかどうかということでございます。
 最後に、私は、総理にお尋ねしたいことがあるのであります。
 過般の参議院選挙において、自民党は、日韓会談を積極的に進めようとする政策を立てました。社会党は、即時打ち切りの政策を立てました。そして参議院選挙に鋭く対決いたしたのでございます。
 ところが、池田君は、この間の本会議におきます所信発表の中において、次なることを申しておるのでございます。「今回の選挙において、非常に良好な投票率を見ましたが、国民諸君が、このように政治に対する積極的な関心を示されたことは、議会政治の将来のために、まことに意義深いことと存じます。また、この選挙において国民の大多数がわが党とわが内閣に圧倒的な支持を与えられたことは、国民が、現実に即した適正な諸政策に共鳴し、自由と進歩を目ざす着実な政治に信頼されたことを示す」こう言っておるのであります。しかしながら、はたして多数の国民が自民党の政策を支持したのでありましょうか。この間の参議院選挙において池田君が多数の支持を得たというのは、参議院において議席の数が前回よりも数名多かったという事実、それ以外に何もないのです。選挙の結果をごらんなさい。全国区における選挙においては、自民党は四割六分四であります。地方区においては四割七分一でございます。いわゆる選挙を通じて自民党は過半数に達しない支持を持っておるのであります。(拍手)これをもって政府の政策が支持されたとは、どこから言えるのでありましょうか。(拍手)池田君は数字をもって経済、政治の基礎観念とされておる。私のように数字に暗い者にとっては驚くべき力であります。しかしながら、との参議院選挙において自民党は五〇%に達しない、過半数以下であります。これは何を意味するのでありましょうか。いわゆる自民党の政策に対し、過半数は反対だということが、明らかな事実ではないかと思うのであります。(拍手)あの参議院選挙において数名の増員があったかも知らないけれども、国民の多数は現内閣に対し不信任の投票をしていると私は思うのであります。(拍手)そういう意味において、この参議院選挙において鋭く対決した日韓問題に対し、国民は社会党の即時中止に賛成をしたものと私は判断するのであります。(拍手)これを数字が明らかに示しておるのであります。もしも、これが衆議院の選挙に現われたとするならば、池田内閣は退陣する必要がある。幸いなことに参議院議員の選挙であり、しかも半数の改選であるがゆえに、私は、あえて池田内閣退陣の要求はしないけれども、いわゆる参議院選挙に現われたる最大の外交問題であるこの日韓会談に対して、現内閣の政策を否定する投票が過半数あるという事実を、何と総理はごらん下さるかということであるのであります。(拍手)
 私は、この点に対する政府の所見をお尋ねいたしまして、私の質問を終わる次第であります。(拍手)
  〔国務大臣池田勇人君登壇〕
#7
○国務大臣(池田勇人君) 河上さんの御質問に対しましてお答え申し上げます。
 だいぶ多岐にわたっておりますので、もし答弁漏れがございましたならば、再度の御質問をお願いいたしたいと思います。
 さて、日韓会談につきましての第一の問題は、南北朝鮮が統一ができない前に日韓会談をやることはよくない、これをやめろというお話でございます。私はこうお答え申し上げます。日韓会談の問題は、わが国と韓国との不自然な、不安定な状態を直そうとする考え方であります。皆さん、ちょうどたとえていえば、一衣帯水の日韓の間のこわれている橋をもとのようにつけよう、正常化していこうということが考えの根本であります。(拍手)しからば、南北朝鮮が統一できるまではやめろということは、ちょうど十年前にわれわれが全面講和を待たずに、多数国との講和をやって、今日の日本を築いたと同様、現実の事態に即してやらなければいけない。(拍手)まだ今急にできない全面講和にのみかじりついて、独立のことを将来に延ばそうとした考え方が、十年後の今日もなお社会党に残っておるということは、まことに遺憾なことだと思います。(拍手)
 大体南北の統一ができないという原因はどこにありましょう。今の韓国は国連の決議に基づきまして、国連監視下におきまして自由な選挙によって成立した、国連の認めておる国であるのであります。しかも、お話のごとく北朝鮮につきましては、国連からオブザーバーとして招待をいたしましたが、遺憾ながら北鮮は国連の権威を承認していないじゃありませんか。従いまして、国連へ参加できないということは御承知の通りでございます。どこに原因があるか。国連監視下において統一した政権を樹立しようということは、国連のみんなの考えであるのであります。これに反対しているのは北朝鮮ではございませんか。皆さん、こういう現実の事実を無視して、今われわれがいかに願っても早急にできない統一であるならば、現実に即して、文化的に、地理的に、あらゆる関係で非常に密接な韓国と仲よくしていこうということは当然じゃございませんか。(拍手)われわれは昔から近い国とまず仲よくして、だんだん遠い国と仲よくするというのが、われわれ民族の根本的な考えであるということを御了承願いたいと思います。(拍手)もちろん、三十八度線以北に韓国政府の支配力が及んでいないということはわれわれも考えておりまするから、そういう考慮のもとに、今韓国との正常化をしておるのであります。三十八度線以北の問題は、われわれ十分頭に入れております。
 なお、この機会に申し上げておきまするが、今の革命政権が三十八度線を越えて鴨緑江に持っていく、いわゆる武力によって朝鮮を統一しようという考え方はないということを、李承晩のときとは違ってはっきり言っております。(「それがわかるものか」と呼ぶ者あり)それがわかるものかということは、国連において、そのことは韓国の外務長官がはっきり世界に表明しておることであります。私と朴議長との会談にもありますし、ケネディ大統領と朴議長との共同声明にもはっきりあるではございませんか。(拍手)私は、今の革命政権が李承晩政権のときとは違って、はっきりと軍事――軍をもって統一しようという考えはなく、国連の決議に沿って統一をはかろうと、非常に国際的に納得のいく方法で考えておることを申し上げておきます。(拍手)
 なお、今の韓国政府は非常に不安定だ、こう言っておられまするが、さあ皆さんどうでしょう。ほかの低開発国と比べてどうでございましょう。国民生活は韓国のみが非常に悪いというわけのものでもございません。また、韓国に対しましての世界各国の認識はいかがでございましょうか。革命政権ができる前、すなわち一九六〇年五月までに三十五カ国がこれを承認しておりました。しこうして、その後二年間で十六カ国が新たに承認して、日本を除いて五十一カ国になっておるのであります。しかも、新たに承認した国は、最近の国連へ加盟したよりも昔からあったポルトガルとか、スペインとか、あるいは中南米の国々であるのであります。これをもって韓国が不安定だということは、国際的に私は通らない議論だと考えております。(拍手)また、韓国との経済協力につきましても、西独、フランス、イタリアは、盛んに熱意を示しておるではございませんか。こういう事実は、一がいに、今の韓国が不安定だといって見もしないような格好は、私は、あまりに現実の姿に遠い考え方だと考えておるのであります。(拍手)
 次に、請求権に対する問題でございまするが、これは、今国会において私が両院において答えた通りでございます。韓国との請求権につきましては、法律的根拠のあるものにつきまして、われわれは支払うことを朴議長とも話しておるのであります。しかし、法律的根拠ということにつきましては、両国の法律解釈に相当の開きがございます。また、法律解釈が一致いたしましても、朝鮮動乱の関係、また戦後長い間経過した等々によりまして、なかなか事実関係の確認がむずかしいのであります。従いまして、それなら延ばしていつまでもそれを待とうといったって、時間がたてばたつほどこの解決はむずかしくなるのであります。そこで、われわれは、あくまで法律的根拠のあるものを選びまするが、いつまでも平行線でおるというわけには参りませんので、その間を調整し、誠意をもって請求権の合意に至るよう、今努力をいたしておるのであります。その内容につきまして、無償援助とか長期借款という内容につきましては、まだはっきりここで申し上げる段階に至っておりません。
 次に、李ライン問題、竹島問題について申し上げまするが、李ラインの問題は、お話の通りに、国際法上不法、不当でございます。また竹島問題につきましても、領土に関する法律上の問題でございます。従って、こういう重要案件につきましては、この機会に、いわゆる日韓の正常化の機会に全部を解決する考えで進んでおるのであります。(拍手)
 次に、私の言動に対して、非核武装宣言について食言したようにおっしゃいましたが、これは参議院か本院かで申し上げておりますように、答え全部をお読み下さればおわかりになります。私は、非核武装宣言についてやぶさかではないけれども、今の場合はこういたしますと非核武装宣言に反対のようなことを申し述べていることをお読み下されば、それがお答えになると思います。
 次に、外交の基本方針についての御質問でございますが、私の外交は、わが国の安全と世界の平和を念願としておるのであります。しこうして、われわれの考え方に沿わないいろんな障害がございます。その障害につきまして、どこからこの障害がきているかを究明いたしまして、それを除去するように努めておるのであります。いたずらにイデオロギーその他体面にこだわることなく、ほんとうにわれわれとともにこの世界の平和の害になるものを着々と除いていくよう御協力を願いたいと思います。(拍手)
 従いまして、日ソ関係につきましても、貿易の拡大をはかりまするが、日ソの平和条約ができないのは何か、これは領土問題でございます。領土問題につきまして、早く解決するよう努力いたしておることは御承知の通りでございます。皆さん、また日中貿易につきましても、拡大の方向に努力をいたしておるのであります。すなわち一々平和外交に害になるものを除くよう努力を今後も続けていきたいと考えております。
 また、日韓問題につきましては、先ほど申し上げた通り、いわゆる日韓の正常化を阻害するものをお互いに誠意をもって除いていこうというのが外交の基本方針でございます。
 最後に、参議院の選挙につきまして、いろいろ結果についての御判断は承りましたが、私は、あなたのこの選挙の結果に対する政治的判断に賛成するわけにはいきません。(拍手)
#8
○議長(清瀬一郎君) 再質問はありませんか。――緊急質問並びにこれに対する答弁は終わりました。
     ――――◇―――――
 国技の総合会館建設に関する決議案
  (正力松太郎君外四十一名提出)
    (委員会審査省略要求案件)
#9
○草野一郎平君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。すなわち、正力松太郎君外四十一名提出、国技の総合会館建設に関する決議案は、提出者の要求の通り委員会の審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
#10
○議長(清瀬一郎君) 草野一郎平君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○議長(清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。
 国技の総合会館建設に関する決議案を議題といたします。
    ―――――――――――――
#12
○議長(清瀬一郎君) 提出者の趣旨弁明を求めます。正力松太郎君。
  〔正力松太郎君登壇〕
#13
○正力松太郎君 ただいま議題となりました自由民主党、日本社会党及び民主社会党、三派の共同提案の国技の総合会館建設に関する決議案について、三党を代表してその趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
  第十八回オリンピック東京大会が開催せられるに当たり、わが国の特技である柔道は初めて大会の競技種目に採択せられた。また、オリンピック憲章により、剣道、弓道、相撲など日本古来の各種競技も大会のデモンストレーションに加えられ、世界各国人の前に披露されることになり、大会の成果をあげるため少なからざる期待を寄せられている。
  この時に当たり、各国の期待にこたえ、民主国家にふさわしいスポーッとしての国技を確立する必要がある。
  よって政府は、その保存、継承、振興のため、すみやかに国技の総合会館建設について、積極的に措置を講ずべきである。
  右決議する。
  〔拍手〕
 続いて提案の趣旨を申し述べます。
 われわれ柔道、剣道、弓道等の国技を愛好する同志議員は、正しい日本国技の精神である平和の大理想を、国民特に青少年の間に普及奨励するとともに、オリンピック東京大会を機会に、民主国家にふさわしい国技を確立する必要を痛感するものであります。
 由来、国技の保存、伝承、振興に関しては、各国もきわめて熱心であり、自由主義国家群においては、スポーツの基幹を国技に置き、国技尊重は、その国、民族発展の礎石とさえ考えられております。同時に、社会主義諸国の国技教育は、広く国民の間に義務づけられて、その奨励には徹底したものがあります。
 ただいま上程いたしました国技の総合会館建設促進に関する決議の案件は、ときあたかも第十八回オリンピック東京大会の開催にあたり、この国民的大事業の基本となるものでありますから、政府のこれに対する強力な措置が講ぜられますよう、ここに要請する次第であります。
 以上の趣旨でございますので、本決議案に満場一致御賛同を賜わりますようお願いいたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#14
○議長(清瀬一郎君) 討論の通告がありますから、これを許します。松前重義君。
  〔松前重義君登壇〕
#15
○松前重義君 私は、自由民主党、日本社会党、民主社会党を代表いたしまして、ただいま提案されました国技の総合会館建設に関する決議案に賛成の討論をいたさんとするものであります。(拍手)
 来たる一九六四年、東京におきまして開催されまする世界オリンピック大会に、わが国の国技でありまする柔道がその競技種目に加えられたのであります。これは、今日までのオリンピック競技のすべての種目が西洋にその源を発しているその中に、初めてここにアジアの、しかも、日本に源を発する柔道が採択されたという記念すべき事実であります。このようにいたしまして、柔道は今や国際的なスポーツとなり、わが国武道の一つである柔道が、時代の進歩とともにその姿を新たにし、平和な国際性を持つ体育として世界各国に受け入れられたからであります。わが国古来の国技の中には、柔道のほかに剣道、弓道等があります。いずれもわが国固有のものとして今日まで継承されたのであります。われわれは、これらの剣道、弓道等の国技もまた、時代の進歩とともに国際的に進出せしめ、進んで世界オリンピックの競技種目に採択せしめなければなりません。
 現在、オリンピックの呼びものでありまするマラソン競走は、紀元前四百九十年、ペルシャとギリシャの戦争におけるマラソンの大会戦にギリシャが大勝利をおさめたとき、その戦勝の知らせを選士に託してマラソンよりアテネまで走らせ、この選士は使命を果たして倒れ、そのまま息を引き取った事実より、マラソン競走なる種目が起こったのであります。マラソンなるものは、初めは戦場から生まれたものでありまするが、今ではスポーツとして、国際親善の平和の競技として人類に親しまれるに至ったのであります。このようにして、わが国の武道たる柔道、剣道、弓道も、世界のスポーツとして国際間の友好促進のために、来たるオリンピック東京大会を契機として、新しい歴史の軌道に乗せて前進せしめなければなりません。(拍手)
 世界オリンピック大会が日本において行なわれるを機といたしまして、国技の総合会館を建設ぜんとするものは、一つには、柔道の競技場として、二つには、剣道及び弓道などの実態が、正義と平和を大理想としていることを世界の人々に対して理解せしめるデモンストレーションの場として、ややもすれば日本武道が軍国主義に通ずるがごとき世界の一部の誤解を一掃せんとするものであります。(拍手)会館建設のさらに重要な目的として、この会館建設を期して、国民の体育向上とスポーツ精神の高揚に資せんとすることは言うまでもありません。
 われわれ三党は、政府が以上の趣旨を理解し、すみやかに国技の総合会館建設に対して具体的にその実現に必要な措置をとり、これが目的達成を促進されんことを切望いたしまして、私の賛成討論を終わります。(拍手)
#16
○議長(清瀬一郎君) これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。
 本案を可決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#17
○議長(清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は全会一致可決いたしました。(拍手)
 この際、文部大臣より発言を求められております。これを許します。文部大臣荒木萬壽夫君。
  〔国務大臣荒木萬壽夫君登壇〕
#18
○国務大臣(荒木萬壽夫君) ただいま決議されました国技の総合会館の建設は、わが国の伝統ある国技の振興のため、まことに意義のあることと思います。政府といたしましても、決議の趣旨を尊重して、十分に検討さしていただきたいと思います。(拍手)
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 郵政省設置法の一部を改正する法律
  案(内閣提出)
#19
○草野一郎平君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、内閣提出、郵政省設置法の一部を改正する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#20
○議長(清瀬一郎君) 草野一郎平君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#21
○議長(清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。
 郵政省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
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#22
○議長(清瀬一郎君) 委員長の報告を求めます。内閣委員会理事岡崎英城君。
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  〔報告書は本号末尾に掲載〕
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  〔岡崎英城君登壇〕
#23
○岡崎英城君 ただいま議題となりました郵政省設置法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案の要旨は、第一に、大臣官房人事部を人事局に昇格すること、第二は、電波監理局の次長二名を廃止して、同局に放送部、無線通信部及び監視部の三部を設けること、第三は、本省の付属機関として臨時放送関係法制調査会を設けること、第四は、定員を百一人増員して、三千三百三人に改め、本年四月一日から適用させることとすることなどであります。
 本案は、前国会で本院を通過しましたが、参議院において審査未了となったものを再提出したものであり、八月四日本委員会に付託、政府より提案理由の説明を聴取し、質疑に入ったのでありますが、その詳細は何とぞ会議録によって御承知を願います。
 かくて、本日、質疑を終了、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して山内委員から反対の意見が述べられた後、採決の結果、多数をもって原案の通り可決いたしました。
 以上、御報告を申し上げます。(拍手)
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#24
○議長(清瀬一郎君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#25
○議長(清瀬一郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。
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#26
○議長(清瀬一郎君) 本日は、これをもって散会いたします。
   午後二時八分散会
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 出席国務大臣
        内閣総理大臣  池田 勇人君
        外 務 大 臣 大平 正芳君
        文 部 大 臣 荒木萬壽夫君
        郵 政 大 臣 手島  栄君
 出席政府委員
        内閣法制局長官 林  修三君
        内閣法制局第一
        部長      山内 一夫君
        外務省条約局長 中川  融君
        郵政大臣官房長 武田  功君
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ソース: 国立国会図書館
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