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1962/08/24 第41回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第041回国会 法務委員会 第3号
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1962/08/24 第41回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第041回国会 法務委員会 第3号

#1
第041回国会 法務委員会 第3号
昭和三十七年八月二十四日(金曜日)
   午前十時二十八分開議
 出席委員
   委員長 高橋 英吉君
   理事 池田 清志君 理事 小島 徹三君
   理事 牧野 寛索君 理事 井伊 誠一君
   理事 坪野 米男君
      有田 喜一君    上村千一郎君
      唐澤 俊樹君    竹山祐太郎君
      馬場 元治君    松本 一郎君
      阿部 五郎君    赤松  勇君
      猪俣 浩三君    田中織之進君
      志賀 義雄君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 中垣 國男君
 出席政府委員
        総理府総務副長
        官       古屋  亨君
        法務政務次官  野本 品吉君
        検     事
        (刑事局長)  竹内 壽平君
        外務事務官
        (条約局長)  中川  融君
 委員外の出席者
        法務事務官
        (入国管理局
        長)      小川清四郎君
        郵政事務官
        (電波監理局次
        長)      石川 忠夫君
        自治事務官
        (行政局行政課
        長)      岸   昌君
        専  門  員 小木 貞一君
    ―――――――――――――
八月二十四日
 委員有田喜一君辞任につき、その補欠として小
 川半次君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
同月二十三日
 会社更生法の一部を改正する法律案(田畑金光
 君提出、参法第六号)(予)
 労働関係訴訟における労働組合の当事者適格に
 関する法律案(田畑金光君提出、参法第七号)
 (予)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 法務行政及び検察行政に関する件
 人権擁護に関する件
     ――――◇―――――
#2
○高橋委員長 これより会議を開きます。
 法務行政、検察行政及び人権擁護に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。阿部五郎君。
#3
○阿部委員 私は、徳島県の唯一の日刊新聞である、そしてそれが民法による社団法人という公益法人によって運営せられておる新聞、並びにこれもまた株式会社ではありますけれども、その主たる株主が多く県並びに市、町村というような自治団体によって構成せられておるところの公益機関ともいうべき四国放送という株式会社に起こった事件について伺いたいのであります。
 というのは、これはこの事件の起こった根本の原因というべきものについて、監督官庁としての監督の十分ならざる点があったことも重要な原因ではないかと思われる点があるので、監督官庁もまた責任ありと私には思われる事件なのでありまして、そしてこれについては、すでにもう六月の初めに参議院の法務委員会において質疑も行なわれ、答弁もあったと聞いております。ところが、その後相当時日を経過しておりますのに、いまだ何らの結着を見ない、これがまことに不思議に感じられるのであります。
 この徳島新聞というのは、徳島県の県民の数が八十万そこそこであるにもかかわらず、その発行部数たるや、固定読者を十一万数千――戸数から言いましたならば、徳島県の戸数はおそらく二十万に足らぬだろうと思いますが、そのうち十一万幾千という固定読者を持っているくらいでありますが、こういう問題は起こりましても、自分の新聞は書きません。ほかに毎日、朝日その他の全国的な新聞はもちろん発行されておりますが、いわゆる同業者のよしみというか、仁義というか、ほかの新聞も書かないのであります。しかもこういう問題が起こって、だれ言うとなしに伝わっていくのでありますが、それが公然として伝わるのではないものですから、流言飛語というような形を持って伝わっていく。それに、もうすでにこれは五月の初めに捜査に着手せられてから四カ月になんなんとしておるのにもかかわらず、何らその結末がどうなっておるのかわからない。わからないと、従ってまた県民の間には種々なる流言飛語が行なわれるのであります。それは決して捜査当局にとっても好ましい影響はないのであって、むしろその態度を疑われるような流言飛語が伝わっておるのであります。
 そこで、一体これはどうなっておるのかということが一番に私の聞きたいところなんであります。刑事局長から一つ……。
#4
○竹内(壽)政府委員 お尋ねの事件でございますが、今日までの捜査の経過を申し上げますと、お話しの通り、本年三月二日でございますが、徳島地方検察庁におきましては、四国放送株式会社の副社長式谷利平氏から、同社の社長兼社団法人徳傷新聞会長前川静夫氏外二名に対する業務上横領等の告発を受理いたしたのであります。地検におきましては、本件が社会の公器である新聞放送事業を経営する法人に関するものでありまして、その経営に疑念が存しますことは社会一般に及ぼす影響も大でありますので、まず第一に不正事実の存否を明らかにする必要があるというふうに考えまして、告発を契機として、告発のありました事実にとらわれることなく、独自の立場で事態を究明するように鋭意捜査を行なって参っておるのでございます。
 その結果といたしまして、まず徳島新聞社につきましては、同社の専務理事の武市仁一郎氏が、同社の業務に関して、同社の法人税を免れる目的で、新聞販売収入及び広告料収入を除外するなどの不正の方法によりまして所得を取得し、昭和三十三年四月一日から三十四年三月三十一日までの事業年度において、所轄徳島税務署長に対して、真実の法人税額より少ない法人税額の申告をして、その差額二百八十万千九百四十円を脱税した事実が判明いたしましたので、五月二十四日右徳島新聞社と、今申しました武市仁一郎氏を法人税法違反の罪によって徳島地方裁判所に公訴を提起したのでございます。なお、同社は三十一年八月ごろから右のような脱税を続けていたことがわかりましたので、その年度以前の脱税事実につきましては調査をしたのでございますけれども、すでに公訴時効が完成しておりまして犯罪として取り扱うことはできなかったのでございます。
 また四国放送株式会社におきましても、同様の脱税が行なわれていた疑いがありましたが、昭和三十三年四月一日から三十四年三月三十一日までの事業年度の分につきまして捜査したところ、脱税額は僅少でございまして、脱税所得は約九十万円程度にとどまることになりましたので、事案の処理を刑事処分にしないで徴税手続に譲ることにいたしまして、その分についての捜査は打ち切ったのでございます。それより以前のものにつきましては、徳島新聞同様特効にかかっておる事案でございます。
 そこで右両会社は、脱税のために設けた秘密積立金があるわけですが、この秘密積立金がどのように使われたかということを追及しなければ事案が明らかにならないのでございます。そこで告発事実の中には、秘密積立金を作ったこと自体が何か横領であるかのごとき御意見もあるようでございますけれども、刑事事件といたしましては、積立金を作っただけでは横領にはならないので、その積立金が全く私的な目的で使われておるというふうなことが証拠上明らかになりませんと、その点の横領事件をきめるわけにはいかないというふうな観点に立ちまして、その使途について鋭意捜査をして参ってきておるのでございます。その点において告発事実とはやや異なる立場をとって捜査を進めておりますが、徳島新聞社の関係について申しますと、先ほど申しました武市氏及び同社の経理部長米沢新三郎氏らにかかる総額約六百八十万円の業務上横領の容疑が捜査の対象になっております。
 また四国放送株式会社の関係につきましては、同社の社長前川静夫氏及び被告発人であります専務取締役森田茂氏らにかかる総額約五百十七万円の業務上横領の容疑、それからまた森田氏らにかかる総額百二十六万円の業務上横領、また前川及び森田両氏にかかる外国為替及び外国貿易管理法違反及び自社株約二千株を会社の計算によって不正に取得したという点で商法違反の各容疑がございまして、目下鋭意捜査中でございます。
 捜査の内容につきましては、まだ結論を得ておりませんので、この委員会で公にすることは適当でないと考えておりますが、多くの経理関係の書類等が一部焼却されておるということでございまして、捜査は難渋をきわめておるというふうに私ども報告を受けておるのでございます。
 それにいたしましても、かなり日時がたっておりまして、御指摘のようにおそいではないかという御疑念もあるわけでございます。第一線の徳島地検といたしましては、一応地検なりの考えが、大体捜査は完了に近いものというふうに私どもも報告を受けておるのでありますが、事件は、これから高松高等検察庁の方に協議をされることになっておりますので、さらに多少の補正捜査もあるかと思います。いずれにいたしましても、終了に近い段階であるということは言えるのでございますけれども、いまだ終結ということには相なっておらないのでございます。
 なお、本件の捜査の端緒となりました告発につきましては、四月十六日告発人及び被告発人との間に和解が成立いたしまして、四国放送株式会社に関する告発事実については、すでに取り消されておる状況でございます。申すまでもないことでございますが、告発が取り消されたから、親告罪のようにもう捜査を打ち切らなければならぬという筋合いの事案ではございません。鋭意捜査を進めておる段階でございます。
#5
○阿部委員 事件の概要はわかりましたが、それにしても捜査を始めてから今日に至って、地検ではほぼ終結に至っておるとはおっしゃいますけれども、それにしてもあまり長いと思うのであります。しかも事の性質上、問題は一切報道されないという特殊の事件でありますから、できるだけすみやかに事態を明らかにして、県民に安堵させるのが必要だということはわかり切ったことだろうと思いますが、こういう長引いたということは、何かそれをやむを得ざらしめた原因でもあるのでございましょうか。
#6
○竹内(壽)政府委員 しいて申しますならば、御承知のような参議院議員の選挙に際会いたしまして、検察庁におきましては、事件のあるなしにかかわらず、そういう態勢を整えて事に臨んで参っておりますので、そういう方面にもかなり首脳部が手をとられておったというような関係もあったかと思いますけれども、本件につきましては、係の者については、選挙に狩り出して、その間捜査を打ちとめるというようなことはなく、終始これに携わってきたのでございますけれども、いろいろなこまかい点についての法律上の見解を調整したりなんかするそういう問題につきましては、今言ったような総選挙の関係もありまして、十分に手が尽くせなかった、それが遅延の理由かと考えております。
#7
○阿部委員 遅延の理由については十分納得がいきかねるのでありますが、押し問答を重ねても何も益がないことでありますから、これだけにしておきますが、問題の重点は、その隠し財産と言いますか、利益のうちから落として隠してあったという財産、これは世間で伝えられておるのでは一億数千万円にも及ぶと聞いておるのでありますが、その総額については明確なる結論を得ておられますか。これは新聞社と放送会社と双方についてあるようでありますが、おのおのの結論を得ておられるのでありましょうか。
#8
○竹内(壽)政府委員 帳簿によって明らかにし得ました金額は、約一億二千万円でございます。その金が、あるいは雲散霧消してしまった若干の金額はあろうかと思いますけれども、その金が、あるいは株式になっておったり、あるいは土地建物になっておったり、あるいは現金、預金になっておったりしておりますので、大体つかんでおります一億二千万というものの使い道の究明が犯罪の成否を決定する要素だというふうに考えております。
#9
○阿部委員 私が聞きましたところによると、今刑事局長は新聞社の方のだけをお答えになりましたが、放送会社の力にも隠し財産があると聞いておるのであります。その点のお答えがなかったのでありますが、それもお答えいただきたいと思います。
 それと関連して、私が聞いたところによると、最近この社団法人徳島新聞社は、社員総会を開いて、繰り越し未処分剰余金と称して、それを社団法人の会計に繰り入れをやっておるのであります。その金額が一億二千二十三万八千七百十三円、こういうふうになっておるようでありますが、これは捜査当局では御存じなんでございましょうか。
#10
○竹内(壽)政府委員 承知をいたしております。その金額が、すなわちよそへどけられておった、秘密積立金になっておった金額に相当する額でございます。
 それからなお、先ほど仰せになりました四国放送の方は千九百万余り、約二千万弱の金額が秘密積立金として捜査線上に出ておる金額でございます。
#11
○阿部委員 そうすると、どうもちょっと解せないことが起こるのでありますが、社団法人自身が過年度の剰余金として今回繰り入れた金が一億二千二十三万八千七百十三円、こうなっておるのでありまして、それはいろいろに隠してあったのでありますから、どうせその使い道も脅迫以上にずさんであるというのがまず常識でありましょう。そしてなおかっこれだけの剰余金があって、それを本会計に繰り入れをしておるのでありますが、お答えによると、その隠した財産自身が一億二千万円程度だということになると、ちっともそれは使わなかったということになるのでございますか。
#12
○竹内(壽)政府委員 そうではございませんので、別積み立てにいたしました客観的な総額というものは、もちろん今日ではわかりません。先ほど申しましたように、雲散霧消してしまった、飲み食いに使ったような金もないとは保しがたいわけで、これも証憑書類が残っておれば確認できましょうが、一部焼却されたものもありまして、確認をしがたいものもあろうかと思いますので、一億二千万といい、約二千万と申しましても、それが客観的意味においての総額であるというふうには私どもも考えておりません。しかし、この一億二千万というものの現在残っておる形は、あるいは現金、あるいは預金、あるいは不動産、あるいは株式という形になっておるわけであります。それらの取得状況等から、大体これが長年の間にわたって横によけてきた金の総額に近いものであろうという推定をしておるわけでございます。
#13
○阿部委員 私は、こういう問題は、捜査当局を御信頼申し上げて、結論が出るまではそれに触れないのが私の本来の意思なのでありますが、何しろあまり長くなりますので、多少疑惑を抱かざるを得なくなるのでありますが、今おっしゃる答弁によりますと、隠した財産は幾らかはっきりわからない、そして大体推定されるものが一億二千万円だとおっしゃるのであると、残っておって本会計に繰り入れたのがその一億二千万円を越しておるのであります。そうすると、何も不正はなかったという結論になるやに受け取れるのであります。どうもそれはちょっと納得いたしかねるものがあるのでありますが、もう一ぺんお答えを願います。
#14
○竹内(壽)政府委員 それは、会社経理の関係でその金額をどういうふうに理解するか、一つ問題があろうかと思いますが、これを刑事事件の観点から見ますと、一種の弁償金といいますか、そういうような理解の仕方もできるのじゃないかというふうに思います。全部繰り入れてしまったら不正は何にもなくなるじゃないかというお言葉でございますが、使ってしまったものをあとから弁償しますということもよくあることでありまして、できるだけ、会社そのものに損害がこうむっておるものを、まず横にあるものがあればそれを正規の会計ルートに乗せて、本来の会社の保有しておる金にかえていくということは当然な経理方法だと思います。もし足らないものがあれば個人で弁償をするというような問題も出てくると思います。
#15
○阿部委員 どうも多少釈然としないところがあるのでありますが、捜査中でありますからこの程度にいたしておきます。
 自治省の方いらっしゃいますか。――これはもちろん御存じと思いますが、この新聞は社団法人ということになっておりまして、民法の規定によって監督官庁の監督を受けておるのでありますが、その監督丁斥力徳島県知事、こういうことになっておるやに聞いておるのであります。元来新聞などの発行を目的とする社団法人または財団法人、いわゆる公益法人というものの監督賞庁というものは、私たちの常識では内務大臣、こういうふうに思っておったのでありますが、内務省はもちろん解体してございません。しかしながら、それが県知事であるということは、ちょっと常識上納得ができぬのでありますが、それで私も一応法令全書などをめくってみたのでありますが、どうやら初め内務大臣が監督官庁であったものが、戦時中に情報局ができたときか何か総理大臣と内務大臣との共管になったもののごとくであるのであります。しかしながら、どこをめくってみましても――それからたしか昭和十九年ですか、許可認可等臨時措置令というものが出たようでありますが、それにもやはり監督官庁が変更されたようにはないのであります。もちろん、それはみんなほとんどが廃止された法律でありますから、われわれ民間人としましてはなかなか調査困難でありますが、国会図書館などでも調べてみたのでありますが、よくわかりません。これはどういう法的根拠から徳島県知事の監督に服すがごときになっておるのでありますか、その点を一つ明らかにしていただきたいのであります。
#16
○岸説明員 ただいまのお尋ねの中にございました許可認可等臨時措置法に基づきます許可認可等臨時措置令でございますが、この四条の規定でございます。これによりまして、経由官庁が地方行政官庁である場合にはその行政官庁が許可認可等をしてよろしい、こういう規定でございますので、その規定によりまして、地方行政官庁でありました当時の地方長官、それが監督官庁になりまして、それが地方口治法が昭和二十二年に施行されました後に、現在の公選知事にそのまま引き継がれている、こういう関係ではなかろうかと思います。
#17
○阿部委員 それは自信がありますか。私もその点は一応調べてみたのです。ところが、この公益法人の設立が昭和十九年五月十五日となっておるのであります。ところが許可認可等臨時措置法は少し前からできておるようでありますが、それの施行令であるところの臨時措置令が出たのは昭和十九年五月二十日となっております。さかのぼって施行でもしたのでしょうか。どういうことになりましょうか。あとから法令ができて、そして前の既成事実をやった、こういうことで、はなはだ妙に考えるのですが。
#18
○岸説明員 これは徳島県知事さんをしておられましたから御承知のことと思うのでありますが、この社団法人徳島新聞に関しまする一件書類がすべて消滅しておるそうでございまして、実際に許可になりました時点につきましては実は明確を欠く点があるのでありますが、ただいまお話しの事実をもとにして考えますと、この法人が設立されましたときには許可認可等臨時措置令はございませんので、これはそれぞれの主務大臣、おそらく内務大臣であったと思いますが、その認可を得て設立をされましたけれども、それ以後に今の法律なり政令が出ましたために、この規定によりまして、以後の定款変更につきましてはすべて知事の方へ移っておる、こういう解釈になるのではなかろうかと思います。
#19
○阿部委員 どうもそれがはなはだ奇怪きわまるのでありまして、昭和十九年五月二十九日という日付で、「閣令、内務省令、文部省令、厚生省令、第三号」というのが出ております。それは新聞事業、映画事業、出版事業関係許可認可等臨時措置令施行規則、さっきおっしゃった臨時措置令の施行規則のようでありますが、それによると、新聞などの事業についての民法の規定による監督官庁は従来通り、こうなっておるのでありまして、そのわずかの間に知事に移っておるとは解しがたいのでありますが、そういう法的根拠がございますか。
#20
○岸説明員 ただいま御指摘の昭和十九年五月二十九日の共同省令でございますが、これの二号によりますと、新聞事業の社団法人にして内閣総理大臣及び内務大臣の共管にかかるものに対する民法第一編第二章の規定に基づく許認可に対する令の適用に関しては、内閣関係許可認可等臨時措置令施行規則第二号の規定を準用する、こういうふうになっておるわけであります。そういたしまして、内閣関係許可認可等臨時措置令施行規則の第二号によりますと、長いので省略いたしますが、許可認可等に対する令の適用に関しては別にこれを定め、当該法人及び関係地方長官に対して指示することあるべし。この場合においてはその指示によるべきものとする。一応この指示をすることができるというのが原則になっております。前項の指示なき場合においては令によるものとするということで、許可認可等臨時措置令に返っておるわけであります。従いまして、この指示があったかどうかにつきましては、実はその証憑書類が現存いたしておりません。総理府その他で調べてもらいましたところでは、現在のところ特別の指示はなされていない、そういうことでございますので、先ほどの許可認可等臨時措置令の原則に返ってくるのではなかろうか、かように考えるのであります。
#21
○阿部委員 そういうお答え、どうも自信がなさそうなお答えに受け取れるのであります。私もその程度は調べてみたのでありますが、元来この新聞というようなものの監督というものは、これは当時の政府としては非常に市視して、今こそ出版の自由で監督はほとんどないと言うてもよろしいが、その当時は非常に重視して、一地方長官にまかせ得るような性質のものではなかったのであります。発行部数千や二千の小新聞といえども厳重なる内務大臣の検閲を受けている。いわんや、公益法人として設立させ、それを監督し定款変更を認可するという重大なことを、そう一片の許可認可等臨時措置令で下へまかしてしまったとは受け取りがたいのでありますが、そういうお気持はなさいませんか。いかがですか。
#22
○岸説明員 当時の地方長官というのは、国の総合出先機関と申しますか、そういう地位を持っておりましたわけでございますので、そういう点から考えますと、必ずしも新聞事業に関する監督が地方長官に委任されたとは考えられない、こういうことにはならないのではなかろうかと思いますが、お尋ねの点は、気持はどうかということでございます。私の気持としては、必ずしもそうおかしなものではない、そういう感じがいたすという点だけを率直に申し上げます。
#23
○阿部委員 それでは伺いますが、法律、法令の形式上のことはそれだけといたしまして、実質でありますが、この新聞社は出資千口をもって社団法人ができておる。そして定款によると、社員権というものは、すなわち社員総会で議決する権限は出資一口に一票、こういう定めをいたしております。これは民法の規定であるところの一人一票、こういう社団法人というものは人的結合によってできるという民法の原則と私は心得ております。それとは全く反して株式会社と同じような定めをしておるのであります。さらに一社員がその千口の出資口数のうちで、一時は七百数十口も持ったことがあり、この事件発生当時は六百数十口というものを一人で独占しておった、こういうこと。それからさらに民法の規定による理事のほかに会長というものを置いて、理事会の決議は会長の承認がなければ効力を発生しない、こういう定款を定めておる。すなわち社員権の過半数を持っておる一社員のほしいままの意思でいかようにも運営ができるという社団になっておりまして、そしてそういうほしいままなる運営ができるようになっておったということが、今回の事件発生の重大なる原因の一つになっておると常識的には判断せざるを得ないのであります。しかも、それらの定款の変更等はすべて監督官庁の認可によって行なわれておるのでありますが、こういうことを総合しまして、監督官庁としての監督は、その点よろしきを得たと言えるであろうか、こういう疑問が起こるのでありますが、御所見はいかがでございますか。
#24
○岸説明員 ただいまの定款の内容にわたります事項につきましては、これはそれぞれの主務官庁があるわけでございまして、ただいまの徳島新聞に関しましては、私どもの方は主務官庁ではございませんので、そういう定款の内容につきましては、私の方からでなくて、しかるべき方面からお答えをお願いしたいと思います。
#25
○阿部委員 お聞きの通りでありまして、主務官庁は徳島県知事とおっしゃるのでありますが、その地方自治団体を指導監督するのは自治大臣でありますから、ただいま御出席になっておる人が意見を言えないのは立場上もっともだと思います。それでこの問題については、いずれ自治大臣に御出席を願って御所見を承りたいと思うのでありますが、そのお取り計らいをお願いいたします。
#26
○高橋委員長 承知いたしました。善処いたします。
#27
○阿部委員 それから、総理府の副長官にお尋ねいたしますが、お聞きの通りの次第なのでありまして、これが知事の監督に属するということがどうも私には納得がいきかねるのでありますが、正確にそれを裏づけることも現在に至ってはなかなか困難なようであります。ところで現在でありますと、昭和三十五年八月三日総理府令四十六号というのが出ております。内閣及び総理府関係許可認可等臨時措置令施行規則、こういうのが出ておるようでありますが、これによると、こういう新聞などの発行を目的とする公益法人の監督官庁は総理大臣と一応定めておいて、ただし、新聞などは一県を区域とするものは従来による、そして二県以上にまたがるものは総理大臣、こういうふうになっておるようでありますが、それにはさらにまた経過規定のようなものがあって、従来ほかのところの監督に服しておるものはその通りだ、ただしその場合でも、総理大臣がその監督官庁とその社団あるいは財団に対して指示を与えたならば総理大臣の監督に服することになる、こういうふうになっておると思うのでありますが、私の考えは誤っておりませんでしょうか。
#28
○古屋政府委員 ただいまお話の昭和三十五年八月三日の総理府令四十六号でありますが、これは「内閣及び総理府の所管事項に係る事業を目的とする公益法人」ということになっておりまして、そういうものについて二以上の府県にわたるものについてはということになっております。今先生からお話しになりました点につきまして、私も個人的には非常に疑問に思う点もございますが、この規定は内閣及び総理府の所管事項ということを前提としておりますので、実は先ほどもお話しの、新聞がどこの所管事項に属する公益法人であるかについて、先ほど自治庁からお話し申し上げましたが、昭和十九年五月の終わりに公布され、六月一日に施行になりました規定では、一応知事に委任しております。おそらくそういうふうに委任したのは、これは私の推理になりましてまことに恐縮でございますが、終戦の直前で、中央で一々書類その他を審査することができないような非常に困難な実情にありましたので、とりあえずそういう状況を前提として知事に委任したのではなかろうか、こういうふうに考えております。それならば、その当時は内閣情報局と内務大臣というものが、この新聞と申しますか、出版著作権についての所管大臣であったと私は考えます。それが終戦後におきまして、情報局はもちろん廃止になりました。それから内務省の方は内事局に移りましたが、内事局がまた廃止になっております。従いまして、お話のように第一次の監督官庁は知事といたしましても、第二次的なものとしてどこか、中央官庁があるべきではなかろうかということで、私も実は先般からいろいろ関係省と研究をしております。確かにあるべきだと私は考えておりますが、その結論が関係省とまだ検討中でございまして、お話のように第一次的には知事にあるというふうに考えておりますが、第二次的にどこにあるかという点について、実はずっと経過規定その他を調べまして、今秋の方で検討しておるというのが現在の状況でございます。
#29
○阿部委員 それではお尋ねしますが、昭和三十五年にこの総理府令が出てから後に設立されたる出版などを目的とする社団法人などは、民法に基づき設立許可が要ることでありますから、これはだれの許可によってできておりますか。
#30
○古屋政府委員 私の記憶しておるところによりますと、総理大臣の所管と考えられたものについては、総理大臣が認可しておるものもあると思います。それから場合によりましては、これも多分に私の私見と申しては失礼でございますが、考えでは、やはりそういう問題について、文部省の所管になっておるものもあるのではなかろうかと思いますが、これはいずれ調査をいたしまして、三十五年の総理府令が出ましてからどれくらいこれによって許可が与えられているかということは、恐縮でありますが、今資料を持ち合わせませんので、適当な方法によって早急に調べまして御連結いたしたいと存じます。
#31
○阿部委員 今調査中だとおっしゃるのでありますから、一つ正確な調査をしていずれ次の機会にお答えを願いたいと思います。
 それから私の解釈では、大体あなたの方が主管庁ということになるのじゃないかと思うのでありますが、問題は、徳島新聞を徳島県だけの事業だと見るか、あるいはその範囲を越えたものと見るかでありますが、別に徳島新聞社という社団法人は、支店の登記とかいうようなものはしておりませんが、事実上東京にも支社と称するものがあり、大阪にも支社というのがあるのであります。徳島県人などは東京にも相当多いのでありますから、発売頒布は相当他県に渡っておると思われるのでありますが、そういう定期刊行物、新聞の発行が、これは経過規定のようなものがあって、従来知事の監督に属しておるものはそのままとなっておりますから、それは別として、将来もしこんなことがあるとすれば、こういうものを設立されるとすれば、これは総理大臣の監督に属すべきものだと思うのでありますが、御解釈はいかがですか。
#32
○古屋政府委員 これも実は検討中の過程で申し上げますから、一つ御了承願いたいと存じます。
 実は総理府の設置規定の中に、他の省の所管に属しない事項というのがございまして、私は、もし総理府とすればその点ではなかろうかという感じと言いますか、検討の一つの議題にしております。それから従来新聞については、御承知のように連合軍の覚書によりまして、そういうことに政府としてはタッチしてはいけないということで、いろいろ所管につきましても、たとえば従来の出版に新聞が入っていたかどうか、規定の上で、官制の上で出版著作権ということがあれば、そこに新聞が入っていたかどうかという点についても昼下検討中でございます。
 それからお話の、主たる事務所がその県にありながら、全国的にあるいは部分的にその県以外に支店を持っておるというような点につきまして、これが二以上の府県にわたるものについてはどうかということについても、実はお話の社団法人的な新聞社というものは、私の見当では数が非常に少なうございまして、そういうものがありましても、株式会社に途中変更になったりしておりまして、数が非常に少ないということもありまして、十分検討を加えまして、私自身も、知事だけの監督官庁で中央のあれがないということは、どうも法人の性格からして納得できない点もありますので、そういう点もあわせて今研究させていただきたいと思います。
#33
○阿部委員 それでは最後に一つ御所見を承りたいのでありますが、この八十万県民、戸数にすれば二十万にも及ばないと思われるところに、十一万数千という読者を持っておるという新聞、それが一億数千万の隠し金をつくって脱税して、そうして世間で伝えられるところによると、一千万をこえるような業務横領があるといううわさをせられておるのでありますが、そういうようなことが起こった原因というものが、社団の本質に反するような定款変更をし、それを監督官庁が認可を与える、そういうことによってほしいままに一人の人で運営ができる、こういうようなことをやったがために、こういう結果を来たしたと解釈すべきものがあると思うのであります。
 そこで、かりにこれが刑事事件として決着を見まして、あるいは起訴猶予になるとか、あるいは公判に付されるとかいうことになっただけでは、県民としてはこの事件解決せり、こういうわけにはいかないのであります。そこで、これは機構を変えるなり定款を変更するなりして、将来こういうことの起こりにくいような制度、機構をつくらなければならぬのでありますが、それはもちろん監督官庁の指導監督に待つほかないのであります。ところが、すでに今まででも監督官庁はありながらこういう問題が起こっておるのでありますからして、政府として、よほど周到にして慎重な処置をとっていただかなければならないと思うのでありますが、お考えはいかがでありましょうか。
#34
○古屋政府委員 ただいまお話の点につきましては、御承知のように社団についての監督官庁というものは一般的にございませんで、それぞれの所管庁というものが社団についての監督をしておるわけであります。それで実はこの出版あるいはこの出版の中の新聞というものについての社団について、どこが監督官庁であるかということをまず第一にはっきりしなければなりませんので、この点は鋭意私ども研究しておりますし、また早急にそういう点で進めて参りたいと思っております。現在のところは、中央の所管がはっきりしない以上、第一次的な府県知事の所管しておるものについて、行政上の連絡その他によりまして、そういう事項を調査するほかないと思いますけれども、刑事事件も進捗中のことでありますから、政府といたしましても、こういうような国家的な通信事業というものについて、たとい法律的にその通信そのもの、新聞そのものにつきましては統制というものがないといたしましても、それの及ぼす影響というものが相当大きいものと考えますので、十分に今の事項を早急に検討いたしますと同時に、刑事事件の進展と本関連いたしまして、慎重に検討と申しますか、どういうふうに臨むべきかということを決定して参りたいと思います。
#35
○阿部委員 この問題は、徳島県民としては一日もゆるがせにできない問題でありますから、一つ御調査、御研究は急いでやっていただきたい。それで私も、その調査なり研究の結果を承りたいのでございますが、この国会会期中にはいかがでございますか。
#36
○古屋政府委員 実は一昨日から関係省にいろいろ協議を求めまして、その問題をやっておりますが、関係書類が終戦前のものにわたるものにつきましては、倉庫その他の関係から、現在のところこれがあるはずだというのでいろいろ探さしております。問題が問題でありますので、できるだけ早く結論を出したいつもりでございますが、もしこの国会中に間に合わなければ、しかるべき方法によりまして、また先生の方に差し上げてはっきりさせていきたいと思っております。
#37
○阿部委員 それでは総理府関係はこれで置いておきまして、郵政省に伺いたいのでありますが、電波監理局長はお見えですか。
#38
○高橋委員長 西崎電波監理理長は運輸委員会と逓信委員会に出ておりまして、きょうはどうしても出席しかねるということで……。
#39
○阿部委員 それでは電波監理局次長にちょっと伺っておきます。あなたの参議院における御答弁を拝見したのですが、どうも監督官庁としてははなはだ監督がゆるいというか、何というか、はなはだ不満足なものがあるような印象を受けたのであります。
 一番に聞きたいのですが、あの徳島新聞の社長というものと放送会社の社長と兼ねることができない、これは免許基準で明かだと思いますが、その通りでございますな。
#40
○石川説明員 免許基準と申しますと、まず免許についての電波法からちょっと御説明申し上げたいと思いますが、電波法第七条によって、無線局の申請があった場合には審査して免許あるいは設置の制限をすることになっておりますが、その中で、「郵政省令で定める無線局の開設の根本的基準に合致すること。」ということで、省令で放送局の開設の根本的基準というものを定めておりますが、その省令の第九条に、「その局を開設することが放送の公正且つ能率的な普及に役立つものでなければならない。」こういう規定がございまして、それの解釈内規といたしまして審査要領というのものを定めてございます。その中で、ラジオ事業、テレビ事業及び新聞事業の三事業を経営し、あるいは兼営してはいけない、こういうことが書いてございます。
#41
○阿部委員 どうもあなたに問うてもらちはあかぬと思うのですが、とにかく不思議に思いますのは、この新聞社というものは、社長になっておるのは戦後間もなくであって、昭和二十一年と思いますが、昭和二十一年以来ずっと公益法人の徳島新聞社の社長をしておる人が、二十七年に放送会社の社長になっておるのであります。そして電波監理局から注意を受けて、その社長をやめたのが三十三年であります。そうすると二十七年から両社長を兼ねておって、そうしてそれを三十三年まで電波監理局は知らぬ顔で傍観しておったというのはどういうところからきているのか、はなはだ不思議でならぬのでありますが、いかがですか。
#42
○石川説明員 この審査要領による三卒業支配というものは、実はテレビ局の一斉免許のときに入りましたために、その前にはそういう点に触れていなかった。こういうことでございます。
#43
○阿部委員 一斉免許とおっしゃるのはいつですか。
#44
○石川説明員 三十三年でございます。
#45
○阿部委員 これはまた監理局長にきてもらってから質問をすることにいたしまして、きょうはこの程度で打ち切っておきます。
#46
○高橋委員長 志賀義雄君。
#47
○志賀(義)委員 今阿部委員が質問なさいましたことは、徳島市及び徳島県において一番大きい話題になっております。もう一つは、前年起こりました徳島市のラジオ商殺しということで、後妻が夫を殺した――私が殺したという真犯人の申し出が別にあったにもかかわらず、当法務委員会で視察に参りましたときに、確かにそういうことがありました。この二つの事件が今一番重要な事件になっております。この問題を当法務委員会で取り上げるについては、一々の刑事事件をここで取り上げたら切りがないということでありますが、この問題については、特に森純利という名義で昭和三十七年五月二十三日付で当時の郵政大臣迫水久常君に要請書が出ております。これは三月五日ですか、初めて徳島地検の方で捜査をしましたあと二カ月余りでこれが行政官庁に対してこういうふうに出ておりますし、それから参議院の法務委員会はすでに六月一日亀田委員から質問が出ておりますが、先ほど竹内刑事局長の御説明によりますと、秘密積み立てがあっても、それが横領であるかどうかということは直ちに費えないということでありましたが、その積立金の中から法人の役員の方へ特定の支出があった場合は、それが横領になるかどうかということに対して、何らかの影響を持たないのでしょうか。ただ積み立てるということだけでは、刑事事件の対象に直ちにならない、こういう御報告でしたが、積み立てたものの中からいろいろまた配分が行なわれておりますね。このことは検察庁で押収された書類からも明らかでありましょうが、そういうことがあっても、その積立金の問題は業務上の横領にならないという御見解でしょうか、どうでしょうか。
#48
○竹内(壽)政府委員 裏勘定といたしまして秘密の積立金を持っておりますこと自体は、やはり脱税事件の対象になっておりまして、従いまして、その意味で刑事事件にならないという意味ではありません。でありますが、それでは業務上横領とかあるいは背任とかいうふうな刑法犯の対象になるかどうかということにつきましては、これはいろいろ構成要件上問題点があるわけでございまして、かりにその金が重役会の飲み食いに使われたというような場合を想定いたしてみますと、その飲み食い自体がやはり重役会の会のための経費でありますと、不当支出不当経理にはなると思います。しかし、すぐそれをもって業務上横領にはならないというのが判例の趣旨でもございます。また、その飲み食いも、程度を越えて全く私的な飲み食いに堕しておったというふうな事実がそこにありますならば、それは重役会の飲み食いに籍口した業務上横領ということになると思うのでございまして、そこの辺は事実関係をよく見きわめませんと、法律見解をはっきりさせるわけにいかないのでございます。裏経理で、たとえば特定の社員に裏の給与を与えた、つまり正式の俸給以外に賞与金のようなものをやったという場合も、その賞与をやったやり方いかんによりましては、すぐ背任、横領をもって論じ得ない場合もあるわけでございまして、その辺の事実関係を究明いたしました上で、横領かどうかをきめたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
#49
○志賀(義)委員 どうもただいまの御答弁では、肝心の伺った点がぼかされておりますが、問題になっておりますのは、前川、森田両代表取締役は、昭和三十一事業年度において金二百九万円、昭和三十二事業年度において金二百五十四万四千円並びに五十三万九千円をそれぞれ人件費、賞与といって、今言われた前川、森田両人が自分のふところに入れているというのです。あなたのおっしゃるように、一般的に社員のだれそれ、代表のだれそれに出したというのじゃないのです。問題になっているその人が、地検でも捜査されているその人が、自分の収入として隠し金の中から受け取っている。こういうことが告発の中にもありますし、その点は地検としての捜査の結果は、あなたのおっしゃるように業務上横領にならない、あるいは背任にならない、こういうふうにもうすでに認められたのかどうか、これをはっきりして下さい。
#50
○竹内(壽)政府委員 お話しの点、ごもっともでございますが、地検におきましても、その点は捜査の対象といたしまして、取り調べをいたしております。しかし、それが法律見解として業務上横領にならぬとかなるとかいう見解は、今この段階では申し上げない方が適当だというふうに考えまして、先ほど阿部先生にもお答えを申し上げたところでございます。
#51
○志賀(義)委員 そうしますと、先ほどおっしゃった隠し金、秘密積み立て、これはざっくばらんに申せば、どこの会社でも大体やっていることですね。そうでしょう。だからそのことを私は申すのじゃないのです。ただ、あなたがおっしゃったのは、この公の席上で、その秘密の積み立てをしたのは、それだけでは業務上横領とか詐欺とかあるいはそれに関する私文書偽造にはならない――まあそういう告発が出ておりますが、そうおっしゃるところを見ますと、もうすでに、地検はともかく、最高検の解釈あるいは刑事局長としては、それは起訴の対象にならないということをお考えになっているのじゃないだろうかどうか、ここがポイントですが、そこを一つ。
#52
○竹内(壽)政府委員 刑事局長は、もちろんのことでございますが、全く白紙でございます。さような予断を持ってこの事件に臨んでおりません。先ほど私が積み立て自体は云々ということを申しましたのは、告発状が、それをもって業務上横領であるかのごとき口吻をもって書いておりましたので、それからさらに突っ込んだ調べをしておるのだという趣旨で申し上げたのでございます。
#53
○志賀(義)委員 そこは前半だけをごらんになったのじゃございませんか。当時の郵政大臣迫水君に出されました要請書には、告発状も添付されているようでありますが、それを見ますと、その話の前段です。つまり、積み立てがあったそのことだけを業務上横領というふうには言っていないようです。それが今私が申しました通りに支出を伴っておるということ、これが問題になっているのであります。
 それからもう一つは、あなたの方で調べられて、法人税の逋脱の問題がございました。これについて高松の国税局ですか、五百十七万三千円というものを自分たちが着服したということと、それからほかに重加算税、利子税合計四百五十九万二千七百六十円、こういうふうになっているのであります。つまり、高松国税局から、三十七年五月七日付をもって、四国放送株式会社に対し、昭和三十一年四月から三十二年三月まで本税二百二十七万八千円、重加算税百十三万九千円、利子税百二十万六千二百円並びに三十二年四月から三十三年三月まで本税二百四十四万三千八百八十円、重加算税百二十二万千五百円、利子税百二万六千六十円、合計九百三十一万四千六百四十円の徴収通知状が来た。これは結局会社に対して来たのですね。その場合に、一方には隠し金、積立金がある。そして会社の方にその隠し金に関する追徴がきた。このことが会社に損害を与えたというような訴えになっているのでありますが、そういう点については、刑事局長の御見解としては、この告発状にあるようなことはどういうふうに解釈なすっているのでございましょうか。
#54
○竹内(壽)政府委員 今志賀委員の仰せになりました点でございますが、それは先ほどもちょっと触れましたように、一部は逋脱犯として犯罪として徳島地方裁判所に起訴をいたして、それは審判を待っておる状況でございますが、もう一つの四国放送の関係部分は、逋脱額もさして大きくない。われわれは逋脱犯について大体の標準を持って、起訴する案件か、徴税手続にまかせる事件かということをきめておりますが、その基準に照らしまして、徴税手続でやるのが相当だということになりました部分を、先ほど申し上げました。その部分について、今そのような徴税手続が行なわれた模様でございます。そういうような公権力の発動によって結局出さざるを得なくなったことが背任であるかどうかという御質問のようでございますが、もちろん告発状にはその前の状態が告発されておるのでありますし、もちろん告発事実だけに限定して捜査をしておるわけではございませんが、今の点につきましては、それをもって直ちに背任であるというふうに考えるべきかどうかということは、研究を要する問題だと私は思います。なお研究さしていただきたいと思います。
#55
○志賀(義)委員 今、告発状だけに基づいて捜査をしているのじゃないんだ、それから最初に、検察庁独自の立場から罪状の存否に関して捜査を始めたというのです。そうすると、告発状以外にどういうことで地検は捜査を始められたのでしょうか。何かくさいところがあるというのですか。それはぜひとも伺っておきたいと思います。
#56
○竹内(壽)政府委員 まず式谷氏の告発状には、脱税のことは何も書いてないわけで、逋脱犯というのは検察庁が独自の立場で摘発したものでございます。それから業務横領の中にも、形が、代谷氏が指定しております容疑事実と、検察庁が容疑としておるものとの中には、一致しておるものもありますが、はみ出しておるものもあります。それからそのほか外為違反の問題も検察庁が摘発しておりますし、その他先ほど容疑概要だけは申しましたが、あれに該当しておるようなのは、検察庁の方で逋脱犯の調べをしますときには、みな専門家が綿密に帳簿をこまかく当たっておるわけであります。その過程において、疑問とします容疑点はできるだけ綿密に、そして詳細に洗っていこうという考えでやっておるわけであります。
#57
○志賀(義)委員 阿部委員が最初に申されましたが、何せあそこの地方の新聞と、それから放送局、これが押えられていますので、自然流言飛語式のことがはやるのです。私も行って聞きました。地検が捜査をしたあと、清原検事総長が来られた。それで、どうも停滞するが、何か関係があったんじゃなかろうか、これが一つ。それから選挙のときに、選挙だからその方に主力を置くということはあなたも言われたんだが、それが済んだが、今もってらちがあかないのはどうしたことだろうか、これが二つですね。そういうようなことがありますから、これはできるだけ早く検察庁としても疑心を解かれる、これが必要であろうと思います。
 その点は特にまた法務大臣にもお願いしておきます。
 それから先ほど阿部委員がお尋ねになったのは、電波法の第七条第四号に基づく郵政省令で定める無線局の開設の根本的基準云々の問題がございますが、問題になっているのは、三十年から三十三年までのことでなく、昭和三十三年に免許基準事項、また法なんかもあとで変わってきた。それからその後、昭和三十六年五月三十一日から同年十二月一日までは、免許事項に違反して、再び前川会長が新聞社の理事、役員となり、監督官庁の注意勧告があるまで、新聞、放送の役員兼職を平然としてなしてきたのである。二回にわたる兼職禁止勧告は異例であるというようなことになっておりますが、そういうことがあったでしょうか、石川さん。
#58
○石川説明員 当初はわからなかったのでございますが、その後事件が出まして、わかったような次第でございます。
#59
○志賀(義)委員 ところがそのあとで、理事は再び辞任したが、徳島新聞社における権限は、会長として、上の社長として、しかも社団法人たる徳島新聞社の出資口数一千口のうち、六百口を不法に独占した結果、最高決議機関である社員総会の表決権一千票というものの過半数を利用して役員会を牛耳ってきたということになっております。そこからいろいろと問題が起こっているのでありますが、こういうふうに会長になって、四国放送株式会社ですね、この方も前川会長が事実上自分の思う通り運営しているが、二度にわたる注意を受けて、理事を辞任したから、事実上そういう支配があっても、これは省令にも違反しないし、法律にも違反しない、こういうふうにお考えでしょうか。
#60
○石川説明員 私どもは、この審査要領を解します場合に、経営支配の有無の判断というものは、どういうことを指針として判断するかと申しますと、代表権を有するかいなかということで解しておりますので、従いまして、社団法人につきましては理事をもって代表権を持っている、かように解して、理事であるかいなかということで経営を支配しているかいなかということを判断しているのでございます。
#61
○志賀(義)委員 無線局免許基準の処分事項で、新聞社は総発行済み株式数の一割だけしか、取得できないことになっておりますね。一割以内ということになっておりますね。ところが事実は昭和三十六年十二月十日、前川会長が郵政大臣あてに出した無線局再免許申請書中、「主たる出資者及び出資額を記載すべき欄」という記載事項の欄がございますが、そこに前川会長が、実際は一万四千五百十五株持っているのに、一万二千五百十五株と、二千株サバを読んで免許を得ておるのですが、そういう点はお気づきですか。
#62
○石川説明員 その点は気づいておりません。
#63
○志賀(義)委員 要請書が五月二十三日付で郵政大臣あて出ておるのであります。それに関する一件書類、郵政省持っているじゃないですか、それそこに持っているでしょう。私が読んでいるのですよ。それを知らないとは何ですか。あなた今手に持っているじゃないですか。
#64
○石川説明員 事実上何株であったかということは、今この要請書にあった株数が正しいか、あるいは四国放送の再免許申請に書いてあった株数が正しいかということについて、私どもは申請書こ記載した株数をもってこれだけ持っているということで判断いたしておりますという趣旨でございます。
#65
○志賀(義)委員 きょうは何日ですか、八月の二十四日でしょう。これが出ておるのは五月二十三日ですね。これを受け取ったときに、あなたが今のようなことを言われるならまだ筋が通ります。こういうものを見た以上、そうして無線局再免許申請書が出たとき、そのあとこういうものが出て、あなたが今日ここに来て答弁されるからには、そのどちらが正しいか、申請書が正しいか、この要請書が正しいか、少なくともそれは調べてきてここで答弁なさるのが当然じゃありませんか。二カ月も前のことをここに来て答弁できませんじゃ通用しませんよ。これをはっきりすることが、あなた方局長並びに次長としての職務なのでしょう。お調べになりましたか。
#66
○石川説明員 調べてございません。
#67
○小島委員 関連してちょっと聞きたいのだが、そうすると、代表権を持っている、ただ形の上でさえ持っているとすれば、実際の実権が、たとえば株式会社なら八、九割まで株式を握っているんだ。しかし、代表取締役は別の人がいる。そういう形さえあれば、実権者は代表取締役ですか、そういう考え方ですか。
#68
○石川説明員 審査要領の経営支配の有無の判断につきまして、お尋ねの実質的な実権者がだれであるかどうかということは、経営支配の態様が非常にいろいろな形でございますし、またいろいろなむずかしい問題も出て参るおそれもございますので、形の上で代表取締役であるかどうかということ、あるいは理事であるかどうかということで判断いたすようにやって参っております。
#69
○小島委員 そうすると、実際の株主権と言いますか、支配権と申しますか知りませんが、とにかく実際上の実権は、それは代表取締役がおっても、そんなものはいつでも解任できるのだという一つの権限を持っている人間が、はっきり書類の上でわかっている場合でも、ただ代表取締役というのがありさえすればいい、それが実権を握っているとお考えになっているのですか。それが今志賀君の言っている問題ではないのですか。たとえば実際は一万二千株持っているが、一万株と届け出ておいて、それをごまかしているというところに問題があるのじゃないですか。そういうことでないと、私としては志賀君が言っていることや阿部君の言っていることに同意するわけでも何でもないのですが、一体行政官庁というものが、それは数字の上ではわかりませんということはありますよ。たとえば数字の上ではほんの少ししか持っていないが、実際上はうしろでは全部握っているのだということがありますから、そこまで調べる必要はないと思いますけれども、実際あなた方がごらんになった書類の上で、十万株のうち九万株まで持っているということがはっきりしておるにかかわらず、代表取締役は一株を持っている小島徹三がなっておるということだけで、代表権限が、その実権というものがその人にあるのだという考え方で事を処理されるのですか。私は、これは根本的な問題として聞いておきたいと思うのです。
#70
○石川説明員 株数につきましては、放送局を所有する法人の議決権の総数の十分の一をこえてはいけませんということで、申請書に出されました株数が、申請書の記載要領によりますと、一%以上の出資者の氏名を書くようになってございますので、一%以上でしかも一〇%以下になっているものかどうかということをその申請書の議決権の数の欄によって判断するのです。
#71
○小島委員 それはいろいろ調べた結果、そういうふうになっているということで代表権がある、こういうふうに判断されたということでしょうね。実際その一万二千株を持っているのに、一万株と届け出てあるからそれはごまかしだというわけですね。それは志賀君がそう言っても、あなたの方では書類の上では一万株、だから十分の一と判断された。そういうことですね、それなら私にもわかります。
#72
○石川説明員 その通りでございます。実質的に二人のもの、三人のものに分かれておるけれども、実は一つのところから金が出ておるとかいうようなことは、むずかしいことで調査はできませんので、申請書に出ております株数によりまして、それが十分の一であるかどうかということによって判断いたしておるわけであります。
#73
○志賀(義)委員 小島委員も自分から言われたように、志賀君とは立場が違う、これは大違いですよ。その人でさえこういう疑問を持つのですから、これはとんでもないことですよ。しかも先ほど申した再免許申請書に実数二千株少なく出しておる。それはあなたは調べてないと言っただけで済みますか。要請書が出て、これは当然郵政大臣にきておるのだから、あなた方としても見られた。現にあなたは持っておられる。それをここに持ってきて、そのことは知らぬと言われ、調べておりませんじゃ済まないでしょう。法務委員会にこうして出席されたならば、それは気がつきませんでした、さっそく調べてみましょうと言うのが監督官庁としての当然の態度でしょう。あなたのお言葉にそれがない。それがないのは、つまり今までの監督官庁としての取り調べがいいかげんだから、小島委員が問題にされたように、実質は前川会長が支配しておっても、これが全体の十分の一に足りない、その他のことがあればこれは何でもない、こういうことになります。そうなってくると、監督官庁の責任が全くいいかげんになっていることをあなたがはしなくも言われたということになります。あなたはその点どうお考えですか。調べていませんで済むものと思われているかどうか、その点ちょっと言って下さい。
#74
○高橋委員長 ちょっと私からも質問したいのですが、それは結局形式的な審査権しかないのか、実質的な審査権もあるのかどうかということになってくるのじゃないですか。そこらを明白にされれば、自然と問題が解決されるのじゃないですか。
#75
○石川説明員 お答えいたします。この審査要領は、先ほどもお話し申し上げましたように、省令の解釈内規でございます。従いまして、どの程度までわれわれが実質的に審査できるかどうかということは非常にむずかしい問題がございますので、私どもといたしましては、形の上で出てきた申請書によりまして、それが内規に合致しておるかどうかということで審査いたすことといたしております。
#76
○志賀(義)委員 肝心なことを答えていないじゃないですか。調べていないということで済むか。二千株の差の問題、あらためて調べます。気がつきませんで済みませんでした、やりますと、そこまで言われなければ監督官庁の務めは果たせないじゃないですか。そこをはっきりしなさいよ。
#77
○田中(織)委員 関連して。先ほど志賀委員が郵政大臣に関係者から出された要請書の中を読み上げられたように、前川君の問題については、電波監理当局から、やはり兼業禁止の意味で二回にわたって警告が出されておるケースです。その点は間違いないでしょう。しかも、この問題を亀田君が法務委員会で取り上げられてから約一カ月半、二カ月も経過しておるのです。従って、現在刑事事件として問題は発展をしておるわけですけれども、そういう過程で、書類が最初に出されたときには、あなたたちの省内の取り扱い例に基づいて見過ごしたとしても、あとからそういう問題が起こったということになれば、それをお調べになって、しかも、その問題がきょう取り上げられるということについては、これはもう先週から実はわかっているわけなのです。従って、あなたたちの方でも答弁の資料を整備するということになったきょうの答弁としては、ちょっと受け取れないのじゃないか。従って、書類を出されたときには、一応形式的なミスはなかったとしても、その後、こういう事実が、しかも国会で取り上げられて提起されてきたということになれば、それに基づいてあなたたちは調査される義務があるのではないか。しかもこの問題については、四国放送の関係には元郵政大臣をやられた人が関係をしておるのです。そういう点から見ても、どうも郵政省に対してきわめて政治的な働きかけが行なわれているのではないかということが、やはり徳島市内における県、市民の疑惑を深めている大きな一つの問題なんです。私は、そういう点から見て、あなたたちの所管大臣がこの四国放送に関係をしておるというような、あるいは前川君との特殊関係というようなことが世上うわさされておるというような中にこの問題が発展しているということを考えるならば、電波行政は、このテレビの認可その他の問題で国民は郵政省というものを非常に注目している段階だけに、私は、やはりこういう国会で取り上げられた機会に、あなたたちはミスはミスとして率直に認めて、真実をここで述べる義務があると思うのです。この問題は、そういう意味で兼業禁止について勧告の出ているケースと違いますか。
#78
○石川説明員 三十三年の一斉免許のときに、理事をやめるように勧告してやめていただいております。
#79
○志賀(義)委員 私の質問に対してはどうします。
#80
○石川説明員 先ほどの株数につきましては、調査いたして御報告申し上げます。
#81
○志賀(義)委員 最後に法務大臣にちょっとお願いいたしますが、先ほどからお聞きのような事件でございます。これは四国放送株式会社、徳島新聞の問題ですが、これが徳島県、それから徳島市初め四つの市、それから二十七の町、二つの村、これが株主になりまして、総株数の約三十五%初めに持っていました。現在でも二〇%持っている。ですから、普通の新聞よりも、そういうわけで非常に一般の地方自治体に関係の深いケースでございます。
 そこでこういう問題が起こりましたが、先ほど竹内刑事局長のお話を伺いましても、肝心の一番問題になっている前川会長、これが背任横領か、あるいはまた所得税の問題をごまかしておる、あるいは外為法違反というようなことに関係があるのかどうか。やはり起訴された一ほかの人かかりに起訴となったら、どうやら起訴されるのだけれども、肝心の一番問題になる人が、どうもこれはいわゆる呑舟の魚というか、残されているような気がいたしますから、一つ大臣直接最高検、刑事局長ともお話しになりまして、実情をお調べいただきたいのでございます。これだけをお願いしておきます。
  〔委員長退席、牧野委員長代理着席〕
 なお、これに関連しまして、ただいまの電波監理局次長のお話はどうも納得しかねることが多いので、これ自体は監督官庁としての問題でございますから、これは逓信委員会なりで取り上げていただくよりほかないと思うのであります。
 なお、人権擁護局長、おられますか――この前の植木法務大臣のときに大阪の大学ノートをつくっているコクヨ、ここは二千人ばかりの従業員がおるのですが、ここの問題を出法務委員会で取り上げて、大阪の法務局の人権擁護部が会社へ調査に参りましたら、そういうところに持ち出したのが悪いといって本人が首を切られた。女の子です。配置転換で無理な仕事をさせられて体が片輪みたようになった。そういう人権上の問題である。人権擁護局と法務委員会で取り上げたことが解職の理由あるいは除名の理由になるというのは奇々怪々なことでございます。これは人権擁護局長には昨日ちょっと申し上げておきましたが、大臣の方からも、この問題について調査の促進を至急やっていただきたいと思います。
 なお、このあと猪俣委員が在日朝鮮人の国籍上の法的地位について質問されますから、私はまだたくさん質問がありますけれども、猪俣委員の質問のために私の質問は端折りまして、あとでまたやらせていただきます。
 法務大臣の方からぜひ一つその点調べていただきたい。どうも刑事局長のお話を聞くと、肝心なところは敬遠して通っておられるようで納得できません。
#82
○阿部委員 ちょっと一点だけ刑事局長にお聞きしたいのですが、いまだに公判が開かれておらないということです。相当時間を経過しておるのでありますが、これは一体どうなっておるのでしょうか。
#83
○竹内(壽)政府委員 これは一般的に申しますと、非常に脱税事件の公判がおくれておりまして、私どもも事務的に促進をはかっておるのですが、本件につきましては、そういう一般的な事情のほかに、現在追起訴が予定されておるものですから、そういう関係で、裁判所の方では追起訴等があるならば、それを待った上で一括して処理したい、こういう考えで、あえて公判を開かない。こういう状況であろうと思います。
#84
○阿部委員 この事件はどうも早くやってくれないと、諸般の影響がよくないと思います。どうか一つ促進を大臣にもお願いしておきます。
#85
○牧野委員長代理 猪俣浩三君。
#86
○猪俣委員 私は、韓国の日本に来ております人たちの処遇につきましてお尋ねしたいと思います。
 隣国の韓国は不幸にして政情が安定しておりませんで、政変みたようなものが次々と起こって参ります。そのたびに韓国から脱出して来て、日本に来ておる人が相当数ございます。こういう者たちが日本から韓国へ強制的に帰らされるということになりますと、ここに大きな人道問題が起こって参りますので、それにつきまして法務大臣並びに入管局長並びに条約局長お見えになっておるようでありますから、二、三所見を承りたいと思うわけであります。
 質問の要旨をよく御理解いただくために多少の前文句を申しますが、御存じのように李承晩政権というものがありまして、これが相当長く続いた。ところが、李承晩のやり方に対して相当反対の人たちが韓国にふえて参りまして、一九五八年に大統領の選挙がありましたときに、この李承晩に対立いたしまして、チョ・ボンアムという人が候補に立ちまして、この人は非常に人気のある人で、公平に選挙をやったならば、この人が大統領に当選する可能性があったわけであります。この人が進歩党なるものを組織いたしまして、韓国に一大進歩的政権樹立のために運動したわけであります。そうすると、この人は李承晩政権によって逮捕せられ、一九五九年、大統領の選挙があった翌年には遂に死刑に処せられてしまった。当時この進歩党の結成などに奔走しておった進歩的な分子、おもに学生なんかが多いのですが、日本に相当脱出して参りました。なお、続いて一九六〇年の大統領選挙には、御存じのように李承晩が驚くべき不正選挙をやりまして、これが遂に彼が崩壊しなければならない運命を作ったものでありますが、この際にも相当の脱出者があったわけであります。なおまた遠くさかのぼるなれば、朝鮮戦争のときに、やはりいろいろの事情から日本に脱出してきた学生なんかが相当あるわけであります。ある人間などは、日本に留学するについては向こうで試験がある、その日本に来る試験には合格したにかかわらず、アメリカのGHQの許可がなければ日本に来れない。朝鮮戦争で許可などという手続をやっている余裕がない、そこで好学のあまり日本に脱出してきた。日本では、その事情を認めて滞留許可をして勉学をされておったのでありますが、御存じのように昨年は朴政権なるものができた。これはクーデターによって樹立されたファッショ政権であることは天下公知の事実であります。そこで、これらのいろいろの政変下において日本に脱出してきた人たち、ことに学生等で、この朴政権下に帰りますと、人身の自由その他生命の危険さえ脅かされる者が相当出てきたのでありまして、現にずっと李承晩政権あるいは張勉内閣当時から国家の補助によって日本に留学していた学生が、朴政権に反対運動をやったということで相当人数奨学金の停止処分を受けている。その中にはすでに強制退去の命令を受けている者もあるわけであります。こういう人間ども、ことに大多数は学生でありますが、学生はどこの国でも非常に進歩的な分子が多いわけでありまして、朴政権に反対し、そして南北統一をはかり、民族の独立をはかるということで、日本に来ております学生はその中心勢力になって運動をやっておるわけであります。そこで朴政権は奨学金を停止するとかいろいろの手を使っている。彼らがもし帰国することがあったら、処罰することは明らかでありまして、南北統一運動なんかやっている韓国におります学生は相当やられておるわけであります。昨年の九月二十五日の新聞の報道するところによりましても、民族統一学生連盟という連中が、これは慶煕大学あるいは京城大学、成均大学、建国大学、外国語大学というような各大学生ですが、これは無期懲役から五年、七年というような長期の懲役を受けている学生が多数あるわけであります。これは何でもない、統一運動をやったというかどであります。
 御存じのように朴政権になりましてから、昨年六月六日には非常措置法という法律ができた。この第三条を見ますと、国民の基本権は革命事業に抵触しない範囲で保護される、こう書いてあります。だから革命事業に抵触したと認められれば基本権は全然ない。こういうふうな法律が昨年の六月六日にはできております。なお六月二十一日には特殊犯罪処罰特別法ができておる。この六条を見ますと、政党、社会団体の重要な職にいた者で、国家保安法第一条に規定せられた反国家団体の情を知りながら、その団体あるいはその活動に同調その他の方法でこれを助けた者は、死刑、無期または十年以上の懲役に処する。こういう特殊犯罪処罰特別法というものができておりまして、そしてこの政党、社会団体の重要な職にいた者が、国家保安法の第一条、要するにこれは反共的なものであって、朝鮮の統一を唱えたりあるいは北朝鮮のことをほめたりするような場合には、国家保安法第一条違反だということに全部認められるのでありまして、そうすると、そういう団体に入ったならば、もう死刑から無期または十年以上の懲役というふうに規定せられている。日本の治安維持法なんかよりもっと厳重な法律ができております。なおまた六月二十二日には反共法という法律ができておる。また九月九日には集会臨時措置法というものができておりますが、これもその三条を見ますと、政府の許可しない集会を開催する者は五年以下の懲役に処し、その情を知りながら会合した者は一年以下の懲役に処する、こういうような法律ができておりまして、現在どんどんやられておることば御存じの通りであります。こういうような権利の保障につきまして危険な法律がたくさん今韓国にはできております。そこで日本におきますこの学生を中心とした南北の統一運動、民族の独立運動、こういうようなことをやった者はみなこれにひっかかるわけであります。
 そこで私が政府にお尋ねしたいことは、これは相当人道主義の上に立って彼らの生命、身体の安全をはかってやらねばならぬのではなかろうか。日本は国際連合に対して非常に忠実な国とせられておりますが、これは国際連合の精神にもかなうのじゃなかろうかというふうに考えておるわけであります。そこできょうは、あるいは宿題みたいなことになるかも存じませんが、国際連合におきましては、いわゆる難民という名称を使いまして、要するに難民救済ということを第二次世界大戦以後国際連合の一つの仕事として非常にやってきているわけでありますが、現在一九五〇年十二月十四日に国連総会で、国連難民救済高等文民弁務官に関する規約ができておって、一九五一年一月一日にその事務局が設けられて活動している。これはその後期間がだんだん延ばされまして、一九六三年の十二月三十一日までこれが継続、存続しておることになっておる。この高等文民弁務官の委託権限に関する法律の難民というものの定義が出ておるわけでありますが、人種、宗教、国籍、政治的思想などの理由により迫害を受けると信ぜられる十分な根拠があるため、現在本国を離れており、帰国してその国の保護を受けることが不可能か、または帰国を望まぬ人々を、これを難民といって、これに対しては特別なる救済をするということになっておるわけでございます。そうしてこれを中心といたしまして、難民の地位に関する国際条約というものができておりまして、現在三十四カ国がその国際条約を批准しておるのでありますが、日本は、この国際条約を批准しておらないようであります。これにつきまして、条約局長がおいでになりますが、これはほとんどおもな文明国全部入っております。最初二十六カ国で始まったのが、現在は三十四カ国になっておる。しかるに日本はこの中に入っておらぬようであります。難民救済に関する国際条約、これは一九五一年七月から始まっておるのですが、これに日本が参加しないその理由がありましたら御説明いただきたい。これは条約局長から御説明いただきたい。
#87
○中川政府委員 難民に関する国際条約にどうして日本が加入していないのかという点でございますが、この国際条約は非常にいいことを書いてあり、その目的においてはまさしくわれわれ同感であるわけでございますが、一つの技術的な問題といたしまして、一体難民というものの定義、ただいまお読み上げになりましたが、その定義が、どうも具体的の例に当てはめます場合に、必ずしもはっきりしない面が出てくるのでございまして、そこらの定義等につきまして、もう少しはっきりした見きわめをつけたいということが一番大きな原因でございますが、日本としてもその条約の趣旨には賛成でございますので、これに入る入らないとを問わず、人道を尊重するというその原則で行動すべきことは当然でございます。その条約自体に入ることにつきましては、もう少し難民の定義等につきましての詳細なことを見きわめまして、各国の扱い、あるいは国際間における実際上の扱い方というようなものをもう少し見きわめました上で、これに入るか入らないかを決定したい、かようなことからまだこれに加入はしていないわけでございます。
#88
○猪俣委員 これは国際連合でもずいぶん古くからやっておるのでありまして、そしてまた難民の定義なんということについては、なるべくこれを広く、もう直接間接とを問わず、広く解釈しようということがたびたびの国連総会にも決議されておるわけです。ですから、そんな難民の定義そのものがはっきりしないからというようなことで、ただそれだけでこれにお入りにならないということは、私ども、はなはだわからないのでありまして、各国でもおもなる国はみな入っておるし、なおまた難民の定義については、あらゆるものを包含しようじゃないかということは戦後二回にわたって、一九五七年十一月二十六日の国連総会でも、一九六一年十二月十八日の国連総会においても、みな広範囲に難民救済というものを認めようという決議になっておるわけです。国連に忠実であるならば、そのような決議を尊重なさるはずだと思いますが、こういう決議に対してはどういうお考えを持っておりますか。
#89
○中川政府委員 今申し上げました通り、条約の趣旨自体、目的自体、また内容の大体企図しているところ、それについては、政府といたしましても全然同感なわけでございます。しかし、条約に入ります以上は、そこに番いてあることを全部完全に実施するだけの決心が必要になるわけでございます。その意味で、これの適用の対象になる難民というものの範囲をやはりもう少し明確にしておきたいというのが偽らざる考えでございます。もちろん、その累次の国連での決議等の趣旨につきましては全然同感でございます。
#90
○猪俣委員 そうすると、一九五九年六月から国連の難民救済の年というものを設けようという決議になっておる。そうしてそういう国連難民救済年というものが設けられ、それを設けるかどうかという問題につきましては、日本からも代表が出て、藤田たき女史が人道的立場からその事業には全面的に日本は賛成であるという主張をせられておる。これは政府は、やはり政府の意思として認めてよろしゅうございますか。
#91
○中川政府委員 藤田代表が発言せられましたことは、日本政府を代表して発言されたわけでございまして、日本政府の考え通りでございます。
#92
○猪俣委員 そこで私は、今大村収容所に退去を命ぜられたものが何人ぐらい入っており、それらの中にこの難民と思われるような者、しからざるただほんの密入国者、そういうものがあると思うのでありまするが、そういうことの調査ができておりましょうか。これは入管局長にお尋ねします。
#93
○小川説明員 ただいま猪俣先生からのお尋ねの件でございますが、最初に現在の数字を申し上げたいと存じますが、三十七年、本年の七月十六日現在におきまして大村に収容されております人数は、総数二百七十九名でございます。その中には韓国人が一番多うございまして、二百二十八名、以下中国人、欧米人その他となっております。そこでただいまの御質問のこの二百二十八名の中に難民と考えられるような人間がどのくらいおるかという御質問でございますが、内容的には不法入国が二百名、それから不法残留が十四名となっておりまして、はたしてこの中に御質問の人間がどのくらいおるかにつきましては、ただいまのところちょっとわかりかねますので、至急に取り調べまして御報告いたしたいと思います。
#94
○猪俣委員 これは相当差し迫った問題に相なっておるのでありますが、今、日韓会談も始まろうとしておるわけでありますが、韓国政府は、日本の国内におって南北統一運動をやるような学生を中心とするこういう民族主義者、こういう者はなるべく韓国へ送還してもらいたいという希望があるやに聞いておるのでありますが、さようなことを韓国側から要求しておりますかどうか。これは外務大臣はおいでにならないのですが、外務省の方、御存じありませんか。
#95
○中川政府委員 現在韓国側がそういう要求、つまり日本に前から住んでおる、あるいは数年前から日本に来て定住しておる韓国人について、自分のところへ帰してもらいたい、こういう要求は来ていないと思います。来ているということを聞いておりません。また、もしかりにそういうような要求がありましても、これを返す返さないかという問題は、全く日本の国内法に基ついて日本政府がきめることでございます。韓国側の申し入れによって左右されるということにはならない筋合いのもの、だと思います。
#96
○猪俣委員 実は、日韓会談が始まるに際しまして、韓国のこの南北統一論者、民族独立論者、こういう人たち、ことに学生が多いのであります。東大を初め早稲田、法政、中央、明治、教育大学、各大学に在学しておりまする学生は、ほぼこういう統一論者であります。朴政権に対しては、こういうファッショ政権は反対であるという人間が多いわけであります。そこで、もし万一何かのことで韓国からさような要求があって、韓国へ引き渡されるようなことがあるならば、自分たちは生命、身体の危険を感じるということで、相当動揺をしております。これは国際連合の難民問題としまして、彼らにさような心配のないような日本政府の態度がやはり必要であると思うのです。なおまた、御存じのように韓国の民族日報の社長が死刑になりました。この人と非常に友人関係で、この人を援助しておった、あるいはこの人の救命運動に奔走しておった人で東京に脱出してきておる人が相当いるわけですが、これを単なる密入国者として強制送還するということになりますと、国際連合の難民救済の高邁な人道的立脚によりました精神に反することになるかと思うのであります。日本政府は、この難民救済の条約にも加盟いたしませんのでいささか心配があるけれども、今政府当局の言明によれば、この国際連合の精神には自分たちは賛成であるというお言葉であるので、これは相当安心できるのじゃないかと思いまするけれども、やはり内閣として相当はっきりした線を出していただきませんと、出先機関でも取り扱い上非常に困難を来たすのではなかろうか。そこで法務大臣にお尋ねいたしますが、要は、抽象論になります。私は具体的なことはきょうは申し上げませんが、この国連の、今私が読み上げましたような高等弁務官に関する規約あるいは難民に関する条約等におきまする難民、主として本国の保護を受けられず、そうして現在やはり自分のおるところにとどまりたい、あるいはまた第三国へ行きたいというような君たち、これはやはり彼らの意思を尊重して人道的な立場から救済してやるという必要があると思いますので、法務大臣は閣僚の一員として、やはりこれは閣議で明確な線を出すべきじゃなかろうか、つまり国連の難民救済の精神に日本も全く同感で、その趣旨で終始するというふうなはっきりした態度を出していただきたいと思いますが、法務大臣の御所信を承りたいと思います。
#97
○中垣国務大臣 猪俣さんにお答えいたします。先ほど条約局長がお答えいたしました通りに、難民救済条約に日本が加入はしていなくとも、そういう考え方や精神を尊重するということにつきましては、法務大臣としましても全く同じ意見であります。そこで、こういう問題に対して政府が統一的な考え方をはっきりする必要があるではないかというお言葉でございますが、私も実はその通りに思います。ただ、先ほどからいろいろなことを御指摘なさったのでございますが、密入国者が現に就学中の者等につきましては、実はでき得る限りの情状酌量をいたしまして、特別な滞留許可をいたしておるのでございます。ところが問題は、猪俣先生の御指摘になりました、つまり、ある国の政府に反対をしておるという人がたまたま日本に滞在しておる。こういうものを全部難民と考えていいものかどうか、これは猪俣先生は御専門家でいらっしゃいますから何でございますが、たとえば政治亡命等のことも同じようでございまして、それを一括いたしまして、たとえば、日本におる朝鮮人の学生が全部朴政権に反対をしておる。これを強制送還するというのは人道的に遺憾ではないか。であるから、全部難民救済で、その思想で日本政府はこれを措置すべきだ。こういうことではなかったかと思うのでありますが、このことにつきましては、御趣旨にごもっともと思う点があるのでございますが、個々のケースにおきましては、出入国管理令等の適用から見ますと、はたしてそれが本人の主張する難民であるか、あるいは政治亡命者であるかということにつきましては、なかなか複雑な事情等もあるでございましょうし、またそれぞれ違った条件等もあるのではないかと思いますので、そのことにつきましては、十分人道上の立場を尊重いたしまして対処して参りたいと考えております。
#98
○猪俣委員 大臣が申されましたように、それは千差万別でありますから、在京の朝鮮人、韓国の学生全部というわけじゃありません。その中には朴政権に明らかに反対しない学生もあるわけです。また、先頭に立って反対運動のリーダーになっておる者もおる。明らかに反対しないような者は、韓国に帰って特別に処罰されるということはない。不当の迫害を受けることはないわけですが、先頭に立ってリーダー格みたいなことをやった人間は相当危険がある。だから、それはもちろん具体的事情を、どういう行動をやった、それがはたして韓国政権からにらまれておるものであるかどうか、調査していただかなければならぬことであると思いますが、原則は、この国際連合の難民救済に関する根本精神を日本の政府もはっきり持って、そうして具体的な調査に基づいて国際連合の難民に相当すると思われる者に対しては人道的な立場から救済する。国際連合の難民は、もうただ日本国から退去させないとかどうとかいう問題、だけじゃなくて、経済問題にまで及んでおるのですから、私は今そこまで要求しておるわけじゃないのです。国連の難民救済は経済問題まで含まれておる。その人間が生活できるようにめんどうをみるというところまで突き進んでおるのですが、私どもの今の政府にお願いすることは、帰されると当然処罰されるようなことが明らかな人間に対しては、日本の入管の法律からいうと強制送還に当てはまっておっても、とにかくそういう意味において難民として取り扱って、強制送還しないという態度をはっきり打ち出していただければ――非常に心配をいたしておりまする優秀な学生がいるわけです。そういう人たちも落ちついて日本にとどまっておることができるんじゃなかろうか。その意味で私たちはお尋ねしているわけでありまして、何でも日本にいたいという人間があれば、滞在期間が切れても全部置けという意味じゃないのでありまして、この国連の精神を基準としてお考えいただいて、この基準に該当するような者は強制送還しないという態度を貫いていただきたい、こういう意味の要求であります。それについて重ねて法務大臣の御意見を承りたい。
#99
○中垣国務大臣 お答えいたします。御承知の通りに、密入国者に対しまする日本の今の措置の仕方というものは、これは出入国管理令に基づいてやらざるを得ないのでありまして、新たに国際条約といたしましての難民救済条約に加入したと同様の措置を直ちにとれとおっしゃったのでは、ちょっと実は取り扱いができないのではないかと思います。しかし、政府がそういう取り扱いをするということの態度を決定をいたしますと、これはまた別でございますけれども、今日直ちに猪俣先生の御主張のような考え方で措置せよと言われますと、出入国管理令というものが維持できなくなる、むしろ私はこういう心配をするものでございます。従いまして、非常に高度な政治的な御発言だと思いますので、私もそれに心いたしまして、閣議等におきまして、できるだけそういう統一見解ができますような努力を重ねてしてみたいと思います。それから、何と申しましても、出先の機関でこういう密入国者等の調査をするのでございますから、それらの人々に対しましても、やはり現行法というものを中心に作業をしてもらいませんと、くずれてしまうということになると思いますので、その点につきましては御了解をいただきたいと思います。
#100
○猪俣委員 私どもも、普通の場合にはあまり気にかけないでいいと思いますが、これは政府としては申されないかもしれませんが、今朝鮮にできております朴という政権、これは非常に異常な政権であって、その後のやり方も、人権尊重――ことに国連で宣言いたしました世界人権宣言なんというものから見たなら、お話にも何にもならぬ国家になっている。先ほど申しましたような国家保安法だの、非常措置法だの、あるいは特殊犯罪処罰特別法だの、集会臨時措置法だの、そうして言論、思想の自由をどんどん抑圧しておる異常な政権であります。こういう政権のもとでありますがゆえに、特に入管では神経過敏にお考え願わぬと、人道問題上国連の精神に逆行したようなことが起こると思う。そこで、そのような異常な政権が韓国にあるということを頭に置いて、しかも南北統一の思想が日本における韓国のインテリ階級に非常に盛んになっており、それがまた徹底的な朴政権が誕生した原因がそこにある。ですから南北統一論者というものは全くの反逆罪になっておるわけであります。そこで、そういうことに活動いたしております者は、それぞれみなメモができておるわけでありまして、そういう事情を頭に置いて法務大臣は閣議で――個々のあらゆる密入国者を対象にするという意味ではありませんが、そういう民族の独立を考え、そういう意味に活動するような学生その他の人たちに対しましては、国連の精神を強調していただきまして、どうか特別なる措置をとっていただきたい。これは今そういう努力をする言明がありましたので、私はこれで打ち切りますが、きょうは外務大臣がおいでにならぬから、外務大臣に重ねてお願いしなければならぬと思うのであります。条約局長がおいでになっておりますから、ぜひ私どもの精神をお伝え願いたいと思うのでありますが、条約局長いかがでありますか。
#101
○中川政府委員 ただいまの御趣旨は十分外務大臣に伝えたいと思います。
#102
○猪俣委員 なお、条約局長にちょっとお尋ねしますのは、一九五七年十一月にニューデリーで第十九回赤十字国際会議というものが行なわれた。その決議の二十条に「戦争あるいは国内紛争またはその他のできごとのために大人及び子供を含め、多数の人が今なおその家庭から分離され、離散した家族からも引き離されているにかんがみ、かかる分離の結果、多くの人々が苦しみ悩んでいるにより」という前文句で、いわゆる離散した一家がまた集合できるように、赤十字国際会議では満場一致の決議でこれを採択したという報告を受けておりますが、日本政府ももちろんこの方向で努力されると思いますが、いかがでございましょうか。
#103
○中川政府委員 ただいま御指摘の赤十字の決議、これは日本の赤十字も参加しておるように記憶しておりますが、ニューデリーでやはり決議をいたしました。これは直接は赤十字が集まった会議でありますので、日本赤十字がその趣旨に賛成したわけでございます。その内容自体については、日本政府ももとより賛成するところでございます。そういう大きな精神でできるだけ個々の事務に当たっていきたいと考えております。
#104
○猪俣委員 実は大村収容所には二十才前の子供が百二十人もいるということを聞かされておりますが、事実はどうですか。
#105
○小川説明員 ただいまここに数字は持っておらないのでございますが、現在大村収容所に年少者が相当数おるということは事実のようであります。
#106
○猪俣委員 そういう未成年者が二百何十人のうちのほとんど半数もおる。一体これはどういうことから起こった現象であるか。一体この未成年者をそのまま大村収容所へ入れっぱなしでいいのであるかどうか。そういう具体的なことに対して入管局は調べておいでになるのかなられないのか、その実情はわかりませんか。どういうことでこんなに子供が入れられているのか。ごく小さい子供まで入っておるという話だ。それと、赤十字のこのニューデリーの大会の決議というものとは一体矛盾しないのであろうかどうか。そういうことを御調査なさったかどうか、ちょっと説明して下さい。
#107
○小川説明員 この相当数の年少者につきましては、正確なことはいずれまた御報告申し上げたいと存じますが、私の記憶しておりますところによりますと、最近大型韓国船舶によります集団不法入国、集団密入国のケースが大へん多いように聞いておりますので、あるいはそういうところから年少の者がその船に乗って入ってきたというケースが多いのではないかというふうに考えておりますのでございますが、いずれはっきり取り調べましてお答えいたしたいと存じます。
#108
○猪俣委員 今二百何十名大村収容所に入っておるそうですか、その脱出あるいは密入国してきた動機が何であるか、そうしてそれらの環境はどうなっておるのか、それからそれらと、要するに難民、その中に難民的色彩の者がどれだけいるのかということをもうちょっと御調査していただきたいと思うのですが、これは一つ法務大臣にお願いしておきます。そうして当法務委員会に御報告いただきたい。
 それから、今韓国がこういう異常な政権の出現のために、相当日本におります学生を中心とした階層の中に動揺が起こっておりまして、いつ何どき自分は送還されるかというようなことで非常に心配をしておる者がたくさんおるようでございますが、これにつきましては、先ほどから申しましたように、法務大臣から閣議に諮っていただいて、そして日本の政府の意のあるところを一つ明らかにしていただきたい。私ども、何でもかんでもみんなそこへ入れろと言うのじゃないのです。明白に難民の定義に当てはまる人間、それは国際連合の精神にのっとって、忠実にこちらが善処するという意味でよろしゅうございます。そういうことを一つ政府の方針として打ち出していただきませんと、いろいろデマが飛んでおりまして、日韓会談のときには、それを条件にして日本における、韓国から見ると不穏分子、不起のやからでありますが、そういう者を引き取りたいというような交渉をしておるというような相当のデマが飛んでいるわけであります。そのために非常に今動揺が起こっておりますので、そんなことはないということで、日本政府の人道的立場及び国連の精神にのっとった大いな態度を示していただきますならば、彼らは非常に安心すると思います。これをぜひ法務大臣にお願いいたします。法務大臣の重ねての御決意を承りたいと思います。
#109
○中垣国務大臣 お答えいたします。ただいまの御趣旨のように努力をいたします。
#110
○小川説明員 先ほど猪俣委員から御指摘がありました点につきまして、少し補足的に申し上げておきたいことがございますので、お許しを得まして申し上げさしていただきますが、大村収容所に入っております年少者の数につきましては、確かに御不満と申しますか、疑義をお持ちになる点がございますと思いますが、この収容されておる人たちの処遇と申しますか、取り扱いにつきましては、非常に注意をしておりまして、そのために非常に病気になりますとか、あるいは神経が弱ってしまうとかいうようなことのないように、万般にわたりまして気をつけてやっておりますので、その点ちょっと申し上げまして御了解を得たいと思います。
#111
○猪俣委員 それから、これは申し上げるまでもないのでありますが、李承晩内閣時代あるいは次の張勉内閣時代といえども、まだ南北の統一の運動をしたということだけで直ちに刑罰に処せられたというようなことはなかったわけですから、日本における連中も、自由にそれをやっておったわけです。それが今度の朴政権になってから、いろいろな法律をつくって、そういうものは反国家的な反逆罪だというふうにされておりますので、そこで問題が大いに起こってきたのでありまして、朴政権のときに亡命して日本に逃げて来たというのみならず、前からいた人間でそういう運動をしておった人間が、普通ならもう平穏に帰れるのが今帰れない状態になっておる。その点もお含みの上で一つ日本政府の態度を明らかにしておいていただきたい、こう思うわけです。
 これで終わります。
#112
○牧野委員長代理 次会は二十八日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後零時五十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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