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1962/09/01 第41回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第041回国会 法務委員会 第6号
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1962/09/01 第41回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第041回国会 法務委員会 第6号

#1
第041回国会 法務委員会 第6号
昭和三十七年九月一日(土曜日)
    午前十時四十二分開議
 出席委員
   委員長代理理事 池田清志君
   理事 小島 徹三君 理事 田中伊三次君
   理事 牧野 寛索君 理事 坪野 米男君
   理事 松井  誠君
      稻葉  修君    上村千一郎君
      小川 半次君    唐澤 俊樹君
      竹山祐太郎君    松本 一郎君
      赤松  勇君    猪俣 浩三君
      坂本 泰良君    田中織之進君
      松井 政吉君    田中幾三郎君
      志賀 義雄君
 出席政府委員
        検     事
        (刑事局長)  竹内 壽平君
 委員外の出席者
        警  視  監
        (警察庁警備局
        長)      三輪 良雄君
        専  門  員 小木 貞一君
    ―――――――――――――
九月一日
 委員赤松勇君、片山哲君及び田中織之進君辞任
 につき、その補欠として矢尾喜三郎、田中幾三
 郎君及び坂本泰良君が議長の指名で委員に選任
 された。
同 日
 委員坂本泰良君、田中幾三郎君及び矢尾喜三郎
 君辞任につき、その補欠として田中織之進君、
 片山哲君及び赤松勇君が議長の指名で委員に選
 任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 検察行政に関する件
     ――――◇―――――
#2
○池田(清)委員長代理 これより会議を開きます。
 法務行政及び検察行政に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出があります。これを許します。坂本泰良君。
#3
○坂本委員 昨日質問いたします関係でしたが、他の委員の方の質問がたくさんございまして、きょうに延ばしていただいたわけでありますが、どうも私の質問について会議を開いていただいて感謝にたえません。
 お聞きいたしたいのは、九州の熊本県の南の端の水俣市におけるいわゆる新日窒の争議に関連しての警察、検察権の権限外の発動によって労働組合が非常に弾圧されておる、こういうふうに見受けられるものですから、その点について若干質問を申し上げて、一つ労働争議は労使双方の関係でありますから、国家権力による一方的の介在によって労働組合が、労働者側が非常な弾圧を受けないように善処を熱望いたしまして質問をするわけであります。
 争議の内容等については時間がありませんから省略いたしますが、本件の争議はすでに数カ月にわたる争議でありまして、その基本となっているところは、いわゆる安定賃金の戦いと申しまして、会社内部における構造の改革に基づく賃金の関係であります。その賃金だけならいいのですが、向こう四カ年間、労働組合は憲法二十八条に許されました罷業権を行使しないという点がありますから、この点は憲法違反と考えられますし、そういたしますと、労働組合側におきましては、賃金等の点については相当話し合いの見通しがあるわけであります。しかしながら、安定賃金という美名のもとに争議権を、四カ年ではありますけれども、これを放棄するということは、現地で言われておることでありますが、もう着物を脱ぎ、ズロースまで脱いで労働者は働きたい、会社の要望もできるだけいれてやっていきたい、ズロースまで脱いでおりますけれども、会社側は、その貞操までも剥奪しようとする。いわゆる労働者の一番根本でありますところの、憲法上許された争議権までも放棄するということは、貞操の剥奪をも許す、こういうことになるから、この点だけはぜひ守っていきたいというのが組合側の簡単に結論づけました要求であるわけであります。ところが、それをいれずに、もちろん合化労連関係の他の工場の関係もあるものですから、これは会社側にも組合側にも同じ理屈と思いますが、もし水俣において労働組合が会社側の要求をそのまま、いわゆる貞操までも投げ出すことをやりましたならば、それは合化労連――これは七つか八つの工場があるそうですか、それに関連をする、そういうようなこともあるわけであります。会社としては、言い出した以上は断固としてこれを拒否しまして、ついにもう一カ月以上になりますが、会社側はロックアウトをやりましたから、組合側は全面ストに移りまして、そしてずっとこの争議が進んでおるわけであります。会社側がロックアウトを打ちましたのは、これはわずか三千四、五百名の組合員のうちに批判派と申しますか、四、五百名の者がおるから、ロックアウトを打って、いわゆる第二組合をつくって、その第二組合の者だけで生産を再開してやっていけば、大牟田における三池の争議もああいうふうになったから、この会社は、五百名の第二組合のいわゆる批判者を持っておれば一たまりもなくやっつけてしまうのだ、こういうことでロックアウトを打ったわけであります。しかしながら、事その志と反しまして、組合側は非常な強固になりまして、そうしてピケを会社のまわりに張りまして、会社の御用、すなわち批判者による生産再開をしようとしても、いわゆる脱落者が入ろうとしても、これを阻止する。こういう態度で、一糸乱れない行き方であって、第二組合が少しもふえない。大体三千四、五百名もおる中において四、五百名くらい会社の御用というのがおるわけです。大ぜいの中には口ではりっぱなことを言っても、いざとなれば裏に回ってやるというような、これは非常に人間の欠点でありまして、労働組合の、持たざる者が憲法上与えられました、またいわゆる労働三法によってささえられておりますが、その団結をさえ守っていけば、これは金力と権力を持っておるところの会社と対立いたしまして、必ず持久戦に入っても勝ち得る。こういうことになりますが、遺憾ながら、三千数百名の中には、やはり立身出世型とか、気の弱い者とか、面従腹背と申しますか、そういう者がおりまして、いわゆる団結によるストライキの戦いというものは、遺憾ながら資本家側に勝利を占めさせるというのが従来の労働運動の大部分の実態ではなかろうかと思うわけでありまして、そういう会社の御用がやはり四、五百名いたわけであります。そこで、それを利用してやれば一たまりもなくやっつけられる。会社はこういうように考えてやったが、ロックアウトを打って、いわゆる新労と申しますか、現地では御用と申しておりますが、そういうのが五百名ばかりはできましたけれども、なかなか会社の思う通りにならぬ。それはまた新労の内容にもよるわけです。第二組合員五百名おると申しましても、ここの会社は自力発電を数カ所持っておりまして、その発電に関係した者が二百名余りおるわけです。それから流れ者と言っては失礼ですが、水俣の地元でない人が組合員になっておる。それから職員が一緒ですから、職員がその中に百名余りおる。それで実際あの化学工場において修練された職工というのは二百名余りしかいない。こういうような状態ですから、かりに生産が再開されても仕事はできない。逆に、ほんとうの会社の修練された職工は旧労であります。それらの人たち、すなわち、旧労の組合員の方が大へん心配しているのは、なれない職員が、それから学卒と申しまして、ここ二、三年、高等学校その他を出て就職をして、ほんとうの職工としての働きがない者、こういう人が専門的の機械を扱う、あるいは薬品を扱うということになれば、爆発のおそれ等がありまして、この点は逆にほんとうに――今ストライキをやっておりますが、会社の生産の部門を担任する労働者としては非常に心配しているようなわけで、われわれも先般、通産省に社会党の委員長室に来てもらいまして、現在二百名余りが入っておるが、その二百名余りが実際その機械を扱っているということにすれば、いわゆる保安上の安定があるかどうかということを聞きましたら、保安上の安定があるかないかの認定、いわゆる許可権は県知事にあるわけです。もちろん通産省直接にもありますけれども、県知事にあるから、県知事の権限によって、それを問い合わせたら、県庁の方では許しておる。こういうことです。しかしながら、熊本県は、県知事は来年の一月の知事選を控えまして微妙な状態にあるわけでありまして、今の寺本県知事は、労働次官までやった官僚の人でありますが、この人が必ずしも公平な処置をとるかどうかについて非常に疑いを持っておるわけなんです。これは単に労働者並びに水俣関係者だけではなくて、今知事選を控えまして熊本県は二つに分かれまして、寺本氏ははたして当選するかどうかというような情勢にあるわけですから、一つ通産省の方からも直接保安の問題についてはやってもらいたい。それから最初は労働者の方も保安要員を出しまして、ストライキ中でも機械の損傷とか、爆発とか、そういうことのないように保安要員を出していた。ところが、ロックアウトをいたしましたものですから、保安要員が行けなくなった。そうしてそれにかわっていわゆる新労というなれない人が、また職員を主体として入っているわけですが、しかし、その五百名の人はすぐ妥結して賃金を払う。それから保安要員で入った者に対しては、それはまだ計算ができないから払えない、でき次第払うといって賃金を払わない。こういうようなことがありますから、これは労働基準局の問題でありますから、基準局長も来てもらいまして、そういう点について公平な取り扱いをしておるかどうかということも、これは四、五日前ですか要望いたしてやっておるわけであります。
 そういうふうで、今度の争議は、会社側がいわゆる第二組合をつくって一気に第一組合を少数に追い込んで、会社の主張を絶対通さなければならないというのでやりかかったのが、事志に反してもう一カ月以上、二カ月になんなんとしているわけであります。それで会社側は熊本地方裁判所に仮処分の申請をいたしました。そうして仮処分の申請が出たら、妨害排除ということでこれを徹底的にやろう、こういうようなことをしましたが、あとでこれは質問に関連して申し上げますが、仮処分の決定も、執行吏の介入を許さない仮処分の決定が出たわけであります。
 さらに熊本県の地方労働委員会は非常に心配をいたしまして、私は労働法はあまり詳しくございませんが、職権あっせんについて中労委の授権の手続をいたしました。そうしてその手続が完成いたしましたから、もう二週間くらい前と思いますが、地労委が職権あっせんに乗り出したわけです。ところが、組合側は職権あっせんとなれば、この結論は相当不利だということは見通しておるけれども、しかし職権あっせんをやられるならばそれを受けるというので、職権あっせんを受ける立場をとったわけです。ところが、会社側がこの職権あっせんを拒否しておるわけであります。しかしながら、地労委としては一応調査に行って、労働組合側と現場も見て、会社側が拒否しているから中止状態になっておる。それを昨日と思いますが、地労委の総会が開かれまして、私は、きょうはほかから参りましたから、その結果をまだ聞いておりませんが、これは何とか職権あっせんをやるようにした方がいいじゃないか、しかしそれは熊本県の地労委の総会にはかろうということになっているわけです。そうしてその数日前に、いわゆる仮処分の出ましたのは二十七日ですから、二十八日ごろですか、労働者側の委員は労働組合に対して職権あっせんを受けるように努力をする、しかしこれはのむ意思表示をやっているわけですからいいわけですが、そこで経営者側の労働委員の方は、会社側にこの職権あっせんを受けるように努力をして、三十一日の総会にかけよう、こういうことになっている状態であります。
 これがほんのかいつまんだ経過の一部でありますが、そういうわけで会社側は仮処分の申請をやりまして、それは多分八月の五、六日ころだと思います。そこで裁判所は慎重にやりまして、われわれはぜひ口頭弁論を開いてもらって公開の席上で双方理由を述べ、さらに疎明資料を提出してやってもらいたいと要望いたしましたが、裁判所は審尋と申しまして、会社側は会社側、組合側は組合側の審尋をいたしました。そして二十七日にこういう仮処分の決定を出したわけです。
 会社側の申請しました仮処分の主文の内容は、一は「被申請人組合は、被申請人組合所属の従業員以外の申請人会社従業員ならびに、添付別表記載の第三者及びその従業員(右従業員および第三者とその従業員については、申請人の交付する「チッソ」と表示した腕章を着けた者に限る)が、別紙目録記載の申請人会社水俣工場(梅戸蒸気工場、梅戸港及び小崎揚水場を含む)に出入することを阻止し、また第三者をして阻止させてはならない。」これは会社には荷物を運び込む下請があるわけです。それからこれを搬出する下請等がたくさんありますから、別紙表示ということになっておるわけであります。二は「被申請人組合は、被申請人組合所属の従業員以外の申請人会社従業員又は添付別表記載の第三者及びその従業員(前項の腕章をつけた者に限る)が、前記工場内に原料、資材、燃料、食糧等を搬入し、製品その他を搬出することを阻止し、また第三者をして阻止させてはならない。」三として「申請人会社の委任する執行吏は、以上の命令の趣旨を前記各工場の各入口に公示し、該命令に違反する諸行為又は事態の発生を排除しなければならない。」四が「申請費用は、被申請人の負担とする。」
 こうなっておるのに対しまして、仮処分の決定の内容は、一と二で、「申請人に対して金五百万円の保証金をたてることを条件として 一、被申請人組合は、被申請人組合所属の従業員以外の申請人会社従業員並に、別紙(二)目録記載の第三者及びその従業員(被申請人組合所属の従業員以外の申請人会社従業員並に右第三者及びその従業員については、申請人の交付する「チッソ」と標示した腕章をつけた者に限る)が、別紙(一)目録記載の申請人会社水俣工場(梅戸蒸気工場、梅戸港、小崎揚水場を含む)に出入りすることを、言論による平和的説得以外の方法によって、これを阻止し、または第三者をして阻止させてはならない。二、被申請人組合は、被申請人組合所属の従業員以外の申請人会社従業員または前項記載の第三者及びその従業員(前項の腕章をつけた者に限る)が、前項記載の申請人会社水俣工場内に原料、資材等を搬入し、製品その他のものを搬出することを、言論による平和的説得以外の方法によってこれを阻止し、または第三者をして阻止させてはならない。」会社申請の三の執行吏の関係をとりまして、三としては、「申請費用は被申請人の負担とする。」
 こういう仮処分の内容になっておるわけであります。従って、この仮処分の執行を執行吏に委任しまして、そうして執行吏が妨害排除の行為をすることはできなくなっておるわけなんです。ところが、これが出ますと、会社側は飛行機から宣伝をしまして、これは女の声でスピーカーで、会社側に有利な仮処分が出ました、仮処分に違反する者は処罰をされます。こういうような宣伝をしているものですから、仮処分が出た、それで処罰をするとはおかしいではないか。こういうことになって、組合側の方も、そんなものじゃない、これは従来われわれの言論による、集団による説得は、これは仮処分も認めているのだから、従来ピケを張っていわゆる平和的手段の説得に全力を尽くしてやっておる、その従来の方法と少しも変わりがない。それを処罰されるのはおかしいではないかという点が一つで、これは逆に組合側の方も宣伝をしたわけなんです。
 ところがもう一つは、この仮処分が出ますと、二十八日には警察官が全県下から動員されまして、いろいろの自動車の運転手その他を入れると千一名か二名になっているのであります。そうして新聞はでかでかと、仮処分下る、警察は倍に増加してやるといって、あたかも警察が組合を弾圧する、こういうような非常な会社側に好意的な記事ばかり、熊本日日新聞を初め、そういうようなPRが行なわれておるわけです。よく調べてみますと、熊本県下には大体千八百名か九百名の警察官の人員だそうです。それに制服の方が九百名も出て、その他の方々を入れて千名をちょっとこすそうですか、そういたしますと、熊本県下の警察官の半分以上がこの水俣争議に動員されて来ているわけであります。この警察官については、実は会社がロックアウトを打ちまして、組合側が全面ストをやりましたときに、非常に警察権を強化して、水俣対策捜査本部というのを作って、そうして六百名余りの警官が動員されたから、われわれは行きまして、何であんな大がかりな動員をやるのですか、どういうところにあるのかというのでいろいろ交渉をしまして、その後一カ月余りはだんだん四百名くらいに減っていたわけです。それを仮処分が出たというので直ちに倍に増加する。これはどういうわけで増加をするのかというのが非常にわれわれは疑問であるわけであります。そこで警察庁にぜひ一つ承っておきたいのは、この仮処分が出ただけで倍に動員したのはどういうわけであるか。さらに九州管区の警備課長ですか、この人が巡視に来ておる。こういうことは、逆に仮処分が出たということで警官が倍に動員されたならば、これは会社側を有利にして、組合側を弾圧して、そうしてその精神的あおりによって第二組合を増強する、こういう反対的の行動になりはしないか。警察はいかに公平だとおっしゃても、公平のためと口に言いながら、四百名を八百名以上にも増強するというのは、もう会社側に有利な仮処分が出て、この仮処分の遂行を警官が援護するのである。こういうふうに一般に見られるのじゃないかと思うわけなんです。従って、いわゆる妨害排除の仮処分というのは、執行吏に委任いたしまして、執行吏がその行為を遂行するに当たって妨害を受けた際に、初めて民事訴訟法の規定に基づく警察官の発動を求めることができる、こういうことになっております。そういう求めもしないのに、また求めるような、いわゆる執行吏が出てくるような仮処分でないのに、なぜ倍もの警察官を動員するか、この点をまず承りたいと思います。
#4
○三輪説明員 仮処分の問題でございますが、ただいまの御指摘で執行吏が出られないような仮処分であったということでございます。この点につきましては法務省から御見解をお問いただし下すった方がいいかと思いますが、現地警察から聞きますと、これにつきましても、裁判所から原告側の弁護人に対しまして、執行吏が妨害を排除しなければならないということは、こういう主文にとって自明のことなんだから、それがなくてもそういうものを含むのだということを言われたということを聞いておるわけでございます。しかし、それがあるにいたしましても、ないにいたしましても、仮処分が出まして執行をされるということに相なりますと、これは現場のピケ、つまり門の出入を認めない、あるいは原料の搬出入を認めないという組合員――これは第一組合並びに応援を含めまして三千ないし三千五百くらいの方かと思いますけれども、これに対しまして第二組合並びに下請の者が入ろうとする、おそらく執行吏が立ち会うということに相なるのでございましょうが、いずれにいたしましても、そういう際にトラブルが起こるということは十分予測されたところでございます。御存じのように水俣は熊木と鹿児島の境でございまして、急な要請がありましても、警察官を急に集めるということはなかなかむずかしいのでございます。従いまして、申請が出て、執行吏が現地におもむかれるということになりましたので、警察といたしましては必要な警察官を現地まで持っていっておいたという措置をとったものと聞いておるのでございます。人数は、お話しのように前日までのほぼ倍の約千人でございます。熊本県の警察官の全員は、御指摘がありましたように、約千八百七十人と承知いたしておりますので、半分をこえる警察官を持っていったことに相なるのでございます。これは今申しましたように、執行吏が執行にかかるということによってトラブルが予想されましたので、そういう事態に応じて現地の水俣署までそういうものを動員をしておったということに承知をいたしておるのでございます。
#5
○坂本委員 執行吏がいくということを会社側、会社側の弁護人が言うたからといって、直ちにそれをとって警察官を動員する、そこに問題があるわけなんです。署までと言いますけれども、警察官が四百名も――私も二十八日の日に行きましたが、警察の八台の出迎えの自動車がずっと駅の前に並んだのです。それに来た者が乗り込んでいくから、いよいよ警察は会社の応援のためにこれに乗って来たんだと言われ、あれが八台も乗って行きますと、パレード方式になって、非常な示威的のことになるわけです。そういう点を慎んでもらわなければならぬ。第一、執行吏が行くということを会社側が言ったという――これは私も法務委員の小島先生も坪野先生も専門家ですが、仮処分の場合、執行吏は裁判官でないから判断権がないのです。だから、執行吏の行為については明示されなければならぬと思うのです。それは金何万円を支払えといういわゆる執行文なら、支払わぬから一万円なら一万円の差し押えができるというは当然の常識ですが、仮処分のこういうような場合は、やはり会社側が申請している第三項の、執行吏は公示を立てることができる、また妨害を排除することができるという具体的の主文の内容がなければ、これは執行吏が発動することはできない。いわゆる不作為の仮処分についても執行できない。そこで熊本の地方裁判所の所在する熊本に三名の執行吏がおるわけですが、その三名の執行吏も、裁判官のところに行って、仮処分を出されて執行吏はどうするのですかと、会社側が頼みに行ったから行ったそうです。会社側には、こんな仮処分の内容ではやれない。それで裁判官にも、こういう内容で執行吏にやれと言っても何でやるのですか。執行吏という言葉は一言も出てこないのに、それで執行吏が頼まれて行って、お前たち執行吏と何も書いてないのになぜ来たかと言われたら、私たちは帰らざるを得ない、だからこの執行を受けない。さらに執行吏は長年書記官をやった方が多いものですが、ことしの五月東京地方裁判所の判例がある。これを会社の弁護士は金科玉条にしているのです。それはやはり同じような仮処分が出たら執行吏が行かなかった。裁判所に対していわゆる執行方法に対する異議の申し立てか何か、私は今はっきりしませんが、そういうような申し立てを新たにやったわけです。それに対して裁判所は、この不作為の仮処分については、このケースについてはこれは執行吏が排除をやってもよろしい。こういうようなことで、その判例の根拠としているところは、執行吏執行等手続規則の五十六条ですか、これによりますと、いわゆる家屋の明け渡しあるいは取りこわしなんかに行きました場合、その債務者以外の者が来て、おれはもうここを借りておるとか、おれが家を買うたとかいう場合に、そういうものを排除するためのものであって、少なくとも妨害を排除するとか、あるいは平和的説得がどういう限界にあるかというようなことが明示されなければ、執行吏はそういうことはできない。それで今の具体的ケースも、こういう仮処分が出ましたから、会社と労働組合との間に団体交渉をして話がついて、話がついたあとに、その不作為の仮処分命令については執行吏は行ってもいいという決定が来たけれども、もう労使双方の団体交渉で話し合いがついているから、こんなものが今ごろ出ても何にもならぬからそのままにしたというのが、本年五月の東京地方裁判所のいわゆる判例なんです。だからそれを金科玉条にして、執行吏がこの仮処分で行ける――また裁判所で行けると言ったのは西辻という判事でしょうが、執行吏は、こういう仮処分は執行に行けないという意見を持っており、私たちは行けません。こういうことであった。それでこの仮処分のほかに、また別の仮処分で執行吏が云々ということが出れば別ですが、現在においてはできないわけなんです。ですから私たちは、あそこにいる県の警備部長に、この命令は何だ、仮処分が出たからといって、こんなに増強したのを即日帰してもらいたい、県下の警備をそっちのけにして、そうして水俣に千名という県下の警官の半分以上も動員して、そうして何のために会社を応援するのですか、帰してもらいたいという要望をして私たちはこっちに帰ったわけですが、まだそれが減らされる気配も何もないわけです。ですから仮処分によって処罰するというなら、仮処分によって執行吏が執行行為に出て、そうしてその妨害をされた際に、初めて執行吏の判断によって警察官の要請をした場合に警察官が出てくる。その要求もないのにそういう要求をする 仮処分でもないのに、なぜその日になって仮処分が出たからといって四百名の警官が増員出動したかということです。そこに会社を思い上がらせる、公平であるべき警察官の活動が私はあると思って非常に残念にたえないわけです。ですから、こういうような場合には、もう少し慎重にやるべきであり、この際やはりこれは仮処分の内容が違ったのだ――警備は、労働組合側に違反がない以上できないのに非常動員をやっており、そしてさらに、この仮処分は、警察官の要請までは執行吏がいないからできないけれども、しかしながら、ピケが妨害するならば、これは業務妨害になるから、もし第二組合その他を入れないときは、警察官は三人一組になってそのピケを排除するのだということを宣言したのです。だから、きのうかおとといかは、組合は、犯罪者を出してまでやってはなるまいということで、涙をのんで一部の者を入れておるわけなんです。そういたしますと、この仮処分に書いてもないのに、警察官が行って、やらなかったならば三人一組で、すわり込んでおるのを引っこ抜いてでもやるのだという声明を発したことによって、そこまで警察官ともんちゃくを起こしちゃいけないというので、涙をのんでやむを得ず入れた。こういうような関係を考えると、警察官の四百名の動員、それからその後の行為というものはまことに一方的である。こういうふうに考えられますが、こういう点について、もう少し事情をよく調査されて、この仮処分の本質等も研究して、水俣は人口四万くらいでしょうが、そこに警察官が千名近くいて、警察の自動車が二十台もいたら、とにかく目につきますから、それをもっと善処されることはできないでしょうか、その点いかがでしょう。
#6
○三輪説明員 お言葉について、私ども知っておる新たな事実がございますので、まずそれを申し上げておきたいと思います。
 仮処分につきましては、その仮処分が出ましたあと、そういう欠陥と申しますか、そういう疑いのある問題であるという点についての私どもの検討が足りなかった、これは事実かと思います。そこで二十九日の夕刻に仮処分の申請をいたしまして、昨日の午前十時に第二回目の仮処分が出ておりまして、お許しを得て内容を読み上げますと「申請人が被申請人に対し金一〇〇万円の保証をたてることを条件として1、被申請人組合は、別紙(1)目録記載の申請人会社水俣工場正門以下(別紙図面参照)前の天幕および同工場東門、裏門前のバリケート並びに右東門裏門前の橋梁上の天幕ピケ小屋などの各障害物を大型トラックが右名門を通行できる範囲において撤去し、引込線出入口の有刺鉄線など梅戸港側ずい追入口前の土のう、バリケートなどの各障害物をそれぞれ撤去しなければならない。2、申請人会社の委任する執行吏は、被申請人組合において任意に前項記載の物件を撤去しないときは、右物件を撤去することができる。3、申請人会社の委任する執行吏は被申請人組合所属の従業員以外の申請人会社従業員並びに別紙(2)目録記載の第三者およびその従業員(但し申請人の交付する「チッソ」と標示した腕章をつけた者に限る)が第一項の各門、引込線およびずい道を通行して同工場内に出入しまたは被申請人組合所属の従業員以外の申請人会社従業員並びに別紙(2)目録記載の第三者およびその従業員
 (但し前記腕章をつけた者に限る)が前記水俣工場内に原料資材等を搬入し、製品その他の物を搬出することを被申請人組合およびその支援団体員が言論による平和的説得以外の方法によって妨害したときは、右妨害行為を排除するため適当な措置をとることができる。4、申請費用は被申請人の負担とする。」というものでありまして、けさの、まだこちらに参らぬときの報告でございますが、けさ執行吏がおのおのの門に公示札を立てるという執行をやられたやに聞いております。結果はまだ確認をいたしておりません。
 そこでもう一つの問題は、警察官が執行吏に関係なしに業務妨害で三人一組になって検挙するという声明を発したということでございますが、そういう事実はございません。ただ従来から、四月二十四日に新組合ができましてから、毎度門のところで入れろ入れないということのトラブルが起こりますし、社宅に帰ろうとする者をピケがとめる、そこにトラブルが起こるというようなことが繰り返されておったわけでございます。従って、会社と言いますか、第二組合と言いますか、これは、仮処分が出ましたならば直ちに執行吏が来る、それによって入門をするというような決意であったことは、間違いないようでございますので、それによって起こるトラブルを避けるという趣旨であったわけでございます。その結果がいずれの側に利用されたかという判断はありましょうけれども、そういうトラブルが起こることを避けるのが警察として必要な任務であるわけであります。幸いにいたしまして、一昨日、旧組合の弁護人の方が警察においでになりまして、われわれとしては門をあけて、いわゆる説得はされるわけですけれども、出入をとめない、原料、資材等の搬出入もとめないということを言ってこられましたし、現に昨日は窒素棒を別の会社から搬入いたします際にも、これに説得はいたしましたが、警察といたしましては、その両方が平和な説得に終始するように警告をいたしましたし、少しの警察官はそこで見ておったわけですが、これは三、四十分の説得の結果通すということになったわけであります。また門におきましても、下請企業の方が労務者を中に入れるということで、これも若干分の説得がありましたけれども、むしろ拍手をして中に入れたというようなことを聞いておるのであります。
 そのようにいたしまして、実力で入門出門を阻止するということがなくなるということになりますと、警察力といたしましては、そこにそれだけトラブルを予想して置く必要もございませんので、この事態で取り急ぎ原配置に復帰をさせることにいたしたいと現地では考えております。
#7
○坂本委員 とにかく眠けをさまして仮処分をまた出したわけでしょうが、会社側の弁護士もまた申請してやったと思うのですが、労働組合としては、筋の通らないことはしないという最初からの方針なんです。ですから、最初ロックアウトした当時六百人も来たのも、そんな者は要らないじゃないかということでだんだん減らしてきておりながら、今度は仮処分が出たから直ちに倍にする。そういうことは過ぎ去ったことだけれども、そういうことをやること自体が挑発たなって問題を起こすことになっているわけです。だから、おとといのことでも、警察がそう来るならば、もうそこまでせずに、入る人の名前をちゃんと書いて入れようということでどうだろうという相談があったから、それはやむを得ないだろうということを私なんかも言っておいたわけです。しかしながら、われわれが一番残念なのは、そういう仮処分が出たからといって、内容も見ずにすぐ動員をする。それが過ぎ去ったことでも、非常に一方的の、会社側を有利に導いた点は見のがせないと思うのです。私は二十八日にも行きました。警察官の諸君にも言いました。とくにかあなたたちは次男、三男で、貧乏人の家の者だし、労働者も貧乏人の家庭である。それがけんかして利益を受けるのは会社、独占資本の会社だけじゃないですか。お互いにけがをせぬようにしなければいかぬ。職務もあるけれどもけがをしないようにしなければいかぬと言いました。ほんとうに私はそういうことを言うのには涙が流れるのです。ですから、警察権の発動ということについては十分注意してもらいたい。現在もう引いてもらってもいい。いなくてもそんな無茶はしないのです。それで一つそういう点は今後、まだこれで争議が終わったわけじゃありませんから、一つ善処してもらって、大体職権あっせんを会社側だけが受けずに強硬にやって、そうしてやろうというようなことについて、これは労働組合に対して警察官を八百名も九百名も動員して示威的に圧迫するけれども、もっと警察庁長官なんかは時勢を見て、会社側にも善処するように一つ要望しなければならぬと思う。(「そんなことを警察がしたら大へんだ。」と呼ぶ者あり)組合側に示威的にそういう弾圧をするというなら、これは政治的に動いてもいい。そうして解決をしなければならぬ、こういうふうに私たちは思っておるわけです。
 なお、普通の第二組合というのとは今度のは非常にかわっておりまして、あそこは会社ができてから四十年になって、そうしてあの周囲の、これは鹿児島県側も入るわけですが、土地の人が職工になって、古い人は四十年も勤めているわけです。そういうような人は、会社のやり方がひどいから、これじゃいけないというので組合にとどまっております。第二組合に入っている人は、半分は発電関係の人だし、あそこの構内の労働者というのは、ほんとうに学卒の、頭はできておるだろうけれども、技術的にはまだなれない人です。ほんとうのなれた職工というのは、第二組合には二百人ぐらいしかいないから、ほんとうの基本的な生産を増強して、日本の所得倍増でもやろうというならば、もっと会社も譲歩して、やはり善処すべきが当然だと思うし、その会社のしり馬に乗るような無茶な――公平だ公平だと言うけれども、実際上そうでないのですから、そうでないように一つ善処してもらいたいと思います。
 それから、これは昭和三十七年八月五日の問題ですが、報告書というのがあります。これは合化労連新日窒水俣工場組合の執行委員長の江口政春から、新日窒争議対策委員会といのが、非常に市民も心配して、市長の橋本彦七氏が委員長になっている。この橋本さんという人は、第一回目の市制の施行のときに市長になって、その前は新日窒の水俣工場の工場長だった人です。二度目には落選されたが、今度また昨年市長に当選されたまことに公平な人なんですが、そういう人が、委員会ができておって、この委員会でも知事、県警本部長等々も訪問して、早く職権あっせんを受けて解決するようにというような要望をやったような方ですが、そのときどういうような行為があったかというようなことで報告書を書面で出した。それですが、これは明らかに、ここに写真もございますが、さっき警備局長も言われました八幡第二アパート付近における第二組合を通すか通さぬかという問題の際にできた問題なんですが、その写真にもありますように、何も第二組合を通すのにそこまで、第一組合のわずか二、三十人の者を押しつけて、また打ったりたたいたりして警察官が逮捕する。警察官もしゃくにさわるでしょう、年の若い人だから。私は、その年の若い警察官にも、さっき言ったように言うのです。お互い貧乏人同士でほんとうになぐり合いなんかして、全くこれは考えなければならぬ問題じゃないかということを言うのですが、やはり警察官として俸給をもらって、そして命令行動によってやれば発動しなければならぬ。そういう非常にかわいそうな立場にあるのですが、八月五日の、ここに書いてありますが、「八月五日午後六時四〇分頃八幡アパート居住出身者を含む御用集団約六〇乃至七〇名が帰宅を理由に八幡第二アパート附近に到来したが、その際警官隊は恰も右御用集団を護衛するかのように出動してきた。」そして「御用集団を迎えた日窒労組員の数は僅か一五名乃至二〇名で、第一アパートと第二アパートの間の路上にピケを張っていたのに対し、動員された警察隊の数は、実に制服三ケ小隊及び私服約二〇名、計約一五〇名という多数であった。」。たった二十名足らずの者に警察官が百五十名動員して行っておるのです。そのあとのことはここに書いておりますが、ここに診断書も十九枚ありますけれども、この場合、警察官の逮捕行為における職権乱用によって十九名の者が傷害を受けておるわけなんです。これに対しましては、告訴を組合からもしておるわけですが、警察が公平にやるということになれば、やはりこういう点も、組合の者はどんどん逮捕されて、そして数名の者はすでに熊本地方裁判所八代支部に起訴されているわけですが、こういうのは公平に調べなければならぬ。こういうふうに思って、これについては何ら取り調べがあったように聞いておりませんが、この点についておわかりにならなかったら調査してもらいたいと思うし、これは刑事局長に一つお願いしたいのですが、こういう点については、もっと公平に検察庁は調べてやるべきだ、こういうふうに思うのですが、いかがでございましょう。
#8
○竹内(寿)政府委員 当該行為だけでなく、全体について的確な事実判断の上に事件そのものも判断していくという態度で検察庁としては臨んで参りたいと考えております。
#9
○坂本委員 それから、この前後に多少トラブルが起きた際に、その写真を警察でとっておるのですね。その写真によって、一カ月以上過ぎた四、五日前に、その写真は三池の労働組合の者であるということがわかったものですから、大牟田で逮捕しまして、そして四、五日も調べずにほったらかして面会謝絶にしておるわけです。ですから、もうすでにそういうのが済んだ後の一カ月半もたった、そして写真を見てこれはやはりあのとき傷害をやっておるというので引っぱって、調べるのはいいのですが、現行犯でないのを熊本の地検は、これをあそこの拘置所にほうり込んで、そして数日たってもちょっとも調べも何もしない。そうして面会も謝絶してあるから家族が面会もできない。こういうことがあるのですが、これはあまり片手落ちじゃないかと思うわけです。そうしてこの労働組合は、全治五日とか三日くらいのが主なんですが、ほとんど全部これを逮捕して、検事は検事勾留をして、やはりほかの事件もあって忙しいから、十日とか二十日一ぱい置いて、起訴するかどうかの措置をするわけなんですが、こういう点についての検察庁の取り扱いも、他の一般犯罪とすれば問題にはしないものを、労働事件であるからといってこれを取り上げて、そうして留置をして起訴をする。そうして裁判になって検事の求刑はどうかといえば、大がい懲役八カ月か六カ月求刑する。これは私はもう少し考えなければならぬ問題だと思う。きょう法務大臣は来ておられませんが、破廉恥罪のけんかなら仲直りすればそれでパーだということになるのを、わずか全治三日の打撲傷くらいで公安事件はどんどん逮捕して、取り調べ中は面会謝絶して取り調べをする。その取り調べ行為、さらにそういうのを以前、七、八年前までは罰金とか何とかでだいぶ進歩した裁判であったのですが、このごろは全部公判請求をして、求刑されるのは八カ月か六カ月、これは教組の事件につきましても、三池の事件につきましても、ほんとうに問題にすべきじゃない、罰金一万円か二万円にすべきような、さらに一般の傷害とすれば、そういうことがあっても罰金一万円か五千円にすべきものを、公判請求をして、求刑は八カ月、あるいはその指導的立場に立ったなんというのは十カ月というような求刑をされる。佐賀の教組の事件なんかも無罪になりましたけれども、検事の求刑は懲役十カ月か一年だったと思うのです。労働争議に関するものに対して非常に求刑が重いのです。これは許されておる労働争議、労働組合に対する弾圧じゃないかというようにも考えられますが、その点はいかがでございますか。一般的な問題と具体的な一人逮捕した問題と二つ。
#10
○竹内(寿)政府委員 具体的な問題の方からお答え申し上げますが、私の方で報告を受けております八月五日の八幡アパート関係の事件につきましては、警察官の警告、制止に対しまして、この警察官に暴行を加え、あるいはけがをさせたという点が公務執行妨害に該当するということで、現行犯の逮捕をされた者が三名、その事件は八月五日の事件でございまして、六日に熊本地検八代支部で受理をいたしました。それで身柄は勾留になって取り調べを受けたのでございますが、八月十五日に公務執行妨害、傷害という罪で公判請求になりまして、八月十六日に身柄は釈放、こういう事件を受理したという報告を受けておるわけでございますが、その事件とただいま御指摘の事件が一致するものかどうか、その点をもう少し確認いたしておらないわけでございます。
 それから一般的な問題といたしまして、労働争議に関連して、それを逸脱したために犯罪に問われた者に対する科刑が少しきびし過ぎはしないかという点でございますが、一般論として申しますことは、法定刑を論ずるならばともかくも、求刑ということになりますと、その具体的な事情のもとでどういう罪を盛るかということを考えるわけでございまして、一般的にどういう基準で処分せよということは、私ども通知を出したこともございませんし、最高検としましてもそういう取り扱いを協議したことはない。ケース・バイ・ケースで、その実情に最も即した求刑をしておるというふうに私は一般論としては考えるわけでございます。特に公務執行妨害という罪は、御承知の通り罰金刑はないわけでございまして、どうしても体刑の方へ持っていかざるを得ないというようなことも考えるわけでございます。もちろん、その刑を重くすることによって、この種の犯罪を何か偏見をもって処理するというような考えは検察官としては抱いておりません。
#11
○坂本委員 ぜひ一つ偏見のないようにしてもらいたいのですが、実際われわれ公安事件の弁護をあちこちやっておりますと、みな重いですよ。傷害だけの場合でも、罰金の求刑でよさそうなのを懲役四カ月とか五カ月求刑されるような実例も一、二われわれも知っておるようなわけですが、一般的に労働争議の事件に対しては求刑が峻厳で重いというようなことが言われておりますから、その点ぜひ一つ考えてもらいたいと思います。
 それからそれと違うこの四、五日前に、五日の事件かどうかわかりませんが、正門前のトラブルの際に一、二逮捕者を出して、そうしてそれはどうなったか、まだ聞いておりませんが、それに関連した写真によって、熊本地検の公安部長は苑田検事だと思いますが、そこで逮捕して、熊木の拘置所に入れて、面会謝絶になっておるということをおととい私聞いて、こういうのはあんまりだから何とか一つやってもらいたいという話があったのが、私が汽車に乗って駅を出るときだったものですから、そのままになっておるわけですが、その点は調査してもらいたいと思います。
 それから警察庁の方へ、これはお願いも入るわけですが、ほんとうに公安事件はへをひっかけたようなことでもすぐ逮捕して、そうして留置する。あとは調べて釈放すればやれやれというようなことでいいじゃないかというようなところに、職権乱用すれすれの点が非常に多いと思うのです。それが逆に、この労働争議なんかは労使対決の場面ですから、一方だけ有利に導くし、片一方はやはり大ぜいの団結の力だけをたよりにして争議をしておるわけですから、そういう点を十分理解してやってもらわぬと、警察は資本家の番犬とかなんとかついに言うようになる。そういうようになると、また下の警察官は、逮捕するときも、なに、一つ二つこづいておいてもわからぬからやっておけというくらいに、人間の感情でやると思うのです。それで被害をこうむるのは、やはり貧乏人の警察官と貧乏人の労働者だということになりますから、それは取り締まりの関係は十分ありましょうが、やり方については敵視しないように配慮していただきたい。
 なお、水俣の問題については今非常にデリケートな問題にあるし、裁判所の最初の命令はこれで足りなかったというので、第二の命令がまた出ておるような状態ですが、しかし、第二の命令が出たから、第一の命令のときも、組合の方としてはいろいろ協議をして、そういうことも警備本部にも話をしてちゃんとやっておると思いますが、そういうふうにして万全を期しており、われわれ社会党としても、が終わったら、議員が三名ずつあそこに行って指導してやろう、それから熊木の県会議員もずっと前から一名はあそこに行くようにして、今までずっと指導してやって、最初の六百名が四百名に減らされた、こういうような過程を長い間やっておるわけです。今度仮処分が出たらどっと来てやるというと、これは見方によって違いますけれども、警察官の貧乏人と労働者の貧乏人と、いろいろな立場から、逮捕をするときに一つ二つこづいても、これはやむを得ない点もありましょうが、また組合としても、わずか新組合の二、三十人入れるのに、百五十人も三百人もの警察官が来て援護されるというのでは、やはりそういう客観的立場に置けば悪口も自然と出てくるものですから、そういう点についても十分現地の方に指導してもらうように、少なくとも人数だけは一つ早く引き揚げてもらいたい。そういうことは組合側にも善処するように、われわれ努力いたしますから、警察官が何名おるというのを毎日、新聞に発表なんかする。それが会社に有利になり、組合側に非常な打撃になるわけですから、どうぞ一つそういう点についての善処をお願いしまして、質問を終わることにいたします。
#12
○池田(清)委員長代理 御参考までに申し上げます。
 理事会の申し合わせによりまして、明後三日月曜午前十時、委員打合会を開きます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時五十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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