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1962/11/10 第41回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第041回国会 法務委員会 第7号
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1962/11/10 第41回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第041回国会 法務委員会 第7号

#1
第041回国会 法務委員会 第7号
昭和三十七年十一月十日(土曜日)
   午前十時二十七分開議
 出席委員
   委員長代理理事 林   博君
   理事 井伊 誠一君 理事 坪野 米男君
   理事 松井  誠君
      小川 半次君    唐澤 俊樹君
      岸本 義廣君    小金 義照君
      千葉 三郎君    馬場 元治君
      松本 一郎君    赤松  勇君
      河野  密君    坂本 泰良君
      田中織之進君    松井 政吉君
      片山  哲君    志賀 義雄君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 中垣 國男君
 委員外の出席者
        警  視  監
        (警察庁警備局
        長)      三輪 良雄君
        法務政務次官  野本 品吉君
        検     事
        (大臣官房人事
        課長)     神谷 尚男君
        検     事
        (刑事局長)  竹内 壽平君
        法務事務官
        (矯正局教育課
        長)      副島 和穂君
        法務事務官
        (矯正局参事
        官)      藤平 英夫君
        公安調査庁次長 関   之君
        判     事
        (最高裁判所
        事務総局刑事局
        長)      樋口  勝君
        専  門  員 小木 貞一君
    ―――――――――――――
九月二十八日
 委員松本一郎君辞任につき、その補欠として米
 山恒治君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員米山恒治君辞任につき、その補欠として松
 本一郎君が議長の指名で委員に選任された。
十月十九日
 委員竹山祐太郎君辞任につき、その補欠として
 江崎真澄君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員江崎真澄君辞任につき、その補欠として竹
 山祐太郎君が議長の指名で委員に選任された。
十一月十日
 委員猪俣浩三君辞任につき、その補欠として坂
 本泰良君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員坂本泰良君辞任につき、その補欠として猪
 俣浩三君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
九月二日
 一、裁判所法等の一部を改正する法律等の一部
  を改正する法律案(畑和君外八名提出、第三
  十九回国会衆法第三号)
 二、裁判所の司法行政に関する件
 三、法務行政及び検察行政に関する件
 四、国内治安及び人権擁護に関する件
の閉会中審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 法務行政及び人権擁護に関する件
     ――――◇―――――
#2
○林委員長代理 これより会議を開きます。
 委員長は所用のため御出席になりませんので、理事の私が委員長の職務を行ないます。
 法務行政及び人権擁護に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。坂本泰良君。
#3
○坂本委員 私は熊本県の菊池恵楓園の中にありますいわゆるハンセン氏病患者の特別刑務所に長らく――もちろん裁判中から判決確定後ずっと留置され、公判中第一審で国選弁護人でまことに簡単に死刑の判決が下され、その後、無罪を主張し続けながら刑務所に収容されておりまして、その後大臣が五、六名かわられましたが、そのたびに東京の文化人その他から死刑執行の猶予について藤本松夫を救う会という、文化人の方々を中心にしましてできておる会、日本国民救援会、その他あらゆる団体の方々から死刑執行の猶予をお願いし、また熊本地方裁判所に再審の申し立てをいたしておりました藤本松夫が、本年の九月十三日に熊本地方裁判所に提出中の再審請求が却下され、翌九月の十四日午前七時四十分に、熊本刑務所菊池医療刑務支所より福岡刑務所に移され、同日の午後一時死刑が執行されたわけであります。この点について、法務当局の取り扱い等について、再審の十分の審理を遂げて、それまでは死刑の執行を猶予していただきたいというので、長らくやって参りましたのが、突如として死刑が執行になったわけであります。私も再審の請求については弁護人でありましたが、この藤本の無罪を客観的にいろいろの調査から信じていた方々ががく然とされまして、法務大臣その他法務当局に対していろいろの抗議その他を出されておるわけであります。実は先般、この点について先月の十日の法務委員会、あるいはその後の小委員会におきまして質問をいたしたい、こういうふうに考えておりましたが、大臣の出席等がなくて本日に至ったわけであります。従いまして、この点について若干質問を申し上げたいと思います。
 ただ形式的に何日にこうなった、どうなったというのではこれはわかりませんし、大臣もまた就任早々死刑執行に判をつかれたというような状況にありますから、おそらく御存じないのではないかと思いますから、かいつまんで私が集約いたしましてその経過を十分ばかり申し上げまして、そして二、三質問を申し上げたい、こういうふうに考えるわけであります。
 昭和二十六年の八月一日、熊本県菊池郡水源村日生野の藤本算方に何者かがダイナマイトを投げ込んで、この算氏と次男の公洋、これが全治十日の傷を負った事件がありまして、この事件の犯人として同じ村の藤本松夫が逮捕されたのであります。ところが、藤本はあくまでも無実を主張しました。その理由は、彼はダイナマイトの扱い方も全く知らない。また、このような爆薬を入手する手づるなんかもないものでありまして、それを主張しましたが、裁判所は、この藤本算が役場に勤務中、県衛生課に藤本松夫をらい患者として密告して、松夫はそのために療養所に強制入所を通告されて、菊池は非常に保守的なところでありますが、このことによって平和な生活が破壊された。これを遺恨に松夫がダイナマイトを投げ込んでやったのだ、藤本松夫の犯行であると判断して懲役十年の判決を下したのであります。その証拠も実にあいまいなものでありますが、ダイナマイトの爆破に使った導火線やひもと同じものが藤本松夫被告方から出たということが証拠にされておるわけです。しかし、事実は藤本の家宅捜査のときは何も出ていなかった。それがあとで母親が証人として呼び出されて警察に行ったら、警察から、これがお前の家から出た証拠品だと全く身に覚えのない導火線やひもを見せられて驚いた。また、被害者の藤本算という人は、平素の言動から部落全体の恨みの的になっておった。これはいろいろ終戦後の土地問題等ありまして、私もあとで調査に参りましたのですが、何でもこの人は、役場に勤めておるからといって非常に有利に入手するとか、そういうようなこともあった、こういうようなことも私は調査に行ったとき聞いたわけです。遺恨の犯行とすると、当然ほかにも犯人があるはずである。従って、被害者のそういう状態からいたしますと、藤本松夫だけでなくて、そのほかも捜査をしなければならぬ。その捜査に努力するのが犯人捜査の普通である、こう思われますが、何らそのような捜査がなされていない。このことは、また次にもう一つ死刑になりました事件が起きたが、それも同じような捜査で行なわれているわけであります。こういうふうで、藤本松夫は国立療養所菊池恵楓園内の熊本医療刑務所菊池支所、ここに収容されて、全く無実の罪を着せられて懲役十年になり暗黒の日を送っておりましたが、それがやりきれなくなって、翌年の昭和二十七年六月の十六日の昼間洗たく中、看守の看視のすきをねらって、控訴中の身でありましたが脱走したわけであります。そうして、菊池郡の水源村と申しますが、現在は菊池市に編入されていると思います。この自分の村の水源村の山の中で生活をしていた。そうしてわからなかった。それはやはり実際無実の罪であるし、かわいそうであるからというので、親戚や知人のところにかくまわれていたわけです。同情されてかくまわれていたからわからなかった。あとになってこれは実証されました。脱走の心理については自白調書の中にもありますが、自分は死ぬつもりでいた。死ぬのならば療養所のこんな場所では死にたくない、外へ出て死にたい、こういう単純な絶望感と恨みの心理でやったのであって、裁判所が判決で断定しているような算殺害の目的という計画的脱走ではないということがうかがわれるわけであります。
 そうして六月十六日に脱走したわけですが、七月七日に藤本算というのが水源村の山の道、これは私も行って参りましたが、ずうっと山の奥の道です。そこで何者かに刺殺されているのが発見された。その数日後に松夫が山の小屋で眠っておるところを巡査に発見されまして、そうして驚いて飛び出すところをピストルで打たれまして負傷をした。そうして逮捕された。私もその場所を見て参りました。そしてピストルで警官から撃たれた。弟ですか、これは私がつかまえて出しますから撃たずに下さいと涙を出して頼んだ。そういう肉親や村人の多数おる前でピストルを発射して、非常な残虐的な逮捕をした。こういうような経過で逮捕されたのですが、ピストルで撃たれたものですから、重傷で発熱をしまして、そして彼は死ぬつもりで出ておるわけですから、意識もうろうな中に殺人についての自白調書というのができておるわけなんです。死刑の判決でもすべきならば、裁判所ではそのほかもっと証拠物もあるいは証拠書類も調べてやらなければならぬのを、ろくに調べもせずに、名前は忘れましたが国選弁護人の立ち会いで簡単に――大体二回だと思うんです。熊本の裁判所から裁判官がこの刑務所に出張しまして、そこで仮法廷で、たしか二回だったと思うのですが、簡単な取り調べで死刑の判決が下された。従って、療養所の中の特別法廷ですから、傍聴人もほとんどいなかった。そして被害がハンセン氏病である。いわゆる昔のらい病というので非常にきらわれておる。こういうようなことでろくに調べもせずに重罪の死刑の判決があったのですから、みんな非常に驚きまして、もっと調べ直してもらわなければならない、公正の裁判を願おうという運動がそれから始まったわけであります。ところが不幸にも、控訴上告を福岡の高裁並びに最高裁でも棄却をいたしまして、確定をしたわけなんです。
 そこで、ハンセン氏病で簡単な裁判で死刑に処せられたというので、そこに入院している千何百名かおります患者並びに全国のハンセン氏病の患者たちは、これはハンセン氏病であるから簡単に死刑執行で殺してしまえという人権的差別の裁判であるということで非常に激高した。こういうことがあるわけであります。こういうような状態もありますし、本人の自白調書も、重傷で熱を出しておるところでとったというような証拠で簡単に一審の判決が行なわれたというので、この判決に疑いを持つ、名前を二、三あげますと、国民救援会の方々、それから、玉井乾介氏、中野菊夫氏、宮崎謙一氏、大江満雄氏ら文化人、この方々も含めまして藤本松夫を救う会というのができまして、私もこれに参加をいたし、そしていずれにしてもこの再審をやるのには事実の調査をもっとしなければならないというので、関原勇弁護士が主任になりまして、数回現地に出かけたわけです。私も関原弁護士と一緒に一度参ったわけでありますが、現地に出かけまして実地調査をいたしますたびに、無実の点がはっきりしてきたわけであります。そして第一審で有罪の最も大きな証拠とされていますところの藤本松夫のおじ、おばの証言、これは事件の夜に松夫がたずねてきて、「今、算をやってきた」殺したことをやってきたというわけですが、「今、算をやってきた」と話した。これが有力な証言になっている。ところが、これは警察がつくり上げましたでたらめなことであるということが判明したわけです。と申しますのは、当夜の被告松夫のアリバイは、証人も現われてきまして、当夜は三里も離れたところに泊まっていたということがはっきりした。三里も離れたところからそこの現地に来て殺人をやるというようなことはとうてい考えられない。こういうようなアリバイを立証する証人も現われてきまして、これらの新事実を含む第三回の再審請求が本年の五月に提出されたわけです。それは関原弁護人――私も弁護人になっているわけですが、それが五月に提出されまして、そしてわれわれの調査と別個に、本年の八月二十五日と六日の両日には、国民救援会と藤本松夫を救う会の有志、全患協、全医労等の三十九名が現地に調査に参りまして、やはり関原弁護人、われわれも信じておりましたように、藤本松夫の無実が確認されて、関係者一同も非常に明るい見通しを持って、ぜひ一つ今度はこの再審にさらに補充書を出して、また新証人も出して再審の審理を願おうと思っていたやさきに、このように突如として死刑の執行が九月十四日になされた。こういう経過になっておるわけであります。
 そこでお聞きしたいところは、聞くところによりますと、法務大臣が執行令書に印を押されたのは九月十一日であって、熊本地方裁判所から再審請求却下が発せられたのが九月十三日であります。大臣の執行命令は明らかに再審請求中の行為である、こういうふうになっておるわけであります。従って、裁判所の判断に優先してこういう死刑の執行令書に認印をされるというのは、考え方によると、裁判所に圧力を加えたというふうにも、もう大臣が死刑の執行令書に印を押したなら再審は却下しろ、こういうふうにも考えられるおけであります。
 そこで、これは大臣でなくてもけっこうですが、大臣が令書に判を押されたのは九月十一日である。再審請求が却下されたのは九月十三日である。この点を最初に確かめておきたいと思います。
#4
○中垣国務大臣 坂本さんにお答えいたします。藤本の死刑執行の決裁をいたしましたのは、御指摘の通りに九月十一日であったと記憶いたしております。九月十一日に死刑執行を私が裁決しましたときに、再審の問題がどうなっておったかということが、お尋ねの中心であろうかと思うのでありますが、そのことは私よく存じておりまして、そうしてこのことは却下になるということも大体見通しをつけておりまして、そして私の責任で裁決をしたわけでございます。
#5
○坂本委員 そこで重ねてお聞きしたいのは、前任の法務大臣の植木氏が、藤本松夫の先ほど申しました再審請求中に死刑執行令書に押印しておられた、この点は御存じでございましたか。
#6
○中垣国務大臣 前の法務大臣からは、この問題については何ら引き継ぎその他これに関することは、私申し受けをしなかったのでありますが、この問題につきましては、御承知の通り昭和二十七年に起きた問題でありますし、それから九月十三日に再審却下になるまでにすでに、はっきり記憶いたしておりませんが、関係書類を私が精査いたしましたときに、たしか三回目か四回目だったと思います。これは人命に関する問題でありますから、私といたしましても非常に慎重をきわめまして、関係書類のほとんどすべてを読み尽くしまして、私の責任で決裁をいたした次第でございます。
#7
○坂本委員 そういたしますと、植木前法務大臣が執行令書に調印したということは全然知らなかったのですか。書類を精査されたらわかりそうなものですが、われわれが聞くところによると、執行令書に植木前法務大臣が押印したが、執行できずに間もなく更迭になった。ところが、今度中垣法務大臣になられて判を押された。記録をよく精査されたならば、それはわかっておるはずです。その点はいかがですか。
 それから三回目の再審ですが、もちろんこれも十年にもなっておりますが、もっと長い死刑囚たくさんおるわけですね。それを藤本を先にやられた。この執行令書に対しても、やはりハンセン氏病患者であるから、差別的にやられたのじゃないか、これが全国のハンセン氏病患者が非常に憤りを感じておる、こういう点でございますが、この点についてはどういうお考えを当時持たれたかどうか。そういうことは無関心でやられたか。あとでまた現在どういうふうに考えておられるか、その二点についてお伺いしたい。
#8
○中垣国務大臣 お答えいたします。
 第一点の、前の大臣がすでに決裁をしておったかどうかということにつきましては、私が関係書類を精査しまして、記憶といたしまして全然そういう記憶はございません。判が押してあったかどうか、その記憶はございません。
 それから第二点につきましては、これはこの機会に私の考え方を特に明らかにしておきたいのでございますが、そういう特殊な病気の持ち主であったがために、これに対しまして特に死刑の執行を早めるために決裁をしたとか、そういうような偏見と申しますか、そういう考え方は全然ございません。私が読みました関係書類の中から判断をいたしまして、そして一審、二審、三審の関係書類を見まして、私の責任といたしまして、これはもう死刑を執行することが大臣としての責任を果たす一つの道である、こういうふうに考えてやったのでございまして、藤本がハンセン氏病であるから特に執行を早めたとか、そういう特殊な病気であったから私が特別な感情を動かしたとか、さようなことは断じていたしておりません。
#9
○坂本委員 今の執行命令の点、どうですか。
#10
○竹内説明員 植木大臣のときに命令が出ておって、そしてさらにまた新大臣中垣大臣になってから二度目の命令が出たやの御質問だったと思いますが、さようなことは絶対にございません。私どもの方といたしましては、新大臣になられましてから死刑の執行がなされるという場合には、新大臣にすべての事情を知っていただき、かつ新大臣の御命令を受けてから手続を進めるのが当然でございまして、植木大臣の時代にはそのようなことになっておりませんでしたので、新大臣になられましてからあらためてすべての手続を進めて御決裁を受ける、こういう手続を進めたのでございます。
#11
○坂本委員 そういたしますと、ちょっと確認みたようですが、植木法務大臣の時代には執行令計に大臣はまだ押印されていない、こういうふうに承っていいですか。
#12
○竹内説明員 その通りでございます。
#13
○坂本委員 そこで私たちも、委員長も弁護士だから大体のことはわかっているのですが、多数の死刑執行者があるわけですが、現在何名ぐらいおるか。その中から特に新大臣になられてから藤本松夫を選んで大臣の手元に書類を出されたか、大臣みずからこれをあれするから書類を持ってこいといってみずから藤本を指名して調査を進められたのではないと私も御推測申し上げるわけですが、そこで事務当局にお伺いしたいのは、多数の、しかも藤本よりもっと古い人も多数おる中に、どうして今度の法務大臣になられてから藤本松夫だけを出されたかどうか、言いかえれば爼上に上したかどうか。あるいはまた他にも多数一緒に出されたかどうか、その点をお伺いしておきたい。
#14
○竹内説明員 これは非常に事務的なことを申し上げなければならないわけでございますが、大臣のお手元に書類を出します前に、事務当局としましては、ひとり私どもの刑事局だけでなく、関係各局すべてにこの書類を回しまして、いろいろな角度から慎重に検討をいたします。そういう手続をいたしますために、特に刑事局におきましては担当の検事を定めまして、関係記録はもちろんのこと、すべてを審査いたしまして一つの文書にまとめるわけでございます。それをまとめまして、刑事局としましては、犯罪事実、犯罪の適用の法条その他につきまして、大臣の御参考になりますことはすべて書き上げまして、そして書類をまとめるわけでございます。それから先、さらにこれを矯正当局あるいは保護当局に回しまして、再審の事由、これは当局で考えますが、恩赦その他に浴すべき事情はあるかないか、それからまた矯正当局におきましては、それが刑の執行に合う状態に被告人がなっておるかどうか、そういう点を審査いたしまして、それらの手続を経て大臣のお手元へ回るわけでございます。ところが、それにも相当の日時を要しておりますので、その間に再審の申し立て等がある場合がございます。そういたしますと、再審の申し立てがありましたならば、必ず刑の執行を停止しなければならぬということには相なっておらないのでございますが、これは坂本先生御承知の通り、刑事訴訟法の再審の規定を見ましても、刑の執行を停止せずということになっております。しかしながら、事柄が重大でございますので、できるだけそういう申し立てがありました場合には、裁判の結果を待って処理するのが相当であろうというふうに考えて、そういう場合には書類の回転をしばらくとめてもらいまして、大臣のお手元には送られなくなる場合があるわけです。従いまして、できるだけ順を追って処理をしておるわけでございますけれども、その間に前後いたします場合が起こってくるのでございまして、大臣といたしましては、結局上がってきた書面から逐次御審査を願うということにならざるを得ない。その間に先のものがまだ残っておって、あとのものが早く執行されるという場合が起こり得るのでございます。これはもっぱら事務の手続の過程において起こってくる問題でございます。なお、この再審の問題につきましては、もちろん再審を申し立てれば直ちに停止をしてしまうという取り扱い、これはできるだけそうしていきたいという考えは終始私ども変わらないところでございますけれども、もしもそれを形式的にすべてそういうふうに扱うのだということになりますと、次から次へと再審の申し立てを繰り返して参りますならば、ついに法律の精神に反しまして、執行することが不可能なような状態になります。従いまして、私どもとしましては、再審の申し立てのときに、第一回の再審の申し立ての裁判の結果をも見ずに執行するということはいたしませんが、これが二回、三回と重なって参ります場合には、再審事由というものを十分検討し、裁判所の判断をしておる事情等もしんしゃくいたしまして、同じようなことで同じような再審をただ繰り返すということでございますならば、これは場合によってはその再審を考慮しないということもあり得るわけでございまして、そういう点を勘案いたしまして処理をいたしておるわけでございます。
#15
○坂本委員 一般論としてはわかりました。そこで私がお聞きするのは、古いのもあるだろうけれども、それは手続の関係で古いのより新しいのが早くなったのだろうというお話です。この際は、大臣のお手元に死刑執行令書を受けるような状態に置かれたのは藤本松夫だけですか。そのほかにもありましたかどうか。その点を伺っておきたい。
#16
○竹内説明員 これをすべて明らかに申し上げることは執務上いかがと思いますが、抽象的に申しますと、藤本松夫だけではございませんで、可能なるものにつきましては大臣のお手元へ何件も差し上げておるわけでございます。
#17
○坂本委員 いや、何件くらいあったかというそれだけをお聞きしている。
#18
○中垣国務大臣 私の記憶によりますと、四通いただきまして、そうして順序等は別に付してありませんでしたけれども、私が一番先に手にしたのがこの藤本のものだったと思います。これを約七時間ほど読みまして、そうしてその日に二つ私、措置した覚えがあります。また一日かかって読みまして、つまりあと二人にまた二日かかったわけですが、そういう記憶がございます。
#19
○坂本委員 そこで、いろいろ抽象的の議論はわかりましたが、もちろん再審の申し立ては三回目です。しかも一回、二回のときは十分の調査ができていなかったから、三回の申し立てをして、その前に、二回が却下になる前に相当の資料が集まりましたけれども、それを出さないうちに却下になったから三回目の再審の申し立てを出した。その当時は相当こっちの調査も進んで、証拠もできてきたわけです。そうしていよいよ今度、さき申しましたような八月二十五日、六日に三十九名の人が現地に参りまして、そうして従来のいろいろの証拠、それから現場の調査等によって得た証拠を確かめに八月二十五、六に行ったわけですが、こういうような非常な努力をしておる。ことに藤本松夫の関係はハンセン氏病であり、しかも簡単な第一群の審理で死刑になったというので、その点に非常に疑問を持って、文化人の方々も玉井氏を中心にして非常に熱心にやって、各大臣ごとにその点を申し上げて、ずっと猶予を願っておったようなわけでありますのが、今度ぽかっとやられたものですから、これはラジオでも放送したのじゃないかと思うのですが、そういうような点は全然知らずに、ただもう三回の申し立てであるからというのでこれは出されたわけですか。その点、そういうような再審についての回数だけではいかないし、やはり二回目の時分に出すべきのがおくれて却下になったから、それで三回の再審申し立てをして、そうして十分の調査と、その資料、証拠を出してやろう、こういうような非常な動きが八月の二十五、六日ですから、そういうような点については全然お気づきにならなかったかどうか、その点いかがですか。
#20
○中垣国務大臣 死刑の決裁は、私に限らず、法務大臣すべての人が一番これは慎重をきわめる責任の一つであろうと思うのでありますが、三回目であったか四回目でありましたか、今あなたの御指摘によると三回目だということでありますから、三回目の再審であったと思うのでありますが、その三回目の再審の内容が、つまり判決をくつがえすほどの新しい証拠であるとか、そういうような確定的な要素であるというふうに実は私は聞いておりませんでした。でありますから、今御発言なさった内容であると、三十九名の人が現地に行って、いろいろな新しいそういう証拠その他を集めておったのだということでございますけれども、私が死刑執行の決裁をする瞬間までには、それほどの新しい資料等は受けておりませんでした。
#21
○坂本委員 次は、先ほどもちょっと申しましたが、九月十四日の午前七時四十分に熊本刑務所の菊池拘置所から藤本を出して、福岡刑務所に移管して、午後一時に死刑の執行をしておられる。そこで非常に急速に死刑の執行をしておるわけですね。死刑の執行をするという場合、われわれは死刑廃止論者ですから最も反対ですけれども、現在廃止になっておりませんから、かりに死刑の執行をするについても、少なくとも肉身に訣別を許すか、遺言書を書かせるとか、そういうようなことがあるはずですが、それについてはそういうことが何にもなかったということですが、事実であるかどうか。またそれが事実とすれば、なぜそういう人情的のことをやられなかったのかどうか、その点について承りたい。
#22
○中垣国務大臣 今御指摘の通りに、死刑の執行の決裁がきまってから執行されるまでの間に、家族の面会を許すとか、遺言等を残させるとか、そういうことは私はできるだけ許す限りそういうことに応じなければならぬと思います。実際この問題がどういうふうになったかということは実は私はあまりよく存じませんので、関係の者からお答えをさせます。
#23
○竹内説明員 刑の執行の点でございますので、矯正当局からお答え申し上げるのが筋でございますが、便宜私の方で承知しておりますことを申し上げますと、御指摘のように、そういう場合には、われわれは本人の希望によりまして肉身の者に会わせることもあると聞いております。それからまた遺言書等を書きたいという場合に、これを拒否することはない、書かせる取り扱いになっておるそうでございます。本件につきまして調査して聞いたところによりますと、藤本に対しましては何らこの人に訓誨を施すような事項もなく、藤本の行状は普通でございまして、刑の執行を言い渡しました際も、取り乱すこともなく、かねて決心をしていたというふうに申し立てておったそうでございまして、諦観の心境にあったように見受けたということの報告を受けております。なお、遺書、領置金品その他身辺の整理をしておったそうでありまして、職員に感謝の言葉を残していったというふうに聞いております。
#24
○坂本委員 その点が死刑を執行してしまったから聞くわけにはいかない。通り一ぺんにはいかないと思うのです。これは非常に疑問に思いますのは、処刑後ただ肉身に電報が来ただけなのです。そこでその電報もどこから来たかわからない。どういうふうに死んだのだろうかということも家族はわからなかった。こういうような状態であるし、さらに関原弁護士が主任弁護人でしたが、主任弁護人にも何らの通知が行なわれていないわけなのです。そこで私は、処刑前の被告に対する処遇に対してこれでいいかという点について非常に遺憾に思うわけであります。特に死刑廃止論の立場から考えれば、こういう点もやはり唯一の死刑の廃止の理由にもなっているわけですが、今刑事局長の御答弁のようなことは――これは必ずそう言うでしょう。そう言わなければ自分の責任になりますから。しかし、それが非常に人道上、人倫上私は重大な問題だと思うわけなのです。藤本は第三回の再審の申し立てをした後に、関原弁護士に面会しておるのではないかと思うのですが、それは私はまだ推測なんです。公判中から無罪を主張していたこの藤本であるし、一回、二回、なおその証拠がそろったから三回の申し立てをしておるというような者ですから、自分は死刑を覚悟して身の回りを整理していた、何ら思い残すこともない、そういうようなことは私は通らないと思うのですよ。これは全く通り一ぺんのことであるわけだし、この死刑執行の経緯について、朝早く熊本からひっぱり出されて福岡に着いて、午後一時の執行といえばこれは息つくひまもなく執行されておる。それでハンセン氏病の方々にも非常に頭のいい方々もおられますが、これは全く暗殺と同じではないか、われわれの同僚がハンセン氏病なるがゆえに国家から暗殺をされたんだ、表面上は法のもとにおいてつくろわれておるけれども暗殺である、こういうようにみなが悲しんでおるわけです。そういうようなこともありますから、この点については、私はなおほかに二、三ありますが、質問を留保いたしておきますから、もう少し、今の現地の報告を刑事局長から承っただけでは私納得できませんから、一つ調査をお願いいたしまして、留保して次会にまたお聞きするようにしたいと思うのですが、その点委員長の方からもお取り計らい願いたいと思います。
#25
○竹内説明員 御質問もないのにお答えを申し上げるような結果になって申しわけないのですが、ただいま調査をというお言葉でございましたが、その点はややはっきり報告が出ておりますので、この程度ではいかがかという意味においてお答えを申し上げたいと思います。
 遺言の点でございますが、報告によりますと、遺言状の作成について自分で書いた方がいいという意味で、そのことを本人に勧めましたところが、本人は、辞書がないと書けないから代筆を願いたいというふうに言ったので、教育部長が、本人が述べる口述を書き取りまして、それに拇印を押した。こういうことになっておりまして、そういうふうにしてできた遺言状は四通ございまして、本人が名前を書いて捺印をしております。一つは実弟の藤本健男氏に当てたものでありまして、財産の処理等を一任するということであり、第二は玉井乾介氏に対したものでありまして、同氏に対しては生前の御庇護を感謝し、娘マス子の将来を依頼するというくだりのものでございます。それから第三は山岸文枝氏に対したものでありまして、玉井乾介氏と同様の趣旨のものであります。それと貯金通帳及び印鑑を娘マス子に渡してもらいたいという趣旨のことが書いてあり、第四番目は教育部長に対したものでありまして、火葬の上遺骨を遺族に渡してもらいたいという趣旨のことが書いてございます。
#26
○坂本委員 そこでこういうことについていろいろまだお聞きしたいことがあるのです。代筆の問題とか、死刑の執行について、残虐刑の執行をする以上は、やはりもっと慎重にしなければならぬという点についてまだお聞きしたいことがありますが、これは留保をいたしておきます。
 なお、遺言状だけでなくて、なぜ面会をさせる時間を与えなかったか、どうせやるなら、一日、二日おくれてもいいはずだが、なぜそういうことをしなかったか、それから再審の請求も却下になって二日後であるし、やはりそういう場合は、主任弁護人もおりますから、そういうときにはやはり裁判の処理を通知してからやるべきじゃないかというような問題等々もございますから、この点は次会に譲りまして、本日はこれをもって終わります。
#27
○志賀(義)委員 関連して。今竹内刑事局長から言われましたことで、代理作成した遺言状なるもの、それは四人の本人には渡されておりますか。
#28
○竹内説明員 矯正当局のお話によりますと、四人の方に渡っておるそうです。
#29
○志賀(義)委員 刑事局長に伺います。あと赤松委員が質問されますから、私は簡単に、この次また質問いたしますが、その準備のためにお聞きいたしたいと思います。
 死刑執行規程第五十五条によりますと、その内容を申しますと、「検察官が法務大臣から死刑執行の命令を受けた後においても、死刑確定者から再審の請求、上訴権回復の請求または恩赦の出願があったときは、すみやかに法務大臣に報告してその指揮を受けなければならない。このことは、死刑の執行指揮の嘱託を受けた、死刑確定者を移監した先の検察官についても、同様である。」というのですが、このことについては、法務大臣に報告して、検察庁はその指揮を受けられたのかどうか、そのことを伺います。
#30
○竹内説明員 それは現地検察官からは法務大臣の指揮を受けてきておりません。ただいまの執行事務規程は、新たなる再審の申し立て等がありました場合にやるわけでありまして、その前の分につきましてはもちろん報告が生きておるわけであります。
#31
○志賀(義)委員 九月十三日、つまり再審請求の却下、これの処理の写しを私はここで今見せてもらっておるのでありますが、その中には、再審を請求する場合に新たな事実が発見されなければ云々というようなこともあります。その可能性が十分に予想されなければということが言われると同時に、前と同じであるから再啓請求を受け付けないということの二つを書いてありますが、再審請求が前と同じ場合にはこれを受け付けなくてもよろしい、再審請求を無視し、その却下があとになっても死刑の執行をしていいのだ、そういう法律上の規定がどこかに書いてありましょうか。書いてないとすれば、再審請求があれば、法律に従ってそれを再審し却下した上で死刑を執行しなければならないのですが、そういう可能性がないという予測だけで、二度も三度も出されたら、これはいつになったら死刑の執行ができるかわからないからやっていいのだということを規定した条文がどこかにありましょうか、あれば一つお示し下さい。
#32
○竹内説明員 これは刑事訴訟法の再審の規定と、それから死刑の執行に関する規定と両方を合理的に判断をしてきめるほかないと思うのでございますが、再審の規定の方を申しますと、刑事訴訟法の四百四十二条には「再審の請求は、刑の執行を停止する効力を有しない。」とございまして、再審の請求があれば当然刑の執行を停止しなければならないということになっておらない、その逆の規定があるわけでございます。ただし、この条文について申しますならば、「検察庁の検察官は、再審の請求についての裁判があるまで刑の執行を停止することができる。」そういう規定になっておりますので、私どもとしましては、再審事由等を検討するはもちろんのこと、すでに一回、二回と再審の裁判があります場合には、この裁判の結果、審判の内容になっております事項等をも検討いたしまして、場合によりましては執行を停止しないということによりまして処置をしなければならぬという場合もあり得るということを申しておるわけでございます。
#33
○志賀(義)委員 そうしますと、最初に私が申しました執行規程五十五条の「検察官が法務大臣から死刑執行の命令を受けた後においても、死刑確定者から再審の請求、上訴権回復の請求または恩赦の出願があったときは、すみやかに法務大臣に報告してその指揮を受けなければならない。」こういう規定があるのに、あなたの今のお話では、地元の検察庁の方からその指揮を受けるという照会がなかった、こういうように言われましたね。今のあなたの考慮することを得という場合の規定は、それはそれで一つの場合でしょう。しかし、今の執行規程の五十五条の場合はそういうふうになっているのに、なぜ検察官は独断でもって法務大臣の方に照会されなかったのか、その理由については刑事局の方に何か説明がありますか、釈明されることがありますか、それを伺いたいのであります。
 それからまた、今そういうふうな法務大臣の死刑執行を妨げることができないという規定があった場合、裁判所はこの再審請求を却下した場合に、すでに死刑執行されていたことを知りながらこの却下をやったのでしょうか、知らないでやったのでしょうか、知らないでやったとするとずいぶん奇怪なこと、知ってやったとすればなお奇怪なことですが、その点についてあなたの方は知っておられるか、このことだけきょうは伺っておきます。
#34
○竹内説明員 この再審の申し立て棄却決定は、十三日の夕方本人のおります刑務所に決定書が送達されております。そこでその決定書は、数十分の後に本人に交付されておるように聞いておるわけであります。
#35
○志賀(義)委員 死刑執行前に本人に交付された。確かにそうですな。
#36
○竹内説明員 そういうふうに私ども承知しております。それに対して新たな申し立てその他がございませんので、検察庁としましては、今の執行事務規程によって法務大臣に報告するということをしなかったものと私は考えております。
#37
○志賀(義)委員 私のところに受け取っております裁判所の決定の写しによりますと「よつて主文のとおり決定する。昭和三七年九月一三日、熊本地方裁判所裁判長裁判官山下辰夫、裁判官鈴木雄八郎、裁判官片岡正彦、裁判所書記官徳永美成」こうなっている。前にやられたというのは十三日の日付になっておりますよ。十三日にこういうふうに決定したものをどうして前の日に本人に通達することができますか。おかしなことを言っては困りますよ。この日付は十三日ですよ。あなたの今のお話を聞くと、前にこれが知らせられていたということになるじゃありませんか。おかしなことですね。
#38
○竹内説明員 そうではなくて、福岡の管区長から矯正局長にあてた報告によりますと、決定書を受理いたしましたのは刑務所の庶務課日誌の記載によって明らかなように九月十三日午後五時五十分でございます。そして当日当直の看守部長から午後六時に本人に手渡しておるということが保安課の日誌によって明らかでございます。でありますから、十三日付の決定書はその日の午後五時五十分――私、数十分と申しましたが、これによりますと十分の後には本人のところに手渡されておるということがうかがわれるわけでございます。
#39
○林委員長代理 赤松君。
#40
○赤松委員 本委員会におきまして再審制度小委員会ができましたそのきっかけになったところのいわゆる吉田石松さんの事件につきまして、最高裁におきまして再審がきまりました。この再審は横田裁判官以下十三名全員一致の決定でございます。まことに喜ばしい結果でございます。当時、この特別抗告の理由としましては、この事件は旧刑訴法によって審理さるべきであり、旧刑訴法は異議申し立てが許されないことになっている。だから検察側の異議申し立ては判例に違反している。第二の理由として、名古屋高等裁判所第五部が再審制度だけに新刑訴法の精神を当てはめて再審請求人の刑事手続上の利益を奪ったのは憲法三十一条違反である。第三の理由としては、棄却決定は裁判の公平を欠き憲法三十七条に違反している。こういう理由で特別抗告をいたしまして、これに対しまして最高裁の決定は、新刑訴法によると、昭和二十三年以前に起訴された事件は旧刑訴法によるべきだと規定している。だから棄却決定の判断は誤っているから取り消されるべきだ。第二に、この結果検察官の異議申し立ては旧刑訴法では許されていないからこの申し立てば違法である。以上のような理由から再審請求棄却は誤りであるというところの判決を下しておるのであります。これに対しまして、これは植木法務大臣以来の案件でございましたが、一応法務大臣から、この最高裁の決定に対する所信をこの際お伺いしておきたいと思います。
#41
○中垣国務大臣 最高裁が再審の決定をされたことにつきましては、特別に反対する考え方は持っておりません。そういう裁決につきましては、私の方としては同意するほかないわけであります。問題は、最後の判決がどうなるかということによって法務省の考え方というものはきまると思います。これはもう、もっぱら裁判の問題になってきたわけですから。
#42
○赤松委員 中垣法務大臣はその十分な経過を御存じないので今のような、私から言えば失礼な官僚的な御答弁をされるのですが、当時本人もここへ呼びまして、そして植木法務大臣の所信をお伺いしましたら、植木法務大臣としましては、その真偽のほどはよく知らないけれども、かりそめにもそれが誤審であったとするならば、四十九年間無実の罪でそういう多大な迷惑をかけ、その生涯を犠牲にしたことに対して、それが真偽はわからないけれども、もしかりそめにもそれが事実であったとするならばまことに遺憾にたえない、こういう当時非常に人間味あふるる答弁をいただきまして、吉田老人もそのことだけについては非常な感激をしておったわけであります。私は中垣さんと同じ愛知県でございまして、高く尊敬しておる一人でありますけれども、今のような通り一ぺんの答弁をしていただきますと、大へん私残念に思うわけでありますけれども、再審制度につきましては、本委員会におきまして鋭意小委員がこれが改正のために努力しておるときでございますから、従って、この裁判の結果はその方面に重大な影響を及ぼすと思うのであります。
 そこで第二点をお聞きしたいのは、この判決にもありますように、検察官の異議申し立ては旧刑訴法で許されていないからこの申し立てば違法である、こう言っているのですね。検察官は何のために国から俸給をもらって、そうして治安の維持あるいは人権の擁護のためにやっているのですか。こういう重大な違法行為をいたしまして再審請求棄却を要求しておきながら、最高裁の決定は明らかにこれは違法行為であるという判決を下しているわけです。そういたしますと、検察官の責任というものは一体どうなるのか、こういう問題が明らかに残るわけであります。私は、その判決が、再審の結果かりにくつがえざれましても、裁判の責任を追及するということは、これは司法権の独立の建前から、そういう三権分立の権限を侵犯するような発言はしないつもりでおりますが、少なくとも検察官に対しましては、その責任はきわめて大きいと思うのであります。この点につきまして重ねて大臣の所信をお伺いしておきたいと思います。
#43
○中垣国務大臣 私が答弁するよりも局長に答弁をさした方がいいと思いますから、局長から答弁させます。
#44
○竹内説明員 吉田氏の再審の問題につきましては、私の方で、申しわけないことでございますが、大臣にまだ十分御説明してない案件でございます。突然の御質問でありましたので、準備をいたしておりませんことをおわび申し上げます。
 ただ、私の所見といたしましては、ただいまの点は検察官といたしまして植木法務大臣と全く違った考えを持っておるのではございませんので、植木法務大臣がお述べになりましたような考え方でありますけれども、法律制度の法律解釈並びに運用につきましては、法律の適正な運用をはかるという検察官の職務内容からいたしまして、この問題を法律的に取り扱っておるのでございまして、今の法律解釈の点は、これは従来判例もない事項でございます。再審の部分に関する判例というものはほとんどありませんので、学説もあまり詳しく論じたものは少ないのでございます。従って、この部分については検察官のような考え方も現に原審がとっておるような事情で、そういう考え方、それからまた最高裁のようなお考え方もあるわけであります。それを最高裁がそういう決定を下しまして、その部分の解釈を明らかにされたわけでございますから、検察官としましては、その解釈に従って今後処理していくということになるわけでございます。
#45
○赤松委員 もっとも最高裁の判決の中には、開始決定後の判断も新刑訴法で審理しており、これも法の適用を誤っておる。しかし、旧刑訴法ではこの誤った決定を取り消す方法がないから、この開始決定は一応認められる。こういうように述べておりまして、あなたのおっしゃることもよくわかるわけであります。しかしながら、だからといって検察官の再審請求の棄却要求というものは、私はやはり責任として残ると思いますので、この問題につきましては留保しておきます。
 以下私は最高裁の決定を読み上げたいと思いますが、時間の関係もありますので、その一部を読み上げることにして、決定全文は会議録に掲載していただくことを委員長にお願いいたしておきます。すなわち
  栃木県都賀郡中村大宇下河原田四〇二番地
       申立人 吉田 石松
 右申立人に対する強盗殺人被告事件につき大正三年七月三一日名古屋控訴院が言い渡した確定判決に対する再審請求事件につき、昭和三六年四月一一日名古屋高等裁判所がした再審開始決定に対し、原審検察官から異議の申立があり、同三七年一月三〇日同裁判所は、右再審開始決定を取消し本件再審請求を棄却する旨の決定をし、申立人からこれに対し特別抗告の申立があったので、当裁判所は、検察官の意見を聴いた上、次のとおり決定する。
   主 文
 原決定を取消す。
 本件再審請求事件につき名古屋高等裁判所がした再審開始決定に対する原審検察官の異議申立を棄却する。
と、こういうことであります。以下は略しますが、先ほど委員長にお願いいたしましたように、全文を会議録に掲載していただきたいと思います。
 次にお尋ねしたいのは、先般私が質問しましたいわゆる帝銀事件の平沢被告の問題であります。この点につきましては、第一点は検察庁側に質問したのでありますけれども、出射検事が刑務所に参りまして、そして刑務所において本人から聴取書をとった事実はない、このことは刑務所長みずからが人権擁護局に公文書をもって立証しておるという事実、さらにその後大阪市立大学におきまして鑑定の結果、あの拇印は一度に押されたものであるというところの鑑定、そういう問題等がございまして、出射検事があの聴取書を偽造したのではないかという疑いがございます。たしか出射検事に対しましては公文書偽造をもって告発状が出ておったと思うのです。ところが、これはすでに時効完成であるということの理由をもって却下されておるのであります。それについて私は、この前の委員会におきまして、検察庁はみずから時効完成だというような一片の形式的な理由をもって――もちろん法律でありますから却下することは自由でありますけれども、出射検事が偽造していないというところの積極的なその理由を明らかにして、そして検察庁に対する疑惑を一掃することが必要ではないかということを申し上げたわけです。残念ながら、当時参事官の方が来ておられまして、次の委員会において、そのことについて自分たちの考えをよく調査をして明らかにしたいというお話でございました。
 もう一つは、裁判の際にそういう点が十分に考慮されたかどうか。たとえば青酸カリで殺したといいましても、青酸カリで殺したその証拠はどこにもない。ほとんど証拠と認めるに足るものはこの事件にはないわけであります。しこうして唯一の証拠は、出射検事がつくりました聴取書だけであります。その聴取書も偽造されたものであるということになって参りますならば、明らかにこれは再審の問題なんです。私は、この際、世間がそういう大きな疑惑を持って見ているのであるから、検察庁のためにもあるいは裁判権の威信のためにも、この際、積極的にこれを再審で取り上げて、黒白を明らかにする。その黒白を明らかにする中で平沢がどうしても殺人を犯したというところののっぴきならぬ証拠が出てくれば別でございますけれども、そうでない限りは、このままの状態で再審も受けない、証拠もないという中で、死刑が執行されるということになりますならば、私は日本の裁判制度のために非常に大きな杞憂を持つものであります。従いまして、裁判所の方も、たしかこの間最高裁の刑事局長が来ておられたように記憶いたしますが、この点についても次の委員会でその所信を明らかにするということでございました。時間があまりありませんが、一つ検察庁側、それから裁判所側の方からこの点についての所信を明らかにしていただきたいと思うのです。
#46
○竹内説明員 東京地検に対しまして、ただいまお話の出射検事作成の調書が偽造であるということの告発が出ましたことは、私どももよく承知しております。これに対しまして東京地検では時効完成ということで不起訴処分にいたしておるのでございますが、この点につきまして、門前払いのような形式的な処理になっているのではないかという御疑念でございます。ごもっともでございます。しかしこれは、不起訴裁定書の主文というものは、起訴猶予とか、嫌疑なしとか、時効完成とかいう主文がございますが、二つの理由がございまして、実質的に嫌疑がない、しかもその事実は、かりに嫌疑があるとしても時効が完成しておるといったような事案につきましては、まず形式的な時効完成という点から主文を書いて、その主文はそれを現わせという取り扱い方になっておりますので、それで時効完成、こういうふうにしておる。しかし、その内容につきましては十分調査をいたしまして、その結果でございます。不起訴処分でございますので、これを公表するということはこれまたいたしておらないのでございます。従って、そういったような御疑問が一そう濃くなったかと思います。この点恐縮に存ずるわけでございます。その後もこの点につきまして若干新しい資料も明らかになってきておりますので、偽造の点につきまして私どもの考え方を申し上げておきたいと思います。
 大体検察官が調書を偽造するなんということは、私ども長年検察の事務を扱って参りました者といたしまして考えられない。いわば検察官としてはそのようなことをもしするとすれば自殺行為にひとしいことでございまして、そういうことはないわけでございますが、しかも、そういう幾らかの疑点があればこそそういう御指摘もあったろうかと思うのでございます。その点は遺憾に存ずるのでございます。磯部弁護士等から御指摘になっております疑問というようなところを拾って、私どもの方の意見を申し上げてみたいと考えます。
 まず調書偽造の問題は、判決が確定してから後に初めて主張されるに至ったといういきさつになっております。この事件が一審、二審、三審で審理をされております際には全く問題になっていない点でございます。しかも、第一審の公判におきまして、昭和二十四年二月七日の第五回の公判廷におきまして、平沢被告は、裁判長から、拘置所に移監された後出射検事の取り調べを受けたのかというふうに尋問されております。それに対する平沢の答えは、さようです。この当時は、まだ純然たる犯人として申し上げておりましたというような質問応答がございます。さらに同月十八日の第六回の公判廷におきましては、裁判長から問題の出射調書を読み聞かされております。これに対しまして、出射検事から何か書いたのを見ながら聞かれましたが、高木検事に述べたことを確かめているように思いましたという、それに対する答えになっております。出射検事の取り調べを受け調書が作成されたことを、平沢本人も明瞭に認めておるのでありまして、それに立ち会いました弁護人も、またその調書に基づいて尋問をしておるということが公判記録によってうかがわれるのでございます。ところが、昭和三十二年十二月十三日付の東京拘置所長の東京都人権擁護委員磯部常治氏あての回答書に、平沢について入所後四、五日中に身柄をよそに移監した事実はなく、右期間内に検事及び事務官の取り調べを受けた事実はないという回答が出ておるのでありますが、これは当時十分な調査に基づかない不用意な記載であったため、磯部弁護士や平沢が問題とするに至ったものというふうに私思うのでございます。しかし、この昭和三十三年四月十八日付拘置所長の磯部氏あての書面におきまして、右のように回答した理由について述べておりますが……
#47
○赤松委員 それは何年ですか。それがどのくらいたってから……。
#48
○竹内説明員 それは昭和三十三年の四月十八日でございます。前の答えは三十二年の十二月十三日の回答、それに対して、四月になりまして、その理由につきまして、当所備付の本人の身分帳簿中に当該事項の記載がなく他にも右事実を記載した文書がないためであって、本来調査不能と回答すべきものであったのをそのように答えたのだという訂正をしております。
#49
○赤松委員 そのくだりをもう一ぺん言っていただきたい。
#50
○竹内説明員 もう少し済みませんがお聞きをいただきたいと思います。ところが、昭和三十四年の一月三十一日付で、東京高等裁判所の刑事第六部の再審棄却決定におきまして詳細にこの点についても触れておりますように、検察官の在監者取り調べは監獄法上の接見というものにはあたらないというふうに解釈すべきでございますから、検察官が在監者を取り調べる場合に身分帳簿にその旨を記載をしない取り扱いが一般的になされているのであって、身分帳簿に記載がないからといって、出射検事の東京拘置所における取り調べがなかったとは言えないという趣旨の記載がございます。のみならず、当時出射検事が平沢を取り調べましたことは、平沢の署名拇印のある供述調書が現にありますこと自体明らかではありますけれども、そのほかに私どもの調査しましたところでは、動かしがたい客観的な証拠もありまして明瞭であると考えております。
 その点を逐次申し上げますと、その一つは、当時出射検事の取り調べ補助者として拘置所に参りました佐々木という検察事務官の帝銀事件に関する捜査日誌の中の十月八日及び九日の項に、出射検事に同行して拘置所に出張し、出射検事の平沢に対する取り調べに立ち会ったという記載が残っております。
#51
○赤松委員 それは何日です。
#52
○竹内説明員 これは佐々木検察事務官の捜査日誌でございます。十月八日及び九日の項にそういう記載がございます。
#53
○赤松委員 昭和何年です。
#54
○竹内説明員 昭和二十三年の十月八日、九日です。
 それから第二に、東京拘置所の保存しております人型索引カードというのが、これは最近になって発見されたわけでございますが、そのカードによりますと、平沢が昭和二十三年十月八日に入監して、その当日である十月八日及び九日の両日検察官の取り調べが行なわれたことが、明らかにその人型カードによりますと現在うかがわれるのでございまして、この人型カードと申しますのは、写真にも写して参りましたが、出廷の際に、検察官や裁判官の取り調べに際しては、看守が参りまして、その人が人違いかどうかということを確かめるために人型の――これは古いやり方なんでございますが、こんなような人相書きのようなものがついたのがありまして、それに取り調べた日を書くことになっております。そのカードをたくさん調べがありますと次々と上へ張っていくわけです。それを一枚々々たんねんにはがしてみますと、古いところに今の十月八日、九日というところの記載が現在も残っております。それによってこれがはっきりしたということが最近になってわかったわけでございます。
 それから平沢入監当時の刑務所の担当看守でございますが、山本貞助、当時は磯部弁護士は酒井寅夫というふうにおっしゃっているわけでございますが、そうではなくて山本貞助というのが担当の看守でございまして、山本貞助氏の記憶と当時第三舎房の担当の看守部長をしておりました竹中麟之助、これはいずれも現職のものでございますが、その者の当時の手帳の記載によりますと、平沢は昭和二十三年十月八日午前七時三十分、パトカー四台で拘置所に護送されてきたが、間もなく検事の来所があり、取り調べが行なわれ、午後これが終わって舎房に入房さしたものであるということがその記載によって明らかにうかがわれるのでございます。
 なお、磯部氏がしきりに述べておられます大村鑑定の件でございますが、各般の状況に照らしまして、かつ帝銀事件の真犯人として磯部弁護士らが主張されております張谷何がしという関係における大村鑑定の結果から見まして、この鑑定はどうも措信しがたいのではないかというようなことが考えられております。
 また、平沢が東京拘置所へ入りました当時の健康状態でございますが、これを診察いたしました野崎陽之助医師の鑑定によりますと、精神錯乱等の状況は全く見られなくて、ただ痔核による痛みがあったので、同人にロート坐薬を投与したにすぎないということが今日明らかにうかがわれるのでございます。
 以上のような諸般の状況から見まして、当然あり得べからざることとは存じますけれども、若干の疑点につきましても、今申したようなことで、それは疑惑にとどまって、真相は、出射検事の調書は間違いなく当日作成されたものであるということを、私ども信じておるわけであります。
#55
○赤松委員 その程度の根拠では、それはきわめて希薄です。そんなことでもって私ども納得できません。今の、四台のパトカーでもって来たというのは、移送されてきたのでしょう。それは何日ですか。
#56
○竹内説明員 二十三年十月八日午前七時三十分、パトカー四台で拘置所に護送されてきたというふうに承知しております。
#57
○赤松委員 それから取り調べはどれぐらい続いたか……。
#58
○竹内説明員 その時間はわかりませんが、その記載によりますと、間もなく検事が来たと、こういうふうに……。
#59
○赤松委員 いつごろ終わったのですか、取り調べは。
#60
○竹内説明員 そして午後これが終わって、――午後とありまして、午後の何時ということはわかりませんが、間もなく検事が来て、取り調べが行なわれ、午後これが終わった、こうあります。それから二日目の十月九日につきましては、土曜日になっておりますが、午前十時から午後八時という記載がありまして、おそらくこの時間が検事の取り調べた時間ではないかと思います。
#61
○赤松委員 これは警視庁から移送されてきたのですか。
#62
○竹内説明員 そうでございます。
#63
○赤松委員 警視庁では、検事の取り調べはなかったですか。
#64
○竹内説明員 警視庁におきましては、高木検事が取り調べをしておったと思います。しかし、拘置所へ移ってから出射検事が取り調べたように承知しております。
#65
○赤松委員 常識的に考えても、警視庁で取り調べられた者を移送して、すぐその直後に――しかも七時三十分でしょう。何時に出射検事が来たかしれないけれども、そんなことはあり得ないことですよ。大体検事が調べに来るのは、通常十時ごろです。しかもそれが、何か新事実が発見されて、時間的に間に合わないというのなら別として、警視庁では十分な取り調べを高木検事がやったというのでしょう。そしてそれが拘置所へ移送されてきた。それを検事が何のためにそんな朝早く――七時三十分、間もなくと書いてある。なぜ間もなく調べなければならぬか、そんなばかげたことはあり得ないと僕は思う。
 それからもう一つ、今刑事局長の答弁の中にございましたが、検察官が来ても、通常それは帳簿に記載されないので、いつ来たのか、どうしたのかよくわからないのだというようなことを言っていらっしゃるけれども、これもあなた、刑務所の実情を知らない。検察官が来るという場合は、もう所長以下全部がちゃんと用意して迎えるのですよ。そんな、所長や係官に無関係にすうっと入って来ませんよ、検察官は。しかも検察官が調べる場所がちゃんとつくられているでしょう。それをあけるのにも、やはり看守があけなければならぬ。御承知のように、あの中は全部一々かぎでもってあけなければならぬ。そういうことになっております。いわんや、被疑者をここへ連れてくるわけでしょう。連れてくる場合に、かぎで錠をあけて中へ入れるのです。従って、拘置所の方が全然それを知らなかったというようなことは、常識上あり得ない。しかし、あなたが今答弁されたことを、私は今それをすっとそしゃくし、消化していくだけのあれはありません。ですから、それはもう記録に載っておると思うけれども、なお、何というのですか、拘置所の人型カード、その人型カードなるものも、証拠物件を付して私に下さい。私、一ぺんよく検討してみます。
 そういうことにいたしまして、これは法務大臣に、非常に疑惑の多い事件でございますから、慎重に取り扱っていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 次に、先月の十八日、日本放送がこの問題につきまして、「平沢は訴える」というテーマで放送をしようとしたわけです。それで私も当日――前日の新聞を見ますと、そのような放送があるというので、スイッチを入れて待っておった。そうすると全然別の放送が行なわれた。急いで日本放送に電話して聞いてみましたら、いや、中止にしましたということだった。ところが、新聞の報道あるいは週刊雑誌の報道によりますと、矯正局長が日本放送を訪問されておるという事実が報道されておるわけです。矯正局長、日本放送に行かれましたかどうか、お尋ねいたします。
#66
○竹内説明員 矯正局長ではございませんが、矯正局長はちょっと出張いたしておりますので、私、事前に矯正局長からよく伺いまして、きょうこの席に出ましたものでございますから……。
 この点につきましては、矯正局長は行かれたそうでございます。行かれましたが、事情はやや異なるのでございまして、矯正局長のお話によりますと、十月十七日付の東京タイムズ紙上に、「平沢は訴える」と題して、平沢の肉声を翌日のラジオで放送するという記事があったので、東京拘置所では直ちに日本放送に、その記事に誤りがあるかどうかを確かめますと同時に、もし誤りでなければその放送は中止していただけぬであろうかという申し入れをしたということでございます。翌日、放送当日の朝でございますが、矯正局長から日本放送に面会を申し入れたところが、日本放送におきましては、東京拘置所の申し入れにかかわりなく、すでに自発的にこの放送は中止することに決定したから、お目にかかる必要が――その要件でありますならば、そういう事情になっておりますということの返事であったそうでございますが、しかし、矯正局長としては、そういうふうに取り扱ってもらったのならありがたいことだということで、お礼を言いに行きたいというので参った、お礼を言ってきた、こういうことでございます。
#67
○赤松委員 私はずっと前に、矯正局長がこの委員会に出てくるように言ってあったのですが、どういう出張か知りませんけれども、国会軽視だと思うのです。ちゃんと前もって、相当前に、委員部を通じましてあなたの方へ、ぜひ出てもらうように頼んでおいたのですが、しかしそのことは今後の問題としまして、委員会を軽視しないように、やはり委員の要求に対しては、こういう問題についは、本人が出てきて、堂々と釈明されればいいのですからね。それを、本人は出張だとこういう。刑事局長に答弁させるなんということはもってのほかだ、けしからぬと思います。
 法務大臣にお尋ねしますが、前に東京放送でやはり同様な問題が起きまして、当時、最高裁の事務局あるいは検察庁、あるいは日弁連などで、司法協議会というのがつくられておるが、この司法協議会が抗議文を持って参りました。これは、私は東京放送に参りまして、向こうの編成局の責任者とも会いまして、東京放送の方も非常に憤慨しておりましたが、その当時私は法務大臣の見解を聞いたところ、むろん憲法に規定してあるように、表現の自由、取材の自由、その自由はあくまで尊重する、守っていくという考えであります。こういう答弁でありましたが、中垣法務大臣ももちろんそういうお考えであると思うのですが、この際お尋ねしておきたいと思います。
#68
○中垣国務大臣 赤松委員にお答えいたします。東京放送のことは実はまだ何も知らない、全然聞いたことがありませんけれども、一般論的には今のあなたの御説の通りだと思います。この問題については、私は、少し前の大臣と答弁が変わるかもしれませんが、これは私の責任でお答えするわけですが、私は死刑の判決を受けておる人の声をば隠しマイク等をもって録音するというようなことは、これはいいことだと思わないのです。そういうことは今後とめた方がいい、こういう考え方に私は立っております。なぜそういうことを申し上げるかと申しますと、もし裁判であるとかその他必要なものであるならば、これは弁護士が手続をとって、そして堂々とおやりになるのがいいと思うのです。私の聞いた範囲ですと、平沢は、この隠しマイクで録音されておることについては相談も受けなかったし、知らなかった。何も知らない、こう言っておるようであります。私は、むしろ、人権擁護とかそういうことがいわれておるときに、たとい死刑囚であっても、そういう本人の承諾もない、また刑務所長等の許可も得ずにそういうことを勝手にやるなどという、しかもそれを公表するために取材する、そういうことは非常に好ましくない、こういうふうに実は考えております。
#69
○赤松委員 私は、残念ながら法務大臣とまた見解を異にしております。そのことでここで論争しようと思いませんけれども、これは規制は監獄法でやっておるのですか。いかがでございますか。
#70
○竹内説明員 その通りでございます。
#71
○赤松委員 監獄法はいつできた法律ですか。
#72
○竹内説明員 明治四十一年の法律で、刑法と同じころであります。
#73
○赤松委員 明治は遠くなりにけりということわざがありますけれども、私も明治生まれですが、もう時世も非常に変わって参りまして、当時マイクなんということを予想もしていなかったと思うのです。あるいはテレビとかラジオなんというものは予想していなかったと思います。それで監獄法のあるいは面会規則のどこをめくってみましても、マイクでとっちゃいけないなんというのはどこにもないわけですね。正直申し上げまして、私も経験があるのですが、終戦直後巣鴨の戦犯の声を聞きたい、もっとも戦犯といっても、東条や何かの声ではないのです。そうでなしに、一般兵隊で、また下士官で、これは大臣の郷里であるところの三河の人などもあれには入っておられた。ぜひその声が聞きたいというので、ある種の方法で戦犯からあすこでマイクをとって、それからCBCで放送して、非常にあなたの選挙区から喜ばれたことがある。ですから、もちろん大臣は今、すでに死刑確定した者の声をマイクに乗せることは望ましいことではない、必要ならば弁護士が行けばいいではないか、こういうことをおっしゃいますけれども、私は、すでに死刑が確定して、死刑執行の日を待っておる人の声を国民に聞かせるということは、別に重大な憲法違反でもなければ法律違反でもなし、道義上さして悪いことではないというように考えております。従って、この点については大臣とは見解を異にするわけでありますけれども、それならば大臣は、この明治時代にできました監獄法を、そういう取材の自由を制限するために、これを変えるというお考えがあるのでございますか。あるいはこの次の通常国会にでも、これを変えるための法律を出すというようなお考えがありますか。
#74
○中垣国務大臣 これは残念なことに、どうも赤松さんと考え方が違うので、私も大へん恐縮しているわけですが、この問題は、実は私は法律以前の問題じゃないかと思うのです。やはり道徳上の問題や人権の問題から言いますと、かりに死刑囚の声を自由にそういう放送等までやっていいということになりましたときに、あるいはまた写真等も自由にとっていいんだということになりましたら、今度は拒否することができないんだというようなことにでもなったら、そういうことをしてもらいたくない死刑囚だって私はたくさんあるだろうと思うのです。あるいはたまたまこの本人は将来に向かってぜひやってもらいたいと言うかもしれない。でありますから、こういうことはやはり刑務所長の所内の行政権の中に入れておいて、そうして許可事項として取り扱っていくべきで、もう原則として絶対いかぬのだというのじゃなくて、やはり必要があれば、今おっしゃったように戦犯等の声を聞かされたというのが、私はあの当時記憶がありますが、非常に好評だったと思うのです。そういう場合もあると思うのです。またその逆に、非常に弊害を与えて、たとえば法秩序の維持の問題、あるいは法の権威の問題、そういうことをそこなうような問題に発展する場合さえ私はあると思うのです。ですから、そのときどきの事情によっていろいろ違うでありましょう。あなたのようなお考えでいく場合もある、またどうもそういうことを許すわけにはいかない、こういうケースもあるかと思います。
 監獄法の改正につきましては、ただいま御指摘されておるこういう点を特に改正するというのでなくて、全般の問題につきましては検討いたしておりまして、法務省内ででき上がりましたら法制審議会にかけて、できるだけ近い国会で監獄法の改正をいたしたい、そういう考えでおります。ただ、今おっしゃったような、こういう点だけを考えておるわけではないわけです。
#75
○赤松委員 刑事局長、とのいわゆる隠しマイクの事件で、刑務所の中の職員をだれか処分されたようなことはありませんか。
#76
○竹内説明員 処分されたということは、私も懲戒委員の一人でありますが、まだそういう会議にあずかったことがございませんから、ないと思います。
#77
○赤松委員 それでは、今大臣がお述べになりました点につまして、私も意見がありますけれども留保しておきましょう。
 重ねて大臣にお願いしておきますけれども、刑務所の職員は、御承知のように非常に悪い待遇の中で一生懸命勤務しておりまして、そういう不可抗力の問題で処分されておったのでは気の毒だと思うのです。ですから、この事件に関してだれか処分をするというようなことは絶対に一つやっていただかないように、強く要求しておきたいと思います。
 なお、刑事局長に、先ほど申し上げましたように、この次の委員会で再び帝銀事件の問題につきまして御質問したいと思いますから、私の要求しましたものを御提示願いたいと思うのです。
 それから、矯正局長は来ておられませんが、これは御答弁願えますか。鹿児島の刑務所の中から私あてに陳情書が参っておりまして、これについてきょうの委員会で質問しようということになっておりますけれども、時間が非常におそいし、私も実は十二時にのっぴきならぬあれがあるのでございますけれども、何だったらこの次の委員会でもけっこうです。この鹿児島の刑務所の中の処遇は非常に悪い、のみならず人権じゅうりんの疑いがある、こういうことを言っておりますので、人権擁護局長来ておられますね、来ておられませんか。――そうしたらこれはきょう希望だけ言っておきますが、矯正局長の方と人権擁護局長の方とよく相談していただきまして、その結果を私の方に知らせていただきたい、これを要望しておきます。
 それからもう一点。凶悪犯人が裁判中に逃亡する事件が非常に多いという問題が起きております。特に大阪、東京地検などでこれが頻発をしておる。東京地検の例では、一昨年三月最高検、東京高検、同地検三庁の合同捜査班をつくってあれしているけれども、現在全逃亡者の八〇%は収監したが、しかし二〇%はまだ野放しになっている。それから一昨年この合同捜査班が発足以来逃げた被告人は千三人、名古屋地検関係では五十人に近い逃亡者を出している。それからこの千三人の逃亡者の中で収監をしたのは七百九十八人、あとはまだ逃げたままになっておる。この逃亡者はおおむね暴力犯罪人が多い。ほとんど暴力犯罪人、暴力団関係が非常に多い。被告の四〇%は暴行、恐喝、傷害、そういう犯罪でもって検挙された、やくざの団体に所属しておる。逮捕されるときはほとんど抵抗しておるわけであります。その実例がずっとあげられておりますけれども、これも今の法務大臣のお話にありましたように、それぞれのケース、ケースによって違うと思うけれども、いやしくもやくざで暴力団体に属しておるという凶悪犯人に対しましては、検察庁は強い態度をもって一つ臨んでいただきたいということを強く要望しておきます。
 それから神戸地検では、暴力団の暴力事件につきましては、非常な悪質な者は倍求刑する、こういうことを方針としてきめておるようでありますけれども、近時暴力団体、いわゆるやくざなるものがだんだんふえまして、東京都におきましてはたしか条例ができまして、すでに新宿を中心に取り締まりが始まっておるようでありますけれども、こういう点につきましては、実は非常に貧乏なために犯罪を犯したという同情すべき被告がなかなか保釈されない、あるいは保釈に必要な金がないというような場合が非常に多い。ところが、暴力団の方は保釈金は自由になる、そうして保釈金を積んで保釈になって、すぐ逃げる。つかまえようとすると、ピストルやその他の凶器でもって逮捕にくる人に抵抗するということから、取り締まる方の側は、ややもすればへっぴり腰になるというので、こういう点につきましては、一つ勇気を持って立ち向かっていただきたいということを要望しておきます。
 なお、先ほど申し上げましたように、この委員会で取り上げて参りました再審制度に対しまして、だんだん世論の中に関心を持つ傾向が強くなりつつあることは、お互いに慶賀にたえません。私どもは、今坂本委員から質問のありました藤本なる者の死刑の執行の過程におきましても納得できない点が多々あるわけであります。今刑事局長から死刑執行前後の模様をお聞きしましたが、もしそれが事実であるとすれば、藤本というのはまるで神様のような男なんですね。しかし、ああいうように泰然自若として、悟り切って死刑を執行されるなんというような例は、ほとんどないわけです。もちろん下から上がってくる報告はそういうように書かれておりましょうけれども、法務大臣は、人間一人の命がいかに大切なものであるかということは、私が言わなくても十分おわかりであろうと思うのであります。どうも世評によりますと、今度の法務大臣は間違った勇気を持っておる、死刑執行については非常な勇気を持って、ぽんぽん、ぽんぽんとまるでパチンコをやるように判こを押しておるというような声があるわけであります。しかし、愛知県のある雑誌が書いておりますように、愛知県の生みました将来性のある、保守陣営で非常な期待の持たれておる中垣さんでありますから、どうぞあなたの心の中にヒューマニズムを忘れないで、ちゃんと持っておっていただきたい。しょせん政治というものはヒューマニズムですから、ややもすれば世上そういうことを申す者もございますので、どうぞ死刑執行の際は十分に一つ慎重に取り扱っていただきたいということを申し上げまして、私の質問を次会に譲りたいと思います。
#78
○林委員長代理 志賀義雄君。
#79
○志賀(義)委員 委員長、きょうは公安調査庁長官の出席を求めましたが、来ておられないのですが、その理由はなぜでしょうか。
#80
○林委員長代理 志賀君に申し上げますが、公安調査庁の長官は外遊中でございます。それで関次長が見えております。
#81
○志賀(義)委員 これはどういう会議に出られたのですか、関さんから一つ。
#82
○関説明員 先般アメリカの国際警察長官協会というものの御招待を受けまして、約三週間の予定で向こうに出発いたして、今アメリカに滞在中でございます。
#83
○志賀(義)委員 ただいま関次長のお話では、国際警察長官協会の招待でアメリカへ行かれた、こういうことですね。公安調査庁というのは警察ではないのですが、何か連絡をされるか、話をされるか、ちとおかしいのですがね。何をしに出かけられたのですか、国際警察長官協会、これは一体どういう性質のものですか、どういう目的で出かけられたのですか、それを伺いたいのです。
#84
○関説明員 公安調査庁は警察ではないという志賀委員のお話でございますが、なるほど日本におきましては警察と別個な組織としてここに公安調査庁があるわけであります。ところが、これを国際的ないろいろ外国のこの種の問題を取り扱う機関を見ますと、あるいはこういうものを警察的な機関でやっているところもありまして、治安を維持するというような作用が、広い意味においての警察というような概念に一括的に国際的には扱われているように考えるわけであります。そこでその協会から、その協会の機能の一つとして、日本の公安調査庁というものをやはり呼んでよろしいというふうに向こうでおきめになったと思います。それで御招待を受けた次第であります。
#85
○志賀(義)委員 公安調査庁というものは例の破防法ができたとき、これに関連した役所として法務省に設置されたものです。従って、破防法というものが公安調査庁の性格、機能、活動というものの大前提になるわけであります。国内ではお隣の三輪局長のおられる警察があるから、そこはあまりなわ張りは侵さないだろうが、国際面ではやるというようなことになりますと、破防法、それから国内に関係ある場合は仕方がないけれども、国際的に呼ばれれば警察の会合でも何でも飛んでいって十分連絡をする、そういう考え方がどうも、きょうも質問いたしますが、公安調査庁がとかく失敗をされる。現にあなたも覚えておられるでしょう。公安調査庁の中で私がカッコづきですけれども逮捕したことがありましたが、ああいうとんでもないことが起こるのは、こういう点であなた方の心がまえが悪いからですよ。少し外国に行くのも注意してもらいたい。
 そこで問題は、アカハタにも大きく出ましたし、その後十月十五日号の週刊新潮にも出ております小唄をうたう公安調査官というのでありますが、週刊新潮の表題は「公安調査官愚行の記録」大臣よく見て下さい。愚かな行ないの記録と週刊誌に書かれております。あなたの所管の中にある官庁の役人がこういうことをやっております。「「スパイ活動」には、情報をとるため毎月十六、七万円の金を使い、小唄を習い、自家用車を乗り回していたとある。まるで「現代版・赤穂義士」の姿だが、調査官たちの一連の調査活動を集めてみると、一体、誰のため、何のために税金を使っているのかと疑問が起こる」というふうになっております。これは先般参議院法務委員会において岩間委員が質問いたしまして、関次長並びに法務大臣の方からも御答弁があったわけであります。
 まず関次長に伺いますが、松岡義文が一年半にわたって週二回、木曜日と金曜日、勤務時間中に、共産党の中央委員会に勤めておる人の夫人のやっておる小うたの会に入会し、小うたを習っていたということでありますが、公安調査官としてこれはいかなる行動であるか。確かに松岡義文は関東公安調査局調査第一部第一課第五係長でありますが、一体どういう行為でありますか、関次長から承りたい。
#86
○関説明員 お尋ねの松岡君は関東公安調査局調査第一部第一課の職員でございまして、同君が共産党中央本部市民対策部に勤めております本名松本健二さん、ペンネーム宇田真一郎さんに、何とか協力いただきたいというような希望のもとに、そのお近づきを願う手段として、お宅において奥さんが小うたを教えていらっしゃるので、その小うた会に入会してごじっこんを願ったという事実があるのでありまして、その行為は、端的に申しまして、役所としての調査上必要な行為であるというように考えております。
#87
○志賀(義)委員 ごじっこんとはまことに微妙な表現でありますが、ごじっこんになってどういうつもりだったのですか。あなたは参議院で、これは公務だと言われたが、小うたを習ってごじっこん願っていて、公務とどういう関係がありますか。
#88
○関説明員 宇田さんに直接お目にかかって、共産党の情報をいただきたい、こう言って、いただければそれも一つの方法でありましょうが、それはむずかしいと判断したわけであります。いろいろ考えてみて、なかなかこれはむずかしかろう、そこでいろいろごじっこんを願う方法はどういう方法であるか考えてみた。ところが幸いに奥さんが小うたをやっておる。松岡自身も小うたが好きである。従って、そこのお宅に出入りすることによって宇田さんに漸次お近づきを願い、ごじっこんを願い、交わりを深くして、その間において御協力を願う態勢ができるのではないか、従って調査上必要な情報収集というその目的に対する一連の行為でありまして、これはもちろん参議院で御答弁いたした通り、公務であるというように私は考えております。
#89
○志賀(義)委員 公務であるということは言われたし、また情報を集めるということは公務である、こういうふうにおっしゃったのでありますが、そうすると、これは上司の命令、許可のもとにやられたのか、勝手な判断でやられたのか、どうでしょう。
#90
○関説明員 これはもちろん松岡君の発意において、松岡君が調査官として行動したものである。あとで聞きますと、その手段方法などについては、課長などとは相談しておるようであります。
#91
○志賀(義)委員 公務といたしましても、小うたでも習いに行けば月謝というか何か要りますね。これは松岡個人で払ったのですか、それとも公務として費用が出ておりますか。前に私、島根県警の文書を調べてみましたら、待合の勘定書、芸者の花代、芸者の名前、それから公安調査庁長官に贈った贈りものの金額、みな捜査費から一々明細に引かれておるのを見たことがありますが、これは三輪局長も否定なさらなかった。そうすると、公安調査庁では、小うたの月謝ですか、何ですか、これは官費ですか、松岡個人の出費ですか、どういうふうにやっておられますか。
#92
○関説明員 この費用は、松岡個人として月謝だけは個人で出しておるようであります。月約千円だったと聞いております。それで私どもの考え方を突き詰めて考えれば、もちろん調査費で出してよろしい、こういう議論になると思いますが、それは松岡君は、自分も小うたが好きで、小うたを習い、かたがたこういう考え方であるからして、自分のポケット・マネーというか、給料でもらった金の中から出した、こういうふうに言っております。
#93
○志賀(義)委員 そこで公私の区別がはなはだわからない。あとで伺いますけれども、法務省に出された昭和三十八年度概算要求の概要、十月二十日に提出されておりますが、これを見ますと、またいろいろ問題があります。ただいま伺ったところでは、公務における金の出方、そして個人の費用、そういうものがまるでごっちゃになることが今のお答えでわかったのでありますが、あなたは参議院で、松岡が植田計夫という偽名で東亜事情研究所という擬装団体を使ったことは違法ではなく、本件の場合許される手段、方針であると答弁しておられますが、それはその通りですか。
#94
○関説明員 その通りであります。
#95
○志賀(義)委員 理由は。
#96
○関説明員 この松岡君が東亜事情研究所という名前を使ったのは、要するに連絡の場所としてそういう名称を使ったのでありまして、率直に申していかなる法律、いかなるものにも何ら触れない全くの自由な行為である。そういう名前を利用して、そこを連絡所と称して、そうして宇田さんにお近づきを願った、こういうことに相なるわけであります。そこに別段取り上ぐべき、どうこうすべき問題はない、こう考えているわけでございます。
#97
○志賀(義)委員 その連絡場所にしたといったって、人の家を勝手に連絡場所にするわけにもいきますまい。その連絡場所にした当の事務所、相手、こういうことについて、あなたは東亜事情研究所は友人関係なんだと言っているのですが、その友人とはだれか。また、東亜事情研究所は同一事務所の中に内外ニュース社というものがあります。そうすると、これらの構成、資金出資、それから所長、社長名、大よそどういう経歴の人であるか、こういう点はお調べになったのでしょうか。連絡場所にするについてはどういう関係があるのです。
#98
○関説明員 報告によりますると、内外ニュース社の責任者を松岡君はよく知っておりまして、そうしてその了解を得てそこに東亜事情研究所という名称のものを置いた、こういうことに相なっているのであります。それ以上、その内外ニュース社はどういうものであるかということは、まだ詳しい報告は来ておりません。
#99
○志賀(義)委員 そうしますと、実際調査官が活動する場合に、どういう事務所を借りるとか、あるいは事務所を連絡場所にするについては、電話料とか電話の設置とかいろいろな費用がかかるものでありますが、そういう費用は公安調査庁から出されたのか。これも小うたの月謝と同じことで、自分で私費として出したのか、その点はどうですか。
#100
○関説明員 お尋ねのそこに対する若干の謝礼、あるいは電話もかけたことと思います。そうして電話料金、いろいろな問題はもちろんこれは活動費から出ているものと思います。
#101
○志賀(義)委員 そうすると、確かに公費で出されたというのでありますが、一体破壊活動防止法に基づく公安調査庁の活動からして、小うたを習う、それは公務のためだ、ただし公務であるが月謝は自分で出す。そうして偽名を使う。そうして東亜事情研究所というものを連絡場所にして、つまり公安調査庁はそういう擬装団体を持つ、こういうことをしていいという法律的な根拠はどこにありますか。
#102
○関説明員 この本人が擬装の名前を使って共産党員にお近づきを願う、こういうことでありますが、これは要するに、初めから私は公安調査庁でございますとかいうような名前を名乗っていきますと、とうていそれはお近づきもできない。こういうことが基本の前提になるわけでありまして、そういう事情のある限り、お近づきを願う若干の期間とか、あるいは手段方法としてそういう擬装の名前をもって、自分のペン・ネームを用いてお近づきを願う、こういうことは、そういうような前提のもとにおいてはやむを得ない一つの方法であろう、こう考えておるわけであります。
 法律的な問題といたしましては、その人の行為がいかなる法律にも触れない、そういうことに相なるわけでありまして、もちろん刑法上あるいは各種の軽犯罪その他いろいろの問題がございますから、それらすべての問題をいろいろ考えてみて、そういうことをいたしましても、いかなる犯罪にも触れない。従って、一般的に必要やむを得ない場合にとり得る非常の措置として、そういう措置をとるととはやむを得ない場合がある、こういうふうに考えておる次第であります。
#103
○志賀(義)委員 そういうスパイ活動というものですね、ことにこういう共産党というものは公然存在している政党である。こうして法務委員会にも私が出て質問しているような状態であります。それに対してどうして――破壊活動防止法は厳格に行き過ぎてはならない、そういう規定があるのでありまして、東大ポポロ事件の第一審の判決を見ましても、監視をするとかいうようなことがあっても、それは重大な圧力になって学問の自由を押えるからいけない、こういうことが判決の理由の一部にもあげられているような状態であります。まして公然と政治活動をやっている共産党に対して、公安調査庁がこれを対象にしてやっていく、そうしてスパイ活動をやる、こういうことは法律上どこから見てもそれが正当化されるわけはないのでありますが、あなたは先日、こういう偽名を使うことに対して参議院では、調査活動も準備活動と本格段階と二つあるのだ、準備段階には偽名を使っていいのだ、擬装団体を持っていいのだ、こういうふうにまで言われておるのですが、それは今おっしゃったことと同じことですか、どうなんですか。それではまずいと思って、きょうはもう少し強気に一本で、頭からそれは合法的だ、こういうふうに言われるのかどうか、その点伺いたいと思います。
#104
○関説明員 私も同じ人間でございまして、考え方は参議院の場合と全く同じでございます。
#105
○志賀(義)委員 先ほどから伺いますと、こういうスパイ活動をやるについていろいろと金も出しておられるようでありますが、事実、島根県警の場合には、その文書を私から暴露したのでありますけれども、私どもとして、今あなたの言われたことで、いかなる権限によってそういうふうに調査活動の準備段階と本格段階と区別して、準備段階では偽名を使ってもよろしい、擬装団体を持ってもよろしい、あるいは近づきになるまでは公安調査官ということを知らせないでやってよろしい、そういうことは一体だれがきめたのですか、いかなる権限によって決定したのか、また法文のどこにそういうことが書いてあるか、その点についてお答え願いたい。
#106
○関説明員 これは少し長くなりまして恐縮でありますが、申し上げておきたいと思っております。
 たとえば犯罪捜査、これは刑事訴訟法の規定でありまして、またわが庁の容疑破壊団体の調査というのは、本旨的にはそれに類することに相なるわけであります。もちろん、われわれの調査をどんどん進めていくについて、被容疑団体においてこれを喜ばれるとか、あるいは何でもかんでも、いかなるところにでも入っていって、何でもかんでも見せてやるし話してやるしというようなことはあり得ないのであります。そういうことはここでくどくど私が申し上げるまでもなく志賀先生十分御承知だと存ずるのであります。
 さて、そういうような前提で、きわめて至当、なるほど当然な面もありましょう。ありましょうけれども、何か検討されるときに、外国人は入れるが、日本人の記者さえ入れないというようなことが行なわれている限りにおいては、われわれは深い容疑をそこに持たざるを得ないのであります。しかもそれはなかなか入れない、そういうような前提があるわけであります。そういうような前提で、犯罪捜査一般の問題として、まずある段階まで、われわれは調べるということあるいは捜査をするということは、相手方にできるだけわからなくするということが前提だろうと思う。そうでなければ、初めから規定の上に、私は公安調査官であるといって胸にかけるとか、あるいは名刺を人の前に突きつけて調査するということはどこにも書いてない。要するに犯罪の捜査というものは密行ということが当初のスタートの根本になるだろうと思います。そうでなければできない、わかりっこない。そこで密行の効果はできるだけ相手方にわからせない。これは二つの理由があろうかと思います。一つは、できるだけ正確に事実を知る。相手方が知れば、これを隠蔽隠匿するとかいろいろな問題がある。それから第二としては、相手方の人権の問題がありまして、名誉その他からできるだけ一般に知られない、こういうような面から見てやはり密行するということがある段階まではやむを得ない、必要なことであろうと存ずるのであります。
 さて、わが庁の調査におきましても、この理論は当然でありまして、事柄の性格上また調査活動の本質上、当然そういうことが出るわけであります。たとえばいかなる調査行為をする場合も、背中に公安調査官であるという看板をしょっていけとか、あるいはだれに会っても名刺を出せとかいうことはどこにも書いてないのでありまして、二十七条の調査活動の本質というのはそういうところにあろうと思うのであります。従って、なかなか本体のところに行っていただけない、しかもきわめて非公然な態勢を固くとられる、こういうようなところのある被破壊的容疑団体の調査に向かっては、やはり所要の調査をして、中の実態を調べるという法律上の要請に基づく事態を明らかにするためには、ある段階においては、またあるケースにおいては、まことにやむを得ない措置としてその措置も認められる、こういうふうに私は思うのでありまして、そうでなければ破防法の実施という国会の御命令の実施ができなくなる、こういうことに相なるわけであります。しかもその範囲は、何でもかんでもよろしいというわけではないのでありまして、外ワクとしては刑法とか軽犯罪法とかあるいはその他一般的な具体的な憲法上の諸法令に違反しないという限界を外ワクとして、その範囲において許されるいろいろな方法をとる、こういうことに相なろうかと思います。そういう考え方から、本件のような場合において松岡調査官のとった措置は、私はやむを得ないと認められる、決して悪くない措置である、こういうように考えておる次第であります。
#107
○志賀(義)委員 あなたは考え違いをしておられます。警察法第二条には犯罪の予防ということが書いてある。もっとも、この予防ということを悪用して警察がよくないことをしていることは、私が島根県警の場合にも証拠をもってお尋ねした。きょうもあとで、どうもまた警察はよくないことをやっているようですから伺いますが、それはそれとして、破壊活動防止法を見ますと、破壊活動を行なった団体、これに対することを規定しているのであります。あなたの今言われるのを見ると、何か共産党その他の団体が、自分たちがそうだと思ったら何か秘密に探り出したらいい、こういうふうにあなた方は思う。前提から誤っておる。前提に、共産党があなた方の質問に答えないだろうから、それで隠密にやるのだ、こう言われるけれども、こちらは公然たる政党であって、いまだかって共産党は破壊活動を行なったことはないのですよ。ありましたか、ないでしょう。破壊活動防止法をつくるときの政府の答弁を見てみなさい、今のあなた方のやることを正当化する理由になるものは一つもないのです。あなた方はあらかじめ予断を持って、共産党というものは破壊活動をやるおそれがあるからと、こう言うのでしょう。法律の第一条を見てごらんなさい。「破壊活動を行った団体」、こうなっているのだ。行なうおそれのある団体ということはどこにも書いてありません。だから、あなたが前提にされることそのこと自体がすでに――あなた方がそういうことをするから、合法的に存在している共産党としては、そういう無法なまねをさせないために断わるのです。どこにあなた方のように犯罪のおそれのあるものをやれと書いてありますか、警察法とは違いますよ。しかも、この破壊活動防止法をつくるときに、共産党が破壊活動のおそれがあるといってやってきた、ちょうど今から十二年前から十年前にかけてのことでありますが、松川事件にしたって、そのほかの菅生事件にしたって、この法務委員会で扱われたこと、すべてこれはでっち上げだったじゃありませんか。菅生事件ははっきり証明されている。破壊活動防止法の第何条に共産党が破壊活動を行なったということを適用できるところがありますか。また、あなたの言うように、破壊活動のおそれがあるからやっていいのだとどこに書いてありますか、それを言って下さい。
#108
○関説明員 これは法律の解釈になりまして、大へん(……志賀(義)委員「解釈ではない、明文だ」と呼ぶ)破防法による調査が破壊活動をなすおそれのある団体に対してできるかどうか、こういう問題に御質問の趣旨はなろうかと思うのであります。これは破壊活動をやるおそれがあるというそのおそれが、単なる思想上のある種の問題という問題であるならば、これはもう範囲外でありますが、何がしかそこに具体的な何らかの活動があり、社会的に評価されておる、あるいは団体の決議であるとか、討議であるとか、謀議であるとか、何らかそこに社会的価値として個人の頭の中から出たある種のものがそこにある、これはどうもそこに発展する可能性があるとか、そういうところがありますれば破防法によって調査いたしてよろしい、こういう解釈に相なると思います。と申しますのは、これは五条、六条、七条あたりの規制の問題と二十七条との関係においてそういう解釈に相なろうかと思うのであります。
#109
○志賀(義)委員 あなた今第五条を出されたから第五条を読んでみましょう。「公安審査委員会は、団体の活動として暴力主義的破壊活動を行った団体に対して、」行なった団体に対してですよ。「当該団体が継続又は反覆して将来さらに団体の活動として暴力主義的破壊活動を行う明らかなおそれがあると認めるに足りる十分な理由があるときは、左に掲げる処分を行うことができる。」、行なった団体がそれを反覆してやるおそれが十分にあるとき、こうなっている。あなた、この第五条を引用されたが、共産党は破壊活動をやった、だからこうだ、その証拠をあげることができますか。言ってごらんなさい。
#110
○関説明員 今お読みになった第五条は公安審査委員会の審査の要件なのであります。それで、その審査のいわば証拠資料すべてを出して、かくかくのごとき実情である、これこれの団体が破壊活動を行なった、そうしてさらに可能性あり、こういう証拠資料を全部収集するのが公安調査庁であります。それが第二十七条になるわけであります。そうすると、その証拠資料というものは、その団体が破壊活動をするに至った経過、そうしてその実情、いかなる範囲でどういうことをやったかという明確なる資料を出して、明らかにこれはおそれがあるのではないか、こういうふうに調査庁では材料、資料を提供しなければならない。従ってその材料、資料を提供する、その収集することは二十七条が当然認めているところでありまして、これはもうあえて私が申し上げるまでもなく、いかなる方の法律解釈であろうともそういうことに相なるわけであります。
#111
○志賀(義)委員 それがごまかしです。公安審査委員会に出すために今言うことを公安調査庁がやるについても、破壊活動を行なった団体がそれを繰り返してやるおそれがあるときのことであります。そのときに公安調査庁が出した資料によって、公安審査委員会が規制の必要があるものと認めた場合の処置をとる、こういうことになっているのです。どこにも、あなたあげることができないじゃないですか。破壊活動防止法第一条の規定にも、第五条の規定にも、どこに共産党は破壊活動を行なったとあなた言うことできますか。あなた知っているでしょう。私が公安調査庁に行ったときに、物陰から私の写真をとる男がいる。私が大喝したら、それはあき家の中をネズミがかけるように――出口の方はもうかぎをかけて窓から入ってとっていたものだから、その窓のところで私がどなりつけたから、出るところがない。で、とうとうつかまったでしょう。これも公安調査庁の今の破壊活動防止のための活動ですか。そんな醜態のことばかりやる。要するに、あなたの言われることを見ると、共産党は一般のやり方では協力してくれないから、公安調査庁はその目的を遂行するためにはもうこういうことはやむを得ない手段だ、小うたから、それでごじっこんを願う、こういうこともやむを得ないんだ、こういう主張ですか。
#112
○関説明員 まことにお言葉の通りでございます。
#113
○志賀(義)委員 じゃ、はっきり言いましょう。あなた方に共産党が協力しないのは、これはあたりまえだ。天下に公然と存在している政党が、警察や公安調査庁の人権じゅうりんと戦う政党が、あなた方に対して協力しないのはあたりまえです。公安調査庁の干渉と戦うのはあたりまえです。つまり、あなた方は私が聞いたことについて答弁ができない。法律に基づく調査ではやれない。だから、こういう法律に許されていないことをやるんだ。しかしながら、法律に基づく調査がやれない場合には、その調査をやらないのがあたりまえなんです。法律に基づいてやれない、それを共産党だからこれをやるんだ。何でもかんでもやるんだ。あなた方がいつも失敗するのはこういうところからきているんです。
 そこで法務大臣、あなた御迷惑かもわからないけれども、代々の法務大臣には、公安調査庁のやり方は政府に御迷惑を与えますよ。これは安保反対闘争のときから言ってあります。内閣に対しても言ってあります。関君があまり出過ぎて、飛び越えていって、法務大臣の知らない間に首相官邸に行って御注進をするもので、苦々しく思われていたこともある。そんなことは私はみんなわかっている。ただいまお聞きのようなこと、これをどういうふうに法務大臣お考えでございましょうか。
#114
○中垣国務大臣 志賀さんにお答えいたします。公安調査庁が発足した当時のことからいろいろ思い出されるわけでありますが、調査官があらゆる困難な条件のもとに情報収集活動をしているということは、志賀さんも御理解をいただけると思うのです。もちろん一般論的には、今言われたような偽名の問題または小うたを公務と称して習う問題、そういうことが私は望ましいことだとは思いません。これは一般論的にそういうことは確かにそうだろうと思います。しかし、先ほど来あなたもお認めいただかれたように、共産党の情報というものがなかなかとれないということは、これは常識になっておりまして、共産党からいろんな情報をとろうとするのに非常な無理をして、こういう御指摘のような結果になっておる。こういうような場合、私は好ましいことだとは思わないけれども、だからといって、そういうことをしてはならぬと法務大臣が命令を出すというようなことはいかがなものだろうか。やはり、こういうごく特殊なケースとして、今の段階ではこれはほんとうにやむを得ない、こういうふうに私は好意的に認めていく方がいいのではないか、こういうふうに実は考えております。しかし、一般論的には、法律のどの根拠、第何条に基づいてこれをやっておるのだという御指摘に対しては、私も非常に共感を持つところがあるのです。しかし、非常に情報収集のむずかしいような相手に対しましては、やはり公安調査庁の使命から見て、非常な無理をして情報を得ておる、そういうこともまたやはり理解ができる。私はこういう立場に実は立っております。
#115
○志賀(義)委員 そういうことを言われるからときどき大へまをやる。今言った男も、共産党の中央委員会の勤務員のところに来て、あなたは共産党の情報がとりにくいと言われたが、自民党の幹部の情報までも聞きに来ているのですよ。あなたの理屈は通りませんよ。石橋湛山が使う金の出所について御存じならばぜひ知らせて下さい、こう言ってきている。あなたの論理でいくと、この場合はどうなりますか。
#116
○中垣国務大臣 まあ一つ志賀さん、そういう個々の問題についてはやりとりはやめましょうよ。これは表向きに、そういうことは非常にけっこうです。大いにそういうことはいいからと調査官を激励してやらせますと言うわけには私は参りません。そういうわけには参りませんけれども、しかし、公安調査庁には公安調査庁的な一つのカラーがあるわけですよ。それがやはり大臣としましては、ある程度好悪を持って見ていかないと、あれもいかぬ、これもいかぬというなら、この役所はない方がいいのです。(志賀(義)委員「ない方がいいのです」と呼ぶ)あなたの方はそうかもしれないけれども、政府の方は、これがない方がいいとはまだ実は思っていないわけなんです。やはり、公安維持のためにこういう役所が必要であって、この活動を認めておる以上は、少なくとも調査官は、非常な困難な条件のもとにあらゆる努力をして情報を収集していただきたい。その何千件、何万件の中に御指摘のようなことが一つあったとしても、調査官のほかの全部の重大な任務までを否定するわけには参らぬと思います。しかしながら、御指摘の点は実は私もよくわかる。そこでそういう極端な行き過ぎ等はやはり慎んでいった方がいいと思います。それは私もそういうふうに思います。
#117
○志賀(義)委員 石橋湛山のことをあなたに聞くのは少し無理ですけれども、あんまりわけのわからぬことを公安調査庁はするから、私の方もこれで一つ聞いてみるかという気になるのです。そういうできの悪いやっかいな役所を持っているから、あなたもよけい苦労しなければならないのだ。あなたは今、例外中の例外でこれはやむを得ないと言われるけれども、公安調査庁というものは、私はこれで国会へ出ましてから最近七年間おつき合いしているのですが、これはできの悪い役所ですよ。はっきり申しておきますが、私が聞こうとするのに、きょうは最後の日で、国会で多分聞かないだろうというので、公安調査庁次長、これが当時の法務大臣を誘って、公務をほり出して両国の花火を見に行っているのです。公務をほり出して花火を見に行くようなあなたの言うカラーがありますからね。だから、こういうむだをならってへまをやらかすわけですよ。まだ幾らでも例があります。大体これとにらんだら、法務委員会で公安調査庁のことについていつもどういうことが問題になるかは、中垣さん、きょうはあなたが法務大臣になられてから初めてでございますが、これからもたびたび起こるのです。こういう公安調査庁なんかにキューバの問題だの日韓会談だの、ラオスの問題なんか聞いたってだめですよ、いつでも当たらぬうそばかり報告しているのだから。そういうできの悪い役所なんです。こういう役所があれば、共産党が迷惑するだけでなく、方々の善良な市民が迷惑します。いいですか。ここの名前を掲げておったところなんか全然でたらめなんですよ。だから、あらかじめ申しておきますが、あなたが法務大臣として公安調査庁の報告に従っていろいろ判断の材料とされたら、とんでもない失敗をされるということを申しておきます。それで私としては今後とも公安調査庁の行き過ぎについては容赦なく戦っていく。それから次から次と問題を明らかにして、この役所と、この役所の根源になっている破壊活動防止法の廃止、こういうことを日本の民主主義のために実現したいと思います。
 さて、この男がしくじったときに、もう一人の名前が出ております。今度はそれは警察の方に伺いたいのでありますが、同時に共産党の中央委員会勤務の宇田慎一郎に対して、途中で関東興信所渡辺道夫という人物が出ました。これは私どもの判断では、どうも公安調査庁の人間ではないのですね。どうでしょう、警察じゃありませんか。
#118
○三輪説明員 「アカハタ」を拝見しましたが、警察の者だという報告はどこからも聞いておりません。
#119
○志賀(義)委員 そうですか、報告がきませんか。
  〔志賀(義)委員、三輪説明員に写真を示す〕
 渡辺道夫というのは、写真をとるときに後日証拠が残っちゃいかぬというので目をつぶったのです。こういうようなことは、局長くらいになると一々覚えがないかもしれませんが、人相に覚えございませんか。
#120
○三輪説明員 ただいま御呈示になりました写真は、「アカハタ」にたしか載っておりましたけれども、私が見知る男ではございません。
#121
○志賀(義)委員 警察にないというのは、お調べになった結果ないと言われるのか、まだ調べてないのか、調べたけれどもまだその調べが終わっていないのか、その三つのうちどれに当たりましょう。
#122
○三輪説明員 警察という御指摘でございますれば、私の方が積極的に調べるのでございますけれども、私の方で警察だと判断される材料もございませんし、格別調査を命じてはおりません。
#123
○志賀(義)委員 渡辺道夫本人は警察官でないと言っております。しかし、私はどうも警察以外にないと思うのです。お調べいただけますか。
#124
○三輪説明員 警察だと御判断なされた理由がどうもわかりませんけれども、格別警察だということがないのに、私がどうも調べるというお約束をするのはいかがと思います。
#125
○志賀(義)委員 そこが問題なんですよ。例の戸高公徳ですね。これは警察の人でしょう。大分県の警察のことはこちらではなかなかわかりかねます。こういうことでございました確かに東京の警視庁にもいた、警察庁にもいた、そうしてそのいる場所は、警察大学の中に名前があります。そこまで私は申し上げたのですが、警察大学を調べたけれどもそういう者はおりません、こういうお話でございました。今だから申し上げます。私はあのときに、戸高公徳が警察大学で米の配給を受けておったその配給手帳をちゃんと写真にとっておって質問をいたしたのです。それでも警察は、そういう者はいないと、前任者の長官も御答弁になるし、警視総監も、そういう者はおりませんと、こう言われる。ところが、事実はおりました。ちゃんと警察に名前も出ておる。そうして私が警察大学のことを言ったら、急に警察大学から新宿の春風荘というところに警察の方で隠された。あのとき新聞記者が行ったときに、戸高が急に外に一緒に出ようと言って出た。その出た理由も私どもにはわかっております。彼を隠した上官が、その十分あとにあのアパートを訪れる予定だったのです。私がここで質問するからには、そういうことについて、新聞社も知らないようなことまで調べた上で申し上げておるのです。それで今私が推定すると、それだけでは調べようがないと言われるが、こういう戸高の例もあるのでございますが、警察官であるということを認められるのか、ないと断言されるのか、まずそれから伺いたいのです。
#126
○三輪説明員 先ほどからお答えいたしております通り、警察官であるともないとも私ども報告を受けていないのであります。戸高の例でただいま詳しいお話がございましたが、そのように詳しく御存じであるならば、お聞かせ願えればそれから調査いたします。
#127
○志賀(義)委員 私は、公安調査庁にも協力いたしかねるし、警察にも、今まで協力してろくな結果になったことがないのですから、協力いたしかねるのです。しかし、私の方から、とにかくこれは調べて下さいよといった写真もあるのですから、一つお調べになったらどうでしょうか。大体警察よくないですよ。内外ニュース社小川哲雄という名前を出しております。これは世田谷の人です。その御本人のところに週刊雑誌の記者が行って聞きましたところ、寝耳に水なんです。全然知らない。これはあとでまた申し上げます。そういうケースもあります。先ほどの警察大学のこともあります。私の方から一つお願いしますよ。私の今まで調べたところでは、どうもこれは警察らしい。というのは、関東興信所なんというものは実はなくて、東京港区麻布笄町百三番地井上徳隆、奥さんの名前は井上道子、電話は(四〇八)四六〇一です。この電話を使っております。ここをお調べ下さい。その渡辺道夫というのはどういう人物であるか、ここを調べて下さい。
#128
○三輪説明員 お言葉でございますけれども、警察がけしからぬ、警察だということがおわかりでございましたら、それをお聞かせいただけたら、その所属を調べるのでございます。それから、そうでない者がどういう名前でどこにいるということについて、犯罪に関係ありませんことを、警察が国会に対してお調べをいたして御報告するというのはいかがなものであろうかと思います。
#129
○志賀(義)委員 これはおかしなことを言われるものですね。この渡辺道夫という者が共産党まで調べるのをあなた方はわかっていたわけですね。それはそれでいい。そしてこういう関東興信所という架空なものを警察官が使って――今言ったここですよ。ここを連絡場所に使ってやられる、これは一体どういうことですか。
#130
○三輪説明員 お言葉の中で、警察官がそこを使ってということでございますから、警察官と御理解になったものとの具体的な事情をお聞かせ下されば、それによって御調査申し上げます。
#131
○志賀(義)委員 この井上という人を調べていただきたいということが一つと、それからもう一つ、この井上という人は三十六年六月一日に神奈川県大和市上草柳四百十九から今の麻布笄町百三番地に転入しております。そうしますと、この渡辺道夫という人物は、前々からこういう神奈川県から転入してきた人と関係があるのではなかろうか、こういうことが言えるのであります。そうしますと、警察と言うことはとあなたは言われましたが、私の方で補充いたしておきましょう。どうも警察と思われる。私の方からこういうふうに言っても、思うだけではだめだ、証拠を持ってこい、それでなければ調べられない、これは調べないんだ。今二つの、テレビで申さばヒント、二つのヒントまで申し上げましたが、これでもあなたの方は調べないのだとおっしゃいますか。
#132
○三輪説明員 警察に協力しないという御前提のようでございますけれども、ただいまのは、調べるとすれば志賀先生の御要求によって調べるのでございますから、そこでお手持の材料を下さることが調査を早からしめるゆえんだと思います。
#133
○志賀(義)委員 これは大体共産党にスパイに来た人間ですね、スパイされる相手に協力しろとは、これはあつかましい言い方だな、それに対して戦っているわれわれから二つのヒントで、こういう人物がいますよ、どうもこれはわれわれから見て警察らしい。それならあなたの方で、じゃ一つ調べてみましょうということは言ってもらえないのですか。調べてみて、とらえてみればわが子なりじゃ困るからやれないということなんですか。
#134
○三輪説明員 警察官だとおきめになりますけれども、警察らしいというお考えだけでございますので、警察として責任を持ってお調べいたしましょうというお答えをいたさないのでございます。共産党を調べたから警察であろう、そういう材料を全部出せとおっしゃっていただきましても、実は私どもの方で困るのでありまして、警察とおきめになったその男はこういう者だということがお手元にあるのでございましょうから、それを下さるならば調べが早かろう、こういうことを申し上げておるのであります。
#135
○志賀(義)委員 私は、さっき菅生事件の戸高公徳のことを申し上げましたけれども、そのときにも、あなた方の前任者は知らぬ、存ぜぬ、何か資料がありましたら、こういうことを言われたのです。そっくりだ、あなたの言われるのと。そうして最後に警察の面目まるつぶれのところまでいかないと、そのときになると、あれは何というのか、居直るというのか、けつをまくるというのか、やむを得ないから認めておるのですね、今のうちに少し調べられたらどうでしょう。ヒントは私が二つほど出しておいたから。これが警察であるかないか、どうしてもあなたはいやだとおっしゃるのでしょうか。
#136
○三輪説明員 いやだということを申し上げておるわけではございません。ただ国会でお尋ねになって、警察として調べろということでございますから、これは警察の者だとおきめになる材料がおありで、その材料をいただいて、警察という前提で、警察が組織として調べよということでございますならば、これはお答えいたすわけでございますけれども、どうも警察と思われることがあるのでお前の方で調べろということでございますので、二つのヒントと申しましても、実は警察でない他人のことでございますならば、私ども調べる限りでございませんので、そういう意味で、ここで私、政府として責任を持ってお答えすることをお約束するのはいかがかと思うわけでございます。
#137
○志賀(義)委員 これが善良な市民である場合には、共産党からあなた方に調べて下さいと申すわけではありません。そこがまだはっきりわからないのです。これが警察だったらあなた方も困るでしょう。だから、これは警察でない者を調べろという意味ではないのです。私は警察官でないと断定しない。また、今の段階では、これこれの証拠をあげて警察官だとまだ断定しません。ただ二つほど協力しましたから、あなたは協力しない協力しないと言って、それをいいことにして逃げられるようだけれども、二つほど協力しましたから、その協力の範囲で、この人物がだれであるか一つ調べていただけませんか、どうでしょう。これは神奈川県から転入した人のところを使っておりますから、ひょっとすると東京の警視庁の人でないかもしれない。近県の人かもしれない。そうなれば警視総監に調べて下さいと言ったって、あるいはうまくいかないかもしれない。ましてこれが他県から入ってきた人なら、警視庁も繩張りを荒らされたことになって、ますますまずいことになるでしょう。そこは全国の警察を統括される警察庁の方で、今二つほど協力しましたから、それに従って――これがもし警察官でないのに私どもで警察だと推定したりしたのでは、あなた方も心外でしょうから、その疑いを晴らすというか、そういう嫌疑を除くというか、そういう意味でも一つ調べていただけませんか。
#138
○三輪説明員 ただいまお話のございました二つの点について、警察として、井上という人の御協力をいただけるものであるならば調査をいたします。
#139
○志賀(義)委員 警察の方では、スパイ活動を職権行為とお考えなのか、職権行為でない職務行為だからやっていいというふうにお考えなのか、そういう点はどうでございましょう。最後の質問ですが。
#140
○三輪説明員 職権行為、職務行為ということでございますが、いわゆる権限を行使して強制力を持ち得るという意味で職権行為ということでございますならば、これは事実行為でございますので、職務行為に入ろうかと思います。
#141
○志賀(義)委員 先ほど公安調査庁の関さんに質問のときに、警察法第二条の犯罪の予防ということを申しましたけれども、この予防についても第二項には厳格な規定がございますね。それが遺憾ながら共産党に対しては今まで法外なことが行なわれております。共産党だけでない、ほかの事例もたくさんあるのでございますけれども、きょう質問いたしましたのは、あなた方に調査をしていただきまして、その上でまた、犯罪の予防を口実に警察があまり越権行為をなさらないように予防する意味もあってきょうあらかじめお尋ねしておくのであります。どうも一人の警察と思われる人と、それからこれは公安調査官であるとばれたものだから、関さんだいぶ居直って、事実は認めておられるようだけれども、どうしてそんなに競争されるのか、少しおかしいですよ。
 そこで最後に伺いたいのですが、まず警察からですが、三十八年度予算概算要求を出されていますが、警備警察予算要求は幾らでありましょうか。前年度は幾らであって、そのうちの特に情報活動費は幾らか、前年度は幾らか、そういう点、もしおわかりでございましたら伺いたいと思います。
#142
○三輪説明員 正確な資料を持って参りませんが、本年度の予算で警備警察の予算というものは、ほぼ二十億であります。来年度の要求は、たしかこれに五億かふえて要求していると思います。この中でいわゆる集団不法行為の捜査費というものが五億四千万ほどありますけれども、これによっていわゆる犯罪の捜査の場合、それから今の犯罪予防につきまして必要な情報収集、そういうことに使うわけでございます。
#143
○志賀(義)委員 いずれ予算の問題等については、もう少し立ち入って伺うことになると思いますけれども、どうもやはり共産党関係その他で情報活動費が変に使われているなにがあると思います。
 今から二年前に、私、臨時国会で島根県警のことについて伺いまして、長官とあなたから御答弁をいただままして、あと責任をもって処理するというようなお話でございましたが、あの結末はまだ一度も公式に伺ったことはございませんが、どういうふうになりましたでしょうか。
#144
○三輪説明員 あの問題につきまして調査をいたしましたけれども、法的な問題としては別に違法ということはございませんが、若干課の経費というようなものと経費の入れ繰りがあったりしたことにつきまして、厳重な注意をそれぞれ係にいたしたわけでございます。
#145
○志賀(義)委員 厳重な注意だけで、何か係官の身分上でどうこうということはございませんか。
#146
○三輪説明員 係官の身分上の問題といたしましては、警備課長が退職をいたしております。
#147
○志賀(義)委員 そういうこともありますし、私どもはただ架空なことで質問はいたさない、単に推定に終わるようなことでは質問はいたさない。その係官を島根県警の方で処分をなさいましたが、警察庁の方で、二重の帳簿を作っておきなさい、検査を受けたときに言いのがれができるように、完全な明細な帳簿を警察に置くなとか、または手紙で問い合わせて露骨に書いてくるのは因りますとかいうようなことを言った人たちには何も処分はなかったのでありますか。
#148
○三輪説明員 処分はなかったと思います。
#149
○志賀(義)委員 困りますね。いつでも何かのっぴきならぬところで暴露されると、下の者が貧乏くじを引いて、上の人がそれで済ませるということでは因ります。
 次に公安調査庁のことについて伺いますが、公安調査庁の概算要求についてであります。調査活動費、その概算要求は幾らか、本年度は幾らか。それからなお増員が要求されておりますが、増員の要求の内容と、その理由について伺いたいと思います。
#150
○関説明員 予算のデータを持ってきておりませんから、正確なところはあるいは違ったことになるかと思いますが、記憶に基づいて申し上げたいと思います。
 予算の概算はたしか本年度が十六億ほどでありまして、三十八年度の概算要求が二十億前後のものに相なるかと思います。
 調査活動費の問題でございますが、今年度が五億六千万円でありまして、これがたしか七億円前後に増加して概算要求をいたしておるわけであります。増員の点は、たしか四十人ほどの増員をお願いしようと思います。これは調査官が若干と、給仕とか、庁婦とかあるいは守衛というようなものを含めて全体で四十人ほどの要求をいたしておるかと思います。
#151
○志賀(義)委員 法務省の資料によりますと、破壊活動調査機能の充実強化という項があります。そこに秘密防衛体制の確立破壊団体の組織、構成員、活動等の調査徹底、こういうふうになっております。もう一つは、国際共産主義の実態の解明となっているのでありますが、どうでしょうか。第一、こういうふうに三億円近く予算がふえるのでありますが、大臣、これは小うたを習う費用なんかも、もう少しかかるのですか。
#152
○中垣国務大臣 調査がだんだん複雑な要素が拡大しておりますので、従って調査費もやはりふえていくと思います。
#153
○志賀(義)委員 法務大臣、また小うたの費用か何かよけいなことに使われて、共産党にしっぽをつかまれますよ。ここはそういう役所なんだから。花火を見に行ったり……。破壊活動防止法には、秘密防衛体制の確立とか、破壊団体の、そういうおそれのある団体の組織、構成員、活動などの調査徹底、そんなことはちっとも規定してないのです。これが今度の概算要求で、しかも予算を増額する要求に出ているのです。法律にないことで予算の増額を要求される、予算を要求されたのでは困るのです。これはどういうことでしょう。破壊活動防止法のどこを読んでもこういうことを書いてありません。
#154
○中垣国務大臣 調査の対象が少し国際的な共産党等の活動に対しても調査をする必要がある、こういう観点からこういう予算の要求をされたものと思います。
#155
○志賀(義)委員 それは大臣、ちょっとまずいんじゃありませんか。というのは、国際共産主義の実態の解明というようなことになりますと、そして今非常に調査が複雑になるとおっしゃったこととあわせますと、法務大臣として政府がこういう方針をとるんだと明言されるのか。明言されますと、これは外交上重大な問題にもなりますがね。その点は少し言い方を改められた方がいいんじゃありませんか。後日外務委員会なんかへあなたまた出ていかなければならなくなると困りますよ。
#156
○中垣国務大臣 国際共産主義の動向を調査するということ、それは別にそこの国が共産主義政府であるとか、そういう機構の上になっておるとかいう個々の国を対象にして、それを調べようとしておるのではなくて、国際共産主義という、いわゆる祖国のない一つのものがあるわけです。一国の主権に支配されないような団体です。あなたも御承知の通りなんです。
#157
○志賀(義)委員 そんなものがありますか。
#158
○中垣国務大臣 ありますよ。国際共産主義というのはそういうものなんです。ですから、別にこの調査費をもって中共の国を調べようとか、ソビエトを調べようとか、そういう考え方には立っていないわけです。これはどこまでも国際的なそういう共産主義の動向についてそれを調べたい、こういうことなんです。ですから外交的にどうのこうのという問題はないと思います。
#159
○志賀(義)委員 今、その国際共産主義というものはないのです。法務大臣。そうすると、これはドン・キホーテみたいに、ないものに予算を使って、馬を買ったり何かすることになる。そういうものは持たないということになったのですよ。だから、これは記録に残りますと、あなた外務委員会その他でまたいじめられますよ。そんなものはないのですから、ないもので予算を増額要求されるということになると、これは見当違いだ。あなたの今おっしゃるのだって、中国共産党だとか、中華人民共和国の政府だとか、こういうところを調べるのではないのだ。それとは別の国際共産主義というものがある、それを調べる。それがないとなると、これはどういうことを調べるということになるのですか。だから、これは取り消された方がいいですね。
#160
○中垣国務大臣 たとえば中共の国を調べるとか、あるいはソビエトの国家を調べるとか、そういうことじゃなくて、やはり共産党の国際的な動向については十分知っておいた方がいいという観点に立っているので、別に矛盾もなければ何もないと思います。そういう団体の名前、国際共産主義何とかかんとかという名前があるとかなんとかいうのじゃなくて、各国の共産党が国際的にどんな動きを展開しておるのか、そういうことを知るということは私は非常に必要なことだ、こう思うのです。
#161
○志賀(義)委員 だいぶ言いかえられましたが、予算要求の根拠がすこぶるあいまいです。これは中垣さんより、関さんの方の公安調査庁の方から要求が出たんでしょうが、今のお話を伺っても、すこぶるあいまいなものでこういう何億という概算要求をして、金を出されると、それをいいことにしてろくでもないことをこの役所はするのだ。今までの具体的な事実がそうなんですよ。あんた、公安調査庁にいたされますよ。ですからそういうことのないように十分御注意を願いたいと思います。
 なお、ただいまのところの情報活動その他のことについて、もっと伺わなければなりませんが、自余のところはこの次の機会に伺うことにしまして、これで終わります。
#162
○林委員長代理 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時四十三分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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