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1947/10/03 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 文化委員会 第10号
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1947/10/03 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 文化委員会 第10号

#1
第001回国会 文化委員会 第10号
昭和二十二年十月三日(金曜日)
    午前十時三十五分開議
 出席委員
   委員長 福田 繁芳君
   理事 佐藤觀次郎君 理事 最上 英子君
   理事 鈴木里一郎君
      猪俣 浩三君    太田 典禮君
      榊原 千代君    馬場 秀夫君
      森山 武彦君    高橋 長治君
      並木 芳雄君    平澤 長吉君
      奥村 竹三君    佐々木盛雄君
      竹尾  弌君    山名 義芳君
 出席政府委員
        文部事務官   稻田 清助君
 委員外の出席者
        議     員 近藤 鶴代君
        文部事務官   釘本 久春君
        專門調査員   武藤 智雄君
    ―――――――――――――
十月二日
 觀光審議會設置の請願(高瀬傳君紹介)(第七
 二八號)
 日本觀光新聞に用紙割當の請願(馬場秀夫君紹
 介)(第七七一號)
の審議を本委員會に付託された。
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 國語國字問題の研究機關設置に關する請願(星
 島二郎君外一名提出)(第二八〇號)
 國語審議會決定當用漢字別表及び音訓表に關し
 て政府委員より説明聽取の件
    ―――――――――――――
#2
○福田委員長 これより會議を開きます。
 會議を開くにあたりまして、一言委員諸君に御了承を得たいことがございます。過日委員會におきまして、田口助太郎君から、興行料金値上げに關する御質問があつたのでございまするが、早速委員長といたしまして、政府委員と打合せいたして、本日この委員會の劈頭、何分の報告をしてもらいたいということになつておりましたが、政府委員の都合がありますので、次會、言いかえれば七日の委員會に參りまして、田口君の御質問にお答えすることになつておりますから、この點御了承を得たいと存じます。
 本日は國語國字問題の研究機關設置に關する請願の審査に關連いたしまして、このたび國語審議會において決定になりました當用漢字別表及び音訓表について、文部當局より詳細な説明を聽取することになつております。ちようど今、國語國字問題研究機關設置の請願に關して、過日安倍能成君から、ほんの概略の説明を聽いたのでありまするが、紹介議員になつておりまする近藤鶴代君の方から、ぜひ紹介議員の責任を果してこの内容を詳細に委員諸君に申し上げたいというので參つて發言を求められておりまするから、これを許したいと思いまするが、諸君、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○福田委員長 それでは紹介議員近藤鶴代君にお願いいたします。
#4
○近藤鶴代君 國語國字問題の研究機關設置に關する請願は、請願者東京都豐島區目白一丁目學習院安倍能成ほか五名、紹介議員星島二郎氏と私でございます。ただいま委員長からお話がございましたように、すでに安倍能成氏の方から詳しいお話がございましたので、私からは、ただ紹介議員としての責任上、一言申し上げたいと思います。要旨はすでに印刷して皆樣方に一應お目にかけてあるはずでございますので、私の考えを一言だけ申し述べたいと存じます。
 わが國の國字國語が、あまりにも複雜難解、多種多樣でございますために、教育上から申しましても、また一般の國民生活の上から申しましても、非常に不必要な能力の消耗を來し、あらゆる部面に進展性を殺いでまいつているように存じます。この點につきましては、私からくどくど申し上げる必要もない、すでに皆樣方十分御承知のことと存じます。從いまして、この問題を解決いたしますために、國語國字の研究機關を設けまして、教育上の效果も大いにあげ、また日本が文化國家といたしまして再建いたします上の近道とも相なりますようにとの念願をもちますので、この請願を御採擇の上、できるだけ速やかにこれの實施に御協力いただきたいことをお願い申し上げて、紹介の責任を果したいと存じます。
#5
○福田委員長 それでは、ただいま請願紹介議員の趣旨辯明がありましたので、それに關連するところの、このたび國語審議會において決定になつた當用漢字別表及び音訓表が諸君のお手元に配付してあります。これに關連して教科書局長稻田政府委員が出席いたし、かつまた教科書局國語課長釘本説明員の兩君が出席されておりますから、一應兩君からこの兩件に關連しての御説明を聽きたいと思います。稻田政府委員。
#6
○稻田政府委員 ただいま委員長からお話がありましたように、お手元に御配布申し上げておりまする當用漢字音訓表、及び當用漢字別表につきまして、概略の御説明を申し上げたいと存じます。
 先月二十九日、國語審議會總會におきましては、當用漢字音訓表及び當用漢字別表を議題として審議いたしまして、これを決定いたしたのであります。申すまでもなく漢字制限の問題につきましては、昨年十二月の同國語審議會の總會において、當用漢字表が議決され、ついで内閣訓令等をもつて實施の運びになりまして、漸次官廳公用文、教科書、新聞等にだんだん實行されておるのでありますが、昨年の當用漢字表は、單に字數を制限したばかりものでありまして、漢字制限の仕事をさらに歩を進めて徹底するためには、漢字の亂雜な使い方を整理することが必要なのでありまして、それには漢字の讀み方すなわち音あるいは訓の整理をいたしまして、ある程度の制限をこれに加えまして、漢字の使用をなるべく合理的に能率的にすることが必要なのであります。そこでこの音訓整理という仕事に著手いたしたのでありますが、音訓の整理にあたりましては、一つ漢字には一音一訓――一つの音、一つの讀み、あるいはそのいずれか一つを採用することが理想的なのでありますが、現代の言語生活を考えますると、必ずしもこの方針を全面的に徹底することが困難であるのでありまして、そこにある程度のゆとりを認めざるを得ないのであります。あるものにつきましては二音三音を認め、あるいは三訓四訓を認めたものもあるわけであります。この音訓整理表は當用漢字表の趣旨と同樣でありまして、あくまでも當座の用に役立つことをめやすといたして選ばれたのであります。あまり整理に急でありますると、かえつて實際に行いにくいというような點も考えまして、理想と現實の兩面から考えまして決定されたものであります。この程度の音と訓がありますれば、日常普通の文章を書く上においてはままず不便がないだろうというよう考えで制定せられたものであるのであります。
 次にもう一つ差上げておりまする當用漢字別表でございます。これはかりに名づけますれば義務教育用漢字表とでも申しまするか、つまりこれは當用漢字のうちで義務教育の課程のうちに讀めもし、書けもしなければならないという字を選び出そうという目的のもとに選定されたものでありまして、總字數八百八十一字に相なつております。この表の漢字は、ただいま申しましたように讀み書きともに義務教育課程において修得せしむることを目的といたしておるのでありまして、今後國語の教科書等におきましては、そういう範圍のうちに編修せられることになり、また實際教育の上におきまして、そういう目的をもつて教育せられることに相なろうと思うのであります。しかしながらこのほかにも當用漢字表の範圍内で教科書に出てくる字が相冨多いと思います。これは單に讀める程度に修得せられればいいというような意味をもつわけであります。義務教育用漢字表にあるものは、讀めもし、書けもするということで教える。それ以外の、當用漢字中、教科書に出てきたり、あるいは學校で教えるものは、一應讀めればよろしい。實際社會に出ました上に、その程度讀めれば不自由がなかろうというような程度のものを考えておるわけであります。今後一般の御協力を得ましてだんだんと國字改良の方角が進んでまいりますれば、昨年の當用漢字に掲げらたました字數も、さらに制限せられてくることと考えられます。從いましてその結果といたしましては、當用漢字表と、ただいまお目にかけました別表との隔たりは、將來ますます縮まつてまいるべきものであると考えておるわけであります。なおこの漢字の制限につきましては、もつと根本的に言葉という方面からも考えることが必要なので、漢語整理というような點についても目下いろいろ研究等を進めておる次第でございます。
 以上お手もとに差上げました當用漢字音訓表及び當用漢字別表の大體の性質を御説明申し上げたわけであります。詳細な點につきましては、いろいろ御質問に應じまして申し上げたいと考えております。當用漢字音訓表につきましては、大體に今申し上げたような趣旨でありますが、當用漢字千八百五十字をなるべく合理的に能率的に使いますために、字音と字訓とを整理しようという趣旨でいたしたものであります。先ほども申しましたように、實際の社會生活ということを始終頭におきまして、まずこの程度あれば不便がなかろう、能率的に文字生活をなし得るというようなめやすからいたしたわけであります。字音の整理という問題につきましては、御承知のごとく漢音とか呉音とか、唐音とかいろいろな讀み方ないし慣用音等がありますけれども、そういうことにとらわれないで、現代生活において、現代語においてしばしば使われる、きわめて普通のものを選び出そうというような意味でもつてまいりましたわけであります。從いまして、漢語の中には、かな書きにしにくいものが相當あるのでありまして、字音の方では思い切つた整理をすることがむずかしい點もあつたのであります。從つて字訓に比べては相當ゆるやかになつておる感があるわけであります。
 次に字訓につきましては、やはり同じ見地からいたしまして、今、世の中に廣く行われておるものをとつてまいつたわけであります。かな書きにして差支えないものが、字訓の面においては相當多いと考えられましたので、思い切つて整理をいたしてまいつたのであります。古訓――古い讀み方等も、たいてい捨ててまいつたので、いわゆる異字音訓の整理、違つた字に同じ讀みがあるというような整理につきましては、かなり徹底的に行つたわけであります。たとえば「みる」という字につきましても、いろいろ字があります。それを一つにしたというようなことであります。ただ、たとえば「生れる」という字、「生きる」という字のようなものは、現在社會生活の必要から見まして、こういういわゆる同字異訓という面の整理につきましては、必ずしも徹底することができなかつたというような結果に相なつております。
 なおこの表の注意書にもありますように、たとえば自動詞で出ているものは他動詞にも使える。逆もその通りで、形容詞で出ているものは動詞にも使える。あるいは形容動詞を動詞にも使える。その逆というふうに、多少ここは一つの型をなしておるわけでありますので、その邊の融通はつくように相なつておるわけであります。
 それから義務教育用の漢字の問題につきましては、先ほど申しましたように、一通り讀み書きをするということで、學校を出て不自由のないようにという見透しをつけまして選び出したものであります。かながきにして都合の惡い字で、熟語をつくる力がなるべく多いものをここに選び出してきたわけであります。つまり能率的な字を拾い上げようという氣持ちで出してまいつたわけであります。今日までの使用状況の多いか、少いかということが、重要な參考になつたことは、もちろんでありますが、國語の民主化という精神から考えまして、用字法上の將來にかけての理想を考えて、當用漢字表でかながきにすることを原則としている考えに立脚いたしまして、さらに當用漢字表のときよりも一歩進めていろいろ考えたわけであります。
 なおこれまで一般にむづかしすぎると考えておりました科學用語、あるいは農業その他の産業に關しまする用語等はなるべくはかながきにする、あるいは日常語に近い言葉でわかる言葉に改めたいという點から考慮いたしたわけであります。一般にまたその字畫だとか、あるいは音訓の意味のむづかしいものは、教育用漢字からは省いてまいつたわけであります。大體そういうふうの趣旨でこの要綱ができている次第であります。
#7
○福田委員長 稻田政府委員にちよつと申し上げますが、今の當用漢字別表及び音訓表に對する御説明はわかりました。いずれ引續いて委員諸君から御質疑があると存じますが、それに臨むに先だつて、本日の請願に國語國字問題の研究機關を設置してくれ、こういうのが出ておるのだが、これに關して教科書局長として何かお考えがあれば、漏らしてもらえば、本請願審査に非常に本委員會として役立つと思うのであります。その點お伺いいたします。
#8
○稻田政府委員 國語國字の改良の問題につきましては、文部省といたしましても、非常に重要であり、かつ緊急の問題と考えております。先ほど紹介議員のお話にもありましたように、教育學習上の負擔を輕減すること、これは教育上の急務であります。それからまた文化國家の建設、民主國家の發展という面からいたしまして、ぜひとも國語國字の改良に大きな歩を進めていきたい。それについて先ほどもうしましたように、すでに國語審議會においても著々審議され、その結果を發表しておられますけれども、なおわれわれといたしましては、その根底において十分な實力をもつ研究機關の設置が必要であると考えておるわけであります。つきましては、ちようど明年度の豫算を作成いたします時期でありますので、文部省といたしましては、明年度豫算に國語研究所を國費ともつて建設しようという計畫をもちまして、目下財政當局の方に提出、折衝を始めておるような次第でございます。ただいま御請願の趣旨と、まつたく一致するものとして、私どもは努力いたしてまいりたいと考えております。
#9
○福田委員長 諸君の質問を許します。御質問ございませんか。
#10
○猪俣委員 この當用漢字の音訓表及び別表であります。
 義務教育上に使う漢字だけを別表に載せたということでありますけれども、その義務教育というのは、新制中學校までを含めたものでありますか、あるいは小學校だけのものでありますか。
#11
○稻田政府委員 義務教育は九箇年と考えております。
#12
○猪俣委員 そうすると新制中學卒業まで、こういうように制限されたわけでありますが、それと普通使われる漢字との間に、たいへんな字數の差異があるのでありまして、これは八百八十一字片方は千八百五十字ということである。これは文部省でいわゆる中學三年までのものとして選定された字までに、普通われわれの使う字を制限することは一體いけないことであるか。それをやるとすると、何か非常に都合の惡いことが起るのであろうか。かように千八百五十字使われているのに、義務教育で中學三年までやつて八百八十一字、ここにギヤツプがあるようでありますが、その邊をお伺いいたしたいと思います。
#13
○稻田政府委員 當用漢字選定の場合におきましても、もつと急進的に、もつと徹底的にという論もあつたのでありますが、やはり一般の言語生活、社會生活というような點から考えまして、「當用」とそこにかむらせました趣旨のごとく、さしあたりはまず千八百五十字ということで出發いたしたわけであります。この點につきましては、すでにいろいろ新聞、雜誌、その他各方面で御協力願いまして、だんだんと徹底してまいつておりますが、さらにもつとその歩を進めて、一般の社會において御協力願うことになれば、千八百五十字はどんどん縮少してまいりたい、こう考えておるわけであります。お話のごとく義務教育用漢字をここで八百八十一字といたしました場合は、その點相當開きがあるのでありますが、義務教育用漢字と申しますのは、まあ今日義務教育課程にはいつた者が、卒業した以後において社會生活をやるのに、まずこの程度なればという先の見透しとをもつて始めたわけでありまして、それまでの年月の間におきましては、一面當用漢字の方も相當縮小してまいることだと思つております。從いましてこの兩者の幅はだんだんと縮まつてまいる。またわれわれといたしましても、一般社會の方面の御協力も願いつつ、この兩者の幅を縮めていきたい、こういうような趣旨で選ばれたわけであります。なお義務教育用漢字は、先ほど申しましたように、讀むこともできるし書くこともできる。この兩面を必要とする漢字でありまして、それ以外の當用漢字全部必要とは考えられないのであります。すでに當用漢字制定以來、實際の使用を今、調査いたしておりますが、千八百五十字まで、あるいは使つていないような状況だと思います。實際の必要上、讀めればよいというような字は、義務教育課程において出していきたいと考えております。
#14
○竹尾委員 ちよつと稻田政府委員にお尋ね申し上げます。ただいまの御説明によりますと、漢字を制限したという趣旨は、日本語が非常に複雜であつて、現在の要求のために非常に複雜化している。こういうことで當座の用に役立つために、便宜主義を主として、こういう制限をされた、こういう御説明のように承つておりますが、大體國語審査會あたりの國字改良の方向は、そういう方向をもつて進んでおられるのかどうか。われわれの考えによりますと、現在の日本語は、ある意味において讀み方や何かにおいて非常に複雜だとは言えますけれども、その内容に至つてはボキヤブラリーが非常に貧弱である。世界語の國語といたしましても、日本語は語彙において非常に貧弱である。たとえば、漢字で言い表わすと、「よろこばしい」とか「ただしい」とかそういう語は日本語では一語しかない。これを外國語で言うと、「よろこばしい」という表現にしても、たくさんございます。そういう貧弱な日本語のもつ言葉の内容を同字訓あるいは、その他の方法によつて辛うじて補つてきたというようにわれわれは考えておりますので、もしこれを便宜主義を主として、徹底的な便宜主義の方向に基く整理をいたすと、さなきだに貧弱なる日本語が、ますます語彙のもつ内容を貧弱ならしめるのでないか。日本はことだまの榮える國といいますけれども、決してことだまは榮えておらぬと考えておりますので、少しこれは大きな問題のなりましようが、國字改良の方向が、ただ單に便宜主義に立つものであるかどうかというような點を、ひとつお尋ね申上げると同時に、われわれの要求といたしましては、要するに文化生活をゆたかならしめるためには、半面國語の内容を豐富ならしめなくちやならぬと考えますので、その點についてひとつ御答辯を願いたい。
#15
○稻田政府委員 ただいまの御質問の點、まことにごもつともと考えております。國語、國字の改良の問題が、單に便宜主義という立脚點にのみ立つべきものでないということは、私どもまつたく御同感であります。一面において、そうした面も十分考えてまいらなければならないのでありますが、歴史的に、また將來の日本文化の發展を見透しまして、言語文化というような、廣い面から考えまして、改良の問題を考えていかなければならぬ。お話のごとく根本的には語彙の問題があり、それに立脚いたしまして、こうした漢字の整理、あるいは進んで音訓の整理というような面に發達すべきものであるのでありますが、さしあたりこうした漢字の整理という面からはいつてまいりまして、それの發展として、今日、音訓整理、あるいは義務教育用漢字という方に進んでまいつたのであります。もつと根底的に基本的語彙の問題、あるいは文法の問題、あるいはそのほか國語國字の各方面について、さらに檢討し思案してまいらなければならないと考えられるのでありまして、そのために私どもといたしましては、ここに國語研究所のようなものが必要と考えられてまいるわけであります。
#16
○馬場委員 二つお尋ねします。國語國字の問題について、研究機關が今までなかつたので、これをつくれという請願の趣旨に對しては、私は今までなかつたということにおいて贊成したいと思う。ただ國語審議會との關連はどうなるのか、國語審議會は、今まで何をしておつたのかということと、それかあらくまでこれは研究機關であるとするならば、研究した結果の實施機關――要はわれわれ今までわからぬ字がたくさん出てきて非常に困りますが、今後新しい日本を背負つて立つ若い人に、もう少し簡易な、子供でも大人でも同じ字で最後まで共通するような國語というものが欲しいのじやないか。外國語の新聞を讀んでおりますと、子供でも大人でも同じものを讀んでいける。日本の新聞は、なかなかさよう簡單にはいかないのでこれを何とか早く、若い時からわかるようにしたいというのが趣旨ならば、實施しなければ問題にならない。漢字制限も、きめるだけきめておいて、いよいよきめられたからそれだけ覺えればいいかと思つておると、至るところむずかしい字が殘されておる。わけがわからない。この公報を見ておつても、漢字制限外の字がたくさん出てきておつてわからぬ。かようなことでは、いつまでいつても徹底しないと思う。從つて實施權と申しますか、そういうむずかしい活字は全部つぶしてしまうというところまでいかないと、徹底しないと思う。從つて研究機關と實施機關とどういうことになつておるか、研究はあくまでしておるだけでずつといつてしまう、實行の方はどういうように實行していくか、この關連について伺いたい。
#17
○稻田政府委員 先ほどの議員の御提出の國語研究所の方につきましては、私よく承知いたしませぬ。先ほど御説明申し上げました、文部省において今日まで考えておりまする國語研究所の機能について申し上げますると、國語研究所の方は、やはり名前のごとく研究機關でございまして、いろいろな調査をし、いろいろ資料を集めて、その基礎においてやはり將來も現在の審議會を繼續するか、あるいは新たに構成されて、私の見込みといたしましては、新しい方法をもつて、廣く各方面から民主的な方法をもつて選出された委員をもつて構成される委員會ができると思います。そういう委員會が審議決定する。その審議決定いたしたことを政府當局が、あるいは國會と御相談申し上げたり、あるいはまたごく輕微なことはそこまで及ばずして實行に移すということになるだろうと考えております。大體こういうことを從來も審議會においていろいろ審議決定いたしてまいつたのでありますが、その結果、たとえば昨年の漢字制限の問題につきましては、引續き閣議決定をし、内閣訓令をもつて官廳部内においてはただちにこれを實施する、さらに一般社會の御協力を願つておるかつこうになつてまいつたのであります。その後官廳方面におきまして、公文用語の手引等をつくりまして、極力これの徹底に努めておるわけであります。一面、新聞その他一般の方面におきましては、著著と御協力を願つておる、必ずしも法規をもつて縛らずとも、そういう面について御協力を願つていき得るのでないか、そういうように考えております。
#18
○福田委員長 紹介議員近藤鶴代君に申し上げますが、この請願に關連して、稻田政府委員に御質問があれば、これを許します。
#19
○近藤鶴代君 ただいま御質問のございましたように、私どもも、研究機關を設置していただくというだけでなくて、研究機關は、同時にやはり強力な實行力をもつものであるということをお願い申し上げたいと思います。
#20
○稻田政府委員 先ほど申しました研究所と、それから審議機關である委員會というものは、私は一つの關連をもつて機能を發揮し得るものでないかと思うのであります。自然、やはり研究所には所屬の所員もございましようけれども、また外部の多くの御協力も願うと思いますけれども、いろいろ研究調査いたしたものをやはり審議決定する機關が要るのでないか。おそらくお考えとしてそれをないと言われるのと、私の方で結果において一つというのと同じかもしれませんけれども、委員會はやはり委員會としてやることが必要じやないと考えております。
#21
○佐藤(觀)委員 すでに國語國字問題の研究機關設置に關しましては、もう三度も委員會をやつておりますし、いろいろ御説明がありましたので、大體議論も盡きたいと思いますし、文部省にも、こういう案があるそうでありますから、これはぜひ採擇して、あとの議事に移りたいと思います。動議を提出いたします。
#22
○福田委員長 ただいま佐藤君の出された動議に關連して、委員長からも一言諸君に申し上げます。本問題に對しては、佐藤君が言われたことく、三囘にわたつて委員會を繼續し、なおこれに關連したことに對しては各政府委員を招致いたして、十分意見も聽くことができたし、殊に本案に關連して、前の委員會には文部次官も來られて、詳細に御答辯があつたので、委員長といたしましては今の佐藤君の動議を容れたいと思いますが、諸君いかがでしよう。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#23
○馬場委員 ちよつと關連して一言いたしたい。この請願と、ほかに、文部當局の方で、文部省豫算内で研究機關設置という腹案があつて、この前文部次官からは豫算の説明まで受けたが、もしもその方の規模でいいというならば、それを認めるか、あるいは請願の方はもう少し規模が大きいのじやないか。少くとも國家的な見地においてこれをやつて、これに權威をもたして、これで決定したら、實際それが行えるように、要するに天下に向つて堂々と宣明され、信用される機關を目しておるのが請願の趣旨だと思うが、その關連をもう少しはつきりしておく方がいいじやないかと思います。
#24
○福田委員長 馬場君の言われるのももつともだが、どうですか、委員諸君に諮るが、いかにすればいいか。
#25
○佐藤(觀)委員 文部省の方でやられるのは、文部省の勝手でありまして、われわれが通す通さぬは、委員會がやるので、少くとも請願かいいとなれば、これを採用してその方に當ればいいと思うが、いかがですか。
#26
○竹尾委員 それに關連いたしまして動議を提出いたしたいと思います。國語國字の研究は、何囘もここで愼重に審議したようなわけで、これの必要につきましては、議論がないのであります。そこでわれわれ文化委員會といたしましても、これに呼應して、ひとつ國語國字研究に關する文化委員會内の小委員會を設けたらどうか、こういう動議を提出します。あまり小委員會がたくさんあるのでどうかと思いますが、非常に重大な問題でありますのでこの動議を提出いたします。
#27
○福田委員長 竹尾君に申し上げますが、竹尾委員が言われるごとく、この國語國字の問題は重大な問題でありますので、もとよりこの請願と切り離して小委員會をつくつて、わが文化委員會として相當檢討する必要あるかに存じますが、小委員會をつくつてどうするかとういことは、ほかの小委員會との關係もあるので、理事會に御一任願つて、理事會で檢討して、この請願と離れてやつてみたいと思いますが、いかかでしよう。
    〔「贊成」と呼ぶ者あり〕
#28
○福田委員長 それではさよういたします。
#29
○森山委員 さような取扱いをお願いするとしても、先ほどこの請願の趣旨を承りましたけれども、その機構とか、あるいは方法、時期、そういう詳細なことについて、請願者は何か持合わせがあるのでありましようか。
    〔速記中止〕
#30
○森山委員 それでは本請願者の希望というのは、文部省の案と一致しておるわけでありますか、はつきり確かめておきたい。
#31
○福田委員長 今私が朗讀いたした請願の趣旨なんですからおそらく請願の趣旨に副うと、こう見ていいじやないかと思う。
#32
○馬場委員 そうしますと文部省豫算が通ればいいということになりますね。
#33
○佐々木(盛)委員 請願の趣旨は今お讀みになつた通りでありまするし、國字國語の調査機關を速やかに設置してくれということが請願の根本であります。たまたま文部當局におきましても、これと時を同じゆうしてそういう研究所をつくるということで進まれておるわけであります。從いまして、文部省の計畫しておりまする研究所ができましたならば、請願の趣言は達成されることと思います。從つて當委員會といたしましては速やかに請願を採擇されんことを望みます。
#34
○福田委員長 では諸君にお諮りいたします。佐藤君なり佐々木君の御提案は、本請願に對しては數囘にわたつて審議が終えたので、この邊で採擇してはどうかというところに關すると思いまするが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#35
○福田委員長 しからばここで本案に對しての採決をとります。本請願を採擇いたして内閣へ送付するに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#36
○福田委員長 異議がないようでありまするからさよう決定いたします。
 では本日の委員會はこれで一應散會いたしまして、引續いて打合せ會に入ります。
    午前十一時二十三分散會
ソース: 国立国会図書館
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