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1962/08/21 第41回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第041回国会 大蔵委員会 第3号
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1962/08/21 第41回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第041回国会 大蔵委員会 第3号

#1
第041回国会 大蔵委員会 第3号
昭和三十七年八月二十一日(火曜日)
    午前十一時開議
 出席委員
   委員長 臼井 莊一君
   理事 鴨田 宗一君 理事 細田 義安君
   理事 毛利 松平君 理事 山中 貞則君
   理事 吉田 重延君 理事 有馬 輝武君
   理事 平岡忠次郎君 理事 堀  昌雄君
      安藤  覺君    足立 篤郎君
      井村 重雄君    伊藤 五郎君
      岡田 修一君    川村善八郎君
      久保田藤麿君    正示啓次郎君
      田澤 吉郎君    高見 三郎君
      濱田 幸雄君    藤井 勝志君
      古川 丈吉君    坊  秀男君
      井手 以誠君    岡  良一君
      佐藤觀次郎君    田原 春次君
      広瀬 秀吉君    藤原豊次郎君
      武藤 山治君    横山 利秋君
      春日 一幸君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 大平 正芳君
        大 蔵 大 臣 田中 角榮君
        運 輸 大 臣 綾部健太郎君
 出席政府委員
        内閣法制局長官 林  修三君
        外務事務官
        (アメリカ局
        長)      安藤 吉光君
        外務事務官
        (条約局長)  中川  融君
        大蔵政務次官  原田  憲君
        大蔵事務官
        (主計局法規課
        長)      上林 英男君
        大蔵事務官
        (理財局長)  稻益  繁君
        大蔵事務官
        (銀行局長)  大月  高君
        運輸事務官
        (海運局長)  辻  章男君
 委員外の出席者
        通商産業事務官
        (企業局次長) 高島 節男君
        通商産業事務官
        (企業局賠償特
        需室長)    池田 久直君
        日本開発銀行総
        裁       太田利三郎君
        専  門  員 抜井 光三君
    ―――――――――――――
八月二十一日
 委員安藤覺君、藤枝泉介君及び武藤山治君辞任
 につき、その補欠として中曽根康弘君、井村重
 雄君及び井手以誠君が議長の指名で委員に選任
 された。
同日
 委員井村重雄君、中曽根康弘君及び井手以誠君
 辞任につき、その補欠として藤枝泉介君、安藤
 覺君及び武藤山治君が議長の指名で委員に選任
 された。
    ―――――――――――――
八月十八日
 淡路島にいざなぎ銀行設立に関する請願(首藤
 新八君)(紹介第二一号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
八月十八日
 国有財産貸付料算定に関する陳情書(札幌市議
 会議長斎藤忠雄)(第二四号)
 在外財産補償に関する陳情書(鹿児島市山下町
 九州、山口各県議会議長会長大坪静夫)(第二
 五号)
 同(宮津市議会議長小谷徳之助)(第二六号)
 同(香川県議会議長大久保雅彦)(第二七号)
 同(関東一都九県議会議長会代表東京都議会議
 長建部順外九名)(第二八号)
 国の会計年度を暦年制に改正に関する陳情書(
 北海道斜里郡斜里町議会議長赤木寅一)(第二
 九号)
 同(北海道苫前郡初山別村議会議長岩井広吉)
 (第三〇号)
 同(北海道磯谷郡蘭越町議会議長室野弥市)(
 第三一号)
 国庫支出金の早期交付に関する陳情書(鹿児島
 市山下町九州、山口各県議会議長会長大坪静
 夫)(第一五九号)
 同(福岡市薬院堀端七丁目百二十三番地福岡県
 町村長会長柿原種雄)(第一六〇号)
 所得税法及び法人税法の改正に関する陳情書(
 鹿児島市山下町九州、山口各県議会議長会長大
 坪静夫)(第一六六号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 産業投資特別会計法の一部を改正する法律案(
 内閣提出第一号)
     ――――◇―――――
#2
○臼井委員長 これより会議を開きます。
 産業投資特別会計法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑を続けます。通告がありますので順次これを許します。井手以誠君。
#3
○井手委員 本日は産投会計について、特に財政法の立場から質問いたしたいと思いますが、その前に外務大臣に一言お伺いいたします。
 ガリオア・エロアの返済について、当時交換公文が出されておりました。その日本から返済されるガリオア・エロアの金が、東アジアの援助に向けられるという問題であります。アメリカ国内では、この資金の使途につきましては、いろいろ意見があると私は承っておりますが、このアメリカ議会の手続がどうなっておるのか、これが第一。
 第二には、大部分は東アジアの援助に使われるという、この交換公文の大部分というのはどの程度であるか。またそれが平和目的に利用されるということが規定されておりますが、平和目的というのはどういうものに限定されるのか、まずこの点をお伺いいたしたい。
#4
○大平国務大臣 今御指摘がございましたアメリカの対外援助につきましては、対外援助法を軸といたしまして、米国側におきまして計画をきめ、これを予算化することになるわけでございまして、ただいま米国政府として検討中と承っておるのでございまして、今お尋ねのような点について、どのようになって参りますのか、ただいま私どもの手元で、これを精細に把握をいたしておりません。しかし、これのアメリカ側の検討につきまして、私も十分関心を持ちまして、これをトレースして参りたいと思っております。
#5
○井手委員 アメリカ側の態度については、関心を持つというお話です。しかし、この重要な協定を結ぶときの交換公文でありますから、私は前提条件とは申しません。しかし、かなり重要性を持ったものだと思う。そういう含みがあったから、あなたの方も協定を結ばれたと思う。そうであるならば、向こうの方針がきまるのを待つことが必要ではないですか。関心を持つだけではいけませんよ。条件じゃございません。条件じゃございませんでしょうけれども、交換公文のこの規定を実行されるかどうかということが、私は大事だと思う。払う場合には、この交換公文が生かされるかどうかということが前提になると思うのです。向こうが使うのだから勝手だというわけには参りません。外務大臣、それに対する政府の方針を承っておきたい。
#6
○大平国務大臣 もとより交換公文を交換いたしました政府といたしましては、重大な関心を持つばかりでなく、本件を対象といたしまして、十分の対米協議を遂げなければならぬという心組みでおるわけでございますが、今具体的に、それがどの地域にどう配分されるかというような点につきましては、まだ先方においても検討中でございますので、今申し上げるという段階ではございません。
#7
○井手委員 重大な関心を持っておるというお言葉であります。またその点については十分協議を遂げねばならぬというあなたの御答弁でございます。が、そうでありますと、遂げねばならぬなら、アメリカのこの交換公文に基づいて行なわれるその約束が実行されるかどうか、それまでは日本側が払うということは、これは待つべきではないか。重大な関心を持っておる、協議を遂げねばならぬ。協議を遂げるという意味は、協議が行なわれないならば、この交換公文の通りでないならば、日本が払うということは、これは待たねばならぬでしょう。待つ御意思がございますか。待たねばならぬのですよ、これは。
#8
○大平国務大臣 井手委員も申された通り、これは必ずしも条件にはなっておりません。しかし、これは日米両国間の信頼の問題でございまして、私どもは交換公文をかわしました趣旨によりまして、私どもの意向、希望、そういった点につきましても先方は十分了解し、かつこれを具体化する誠意を持たれておるものと期待するわけでございまして、その細目に至るまで協議を遂げて確定しなければ、この支払いは始めるべきでないというように、これは何分両国の信頼の問題として、そのようにかたくは考えておりませんし、また考えるべきじゃないと思います。
#9
○井手委員 先般の委員会でも論議になりましたが、ライシャワー大使が、なぜ国会で承認を得なかったかという内政干渉の問題が起こされました。われわれもけしからぬと思う。日本の国会がこの法律案を通す、通さないは、これは国会の問題であります。外国の大使からそういうことを言われるいわれはない。それでは誠意の問題だとおっしゃる、信頼の問題だとおっしゃるなら、この交換公文が実行されない、信頼されないような状態であるならば、これは返済すべきではないじゃございませんか。返済を待つべきじゃございませんか。誠意を見せられてから返還すべきではございませんか。期間というものは相当ございますから、あわてて払う必要はございません。信頼の問題でありますならば、向こうが誠意を示してから初めて払うべきじゃございませんか。
#10
○大平国務大臣 あなたも指摘された通り、これはそういう意味の条件という観念ではないわけでございます。私が申し上げましたように、あくまでも両国の信頼と誠意の問題だと思います。従いまして、私どもは払うべきものは適確に払っていくという、やはり当方においても誠意を持つべきじゃないかと思うのでございます。私は、今井手委員が御懸念のような事態、アメリカが誠意がない、こちらの希望も十分取り入れられないというようなことは、考えていないわけでございます。先方も十分に誠意を持って臨んでこられると思うわけでございます。
#11
○井手委員 私は、何も根拠のないことを申しておるのじゃございません。すでにこの問題はアメリカの議会で一回拒否されたわけです。そこで私はお伺いいします。誠意と信頼の問題だとおっしゃる。この交換公文を出して、お互いの政府間に返済の協定を行なった。ところがこの協定が無視された場合、向こうに誠意が見えないのですから、そう急いで払う必要はないでございましょう。この協定が無視されて、実行されない場合でも払いますか。大事な金を払いますか。一年間に百七十八億の金を払いますか。協定が無視されても、なおかつ払いますか。
#12
○大平国務大臣 いろいろ論議になっておりました対外援助法も、八月一日大統領の署名を終わって発効いたしております。従いまして、当方の国内措置がきまりまして、この返済協定が発効するという段階になりますれば、当然対外援助法できめられたことはそのまま発効するわけでございますから、私どもは今までの経過から見まして、アメリカ側に十分の誠意があるという確信を持っておるわけでございます。
#13
○井手委員 アメリカの国会ではこの援助資金をどうしようとするのですか。日本から返還された資金を一たん国庫に入れて、そしてアメリカの予算から対外援助をしようというのじゃございませんか。日本から返ってきたものを、それをそのまま東アジアの経済援助に向けようというのじゃございますまい。そうじゃないでしょう。別個の問題でしょう。アメリカはアメリカとして独自の対外援助を考えておるのでしょう。日本から戻ったものを、東アジアであるから、近隣の問題であるから、平和目的のためにその大部分は使いましょうというこの交換公文とは違うじゃございませんか。対外援助法とは違うじゃございませんか。
#14
○大平国務大臣 対外援助法の十八条の規定によりまして、アメリカ側は所定の予算を組んで使うという建前になるわけでございます。
#15
○井手委員 それは違う。うしろの方に聞いてごらんなさい。それは違うのです。日本から戻された金を公換公文に基づいて東アジアの経済援助にやるというのじゃございませんよ。対外援助は対外援助で別でございますよ。アメリカの予算の中から対外援助をやろうというのであって、日本から戻された金を東アジアの経済援助に向けようというのじゃないのですよ。それは別個の問題でしょう、対外援助法というものは。うしろによく聞いてごらんなさい。
#16
○中川政府委員 一九六二年の対外援助法によりますと、日本から今度のガリオア協定によって支払われる金は、これをそのまま対外援助法の第一部の目的のために充てることができる、こういう規定が六百十八条として新たに加わっておるわけでございます。従いまして、アメリカとしては日本からガリオア返済金を受けますれば、それをそのまま第一部、つまり低開発国の経済援助のために使うことができる、こういう権限をアメリカの政府は与えられるわけでございます。従いまして、従来と違いまして、日本から払う金がいわばそのまま対外援助、低開発国の援助に使われる。まさしく交換公文の第一項に書いてあることがそのまま実施できる、こういう規定があるわけでございます。従いまして、大臣が申された通り、日本がガリオア協定を発効させますれば、この交換公文の第一項が生きてくるわけでございまして、当然この大部分は低開発国の経済援助に使われる、かように考えております。
#17
○井手委員 それでは、この大部分を低開発国に援助するというその内容はどうなっておりますか。それまで詳しくわかっておるならば、当然その部分も、すでに交換公文が出されてから相当の日にちが経過しておりますから、わかっておるはずだろうと思う。内容をお示し願いたい。
#18
○中川政府委員 御指摘の通り、交換公文は二つございまして、第一は大部分を低開発国の経済援助に使う。これが第一項でございます。第二項は、また別にわれわれがガリオアで払う金ということを特にこの前提としませんで、一般的に日本とアメリカ双方とも東アジアの経済開発ということが平和のために必要である。このために随時、従来もしている協議を引き続いて継続していこうということを書いておるわけでございます。従って、ガリオア支払いに伴う直接の問題といたしましては、これらの大部分を低開発国の経済援助に使うということで、いわば第一項の義務は果たされるわけでございます。しかしその低開発国に使う場合にも、日本としてはできるだけこれはアメリカとの間に協議をして、日本の希望もいれて、最も適当なところに使うようにしていきたいという気持は第二項から出てくるわけでございます。この方の協議は、御承知のようにアメリカとの間には、経済合同会議、閣僚レベルの会議がございまして、この秋ワシントンで開かれることになっております。こういう機会を通じましてこの協議をしていきたい、かように考えておるのでございます。もちろんこのガリオア協定が発効いたしますとすぐに支払いするわけではございません。大体第一回の支払いは半年後の、今としては来年三月を予定しております。それまでの間に十分協議いたしまして、最も適当な使途にこの金を使うようにアメリカとの話し合いをしていきたい。しかしまずこのガリオア協定を発効させることが先決であるという考えで、今せっかく政府としても国会の御審議をお願いしている段階でございます。
#19
○井手委員 条約局長、最後の文句は要らぬものです。そこまでは言わぬでよろしい。
 そこで、大平大臣にお伺いいたしますが、今も条約局長から協議を遂げねばならぬという御説明がございました。それでは日本が第一回をもし払うということになりますならば――われわれは反対でありますが、払うということになりますならば、協議を遂げねばならぬわけですね。今までのお話からいたしますと、その前には必ずその大部分が低開発国の援助に向けられるという話し合いができなくては支払いができないことになるわけですね。この点だけははっきり念を押しておきたいと思う。
#20
○大平国務大臣 それは先ほど申し上げましたように、私どもが日本側としては約束に従いまして支払いを進めていくということと、それから対米協議を遂げるということは別な系列でございまして、協議がととのわなければ払ってはならないという性質のものには考えておりません。これは井手委員も先ほどおっしゃった通り、条件でないということはあなたもお認めになっておられる通りでございます。従って、そこには私は先ほど申しました通り、日米間の信頼と誠意の問題だと考えております。
#21
○井手委員 外務大臣、私はこの問題で多く時間を費やそうとは考えてはおりません。しかし二千億円の金を支払おうというのに、支払うには、交換公文がかわされたと同じように、そういうものが含まれておるという意味において、前提ではないとか、条件ではないとか、そういう説明を外務大臣がすべきであるとは私は思いません。すべきではないのです。あくまでもやはり協議を遂げて話し合いを進めてから支払いをしたいという答弁をなさるのが、私は国務大臣の務めではないかと思うのです。やみくもにどうでもこうでも払うのだということは、国民として受け取りかねるのですよ。結論は意思に反する場合もあるでしょう。しかしそれは例外として、あくまでも協議を進めて、この交換公文が生かされるように、その上で支払いしたいというのが外務大臣としての務めではございませんか。もう一ぺんあなたの所信を承っておきたいと思います。くどく私は申し上げません。
#22
○大平国務大臣 交換公文に示された精神を体しまして、最善の努力をすべきだと思っております。
#23
○井手委員 国民が聞いておる場所ですから、国民が金を払うという場合には、国民が納得されるような説明なり答弁をしなくてはなりませんことを、特に外務大臣に注意しておきたいと思います。
 次に、産投会計についての財政法の問題に移ります。
 まず大蔵大臣にお伺いいたします。が、私は国の債務というものは、大蔵大臣が主として握っておる財政処理の大きな柱であると考えておるのであります。国の財政を預かる者の大きな任務の一つであると考えております。そして国の債務というものは、支払う期間、たとえば十五年なら十五年間払わねばならない金はどの方面からどういうふうにして払うかという、そういう内容を一見してわかるように、そしてまたそれがわかれば、それをみな国民が理解し、まだわれわれは借金を持っておるのだという理解と決意を求めるような仕組みをすることが、私は国の債務の財政処理の任に当たる大蔵大臣の任務であると考えますが、大臣の所見を伺っておきたいと思います。
#24
○田中国務大臣 井出さんの言われる通りの基本方針でいくべきだと考えております。
#25
○井手委員 特別会計は、申し上げるまでもございませんが、単一会計主義あるいは総計予算主義といわれる今の財政の立て方からいたしますと、これは例外でなくてはなりません。もちろん今日の特別会計は、たくさんの国の事務がありますから、処理しなくてはならぬ多くの問題がございますから、法律によって設けることはできます。しかしあくまでも単一会計主義の例外でなくてはならぬ。その証拠には、法律でもって特別会計の設置をきめる、いわゆる法定主義になっておるのです。しかし特別会計を設けることはできますけれども、国民に、ああ国の財政はそうなっておるのかというふうに、一見して全貌がわかるような仕組みでなくてはならぬと私は考えるのです。だから、財政法の第二条第三項には何と書いてあるか。会計間の繰り入れその他を規定しておるのであります。特別会計から特別会計への繰り入れ、一般会計から特別会計への繰り入れを規定しておる。それはなるほどこの金はどこを通ってどういうふうになっているということが一見してわかるような、そういう方式をとっておる、私はさように財政法を考えておりますが。大蔵大臣、どうお考えですか。
#26
○田中国務大臣 ただいま言われた通りであると思います。
#27
○井手委員 それじゃ続いてお伺いをいたします。事務当局で、けっこうですが、財政法第十三条にはどういうふうに書いてありますか。
#28
○上林政府委員 財政法十三条におきまして、「国の会計を分って一般会計及び特別会計とする」というのが第一項でございます。第二項には、特別会計を設置する場合の基準といたしまして、「国が特定の事業を行う場合、特定の資金を保有してその運用を行う場合その他特定の歳入を以て特定の歳出に充て一般の歳入歳出と区分して経理する必要がある場合に限り、法律を以て、特別会計を設置するものとする」と書いてございます。
#29
○井手委員 大臣、今法規課長が読みました通りであります。どういう場合に特別会計を設けることができるかということがはっきり書いてあるのです。いわゆる国の多くの行政目的を達するためには特別会計が法律によって設けられる。それは経済的な理由も含めて、財政処理を特別会計でやらせようというのでありますが、それはある一定の行政目的でなくてはならぬのであります。ある行政目的のために特別会計歳入を認め歳出を認めて経理をさせておる。従ってその特定の目的に反する金の支出を認めるわけには絶対参りません。使用目的が違うのです。その金を勝手に他の目的に使用することはできません。そこで、これは事務当局でけっこうです。今お読みになりました特定の事業を行なう場合、特定の資金を運用する場合、特定歳入で特定の支出を行なう場合という三つの場合に特別計会が設けられることになりますね。それは間違いないでしょう、法規課長。
#30
○上林政府委員 その通りかと思いますが、ちょっと補足して申し上げます。と、要するに特別会計が設置されます。場合には、一般的な基準といたしましては、特定の歳入をもって特定の歳出に充てまして、一般の歳入歳出と区分経理する必要がある場合でございます。その例示といたしまして、国が特定の事業を行なう場合とか、国が特定の資金を保有して運用を行なう場合というような場合があげられておるわけであります。
#31
○井手委員 それじゃ重ねてお伺いします。――きょうは事務当局はあなただけですか。
#32
○田中国務大臣 各局長が来ております。
#33
○井手委員 特定の事業を行なう場合は、私は、事業会計、管理会計、食糧管理のような管理会計、失業保険のような保険会計、この三つが特定の事業を行なう場合に該当すると思うのです。そうでしょう。
#34
○上林政府委員 おっしゃることはその通りかと思いますが、いろいろと学説的にこの特別会計を分類された方がございます。あるものは事業会計である、あるものは資金会計である、あるいは資金整理会計であるというような学説がございます。ただその学説は、この財政法の規定とは直接関係がございませんで、いろいろと分類をなさっているわけでございまして、たとえば資金運用部資金特別会計は資金特別会計であるという定義をなさる方もございますし、あるいは分け方によりましては、資金融通会計と申しますか、政府の金融事業会計だという分け方をなさる方もございます。そのような意味におきましては、確かに先生のおっしゃる通りであるかと考えております。
#35
○井手委員 特定の事業を行なう特別会計と、特定の資金をもって運用する特別会計、これの分類は学者によって若干違う場合も私は承知いたしております。しかし少なくとも、この特定の事業を行なう特別会計と、特定の資金をもって運用する特別会計は、合わせて事業会計といわれることはみんな一致した問題であります。あなたの方のこの「国の予算」に何と分類してありますか。はっきり書いてある。「日本の財政」にもはっきり分類してある。しかし少なくとも特定の事業を行なう特別会計と特別の資金を運用する特別会計、これを総称して、いわゆる事業会計と、それから借金を返済する整理会計とは明らかに分けられておるということ、これだけは少なくともみんな一致した問題であります。事業をする会計の中には融資事業を含める場合もあるでしょう。しかし借金を返済する会計とははっきり一線を画さなければならぬ。これは明確です。これは法規課長でなくとも大蔵大臣が答弁できる大きな問題だと私は思う。事業する会計と特定の歳入をもって借金に充てる整理会計とは明確に分離しなくてはならぬ問題だと思いますが、大蔵大臣の考えを承っておきたい。
#36
○田中大蔵大臣 お答えいたします。
 ただいま井出さんが言われた通り、特別会計に対してはそういうものの考え方が筋だと思います。しかし産業投資特別会計法のように、資金を得るためにいろいろな資金の道を規定しておる特別会計におきまして、その繰り入れられた資金の返済を別な法律で規定したり、追加条文をつくってこの会計から支払うような規定を置いても、財政法の精神をゆがめるものではないという考えであります。
#37
○井手委員 それが一番問題なんです。内閣のそのときの都合のために、便宜のために勝手にそういうふうに、多数であるから法律を改正すればどうにもなれるという考えはもってのほかです。あなたはこの間、私鉄会社が定款を変更すれば何でもできるじゃないか、野球場を経営する、歌舞伎を経営する、それも人を多数運ぶための営利の目的じゃございません。それとは違うのですよ。田中さんのおっしゃるように考えるならば、会社の集金部の集金人が、金が入ったから会社の借金を集金した金から払いましょうというのと同じじゃございませんか。保険金だの集金した金は一たん本社に持って帰って、そして分類に従って借金なら借金を払うのがあたりまえじゃございませんか。金を集めたから、どうせ株主配当もしなければならぬだろう、借りた銀行に返さなければならぬだろうといって集金人が勝手に払ったらどうなりますか。そういう理屈は成り立ちません。法律を改正するからというわけには参りませんよ。そのときの都合でこういう大事な財政憲法というものを勝手に解釈するわけには参りません。この問題は財政法違反ですから断じて通しませんよ。あとでまとめてやります。
 それでは続いてお伺いをいたします。賠償等特別会計というのが三十一年に出ておる。そのときの提案説明はどうであったか。私は図書館にある会議録のつづりから写して参りましたから間違いございません。提案理由説明にこう書いてある。「第一に、この会計におきまして処理いたします賠償等特殊債務とは、賠償、連合国財産の補償その他戦争の遂行の結果または戦争の遂行もしくは連合国の軍隊による占領に関連して負担する債務でございます」その「連合国の軍隊による占領に関連して負担する債務」とは、もちろんこれはガリオア・エロアを含んでおるのであります。それは当時の山手政務次官と宮川政府委員がはっきり答弁をしておるのです。どういうふうに答弁しておるか。山手政務次官は、賠償等を支払う場合はこの特別会計で支払い、経理内容を明らかにしたいと考えております。宮川政府委員は、ガリオア・エロアはまだ国内手続を得ておりませんが、幾らかは払うべきものと考えております。従いましてガリオア・エロアを支払う場合はこの特別会計から支払うことに考えております。と明確に答弁をしておる。――外務大臣どうぞ、予算委員会から出席の要求がありますから、また済み次第急いでお帰りをいただきたい。
 この間法規課長はこう言った、賠償等特別会計で支払うのが一般的概念でございます。という良心的御答弁をなさった。あとの方はよくなかったそうです。
 そしてまた「日本財政」これは総理大臣の署名は入っておりませんが、だれが見ても大蔵省発行ですから、これが信用ならぬというわけには参りません、これが信用ならぬのでは何も信用できません。第十章「国の債務」の中に、「国の債務のあらまし」国債、賠償などの対外債務――賠償などの対外債務の末尾にこう書いてある。「そのほか、戦後アリメカより受けた援助物資の代金返済の問題がある。とはっきり書いてある。これは先刻の政府委員の答弁の裏づけなんです。そうしてさらに第五項に「その他の対外債務」としていろいろ旧中立国クレームの処理、特別円の処理、旧連合国の請求権の処理、連合国財産返還補償、そして同じく活字を列挙して、対日援助物資の代金返済ということがちゃんと予定をされておるのです。はっきり書いてあるのです。あなた方は、大蔵省は、もしガリオア・エロアを払わねばならぬときは、この賠償等特別会計から支払いますということを天下に公約されておるのです。今さら定款を変更するとか改正案を出してそれで済むなどとは、私は簡単に申しません。目的が違うんですから。これほど明らかな、当時でもちゃんと約束しておる。これは今までの政府の説明、答弁とは全く違う。大蔵大臣どうですか。
#38
○田中国務大臣 私鉄の問題を引例したことについて適当でなかったことは明らかにいたしておきます。
 それから賠償等特別債務処理特別会計で払った方がいいという山手当時の政務次官の発言は、当時の考え方としては一つの考え方だと思います。これは現在でも賠償等特殊債務処理特別会計で払い得るということは、総理も答弁をいたしておる通りであります。しかしこの問題がその後変わりましたのはどういうことかというと、御承知の通り産業投資特別会計の中に見返り資金から引き継いだ財産が現存をし運用せられておるのであります。皆さんから議論が出ましたのは、対米債務に対して二重払いでないかという議論が出ておるわけであります。少なくとも外国に対して債務を弁済する場合には、日本の国内においても国民の理解と確実な支払いの全貌を国民の前に明らかにして、少しでも誤解のないようにしなければならぬことは当然でもあります。そのような二つの問題を考えるときに、先ほど申し上げました通り日本が受けた財産というものは現在産投会計の中に現存をしておるのでありますし、これだけの中から二千八十億円の金を十五カ年間に分済をして、なお元金は残るのだということが国民の前に明らかになります。しかもそれが先ほどの井出さんが言われた通り財政法上の問題も幾らかあるにしても、これは少なくとも賠償特別会計で払わなければならないという制限規定もありませんし、しかも産投会計の中では、この問題だけを取り上げないで別の角度から、産投会計の財源としてはその他に一般会計から繰り入れるもの以外に外債を発行するとか、産投債を発行するとかいろいろな可能な条文があります。こういう財源を繰り入れた場合それを運用益で当然返すという問題も将来生まれ得る問題でありますから、同じケースの対米債務を本特別会計から返すという法律の改正案を国会に提案しても一向差しつかえないというより、妥当性があるという考えで御審議をお願いをしておるわけであります。
#39
○井手委員 昭和三十一年と今日の三十七年とはそう事情は変わっていないはずです。ガリオア・エロアを返済しなくてはならぬというのは社会党は反対だ。しかし政府としては当時から考えておったことであって、事情は変わっておりません。ちゃんと法律まで用意して支払いを整えておったじゃないですか。どこに事情の変化がございますか。財政法の解釈をあえて曲げねばならぬほどの事情の変化はどこにもございません。産業投資特別会計は、これは名は体を表わすとよくいわれております。産業投資特別会計は名の通り目的の第一条に書いてある。今あなたのおっしゃった産業投資特別会計は見返資金のものばかりじゃございません。現在はその半ばぐらいでしょう。三十七年度、三十八年の三月末現在においては半分程度でしょう。すでに見返資金というものは産業投資の方に出資されて、性格は変わっておるのですよ。私はこれに対してもっといろいろ言います。ともかくも今までは賠償等特別会計で払おうという用意をしておって、そのための事業特別会計は――産業投資は事業特別会計それを国債などを支払う整理会計で一緒にして、ごっちゃにして払うというのは、これは予算総計主義であるとかいろいろな財政法の原則から考えて、どうしても私ども認めることのできない財政法違反だと思う。幾ら林さんが頭をひねったってだめなんです。どんなにその場を言いくるめたってだめなんですよ。言いくるめようと考えたってだめなんです。国民が納得しなくてはだめなんです。国民が協力するような説明をしなくてはだめなんです。
#40
○田中国務大臣 先ほども申し上げましたように、山手政務次官がお答えした当時は一つの考え方を明らかにしたわけであります。しかし、賠償等特殊債務処理特別会計は、御承知の通り一般会計と区分するために作られたものでありますが、この財源は一般会計からの全額繰り入れであります。でありますから、井出さんが対米債務を払う場合一般会計の資金をもって支払うべきだという前提をお作りになる場合には、この賠償等特別会計で払うという議論も一つの道でありますが、その後皆さんの御意見等を十分拝聴した結果どうなったかというと、払う場合には少なくとも二重払いではないということを国民に明らかにしなければなりませんし、しかも産投には見返資金特別会計から受けた財産がそのまま現存し、しかも運用せられておるのでありますから、今度の改正案で対米債務は産投会計の負担において払うということを改正案として提案をしておるわけであります。またその方法としては、現在まで運用せられておりますものの対米債務に充当する部分を減資の格好で返済に充てると、こういう状況の変化というか、皆さんの御意見を十分しんしゃくをして、やはり現在の状態では産投から払うことがより合理的だと、こう考えたのでありまして、少なくとも財政法違反の議論などは生じない、こういう考えでございます。
#41
○井手委員 あなたは山手政務次官の答弁は一つの考え方であるとおっしゃいますが、一つの考え方じゃございません。政府の方針なんです。政府を代表しての答弁です。そうして今まで私が例示いたしましたように、「国の財政」の説明でもはっきりそう書いてある。一つの考え方じゃございませんよ。国の確固たる保守党内閣の方針なんです。間違いございません。一つの考え方じゃございません。大蔵大臣、あなたは二重払いでないようにというお話でございました。私はきょうは二重払いの問題をいろいろ申そうとは考えておりません。すでに前回に私が述べましたように、二重払いであることは明らかです。私どもが昭和二十四年三月まで積み立てた援助物資の代金を払ったその金が、十億ドル残っておらなければならぬのに、一銭も残っていないのです。それはアメリカが日本の品物を安く半値以下で買ったから、残っていないじゃございませんか。アメリカは不当利得をしておるのですよ。だから十億ドルは差し引くべきだ。だから、私はこれは本日は申そうとは考えておりません。だからあなたもあまり二重払いのことはおっしゃいますな。言えば私も言わなくちゃならぬ。あなたの方の考え方というのはどうなんですか。納付金を一般会計に入れて、それを賠償等特別会計に繰り入れて、それから支払うというのが本筋でしょう。しかし場合によっては特別会計から特別会計にまっすぐ移管することもできないことではございせん。少なくとも見返資金の利子であるとおっしゃるならば、それを一般会計に受け入れて、そして賠償等特別会計に繰り入れるという行き方が私は本筋だと思う。そして国の債務は幾らである、国民はこれだけの責任を持っているという理解と協力を求めるような財政の仕組みにするのがほんとうじゃございませんか。もし将来、あと五年先、十年先になってごらんなさい。産業投資特別会計、あれは名は体を表わすといわれるほどに産業投資特別会計じゃないか、われわれは援助物資の支払いはもう済んだのだという印象さえ起こるほどに、産業投資特別会計の支払いによってこの対米債務をわからぬようにしようという、ごまかそうとするあなた方の腹であると私は考えたい。
 そこで、私は本筋に戻ります。財政法十三条、特定の事業を行なう場合の特別会計、これと特定の歳入で特別の歳出を行なう整理特別会計とははっきり分くべきものである。これを一緒にするようなことは絶対できないのです。これだけ私ははっきり申し上げておきます。だから私は財政法違反だと言っておるのです。
#42
○上林政府委員 先ほどの財政法の十三条の規定は、特別会計を設置いたしまする場合の基準をきめたものでございます。具体的にその特別会計で何を経理いたしまするかは、財政法十三条の規定によりまして、法律をもって御審議をいただき、その結果によって経理をすることになっておるわけでございます。産業投資特別会計法がいわば学説的に何の特別会計であるかということにつきましては、おそらく人によりまして議論があるところだと考えます。たとえば、要するに金融事業を行うな事業会計であるという御議論もございまするし、実質的な意味におきまして資金を貸し付ける資金の運用会計だという御議論もありましょうし、これは財政法による資金ではございませんから、資金整理会計であるという御議論もあるかと思います。主計局と申しますか国の予算では、金融特別会計というような分類をいたしております。これも必ずしもそれだけに統一されるべき問題ではないかと思いますが、かりに金融会計でございますと、財源といたしまして借入金を充てる場合もございまするし、あるいは内部経理といたしましては資本金を財源といたしまして融資をする場合もあるわけでございます。今回の措置は、従来ば資本といたしまして経理をいたしておったわけでございまするが、と申しまするのは見返資金に相当いたしまする資産というものは、産業投資特別会計の内部経理上は資本として経理をいたしておったわけでございまするが、今回の措置によりまして、そのうち四億九千万ドルの元本に相当する分は、この会計の負担といたしましたために、資本を取りくずしまして、これを債務に振りかえるという経理をいたしたわけでございます。従いまして財源といたしましては、従来資本を引き当てに投資をいたしておりましたのが、借入金ではございませんが、要するにガリオア・エロアの返済資金を一ぺんに払わないで、それを十五カ年間に払うという、そういうことを引き当てにいたしまして、なお投資を続けていく。そうして投資を続けていきながら、ガリオア・エロアの返済を行ないました場合には、完了いたしました場合には、なお投資の運用収入をもってさらにその後も投資を続けていく、こういうことに相なるわけでございまして、従いまして産投会計自体の混乱なり財政法の違反なりという問題はないのではないか、こう考えるわけでございます。
#43
○井手委員 法規課長、あなたは法規の正しい解釈をしておればいいんですよ。それ以上の政治的発言はあなたが苦労するだけなんです。努力は認めますよ。しかし役には立ちません。
 それでは大蔵大臣にお伺いいたしますが、国会の本会議ではそう説明をされ、委員会においても賠償等特別会計において、ガリオア・エロアを払う場合にはそれから払いますという約束をなさった。約束しているのです。あなたが横に首を振っても現実にあなたは提案説明をした。書いてある。委員会の答弁としてはっきりしているのです。一つの考えじゃございませんよ。少なくともこの間、これは大蔵省においても意見があったはずですよ。法規課長、あなたは抵抗したはずですよ。そのときには文句があったはずですよ。そういう産業投資から払うという場合には文句を言ったはずですよ。私は聞いているのだ。この産業投資特別会計の改正案を出すまでは、国の方針は一貫して賠償等特別会計から払うということにきめておったのですよ。今まで私が申し上げた通りです。それじゃ今まで政府の約束し公約をされ、説明したことはみなうそなんですか。賠償等特別会計からガリオア・エロアを払うということはうそですか。これは国会をごまかしたのですか。瞞着したのですか。
#44
○田中国務大臣 国会をごまかしたり瞞着する意思は毛頭ございません。先ほど申し上げました通り、当時はまだ債務を確定しておらないのでありまして、私は速記録をよく読んでおりませんが、いわゆる仮定の問題としてこういうガリオア・エロアの債務を将来払う場合には政府は一体どう考えておるか、政務次官はどう考えておるかという御質問に対してお答えをしておると思います。私はそういう意味で、先ほども申し上げた通り賠償等特別会計から払うのも一つの方法であるということをそのまま認めております。しかもあなたが今言われた通り、当時賠特から払う方がいいか、産投から払う方がいいのか、他にも特殊法律を作って払った方がいいのかという議論も相当あったわけであります。その後御承知の通り対米債券を確定していただき、法律案、予算案、関係法案等を国会に提案をいたしましたので、そのときに政府としては、最終的に諸般の情勢を勘案し、また法律的にも適法であり妥当であると認めて産投会計法の改正案を御審議をわずらわす方がよりよい道だ、こういうふうに判断をしたのであって、その前後においては一つも矛盾撞着はないと考えております。
#45
○井手委員 大へんな矛盾撞着です。最終結論が出ていないから結論を待ってどうするということをきめよう、結論をどうしようということをきめようというものではございませんよ。初めからきまっておるのですよ。本会議において政府は何と説明したか、書いてある。「連合国の軍隊による占領に関連して負担する債務でございます」これを第一にこの特別会計から払います。ということを、賠特から払うということを約束し、説明しているのですよ。それじゃガリオア・エロアはどうなんだと聞いたところが、これは「占領に関連して負担する債務」の中に入っておりますという説明ですよ。はっきりしておるですよ。結論を待って、賠償金額がきまるのを待ってどこからどうするということをきめようという仮定の問題じゃございませんよ。初めから予定してあったのですよ。予定して公約したものを、それをやらぬで、今回は新たに産業投資特別会計の改正をやろうというのは、今まで政府が行なった理由の説明や答弁は、これは全く違うということになる。一つの考えじゃございません。この点ははっきりしておきたい。違うなら違うであなたはあやまりなさい。本会議で訂正しなさいよ。誤りであった、こういうふうに事情が変わったのだからこうするのだと訂正しなさいよ。黙っておって改正案を出してはだめです。
#46
○田中国務大臣 お答えいたします。どうも私もちょっとわからないのです。が、その当時は対米債務はまだ、国会において確定をいたしておらないわけであります。その後通常国会において、御承知の通り予算その他は議決をいただいて確定をいたしております。今度のやつは、その支払いの方法と財源等に対して国会に御審議を願っておるわけであります。私は少なくとも、答弁の要旨は読んではおりませんが、一つのそういう表現は間々使うのではないかと思うのです。井出さんが何かほかのことを御質問になる場合に、かくかくの財源もありますからこのようにして入れます。――私はこの間、産投会計の問題に対しても一般会計から繰り入れる道もありますと言うと、一般会計だけでもって他に繰り入れることは食言かというふうに聞き取られるのですが、そうじゃなく、一つの例示として私は申し上げたのであって、当時山手政務次官が発言をせられたときも、将来かかる場合ありとすれば賠償等特別会計から支払います。それ以外の方法は考えておりませんというふうに統一的な見解を述べたのではないと思う。あなたの御質問に対して、賠償特別会計もありますし戦時関連債務だと思いますから、理論的にいえばこの賠特から払い得ます。こういうふうに御答弁を申し上げたのではないかと思うので、その後の状況の変化及び慎重に検討をした結果、国会に対して政府の意思を決定して審議を求めておるわけでありますから、国会の最終的意思が決定をした場合、たとえばそれに拘束を受けるというのであって、私は両者の間に意思のそごはない、こういうふうに思っております。
#47
○井手委員 国会の意思は決定をいたしております。政府の提案説明があった。それならばしょうがなかろういうので、多数決で国会の意思は決定しております。どういうふうに決定したか、賠償等特殊債務処理特別会計法というのは、第一条を読んでもらえばはっきりわかるのです。提案説明にも何と書いてありますか。こう書いてある。よくあなた彼此照合して聞いて下さい。「平和の回復に伴いまして、賠償や連合国財産の補償その他の対外特殊債務の処理は、逐次その進捗を見つつあるので」「これらの賠償等特殊債務の処理に関する経理を一般会計と区分して明確にするため」ようございますか「賠償等特殊債務処理特別会計を設けること」にいたしましました。はっきりしているじゃありませんか。第一に書いてある、今言ったことは。明確ではございませんか。こういう方針で政府は国会に、提案をいたしますからよろしく御審議を願いますということであったから、いろいろ質疑応答の末に、多数でこれを可決してある。これは国会の意思なんですよ。それの内容は何かといえば「軍隊による占領に関連して負担する債務」これはガリオア・エロアを含むということを、はっきりと山手政務次官は政府を代表して説明されておる。国会の意思はきまっておったんですよ。一つの考え方じゃありませんよ。
#48
○田中国務大臣 昭和三十一年に賠償等特別会計ができましたときに、そのような提案理由が申し述べられておると思います。私はその当時一般的な戦後の処理に対して特別会計を必要とした理由を明らかにしたのでありまして、その三十一年の提案理由を説明した問題の範疇の中にある債務の処理に対しては、絶対この法律ですべてのものを処理しなければならないと規定したものではないと考えます。でありますから、この法律は現存はしておりますが、その後の情勢をいろいろ検討したりまた産投会計と対米債務等の関係等を考えた結果、このたびにおいては、本件に関しては産投会計法改正案を審議願うことがより合理的である、こういう政府の判断に基づいて国会の意思決定を求めておるのでありますから、いわゆる三十一年の賠償等特別会計設置に対して提案理由を申し述べたことと何ら変わらないと思います。
#49
○井手委員 それはあなたの考えは間違いです。特殊の債務であるかどうか、この賠償等特殊債務の処理会計に該当するかどうかというそういうボーダー・ラインのものならば、そういうことも言えるでしょう。この賠償等特別会計の範疇に入るかどうかという疑問の問題については、あなたの言う言葉を言いのがれとして聞くことができるでしょう。しかしはっきり書いてあるじゃございませんか。「軍隊による占領に関連して」と第一条に書いてあるのです。よく見てごらんなさい。「軍隊による占領に関連して負担する債務」とはガリオア・エロアを予定しておりますと言うたじゃございませんか。範疇の外じゃございませんよ。はっきり入っておるじゃございませんか。そういうもののためにこの特別会計を置きますということを約束しておるのですよ。ガリオア・エロアは、問題になっておるのです。ガリオア・エロアが特殊債務であるか、支払いになるかどうかというこの特殊債務等の疑惑があるならばあなたの言うこともわかるのです。しかしそれは明確なんです。はっきりガリオア・エロアをこれに含むと説明しておるじゃございませんか。
#50
○田中国務大臣 私も井出さんの考えと同じことを先ほどから申し上げております。でありますからガリオア・エロアの債務返済を三十一年の法律五十三号による賠償等特別会計で払うことも可能でありますし、それも一つの方法であります。しかしその後いろいろ情勢が変わったり、皆さんからの御意見もあったりいたした結果、産投に原資があるのでありますから、これを減資をして返済に回す、いわゆる産投会計法の改正によって対米債務を払うということがより合理的である、しかも賠償等特別会計を設置したことと何ら目的的にも、法律的にも違反もいたしませんし、そういう考えで新しい政府の意思を決定して国会に対して議決を求めておるわけであります。でありますから、これは国会の法律の改正権でありまして、もちろん国会が議決をしていただかなければ政府は別な道をまた選ばなければならないわけでありますが、現在の段階においては、政府は産投会計の改正によって、この会計の負担として払うことが一番いい、こういう考えになっておるのでありまして、賠償等特別会計が現存をするから、このほかになお産投会計の改正案を出すことはどうかという御議論は存するところではありますが、少なくとも政府のやり方が悪いということにはならないということにはならないと確信をいたしております。
#51
○井手委員 問題は二つあると思うのです。約束してでき上がった賠償等処理特別会計からガリオア・エロアを払うのが本筋であることは大臣もお認めになりました。しかし別に法律を作って支払うことも違法ではないという意味の答弁をなさいました。(田中国務大臣「より合理的だ」と呼ぶ)より不合理になるわけです。財政法違反になるのです。今まで国会に約束したことをほごにして別の特別会計から払おうとする、この二つの問題がある。産業投資特別会計は先刻来申し上げておる通り、一口に言うならば経済再建のための特別会計なんですよ。事業特別会計ですよ。事業特別会計で借金を支払う整理までやっていいのかどうか、これが私は財政法違反だと言っておるのです。それがいいというなら国鉄の駅は窓口があるからといって郵便切手やはがきを売っていいのですか。国の役所であるから、同じ公共企業体であるから窓口があるなら郵便切手も売っていいということになるでしょう。そんなばかなことはできません。事業をやる特別会計と債務を返済する整理の特別会計とは明確に分離しなくてはなりませんよ。私はそれを主張しておるのです。
#52
○田中国務大臣 財政法十三条の規定は一般論、一般原則を規定したものであることはもちろんでありますし、井出さんの言われる通りですが、こうあるべき姿であるといういわゆる基準を示したものであって、できるだけこの予算上の条項は守らるべきであります。しかし非常に社会が複雑になってき、いろいろ問題が出てくる場合には、特別な事由があって、しかも法律違反にならないという場合には、国会の議決を得て法律を改正して新しい道を開くことはままあることだと考えます。同時に、今度の産投法の改正案は、御承知の通りいろいろな問題になっておったその原資は一体どこにあるのかというと、産投の中に現存をしております。そこに問題があるのです。だからこれを賠償等特別会計でもって処理しなさいということをもし議会が意思決定をされる場合にどうなるかというと、産投から賠償等特別会計に資金を移すとか、これを一般会計に繰り入れる法律を作って、一般会計からあらためて賠償特別会計に繰り入れを行なってやるということが筋だと思いますが、いずれにしても現在はこの産投会計の中に財源があり、これから産投会計の原資を得るためには外債とかいろいろな問題が起きて参りまして、そういうものも必ずしもこれを一般会計の中に繰り戻しをして、一般会計からその債務の弁済を行なわなければならぬということではなく、当然将来は、資金を一般会計以外の短期債券等に仰ぐ場合にはこれが返済はこの会計の負担とする、という同じ改正案が出るのではないかと思う。私はそういう意味で、産投会計法の改正が政府としてはより合理的であり、一番理想的だという考え方で、改正案の審議をお願いしておるわけです。
#53
○井手委員 大臣も提案された腹はなかなか苦しそうですが、今あなたもお認めになったように、あなたの方のやり方は本筋ではございません。筋は筋として通していくところに財政法の姿があるのじゃございませんか。財政憲法といわれる財政法というものは、そのときそのときの都合によって、便宜に従って勝手に解釈したり勝手にやってはならぬのですよ。財政法はそんなものじゃございません。私は一々今諸外国の例がどうと申しません。血であがなった財政法も外国にはあるのです。使用目的というものはちゃんときまっておる。金が入ったから――その源はおじいさん、そのもとのおじいさんというのは祖先だからいいじゃないかという気持はあるかもしれませんが、性格の変わったその産業投資特別会計に収入があるからといってそこから金を払うというのは、これは使用の秩序、財政の秩序を誤るものです。私は最初に、国の債務というものは国民に理解と協力を得なくてはなりませんから、一目瞭然にその内容がわかるようにしなければならぬということを申し上げたら、あなたも同意なさったじゃありませんか。収入があるからといって産投特別会計から支払うというのは、これは使用目的に反するものです。もうけたものは一般会計に入れるか、あるいは賠特という特別会計がありますから、それに繰り入れて支払いをするのが本筋です。法律案を改正したからそれでいいというわけには参りませんよ。私はもう多くは申し上げません。せっかくあなたも努力なさりたけれども、きょうはあなたの負けです。どうですか、あっさり今までの答弁、説明は誤っておった。この方がいいと思うから御審議願いたいというのであるならば、私は考えてみましょう。このままでは審議を進めるわけにはいきません。
#54
○田中国務大臣 法律に対する姿勢、法律に対する態度、基本観念としては井出さんの考え方は正しい考え方だと思います。しかし政府が現在出しておりますものも、新しい憲法のもとで産投法の改正案を提案いたしておりますから、これが憲法に背反し財政法をじゅうりんするものだとは考えておりません。将来々々と言われますが、確かに将来産投がより大きく資金量を必要とする場合には、特殊な一般会計以外に財源を求めることになることはまさに明らかな事実であります。こういうものが出た場合、一体どこかの会計に資金を入れて、そこから産投特別会計に入れ、また産投特別会計の自由財源を別な会計に移してからでなければ払えない、そうしなければ財政法違反であるというような理論には納得できません。そういう意味においては新しい角度から慎重に検討した結果、産投会計法の改正案によってこの会計の負担で対米債務をすることは何ら差しつかえないという考えであります。
#55
○井手委員 これで最後にいたしますが、私は先刻来るる申し上げておりますように、国民にわかるような財政の処理でなくてはならぬ。これが今日の財政法の最大原則なのです。あなたの方がアメリカに対する借金を返す。毎年丸々返すような印象を与えることはおもしろくないという、そういう考えがおありになることもわからぬではございません。しかし財政法のこの原則を誤ってまで、踏みにじってまでそうすべきものではございません。第一は何といっても国民に対しては、こういうものはガリオア・エロアの賠償等特別会計から支払いますという約束をしておる。それを裏切ったということであります。第二は、多数をもって可決さえすればいいんじゃないかというお考えがあるようですけれども、しかし事業の特別会計と借金返済の整理会計とはおのずから性格が違うはずです。私はこれ以上申し上げません。しかし自分の都合のためにそのときそのとき勝手に解釈して財政法を運用しようということは、これは私はとるべきことではないと思います。私はこの産業投資特別会計法の改正案は財政法違反でございますから、出直して提案されんことを強く要望いたしまして質問を終わります。
#56
○臼井委員長 それでは午前の会議はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時十三分休憩
     ――――◇―――――
   午後一時四十分開議
#57
○臼井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。佐藤觀次郎君。
#58
○佐藤(觀)委員 先日は本会議でいろいろ伺ったのでありますが、そういう問題にからまってしばらくの間いろいろ意見を伺いたいと思うのです。特に田中さんはいわゆる民間から出た異色の大蔵大臣であり、今度一番期待されているのは、由中さんと大平外務大臣がどんなことをやるかということが興味の中心になっていると思うのです。そういう点で田中さんはまだ就任間もないときでありますけれども、今までと違ったケースの大臣であるというので、われわれも反対党でありながら多少の期待は持っているわけです。民間の、今までと経歴の違った大蔵大臣として、相当変わったことをやられるだろうというような考えもするので、実はあとでまだ同僚議員もおられますから、いろいろ質問されると思うのです。が、われわれの同僚議員の井手君からも財政法違反ということでいろいろ問題を提起されました。私も実は昨年の大蔵委員会に、そういう問題について少しお問い合わせをしたことがありますが、いろいろ議論があって、産投の問題については私らの同僚の平岡君からも最初に意見もあり、まだ結論は決しませんが、何といっても法律はもとの方は通っておるので、形はどうでもいいというような形で押さないで、なるほどと納得ができればよいのです。私たちは少数党でございますが、われわれの意見が全部正しいとは思っておりませんけれども、しかし力で押し切るというのじゃなくて、納得づくでこの法案を通してもらいたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
 そこで、実はこの間池田総理大臣は、自分は産投は初めから、自分が大蔵大臣をやっておるときにきめてやっておったことであって、ガリオア・エロアのこういう返済に対してこういう処置をするのは当然じゃないかというような御意見がございました。これは私たちどうも納得できないので、産投会計のどこの部分を見ても、このガリオア・エロアのこういうような債務であるかないかということは、われわれ議論があるわけで、社会党は債務でないときめておりますけれども、債務であると見ても、どうも納得のいかない点があるように思いますが、田中大蔵大臣はどういうふうにお考えになっておりますか、まず一点伺いたいと思います。
#59
○田中国務大臣 先ほども井出さんの御質問にお答えいたしました通り、産投会計の中に見返資金特別会計から引き継ぎました財産が二千九百億以上もあるのでありますから、この運用収益で返済をするということが一番国民にはわかりやすく、ただ払うのじゃない、また賠償のように一般会計から繰り入れて、国民の税金によってまかなうものでもない。全部払って後、なお投資のもとになる金は残っておるのだからということを明らかにするためにも、産投会計法の一部改正法律案を御決定願って、この特別会計の負担において返済をすることが合理的だと考えております。
#60
○佐藤(觀)委員 これはわれわれの解釈とあなたの解釈と違うので平行線になるからあまりこれ以上追及しませんが、ただこれは日本の経済との関係があることでございまして、池田さんは非常に日本の高度成長経済、日本の今日の経済の発展が、自分たちの政治的なやり方がうまかったとまでは言われませんけれども、この二年間の実績の中から、池田さんは長い間御承知のように大蔵大臣、通産大臣をやってこられて、総理大臣になられたのでありますが、そういうことを非常に誇示されておられる。ところが実際日本の高度成長経済というものは、はたして政治の力であったかどうか、これはわれわれ政治家としても一つお互いに考えなければならぬ点じゃないかと思う。それはたとえば西ドイツのような場合あるいはイタリアのような場合は、私はなるほど政府が消費物資を押えて工場を建てたり、それからまあイタリアのような国は、御承知のように非常に貧弱な国でありましたけれども、EECの問題などで非常な経済的な発展を見たということは、これは田中さんや大平さんもよく御承知だと思うのです。ところが私は日本の政治政策がよかったからそれで日本の経済が高度成長を遂げたというのは、少し思い上がりじゃないかというように感ぜられるのです。これは当然自分たちが政権を握っておったのだから当然のようなことを言われるかもしれませんけれども、どうも日本の場合は、必ずしも西ドイツやイタリアと同じような、政治家が誇示けるというだけの実績がなかったのじゃないか、こういうようにも私は考えるわけです。そこで最近――きのうでありますけれども、河合良成氏がソ連の経済使節団で行って非常に成果を上げられて、今後ソ連との経済状態をよりよくやるというようなことを言っておられましたが、けさまた北村徳太郎氏が、第二次経済使節団を出したいというようなことを言っておられましたし、こういうような近いところに日本の経済的発展の道がある。しかし政治のあり方はどうかというと、鳩山さん以来政府が音頭をとってソ連との平和条約を結んだり、あるいは中共ともう一歩進んで政治の面に何かこの道を打開しようというような、こういう道が開かれていないのじゃないかというように私は考えるわけです。こういう点で、そういうことに対して田中さんや大平さんはどのようにお考えか、御意見だけ少し承りたい。
#61
○田中国務大臣 佐藤さんが今御指摘なさいましたように、戦後十七年にわたる日本の経済は、外国から見ても異常発達とさえ言われるほど、経済発達が行なわれたことは御承知の通りで、まことに御同慶にたえないわけでございます。これがわが党の施策よろしきを得たからなどという思い上がった考えは全然持っておりません。これは九千三百万国民が、たゆまない努力を続けられたことでありまして、その大半は国民の勤勉性と頭脳に帰すべきものだと考えます。がしかし、戦後十七年の大半、わが党及びわが党の前身である保守党が政権の座にあったわけでありまして、その政策は日本の経済発展にプラスする方向にあったということだけは、これは言っても過言ではないというふうに考えております。それからソ連に対するシベリア開発その他を含めた経済使節団及び貿易の問題でありますが、これは歴代内閣が申し上げておりますように、対共産圏とも貿易はできるだけ多くやっていきたいという線は確認をせられておるわけであります。今度の経済使節団の報告はまだ聞いておりませんが、お帰りになったらこういう報告等も十分拝聴いたしまして参考にいたしたい、こう考えておるわけでございます。
#62
○大平国務大臣 前段の問題につきましては、今田中大蔵大臣が言われた通り私も考えております。欧米に比較いたしましてわが国がすぐれた労働力、生産労働人口に恵まれておったということ、しかもそれがすぐれた資質を持っておったということが一番大きな動力であったと思うのです。それをどう組織し、どう活用していくかという点について保守党政府は大きな誤りはなかったということだと思うのでございます。
 それから、第二点のソ連との問題でございますが、私どもは世界第二位、大小を問わず貿易の機会を探求していかなければならぬと思います。共産圏も決してその例外でないと思います。ただしからばどういう条件、どういう仕組みでその増進をはかっていくかという点につきましては、私どもが自由圏との間にやっておるようなやり方、それから共産圏をめぐって日本を除く他の自由圏がどういうような条件、仕組みで共産貿易をやっておるかということ、そしてその間のバランスも見きわめねばなりませんので、使節団が行かれていろいろな報告があろうかと思いまするが、私どもは世界が見て日本の共産圏に対するアプローチの仕方は間違っていない、フェアであるというような信用を得るような方法で展開をはかっていきたいと思っております。
#63
○佐藤(觀)委員 外務大臣、時間が忙しいようでありますから、外務大臣から二、三の点だけ先に伺いたいと思います。
 そこで、日韓会談の問題が今クローズ・アップされておりますが、日韓会談よりは私たちは中共の問題、あるいはソ連の問題、これは事が大きいだけに非常にむずかしい問題でありますけれども、あなた方は韓国は近い国だと言われる以上は、やはり私たちは中共とかソ連とかの外交という問題について何らかの道を講じなければえらいことになると思うのです。これは貿易の事情でも、御承知のように東南アジアとか、アメリカというものに限度がありまして、最近では池田さんも、民間側に中共の経済の組合を作ってやろうというようなそういう考えもあるようでありますが、外務大臣としてはいろいろ領土問題もありますし、こういう問題が関連してきますが、一体ソ連や中共とどういう方法をとって打開の道をとられるかということをまずお尋ねしたい。
 同時にもう一つは、世間でいろいろ問題になっておりますライシャワー大使からこの産投が通らなかった場合に小言を食ったというような道聴塗説の意見がございます。これは私直接池田総理大臣に聞きたかったのであります。が、詳しいことは言われないことでありますが、大平さんは御承知のように官房長官を長くやっておられましたしそういういきさつは御存じだと思いますから、あわせてそのことのいきさつも国民に疑惑のないように、ここであなたから一つ御説明を願いたいと思います。
#64
○大平国務大臣 ソ連とか中共との貿易の問題でございますが、先ほど申しましたように、日本がそういうアプローチの仕方をやることは無理もない、フェアな行き方だというような了解を得られるようなことでいきたいと思っております。延べ払い条件にいたしましても、たとえば韓国とか台湾とかに比べて中共に有利な延べ払い条件を考えるなんということはできないと思うのでございます。やはり天井はきまっておると思うのでございまして、その中でどこまで踏み切れるかという点が私どもの現実の問題でございます。従いまして、先ほど申しましたように、世界各国がソ連や中共との間でどういうような条件、どういうような仕組みで現実に貿易をやっておるかということをまず私どもはとらえてかからなければならぬ。ところが実際はこれは調べてみますと、なかなかむずかしくて的確にはとらえ切れないと思うのでありますけれども、できるだけそれを踏まえた上で日本がそのような接近の仕方をすることは無理はないのだという納得を得られるようにやることが日本の信用のためではないかと思ってせっかく今各省と一緒になって検討いたしております。
 それから、この間産業投資特別会計法案が流産になったとき、ライシャワー大使が外務省にお見えになられて、その間にどういう事情だということを聞かれたことはございます。それは駐日大使として諸般の事情を聞きたかったと思うのでございまして、それ以上の何ものでもございませんで、私どもそれについて、これは純然たる内政問題でございますので、事実こういう経過でこうなったということを申したというにすぎないわけでございまして、ほかに隠された何ものもございません。
#65
○佐藤(觀)委員 それにもう少し関連して、実はこの前五月七日の参議院の幕切れのときに、あなたの方の重宗さんと私どもの千葉君との話し合いのときには、これは実際に私は調べてきたのですが、池田総理大臣が選挙法さえ通ればほかの法律はどうでもいいというようなことを言われたということを、これは当時の参議院の幹事長をやっており今大臣をやっておられます。宮沢さんが新聞記者に発表されておるわけです。参議院の選挙の前でありますから選挙法がむずかしかったかもしれませんけれども、そういうふうに軽く見られた関係上アメリカからも注意を食ったのじゃないかと思うのです。が、そういういきさつはありませんですか。
#66
○大平国務大臣 アメリカから何らかの圧力があったというようなことは私ども聞いておりません。今申し上げた通り、どういう事情でこうなったかということの事情が知りたかった、それをお伝えしたというにすぎません。
 それから、公職選挙法に重点を置いてぜひ成立をはかってくれ、こういうことは御指示があったように聞いております。
#67
○佐藤(觀)委員 それからもう一つ。これはちょっとそれるのですが、ソ連とは領土問題もあるし、いろいろむずかしい問題があると思う。しかし経済の方がどんどん先行していくような形が出てくる。それから中共の問題でも、これは台湾政権とのいきさつがありますからなかなか困難な事情があると思いますけれども、まあ台湾政権はだれが考えたっていずれジリ貧です。そういうようなときに日本がじっと何もしないでおるということは、これはおそらく日本の将来のために重要な問題が起きてくるというように思われますが、外務大圏は今まで経済畑で、あなたが外務大臣になられたということは、しろうととしてどういう外交をやるかということについて期待があるわけでございます。そういう点については、大平さんはどういうような御意見を持っておられますか、その点も承っておきたいと思います。
#68
○大平国務大臣 私がどういう意見というよりも、北方領土の問題が片づけばいつでもソ連との間に平和条約を結ぶ用意があるわけでございます。問題は、われわれのこういう領土が返って参りますれば、その障害は除去されると思うのでございます。中国の場合は状況を異にしておりまして、去年から私どもが申し上げました通り、この問題は極東並びに世界の平和に甚大な影響がある重要な世界史的な問題であるという認識に立ちまして、国連等の場におきまして公正な解決を見、世界世論の形成に私どもも応分の参加をしたいという態度を変えていないわけでございます。
#69
○佐藤(觀)委員 領土問題は天から降ってくるわけでもないので、やはりこちらが積極的に何らかの手を打たなければ永久にこれはだめだと思います。そういう点についてこれは以上議論しません。
 それから、これは中川さんか安藤アメリカ局長でいいのですけれども、この前本会議で、私は社会党としてはガリオア・エロアを債務性がないという形をとっておりますけれども、しかしありとすれば、その実際の帳簿というものはだれが見ても納得のいくようにきちっとしておるものであるかどうか。占領軍の状態で非常にごちゃごちゃになっておるというような意見も世間にあるわけです。私は戦争に負けたときに主計をやっておりまして、そういう事情も多少わからぬわけではないのですけれども、一体そういうことについては、なるほどこれだけは支払わなければならぬというようような的確な材料が政府にはあるのかどうか。これは事務当局の中川条約局長か、あるいは安藤アメリカ局長から疑惑のないように伺いたいと思います。
#70
○安藤政府委員 ただいまお話のございましたのは、一つは債務性の問題であり、一つは的確な根拠に基づいてきまったかという御質問かと思います。債務性の問題につきましては、前国会におきまして資料一としてお配りいたしましたのにもございます。繰り返すようでございますけれども、その根本におきましては、まずガリオア等の援助が参りましたときに、総司令部から覚書がきております。それはガリオア自体もございますし、ガリオアにつきましては、るる御説明申しました通りスキャッピン一八四四Aというのがきております。その他の援助にもおのおのスキャッピンがございます。そしてこれらのスキャッピンには、支払い条件及び経理については後日これを決定するというただし書きがみなついております。これは後日協議してその処理をきめる、いわゆる後日その支払い金額とかあるいは支払い条件等がきまって初めて日本の債務となるという性格のものだということを御説明いたしておるわけであります。そもそもガリオアが日本に参りましたときにはそういったようなスキャッピンによる根拠がありまして、もちろんその中には明らかに、その物資がきましたときに、これは贈与である、たとえば学童給食等については贈与であるということが言ってあった。従いまして、贈与であるということが言ってなかったものについては、今申しましたようなスキャッピンで、支払い方法及び経理については後日きめるということが言ってございますので、これはいわゆる債務性、こういうものだということを説明しておるわけでございます。そのほかに、当時も御説明申し上げましたが、極東委員会の決定に、日本の輸出代金は、占領に必要な非軍事的輸入であって降伏以来すでに行なわれているものの費用に対して支払われるものだということが言われておりますし、あるいはまたガリオアの予算がアメリカの国会で審議されました当時、いろいろな人が証言しております。その中には有名な昭和二十二年二月二十日、マッカーサー元帥が米国予算からの支出、すなわちガリオアは日本の債務となる、援助は慈善でなく、また日本の国民も慈善を欲していないということが言われており、これは当時司令部からも発表され、また日本の新聞にも大々的に報道されておることは御承知の通りでございます。いろいろこまかいそういった資料等については差し上げもし、またその当時も説明いたしております。いずれにいたしましてもガリオアについては当初からやはり後日何らかの形によって決済されなければならぬ、処理されなければならぬ性格のものであるということは初めから御承知の通りであります。
 それからガリオアの債務額の決定につきましては、これまた時間の関係上ごく簡単に申し上げますると、米国との交渉におきまして、米国はそのガリオアの援助総額に関しましては、御承知の通り米国の決算資料、向こうの会計検査院で決算によって確認された対日援助総額十九億五千万ドルというものを持って参ったのでございますが、われわれといたしましては通産省が数年にわたりましてあらゆる資料、占領軍の遺留資料、通産省が持っておりました資料等々を全部調べまして、積み上げて、これがガリオア、いわゆる対日援助物資に相違ないというものを累計いたしましたのが十七億九千万ドルでございます。これは両方とも根拠のある数字だと思います。アメリカが一国の会計検査院でちゃんと正しいと承認されたのもこれは事実、この十九億五千万ドルという数字も事実でございましょう。しかし一方通産省が残留資料及び同省保有の資料により、これは対日援助であるとはっきり認められたものを集計した十七億九千万ドルという数字も一つの資料であります。もっともこの通産の資料というものは、これはガリオアに違いないというもののみを集めたものでありますから、あるいは将来ほじくり返してアメリカの資料とつき合わせれば、ふえることはあっても減ることはないといった資料であります。しかしこの二つの資料を勘案し、またそれからいろいろ控除する品目を勘案し、それから西独に対するアメリカの援助、それの処理等の前例を勘案する、こういったものを勘案いたしまして、四億九千万ドルというものに決定したのでございます。この決定いたしました交渉におきまして、日本側としては通産の資料に基づいた十七億九千万ドルというものを基礎にいたしまして、そうしていろいろ考慮し、引くものは引き、あるいは相殺すべきものは相殺するというものをこれまた資料として前国会に出したのでございます。もし必要でございましたら、その概略を御説明してよろしいのでありますが、簡単に申しますと、そういったことから四億九千万ドルを確定債務といたしまして、今後十五年にわたりまして、これを支払うということになったわけであります。
#71
○佐藤(觀)委員 もう一点、総理に私が質問をしたときに、イタリアとオーストリアと韓国と、これがガリオア・エロアが全部ただになったわけですが、ドイツの場合にはこれがただにならなくて全部払ったということだけはわかっております。総理はドイツと日本は敵国であったからということの条件があったわけですが、ただドイツの場合は御承知のように食糧をもらう場合にもやはり注文をつけて、これならこういうものを出せという細目があって、そうしてこれを受け取ってガリオアを払ったと言われておりますが、日本の場合はアメリカからもらうものは何でももらうという形で実は受け取ったのではないかと思われます。そういう点でそれも一つの日本の債務性がないという根拠の一つになっております。が、一体外務省の安藤さんや中川さんたちは、そういうことについても何をもらっでも御無理ごもっともで、もらったものは全部言う通り払うというルーズなものか、あるいは何か的確なものがあってこうなっているのかということも伺っておきたいと思う。実は、これは去年大蔵委員会で当時大蔵大臣をやっておられました水田さんに聞いたときにも、われわれも今までは債務性がなかったように思っておった。いろいろせんさくされて――そういうことは言いませんでしたけれども、どうもこのガリオア・エロアは債務じゃないというようなことも考えられておったわけなんですが、こういう点について、たとえばドイツの場合はいい物をとったからその値段の問題はこうなっておるとか、そういう細目か何かわれわれの納得するような材料があるのですか、それを伺っておきたいと思うのです。
#72
○安藤政府委員 ただいまドイツの米国からの援助の問題でございます。今ちょっとおっしゃいましたドイツはその援助をもらうについていろいろ要求というか文句をつけ得た、日本ではつけ得なかったじゃないかというようなお話でございます。この点につきましては、当時われわれもこの点についてドイツに電報を打ちまして、在米大使館をして西独政府当局にも問い合わさせ、いろいろ調べさせました。向こうの話では、当時は御存じの通り地方政権であって、それどころの話ではなかった。だから伝えられるようにそういうような注文をつけてどうこうということはなかったということを向こうの政府の人も言っております。
 それからなおちょっとはずれるかもしれませんけれども、ドイツの場合と日本の場合との援助物資の内容を比較してみました。それで問題の食糧という点でございます。これは、ドイツは全体の五八・六%を食糧でもらった。日本は五二・四%を食糧でもらった。食糧の場合はドイツの方が多うございます。と申しますのは、生産財、これはドイツと日本とはほとんど似たような数字でございまして、消費財としてドイツが六四・一%になっておる。日本は六一・八%、それで生産財としてはドイツが二五・五%で日本は二三・九%ではございまするが、アメリカとの地理的距離の関係上、運賃がドイツは一〇・四%になっておるのが日本は一四・三%、大体同じような援助のパーセンテージでございます。ただ食糧だけをとりますと、ドイツの方が当時非常に窮迫しておったと見えまして、食糧はのどから手の出るような状況でありました。従いまして、今おっしゃいますような要求をいろいろ向こうにして、取捨選択するというような余裕はなかったということをドイツの筋の者が言っておるわけであります。
#73
○佐藤(觀)委員 外務大臣へのお尋ねはそのくらいにいたしまして、あとは大蔵大臣に伺います。
 産投会計の問題については午前中に井手委員からも話があったのですが、私ども社会党の立場としては、運営がどうも間違っているんじゃないかという気がするのです。どうも異質のものを無理やりにここへくっつけたような気がするのですが、その点について、産投会計の運用のことについて、政府はスムーズにやっていかれるかどうか。田中さんなかなか知恵が働くので答弁もうまくやられますけれども、私たちとして考える場合には、産投はこのままやっていくと行き詰まるのじゃないか、だから一般会計でやった方がいいのじゃないかということで運用の方法について疑問を持つのです。大蔵大臣はその方法はどのようにお考えになりますか。
#74
○田中国務大臣 対米債務を産投会計から出すことの可否については、先ほどからるる申し上げました通り見返資金特別会計の引き継ぎ資金というものが全部産投会計の中で今運用せられておるのであります。この運用収益をもって返済するように法律改正をお願いをしておるのであります。これに対しては御意見が違うようであります。が、いずれにしても私の方は産投会計法の改正をお願いしたいということを第一点に申し上げておるわけであります。これとは全然別に切り離してお考えになっていただきたい。
 産投会計自身の将来の資金の問題はどうかという問題でありますが、この問題については政策の重点的な問題として、昭和三十八年度の予算がきまるときには産投会計から三十七年度と同じようなワクの投資が必要とせられるか、またそれ以上に必要とせられるか、また別に新しい投資方面というものを拡張しなければならないかという問題は、これからの経済の見通しその他需要の重点によってきまる問題ではございますけれども、いずれにしても百五十八億に上る金が来年から支払われるとしたならば、少なくとも産投会計の原資に対しては窮屈になりますので、何らかの財源措置を考えなければならないということは予算委員会でも申した通りでございます。しかし第三点目に、産投から対米債務が支払われるということと同一に論じられて、どうせ不足になる産投会計の原資だから産投から対米債務を払わないでおけば、少なくなるにしてもその百五十八億分だけは使えるのだからという議論と混淆して議論をすべきではない。全然別な政策的な見地から起こるものでありますので、区分をして考うべきだという考えでございます。
#75
○佐藤(觀)委員 私たちとすれば、賠償の法律ができておるのですから、この問題はやはり賠償の方で支払う方が政府としても筋が通っておるところだと思う。だからその方が便宜上都合がよかったと思うのですが、そういう点は考慮を払われなかったか。田中さんはその当時大蔵大臣をやっておられなかったからわからぬかもしれませんけれども、そういう点はどうなっておるのか。大臣がわからなければ事務当局でもけっこうです。
#76
○田中国務大臣 先ほども御意見がございました通り、産投から払わないで賠償特別会計から払った方がいいだろうという問題でありますが、この問題につきましては、先ほども御答弁申し上げましたように、賠償特別会計というのは一般会計と区分をするためにつくられた特別会計であり、しかも全部財源は一般会計から繰り入れて賠特から払われるということになっております。しかしこのガリオア・エロアのように、対米債務につきましては賠特の中に入れて払ってもいいじゃないか、一般会計から繰り入れた財源で払うこともいいじゃないかというような皆さんのお考えも一つの考え方としては存在いたしますし、それから産投会計の運用資金を一ぺん一般会計に戻すか、もしくは賠特にそのまま動かすかということにして、賠特の中の財源をつくって、賠特から払えばいいじゃないかというお話等いろいろあります。その前段の二つの方法が産投から払うよりも合理的だぞというお話であります。が、私の方では、政府として最後に国会の御審議をいただきますことは、産投に現在あるのでありますから、産投から払う方が一番いい、しかも総理大臣が答弁をいたしておりますのは、昭和二十四年に見返資金特別会計をつくりましたときも、見返資金特別会計というものの運用収入というものを十分計上しておいて、いつか返さなければならぬ場合も考慮をしておりましたということでありますから、現在産投会計の中に引き継がないで見返資金特別会計というものをそのまま存続をしているとしたならば、この見返資金特別会計から払うという議論に政府の考え方はなるわけでありまして、特に賠償特別会計に移しかえをしたり、一般会計に振り戻しをして、そこから払わなければならぬというふうには考えておらないわけであります。
#77
○佐藤(觀)委員 そういう問題については、あとで同僚議員からいろいろ質問があると思うのですが、どうも私たちの納得のいかない点があるのです。しかしそういう問題でここで平行線でお話をしておってもしようがないからほかの問題に移りますが、日本の経済は田中さん御承知のように、政府が豪語するほど楽観を許さない。これはいろいろな点で困難な道が出てくるだろうと思われますが、そういう点と関連して、将来産投会計から支払いの不都合なことが起きるのではないか、そういう心配はないか、あるいはそういう支払い計画についてはりっぱなプランがあって、十五年間絶対心配がないのか、そういう点についての計画をお知らせ願いたいと思います。
#78
○田中国務大臣 御承知の通り昭和二十八年に見返資金特別会計から産投に引き継ぎましたガリオア・エロア等の資産は二千九百余億円、約三千億弱引き継いでいるわけであります。それが現在運用せられているわけでございます。この問題につきましては、対米債務が御承認になっておりますし、この特別会計法の改正案を認めていただくとしたならば、この会計から前後三十回にわたって支払われるわけでございます。初めの十二カ年間、二十四回は毎回七十九億五百万円ずつずっと払われるわけでありまして、一番最終の年次から三カ年間にわたっては、すなわち六回にわたっては三十一億三千二百万円ずつ支払われるわけでありまして、その合計は二千八十五億二千二百万円という数字が計上せられるわけでございます。この支払いの財源につきましては、開銀の納付金とか、開銀の貸付金の回収金とか同利子収入等でございまして、この間における収入合計は二千二百二億円でありますから、この通り払っても百十七億円の財源が余分に残る、その上になお元金だけはそっくり残って、その後運用収益を上げていくというわけでございます。
#79
○佐藤(觀)委員 それはなかなか表向きはいいようでありますけれども、現在日本の経済の事情は、私たちは悲観論を唱えておるわけですが、最近外貨が十六億七千万ドルと去年の九月の数字に戻ったということで非常に楽観を言っておられますけれども、しかしなかなかこれとても実際は現金というのは二億八千万ドルくらいのことでありまして、外国の事情に比べれば非常に事情がよくないということをわれわれ考えるわけです。そこで一部では円払いにしてもらおうじゃないかというような交渉をやられたという話もありますが、そういう点の交渉やその具体的な問題としては一体円払いでアメリカが承知するしかないかという問題について御説明願いたいと思います。
#80
○田中国務大臣 御承知の通り両国間における協定では、二千五百万ドルについては日米教育交換計画に基づく使用分として円払いを認めておるわけでございます。しかしそれを除く残余の問題を円払いにするかどうかは両国協議の上で協議がまとまった場合にのみ可能であるということであります。
#81
○佐藤(觀)委員 大臣は、日本の金準備のことについてどのようにお考えになっておられますか。現在日本の金準備は非常に零細だといわれております。けれども、現在そういう点どういうようにお考えになっておられるか。大臣でなくてもほかの事務当局でもけっこうであります。
#82
○田中国務大臣 この前の委員会でも事務当局からお答えを申し上げましたが、現在金は二億八千余万ドルの手持ちを持っておるわけでありまして、多いに越したことはないのですが、とにかく戦後十六、七年の間に外貨も十六億三千五百万ドルの手持ちを持つようになり、金も今申し上げたような保有ができるようになったわけであります。しかしこれは金だけというのではなく、他に流動資産を幾ら持っておるかという問題につきましても前段申し上げた通りでありまして、外貨に対しては非常に安定的な方向をたどりつつあるということを申し上げられると思います。
#83
○佐藤(觀)委員 大臣非常に楽観論を言っておられますけれども、その十六億何がしのドルというのは外国から借りたものがだいぶあるのです。あなたが考えているほど金は楽観できないと思うが、現在の実情をこれは事務当局から内容を伺いたい。
#84
○田中国務大臣 お答え申し上げます。
 この間事務当局からお答え申した通り、六月末現在の外貨は一応二十八億ドル程度と申し上げておるわけであります。この中で外貨準備高が十六億ドルということを申し上げました。それからそのときに誤解があると思います。が、負債は一体幾らかというので二十三億ドルということを端的に申し上げたので、じゃ引けば五億ドルしか余裕がないじゃないか、こういうことでありますが、この中には御承知のように輸入ユーザンスの問題もありまして、これは銀行の資産勘定と同じでありまして、これが取付を食った場合に全部出るという仮定でお話はできないと思います。ユーロ・ダラーとか自由円その他に対しても約六億ドルという短期債務式のものがございますが、これは引き出しもそれから入ってくるものも非常に安定的な状態でありまして、これが直ちに流出を全額するとしても二十二、三億ドルの安定財産を持っているわけでありまして、この前の端的な事務当局の御答弁ではちょっと誤解があると思いますから申し上げたわけでありますが、その意味でとにかく十四億ドル程度まで下がったものが一年半で十六億三千五百万ドルというような数字になり、しかも財産のすべてを合わせると二十八億余でなり、これが引き出されると仮定できるもの六億ドル程度を全部一ぺんに引き出されたとしても二十二、三億ドルの財産であるということを申し上げておきます。
#85
○佐藤(觀)委員 ちょっと事務当局からもう一度伺いたいのですが、田中さん非常に楽観論を言っておられますけれども、いわゆる外貨の中で――大月さんでもいいですけれども、とにかくわれわれはそう田中さんの言われるような楽観論じゃないのです。実際の内容のことについてもう少し御説明願いたいと思います。
#86
○田中国務大臣 一つ佐藤さんにお願いしたいのですが、どこの国でも外貨の内訳というのは以上申し上げたようには申し上げておらないのであります。し、何回か過去においても委員会、本会議で御質問があったのですが、以上より詳細には申し上げておりませんので、御了解を得たいと思います。(「この間資産の内訳発表したぞ。発表したことないなんてうそだ」と呼ぶ者あり)十六億三千五百万ドルの内訳を申し上げますと、金が二億八千九百万ドル、外貨が十三億四千六百万ドル、うち証券で持っておりますのが五億八千七百万ドル、合計十六億三千五百万ドル、こういう程度でございます。
#87
○佐藤(觀)委員 田中さん自身の立場もありますからこれ以上申しませんけれども、私たちの考え方では、池田内閣は高度成長ということを非常に唱えておりますけれども、日本の今の経済のあり方を見ると――先ほど田中さんは自民党の政府の施策がよかったということも言っておりますが、これは政党内閣の大蔵大臣でありますから当然でありますけれども、政府の施策がよかったからこういうようになったということの事情は、われわれとしてはなかなか納得できない点があるわけです。たとえば朝鮮事変とか、いろいろ日本の置かれた事情が非常に奇蹟的によかったという点もあるわけであります。これは私たちは日本の経済がよくなったのは、おもに日本の国民が非常に勤労意欲に燃えておったという点もあると思うのですが、そういうことをここで言おうと思いません。けれども田中さんは、私この間ちょっと見ましたが、日本電建の社長をやっておられた。大蔵大臣になられたからおそらく今は職を離れておられると思います。が、日本の経済の中で一番著しく高く上がったのは土地だと思うのです。その土地が上がったために、御承知のように銀行の抵当になるのが土地で、このためにこの五年間に約六倍にわたって銀行の資金の動きがあるという、こういう例はおそらく外国にないと言われております。たとえばドイツでもイギリスでもアメリカでも。日本のように土地が非常に高い、土地資本が上がって働かない者が非常に利益を得るような、こういう危険な経済事情の上に乗って日本の高度成長などと言われておるわけです。田中さんは民間から出た人でありますから御存じだと思うのですが、日本の経済はその点で、一方においては非常に表向きは勤労意欲でふくれ上がったけれども、内容的には非常に危険なものがあるのじゃないかということを言われております。非常に政府は高度成長、国民の収入がふえたということを言っておられますけれども、これは外国から見た場合には非常に危険な状態じゃないかと思います。その点はどういうようにお考えになっておられますか、あらためて承りたいと思います。
#88
○田中国務大臣 土地問題が過去も現在も将来とも非常に重要な物価問題、物価問題だけではなく、経済問題の根幹をなしておるということに対しては同感であります。しかし端的に申し上げますと、日本は大体において土地が少ない。全世界二十六億ないし二十七億のうちの約三十分の一も人口がおって、面積は非常に狭隘であるということから考えても、比較論からいっても絶対的に少ないということが一つございます。もう一つは土地と建物との関係でありますが、戦時の爆撃によって非常に焼け出されましたので、当時都市計画法やいろいろな建築制限の法律ができたのでありますが、それに先がけて道路の上とか公共施設の中にでも何でも不法占拠した建物が建てられたというようなことは、現実的には量が絶対的に不足でありますから、その意味において撤去するにしてもいわゆる移る先がないということで、戦後の問題がいまだ未処理であるという問題がつございます。それからやはり質よりも量の問題で、安かろう悪かろうというので、いわゆる平面都市が無制限に作られてきたというのが第三点だと思います。それからもう一つ、戦後の特殊事情として考えられるのは、東京都が現在から十七年前に三百九十万人でありまして、大体十カ年ないし十五カ年間で六百万人程度の都市計画を作りました。これは東大の石川栄耀博士が作ったのですが、その当時でもグリーン・ベルトを作り、それから建蔽率の制限を行ない、建物の高さ制限をなくし、道路の拡幅というようなことがあったのですが、現在は六百万が千百万にもなり、潜在人口を入れて千百五十万にもなる。四十万ないし五十万の自然流入があると考え、東京を中心とした首都圏に全人口九千三百万の三割五分も過度集中しておるというような状況から考えますと、一体土地の値上がりをどうして押えればいいかという、こういう問題は原則的に非常にむずかしい問題であります。むずかしい問題だからといってこれを片づけないわけにはいきません。一体先進国はどうして片づけておるかというと、御承知の通り西ドイツではマーシャル・プランによって経済復興というものがすべてこの土地の高度利用ということを目的として、労務者住宅が建てられ、今日の西ドイツを形成したことは御承知の通りであります。イギリスは戦後十七年間にわたって、ニュー・タウン法という強力な法律を作って、ロンドン八百五十万のうちの百五十万人口及び産業の集中排除を行いました。しかしこの法律は日本の現行法律とは全然違って、これは非常に強い法律であります。御承知の通りこれは第一条に公益は私益に優先するということを規定しておりますし、この大目的を達成するためには、土地収用というよりも、換地権、裁判権さえもコーポレーションに与えておる。しかもリコーポレーションが年間行なう計画事業費の計上に対しては、政府はこれを計上しなければならない。国会は増額しても減額をする権利を有しないというくらいに非常に強い法制的な措置が行なわれておることは御承知の通りであります。そこへ持ってきて戦後の日本は自由化、民主化という考え方で、現在の土地収用の特例に関する法律でも、せめて一年間ぐらい自主交渉を行なった後でなければ強権発動をしてはならないということで、昭和二十七年当時国会においても今日のことが予想せられましたので、超党派で土地の高度利用ということを考え、現行法に存する耐火建築促進法というものを議員立法で提案をしたことがございます。これは西ドイツで行なわれておるように不燃建築の促進であり、空間地の高度利用をするために、高さ制限を撤廃したり、少なくとも指定地域内においては四階、十一メートル以上の建物でなければ建ててはならぬというような法律を作ったわけでありますが、この法律実行の過程においてやはり質より量だということで、今日のように銀座裏は戦後十七年間のうちに四回も木造の建物は建てかえられておる。こういう事情が重なっておりまして、やはり土地の利用というものについては、ただ政府が公社を作って土地の造成を行なえとか、地方公共団体と民間の半折出資会社において土地の造成をするようなことで、ただそうすれば片づくだろうという考え方を持っておると、無制限な平面都市が築かれるわけでございまして、これから十年たったら全く高崎から小田原までは町並みになってしまうというようなことで、公共投資がこれを追っかけていくというような政策をとる以上、土地の値上がりというものを押さえることは不可能であって、どうしても先進国がやっているように都心地域の再改造ということに着目をするとともに、法制上の措置も整えながら空間に伸ばしていくという強硬措置を、ある意味においてとらざるを得ないと考えております。
#89
○佐藤(觀)委員 まあそういう問題が日本の特殊事情としていろいろ出てきておるわけです。これと関連して銀行の資本というものが、これを抵当として貸し出しをするというような事情が出てきて田中さんいろいろと御説明をされますけれども、やはり政府が何もこれに対する手を打ってないということが、非常に日本の経済事情を不安定にしている面があると思います。その点については銀行資本などについての考え方はどのようにお持ちになっておりますか。
#90
○田中国務大臣 銀行が土地を担保にとって無制限に金を貸しておる。その土地の値が上がるばかりでありますから、いわゆる担保価値が増してくるので、担保にとった土地のままでもって貸付額をふやしていく状況だという御説でありますが、私はこの内容に対してはあまり存じておりません。おりませんが、在来の銀行というのは、土地を担保には貸せないというのが普通でありました。御承知の通り土地や不動産に対する貸付銀行は日本勧業銀行だけでありまして、工場その他生産施設の長期投資に対しては特殊銀行としての日本興業銀行が存在しておりまして、その後は不動産銀行の設立等で――中小企業というものでもって設備改善をしようとしても、担保になるものは土地、建物以外にありませんので、こういう意味で不動産銀行等が十分活用せられてより不動産担保金融を行なうべしという決議も要望もなされておりますが、一般市中銀行は土地というものは換金が非常にできないのと、金融機関がいつでも期限がきたものに対しては担保権を執行するということがなかなか信用上できませんために、今までは土地建物を担保にしては貸せないのが原則でありましたが、その後佐藤さんが言われたような現象があれば調べて、適切な処置をとりたいというふうに考えております。
#91
○佐藤(觀)委員 実際においては、そういう傾向がよく出ておるのでありまして、非常にそういう点はかたいようでルーズな点があると思うのです。
 それに関連して銀行の問題で、田中さんは初めて大蔵大臣になられたのでございますが、日本銀行が最近とっておる政策は、やはりこういうふうな非常に架空と思われるようなあれに対して相当融資をするような形が出てくるのではないか。これは山際さんに聞いてみなければわかりませんけれども、そういう点について中央銀行のあり方、こういうふうな土地ブームや何かを起こすような原因が、やはり銀行資本から出てきて、それをカバーするように日本銀行が、そういうような法律で、いわばインフレ的な傾向が出てきておるように思われますけれども、そういう点について大蔵大臣はどんなふうにお考えになっておりますか、伺っておきたいと思います。
#92
○大月政府委員 ただいま土地と金融の問題につきましてお尋ねがございましたが、現実の数字に即しまして若干御説明申し上げます。
 現在全国銀行の貸付金を担保別に見てみますと、不動産、財団、船舶抵当の残高が、去年の九月におきまして一兆五千二百八十六億円という数字になっております。この数字は全体の総貸付のうちで占める割合から申します。と二四%という数字でございまして、割合数字としては小さいのであります。この不動産といっておる中には、御存じのように不動産とか財団とか船舶とかいうようないろいろな抵当権全部を含んでおるわけでありまして、機械とか建物、そういうものも含んでおるわけでございます。そういうものを全部入れて今二四%でございます。それでは土地と建物、単純な土地と建物だけでどのくらいを占めておるかということになりますと、大体八・八%という数字になっておるわけでございます。この中で土地がどのくらいという統計は実はございませんが、全体としては八・八%、それでいろいろな財団抵当、工場、財団その他の中にも土地が含んでおりますから、そういうものを抽出いたしまして推定いたしましたところによりますと、全体として土地を担保として貸し付けておりますものは、総貸付の大体一割そこそこであろうかというのが推定でございます。これを過去五年間の統計で見てみます。と、今のウエート二四%あるいは一二%という数字がほとんど変わっておりませんので、最近特にこういうような状況が変わって、おるという状況はございません。
 それから銀行の土地の担保に対する考え方は、先ほど大臣からもお話がごいざましたように、大体土地は流動性のないものでございますので、原則として銀行としてはとらない。しかしほかに適当な担保がない場合に、補完的に土地をとるというようなことで、たとえば中小企業などでどうしてもほかに担保がないというようなものをとっていくというような格好になっておると思います。そういう意味から、信用の面から土地の担保がインフレを促進するとか、信用の膨張に非常に大きな影響があるということは言えないのじゃないかと思います。
 最後に、日本銀行の信用と土地担保の貸付の関係でございますけれども、日本銀行の法律の建前から申しましても、日本銀行は土地を担保としては直接貸せない。これは常識としてもはっきりいたしておるわけでございます。が、その次に普通の銀行が土地を担保として金を貸しまして、その手形を日本銀行に持ち込んで、それで金を借りられるかという問題があるわけでございますが、それは現在の日本銀行の適格手形という面からは落としてございます。そういう意味で直接に土地を担保にして日本銀行から金を引き出すという手はないということでございまして、やはり現在土地の値段が上がっておるという話は、先ほどからの実態的な需給の関係にあると思います。現在の状況が信用インフレ的かどうかということは、全体の経済、卸売物価の状況がどうだとか、生産の状況がどうだとか、あるいは国際収支の状況がどうだとかいう全体のケースを見て判断すべきものだと思うのでございまして、日本銀行の貸し出しが一兆五千億もあるということだけをもって今の経済がインフレ的だと即断するのは言い過ぎじゃなかろうか。そういうふうに考えております。
#93
○佐藤(觀)委員 時間がありませんので最後にお尋ねしておきますが、御承知のように池田総理大臣のたびたびの御説でございますが、非常に自信を持って現在の経済事情を見ておられるようでありますけれども、われわれはどうも池田さんの御意思通りには動かない。それは池田さんが過去大蔵大臣、通産大臣、それから昨年の金融引き締めの不景気をもたらした原因からも、池田さんを国民はそう信用しないだろう、こういうように思います。けれども、この間の本会議の所信表明では参議院選挙に勝ったからというような自信を持って、自分のやった経済について反省がないという二とがわれわれとして非常に遺憾だと思います。
 そこで最後でありますが、産投会計はいずれにしても自民党が数が多いのですから無理やりにでも通されるだろうと思うのです。と同時に、また日韓会談で三億ドルとられると、日本は入るものがなくてとられるばかり、そういう情勢に追い込まれているわけです。これは戦争に負けたから仕方がないといえばそうでございますけれども、国民は非常な不安な気持を持っていると思います。そういうような不安がないような、そう不安に思わなくても、おれたちはこういう事情があるから日本の経済は好転するのだというような、国民が安心できるような、そういう財政やら経済をやっていかれるかどうかということを最後に大蔵大臣にお尋ねして私の質問を終わります。
#94
○田中国務大臣 日本は歴史的に見ましても、世界の歴史的な状況から見ましても、戦後、敗戦という非常に大きな痛手をこうむって、そこから九千三百万というような大きな人口を擁して、とにかくここまで犠牲者を出さずしてきたことに対しては感謝をすべきだと思います。また経済的な発展はすべての生活の根幹をなすものでありますから、これに対してはイデオロギーとか自分の考え方だけではなく、世界の変転きわまりない情勢に対処しながら誤りのない、時々刻々に適時適切な方策を勇気を持ってやらなければならぬことは言うまでもないと考えます。われわれだけの時代ではなく、子供や孫の時代まで、非常に長い目で見た日本の経済的安定また国際的な信用回復ということを基盤にしながら一歩々々、少し行ってはまたゆり戻しがあるというようなことではなく、まじめな意味で漸進的な経済再建の道を選ぶべきだと考えます。政府もこれに対してまじめに謙虚に国民各位の声も聞きながら、誤りない施策を行なって参りたいと考えます。
#95
○臼井委員長 春日一幸君。
#96
○春日委員 私はまず端的に産投特別会計の固有の財源、これについてお伺いをいたしたいと思うのでありまするが、大蔵大臣から、産投会計の毎年度の固有の投資財源の主要部分、それは何によって調弁されておるのであるか、これをお伺いをいたしたいと思います。
#97
○田中国務大臣 事務当局をして答えさせます。
#98
○春日委員 私は数字をお伺いをいたしておるのではありません。すなわち毎年度の産投会計の固有の投資財源の主要部分を占めておるものは何によって調弁されておるのであるか、このことを伺っておるのでありますから、大臣から答弁をいただきたい。
#99
○田中国務大臣 御承知の通り、産投会計の収入金が非常に大きいわけでありまして、足らないものに対しては、運用収入でまかなえないものに対しては一般会計から補てんをしておるというのが今までの姿でございます。
#100
○春日委員 私はそこに一個の問題点があると思うのであります。すなわち本会計法が提案をされました当時の提案理由の説明、これは当時の愛知政務次官が説明されておるのであります。が、それによりますると、「この会計におきましては、米国対日援助見返資金特別会計の資産並びに一般会計の日本開発銀行及び日本輸出入銀行に対する出資金を承継してこれを資本とし、これが運用による収入金と、特別減税国債の発行による収入金とを主要財源として投資を行うことといたしているのであります。」こういうことが提案理由の説明として述べられておるのであります。従いましてこれは要するに産投会計はすなわち見返資金特別会計から受け継いだ資産を基礎といたしまして、これによる運用収入を固有の投資財源とすることによって発足したものであります。これ提案説明によっても明らかでありまするし、産投会計法三条の第二項の法意から徴しましてもこれは明確であると思うのであります。が、大臣の見解はいかがでありますか。
#101
○田中国務大臣 提案理由にその通り説明申し上げておると存じます。しかし御承知の昭和二十八年八月一日執行の産業投資特別会計法の財源に関してはその第一条の二項及第三条一、二項に財源とし得るもののすべてが列挙してありますので、これらをもって財源に充てる、こういうのでございます。
#102
○春日委員 そこに一個の問題点がある。これは大臣もやはり立法の府の一員として、立法府の責任と権威においてこの問題は明らかにしておかなければならぬと思うのであります。すなわち、このことは、この提案説明で立法の目的、趣意――これはよくこの法律の性格、機能というものを明記しておるのでありますから、われわれはこの趣意によってそれを是なりとしてこの法律を制定いたしておるのであります。でありまするから、あなたの言われたように運用益によってその法律の目的を達することができない場合においては、いつ何どきでも一般会計からこれを自由自在に補給していくのだ、これがこの法律の立法の趣意であった、当初からそのように構想されておったのだと言われることは間違っておると思うのであります。この法律の第三条の第一項、第二項、それから愛知君が当時述べられておりまするところの提案理由の説明、いづれから徴しましてもそのことは述べられておりません。この点は明確にいたしておきたいと思いますがいかがでありますか。
#103
○田中国務大臣 前にもお答えいたしております通り、産業投資特別会計法をつくりますときには、ちょうど見返資金特別会計法が廃止をする時期にありましたので、これが引き継ぎ資産を主要財源として産投会計をつくったということは提案理由通り間違いはないと思います。しかし、この産投会計法は池田総理大臣も述べております通り、その前に昭和二十四年に見返資金特別会計法を作ったときには、アメリカ政府側の意向も看取せられるのであるし、当然日本側としても将来交渉する場合において、債務確定の後において払わなければならぬということを予測をしながら、見返資金特別会計によって運用収益等を積み立てておったという御答弁もあるわけであります。そういう意味で昭和二十八年当時は対米債務の支払いというものも確定をしておらなかったのでありますから、当然見返資金特別会計法を廃止をする場合にこれを主要財源として産投会計法をつくったという趣旨はうなずけると思います。しかしその後御承知の通り、日米間において債務の協定を行なって、今度新しい次元に立ってこれを返済するということでありますから、その場合に産投会計法の中から当時出資をしたものを減資をして、この減資分は支払い財源に充てて差し引いていくという考えをとった場合に、今度は二十八年当時と違って新しい次元において産投会計法の財源はどうあるべきかという問題はおのずから別な角度から検討、措置せらるべきであると考えております。
#104
○春日委員 初心は忘るべからずということあります。法律というものは、時限立法でありません限り、やはり一個の長期展望の上に立って将来この法律を基準としてこれこれの政策を行なっていくのだ、その政策規模はこれこれのものである、こういうことでこの法律ができておると思うのであります。すなわち一般会計から産投への繰り入れ措置でありまするが、これは資金に繰り入れる場合を除きまして、産投の付則規定の追加によってこれがずっと行なわれておる、臨時措置としてこれがなされておることから判断をいたしましても、一般会計からここへどんどん必要に応じて繰り入れ措置を行なうということは、これは当初は予想をしておらなかった異例の措置である。当初必要ならばどんどんここへ繰り入れるのだというようなことが予想されておったといたしまするならば、提案説明はそのことに触れて、やはりそのことを明示されてあってしかるべきだと私は思うのでありますが、この点はいかがでありますか。すなわち必要があらば一般会計からいつでも補完をするのだ、こういう構想でこの法律が制定されたのではない。そういうことが構想されておったとするならば、提案説明の中においてその趣意について言及されてあってしかるべきである。言及されてはいない。資金規模というものは、その運用益、そのある一定の限界の中においてこれをやっていくのだ、これが一つの基本的な考え方ではなかったかと思うのであります。が、いかがでありますか。
#105
○田中国務大臣 春日さんの御発言の趣旨もっともであり、私もそう思います。しかし特別会計が二十八年につくられた当時のものだけで永久に押し通さなければならないという議論にはならないと思うのです。いわゆる時々刻々に移り変わっていく情勢に対処して、政策的な面から見まして、産投会計の持つ政策的なウエートというものが今年度はどう変わっていく、来年度はどう変わっていくということによって、産投会計が初めはもちろん見返資金特別会計の引き受け資産だけでもって運用がまかなわれておったとしても、その後産投会計に対する認識と産投会計の使命というものが拡大せられる場合、また拡大をせられて当然資金量の増大を要請せられる場合には、他に資金を仰いで一向差しつかえない、しかもそれは政府の考えだけでやるのではなくて、法律の改正もしくは国会の議決承認等を得て行なっておるのでございます。その意味で、昭和三十三年度に三百億の一般会計からの繰り入れを行ない、その後引き続いて何がしかの繰り入れが行なわれて、現在までに一般会計から繰り入れられたもの千五十億を算するわけであります。
#106
○春日委員 私は今大臣が述べられておるように、当初はその程度の資金規模でこれこれの政策目的を果たすことを考えておった、ところがその後経済規模が拡大されるに伴うてやはりその資金規模も拡大せなければならぬ、だからそういうようなときには一般会計からこれを繰り入れていくのだ、こういうことなら私はわかると思うのであります。私は、当初の資金規模がそれだけだからといって、ものにはインフレートする場合もありましょうし経済には消長がありましょう、だから観念的なことを言っておるのではありません。私は理論を求めておるのだが、そういうような、すなわちこの法律の第一条の目的を達成するに必要なる原資をまかなうことのためには一般会計から資金の増強措置が講ぜられて何らはばかるところはありません。けれども問題は、そういうような場合には異例の措置であるということであります。異例の措置とはすなわち新しいところの政策的な要請がそこに発生をしてきた場合である。すなわち第一条の目的を果たすことのために経済規模がそれだけ拡大されてきたとか、たとえばEECを眼前に控えて、そうしてわが国の国際経済競争力を増強することのために、やはり貿易振興のためにこれこれの措置が必要になってきた、そのためにはこれだけの財政資金の投入が必要である、第一条の目的を達成することのために新しい必要が発生した場合においては、その必要を満たすことのための資金増強措置は、これは考えられていい。けれども、そのことはあくまでも臨時措置である。すなわちそういうような必要が発生したという、すなわち当初は予想していなかった、ところがそういうことが生じてきた場合においては一般会計から繰り入れるということは、これはすなわち異例の措置である、臨時の措置である。当初からそのことが構想されておったならば、提案説明の中にこのことは述べられておらなければならぬ。よろしいか。それは愛知君がここで述べられておるように、「出資金を承継してこれを資本とし、これが運用による収入金と、特別減税国債の発行による収入金とを主要財源として投資を行うことといたしているのであります」と述べておる。一般会計から繰り入れるということは述べてはいない。必要に応じてそのつど繰り入れるということは述べてはいない。けれども、あなたの言われるように、第一条の法の目的を達成することのために新しい必要なる事態を生じたる場合においては、その法律の効果を高からしめるために、全からしめることのために、一般会計から資金を繰り入れて増強するということは、これは妨げるべきではないから、それはそのような新事態が発生した場合に対応するところの異例の臨時の措置と見るべきである。臨時の措置でなかったならば、提案説明の中に当初からそのことがうたってなければならぬ。うたってないことがやはりそのことを物語ると思うが、その点いががでありますか。
#107
○田中国務大臣 私は当時おりませんでしたから、その愛知君が述べられた提案理由の説明は、今春日さんが記録に基づいて言われている通りだと思います。しかし、それと私が今申し上げておることと、そんなに違わないというふうに私は考えておるのであります。愛知君が、提案理由の説明に対しては、主要点を列挙して御説明を申し上げ、それですべてになっておるわけではないのであります。政府はその後この法律案の全文を国会に提案をして、相当慎重な御審議をわずらわしたわけであります。この法律の第一条の第二項に、御承知の通り、この産業投資特別会計の財源措置が書いてありますが、これにつきましては、「特別減税国債の発行に困る収入金、産業投資特別会計の貸付の財源に充てるための外貨債の発行に関する法律第一条第一項公の債」、外貨債の発行、または同三条の借入金、それから第四項目に米国対日援助見返資金特別会計からの継承財産から生ずる収入金、第五項目には特定物資納付金処理特別会計からの繰入金そのほか第三条の二に規定する資金云々、こういうふうに並列列記をしているわけであります。でありますから、当時の現実認識としては、見返資金特別会計からの承継財産が非常に大きな数字でありましたから、そういう提案理由の説明をいたしておるし、また事実この産投会計というものは見返資金特別会計の延長プラス・アルファとしてつくられたものであろうことは容易に首肯できるのであります。しかし法制上の建前からいうと、この産業投資特別会計が将来国の経済の拡大に伴い需要が増大する場合、当然の資金措置が必要であるとする方向をあらかじめ肯定しているわけでありますから、この条項をそのまま読む場合、この法律の財源は見返資金特別会計からの承継財産を主に置くべきだと固定しておく必要はないのではないかと考えます。
#108
○春日委員 私どもは、わずか十カ年間でありますけれども、ぶっ続けでこの大蔵委員会をやっておる。だからわれわれはこの法律が提案されたときに身をもってこれを審議いたして参っておる。今あなたのようなしろうとがばかげたことを言っておられるけれども、そのようなことは本委員会で断じて聞きのがすべき筋合いのものではない。この法律をその当時われわれはよく審議したのであるが、そのときわれわれはこういう問題の細部に立ち至ってこれを検討いたしました。ということは、この特別会計による投資は主として出資の形式が支配的なものである、これが第一点。それから第二点は、しかもこの出資は出資先機関の資金コストを調整するのが目的で行なわれるのであるから、従ってこの出資によるところの収益を期待することが困難であるということ。従いまして、第三点では、この会計の資本及び積立金の運用収入の主たるものは、今あなたが、一、二、三、四、五、六といろいろ書いてあるその中でああだこうだ、この見返資金の問題はその中の一つであるから、従ってそのことだけにウェートを置いて判断なすべきではないと言っておられるけれども、われわれは、今申し上げたようなこの会計の出資は出資先機関の資金コストの調整が目的であるから、そこから収益を期待することができない。いいですか。だからこの運用収入によって法律第一条の目的を達成することのためにはどのような運用収入が期待できるか、これを当時大蔵委員会で深く検討をいたしました。その結果得ました結論は、見返資金特別会計から承継した資産の運用の結果たる日本開発銀行からするところの政府に対する納付金、これのほかには僅少の貸付金の利子収入、これがあるだけのものであって、他には収入がない。よろしいか。すなわち継承した対日援助見返資金特別会計の運用益、これ以外に収入はないのだ。だからわれわれとしては、提案趣旨説明の中に述べられておりますように、愛知さんがその当時述べたように、「これを資本とし、これが運用による収入金と、特別減税国債の発行による収入金とを主要財源として投資を行う、」こういうように理解して、それはそうだ、それでは一体運用益がどの程度上がってくるのだ、かれこれ百五、六十億だ、百三十億だ、いろいろなことを年次計画では述べられているが、その規模に応じて投融資を行なっていく、出資を行なっていく、こういうふうに見てこれを通した。だからその当時においては、新しい事態が発生をした場合においては特殊異例の措置として、すなわち一般会計から繰り入れることもあらんけれども、将来とも随時財政の余裕が生じたときにどんどんそこに繰り入れていくのだという構想によってこの法律が制度されたものでないことは明らかである、この点はいかがでありますか。
#109
○田中国務大臣 私も春日さんのおっしゃることをそのまま認めまして、その当時はそうでありましたでしょう。この産投会計というものは、いろいろ理屈は言いますが、当時は見返資金特別会計の延長プラス・アルファだというような考え方でつくられたものであろうということは先ほど申し上げたのでありまして、春日さんの考え方をそのまま是認をいたしておるわけであります。しかし法律はつくられたときの精神がそのまま永久に不変であるものではなく、時代の要請へ特に政策的ウエートの置き方によって当然変わってくると思います。しかしこれは変わってくる場合には、法律改正等の適切な措置を行なうかもしくは法律にそのような事態をあらかじめ予測をした救済条文があるということによって措置すべきだと思いますということをお答えしているわけであります。その当時、あなたが言われた通り、確かにこの産投会計法の主要財源は、見返資金特別会計の承継財産をもととして、またそれでまかない得る範囲を考えて一般会計からの繰り入れ等当然なすべきであるという議論ではなかったと思いますが、その後の情勢の変化等を予測をして、第一条第二項の規定も置き、第三条二の規定の中に、「一般会計からの繰入金及び資金の運用利益金をもってこれに充てる。」と、あえて明文を残したのだと思います。そういう意味で、今日非常に事情も変わってき、この会計に対する要請も変わってきたので、昭和三十三年度から千五十億の繰入金が行なわれておるのでありまして、あなたの言われる立法の精神は順守すべきではありますが、時代の要請によって相当変わってきておる、また変わってきておることに対して、一般会計から繰り入れることに対しては、法律に救済条項がありますから、手当性もあり、違法でもないということを申し上げておるわけであります。
#110
○春日委員 私が申し上げるのは、わが国の経済が成長するに伴って、子供がだんだんと成長しておとなになる……。
#111
○田中国務大臣 ちょっと相済みませんが。私の答弁に幾らかそごがあったようでありますから、訂正をしておきます。二十八年の八月一日施行の産投会計法で、一般会計から繰り入れて財源にするいとうことではなく、その後何回か改正をせられ、改正の必要性があった、いわゆる産投会計に対する政策的ウエートが変わってきたものに対応して、第三条の二、いわゆる一般会計からの繰り入れ規定が挿入をせられたのであるそうでありますから、訂正をしておきます。
#112
○春日委員 この法律は、たとえば子供がおとなにだんだんと成長していく。そうすると、たとえば食事の量にいたしましてもだんだんとふえていく、着物の身幅にしてもだんだんとこれがたくさん必要になってくる、逐次これをふやしていくということは、これでいいと思うのです。そういう成長に伴って、必要なるものを増強していくということは、第一条の法律の趣旨に基づいて、その後における一般会計からの繰り入れを可能ならしめるところの法の改正が行なわれて、今日かれこれ一千億をこえるところの一般会計からの繰り入れが累積されておると思うのです。ところが問題は、子供がおとなになっていくというような、成長に対して対応するところの供給ではないのだ。子供がおとなになるという成長ではなくして、まあオタマジャクシがカエルになるというなら、それでもいいと思う。ところがこの前申し上げたように、ハマグリ変じてスズメになるような、全然変わったことに対して、この金を使おうとしておるのです。この間平岡君やその他の諸君の質問に対して、このことが産投会計の資金を窮屈ならしめないか、こういう質問に対して、あなたは、窮屈になってきたら、そのとき一般会計から繰り入れる、こう言ってきておる。だから一般会計からこの産投会計へ繰り入れるということの本旨は、やはりこの第一条に書いてありまするように、経済の再建、産業の開発、貿易の振興、この三つの政策目的を達成することのために必要な資金、こういうことならば、私はどんなに繰り入れられてもこれは妨げない。法律の趣旨は、それによっては何ら阻害されないと思う。政策はだんだんと成長しながら、生きて国民の福祉のために貢献すると思うのです。ところが今度の問題は、すなわち対米債務をこの会計の負担たらしめることによって、この会計が窮屈になったら、そのときには一般会計から繰り入れるのだ、こういうことは、対米債務の返済を契機として、今後少なくとも十五年間にまたがって、絶えず会計の資金力を弱めていく、そして一般会計からの繰り入れという臨時的な措置を、少なくとも将来十五年にまたがって常例的な措置にしようとしておるものであって、これは本法律の趣旨から考えて、大へん飛躍した形になっていってしまう。すわなち、絶えずこれは増強措置で、一般会計から繰り入れしていかなければならぬという形になってきておる。異例の措置が、将来十五年間にまたがって常例の措置になってくる、こういうことは、私は非常に問題点があると思うが、いかがでありますか。
#113
○田中国務大臣 前に御質問になられた皆さん及び春日さんの言われることは、よくわかります。私も情において、この法律制定の状況を考えます。と、確かに今使っておるのであるし、しかも資金需要はますます大きくなるのであるらか、なるべくそれはそのまま使っておって、そのほかになお必要なものに対しては、一般会計から繰り入れるか、もしくは一般会計という直接国民の税金によらない何らかの低利、長期の原資を求め得るならば、そのようなものに対して十分配慮すべきであるという考えは、非常によくわかります。私もその通りだと思うのです。が、私の言うことも、春日さん御存じだと思う。いずれにしても、この問題に対しては、元になった資産というものは、これは日本人が税金を出したものとか、われわれが積み立てたものではなく、対米債務のもととなったアメリカからの援助物資を、国民に売り渡した代金を積み立てておった見返り資金特別会計がありまして、しかもそのときには、二十八年現在には、支払いをする対米債務がきまっておらなかったのです。おらなかったから、これはいつか返すんだろうということは、心の中でだれもが考えておったでしょうが、少なくともいつ返すのかわからない。だからその状態のもとにおいては、これをより合理的に運用しようということで産投会計をつくったのでありまして、現在の時点において対米債務を返済する、それは一般会計から直接払った方がいいのか、賠償特別会計の中から払った方がいいのか、産投から払った方がいいのか、新しく対米債務支払いに関する特別会計をつくって払った方がいいのかいろいろなことを考えたのですが、二重払いの問題等いろいろ誤解がありますので、そういう問題も考慮に入れて、国民的なフェアな立場で考えた場合、積み立てておった原資が手づかずであるのだから、この原資から返そう、しかも十五年にわたって長期割賦返済を行ないますが、なお元金になるものはそのまま残っているのだから、運用収益をもって返そうということに到達をいたしたわけでありまして、この間の問題を全部一くるめにして御議論をされると、いろいろ申されることもよく理解できるのでありますが、先ほどから私が申し上げておるように、いわゆる対米債務の支払いというものは、非常に特殊なものであり、限られた金額であり、二重払い論等に対しても明確な回答を国民に与えて理解を求めたいというような、いろいろ国家的な、また国民的な考えの上に立って、産投会計の負担にすることが一番いいということで、条文を新たに追加をしてこの会計の支払いにしょう、しかも支払う金額は、原資をして返済に充てようという決改正案を提案しておるのでありますから、その間の事情も考えられて、この対米債務支払いということも、国家としては大へん大きな責任ある問題でありますので、一つ同列に考えて、同情あるお考えを賜りたいと思います。
#114
○春日委員 野党に対して政府が同情してくれと言うようなことは、何をか言わんや、いかに信念、確信がないかを明白に物語っているのであります。が、この間も平岡君の質問に対して、総理がこういうことを答えられておりました。すなわち、私はこのことあるを期待してこうい産投会計をつくったんだ、そして対日援助見返り資金特別会計をそこへ承継せしめたんだ、そういうようなことを言っておられるけれども、これは行政当事者の越権行為か、あるいは悪だくみか、実際的には詭弁であるか、とにかくそんなことはうそです。もしほんとうにそういうような心がまえ、またそのようなほんとうの構想があったとするならば、少なくともその賠償等の特別会計の中に対米債務についてはこれを除くと明示されておらなければうそなのですね。賠償会計の提案説明の中にも、その他の法律の条文の中にも、これはエロア・ガリオアに関する債務の支弁についてはこの賠償特別会計から払わない、カッコの中にラオスやその他のことが詳しく書いてあるのだから、少なくともその対米債務については産投会計から支払わせるのだということが当時の構想であり、池田さんの確信であったとするならば、少なくともその賠償特別会計の中に私は対米債務についてはこれを除く。ここから払わないのだということが明示されておってしかるべきだと思うんです。そういうようなことは全然詭弁であるから、幾らあなたが同情をこい願われてもとてもわれわは承知するわけには参りません。私はここで重ねて明らかにしておかなければならぬと思うが、何といってもこの産投会計は投資を目的とする会計である。それから対米債務をこの会計で負担するというこの改正規定はこの会計の目的と、少なくともこれは全然背馳する。すなわち本来これは両立しがたい性向を持っておると思うが、この限界において大臣の所見はいかがでありますか。
#115
○田中国務大臣 私はその問題に対して国会の議決を求めておるわけであります。これに対しては産投会計ということの将来の資金量の拡大を考えます。と、先ほど言ったように一般会計から繰り入れるだけが能ではないと思うのです。これから外債を発行するとか、いろんな特別減税国債を発行するとか、こういう問題が当然この委員会でも議論になるわけであります。またそういう問題をやったときに、財源を得た場合この債務の償還は本特別会計において行なうという追加条文が当然また入ってくると思うのです。私はそういうことから考えて、同じ財源を入れておるのですから、この会計から返すといっても何ら差しつかえは私はないと思うのです。
#116
○春日委員 返すことが道理にかなっているかどうかという理屈や筋道を伺っておるのではありません。私が大臣に伺っておることは、産投会計は投資を目的とした会計である、こういうことですね、ところが今回対米債務をこの会計の負担するところの今回の改正規定、これはこの会計の本来の目的と全く背馳をいたしておる。だから国際協約というものは国内行財政に優先する原則から考えましたも、これは平穏に両立しがたいものである。たとえば財源が少ないから、アメリカの方もこれだけ減らしておけ。それからいろんな出資もこれだけ減らしておけといって話し合いがつかないものである。アメリカの分を天引きして残ったものについてやっぱりその趣旨を考慮していく、こういう問題であって、だからこれは平穏に両立しがたいものである。政策それ自体としては異質のものである。こういうことを指摘してお伺いいたしておるのでありますが、大臣の所見はいかがでありますか。
#117
○田中国務大臣 どうも先ほどから私の言うことも春日さん、十分御承知で……。
#118
○春日委員 私の質問に対して答えてもらわなければならぬ。私はあなたに質問を受けたり、あなたにな陳情を受けたりするためにここに立っているのではありません、私は政府の見解をただし、その疑義をつまびらかにして、そして国のまつりごとをあやまちなきを期するがために私はその職責を果たしておる。だからあなたの言うことをお聞きする筋合いはない。私の質問したことに限って御答弁を願いたい。いかがでありますか。
#119
○田中国務大臣 この産投会計の第一条に目的はございますが、この目的に追加をする規定を挿入いたしてもこの会計の精神がゆがめられるという考えはございません。しかもこの会計が先ほど春日さんが言われる通り、見返資金特別会計の承継財産のおもな資産としてつくられたものだという議論からすれば、それがもし返済を必要とする場合、この返済を特別会計の負担にして行なうということは法制上全然問題はないし、精神をゆがめるものでもない。しかもこの法律の十二条、十三条には余裕金のある場合には資金運用部に預託をすることができる。第十三条の一時借入金の項においては一時借入金をすることができると言っておりますが、この借入金に対しては二項において「前項の規定による一時借入金は、当該年度内に償還しなければならない。」いわゆる償還規定もあるのでありまして、これは法制定の当時主要財源であった見返り資金特別会計承継財産に対する償還の方法が未定であったために、しかもその当時は全くの支払いをするのかしないのか、するとしてもどこでやるのかというような債務が確定をせられておらなかったときでありますから、償還方法を規定しなかっただけであって、今日両国間において協定が成立をし、どこから払うということを考えるときに、この会計から払うことが一番至当だ、こういう結論に達した場合、私はこの法律の精神をゆがめるものでもないし、また設置目的に反するものでもない、こういう考えであります。
#120
○春日委員 とにかくそれはあなたが自民党という多数を背景にして白いものを黒いと言いくるめようとしておる。サギをカラスと言いくるめようとしておる。これはあなたほどの政策マンが私のこの政策論議がおわかりにならぬはずはない。ただ多数の横暴でサギをカラスだと言い込めようとしているだけであって、この質疑応答を通じて公正なる国民は何ら納得しないと私は思う。私たちは返すことがいい悪いという問題を論じているのではありませんぞ。われわれはこれによって法律の体系が乱れてくる、法の体系が乱れてくると政策秩序が混乱をしてくる。そのことを論じておる。だから私は今あなたが申されたことは、第一条の目的というものは何といっても経済の再建、産業の開発、貿易の振興なんだ、ここに対米債務をこの会計の負担にするというこの改正を織り込むということは、すなわちこの法律の本来の目的に背馳する、両立しがたい。なぜ両立しがたいかというと、国際協約は国内のそれに優先する原則から判断して、余裕財源があろうとなかろうと、これだけのものを天引きしてやってしまうのだから、普通ならば国民経済の再建と、産業の開発と、貿易の振興と、この三つの要諦があるから、財源が百五十億しかなかったらこういうふうに按分しようとかいうような話し合いもつくが、この三つのものをこの中に併存せしめることは、話し合いも妥協の余地もない共存併立しがたい二律背反のものをこの中に入れる、こういうのです。
 私は前国会で水田大蔵大臣にこういうたとえ話をいたしました。あなたの理解を深めるためにもう一ぺん繰り返します。たとえばこの経済の再建というものを鶏でいうならば白色レグホンくらいとします。産業の開発、これを鶏の中のミノルカくらいとします。それから貿易の振興、これを名古屋コーチンくらいとします。この白色レグホンもミノルカも名古屋コーチンもみな鶏なんです。だからその三種の鶏を鶏小屋に入れても平和的に共存できる。お互いにこれが共立っていくと思うが、そこに対米債務を負担せしめるということは一匹のイタチを、しかも強力なイタチを鶏小屋の中に追い込んで、そうしてともにこれを飼育せんとするものであって、イタチというものは鶏を食い殺したい性向を持っている、実際問題として、だからそういう食い殺したいやっと一緒に住まわして、しかも将来十五カ年の長きにわたってともに飼育しようというのだから、そんなことは一体政策として理屈がかなうかというのです。私は金を返すのはこんなところから返さなくたってどこからでも返せると思うのですよ。だから、金を返すべし、返すべからずというようなことを論じておるのではない。返すならば、金にイヤマークがあるわけではありませんから、これはどんな方法だってとれると思う。どんなむずかれしいとり方だってとるのだから、私はもっとスマートなとり方だってあると思う。だから、私が申し上げておるのは、立法論として論ずるときに、鶏小屋の中へイタチを飼って、ともに両方健全に育てていこうという考え方は愚かしきことさたの限りだ、こう言っておる。その点はどうです。
#121
○田中国務大臣 春日さんの立論は一つの見方であって、これは論理としてはなかなかりっぱなものだと思います。が、しかし、この目的事項の対米債務をこの会計の負担とするということが、イタチと一緒にするということのようには考えておりません。なぜかといいますと、私が先ほどから申し上げておりますのは、今はもうそんなことを聞いておらぬといいますが、この問題を政府が提起をいたします前から二重払い論ということが非常に大きくあったわけであります。二重払いをするならばこれは国民に対して不信を買うことであるし、日米間の大きな障害となる問題でありますから、まずこれを解明しなければいかぬ。そのわれわれが返すというのはもらったのか、借りたのか、払うのかということは別にしまして、一体物が入ってきたのかどうか、その代金はどこにあるのかということを十分解明するのは政府の責任であります。そういう意味において十分検討しました結果、データもあり、伝票もあり、しかも十七億九千万ドルという大きな数字が出たのでありますし、しかもその大半は見返資金特別会計から現在の産投会計に継承され、利は利を生んでおるのであります。でありますから、賠償特別会計の中から払った方がいいじゃないか、また一般会計から払っても、筋が通れば国民は何とも言わないのだというふうに、非常に前とは変わった大乗的な御議論をしていただいてはおりますが、やはり政府というものは、この問題が起きてから今日まで国民に与えたいろいろなことを考えて、産投会計にあるものでありますし、しかも原資そのものが減るものではありませんで、その運用益金だけで返せるということでありますので、産投特別会計の負担にしたというのでありますから、その間の事情を一つ御理解を賜わりたいと存じます。
#122
○春日委員 今大臣は、問わず語りに二重払いの非難を避けるためにこの道を選んだ、と申されております。私はそれが全く本心であろうと思う。私は、とにかく政治というものは確信を持たなければならぬと思うのです。二重払いだとあなたの方はお考えになるのか。そういうことは絶対に当たらぬものであるという確信だにあらば、だれが二重払いだと言おうと、払った覚えはないから二重払いではないという確信のもとにきちっとした処理をなさってしかるべきである。寛容と忍耐と低姿勢、何でもこんなものをえらい自慢に池田内閣はしておられますけれども、たれかが非難をすると、どのような非難に対しても恐れおののいて、そうして堂々と大道を闊歩しないで、裏道やどぶ道を走って歩いて、曲りくねって泥まみれになって、みそといわれようがくそといわれようが何でもかんでも目的地へ着こうというので、あぜ道を走ったりどぶの中をかけめぐったりして対米債務を支払おうとしている。そうして、二重債務の非難だに避ければよいという態度は許されぬことだと思う。とにかくたれが何といおうとも二重払いでなければ二重払いでない、一ぺんも払ったことはないのだから二重払いでないという確信のもとに、矢でも鉄砲でも持ってこいという確信でやっていかなければいけないわけです。二重払いの非難があったら、その非難に対して、とっては投げちぎっては投げしてそういうきちっとした所論を貫いて、そうして、少なくとも政治権の座にある者は確信を持ってやっていかなければならぬ。二重払いといったら、その非難を避けるためにこんなものをここに持ち込んできて、将来十五年の長きにわたって、これによって産投会計に資金の不足を生じたならば一般会計から繰り込まざるを得ない、資金の繰り入れをせざるを得ない、そういう形になるということは、この産投会計そのもの、これを鶏小屋とするならば、将来十五カ年にまたがってこれをイタチのおりにしてしまうものです。だから、この点はあなたの方によく判断をしてもらわなければならぬと思う。少なくとも法律秩序というものは整然として首尾一貫しておらなければならぬ。そうして、この法の体系を厳粛に保つことによってわれわれ国民に対してその責任を果たしていかなければならぬ。たれかが二重払いだと言うたら、ああそうだと言って、それを避けることのためにこんな産投会計の中に賠償特殊債務の処理会計から払うべきものを持ち込んできてみたり、一体何たる醜態ですか。あまりに権威がない、あまりに確信がない、卑屈であって、卑怯であって、醜態であると私は思う。
#123
○田中国務大臣 大へんな御鞭韃をいただいてまことにありがたいわけでありますが、しかし、春日さんの言われる通り、政府はきぜんとした態度を一貫してとっているわけであります。二重払い論を糊塗し、これを合理化するような因循こそくな手段をとるために産投会計の負担にするという改正案を提出しているのではありません。これは一つはっきりと申し上げておきたいと思います。私は不敏にして――池田総理が言われたように、昭和二十四年当時からこれを払わなければならなかったかと言うことに対しては、個人として、池田総理が言われた通り、さすがに先輩は堂々たる考えを持っていると非常に感激しているわけであります。これは産投会計の中から払うから、春日さんはそういうお話をされますが、産投会計の前身であった見返資金特別会計がそのまま存続しているという状態を仮定いたしてみた場合に、一体こういうようなものはどこから払うか。私はこの問題は、積み立てておった見返資金特別会計から払うという議論がほうはいとして起ってくると考えます。私はそういう意味で、少なくとも産投会計というものは見返資金特別会計の承継財産でつくられたものでありますから、しかも現在は見返資金特別会計はなくなっておるのでありますから、その承継財産を持つ産投会計から返すことがより合理的であるということで改正案を提出いたしておるわけでありますから、何か政府が裏道を回って低姿勢のような状態から出たものでないことを御理解賜わりたいと存じます。
#124
○春日委員 それは違います。それでは私は伺います。ここにエロア・ガリオアの対日援助の総額、これは米国資料、日本資料さまざまあろうが、まあアメリカの言いなりほうだいといたしまして、総額は一体幾らだったのですか。
#125
○田中国務大臣 アメリカ側の御要求は十九億五千万ドルでございます。
#126
○春日委員 そういたしますと、十九億五千万ドルとすれば、かれこれ七千億円と見ることができる。そうすると、この七千億円は向こうからもらったのですよ。しかるに産投会計に継承されておる額はそのうちのわずか一部分である二千二百九十四億円にすぎない。そうすると、その差額四千七百億円、これはどういう工合に処理されているか、御説明願いたい。
#127
○田中国務大臣 こまかいことは事務当局をして答弁をいたさせますが、これに継承した財産の差額は二千九百億程度だと思います。それから残余のものは、なおそのほかの政府機関等に出資をし投資を行なわれておるものもございます。なお、最終的な債務額を決定する場合に差し引いた在韓輸送費の問題とか、沖繩に対する輸送費の問題とか、また沖繩その他韓国等に対して送られた物資等をその後差し引いて正確な債務額を――その上、なお西ドイツに適用せられた三三・何%というものをかけて、四億九千万ドルという数字を確定いたしたわけでございます。
#128
○春日委員 この十九億五千万ドルの中に、二十四年以前の分も含まれておりますか。
#129
○田中国務大臣 入っております。
#130
○春日委員 そういたしますと、国民が一ぺん日本政府に払っておるから、そこでもう一ぺん一般会計から払うということは二重払いだ、こういう非難がある、こう言っておられるのだけれども、その当時、まああなた方は野党であった、片山内閣であった、だからその当時の行政の実情は諸君はお知りにはならぬ。われわれ片山内閣――社会党、民社党でなければよくわかってはいないのです。事実その当時、相当無償で出したものがある。七千三十四億円の総額の中で、とにかく引き継がれたものは二千九百億程度のものなんだ。だとすれば、四千数百億円というものは、その中の相当の部分はただでやったのだ。その当時生活困窮な者であるとか、あるいは学童に対するものであるとか、あるいは引揚者に対するものであるとか、そういうような社会政策的、公共的性格のあるものについては無償で給付しておる。現在そのそろばんの差額だけだって四千五百億あるのですから、四千五百億円の使途というものは、あるものは貿易特別会計の円安、ドル高の差損金ですか、その操作資金に回された。あるものは無償の給付をしておるのだ。どの程度無償しておるか、ここで一ぺんその数字を明らかにして下さい。
#131
○田中国務大臣 こまかいことは事務当局をして答弁させますが、ちょっと数字が違うようであります。私もまた片山・芦田内閣当時は、君は知らぬだろうと言うのですが、私どもも時に民主党所属議員でありまして、当時の与党の一員でありますから、その事情は春日さんと同じようにつまびらかにいたしておるわけでございます。これは確かに当時の事情として、無償でいろいろ配ったものもありますし、同時に時の農林大臣である和田博雄氏が司令部に日参をしながら、何とかこの窮状打開のために援助物資を、代金は別にして――いずれ払うことにしても、とにかく時の政府当局はほとんど毎日日参をしながら援助物資の急送を願ったという事実も承知をいたしております。しかし、その十九億五千万ドルのうちから無償という前提でやったものに対しては、その後学童用に対するミルクとかその他は明らかに無償としてこの十九億五千万ドルから差し引いて最終的確定の基礎数字にいたしておることを申し上げたいと存じます。
#132
○春日委員 私は、国民の二重払いという非難を避けるためにえっさもっさと現在の政府がとって回ってこんなようなむちゃくちゃな処理をいたしておるから、はたして二重払いであるのかどうか、そういう事実関係をつまびらかにしておく必要があると思うので、あるがままに一つ御答弁を願いたいと思う。当時あなたも三党連立内閣の一与党の一員であられたとするならば、さらにその間の事情が御記憶にあらんかと思うが、その当時生活困窮状態にある者、引揚者、学童その他公共性格を持つ支給先、社会政策的意義を持つものに対しては無償によってこれは配付をいたしておるわけです。その額が一体幾らだと思うか。とにかく十九億五千万ドルの中からこれが五億何千万ドルか、四億九千万ドルに減っておるのであるから、そんなものが引かれたことはこちらは百も承知のことなんだ。だから、国民が一ぺん払っておるのだから、もう一ぺん一般会計から払うと二重払いになると言っておるけれども、その当時この七千億の中で引き継がれたものは二千九百億くらいなんだから、従って、四千数百億のものは――とにかくここに引き継がれていないところの金がどこかにある。それはただでもらったか、あるいは他の政策意図によって消費されて、その還元福祉として、国民がすでにその福祉を受けておるか、いずれかなんだ。払った金が全部ここに集積されている筋合いのものではない。だから、二重払いという非難が当たるか当たらぬか、その点は究明していけば明らかであると思う。その点はどうですか。
#133
○田中国務大臣 数字はあとから一つこまかく申し上げますが、これはちょっと誤解があるようですから、私の知る限りのことを申し上げます。アメリカ政府及びアメリカ軍から特に学童用の粉ミルクその他、無償であるというふうに、切符にも無償として明らかに明示をしておったものは、これはもう当然債務性からは控除いたしてございます。初めの十九億五千万ドルの中にはそんなものもきっと入っておったのだろうと思いますが、いずれにしてもそんなものは全部控除をいたしたわけでございます。今度は、日本の政府が受け取ってから日本国民に対して無償でやったかやらなかったかという問題の内訳はあとから申し上げます。が、これは無償でやったものもきっとあると思うのです。無償というか、非常に安い価格で払い下げたという問題はあります。しかし、これはアメリカ政府及びアメリカ軍との関係においてなされたことではなく、当時行政の責任であった政府と国民との間においてなされたものでございます。でありますから、国民からは、受け取った物資に対して一部の代金は納められておりますが、これは無償配給したということがあれば、その部分に対しては、無償でありますから当然代金は払われておりません。しかも二重払い論というのは、何か日本政府からアメリカに二重払いをされているような誤解がありますが、アメリカには一銭も払われておりませんから、これは二重になっておりません。同時に、一般会計から今度は払う場合に二重払いというような議論がなされておりますが、私は、今度の対米債務を払うために、対米債務支払いの財源等に関する臨時措置法でもつくって特別に国民から財源を得るとすれば二重払い論も起き得るとは思いますが、見返資金の継承財産が現に産投の中にあるのです。これは何に使っておりますかは別としまして、厳然として存在することは事実であります。でありますから、私は、この産投会計になる財産というものが日本が今度アメリカに払う対米債務の元となった金額であって、明らかに厳存し、われわれの生活にプラスをしているのだということを国民が認めるならば、他の一般財源から支払っても二重払い論などは当然起きないというふうには考えております。特に、この特別会計から払おうというのでありますから、二重払い論というのは全然起きないというふうに私は承知をいたしております。
#134
○春日委員 二重払いになるようなことは全然ないとあなたが確信するならばそれでいいのだ。ところが、二重払い論があるからこうしたのだと言われるものだから、二重払い論なんというようなものの実体を究明して事実関係をつまびらかにする必要がありとして、私はこれを質問し、論じておる。ただでやったものは幾らですか、事務当局から御答弁願います。
#135
○安藤政府委員 かって算出の基礎という資料を差し上げたかと思います。その算出の基礎の中に説明してございまするが、ガリオア対日援助物資の総額は、通産の資料によりますると十七億九千五百万ドルでございます。しかし、その中からいわゆる控除分といたしまして、贈与分千六百三十三万九千九百三十ドル、これを引いております。これは主として、具体的に申しますと……。
#136
○春日委員 日本政府が日本国民にただでやった分です。アメリカからただでもらったのではありません。日本政府が日本国民にただで配給した分、どのくらいだというのです。
#137
○安藤政府委員 これは通産省がよく御存じだと思いまするが、この間の事情を御説明申し上げると重複になると思います。が……。
#138
○春日委員 ならぬ、ならぬ、アメリカからただでもらった分はただだから、これは問題にもする必要はない。債務性ありとして援助を受けたものについて、日本政府が日本国民にただでやった分があるはずだ、その額はどれほどかということを聞いておる。二重払い論があるとすれば、それを明らかにせなければならぬ。二重払い論があるからこういうことをやったというからには幽霊を見てびっくりしたのか、それとも実態がそうだからびっくりしたのか、その点を明らかにしたいと思うから尋ねておるのです。答弁々々。
#139
○田中国務大臣 政府委員がただいま準備中ですから暫時お待ち下さい。
#140
○池田説明員 お答えいたします。当時は貿易資金特別会計の中で経理をしておりまして、当時ただいま申しましたような援助額のうち、贈与と認められるものにつきましては、総額から控除しておることはただいまも御説明がありました通りでございますが、その他のものにつきましては、貿易資金特別会計の中で貿易庁がマル公を基準にいたして払い下げておったというふうに聞いております。その無償で幾らのものを売り払ったかということにつきましては、当時貿易庁では売り払っておったわけでございまして、あとは国内の政策のいろいろの問題で無償で売り渡したかどうか、あるいは払い下げしたかということは聞き及んでおりません。その関係の官庁の方でいろいろその払い下げをやった。ただ当時所管しておりました貿易庁におきましては、マル公で払い下げておったというふうに記憶しております。
#141
○春日委員 問題は、米国のいうところによれば、主張するところによれば、その対日援助総額は十九億五千四百万ドル、日本がいうところは十七億九千五百万ドル、だからアメリカがいうところをとるとすれば、円にして総額七千三十四億円になる。ところがこの産投会計へ引き継がれたのが二千二百九十四億であるから、四千七百四十億円というものは、日本が貿易庁であろうとあるいは厚生省であろうと、そういうものがマル公で払い下げたものもあるであろうし、そうしてただでやったものもあるであろうが、少なくともただやったもの概算金額というものはどの辺のものであるか、この点を伺っておるのです。
#142
○田中国務大臣 ちょっと春日さんに申し上げますが、この二十四年のいわゆる見返資金特別会計を設置する前のものに対しては、御承知の米軍が全く管理をしておったのでありまして、あとから証票その他によってつき合わしたのであって、多少内容に対して不明の点もあります。がしかし見返資金設置以後、いわゆる日本人が関与をした状態以後の数字をここで申し上げますと、通産省が総司令部の資料に基づいて、各事例を一件ごとに関連資料を検討した結果、概算をした数字は十七億一千六百九十二万五千ドルという数字であります。この中で見返資金の設置以前のものが八億四千七百万ドル、それから見返資金設置以後のものが八億六千九百万ドルという、こういうふうな数字になっておりますので、見返資金の特別会計が設置をせられた昭和二十四年以後の数字に対しては八億六千九百万ドルという確定的な数字を引き継いでおるわけでございます。
#143
○春日委員 それだから申し上げておるのです。一つよく聞いてもらいたいのだが、二重払い論が政界の一部にある。だからそれを避けることのために、二重払いにならざるように政府がこの措置をとった、その非難を避けるためにこういう措置をとったとあなたは今言ったばかりなんです。だからそれの事実関係を明確にするために私が申し述べたいことは、すなわちその当時三党連立内閣でやってきたんだが、これは記録を厚生省なり府県なり市町村なり調べてもらえればはっきりわかるんだが、当時困窮者であるとか、引揚者であるとか、学徒であるとか、そういう公的性格を持つものに対しては、あるものは政策価格によって、あるものは無償によって支払われておるものが相当あるということ。それから他の部分はどうなっておるかといいますと、二十四年度分はこれは数千億あると思う。とにかく八億ドルと十九億のあれだから、かれこれ四千億近くあると思うんだが、その中のある部分は貿易特別会計によって、すなわち輸入輸出の円とドルとの為替レートの操作資金にこれが埋められておったのですね。だとすれば、その分についてはすなわち行財政資金としてすでに消費されてしまっておる。だれのために消費されたかというと、それは日本国と日本国民のために消費されておる。従ってその面においては日本国民はあるいはその分の代価を払っておるかもしれない。半額にしろ全額にしろ代価を払っておる分のあることは明らかです。その分については、日本国民の福祉のためにすでにそれは還元を受けておる。一ぺん払ったけれどももうもらっておる。少なくともアメリカからもらった七千三十四億円のうち、四千七百四十億円というものは、日本国政府が日本国民にただで配給し、あるものは貿易操作資金として、日本国民の利益のたゆにそれが活用されて、日本国民はみずからの福祉のためにそれを還元して、すでに手に入れておる。だから結局は払っていないことと同じことなんですね。
 それからさらにもう一つ。ここに残されております二千二百九十四億円ですが、産投会計に繰り入れた分も、これが開銀のためにあるいは住宅公団のために、いろいろなそういう公共的、すなわち産業の開発、貿易の振興、そういう国民の福祉のためにそれが生きて活用されておる。やっちまったんじゃない。アメリカにやっちまって産投会計がアメリカの利益のために使われておったならば、一たん二千二百九十億が払われておるのだから、いろいろな議論が出てくると思うのです。日本国民のためにこれが活用されて、日本国民はそれから福祉を受けておる。二重払いなどという理論は、このような名論卓説をもって論駁することができなかったか。どうです。
#144
○田中国務大臣 前大蔵大臣当時からるる申し述べておるのは、春日さんも同じことを申されておるわけであります。先ほどかちょっと誤解があるようでありますが、二重払い論がありましたので、それを消すために産投合計から支払うことにしたのではありません。二重払い論等も国内に存在をいたしましたので、政府としては二重払い論ではないという確固たる考え方を持っておりますが、しかし行政の責任者であり、しかも国民の理解を深めていくためには、産投会計に原資がそのままあるのでありますから、産投合計の負担とすることがより合法的であり、妥当であると認めましたという答弁でありますから、御承知を願います。
#145
○春日委員 そこがいかぬ。それはなぜかというと、今あなたが言われるように、政府は二重払いでないという確信はあるけれども、そのような意見もあるのでこうやると言われる。二重払いでないという確信があったら、こんなことやらないで済んだでしょう。確信はあったけれども、確信に基いて実行する勇気、行動力がなかった。だからこういうことになったのです。私はそこを非難しておるのです。だから法律は今通っておるのではないから、あなたの確信は正しい。すなわち七千何十億の中でここへ引き継がれておるのは二千何十億であり、四千何十億というものは国民がただでもらっておる。ただでもらったものを一般会計から繰り入れたって二重払いにならないのだ。それから貿易特別会のためには、これは為替レートの操作資金として国民の福祉のために活用されて給付されておるのであるから、一ぺんは払ったかもしれないけれども、すでにそれはもらっておる。だからそれはプラス・マイナス・イコール・ゼロであって、支払っていないものと断ずべきである。本日ここに残っている二千二百九十何億というものといえども、この金がアメリカの国民の利益、アメリカの国の利益、政策のために使われておるならば、一たん払った形になっておるかもしれないが、現に日本国民のための政策としてこれが活用されておるのであるから、何もこれは払ってしまってよそへやってしまったものではない。日本国民の財産として日本国内に保有されておる。だからあなたの確信は正しい。その正しい確信に基いて、なぜ正しい行政を行なおうとはしないか、問題はそこです。私はこう確信をしておるけれども、二重払いというそういう意見が国民の中にもあるので、従ってこういうやり方をとったというやり方が、――大平君がおられて悪いけれども、いわゆる寛容と忍耐と低姿勢というものは確信という一つの背骨があってこそ価値のあるものである。ところが確信があるけれども、寛容と忍耐と低姿勢で、ちょっとでも文句を言う人があったらああ済みません、ああ済みませんと言って、裏口からどぶ板をまくって入り走って歩いて、最終的には目的地へ着いてその趣意を達成しようとするまことに陋劣なる手段と断ぜざるを得ない。それは寛容と忍耐と低姿勢ではない。いかがですか。確信があったらなぜ確信に基いて一般会計から繰り入れて、賠償等特殊債務処理特別会計から支払わないのか。
#146
○田中国務大臣 二重払いでは絶対ないという確信を持っております。それから回り回って産投会計から出すというのではなく、産投会計から支出をするいわゆる対米債務は、産投合計の負担とするということは、賠償特別会計その他から支払うよりもより合理的であるということであります。
#147
○春日委員 それならば、大平外務大臣が参られたからちょっと質問いたします。それではこの賠償等特殊債務処理特別会計提案説明、これをまた読んでみたのですが、これによりますとはっきり明記してあります。「これらの賠償等特殊債務の処理に関する経理を一般会計と区分して」云々と、こう書いてありますね。それから賠償特別会計法の中には、第一条に「本邦が連合国その他の国及びこれらの国民に対し、戦争の遂行の結果又は戦争の遂行若しくは連合国の軍隊による占領に関連して負担する債務」はここで払うと書いてありますね。それで私は外務大臣にお伺いをいたしますが、ガリオア・エロア債務は一体これはどういう性格のものですか、この法律第一条の中に、「連合国の軍隊による占領に関連して負担する債務」これはアメリカの議会の速記録を読んでみてもそのことがずっと述べられておる。ドッジ予算局ですか、その他いろんな諸君によって、その間議事録によって明細になっておる。占領軍が占領行政を遂行することのためには、飢餓や窮乏やその他云々のものを救済しなければならないから、これこれの放出を行なうのであるけれども、しかしこのことは云々ということからも、予算委員会で何回もやった。本員もやりました。やっぱりこれに該当するでございましょう。いかがですか。
#148
○田中国務大臣 先ほど来申し上げております通り、このガリオア・エロアの債務は賠償特別会計から払うこともできますということは、総理もおっしゃっておりましたし、私も言っております。しかしこの賠償等特別会計の中に、占領のために必要としたというように局限をして、すべてがこの中のものであるというふうに断定するにはニュアンスは多少違うと思うのです。先ほど春日さんも御存じの通り、あの当時の日本の状況というのは非常に悪い状態であって、日本政府みずから相当の強い態度で、戦後の日本の経済復興、民生安定、何とかしてもらわなければ大へんだといって、日本政府側から何回か要請したために送られた援助物資もありますので、当然占領にかかるいわゆる被占領国民の意思というものは全く顧慮されないで、一方的な、占領しておる軍もしくは軍政府の考えだけで放出をせられたり、使用せられたりというふうに局限されておるものとは、多少ニュアンスが違うというように考えております。
#149
○大平国務大臣 私が理解する限りにおきましては、本件は国の債務でございますから、本来は一般会計が負担すべきものだと思います。賠償処理特別会計というものがございまして、その原則に対する特別法の役割を果しておると思います。先ほど大蔵大臣が申されたように、賠償処理特別会計法のさらに特別法が今度の産投会計法だと思うのでございます。その方が端的に了解しやすいという観点でこのような措置をとられたと思うのでございます。いずれにいたしましても、私は大蔵当局を御信頼申し上げておるのです。
#150
○春日委員 両大臣に伺いますが、私が質問しておりますのは、賠償等特殊債務処理特別会計法第一条にいうところの「連合国の軍隊による占領に関連して負担する債務で平和の回復に伴いその支払を要するもの」これに該当しないかと言うんです。このことはアメリカの予算委員会、その他アメリカ国会におけるそれぞれの速記録に徴しますれば、ときのラスク長官それからドッジ予算局長その他の答弁によって明白でありまする通り、連合国はその占領政策を遂行する上に必要ありとしてこういう対日援助を行なっておるのです。だから占領に関連して負担する債務であると思う。向こうはそのつもりで占領政策遂行上必要なる救援であるとして、日本に救援を行なっておる。だから私は第一条は、そのものずばりでそれを受けておる法律だと思うが、ガリオア・エロアの対日援助資金はこれに該当しないか、どうです。
#151
○田中国務大臣 先ほども申し上げておりますように、賠償特別会計から払うこともできます。がしかし、政府は、産投会計から産投会計の負担として支払うことがより合理的であり、適法であると考えましたということを申し上げておる通りでございます。
#152
○春日委員 それはあなたは多数を背景にすれば、黒いものでも白いものと言って、できないことは男を女にできないだけで、国会において何と言おうとかんと言おうと、もうとにかく多数でやってしまうのだ、やっておけばいいのだ、あとはもう採決だ、こういう考え方で答弁されておるならば何をか言わんやです。
 それじゃさらに具体的に伺います。英連邦占領軍放出物資があるはずです。この金額は幾らであるか、この金はどこへ入れたか、御答弁願います。
#153
○田中国務大臣 事務当局から答弁いたさせます。
#154
○上林説明員 御質問の英連邦軍から物資を受けましたいわゆるBCOFでございますが、これにつきましては総額八億六千四百万円、これを年度によって違いまするが、二十六年及び二十八年、三十年はいずれも一般会計で払っております。なお昨年……。
#155
○春日委員 払っておるのではないのです。その金はどこへ繰り入れたか、放出されたものを国民に配分してその対価を得たであろうが、その金はどこへ入れたか。
#156
○上林説明員 その英連邦軍物資は、当時貿易資金特別会計がございまして、その資金の運用といたしまして、買い入れをいたしたわけでございます。その後その貿易資金特別会計は廃止とともに一般会計に承継をされたわけでございまして、一般国民に売り払われましたのは、特別会計時代、あるいは一般会計の整理の段階で行なわれましたが、貿易物資としては一つとして取り扱われておったわけでございます。従いまして、その物資の売り払い代金は貿易資金特別会計に入り、あるいは一般会計に承継された後は一般会計で整理をされた、こういうことになるわけでございます。
#157
○春日委員 問題はここにあると思うのです。英連邦占領軍がアメリカ占領軍と同じように相当の物資を放出いたしておるその額がかれこれ八億円と申しますか、国民に売った対価をもらった、その会計は一本の会計ですね。すなわちアメリカのエロア・ガリオアの会計と同じように、その貿易会計の中に繰り入れておる。そうでしょう。いかがですか。
#158
○田中国務大臣 ただいま御説明申し上げた通り、貿易会計に繰り入れましたが、その後特別会計が廃止をされ、その会計の残は、そのまま一般会計に引き継がれましたので、支払いは一般会計から行なわれておる、こういうことでございます。
#159
○春日委員 これはアメリカの放出の分だとか、イギリスの分だとかいうような区分は、金にはつかないですよ。かれこれ三千数百億か相当な額に上ると思うが、アメリカの分もイギリスの分も一緒の金になっておるのですね、そうでございましょう。
#160
○田中国務大臣 イギリスその他豪州もあると思いますが、払い下げを受けましたものはガリオア・エロアと一緒になって見返資金特別会計には吸収いたしておりません。これは明らかに別の会計、すなわち貿易特別会計の中で処理をし、それが一般会計に引き継がれまして、債務決済は一般会計において行なわれております。
#161
○春日委員 これにはデリケートなポイントがあるのですね。今あなたが御答弁されておるそのポイントは、七千三十四億円全額がこの産投会計の中に引き継がれておれば、それはそういう理論も成り立つと思うのです。ところがアメリカから十九億何千万ドルが、ずっと四億九千万ドルに圧縮されておるのだから、どの分この分というようなものはもうめちゃめちゃになっておるのですね。ただ一つの資金性格というものだけが現実の問題として残っておるのです。アメリカからあの救援を受けた物資の中において、債務として日本国政府が承認した額というものが四億九千万ドルなんだ。現実にまけてもらっておるのですね。あなたの方からすればまけてもらっておるのであり、われわれの方からすればそんな過大な支払いはなすべきにあらずと、この論点は分かれておりますけれども、そういう形になっておる。残っておるのはその資金の性格であって、あの金この金という区分はない。抽象的なもんですね。だから私はここであなたに判断を求めたいことは、この同じ占領軍の放出物資、連合軍の放出物資なるものが、英連邦占領軍の放出物資については、これは債務は終戦処理費、それから次いで平和回復善後処理費、残金については今指摘いたしておりまする賠償等特殊債務処理特別会計、これからイギリスに払っておる。現実に払っておるのです。これははっきり調べてある。それに英連邦占領軍の放出物資、同じ性格のものが、一方はこの賠償処理特別会計から支払い、アメリカの分は産投会計から払う、おかしいじゃありませんか。一体どこが違うのです。
#162
○稻益政府委員 ただいまの春日委員のお話でございますが、仰せのガリオア物資とBCOF物資は全然性格が異なっております。ガリオア物資は御承知のように米軍の援助物資であります。ところがBCOF物資は米国の払い下げ物資と同じように売買契約でやったものでございます。従いまして、貿易資金でこれを買って払った、こういうことであります。
#163
○春日委員 もう一ぺん言って下さい。
#164
○稻益政府委員 ガリオア債務は米国の対日援助物資であります。ところがこのBCOFはいま一方アメリカ軍がやりましたSP物資と同様に売買契約で日本が買ったものであります。従いまして貿易物資と同様であります。従って貿易資金から金を払った、こういうことであります。
#165
○春日委員 貿易資金から金を払ったことを聞いておるのではないんだ。その物質を国民にやって、国民から対価を吸収したでしょう。その金はどこの会計に入れておるかということを言っておるのだ。貿易会計に入れたんでしょう。
#166
○稻益政府委員 貿易資金であります。最終的には、それが引き継がれた一般会計であります。
#167
○春日委員 だからそういうふうの同じ貿易会計の中にその対価が繰り入れられておるのですね。よろしいか、そうでしょう。そうしてその対日援助見返資金というものは七千三十四億の総額の中で、その多くの部分がその貿易会計の中で消耗されておる。一体貿易会計から一般会計へどれだけ引き継いだんです。
#168
○上林説明員 英豪軍の払い下げ物資の経理をいたしました会計は、先ほどから御説明申し上げておりますように、まず貿易資金特別会計時代に買い入れたわけでございます。その貿易資金特別はもちろんそれ以外のいろいろな貿易物資をやっておりましたわけでございまして、当時貿易資金特別会計が廃止をされまして、貿易特別会計に移ったわけでございまするが、そのときには純資産が三百八十億ばかり残っております。それからさらにその貿特会計がその後廃止をされまして、その当時八十二億程度の純資産が残っておりましたがこれが一般会計に承継をされまして、そうして一般会計でもって整理をされた、こういう経緯になっておるわけでございます。
#169
○春日委員 そうすると、その一般会計へ承継されておる分がアメリカのエロア・ガリオア資金もその中に相当含まれておるでしょう。どうです。
#170
○上林政府委員 結論的に申します。と、そういうことになります。ただそのほかに、たとえば当時は円と外貨が分かれておりましたので、ガリオア・エロアの外貨に的当すると申します。か、当時の貿易収支から見ますと、商業輸出だけではもちろん輸入はまかない切れないで赤であったわけでありますが、実質的には援助物資の輸入がございましたので、一時価格差補給金等に使われました後も、なお外貨といたしましては二億ドル程度の外貨が残っておるわけでございまして、そういうものもある意味ではガリオア・エロアのいろいろな資産に見合って残っておるものである、こういうことができるかと思います。
#171
○春日委員 そうすると、それが二億ドルですか、二億ドルだとかれこれ七百二十億円、そこで百何十億ですが、かれこれ一千億円程度のものは対日援助見返資金の金がエロア・ガリオアの金が一般会計の中に繰り入れられておるのですね。この産投会計へ引き継がれた二千二百九十四億のほかに、アメリカから援助でよこした十九億七千万ドルか、その中から国民から徴収した対価の相当額、それが貿易特別会計の中に繰り入れられたものですね、よろしいか。その中の一千億近いものが一般会計へ繰り入れられておるのですね。円とドルと合算していかがです。
#172
○上林政府委員 実質的には御指摘のようなことになるかとも思いますけれども、外貨につきましては、御存じのように、その後外国為替特別会計に引き継がれて、さらにその外国為替特別会計は、現在の外国為替資金特別会計になっておるわけでございまして、その外国為替資金特別会計に、先ほど申しました二億ドルが引き継がれておる、こういうことになっております。
#173
○春日委員 だからこの産投会計に引き継がれた二千二百九十四億以外に、わが国民が国民資産として別途になお保有しておるものが、大体かれこれ一千億近いものがある、こういう工合に理解してよろしいか。大臣答弁して下さい。
#174
○田中国務大臣 こまかく計算をすると、なかなかむずかしい問題だと思います。いずれにしてもガリオア・エロアの代金が、当時の貿易じりが赤になって、価格差補給金に使用されておって、当時の日本としては輸出はほとんど伸びておらないのでありますから、黒字二億ドルが出たとすれば、それは黒字を生む要因が日本としてはないのでありますから、ガリオア・エロアが二億ドルとして残った、こういうふうに推定をして差しつかえないと考えます。
#175
○春日委員 だから私が今申し上げました通りに、この対日援助見返資金ですか、その中で産投会計へ引き継がれておった二千二百九十四億のほかに、現存するわが国の資金というものは、あるものは一般会計に引き継がれた、それからあるものは貿易特別会計に引き継がれた二億ドルかれこれのもの、合算してかれこれ一千億近いものがなお別途にある、こういう工合に理解してよろしいか、大蔵大臣、御答弁を願います。
#176
○田中国務大臣 こまかい内訳に対しては、今の事務当局が申し上げたことに対してそのような経緯をたどっていくと、残った千億何がしのものは見返資金から得られたプラスであるというように認定すれば、春日さんの言う通りだと私も思います。
#177
○春日委員 だからそういうふうにいろいろ使った分もあるし、生きておる分もある、国民の共有財産として残されておる分もあるということ、だからこの一点から二重払いというようなことを考えなくてもいいのだという点は、一つ明確にして、そして確信を持って処理なさるべきだということを言うのだが問題は、ちょっとけんかに花が咲いたみたいだけれども、そうすると、この英連邦占領軍の放出物資代金ですね、英国の分は一般会計の終戦処理費、最初の分は。その次は平和回復善後処理費、それで残金についてはこの賠償等特殊債務処理特別会計、これから払っておる。国民に放出したのも、国民から対価を徴収して入れた貿易特別会計も、それからそれを一般会計に繰り入れたのもみんな同じことですよ。米国の対日援助見返資金の経路も、それから英連邦占領軍の放出した物資、これは放出ではなく、貿易関係で買ったところで、そんなものは政策ベースで買ったものなんですね。だからそれを貿易会計に入れておるのですね。扱いが全部同じなんだ。なぜかというと、性格が一緒だからなんですよ。そういう金を、イギリスの分は賠償処理特別会計から払う、アメリカの分は産投会計で払うということは首尾一貫しないではないか。片一方は右のポケットから払う、片一方は左のポケットから払うというようなことならまだしものこと、これはとんでもない、盗んできて払うようなものである、ぶったくってやるようなものである。産投会計で活用されておる資金で払うというなら、英連邦政府へ払ったと同じように、米国政府にこういうような払い方があってしかるべきではありませんか。やはり政策というものと行政というとは一貫しておらなければいけませんよ。思いつきで、その場当たり、そのつどそのつどにめちゃめちゃなことをやってもらっては困りますよ。法体系が支離滅裂になってしまう。社会秩序の紊乱おそるべき事態が予想される。
#178
○田中国務大臣 BCOF、すなわち英豪軍から払い下げを受けたものは貿易特別会計で処理をする方針をとっておったのでありますが、しかし先ほども申し上げました通り、貿易特別会計は一般会計に継承して消滅をいたしたわけでありますので、これを別の特別会計から払うかどうか、いろいろ検討したのであろうと思いますが、継承せられた以上、八億五千七百万円というものに対しては一般会計から払うことにいたしたいということで国会に承認を求めたわけであります。これは予算書で国会の議決を得たので、一般会計から支払われたわけであります。その後もこの種のいろいろな問題が出て参りましたので、賠償等特別会計が設けられ、その中から払われておるものがございます。今度はガリオア・エロアというものの対米債務を払う場合に、一般会計から払った方がいいか、現存する賠償等特別会計から払った方がいいか、産投会計の負担とした方がいいか、新たに特別会計を設置した方がいいかというような問題を十分勘案をした結果、対米債務については産投会計の負担とする方が一番正しい、こう認定をして国会の審議を仰いでおるわけであります。
#179
○春日委員 一般会計は対日援助見返資金、これの国民から支払われたるところの対価、その行方はすでにある分は消耗された。けれども残っておる分についてこれを論ずるならば、二千二百数十億というものが産投会計であり、かれこれ一千億近いものがなお一般会計的性格を持つところに現存しておるのですよ。そうでしょう。この産投会計だけにしかないというわけのものではない。片一方にはあるのですよ。片一方の一般会計の財政規模はどれくらいかというと、これは申し上げるまでもなく、かれこれ二兆五千億、来年度は二兆何千億になりますか、膨大なものですよ。片一方の資金規模はどれだけかというと、これは究極するところ、この法案の説明の中に百五十何億という小さな財源しかない。この百五十何億という小さな財源の中に、こんな大きな荷物を負担せしめることが適切であるのか、それとも二兆五千億という一般会計の財政規模の中になおその金は一千億近いそれが現存しておるのであるから、その財政規模の中において支払うことが適切であるのか、こんなことぐらいは、私はだれが聞いたって判断できることだと思う。取ってつけて回ったようなやり方をされるから、われわれは、ただこのやり方がややこしいから、間違っておるから非難をしておるのではない。それは重大なる産投会計の使命と機能を阻害すること甚大であるがゆえに、われわれはこんなやり方はなさるべきではない、法の体系、政策の秩序というものを厳粛に守ることがわれわれ国会に課せられておる至大の任務である、だからその立場からして、あなた方の言われる理論というものは間違っておって事実に反するし、適切な方法を欠いておる、このことを強く指摘しておるのですが、御見解はいかがですか。
#180
○田中国務大臣 春日さんが言われた通り、対米債務は一般会計から支払うべきか、また賠償等特別会計から支払うべきか、また産投会計から支払うべきかというところには議論の存するところであります。また政府もその問題に対しては慎重に検討の結果、究極の結論としては産投会計の負担にすることがよろしい、こういう立場をとって国会に御審議を仰いでおるのでありますから、その間の事情を御了解賜わりたいと存じます。
#181
○春日委員 議論の余地が存するなどというものじゃない。議論の余地は明確にありませんよ。よろしいか。そんなものは、英連邦占領軍のものに対しては、彼らが占領目的を遂行するに必要なもの、いろいろやってきたわけです。平和回復のために必要な債務を生じてきた場合において賠償会計で払うと書いてあるから、その通り払われておる。英国の分についてはそういうふうに払っておるのです。英国に対してのかれこれ八億ドルか九億ドルのものは賠償処理特別会計から払っておる。それはその会計が一般会計に引き継がれた関係もあるし、かるがゆえにそういうものについては申し上げたような筋合いによって、やはり賠償処理特別会計から支払うべきであるということで支払われておる。議論の余地がない。片方は、同じ性格のアメリカの分については産投から払うというんだから、その理論はその金が産投の中に引き継がれておるというだけの理論なんだ。ところがこの七千三十四億全部が産投に引き継がれておるならば、あるいはそんな理論も妥当性があるかもしれないが、七千三十四億の中で引き継がれておるものはわずかにその中の三分の一よりも足らない額なんですね。しかも現存するのは一般会計的性格を持つところの貿易特別資金の中において、あるいはまた一般会計の中において一千億近いものが現存しておる。一般会計の資金規模が二兆五千億であり、片方が百五十億くらいのものでしかない。こういうようなときにいずれをとるべきか。前例においても賠償特別会計であり、賠償特別会計の資金は一般会計からの繰り入れである。これをやるということが当然のことにして不可欠である。もしこのことをやらざれば、賠償処理特別会計法違反と言っても差しつかえないくらいのものだと思うのですね。私は、議論の存するどころではない、これは議論の余地のないところであると思う。いかがです。
#182
○田中国務大臣 英豪のものもその他の賠償も賠償特別会計で払うのが一番いいという御議論でありますが、過去にはいろいろな国会の議決があります。先ほど申し上げましたように、英豪軍よりの払い下げを受けたもの、すなわち貿易特別会計で受けたものにつきましては、本来買い入れたところの貿易特別会計で払うのが本筋であります。という考えに立っておりましたが、その後の情勢の変化等においてこの八億六千四百万円の支払いは、昭和二十六年六月二十八日に行なわれたものは一般会計、貿易特別会計、残務処理費から払われた、二十九年三月三十一日に行なわれたものは一般会計、平和回復善後処理費から払われた、三十一年四月三十日に払われたものは賠償等特殊債務処理特別会計から支払われております。三十三年三月三十一日に支払われたものも、すなわち賠償等特殊債務処理特別会計、いわゆる八億六千四百万円の金でも、こういうふうにして三本立四本立で払われておる事実がございます。
#183
○春日委員 今の御答弁はおかしい。それは賠償等特殊債務処理特別会計というものは三十一年三月からだというんだ。法律ができてからはこれで払われておるのでしょう。法律のできない前に、この特別会計ができない前に払おうと思ったって払いようがない。いろいろな払い方で支払われておると言うけれども、ないときに払おうと思ったって払えない。めちゃくちゃに言ってもらっては困る。こういうような、残務処理費から払ったり、平和回復善後処理費から払ったり、いろいろなことをやってきた、ややこしい、間違っているからこれを出納を整理するために特別会計をつくったから、その後二回にまたがってこの会計から払っておる。いろいろな払い方で払っておるのである、英連邦軍はこれだ、アメリカはこれだという非難は当たらないというような答弁は、これはいただけないと思う。――大臣、聞いてなかったようですね。今あなたはイギリスに対してはあの払い方この払い方、その他の払い方をさまざましておる、一本じゃないと言っておるけれども、この賠償処理特別会計法というものが制定されたのは三十一年三月三十一日、それが制定された後はこれ一本で払っておるのですね。それ以外の方法で払ったことがありますか。あるならば御答弁を願います。
#184
○田中国務大臣 春日さんの言われる通り、三十一年四月一日から賠特会計が発足をしまして、その後のものは二回ともこの会計から支払って、他の会計から支払っておりません。
#185
○春日委員 イギリスに対してもあの払い方この払い方その他の払い方があって、一本の払い方ではないということを今答弁されたけれども、それは間違いである、いろいろな払い方があったがその払い方を一本立にするために国は法律をつくって、三十一年からはこの会計一本で払う、こういうことをきめて、現に二回にまたがってその債務の支弁を行なっておる、こういう工合に答弁を直しなさい。
#186
○田中国務大臣 賠特から払っておりますものは、一般会計に継承をせられたものか、もしくは賠償等の債務処理であって一般会計から当然支出をすべきであるというような観点に立っておるものが賠償特別会計で払われております。なぜ一般会計で払わないか、これは一般会計との経理区分を明確にするために賠特会計がつくられたから、当然そのような意味でつくられた賠特会計の支出をもって当てておるということでありますが、対米債務というのは新しい問題でありまして、対米債務というのは一体どういうものかということで、今度はこれは賠特ではない、産投会計で払うことが正しい、こういうふうに認定をいたしておるのですから、そこにはおのずから区分がございます。
#187
○春日委員 今平岡君が、一つうそをつくと百もうそをつかねばならぬ、気の毒だと言っておるけれども、実際殺人なんかでもそうです。足を踏む、痛いと言う、何だこのやろうということで、ほっぺたをたたく、土手っ腹を突く、あとは出刃ぼうちょうということになるのですが、(笑声)二重払いの非難を受けてぬらりくらりとこの法案を通そうと思う、最初のあなた方の、大平君には悪いけれども、その寛容と忍耐と低姿勢が結局こんな形になって現われてきたんですよ、実際問題として。一般会計へ引き継いだ分だから一般会計からイギリスの分を払ったと言っておるけれども、あなたの議論を発展させていくならば、現存するところの対日援助見返り資金の日本円というものが、二千二百九十四億円の産投会計に対して一千億近いものが一般会計的性格のものにあるのだから、だとすれば四億九千万ドルの返済についてはそこの中の三分の二程度のものを産投から払い、三分の一程度のものを一般会計から払わなければならぬという形になってくるじゃないか、資金の系列がそういうふうに流れておるから、その流れを追ってそちらから支払うというのであれば、アメリカから援助したものの中のかれこれ一千億近いものが一般会計的性格の中に、すなわち外貨において二億ドル、一般会計に引き継いだものがかれこれ二百何十億円というのであれば、一千億近いものが一般会計にあるのだから、だからその流れを追ってそれを追求するということであるならば、両方追求しなければいかぬじゃないか。ただ片一方だけあれして片一方だけ見のがすということば、片方において九〇%対一〇%くらいのことなら私はそれを論じない。主たるものということは九〇%対一〇%が主たるものだ。ところが六〇%対四〇%というものは主たるものにはならぬですよ。あなたの方が一票でも多ければ多数決で無理押しをやろうというならば別だけれども、その金がここに流れておるからそれを追求して捕捉するというのであるならば、なぜ一般会計も追求して捕捉しないか、その理由を御答弁願いたい。
#188
○田中国務大臣 どうもそう意地悪くおとりにならないで、私の言っておることをそのままおとりいただけばわかると思うのですが、賠償等処理特別会計ができないうちはおおむね一般会計で、一般会計へ継承せられたものについて、先ほど申し上げた英豪軍等の払い下げの代金支払いは一般会計以外から払えないから、また一般会計から払うのが一番いいということで一般会計でもって払って参ったわけであります。が、その他のものがたくさん出てくるということを顧慮して、当時の、時の要請から賠特会計というものをつくって経理区分を明らかにしたわけであります。でありますから、そのような状態で今度新しく三十一年四月一日から発足をした賠償特別会計でもって残余のものが払われました。もう一つ賠償特別会計で払おうというのは、賠償特別会計法を見ていただけばわかると思うのですけれども、これは一般会計のみから繰り入れることになっておるのです。これは当然賠償等の債務は一般会計で行なうという原則に立ってのものの考え方であり、経理区分を明らかにするためにのみ特別会計を設けたにすぎない。だから、ほかに財源等を求めたり、また運用収入等をもってまかなうというのではなく、経理区分上の特別会計でしかないということは明らかであります。今度のガリオア・エロアの対米債務については一般会計からまかなうといういわゆる準賠償的な考え方よりも、現実的な考え方をしてみますと、産投の中に厳然として現在運営をしておるいわゆる利を生んでおる金があるのでありますから、この産投会計の負担としてこれを払おうということできめたわけでありまして、原則論だけではなしに、一つ一つのケースをお考えになっていただければ産投会計の負担にしたということがおわかりになっていただけると存じます。
#189
○春日委員 ただいまの大蔵大臣の答弁で了解できますか、だれもできませんよ。答弁になりませんよ。それは現在賠償等処理特別会計が廃止されておるならば、これはまた別の判断もつくと思います。この賠特会計法は現存しておるのです。現実の問題として。だから、あなたがそういうばかげた詭弁を弄したところで、少なくとも一個の代議士がああそうですかといって言いくるめられて下がるはずはありませんぞ。私が今あなたに質問を申し上げたのは、とにかく一般会計にも一千億近いものがあるし、片方に二千億あるのだ。しかもイギリスの分は一般会計から繰り入れた賠特から払っておるのだ。だったらば、同じ性格のものであるのだから、同じ法律に基づいて、同じ執行があってしかるべし、こういうことを申し上げておる。イギリスに対しては一般会計から、アメリカに対してはこちらから、その理屈は何だといったらその金がここにあるからだと言っておる。ここだけにあるのならその理論は成り立つが、ここだけではない。あそこにもある。しかもそれは三分の二と三分の一の関係で分布しておる、現存しておる。だとすればこちらはその運用益なんというのは百五十億前後しかない、資力というものは。一般会計の中においては、二兆五千億の財政規模の中だから、そんなものは完全に消化もできるのだ。片一方の方は、産投の維持を阻害するのだ、法の体系と政策の秩序を紊乱するおそれがあるのだ、重大なる弊害があるのだから、この点は思い直すことはできないかと論じておるのです。(「しつこいぞ」と呼び、その他発言する者あり)そんなことを言うなら幾らでもやる。
#190
○田中国務大臣 春日さんにもう一つの例を申し上げます。
#191
○春日委員 与党からばかなやじを飛ばすなら、三十時間でもやる。
#192
○田中国務大臣 一つ新しい問題を申し上げますが、私たちの考え方は、もう全然財源がない、またそのもととなる金がいずこにあるのか行方知れずというような場合には、全く国民の血となり肉となってしまった場合において、もう数えることさえもできない、受けたことはわかるけれども、その存在を分明にすることができないという場合は、これは一般会計から払うか、一般会計からの繰り入れを旨とする賠償等特別会計から払うのがほんとうですが、しかしこの対米債務は、そのもととなる金が少なくとも今利を生んで四千億に近い金が産投会計にあるのであります。また、その産投会計はあるけれども、これは使っておる金なんで、これを取り上げれば穴があくではないかという議論とこれは分けて考えていただかなければならぬと思います。余剰農産物はどうしたかというと、余剰農産物処理特別会計をつくりましてここで品物を受け入れ、これを国民に売却し、この受け入れ代金は全部余剰農産物処理特別会計に受け入れて、そしてこの会計から返済を行なっておるのであります。だから、受けた金額がどこにあるのかということが全然わからない場合は別でありますけれども、受けた金の大半――大半と言うと九〇%だと春日さん言われたけれども、二千八十五億以上に見合う金があって、なおそれは現金に手をつけずして運利益だけでまかなっていけると考えられる現在の産投の状況を考えますときには、産投会計の負担としても、農産物の余剰物資処理特別会計において返済を行なったと何らたがわないものでありまして、政府はその方針をとったわけでございます。
#193
○春日委員 この問題は幾らやってもあなたの方から率直な答弁が得られませんから、これは判断する人の判断にゆだねて私は質問を先に進めますけれども、しかしこういうようなやり方は、言うならば賠特会計法違反です。法律に違反をする。違反立法をここで行なおうとしておる。これは重大な問題でありますから、なお明日まで十分一つ御検討おきを願いたい思います。私は一つのあやまちを犯すことが幾つかのより深刻なあやまちを犯す原因になると考えますので、この点は政府の猛省を促しておきたいと思います。
 次は、開銀の造船融資の利子のたな上げと産投会計の関係についてお伺いをいたします。大蔵大臣並びに開銀総裁にお伺いをいたしますが、海運業はわが国の基幹産業であり、これは国際支収の改善に寄与する。そしてわが国経済の発展にとってきわめて重要な役割を果たしておるとわれわれは信じておる。しかるに現状は、はなはだ困窮をきわめておるのであります。戦時補償の打ち切り措置によりまして大打撃を受け、今の金にするとかれこれ七千億といわれておるのでありますが、それが災いの原因となりまして、本日多額の償却未済と借り入れ返済延滞金をかかえておる。企業内容は極度に悪化しておる。株価の時価は御承知の通りである。この現状を放置するならば、海運企業は崩壊する。そして日本国はいろいろな外貨収支の面から、貿易経済、国民経済の面において重大障害を受けることになると思うが、これに対して運輸大臣は何と考えられておるか、お伺いをいたしたいと思います。
#194
○綾部国務大臣 全くその点につきましては、春日委員のおっしゃる通り、日本海運をいかにして増強すべきかということにつきましては、春日委員のお説の通り私どもも考えております。
#195
○春日委員 開銀総裁にお伺いをいたしたいのでありますが、ただいま申し上げましたような状況のもとに海運企業はあると思うのであります。海運企業に対して、それぞれ政策融資を担当されておりまする開銀総裁といたしまして、現在の海運企業の実態、これをこのまま放置しておいたならばどういう状態になるのであるか、これを一つ経理の面から御判断を願っておるところをこの際御開陳を願いたいと思います。
#196
○太田説明員 御指摘の通り、海運会社は近来非常に不振でございまして、たとえばその実情を数字で申し上げますと、開発銀行の融資だけにつきましても約千八百億の融資がございますけれども、幸いにして、この利息収入はほとんど滞りなく入っております。きわめてわずかしか渋滞はございませんが、返済が約三百六十億ばかり延滞しております。
 今後のこの海運市況いかんによってこれがどうなるかという問題になるのでございますけれども、大勢的には貿易がだんだん世界的にふえて参りまして、荷動きもふえて参りますけれども、一方造船量もだんだんふえて参るということで、どうも市況がかんばしくございません。これが将来どういうふうになるかということをわれわれ予測することはなかなか困難でございます。そういう状況におきまして、海運会社は目下償却の不足が五百億余りもあるというような状況でございまして、このままで海運会社がいずれも自力ちで立直れるかと申しますと、これはわれわれも今きわめて悲観的に考えざるを得ません。それでこれは今せっかく運輸省が中心になられまして、今回御提案になります再建整備法案等の施策を中心にいたされまして、いろいろお考えでございます。
 ただ、私の私見を申し上げますれば、海運企業の立ち直りのためには、むろんこの市況の立ち直りが根本問題ではございますけれども、それを別にいたします対策といたしましては、これは海運会社が一そう今後企業の合理化に努力されるという企業の努力、それから政府におかれましてもできるだけの御援助をいただくという助成、それから金融機関におきましてもこれに呼応いたしまして、応分の御協力をお願いいたしまして海運会社を立ち直らせる、こういう三本の柱で今後いくべきかと思っておる次第でございます。
#197
○春日委員 御意見を拝聴いたしたのでありますが、ただいま述べられましたこれに対処するものとして考えられておりまする法案によりますると、これは開銀の造船融資にかかる利子の一部を昭和三十八年度以降五カ年間たな上げすること、しかしこの措置は、五カ年間に今総裁の言われた減価償却の不足、それから借入金の遅延が解消する見込みが確実なもの、すなわち、自分である程度の態様を整えていくものだけに適用すると言われております。きわめて過酷な条件が付せられておると思います。しこうしてこのたな上げ利子をおそくとも昭和五十二年三月末までにこれをことごとく完済せなければならぬと規定されております。
 そこで運輸大臣にお伺いするのでありますが、このような措置は、海運企業が当面しておりまする困難なる諸事情に対して適合したものであると考えられるのであるか、このような程度の施策をもってして、はたして海運企業の危機が回避、克服できる確信をお持ちになってこの法案を御提出になっておるのか、この点まず運輸大臣から御答弁を願います。
#198
○綾部国務大臣 この法案を提出いたしましたときには、とにかくこの法案で一応大部分の会社は救われるのじゃないか、かように考えて、この法案をもってまず一歩前進をさして、しかる後に根本策についてあらためて検討いしてたみたい、かように考えております。
#199
○春日委員 太田開銀総裁に伺います。が、あなたの方は経理面を絶えず精査されておると思うのでありますが、今運輸大臣が述べられたところによりますと、この施策によって大多数のものが救済されると言われております…。
#200
○綾部国務大臣 大多数とは申さないです。大体三十四、五社救われると思います。
#201
○春日委員 それは何社のうちですか。
#202
○綾部国務大臣 五十八社だと思います。
#203
○春日委員 しかししながら、私どもは海運組合の窓口政党といたしまして、それぞれの立場からそれの資料を得ておるのでありまするが、それによりますると、事実上減価償却の不足分とか、あるいは借入金の遅延が解消する見込みが確実である企業などというものは、しかもこのたな上げ利子を昭和五十二年の三月末日までに完済できる、こういうような企業は六十何社の中で三十数社はおろか、十社も五社もない。二つか三つでしかない。このような批判的な観察をいたしておるようであります。私はこの際開銀太田総裁に伺いたいのでありますが、経理面をいろいろと見ておられると思うのでありますが、今この限度の施策をもってして、海運企業が当面しておりまするところの諸困難、これは回復を期待することができるとお考えになっておりますか、いかがでありますか。参考に御意見を拝聴いたしたいと思います。
#204
○太田説明員 ただこの海運企業の病気はなかなか深うございまして、そう簡単には回復しがたいものと思います。ただこの企業の中にも非常に格差がございまして、どういう方策をもちましても、どれもこれもほとんど大部分のものが急速に立ち直るというような施策は、私はきわめて困難ではないかと思います。ただ、今運輸大臣が申されましたように、この政府法案が提出されまして御審議を願おうとしておるところでございまして、その推移によりまして、また過般再建整備審議会の設置がきまりまして、そこにおきまして具体的にこの海運会社各社の経理内容その他企業の立ち直り経過等を審議されまして、はたしてどういうふうになるかという実態がほんとうにそこではっきりするんじゃないかと思います。それで、私としましては、今のところどの程度のものがはたして浮かび上がるかどうかということを申し上げることができませんでございますが、この法案がとにかくその第一歩として、今後への一つの大きく踏み出す大きなメリットを持つのではないかということは申し上げられると思います。
#205
○春日委員 とにかくあなたは国から財政資金千数百億の寄託を受けて、海運企業に対しては重大な役割をになわれておるのであります。従いまして、当面しておる海運企業がどうしたら立ち直ることができるのであるか。今当面しておりまする困難な原因が戦時補償特別措置法、あれによって、今日の貨幣価値に換算すれば七千数百億の彼らの財産が、財源が打ち切られた、このことに原因しておることにかんがみるならば、この際、国の基幹産業として国が本腰を入れて、いかにこの問題を解決することのために取り組むべきであるか。こういうような機会にこそ開銀総裁として、しかも各船会社の経理実態を把握されておるあなたの責任において、これは率直にその意見を述べられてしかるべきであると思う。とはこんな程度の問題、今運輸大臣もはからずも述べられておるが、これによって全的解決は困難であろうが、私とりあえずこの問題を解決して、一歩前進して、やがて将来抜本根塞的な云々と言っておられるのでありますけれども、そのような間延びた段階ではないと思う。船会社の株はあんな形で大暴落して、紙くずみたいと言っては語弊があるけれども、大へんな危機にさらされておる。外貨危機を克服するためにも、貿易立国という国策を根本的に強力的にこれを推進するためにも、私は国の基幹産業である海運企業というものは、石炭や非鉄金属と同じように本腰を入れて、この問題の禍根に本メスを入れて、そうして根本的な治療対策を講じなければならぬと思う。私はそういう意味で今後とも運輸大臣、特に経理面を通じて、その企業内容の実態に明るい開銀総裁なんかが国会に対して適切な意見を大胆率直に述べられたいことを強く要望しておきたいと思います。
 そこで、産投会計の対米債務負担との関係についてお伺いをいたしたいと思うのでありまするが、われわれはもとよりこの債務性、それから債務の額について反対であります。けれども、エロアやガリオア関係の条約案件は国会を通過して国の意思としてもはや確定いたしております。やむを得ません。しこうして、見通しをもっていたしますれば、この産投会計法も、ただいま大蔵大臣の答弁によりますと、サギをカラスと言いくるめるごり押しの方法によってこれが押し通される見通しにあると思われるのであります。まことに嘆かわしきことと申さなければなりません。だといたしますると、将来国が対米債務を産投の負担と認めていかなければならない場合を想定いたしますると、これは産投会計法では対米債務の返済財源は開銀納付金にもっぱら依存いたしておる。あなたの方の納付金に依存をいたしておる、同時に今回の海運企業の整備法で、この重要な返済財源となる開銀納付金、これを五カ年間にわたって削減する措置をとらんとしておる。このことはまるで矛盾撞着もはなはだしいものと断ぜざるを得ない。これはあまりにその場その場を思いつきで糊塗するもはなはだしいももだと思うが、この点はいかがですか。片方において対米債務をこの会計に負担をせしめようとしておるが、この会計といったところで開銀の納付金以外にはないんですね。ところが、その開銀の納付金のもとでありまするところの返済財源、こういう利子なんかを五カ年間納付することを猶予しようとしておる。重い荷物を与えようとしてその当事者の力をさらに弱めようとしておりますね。こんなことは矛盾撞着もはなはだしいと思うが、この点大蔵大臣どうです。
#206
○田中国務大臣 対米債務の支払いを産投会計の負担にいたしたために、開銀から特別納付金をとるわけではありません。開銀からは自動的に、協約に基づいて納付金が納付されるわけでありまして、この予想せられる納付金を対米債務の返済財源に充てようというのでありますから、これがために開銀の運営が今よりも詰まるというような理論にはならないと存じます。
#207
○春日委員 これはそういうことにはならぬと思います。開銀の造船融資にかかる利子のたな上げが、もしこの措置が全企業に適用される、その場合を想定すると、これは大体あの説明書に述べておりますが、年間三十六億円に達する。五カ年間にこれを猶予しようと思えば百八十億円にのぼるものと考えられますね。これは海運造船合理化審議会の答申では年間五十億を答申しているから、五カ年間で二百五十億になるが、この答申は別としても、さらに政府原案でもかれこれ百八十億円という金が削減されて参る。そこで対米債務返済額は最初の十二カ年間に年額百五十八億円、これに対する返済財源としての開銀納付金はこの間の提出された資料によると、年額百三十億円であります。ほかに回収金や利子が若干あるといたしましても、年度間の返済財源はきわめて窮屈である。そこでその上にさらに造船融資にかかる利子たな上げが年間約三十六億に減少するということは、少なくとも五カ年間はこの返済財源というものが不足をするということになると思う。いかがですか。
#208
○田中国務大臣 海運対策のために特別な法律的な処置が行なわれて利子が猶予せられるという場合、当然開銀の納付金は、利益金が減少いたしますので、その意味においては確かに納付等が減少することは御説の通りであります。御説の通りではありますが、しかし、これはあくまでも延期でありまして、会社が立ち直れば、最終年度の五十二年までには返済を受けられる問題でありますし、しかもこれは全く別個の政策的な問題から起こった事象であって、開銀の納付金、いわゆる産投から出している原資の運用益でもってまかなわれるという計算上の問題を産投会計で対米債務を払うというふうに申しているのでありますから、理論的には全然支障にはならない問題であって、対米債務が産投から返済ができるという問題と、それから別な政策的な問題として、船の問題に対して幾ら利息のたな上げをし、また電力その他開銀がやっておるもの、よしんば相当額のたな上げということがあっても、これは明らかに議論を二つに分けて論じていただきたい、こういうふうに考えます。
#209
○春日委員 議論を二つに分ければ、さらに財政投融資と補助金との性格を論じていかなければならぬと思うのです。私が申し上げたいことは、なるほど金が足らなくなれば、昭和五十二年の三月末にはみんな戻ってくるのだから、それまで一般会計から繰り入れして、そのショートしたところの資金を補完していけばいい、こういうことを言われるであろうけれどもそういうこと自体が実際いろいろな会計の収支というものを困難ならしめていくばかりではなくして、できるだけたな上げ措置、猶予措置というものを圧縮していこう、小さく扱っていこう、すなわちその海運政策に対する国の施策を弱めていく結果になってくると思うのです。これは重大なことなんです。技術的にいろいろな資金の操作をやっていけばそういう形にならざるを得ないのです。これは現実問題としてあまりに政策が支離滅裂だ。とにかくここに産投会計に対して重い荷物を背負わせようとする。それに対して今度はその収入を削減しようとする措置を同時に並行的にやっていこうという、これは何といっても政策が首尾一貫を欠きます。そこで今別個の問題として論じようということでありますが、それならばそもそも財政投融資の資金の性格というものは、その投資した金が利子や利益を生む可能性と少なくともその償還の可能性があるべきものに限る、こういうものでなければならぬと私は思うのです。それが財政投融資の本質的なあり方であると思うのです。財政投融資というものは基準によって厳に執行されなければならぬと私は考える。大臣の御見解はいかがでしょうか。
#210
○田中国務大臣 先ほどから私が申し上げておりますように、対米債務は産投会計の中において払い得る計算になっております。それから全額払っても十五年後にはなお幾らか残ります。その上なお、運用しておる原資はそのまま残るのでございますということを政府はたびたび答弁をいたしておるわけでございます。
 それからただいまの問題、開銀の合理化のために利子のたな上げをするというのは全然別個な政策的見地から出た問題でありまして、しかも法律に基づいて院の意思決定によって行なわれるものであります。私は、それをくっつけて産投会計の中の発生利益だけでまかなえるのじゃないかという理論は成り立たないというふうに論断をせられない方がいいのではないか、またそれが正しいというふうに考えておるわけであります。
#211
○春日委員 私はそういうことを申し上げておるのではありません。やはり財政理論というものに徹して御答弁を願わないと、あまりにその場当たりのことを言ってもらうと、政府の答弁というものはこれが一つの前例や一つの条件になってあとの政策を間違えさせることになる。一分八間で狂いが大きく拡大されてくる。だから慎重に御答弁願わなければならぬ。私が伺っておるのは、そもそも財政投融資というものの資金の性格、これは投資した資金が利子や利益を生む可能性と少なくとも償還の可能性があるべきものでなければならぬ。従って、財政投融資はこの基準に従って行なわれるべきものであると考えるが、大臣の見解はどうかと伺っておるのです。
#212
○田中国務大臣 その通りであります。
#213
○春日委員 その通りであると思う。だとすれば見返資金から継承した産投会計の開銀に対する出資はその運用収入としての納付金を生んでおるのだから、その資金の効率は非常に高い。私はこの機能というものを確保すべきであると思う。財政投融資の性格の本質論から論じまして、開銀の収入というものを高からしめていからなければならぬ。人為的にこれを削減するがごとき措置をとるべきではない、このことを申し上げておる。これは財政の基本論として当然のことだと思うが、これに対する御見解はいかがですか。
#214
○田中国務大臣 基本論としては春日さんの言われる通りでありますが、しかし、具体的な問題として海運政策を考えるときに、その場合を春日さんの言われる通り開銀の中にも当てはめようとすると、利子のたな上げその他免除とかいうことをやるべきではなく、一般会計からいわゆる補助金等によって別に補てんをするか、もしくは他の財源措置をとるべきだということになるのでありまして、具体問題としては今度の場合は開銀の利子の猶予ということで政府は法律案を提案いたしておるわけであります。
#215
○春日委員 そのことがいけないと言っておるのです。まあいけないことだらけなんだけれども、現実の問題として財政投融資の基本的性格というものは、やはり利子、利益、これが可能なものでなければならぬし、少なくともその返済がされるべき性格のものでなければならぬ。人為的にその収入を削減するがごとき措置は、財政投融資の基本論からしてこれは厳に避けなければならぬ、こういうことです。だから、あなたの方が今この開銀の利子をたな上げするということが政策的に、すなわち人為的にその資金力を削減する、弱めていく、財政融資の基本的原則に背馳するの執行をなさんとしておるのです。だから、その点が間違っておるのではないか、私はこう言っておる。
#216
○田中国務大臣 基本的に申せば春日さんの言う通りでありますが、しかし、時代は非常に違って参りますし、テンポの早い世の中でありますから、必ずしもその基本から一歩も踏み出してはならないということにはなりません。これは同じように一般会計から繰り入れられており、しかも財政投融資から繰り入れられておる。その他の金融機関においては、中小企業の資金金利を軽減するためには、初め六分ないし七分であったものを五分五厘に下げろ、五分に下げろ、三分に下げろということは間々行なわれるのであって、基本的な考え方は当然堅持すべきでありますが、これはテンポの早い世の趨勢と合わせて解釈していくべきだと考えます。
#217
○春日委員 例の海運企業の整備特別措置法の利子たな上げ措置は、これはいうならば、名目は利子の猶予であるけれども、その政策の性格は返還保障というか返還条件付補助金の交付という性格を持っておるものだと思う。その政策の意図からして、これは経済ベースでも商業ベースでもない、あくまでも政策ベースによってこのことをなさんとしておる限りにおいては、名目はその利子の徴収の猶予という形にはなっておるけれども、実質は石炭その他の基幹産業においてなされてきたすなわち補助金の交付である。けれども、この補助金の交付が昭和五十二年三月末に返還される、支払われるということから判断して、返還条件付補助金という性格を持っておるものだと思いますが、この点運輸大臣から御答弁を伺います。
#218
○綾部国務大臣 私はそう考えておりません。先ほど大蔵大臣が述べられたように、必ず返還されるべきものと考えております。
#219
○春日委員 おかしな御答弁をなすったのでありますが、私はそういうことを言っておるのではないのです。要するに、名目は利子猶予にはなっておるけれども、この海運企業の困難を国として救済しなければならぬ、それにはしかじかの理由がある。基幹産業であり、しかも困窮の源泉が戦時補償特別措置法による七千億の債権の切り捨てにあるのです。だから国民、経済国家経済を維持発展せしめることのためには商業ベースをこえて、何らかの国の施策を講じなければならぬ。石炭にはたくさんの補助金を出しております。いろいろなところにたくさんの補助金がこれにも出ておる。利子補給で補助金が出ておる。だから今回やらんとする措置は、これは利子補給という名目をとってはおるけれども、その性格というものは返還保証つき補助金の交付というものに該当するものであると思うが、大臣の見解はどうか、こういうことを言っておるのです。返ってくるものと思うということは、利子だって返ってくるし、私が言っておるのも返還条件つき補助金の交付ということを言っておるので、返ってくることは間違いない、そういう補助金的性格である。補助金はやりっぱなしてしまうものだが、この場合は返還の条件つき補助金の交付、こういう性格のものだと思うが、またそのつもりで法案を提案しておるのであろうと思うが、どうなんですか。
#220
○綾部国務大臣 それはその通りであります。
#221
○春日委員 親愛なる運輸大臣の綾部先生がその通りだとおっしゃる。これは補助金の性格なんだ、補助金の性格を持っておるものを開銀に肩がわりさせておる、問題はそこにあるのです。私の言わんとするところは……。開銀の資金というものは財政投融資にかかるものである。だから開銀もその精神に準拠して融資に当たるべきものである。だから融資したものは回収しなければならぬ、利子をとらなければならぬ。とることができないという国家的な立場が別にあるならば、とり得ない事情があり、やむを得ないものであるという別の政策的論拠が別にあるならば、これは補助金を出さなければならぬし、今まで補助金を出しておる。石炭にも出しておるし、造船にも、今まで大騒ぎはあったけれども出しておる。ここにおいて論じこれを決定し、国はこれをなしてきておる。今までなしてきたことを今回これをなさざる理由は何か、そのことを言っておる。開銀総裁わかるでしょう。私があなたに申し上げたいことは、あなたがあなたの使命を果たすことのためには、貸した利子の徴収の猶予などというようなことは、あなたが国家から負託されておるその使命を果たす上において、はなはだその使命を阻害するの措置であるとあなたは憤激を感じられませんか、どんなもんです。
#222
○太田説明員 銀行経営の建前からいたしますと、今おっしゃる通りでございますけれども、はっきりしていただきたいのでございます。ただ過去におきましても、一時利子の徴収猶予というような便法をとったこともございますが、今回もおそらくそれにならってこういう措置がとられたのではなかろうか、こう思っております。私どもといたしましては、国の御決定になることに従いましてこれはできるだけ御協力を申し上げたい、こう思っております。
#223
○春日委員 国は、施策を行なうに必要ありと認める場合はどんどん補助金を出しておる。石炭対策費、これを三十七年度一般会計によって見るならば、これは累計いたしまして昭和三十六年度においては八十億、三十七年度においては百三十五億補助金を出しておる。利子補給についても造船関係、計画造船、利子補給金実額、これなんかは三十七年三月末現在において百二億ですか、それから三十七年度利子補給予算額は九億ですか、もっと大きいですか、そんなものです。そういうふうで、利子補給も補助金で出ているのです。いろいろな補助金がずっと出ておるのです。だから私はその財政投融資の基本的性格というものをゆがめるような形で、こんな利子の猶予たな上げというようなことをなすべきではなくして、ここに海運企業というものの基盤を整備することが政策的に必要であるならば、こんな財政投融資の性格をスポイルするような政策をとらないで、堂々といばって補助金を出したらよろしい。だからこれは財政投融と補助金とを混淆しているのです。この産投会計においては鶏とイタチとを混淆してしまったのだけれども、ここでも混淆をダブルに演じているのですね。乱離骨灰というか支離滅裂というか、あまりにひどいではありませんか。財政処理の原則、これはやはりあやまってはならぬ。一つのあやまちを犯すとこれが前例になって、次々とあなたの後輩たちがあやまっていく。大蔵大臣、どうですか。
#224
○田中国務大臣 春日さんの理路整然たるお話に対してはまことに同感でございます。しかしこれは一般論でありまして、先ほども申した通りいろいろな世の移り変わりによって、石炭に対しては一部を補助金にする、一部を利子たたな上げにする、猶予にする、また利子補給を行なうということで、これは各種の産業の合理化が、国のその産業に対して要請している度合いによって、また、その産業自体の状況によっていろいろな手がとられていることは、戦後の状況を見られればおわかりの通りであります。春日さんが海運に対して非常に御理解を持っておられるし、私もまた海運に対しては非常に理解を持つ人間の一人であります。しかし現在の段階において政府が考えましたのは、一応海運の再建ということに対して、少なくとも今国会に提案しているような利子の延伸、たな上げというようなことはやらなければならない、これをやることによって合理化も行なわれ、また海運の再建という大きな目標を達成せしめたいという、政府の施策の漸進的な姿の一つであるというふうに御理解賜わりまして、開銀の利子のたな上げということが、利子補給という一般会計からの補てんをもって行なわれないから、財政投融資に対する基本的な体系までくずすものだというふうに極端にお考えになられないで、やむを得ざる、また現状においておおむね妥当なものだというふうにお考えいただければ幸甚だと考えます。
#225
○春日委員 開銀総裁は、このような政府提案がなされるときに当然その意見を求められたと思います。あなたは国に対して、この財政投融資の重い責任をになわれておる責任者たるの見識において、当然その意見を述べられていると思う。こういうような、海運基盤を整備し、これを再建することのために施策として利子のたな上げをしたいと思うがどうかと意見を求められたときに、何と見解を述べられたか。お差しつかえのない範囲で御答弁を願いたい。
 それからなお、これは平岡君の要請ですけれども、この原案は大平官房長官時代に作成されたものであるというのだが、この間の経緯についてもあわせて、われわれが理解納得できるように御説明をお願いいたしたい。
#226
○太田説明員 先ほど申し上げましたように、銀行の立場から申し上げましたように、銀行の立場から申し上げまして、自分のところの銀行の利息が何割も減るというような政策は、まことにけっこうでございますと申し上げるわけにはいかない。(春日委員「損得じゃなしに政策論から……」と呼ぶ)政策でございます。われわれ銀行の経営としましては、自分の貸し出すものの利息の収入がごっそりと減るような政策がとられることは、銀行の立場としてかまいませんということは、率直に申し上げまして申し上げられません、申し上げにくいのであります。ただ海運基盤の強化のためには何とか手を打たなければなりませんし、しかもこういった方法しかどうも適切な方法が目下のところ考えれらない。また過去にもこういうことをして一時切り抜けたこともあるというようなことから、まあ開銀としましてはやむを得ずこれに御協力を申し上げた、こういう立場にございます。
#227
○大平国務大臣 この海運企業の現状は春日委員のよく御承知の通りでございます。きわめて深刻なものがあると思います。これはひとり開銀から御融資を申し上げておるものばかりでなく、一般の市中銀行から非常に膨大な資金が海運業に投資せられておるということでございまして、これはひとり政府ばかりでなく、融資いたしてそれに協力しておる金融機関も合わせて一諸になって海運企業の再建整備という仕事をやり遂げなければならぬという建前に立ちまして、これは一種の海運企業に対する債権者会議と申しますか、そういったところで官民歩調を合わせて海運企業の充実の基盤を養成していこう、こういう基本的な立場に立ちまして私どもも検討いたしたのでございます。もとより調整にあたりましては、運輸省と大蔵省、それぞれのお立場から御意見がございましたが、海運企業の現状は、事態をこのまま遷延しておくという事態ではございません。しこうしてまた今度とりました措置には、今御指摘のございましたように、全部がこれは非常な万能薬であるというようにうぬぼれているわけでは決してございません。今私どもは可能な措置として民間の協力を得ながら少くともこれだけはこの段階においてやるべきであるということに決意いたしまして法案を整備したのでございます。
#228
○春日委員 申し上げたいことは、治療すべきときには完全治療をなさなければならぬということですね。やぶ医者が患者を引き受けてとんでもない薬を盛っておる。それで本人は治療を受けた形でそのからだをゆだねておる。その間に病気はだんだんと内攻激化して死んじまうことになるわけです。だから治療をするときには、治療しなければしない、やがて適当な専門医が来て完全な治療をする機会がそこに期待できるけれども、なまじっかやぶ医者、へっぽこ医者が間違った薬でその患者を引き受けておると、完全治療を受けようと思っても、その機会、チャンスを逸する形になる。その間に病気が内攻激化して死に至る。私は海運企業に関するこの政策内容というものが、これは申し上げたように非常に過酷なものであり、また非常に微温的なものであって、実効を期しがたいものであると思うから、これももう海員組合からすべての者が全面的に反対をいたしております。われわれもいろいろとこれを精査すればするほど、このようなものによっては問題が何ら解決されない、こういうことを指摘しております。しかし今ここで開銀総裁に申し上げたいことは、あなたが国民から、国から信託を受けておる、その職責を果たす上においてもう少し熱心であってもらいたいと思うのです。あなたの良心とあなたの責任に照らして、少なくとも財政処理をあやまつようなやり方を政府から要求されたときには、私はそれでは国に対して責任を果たすことができぬから、そんなら開銀総裁をやめたと怒って辞表をたたきつけるほどの、やはり勇気、良心、誠実さ、私はそれがなければならぬと思う。
 私は大蔵大臣に申し上げるけれども、あまりにもこの一連の法案は、この産投会計法の改正案にしろ、またこの海運企業の整備に関する法案にしろ、その場当たりである、思いつきである。こういうような意味合いにおいて、これは二重のあやまちを犯しておる。法体系の紊乱、政策の混淆、よって来たるところの弊害は目をおおうものがああと思うのです。実際問題として便宜主義を排してもらいたい。
 最後に申し上げます。少なくともこの一連の法案を批評するならば、たとえば外勤の警官が外を歩いておる。この人たちが同じような格好でおるから郵便配達をやらせたらどうだというようなものですね。警察官に郵便配達をやらせたら、郵便の遅配の解消もできるのではないかというようなものですね。民法には民法の一つの範疇というものがある。刑法には刑法の一つの範疇というものがある。産投会計というものと賠特会計というものにはそれぞれの使命と性格がある。便宜主義ということはいけませんぞ。法体系の紊乱、政策の混淆、まさにおそるべき事態が予想される。まだ明日の時間はありますし、また社会党からこれに対する撤回要求の動議等もあるようでありますから、十分世論にこたえて、ほんとうに民主政治というものは反対党の意見を尊重し、少数意見を尊重する、重視するところにある。われわれは詭弁を弄しておるのではない。原則論としては春日さんのおっしゃる通りだとあなたは私の所論を肯定されておる。だからわれわれは後代の後輩にあやまちを犯さしめることなきよう、この際あなたがこのようなあやまちを犯すことのないようにと厳重に戒告をいたしまして、私の質問を終わります。
#229
○臼井委員長 次会は明二十二日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時三十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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