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1962/08/24 第41回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第041回国会 石炭対策特別委員会 第3号
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1962/08/24 第41回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第041回国会 石炭対策特別委員会 第3号

#1
第041回国会 石炭対策特別委員会 第3号
昭和三十七年八月二十四日(金曜日)
   午後一時三十六分開議
 出席委員
   委員長 上林山榮吉君
   理事 有田 喜一君 理事 岡本  茂君
   理事 神田  博君 理事 始関 伊平君
   理事 多賀谷真稔君 理事 中村 重光君
      木村 守江君    倉成  正君
      白浜 仁吉君    中村 幸八君
      濱田 正信君    井手 以誠君
      田中 武夫君    滝井 義高君
 出席国務大臣
        通商産業大臣  福田  一君
 出席政府委員
        通商産業政務次
        官       廣瀬 正雄君
        通商産業鉱務監
        督官
        (鉱山保安局
        長)      八谷 芳裕君
 委員外の出席者
        総理府事務官
        (北海道開発庁
        企画室開発専門
        官)      大西 昭一君
        総理府技官
        (北海道開発庁
        港政課長)   塘  恒夫君
        通商産業事務官
        (石炭局長)  中野 正一君
        運輸事務官
        (鉄道監督局国
        有鉄道部長)  高橋 末吉君
        日本国有鉄道参
        事
        (営業局総務課
        長)      中牟田研市君
    ―――――――――――――
八月二十四日
 理事齋藤憲三君同日理事辞任につき、その補欠
 として有田喜一君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
八月十八日
 産炭地振興対策推進に関する陣情書(福岡市薬
 院堀端七丁目百二十三番地福岡県町村長会長柿
 原種雄)(第一九〇号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の辞任及び補欠選任
 石炭対策に関する件
     ――――◇―――――
#2
○上林山委員長 これより会議を開きます。
 この際、理事辞任の件についてお諮りいたします。
 齋藤憲三君から理事辞任の申し出があります。この際これを許可するに御異議はありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○上林山委員長 御異議なしと認めます。よって、辞任を許可することに決しました。
 引き続き理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 齋藤憲三君の理事辞任により、理事が一名欠員となりました。この際、理事の補欠選任を行ないたいと存じます。理事の補欠選任につきましては、先例により委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○上林山委員長 御異議なしと認めます。よって、有田喜一君を理事に指名いたします。
     ――――◇―――――
#5
○上林山委員長 石炭対策に関する件について、これより調査を進めます。
 この際、始関伊平君から発言を求められておりますので、これを許します。始関伊平君。
#6
○始関委員 この際、前国会閉会中に石炭対策特別委員会から、石炭鉱業等の実情調査のため、われわれが北海道へ委員派遣に参りましたが、会期中に調査の報告ができませんでしたので、便宜本日その報告をいたします。
 去る七月五日から十日に至る五日間、有田喜一君、中村重光君それから不肖始関伊平並びに現地参加として岡田利春君、渡辺惣蔵君の五名が、北海道地区における石炭鉱業等について現地調査を行なって参りましたので、その結果をきわめて簡単に御報告申し上げます。
 御承知の通り、北海道の炭田は天北、留萌、石狩及び釧路の四つに大別され、その特性としては、一、埋蔵炭量が多いこと。全国の約半分であります。二、炭田稼行度が低い。三、排水準上の炭量が多く、また稼行深度が浅い。四、鉱害発生のおそれがほとんどないというような利点がありますが、その反面、石炭の消費地に遠い。関連施設の負担が大きい。さらに、寒冷地であること等の理由で賃金が高い等の不利な面も包蔵しておるのであります。
 北海道の石炭鉱業は、一般的に見て、九州地区等に比し、開発されてからの日が浅く稼行年数が若く、スクラップ・アンド・ビルドを根幹とする石炭鉱業合理化計画を推進していく上において、当該地区は高能率炭鉱の造成、原料炭の新規開発等ビルド政策を重点的に実施し、石炭鉱業の安定的発展をはかるべきであると考えられるのであります。
 しかしながら、現在石炭鉱業が直面している問題は、合理化計画制定以来、公共料金の値上がり、労務者の賃金アップ、資材費の高騰等の悪条件のもとに、昭和三十八年度千二百円のコスト・ダウンの目標を達成せねばならないことであります。特に当該地区としては、この悪条件を克服し、千二百円のコスト・ダウンを遂行するため、緊急に必要とされていることは、さきに申し上げた当地区の不利な点を解消することであります。すなわち石炭専用船の早期建造、港湾整備、荷役施設の拡充、私鉄運賃の通算制度の採用等、流通経費の節減をはかるとともに、一方において近代化資金等を大幅に確保することであります。
 北海道における石炭鉱業の概要等については別途報告書として提出することになっておりますので、これを御参照願うことといたしまして、次に現地における要望等をかいつまんで御報告申し上げます。
 一、石炭鉱業の体質改善について。1、スクラップ化強化のための整備資金及び交付金の増ワクと交付事務の迅速化をはかること。2、ビルド・アップ強化のため近代化資金等の増額並びに鉱区の合理化調整を促進すること。
 二、流通経費の節減について。1、石炭専用船の早期建造。2、石炭輸送にかかる私鉄運賃の通算制の採用。本件については、去る四月に、本制度を採用すべしとの閣議了解がなされているにもかかわらず、いまだ全くその実施を見ていない。よってすみやかに本制度を実施に移されたいというのでありまして、かりに昭和三十五年度輸送実績をもととし、本制度によって試算いたしますと、トン当たり実に百二十円の軽減となるのであります。3、石炭積出港の整備増強をはかること。これは御承知の苫小牧工業港の築港でございまして、昭和三十八年度において二百万トンの積み出し能力を予定して建設中であります。4、石炭輸送に必要な地方道の整備をはかること。
 三、石炭需要の確保について。1、産炭地及び揚地に石炭専焼火力発電所を建設すること。2、原料炭の新規開発を促進し、かつコストを引き下げて、現在輸入している弱粘結炭と代替せしめること。
 四、炭鉱離職者対策を強化すること。特に中高年令層及び身体障害者対策については、その対策を具体化すべきであるとの強い要望がありました。
 五、産炭地域振興対策の推進として、指定地域を拡大するとともに、産炭地域振興事業団の事業を拡大し、北海道東北開発公庫融資との協調ができるような措置を講ずること。また、事業団に北海道支部を設置すること。
 六、鉱産税、固定資産税等の租税負担の軽減をはかるとともに、これに伴う地方公共団体の減収については、財源補てん措置を講ずること。
 七、中小炭鉱対策。1、石炭鉱業合理化事業団、中小企業金融公庫及び開発銀行による中小炭鉱向け資金ワクの拡大、特に中小企業金融公庫の融資については、直接貸しの方法を原則とすること。2、中小炭鉱に対する信用保証制度については、国において特別の信用保証機関を設置するか、または中小企業信用保険公庫の保険価額及びてん補率の引き上げをはかるとともに、保険料の低減をはかること。
 以上の一般的共通した要望のほか、特殊な問題として、一、住友奔別鉱業所においては、昭和三十一年より四年余りにわたり四十億円の巨費を投じて縦坑を完成したのでありますが、当時まだ近代化資金等の国の資金助成の制度がありませんでしたので、きわめて高い金利負担に悩んでいるので、何らかの措置を至急に考慮されたいというものであります。二、貯炭施設、乾燥装置に対する助成措置。住友奔別炭鉱において、坑内の合理化、機械化、能率化により微粉炭が多量発生している。この取り扱いとして、電力等の大口需要家側に貯炭施設、乾燥装置等の設備が国の助成によって設置されれば、これら微粉炭の利用が容易となるというのであります。三、幌内、新幌内炭鉱においては、企業の機械化、合理化を促進すべきであり、特に縦坑の早期開発を要望する声が強かったのであります。四、国鉄線沼ノ沢駅の出炭受け入れ設備の増強。北炭夕張鉱山の合理化計画により縦坑を開発することにより、国鉄沼ノ沢駅を利用することがきわめて多くなる予定であり、従って出炭受け入れ設備を同駅に早急に施設されたいというもので、工事費一億円、三十八年度までに完成することになっておるのでありますが、着工の予定がいまだ立っていない実情である。よってこれが早期実現を要望しているのであります。
 以上が現地におけるおもな要望事項であります。なお、産炭地域振興につきましては、北海道総合開発計画の一環として十分に配慮すべきであると存ずる次第であります。
 また、苫小牧の工業地帯において石油精製、石油化学工場等の誘致が一部で考えられているようでありますが、産炭地域のごく近辺にかかる工場ができることは望ましいことではないと考えられるのであります。この点については慎重なる検討を加える必要があると存ずるのであります。
 最後に、北海道地区炭鉱保安について申し上げます。
 当該地区炭鉱の特殊性としては、可燃性ガス及び炭塵の発生量が多いことでありまして、炭鉱保安もこの面を重点的に考慮して災害防止に努めている現状であります。現在炭鉱保安の面で緊急に要請されている点は、1、保安不良炭鉱に対する融資が困難であるので、特段の配慮が望ましい。2、保安教育、特に中小炭鉱の場合、鉱業権者が行なう教育では不十分であり、国の力で教育の万全を期すべきである。3、保安監督機構を強化拡充すべきであること等であります。重大危機に直面している石炭産業を健全化し、わが国経済の伸展に寄与するため、今後本委員会の審査の過程におきまして、以上の要望等を十分に考慮され、また、政府当局におきましても十分に善処されますようお願い申し上げ、はなはだ簡単でありますが御報告を終わります。
    ―――――――――――――
#7
○上林山委員長 この際、北海道における調査に関連して始関伊平君より質疑の通告がありますので、これを許します。始関君。
#8
○始関委員 北海道の調査に関連いたしまして政府当局に善処をお願いする問題が多々あるのでございますが、実は、大臣が新しく御就任になりましたので、この機会に石炭政策の基本的な問題につきまして二、三お尋ねをいたしたいと思います。
 石炭産業のこの急迫した事態に対処するために、緊急対策ともいうべきものを適時適切に行なっていくということは非常に重要でありまして、大臣が就任早々に一連の金融資金対策を決定されたということに対しましては、敬意を表したいと考えております。しかしながら、それと同時に、石炭産業を結局どういう方向に持っていくのか、いわば石炭政策の究極の目標をどこに置くかということを明らかにすることが、私は非常に肝要だと思います。そうでないと、いたずらに当面を糊塗するだけで、事態をますます混乱せしめる結果になるというおそれもあると考えております。
 自由経済を建前とする諸国においても、たとえば英国とかフランスのような国は、石炭産業国営の建前をとっております。それからアメリカ、西ドイツ等は私企業の建前をとっておりますが、このアメリカ、西ドイツの両国でも相当に激しいスクラップ・アンド・ビルドという政策を今日までやって参ったし、これからも進めつつあります。しかしこれは、アメリカにいたしましても、西ドイツにいたしましても、石炭企業なりあるいは石炭業界の自力でやっておる。法的措置のないのはもちろんでありますが、資金的にも政府の世話になるということはほとんどない、全くないといってもよろしいと思うのであります。ただ、ここで特に申し上げたいことは、西ドイツでは石炭業界が激しく政府に迫って、重質重油千キロリットル当たり二十五マルク、これは日本の金に直しまして二千数百円になりますが、目玉の飛び出るような高率の消費税をかけております。これはもう御承知の通りであります。要するに、アメリカ、フランスの両国では石炭産業というのは私企業であり、しかも私企業たる面目と実質と双方を兼ね備えておる、このように思うのであります。
 ところで日本の石炭産業でありますが、これは名目的には私企業でありますけれども、遺憾ながら私企業たる実質というものはもう喪失してしまっておる、そういうふうに言わざるを得ないと思うのであります。すなわち、自力では資金の調達もできない、また販路の確保もできない、従って、石炭業者の言い分によると、これらの問題はすべて政府の責任だというようなことになっておるのであります。特に最近いわゆる雇用の安定問題というものをめぐりまして、政策転換闘争というものが行なわれておる。政府が無原則といいますが、これに妥協し、追随するような態度でありまして、これが石炭産業に一そうの混迷を加えつつあるやに思うのであります。
 今後の問題といたしまして、私は、石炭産業をどこにひっぱっていくかということについては、三つの方向があると思います。
 第一は、将来国営企業の方向に持っていくということについて日本でも慎重に考慮し検討する、これが第一であります。第二点は、石炭産業が今のように私企業たる実質を失ったものでは困るので、私企業としてやっていけるようにすることを目標として、私企業としての実質を回復し得るように環境と条件を整備しよう、こういう考え方が一つある。もう一つの第三としては、私企業ともつかない、また国家管理的なものともつかない現在の状態を、このままで当面を糊塗してますます混迷の度を深めていく、こういう三つの行き方があると思うのでありますが、私はこういう点について政府の方針を伺いたいと申し上げたいところでありますけれども、実は政府はこういう根本的な問題については何らの見解がきまっておらないと思いますので、新大臣として福田大臣の御所見を伺いたいと思います。
#9
○福田国務大臣 お答えを申し上げます。お説の通り、石炭産業を今後どのような方河に持っていって処理したらいいかということについては、三案あることは事実でございます。そういう考え方は確かにございます。今の石炭産業の姿は、確かに国営ではもちろんございません。というて、自由な企業として立ち行ける段階かというと、そうでもない。まあその混合のような形になっていることは、おっしゃる通りでございます。しかし、アメリカにおける石炭産業あるいは西独における石炭産業、またフランスその他の国々における石炭産業というものは、その国その国の一つの特殊性がみなあるのではないかと考えているわけでありまして、たとえば日本においての石炭産業というものは、日本の地理的、経済的な立場によってずいぶん大きく制約を受けているのではないかと思うのであります。ということは、こういう狭い国土に九千何百万人の人が住んでおって、この人たちが生活を維持していく、特に終戦後におきまして、荒廃した日本の国土を立ち直らせて、そして日本の国民生活を伸ばしていくという観点から見てみますと、何といってもやはり国内需要と消費だけでは日本の人を養っていくことができない。どうしても、海外に輸出するという大きな命題が出てくる。海外に品物を売って金もうけをする、そのもうけた金によって国民生活の向上をはかっていく、こういう一つの大きな特徴が特に日本においてはあるのではないかと思うのであります。そういう一つの命題がある上に、また日本は、石炭の出ているところと、その石炭を消費する場所が非常に離れております。こうした地帯がくっついていると非常にいいのですが、そういう点の一つの制約があろうかと思います。九州と北海道にしかおもな石炭の産地がないという点、また日本でそういうものを使うのは、東京とか名古屋とか大阪というのが消費地になっているというのが一つのあれだろうと思います。私がこういうことを申し上げているのは、実はおのおのの国によっておのおのの特殊事情というものがあるのではないかと思うのであります。日本では戦争中は石炭を掘れ掘れといって掘らした。そして非常に荒廃した山を受けて、今度は、まだ油が十分でないときでありましたから、エネルギー確保という点から、終戦後においても、石炭を掘らなければならぬということで掘った、ところがそのうちに水力電気というものに着目いたしまして、かなりエネルギー源を水力に求めておった時代があると思うのであります。ところが今日になりますと、今度はだんだん油に変わってきた。そういうことはどういうことに基因するかというと、できるだけ安いエネルギーをよけい作って、それから作った品物を海外に売る――海外だけではない、日本の物価を安くするという意味もありますけれども、そういう点に特に強く働いている面があると思うのであります。こういう姿でずっと今日まできてみますと、御承知のように、日本では世界じゅうで一番油が安い。なぜそういうことになったかというと、日本は油の消費量がどんどんふえます。いわゆる油を消費する市場としては、新市場としてこれほど有利な場所はないというので、世界じゅうというと語弊がありますが、たくさんの石油会社がいろいろな形で日本に入り込んできて、そうして石油の精製をしたり、あるいはガソリンの販売をしたりするというようなことが、ずっと行なわれてきました。そういうことが一つまた大きく石炭産業に影響していることも事実ですが、今日になって見ますと、今度は石油を精製して重油あるいはガソリンをとって売るというようなやり方ではなしに、エネルギー源としては原油そのままをたいたらどうかというようなことが出てきました。それが可能であるということになれば、かなり安いエネルギーができてくるというような事態も今起ころうとしておる。その中において、しからば石炭産業をどう持っていったらいいかということに相なりますので、そういうような外的な要請をたくさん受けておりますから、今のところ石炭産業ほど苦しい産業はなくなってきているわけであります。何といったって安くなければ売れないのでありますから、そこに非常なつらさがある。特に日本におきましては御承知のように――あなたにこういうことを申し上げても笑われてしまうが、あなたの方がずっと専門家で、ずいぶん長い間御勉強になったのですから恐縮ですけれども、いわゆる燃料炭と原料炭と比較してみますと、原料炭がもっとたくさんとれれば非常にうまいのですけれども、それがない、こういうことがあるので、そこに一つの日本の特徴がございます。
 しかしまた、一面考えてみますと、石炭をエネルギー源として使った場合には、海外からエネルギー源を求める必要はない、海外のエネルギー源にかえることができる、言葉をかえて言えば、外貨の節約ができるということでありまして、国内資源を愛用して、そこで人を養えると同時に、それはまた外貨節約になるという非常に大きなメリットがあるということがございます。こういうようないろいろな条件をずっと総合してみて、石炭産業は日本の産業の中においては大体これくらいのところに位置づけたならば一番いいのではないか、一応やっていけるのじゃないか、そしてそこに関係している人たちが、生活の不安におびえることなしに仕事をやっていける段階になるのじゃないか、そこをどこに求めたらいいかということで、この間の四月六日の閣議の決定に基づきまして、今調査しておるという姿でございます。そこでただいま、どういうふうにしたらいいと思うかということでございますが、御承知のように、あの調査団はいわゆる第三者、しかも公正な方たちが六、七名集まられて、日本でもそういう意味ではこれ以上の人選はなかろうというようなりっぱな人たちが集まって、国民経済的な分野から見て、石炭の姿がどうあるべきかということを考えていく、しかもまた、そこへ持っていく場合には相当な犠牲が出るが、それをどういうふうにして緩和したらいいか、労務の対策にしても、あるいはまた将来の就職の問題にしても、離職の問題にしても、いろいろございますが、そういうことはどうしたらいいか等々のあらゆる面にわたって今度は答申をしていただけるというふうに承っておりますので、こういうことを申し上げてはあるいはお答えにならぬかもしれませんけれども、私としては、調査団の調査報告を待って、それにのっとってやりたい、こういうように考えておる次第であります。
#10
○始関委員 私も、当面の石炭に対する、政府でやっております具体策がおかしいという議論をしているのじゃないのです。ただ石炭産業の姿というものはいかにも変態的で――社会党は、国家管理という名目はつけませんけれども、実際上国家管理的なものにして、企業の責任というものを国の責任に転嫁して、ますます何かわけのわからぬ形のものに持っていこう、社会党の行き方というのはこういうことですね。しかし、国によって事情が違うとおっしゃいますけれども、国営か私企業か、私企業なら私企業らしい私企業でなければ、企業としての指導精神が腐ってしまうと思うのです。経営者は自信がなくなるし、金融機関も相手にしない、こういう実情なので、当面の考え方は別として、先行きどう持っていくかということをもう少し明らかにしていただきたいのですが、御就任になったばかりで、これからだいぶ長く御在任だと思いますが、今までの内閣はこの問題を逃げていたと思います。ぜひ考え方をはっきりしていただきたい、このことをお願い申し上げておきます。
 今日、石炭産業の危機といわれておるものがありますが、これは私見ですけれども、これには全く違った二つの内容といいますか実態があります。その一つは、一番顕著な例は筑豊地区ですが、明治二十年代、三十年代に炭鉱が始まりまして、掘り尽くしてしまった。炭鉱の命脈が尽きたのです。危機とかなんとか言うけれどもどうにもならない、お葬式を出す、遺産の分配ではなくて、借金の跡始末ということで善後措置があるだけです。これが石炭危機の内容の一つですけれども、全然考え方を変えて対処しなければいかぬと思うのです。
 もう一つは、エネルギー革命といわれておるものによる影響があるわけです。これは要するに石炭に比べて重油が割安になったということに尽きる。石油化学工業は科学技術の進歩で石炭化学を駆逐した。石油が安いということ、科学の発達この二つが理由になりましょうが、要するに大きく言うと、重油の価格の方が安くなってきた。しかし考えてみますと、石炭と重油とが用途的に競合関係に立つようになったというのは、今に始まったことじゃないですね。明治二十年代か三十年代か知りませんが、日本に石油が輸入されて使用されるようになった、その瞬間から用途的には競合しておった。ただ、最近五、六年前までは常に重油の方が割高だった。通産省石炭局でつくられた資料で見ると、カロリー当たりにして二倍から三倍、あるいはもっと高い時代もあった。ところが高近ではだんだん安くなって、カロリー当たりにしても逆に重油の方が割安になったということが大きく言うと原因ですね。エネルギー革命というといかにも石炭が参ってしまうのは当然だという響きを与えますけれども、言葉をかえて言いますと、要するに安くなったというだけの話なんです。私の説は通説ではないですけれども、私は前から主張しておるのです。あまりついてくる人はないようですけれども、そこに原因があるのだから、従って、自由経済下における私企業というものを建前として石炭対策を考えるとすれば、石炭危機を招来したほんとうの原因、しかも唯一の原因である価格の問題を取り上げざるを得ない。それをおいては解決がない。あとは全部ごまかしだと思うのであります。病気をなおさずに末端のことばかり見ておるということになると思うのであります。
 西独でございますが、さっき申し上げたように、日本でいえば通産大臣の首が飛んでしまう、そのくらいの思い切った関税をかけたのですが、向こうへ行って聞いてみますと、ずいぶん問題がある。相当に激しい反対や抵抗があったのですけれども、この問題をあえてやった西ドイツの政治家というものは、問題の所在を的確に把握するだけの識見と意気があった、こう思って感心しておるのです。英仏その他の諸国においても、日本の現状を基礎に考えると、重油その他の石油製品の価格は、むしろ高価格政策をとっておると言っていいと思うのです。御承知のように、英米仏等で重油が一万円内外、日本は六千円。六千円を基礎にしてみますと、六割以上の違いがあります。
 これはダンピング市場になっているからですね。日本の財界の指導的勢力といわれる経団連は消費者の団体であるから、安いほどいいという立場をとっておるが、国政を担当する政府としては、ただ安いのがいいと言っておるだけではいけない。安いのがいいけれども、合理的価格でなければならない。日本の石油が合理的な価格かというと、合理的ではない。せんだって商工委員会で石油の問題で大臣にお尋ねしましたが、石油業からいっても、赤字が出て全く自主性を失って、ますます外国資本の奴隷にならなければいかぬような形になっておる。ところが、日本は全体としてそれを喜んでおる。政府も非常にはっきりしない態度です。それが石炭にも非常な悪影響を与えておるということは、非常にはっきりした事実だと思う。
 そこで私は大臣に伺いたいのですが、今私は石炭危機を招来した根本の原因は、重油価格の不当な値下がりにあるということを申し上げたのですが、その点私と同じ意見であるかどうかをお尋ねしたい。
 もう一つ、石炭と重油との価格差というものを放置して、石炭政策を確立して健全な私企業としての石炭産業を育成ができるとお考えなのか。これは根本問題に触れるので、あと続いていろいろお尋ねしなければいけませんが、前の佐藤さんも実はこの問題についてははっきりしたことをおっしゃらなかった。問題を逃げておったと私は観察しておりますが、この二点を一つ大臣に伺いたいと思います。
#11
○福田国務大臣 なかなか深いお話でございまして、非常に参考になる御意見があると私考えておりますが、確かに、石炭企業をどう持っていくかということでいえば、やはりわれわれは何としても自由企業としての立場を貫かざるを得ないと思っております。これは政治的にもいろいろの問題がありまして、今日の段階においてやはり自由企業として持っていきたい。自由企業として持っていくということになれば、ある程度やはりペイしていく線というものを押えていかなければならぬ、それには合理化ということが必要になってくるのじゃないか、よそからあまり援助を受けないでもやっていけるということに持っていかねばならぬ、こういうことになるだろうと思っております。そういう意味で私は、調査団には、幾らよそからせり込まれても絶対に競争していけるような形に持っていくには、石炭産業をどういうふうにしたらいいのか、こういう意味が多分に含まれておると思います。しかし、いきなりそこに持っていくというわけにはいきませんから、その間において、そこまで合理化されていく段階においても、またそこへいった段階においても、やはりそれを合理化するための国のある程度の援助とか何かがなければ、自力ではもう立ち上がれない段階に来ておるというのが今の姿だと思う。七百億円も借金をしょっているというような格好で、立ち上がれといっても荷が重くてしょうがない、こういうような姿でありまして、そこに国としても何らかの手を差し伸べていく必要がある。それから合理化することそれ自体にも、やはり国として手を差し伸べなければ、とてももうやっていけないというのが今の姿だと思いますが、究極においては、やはり自由企業として石炭を見ていく、こういうことであると思っておるわけであります。
 それから重油と石炭との値開きのことでございますが、確かに日本は重油というか油が買手市場になっておることは事実でありまして、こんな安いところはどこにもないわけです。はたしてこういうことが長続きするかどうか。要するに、どういうことからそれが起きたかといいますと、日本の産業というものはどんどん発展して、エネルギーはまだまだ要るんだ、もう十年ほどたてばほとんど二倍ぐらい必要になるぐらいまでに伸びていく、こういうふうに発展している。そこで早く自分の領分を獲得せねばいかぬというので、石油業者が大いに争って、いわゆる過当競争をした。その報いと言ってはおかしいが、その結果として今日の事態ができた、どうにもならなくなって弱っておるというのが、私はほんとうのが、私はほんとうの姿だと思うのです。これが公正な値段であるかどうかということになると、私はかなり問題があると思います。いわゆる正しい値段であるかどうかということになると、これには問題があると思う。しかし、それだからといって、安いのを何とか高くしてやろうじゃないかというのは、私は政策としては――という意味は、よそから安いものが入ってきてそれが原料になるのですから、まあそれは使っておく、しかしその結果として石炭の方が非常にいじめられておるのなら、石炭の方は何とか国で援助してやるということで埋め合わせをしていってもいいのじゃないかという感じを私は持っておるわけであります。これについては、正確にお答えするにはもうちょっと勉強させてもらわぬとお答えができないのですけれども、感じ的にはそう思っております。安いものが入ってくるのだからそれは使っておく、使っておくためにこっちの方がいたんでおるなら、国としてそっちの方をめんどうを見る。安いものを使って国が得をしているのだから、高いものはめんどうを見てもよいのではないかという考え方があってしかるべきではないか。ということは、私この前もちょっと申し上げたと思うのでありますが、石炭を使えば外貨が節約できるのですから、ある程度高いけれどもそれにある程度のものを補給する。西独がそういうわけで非常な高い関税をかけているというお話のように承ったのでありますが、その考え方も一つはそういうところにあるので、石炭産業で首切ってしまえばその人がちまたにあふれて、これに対する対策に金がかかるので意味がない、そんな二重な手間をするくらいならば、こっちの方を押えておいてどんどん上げていけば、しかもそれで成り立っていくのならば、それでいいじゃないか、こういうことだと思うのです。しかし、日本の場合にはたしてその政策がとれるかどうかということになると、必ずしも私はそうはいかないと思う。何といっても日本は後進国で、今やっと中進国というか、中ほどまで進んできたので、先進国との間にはまだまだ差がありますから、それを追い越していくというか、それに追いついていくにはやはり安いエネルギー源がほしいことも事業でありますから、この点についてはあなたのお問いにぴったりいっていないかもしれませんけれども、これは一つ大いに勉強させていただきたい、かように考えております。
#12
○上林山委員長 本会議散会後直ちに再開することとし、暫時休憩いたします。
   午後二時十六分休憩
     ――――◇―――――
   午後三時三分開議
#13
○上林山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 石炭対策に関する件について質疑を続行いたします。始関伊平君。
#14
○始関委員 先ほどの大臣の御答弁に関連いたしまして、いろいろ申し上げたいこともございますが、時間もございませんので、他日の機会に譲りまして、もう一つだけ大臣から直接御答弁を願いたいことがございます。
 それはいわゆる雇用安定問題についてでありますが、現在おります従業員をそのまま当該企業のところでくぎづけにして、ここで雇用の安定をはかろうとする考え方がございますが、これはもう私が申し上げるまでもなく、行き過ぎだと思います。当該企業が必要でないと考えておる者の雇用を当該企業に強制するということでは、私企業としては企業の存立についての責任の持ちようがない。これは企業責任の建前からいっても、私企業というものの根本に触れる問題だろうと私は思うのです。そこでお尋ねをしたいのでありますが、第一点としては、こういうような意味合いにおいて、いわゆる雇用安定の問題については、石炭産業が現在私企業であり、将来も私企業として健全な形で育てていこうという立場をとる以上、政府としては深入りをすべきであるまい、そう思いますがいかがでございますか。もし深入りするとすれば、一そう石炭産業というものが混迷するだけであると思いますが、いかがでありますか。
 第二点として、従って雇用安定というものは、いわゆる全産業的な規模、国民経済的な規模での雇用安定でなければならない。言葉をかえて申しますと、いわゆる離職者対策というものについて万全の措置を講ずるということに尽きるのではなかろうか、こう思いますがいかがでございますか。
#15
○福田国務大臣 お答えをいたします。
 お説のように、自由企業でございますから、当該の山にいられる労務者はそのままそこで使っていくのだという構想のもとに問題の処理をしていくということは、これは筋が違うと思います。しかし、いわゆる職業安定所その他を通じて、そこに離職者が出た、そうしたところが、よその山で雇いたいというところがあった、また、つてを求めてよそへ移ったという、そのことまでいかぬという意味ではなかろうと思います。そういう意味じゃないのでございましょう。そういうことをしちゃいかぬということではないでしょう。それはいいと思うのであります。そこまで介入していくということが行き過ぎになるということについては、同じような考えを持っております。それから離職者対策というか、これについて十分考えなければいかぬ、国として十分な施策をすべきじゃないかという御質問だと思うのですが、それは全く同感でございまして、そういうようなものが出る場合には、国としては十分な一つ措置をとっていくように努力をいたしたい、かように考えております。
#16
○始関委員 それじゃ政務次官にお尋ねいたしますが、三十九国会で石炭の危機打開に関する決議というものが行なわれました。その一番重要な柱というものはいわゆる近代化、合理化資金の大幅確保という問題であります。ところでこれはこの前の国会で、佐藤前大臣のときにも問題にしたのでありますが、昭和三十四年でしたか、千二百円のコスト・ダウンというものをきめた前とあとを比べてみますと、千二百円のコスト・ダウンをきめたあとの方が国家資金、財政投融資、市中金融を含めて、かえって設備資金なんかについては減少しておる。将来は自分の力で資金の調達もできる、私企業としての石炭産業を育成したいということであるけれども、当面の問題としては、やはり資金の確保について相当世話してやらなければならぬ。これからますます合理化を進めよう、近代化を進めようという時期になって、むしろ逆に確保できる資金の量が減るということでは、これは非常におもしろくないのですが、近く来年度予算、財政投融資、そういう計画が決定するわけなんですが、政府としてはどんな考え方でおやりになるか。それから予算の原案の提出については、五割増しという原則がありますね。石炭の方は例外だというようなことに閣議で了解になったように聞いておりますが、その辺の事情もあわせて御説明願いたい。
#17
○廣瀬(正)政府委員 能率の高い炭鉱の生産集中と申しますか、そういうような目途で近代化、合理化をはからなければならぬということは、大きな使命でございまして、そういうようなことにつきましては、予算の獲得に努力して参りたいと思っております。予算につきましては、一応五割増し程度というような要求の目標が指示されておるのでありますけれども、通産省の関係で申しますれば、石炭の問題でありますとか、あるいは中小企業の問題でありますとか、こういうような問題につきましては、そうしたワクを無視するというわけではございませんけれども、必要最小限度の要求をしなければならない、こう考えておるわけであります。
#18
○中野説明員 今先生から御指摘がありましたように、わが国石炭鉱業の近代化につきまして、この資金の調達につきましては、もちろん市中銀行からの調達についても努力をさせなければなりませんが、資金の性格上、やはり政府資金、財政投融資等にどうしても依存せざるを得ない、こういう状況でございますので、前々からこの基本計画に基づきまして合理化をやる場合には、その所要設備資金の確保については、できるだけ政府資金を投入する、こういう方針をとっております。ちょっと実績を申し上げますと、これは開発銀行と近代化資金、中小公庫の資金、この三つの合計を申し上げますが、三十四年度が五十七億円、全体の所要資金に対して二一%、三十五年度が八十四億円、全体の設備投資額に対して二七%、三十六年度が百九億円、三三%。三十七年度は、御承知のように、三十五年から近代化資金という無利子の貸付制度ができまして、これが三十五年が十九億、三十六年が二十五億、三十七年度は二十六億というふうなことになり、三十七年度は百十億円というふうに少しずつではありますが、ふえてきておるわけであります。特に三十七年度につきましては、近代化資金につきましては、全体といたしまして、これは中小炭鉱それから流通合理化、石炭専用船の建造助成等を含めておりますが、三十七年度は二十二億一千万円というふうに相当近代化資金はふやしております。三十八年度、来年度につきましても、相当やはり大幅にこれをふやしたい。もちろん全体の構造につきましては、石炭鉱業調査団が近く答申を出されます。そのときに、利率と資金の確保につきましてこういうような方式でやった方がいいだろう、また、金額はこれくらいでいいのじゃないかという答申があると思いますので、その答申を尊重して予算を組みたい。それから予算につきましては、もちろん政府全体の方針といたしまして、来年度予算につきましては本年度の五割増しというワクがございまして、一応今省内で相談をいたしまして、大蔵省ともこれはもちろん相談済みでございますが、石炭産業につきましては非常に特殊事情があるので、これは別ワクにするということになっております。ただこれは予算折衝の技術上の問題として、一応五割増しの線で従来通産省で考えておりました政策を伸ばしていく。今言った近代化につきましても、たとえば石炭の専用船については、今年度は三隻でございますが、来年度はこれを何ばいにするというような二、三年を見渡したいろいろな計画もございますので、そういうものを一応単純に伸ばしたときにどうなるかということで、五割以内の数字を一応はじいております。しかしこれは実際そういうものを出しましても、そう大蔵省に詳しく説明するわけにもいきませんし、一応形式上五割増しの線で従来の政策を伸ばした場合にどうなるかという予算を一応出しておきまして、そこに今度調査団の答申が九月には出ますから、出ましたらそれをプラス・アルファする。従って考え方としては、別ワクだということにお考えになっていいと思います。
#19
○始関委員 政務次官と石炭局長に希望いたしますが、一般会計から出る近代化資金、財政投融資ももちろん問題ですが、そのほかの市中金融なども含めて、全体として炭鉱の設備資金、合理化資金の総ワク、しかも、返したものを除いて手元に残る額がだんだん多くなるかどうかということが問題なんですから、そういう意味でいろいろと一つ骨を折っていただきたい。
 それから、これは政務次官と北海道開発庁の大西さんに伺いますが、先だって北海道に参りまして、苫小牧に参りました。あそこは石炭の移出港として二百万トンくらいの石炭を積み出したいというということで建設が急がれておるようですが、一方あそこに工業地帯をつくろうということでございます。何が問題になっておるのかということを聞きましたところが、石油精製業と石油化学だ、こういう話なんです。これはまだ考え方があるというわけで、具体的な契約ということにはなっていないようですけれども、とにかくそういう話である。私ども道庁に参りまして副知事なんかにお会いしたのですが、石油精製業であろうが何であろうが、出てくる産業、工業があれば実際受け入れたいというのが、北海道庁の気持なんです。なかなか地理的な条件がよくないから来てくれるものがない。しかし、いやしくも北海道で石炭の生産を重視する限り、同じ北海道の中でも石炭の移出港に使おうというような、産炭地に非常に近いところに石油精製業を置くということは、私は非常に不適当だろうと思う。石炭産地のどまん中に石油精製業をつくるということを考え、同時に石炭業を盛んにすることができるということを考えるとすれば、これはよっぽど頭がどうかしていると思うんです。そこで私は、実は先般の九州の鶴崎の問題についても同じような問題があるのじゃないかと思いますが、政務次官にはその点もあわせてお答えをいただきたい。しかも、だれが出てくるのだと言ったら、安売り競争の最先端のチャンピオンといいますか、一番潜在的な力のある出光が出てくるというのです。これじゃ北海道の石炭はめちゃくちゃになるおそれがあるので、こういうことは望ましくはないと思うのですが、先の話で仮定の話になりますが、御所見を伺いたい。開発庁の方からも一つ同様に御意見を伺います。
#20
○廣瀬(正)政府委員 苫小牧につきましては、御指摘のようなうわさを聞いておりましたわけでございます。石炭の需要の関係から申しますと、お話のようにまことに好ましくない事情だと思うわけでございますが、苫小牧につきましては、北海道の石油の需要の関係等もございますので、その辺の事情も勘案いたしまして検討いたしたいと思うのでございます。なお鶴崎市につきましても同様なことが言えるのでございまして、鶴崎市は御承知のように九州石油がすでに審議会をパスいたしました。石炭の需要の関係から申しますと、あまりよくないことだと思うのでございますけれども、石油の需要というようなことも考えなければならない問題であります。鶴崎の場合はすでに審議会をパスしたということで、大臣の許可という段階になっておるわけでございます。
#21
○大西説明員 北海道開発法に基づきます北海道総合開発計画は、実は昭和三十七年度、今年度で終わるわけでございます。従いまして、昭和三十八年度から始まります総合開発計画を昨年末私の方が中心になりまして作業を進めて参りまして、先月七月の十日に閣議決定をいたしました。その中で中心になりますのは、北海道の産業構造を高度化せしめて、北海道の経済の規模を拡大するというふうなことが重点になっておりますが、その産業構造の高度化の中心は、何と申しましても、やはり重化学工業が主体になろうかと思います。重化学工業を主体といたしました場合に、その根幹になりますのは苫小牧臨海工業地帯の造成計画が中心になっておまりして、実は閣議決定の文章の中に、「工業」のところでございますが、「重化学工業の開発」という項目を立てまして、その中で「臨海部の中核工業地帯において、粗鋼約二百万トン生産の規模を有する新規製鉄基地および原油処理能力約十万バーレルの石油精製基地を開発し、関連の製鉄化学および石油化学コンビナートを育成する。」というふうに書いてございまして、これは具体的にどこというふうには閣議決定の計画書の中には書いてございませんが、われわれの気持といたしましては、苫小牧の臨海工業地帯を予定しておるわけでございます。従いまして、今御指摘のように、産炭地に非常に近い苫小牧において石油精製ないしは石油化学を開発するということについては、非常に地域開発の観点からも、また石炭鉱業の観点からも問題ではないかというふうな点につきましては、閣議決定以前の通産省とのいろいろな折衝の過程でも問題がございましたが、しかし、今後わが国の重化学工業を進めていきます場合に、漁業補償の問題であるとか、あるいは大きな臨海工業港を造成するという道の残されているところが徐々に少なくなっているという観点からいたしますれば、用地、用水に恵まれた北海道で、やはり将来の方向としてそういうものを考えていく必要があるのじゃないかというふうなことで、一応四十五年までに、そういう規模を有する工業が来ても受け入れられるような基盤の整備をいたしましょうというふうなことで、閣議決定したわけでございます。従いまして、これは四十五年までに、今申しましたような、二百万トンの粗鋼を生産するのだとか、ないしは約十万バーレルの石油を精製するというようなことには必ずしもなっておりませんが、しかし、そういう道を日本の国民経済全体として考えることは大いに必要なことであるというようなことでここに入れてございます。しかし産炭地の問題では、苫小牧の場合には、石油精製はむしろ先でございまして、将来の製鉄基地というふうに考えておりますので、弱粘を主体といたします石狩炭田の炭を使いまして、ここで相当の規模の製鉄を考えますれば、原料炭を主体といたしまして約百万トンくらい道内需要が拡大するというふうに考えておりますので、その点はそう極端な矛盾を来たさないというふうに考えて計画を立案した次第であります。
#22
○始関委員 北海道は弱粘結炭の増産の余地は相当大きいということですから、あすこに製鉄基地をつくるということには非常に賛成です。しかし、あすこに製油工場をつくるとして、それと石炭とが両立するというように考えるのは、さっきの大臣の答弁じゃありませんが、どんなに安い原油が入ってきても、それをそのままにしておいて、石炭の方は何とかちゃんとやっていけるという考え方は、まるっきり矛盾したというか、あいまいもこたる、問題点を全く避けて通った見方であって、そういうことでは、私は石炭対策がうまくいかぬと思う。一つの目的を果たそうと思えば、多少の犠牲は要るのです。その犠牲を払わずに目的だけ達成しようとしたってだめなんです。石炭局長、何か御意見がございますか。
#23
○中野説明員 苫小牧の臨海工業地帯の造成の問題につきましては、われわれとしては、今御指摘がありましたように、やはり北海道の今後増産する弱粘結炭の需要という点を中心に考えてもらう、また機械工業その他重化学工業化といいましても、いろいろな形があるわけでございますので、北海道の特性に合った産業の育成ということに政府としては当然考えてやってもらうべきであるというふうに考えております。
#24
○始関委員 その次に、今度は運輸省の高橋部長にお尋ねをいたします。これも現地に参りましていろいろ陳情を聞いて参りましたが、国鉄運賃と私鉄運賃の通算制の問題でございます。これはだいぶ前に、閣議の決定ですが了解ですか存じませんが、方針がきまったのであるけれども、まだ全然実施の運びになっていないということで、非常な苦情があるわけです。現地ではこれが実施になりますと、トン当たり百二十円くらい輸送費が節約になるということで、だいぶ期待をしておるようなんですが、私は、閣議決定があった以上、運輸省なり国鉄なりとしても当然それに協力すべきであると思うし、運賃理論から申しましても、積みかえるなら話は別ですが、ずっと通して引っぱっていくというなら、やはり割引といいますか、通算制が妥当だと思うのですが、どういうわけで今日までこれが実現できないのか、あるいはどういう点に問題があるのか、その辺を、あなたは国鉄の御監督の立場ですから、一つ御説明を願います。
#25
○高橋説明員 ただいまの件につきましては、大へん延び延びになっておりまして、私どもまことに申しわけないと思っております。このことにつきましては、前国会におきましても御質疑が行なわれて、そのつどうちの大臣等から御答弁申し上げておったのでございますが、連絡運輸という事柄は、鉄道事業者が二つ以上ある場合におきまして、両者の営業政策上その他こうやった方がいいというふうな場合に、協定を結びまして、そういう連絡運輸を行なうという建前になって参っておることは申し上げるまでもないわけであります。その場合に、通算という方式あるいは両者が、併算と申しまして、企業の自主性というものを生かしながら、連絡運輸という方法で利用者の方々の御便宜をはかるという方法と二つありまして、長い歴史を持ってやって参っておるわけでございます。いずれにいたしましても、両者、あるいは三者ある場合もございますが、おのおのの事業者が合意のもとに協定によって行なうという性質のものでありますので、このことにつきましても鉄道事業者の方に指示いたしまして、納得のいくように私どもといたしまして努力をいたして参っておるわけでございますが、国鉄といたしましては、申し上げるまでもございませんが、目下輸送力増強というふうなことで、至るところで旅客あるいは荷主の方々に非常な御迷惑をおかけしておるような点を打開しようというので全力をあげております。これに伴う資金の確保等につきまして、できるだけ自己資金といいますか、収入をあげたいというふうな事情でもございますものですから、私どもの方といたしまして、閣議の決定に協力するように、すみやかに実施するようにという行政指導をやっておるわけでございますが、そういうような事情から時間がかかっておるわけでございます。しかし国有鉄道は国に準ずる機関でもございますので、協力すべきであるということは当然でございます。これに対しまして、その後いろいろ検討を加えて参りまして、国鉄といたしましても、連絡運輸の場合の運賃というものを一つここで確立していきたいというふうな観点から、連絡運輸の場合に、ただいまのお話にもございましたけれども、直通の運輸になるわけでございますから、別々にやっておる場合よりも、いろいろな点で合理化される面も多いわけでございます。これらの点を総合いたしまして、それだけの軽減を利用者の方々にお与えするような運賃制度を打ち出したいというので、いろいろ検討を加えて参りまして、最近そういった一つの試案が私どもの方にも参りましたものですから、一刻も早く、そういうようなものでもし御了承いただければすみやかに実施に入りたいと思いまして、通産省の当局の方々の方にも目下御連絡を申し上げまして、相ともに御検討をお願いしているようなわけでございます。一刻もすみやかにこれは実施しなければならない事柄でございますので、なお一そう私どもの方も努力いたしたいと思います。
#26
○始関委員 あまりこまかい議論をするほどの予備知識はございませんが、いつごろまとまるかという問題は、話し合いでどっちが妥協するかという問題ともからんでくると思いますが、一つできるだけ早くまとめるようにお骨折りを一そうお願いいたします。
 国鉄関係の問題といたしまして、北海道は石炭の産地としては非常に離れたところにありますので、輸送その他いわゆる運輸経費の節約ということが非常に大きな問題になってくる。今御質問申し上げたのもその一つなんですが、さっき石炭局長も答えられたのですが、去年は専用船を三ばいつくった。ことしは五はいか六ぱいか、相当よけいにつくることになるだろうと思いますが、そうすると、それに相応して国鉄の持っておられるいろいろの荷役設備なり港湾設備、たとえば留萌、室蘭あの辺の海の施設が古くなったり、あるいは足りなかったりで困るというような話も聞いて参りましたが、来年度の予算、国鉄の事業計画とも関連があると思いますが、石炭のことも考えてそういうような方面について何かお考えになっておられたら御説明願います。
#27
○高橋説明員 ただいま手元に資料がございませんので、的確な御答弁を申し上げられないので申しわけございませんが、北海道の石炭輸送ということにつきましては、私どもも万全を期するように始終指導はいたしております。石炭を輸送する特別の貨車、セキと申しますか、あれの新造等につきましても、貨車新造の全体のワクの中でそれに必要な分をいつもつくるように私どもの方としては指導いたしております。室蘭の荷役その他につきまして、今ちょっと私よく承知いたしておりませんので、帰りまして、よく御説明できるように調べてみたいと思います。そうして御趣旨のように指導したいと思います。
#28
○始関委員 港湾の問題のついでに苫小牧の問題をお尋ねしたい。あれも石炭の輸送費の削減というような見地から石炭業者はだいぶ期待をいたしておりますが、資金の援助といいますか、あるいは監督というか、北海道開発庁でおやりになるのですね、それを見てきましたが、あまり活発にもやっておらないようですが、いつあれは荷役として完成するのですか、一応お尋ねしたいと思います。
#29
○塘説明員 苫小牧の現状並びに将来の計画につきまして簡単に御説明いたします。
 苫小牧の工事は昭和二十六年から始まっておりますが、最近の、三十七年末の姿を申し上げますと、まず外郭施設の防波堤、東防波堤と西防波堤がございますが、これは三十七年度末におきまして、東防波堤は計画の二分の一量、西防波堤は計画の四分の一量が完成する手はずになっております。なおこの防波堤は三十八年の予算要求におきまして概成するというようなことで考えております。
 なお航路の浚渫、外港の浚渫の問題でありますけれども、これは計画としまして幅員三百メートル、水深九メートルというふうな計画を立てております。三十七年度末の現状におきまして航路が百五十メートル、水深は八メートルというような施工が可能だろうと思います。
 それから石炭埠頭の問題でございますが、三十七年度末におきまして一万トン・バースが二バース完成する手はずになっております。なお、その背後の臨港鉄道も、一応平面交差におきまして完成する手はずになっておりますので、三十七年度末におきましては供用開始の手はずになるというふうに考えられます。
 なお岸壁前面の泊地の問題でありますが、これは三十七年度末におきまして対岸の雑貨埠頭、その間の距離が四百五十メートルございますが、さしあたってそのうち二百五十メートルだけを九メートルに浚渫したいというふうに考えております。なお泊地の問題は、三十八年度におきまして、全域四百五十メートルにわたりまして九メートルにしたいと考えております。従いまして三十七年度末におきましては、石炭の供用開始ができるという運びになっております。
#30
○始関委員 だいぶ長くかかっているようですから、一つなるべく早く使えるように御指導願います。
 それから、運輸省の高橋さんにもう一つお尋ねいたします。これはちょっと問題が具体的過ぎるのですが、北炭の夕張炭鉱が合理化をやられまして、これは鉱区が広いので、操業の中心になる地点が変わってきたということだろうと思いますが、その地点が移ったので、国鉄の沼ノ沢駅という駅を利用することになった、ところがこの沼ノ沢駅に出炭の受け入れ設備というものがまだできていない、工事費が一億円で三十八年度中に実現することになっているのだけれども、着工のめどがつかないので困っておる、こういうことなんですが、一体こういう特定業者のための受け入れ設備といいますか、荷役設備というか、これの経費の負担はどうなっておるのでありますか。具体的には沼ノ沢駅の問題について、お調べになってきているのなら一つ簡単に御説明願います。
#31
○高橋説明員 ただいまの件につきましては、ただいま初めてお聞きするようなことで、私全然調査いたしておりませんので、帰って調べましてから申し上げたいと思います。
#32
○始関委員 これも現地で聞いてきた話ですが、北海道でも産炭地域振興事業団の指定地域の拡大を要望する、それから振興事業団の事務所を置いてくれとか、いろいろ要望があります。しかし産炭地振興事業団における産炭地というのは、だめになった産炭地ですね、あるいは、だめになりつつある産炭地を別の意味で振興しようというので、ああいう若い産炭地まで産炭地域振興事業団の事業の対象に入れるというのは、この事業団の勢力を分散して、何かわけのわからぬものにするおそれがあるという意味からいってもよろしくない。およそ何か政府でやろうとすると、あらゆる地域がそれに乗りおくれないようにしようという動きがあるので、私はそういうことの一つかと思いますが、むしろこれは北海道の総合開発という観点から、石炭を使うような事業を起せばいいと思う。産炭地域振興事業団というのは大体これは九州でやればいいので、北海道なんかに原則としてそんなに力を入れる必要はないと思うのですが、石炭局長の御見解と開発専門官の方にも簡単に御意見を伺います。
#33
○中野説明員 産炭地振興につきましては、今先生から御指摘がありましたように、今後の重点は九州、特に筑豊、それから長崎県の北松地区、そういう石炭山がどんどん閉山いたしまして特に疲弊が激しいというところを中心にやっていきたい、そういうことで、今度法律によってできました産炭地域振興事業団は九州に支部を置きまして、専任の理事を現地に派遣をいたしまして九州で相当仕事をやらせる。もちろん本部は東京にございますが、ただいまのところ、要望はありますが、北海道地区に支部までつくってやらなければいかぬかどうか、そこまでまだ北海道の事態は追い込まれていないのじゃないか、ただ地域的にやはり山がやめましてだんだん疲弊していくというようなことが部分的には北海道でも起こっておりますから、地域指定の方は今のところある程度広く指定されております。しかし、これでもまだ足りないということで要望がまだあるようでございますが、そういう点は相当慎重に考えたい、特に振興事業については、御指摘がありましたように北九州、それから佐賀、長崎、特に北松地区、こういうところに重点を置いて、九割程度は大体九州というふうにお考えになっていいのじゃないかと思います。
#34
○大西説明員 先ほど申し上げました第二期北海道総合開発計画におきましては、北海道総合開発の一環といたしまして、石炭鉱業の安定強化というふうなことから、道内需要の拡大をはかるというふうなことで、先ほど苫小牧の製鉄事業などについて弱粘の需要の拡大ということを申し上げましたが、そのほかにも、たとえば釧路等におきましては大規模な火力発電をやりまして、そこで電気銑あるいはアルミニウム工業を考えるというふうなことで需要の拡大をはかる。そのほかにも、まだ研究段階でございますが、石炭化学そのものの振興というようなことを通じて道内の需要の拡大をはかって、北海道の総合開発とともに石炭鉱業の安定をはかるというふうな構想にいたしております。
#35
○始関委員 もう一つ。これも現地で聞いてきた話なんですが、坑内の合理化、機械化をだんだん進めると、微粉炭がどんどん多く出る。ところが微粉炭というものは水を吸うので、その貯炭施設なり乾燥施設なりというものを個々の石炭業者がやると、方々につくらなければいかぬ。そこで、こういう施設を大口需要者である電力業者なんかにつくってもらったらいいのじゃないか、そうすると資源の活用にもなるし、それから石炭業者の経理もよくなるというような点でいいのじゃないか、こういうような陳情を聞いてきましたが、もし研究をしたことがあれば、どういうふうに考えられるか、お尋ねしたいと思います。
#36
○中野説明員 御指摘のように合理化、機械化によりまして山元で微粉炭が相当出てくるということはその通りだろうと思いますが、これをどういうふうにして有効に利用するかということについては、別途われわれの方で研究いたしておりますが、もし御指摘のように、需要家の方に、山元の近所にそういう貯炭なり乾燥の施設をつくって買ってくれというのは、まだ十分研究しておりませんが、石炭の側に立ってみてもちょっと虫がよ過ぎはしないか、むしろやるなら石炭業者の方で共同に、鉱山が相当集中しておるような便利のいいところにそういう施設をつくる、これは先般宇部地区等において中小の炭鉱について選炭、混炭の施設を共同でやるという計画がございまして、これに対して流通合理化の近代化資金を出しましたのですが、そういうことで業者自身が一生懸命で考えてくれれば、政府としても何らか助成の方法はあるのじゃないか。ただ、需要家の方でそういうことをやるのがいいかどうか、そういう点はなおさらに研究したいと思っております。
#37
○始関委員 何もかも政府にたよったり需要者にたよったりするというのは石炭業界の通弊だが、あなたがそういうりっぱな指導方針を持っておるのはけっこうだと思います。
 最後に一つだけ政務次官にお尋ねして質問を終わりますが、住友鉱業の奔別鉱業所というのがありますが、三十一年から四年間四十億の金をかけて縦坑を完成したのだそうです。これは実は炭鉱の合理化を少し早くやり過ぎたのです。当時まだ近代化資金という制度はなかった。近代化資金というものは御承知のように無利子の金なんですが、そこで、金利負担が非常に多くて困っておるのみならず、不公平だというような考え方もあるのでしょうが、何とかならぬかというようなことを頼まれたというか陳情された。これは私がここでこう言ってみても何ともしょうがあるまいと思いますが、いかがですか。
#38
○廣瀬(正)政府委員 住友の奔別鉱でありますかの縦坑は、三十三年着工いたしまして昨年完成しておりますわけですが、この間近代化資金を三十五年度に二億五千万、三十六年度に七千五百万、合計三億二千五百万貸し付けておりますわけでございます。今後の資金の措置につきましては、会社ともよく相談いたしまして善処いたしたいと思っております。
#39
○上林山委員長 次会は来たる八月二十九日水曜午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後三時四十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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