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1962/08/24 第41回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第041回国会 商工委員会 第3号
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1962/08/24 第41回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第041回国会 商工委員会 第3号

#1
第041回国会 商工委員会 第3号
昭和三十七年八月二十四日(金曜日)
   午前十時四十六分開議
 出席委員
   委員長 逢澤  寛君
   理事 小川 平二君 理事 岡本  茂君
   理事 首藤 新八君 理事 白浜 仁吉君
   理事 中村 幸八君 理事 板川 正吾君
   理事 田中 武夫君 理事 松平 忠久君
      浦野 幸男君    小沢 辰男君
      神田  博君    齋藤 憲三君
      始関 伊平君    田中 榮一君
      林   博君  早稻田柳右エ門君
      久保田 豊君    小林 ちづ君
      多賀谷真稔君    中村 重光君
      西村 力弥君    広瀬 秀吉君
 出席国務大臣
        通商産業大臣  福田  一君
 出席政府委員
        内閣法制局参事
        官
        (第一部長)  山内 一夫君
        外務事務官
        (経済局長)  関守 三郎君
        通商産業政務次
        官       廣瀬 正雄君
        通商産業事務官
        (通商局長)  松村 敬一君
        労働基準監督官
        (労働基準局
        長)      大島  靖君
 委員外の出席者
        総理府事務官
        (行政管理庁行
        政監察局監察審
        議官)     稲木  進君
        通商産業事務官
        (軽工業局長) 倉八  正君
        通商産業事務官
        (鉱山局長)  川出 千速君
        通商産業事務官
        (鉱山局鉱政課
        長)      吉光  久君
        専  門  員 越田 清七君
    ―――――――――――――
八月二十四日
 委員西村力弥君辞任につき、その補欠として広
 瀬秀吉君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員広瀬秀吉君辞任につき、その補久として西
 村力弥君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 小委員会設置に関する件
 鉱業に関する件
 通商に関する件
     ――――◇―――――
#2
○小川(平)委員長代理 これより会議を開きます。
 委員長が所用のため、指名により理事の私が委員長の職務を行ないます。
 参考人出頭要求の件についてお諮りいたします。
 先刻理事会において協議いたしました通り、来たる二十八日に石油燃料器具検査に関する問題について参考人より意見を聴取することに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○小川(平)委員長代理 御異議なしと認め、そのように決しました。
 次に参考人の人選、手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○小川(平)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
     ――――◇―――――
#5
○小川(平)委員長代理 この際小委員会設置に関する件についてお諮りいたします。
 すなわち、小委員九名よりなる石油に関する小委員会を設置いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○小川(平)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 なお、小委員及び小委員長の選任については、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○小川(平)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 なお、小委員の辞任補欠選任等につきましても委員長に御一任願いたいと存じます。小委員及び小委員長は委員長において指名し、公報をもってお知らせいたします。
     ――――◇―――――
#8
○小川(平)委員長代理 鉱業に関する件について調査を進めます。
 大谷石採石場の保安に関する問題について質疑の通告がありますので、これを許可いたします。広瀬秀吉君。
#9
○広瀬(秀)委員 まだ労働基準監督局長がお見えになっておりませんので、鉱山局長に御質問を申し上げたいと思います。
 大谷石採掘現場におきまして、去る七月三十日に相当大きな陥没、落盤等の事故がありまして、人命が三名失われました。さらに負傷一という事故が起こりました。この問題につきましては、この種の事故は前からの状況を見ましても相当多数に上っておるわけでありまして、一体これらの原因はどういうところにあるのか、これを再び繰り返さないようにするためにはどうするかという問題と、今までたび重なる事故によりまして、労働者の貴重な生命が失われておる、こういうようなことをどうやって防止するか、こういった角度から質問を申し上げたいと思うわけであります。
 この事故の発生状況をずっと見て参りますと、手元の資料、二十七年からしかございませんが、二十七年に二件、二十八年に四件、これはいずれも死傷事故のあったものであります。二十九年に三件、三十年に八件、三十一年に五件、三十二年に二件、三十三年が五件、三十四年六件、三十五年三件、三十六年二件、三十七年はまだ前半でありますが二件発生をいたしておるわけであります。この間における死亡者の数は、これは主として労働者でありますが、十九名死んでおるわけであります。重傷を含めまして負傷をした人たちが二十三名、こういう大きな事故に上っておるわけであります。これは鉱山法の適用を受ける鉱山、石炭産業であるとかその他のメタル・マイニングであるとか、こういうような場合で、おそらく相当大きな事業場が一つあるといたしますならば、二十七年以降これだけの死傷事故というものが起きた鉱山というものは非常に少ないのではないか、大谷石という非常に限られた地域の中で岩石を採集するという事業場の中で、これは労働基準法上の事業場の数はたくさんに上りますけれども、ごく狭い範囲の一つの石の脈を掘っているわけであります。それと比較いたしますと、これは全く無視し得ない社会問題としての大きな数字である、こういうように考えるわけであります。こういうような意味から、七月三十日の事故についても、通産当局としても十分御調査になられたと思うのですが、一体この事故はどういうことが原因で発生したと鉱山局長はお考えになっておるか、まずこの原因について当局の御意見を明らかにしていただきたいと思うわけであります。
#10
○川出説明員 ただいま先生からお話がございましたように、過去何回にもわたって大谷石の採掘場で事故を起こしているわけでございます。今回も事故を起こしましてとうとい人命を失ったということにつきまして、まことに監督官庁として申しわけなく思っている次第でございます。事故の原因はいろいろあるかと思いますが、採掘の方法等につきまして、場所は同一でございますけれども、企業の数も多く、最近は特に大谷石の需要も非常にふえておりますので、乱掘傾向にあるのではないかと思います。たとえば、これは露天掘りではなくて、抗内掘りでございますけれども、掘っていく場合に適当な石の柱を適当な間隔に残して掘っていけば陥没ということもある程度防げる、それがそういう間隔を無視して掘ってしまうというようなことも、最近ではあまりないものと思いますが、従来掘った古洞とかそういうものについてはだいぶあるやに聞いておるわけでございます。そういうような計画的な採掘が遺憾ながら行なわれていなかったというところに事故の原因があるかと存じます。それが一つの原因ではないかと思います。
#11
○広瀬(秀)委員 今の鉱山局長のお答えは、このように毎年々々死傷事故を伴うようなこういう落盤、あるいは陥没等の事故が相次いでおるわけでありますが、その原因は一言で言えば乱掘ではないか、こういうお答えでございました。私どももやはり事故の原因を研究調査をいたしまして尋ねてみれば、やはりこれは乱掘ということが最も重要な事故の原因だ、こういうように考えておるわけであります。現地に当たってみましても、そういうことが言い得るわけであります。
 そこでお尋ねいたしますが、現在この事業場は採石法の適用を受けておると思うのでありますが、その点明らかにしておいていただきたいと思います。
#12
○川出説明員 採石法は通産省の所管になっておりまして、採石法によりますと特定の岩石でございますが、岩石を掘る事業を始めます際には、通産局長に届出なければならぬことになっております。それから採石権の設定、これは石をとる場合に、採石権に限らないわけでございますが、採石権の設定につきまして通産局長が調整する権能を持っておるわけでございます。それから採石業者に対しまして、採石の過程において公害を与える、公共施設に害を与える、あるいは他の産業に害を与える場合には適当な措置を講ずることができるという監督規定もございます。
#13
○広瀬(秀)委員 採石法の第二条に、はんれい岩とか、かんらん岩とか、けつ岩とか、いろいろ岩石の名称が載っておりますが、この中に凝灰岩というのがあります。大谷石はまぎれもなく凝灰岩に属するものだと思います。採石法はそういう岩石の採掘を対象にしているということがはっきりしておるわけでありますので、採石法の適用を受けておることは確実だと思います。そこで、採石法の目的の中に、「採石権の制度を創設し」ということがございます。そして次いで「事業の健全な発達を図ることによって公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。」こうなっておりますが、現状はなるほど採石権の創設をされまして、このことは問題はないのですが、その次の「事業の健全な発達を図る」という点で、大谷石の場合、事業が不健全な形で発展をしておるわけです。それには非常な過当競争というようなものがございます。従って、その結果が今局長が答えられたように、公共の福祉を増進するのではなくて、かえって公安を害するような問題が起こっている、こういうようなことについて、一体どうお考えになりますか伺いたい。
#14
○川出説明員 大谷石は、大谷地方の特産の石でございまして、地方の産業の発展に大いに貢献しておるものと思います。同時にお話しになりました通りに、非常な過当競争、乱掘というようなことになりまして、公共施設、たとえば道路に被害を与えたり、その他他の産業にも被害を与え、あるいは与えるおそれがあるというようなことになっておりまして、その点両方の調整を計画的にはかる必要があるかと存じます。またそのための措置の万全を期さねばいけないというふうに考えております。
#15
○広瀬(秀)委員 採石権設定については、これは通産局が許可をされるわけでございますが、その許可をしている件数というものが、大谷石の場合にどれだけありますか。
#16
○川出説明員 採石業の場合には、土地所有権による場合と賃借権による場合と、それから採石法による採石権の設定による場合とございます。現在私の承知しておりますところでは大谷の石につきましては、採石権による掘採ではないというふうに聞いております。
#17
○広瀬(秀)委員 こういう場合には採石権の設定ということにはならないのでございましょうか。土地の所有者がいる、そしてその下にそういう岩石の層がある、その一部をちょうど鉱業法にいう租鉱権と同じように、設定行為としてそこを掘らしてもらう、これはまぎれもない採石権の設定行為だと思うのですが、現実にそれと同じことをやっておりながら正式な手続をしない、こういう事例があるということをお認めになりますか。
#18
○川出説明員 採石権の設定は、鉱業法による鉱業権の設定と異りまして、鉱業法の鉱業権の設定は、国に対して出願して、これに対する許可という形で、いわば非常に公的色彩を帯びて行なわれるわけでございます。採石権の設定は、土地所有者と岩石を掘る採石業者との間の契約で設定される私的色彩を帯びた、いわば地上権に類する用益物権かと思います。
#19
○広瀬(秀)委員 しかし、いずれにしてもそういうことが現実に行なわれているということは、私は確実だと思うのです。採石権設定の許可基準というものを採石法の第十条にきめておきながら、そういうことを通じて、正式に許可基準に照ろして――その中にはいろいろな条件というものが書かれております。その中で、公共の用に供するものにいろいろな支障を与えるとか、いろいろなものがありますが、そういうものを一々審査して、私的なものである、いわゆる私的な権利設定行為なんだ、むしろ法的というより、国家的というより、そういうものなんだ。しかしながら、こういう法規を持っておるわけですね。採石法の中に第十条許可基準というものがある。それに照らして、現実にそういう行為が行なわれておるにもかかわらず、それが私的であろうとか、あるいは法的であろうとか、私的要素が濃いとか薄いとか、こういうようなこと以上に、許可基準をきめた趣旨というものは、やはり公安を害するような形が出ないように、あるいは農業なり漁業なりがそのことによって壊滅に帰するような事態がないようにとか、あるいは公園とか、そういうものの風致を害したり、あるいはそこに支障を与えたりしないようにということが第十条に書かれておりますが、今まで一件もそういうことがないということは、現実にそういう許可基準をきめても、それがほとんど働いていなかった、死文になっておったということではございませんか。
#20
○川出説明員 ただいま申し上げましたのは、大谷町につきましてないということを申し上げたわけでございます。これは全国的に見ますと約七百件ございます。
#21
○広瀬(秀)委員 私が伺っておりますのは、そういうほかの、採石法の適用を受けて採石権を設定したということがなぜ大谷になかったのかということです。このことを明らかにしていただきたい。
#22
○川出説明員 採石権設定は許可の申請を待って行なわれることになっておりますので、おそらく土地所有者との間の賃借契約とか、あるいは土地所有者そのものが掘るとか、そういう形で処理をされておりまして、そのような採石権の設定許可申請という形では出てこなかったのではないかと想像されます。
#23
○広瀬(秀)委員 それはその通りだろうと思うのです。そういうような賃貸借契約をやってきた。しかし、事実は、採石法からいえば、言葉は悪いですが、もぐりのような形で現実に設定行為をしたと同じだけの仕事を業者はやっておるわけです。そういうような問題について、法の申請を待って採石権というのが設定される、許可を与えられて初めて設定行為が完成するんだ、こういうことが現実には行なわれている。このことはお認めになるでしょう。
#24
○川出説明員 採石法によりますと、通産局長が最終的には強制的に設定し得る道も開いておるわけでございます。これは両者が協議をして、協議がととのわなかった場合に、所定の手続を経た後にやり得る権限でございますが、現在のところまだその例はないわけでございます。なお、採石業を営む者につきましては、採石権に基づくものであろうと、あるいは土地所有者、あるいは賃借契約に基づくものであろうと、それが公共の利益に反するような危害を与える場合には、そういう区別なしに監督の対象にするという建前をとっておるわけでございます。
#25
○広瀬(秀)委員 何か非常にわかりにくくなってしまったのですが、いずれにいたしましても土地所有者があって、今、大谷で採石業を営んでおる人たちは、大体大ざっぱに見て百人くらいの人がやっておるわけです。そのうち土地所有者はおそらく十指に満たない少ない数であります。そのほか、実質的にはその内容は賃貸借契約であろうか、あるいはその他の方法であろうかわかりませんけれども、その所有者から何らかの形で権利を譲り受けてやっておる、こういうことであります。そういう場合に、採石権設定という行為がなされないままに、正式なそういうものをやらないままに、すなわち許可基準に抵触しようがしまいが、業をどんどんやれる。従って、石をとれる、こういう工合になっておるはずであります。このことがやはり乱掘の最大の原因になったろうと思います。それをもう少し許可基準に照らして、それに合うものだけしかやれないんだというような、網を通す、そういうものがなければ、私は乱掘というものは、原因はわかっておっても、それを防ぐことはできないということになるのではないかと思うのですが、いかがですか。
#26
○川出説明員 現行の採石法では、採石事業を営むことは自由でございます。ただ、それを採石権の設定という形で行なう場合もあり得る。採石権の設定を行なう場合には、許可の基準がございます。従って、現行法の運用によりまして、着手前にいろいろな計画を調べてやるということは、現在の採石法のもとにおいては、行政指導は別でございますが、法律的権限に基づいてやることは非常にむずかしいことであります。
#27
○広瀬(秀)委員 解釈上はそうなるでしょう。けれども、私の冒頭の質問に対して、乱掘が原因でこういう非常に大きな事故が相次いで起こってきておる、しかもそのことがやはり今局長が言ったように、現在の採石法ではどうにも網の目にかけることができないんだ、こういう見解を示されたわけですけれども、しかし、それだったら、やはりこの採石法の適用を受けて、しかも採石法でもやはり健全な発展をはかるとか、あるいは公共の福祉を増進するとか、許可基準の中では公共の福祉を害さないようなという条件もついておる。それにもかかわらず、そういういわば歯どめになる網の目をくぐらしてちゃんと監督できるような体制が全然ないんだ、こういうことを結局お認めになったと思うのです。そういうように了解してよろしいですか。
#28
○川出説明員 事業許可制をとるかどうか、実態的にはそういう御質問になるかと存じますが、現在の採石法では届出制になっておりまして、届け出られたものに対する監督規定は、通産省の方でございますと、一般の公害問題の関係からの監督がございます。それから労働者の災害につきましては労働省の監督になっておりますが、その間不可分の関係にもございますので、われわれは従来も両者の間で十分連絡をとり、今後も連絡をとってやっていきたいと思います。
#29
○田中(武)委員 関連。――さっきから聞いておったのですが、何か先ほど局長は、採石業は自由に行なわれる、そうして届出主義になっておるというが、採石法の建前はそうなっておりますか。
#30
○川出説明員 採石法の第三十二条によりまして、「採石業者は、採石業に着手したときは、遅滞なく」「通商産業局長に届け出なければならない。」ということになっておりまして、事業許可制ではなくて、事業の届出制になっておるわけでございます。
#31
○田中(武)委員 さっきあなたは、広瀬君の質問を聞いておると、採石業は自由にできるというような答弁をしておった。届出だというのですが、十条には許可基準があるのですね。「許可をしてはならない。」というのがあるのです。これはあくまで届出制度と解釈できますか。さらに、自由にできるという解釈になりますか。
#32
○川出説明員 私の説明が不十分であったかと存じますが、採石権で事業を行なう場合には許可が要るわけでございます。その他の場合にはこれは届出でございます。所有権なり賃借権でやる場合には、届出でやることになっております。
#33
○田中(武)委員 しかし、この十条は、採石権に基づいて採石を行なう場合のみでなく、自分の所有地においてやるというような場合をも含めて、全体にかかっている規定と違いますか。
#34
○川出説明員 自分の山で採石をやる限り、それは届けなければならないわけでございますが、自由であろうかと思います。ただし、それがほかの労働者災害の問題あるいは一般鉱害の問題に触れる場合には、監督を受けるわけでございます。
#35
○田中(武)委員 そうすると、三十三条の方は公益の保護としていかなる場合にも適用する。十条の場合は、なるほど一条の云々だから、一条は採石権の創設の規定ですね。従って、許可基準のかかるのは一条の場合、すなわち採石権に基づいてやる場合だけであって、自分のところでやる限りにおいては、こういう許可基準もなく勝手にどんどんやれる、こういう建前なんですか。
#36
○吉光説明員 ただいまの御質問でございますけれども、採石権それ自身は実は任意設定なのでございます。その任意設定ということを前提にいたしまして、その任意設定いたします場合に、土地所有者との間に協議が整わない場合があります。その協議が整わない場合に、先ほど田中先生がおっしゃいました九条の通産局長の許可を受けて土地所有者と協議いたします。その許可基準が十条でございます。採石業者が土地所有者との間に採石権を設定したいというふうな話し合いを進めるわけでございますけれども、その話し合いがまとまらない場合にのみ九条から十条の方の規定に入って参るというふうな規定になっております。
#37
○田中(武)委員 その場合、九条の方はわかるのだ。そうすると、自分の土地で、採石権ではない、所有権に基づいて、その自分の土地であるところから石を採取する、そういうときにはこれはかからない、こういう解釈なんですね。
#38
○吉光説明員 さようであります。
#39
○田中(武)委員 そこに僕は問題が一つ出てくると思うのだ。なるほどこの採石法は、採石権を設定するという建前で、それを中心にやられておる。しかし、採石権に基づく採取であろうが、自分の所有権に基づく採取であろうが、公益を害するという点においては一緒なんですね。そうすると、この三十三条の場合は全体にかかるわけですか。
#40
○川出説明員 三十三条の場合には採取業者全体にかかるわけでございますので、採石権でない場合もかかるわけでございます。
#41
○田中(武)委員 立法論としては疑問がありますが、現行の建前がそうであるならばその上に立って言います。
 そうすると、今ここで問題になっておるのは、三十三条の公益の保護というところにおける監督が不十分である、そういうところへ結論が来るだろうと思うのです。――私は関連ですから、あとでまた申し上げることにして、広瀬さんにかわります。
#42
○広瀬(秀)委員 今の鉱政課長の採石権の設定というのは、これは本来任意のものなんだという答えで、法の建前というのは、先ほどからの局長の答弁でちょっと理解ができなかった点ははっきりいたしました。なるほどそういうことでできているというところに、結局こういうような事態ということも実はできたのだと思うのです。
 そこで、大谷の場合に、採石業者としての届出によって登録をされている業者は一体幾らありますか。
#43
○川出説明員 届出が出ておりますのは、現在百企業のうちの五十ぐらいでございます。
#44
○広瀬(秀)委員 労働基準局で調査したところによりますと、現に九十九事業場があるのです。そのうち協同組合に加盟をしている――大谷石石材協同組合というのがあるのです。そこに加盟している業者が六十七名おる。これは大体三十七年の八月一日現在の調査であります。きわめて新しいのでありますが、九十九の業者がおります。これは基準局で監督をするのに調べた数でありますから、八月一日現在で現にあるわけです。そのうち協同組合に加入しているのでも六十七名いる。しかも正式に登録をされているのは半分くらいの五十くらいじゃないか、五十幾つですか。そこのところをはっきりしていただきたい。
#45
○川出説明員 これは東京通産局に届け出ているわけでございまして、私正確な数字を今持って参りませんでしたが、約五十というように見ておるわけでございます。あとでまた正確な数字を必要であればお答えいたします。
#46
○広瀬(秀)委員 それではその数字はあとではっきりしたものを一つ知らし
 ていただきたいと思います。しかし、それは端数程度でありまして、大体五十三であるか、五十五であるか、いずれにしても半数くらいが三十二条の届出、これすらしていない。採石法の建前からして三十二条では届出をしなければならないのですね。ならないのだけれども届け出ていない。しかも現にそういう倍の業者がひしめいてあの山を掘っているということであります。しかも、採石法の建前は、これは鉱業法の建前と違うのだということで、採石権の設定も任意なんです。だから特に採石権を設定して第三者対抗要件でも備えようという必要のあるもの以外はやらないのだ、現に採石権を設定してやっているという業者は一つもないのだということで、大きく許可基準というものから漏れている。従って、あとは届出だけでやるのだ、こういうことになる。三十二条の届出だけで業者はどんどん発生いたします。その発生の届出も半数しか届けていない、こういう実態というものがはっきりいたしたわけであります。こういうふうなところに私はやはり非常に無秩序な、零細な業者がひしめきながら、過当競争をしながら乱掘をする原因というものがあると思うのです。このように了解してよろしゅうございますか。
#47
○川出説明員 非常に企業の数が多いものですから、届出を怠っておったり、あるいは政府の方の行政指導も至らなかった点が多々あると思います。その結果、企業の約百というのは、私の方で調査をして判明した数でございますが、この採石法を施行いたします際に、届出に関する経過規定を欠いておるわけでありまして、採石法施行以前から事業をやっておりました者は、法律上届出義務を強制されていない。そういう面がございまして、なるべく届け出るように行政指導はしておりますけれども、法的に強制されていないという面もあります。しかし、現実の企業の数と届け出られている数と開いておるということは、これははなはだ遺憾でございます。今後そういう穴を埋めていくように努力をいたしていきたいと思います。
#48
○田中(武)委員 局長、違います。もしその場合は四十四条で罰則があるのですよ。
#49
○川出説明員 先生の御指摘になる通り、法施行後の問題につきましては、その罰則がございます。
#50
○田中(武)委員 数多くあって、とてもそこまで目が届かないから、行政指導の上において遺憾な点があったという二とはわかる。しかし、先ほどの御答弁のようだったらちょっと変わってくるのです。法の強制がないことはない。罰則によって強制がある。三十二条の届出をしなかった場合には、かくかくの処分に付するという規定がある。だから罰則というものによって強制せられておるわけです。
#51
○川出説明員 その通りだと存じます。
#52
○広瀬(秀)委員 この法施行時に、もうすでに業者としてやっておったという人たちは、届出すら強制されない法の建前であった、こういうことでありますが、それは、政令か何かでそういうことにしたのですか。
#53
○吉光説明員 届出が要らないという積極的な規定はないわけでございます。ただ三十二条におきまして、「事業に着手したときは、」というふうになっておりまして、この法施行のときにおいて、現に事業に着手をしておる者につきましては、届出をしろという積極的な規定がないわけでございまして、そういう意味で、この法律施行前の事業者の数というものは、行政指導によって届出をさせ、数を把握しておったという事情でございます。
#54
○広瀬(秀)委員 なるほどこの三十二条の規定に、着手したときに届け出るのだということがありましても、三十二条の法の精神というものは、やはりこの三十三条において、いわゆる「岩石の採取のための土地の掘さく又は廃石のたい積により公共の用に供する施設を破壊し、又は農業、林業若しくはその他の産業の利益を損じ、著しく公共の福祉に反すると認めるときは、採石業者に対し、その防止のため必要な措置を講ずべきことを命ずることができる。こういうような実質的な規定があるわけなんです。そういうようなものをやるためには、やはり少なくともこういう第三十二条がある以上、着手したときだという、その規定がかりにあったとしても、採石業に関する行政の第一条の目的を推進するために、少なくともどれくらいの業者がおって、どれだけの届出があるか、これはやはり法の精神に従って、一〇〇%届出のあるような行政指導というものが行なわれていなければ、やはり採石業に基づく行政というものがきわめてルーズであったと言わざるを得ないと思うのです。ルーズであったし、あるいはむしろ怠慢であったというそしりを免れないと思うのですが、いかがですか。
#55
○川出説明員 先生のおっしゃる通りでございます。現在県とも連絡をいたしまして、採石業者の実態調査をいたしております。その結果、先ほど申し上げましたように大谷につきましては、届出の数とそれから実際にやっている業者の数とに、相当の食い違いがあるということが判明したわけでございまして、全国的にやっておるわけでございます。
#56
○広瀬(秀)委員 その点私の質問の点を認められて、今後努力されるということでありますから、その点はそれくらいにいたしますが、しかし、この採石法ができました当時に、私はずっと採石法の各条文を読んでみまして、おそらく大谷石採石現場のように、抗道によって石を切り出すというようなものを、第一予定していなかったのじゃないか、こういうことを疑っておるわけなんですが、この点はいかがなものでしょうか。
#57
○川出説明員 大体さようでございまして、露天掘りを主として考えておった次第でございます。
#58
○広瀬(秀)委員 大体この法の建前が、やはり露天掘りが対象で、それを予想しての採石法ではなかったかと思うわけでありますが、局長も、大体そういうことじゃなかったろうかと肯定されたわけであります。しかしながら、現にこの採石法の適用を受けながら、大谷の場合相当地下深く、一番深いところは大体二百メートルくらいのところまでいっておると思います。私どもも現場へ行って、一度くらい入ってみたいと思いましても、とてもこわくて入れるようなところじゃないのです。これはあとで基準局長にも伺いますけれども、地下に入る足場などというものも、とてもしろうとでは入れないような、お粗末な状況もありますので、どのくらいの深さかということはこの目で確かめることはできませんでしたが、相当深いところまで掘り進んで、しかもそれが、地下をほとんど縦横に掘りまくっている、こういう現状があるわけなんです。こういうことで、先ほど冒頭に申し上げたように、現に大へんな事故が毎年々々相次いで起こっているということになりますと、採石権設定行為は任意ですということや、あるいは届出というものも、既存の業者には強制をされませんでしたというようなことでいったんでは、この事故というものは、当然これから続くと思います。従って、これについて採石法を何らかの形で――と言うよりも、目的ははっきりいたしております。こういう事故が起こらないようにするためには、現状の採石法ではだめであります。このことはもうはっきりしたと思います。これについて、何らかの改正というものの必要を私どもは認めるわけでありますが、当局としていかがお考えでございましょうか。
#59
○廣瀬(正)政府委員 私からお答えした方がいいと思うので申し上げます。私はまだ採石法を詳しく研究いたしておりませんが、きょうの質疑応答を聞いておりますと、採石法自体にも欠陥があるようにも思うが、行政指導にも遺憾な点があるかと思います。その辺十分検討いたしまして、将来万全の策を講じたい、かように考えております。
#60
○広瀬(秀)委員 しばらく鉱山局関係の質問を保留いたしまして、基準局長もお見えになっておりますので、労働基準局関係について御質問いたしたいと思います。
 先ほどからいろいろ数字をあげまして、大谷の石材採掘業に関する落盤、陥没等による事故の問題について伺って参ったのでありますが、大体昭和二十七年からことしまで、去る七月三十日までの事故で、労働者を中心として、労働者が大部分でありますが、死亡十九名、重軽傷二十三名という事故が起きているわけでございます。このことは労働基準監督行政にとっても非常に大きな問題になっております。これは現地の出先の局からもこまかい数字の報告もあったろうと思います。それで、この大谷のこういう事故に対して、基準局として、今までどういう監督をなさってきたか。どういう角度で二十七年にも二十八年にも起きているこの事故について、そういうような事態の上に立って、どういう措置を講じてこられたか、まずこの点をお聞きいたしたい。
#61
○大島政府委員 去る七月三十日の大谷石の採掘場の重大災害は、私ども非常に遺憾なことと存じております。ただいま御指摘の通り、採石業、ことに大谷石の採掘現場における災害というものは、毎年引き続き、三十三年、三十四年、三十五年、この辺は非常に死傷の件数も多うございまして、三十六年に至りまして、比較的、災害はありましたですが、死傷そのものについては少なかった。また本年に至りましてこういう重大災害が発生いたしたのであります。私ども基準行政といたしましては、災害防止の見地から、労働安全の見地から、採石業ことに大谷石の問題につきましては、栃木の労働基準局といたしましては、非常に重点を置きまして監督もし、指導もいたして参ったわけでございます。全般的に考えてみまして、この災害の原因といたしましては、第一に、やはりただいま御指摘もございましたように、抗内の作業であるという特殊性、それからさらに、無計画な採掘によりまして保安支柱そのものが重圧に耐えかねるような危険性を持っている。それからさらに、廃抗の問題が非常に連関が多いわけであります。廃抗の実情がまだ十分把握されていない。こういった点が原因として考えられるところであります。それで私どもといたしましては、第一に採掘業者における安全態勢の整備、このことがまず基本的に大切だと思っております。去る昭和二十七年でございましたが、大谷石の採掘の安全協議会を設置してもらいました。ここで安全衛生についての業界の態勢の整備をお願いいたした。その後これが解消になりまして、協同組合の中の安全衛生部というような形になったのであります。さらに最近、再度安全協議会というものを設置しております。各地区につきまして毎月労働監督署の職員が一、二名参りまして、その地区の業界の全員と一緒にその現場の監督といいますか、指導といいますか、あるいは安全の研究、そういうことをやらすようにいたしております。さらに大事なことは、個々の現場における具体的な安全基準ということが非常に大事であります。そういった関係で採掘の安全基準ということ、運搬の安全基準あるいは電気設備の安全基準、こういった具体的な安全基準の設置をするようにお願いしております。
 それから第二の問題といたしましては、私どもの方の関係の法規そのもの、労働基準法ないしこれに基づく安全衛生規則、この規定そのものが全般的な規定になっておりますので、特に採石業あるいは大谷石、こういうふうな具体的な問題についてもっと具体的に詳細に整備する。ただいま安全衛生規則の改正を準備いたしております。採石法との関係も非常に多うございますので、通産事務当局とも打ち合わせをしながら、順調に参りますれば来月の労働基準審議会に諮問しまして、改正をいたしたいと考えております。
 それから第三の廃抗の問題につきましては、最近栃木の知事さんが中心になられまして、危険地域の指定とか、廃抗処理とか、こういう問題につきまして栃木の関係当局をお集めになられまして、ただいま検討を進めておられます。こういった点で、事態の重大性にかんがみまして、今後通産当局と一緒になって懸命な努力をいたしたい。先生におかれましても、非常に具体的な実情の把握と御検討の結果、また私どもにいろいろ御指導を賜わりたいと思います。
#62
○広瀬(秀)委員 今お答えをいただいたわけでありますが、昭和三十六年の三月に行政管理庁の行政監察局から採石業の監督についてという報告が出ているわけでありますが、その中で、この採石業に対する保安面というものは労働基準監督署の所管である、従って、監督署で具体的な計画を策定して一生懸命やっているということで、特に抽出検査をした結果、宇都宮は事業場の大体七一%であるという数字が出ております。小田原がその二四%、その他は大体一件ぐらいしかやっていないというようなことでありましたが、従って、宇都宮としては、これは私が地方労働基準局の審議員をやったことがありますが、そのときに、今労働省の安全課長をやっております山口さんがちょうど局長であった。そのときに、この問題を基準局としてはほんとうに重点的に取り上げられたいという要望を出しましたが、山口さんも一生懸命になりまして、今局長が答弁されました安全協議会というものがそのときに初めてその時点でできたわけであります。ところが、これもだんだん見て参りますと、せっかく非常に熱意を持って当時の山口局長が一生懸命やってくれたわけでありまして、それで通産局も参加をされましたし、業者団体、県、市というようなところで、これは総合的な力を結集しなければいかぬということでそういう協議会ができたのでありますが、その後やはり、この最終の責任は一体どこなんだろうかというようなことなんかもあったりしまして、だんだんだんだん先細りになってきた。それでまた今度のような事故になったというような経過を繰り返した。今度また相当大きな事故なものでありますから、今度も、これは労使組合関係も相当関心を持って取り上げるし、というようなところから、県も市も、それから基準局も、通産局も、非常に今度の場合に熱心になってこられたと思う。そういう点は非常にいいですけれども、労働基準監督署は大体第一次的に保安の問題はやるわけですけれども、今の基準法の五十五条とか、あるいは安全衛生規則の百十六条、七条というようなもので今後こういった事故を防止するだけの自信が局長はおありですか。このことを一つ端的にお伺いいたしたいと思う。安全衛生規則を何らか改正しなければならぬということで、その点もやっております。特に採石業に関連したものを十分取り入れながら改正をしたい、こういうことなんですが、その改正をすれば、もうほかの手を打たなくても大体こういう事故は防げる、こういう自信がおありですか。
#63
○大島政府委員 率直に申しまして、私はそれだけではなかなか完璧に災害を防ぐということはむずかしかろう。私はやはり両面の、一つは先ほど御言及になりました報告の中にもございました通り、やはり安全面における具体的な安全基準と申しますか、そういった点における今後の努力というものが要請されるわけであります。同時に、他面廃抗の問題でありますとか、計画的な掘進の問題、こういった両面の問題が私はこの災害防止に不可欠の問題だと思います。従って、私といたしましては、安全衛生規則の改正を行なって参りますと同時に、採石法の関係によりまして、先ほども御報告申し上げましたように、栃木の知事さんが非常に御熱心で、知事さんが中心になって関係局を集めてやられまして、こういった形で通産と労働が両者ほんとうに緊密な連絡をとって協力して、その災害防止にほんとうに努力していきたい、かように考えております。
#64
○広瀬(秀)委員 今局長がお答えになりましたように、基準法それ自体、あるいは安全衛生規則というようなものを実態に即して改正をされるということは、私はそれは大いにやっていただきたいと思います。しかしながら、今局長もはっきり認められておりますように、やはり採石法の面からも、何らかの業者に対する保安を重点にした規制というような問題がつけ加えられなければ、万全を期することはできないのだというお答えだと了解をいたすわけであります。一体採石事業場で大谷石のように地下抗道をもってやる事業場というものが全国的にどのくらいありますか。このことをちょっと鉱山局にお尋ねいたします。
#65
○川出説明員 明確な数は実は私知らないわけでございますが、大谷石のほかにはあまりないように聞いております。
#66
○広瀬(秀)委員 それだけに非常に、この問題はほかにあまり例がないというところから、昭和二十七年から今日までほとんど毎年のように事故が起きている。昭和三十六年だけは死傷事故はなかったわけでほっとしておったのですが、ところがことしになるともうこういう事故が起きた。その他の場合はほとんど毎年のように死傷事故が起きておるわけです。それにもかかわらず、抜本的な対策が講ぜられないままに今日まで来たということは、やはり地下産業的に採石業が行なわれるというのが栃木県の大谷だけにほとんど限定されたような姿にあったために、局部的な問題だ、こういうことから非常にこの問題が軽視されてきたのではないかと思います。先ほどの局長のお話の中にもあったように、県が乗り出してみても、県がやるのだということは、一体どういうところから法規的に責任を持ってどこまでもやらなければならぬかということは、法規的にそれが県の行政における重要な部分なんだというようなことは別にないわけだし、市がやるといってもこれもはっきりしない。責任の所在がはっきりしない。一体これだけの事故が起きてみれば、これは国家的に黙っておられる問題ではない。しかも採石法という法律すらあるというようなことから考えましても、基準監督行政からいきましても、どっちにしてもこれはどこかが本気になってこの問題を取り上げるという体制がなければ、この事故は断じて防止することのできない性質のものだ、それにもかかわらず、今言われたように大谷が大体ただ一つだろうと言われる。しかもただ一つでもうほとんど石も掘り尽くしてしまって、あと二、三年でなくなってしまうのだというならそれもいいかもしれない。起きたところで大したことはないかもしれないが、学者や専門家の推定によりますと、向こう五、六十年、少なくとも最低限度に見積もっても今のペースで掘っていって、機械が数年前に導入されましたが、それで掘っていっても五、六十年先まで、あるいはそれより先まで地下をどんどん掘っていっても、取り切れない石の脈があるのだ、こういうこともいわれておるわけであります。そうだとすれば、現状のようなままでは、毎年こういう事故が起きるに違いないわけです。そういうような観点から、一体これはどこが本気になったら事故防止ができるのか、この点をはっきりしていただきたいと思います。政務次官いかがでしょう。
#67
○廣瀬(正)政府委員 立法論につきましては、先刻私から御答弁した通りでございまして、後日検討してみたいと思うのでありますが、現在の法制におきましては、採石法で通産省が採石業者を監督する、労働保安につきましては、労働基準法によって労働大臣が責任を持つということになっておりまして、責任が二つに分かれておりますような状態でございますから、この辺もあわせまして将来十分検討してみたいと思います。
#68
○広瀬(秀)委員 先ほど、労働基準局長は労働保安という立場からいろいろ考えておるようでありますが、この基準法なりあるいは安全衛生規則の改正というようなことをやってみても、事故を完全に防ぐという意味からは、限界があるということを言われておるわけでありす。この行政監察局の報告の中にも述べられておりますが、「石脈に連なるいわゆる表土が土砂、軟岩等の軟弱なもので、掘採が進み、抗内が広くなるに従い、落ばん等の公算が倍加するのであるが、採石業に関しては、鉱業法上の施業案のごとき規制がなく、無計画に掘採され、中でも零細な業者は目前の利益のみを考え、危険を覚悟で一たん捨てられた抗内を再掘したり、手取早い事業場を求めて転々と移動、乱掘が行なわれているので一層危険の度が高くなっている。」こういうことがあるわけであります。そうしますと、今政務次官は採石法の検討もいたしたい、こう言われたわけでありますが、より一そう具体的にお伺いをしたいわけでありますが、鉱業法のこれは第何条でありますか、施業案をつくるというようなことが鉱業法にもあるわけであります。こういうようなことは、もちろん鉱業法と同じようにすることのできないことははっきりいたしておりますし、また鉱山保安法をそのまま持ってくるということも、大谷の実態からいいまして、これも適当ではないということを私どもも認めておるのです。しかしながら今日の大谷を採掘しておる現場においては、その抗内の地図、最小限度にどんなところがどんな工合に掘られておるか、立体的に平面的にそういう地図というようなものがまずつかめていない。従って、どういうような掘り方をしておるのかというようなことも、これは基準監督官が行って中に入りましても、中に入ったら、これは全然わからないわけです。ただやっておるところに行ってみるという程度、案内してもらっていくという程度、こういう地域にわたって、これだけの地域にわたって、この業者は大体どういうところをどんな工合に掘っておるのだ、そういうような地図さえない現状です。従って、施業案というようなことも非常にむずかしいけれども、そういう実態をまず把握するというようなことは、やはり採石法、の改定に待たなければ、そういうこともできないのではないか。少なくとも鉱業法にいう施業案の提出ということぐらいは、何らかの形でやらなければならないと思うのです。そういう具体的な問題について検討される用意があるかどうか、この点を一つ伺っておきたい。
#69
○廣瀬(正)政府委員 法律の改正につきましては、ただいま御指摘のように作業の基準をつくりまして認可制にするというような問題、それから公安に害があるという場合には作業の停止を命ずることができるというような点が課題になるのじゃないかと思っておりまして、御指摘のことについて検討を加え、調査を進めて参りたいと思っております。
#70
○広瀬(秀)委員 作業基準の問題あるいは公安を害する問題についての規制というものを中心にやられるというわけでありますが、これはこまかい問題になりますから、局長なり鉱政課長でけっこうであります。そういう今申し上げた具体的な問題ですが、地図を整備することはまずまっ先に必要なことじゃないか。こういうものを業者にまかせておいたのでは、出せ出せといってみたところで出せるわけはないのであります。それだけの能力を持っておりません。従って、これは国の責任において、鉱山監督行政という中からそのくらいの費用を出してそういう地図を整備するということがまず必要だろうと思う。
 それから今次官が言われました採掘の基準といいますか、あぶなくない限度で採掘するにはどういう基準が必要なんだというような面からの掘さく事業そのものに対する公安の面からの一つの規制、こういうものがやはり含まれなければならないと思います。その二つについてお答えをいただきたいと思います。
#71
○川出説明員 大谷問題につきまして、根本的な、長期的な対策を立てるためには、やはり現在までに採掘されておる実態、これは平面だけでなくて、縦断的な面も加えた実態の把握がどうしても必要だと思います。今までに宇都宮市の依頼でありましたか、地質調査所の専門の人が生命の危険を冒して一部測量したものがあるということを聞いておりますけれども、これは一部でございまして、全般についてさような調査を、地元の関係公共団体あるいは政府一緒になりまして、早急にやる必要があろうかと考えております。
 それから採掘に関する基準と申しますか、あるいは計画的な採掘のやり方と申しますか、鉱業法上の言葉でいえば施業案という言葉もございますし、そういうような点についても私は必要という方向で今検討をいたしておるところでございます。
#72
○広瀬(秀)委員 そういう方法で検討をされるということでありますが、少なくともその二つくらいはぜひ一つ採石法の改正なり――何も改正するばかりが能ではありませんけれども、いずれにしても実効が上がる方向において、これは採石法を改正されて、採石法の中にそういうものが明確に入っていけば一番いいことで、その方向で推し進めていただきたいわけであります。これがそこまでできるにいたしましても、若干の年月がかかるのじゃないかと思いますが、とりあえずそういうような方向で現実の作業を進めてもらう。特に今まで掘った地図あるいは現在掘っている事業所のはっきりした明細図なんかについて、すぐにでも国の費用でやられるお考えがありますか。
#73
○川出説明員 予算の問題になりますので即答しかねる点がございますが、地元でもぜひそれをやってもらいたい、地元の方でも相当の負担をするという声もあるやに聞いておりますが、その辺はよく相談をした上で進めていきたいと思っております。
#74
○広瀬(秀)委員 基準監督局長にもう一つ伺いますが、今大谷石の問題で現地で一番困っておる問題は、現地の監督官はこういうものを防止したいというつもりで監督をされておるわけです。先ほど言ったように非常に努力をしております。もうほとんど毎月回っております。七一%くらい回っておるという報告も出ておるので、この点は敬意を表しておりますが、そういう人たちが回っておりながらこういう事故がどんどん起きてくる。それで現地にあたっての監督官が一番困っておる問題は、こういうものを事故防止をする見地からこれがやれたら事故防止ができるのだがというような苦情が、やはり監督局長のところにもきておると思いますが、そういう問題について現地の人たちの意見というものはどういうように局長に反映されておるのか、この点を一つ伺いたいと思います。
#75
○大島政府委員 先ほど事態の起こります原因について御報告申し上げたのでありますが、一つはこの基準法あるいは安全衛生規則に基づく安全確保の措置について、具体的な根拠なり基準というものがまだ法制的に整備されていない、これが一つあります。この点については、先ほど御報告申し上げましたように、安全衛生規則の整備の問題をなるべく早急に行ないたい。なお先ほどお話のありました安全工法と申しますか、施業案と申しますか、そういった問題につきましても安全衛生規則の中で一部考えてもおります。ただこの問題は、坑内における作業基準でありますと同時に、採石法とも関連いたしますので、この点は通産当局とよく打ち合わせて措置をいたしたいと考えております。
 それから廃坑の詳細な把握あるいは今後の掘進の面で、資源保持あるいは安全保安の点につきまして計画的に行なっておる。こういう点が非常に大事な点になるだろうと思います。ただこの点は、先生も御承知のように、一般炭坑等においても非常にむずかしい問題でありますが、しかしこの点は、ただいまも鉱山局長からも申しましたように、今後の努力に期待するわけであります。同時に現在県当局がこの問題に非常に重点を置いて取り組んでおられるようであります。大体こういった問題は、基準法自体の問題あるいは基準法外の問題、こういった問題が総合的に改善されていくことが大事だと存じますし、またその辺のところが現地の監督官としても非常な関心事ではないか、かように了解いたしております。
#76
○広瀬(秀)委員 大体今のお答えの中にも入っておったのですが、もう少し端的に実はお聞きしたかったわけであります。現地の監督官と私ども話してみますと、監督中に、これはあぶないな、非常にあぶない、落盤事故があるかもしれないというようなことがわかっておっても、業者に対して、これはもうやめた方がいいではないかということまでは言えるけれども、これは保安上やめるべきだと言って、たとえば事業の継続という長期的なものでなくても、とにかくその日なり翌日なり作業を休んで様子を見ろ、こういうようなことを命令することは不可能な現状であります。やはり現場の監督官としては、みすみすわかっておっても、これはあぶないじゃないですかという注意を発するだけであって、今の制度では何らそれ以上の権限というものはない。もちろん施設等についてはここが悪いから直せということは、現行基準法でも安全衛生規則でもやれる。しかしながら全体が落盤の危険がある。もうぱらぱら落ちているというようなところを見ても、やめなさいということは言えないことになっている。やはりそういうものが現実に労働安全という見地から、そういうことを発見したら、それが直ちに採石法なりあるいは採石業者の権利だとか、こういうような問題からその事業をやめろというようなことは非常にむずかしい面はあるけれども、そういった何らかの権限の発動というものができるならば、よほどこれを減らすこともできますというようなことを言っておるわけです。そういうところまでやはり採石法の改正あるいは基準法の改正等を通じて実効をおさめられるようなものがなければ、せっかく回っていって、パトロールをして危険な個所を発見し、これは危険だという警告を発するけれども、それを事前にやめさせる、少なくとも様子を見させるということすらも――様子を見ている間に専門的な手を入れて調査をするというようなこともできるわけでありますが、それすらもできない。少なくともそれだけでもできる条件というものが何らかの法改正によってできるならば、これは非常に保安度というものが高くなるし、こういう事故の再発というものを防ぐに非常に有効な方法だと思う。やはりそれがないと、一生懸命パトロールをしても、きめ手に欠けるということになる。そういうような点からこの点をどんな工合に規制し、防止をしていくかというような点について、これは鉱山局からでも基準局からでもけっこうですからお答えを願いたい。
#77
○大島政府委員 ただいま先生御指摘の点が現実の問題として非常に重要な問題だと思います。御承知のように、基準法の五十五条の規定によりますと、法令に違反した場合は設備の使用を停止することができる規定がございます。ただ作業そのものの停止になりますと、若干問題もございます。実は先ほど御報告申しました安全衛生規則の改正におきましても、この五十五条の規定に基づいてのできるだけの措置はできないものであろうか、こういった点で今検討を重ねております。そういった点で、ただいま先生御指摘の喫緊のそういうふうな事態に対して、これをできるだけ整備いたすように検討いたしたいと考えております。
#78
○広瀬(秀)委員 今のことをより具体的に申し上げますと、安全衛生規則の百十八条に「落盤の危険がある場所には、支柱その他の落盤防止の施設を設けなければならない。採掘な又は掘進中、特に落盤の危険がある場合には、支柱材その他の坑内支持に必要な材料を、落盤防止作業上便宜場所に配置しなければならない。」こういうようなことがあるわけであります。これを具体的に適用して、こうやりなさいということを施設の場合にはできるわけですけれども、しかしそれならば、危険の度合いというものを何によって判定するのかという判定の基準が全然ないわけです。そういうようなことから、先ほど鉱山局に申し上げました施業案の問題、掘採の基準の問題、採石の基準の問題が非常に重要になってくるわけであります。それから落盤等の事故があった場合に作業停止をさせるということもできる規定がどこかにあったと思いますが、これはありませんか。
#79
○大島政府委員 ございません。
#80
○広瀬(秀)委員 これはないのですね。かりにそういう警告を発するにしても、実は大谷の場合には、ふだんはやはり業者が非常に零細ですから、労働基準局関係の監督官の監督を受けるということを非常にきらう傾向もあったのであります。監督官が行くと、いい顔をしない、ほんのとば口のところばかり見せて、そういうことでなるべくはほんとうのところを見せたくないような空気もあるというようなわけで、現地の人たちが大へん苦労しているのですが、そういうこともやはり非常に問題点ではあったのです。いずれにしても、そういう基準というものが示されないと、この基準に合わな
 いからこれはあぶないのだということも言えないし、またそれを停止をさせるということまで全然いかない。そこが現行の法規における決定的な不備になっておるのです。そこで鉱山局においては、採石法の面をもう少し、先ほどの登録の問題も含めて、私所有権というものだからこれを何らかの規制をするとか、あるいは制限をするとかそういう印象を与えてはまずいということで非常に遠慮をした形の採石法ができておるわけであります。しかし、憲法の原則からいいましても、公共の福祉のためにはそういう私所有権というものが制限を受けることは、これは当然の建前になっておるわけであります。現にこの間落ちたところでも、あぶない住居があるわけであります。その事業場と関係のない人が住んでおる住居から強制的に――強制的というよりも、現実にあぶないから市役所の勧告に従って立ちのいたというのが実態だと思いますが、どこかへ行かざるを得ない。そういう補償は一体だれがするのか、これは引っ越して、うちをがらんどうにしてどこかへ行った。どこかへ落ちつくまで見なければならぬということなんかも付随して出てくるわけであります。鉱害等と同じような現象なんかも出てくるわけであります。そういうような面なども、やはりある程度法改正にあたって考慮をしていただかなければならぬ面も出てくるだろう。そういうようないろいろ多くの問題を含んでおります。非常に局部的な問題だもんですから、先ほどから何回も言いますように、今まで国家的な関心が少なかった。鉱山の問題、石炭の問題などはすぐに大きく全国紙に取り上げられて、大へんな問題になりますけれども、これだけの事故が起きるということは、やはり国としても黙って見ておるわけにはいかない大きな問題であります。しかもこれが現行法の非常に不備な状態の中で出ておるということから、どうしても採石法の改正あるいは基準法なり安全衛生規則なりの改正というものに結びつけてやっていただかないと、実効を期していくことができません。もちろん先ほどからの答弁にありましたように、県や市やあるいは業者、団体そのもの、そのほか関係の主として通産、労働両省の緊密な連絡でやっていただかなければならないと思います。
 それできょう私ほかの委員会に参りまして、だいぶ長時間にわたって皆さんにもお聞きをいただいておって、非常に恐縮をいたしておるわけでありますが、この大谷石はかって文化映画などにも石の町とか石の村、こういうようなことで紹介をされたこともありますが、帝国ホテルの石が実は大谷石でできております。建築材としても最近また非常に脚光を浴びておる非常に重要な物資でもあります。そういうようなことで一度どうしても皆さんにほんとうの現状の認識をいただくために現地を見ていただきたい。これはおそらく鉱山局長などもまだ大谷石の採掘の現場というものを見ていないのじゃないかと思います。基準局長は見られたかどうかわかりませんが、一つ政務次官も新しく政務次官になられたばかりでありますから、どうか一つそういう点を見ていただくように、また本委員会としても、ぜひ一つ問題の抜本塞源的な対策というものを確実に樹立していただくために、本委員会の果たす役割というものは非常に大きいと思いますので、どうか一つ委員長のお計らいによりまして現地を視察していただいて、より一そう認識をはっきりさせていただいて、そしてその対策を樹立するために力を貸していただきますように最後に委員長にお願いをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
#81
○田中(武)委員 今の大谷の問題については広瀬委員から詳細な質問がありました。先ほど来の各政府委員の答弁を聞いておりましていろいろと感じたことですが、たとえば労働基準局長が労働基準法五十五条で、やり方によったら、今広瀬委員が言ったような使用停止を命ずることができるのじゃないかと思う。問題は安全衛生規則に定むるという基準の問題だと思うのです。それが安全衛生規則の第六章にあるだけで、具体的でない。こういうところに問題があると思う。そこで一体どこがやるのか、こういうことになれば、私は公益保護の立場からいえば、採石法三十三条でこれは当然やれる。それから労働基準局はあくまで労働安全という立場から監督できると思います。それからなお広瀬委員は触れられなかったが、これと不可分なものに火薬がある。火薬の取り扱いは都道府県です。従って、この三者が緊密な連絡をとってやらねばならない、そういう問題だと思うのです。そこは先ほど来指摘があったような採石法の改正あるいは労働基準法に基づく安全衛生規則の改正といいますか、整備、そういうことも必要だと思うのです。そこでこのことについては本年の八月栃木の労働基準局長が出したこれしかないわけなんですが、労働基準局長、これは御承知なんでしょうね。これを読んで私が感じることは、一つは、何かこういう危険があるとかどうだとか、第三者的な観点において書かれた点がだいぶあるようだ。と同時に、問題点も指摘しておると思うのです。そこでこれは必要なら栃木の労働基準局長に来てもらってもう少し詳細に伺いたい、こう思いますが、いろいろ関係もありますので、これは理事会で相談いたすといたしまして、これを一つ通産局の鉱山局長の方へも回していただいて、そこにおいて検討してもらいたいと思います。それからなお広瀬委員から提案がありました次官なりあるいは局長等が見に行くことは別として、当委員会においても、これは日帰りできますから一応見に行ったらどうか、こういうように思っておるわけなんです。そういうことは次の理事会で御相談するといたしましても、これはたまたま先ほど来広瀬委員が言っているように、ここだけ何かが盲点になっておったような気がいたします。しかも先ほど来指摘せられておりますように、採石法自体に盲点がある。それから従来現地において基準局と基準監督署と、それから通産局といいますか、この間にも必ずしも十分な連絡がとれておるとは言えないので、この報告書によると何だか労働基準監督署と東京通産局、この間においても意見が相違して、平面図だけではあかんとか、あるいは断面図がなければいかぬということで議論をしておって、ともに災害を防止するといったような姿勢に欠けておる。そういう点があろうと思いますので、これは要望になりますが、ただ一カ所だからということで等閑に付することなく、一つ十分にやってもらいたい。同時に、先ほど来申し上げておるようなことは、私理事会へ提案して御相談いたしたい、このように思います。
#82
○広瀬(秀)委員 行政監察局に一つだけ伺いたいと思います。
 ただいま田中理事からおっしゃられた点、これは再度お願い申し上げますが、委員長におきまして、理事会等において一つ十分御論議をいただきまして実現するように強く要望をいたしておきたいと思います。
 それから、行政監察局から特に大谷石の問題を取り上げて労働省に通告されておると思いますが、これは通産と両方にやられておるかどうかということ。それから、非常にいい勧告を出していただいて感謝しておるわけなんですが、ここにも明確に採石法による公益保護の責任官庁たる通産局、火薬取り締まり−大谷の場合には火薬取り締まりのものはありませんが、その問題それから危険地域の把握というような問題、それから先ほどの地図の問題、こういうようなものは具体的に出ております。こういうようなものについて、行政監察局としてはその後どんなふうにされたか。報告の出しっぱなしでいるのか、それからその後の対策の樹立状況というようなものについてどのようにお考えになっておられるか、この点を一つ伺っておきたい。
#83
○稲木説明員 局長がただいま全国の行政監察局長会議を開いて指示事項を説明しておりますので、かわって御説明申し上げます。
 一昨年鉱山行政の監察をやりました際に、実は鉱山保安法の適用は受けておりませんけれども、採石関係の問題にも触れまして、先ほど来お話のありましたような、特に大谷石の場合の問題を一応取り上げまして、私どもの方で、行政管理庁としての勧告といいますか、それは労働省の方と通産省の方と、それぞれ両方に出しております。それからその勧告をいたしました事項につきましては、勧告は実は昨年の三月の終わりごろに出した、その後両省から一応の御回答をいただいております。その回答の内容は、大体こういうふうな方向で将来やりたいという方針的なことが中心になっております。具体的にこういう措置をとったから現在はこうなっておるんだということまでは、実はその回答にはあまり具体的には触れてない。その後産業災害といいますか、そういう問題が頻発する傾向も見受けられますので、実は先月から今月にかけまして、所要の行政管理庁の出先機関を使いまして、あっちこっちの産業災害の実態を重ねて調査するような作業を進めております。この大谷石の問題も、その中で、その後の状況を何らかの形で一つ調査したいというふうに考えております。この調査結果を見まして、さらに行政管理庁として関係省庁にどういう処置をするか、こういうことを考えてみたいと思っております。
#84
○広瀬(秀)委員 行政監察当局としてもこの問題を非常に重要視されて、さらに調査を進めたいということでありますから、この問題は一つ大いにやっていただくようにお願いいたしたいと思います。
 それから、その報告したものについての一応の報告はとってあるそうでありますが、その面につきましてもさらに熱意を持って、関係各省に求めた問題が実現されるように、一つ行政監察の面からも努力を要望いたしておきます。
 それから、先ほどちょっと問題にするのを忘れたわけでありますが、労働大臣が新しく就任されましてまっ先に取り上げられた問題は産業安全の問題であったわけでありまして、この一環としても、労働省におかれても一つ十分なこの問題に対する対策を真剣にそういう立場からも進めていただきたい。
 それと、これは最後に政務次官からもう一度御答弁をいただきたいのですけれども、やはりこの採石法の改正というものにどうしても取り組んでいただかなければならないわけでありまして、労働省とのいろいろな折衝ということもその過程ではございましょうけれども、やはり通産省が中心になってやるというぐらいの意気込みでやっていただけるかどうか、この抜本的な対策というものを樹立していただくための御決意を最後に承っておきたいと思います。
#85
○廣瀬(正)政府委員 関係省庁とも十分に連絡をとりまして、採石法の改正を意図いたしまして検討を進めて参りたいと思っております。
     ――――◇―――――
#86
○小川(平)委員長代理 通商に関する件について調査を進めます。
 カナダに対する雑貨の通商問題について質疑の通告がありますので、これを許可いたします。首藤新八君。
#87
○首藤委員 私はカナダ並びにアメリカの関税率の引き上げ並びにアメリカの不当な関税制度の存続によりまして、日本のゴムのはきもの業者が非常に窮境に立ち至っている問題について質問を申し上げたいと思うのであります。
 本来私はゴムに関係が深いので、この委員会でかように質疑応答をあまり好んでいないのでありますが、業界といたしましては非常な重大問題として苦慮いたしております関係上、今日まで通産、外務両省に対して再三にわたって陳情の形式で苦衷を述べて善処方を実は申し入れておるのであります。特に本月十日には外務大臣並びに通産大臣に面接して、この苦衷を述べて早急な対策を陳情してあるのでありますが、その後一向に反応がない。そこでやむなくきょうはこの委員会で取り上げて責任ある答弁をいただきたいという考え方で、実は質問に立ったわけであります。さようなことから、外務大臣^通産大臣並びに外務省の経済局長、通産省の通商局長、軽工業局長、この責任者の出席を求めたのでありますが、一体きょうはだれが出席しておるのか、まずその点を委員長からお答え願いたいと思います。
#88
○小川(平)委員長代理 出席しておりますのは、通産省の松村通商局長、倉八軽工業局長、それから外務省の関経済局長は政府委員室におりますので、直ちにこちらに参ります。それから中山経済局次長、奈良米国カナダ課長、この両君がこれからこちらへ参ります。
#89
○首藤委員 両大臣はどうなっておりますか。
#90
○小川(平)委員長代理 通商産業大臣はただいま参議院のエネルギー対策特別委員会に出席しておるようです。外務大臣は今連絡させております。
#91
○首藤委員 それでは、時間が非常に延びておりますから、両大臣の来ることを期待してそれまで質問を続けて参りたいと思います。
 第一問は、カナダ政府が本年六月二十五日に、突如として国内財政上の理由ということから、同国の輸入総額の半額に相当する品物に対して新たに一〇%の課徴金制度を発表いたしたのであります。ところがゴムはきものはそのスケジュールのB品に包括されておるのでありまして、新たに一〇%の課徴金を課せられるということになったのでありますが、今日まですでに二七・五%という非常に高率な課税をされておるのであります。従って、今回の新しい課徴金の発表によって、実質的には三七・五%という全く禁止的な課税と実はなってくるのであります。そこで、先ほど申し上げましたごとく、業界といたしましては非常にショックを受け、何とか対策を至急に講じてもらいたいということで陳情を重ねておるわけでありますが、すでに今日でちょうど二カ月になります。ところがこの新しい一〇%の課徴金を発表して以来、日本からの商談は全く途絶いたしておるのであります。そこで、当然カナダから引き続いて発注があるものと期待いたしていわゆる見込み生産を続けております業界は、金融的にも、あるいは労務者の点におきましても、実は難局に直面いたしておるのであります。そこでまず私がお聞きしたいと思いますのは、その二カ月の間に一体政府はどういう対策をとってきたか、またそれに対してどういう反応があったか、この点からまずお伺いをしてみたいと思うのであります。
#92
○廣瀬(正)政府委員 大臣は参議院のエネルギー対策特別委員会の方に出席しておりまして、こちらの方に出席いたしておりませんので、私かわりまして参りました。前もっておわびを申し上げます。
 ただいまの御質問の問題でございますが、御指摘のように、ことしの六月二十五日に、カナダは国際収支の改善を目途といたしまして、いろいろな措置を突如とることになりましたけれども、そのうちにおきまして、御質問の関税の賦課税というものを従来の関税にプラスいたしまして、総輸入品の半額程度のものにそのような措置をいたしたわけでございます。その賦課税の比率は一五%あるいは一〇%あるいは五%という三種類があるようでございます。私どもまことに遺憾に思っておるわけでございまして、ちょうど七月十一日、十二日の二日にわたりましてガットの理事会がございまして、カナダといたしましてはそういうような賦課税を認めてもらい、しかもこれを長きにわたってウエイバ一をとりたいというような考えで臨んで参りました。日本といたしましては、もちろんこれに反対したわけでございますけれども、ウエイバーをカナダが取りつけるということにはならなかったのでありますが、とにかくこの秋の総会まで見送ろう、そしてそのまま賦課税は認めざるを得ないというような格好になってしまったわけでございまして、秋の総会に私ども大いに期待をいたしておるのでございますが、国内の産業に、ただいま御指摘のように大へん大きな影響を与えております。通産省といたしましては各業界と連絡をとりまして、業界にどんな影響を与えておるかということを協議中でございまして、その協議に基づきまして対策を練らなければならないと思っておりますが、お話のゴムぐつなんか非常にひどいようでございまして、御難渋を訴えておられますので、いろいろ対策を考えておるのでございますが、政治的な国際的な問題といたしましては、そのような状況のもとに努力をしておりますことをまずもって私からお答え申し上げます。
#93
○首藤委員 今政務次官の御答弁を承りますと、今まで最善の努力をいたしたが、結論的には十月のガットの総会まで待たなければならぬような状態にあるということに承ったのであります。私どもが非常に遺憾にたえないのは、このカナダの措置が国内的な財政理由ということで一方的にこれを決定し、しかもこれを即時実行するということは、国際信義の上から考えましても、また慣例から考えましても異例な措置でありまして、むしろ私は暴挙であると申しても過言でないと思うのであります。いわんやカナダと日本の貿易関係は、日本が非常な入超の立場にあるわけであります。日本が出超の立場にありまするならば、それはあるいはこちらの方が多少譲歩してもやむを得ないことがあり得ると思いますが、日本は入超国であります。入超という立場におる日本に向こうが勝手気ままな措置を講じた、それに対してさようですかと簡単にそれに承諾を与え、黙認していくというような考え方は、外務省としてはあまりにも軟弱きわまる態度ではないかと思うのでありますが、この点に対しまして、業者は本日まで、外務省に対してもしばしば陳情いたしております。しかるに何らの反能がない。一体それに陳情書が中小企業者であるから外務省はこれを軽視することによってそういう方針を変えていないのか、あるいは外務省の立場がとうていカナダには対抗できないといういわゆる弱腰からこういう結果になっておるのか、その点大臣がいなければ経済局長から一つはっきり承っておきたいと思います。
#94
○関守政府委員 お答え申し上げます。カナダの今度のサーチャージの問題は、カナダとしては、これは緊急な暫定的措置としてやっているわけでありまして、国際収支が急激に悪くなった、そのための臨時措置であるということを申しておるのでございますが、これがわが国に対してかなりの影響を与えるという事実は、これは全貌はつかめませんけれども、部分的にはすでにはっきりいたしております。はなはだ困った問題でございますので、これに対しては、具体的に申しますと、その事情を明らかにした上で、近々二国間であらためて交渉に入りたい、こういうように考えております。その前に二国間の交渉に入ります際に、わが方としては、この問題について非常に重大な関心を持っておるということを直ちに六月二十九日にカナダの在オタワの大使館を通じましてカナダの政府にその旨を申し入れ、さらに本件を審議するために招集いたされました七月十一日、十二日のガットの緊急理事会におきまして、日本はこの問題に対して重大関心を有することを表明いたしまして、そうして各国と相並びましてカナダに質問いたしたのでございますが、カナダはこの七月の緊急理事会におきましては、必ずしもウエイバーを求めませんで、要するにここのまま行きまして、そうして十一月の総会においてあらためてこの問題についてガットのウエイバーを求めたいということを申して参ってきておるわけでございます。しかしながら日本といたしましては、それまで何もやらないで待っておるわけにはいきません。そこで七月の三十一日から八月の六日まで、カナダの大蔵省の国際経済局長を東京に呼びまして、これに対して、これは御承知の通りいろいろな話し合いをやったわけでございますが、わが方としては、この輸入課税をやるのは困るということを強く申し入れたわけでございます。特にわが国といたしましては、たとえばゴムぐつのようなものは、すでにわが国として輸出自主規制までやっておるわけでございまして、そういうものに対してさらにたとい暫定措置であるとはいたしましても、輸入賦課税までをかけてくることは、これはあまりにもあこぎではないかということを強く申し入れました。これに対しましてカナダは、理論といたしましては、市場撹乱の問題に対して対処するための輸出自主規制の問題、それから暫定的な国際収支の危局を乗り切るための暫定的な緊急措置であるところの輸入課税の問題とは別であるということで抗弁いたしてきたわけでございますが、しかし、カナダ側はどう言いましょうとも、この輸入賦課税によって、御指摘の通りすでに相当の輸入超過になっておるところのわが国が、わが国の輸出をとめられるということは、これはとても困るということを繰り返し述べまして、いずれ近々輸入賦課税の問題に関しまして二国間協議をいたしたいということを申し入れ、現在通産省からそれに関するわが方の具体的な要求額、これはたとえばわが方の輸出の引き合いが非常に減ったとか、こういうふうに困っておるということを数字的に資料を整えまして、そういう固い基礎の上に基づいて向こうと交渉しなければ、あまり実効を期待されないと思いますので、その点につきましては、現在資料を整えていただくようにお願いしてある次第でございます。その資料が整い次第、九月ないし十月に具体的な資料に基づいてカナダ側に対して強く交渉いたしたいというふうに存じておるわけでございます。決して中小企業であるから、お言葉を返すようで失礼でございますが、私どもは中小企業であればあるほど、やはりお困りになるだろうということを考えまして、できるだけそういう部門には特別に努力をしていきたいというように心得ております。
#95
○首藤委員 経済局長の今の答弁を聞きますと、外務省は外務省として善処しておるということは一応理解できますが、先ほど申し上げました通り、六月二十五日に突如ああいう発表をして、それできょうでちょうど二カ月になる。その間一つも新規商談ができていないということは、その影響がいかに大きいかということを物語っておると思われるのであります。先ほど業者の話によりますと、先般通産大臣に陳情した場合、通産大臣は一〇%くらいの引き上げがあるならば先方が高く買うてくるであろう、従って、業者にはあまり影響がないではないかというような答弁をされたということで、いかに通産大玉が現下の実青に認識がないかということを痛憤しておりました。この種関税引き上げの場合に、向こうの国、需要国がそれだけ高く買っていきさえすれば問題はないのでありますが、今日までの長い間の経過から見ますと、そのほとんどが日本の犠牲によって引上率だけは負担させられておるようなことになっておるのであります。特にただいま経済局長が言われておりました通り、過去三、四年の間にカナダは日本のゴム製品に対してしばしば規制を加えてきたのであります。やむなく、これも外務省の弱腰といいますか、向こうが一方的にいろいろな条件を出してくる。それをことごとくのんでしまって、いわゆる中小業者の弱い立場の者を自主規制をしなければならぬところに追い込んできておるのであります。しかも御承知の通り、一昨年来労働賃金は異常に高くなってきておる。またその他の使用材料もほとんどが大幅な値上がりをしてきております。その上カナダは、日本だけからの輸出でなく、香港あるいは英国、チェコ、ポーランド等々の国から盛んに輸出されておるのでありまして、率直に申し上げますれば、カナダで各国の競争が行なわれておるということであります。この際に日本の国内情勢が非常にコスト高を招集しておって、現在の輸出価格でもほんとうに経営上大きな圧迫を感じながらもやむなくこれを続けておるという際に、さらに一〇%の新しい課税をされますると、これを吸収する力は全然ない。すでに二カ月間にわたって一つも新規商売ができないということは、従来の例から見ますると、やはりこちらの方からその分だけ値下げして、そして商談をするのが普通であった。それが今回新規の商売ができていないということは、もうこちらの方に吸収する力が全然ないということがこういう結果になっておるのであります。しかもここで特に通商局長も経済局長も認識してもらいたいのは香港であります。これは中共の難民がたくさん香港に流れ込んできておる。職がない。そこで中共の事業家は難民に対して食券だけ与える。賃金はやらなくてもいい。そして食券だけで働かせる。その上に香港は海上運賃の点において盟外船をほとんど使っておる。これは普通の運賃から二〇%安いのであります。その安い運賃、労賃で香港はやっておりますから、ここで一〇%の新しい課徴金を実施されましてもさほど影響ないのであります。またポーランド、チェコの方は言うまでもなく共産国であります。国家貿易であります。従って、カナダが一〇%の課徴金を実施いたしましても、これを国が負担すればそれで貿易の方には何ら支障がない。また共産国の財政の状態から考えますれば、とにもかくにも輸出をしなければならぬ、外貨を獲得しなければならぬという状態にあります関係上、チェコあるいはポーランドはこの一〇%の新しい課徴金を負担しても輸出は従来通り続けられると思います。そういたしますと、一番不利な条件に立たされるのは実は日本であります。最近一つの新規商売もできないというのはこういう事情が胚胎しておると考えなければならぬと思うのであります。それだけ業界にとりましては非常な不安な気持におおわれておるのであります。実は申すまでもないのでありますが、日本の今日の経済は輸出振興が至上命令である。従って、業界も政府の計画に全面的に協力するという態勢をとって情熱を傾けておる際に、肝心の政府がそういう弱腰で、そして業界に不測の損害を与えるというようなことは、全く遺憾千万な気持を強くするのであります。いわんや、先ほど申し上げたように日本は入超国であります。入超国の立場にあります日本が何もカナダに対して遠慮する必要はないと考えるのであります。ただ向こうは国内的事情を理由にしておりますけれども、それならば日本の貿易の自由化のごときも、現在のような国内情勢を考えれば、必ずしも安心すべき状態でないと私は考える。それでも国際信義を重んずるがゆえに自由化を九〇%まではやろうと、かなり思い切った措置を今講じておる最中であります。しかもこれは国際信義を重んずるという点に重点が置かれておることを私たちは見のがしてはいかぬ。同時にまた、外国からも日本の自由化に対して相当強い要望が入っておる。それも一つの条件になっておると考えられるのであります。そうしますれば、外務省といたしましては、もっともっと強い態度をもって、そしてもう一つは、かりに全部が撤廃できなくとも、特にその中でこれこれの商品が一番影響をこうむっておるのだということがはっきりしておるのでありますから、こういう特に中共とあれしているゴム製品のごときは、これを優先的に取り上げて、これこれだけは何としてもこの際撤廃してもらいたいというくらいの交渉は当然やってしかるべきだと私は考えるのであるが、外務省はこの点についてそういう交渉をした事実があるかどうか、この点もこの際一つ承っておきたいと思います。
#96
○関守政府委員 先ほど申し上げましたカナダの大蔵省の経済局長が参りましたときに、特にこのゴム製品の問題は取り上げまして、十分にわが方の見解をこれに伝えておいたわけでございます。しかしながら、そのときにはまだ二国間の交渉ということで、とことんまで話を詰めてやるということには話し合いの建前ができておらなかったわけでございまして、そのときは、とりあえず前哨戦ということで最初から話し合いの建前がそういうふうにできておったわけでございます。われわれといたしましては、今申されたようないろいろな事情、たとえば第三国との関係がどうなっておるか、日本の輸出がどういうふうになっておるかということを具体的によく数字に出す、そういう数字の出てくるのを待ちまして、その具体的な根拠に基づきましてあらためてカナダと、おっしゃる通り、特に困っておるものについてはやめさせる、ないしは軽減させるというふうにしていくというふうな交渉をやるという心組みでやっております。またその考えをわれわれも向こうにはっきり伝えております。それですからして、先ほどお話のございました香港、チェコ、ポーランドの問題がございますが、この問題はなかなか数字的に、あそこは人間が不足の関係から統計がおそいのでございまして、必ずしも統計が思う通りに出るかどうかわかりませんが、そういうような事情が明瞭になる場合には、当然過去において綿製品に対しまして日本の輸出が減ったから、それでしかも香港の率が伸びておるから、これは困る、香港をとめろということで香港をとめさした経緯がありますので、もしおっしゃるように、香港、チェコ、ポーランドからの輸出がどんどん増加して、日本のものがとまるということになれば、なおさらわれわれの議論は強くなる、こういうふうに思います。
#97
○首藤委員 ゴムはきものに対して、六月以降、香港からの輸出がどういう状態になっているかということは、私もまだつまびらかにしておりません。従って、ここではっきりしたことは申し上げかねますが、ただこの春注目すべき状態にあるのは、クリスマス・ツリーであります。これは現地品の七割までが実は日本で製造されておったのであります。そうして輸出されておったのであります。ところがこの春以来、この輸出が急激に減少して参ったのであります。その原因を調査いたしましたところが、香港からの輸出が、日本の減った分以上にふえておるのであります。そうしてその香港のふえた原因は、いわゆる難民を使って、労銀は必要なし、食券だけで十分だという、この方法によって香港で多量な製品が製造されるようになってきた。しかも食券だけでございますから原価は安い、日本とは反対に。日本は労銀が高くなった、あるいは資材が高くなったということで、コストは非常に上がってきた。向こうは逆に、一番大きな要素である労銀が食券だけで済むということから、この面でコストが非常に安くなってきた。そこでアメリカのバイヤーはほとんど日本を避けて、香港に実は行っておるのであります。私はゴム製品がさようになるとは申し上げませんが、しかし経済でありますから、そういうこともまたないとは断定しかねるのです。多分にあると思うのであります。そういう点を一つ外務省は特に留意してもらいたい。今経済局長が非常に努力されておることはよく了とします。しかし、現実にかような不安な材料がたくさんある。しかも非常に強い競争相手ができておるということと、業界自身がいわゆる見込み生産をたくさん抱えておる。そうしてこの労務者、中小企業の労務者の獲得が非常に困難に現在なっておる。仕事がひまになったからといって解雇できない。もし解雇すれば、あとの補充が困難になってくる。それが経営に全部影響してきておるのが現状の素顔であります。こういう点もまた経済局長よく一つ認識されて、今後のカナダ交渉に対しては、先ほど申した日本が入超国であるという建前から、強く、そうして特にゴム工場が最もその打撃が大きいという点を強調されて、せめてはこの分だけでも特別の措置を講ずるような交渉をしてもらいたいということを、私はこの際、通商局長にもあわせて要望しておきたいと思うのであります。
 そこで、カナダの問題はその程度にしますが、もう一つ米国の関税の問題、その関税問題の前の問題として、アメリカには今から三十二年ほど前に、ASP課税方式というものが突然できておるのであります。これは極端な保護貿易時代の遺物でありますが、現在なおかつそれが存続いたしておる。そうして、それがために日本のゴムはきものの輸出に大きな支障を来たしておるという実は現実であります。ASPのこの課税方式と申しますのは、いわゆる「米国産品の生産原価と外国製品の生産原価が、所定の税率によっては均等化しないときは、所定税率の五〇%以内において関税を引上げ又引下げることができる。」という権限と、あわして今申し上げた「規定の適用によって生産原価の格差を均等化することができないときは、関税委員会ASP課税を必要とする旨を大統領に報告する。」大統領は、その報告を適当と認めた場合には、ASP関税という特殊な高率の関税を課することができるということに実はなっておるのでございます。政府は、実は三十年前にさかのぼりますが、昭和五年に浜口内閣が組織されて、井上準之助さんが大蔵大臣になった。そうして当時金の解禁を実は断行したのでございます。この金の解禁を動機として、日本の経済は急転直下、非常な実は不況に襲われたのであります。同時に、いわゆる弱いゴム製品の工場は、わずか一年の間に百何十工場が倒産するというような状態に陥ったのであります。その倒産する前において、全く名状しがたい海外に対するダンピングが行なわれた。それでアメリカにも当然不当きわまる価格で輸出された。当時日本の大使が新しく更迭しまして、その大使がフーヴァー大統領に信認状を奉呈した。そのときにフーヴァー大統領は、日本のキャンバス・シューズを持っておった。日本ではこのくつがどうしてこんなに安くできるかと言われるほど、実は日本のキャンバス・シューズというものは、そのときには極端な投げ売りが行なわれたのであります。これにおそれて、アメリカは何らかの対策を講ずる必要ありということで、非常手段として、このASP関税法というものを実は設定いたしたのであります。率直に言えば、ゴム製品のダンピングによってこれができた。そしてそれが今日ゴム製品輸出の非常に大きなガンになっている。自分のまいた種を自分が掘り起こさねばならぬというような状態になっておりますが、とにかくもそういう経緯で今から三十年前に非常手段としてこういう対策がとられておる。そして今日それが存続しておる。それがために、ゴム製品の新しい製品を作って、それが非常な勢いで輸出が振興すると、アメリカの業者が直ちに政府に陳情してASPの適用を迫る。それでアメリカ政府もASPを適用するというところから、今日まで、この三、四年間だけでもこのASPを適用されたことによって輸出が中絶いたしました。東洋クロス・スニーカー、レーヨン・クロス・スニーカー、底の材質が天然ゴム以外のスニーカー、チーフ・バリュー合成ゴムの総ゴムぐつ、こういう製品を非常に苦心惨たんして業者が生産され、そうしてアメリカの需要家の歓迎を受けて大量に輸出されたのでありますが、それがこのASP制度によって跡形もなく輸出がとまってしまった。そしてそのつど業界では多量の製品と仕掛品と原材料手持ちを全部ただ同様に他の方に処分しなければならぬということで、不測の損害をかけられてきておるのであります。そこで、このASP制度は何といっても不合理きわまる制度でありますから、ことに自由化のやかましくなった今日、自由貿易を強調される今日、かような特殊な制度はこの際外務省が、また通産省の通称局もこれに真剣に協力して、これを撤廃するというところに進んでもらいたいと思いますが、外務省あるいは通商局がこの問題について今日まで何らか関与した事実があるかどうか、もしあればその点を回答してもらいたいと思うわけであります。
#98
○関守政府委員 お答え申し上げます。
 アメリカン・セリング・プライス条項というものが、実は日本のゴム輸出によってつくられたということは、きょう初めて首藤先生から教えていただいたわけでございますが、この条項はその後関税法三百六十六条というところに吸収されたわけでございます。しかし、この条項の発動されますのは、結局ガットの譲許品目については、過去においてすでに発動されておりましたたとえばゴムぐつ、そういったもの以外には広げないというふうにはっきりガットに対してアメリカの政府は約束いたしておるわけでございます。従いまして、このASPを無制限にガット譲許品目について新たに拡張して適用するということは、アメリカとしてはこれに見合う代償を払わない限りはできないということになっておるわけでございます。従いまして、わが国の重要な輸出品というものはほとんど今ガットの譲許を取りつけてございますので、現実の問題としてはなかなかこれを広げるということは、アメリカの側としてもこれに見合う代償を日本に払わない限りは、最悪の場合においてもできないということになっておるわけでございます。
 もう一つ、今申されたASP、関税法三百六十六条でございますが、それ自体を撤廃せよというお話でございますが、これはやはり、一国の中においてどういう法律をつくっておろうが、それは適用の問題で、日本に対して不当なる適用が行なわれました場合には、これは当然抗議できますけれども、そういう条項自体をアメリカの関税法の中から取り除くという交渉は、国内干渉になりますので、ちょっといたしかねると私は考えておる次第でございます。ただ具体的に、この問題を日本からの輸出品に関係いたしまして不当に適用するという場合には、これは過去におきまして、しばしばこれに文句をつけまして、抗議をいたしておる次第であります。現在におきましても関税再分類の項目に関しましてかなり問題がございまして、そのたびに何回もアメリカ政府に対しましては公式に申し入れをいたしてございますし、またわれわれのPRエージェントと申しますか、たとえば日米貿易協議会というものもございますが、こういうものを通じましてもいろいろの運動をいたしております。従いまして、ASPの今度の再分類の問題に関しましても、直接ASP自体が発動されるということには、私は今のところなってきておらないように思うのであります。むしろ新たに別の点におきまして関税の引き上げをやるという動きが出てきておりますけれども、この問題は直接ASP条項そのものに関連して出てきておらないように考えるのであります。ただかりにASPと関係なくとも、関税自体を引き上げるということは非常に困りますので、これはガットにおけるわが方との譲許に違反するものであるということで、もしそういうことになりましたら、当然わが方としてはこれに対しましては代償を要求するということにいく以外に方法はなかろう、こういうふうに考えております。
     ――――◇―――――
#99
○小川(平)委員長代理 それでは質疑の途中でございますが、内閣法制局から山内第一部長が出席されましたので、鉱業に関する件についての田中委員の質疑を許可いたします。田中武夫君。
#100
○田中(武)委員 法制局の第一部長には論争の経過を御存じないのになはだ御迷惑かと思いますが、大谷石の採掘ということについての大体の事情は御承知と思います。そこで、御承知のように、石材の採掘には鉱山保安法が適−用になっていない。そこで、危険防止、労働安全はもっぱら労働基準法によってやっておられる。基準局長の話では、あぶないとわかっておってもこれをとめる方法がない、こういうようなことなんです。ところが、私は労働基準法五十五条でできるのじゃないか、こういう見解を持っておるわけです。条文は見ていただけばわかりますが、設備というものの解釈にかかると思うのですが、私は大谷石のように地下を掘っていく、そうしていろいろな柱を打つとかなんとかしてやること、そのことは設備である。従って、安全衛生基準ということはまた別の問題としても、行政上あぶないとわかっておっても手はつけられないということはない。五十五条によってその設備の一部または全部の使用停止が命ぜられる、このように解釈しておるのですが、この点実は労働基準局長と違うのです。そこで法制局の御意見を求めたい、こう思います。
#101
○山内(一夫)政府委員 今急に御質問を承りましたので、あれですけれども、大谷石の場合は自然石を切り出していく。そして切り出せない部分のために非常にあぶないという状態で五十五条の適用を考えられたらどうかという問題でございますが、今承っただけではどうも五十五条の設備あるいは原材料のところに入るかどうか、どうもその点はわかりませんけれども、どうも五十五条の適用がないと労働者の生命身体の安全を保しがたいような、そういう立法趣旨の方からいくと、私ども一応入るというふうに今のところ考えたいと思うのでございますが、主務省たる労働省の考えもちょっと聞きたいと思いますし、法制局の関係の同僚にも聞いてみたいと思いますので、最終的な意見は、何か文書なり別の機会なりに、なるべく早くお答えするようにさせていただきたいと思います。
#102
○田中(武)委員 今おっしゃったように、それじゃ法制局でよく検討していただいて、権威ある回答を文書でいただきたいと思います。どうも済みませんでした。
#103
○小川(平)委員長代理 よろしいですか。
#104
○田中(武)委員 ええ。
     ――――◇―――――
#105
○小川(平)委員長代理 通商に関する件についての質疑を続行いたします。首藤新八君。
#106
○首藤委員 今経済局長の御答弁によると、ASPを適用するものはきわめて少なく、また実際上あまりないということでありますが、先ほど申し上げましたように、この三、四年、すなわち、三十四年以来ASPを適用されて輸出が全然なくなったものに東洋クロス・スニーカー、レーヨン・クロス・スニーカー、底の材質が天然ゴム以外のスニーカー、そういうものがみなASPに適用されて、輸出が中絶してしまった事実があるわけで、業界としましては、こういう事実があるから、非常に心配しているということであります。しかも根本的には現在の世界の情勢から見ても、非常に不合理なものであるという感じを強くしておりますから、国内法ではありますけれども、何とかそれに対する外務省の善処を強く要望しておきたい、こう実は考えるのであります。
 そこでもう一つの問題というよりも、今の問題に関連しますが、今のASP制度を適用する動機は、やはりアメリカのゴムはきもの生産業者が決起して、そしてそれぞれの機関を通じて政府あるいは国会に働きかけるということからこういうことになっておるのであります。現在もマサチューセッツ州選出のバーク議員がHR、一万二千五百九十八号という法律をつくって、今国会に提案して、そうしてASPと同様の効果のある立法を提案しておりますが、幸い下院の歳入委員会では、これを立法するためには、公聴会を開かなければならぬ、そこで公聴会を開くと今国会の会期に間に合わぬということから、さらに方向を変えまして、今国会に提案しておりまする通商拡大法、これを修正して、そしてそれによって実は目的を達成しようという動きをやっておるらしいのであります。この通商拡大法の修正によってASPと同様の効果のある措置ができるかどうかは疑問であります。まだ業者としてははっきりしていないようですが、しかし、アメリカの業者がとにもかくにも日本のゴム製品の輸入を防遇することを目的としてかような策動をやっておるのでありますから、おそらく効果のないことはやらないだろう、ことごとく日本の業界に大きな影響を与えるであろうという点もまた非常に心配しておるところであります。従って、ASP制度というものは決して安心ならない。これはアメリカ政府は適用する意思はないというようなことでは済まされない問題であるということもあわせて認識しておいてもらいたいと思うのであります。ところがまた一方最近関税の簡素化法というものが今アメリカの国会で審議されておるらしいのであります。これは業界としましては、非常に関税問題は複雑でありますから、これを単純化してごく簡素化するのだというくらいにしか実は考えていなかったのであります。ところが、その後の向こうの情報によりますと、実ははきもの業界は先ほど申した政府にいろいろ陳情するけれども、なかなかいい結果が得られないということから、やむなく多額な報酬を払ってアメリカの弁護士を雇って専門的に実はこういう問題を扱ってもらっておるのであります。その方面からの情報によりますと、
 この関税の簡素化によって、現行の関税率よりもはなはだしく高率になるということを実は通知してきておるのであります。この面もまた業界としては非常な不安を持っておるというような状態で、カナダの問題といい、あるいはアメリカのASPの問題といい、新しい関税簡素化法といい、ことごとく業界に対してはきわめて強い圧力は実はこうむつておるのでありまして、この点一つ外務省、通産省ともに真剣に取り組んで、こういう圧迫材料を排除するように努力してもらいたいということを私は特に申し上げておきたいと思います。
 なお、通産大臣が今見えました。通産大臣はすでに御承知だと思いますが、私がきょう質問申し上げたのは、カナダの六月二十五日に発表した輸入品の半額、これによって日本のゴム製品が従来の関税二七・五%プラス一〇%加えたそれによって業界は非常な困難な立場に追い込まれておる。これに対してすみやかに善処してもらいたいということでありますが、先般通産大臣に対して業界が親しく陳情いたした。そこで通産大臣も十分御承知願っておると思いますが、ただその場合に通産大臣が一〇%の引き上げならば向こうの方で買い進むだろう、だから内地の業界にあまり影響はないのではないかというお話があった。それはあまりにも現実を無視したというか、現実に縁遠い考え方であって、さようななまやさしいものでない。今日までの事実は、こういう関税が引き上げられた場合には、このほとんどが輸出国が犠牲をしいられてきた。日本またしかり。しかし、今日の日本の業界では労銀の非常な引き上げあるいは資材全部の値上がり等々で、実は今の値段でふうふうしている上に、さらに一〇%の引き上げは吸収力がない。従って、六月二十五日以来カナダからは、いわゆる一〇%ないときの値段ならば買うが、こちらは吸収力がないから、新しい新規商談は全く中絶しているという状態になっておるのであります。いわゆる見込生産あるいは労働問題等ことごとくが非常な圧力になって営業困難になっておるのであります。特にこの際中小業者の問題であるから、外務省も通産省も真剣になって善処してもらいたいということを質問しているわけであります。外務省の経済局長も真剣にこの際やろうということでありますから、一応私はこれを了承して、今後の推移を見たい、こういうふうに考えております。せっかく一つ通産大臣、この問題に努力していただくことを重ねて要望して、私の質問を終わることにいたします。
#107
○小川(平)委員長代理 次会は、来たる二十八日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後一時二十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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