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1962/08/31 第41回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第041回国会 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第3号
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1962/08/31 第41回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第041回国会 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第3号

#1
第041回国会 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第3号
昭和三十七年八月三十一日(金曜日)
   午前十一時三十七分開議
 出席委員
   委員長 辻  寛一君
   理事 青木  正君 理事 荒舩清十郎君
   理事 菅  太郎君 理事 丹羽喬四郎君
   理事 坂本 泰良君 理事 島上善五郎君
   理事 畑   和君
      大上  司君    仮谷 忠男君
      薩摩 雄次君    田中 榮一君
      林   博君    坪野 米男君
      山中日露史君    山花 秀雄君
      井堀 繁男君
 出席国務大臣
        自 治 大 臣 篠田 弘作君
 出席政府委員
        警  視  監
        (警察庁刑事局
        長)      宮地 直邦君
        検    事
        (刑事局長)  竹内 壽平君
        自治事務官
        (選挙局長)  松村 清之君
    ―――――――――――――
八月二十七日
 公職選挙法の選挙期日の告示日改正に関する陳
 情書(近畿二府六県議会議長会代表三重県議会
 議長岡村茂)(第三〇一号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 閉会中審査に関する件
 公職選挙法改正に関する件
     ――――◇―――――
#2
○辻委員長 これより会議を開きます。
 公職選挙法改正に関する件について調査を進めます。
 質疑の通告がありますので、順次これを許します。島上善五郎君。
#3
○島上委員 私は、選挙法改正特別委員として選挙法改正問題に熱心に取り組んで参りました篠田弘作さんが担当の大臣になられた機会に、ぜひ大臣から選挙法改正に関する所見をお伺いいたしたいと思います。
 まず第一にお伺いいたしたい点は、前国会における選挙法改正は、選挙制度審議会の答申に基礎を置きまして、かなり広範な点にわたる改正でございましたが、当時私たちが指摘いたしましたように、最も肝心な答申の柱ともいうべき点が法改正に取り入れられず、もしくは与党の改正によって答申の趣旨とはほど遠いものにされてしまったという点は、はなはだ遺憾だと存じましたが、その他の改正の諸点につきましても、私ども必ずしも満足なものではないと存じておりましたが、過ぐる参議院選挙においてこれが実施の結果は、その実施によってそれらの不十分な点あるいは無用と思われる点がすでに何点か明らかになって参りました。私ども選挙法改正特別委員会の調査で九州、北海道へ行きました際にも、同様に現地で選挙に取り組んでおる関係者の人々から、そのような意見を聴取することができたのです。そこで、前国会における改正を再検討する必要があると思われる点が少なくとも数点考えられます。これらにつきまして、すでに政府としても御検討を進めておることと存じますが、次の国会に再改正を提案するお考えがあるかどうかという点を伺いたい。
#4
○篠田国務大臣 ただいまのお話は、さきの国会におきまして改正された点が必ずしも満足でなかった、あるいは骨抜きであるという点は、連座制並びに高級公務員の立候補に対する問題だと私は解釈しております。御承知の通り連座制につきましては、これは審議会の答申が、親子、配偶者、兄弟姉妹等が悪質な違反を犯して刑に処せられたとき、候補者は直ちに連座するという答申案であったわけです。しかしながら日本憲法におきましては、日本の国民はいかなる場合といえども裁判に付さるることなくして罰せられることなしという条文があるわけです。たまたま代議士失格ということが刑罰であるかどうかというようなむずかしい問題もありましたけれども、しかし立候補者にとって、当選をしたその地位が奪われる、しかも公民権が停止されるということは、これは最大の刑罰であるということで、憲法の、何人といえども裁判に付せられることなくして罰せられることはないというその条文に違反するのじゃないかということで、結局裁判を受けることになったわけであります。そしてその親子、兄弟姉妹、親族の犯した犯罪も、執行猶予というものになった場合には連座の対象にならないというふうにいたしたのは、違反者それ自身ですらも執行猶予の恩典に浴するようなそういう犯罪に対して、候補者が連座するということはきわめて不適当であるという考えのもとに、この連座制というものがああいうふうに改正されましたが、この連座制賛成者の側から見るならば、これは骨抜きであるという意見もあることもまたやむを得ないと私は考えます。
 その次に高級公務員の問題でございましたが、最近、高級公務員の選挙活動というものが非常に地位利用をいたしまして、目に余るものがある。こういうことについても私たちは同感でありまして、何とかして高級公務員の地位利用の選挙活動というものを制限したいというふうにも考えております。たまたま審議会の答申は、高級公務員の選挙活動の制限をするということでございますけれども、これもまた日本の憲法において、国民平等であるということを規定しております。憲法が、法の前に国民が平等であるということを規定しているにかかわらず、選挙法のみにおいて、これを高級と下級に同じ日本の国民を分けるということがはたして妥当であるか、また分けるとしても、一体どこからどこまでを高級とし、どこまでを下級とするか、なかなか困難な問題もあり、憲法上の疑義もありましたので、結局公務員の地位利用ということになれば高級も下級も同じではないかということで、公務員の地位利用というものができて、これもまた審議会の高級公務員の立候補の制限という答申とはだいぶん形が変わったものになりました。しかしいろいろな面から見まして、こういうような結論になったということは、私はやむを得ないことである。あるいはもっと言葉を強く言えば、当然であるというふうに解釈しておるわけです。
 そこでこういった法律が、参議院の選挙において実際に行なった結果はどうであるかということでありますが、いろいろな違反は出ました。それにはいろいろPRとか趣旨の徹底とかにあるいは欠くるものもあったと考えますけれども、元来選挙というものは公明に行なわれるべきものであって、立候補者それ自身が十分に注意をする、また総括責任者なりあるいはまた参謀というような人々が十分に注意すれば、選挙違反というものは起こさずに済むのではないか、私はこういう考えを持っておるわけです。私は八回立候補しましたが、一回も選挙違反を起こしておりません。そういうような形からいいましても、どうも選挙違反を起こすということが法律の欠陥によるということは私は考えておりません。ただし、御指摘の無用なものがあるじゃないかというお話でございますが、これは確かに今度やりまして、街頭演説の場所を指定するような問題につきましては、候補者はなるべくにぎやかなところで、人の集まるところで演説をやりたい。しかるに選挙管理委員会は、あまり人も来ないような、交通も不便なようなところでやってもらった方があぶなげなくていいということで、そういうところを指定したというようなことから、こういう問題については、あくまでも言論の尊重あるいはまた趣旨の徹底ということから見ると、こういう街頭演説会の場所の指定というのはちょっとよけいなことではないか、こういうふうに考えておる次第です。
#5
○島上委員 どうも大臣は選挙法を詳しく承知しているせいか、私が質問する先回りをして答弁しておられますが、あまり先回りをしないように。順々に質問しますから…。
 内容のことにつきましては、いろいろあると思うのです。私は、この前の国会で政府、自民党の考えと社会党の考えが根本的に対立したような問題は、この次の国会に政府から出してほしいといっても、これは無理だと思うのです。無理だと思うのですが、これは私どもの意見でもあるし、審議会の意見でもあるから、私どもは実現のために努力しますけれども、そういう根本問題ではなくて、話し合えば与党、野党も一致するような点で――先般の改正の中で、今すでに大臣が先回りをしておっしゃいました演説会場の指定だとか、そのほかにも数点あります。それが来年の地方選挙を前にして、これでは困るという点も指摘されております。そういう点について、私どもも検討しておりますが、政府としてこの次の国会に手直しと申しますか、再改正と申しますか、そういうものをお出しになるお考えがあるかどうかということをまず伺っているわけなのです。
#6
○篠田国務大臣 選挙を気持よく、また公明にするために、過去の経験に照らしまして欠陥のある点は、私はちゅうちょなく次の国会で改むべきだ、こういうように考えております。
#7
○島上委員 実は私、政府として改正のお考えがあるかどうかということを伺うのは、政府として改むべきだという大臣の見解だけではなしに、改正をしようとすれば相当準備をして検討して――次の国会といっても、ことしの暮れから始まりますから、政府としてお出しになる考えがあれば、それはそれなりに私ども考えますし、また政府としては考えていないということでありますれば、たとえば社会党が考えて自民党と話し合いをして可能な点もずいぶんあると思うのです。そういう準備の関係から、政府としてお出しになる考えがあるかどうか。お出しになる考えがあるとすれば、こういう点はどうかというふうに、内容の点も少し伺いたい、こう思っているわけです。
#8
○篠田国務大臣 御承知の通り、選挙制度審議会の委員が任期満了になりまして、まだ再発足しておらないわけであります。そこで、この国会の終わり次第に委員の選任を行ないまして、できるだけ早い機会に発足させます。そうしますと、この前改正されました部分、常識的には改正された以外の部分について諮問することになるのでありますけれども、改正後参議院議員の選挙というものがありまして、その選挙の経験に照らして、これはまずいという点については、何らちゅうちょすることなく改めたいという気持は私にはあります。おそらく審議会からもそういう答申が出るのじゃないかということを前提といたしまして、お答えをしたわけです。
#9
○島上委員 そういたしますと、私が今伺っておりますのは、この前改正した改正法律の実施の結果に基づいて、これは不要である、この点はまだまだ不備であったという点がすでに何点か指摘されておりますから、そういう点はあらためて選挙制度審議会に諮問しなくとも、政府としておやりになるという考えがあるのか、それとも、そういう再改正をも選挙制度審議会に諮問して、その答申を待って改正するという、そういう手続をとるのか、その点いずれかをはっきりしていただきたい。
#10
○篠田国務大臣 ついさきの国会において改正せられたばかりでございまして、欠点があるとか不都合があるとか申しましても、経験はわずか一回の経験でございますから、本来ならばこの経験というものは数回重ねてみて結論を得べきものであって、ただの一回の経験によってすぐそれを改める、改めたことによってまた欠点が出るということでは、私は改正の意味がないと思う。従いまして、私たちが独断的にこれを改正するとかしないとかいうことではなしに、やはり審議会の答申を待つ、あるいは今あなたが言われたように、社会党あるいは自民党あるいは民社党というような国会のおもなる政党が相談をし合って、そうしてその最大公約数で改正をすることがいいということであれば、これは改正した方がいいと私は考えます。
#11
○島上委員 政府が、この前の改正法律案の実施の結果に基づく再検討をも選挙制度審議会に諮問するということでありますれば、私ども選挙制度審議会の答申を従来尊重して参りました建前から、その事実を尊重したいと思うのです。したいと思いますが、選挙制度審議会は、御承知のように委員が任期切れで、新しい委員が任命されないままになっております。その後の委員の任命がどのようになるか、これはあとで伺いたいと思いますが、選挙制度審議会としましては、次に残された問題として、第一に議員定数と人口のアンバランスの問題これは早急にやるというはずだったのが、ずるずるおくれておりますが、その問題と、それから政党法の問題、政治資金の問題、選挙区制の問題、大きくいえばこの四つの問題が残されております。この四つの問題に取っ組んでしまったら、これはなかなか早急に――アンバランスの問題は、私は割に簡単にできると思いますが、その他の問題になりますと、なかなか早急に答申が困難ではないかと思うのです。ですから私は、もし今までの諮問の事項以外に再検討をも諮問されるというのであれば、答申を尊重したいと思いますが、しかしもう数点ははっきりと与党、野党、各党とも意見が一致しそうな問題があるのです。たとえばさっき大臣が指摘しましたが、選挙管理委員会が街頭演説会場を指定することは無意味なんです。少なくとも、この前やったようなああいう指定は無意味なんです。法律を審議する際には、ほんとうはああいう趣旨ではなかった。そこに行ってだれでも申し込んでおけば演説をやれるような、簡単なやぐらでもつくってマイクを持っていけばさっとやれるような趣旨であったのですが、それが法律になり、実施されますと、ただ街頭演説会場という看板と標識をひょいと立てただけでは何の意味もない。あれならば法律があるために選挙管理委員会に苦労させるだけですから、あの苦労をなくしてやった方がよっぽど親切だと思います。そういう問題もありますし、それから私が特に痛切に現地の人々から意見を聞きましたのは、これは自民党も同様だと思いますが、町村は例外として軽トラックを認めておりますが、市までは一律に乗用車になっておるのです。これは来年の統一選挙で、小さな市まで乗用車でなければならぬということになったら、これは非常に不便で困ると思うのです。不便で困り、かつよけいな費用をかけなければならぬということになると思うのです。そういうような問題も話し合って、たとえば五大市を除く小さな市とか、あるいは十万以下の市とか、そういう市は一つ除外を認めてやろうじゃないかという問題も、これは割に簡単に話のつく問題じゃないか。それから、たとえば連続ポスターの問題ですね。連続ポスターはいいか悪いかということは議論されておりますが、法律改正はされないままに、今度でも三枚連続のポスターがあったですね。それも検印を受けるところと証紙を張るところによって、そのポスターに関する認定の仕方、解釈がはなはだしく違っているという事実もある。こういうような問題もあります。さらに言うならば、選挙運動事務従事者に、一日三十人を限って報酬を払うというような新しい規定、これは自民党の改正によってできました規定ですけれども、これなどはもう実際上死文といってもいいほど活用されていないのです。しかも取り締まり当局は、この法律あるがゆえに非常に疑義が生じて困るという問題もあります。その他ありますが、話し合えば与党、野党で話し合いがついて、来年の統一地方選挙にこの不便や不十分な点は取り除くことができるという点もありますから、もし政府が、これらの問題は選挙制度審議会に諮問するまでもないことだから政府として考えたい、あるいは与党、野党で考えてほしい、こういうそのいずれかのお考えがはっきりしますれば、それに応じて私ども改正を考えたい、こういう趣旨で伺っているわけなんです。
#12
○篠田国務大臣 先ほど申しましたように、一回の経験でもって法のいろいろな根本的なものを変えようという意思もないし、そういう場合にすでに改正されたものについて原則として諮問するという考えはございませんが、ただいまあなたがおっしゃいましたように、あるいは軽トラックの問題であるとか連続ポスターの問題であるとか、そういう法の運用あるいはまた法の解釈等によりまして改めることができるいろいろな問題もありましょう。あるいはまた与野党が話し合いをして、共通の場においてこれはまずいじゃないか、こういうふうにした方がベターではないかという問題については、与野党でお話し合い下されば、私たちはそういう問題について、どうせ与野党一致しなければ改正できないのですから、だから与野党一致の問題については改正するということについては、決してやぶさかではございません。
#13
○島上委員 私も、実は今指摘したような点その他の点の程度の改正は、あらためて選挙制度審議会に諮問するほどの問題じゃないと思うのです。選挙制度審議会がこれから取っ組もうとしている大きな問題にもし結論が出ますれば、それに伴う今度はさらに大改正が出てくるわけですから、私はこのいわば前回の改正法律の手直し程度のものはあらためて諮問を求めるほどのものではなかろう、こういうふうに考えておるわけです。
 そこで次の問題をお伺いいたしますが、今すでに話が出ましたように、選挙制度審議会は大きな問題を残しておるわけです。これを、法律もあることだし、政府の従来の方針が変わりがなければ、選挙制度審議会の委員を委嘱して活用する、活用という言葉は適当かどうかわかりませんが、答申を求めて、こういうことになるのが当然だと思うのです。ところが、六月十五日に任期が切れてから、暑中休暇かどうか知りませんけれども、もう二カ月半もじんぜんとして日を送っておるように私どもには思われますが、いつごろ委員を委嘱して、この第二期目の審議会の発足をはかる考えですか。
#14
○篠田国務大臣 夏休みはわれわれがやっておるのではなくて、大体候補者と目される人々がちょうど夏を利用して旅行をされたりあるいはまた避暑に行かれたり、全部ではありませんけれども、電話をかけて聞いてみても留守の人が非常に多い。そういうところへちょうど臨時国会が開かれまして、二つ重なりますから、臨時国会が終われば、審議会のメンバーと目される諸君も東京へもちろんお帰りになっていますから、すぐ話し合いをしまして審議会を再開したい、こういう考えでございます。
#15
○島上委員 巷間伝えられるところによりますと、今度の審議会の委員委嘱にあたっては、国会議員からの特別委員はやめよう、こういう考えが一部にあるということを聞いておりますが、私は、もしそうだとすれば非常に大きな問題だと思う。特別委員は御承知のように選挙区割の問題については――区制じゃないですよ、区割の問題に関しては、それぞれ個人々々の利害関係があるからという意味で、出席をしないでおるのです。しかしその他の問題、区制の問題とか政党法の問題とか政治資金の問題とか、あるいは制度の根本改正に伴う選挙運動面の改正というようなことは、当然これは政党にとっても大問題ですし、その方面のいわば多年の経験を持っておる人々が入るということはぜひ必要なことです。これは巷間伝えられておる程度のことですから、私は多分そうではないだろうと思いますけれども、この点を大臣に伺っておきたいと思います。
#16
○篠田国務大臣 あなたの御意見と全く同感です。今そういう意思はありません。
#17
○島上委員 審議会の委員をこれから委嘱される、交渉されると思いますが、これは私の想像では、前回の答申は、先ほど申しましたように、肝心な点が骨抜きにされておる、無視されておるという点で、審議会の委員の中には任期中に辞表を出した人もおりまするし、もう任期が切れて、再任を委嘱されてもわしは絶対に受けぬというような意をほのめかしておった人もございましたが、政府が、この前の答申に対する政府の態度を反省して、今後十分に尊重するということを委員諸君によほど信頼されるようにしませんと、社会からこの人ならばと思われているような人々は容易に受けないのじゃないかと思うのです。これは、私がそう思うだけですけれども、しかし、私は審議会の特別委員としてあの中におって、それらの諸君の非公式な考えもよく聞いて知っておりますから、これはそう的はずれの推定ではないと思います。こういうことに対して、政府は何かお考えを持っておりますか。
#18
○篠田国務大臣 いろいろな委員会はありますけれども、特に世間の注目を浴びているので公職選挙の審議会、これは特に世間の注目を浴びておると思います。そこで、世論が考えて、この人は当然なるべき人だというような人に対しては、もちろんわれわれお願いをしてなってもらう、こういう気持でおります。しかしながら、本人がどうしてもいやだという人まで引っぱり込んでやらせるというわけには、個人の意思がありますから、できないと私は思う。
#19
○島上委員 それだけの御答弁ならあたりまえのことですが、本人がいやだと言うだろうと私が推定するのは、この前あれだけ苦労してつくった案が、肝心なところが骨抜きにされたから、そういうような政府の態度が改まらない限りはいやだ、そういう人が相当あると推定されるわけです。ですから、私は、この制度審議会の性質からいって、政府の言いなり次第になるような、ここに選挙局長がいますが、自治省の選挙局長の言いなり次第になる委員ばかり委嘱したのでは、社会的に権威がなくなるのです。世論の支持もなくなると思う。有名無実になってしまうと思うのです。今大臣のおっしゃるように、たくさんのこの種の審議会とか調査会があります。しかし、それらのたくさんのものは、世間ではほとんど問題にしないようなものが多いのです。三十も五十もあっても。しかし、選挙制度審議会というものはそうではなくて、世間では審議の経過及び答申について非常に注目を払っておる。この前の答申に対する言論報道機関の扱い方等を見ましてもわかります通り、非常に世間では注目を払っておる。ですから、少なくとも政府の言いなり次第になるような、私は口が悪いからはっきり申しますが、御用委員を委嘱するというような気持でやってもらっちゃ困るということ。この前、相当委員の中で政府の取り扱いに対して非難をし憤激しておった人々に対して、納得あるいは説得して再度なってもらうためには、今後はそういうことはしないということに対する政府の信頼を取り戻さなければ無理だと思うのです。そういう信頼を取り戻すための努力なり、そういうお考えがあるかどうか。(丹羽(喬)委員「この前の政府の態度はよかった」と呼ぶ)今丹羽君が言ったように、この次にはもっと尊重しないかもしらぬというようなことだったら、世間から信頼されるような委員はおそらくならぬと思う。そうすると、ほとんど世間から黙殺されるような御用調査会、御用審議会になり下がってしまうのです。そうすると、おそらく社会党も委員を出すことを御遠慮申し上げるかもしれないのです。そういう審議会にならぬように、ほんとに世間の信頼にこたえ、世論を代表した、しっかりした答申が出るような審議会にしてもらいたいために私はこういうことを言っておるわけです。どうです。
#20
○篠田国務大臣 今島上君の言われましたような心配はないと私は考えます。それはなぜかと申しますと、今審議会の委員になっておられる方は、相当の有識者であり、各界における権威です。そういう人たちを委嘱して、その人たちが政府の御用を勤めるなんということは考えられません。私自身も選挙の方には関係しておりますが、もともと私は言論界の出身でありますから、初めからそういう非難を受けるような人選は、私自身がいたしません。その点は御安心願いたいと思います。
#21
○島上委員 それでは大臣のただいまの言明に大きく期待して、ぜひ一つ片寄った、たとえば一定の意図を持って、小選挙区なら小選挙区をやる、こういうものをやるという意図を持って、それに同調するような委員ばかり集めるというようなことの絶対にないように、権威のある委員会を構成する、そのためには、前回とった政府の態度に対しては深刻な反省の実を示して説得しなければ、なかなか委員に応じませんから、そういう点をよく気をつけながらぜひ一つやっていただきたいと思う。これは私の希望ですから、大臣の御答弁は要りません。
 次に伺いますが、選挙制度審議会は任期が切れて、今度は新しい審議会になるわけです。しかし実質的には審議のテーマは継続しているといってもよろしいわけです。途中まで審議が進んでおる問題もありまするし、準備をしておる問題もありまするし、そういう点からしますと、選挙制度審議会は、第一に人口と議員定数のアンバランス問題に取つ組む、こういう順序になると思うのです。これは審議会でも、二月中に答申するというようなことを総会で二度もきめたことがありますから、これはずるずる延びましたけれども、基礎的な調査ば済んでいるし、案も幾つかもうできているし、そう時間はかからぬはずです。前回法律が成立する際の附帯決議の趣旨からしましても、アンバランスの是正は早急にやるべきものだ、こういう附帯決議がついておりますが、これを早急に答申を求めるというお考えがありますかどうか。
#22
○篠田国務大臣 早急にというよりも、最も最初に求めたいと思っております。
#23
○島上委員 私が多少心配いたしますのは、人口と議員定数のアンバランス問題を、区制の根本組題と関連させて考えてみる議員が若干名おったわけです。ですからアンバラン是正を先議するか区制の根本改正を先議するかというような議論さえかわされたくらいですが、私はどっちを先議するかという議論はおかしいと思うのです。区制の根本改正をするならば、アンバランス問題はその中で解消してしまうのですから、これは、附帯決議の趣旨にこだわるわけではありませんけれども、問題の性質上、アンバランスの是正は当然先議すべきものである。区制問題はもうぼつぼつ意見も前回の審議会で出ておりましたけれども、各種の意見がございまして、それの具体案までつくるにはかなりの時間を要する問題です。また、問題の性質上、慎重を要する問題だと思うのです。そういうわけで、私どもといたしましては、アンバランスの是正を早急に答申を求めて、次の国会に政府提案として出していただきたい、こういうふうに考えておるわけです。答申があり次第、次の国会で当然出されることと思いますが、念のために大臣の所見を承っておきます。
#24
○篠田国務大臣 審議会ができまして、今島上さんの言われるようにアンバランスの問題だけを諮問するというやり方からすれば、これはアンバランス問題だけがまとまりますから、次の国会に出せるかもしれません。しかし、そういうふうに政府の方から、残っておる問題が四つ五つあるにもかかわらず、その中から一つだけ抜いて審議会に諮問するというやり方は、はたして審議会というものの本来の職責に対して適当であるかどうかという問題が必ず私は起こると思います。そこで今あなたのおっしゃったように、アンバランスだけを抜いて、アンバランスだけやってくれということを言えるかどうかということが常識上問題だと私は考えるのです。その場合に、たとえばアンバランス、区制その他の問題を含めて、残余の問題について審議してくれという、審議会を尊重するとすれば、そういう行き方よりほかにないのじゃないか、われわれ議員の立場からいえば、一番問題になっておるアンバランスだけをやってもらいたい。これはあなたも私も同じ議員たから、同じ考え方です。ただそういう諮問の仕方というものが、はたして審議会に対して適当であるかどうか、これはちょっと研究しなければなかなかむずかしい問題だ、こういうふうに私は考えます。
#25
○島上委員 私は問題の性質上、アンバランスの問題は先にやるべきものだと思うのです。区制の問題を根本的に改正しようとすれば、アンバランスをやる必要はなくなるわけです。そうでしょう。しかしアンバランスの是正は、すでにやるべくしてやらずに今まで延び延びになっておる。今やってもおそきに失するくらいです。ですから私は問題を大きく分けて、四つか五つになると思いますが、その際に、問題の性質上、アンバランス是正問題は早急に答申されたいということは、文書でするか、口頭でその意思を伝えるかは別としまして、そういう政府の意向というものは伝えてしかるべきものだと思うのです。
  〔委員長退席、青木委員長代理着席〕
何らかの形で、そういう意向を伝えてしかるべきものだと思うのです。もしそうではなしに、適当におやりなさいといって、政治資金の問題と政党法の問題と区制の問題と一緒に取っ組んだら、私は、私の見通しが当たるかどうかしれませんけれども、この次の通常国会に出すほど早急にこれらの根本問題はまとまることは期待できないと思うのです。そこでこの次の国会で改正しなければ、その次の通常国会までの間には、もうおそらく解散、選挙でしょうから、そうすると次の衆議院選挙は現行のまま、こうなってしまうわけです。少なくとも区制の根本改正問題があるにしたところで、このアンバランス是正問題は、次の選挙くらいには実施する、一ぺんでもいいから実施して、その次に区制の根本改正をしようというなら話はわかりますけれども、ずるずる持っていって、区制の根本問題とからんでしまって、にっちもさっちもいかなくなるということになれば、この次の国会で選挙法改正はどの一つもできない。手直し問題について、与党野党話し合って改正をやろうと思えば、それはできるけれども、政府提案としてはできない、こういうことになるおそれがあるわけです。そうなると私は少し言葉が過ぎるかもしれませんけれども、池田第三次内閣は、選挙法改正に対する御熱意がきわめて低調である、こう非難されるおそれがある、こう私は心配するわけです。
#26
○篠田国務大臣 先ほど申しましたように、審議会を拘束するような提案の仕方というものは、これはなかなかむずかしいと思いますけれども、しかし審議会を再開して問題を諮問をするときに、われわれとしては、国会も政府も実はこのアンバランス問題を一番先に結論を出してもらいたいんだというような意向を、われわれの希望を伝えるということは、これは私は何も差しつかえないと考えておるわけです。
#27
○島上委員 この前の安井自治大臣は、衆議院の定数問題を、つまりアンバランス問題を論議する際には、当然参議院の地方区についても考えなければならぬ、こういうことをある機会に答えられたことがありますが、それも私は一つの理屈だと思うのです。参議院の地方区が、二名改選の栃木よりも、一名改選の宮城の方が人口が多いという矛盾が現に出ておりまして、地方区のアンバランスはもうひどくなっているのです。ひどくなってはいるのですが、しかし、これは理屈としては、そのアンバランスを直すという点だけから見ますれば、当然参議院の地方区も検討しなければならぬわけですが、参議院の地方区の場合には、衆議院よりも一そう困難だと思うのです。二名か四名か六名か、こういうようなあれになっているのですから、三名区をつくるとか、五名区をつくるとか、そういうふうにはいかぬですから、それだけに、それに総体の数の問題もありますし……。衆議院のアンバランス是正の際に参議院の地方区も同時にやろうというお考えが現在の大臣におありかどうか、これは別個の問題として処理される、こういうお考えかどうか、この点を伺いたい。
#28
○篠田国務大臣 御指摘の通りでありまして、参議院の地方区におきましても、部分的にはアンバランスがあるわけです。たとえば東京都の人口に比例して定数が少な過ぎる。あるいは宮城と栃木を比べて、人口では宮城が多いにもかかわらず、定員は宮城の方が少ないといったようなことはございます。しかし、参議院選挙は今終わったばかりですから、あと三年あるわけです。衆議院の選挙は、来年あるか、少なくとも、どんなに長く持っても一任期一ぱいやりましても、再来年の十一月にはやらなければなりませんから、参議院までからましてやることになりますと、なかなか、これはむずかしいのじゃないか。あなたの御希望になる来たるべき国会に改正ができなくなってしまうというおそれもありますから、私は、この際は参議院の問題をからませないで、衆議院だけのアンバランスを是正することがいい、こう考えております。
#29
○島上委員 他の同僚議員の質問もありますから、あと一、二の問題点だけで私の質問を終わりたいと思いますが、質問を終わるということは、質問をすることがなくなったという意味ではありません。まだたくさんありますけれども、時間がないという意味で終わるのでありますが、先般の参議院選挙の結果、最も目立っておる違反は買収、供応が依然として多くなっているということ、それから高級公務員の地位利用が非常に多かったということ、それから集団的戸別訪問が目立って多くなってきたということ、この三点であったということは、地方で実地に当った人々の異口同音に答えているところです。これに対して、これではいかぬと私ども思っておりますが、何も法律改正だけでこの弊害が除去できるとは思っておりません。法律改正と行政的な措置とあわせて、あるいはまた常時啓蒙という問題とあわせて行なわなければならぬと思いますが、この三点の弊害が目立ってきたことに対して、どうしてこれを取り除こうかという点について、大臣のお考えがありましたら承りたい。
#30
○篠田国務大臣 おっしゃる通り、この三つの違反が以前に比較しまして非常にふえております。悪質違反などというものは前よりも相当厳重に処罰されるようになっておりますし、公務員の地位利用の問題にいたしましても、従前は事前運動だけを取り締まっておりましたが、今度は選挙に入ってからの運動も取り締まっておる戸別訪問につきましても今おっしゃったような状態であります。これは私は、法の欠陥というふうには考えておらないのです。これはもう選挙違反というものが、ちょうど交通事故と同じように、人をけがさしても、なぐってけがさしたのと交通事故でけがをさしたのとでは、非常に責任感といいますか、罪悪感というものが違う、選挙違反というものは破廉恥罪ではないというような、そういう時代錯誤の考え方を修正していくのでなければ、私は、法律の改正を幾ら行なってもできないと思います。選挙をする人も一する人というのはもちろん国民の側でありますし、される候補者もそうでありますが、する人もされる人も、選挙違反というものはいわゆる日本の民主主義を育てる上において非常に障害になる、また罪悪であるということをもっと考えていただきまして、そうしてみずからが選挙違反をしないように注意する、すべての陣営がそういうことになってこなければ、私は、法だけを改めても違反の数は減らないと考えております。今回の法の改正によりまして、公務員の地位利用の問題等につきましては、割合に新しいケースでございますので、その点、候補に立つような人には十分徹底しておると思うのでありますけれども、一般選挙運動をやられる選挙民の方にはそういうところまで徹底はしておらなかったかと思います。その結果として非常に多く出ました。これはまことに遺憾なことであります。戸別訪問が非常に多いということは、これは違反の件数を政党別にとっておりませんから、どこの政党が非常に多かったというようなことは申し上げられませんけれども、実際問題といたしまして、従来は隠れて戸別訪問をしておったにもかかわらず、今度は積極的に戸別訪問をする人が非常にふえたという、そういう原因であろうかと思います。これも、これらの人々に向かって十分取り締まりを厳正にするとともに、そういう人々に向かっては、戸別訪問というものは犯罪であるのだ、国の法律を犯してやるということはよくないのだということを徹底指導しなければならないと考えておるわけであります。
#31
○島上委員 私も法律改正一点張りではないのです。法律改正だけで事足れりとは思っていない。思っていませんが、やはり法律があまりにもなまぬる過ぎるというところにも問題があると思うのです。連座制があるにもかかわらず、それから公民権停止の規定があるにもかかわらず、買収、供応が依然として――少しでも減っていく傾向ならいいですけれども、ふえていく傾向ですから、これはよほどどこかで引き締めませんと、だんだんふえていったらおさまりのつかぬ問題になってしまうと思うのです。私は、やはり買収、供応に対しては、法律改正をもっと峻厳にする必要があると思うのです。きょうは、その問題の内容については時間がありませんから触れませんけれども、法律改正を峻厳にする必要があるということが一点。それから大臣もおっしゃいましたが、選挙で投票する方の側、また選挙運動をして投票を求める方の側も自粛反省しなければならぬ。わけても政党と候補者が、これらの問題については反省の実を示す必要があると思うのです。残念ながら先般の参議院選挙でも、最も大規模な、たとえば公務員の地位利用とか買収とかの事実が今日まであがっておるのは与党さんでございます。私はこの前、池田総理にも質問したことがありますが、これは与党、野党を問わず、ひどい悪質違反をした者に対しては、党から除名するとか、党籍処分に付するとか、この次は公認しないとか、このくらいきびしい処置をしませんときき目はないと思うのです。また反省の実が現われておるとも言えないと思うのです。そのくらいの党自体の自粛反省の実を示す必要がある。国民に対しては、もちろん常時啓発運動をもっと力を入れてやることによって、国民の啓発なり、協力を求める、こういう三つの方面から相待ってしませんと、この悪質違反の根絶ということは百年河清を待つようなものになってしまうと思う。特に私は、私自身も政党に属する政党人ですから、政党の自粛反省ということは、やはり言葉だけではなしに、実際の実を示すということによって国民の協力も得られると思うのです。こういう点、大臣は自民党に属しておるのですから、自民党の悪質違反者に対する――党のことを聞いても御答弁できないかもしれませんけれども、党員である大臣の考えでもけっこうですから、もう少しぴしっとした反省の実を示す必要があろうと考えますが、いかがでしょうか。
#32
○篠田国務大臣 自民党とか社会党とかいうことは別にいたしまして、党自身も非常な悪質な、しかもしょっちゅう選挙ごとに違反を起こさなければ当選しないような人に対しては深く反省を求める必要もあろうし、また党議が決定すれば、あなたのおっしゃったような方法でやることも私はけっこうであると思います。ただしかし党内には党内のそれぞれの機関がございますので、私の口からこういうふうにするということを申し上げることは今できません。
#33
○島上委員 まだ質問する問題はたくさんありますが、同僚諸君の関連質問などがございますから、私の大臣に対する質問は次の機会に伺うことにして、これで終わります。
#34
○畑委員 大体島上委員から質問をされましたので、補足的にそれに関連して若干の質問をいたしたいと思います。
 私、選挙を終わりまして、そのあと国会から派遣されまして北海道に視察に行って参りました。島上委員も九州に視察に行かれました。各地における各選挙管理委員会あるいは警察当局あるいはまた検察当局、こういった当局者の意向を聞きましたけれども、大体ほとんど軌を一にしておると思うのです。その中で私が非常に感じたことにつきまして申し上げ、さらにそれに対する大臣の見解を承りたいのであります。
 北海道に行きまして、選挙管理委員会の方は別といたしまして、警察並びに検察当局のこの間の改正に対する意見といったようなものを徴したのであります。それによりますと、いわゆる買収、供応等の実質犯を厳重に処罰する方法を講ずべきだ、それからまた選挙資金の動きを規正して、選挙費用に関する規正を順守させることが選挙の公明化をはかるより直接的方法である、演説会の回数とかあるいはその方法、文書の規格あるいは枚数といったようないわゆる形式をこまかく制限することは末梢的な方法にすぎない、こういったような意見、これは札幌の地検の意見でございましたが、そう率直に述べております。先ほど島上委員からも言われましたけれども、そういう点で、今次の改正がまだまだ手ぬるい、実質犯を厳重に処罰するという点について非常に手ぬるいといった感じを私もさらに深くいたしたのであります。特にその中で候補者の違反による連座制の強化の問題、この点もやはり意見の一つになっておりまして、連座制の効果を上げるためには、当選人の当選無効が総括主宰者等所定の者の刑の確定と同時に効力を生ずるようにすることがその目的に合致するのではないか。かりに当選無効という、本人にとっては刑罰以上のことであるけれども、本人が裁判に全く関与することなくして判断するのは不当であるというのであれば、刑の確定を待って選挙管理委員会が当選無効の処分を出し、これに対して行政訴訟で争う道を開くとか、当選無効という訴訟を検察官が提出すると同時に、一般公務員の体職に類する措置がとられるようにすることを考えることが至当である、連座制の問題についてはこういった意見を言うております。これはわれわれがこの前の改正の際にもやはり主張したことで、期せずして検察当局の意向も同様である、この間のような改正では非常にきき目がないということを率直に述べておるのでございます。この点については、御承知のように答申は即時失格ということでありましたが、憲法違反の問題云々といったこと等がございまして、あのように原案が修正されて出された。まあこの問題はその通りで通ったわけでありますけれども、そのほかの問題について、御承知のように最後に自民党の手によって修正された重要な点がございます。その点につきましても、期せずして警察側あるいは検察当局の見解は、あの修正は間違っておる、適当でない、こういう意見を言うております。その一つが、さきに島上先生が言われましたところの、選挙運動に従事するところの、しかも選挙運動のために使用する事務員に報酬が払えることになった点、これは非常に規定があいまいであって、取り締まり捜査上もまた立証上も非常に骨が折れる、あいまいではっきりしないといった点を異口同音に申しております。さらにもう一つは、後援会の寄付あるいは供応接待の禁止の規定、これは御承知のように、最初は答申の案では選挙に関してそれらの行為を禁止するということでありましたが、それが結局自民党の最後の修正案によって三カ月ということになり、この点も非常に明確を欠き、期間的には明確のようであるけれども、その前では自由であるというような考え方になりやすいという点で、取り締まり上も非常に支障を来たす、こういった意見であったのであります。そういう点全部総合いたしまして、たまたまわれわれ社会党が主張したことが、やはり末端における実際に選挙違反を取り締まる側からして、われわれの意見が正しくて、修正をされたことがどうも適当でない、こういう意見に偶然一致しておった。私はこの点について、大臣はどのように考えておられるか承りたい。
#35
○篠田国務大臣 現在の規則で取り締まりができないということは、私はおかしいと思います。連座にいたしましても、裁判を受けて、それが罪になれば、これはもちろん連座をするわけであります。そうでないものを取り締まりの都合から罰したり、あるいはまた憲法に違反して裁判を受けないうちに無効のあれをするというようなことは、私は適当じゃないと思う。それから、少なくとも警察官とか検察官というものは、国家公務員で、しかも取り締まりの任に当たっているものでありますから、個人的にいろいろな意味を述べることはけっこうでありますが、法を守るというその建前の人たちが、現在国会において改正された法について公式に、これは間違っているというような意見を発表するということは、どういう検事、どういう警察官が発表したか知りませんが、適当でない、こういうふうに私は考えます。法は運用によってきまるものでありますから、現在でももちろん悪い犯罪についてはきびしく罰した方がいいのでありますから、それはおのずから警察なり検事局なりがそれを結局検挙して、裁判に送るわけです。裁判は公正な立場から裁判をして、罰すべきものは罰し、罰すべからざるものは罰しないのでありますから、自分たちが検挙した者が罰せられないからといって、この法律は間違っておるというような考え方は、間違っております。それが社会党と偶然一致したかどうか知りませんが、そういう意見には私は賛成できません。
#36
○畑委員 今の大臣の意向は、ともかく法律であるのだから、それを忠実に実施するのが警察あるいは検察当局の役目である、そうした、法に対して意見を差しはさむことは適当でない、こういうような形式論だと思う。私はそういう意味で申したのではない。もちろん警察あるいは検察当局は、法できまっている以上は、その法をその通り運用するということが任務であって、それ以上のことはできない。しかしながらこれは選挙を公明に行なうというために法律をいろいろ工夫して改正をする、そういう形でこの前の選挙法改正は行なわれたはずであります。
  〔青木委員長代理退席、委員長着席〕
はずでありますけれども、その目的に向かって出された答申が、政府提案までにまずゆがめられ、さらにまた最後に修正された。しかも偶然、その修正された点が、地方においての取り締まり当局としては、そうでない方が取り締まりしやすい、すなわち選挙を公明に取り締まるにはその方がよろしい、こういうような意見でありまして、現行法をどうしよう、こうしようと、改正するようなことは、これは国会でなければできないのです。それはわかっている。それを警察あるいは検察当局が指示するのは、どういうやからが言ったかわからぬけれども、それはけしからぬ、こう言われるが、しかしそういうことに耳を傾けるべきだと思う。そういうことが私は官僚的な態度だと思う。つまりそれがたまたまわれわれが口をすっぱくして言ったところと偶然に一致したというのは、警察、検察当局の人たちがやはりそれを痛切に感じて、自民党の考え方よりも社会党の考えの方がよかったと現に言っているのです。警察も言うし――ここに刑事局長もおられるが、あとで聞きますけれども、あなたのそういうことを指示するのはけしからぬという形式論は私はわかっていますよ。けれども、われわれは視察したのだから、視察した結果、その調査項目としてその意見を求めた。それに対して率直に答えてくれた。私はこいう態度こそ、望ましいと思う。それを今のような自治大臣のお考え方だと、ぴしゃりやって、こういうのはけしからぬと言ってしまっては、正しい意見が出てこない。われわれの視察した目的が達せられない、私はそう思う。調査したときの意見は、そういう意味でのことでなくて、率直な国民の立場として、また選挙違反を厳正に取り締まる、特に買収と供応とを厳正に取り締まる立場として、これの方がこの方よりもよかった、こういう意見を言っておる。そしてたまたまわれわれの考え方と一致したが、自民党にも籍を持っておられる自治大臣は、しかもそういう方面の代表でもあるところの自治大臣として、それをどう考えられるか、こういうことです。
#37
○篠田国務大臣 警察官や検事の諸君が、この法律よりも答申の方が取り締まりやすい、こういう意見を言ったわけでありますが、取り締まり法規の改正ということは、公明選挙をいかに行なうかということのために法の改正をやっておるのであって、法律というものは、取り締まられる者も取り締まる者も――これは取り締まる者だけの立場から法律を改正することはできません。むしろ取り締まられる側に立ってこの法律は妥当であるかということを考えるのがあたりまえであって、検事なり警察官が、この方が取り締まりやすいからこういう法律にしなくちゃならない、そういうことを申しますが、それこそ官僚主義であり、それこそファッショであると私は考える。でありますから、ゆがめられた、ゆがめられたとおっしゃいますけれども、いわゆる国民の目の前において、世間の世論を浴びながら、しかも国会の権威において最大公約数として認められた法律でありますから、今度改正するまでは、その法律に従って取り締まりをするということは当然である。そういう意味におきまして、国民の一人として意見を吐くということはけしからぬなどとは、一つも言っておりません。あとで速記録を調べて下さい。そういうことは私は言っておりません。だけれども、公明選挙をやるための改正であるか、取り締まりやすくするための改正であるかといえば、何人といえども、公明選挙をやるための改正であるというととは明らかでありますから、そういう目的を取り違えたような意見に対しては、私は賛成できない、こういうふうに言っておる。
#38
○畑委員 非常に何か行き違いがあるようだが、ともかくわれわれが今次の選挙法の改正について意見があるかと言ったことに対して、こういう意見であった。こういうことを末端の当局が言っておるだけの話であって、しかもそれがわれわれの考えと一致しておるのだが、その点はどう考えるかという私の質問に対する大臣の答弁は、少し筋が違っておるように感じます。もちろんそれは、先ほど何回も言いましたように、法律できまっておるのだから、それはその通りに実行すればよろしい。取り締まりいいか悪いかということは、取り締まりいいということになれば、警察がどんどんそれによって取り締まるということになって、職権を乱用しやすい、こういうような意味にとられると間違うので、やはり公明選挙を実施するために買収事犯を取り締まらなければならない、これはまた明らかなんです。そのために、この間修正になった点が非常にその目的からそれておる。従って、本来買収、供応であるべきものが、それを買収、供応として捕捉しにくい、こういうわけなんです。だからわれわれは、この前の国会におきましてその点を強調しておいたのです。それが実際になって現われてきておる。その点を自治大臣はどう考えるか、こういう意味なんです。間違えないようにして下さい。
#39
○篠田国務大臣 結局あなたのおっしゃることは、いわゆる運動員の報酬の問題じゃないかと思います。
#40
○畑委員 そうです。
#41
○篠田国務大臣 運動員の報酬なのか、それとも買収なのかという点が明らかでないから、その点が取り締まりにくい、こういうことじゃないかと私は考えます。
#42
○畑委員 選挙運動に従事する事務員とは一体どういう者か。
#43
○篠田国務大臣 そういう意見は確かにあるということを私も聞いております。しかしこれは検事局あるいは警察における意見を法律に合うように統一してやることが必要なんであって、あまり早く、改正をされたらすぐ選挙、こういうように急いで改正をした。そうでなければ参議院が特例法を出すなどという話がありまして、特例法などというみっともないものを出すよりも、選挙法の改正で堂々とやったらいいじゃないかという世論もありました。もちろんわれわれもその方がいいと思いまして、実は急いで改正をして、すぐPRをするひまもなく選挙に入りましたから、あるいは選挙を取り締まる側において、そういう点に非常な解釈の不統一、あるいはいろいろな悩みというものがあったであろうということは私は考えます。そういう問題は今後十分に意見を統一しまして、そうしてわかりやすくやっていきたい、こう考えます。
#44
○畑委員 もう大臣も、参議院の方ですか、お帰りのようですが、その点は今大臣の答弁は、これは選挙法が改正された早々であるし、いろいろ実際の問題で不都合の点があるかもしれぬ、それはよく実際の状況を調べて、それによってまた考える。こういうような点ですか。――それならよろしゅうございます。けっこうです。では大臣に対する質問は終わります。
#45
○辻委員長 井堀繁男君。
#46
○井堀委員 今回、大幅な選挙法の改正後、初めて参議院の通常選挙を経験をいたしたわけでありますが、その結果について、前回の委員会で自治省と警察庁から報告を受けたわけであります。その報告の中で、まず警察庁の報告について私どもは非常に遺憾の意を表しているわけであります。悪質違反が前回よりもおびただしく増加していることは事実である。たとえば買収、利害誘導のごときは、件数において三千四百四十九件である。その人員において九千六百十五名、こういうように、この法律改正の意図したものとは、結果においてはなはだしく相違した事実が現われておるわけであります。もちろんこれはだんだんと検討を加えることによって、事情が明らかになると思うのであります。私は、その結果だけをとらえて議論しようとは思わないのでありますけれども、ただこの機会にさらに自治大臣にお尋ねをいたしたいと思いますのは、以上のようにこの選挙法の改正は、経過を振り返るまでもありません、世論にこたえて政府が選挙制度審議会法を設置したときに問題が始まっておるわけであります。このときにも政府は提案理由でるる述べて、また本委員会においても討議の中心は、かかる買収、供応のごとき腐敗堕落した選挙を一掃するために、抜本的な選挙法の改正を意図したことはあまりにも明確であります。そのために選挙制度審議会の答申もかなり広範にわたって行なわれております。この点、不幸にいたしまして、政府も提案理由で述べておりますが、選挙制度審議会の答申についても、今回の改正のための答申というものは、この世論にこたえて、すなわち公明選挙を推進していくための選挙制度を改正するにあたっては、選挙区制あるいは政党制あるいは常時啓蒙、啓発などを含む広範にわたる選挙制度の改善、改正が必要である、しかし当面して次のごときものを答申するという、いわば一部答申であったのであります。こういう経過から判断をいたしまして、この警察庁の中間報告ではありますけれども、忌まわしいこういう事実にわれわれは当面しているのです。この答申の精神というものにも、われわれはもっと忠実でなければならぬのではないかという考えが深いのであります。すなわち、選挙法の大幅な改正ではありましたけれども、こういう選挙法の、たとえば制裁でありますとか、あるいは選挙運動に対する規定をきびしくし、あるいは緩和するといったような方法だけでは、公明選挙の目的を達することはできないという答申の精神を、われわれはここで一つ考え直さなければならぬ。お尋ねしたいことは、こういう答申に政府としても国会としてもこたえるためには――大臣の御答弁の中で伺いますと、まだ選挙制度審議会のメンバーもきまっておいでにならぬようでありますから、この制度が動き出していくにはまだ時間を要するようでありますが、この事実は先ほどの報告の中に表われておりますし、われわれは矢つぎばやに、答申の精神にこたえて、また世論にこたえて、公明選挙のための措置を至急にとるべきである、このためには自治省としては積極的な方策があろうと私は思われますので、この際、自治大臣のこれに対する基本的な考え方を伺っておきたい。
#47
○篠田国務大臣 悪質違反が件数において三千四百四十九件、人員において九千六百十五名、前回よりも非常にふえておる、これは申すまでもなく、警察が容疑者として逮捕した者の件数でございまして、実際においてこれをよく調べていって、その検挙された者全部が違反者であるかどうかということは、これは裁判所が決定する問題でございますから、今警察に検挙された数が多いから、直ちにそれだけの者がふえたというふうには私たちも解釈してはおりません。
 法の改正を審議会の案の通りやったらいいじゃないか、こういうお話だと私は伺います。しかし御承知の通り、先般の国会において改正せられたばかりでありまして、今、前よりは相当厳重になったと思います。それから悪質違反であるとか、連座の問題であるとか、そういうような問題については非常に論ぜられておりますから、前よりは幾らか有権者も、また選挙をする人も自覚しておらなければならないと思うのです。それがふえたということは、先ほど私が申し上げましたように、選挙違反というものは罪悪じゃないんだ、破廉恥じゃないんだというような、そういう従来からの一つの考え方、これが選挙民の頭にも候補者の頭にも残っているんじゃないか。これを何らかの方法において払拭しない限りにおいて、毎年々々選挙法を改めましても効果はないだろう、選挙違反というものは、そこらのこそどろなんかよりも、もっともっと恥ずかしい、国民の代表である者か法を犯して、そうして不当な手段によって当選するなどということは、そういう普通の生活に困って犯す犯罪よりももっと悪いんだ、こういうことを徹底して、何回も何回もそういうことを重複的にやる者に対しては、選挙民は絶対当選させないんだ、こういうようなところまでいかないと、私は、法は毎年改正しましても効果はないだろう、いわゆる一番大切なことは候補者の自覚だと思います。その次に大切なことは選挙民の自覚、それから取り締まり、こういうふうに考えていかないと、ただ取り締まりだけを厳重にしましても効果は上がらない。従って法律は何回改正しても、やる者に自覚がなければ違反はふえていくんじゃないか、私はこういうふうに考える次第であります。
#48
○井堀委員 ごもっともだと思います。そこで、答申のことについて多少食い違いがあるようであります。前回の答申案は、大臣もこのメンバーでよく御承知の通りだろうと思います。
 そこで具体的にお尋ねをいたしますと、この答申の一、二、三とずっと大きく分けておる中で、第一委員会、第二委員会、第三委員会と言ったらいいのかしれませんが、第三委員会の公明選挙の推進に関する事項という中で、これはあなたがおっしゃられるように、私も法律の取り締まりを強化する、あるいは制裁を強化するだけで公明選挙が実現できると、またそれにばかり依存することが最善だとは思っておりません。むしろ私どもは、この前にも述べておりますように、わが党は第三委員会、この答申を最も重視しておるわけであります。そこで先ほど私か警察庁の例をあげましたのも、もちろんこれが犯罪に確定するかしないか、裁判の結果を待つべきであります。しかし、このなまの資料は、旧選挙法の場合にもわれわれはたびたび受け取っておるわけでありますが、この時点においてこの数を見て、確かに激増しておるということを考えておるのであって、その検挙が積極的になることを一面また希望はいたしますけれども、それによって目的を達するということよりは、むしろ第三委員会の答申に忠実であるべきではないか、そういう意味では、私は自治大臣の責任はまた一つ加重されてきておると思うのであります。これは選挙法の規定の中に明確であります。自治大臣の任務を強調いたしておりますのは、あなたが今御答弁になりましたように、選挙をやる者の自粛はもちろんでありますが、選挙をする側の国民の政治意識の向上ということは、自治大臣あるいは選挙管理委員会に課せられた重大な責務であります。私はこの点に欠陥があったのではないかと思う。せっかく選挙法の改正をしても、取り締まりの強化や制裁の方に気を奪われて、肝心かなめな公明選挙運動の本格的な仕事はできていないので、自治大臣並びに選挙管理委員会に期待された。でありますから、前回この委員会でも三党共同附帯決議がつきました。そのためにも、経費も政府は思い切って準備をすべきであるということで、与野党とも一致してその増額を約束させたわけであります。しかるにもかかわらず、こういう結果が現われたということは、一つには選挙管理の上に大きな手落ちがあった、あるいは不行き届きがあった、こういう点を私は反省すべきではないかと思うのであります。こういう点に思いあたる節があれば、われわれは過去は問わない。将来、要するにこの法律でも、なお公明選挙のために多くの期待をかけることができるかもしれない。また、あるいは次の第二の答申を待つということもあると思うのであります。われわれの判断の中に出てくる政府に対するわれわれの要求や希望も具体的になってくると思うのであります。まず、当事者であるあなたのこれに対する所見を伺っておきたい。
#49
○篠田国務大臣 井堀さんの御意見と私の意見は全く一致しております。そこで何と申しましても、今言ったように、取り締まりだけではなかなか根絶しないのでありまして、やはり国民も、あるいは候補者も自覚してこなければ困る。それにもやはり政府の責任において、今言ったような公明選挙を推進するように持って行くということが現在の段階では必要である。国民がすべて自覚してしまえばそういう必要はありませんけれども、その過程においてはそういうことが必要である。それには、やはりいろいろな方法がありまして、マスコミの応援も必要でありましょうし、あるいは講演会も必要でありましょうし、講習会も必要でありましょう。その他いろいろなものが必要でありますが、それにはやはり予算が相当伴う。そこで公明選挙運動推進のための予算としましては、昭和三十七年度が三億五千四百万円要求して、通ったわけであります。しかし、明年度の予算には公明選挙推進の予算として十一億円要求しておるわけです。そういうふうにして予算の面においても十分充実さして、そうしてこの運動を国民的な大運動に展開していきたい。そうして一日も早く公明運動を達成するのでなければ、もとを清くしないで末端が清くなるわけではありませんから、そういう意味であなたと全く同感で、今一生懸命に予算の要求もしております。また公明選挙推進の運動の方法としましても、衆知を集めまして、また人材も集めてやっていきたい、こういうように考えております。
#50
○井堀委員 われわれと考え方において一致をいたしましたが、はなはだ失敬な言い方かもしれませんが、十一億程度の御要求、確かに三億五千万円に比べれば三倍にもなりますが、しかし、前の委員会でも論議が尽くされ、その結論として三党の共同の附帯決議がなされたのであります。この事実については大臣も御承知でありますから、この精神を生かしていくためには、私は当時も言ったのですが、明確な根拠を持っておるわけじゃありませんが、この答申案に忠実であろうとすれば、今日の貨幣価値で換算すれば二百億程度のものを持たないと答申の精神にこたえることは不可能ではないかということで、総理大臣並びに前自治大臣に所見をお尋ねしたことがあったのですが、数字的な御答弁はいただけなかったのであります。しかし、附帯決議をつけまする前後のいきさつは、あなたも御存じのように、三十七年度予算の中におきましても二十億程度のものを必要とするのではないか、またその程度のものを出し得るのではないかという見解を前提にいたしまして政府の所信をお尋ねしておるのであります。もちろん二十億という数字については確答はいただいておりません。しかし、あの当時の記録をここに持っておりますが、総理大臣の答弁といい、自治大臣の答弁といい、これに一応の了解を与える回答をいただいておるのであります。時間を省く意味でそれを朗読するのは避けますが、自治大臣は事務引き継ぎでそういうことはおわかりになったかと思いますが、きわめて重要な点だと思いますので、今の十一億程度の御要求は、一体選挙管理委員会にまかせる委託費なのか、あるいはまた他のものを含むのであるか、そういうことによってこの点については非常な違いが出てくるのでありますから、もう一度、できるなら詳しくお答えいただきたい。
#51
○篠田国務大臣 公明選挙を推進するということは、非常に国家的な重大問題でございますから、あなたのおっしゃるように二百億でもとれればもちろんとった方がいいと思います。しかし、やはり今までの行きがかりもありますし、予算そのものの関係もございまして、三億五千万円を十一億にするということだけでも、御承知の通り相当今後いろいろな折衝をしなければならない。なかなかわれわれの思うようにいかない。一足飛びにこれを二百億や百億にすることは現在の状態ではまずできません。不可能といっていいくらいであります。そこで徐々ではありますけれども、こういうふうに三億五千万円から十一億というふうにだんだんふやしていきまして、来年は二十億なり三十億というような工合に漸次ふやして――公明選挙というものも、そう一ぺんに金を出してやったからといって、物を買うようなわけにはいきませんから、そこで徐々にといいますか、気長に、忍耐を持ってこれを推進していく。そういう意味で三億を十一億にふやした、こういうふうに御了解願いたいと思います。
#52
○井堀委員 あとは意見にわたりますから多くを述べませんが、ただ問題は、次には地方の選挙が控えております。だから、地方選挙のやり方が次の国会議員の選挙にそのままはね返ってくるものと考えます。参議院の選挙は選挙法改正直後で、法の精神が末端にまで徹底していなかったといえば、それも認めなければならぬと思うのでありますが、次の地方選挙の場合には、そういう言いのがれはできなくなる。また、そういうことをやっちゃならぬわけであります。これは申し上げるまでもありません。私どもの心配しておりますことは、だんだん選挙に金がかかるという世間の批判が的中しておると思う。これを断つためには、一方に取り締まり、制裁を厳重にやることも一つの方法であるが、あまりそれが過ぎると暗くなる。しかし、そうだからといって、このままでは過ごされぬという事実がある。そうすれば、どうしてもこの際抜本的な、ということになれば、要するに国民の側の意識を高めていくという運動を展開せざるを得ないことは、私は、立場を異にしておっても、この点は一致するものではないかと思う。いわば国の基本を改める、日本の民主政治の基礎を確立するための経費としては、他の費用を犠牲に供しても、この費用に充当すべきではないか。もちろん、金さえふやせばこの運動が直ちに成功するなどとは私は考えておりません。ただ、この答申の内容を前回も検討いたしました際にわれわれが得た知識は、やはりどうしても、もっと選挙のために特別に経費を見込まなければならない。そうしなければにっちもさっちもいかないのではないかということは、前回の委員会において議論済みであります。要は実行に移す段階でありますので、これは大臣の政治力と選挙法に対する誠意の問題にかかっておると思うのであります。それでお尋ねしたわけでありまして、決してあなたを責めるのではありません。激励をしたのです。
#53
○篠田国務大臣 ちょっとつけ加えておきますが、この十一億というのは選挙の費用ではなくて、公明選挙推進のために各市町村の選挙管理委員会に使わせる金ですから、どうか一つ……。
#54
○辻委員長 田中榮一君。
#55
○田中(榮)委員 時間もございませんから、私は簡単に大臣に御質問申し上げたいと思います。
 今回行なわれました参議院議員選挙の違反の実態でございますが、従来の選挙にあまり例のなかった大きな現象が数字の上に見えているわけであります。その一つは、公務員の地位利用の件数が三百三件、三百三十二人となっております。今回の公職選挙法の改正により公務員の地位利用を相当厳重に取り締まるという規定が新たに加えられまして、そういうような結果がこれに浮き彫りされたではないかと思っております。従来の選挙におきまして、官庁なり公共団体の役職員がその地位を利用して選挙活動をするということは、ありふれた現象であったのであります。それが従来やみに葬られておりまして、今回のこの規定によって浮き彫りされたものと思います。今回の参議院議員選挙におきまして私非常に遺憾に思っておりますのは、公務員がその地位を利用しまして、組織力に基づいて――ここが重大な問題であります。組織力に基づいて、組織の上に乗っかって相当手広い選挙運動をやったということであります。しかも地位利用のやり方としましては、上官が部下に対して地位利用の選挙運動をするという形もあります。もう一つは、取り締まるべき地位にある公務員が、取り締まりを受けるべき弱い業者を対象として選挙運動をやる、このことは非常に重大な問題であろうと思います。平素許可認可権を持っておる役所が、その取り締まりを受けるべき業者に対して圧力と申しますか、見えざる力を及ぼして公明選挙を阻害する。こうしたことは、ある意味におきましては買収、供応ということよりも、もっともっと悪質な選挙違反ではないかと考えているのであります。今回の選挙におきまして、役所そのものが主体となって組織力を使って選挙運動をやる以外に、もう一つその役所の外郭団体、最高幹部にその官庁を退職した役職員が全部入り込んでいる外郭団体を手先に使って一緒にやる、こういう動きもあるわけであります。この中で、上官が部下に対してというのは、公務員もやはり人間でありますから、かつてお世話になった上官の恩顧に報ゆるという意味においてやったかもしれませんが、それはそれといたしましても、これはやるべきことではないと思うのであります。最も悪質なのは、取締者がか弱い業者に対して暗にこれこれに投票しろということをやり、あるときには課長あるいは部長が課長を集めて、課長会議でそれを指示したいということも新聞で承ったのでございますが、こうしたことが今後選挙に利用されますと、官庁の国民に対する威信が失墜するではないかと考えているのであります。いやしくも国民の奉仕者として最も公平にやるべき役人が、特定の候補者のためにその地位を利用し、しかも最も弱い業者に対してかような圧力をかけるということは、選挙の公正を阻害する最たるものではないかと考えるのであります。今回の選挙において、どういう役所がどういうやり方でやったかということにつきまして、今大臣からここで御答弁をいただく必要はないと思いますが、表をつくっていただきまして、その表によって知りたいと考えております。
 それからもう一つ、今回のこうした選挙に際しまして違反を敢行した――まだこれは判決が下っておりませんから、はたしてその通りやったかどうか、これは最終判決を待たぬとわからぬわけでございますが、こういう現象が現実に起こっておる。公務員に対して、その直属の長官はどういう措置をとったか。あるいはまた職員全体に、今後かようなことは十分戒めるべきであるという通達を出したのかどうか。それから、これは私は自治大臣の権限ではないと思うのでありますが、官房長官が国家公務員全体に対して、今回の選挙違反に対して、かかることは将来最も戒めるべきことであるというような通達を出されたかどうか、そういう点を一つお伺いしてみたいと思います。
#56
○篠田国務大臣 今おっしゃった通り、自分の地位を利用して弱い者を圧迫して当選を期するなどということは、私は前々から反対です。われわれのように庶民の中から出てきた者から見ると、これはまさに重大な犯罪だ、僕はそういうふうに考えます。しかし、現実にいろいろな人情とか歴史的事実とか、あるいはまた圧力というようなものがからんでそういうものが行なわれていることは、あなたの指摘された通りです。今そういうものの調書を出せというお話でありますが、従来ともそういう個人の犯罪に対する調書というものは出しておらない。
 それから官房長官から、全国の官庁に対して警告を発しておるかどうかというお話でありますが、選挙の前には、地位利用などということがないように、事前に警告を発しておりますけれども、選挙後において、現われた現象に対して警告を発してはおりません。それはおそらくまだ裁判が確定しておらないからだ、こう思います。
#57
○田中(榮)委員 まだ裁判が確定をしておりませんから、これは何とも直属長官として、それに対して処分をすることはできないことは私もよくわかるのでありますが、しかしながら、すでに警察、検察の手に検挙せられて、一応取り締まりを受けたという者につきましては、私は、その公務員は少なくとも社会公共に対して道徳的な責任は当然負わなくてはならぬと考えておるのでありまするが、たとえばそういうものに対して特に本属長官から本人に対して戒告をしたとか、あるいは何か措置をとったか、そういう点はいかがでございましょう。これはもう自治大臣にお伺いするのは無理だと思いますが……。
#58
○篠田国務大臣 いや、無理ではありません。あなたも役人をやっておられたから御存じだと私は思うのですが、警察に調べられただけで処分をするということはないわけであります。これが検事局において起訴されたときに初めて役人の身分というものは休職になる。罪が確定すれば、それによって処分される、これはあなたの方が僕よりよけい御存じだと思います。それ以上の処分はできません。
#59
○田中(榮)委員 私もよくその辺の大臣の御答弁の趣旨はわかったのでございますが、さてそこで、将来こうした方々が判決に服するか、あるいはもう最終判決がきまったときに、政府としてこれに対して厳重なる処分をなすべきではないかと私は考えておるのであります。と申しますのは、やはり国民というものは絶対に官庁に対して信頼を持っております。その信頼を持っておるところの、信頼を受けておるところの公務員がかかることをするということは、非常に国民の期待に反することおびただしい。また公明選挙そのものを阻害する点が非常に大きいのでございますので、私は、この判決が確定して、ほんとうにこれが最終的な判決になったときには、その者に対しては厳重なる処分をされることを要望すると同時に、今後の選挙におきまして、特に広域の選挙であればあるほど、こうした組織利用、地位利用の犯罪というものが非常に多くなってくると考えておりますので、将来かかることのないように、さらに一つ厳重に御注意をいただくことを要望いたしまして、私の質問はこれで終わります。
#60
○辻委員長 他に御質疑はございませんか。
     ――――◇―――――
#61
○辻委員長 それでは、この際、閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。
 先ほどの理事会の決定通り、公職選挙法改正に関する件につきましては、閉会中もなお調査いたしたいと存じますので、議長に対し、その旨申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#62
○辻委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
 次に、ただいまの閉会中審査の申し出の件に基づく案件が付託され、現地調査を必要とする場合におきましては、委員を派遣し、調査を行ないたいと存じます。つきましては、派遣委員の人選、期間、派遣地その他所要の手続については、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#63
○辻委員長 御異議なしと認め、さよう決定しました。
    ―――――――――――――
#64
○辻委員長 なお、本委員会に参考送付されました陳情書は一件でありますので、この際お知らせいたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時二十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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