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1962/10/10 第41回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第041回国会 科学技術振興対策特別委員会 第6号
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1962/10/10 第41回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第041回国会 科学技術振興対策特別委員会 第6号

#1
第041回国会 科学技術振興対策特別委員会 第6号
昭和三十七年十月十日(水曜日)
   午前十時四十五分開議
 出席委員
   委員長 寺島隆太郎君
   理事 安倍晋太郎君 理事 中曽根康弘君
   理事 松本 一郎君 理事 山口 好一君
   理事 岡  良一君 理事 河野  正君
   理事 山口 鶴男君
      赤澤 正道君    齋藤 憲三君
      保科善四郎君    石川 次夫君
      西村 関一君    日野 吉夫君
      三木 喜夫君
 委員外の出席者
        原子力委員会委
        員       西村 熊雄君
        科学技術政務次
        官       内田 常雄君
        科学技術事務次
        官       鈴江 康平君
        総理府事務官
        (科学技術庁長
        官官房長)   森崎 久壽君
        総理府技官
        (科学技術庁計
        画局長)    杉本 正雄君
        総理府技官
        (科学技術庁研
        究調整局長)  芥川 輝孝君
        総理府技官
        (科学技術庁原
        子力局次長)  江上 龍彦君
        総理府技官
        (科学技術庁原
        子力局次長)  村田  浩君
        厚 生 技 官
        (医務局長)  尾崎 嘉篤君
        厚生事務官
        (薬務局薬事課
        長)      横田 陽吉君
        厚 生 技 官
        (薬務局製薬課
        長)      平瀬 整爾君
        参  考  人
        (日本原子力研
        究所理事長)  菊池 正士君
        参  考  人
        (日本原子力研
        究所労働組合執
        行委員長)   角田 道生君
        参  考  人
        (原子燃料公社
        理事開発部長) 三沢 英勝君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 科学技術振興対策に関する件(日本原子力研究
 所に関する問題及び科学技術行政一般に関する
 問題)
     ――――◇―――――
#2
○寺島委員長 これより会議を開きます。
 科学技術振興対策に関する件について調査をいたします。
 本日は、日本原子力研究所に関する問題について、参考人より意見を聴取することにいたします。
 本日出席の参考人は、日本原子力研究所理事長菊池正士君及び同研究所労働組合執行委員長角田道生君であります。
 この際、両参考人に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は御多用中のところ本委員会の調査のため御出席下さいまして、まことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。なお、去る九月十二日国産一号炉の完成と臨界実験が成功されたことはまことに喜ばしいことと存じます。ここに各位の御努力に対し深甚の敬意を表する次第であります。
 さて、日本原子力研究所におかれましては、最近職員の待遇及び労働条件等の問題について、理事者当局と組合の代表者の間において種々交渉が行なわれて参ったようでありますが、本日両参考人より職員の待遇の現状、今日までの両者の交渉経過、さらに今後の問題等につきまして、それぞれの立場から忌憚のない御意見を承り、もって本委員会の参考に資したいと存じます。
 参考人の御意見の開陳はお一人約十五分間程度にお願いいたし、その後委員各位の質疑によりお答えを願いたいと存じます。
 それでは、最初に菊池参考人よりお願いいたします。菊池参考人。
#3
○菊池参考人 ただいま委員長からお話がありました点につきまして、原子力研究所の理事長といたしまして簡単に申し上げたいと存じます。
 ただ、今回ここにおきまして、組合とそれからわれわれ理事者側との間のこまかいいきさつについていろいろ御説明して皆さんに御意見を伺うということよりも、組合と理事者側にいろいろと問題が起こる、その基底にまたいろいろな問題がございますので、むしろその問題の方に重点を置いてお話ししたいと思います。いろいろな問題で組合と理事者側に問題を起こしまして、世間をお騒がせしましたことを大へん相済まなく思っております。
 一番問題になりますのは、給与そのものの問題でございます。これが毎年問題になりまして、ほとんど問題にならない年はないわけであります。それが政府がベース・アップを実施する問題が起こりますと、ちょうど今それが起こり始めておりますが、これから今年度の終わりまで、毎年その年度の終わりまでというものは、この問題でもって組合と理事者側がいつも論争をしなければならない。そういう非常に困った事態がございます。
 この事態の裏には、結局原研の給与というものがどういうものであるべきかという問題に対して必ずしもはっきりした考え方がない。一般の会社であれば、その会社の利益がどれだけ上がっているかということが基礎になりまして、それに対してその配分の問題から手当の問題が出て参ります。原研の場合はそういったものは全くございませんで、原研の給与というものは、これはまた公務員とは違いまして、ある約束みたいな格好できまっているわけであります。それで、年度々々大蔵省から予算をもらってやっているわけであります。それが一体、公務員に比較しましてというか、あるいは産業界の一般のレベルに比較しまして、どのくらいのところに原研の給与を置くべきかという基準がはっきりしておりません。そのために、そのつど問題が起こるわけでございます。大体の考え方が公務員より多少いい、二〇%程度、研究員に対しては三〇%程度上という考え方は出ていたのでありますが、しかし公務員というものの基準そのものが非常にとりにくいわけでありまして、原研の給与の基準をどこに置くかということがいつも非常に不明確になっております。それで、前回のベース・アップのときに、大体われわれそういうふうな考え方を一応はっきり立てましたのは、原子力局、大蔵省その他との話し合いにもよりましたが、大体政府関係の公社、公団並みである、しかもそのうちにもいろいろ差はあるけれども、そのうちで決して悪い方でない、そういうところに原研はあるのだということで、去年のベース・アップのときは、われわれといたしましてもその点相当主張いたしまして、政府の方の公務員が一般に七・二%というベース・アップでございましたけれども、われわれとしては、だんだんと公務員との差が縮まってくるように見られる点がございますので、七・二%よりも少し大幅のものをいただきたいということを要求しておりましたが、最終的に、結局公務員並みの七・二%ということでわれわれも了承いたしました。一方組合の方としては、それよりもはるかに上回るベース・アップを要求して参ったわけでございます。組合としてはそれを要求する権利は、もちろん公務員でない、一般の労働法によってきておりますから、そういう要求はできるわけであります。ここにいつも問題が起こります。しかし最終的に予算としていただきますのは、原子力局及び大蔵省を通じて出るのでありまして、これは今までのところ公務員並みのベース・アップの率、しかもそれにさらにいろいろの条件がつきますが、そういったものできまる。これは最終的にはそうならざるを得ないわけです。ですから、今回もまた政府公務員のベース・アップがございますが、これに対しておそらくさらにその線を破る、それよりも上回ったものを前回のようにわれわれとして要求していいものかどうか、そこらはまだわれわれとして何にも態度をはっきりきめておりませんが、まあ見通しとしましては、やはり大体公務員にきめられたベース・アップということで、それを破るということは非常にむずかしいものが要るのだろうということを感じております。それに対してまた組合側としても、それでいいという格好ではなかなか出られないだろう。こういうふうに、いつもそういうところで原研の給与というものの水準が、どこということがはっきりきまっておらないために、組合と理事者側の間で、最終的には結局どうにもならないことに対して、非常にむだな闘争をやっているという格好が出て参りまして、そのためにずいぶんエネルギーや時間をつぶしておりますことが毎年のことでありますので、非常に残念なことに存じております。こういうことに対しましては、何かもう少しはっきりした根拠がそこにありますと、われわれとしても非常に楽になるのではないか、楽と言うと非常に語弊がございますけれども、むだな努力をしないで済むのではないかという感じがいたします。
 それからまた、給与がきまった上で、その中の配分の問題がいろいろございます。これに対しては、組合とわれわれとの間でいろいろと協議をしてきめていくべき問題でありますけれども、そこにもなおいろいろの意味で規制される面がございまして、これもまた必ずしもわれわれの思う通りというわけには参りません。しかし、その点は今後ともいろいろ努力いたしまして、原研の内部的な給与の配分という問題が、現在行なわれているような、全く年功序列型の給与では、中の複雑な組織の間の安定を保っていくためには、非常に私は工合の悪いものであると思っております。給与制度はもう少なし複雑な格好をとっていかないと、かなか中の安定は得られないという感じを持っております。しかし、それに対して、はっきりどうしたらいいかという考えについて、今日ここにはっきりした案をお示しするというところまでまだ詰めてございませんけれども、そういう問題はいろいろとございます。そういうことについては、今後とも原子力局を通じまして政府の方の御了解を得て、いろいろな形で、もし給与そのものの基本表を変えることができないにしましても、ある程度手当とか何とかいう格好でそれを補って、所内の気分を給与の面で安定した格好に持っていきたいということは、しょっちゅう考えております。これは給与の面での一つも起こる一つの問題でございます。
 そのほかの面といたしましては、これも給与に関係がございますが、第二者補償制度、放射線に対する従業員補償制度の問題でございます。これに対しては組合としましても、前々から放射線手当式のものを要求しておりますし、われわれも何らかの形でその放射線手当式のものを考えております。しかし、そこに考え方にはいろいろな考え方もございます。一つには、その放射線というものに当たることによる危険に対する危険手当式の考え方もございますし、あるいは放射線を扱うということはかなり高度の技術的な熟練度を必要とするし、緊張度を必要とするというようなことから考えられる特殊作業手当式に考えることもできます。これらの問題は、今いろいろと議論のあるところでございます。また政府の方でも、今回従業員補償制度の委員会を設けられまして検討せられるというふうに聞いております。その結論をお待ちする以外は方法はないのかと思いますが、今まで組合との交渉の結果、いろいろ考えの対立しております点は、許容線量下の被曝に対してどう考えるかという点でございます。この点に対しまして私といたしましては、許容線量下の被曝に対する危険度というものは、ないとはもちろん言えません。それによって生ずる障害あるいは危険というものが、絶対にないということは申せません。しかし、これはどういう職場にありましても、やはり電気を扱えば電気を扱うでそれだけの危険があり、機械を扱えば機械を扱うでそれだけの危険があり、どういう職場にも必ず危険というものは伴っております。そういうことに伴う危険度と比較いたしまして、許容線量下における放射線の害による危険度というものは、そういうものと全く同程度のものであるということから、放射線に対する危険手当というものは、許容線量下においてはわれわれは今のところ考えないという方針で進んでおります。これに対して、こういう考え方でいいかどうかということは、今度の補償制度の委員会等で十分検討して下さると思っております。そういう点でも、現在組合との間にいろいろの問題がございます。
 それからまた、所内全体の放射線災害に対する安全体制の問題、これについてもいろいろ議論がございます。一つには、何かその災害に対処するための防護隊を置く置かぬという問題について、いろいろの議論もございます。これにつきましては、どの程度の災害が起こるであろうかという想定の問題からかからないといけないのでありますが、私の考えといたしまして、現在東海村にある炉から起こるいろいろな災害から考えまして、大きな事故が起こる可能性というものは非常にわずかなものである。それで、そういう現在起こり得るいろいろな可能性に対しましては、現在職制を通じたいろいろな制度がございます。たとえば放射線管理部門がございまして、何か放射線事故があればそこへ行って放射線の強度をはかって、その付近の立ち入り禁止を勧告するとか、そういったいろいろな制度がございます。そのほか消防もありますし、消防車と同じように放射線計測機械あるいはマスクその他を備えた緊急用の自動車もございまして、そういう職制を通じた意味での安全体制で、現在可能と考えられるような事故に対して対処できるという考えを持っております。しかし、それにいたしましても、防護隊というものを作りまして万全の対策を立てるということは悪いことばかりでなしに、今後さらに原子炉がふえ、研究が進むに従いまして、結局はそういうものも必要になりますから、現在からそれをつくっていきたいという考え方から、現在その防護隊をつくることに努力しておるわけでございます。しかし、防護隊をつくろうといたしますと、制度上いろいろな問題もありまして、なかなか話がまとまらない点もございますので、現在の運転状態では職制を通じて安全体制を確保していこうという考え方で進んでいるわけでございます。そこにも多少組合とのいろいろな観点の相違からくる議論もございます。
 そういったようなことで、組合との間にいろいろ議論がございますが、これらはみなこの原子力という新しい対象が、研究所といたしまして今までに前例がございませんために前例に従ってどうするというわけにはいかない、みんなわれわれ自体のところでいろいろ工夫して考えていかなければならないというところに、いろいな困難な点がございまして、こういう問題が組合との間に生じますことも、これもやむを得ぬ一つの過程であると思っております。われわれ組合側も、そういう具体的な経験を通じてできるだけ成長していって、将来の研究所をあらゆる面から見てりっぱなものにしていきたいというふうに考えておる次第でございます。
 簡単でございますが、以上で終わります。
#4
○寺島委員長 次に、角田参考人よりお願いいたします。角田参考人。
#5
○角田参考人 ただいま御紹介いただきました、私、原研労働組合の執行委員長をやっております角田道生と申します。
 現在の労使間の問題を非常に端的に示す例といたしまして、ことしの六月の団体交渉に始まりまして、九月二十六日協定書を調印するということで一段落いたしましたCP5型の原子炉をめぐる労使紛争の内容、これについて少し内容を御説明申し上げたいと思います。と申しますのは、これは原研が今当面しております問題、抜本的な解決を要求されている問題というものを集約してここに含んでいるというふうに考えるからであります。そして問題のつかみ方、解決方向をめぐる労使間のズレ、あるいはそのギャップ、こういうふうなものが、一方出力上昇の強行実施というふうな形、他方スト権の集約というような不幸な対立を招く結果になったということがいえると思います。幸い現在話し合いによる解決を見まして、出力上昇試験は進められておりまして、昨日十メガワットの出力に達しております。しかし、紛争をもたらしました根っこの諸問題は、短期間では解決できない性質のものであったと今でも考えます。ですから、私は、この間組合がその紛争を通じて主張していたもの、その本質的なところは何かということを御報告して、この紛争の真の原因ということについてここで考えていただきたいと思います。
 まず、問題の発端はどこかと申しますと、これは今春装荷した九〇%濃縮ウランによる出力上昇試験の実施を前にしまして、この炉の管理室の中でかなり前からいろいろな意味でうっせきしておりました不満、抗議というようなものが爆発したというようなところが実際の発端であったわけであります。現場の彼らが申しますこと、特に運転に携わっております中堅研究員、若い技術者は過去一年半にわたりまして九〇%ウランの装填される前の二〇%燃料による断続運転の経験を現場で彼らなりに総括をいたしまして、以前から問題点を提起していたわけであります。ところが、彼らの言わんと欲するところ、特に本質的と思われるところが、どうしても、何といっても職制を通じては所にはわかっていただけなかった。そこで、彼らとしては、相談をもちかける場が労働組合にしがなかったという結果になってしまった。これが今回のような労使の間の緊張状態を起こさざるを得なかったことの発端であるわけであります。
 現場の要求は、単に金銭問題だけで割り切れる問題ではありません。労働組合運動本来の姿からすれば、この取り上げましたテーマというものは、かなり異質なものに属すると思います。しかし、私ども組合の機関におる者といたしましても、職場は違っても彼らの言っているところは非常によくわかったのであります。そうして、原研の研究員、従業員が意欲的に仕事を進めていき、原子力の将来に責任の一端を果たしていこうとするときには、こういう問題はどうしても取り上げて解決をしなければいけない問題である一そういうふうに感じました。特にこの問題は、CP5の運転開始をめぐって起こったものではありますけれども、ことしから来年にかけて国産一号炉、動力試験炉、こういうものが相次いで稼働に入っていく、こういうことを考えますと、このCP5問題には、全所的な解決せねばならぬ課題というものが含まれておる、そういうふうに考えます。
 では、ここで現場が問題にした内容はどういうことであったかということを申します。それは簡単にはまとめにくい問題ではありますけれども、大ざっぱに分けますと、第一に原子炉の運転、利用の安全体制は、現状のままでいいだろうかどうだろうかということが一つ。第二に、高出力の研究炉の運転体制というものは現状のままでやっていけるだろうかということ。第三に、勤務条件、厚生面の配慮というものが非常に欠如しておるのではないかということであります。
 ここで一言申し添えたいと思いますのは、問題の発端として今申しました現場の組合員、それがいわゆる原子力評論家というふうな感覚とは一番離れた人たちである、こういうことをちょっと一言申し添えたいと思います。難航をきわめましたCP臨界から二〇%の燃料、それを一年以上にわたって運転して、それから燃料を取りかえるというふうないろいろ問題のありました炉であっただけに、周囲からはいろいろな取りざたは確かにあったと思います。それをよそに、黙々として十メガワットの安全運転を目標にして努力を続けてきた、こういうのが彼らであったわけであります。そこから問題が出されてきたということを一つ考えていただきたいと思います。
 先ほど申しました三つの問題の、第一の安全体制で言いたいことは、一口でいえば、原子炉事故対策は機械の固有の安全装置だけでは不十分だということであります。このことは、具体的な要求としましては、事故を起こさぬようにする若い人たちの教育訓練を十分にやってほしい。事故を起こしたときに機敏で適切な処置をとり得るような判断力の養成、実地訓練というものを十分にやってほしい。第三に、現在解散したままになっている防護隊を再編成して、社会的責任をそういう形で果たしていく必要があるであろう。こういうふうなことが安全体制での要求であったわけであります。つまり、組合の方が勉強さしてくれ、訓練をさしてくれということを申しておったのであります。
 それに対して、職制を通じて、あるいは団交でしばしば言われますことは、安全運転のテキストはちゃんと配ってあるはずだ、保安規程がちゃんとあるじゃないか、それから今理事長もちょっと申されましたが、出力上昇では事故はまず絶対考えられない、というような返答になっているわけです。ですから、ここでは機械の固有の安全装置だけでは不十分だということに対するほんとうの回答を出していただけなかったというふうにわれわれは感じざるを得ない。事故の問題で、たとえて申しますと、アメリカの最近のSLIの事故にしても、これは原子炉の設計時におきます考え得る最大の事故というふうなもののいずれにも入っていなかった突発事故が起こっております。原研でも、ことしの春CP5のイオン交換樹脂が重水の中に混入したという事故もあります。その原因は、一つは設計変更と、原因不明のバルブの誤操作と二重に重なってあった。こういうふうな非常な予測しがたいようなことが現実に起こるということです。これは大事故になりませんでしたけれども、大事故になる可能性はこういうふうに予測しがたいものがあるのだ、そこには常に人間が関与しておるということが大事な点だと思います。
 そうしますと、安全対策というものは、処方箋を与えてやるとか、まして規則をつくったからということで確保される問題ではない。無意識のうちにも誤操作をしないように教育訓練を徹底することであり、社会的責任の自覚と、意欲的な研究室の零囲気に支えられて機敏に対処できる、そういう零囲気、そういう人間の養成だと思います。こういう点がなかなか理解していただけなかった。
 第二の、運転体制につきましては、これは考えようによっては、原子力開発の創業期から展開期へ移る際の体制上の困難を典型的に示したものだというふうに考えます。これはあとで、そういう意味で詳しくこの掲げた図でもって触れたいと思います。
 ただ、ここでも在来の火力、水力の発電所などの例を導入して、安易に三直制の二十四時間連続運転をやっていけるというような考え方では困るということを申しておったのです。
 第三の、処遇の問題に関しましては、たとえば放射線手当であります。放射線手当で特にこの場合問題になりますのは、自分の研究のためにやむを得ず被曝するとか、不用意な被曝というふうなことじゃなくて、研究サービスとして実験孔の出し入れをするという実験上の必然的な被曝というふうなものを受ける研究員が一ぱいあると思います。そういうふうなことを考えますと、放射線手当が現在ゼロであるという問題。それから、たとえば東海村というところの夜勤の状態というものを想定していただきたいと思います。東京でしたら、たとえば深夜喫茶もある、屋台もある、店も夜おそくまで開いているけれども、東海村ですとまっ暗です。自家用車がない限り自宅に帰って飯を食うこともできない。こういうふうな現状の中での直手当、それから食事、仮眠室、こういうふうな問題であります。直手当の場合一つの例を申しますと、今その運転をやっております管理室全体の平均で申しますと、
 一晩の直で三百円にしかなっておりません。これは超過勤務はそれにはつきません。深夜手当が五十円つくぐらいで、三百五十円です。それが相互にからみ合って影響を及ぼしてくる。
 ただいま三点申しましたけれども、たとえば被曝を避けるために、実験孔のそばで被曝時間を避ける機敏に動いて放射線量を防ぐということをやらざるを得ない。非常に緊張した労働であり、夜勤である。そういうことは安全性の方に対する注意力がどうしても欠如してしまうというふうな問題にはね返ってくるというふうに、相互に関連してくると思います。
 以上のような実態の中で、組合が主張しておりましたのは、現状で抜本的なメスを入れないと、今この炉に全国から要求されております十メガワット、二十四時間の十日間の安定した連続運転というものは、このままでは組合が騒ごうと騒ぐまいができないのではないかという問題です。組合が何も言わなくても、このままだったら非常に危険になる。二十四時間運転ができるかどうかということが問題になるという点が含まれていると考えます。これはいろいろな要素がからみ合ってそう申せるわけでございます。たとえば運転体制、その人員構成の面から見ましても、そのことがはっきり出てくる気がするのです。そのことはうしろの表でちょっと見ていただきたいと思います。
   〔角田参考人、図表を示す〕
 右の表はウオーター・ボイラー型のJRR1とCP5のJRR2、この二つを比較してみたものです。五十キロワットのJRR1の実際の運転員が十人、一万キロワットの2が二十一人、運転員の実態がこういうふうに現在なっております。これから将来増員するとどうかは別にしまして、一応団体交渉で初めて言われましたのは、四班で三交代というふうな説明であったわけであります。1の方の運転員というものが現在十名、それから外来研究員を現在二名含めております。2の方が二十一名。実際の運転時間を見ますと、1の方は一週四日運転して二日整備という形になっております。四日は一日五時間でシャット・ダウンしております。2の方は、十日連続運転を目標にしておるわけであります。四日間整備をする。十五日間は一サイクルという形で運転をいたします。毎週当たりの時間に直しますと1、が一日五時間で、二十時間になるわけです。ですから定時内で五時間ずつやっていくという形になります。2の方は百二十時間平均という形になります。これだけの大きな差が出ているわけです。それに対して一班当たりの人間がそれぞれ両方とも五名になるわけです。1は二班、2は四班ということになります。そして実際の運転班の構成としましては図のようなことになります。これを大体無限時間ずっと連続して運転するわけでありまして、平均をとって、そしてたまたまの二日間が一サイクルになりますから、これを合わせますと、一人当たりの運転時間は、1は二日当たり五時間、2は十七時間になる。こういう状態になってくるわけであります。
 これだけ比較しましても、たとえば、2が日本で初めての高出力の研究炉として、これで十分に利用に供し得るだけの運転ができるということをお約束できるかどうかという点で、深刻な問題が出ていると思うのです。問題はこのCP要員です。新しい原子炉のための要員確保にあたっての訓練、こういう余裕は全くない形でしか直を組むことができない、これでは安全運転さえあぶないということにつながってくるのではないかと思います。そのJRR2の運転員二十一名の内容はこういう形になって参ります。運転員が現在までに受けております訓練は、所内研修機関まで含めまして、残念なことに一人も受けていなかった。これは原子炉の建設期間が不幸にも三年間おくれたわけですから、その間にほんとうにやろうという点で一致しておれば、これはゼロということがなくて済んだであろうと思います。内部の非常に言いたくない事情をあえて言うことは、CP5の問題が単にCP5だけではなくて、3やJPDR動力試験炉、これらの運転のときにも必然的に起こってくる。日本の原子炉が創業期から開発期に入るときに、どうしてもこういうことを一ぺん経なくてはならぬジレンマがあるということを申し上げたわけであります。
 問題は、そういうジレンマの解決の仕方だと思います。研修機関は、原研の中に二つあります。その研修機関は、こういうふうな形でわれわれの今つくっております原子炉の運転要員の養成ということには間に合っていなかった。他方、この炉に課せられた任務というものは非常に大きいわけです。と申しますのは、この炉を動かすだけではなくて、他の高性能の原子炉の可能性をフルにくみ尽くすように研究が行なわれなければならないわけです。それは外部からの利用者がこの炉についてどうすればいいかという研究をするのではなくて、当然現場の研究員が運転しながら探求していかなければならぬ問題だと思います。どこにそういう余裕があるかということは、やはりここで問題になるわけです。時間的な余裕だけではありません。やはり安全運転体制、処遇等、先ほど三つあげました問題に対する回答から、結局ことごとく研究員が意欲を磨滅させられる方向に向かっていかざるを得ないという実態を申し上げたわけであります。つまりこういう現場の人間を計器盤のスイッチ・マンで終わらせて使ってしまえば、この原子炉は非常に高価な買いものについてしまったという結論しか出ないと思います。この点、これから十一月までに整備していけば、今一応定常運転を十一月ないし十二月と考えているわけですけれども、そうすれば要員の確保ができるかという問題になりますが、これはまず本質的な矛盾としまして、先ほど申しましたように最初の本格的研究炉の要員を、でき合いの要員を外に探しても、ほかにそういう原子炉がありませんので見当たらないわけであります。逆にそういう定数を上回る研究員を原研の中に配置さして、訓練をして外に送り出す。それが原研の役割になっているわけです。こういう大きな矛盾があるわけです。これに対して事態は全く反対の方料当時んでおります。つまり二〇%燃向に進の外来研究員――これは中堅層の研究員でございましたが、これが八、九月以来六名の方がもう帰社されてしまっておる。そうしますと、二〇%燃料当時から、ふえるのじゃなくて減っていったという事実があるのです。これは要員を確保しようといたしますと給与面でも十分な考えが要ると思いますが、その給与面での配慮がどうしてもいろんな意味で制約があってできないということになる。それから、探求心が、現場の運転ということだけに限られてしまってスポイルされていくということになりますと、要員の確保というものはほとんど絶望的ではないかというふうに考えざるを得ないわけです。ですから、このままの事態で何とかやりくりしようということでは、十一月ないし十二月の定常運転というものは、この炉の本来の目的に沿ってやることはできなくなるというふうに考えるわけです。
 こういうふうな現実に対しまして、労働組合としては、それではどういう中心的なスロー・ガンで闘争せざるを得なかったかと申しますと、研究炉としての機能を発揮し得る条件を今つくることである。これが一つです。二番目に、放射線から住民と従業員の安全を守ることである、というのが一つであります。これが私どもが考えます直接の今回の闘争の本質だと思っておる次第でございます。考えてみますと、そういうふうな問題が起こってくるのには、やはり歴史的な背景があったと思います。それはJRR2というのは、前から問題を始終起こしていた原子炉であった。本委員会におきましても、契約問題とか燃料問題などで、議事録を繰りますと十回以上もこのCP5については討議がなされておったと思います。大体昭和三十年、三十一年にこの炉の設置が最初に計画された当時目的とされましたことは、この炉は本格的な基礎研究とデータの集積であるということが第一点。第二点が国産一号炉の建設の経験を積むということであったわけであります。結果はどうであったかといいますと、残念なことに建設の完成が予定よりも三年おくれてしまった。その結果十メガワットは国産一号炉の臨界にすら間に合わなかったという事態が出てきたわけであります。
#6
○寺島委員長 ちょっと角田参考人に申し上げますけれども、理事会で打ち合わせました御意見開陳時間は十五分でございますが、だいぶ超過いたしておりますから、至急結論にお入り願いたいと思います。
#7
○角田参考人 それらの問題、つまり目的と結果が食い違ってくるという問題の理由を一口で申しますと、抽象的な言葉になりますが、開発計画の非自主性、非一貫性、これはだれが悪いということではなくて、そうならざるを得なかった何かがあったということをやはり指摘せねばならぬと思います。
 第二番目は、従業員の創意を大胆率直に取り入れ、尊重していくという全体の態度がやはりそこで必要だったのではないかということを、結論のもう一つとして非常に感じるわけであります。これらが安全の問題につきましても、待遇の問題につきましても、それから研究炉というものをほんとうに使いこなす状態をつくり出すためにも、必要であったのではないか、こういうふうに考える次第でございます。
 時間が参りましたので、ちょっと不十分でございましたが、今の争議の内容の本質と思われる点で、原研の現在の問題点を私どもはこう考えるという点を御報告いたした次第でございます。
    ―――――――――――――
#8
○寺島委員長 それでは、質疑の通告がありますので、これを許します。石川次夫君。
#9
○石川委員 ここへ来て初めて伺うようなことが多いので、全くしろうとの思いつきの質問になると思いますが、その点は一つ御了承願いたいと思います。
 今の説明を聞きますと、理事長の方、所側の方は処遇の問題に限定したような、ものの考え方のように受け取れますけれども、組合の方の関係からいいますと、安全性の問題、処遇の問題、運転要員の問題と、いろいろ分析しているように聞いたわけです。だいぶ今度の問題についてのとらえ方に食い違いがあるように考えられます。その中で個々に一つ一つ、ちょっと思いつきで恐縮でございますが、質問したいと思います。このあとで科学技術白書というものの説明があり、そのほかにもいろいろ問題があるようでございますので、時間がございませんから大へん不本意でございますが、簡単に一つ伺いたいと思います。
 その第一は、実は前に損害賠償に関する法案が出ましたときに、附帯決議の第二項に、従業員の災害賠償といいますか、それを考えなければいけない、特にその中でわれわれが心配いたしておりますのは、放射線手当というものを支給しなければいけないのではないかということで、ずっと以前に理事長に伺いましたときには、それを出したいというふうな御意向のように承っておったわけです。伺いますと、それは何か予防補償委員会というものが原研の中にできまして、そこで許容線量以下のものに対しても定額手当を含むという意味の答申が原研の中ではできておるというふうに聞いております。それがどういう関係か、当局の方の意向かどうかでもってこれは放射線手当を出すべきではないというような結論が出たように――結論というのはおかしいのですが、そういうふうな意向のように聞いておるわけです。
 そこで、放射線手当の考え方はいろいろありますけれども、たとえば具体的に一つ例をとりましても、生命保険は原研の従業員は最高幾らときまっておる。百万円ぐらいだというふうに聞いております。一般とは違うというふうな意味でも、そういう物理的な関係でも制約を受けている。また、就業体制につきましても、いろいろな不安、緊張というものをしいられておるというふうなことで、やはり放射線手当というものはある一定の許容線量以下でも危険手当のような形でもって出すべきではないかというふうな考え方は、われわれとしては当然ではないかというふうに考えておるわけです。当初は理事長はそういう考え方を持っておったように私個人としては受け取っておったわけであります。これが現在なかなか認められておらないということに対しまして、理事長として何か御意見があるかどうか。これは当然だということにあるいはなっておるのかどうか。また組合としては、それをどういうふうにお考えになっておるか。その点簡単でけっこうでございますから、お伺いしたいと思います。
#10
○菊池参考人 今の放射線手当と申しましても、これは人によって非常に考え方が違います。許容線量以下の被曝に対する補償の問題については、今お話しになりましたように、原研内での委員会でそれを何か考えるべきだという答申が、もう一年以上前に出ました。私はそれに対する私の意見書というものをまた別にその当時出しまして、そのときには私は放射線許容線量以下の被曝に対してはそういうものを考えることは無理であろう、または考えるべきではないのではないかということをそのときにははっきり申し上げました。しかし、放射線手当というものをもう少しほかのものに考えたときに、私はやはりそれを出すべきだという考えを持っております。それはやはり放射線をその許容線量以下に押えるということ、これは厳重な放射線管理を必要といたします。その放射線管理をするためには、それだけの技術的な知識を十分持って、そうしてやる人が十分それだけの責任を感じてその放射線管理をしなければならない。そういう意味では、放射線管理に当たる責任、そういうものを考えるときには、その放射線に対する何といいますか、緊張感とかそういう高度の技術を必要とするということに対するような意味での特殊な手当ということは、これはどうしてもしなければいけないということは私どもはずっと考えておりますし、今でも考えております。来年度の予算の要求にもそのことは組み入れてございます。それで、その許容線量以下の被曝に対する補償という考え方に対しては、私は今までもそういうものをやるべきだというふうには考えておりませんでした。何かの機会にあるいはそういう誤解を与えるようなことを申したかもしれませんが、私としてはそういうふうには思っておりません。
#11
○角田参考人 三十六年の五月十八日に所内の予防補償委員会というのが、これは組合の代表も入っておりますが、全員一致で結論を出しまして理事長に答申しております。同じ五月十八日に本衆議院の科学技術特別委員会では、原子力損害の賠償に関する法律案に対する附帯決議というものがありまして、その中で一第三者の補償はできたけれども、従業員の業務上受けた災害に対しては、労災保険の適用のほかに特別に考える必要があるのじゃないか。なお、原子力損害に準ずる放射線障害の保護についても同様の措置を講ずべきである、こういう附帯決議がこの予防補償委の答申と同日に出ておるわけであります。
 この予防補償委員会の答申案と、現行どうなっておるかということをちょっと比較いたしますと、まず一つ問題になりますのは、浴びた被曝量でございます。これを下限レム、これ以下は線量に応じた補償はしないという量が答申案では一・五レム。一・五レム以下は放射線手当という定額で補償するという方式でございます。ところが、現行では三レム以上については見舞金を出す、三レム以下は補償しない、ここに大きな一つの食い違いがあります。それから以下は、三レムの補償金としては現行見舞金が一万円、答申案ではこれが二万四千円、それから二十五レムにつきましては現行が三十万円の見舞金、答申が百万円、こういうふうなかなり開いた状況になっております。これはかなり長い間折衝しました結果、今回の協定書の中に組み入れられてございます。
 問題としまして、放射線手当をなぜ必要とするか、特に許容線量以下の被曝についてもなぜ組合が要求しておるかということについては、これは物質的並びに精神的な負担を現にこうむっておるということでございます。その具体的な問題は、先ほど石川先生もちょっとお触れになりましたが、たとえば生命保険の問題、これは労働組合に一職員から電話で問い合わせがあったわけです。加入しようと思ったら、最高制限額百万円以下で押えられておる。なぜだと聞きましたら、原研にいるからだ、そういう返事があったわけでございます。生命保険会社に問い合わせましたところ、原研の研究所員は競馬の選手、競輪の選手と同じランクに属するものである、こういう返答が来ておるわけでございます。これは職域、たとえば放射線をどの程度浴びるかということに関係なく、現に東海研究所にいるということだけでそういうランクに押えられておる、これは動かせない、こういうふうな事情です。現に物質的な負担の一例としましてそういうことがあるということ。それから、精神的な負担としましては、たとえば先ほどCPで申しましたように、非常に緊張を要する作業、機敏な動作で被曝時間を短くするということでかせがなければならない状態、そういうふうなものに対して手当が全然出ていない。現実にCPの場合の例で申しますと、利用係という人間ですと三カ月間の積算線量が六十ミリレム出ております。それはかなり低い出力、二メガワットの断続運転の三カ月でそうでございますから、これが一年になりますと、そのまま延長しましても、大衆許容線量の半分くらいは浴びてしまう。こういうふうな状況で、全然補償がない、手当がないというふうなことについては、われわれは非常に不満を感ぜざるを得ない点なのでございます。簡単でございますが……。
#12
○石川委員 いろいろそのことについて追及したいことがありますが、時間がありませんものですから、承って、あとで局自体あるいは科学技術庁自体にいろいろ考えてもらわなければならぬ点が多いと思いますので、あらためてまたこの点についてはお聞きしたい、こう考えております。
 そのほか、組合の方から盛んに強調されました安全性あるいは防護隊の問題として、実はCP5に限らず、アルゴン四一の放射量というものは許容量を越すか越さないかというような点について、前からだいぶ問題になっております。国会でも取り上げたことがございます。十メガワットの場合、CP5メガワットの運転をする場合、放出量について全然不安がないかどうかという点について、最悪の場合を予想するのですが、一定の方向に風が吹き、一定の地点でCP5が十メガワットの場合どのくらいの放出量になるか。これが濃度はどういうふうな関係になっておるかというような点で、一つ理事長の御意見というか、見解を伺いたいということ。
 この安全性に関連して、ついでに時間がありませんから伺いますけれども、防護隊は今解散になっておるそうでございますけれども、この防護隊というものはほんとうにわれわれとしては必要だというふうに考えております。たまたま今考えられておるといたしましても、原研の中での処置をどうするかということで考えられておるわけです。ところが、ここにコールダーホールの発電炉も設置をされるというふうな段階になれば、その中だけでいざ問題が起こったという場合に処理できるということではないのじゃないか。そうすれば、東海村あるいはその付近一帯についての防護をどうするかということについては緊急な課題になるわけですけれども、その防護体制は全然組まれておらない。それは原研の理事長あるいは所側だけで考えられる問題ではない、こう思いますけれども、その点について一体どういうふうに防護隊の編成は考えるべきかというようなことについての御意見を、理事長の方から、これは原研の理事長としてはなかなか答えにくいかもしれませんが、ざっくばらんに言って、国でもってわれわれ考えるべきじゃないかというような見解を持たざるを得ないわけですけれども、この点についての御意見もあわせて一つ伺いたい。
#13
○菊池参考人 アルゴンの問題が最初ちょっと出ましたが、それから申し上げます。アルゴンの放出量は、運転前に推測いたしましたのより、三千キロのときに実際に測定しました煙突から出ましたアルゴンの量は多少多かった事実がございます。多うございますが、瞬間――つまりアルゴンの問題は、風がいろいろ変わりまして周囲へ参りますが、今ある特定の風が吹いたときということでございましたけれども、瞬間的な線量というのは非常に少ないので、われわれの問題にしますのは、一年なら一年を積算してどのくらいになるだろうかということでございます。それで、東海村の風の方向はずっとはかってみまして、毎年の風の方向の統計的なデーターは十分出ておりまして、それによりまして、それが害になる量よりもずっと少ない。これが今度十メガになってどうなるかという問題がもちろんございます。これは十メガになったときに今までの三千キロのときよりもどのくらい増すかということで、十分測定すればわかりますので、もしもそれが何か危険な度があるということであれば、すぐにその対策はとらなければいけないと思っております。しかし、今のところそうなる心配は全くないと申し上げていいかと思っております。
 それから防護隊の問題でございます。防護隊は今解散しておるわけではございませんので、今新しく発足するためにいろいろ努力しております。遠からず発足できるものと考えております。しかし、これは今もお話がありましたように、所内だけのことでございまして、所外に対してこの防護隊がどうするかということは今考えておりません。
 問題は、今私の立場では解決できないことと御指摘になった通りで、外へ及んだ場合のことを、コールダーホールの場合のこと等を考えますと、これは私の原研だけのことではどうにもなりません。しかし、この点に関しましては、私も国としてなり何なりでその方針を立てていきたいと思う面は多少ございます。これはイギリスの例でありますけれども、イギリスの例などでは、発電所などに対しては、それが外部とどういうふうに連絡するとか、そのときの対策はどうするかというようなことを立てておくことが、やはり発電所建設の一つの許可の条件になっておるように聞いております。これは私はっきりしたことは存じませんが、向こうの人との話し合いを聞いておったときにそういうことを言っております。原研でも一度、こういうことはもちろんないと思いますけれども、やはり村なりあるいはどこか外の関係とそういう問題について話し合っていくことが、万全の策をとるとしてはいいことであると思います。実はそういうことについてばく然とではございますが、東海村の方や何かとお話ししたことはございます。しかし、それがまだはっきりした制度的のものとして設立するまでにはなっておりません。それからまた、一方から見ますと、その外へ影響を及ぼすというのは、今の原研の状態ではとうてい考えられないことなんでございます。ですから、またそういう問題を外に対して持ち出す時期とかなんとかいうことも非常にむずかしいのであります。しかし、これは今後非常に大きな原子力施設ができてきた場合に、それが外に及んだ場合にどうするかということを、その機関だけでなしに、やはり公共的な機関においてこれを何とか取り上げるという方策を将来はどうしても立てるのがほんとうだ、そういうふうに考えております。
#14
○石川委員 時間がないのは非常に残念ですが、実はアルゴン四一にしても、風向きがしょっちゅう変わっているという現在をもとにしていろいろ計算をすると、安全だという結果が出るかもしれませんが、私の聞き及んでいるところでは、〇・五レム・パー・イヤーというようなことはアルゴン四一がCP5が十メガワットになった場合の一番悪い状態を考えると、限度を越すのじゃないかというような話も聞いておるわけです。この点はいずあらためて、東海村の全体の問題でもありますから、よく意見を聞きたい、確めてみたいというふうに考えております。現在の状態では大丈夫、しかし最悪の場合を考えると許容量を越すのじゃないかという危険性があるというふうに私は考えておるわけです。その点についてはあらためて伺います。
 あと防護隊の問題です。これはコールダーホールができる、あるいは原燃があるというようなことを全部総合して考えますと、今御意見にありましたように、外部との防護体制、非常事態にどう対処するかという体制が完備しなければ、原子炉あるいは発電炉を許可しないというのはきわめて妥当な考え方じゃないかというふうに常識的に見ても考えざるを得ません。ところが、現在はそういうことは全然考えられておらないという点にも、安全体制という上で非常に手抜かりがあるのじゃないかということをわれわれは非常におそれるわけです。その点につきましては、これは参考人を責めるわけに参らない問題でございますから、あとでこの委員会でもって取り上げてみたいというふうに考えます。その点については質問を打ち切りたいと思います。
 それからあと、これ原子力研究所の当事者として御意見があるのじゃないかと思う点が二つばかりあるのです。その一つは、たとえば放射線化学中央研究所というものを設置する、あるいは今度アイソトープ・センターというものをつくるというようなことは、原子力委員会でも政治的な折衝で場所をきめるということを行なっておる。あるいはその組織の上の問題でも、ほとんど原研の当時者の意見が入っておらないのじゃないかというような感じをわれわれとして受けざるを得ないわけです。放射線化学中央研究所それ自体の問題はもう済んだ話でございますけれども、このアイソトープ・センターなんかにおきましても、仄聞するところによると、原研から離してしまう、そして別な機構でやるというふうなことにいたしますと、はたして運営がうまくいくかどうかというような不安が出てくるわけであります。こういう点について、原研の責任者の立場として一体どういうふうにお考えになっているか。これはやはり原研の考え方というものが十分に取り入れられたような格好になっておるかどうかという点について、一つ御意見を伺いたい。
#15
○菊池参考人 放射線化学中央研究所の敷地の問題につきましては、研究所といたしましては、二候補地について両者甲乙つけがたいのできめていただこうということになりまして、きめていただいたので、これは問題はございません。
 アイソトープ・センターの問題につきましては、これは正直に申し上げましていろいろ問題がございまして、私もその案ができます段階でその話を聞きまして、相当いろいろ原子力局の方に意見を申しました。それで、現段階での案がどうかという問題になりますが、現段階での案は、私が最初伺ったものよりも多少消極的な案になっているかと思います。これにつきまして、原研に関する問題としては、現在のところまだほんとうのところで最終的に原子力局との間に話ができ上がっておりません。これは島村局長が帰ってこられて、その上でまたさらにいろいろお話をしなければならない面が多少残っております。しかし、大体の筋道においては了解はついてきつつあるというふうに考えております。
#16
○石川委員 アイソトープ・センターのことにつきましては、組織的に一部原研から分離するような方向にいくのじゃないかという感じを持っておるのであります。これはやはり何といっても、現在集中的に国家的な研究機関が存在をしておるので、原研から分離するということは、私はちょっととるべきじゃないのじゃないかという意見を持っております。この点につきましても、この場で結論を出すという問題じゃございませんから、これはあとまわしにしたいと思います。
 最後に一つ、菊池参考人が申されておりますように、処遇の問題で現在茨城県の地労委に提訴をされておる。不当労働行為というふうなことで取り上げられておるという問題については、これは実は私よくわかりませんけれども、中山あっせん案というものが昭和三十五年に出たときに、公務員と、事務系については二割、あるいは技術系については三割の差をつけるというようなことで、一応原研の従業員の給与の基準というものがきめられたわけです。事実そのころは大体そのような考え方でおったのが、だんだんベース・アップをやるに従って、その格差というとおかしいのですが、中山あっせん案が示した基準というものが縮まってきておるということが、従業員一人々々に聞きましても非常な不満のように私は感じ取るのです。これは組合の意見ということではなくて、従業員の一人々々の感じ方というものが、原研というものは、そういうふうに特殊の待遇をしてもらえるという誇りを持っておったのが、だんだん詰まってきた、こういうような不満がほうはいとしてあるように受け取れるわけです。
 そこでお伺いしたいのですけれども、中山あっせん案、それからそのあとの藤林あっせん案――なくなられた中労委の藤林会長があっせん案を示されたときに、いろいろ書いてあります。それには、民間の企業と同じように団体交渉権を所側としては持っておる、しかしながら、決定権は少しもないというようなことで、非常に特殊なことになっておる。これは化労協だけでなくて、政労協という労働組合それ自体が同じような悩みを持っておるわけであります。所側として、とことんまで局に対して言いたいことがあるのだけれども、やはり局の方あるいは大蔵省の方の壁に突き当たって、はね返って対立をしてしまう、団体交渉というものは途中で打ち切ってしまう。そういう態度に出ざるを得ないというような所備の苦しい立場というものも、われわれはわかることはわかる。しかし、これは何とかして打開しなければ、いつまでたっても同じ問題が繰り返されるのじゃないか。ことに原研の問題については、毎年そういう問題が繰り返されているという点について、われわれも日本の原子力のメッカとしての原子力研究体制を前進させるという意味からも遺憾なことで、これは組合の立場に立つとか理事者の立場に立つということを離れまして、何とか根本的に打開をしなければいけないというふうに考えざるを得ないわけであります。その点について、何か理事長としてお考えがあれば、一つ聞かしていただきたい。あるいは組合の方としても、その点について意見を聞かしてもらいたい、こう考えるわけであります。
#17
○菊池参考人 この点は、一番われわれとしても苦しんでおる点でございまして、私は、原子力委員会あたりで原研の給与の水準というものをこうするのだということをはっきり示して下さいますことが一番この問題をはっきりさせる一つの道だと考えております。
#18
○角田参考人 ただいまの問題は、具体的に申しますと、昨年の暮れに中央労働委員会に、これは所側も同意いたしまして、組合としてはあっせん依頼を申し立てたわけであります。それに対して、中央労働委員会からあっせん案が示されたけれども、いろいろな事情があって一これが実施できない。団体交渉におきまして、結局最後には組合の要求そのものは不当とは思わない――組合の要求と申しますのは、あっせん案を受諾いたしましてそれを実施してくれ、こういう要求であったわけです。しかし、予算に縛られておるから、原資総額のみならず、その配分についても原研には決定権がないのだという表現で、これ以上団交を続けてもちょっと無意味になるということで、団交が拒否されたというふうな経過になったわけであります。われわれがこれを茨城地労委に不当労働行為として訴えざるを得なかった理由と申しますのは、これは単に中労委のあっせん案と所側の最終回答案との差額をさかのぼってやってくれ、こういうことを技術的に申しているのではなくて、ただ今後とも予想される経営の自主権あるいは決定権、こういうふうなものが使用者にないという現状で、はたして今後いいであろうかという問題点、これを解明したかったことが一つ。
 それから第二番目に、監督官庁の意思によって団交が拒否される、つまり政府の方の不当労働行為意思というふうな問題にも何か関連するのかもしれませんが、そういうふうな監督官庁の意思により団交が拒否されるといった場合、あるいはその結果労使問題が使用者の一方的意思で実施されるという場合、組合は一体今後だれに抗議すればいいかという問題が起こってきているわけです。これは今後も起こってきそうな事態になっているわけです。さらに中労委という政府機関のあっせんを監督官庁という政府自身が実施できないというふうな状態は一体どうなのか。それから、そういうふうな諸問題が、これは単に原研だけでなくて、現在存在しております。各地方に科学技術振興の目的で今後どんどん設立されていく多くの特殊法人の間で、設立の最初に問題になります弾力的な運営、こういうふうなことを妨げる問題として現われてくるのじゃないか、こういうふうな点で、やはりこの問題も抜本的な解決というふうなものが必要じゃないか。
 この際組合が主張しておりますのは、大事なことは、やはり原研設立の精神に戻ることである。それは官僚的な運用でなく、弾力的な運用をほんとうに実施させる保証がほしいということであります。
 二番目に、待遇の面、人間を大切にせよということを声を大にして言いたいのであります。これは先ほどの運転員の養成の面でも触れた通りでございます。そのためには、給与水準の向上ということに対して、施設の購入とか契約更新とか、そういうふうなことでどんどん金が要るわけですが、そういう方面へだけ惜しみなく金を使うのじゃなくて、人間を大切にする、人間の可能性をフルに活用するという方面で、待遇のことを大胆に考えていただきたい。そういうふうな点をわれわれはこの問題に関して非常に強く感じ、主張したいと思う点でございます。
#19
○石川委員 時間がありませんから、残念ながらこれで質問を打ち切りますけれども、今の不当労働行為ということ自体は、現実の問題とすれば、予算単価をもとにして給与ベース・アップの二千百五十円を二千九十九円に引き直したという問題に端を発しているわけです。これは、中労委の見解としては、明らかに実行単価にプラス給与ベース・アップということで回答が、あっせん案が出たわけです。それが予算単価というふうなことで――おそらくこれは所側としても、予算単価ではなくて現実の賃金ベースの上に上積みするのだというふうにお考えになっておった。ところが、局の方では、どうしてもそれを承知しないというふうなことで、所側では不本意ながら、どこまでいっても話がわからぬということで団体交渉を打ち切らざるを得なかったというふうな立場に追い込まれたのじゃないかというふうに思います。その点は、基本的には原研を含めての研究員の処遇というものを日本全体の政治それ自体で考えなければならぬという問題がありますけれども、現実の問題としての原研の対策としては、局あるいは大蔵省あたりが、弾力的に、組合の考えているような考え方でもって対処しなければ、人材をほとんど得られないのではないか。運転要員の問題でも、非常にたくさん問題が出ているようでございますけれども、このままでは、同じような問題をいつまでも繰り返して、そのことがひいては日本の原子力研究の発展というものを非常に阻害しているガンになっているのではないかというふうに考えざるを得ないわけです。この問題につきましては、いずれあらためてこの委員会でも取り上げます。それから、これは基本的に政労協といいますか、公団とか特殊法人とか、こういう問題全体につながる問題にも発展をせざるを得ないという意味で、社会労働委員会あたりでも、この限本的な問題の解明ということを考えなくてはいかぬ。中労委でもこのことについては非常に強く要望しております。そのことを取り上げるということにしなければ、この問題の解決はないのじゃないかというように考えます。この点については、そういうことで今後われわれとしても努力したいということを申し添えまして、そのほかお伺いしたいことはたくさんあるわけでございますけれども、あといろいろ議題があるようでございますから、一応私の質問はこれで終わります。
#20
○寺島委員長 山口鶴男君。
#21
○山口(鶴)委員 二つばかり簡単にお尋ねしたいと思うのです。
 まず第一は、原研の当事者が中労委のあっせん案とか、あるいは理事長の諮問機関としておつくりになられました予防補償委員会ですか、そういったいろいろな機関をどうお考えになっておりますか、この点お尋ねいたしたいのであります。理事長さんの先ほどのお話では、とにかく原子力関係の労使問題というのは、前例がなくて、これから新しい問題として一々判断をしていかなければならぬ問題だ、こういうことを言われました。確かに私はその通りだと思うのです。そういった前例のない新しい問題を解決していくということになりますならば、私は、当然原子力関係の知識、学識を十分お持ちの方、そしてまた現にその作業に従事しておられる方、こういう方々の意見というものを十分くみ上げる中で判断していくほかに方法はないと思う。そういたしますと、私は技術的なことはよくわかりませんから、許容線量の問題云々ということについて具体的にお尋ねしようとは思いませんけれども、とにかく理事長さんの諮問機関である予防補償委員会というものが全会一致で一つ考え方をお出しになった。とするならば、当然理事長さんもそれにお従いになってやっていくということが常識的な筋目ではないか。また、そうすることが労使関係等を円満に解決していく問題ではないかというふうに私は思うわけです。この点は所側としては一体どうお考えなのですか。
#22
○菊池参考人 予防補償委員会の答申に対しましてその通りにできないということは、それを表明いたしますときにも申しましたのですが、今申されましたような、そういった意味での諮問機関に諮問しながら、その答申に従い得なかったということは非常に残念だと思っております。しかし、私としましては、やはりどうしても――それは諮問機関でありますから、尊重しなければいけないことは十分わかっておりますが、あの場合には、許容線量以下の問題につきまして、私としてはこれはやはりどうしても従い得ない、従うのがほんとうでないという信念であの通りにできなかったわけであります。これは大へんに残念な事態だったというふうに思っております。
#23
○山口(鶴)委員 今理事長さんの御答弁をお伺いしたわけですが、私は、理事長さんの御答弁の中から、お言葉とは別に何か特殊な事情があったのじゃないだろうかというようなことを、御答弁の様子から推察せざるを得ないのであります。理事長さんは、申すまでもなく日本における原子物理学の最高権威の方であります。従いまして、理事長さんが諮問機関をおつくりになって答申が出る。――よく政府は、諮問機関をつくって答申を求めて、答申が出てくると従わぬということをやりますけれども、理事長さんの場合は、そういうような意図はなかったと私は思うのです。従って、私は、理事長さんのお言葉はありますけれども、何か理事長さんをしてその答申に従わせしめざるような事情があったような気がいたすのであります。私は、そのことは、本年にかけて問題になりました中労委のあっせん案をめぐる問題にも、当然それがそうなって出てきておるのじゃないかと思います。予算単価であるとか、あるいは実行単価であるとかいうようなきわめて末梢的な問題を取り上げて、しかも、中労委あっせん案に全面的に応じがたいというような態度をおとりになり、しかも組合側の団体交渉の再開の要求を拒否して一方的に実施をするというようなことは、私は原研の理事者としては、そういうことをしたくなかったのではないかというふうに思います。問題は、放射線手当の問題にしろ、それからいわゆる賃金の問題にしろ、結局原研の今の置かれた機構というものが、先ほど石川委員からも御指摘がありましたように、原子力局であるとかあるいは大蔵省であるとか、いわゆる外部の管理体制といいますか、そういうものの意向によって、本来そういうことはやるべきことではないのだけれども、やむを得ずやる、そういうような形が残念ながら出ているのではないかと推察せざるを得ません。
 そこで、お尋ねをいたしたいと思います。実は藤林あっせん案をめぐる紛争がございましたときに、原研の組合の方々と、当時の科学技術庁の長官でございました三木大臣とお会いをいたしまして、一体こういうような機構でいいと思うのかと言いましたら、大臣としても、日本の科学技術振興の上から言って全く遺憾である。従って、原研の団体交渉の当事者としての、経営者としての自主性を確立するという方向に努力しなければならぬ、こういうような見解を表明されました。そういう点について菊地さんにお尋ねをいたすのであります。今後また給与改定等の問題があると思いますが、昨年と同じように所側としては、そう思ってはいないけれども、いろいろ大蔵省等の締めつけがあるので云々とか、あるいは組合の方が言われましたように、いわゆる監督官庁の意思によって団体交渉を拒否するとか、こういうようなことは今後はしないでできる、こういう御決意がございますか。この点を一つお聞かせいただきたいと思います。
#24
○菊池参考人 今お話がありました放射線手当の委員会の答申に対して、私がそれを実行しなかったということに対して、何か外から圧力があったのじゃないかというお話がございましたけれども、これは実際別に圧力はございません。私自身の考えで、許容線量下の被曝ということに関してはそういうことを考えるべきでないという考え方でありまして、これは確かにもしその考え方が悪ければ、私の責任でございます。これは外から何もそういうことを言われたわけではございません。
 今後の給与問題でございますけれども、原研の給与というものは、よければよいほばいいのでありますけれども、これは原研だけがいいということは、決して科学技術振興のためでない。どうしてもこれは社会全般的な面から見てこの辺ということをきめていただかなければ困る。それは当事者の判断が必ずしもいいかどうかということには疑問があると私は思うのです。日本全体の立場から見て、原子力のそういったものの給与を、どういうふうなところへ置こうかということ、これはやはり政策としてはっきり打ち出していただきたいというのが私の希望なんです。ですから、そういう意味で、政府がはっきり政策を出していただきたいということを強く希望するわけであります。この前のベース・アップのときに伺ったことは、政策として、政府関係の公社、公団並みで、しかも実際にはそれよりかなり上位なところにある。それで、当時としては、政府と申しますか、局としてはそういう考え方できめられたわけであります。そういうものが、ほんとうに国策としてオーソライズされるものならば、そういう線で私もやっていきたいと思います。しかし、もし原子力というものがもっと非常に特殊なものと考えて、給与をほかよりずっとよくしようという政策をとられるならばとられるで、その点をはっきりされた上でやっていただければ非常にやりやすくなる。そこはやはり当事者の希望だけでは決して事はきまりませんものですから、国の政策としてそういうものをどう取り上げるかということをきめていただくのが、一番大切だと私は思います。
#25
○山口(鶴)委員 放射線手当の問題については、私の推測が違う、こういうお話でありますが、それならばみずから諮問機関をおつくりになって御諮問されて、それをやはり無視するということは私はどうかと思うのですよ。そういうことでありますならば、今後の諮問機関に対する理事長さんの御態度をお伺いしていかなければならぬと思うのです。
 それから、次に続けてお尋ねをいたしたいと思うのであります。私は原研は、国の機関でもなければ、公社でもなければ、公団でもないと思うのです。特殊法人でしょう。とにかく原研というものの性格等を考えて、そういう形で設立をされたと、私は当時のことはよく知りませんが、聞いておるわけであります。もちろんそうだとはいうものの、国の予算を大幅に受け入れてやっているという点で、原子力局なりあるいは大蔵省という監督官庁のいろいろ制約があることは、これは事実でありましょう。ただ問題は、私はその場合の原研理事長の心がまえだと思うのです。国がこういう施策でこう言ってくるから、まあまあその通りにしようというような、公社、公団並み、こういうようなお考え方ではなくて、また原子力委員会に、あるべき給与体系については考えてくれ、こういうような何か受動的なお考え方ではなくて、やはり原研の理事長としては、給与体系はこうあるべきなんだという考え方を所内として確立すべきではないですか。それからまた、団体交渉あるいはいろいろな紛争の処理にあたりましても、やはり原研の当局としては一応自主性を持ってこういう考え方を持つのだということを明確にされて、また政府なり大蔵省なりに対処をされる、こういうことでなくては、私は話は逆じゃないかと思います。そういったお考え方についても、御意見のほどをお聞かせを願いたいと思うわけであります。
#26
○菊池参考人 われわれとして、いろいろ考え方はございます。それにつきましては、ふだんから原子力委員会とはしょっちゅう話しております。そういう政策を出していただくについて、こういうふうにしていただきたいとか、ああいうふうにしていただきたいということは、十分申し上げたいと思っております。それを十分申し上げた上できめていただきたいということであって、決して受動的に、ただきめていただけばいいというふうに考えておるわけではありません。そういう意味の御意見でありましたら、今後も十分申し上げるつもりでおります。
#27
○山口(鶴)委員 前段のお答えがなかったのでありまして、それをお尋ねいたしたいと思うのですが、今後の理事長さんとしての諮問機関に対する態度をお聞かせいただきたいと思います。あとこの問題につきましては、前の三木大臣当時、給与体系のあるべき姿等については科学技術庁としても真剣に取り扱うというようなお話が、かつてあったわけでありまして、この点につきましてはまた場をかりまして、当委員会が協議いたしたいと思います。
#28
○寺島委員長 岡良一君。
#29
○岡委員 一問だけお尋ねをいたします。原子力研究所は、原子力委員会のつくった計画に基づいてこれを実施に移し、そのための実施計画も立てて努力をしておる。ところが、毎年といってもいいくらいに、理事者と組合側に紛争が起こっておる。これはわれわれ委員会としても、非常に国民に申しわけがないと思っております。それほど私どもは、原子力研究の成果というものには大きな期待を持ち、またそこに働いておられる方々に愛着を持っております。そこで、今も参考人から意見がありましたが、もうそろそろ原子力研究所もいわば創業の域から本格的な活動の域に入ってきておる。この際、なぜこういうことが起こるのか、なぜ理事者と組合との間にこのような紛争が繰り返されなければならぬのか、その根本のいわば本質的な理由を突きとめて、勇断を持って改むべきものは改める必要がある。たとえばその組織なり、あるいは人事の問題なり、給与体系なり、いわば総体的な運営について、具体的になぜこういうことが起こるかということを突きとめるべきだ。そうして、それに対する適当な対策を立てるということ、その御用意があるのかどうか。これは原子力委員会としても当然大きな責任問題だと私は思うのだが、どういう御方針でおられるか、まずそれを伺いたいと思います。
#30
○西村説明員 近藤委員長も、石川委員長代理も御欠席でございますので、私からかわりまして答弁申し上げます。
 委員会といたしましても、原子力研究所の理事者、労組側の関係の現状については大へん心配いたしております。大へん心配いたしますのは、現在のように毎年、年中行事として争議が行なわれ、その争議の形式がストライキというような方式をとるようなことになりますことは、所に対する信頼、信用というものをそこないます。ことしの夏の前、外国から訪問されたその国の原子力行政最高機関者が東海村を訪問されたあと、委員会に来られまして、世界で初めて原子力研究所におけるストライキというものを見てきましたと、笑ってわれわれに話されましたような事柄もございまして、委員会としては、現在のような状況が続くということはまことに遺憾である、こう心配いたしておるところであります。
 しかし、委員会といたしましては、原研の現状がよってくるところはよくわかっているつもりでございまして、その原因は二つあると思います。今日御発言いただきました諸先生の皆様がおっしゃいました通り、所自体の立場、ステータスがいわゆる特殊法人でございまして、企業体における労使の関係に以たものとして労働法制上は取り扱われている。中労委の管轄のもとに属しておりますが、他面、経理の面は、年間一億前後の民間資金が投資されておりまするけれども、ほとんど大部分は国家の予算、国民の税金をもってまかなわれておる。従って、研究所の年間の財政経理は厳重に財務当局の承認、それから監督を受ける。いわば国家予算の一部をなしている。こう申してもいいと思うわけでございます。さようでございまするから、実は労使という関係を所に持ってくること自体が間違っていると思いますが、便宜でございますから、労使関係と、こう申しましょう。労使間の交渉の結果、妥当と思われる結論が出、その結論を実施いたそうとしましても、また実施されるように委員会としては配慮しているわけでございますが、委員会としては絶えず研究所の理事側に立つわけでございまして、決して財務当局の側には立っていないということを御了承願いたい、こう思います。しかし、努力いたしまして、国家財政の見地から、予算からはこの程度しか出せないということになりますれば、その以後は、理事者、また従って労組の方々に対しても、この限度内において円満に実施するように努力してもらいたい、こういう立場をとらざるを得ないことになっております。でございまするから、理事者の側におきましても、また労組の側におきましても、はなはだ委員会並びに原子力局の態度についてあきたらないようなお感じをお持ちになっているかと思いますが、これは申し上げましたような所自体のあり方の問題に関連する問題でございまして、現状のもとでは回避できない問題だ、こう考えております。
 第二の困難な問題は、これまた今日諸先生から取り上げられましたいわゆる放射線手当というような原委力研究開発に伴う特殊な新しい問題、これに対して適当な手を打たなければならないという問題が起こっております。いろいろその問題について所内でつくられました特別委員会の報告、答申、理事長の御意見その他は、委員会としては全部よく承知申し上げております。でございますから、昨年の秋からその問題をどういうふうに取り扱えばいいかということを懇談会という形式で審議していただきまして、学識経験者を中心にいたしまして問題の所在点をはっきりさしていただき、解決の方向を示し得るものについては示していただき、なお今後深く堀り下げて、そして結論に到達すべき事項はこういう性質のものであるということを指摘していただきまして、ことしの六月に報告をちょうだいいたしましたから、いよいよ本格的に原子力事業従業員災害補償専門部会を設けまして、同専門部会で根本的な結論を出していただき、それができましたら、その上に立ちましてそれが実現できるように委員会としては努力する所存でございます。
 私の答弁は、第二の問題については委員会の運びというものを具体的に御答弁申し上げたということになりますが、第一の問題、わかりやすく言えば、いわゆる賃金――賃金という言葉を使うのは、はなはだ不本意でございますが、要するに賃金制度の問題、この問題は先生御指摘の通り、まことに所それ自体のあり方と関連する問題でございまして、現状を打開するためには、その点を根本的に考え直し、結論を得る必要があるということは、委員会全部そう考えておるのであります。今日は委員長、委員長代理もこの席にお見えになりませんが、帰りまして十分先生の御意向も伝え、また委員会内部におきましてよく考えてみたいと思います。
 一応答弁申し上げます。
#31
○岡委員 それは御答弁になっておらない。なぜ日本原子力研究所を特殊法人にしたか。この問題がこの委員会で議論されたときに、やはりできるだけすぐれた研究者を集めたい、しかし研究者に対する処遇は日本の現実においては非常に低い。であるから、これは公務員の給与体系に縛られない形で、できるだけすぐれた人を集めるには特殊法人が最適であろうというのが、原研を特殊法人にして発足せしめた一つの大きな理由になっておる。であるから、その立場から原子力委員会は原子力研究所の給与体系に対しては当然責任を持って、やはり納得のいく給与体系をつくらなければいかぬ。それが、あしたに一城を抜かれ、ゆうべに一城を抜かれるようなスロー・ダウンになっておることを見のがしておるということは、原子力研究所発足当時におけるわれわれの主張を無視しておると言わなければならない。そういう点について、今の理事者の方からも、あるいはまた組合側の参考意見としても、この問題がやはり指摘されておるのであるが、原子力委員会としてはきぜんとして――あなた方は原子力予算の配分というものを権限として持っておるのだ。原子力予算の配分というものは、施設の配分じゃない。人の配分だ。りっぱな人をつくるということ、それが特に日本の現段階では私は必要だと思う。そういう意味で、来たるべき原子力委員会ではこの問題をどう処理しようとするのか。この点明確な委員会の御方針を一つ御報告願いたいと思います。
 いま一つお聞きすると、原子力従業員の災害について専門部会をつくられたという話であるが、これは実は昨年の五月原子力損害の賠償に関する法律についての附帯決議で明確にうたっておる。こういう問題が起こるかと思って、われわれは念を入れてこの附帯決議ではっきりうたっておるわけです。「原子力事業者の従業員の業務上受けた災害に対しては、労働者災害補償保険法の適用のほか、原子力損害の特殊性にかんがみ、必要に応じ、別途被害者の保護に遺憾なきよう立法その他の措置を講ずべきである。」ということはうたってある。それが一年半もたってから、やおらみこしを上げられるなどということは、実にテンポがおそ過ぎる。これは危険手当とか、あるいはそのほかいろいろな御主張がございましたが、そういうものも前提としてこれは解決されておらぬ。これがおくれておる。一体これは来たるべき国会に出されるつもりなのかどうか。やおらみこしを上げて懇談会のようなものを、専門部会のようなものをつくられて、一体いつまでにこれをつくられようとするのか。次の国会に出される決意を持って専門部会をつくられたのかどうか。その点もこの際承っておきたい。
#32
○西村説明員 第一の御要望、委員会の方針を報告するようにとの点は、後刻適当な時期に委員会として御報告申し上げる、こういうことにすることに御了承願いたいと思います。
 第二は、専門部会を設けた、それから出る結論をいつごろ実施する見込みであるかどうかの御質問だと了解いたします。諮問事項をごらんいただけばわかりますように、中には比較的容易に結論が出る事項もございます。あるものにつきましては、なかなか現段階においてははっきりした結論が出しにくい事項もございます。委員会の気持は、三十八年度の予算の問題はもうすでに過ぎましたので、委員会から具体的な答申がございますれば、三十九年度の予算に所要の措置がとれるような段階において出ますれば、そのときは三十九年度の予算に必要な措置をとろう。もしまた新たなる立法措置が必要であるとの御結論が出るとすれば、その結論に達したときに、むろん立案その他の問題がございますから、何年度の国会あたりに提出できましょうということは、現段階では御答弁申し上げかねる段階でございます。
#33
○岡委員 この諮問された事項は、健康管理に関する事項が五項目ある。認定に関する事項が三項目、補償に関する事項が二項目、その他法律上の問題に関する事項がある。この中で、これは私ども若干医者という立場から見まして、むずかしい問題は少ししかない。あとは大体常識でわかる問題だ、そんなものにひまがかかるはずがないと思う。であるから、これもすみやかに原子力委員会として結論を出してもらいたい。前段の御報告と、その結論は急いでいただきたい、このことを要求して、私は質問を終わります。
#34
○寺島委員長 松本一郎君。
#35
○松本(一)委員 時間がないですから、簡単に申し上げます。
 菊池さん、長らく御尽力いただいて感謝いたします。また角田さんも、労働組合運動を通じて職員の待遇改善にお骨折りでございまして、御礼を申し上げます。
 私も、今ごろまだ東海村で原子力研究所の職員の争議がしばしば起こるということは、非常に残念です。これは何たることかという気がしてなりません。今日菊池さんや、また角田さんのお話も承りましたが、私はこれはまず根本的に何か欠けておるものがあるのじゃないかという気がいたしました。ここでお尋ねしたいのは、菊池さんの方の理事者側においても、また原子力委員会側においても、大事なものが一つ二つ忘れられておりはせぬかと思う。それと一般行政も、これは事東海村原子力研究に関しては、私は非常に貧困だと思います。だから、こういうことをいまなお毎々繰り返す。ことに国民一般としては、こと東海村で争議が起こるということは、全く事が事だけに、事業が事業だけに非常に心配をいたすのであります。ですから、こういう面からお尋ねをしたいと思うのです。
 いわゆる労働問題のよってきたるものは何かというと、簡単なんです。一つには待遇改善の問題、一つには安全装置の問題。しかし安全装置の問題は、できるだけ装置も完備されておるしいたしますが、結局角田君のお話を聞けば、従業員とても誠心誠意安全を守るということには熱意を持っておるといわれた、これは当然のことです。従業員諸君が手落ち、かりそめのあやまちを犯せば非常に危険な状態になるというのですから、これは人間として、相当教養ある人として当然のことだと思います。その問題はさておいて、一番大切な待遇改善の問題がこれを菊池さんは公団あるいは公社などの例をとられたり、また政府の一般技術者の待遇改善とにらみ合わせておられるということです。これは私は菊池さんとしては、いわゆる理事長としてはどうかと思います。理事長としては原研に関する待遇改善ということのみを考えたらいいと思う。他の一般のいわゆる技術者の処遇の問題ということは、これは大きく政治でやります。この意味において、私は、菊池さんは千四百人の従業員の立場で考えればいい。また東海村がこのように不便なところで、何ら娯楽施設もなし、言いかえれば一つの島流しみたいなものです。そういうところに勤務する者と、交通利便な、娯楽その他の施設のあるところに勤務する者、もとより青年が大部分ですし、ことに独身者も多数おる。その心理を思ったとき、現状の東海村の原研従業員は、普通の公務員よりも少なくとも三〇%なら三〇%上げる。そのうちでも技術者としからざる者とありましょうから、技術者は特に二〇%さらに上げるというようなことを明確にして、予算を要求されるということにされたら、こんな問題はそう起ってこないと思います。また東京の本社に百二、三十人お見えになるそうですか、これはどちらかといえば非現業ですから普通に扱うたらいいのです。予算をお持ちになると、非現業も現業も、あなたの方はそうじゃないですけれども、よく十ぱ一からげにやる役所があります。国鉄などはそのいい例です。ですから、現業関係はおもしろくない、勤務成績も落ちるというのは、これは当然なのです。だから、非現業に浅く現業に重くというような措置をとられて、この際原子力局長がどうの、大臣がどうのというておらぬで、大臣、原子力局長はもとよりですが、場合によったら大蔵省へ直接理事者がぶつかっていくというくらいに、窓口はなるほど原子力局であり、また科学技術庁でありますが、側面から一つ強硬に予算措置を要求する。しからざればもうおれはやめるというて、入れかわり立ちかわり理事者がやめて、もうだれもなり手がないということになれば、事は簡単に片づくのです。一年もかかりはせぬですよ、そのくらいのことは。
 あなたは学者としてはりっぱな方だが、理事者というものは大ぜいの人を使うのですから、なるほどお仕事の上ではエキスパートでも、人を使うということになると、これはあるいは私どもの方が上かもわからぬ。大ぜいの人からしょっちゅう札をもらっているのですから、なかなか容易なことでは札を入れてくれない、苦労します。結局こんなことは釈迦に説法ですが、私が聞いてほしいのは、要するに学者の方は頭はいいし、秀才ではありますけれども、何とはなしに欠けるものがある。何が欠けておるかというと、一口に言えば愛と慈悲です。仏教に般若経というものがあるでしょう。これは何かといえば、知恵の教えという意味です。お釈迦様が言い残して、お弟子が書き上げいものです。この知恵の教えというのは、知恵とは何かということを分析すれば、知識と愛と慈悲です。だから、知識だけ、大学だけ秀才であっても、それで知恵者とはいえないのです。結局愛と慈悲、一千四百人の従業員はわが子だ、あるいはわが子以上に人の子というものは大事なのだという気持でおやりになったら、こんなことはまことに簡単に片づいてしまうのです。私はそう思います。そういうような理事者として一番なければならぬ大事なものが、あなたといい、原子力委員会の連中といい、どうもないのではないか。何らか火をたいていればいい、これでは全く困ると思う。私は少し言い過ぎたか知りませんが、こういう意味に、先ほど来の質疑といい、あるいはお話が伺えたと思うのです。ですから、要約すれば、もう三十七年度はどうにもしようがないでしょうが、これは追加予算でもとれればけっこうでしょう。しかしそれができなければ、三十八年度の予算で、今度は島村君もおるし、大臣もおられるししますけれども、そっちはそっちで、これは大蔵省と交渉する窓口ですから、側面からあなた方がやる。特殊法人は、岡君のおっしゃった通りなのです。だから、こうしてもらわなければやれないから、争議を毎回繰り返すのはいやなんだから、してくれなければ私はおいとまをもらうからと、辞表を一括して大蔵省に交渉されたら、まあ待って下さいということになるにきまっているのです。ですから、一つそういうことをやってでも争議をなくする。従業員を納得させる。そうして、従業員がその上こうだと言うならば、これはもう仕方がない、従業員が悪いのである。しかし、従業員も責任を持つでしょうから、そんなこともあるまいと思いますので、一度一つお心がまえを、私はいやなことを申しましたが、伺っておきたいと思います。
#36
○菊池参考人 今のお話、よく反省いたしまして考えてみたいと思っております。私として今おっしゃいましたような面を普段考えていないとは思っておりませんけれども、なお今後ともよく考えてみたいと思います。
#37
○松本(一)委員 それはあなたのお人柄で、あなたから御志願なさって理事長になってもらったのではないと思う。あなたにお願いしますというようなことで、御迷惑ながらお引き受け願ったと思うのですけれども、一たん引き受けてもらった以上は、これはもう仕方がないのですから、あなたお一人じゃないでしょうが、他の理事の方ともよく御協力を願って、御相談いただいて、三十八年度予算では、しっかりと予算をとっていただきたい。私はさっき申しましたような例を引きましたが、いずれにしても、東海村の争議はもう大がいで片づけてもらいたい。このことは角田さんも、組合の執行委員長として責任をもってやってもらいたい。私は自民党だが、党派を抜きにして、そういうことを考えていますから、一つ今度これができたら、その次はこれだ、その次はこれだというように、年中行事のように闘争の種は考えないで、一つできたら国家のために協力するというような謙虚なお気持でお骨折りを願いたい、こう思います。
 一つお伺いしておきます。昨年の一月でしたか、塚本修という青年が行方不明になったということがありましたが、その後この青年は一体どうなったでしょうか。一ぺんその経過を伺っておきたい。
#38
○菊池参考人 その後何もあれはございません。そのままでございます。
#39
○松本(一)委員 迷宮入りになったままで、そのままだとおっしゃるのですか。それで生きているのか、死んでいるのか、一体日本におるのかおらぬのか。こういう点、おわかりになっておりますか。
#40
○菊池参考人 わかっておりません。
#41
○松本(一)委員 今日この科学の発達した時代に、生きているのか死んでいるのか、どこにおるのかおらぬのか、それがわからぬというようなことは、一体どうなんです。これは菊池理事長もそうですか、労働組合の執行委員長の角田君あたりはどうお考えですか。
#42
○角田参考人 実はけさここに来る前に、執行委員の話で、たまたまその話が出たわけでございます。と申しますのは、実は今CPにおる人間が、一緒に仕事をやっていたというのがその塚本君なんです。その問題については、たとえば一つ問題になりますことは、山狩りというふうな形で、みんなで手をつないで、松林からずっと海岸まで、もし死体となってあれば大へんだから探そうじゃないかというようなことを、これは自発的にその人間たちが提案しまして、形としては学校の同窓会というふうな形で行なっていったわけです。そういうふうな問題が、われわれ今でもやはり問題にしておりますけれども、ただそれだけではなくて、そのほかに自殺された方が原研関係で二人ばかりいるというふうなことについても、やはりこれは非常に大きな問題である。つまり研究意欲、そういうふうなものがなくなった場合には、研究者は死を選ばざるを得ないというふうな問題もあるであろう。こういうふうな点では、非常に大きな問題であるとは思っております。
#43
○松本(一)委員 実は待遇改善、処遇問題にからんで、私がこれを申しましたのは、先ほどの施設も大事だ、また学問の研究も大事だが、人を大事にせよという角田君のお話、これはそれにつながる問題です。ともかくあの東海村というところは、さっき申しましたように、娯楽施設、慰安施設何一つなく、しかも扱うものは絶えず理詰めの細心の注意を必要とする仕事です。そういうものに、かりに寮があり、寮の施設は十分であっても、周囲の環境としては何ら慰める機関もないというようなことを私は見て、あるいは自殺者や、あるいは逃亡者が出るのは言うまでもないと思ったのです。だから、いわゆる処遇改善といううちには、いわゆる給料の問題と、いま一つはあの付近に何らか慰安か娯楽、しかも努めて健全なものがあるべきだ。映画館ありといえども、二キロほど離れたあのいなかのみすばらしい映画館よりない。あの近くにせめていい映画館でも一つつくって、そうして東京で上映するくらいの映画を持っていく。百人や二百人ならともかく、千人以上の従業員がおるのでしょう。そういうことも私は考えられると思うのです。そうして暴利をむさぼらぬキャバレーとかカフェくらいはあるというようにせぬと、若い者の足はとまりませんよ。大体塚本君はどこへ行った、生きているか死んでいるかというようなことは、私にはわかっています。私は神様に伺ってきた。神はすべて御承知です。そういう意味から、一つどうぞ、今後はもうそういう自殺者や逃亡者の出ないこと、それと争議の起こらぬことの二つを強く菊池先生、御迷惑ですけれども、あなた理事長なんだから、他の理事の方とも御相談願って、そうしてお考え願いたい、こう思います。これで終わります。
#44
○寺島委員長 ただいまの質疑に関連いたしまして、齋藤憲三君から発言を求められております。齋藤憲三君。
#45
○齋藤(憲)委員 簡単に一点だけお伺いいたしておきます。きょうは原子力基本法並びに原子力関係法案の最初の起案執筆者の菅田理事も見えておるのでありますが、私の考えておりますことは、法治国家において一番大切なことは、立法精神がなくなった場合における法の存在であります。われわれが原子力に関する諸法案を与野党一致の形で起草いたしましたときの立法精神というものは、原子力の実体を把握して、それから人生観、国家観、世界観を築き上げるということにあったわけであります。それがいつとはなしに、どうも茶番化されたといっては語弊がありますけれども、そういう本筋をそれて、何か常住茶飯事的な問題と混同された原子力体制になっているのではないか。一体原子力ほど人類社会を徹底的に革命に追い込むものはないということは、これはもう少しくその道の知識のある者はわかるわけであります。こういう点から、原子力委員会をつくり、原子力研究所をつくり、あらゆる機関というものを創定して、将来の日本のあり方というものは、世界の進運に劣らないようにやらなければいけないというのがわれわれ国会において原子力の問題に取り組んだ考え方なんであります。
 ところが、そういう点から私はいろいろ今御質問申し上げるというのではないのです。そういうことをやりますと、また大へん問題がむずかしくなって、時間が長くなりますから、そういう点は一切省きます。ただ、ここでどうしても私がふに落ちないことは、過去十年になんなんとする間に、何回となく原子力に携わる人材の養成という点で、原子力研究所がこれを受け持ってやるべきではないか、これは何回も私は質問しているのです。そういうことができないはずはないじゃないか、原子力委員会は一体どう考えているのか。そうすると、よう考えて、相談してお返事いたしますということで、いつ返事がくるかと思うと返事がこない。政務次官も御承知の通り、原子力委員会は、これは秘密会議じゃないだろうけれども、他人があそこへ出席していろいろな論議を聞くわけにいかない委員会のようです。どういう中で相談されているか、われわれさっぱりわからぬが、何回も質問すると、いやお説ごもっともで、よく相談してお返事いたしますというのだが、原子力研究所では人材養成の熱意もなければ、その実現もさっぱり現われてこないわけであります。私は一体、原子力の世界というものは、原子力というものを中核とした立場における人生観、国家観、世界観というものを打ち立てる人をつくらなければ、原子力のほんとうの平和推進というものはできないのではないかと思う。原子力を片手間に学校で勉強してきて、そして原子力の世界に入る方が自分の生活にイージー・ゴーイングであるか、化学繊維の分野に入る方が自分の生活にプラスになるかという教育を受けてきた者か、ほんとうに人類社会に大革命を及ぼすところの原子力の世界に人材として登用されるということは、これはできないのではないか。欧米諸国においては、やはり原子力を中心とした人世観、世界観を持った人が原子力の問題に取り組んで、一生の仕事としてこれに全身全盛を打ち込むところに原子力の世界が推進するのだと思っております。どうも、それを何回となくこの委員会において私は質問するけれども、今日になってもさっぱり原子力研究所を中心とした人材養成の実というものがあがらないから、そこに「JRR2運転員の実態」に所内、所外の教育訓練を受けた人が〇、〇、〇、〇人と書いてあるような事態が出てくるのではないかと私は思うのです。しかし、こういうことがなくても、きのうのテレビにはもうCP5が一万キロワットの限界にまで達したといってみんな喜んでおる。実態の進みというものは、こういう問題とは切り離されて進んでいるかもしれないけれども、本質論から日本の原子力平和利用の実態というものを見ますと、常にわれわれの考えておるがごとき精神を体した人材養成の実現というものは、もう何もないのではないか、こう思うのであります。これは私は研究所長の責任じゃないのではないかと思うのです、政府並びに原子力委員会の責任じゃないかと思う。特に原子力委員会の責任ではないかと思う。
 私は何回も原子力委員会に要請し、そしてその結論を早く表明すべきことを何回となくやったけれども、一つも返事がない。返事がないということは、むろん法律によって原子力委員会が制定されて、そして自分たちが委員になってしまえば、いわゆる原子力委員会の設置に対するところの立法精神というものは一つも考えていないのではないかという疑問さえ私は浮かんでくる。だから、岡委員のような根本的な質問が出てくる。もうこの辺でもってやり直さなければ、とてもだめじゃないかという考え方が出てくるわけであります。居眠りか本眠りかわからないような状態に見えるというような世評を受けるというと、原子力委員会をつくったわれわれが国民から責められているという形になってくるわけであります。それで今ゼロ、ゼロ、ゼロというのを見て非常に驚いた。ああいうような人材養成の状態において、はたして将来の原子力平和利用というものを強力に推進し得るものかどうか。これはどこに責任があるかわからないが、私の考え方では、これは責任があるのはむしろ原子力委員会だ。だから、もう一ぺんここで御質問を申し上げます。早くこの問題に対して明確な答弁を願いたい。きょうは委員長もおらぬしするからできないと思いますが、お帰りになりまして、すぐ御相談申し上げて、原子力研究所を中心として、どうして原子力平和利用に従事する人材の養成をやらないのか、これは一つさっそくに御相談の上、次の機会に明快なる御答弁をお願いしたい。これだけです。
#46
○寺島委員長 両参考人にごあいさつを申し上げます。
 長時間にわたり本委員会の調査に御協力下さいまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして私より厚く御礼を申し上げます。
     ――――◇―――――
#47
○寺島委員長 この際、ウラン鉱開発について赤澤正道君より発言を求められております。これを許します。
 なお、参考人として原子力燃料公社理事三沢英勝君が出席されておりますから、念のため申し添えます。赤澤正道君。
#48
○赤澤委員 西村先生には、ちょっと悪いのですけれども、もう少し……。きょうは、はからずも原子力委員会総攻撃という形になったのですけれども、たまたまきょうは貧乏くじを引いて西村さんが出ておるけれども、やむを得ないわけですから……。
 この前の国会の終末に、国内のウラン開発促進について、野党の委員諸君とも協議をいたしまして、一つの決議をいたしたわけであります。政府も努力することを確約されたわけです。その後見ておりますと、一向努力なさっているような跡が見えないわけでございます。ところが、承るところによると、近く原子力委員並びに原燃公社の幹部の方々が現地へお見えになるということですが、西村さんいらっしゃいますか。
#49
○西村説明員 はい。
#50
○赤澤委員 原子力委員会攻撃になるようですけれども、どうも原子力委員会は昼寝しているのじゃないかという下馬評さえある。単に昼寝でも、だいぶ深い眠りじゃないかという悪評さえ実はあるのです。というのは、ここで取り上げます問題を、もっとてきぱきと答弁し、解決していただかないから、こういうことになると思うのです。
 国内産のウランですけれども、これは世界のレベルからいって貧鉱であることは間違いないし、これを開発するとなればコストもなかなか安くはないということは承知です。しかし、世界のウラン鉱の中にあってこの国内原料をいかに価値づけるかということについて、十分な腹がまえが原子力委員会にあるかどうかということは、私ども、はなはだ残念ながら疑わしいと思う。将来、国営でやるか民営移管で開発するかということについても、まだ腹がきまっておりませんし、また、開発に着手いたしましてから十年に近い歳月を経ている。毎年々々巨額の予算を要求し、しかも十分に大蔵省の理解が得られないで、いい結果を見ておらぬわけです。たまたま予算期を迎えておるわけです。迎えておることがわかっておるから、この前も特にこういう決議さえしたのだが、その後皆さんの御努力に見るべきものがないということの判断で、原子力委員の方々もしばらく現地へおいでになりませんから、一ぺん見ておこうというくらいな感じでおでかけになるのか。それとも、もうここまで開発が進んだわけですから、この国内産のウランというものを一体どういう腹で開発していくか。ウランの含有量や大体の埋蔵量も見当がついておる。今度は予算要求の中でも、粗製錬の現段階として、試験設備をあそこに置くことについて一億数千万の予算要求をしておるのだけれども、どうも大蔵省は乗ってこない。といわれることは、原子力委員会自体がこのことについて十分な指導性を発揮しておられぬからじゃないかと思う。こういうことで昼寝ばかりしておられたのでは、ヘビのなま殺しみたいなことになって、現地でこの開発に打ち込んでおられる人たちは全く気抜けがすると思うのです。この点について、近く現地へおいでになったら、大体見当がつく段階になっておると思うので、今度お帰りになったら、しっかりした腹がまえ、その決意を当委員会に御発表願いたいと思うのです。三沢理事もせっかくたまたまここにおいでになったわけなのですけれども、今度は原子力委員にごらん願って、単に地元の歓待を受けて帰るということでなくて、委員会自体の決意を促すというところにまで真剣に取り組んでやっていただきたい。そうしませんと、国内原料の将来は一体どうなるのか。まるで雲をつかむようなことで、現地の者がまことにかわいそうだ。この点を十分腹に入れておいでを願いたいと思うのです。国際法の大家にこんなことを言ってもどうかとも思うのですが、原研の理事長さん、物理学の泰斗であるし こういう方々がおいでの席でこういう議論をいたしましても、どうもちょっとまずいわけです。しかし、ほんとうに岡さんの議論を聞いても、齋藤さんの議論を聞いても、一体原子力委員会なるものが寝ているのじゃないかと、簡単に言えば非常に憤激に満ちたお話もあったわけです。私たちも単に燃料問題を現在取り上げましてもそういう印象を深くするわけでございますので、ぜひそういう汚名を受けないように、これは政務次官からも委員長からも、もっと指導性を発揮なさるように一つお話しを願いたい。原子力委員会の委員長も、委員長代理の石川さんも見えておらぬから、西村さんに申し上げるのもどうかと思いますが、お帰りになりましたら、今度はそういうお考えでぜひ現地をごらんになって、けりをつけるわけにはいかぬかもしれないが、見通しくらいははっきりしてもらいたい。そういうつもりで三沢君に一つお願いいたします。
#51
○西村説明員 御質問の国産ウラン鉱の現地開発計画につきましては、原子力委員会は過般公社と十分検討を重ねました結果、公社の作成せられた計画を協議しまして、二カ年計画として三十八年度から実施に移すという方針をきめまして、予算に計上して請求中でございます。その実現に十分努力する覚悟でございますから、御了承願いたいと思います。
#52
○三沢参考人 原子力委員の先生方の現地視察につきましては、かねてたびたび親しく現地をごらんいただきまして、従来の探鉱の実情、それから開発計画、それらにつきましてよく御認識をいただいて、私どものお願いを申し上げておりまする今後の計画の進行に御理解と御尽力を願いたいと申し上げておったわけでございますが、なかなか御多忙で、その機会がなかったのでございます。しかし、今回四人の委員の先生方がそろって山を見てやろうということになりましたので、私ども現地におきまして詳しく御案内を申し上げ、百聞一見にしかずと申しますが、山の実態の御理解を得ることに努めたいと思っておる次第でございます。ただいま赤澤先生のお話の趣旨を十分体しまして、現地を御案内申し上げたい、こういうふうに存ずる次第であります。
#53
○齋藤(憲)委員 関連。原子力局はどういうお考えですか。
#54
○村田説明員 人形峠鉱山の開発につきましては、諸先生御指摘の通り、これまで燃料公社が主力を注ぎまして探鉱、採鉱試験等に努められて、御承知の通り、昨年からことしまでの一年間におきましても、ここにおきます埋蔵推定鉱量も約二、三十万トンはふえる見込みということも明らかになってきつつございます。一方、世界のウランの市場も、各国が生産過剰等のためにウラン鉱の市価はだんだん低下しておりますが、原子力委員会及び原子力局としましては、こういう世界の状況も一方では見つつ、しかし他面わが国の原子力開発利用を将来りっぱに育て上げていくために、国内にあります資源を十分に大切にし活用すべき見地から、並行的に国内の鉱石を利用しまして、去る五月八日の開発の御決議にもございますように、特に国内におきます国産原子炉に供給される燃料については、国内の鉱石あるいはそれに外国のものをまぜまして、国内で製錬してきた鉱石を使うような方向に向けていくのが一つの重要な政策であろうということから、いろいろと採鉱、製錬、さらに続きましては先々の再処理の計画も考えておるわけでございます。さしあたりまして、来年度においては、ただいま西村委員から御発言がございましたように、これまで人形峠鉱山、東郷鉱山等で行ないました採鉱試験に加え、それからまた東海製錬所において実施して参りました粗製錬、精製錬の応用試験の上に立ちまして、山元で採鉱から製錬まで一貫して行なう試験を実施しまして、そして具体的に技術の開発並びに経済性の見きわめをいたしたいということから、三十九年度の九月完成を目標に、三十八年度予算には債務負担を含めまして約二億四千万円の予算を要求して、ただいま大蔵省と折衝中の次第でございます。先ほど赤澤先生からも、見通しについてお話がございましたが、この点につきましては、原子力委員会初めわれわれ原子力局当事者としましても、大蔵省へはこの計画の重要性につきまして、再三再四、十分に説明いたしまして、ぜひとも実現を見るようにいたしたいと努力しておるところでございます。
#55
○齋藤(憲)委員 私のお願いしておきたいことは、国産ウランの開発に対する国策の決定であります。これはどんな困難があっても、国内資源として国産ウランの開発をやるという根本方針を、原子力委員会において、はっきりきめてもらうということであります。と申しますのは、私の聞いておりますところによると、推定鉱量が三百万トン、大体平均比率が〇・〇六%ですから、これはまるまるとれれば千八百トンくらいある。半分とれるとして千トンある。千トンくらいではしようがないというような考え方もありますけれども、さらに燐灰ウランの調査というものをやりますと、探鉱の結果はもっとふえるだろうという見込みがあるわけでありますから、あくまでもこの燐灰ウランを中軸とした世界特有の日本のウラン鉱は、国策をもって開発をする、こういうはっきりした線を原子力委員会として示しもらいたい。私は原子燃料公社の今日までのあり方をいろいろ聞いておりますが、やはり燐灰ウランの特質によって、水洗をやれば〇・三%の富鉱になる。ですから、その富鉱を標準として、いろいろ研究の段階を飛ばして金属ウランをやれば、世界的な市価にマッチし得るのではないかという見通しもある。しかし、これはやってみなければわからない。だから、やるという体制下において、今度は原子力委員会のメンバーが現地を視察されるのだろうと私は思うのであります。ですから、そういう確固たる技術の上に立って国策を決定して、これだけの燐灰ウランは世果特有のものであるから日本の力において開発する、そして燃料も日本の力においてまかなえるような、ある程度まで原子力平和利用を推進していくというようなことを、原子力の各部面々々に対して、国策として原子力委員会においてきちきちと態度をきめていかれれば、原子力のあり方いいうものがもっとすっきりした形になるのではないか、こう思うのであります。これも一つ、きょう御返事をお願いしなくてもよろしいのでありますから、どうかそういうことをよく御研究願いまして、この三百万トン推定燐灰ウランは日本の技術を土台として必ず開発するということが国策である、こういうふうに出ていただきたいと思うのであります。どうかその点もあわせてこの次に御回答願います。
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#56
○寺島委員長 次に科学技術行政一般について調査を進めます。
 すなわち科学技術庁において、去る九月二十八日、科学技術の動向調査報告が発表されておりますが、これの概要の説明を聴取いたしたいと存じます。杉本計画局長。
#57
○杉本説明員 九月の二十八日に閣議でもって承認されました科学技術の動向調査報告の概要について申し上げます。
 動向調査は俗に白書と申されまして、前回は昭和三十三年の三月に発表されまして、四年半ほどたっておるわけであります。今回の報告におきましては、その間の科学技術に関します動向を調査分析して御報告申し上げたものでございます。
 内容は、総論と各論に分かれておりまして、お手元にお配り申し上げましたのは総論の部分であります。総論におきまして第一部、第二部、第三部というふうに分かれております。
 まず第一に、科学技術の一般動向を見ます場合に、いろいろ見方もあると存じますが、総論に叙述いたしました見方は、四つの点から科学技術の動向を御報告申し上げております。第一は、科学と技術の結びつきが非常に強くなってきたということ。第二は、科学技術の分野が総合化してきた、総合化の傾向が非常に進んで参っておる。第三は、国際協力という問題が近時非常に拡大して参っております。第四には、技術の輸入、輸出という意味で技術貿易の活発化ということ。このような四つの面から一般動向を調査分析したのでございます。
 それで、概要を簡単に申し上げますと、まず科学と技術の結びつきの強化でございます。これは御存じのように、例を申し上げますと、たとえばメーザーというような例に見られますように、従来の経過から申しますと、実用とは非常に離れているように考えられますような基礎的な研究成果が時間的に非常に早く新しい技術となって実を結びつつありますし、それからまた最近の宇宙空間科学の研究に見られますように、進歩しました技術の利用によりまして科学の研究が飛躍的に促進される。このような、簡単な例でございますけれども、例を幾つかあげまして、科学と技術の結びつきが強化し、われわれは意識的にと申しますか、故意に科学と技術を結びつけまして、新しい科学技術の分野を創出しつつある傾向にある。
 それから、第二の総合化の傾向でございます。科学技術は各分野におきまして非常にこまかく深く専門化して参っておりますが、また一方、最近におきましては、そういう各分野の科学技術が総合していきませんと解決ができないような大規模な複雑な科学技術の分野が出て参っておりますし、特にそれが重要な分野に多いわけでございます。そういう傾向に沿いまして各分野の科学技術が総合的に適用され、新しい分野が発展しつつある。これは、非常に卑近な例を申しますと、防災科学技術、環境科学技術というような分野が考えられるのではないかと存じます。
 それから、国際協力に関しましては、南極地域の問題もございます。インド洋その他地球物理的な観測が多いわけでございますが、そういうものは国際的な協力が非常に活発になってくる。その他一般的な科学技術の分野におきましても、国際的に研究協力という面が非常に活発になってくる。
 第四は、技術貿易の点でございます。技術導入の状況を詳細に検討分析いたしまして、技術輸出の点につきまして主として論じたものでございます。
 これが第一部の大体の概要でございます。
 第二部は、こういうような科学技術の一般動向をささえるものといたしまして、研究活動、人材養成、科学技術の情報活動、その他行政制度並びに体制という四つの問題を取り上げまして現状分析して、問題点を提起しているわけでございます。
 研究投資に関しましては、外国の例を述べまして、日本におきましても民間投資を中心として非常に研究投資の額は増大しておりますが、国の研究投資の割合は先進国に比べますとまだ十分ではない。パーセンテージから申しますと、きわめて少ないパーセンテージでございます。第一部で解析をされましたように、科学と技術の結びつきが非常に強化される。しかも、意識的に結びつけまして新しい科学技術の分野を切り開いていく。また、科学技術が総合化して一つの新しい科学技術の分野ができてくるというような動向に対応いたしまして、試験研究機関の拡充とか、その他の共同研究体制の確立というような問題が述べられておるわけでございます。
 第二は、人材養成でございまして、科学技術者の不足並びに理科教育を初めといたします国民の科学技術に対する一般教養の向上というようなものを分析してございます。
 それから、第三は、情報活動でありまして、これも情報機関といたしまして専門の諸機関ができております。もちろん学界等でもやっておりますが、まだまだ十分ではございませんで、しかも情報は年々非常に膨大な量に増加して参ります。従いまして、こういうような体制の強化並びに情報処理技術の研究開発も重要であるというようなことを述べたわけでございます。
 第二部の最後は、四年間におきまする行政体制または科学技術に関します制度の問題の動向を調査して述べてあるわけであります。科学技術会議の設置その他次第に整備して参っておりますが、まだ必ずしも満足する状態でないというようなことを述べております。
 総論の第三部は、科学技術の進展ということが、現代の社会生活にどのような影響を及ぼしておるかということを、国民生活、雇用・労働、天然資源利用並びに貿易というような面でもって調査分析をしております。
 これが大体総論の内容でありまして、各論におきましては新しい科学の分野を初めといたしまして、十九の分野に分けましてたとえば電子技術または原子力、機械技術、環境技術というふうに十九の分野に分けまして、四年間の動向並びに今後問題となるべき技術の分野について述べてございます。
 非常に簡単でございますが、今回発表されました科学技術の動向調査報告の概要を申し上げました。
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#58
○寺島委員長 引き続きまして、ガン対策の問題について調査を進めます。
 質疑の通告があります。これを許します。齋藤憲三君。
#59
○齋藤(憲)委員 時間もだいぶ進みましたから、私の目的とするところを簡潔に御質問を申し上げて、御答弁を願いたいと思います。
 三十七年の四月二十五日の本委員会におきまして、ガン問題が取り上げられた際に、牛山篤夫医学博士、荻原正雄医学博士、田崎勇三医学博士、太田邦夫医学博士、八木沢行正医学博士、こう五人の参考人が来られまして、ガン一般問題並びに牛山博士のSICについての論議が行なわれたわけであります。私も不十分ながらこの問題について、いろいろ御質問を申し上げたのであります。その質疑応答の結論を見ますと、まず第一に解決をしなければならない一点がある。ところが、あれだけの質疑応答をしたにかかわらず、その後、当局はこの問題に対しては一歩も手を進めておられないというように感ぜられるのであります。一体これはどういうふうにして解決をするのか。たとえて申しますと、論争の最も問題と考えられますのは、牛山博士はSICの注射薬をつくるのに、ガンに冒された患者の血液をとって、これを無菌状態で培養する。そうしてタンク培養して、それから注射液をつくっていく。はれに対して一方では、あれはどうも間違ったやり方であって、あれはよそから枯草菌が入って、そして枯草菌が繁殖していくのだ、だからきくということになれば枯草菌がきくんだ、こういう論争であります。この重大な論争が国会において、参考人が来て行なわれているはかかわらず、当局も出席をしてこの論争を聞いておいて、そうしてこれを聞き流しにしてガン対策を進めていくというのでありますから、私はどうしても了解ができない。こういう問題がいやしくも国家の最高機関である国会において論議された場合において、こういう大きな食い違いが明白に出てきたことに対して、行政官はなぜこれをなおざりにしておくのか。それを一つ承りたい。
#60
○芥川説明員 ただいま御指摘の問題は、非常に重要なことと存じます。そこで科学技術庁といたしましては、必要ある場合には特別の研究費を出してでもこれを推進していいものと考えまして、ただ科学技術庁としては残念ながら、どなたにお願いしていいか、そこらについては十分な知識がございませんので、この問題の所掌であります厚生省と協議をいたしまして、その研究方法、人選、それからガン対策として本問題の取り上げ方その他について協議を行なっておるわけでございます。まだ結論に達しておりません点は、はなはだ申しわけないのでございますが、逐次協議の内容は少しずつ前進しておるというふうに考えております。
#61
○尾崎説明員 私、七月一日で医務局に参りました尾崎でございます。
 このSICのもとでございます菌が、患者の血液を濾過したものから、従いまして濾過性の生物から発展して細菌ができて、枯草菌だろうと思われるものからつくられておる、そういうようなお話でございます。このことは、従来この委員会でもお話があったと思いますが、医学の一般的な考え方から申しますと、ウイルス等の小さい生物から細菌が生ずるというふうなことはないというのが大体の常識的な考え方になっております。その点につきまして……。
#62
○齋藤(憲)委員 あなたはこの速記録を読んでいないで答弁しては、回りくどくなってだめだ。読んでいないのでしょう。
#63
○尾崎説明員 一応読みました。
#64
○齋藤(憲)委員 ウイルスから抗ガン菌が出るというのじゃないのです。それは無菌状態において血液をアミノ酸基に培養する。ウイルスの問題はないのです。そういうことを考えておったのでは間違いなのだ。
#65
○尾崎説明員 その点、私も偏見があったかもわかりませんが、濾過をしたもの、それを無菌状態のものから菌が出ていくというようなことは、普通ないようにわれわれは考えております。また、学者にいろいろ聞いてみましても、そういうふうな話でございまして、この問題を解決いたします問題は、ただ基礎的な問題になりまして……。
#66
○齋藤(憲)委員 あなたはどういう立場に立っておられるかわかりませんけれども、無菌状態から菌が発生することはないという。無菌状態というのは、この速記録を読んでみると、明白に牛山博士が言うておるように、ガンに冒された患者から血液をとって、外部から菌が入らないようにしてアミノ酸基に培養するやつが無菌状態であると言っておるのですよ。血液の中には何が入っておるのかわからない。だから無菌状態というのは、菌が絶対にないような状態にしておいてアミノ酸基に培養して、菌が発生しないのはあたりまえの話です。しかし、ガンに冒されている患者から血液をとって、外部から菌が入らないようにアミノ酸基に培養するやつが無菌状態における培養、こう言っておるのですから、全然これは話が違うのです。だから、この速記録を読まないのなら読まないで、一ぺん読んできてやらなければ問題にならない。
#67
○尾崎説明員 私、一応この速記録は読ましていただいたのでありますが、今のお話では食い違いがあるというお話でございますので、もう一回勉強さしていただきたいと思います。
 なお、この問題につきましては、はなはだ科学的な基礎的な問題になりますので、厚生省の今までの考え方は、それは学会の論議におまかせして、できればその結論を待ちたい。さらに近日癌学会でも、その問題に関連した部門かと思いますが、論議せられるやに聞いておりますので、われわれもその会議の状態を聞かせていただきたい、こういうように実は思っておった次第でございまして、私の速記録の読み方が間違っておるというお話でありますれば、さらに帰りまして速記録を検討さしていただきたいと思います。
#68
○齋藤(憲)委員 それでは速記録をよく読んでいただいてからやります。実は日米科学委員会においてもガンの研究というものは取り上げられて、さっき説明がありました科学技術の動向調査報告を私読んでみましたところが、これもちゃんとガンの共同研究のことが出ておる。それは化学薬品によるところのガンの治療をやろうという共同研究目標なのだ。そういうことをずっと私が質問いたしまして、あなたの前任者である川上医務局長がどういうことを答弁しておるかというと、「先般も申し上げましたように、ガンのセンターを作りまして、それが中心となって診療の研究を大いに推進したいという考えを持っておるわけでありますから、ただいま御質問のように、総合的に、そのように推進したいと考えております。」これは昭和三十七年四月二十五日の答弁です。もう半年たっている。この間にガンがどれだけの問題を投げかけておるかということは御承知の通りです。われわれが一生懸命になって質問したのに対して、こういう答弁をしておいて、そうしてこの結末をつけないで、ぽいっとほかの職に転じてあとは知らぬ顔をしておるという行政指導というものはないと思うのです。あまりこれは人をばかにしたものだと思う。国会の権威を冒涜しているものだと私は思う。こんなことは、やろうと思えば何でもないですよ。やれるでしょう。それは何でもない。牛山博士を連れてきて、そうして人が立ち会っておって、ほんとうに無菌状態と認めるところでアミノ酸基に培養して、はたしていかなる菌ができるかということは、検討すればわかるはずじゃないですか。やろうと思えばやれるはずです。それをやらない。そうして口を開けば、ガンだ、ガンだ、がんセンターだと言って金をとって国費を使っている。この間の朝日新聞だって書いてあったでしょう。がんセンターの状態、あんながたがた音がして、あぶら汗ばかり出しているところになぜがんセンターをつくっているのかという、非常に攻撃の投書があった。私らは人類のためにガンを征服しなければならないという立場においてガンの問題を論じている。だから、少なくともこういうSICという臨床実験において効果があるというものがあったならば、謙虚な姿をもってこの実験をやったらどうか。長い速記録を読むと与野党一致してみなそれを希望してやっているのです。これは国会の要求意思なんです。それをやらない。これは科学技術庁も怠慢だと思う。これだけ科学技術振興対策特別委員会において論議が重ねられているときに、この問題を解決するという意欲が燃えないというのは、行政官は何をしているか。国会の意思をどう考えているか。これは科学技術庁から答弁を願いたい。
#69
○芥川説明員 私といたしましては、はなはだ力が足らないので申しわけないのでありますが、ガンの問題につきましては、今齋藤先生御指摘の問題のみならず、いろいろ総合的にこれを進めましてガン対策の医療技術の振興というふうな取り上げ方にいたしまして、そこで私の方といたしましては、かかる重要総合テーマを数テーマはっきりきめまして、そして来年度の予算の編成にあたりましては、対ガン医療技術の振興を含めまして、数テーマ総合的に重要テーマとして推進すべきであるという意見を、公式に大蔵省に申し込みました。さらに、その後私どもの局の任務でございます予算の各省の科学技術振興費に対します意見書の作成につきましても、ガン対策を重要視して、ただいま意見をまとめまして大蔵省の方に出しておるというふうなことをやっておるわけでございます。
#70
○齋藤(憲)委員 私は調整局長にあえて文句を言うわけじゃないのですけれども、ガンというものは非常に大きな問題になっているということは私が申し上げるまでもない。日米科学委員会でもそれは取り上げられているわけです。国会でも、これは数回目のガン問答なんです。
 しかるに、新聞によると、さっぱり重要問題としてテーマに上っておらない。はしかワクチンに調整費から一千五百万円出すというのです。これはアメリカから申し込まれているというのだ。はしかワクチンの比較に一千五百万円の科学技術庁の調整費を出して、厚生省と一緒になってこの比較をやるという。それも重要かもしれぬ。重要かもしれぬけれども、私の今声を大きくして言うているのは、こういうふうに国会において論議をされ、しかもここで解決しなければならないいわゆる科学技術上の問題点が、はっきりと速記録に載っておるにかかわらず、これは全然手を触れないで、等閑視して、そして全然国会で問題にならないはしかワクチンの比較に一千五百万円の調整費を出す、その行政指導の考え方がわからない、こう言うのです。私から言えば、こういうものは、さっそくにきめなければならぬ問題ならば、国会の意思を尊重して、そうしてこれに調整費を出して、それで立ち会い実験をやってくれ、厚生省にそれを要求する。それなら調整費のやり方はわかる。しかし、そういう問題にならないものを――はしかワクチンがどれだけ大切か知らないけれども、アメリカから申し込みがきたというので、千五百万円ぽんと出すというのだ。しかも、このはしかワクチンに出すのは、私は大いに疑義がある。どういう考え方からこれを決定したのか、どういう査定をしたのか、私はこれに対して疑義がある。だから、そういうことの、やっていることがわからないのですよ。われわれだって、だてや酔狂でもってこれだけの質疑応答をやっているのじゃないのです。ガン界の大御所といわれる田崎勇三博士から、世間に話題をまいている牛山博士にここへ来てもらって、午前、午後ぶっ通しでこの問題を論議した。そうすると、行政官は、やれやれ委員会が済んだ、それでもっておれたちの責任は済んだというような顔をして、一つもこの問題に対するところの行政的な立場に立つ行動というものはやらない。それでいいかというのです。それでいいならいいと、はっきり返事をしておいてもらいたい。
#71
○尾崎説明員 行政官がガンの問題、ことにSICの問題につきまして何も考えてないじゃないかというふうなお話でございますが、このSICの問題は――実は私個人のことになりますが、私が国立病院課長をしておりました時代に、国立病院のガンの化学療法の効果判定と申しますか、をいたしますグループをつくりまして、国立病院ガン化学療法共同研究班というのをつくりました。それにどういうふうな薬る取り上げるかの問題のときに、実はSICを一度持ち出しております。ところが、そのときの医者の連中の意見では、自分たちも、患者から持ってこられたりなんかして使ってみたが、その使ってみた例などで見るとあまり効果がないと思われるし、ジャーナリズムにいろいろ取り上げられておるので、かえって問題を変に巻き起こしても困るというので、一応断わられた。それで、さらに私医務局長になりましてから、この委員会にもこういうお話がありますので、九月の終わりごろだったと思いますが、その幹事会が東一病院で開かれましたときに、再度この問題を私どもの方から取り上げて、検討してもらうように要請したのであります。そのときにもやはり皆さん方の御意見としては、取り上げる価値があるかどうかの問題をまず自分たちも考えてみたいし、取り上げること自体の影響をみてみたいというので、その場合はオーケーにならなかったような状態でございます。この問題について行政庁といたしましても、どうしてこの菌が出るかとかというような問題でなく、SICそのもの自体の効果についてできるだけ科学的なデータを出そうとしての努力は、一応やってはみておるのであります。ただ、命令で研究というものはできませんので、ことに病院の臨床医に対していろいろ要請をし、研究班を動かしていくのに私自身努力をしておるのでありますが、今のところまだ皆がオーケーをしてくれるまでになっていない。研究の方針をきめるのは研究班できめて出すようにしております。そういうような状態で今おりますので、この点全然放置しておったわけではないのであります。
#72
○齋藤(憲)委員 全然答弁が違うのです、それは。一体この問題の発生は、牛山博士のSICに対して田崎勇三さんが、あれは鼻くそじゃと言うたことから起きたのですよ。いいですか、きくとかきかないとかいうことじゃないんだ。全然否定をした立場に立ったから、SICというものが国会の問題になったのです。それでだんだん質疑応答を重ねていくと、一体どこが一番SICに対して疑問があるかというと、さっきお話ししたガンの細胞を有しておるところの患者から取った血液を無菌状態でアミノ酸基に培養する。そうしてタンク培養にまで持っていって、そこから注射薬をつくったのがSICだ、こういうのですよ。これには抗ガン性が入っているというんだ。それは医者が認めておるんだ。人間のからだには抗ガン性の何ものかがあるということを認めているわけです。ところが、一方これに対しては、あれはインチキだ、あんなことでもって菌が発生するわけはないじゃないか、あれは外部から枯草菌が入ったのだ、だからSICという注射薬は、全然あれはインチキだと言うのですよ。それなんだ。それを、あなた、外部の医者に、どうだ、きくかきかないかと聞く必要は一つもないでしょう。それがインチキであるか正しい培養であるかということを突きとめれば、SICの正体がわかるということを言っている。これをやったらどうかということを言っている。あなたのように、医者を呼んできて、SICがきくかきかないかという、そんなことをわれわれは要求しておるのじゃないですよ。それは角度が違うのですよ。ちゃんともう一ぺんよく読んで、どこに焦点があるのかをつかまえて、それをやるかやらないか、はっきりしてもらいたい。
 私らはここまで論議をしたから、それは厚生省と科学技術庁との間に話し合いがあって、これが早急にやらなければならないものだとするならば、それは予算がないという場合に、われわれが苦心をして科学技術庁のために政府から取った調整費を使ってそれはやるべきものだ。そう思っておるのに、この問題はやらないで、どこから出たかわからぬけれども、はしかワクチンが飛び出してきて、それに千五百万円の金をかけてやるという。しかも、はしかワクチンなんというものは、どういう角度から選ばれた比較研究であるかも、われわれは非常に疑問がある。だから、私は貴重な時間をもらってこれを今追及しているのですよ。だから、あなた、読んで、あしたでもあさってでもいいから結論を出して下さい、どういう考え方を持つか。これ以上追及したって、とにかく七月の初めから局長になってきて、今この問題に対して、あなた速記録を読んだと言うけれども、頭のいい人間なら、一ぺん読んだらそんな答弁をしやしませんよ。まだ読んでないのだから、よく読んで返答して下さい。
#73
○寺島委員長 次の委員会は公報をもってお知らせいたします。
 本日はこれにて散会いたします。
  午後一時四十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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