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1947/07/12 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 司法委員会 第3号
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1947/07/12 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 司法委員会 第3号

#1
第001回国会 司法委員会 第3号
  付託事件
 國家賠償法案(内閣提出)(第四號)
 刑法の一部を改正する法律案(内閣提出)(第
 六號)
 昭和二十二年法律第六十三号下級裁判所の設立
 及び管轄区域に關する法律の一部を改正する法
 律案(内閣提出、参議院送付)(第八號)
―――――――――――――――――――――
昭和二十二年七月十二日(土曜日)
    午前十時五十二分開議
 出席委員
   委員長 松永 義雄君
   理事 石川金次郎君 理事 鍛冶 良作君
      井伊 誠一君    榊原 千代君
      安田 幹太君    中村 俊夫君
      中村 又一君    山下 春江君
      吉田  安君    岡井藤志郎君
      鍛冶 良作君    花村 四郎君
      明禮輝三郎君    大島 多藏君
      酒井 俊雄君
七月九日刑法の一部を改正する法律案(内閣提
出)(第六號)の審査を本委員會に付託された。
同月十一日昭和二十二年法律第六十三號下級裁判
所の設立及び管轄区域に關する法律の一部を改正
する法律案(内閣提出、参議院送付)(第八號)
の審査を本委員會に付託された。
 出席国務大臣
        司 法 大 臣 鈴木 義男君
 出席政府委員
        司法事務官   奥野 健一君
 委員外の出席者
        司法事務官   赤木  曉君
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 昭和二十二年法律第六十三号下級裁判所の設立
 及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法
 律案(内閣提出、参議院送付)(第八號)
    ―――――――――――――
#2
○松永委員長 会議を開きます。かなえて本委員会において予備審査中のところ、昨十一日付託されました下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案に対する質疑及び討論を継続いたします。
#3
○鍛冶委員 私はこれについては速記を止めて、委員各位並びに政府と懇談してみたいと思いますが、いかがですか。
#4
○松永委員長 それでは速記を止めて懇談いたしましよう。
     ――――◇―――――
    〔午前十時五十四分懇談会に入る〕
    〔午前十一時十三分懇談会を終る〕
     ――――◇―――――
#5
○松永委員長 懇談会を終つて引続質疑に入ります。鍛冶良助君
#6
○鍛冶委員 私は本議会の始まりますると同時に、憲法の条文から政府には法律案の提出権限はないものと考えておりました。また農民党の綱島君からその話があつて、私も同感である。これはぜひとも明らかにしておかなければならぬというので、先日内閣総理大臣の施政方針演説に対する質疑として、綱島君から出されたのであります。その答弁はもちろん片山総理大臣から承りましたが、その答弁では承服できないどころでない、ますますもつて疑問を深くするものと考えます。従いまして今も変らず政府に法律案を提出する権限がない。従つてこの議案をまず参議院に出されて、政府提出としてこちらに参りましたのでありますが、その根本において承服出来ないものであるから、われわれは政府提出案をそのまま審議するということはいかぬと考える。但し私の考えております便法は、先ほど懇談で司法大臣が言われたように、政府が議案の準備をすることは一向差支えないと思うのであります。この点は十分に認め、尊重して、政府から議院へ提出せられ、議長から本委員会にまわつてきまするときに、それについては議論がありまするけれども、その議論についてはしばらく差控えて、政府が準備して出されたものとわれわれは解釈して、本委員会においてこれを取捨選択し、本委員会の案として議会へ提出する。そうして通すということが一番穏当な方法であるし、いずれの顔も立つ方法だ、かように考えておりますから、ぜひこの際はその方法でやつていただきたいと思います。
 まずこれに対する司法大臣のお考えを承りたいと思います。
#7
○鈴木国務大臣 ただいま鍛冶委員の御意見はごもつともでありまするが、この問題は憲法審議の際に問題となり、一応盡されておるように考えるのでありまして、また先日本会議において綱島議員の質問に対して、政府の公式の答弁といたしまして、片山総理大臣からお答えをいたしておるのであります。政府の見解はそれで答弁されたものと解しておるのであります。簡単に要約して申し上げますれば、わが新憲法はアメリカ式の純然たる三権分立をとつたのではなくして、イギリス式の議院内閣制をとつておりまするために、しかく厳格にこの立法と行政との関係を区別いたしておらないのでありまして、憲法第四十一条に国会が唯一の立法機関であるということを規定しておりまするのは、立案の準備までも議会がやらなければならない、行く行くは準備も全部一つ議会でおやりなさいまして、議会で実際の法律案を発案せられまして、政府はただこれを行うだけというふうになることは、ある意味において望ましいこととも考えておるのであります。ぜひそういたしたいと思いまするが、そうしないから違法であるというふうには考えないのでありまして、政府は立案の準備をいたしまして、そうして議会に提出する。また政府は政策を定める権限をもつておりますから、その行うべき政策を法律の形にして提案をいたすという事由も許さるべきことを考えるのであります。それらの観点から政府も若干の法律はこれを準備することが必要である。同時に議会に御審議を願うということが当然の順序になつてくると思うのであります。憲法七十二条に「議案」と書いてありまするのは、そういう意味において法律案も含むのである。殊に内閣法第五条におきましては、その疑問を明らかにいたしまするためにこれを制定することにし、特に「内閣総理大臣は、内閣を代表して内閣提出の法律案、予算その他の議案を国会に提出し」と、こう定めたのでありまして、これに対しては同じ憲法を審議せられましたる議会諸君が、それでよろしい、異議ないということで可決確定せられたものである。そういう関係から見ましても、政府といたしましては、議会とともにこれを発案する権限をもつている。但し修正審議することは議会の権限であつて自由である、こういうふうに解しております。さよう政府の所見を申し上げます。
#8
○吉田(安)委員 この際委員長にお尋ねをいたします。
 今鍛冶君の御意見を聞いていると、結局最初の御主張の通りに、本案はやはり議員提出の法律案にしろという御議論のようですが、その前提としては結局憲法論をやかましく何遍も繰返さなければならぬ、こういうことになつてくる。それで委員長はこれはどういうふうに運営上お取扱いなさるお積りでありますか。それをいつまでも繰返しておつたら意見の対立、そういうことで審議の前に決をとらねばならぬ結果にまでも立ち至る気がするが、速やかにこれは本案の内容の審議にはいつてここで通過するようにお願いいたしたい。この点、お尋ねしておきます。
#9
○松永委員長 委員長からお答えいたします。議事を進行いたしたいと思います。しかしその前に鍛冶君がなお一言述べたいとおつしやつておられるから、一言だけ皆さんにお聴取り願いたいと思います。
#10
○吉田(安)委員 了承いたしました。
#11
○鍛冶委員 今司法大臣からの御説明で、政府に法案を準備する権限がある。また準備しなければ不便ではないかとのことです。これは私もちろん賛成であります。その点までも否認しようとするものではないのであります。従いまして私先ほど言うように、政府はこの法律の準備としてこの案を出されたものとして、これを尊重して、われわれはこれに対して審議にはいる。しかしこれを法律案なりと決定し、これを議会に提出しようというこの意思決定は、まさしく立法の範囲である、かように考えます。この点が重要点であります。ほかの例を引いて申しまするならば、フランス憲法のごときは立法権の内容を、発案権と制定権の二つにわけております。そうして両院議員は発案権及び制定権を有す、大統領はこの立法権のうち発案権のみを有しておる、こういうふうに解するのであります。発案権というものは立法の基礎である、私はかように考えます。
 その発案権とは、これを法律案としそうしてこれを議会に出すという、これが発案権だと思いますから、この点に対しては政府におかれても深甚なる御考慮をお願いしたいと考えるのであります。もちろんここでこの討論を繰返しておつてもらちはあきません。結局最高裁判所において決定する以外にないものである。最高裁判所においてもし私の主張が通るとすれば、政府におかれても十分責任を負うだけの御決心のあることとは思うが、私はその責任を連帯して負う考えはありません。でありますから、私としてはこの点を明白にして政府の深甚なる反省を促し、委員各位の御考慮を願つておきたい、かように考えるのであります。
#12
○松永委員長 よろしゆうございますね。――それでは次の質問者、明禮輝三郎君
#13
○明禮委員 下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案の中で、裁判所の配置についてはまことに適切でないものがあると思います。ところが本案はきわめて急を要する情勢にありますから、妥当でない部分につきましては、将来裁判所の方で地域を十分に御調査くださいまして、たとえて言いますならば、愛媛県の東宇和郡の野村という下級裁判所の管轄区域というようなものは、非常に不適当なところにはいつておるのでありまして、こういう点について十分に増加あるいは変更を御考慮願いたいと思つておるのであります。この点について当局の御意見を承りまして、そうして私どもはそういうことに御了解していただくならば、これは全部承認いたしておきたいと思うのであります。それだけお尋ねいたします。
#14
○鈴木国務大臣 御承知のように、大体政令できめたものを踏襲いたしたわけでありますが、政令できめますときには、警察署を標準にした行政区画に基いてつくつたのであります。従つて早急に下級裁判所を設置するとすれば、結局警察署を中心にした行政区画に著眼するほかなかつたという状況でありまして、合理的に人口、行政区域、都市と村落の関係等を勘案いたしまして、十分に納得のいくような管轄区域を定めまするのには、相当慎重な調査を要し、時日をも要するわけであります。政府も決してこの案がすべてよろしい案であるとは考えておらぬのであります。今後必要に応じまして、また与論その他趨勢を考えまして適当に改廃せらるべきものと考えております。政府においても努力をいたしまするし、また議員各位も発案権をもつておられるのでありますから、適当ならざる点については将来御修正くださることは、少しも異議はないのであります。なお今御質問の愛媛県の問題については、赤木説明員をしてお答えいたさせます。
#15
○赤木説明員 特にただいまお尋ねの松山につきましては、本省から現地の所長、検事正に照会をいたしましたところ、現地の方では特に簡易裁判所組織準備委員会、こういうものを組織いたしまして、その委員には松山地方裁判所長、松山区裁判所監督判事、松山地方裁判所検事正、愛媛県知事、弁護士会長、県会議長、松山高等学校長、この七人で委員会というようなものを組織いたしまして、簡易裁判所の配置、その管轄区域の組合せということについて相談して、大体その結果をこちらに報告がありましたので、その報告に基いてこちらは決定したわけであります。本省から現地に出張して一々あたつて決定したわけではございませんが、大体こういう委員会での決定を採用するということは妥当だろうと思つて、一応採用した次第であります。なおただいまお話のような不都合がありといたしますれば、いずれ慎重調査の上、できるだけ御趣旨に副いたいと思つております。
#16
○松永委員長 ほかに御質疑ございませんか。――なしと認めます。
 討論にはいります。石川金次郎君
#17
○石川委員 社会党を代表いたしまして意見を申し上げます。本案は簡易裁判所の配置及び管轄区域に多少の遺憾の点があつたと思いますけれども、ただいま大臣並びに説明員から懇篤なるお考えを伺い、かつ将来の改正がわれわれによつてもなし得るのでありますから、私はこの原案に賛成するものであります。
#18
○松永委員長 吉田安君
#19
○吉田安委員 民主党におきましても、本案の管轄地区、配置の点などにつきましては、相当に意見なり希望をもつておるのであります。しかしながらこの法案がきわめて急を要する法案でありますために、このまま承認をいたしたいと思います。ただこれは政府の提案になつておりますが、いつもこうした提案があると、速急に審議通過をせねばならぬということが、従来多々あるのであります。その点は審議をしまするわれわれはすこぶる迷惑あります。将来そういう点には政府におかれましても、十分御注意をいただいて、そうして善処されるように希望いたしまして、本案には賛成をいたします。
#20
○松永委員長 明禮輝三郎君
#21
○明禮委員 ただいま私がお尋ねいたしました管轄区域、配置について司法大臣から、あるいは説明員から詳しく御答弁をいただきまして、了解をいたしております。まだこのほかにも地域によりましては、甲とか乙とかの支部を設置していただきたいようなところもあると存じますが、いずれこういう問題はあとでゆつくり調べまして、最もそれが適切なるふうにやつていただきたいと存ずる次第であります。この法案は自由党といたしましては全部賛成いたします。
#22
○松永委員長 大島多藏君
#23
○大島(多)委員 国民協同党といたしまして、この法案に関しまして意見を申し上げたいと思う次第であります。各党より先ほどから御意見がありましたように、この法案が早急に立案された関係から、まだこの管轄区域に関するものが、多少不十分のところがあるように思われるわけであります。将来この法が実施されまするときに、そういうことは自然に気づかれることと思うわけでありますが、この法案が非常に公布を急ぐ関係上、ここに私たちが慎重審議をする時間をもつていないことを残念に思います。この際、わが国民協同党はこの法案に賛成の意見を申し述べるわけであります。
#24
○松永委員長 ほかに御発言ありませんか――別に御発言もありませんから本案について採決をいたします。原案に賛成の諸君は起立を願います。
    〔総員起立〕
#25
○松永委員長 起立総員。よつて本案は全会一致をもつて可決いたしました。
 なおこの際お諮りいたしたいことがあります。報告書は議決の理由を附し、議案の要旨、議案の利害損失等を記載したものを提出すべきものでありますが、本日緊急上程を控え、さらに報告書のために会議を開く余裕もありませんので、委員長及び理事に御一任していただきたいと存知ます。御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#26
○松永委員長 御異議なきものと認めます。よつてその通りいたします。
 本日はこれにて散会いたします。
    午前十一時三十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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