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1961/10/21 第39回国会 参議院 参議院会議録情報 第039回国会 予算委員会 第9号
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1961/10/21 第39回国会 参議院

参議院会議録情報 第039回国会 予算委員会 第9号

#1
第039回国会 予算委員会 第9号
昭和三十六年十月二十一日(土曜日)
   午前十一時三十七分開会
    ―――――――――――――
  委員の異動
本日委員谷口慶吉君及び加藤シヅエ君
辞任につき、その補欠として青田源太
郎君及び大矢正君を議長において指名
した。
    ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     小山邦太郎君
           苫米地英俊君
           平島 敏夫君
           村松 久義君
           米田 正文君
           永岡 光治君
           藤田  進君
           田上 松衞君
           千田  正君
           加賀山之雄君
   委員
           青田源太郎君
           小沢久太郎君
           太田 正孝君
           大谷 贇雄君
           梶原 茂嘉君
           北畠 教真君
           古池 信三君
           小林 英三君
           小柳 牧衞君
           塩見 俊一君
           杉原 荒太君
           鈴木 恭一君
           館  哲二君
           野上  進君
           一松 定吉君
           村山 道雄君
           谷村 貞治君
           山本  杉君
           湯澤三千男君
           阿具根 登君
           大矢  正君
           加瀬  完君
           木村禧八郎君
           小柳  勇君
           佐多 忠隆君
           羽生 三七君
           藤田藤太郎君
           森中 守義君
           山本伊三郎君
           基  政七君
           石田 次男君
           市川 房枝君
           森 八三一君
           岩間 正男君
  国務大臣
   内閣総理大臣  池田 勇人君
   法 務 大 臣 植木庚子郎君
   外 務 大 臣 小坂善太郎君
   大 蔵 大 臣 水田三喜男君
   文 部 大 臣 荒木萬壽夫君
   厚 生 大 臣 灘尾 弘吉君
   農 林 大 臣 河野 一郎君
   通商産業大臣  佐藤 榮作君
   運 輸 大 臣 斎藤  昇君
   郵 政 大 臣 迫水 久常君
   労 働 大 臣 福永 健司君
   建 設 大 臣 中村 梅吉君
   自 治 大 臣 安井  謙君
   国 務 大 臣 川島正次郎君
   国 務 大 臣 藤枝 泉介君
   国 務 大 臣 藤山愛一郎君
   国 務 大 臣 三木 武夫君
  政府委員
   法制局長官   林  修三君
   経済企画庁調整
   局長      中野 正一君
   大蔵省主計局長 石野 信一君
   大蔵省主税局長 村山 達雄君
   大蔵省理財局長 宮川新一郎君
   大蔵省銀行局長 大月  高君
   大蔵省為替局長 福田 久男君
   運輸省海運局長 辻  章男君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       正木 千冬君
  参考人
   日本輸出入銀行
   副総裁     舟山 正吉君
   中小企業金融公
   庫総裁     森永貞一郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○昭和三十六年度一般会計予算補正
 (第1号)(内閣提出、衆議院送
 付)
○昭和三十六年度特別会計予算補正
 (特第2号)(内閣提出、衆議院送
 付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(小山邦太郎君) これより委員会を開会いたします。
 委員の変更について御報告をいたします。
 本日、谷口慶吉君が辞任され、補欠として青田源太郎君が選任せられました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(小山邦太郎君) 昭和三十六年度一般会計予算補正(第1号)、昭和三十六年度特別会計予算補正(特第2号)、以上両案を一括して議題といたします。
 昨日に引き続き質疑を願います。佐多忠隆君。
 この際、佐多忠隆君に申し上げますが、あなたの御登院がおくれましたために、多くの委員諸君はすでにお待ちをいたすこと長きにわたっております。何か交通上の事故があったかもしれませんが、この際一言、それについてのごあいさつを願います。
#4
○佐多忠隆君 まことに時間がおくれまして申しわけございません。
 実は、きょうの質問をする資料その他の関係で出先に行っておりまして、日本橋に参っておりました。そこから実はかけつけて参った次第でございますが、出先にこちらから御連絡をいただいたのが十一時十五分前でございました。これから予算委員会が始まるから、さっそく来いということで、すぐそれから参りましたら、御承知のとおり、今非常に自動車が混んでおりまして、そして、ことにきょうは雨でございましたので、今ようやく着いた次第でございます。四十五分も自動車がかかりまして、私は、あすこからだと十分ぐらいかかるかと思っておりまして、間に合うと思っておりましたら、四十五分もかかりまして、まことに申しわけないと思いますが、これも日本の交通事情の悪さから、交通政策の間違いから、政府のこれも責任じゃないかとも思いますが、(「十時までに来なければだめじゃないか」と呼ぶ者あり)いや、まことに申しわけないと思いまして、深く陳謝をいたす次第でございます。(拍手)
#5
○委員長(小山邦太郎君) ただいま佐多君から陳謝の表明をせられました。
 佐多君に、なお、委員長から申し上げますが、長くお待ちをいたしたのでございまするし、したがって、あなたの持ち時間については、厳格に御順守あらんことを希望いたします。佐多君。――佐多委員の発言を求めます。
#6
○佐多忠隆君 まず、質問を始めます前に、議事進行について、ちょっと発言をいたしたいと思います。私の持ち時間は何分ですか。
#7
○委員長(小山邦太郎君) 十一分です。
#8
○佐多忠隆君 まことに、十一分に切られておりますので、非常に時間が少のうございます。しかし、私は最後の質問でございますし、しかも、時期的には非常に重要な時期になって参っております。特にこの一両日の問題を考えましても、外交の問題にしましても、経済の問題にしましても、非常に重要な問題が輻湊しておる。特にこの二、三日来非常に重要な問題がたくさんありますので、それらに関連をいたしまする総括質問でありますので、非常にたくさんのことを実は御質問をいたしたいと思っております。しかし、何せ十一分でありますし、皆さんのおきめになったルールは、なるべく、正確に守りたい、こういうふうに、(「なるべくじゃなく厳重に頼むよ」「一時間も待たせるということがあるか」と呼ぶ者あり)まあそうヒステリーみたいに言いなさんなよ。
#9
○委員長(小山邦太郎君) 佐多君、佐多君、質問を願います。質問を願います。
#10
○佐多忠隆君 そこで、非常に効率的に、効果的にひとつやっていただきたいと思います。
 それで、私は、質問の順序を――政府委員、それからきょう来ていただいております総裁その他にまず御質問をいたします。その御質問は、時間がありませんから、お一人について一分か二分しかできません。しかし私は、もう数日来それらの方々には何を御質問をし、何を問題にするかというようなことは、詳しくあらかじめ御相談をしてございますから、私がたった一書言っても、何を聞いておるかはよくおわかりでございますから、私が一、二分の質問をしましたら、ぜひひとつ、それに対しては、相当長時間にわたって懇切丁寧に御答弁を願いたいと思います。第一点がそれでございます。
 それから第二点、政府委員あるいは各機関の総裁その他には、そういうお聞き取りの仕方をされ、御答弁を願います。それらの御答弁によって現在の実情、実際の状況、それから数字等々が詳しくわかりますから、それで初めて私の頭にはっきり事情が入るわけと思いますから、それを基礎にいたしまして、今度は各所管大臣の方々に質問を移して参ります。したがって、所管大臣の方々には、こまかい数字その他はお願いをいたしませんから、事務当局なり総裁その他が申しました事実を基礎にして、皆さん方の基本的な方針、政治的な態度、これまでのいろいろな政策の誤り、それに対する政治的な責任、そういう大臣としての御答弁を、これまた詳しくお願いをいたしたいと思います。
 それらを終わりまして、しかる上で、池田総理にあらためて最後の締めくくりの質問をいたしたいと思いますので、大体そういう心がまえで御質問をいたしますから、どうか御答弁の方々は、そのおつもりで御答弁を願いたいと思います。いいですね。
 外務省はどなたか来ておられますか。(「外務大臣」と呼ぶ者あり)いや、事務当局は……。
#11
○国務大臣(小坂善太郎君) どうぞ質問して下さい。おりますから……。
#12
○佐多忠隆君 それでは、まず第一に、大蔵省当局に、最近の株式恐慌の現状、実情、それに対するいろいろな具体的な数字、これがどうしてこういうことになったかの諸原因、問題点、そしてこれをどう今後見通されるか、今後の推移、状況、それらについて詳しくまず御説明を願いたいと思います。事務局から……。
#13
○政府委員(宮川新一郎君) お答え申し上げます。
 最近の株式市場の経緯について、まず申し上げたいと思います。本年一月四日の東証ダウ平均一三六六・七四円でスタートいたしました株価が、その後引き続き上昇過程をたどりまして、七月十八日には一八二九・七四円になりました。これは、年初から比較いたしますと、上昇率が三三・八八%になっております。ことしの今までのピークでございます。しかし、七月二十一日の公定歩合引き上げ発表以来、漸落模様となりまして、さらに、九月二十八日の公定歩合再引き上げ発表を契機といたしまして、下降の度を強めまして、十月六日には一三九五・三一と、ピークから比べますと一三・七四%、それから、その後九日までさらに下げ続けまして、九日現在におきまして一三四五・四〇に相なりました。それから、十日以降十四日まで若干上昇いたしまして、十四日には一四一四・三三となったのでございますが、十六日以降再び下降いたしまして、十九日には一三一五・五五となりました。この二十日は若干上昇いたしまして、一三二五・四六と相なっております。これは、ピーク時の七月十八日の水準に対しまして、二七%五七のマイナスになっております。このような株価の動向を反映いたしまして、売買満も漸次減少してきております。これを東京証券取引所の売買高について見ますると、本年の一月から七月までの期間におきましては、一日平均一億二千二十五万株、八月以降一億株台を割るような状況になっております。八月中の一日平均売買高は八千三百三十三万一千株、九月中は七千八百三十四万七千株、十月に入ってから昨日までの売買高の概算は、七千七百九十八万株と減少いたしております。このように、株価が下落いたしました原因はいろいろございましょう。御承知のように、株価は多数の投資家の経済実勢に対する判断の結果形成されるわけでございますが、今回の下落の特徴と申しましては、一般の大衆投資家の不安動揺による内容は見られません。むしろ、いわゆる法人筋の換金のための大量の売りによる下落かと思います。御承知のように、昨今金融引き締め措置をとりまして、金詰まりになっております。事業会社、商社は、事業資金を調達いたしますために、手元の株式を放出いたしまして換金いたしておる。また、いろいろな事業会社は、資金を調達いたします際に、銀行からの借り入れがなかなか困難でございますので、勢い増資にたよる。増資が盛んに行なわれて、その増資の金繰り資金を調達いたしますために、法人の持っている株を大量に出すということが今度の株価下落の大きな原因じゃないかと思います。要するに、一口に申しまして、昨今の金融情勢を反映しての下落じゃないかと思っております。本日は、午前、寄付多少弱気なようでございますが、十時過ぎから持ち直しているようでありますが、まだ正確な数字は入っておりません。このような状況で、低迷状態を続けるのじゃないか、このように考えております。
#14
○佐多忠隆君 まだ足らぬじゃないか、まだたくさん言ってあるじゃないか。
#15
○政府委員(宮川新一郎君) 佐多先生から御質問がありましたが、私の手元に届きませんので、失礼いたします。
#16
○佐多忠隆君 委員長、通告してあるうちの三分の一しか言っていないのです。
#17
○委員長(小山邦太郎君) あなたの通告はどういうことだか、よくわかりません。
#18
○佐多忠隆君 議事進行について。答弁がなっていないからだめなんだ。
#19
○委員長(小山邦太郎君) 佐多委員に御注意いたします。御質問願います。
#20
○佐多忠隆君 さっき質問の時間にも言ったのですが、そういうふうな原因で落ちたとするならば、今後の推移として、どういうふうにお考えになるか。たとえば年末に対して、年度末に対して、あるいはさらに一年間に対して、それから通告をした中には、詳しく、大型株はどういうふうな動きを示しているか、これも最近の二、三カ月のみならず、ずっと一年間ぐらいのあれをやってほしい。大型株でも、特に日立、東芝、富士、八幡、鋼管、電力等々を詳しくやってほしい。それから、非常に問題な小型株――第二市場の株の状況が、これとまた違った状況にあるのじゃないか、これについて詳しくやれ。これは、詳しく通告してあるはずでございますから、これをやらないとすれば、あなた方の怠慢ですよ。
#21
○政府委員(宮川新一郎君) 時間をとって恐縮でございますが、お言葉を返すようでありますが、ただいま佐多先生のおっしゃった通告は、私の手元に届いておりませんので……。
#22
○佐多忠隆君 それは君らの内部の連絡じゃありませんか。そんなことは弁解にならぬよ。だから、私は詳しく言ってるじゃないか。
#23
○政府委員(宮川新一郎君) ただいま手元に資料がございませんので、しばらく御猶予願います。
#24
○佐多忠隆君 それじゃ待ちます。
#25
○委員長(小山邦太郎君) 政府委員にお尋ねいたしますが、すぐできますか。
#26
○政府委員(宮川新一郎君) 資料として即刻取り寄せますから、ちょっとお待ち願います。
 市場第二部で取り扱っております株式は、大体大型株でございませんで、中小株でございます。この株価を見ますと、ダウ平均で、今年の十月二日開場いたしましたときが二五七・五〇でございますが、その後ずっと下がりまして、十七日現在におきまして二二六・二九になっております。
#27
○佐多忠隆君 それは一部じゃないか、あと全部やれ。
#28
○政府委員(宮川新一郎君) お答え申し上げます。一部のダウ平均は、先ほど一番最初に御説明申し上げました数字でございます。
#29
○佐多忠隆君 一つ一つ具体的に名前をあげたじゃないか、大型株の方も。
#30
○政府委員(宮川新一郎君) 個々の株式につきましては、ただいま資料がございませんので、後ほど御答弁申し上げます。
#31
○佐多忠隆君 事務当局が資料を持ってこないなんて、おかしいじゃないか。今の株式恐慌の状態を何と考えているのだ、君らは。特にきのうは、証券取引審議会をやったでしょう。
#32
○政府委員(宮川新一郎君) お答え申し上げます。
 個々の銘柄につきましては、毎日毎日の動きがございますので、これを統計的にとったものはございません。
#33
○佐多忠隆君 ごまかすなよ。毎日毎日新聞に出ているじゃないか。それを政府がどう了解しているかという問題、そこが今度の株価対策の問題じゃないか。専門家の諸君だから知っているはずだよ。
#34
○委員長(小山邦太郎君) 政府委員、何かお答えありますか。
#35
○政府委員(宮川新一郎君) ただいまお答え申し上げました通りでございます。
#36
○小林英三君 議事進行。佐多君の御質問に対しまして、政府委員が、この場で直ちに答弁できないような数字の問題につきましては、後刻委員長から提出さすことにいたしてもらいたいと思います。
#37
○佐多忠隆君 後刻じゃない。もう二、三日前から言ってるんです。
#38
○藤田進君 議事進行。今、小林委員の議事進行の御発言ですが、そういうふうにし得をものは、極力私もそういうふうに取り計らいたいと思いますが、質問者において、それを基礎に、自後の質疑を展開するものにつきましては、かねて質疑者から、与えられた時間がないことを御了承の上で、関係方面には詳しい質疑内容を通告し、かつ、その質疑内容を直ちに、関係大臣なり省庁が見えておるようでありますから、どうかひとつ、この際議事進行に対しまして御協力いただく意味で、質問者のほうからかなり詳しい質疑内容が連絡されておるものにつきましては、包括的質疑ではありましょうが、お答えの際は、できるだけ親切に、質疑内容を全面的にお答えをいただきたいと思います。このようにお運びをいただきたいと思います。
#39
○委員長(小山邦太郎君) 政府委員に申し上げます。ただいまお手元にある材料でできるだけ懇切丁寧にお答えあって、もし整っておらないものがありますれば、これをすみやかに調査をして、後刻質問者に書面をもってお答えするようにお願いいたしたいと思います。
#40
○国務大臣(水田三喜男君) 佐多委員の御了解を得たいと思うのですが、役所に対して政府委員に資料を準備しろという御指示がございました点については、準備しておるつもりでございます。ことに理財局に対する御要望は、市場の市況の推移がどうなっておるかというものを調査して一応説明しろ、そうして株価が落ちてきた原因についても、事務当局の今まで調査した検討の結果を報告するようにという御連絡でございまして、そのとおりの準備をしましたが、個々の会社の株がどう移動したかというようなものの統計は、ただいま役所でやっておりませんので、私どもとしては、できるだけ御要望に沿った資料を準備しておりますので、その点は、ひとつ御了承願いたいと思います。
#41
○佐多忠隆君 了承ができないのですが、あなた方は、この二、三日株価対策をやろうとしているのに、大型株をどう支持するかということをやっておられるのでしょう、問題になっているのは御承知のとうり。そのときに、日立とか東芝その他が問題になることは御存じじゃないですか。だから、市場の状況というのは、これを中心に、それから第二市場の一つ一つをどうするかということをやらなければ対策は立たぬじゃないですか、推移を具体的に述べたことにならぬじゃないですか。やらして下さい、ちゃんと通告してあるのだから。
#42
○政府委員(宮川新一郎君) 旧ダウ平均で申しますと、大型株、中型株、小型株に分けまして御説明申し上げます。
#43
○佐多忠隆君 平均は、さっき聞いたからいいのだと言うのだよ。あなた方が、今大型を支持する政策をやっているだろう。その一つ一つが問題だから、ダウ平均はさっき言ったから、いいと言っている。そんなことは僕だって、それこそ新聞を見て知っているから、言ってもらわなくてもいい。
#44
○政府委員(宮川新一郎君) 大型株、中型株、小型株に分けまして御説明申し上げようと思ったのでありますが、先ほど申し上げましたのは平均全体でございましたが、大型株は、ピーク時から比べますと、二七・五%落ちております。中型株は二八・一%、小型株は二八・四の下落になっております。
#45
○佐多忠隆君 だから、それをもっと具体的にさっきの大きな分で一つ一つ言って下さい。
 それから、特に、今あなた方が問題にしておられる小型株が問題だと思うから、これは一つ一つでなくていいですから、ティピカルなものを言って下さい。
#46
○政府委員(宮川新一郎君) 大型株につきましては毎日統計をとっておりますが、中型株、小型株についてはとっておりません。新聞に出ておるとおりでありますが、大型株につきましては、ただいま取り寄せておりますから、お待ち願いたいと思います。
#47
○佐多忠隆君 新聞の数字でも説明を一応してもらいたい。説明を聞かにゃ対策の論戦にならぬ。
#48
○委員長(小山邦太郎君) 佐多委員にお諮りいたしますが、後刻その調査の結果を御報告申し上げるとのことでございまするから、それ以外の御質問をお続け願いますればけっこうと思います。
#49
○佐多忠隆君 いや、それを前提にして議論を進めなければならぬものですからね、ちょっと待ちます。
 池田さん、数字に強いあなたの下の部下諸君だから、数字に強いでしょう。
#50
○委員長(小山邦太郎君) この間に理事各位のお集まりをいただいて、議事の進行の上に御相談を願いたいと思います。――御着席願います。佐多委員、御着席願います。御着席願います。
#51
○政府委員(宮川新一郎君) お答え申します。
 個々の株価の動きについてはとっておりませんので、御了承願います。
#52
○佐多忠隆君 私は、政府がとっているからとは言っておりませんよ。ちゃんと発表されているのだから、それがどうなっておるか。大蔵省はその下落の方向をどうお読みになっておるかということを聞きたいのです。
#53
○羽生三七君 議事進行。佐多さんの質問に対する答弁が不十分な場合、あとから調査すると言っても、きょうは予算の最終日で、際限もなく自民党の方も待つ御意思もないだろうし、他の会派でも御同様だろうと思う。だから、佐多さんもできるだけ議事を進行していただいて、同時に、政府委員も、事前にある程度通告してあるのですから、できる限り詳細に答弁して、こういうことを何回も繰り返さないように、できる限り詳細に答弁して下さい。
#54
○国務大臣(水田三喜男君) ですから、先ほど御了解を得たように、佐多さんからの資料についての申し出の中に、個々の会社の株の高低がどういうふうになっているかという、統計の要望というものを私ども受けておりませんでしたので、今申しましたら、そういう要望をしているということでしたが、どういう行き違いか、私どもは、そういう要望を事務当局から受けていなかったために、また、ふだんこういう統計をとっておりませんから、特別の準備がしてございませんので、一応その事情を御了承の上でのひとつ御進行をお願いしたいと思います。
#55
○佐多忠隆君 さっきから言うように、大蔵省ではとっていないかもしれませんけれども、ちゃんと資料があるんだし、事務当局諸君は、ちゃんと資料をたくさん準備して持ってきているはずです。資料さえ持っておれば、株式月報なり株式年報なりを持ってきておるのだから、すぐ今にでも言えることなんです。その下落の傾向を、第二市場株式との関係についてどう見るか。そして今あなた方がやろうとしている対策が間違いだということは、これからこれは大臣と議論しますから、その前提になるんだから、そんなごまかしじゃだめですよ。
#56
○委員長(小山邦太郎君) 資料について、政府委員、いかがですか。(「資料は連絡なかったと言うのだから」と呼ぶ者あり)
#57
○佐多忠隆君 資料は連絡なかったといっても、こんなにたくさん役人諸君が持ってきているじゃないですか。当然のことです。株のことをやるというのだから、それくらいの資料を持ってくるのはあたりまえです。
#58
○政府委員(宮川新一郎君) 日立、東芝、富士、八幡の大型株について御説明申し上げます。
 ピーク時から今日までの下落率を申し上げます。日立は三一%、東芝が三二%、富士が二〇・八%、八幡が一八・五%の下落になっております。
#59
○佐多忠隆君 第二のほうの……。
#60
○政府委員(宮川新一郎君) お答え申し上げます。
 先ほど、第二市場の株式につきましては、ダウ平均を申し上げましたが、個々の株価についてはとっておりませんから、御了承願います。
#61
○佐多忠隆君 じゃ、第二のダウ平均、もう一ぺん言って下さい。
#62
○政府委員(宮川新一郎君) 開所いたしました十月二日のダウ平均が二百五十七円五十銭、それから第二次下落いたしました十七日現在で二百二十六円二十九銭……。
#63
○佐多忠隆君 下落率は……。
 一々聞かれないでも、きちんとやったらどうでしょう。
#64
○政府委員(宮川新一郎君) ただいま計算いたしております。――お答え申し上げます。下落率は一八・三%であります。
#65
○佐多忠隆君 両方の一年間の下落率……。
#66
○政府委員(宮川新一郎君) 二部につきましては、ただいまお答え申し上げたとおりであります。開所いたしましたのは十月二日でございますので、その下落率は一八・三%。一部につきましては、ピーク時からの下落率を申し上げました。年間の下落率は、ただいまとっておりません。
#67
○委員長(小山邦太郎君) 政府委員にお尋ねします。この上答弁ありませんか。
#68
○政府委員(宮川新一郎君) 一月からの下落率を見ますと、三・〇二%になっております。
#69
○佐多忠隆君 どっちが……。
#70
○政府委員(宮川新一郎君) 第一市場。
#71
○佐多忠隆君 それ一つ一つは……。それじゃ、こっちができるまで次に進みます。
 また同じ賢質問を繰り返すことになりますが、今後の、この年末、あるいは年度末、あるいは一年間、それらの推移、見通しを大蔵省はどういうふうにお考えになるか。
#72
○政府委員(宮川新一郎君) 経済の動向に関連いたしますので、正確に株価がどういうふうに上がるだろう、あるいは下がるだろうというところまで、正確に大蔵省としては最終的に見通しておりません。
#73
○佐多忠隆君 きのうでしたか、おとといでしたか、証券調整協議会というのですか、堀越君のやっておられる、あれをお聞きになってになって、それらの問題は十分論議をされたはずだと思いますが、それでは、政府、大蔵省の意見はいいですから、それらの協議会においてどういう意見、どういう空気であったか、それをひとつ詳細に御報告願いたいと思います。
#74
○政府委員(宮川新一郎君) お答え申し上ます。
 昨日、証券取引審議会を開催いたしまして、株価対策以外の問題を取り上げたのでございますが、勢い、最近の株式市況についての話が出まして、株式市況につきましては、先ほど私が下落の原因で申し上げましたように、従来、株式投資の安定層と見られております保険会社とか事業会社等の持ち株が、むしろ逆に大量の投げ売りに出ているために、株価が下落している。大衆投資家は、これには不安を感じているということでございました。将来の株式の動向につきましては、格別の意見は出ませんでした。
#75
○佐多忠隆君 そういうことになった責任はどういうところにあるかという御議論だったのか、それを詳しく御説明願いたい。同時に、それらに対してどういう対策を、この株式恐慌に対してどういう対策をとればいいかということが論議をされたか、それをお聞きしたい。
#76
○政府委員(宮川新一郎君) 対策につきましては、金融が逼迫しておるから投げ売りが出る、そういう関係から、金融の道をつけることが必要じゃないか。これに対しまして、現在、御承知のように、金融引き締め措置を実施しております。単に株式市況のために金融をゆるめるのはどうであるかという議論が出まして、結論は得ませんでした。そのほか、たとえば下期の投信のワクでは、株式を組み入れる金額を二百億に限定いたしております。このワクをはずしたらどうか、あるいは鉄鋼株、電力株、ガス株等を中心にいたしまして、大型株に対する増資を認めてはどうかということ、あるいは、現在信用取引におきまして証拠金率を五〇%にいたしておりますが、これを四〇ないし三〇に下げたらどうかという議論も出まして、いずれも議論が出ただけでございまして、満場一致の意見ではございません。将来、大蔵省においてよく検討してもらいたいということでございました。
#77
○佐多忠隆君 この協議会を今後どういうふうに運営をし、どういう対策を立てていくというおつもりですか。
#78
○政府委員(宮川新一郎君) 今後できるだけひんぱんに開きまして、ただいま出ましたような意見を中心にいたしまして、検討いたして参りたいと考えます。
#79
○佐多忠隆君 それから、今お話しのことを聞くと、まさに株式界は恐慌状態だと思うのです。非常に右往左往をしている。投げが殺到をしている。そのために、特にあふられて買い進んでおった大衆が非常にけがをして、あっちこっちにけが人が出て、非常な大混乱をやっておる。しかも、あるいは破産をし、あるいは首をくくる、あるいは奥さんがないしょでへそ繰りをやっていたために、夫婦別れの問題が出ている。これらの問題がいろいろうわさされておりますが、それらの実情はどういうふうに承知しておられるか、どういうふうに調査をしておられるか、その点をお聞きをしたいと思います。
 ついでに、中小企業金融公庫の総裁に申し上げておきますが、これに関連する問題を後ほどあなたにも御説明を願いますから、そのおつもりで願います。
#80
○政府委員(宮川新一郎君) 個々の投資家の実情につきましては、別段調査をいたしておりません。
#81
○佐多忠隆君 大衆を救わなければならない政治をやるということをモットーにしておられる池田内閣なんですから、この問題は一番重要な問題であり、したがって、非常に詳細な具体的な調査がなされていなければならないと思うのですが、それが何らなされていない。まことに怠慢だと思いますが、この問題は、後ほど政策、方針の問題として、対策の問題として、大蔵大臣なり池田総理とお話をしたいと思いますが、次に進みます。
 それから、先ほどお話の出た第二市場の小型株、特に非常に高くなっておる株は、今後非常な暴落の方向をたどっていくと私は見ておるのですが、これに対する対策はあまり考えられないで、日立、東芝、八幡、そういうような基幹産業といいますか、何といいますか、それを何とか守ってやらなければならぬというようなことがちらほら出たというようなお話がございましたが、これらの事情をもう少し詳しく、ます事務局から御説明願いたい。
#82
○政府委員(宮川新一郎君) お答え申し上げます。中型企業を育成いたしまして、中型企業の出しております株式の価格の適正を維持し流通を円滑にいたしますために、第二市場を作ったわけでございます。売買管理を厳重にすることを中心にいたしまして、不当な値下がりを来たしたり不当な取引が行なわれることのないように、厳重に注意いたして参りたいと考えております。
#83
○佐多忠隆君 大蔵大臣に聞きますが、今お話しのとおりに、いろいろ論議をしておられる。昨今伝えられるところによると、大蔵省は二、三の対策をお考えになっておるらしいのですが、そこで、こういうふうな暴落した出任は、経済的な原因は聞きましたが、それの政治的な責任というか、道義的な責任というか、そういうものは一体どこにあるというふうにお考えになるか。それから、対策を今後どういうふうに大臣はやろうとお考えになつておるのか、それらの点をまず御説明願いたい。
#84
○国務大臣(水田三喜男君) 大衆投資家の利益はどこまでも擁護するという立場から、私どもが証券行政をやっておりますが、特に一時、一部の銘柄について投機化の傾向が見られたというようなことがございましたので、そういうときにおいては、私どもはいろいろな制限をいたしまして、現在その制限の理由がなくなりましたので、逐次制限をとっていくといういろんな一連の行政を行なっておることも御承知のとおりと思います。最近の問題は、一部は市場内部の要因に基づくものも多うございまして、たとえば、四月の一番高いときに信用取引したものの期限到来ということを中心の整理というようなものが影響しておりましたが、ただいまの問題としては、先ほど理財局長から説明しましたように、やはり金融引き締めという政策にからんだ一つの現象であると思っております。そこで、これはいろいろ問題はございますが、やはり日本経済の見方というものについての若干の混乱があったことは事実でございます。将来どういうふうに日本経済が行くであろうかというような問題が一瞬出ましたために、大衆投資家の逡巡とか、いろんなことが見られましたが、これは、実際を申しますと、この予算委員会でたびたび論議されておりますように、日本経済の実態というものが悪いわけじゃない。個々の企業の実態が大きく変化しているようなときではございませんので、経済の実勢というものは今少しも悪くない。ただ、この引き締め政策を中心にして、先についてどうなるかという不安が一時出たことは事実でございますが、しかし、私どもが説明いたしまするように、伸び過ぎている経済、少しよ過ぎているものをどう抑制するかということから出ている問題でございますので、この国際収支を均衡させるという目的のために今とっている措置が、私は、今非常に着々と効果を現わしていると思いますが、この効果が出てくれば、国際収支の均衡は得られる。得られたら、なおかつ日本経済は高度成長を続けられるという状態にある現状ございますから、この実勢と株式の相場は、相当私は食い違っているところが今あるんじゃないか。で、何で食い違っているかといいますというと、将来の見通しというような点についての考え、同時に、この引き締め政策にからんだ一博的ないろんな現象というふうに見られますので、そうしますというと、私どもは、今後増資がどの程度にあるべきか、また、あるべき増資をどう消化していったらいいだろうか。それから、金融的な事情があってこういうことが起こるんだとすれば、どういう形でこれをやっていけば、大衆投資家の利益を守り得る市場の安定性というものが保てるかというところに、当然対策の焦点を置くべきだろうと考えております。したがって私どもは、関係業界の懇談もいたしますし、この点をなだらかにいくようにする。この増資圧迫が不当に金融界、証券界に加わりはせぬかという心配も一部はしているようでございますので、そういう心配を除く措置をとり、円滑にあるべき増資は消化させるし、社債の消化もいくような方法をとるというようなことで、今皆さんが不安に思っているものに対する対策は、政府も日銀も、十分金融界、証券界と相談のしで、逐次必要に応じて措置をとっていくつまりでございますので、問題は、やはり将来の経済に対する問題、見通しというものがここではっきりしてくれば、私は今実勢と離れた動き方をしているというふうに思いますので、この点をうまくやることがやはり政府の私どもの責任だと考えております。
 それで、経済をどうやっていくかということは、たびたび総理からも言われておりますように、日本経済は伸びなく困っている状態じゃないんだ、伸び過ぎたものを一時押えるということはするが、これが成功すれば、国際収支が回復して、どこも日本経済に心配なことはない。回復すれば、なおかつ外国に比べても、経済の安定、直度成長ができるだろうという今見通しに立った施策をしておるところでございますので、経済の前途についての心配というものは私どもは絶対ない。そうすれば、大衆投資家が長期的採算に立って投資をするというようなものに対する不安というものはないし、もっと自信を持ってやっていただいてもいいという情勢が出てくると思いますし、その閥の一時的な経済引き締めとからんだものについての対策というものは、私どもは十分責任を持って立てるつもりでおりますので、この点の御心配は私はないと思います。
#85
○佐多忠隆君 今に、至るまで、楽観論、超楽観論、まるでドンキホーテみたいなような御意見を聞いて、まことにおそれ入ります。今私は、この政治的な、道義的な責任はどこにあるんだということを言いましたが、顧みて他を言って、その問題には答弁をされておらない。ところが、昨日の協議会の席上では、伝えられるところによりますと、大蔵省が実勢その他見通しを詳しく説明をし、その上で、これの責任は、第一には、大衆投資家が愚かであって、むやみと踊らされて買ったんだ。第二は、これを過当に踊らした証券業者が非常に責任があるんだ。これに対する手は、大蔵省はしばしば警告なり何なりやったにもかかわらず、聞かれなかったから、こういうことになったんだ。第三点は、日本銀行が、株対策その他について、総合的な、計画的な運営、施策、指導に足りないところがある。これは再検討をされなければならぬのじゃないか、こういう意見、議論が開陳をされております。それで、これも仄聞するところですが、それを聞いていた委員諸君は、あいた口がふさがらぬで、しかし、お役人の前だから、その場ではみんな黙って謹聴していたが、帰ってから今に至るまで、あんなばかなことを言っているし、そうして責任を人に転嫁するとは何ぞやということで、非常に憤激の声があちらこちらにあったということを実は仄聞をいたしております。一、二の新聞には、きょうの新聞にも、その断片が記事となって出ておりますから、すでに皆さんお読みになって、御承知のとおりであります。一体、大蔵大臣はどういうふうな御見解なり、どういう御所見であるのかどうか、その点を詳しく御説明を願いたい。
#86
○国務大臣(水田三喜男君) 大衆投資家が愚かで、踊らされておったなどというような見解は私はとっておりません。今、この市況においても見られますように、大衆投資家の多くが動揺しているというような今事実はございません。法人筋の換金というものが値を下げているというのが実際の原因でございますので、長期的な採算に立っている大衆投資家というものが今動揺していないということは、これは事実でございまして、これが踊らされたというふうには私どもは見ておりません。ただ、証券行政というものについては、まだまだこれから改善すべき問題がございます。ですから、不当にこれが値上がりするというようなことは、これは困りますので、そういうものについては十分気をつけて、いろいろな制限を加えながら私どもはやっていく、またやってきました。と同時に、制限の必要のない時期においては、そういう今緩和措置を全部とっているというようなことで、今後証券界、金融界が一体となって、いろいろやっていくことについての指導は、まだこれから十分やらなければならぬ問題があると考えておりますが、そういうふうな、他に責任転嫁するような言辞をわれわれのほうから吐いたという事実はございません。
#87
○佐多忠隆君 それならばいいの、ですが、仄聞するところによるというと、今のようなあれです。それで、今おっしゃるように、それらのところに責任がないとすれば、責任はやはりそれを所管しておられる大蔵当局、証券当局、大蔵大臣、それに政治的な道義的な責任があるというふうに思わ、ざるを得ないのですが、先ほどいろいろ詳しく御説明のとおりに、株式はすでに三〇%、この七月の十七日のピーク時から、短期間の間に三〇%落ちているのです。この短期間の間に落ちたということは、まさに恐慌状態、たとえば、六カ月に、あるいは四、五カ月にこれまでに半分になったとか、あるいは三、四〇%になったときに、われわれ株式恐慌だと言っておると思いますが、今度の短期間の平均にして二〇%、大型株にして三〇%、小型株にして……、これは市場は最近でありますから、最近しかわかりませんが、
 一つ一つをとってみると、四〇%から四五%下がっております。まさにこれは恐慌状態ですよ。それならば、この責任は、まさにたあなのおっしゃるように、大衆でもなければ、証券業者でもなければ、日本銀行でもなければ、金融機関でもないとすれば、これはまさにあなたの責任という以外にないと思うのです。そうお考えになるか。それをどう反省しておられるか。
#88
○国務大臣(水田三喜男君) 私どもは、国際収支の改善のために今とっている措置が有効にいくことを期待しておるのですが、それでもなかなか、今の経済の実勢を見ますというと、まだ設備投資は、意欲は相当強いときでございますので、これだけの措置をとっても日本経済はまだまだ高度成長をやめないではないかと心配されるくらいの実勢でございます。ところが、そうでありますからこそ、私どもは金融引き締めという一連の措置を今とっているわけでございますが、この措置をとったことが非常に誤解されて、日本経済が非常に悪くなって、先が心配だというような不安を起こさせていることも事実でございます。で、国際収支を改善するという問題と、何か外貨がなくなって、政府は金繰りにでも因って手をあげやしないかというような、この問題が混同されて論じられておったことも事実でございますが、そういうこともからみ合って、いろいろな経済の前途に対して誤解を与えているという点もあるかもしれませんが、しかし、政府は成長政策をとって、これが少し仲び過ぎになったから、初期の目標としておった程度までの調整を加えるという措置が本質でございますので、この本質が理解されれば、一時的な不安ないろいろな問題というものはなくなると思いますので、政府としては、これは責任あるかどうか知りませんが、経済が少し進み過ぎたのに対して調整政策をとるというのは政府の責任でございまして、今やっていることでございますので、それの十分徹底しなかった問題とか、それを中心にいろいろ論議されて、その論議から誤解が生まれたというような問題も私は多分にあろうと思います。こういう点が十分気をつけられるのでしたら、これは、目的どおり、日本の経済が決して悪くなるわけではございませんので……
#89
○佐多忠隆君 悪く、毎日なっているじゃありませんか。
#90
○国務大臣(水田三喜男君) これは、悪くなっている現象じゃない、よくなり過ぎることを調整するために起こった一つの現象でございますので、実勢といいますか、実質というものを間違って見るところにいろいろ問題がございますから、この見方がはっきり徹底すれば、私は少しも今何らの不安のある状態ではないと思っております。
#91
○委員長(小山邦太郎君) あと一問だけ許します。
#92
○佐多忠隆君 だからドンキホーテだというのです。
 それならば、次に総理にお尋ねをするのですが、総理にお尋ねをします前に、ちょっと、中小企業金融公庫の総裁がお見えになっておりますから、中小企業の最近の金詰まりの状態その他政府の政策の結果としてどういうことが行なわれているか、きのう、おととい支店長会議をお開きになって、ずいぶん問題が出ているようでございますから、これを詳しく御説明を願いたい。
#93
○委員長(小山邦太郎君) あわせてあなたの発言を続けてやって下さい。
#94
○佐多忠隆君 あわせて、輸銀の総裁お見えになっておりますから、これが今度の補正予算、特別会計で非常な大幅な改訂をしている。これは、かなり見込み違いその他の結果かと思いますが、これらのそういうふうになった事情を詳しく御説明を願い、同時に、今後の運営をどうしようとしておられるか、それを詳しく御説明を願いたい。その上で総理への……。
#95
○委員長(小山邦太郎君) いや、続けて総理への発言をお願いします。
#96
○佐多忠隆君 総理はたくさんあるのですが。(「時間がきた」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
#97
○委員長(小山邦太郎君) 静粛に願います。続いてお願いいたします。
#98
○佐多忠隆君 それじゃ総理にお願いをいたします。総理にお願いいたしたい点は、御承知のとおり、株式恐慌の状態は今説明をしたとおり、しかも、その諸原因についても詳しく御説明をいたしました。おそらく総理は今の事務当局が説明をし、原因を解釈している以上に、詳しく数字的に御存じのはずだと思いますから、それらもあわせて、現状、将来への見通し、それに対する態度、それらを詳しく御説明を願いたい。それから、特に総理にお願いをしたいのは、今、株式恐慌の原因として、事務当局は、株の需給関係から、法人筋の金融、金詰まりの投げ売りと増資の逃げ、そういうものが中心であるというような原因をるる説明をされました。なるほど金融的な、証券的な一面の原因はそこにあったかと思います。しかし、もっと根本的には、若干大蔵大臣もお触れになったように、むしろ根本的な基本的な問題は経済の行き過ぎという問題、その経済の行き過ぎをあわててここでためなければならないという問題、これを非常に見通しを誤られた、その誤った見通しにあおられて大衆が踊り、証券会社が踊り、さらにはその誤った見通しに産業諸会社が膨大な過大な設備投質をやって、あの外貨危機を招来したという問題、これがむしろ基本の背後の問題であると思うのです。まさにこれは、経済政策の破綻のあらわれ以上の何ものでもないと思うのです。大体計画経済は、現在の資本主義のもとにおいても、私たちに言わせれば、もっと総合的な計画経済が可能なはずである。申し上げるまでもなく、ついこの間のイギリスにおける保守党の大会においては、イギリスの保守党ですら、イギリスの資本主義を合理的にするためには、もはや計画経済に移行をしなければならぬということを大きな経済政策として決定したことは御承知のとおりであります。もちろん、ソ連や中共の計画経済とははなはだ違うものであります。資本主義の維持繁栄、成長のための計画経済ではありましょうけれども、少なくとも技術的には計画経済に移らなければならぬということを、新しい資本主義として保守党は脱皮をしつつある。それならば、あなた方もその点をもう少し十分にお考えになって、これまでの失敗を深く反省をして、ここに新しい政策転換をされることが絶対に必要であると思うのであるが、どういうふうにお考えになるか。この経済政策の転換をし、政治的な方針をあなた方の立場からさらに脱皮し、近代保守党的なものに進んでいかれるためには、ここで大きな転換をしなければならないが、これをやられる覚悟があるかどうか。その前にこれは、しかし、もはやあなた方が新政策をやって弥縫をする問題ではない。今に至るまで新政策をお立てになれないで、もたもたしておられる。本来ならば、もうすでに今ごろは来年度の新政策ができていなければならないのに、もたもたして、今でも新政策ができない状態、これは、あるいは軽量執行部のために、実力者のあなた方から抑えられてまだできない、あるいはこの国会中にそれを発表すると、また論議が紛糾するから、まあしばらく抑えておいて、その間はほおかぶりして、それが済んでからやって、そうして次に臨むのだ、こういうようなうわさすら行なわれております。それをあなた方はどう考えておられるか。そういうふうなことを考えますと、今やあなたに対する経済の見通し、経済政策の誤りに対する批判は、ほうはいとして全国に巻き起こっておると思いますが、ここでしたがって政策を転換をされるのならば、新政策を提示をし、信を国民にここで問われたらどうですか。今こそお互いにあなた方も私たちもこの曲がりかどにきて、この転換期に際して、新しい経済政策をお互いに立て合いながら、この信を国民に問うという時期であり、段階であると私は確信をいたします。総理は、これらの点についてどういうふうにお考えになるか、詳細な御答弁を願いたいと思います。
#99
○参考人(森永貞一郎君) 私どもの機関を通じまして感じております中小企業金融の最近の状況を申し上げたいと存じます。
 金融引き締め政策後、中小企業の金融がどういう推移をたどるかということは、私どもといたしましても、最大の関心を払っておることでございまして、そのために、去る八月の下旬と今月の十七、八の両日、二回にわたりまして支店長会議を開きまして、調査をいたしました。これは、数字的にはなかなか把握できませんので、大体の勘ということになりますが、前回の調査のときには、まだそれほど深刻ではございませんでした。むしろ先行きどうなるであろうかという心配の方が大きかったようでございます。今度の調査の結果といたしましては、もう少しそれが具体化いたしまして、あるいはしみ通ってきたということが言えるようでございます。大企業との取引関係ないしは金融機関における融資の問題等にそういう傾向が現われてきておるようでございます。御承知のように、中小企業はこの二、三年非常に好況でございましたので、若干の蓄積もございました。その蓄積から手をつけていくわけでございますが、この蓄積が乏しくなっていくに伴いまして、これからが心配である。年末から一−三月の情勢がどうなるであろうか。そこに今後の問題があるのではないだろうかということでございます。数字的にはなかなかわかりませんが、私どもの窓口に現われておる影響を申し上げますと、直接貸しでは、設備資金の貸付は九月には、四月ないし八月のひどいところでは二倍ぐらいの申込みがございます。大部分のところは、二、三割から五割くらいの増加ということでございます。これは、近代化への意欲を示すと同時に、金融機関における資金の調達が漸次困難になってきたということの現われであろうと存じておる次第でございます。運転資金は、私どものほうは、あまり今までのところは資金需要が比較的に少なかったために、結果的には設備資金が圧倒的に多かったのでありますが、運転資金につきましても、九月以降くらいからだんだん需要が増加いたして参っておりまして、金詰まりの実情がそこにも反映されていると考えておるわけでございます。
 以上が、直接貸付についての窓口で、の動向でございますが、代理貸付につきましても、ほぼ同様の動向を示しておるようでございます。
 簡単でございますが、以上私どもの感じましたことを申し上げまして御答弁にかえます。
#100
○参考人(舟山正吉君) 輸出入銀行の貸し出し見込みにつきまして、本年度予算を御審議をいただきましたころに比べまして資金需要が増加いたしましたので、今般は輸出入銀行法の改正をお願いしておるわけでございます。その点につきまして御説明申し上げます。
 本年度予算におきましては、輸出入銀行の三十六年度の貸し出し見込みは、九百七十億くらいであろうというふうに想定しております。しかるに、今年度に入りましてから意外に貸し出しが伸びまして、この年度末までには不足が予想せられる事態になったので、大体二百十億くらいの貸し出しワクの不足ということが予見せられます。そこで、本年度予算におきましては、政府出資を百二十億、資金運用部資金を四百五十億、あとは輸銀の回収金その他の自己資金でもってまかなう予定であります。この資金ワク貸し出し予定見込みが二百十億ふえまして、千百八十億になりましたので、政府にお願いをいたしまして、出資を八十億増す、それから資金運用部資金を百二十億増していただくということにいたしました。こういうことになりまして、輸出入銀行の出資は、輸出入銀行法に規定されておる法律事項でございますので、今国会において御審議を願っております。このように見込みが違っておる理由を説明せよというお話でございましたが、大体輸銀の金の貸し方と申しますのは、申すまでもありませんが、民間で輸出契約ができますと、それに対して御相談に応じて資金をつけるわけでございます。この海外との重機械類、船舶類の輸出商談というものは、日本だけの見込みでは、なかなか的確を期しがたいのであります。外国からの発注ということが先決になるのでございますが、今年度になりまして予想が狂って参りました大きな点といたしましては、船舶の受注がふえたということ、これは、海運界は依然として世界的に低迷を示しておるのでございますが、これはまた低迷を来たして、造船価が下がりますと、ある場合には建造を発注するというようなことが起こってくるということもございます。それから最近は、鉱石あるいは石油の輸送の専用船を、しかも大型のものを各国が持ちたいという傾向がございまして、そういったようなことで今年度の発注がふえたのだと思います。
 それから、一般ブラント類につきましては、大きな要素といたしましては、ソ連との貿易協定に基づきますソ連への輸出が、これは予想外の大口のものが伸びて参りました。現に約百五十件くらいの商談ができて、これに対して五十億円くらいの輸出をしておるわけでございますが、その他今後もなお、商談としては大口のものが相当存在いたします。
 それからさらに、先般のインドの第三次五カ年計画の援助をいたしますために、第二次の円借款をインド政府に対しまして供与協定がきまり、これに基づきましても、一般プラント類が相当輸出せられる見込みでございます。さらに、パキスタンに対しましても同様でございまして、先方の第二次五カ年計画に対しまして、当年度二千万ドルの借款を供与する協定を具体化する運びになっております。申しおくれましたが、インドに対しましては、二カ年間で八千万ドル、初年度は五千万ドルのワクを与えることになっておるわけでございます。
 このようなことで、輸出入銀行の業務の中心を占めます船舶、それから一般プラント類につきましては、こういうような大きな新しい需要というものが見込まれましたので、この際、資金ワクの拡大を私どもとして熱望する次第でございます。
 今後の輸出入銀行の役割につきましては、一般商品の貿易以外の機械類の輸出とか、あるいは日本の企業の海外進出等につきまして大いに力を入れなければならないことは、申すまでもないのでございますが、こういう中期、長期の輸出金融につきましては、アメリカにおける輸出入銀行あるいは西独におきます輸出金融会社のごとく、それぞれ国が力を入れておるところでございます。私ども輸銀の果たす役割の重要性にかんがみて、今後も努力いたしたいと考えておる次第でございます。
#101
○国務大臣(池田勇人君) 御質問の第一点は、株価対策でございます。これは、大蔵大臣が申したとおりでございまして、別に私からつけ加えることはございませんが、証券市場の重要性は、最近とみに加わって参りました。証券業者に対する行政は、金融行政のうちで、銀行行政にまさるとも劣らない程度のものになってきておるのであります。したがいまして、大蔵大臣が申しましたごとく、今後証券行政につきましては、十分の、また細心の措置をとらなければならないと思います。今までもとって参っておりますが、急激に増強いたしましたので、足らない点もあったかも存じません。ただ問題は、非常に下落したとおっしゃいますが、株価というものは、長い目で見ていかなければなりません。今、あなたがとられているのは、七―八月の……六―七月というもの、特別の何と申しますか、設備増強をやろうとするときには、増資その他で下がることもあります。そうして金詰まりの点がそれに加わり、それで、金詰まりだから増資する、こういうことになって、今、異常の状態にあるのであります。したがいまして、われわれは、長い目で見ていけば、株の投資者はそう損をするものでないということを、ずっと前から見ていけばおわかりになることであります。今の下落の点は、一時的な現象と私は考えております。だといって、七月十八日の千八百二十九円というダウが、これがいいものとはもちろん思っておりません。これは行き過ぎでございます。だから、適当なところで落ちつくようにわれわれは考えていきたいと思っております。投資した人たちはみんな損しているかと申しますると、二、三年前、三、四年前からずっと投資しておられる人は、まだ利が乗っておるのであります。ごく最近の問題が今落ちている。これは、いずれは取り戻し得ると考えておるのであります。まあ株の需給関係その他につきましては、もう答えておりますから、申し上げませんが、今、イギリスが計画経済、こういうことをいっておりますが、私はそうは見ておりません。エコノミストなんかは、日本は高度成長でいいな、イギリスもこうなればいいなということをいっております。(「だいぶ前だ」と呼ぶ者あり)一カ月くらい前のことでございます。そうして今、政策転換とか曲がりかどに来たとかいうことは、曲がりかどに来たというのは、ここ一、二カ月たったらだんだん雑誌にも載らぬようになってくると思います。これは曲がりかどじゃない。高度成長をずっと続けていくための調整段階でございます。これは私は、結果がそれを示すと思います。今までのようにじめじめした経済が明るくなってきた、一段高くなってきたということは事実なのでございます。農村の二、三男坊の問題ももう解決をするのでしょう。そうして雇用の問題もよくなる。ただ、あまりよ過ぎて、行き過ぎたという点を調整するというのでございますから、曲がりかどでは絶対にございません。そうして私の新政策は、高度成長、所得倍増、これが私の政策でございます。そうしてそのために私はいろんな施策をやっていく。昭和三十六年度の予算の編成、あの考え方にまだ変わりはございません。私は、国民生活の安定と向上を期するための所得倍増、それのための社会保障、あるいは減税、あるいは設備投資、あるいは教育問題、これはもうわれわれの伝統の政策でございます。だから、何もここで新政策どうこうというような問題じゃない。今までのわれわれの基本方針、国民生活の安定向上、そのための高度成長、そうして今は調整であって、決して曲がりかどではございません。私は、日本の経済はどんどん進んでいって、そうして国民の期待に沿い得ることを確信を持ってやっているのであります。
#102
○委員長(小山邦太郎君) 以上をもちまして、質疑通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終局したものと認めます。
    ―――――――――――――
#103
○委員長(小山邦太郎君) この際、委員の変更について報告いたします。
 加藤シヅエ君が辞任せられ、その補欠として大矢正君が選任されました。
    ―――――――――――――
#104
○委員長(小山邦太郎君) これより討論に入ります。永岡光治君。
#105
○永岡光治君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となっております昭和三十六年度予算補正二案に反対の討論を行なわんとするものであります。
 反対の第一の理由は、本補正予算そのものが、池田内閣の経済政策の破綻によってその編成を余儀なくされるに至ったものであるにもかかわらず、その経済政策の失敗による国民生活の犠牲の救済についてほとんど何ら有効な予算措置がとられていないということであります。池田内閣は昨年の秋以来所得倍増、高度成長を唯一の旗じるしとして積極予算の編成、低金利政策の強行等によりいやが上にも成長ムードをあおり立て、その結果民間設備投資は三兆八千億円ないし四兆円という驚くべき高水準に達したのであります。この水準は所得倍増計画のその最終年度である昭和四十五年度に予定している三兆六千億円を、さらにはかるかに突破するものでありまして、この一事をもってしても現在のいわゆる高度成長が、いかに均衡を失した、かたわの成長であるかがきわめて明瞭にわかるのであります。このため内需は異常なまでに、旺盛となり、輸入は激増し、他面輸出は伸び悩み、その当然の結果として国際収支を極度に悪化させるに至ったのであります。すなわち一月以来九月まで毎月約一億ドルの経常収支の赤字を続けるという、まことにいまだかつてその例を見ないほどの容易ならざる事態を招来するに至ったのでありますが、このため、政府は、ついに先般、国際収支改善のための総合対策を財政、金融、その他すべての分町にわたって実施せざるを得ないという羽目に追い込まれたのであります。また、物価の面におきましても、当初における政府の見通しは、卸売物価は〇・三%の下落、消費者物価は一・一%の上昇ということであったにもかかわらず、物価騰貴の現実はいかんともしがたく、さすが頑迷固陋の政府も、やむなく最近に至っては卸売物価は四・五%、消費者物価は四・七%、それぞれ上昇ということに見通しを改定せざるを得なくなったのであります。この補正予算において、わずかではあるが、生活保護基準の引き上げや建築単価の改定等を行なわざるを得なかったのも、もっぱらこの物価騰貴のためであります。
 このように、わが党がその当初よりじゅんじゅんとその誤まりを指摘したとおり、不幸にして、政府の所得倍増、高度成長政策は、実施後わずか半年にして完全に破綻してしまったのであります。しかも、池田内閣の大資本木位の高度成長政策の完全な破綻によって、日本経済は今や重大な危機に直面しているのであります。しかるに池田内閣は、この段階に至ってもなおかつ高度成長政策は誤ってはいない、ただ、その行き過ぎを是正するだけだと強弁して、その責任を回避しようと努力しているのでありますが、このように責任を回避しつつ、他方では現実の必要に進められてこれまでの政策に急ブレーキをかけ、金融、その他各般の引き締め政策を強力に進めておりまして、そのしわ寄せはすでに深刻に国民の各層に及びつつあるのでありまして、これに対してもまた、緊急かつ適切な手当を必要をいたしているのであります。しかるに今回の補正予算は、これらの点について何ら必要な措置をとっておらないのであります。すなわち、まず誤れる高度成長政策に基づく物価騰貴による低所得者層の生活水準低下を防止する必要があるにもかかわらず、本補正予算では、わずかに生活保護基準が五%引き上げられておるだけであります。これではきわめて不十分でありまして、わが党が衆議院における補正予算組みかえ動議の中で提案したように、少なくとも一〇%の引き上げは必要であります。また、この補正予算が、日雇い労働者の賃金引き上げを行なっていないということは断じて承服できないところでありまして、これも物価騰貴の影響を考え、やはり少なくとも一〇%の賃金引き上げは必要であるのであります。また、医療費の値上げに伴い、社会保険の被保険者、患者等の負担増を軽減することがぜひとも必要であるにもかかわらず、何らその予算措置をとっておらないのは、はなはだ政府の怠慢と言わなければなりません。さらに政府の高度成長政策の破綻による金融引き締め政策のしわ寄せを最も深刻に受ける中小企業に対しましては、特に手厚い対策が必要でありますが、政府は財政融資において、中小企業金融の三機関に対しまして、わずか三百五十億円の資金手当をしておるにすぎないのであります。金融引き締めの強さと、それの中小企業へのしわ寄せの深刻さを考えまするならば、さらに五百億円程度の増額は絶対必要なのであります。
 なお、現在大きな社会問題となっております炭鉱労働者の政策費でありますが、全くこの補正予算に計上されていないということは、言語道断でありまして、政府にその一片の誠意すら見ることができないのはきわめて遺憾であります。石炭政策転換の根本問題については、わが党が別に要求することとなっているのでありますが、少なくとも、この補正予算において最小限度のものでも緊要な対策費を計上することが絶対に必要であるのであります。このように池田内閣は、この補正予算において、その経済政策の失敗によって危殆に瀕した国民生活の安定を確保するための予算措置をほとんどとっていないのでありまして、このことこそ、この補正予算の根本的な性格の問題として、わが党は断じてこれを承認することのできない第一の理由であります。
 反対の第二の理由は、本補正予算の四つの柱であります災害対策費、給与改善費、食管会計への繰り入れ及び地方交付税交付金は、いずれもその予算措置がきわめて不十分であって、とうてい当面の急需に即応できないと思われることであります。
 まず第一に、災害対策費でありますが、政府の災害対策はきわめてお粗末であります。最近の集中豪雨等による災害の頻発に対しましては、根本的な対策が必要と思うのでありますが、このような根本問題はしばらくおくといたしましても、今回の補正予算に計上された災害対策費は、あまりにも不十分であって、少なくともこの上に早害対策費を追加するほか、第二室戸台風被害対策の最も緊急を要する部分は、予備費というようなあいまいなことでなく、明確に災害対策費として計上すべきであります。
 さらに災害復旧について、公共施設の復旧の必要なことは言うまでもありませんが、それと同時に、被害を受けた国民の生活をすみやかに救援し、その生活再建を援助するという罹災者援護措置がきわめて重要なことは論を待たないことである。ことに恵まれない環境の中に生活しておる低所得者層が常に最大の被災者であるということに思いをいたしまするならば、なおさらこのことは緊急の必要事であります。この補正予算がこのような個人被害の救済対策について何ら考慮していないのは、はなはだ遺憾千万であります。いずれにいたしましても、この補正予算の災害対策費百四十九億円では不足すること明らかでありまして、わが党としましては、さらに約百億円の増額を必要と考えておるのであります。
 第二に、給与改善費でありますが、われわれから見れば、八月の人事院勧告そのものが、すでに本年の物価及び生計費の上昇率の実情からして、昨年の勧告よりも小幅の給与水準の引き上げにとどまっておることに不満であり、かつまた、従来から公務員職員団体が要望しておる給与体系の是正が無視されておることにも、はなはだ不満であるにもかかわらず、政府はさらにその実施時期を、勧告の五月から十月におくらせるなど、人事院勧告からさえも大幅に後退した予算措置をとっておるのであります。公務員給与改善費につきましては、公務員職員団体が要求しておりますような、給与の不合理の根本的是正をはかり、交渉の最終的結果について所要の予算を計上することが当然であると思うのであります。
 第三に、食管会計への繰り入れについてであります。食管会計の赤字補てんのための繰り入れば、もとより当然の措置でありますが、ただ、この際、食管の赤字に関連をいたしまして指摘しておく必要があると思いますのは、この赤字の中には、政府の責任で赤字となっておる分もあるということであります。すなわち、その第一は、金利の部分で、政府は食管の金繰りについて、国庫余裕金もあまり使っていないために、金利の負担がかさみ、これが赤字の原因の一部となっておるという事情があります。さらにまた、食糧庁の公務員給与等の行政費、あるいは国鉄運賃値上げによる輸送費の増大等もまた、それぞれ赤字増加の一因をなしておるのであります。これらは、しかし政府としては当然その補償、裏づけをすべきものであって、その裏づけをしないで、膨大な食管の赤字をすべて消費者、生産者に負担させる立場に立って、赤字を特に強調するのは、政府の責任のがれであると言わざるを得ないのであります。
 第四に、地方交付税交付金でありますが、大法人向け租税特別措置は、大資本の過大な設備投資を促進しておる要因であると同時に、著しく租税公平の原則に反するので、これを廃止し、または縮減すべきであります。その他、租税の自然増収も、政府がこの補正予算に計上しているよりもはるかに多いことは確実でありまするから、地方交付税交付金は二百十三億円程度ではなく、もっと大幅に増額されなければならないことは当然であります。
 以上申し述べましたように、災害対策、公務員給与、食管会計への繰り入れ、地方交付税交付金のいずれも予算措置が不十分で、わが党としてはとうていこれを承認するわけには参らないのであります。これがこの補正予算に反対する第二の理由であります。
 これを要するに、最初に指摘しましたように、池田内閣の高度成長政策は、その実施後わずか半年にして完全に破綻を来たし、一方では高度成長に基づく国際収支の危機を克服するため、高度成長そのものを押えざるを得なくなったと同時に、地方では高度成長で利益を受ける大企業や高額所得層と、成長政策から取り残され、そのしわ寄せを受ける中小企業、労働者、農民、その他の低所得層との所得格差はかえってますます拡大の一途をたどりつつあるのであります。このような、いまだかつてない経済政策の失敗に対しまして、池田首相は何ら責任をとろとしないばかりか、今後の対処策に関しても何ら具体的な方策や明確な見通しを示そうとしないのであります。池田首相は、来年秋には国際収支の均衡を回復すると言っておりますが、来年中に国際収支の均衡を回復するためには、来年度の経済成長率を思い切って低下させなければならないこと、つまり強烈なデフレ政策をとらざるを得ないことは、経済の原理に照らして必然の帰結でありましょう。しかるに、池田首相は、一方、来年の秋には国際収支を均衡させると言いながら、他方デフレ政策はとらないと言い、しかも来年度の経済成長率については言を左右にしてこれを明らかにしないのであります。わが党委員によってその矛盾を追及されますや、国際収支の均衡回復は一応来年秋をめどとしているが、事情によっては少し延ばしてもよいなどと、きわめてあいまい、かつ無責任きわまる答弁をいたしておるのであります。高度成長政策に失敗した池田内閣が、その収拾についても何らの成算も確信も持たないことは、この一事をもってしてもきわめて明瞭であります。私は、高度成長政策の破綻に伴う国民生活の犠牲の救済について何ら適切な措置をとっておらない本補正予算には断固反対するとともに、この破綻した高度成長政策、大資本中心の誤れる経済政策の一日もすみやかなる転換を強く要求いたしまして、私の反対討論を終わるものであります。(拍手)
#106
○委員長(小山邦太郎君) 米田正文君。(拍手)
#107
○米田正文君 私は、自由民主党を代表いたしまして、昭和三十六年度一般会計及び特別会計予算補正二件に対し賛成の意を表明せんとするものであります。
 所得倍増計画第一年度のわが国経済の現状は、高度経済成長が行き過ぎて、総理の言われるように超高度成長となり、設備投資の過剰は物価値上がり、賃金上昇の現象を生じ、対外的には国際収支の赤字問題となって現われてきたのであります。これは当初計画の進み過ぎであって、これを安定成長の線に引き戻すことが今日の緊急問題であります。政府はこれに対し、最近公定歩合の引き上げ、輸入担保率の引き上げ、設備投資の圧縮、公共投資の繰り延べ等、金融対策を中心とする各種の方策を総合的に打ち出しておるので、次第に安定の状態に近づき、来年下期には国際収支も均衡を示すことを期待しておるものでございます。社会党は、これに対して、最近の国際収支の赤字または国内物価の値上がり等を理由に、池田内閣の所得倍増計画は破綻したものであるとしてその責任を追及しておりますが、過去短時日の数字を基礎とした議論で、あまりにも性急な結論であり、即断過ぎるものといわなければなりません。所得倍増十カ年計画は長期の経済目標でありますので、相当長期的見通しが必要であって、社会党の見解はわれわれのとらざるところであります。われわれは、現下の経済成長テンポの早過ぎに対する政府の抑制総合対策を是認し、すみやかに安定成長の経済状態に回復することを期待するものであります。かかる経済背景のもとに組まれた補正予算は、財政法第二十九条の趣旨に基づき、必要避けることのできないものでなければならぬことはもちろんでありますが、同時に現下の諸情勢に適応するものでなければなりません。本補正予算案は、これらの諸条件を充足しておるものと認め、本予算案に賛意を表するものであります。
 今回の補正予算案の内容においては、第一に、災害対策関係の補正があり、歳出の追加領は百四十九億八千余万円に上っております。本年度は六、七、八月の豪雨、九月の第二室戸台風など、相当大規模な災害が発生し、各地に惨たんたる被害を生じ、本年度発生災害公共施設被害総額は千六百六十二億円に達したのであります。政府は、さしあたり、予備費の支出によって応急の措置を講じてきたのでありますが、さらに本年災害の規模の大きさと、地方公共団体等の負担能力とを勘案して、先年の伊勢湾台風の例に準じて、国の負担率、補助率または融資限度額を引き上げる等の立法措置を講じ、これに必要な予算を要求しておるのは、当然とはいいながら適切なる措置であると認めます。他面、特別立法を実施するには今回の補正をもってしては不十分であるとして、災害対策費の増額を要求する意見もありますけれども、別途百二十億円の予備費を計上いたしておりますから、十分なる対策を実施するに不足を生ずることはないと考えます。災害対策に関連した立法として、新たに宅地造成に関する工事等を規制するための宅地造成等規制法案並びに災害対策の基本を定めるための災害対策基本法案が今国会に提案されておりますが、いずれも今国会において成立させ、これらをあわせ災害の防止と復旧を総合的に行なわなければなりません。
 なお、この際、若干の希望を申し上げますならば、政府は災害復旧にあたって改良復旧にいま一段の努力を払われたいことと、復旧の期間を努めて短縮せられたいことであります。毎年のように災害が発生するところからこの点は従来から強く要求せられたところでありますが、なお一そうの努力を重ねて要望いたしたいのであります。また、治山治水緊急措置法による高潮対策は、特に今次の災害にかんがみ、東京、大阪、名古屋を中心とする地域の計画を拡大することを希望いたしますとともに、地盤沈下の防止をはかるための地下水の規制について強力な措置を講ずることを御研究願いたいと存じます。
 今回の予算補正の第二の項目は、国家公務員の給与の改善であります。今回の給与改善は、民間給与との格差を縮めることを趣旨とし、その特色は、下に厚く、上に薄いという点でありまして、同時に初任給も相当に引き上げられることになっております。民間の給与と国家公務員の給与に大きな格差がありますと、政府機関に優秀な人材を集めることが困難でありまして、現にその傾向が現われておるのでありますが、今回の改善によって相当にその傾向が緩和されるであろうと考えます。今回の給与改善は八月八日の人事院勧告に基づくものでありますが、従来から人事院の勧告が年度の途中に行なわれることに私は少なからぬ疑問を抱いております。年度の途中に勧告が行なわれる結果として、勧告を実施するにはどうしても予算の補正を行なわなければなりません。当切予算編成の際に、勧告の趣旨を織り込むことができるように勧告の時期が改められるならば、まことに好都合であろうと考えますが、今後の御研究をお願いいたしたいと存じます。
 国家公務員の給与改善に伴って、地方公務員についても当然これに準ずる給与改善が行なわるべきでありますが、政府の説明によりますと、今回の補正に計上されました、地方交付税交付金及び臨時地方特別交付金の追加二百十三億円によって、所要の改善を行なうことができるということでありますから、国、地方を通じて民間との格差は是正せられるわけであります。
 予算補正の第三点は、食管特別会計への繰り入れであります。これは本年産米麦の買い入れ価格及び買い入れ数量見込みが、当初予算における見込みを上回るに至った結果、同会計の赤字を補てんするための繰り入れでありまして、一方においては農家の生産費と所得を補償するために、比較的高い生産者米価を定め、他方社会政策的意味をもって、消費者米価を比較的低く定めておるという現在の二重価格制のもとにおいては、食糧管理に伴うこの種の赤字を、一般会計において負担することは当然の措置と言わなければなりません。
 予算補正の第四点は生活保護基準の引き上げであります。本年度予算の三つの柱の一つとして、社会保障の充実ということが取り上げられ、その一環として生活保護基準の一八%という大幅な引き上げが行なわれました。従来の引き上げが四、五%程度であったことに比しまして、この引き上げはまさに画期的な改善であったのであります。それを今回はさらに五%の引き上げを行なおうとするものでありまして、その結果生活保護基準は前年度に比較して二四%に及ぶ引き上げと相なるわけであります。この引き上げは最初の物価動向にかんがみ、被保護者層の生活保障改善の趣旨から行なわれるのでありまして、きわめて適切な措置として歓迎すべきものであります。また同じ趣旨からして、児童福祉施設における収容児童の食費等についても、所要の改定が加えられることとなっておりますが、これまた適切な措置であります。
 第五点は、公立文教施設の一部及び公営住宅における建築補助単価の改定であります。最近における木材の値上がり等に関連して建築費はかなりの上昇を来たしております。政府は最近の経済情勢にかんがみて、官庁営繕あるいは一部公共事業の繰り延べ等を行なっておりますが、学校の施設と住宅につきましては既定の計画を遂行することが必要であるとして、この措置に出たものであります。十分なるものとは言いがたいにしても最小限の緊急措置として賛意を表するものであります。
 特別会計につきましては第一に、日本輸出入銀行に対しまして八十億円の追加出資を行なうことといたしておりますが、国際収支の赤字克服のために、輸出を大いに振興する必要があるおりからきわめて適切な措置でありまして、政府資金による融資百二十億円の追加と相まって、輸出金融の充実に資することが大きいと考えられます。その他の特別会計の補正は、主として一般会計予算の補正及び公務員給与の改善に関連するものでありまして当然のことであります。
 最後に財政投融資につきましては、ただいま触れました日本輸出入銀行への融資増のほか、中小企業金融の緩和をはかるため、災害対策を含めて中小企業金融三機関に対する総額三百五十億円の資金手当が行なわれ、また災害に伴う資金需要に応ずるため、地方債のワクを拡大する等、当面最も必要とせられる面に対し資金の増額が行なわれている点、きわめて適切妥当な措置と認められるのでありますが、このうち中小企業金融の現状は年末を控え相当に苦しい状態にありますので、この上とも融資対策を推進するよう切望いたします。
 なお、この際中小企業対策のための基本法の制定の必要を痛感する次第であります。
 以上を通観いたしますと、今回の予算補正は災害対策、給与改善、生活保護の改善など、すべて国民生活の安定と向上に資することを重点とするものでありまして、私は全面的にこれに賛意を表する者であります。
 以上をもって私の討論を終わります。(拍手)
#108
○委員長(小山邦太郎君) 田上松衞君。(拍手)
#109
○田上松衞君 民主社会党を代表して予算補正案二件に対し、政府案の欠陥を指摘しつつ、しかもわが党の建設的改善意見を若干述べながら、原案に反対の意向を明らかにいたします。
 まず災害対策費について申し上げますが、防災施設が不備ないし不完全なために、失なわれたところの尊い人命や個人財産に対しての補償費が全然計上されておりません。このことはまさに池田内閣最大の欠点といわれておりまするところの、血と涙を失った冷酷そのものを如実に表明していると申すほかはございません。
 さらには梅雨前線、集中豪雨と、第二室戸台風の災害の特徴であった局部地域の壊滅的被害の実相と、その原因についての調査究明が、不十分かつ不親切であったことを、激甚地指定の面で露呈しておりまするが、これでは国民が政府案を納得了解しようはずがないと言わざるを得ません。
 次は公務員給与に関してでありますが、人事院は明らかに本年四月分の給与について、民間給与が公務員給与よりも七・三%上回っている事実を確認いたしまして、国家公務員の全職種平均の給与水準を本年五月分からおおむね七・一%を引き上ぐべきことを勧告したにもかかわらず、政府は口先では勧告をいかにも一〇〇%尊重して、完全実施するがごとき詭弁を弄しておりまするけれども、実際には十月分から実施する補正措置を講じていることは、不誠意もはなはだしい事柄であるのみならず、少なくとも四月から十月までの間に必然生じた消費者物価の値上がりと重複いたしまして、ますます民間給与水準との格差を拡大さすことは、小学校の生徒でも計算できるはずであります。しかも現時点では明らかに本年度予算では十分の余裕財源が認められている事実にかんがみまして、政府がほんとうに人事院制度の存在を否認されない限りは、いろいろな政治的な手練手管はこの際さっぱり捨てられまして、すなおに勧告の完全実施に踏み切り、給与改善を行なうことが至当でもあり、また賢明でもあると進言いたしておきたいのであります。
 第四に言及したいことは、事実上景気後退が迫っておりまする現時点に立って、責任のある政府のとるべき態度は、政府が作り上げた所得倍増ムードにあおられたために生じた、国民の経済上の被害に対する緊急措置、さらには今後も続くであろう被害を防止する経費といたしまして、次のような項目について予算補正を行なうことこそが、最も喫緊な措置でなければならぬと信ずることであります。いま少し説明を加えまするならば、政府案がみずから最近の物価上昇の事実を認めて、生活扶助基準を五%引き上げ、養護施設などにおける児童の飲食費等の単価を引き上げ、かつは文教施設、公営住宅の建築単価の引き上げ措置を講ぜざるを得なかったことは、いかように弁解されようとも、明らかに政府の所得倍増ムードが消費者物価、卸売物価を引き上げてしまった政策の失敗を、みずから告白しておる証拠でなければならぬのであります。したがって、生活扶助基準の引き上げを行なう限りにおいては、同時に日雇い登録労務者の給与も引き上げるべきが当然であり、また建築単価の改定を必要と認める限りは、公共事業全般にわたって予算単価の引き上げを行ない、もって公共事業の大部分の実施をゆだねる地方公共団体をして、物価高のために事業難に陥らないように、補正措置をとるのが当然でありましょう。政府案はこれらの措置を全く怠っておるではありませんか。
 第五には、今回の政府案の大きな特徴は、九百九十七億円余の歳出補正増額の財源を、すべて本年度税収の自然増をもって充てておるところにあります。本年度租税印紙収入の伸びは、九月末ですでに予算額の五三%六を収納しております。これは三十五年度の九月末の四五・八%に比べまして、実に七・八%の伸びを示しておるのでありまして、今日までの企業活動、個人所得の伸びをもって計算いたしまするならば、年度末には明らかに予算に対する収入歩合は二〇%近くの増となり、自然増は実に三千億円近くに上ることは必至であります。このような過大な自然増は、言うまでもなく政府の経済刺激の行き過ぎによって生じたものでありまするから、本来ならば、政府が当初予算において計上すべき歳出経費に充当すべき性質のものでなければならぬはずであります。私どもはこの見地に立ちまして、今回の補正は、医療保険関係並びに農業対策関係等の本年度予算について、根本的な補強を行ない、かつ所得税の年度内減税を断行すべきであると考えるのであります。
 すなわち第一に、国民皆保険が実現しておりまする現在、医療費の値上がり、医療内容の充実が国民の医療費負担を過重しないように、かつ医療保険会計予算に対する国庫負担率を引き上げるべきであると考えます。
 第二に、貿易自由化に備えまして、農業近代化を急がなければならない現在におきまして、農業系統資金をフルに活用するように、制度化された農業近代化資金の原資を大胆、積極的に大幅引き上げを行なうべきだと考えるのであります。
 さらにまた、所得税の基礎控除と配偶者控除を一万円に引き上げまして、これを明年一月から実施すべきことを主張いたしたいのであります。
 このような政策補強を断行することこそが、今回の予算補正の最大任務でなければならぬと信ずるのであります。
 第六に指摘しなければならぬ点は、政府は閣議決定をもちまして、国際収支の改善策を打ち出し、その中で官庁営繕費や公共事業等の不急部門を繰り延べる方針を明らかにしているにもかかわらず、事実においては今回の補正の中にこれを具体化しておりません。このことは、政府が一方では設備投資の膨張抑制、輸入金融抑制のために金融引き締めを行ないながらも、みずからは財政面の不急不要費の節減の努力すらも示さないことを意味しておるのであります。かくては、あとになって馬に念仏のそしりは一体だれが受けるべきかと言わざるを得ません。したがって、政府は本年度下期において、一般会計予算の三%相当額を節減するよう予算補正を行ない、行政当局がみずからの行動をもって国際収支改善の誠意と模範を示すべきであると極言いたすのであります。
 第七に、わが国の国際情勢は、池田総理のくどい答弁いかんにかかわらず、景気後退に向かいつつある事実は、何人も否定できないところであります。政策転換は、政府が公定歩合を引き下げた一月に、むしろ逆に公定歩合引き上げをもって開始すべきであったというのが正論だと考えます。裏から言いまするならば、政策転換はまさに半年以上もおくれてしまったうらみを感ずるのであります。したがって、国際収支が黒字に変わるのは、明年の末であり、国際収支の均衡を回復するのは明後年の春以降と見るのが今日の常識となっております。政府はこうした経済見通しを隠して、今日金融難にあえぐ中小企業者に対して、わずかに三百五十億円の財政融資を行なうにとどめておりますることは、むしろ中小企業金融の危機を隠蔽していると申さなければなりません。かかる見地に立って私どもは、本年度の財政投融資計画は、開銀の大企業向けの投資の繰り延べを行なう一方、中小企業向けの財政融資といたしまして、七百億円の追加増額を行なうことが適切であると思考するのであります。
 以上のような私どもの提唱いたしまする予算補正を断行するといたしましても、政府案の九百九十七億円余にわずかに二百八十億円を増加する程度で可能でありまして、優に今年度の税収の自然増をもってまかない得るのであります。このことを申し添えまして、政府の冷静な反省と今後の検討を求めつつ、劈頭申し上げましたとおり、あまりにも国民大衆に対する誠意の欠如した今次補正予算案に対しては、強く反対の意を表明いたしまして私の討論を終わります。(拍手)
#110
○委員長(小山邦太郎君) 森八三一君。
#111
○森八三一君 私は参議院同志会を代表いたしまして、ただいま議題となっております昭和三十六年度予算補正(第1号)及び(特第2号)に対し、以下申し述べます諸点に関し、政府に強く注意を喚起し善処を要望しつつ、原案に賛成の意を表するものであります。
 まず第一は災害対策についてであります。数次にわたる災害によって累積されました被災の復旧は、ただ単に罹災老並びに被災地方だけの問題にとどまらず、広く一般国民経済に至大の影響を及ぼすものでありまして、一日もゆるがせにできないものでありますることは申すまでもありません。予算の執行にあたりましては特に迅速を要することであります。ともすると官庁機構の多元的複雑性から、査定等にいたずらに時日を費す場合がないとは申されません。この点格別な配慮をなすべきであると存ずる次第であります。
 第二は、国家公務員のベース・アップでありまして、政府が今回人事院の勧告を尊重されましてこれが実施に踏み切られましたことは、最近の一般物価の上昇傾向に照らしまして、まず妥当な指貫なりとするものでございますが、その反面、今回のベース・アップが、公務員給与と民間給与とを比較する方法、あるいは当然の措置とはいえ、このベース・アップの一般経済に与える影響、さらにこれが賃金上昇への悪循環を誘発する危険、あるいは行政能率の改善、向上に具体的な配慮がなされていないため、財政上の負担等について、将来に多くの問題を残すものであることは疑いをいれないところであります。政府は、可及的すみやかに公務員給与体系について、合理的抜本的な制度の研究に着手すべきであると思うのであります。
 第三は、最近の経済情勢の動向に関し、楽観的な態度をもって終始されて参りました結果、国際収支を初め、極度に悪化し、憂うべき事態を生ずるに至りました。このことは、すでに昭和三十六年度当初予算の審議にあたりまして、私どもの強く指摘して参りましたところであります。いよいよ放置を許さない非常の事態に直面するに至りまして、政府が景気調節の総合政策を決定されましたことは、その時期のおそきに失したうらみはありますが、わが国経済のために、その配慮を多とするものであります。しかしながら、総合政策実施の結果は、金融の梗塞に想像を絶するものがあります。株式市場の現状を初め、各方面に与えている影響はきわめて甚大であります。近き将来、さらに一そう深刻なものが迫ってきておるようにも思うのであります。政府は、事態の急迫を率直に認めなければなりません。反省にちゅうちょがあってはならぬと存じます。特に、そのしわ寄せが中小企業にあります危険は、まことに大きいと中さなければなりません。中小企業金融について、特段の配慮を望むものであります。
 第四は、最近の諸物価の異常な高騰にかんがみ、政府は、事業の遂行にあたって、既定予算のもとで既定計画のままを遂行しようといたしますれば、当然、そこに手抜き等、いろいろな問題が生ずることは明らかであります。さらに、地方公共団体や関係機関に財政的なしわ寄せをする結果を生ずることになるでありましょう。かくして、いろいろの不測の損害や悪影響を及ぼす危険のあることも明らかなところであります。ゆえに政府は、予算の執行にあたって、この困難な経済情勢の推移に対処して、慎重かつ細心なる配慮を払われますることを強く要望しておきたいと存じます。
 以上の四点に関し、政府の神処を期待して討論を結ぶ次第であります。(拍手)
#112
○委員長(小山邦太郎君) 岩間正男君。
#113
○岩間正男君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題になっている昭和三十六年度一般会計予算補正(第1号)及び昭和三十六年度特別会計予算補正(特第2号)に反対するものであります。
 本補正予算案は、池田総理の言葉を借りて申せば、内外の難局に直面した時期に提出されたものであります。総理は、難局の内容を、外交、経済、社会、国民生活のすべての面にわたっての難局であり、多事多難であると言っているが、これは、ケネディ路線に従うことによって、池田内閣みずからが作り出し、みずからが落ち込んだところの難局といわねばなりません。いわゆる所得倍増、高度成長政策によって一段と促進され、急速に現われた国際収支の赤字という経済の危機の状態について、池田内閣は、当初の強気から、事態の悪化進展にあわてて、経済総合対策なるものを発表しました。政府は、これについてしばしば成長率の行き過ぎ是正で、所得倍増計画は変えないと強調してきました。しかしながら、国際収支赤字克服策として打ち出された輸出振興策一つを取り上げてみましても、事態はそんなに簡単なものではありません。政府は、かつて黄金市場とうたわれたアメリカの景気回復に過大の期待をかけています。しかし、産業界はいうに及ばず、新聞論調すらも、その見通しを額面どおりには信じられないと指摘しているのであります。過般の委員会において、藤山経済企画庁長官は、アメリカの景気回復が事実であるとしても、決して楽観的には見られないと答弁しているではありませんか。事実、アメリカの金流出はあらためて激しくなり、本月十八日には、戦後最低の金保有高を記録しているのであります。さらに、五百万人をはるかに上回る失業者は一向に減っておりません。
 また、ヨーロッパ市場を見ても、イギリスでは、内閣を改造してまでEEC加入をはかり、西独にしても、今や景気の成熟期を越し、下降傾向をたどっております。池田総理の渡米の目的の一つでもあり、日本独占資本の熱望するOECD加入についても、アメリカのあと押しのかいなく、一向に見通しはないばかりか、差別自由化をいわざるを得なくなってきております。中東、東南アジア、またしかりであります。日本政府が市場開拓のため賠償の名目で利用してきた海外進出策も、ビルマ賠償の行き詰まりに見るごとく、賠償の原則を踏みはずし、鶏三羽二百億の南ベトナム賠償をアメリカのさしがねで、不合理きわまりないことを承知で実施したりしていることにより、一そう解決を困難にしているのであります。さらに、ケネディ会談で、アメリカの極東軍事基地諸国に対するアメリカの肩がわりを積極的に引き受け、間接的直接的とを問わず援助を行なおうとして血道をあげております。束アジア、ことに南朝鮮には、国際世論の認めることのない、いわば三十八度線の火つけ役ともいうべき軍事政権にてこ入れをし、抜けがたい深みにはまり込もうとしております。日本を補給基地として軍用機の往来も、またひときわ活発になっている、南ベトナムにおいても同断であります。このように、幾多の事例をあげるまでもなく、国際的環境は改善されるどころか、かえってアメリカからはアメリカ自身の負担を軽減回避するために、自由化の促進とドル防衛肩がわりの役割を背負わされております。これがまた、日本経済に特別の圧迫を加えているのであります。
 かくのごとく、国民が経済不安と政府施策に対する不信を強めている中で、池田内閣は、独占資本の不安の緩和と、その利益擁護にきゅうきゅうとしているのであります。しかしながら、独占資本の中からすら、経済危機の深みと、その幅の広さが想像以上のものであり、その背景もなまやさしいものではないこと、その原因は、世界的な危機という根本問題に、日本の経済危機が結びついていることにあり、今さら、政府の政策に危惧の念を公然と表わしてはばからないものがあります。しかるに政府は、これらの声に何ら耳を傾けるどころか、唯一の救いの道を勤労市民、労働者、農民、さらに中小企業者の犠牲によって切り抜けようとしているのであります。
 それゆえにこそ、本補正予算案は、まず第一に、経済危機の見通しも立ちがたい中途半端なふらふらした内容を持つものとなり、提案当初から第二次補正を計画せざるを得ないところの不正常きわまりないものになっております。
 第二に、不当に抑えられている公務員給与の大幅賃上げ、生活の実態からは、あまりにもかけ離れている生活保護基準の引き上げはむろんのこと、今日国民生活の要求からは、はるかにかけ離れた、失対労働者の低賃金には、一顧だに与えてはおりません。かくして低賃金くぎづけの基礎を作り上げ、さらにまた、食管会計への繰り入れによって、低米価政策の基礎を固めるという役割を果たしております。
 さらに、本補正予算提出の眼目である全国各地の住民が受けた大きな被害に対する補償と、その大幅な対策費が要求されている災害対策も、わずか百四十九億しか出さないというに至っては、政府自民党の諸君が、国民生活を守るに何の誠意も能力も持ち合わせていないことを示していると断ぜざるを得ないのであります。毎年再三にわたって繰り返されている災害が、人災、政災であるにもかかわらず、全額国庫負担にもせず、国土の荒廃に政府は政治責任の一片だにとろうとはしておりません。こうした政府のやり方に対し、国家賠償を要求する被災者の声は、ますます高まっているのであります。
 このように、池田内閣のいわゆる高度成長政策は、国民生活のあらゆる面で各界、各層に多くの犠牲を強いています。十九日の当委員会における松島湾のカキの全滅のごときは、全くその典型的な現われであります。代ケ崎火力発電建設にあたって、政府は事前にその浅海漁業に及ぼす影響を科学的に調査して、万遺憾なきを期したかという私の質問に対して、佐藤通産大臣、河野農林大臣からは何らの確答も得られなかったのであります。昨日提出された農林省の資料によって、政府は地域漁民の生活と平和産業に対する何らの顧慮を払うことなく、めくら判をついていることがますます明白になりました。政府は当然明らかな原因を調査しなければならないのに、これを依頼中という一語で遷延し、当面の補償や根本的解決には何ら積極的な手を打とうとはしていないのであります。これはこのようにして、祖国の平和の海は死の海に化しています。関係三千の漁民はお先まつ暗であります。これは単に松島三千の浅海漁業家の死活の問題ではなく、全国民が受けている被害の現状であります。政府はこれを補償しないのみか、その責任をすべて国民になすりつけているのであります。
 第三に、当然なすべき減税を見送り、景気調整資金なるものの財源確保を行なうとともに、輸銀に二百億に上る増融資を行なうなどの大独占擁護政策を続けているのであります。これが、今議題になっている本補正予算の性格のあらましであります。
 関経連の五十嵐労政部長あるいは日経連の前田専務理事が賃金ストップを公然と政府に要求し、その意見を表明しております。しかも政府は防衛費を抑えるどころか、明年度にはまたまた増額を予定しているのであります。このような反人民的な政策を強行するためには人民を弾圧しなければならない。そこで依然として政防法を強行しようとし、またILO関係国内五法、さらには臨時行政調査会設置法などを通そうとし、また文部大臣の権限を逸脱し拡張解釈して、学力テストを実施しようとする等、軍国主義の復活と労働者の民主的権利の抑圧弾圧を策しております。なかんずく故鳩山首相が、その政治生命をかけた日ソ共同宣言とその精神を池田内閣は踏みにじり、国際的には、すでに解決済みの領土問題を反ソ、反中、反共、反平和共存の道具に使い、南朝鮮、台湾、南ベトナムなと極東の緊張状態をあえて作り出そうとしております。西独の軍国主義者、復讐主義者と並び称せられているのも、決してゆえなきことではございません。
 さらに、政府はこれらの政策を深めるために、旬日のうちに開かれる日米経済合同委員会を初めとして、科学技術委員会、文化教育委員会と軍事、政治、経済、文化、イデオロギーと国民生活全面にわたって、アメリカヘの従属、結合を深め、いわば新安保条約実施の具体化と強化をはかろうとしているのであります。
 以上のごとく、わが党は、この補正予算案が当面の単なる補正としての意味を持つだけでなく、将来にわたって池田内閣の危険きわまりない本質と、その目ざすところの意向を明瞭に示しているものであることを今日特に指摘せざるを得ないのであります。
 われわれ日本共産党は、このように人民の生活と権利を侵害し、じゅうりんし、祖国の独立、平和、民主主義の要求に挑戦せんとする本補正予算案に絶対反対するとともに、人民の力を結集して、目下大きな問題になっている政防法を初め、反人民的政策を粉砕するために戦うものであります。
#114
○委員長(小山邦太郎君) 以上をもちまして、討論通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終結したものと認めます。これより採決を行ないます。昭和三十六年度一般会計予算補正(第1号)昭和三十六年度特別会計予算補正(特第2号)以上両案を一括して問題に供します。
 両案を可決することに、賛成の方は御起立を願います。
  〔賛成者起立〕
#115
○委員長(小山邦太郎君) 起立多数と認めます。(拍手)
 よって、両案は多数をもって、可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#116
○委員長(小山邦太郎君) 御異議ないと認めます。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後二時十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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