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1961/10/06 第39回国会 参議院 参議院会議録情報 第039回国会 本会議 第7号
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1961/10/06 第39回国会 参議院

参議院会議録情報 第039回国会 本会議 第7号

#1
第039回国会 本会議 第7号
昭和三十六年十月六日(金曜日)
   午前十時二十分開議
    ―――――――――――――
 議事日程 第七号
  昭和三十六年十月六日
   午前十時開議
 第一 緊急質問の件
 第二 災害対策基本法案(趣旨説
  明)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 一、請暇の件
 一、日程第一 緊急質問の件
 一、日程第二 災害対策基本法案
  (趣旨説明)
    ―――――――――――――
#2
○議長(松野鶴平君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#3
○議長(松野鶴平君) これより本日の会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。
 野坂参三君から、海外旅行のため、明日から二十二日間請暇の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。よって許可することに決しました。
     ―――――・―――――
#5
○議長(松野鶴平君) 日程第一、緊急質問の件。
 重盛壽治君から武州鉄道事件に関する緊急質問、天田勝正君から武州鉄道汚職問題に関する緊急質問がそれぞれ提出されております。両緊急質問を行なうことに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。順次発言を許します。重盛壽治君。
  〔重盛壽治君登壇、拍手〕
#7
○重盛壽治君 私は、日本社会党を代表しまして、内閣総理大臣、運輸大臣、法務大臣、通産大臣等に対しまして、最近特に目立って参りました公務員の汚職について質問をいたします。
 汚職の問題は、これを絶滅するということは、自民党内閣の一枚看板であったはずであります。しかし、至るところに汚職の絶えないのが実情であります。さきの国鉄新幹線汚職あるいは自動車新免に関しての汚職等、運輸省関係の汚職が跡を断たないことは、まことに遺憾であります。特に、今回の武州鉄道の免許のごときは、元運輸大臣が、みずから主管する鉄道免許の問題に関連して、夫妻そろって逮捕されたのは、これは前代未聞のことで、鉄道免許に関する国民の疑惑はますます深まり、政治への信頼は失墜し、まことに遺憾千万と言わなければならないのであります。その事実については、いずれ司直の手で明らかにされることと思うが、かつての閣僚の一人が汚職の疑いで取り調べを受けたということは、これは、政府並びに与党として深く反省しなければならぬ。将来かかる事態を再び起こさぬという固い決意を国民の前に披瀝をし、そしてその責任の所在を明確にしなければならぬと思うのであります。この観点から総理大臣にお尋ねいたします。
 第一に、この不祥事の最終の責任は、一体だれが負わなければならぬかということであります。池田総理は、被疑事件で取り調べを受けたのは、岸内閣当時の閣僚であり、現内閣のあずかり知らぬことであると言われるかもしれませんが、問題の武州鉄道の免許は、今年七月、池田内閣において行なわれたものであり、この免許工作に多額の金がばらまかれたというのが今回の被疑事件であるが、池田内閣は、よそごとのように傍観することは許されないばかりでなく、鉄道の免許により国民のこうむる不測の損害に対して、その責任を負わなければならないのであります。池田総理は、今回の事件に対し、いかなる責任を感じておられるか、国民の前に明らかにしてもらいたいのであります。
 第二点としては、将来かかる汚職事件を払拭するために、そのよって来たるべき根源を追及し、この際これにメスを入れ、改むべきことは改める決意があるのかないのか。最近の風潮は、道義が薄らぎ、博士号でさえ金で解決できるがごとくうわさされておるのであります。まことに遺憾にたえません。かかる風潮は政治の堕落によるものであり、金権政治に堕した自民党内閣の責任と言わなければならないと思うのであります。(拍手)池田総理は、今回の事件に深く思いをいたし、汚職のよって来たる根源を追及し、その根絶に努め、あわせて金権政治を払拭すべきであります。総理の決意を明らかにせられたいのであります。
 次に、運輸大臣にお尋ねしますが、運輸審議会のあり方並びに鉄道の免許基準、鉄道行政の基本に関する問題であります。今度の武州鉄道の免許に関して、発起人または事業計画について十分審議が尽くされたかどうかに関して不明朗を感ずるのであります。武州鉄道が採算線であるかという点については疑いなきを得ない。なるほど審議会の答申には、必要性は認めており、私も必要であるかとも思うけれども、青梅から奥は、木材、石灰石の輸送ぐらいであると答申しており、これは運賃の低い貨物であるので、あまり採算のとれる鉄道とは申せませんから、審議に当たった委員の方々は十分わかっていたのです。ことに運輸省の事務関係幹部は、前山内次官を初め、強硬に反対しておったとのことであります。それにもかかわらず免許に踏み切ったことは、どこからか圧力がかかったのか。あるいはまた、輸送が目的でなく、土地の値上がりで利益をおさめようとする会社の野望に同調したことか、運輸行政の堕落と申さざるを得ないのであります。また、資金の点についても、当局は、きわめて納得のいかない取り扱いをしておるのであります。申請当時の事業資金は五十六億余であったのが、事務当局の審査の結果は、これを六十四億かかるものと査定されております。運審も、その資金の増額を来たすことを予想して、答申では、発起人の信用状況より考慮して、その調達は可能なものと、免許に意見をつけておるのであります。明らかにこの免許は、いわゆる顔の免許であります。しかし、発起人の入れかえは自由でありましょう。現に武州鉄道では、平沼弥太郎氏や石坂泰三氏が脱退され、そのあとへ小笠原三九郎氏が加入されているという、こういう事実を注意深く調査されれば、そう簡単に免許をおろしていいかどうかということが十分わからなければならぬ。発起人の顔がそろったからといって、気休め的な事由で、企業意思の有無やあるいは能力も調べない。しかも、答申後わずかの五日間というスピード免許をしたことは、不見識きわまることである。ことに閣僚交代の時期であったという点からも、世間が疑惑を向けることは当然であります。これらの経緯からして、運輸行政のあり方についてお尋ねしなければなりません。すなわち、一つは運輸審議会のあり方であり、もう一つは免許の基準についてであります。
 まず審議会であるが、これは、昭和二十四年運輸省の設置のときに設けられたもので、免許、重要な許認可その他について、大臣の諮問にこたえ、大臣はこれを尊重して処理する建前になっているが、現実の姿について見ると、運輸大臣に対し、法が規定しているような強い自主性を運審が持っているかどうか疑わしく、それが今度の武州鉄道の事件に如実に現われているような気がしてならないのであります。私は、運輸審議会の制度をこのまま残すのならば、名実ともに機構を強化し、自主性の強い、権威のあるものにしなければならぬと思うのであります。運輸大臣は運審のあり方をどう考えておられるか、その所見を伺いたい。
 次は、免許の基準についてであります。一体、運輸大臣は、鉄道免許をする場合に、どういう基準をもって免許をするのか。地方鉄道法にはその規定はない。おそらく行政方針として何か持っておると思うが、その尺度に当ててみて、武州鉄道は、はたして免許になる可能性があったかどうかを疑わざるを得ない。もしその基準にあてはまったとするならば、きわめて基準が抽象的のものであったであろう。一例を言うならば、自動車の新免のごときは、これはなかなか綿密なものである。発起人には貯金通帳を持参させ、残高を確かめたり、株券を呈示させたりして、財産を調査している。ときには行き過ぎた感を与えるのであります。同じ官庁で、自動車の免許では人権じゅうりんにひとしいような調べをし、勝手に作った基準に合わして厳重に許否をきめる。そのために閣議において決定しておる駐留軍離職者の免許もおりないような事態も一方で起こしておきながら、一方、鉄道免許においては、発起人に財力があるからといって、取り立ててこまかい基準がないのに顔で許可をきめるなどということは不見識きわまるものと言わなければならないと思うが、運輸大臣はどのように考えておるか伺いたいのであります。私は鉄道の免許については、免許基準を法定すれば無理な免許ができなくなり、汚職の介入する余地も少なくなるのではないかと思う。運輸大臣は、運輸審議会のあり方とともに、汚職根絶のため制度の改廃について考えておるかどうか、所見を承っておきたい。
 最後に、かような被疑事件の対象となった武州鉄道に対し、運輸大臣はいかなる措置をとらんとせられるか、お聞きをしたい。
 なお、本鉄道の免許により不当の利得を夢見た悪徳業者は別としまして、本鉄道の敷設に真に協力しようとして父祖伝来の土地を手放す約束をした者もあると思うが、かかる善良な国民を保護するためにも運輸省としては正しい指導を加えなければならぬと思うが、これらの点について、今後運輸省としてとるべき態度はどのようにせられるのか、明確に御答弁を願いたい。
 次に、法務大臣並びに通産大臣にお尋ねしますが、法務大臣は九月二十二日、富山で、指揮権発動などやろうとは思わないと語っておる。永田大映社長が九月二十四日、十日間の拘置がきまって、四億円の融資の使途で一千万円の融資謝礼のみ認めただけで、本筋のいわゆる政界工作はまだ確然としないまま否認しておるやさき、人情論からか、お母さんの危篤を理由に五日間の執行停止となった、その夜、一部の新聞記者諸君はこの情報はもう政界人から聞いて知っておるのだ、こういうことは何か相通ずるものがあったのではないかと国民は思っておる。したがって、今度の武州鉄道も造船疑獄同様に、指揮権発動という先例があるので、どうせまた途中でこれは立ち消えになるだろう、こういう見方が国民の中にはたいへん強い。最近の汚職のムードを打破する意味からも、法務大臣として徹底的な検察のメスを入れるよう期待しておるが、特に担当大臣は、法務大臣としてどういう決意をもってこの問題をどのように処理しようとしておられるのか、伺いたいのであります。
 その次に、法務大臣並びに通産大臣にお伺いしますが、これは必ずしも私は週刊雑誌等の記事を信頼するものではありません。しかし、佐藤通産大臣が武州鉄道の総会に出席し、祝詞を述べられたと聞いておる。個人的なことになって恐縮ですが、佐藤氏は、かつての造船疑獄の際に関係者としてうわさされ、しかも、指揮権発動という悪名高き事件を引き起こした当の御人であり、国民はまたかと疑惑の目を見張るでありましょう。私は、この真相に対して、植木法相は何と考えており、どう処理するつもりであるのか。また佐藤通産大臣にはほんとうに出席せられたのかどうか、どういう御関係によっての出席であったかを参考のためお尋ねしたいのであります。
 以上で私の質問を一応終わります。(拍手)
  〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(池田勇人君) お答え申し上げます。
 今回の武州鉄道事件はまことに遺憾なことでございます。それが前内閣で起ころうと私の内閣で起ころうと、私はまことに遺憾であるということをここに表明いたします。したがいまして、この事件はただいま捜査中でございますが、その捜査の結果を見まして、今後に対しましての対策を講じたいと思います。
 公務員は上下を問わずほんとうに国民の公僕として、政治の姿、行政の姿勢を正すことは、私がつとに申し上げておるところであり、今後とも十分自粛自戒いたしたいと思います。(拍手)
  〔国務大臣斎藤昇君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(斎藤昇君) まず、運輸審議会のあり方についてお答えをいたします。
 御質問の趣旨は、運輸審議会はあってもなくてもいいような存在ではないか。言葉をかえて言えば、大臣の考えどおりに動くものではないかというような御趣旨であったかと存じます。御承知のように、運輸審議会委員は、人格の高潔な、そして広い高い識見を持った人のうちから国会の同意を得て任命をされることになっておりまするし、また、これを罷免をいたしますのには、一定の法律上の要件がなければ罷免ができない。いわゆる非常に強い身分保障の規定があるわけであります。したがいまして、運輸大臣に対しましては、運輸大臣の意見と違っても自己の良心に従った審議と答申のできる仕組みになっておりまするから、私は法律上の構成あるいは権限というものについては十分保障されておると、かように存じております。
 なお、地方鉄道の免許基準はどうかというお尋ねでございまするが、地方鉄道の免許申請がありました場合には、まず、その必要性があるかどうかという問題、このたびの場合も、首都圏整備委員会におきましては、西武蔵野方面を縦断する交通機関が必要であるという決定をいたしておる点から考えましても、必要性は十分認めておったわけであります。免許基準は、その必要性と、それから発起人代表にその工事の能力があるかどうかというような事柄、また、その設計あるいは輸送量等を勘案をいたして、これが適当に成り立つかどうかというような点、ことに当該の府県の知事あるいは市町村長等が希望しているかいないかというような点等を勘案をいたしまして、そうして免許をするかしないかをきめるわけでございまするが、この免許基準を法律にはっきり書いたほうがいいかどうかというお尋ねに対しましては、私は、今まですべてそういうような基準によって免許をされ、このたびの場合にも、少なくとも外的な要件といたしましてはそういう基準に合致をいたしておるわけでございます。しかしながら、法律にこれを明定するのがいいかどうかということにつきましては、とくと考究をいたしたい、かように存じます。
 なお、武州鉄道の免許に対してのあとの処置をどうするかというお尋ねでございまするが、ただいま事件につきましては法務当局で捜査中でございます。私はむしろ今の段階は、静かに捜査の様子を見守りまして、その結果、地元の方々にどういう影響が及ぶかということも十分考慮いたしまして、行政上必要なる措置をしなければならないと考える場合にはいたしたいと考えております。発起人代表が、今後あの武鉄を実際にやろうというので、工事施行の申請を出してくるかどうかということも十分見守らなければならぬと考えております。これによって御承知をいただきたいと思います。(拍手)
  〔国務大臣植木庚子郎君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(植木庚子郎君) お答え申し上げます。
 いわゆる武州鉄道事件に関連しまして、指揮権発動云々の問題についての御発言でございましたが、私といたしましては、今日におきましても、なお依然として本問題について指揮権発動云々を全然考えておらないことを申し上げておきます。
 大映社長の永由雅一氏の勾留執行停止の問題について、何か陰の力でも動いておったのではないかというような御趣旨の御質問かと考えますが、さような事実は全然ございません。永田氏の容疑の問題は、埼玉銀行の幹部との間における御承知の贈収賄の嫌疑の問題でございまして、今回の勾留執行停止の問題は、その母の永田きみさんの危篤の問題がございまして、成規の手続によりまして、弁護人から勾留執行停止の申請がございまして、検察当局といたしましては、十分にその実情も取り調べました上で、慎重に審議の上、もちろん勾留間もないことでございますから、捜査上の若干の不便が起こることも考えましたが、しかし、人道上の見地からこれを許すことにきめたのであります。御承知のとおり、五日間の予定でございましたが、その経過とともに再勾留いたしまして、そうして今日調べをいたしておるような次第でございます。かようなわけで、今後武州問題、その他?件全体に関する問題もございますが、われわれといたしましては、当然厳正公平に処して調査をして参りたい。いやしくも犯罪の事実がある場合には、これに対して取り扱いをずさんにするようなことは決していたさない所存でございます。
 最後に、通産大臣の佐藤榮作氏の武州鉄道説明会に出席云々の問題については、何ら私は報告を受けておりません。
 以上お答え申し上げます。(拍手)
  〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(佐藤榮作君) 私に対するお尋ねは、事実についてのお尋ねでございます。また、その出所は週刊雑誌等で、必ずしも信は置いていないがということでございましたが、私、もちろんその種の会合に出たことはございません。したがいまして、祝辞など述べたこともございません。で、ただいまお尋ねになりましたように、出所等について全部確信を持っておるわけではないがと、かようにお断わりにはなりましたが、かような公席でお尋ねになりますことを、私、非常に迷惑に思っておりますことを申し上げておきます。(拍手)
    ―――――――――――――
#12
○議長(松野鶴平君) 天田勝正君。
  〔天田勝正君登壇、拍手〕
#13
○天田勝正君 私は、民主社会党を代表して、武州鉄道汚職事件について、総理並びに関係閣僚に対し質問を行ない、国民の前にその真相を明らかにいたしたいと思うのであります。
 まず、冒頭にお断わりいたしておきますが、この種の質問に対しては、検察の取り調べが済んでからとか、裁判の結果を待ってとか言いのがれるのを常といたしますが、法律の処罰は道義の最低限でありますから、法律以上に政治を正すべきが当然であるという立場に立って、摘発後の政府の調査を含めて、ここに明快な答弁を要求いたしておきます。
 さきに東海道新幹線工事の汚職が起こり、国民のひんしゅくを買いました。その摘発にもかかわらず、当局の戒めにも何らならず、大小の汚職が相次いでおります。試みに九月中に報ぜられたものだけをここにあげましても、札幌鉄道管理局長のトンネル工事汚職、国有林払い下げ汚職、名古屋住宅公団の汚職、北九州財務局による証券会社汚職、教科書汚職、はては博士論文の汚職、そうして電電公社の懲役刑の判決、また、今日のこの武州鉄道汚職事件の発生は陸運局に波及し、また、十数名の政治家が関係しておる。こういう状態で、日本の汚職はすでに世界的になり、役所はたいへんりっぱになりましたけれども、中は汚職で一ぱいという状態であります。これは、その源は、金のかかる選挙、政治の腐敗、権力を握る与党と財界との結びつきの悪循環がその根本の原因であります。また、一方、官僚が業界に天下る人事が汚職発生の仕組みになっているのであります。高級官僚は、職を辞したあとは、監督下にあった会社や団体、これに天下っていることは周知の事実であります。こうして、上司、先輩であった者が業界の代表となって、後輩、下僚であった者と連絡陳情をいたすのでありますから、汚職が発生しないほうが不思議であります。高級官僚を迎え入れることのできない中小企業者や庶民が冷遇されるのは、これまた自然であります。これは在職当時汚職がなかったにしても、汚職の約束手形をもらったにほかならないと思うのであります。(拍手)そこで総理に伺いますが、この今あげました打ち続く汚職発生に、あなたはいかような責任を感じておられるのか、また、与党や行政部内に対してどういう自粛の処置をとられたか、さらに、汚職発生の仕組みである官僚天下り方式をどう改善されるお考えがあるか、伺います。
 質問の第二は、武州鉄道申請後免許まで、運輸大臣は五名、大蔵大臣は二名であります。これらは、楢橋君を除いて、汚職に全然無関係だとあなたは言い切れますかどうか。佐藤君の問題については答弁がありましたから省略いたします。
 次に、楢橋君は、釈放直後の記者会見で、金はもらったけれども政治献金である、武州鉄道は計画がずさんであるから、免許に一番反対したのは自分であると言っておりますが、これが事実であれば、政治献金は当然自民党に入ったはずであります。政治資金規制法による届出がなされなければならぬと思いますが、どう処理されましたか、また、楢橋氏が武鉄免許に反対であったとすれば、それが正しく後継者に引き継がれれば、今回の事件はなかったとさえ言えるのであります。岸内閣当時に計画ずさんなるがゆえに反対であったものが、池田内閣になってから免許に転換したという、その理由はどこにありましょう。伺いたいと思います。
 質問の第三は、今回の事件について、植木法相がたとえ指揮権発動をしないと言いましても、これは内閣の方針できまります。よって、池田内閣は法相言明のとおり指揮権はあくまで発動しないかどうか。法相はその言明に反する事態になったならば職を賭する考えがあるかどうか承っておきます。
 次に、消息通の伝うるところでは、今回の事件に検察が独自の捜査を行ない、警察当局と手を結んでおりません。これは両者間の感情の疎隔があるからである、したがって、事件は大きくならないと伝えられるのでありますが、この際、これが真相、そして本件に対する方針について、法務大臣及び公安委員長からそれぞれ承ります。
 次に、大蔵大臣に伺います。およそ資本主義の今日、事業の成否は金融機関のバックのいかんにかかるのであります。今回の汚職についても、一新興成金の暗躍にとどまるものでなく、銀行の果たした役割はきわめて重いのであります。
 そとで伺いたい第一点は、私はかねて埼銀について好ましからざるうわさを耳にいたしておりました。よって去る八月三十一日、銀行局に対し、同行の不当融資、これに伴う資金導入調査、中心人物は東京支店長である。もっともこれには最初原田と言い違えましたが、後、田中東京支店長と訂正いたしました。こういうことで、人まで指定して調査を依頼し、これが武州鉄道にからむものであることをつけ加えておきました。ところが、その返事たるや、そうした支店長は全然いないし、事実は無根であるとの答えでありました。これが数日たちますると、事件が発展いたして、埼銀取締役田中太平君が逮捕されました。これが武鉄工作当時の支店長であったことは明らかであります。また、現同行副頭取秋元君は元専売局長官、おそらく善意に解釈すれば埼玉銀行に目付役として派遣されたのでありましょう。こういうことからいたして、このことを銀行の幹部も全く知らない、大蔵当局が知らないなどと言うのは納得できないのであります。その後おそらくこの点を調査されたと思いますから、監督官庁である大蔵大臣にこの点について詳細に承ります。
 第二の点は、埼銀は資本金四十五億円、その預金は二千四百六十三億円、もちろん地方銀行のトップであるのみならず、十一大銀行の中へ入れても九番目、大和銀行の次であります。こうした強大な背景と平沼頭取の力入れがあったればこそ、天下に肩書なしでまかり通れまする二十名の財界人、これを含めまして五十三名が武鉄発起人に名を連ねるに至ったのでございます。形式的には確かに手を切ったように見えます。私は埼銀と武鉄との関係を証する文書をここにも持っております。秩父市議会の協議会の記録を見ましても、これはいかにバックしたかが明らかである。なお、その中には本院議員の名前も出てくるのでありまするが、これは時間の関係がありまするから、委員会において述べたいと存じますが、とにかくこの強大なる埼銀を母体といたして、今回の汚職に関連のある二つの会社、白雲観光及び武州鉄道の二会社が生まれました。こういう関係から、埼銀は、大日産業、名店会館には二億五千万円、武鉄建設工作には一億六千五百万円、白雲観光には資本金の実に四十二倍といわれまする二十一億が融資されたと伝えられるのであります。こういうことは、政府の指導でありまする貸し出し優先順位から見ましても、これらはきわめて低いはずであります。これら自体が放漫な融資であるのみならず、政府の方針に反すると思うのでありまするが、どうして大蔵大臣は注意されなかったのでありましょう。(拍手)ことに私どもが見のがしてはならないことは、ただいま指摘しました融資で明らかなように、埼銀が埼栄会を中心とする大企業向けの融資に片寄り、地方銀行の使命であります地方産業の育成、中小企業のめんどうを見るという点がなおざりにされ、中小企業がまことに困難を来たしておるのであります。この際、大蔵大臣は、地方銀行の本来の使命に立ち返らせるべきだと思いまするし、また立ち返らしておるならば今回の事件は防止できたと思うのでありまするが、これに対する所見及び同行の地元融資と中央融資との額を明示されたいのであります。
 次に、運輸大臣に伺いますが、先に断わっておきますことは、あなたは今も同僚重盛君に言われましたが、私鉄免許は大臣権限でございます。先例でも、たとえ運輸審議会が決定したことでありましても、それに異なる認可の例があるのであります。したがって、答弁は運輸審議会に責めを帰しましても通用しないということを申し上げておきます。(拍手)
 大臣に対する質問の第一点は、武鉄認可に至る扱いが、他の同業者、ことに中小企業者の申請に比較してあまりに厚い処遇であるという点であります。西武といえば堤康次郎氏、まことに政治的圧力は強いといわれております。この西武と比較しましても、西武は経験十分、二十キロの延長、そうして武鉄よりも一年以上も前に申請を出しておって、内容は、審議会等でも落度はない、こういうことに承っております。ところが武鉄は、当時の大臣が認めておるように、ずさんな計画、それをあえて同格に扱いまして同じ公聴会にかけておる。しかも、ここで申し上げておきますけれども、なるほど三十四年一月に武鉄は申請したかのごとくに見えますけれども、二度の修正を行ないまして、最終的に文書の整ったのは公聴会も終わった三十五年の五月十九日ではありませんか。その五月の十九日、書類がそろったときを起点として認可すべきかいなかと決定しなければならないのに、認可公聴会を終えた後の書類をもとといたしまして認可をいたしたのでありまして、まことに不可思議しごくと言わなければならないのであります。そうしてこれをさらに中小企業者の場合と比べますと、中小企業者が二、三台のトラックやタクシーの免許申請をする、多くは、けちのつけ放題つけて却下に次ぐ却下であります。けちのつけようがないとなりますると、収支に不安があるなんという水掛け論に持ち込みまして結局許可をしない。一度で免許されるという例はございません。武鉄の場合は、会社計画がずさんであるということが明らかであるのにもかかわらず、却下どころか、手をとるように、免許するようにだんだん押し、そうして免許の内示までいたしておるに至っては、驚くのほかないのであります。この親切さを、どうか大臣、中小企業者にこそ持っていただきたいと私は思うのであります。(拍手)この不平等の取り扱いをば、いかに考えられるか。また、これが改善策を当然お持ちでなければならないと思いますが、この点を伺いたいと思うのでございます。
 質問の第二点は、武鉄申請のうち、資金計画を取り上げますと、ここに全部当時の書類はありますけれども、これは四十一億五千万円であるのであります。公聴会にかかったときもさようであります。そうしてこれが運輸省が査定したのが六十四億円。なお、業者で見積もりしたところが、これが百億というのであります。このことは、運輸審議会も運輸当局も御承知だったんですよ。しかるに、公聴会の後に五十六億三千万円と訂正させて、みずからの査定以下の不合理な計画をお認めになった。その積極的な理由は何でありますか、承りたいのであります。
 質問の第三点、本年七月六日武鉄当局は免許の内示があったとして記者発表を行ない、祝宴を開いておる。大臣認可は同月十一日であります。この認可に先だって、一体内示ができるのかどうか。また、このような内示は何人がするのでありますか。これは役所と武鉄がはっきりパイプでつながっておったことを私は証明すると思うのであります。これらの行政の乱れをばいかに正されるつもりか、はっきり大臣にお答え願いたいと思います。
 質問の第四点、武鉄と同系であり、同一建物に事務所を持つ白雲観光は、今申しました内示の同日に東京地検の手入れを受けております。続いて免許同日の十一日には第二回目の捜索を受けまして、ついに専務の内田君は逃亡寸前に逮捕されたのであります。この二つの事実を見れば、前段は当然御承知でなければならない。そうすれば、免許は当然中止してしかるべきものでございます。ところが、あえて免許を行なった。私は、これは後段の捜査が進展をいたす結果免許ができなくなることをおそれて、あわてて認可をしたのではなかろうかと存ずるのでありますが、この間の経緯を、時間もぴったり合うのでありますから、はっきりとお答え願いたいと存じます。
 質問の第五点は、武鉄免許にからみ、公述人として国会議員が出席しております。もちろん、それは法律的に禁止されておることではございません。しかし、こうしたことは意識せざる政治的圧力になるのであります。特にこれが与党議員の場合はよけい圧力を感ずるはずでございます。これらの運営につきましてどう考慮されるつもりがあるか。また、利権がからむと思われる認可事項について与党議員の行動をどう自粛されるかについては、総理から承りたいと思います。
#14
○議長(松野鶴平君) 天田君、結論を急いで下さい。
#15
○天田勝正君(続) わかりました。――その他、免許にまつわる疑点は数々ありますけれども、私は膨大な資料を持っておりますけれども、時間の注意がありましたから、これはすべて委員会に譲ります。要するに、武鉄の免許はまじめな運輸事業を行なう投資ではなく、土地の値上がり、レジャーを当てにする不急の投資といわなければならないのであります。外貨準備の危機が叫ばれておる今日、今計画中の投資でさえも繰り延べさせておるのであります。これが内閣の方針であります。これから見ても、武鉄免許は再検討すべきであると思いますけれども、これに対する運輸大臣の所見、そして設備投資繰り延べのことについては大蔵大臣から伺いたいと思います。
 以上をもって私の質問を一応終わります。(拍手)
  〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(池田勇人君) お答え申し上げます。
 御質問の第一点、役人の営利企業への天下りの問題につきましては、法律の規定に従いまして、慎重な態度でわれわれは臨んでおるのであります。
 第二の、溝橋個人が自由民主党に政治献金したということにつきましては、自由民主党の収支報告書にはそういう事実はございません。
 武州鉄道にもとの大臣数名が関係しておるとか、あるいは岸内閣で反対、池田内閣で賛成と、こういう具体的の問題は、運輸大臣からお答えさすことにいたします。
 なお、指揮権発動につきましては、私は法務大臣の考え方はしごくもっともと心得ております。(拍手)
  〔国務大臣植木庚子郎君登壇、拍
  手〕
#17
○国務大臣(植木庚子郎君) お答え申し上げます。
 今回の武州事件の捜査にあたりまして、検察側の上層部の者だけが関係をしており、あるいは警察側の十分な協力を得ていないきらいがある、そのために、この事件がうやむやになるようなおそれがあるといううわさがあるが、これについてどうかという御質問であります。本事件につきましての、まず検察側の調査の状況は、決して上層部のみで調査をしておるというような事実はございません。多数の検事と、また検察事務官がこれに関係して、懸命にその真相の解明に当たっておるわけであります。この点につきましては、新聞紙上等においても、相当数の検事並びに検察事務官が関係しておることが書いてあったのもあったかと思いますから、これによってもおわかり願えるかと思います。警察側の協力を得ているいないの問題でありますが、これはもちろん、ただいまの段階におきましては、そうしたうわさもありますとおり、警察側の協力を得ておりません。これについては、事案の内容によることでございまして、検察、その捜査に当たっておる検事並びに検察官の、その具体的の案件に対する判断によりまして、警察の協力を直ちに求める必要がある場合、またしからざる場合と、それぞれ判断によってやっておるのであります。今回の問題につきましては、まだ今日警察の協力を得る段階ではない、こう考えてやっております。事案の内容そのものによっての適切な方法として考えておるのであります。将来警察側の協力を得ることがあるやもしれませんが、それは事案の進展の状況いかんによることでございます。いずれにいたしてましても、これらの事実によりまして、本件をうやむやにするというようなことは毛頭考えておりませんことを重ねて申し上げます。(拍手)
  〔国務大臣安井謙君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(安井謙君) 本事件に関しましての警察の関係は、ただいま法務大臣がお答えのとおりでございまして、これは検察庁独自の捜査をいたしておるものでございます。したがいまして、今後必要があれば、むろん警察と検察庁は両者相協力すべきものでございますから、要請があれば積極的に協力をいたすという場合もあり得ると存じます。
 なお、政治献金の問題は、総理のお答えもありましたとおり、これは個人の政治献金であろうと思います。したがいまして、個人の政治献金は政治資金規正法の対象に相なっておりませんので、現在のところ自治省選挙局には届出はありません。(拍手)
  〔国務大臣水田三喜男君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(水田三喜男君) 御質問にお答えいたします。
 まず最初に天田議員におわび申し上げなければなりませんことは、天田議員からの調査の御依頼がございましたときに、銀行局からの回答が御趣旨に沿わなかった点があったのではないかと思うことでございます。と申しますのは、この武州鉄道事件なんていうものが起こることを予期しておりませんでしたので、御依頼があったときは、埼玉銀行の東京支店長の田中某なる者が導入預金の問題で左遷されたそうだ、その間の事情を調べて報告してくれということであったそうでございまして、調べたところが、導入預金という問題はない。田中某という支店長は、――田中じゃない、原田某という支店長はなかったが、田中という支店長が本店の常務になっておるが、これは栄転であるということでございましたので、その程度の御返事をしたそうでございますが、その後こういう事件が起こりましたので、銀行局でも再調査いたして調べたいきさつはございますが、これは必要によりましては、また委員会等でお答えしたいと思います。
 その次に融資準則の貸し出し順位を無視して貸し出しているのではないかという問題でございますが、埼玉銀行については、三十四年の七月に銀行検査をいたしたときにこの問題がもう出ておりました。で、鉄道のこの創立準備資金とか、あるいは創立事務費、測量関係の経費というようなものは、金融機関の資金融通準則上、不急不要のものとはなっておりません。また、鉄道用地買収の資金というものも順位が高いものでございますから、順位を無視して貸し出したということにはなりませんが、しかし大蔵省が検査しましたときに、この鉄道がまだ免許可否の見通しが十分でないというときに、こういう貸し出しは気をつけなければならぬというので、検査報告書に、はっきりその点を指摘して警戒した事実はございます。が、一応貸し出し順位を無視して貸したという事情にはなっておりません。そのあとをどうするのか、こういう融資についてどうするのかという御質問でございましたが、埼玉銀行としましては、武州鉄道に対する貸付金は現在全部回収済みになっております。
 それから白雲観光に関する問題は、この所有不動産と融資の点をどうするかという点については、ただいま埼玉銀行がいろいろ対策を立てておるという段階でございます。
 それから地方銀行は、地方産業、地方の中小企業に金融すべきであるということは当然でございまして、第一義的にはそういう貸付をするように、十分私どもは行政指導をやっておりますが、問題なのは、特に大都市に近い地方銀行というものは、事実上は都市圏銀行というような形になっておりますので、この比率は、相当大都市に多く貸しておるという点は、はっきり出ておりますが、こういう点についても今後十分私どもは行政指導をしたいと考えております。(拍手)
  〔国務大臣斎藤昇君登壇、拍手〕
#20
○国務大臣(斎藤昇君) お答えをいたします。
 先ほど私が重盛さんに答弁をいたしましたことについて、地方鉄道の認可については運輸審議会に全責任を持たしておる。こういうような御意見でございましたが、決してそうではございません。運輸審議会の答申がありましても、認可をするのは運輸大臣でございますから、大臣に一切の責任があるわけでございます。先ほどのお尋ねは、運輸審議会の委員は大臣とグルになって、そうして独立の存在としての価値がないのではないかというお尋ねでありましたから、そうではありません、自主的にりっぱに保障された機関であるということを申し上げたわけでございます。
 なお次に、地方鉄道の認可は、中小企業の者に対する認可よりもいろいろ手厚いではないか、これでは資本金が足らぬではないか、あるいは発起人代表としてはこれでは少しさびし過ぎる、というような指導を加えておるのじゃないかというお尋ねでございました。私は、中小企業の認可につきましても、できるだけ、認可基準はどういうものだ、これについてはこういうことでなければ資格がないのだということを教えてやるのが、親切な行政だと、かように考えておるわけでございます。まだ至らない点がありましたならば、今後そういうようにさらに指導して参りたい、かように考えております。
 それから、資金計画はきわめてずさんであった、こういうことでございまするが、私鉄の企業の免許につきましては、さらに工事施行の際に認可をする、もう一段の認可の段階があるわけでございます。当初の路線認可の際におきましては、一応の資金見積もりということをいたすわけでありますが、それは結局発起人代表等の資金能力というものに一番重点を置いておるわけでございまして、したがって、発起人代表等がこの鉄道事業を施行をするについて資金能力ありと認めたならば、私は、必ずしも当局の算定と全く合致をした資金計画がなされておらなければならぬということはないと考えております。
 それから、認可前に漏洩をしたことはけしからんではないかというお尋ねでございます。もし認可前に内示があったということであれば、それはまさしく官紀紊乱であると、かように存じます。ただ私の想像いたしますところでは、七月の六日に運輸審議会の答申がございましたから、この答申は公表をされますから、運輸審議会の答申のあったことを見て、これで認可をされると、こう取ったのではないだろうかと考えます。事務的に内示をしたようなことがあるかということを私の手元で調べてみましたが、そういう事実は今日のところございません。
 次に、白雲観光の捜査が六日に行なわれ、また内田専務が十一日に逮捕されて、そうして十一日に認可をしたのは、これはいかにもおかしいではないかというお尋ねでございます。もしこういう事実を知っていながら認可をされたものであるということであれば、一応のお疑いがあっても私はやむを得なかろうと思いますが、事務当局に聞きましたところが、当時事務当局といたしましては、こういう捜査や逮捕がその直前に、あるいは認可をされた日にあったということは知らなかった。認可後新聞で知ったと、かように申しておりますから、おそらく当時の運輸大臣もこのことはまだお耳にしておられなかったのではなかろうかと私は推察をいたします。
 この種の公聴会に国会議員を出すことは不適当と思わないかという御意見でございます。こういう直接特殊の会社に利益を及ぼすような事件につきましては、そういうような認可について、政治的に威力を与えるであろうというような関係がある人たちは、できるだけ避けてもらったほうがよろしいと、かように存じております。
 免許の再検討、ことに今日不要不急の投資を押える際であるから、こういうものについては再検討をする意思がないかというお尋ねでございます。たびたびお答えいたしておりますように、まだ発起人代表の手元において会社設立のことも私は聞いておりません。施工認可のこともまだ何ら聞いておりません。したがいまして、今後発起人代表が会社を作って、そうして実際これをやろうとするかどうかという点を見きわめ、また、この事件が完了をいたしました後に十分調査をいたしたいと、かように考えます。
 本申請がなされて以後、五人の大臣がかわっておる、各大臣の意向はどうであったかというお尋ねのようでございましたが、私は、ただいまの段階におきましては、前大臣、前々大臣等はどういう御意見であったかということを伺う必要をまだ感じておりませんので、何ら伺っておりません。(拍手)
     ―――――・―――――
#21
○議長(松野鶴平君) 日程第二、災害対策基本法案(趣旨説明)、
 本案について、国会法第五十六条の二の規定により、提出者からその趣旨説明を求めます。安井自治大臣。
  〔国務大臣安井謙君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(安井謙君) 災害対策基本法案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 わが国は世界に例を見ない災害国でありまして、連年各種の災害が頻発し、甚大な被害を繰り返してきているのであります。これを克服することは、国をあげての最も重要な問題の一つであると言わなければなりません。したがいまして、この頻発する災害に対し、これを未然に予防し、災害に臨んでは警戒、防御・応急救助等の策を講じて、被害を防止し、またはこれを最小限度にとどめ、また、不幸にして被害が発生したときは、そのすみやかな復興をはかり、民生を安定するために必要なあらゆる施策を適切に講ずることは、きわめて緊要なことであります。
 現在、災害対策については、行政上または財政上の個々の制度はかなり整備されておりますが、その相互間に総合性と計画性が必ずしも十分でなく、またその実施は、政府各行政機関、都道府県、市町村、各種公共機関等、あげて有機的な連絡協調を保って行なわれなければならないのでありますが、この点においても欠けるところなしとしなかったのでありまして、かねて総合的な災害対策の基本体制を確立する必要性が痛感されておりました。
 昭和三十四年九月に発生した伊勢湾台風は、死者四千七百人、負傷者約四万人に上り、その物的損害額は数千億円に達する甚大な被害を惹起したのでありまして、行政審議会の答申においても、総合的な防災体制を確立することの急務なる旨が強調されているのであります。これにかんがみ、災害対策に関する基本的立法について検討を進め、成案を得て前国会に提案したのでありますが、成立を見るに、至らなかったものであります。その後も災害が繰り返されておるのでありまして、そのすみやかな成立を念願して再度提案し、御審議を願うことにいたしたのであります。
 この法律案におきまして、特に留意いたしました点は次のとおりであります。
 第一は、災害対策の総合化であります。現行の災害対策関係法規を総合的、体系的に位置づけ、それらに基づく活動を組織化し、計画化することは、最も緊要なことと存じます。特に災害対策に関して、政府、地方公共団体、公共機関及び住民それぞれの責任分野を明確にするとともに、その総合的な協力と迅速適切な計画的活動を確保するために、中央及び地方に防災会議を設け、なお、災害に際しては災害対策本部を設けることとしたのであります。
 第二は、災害対策の計画化であります。災害の発生を予防し、または不幸にして災害の発生を見た場合にはその被害をできる限り軽減するためには、平素から周到な計画を立て、関係機関の緊密な連絡調整をはかり、必要な諸般の準備を整えるとともに、訓練を実施し、適時適切な応急対策を講ずることができる体制を備えておくことが必要と考えられます。そこで、中央及び地方の関係機関に防災計画の作成を義務づけ、これに基づいて計画的に災害対策を実施することとしたのであります。
 第三は、災害対策の緊急性にかんがみ、特に災害が国の経済及び社会の秩序の維持に重大な影響を及ぼすべき異常かつ激甚なものである場合に対処する体制を確立することであります。
 この法律案は、これらの諸点を考慮しつつ、中央における総合的な基本計画を基礎にして、それぞれの地域の実情に即して、都道府県及び市町村を中心として関係機関が相互に協力し、国の総力をあげて災害に対処する体制を整備することに特に意を用いたのであります。
 以下法律案の主要な事項について概略を御説明申し上げます。
 第一に、総則におきましては、国、都道府県、市町村、指定公共機関、住民等の防災に関する責務を掲げるとともに、国及び地方公共団体が特に配慮すべき重点事項を掲げ、この法律と災害対策に関する他の法律との関係等を明らかにしたのであります。
 第二は、防災に関する組織として、総理府に中央防災会議、都道府県に都道府県防災会議、市町村に市町村防災会議を設けることとするとともに、災害が発生した場合には、都道府県、市町村に災害対策本部、総理府に非常災害対策本部を設けることができるものとし、なお、災害時における職員の派遣制度について規定したのであります。
 第三は、防災計画でありまして、中央防災会議は防災基本計画、各省庁等は防災業務計画、都道府県防災会議、市町村防災会議等は地域防災計画を作成しなければならないものとし、防災計画には、現行の消防、水防、災害救助のほか、災害対策として必要な事項を総合的に規定し、災害対策の総合調整とその計画化をはかることとしているのであります。
 第四は、災害予防でありまして、防災の準備態勢に意を用い、防災に関する組織の整備、訓練、物資の備蓄、施設設備の整備点検等の義務を規定しているのであります。
 第五は、災害応急対策であります。現在災害救助法による災害救助の制度は整備されておりますが、災害時の応急対策としては救助だけでは十分でございませんので、情報、警報、避難、交通の規則、漂流物の処理、応急の教育その他必要と認められる措置について必要な規定を整備し、現行の各種の災害応急対策に関する制度を総合補完することとした次第であります。
 第六は、災害復旧でありますが、災害復旧事業の実施責任を定めるとともに、将来再び災害の発生することを防止するため、災害復旧事業費の決定にあたっては、これにあわせて施行すべき災害関連事業あるいは改良復旧事業が円滑に実施されるように十分の配慮をしなければならないこととしたのであります。
 第七は、災害に対処する財政金融措置であります。災害予防、災害応急対策及び災害復旧事業に要する費用の負担区分を明確にするとともに、災害に対処するために必要な財政上の措置等について規定することとしたのであります。なお、著しく激甚な災害が発生したときは、当該地方公共団体の経費の負担の適正をはかり、被災者の災害復興の意欲を振作するため必要な施策を講ずるものとし、これがため別に法律を制定することとするが、これはできる限り災害の発生のつど制定することを避け、統一的な法律を制定しておくものとし、その立法上の基準を定めることにいたしたのであります。
 第八は、災害緊急事態に対処するための特別措置であります。国の経済及び社会秩序の維持に重大な影響を及ぼすべき異常かつ激甚な非常災害が発生した場合においては、内閣総理大臣は、災害緊急事態の布告を発し、緊急災害対策本部を設置することができるものとし、なお、緊急の必要がある場合において、国会が閉会中で、臨時会を召集するいとまがない等のときは、特に政令で一定の緊急措置を講ずることができることとしたのであります。すなわち、(1)物資の配給、譲渡引き渡しの制限または禁止、(2)賃金及び価格等の最高額の決定、(3)金銭債務の支払延期及び権利の保存期間の延長について、政令で緊急措置を講ずることができるものとし、現行憲法の範囲内において必要最小限度の措置を講じ、もって公共の福祉の確保に遺憾なからしめることとしたのであります。
 以上がこの法律案を提案いたします理由及び法律案の内容の概要でございます。
 この法律案につきましては、その運用の実際に徴して、今後さらに整備充実をはかっていくべき点は少なくないと存じておりますが、この法律案により災害対策に関する基本的体制は整備され、わが国の災害対策が強力に推進されることになるものと存じております。(拍手)
#23
○議長(松野鶴平君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。松永忠二君。
  〔松永忠二君登壇、拍手〕
#24
○松永忠二君 私は日本社会党を代表し、ただいま提案になりました災害対策基本法案につき質問をいたします。
 過般の梅雨前線集中豪雨、第二室戸台風の被害は甚大であります。災害による被害は、年平均、死者二千百名、負傷者九千二百名、被害総額約二千四百億、まさに、戦争の被害に比すべきものといって過言ではありません。しかるに、災害対策は制度及び実施機関に有機的な連絡が欠け、災害予防、災害復旧も、重点的、効果的に行なわれておりません。したがって、防災の根本を明示し、総合的な災害対策の基本体制を確立することは、国民多年の熱望であり、岸内閣以来の自民党政府の公約でもございました。この法案がはたしてこの熱望にこたえ、公約を果たしたものであるのかどうか、こうした観点に立って、私は質問いたしたいと存じます。
 まず第一は、防災の組織についてであります。この法案によれば、中央防災会議が防災基本計画を作り、これに基づいて、各省庁、公共機関が防災業務計画を作り、地方防災会議は地域防災計画を作るのであります。中央防災会議の組織は、内閣総理大臣を会長、各省庁の大臣、長官を委員とし、そのほかに専門委員を置くことができるのであります。中央防災会議は総理府に置かれるのでありますが、事務局は消防庁を、事務局長は消防庁長官を予定しているのであります。しかし、はたして行政組織法に基づく行政機関でないこの組織で、制度相互間の関係が円滑に行なわれ、なわ張り意識の強い各機関の有機的連絡ができるでしょうか。非常災害、緊急災害には、会議とは別に対策本部が持たれるのですから、結局、防災会議は、運用面で全く内容のない、義務的なものに終わり、基本計画は各省庁の作る防災業務計画を吸い上げ、抽象的な基本方針を作文するにすぎないものになりはしないでしょうか。各省庁の担当官が、法案はお経の文句だといったことは、これをよく物語っているといえるのであります。
 そこで総理にお尋ねしたいのでありますが、社会党が常に主張しているように、国土省のような、防災計画の立案と実施権を持つ、防災行政を一元化した行政機関を設けるべきではないか。そこまでいかなくても、各省庁の防災関係の調査、立案、企画については、一本化して行なう権能を持つ、防災庁ともいうべき行政機関を作るべきではないか。これについていかなる見解を持たれるか、お聞きをしたいのであります。
 自治大臣にお尋ねをいたしますが、事務局を所管の庁に引き受けて、どういう具体的な方法によってこの重要な機能を果たしていくつもりなのか、伺いたいのであります。
 第二に、公共投資及び治山治水計画の再検討の必要の問題であります。災害の原因は、国土の無計画な利用と、公共投資の経済効率重点主義にあります。森林の資本主義的経営は、木材価格の上昇の下で、乱伐による山林の荒廃を引き起こしました。河川の利用は電力資本本位に行なわれ、大河川のみが開発をされ、中小河川は原始状態のまま、災害の原因となっています。その大河川も、天龍川のダムのように、電力資本が災害を大きくする原因を作っているのであります。都市の中央部においても、無計画に地下水をくみ上げ、地盤沈下する結果、浸水することになります。民間企業が大都市周辺の埋立地に進出をして、防災不十分のまま、労働者住宅、商店街が密集し、災害に見舞われているのであります。このように資本主義の発展は災害を増大させますが、住民にはこれを防ぐ能力はありません。防災は一にかかって国と地方団体の公共投資であります。ところが、昭和三十年以後、公共投資は経済効率を考え、その重点が産業基盤育成投資に移り、国土保全投資の地位は低下して参りました。昭和二十八年度国土保全投資は、一般会計の公共事業の六五%が、昭和三十五年度には四一%に低下し、産業基盤育成投資は一四%から四〇%に伸びているのであります。昭和三十六年度治山治水対策事業費は七百二十七億、昨年の約四十六億増に比して、道路整備事業費は実に千四百九十八億で、五百億の増大であります。この傾向は治水事業十カ年計画にも現われて、砂防が、三十五年の基本計画において、二十八年の計画に比して三千八百二十五億から千七百七十億に引き下げられているのでありますが、経済効果の目に見えるダムは、千六百七十三億が千七百七十億に引き上げられているのであります。したがって、ダム上流の砂防事業がおくれて、皮肉にも今次の災害などは、河床が上昇し、ダムの寿命を縮め、その機能を失って被害を多くしているのであります。しかも発電用ダムのみではなくて、多目的ダムでさえも発電本位に操作をされ、美和、佐久間、秋葉ダムでは多くの被害を出して、住民の非難を浴びているのであります。治水は治山にありといわれるように、治山事業は、より基本的なものでありますが、昭和三十五年治山事業十カ年計画では、これまたはなはだしく軽視をされ、二千四百八十五億から千三百億に引き下げられてしまったのであります。したがって、山地崩壊を予防する荒廃地の復旧防止も、現実の荒廃林地の七割を対象とするのみで、予防治山の実はあげられないのであります。
 総理に伺いたいのでありますが、今申しましたような事柄は、防災基本計画作成の際は当然総合調整の重要なものとして検討され、具体化されると思うが、どうでありますか。
 大蔵大臣にお尋ねいたしますが、公共投資の内容を再検討すべきではないか。国土保全投資にはもっと重点を置いていくべきではないのか。災害基本法ができれば結果的にそうなると考えてよいのかどうか。この点を明確にしていただきたいのであります。
 建設大臣にお尋ねいたしますが、防災業務計画樹立の際には、治水十カ年計画を再検討して、速度を早め、特に砂防について拡充すべきだと思うのでありますが、どうでありますか。またダム建設、ダム操作等に関係する法律規則を改正する用意があるのかどうか、お尋ねをしたいのであります。
 農林大臣については、治山十カ年計画の拡充、荒廃林地の復旧防止についてどんな考え方を持っていられるのか、これを防災業務計画にどう反映させようとしておられるのか、お述べをいただきたいと思うのであります。
 次に伺いたいのは、計画に対する予算的裏づけの問題であります。災害対策基本法に期待をした一つの点は、一般災害について、現行法以上の補助率アップをすること、激甚災害復旧事業に対する高率補助であります。ところが、災害復旧事業に対する国の負担及び補助は、「別に法令で定める。」としてぼかされておるのであります。激甚災害については別の法律に譲られているのであります。熱望された再度災害防止のための施設の新設、改良事業も、「十分配慮しなければならない。」という訓示規定に終わっているのであります。個人災害に対する助成も激甚災害にのみ考えられておるのであります。全壊流失の家の子供に対して学用品の給与が二百十円、五坪以内の応急仮設住宅に象徴される貧弱な災害救助法の改正は、基本法実施によってどうなるでありましょうか。
 大体、防災関係の計画は、森林法を初め十三にも及んで、すでにできております。
 しかし、たとえば、森林基本計画の林道計画が、昭和三十五年に、計画に比し実績が三九%にすぎないように、前の中曽根科学技術庁長官が、台風を防ぐことばかりでなく、洋上で消滅させることも研究すると、大ぼらを吹きながら、伊勢湾台風の反省によって、具体的な予報を出す防災気象官制度が、最低二百人が二十七名で打ち切られているように、予算的裏づけのないことであります。中央、地方の行政機関は、この法律で、災害予防、災害応急対策がこまかく規定され、責任を負わされながら、定員も施設も増加せられなくてはとてもたまらない、というのが偽らない声であります。
 大蔵大臣にお尋ねいたしますが、基本法実施によって、定員増、予算増がどんなふうに一体考えられておるのでありますか。
 自治大臣には特にひとつ、はっきりお答えをいただきたいのでありますが、災害復旧事業に対する国の負担、補助は、現行のものより高い率に法令で定めるのでありますか。また、激甚災害の法律はいつごろどこの所管で出されるのでありますか。なお、基本法の関連法律としてどんなものを具体的に考えておるのか、お示しをいただきたいのであります。
 厚生大臣にお尋ねをいたしますが、災害救助法をこの機会に改正充実する用意があるのかどうか。また、個人被災者に対する特別の助成とは、具体的にどんなことを考えていられるのか、伺いたいのであります。
 最後に、この基本法は、はなはだしく不十分であるということであります。災害を絶滅し、資源を利用するためには、巨大な国家投資と、資本主義の経済法則、民間投資の無計画性を、国民経済全体の立場で規制すること、及び国民の絶大な協力が必要であります。災害対策基本法には、この基本方針を明示し、これに基づいて総合的な強力な災害対策を樹立することが大切であります。この基本法にはかかる方針が明確になっておらないのであります。いたずらにこまかい規程を寄せ集め、現行の事実を成文化したにすぎません。その中心の機関は総理府に置かれながら、自治省所管の弱体な事務局がこれを運営し、予算的裏づけのない防災計画を樹立するにすぎません。基本法ブームでも過ぎたならば、激甚災害の法律の二つか三つ出たのみで、せいぜい行政機関の長や警察官や、海上保安官の権限が強化されたという形の応急措置が行なわれるだけで、基本法はたな上げされてしまうでありましょう。国民多年の熱望にこたえる自民党政府の公約を果すには、あまりにお粗末であり、かつ、ごまかしであります。(拍手)そこで私は、災害対策基本法にふさわしく、防災基本方針を明示し、強力な組織を持つ災害対策基本法にするために、この法案を提出し直すとか、大きな修正を加えることが必要だと思うのでありますが、池田総理のこの点に対する率直な見解をお尋ねをいたしまして、私の質問を終わりたいと思うのであります。(拍手)
  〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(池田勇人君) 災害対策行政は、お話のとおり広範かつ多岐にわたっておるのでございます。私は、日本の今までの災害の状況、今後を見通しまして、この行政をできるだけ一本化するように、すなわち、総合的に、計画的にやっていこうとして、今回の法案を審議願っているのであります。お話のように、非常にむずかしい広範の問題を処理していく上におきましては、今後この法律につきまして十分改正あるいは是正していくことも多々あろうと思います。一応とりあえずこれで進んでいきたいと思います。
 なお、防災関係の省を設けたらどうか、あるいは中央防災会議の事務局長が消防庁長官であるというお話でございましたが、これは消防庁長官ときめておりません。まだこれからの問題でございます。
 なお、治山治水事業につきましては、一昨年立てました十カ年計画、これを遂行して参りまするが、財政の事情によりまして、そうして、治山治水の必要なことをよく存じております、財政の許す限り、これを増額するよう努力していきたいと考えております。(拍手)
  〔国務大臣安井謙君登壇、拍手〕
#26
○国務大臣(安井謙君) 御承知のように防災対策といいますか、災害対策が、現在、縦の系列で、それぞれ所管によりましては相当整備されたものがございますが、今お話のとおりの総合的なもの、あるいは常時災害を予想しての基本的な計画を立てるという仕組みが、現在までなかったわけでありまして、この仕組みを作っていこうというのが一つの狙いでございます。また、災害の現場におきましても、御承知のように、第一線に働く警察、消防、あるいは民生、学校教員、それぞれがみんな縦の系列になっております。命令系統がみんな違う。これをその現場では総合統一して有機的に働かせよう、こういうのがこの法案の趣旨の一つでもあります。
 次に、どういった法案をいつの時期に出すのか、こういったお話でありますが、これは、従来、それぞれ各所管省にありました法律で、足らざるものはそれを補い、さらに今まで御存じの、伊勢湾台風でありますとか、あるいは梅雨前線豪雨あるいは室戸台風といったようなときに、現在までの法律に載ってないが、そのつど特例法を設けておるというようなものを総合いたしまして、取りまとめて、今後はこれをでき得る限り恒久法にして、なるべく早い機会にまとめたいと思っておりますが、これは何分予算とも関係があるものでございますから、この法案と一緒に提出することができなかったわけであります。(拍手)
  〔国務大臣中村梅吉君登壇、拍手〕
#27
○国務大臣(中村梅吉君) 御質問の第一点は、防災基本計画の策定に関連をいたしまして、現在の治水十カ年計画を再検討する意思があるかと、こういうお尋ねであったと思います。この点につきましては、ただいま総理大臣からお答えがございましたとおりでございます。ただ、私どもとしましては、最近の災害の傾向が、特に中小河川の惨たんたる被害が多いのでございます。かような現状にかんがみまして、おくれておりまするこの中小河川の整備、あるいはこれに関連しまするところの砂防事業、これらにつきましては、特段の留意をして参りたいと思います。また、地盤の沈下を中心といたしました低地対策というものも非常に重要な段階に相なっておりますので、治水計画の中におきましても努めて先行投資を、財政の事情と勘案をいたしまして、先行投資を行なって、これらに重点を置いて力を注ぎたいと思っております。
 もう一点は、ダムの操作規程のことでございましたが、災害のつど、ダムの操作について関係住民の方々からいろいろ御意見があり、世間にも批判がありますることは、私ども重々承知をいたしております。現在はやはり、ダム操作規程がございまして、この原則は、洪水時におきまして、放流量が流入量を上回らないということと、下流に急激な水位の変動を生ぜしめないという、二つの原則の上に立ったダムの操作規程というものは、御承知のとおりございますわけで、この操作規程を厳守させ、これによってダムの操作をするように努めておる次第でございますが、現状は、ともかくダムの操作について、水害のつどいろいろな批判等もございますので、建設省といたしましては、ダムに関する専門技術者をもって委員会の組織を作って、ダム操作規程というものが現状のもので十分であるのかどうか、改善すべき点があるとすればどういう点であるかというような点につきまして、慎重に検討を開始せしめておる段階でございます。したがいまして、関係各省とも連絡をとりまして、この点につきまして検討を加えておるというのが現状でございますことをお答え申し上げておく次第でございます。(拍手)
  〔国務大臣水田三喜男君登壇、拍
  手〕
#28
○国務大臣(水田三喜男君) 公共投資の内容を再検討せよというお話でございましたが、御承知のように、公共投資の過半を占めるものは、道路、港湾、治山治水への投資でございますが、これはただいま、みんな長期計画化しておりまして、道路は二兆一千億、港湾は二千五百億、治山治水は一兆五百億というように、長期計画で事業量もきめられておる現状でございますから、当分はこの長期計画に沿って事業を遂行していけばいいのではないかと考えます。
 国土保全投資が低いというお話でございましたが、これは治山治水だけではなくて、地盤沈下対策、災害と関連した改良工事、防潮堤、そのほか国土保全に関するいろいろの投資の総額を見ますと、大体予算の上では、各公共投資と均衡かとれておるつもりでございますが、ただその内容におきまして、実施の仕方を重点的にするとか効率的にするというようなことにつきましては、相当検討すべき問題が多かろうと思いますので、この点は十分検討したいと思います。
 それから予算と定員の問題でございますが、この法案が通りますれば、もちろん必要な経費は来年度の予算で考慮をいたしますが、定員については現状でやっていけるのではないかと考えておりまして、定員増のことはただいま考えておりません。(拍手)
  〔国務大臣河野一郎君登壇、拍手〕
#29
○国務大臣(河野一郎君) お答えいたします。
 わが国の林政は、御承知のとおり昭和二十年当時、過伐、乱伐がございましてこれのあとを増植をして参ることに専念いたしたのでございますが、何分、当時の事情からいたしまして、昭和三十年ごろまでは伐採が植林を上回っておったこともあるのであります。しかし、昭和三十年に至りまして、ようやく、伐採と植林が均衡を保つようになり、最近に至りましては、すでに伐採を植林が上回って、逐時改善されて参っておるのが実情でございます。そういう意味におきまして、今回提案されておりまする防災法におきましては、その三十八条の規定と森林計画とを相総合いたしまして、これらの矛盾の起らぬように善処して参る所存でございます。(拍手)
  〔国務大臣灘尾弘吉君登壇、拍手〕
#30
○国務大臣(灘尾弘吉君) 災害対策の基本法案が成立をいたしましても、現行の災害救助法の趣旨、建前は、そのままに継続するものと存じております。ただ、基本法案によりますというと、防災会議が設けられることになっております。災害救助法によりますと、御承知のように災害救助対策協議会というものがございます。この関係におきまして、災害救助法中、協議会に関する規定は重複すると思うのでありますので、削除することに相なろうかと存ずる次第であります。そのほか、災害救助に関する国家負担の方式でありますとか内容等につきましても、若干改正をする必要もあろうかと存じますので、目下検討中でございます。
 また、個人の災害に対する特別助成に関してのお尋ねがございましたが、当面の応急救助につきましては、現在の災害救助法によってやって参るわけでございますが、その後の立ち上がり資金と申しますか、これをいかにして助成していくかというような問題がお尋ねの御趣旨ではないかと思うのであります。これにつきましては、ひとり厚生省だけでなくて、各省に関係を持つ問題と考えまするが、厚生行政の関係におきましては、従来、再起を助長する意味におきまして、あるいは世帯更生資金とか、あるいは母子福祉資金の貸付制度における貸付条件を緩和する、こういうような措置をとって参っておるわけでございます。なおまた、国民健康保険、国民年金等における保険料の減免でありますとか、福祉年金の支給に関し、罹災者について支給要件を緩和するとか、こういうような措置を講じてあるのでありますが、そのうち一部のものにつきましては、すでに法律の改正を行なって、これが制度化をはかっておるものもございます。また、いわゆる行政の運用によってやっておるものもあるわけでありますが、今後さらに、罹災者の立ち上がりに対する援助ということにつきましては遺漏のないようにいたしたいと思います。(拍手)
#31
○議長(松野鶴平君) 田上松衞君。
  〔田上松衞君登壇、拍手〕
#32
○田上松衞君 民主社会党を代表して質問を行ないます。
 年々、実に二千四百億円に上りまする大きな災害を受けておりまする日本国民が、災害に対する抜本的な総合施策の一日も早く実現することを切実にこいねがうと同時に、その施策の重点は、復旧よりも災害を未然に防止することに置くべきであるという要望は、当然でもあり、今日の常識でもあるはずであります。政府が、次の通常国会を待たずして、今次の臨時国会に災害対策基本法案を出されたこと自体に対しては、もちろん敬意をささげるものでありまするけれども、その内容については、ただいまの自治大臣の趣旨説明とは大きく相違しておりまして、お粗末というよりも、むしろ遺憾ながら空虚の一語に尽きるものと断ぜざるを得ないのであります。
  〔議長退席、副議長着席〕
 以下逐次その不備をつきつつ、かつ、私どもの意見と要望をも織り込んで質問いたしまするが、まず総理に対して五点ほど……。
 第一は、政府案の防災に関する組織、防災計画、災害予防の各項、これにおいては、おおむね銀行の組織、計画、活動をそのまま収録ないし成文化したにすぎないものでありまして、年ごとに新しい形を加えて激しく襲いかかってきますところの災厄に対処する施策の前進がちっとも認められておりません。こんなものでは国民の期待には遠く沿い得ないものと思いますが、はたしてこれで十分だとお考えになっておられるのかどうか。もし、しからずとするならば、この程度にとどめざるを得なかった理由は何であるかを承っておきたいと考えます。
 第二点は、国家賠償法の第二条でも、道路、河川あるいはダム等の管理などの不備欠陥から生ずる国民の損害については、国または公共団体が賠償の責に任ずべきことを規定し、水防法や消防法でも、国民の生命財産に対する保護義務が課せられているにもかかわらず、本法案ではこれをはずしてしまっているのであるが、その理由と根拠を明らかにしていただきたい。
 第三には、災害が起こった後、そのつどの特別措置法に基づいて処理するというような現在の方法は、この際、改めて、恒常立法によって直ちに財政金融措置が講ぜられるようにして、被災公共団体がこれに対応してすみやかに復旧及び改良業務に着手できるように、法体制を整備することこそが急務なはずだと、こう考えるのでありまするけれども、これを逃げているが、これをどうお考えになったのであるか。
 第四点は、災害復旧事業を年度予算にとらわれることなく一刻も早く完了させるためには、国及び地方公共団体の出資によりまする災害金融公庫のごときものを設けまして、所要の復旧資金を貸し付けることができるようにする立法措置が必要だと考えまするが、これに関する御所見を承りたい。
 第五は、個人災害に対する国の救護措置は、直接的には何にもありませんが、このことは、人道上の見地からも、政治責任の上からも、見のがされてはならない重要な点であります。せめて見舞金、弔慰金の給付及び立ち上がり生業資金の貸付等を内容といたしまする被災者救護法というようなものを制定することが望ましいと思いますが、本法案でこれを考慮に入れなかった理由と、これについての御見解を明らかにしていただきたい。
 この際、特に申し添えておきますが、以上の質問は、大蔵大臣の御出席が困難だということであったので、総理を対象にしたわけでありまするけれども、大蔵大臣が出席しておられまするから、第二点以下については大蔵大臣の関連補足答弁を要求しておきます。
 建設大臣に対して一、二伺います。治山治水対策は、災害防止のための中心的なものでなければならぬことは議論の余地はございません。にもかかわらず、本案の立案は、単に地方公共団体との関係を考慮し過ぎた結果か、あるいは先に総理にただした通り、従来のままの組織、計画、活動の収録、成文化から、一歩も広げたくなかったためであったのか、それはどっちかわかりませんけれども、いずれにしても自治省をしてこれに当たらしたということは、あたかもガンの手術を歯医者にまかせた感があります。治山治水対策の面に何らの新味が盛られていないのは、このためだと考えるのであります。これでは今までのように、対策が災害を追っかけていくという悪循環を永久に断ち切ることは、とうていできますまい。なぜ抜本的な対策を打ち立てられなかったのであるか、その難点を建設大臣、正直に明示していただきたい。
 第二は、治山治水を初め、一切の防災対策を万全ならしめるためには、学識経験者をもって構成するところの災害国土調査会というようなものを設けて、災害のためのあらゆる調査立案に当たらしめ、その報告なり勧告なりに基づいて施策を講ずるようにすることがいいと考えるのでありますが、この機会にこうしたことを推進する御意思はございませんか。
 第三は、地下水汲み上げ規制の立法は、本法案と同時に、緊急事でなければならぬと考えるのであります。なぜこれを提案しようとしないのか、それとも構想を持ち合わせていないのか。もしあるとするならば、この際その根幹だけでもお示しになって、国民の心がまえの用意に供されたいと考えるのであります。
 最後に、時間の関係がありまするから、建設大臣を加えまして、農林、通産各大臣に一括してお伺いをいたします。
 現在、災害を拡大化するような危険な要素が平気で積み重ねられていることは御承知のとおりであります。すなわち、山林の乱伐であるとか、海抜ゼロ・メーターという工業地帯の存在であるとか、あるいは地下水の汲み上げによる著しい地盤沈下であるとか、無計画、無責任な、にわか作りの宅地造成、さらにはダムの建設に伴う上流河床の変化など、被害を増大拡張せしむる要因が、無秩序、無為無策のままに放置されているのが現状でありまするが、本法案にはこれに対処する熱意が見られないのは一体どうしたわけなのか。かりに現在の時点では修正することが困難であるといたしまするならば、これを補うに足りまする今後の対策ないし措置について、関係各大臣がそれぞれの立場から率直な御所信を披瀝していただきたい。
 以上申し上げましたように、政府案は災害対策上最も重要な事柄をはずしてしまっておるのでありまするが、これでは魂を入れない仏を作るのと同じであります。災害防止の抜本策が強く要求されておりまする今日、私は、あえて政府案に内包されておりまする諸問題を取り上げ、その欠陥を指摘しつつ、一面、政府の反省と再検討を望むことをつけ加えまして、質問を終わりますが、事柄の重要性にかんがみまして、各大臣の誠意ある御答弁をお願いいたします。(拍手)
  〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕
#33
○国務大臣(池田勇人君) 今回の災害対策基本法は、従来のいろんな点を、総合的に、また組織的に、計画的にやっていこうといたしておるのであります。お話の通りに、これで十分とは思っておりません。今後だんだん整備充実していくことは、提案理由で申し上げた通りでございます。
 なお、災害を受けられた場合におきまする国家賠償法の問題でございますが、これはこの法律でなしに、国家賠償法によりましてその賠償をいたす建前となっておるのであります。ただ、われわれとしては、災害を受けた国民の方々に対しまして、災害救助法をもっと将来拡充していきたいという考えを持っております。
 その次に、災害に対しまして特定の金融機関を設けたらどうかというお話でございまするが、これは御承知のとおり、本法におきましても、地方公共団体に基金を働く規定を置いております。私は、この災害のために特定の金融機関を設けることはいかがかと思いまするが、今後の問題として研究いたしたいと思います。
 また、災害防止のために、あの十カ年計画の範囲にとらわれず、今後、額をふやして防止に万全の措置をとるようにお話がございました。私も賛成でございます。財政の事情によりまして今後拡大していくように努力をいたしたいと思います。(拍手)
  〔国務大臣水田三喜男君登壇、拍
  手〕
#34
○国務大臣(水田三喜男君) 災害金融公庫を設けたらどうかというお話でございましたが、すでに総理大臣からお答えがございましたとおりでございます。災害がほとんど毎年の問題になっておりますので、この所要の復旧資金を貸し付けるということにつきましては、資金運用部、国民金融公庫その他の金融機構がもう経験済みで、事務になれており、政府も災害どきには、すぐに金融対策というものは立てて今日まで来ておりますので、今のところでは一応そういうものがなくても対処できるというふうに私どもは考えておりますが、基本法案ができたときでもございますので、こういうものについても今後検討したいと思います。(拍手)
  〔国務大臣中村梅吉君登壇、拍手〕
#35
○国務大臣(中村梅吉君) 御質問の第一点は、この災害基本法の中には治山治水計画が入っていないではないかということでございましたが、この災害基本法は、中央防災会議あるいは都道府県防災会議、市町村防災会議等ができまして、それぞれ防災基本計画を立て、また関係機関が業務計画を立てて推進をするというのが骨子でございまして、これらの基本計画というものができ、また、それに基づく業務計画としましては、もちろん建設省は建設省所管の防災関係業務につきまして業務計画を立てまするわけで、これらの中に治山治水等の問題等も当然含まれていくわけでございます。
 なお、これに関連しまして、建設省所管にならないで、自治省所管になったのはどういうわけかという御趣旨でございましたが、中央防災会議はもちろんできますが、主としてこの常時防災の訓練あるいは防災の地方的計画を立てて推進して参りまする機関は、都道府県であり、また市町村でございますので、これらの地方公共団体を所管をされておりまする自治省に基本法については所管をしていただくのがよかろう。とういう結果でございまして、建設省が災害防止につきまして責任回避をいたしているような意味では毛頭ございません。われわれとしましては、災害の防止につきましては全力を尽くして、今後この基本法を中心に対処して参りたいと考えているわけでございます。
 第二に、治山治水に関する特別の調査会を学識経験者等によって設ける意思はないか、こういうお話でございます。実は治山治水計画等の策定につきましては、現在の学識経験者の方々にお集まりをいただきまして河川審議会というものを持っております。この河川審議会によりまして治山治水の基本計画等は立てまして、そこで御審議をいただいて進めている次第でございますので、これと重複するような機関を今設ける意思はないわけでございますが、これらの改組あるいは充実等につきましては今後考究をいたしたいと思うのでございます。
 さらに、地盤沈下対策等についての御指摘がございましたが、われわれといたしましては、現在も、地盤沈下の原因が、ことに大阪の災害を見ましても、ビル街のああした、はなはだしい地盤沈下等がビル用水の使用を自由にしてある現状に大いに関係があると考えられますので、これらの規制措置につきまして、さっそく実は立法措置を講じたいと思いまして、せっかく検討を開始いたしている段階でございます。
 その他、最近の災害のいろいろな現状にかんがみまして、本国会におきましても、宅地造成等規制法等も提案をいたしまして御審議を願う段階にいたしているのでございますが、あらゆる角度から、最近の災害の傾向というものに照らし、また河川等につきましても、国の直轄河川等の大河川はやや整備ができているので、災害の上からもその効果を発揮しているわけでございますが、中小河川等あるいは低地対策、がけくずれ対策、こういうことにつきましては万遺憾なきを期していくように善処して参りたいと考えている次第でございます。(拍手)
  〔国務大臣河野一郎君登壇、拍手〕
#36
○国務大臣(河野一郎君) お答えいたします。
 最近、木材の値上がりによって、これが緊急対策として増伐をいたすことにいたしました。これについて、これが災害の原因になるほど切り過ぎじゃないかというような御心配になる向きもあるようでございますけれども、実は専門家が慎重に検討いたしまして、この程度まで切ることはよかろう、特にわれわれ考えましたことは、従来林道等が入っておりませんために利用されていなかった所に伐採の重きを置いてやっておりますので、災害等を十分に研究いたしまして計画を立てております。もちろん、これは跡地等の植林等につきましては、遅滞なく植林を完備して参るというふうにいたしておりますので、今後ともこの方針を続けて参ることによって、順次わが国の治山事業は完備して参るだろうと考えておる次第であります。(拍手)
  〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#37
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど建設大臣からお答えいたしましたので、もうそれでいいかと思いますが、発電用のダム建設におきましても、やはり防災という観点に立ちまして、十分当初の調査を綿密にすること、周到にすること、また、計画の実施にあたりましても、そういう点を十分考えていかなければならぬと思います。今後建設されるものは、ただいま御指摘になりましたような意味において、周到な調査の上に工事を進めていくということになりますし、すでにできておりますものが、現在約三百前後のダムがございますが、これらのものは過去におきまして建設され、二、三のダムにおいて、土砂の堆積等でいろいろ論議があるようでございますが、しかし、ただいまのところ、ダム操作規程、この運用によりまして、あまり問題を起こさないで済んで参っているのではないか、かように考えております。今後とも十分現在ありますダムの実情等を調べまして、対策に遺憾なきを期して参る考えであります。
 また、地下水のくみ上げによる沈下の問題でございますが、これにつきましては、三十一年に制定をみた工業用水法がございますので、沈下の非常にひどい地帯については、くみ上げ禁止という措置がとられております。ただ禁止するばかりでは工業用水としても困りますから、こういう地帯に対しての工業用水道の整備、いろいろの助成方策をとって、そのほうに力をいたしております。(拍手)
#38
○副議長(平井太郎君) 白木義一郎君。
  〔白木義一郎君登壇、拍手〕
#39
○白木義一郎君 総理大臣が外国のお客様とお約束がある、急いでやれと、このようなお話がありましたので、こまかいところは他日の委員会に譲ることにいたしまして、ごく重要な点をお伺いしたいと思います。
 わが国民の財産、生活、生命というものが、台風その他の災害によって毎年必ず破壊されている現状からするならば、台風こそ日本国民の今日における最大の外敵と見なければならないと思います。したがいまして、国民の税金も、国民の知識も、技術も、その労働も、必ず毎年襲ってくる台風や地震その他、あらゆる自然の脅威との戦いにつぎ込んでいくのが、わが国の政治をつかさどる者の真剣に取り組んでいかなければならぬ問題であると考える次第でございます。そこで、こうして毎年継り返し発生する災害に対して、総合的かつ本格的な対策の実施を望む声は非常に高まり、これに対して政府も、一昨年の伊勢湾台風以後、ようやく災害対策に対する基本法の必要を感じ、去る三十八国会に提出しましたが、この法案は、政防法という強力な台風に見舞われ、残念なことに水没流失してしまいましたが、再び今回、第二室戸台風のおかげで、ようやく日の目を見たことは、国家百年の大計への一歩前進と、きわめて甘く採点するものであります。したがって、この法案は、わが国の悲しい歴史の上から、数々の災害、すなわち、国民の人的物的の大きな犠牲により、ようやく生まれんとする法案である点は、忘れてはならないものであります。政府、与野党、地方団体の三者が盛んに、数次の災害により、答申あるいは報告により要望されて、大きな期待をかけられているのがこの基本法ではありますが、これは、これまでの法律にない新しい組織や制度でありまして、国、地方団体の十分な活用が期待はされますが、実際問題としては、組織や計画の策定の運用の面では、全く内容のない義務的なものに終わる可能性が強いので、若干の問題点を総理並びに自治大臣に伺います。
 災害対策基本法の提案理由の御説明の中に、「特に災害対策に関して、政府、地方公共団体、公共機関及び住民それぞれの責任分野を明確にするとともに」云々とありますが、外務省を除くほとんどの省庁が関係し、関係法律は約百五十といわれる複雑な内容を持った災害対策を統合統一せんとする、この基本法のいずこに、国土並びに国民の生命、身体及び財産を災害から保護するための責任の所在を明らかにしているところがあるか。その点につきまして、具体的かつ明確にお答えをしていただきたいと思います。
 この基本法が、前国会で政防法のあおりを受け審議未了になったが、接近する台風シーズンに備えて、自治省では、同法案に盛られた趣旨を生かして、とりあえず緊急の必要措置をとることにして、各都道府県知事あて、当面の災害対策について災害防止の態勢を確立するよう通達を出したのが去る八月十二日でありますが、一カ月後に襲って来た第二室戸台風では、政府も地方団体も何をやったか。それは、ただ逃げろ逃げろ、復旧工事や被災者には、金がない金がないの一点張りで来たのであります。これは、政府の通達が、地方団体においては、一カ月たっても実行実施できなかった、きわめて遺憾な実例でありますが、この点、基本法が成立したならば、国民は何を期待してよろしいでしょうか。寒さに向かって、家を流され、財産を失った被災者の労苦を忍びながら、親切な御説明を総理及び自治大臣にお願いいたします。
 次に、地方団体がこの基本法に期待を寄せて来たのは、災害復旧の事業の補助率を現行法以上に大幅に引き上げる点を望んでおったのでありますが、この点については、法案は、別に法律で定めるところにより措置をすると、ぼやかしてあります。地方団体の希望は全く受け入れられないことになってしまったわけでございます。従来は、災害のあるごとに、そのつど臨時的特例の形式で措置されて参りましたが、これは、できるだけすみやかに恒久立法化することとすべきであるが、この措置が織り込まれていない基本法が成立していたとして、大災害が起こったとしても、基本法から受ける恩恵はせいぜい応急措置ぐらいで、あと復旧については、現在行なわれている地方団体の陳情運動が引き続き展開される点は、一向前進の意味をなさないものでありますが、自治大臣は、財源措置を基本法に明記する意思がないようでありますが、具体的な内容は第二段階に考慮する構想であるかどうかを伺っておきたいと思います。
 最後に、必ず来るのが台風であり、地震であり、災害が日本国の宿命的な問題ともいえますが、この災害の抜本的予防策はただ一つしかありませんが、決してそれは、この基本法ではありません。高潮は何メートルまで、風速は何メートルまでとの限界がない。したがって、予防にも限度を見出せないがゆえに、一たび災害が発生せんか、ただ人事を尽くし、民心を安定する一途あるのみであります。猛スピードをもって攻撃を加えてくる自然の攻撃から、われわれの国土、国民を防禦するには、この基本法の防災に関する組織、防災計画、応急対策等により立ち向かえるものとは思えません。しばしば災害時に国民は役所役人の汚職とスローモーションに立腹し、期待を裏切り続けられております。平常時に訓練もなし得ない人々によって、非常時に際して迅速果敢な行動を望むことは無理であり、いかに審議された法案及び組織であっても、その実践段階に至るならば、人的要員の心がまえによりその功罪が決定するものであると考えるものであります。非常の際においては非常の果断と猛スピードを発揮して応急対策から被害の拡大を防ぎ、さらに復旧と被災者救済の精神に燃えた勇敢な人的要員に期待をせざるを得ません。その期待をやや満たしてくれるのが自衛隊であります。なぜ、やや満足かというのに、自衛隊に依然として武力的背景のもとに国土防衛の任務を負わされているために、いつの災害時でもその出動がおくれ、その力を出し切っていないうらみが感じられます。内外の情勢により、直接侵略や間接侵略という、起こるか起こらないかわからぬものに備えることもさることながら、確実にやってくる自然の攻撃からわれわれの国土を防衛することのほうが真の国土防衛であり、現存の自衛隊を年々襲う災害に対する防衛を主たる任務としたときには、その若さ、機動性、防衛精神の訓練等が大きな威力となり、民心の安定、復旧のスピード化、即災害予防にも通じ、国民のための自衛隊としての存置の意義も認められますが、このような方向、考え方はどうしても自衛隊の場合できないものでしょうか。総理大臣にお伺いいたします。
 次に、防衛庁長官に伺いますが、伊勢湾台風の際、当時の赤城防衛庁長官は、災害に際して自衛隊の威力を十分発揮できなかった点、予算委員会で、名古屋のときは近くに大部隊がおらなかったので準備等で出動がおくれたゆえに、今後、建設隊、施設隊、通信隊等の部隊を強化し、訓練、装備、資材等も災害時に使えるよう整備をしたい。そして東京または大阪方面に大災害があった場合には、どこどこの部隊がかけつけるといった出動態勢を日ごろから整えておくべきであると、部隊にそれぞれ命令をしておいたと答弁されておりますが、その後、自衛隊は災害等に関していかように努力を払われているか。第二室戸台風においてはあまり活躍が見られなかったので、伺っておきたいと思います。
 したがいまして、真の災害対策基本法とは、一国の最高責任者が災害問題について、国民を思うあたたかい心といかほどの熱意を示すかいなかによって定まるものと信ずるゆえに、総理大臣及び防衛庁長官に信念を伺って、私の質問といたします。(拍手)
  〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕
#40
○国務大臣(池田勇人君) お答え申し上げます。
 今回の災害対策基本法によりまして総合的に計画的にいたすことになっておりますから、予防とか、あるいは災害発生の場合の応急措置、復旧等につきまして、従来よりもよほど合理的に迅速化し得ると考えておるのであります。
 なお、財政金融措置でございまするが、これも一応章を設けて規定いたしております。今までは、そのつど、そのつど法律あるいは政令ということに相なっておるのでございまするが、今回は法律によるということをはっきり規定いたしております。ただ、激甚災害に対する財政措置、これは規定いたしておりませんが、激甚災害に対しましては今後十分研究いたしまして規定するよう進めていきたいと思います。
 自衛隊の災害に対する努力、これを高く評価して、総理として何か考えぬか、こういうお話でございます。さきの第二室戸台風につきましては、レーダーその他で非常に早くからわかっておりました。私は建設大臣に、何といいますか、備蓄せられました、いろいろな災害に対する準備を早急に一、二日の間にするように、また、防衛庁長官には自衛隊の配置等について万全を期するようにと、前々日から手配したような次第でございまして、毎年参りまするこの台風その他の災害につきまして、今後基本法ができ、また、自衛隊の訓練その他につきましても、災害防止に自衛隊が一役買っていくような方向で進んでいきたいと思います。(拍手)
  〔国務大臣安井謙君登壇、拍手〕
#41
○国務大臣(安井謙君) お話のとおりに災害に関係します法律案は百五十件以上もございます。また、関係省機関もそれぞれ広範になっておりますので、これを総合いたしまして今御趣旨のような能率を上げ、さらに防災会議で基本計画を立て、それを各省におろして実施計画を立てるというふうに前進をさせていきたいと思います。
 具体的な補助率の設定あるいは救助の範囲の拡大につきましては、でき得る限り早い機会に予算等の相談もいたしまして、実現をいたしたいと考えております。なお、地方防災会議等につきましても、自衛隊もこれに参加をしてもらいまして、そうして十分今の御趣旨に応ずるような態勢に仕組んでございます。(拍手)
  〔国務大臣藤枝泉介君登壇、拍手〕
#42
○国務大臣(藤枝泉介君) 自衛隊の災害派遣を迅速かつ適切にいたすために、大体次のようなことをやらしております。すなわち、平常時におきましては常に地方の行政機関と連絡をとりまして、地方機関の防災計画と部隊の行動等が融和できまするようにいたしますとともに、防災訓練等については努めて参加するようにいたしております。災害が発生することが予想されまする場合は、連絡班を各機関に派遣いたしまして、出動準備を整えまして、場合によっては要請によりまして災害発生前に予防出動させるようにいたしております。なお、災害が発生した場合には、原則としては都道府県知事の要請によりまして派遣をいたすのでございますが、状況によってはその要請を待たないで派遣をさせるようにいたす。ことに人命救助等には万全を期しておるような次第でございまして、第二室戸台風につきましても、そうした予防出動等を行なった次第でございます。
 なお、部隊の強化につきましては、本年度、建設大隊二、共同施設大隊一、地区施設隊五を増設を行ないまして、この結果、人員におきましては陸上自衛隊全員の約一四%がこのような方面に配置されることになっております。(拍手)
    ―――――――――――――
#43
○副議長(平井太郎君) 杉山昌作君。
  〔杉山昌作君登壇、拍手〕
#44
○杉山昌作君 私は、参議院同志会を代表して、総理及び自治大臣に質問申し上げるわけであります。
 質問の第一点は、一体、本法案が真に何をねらっておるかということでございますが、しかし、これにつきましては今までの三人の議員が質問されまして、それにほとんど尽くされております。要するにです、この法案が基本法と銘打ってありますけれども、基本法という名に値しないような、きわめてお粗末なものであるということでございます。で、われわれは、古くは教育基本法、最近では農業基本法、いずれも基本法と名づけた法案につきましては、それによって政府が教育に対してどういう考えを持っておるのだ、教育をどう持っていくのだ、農業を一体どう改革するのだという、政府の政策の基本が示されていたわけでございます。われわれは今度の法案に対しても、一体、災害の防止、あるいは災害があったときの善後措置に対して、政府はいかなる施策をするのだという、その基本の考え方を示していただけるものと、実は期待していたのでありまするが、との法案は、今までの三人の議員のおっしゃるとおり、ただこれまで各省ばらばらであったものを統合するのだとか、あるいは国と地方団体との責任の区分をどうするとか、あるいは警報の伝達の仕方、避難の仕方をこうするとかというような、きわめて調子の低い、事務的な手続の総合規定をしただけのものであって、何らそこに災害の防止または災害善後措置に対する政府の施策の片りんだに見せていない、これがわれわれの考えであります。(拍手)そのゆえに、私は、本法案の真のねらいはどこにあるのだということを伺いたいのでありますが、これにつきましては、申し上げましたように、すでに質問も尽くされ、また、政府の答弁もありますので、私は、政府が答弁どおり、今後において十分にそれらの実質的な施策につきまして検討をされ、百年の計を誤らないように御努力せられんことを希望いたしまして、質問をいたしません。
 で、質問の第二は、これほどに事務的なきわめて調子の低いものであるにもかかわらず、たった一つ非常に重要な規定がございます。第百十二条でございます。災害の緊急事態に際して、社会の秩序と国の経済が危ういと政府が見た場合において、国会が閉会中または衆議院が解散中であって、かつ、臨時国会の召集を決定したり参議院の緊急集会を求めてその措置を待ついとまがないときには、政府は、政令をもって、国民の生活必需物資の売買の制限または禁止、あるいは賃金及び物価の最高限度の設定、あるいは金銭債務のモラトリアムをやるというようなことが規定されておる。これは非常に重大なことで、ほかの規定は、さっき申しましたとおり、きわめて調子の低い、事務的なものでありますが、これは非常に国民の権利に関係する重大な事項でございます。それで、旧憲法のもとにおきましてと今度の憲法とを比較いたしまして、いろいろな違いがありますが、われわれが考えていた一番重要であると思うのは、旧憲法においては、いわゆる緊急勅令というものがあって、法律にかわって、勅令をもって国民の権利を押えることができた、あるいは財政緊急処分というふうなことができて、予算がなく、予備金がなくても、財政支出ができたということでありましたが、今度の憲法では、これは非民主的であるから、すべて国会の承認を経てやらなければならないということで、いわゆる緊急勅令に相当するもの、あるいは財政上の緊急処分に相当するような措置は一切できないような規定もしくは解釈になっておると考えております。しかるに、ここではちょうど従前の憲法の緊急勅令と同じような政令を出し得るのだということを、この法律できめるのでありますが、その点は非常に重大な事柄だと思いますので、これに関して現行憲法をどう解釈するか、その解釈の上でこの緊急政令の公布が妥当なものであるかどうか、この点だけについて総理の御意見を伺いたいと存じます。(拍手)
  〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕
#45
○国務大臣(池田勇人君) お答え申し上げます。
 災害対策基本法は基本の考え方がないではないかという御批判でございます。私は、十分ではございませんが、今までのばらばらになっているものを一緒にいたしまして、そうして予防その他災害時の応急措置等につきまして配意をしておるのでございます。あくまでこの災害防止というのは、予防と災害時の緊急措置と、こういうことでございます。また、財政の方面につきましては、ただいま申し上げましたように、まだ不備の点はございます。それは今後やっていこう、こういうのであります。
 なお、第百十二条について、旧憲法の緊急勅令あるいは緊急財政措置、こういうものが今までなかった。これはお話のとおりであります。これを置くことについていろいろ問題があったと思いまするが、私は、国会が国権の最高機関であります。けれども、急な場合におきまして適当な措置をとり得る体制は必要であると考えまして挿入いたしたのでございます。私は、災害の非常な大きい場合に、国会召集の間に合わないというふうな場合の措置は、やはり体系としてきめておく必要があると考えまして、御審議願うことにいたしたのであります。(拍手)
#46
○副議長(平井太郎君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。
 次会の議事日程は、決定次第、公報をもって御通知いたします。本日はこれにて散会いたします。
  午後零時四十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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