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1961/10/21 第39回国会 参議院 参議院会議録情報 第039回国会 本会議 第10号
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1961/10/21 第39回国会 参議院

参議院会議録情報 第039回国会 本会議 第10号

#1
第039回国会 本会議 第10号
昭和三十六年十月二十一日(土曜日)
   午後三時六分開議
  ―――――――――――――
 議事日程 第十号
  昭和三十六年十月二十一日
   午後一時開議
 第一 会計法の一部を改正する法律
  案(内閣提出)
 第二 肥料取締法の一部を改正する
  法律案(内閣提出、衆議院送付)
 第三 家畜商法の一部を改正する法
  律案(内閣提出、衆議院送付)
 第四 家畜改良増殖法の一部を改正
  する法律案(内閣提出、衆議院送
  付)
  ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 一、請暇の件
 一、日程第一 会計法の一部を改正
  する法律案
 一、日程第二 肥料取締法の一部を
  改正する法律案
 一、日程第三 家畜商法の一部を改
  正する法律案
 一、日程第四 家畜改良増殖法の一
  部を改正する法律案
 一、昭和三十六年度一般会計予算補
 正(第1号)
 一、昭和三十六年度特別会計予算補
 正(特第2号)
  ―――――――――――――
#2
○議長(松野鶴平君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
  ―――――・―――――
#3
○議長(松野鶴平君) これより本日の会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。青柳秀夫君から、病気のため会期中請暇の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。よって許可することに決しました。
  ―――――・―――――
#5
○議長(松野鶴平君) 日程第一、会計法の一部を改正する法律案(内閣提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。大蔵委員会理事上林忠次君。
  〔上林忠次君登壇、拍手〕
#6
○上林忠次君 ただいま議題となりました会計法の一部を改正する法律案の大蔵委員会における審議の経過並びに結果について御報告申し上げます。
 本案は、さきの第三十八回国会において本院で可決し、衆議院において審査未了となったものと同一内容のものでありまして、国が行なう売買、貸借、請負等の契約の制度を整備し、契約事務の円滑化をはかるため、会計法に所要の改正を加えようとするものであります。
 内容を要約して申し上げますと、
 第一点は、契約方式についての改正でありまして、現行会計法は、一般競争を原則として、指名競争及び随意契約を例外方式としながらも、実情は、一般競争に付する事例がきわめて少ないという結果になっておりますが、一般競争方式は、公正かつ機会均等の確保等の面からも、国の契約方式としては最も適当な方式でありますので、契約の性質または目的により、一般競争に付することが不必要の場合及び不利と認められる場合は指名競争に付し、競争を許さない場合及び緊急の場合には随意契約によるものとし、それ以外の場合は一般競争によることとしようとするものであります。
 第二点は、競争契約の場合の落札方式についての改正でありまして、歳入原因契約については最高の、歳出原因契約については最低の価格の入札者を従来どおり落札者とすることをその内容としていますが、一定額以上の請負工事等の場合に、入札価格が著しく低いために適正な工事等がなされないおそれがあると認められるとき、またはその者と契約を締結することが公正な取引秩序を乱すこととなるおそれがあって著しく不適当であると認められるときは、次順位の入札者を契約の相手方とすることができるようにしようとするものであります。
 第三点は、契約の履行に際しての監督及び検査について必要な規定を設けるほか、監督及び検査の民間委託や、目的物について相当期間保証がある場合の監督及び検査の一部省略についての規定を設けようとするものであります。
 第四点は、電気、ガス、水の供給や電話の役務提供のごとき長期継続の契約について、手続を簡素化するための必要な規定を設けようとするものであります。
 そのほか、契約書の作成・入札保証金、契約保証金等、従来、予算決算及び会計令に定められております事項につき、内容を若干整備してその法律化をはかり、また、契約事務の担当者等の任命や責任についても規定の整備明確化をはかろうとするものであります。
 委員会の審議におきましては、本改正によっても一般競争契約が増加するかどうかは疑問であり、中小企業が官需に応ずる機会をますます狭めることにはならないか、工事種別や工事金額の大中小等に対応する業者の格づけを行ない、中小企業に官需をできるだけ確保すべきではないか等の質疑がなされましたが、詳細は会議録によって御承知願います。
 かくて質疑を終わり、討論、採決の結果、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 右御報告いたします。(拍手)
#7
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#8
○議長(松野鶴平君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。
  ―――――・―――――
#9
○議長(松野鶴平君) 日程第二、肥料取締法の一部を改正する法律案、
 日程第三、家畜商法の一部を改正する法律案、
 日程第四、家畜改良増殖法の一部を改正する法律案(いずれも内閣提出、衆議院送付)、
 以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。まず、委員長の報告を求めます。農林水産委員会理事櫻井志郎君。
  〔櫻井志郎君登壇、拍手〕
#11
○櫻井志郎君 ただいま議題となりました三つの法律案について、委員会における審査の経過と結果を報告いたします。
 これらの法律案は、前国会に提案され、審議未了となり、今国会に再び提出されたものであります。
 第一に、肥料取締法の一部を改正する法律案は、最近における肥料の改良進歩の状況にかんがみ、現行法に次の改正を加えようとするものであります。すなわち、その一つは、葉面散布剤のように、植物の栄養に供するため直接植物に施されるものをも肥料として、肥料取り締まりの対象としようとするものであり、いま一つは、従来肥料に異物を混入するととが一般に禁止されておりますが、特定の肥料について、特定の場合は異物の混入を認めることとしようとするものであります。
 委員会におきましては、政府当局から提案の理由その他の説明を聞き、質疑に入り、硫安対策、特にいわゆる肥料二法の取り扱いに関して河野農林大臣の見解がただされたのでありまして、これが詳細は会議録に譲ることといたします。
 かくして質疑を終わり、討論に入り、別に発言もなく、採決の結果、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
  ―――――――――――――
 次に、家畜商法の一部を改正する法律案は、家畜商の資質の向上をはかるとともに、その信用を補完し、取引の相手方を保護するため、家畜商の免許の資格として、所定の講習会の課程を終了した者、または、その者を取引業務に従事する使用人等として置いている者であることを要件とし、まだ、家畜商に一定額の営業保証金を供託させる制度を設け、さらに家畜商にその事務所ごとに家畜取引に関し所定の帳簿を備えつけさせ、知事がその職員をして立ち入り検査を行なわしめることができることとする等を規定したものであります。
 次に、家畜改良増殖法の一部を改正する法律案は、家畜改良増殖法施行の経験にかんがみ、かつ、最近における技術の進歩に照らし、家畜の改良増殖に関する法制を整備しようとするものでありまして、そのおもな内容は、家畜の改良増殖が所期する趣旨を明らかにするため、法律の目的を改正するとともに、家畜の改良増殖の促進に関する国及び都道府県の義務及び措置、家畜の改良増殖に関する農林大臣による目標の設定公表及び都道府県知事による計画の策定及びこれに対する国の援助、種畜及び家畜人工授精に関する規定の整備、家畜登録事業の農林大臣による承認の制度化並びに登録関係に対する国の援助及び農林大臣の必要措置命令、農林省に家畜改良増殖審議会の設置等について規定したものであります。
 委員会におきましては、これら二つの法律案を一括して審議し、まず、政府当局から提案の理由等について説明を聞き、質疑に入り、政府当局に対して、家畜の流通と家畜商の現況及びその取り扱い方針、講習会の趣意とその実施方法、営業保証金の目的とその額の決定基準、今回の法律改正の意義、家畜改良増殖の方針と計画及び有畜農家育成基準、種畜及び種畜牧場対策、飼料対策等、諸般の事項についてその見解が求められ、これが当否がただされたのでありまして、これが詳細は会議録に譲ります。
 かくして質疑を終わり、まず家畜商法の一部を改正する法律案について討論に入り、別に発言もなく、採決の結果、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定し、次に、家畜改良増殖法の一部を改正する法律案について、討論に入り、岡村委員から、この法律の有効な活用について政府の善処を求めて賛成意見が述べられ、続いて採決の結果、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 右報告いたします。(拍手)
#12
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 まず、肥料取締法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#13
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本案は全会一致をもって可決せられました。
  ―――――・―――――
#14
○議長(松野鶴平君) 次に、家畜商法の一部を改正する法律案及び家畜改良増殖法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。
 〔賛成者起立〕
#15
○議長(松野鶴平君) 過半数と認めます。よって両案は可決せられました。
  ―――――・―――――
#16
○議長(松野鶴平君) 参事に報告させます。
  〔参事朗読〕
本日委員長から左の報告書が提出された。
 昭和三十六年度一般会計予算補正
 (第1号)及び昭和三十六年度特別会
 計予算補正(特第2号)可決報告書
  ―――――・―――――
#17
○議長(松野鶴平君) この際、日程に追加して、
 昭和三十六年度一般会計予算補正(第1号)、
 昭和三十六年度特別会計予算補正(特第2号)、
 以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#18
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。まず、委員長の報告を求めます。予算委員長小山邦太郎君。
  〔小山邦太郎君登壇、拍手〕
#19
○小山邦太郎君 ただいま議題となりました昭和三十六年度一般会計予算補正(第1号)及び昭和三十六年度特別会計予算補正(特第2号)につきまして、予算委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 今回の一般会計予算補正は、最近の経済情勢を考慮し、また、本年発生災害に関する対策、公務員給与の改善等、当初予算作成後発生した事由に基づく経費を追加計上したもので、その額は、歳入歳出とも九百九十七億一千余万円、補正を加えた昭和三十六年度一般会計予算の総額は、歳入歳出とも二兆五百二十四億九千余万円となります。また、特別会計の予算補正は、十七の特別会計について行なわれ、補正を含めた昭和三十六年度特別会計の合計額は、歳入が四兆五千三百三十三億三千余万円、歳出が四兆二千五百六十六億円余となります。
 両案の内容につきましては、先般大蔵大臣より本議場において説明がありましたので、省略いたします。
 これら補正二案につき、委員会は、十月十三日から本日まで七日余にわたりまして質疑を行ないました。以下質疑のおもなものについて御報告申し上げます。
 まず、外交方針について多くの質疑がありましたが、特に「北方領土に関するソ連側の主張について政府はどう考えるか」との質疑に対し、「国後、択捉の両島は、日ソ共同宣言署名後に両国間で交渉することに合意された領土問題に当然属するのであり、解決済みとするソ連側の主張には根拠がない。両島はわが国固有の領土であり、あくまで返還を求める方針である」との答弁がありました。これに対し、「政府は一歩も譲らないとのことではあるが、それだけでは北方領土の問題を具体的に解決することは不可能であるから、日ソ不可侵条約の締結その他を提起することによって日本がイニシアチブをとるべきではないか。」また、別の立場から、「日ソ間でこの問題の解決がつかない場合は、時期を見て正式の法的手段、すなわち、国際連合憲章に基づいて、国連総会または安全保障理事会へ提訴し得ると思うがどうか」との質疑がありました。これに対し、池田内閣総理大臣及び小坂外務大臣より、「具体的にどのようにするかは相手のあることであり、なかなかむずかしい問題であるが、何よりも、まず国内的に意見の一致が大切であると同時に、日ソ間に、経済提携、文化交流、その他お互いがとけ合う機会を持つことが必要である。国連総会、安保理事会への提訴は、憲章の解釈としては考えられるが、現在の時点においてはいろいろ考慮しなければならないと思う」との答弁がありました。
 次に、最近の経済事情について、「所得倍増計画が実施の段階に入ってわずか半年足らずの間に物価は四。五%上がり、国際収支は、経常収支一千万ドル、総合収支では二億ドルの黒字との政府予想に反し、経常収支で十億ドル、総合収支で六、七億ドルの赤字とみられ、日本の歴代内閣のうち、これほどの見込み違いはないという失敗をしている。その原因は民間の設備投資の行き過ぎにあるが、自由企業の原則のもとで手放しの高度成長政策を行なえば、行き過ぎのあることは明らかである。本年春にはすでに抑制すべき段階であったのに、かえってあおるような処置をとった、そのとがめが今日出たのである。また、倍増計画では、所得格差の是正が目標だと約束されたのに、本年に入っての所得を見ると、収入の伸びは高所得者ほど著しいという結果になっており、自由企業原則の矛盾がここにも現われている。政府は、これら失敗の責任を感じ、総辞職すべきではないか」との質疑が行なわれました。これに対し、池田内閣総理大臣より、「現在のところ、国民の成長力が強く、計画よりやや進み過ぎているため若干のひずみが出ているが、これを適当に調整すれば、かえってプラスになる点もあり、長期的に見る必要がある。特に国際収支については、過去昭和二十八年、三十二年と、相当大幅な赤字を出した例があるが、その後これを克服して黒字を見ているのであり、そのつど日本の経済は一そう高度の発展をしてきている。高度成長政策の出発以来、農村の二男、三男の問題、中小企業の低賃金の問題等、予想以上に明るくなってきているのであって、倍増計画は決して破綻しているのではない。古い資本主義のもとでは、えてして所得格差が拡大する傾向にあったことはいなめないけれども、農業及び中小企業対策の強化、社会保障制度の拡充、そのほか手を打っているのであって、長い目で見てほしい」との答弁がありました。また、「国際収支を均衡させる時期について、総理は明年十一月か十二月と述べているが、そのためには三十七年度の鉱工業生産の水準を横ばいにしなくてはならない。そうすれば明年度の成長は五%以下のデフレ状態になるのではないか。七・二%の成長を目ざすとすれば、逆に国際収支の回復は不可能になるのではないか」との質疑がありました。これに対し、「今の日本の経済の実情は、九・二%の成長予定が一二、三%にも達しようとしているので、その調整を行なおうとしている段階である。これにより、景気にある程度の波を打つことはあっても、それほどひどいデフレになる心配はなく、そうならないように各般の措置を講じていく。調整政策をとったばかりの現在としては、明年度の経済成長率、鉱工業生産の伸びについて結論を出すのは早過ぎる。国際収支は明年秋に均衡することを目途としているが、三十七年度全体としては若干の赤字が残るかもしれない」旨の答弁がありました。
 また、さきの日銀公定歩合再引き上げに関し、「日銀側が日歩二厘の引き上げが必要と主張したのに対し、政府が介入し、日歩一厘上げを押しつけた明白な疑いがあるがどうか。公定歩合や銀行貸出金利を二度も上げておいて、預金利率を改訂しないのは片手落ちではないか」との質疑がありましたが、総理大臣、大蔵大臣及び参考人山際日銀総裁から、「公定歩合引き上げの発表には若干手違いがありましたが、内容は日銀政策委員会の決定したものを大蔵大臣が同意したものであって、政府が介入したという事実はございません。また、預金金利は金利水準一般の問題で、わが国は金利が高いので、この春、国際水準にさや寄せしようという意味で引き下げたばかりであるから、公定歩合のように景気に応じて動かす性質のものとは違うので、今回は見送った。しかし、預金者の優遇措置については、税法上あるいはその他の方法で考慮したい」旨の答弁がありました。
 また、「予算の前提となっている物価、賃金の見通しが大幅に狂ってきておるが、なぜ全面的に予算単価の修正を行なわなかったのか。公共事業費の単価は三十二年から据え置かれており、補正した公営住宅、文教施設の基準単価についても、最近一カ年分の値上がりしか見ていない。これで計画どおり事業を実施することは不可能と思われるがどうか。それがために、しわ寄せが地方財政や父兄の負担、建設業者にきているのをどうするつもりであるか」との質疑がございました。これに対して、水田大蔵大臣及び各省大臣より、「予算の実行の段階で物価が上がったからといって予算額を増すことはおもしろくない。むしろ物価が上がらないようにといろいろ工夫をしておるので、公共事業費についても民間の設備投資の抑制と歩調を合わせ、四百十数億円の繰延べを決定した。年度内に実施する部分についても、実行単価を変えるとか、部分的に設計変更など弾力的に実施する。ただ、繰り延べを行なうことが適当でないと思う公営住宅及び義務教育施設については、例外的に単価の補正措置をとった。この建築費単価是正は補助額算定の基礎で必ずしも実行単価ではない。それで、どうしても財源がないものについては、交付税なり起債なりで見るつもりである」旨の答弁がございました。
 公務員給与の問題については、「人事院の勧告を尊重するといいながら実施期日を延ばしたのはなぜか。財源は十分あるのではないか」との質疑に対し、「人事院の勧告は尊重するが、実施期日については、昨年の例もあり、十月一日とした。給与引き上げは影響する範囲が非常に広く、国の財源状況ばかりではなく、地方財政、政府諸事業及び一般経済への影響も十分考慮して決定すべきものと思う」との答弁がありました。
 また、「生活保護基準を五%引き上げながら、失対事業労務者の賃金を引き上げないのは片手落ちではないか」との質疑に対し、福永労働大臣より、「今回の補正において失対賃金の引き上げができなかったが、これにかわる何らかの措置を実施したい」との答弁がありました。
 また、中小企業対策の問題としては、「所得格差解消の建前からいっても、中小企業基本法の制定が必要と思うが、政府に近くこれを提案する準備があるか。今回の金融引き締め政策の結果、中小企業は、かってない難局に直面しており、この年末を切り抜けるために一千億円程度の融資が必要とされるのじゃないか」という質疑がありましたが、佐藤通産大臣から、「中小企業基本法の制定は必要だと信じているが、なかなか複雑多様であるので、十分実態に即したしっかりしたものを作りたいと熱心に研究を進めている」との答弁がありました。水田大蔵大臣からは、「政府は、さきに五百五十億円の中小金融対策を決定したが、このほか中小企業が市中の金融機関の資金を使用している量は実に五兆円に上るので、これら金融機関の中小向け貸し出し比率を落とさせぬよう強い行政指導をやっている。大企業の金融難から中小企業の運転資金まで事欠くようなことが起こらないよう、具体的には政府資金の量や金融の実情を考慮しつつ十分に善処したい」旨の答弁がありました。
 次に、石炭対策について、「石炭業は現在空前の危機に陥り、廃山、離職、賃下げ等、幾多の問題が相次いでいるが、政府はこれらの事態をいかに処理するつもりであるか。予算措置や資金の手当が必要だが、どうするつもりが。炭鉱労働者に最低賃金制をしく意思はないか。また、長期出炭目標や重油と石炭価格との均衡についてどう考えているか」などの質疑がありました。これに対し、「政府は関係閣僚を現地に派遣し、実情を調査させるとともに、石炭対策関係閣僚会議を設けて、当面直ちに必要な離職者対策、中小炭鉱への金融等について結論を急いでいる。最低賃金の問題は、近く中央最低賃金審議会を開き、その答申を待ってすみやかに実施したい。国内炭について、十年先、二十年先の目標はまだきまっていないが、まず今の五千五百万トン出炭、千二百円炭価切り下げの目標を達成し、これを持続し、長期契約化によりまして需要の安定をはかる方針である」旨の答弁がありました。
 次に、食糧管理特別会計の赤字補てんに関連して、「六百万の農家のうち、米の売り上げが十万円以上ある農家はわずかに九十万戸にすぎない。米価を引き上げることは一部の上層農家に利益を与えることになり、所得格差はかえって開くことにならないか」との質疑があり、また、「自由米の構想では、不確定の買い入れ数量をもって政府は義務的配給量を確保しなければならないことになる。売り惜しみ、または買い占め等によってバランスがくずれたならばどう対処するのか」との質疑がありました。これに対し河野農林大臣より、「米価はほかの農産物価格の基礎となっており、農業の再生産の基礎となっているのであり、米価の引き上げは必ずしも一部農家のみの利益だけでは決してない。また、現在国内産米は平年作で八千三百万石あり、米の需給は安定している。やみ米を自由にしたところで、収穫期から翌年三月までに農家が米を手放すという習慣がくずれるということは考えられない。従来の食管制度は、米の不足に対処するために米を集めることに重点が置かれてきているので、需給の安定した現在では、むしろ配給方法について研究し、改善をはかることが必要と思う」という答弁がありました。
 最後に、当面の株価対策について、「最近における株式恐慌の原因はどこにあると思うか。株式市場内部の要因もあるが、その背景にある根本的原因は、池田内閣の誤まれる経済政策にあると思うがどうか」との質疑に対し、「最近の株価下落は、金融引き締め政策にからんだ一時的現象であって、経済の実勢とは離れた動き方をしている。当面の対策には遺憾なきを期しているが、長期的に見れば日本経済の前途には何ら不安はないので、この見方がはっきりすれば、おのずから落ちついてくるものと思う」との答弁がありました。
 その他、核実験停止問題、沖繩問題、日韓会談、基地の騒音防止、ドミニカ等における農業及び漁業移住の失敗問題、国際収支改善対策と自由化対策との調整・輸出振興対策、ビルマ賠償問題、災害対策における砂防事業の絶対的緊要性等の問題につき、また、水資源開発の方針、木材値上がり防止対策、港湾の混雑緩和対策と港湾労務者の労働条件改善の問題、さらには郵便の遅配解消対策、文教問題、ことに高等学校校舎の整備と学力テストの問題、電力再々編成の要否、松島湾水産被害問題、工場の地方分散及び公害の農業に及ぼす影響の問題、屎尿処理等環境衛生施設整備の問題、最近における薬事問題、ことに経口避妊薬、睡眠薬等の社会的悪影響の問題、同和対策の問題、オリンピック選手村決定の経過等、質疑は広範にわたったのでありまするが、これらの詳細は会議録によって御承知を願いたいと存じます。
 かくて本日質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本社会党を代表いたしまして永岡委員が反対、自由民主党を代表して米田委員が賛成、民主社会党を代表して田上委員が反対、参議院同志会を代表して森委員が賛成、日本共産党を代表して岩間委員が反対の旨をそれぞれ述べられました。
 討論を終わりまして、採決の結果、予算委員会に付託されました昭和三十六年度予算補正二案は、いずれも多数をもって原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#20
○議長(松野鶴平君) 両案に対し討論の通告がございます。順次発言を許します。永岡光治君。
  〔永岡光治君登壇、拍手〕
#21
○永岡光治君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となっております昭和三十六年度予算補正二案に反対の討論を行なわんとするものであります。
 反対の第一の理由は、本補正予算そのものが、池田内閣の経済政策の破綻によってその編成を余儀なくされるに至ったものであるにもかかわらず、この経済政策の失敗による国民生活の犠牲の救済について、ほとんど何ら有効な予算措置がとられていないということであります。池田内閣は、昨年の秋以来、所得倍増、高度成長を唯一の旗じるしとして、積極予算の編成、低金利政策の強行等により、いやが上にも成長ムードをあおり立て、その結果、民間設備投資は三兆八千億円ないし四兆円という驚くべき高水準に達したのであります。この水準は、所得倍増計画が、その最終年度である昭和四十五年度に予定している三兆六千億円をはるかに突破するものでありまして、この一事をもってしましても、現在のいわゆる高度成長がいかに均衡を失した、かたわの成長であるかが、きわめて明瞭にわかるのであります。このため、内需は異常なまでに旺盛となり、輸入は激増し、他面、輸出は伸び悩み、その当然の結果として、国際収支を極度に悪化させるに至ったのであります。すなわち、一月以来九月まで、毎月約一億ドルの経常収支の赤字を続けるという、まことに、いまだかつてその例を見ないほどの容易ならざる事態を招来するに至ったのでありますが、このため、政府はついに、先般国際収支改善のための総合対策を財政金融その他すべての分野にわたって実施せざるを得ないという羽目に追い込まれたのであります。また、物価の面におきましても、当初における政府の見通しでは、卸売物価は〇・三%の下落、消費者物価は一・一%の上昇ということであったにもかかわらず、物価騰貴の現実はいかんともしがたく、さすがに頑迷固陋の政府も、やむなく、最近に至りまして、卸売物価は四・五%、消費者物価は四・七%、それぞれ上昇ということに見通しを改訂せざるを得なくなったのであります。この補正予算において、わずかではありますが、生活保護基準の引き上げ、あるいは建築単価の改訂を行なわざるを得なかったのも、もっぱらこの物価騰貴のためであります。
 このように、わが党がその当初よりじゅんじゅんと誤りを指摘したとおり、不幸にして、政府の所得倍増、高度成長政策は、実施後わずか半年にして完全に破綻してしまったのであります。しかも、池田内閣の大資本木位の高度成長政策の完全な破綻によって、日本経済は今や重大な危機に直面しているのであります。しかるに、池田内閣は、この段階に至りましても、なおかつ高度成長政策は誤りではない、ただその行き過ぎを是正するだけだと強弁をして、その責任を回避しようと努力しているのでありますが、このように責任を回避しつつ、他方では、現実の必要に迫られて、これまでの政策に急ブレーキをかけ、金融その他各般の引き締め政策を強力に進めておりまして、そのしわ寄せはすでに深刻に国民の各層に及びつつあるのでありまして、これに対しまして、また緊急かつ適切な手当を必要といたしておるのであります。しかるに、今回の補正予算は、これらの点につきましては、何ら必要な措置をとっておらないのであります。
 すなわち、まず誤れる高度成長政策に基づく物価騰貴による低所得者層の生活水準低下を防止する必要があるにもかかわらず、本補正予算では、わずかに生活保護基準が五%引き上げられているだけであります。これではきわめて不十分でありまして、わが党が衆議院におきまして補正予算組みかえ動議の中で提案いたしましたように、少なくとも一〇%の引き上げが必要であるのであります。また、この補正予算が日雇い労務者の賃金引き上げを行なっていないということは、断じて承服できないところでありまして、これも物価騰貴の影響を考え、やはり少なくとも最低一〇%の賃金引き上げはどうしても必要なのであります。また、医療費の値上げに伴い社会保険の被保険者、患者等の負担増を軽減することがぜひとも必要であるにもかかわらず、何らその予算措置をとっておらないのは、はなはだ政府の怠慢と言わなければなりません。さらに、政府の高度成長政策の破綻による金融引き締め政策のしわ寄せを最も深刻に受ける中小企業に対しましては、特に手厚い対策が必要でありますが、政府は財政投融資において、中小企業金融の三機関に対しまして、わずかに三百五十億円の資金手当をしているにすぎません。金融引き締めの強さと、それの中小企業へのしお寄せの深刻さを考えますならば、さらに最低五百億以上の増額は絶対に必要なのであります。なお、現在大きな社会問題となっております炭鉱労務者の対策費が全くこの補正予算に計上されていないということは、言語道断でありまして、政府に一片の誠意すら見ることができないのは、きわめて遺憾といわなければなりません。(拍手)石炭政策転換の根本問題については、わが党は別に要求することとなっているのでありますが、少なくともこの補正予算においては、最小限度のものでも緊要な対策費を計上することが絶対必要であります。
 このように、池田内閣は、この補正予算において、その経済政策の失敗によって危殆に瀕した国民生活の安定を確保するための予算措置をほとんどとっていないのであります。このことこそ、この補正予算の根本的な性格の問題として、わが党が断じてこれを承認することのできない第一の理由があるのであります。
 反対の第二の理由は、本補正予算の四つの柱であります災害対策費、給与改善費、食管会計への繰り入れ及び地方交付税交付金は、いずれもその予算措置がきわめて不十分でありまして、とうてい当面の急需に即応できないと思われることであります。
 まず第一に、災害対策費でありますが、政府の災害対策はきわめてお粗末でありまして、最近の集中豪雨等による災害の頻発に対しては根本的な対策が必要と思うのでありますが、このような根本問題はしばらくおくといたしましても、今回の補正予算に計上された災害対策費はあまりにも不十分でありまして、少なくともこの上に旱害対策費を追加するほか、第二室戸台風被害対策の最も緊急を要する部分は、予備費というようなあいまいなものでなく、明確に災害対策費として計上すべきであると思うのであります。さらに災害復旧について、公共施設の復旧の必要なことは言うまでもありませんが、それと同時に、被害を受けました国民の生活をすみやかに救援し、その生活再建を援助するという、ら罹災者援護措置がきわめて重要なことも論を待たないところであります。ことに恵まれない環境の中に生酒をしている低所得層が常に最大の被災者であることに思いをいたしますならば、なおさら、このことは緊急の必要事であるのであります。この補正予算が、このような個人被害の救済対策について何ら考慮していないのは、はなはだ遺憾千万であります。いずれにいたしましても、この補正予算の災害対策費百四十九億円では不足すること明らでありまして、わが党としましては、さらに百億以上の増額を必要と考えているのであります。
 第二に、給与改善費でありますが、われわれから見ますれば、八月の人事院勧告そのものが、すでに本年の物価及び生計費の上昇率の実情からして、昨年の勧告よりも小幅な給与水準の引き上げにとどまっているということについて、きわきて不満であります。同時にまた、従来から公務員職員団体が要望しております給与体系の是正が無視されていることにも、はなはだ不満があるのであります。にもかかわらず、政府は、さらにその実施時期を、勧告の五月から十月におくらせるなど、人事院勧告からさえも大幅に後退した予算措置をとっているのであります。公務員給与改善費につきましては、公務員の職員団体が要求しておりますように、給与の不合理の根本的是正をはかり、交渉の最終的結果について所要の予算を計上するのが当然であると思うのであります。
 第三に、食管会計への繰り入れについてであります。食管会計の赤字補てんのための繰り入れは、これはもとより当然の措置でありますが、ただこの際、食管の赤字に関連をいたしまして指摘しておく必要があると思いますことは、この赤字の中には、政府の責任で赤字となっている部分もあるということであります。すなわち、その第一は、金利の部分で、政府は食管の金繰りについて国庫余裕金をあまり使っていないために金利負担がかさみ、これが赤字の原因の一部となっているという事があるのであります。さらにまた、食糧庁の公務員給与等の行政費あるいは国鉄運賃の値上げによる輸送費の増大、これらまたそれぞれ赤字増加の一因をなしているのであります。これらはしかし政府としては当然その補償裏づけをすべきものでありまして、その裏づけをしないで、膨大な食管の赤字を、すべて消費者、生産者に負担させる立場に立って赤字を特に強調するのは、政府の責任のがれであると言わざるを得ないのであります。
 第四に、地方交付税交付金でありますが、大法人向け租税特別措置は、大資本の過大な設備投資を促進している要因であると同時に、著しく租税公平の原則に反するので、これを廃止すべきであります。その他、租税の自然増収も、政府がこの補正予算に計上しているよりもはるかに多いことは確実でありまするから、地方交付税交付金は二百十三億円程度ではなく、もっと大幅に増額支出されなければならないことは当然であります。
 以上申し述べましたように、災害対策、公務員給与、食管会計への繰り入れ、地方交付税交付金のいずれも予算措置が不十分で、わが党としてはとうていこれを承認するわけには参らないのであります。これがこの補正予算に反対する第二の理由であります。以上を要するに、最初に指摘いたしましたように、池田内閣の高度成長政策は、その実施後わずか半年にして完全に破綻を来たし、一方では高度成長に基づく国際収支の危機を克服するため、高度成長そのものを押えざるを得なくなったと同時に、他方では、高度成長で利益を受ける大企業や高額所得層と、成長政策から取り残され、そのしわ寄せを受ける中小企業、労働者、農民その他の低所得層との所得格差は、かえってますます拡大の一途をたどりつつあるのであります。このような、いまだかってない経済政策の失敗に対して、池田首相は何ら責任をとろうとしないばかりか、今後の対処策に関しましても何ら具体的な方策や明確な見通しを示そうとしないのであります。池田首相は、来年の秋には国際収支の均衡を回復すると言っておりますが、来年中に国際収支の均衡を回復するためには、来年度の経済成長率を思い切って低下させなければならないこと、つまり強烈なデフレ政策をとらざるを得ないことは必然の帰結でありましょう。しかるに池田首相は、一方、来年の秋には国際収支を均衡さぜると言いながら、他方、デフレ政策はとらないと言い、しかも来年度の経済成長率については言を左右にしてこれを明らかにしないのであります。わが党委員によってその責任を追及されますや、国際収支の均衡回復は一応来年秋をめどとしているが、事情によっては少し延ばしてもいいなどと、きわめてあいまいかつ無責任きわまる答弁をいたしておるのであります。高度成長政策に失敗した池田内閣が、その収拾についても何らの成算も確信も持たないことは、この一事をもってしてもきわめて明瞭であります。私は、高度成長政策の破綻に伴う国民生活の犠牲の救済について、何ら適切な措置をとっていない本補正予算に、断固反対するとともに、この破綻した高度成長対策、大資本中心の誤れる経済政策の一日もすみやかなる転換を強く要求をいたしまして、私の反対討論を終わるものであります。(拍手)
#22
○議長(松野鶴平君) 苫米地英俊君。
  〔苫米地英俊君登壇、拍手〕
#23
○苫米地英俊君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました昭和三十六年度一般会計並びに同特別会計予算補正二件に対し、賛成の意を表明せんとするものであります。
 今回の予算補正は、一般会計におきましては、本年度発生した災害に対する対策、国家公務員の給与の改善、生活保護基準の引き上げ、公立文教施設の一部と公営住宅の建築補助単価の改定、食糧管理特別会計への繰り入れ、地方交付税交付金及び臨時地方特別交付金の追加を内容とするものでありまして、その総額は九百九十七億円に上っております。これらの経費は、緊急にしてやむを得ない性質のものでありますが、政府は、最近の経済情勢にかんがみて、補正の限度を最小限度にとどめ、その規模を極力圧縮するに努めております。これは当然の措置であろうと私は考えます。しかるに、目前の現象形態にとらわれ過ぎて、この政府の補正に対していろいろの批判がありますが、これは現象形態にとらわれ過ぎて大局を見失ったものであると考えるのであります。
 以下、予算補正の重点事項若干について賛成の理由を申し述べたいと思います。
 今回の予算補正の最も大きな項目は、申すまでもなく、災害対策に関するものであります。本年度は、六、七月の梅雨前線豪雨、九月の第二室戸台風など相当大規模な災害が発生をしましたが、政府は現行の法令と既定の予備費の範囲内において応急の措置を講じ、被災地の民生安定に努力して参ったのでありますが、本年度の災害が激甚であったのにかんがみまして、おおむね一昨年の伊勢湾台風の際の特別措置に準ずる特別措置を講じ、各種事業の国庫負担率、補助率を引き上げることといたしたのであります。きわめて適切なる措置であるといわなければなりません。この特別措置は、財政投融資の面における災害対策をも加味した中小企業金融機関の資金手当、災害に伴う資金需要に応ずる意味をも含めた地方債の追加等と相待って、災害対策の万全を期する上に大きな効果をもたらすものと信じます。
 第二に、今回の予算補正によって、国家公務員給与改善が行なわれることになっております。国家公務員の給与は、前年度において、民間給与との格差を是正するため、その水準の引き上げが行なわれたのでありますが、その後、民間給与水準はさらに上昇し、国家公務員との間に再び相当な格差が生ずるに至りました。政府は八月上旬、人事院の行なった勧告を尊重いたしまして、初任給の改善、中位以下の職員の給与の引き上げ及び科学技術振興の趣旨に沿う給与改善を行なうとともに、期末手当の増額、初任給調整手当の改善並びに通勤手当の支給限度の引き上げを行なうことといたしております。当然の措置として賛成をいたすものでございます。
 第三に、政府は生活保護基準の引き上げを行なうことにいたしております。生活保護基準は、本年度当初予算において大幅な改善が行なわれたのでありますが、最近の物価動向にかんがみて、さらに五%の引き上げを行なおうとするものであります。消費者物価、ととに食料品の値上がりは、生活保護を受けるような階層に対しては、符に大きな影響を及ぼすことを考えまするならば、生活保護基準の引き上げは、今日の消費者物価の動向から見てきわめて適切な措置であるといわなければなりません。
 生活保護基準の引き上げに対応して、政府はまた養護施設等における収容措置児童の飲食物費及び日常諸費の単価の改定を行なおうとしております。当然の措置であるといわなければなりません。
 第四に、政府は、公立文教施設と公営住宅について建築単価の改定を行なうこととしております。最近の経済情勢にかんがみて、政府は、官庁営繕や公共事業の不急部門の事業を繰り延べることにいたしております。公立文教施設と公営住宅については、あくまで既定方針を遂行するという見地から、木材の値上がりその他に基因する建築費の上昇に見合って、補助単価の改定を行なおうとするものであります。一方において官庁営繕等を押えながら、公立文教施設と公営住宅について補助単価の改定を行なって、既定計画の実施に支障なからしめんとする点に、私は、国民教育、国民生活に対する政府の配慮を見出して、意を強うするものであります。
 以上、予算補正の重要項目について簡単な考察を加えましたが、これらの事項はすべて国民生活の安定と向上に関係するものであります。私は、今回の補正予算の主たる内容が実に国民生活の安定向上にあることを特に強調いたしたいと存じます。
 今回の予算補正は、以上のほか、食管特別会計への繰り入れ、地方交付金の追加並びに一般会計の予算補正に関連する特別会計の補正を含んでおりますが、そのいずれも必要かつ適切なものであると認められます。私は補正予算二件に対しまして、心からなる賛意を表するものであります。
 以上をもって私の討論を終わります。(拍手)
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#24
○議長(松野鶴平君) 田上松衞君。
  〔田上松衞君登壇、拍手〕
#25
○田上松衞君 民主社会党を代表いたしまして、予算補正案二件に対し、政府案の欠陥を指摘しつつ、しかもわが党の建設的改善意見を若干述べながら、原案に反対の意思を明らかにいたします。
 政府提出の補正予算案が、いかに現在の情勢に適合していないかを立証する事実は、二十日現在の外貨手持ちは十五億数百万ドルに減少して、本月末には十五億ドル台を割ることが必至になったこと、また株価が旧ダウが千三百円すれすれ低下していることで明らかであります。政府のいかなる釈明にもかかわらず、政策転換は現在程度ではとうてい不十分でありまして、池田総理が本国会当初における施政方針の表明とはすでに大きくずれておりまして、デフレ政策をとらざるを得ない羽目に陥ることが必要となりつつあることはいなめません。したがって、政府は来たる通常国会には、総理が好むと好まざるにかかわらず、再び予算補正案を提出いたしまして、デフレ政策による国民経済と国民生活の被害を補う経費を計上せざるを得なくなるであろうここは、火を見るよりも明らかであると申し上げたいのであります。政府がこのような急激な経済悪化を国民に正直に語らないで、この程度の補正案で一時を糊塗しようとしていることは、むしろ罪悪でありまして、みずからの墓穴を掘るものといわざるを得ません。私は、補正予算の編成は、単に災害対策費等の当然補正を行なうだけでなくして、みずからの政策の失敗を率直に認めまして、むしろ当初予算の補強を行なう謙虚さを示すべきであると存ずるのであります。
 まず、災害対策費について申し上げますが、防災施設が不備ないし不完全なために失われた尊い人命や個人財産に対しての補償費が全然計上されておりません。さらには、梅雨前線集中豪雨と第二室戸台風の被害の特徴であった局部地域の壊滅的被害の実相と、その原因についての調査究明が不十分かつ不親切であったことを、激甚地指定の面で露呈しておりまするが、これでは国民が政府案を納得了解しようがないと言わざるを得ません。
 次は、公務員給与に関してでありますが、政府は口先では、勧告をいかにも百パーセント尊重して完全実施するがごとき詭弁を弄しておりまするけれども、実際には十月から実施する補正措置を講じていることは、不誠意もはなはだしい事柄であるのみならず、少なくとも四月から十月までの間に必然生ずるところの消費者物価の値上がりと重複いたしまして、ますます民間給与水準との格差を拡大さすことは、小学校の生徒でも計算できるはずであると考えるのであります。しかも、現時点では明らかに本年度予算に十分の余裕財源が認められています事実にかんがみまして、政府がほんとうに人事院制度の存在を否認されない限りは、いろいろな政治的な手練手管はこの際さっぱり捨てまして、率直に勧告の完全実施に踏み切り、給与改善を行なうことが、至当であり、また賢明でもあると進言いたしたいのであります。
 第四に、政府案がみずから最近の物価上昇の事実を認めまして、生活扶助基準を五%引き上げ、養護施設などにおける児童の飲食費等の単価を引き上げ、かつは文教施設、公営住宅の建築単価の引き上げ措置を講ぜざるを得なくなったことは、いかように弁解されようとも、明らかに政府の所得倍増ムードが、消費者物価、卸売物価を引き上げてしまった政策の失敗を、みずから告白している証拠であると申し上げたいのであります。したがって、生活扶助基準の引き上げを行なう限りは、同時に日雇い登録労務者の給与をも引き上げるべきが当然でありまして、また建築単価の改定を必要と認めまする限りにおいては、公共事業全般にわたって予算単価の引き上げを行ない、もって公共事業の大部分の実施をゆだねておりまするところの地方公共団体をして、物価高のため事業難に陥らないように補正措置をとるのが当然でありましょう。政府案はこれらの措置を全く怠っているのであります。
 第五には、今回の政府案の大きな特徴は、九百九十七億円余の歳出補正増額の財源をすべて本年度税収の自然増をもって充てているところにありますが、本年度租税印紙収入の伸びは、九月末ですでに予算額の五三・六%を収納しております。これは三十五年度の九月末の四五・八%に比べまして、実に七・八%の伸びを示しているのであります。今日までの企業活動、個人所得の伸びから見まするならば、年度末までには、当初予算に対する収入歩合の伸びは優に二割近くに達しまして、自然増は実に三千億円近くに上がることは必至であります。私どもはこの見地に立ちまして、今回の補正は、医療保険関係並びに農業対策関係等の本年度予算について根本的補強を行ない、かつ所得税の年度内減税を断行すべきであると考えるものであります。すなわち第一に、国民皆保険が実現しておりますところの現在、診療費の値上がり、医療内容の充実が国民の医療費負担を重加しないように、各医療保険会計予算に対する国庫負担率を引き上げるべきことがあたりまえだと、こう考えるのであります。第二には、貿易自由化に備えまして、農業近代化を急がねばならぬ現在でございまするが、農業系統資金をフルに活用するように、制度化された農業近代化資金の原資を大胆積極的に大幅引き上げを行うべきだと存ずるのであります。
 さらにまた、所租税の基礎控除と配偶者控除を一万円引き上げまして、これを明年一月から実施すべきことを主張するのであります。
 第六に指摘しなければならぬ点は、政府は閣議決定をもって国際収支の改善策を打ち出し、その中で官庁営繕費や公共事業の不急部門を繰り延べる方針を明らかにしておりまするけれども、事実においては、今回の補正の中にこれを具体化しておりません。このことは、政府が一方では、設備投資の膨張抑制、輸入金融抑制のために金融引き締めを行なっていながらも、みずからは財政面の不急不用費の節減の努力すらも示さないことを意味しております。かくては、馬の耳に念仏のそしりは、いったいどっちが受けるべきかと言わなければならぬと思います。したがって、政府は、本年度下期に一般会計予算の三%相当額を節減するよう予算補正を行ない、行政当局がみずからの行動をもって、国際収支改善の誠意と模範を示すべきであると進言いたすのであります。
 第七に、わが国の経済情勢は、池田総理のくどいほどの答弁いかんにかかわらず、景気後退に向かいつつある事実は、何人も否定できないところであります。政策転換は、政府が公定歩合を引き下げました一月に、むしろ逆に公定歩合引き上げをもって開始すべきであったというのが正論だと考えます。裏から申しますならば、政策転換はまさに半年以上もおくれてしまったうらみがあります。したがって、国際収支が黒字に変わるのは明年末であり、国際収支の均衡が回復するのは明後年の春以降と見るのが今日の常識となっております。政府はこうした経済見通しを隠しまして、今日金融難にあえいでおりまする中小企業者に対して、わずかに三百五十億円の財政融資を行なうにとどめているのは、むしろ中小企業金融の危機を隠蔽していると申さなければなりません。
 このような見地に立ちまして、私どもは、本年度の財政投融資計画は、開銀関係の大企業向け融資の繰り延べを行なう一方、中小企業向け財政融資といたしまして、七百億円の追加増額を行なうことが適切であると思考するのであります。
 以上のような私どもの提唱いたしまする予算補正を断行いたしましても、政府案の九百九十七億円にわずかに二百八十億円を増加する程度で可能でありまして、優に本年度の税収の自然増をもってまかない得るのであります。このことをこの際特に申し添えまして、政府の冷静な反省と今後の検討を求めつつ、あまりにも国民大衆に対する誠意の欠除した今次補正案に対しては、強く反対の意を表明いたしまして、討論を終わります。(拍手)
#26
○議長(松野鶴平君) これにて討論の通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。
 これより採決をいたします。
 両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#27
○議長(松野鶴平君) 過半数と認めます。よって同案は可決せられました。
 次会の議事日程は、決定次第、公報をもって御通知いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時二十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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