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1961/10/17 第39回国会 参議院 参議院会議録情報 第039回国会 法務委員会 第4号
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1961/10/17 第39回国会 参議院

参議院会議録情報 第039回国会 法務委員会 第4号

#1
第039回国会 法務委員会 第4号
昭和三十六年十月十七日(火曜日)
  午前十一時三十五分開会
  ――――――――――
 委員の異動
本日委員迫水久常君及び高田なほ子君
辞任につき、その補欠として徳永正利
君及び亀田得治君を議長において指名
した。
  ――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     松野 孝一君
   理 事
           井川 伊平君
           増原 恵吉君
           松澤 兼人君
           大谷 瑩潤君
   委 員
           青田源太郎君
           大川 光三君
           徳永 正利君
           林田 正治君
           大森 創造君
           亀田 得治君
           辻  武寿君
  国務大臣
   法 務 大 臣 植木庚子郎君
  政府委員
   法務大臣官房司
   法法制調査部長 津田  実君
   法務省刑事局長 竹内 寿平君
  最高裁判所長官代理者
   事務総局事務次
   長       内藤 頼博君
   事務総局総務局
   第一課長    長井  澄君
   事務総局人事局
   長       守田  直君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       西村 高兄君
  ――――――――――
  本日の会議に付した案件
○裁判官の報酬等に関する法律の一部
 を改正する法律案(内閣送付、予備
 審査)
○検察官の俸給等に関する法律の一部
 を改正する法律案(内閣送付、予備
 審査)
○検察及び裁判の運営等に関する調
 査
 (被疑事件の処理状況に関する件)
  ――――――――――
#2
○委員長(松野孝一君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 この際、委員の異動について御報告いたします。十月十七日付、迫水久常君辞任、徳永正利君選任。以上であります。
  ――――――――――
#3
○委員長(松野孝一君) 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案、及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。
 では、ただいま出席の当局側は法務省の津田司法法制調査部長、最高裁の内藤事務次長、同じく守田人事局長であります。
 これより質疑に入ります。御質疑のおありの方は順次御発言下さい。
#4
○井川伊平君 御質問申し上げますが、御出席の政府委員の方どなたでもお係りの方の御説明をちょうだいいたしたいと思います。
 今回のただいま上程されております両法律案の骨子は、提案理由に説明されているように、人事院勧告の趣旨にかんがみ、一般政府職員の給与を改善しようとする一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案がすでに提出されているので、これに伴って一般政府職員の例に準じて裁判官、検察官の給与を改善しようとするもので、今回の改正点に関する限り特に問題とすべきものはないのであるが、裁判官の報酬が現在特に問題とされている訴訟遅延と密接不離の関係にあるため、この際次の点が検討されなければならないと思いまして質問をいたします。
 一、訴訟遅延の最大の原因は、裁判官の絶対数が不足しているためであると当局はしばしば言明されているが、欧米諸外国と比べ、その人口比あるいは裁判官一人当たりの負担件数等の点でどのようになっているのか、また訴訟遅延の現象を解消するためにはどの程度の増員を必要とするのか、また充員方法をどうしようとするのか等の点について、研究ないし計画されたものがありますならば、この際承っておきます。
#5
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) ただいまの御質問にございましたように、裁判官の数が今日不足しておりますことは御指摘のとおりでございます。日本の現状が諸外国に比べて一体どういう状況かという御質問でございますが、これを人口との比例において比べてみますと、まあ大体欧米諸国の裁判官の数は日本の十倍見当ということが言えるのでございます。もちろん、これは各国によりましてその法制を異にしております。したがいまして、裁判官と一口に申しましてもいろいろなまあ種類があり、国によって制度が違うわけでございますけれども、裁判所で事件を裁判するという仕事に当たっております者すべてを数えますと、そういったような数になるわけでございます。特に英、米におきましては非常に多数のいわゆる治安判事というものを持っておりまして、比較的軽微な事件を処理しておるわけでございます。ドイツにおきましては区裁判所というものが非常にたくさんございまして、やはりこれも小さな事件を多くの裁判官が処理しておるわけでございまして、まず大体私どもの計算では、人口との比較におきましては、調べますと十倍見当になっているということが申せるのでございます。で、負担件数でございますが、この点につきましては、やはりこれも法制の違いからいろいろ事件の種類も違いますし、これはちょっと私ども係数が手元にございませんので御説明いたしかねますが、大体私どもは人口との比較において裁判官の数というものは考えていいのじゃないかというふうに考えているわけでございます。
 そこで、こういった日本の裁判官の不足の現状におきまして、どうしてもやはりそれが訴訟遅延の原因になっているということは明らかであると申さざるを得ないのでございます。そこでその対策として一体どうすればいいかということになるのでございます。現在私どもといたしましては、裁判官が忙しい、負担が多いと申しましても、実際にどう忙しいのか、どういう仕事をしてどう忙しいのかということについての実態を十分に従来把握しておりませんので、ただいまそういった裁判官の執務自体についての実態の調査をいたしております。これは大体全国の裁判所に行なうのも容易でございませんので、いろんな大きさによりまして代表的な裁判所を十カ所足らず選びまして調査をいたしているわけでございます。これがことし中にはその調査を終わりまして、裁判官の忙しさの実態が判明いたしますし、その過重な負担の内容が明らかになると存じます。そういった調査の結果を待ちまして、裁判官の執務内容の再検討、あるいはそれに基づくところの増員の要求ということが具体的に出てくると存ずるわけでございます。もう一面私どもが考えなければならないのは、その足りない裁判官で一体どうしたら事件を最も能率的に処理し得るかということでございまして、それにはやはり審理の充実、すなわち最も能率的な法廷における審理という方式を考えなければなりません。さらに公訴制度、上告制度も十分に考えまして、最も少ない裁判官で最も能率的に合理的に事件が処理され、国民の信頼を得るような手続というものを考えなければならないと存じております。この点につきましても、御承知のようにまず第一審の充実、集中審理あるいは審理の充実ということを年来考えているわけで、これも順次軌道に乗っているわけでございます。そういった不足に対する面の対策を講じながら、一方やはりこれは増員を考えなければならないわけでございます。これにつきましては、終戦までは御承知のように司法官試補という制度がございまして、判事、検事に任官する希望者は高等文官の司法試験をパスいたしますと、司法官試補を命じられたわけでございます。この司法官試補は相当の希望者がございまして、その中から選ばれて司法官試補を命ぜられる、毎年おそらく百人ぐらいと存じますが命ぜられる、それが裁判所、検察庁におきまして一年半の修習を経まして、判事あるいは検事に任命されたわけでございます。ところが終戦後憲法が変わり、裁判所の制度が変わりまして、この司法官試補の制度も廃止されました。御承知のように今日は司法修習生の制度をとっているわけでございます。この司法修習生と申しますのは、これも御承知でございましょうが、従来の司法官試補、同時にやはり弁護士試補というものを一つにいたしまして修習の制度を立てたわけでございます。そこで裁判官になる希望の者、検察官になる希望の者、弁護士になる希望の者も一緒に司法修習生として二年間の修習をいたすことになったわけでございます。結局これは二年の修習を終わりましたときに裁判官を希望し、検察官を希望しあるいは弁護士を希望するということが具体的にきまりまして、そうしてその中から判事補に任命される、あるいは検事に任命される、あるいは弁護士になるということになったわけでございます。こういった制度になりました関係上、修習を終わりますまで、自分が弁護士になろうか、裁判官になろうか、検察官になろうかということは全くその人たちの自由にまかされているわけでございます。したがいまして、そのときのと申しますか、今日のいろいろの状況や若い人たちの考え方によってそれが決定されているわけでございまして、まあ私どもが裁判所におりまして期待するほどの希望者が判事補に得られないということが実情でございます。もう一方裁判官の制度が変わりまして、判事補の上に、――判事補を十年いたしますと判事になります。この判事になるためには判事補十年のほかに、あるいは弁護士、検察官十年の経験を経た人を任命することになっておりますが、一体それではこの判事に弁護士や検察官から希望者があるかと申しますと、これがやはりなかなか得られない現状でございます。
 こういった現状でございますけれども、今日の法制のもとにおきましては、何といたしましても判事はやはり弁護士から、あるいは検察官から得るという道を開かなければなりません。また判事補も先ほど申し上げましたような制度のもとにおける司法修習生の中から得なければならないわけでございます。これにつきましては、やはり裁判官の待遇、――待遇ばかりではございません、いろいろ条件がございますけれども、待遇であるとか、あるいは裁判官の執務の環境であるとか、あるいはそういうような面についての手当を必要とするわけでございまして、これにつきましては私どももいろいろ検討いたしております。ことに法務省あるいは弁護士会の方々とも機会があればそういう問題について検討を重ねている次第でございますけれども、なかなかこれが一挙に解決し得ない、そのために今日は裁判官不足の現状にあるわけでございます。これは私ども何としてもそういった方向において解決しなければならぬ問題だと考えている次第でございます。
#6
○井川伊平君 ただいまのお答えで大体その点については要領を得たわけでありますが、しかし裁判官何名をもって定数とするかという事柄については、ふやせばいいのだというだけではなしに、先進の諸外国では非常に敏速に行なわれているのが、日本においては非常に遅延をする、その原因は担当する一人当たりの事件数が非常に多いのであるとするならば、これはもう改善の余地はない、人をふやすほかに道がないことである。担当事件数が多いのではないけれども、実際に仕事をする仕事のやり方あるいは環境、そういうもののためにおくれるのであるとするならば、大いに反省し改良を加えなければならぬということであって、数をふやすということだけではないようでありますから、この点は十二分に御研究を賜わりたいと存じます。
 次にお伺いいたしますことは、ただいまもお話のありましたように、裁判官の供給源と申しますか、裁判官を採用するのには弁護士とそれから司法修習生とからでありますが、そのいずれからの志望者も満足するに足る数に達することができない。この現状は今回の報酬、俸給を増額するということによって、判事になりたいという志望者の数がふえるというような見通しがあるかないか、見通しがないとするならば、現在の定数を満たすことのできない現状をどうしても満たさねばならぬと思うが、その満たす具体的な考え方はどういう点にあるのか、この点を二点、簡単にお伺い申し上げておきます。
#7
○政府委員(津田実君) 今回の二法律案によりまして若干の裁判官の報酬、検察官の俸給の改善がなされるわけでございますが、これは御承知のとおり人事院勧告に基づきまして一般職の給与に関する法律の一部を改正いたしますことに準じまして改善をいたすわけでございまして、この法律案の内容によって裁判官に対する待遇が根本的に改善されるという性質のものではないわけでございます。もとより裁判官の待遇の問題につきましては、かねてから種々の検討なり研究なり調査をいたしておるわけでございまして、今日その点につきまして、画期的な根本的な改善を要するという結論には到達しておるわけでございますけれども、具体的にしからばいかなる形において、いかなる程度に、いかなる標準をもって行なうかということにつきましては、いまだ具体案を得ていないのが現状でございます。もとより、この現在の裁判官の定員につきましても、不満足な点が多々あるわけであり、さらに、差の定員の充足すら困難であるという現状については、十分の認識を持って去るわけでございまするけれども、これらの裁判官の充員が困難である。したがって、裁判官の定員の増加が困難であるという原因に至りましては、はたはだ複雑なものがあると言わざるを得ないというわけでございます。
 その二、三の点を申し上げるわけでございますが、まず、裁判官の報酬の問題、これが主として裁判官の給源になる法曹の中において、いかなる地位を占めているかということであります。現在、裁判官は法曹一元の理想を実現するためには、在野法曹、あるいは当事者たる検察官から選ばれるべきであるのでありますが、検察官の給与につきましてはさておきまして、弁護士の現在の所得と裁判官の報酬との間には、格段の相違があるということが言われておるわけです。その点におきまして、新たに修習生から任官し、あるいは弁護士となろうとする者において、少なくとも弁護士のほうが魅力があるということが出てくるわけで、その点で裁判官になり手が少ないという一つの原因があるわけでございます。これは裁判官の仕事の内容の問題についてもいろいろ問題があるわけでありまして、裁判官の仕事そのものに、はたして現在の司法修習生、すなわち若い法曹志願者の魅力があるかということが問題になるわけであります。現在の裁判官におきましては、あまりに日常の仕事が複雑多岐にわたっておるというようなことでありますので、裁判官のなすべき職務の範囲というような点についても、相当の整理と申しますか、整理を加える必要があるということが考えられるわけであります。これは、主として訴訟法等の問題、あるいは裁判官に相当の補助者を付するというようなことも考えなければならぬわけです。そういう意味におきまして、裁判官の職務そのものに魅力を持たせる、現在のように、裁判官が仕事におぼれると申しますが、用語はまずいかもしれませんが、おぼれて、自分の本来なすべき修養等に時間をさくことが非常に困難であるという実情は、やはり裁判官に対する魅力を失わせる多くの原因の一つであるというふうに考えられます。
 それからもう一つは、やはり裁判官の任地その他の問題であります。弁護士でありますれば、みずから好んだ所に事務所を設けて弁護士の業務を営むことができるわけでありますけれども、裁判官はそれが認められない。少なくとも、裁判官におきまして、任地にある程度の保障はありますけれども、これは、一たん任官いたしました以上、特別の事情がない限りは、それぞれの任地におもむくべき必要があることは当然でありまして、やはりその義務はあるものとなるわけであります。そういたしますと、子弟の教育とか、そういう面に非常に困難を感ずるというような事情がありまして、そういうこともやはり裁判官に対する魅力を減殺する原因となると思うのであります。したがいまして、これらの諸原因をいかにして除去するかということの問題に結局帰着してくるということに考えられるのでありまして、その原因の一つ一つを除去する何らかの方法をとらなければならないわけでありますが、これにつきましては、やはり裁判官の仕事なり、その地位についての一般国民の認識というものが得られなければ、とうていその満足な実現は困難であると考えられますので、それらのいわば一般大方の方々の認識を得るということに努力をしなければならぬというふうに考えておるわけであります。それと同時に、いかにして技術的にかような、いわば裁判官の魅力を減殺する諸要素の除去ができるかということについては日夜その研究をいたしておる次第でございます。
 なお、具体的充員の問題につきましては、最高裁からお答えを願いたいと思います。
#8
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 司法修習生からの裁判官志望者の実情というお尋ねがございましたので、ちょっと申し上げます。
 昭和二十四年度から昭和三十六年度までの司法修習生から判事補になりました者の数は、多いときでは昭和二十五年の百六名、少ないときで昭和二十九年の四十五名という、数には多少の出入りはございますけれども、合計いたしますと九百二十名でございます。年間平均いたしますれば、毎年七十一人半、これを全体の修習生の年間平均との比をとってみますと、二八%だけ判事補になるということになるわけでございます。それから弁護士から判事に――判事が裁判官の中枢でございますので、弁護士から第一線の判事に任用された者が何名おるかということでございますが、これは昭和二十三年から三十五年までの分を考えますと、昭和二十三年、二十四年は四十名程度になって非常に多い。しかし以下順次減少して参りまして、昭和三十四年、三十五年は年間七名程度になっております。二十三年から三十五年までを合計いたしますと百七十三人になっております。年間平均十三人程度になっております。
 以上でございます。
#9
○井川伊平君 ただいまの御答弁によりまして、弁護士から判事になろうとする者の希望がだんだん薄らいで参っておるようでありますが、長い間弁護士をしておりまして、判事になりましても、判事として恩給年令に達するような長期にわたる奉職は困難である。だからそういうような意味合いで、初めから長い間判事をしておる人と、弁護士から上がって、判事を勤めてやめた人との間の老後の待遇というものに非常に大きな開きができてくる。こういうことが弁護士から判事になろうとする熱意を持つ人が出てこないというような原因の一つであろうかと存じますが、そういう点はどうであるか。もしそうであるとするならば、何らかそれに対する救済の方法として、弁護士から判事に任官いたしました者等につきましては、短期年金受給資格の付与の特例を何か設ける必要があるのではないか、こういうようにも考えられますが、これらの点につきましての御意見をお伺いいたします。
#10
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 弁護士から裁判官になる人数が非常に少ないというその一つの原因に、やはりただいま御指摘のように恩給年金といったようなもの、あるいは退職金といったようなものが非常に裁判官としての在官年数が少ない関係上わずかしか支給されない。そのために自分の地盤を捨てて裁判官になっていくというような決意を鈍らしておるということは御指摘のとおりでございます。私どもといたしましても、現在の退職金制度が在職年数が長くなければ有利にならない、それから恩給制度もそのとおりでありまするので、この点を解決するために、従来からいろいろ財政当局に交渉して参りましたし、現に交渉しつつあるわけでございます。できれば弁護士としての職務をとった年限の何分の一かを在官年数として組み入れて、退職金を計算する。それから恩給年金のことでございますが、現在では、昔のようにいわゆる恩給という制度がなくなりまして、共済組合法によりまして、保険システムによる掛金制度で退職年金というものが支給されておる状況でございます。したがいまして、掛金をしないで、よけいの退職金をもらうということになりますと、他人の掛金で不当に利得をするということになるわけでございます。そこで私どもといたしましては、そういう他人の掛金を食うというような状況にならないように、すなわちその部分は国庫で負担するというような扱いで退職年金制度というものを弁護士に有利に解決し得るようにひとつ考慮してほしいということで、現在も財務当局及び総理府その他に対しまして、その理解を得るために努めておる状況でございます。
#11
○井川伊平君 そうしますと、その今求めておるという具体的な案の内容というものは、今すぐ言えますか。今できなければ、数字にわたることでもありましょうし、あとでもよろしいが。
#12
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 詳細なことは申し上げられませんけれども、要するに裁判官は、御承知のように憲法によりまして十年の任期制でございます。すなわち、一般の行政官吏のように、何年でも続けて在職し得るという制度にはなっておりません。いわゆる十年の任期でございます。したがいまして、裁判官の報酬はもちろんのことでございまするが、退職年金及び退職金などもやはりこの任期制を前提として考えられるべき性格のものだというふうに私どもは考えております。したがいまして、たとえば弁護士から裁判官になった人は、一任期すなわち十年勤めたといたしますならば、その十年で相当の退職金、相当の退職年金、すなわち現在普通は二十年にして退職年金をもらうことになっておりますが、やはり任期十年を終了いたしますならば、それに準ずる退職年金が支給されるような扱いにしてほしいということを根本的な原則として、それを理解させながら有利に解決したいというふうに考えております。
#13
○井川伊平君 裁判官の定数が足りないという結果は、どこかの裁判所にきまっただけの判事がいないということになるわけでありましょうが、これはそういうふうに判事の少ない裁判所というのは、大体北海道であるとか、その他僻地の裁判所、そういうところが常に判事が足りないのだ、判事が足りないのは、きのうまでは甲の裁判所が足りなかったが、今度は乙の裁判所が足りないといったように変わっていくものではなしに、いつでも足りない裁判所は大体足りないということになっておるのではないかと思いますが、これはいかがですか。
#14
○最高裁判所長官代理者(守田直君) ただいま裁判官の欠員の点をお尋ねでございますが、裁判官は全体として足りないことは先ほどから申し述べたとおりでございます。ただいまお尋ねの点は、足りないところはいつまでも足りないのじゃないかという点、たとえば東北の仙台高裁管内、あるいは北海道の札幌高等裁判所管内といったような勤務条件が他と著しく違っているようなところ、そういったところは欠員が非常に多く、しかもその欠員が恒常状態になっているのではないかというお尋ねと思いますので、その点について御説明を申し上げますが、大体北海道を中心といたしますならば、各地方裁判所、家庭裁判所の本庁の定員は大体充足しております。それから支部も甲号支部以上はほとんど充足しております。たとえば札幌地裁管内の岩内支部とか、あるいは函館地裁管内の江差支部とか、寿都支部、旭川管内の紋別、留萌、釧路地裁管内の根室支部、こういったところはもともと一人の判事をそこに配置いたしましても、事件が非常に少ないので、もったいない、それよりは、ほかの足りないところに充足する方がより合理的だという点がございますので、これは本庁からそれぞれ填補することにいたしまして、ここには事件の様子を見ながら定員を置かないでいるという状況でございます。すなわち判事の定員を置いておりません。それはそれぞれ本庁から填補して、そこでいわば巡回裁判みたいなことをやっているという状況でございます。この点を御指摘になったのならば、実は今のような事情でございますので、裁判官を充員しないところが恒久的になっているというのは、こういう点のことではないか、それは今のような事情でございます。それからなお簡易裁判所は非常なへんぴなところではやはり欠員になっておりますが、それも実際上そこへ裁判官を派遣することはなかなか困難でありまして、したがいまして、現在のところでは七カ所ほど札幌高裁管内の判事は填補でまかなっているという状況でございますが、このうち三カ所は来年の四月には充員する予定になっております。以上でございます。
#15
○井川伊平君 一般的に辺地のところに裁判官が行きたがらないという、希望者が少ないという事柄は事実であろうと思いますが、それらの原因をどういうふうに御研究済みになっているかを聞きたいのでありますが、裁判所の庁舎が非常に古い、それで裁判官が執務する場所としては何か権威にかかわるようなお粗末なものがたくさんある。私の見聞した範囲から申しましても、函館地方裁判所の管轄の中にあります瀬棚の裁判所のごときは、昔村の役場が使っておったところの庁舎を村役場がもう役に立たんようになりまして、別の村役場の庁舎ができた、そのお古を裁判所がもらい受けて、相当長い間そこにいる。それは日本海の風の当たる非常に海岸に接近したひどいところでありますが、私がそこへ参ったときなどは、風の吹く日だったが、二階へ上がるのは危険を感ずる。はしご段がゆれる。板でこさえたはしご段でありまして、へたすると落ちるのじゃないかという不安を与える。それから窓がよく締まらない。窓を締めても柱との間に細長い三角、一つの辺が三寸ぐらいずっとこうあいて締まらない。冬どうするのかと言ったら、新聞紙を突っ込んで雪の降り込むのをふさぐのだ。これは最もひどい例でありますが、旭川の地方裁判所へ行きましても、釧路の地方裁判所を見ましても、相当お粗末である。ああいうところで裁判官に裁判官としてのお仕事をしてくれということは無理じゃないのか。そういう方面へ裁判官に行ってくれと言うことが無理じゃないかと考えます。ことに、また官舎を調べてみましても、雪どけになりますと必ず雨が家の中に漏る。向こうでは、すが漏りと申しておりますが、すがという意味はよく知りませんが、氷という意味ではないかと思います。雪どけ期になりますると、屋根の雪が日中の太陽熱でとけて流れて大きな雨だれができる。雨だれを基本にいたしまして、そこに氷の山ができる。その氷の山からとけた水が軒端の方から屋根の方に向かって流れるということになる。だからかわらの間、あるいはいろいろそうした屋根をかぶっておりますものの間から逆流して部屋に水が落ちる。これをすが漏りと申しております。そういうものが非常に多い。こういうような庁舎であるとか、官舎であるとかというものに対しまする当局の思いやりが足らぬのではないか、こういうようなことも考えられますが、そういう点についてはどういうようなふうにお考えになるか。予算の御要求についてはどういうような御熱意を持って予算の要求をなさるのであるか、こういう点につきまして御意見を承りたいと思います。
#16
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) 裁判所の庁舎、官舎につきまして、大へん具体的な御意見、御指摘をいただきましたことは恐縮に存ずる次第でございますけれども、裁判所の庁舎、官舎がただいまお話しのように整備されておらないという実情にございますことは、私どもまことに遺憾とするところでございます。御承知のように、裁判所は全国に非常に多くの庁舎を持ち、官舎を持っているわけでございますが、その整備につきましては、年々私どもとしては努力をいたしておるつもりでおります。全国各地にただいま御指摘のような、それほどはなはだしくはなくても、ある程度のはなはだしさを持つと申しますか、現在もうすでに庁舎としてどうかと思われるような個所が相当数あるのでございます。もちろん、この改築ということにつきましては一日もゆるがせにできない問題ではございます。したがいまして、私どもといたしましては、毎年相当額の予算要求をしているわけでございます。しかし、実際の問題といたしますと、やはりこれは財政上の制約その他そういう条件がいろいろ加わりますので、なかなか私どもが思うとおりの予算が得られない結果になるわけでございます。まあ、私どもが年々予算の増額に努力いたしまして、御承知のように国会のほうの方々の御尽力もございまして、年々増額はいたして参っているわけでございます。ただ、しかしながら先ほど申し上げましたように、いかにも手当てをしなければならない庁舎の数が多いものでございますから、十分にまだ行き届くまでに至らないわけでございまして、現在私どもが実際に改築を必要とする場所、それにつきましてだんだんに改築をしていくということにならざるを得ない現状でございます。大体現在の予算のテンポで参りまして、何年かのうちには必ずやそれは整備することになるわけでございますが、これを一日も早くそういった個所をなくすように、私どもとしては努力したいと存じているわけでございます。
#17
○井川伊平君 ただいまの問題につきましては、この夏大森委員及び私、さきの委員長松村民、三人で北海道各地を回って見まして、驚いた事実でありますから、そのうちに漸を追うてといったようなお考えもさることながら、もう少し御熱意をもちまして御研究を賜わり、対策にご努力を願いたいということを特に申し上げておきます。
 次に、もう一点お伺いいたしますが、最近裁判官の報酬について各省連絡会のごときものが設けられ、検討されていると聞いておりますが、連絡会の設けられたる趣旨、その構成、及び今日までどういうことを審議しておられるか、その概要、こういうことにつきましてお伺いを申し上げます。
#18
○政府委員(津田実君) 昭和三十五年度の補正予算案を実質的に決定いたしました閣議におきまして――と申し上げますと、これは前回の給与改定の際のことでありますが、その際に、一般職と裁判官、検察官との給与の関係といかにすべきか、つまり、一般行政職に対しまして勧告されました改定額を同額をもって裁判官、検察官の給与を改定すべきかどうかということの議論をされました際に、将来の問題といたしまして、裁判官の給与問題は重要問題であるから、委員会のようなものを設けて検討をしていく、こういうことがその当時了解されたわけでございます。で、それに基づきまして、その給与改定がなされました後、すなわち昨年の六月二十一日から、関係各省庁におきまして、この閣議の了解に沿うような連絡会議を開催することになったわけでございます。そのメンバーといたしましては、総理府の総務長官、それから公務員制度調査室長、法務省の司法法制調査部長及び人事課長、大蔵省の主計局次長、主計局給与課長、それから最高裁判所事務総局人事局長、同給与課長、人事院給与局長等々、こういう関係各省庁の係官が、まあほぼ常時メンバーといたしまして、連絡会議をその六月二十一日以降数回開催いたしておるわけでございます。で、ここにおきまする問題点は、まず裁判官の給与水準をいかにすべきか、裁判官の給与体系をいかにすべきか、それから裁判官に対する諸手当の問題をいかにすべきか、あるいは裁判官の特別退職手当制度、これは先ほど当委員会におきましても御審議をいただいたわけでございますが、その特別退職手当制度をいかにすべきかというような問題を主として論議をして、関係各省庁間において問題点の整備をし、そしてその意見の調整をはかるということが目的でございまして、ただいまのところは、今申し上げました項目につきまして、それぞれ各省庁から意見を述べ、あるいは具体的問題点の指摘を行なっておるわけでございます。で、まだその問題点の個々につきまして整備をし、意見の調整をはかっておるという段階には至っておりませんが、次回あたりから、さような点に議論が及ぶものというふうに考えております。
#19
○井川伊平君 よろしゅうございます。
#20
○大森創造君 今の井川委員の質問に関連して、二、三御質問いたしますが、第一点は、この判事になる者が少ないということの中で、弁護士から判事になる人が年間四十名、少ないときは七名ということですが、弁護士から判事になるという理由はどういうことですか。逆に、条件の悪い判事になるという弁護士の方々の条件はどういうことなんですか。
#21
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 大体弁護士から判事になろうという人は、元裁判官の経験を有し、途中で病気の関係で退職して、また元気になって帰ってくるというような人とか、あるいは自分の性格上どうもやはり弁護士より裁判官のほうが向いておる、そういう自覚のもとに立って判事を志望されるという人でございます。ただ最近におきましては、私どもは弁護士連合会を通じまして、法曹一元の点からぜひ裁判官に弁護士からなってくれるように勧めてほしいということで、慫慂を依頼したわけでございますが、そういった関係で、弁護士会の長老たちが比較的若い弁護士に対しまして裁判官になることを慫慂した関係で、判事を志望した者が現に六名ほどでございます。大体以上でございます。
#22
○大森創造君 先ほどお答え願ったうちで、足りない裁判官――判事になるうち司法修習生から二八%とおっしゃいましたが、どういうふうなパーセントで充足されておりますか、この判事は、パーセントで言いますと。おわかりになりませんか。
#23
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 司法修習生は各年度によって違います。したがいまして、また、判事補になる人も必ずしも毎年同じ人数というわけには参りません。そこにでこぼこがありますが、昭和二十四年から三十六年までの司法修習生の全卒業者、修了者が三千二百三十五名おるわけでございます。それから判事補になった者が九百三十名おるわけでございます。そういう関係で大体二八%が判事補になったわけでございます。
#24
○大森創造君 法務委員会の質疑を聞いておりますというと、この裁判官の定員の充足の問題がいつでも議題になります。そこでその結果として、その他にもございますが、裁判事務の遅延の問題がいつでも問題になりますが、遅延の理由としては、今お話のように仕事の内容の点が一つあるわけです。それから給与の問題もあるだろうし、その他いろいろございますが、私は、それを体系的に関係方面で勉強をして、そして成案を得て、その問題ごとの対策を長期的に立てる必要があるだろうと思います。これは御了解のとおりだと思います。
 そこで、先ほどのお話の中に、今度の給与の改正は一般公務員に準じて人事院勧告に基づくものですが、そうでなくて、裁判官並びにこういった特殊な業務に携わる者の給与は特別であるべきであるという考えのもとに、その委員会が昨年六月二十一日にできたというお話ですが、これとは別に御研究なんですね、裁判所方面で給与の問題は。このことをおっしゃるのですか。去年各省庁の関係部課長のほうで構成されている閣議了解によるところの、まだ結論は出ていないが、そろそろ具体的になってくるこの委員会のことをお話しなんですか。
#25
○政府委員(津田実君) 先ほどの井川委員の御質問に対しまして、裁判官の給与に関する各省庁の連絡会議は昨年六月二十一日からと申し上げましたが、これは誤りでありまして、これは本年六月二十一日に訂正さしていただきます。
 この給与の問題は財政当局、それから国家公務員に関する事項を政府部内で扱っておりますところの総理府当局、それから司法制度を扱いますところの法務省、それから最高裁判所、それから一般職の関係におきまして、まあ一般職の考え方をある程度披瀝できるという人事院、こういうものの集まりで構成をいたしまして、連絡会議をやっておるわけでございますが、これを設けました主たる事情は、先ほども申し上げましたように、一般職の職員の給与と、裁判官の給与との水準の問題はいかにあるべきかということに端を発しておるわけであります。したがいまして、もちろん検討の内容自体は、裁判官の給与自体はいかにあるべきかということなんでありますけれども、それのこれに至りました端緒は、やはり水準の比較というような問題から出てきておるわけであります。ところが、一方、裁判官の給与自体につきましては、その裏には裁判官の任用制度の問題があるわけであります。そこで、この各省庁の連絡会議におきましては、任用制度について論議をする権限はおそらくないということになっておりまして、任用制度については少なくとも当面は議論をしない。したがって、当面の給与の問題を議論するということで進んでおるわけであります。しかしながら、この裁判官の任用制度の問題は、御承知のように法曹一元の理想を実現するにつきましては、これは法務省、弁護士連合会、最高裁判所、学会等を通じましていろいろ研究されておりまして、ある程度の試案もできておるわけであります。したがいまして、任用制度との関連において裁判官の給与体系を考えるということは、これはまた、次の段階に当然必要なことであるということになるわけでございます。したがいまして、当面一般行政職、その他一般の国家公務員との関係において、裁判官の給与はいかにあるべきかということと、裁判官の任用制度が改善されました暁における給与制度とは、これはやはり関連はありますけれども、当面は別個に考えるべきだということに進んでおるわけでありますが、任用制度の改善の問題は、これは非常に議論が多くてなかなか実現に相当の困難があるわけでございますが、それについてはそれぞれ法曹一元の理想に向かって邁進しようということになっていたわけであります。しかしながら、ここ一、二年を目標に、それが実現するとはとうてい考えられないわけであります。当面の問題としまして、やはり当面の裁判官の給与をいかにすべきか、その問題は結局裁判官の充員が困難である今日をいかに改善すべきかということにつながる重要な問題になるというふうに私どもは考えまして、当面のその問題をいかにすべきかということにつきましては、その連絡会議を別にいたしまして、法務省といたしましても十分検討いたし、研究調査もいたしておりますし、海外における調査もいたしており、現在調査官を派遣いたしておるような状況でもあるわけであります。最高裁判所におきましても、もちろん検討いたしておりますし、私どもも随時いろいろな会合において意見の交換もいたし
 ておるわけでございます。
#26
○大森創造君 今の御説明で大体了解しましたけれども、さらにこれは重要だと思いますので、念を押してお聞きしておきますが、今年の六月二十一日に、一般的な公務員の給与の改訂についての勧告があったということを契機にして、従来諸外国に比べてこの裁判事務の遅延がはなはだしい。そういうことの理由はいろいろあるにしても、給与の問題が一つものを言うということと、それからもう一つは論理的に、理論的に考えても、法曹一元化の建前からいっても、この職務に従事する人は、本来もっと高い水準になければならないという論理的な、そういう意見があって、そしてこういう委員会が発足されたのですか。
#27
○政府委員(津田実君) 裁判官の報酬、給与制度の問題につきましては、これは新憲法下の裁判官の報酬はいかにあるべきかという憲法論の問題といたしまして、この憲法改正当初、つまり新しい裁判所発足以来論議された問題であり、その当時すでにある程度の一般行政職に対する優位というものも認められておるわけでありまして、その状況は今日において若干変化はありますけれども、一般職に対する優位ということは、今日においても、なおかつ、相当認められておるわけであります。しかしながら、一般職に対する優位を認められながらも、なおかつ、裁判官の充員が不足である。結局新しい修習生における裁判官への希望者が少ないということは、何を意味しているかということになれば、やはりその一つの原因として考えられるのは、やはり待遇の問題であり、待遇の問題ということは、要するに在野法曹のほうが結局において待遇がよろしいということになるわけであります。そういたしますと、在野法曹との待遇の比較において裁判官の報酬を考えることが必要になってくるわけでございまして、これは一般行政職との比較において裁判官の給与を考えるということよりも、むしろ在野法曹がその根源になっているということを考えれば、その中において裁判官の給与はいかにあるべきかということを考えざるを得ないということになるわけであります。したがいまして、私どもといたしましては、この在野法曹との給与所得の格差というものをある程度排除しなければ、とうてい今日の事態を改善できないのではないかというふうに考えておるわけであります。したがいまして、その方法はやはり裁判官の報酬の絶対額を上げるよりほか方法がないわけであります。まあ、そのほかにいろいろ宿舎の問題でありますとか、あるいはその他勤務環境の問題とか、いろいろございますが、やはりそれらの問題を合わせて、在野法曹との比較においてものを考えるというふうにしていかなければならないというふうに考えておりまして、そういう方面に努力を重ねておるわけであります。
#28
○大森創造君 これは私ども、裁判官になる人は特殊な仕事をやって、非常に優秀な人がわれわれの仲間でも多いのですが、非常に給料が安いということも昔からの定説になっております。最近は幾分改善されておる。これは閣議の了解によって法務省やあるいは関係者が言い出したこともございますが、とにかく世間の世論が――各省庁の間にこういう空気がびまんして、こういう委員会なり連絡会の発足になった。これを契機として、今までの不均等な在野法曹――一般の弁護士に比べてもさらに高い水準の給与を獲得できるように、そればかりではございませんが、これがワン・ステップ上昇することになりますから、これは格段にひとつ力を入れて実現せられるように要望いたします。
 もう一つお伺いしますか、先ほど井川委員が言われた施設の問題、裁判所の施設の問題具体的には北海道の瀬棚地区、函館地検ですか、これをお伺いしますが、別紙に今年度の施設についての三十六年度の予算要求が書いてありますのをちょうだいいたしましたが、この予算要求について全部予算化できれば一番いいことなんですが、だんだん削られて、例年そういう削られていくことがあると思いますが、そういう場合に予算要求をする裁判所なり法務省のほうでA、B、Cとかなんとかマークでもつけておいて、そして、ここのところは最小限度今年度に確保して――棒ほど願って針ほどかなうで、だんだん修正されて施設が充実していくということですか。今年度の予算要求についてはそういう順序がなく、あくまで獲得したいという要求書でございますか。
#29
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) 最高裁判所の予算のことですから、私からお答えいたします。営繕の予算要求は、毎年相当額要求いたしておるわけでございまして、ただいま御指摘いたされました庁舎につきましても、新しい営繕要求をいたしておるわけであります。私どもとしては、その全額を要求して、あくまで庁舎整備を考えておるわけでございまして、現在の段階において別にどれがA、どれがBということは考えておりません。私どもとしては全部必要であると考えております。
#30
○大森創造君 当然そうあるべきだと思いますので、これをがっちり取ってしまう、予算を獲得するということでございますね、了解いたしました。
#31
○委員長(松野孝一君) ほかに御質疑はございませんか。
#32
○辻武寿君 寒冷地に在勤する検察官、裁判官は、寒冷地手当、石炭手当をもらっておりますか。
#33
○最高裁判所長官代理者(守田直君) そのとおりでございます。それは一般の政府職員と同一でございます。
#34
○政府委員(津田実君) 検察官につきましても同様でございます。
#35
○辻武寿君 寒冷地は、どの範囲が寒冷地になっているのでしょうか。
#36
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 仙台管内は、ほとんど寒冷地です。その寒冷地手当の支給率は違いますけれども、たとえば仙台高裁管内は全部寒冷地、札幌高裁管内ももちろん寒冷地でございます。また新潟、長野、いずれもほとんど寒冷地になっております。大体それで御推察願えますが、それと同じように山陰、北陸も大体寒冷地に指定いたしております。
#37
○辻武寿君 山陰、北陸、それから東北、北海道は、支給率は違うのでしょうか。
#38
○最高裁判所長官代理者(守田直君) それぞれ裁判所の所在地によって違っております。それぞれ級地に分かれておりまして、たとえば北海道全地域は五級地、それから青森全地域、岩手県の盛岡市、二戸郡、秋田県の平鹿郡、雄勝郡、こういうふうに同じ管内でも特定の地域だけが五級地に指定され、それから山形県は、米沢市、新庄市あるいは町村というふうに分けて、それぞれ指定いたしております。寒冷地によりましてその寒さの限度、それから薪炭の必要程度等が勘案されまして、場所ごとにそれぞれ級地を指定されまして、そうして支給率が変わっておるわけであります。
#39
○委員長(松野孝一君) ほかになければ、両案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。暫時休憩いたします。
   午後零時三十九分休憩
   ――――・――――
   午後一時五十五分開会
#40
○委員長(松野孝一君) ただいまから法務委員会を再開いたします。
 この際、委員の異動について御報告いたします。
 十月十七日付、高田なほ子君辞任、亀田得治君選任。以上であります。
   ――――――――――
#41
○委員長(松野孝一君) 次に検察及び裁判の運営に関する調査中、被疑事件の処理状況に関する件を議題といたします。
 ただいま植木法務大臣及び竹内刑事局長が出席しております。本件について亀田君より質疑の通告がありますので、これを許可します。
#42
○亀田得治君 九州産業交通株式会社の労働組合、九州産交労組というのですが、ここから出ておる告発事件についての熊本検察庁の扱いの問題について若干お尋ねをいたしたいと思います。もちろん、事件としては捜査中に属する事件でありますから、事件の中身につきましての白黒といったような問題などになるべく立ち入らないようにしてお尋ねをしたいと思います。
 本件は、法務省の刑事局から捜査状況についての御報告もいただいておりますが、昭和三十五年十二月二十七日に九州産交労組の今村委員長から告発し、さらにその後三十六年七月二十五日、株主の森武徳、この人からさらに告発をした。二つがまあ重なっておるわけですが、内容は、同会社の社長である岡力男らが会社の公の金をごまかして使っておる。こういうものです。熊本のほうでは社会的にもたいへん注目されておるわけでありまして、もしこの問題が、何らかの政治的圧力によってうやむやにされるということになりますと、せっかく正義感に燃えて告発を決意された会社の従業員なり、あるいは株主に対する影響というものは、非常に大きいわけです。また検察庁に対する期待も持っておるわけですが、それに対するその威信という問題にも影響するのではないかと考えております。
 告発した諸君は、普通の告発に見られないような相当詳細な材料を、今まで検察側に提供しております。また再三にわたりまして熊本地検なり福岡高検なり最高検などにも、これは陳情しておる。法務大臣にも一回したはずであります。ところが、どうもこの事件がある場合には何か捜査が進むようであるが、しばらくすると、また模様が変ってくる。こういうことが関係者の目に映るわけでございまして、一体、この件につきまして検察当局としてはどういう気持で見ておるのか。簡単な、きわめて簡単な捜査状況の報告というものしかもらっておりませんが、また現状はどういうふうに捜査が進展しておるのか、差しつかえない程度にひとつ御報告をまずいただきたいと思います。
 まあ、こまかい点につきましては、だんだん刑事局長にお尋ねしたいと思っておりますが、まあ、そういういきさつになっておる問題でありますので、最初に法務大臣からお答えをいただきたいと思います。
#43
○国務大臣(植木庚子郎君) ただいま御質疑に相なりました九州産業交通労働組合の幹部の方から告発になりました九州産業交通株式会社の幹部の一部の人たちの犯罪事実をあげての告発の問題につきましては、何分ただいまなお捜査中のことでございますので詳細に申し上げる段階には至っておりませんが、お手元に資料として提出いたしました通り、本事件を受理いたしましてから主任検事を定めて直ちに捜査に着手いたしております。今日までにすでに告発をされた方の取り調べもいたしましたし、またこれに関係のある十数名の参考人も呼んで取り調べをいたしております。また、被告発人につきましても取り調べを一応いたしております。今日までこの事件がなお非常に複雑多岐にわたっておりますので、とてもまだ完結というところには至っておらないようでありますけれども、鋭意その調査を進めることに相なっております。いろいろな証拠書類等につきましてもすでに三百数十点の証拠物件を領置いたしております。かようなわけで、なお本件の調査につきましては若干の時日が要るかと思うのでありますが、御承知のように最初の告発に続いて約半年ばかりたちましてから、ただいまも仰せになりました株主の森某からも類似の事案についての告発がございました。あわせて両者が両事件に相関連するところもあるようでございますし、非常に複雑であります。なお今後ともこの問題につきましては鋭意捜査を進めまして、なるべく遠からぬ時期に本件の実態を解明いたしたいと、かように考えておる次第でございまして、決して本件についてしかるべき上からの勢力的に指図がましいことはいたしておりませんので、もっぱら検察当局の本件についての厳正公平な調査を信頼して、進めさせておるというのがただいまの段階でございます。
#44
○亀田得治君 一番最後に大臣が言われた点ですが、上から指図がましいことをしておらないと。本件については、私はそのとおりに理解しております。本件につきまして福岡の高検にも私行ったことがありますが、福岡の高検も、告発人の言われるとおりだ、そんなに調べを長引かすのはおかしいとわれわれに直接言っておる。だから、本件についてそういうことがあろうとは思いませんが、むしろ本件の特色は上からの、そういういい意味での意見が表明されるにもかかわらず、どこからどういうふうになるのかよくわかりませんが、地元の検察庁が動かない、こういう事態がもうはっきり出ておるわけなんです。若干そういう立場から、こういうことでいいのかどうかということにつきまして抽象的にばかり申し上げても始まりませんので、お聞きしたいと思います。
 最初にも申し上げたように、こまかい点等になればひとつ刑事局長のほうでけっこうでありますから……。まず第一点は、この今村委員長たちが本件について告発状を昨年の暮に出しまして、本年の一月に担当の苑田検事に面会いたしまして、本件はこういう事情の告発だから至急捜査をやってほしいという要求をした。その結果、担当の苑田検事は当時、前年の十一月に行なわれた総選挙の関係の違反事件があるが、それは一月中に終わるから二月になったら一つ着手する、こういうふうにはっきり言明をされたわけなんです。ところが、二月になっても三月になっても四月になっても一向に着手される様子が出てこない、こういうわけなんです。このことはたびたび陳情しておりますので、法務当局でもなぜそういうことをしたのかということについて内々お調べになっておると思うのですが、私はこういうことは非常に検察庁の態度に対してやはり疑義をもたらす。初めから二月に着手をするということを言わないのならまたそれも一つの、仕事のいろいろの都合もあるでしょうから、それも一つの応待の仕方でしょう。担当検事がそういうことを明確に言っておりながらそれが守られない。どうしてそういうことになったのか。お調べをしておられたらひとつそこの理由をはっきりしてほしいと思うのです。
#45
○政府委員(竹内寿平君) ただいまの点につきましては去る――正確に日を覚えておりませんが、検事正の更迭がございまして、若干長官のこの事件に対する考え方に――取り扱い上のいろいろな問題点があったかもしれませんけれども、私が確かめておりますところによりますと、これはもう全く他意のないものであって、事務上の都合で延びておったように承知いたしております。ただ今お尋ねの、検事が責任を持って着手するといったのに着手ができないのは、どういうことかという点でございますが、その点、主任検事がどのような意図でそういうように明言をされたのであるか、そうしたいという希望を述べられたのか、その辺は私も確かめておりませんが、やはり仕事をやるやらぬということは、その長の検事正なり次席なりの全体をにらんでの、人手も要することでございますので、そういう計画のもとに進めることと思います。したがいまして、主任検事としてはその時期に着手したいと思いましても、上の者が人手の都合その他でもう少し時期を延ばせというようなこともあり得るのでございまして、その点は全く事務上の都合で延びておったものというふうに、私は理解しております。
#46
○亀田得治君 そこをもう少し実際に――抽象的にこういうことではないかというのではなしに、はっきり検事が外部の者にそういうことを言いながら、それを取りやめた理由ですね。これはやはりはっきりしてもらいませんと、関係者というものは一言一句非常に注意しておるわけですから、私はこの点は直接検事正に会いましたときにその後聞きましたけれども、理由がなっていない。理由というのは、たとえば三池の問題についてたくさん告発状が出ておる、それで忙しい。私はそのときにも申し上げたのだが、そんなことは理由にならぬじゃないですか。三池の事件のこれはあとですよ、こちらが出しているのは。担当の検事がそういうお答えをするときにはちゃんと三池の事件というものは熊本検察庁にあるわけなんです。その後にこれよりも急ぐ問題が持ち込まれてきたと、こういうことならそれは話がわかる。いやしくも検事とあろう者が、ただ何げなしにいつから着手するというようなことを言うわけがないでしょう。着手できる事情があるから言うておるに違いない。普通検事は相当慎重ですからね。できると思ってもちょっとそこらはむしろ伏せておくぐらいです、普通は。それをはっきり告発人諸君にそういうことを言っておりながら、それがうやむやにされておる。この点がまず非常にやはり関係者としては遺憾に思っておる点です。だから刑事局長の御想像でなしに、はっきりとした理由を明確にしてほしいです。いや一月にそんなことを言うたのは軽率だったというのか、あるいは軽率じゃない、これはちゃんと確信があったのだが、その後こういう事情の変化があったのだとか、あるいはそんなことは言うたことがない、こうおっしゃるのか、三つに一つです。だからこんなことが非常にやはり検察の威信を傷つけると私は考えるのですが、その点を特に確かめておられなければ確かめて明確にして下さい。
 第二点は、そういうわけで、いつまでも延びるものですから、告発人なり地元の労働組合なり、あるいはこれは社会党の県連からも社会党本部に要請がありまして、その結果、私はまあ中央執行委員の資格で五月二日に熊本地検に参ったわけです。福岡の高検にも寄りました。地検は非常に消極的な態度で私に説明しましたが、高検のほうは最初に申し上げましたように、それはあなたのおっしゃるとおりだ、これはすぐ地検に注意をします。私と一緒に行った告発関係者を前にして、はっきりそのことをおっしゃっているくらいなんです。まあ、そういうことがあるいは若干影響したのか、五月下旬ごろから担当の苑田検事が相当積極的に調査を始めたのですね。そうして岩永――岩永というのは前の経理部の会計課の出納係長です。この人とか、あるいは板井敬治、これは経理部のやはり会計課の人です。直接お金を扱った人たちなんです。これは一番よく知っているのです。どういうふうに金をごまかしているか。その人たちを相当内容的に突っ込んで取り調べを始めたのです。これはもう実際にお金を扱ったわけですから、その人を調べてくれるならば、これはもうすぐわかること、だから、私たち東京で報告も受けて、そういうふうに感じておりました。ところが、七月になりますと、突然この担当の苑田検事が担任を解かれたのです。そうして伊津野という検事に担当が切りかえられたのですね。そうしておいて、その検事正は野田という検事正ですが、この人が岐阜へ転勤する、こういう現象が起きたわけなんです。わざわざ転勤するものならば、何もそんな、こういう社会的に注目している問題についてこれはあとの検事正にしかるべくお願いするのが当然だし、転勤の直前にそういうことをされている。それから第一、せっかく取り調べを始めた検事を何がゆえに担当をかえるかというのです。これもわれわれには理由がわからぬわけです。なぜかえたのか、このことは刑事局長のほうでもおわかりに――そういう経過は御存じでしょうが、しかし、なぜかえたのだろうかという点については、あるいはよく調べておられないかもしれませんが、調べておられたら率直にひとつ、想像ではなしに、これはこれこれこういう理由なんだということをはっきりしてほしいと思うのです。僕らはもう関係者としては非常にこの点は遺憾に思っているのです。どうでしょうか。
#47
○政府委員(竹内寿平君) ただいま二つの点について御質問がございましたが、最初の一つは、着手すると言明をしたのにしなかったという点についてのいきさつ、第二は主として検事の交代の点でございますが、そのいずれも私は事実は事実として承知いたしておりますが、具体的にどういう事情でということにつきましては私も確認をいたしておりません。したがいまして、調査をいたしましてお答えを申し上げるほかないわけでございますが、亀田委員の仰せになるように、事件が消極になるということのために向かって今のような措置がとられたとは、私は先般検事正に会いましたが、そういう印象はさらに受けていないのでございまして、したがって、そういう点について事情までも掘り下げて聞くということを実はしなかったわけでございまして、検察官の担任事務、それから着手するかせぬかというようなことは、すべて全く純粋に事務的に検事正の判断でやったことだと私は思いますが、なお、その点を調査をいたしまして申し上げたいと思います。
#48
○亀田得治君 そういう点も、私たちが勝手な想像をして非難をしてはやはりいけないと思いますので、その理由はこうなんだということを明確にしていただいた上で、私としては決定的な意見を実は申し上げたいと思っているわけです。関係者はいろいろなことを言いますが、そういううわさで私たちは判断していいはずのものではございませんので、ぜひひとつその点はっきりしてほしいと思うのです。
 そこで、第三点になりますが、そういう検事正の交代、担当検事の取りかえというようなことがありまして、案の定、調査が鈍ってしまったのですね、現実に。そこでまた関係者のほうがずいぶんこう騒いで参ります。それから私たちに対しても、正規の機関を通じて、党の本部にも再度要請が来る。こういうことがありまして、八月の十七日に熊本に、私、行きましたときに、新しい検事正に会って要請をした。それからちょうどそのころ社会党の遊説がありまして、河上委員長以下が熊本に行きましたので、これは党の役員会でもきまっておる問題である関係上、成田政審会長と戸叶参議院議員が検事正にやはり会って要請しております。それで、そういうことがありますと、また少し活発になるのですね、調査が。で、八月の下旬に伊津野検事が相当積極的にまた取り調べを始めております。しかし、これは検事がかわった関係もありまして、前に苑田検事が調べた岩永とか、板井とか、そういう人たちを再度調べを始めているわけです。こういうことも全く、検事を取りかえるから、こんなむだなことをしなければならぬわけでして――しかし、それにしてもそういう調べを始めた。で、私たちも、これは要請なり陳情のしがいがあったのだというふうに感じていたわけです。ことに八月の下旬に岩永や板井をお調べになったときには、強制捜査に踏み切るという印象を告発人たちにむしろ与えておるくらいの強い態度を今度は持っておられた。それは、どういう点を申し上げるのかといいますと、検察官のほうから、会社の書類の保管場所、こういうものも聞かれる。口頭だけじゃだめだから、図面でそれを示してくれということで、図面を書かされたり、また書類を押収するとしたら、一体ミカン箱どれくらい要るだろうといったような質問までされておるわけです。そうして、ひとつこっちもやるから、君らもひとつ協力してくれ、こういうあいさつまで受けて、これはいよいよしっかりやってもらえるのだ、 こういう感じをみんなが持っていた。ところが、また月が明けて九月に入りますと、その空気が変わってきたわけですね。八月に言うたことがえらく違う。告発人たちもたまりかねて、どういうわけだということで担当検事に会ったところが、告発された事件は二つとも大体証拠もそろっておるし、人についてもこれ以上突っ込んで調べる必要がないように思う。こういう返事を受けて、実は非常にあぜんとしておるのです。いよいよこれからだと、こう思っておるのに、何かもう済んでしまったような、そういうことをおっしゃっておるわけなんです。それは言葉は多少違うかもしれませんが、こちらの人としては聞き耳を立てていっておるわけですから、そんなに意味を取り違えることは、幾らしろうとでも私はそんなにないと思います。ところが、報告書を見ますると、まだ引き続き必要な捜査を続けるといったようなことが書いてある。一体どこに本心があるのか、わけがわからぬわけです、関係者から見ると。そこでお聞きしたいのですが、実際こういう捜査の方法等については、これは告発事件としては非常に重要なことです。強制捜査をやるとかやらぬかといったようなことは、これは私も専門家の一員ですから、そういうことはよくわかる。しかし本件については、もう、そういう点の秘密性というものはほとんどないようですね。だから、ここで御質問申し上げても、そんなことは、それによって特に有害だ……本来ならば、もうそんなことは告発人にも知らしてもらえない、だれも知らない、検察官の独自の判断でさっとやっていく。武州鉄道で示されたような、ああいうあざやかなやり方をわれわれとしては期待するわけなんです。ところが、本件は新聞は書くわ、ああでもない、こうでもないわで、すっかり明るみに出てしまっておるのですね、そういう意味では。だから多少お聞きしても差しつかえないと思いますが、八月の下旬に強制捜査に踏み切る考えを持っていたものが、その後たいした捜査上の変化もないのに、もう強制捜査は必要ないのだ。どうしてもそういうふうに変わるのか、そこです、これは。それはその担当の検事がそう言うても、検察庁の全体で合議したら、それは必要がないということになったというのか。それほど全体の合議でひっくり返るような意見であれば、そんなことを軽々しく関係者に言うべきものではないですね。いずれにいたしましても、そういう態度の変更という点について非常な私たち疑惑を持つのですね。持たざるを得ぬのです。そうして告発人にそういうことを言っておきながら、それに対する何らの釈明もされない。会社のほうでは、もうあの事件は終わったのだという放送が一方からは出てくる。それを機会にして、正義感に燃えてこういう問題を検察庁に持ち出した諸君に対する圧迫というものが出てくる、こういうことになってきているんです。で、最近検事正に刑事局長直接お会いになったようでありますが、そこら辺の態度の変化はどうして起きたのか、もう十分証拠が収集されたから、もうそういうことは考えないということなのか。報告書によりますと、いずれとも断定されておらないように書かれておりますが、まあこんなことはどっちでやるのかということを刑事局長に直接聞くのは無理かもしれませんが、ただ、やると、こう組合の責任者に言われたから、こちらが聞くわけなんですね。そういうことはもうみんな伝わっているわけです。だからありのままにおっしゃってもらって、私はそんなことは、本件に関する限りは、どうこうということはなかろうと思いますから、その点をもし究明されておられたら一つお答え願いたいと思います。
#49
○政府委員(竹内寿平君) 主任検事の言動でございますが、これは私もなぜそういうふうなことを関係者に言ったであろうか、私も疑問に思っております一人でございますが、先般検事正に会いました際に、言動が関係者にいろんなふうにとられておるようなんだが、どういう点か、そういう点はまずいんじゃないかということを申しましたところが、検事正は頭からこれを否定しておりまして、そういうようなことを主任検事が言うわけはないし、また強制捜査をこれからやりますというようなことを関係者に予告してやるなんていうことがあろうはずがないし、またこれで調べが終わったなんていうことも、現に終わっていないのであって、そんなことを検事が言うわけがないということでありまして、一々それはごもっともなこと、常識的なことでございますので、むしろ今亀田委員の仰せになったようなことのほうが非現実的な言い方のように、私には思われるのでございます。このことは亀田委員にも別の機会にも申し上げたつもりでございますが、そこでそういうふうに信じます理由としましては、現に関係帳簿につきまして鋭意検討しておるのでございまして、もう調べる人もないとか、調べるものもないとかいうようなことを言うはずがないのであります。正確にここで申しますことをはばかりますけれども、なお相当な日時をかけて捜査をしたいということが検察当局の意思でございます。したがいまして、関係告発人といたしましては、この事件の成り行きを非常に心配し、注意して見守っておりますので、検事の不用意な言動からいろいろに御想像をなすったかとも思いますし、それもまた無理からぬことだとは存じますけれども、捜査の本筋としましては、さようなことはあるはずがない。現に鋭意捜査をいたしておるというのが現状でございます。
#50
○亀田得治君 まあ報告書によっても、なお「引き続き必要な捜査を進めている。」となっていますが、これは大体の見通しは、いつごろまでに終了できるようなことでしょうか。
#51
○政府委員(竹内寿平君) これは具体的に私のほうから申し上げるわけには参らないのでございますが、この種の事件、一般論で申し上げますと、やはりただ横領したか、詐欺されたかというようなことで調べが進むものでないことは、亀田委員もよく御承知のとおりでございまして、問題は、この帳簿の上にどういう金がどういうふうに動いておるかということを確認いたしまして、その上でその金の使途の追及になるわけでございます。その金の使途の過程においてあるいは横領になるか、あるいは背任行為になるか、詐欺になるかといったようないろいろな問題が出てくるのであって、その点をまず基本的な帳簿の捜査をし、それから関係者に責任をもってその点について答えてもらうというところから事件が固まっていくように思うのでございます。この事件もおそらく同種の事件だと思いまするので、相当期間を要するものと私は考えております。
#52
○亀田得治君 まあともかく、これは去年からずっと注目されておる事件でありますので、法務省のほうで、そこら辺の見通しですね、これを確かめてもらうことはできますか。まあこまかい点は抜きにして、大体いつごろのめどをもってやっておるか、どうでしょう。
#53
○政府委員(竹内寿平君) その見通しを大臣のところに報告を求めることはできますが、この席でお答えを申し上げることははばからせていただきたいと思います。
#54
○亀田得治君 まあ、この席でお聞き
 しないかもしれませんが、ともかく、こういうふうに右へ行ったり左へ行ったりしてきた関係もありますので、そういう点だけはやはり確かめておいてもらいたいと思いますね。直ちにここでお聞きすることはいたしませんから。
 それから、本件につきまして強制捜査ができないまでずっと来た関係上、相当この証拠が隠滅されたのではないかという疑いがたくさんかかっておる件なんです。私はこの点については、捜査の進め方としてむしろ最高検に辻意をしていただいてもしかるべき案件ではないかと思っております。どういう点をいいますかというと、先ほどもちょっと申し上げましたように、実際にこの会社の中でお金をあずかっていた人たちの身分をどんどんかえているわけなんですね。かえているのです。で、その人が証人なんです。実際にその人がうその領収書をほかからもらって、その領収書と引きかえに重役に金を渡すといったようなことをやった人たちなんです。これは、もちろん命令でやるわけなんですが、だから、これが一番の生きた証人なんですね。そういう関係の人が、こういう捜査が延びている間に、三月一日から八月二十日までの間に、重要な人が六名も外部へ全部出されてしまった。これは検察庁としては大きな失態じゃないかと思うのですね。こんなことは予見できることだと思いますし、これは私は一つ、それこそ大臣のいい意味での指揮をするという立場から見ても検討してほしい。
 で、外へ出された人の名前を具体的に申し上げておきましょう。三月一日に長尾二郎――これは元経理部次長ですね。経理部の相当おえら方です。これが共済会という全く傍系の部署に追いやられた。この長尾二郎という人がその転勤させられるのに対して非常に不服だったわけですね。そういう無理なことをするなら、自分として責任上その時点において会社の現金不足の状態というものを帳簿の上で明らかにして引き継ぎをしていきたい、こういうことを言うたにもかかわらずそれをさせない、させないのです。長尾二郎自身としてはもしそれをしなかったら今度自分がごま化したことになりますからね。五百六十万円の不足分があるということを明確にして共済会の方へかわっておる。これは重要な証人なんです。それから先ほど申し上げた岩永直行、この人も経理部の会計課から共済会のほうへ転勤させられておる、これは五月二十二日です。それから高野兼道、これは六月一日にやはり経理部長から企画室長という方向へかえられておる。これは高野メモというものをお作りになって、真相はこうだということを書いておられる方です。それから五月二十二日に、板井敬治という人が経理部の会計課から健康保険組合のほうにかえられております。この板井さんもメモを二冊作っておるのですね。これが相当大切なメモなんですが、今度はその板井さんが健康保険組合から去る八月二十日には天草の営業部、島流しにされてしまったわけですね。で、この刑事局の報告書の中に、何か必要な関係者のうちにはすでに現地を離れているなどの事情により、取り調べに不便なようなことが書いてありますが、こんなことは関係者がずいぶん早くから検察庁に注意しているわけです。それでこれだけ直接会計担当しておった人がほかへずっと出されて、今度は腹心のものだけをそこへ入れてやっておるのにこれを黙って見ておる、私はこんな検察庁はほかにはなかろうと思うのです。こういうことは一体どうなんでしょうか、これでいいでしょうか。
#55
○政府委員(竹内寿平君) ただいま御指摘のような点でございますけれども、これはよく事情をまず調査をいたしまして、その上でその事実に基づいていろいろ判断をしなければならぬ、もちろん亀田委員の仰せのような事情であったろうと私も思いますけれども、捜査の進行とこれらの人たちの転勤の問題とがタイミングが合わないために、非常に捜査がそのために支障を生じておるのであるかどうか。もちろん取り調べが未了のものの中には、転勤をしたということも検察庁自身が指摘をしておるところでございますけれども、これが捜査のやり方として妥当な適切な方法であったか、あるいは御指摘のように非常にまずいやり方であったのか、そういう点も調査をいたしまして、最高検あるいは高検等を通じて適切な指導措置をしていただくように取り計らいたいと思います。
#56
○亀田得治君 それからもう一つ、次の問題もあるいは多少間接的な問題になりますから、刑事局長としてはすぐわからないかもしれませんが、しかしわれわれ関係者としては非常に注目しておりまして、その結果が一体どうなっているのかという点について疑いを持っているのですが、それはどういうことかといいますと、熊本の金属商で美宝堂という店がある。そこの店主は林敏夫という人ですが、この人は詐欺容疑の事件で逮捕令状が出ておる方なんです。それは本件とは別個な事件でそういう逮捕令状が出ておる。ところが、この産交と美宝堂という店とはいろいろ関係がありまして、本件も関係があるわけです。どういう関係かというと、美宝堂の店の領収書で金が、会社の金が横へ流れる。そういう意味での関係があるのです。このことは告発人たちが検察官に出しておるいろいろな書類でも、ちゃんと出てくる問題なんです。だからそういう意味で非常に重要なんですね。ところが、そういう関係があるせいか知りませんが、検察庁のほうで美宝堂の林敏夫のおる場所が現在ではわかっておるのです。にもかかわらず、けさお聞きしたところによってもなお逮捕されない、これはきわめて奇怪なことですが、そういうことが起きておるのです。わかっておるといいますのは、九月二十七日に告発人の今村という人が熊本の北警察署に別な問題で行ったわけですが、その際に美宝堂の問題を担当しておる勇川警部補が美宝堂の所在がわかった、岡山にいた、こういうことをうっかり口をすべらして言っておる。われわれのほうとしては、検察庁から協力も頼まれているのだし、当然それならば早くこれは逮捕さるべきじゃないか、こう思っておるのですが、どういうかげんか、いまだにそれがうやむやになってしまっておる。はなはだこれは美宝堂の詐欺事件についてもそれはおかしいことですし、本件の関連から見るとよけい疑惑を持っておるわけです。これは調査をして、なぜわざわざ逮捕令状を取りながら、しかも場所がわかっておりながら執行しないのか、理由を明らかにしてほしいのですね。
#57
○政府委員(竹内寿平君) ただいまの件、調査をいたしまして御報告いたします。
#58
○亀田得治君 それからもう一つ、お調べの上でお答えしてほしいと思うのは、先ほど申し上げた板井メモ原本が二冊あるのです。写しは私もここに持ってきておりますが、で、このメモの原本が紛失しているのじゃないか。これは検察庁にこちらが提出したのですよ。告発人側からという疑いが若干あるわけなんです。といいますのは、先ほど七月に一度検事が交代したということを申し上げましたが、その交代した直後に、新しい担任の伊津野検事にこちらの関係者が逢うたことがあるのですね。その際に告発関係書類というものを全部検察庁にあるものを見せられたことがある。ところが告発関係者として一番重視しておるこの板井メモの原本二冊というものがなかったわけです。そこで検事に聞いたわけなんですね。ほかの書類はともかくとして、この大事な原本二冊というものがここにないのはどうしたことか。そうしたらそのときの検事は高検にでも行っているのかなというようなきわめて頼りない返事で終わっているのです。しかし、本件については何も高検に援助を求めて捜査しておるようには聞いておりませんし、また何らかの打ち合わせで行くのであれば全部の書類を持っていかれるはずだし、もし、こちらが提出したそういう重要な書類の原本が検事が交代している間にいつの間にかなくなったというのでは、これはもう大へんなことです。で、まあおそらく伊津野検事のそのときの事務の何か書類の整理の都合で見つからなかったということであれば、これはまあいいのですが、これは明らかにしてほしいのですね。いいですね。
 それからついでに、あんたの知らぬことも皆聞いておきますが、本年の七月八日ですね、岐阜に転勤される前ですが、野田検事正か本件の被告人の竹林常務、こういう人たちと一緒に阿蘇観光ホテルでゴルフをやって、そして夜はそこで会食をしておる、こういう事実があるわけなんです。ともかく、ああいう地方の都市においてこういう告発事件のあるときに、一体検事正としてそういうことをしていいものかどうか。で、これは当日の招待は三井鉱山の招待であったようです。したがって、産交の重役だけじゃなしに三井鉱山の人なり、あるいは関係の弁護士の方なり、そういう方たちもいたようですが、ともかく新聞であれだけ会社側と労組側、株主側から騒がれておる問題を控えておるときに、産交の重役が一緒になることを知っておりながらそういう席に出る。これは私は不適当だと思います。これはひとつ法務大臣にちょっと見解を聞いておきたいと思います。そこへ出たという証拠は、その晩はちゃんとホテルに泊まっておるわけです。客室日報というのがあるわけです。その写真もちゃんとここにとってきてあるわけであります。その事実自体を私は否定できないものだと思います。だから、そこに一緒になってどんな話をしたとか、そんなことはこっちはわかりません。しかしやはり、この検事正という立場からいって決してそういうことはほめたことじゃない。間違いだと思うのですが、これは一つ法務大臣からお考えを聞いておきたいと思います。
#59
○国務大臣(植木庚子郎君) ただいま御指摘の、熊本の前検事正が民間の方々と一緒に招待を受けてゴルフをやり、また、そこで泊まったという事実についてのお話でございますが、前後の事情をやはりもう少し調べませんと、直ちに批判はいたしかねると私は思います。と申しますのは今も御指摘になりましたように、産交の竹林常務に呼ばれて行ったのなら、これは明瞭にまずいことをやったものだということがわかりますが、三井鉱山の招待で行ったようだと、こういうお話であります。してみますと、検事正としては平素おそらく私の上でおつき合いをしておった方かとも思いますが、その席へたまたま三井鉱山のやはり招待で、産交の竹林常務が行っておったのかもしれぬと思います。そうしてみますと、必ずしも直ちにその招待に応じてゴルフをやりに行ったのが悪いとも言いかねる。しかし、しいて言えば、最も大事なポストにおる方でございますから、李下に冠をたださずというような気持から、もし全然知らずに、竹林常務が来ているということを知らずに行ったとしても、もしそこに来ているということがわかれば、なるべく早くその席を去るということが、さらに適切な行動ではなかったかしらんというふうに思います。しかし、これは単なる想像でございますから、もう少し事態を明らかにしてみませんと、この検事正の行動が悪かったとばかりも断定しかねるのじゃないかしらんと、かように存ずる次第でございます。
#60
○亀田得治君 大臣のお答えも、もっともな点もあろうかと思いますが、ともかくこういうことが大きなやはり話題になっているわけなんですから、これは一つ調べてほしい。たまたま招待を受けてゴルフに行ったところが、そこにいた、大臣もおっしゃるように、それならばなるべく早く帰ったらいいのですが、食事を共にして、そうして(「泊まった」と呼ぶ者あり)泊まらんでもいいわけですね、だから途中でやはり、そういうことがわかったら検事正としてはやはり慎まなければならぬ、ぜひこれも私は調査してほしい。
 もう一つ、はなはだふに落ちぬことがあるわけですが、これも刑事局に一つ調査してほしいのです。それは昭和三十四年の八月に阿蘇山上のロープ・ウエーの建設について会社の金をごまかしている。つまりそれほど金もかからんのに、かかったごとく見せかけてごまかしている。こういうロープ・ウエー事件と熊本では言うておりますが、これが起きたわけです。で、当時高田検事が一生懸命この問題に取り組んだようですが、それが野田検事正の逆鱗に触れて転勤を命ぜられた。高田検事は涙を流して憤慨した。こういうことがいまだに熊本では伝えられているわけです。その後その事件は堀という検事の手に担任がえをされまして、結局不起訴処分ということで、結末がついているわけです。そんなに古い事件でもありませんので、なぜこれを不起訴にしたのか。この点を一つ明らかにしてほしいと思うのです。当時告発をした楠本という弁護士は、現在は産交の顧問弁護士に逆に納まっている。そういう不起訴処分になって、ちゃんと事件が落着したときには産交の重役あるいは野田検事正、県警の本部長、これらが集まって、熊本に「おく村」という料亭があるそうですが、そこで大いに祝杯をあげた、こういうことも私たち聞いている。事実だとしたら、これはまことにけしからんことでして、不起訴処分にした理由ですね、この点を一つはっきりしてもらいたいのです。これもお調べ願えるでしょうね。
#61
○政府委員(竹内寿平君) 事情の調査をいたしてみたいと思いますが、不起訴理由をここで申し上げることができるかできないかは、もう少し考えさせていただいた上できめたいと思います。
#62
○亀田得治君 それからもう一つ、昭和三十四年十一月に、本件の告発人と同じ今村が、九州産業交通従業員組合、産交には労働組合が二つあるわけです。もう一つの組合のほうの幹部の使い込み事件というのを告発しているのです。この事件は、先ほど申し上げた高田検事がやはり担任をしまして、強制捜査まで踏み切るという手はずまで整えたときに、野田検事正からそれを差しとめを受けて、結局不起訴処分になった。こういうふうに組合員の諸君には伝えられておるわけです。私、あんまり問題が熊本検察庁で多いものですから、まあ、こんなのはどうかと思いましたが、しかしまあ、そういうことを聞いている以上は、一切がっさいやはり表に出して、そうしてお調べいただいて、それに対する御回答をいただくことのほうが明朗でいいと思って持ち出したわけです。これもひとつ調査をしてほしいと思います。
 じゃ、最後にもう一点にいたします。それは熊本県北警察署の問題ですが、もと産交の従業員で清田しめ子――女の方ですが――という方がいた。この人が今年の八月に産交の職員章をだれか、古いやつでしょうが、それをもらって、その職員章で不正乗車をした、バスに不正乗車をした。こういうことで会社から告発されたわけですね、こういう事件があるのです。これを九月に、今年九月に会社が告発をした。これは、それによる損害はわずか二十円と、こう聞いておるわけですが、そういう事件であっても、会社が持ってくるとさっそく取り調べにかかられる。まあ、ある意味では非常に職務に忠実だともいえるかもしれませんが、ところが、その取り調べの過程において、実際はそうでないにもかかわらず、組合の委員長の今村からお前がそれをもらったのだろう、こういう誘導をやって、そういうことを言わしめた事実がある。まことにけしからんことだと思いますね。おそらく会社の意図というものは、そのことを理由にして、どうも今村委員長というやつは会社にたてつくから、あいつを首にしてやろう、そういう意図から出ているのじゃないかと思いますが、会社がそういうことをやる気持は多少わからぬでもない、警察までがそういうことに同調したような印象を与えておる。第一、普通二十円や三十円の損害で告訴状を持っていくのがありますかね、この事件は一体どういうふうに――この組合の中では二十円の損害事件とみんなが言うておるのですが、どういうふうに扱っておられるか。われわれとしては、むしろこれはうやむやにできないと思うのです。向こうさんは、いや、これはそんなわずかの小さな事件だからということで、うやむやにするつもりかもしれませんが、そういうことをおやりになった以上は、その経過なり、そういう点を明らかにしてほしいと思います。これは全部、本件の告発事件にやはり私たちは関連しておると思います。これもついでで、たいへん恐縮ですが、お調べいただけますか。
#63
○政府委員(竹内寿平君) 調査いたしたいと思います。
#64
○亀田得治君 じゃ、たいへん時間をとりましたが、まあ初めての質問の中で相当具体的なこまかいことを、実はお聞きしたのですから、即答できない点が多々あったことは、私は当然だと思うのです。ただまあ、検察の威信とか何とか言いましても、あるいは公平、公正にやっているとか言いましても、結局は具体的なケースというものが一般大衆にとっては大事なわけでして、これだけ数々いろんな疑惑を起こさせるという本件につきましては、ぜひひとつ明らかにしてほしい。これは実際従業員の人たちの気持を聞いてみますと、自分たちの働いているところのぼろを持ち出すことに結果においてはなるわけなんです。これがうやむやにされたら、お前たちは恩知らずだと逆に今度は非難を受けかねないわけですね。だからこれははっきりしてもらわないと困るわけなんです。私たちもそういったような点、もっと、その背後にはいろんな労働組合と会社との団体交渉の関係なりいろいろあるわけでして、できれば私たちもいろいろ陳情なり要請した、そしてまた最高検に行ったって高検に行ったって、決して陳情にこられる趣旨について否定的なごあいさつを受けたことがない。ところが地元のほうがいろんなそういうことで埋まっているわけです。だから、ぜひひとつ私がいろいろ御指摘申し上げた点、お調べをいただいて、ひとつできれば大臣の御見解などもおつけ願って、適当な機会にひとつ御報告をしていただきたい。お願いいたしておきまして、質問を一応本日は終わります。
#65
○松澤兼人君 今のに関連いたしますけれども、私がお願いいたしまして、産交労働組合告発事件の調査状況について最後に捜査状況というものがございます。この中で亀田君も触れられているわけでありますが、必要な関係者のうちにすでに現地を離れているという事情が書いてあるわけなんですが、このことは先ほど亀田委員が申されましたように、会社側としては会計あるいは経理というものの中枢にいた人たちをあるいは共済会の方へ配転したり、あるいは地方のバスの事業所へ転勤させたりして、できるだけ関係のところから遠く離して、検察庁が実際調べたりするのに不便であるというようなところに配置転換をしているのでありまして、その前歴を考えてみますと、いかにも金銭出納の責任にある者が会社側から報復的な取り扱いを受け、かつまた、その結果として検察庁が取り調べの上に非常に遠いところにいるから、調べが困難であるというような印象を与える結果を招来しているわけなんです。ですから私はこれは早く調べていけば、こういうことにならなかったと思いますし、かつまた、たとえ遠方におりましても、それぞれあるいはメモを作ったり、実際の事情を担任者として詳細に知っておる人でありますから、多少の不便はありましても、検察庁のほうとして鋭意調査に当たられるということであれば、熊本といえば離れていることは離れているわけですけれども、実際に調べられないことはない、あるいは産交バスに直接おらなくても外郭の共済会におるわけですから、前の会計出納の事務からは離れているにしても、調べる気があれば調べることができるわけです。こういうことが私は調査は未了であるいうことの理由にならないと思うのですが、この点はいかがです。
#66
○政府委員(竹内寿平君) 仰せのとおり、遠隔の地に関係者がいるということ、それだけでは遅延の弁解にはならないと、私も同感でございます。問題は調べる意思があるかないかという点につきましては、調べる意思があるにきまっているのでございまして、これは法律上の検察官に課せられた義務でございます。したがって、調べる時期をいつするかという、その帳簿上の捜査の進展状況によってきまることだと思いますので、ここで遠隔の地で関係者を調べられないということが書いてございますが、これはまあ向こうからの報告をそのままここへ列記いたしましたものでございまして、これのいい悪いということはまた別に判断を要する問題だと思います。
#67
○松澤兼人君 今、局長から理由にならないということを率直にお話がありました。私もこれだけでわれわれを納得させるような理由にはならないと確かに思うわけなんです。事件が事件でありますから、やはり早く強制捜査というようなことに切りかえないと、一々書類が完全に保管されているわけではございませんし、証拠隠滅というような措置がとられるかもしれない。これはもしどんなに検事の方々が確信をもっておやりになったところで、一々伝票がそろっていなければ、これはどうにもならないわけであります。一枚でも二枚でもそれを破って捨てたということになれば、自然捜査というものが停滞するので、せっかくこれがきめ手だと思っているものがきめ手にならないことになると思うのです。強制捜査というものがこの事件の唯一のきめ手ではないと思いますけれども、だれが考えても、会社の帳簿なり、あるいは伝票なり、あるいは領収書なりというものが、この事件の黒白を決定する材料であるというように考えられるのでありますから、こういうような場合には、強制捜査というもので必要なものは早く押えておかなければならないと思うのです。この点は強制捜査というものが、こういう事件についてどの程度までのきめ手になるのか、あるいは関係者を個人的には呼んで話を聞いて、それできめ手になるかどうかというような問題、これは局長としてはどんなふうにお考えでございましょう。
#68
○政府委員(竹内寿平君) 具体的な事件によって方法手段も異なるわけでございますが、本件のような帳簿の調査を待って初めて、ある犯罪事実、横領金額等をきめていく、あるいは横領になるか、詐欺になるか、あるいは背任になるかというような問題、こういういわゆる私ども術語でよく会社事件と申しておりますが、このような会社事件の取り調べにあたりましては、場合によりましては今御指摘のような強制捜査も使うわけでございまして、本件につきましてはかなり帳簿は検察庁においては、もうすでにとっているようでございまして、そのとっている帳簿に基づいて、今調査をしているやに伺っているのでございますが、これはまあ、必ず強制捜査で押収しなければいけないという性質のものではなくて、あるいは段階的にそういう結果になるかもしれませんが、今この段階におきましては、手に入っております帳簿についてのたんねんな調査ということが続けられているように承知しているのでございます。将来、これは強制捜査に移ることも考えられますが、あるいは任意の捜査でも十分目的を果たして、押えている帳簿で目的を果たすこともあり得るわけでございます。これは具体的事件によってきまるのでございますが、会社事件におきましては、何と申しましても、人を調べる前に帳簿を洗うということが捜査の大事な手段であるわけでございます。
#69
○松澤兼人君 今、局長がおっしゃったことは、よくわかるわけなんですが、亀田委員から指摘されましたように、重要な板井メモですか、二冊のものが、前の苑田検事から、あとの伊津野検事に移った場合に、その重要なメモというものがあるのかないのかわからぬというようなことは、非常に無責任な話で、これはおそらく苑田検事に提出したのですか、あるいは要求があってそれを書いたのか、いずれにいたしましても、告発人あるいは関係者のほうから言えば、これはもうきめ手のメモである、証拠の書類であるということで、それこそもう精魂を入れて作ったものだと思うのです。きめ手になる書類がなくなってしまったということでは、これはもうこの告発事件というものが将来どういうふうになるかということは、推して知るべきではないかと思うのです。非常に告発人なり、あるいは関係者なりというものが、この事件の黒白について関心を持っている。それがメモの紛失事件というものを、もし起こしたとすれば、これはもう重大な責任の問題だと思うのです。先ほど亀田委員からもお話がありましたように、なくなっているのか、なくなっていないのかということ、これはひとつ局長としましても、十分に検討をしていただきたいと思います。やっていただけますか。
#70
○政府委員(竹内寿平君) お預りしております証拠品が、たとえそれが重要な証拠品であろうがなかろうが、紛失するというようなことは、これはきわめて重大な責任問題でございます。役所の手続としまして、必ず番号を打って、その手続も大臣訓令によって定められておるのでございまして、そういう手続を踏んで処置しているはずでございます。私は紛失などはしておるはずがないと考えておりますが、なお調査をいたしまして、お答えする機会にはお答え申し上げたいと思います。
#71
○松澤兼人君 なお、この本件の捜査が進まないということの理由としまして、第一の告発事件と第二の告発事件とが、時期はずれておりますけれども、一緒に出てきたと、告発される被告発人は同じ会社であるということで、からみ合ってきていると、こういうお説であります。この二つの問題は、内容的に言えば全然違う問題で、関連はしております――被告発人が同じであるということで関連はしておりますけれども、これはもう明らかに第一の事件と第二の事件とは告発の性質というものが違っておるわけです。ですから、これは二つが一緒であるから非常に捜査が進まないのだということは、私は言えないと思うのです。局長は、この問題について、第一の事件も第二の事件もよく御承知だと思うのです。しいて、これをからまなければならないという理由は、どういうふうにお考えですか。
#72
○政府委員(竹内寿平君) 実は私、この両事件がどういうふうに具体的な証拠等の関係でからみ合っておるのかをつまびらかにいたしておらないのでございます。しかし、ここに、簡単ではございますが、告発事実要旨を掲げてありますように、第一の(二)の事件、第二の(二)の事件は、大体業務横領だと思いますが、業務横領に関する部分でございまして、あるいは重複したものもあるのではなかろうかということは、これは私の全くの余談でございますけれども、そういう感じを持つのでございます。現地の検察当局といたしましても、この点は相互に関連しておるということを申しておりますが、だから遅延の理由とはしておらないのでありまして、両事件を合わせて合一に解決がつくように鋭意捜査を進めておると、こういうのが検察庁側の意見でございます。
#73
○松澤兼人君 最後に、お願いかたがた申し上げるわけでありますけれども、この事件は、先ほど亀田委員からお話がありましたように、一方では、組合関係者については、配置転換とか、いろいろ会社の方針として、事実を知っている人たちは、遠い所に、あるいは関係のないところに転勤させる。また、告発人である産交バスの委員長に対しましては、先ほどお話がありました、取るに足らないような問題を、しいて委員長の責任であるかのごとく追及して、肝心の告発されているほうに対しましては、われわれ考えまして、非常になまぬるいような態度で、強制捜査もやらなければ、あるいはまた他の証拠隠滅を防ぐというような方法もとられていない。一方に対しては非常に厳重であって、一方に対しては非常にゆるやかであるという、こういう態度が、われわれいろいろ書類を読んでみまして感ずるわけであります。これこそ私は、検察の威信とか、あるいはまた法の尊厳とかいうことから考えてみるならば、非常にえこひいきのことでありまして、法の前に平等であるということが、もし事実であるといたしまするならば、会社に対しましても、あるいは労働組合に対しましても、平等でなければならない。大きいものに対しては非常にゆるやかであって、小さいものに対しては非常に厳格であると、こういう考え方は、まあ法務大臣としてはお持ちにならないと思いますけれども、末端のこういう個々の事件を取り上げてみますと、いかにも何か片手落ちのような、そうして意識的に、片方に対しては非常にゆるやかであり、片方に対してはきびしい。われわれも、裏面的に考えてみれば、いろいろと、この会社の背後に、あるいは事件の背後に、政治的な動きがあるのではないかというようなふうに理解される節もあります。そういう政治的な力に屈服するようなことであっては、それこそ検察の威信というものを全うすることができないわけであります。私は、そういうことでなしに、鋭意捜査を進めていって、必要の方法は全部早急にとっていただきたいということを申し上げたいと思います。
#74
○林田正治君 私は実は、この会社の所在地である熊本は自分の選挙区でありますところの立場も考えまして、今までいろいろ論議されました事柄が、見ようによりましては、これはほんとうに検察当局に対する不信を表明されたようにも考えられまするので、またこの会社は私どもの県におきましては最も有力なる会社でもありますので、会社の信用という立場からしまして、また検察庁当局の威信という立場からしまして、私はどうかこの事件を、検察当局といたしましては、すみやかに厳正公平なる立場によって解決せられんことを、私はただ希望いたしまして――私の質問じゃございません、その点を心から希望いたします。
#75
○大森創造君 一言刑事局長にお尋ねしますが、今まで質疑をなされた経過を聞いてみますというと、単に裁判がおくれているということより以上に、いろんな問題が伏在しているように思います。さっき亀田さんのお話しによるというと、この以前の問題ですか、ある料亭へ検事正初め関係者が集まって、どうのこうのというお話も聞きましたけれども、刑事局長がその権限において調査をされる場合には、単なる事実を事実として報告を聞く、その担当検事なり検事正なりの話をそのまま聞くということでなしに、総合的な判断のもとに、これはどうも妥当でないとか、あるいは、これほどおくれているのは不適切だとかいうふうな総合的な判断のもとに、検察のあるべき姿というものをお示しになるような意味の調査でございますか。
#76
○政府委員(竹内寿平君) まず第一に、私が調査をしてみたいと思いますことは、今お述べいただきましたようなもろもろの点について、そういう事実があったか、ないかという事実の確定の問題でございます。それから第二に、調べて、こういう事実があったという場合に、その事実をどう評価するかという最後には大森委員のおっしゃった点に触れると思いますが、この両者につきまして、しかるべき筋を通して調査をさせ、私どもとしてはその正式の報告を得たいと、かように考えておるわけであります。
#77
○大森創造君 くどいようですが、その担当検事や検事正というものは自己の職務に忠実にやってきた、書類の上でもあるいは手続規定の上でも不備はなかったということで、その意味での釈明がされると思います。事実がそのとおりであったら、そのとおりでもけっこうだと思いますが、そうでない場合の判断は、刑事局長において適当になさるおつもりですか。
#78
○政府委員(竹内寿平君) 私も適当な判断を加える責任があると思いますが、それより前に監督官庁である福岡高等検察庁の検事長はどう考えるかということを、しんしゃくいたしまして、私どもの立場からおのずから判断を加えていきたい、かように考えております。
#79
○委員長(松野孝一君) ほかに御質疑ございませんか。……本件に関する本日の調査はこの程度にとどめます。次回は、十月十九日、午前十一時より理事会を、午後一時より委員会を開会いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時三十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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