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1961/10/19 第39回国会 参議院 参議院会議録情報 第039回国会 法務委員会 第5号
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1961/10/19 第39回国会 参議院

参議院会議録情報 第039回国会 法務委員会 第5号

#1
第039回国会 法務委員会 第5号
昭和三十六年十月十九日(木曜日)
   午後一時三十九分開会
  ―――――――――――――
十月十八日委員江田三郎君及び亀田得
治君辞任につき、その補欠として加瀬
完君及び大和与一君を議長において指
名した。
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     松野 孝一君
   理 事
           井川 伊平君
           増原 恵吉君
           松澤 兼人君
           大谷 瑩潤君
   委 員
           青田源太郎君
          大野木秀次郎君
           木島 義夫君
           天坊 裕彦君
           徳永 正利君
           林田 正治君
           大森 創造君
           加瀬  完君
  政府委員
   法務大臣官房司
   法法制調査部長 津田  實君
  最高裁判所長官代理者
   事務総局事務次
   長       内藤 頼博君
   事務総局総務局
   第一課長    長井  澄君
   事務総局人事局
   長       守田  直君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       西村 高兄君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○裁判官の報酬等に関する法律の一部
 を改正する法律案(内閣送付、予備
 審査)
○検察官の俸給等に関する法律の一部
 を改正する法律案(内閣送付、予備
 審査)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(松野孝一君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 この際、委員の異動について御報告いたします。
 十月十八日付江田三郎君辞任、加瀬完君選任、亀田得治君辞任、大和与一君選任、以上であります。
  ―――――――――――――
#3
○委員長(松野孝一君) 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案を一括議題といたします。
 ただいま出席中の当局側は、法務省津田司法法制調査部長、最高裁内藤事務次長、守田人事局一長、長井総務局第一課長でございます。
 御質疑のおありの方は順次御発言下さい。
#4
○加瀬完君 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由は十二分に読んだつもりでございますが、その前提として、裁判官及び検察官と説明されておりますると、裁判官と検察官が同一待遇のような錯覚に陥るわけでございますが、この表を見ますと、裁判官と検察官というのは、はるかに違っております。下は出発は同じでも、上に参りますと、ずいぶんな差がございます。これは最高裁側あるいは検察関係の側ではどのように考えておられるのですか。こういう階差のありますことは、当然だというお考えでございますか。
#5
○政府委員(津田實君) 裁判官の報酬、検察官の俸給につきましては、ただいま御指摘のように、それぞれの法律があるわけでございますが、その法律におきまして、それぞれこの別表が設けられておりまして、その別表によりまして、それぞれ裁判官につきましては、最高裁長官、あるいは法務省におきましては、法務大臣がその具体的の人に当てはめて号俸を定めていくわけでございます。そこで、この別表をごらんいただきますと、これはお手元にお配りしてございまする参考資料にありますが、その別表によりますると、裁判官におきましては、最も低い号俸が、これは一般的なこの司法修習生を終わった人につきましては、判事補第十号というのが一番低くなっておりまして、それに対しまして、一般の判事におきましては、判事の特号と申すものが一番上になっておるわけでございます。表にございますところによりますれば、表の一号として十万五千五百円というのが最高になっており、さらに判事につきましては、特号といたしまして十万八千二百円というのがあるわけでございます。それが現在の号俸になっておりまして、その上に認証官といたしまして、高等裁判所長官及び最高裁判事、最高裁判所長官というふうになっておりまして、最高は最高裁判所長官の二十五万円の報酬月額が一番上位にあるということになっております。一方、検察官の俸給等に関する法律におきましては、同じく別表にその号俸が定められております。検察官につきましては、司法修習生が終わりますと検事に任命されるわけでありまして、判事の場合と違いまして、判事補というのと判事という二種類の裁判官の種類があるわけじゃなくて、検事は検事といたしまして一応一本になっておりまするから、検事は最下級十九号から一号まであるわけです。十九号は、判事補の十号と同じく、いずれも二万五百円であり、検事の一号は判事の一号と同じく十万五千五百円であります。ただし、検事につきましては特号というものが設けられておりませんので、その点において裁判官の俸給の優位が定められておるわけであります。さらに検事のほうの検事長以上の認証官につきましては、それぞれ検事長あるいは東京高等検察庁の検事長につきまして、高等裁判所長官あるいは東京高等裁判所長官と、それぞれ一万円の差が定められておるわけであります。なお、検察官につきましては、次長検事というのがございまして、これは一般の検事長と同格になっております。さらに検事総長は最高裁判所判事と同じでありまして、十八万円の月額の俸給を受けることになっております。そういうわけでございまして、検事総長と最高裁判所判事と同格にきめられております。検察側におきましては、最高裁判所長官に当たるものはないわけでありますので、この報酬額に当たる報酬額を受ける検察官はないということになっております。したがいまして、大体におきまして、裁判官とは、俸給表の面におきましては大差が検察官とないわけでありまして、若干の点において裁判官が優位の原則が認められておる、こういうことになっておるわけであります。
#6
○加瀬完君 何かそれで合理的だとお考えになっておられるわけですね。
#7
○政府委員(津田實君) 現在のように、司法修習生を同じく終わりましてそれぞれ裁判官に、あるいは検察官に、その志望によって任命されるわけであります。それらの者についての俸給につきましては、裁判官としての地位を保つという意味におきまして、当事者である検察官との間に若干差を設けられているが、本来の任命資格においては差がないのでありますので、現在におきましては、現在の裁判官の任命資格におきましては、この程度の差と申しますか、ほとんど同格であるということが一番適当であるということになると思うのであります。
#8
○加瀬完君 これは戦前といいますか、終戦前といいますか、新しい今論議しようとしておる俸給表のきまらないときの状態というのは、両者を比較いたしまして、やはり今のような差があったんでございますか。
#9
○政府委員(津田實君) 終戦前、すなわち昭和六年ごろ以降終戦ごろまでの問の状態について申し上げますると、その当時におきましては、それぞれ一般の高等官の俸給表が定められていまして、その一般の高等官の俸給表の一番上位の俸給表を判事、検事ともに受けることになっておったわけであります。そこで、当時は親任官といたしましては、大審院院長と検事総長があったわけであります。いずれも同格になっておりましたし、その他勅任官、奏任官につきましても、判事と検事とは全く同じ俸給表を受けておる。これは一般の行政官の上級者とも同じ俸給表を刻んでいたわけであります。ただ、具体的に人によりまして、何号俸――当時は何級と申しましたが、何級を受けるかということは、それぞれの人の資格とか、そういうものによって違ってきておるわけでございまして、俸給表そのものは全然差がありませんでした。
#10
○加瀬完君 新憲法になりましてから、裁判所と検察庁というものを形式の上では同等のものという見方をいたしまして、裁判所の中に検事が同居するといったような形を一切取り除いたわけですね。ですから、形式的にはむしろ戦前よりも対等になったということに考えて差しつかえないと思うのです。しかし、俸給になりますと、親任官、勅任官、それぞれ現在の検察関係側、裁判所関係側の別はあっても、これは待遇は同じである。それが検事長あるいは裁判所長クラスになりますと、俸給がかわってくる。これは形式で同等にして内容で裁判官優位という形をとらしておることで、ちょっと形式と俸給の比重というものとに矛盾を――私どもはしろうとでございますので、感ずるのでありますが、いかがですか、この点は。
#11
○政府委員(津田實君) ただいま申し上げましたように、終戦前は全く裁判官も検察官も同じ俸給表によっておった。ところが、新憲法に移りまして、裁判所と検察庁が全然分かれまして今日に至っておるわけでございますが、その際に、新しい制度のもとにおきましては、裁判官の報酬と、いわゆる憲法において裁判官の報酬といわれておる裁判官の報酬と検察官の俸給とを、法律を分けて制度といたしたわけであります。そこで、その俸給表の内容自体につきましては、先ほど来申し上げましたように、若干の変遷はございましたけれども、先ほど来申し上げましたように、初任者につきましては、俸給表はまあ同じ、検事は十九号俸といい、判事補は十号俸といっておりましたけれども、俸給の刻み方は全部同じになっております。検事一号におきますまでは同じである。判事一号と検事一号はそれの刻み方は同じであります。ただし、判事につきましては、特号を設け、さらに認証官の段階におきまして、それは俸給月額一万円ずつの差が生じておるということになっているわけでございますが、その点におきまして、裁判官の待遇の優位ということを認めておるわけであります。で、まあ、考え方によりますれば、なるほど任用資格が同じであり、同じく司法に関する事務に携わっておりながら、俸給ないし報酬の額が相違しておるということはいかがなものであろうかという考え方もむろんあり得るわけでありますけれども、その職責におきまするところの地位等も考え合わせまして、このような待遇のある程度の差ということは設けるのが相当であるし、また、今日に至っても、その設けたことについてとかくの議論は今のところないわけでございます。しかしながら、裁判官の任用制度そのものにつきましては、いろいろ議論がありまして、英米におけるような、法曹の中の最優秀な、最も信頼し得る人物をもって裁判官に当てるというようなことになりますれば、また、この待遇はおのずから変わってこなければならぬというふうに考えておるのですが、現在のところでは若干の相違があってもしかるべきだと思いますし、裁判官の地位そのものから見れば、もっと相違があったほうがいいという考え方も立ち得るのですけれども、しかしながら、任用資格の点を考えますると、現在程度の待遇の相違がまあ相当であるというふうに考えられるわけであります。
#12
○加瀬完君 最高裁のほうの御見解、いかがですか。
#13
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) 裁判官の報酬と検察官の俸給の違いでございますけれども、ただいま政府委員のほうから御説明申し上げましたように、裁判官の職責と検察官の職責、地位とは異なるわけでございます。したがいまして、裁判官の職務と責任に応じたところの報酬制度ということが裁判官に要求されるわけでございまして、そういう意味におきまして、一般公務員ないし検察官と裁判官の間には相当の差があるべきだということになるわけでありまして、現在の制度はどうかということになりますと、裁判所側といたしまして、現在の報酬体系がこのままでよい、必ずしも満足すべきものだとは申せないのであります。これにつきましては、私どものほうにおきましても、いろいろ研究をしておりまして、あるべき報酬体系がどうなきゃならぬかというようなことも研究しているわけでございます。
#14
○加瀬完君 職責は違いますね。職責は違いますからといって、俸給が違わなければならないというのは、今の人事院のいろいろな諸規定の原則からいえばおかしいと思う。同一の学歴で同一の経験年数であれば、当然これは同一の俸給といいますか、報酬といいますか、こういう建前を人事院規則の全部にわたって私はとっていると思うのであります。ですから、確かに裁判所の仕事と検察庁の仕事は違いますよ。しかし、検察庁は裁判所の下位に立つものじゃないわけなんです。下位に立たせてはなりませんから、裁判所の中に検事が同居することを、新しい憲法になりましてからは防いでおる、形式的にも。ですから、もし、あなたのおっしゃるように、最高裁の次長さんのおっしゃるように考えますならば、それは検事の十九号俸から、あるいは判事補の十号俸から違っていなきゃならないわけです。判事の一号俸と検事の一号俸ですか、までは同じなんです。それから上を違わせておるわけでいますが、検事の側から、この判事の俸給と検事の俸給に、上位に参りますと、こういう階差があることはまずいという運動――と言っては大げさかしれませんが、意思表示をなされておるのじゃありませんか。検察庁関係の方々は、この階差のあるのは当然だということで、今、政府委員の御答弁のようにお認めになっておられるのですか。
#15
○政府委員(津田實君) かつてこの裁判官の報酬並びに検察官の俸給の制度ができました際におきましては、いろいろ論議がございまして、本来言えば、同じ資格で出発してきたものであり、職務と責任においてもほとんど同じと見られるべき性質のものが、給与、ことに俸給表に差があるということは不合理ではないかという論はかなりありました。しかしながら、一面考えまするところの、裁判官が当事者の訴訟についてその審理を行ない、これを裁判するという裁判官の地位の重要性ということも考えなければならぬわけでありまして、その職務の複雑困難というようなことの問題を離れても、若干の地位の相違ということは当然出てくるのが至当ではないかというようなことになったわけであります。
 そこで、本質的に裁判官の地位がかくあるべきであり、それに対する俸給がかくなければならないということは、もちろんあり得るわけでありまするけれども、これは現在の裁判官の任用は、人の実質を離れては抽象的な議論に終わってしまう。そこで、御承知のように、英米におきましては、裁判官に対する俸給は、これは非常に高いわけであります。これに反しまして、独仏におきましては、ほとんど一般の行政官と差異がないような裁判官の待遇をしておるわけです。で、現にわが国においても、戦争前はほとんど同等の待遇をしておったわけですから、その考え方によって、それは両者の考え方は立ち得ると思うのでありますが、この新憲法におきましては、少なくとも英米の制度を――司法の優位を考えたという意味におきまして、やはり裁判官の地位、待遇をよくしなければならぬという方向は当然出てくるわけであります。そこで、現在におきましては、裁判官と検察官の任用資格においてほとんど相違がないということと、一種の妥協があると思うのです。そういう現実との妥協のもとに、現在の俸給表ができると思うのでありまして、ほんとうの英米における理想的な裁判官の姿であれば、当然裁判官の報酬は高くあるべきであって、当事者としての検察官の俸給は、当然裁判官より低くあるべきだということになるわけであります。しかしながら、現在はその理想のような状態に到達していないわけでありますので、いわば一つの妥協があると思われるのであります。
 そこで、職務と責任の程度をいかに考えるかという問題でありますが、一般職の給与法によりますれば、御承知のように、給与のきめ方のいろいろの要素が出ておるわけであります。その要素の中に、どの要素のどの部分に重点を与えるか、どの部分にいかなる点数を与えるかということによって、その職務に対する給与が変わってくると思うのでありまするが、現在の裁判官は、本来裁判官の仕事に対しては相当な給与待遇を与えるべきだということになるのでありますけれども、現在の裁判官の実質との一種の妥協によって、現在の俸給表ができておると私どもは考えております。その意味におきまして、検察官においても、現在におきましては裁判官との給与表の当然の差異について、それほどの非難あるいは問題とされておるというようなことはありません。
#16
○加瀬完君 これは最高裁側と法務省側と両者に伺いますが、司法研修生というのですか、司法試補と申すのですか、研修を終わった者の判事志望者は、採用予定人員の何倍ぐらいにここ数年間なっていますか。あるいは検事の志望者は、同じように何倍ぐらいになっておりますか。
#17
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 修習生を終わった者から判事補になる者は、年によりまして必ずしも同一ではございませんが、多いときには、昭和二十五年ぐらいのときには百六名、それから少ないときには四十五名ぐらい、これは昭和二十九年でございます。しかし、昭和二十四年から三十六年までおしなべまして合計しますと九百三十名で、大体七十一人ぐらい毎年とっておるという状況でございます。全部の修習生終了者三千二百三十五名でございますが、それと比較しますと、大体二八%程度とっておるわけであります。これでそのときの判事補の欠員全部が埋まるかといえば、それは必ずしも一ぱいになっているわけではございませんが、ほぼそれに近い程度にはなっておるのでございます。
#18
○政府委員(津田實君) 司法修習生、修習を終わりました者からの検察官に対する任官の状況でございますが、これは本年は四十八人、昭和三十五年が四十四人、三十四年が五十一人、三十三年が四十五人、大体そういう状況でございまして、四十人ないし五十人という程度の任官になっております。これがまあ全体から比較いたしますと、大体本年は七分の一ぐらいになりましょうか。昨年あたりが大体六分の一程度で、修習生終了者の六分の一程度の者が検事に任官する、こういう状況になっております。
#19
○加瀬完君 修習生と申しますか、そのうちに弁護士になるのが何名で、判事になるのが何名で、検事になるのが何名ということを私は伺っているのではないのです。大体三十三年なら三十三年、三十五年なら三十五年に判事補としては何名を採用しようとするか、予定というのがあるわけですね、予算上。検事としての採用人員の予定というのもあるわけですね。それに対しまして何%上回っておるのか、あるいは下回っておるのか。先ほどの最高裁側の御説明では、若干予定人員よりも低いように聞き取れたのですけれども、それならば検事の採用予定人員に対しまして、採った者は一体何%に当たるのか、判事補も何%に当たるのか、こういう点を聞きたいのです。といいますのは、これは検事と判事というものの待遇の問題にも関係しますし、あるいは一般の弁護士になったほうが待遇がよいか、あるいは判、検事になったほうがいいかという問題にも関係いたしますので、そういう点から伺いたいのでありますが、三十三、三十四、三十五で私の今伺っておるパーセントはどういう数字になっておりますか。
#20
○政府委員(津田實君) 検事について申し上げますと、三十三年の三月三十一日、つまり年度末の欠員が五十八人であります。それに対しまして採用者数は四十五人、それから三十四年の年度末の欠員は五十一人でありますが、それに対しまして採用数は五十一人、それから三十五年の年度末の欠員は七十一人でありますが、それに対しまして採用しましたのが四十四人、こういうことになっておりまして、年によりまして非常にそのパーセンテージがよく、ほとんど全員を採用したこともあり、パーセンテージが低いこともありますが、これは主として修習生から検事を志望する者の数と、あるいはその質に、あるいは身体の状況と申しますか、健康状態、そういうものによっていろいろ変わってくるわけでございますが、志望者数といたしましては、非常に少ないのでありまして、とうていこの欠員数をオーバーするような志望者は得られない状況でありますので、志望者数の九〇%以上を採用しているような格好になっております。
#21
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 毎年のパーセンテージは、ちょっとわかりませんが、昭和三十六年度分だけで御了承願いたいと思いますが、昭和三十六年度は九十名採用が可能でありましたのが、八十一名採用という状況になっております。
#22
○加瀬完君 九十名に対して三十六年は判事は七十一名、三十五年は七十一名の検事の採用予定といいますか、欠員がありますから当然採用予定人員ということに予想されるわけでありますが、その七十一人に対して四十四人、検事の志望率のほうが低いのですね。これは修習生でありますから、試験の成績などもわかっておるわけでございますが、この検事に採用したといいすすか、志望した方々、それから判事を志望する方々は、概括的に成績の順位はどういうことになりますか。これは個々にいろいろ関係もありますから、明細でなくてもけっこうです。大体上位の者が判事に多いか、あるいは一般の弁護士志望が多いか、こういう点を伺いたい。
#23
○最高裁判所長官代理者(守田直君) ちょっと速記をとめて下さい。
#24
○委員長(松野孝一君) 速記をちょっととめて下さい。
  〔速記中止〕
#25
○委員長(松野孝一君) 速記を起こして。
#26
○加瀬完君 伺いますと成績のいい者も判、検事の志望者がありますけれども、逆に非常にいいと思われる者でも民間に行ってしまうということは、最高裁の側も検察側もお認めになっておる。これを戦前といいますか、昔に比べてみると、司法試験に通った者が判事や検事になろうとする志望意欲と、弁護士見習いか弁護士になろうとする希望と、前者のほうが非常に強かったと思う。それは給与には全然関係がありませんかどうかという点を伺いたい。もう一度申しますと、給与が、戦前に比べて判検事の給与というものよりも弁護士事務所で働いたほうがはるかにいい、あるいは将来性もある、こういうことで給与の問題が解決するなら……判検事になりたいという者が弁護士のほうに行くというようなことは、具体的に申しますと、傾向として心配されませんか、こういう点です。
#27
○政府委員(津田實君) ただいま御指摘のような心配は十分あるわけであります。ただし、もちろん給与の面において、裁判官、検察官の待遇が悪いということによって、裁判官あるいは検察官になるごとの意欲を生じないという方は相当あり得ると思います。しかし、必ずしもそればかりではなくて、裁判官あるいは検察官の仕事というものに魅力を感じないという人も相当あると思う。また、裁判官、検察官としては、それぞれ適当な任地におもむかなければならないわけで、自分の希望する場所に定住することが全くできないといういろいろな事情、こういう事情が入り組みまして、裁判官や検察官になる者の志望が少ないということは考えられる。その一面、金銭的な問題すなわち所得の問題から考えますと、やはり御指摘のように弁護士と裁判官、検察官におきましては、最初は別といたしまして、相当年数がたてば、非常に所得に開きを生ずるということは、全く事実でございまして、その面が今日の障害には当然なっているわけでありますが、必ずしもそればかりでなくして、今申しましたように、職務の内容に対して魅力が少ない、あるいは自分の任地を思うようにすることができない、つまり自分の定住する場所を思うようにすることができないというようなことが原因の多くになっていると思います。ことに子弟の教育等には相当困るような面が出てくるわけであります。そういう意味において弁護士のほうを望むことも相当考えなければならぬ問題であると考えております。
#28
○加瀬完君 七十一名の採用予定に対して、四十四名というのは、あまりにも少ないじゃありませんか。こんなに少ないのは、何に理由があるとお考えになっていらっしゃいますか。
#29
○政府委員(津田實君) その点は、ただいま申し上げましたお答えになるわけでありますが、結局やはり将来における所得に開きを生ずるということと、今の職務の内容が、どういたしましても在野法曹としては非常に自由な立場で行動できるわけであります。裁判官あるいは検察官としては、相当のワクをかぶせた中において行動しなければならないということ、今の任地、居住場所の問題、こういうような問題を総合して、考え合わせて、やはり検察官になるよりは在野法曹として活躍するほうが自分に合うというような結論になる人が多いということになると思うのであります。その点は、戦前の場合と非常に違っており、やはり法曹を志望する青年層といいますか、そういう人々の考え方も相当変わっておるということはいなめない事実だと思うのでございます。
#30
○加瀬完君 歯にきぬを着せず率直に申し上げますと、検察側に対する信頼の念というのは、裁判所側に対する信頼の念と比べまして、若干私は落ちてきているのではないかという印象を受けるのです。まあ暴言はお許しをいただくとしまして、八海事件なり松川事件なり、いろいろの大きな事件が最終の判決になりますと、まるでひっくり返ってしまう、こういうことでは一体検察側はどういう調査をしたのだろうか、あるいは結論を導くまでどういう一体手続なり方法なりをとったのだろうかという疑問を、これは持たせられてくる傾向があると思うのであります。しかも、七十一名に対して四十四名というような率の下がった志望者しか得られないということになりますと、この検事と判事の格差というのは開いてくると予想しないわけには参りません。三十五年と三十六年を比べ合わせることは当を得ないかもしれませんが、九十名に対しまして八十一名、同じ司法関係でも判事の志望者は多いんですよ。検事の志望者は少ないんですよ。あなたは、裁判所側と検察庁側では、検事長あるいは裁判所長官ですかのクラスの俸給が一万円ないし幾ら幾らという開きは、これは当然だとお認めになっておりますけれども、かつては親任官であり勅任官であり、同等待遇で、同じ司法を選ぶならこれは判事のほうがいいという結論にも、一人一人の優秀な志望者は考えないかもしらぬけれども、意識の上には上らなくても、意識の下、潜在意識では、一般としてはそういう傾向にならざるを得ない、そういうことまで私には感じられる。志望者の少ないというのは、やがては、これは検事の資質が判事の資質に比べて劣ってくるという原因にもなるわけです。検察庁側は十分に考慮をしていただかなければならない問題だと思う。私は、今の判事と検事と比べて、検事が判事に見劣りがしているということを言ってるんじゃないですよ、誤解がないように念を押します。こういう片一方の志望者が多くて、一方の志望者が少ない。弁護士の志望者はさらに多いというアンバランスを黙認しておりましては、検察側の資質の低下というものを来たすおそれが十二分にあるんじゃないか。そこで、志望者の少ない原因というものに対して、もう少し、給与の面というワクを私はかぶせて申します。給与の面から一体考えなくてよいのか、こう思うのです。そういう意味から、先ほどからトップクラスになって俸給の違うというのは、やっぱり一つのハンディキャップになるんじゃないかというように考えましたので伺っておるのですけれども、この点はどうでしょう。
#31
○政府委員(津田實君) あるいは俸給表に差があるということが、判事の志望と検事の志望との数の差に現れてきておるという一面があるとも全然言えないとは考えられませんわけでありまして、いずれにいたしましても、認証官程度になるのには三十年なりの日時を要するわけでありまして、そういう最高といいますか、最高に近い地位の場合にどうなるかというよりも、やはり当面二十年なり三十年の間の職責が自分に合うかどうかということを考えるのが普通だろうと思うのであります。そういたしますると、やはり検察官については、検察官を志望するだけの理由がその人にはあると思います。あるいは裁判官を志望する人は裁判官を志望するだけの理由がその人にあると思われる。しかし、そういう理由がありながら、自分としては裁判官なり検察官を志望したいけれども、待遇の面を考えれば、やはり弁護士になりたいという人もいるだろう。でありますから、その待遇の面の改善をするということは、やはり優秀者を裁判官なり検察官なりに迎えるということの要件になることは、間違いないことだろうと思うわけでありますけれども、しかしながら、この待遇の面につきましては、つまり一般行政官に対して司法官の優位というものをどの程度に考えるかということ、いわばその程度を一般の国民の方々がどの程度感じておるかということに帰着するのじゃないかと思うのでありまして、私ども当局といたしましては、十分裁判官や検察官の待遇の改善には努力を払い、常にそういうことを念頭に置いていろいろ行動いたしておるわけでありますけれども、やはりなかなか大方の認識を得られないという面がいろいろ出てくるわけです。そういう意味におきましての壁はあちこちにありますけれども、私どもとしては、できるだけのことを努力いたしておると言い得ると考えております。したがいまして、裁判官、検察官の俸給が逐次改善されるということは、優秀者を迎えるということにつながることであることは事実でありますので、当面といたしましては、そのことに努力を払う以外にはないというふうに考えております。
#32
○加瀬完君 とにかく、司法官というものは、憲法で一番大事にされております基本的人権に一番つながる問題になるわけでありますから、これはトップ・レベルの資質を持った方たちがそれになってくれなければ、国民にとっても非常な不幸になると思うのです。そこで伺うのですが、一般行政官と司法官の、司法官優位の給与表というものが、若干ではありますが、今作られております。これは認めます。そこで、昭和十一年ごろを押えますと、高文をとりまして内務省なら内務省に就職をした者と、司法官試験をとりまして、判検事に任用されまして満二年経過して三年目の人と俸給にはどれくらいの違いがありましたか。
#33
○最高裁判所長官代理者(守田直君) ただいまその点を資料に基づいて御説明できないのですけれども、私の感覚では、当時皆同じだったと思います。内務省に採用されまして二年を経た者と、それから司法官試験に合格いたしまして判事または検事に採用されまして、大学を卒業後二年くらいたったところですね、これは同じだったというふうに考えております。
#34
○加瀬完君 私の言います点が明瞭でなかったかも存じませんが、現在の司法官は司法修習生を二年おやりになるわけでございましょう。それを修了してから任官をするという形をとるでしょう。かつては司法官試験に通っておれば、修習生という制度はなかったから、任官ができたのでしょう、そうじゃないですか。
#35
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 当時は、一年半司法官試補としてやはり見習いをやったわけです。そうして初めて検事なり判事に任命されるという関係でございました。
#36
○加瀬完君 それでは、かりに例をとれば、大学卒業で司法官試験をとって、司法官試補になりまして一年半経過して判検事に採用せられた者と、高等官の試験をとりまして、高文をとりまして、それで一年半たちました人の俸給は同じであったのですか、戦前は。
#37
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 私の記憶では同じだったと思います。
#38
○加瀬完君 そうすると、戦前にはどこのところから司法官優位という俸給表は打ち出されたのでしょう、どのクラスから。
#39
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 終戦前は、司法優位の原則というようなことは言われたことはないのでありまして、全く同一の俸給表で、同じように実施されたということでございます。
#40
○加瀬完君 しかしですね、具体的な例をとると、内務省の役人と、あるいは各地方の知事と、学校の教授と、裁判官や検察官の検事なり判事なりの俸給表というのは違ったでしょう。みんな同じですか。
#41
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 私の記憶するところでは、高等官官等俸給令というのがございまして、みんなこれが適用されておったものと考えます。
#42
○加瀬完君 その等級のどこに該当させるかというのは、裁判所と、大学教授と知事と各部長というものでは違っておったんじゃないですか。みんな同じですか。
#43
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) 戦争前のことになりますので、私のほうが若干知っているかと思いますが、全く同じ俸給令であったわけです。たとえば、どういう経験年数の人をどうするかということは、これはそのときの、何と申しますか、予算などできまってくるわけでございますけれども、司法官、判事、検事を含めまして、大体行政官より損をしていたというのが戦争前の現状でございます。ただ、その問題につきましては、当時の司法省当局が骨を折って、だいぶよくなりました。大体においてよくなりました。たとえば、これは各県に知事がおりまして、これは御承知のように内務省の役人でございます。これは全部勅任であった。ところが、地方裁判所長は必ずしせ全部勅任でなかった。それから検事正は全部勅任じやなかった。その後所長が勅任になりまして、ようやく裁判所も知事並みになった。検事正のほうはまだ勅任にならなかった。その後になりまして、検事正が勅任になりまして、そういうふうに勅任がだんだんふえていった。そういった経過がございまして、大体行政官と比べていいほうでは同じになりましたけれども、経過におきましては、必ずしもいいほうではなかったと思います。
#44
○加瀬完君 私たちが伺っておりますところでは、戦前のほうが司法官優位という形の俸給表であったというように伺っておったのですが、そうじゃないですね。今のほうがいいということになりますね。
#45
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) 戦前の給与制度と比べますと、それはやはり今のほうがいいと申し上げ得ると思います。
#46
○加瀬完君 そうすると、これは終戦前に比べて判検事の志望者などが減っておりますのは、それは採用技術が戦前におきましては、いろいろきびしかったので、それで判検事というものに割合に質のいい者が得られた。今はその点が非常に自由なので、判検事より民間のほうに優秀だと思われる者が残ってしまうということになりますか。
#47
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) どこの分野でも同じだと思いますけれども、やはり司法の分野におきましても、何と申しますか、前のように若い法曹修習生を終わりましたような人たちが、前のように裁判官あるいは検察官の地位に魅力を感じていないと思います。そこで、新しい意味の魅力というのはどうかということになりますと、それはまだ十分に育っていないような感じがいたすのであります。前にはやはり役人になるというひとつの若い人に魅力があった。今日では必ずしもその魅力が戦前のような意味ではありませんし、むしろ、何と申しますか、弁護士として自分一人で社会に一本立ちで活動するということのほうに、若い人の何といいますか、生きがいと申しますか、を感じることは、ある意味ではやむを得ないのじゃないかと思います。
#48
○加瀬完君 そういうことであるならば、何も問題にすることはないと思うのですよ。先ほどの御説明の中では、その判検事の志望者の少ないということは、給与にも関係があるというふうなお考えのようにも受け取れましたけれども、私たちは今俸給表の改定を審議しているわけですけれども、私見をまじえましては恐縮ですが、もっとこれは一般行政職というものと大差をつけて優位に立たせなければ、ほんとうに優秀な人材というのは、司法官としては集めることができないのじゃないかと思っているのです。ですから、戦前集まって戦後集まらないというのは、戦前の給与と戦後の給与でバランスを失しているのではないかという推測をしたわけですが、そうではないわけですね。
#49
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) ただいまの給与の面からのことを申し上げますと、やはり給与の面において重要な問題があることは、先ほどこちらから申し上げたとおりであります。戦前におきましては、普通官吏になるという意味におきまして、行政官と司法官と同じであるというふうに考えられてきたわけで、給与もそのとおりであったわけでございますけれども、今日の制度のもとにおきましては、裁判官の給源を一体どこに求めるかということになりますと、やはり法曹に求めざるを得ないことになるわけです。同じ修習生を終わった人たちの中から、弁護士の経験を終わった人たちの中から採らざるを得ないわけであります。そういう意味におおきまして、給与の体系が、従来のような考え方では当らないことになるのではないかどいうことになるわけであります。ことに、憲法が裁判官に相当な報酬ということを保障しておりますのは、やはりそれだけの人を得るということ、それからそれによって司法権の独立が十分に保たれるということが、憲法の考え方になっていると思います。そういう意味におきまして、今日の制度は必ずしも満足すべきものではなく、どうあるべきかということは今後の研究に待つべきであるということを申し上げたわけであります。
#50
○加瀬完君 それでは、実質給与は、現在一般行政職と比較してどうなっているのでしょう。名目給与は、この俸給表でも見られるようによくわかる。その実質給与というのは、たとえば、いろいろ手当がありますね。それから出張旅貿というようなものがありますね。出張旅貿が非常に多い官庁もあれば少ない官庁もあります。そういった実質的な給与というものが、司法官と一般行政職とどういうバランスになっているか、こういう御調査がございますか。
#51
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 裁判官の俸給につきましては、下級裁判所、高等裁判所、地方裁判所、簡易裁判所の裁判官につきましては俸給額と、それからそのほかに一般の政府職員に支給される諸手当が支給されております。ただ超過勤務手当が支給されていない。それからもう一つは、管理職手当というのが一般の政府職員の上層部には適用されております。裁判官にもある程度は適用されておりますが、その質及び支給範囲がきわめて少ない。そういった関係で、裁判官の報酬は、若いところは行政官よりは有利になっておりますけれども、判事補の勤続期間を含めまして、大体二十五、六年以上になりますというと、管理職手当の関係上、裁判官の報酬のほうが下がってくるという関係になります。私どもといたしましては、その点で、来年度予算にも管理職手当の質を上げ、支給範囲をふやすということについて、増給要求をいたしておる次第でございます。なお、旅貿の点でございますが、これは行政官庁の種類にもよると思いますけれども、地方に出ていろいろな指導とか調整とかいったようなことで出張することの多い官庁もありましょう。一がいには言い切れないと思いますけれども、裁判所は、まあ出張すると言いましても、大体検証程度のものでございまして、事件によってごく限られたものでございますので出張の機会は、一般の政府職員よりやはり少ないということは言い得ると思いますが、ただいま仰せになりましたそういう調査というようなことは、全然資料を持ち合わせておりません。
#52
○加瀬完君 二十五年以上になると一般行政職より下回るということでは、ただ俸給表のクラスをどう変えたところで解決できる問題じゃないと思う。どう変えたところでと言うのは、今度提案されているような変え方では、どうにも解決のできない問題が残ると思うんです。それについては、やはり二十五年、三十年と、こういう勤続者の実質収入というものを一般行政職はこれだけ――一般行政職といってもいろいろございますけれども、大体比較できそうなものをとって、これだけ、司法官はこれだけというものをお出しいただかないと、私どもは審議をする場合にどうも……。低いだろうという想像はつきますけれども、やはりもう少しこれは俸給表というものは、いろいろ他の給与条件というものをつけ加わえなければだめじゃないかという結論を出すには、少し資料に事欠くわけです。そこであらためて伺いますが、超勤の問題と、それから管理職手当の問題ですが、管理職手当の出ておりますのは、裁判所並びに検察庁ではどういう方々か、それから大体出ておらないと言うけれども、出ておらないワクの中に入るポストはどういうものになるのか。で、検察庁にしても、裁判所にしても、実際の超過勤務というのは相当多いんじゃないかと思われるんです。管理職手当が出なくて超勤手当も出ないということなのかどうなのか。こういう点もひとつ御説明に加わえて下さい。
#53
○政府委員(津田實君) 現在管理職手当といわれるものに当たる特別調整額の支給を受けている者は、検事におきまして二百五十人あるわけでございます。そのうち一八%の者が七十三人、一二%の者が百七十七人ということになっております。これは主として、まあ検察庁の長あるいはそれに類するポストにある者でありまして、詳しく申し上げますれば、高等検察庁の次席検事、地方検察庁検事正、最高検察庁検事、高等検察庁支部長、地方検察庁次席検事、支部長、部長と、まあ大体そういう者について、それ以外の者につきましては、特別調整額はついておりません。それで、裁判官及び検察官の俸給には、超過勤務手当に属するものは含まれておるという前提で最初からきめられておりますので、超過勤務手当は、裁判官、検察官については支給されないという制度になっておるわけです。したがいまして、この特別調整額を超勤の変形と見ることはできないんでありまして、これはむしろ管理職手当の変形というふうに言い得ると思うんです。したがって、一般の行政職の下級の者に主としてつけられておるところの超過勤務手当に当たるものは、裁判官、検察官にはないという制度になっております。
#54
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 裁判官には御承知のように判事と、それから判事補と、それから簡易裁判所判事とございます。ただいま二十五、六年以上の者は低くなっておると申しましたのは、これは判事でございます。その判事に管理職手当が、何%どういう者についておるかということを申し上げますと、まず、一八%の調整は、地方裁判所、家庭裁判所長、高等裁判所の長官を代行しておる判事、高等裁判所の総括裁判官、いわゆる裁判長、こういう人たち、合計八十七名でございます。それから一二%ついておりますのは、その他の高等裁判所の裁判長、それから高等裁判所に、たとえば岡山とか、金沢とか、函館とかいう高裁の支部がございます。その支部長、それから地方裁判所、家庭裁判所の所長の代行をしておる判事、それから地方裁判所、家庭裁判所の裁判長クラス、それから地方裁判所にはそれぞれ支部がございます。乙号支部、甲号支部がございます。甲号支部が大きいわけでございますが、甲号支部の支部長、これだけで合計が四百二十二名、計五百九名ついておるわけでございます。一般の政府職員では、たとえば本省の課長クラス以上になりますと二五%ついておるというところで、ここに差があるわけでございまして、これがどのように違っておるかと申しますと、まず勤続二十六年をとります。これは裁判官として、判事補からではありませんが、裁判官として大学を卒業して最も順調に来た人たち、それから比較される行政官のほうは、これも大学を卒業して最も順調に行政の道をたどった人、こうした人を、しかも、行政官としてはいわゆる昔の行政官試験に通りまして各本省に採用された人ですが、それと比較してみますと、二十六年ごろになりますと、行政官では管理職手当を加えまして月額十一万六千三百七十五円になります。裁判官のほうは一二%の調整しかございませんので、十一万一千二百十六円ということで、四・四%ほど少なくなっております。それから二十九年を標準にとってみますと、行政官が十二万四千百二十五円、裁判官は十一万四千九百十二円、七・四%下になっております。次に三十二年を標準にいたしますと、行政官は十二万八千円、裁判官はこの辺から大体一八%の調整がつきますので、十二万四千四百九十円になるわけでございます。大体二・七%低くなっておる。そういったようなふうに二十五、六年ごろからやはり下がってくるという状況になっております。その以前はみな優位になっております。
#55
○加瀬完君 ただいまたいへん有益な資料をいただきましてありがとうございました。そこで、これは検察庁側にも最高裁側にも伺いたいのでありますが、管理職手当というのは、最初はなかったわけですね。超勤がありまして、結局管理職にある方たちは、超勤のかわりに管理職手当というもので、超勤をやめて一括して管理職手当で超勤のかわりを支給すると、人事院の説明もそうでありましたし、立法の趣旨もそうであったわけです。ですから、建前からすれば、管理職手当をもらっておらなければ、超過勤務をした場合は、当然超過勤務手当というものは支給さるべき筋合いになるのですね。ところが、検察庁なんかには不時の超過勤務というのは相当あるわけでしょう。しかし、それはみんな本俸に繰り入れられた形で、超過勤務手当が一つも出ない。超過勤務手当の肩がわりの管理職手当も出ないという階層がありとすれば、これは当然何らかの形で、かりに超過勤務というものがまずいというならば、本俸そのものを超過勤務を含めたような額で、現在よりもいい条件でこれは緩和されなければ、筋は通らないわけになりますね。こういう点、何かいろいろと方策をお尽くしなされたわけでございましょうか。
#56
○政府委員(津田實君) ただいまの御指摘の点でございますが、これは、当初裁判官の報酬、検察官の俸給がきめられますときに、大体超過勤務手当に当たるものは一五%は含まれておる。本俸の定め方が、こういう考え方で出発してきておるわけです。それが今日まで続いておりますが、はたして今日の本俸に、幾ら分超過勤務手当が含まれておるかということは、必ずしもはっきりしませんわけです。したがいまして、超過勤務手当の変形であるところの管理職手当というのは、本来のその形では、本俸の中に含まれているとも言い得るわけです。しかしながら、それでは、先ほど来裁判所側から申し上げましたとおりの、上級者に対する給与のアンバランスができてくるわけです。そこで特別調整額を認められた、こういうことになると思います。本来言えば、一般行政職におきましても、管理職手当というものの意味が、管理職にある者に与えられるとのみは限らないような今日は運用になっておるのです。その意味におきまして、絶対的に管理職に与える手当であるということにはならないと思いますが、まあこういう特別調整額という形にいたしても、とにかく裁判官、検察官には、特別調整額の範囲を広めまして、一般行政職に対する関係において実質的な給与の低下を防ぐ必要があるということが考えられるわけです。そこで、特別調整額の範囲の拡大については、いろいろ努力をいたしておるわけでございますが、今日は、先ほど申し上げました限度にしか認められていない、こういう状況になっております。
#57
○加瀬完君 先ほどの御説明の中で、判検事の志望者の少ない一つの理由に、僻地に回されることがある、それよりは都会地に残った方がいいというので、弁護士になる、こういうお話があったわけです。そこで、僻地に回されても、せめてその俸給だけは不利にならないという条件がどこかで打ち出されなければ、なおさらこの困難な条件というのは解決されないわけですね。一般行政職のうちでも、旧行政官試験みたいなものに合格した方たちは大体中央官庁に残る。あるいは地方都市の中心地におる。こうなりますと、これは一般の俸給に地域手当が加わるわけですね。それに超勤手当なり管理職手当なりも加わりますね。その他の諸手当もあります。それで、これらの合計にプラス・アルファがつかなければ、司法官優位とは実質的にはいえないわけですね。しかし、僻地に参りますと、僻地と言っては悪いかもしれませんけれども、地域給がほとんどないような所にも、検察庁の支所なり簡易裁判所などがあるわけですから、そういう所に参りますと、実質収入というのは、額面はいいけれども、東京におって官庁に勤めておる者と比較して、必ずしも高くならないですね。この不合理というのは、どうお考えになっておられるか。というのは、僕らの知っている者でも、東京で判事補をしておるときは勤めています。北海道かなんかに転勤させられると、とたんにやめますよ。幾人かそういうのがあります。それは、実質俸給が結局バランスを失っているからじゃないかと思うのですけれども、この点はどうでしょう。
#58
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 裁判官について申し上げますと、異動につきまして一番ガンになるのは、暫定手当が地域的に違うということでございます。今度の一般職の職員の給与に関する法律の改正によりまして、六カ月間は前の暫定手当を支給するということになりますようでございますが、そうなれば、だいぶ緩和されると思いますが、いずれにしましても、東京からたとえば旭川に転出させるということになりますと、暫定手当がぐっと減ってくる。そればかりでなく、勤務条件が、非常に寒冷地でございまして、石炭手当、寒冷地手当は支給されますけれども、それは、もう実費にも必ずしも十分といえない程度でございますので、カバーにはならない。文化的な生活にも遠ざかりますので、きわめて異動が困難でございます。現在私どもが、その中にあって、なお異動を進めて、満足というところまではいきませんが、ある程度充員を可能にしているのは、実は北海道に転任します場合には、やはり俸給の点につきまして、初任の判事補ならば一号上げて出す。それから、いわゆる判事クラスになってきますれば、六カ月昇給を早めるといったような方法でやっているということと、もう一つは、期間を限ってやる。すなわち、東北に行く人は、大体二年なら二年、道南なら、三年なら三年というふうに限ってやる。そうしてその約束は、確実に実行していく。それからもう一つは、昇給させまして、そうして今度はまた、東京付近に帰した場合におきましても、同期の者と同一になるまでは、そのまま昇給を存続させておくというような扱い、それから帰す場合には、大きい裁判所に帰してやる。職員の望む所、裁判官の望む所へ確実に帰してやるといったようないろんな方法を講じまして、現実には辛うじてやっているという状況でございます。
#59
○加瀬完君 それは、そういう方法をとらなければ、結局地方には、判事なり、あるいは検察庁も同じでありましょうが、検事なりが喜んで行かないということなんですね。ですけれども、それも限度があろうと思う。条件が悪いというので、やめる者もあります。もっと根本的に、そう言っては悪いけれども、そんなこそくな手段をとらなくても解決できる方法というものを、こういう給与の改訂のようなときに、司法官優位といっているんですから、司法官優位というならば、こういう問題を給与改訂の中に含めて解決をすべきじゃないかという点をなぜ私は御主張なさらないかと思うのです。この中にも、「裁判官及び検察官につきましても、一般の政府職員の例に準じて、その給与を改善する措置を講ずるため、」とありまして、大体これは、一般行政職に右へならえですね。そうじゃなくて、一般行政職の給与改訂というのが必要なら、裁判官は、一般行政職の上がる分にプラス・アルファという形で、いろいろの問題を解決するという方法をとらなければ、今おっしゃったような問題は、これは解決できないと思う。かりに六カ月暫定手当が支給されるとしても、おっしゃったように二年なり三年なりいるでしょう。六カ月暫定手当をもらうから三年間がまんしようということになりましても、本人の犠牲というのは、やはり相当なものですよ。そういうことをさせないで済まされるような形をとれないものか。これは、戦前の場合には、俸給表というのが、実質俸給というのが、東京におったって旭川へ行ったって、そう今のような懸隔がなかった。しかし今は、東京、大阪におりますのと、これは旭川や北海道ですね、他の地域に参りまして、簡易裁判所等に勤めますと、ずいぶんこれは違ってきますよ。で、準ずるという中には、当然ここで解決をしなければならないプラス・アルファを含めておるということにはならないでしょう。この改訂表から見ますと、ただ行政職の何%というものを、裁判官あるいは検察官の俸給表にも、ただそのまま加算をしたということじゃございませんか。
#60
○政府委員(津田實君) 今回のただいま御提案を申し上げておりまするところの法律案の改正につきましては、提案理由の説明にもございました通り、一般職につきましての給与改訂に準ずるわけでありまして、この改正案によりまして、裁判官あるいは検察官の給与を根本的に改正するというものではないわけであります。ただいま裁判官の報酬あるいは給与の根本的な改訂の問題は議に上っておりまして、目下関係の各省庁並びに最高裁判所間において連絡会議を催して、検討を続けておるわけでありまして、それによりまして、裁判官の報酬の根本的な改訂をいたしたいということを考えておるわけでございますが、ただいまのところにおきましては、今回の改正は、現在の裁判官の報酬等に関する法律の十条に基づく、いわばスライド規定による自動的な改訂というふうにとどまっておるわけでございます。
 この裁判官の報酬制度についての根本的な改正の問題は、これはいろいろな問題点がありまして、なかなか一朝に解決できないわけでありまして、ただいま御指摘のような問題も、当然その中において解決をしなければならぬ問題だと思うのであります。しかしながら、裁判官の給与につきましては、今のそういう地域的な給与差というようなものを云々する必要のない程度に裁判官の給与を考えるということのほうが必要ではないかというふうに考えられるわけです。その点につきまして、ただいま申し上げました各省庁並びに最高裁判所等の連絡会議において検討いたしておるわけでありますが、目下のところは、もちろんまだ成案を得るに至っておりませんが、随時それぞれの考え方、すなわち法務省の考え方あるいは大蔵当局の考え方あるいは国家公務員制度調査室を持っております総理府の考え方というものが随時出て参っておりますので、それらと最高裁判所の考え方をあわせまして、合理的な解決点に到達したいというふうに考えておるわけでございます。
#61
○加瀬完君 最高裁のほうも同じお考えでございますか。これが一点。
 それから、今のお話のような内容は、今度の給与改訂をきめますときに、関係各省の問である程度お話を進めて、一応はこれでやるけれども、結論は、先ほどお話のありましたような内容で早急に打ち出そう、こういう話し合いがついての上でございますか。
#62
○政府委員(津田實君) この法律案を閣議で議了いたしました際に、そういう話し合いがついておりまして、これは前回の改正のときからの問題でありますが、根本的な改正をすべく、各省庁間の連絡会議を開いておりますので、根本的な問題はその解決にゆだねるとして、当面一般職との対比においてこの改正を行なうということが了解されて、これが閣議決定になっているわけでございます。
#63
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) 最高裁判所におきましても、今回の改正は、報酬法第十条による、いわゆるスライドの規定によるところの改正でありまして、報酬に関する根本的な改正は、今後に待つべきものがあると考えます。
#64
○加瀬完君 失礼ですけれども、最高裁の給与に対する考え方というものに対しては、私は信頼できない。というのは、三十四国会に、この書記官、調査官などの調整額を変更したことがございましたね。このときに一般職の法律の十四条には、あなた方御専門なんですが、「職員の勤務時間は、休息時間を除き、一週間について四十時間を下らず四十八時間をこえない範囲内において、人事院規則で定める。」ということで、人事院規則がある。しかし、調整額八%、一億九百万ですかを三十五年度の予算に組み入れるときに、家裁の調査官の勤務時間を一週五十二時間に延長した。これは、だいぶ問題になりました。こういうきめ方で今後もおやりになりましたら、これは給与の改善にはならない。最高裁が人事院規則を破るようなきめ方をして、それで若干俸給を上げたところで、一週五十二時間などというきめ方をなさいましては、これはおかしいじゃありませんか。こういう、だれが考えてもおかしいというふうな考え方は、今後はおやりにならないでしょうね。現在の局長のときではなかったと思いますけれども、こういうことがありましたよ。これは、三十四国会の予算委員会で問題になったことでありますので、御存じだろうと思います。
#65
○最高裁判所長官代理者(守田直君) ただいま御指摘の勤務時間五十二時間延長を当法務委員会において審議されましたのは、裁判所の一部改正でございましたが、それに関連しまして、勤務時間を五十二時間に定めたということは、御指摘の通りでございます。ただ、当法務委員会の附帯決議の趣旨もございましたので、現実に運用の面は、国家公務員法の線によりまして、一週四十八時間を裁判所で勤務する、あとは、各自みずからの最も仕事のしやすい所で執務してよろしい。裁判所で拘束しない。もって過労にわたらないように運用するということで現在運用いたしておる次第でございます。それにつきまして、当時の横田事務総長が、加瀬委員からいろいろ質疑を述べられ、いろいろ御教示にあずかったようなことも存じております。裁判官の報酬につきましては、これは、私どもが裁判官の報酬を抜本的にひとつ改正してほしいということを申しておりますのは、そういったことはまあ関係のないことでございまして、実は、裁判官の報酬は、政府職員とは少し違った運用、考え方をしてもらわなければならぬのじゃないか。それで、その根本原則としてはどういったことを考えなければならないかということで、関係各省の担当官に理解を求めたわけでございます。それはどういうことかと申しますと、憲法によりますというと、下級裁判所の裁判官の任期は十年になる。必ずしも再任の保障というものはないわけでございます。したがいまして、裁判官の報酬制度は、この任期制を前提として定められなければならない。裁判官の報酬ということは、これは俸給とどう違うかということにつきましては、いろいろ議論もあるようでございます。こういった任期制度や、そういったものを考えますというと、やはり裁判官の報酬というのは、定額給与制といったものを少なくとも憲法は精神として持っているのである。そういう点を考えまして、いわゆる裁判官の報酬は、キャリアシステムを前提として、政府職員の俸給制度に擬して定めるべきじゃないのじゃないか。だから、たとえば当時の報酬は、現在でも、七号から特号まで、八段階にきざんである。しかし、これはもっと号俸を少なくすべき性格のものである。
 それから次に、裁判官につきましては、昇給制度とか、あるいは勤勉手当制度を設けますことは、最高裁判所に司法行政権が属して、独立に行使するという制度にはなっておりますけれども、やはり裁判官の独立という面から見ますというと、勤勉手当をよけいにもらうために右顧左晒する、あるいは昇給するために迎合するといったようなことは、どうも好ましくない。やはりどうしても裁判官の独立の地位というものをしっかり考えていくならば、昇給制度とか、あるいは勤勉手当といったようなものは、やはりもう一ぺん考え、再検討する必要がある。それから判事につきましては、経験の長短というものはございますけれども、職務と責任というのはそう変わったもんじゃない。だから、たとえば、国家公務員法にありますように、裁判官の報酬が職務と責任を決定の最も強い要素とするということになりますならば、アメリカの連邦地方裁判所の判事は俸給が一本であるように、やはり裁判官の号というものも、非常に少なくていいんじゃないか。たとえば、あるいは考えようよれば、高等裁判所とか地方裁判所といったような審級の別とか、あるいは裁判長、陪席判事といったような点などに差が設けられるといたしましても、号俸のきざみというものはわずかでいいのじゃないか。これがやはり新憲法下における裁判官の報酬の一つの考え方でなければならぬ。これをひとつ理解をしておいてもらいたいということを主張しますのと同時に、現実の裁判官の構成は、判事補から上がっている人が大部分でございます。こういった若い判事にいたしましても、経験年数十二年から四十年ぐらいの裁判官の経験年数の人たちがやっぱり判事におるわけでございます。こういった人たちのことを考えますれば、必ずしもこれをアメリカの連邦判事のような一本に定めるということは、経過的にはやはり妥当でないだろう。やはりその点を考えれば、ある程度の号をきざむことはやむを得ないだろう。こういったようなことを主張いたしまして、そうして関係当局に十分御理解を願って、裁判官の報酬を抜本的にしたい。なお、裁判所法はもちろんのこと、憲法から見ましても、やはり裁判官は、法曹一元ということが理想として一番望ましいし、そういうものを前提としておると考えられます。任期制度十年というのも、やはりそういったものだと考えられますが、そういった意味から、裁判官の報酬は、やはり弁護士の収入といったようなものとの関連において報酬を考えていかなければならないじゃないか。現在、人事院は、民間給与と比較して公務員の給与を定めておりますか、裁判官の報酬は、やはり最小限の意味におきまして、民間給与というよりは、在野法曹の収入というものと権衡をとりながら定めるべきでないかというようなことを主張しまして、こういう方向で何らかの解決をはかりたいということで推進しておるのが実情でございます。
#66
○加瀬完君 ただいま局長の御説明は全く同、感でありますので、ただ、あまり交渉が手間取ったり、こういう給与の改訂のようないいチャンスに乗っけませんと、なかなか問題の解決も困難だと思われますので、そういう点で御努力を希望いたします。
 そこで、もう一つ、裁判官、検察官の広くいえば給与といいますか、生活保障の問題で伺いたいのでありますが、住宅は、このごろだいぶ検察側も裁判所も建てておりますけれども、この状況はどうなっておりますか。関係のその他の職員の住宅対策も……。
#67
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 裁判官の住宅を申し上げますと、定員が、裁判官は全部で二千四百十五名でございます。自宅などが安定している者が約七百でございます。現在官舎、すなわち公務員宿舎でございますが、これが千二百六十九、大体全部の五二・五%ほどございます。これから、さらに必要な者は四百四十四という数字になっております。毎年大体六十戸あたりが建設できるようなふうに、今までそうでございましたし、将来もおそらく、少なくとも毎年六十戸は建てられるだろうというふうに考えますと、約七年すれば、ほとんど全部がまかなっていけるだろう。もちろん、現在の宿舎自身は、施設その他で改善を要する面がたくさんございますけれども、数的に申しますならば、大体今申し上げましたような状況になっております。
#68
○政府委員(津田實君) 検察官あるいは検察庁職員につきましての宿舎関係につきましては、ただいま手元に資料がございませんので、申し上げられないわけですが、これは、全く一般の政府職員と同じ程度の国営宿舎の割当を受けているというのが実情でございますが、北海道等におきましては、若干特殊事情によりまして、検察官等においては、ほとんどまあ官舎の給与を受けておるわけでございます。
#69
○加瀬完君 それから、一般行政職では、兼職は禁止されておるわけですね。一般行政職は、戦前では、裁判官、検察官は大学の講師、あるいは何といいましょうか、私立大学などになりますと、講師でも相当の時間数を持つ、講座をお持ちになっておりましたが、現状はどうでしょうか。問題は二つですね。そういった意味の兼職は、検察官、裁判官はお認めになっておられるかどうかということと、それから、お認めになっているとしたら、そういった兼職をなさっている方が相当数あるかどうかということ。
#70
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 裁判官に限りまして、この国立大学のことをやっておる者はないと思います。私立大学の講師を兼ねている、それは、ほんとうの意味の兼職ではございませんが、そういった場合には、最高裁判所の許可を得ることになっております。その許可の条件といたしまして、週二時間以上の講義を受け持つことを禁じております。それは、やはり職務の点で差しつかえます関係でありますが、その全国的な人数はどのくらいかといいますと、ただいま手持ちの資料がございませんので、わかりませんが、訴訟が遅延しておりますし、裁判官には、やはり非常に奮起してもらわなければならぬ関係上、講師はそれほど多くはないというふうに考えております。
#71
○政府委員(津田實君) 検察官につきましては、ただいま手元に資料がございませんので、はっきりは申し上げかねますが、私ども存じておる例といたしましては、一週にごくわずか、しかも勤務時間外、たとえば土曜日の午後であるとかという時間をきめて、私立大学等の講義をすることは、ある程度実例があったようでございますが、これは、検察官の例は、非常にまれでございまして、ほとんどないと申し上げていいと思います。
#72
○加瀬完君 具体的な例を出しては悪いのですけれども、今度の武州鉄道みたいな問題、これが政財界の大物につながるといったような場合に、検察官に有形無形の圧迫というものが予想されるわけです。あるいは凶悪犯に対する検挙といったようなもの、特に暴力事犯などに対する検挙などに対しましては、生命の危険性というものも相当あるわけですね。こういう検察業務についての検事の身分保障というか、生命の安全性の保持といいますか、こういったものは、給与の上に何か具体的にあるのですか。たとえば、これが税関係の公務員になりますと、危険手当と俗にいいますが、そういったものがありますね。検事等には、そういった意味の給与というものは何か含まれておるのですか。
#73
○政府委員(津田實君) 検察官に対しましては、さような制度はございません。災害を受ければ、一般の公務災害として救済されるということ、あとは、事実上の場合によって起こる生命あるいは身体に対する保護ということは、これは、事実上警備の問題として扱っているにすぎないということでございます。
#74
○加瀬完君 この際、直接給与の問題とは離れますが、一つ検察側に伺っておきたいのは、地方自治体などに対する違法事件といいますか、こういうものの検挙というものが相当事案がありますのにもかかわらず手ぬるいのじやないか。たとえば、地方自治体のいろいろの問題の争いといったようなことで、いろいろの例がありますが、検察庁が自動的に動くというようなことがあまりないように思われますが、これは何か特別の方針がありますか。
#75
○政府委員(津田實君) 事件の主体と申しますか。事件の被疑者がいかなる身分を持っておるか、あるいはいかなる職務上の地位にあるかということについて特段の配慮をしておるということは、特別に聞いておりません。また、さような事実はないと考えております。
#76
○加瀬完君 ある県で、知事と、裁判所長官と、検事正と、警察隊長というか、本部長というか、警察本部長が主になりまして、月例の会合をいたしまして、この費用はほとんど知事が出している。それで、知事というのは選挙をおやりになるわけです。大体政党にに所属しておらない知事というものは少ないわけですから、こういう人間的関係というものが深まってしまって、その関係者の中に何か事件が起こりましても、適正な検挙、適正な判決というものに支障を来たすおそれはないかどうか。こういう点がある県で巷間問題にされておりますけれども、最高裁もいらっしゃいますので、どうお考えになりますか。好ましいことですか。
#77
○政府委員(津田實君) 検察官が、全く一般社会、ことに地方の社会と遊離しているということは当然できないわけで、むしろさようなことによりまして、かえって非常識な検察を行なうということもあり得るわけであります。相当の社会的な交際もあり得る。また、相当な社会的交際はなすべきものと考えますが、しかしながら、法務省並びに検察庁の方針といたしましては、一定の限度を保って、通常の交際以外の交際はしないという建前をとっております。また、ただいま御指摘のように、多年おりますると、いろいろな事情もできるかと考えられますが、そういう点から申しましても、検察官につきましては、一定の任期、短期間において転任をさせるというような方針をとって、さような弊害の生じないようにはかっているわけであります。そういうような意味におきまして、そういうことについては、十分戒心いたしておるつもりでございます。
#78
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) ただいま御指摘のような事例、実は私はまだ耳にいたしておりませんけれども、高等裁判所長官にせよ、地方裁判所所長にせよ、何ら裁判に関与するものではございません。裁判官は、裁判所長官、所長の持つ意向と何らかかわりなく裁判をするわけでございまして、それがいわゆる司法権の独立でございます。
#79
○加瀬完君 だからといって、費用は全部知事に持たせていいということにはならないでしょう。それはどうですか。
#80
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) そういうことは、私は聞いておりません。
#81
○加瀬完君 聞いておらないかもしれないけれども、事実があるから申し上げている。特に裁判所長官は、そういう言いのがれができるかもしれない。しかし、検事正などはどうなりますか。もっと言うなら、大きな選挙違反が全然検挙されずに済んじゃっているのですよ。そこで話し合いが行なわれて、取引があったとは言いませんよ。しかし、一般の者は、そういうような会合がたびたびあって、大きな選挙違反になるなということがもみ消されて、一人も検挙がないということになれば、これは、検察側に対して信頼の念というのもが一応疑念を持たれることになりかねません。ですから、全然雲の上に乗って、一般人を相手にするなという、やぼなことは申しませんけれど、もう少し、お集りになるにしても、いろいろの角度の広い立場でお話しなさいましたり、個人的にどういう御交際をなさいますか、そういうことまで私たちは云々いたしません。知事と警察隊長と検事正と、こういう、裁判所長官も加えての会合、月例会合であって、その費用が一人の人によって負担されて、何かの事件がありましたときには、疑惑のもとになるということになるということは当然だと思う。疑惑を持つなと言ったって、疑惑を持つなという方が無理ですよ。ですから、こういうことがあってはならないと私は思いますけれども、そういう意味で申し上げているわけです。
 それから、もう一つ伺います、私は、検事の志望者が少ないということに非常にかかわり合いを持ち過ぎるようですけれども、と申しますのは、どうも警察と検察庁というのは、助けたり助けられたりという関係はありましょうけれども、警察の違法事案というものに対しては、検察庁が断固としておやりにならないという印象がある。たとえば、具体的に私は申します。この前本州製紙事件というのがありました。警視庁の何個中隊かのおまわりさんが、こん棒でめった打ちをした。刑事局長も出て、これは非常に警察官としては過剰行為の疑いがある、十分に調査をすると言っているけれども、調査をされて、それが警察官としては不当な行為だということになった。不法な行為だということになった。検察官が譴責を加えたのです。部長もごらんになったかもしれませんが、この間の大阪の事件にしても、これは、事件そのものには、もちろんあなた方のほうに御迷惑な点が多いかもしれませんよ。しかし、警察官は、もう抵抗を失って、無抵抗になっている者を足でける、なぐりつけておるでしょう。テレビに出ておるのですよ。これは、明らかに法律からいえば違反ですね。こういうものが数多く国民の目の前にさらされているにもかかわらず、検察庁が、この警察官に対して適法な処置をとったということを聞いておりませんが、この点はいかがでしょうか。
#82
○政府委員(津田實君) ただいまの御質問の内容は、具体的事件に関することでありますので、私としては何ら報告を受けておりませんし、また、私どもの本来の所管ではないので、適確なことは申し上げられないわけでありますけれども、一般的に申しまして、検察庁としては、あらゆる面における非違を正すわけでありますので、それ相当の処置を考え、それ相当の手続をいたしておるとは思われますが、その結果がどのようになったか、また具体的な事件がどのようなものであるかということにつきましては、ここで御説明申し上げる資料は何も持っておりません。
#83
○加瀬完君 本案に関係のないことですから、私はこれでやめますけれども、待遇は、私はうんとよくしてあげなければならないと思うのですよ。しかし、検察官の任務というものも確実に守っていただかなければならないと思うのです。専門の皆さんにこんなことを言うのは、釈迦に説法ですけれども、刑法の第百九十五条には、特別公務員の暴行陵虐の条項がございますね。これによれば、「七年以下ノ懲役又ハ禁錮ニ処ス」という結論で、少なくとも警察官が国民に、無抵抗な国民に陵虐加えることは、百九十五条の違反ですよ。で、警察庁の警棒等の使用及び取り扱いの規程という中にも、人に傷害等を与えた場合の措置、それから警棒の取り扱いというものがありまして、かりに抵抗する者があって、警棒を使って傷をつけても、すぐ上司に報告しなければならないということになっています。報告するどころではないでしょう。無抵抗の者をさんざんに打ちのめして、血だらけになっている者をけっとばしている。こういうものを一体人権擁護局なりあるいは検察庁というのが取り上げないということがおかしい。私は、あの写真を見ておりましたので、あなたに申し上げるのは筋違いかもしれませんが、お答えをいただきたいと思います。やはり待遇は大いに要求すべきで、また、検察官なり裁判官なりの任務からいっても、その任務にふさわしい仕事に対しまして、相当のこれは研修というものが行なわれなければならないと思うのです。先ほどのお話にもありましたように、現在二年間の修習生の期間があるわけでございますが、ここで、基本的人権を尊重しなければならないということは、どのように教育をされ、あるいは研修をされておるのか。これは検察庁のほうに伺います。
#84
○政府委員(津田實君) 司法修習生の教育に関しましては、これは、最高裁判所の責任でございますが、検察庁側からも教官が参っておりますわけでありますので、まあその教育も、その何分かはもちろん負担をいたしておるわけでありますが、検察庁、法務省の方針といたしまして、人権尊重、ことに法務省に人権擁護局を設けております点から見ましても、人権尊重についての配慮は十分なされておるわけでございます。具体的教養の内容につきましては、最高裁判所からお答え願いたいと思います。
#85
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) 司法研修所におきます修習におきましては、教官として、裁判官側からも検事側からも、また、弁護士会の推薦によるところの刑事弁護の教官あるいけ民事弁護の教官、それぞれに担当いたしまして、二年間の修習をいたしておるわけでございまして、ただいま御指摘のございました、法曹として最も大事な人権の感覚養成、そういうことにつきまして、特に力を注いでいるのでございます。
#86
○加瀬完君 具体的にもうひとつ話して下さい。
#87
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) 修習それ自身は、私が担当いたしておりませんものですから、具体的にと申しましても、あまり御説明はいたしかねますけれども、大体修習生は、一年に三百数十名入ります。三百名ないし三百数十名入りますが、それを五十人ずつのグループに分けまして、ただいま申し上げましたような教官がそれぞれ担当して、非常に個人的に接触して指導をいたしております。ことに、今御指摘のような問題つきましては、教官がいろいろその問にセミナー式に話をいたしますので、あるいは、さらにもっと個人的な接触もなさって、そういう面についての教育をしているわけでございます。弁護士会におきましても、特に弁護士会のそういう面の、人権に対する使命ということから、教官にも非常に優秀な人を送っているわけでございます。それから、その二年の間には、修習生は、司法研修所ばかりでなくて、各裁判所、検察庁、それから弁護士会につきまして、それぞれ四カ月ずつの修習をするわけでありますが、その間におきまして、実際の裁判所の事件の扱い方、あるいはまた検察庁の捜査の仕方、あるいは弁護士事務所におけるところの弁護士の事務の扱い方、それぞれを具体的につぶさに見るわけであります。この間に、修習生の人たちが、実際に事件がどう扱われているかということをつぶさに見るわけでありまして、そういった実際の実務に即したところの勉強によりまして、そういう面の養成が行なわれているのであります。
#88
○加瀬完君 私の質問はこれで終わりますが、次の資料をいただきまして、若干また研究の上で、質問の時間を許していただきたいと思いますが、先ほど最高裁の局長さんがお示しになりました裁判官と行政官の俸給の比較ですね。二十六年と二十九年と三十二年をお出しになりましたが、これをもう少し詳しく私たち全体に配っていただければ、いい資料だと思いますので、これをひとつお願いをいたしたい。もう一つは、御説明の中におりました、最高裁としての裁判官の俸給表に対する改訂の内容――要求内容といいますか、これを御説明もありました点を資料として出していただきたい。それから、これは本案の質疑には関係がないことでございますから、本案の質疑の中で申し述べる考えじゃございませんが、検察庁のほうに、尼崎事件で行なった警官の過剰行為について、検察庁の見方といいますか、どう取り扱われたか、あるいはどう取り扱われようとこれからなさるのか、この答えをお聞かせいただきたい。以上の資料をお願いいたしまして質問を終わります。
#89
○委員長(松野孝一君) 今の資料はいいですね。
 ちょっと速記をとめて下さい。
  〔速記中止〕
#90
○委員長(松野孝一君) 速記をつけて。
 ほかに御質疑ありませんか。――なければ、両案に対する質疑はこの程度にとどめます。
 次回は、十月二十四日午前九時五十分より理事会を、午前十時零分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後三時四十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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