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1961/10/26 第39回国会 参議院 参議院会議録情報 第039回国会 法務委員会 第7号
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1961/10/26 第39回国会 参議院

参議院会議録情報 第039回国会 法務委員会 第7号

#1
第039回国会 法務委員会 第7号
昭和三十六年十月二十六日(木曜日)
   午前十時四十二分開会
   ―――――――――――
  委員の異動
十月二十五日委員大野木秀次郎君辞任
につき、その補欠として鳥畠徳次郎君
を議長において指名した。
本日委員豊瀬禎一君辞任につき、その
補欠として加瀬完君を議長において指
名した。
   ―――――――――――
 出席者は左の通り
   委員長     松野 孝一君
   理 事
           井川 伊平君
           増原 恵吉君
           亀田 得治君
   委 員
           青田源太郎君
           木島 義夫君
           天坊 裕彦君
           徳永 正利君
           鳥畠徳次郎君
           林田 正治君
           村松 久義君
           大森 創造君
           加瀬  完君
           松澤 兼人君
           田畑 金光君
           辻  武寿君
           加賀山之雄君
  衆議院議員
           富田 健治君
           田中幾三郎君
           鈴木 義男君
  国務大臣
   法 務 大 臣 植木庚子郎君
  政府委員
   警察庁警備局長 三輪 良雄君
   法務大臣官房司
   法法制調査部長 津田  実君
   法務省刑事局長 竹内 寿平君
   公安調査庁次長 関   之君
  最高裁判所長官代理者
   事務総局事務次
   長       内藤 頼博君
   事務総局人事局
   長       守田  直君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       西村 高兄君
  説明員
   法務省人権擁護
   局長      鈴木 才蔵君
   労働省労政局
   労働法規課長  青木勇之助君
   ―――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事の辞任及び補欠互選の件
○政治的暴力行為防止法案(第三十八
 回国会衆議院提出)(継続案件)
○裁判官の報酬等に関する法律の一部
 を改正する法律案(内閣提出、衆議
 院送付)
○検察官の俸給等に関する法律の一部
 を改正する法律案(内閣提出、衆議
 院送付)
○検察及び裁判の運営等に関する調査
 (人権問題等に関する件)
 (被疑事件の処理状況に関する件)
   ―――――――――――
#2
○委員長(松野孝一君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 この際、委員の異動について御報告いたします。
 十月二十五日付、大野木秀次郎君辞任、鳥畠徳次郎君選任、十月二十六日付、豊瀬頭一君辞任、加瀬完君選任、以上であります。
   ―――――――――――
#3
○委員長(松野孝一君) まず、理事の辞任及び補欠互選についてお諮りいたします。
 本日、理事松澤兼人君より、理事を辞任したい旨の申し出がございましたが、これを許可することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(松野孝一君) 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 つきましては、直ちにその補欠互選を行ないたいと存じます。この互選の方法は、慣例により委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(松野孝一君) 御異議ないと認めます。それでは私より、理事に亀田得治君を指名いたします。
   ―――――――――――
#6
○委員長(松野孝一君) 政治的暴力行為防止法案を議題といたします。
 前回に引き続き質疑を行ないます。
 ただいま出席の当局側は、植木法務大臣、発議者衆議院議員富田健治君、同じく鈴木義男君、衆議院法制局第二部長川口頼好君、公安調査庁次長関之君であります。
 御質疑のおありの方は順次御発言下さい。
#7
○亀田得治君 私は、政防法に関しまして、本日初めて質問をいたすわけでありますので、きわめて総括的な問題につきまして若干お尋ねをいたしたいと思います。
 ただ、これに関連いたしまして、法務大臣に特にお尋ねを申し上げたいことがあります。それは、本年の十月二十二日に、事件といたしましては昭和二十八年の十一月から十二月にかけて起きた事件でありますが、その事件でやくざの一人が殺された、やくざ仲間のけんかでありますが、そのとき殺されました和田善次という人の追悼供養北信越五県選抜相撲選手権大会、こういうものが十月二十二日福井市で行なわれたわけでございます。ところが、この大会のあいさつ状に、植木法務大臣の名前が賛助員の一員として載せられたようであります。で、右翼と政界、財界とのいわゆる裏の関係、こういうことは、日本の民主化の立場なり、あるいは本件の政暴法に関連いたしましても非常に問題とされておるところでありまして、特に法務大臣というのは特殊な地位でありまして、そういう人の名前がこういうあいさつ状に載るということは非常な問題であろうと思います。福井県民の間では、いろいろ批判も出ておるやに聞くのでございまして、法務大臣に、この点につきましてどういう経過でそのようなものが載せられたのか、こういう点について、まずお尋ねをしたいと思います。
#8
○国務大臣(植木庚子郎君) お答え申し上げます。ただいまお尋ねの件につきましては、全然私の承知しない問題でございまして、一昨日の夜、某新聞社から、こうした印刷物の上にお前の名前が出ているが知っておるかと言われましたので、びっくりしたようなわけでありますが、留守宅をあずかっている者からも、何らの通知もなかったほとでございまして、したがって私としては、どうしたことであろうかと思ってびっくりして、もしそれが事実とすれば、あなたはどう考えるかと、こう言われましたから、私は新聞にも出ておりますように、自分の全然知らぬことである、しかし、もしそういう名前が出ておったとすると、あるいは留守をあずかっている事務員の者が、おそらくは間接のだれかから頼まれて、そうして、あるいはやむを得ずに名前を出すことを承諾させられておるようなことがあるかもしれない、しかし、私はその和田善次なる者を全然知りません。そうした事件があったことは、当時新聞紙上で知った程度のことであります。したがって、そんなところへ名前を出す必要も何もないのであります。そこで、その程度のことを答えて、自分としては、もし出ておったとすれば、かりに留守の者が計らったとしても、はなはだ遺憾であるということを申しておきましたが、その後、直ちに郷里に電話で連絡をとってみました。ちょうど夜おそいことでございますから、責任者がおりませんのでわからず、その翌日、すなわち、きのう朝ようやく連絡がつきまして、事情を聞いてみますと、実はこうなんであります。
 なるほど御指摘のような、暴力団に属しておった和田善次の追善供養のための北信越五県選抜相撲選手権大会、こういうものがあったことも事実のようでありますが、その場合に、何でもその一両日前に、たくさんその印刷物を持ってきて、そうして、どうぞよろしくお願いしますと事務所に来たそうであります。ところが、事務所の者が、若い者がおりましたので、よくわからぬ、一応お預かりだけしておきますがと言って、まあ郵便物配達と同様に置いていかれた。責任者が出てそいつを見ますと、そうすると、いわゆる五、六ページか、七、八ページの印刷物でありまして、その印刷物の初めのほうには、勧進元とかいう名前でもって、今言った追善供養のための北信越五県相撲選手権大会を催すんだというようなことが趣意書に書いてあるそうであります。それからその次に、いわゆる賛助員とか協賛者とか、その他いろいろな名を分けて、後援者とか幾つかに部類分けしてありまして、そのいわゆる賛助員の所に、私の名前が出ておるそうであります。そうしてその名前は、そこに出ております名前は、私のみならず、福井県選出の衆議院議員は全員、自民党といわず社会党といわず、みんな書いてあるそうであります。もっとも議員の肩書きは書いてありません、姓名だけだそうであります。さらに、県下の各種団体の長でありますとか、あるいは財界の有力者でありますとかいったような者が、これまたやはり肩書き何にもなしに、名前だけをずらりと並べてあるそうであります。それから後援者という所には、今度県会議員あるいは福井市会議員、その他大ぜいずらりとやはり名前だけ書いてある、こういうことがしてありまして、そうしてそれを見た私の留守を預かっておる者が、こんなものにはわれわれは賛成するわけにもいかぬし、さっそくこれは、こんな所へ名前出されたら迷惑だということを伝えようじゃないかということをしておるうちに、相撲の日が来てしまった、こういうふうに話をしておりました。
 その後、私もそれを知ったものですから、直ちに、勝手に名前を使って、そうして後援者の一員に加えておくというようなことは、はなはだ迷惑であるということを、しかるべき方法をもって相手側に伝えておいてくれということを、一応申し渡したようなわけでありまして、全く事前に了解を得たようなことも何もありません。だれ一人私の関係の者で、事前に了解を受け取った者はおらないのであります。おそらくは他の大ぜいの方々についても同様な事情じゃあるまいかと、こういうふうに考えますので、非常にやり方がまずかったのじゃないかと、こう思います。ただ、きょうになりましてから、私、さらに念のために連絡をとってみましたら、実はその印刷物の中を調べてみたら、たくさんあったので紙くずかごに突っ込もうと思っておったところだが見たら、その中に、名前を勝手に使用したことについての了解を得たいというような、やはり印刷物だそうでありますが、それが各位あての印刷物になっておりまして、入っておったそうでございます。そんなことがありますが、いずれにしましても、勝手に名前を使ったということでありまして、非常に今迷惑を感じておるというのが実際の姿でございます。
#9
○亀田得治君 経過は大体わかりましたが、ただいまのお話ですと、事前にあなたの留守の方にごあいさつがあって、したがって、留守の方としては、ちゃんとそのことがわかっていたようですが、そのうち、そういうことをしては困るという申し込みをしようと思っているうちに、大会の日が来てしまった、こういうふうなお話ですが、それは何日くらい前にそういうあいさつに来たわけでしょうか、十月二十二日の何日くらい前に。
#10
○国務大臣(植木庚子郎君) この間電話で連絡しましたところでは、一両日前と、こう言っておりました。一両日前にそういうものを持ってきた。ところが、そのときには、ただいま私の説明が不十分であったかもしれませんが、そうした名前を使うことについての了解を得たいという印刷物も読まないで、突っ込んでしまっておいたというような状況であったようであります。今度問題になりまして、すぐにいわゆる書類を見てみましたところが、そういう印刷物もはさんであったということでございます。
#11
○亀田得治君 この和田善次という方は、福井ではよく知られているし、したがって、あなたの留守の方もよく御存じなわけなんでしょう。その点はどうなんでしょう。
#12
○国務大臣(植木庚子郎君) まあ巷間ある意味においては知られておった人であろうと思いますけれども、私は不幸にして、それよりもっと前からこうした議席をいただいたので、あっちこっちの人に大ぜいお目にかかっておりますけれども、全然私は知らない人物で、一般世間では、巷間では知っている人は知っているという程度のことであろうと思います。ただ昭和二十八年、御指摘の当時、そうした事件がございましたが、その意味では名前はおそらく県民多数知っていることと承知いたしております。ことに私の留守を預かっている者は、非常に年輩の人でありまして、慎重な方で、こういうことにはなかなか気をつけてくれる男であります。したがって、その男も私の代理をして、代理といいますか、留守を預かっている者も、こんな所へ名前を出されるのは迷惑だと言いながら、何か言わにゃいかぬぞと、事務所で話しておりながら、ついうっかりそのまま過ごしておったことは事実であります。
#13
○亀田得治君 まあ本日の主題でもありませんから、大体経過を御釈明いただきましたので、この程度でこれは打ち切りますが、これはひとつ、法務大臣の留守番ですから、よく注意をやはりしてもらいたいと思いますね。そういう場合には、即座にそれは困るというふうに、はっきりやってもらいませんと、幸いこれは読売新聞で書いていただきましたから、したがってまた法務大臣の釈明というものも世間に相当程度はっきりするわけです。新聞に載らなければ、県民の方々が誤解したままで、まあ法務大臣までがこういうところに相当肩を入れているのだ、やはりこうなります。だから、十分ひとつこれは御注意を願いたいと思うのです。
 次に、政防法に入りますが、この法案につきまして、右翼団体の諸君がこの成立のために大いに努力をしている。どの程度の努力かよくわかりませんが、少なくとも大いに賛意を表して動いている、こういう事実を私は若干つかんでいるわけですが、まあ理論的なことは後ほど少し御質問もいたしますが、こういう事態を提案者はどういうふうに見ておられるか。まさしくこれは、本法案の性格というものをそのまま物語っているのじゃないか、こういう気がするわけなんです。こういう点について、提案者のそういう動きについての感想を承りたいと思います。
#14
○衆議院議員(富田健治君) 私、提案者の一人として申し上げるのでありまして、あるいは他の提案者と感じが違うかもしれませんが、同時に、私は、自分と同じような感じを持っているのじゃないかと思いまして、今お尋ねもございましたので、率直に申し上げたいと思っております。
 私の聞いております範囲では、ただいまお話のように、何かだいぶ前に政防法賛成だというような意味のビラをまいた団体もあるようであります。同時に、政防法反対だと、これは国家主義を主張し、国体を尊重しようとするわれわれに対する侮辱だというようなことを言ってきた人も現にあるのであります。でございまするから、右翼の人が全部が賛成しているというのは、私の感じとしては、どうも必ずしもそうでない。反対もあれば賛成もある、かように私は思います。しかし、われわれの政防法を作りました考えは、前々から申し上げますとおりに、暴力は一切排除したい、そうして民主主義、議会政治というものを今日の日本において確立することが一番肝心である、こういう確信を持っております。今のような、右翼の一部に賛成がある、あるいは反対があるということにかかわりなしに、いやしくも暴力は、個人的であると集団的であるとを問わず、排除したい、予防したいという信念に変わりはございません。まあ感想としてはこういう程度だと思います。
#15
○亀田得治君 これは、提案者をちょっとそろえてほしいですがね、重要な問題ですから。右翼団体から出しました声明書もここにあるわけでして、民社党さんのほうもひとつそろえていただきます。
#16
○委員長(松野孝一君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#17
○委員長(松野孝一君) それじゃ、速記をつけて。
 委員長から申し上げます。ただいま提案者衆議院議員田中幾三郎君が御出席になりました。
#18
○亀田得治君 この法案に対する右翼の動きですね、ここに日本主義連合声明というビラがあります。これは日本主義連合として松葉会、国粋会、義人党、この三団体の名前を特にその下に書いておる。こういうビラです。政防法に賛成する日本主義連合の見解――こういうことで堂々と各団体の長の写真まで入れて、ビラを刷っておるわけです。
 それから、これはきわめて最近の事件でありますが、今月の十六日、十七日に、東京の裁判所におきまして、全司法労働組合の掲示板がございますが、そこに政防法反対のポスター、これは総評で作ったものです。それが組合の掲示板に張ってあったわけですが、それを大日本愛国党の者がはいでおるわけですね。十六日は家庭裁判所、十七日は地方裁判所の掲示板でそういう事件が起きておるわけなんです。ことに十六日の場合には、それをはいだあとに、烈士山口二矢追悼国民大会、こういうビラをそこへ張りつけていっているわけです。で、もちろん本件につきましては、本委員会において、最高裁当局にも調査方を求めておるわけですが、全司法労組としては、窃盗、器物毀棄でこれは告訴もいたしております。
 こういう具体的な動きというものがこの法案をめぐって出ておるわけでして、その右翼の中に、この法案に対して賛成もあれば反対もある、そういったあいまいなものではない。はっきりと声明を出し、あるいは行動にまで出てきておるわけですね。組合の掲示板とはいえ、ともかく裁判所の構内の組合の掲示板に対してすらそういう行動をとっておる。私は理屈を申し上げるのじゃない。具体的にこういう二つの問題点を見ても、この政防法の本体といいますか、本質といいますか、どこをねらっておるか、こういうことは当然、一般の人はもう、むしろいろんな理屈よりもそういう現われてくる行動によって判断しやすいわけですね。したがってこれは、提案者としては、こういう動きについてもっと真剣に検討されなければならぬと私は思うのです。提案者のほうでは、そんなことはどもありがた迷惑だといったような感じでこういうことを見ておられるのか、そこら辺のところをひとつ聞かせてもらいたい。政防法反対のいろんな民主団体の動きについては、非常に注目をされておるでしょうが、推進するほうの側に今私が申し上げたような筋があるわけなんです。こういう現象をどういうふうにごらんになりますか。先ほど、反対もあれば賛成もあるといったような、あいまいな表現でありましたが、そこまで、私たちが心配しておるほどまで、そういう具体的な現象というものを突っ込んでお調べの上でのお答えなのか。どうもさっきのお答えではそうでもなさそうな感じがしたわけですが、もう一度はっきり、こういう現象をどう見ておられるか、それを歓迎するのかしないのか、はっきりとした考え方をしてほしい。これは自民党並びに民社党、両方から、率直な気持をひとつ聞いておきたい。
#19
○衆議院議員(富田健治君) 先ほど私申し上げましたのは、賛成もあるが反対もあるということは、あいまいというのじゃなくて、事実、私のからだで聞いておる事実を申し上げたので、そういう限りでは、あいまいでなくてはっきりしておることで、これは事実なんでございます。そうして私の感じを申し上げまするというと、この法律につきましては、それは右翼において賛成もあれば反対もある。しかし一面、左翼と申しますか、他の民主団体におきましては、非常な反対のあることも事実なんです。しかし、そういうことにかかわらず、これは賛成もあれば反対もあるということは、これはどのような世の中にもあることだ、どの事件においてもあることだと思います。ただ先ほど申し上げましたように、暴力を排除したい。個人の暴力であろうが、集団暴力であろうが、これを問わないということは、初めからそういう賛成反対にかかわらず、われわれは確固とした信念を持っておりますから、そういう一部の、ごく少数と私は考えるのでありまするが、その動きによって、この政防法をどうするかという問題は関係ない。ぜひ、こういうことがあればあるだけ、むしろ政防法の成立に皆さんの御協賛を得たい、これが私のただいまの感想でございます。
#20
○衆議院議員(田中幾三郎君) 御承知のように、この法律は、政治上の意見を民主的に通すことなく、暴力で問答無用式に政治上の意見を通そうという、暴力そのものを対象にいたしておるのであります。しかし、この法律が一般にあまり理解されずに、誤解しておる向きもあると思うのです。解釈は、それはその人の自由ですから、いろいろとその人の立場からこの法律を解釈し、理解しておると思うのですけれども、第四条に書いてありまするように、一号から八号まで対象になる行為をここに具体的にあげてありますから、この法律に触れたものは、この法律によってむろん処罰されるのであります。それからもう一つのねらいは、この中の二十三条でございますが、背後で犯人をあやつって、そうして精神的、思想的に影響力を、目に見えない影響力を与えて、その結果、犯意を決意するという場合には、やはり背後にあって、影は見えないけれども、犯罪を犯したということになりましたならば、その影響を受けて犯罪を犯したということになりまするならば、一つの因果関係と見なければならぬというので、この背後の黒い影、姿をとらえて処罰するという、今の右翼に多く行はわれているそういう形態の犯罪も処罰するというので、これは見のがしてはならない。それから、ここに団体の解散の規定はありますが、これはきわめて厳重に条件をしぼって、継続反覆して殺人を行なうという、しかも、団体活動として行なうという、すでにそれは普通の民主的な団体ではなくて、殺人団体のような形になりますから、こういう団体に対しては、個人の兇悪犯人を許すことができないと同様に、そういう暴力の団体も存在を許さないというので処罰をいたしておるのであります。したがいまして、この法案のねらいというものは、個々の暴力そのものを対象といたしておるのでありますけれども、防止する上から団体に対して、きわめてきびしい条件のもとに、そういう団体を処断するということに相なっておるのでありますから、その点をよく御理解願えれば、一体この法律は何をねらっているのであるかということがおわかりであろうと思うのであります。今右翼の中に賛成もあるし、反対もあるということでございますから、私の今の考えでは、この法律を十分に理解をしないで、この法律の中に暴力を用いて議事堂もしくは総理官邸の構内に侵入するという規定がありますから、この規定を左翼の団体活動を規制したものであると誤り考えて、その点に力点を置いて右翼の人々が賛成をしておるのではないか、こういうふうに推察をするのでありまして、よく法の趣旨をごらんになれば、あるいは解釈を十分にすれば、むしろ右翼こそこれはこの法に反対するのが――この法律をよく理解すれば自分たちが――先ほど申し上げましたような点を規制することに力点を置いておりますから、私はこの法律をよく読んでみれば、自分たち右翼の行為も規制されるのである、こういうふうに考えるのが、よくこの法律を見た上の人の考えではないか、かように考えております。
#21
○亀田得治君 答弁を、質問者の聞きたいところをぴしゃりとひとつお答え願いたいと思います。富田さんからは、右翼団体の中で賛成者もあれば反対者もある、具体的に知ってるのだというお話でしたが、右翼団体であって政防法に反対されておる団体がありましたらお聞かせを願いたいと思います。
#22
○衆議院議員(富田健治君) 私は警察当局あたりから多少聞いております。この政防法の提案者といたしまして非常に関心を持っております。そういう意味で聞いておるわけでして、今私はビラを見たこともない、話は聞いておったのでありまして、そういう賛成者があるということを聞いております。しかしながら、今お読みになりました団体の名前も三、四だったと思いますが、その他の団体では反対もある、強い反対もあるということを取り締まり当局から前に聞いたことがある。それを申し上げたわけであります。したがいまして、詳細な団体名を私がここで申し上げることはいかがかと思います。もしお求めがあれば、当局から聞いてお答えいたすか、あるいは当局から答えていただいたらいいかと、かように思っております。
#23
○亀田得治君 今おわかりになっておらぬようですから、これは後刻ひとつ明らかにしてほしいと思います。私たちが見る現象として出てきておるのは、政防法を促進する、そういう立場で動いてくるのが目についておるわけです。これはひとつ提案者としても、非常に法案の性格にもやはり関連する問題でありますから、検討してほしい。差しつかえなければちょっとこれお貸し申し上げてもいいです。
 そこで、多少理論的な問題に入ってみたいと思いますが、一つは、この本法が民主団体とこの右翼団体に対してどういう影響を与えるか。先ほども申し上げました中にも、若干そういう価値判断の問題が出ておりますが、その点について、ひとつよく考え方を聞きたい。第一の問題は、本法では罰則の強化と罰則の拡張をやっております。第二の問題は、この団体の規制の拡張。大きく分けて二つになるわけですが、第一点の罰則の拡張と強化の点ですね。これははたして、このテロなんかをやるような右翼団体、これに対してきき目があるかと、これはほとんど私はないと思いますね、そういう点では。まあ初めから処罰されることを承知でやる傾向が強いわけですから、右のほうは。むしろ、それが重なれば箔がつくといったような実情にすらあるわけですね。だから本法で考えられたような罰則の拡張と加重と、大してきき目がない。ところが、それが民主的な諸団体の場合にはどうか、これを検討してほしい。そうすると、これはもう明らかに相当な苦痛を与える。なぜなれば、いろいろな民主団体が大衆行動をやるという場合には、一つの政策的な目標というものを持っておるわけです。そうして、形としては、憲法で保障された団体行動権、まあいろいろな態様がありますが、そういう形で動くわけですね。決して、あのたくさんな方が動く場合に、おれは処罰されてもいいと、そんなことを思っている人はほとんどない。その過程で起こるそのことについての処罰ですから、これは予期されないものです、処罰される本人にしてみれば。だから、そうしますと、この罰則を強化するという面をまず取り上げてみましても、まあ一つ一つの各本条へ入ればいろいろな議論がありますが、そういうことは私はきょうはもう触れません。大まかに言って、この罰則の強化という点だけを見ても、これはもう左のほうに対してだけ事実上は向けられておる。先ほどもこの右翼団体の声明文なんかを読んでみましてもね、政防法で幾ら罰則をきびしくしても、そんなものはおそれません、こうはっきり考え方を書いておる。私はまさにそのとおりだと思うのですね、事実は。だから皆さんは、この罰則の強化というものは左右両方に対してやるのだと、主観的にはそうお考えでしょうが、出てくる結果、効果というような面から見れば、これは左の大衆運動に対してだけ適用されてくる、こういう結果になるわけなんですがね。この点はどういうふうに、この右翼団体の性格と民主団体の性格という上から見て、どういうふうに御判断になっておられるかを、これも両方から、時間があまりありませんので簡潔にひとつお答えを願いたい。
#24
○衆議院議員(富田健治君) ただいま刑罰の加重の問題に関連して、右翼にどういう影響を与えておるか、左翼にどういう影響があるかという御意見のお尋ねがあったのであります。私は、右翼に対しては効果がないと、現にビラにこう書いておるじゃないかというお言葉がございましたけれども、ビラに書いておることがそのまま本心であるかどうかは、私は実は疑うのであります。私は必ず効果があると、かように確信をいたしております。と申しますことは、社会党からお出しになりました政治的テロ行為処罰法案にも非常に刑罰は加重になっております。しかもその対象が、右翼テロと申しますか、個人テロが対象になっている。これはやはり同じようなお考えで、同じような確信というか、お考えのもとでああいう加重規定ができたのじゃないかと私どもは思うのでありまするが、まあビラなどで強がりを言っておるのでありまして、やはり刑罰が加重されれば、それによって暴力の防止、排除には役立つと、私はかように思っております。
 それから左翼に対してと申しますか、一般の大衆運動に対する加重ということは抑圧になるのじゃないか、これに対しては非常な抑圧法規になるのじゃないかという御意見でありますが、これにつきましては、私は条件があると思うのでありまして、先般来申し上げますように、左右を問わず、いやしくも暴力を排除いたしたい。それは大衆であろうが、個人であろうが、暴力というものに重点を置いておりますから、暴力である、たとえば、国会〉か総理官邸への侵入という場合も、不法に暴行または脅迫して侵入する、不法に侵入する、あるいは、さくや門な乗り越えて不法に侵入する、あるいは建造物、器物を破壊して不法に侵入する、いずれも不法ということでございまするから、私は大衆団体に対します行動につきましては、それは正当な詰願陳情である場合には、これに対しては何ら抑圧すべきものでないという規定もございます、御承知のとおり。正当なる労働組合運動に対しても、これを抑圧するようなことがあってはならぬという規定もございます。また大衆行進、大衆の集団、いわゆるデモ行進に対しても、これを抑圧するというようなものであってはならぬというような規定もございますのですから、ちゃんと限界はできておる。ただ暴力、不法ということがあった場合には、これにこの法規の適用があるというのでございまするから、左翼ばかりをねらって、それに非常な悪い影響があるとは考えない。しかし、それは暴力になれば、これは当然対象になるべきものだ。それで暴力を排除いたしまして、ないようにしまして、民主主義、議会政治の確立を期したいというのが提案者のわれわれの考えでございます。
#25
○衆議院議員(田中幾三郎君) 富田議員の御意見と全く同感でありますが、この刑罰の拡大といいますか、この法律の対象になるところの暴力行為は、先ほど申しましたように、影響力を与えて犯罪を犯すということ以外は、全部刑法に、もしくはその他の法律に作られておるところの犯罪行為であって、新しい暴力を、先ほどのところ以外は創設したものではないのであります。でありまするから、この法律を思いついた動機は、社会党さんも同じであったと思うのですけれども、河上委員長、岸総理が刺されまして、浅沼氏が凶刃に倒れ、嶋中邸にテロ行為で乗り込んだという、直接にはあの事件が動機になって考えられたのでありますから、私は、右翼の中にそういう、こんなものはおそろしくないという大胆不敵なことを言う者があっても、やはり取り締まりとしては法律が必要であると私は思う。ですから、そういう大胆不敵な者がたまにおるからといって、この法律ができても何ら効力が上がらないとは考えられないのであります。ただ、その左翼の取り締まりに最も痛手を負うというのは、どこをおさしになるのか知りませんけれども、おそらく第四条の六号の、総理大臣の官邸、国会の構内に不法に侵入するという点だと思うのですけれども、これとても、団体そのものをこれは規制はしておらぬのであります。行為はどこまでも、さくをこわすとか、へいを乗り越えるとかいう、団体でなくとも、個人の行為もこれは処分するのでありますから、ただ、ここで一言時間のお許しを得て御説明しておきたいことは、実は、最初自民党の法案には、不法侵入の規定に、多数が共同して構内に乱入するということが書いてあった。これは明らかに団体の行動を規制するものでありましたから、私どもはこれに反対をいたしまして、多数の者が構内に入るということだけでは、これは犯罪にならぬじゃないか、どこまでもこの法律は暴力を取り締まる法律であるからして、暴力がなければ処罰ができないというので、これを大幅に……私どもの意見を申し上げまして、構内に入るにしても、官邸に入るにしても、暴力を使っていく者でなければ処罰の対象にはならない、団体の行動だけでは犯罪にならないと言って、いわゆる団体の行動を規制するような意味の条文でありましたものを、このように暴力行為を処罰の対象にしたのでありまして、私は、民主団体の適法な運動には何ら制約はしていない、かように考えるのであります。
#26
○亀田得治君 どうも答弁が、的が少しはずれましてピントが合わない。各条の罰則の問題などは私も十分研究しております。最初にも申し上げましたように、本日は総括的に聞いておるわけなのです。右翼団体と左翼団体の性格という点から見て、罰則の加重、拡張というものがどういう影響を与えるのかと、そこの価値判断を求めておる、比較して。そういう点については、どうもはっきりお答えにならないで、ただ各条文上の語句を部分的にお取り上げになって意見をお述べになっても、私の質疑に対するお答えにはならないわけです。もう少し……、私としては、この法律に関するこまかい各条文は全部研究している。それを総合して、最初ですから、今性格的にお聞きしているのですから、富田さんのこの法案に対する大まかな考え方をぴしゃっと答えてもらいたい。私と意見が合わなくてもいい、それは仕方がないですから。それを再度お願いしておきます。
 それから第二点は、団体の規制の問題です。この点についても、私はこの団体規制というものは、右翼団体には全くこれは無力、無効果ですね。左の民主団体に対してだけこれはきき目を現わしてくる。これは法文の上では、なるほど右も左もだ、こう対象になっているのです。しかし、実際上の適用の立場から見たら、そうはならない。そこの理由を私は二つ申し上げますから、お前の理由は間違っておるというなら、端的にひとつ御指摘を願いたい。そういうふうにひとつ答えをやってもらえませんか。第一の問題は、右翼団体の性格です。これは普通の民主団体などとは違うわけです。親分子分でずっとつながっておるわけなのです、何か行動を起こす場合に、会議を開いたり一定の機関を通すという性格のものではない。だから、こういうものに団体の規制を加えて、いや解散じゃの、いや機関紙の停止じゃの、いや役員の活動の規制じゃの、そういうことをやってみても、たいしたこれはきき目というものがありません。これは性格上そう言える。ところが、民主団体のほうはどうかといいますと、これは動こうとすれば、必ず会議を開いて一つの機関を通さなければ、これは動けないわけです。どんなにすぐれた人がおりましても、一人で動くわけにはいかないことになっているわけです。だから、こういう民主団体に対して、ある一人の人をつかまえて、お前は政治的暴力行為をやったからというので、一番ゆるい団体規制をやるとしても、その人を団体の活動から排除する、こういうことをやられますと、その人がもし団体の重要な機関にある場合には、その団体としては非常な活動上の支障を来たしてくる。解散をやったような場合は、なおさらです。機関として動く団体と、そうでない団体の性格がまるっきり違うわけなんですね。だから、そういう点をこれは多数の法律専門家も指摘されておる点なんでありまして、私だけの見解でもないわけです。そういうふうに団体の性格が違うのに、この団体規制というものが両方に平等にきき目があるのだ、そういうふうにお考えになっておるのかおらぬのかということを端的にひとつ、そうして私のこの二つの団体に対する批判が間違っているなら間違っていると端的にその点に焦点を合わして考え方を聞かしてほしい。
#27
○衆議院議員(富田健治君) それじゃ簡潔にお答え申し上げますが、右翼団体と大衆団体との団体構成といいますか、それの相違については、私も全然亀田さんがおっしゃるのと御同感でございます。ただ、きき目ということのお話がございましたけれども、われわれはたびたび申し上げますように、暴力を排除いたしたいというところから来ているということと、それから大衆団体に対する影響を考える場合でも、大衆団体を今解散のお話がございましたが、解散をひとつとりますれば、こういった殺人をやって、しかも、将来継続的に反覆してまた殺人をやるという団体に対して団体規制をやる、あるいは解散の場合がある、こういうことでございますから、そういう暴力といいますか、犯罪行為が行なわれる、それにきき目がどうということになると、私はちょっと見解を異にいたしまして、大衆団体であろうが、ああいう殺人をやる、ああいう傷害事件を起こす、逮捕、監禁、暴行、脅迫等のあるものに対しては、いわゆる暴力でございますから、その犯罪行為を行なうことを除きたい。きき目があればそれでいいじゃないか、それで暴力をなくしたらいいじゃないかとさえ私は思っているのです。
#28
○亀田得治君 お答えの途中ですがね、きき目があれば、それでいいじゃないかということを聞いているわけじゃないのです。私の申し上げるのは、団体の性格からいって、どちらに一体痛いのか、それを聞いているのです。団体の性格については、あなたは私の意見と同感だ、こうおっしゃった。それならば結論も同じにならなければいかぬわけなんです。ここで性格分析が一緒でも、結論は違うと言うのなら、そこだけをおっしゃってもらったらいいのです。何も左の団体だから殺人をやっても差しつかえない、そんなばかげたことを――そうあなたがおっしゃったわけじゃないが、そんなことを考えているわけですね。問題点をそらさないようにひとつ冷静な審議をやってもらいたい。結論はどうなんですか。団体の性格が違うことをあなたがお認めになって、それで私の肝心の結論の聞きたいことは、きき目の点です。痛さの点、これはどうもあやふやなんです。ほかのことをしゃべられる。
#29
○衆議院議員(富田健治君) 私が申し上げたのは、団体の性格の違うことは認める、これははっきり申し上げます。ただ、きき目の点でおっしゃったものですから、今のような見解を申し上げたのでありますが、私は右翼に対してもきき目があるとおっしゃれば、私はきき目がある、先ほども申し上げましたように。
#30
○亀田得治君 ないとは言わない、違うと……。
#31
○衆議院議員(富田健治君) 違っても、片方は非常に痛い、片一方はこたえないというお話がありましたが、私は右翼にもこたえる、かように思っております。それは団体の構成が違うということとは関係なしに、きき目の問題は両方とも同じだ、私はかように思っております。
#32
○亀田得治君 きき目があるとかないとか、右か左かというのじゃなしに、程度を私はお聞きしておるんです、どうなんです。
#33
○衆議院議員(富田健治君) 私は程度も同じだと考えております。
#34
○亀田得治君 そういう認識では、この法律というものを単に形式的に解釈され、また立案されるわけでして、はなはだこれは立法の態度からして考え直してもらわなければいかぬと思うんですね。先ほどの罰則の問題だってそうなんです。あまり話のピントが合わなさ過ぎるから、次に移ったわけですから――一方は、なに多少の罰則くらい何でもない、こう考えておるものと、そうでない一般の市民とは、それはあなたきき目は大違いですよ。私の意見になりますから、これはひとつこの程度にしておきます。
 それから、たとえばこの法律によりますと、政治的暴力行為をやる前に、実行者が退団をして、団体を退いて、擬装的な退き方はこれはもうだめですよ。擬装的な退き方は、これは当然擬装だとして、まだ団にあるものとして追及できます。しかし、そうじゃなくて、ほんとうの意味で退団した、そうして実行したという場合には、これは右翼団体にも法律上これはかかれないわけでしょう。ところが、左の場合には、退団して実行ということはあり得ないです。これは一つの機関なり、そういう大衆的な行動としての動きしかあり得ないわけですから、退団して実行するというようなことは考えられないわけです。その一つの点だけとってみたって、非常に団の性格が結果に影響を及ぼしてきておるわけです。だから、こういうふうなことになるから、最初私がお示ししましたように、いろいろ検討していくと、右翼団体のほうではこれはたいしたことはない。これは結局左の民主団体をやっつける法律だ、やれやれ、こういうことなんです。これは法律の冷静な分析からそういう結論が出てくるわけです。ほんとうにそれが右翼団体にもかかってくるものだということが明確であれば、私は態度は相当違ってくると思うのです。十二時半くらいまでですから、この程度にして、ひとつ私の意見を検討してほしいと思います。
 それからもう一点大事なことは、今まではこの法律は右翼団体か左翼団体か、こういう角度で議論されてきておりますが、もう一つ重大な問題は、国会の中のいろんな与野党の紛争、これはまさしく政治上の主義、施策のために賛成したり、反対するわけです。そういう目的をもって本法の第四条に書かれているような問題、たとえば、あの中には強要といったような問題があるでしょう。法律的に強要というと、きわめて何か乱暴なようなことにもなりますが、必ずしもそうではないのです、実際の事態というものは。しかも、強要の未遂ですね、こういうことも処罰対象になっているわけですね。そういたしますと、院内におけるそういう紛争に対しましても、この法律というものは、今までの法律よりも重い義務を課してくることに全体としてはなるわけなんです。そういうふうに理解していいかどうか。お答え願いたいと思います。
#35
○衆議院議員(富田健治君) 院内の問題でございますが、これは立案の過程においてもいろいろ研究といいますか、議論もあったのでありますが、御承知のとおり、院内におきましては、議員として言論、表現の自由というものが保障されております。院内においては、免責特権がございます。また殺人以外の犯罪につきましては、逮捕の許諾をを院に求めなくちゃならぬというようなことは、御承知のとおりでございます。こういうことから考えまして、議員の行動、言動というものについては、非常な保障があり、特権があると思うのであります。そういうことからいたしましても、今理論的にはあるいはこの法律に、主義主張の目的をもって支持、反対ということ、それによって規定されているような、ここにあげられるような暴力が行なわれれば、理論的には今御指摘のようなことがあり得るかもしれませんが、ただいま申し上げたいろいろな議員には特権、自由というものが認められておりまするから、そういうまたワクの中で考えられる問題じゃないかと思いますから、実際問題としては、これがすぐ問題が起こると、強要的な行為があるとすぐこの法規の適用があるというものではないのじゃないか、かように提案者としては感じて、考えましてこの法案を出したような次第でございます。
#36
○亀田得治君 これは、衆議院の三十六年五月二十二日の速記録でありますが、その中で提案者側の一人である管委員が意見を申しておりますが、「この法案が成立する以上、一番まっ先にわれわれは院内における乱闘のごときは慎まなければ、これはぴしゃっとやられるのであります。」、こう言うておるのです。同じ意味のことは他の委員の方もほかの場所で言うております。こう、きわめてはっきりしている。「ぴしゃっとやられる」――割り切っているのですね。院内の問題というものは、なかなかこれは高度な政治的な問題等が背景になってくるわけでして、いるいろ問題があるわけです。しかし、こういう問題点については、もしこの政防法の審議というものがまだ行なわれるとすれば、あらためてこればもっと議論をしてみたいと思いますが、もう時間もないようでありますから、あるいはそれは触れることができないかもしれませんが、あなたが今この問題につきまして、議員には免責特権等がある、だから、すぐはいかないのではないか、こういうふうにもおっしゃられましたが、まあこの点、少し考え方に混乱があると思うのですね。この管委員がおっしゃっているのは、実体法の適用の面においての話をされているのだと思うのです。その適用さるべきものについて、いかにこれを取り扱うのかという点については、また別個な問題があります。だから、そういう別個な問題を抜きにして、法律だけを考えますと、院内の紛争につきましても、この法律は重い義務を課してくる、こういうことに一応とれるわけですね。そういたしますと、右翼団体と民主団体だけじゃないのでありまして、私たちのほうがもう少しこの法律というものをしっかり検討してみなきゃならぬということにこれは一応なるわけなんです。これは田中さんはその点どういうふうに御解釈されておりますか。
#37
○衆議院議員(田中幾三郎君) 先ほど来しばしば申し上げておりまするとおり、この法律は刑罰の対象として別に新しいものを作ったわけじゃないのです。われわれが想定したのは、先ほど申しましたように、背後の黒い影を処罰するということで、二十三条を新しい形で初めてここに条文を入れたのですけれども、四条の一号から以下の行為というものは、従来の法律でも処罰できる。ただ政治上の主義、信条を通すために、処罰を重くはしましたけれども、犯罪の対象は別に形の変わったものがふえてきたわけじゃないのですから、この法律ができたからといって、従来におけるところの刑法の対象になっておる刑罰の犯罪行為の取り扱いが変わったわけじゃないのですから、私は、この法律ができたからといって別に新しいことができてくるのじゃなくて、従来も刑法によっても処罰できたのですから、私はその点については御懸念の必要はないのじゃないかと考えます。
#38
○亀田得治君 まあそんなことを一々あげつらう今段階じゃないから、こまかいことを、私は軽くそれを聞いていたわけですが、あなたはさっきから、従来と比べれば広がっていないということを盛んにおっしゃいますが、そんなことはないですよ。これはたとえば第四条第七号、これはちゃんと従来にないことですがね。これは罰則の面では二十三条として規定されておるわけでしょう。これは明らかに刑罰の拡張でしょう。それから従来あった刑罰に対して、刑期などを重くしているわけです。だから、そんなことを、私たち全部こちらも調べて申し上げておるわけですから、そんなことは一々お答え願わぬでもいいのですが、そんな事実でないことをことさら何回もおっしゃいますと、これは提案者が少し自分の法案を忘れているのじゃないかと、こちらがおかしな気になりますから、これはちゃんとそう書いてあるのですから、加重し拡張しているわけです。ことに二十三条のごときは、このような拡張は、はなはだ従来の刑の体系を乱すものであるということで、これは痛烈な、相当中立的といいますか、保守的な傾向を持った刑法学者だって、批判しておる問題すら含まれておるでしょう。だから、そんなことははっきりしておるので、お答えいただく余地もないと思います。そこで、これは明らかに国会内における紛争についても、この刑の加重であり拡張になるんです。そこで、もう一つ聞きたいのは、私たち社会党は、そういう紛争に関連して起きた刑事事件の扱いにつきまして、検察権が勝手に発動していいとは考えておらないのです。その点は、先ほど富田さんがこういうふうな意味でおっしゃったのかわかりませんが、そういう点で一つの防波堤というものがあるわけなんです。それは何かといいますと、国会内の紛争というものがありましても、これはやはり第一次的には議長、国会自体が持っておる懲罰権で、国会の自律権に基づいて、これは処理をしていくべきものだと考えるのです。ところが、国会自体が、これは非常に重いから国会の懲罰権だけではいけない、さらに刑事的な問題にもしなきゃならないと、国会自体が考える場合に、初めて検察権というものは出てくるべきものである。社会党はこういうふうな考え方を一貫してこの問題については持っておるのです。そういう考え方が自民党なり、民社党さんのほうにはっきり確立しておれば、この実体法の面で刑の加重なり拡張がありましても、そんなよけいな心配は要らないというふうに考えておるんです。したがって、この検察権の発動というものと、国会の懲罰権、自律権との関係というものをどういうふうに理解しておられるのか、これはきわめて重大な問題でありますから、ほんとうはこういうことは自民党の最高の責任者から実際は聞きたい問題でもあるわけなんです。富田さんにお答え願えないならば、よく御検討の上でお答え願ってもいいですし、学者の中にもいろいろ議論のあるところです。それは、どういう御見解でしょう。
#39
○衆議院議員(富田健治君) ただいまお尋ねがございましたが、私の了解いたしておるところは、最近の東京地裁の判決が亀田委員の御質問にお答えするものじゃないかと思うので、おそらく御存じだろうと思うのですが、それは私の了解する限りでは、犯罪の捜査権はやはりある――今検察権の発動について、国会自体が発動しなければ云々というお話がございましたけれども、捜査権はあると、こういうふうな判決があったように思うのでありますが、これは法務当局から、最近の判決に関連がございまするから、お答え願ったほうがいいかと思いますが……。
#40
○亀田得治君 法務大臣、どうですか。ほかの方はいいです。事務的に答える問題じゃない。これは私の参議院事件についてのことを富田さんはおっしゃっているのでしょうから、これは私が一番知っているわけです。ところが、これは一裁判官がどういう見解を出したとか出さぬとか、そういうこまかい問題ではないです。何も自民党だけがいつまでも絶対多数でおるわけでもないし、ここら辺の判断は一つ間違いますとたいへんな問題になるわけです。だから、これは何もそういう判決が出ているわけではないのです。鑑定人の判断などは相当数出ているわけです。で、いわゆる三権分立という立場を今の憲法がとっておるわけでして、お互いに権限を侵さない。ほかの分野で起きたことを尊重していく。実際問題として、また他の分野の人がここに入ってきて、ここの中の紛争を調べようと思っても、これはちょっとできないわけですね。平生からいろいろなことを知っていなければ、結局は形式的な調査になってしまう。これは実際にやってみればそうなんですね。だから、いろいろな問題等があるわけでして、一歩誤れば、国会の動きにおかまいなしに、どこかで突き当たったら、それは暴行だというので検察官が調べるということになれば、これは検察官のこの一つの無理というものが、そこでまた通る場合もある。あるいは検察行政というものは、法務大臣が指揮権を持っているわけですから、反対党のやつを押えつけてやろうと思えば、それが楽にできることになるわけですね。これは、各国ともこの問題はもう非常に苦心をしてきた歴史を持っておる。たまたま私がこういうことをお聞きするのは、この法律というものが、国会の中の紛争にも、実体法の面からいうならば適用されるのだ。しかも、菅委員なんかがぴしゃりと、こう言いますからね。はなはだ割り切っておるわけですね。そうなりますと、私たち、ほんとうに政治活動をやっていくという立場から考えますと、簡単にこれは、そこの点、私が今指摘した点の考え方というものが、政府なり民社党提案者の方々の中ではっきりしない以上は、非常な問題になるわけなんです。一検察官や裁判官の判断の問題じゃありません、これは。だからこれは、ぜひ提案者のほうで真剣に検討してほしい。鈴木義男さんは、はっきり私たちと同じ見解を持っておられるのです。そういう見解であれば、これが形式上国会内の紛争に適用があるとして、一つに、手続上の面で、大きな防波堤というものが、そこにできる問題点というものが非常に変わってくるわけですね。問題点は御理解願えたと思うのですが、今、そういう点についての結論的なお答えを願えるかどうか。願えなければ、これは後日でもけっこうです。たくさんの学者でもみんな苦労しておる問題ですから……。しかし、こういう法案が出た以上は、その点も明確にする義務が、私は政党としてあろうと思います。
#41
○衆議院議員(富田健治君) お答えいたします。
 いずれ、この問題は非常に重要でございまするから、提案者といたしまして、さらに研究をいたしまして、お答えをいたしたいと思います。ただ、先ほど菅委員の言葉をたびたび御引用になったようでありますが、菅委員は、私も聞いておりましたが、御承知の通り、質問をされたのでありまして、本人の意見はそうでありましたが、必ずしもわれわれはそれに同調しておるわけじゃございませんから、この点は御了承願いたいと思います。
 それから、ただいま捜査権、検察権の発動の問題につきましても、私といたしましては、必ずしも亀田さんの御意見に同調いたしておりません、今日ただいまの場合に。しかし、ただいま申しましたように、さらに十分提案者としまして相談をいたしまして、研究いたしまして、後日お答えをいたしたい。こういうふうにさしていただきたいと思います。御了承願います。
#42
○亀田得治君 田中さんも後日ですか。
#43
○衆議院議員(田中幾三郎君) 同様です。
#44
○亀田得治君 これは、鈴木義男さんの御意見は、私は前から拝聴しているわけでございまして、ひとつ食い違わぬように御研究を願いたいと思うのです。
 それから、菅委員のことについて、ちょっと御釈明がありましたが、同じ日に、林委員も国会内の紛争についての同じような意見を述べておるわけです。だから、決してこれは、単に一菅委員とか一林委員ということではないのではないかというふうにわれわれとしては感ずるわけですね。よくその点も含めて御検討を願いたい。
 それからもう一点は、本法が国会内の紛争にも適用があるということになりますと、検察権の発動に関しましては、今お答えがありましたように、これは、よく研究をしてもらって、お答え願うことにしますが、もう一つ問題があるわけです。それは、刑罰のほかに団体規制があるわけですね、この法律で。そういたしますと、野党、あるいは各会派、これはみんな団体であります。当然国会内における行動というものは、社会党にいたしましても、団として決議をしてこれは行動をとるわけです。だから、一応適用があるということになりますと、団体規制の面もこれは一応適用になると、こういうふうに当然これは理解されるわけですね。そういうふうに承っていいでしょうか。
#45
○衆議院議員(富田健治君) これは、理論的にはそういう考えもできるかと思います。しかし、先ほどもお話しございましたように、高度の政治性といいますか、高度でなくても、低度の政治性をもちましても、今日の時点で考えましても、国会の中の国会関係の政党――与党、野党、また野党が与党になられる場合もございましょうが、あらゆる政党が、この法に規定するような政治的暴力行為をやるということは、ちょっと私は考えられないことではないかと思うのでありますが、したがって、特にそれが問題になりまして、殺人をやったから解散の適用をする、あるいは六カ月、四カ月の規制を受けるということは、まず考えられぬのではないか。理論上は、あるいは亀田さんの御心配のようなことは起こり得るかもしれませんが、現実の問題としては考えられないことではないかと、私はかように思っております。
#46
○亀田得治君 それは富田さん、そんなに簡単に考えられませんよ。まさか野党が院内で殺人なんということは、そんなことは考えられませんよ。私も、何もそんなことを頭に置いて申し上げているのではないのです。たとえば、第四条の第四号、これは強要ですね。無理に会うてくれといったようなのが、そういうふうにとられる場合があるわけです。ところが、この一例を引きますと、第七条ですね。「団体のためにする行為の禁止」これはゆるい規制ですが、第七条の第二項を見ますると、「公安審査委員会は、団体の役職員又は構成員が、当該団体の活動に関し、又は当該団体の目的の実現に資するため、第四条第一項第二号から第六号までに規定する行為を行ない、」ずっとあとへいきまして、「又は同項第四号若しくは第六号に規定する行為の実行に着手してこれを遂げなかったと認めるに足りる十分な理由があるとき」と、こう書いてあるわけでしょう。そういたしますと、強要をして面会の目的を達したということでなしに、その面会までいかないのだ、 いかないで、未遂になっても、これが適用になってくるのですよ、理論上は。そんなことは、国論を二分するような大きな問題等になれば、これはもういろいろあり得ることなんです。これはお互いによくわかっていることですね。それはまさしく当たるのですよ、それに。それじゃ、そういう場合にこれが適用されてくれば、そういうことをやりた当該役職員または構成員に当該団体のためにする行為をさせることを禁止することができる。ところが、その際に、日本社会党の書記長がその采配をふるっておった、それから廊下に立っておれば、そういうふうな感じを与える場合もありますよ、それは。そういったようなことになりますと、書記長は四カ月間じっとしておれ、こういうことがこの公安審査委員会から出てくる。なかなかそういう結論は、簡単には書記長の場合なんかには出せぬと思いますが、理論的にはなるわけですね。殺人といったような、そんなことは、私は全然考えていません。だから、こういうことにつきましても、これは別に、まだ法律学者の間で、そういう公安審査委員会の発動と国会の自律権との関係といったようなことについては議論がない。検察権の発動と国会の自律権の関係というものは、これはずいぶん議論されておりますが、ただ、こういう団体規制という問題があるものですから、そういう行政権の介入というものは、国会の動向におかまいなしにやり得るわけですね。理屈どおりでずっといけば、やり得るでしょう、理屈どおりでいったら、強要なんかの場合。それを、富田さんのお答えですと、いや、そういう工合に簡単にそんなことをやられちゃ困るなと、あなたのお気持は、どうもそういうところにあるようです。しからば、それをどういう立場でそういう勝手なことをさせないと言うことができるのかということを明らかにしてもらえば、こちらはそれで理解できるわけです。
#47
○衆議院議員(富田健治君) ただいま御指摘になりましたが、公安審査委員会というものがございまして、これは、相当公正に取り扱われることはわれわれも期待もし、また事実そうだろうと思うのでありますが、これが、私は今のような御心配を取り除いて考えられる一つの機関じゃないかと思います。
 それからさらに、理論的には、今お話のような強要というような問題も、与野党の激突の場合にあり得ると、これも私はあり得ると思います。しかし、そのときに、すぐそれを中心にしまして、それを問題にしまして団体規制が行なわれるということがあり得るかどうか。これは理論的には、亀田さん御心配のようなこともありまするけれども、これをやるなら、私は、そういうやり方はもうファッショだと思います。この法律を適用して、すぐに団体規制をやる、あるいは団体のための行動の制限を書記長に対してやるということになると、これは私は、ファッショじゃないかと、かように考えます。そんなことはもう断じてないと私は確信をいたす次第であります。
#48
○亀田得治君 だから、そういうことがあり得ないということであれば、法規上国会内における紛争については別だといったような意味が明確にされれば、それでいいんです。もしそれがされないのであれば、されない場合には、もう一つやり方があるわけですね。何かといいますと、法務大臣が検察庁に対して、検察庁法十四条による指揮権を持っておる。だから、検察庁との関係などについては、現行法を別に変えなくても、自民党がそういう考え方を持てば、これは、検察庁と国会の関係というものは適正にやっていけるわけなんでして、このことは、団体規制の関係でも同じなんです。まず公安調査庁の長官が動くわけでしょう、そういうことになるわけですから。で、この公安調査庁の長官に対しては、法務大臣というものが指揮権を持っていると思いますが、もし持っておれば、私が今提起したような問題について、自民党は、法律に書いてなくても、勝手に公安調査庁長官が出てくるようなことはさせないんだと、あくまでも国会の意思自体というものがまず明確になることが必要なんだ。国会の意思自体がそういうところまでやれということになれば、これはまあわれわれお互いのこれは機関なんですから、仕方がないわけですね。したがって、そこがひとつ、実は法務大臣にもちょっと聞きたい点なんですがね。もし自民党がそういう私が申し上げるような考え方に立てば、現行法上、法務大臣の持っておる公安調査庁長官に対する監督権といいますか、そういう立場からこれはチェックができるのかどうか、法規上ね。検察庁法十四条のような条文と公安調査庁との間では、私ちょっと時間がありませんで、調べがついておりませんので、どういう関係になっておるか、そこをちょっとお答え願いたいと思うのです。
#49
○国務大臣(植木庚子郎君) 公安調査庁の行政の運営につきましては、法務大臣は、検察庁に対する場合よりもさらに強度の指揮監督ができるような建前になっておりますから、したがって、その運営についていろいろ指揮もし監督もすることは十分できると、こう考えております。しかし、ただいまのこの条文の問題については、今直ちにお答えは保留さしていただきたいと思います。
#50
○亀田得治君 この制度上、そういう指揮監督権があれば、おそらく団体規制の点についても、指揮監督権の中に含まれていいんじゃないかというふうに私も感じますが、しかし、これはまあ多少研究の余地もまだあろうと思うが、ともかくそういうわけでして、私たちが一番心配しておるのはそういう点ですね。提案者側における、国会の紛争について国会自体がまず第一次的に処理していく、その考え方と検察権なりあるいは公安調査庁の関係の団体規制に関する権限との関係、これを明確にしてもらいませんと、この法律は、いや右だ左だというて、盛んに院外では議論されておるわけですが、もう第一次的には、われわれ自体が実は問題になってくるわけでして、あるいはこういう点は、立案の過程では十分御検討にならなかったかもしれませんが、しかし、法律ができてしまえば、やはり法律は独自の歩みをするわけですから、御研究願いたいと思います。
 あとの問題に入りますと長くなりますので、大体一こま終わりましたので、一応本日のところは、この程度で私の質問を中止しておきたいと思います。
#51
○井川伊平君 亀田委員の質問に関連いたしまして、一点だけお伺いいたします。
 提案者の富田さんにお伺いいたしますが、先ほど亀田委員の御質問で、団体規制に関しまする効果は、左団体と右団体で受け方が違うのじゃないか。痛さが違うのではないか。だから不公平ではないか。だから、この法律はそういう点において欠陥があるのではないかというような御趣旨の御質問がありました。これに対して、そうではない。結局、左の団体にも右の団体にも政防法の期待するところの目的を達成するのに十分な効果があるのだという御趣旨でありましたが、この御趣旨は、団体規制に関しまする効果の問題に制限して亀田委員は聞いておる。お答えはそうではないようでありまして、政防法全部の規定を通じた総合的効果においてお答えになっておるように聞こえたのですが、この点を確めます。たとえば、団体規制に関しまする部分については、亀田氏の言うとおりであるかもしれない。しかし、他の一面で、殺人及び傷害に関する規定、それに牽連する諸規定、こういうものは、かえって左の団体には痛痒を感じないことで、右の団体には非常な痛痒を感ずることである。だから、政防法全体を通じて見るときには、平等と申しますか、十分の目的を両団体に対して達し得るという自信があるのだという御趣旨でありますか。この点を確かめておきます。
#52
○衆議院議員(富田健治君) 私、先ほど団体規制の問題できき目が同じだと私は思うと申したのは、大衆団体に対してだけ非常にきき目があるじゃないか、右翼の団体に対してはきき目がないじゃないかという御趣旨のように私は聞いたものでありますから、そのきき目が左翼団体だけにきいて、右翼はきかないわけじゃない、私は両方ともきくと思います。かように申したのであります。
 それから今、井川さんのお尋ねになりました全体の問題としては、われわれはもちろん暴力排除をねらっておるのでありますから、右翼たると左翼たるとを問わず、すべての団体についてきき目があると私は思っております。
#53
○加瀬完君 いろいろ亀田委員からも問題が提起されまして、なかなか必ずしも提案者の御説明だけでは納得できない多くの問題も含んでおるようでございますので、この際、次の資料をお願いをいたしたいと存じます。
 この前の右翼テロのときにも、資金源の調査についていろいろ問題が提起されましたが、この右翼資金源の調査の結果を報告していただきたい。次には、公安調査庁が事件とした件数、これが判決の結果及びその論旨の概要。次は、公安調査庁の調査費、特に依頼調査等が行なわれておるといわれておりますが、これらについて明細を出していただきたい。次に、戦前戦中の治安立法下における非合法団体の地下活動の状況、さらに、地下活動家の働きかけによって、民主団体が危険団体と目されて、取り締まりまたは規制を受けた事実の有無、その概要。次は、公安調査庁の現在までの調査概要並びに基本的人権擁護の上の留意点。次は、最近数年間の公安調査官、警察官等の人権侵害行為の年次的件数、その内容、以上の資料をお願いをいたします。
#54
○委員長(松野孝一君) 委員長から申します。今、加瀬君から要求しました資料、いかがですか。
#55
○政府委員(関之君) だいぶ私の役所に対する資料のお求めがあるようでございますが、公安調査庁の調査して請求を求めた事件の件数とか、あるいは調査活動費、それらの点は直ちにできると思いますが、たとえば、この中で、戦前における、及び戦中における治安立法と、そこで取り締まられた団体と、その団体の地下活動によって働きを受けた、こういうことはどうも少し、どこでやることになりますか、なかなかむずかしい問題で、調べもなかなか今つかないと思う状況でございまして、ごく概観のものならば、市販に出ておる図書から調べるというようなことになろうかと思いますが、その点は、そういう意味で御了承をいただきたいと思うのでございます。
#56
○加瀬完君 これは、法案審議に非常な重要性を持つと思うのです。といいますのは、拡張解釈をすればきりがない。それが一体、基本的人権というものがどの線まで守られていくだろうか、こういう心配の点が、衆議院の審議を通じても、るる委員の中からも、あるいは参考人の方々からも述べられておる。そこで、私たちは新しく審議を参議院でするとすれば、結局、われわれの経験をした過去において、地下活動家の扇動といいますか、教唆といいますか、幇助といいますか、こういう形によって、何でもない民主団体がどのようにいわゆる処罰規制の対象にされたか。あるいは厳格な治安立法のために、かえって地下にもぐって、地下活動というもので治安を逆に乱したか、こういう実情というものを知りませんと、この審議の実際に確証が得られませんので、できるだけこの点、まあ調査の上お出しをいただきたい。希望を重ねて申し上げます。
#57
○委員長(松野孝一君) それじゃ、政府当局に申し上げます。加瀬君の要求については、できるだけ調査して御提出願います。
 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は次回に続行することとし、本日はこの程度にとどめます。午前の審議はこの程度とし、午後は、一時四十分から再開することといたしますが、委員会の再開に先だちまして、午後一時三十分から、委員長及び理事打合会を開きます。
 これにて休憩いたします。
   午後零時二十六分休憩
   ――――・――――
   午後一時五十九分開会
#58
○委員長(松野孝一君) これより法務委員会を再開いたします。
 まず、昨日衆議院より送付されました裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案を一括議題といたします。
 前回に引き続き、質疑を続行いたします。ただいま出席の当局側は、法務省の津田司法法制調査部長、最高裁内藤事務次長、同じく守田人事局長であります。
 質疑のおありの方は、順次御発言下さい。
#59
○亀田得治君 時間がほんのわずかになりましたので、ぜひ確かめておきたい問題だけを二、三より出してお尋ねしたいと思います。
 一つは、代行書記官のずっと前から問題になっておるものですが、元来これは、昭和二十四年の法改正のと史に、経過的な措置として、附則の第三項で、いわゆる代行書記官、こういうことを設けたわけですが、もう十何年にもなるわけなんですね。で、その当時の考え方、気持からいったら、もうとっくに処理ができていなけりゃならないはずのものだと思うのです。そういう意味では、たいへん残念だと思いますが、最高裁としてどういうふうにお考えになっているのか、こまかい点をお聞きする前に、ひとつ根本の考え方を明らかにしてほしいと思います。
#60
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) ただいま御質問のございました書記官の代行制度、まことに御指摘のとおり、これは暫定的なものとして法律に定められたものでございまして、当然早急にその制度について処理すべきものであることは、まさにお説のとおりであると存じます。御承知のように、新しい裁判所の制度ができましてから、裁判所書記官の地位を高くいたしまして、任命資格を上げますとともに、その研修制度を作りまして、裁判所書記官制度を確立することが最高裁判所の一つの方針として打ち出されたわけでございます。その意味におきましては、今日まで着々としてその裁判所書記官制度というものを作り上げてきて参っているわけでございます。で、裁判所書記官の地位を戦前の旧制度に比べまして根本的に改めてそういう地位を作りますと同時に、それにふさわしい人を書記官に任命することにして参ってきたわけであります。ところが、御承知のように、そういう資格のある人、それだけの資質のある人を十分に得られる段階に至るまでは、相当の年数を必要としたわけでございます。ここにおきまして、書記官補に書記官の職務を一時代行させまして、当面裁判所にございます書記官の事務に当たらして参ったわけでございます。したがって、書記官に任命し得る人を順次得まして、代行をやめまして、書記官の陣容を充実して参りたいというのが今日までとってきた方針でございますし、今日もなおとっている方針でございます。これには、先ほど申し上げましたように、新しい任命資格によりまして書記官を任命いたしますと同時に、一定の研修の課程を経させまして、そして書記官に任命するという措置をとっております関係上、にわかに一ぺんに代行制度を廃止いたしまして、全部を書記官に任命することは困難であるということが実情でございます。私どもといたしましても、なるべく多くの書記官補を、研修によりまして、あるいは試験によりまして、書記官に任命いたしまして、代行制度をなくしていきたいということは、先ほど申し上げた通りでございますけれども、今日なおその過程にあるわけでございます。もちろんこれは、法律にもございますように、当分の間ということでございまして、私どもといたしましても、予算の許す限りにおきまして、なるべく早くその研修を済ませ、多くの書記官補を書記官に任命いたしまして、代行制度をなくしたいということに努力しているわけでございます。まあ根本の方針としてはそういうような方針で私どもは対処して参っておるわけでございます。
#61
○亀田得治君 昭和二十四年に、書記を書記官と書記官補にお分けになったときの標準ですね。これは、その人の能力とか、そういうことではなしに、経験年数幾らということでお分けになったやに私たちは聞いているのです。だから、そういたしますと、ちょうどたまたまそのとき二年十カ月しか書記になってからたっていなかった。こういう人は、まあ偶然なことで、非常な待遇にいたしましても不平等な待遇を受けることになるわけなんです。だから、そういう経験年数でお分けになった経過から見ましても、それじゃそのとき書記官になれないで書記官補にされた人は、中身はどうかといえば、中身は書記官になった人よりもいい人もおるはずです、必ずこれは、経験年数でやる場合には。だから、そういういきさつがあるわけですからね。このとき書記官補にされた人たちを十何年もこうほうっておくと、最初書記として裁判所に入るについても、ちゃんと試験を受けて入っているわけですから、何も全然試験をしないで入っているわけじゃない。やはり裁判所に勤めるに一応適当だというふうな立場で採用されているわけですからね。その辺がね。上の方へ種類分けされた人と、こうちょっとのことでそれにならなかった人と、これは非常な断層ができておる。ところが、今のお話ですと、そのときに書記官になれないで書記官補にされた人については、試験をしてそうして書記官にしていくと、こういうふうなお話ですが、この試験というものは、ちょっとこう何か書記官補を書記官にしないためにやるような試験のような感じを受けるわけですね。ちゃんと初めから書記として試験を受けて採用されて、裁判所の仕事をしておったわけなんですから、だから、その試験制度自体が何かこうちょっとふに落ちない面がある。それは、われわれとしては、書記官にしろ書記官補にしろですよ。この研修ということはおやりになっていいと思うのですよ。公務員としての素質をもっとよくしていくという立場からやるような研修なら、それは、書記官補であろうが書記官であろうが、それはいいと思うのです。だけれども、どうもこの研修及び試験というのは、筋からいうと、早く書記官にしなければならない立場にある人たち、しかし、それをむげに断わるわけにいかぬものだから、研修、試験を口実に使っておるような感じがするのですが、どうなんですか。実際は同じ仕事をしているのでしょう。事実上同じ仕事をしている。この代行書記官補と書記官の職務は、私たち実際やっている人のお話を聞きましても、同じことをしているのですよ。だから、どうもふに落ちない。どうなんです。
#62
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 初めの出発は、この書記官、書記官補という制度ができましたと同時に、最高裁判所に裁判所書記官研修所というものを設置いたしまして、そこで書記官補を研修いたしまして、順次書記官にしていくという考え方で進んだわけでございます。なお、家庭の事情その他で、研修所に入れない人たちのためには、いわゆる書記官になる試験をいたしまして、そこから順次書記官にしていくという方針がとられたわけでございます。ただ、遺憾なことに、書記官研修所は相当大規模で進むつもりでおりましたところ、年間百五十名程度の研修ができる程度でございまして、その関係上、書記官補から書記官に早くしてやるということがなかなかできがたかったわけで、そういう関係から今日に至っておるわけでございますが、昭和三十三年からは特別の研修制度を設けまして、書記官補として、しかも書記官の職務を代行する書記官につきましては、特別の研修をいたしまして、今では、すべてを合計しますれば、年間六百人近くの代行書記官が書記官になるようになっておりますので、ただ書記官補が書記官になることを制限するといったような方向で物事を考えていることは絶対にございませんので、御了承願いたいと思います。
#63
○亀田得治君 この点はどうでしょうか。書記官と代行書記官の人、これは大体同じような仕事を裁判所でやっている、この点は肯定できるわけですか。
#64
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 各下級裁判所におきまして、最高裁も含めてですが、重要な仕事、大きな事件とか、そういったような重要な事件などにつきましては、書記官というものの資格のあるものを配置しているということはあると思いますが、大体におきまして同じような仕事をしておる。ただ、裁判所法六十条の第三項に掲げます書記官の調査研究といったような、そういった仕事は、この代行書記官はできないことになっておる。それだけの違いでございます。
#65
○亀田得治君 大体同じのようですが、そこで、この裁判所法六十条三項の判例並びに法令の調査という点をおっしゃったわけですが、これは、普通の書記官でも、あまりこういうことまではやっておられぬようにも聞くのですが、特殊な能力を持ったり、特殊な事件などに関係しておる方はどうか知りませんが、実情はどうなんでしょう。
#66
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 裁判所の事件が非常に複雑になりますし、事件もふえて参りました。その半面、裁判官の増員というのは、補充源の関係からなかなか困難である、そういった面から、書記官に調査等の仕事をさせることができるという制度を設けた次第でございまして、書記官ならば、裁判官の補助として相当の調査事務をできるという建前から、そういうふうになっておるのでありますが、これは、書記官の現状から申し上げまして、あるいは単なる書記官の普通の事務で忙殺されておる者もあるとは思いますけれども、記録を調査しまして瑕疵を発見したり、裁判官の指示に基づきまして諸般の調査をするということは、現にやっておるということを言い得ると思います。
#67
○亀田得治君 それは、判例なり法令の調査を裁判官の補助としてやっておる度合いですね。何かそういったようなものは実際に調査されたことがあるのでしょうか。と言いますのは、裁判官と一緒におれば、代行書記官の方でも、あるいはついでに、法律に書いてなくても、おやりになっておるのがあるかもしれぬし、事件に関係があれば、そこら辺のところは、実態調査などをされたことがあるでしょうか。
#68
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 書記官の法令、判例の調査といった、それ自体を目的としての調査はいたしておりませんが、裁判所の裁判官を含めました全職員の職務の状況といったようなものは、すべてこれは、予算あるいは内部の人事行政上どうしてもなくてはならぬ資料でございますので、本年度の二月ごろからかかりまして、裁判所職員の職務の実態調査をいたして、現に調査中でございます。したがいまして、その調査によりましてその内容がわかってくると思いますが、そうなれば、現実どんな調査をしているかということも御説明できると思いますが、現状においては、ただいま資料がございませんので、十分お答えがいたしかねる次第でございます。
#69
○亀田得治君 代行書記官は書記官の仕事をしておるのに、非常に待遇が違いますがね。給与なり調整額なんかにしましても、非常に大きな違いがあるわけですね。他の官庁では課長なり課長補佐になる人が、相変わらず代行書記官として十何年もやっておる。最高裁判所ては、東大なり、そういう一流の大学を出た人でもそういう方がおるわけですね。これは非常に不自然なわけでして、結局は、予算さえ裏づけができれば、最高裁としても、もっと代行書記官というものを早く書記官にしたいのだと、こういう考えははっきりしておるんですか。いや、その予算化があっても、きちっと研修して、そうして試験もして、やはりそんなにたくさん通さんのじゃというふうなことなんですか。その本心はどこら辺にあるんですか。
#70
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 最高裁判所の考えといたしましては、代行書記官をすべて書記官にしたいという考えを持っております。ただ、代行書記官は、実務はある程度十分できますけれども、しかし、新しい裁判所で要請しております裁判所書記官としては、やはり法律学の基礎知識といったようなものは、必ずしも代行書記官につきましては十分でない。そういった点から、やはり研修をいたしまして、そうして一人前の書記官にしていきたいという考え方も、前から一貫したものをそのとおり守り続けているわけでございます。もちろん予算が、書記官補の定員を書記官の定員に組みかえることができますならば、最高裁判所における研修制度なるものをフルに利用いたしまして、できるだけ多く書記官に順次していくという考え方を持っておるわけでございます。そのフルに利用した場合に、年間どのくらい代行書記官から書記官にし得るかと申しますと、書記官研修所養成部を毎年出る者が百五十人、それから書記官の昇任試験を受けて通る者が大体二百人足らず、それから特別研修は四百五十名、これは高等裁判所で行ないますために、その設備の関係で、大体四百五、六十名ということになりまして、約八百名くらいは、予算定員がありさえすれば、書記官になし得るというふうに考えております。
#71
○亀田得治君 現在代行書記官というような立場で、はなはだもって不平等な扱いを受けておると思われる方は、何名くらいになっておるのですか。
#72
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 千六百七十九名でございます。ほとんど定員が一ぱいでございまして、三年未満の者は八名程度になっておりますが、あとは、ほとんど研修さえすれば書記官になし得るものでございます。
#73
○亀田得治君 その実務関係は書記官と大体同じようなレベルだと、ただ基礎的な法律知識等の問題について研修させたい、研修の結果そういう点本高めたい、こういうふうな意味のようですが、まあその程度のことであれば、これは書記官になった上ででもできることですし、そういう意味の研修は、これは裁判官自体も大いに勉強していかなければならぬことですしね。だから、これはひとつ、この制度ができたときの気持からいいましても、できるだけ早くこの千六百七十九名というものは解消できるように、予算上の努力をしてもらいたいと思うのです。これは私は、大蔵省というものは、そういう定員のワク内でということを非常にやかましく言っていることはわかりますが、しかし、同じ仕事をしていてこういう状態ということは、これは大蔵省だって、そこの筋自体は理解が願えることだと思うのでして、極力これはひとつ努力を払ってほしいと思います。まあ裁判官のほうの増員とか、そういうことについては、最高裁は相当努力されるようですが、どうも補助者のほうは、少し力の入れ方が薄いのではないかというようなうわさも聞くわけですが、そういう気持はないでしょうね。あったらたいへんだと思うのですが……。
#74
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 私どもといたしましても、できるだけ努力しまして、短い期間内に代行書記官を書記官に昇任させたいと考えております。
#75
○亀田得治君 代行書記官の問題はその程度にいたしまして、裁判官の給与に関連いたしまして、法曹一元化の問題などを私どもとしてもいろいろまだお尋ねしたいと思っていたのですが、時間の都合でこれを省くことにいたしまして、裁判官の給与の中で、一、二点考え方を確かめておきたいのは、管理職手当、これが最近相当ふえておるやに私たち聞くのです。これは、数字によってお示し願えれば非常にはっきりするわけですが、そういうこまかいことでなくてもいいですが、たとえば、東京の地方裁判所であれば、どういうクラスのところまで管理職手当というものが広まっておるのか。そうしてまたその額ですね。所長なり部長なりで違うのだと思いますが、そこら辺のところをちょっと概略聞きたいと思います。
#76
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 管理職手当は、いろいろ率はございますが、一八%の調整率が八十七名分、一二%の調整率は四百二十二名分、合計五百九人分予算として入っております。
 東京地裁で申しますというと、昭知十一年に判事に任官いたしまして、現に東京地裁で裁判長をしておる者に支給しておる、それでその支給率は一二%でございます。で、この地方裁判所、家庭裁判所の所長は、いずれも一八%支給しておるわけでございます。
#77
○亀田得治君 昭和十一年から判事をおやりになっておる裁判長、そうすると、裁判長でない方は、昭和十一年からやっていても、管理職手当は渡らぬのですか。
#78
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 地方裁判所におきましては、そういうことになっております。これは、その管理職手当の数が、すなわち予算的な数が足りないために、やむを得ず昭和十一年で切って支給しておるわけでございます。
#79
○亀田得治君 そこで、ちょっとお聞きするのですが、同じ経験を持っておる裁判官につきまして、裁判長であるから管理職手当が出る。出ないというのは、裁判の性質からいって、少し筋が通らぬのじゃないか。所長の場合にはわかりますがね、行政事務が相当ありますから。しかし、裁判の場合には、みんな合議制でやるわけですから、この管理職手当というのは少しおかしい感じがするんですがね。同じ経験年数があっても、ほかの裁判官には出ておらないところを見ると、やはり所長に準じたような行政的な意味のいろいろな苦労といいますか、そういうものをお考えになっているようですが、そんなものを考える必要が裁判官の仕事としてはないように思うのですがね。出すのなら、みなに出さなければいかぬし、どうでしょうか。
#80
○最高裁判所長官代理者(守田直君) ただいま裁判長と申しましたが、これは、いわゆる正式な言葉で、行政事務的に申しますと、部の事務の総括者という名称になっております。すなわち、一面に訴訟法上の裁判所の裁判長であり、一面は部の事務を総括しているという仕事をやっておる者でございます。管理職というものが大体裁判官に適当かどうかということにつきましては、これは、お説のとおり、いろいろ疑問のあるところでございまして、できることならば、こういうふうな手当で裁判官の報酬をカバーしていくということは望ましくなく、避けたいのでございますけれども、遺憾ながら、政府職員につきましては、課長以上に二五%の管理職手当が支給されました関係上、裁判官としての在職二十五年以上くらいになりますというと、その経験年数から比較いたしまして、行政官庁の職員の俸給並びに管理職手当を含めたものと比較して、非常に相対的に下がってきている。すなわち、実際の収入が下がって参ったわけでございます。そこで、この下がったのを俸給の額で改正するという方向と、それから、管理職手当でそこをカバーしていく方法と、二様あるわけでございます。報酬の額を改訂するということは、その上に認証官などの俸給などの関係もありまして、なかなか容易でない。ですから、そういった関係から、裁判官にも管理職手当を支給することにして、その落ちた分をカバーするという意味で、管理職手当を支給することになったわけでございます。しかし、支給する額が一二%あるいは一八%の程度でございますので、勢い在職二十五年以上になりますというと、いわゆるこれは地方裁判所の裁判長クラス以上でございますが、こういったところは行政官よりは下がって参っておりますので、来年度の要求予算といたしましても、やはり二五%の管理職手当を支給してもらうように、要求予算を提出した次第でございます。
#81
○亀田得治君 その正規の俸給表の改訂というのはなかなかむずかしいから、そういう管理職手当といったような格好も考えておるのだという気持はわかるわけですが、無理な方法を幾ら押して参りましても、限度があるわけですね。むしろ、そんなものがだんだん広がっていくと、内部から、それはおかしいじゃないかと、別なマイナスが出てくるわけでありまして、やはりこの裁判官の報酬なんというものについて、一般の行政官と違った体系をしっかり持って、これは書記官なり事務官の場合も同じですが、そういうものを絶えずやはり了解してもらうよう
 に努力していく。それが欠けると、ちょうど憲法制定当時は、裁判官の待遇というのは、一般の行政官に比較しますと、非常に高いところをねらっていたのですが、その考え方がずっとこう、いつの間にかぼけてしまっているわけですね。行政官に役得があるというわけじゃありませんが、だれが見ても、やはりそこら辺の問題はあるわけです。それから、裁判官であれば、法曹一減化の立場を考えたって、弁護士の収入との関係というものもあるでしょうし、各国とも、やはりそういう点については相当考慮されている。必ずしも各国の一般の行政官と裁判官との報酬の割合を私はよくは知りませんが、しかし悪くはない。一般の官公吏の俸給が相当な水準に英米ではあるわけですね。それよりもさらに若干でも上へ行っているはずなんです、裁判官のほうは。ところが、こちらのほうは、国家公務員の一般のやつが、非常にいつも問題が起きるくらいにやはり少ないわけだ。民間の給与に比較したって、いつもあとからついていくわけです。だから、そういう状態のときに、それと同じような水準で話をしておったのでは、やはりちゃんとした筋が通ってこぬ。そういう意味で、管理職手当がふやされていくような、いびつな格好ですね。これは私は、積極的な意味で、検討をしてもらいたいと考えております。
 時間がありませんから、もうお答えはいいですが、意見を申し上げておいて、検討してもらいたいと思います。
 それから、最初申し上げた代行書記官の問題は、関係者はやはり非常に熱望を持っているわけですから、どうしても最高裁が大蔵省との関係で、なかなか一挙に解決するようなことができにくいというような場合には、私たちがやはり司法制度全体を育てていくという立場から見ても、ひとつ議員立法ででも、問題が前進するように踏み出そうというような意見も、われわれの内部にもあるわけです。だから、それにひとつおくれをとらぬように、もっと積極的に、その点もあわせて考えてほしい。
 じゃ、一応給与法に対する私の質問は、これで終わることにします。
#82
○加瀬完君 この間資料をいただいたのでありますが、行政官と判事の給与比較表というものをいただきました。検察官のは、私はいただいておりませんが、検察官のは御配付いただいたのでしょうか。
#83
○政府委員(津田実君) 一応判事のほうの比較表ということで、ただいまおそらく御配付になっておるのは、判事との比較表だと思いますが、検察官のほうは、用意いたしておりますので、御必要であれば、お配りしてもよろしいと思います。
#84
○加瀬完君 この行政官の俸給、管理職手当月額とございますね。俸給と管理職手当のほかに、これは給与という中には入りませんかもしれませんが、実質給与として、旅費の支給というのが相当額、一般行政官はあるのではないかと思われるのです。それに対して、判事、検事という場合は、旅費の支給額というのは、行政官に比べまして非常に少ないのじゃないか。旅費でありますから、当然出張を伴うわけでございますが、しかし、実費ではありませんで、手当も加わるわけでございますから、そういう収入も入れて比べますと、もっと、この行政官というものの俸給額というものが、この数字よりも上回るのじゃないかと予見されるわけでございますが、この点は、どのように御認識をなさっていらっしゃいますか。
#85
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 裁判官にも、検証とかあるいけ証人尋問といったようなことで、事件に関して出張する場合もございますけれども、政府各省のように、行政指導といったような、そういう、あるいは事業を経営するといったようなことが全然ございませんので、ただ、私の推定から申しますならば、やはり旅費は、政府職員のほうが旅行する機会は多いのじゃないかというふうに、これは推察だけを申し上げます。
#86
○加瀬完君 そうすると、実際は、二十年勤続くらいになると、実質収入というのは似たようなものになる、まあ俗な言葉でいえば、とんとんになってしまうのじゃないか。あるいは、まあ十九年から、その辺でもとんとんになるのじゃないかと予想されるわけであります。初め、たとえば初任給から十二年なら十二年ころは、非常に判事あるいは検事のほうが高い。これがだんだん差がなくなって、狭まってきまして、結局二十年越すというころになりますと、実質収入というのはほとんど変わりがなくなってくる、そういうようにこの表は読みとれますね。一体この辺で並んでしまって、それからむしろカーブが逆になりまして、一般行政官で残った者のほうが収入が多くなるということでは、いろいろこの前からの御説明なり御主張なりの、裁判官や検察官の俸給表の上での優位性というのはなくなってしまうのですね。ここでカーブが急に衰えを示してしまうのは、これはどういうわけですか。
#87
○政府委員(津田実君) 確かに、御指摘のような、そのカーブが下がると申しますか、この裁判所から提出されました比較表によりましても、十二年、すなわち判事の初任者の場合と、それから、この表によりましても、二十五年たった場合とでは、優位が逆になって、劣位になるということは御指摘の通りでございますが、これにつきましては、現在のところの事情を申し上げますと、要するに、現在この裁判官の上には認証官たる裁判官があるわけでございます。その認証官たる裁判官として高等裁判所長官があるわけですが、高等裁判所長官の給与の俸酬の額というものとの差が非常に少ないために、こういう結果を来たすわけです。ところが、高等裁判所長官の上に、さらに最高裁判所判事があるわけであります。ところが、従来から、最高裁判所の判事は国務大臣とは同額、最高裁判所長官と総理大臣とは同額というふうな、いわば実質的にそういう法律を作るという事実のような慣習になっておるわけです。そこで、最高裁判所長官と総理との比較、最高裁判所判事と国務大臣との比較ということを考えますると、国務大臣以下に高等裁判所長官は位せざるを得ないことになる。そういたしますと、判事特号との幅が非常に少なくなるために、これを伸ばした形の給与が決定できないというような難点から、このようなことになっておるのです。そこで、さような一般行政官あるいは他の特別職と全く遮断した形において、法曹等の中において必要な優秀な裁判官を得られるような報酬額を定める制度というものを打ち立てたいわけでございますが、これについては、いろいろな難点がありますし、現在の裁判官の任用資格をある程度変えなければならぬという問題もありますので、急にそこまで行っていないというのが現状で、そういう意味におきまして、現在の不合理というようなものが出ているわけでございます。
#88
○加瀬完君 十年前後の退職者、それから二十年勤続前後の退職者、これは、判検事それぞれ、最近の情勢はどうてすか。もう少し補足して伺いますが、というのは、十年前後はとにかくとして、二十年前後ですと、七万円から八万円くらいの報酬と見ていいですね。弁護士になりますと、それは繁盛しているところ繁盛してないところがありましょうけれども、一般判検事等の御経歴がある方で、もし弁護士に転業なさったとすれば、一カ月の収入は大体どれくらいお取りになっておられますか。それとの均衡から、私は、この近辺に、おそらく優秀な判検事で退職して、民間に行かれる方が出ているのではないかと思われますので、伺っておるわけです。そういう意味合いでお答えをいただければ仕合わせと思います。
#89
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 弁護士さんの収入は、これはどうも裁判所にもわかりませんし、本人が裁判官をやめて弁護士をやっている人に聞きましても、はっきりしたことば申しませんので……。
#90
○加瀬完君 大体見当はつくでしょう。
#91
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 今、ちょっと申し上げられません。
#92
○加瀬完君 これより少ないということはないな。
#93
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 少なくとも少なくないことは間違いないと思いますが、しかし、どのくらい有利かということは、どうもつかむことができません。また、弁護士連合会に照会いたしましても、これはどうもつかみにくいので、依頼に応じがたいと言われるような状態でございますが、ですから、どうも二十年前後における裁判官からやめた弁護士さんの報酬は、遺憾ながら何とも申し上げられません。
#94
○加瀬完君 やめた人数はどうですか。
#95
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 二十年前後でやめたかどうかということは、ここにただいま資料がございませんので、わかりませんが、やめて弁護士になった人はわかります。それは、昭和三十二年に二十人ほど、判事から弁護士になっております。これが一番多いので、一番少ないのは、三十三年に五人でございまして、大体平均いたしますれば、八、九人というところ、だろうと思います。
#96
○政府委員(津田実君) 弁護士の月収あるいは収入につきましては、法務省といたしましても、これを調査すべく努力いたしまして、日本弁護士連合会等についても、いろいろ調査を依頼したのでありますが、結局、日本弁護士連合会においても、適確な資料は持ち合わせていないということで、現在弁護士の実収入を調査した資料は、手元にはございません。
 その次に、検事を弁護士となるために退職したものにつきましての調査が一つございますが、それは、昭和三十六年八月一日までの三十六年度の退職人員十一人についてでありますが、その十一人の在職年数の内訳は、在職年数三年のものが一人、六年のものが一人、六年から九年までが二人、七年ないし十一年のものが三人、それから九年のものが一人、二十八年のものが一人、三十一年のものが一人、三十六年のものが一人、こういうことになっておりますので、二十年前後の退職者は、この年にはなかったわけでございます。
#97
○加瀬完君 それで、裁判官、検察官優位の俸給表というものでは現在の俸給表はないわけですね。実質的には、二分の一はそうらしくて、二分の一はそうでない。全体を通してみれば、これは例が悪いですけれども、昔の軍隊の下士官みたいなもので、ある程度、准尉までは、むしろ見習士官よりも俸給はいいかもしれませんが、あとは、任官して上ということになりますと、士官学校出の将校のほうがよかったように、一定のところで押えられている。優位というなら、一定のところで押えられなくて、それが若干率に低減はあっても、やはり一般行政官の同一学歴、同一勤続年数のものよりは上でなければ、優位ということにはならないけれども、実態はそういうふうになっておらない。だから今度の、この前お話にございました、根本的な給与の改正にあたっては、それらの点が、先ほどの御説明にもありましたけれども、確実に直されて、国会にもかけられると考えてよろしいですね。そんなあやふやなものじゃない、優位なような形で、就職をして一生懸命やっておったら低くなってしまったと、ざっくばらんに言えば、そんなものは優位ということにならないから、名実ともに優位性が保たれたような俸給表になって、この委員会にも現われてくると了解してよろしゅうございますね。
#98
○政府委員(津田実君) ただいま関係各省庁間でやっておりますところの連絡会議等による作業が完成いたしまして、結論が出ましたならば、当然そういう形の結論になって、それによって法律案を提出するという段階が来ると思います。ただし、それまでの間に、御承知のように、生計費の増額等によりまして、若干の修正が一般職に、かりに行なわれますとするならば、それにスライドしたような、今回のような改正は、それができますまでは当然やらなければならぬというふうに考えております。
#99
○加瀬完君 その根本的な改正は、いつごろのお見込みですか。
#100
○政府委員(津田実君) これは、前回も申し上げましたが、法曹一元を実現して、任用資格を変えました暁の根本的な給与の政善というものは、これはかなり将来になると思います。しかしながら、現行制度のもとにおきましても、ただいま御指摘のような不合理があるわけでありますから、そういう不合理を是正するための改正ということは、ぜひ早急に行なわなければならぬと私どもも考えておりますので、ぜひその方向に努力いたしたいと考えております。
#101
○委員長(松野孝一君) 他に御質疑はございませんか。――なければ、両案に対する質疑は終了いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#102
○委員長(松野孝一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
   ―――――――――――
#103
○委員長(松野孝一君) 次に、検察及び裁判の運営等に関する調査中、人権問題等に関する問題を議題といたします。ただいま政府側から、法務省鈴本人権擁護局長、警察庁三輪警備局長、労働省青木労働法規課長が出席されております。本件に関し、質疑の通告がありますので、これを許可します。
#104
○大森創造君 三日前に、私の方から、本件について質疑の申し入れをしましたので、ある程度御調査済みだと思いますが、今どき、こういうことを東京のどまん中でやられておるということは、私もびっくりいたしました。所管の警察署長の個人差も当然あることは私も思いますが、政防法が審議されておるこの際このときでありまするし、中小企業の倒産ということは、ことしの暮れから来年の一月、二月に相当出てくるだろうと思いますので、中小企業の労働争議について、警察がどういう態度をとるかということは、この際、私は問題にするのは非常に意味があると思います。団体交渉のときに、極東組の御大将が出てきて立ち合ってみたり、こっちが平和的に交渉しようとするのに、第四機動隊五百人以上の出動です。いろいろございます。
 そこで、あなたのほうでお調べになったこともございますが、私のほうから申し上げますと、新宿の自動車教習所、磯村弥八という人が社長でございまして、この人は豊橋に本店を持っており、ユタカ工業株式会社というものを経営しております。東京に二カ所、新宿に自動車教習所を一カ所、それからもう一カ所持っております。どういうことをやったかと申しますと、今、自動車教習所は、必ずしも景気は悪くございません。そこで、去年の二月ごろ、賃上げならいいけれども、五千円の賃金カットを組合側に申し入れました。五千円の賃金カット、引き下げです。組合というのは、非常に弱い組合でございまして、人数も当時は七十人でございますが、これを了承したのです、五千円の賃金カットを。道交法が施行されるというと、それに基づいく 一時間当たりの教習料金が、五割方値上げをするから、六百円から九百円ですか、そういうことになったときに、もとに賃金を戻すどころか、さらにベース・アップをいたしましょうという約束を組合側が了承した。ところが、案の定、道交法が施行されて、九百円に料金を上げましたけれども、この協定を無視しまして、賃上げはさらにいたしません。そこで、いわゆる第二組合を作るようにいろいろ工作いたしました。第一組合のほうは平和的に話をしていたのですが、さっぱりらちがあきませんので、弁護士が中に入って、ストライキをやりました。五月ごろストライキを解きまして、平和交渉をしたほうがよろしかろうということで、交渉を始めたところが、向こうは何をやったかというと、相当会社はもうかっている証拠には、その第二組合のほうの一部の人を新宿の自動車教習所以外の工場のほうに振り向けて、それからあと残りの第二組合のほうは、東京都内に待機をさせておりまして、あと工場を再開したときにひとつ再採用をしようという、そういう約束を与えております。で、第一組合のほうをはっきり切りくずして、これをなくしようと思いまして、営業停止というか、工場閉鎖――これは擬装であります。擬装工場閉鎖をやって、そしてそのうちにだんだんとなくしていくということをねらいました。そこで、まず労働省の課長さんにお伺いしますが、この案件について、どういう程度にご存じですか。時間がありませんから、簡単にお述べ願います。
#105
○説明員(青木勇之助君) 東京都を通じまして、本年一月二十七日に組合が賃上げの要求を出しまして以来のごく概略的な経過を存じております。
#106
○大森創造君 そこで、この労働省というものは、都道府県の労政局というもの、それから職安というふうに、機構上分かれておりますが、本来は、こういう問題について関心を持って――なかなか人も足りないし、容易ではございませんでしょうけれども、こういう労働争議の経緯を、所管の管内にありましたならば、とにかく警官が五百人も出動して、人権侵害の事実を次々に侵しているという、暴力団も介入している、暴力団の食費が一日五十万もかかっているという話なんですが、そういう問題について、まあ弱い組合のほうが都労委やあるいは人権擁護局のほうに助けを求める以前に、労政局のほうはある程度調べもせにゃいかぬと思いますが、どうですか。それが労働省の本来の業務であろうと思いますが、いかがお考えでしょうか。
#107
○説明員(青木勇之助君) 労働省の労政局の都道府県の機構といたしましては、直轄機関ではございませんが、県庁内の部局といたしまして労働部がございまして、その中に労政課がありまして、地方の出先といたしましては労政事務所がございます。この労政事務所を通じまして、管内に生じまするところの労働紛争についての情報、そういうものをキャッチいたしまして、できる場合には、労政事務所が中に入りまして、平和的に事態を解決し得るように、あっせんなり調整なりをいたして参っております。
#108
○大森創造君 まあ理屈は私はそうだと思うのですが、実際にそういうところまで乗り出して、調停まで行くのが労働省本来の役目だと思いまするけれども、実際、理屈はそうであっても、行なわれてはいないでしょう。これは、きょう御答弁の限りでございませんから、あとからひとつ資料でお出し願いたいと思いますが、東京都内の労政局でもって、労働争議についてある程度積極的に調査研究をして、調停までいったケースがございますか。あったら、ひとつあとでお出し願いたいと思います。
 そこで、お伺いしますが、労政事務所というのは、一体どういうことをやっておりますか。これは、一分間ぐらいでお答え願えませんか。
#109
○説明員(青木勇之助君) 労政事務所の主要な仕事といたしましては、現在のところは、労働教育及び労政局が主管いたしておりますところの退職金共済事業の普及徹底、そういう仕事をやっております。
#110
○大森創造君 そこで、労働基準局というものは、ある程度実態を把握しなければならないし、でございますからやっておりますが、労政局というのは、ばくたる目的のもとに、非常にプアーな人事と予算でやっておりますから、手が回らないし、今お答えのようなことは、理屈としてはございますが、実際は行なわれていない。私は、あとで、労働大臣なり、あるいはその衝に当たる方にしっかりお願いしたいと思いますが、あした決算委員会でもお願いしたいと思いますが、労働争議が相当出てきます。中小企業の労働争議が……。その場合に、今までのように、馬耳東風といってはなんですが、何にもやらない手はない。、しっかりやってもらたいということを、これは単に言葉ではなくて、ひとつきょうお帰りになりましたら、お伝え願いたいと思います。そこで、あとでこの人にはぜひ来てもらわにゃいかぬと思うんですが、都労委の事務局長ですね。きょうでなくてもけっこうです。政防法その他の関係もございますから、自民党のほうでも御都合がございますから、まああとでもよろしゅうございますが、この問題について、これは全国のテスト・ケースですから、都労委の事務局長さんには、ぜひおいで願いたいと思います。不当労働行為です。こういう不当労働行為が行なわれたということを都労委のほうではお調べになって、そうしてその事実を認定するのには、参考人などを呼んで、必要な手続をとって、それで必要な措置をとることに相なるのでしょうね。これは私は、知らないからお伺いするのです。
#111
○説明員(青木勇之助君) 不当労働行為によって解雇その他の行為が行なわれたと思量いたします場合は、労働委員会に、労組法第二十七条の規定に基づきまして申し立てがなされます。そうして申し立てがなされました場合は、労働委員会におきましては調査審問を行ないまして、その結果事実を認定いたしまして、不当労働行為が成立するかいなかを決定いたします。
#112
○大森創造君 この組合に対する敵意を、ストライキを中止して平和的に交渉するときから露骨に現わしました。組合の切りくずしをしようとして、組合の組長、班長を中心に、第二組合の結成をはかった。第二組合の結成ということは労働法規違反でしょう。
#113
○説明員(青木勇之助君) 組合におきまして、組合員の相互間におきまして、組合のやり方その他について異論が生じまして、その結果、第二組合ができるというような場合は、労組法第二条の規定に適合いたします限り、労働組合法上の組合として、法の保護を受けることに相なります。ただし、組合を使用者側が切りくずす意図をもちまして運営に介入するとか、第一組合のほうの活発な組合活動家を解雇するというようなことになりますれば、一般的に申し上げまして、不当労働行為が成立いたします。
#114
○大森創造君 労働省の方には、あとでいろいろお尋ねすることもございますが、あなたのほうでお忙しいならば、中座をされて、またもう少したってからおいでになってけっこうです。
 警察のほうへ移ります。人権擁護の関係の方、おいでになっておりますか。
#115
○説明員(鈴木才蔵君) ええ、来ております。
#116
○大森創造君 こういうことがございます。二月九日以降争議状態に先ほど申し上げたようなことで入りました。ところが会社は、七月二十五日に、賃上げを要求するなら事業所を閉鎖すると、全員首だと宣言いたしまして、組合の切りくずしをねらって、教習所を擬装的に閉鎖しようといたしました。そして九月八日の午前七時三十分ごろ、朝早く、会社側は、明らかに暴力団と思われる、ここに黒い腕章をつけて、これは、写真が私のところにございますから、まるでやくざの映画に出てくる典型的なやくざですよ、入れ墨をべったりやりまして、黒めがねをかけまして、目つきの鋭い、おかしなやろうがたくさん参りました。それを八十人従えて参りました。で、教習所の二階で就寝中の組合員、これは、組合員は平和的平和的ということでやっておりましたので、会社側のほうは自由に通行できるし、非常に安穏な空気のもとに、ただ、職場を離れますというと、元も子もなくしますから、就寝をしておりました、静かに。そこへはっきりなぐり込みをかけて参りました。極東組、関根組、とにかく一流の暴力団を八十人従えて参りました。暴力団は暴行の限りを尽くしました。いろいろ申し上げません。暴行の限りを尽くしました。その際に、淀橋警察の公安係刑事が十数名、これを平然と見送っておりました。こういう事実、御存じですか。なぜこういう態度をとったのでしょうか。これをひとつお答え願います。これは、先ほど冒頭に申し上げましたように、警察全体がこうであるとは考えませんけれども、どうも私は、以下申し上げるようなことについて、暴力団は暴力団でございますが、警察の態度というものが、個人差はございますが、どうしても淀橋の警察署長においでを願って、一問一答を試みたい。全般的に警察がこうだということはありませんが、何か私が以下申し上げるようなことを、これは事実でございますが、こういうことを警察で、安保のときには非常に慎重でございましたような気がいたしますが、あれから、この前の政防法騒ぎのころから、三カ月ぐらい前から、警察が昔に帰ったような感じがする。露骨になって参りました。私もそういうことを感知いたしますが、新宿の教習所の問題について、あとから申し上げますが、数百人の人を繰り出して、そうしてやっておる。暴力団のなぐり込みを平然と見ている。何か特別な指令でも近ごろは出しているのですか。政防法騒ぎがあるから、社会党その他労働組合のほうは断固取り締まらなければいかぬ、警察は今まで紳士的に過ぎたけれども、これからはしっかりやるのだというような指令でもあなたのほうからお出しになったのと違いますか。
#117
○政府委員(三輪良雄君) この問題につきましての従来の経緯は、先ほどお述べになりましたが、事実そのものの中で、私どもの聞いておりますことと違います点がだいぶございますが、それは別といたしまして、ただいまお尋ねの、最近警察が、特に中小企業の労働争議等に強くやれという指令を出したかという点は、さようなことはございません。
 それから第二でございますが、暴力団が九月八日になぐり込みまして、暴虐の限りを尽くし、これを警察が見ておったということでございますけれども、これも、私ども聞いておりますところでは、九月八日の八時四分ごろに、組合の方から一一〇番で、暴力団が因縁をつけているから至急に来てもらいたい、こういうことがあったのでございます。これは、後におそらくお触れになると思いますけれども、この会社は閉鎖をいたしまして、この地域全体に万年べいを作るということをいたしたのでございます。その作業について、大協建設という会社に請け負わしまして、それを、九月九日から工事は実際やったようでございますけれども、万年べいを作るということになったのでございます。その一部の者が、ただいまお話の暴力団であるという御指摘かと思います。なるほど、実はいわゆる極東組といわれるものの一部がその中に入っておったことは、警察も承知をいたしております。そこで、会社側にも、そういうものが不法行為にわたらないようにという警告も再々いたしたようでございます。しかしながら、そういうものが今の万年べいの工事にあたって雇われてきたということ自体について、警察としてはどうも仕方がない。九月八日のただいま御指摘の事柄は、二十六人の組合員の人々が建物の一部に残っておりまして、これと今言ったものとの間でヤジの応酬といいますか、やり合いがあるという状態でございましたので、警察としては、その状態を放置できないという意味で、警察官を派遣をしたということで、争議の全過程は、一月から今日に至るまで続いているわけでございますけれども、そうした切迫した事態が起こりましたあと、九月八日から十一日までの間、警察が現場に行っておったということを聞いております。
#118
○大森創造君 その今のなぐり込みがございまして、九月八日の朝まだきになぐり込みがあった。そこで、組合員の者が二階のほうにたむろすることになって、暴力団が下一階を占拠するような形になってきた。そこで監禁なんですね。これは便所へ行かれない。御存じでしょう。
#119
○政府委員(三輪良雄君) 便所の使用を禁止したということを実は私も聞きまして、よく調査を命じましたのでございますけれども、便所は下にございまして、組合員は二階におる。便所が使えない状態ではなかったわけでございますけれども、要するに、便所に行くという状態で、現に入っているところから出ると、もう中へは入れないというようなことを言われたのだそうでございます。そこで、そこにいた警察側が、どういうことで入ったのか知りませんけれども、石油カンを幾つか会社側から出させて、それを組合員が現にいる所で使っておるというような話を聞いておるのであります。
#120
○大森創造君 そこで、その監禁状態は、九月八日の朝から同月十一日夕方まで、四日間にわたりました。これは、あなたのほうの部内でどういうふうに御調査になっているかわかりませんが、私の調べた範囲では、こういうことです。会社、警察、暴力団、これは不離一体となってなしたものでございます。これは、近代国家においてはとうてい許されない人権侵害を伴うことでございます。こういう下地のあるところにもつてきて、政防法ということになると、私はえらいことだろうと思う。この際は、全国的ないろいろな似たようなケースがございましょうが、この案件をひとつ淀橋署長にお気の毒だけれども、徹底的に掘り下げてみたい、四日間監禁したのを。そこで、人権擁護のほうにもひっかかるのでございますが、したがって、九月でございますから、ことしは暑かった。部屋の温度は平均三十六度になりました。にもかかわらず、窓という窓は皆くぎづけにしてしまった。新鮮な空気が入らないようにしてしまった。私は現場を見てきたんですが、あかりとりの窓というか、空気が流通する小窓一つしかございません。こうなったのは、暴力団が、警察が黙っていると、労働争議の中に介入する。警察がこの事実を見のがしていいのかどうか、重大な問題だと思うのです。
 そこでお尋ねいたしますが、私どもの見た限りでは、会社と警察と暴力団が一体となっております。来るときは一緒に来たのと違いますか。相談をして、九月八日の未明に来襲したときには、暴力団と会社と警察と、三者相談をしておいでになったのと違いますか。
#121
○政府委員(三輪良雄君) 警察が、暴力団並びに会社と相談をして、一緒に来たということは絶対にございません。また、監禁とおっしゃいますけれども、会社側は、むしろそこを出てくれということを従来再々警告をし、要求をしておるのでございます。また、くぎを打ちましたけれども、そこから出る出口をふさいだわけではございません。御指摘のように、窓をふさいだということがございましたが、これは警察も、ひどいではないかというようなことで、口をきいたようでございますが、後に、一部は窓のとびらをはずしておるようでございます。したがいまして、出ようにも出られないという状態が続いたのでなくて、出てくれ出てくれということを繰り返し言っておるのであります。しかし、お話のように、そこを出てしまえば元も子もないということもあっただろうと思いますが、そこを出ることをがえんじない。そういうことで、会社側として、そこにいるものを無理に押し出すというようなことはしないが、これは、 おっしゃるとおり、一たん出たら、管理権に基づいて入れないということを言っておったのであります。念のために申し上げますが、これは組合の事務所ではございません。組合の事務所は外にあるわけでございます。でございますから、いわゆる警察が犯罪として調査をし、処置をしなければならないような監禁という状態ではないわけでございます。むしろ出ることを慫慂されたけれども、戦術上出なかった。こういうことであるわけでございます。
#122
○大森創造君 それはそういうことでしょうが、実際問題として、組合員が便所に行きたいということで、下におりて便所に行きまするというと、これは、会社の管理権に基づくか、どういうことか知らないが、二階にまた入れないと、二階に入れないというと、これは元も子もなくなりますから、したがって、便所へ行けないという事実が発生いたしました。これについて警察が黙っているということは、いかがなものですか。
#123
○政府委員(三輪良雄君) これは、先ほど申しましたように、組合側から申し出がございまして、現場におりました警察から会社に話をしたところが、石油カンを組合に渡して、便所に行くためにおりたならば、元へ戻ってその部屋に入ってもらっては困る、しかし、どうしてもそこにおる者が便所へ行きたいということであるならば、このカンを使用したらよかろうということで、それを組合員が使っておる。繰り返し申しますけれども、便所に行ってはいけないのではなくて、管理上そこを出てもらいたいと会社は言っております。建物を一たん出たならば、そこに入っては困る、こういうことを言っておるわけでございます。
#124
○大森創造君 便所に行くために一たん外へ出たならば、また戻って来てもらっては困るという管理権は、不当ではございませんか。
#125
○政府委員(三輪良雄君) 争議の際に、これは労働省から後刻お答えがあったほうがいいかと思いますが、組合事務所を閉鎖をして、これから追い立てるというようなことは、これはあり得ざること、たと思うのでございます。この場合、組合が持っております、いわゆる整備工場の二階に籠城をいたしておるわけでございます。会社側としては、閉鎖をして、もう事業をやらない、その建物を処分をいたすわけでございましょう、再三再四そこを立ちのくように言っておるのでございます。しかしながら、そこを出ない。会社側といたしますと、これは、管理上早くそこを、からにして処分をすると、こういうことを考えるのは当然ではなかろうかと思うのでございます。そこで、繰り返し申すわけでございますけれども、つまりそこを確保するという意味で、組合員が一定の場所にいるものを、実力でどけるということはしなかったわけでございますけれども、一度二階から出たらば、もう入ってもらっては困るということを言うことは、この際やむを得ないことではなかろうかと思うのでございます。
#126
○大森創造君 次に移りますが、こういうことがあったことを御存じでしょうか。かくして二階に組合員がおる。下に暴力団がおる。食事はどういうふうにしたかというと、暴力団が介入して、そしてやると。で、夏のことでございますから、仲間の組合員が下からナシを届けようとしたところが、暴力団が、それはぜいたく品だとして、差し入れを却下した。これを警察が黙って見ていたということなんですが、これはどうですか、警察が黙って見ていたということは。
#127
○政府委員(三輪良雄君) お話の食糧搬入を阻止したという点は、九月の八日の正午ごろに、外部から組合員の昼食二十六人分を運搬して来ましたときに、会社の警備員が、他人が勝手にこの社内に入ってもらっては困る。食事は外でしてくれ。こういうことを言ったそうでございます。これは、会社側としては、できるだけ外に行ってもらって、その間に締めてしまおうと思ったに違いないと思うけれども、しかし、組合側はそれでは困るということで、そこにおりました警察官に組合側から申し出がございまして、警察官から会社幹部に話をいたしましたところ、この搬入を認めまして、自来一度も阻止をしたという事例はないというふうに聞いておるのでございます。なお、ナシの点は、私承知しておりません。
#128
○大森創造君 警備部長は、どういう経緯でもって、こういう微細にわたる――微細であるけれども、非常に私は警察の態度は――人権に対する重要性のある問題を質問しているんですが、あなたは、いかなる経緯をもってそういう事実をお調べになったんですか。警察はその際、私が国会で質問するときに、どういうふうにお調べになったんですか。
#129
○政府委員(三輪良雄君) 私ども、御承知のように、出先を持つものではございませんので、事柄が警視庁の事件でございますから、警視庁に、今度お尋ねがあることについて詳細聞かしてもらいました。政府委員としてお答えをする必要上、詳細聞くのでございます。お尋ねの内容は、今まで警視庁にも、あるいは地元の署にも、いろいろな形で抗議があったそうでございますから、それがお尋ねの内容になろうということで、できるだけ詳細調べたのでございます。
#130
○大森創造君 部内の方々は自然部内を擁護するようなことになるし、客観的な事実というものの把握にむずかしい事情もあるだろうと思います。それはともかく、今のお話のナシを暑いから届けようとした場合に、暴力団が、これはぜいたく品だからやめろというんで拒否した。これは、ナシがぜいたく品かどうかわからないけれども、警察はこれを容認したという事実はお認めになりますか。
#131
○政府委員(三輪良雄君) その点は、私ども聞いておりません。
#132
○大森創造君 都合の悪いことは言わない……。
#133
○政府委員(三輪良雄君) よく争議の際に、逆の立場で、組合員が表にピケを張り、それがぜいたく品はいかぬとか言ったという事例は、一再ならず聞いておりますけれども、この際、組合に対してナシを持ち込んだが、これがぜいたく品ということで拒否をされたということは聞いておりません。警視庁の報告によると、先ほど申しましたように、最初の機会に警告をして、搬入を許せと認めさした。自来一度も拒否したことがないと聞いておりまするので、その点もなかったものと承知をいたすわけでございます。
#134
○大森創造君 これは、警備局長はないと、食物を搬入することを拒否したことはないという。大体これはたまらないんですから、これは例外中の例外なんで、これは犬だって食うんですから、物を。それを組合員が、仲間の人がナシを届けた場合に、それを拒否して、ぜいたく品だと言って拒否したのを黙許する警察の態度は、私は非常におかしいと思う。これは、あと何十回の食事、食事をしないというと死んでしまいますから、何カ月もわたる争議ですから、それは、食べものを食べることを拒否するような態度をとらないのは、これは自慢にはならないと思う。あたりまえでございます。ただ一回でも、暴力団が食物を拒否したのを黙って見ていたという警察の態度が、非常に私は重大だと思う。このことは、向こうは都合が悪いからおっしゃらない。一事が万事だと思う。この案件の調査については、こういうことを言わないで、あと食事の搬入を許可した、そういうことが多くありましたでは、これはまずいと思う。この一点をさらにお調べ願えませんか。
#135
○政府委員(三輪良雄君) 特にナシと御指定になってのお話は、今初めて伺うのですから、これは再び調査をいたします。
#136
○大森創造君 これは、深刻にこたえたらしいですね。ある会社に勤めて、労働争議があって、ある朝、平穏に寝ていたところに、暴力団が八十人、入れ墨をやった、目つきのおかしいやつが来て、そうして悪口雑言して、この会社を首になっても、おまえらはただではおかない、殺されるから覚悟をしろというような、恐怖を伴って、そうして組合員がふるえた、そこへもってきて、ただ一つのナシを拒否されたということを黙って見ていた民主国家の警察は一体何だろうということで、これはだから、そのナシを拒否された個人は忘れませんよ。くだものはナシであったということは、これは印象強烈なものがございますよ。警察側にすれば、警察擁護の立場からいうと、これがナシであったかカキであったか、まだまだ問題にならないでしょうが、とにかくこれは、ナシという特定のくだものを拒否されたという事実は、これに象徴されると思う。警察全般ではありませんが、淀橋の警察署長以下の態度が、組合側は悪者だという態度、会社側はいいものだという態度、私ばここで敷衍して申し上げますが、組合は、私が調べたところによると、非常に弱いし、金もない。賃金カット五千円だって、今まで黙ってのんでおる。この磯村の社長なるものが、大邸宅をかまえて、堂々と、猛犬を置いて、そうして住まっている。それで、浜松市においては、公安委員長か何かやっておる。浜松市中きっての名士らしい。何も方法ないですよ、組合というものは今。だから、警察が今、よほどセンシブルに組合を擁護するような、わがままな経営者を押えるというような態度で終始一貫この問題の処理に当たるのが、私は警察だと思うのです。それが公平な態度だと思うのです。ところが、今まで、一、二の事例を申し上げたことに限らず、何というか、会社はいいものだ、自民党はいいものだ、当局はいいものだ、そっちのほうの言うことを聞いておると、警察は身分心配ないのだ、何でもいいから、組合のやることは何でもいいからまずいのだというような予備知識が、あなた方の教育がいいせいか何か知らぬけれども、予備知識があるのですよ。で、とにかく左側の、組合のやることなどは、何でもいいからとっちめるというと、これは精励恪勤で、非常にまじめな警察になるというような空気が、あなたは御答弁の必要がございませんが、どうも昔の警察にはそういう警察がありましたよ。これはね。この際よほど慎重にやってもらわぬと困ると思う、組合に対する扱いを。私は、安保のような問題ではありませんよ、どっちかといえば、組合の側に立ってめんどうを見るような態度でいいだろうと思うのです、これは。それで、五百円の料金を九百円に上げても、協定に反して賃金をもとに戻さない。それで今度は、教習所に通っていたお客さんも、後段申し上げますが、いろいろ暴力をやったときには、何ちゅう警察だろうということで、その場で資金カンパが一万何千、町の人から。こういうナシの問題に関連して、これはひとつ、一個のナシではございますが、ナシの事例があったかということを、私から質問があったということで、もう一回お調べを願いたいと思いますが、いかがですか。
#137
○政府委員(三輪良雄君) 先ほどお答えいたしましたとおり、再調いたしますわけでございます。
#138
○加瀬完君 いろいろ大森君の質問にお答えがあったわけですけれども、暴力団が労働争議に介入しておったということについて、警察は御否定がありませんが、確かに暴力団が入っておったことは、お認めになっていらっしゃいますね。
#139
○政府委員(三輪良雄君) 先ほど申しましたが、万年べいを工事をするという請負をやったその人間の中に、暴力団の者が数十、三、四十人でございますか、いたということは認めております。
#140
○加瀬完君 事実認識がそろいませんと議論が進みませんから、はっきりさしていただきたいのでありますが、万年べいの工事をやっておって、たまたまそこに労使の衝突があって、万年べいをやっておった工事者が使用者側の応援にかけつけたと、その中に暴力団がおったということでは、事実は合わないわけですね。万年べいの工事などという作業の行なわれておらない未明に、その使用者側が雇ったかどうかは知りませんが、原因は知りませんが、組合員に対抗する集団が入ってきた、それが暴力団だと、こう大森委員は指摘をするわけですね。これは、そのとおりお認めになってよろしゅうございますか。
#141
○政府委員(三輪良雄君) 主観的な意図は、実は私もわからないのでありますけれども、大協建設というのが請負をいたしました。その請負の中におったことは事実でございます。したがって、その日からすぐ工事にかかるという趣旨であったのであるが、実際に工事にかかりましたのは翌日でありますけれども、その工事と全然別個に、どこか別のところから連れてきたということではない。つまり、その工事をする同じと二ろから来た者の中にそういう者があった。しかし、時期的に申しまするならば、今加瀬委員のおっしゃったとおりでございます。
#142
○加瀬完君 これは、人権擁護局に伺いますが、そういう事実であるといたしますと、暴力団と一見してわかる者が、一、二名ではなくて、数十名労働争議に介入して、少なくも労働組合の運動を無視するおそれのある行為というものに出ようとしているわけですね。これは、人権擁護局として、ひとつ問題にならないかどうか。これに対して警察官が、仮定でありますが、傍観しておったとすれば、これは一体警察官の行為として正当だとお認めになるかどうか。
 もう一つは、大森委員の指摘したように、便所に行けたかもしれませんけれども、客観的に、労働組合が見れば、これは、争議の戦術上からも、外の便所に行けないという状態の中で、一つの部屋の窓を締め切り、三十六度前後という温度の中でふん尿を石油カンやバケツの中にしなければならなかった。それが一日じゃなくて、何日か続いた。こういう状態を見過ごしておりましても、これは、人権擁護の上で問題はないと御認定なさいますか。
#143
○説明員(鈴木才蔵君) あとの問題から……。問題が抽象的でありますから、私の答えも抽象的に、少し本拠を離れた問題になるかと思います。あとの問題は、だれが責任者であるか、そういうふうな事態を生じたのはだれの責任であるかは別といたしまして、そういう現象そのものは、人権上は問題であり、だれかが排除すべき問題だと私は考えます。第一の問題は、非常に私としてはむずかしい問題だろうと思います。ただ、そのストライキのときにある特定の工事をする。その場合に、いわゆる暴力団とはっきり考えられる、見られる者がその中に入っておった。そうして何か、会社側に立って争議に介入をしておるということがはっきりわかっておる。それを警察が傍観しておったと、そのような事態と考えてよろしゅうございますか。
#144
○加瀬完君 そうです。
#145
○説明員(鈴木才蔵君) それは、人権上、現にその暴力団が、ストライキをやっている労組に暴行を働く可能性が明白にもう現にあるという場合に、それを警察が傍観しておったということは、やはり警察としてまずいのじゃないかと思うのでございますけれども、しかし、今の場合に、ちょっと私といたしましても、抽象的な上に、さらにその事態が抽象的なような感じがいたしますが、何ともお答えできないような気がいたします。
#146
○加瀬完君 これは、仮定で警察を批判をするのは当たりませんけれども、少なくも局長は、暴力団がおったことはお認めになった。労働組合が籠城していることもお認めになっておる。それから、一つの部屋の中で監禁されたような状態の中で、大森委員の言葉をもってすれば、ふん尿も自由にできないというような形に置かれておった。これも、まあ程度の差はあっても、一応その形はお認めになっておる。そこで、警察としては、その暴力団に対しまして、いわゆる大森委員の言う暴力団に対しまして、あるいは今人権擁護局のお答えになる、おそらくは人権問題が発生するのではないかと予想される状態に対しまして、どういう御処置をなさいましたか。もしおわかりになりませんでしたら、この点が問題ですから、十二分に御調査の上、後刻お答えをいただきたいと思いますが、おわかりになっておりますか。
#147
○政府委員(三輪良雄君) そのために、先ほど申しましたように、制服警察官が現場におもむいたわけでございます。暴力団と申しますけれども、今日暴力団がまさに暴力をふるうという状態にありますれば、これは、警察法で制止をするということもあるわけでございますけれども、ただ、たまたまある会社に属しておる、それがいわゆる世に暴力団と見られておるという者である。そのことのために、直ちにそれを今の警察としてどうするというわけにはいかない。これは御承知のとおりでございます。
 また、先ほど来、組合側に立ってこそいいではないかというお話でございますけれども……。
#148
○加瀬完君 私の質問にだけ答えて下さい。
#149
○政府委員(三輪良雄君) その制服警察官を三百五十人ほど八日には出してございますけれども、そういうふうな状態で、事が起こってはたいへんだということで、その教習所のすぐ前の公園のところに持っていき、そうしてまあそういう事態が起こらないように、現場にも若干出しておったわけでございます。そのために今の便所の問題も、あるいは食糧搬入の問題も、そこにおりました警察官に組合側から要請がありまして、これはその現場に対する措置として、警察官が会社側に申した結果、食糧の搬入は認められる。それから便所のほうは、なるほどお話のとおりでございますけれども、どうしても出ないでがんばるということで、石油カンを持っていった、こういうふうに聞いておるのであります。
#150
○加瀬完君 人権擁護局は、これを一応御調査の対象になさっていただけますか。
#151
○説明員(鈴木才蔵君) 私のほうの関係の東京法務局の人権擁護部に、去る十月の十四日に、全国自動車交通労働組合東京地方連合会、それから新宿自動車教習所労働組合の代表者として甲斐という方、また全国自動車交通労働組合東京地方連合会、その代表者として伊坪という方、また新宿地区労働組合連絡協議会の代表者として和田という方が、申し立てに見えておられます。多くの弁護士の方が代理をされまして、先ほど申しました東京法務局の人権擁護部に、人権問題として申し立てがございました。私のほうでは調査を進めておりますが、まだ会社側から一応の事情を聴取いたしたのでありますが、だいぶこの申し立ての内容、これは今大森委員から御指摘になりましたような事実がほとんど盛り込んでございますが、その事実の点におきまして、いろいろ食い違いもございますので、昨日でございますか、現場の検証に参りましたが、いろいろの事情でできませんでした。だんだんと真相を確かめるように、公平な立場から事実を調査いたしつつございます。
#152
○大森創造君 これはいろいろ問題がございますが、大体、警察の態度は、首尾一貫して間違ったことはやってない。あなた方の立場からいう間違ったことはやっておりません。組合に対する弾圧というか、抑圧というか、組合いじめ、弱い老いじめ、こういう態度で首尾一貫している。そこで、さらにお尋ねをいたしますが、そういう不衛生のもとに監禁して、下痢患者が続出いたしました。九月の初旬でございますから……。そこで病人が出たので、代々木の病院の医者を頼んだ。ところが、暴力団と警察は、会社側がほかの医者を呼ぶからいいのだという、そういう理由で、その医者の入室を拒んだ、診断を拒否した、こういう事実はお調べになりましたか。
#153
○政府委員(三輪良雄君) 承知をいたしておりますが、その事実を私のほうが聞いておりますところを申し上げます。
 九月九日午後五時三十分ごろ、代々木診療所の医師であると名乗った人が事務所の入口に参りまして、会社警備員に対しまして、籠城している組合員中に重症患者がいるというので診療に来たのだが、入れてくれという申し出があったということでございます。会社警備員――名前もわかっておりますが、それが今まで組合側から病人がいるという話は聞いていない。名前のわからない人は入れない。だれがあなたを頼んだのかということを、入口で聞いたようでございます。しかしあまりはっきりしたお答えがなかったので、入ることを拒んだところが、本人は、私は――代々木診療所の鹿島という人だそうでございますが、確かに重症患者がいるはずだ、私がその患者のところへ行くことを拒否するというと、医師の業務を妨害したことになるというようにお話しになったようでございます。それから警備員は二階に参りまして、組合員に、病人がいるのか、あるいは医師を頼んだのかということを確かめますというと、病人はいない、それから代々木の医師の往診は頼んでいない、こういうそこにおりました人の回答であったようでございます。そのことを伝えましたところが、それでは組合員の健康状態を診察することにするから入れてくれ、こういうお話が重ねてございまして、医師だけなら入ってもいいということを言いましたところが、一人ではたいへんだから、つき添いの者をもう一人入れてくれと言うので、そこで、警備員のほうで、もし病人が出れば会社側で医師を頼むことにするから帰ってくれということで、拒否したようでございます。そこで、すぐ警備員は二階の組合員に対しまして、病人がいるなら会社側のほうの医者を呼んでみてもらうからと言いましたところが、二、三の人が、みてもらうから頼むということで、会社側のかかりつけておりました新宿区柏木の伊藤という内科のお医者さんを呼びまして、診療希望者二名を診療したそうでございます。一名が下痢をしているということでありましたけれども、きわめて軽症だということであるし、本人も帰宅を希望しなかったということで、そのままになったということであるようでございまして、聞いております限りでは、重症患者――お話のように下痢か続出したという状態とは承知いたしていないのでございます。
#154
○大森創造君 あなたのお調べになったことは、どの程度事実信憑性があるか、私はわからない。国会で私がこの問題について質問をするということになりますと、青木署長、簡単にここに出てこられないだろうと思う、当事者ですから。これは勇ましい男らしいのだね、警察の中で。大体好きらしいのだ、こういうことをやるのが。そこで、信憑性はわからないし、国会ではほめられると思ってやしませんからね、これは青木署長にしても。そこからこの問題について、政府委員、あなたのほうが御調査をするということになれば、どうしたって自己防衛ですからね。一応拒否します。病人らしい人はおりませんでしたというようなことは、よく軍隊でうそをつきました、あれと同じような答弁が、あなたのほうでなされているに違いない。これはもうそれに違いないですよ、あなたのほうが国会でもってこれは問題になるということになれば。これは白い紙ですが、黒い紙だとも言えるのだ、言葉ではね。そういうことをもとにして、御答弁の要素か一あなたが悪いわけではないけれども、御調査になったそういう点、向こうは被告の立場にいるから神妙にかまえて、都合の悪いことは何も言わないで、都合のいいことだけ言う態度が、私はあるだろうと思う。
 それはさておいてお尋ねしますが、これは病人がいたことは事実なんだし、あとで会社側に頼んだ。そこで、このときの様子を聞いてみますと、こうなんですよ。警察と暴力団と会社側は、おそろしくこれがあとで問題になったら困るということで神経質になりまして、会社側で頼んだ医者は入れてやった、こういうビラを張った。これはみずから悪いことをしましたというビラを張ったにひとしいです。組合側には、患者が出たけれども、私のほうは人権の侵害などはいたしませんということは、人権の侵害をいたしましたということを、ここは逆をやってね、組合で病人が出れば、医者を頼んであげますというビラをすぐ張った。三日前じゃない、このケースがあった直後に張ったのです。これは裏を返すというと、人権の侵害の事実、病人がほんとうにいて、そうして患者が代々木の病院を頼もうと、だれを頼もうと、これは医師選択の権限は、基本的な人権に属するものですから、そういう人権侵害の事実があとで問題になったら困るということで、ビラをお張りになった。これはあなたの言うことが正しいとばかりは思いませんが、医者を頼んで、病人がいて、それが門口まで来て、みとりができなくて帰っちゃう。拒否されるということは、確かに医師がおっしゃるとおり、医療業務妨害とは違いますか。
#155
○政府委員(三輪良雄君) 先ほどお答えしましたとおり、頼んだものがないということでございますので、その前提が御指摘の内容と違うのでございます。
#156
○大森創造君 これは人権擁護局や、あるいは都労委のほうで、事実に基づいてあとでお調べになると思いますが、そのとき議論をしたいと思います。
 それで、次に申し上げますが、とにかく、かくして暴力団が横行闊歩いたしまして、そこで組合員が少し大きい声を出すというと、どやす、殺す、会社がつぶれても、お前はうちへ帰ってもただで置かない、半殺しにしてやるとか、息の根をとめてやるという工合で、組合員は自由に話をすることすらできなかった。そこへ淀橋警察署長青木栄助という人が指揮する警官隊が、こういうことを言い出した。これはお調べになったと思うのですが、九月十日午後七時ごろ、脱衣所のロッカー――私物を入れるところですよ、財布などを入れたり、あるいはいろいろな女の子の手さげカバンなどを入れておくロッカー、私物入れ、これにロックアウトをしようとやってきた。これは、労働省いませんか。――組合員の二十人ばかりが右人夫などに対して、組合の厚生施設に対するロックアウトは許されない、暴力的なロックアウトは許されない、平和的に話し合いをしようと言ったところが、青木署長は、業務妨害だから排除すると、こういう一方的な宣言をしておる。こういうことは業務妨害になるのですか。
#157
○政府委員(三輪良雄君) 事実の認識がこれまた若干大森委員と違いますわけでございますけれども、同盟罷業、ストライキというものは、御承知のように労務の提供を拒否をすることでございます。しかし、労務の提供を拒否をするということ以上に、使用者側が対抗措置あるいは制裁の措置をするという、その行為そのものを威力で妨害をするということは、これはまあ今日許されないということでございまして、同種のことは幾つか判例がございますが、三十三年五月二十八日最高裁の大法廷の北海道羽幌炭鉱株式会社事件につきましての判例もはりきり出ているところでございます。そういう意味で、ここの立ちのきを求め、しかも、その出入りをとめるという状態ではなくして、くぎづけをするというような業務でありましても、これは会社側として、事業を閉鎖してあとの措置をとる上に必要な業務と考えてやる、そしてこれを請負契約によってその工事をするという業務が行なわれるというような場合には、これを威力で妨害するということになれば、一応業務妨害罪が成立するおそれがあるのでございます。
#158
○加瀬完君 ちょっと関連。しかし、今労働争議中なのですね。会社が一応今のような措置をとっておる。これに対抗すべき法的手続は組合でとっております。そうすると係争中ですね、これは。そういう問題は一方的に会社が閉鎖をしたのだから、これは閉鎖業務として当然だということは成り立たないのではないですか。
#159
○政府委員(三輪良雄君) 閉鎖業務というのは、まあこの場合にそうであろうということだけでございますので、私が先ほどあげました判例は、必ずしも閉鎖業務をやっておりませんで、炭鉱の同盟罷業に対しまして、その炭を運ぶ電車をみんなでとめたというときに対していわれた判例なのでございます。閉鎖業務と申しましたけれども、これは御指摘のようにまだ係争中のもので、これに関する限り、労働争議ということは続き得るわけでございます。私は労働争議であるということを否認をいたしておるわけではございません。
#160
○加瀬完君 異議の申し立てがなされておるわけですから、法的には、これは使用者も組合も五分と五分です、係争中の問題ですから。一方的に今、局長のおっしゃるようにこれは閉鎖業務だと言って、しかも、組合の専有といいますか、使用権を持っている所まで、そういう措置をするということに対して組合は異議を申し立てる権利もあるし、当然異議を申し立てていい問題だと思う。これを、もしそれはまかりならぬと決定する権限があるとすれば、これは裁判所ですよ。裁判所の判決以外にないと思う。警察官が裁判所のそういう決定もないものを一方的判断で――かりにそれが警察の判断か正しい、後刻正しいとなっても、疑義が持たれる問題に関して、これは会社の業務執行だ、それをわれわれが援護するのだ、その業務執行に対して妨害をするならば、われわれの職務執行に対する妨害だ、こういう論理で私は結論づけるわけに参らないのではないかと思う。しかも、局長さんのさっきお出しになりました判例もありますけれども、その判例はここに当てはまらないのじゃないか。ピケが合法だという判例が出ているわけです。その状態におきまして、ピケが合法になる場合も、ピケが非合法になる場合もあり得るわけです。ここでは別に正当な会社業務に対しまして組合がその業務に労働法で許されているワクをこえて抵抗している問題じゃないのですね。最後の何といいますか、平べったく言うならば、生存権といいますか、あるいは生活権というものを主張しているにすぎないと思います。専有しているロッカー、私物もいろいろあるのです。こういうものに対してもう少し話し合いをしてくれ、こう言っているものを、警察がお前たちの言い分は成り立たない、もし会社の業務執行に対して抵抗するならば、それはわれわれに対する職務の執行妨害だ、こういうことは行政のあり方としては、かりにそうであっても、十二分に話し合いをして解決の糸口を見つけ出すようにするのが、現地における警察官の任務じゃないかと思われますが、その一線の行政官としての警察官の任務という点では、私は百パーセント賛意を表するわけに参らないと思いますが、この点、御答弁を伺いたいと思います。
#161
○政府委員(三輪良雄君) これは御意見もわかるわけですけれども、警察官が警察の職務執行に妨害をするものだということを言ったのじゃなくて、二階のなるほどロッカーのある所の下の入り口を閉鎖する作業の場合であったようですけれども、これを組合員がピケを張って阻止をする、工事をするほうは、あくまでそれをどけても工事をするという状態になり、そこで全体の事情から見まして、それが業務妨害になるおそれがあるということで、御承知の警職法にいいます犯罪がまさに行なわれようとしている、その結果、生命身体、財産に被害が及ぶ、しかも、急を要するというようなときに、これは制止をするということができるわけです。そういう意味で、現にそこで相対峙しながら、片方はくぎづけをする、片方は守るというような状態でございますので、警告をし、その組合員を何メートルかずらして、結果から見ますとくぎづけができ上がってしまった、こういうことであると思うのでございまして、 これはなるほど、あとで争って最終的には裁判所がおきめになることと思いますけれども、現地の警察が現場で判断をいたしまして、どうも業務妨害になるおそれがある、また、そういうことが行なわれるおそれがあるというような判断をしますことは、私は誤りではないのじゃないかというふうに考えます。
#162
○加瀬完君 警察行政は、検察行政もそうでございますが、特に警察が、検察側が考えて、正当性というだけの主張では私はいけないと思う。一般の国民から考えて、やっぱり妥当性なり正当性という共感が持たれるような方法でなければ、私は警察行政としては百パーセントというわけに参らないと思う。問題は、今だけの問題を端的に取り上げれば、業務の執行に対しまして暴力行為といったようなものがありそうだから、これを排除する、それはそれで通るでしょう。しかし、その前半には暴力団と見まがう者がたくさん入っていて、生命に対しましてこれが大いに威圧を加えているのです。こういうことに対しましては、警察は何らその威圧する側に対しては制圧を加えておかない。それは会社の人でもない、使用者でもない、第三者ですよ。しかも、警察としては、特に厳重にしなければならない暴力団が入って、こういう人たちの一団の組合員に対するいろいろの制圧に対しては、何ら警察はチェックしない。それで会社側だけの業務執行に対して、組合側をチェックしていけば、受ける組合はどういう感じを持つでしょうか。正当に使用者も、被使用者も、社長側も、組合も、公平に警察は扱ってくれたという印象は私は持ち得ないと思う。そういうことをたび重ねてやっていけば、これは組合員に味方するとか、会社に反対するという私は立場じゃありません。一番大事な警察行政そのものが、これはどこかで不信を買うもとになる。だから、事実排除しなければならないような事態があっても、これは署長もおるのですから、署長が立ち会って使用者と被使用者を会わせて、これ以上進めばわれわれも実力行使をしなければならない、それはお互いに困ることだから、何かもう少し話し合いをしたらどうかといったような行政の手続というものが、何段か実力行使の前にはあっていいと思う。そういう手続がとられておらないように思われますことは、私は警察のためにはなはだ遺憾だと思います。ただ警察側が法的に合法の範囲だという説明だけでは、これは警察が信を国民に高くするゆえんにもなりません。もっと今圧迫されておる組合側からも、やはりわれわれのためにも公平に警察はやってくれたという印象を与えるように、行政ですから、法律の執行者じゃありませんから、刑の執行者じゃありませんから、行政指導の幅というものはもう少しあってよろしいのじゃないか。その点は欠けておるとお認めにはなりませんか。
#163
○政府委員(三輪良雄君) 争議でございまして、両方の主張が対立をいたしておるわけでございまして、一月以来いまだ解決を見ていない状態、つまり両方の主張があるわけでございますから、その起こりました事態を、いずれの形になるにいたしましても、一方は満足するでございましょうし、一方はそのこと自体には不満を持つということでございまして、まさにぶつかろうとするときに、かりに警察が入って非常に長くその状態が続くということになれば、これはやろうとする側から見ると、不法行為が行なわれているのに何もしないという不満があるでございましょう。そこで、先ほどの食糧運搬とか、便所の問題にいたしましても、警察が間に入ってそういうことを認めさせるということも、これはまた争いでございますから、一方からいえば、そういう機会に出そうと思ったのによけいなことをしたという批判も成り立つかと思います。従いまして、争いの一方側に立ちました場合、個々の望みどおりいかなかったことについては、これは不満を持つこと、これは当然だと思うのであります。その事態を平穏に解決するという立場に立つ警察といたしましては、その起こりました事態々々に応じて、法に示す措置をとり、その結果が一方が一方よりもよけいに不満を感ずるということ、これはある程度やむを得ない宿命じゃなかろうかと思うのであります。したがいまして、警察がいずれの側にも立たないという意味で、両方から信頼をしていただくということがもちろん望ましいし、そのつもりでやるわけでございますけれども、こういう非常にせっぱ詰まった争いの中で、どの時点のどの措置をとりましても、要するに一方にいいような解決をすれば一方が不満を持つ。その事態々々を法的に見まして、警察の措置として必要と思われる措置をとすということにならざるを得ないわけであります。
#164
○大森創造君 私は、以下申し上げますが、警察全般をいうわけじゃございませんけれども、警察はいいところも悪いところもございます。このケースは、最初からのずっと経緯を見ておりますと、警察はまずい。青木署長指揮する処置がまずい。そんなあなたがおっしゃられるような最大公約数みたいなお話は聞かぬだってわかっておりますよ。それは甲と乙だって、争議中の問題は、片一方がよければ片一方から悪く思われるということは百も承知している。だけれども、この案件については、自分でよく調べてごらんなさい。これはナシの問題とか便所の問題、それからロックアウトが脱衣所ですよ。これはあなたのほうの事実を調べてみると、ロックアウト――工事するからどけとおっしゃいましたけれども、私のほうの調べでは、脱衣所ですよ。脱衣所そのものをやろうとした。私は個人の私生活を不当に脅かすようなそういう締め出しは、労働争議の場合において正当な行為でないということは、昭和二十九年十一月六日労働省発六十四号通牒が出ております。そこで、そういうロックアウトそのものを組合員がいけないことだ、組合員の厚生施設にするロックアウトは許されないからお話し合いしましょうというものに対して、業務妨害だ、――小役人根性なんですよ。あなたは違いますよ、お偉い方は、あなたは違いますよ。だけれども、青木署長指揮する勇ましい警察の方は小役人根性で組合とか、あるいは社会党とか、多少色のついた者は、労働争議といって、どっちがどっちかわからないものを、最初から悪いものときめかかって対処している。この問題については首尾一貫している、最初から。私から言わしたら、大体これは組合員が警察の人に聞いたらしい。そうすると、その警察の人の認識はこうです。安保は悪い、国会でごたごたしているのは社会党が悪い。いろいろ雑談したらしい。ピケそのものが悪い。そこで、組合員が自分の場所におること自体が悪い。会社の中にいること自体が悪いようなそういう認識の人がいるんですよ、警察部内に。これは警職法の改正や政防法、どうなるかわかりませんけれども、これから中小企業の争議などが出てくる場合に、弱い立場の組合員というものに対してどう対すべきかということを、権力を持っているんですかられ、警察というのは。こん棒を持っているんですから、そういう制服を着て……。そういう立場の人、権力を持っている者は、楢橋運輸大臣を初めとして、権力を持っている者はもう少し慎重でなければいけないですよ。何というか、この場合にとった処置というのは、一方的なんですよ。最初の来襲するときから暴力団と会社側と一体となってきている。これは全然連絡がないとは言わせない、証拠があるのですから。私は、ちゃんと某所において――あなたのほうにはこういう報告がない――そんな報告をしたらたいへんだ、警備局長からお目玉どころか首になる、ちゃんと某所において暴力団と会社側と打ち合わせをして出てきているんですよ。私がお聞きしますが、警察全体の悪口を言っておるわけではない、私は警察の支持者だから。だけれども、悪いところがありますから、テストケースなんだ、こういうのは。こういう問題について、こん棒を持って制服を着て権力を持っているのは、よほど慎重に……。いろいろ書いてあるでしょう。「犯罪がまさに行われようとするのを認めたときは、その予防のため関係者に必要な警告を発し、又、もしその行為により人の生命若しくは身体に危険が及び、又は財産に重大な損害を受ける虞があって、急を要する場合」、こういう場合ではなかったようです。
 そこで私はお伺いしますが、現場の警察官は言っておりますが、組合側が四つか五つ、会社側の問題について一つ取り調べをしてくれろということを文書をもって出している。一例をあげますと、こういうことを書いてある。争議ですから応援隊も来ます。交通関係の労働組合だから自動車に乗って来ます。そこへ暴力団がくぎをばらまいた。支援に来る自動車があるし、町を走っている。新宿だから、これは自動車がぶうぶう行ったりきたりします。あなたの自動車だって通りかかったらぶすっとパンクですよ。こういうことをやっていることが一つ。それからこの自動車の車検というのを組合員が所持していたんですよ。そのときに。それを虚偽の申告をして仮ナンバーをもらってきて車検のない自動車を利用した。これはきっと九枚くらいしかもらってこないのに何十台と自動車を動かしている。これはおそらく車検証のない車を、ナンバーがなくて持っていったということは、道路運送車両法違反とかなんとかということになろうと思います。それから私は忘れましたが、あと二つくらいありますよ。これは何か処置しておりますか、組合側の申し入れに対して、暴力団並びに会社側のまずい行動に対して、ちゃんと警察のほうに文書をもって申し入れをしているのだけれども、これを承知しておりますか、お答えを願います。
#165
○政府委員(三輪良雄君) 第一のくぎの問題でございますが、これも九月八日午前七時ごろから、組合員の方のほうから現場の警察官に、ピケ小屋、あるいは小滝橋通り豊多摩病院から変電所までの間の路上に、一寸ぐらいの曲ったくぎを暴力団がまいたということであったわけであります。そこで調べてみましたところ、ピケ小屋の付近、事務所建物の外周にまばらに落ちていたことは認めたけれども、路上には見当たらないという意味で、道路にそういうものをまいたということは、これは道交法並びに各規則によって、処罰を受ける対象になるわけでございますけれども、そういう状態でなかったということでございます。
 なお、車検の問題でございますけれども、この車検がわずかばかりしかもらってなくて、そのない車がたくさん動いておったということは、これは実は承知をいたしておらないのでございます。その点は、ないと拝聴をいたしております。その問題について聞いておりますのは、自動車のナンバー・プレートが取りはずされておるということについてでございます。これは、九月五日の午前三時三十分ごろに、二
○番に組合側から通報がございまして、淀橋署員が現場に急行いたしてみますというと、そこにありました三十六台の車のうち三台が、全部前のナンバー・プレートがはずされておりまして、一台は後部ナンバー・プレートが傷つき、若干曲げられておるという状態であったそうでございます。このナンバー・プレートにつきましては、御承知の、今お言葉にもございましたように、それがなくて運行いたします際には、これは道路運送車両法の第十九条違反になるわけでございます。ところが、これは要するに、組合員による車の使用を防止する目的で、取りはずしてそこに保管をしておったのだということで、現に運行に使っておらないという状態でございます。それから、後部のナンバー・プレートにつきましては、これは封印がしてございまして、これを取りはずすこと自体が犯罪になるわけでございます。このときにはまだ取りはずされているという状態ではなかったわけでございますが、これは後に、午後になりまして、そういう申し出があり、行ってみたところが、これは取りはずしてあるわけでございます。これについては、何人がはずしたかということについて捜査をいたしておるという報告を受けているのでございます。
#166
○大森創造君 前後しますが、私が問題にしたいのは、先ほど申し上げたように、警察のとった態度は、今どき珍しい、何というか、人権侵害を暴力団がやることを黙許していたということや、それから憲法で許されているような、基本的な団体交渉や、団体協約とか、そういう団体交渉その他憲法に基づく諸権利そのものを否定するような観念の警察が多いということ。そこで申し上、げますが、九月八日の未明に、暴力団と警察と会社側と、私は相前後して相談をしてきたと思うの、だが、そのときに何人来て、トラック何台出しましたか、小型ジープなどどのくらい出しましたか、何百人参りましたか。
#167
○政府委員(三輪良雄君) 当日出ました者は、合計三百五十一名になるわけでございますが、自動車が何台になったか、ちょっと手元の資料ではわかりません。
#168
○大森創造君 とにかく、第二組合をやって買収し、切りくずし、会社はもうかってしょう。かないようなものを、第二組合の者を都内に隠しておいて、疑装閉鎖をしておいて、今度再開する場合には、第二組合の者を優先的に採用するということを、都内某所で第二組合の代表に言っておる。会社は決して損はしていない、やっていけるのだということを言っている。それなのに、賃金カット五千円をやって、それから道交法が施行されたならば、料金を上げるから、五割そのときに元へ戻して、さらにベース・アップしてやろうなんということを全部踏みにじっているのですよ。会社側の態度というのは、これは倣慢無礼なんです。それでこの争議が出てきた。そこで、哀れな組合員が何をやったか知らぬけれども、トラックは、私の調べでは十四台出している。装甲自動車二台、それから暴力団が八十人、小型ジープ二台、パトカー五、六台、私のほうの調べでは、警察が五百人以上出ております。そこで、あとで締めくくりとして申し上げますが、とにかくこの淀橋の警察署長の青木栄助という人は、もう何といいますか、警察の中でも一番勇ましい人種らしくて、こういうことをやりました。九月十日の午後七時ごろ、ロッカーのやつは私とあなたと見解が違いますけれども、九月十一日四時半ごろ、先ほど申し上げましたように、すっと会社のほうはへいかなんかを作ったのです。その中にテント張りをして、ピケ小屋と称しておりますが、ピケ小屋というような体裁のものじゃありませんよ。押したらつぶれそうなものを組合側が作った。それを破壊する。二百人ばかり支援団体が来ておりました。そこで問題になったのは、道路があって、ここにずっと砂利を積んだのですね。それから人や車馬の通行はできなくなった。これは会社側が砂利を積んだのです。それで人が通れないのです。そこの所へ支援団体が平穏裏に二列になって並んだ。ところが、前記勇ましい青木署長が指揮する警官が五百名――五百名ですよ。警察はずいぶん人が多いので五百名、会社側の人夫――暴力団がすでに続々と実力行使に入った。これは平穏裏に並んだ組合に対して、むき出しの暴力をやった。組合側に三十数名重軽傷者が出ております。そこで、青木署長の言い分は、全く理由がないことはない。彼の旨い分はこういうことを言っている。道交法にピケが違反しているという。ところが、私どもの見解では、砂利を山ほど積んであって、人間や車馬が通れないという状態にしたのは会社側なんですね。その上に二列になって並んだものが、道交法違反になりますか。道交法違反と言う前に、公の道路に対して砂利を山ほど積んでおるということは、何か許可が要りませんか。この点はどうなんですか。
#169
○政府委員(三輪良雄君) お話のように、道路をそういうことで占用することは、道交法に基づきまして許可が要るわけでございます。工事をいたすために、一時そういう材料を置くということはしばしばあるわけでございますが、ここでは九月十一日に道交法七十七条に基づく使用許可申請が出まして、工事用の材料として積んだようでございますが、これは許可が正式に出ているのでございます。
 それから、先ほど来言われた中で、私の認識が違っていたら教えていただきたいのでございますけれども、そもそもの起こりは、お話のように、一ぺんベース・ダウンしたものを、二月八日にベース・アップの要求と、それから勤務体制の整備につきましては、会社側が組合側の要求を受諾したあと、完全ユニオン・ショップの問題と、スト中の責任者の処分をしないという問題で、さらに争いが起こった、こういうふうに私聞いております。
 それから、擬装であるかどうかという問題は、これは認識の分かれるところと思いますけれども、七月二十二日に、都の公安委員会に対しまして、廃業届を出しております。七月二十五日に指定解除という措置をとってございます。これは実は、もともとは、坪で申しまして二千七百坪ほどになったかと思いますが、そういう敷地があったわけでございますが、区画整理等のために、今、坪で申しますと二千坪ほどしかございません。これは、都の指定基準によりますと、二千四百坪要るわけでございます。しかし、既得権ということで、現在あるものは、昭和四十年までこれはそのまま認めようということになり、四十年になりますと、当然坪数の少ないものは、指定という形も存在を許されないで、法的に解除されるわけです。そういう意味で、もう七月二十五日に指定解除がございましたので、再び今までのようなことで再開をするということを考えましても、都の公安委員会がこれを指定するとい5ことができないわけでございます。指定がなくても、教習所ということはできるわけでございますけれども、御承知のように、指定で運転の技術試験を免除するということが、こういう教習所の非常にはやるゆえんでございますので、そういう意味では、警察側として、これがまた再開されるというふうには見ておらないのでございます。
#170
○大森創造君 今の後段のお答えは、私はどうもよけいなことだろうと思うのですが、このユタカ産業の磯村弥八という人物は、先ほど申し上げましたとおり、豊橋市の教育委員会の委員長などもやっている男で、そこでいろいろなことをやっているのですね。そこで、第二組合を育成しまして、第二組合の一部の人を東京都内の別の所で仕事をやっているほうに入れて、そうして残った第二組合の者にはいいことを言って、業種は違うが、ほかのほうで使ってやるからしばらく待っていろというようなことを言っている、私は、そういうことを第二組合の人から聞いておるのです。擬装工場閉鎖ということで、都労委のほうであとでお調べになることですから、議論はいたしません。そこで、私がお尋ねしたいのは、今申しましたように、平穏に二百名の支援団体がすわり込んでいるときに、五百名の警官が来たのです。安保のときには、幾ら動員しても、安保反対の人数のほうが若干多かったようでございますが、今度は、二百名の人が砂利の上に平穏にすわっていたのに、二倍半来ている、五百名の警官が。これは、いかなる理由で出動されましたか。
#171
○政府委員(三輪良雄君) 万年べいを作ることは、先ほど申し上げたとおりでございますが、ちょうど工事といたしましては、その部分を残して、全部工事が済んだ状態のようでございまして、あと、そのピケ小屋をこわすかこわさないかという問題が残っておったようでございます。そこへ、支援労組も、お話のように、二百人ほどおったようでございますが、それと、工事にかかりますほうが百人余りだったと思います。そこで、それをはさんで相対峙するということになりますわけでございまして、そういう意味で、淀橋署としては、自署の警察官並びに機動隊の応援を求めて、四百七十名、お話のように、五百名近い警察官が現場に出たように聞いております。
#172
○大森創造君 こういう民事的な問題について、警察が出てきていいのですか。
#173
○政府委員(三輪良雄君) 民事問題の解決そのものに警察が介入することは、これはいけないわけでございます。しかしながら、事柄が、今万年べいを作るということになり、さらに二百人の人が、お話によりますと、押せばつぶれるような小屋でございますけれども、そこに入っているという状態で、もう工事はそこまで来て、あとはそれをこわして進行するというだけになってきているということでございますので、そのままにしておけば、これは、当然その間に衝突が起こるわけでございます。事の起こりは、労働争議ないし民事上の問題でございましても、そこに起こりました事柄が、今のように、放置できない状態でございますから、これは、警察の任務として、現場に出て措置をするということになるわけでございます。
#174
○大森創造君 大体一問一答で、あなたのほうの立場はわかりましたから、締めくくりをいたしますけれども、このケースはテスト・ケースだと私は思うのです。池田内閣は、経済のことはおれにまかして、あとについてこいというようなことをしばしばおっしゃいますけれども、私は、そうは思わない。ことしの暮れから来年の二月ごろになると、中小企業の倒産が出てくるであろうし、経営者の感覚によっては、もうかっている会社も、擬装閉鎖がひんぱんに行なわれる。そこで、中小企業の労働争議が出て参ります。この問題は、ナシがどうしたとか、あるいは便所に行くのがどうだというようなことでなくて、一番力点をここに置きます。九月八日未明に、警官と、それから暴力団と、それから会社側と相談してやってきたものです。これは、私の方では証拠をつかんでいます。そうして暴力の限りを尽くし、ナシを食わせない、窓をくぎづけにする、私物を入れているロッカーについて、ロッカーを移す。それから、今申しましたように、二百人の平穏にすわり込んでいるピケ隊に対して、警官が五百人ぐらい、最初はトラックを十四台持ってきた。この一貫している態度は、警察全体が行き過ぎがあるとか、悪いとは申しませんけれども、中小企業の労働争議というものに対して理解がない。知識がない。これは、人間差もあるでしょうが、淀橋の警察署長に限っては、あなたがここで弁解されるような余地はないと思う。そういうものの考え方に立つ警官の上に、警職法の改正や政防法などがあるいは万一行なわれたということになれば、これは完全におかしなことに私はなると思う一前段申し上げましたように、警察のとった態度は首尾一貫しております。先ほどの問答の中でお約束したような案件については、たとえば食物を運ぶことを拒否したというようなこと、こういうことは、がっちりお調べ願いたい。同時に、あなたがここで釈明をされたようなことでなくて、全国的に見るというと、警察はいいことをやっているところもあるでしょうが、淀橋の警察署の今度の争議にあたってとった態度は行き過ぎがある。警棒を持ち、制服をもって、そうして装甲車など持っている警察は、よほど慎重にやらないというとまずい。権力のあるものは、運輸大臣初め、ことの扱いにもう少し慎重でなければならないと思います。国会の委員会で私が警察を責め、それについて防御するという立場を離れて、これからの警官のあり方としては、これはまずいところがある。私が事実認識を誤っているところも若干あるかもしれませんが、あなたが部下を通じて調査したそのことに対して、事実認識をずいぶん誤っているところがあると思います。当然事実認識で異なる。ひとつ私の意のあるところをくんで、しっかりやっていただきたいと思います。
 それから、人権擁護の局長さんに申し上げますが、得てしてこういう問題は、のらりくらりとなります。何日かに、あなたの所管のほうに文書をもって出しておりますけれども、こういう問題はのらりくらりとなって、ことに過ぎたことですから、のらりくらりとなりますが、人権擁護局というものは、参考人などを呼んで、そうして事実を確かめて、そういう事実があれば、行政官庁の長のほうに勧告をしたり、必要な措置をとることになっておりますね。これは、私は知識がないから、これは一点だけお伺いします。どういうことになっておりますか。
#175
○説明員(鈴木才蔵君) 私のほうは任意調査でございまして、人権上問題になる事実が確認をされますというと、まずその人権侵害をしたと見られる者、あるいはその監督者、あるいは職務上指揮をする者に対して勧告、いわゆる勧告であります。こういうことは人権上問題であるから、今後注意してほしい、あるいは部下の指導、教養について注意をしてほしいという程度の勧告権があるのであります。行政上の一つのアドバイスのような形になる、そういうものでございます。その他ば、事実上現に存する人権侵害の事実あるいは状況というものを排除するように努力をして参る。それには関係者の中に入りまして、いろいろ話し合いをしたり、そして相互の理解に基づいて、そういう人権侵害の状況を排除をする、そういうふうなこと、あるいはまた、被害をこうむっている者にいろいろな点の援助をする、そういうふうなことがわれわれの出す結論でございます。結果的には、非常になまぬるいようなこと、いわゆる処分的なこと、処分的な点から見ますというと、非常になまぬるい点もあるかと思います。
#176
○大森創造君 警備局長にお願いいたしますが、私が今申し上げたような角度で、部下がかわいいとか、争議があったから両方によくやるわけにはいかないとか、そういうことでなしに、全国的に見るというと、行き過ぎもあるし、脱線もあるし、人間ですから、いろいろございましょうが、私がにらんだところによると、この淀橋の警察署長を参考人としておいで願おうと思ったのですが、来ないようですから、あなたのほうから、必ずこれは行き過ぎがありますから、五百人も警察官が来て、すぐそこですよ。そこでどういう処置をされましたか。御注意などをされましたか。あなたのやったことは全然いいのだと言って、部内でもって、あなたのほうでそういう程度に済ましておるのですか。
#177
○政府委員(三輪良雄君) ただいまのところ、御質問にお答えいたす意味で調査をしたわけでございます。その中にも、先ほど御指摘のように、まだ不十分な点がございまして、再調もいたします。
 なお、お言葉の中でいろいろ御注意をいただいた点は、私ども感銘をいたしまして、今後のやり方について必要な注意を与えていくということで、お言葉を十分理解した上で、もう一ぺん調査をいたすというつもりでおります。
#178
○大森創造君 これでやめますが、午前中は、亀田委員から法務大臣に質問がなされて、あの暴力団の追善供養の相撲大会のお話、そういう話が出ましたが、このケースは、関根組、極東組その他大ぜいの、一日五十万円かかるというのです、経営者のほうは、暴力団の食糧費だけで。そういうものと相前後するか、相携えて、この労働争議に介入をしている。団体交渉のときに、極東組か関根組の御大将が出張っていく。いろんなケースについて暴力団がさまざまなことをやっているのに、警察が平然と見送っていたというようなこと、これは重天な問題ですから、ひとつくれぐれも御用心なさって、人間さもございましょうが、今後頻発する労働争議に介入する場合には、警棒を持って力のある者は、よほど慎重にやってもらわなければ困る。あなたはいいでしょうが、そういう勇ましい、問題をはき違えたような、さか立ちしたような頭の持ち主の警官がなきにしもあらずですから、どうぞそうい5点をくれぐれも御注意下さるようにお願いいたしまして、私の質問を打ち切ります。
#179
○委員長(松野孝一君) 他に御発言はございませんか。――なければ、本件については、この程度にとめることといたします。
   ―――――――――――
#180
○委員長(松野孝一君) 次に、検察及び裁判の運営等に関する調査中、被疑事件の処理状況に関する件を議題といたします。
 本件につきましては、去る十月十七日委員会において調査いたしましたが、その際、当局において御調査の上御報告していただく事項がございました。まず、この点について当局側の御説明をお願いいたします。なお、ただいま出席の政府側は、法務省竹内刑事局長です。
#181
○政府委員(竹内寿平君) 去る十七日、亀田委員から御質問のありました点につきましては、その後十九日にも、衆議院の法務委員会において同趣旨の御質疑がございまして、これは、そのとき御指摘のありましたように、検察運営の公正を疑わしめるような事項にかかわりますことと、さらにまた、検察の捜査活動についての機微に触れた問題も含まれておりますので、私どもといたしましては、慎重に、また厳重に調査してお答えをする必要があると、かように考えまして、去る二十日、書面をもちまして最高検察庁に調査方を移牒いたしました。最高検察庁におきましては、福岡高等検察庁検事長に調査方を指令されておる模様でございまして、その結果については、まだ日時も少ない関係もありまして、報告に接しておりませんので、本日、その結果についてここで御説明申し上げることができないのは遺憾といたしますが、あまり遠くない時期に、これについての回答、調査報告があるはずでございますので、その上におきまして、当委員会で御説明をさしていた、だきたいと考えております。
#182
○亀田得治君 これは、中身に触れた御回答が若干でもあるかと思って、実は期待してきたわけですが、それじゃ、ちょっと希望を申し上げておきますが、一つは、書面で最高検のほうに照会されて、最高検のほうから福岡高検のほうに照会されておるようですが、福岡の高検から、また書面で熊本の地検へ照会するというふうなことでは、なかなか私が具体的に御指摘したような点についてはつかみにくいと思います。だから、ぜひこれは、できれば最高検の方が出かけてもらって、直接私は調べてほしいと思うのです。そうしませんと、これは必ずこちらの人が言うていることと違ったものが出てくる。そういうことになれば、国会の審議も時間がかかりますし、食い違いができれば、私といたしましても、実は人の名誉に関することまで申し上げておるわけですからね。食い違いができたからといって、はあそうですかというわけにはいかない。必ず地元のほうからも来てもらい、真相というものを、両者が立ち会って、われわれに答えてもらうというようなことになると思う。だから、そういうむだなことを、行ったり来たりせぬように、ぜひ直接地検に、最高検なり――最高検のほうが一番いいと思いますが、それが不可能であれば、福岡の高検の方が出かけていって、そうして事情をはっきり調べてほしいし、その際に、もう熊本には各種の関係者がおるわけですから、変だと思われる点は聞いてもらい、訴えておる人たちから聞いてもらえば、すぐ矛盾というものはわかるわけですから、そういうひとつ調べ方をお願いしたい。ぜひこれは……。
 それから、前の野田検事正の件につきましては、たいへん私は、こういうことは、検察の相当な責任にある人の立場として、不愉快に思っておるわけですが、ホテルの部屋を予約したのが竹林という常務のようです。竹林というのは被告発会社の重役ですね。それから、この部屋割りなどの世話をしたというのは、大則というやはり常務が会社におられるようです。その人のようです。で、こういう問題にまで触れておるわけでして、こういうことが実際だといたしますと、なるほど招待主は三井鉱山でありましても、働く関係が強くなってくる。しかも、もう一つは、三井鉱山の関係の告発事件というものが、熊本地検に相当件数かかっているはずですよ。だから、招待主が三井鉱山だからといって、それは関係ないのだというようなことにもならないのです。だから、この辺のこともひとつしっかり調べてほしいと思います。これをつけ加えてちょっと申し上げておきます。いろいろこまかい事実関係のことで、その後さらに付加して私たちお聞きしたことがあるわけですが、あまりこまかくなっても、まだ法務省の報告がないわけですから、後に譲りたいと思いますが、まあ今の二つの点だけ、これは私、ちょっと重要だと思いましたので、実は電話ででも申し上げようかと思ったくらいでして、そのこともあわせて連絡をしてもらいたいと思います。非常にこれは確実なことのはずです。まあそういうことでしたら、ひとつ委員長、まあきょうの散会後の理事会のほうがどうなるかわかりませんが、もし今国会中機会があれば、その際に間に合えば御報告を願うようにして、もし今国会なければ、やむを得ませんから、閉会中の委員会開会のときには少なくとも間に合うと思いますから、その際に御報告をいただきまして、そのとき質疑もいたしたいと思いますから、本日のところはこの程度にいたしておきます。
 もう一つ。実は、これもたいへん時間がおそくなって恐縮なんでありますが、岡山県の公安調査局のスパイ活動事件の問題です。時間がありませんから、ちょっと質問申し上げるのは遠慮いたしますが、公安調査官の長尾照一という人が、岡山の家庭裁判所に勤めておられる横林良昌君、これは元、全司法労働組合の岡山の支部長もされたことのある人ですが、この人に対しまして、お前がスパイになることを承諾しないのであれば、裁判所に勤める希望を持っているようだが、それをじゃましてやると、こういうことを当時学生でありました、岡山大学の学生であった横林に申しまして、結局、スパイの仲間に引きずり込んだわけです。自来こうずっといろんなことがあるのですが、まあ最近になりまして、非常に良心の苛責に耐えかねて、組合の役員会でそのことを説明したと、こういうところから、実は地元では非常な問題になってきている案件です。これも、もし今国会中に時間が得られたら、ぜひひとつ調査の機会を与えてほしいと思いますが、もしうまくその機会がなければ、ひとつこれも、閉会中の継続調査の際にでもお願いしたいというふうに、希望だけ申し上げておきます。
#183
○委員長(松野孝一君) では、事件については、後日あらためて当局側から報告を聞き、調査を行なうこととし、本日はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会します。
   午後四時四十七分散会
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ソース: 国立国会図書館
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