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1961/10/13 第39回国会 参議院 参議院会議録情報 第039回国会 農林水産委員会 第6号
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1961/10/13 第39回国会 参議院

参議院会議録情報 第039回国会 農林水産委員会 第6号

#1
第039回国会 農林水産委員会 第6号
昭和三十六年十月十三日(金曜日)
   午後一時二十五分開会
   ――――――――――
  委員の異動
十月十二日委員青田源太郎君辞任につ
き、その補欠として村松久義君を議長
において指名した。
本日委員村松久義君辞任につき、その
補欠として青田源太郎君を議長におい
て指名した。
   ――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     仲原 善一君
   理事
           石谷 憲男君
           櫻井 志郎君
           亀田 得治君
           森 八三一君
   委員
           青田源太郎君
           植垣弥一郎君
           河野 謙三君
           重政 庸徳君
           柴田  栄君
           田中 啓一君
           高橋  衛君
           藤野 繁雄君
           北村  暢君
           清澤 俊英君
           棚橋 小虎君
           千田  正君
  政府委員
   農林政務次官  中野 文門君
   農林省畜産局長 森  茂雄君
   農林省農林経済
   局長      坂村 吉正君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       安楽城敏男君
  説明員
   農林省畜産局参
   事官      保坂 信男君
   ――――――――――
  本日の会議に付した案件
○肥料取締法の一部を改正する法律案
 (内閣送付、予備審査)
○家畜商法の一部を改正する法律案
 (内閣送付、予備審査)
○家畜改良増殖法の一部を改正する法
 律案(内閣送付、予備審査)
○家畜取引法の一部を改正する法律案
 (内閣提出)
   ――――――――――
#2
○委員長(仲原善一君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 肥料取締法の一部を改正する法律案(閣法第二〇号)予備審査を議題といたします。
 本案については、去る十日提案理由の説明を聴取いたしました。まず本法案の内容の概要について補足説明を求めます。
#3
○政府委員(坂村吉正君) 過日提案理由の御説明を申し上げました肥料取締法の一部を改正する法律案について補足説明をいたします。
 現行の肥料取締法で肥料と申しますのは、植物の栄養に供すること、または植物の栽培に資するため土壌に化学的変化をもたらすことを目的として土地に施される物をいうのでありまして、植物の栄養になるものでも、土地に施すものでない場合には、取締法上肥料として取り扱っていなかったのであります。したがいまして、肥料と同じように植物の栄養となるものであっても、葉面などに直接施されるものは、取締法の適用を受けておりません。
 ところが、近年肥料成分を含んだもので品質粗悪なものが取締法の適用をのがれるため葉面散布剤と称して相当高値で市販されておる模様でありますし、またこれとは反対に、良質の葉面散布剤も生産、市販されておりますので、これをはっきり肥料と認め、他の普通肥料と同様の取り扱いをする必要があると思うのであります。今後この葉面散布剤は、生産、消費とも増大する見込みでありますので、その品質を保全し、公正な取引を確保するため、所要の規制を加えることができるよう新たに取締法上肥料と認めようとするのが改正の第一点であります。
 ところで、この葉面散布剤のように肥料成分を葉面に散布いたしますと、葉から吸収され、栄養分となりますが、適切な散布であれば、それは土地から施すよりも早く吸収され、また肥料成分の利用率も相当程度高くなるのであります。なお、現在葉面散布剤は、リンゴ、桑、蔬菜等に利用されており、特に青森県や長野県のリンゴには実用化されております。
 改正の第二点は、一般的に禁止されている肥料への異物混入について例外を認めるものであります。すなわち、公定規格で定める農薬その他の物を公定規格で定めるところによって混入する場合を認めようとするものであります。近時農家労働力の軽減をはかる目的で肥料と農薬の混合が考えられております。その事例を申し上げますと、土壌中に生息する昆虫類を駆除するために施すアルドリン、ヘプタクロールという農薬を複合肥料とまぜて土壌に施すことによりまして、害虫の駆除効果もまた肥料の効果もそれぞれを単独に施したものと変わるところがないのであります。また除草剤のP、C、Pを尿素にまぜた肥料がありますが、これを施しますと、除草並びに肥料としての効果は、それぞれを単独に施した場合とほとんど相違するところがありません。
 次に、肥効の増進を目的とした大谷石、ベントナイトの特定肥料への混入でありますが、化学肥料は水に溶けやすく、施肥して後水に溶けて流亡したり、あるいは窒素はガスとなって空中に逃げたりする損失が多いのでありますが、この化学肥料に大谷石やベントナイトをまぜて粒状化いたしますと、肥効の増進することが明らかにされております。これは水に溶けない大谷石やベントナイトを粒にすることによって化学肥料を包み込んでしまいますので、一時に水に溶けてしまうようなことがなくなるからであります。その上、大谷石やベントナイトはアンモニアやカリを吸着しておく性質がありますので、水に溶けて流亡することも、またガスとなって窒素の揮散も一そう少なくなり、したがって作物が必要なときに肥料成分を吸収するようになりますから効果が増進するわけでありまして、特に水田においてはその効果が顕著であります。
 このような農業生産上、労働力の節減に役立ち、また肥効を増進することとなる公定規格で定める農薬その他の物を公定規格で定めるところにより混入する場合に限って、肥料への異物混入をすることができるよう改正することといたした次第であります。
 以上にあげました物が当面公定規格に定めて混入を認めようとする物でありますが、これ以外の物でありましても、有効な物が生産されるようになりましたならば、試験の成績によりまして混入を認めるように公定規格の改正をそのつど行なう建前になっておるわけでございます。
 以上で補足説明を終わります。
#4
○委員長(仲原善一君) 以上で補足説明を終わりました。本案については、本日はこの程度といたします。
   ――――――――――
#5
○委員長(仲原善一君) 次に、家畜商法の一部を改正する法律案(閣法第二四号)、家畜改良増殖法の一部を改正する法律案(閣法第二五号、以上いずれも予備審査)、二案を一括して議題といたします。
 両案については、去る十月十日に提案理由の説明を聴取いたしておりますので、まず両案の内容の概要について順次補足説明を求めます。
#6
○政府委員(森茂雄君) 家畜商法の一部を改正する法律案につきまして、若干補足説明を申し上げます。
 まず、改正の主要点につきましては、(一)家畜の取引の業務に関する講習会の受講終了を免許の要件にしたこと、(二)家畜商の営業保証金の供託についての制度を設けたこと、(三)家畜商に家畜の取引に関する帳簿の備え付け及びこれについての立ち入り検査に関する規定を設けたことの三点であり、その他の改正点は、これらの事項に関連して、免許の資格要件、取り消し要件等につき、必要な規定の整備を行なったことであります。
 以下、これらの改正の主要点について御説明申し上げます。
 まず第一点は、家畜の取引の業務に関する講習会に関する制度についてであります。現行法では、家畜商に簡単な免許制度を実施し、その結果、現在のところ約七万五千人の家畜商につき免許が行なわれております。若干の免許手数料さえ納入して申請すれば、禁治産者、準禁治産者、禁錮以外の刑に処せられその執行を終わった日から二年を経過しない者等でなければだれでも免許を与えられることになっており、この結果、家畜の取引の業務に必要な知識をほとんど持たないものであっても、家畜商の免許を与えられて営業できることとなり、取引に関する事故や紛争をおこす場合もあって、このことが家畜商個人またひいては家畜商業界の地位をおのずから低めている実情でもありました。そこで、今回の改正に際しては、講習会に関する制度を設け、家畜商の資質の向上をはかることにいたした次第であります。すなわち、第三条第二項の免許の資格についての現行規定を改正し、農林大臣の指定する者が行なうかまたは都道府県知事が行なう家畜の取引の業務に関し必要な知識を修得させることを目的とする講習会の課程を終了した者またはその者を使用人その他の従業者として置く者に対してでなければ、家畜商の免許を与えないこととしたことであります。
 第二に、この免許資格の整備と関連して免許申請者の保護をはかるため第四条の二の規定を新たに設け、都道府県知事は原則として毎年一回を常例として講習会を開催しなければならないこと。ただし、農林大臣が指定した者が行なった場合には、都道府県知事は必ずしも行なわなくてもよいこととし、また講習会を開催した者は、その講習会の課程を修了した者に対し修了証明書を交付しなければならないことといたしたことであります。
 第三に、講習会の受講、修了を免許の要件としたことの趣旨が、実際の取引を行なう者の資質の向上をはかることにあり、したがって、免許を受ける家畜商のみでなく、取引の業務に従事する従業員にも受講、修了をさせる必要にかんがみ、第十条に第二項及び第三項を新設し、家畜商に対し、受講、修了をしていない者をその取引の業務(農林省令で定める取引契約の締結等の行為)に従事させてはならない業務を課するとともに、講習会の受講、修了をしていない家畜商は、みずから家畜の取引行為を行なってはならないことといたしたことであります。なお、この講習会につきましては、附則第三項で既存の業者は、一年以内に受講、修了をし、その受講、修了をした証明書を添えて免許を申請しなおさなければならないこととなっており、またこれと関連して、附則第五項で都道府県知事に法施行後十月以内に講習会を開催すべき義務が課せられております。
 次に、主要な改正点の第二は、家畜商の営業保証金の供託に関する制度についてであります。家畜商の知識の欠如に基づく家畜取引上の事故または紛争につきましては、講習会に関する制度を実施することにより、その減少をはかることが可能でありますが、一部の家畜商が取引についての知識を有しながら他人に迷惑をかける場合もあり、この点、講習会の実施のみでは十分ではないので、家畜商の信用能力を最小限度において補完して家畜の取引の安全を確保するとともに、事故が生じた場合には、家畜商の取引の相手方の債権の保護をはかることを目的として営業保証金の供託に関する制度を設けたことであります。営業保証金に関する規定は第十条の二から第十条の七までと附則に若干ございます。
 まず第十条の二は、家畜商の供託義務、供託をしたむねの都道府県知事に対する届け出義務、届け出以前の営業開始の禁止について規定しております。
 第十条の三におきましては、営業保証金の額につきまして、その家畜商の業務に従事する者の数が(免許を受けている者がみずからも取引の業務に従事するときは、その者をも含めて)一人であるときには二万円とし、一人をこえる場合には一人増加するごとに一万円をこれに加えた額とする旨を規定いたしております。
 供託すべき営業保証金は、この第十条の三第二項において、現金に限定することなく、国債、地方債等の有価証券でもこれに充て得ることを定めております。
 第十条の四におきましては、営業保証金の還付について規定されております。営業保証金の還付とは、供託した営業保証金により家畜の取引上その債権を有する者が取引上の弁済を受けることをいうわけでございますが、本条はこの還付について、請求権者、請求のできる事由等を規定しているわけであります。
 次に、第十条の五におきましては、営業保証金の不足額について、家畜商の供託義務を規定しております。
 次に、第十条の六におきましては、営業保証金の保管がえについて規定しております。
 最後に、第十条の七におきまして、営業保証金の取り戻しにつき規定しております。取り戻しとは、供託者が供託所から営業保証金の払い戻しを受けることをいうわけでありますが、本条は、取り戻し権者、取り戻すことのできる額を規定しております。
 なお、この取り戻しを行なう手続については、この条の第四項以下で当該営業保証金の還付請求権者を保護するため、取り戻しをしようとする者に還付請求権者の存否を確かめるための公告する義務を課しているほか、供託関係の法令またはこの法律に基づく省令で定められることになっております。
 以上が営業保証金に関する規定の概要であります。
 このほか、附則第八項から第十一項までにおきまして、既存業者についての供託義務、供託した旨の届け出義務、その届け出がない場合の免許の取り消しについて規定しております。
 改正点の第三は、家畜取外に関する張簿の備付及びその検査についてであります。
 すなわち、第十一条の二の規定を新設し、家畜商に、事業所ごとに帳簿を備え付け、これに取引のあったつど、その年月日及び場所、その取引頭数、取引に従事した使用人氏名等を記載させるとともに、第十一条の三の規定を新たに設け、都道府県知事に対して、その職員に家畜商の事業所に立ち入り、帳簿書類を検査させる権限を認めることとしたのであります。
 以上が改正の主要点についての簡単な説明でございますが、このほか、以上の主要な改正点に伴い必要となった関連の改正点が若干ございます。
   ――――――――――
 家畜改良増殖法の一部を改正する法律案につきまして補足説明を申し上げます。
 まず本則におきましては、
 第一に、わが国における畜産の発展、その農業に占める地位の向上及び必要性に対処するとともに、最近におきまする畜産技術の進歩等に応じまして、家畜の改良増殖を一段と計画的かつ効率的に実施して畜産の振興をはかるとともに、あわせて農業経営の改善に資する趣旨を明らかにするため、目的に所要の改正を加え、
 第二に、家畜の改良増殖に有効な事項を極力総合的にかつ体系的に促進することとし、その実施に際しては農業経営に家畜の改良増殖の成果である優良な資質の家畜が適正かつ円滑に導入されることになるように努める旨の規定を設けることといたしました。
 第三は、家畜の改良増殖を計画的に行なう趣旨で、家畜改良増殖目標の公表、都道府県家畜改良増殖計画の作成等に関する規定を新たに設けることといたしたのであります。
 第四には、凍結精液の利用の実用化に伴い、種畜及び家畜人工授精に関する規定を補正して整備することといたしております。
 第五には、新たに家畜登録に関する規定を設けることとしました。すなわち、これは家畜登録事業の公正な運営を確保するため、家畜登録事業についてその登録規程を農林大臣の承認制とするとともに、その業務について援助し監督すること等の規定を設けることといたしました。
 第六には、新たに家畜の改良増殖に関する重要事項を調査審議するものとして、農林省に家畜改良増殖審議会を設置することにしたのであります。
 第七には、この法律案を施行するために必要な雑則及び罰則について所要の規定を設けております。
 なお附則におきましては、家畜登録事業について、その登録規程が農林大臣の承認制となることに関し、その他この法律の施行のため、必要な経過措置、関連法律の一部改正について規定を設けております。
 次に、おもな改正規定について逐条説明を申し上げます。
 第一条は、すでに申し上げました本法の目的に関しまして改正法律案の内容に即しまして所要の改正をしたのであります。
 第二条は、家畜の改良増殖を促進する義務と家畜の改良増殖が農業経営の改善に資し、農業者にその成果を得しめるための家畜の導入等に対する措置に関する規定であります。すなわち第一項におきましては、現行法でも国及び都道府県は家畜改良増殖に有効な事項を促進することといたしておりますが、この改正法律案におきましては、その趣旨を包括的にそのまま引き継ぐとともに、家畜の改良増殖の促進事項のうち、その重要事項を極力具体的に又体系的に法文化してこれを明確に確保することといたしました。したがって、従来の「第二章以下に規定する事項以外であっても」を削除することといたしました。
 第二項につきましては、国及び都道府県が家畜の改良増殖に関する各種の施策を進めていく際に、家畜の導入をいかに円滑に進めていくかについて規定いたしております。すなわち、新たに国及び都道府県は、家畜の改良増殖上必要な各種の施策を講ずるにあたっては、改良増殖の成果である優良な資質の家畜が農業経営に適正かつ円滑に導入されるように努めるとともに、家畜を取り入れた農業経営の発展に資するよう努めるべき旨の規定を設けることとしたのであります。しかして優良な資質の家畜が農業経営に取り入れられ、この飼育が行なわれる場合、これらの家畜がわが国の畜産経営の発展の方向に即した形でその優良な資質が十分活用されるのでなければならないのは当然なことでありまして、これが措置を円滑に実施するために、家畜を導入するにあたっては農林大臣が定める「有畜農家育成基準に準拠」することとしたのであります。
 第三項につきましては、有畜農家育成基準の内容等についての規定であります。有畜農家育成基準とは、家畜の改良増殖の目標並びに農業経営の現状及び将来の改善目標等を考慮いたしまして、家畜の飼養規模、家畜導入にあたって考慮すべき立地条件等について定めることといたしているのであります。
 これまでのわが国の畜産経営は、副業的な経営が大部分を占めていたのでありますが、畜産物に対する旺盛な需要に刺激され、一般的には自然的、経済的、社会的条件により、経営の形態等について多くの差がありますものの、従来の飼養規模に比べて多頭数飼養の有利性が次第に認識され、普及されつつある状況であります。またこれと同時に、適切な農業生産の発展をはかり、農業経営の近代化等を中心とする農業構造の改善のためには、合理的な畜産の導入及び経営の育成、発展を確立しまして畜産の振興がはかられることが、今後のわが国農業の発展のため最も必要なことの一つとして要請されているのは御承知のとおりであります。有畜農家育成基準を定める場合には、無畜農家の有畜化を一段と適切に進めますと同時に、単なる副業的有畜農家経営から多頭数飼養による主畜経営またはこれに準ずる経営に移行することが必要であると考えられます。したがいまして、国としてもこの基準に沿って、従来よりも拡充した援助指導を行ない、もって家畜を取り入れた有畜経営による農業の発展を進めていくことを助長したいと考えておるわけであります。
 次に、第一章の二につきましては、家畜の改良増殖に関する目標、家畜の改良増殖計画等に関する措置について規定しております。
 第三条の二につきましては、農林大臣の定める家畜改良増殖目標の公表及びその目標の内容等に関する規定であります。今後におきまして畜産を適切に伸長して参ることは、まさに重点的な国策の一つでありますので、今後の家畜の改良増殖を計画的、能率的に行なうための国の目標を重要な事項について定めますとともに、国民一般特に農業者に理解と協力を求めるとともに、都道府県が家畜改良増殖計画を立てるときのよりどころにしたいと考えている次第であります。
 第一項は改良増殖目標を定める家畜は、牛、馬、綿羊、ヤギ、豚について定めることといたしまして、その他の家畜につきましては、必要な事態に応じまして政令で追加ができるように規定いたしております。
 農林大臣は、家畜改良増殖目標を定めたときは、これを公表することといたしておりますが、これは、国及び都道府県の関係者のみならず、種畜業者、家畜の飼養者である農業者等、広く関係者に周知徹底をはかり、協力を得る必要があるためでございます。
 なお、家畜改良増殖目標を定める時期及び目標期間につきましては、政令で定めることといたしておりますが、たとえば五年ごとに十カ年先までの目標というように家畜の性質、畜産技術等を考え、かなり長期的なものとしてこれを立てる所存であります。
 第二項は、家畜改良増殖目標の内容について規定しているのでありますが、家畜改良増殖目標は、家畜の種類ごとに畜産物の需要の動向及び畜産経営の発展の方向に即して産乳能力、産肉能力、体型、頭数あるいは耐暑性、耐寒性等、地域性に応じた家畜の特性等について定めることといたしておるのであります。
 第三項におきましては、家畜改良増殖目標は、かなり長期にわたる家畜の改良増殖の基本方針を定めるものでありますから、学界、実際家を通じ、民間の有識者の意見を聞いて慎重を期するため、家畜改良増殖審議会の意見を聞かなければならないことといたしております。
 次に、第三条の三は、都道府県知事の定める家畜改良増殖計画に関して規定したものであります。すなわち第一項は、都道府県知事は、農林大臣の定めた家畜改良増殖目標の方向に即応して家畜改良増殖計画を定めることができることとしたものであります。
 第二項は、この計画に盛り込むべき必要な事項を定めたものであります。第一は都道府県としての家畜改良増殖の目標でありまして、方向としましては、国の目標に即するものであることが必要であると考えますが、その都道府県の自然的、経済的、社会的な諸事情が加味されるものと考えられます。第二は計画の期間で、国に準じて一応十カ年くらいを考えております。第三は種雄畜の配置利用又び更新に関する事項であります。この趣旨は、都道府県内の改良増殖を推進する際の基礎となる優良な種雄畜を適正に配置し、有効に利用することにより、家畜の改良増殖の所期の目的を達成せんとするものであります。
 第四は、都道府県の種畜場、民間の生産家の施設等種雄畜の生産施設、家畜人工授精所、家畜人工授精を行なう種畜場等の家畜人工授精施設、その他有畜営農指導所、畜産基地農場、畜産試験場等の家畜改良増殖施設の整備拡充計画に関してであり、第五は産乳または産肉等の能力検定事業の実施計画等に関してであり、第六は講習会、共進会等の開催の方針及び計画等の記載を期待しており、第七は、以上のほか関係試験研究の計画に基づく指導計画等についての事項を考えております。
 第三項は、都道府県知事は、家畜改良増殖計画を定めようとするときは、畜産に関する専門的知識または経験を有する者の意見を聞かなければならないこととしてありまして、これは、大学関係者、畜産及び農業団体の関係者、民間のブリーダー等が加わることを期待しているのであります。
 第四項は、家畜改良増殖計画は、国の場合と同様、広く関係者の理解とこれに基づく協力を期待しているものでありますので、その公表について規定しているのであります。
 次に、第三条の四につきましては、都道府県知事の定めた家畜改良増殖計画の実施に必要な国の援助について規定しているのでありまして、都道府県に対してましては、国の所有する種畜の譲与、無償貸付または時価よりも低い対価による譲渡もしくは貸付、種畜の購入に要する経費の補助、乳牛及び豚について行なう能力検定事業の実施に要する経費の補助、畜産研修施設の設置及び講習会開催に要する経費の補助等の助成措置を講ずる所存であります。
 次に、第三条の五につきましては、種畜に等級を付する場合、家畜人工授精所に愛着する種畜の規格を定める場合には、農林大臣または都道府県知事は、家畜改良増殖目標または家畜改良増殖計画の趣旨に沿ってその達成に資するものとなるように努めること、並びに、その他家畜登録事業、家畜改良増殖審議会等に関する各条項を運用するにあたっても、改良増殖目標または改良増殖計画の達成に資するよう努むべきことを規定しているものであります。
 次に、第二章の種畜及び第三章の家畜人工授精の規定の整備であります。
 これは、近年家畜人工授精技術が著しく進歩し、たとえば精液の凍結保存法のごとく精液を長期にわたって保存した後も、なお授精能力を保存せしめることも可能となり、わが国においてもこれが実用化の機運にありますが、昭和二十五年現行法を制定した当時は、このような技術は想定されておらず、結果的には凍結精液の利用をはばむこととなるような規定がありますので、これを整備いたしたのであります。
 すなわち、第一に、この法律で家畜人工授精とは、牛、馬、綿羊、ヤギまたは豚の雄から精液を採取し、処理し及び雌に注入することをいうのでありますが、他方、第四条第一項の規定により、家畜の雄は、農林大臣が毎年定期に行なう検査を受け、種畜証明書の交付を受けているものでなければ種付(家畜人工授精を含む。)の用に供してはならないことになっております。すなわち、種畜でないものは、精液の採取の用に供してはならないことはもちろん、その精液を処理することも、雌へ注入することも禁止されることになりますので、種畜から採取した精液を凍結法等によって長期保存した場合、その種畜の死亡または廃用後その精液を雌に注入することは、すでに種畜でなくなっているものの精液を注入することになり、第四条第一項の規定に違反することになります。
 そこで、第四条第一項中「種付(家畜人工授精を含む。)」を、「種付け又は家畜人工授精の用に供する精液の採取」に改めるとともに、第五条及び第九条の規定を同様な趣旨で改め、精液採取時に種畜であれば、精液注入時にはその種畜がすでに死亡、廃用等になっていても、その注入は違法ではないことを明らかにし、凍結精液の利用が円滑に行なわれることを期したものであります。
 第二、凍結精液等貯蔵精液を利用する場合には、雌畜に注入するときまでにかなりの時日を経過することもあり、また精液が幾人かの手を渡ることがありますので、現行の第九条第四項の種畜の飼養者は、その家畜人工授精用精液の注入を受ける雌の飼養者に対して精液採取証明書を交付しなければならないという規定は、種畜飼養者に、過重な義務を課することとなります。
 したがいまして、第九条第四項から「精液採取証明書」を削ることといたしましたが、この点が改められましても、別に家畜人工授精師が精液証明書、授精証明書を発行することになっておりますので、人工授精用精液の注入を受けた雌の飼養者に対する精液採取証明書の交付を種畜の飼養者に義務づけなくとも、家畜人工授精の利用に支障はないものと思われます。ただし、家畜人工採精師が、家畜人工授精用精液を採取し、検査した後その場で雌の家畜に注入する場合のことを考え、その注入を受けた雌の家畜の所有者から精液の採取に関する証明書を要求されたときは、家畜人工授精師は、正当な理由がなければ拒んではならないことを第十三条第四項として規定した次第であります。
 第三章の二は、家畜登録事業に関する規定であります。
 家畜登録事業は、その運営よろしきを得れば、不良形質の淘汰、優良家畜の作出等に役立ち、家畜の改良にきわめて大きな役割を果たすものでありますので、これが今後の畜産の向かうべき方向に即して公正に運営されることを確保するために規制を加えることとしたのであります。
 第三十二条の二の第一項におきまして、家畜登録事業を行なおうとする者は、登録事業の実施に関する規程(「登録規程」という。)を定めて農林大臣の承認を受けなければならないものといたしました。
 第二項は、登録規程において定めなければならない事項を掲げてあります。第一は登録する家畜の種類であります。第二は登録の種類及び方法でありますが、これは、登録にどのような段階を設け、いかなる方向で登録するかは、改良を能率的に進める上に重要でありますので、これらについて記載せしめることとしたのであります。第三は、審査の基準に関する事項であります。第一項でも触れておりますように、登録は、家畜を一定の基準で審査いたしまして、その判定に基づいて行なうものでありますので、その基準が家畜改良増殖の向かうべき方向に即し、適切なものでなければなりません。第四は、登録手数料であります。登録事業は、主として手数料収入によって運営されておりますが、他面、手数料が高過ぎる場合には、家畜飼養者に過重な負担を課することとなりますので、これが適切な水準に定められる必要があるので、ここに掲げたのであります。第五は、家畜登録簿に関する事項であります。家畜登録簿は、家畜登録の締めくくりであり、また基礎であるのみならず、家畜を交配し、あるいは導入する際の重要な資料であるので、これは適確に作成され、容易に利用できるものでなければならないと存ずる次第であります。
 第三項は、登録規程を変更する場合にも農林大臣の承認を受けなければならない旨を定めております。
 第四項は、登録規程の承認及びその変更の承認の基準に関する規定であります。家畜登録事業は、今後の家畜改良増殖の方向に沿い、公正に運営されなければなりませんが、反面、登録団体の自主性を尊重する必要がありますので、その登録規程が家畜改良増殖目標に即するものと認められない場合及び家畜登録事業の公正な運営を行なうのに適切でない場合を除き、承認することといたしました。
 第五項は、家畜登録事業の廃止の場合の届け出に関する規定であります。家畜登録事業を廃止しようとする場合、それまでの登録簿、その他の関係資料の散逸を防止する必要があるため、あらかじめ農林大臣にその旨届け出なければならないことといたしました。
 次に第三十二条の三は、家畜登録事業の公正な運営を確保するための国の援助について規定しております。
 第三十二条の四は、業務規程違反の場合の必要措置命令に関する規定であります。
 第三十二条の五は、法令違反の場合の家畜登録機関に対する業務の停止命令に関する規定であります。
 第二項は、農林大臣が家畜登録機関に対し業務の停止命令を行なう場合、これを公正に行なうための相当な予告期間を置くこととするとともに、処分にかかる者が意見を述べる等の機会を与えるための措置等、聴聞に関する措置を規定したものであります。
 第三章の三は、家畜改良増殖審議会に関する規定であります。
 家畜改良増殖目標を定め、また家畜の改良増殖に関する重要施策の企画、遂行にあたっては、広く学識経験者の意見を聞くことが適切であると考えまして、この審議会を設けることといたしたのであります。
 まず第三十二条の六から第三十二条の九までにおきまして、その設置、権限、組織及び会長について規定いたしております。
 第三十二条の十は、部会の規定でありますが、これは、家畜の種類ごとにその改良増殖技術は分化している面が少なくなく、また改良増殖上の問題点も家畜の種類ごとに異なる面がありますので、部会を設けることができることといたしております。
 次に第三十四条に一項を加えましたが、これは、さきに述べました家畜登録事業の公正な運営をはかるため、農林大臣の報告徴収権に関して規定したものであります。
 第五章の罰則のうち第三十八条及び第四十条の規定を改めましたが、これは、新たにこの法律に家畜登録事業に関する規定等が加わったことに伴い所要の規定を加えたものであります。
 最後に附則におきましては、第一にこの法律の施行日を公布の日から九十日以内で政令で定める日といたしました。
 附則第二項から第四項までの規定は、現在家畜登録事業を行なっている者は、この改正法が施行されてから一年以内にその登録に関する規程につき農林大臣の承認を得なければならないものとする等の経過措置を定めたものであります。
 附則第五項は、家畜改良増殖審議会の設置に伴う農林省設置法の改正に関する規定であります。
 以上が、家畜改良増殖法の一部を改正する法律案の概要でございます。
#7
○委員長(仲原善一君) 以上で両案に対する補足説明は終わりました。両案については、本日はこの程度といたします。
   ――――――――――
#8
○委員長(仲原善一君) 次に、家畜取引法の一部を改正する法律案(閣法第三七号、参議院先議)を議題といたします。
 本案に対する質疑を行ないます。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
#9
○亀田得治君 私のほうから要求いたしました取引法の違反件数などについての資料が本日出たわけですが、これを拝見いたしますと、取引法違反による検挙件数というものは、きわめて数が少ないようであります。この数字だけを拝見いたしますと、非常に家畜取引法というものがスムーズに運用されておるかのごとくにも思われるのですが、若干その点について確かめてみたいと思います。
 まず、この資料によりますと、三十三年、三十四年、三十五年と、この三カ年だけのものがありますが、この法律は、三十一年から施行されておるわけでして、三十一年、三十二年はわかっておらないのか、あるいは全然そういう違反件数というものがなかったということなのか、まず、その点を確かめておきたいと思います。
#10
○政府委員(森茂雄君) 私のほうの不備といいますか、三十二年度のやつ、記録が警察庁のほうにも私のほうにもないものですから、こういう表になったわけでございます。
#11
○亀田得治君 三十一年、三十二年は記録がないと、これは役所の書類の保存の建前からいいますと、ちょっと早過ぎるのじゃないのですか、記録がないというのは。それに該当するものがないと、こういう意味なんですか、そこをもう少し明確に。
#12
○政府委員(森茂雄君) 該当するものがないということはここでは確言できませんが……。
#13
○亀田得治君 こういう新しい法律でありますから、やはりその法律の行なわれている状態がどうだということは、監督官庁として十分知っておらなきゃならないと思うのですね。どうも今のお答えでありますと、そこら辺が注意が行き届いておらぬ。あるいは前の畜産局長はわかっていたのかもしれませんが、まあかわった早々でわからないということなのか、どうも明確じゃありませんが、どうなんですか。
#14
○政府委員(森茂雄君) 御要求がありましてから三日目ですか、四日目ですか、まだ庫の中に入っておりますので、もう少し待っていただいて報告させていただきたいと思います。
#15
○亀田得治君 それは警察庁の庫ですか。
#16
○政府委員(森茂雄君) そうであります。
#17
○亀田得治君 しかし、こういうものは、単に罰則は警察のことだというふうにまかしておかないで、やはりそういう間違いというものがありましたならば、そういうものについては毎年々々まとめて、まあ問題が起きたつどではあまり忙しすぎるでしょうが、毎年やはりまとめて監督官庁がそれをやっぱり握っておる、こういうことがこの法律を正しく運用していく上に大事なことじゃないかと思うのですが、何かこちらから聞かれた場合に、警察の庫の中の書類を引き回して整理してみないとわからないということでは、ちょっといけないと思いますね。これは単なる家畜取引法だけではないのでして、農林省が監督している法規というものは非常に多いわけですね。何もだてや酔狂で罰則なりいろいろな行政処分などをきめているのではないのでして、それが適正に罰則等が行なわれておるかどうかも、これは調べておかなくちゃならないでしょうし、実際問題として行政処分なり罰則などの適不適ということがあった場合に、それを改正しようということを発案するのは、これは警察でも何でもない。やはり農林省になってくるわけですね、法の体系からいって。だからそういう建前を考えますと、どうもそういう違反といったようなことは二の次ぎだというような感じを、先ほどからの答弁で受けるわけですが、大体そういう行政措置なり処分なり罰則という問題についてのかまえ、これは農林大臣にお聞きしなければならない重大な問題かもしれませんが、一応あなたの局の関係に関しましても、こういうことがたくさんあるわけですから、大体どういうかまえを平生から持っておられるのか。もう少しざっくばらんなところをお聞かせ願いたいと思います。
#18
○政府委員(森茂雄君) 御報告申し上げましたのは、検挙件数とか家畜商法の関係もありますが、そういう刑事的な面に上ぼってきただけのことでありますが、行政官庁としましては、そういう刑事的にならない前の段階、いろいろ行政上の紛争とか、そういう刑事前の行政に関する紛争などを、資料としても、それから行政指導上も、この前の段階が大事だと考えておるわけでありますので、こういう検挙件数とかそういうことにならない前の件数等も、十分いろいろ問題があれば、都道府県から相談にあずかる場合もありますので、そういう事例等を十分整備いたしまして、前の段階の方が事の性質上必要と考えますので、御指摘の趣旨は全く同感でございますので、今後そういう点について十分遺憾なきを期したいと存じます。
#19
○亀田得治君 前の段階も必要ですが、前の段階で事が終わらないで、結局罰則の適用等にまで進んでいくということになりますと、その善後措置というものはより一そう深刻であるはずですね。必ずそのことによってだれかが被害を受けたとか、こういう行政法規においては必ずそういうことが伴っておるはずですから、もう少しこの具体的な研究を、そういう具体的な問題についてやっておいてほしいと思うのです。
 それで、この表によりますと、三十三年には検挙された件数が五つ、三十四年には二つ、こうなっておりますが、これは取引法の罰則のどれに当たる事件だったわけですか。
#20
○政府委員(森茂雄君) 取引法による登録をしないで開催した事例だと思います。
#21
○亀田得治君 七件とも全部そうですか。
#22
○政府委員(森茂雄君) そうであります。
#23
○亀田得治君 うち一件ずつが起訴されておるわけですが、三十三年、三十四年のことですから、すでに結論が出ておると思いますが、どういう刑罰を受けたわけですか。
#24
○政府委員(森茂雄君) ただいまのところまだちょっと……あとで調べて御報告申し上げます。
#25
○亀田得治君 まあ私の想像でありますが、この五件のうち一件しか三十三年は起訴しておらぬということですから、まあその起訴されておらないものは非常に不注意でやったとか、あるいはまたいろいろな事情がせっぱ詰まっておったので、そういう手続を取るひまがなかったとか、事情があったことと思う。一件だけ起訴されておるというのは、やはりそういう事情も許されないというような判断じゃないかと思うのですがね。ところが、従来ややもすると行政関係法規でいろいろ罰則がつけられましても、刑事犯じゃないのだからというようなことで、非常に軽く扱われる傾向もあるのです。だからそういう気持で五つのうちの四つがほったらかしになっているのか、こういうことはよくやはり検討の余地があるのです。で、三十三条の規定を拝見しますと、登録もしないで取引所を開いたということについて一年以下の懲役、十万円以下の罰金と懲役刑までついておるわけでして、だから、こういうものはやはりちゃんともう少しお調べを願って、畜産局の方でちゃんと持っておってもらいたいと思いますね。これは本案に関連して明らかにしてもらえばけっこうなんですが、もう少し調べていただきまして、あとからでもいいですから、どういうふうになっておるのか、その辺をもう少し明らかにしてほしいと思います。
 それからこの法律では現行法第三十三条、三十四条、三十五条、三十六条、三十七条、この罰則をきめまして、そうしてこういう家畜取引所における取引が乱雑にならぬようにということで、いろいろ規制しておるわけですが、そのほかの条文が一つも適用されておらない、統計上はそういうことになっておるわけですね。これははたして事実がちゃんと秩序正しく全部行なわれていてそういうふうになるのか、あるいはその辺の監督なりそういうものが行き届いておらぬのでわからない、こういうことが真相なのか、これはどういうことなんでしょうか。いたずらに何も罰則が統計上たくさん現われてくることを私歓迎するものではもちろんないわけですが、ちょっと有名無実なような感も一方から受けるんですが、どうなんでしょう。
#26
○政府委員(森茂雄君) 家畜市場の行政は非常にむずかしい、と申しますのは、いろいろ従来からの慣習とかありまして……。終戦前は別に法律はありましたが、終戦後なくなりまして、そうして十年間というものは各個まちまちに各県の条例でやっておりまして、その後三十一年に取引法ができた。いろいろ昔からの古い慣習法がありますので、それと行政措置と、この法律の目的とする方向へ向かってやる点で、なかなかむずかしい、こういう点があるわけであります。
#27
○亀田得治君 いろいろ慣習等があって、運用上何かむずかしい点があるように言われるわけですが、しかしどんな慣習がありましても、この法できめたことに反するようなことがあれば、それを直していこうというのがこの法律ができた趣旨なわけでしょう。全国的に統一して、そうしてこういうルールでやっていこうということになっているわけですから、そんな慣習をそれほど御尊重になるのなら、その理屈を突き詰めていけば、この法律は要らないということにもなるかもしれぬし、それほどまでいかなくとも、多少ルーズにやっておってもいいんだというようなことにもなるんですが、そういうことですか。
#28
○政府委員(森茂雄君) 舌足らずで、誤解されたと思いますが、この法律の趣旨は、条文通りにやるように、各都道府県が非常に努力してやっておるわけであります。
#29
○亀田得治君 こういう法律を運用するにつきまして、畜産局では何名くらいの人が年間担当しておやりになっているんでしょう。
#30
○政府委員(森茂雄君) 直接そればかりを主としてやっておるものは二名であります。
#31
○亀田得治君 二名ではなかなかこれは大へんだと思います。たとえば第二十九条を拝見いたしますと、農林大臣または知事は、取引所の開設者に対して業務の状況なり家畜取引の状況などの報告をさせることができることになっている。こういうことはさせておるのですか。実際上そういうことはしていないのか、どっちなんでしょう。
#32
○政府委員(森茂雄君) 「できる」ということになっておりますが、報告させております。
#33
○亀田得治君 これはどの程度の報告というものをさせるのですか。しておるのですか。
#34
○政府委員(森茂雄君) 業務規程によります開催した日だとか、それから上場頭数が主とした内容であります。
#35
○亀田得治君 この同じ条文の第二項によると、この検査などもできるようになっておりますが、こういうことは事実上二名くらいではできませんな。どうなんですか。
#36
○政府委員(森茂雄君) 十分二名でやり切るということは、なかなか困難であります。
#37
○亀田得治君 それは二名じゃとても十分はできないでしょうが、不十分でも何かおやりになっているんでしょうか、やっておられたらひとつその不十分な実施状況をちょっと御説明願いたい。
#38
○政府委員(森茂雄君) 原則としては都道府県の職員でやっておりますが、問題が大きく、各般のそういう妙な状況が他府県に関係するというような重要なところにつきましては、畜産局の職員が現地に出かけましてやっております。一例を申し上げますれば、尾道の問題など起こりましたときには、各三重、滋賀、京都、大阪等別の職員まで動員をいたしましてやっております。
#39
○亀田得治君 一例だけ今お聞きしたわけですが、現行法ではいけない、法律を改正しなければならぬという出発点は、そういう問題が起きて、これではいけない、こうなってくるわけでしょうから、それでお聞きしているわけなんです。何回くらいそういう検査というものを今まで実際上おやりになっているんですか。
#40
○政府委員(森茂雄君) 三十二年には、県が多いんですけれども、一回です。
#41
○亀田得治君 農林省は一件ですか。
#42
○政府委員(森茂雄君) 三十三年には県の数では八県、それから市場の数では十二市場であります。もちろん農林省であります。
#43
○亀田得治君 三十四年、三十五年は。
#44
○政府委員(森茂雄君) 大体班を組織しまして、職員が行動を起こしてやるのは年に一回であります。ただ、県の数はもちろん数府県にわたるわけでございます。
#45
○亀田得治君 そうすると、説明がこう変わるんですから何ですが、そうすると、現在は何か年度当初に計画を立てて、そうして班を組んで、およその見当をつけて検査に行くわけですか。
#46
○政府委員(森茂雄君) 全国に多数市場がありますものですから、問題がありそうな――と言っちゃ何ですか、前に検査をやらないところを順々と回ってやっていく。これは旅費と職員に制限をされておりますが、そういう計画的にやっておりますが、年がら年じゅうやれる陣容もありませんし、経費の関係で極力頭数の多い、重要といいますか、比較的に上場頭数の多い、取引金額の多いところをねらってやっております。
#47
○亀田得治君 抽象的にそういうふうにだけ言われますと、相当数ぱっと出て行ってこうやっているような誤解を受けるのです。それで私ざっくばらんに具体的な数を聞きますと、ははあこの程度だとすぐわかっていいのです。あまり形容詞は要らない。三十五年は何カ所をお調べになったのですか。
#48
○政府委員(森茂雄君) 三十五年は検査をやっておりません。
#49
○亀田得治君 一つ一つ聞いていったらゼロもあるのじゃないか。これはやっぱり目が届いておらぬと、こう言わなければならぬ。そこでいろいろ目が届いておらぬということになりますと、たくさん問題が出てきますがね。しかし今度の改正しようという条項に関連してだけお聞きするわけですが、この十五条につきまして、法律を改正したいという提案になっておるわけですが、十五条は取引の方法ですね、非常に大事な問題点です。この業務規程というものがほんとうに守られておるのかどうか。取引の方法に関して業務規程なりあるいは法律で規定しておる制度とか、そういう規定された方法が実際にぴちっと守られておるのかどうか。これは非常に重大な影響が出てくると思うのです。そこらはあまりわかっていないのじゃないですか。しかも十五条については、それに違反したからといって、罰則の対象になりませんからね、現行法では。だから検察庁なり警察の対象にもその部分はならぬ。そうして農林省の監督といいましても、先ほどお聞きしたようなことでは、ほとんど目が届いておらない。これはもうお聞きの方はみんなそうお感じだと思います。そうすれば、この取引方法に関する点が、はたして守られておるかどうかといったら、非常に私は疑問があると思うのです。そういう疑問のあるときに、現在の十五条を修正して、そうして多少原則を現行法よりもやわらげることになるわけですね、この改正の中身というものは。これは清澤さんからもいろいろ御議論がありましたが、現行法でも、あるいはこの改正案であっても、結局知事の許可を、事前にあらかじめ定めた農林省令の基準によって知事の許可を受けた業務規程に従ってやるわけですから、この現行法の改正は必ずしも要らぬのじゃないかという感じは、私も持っておるのです。持っておるんですが、しかし、幾らかこの現行法と改正案を比較して見ますと、せりとか、入札とか、そういう原則に対して例外を少し幅広くする、こういう感じを受けるわけなんです。ところが、そういうことを簡単にやっていいものかどうかということなんです。ここが問題でしょう。それは現在の十五条自身がはっきりと守られておるのかおらぬのか、これがはっきりしないわけなんですから。
#50
○政府委員(森茂雄君) 十五条についてでありますが、三十二年の施行当時、和牛につきまして関西十数県にわたって、せりまたは入札に、相対取引から一応なったわけであります。ただ尾道市場につきましては、施設その他いろいろの理由を申し述べまして、せりまたは入札の形式をとり得ないまま相当期間を経過したわけであります。そこで衆議院等でも問題になりまして、国会、衆議院等からも現地調査に行っていただきましてよく事情を調査したわけであります。本法の一部緩和になるではないかという点につきましては、せりまたは入札の方法によりまして公開取引をやって、取引の合理化、売り手、買い手、一般によく公開するという趣旨に持って行こう。そこでせりまたは入札によらない方法でも、公開性のある方法を一つとりまして、せりまたは入札の方へ持って行くという趣旨で、先日御説明申し上げましたとおり、そういうことで定価売買、掲示売買等を一部やる。その他はせりまたは入札をやるということで尾道等を指導して参りたいと存ずるわけであります。で、県とも十分相談しまして、また開設者とも十分相談しまして、全部せりまたは入札にできないものは、一部せりまたは入札をやって――一部と申しますと、肉畜等を農業者が市場に売る場合、せりまたは入札による。その他の一部の場合につきまして、今回例外的に認めようとする正札売買、定価売買、掲示売買等の方法をやっていくということで、相対取引をやめるということに話がまとまっておりますので、尾道が相対取引をがんばって敢行しておりましたために、せっかくせりまたは入札になったほかの市場が、あそこが認められるならということで元に戻った関係もございますので、今回、はっきりと例外的な場合を限定して明示しまして、本法を改正しまして、せりまたは入札の方へ、一定期間正札売買のものも、現在のところでは二年後でございますが、施設の充実と相待って全部を――二年間だけは一部について正札売買、相当の部分はせりまたは入札ということで――やれない分については二年を限ってそういう例外的な方法を認めて施設の充実と相待って、全部、せりまたは入札に持っていく、こういう趣旨で改正をお願いしておるわけであります。
#51
○亀田得治君 そこの説明は一応わかるわけですが、どういう気持でおやりになったかということは。しかし、そういう説明であれば、現在の十五条でも業務規程を知事が承認して変えていけばできるわけでしょう――できる。それをことさらに十五条のただし書きの書き方を変えて、何か非常に、せり、入札という原則をゆるめるような印象を与えるのは、ちょっと必要ないのじゃないかという感じがする。今おっしゃることは現行法上できないというなら別だ。しかも、今おっしゃったことは、これは例外であって、もう二、三年したら、やはりせりまたは入札の方向に尾道の場合にも持っていきたいんだ、こういうふうにお考えであればなおさらですね。そんな必要はないと思うんです。だから、こういう改正をされるということは、やはり原則を何か非常にくずすような印象はまぬがれない。そこはどうなんですか。
#52
○政府委員(森茂雄君) 法文、改正案だけを見ますると、私も二カ月前飛び込んできたんですが、そういう御指摘のとおりの印象を感ずるわけでありますが、当局としましては、あえて正直に例外的な場合も出しまして、法制的には困難な場合という規定をも加えまして、現実的には尾道をねらいまして、尾道について、もとへ戻す、もとへ戻すというか、本法のせりまたは入札に持っていく姿勢をとらせる。一部について定価売買をやる。こういうことでやる方針でございまして、尾道にまねをして、ほかでやっているものを、あるいはせっかくせり、入札の体制になっているところを、この規定でくずしていこうという考えは毛頭ございません。
#53
○亀田得治君 だから、どのように御説明になりましても、第三者が見ればやはりせりまたは入札という方法の原則に対する例外を広める、こういう印象を与えていることは間違いないわけでして、だから、こんなことはおやりにならぬほうが、むしろ今の御説明にも合致するんじゃないかという気持がするわけなんです。私、時間の都合がありますので、この点わが党の委員の中ではちょっと了解しかねておるのです。必要な修正であれば、これは幾らでも大いにやってもらってけっこうなわけですが、必要でないばかりでなしに、かえってそういうことから一番大事な取引の方法というものに幾らかでも乱雑さなり、そういうことを与えて百姓に迷惑をかけちゃいかぬ、こういう気持でおるわけです。ちょっと失礼します。
#54
○北村暢君 ただいまの亀田委員の問題、きのうから問題になっておるわけなんでございますが、この点について、もう少し詳しくお尋ねをいたしたいと思いますが、きょういただきました資料、要求いたしましたものに対してもらいましたが、それを見ますというと、家畜市場の再編整備計画、これにつきまして再編整備という解釈と、それから尾道の施設を拡充するということは、これは再編整備という法律の解釈の中でできることなんでしょうか。というのは、この再編整備というのは、どう考えてみても、ここにも出ているように、計画にもありますように、三十五年度から三十九年度までの一応の計画があるようでございまして、三十六年度を例にとりますと、地域数が一〇で再編整備の対象が五〇で、その五〇を再編整備後に一七にする、こういうことで、まあ市場の零細規模のものを合併をさして再編成をしていく、こういうための経費だ、こういうふうに思われるのですが、先ほど来、尾道の市場が混雑をして困る、それで、それの整備をするために施設拡充をする、こういうことのようですが、この再編整備の中に、この尾道の整備拡充の経費も含んでおるのですか、どうですか。
#55
○政府委員(森茂雄君) 多くの場合においては、御指摘のとおり、小さな産地市場が充実した産地市場になるように、三つか四つのものを一つにするということで再編整備が行なわれて参っておるし、それから今後もそういう計画をやるわけでございまするが、今回、産地家畜市場から地域家畜市場に対象を拡充しまして、いわゆる従来の産地家畜市場よりも施設的に大きい集散地家畜市場が今度は対象に広がって、その中へ対象として入ってくるわけでありまして、今後の再編整備は比較的にいって大きなところも、二つを一つにするとかいうことでなしに、その市場の整備だけということをも対象にいたしたいと考えておるわけであります。
#56
○北村暢君 そうすると、この再編整備というのは、再編と整備と分けて法律を適用して、予算措置をして差しつかえないと、こういうことになりますか。
#57
○政府委員(森茂雄君) 概念としては中に入れて差しつかえないと思います。
#58
○北村暢君 そうしますと、計画というものを示せ、こういうことでやったんですが、この前もお伺いしたように、尾道の整備計画というのは、何かこの前のお話ですと、来年度は二百五、六十万という程度でやって行こう、こういうことのようですが、それを今の答弁から行くと、二年間で整備をするというと、まあ五百万になるのか何かわかりませんが、補助金はそのくらいだろうと思いますから、したがって、三分の一補助として、千五百万から二千万かけてこの整備をすれば、そういう混雑のないような形になる、こういうことなんでしょうか、その点をもう少し、先ほどの例外規定も尾道に限ってだけこれは適用するつもりで、全国的には千何ぼの市場にはこれは適用するのじゃないという考え方のようですから、尾道に限ってだけこの例外規定を適用してやろうということのようですから、それであれば、やはり二年間に完全に尾道が整備されなければならない。その計画が一体どのくらい、今どういう計画で、どのようにされようとしているのか、 これをはっきりしないというと、幾ら答弁されても、尾道だけに限っているようですから、その点を一つ詳しく説明していただきたいと思います。
#59
○政府委員(森茂雄君) 尾道市場の整備は、現在、尾道市場は二千二百坪で、全体としては四千万程度かかります。これを年次的に整備していくこととしまして、さしあたって七百二十万のうち、三分の一の二百四十万を大蔵省に要求中であります。さらにつけ加えますれば、入札制度にするには特別に、尾道についていえば、よけい相当金がかかるということではございません。
#60
○北村暢君 四千万かかるのに、さしあたり七百二十万で、その三分の一の二百四十万を補助するというのだから、そうすると、第二年目は三千何百万ということで、それに対して三分の一補助するとなると、約一千万要るのじゃないかと思うのですが、補助するとすれば。そうしますと、再編整備計画の総予算が、大体ことしあたりで一千五百万でしょう。それで尾道だけに来年度一千万使うといったひには、全然数字計算合わないですよ。一体どういうふうに、尾道にだけ限って、来年度そういうふうに一千万からの補助金を――再来年度ですか、やる自信があるのかないのか、ちょっとその点を、一つはっきり。
#61
○政府委員(森茂雄君) 形式として、せりまたは入札でありますが、入札方法にはそれほど施設が要らない。せりの場合に多くかかるわけでございます。この四千万なければ尾道市場が入札制度がとれない、こういうわけではございませんで、一部施設を補充すればとれるわけでございますが、本法の改正をお願いしておりまするところは、現在でも農林省令の手続においては、その一部正札制度をやるについて適当でない。法律解釈上、法制局としてはそこまでは認めがたい、こういうことでございますので、正直に困難な場合ということも出しまして、そうして法文をただし書き以下を明確に出しまして、今、尾道にならって、せり、入札からもとに戻った市場のこともありますから、現在せり、入札をやってない市場は、一ぺんせり、入札をやって、尾道並みに相対取引に戻った市場は、関西市場で相当あるわけであります。そういうことで、尾道の、私どもの方から言いますと、旧来の陋習の方へ戻っちゃったやつを、新しい公開制に引き戻す、こういうことで、尾道だけを対象にしているのではなくて、尾道の施設も、四千万やれば、入札ばかりでなく全部せりにいけるというふうになりますが、さしあたって入札制度に持っていくのに二年かかるということでございまして、それによりましてほかの地域も、尾道のように陋習に返ったやつを引き戻すということで、馬牛取引で農業者が売る場合に、ぜひそういうことで、農業者の側の利益の擁護、取引の合理化ということをはかりたい、こういう意味でありまして、尾道だけをそれじゃ本法のねらっている趣旨で対象にするかといいますと、具体的には尾道でありますけれども、それによってほかの尾道の陋習にならっているところを右へならえしますので、馬牛の取引については大きな事実上の変化、公開制にいくということになるわけでございます。
#62
○北村暢君 その特殊な、家畜だけでなしに取引の困難なもの、狭くて困るというようなものを、今度の改正で、ただし書きに一つ加えた、これはその理由はわかっているのです。そのおっしゃっていることもわかっているのです。わかっているのだけれども、そのただし書きを拡大したことによって、それで先ほどの御答弁から聞いているというと、ほかの市場にこのただし書きを適用するつもりはないのだ、尾道を直すことによって、関西市場の、このもとに戻ったものも、尾道がやらなくなればやめるのだと、それは一時せりにかわったわけですからね。一度かわったものが、また逆に戻ったということですから、今までの施設でせり入札ができなかったということではないはずだ。慣習によって戻ったということだけだと思うのです。ですから、そういうところは施設の拡充をしなくても、せり入札でやれるわけでしょう。ところが尾道に限っては混雑してできないというわけです。やりたくてもできない。せり入札はできないというわけです。そのためにせり入札というものをくずす。できないものを規定しておくというと、結局守れないということで、ほかに波及する。したがって、そのためには尾道の施設拡充ということで、これはもう絶対にこの法律を守らせる。またそのただし書きを設ける。二年後にただし書きをなくしていきたいという気持のようですから、そうすれば、その法律改正を再びやって、もとのせり入札に戻すと、こういうことになるわけですから、そのためには尾道を整備しなければならない、そういう経費だと思うのですね。したがって、これは尾道を整備することによって、三十七年、八年ですか、二年間というのですから。三十七年、八年、三十九年まで計画が出ているのだが、この計画に対して、尾道を整備することの経費をよけい食うことによってほかの整備が進まない。再編整備というものが進まないという結果になるのじゃないかということを心配しますから、計画の中にこの尾道というものも入っているのか、入っていないのか。入っているということになれば、入札程度なら四千万かからないというのですが、一体その入札なら幾らでできるのか。二千万もあれば入札の程度はできるのか。その辺のところをはっきりしてもらわないと、ここに影響してくるのですよ。同じ予算の中でやろうというのですから。ところがもう計画は一応三十九年までできているわけですからね。これは大蔵省に了承を得ているものでしょう。そうすると、どうしても尾道の分だけははみ出して私はやらないというと、そうでなくても再編整備は、三十一年からこの法律が適用になって、りっぱにここで第四章で再編整備にかかわる一章を掲げて、三十五年以前は、再編整備についてこの法律の実施を何もやっていない。三十五年度からやっと予算がついてやっている。四年間ぐらいは放っぽらかされて、再編整備はやってないわけです。千四百幾らもある、しかも零細な市場がずいぶんたくさんある。それに対して、わずかにあなた、三十九年までいって、二百五十のやつを八十三に減らす。こういう計画になっているわけです。だから、この法律にいう再建整備というもの自体が遅々として進んでない。それにもかかわらず、尾道のような集散地の市場を今度整備するということで含んだわけですから、そうすれば、これは集散地の市場というものは規模も大きいのですし、再編整備をやるのに金はよほどかかるのですよ、かかってくる。今度の法律改正によって、産地市場でなくて地域に切りかえて、集散地まで入れるということですから、そのためには今までの再編整備計画ではこれはとうていできない。この法律改正と伴って、三十九年度までのこの再編整備計画というものは、あらためて出されなければならない問題だ。ところが、きょういただいた資料は、これは今度の法律改正による集散地を含んだ再編整備計画でない、大蔵省に何も了承を得たものではない。そこら辺に非常に大きな問題があるのです。これはそういう計画をつけて出してもらわなければ、この法律を審議したって無意味ですよ、と私はきのうから言っているのです。どうなんですか、そういう自信があるのですか一体。
#63
○政府委員(森茂雄君) 尾道に関しましては、特に特記いたしまして、大蔵省にも要求いたしておりますので、三十七年度要求では二百四十万でございますが、特記して要求しておりまするので、大体その産地市場の整備につきましても、非常に大きいところと、比較的小さいところということになりまするが、尾道の問題につきましては、特に特記して要求しているのでありますし、それから御指摘のとおり、本法を改正しないで、それじゃしばらくほっかぶりでということになりますると、どうしても相対取引を直せない。今まで時間も経過しておりますし、それから違法状況を認めていくということになりますので、特に農林省令で定むるところによりまして、これは尾道は二カ年間入札をやらないというわけではない。肉畜については農業者が農業協同組合連合会を通じて、家畜商に売るものについては、本法改正をいたした場合は、昨日も広島県から本法改正した場合には、肉畜についてはせりの方法をとるということで、明言を得ているものですから、その二年間の間、全然違う方法でやるのだということではないのでございまして、順法精神をそういうことで尾道に、広島県と開設者と努力しまして、集まってくる家畜商の理解も得まして、他の県もそれにならって、ということで、特にただし書きに詳しく具体的に掲げまして、公開取引に極力持っていくということで、あえて宣言的に、かつ、「農林省令で定める手続により、」ということで、法律上そういう例外を設けることは適当でない、こういうことでありますので、あえてこういうことで条文を掲げましてやっていこうというわけであります。尾道市場が四千万円かかりますというのは、りっぱな東洋一の集散地市場として、なるほどと思うような、清潔に、かつ、非常に能率の上がるように、ということのためには、それは四千万円かかります、この法律による、原則に基づくというには不十分でありますが、現在の施設に三十七年度では二百四十万円、あと同額くらい三十八年につぎますれば、公開性の方法をとれるということで計画をしている次第であります。
#64
○北村暢君 今の答弁では私の質問に答えてくれないわけなんですけれども、あなたからいただきました資料によりますというと、法律改正後の家畜市場の再編整備計画の目標数が地域家畜市場で七百九十四あるのですよ、七百九十四。その他の家畜市場で七十三ある。これは消費市場だと、こういうふうに言われた。この消費市場の七十三のうちには、中央卸売市場ということで解決していくところが若干出てくるでしょう。しかしながら、消費市場についても中央卸売市場でやらないでいくものも私は出てくると思うのです、出てくると思う。したがってこの両方合わせて八百六十七というものが再編整備をやらなければならない目標数だと、こういっておるのですよ、そういう資料が出ているわけでしょう。そうすると、どうしたって今までの計画よりは、これは集散地市場がふえてきたのですから、今までは集散地市場というものは入っていなかったのです、再編整備計画の中に入っていなかったのです。ところが、今度は入れたというのです。入れたのならその数が、再編整備の数というものが多くなる。ところが一年に、昨年で、この資料を見ましても、二十六市場で、整備後が八、それで三十六年度が三十五で、整備後が十二と、こういうふうに減っただけで、こういう調子でいくというと、一体この再編整備をやるのに何年かかるのです。ここで、だから、この計画をひとつ出してもらわないと、この集散地市場というものを含めて整備をやるやるといったって、何を整備するのかわからないですよ。だから、その整備計画を出して下さい、こうきのうからも言っておるのですが、そういうものはまだできていないのですか。
#65
○説明員(保坂信男君) ただいま北村委員から御質問のあります件につきましては、お手元に配付しました資料は、当面三十九年までの、現在の時点までにいろいろ検討されました整備計画の一応の計画でありまして、もちろん御指摘のございましたように、三十七年度以降のものについては大蔵省との予算折衝も今後の問題でありますので、財政当局とも話し合いの了解を得たものではないわけであります。整備計画につきましては、一応ここにございますのは、二百五十が八十三になりますので、百六十程度のものが整備されるという一段階でありまして、整備計画の目標としてお手元の資料に差し上げましたものでは少なくとも地域市場が七百九十四になりますためには、五百六十程度のその他の市場がいずれかに集中して、残ったところの七百九十四の市場の相当部分が整備される必要があるわけであります。ここに一応の計画としてお手元に差し上げました資料以外のものにつきましては、まだ具体的に計画として具体化される段階にないわけでございますが、それらの点につきましては御趣旨の点を十分そんたくいたしまして、法律の改正等御協賛を得られれば、それに応じまして、特にこのことにつきましては県市町村等の地元のいろいろな社会的経済的な関係もございますので、それらの計画が、具体的に実際的に指導して、でき上がって整備がされるように私どもといたしましても今後一そう努めていきたいと思っておるわけであります。なお、大蔵省の補助予算のほかに、現状におきましても若干のものは公庫融資の共同施設というような面で整備をされておるものもあるわけであります。その他近代化資金等が設定されますと、それによって協同組合等の共同施設としての家畜市場につきましては、地元の町村の諸施設の整備計画の一環といたしまして取り上げられる場合もあるかと思いますが、主軸は整備についての、補助予算の政府としての心がまえにあるということは御指摘のとおりでありますので、その点については今の段階におきましては御指摘のとおり不十分の点があることはいなめませんが、十分今後努力をして参りたいというふうに思います。
#66
○北村暢君 ただいまの農業協同組合の共同施設として整備するとか何とかいう問題は、したがって私はこの法律で、この資料にもありますように千四百八十二、この現在の市場を全部この法律で整備していこうといっても、非常に零細なものまでやっていくということはなかなか簡単にいかないんです。ですから、ある一定の規模のものについては政府の補助でやっていくというようなことにして、何かこの計画がないというと、私どもは整備を要するものの対象として八百幾ら残るのだと、こういうことを言われますから、それならこの法律で整備していくんじゃないか、こういうふうな感じは持てますね。ですから、政府でやるものは幾らなんです。八百幾らあるうち五百だけは政府が整備をするんだとか何とかはっきりしてもらわないというと、ただばく然とあっちでもやる、こっちでもやるというようになっておりますから、何となく近いうちに整備されるでしょうというようなことでは、これでは行政を担当している政策としてはたよりない話なんで、できるだけやっていきましょうということになってしまう。それでは私は、せっかくこの法律で規定している再編整備という計画を立ててやっていくことになっているんですから、しかも今後は再編整備をやるところは、出さないものは再編整備やりなさいと勧告までやることになっているでしょう、今度の法律で。積極的に勧告までして整備させていこうというのに、何も計画ないんじゃお話になりませんよ。やっぱり三十九年度までの計画のあることは、これは今度の改正に基づいてできた計画じゃないんで、それ以前の計画なんです。したがって法律改正をもって集散地市場が再編整備の対象に追加するんですから、そうすれば当然この計画が変わってこなければならない。したがってそれを示さないで、ああでもない、こうでもないと答弁してみたって、これははっきりかぶとを脱いで申しわけないということでも言わなければ話にならんですよ。そういうものを出してもらわなければ――ないんだから、これから早く作るなり何なりして、そういう計画でやってもらわなければ、改正前の計画でもってやられて、しかも今度集散地市場が入ってくるんですから、今までの補助額の大体を見たって、一番大きいのは千葉県が百十六万ですか、これが最高でしょう。今度尾道で一市場来年度だけで二百四十万補助しようというんでしょう。そうするというと、二年間かかるわけですね、一回だけでできるのじゃないんだろうと思うのです。そうすると、一回にしても二百四十万、今までにない数字なんですよ。したがって集散地市場の整備というのは、これは補助額もかさんでくるに相違ない、どっちからいっても。尾道だけでなしに、私はやはりほかの集散地においても、尾道は補助金もらって整備したんだから、ほかの関西のいろいろな市場だって整備するのだといって当然申請が出てくるんですよ。しかもその規模というものはみな大きいのです、産地市場と違いまして。したがって一件当たりの補助金額もかさんできます。そういうことは当然考えられることなんです。だから、そういうものについての計画というものがなされていないというと、法律改正だけをしてもこれはたよりのない法律改正なんで、そういうものの裏づけというものは当然出すべきじゃないか。これは何回も言っている。したがってこれは飛躍的にやはり大臣かだれか来てもらって、大蔵省か何か来てもらって、はっきりさしておかないと、法律改正のしっぱなしになってしまって実行できないですよ、これは。
#67
○政府委員(森茂雄君) 御指摘の点はよくわかるのでありますが、特に法律で勧告の規定を設けまして、いろいろ北村先生御存じのとおり、行政技術的にもこの法律がなければ予算がとれないかということになりますと、そうでもないわけでございます、補助なら。ただ、この法律にあえて勧告の規定まで置きまして、順奉されていないところは特別の例外的の条件もつけまして、期限を限ってということで、全体的な農政からいえば、ある面では非常に小さいじみなことではございますけれども、こういう法律を改正したということで、逆に財政当局にも行政庁の誠意を感覚していただきまして、御指摘のとおり、本法の改正が通りますれば、またこの法律を逆に十分運用していく義務がありますので、御趣旨のように補助金ばかりでなく、大きな市場等につきましては、都道府県なり地方公共団体の協力も得まして、融資の面でも総合的に全部にわたって計画を立ててやっていきたいと思います。技術的に法律が通るときに予算がきまらないということもございますので、かえって先生方に激励していただいて、その速記録をもとにいたしまして十分再編整備の予算拡充に努めていきたいと存じます。
#68
○北村暢君 それから次にお伺いしたいのは、この前の藤野委員の質問とも関連するのですが、あれの結論出たのですか、答弁がないようですが。
#69
○政府委員(森茂雄君) お答えする機会がなくてまことに申しわけございません。去る十一日の本委員会における藤野委員の御質問にお答えいたします。家畜取引法にいう家畜市場とは、同法第二条の定義にありますように、家畜取引のために開設される市場であって、つなぎ場及び売り場を設けて定期にまたは継続して開場されるものを言うのでありますが、この場合、御質問にありました定期または継続してとは、開場日の時間的連続性の有無から、家畜市場に定期なるものと継続的なるものの二つの態様を予定してこのように規定しているわけであります。具体的に申し上げますと、定期に開場するとは、たとえば毎月四の日、これは四日、十四日、二十四日をさすのでありますが、毎月四の日とかを定めて、毎月定期的に開場する場合と、毎年春秋二回あるいは毎年春一回というように、季節的かつ定期的に開場する場合とがあります。集散地家畜市場及び産地家畜市場がこれに該当いたします。継続して開場するとは、家畜市場の開場日が継続している場合を言いまして、たとえば大都市の屠場に併設されている消費地家畜市場のように年間を通じて開場されているものがこれに該当いたします。したがって藤野委員の言われた旧家畜市場法にいう常設家畜市場は、現行法の家畜取引法における継続して開場ざれる家畜市場に当たります。
#70
○北村暢君 そこで継続してのところの問題については、これは清澤先生が屠場との関係、枝肉市場との関係ですね、この問題で相当疑問を持っておられるようでありますから、その質問は私はきょうは清澤先生に譲ります。それでそのむずかしい問題は別にしまして、それでなくても今度の法改正によりまして、市場の周辺地域の取引制限についての改正が行なわれておるわけでございますが、これは一体この改正案では、知事が許可した場合はその限りでないというふうになっていると思うのですが、知事が許可する場合というのはどういう場合なんでしょうか。
#71
○説明員(保坂信男君) ただいまのお尋ねは、場外で取引される場合、知事がいかなる場合に許可をするかというようなお尋ねであると思いますが、通常家畜を市場に搬入すると申しますか、出場するような場合に、貨車で輸送しましたり、あるいはトラックで輸送しましたり、近くの人は農家の人が引っぱって出場するような、いろいろな形態があるわけでありますが、不可抗力な交通事故だとか、天災とか、あるいは病気、たとえば輸送自体の媒体の交通事故でございますね、そういうふうな故障があって搬入ができない、その場で処分しなければならないというようなことで、即刻処分することについてやむを得ない事情であるというような場合であると思います。
#72
○北村暢君 そうすると、周辺の区域内ですから、千メートル以内で、そういうことが交通の事故等で起こった場合、都道府県知事の指定する場所で、許可を得た場合以外というのですから、これは非常に厳密に規定しているようです。千メートル以内のところに、大体交通事故とか、そういうことが簡単に起こるのかどうなのか。私はこれはどういうふうなつもりでこれを入れられたのかと思うのですが、おそらくこんなものは千メートル以内に認めないというなら設めないほうがいいのじゃないですか。わざわざ認めないといっておきながら、また知事が指定して許可した場合はいいなんということを入れなくても、千メートル以内の中にこういうことをわざわざ書かなければならない、これは法律用語なんですか、どうなんですか。
#73
○説明員(保坂信男君) 御趣旨のございましたように、家畜の取引が市場内で公正に行なわれることが農家の利益にもなり、取引の公正を確保するゆえんでありますので、場外取引を禁止するということが望ましいわけでありますが、お話のございましたように、そういうようなケースは少ないかもしれませんが、その場外の近傍で、まあ家畜を入れましてから、その場内では価格が不成立になりましても、内々いろいろな話をつけまして、場外に出たとたんに、袖の下取引をいたしますとか、相対売買が行なわれますとかいうことで、市場の開設直前直後におきましては、近傍でそういうような事例が相当あり得ることが心配される。また過去の経験からもいわれておるわけであります。そういうような意味で、市場の近傍千メートルというようなことで、その趣旨から地域を限っているわけでありますが、そういう中におきましても、まあケースは少ないかもしれませんが、事故がありますとかいうような場合には、その場の道路において、あるいは駅の積みおろし場等におきまして処分ができるということを規定したものでございます。
#74
○北村暢君 二十七条の臨時市場との関係についてお尋ねしますが、この臨時市場というのは、開場の三週間前までに届け出をすればこれはできるわけですね。そうしますと、この臨時市場というものは届け出制ですから届け出さえすればいいわけですから、許可制ではございませんから、臨時がひんぱんにあるということの解釈はあり得ると思うのですよ。そうしますと、ここの公正取引をする、今の千メートル以内の取引はいかぬとかいってみたところで、臨時に千メートル以内のところでもあらかじめ届け出さえしておけば、市場行為と同じような取引ができる。こういうことになるのじゃないかと思うのですがね。それと千メートル以内の取引の禁止規定、こういうことをきめても臨時の市場の届け出さえしておけば二十七条で合法的にできることにならないでしょうか。
#75
○説明員(保坂信男君) お尋ねにございました臨時市場の趣旨は、お尋ねの本旨の前提になることでございますが、通常共進会に続いて、その場所におきまして、定期、あるいは継続のものではありませんけれども、臨時にそこで開催するというようなケースが多いわけでありまして、その場合に相当数が集まって、出場者も相当数になりまして行なうわけでありますから、事前にそういうことについて知事に届け出をしまして、その開催の場所なり、名称なり、位置なり、家畜の種類なり、取引の方法なりを明示して届け出をすることになっておるわけであります。実際問題といたしまして市場が所在します場合に、市場の近傍千メートル以内というような場合に、臨時市場をその範囲内におきましてやりますというような届け出は実際問題としてあまりないことだと思いますが、御指摘のようにそういう意図を持った人がおりまして、そういうことをやるというようなことについて届け出だけであればそれをチェックする方法がないというようなことは法的にはあるかと思いますが、そういう場合におきましては指導上そういうことのないようにいたす以外に方法はないと思いますが、それにもかかわらずそういうこととは別にそういう近傍で取引を一般的にしてはならないということを規定しておきますことは、やはり全体の取引業者その他に対する建前として意味があることを考えておるわけでございます。
#76
○北村暢君 この問題は相対の個人取引というようなものを考えているのじゃないかと思うのですが、私はそういう点からいえば、この政令で定める一定の規模ですね、年に三日以内で、しかも二十五坪以上の広さがあるときは、十四条の農林省の政令で規定しているのですが、二十五坪以内だというと、これは監督を受けないのじゃないかと思うのですよ。そうすると、これはこういうことをきめてみたところで、実際にはその規模以下の取引であればこれはやって差しつかえないということにならないかと思うのですが、この点との関係はどうなりますか。
 それから根本的に家畜商人というものが個人の取引をするということはこれは認めているわけでしょう。だから、市場でない限りは持ってきたものを、自分のものを買うというものがおれば売ったってこれは差しつかえないわけでしょう。家畜商法との関連、個人取引というようなものとの関連で一体こういうことを規定することが意味あるのかないのか、どうなんでしょうか。
#77
○説明員(保坂信男君) 施設が程度によって、その出場の規模等によって簡単になっておりますことは、地方々々の畜産の発展の段階に応じまして流通する数量の多寡がございますので、一律に一定の設備をするということは必ずしも適当でない場合もございますので、特に産地市場等につきましては簡単な施設でできる場合も認めておるわけでございますが、いずれにしましても市場として届け出をいたしますことにつきましてはある不特定多数のものがやはり出場をいたしまして、相当の広さなり、地域なりを持っていたすわけでございますから、そうでない、開場日前後等で、その近くで類似市場的なことを臨時市場としてするようなことは実際問題としてそう多くないと思います。またそういうことを千メートル以内ということで禁止することにつきましては、あくまでその市場の開場日におきましてその市場内で公正な取引が行なわれるということを建前として確保したいということから出ているわけでございます。先ほども申しましたように、その市場の期日が終わりました後に場外で相対取引を済ましてしまうというようなことをできるだけ極力避けたいという趣旨からできておるわけであります。したがってその千メートル以内というのも、その当日持って出るという場合の特に近傍で家畜商が農家等と取引をするということでありまして、その場を離れていけば、そういう可能性も比較的少ないであろうということで考えられておるわけであります。もちろん御指摘もございましたように、取引につきましては市場外――閉場の場合相対で取引されることの自由がございますことは御指摘のとおりでございます。
#78
○北村暢君 ただ私のお伺いしたいのは、家畜商法によって個人が売買することを認めているわけですね、ですから資料にもありますように、あるいはせり、入札で売買契約の成立しないものがその市場で出てくるわけですわね、定価売りで表示しても売買契約できなかったというようなものがこの統計資料から見たって約二割くらいのものは成立しないんですよ。ですから、百頭おれば二十頭ぐらいは売買契約というものが成立しないというものが出てくる。そうすると、そういうものを持って帰るわけにもいかないというので、その近くのところで、相対はいけないとか何とかいったって家畜の商人がおって、私買うといった場合に、持って帰らないで売るということが起こるんじゃないですか。そういうことが不可能ではないと私は思うんですよ。そうすれば、千メートル以内で、それは何十頭というものをせりをやって、市場行為と同じようにせりをやったり何だりすれは――せりはやらないかもしれませんけれども、何十頭というものが集まってやれば、これは市場のような格好に見えますし、これはどういうことをやっているかということがわかりますが、五頭や十頭ぐらいずつ分かれて、こうやって持ってきたものを――落ちなかったものを個人的に取引するということは、これは起こり得るんじゃないかと思うんです。そうすると、千メートル以内ではそういうものまでだめだ、こういうことなんですか、どうなんでしょうか。
#79
○説明員(保坂信男君) ここで禁止しております趣旨は、最後に御指摘になりましたようなこともできないことを趣旨としておるわけであります。大体いろいろな事情で売買が成立しない場合があると思いますが、これは開設者の保護ということの見地からだけ申し上げるわけではないわけでありますけれども、市場で取引いたしますと、所定の開設者の売買手数料なり歩合等でとられることが多いわけです、そういうようなことをのがれるために市場外に出たものを近傍で追いかけていって適当な値段で買うというようなことがあると思います。またいろいろな事情で産地におきましては農家が自分の持っている相当優秀な牛馬等を自己が評価をするような意味におきまして、持って出ましてそれを自分で落として持って帰るようないろいろな事例もあるわけでございます。そういうようなことで、できれば――できるだけというよりは、市場内で取引が公正に行なわれて、そこで決済が済まされるということの目的のために市場が開設されるわけでありますから、その当日の前後今申しましたようなものまで外で相対で適宜取引されるというようなことは、いわばその入場者、特に生産地市場におきます場合、出場者である農家の保護のためにもそういうことが必要であるということの見地から千メートルでは十分でないというような、いろいろ御批判なり意見もあると思いますが、一応従来やって参りました慣習なりそうした制度も前に条例で県等でいたしましておりました場合も、歴史的にそういうような考え方があるわけでございます。そういうような趣旨で規定をいたしておるわけでございます。
#80
○北村暢君 この問題は、中央卸売市場の場合は、類似市場というものは指定区域内において届出さえすればこれはできるんですよ。自由にできるのです。それは禁止できない、法制局では禁止できないと、こう言うのですよ。市場の秩序を保つ上において類似市場というものを認めるべきものじゃない、これを許可制にすべきじゃないかというふうに、混乱をするんだからと言って私はずいぶん意見やりとりしているのですがね。その場合は禁止できないというのです。憲法に保障する営業の自由の点からいってできないと、こう言っています。ところが、畜産の場合は千メートル以内でこれは実質的に禁止ですよ。禁止できることになるわけですね。というのは考え方としてそこの市場が信用が高くなり、そして利用者に、その人に利益があるということになれば市場外で取引するということがひとりでになくなってくるんだと、したがって、これは類似市場というものは自然淘汰の形でだんだんなくなってくる。今度の中央卸売市場の改正では、類似市場というものを届出で自由にしておきながら、これを吸収合併するということが公取法の関係からいってそれも吸収合併できる、類似市場も吸収合併できるということで例外規定を設けたわけです。そのくらいですから、届出で自由にできるんですよ。中央卸売市場と同じようなあれですよ。規模はもちろん小さいわけですから、一定の面積以下でなければならないわけですが、そういう類似市場というものはできるわけなんですよ。ところが、畜産の場合これはできないということになると、何か法制的に非常に矛盾があるんじゃないかと、私はそう思うのですがね。この点はまあどうも畜産局長にそれ聞いても工合悪いんですが、政務次官に聞けばいいんですが政務次官おわかりになるかどうか、ちょっとあれですから、どうなんでしょうね。そこらへんの営業の自由というものを、憲法で保障する営業の自由というものを、これを禁止する結果にならないでしょうか。
#81
○説明員(保坂信男君) 今いろいろお尋ねのありました点のこの規定を置きます根拠と申しますか、目的につきましては、先ほど来申し上げたとおりでございます。営業の自由との関連の問題につきましては、そういう目的と、千メートルというごく限られた範囲、近傍ですぐやれば、出たところで引いて出る人と家畜商とは会いやすいということの可能性と、千メートルを過ぎて先まですべての区域において営業禁止するというようなことでありますと、御指摘のとおり、まさに適当でないと私は思います。この限界を置いていることによってその調和の上でそれが認められているものというふうに私は考えております。
#82
○北村暢君 それは中央卸売市場の場合は千メートルどころの騒ぎではない。中央卸売市場のすぐそばにできている。それを禁止できないのですよ。隣にあって交通や何かで繁雑でもって、類似市場があるために中央卸売市場の非常に妨害になっている。トラックから何から錯綜してしまって、抜け出るのに出られないくらいな状態になっているところに、妨害になるところに類似市場ができて、それを禁止する方法がないというのですよ。言われているのですよ。千メートルなんてそんな遠くのところの話じゃないのだ、二十メートルも三十メートルも離れていないところにそういうものを作って、類似の市場というものが現実に置いてあるし、新しくできる中央卸売市場のすぐそばにもう土地を買って類似市場を作ろうという人がある。それが禁止できない、そういう状態にある。それが禁止できないでおって畜産の場合なぜ千メートル範囲内で禁止できるのか、これがちょっと法律的に私は非常に納得のいかないところなんですね。
#83
○政府委員(森茂雄君) 御指摘の意味はわかりますが、やはり家畜市場が登録制になりまして、一定の規定によって監督していく場合に、その趣旨がやはり公正な取引をやるためにやるのでありますから、市場内で行なわれるのが順当でありますが、そのそばで同じような行為が行なわれますと、せっかく登録をさして、そうして合理的な取引方法でやらせるという趣旨がくづれる意味から、むしろ登録市場の実質的といいますか、実効をねらいまして、周囲を押えていって、むしろやみの市場といいますか、それを制度的に認める認めないということの問題ではなくて、その家畜市場を認めた趣旨から、こういう程度ならば全然意味なくなるからということで補完しておる趣旨でありまして、それでは千メートル以内で隣に堂々と届出をして、予告をしてやればどうかということになりますと、法律論としてはできないということはお話のとおりできるということになるのじゃないかと思いますが、認めた家畜市場の可及的な実効を上げるためのほうをねらっての許容程度だ、こういうことでその程度で、それ以上はもっと千メートル内でいろいろなことを制限するということではないのでございますので、そういうことで考えていきたいと思います。
#84
○北村暢君 それは行政指導で、そういうようなつもりでやるのはいいのですよ。私ども実は中央卸売市場との関係で、あなたのおっしゃるようなことを実現さしたいと思って、この類似市場を禁止することを盛んにやっているのだけれども、できない、これは。それで何ぼ法制局に聞いても、それは営業の自由で禁止するわけにいかぬ、許可制にすることもできない、こういうことなんです。この意見と完全に食い違っているのですよ。だから私は、今畜産局長の言ったような主張でもって、公正な取引をさせるために、この届出をした市場の公正取引を確保するために、そういうやみ的なものを防ぐ意味からいっても、一定の地域内にそういうものを認めるということは、公正取引を実施する上において、公共の立場からいってもこれは許さるべきじゃないのじゃないか、公共性優先ということからいえば、そういうものは禁止したっていいじゃないか、こういう主張を盛んにやっているのですよ。あなたのおっしゃるとおりの主張をやっているのです。それが認められないのですよ。だから、これはやはり法制局を呼んで、同じ法律関係で違う意見が出てきているのですからね。ひとつ法制局を呼んでその点を明らかにしておく必要があるのじゃないか。もしかりに届出をした市場の公正な取引を確保するために、そういう禁止規定が設けられるとするならば、それが営業の自由に関する憲法違反でないということになれば、私は中央卸売市場の類似市場を認めるということも、これは禁止しても許可制にしてもこれは違憲じゃない、こういうふうな結論になると思うのです。これは同じ問題のように私は感じておるのですがね。そうすればやはり法律的にいって法制局の意見なり何なり、これはただしてみる必要があるのじゃないか、このように思うのですがね。
#85
○清澤俊英君 今の問題、幾ら森さんと議論してみたって始まらないと思う。したがって、この次に経済局長と法制局を呼んで、これは重大問題ですから、ちょっと意見を聞いてみたい。
#86
○委員長(仲原善一君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#87
○委員長(仲原善一君) 速記をつけて。
#88
○政府委員(森茂雄君) 間違いのない答弁をいたしたいと思いますので、この点は保留します。
#89
○委員長(仲原善一君) この問題は、それでは理事会に諮って善処したいと思いますので、次回にまた持ち越したいと思います。
#90
○清澤俊英君 簡単に。中央市場との関連についてはこの次にひとつやらしていただいて、条文的なところをちょっとお伺いしておきますが、取引の近代化合理化と、こう言われているのですが、これは大体具体的に家畜市場を中心にして、取引の近代化、合理化というものは、どういうことをさしておられるのか、具体的にひとつ教えていただきたい、こういうことなんです。
 それと第二番目は、今問題になっておりますが、これは農協の一部などから出ているのですが、この家畜取引法の改正はどうも業者擁護になっておるのじゃないか、こういうあれがあるのです。私は少なくとも生産農民が昔のようなふところ取引ですか、たもと取引ですか、ああいったような形でやみの中でやられることは、これは非常に不合理でありますから、したがって、そういうものを是正して、公明正大な取引を行なって、生産農民の取引上の不利を擁護する、こういう目的が中心である、こう考えておるのであります。私はそう考えているのだが、この取引法の改正は重点がどこにあるのか、さっぱりわからないのです。何かここらに生産農民の云々というようなことがありますね。損失をなくするというようなこともちょっとありますから、そうではないかと思いますが、全体の上においてそうでもないようなところもある。そこでその二点をお伺いして、その次にもう一ぺん……。
#91
○政府委員(森茂雄君) 取引の合理化、近代化とは、たとえた例で申し上げますと、近代化とは、別に近代的な言葉ではないのでけれども、取引業者の間ではいろいろ手を振ったり、ある慣習による値段を手の格好で意思表示する方法等が行なわれておるわけであります。私ども近代化と申しますのは、手で取引される場合に、たとえば声で言いますと何百円という、その普通何といいますか、初めてこれから買う人、買いに来た人、それからそういう取引になれていない、売りに来た人が、わからない符牒とかいうことじゃなしに、一般的な人が、特に生産者、あるいはその専門でない人が来てもわかるような方法、二百円、二百十円というようなことでわかるような方法をとる。もっと進みますれば、それはボタンを押してパッとやるとかいうようなことになりますけれども、そういうことであります。
 それから合理化とは、たとえば相対売買でいきますと、買うほうだけがいろいろ一部の人が通報して正当な値段が出ないようになってしまう。そこで公開をしまして、皆がわかって、あの牛なら牛が幾らで売られた、均等な機会が与えられて公開性を持っていく、こういうことが一例であります。本法でねらっておりますのも、近代化をはかり公開性をもって取引が、そういう意味で取引が合理化される、そうして何といいますかある一部の専門家の圧力、だとか、そういうことでなしに、オープンにみなが公正な競争で値段がきまるということをこの取引法によって遂行させまして、生産者も取引業者もそれによって公正な取引ができるということにいたしたいと考えております。
#92
○清澤俊英君 その次の目的の中心点ですが、この法律を改正する目的の中心点というものは、さっきも言いましたように、農協の一部では、これは業者を擁護する法律じゃないという声さえあるが、私はそうでなく、生産農民が、そういうあなたの言う合理化された、近代化された取引によって、そうして合理化されて公正な立場において農民を擁護する、農民という言葉はいけないかしらぬけれども、生産者を擁護する、これは主の目的じゃないか、こういって伺っている。
#93
○政府委員(森茂雄君) 産地市場の実態を統計資料で示しておりますとおり、農業協同組合または連合会がほとんど大部分でございます。農業者が自分の育てた牛を売るとか、これから子牛を買うとかいう場合に、農業者が自分が育てた牛を売るとか、それからこれから子牛を買って育てるという場合に、何といいますか、そういう事情で、変な取引で手取りが少なくなったり、あるいは逆に高く買わされたりということがないようにということが中心となるわけであります。
#94
○清澤俊英君 生産農民という言葉は使わないが、生産者を擁護することが中心かどうかということを聞いているのだ。そうじゃないならそうじゃない、そうならそうだと簡単に言ってもらえば話はわかるのですよ。
#95
○説明員(保坂信男君) 御指摘のとおりであると思います。その趣旨は……。
#96
○清澤俊英君 趣旨はわかっておる。そうしますと、二条の改正ということがおかしくなるの、だが、私はそうじゃないかと思う、旧法のほうがいいのじゃないかと思う。現行法はここにありますとおり、家畜市場の経営はですね、現行法第二条四項の規定により、産地市場は当該地域内において家畜を生産する農業者が、その生産した家畜取引のために開設された市場だと、こうなっておるが、これはここに存在しておる。今度は家畜生産者だけでなく、家畜商でも公共団体でもその他だれでも市場開設をみんな合同でも単独でもやれるということになり、わざわざ農協がやれることになって、これは農業生産者が行なう家畜市場をこういうものに変更してしまうことになります。こういうことになる。そうして、今までやっておるところに入ってくる、そこまで拡大されることになる。そうすると、何かこれが開設組織になる。今まで、農業というものの生産者がひどい不利益をこうむっちゃいけないので、生産者もその生産地域内に作る市場として育成してきたわけです。実際はあなたがたこの千二百四十七ですか、このうち大体どれくらいが、実際農協が開設者としての機能をやっておるのか、これをお調べになったんですか。私は大部分はおそらく名前だけは貸しておるけれども、やっておるのは畜産業者が来てやっておるのであって、そこに立ち会いもないと思うのだ。この千何百のうち、名前は農協の名前を貸して家畜市場を作っておりますが、実際の運用はどうかというたら、商売人が来てお互いにやっておる、これが実態じゃないかと思うのです。ということは、そういうものが現実においていろいろな障害をなすならば、私はこんなめんどうな規定は要らないと思うのです。商売人には勝手に商売させればいい、相対取引であろうと、やみ取引であろうと、たもと取引であろうが、それは好きなようにやったらいいのです。それをちゃんとしっかりと区別して、そうして農協のある場合、農協もしくは生産団体が作る市場には、整備は、これはどういう形の整備のための予算を組んでおるか知りませんけれども、私は少なくともそうして準備をしてあらかじめ肉の等級ぐらいはきめて、そうして商売人にせり売りさせる。あなたがこの間言うたような成果が、ある程度まではきまるぐらいのことをして、それらの施設をして、それらのことを整備して農協に責任を負わせる。そうなれば、ひとりでにそこに家畜は集まってくると思うのです。今のままなら、それはなかなか集まるものじゃないと思うんです。何もこれをごたごたにしてしまって、商売人の取引と農民の取引というものをごちゃごちゃにしちゃうから、なかなかめんどうができて、何が何だかわけがわからなくなっちゃう。結果的に言えば、商売人のほうが販売能力もありますし、購買能力もありますし、肉に対する鑑識もありますし、それはあなた方がいくらやっても商人には問題にならない。首たまをぽんとはたいて、ここらの肉をつまんで、すっとなぜてきてしりを一つぽんとあてたら、何貫目あって何等肉かまでわかるというのでしょう、長い経験で。これにあんたは太刀打ちできるはずがない。農協なんかうろうろしている。かりにつぶしてみたところが、どこに売るか、一々の売場なんかわかるものじゃないし、そういう実態を本気に考えますならば、私は商人が農民の庭先に行って買ってきて、集めて、それを商人間で取引するのに、それは何をやったってこっちは知ったことじゃない。それまでは取り締まれるものじゃないと思う。だから、もっと実質的なものを、私は農民を保護するものであったら出していただくことが考えられるのじゃないか。ところが、この第二条の四号ですかにおいて、今まで農業生産者が開設したものを、今度はだれもできると、こうなっているでしょう。だれでもできるとは露骨に書いてありませんけれども、それをとって、別な文句でそういうふうにとられるように書きかえてある。これが第二条の四号を見ますと、「生産される家畜についての家畜取引のために開設されるものをいう」というやつを、「生産した家畜について行う家畜取引のために開設されるものをいう」と、こうなる、だから開設者というものはここでは言わないので、どういう形式で作ろうと、それが家畜取引のために開設されるものだ。今まではちゃんと規定をして、生産者自身の家畜取引場として存在した。これは非常に力が強いものだ。その運用の妙を得なかったから、私は現実においていろいろな問題が出ていると思う。ほんとうに市場整備をするとするならば、生体貫をちゃんとつけて、お前の牛は何十何番目だ、獣医がついてきて、これは何等肉なんだと、こういうことがわかりますれば、これほど公正なものはないので、そういうものをやらないで、今のままいったら、どこまで行ってもその業態になれた、一見もうどういう肉であって、これは、この牛はどれだけの値打があるということは一目見ただけで知っているのですから、あれはほんの首筋をひょいとたたいて、ここらの肉を、手のあたりの肉をちょこちょことつまんで、しりぺたをぽんと一つたたけば、それは私は一つのゼスチュアだと思うんです、それでちゃんとやっているのだから、ものの二貫目と違わないというのですから、偉大なものです。それでは、それに対抗するだけのものをやらして、私は前の条項を、二条を生かしたほうがほんとうの私はやり方ではないかと思う。その点どうなんですか。私は、これであとはこの次にします。
#97
○説明員(保坂信男君) お尋ねの点にお答えいたしますが、集散地市場、産地市場を通じまして、市場を整備いたしますことは、特に集散地市場の近くで、産地市場におきましても、集散地市場に近い形態のものもございますので、そういうものを含めて整備をいたしますことが適当である場合があると考えられるからでありまして、大体全部の市場を通じまして、農協が開設者になっておりますのは大体九二%くらい、大部分でございます。したがいまして、産地市場はもちろんでございますが、集散地市場におきましても農協のものが多いわけでございます。そういうことと、また、おのずから産地市場と集散地市場につきましては、地理的な関係もございます。産地市場は産地市場として、整備をされることが多いと思います。集散地市場と近傍のものについては、そういう可能性を与えることは、今回の改正によってなお整備をされることについて、いい点があるというふうに考えておるわけであります。産地市場におきましても、出場頭数が非常に少ないために、家畜商との競争その他の場合に、農家の保護の点について十分でない、一定規模の頭数になることの方が家畜商も多数吸引できまして、競争が的確に行なわれるというふうに考えられるわけであります。
 なお、もう一点は、従来の省令によって定める手続によりということでは、知事が許可いたします場合に、どんな方法でも許可をすることについて、縛ることができないと思います。今回改正するところによって、たとえ、せり、入札の方法以外の方法におきましても、より公正な方法に近い正札の売買なり、掲示売買なりということに限定をいたしまして、それ以外の方法は認めないということは、従来の法制では不十分であると思います。そのことによって、御指摘のように、一歩後退のような感じはございますけれども、農民の生産の立場を保護することが、現状よりは前進してできるというふうに考えておりまして、御指摘のように、家畜商のいろいろ熟練された立場、いろいろな問題があると思いますが、あくまで趣旨といたしましては生産者のほう、取引の公正ということを建前として考えておりますので、御了承をいただきたいと思います。
#98
○清澤俊英君 いろいろお考え下さってありがたいですが、農協が千何百ありますが、実際農協が開設者として立ち会って、そうしてやって、そこへ農民の生産者が直接出てきているというのは大体どれくらいあるのですか。ちょっと芝浦一つを調べましても農協を通じて出るものは三〇%出ている、あとの七〇%は商人を通じて出るというのです。これはやはり地方についてもその形が続いていると思う。あるいは家畜市場を通じて買ったものを送る場合もありましょうし、庭先取引で集めたものを送る場合もあるし、大体の主導権はまだ家畜商にある。それを改正して、農民の信頼する取引市場を作るとすれば、農協をして補助金を与えて、あなた方の指導によって、そうして近代化するという限りにおいては近代的の機械があるのですから、生体貫もあればいろいろ肉を調べる方法もあるでしょう、その技術者もおるのだから、そういう人がちゃんと肉の、これはどれだけの肉がとれるのだとか、あるいはこの目方はどのくらいだとか、こういうものがきちんとしていきますれば、家畜商が幾ら一生懸命出しましても、その公正の前には、かりにこれが少しくらい無理がありましても、値段が安くても、私は信用すると思うのです。そこへ自然に集まってくると思うのです。私は特にそういうことを、ことさらに商人をこう排斥するようなことは、商人といっても日本人でありまするから、そう考えたくはないけれども、これから先、今までの和牛と違うのです。だんだん耕耘機が発達してきて和牛というものはなくなり、肥育牛に移ろうとしているのだ。そうすると、畜産市場と畜肉市場のこの取引というものは、密接不可分に発達していく新段階の私は新しい構想が要るのじゃないかと思うのです。それでなければ、めちゃくちゃなものができると思うのです。あなた方が広大な理想を持って、これほどうまい、世界じゅうにないという肉を外国へ輸出するくらいのことまで考えておられるのだから、そうするならば、この根底をなすところの市場取引の問題などは、もっと積極的に、もっと実際的に御研究していただいて私は改正せられるのが妥当じゃないかと思う。この二条を改正することによって、変なことをしますと……、ほうぼうにあるのですよ、開設するといったって金がないでしょう、新しい市場を開設するといったってないでしょう。畜肉市場ができますれば、必ずこの家畜取引市場というものを併用しなければ、ほんとうの活用はできません。できないのだから、必ずそういうものはそこへ併用されるに違いないと思うのです。そういう形の出たとき、これがみな資本の関係上、畜肉商が大部分を出して、商売にならないから、しまいにはそれに何もかにもみな牛耳られてしまうということになりましたら、これはたいへんな話だと思うのです。ようやく意欲に燃えて肥育牛にかえようとしている農民をして、私はまたつらくさせるのじゃないかと思うのです。もっと根本的な現実を早く知ってやってもらいたいと思うのですね。私はあなた方が考えていることに、農協がやっているからといって、全部農協が開設者としての責任を果たしておりません。名前だけ貸している、大体それが多いのじゃないかと思うのです。私の見解などはほんの新潟県とその沿線くらいでもって、ごく狭いのですが、あなた方は日本じゅうを見ておられるから、一番よくわかると思うのですけれども、大体私はそうじゃないかと思うのです。
#99
○政府委員(森茂雄君) いろいろりっぱな御意見を拝聴いたしまして、われわれといたしましてもこの激励なり御鞭撻なりに従いまして、なるべく理想的なものに作り上げたいと思っております。そう申しましても、現実のこともございますので、一歩進んで一歩一歩行くと、清澤さんのおっしゃるように、そういう点を十分さらに検討いたしまして、さらに十歩、百歩進んだ案も現実の指導と相待ってまたお願いするように努力いたしたいと存じます。
#100
○委員長(仲原善一君) 本案については、本日はこの程度といたします。
 これをもって散会いたします。
   午後四時十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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