くにさくロゴ
1961/10/03 第39回国会 参議院 参議院会議録情報 第039回国会 内閣委員会 第2号
姉妹サイト
 
1961/10/03 第39回国会 参議院

参議院会議録情報 第039回国会 内閣委員会 第2号

#1
第039回国会 内閣委員会 第2号
昭和三十六年十月三日(火曜日)
    ―――――――――――――
  委員の異動
 九月二十八日委員村山道雄君辞任に
つき、その補穴として加藤武徳君を議
長において指名した。
    ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
  委員長      吉江 勝保君
  理 事
           小幡 治和君
           山本伊三郎君
  委 員
           石原幹市郎君
           上原 正吉君
           加藤 武徳君
           下村  定君
           中野 文門君
           一松 定吉君
           松本治一郎君
           横川 正市君
           赤松 常子君
  国務大臣
   建 設 大 臣 中村 梅吉君
   国 務 大 臣 藤枝 泉介君
  政府委員
   防衛政務次官  笹本 一雄君
   調達庁長官   林  一夫君
   調達庁総務部長 大石 孝章君
  事務局側
   庶 務 部 長 小沢 俊郎君
   常任委員会専門
   員       伊藤  清君
  説明員
   外務省アジア局
   外務参事官   宇山  厚君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○建設省設置法の一部改正する法律案
 (内閣提出)
○特殊海事損害の賠償の請求に関する
 特別措置法案(内閣送付、予備審査)
○連合国占領軍等の行為等による被害
 者等に対する給付金の支給に関する
 法律案(内閣送付、予備審査)
○国家行政組織及び国家公務員制度等
 に関する調査
 (委員辻政信君の消息に関する件)
    ―――――――――――――
   午前十時五十三分開会
#2
○委員長(吉江勝保君) これより内閣委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。去る九月二十八日村山道雄君が辞任され、加藤武徳君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(吉江勝保君) 次に、去る九月二十五日、本委員会に付託されました建設省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。政府から提案理由の説明を聴取いたします。
#4
○国務大臣(中村梅吉君) ただいま議題となりました建設省設置法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。
 この法律案は、建設事業に関する総合計画及び長期計画の策定、公共用地取得対策の樹立、建設業の振興等に関する行政を推進するため、本省にこれらの事務を所掌する局として、新たに計画局を設置するとともに、直轄事業の事業量の増大に対処するため地方建設局の用地事務機構を整備する等建設省の所掌事務及び機構についてその整備をはかろうとするものであります。
 以下その要旨を申し上げます。
 まず第一に、本省に新たに計画局を設置して、所管行政にかかる建設事業に関する総合計画及び長期計画に関する調査及び立案に関する事務、国土計画及び地方計画に関する調査及び立案に関する事務、土地の使用及び収用に関する事務、建設業の発達及び改善の助長、並びに建設業者の監督に関する事務等を所掌するものとしたことであります。
 第二に、計画局の新設により、現在従来の計画局の所掌事務である国土計画及び地方計画に関する事務、土地の使用及び収用に関する事務等が新設される計画局へ移しかえられることに伴ない、従来の計画局の名称を都市局に改めたことであります。
 第三に、地震工学に関し、外国人研修生を含む研修生の研修を行なう事務を建設省の所掌事務に加えるとともに、これらを建設省の付属機関である建築研究所につかさどらせることとしたことであります。
 第四に、直轄事業の事業量の増大及び大都市近傍における用地取得の困難に対処して、関東地方建設局及び近畿地方建設局に用地部を設置することとしたことであります。
 以上のほか、土木研究所において、委託に基づき、建設資材について特別な調査、試験及び研究を行ない、及び建設研修所において測量に関する技術者についても養成及び訓練を行なうことができることとする等、本省及び付属機関の組織に関し規定を整備することといたしました。
 以上が建設省設置法の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
#5
○委員長(吉江勝保君) 以上で提案理由の説明を聴取いたしました。自後の審査は、これを後日に譲ります。
    ―――――――――――――
#6
○委員長(吉江勝保君) 次に去る九月二十五日、予備審査のため本委員会に付託されました、特殊海事損害の賠償の請求に関する特別措置法案を議題といたします。政府から提案理由の説明を聴取いたします。
#7
○国務大臣(藤枝泉介君) ただいま議題となりました特殊海事損害の賠償の請求に関する特別措置法案の提案理由及び内容の概要について御説明申し上げます。
 この法案は、新安全保障条約に基づく地位協定第十八条第五項(g)の規定により、同項の他の規定の適用を受けないこととなる特殊の海事損害の賠償請求の円滑な解決をはかるものであります。
 旧行政協定にかわる地位協定におきましては、民事請求権に関する第十八条の視定は、全面的に米国がNATO諸国と結んでおります同種協定と同様なものになったことは御承知のとおりであります。したがいまして、同条第五項(g)におきまして、日本国にあるアメリカ合衆国軍の船舶の航行等から生じます事故によりまして第三者がこうむりました被害のうち、物的損害に関する賠償の請求につきましては、同条同項の他の視定の適用を受けないことになりまして、米国政府が直接に取り扱うことになります。すなわち、旧行政協定で同じく民事請求権について規定している第十八条におきましては、その第三項によりまして、海上におけるこの種の賠償請求も陸上における場合と同様、日本の政府機関の行政措置により処理され、または日本の裁判所の裁判により解決されるのでありますが、新協定におきましては、米国の政府機関または裁判所により処理されることになります。
 右のごとく改定になりましたのは、この種の海上における船舶に関する賠償請求のような特別の事案についてはNATO協定のごとく取り扱われるのが国際通念であることに基づくものでありますが、米国の関係法令に十分通暁せず、また、言語慣習の相違のある日本国民に対しましては、新協定実施後も、この種請求の取り扱いについて政府が必要な援助を行なって円滑な解決をはかる必要があると存じます。これが本法案を提出する理由であります。
 法案の内容といたしましては、この種海事事故の被害者たる日本国民が米国政府に対して損害賠償を請求する場合には、調達庁長官がそのあっせんをすることとし、あっせんにより適正迅速なる解決をはかることとしたのが第一点であります。
 次に、右のあっせんによっても被害者の満足すべき解決に至らずして、被害者が米国の裁判所に訴訟を提起するときには、訴訟費用の立てかえ、その他訴訟についての必要な援助を行なうことができることとしたのが第二点であります。右立てかえ金は、無利息といたし、また、訴訟終了時には償還を要するわけでありますが、その償還は、場合により支払いの猶予、全部または一部の免除ができるように定めております。
 以上、この法律案の提案の理由と内容の概要を申し上げた次第であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願いいたします。
#8
○委員長(吉江勝保君) 以上で提案理由の説明は終了いたしました。自後の審査は、これを後日に譲ります。
    ―――――――――――――
#9
○委員長(吉江勝保君) 次に、去る九月二十七日、予備審査のため本委員会に付託されました連合国占領軍等の行為等による被害者等に対する給付金の支給に関する法律案を議題といたします。政府から提案理由の説明を聴取いたします。
#10
○国務大臣(藤枝泉介君) ただいま議題となりました。連合国占領軍等の行為等による被害者等に対する給付金の支給に関する法律案の提案理由及び概要について御説明申し上げます。
 占領期間中における連合国占領軍等の行為により、死亡し、負傷し、または疾病にかかった被害者に対しましては、昭和二十一年五月、閣議決定により見舞金支給措置を講じ、さらに昭和二十七年五月、閣議了解により追給措置を講じてきたのでありますが、これについてその金額が少なきに過ぎるという理由をもって、被害者より、政府並びに国会に対し、しばしば救済の陳情並びに請願が行なわれてきたところであります。
 政府は、昭和三十四年度に調達庁をして、全国的に実態を調査せしめました結果、被害者数は、占領時代前期において最も多く、なかんずく、死亡者数も同様であることが判明し、かつ、見舞金額も少額で、お気の毒な状況にあると考えますので、これらの者に対する救済を立法措置により講ずることが必要、かつ、適切であると確信するのであります。
 以上がこの法律案を提出するに至たった理由であります。
 次に、この法律案の具体的内容について、その概要を御説明申し上げます。
 まず、この法律案による給付金は、本邦内における昭和二十年九月二日から、昭和三十七年四月二十八日までの占領期間中に発生した連合国占領軍等の行為等によって負傷し、または疾病にかかった者及び連合国占領軍等の行為等によって死亡した者の遺族であって、日本国籍を有する者に対し支給することとした次第であります。
 給付金の種類といたしましては、療養給付金、休業給付金、障害給付金、遺族給付金、葬祭給付金及び打ち切り給付金の六種類となっており、また、その支給額は、療養給付金につきましては、一定の基準を政令によって定めることといたしましたほか、休業給付金につきましては、この法律施行前の休業期間六十日未満にあっては二千円六十日以上にあっては五千五百円、この法律施行後の休業期間にあっては一日につき百二十円を乗じた額とし、また、障害給付金につきましては、労働基準法に定める障害の等級に応じて定めた一万八千円から十七万八千円までの額、遺族給付金につきましては、定額十五万円、葬祭給付金につきましては、同様定額五千円とし、打ち切り給付金につきましても定額十八万円といたしております。
 なお、これらの給付金を現実に支給する際には、すでに他の法令あるいは行政措置により何らかの給付を受けた者、あるいは受けることができる者に対しましては、この法律による給付金の額からこれらの相当給付金額を控除した金額を支給することとした次第であります。
 さらに、この法律に基づく給付金の支給を受ける権利の認定は、調達庁長官が行なうととしたのでありますが、調達庁長官の処分に対し不服のある者は、六十日以内に不服の申し立てを行なうことができることとし、再審査の方途を講じております。この再審査にあたっては、被害者給付金審査会を調達庁に設置いたしまして、調査審議せしめることとし、これによって万全を期することといたしております。
 また、この法律による給付金を受ける権利の時効は、三年といたしましたほか、この給付金は、すべて非課税とするとともに、給付金の権利については、譲渡、担保または差し押え等の行為を禁止し、権利の保護についても十分な配慮を講じております。
 なお、遺族の順位その他手続に関する、規定等必要な措置を規定し、さらに細部の必要手続については、総理府令にゆだねることといたしております。
 以上、この法律案の提案の理由及びその内容の概要を申し上げた次第であります。何とぞ慎重御審議の上御賛成あらんことをお願いいします。
#11
○委員長(吉江勝保君) 以上で提案理由の説明は終了いたしました。自後の審査は、これを後日に譲ります。
    ―――――――――――――
#12
○委員長(吉江勝保君) 次に、国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査を議題とし、私から外務省当局及び本院事務当局に若干の質疑を行ないます。政府からの出席者は、宇山外務参事官、稲田南東アジア課長、参議院からの出席者は、小沢庶務部長、上野山庶務課長の方々でございます。
 まず最初に、小沢参議院庶務部長にお尋ねいたします。問題は、本内閣委員会の委員でありまする辻政信君の請暇されましてからの動静等でございます。一応庶務部長から、同僚辻委員の請暇をされましたその経緯を御説明願いたいと思います。
#13
○参事(小沢俊郎君) まず、辻議員が本院に請暇を出されましたのは三月の末でございまして、四月の一日に本会議でもって請暇が許可されております。そのときの請暇願は、三十六年の四月四日から五月十三日までの四十日間、会期は、御承知のように、三十六年の五月二十四日まででございまして、その後延長されまして六月八日まであったわけでございますが、そういう請暇願が出されまして、一日に許可されております。そのときに、庶務部の庶務課のほうへ、海外旅行の際に、公用旅券のことを言って参りました。そのときの私のほうで承りました日程は、大体四月四日に東京を立たれ、それからサイゴン、それからプノンペン、それからバンコツク、それからヴイエンチャンのほうへ、こういう日程でもって差し出されました。で、それから予定どおりに四日の日の九時三十分に羽田を立たれたようでございます。その後、五月二十八日と思いますが、そのときに辻さんがまだお帰りにならないということで、私のほうでは一応どうなっておるかということを外務省のほうにお聞きしたわけですが、そのときにはわかりませんでした。その後も、六月の十日に外務省のほうにも照会しましたが、そのときもわかりませんでした。それからその後ずっと外務省のほうとも接触をしておりまして、八月の三十一日でございますが、この日にやや事情がわかりました。その点は、私のほうは外務省のほうからお聞きしましたわけですから、外務省のほうから御説明があると思います。大体そういう経過でございいます。
#14
○委員長(吉江勝保君) それでは、応外務省のほうから、おわかりになっておりまする辻委員の海外におきまする消息といいますか、そういう点につきまして皆が心配もいたしておりますから、できるだけ詳細に御報告をいただきたいと思います。
#15
○説明員(宇山厚君) 御報告申し上げます。
 辻議員は、ただいまお話がございましたように四月の四日東京を出発されまして、同日サイゴンに到着されております。そのサイゴン滞在中にゴ・ジンジエム大統領その他政府の要人と会見されたのでございます。そのときに現地の久保田大使に、北ベトナムのほうに行きたいという意向を漏らされたそうでございまして、久保田大使が極力翻意を促しましたということがあったそうでございます。それから四月の九日にカンボジアの首都プノンペンに行かれまして、その後十一日にバンコックに行っておられます。それから、バンコックから今度は十四日にラオスに行かれております。それからラオスの首都ヴイエンチヤンに滞在中に、現地の別府大使に対して、自分はパテト・ラオの占拠をしておる地区を通過してハノイに渡って、そうしてそれから香港に出て日本に帰るようにしたいと思っておるというお話がありましたので別府大使から、それは非常に危険でございますから、おやめになっていただいたほうがいいと思いますということをしきりに言われたのでございますが辻議員はお聞き入れにならなかったということでございます。それからヴイエンチヤンに滞在中に、何とかしてパテト・ラオ地区のほうに入って行きたいというので、いろいろ画策なさったようでございまして、大体わかっておりますところでは、四月の十九日ごろに、間道を選んで、ラオス人の僧侶の二名が道案内になりまして、お寺からお寺へと、リレー式に僧侶の案内で入って行かれたという模様でございます。それから先のことはいろいろ確認しようと努めましたが、わかりませんけれども、大体ほぼこうではないかとわかりましたところでは、四月の二十一日の朝にパテト・ラオ地区に入られたようでございます。それから辻議員の消息が絶えまして、日本国内でも、新聞雑誌等にいろいろなトップ記事が出るそれから国会のほうから外務省にも、その後どうだというふうなお問い合わせもある。私どもも非常に心配いたしまして、何回となく現地の大使館に訓令を出しまして、辻議員の消息を調査するように努めてきておるのでございますが、現在までのところ、十分はっきりしたことは残念ながらわかっておりません。しかしながら、大体いろいろ各方面を当たりましたところで、ほぼこうではないかと思われるところをつけ加えて申し上げますと、ヴイエンチヤンの北方の百十キロの地点にバンビエンという所がございますが、そこで辻議員と思われるような人物に会ったという中国人がおるという情報がございましたので、これは八月になってからのことでございますが、そういう情報が入りましたので、すぐ大使館が現地に参りまして調べましたところが、この中国人は、現地で中国料理店を営んでおる者でございまして、それで、このバン戦乱のビエンという所に行きましたところがために帰れなくなって、しばらくそこに滞在しておりましたところがその滞在中に辻議員とお会いしたということを言っておるようでございます。そして、その時期は大体六月の初めとこう言っておるのであります。そこで別府大使の派遣されました大使館員が辻議員の写真をその者に見せましたところが、これは本人に間違いないと、こう申したということでございます。それから、この中国人の話によりますと、辻議員は五月の中旬にこのバンビエンに来られまして、そして、その今申し上げました中国人が同地で、バンビエンで中国料理店をやっております。ところへ、両がえと飲食のためによくおいでになった。そのときには僧侶の格好ではなくて、黒の背広を着ておられた、こういうことを言っております。そしてこの人が六月の七日にバンビエンを去っておるのでありますが、そのときまでずっと辻議員と思われる人はそこにいたということを言っておるということでございます。そのときに、辻議員は何をしようとしておられたかということを聞きましたところが、数回にわたって同地のパテト・ラオの前線司令部に行っておられた、そしてパテト・ラオ地区よりもっと奥地のほうに入りたいという許可証を入手するように努力しておられたらしい、こういうことでございます。それから、また、これも推測の域を出ませんけれども、辻議員はプーマ殿下に会いたいということをしきりに言っておられたそうでございます。御存じのように、ただいまラオスでは、このプーマ殿下が中立派でございまして、現政権はブンウム首相、それから、その反対側のパテト・ラオという左翼系の派がございます。この三派が争っておるわけでざいますが、そして今このプーマ殿下が首相になりまして、この三派の連立内閣を作ってラオス情勢を取りまとめようという努力がしきりに行なわれておるのでありますが、こういうふうに、やがてラオス情勢の中心人物となるであろうというこのプーマ殿下とぜひ会って話をしたいとお考えになったということはうなずけることでございますが、ただし、この六月初めにはプーマ殿下は、チューリッヒのラオス三派の三殿下の会議ということのためにヨーロッパにおりまして、当時はラオスにいなかったのでございますから、辻議員は、あるいはプーマ殿下がラオスに帰ってくるのを待っておられたんじゃないかということも考えられますが、その点はごく憶測にすぎないのでございます。
 そういうわけでございまして、私どもといたしましてはいろいろな方面に連絡をいたしまして調べておるのでありますが、どうもまだはっきりいたしません。ただいままで調べましたところでは、単に現地の大使館の者が現地の人々に聞くというだけではなくて、政府機関にも頼んでおりますし、それから第三国とか、あるいは国際機関にも連絡をいたしまして辻議員の消息を調べたいということで、あらゆる手段を通じて努力をしておるのでございますが、はなはだ残念ながら、ただいまのところ的確な情報がない、こういうことでございます。
 それから、できるだけ具体的に話すようにというお言葉でございましたがただいままだ調査を進めておる間でございますので、具体的にあまりどういうことをやっているということを申し上げますのは、今後の調査にあるいは支障を来たすようなことがあるといけませんので、このぐらいにさせていただきたいと思います。
#16
○委員長(吉江勝保君) 現地の大使館というのは、その現地というのはどこを言うておるのですか。
#17
○説明員(宇山厚君) 現地と申しますのは、先ほど申し上げましたようないきさつでございますから、ラオスにございます日本の大使館、これが中心になるわけでございますが、その他辻議員がお立ち寄りになりましたバンコックの大使館、それからプノンペンの大使館、それからサイゴンの大使館、これらでも調べたのでございます。それから香港のほうにもやがて出て行きたいということを言っておられたわけでございますから、香港のほうにも訓令を出したのでございます。
#18
○委員長(吉江勝保君) 外地のほうから、通信というんですか、たよりというんですか、そういうものについては消息はつかめないのですか。それはないのですか、絶えてしまったのですか。
#19
○説明員(宇山厚君) 辻議員のお手紙でございますか。
#20
○委員長(吉江勝保君) そうです。
#21
○説明員(宇山厚君) 辻議員御自身のお手紙は、四月中旬でございましたか、御家族におたよりがあったそうでございます。それ以後にはないというふうに聞いております。
#22
○一松定吉君 今あなたの御報告のうちで、辻君がこういう奥地に入りたいがということを言ったところが、それは危険だからとめたというんですね。それはどなたですか、とめたのは。
#23
○説明員(宇山厚君) とめましたのは、その中に入りたいということを辻議員がお話しになったのが、ベトナムの首都サイゴンにあります日本大使館の久保田大使、その方と、それからラオスの首都ヴイエンチヤンに駐在しております別府大使でございます。その二人とも、何とかしておやめになったほうがよろしいのじゃないかと思いますということをしまりに繰り返し言われたそうでございますけれども……。
#24
○一松定吉君 危険というのはどういうことですか。
#25
○説明員(宇山厚君) と申しますのは、北ベトナムのほうでも、ラオスのパテト・ラオ地区におきましても、どちらも治安が非常に乱れております。しばしば戦闘も行なわれるというほどに危険な状態でございます。日本側の出先でどうこうしようと思いましてもまあ日本側の出先のないところには友好国の出先機関に頼むというわけでございますが、そういうことも十分行なわれないようなところでございますので、非常に危険じゃないかと判断されたことと思います。
#26
○一松定吉君 そういう危険だということを通告することについては、何か根拠でもあるのですか。ただ治安が乱れておるというだけで、だれかそういうような生命に危険を生じたという実例があることを前提として辻君をとめたのか、ただ治安が乱れたから危険だからというのですか、その辺わかりませんか。
#27
○説明員(宇山厚君) ただいま申し上げましたように、しばしば戦闘行為が行なわれております。砲弾が飛んでおる地方でございますし、警察などがしっかりしておるというわけではございません。非常に危険だと見るのがあたりまえじゃないかと思います。
#28
○委員長(吉江勝保君) ほかに御発言ございませんですか。
#29
○下村定君 辻議員と縁故のある朝枝という人、これがヨーロッパからの帰りに、どこから頼まれたか私は知りませんが、現地に寄って消息を調べてくる、そうして日本に帰るということを聞いたことがあるのですが、それに関して何かお聞き及びはありませんか。
#30
○説明員(宇山厚君) 実は二、三の方が頼まれて調べられたということを聞いておりますけれども、その結果は辻議員の消息がわかったということは聞いておりません。先ほど申し上げましたのは、現地の大使館で現地人のところをいろいろ調べました結果だと思います。
#31
○横川正市君 私はまあ議員と、それから外務省の海外旅行許可をする部門との関係で、何か特別な取り扱いをする関係があって、本人の意思を重視し過ぎたという観点があるのじゃないかという点で聞きたいわけですが、海外旅行をする場合に身辺の保証のない地域に対しては許可を与えない、これが大体外務省の旅行申請に対する態度ですね、一つは。外資の割当その他がありますけれども、重要問題としては、そういう方針でたしか進んでおるはずなんです。その場合、東京で旅券を申請したときには、いわゆる身辺に危害の与えられるような地域ではない、ところが、在外の大使館とか公使館とか領事館等へ立ち寄って、そして何回かどこへ行きたいという意思表示をされたというわけですから、その点が危険だということを承知しておった、在外公館としては、それなのに本人の意思にまかせてしまった、本人が行くんだからとめようがなかったというだけでは、私は、許可の問題からすると問題が出てくるのじゃないかと思うのですが、外務省としてはその点どう考えているか、本人の自由意思ですか、それは。
#32
○説明員(宇山厚君) 辻議員の場合には、東京ではラオス、それから南ベトナム、そういうところへということをおっしゃっておるわけなんです。そして現地で初めて先ほど申し上げましたような地区に入りたいということを言われたわけでございまして、現地といたしましては、これを何とか思いとどまっていただきたいと申し上げる以上に方法はないかと思うのでございます。
#33
○横川正市君 これは消息でいえば、パテト・ラオですか、前線基地で、さらに前線に行けるように許可をもらう工作をしておったんではないかという本人の行動ですね、しかし、そのことは本人の身辺に危険が伴うものだとおそらくその出先機機というのは考えておったわけじゃないですか。そういう場合、これはとめる方法は全然ないわけですか、今までのところ、在外公館としては。
#34
○説明員(宇山厚君) 実はバンビエンというところで、さらにパテト・ラオ地区に辻議員が入りたいと言っていろいろ工作しておられたということがわかりましたのは三カ月あとのことなんです。先ほど申し上げましたように辻議員がヴイエンチヤンという首都から去られましたのは四月の二十一日ごろでございまして、それからもう大使館のほうではどこへ行かれたのか消息がわからなかった。それからいろいろ問題になりまして、八方手配をしておりますうちに、もう八月の後半になりましてから、二カ月ぐらい前の六月の初めにバンビエンでそういうことをしておられたということがわかったというわけでございます。でございますから、もうそういうことがわかりましたときには、戦闘行為が行なわれているところへ、もう二カ月半も前に入っておられたというわけでございまして、当時どうにもしようがなかったかと思うのでございます。
#35
○委員長(吉江勝保君) ただいま聴取いたしましたところで、本院の辻君の消息の今日わかっておりまする最終のところまで説明があったのでありますが、なお生死についての確認はされておりませんので、私どもとしましては、無事でありますることを祈ってやまないのでありまして、なお外務省におきましても、全力をあげて調査をされまするように要望いたしまして、私の質疑を終わりたいと思います。
 他に御発言もなければ、本件はこの程度にとどめます。本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時三十四分散会
    ―――――――――――――
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト