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1961/10/19 第39回国会 参議院 参議院会議録情報 第039回国会 地方行政委員会 第5号
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1961/10/19 第39回国会 参議院

参議院会議録情報 第039回国会 地方行政委員会 第5号

#1
第039回国会 地方行政委員会 第5号
昭和三十六年十月十九日(木曜日)
   午前十一時二十三分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
十月十八日委員加瀬完君辞任につき、
その補欠として江田三郎君を議長にお
いて指名した。
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   理 事
           小林 武治君
           西田 信一君
           秋山 長造君
           基  政七君
   委 員
           小柳 牧衞君
           郡  祐一君
           西郷吉之助君
           館  哲二君
           湯澤三千男君
           鈴木  壽君
           中尾 辰義君
  衆議院議員
           川村 継義君
  国務大臣
   自 治 大 臣 安井  謙君
  政府委員
   自治政務次官  大上  司君
   自治大臣官房長 柴田  護君
   自治省財政局長 奧野 誠亮君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       福永与一郎君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○旧沖繩県の地域における公職選挙法
 の適用の暫定措置に関する法律案
 (基政七君外二名発議)
○地方自治法の一部を改正する法律案
 (衆議院送付、予備審査)
○昭和三十六年度分の地方交付税の単
 位費用の特例に関する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
  ―――――――――――――
#2
○理事(西田信一君) ただいまから委員会を開会いたします。
 初めに委員の異動について御報告いたします。
 十月十八日付をもって委員加瀬完君が辞任され、その補欠として江田三郎君が委員に選任されました。
  ―――――――――――――
#3
○理事(西田信一君) まず、旧沖繩県の地域における公職選挙法の適用の暫定措置に関する法律案を議題といたしまして、提案理由の説明を聴取いたします。参議院議員基政七君。
#4
○基政七君 私は、ただいま議題となりました旧沖繩における公職選挙法の適用の暫定措置に関する法律案について、その提案理由の御説明を申し上げます。
 御承知のとおり、敗戦の結果わが国は、サンフランシスコ条約第三条によって旧沖縄県に対する施政権をアメリカ合衆国の手にゆだねることに同意いたしました。以来今日まで十余年の間、わが国は旧沖繩県に対する領土権を持ちながら、それに対して施政権を行使することはもちろん、部分的にせよ国内法を適用することすらできない状態のまま今日に至っているのであります。
 したがって、旧沖繩県住民は、国籍上は日本人でありながら、日本人としての何らの特権も保護も与えられず、アメリカの軍政下の規律と生活に甘んずることを余儀なくされているのであります。
 その結果、旧沖繩県の住民たちは、主権者としてたれもが当然に持つ権利、たとえば自分たちを統治する行政の長をみずから選ぶ権利、公共施設に自分の国の耳旗を掲げる自由、労働組合を何ら干渉なしに作る自由など、主権者としての基本的権利や自由を持ち合わせていない実情であります。
 このような状態の中で旧沖繩県住民はこぞって祖国復帰を熱望し、当地の立法院また、そのことを再三にわたって決議いたしております。
 われわれは同じ同胞として、このような旧沖繩県住民の期待を一日も早く実現するような最善の努力を尽くすことが必要であり、また、そのような方向に一歩でも二歩でも近づく具体的な施策を積み重ねていくことが、日本政府ないしは国会に課せられた重大な使命であると痛感するものであります。
 周知のように、旧沖縄県に対するアメリカ合衆国の施政権行使は、それがサンフランシスコ条約に基づくものとはいえ、それには沖繩を国連の信託統治にするという合衆国の提案が行なわれるまでという条件がついており、決して無制限に認めたものではないのであります。しかもこの条件は、過去十余年の間に実行されなかったし、今後も実行される見通しは全くないのであります。
 これらのことから私たちは、旧沖繩県は、将来日本に復帰することが、最も自然であり、望ましい姿であると考えるのであります。しかも、これの可能性は将来において十分予想される事柄であります。
 私たちはこの際、このような事態をあらかじめ予測し、旧沖繩県住民が、みずからの国会議員を選出し得るよう、旧沖縄県の議席について公職選挙法上の暫定措置を講じておくことが必要であると考えるのであります。これがこの法律案を提出する主たる理由であります。
 以下、この法律案の内容について御説明申上げます。
 まず、衆議院議員の選挙につきましては、現在、公職選挙法及び奄美群島の復帰に伴う法令の適用の暫定措置等に関する法律の関係規定によりまして、四百六十七人とされております議員定数を、当分の間、臨時に四百七十一人とし、旧沖繩県の地域をもって一つの選挙区として、その選挙区から選挙する議員の定数を四人といたしました。
 次に、参議院議員の選挙につきましては、現在、公職選挙法の関係規定によって二百五十人とされております議員定数を、当分の間、臨時に二百五十二人とし、そのうち百五十二人を地方選出議員とし、衆議院議員の選挙と同じように、旧沖繩県の地域をもって一つの選挙区として、その選挙区から選挙する地方議員の定数を二人といたしました。
 なお、この法律の施行期日は、公職選挙法が、将来、旧沖繩県の地域に適用されることとなってから別に政令で定めることにいたしております。
 以上が旧沖繩県の地域における公職選挙法の適用の暫定措置に関する法律案の提案理由の趣旨説明でございます。何とぞ慎重審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
#5
○理事(西田信一君) 本案の質疑は、後日に譲ることといたします。
  ―――――――――――――
#6
○理事(西田信一君) 次は、地方自治法の一部を改正する法律案(衆第五号)を議題といたしまして、提案理由の説明を聴取いたします。衆議院議員川村継義君。
#7
○衆議院議員(川村継義君) 私は、提案者を代表し、ただいま議題となりました地方自治法の一部を改正する法律案について、その提案理由を御説明いたしたいと存じます。
 特別区における自治行政の円滑化をはかるため、区長の選任方法を議会による選任制から住民による直接公選制に改める必要があります。これが、この法律案を提出する理由でございます。
 その要旨は次のとおりでございます。
 御承知のように、昭和二十七年八月、地方自治法の一部改正が行なわれ、特別区の区長は区議会が都知事の同意を得て選任する間接選挙制に改められました。
 日本社会党といたしましては、このような地方自治法の改正では、行政機構の中央集権化を強め、住民自治の原則にもとるものであるという態度を、その当時より、今日に至るまで、一貫してとって参っております。
 改正案が成立して以来、九カ年を経過いたしました。その間に、私たちが指摘したとおり、各種の欠陥や矛盾が顕著に現われてきました。特に、区長選任のために、長期間を費やし、区政の渋滞を生じ、区政運営上重大な悪影響をもたらしているという事態は、一刻も早く解消させねばならないと考えます。
 今や、渋谷区を初め、特別区の議会はあげて区長公選制の復活を強く要望し、全都民運動にまで発展しようといたしております。
 この際、民主政治の根底である住民自治の発展を期すため、現行地方自治法第二百八十一条の二と、それに関連する法規を改正し、二十七年八月の改正以前の状態に戻し、特別区の区長の選任を住民の直接選挙によるように改めることにするというのが、この改正案のねらいでございます。
 以上がこの法律案の提案の趣旨でございます。何とぞ慎重に御審議の上、可決下さるようお願いいたします。
#8
○理事(西田信一君) 本案の質疑は、後日に譲ることといたします。
  ―――――――――――――
#9
○理事(西田信一君) 次に、昭和三十六年度分の地方交付税の単位費用の特例に関する法律案を議題として、質疑を行ないます。御質疑の方は順次御発言を願います。
#10
○鈴木壽君 今度の給与改定に必要な経費、地方団体で必要な経費はどの程度と見込んでおられますか。
#11
○政府委員(奧野誠亮君) 総体で三百六十二億円で、義務教育費国庫負担金六十九億円ございますので、一般財源としては二百九十三億円、かように考えております。
#12
○鈴木壽君 これは、都通府県と市町村等の段階に分けて言いますと、どういうふうになりますか。
#13
○政府委員(奧野誠亮君) 府県では総額が二百六十一億円で、国庫負担金が六十九億円ございますので、一般財源では百九十二億円でございます。市町村分では百一億円でございます。
#14
○鈴木壽君 この改定の率は人事院から勧告のありましたあの率と一同じでございますか。
#15
○政府委員(奧野誠亮君) 人事院勧告と同じでございますが、正確に申し上げますと、国家公務員よりも総平均で若干多いように思います。具体的に申し上げますと、国家公務員については、本俸換算で八・〇六%の伸び率になっております。地方公務員の場合には、八・〇九%ということになっております。職員構成が違いますので、若干の相違が出て参っております。
#16
○鈴木壽君 いただいておるこの資料の四枚目の一番上「3、給与費単価の改定に関する調」、ここで部長級とか課長級とかいう区分をしておりますが、これの区分に従うと、たとえば部長級が幾ら、課長級が幾らというふうな引き上げの率が該当するようなのがございますか。
#17
○政府委員(奧野誠亮君) ここに書いておりますのは、単位費用を推算します場合に標準団体の行政規模を想定いたしております。その際に、部長クラスの人が何人あるのか、甲吏員クラスの人が何人あるかというような推定をいたし、その給与額を一応きめておるわけであります。国家公務員の給料表では、その給料がどう変わっていくか、変わった額を改定の欄にあげているわけであります。国家公務員の給料表の改定をそのまま標準団体の行政規模について適用してみた場合に、どう変わるかということで単位費用を算定し直したわけでございます。
#18
○鈴木壽君 この表についての御説明はわかりましたが、もし、さきの御説明の地方公務員の場合、本俸で直した場合には八・〇九%になるというお話でございますが、これは全体を通じての率だと思いますから、もし部長級あるいは課長級、こういうふうに区分してあるこれにまた該当させるとすれば、たとえば部長級は何%、課長級は何%というふうなことが一応計算なされたと思うのですが、そういうのがありましたらと、そういう意味です。
#19
○政府委員(奧野誠亮君) さっき八・〇九%と、こう申し上げたわけでありますが、今回の給与改定はどちらかといいますと、下のクラスの人の改定率が高いわけであります。上の改定率が低くなっているわけであります。したがいまして、また、上のクラスの人たちの多い職種のほうの改定率は、若干総平均では低いというようなことになるわけでございます。府県の一般職員と市町村の一般職員でも違いますし、警察職員や政育職員でも違うわけであります。全体加重平均したのが八・〇九%ということになっているわけであります。
#20
○鈴木壽君 教育職員や警察職員、それから一般の職長のそれの率は大体お示し願えますか。
#21
○政府委員(奧野誠亮君) 今、資料を探しておりますので、あとでお答えさせていただきます。
#22
○鈴木壽君 今回の改定に必要な経費を、義務教育費に関する六十九億というものを差っ引いて三百九十三億と、こういうふうに言われておるんでありますが、そうしますと、今度の地方交付税の算定を改めてもこれだけの額にはならぬように思う。交付税の総額は二百十三億だったと思いますからなお八十億ばかし足りないということになるのですが、これは昨年行なったように、その後の税の伸びをこれから差し引いたというようなことでもあるんですか。
#23
○政府委員(奧野誠亮君) 私が申し上げました額は、交付団体、不交付団体合わせましての金額でございます。交付団体だけをとりますと、財源所要額は、これは小さくなっていくわけであります。交付団体にだけ地方交付税を配分いたしますので、交付団体だけのものを取り上げますと、給与改定の所要額と、今回の地方交付税の増加額が、大体見合ったような結果になっております。
#24
○鈴木壽君 交付団体だけでは、合計二百十億になりますね。なお、不交付団体八十六億と、これで二百九十六億になるわけですが、交付団体に必要な二百十億というものは確保できると、こういうふうにお答えになったわけですね。
#25
○政府委員(奧野誠亮君) そのとおりであります。
#26
○鈴木壽君 そうしますと、計算上、今回の措置は、出て参ります交付税の増額と、それから交付団体の所要額とが、大体見合うから、それでいいのだと、こういうふうに考えられているのか、それとも、さっきちょっとお聞きしましたように、昨年は何か九月までの税の収入の伸びなんかもだいぶ見て、差引計算をしてやったというようなことがあったようでありますが、そういうことは今回おやりになっておるかどうか。
#27
○政府委員(奧野誠亮君) 交付団体の給与改定の財源所要額と、地方交付税の増加額とが見合っておりますので、給与改定のことだけ考えますと、それで大体財源というものはできると思います。しかし、今御指摘のありましたように、法人事業税や法人税割に相当な増収がございますし、これは実績に基づいて算定して参りますので、再算定するということになりますと、最近の実績に基づいて再算定すべきだと思うのであります。そうしますと、私たちの見込みでは、標準税収入に直しまして、二百億円前後のものが基準財政需要額の追加になってくるかと思います。そのうちには、交付団体の分と、不交付団体の分とがございまして、そうしますと、八月算定のときに、完全に埋められなかった六十四億円というものがあります。その六十四億円も、大体においてまず埋められるの、ではないかと思うのであります。これだけが地方税の自然増収を全地方団体にならすことができるという結果になるのではないかと思っております。したがいまして、地方交付税の増加分と、それから穴のあいております六十四億円分、これをプラスしたものが交付団体に財源として与えられるということになってくると、かように考えておるわけであります。
 それから、なお、先ほどお尋ねのございました本法の改定率でございますが、義務教育職員は八・三%、警察職員は七・三五%、府県の一般職員が七・八七%、高等学校その他が八・二%、大学が六・五三%、市町村の一般職員が八・一%、高校、大学は、府県について申し上げたと同じでございます。
#28
○鈴木壽君 そうしますと、法人関係の税の伸び々を交付団体、不交付団体合わせて二百億程度と見たと、これは今回基準財政収入額の中にはっきり入れてあるのですかどうかということなんです。
#29
○政府委員(奧野誠亮君) 基準財政収入額を法人税と、法人税割で、二以上の府県にまたがって事業を行なっております法人にかかるもの、これは再算定しようと、こう考えておるわけであります。
#30
○鈴木壽君 二百億という増収見込みですね、おおまかな数字だと思いますが、これを交付団体、不交付団体に分けますと、こまい数字まで要りませんが、大体どの程度になりますか。
#31
○政府委員(奧野誠亮君) 標準税収入に直しまして二百九億円でありますが、基準財政収入額が百六十四億円であります。そのうち、交付団体分が七十七億円、不交付団体分が八十七億円と、こういう推定をいたしております。
#32
○鈴木壽君 それから、いまひとつお話のありました八月算定の場合の六十四億の調整額の問題ですが、そうしますと、これは、形としては自治体のほうへ戻すと、こういう格好になりますか。
#33
○政府委員(奧野誠亮君) そう考えております。多少誤差が出てくるかもしれませんけれども、大体において埋められるのではないかと、こう考えております。
#34
○鈴木壽君 そうしますと、今回の算定がえによって、給与に必要な経費と、それからこの前の八月算定の場合に出た不足額といいますか、調整額は戻されると、こういうふうに簡単にいって了解してよろしゅうございますか。
#35
○政府委員(奧野誠亮君) そのとおりであります。
#36
○鈴木壽君 この法人閣係の税の問題でありますが、これは去年も、私はあなたにお聞きしたと思いますが、こういう時期に、その後の伸びがあるのだからといって、これを再算定するというようなことは、自治体としては、ちょっと困ることが実際あるのですが、あなたは去年も、いや、そのほうがかえっていいのだというようなことまでおっしゃっておったのですけれども、実際は、たとえば、このくらい伸びるだろうという大体の予想のもとに自治体ではいろいろな仕事の計画をしたりなんかする、こういうふうなことになっていると思うのです。それが今度、今の交付税のこういう策定がえの際に、さらにこれが基準財政収入額の中に見込まれてしまって、実際はそれだけの金は使うことができないというようなことになってくると思うのです。これは、全体としての交付税が少ないために、あるいはそういうことをせざるを得なかったというふうなこともあるかもしれませんけれども、やり方としてはどうでしょうね。
#37
○政府委員(奧野誠亮君) 基準財政収入額の算定の関係をよく理解しているところでは、別に困ることばないと存じます。ただ、どこまでそのことが徹底しているかという問題はあるかと存じます。鈴木さんはもうよく御承知なので、こまかいことを申し上げるのは恐縮なんですけれども、二以上の府県にまたがって事業を行なっている法人分にかかる法人事業税と法人税側に限りまして、自治省が会社別に算定をしているわけであります。しかも、これは推定を一切加えませんで、過去の実積に基づいて算定をするということにしているわけであります。本算定の際には、三月決算までの分しかわかっておりませんので、三月決算までの分をとって算定をしたわけであります。今度は、法律が通ってから算定をするということになりますので、九月決算までのものがわかるのでありまして、そうしますと、その結果の増減収は再算定がなければ、来年度の基準財政収入額にその数字が現われるわけであります。それを今回の再算定の際に、増減額を基準財政収入額にそのままプラス・マイナスしていこうと、こういうことでありますから、なるたけ早い機会に、その数字を計算の基礎に入れたほうが団体として、かりにまごつく場合にも、早く整理ができるのではないかと思うのであります。また、そうい5計算の仕方をしておりますので、よく理解している団体は、基準財政収入額よりも法人事業税、法人税割で多い増収があったという場合、これはいずれ基準財政需要額に現われてくることだという心がまえは持っているだろうと思います。持っておらないところではなるたけ早い機会に、その数字を明らかにしたほうがその団体にとっていいのではないかと思うのであります。今回やろうとするのは、基準財政収入額に足りないからこういうことをしようとしておるのでは全くございませんで、従来もやって参っておりますこれらのしきたりをやはりそのまま踏襲する、また、そのほうが、いずれはプラス・マイナスをして基準財政収入額にしていくわけでありますから、再算定の機会があれば、その機会に早いうちにやったほうがよいのではないかと、こう考えているわけであります。
#38
○鈴木壽君 従来もやったとおっしゃるのですが、こういう例は、去年の給与改定の際にとられたことであって、毎年こういうふうなことが行なわれるわけじゃない。また年度半ばで、今のような時期で交付税率がこういうふうな格好で給与のためにふえてくるというような格好も従来あまりなかったのじゃないかと思うのです。ですから、その点は、まあ私もっと申し上げたいのだが、それはそれでいいとしまして、確かにおっしゃるように、前もってわかっておることがいいのだということも、私はあながちこれを全部否定するつもりはございませんし、こういうふうな中途で改定する機会がなければ、来年の計算の場合に当然これは差し引かれる分でございまするから、それはそれでいいと思うのです。ただ普通であれば、たとえば九月の決算が済んだ十月あるいは十一月のころ、そういうものをつかんだとしましても、来年の交付税の大体の見通しの際に、そういうものは差っ引かれてどの程度来るのかというふうな計算、めどでやっておったと思うのですね。来年のこととして考えておる。ですから、いわば、ことしの三十六年度においては、そういうものも地方自治体にとっては自分の金として使っていく、こういうことも私は可能だと思うのですね。来年度の問題としては、必ず差し引かれるけれども、ことしとしてはあるのだと、こういうふうな考え方でいけば、今、中途で使っていいつもりでおったものを、あるいはそれをあてにして何かの卒業というものを考えておった場合に、こういういわば再計算をして、これを基準財政収入額の中に含めてしまう、こうなると、やっぱり実際の自治体の仕事のやり方等からしますと、私は痛いところが相当出てくると思う。理屈は何も、先に取るか、あとで取るかといういわば前後の関係だけだ、こう言ってしまえばそのとおりでありますけれども、しかし、もしことし三十六年度において、こういう給与改定というようなことがなかったら、それは私はそのままで済んで来年までこれは手がつけられないでおった金じゃないかと思うわけであります。そういう点からいって、何か少し地方自治団体にとっては気の毒だ。私は率直に言いますと、せっかく使えるものだと思っておったところが使えなくなっちゃった、こういうふうなことになるのじゃないかと思うのですがね。その点なんです。理屈の上ではどうせ来年取られるのだし、早くわかってことしこういう機会にやったらいいじゃないかということも言えるのじゃないかと思うのですけれども、ただ苦しい自治団体の財政運営からしますと、中途でそういうふうなことをやられることは、現にこれは、去年だって、はなはだこれは当然なんだし、むしろ自治団体が喜んでおるなんというようなことをおっしゃっておりましたが、困ったと、七、八百万円も入るつもりでおったものが、全然再計算の際にカットされてしまった。カットという言葉は適当でありませんけれども、そういうようなことでずいぶんこぼしておる団体が相当あるのですね。私はそういうことを申し上げておる。だから、もし交付税という額、総額の上でそんなことをしないでもいいだけあったら、私はこういうふうなことは避けて、したがって、自治体にもそういう困った目に会わせなくてもいいのじゃないか、こういう気持なんであります。
#39
○政府委員(奧野誠亮君) 相当な自然増収のある地方団体の立場だけから考えれば、まさに御指摘のとおりと思うのであります。財政需要が新たに増加した、その財政需要の増加をまかなえるように国が財源手当をしなければならない、こういう問題が起こらなければ、あえて再算定というようなことは起こらないと思いますし、すべきではないと思うのであります。たまたま給与改定で財源がよけい要るのだと、そこで財源手当をしたいのだと、しかし、その団体には相当な自然増収がある。自然増収があるのに給与費でふえた額をまるまる地方交付税を与えなければならぬかということになりますと、そこは多少私は遠慮してもらっていいのじゃないか。そのかわり何も増収がないところは、給料の増加額だけでなしに多少潤いを持たしあげてもいいのじゃないかと思うのであります。どういう団体の立場から考えるかによって、若干気持が違ってくると思うのでありますけれども、全地方団体を頭に置いて考えます場合には、地方交付税の均衡化の理想をある程度こういう際にも進めていった方がいいんじゃないだろうか、こう思うのであります。私たちが再算定いたしますのは、二つ以上の府県にまたがって事業を行なっている法人でありますから、かなり大きな法人でございます。そういう法人の増収ということは、昨年よりもどうなったかということを個々にしさいに地方団体は把握しているわけでございますので、ある程度こういうような形で運営されるのだという心がまえは持っていただきたい、こういう考えでおるわけであります。増収のある団体だけをとりますと、御指摘のようなことは当然言えるわけでございますけれども、やはり全地方団体のことから今申し上げますような措置のほうが穏当ではなかろうか、こう思っておるわけでございます。
#40
○鈴木壽君 これはまあいろいろ考え方があると思うのですし、ことに今あなたがおっしゃったような増収のない地方団体の立場に立った場合と、こういうことも確かに言えると思うのですが、ただしかし、その場合にあって、増収のない地方団体には何も問題がなくて、というのはさっきも育ったように、今の地方自治団体の財政というものは、そんなに豊かでないということは、これは今さら私が申し上げるまでもないので、単に頼みにするのは、少しでもこういう関係の税が伸びてそれを何かの仕事に使いたいと、そういうことをひたすら願っているわけなんですね。ですから、そういう場合に、せっかくそういうものがあったやつを、今言ったような形で再算定の際に、基準財政収入額の中に入れてしまうということは、実際の問題としてこれは避けてもらったらというようなことになるわけなのであります。ですから、私は毎年やっているように、三十七年度の交付税の計算の場合に、やられるというそういうことであれば、これはすでに法律的にもちゃんとあるのだし、覚悟はしておることだし、それは私何も言うわけじゃありませんけれども、去年もやった、ことしもやったという、こういう形はちょっと少し、そういったような団体にとっての思いやりといいますかな、そういう点においては、私は残念だと思うのですがね。まあしかし、その点は意見にわたってきたようですから……。
 そこで、ことしの今回の補正予算を見ますと、何かこう地方自治団体に対するこの地方交付税の額が、ちょうどその給与改定に必要な経費に見込まれる額とが一致した形でありますが、何かこれはあれですか、この程度に押えてということで、ちゃんと国税三税のほうを押えたんですか。これはまあ大蔵省でないとこんなこと聞くのはおかしいのではないかと思うのですが、あまり符節が合ったような気がするのですが、どうですか。
#41
○政府委員(奧野誠亮君) 私自身が実は大蔵省がそういう気持を持ったのかと、こういう疑問を抱いたのであります。いろいろ確かめましたところが、そういう気持は全くなかったようであります。事実また私たちのほうに、予算案をきめます前に、大体地方交付税がこの範囲になるということを連絡はしてくれておりました。その数字が変わっていないところを見ますと、やはり故意にやったことではないようであります。私も実は鈴木さんと同じような疑問を持ったのでありますけれども、いろいろいきさつをたどってみますと、そこには故意は全然なかったようであります。
#42
○鈴木壽君 今回のこれの、まあ国の税のやつで酒税が入っておりませんね。三税のうち、所得税と法人税の二つの税だけで酒税が入っておりません。酒税の増税というものはあれでしょうか。これはまあさっきも言ったように、あなたにお聞きしたってわからぬかもわからぬと、一体答えるべき筋ではないというふうに言われるかもしれませんが、酒税の増税というものは見込まれなかったものでしょうかな、これは。
#43
○政府委員(奧野誠亮君) 私たちは、国税の自然増収はもっと多いと聞いております。ただ非常にはっきりしたものについて、今回需要額と見合って増収額を見た、こう承知しておるわけであります。
#44
○鈴木壽君 これは、当然第二次補正というものが予想される段階だと思うのですが、あなた方もそういうようなことは頭に置いておられますか。したがって、第二次補正の際に、また交付税の増額があるというふうに期待していいんじゃないかと思うのですが、その点をどうですか。
#45
○政府委員(奧野誠亮君) そういう事態があり得るということは考えています。
#46
○鈴木壽君 今回の交付税法の改正で、給与だけの改定でございますか。私はこまいことまだ見ておりませんから、最後に例なんかもありますが、こまいところまでは私は目を通しておりませんから、お聞きするのですが、給与の改定に必要な経費だけでございますか。
#47
○政府委員(奧野誠亮君) 給与の改定と生活保護費の改定、この二点だけでございます。
#48
○鈴木壽君 そこで、今度の補正予算で文教施設、それから住宅の単価の改定を行なって、国の経費が二十三億ばかり出ておるようでありますが、それに対応するような交付税の計算で、基本になる標準の基本単価ですか、標準単価ですか、言葉は何ですが、単価の改定は行ないますか。
#49
○政府委員(奧野誠亮君) 三十七年度においては行ないたい、こういう考え方をいたしております。今年度は地方債を三十一億円増額いたしたわけでございまして、それによって対処したい、かように考えております。
#50
○鈴木壽君 しかし、私は国の予算措置がそういうふうになってきた場合には、当然やはり交付税の場合でも改定をすべきじゃないかと思うのですが、その必要はありませんか。
#51
○政府委員(奧野誠亮君) 小中学校の改築に手をつけているのが全地方団体ではございませんし、単位費用を上げるということは、全地方団体に所要財源を与えることになるわけでございますので、それよりは、さしあたり地方債の増額によって財源措置をしたほうがよろしいのじゃないか、こう思っているわけでございます。補助事業だけではございませんで、義務教育施設については、単独事業分も相当見込んでおるわけでございます。それにつきましても、単価の増を想定いたしまして、地方債の増額措置を行なうということにいたしております。
#52
○鈴木壽君 しかし、文教施設なり、あるいは住宅の建設をやっている市町村が、全部の市町村団体のそれじゃないのだ、いわば一部分だ、だから、改定する必要がないのだということになりますと、これは来年度やるというのはおかしいと思うのです。しかし、今の交付税の計算からしますと、いわば標準団体というものを設定をして、その中でいろいろ積算をしているわけですね。その中には甲の団体でやらない種目であっても、当然これは見ておる。これは今の計算の方法はそうだと思うのですね。だから、あなたのような理由で、今回はする必要はないのだ、ただ、それを調査してみればいいのだというようなことは、ちょっと交付税の計算の理屈としてはおかしいと思うのですが、どうですか。
#53
○政府委員(奧野誠亮君) 地方債を増額し、さらに一般財源を増額する、二重に財源手当をすることが地方団体としては一番望ましいことかもしれませんが、しかし、形の上においては。ダブつたことになるだろうと思うのであります。もともと交付税の計算は、予算配賦ではございませんで、全体としての財源を見ているわけであって、それを基礎として御指摘のような問題もあるわけでございまして、弾力的の財源の運営をやっていくのだから、少しでもそういうもので増額をしていく余裕を持たしていく、弾力を強化していくということは適当と思います。適当と思いますが、それよりは今さしあたって学校建築に手をつけている団体に重点的に財政手当をしていくということになりますと、地方債を増額しなければならぬのじゃないか、こう考えるわけでございます。二重の措置がとれればそれにこしたことはございませんけれども、それよりはやはり全体としての財源の増額を、今おっしゃいました学校の問題にも手をつけていくというようなことでございますので、新年度におきまして、総体をにらみ合わせまして、どういうようなところにどうして経費を重点的に増額するかということも、そういう点もあわせまして善処していきたい、かように考えているわけであります。
#54
○鈴木壽君 何かあなたのほうの言葉じりをとらえるようでありまして恐縮ですがね、私はそういうような意味でなしに、やはりこういう際には、せっかく今の交付税の再計算をするのでありますから、そういうところにやはり一般的な地方財源として織り込むことが、今の交付税の建前からいっても私は当然のことだと思います。ですから、その理屈から、今年はたとえば金がなくてやれないのだ、それまで計算したのじゃ金が二百十億か十三億、これじゃ間に合わないのだというようなことでもあって、これは今年やれなくて来年本格的にやるのだ、したがって、今年の手当は地方債でめんどうを見ていくのだ、こういうのであれば私は了解できますが、私はやはりそういうところまでやらないとおかしいと思うんですがね。理屈の上から言ってどうです。
#55
○政府委員(奧野誠亮君) 年度の進行の過程におきまして、事情がいろいろ変わっていくだろうと思うのであります。そのつど単位費用を改定しなければならないのだ、こういうように私たちは考えていないわけでありまして、やはり年度当初とこまで地方団体の財源を保証していくのかというようなことで基準財政需要額を算定するものだと思うのであります。年度の途中において、いろいろな情勢変化がございまして、現在はとにかく学校建築に取りかかっている団体について、その財源手当が十分でないということで補助金増額が行なわれ、地方債資金の増額を行なうことにしたわけでございます。もちろん年度の中途でいろいろな事情が起こるたびに、それらの基準財政需要額の算定を改めていくということも、これは私はいけないというわけじゃございませんけれども、やはり自治団体でございますので、年度年度に全体としての財源をどこまで確保していくかということが中心ではなかろうか、こう思うのであります。国の出先機関のように、国からの配賦予算でそのワクのとおりやっていかなければならない団体でございますれば、まさに御指摘のとおり、そのつど改めていかなければならぬと思うのでございますけれども、自治団体は弾力的な運用をしていくわけでございますので、全体としての財源をどう確保していくかということが基本でなければならぬのじゃないだろうか、こう思っておりますので、今御指摘のような問題も、いろいろなことを総合的に考えて、新年度の単位費用をどう改めていくか、十分な検討を遂げた上で結論を出していきたい、こういう気持でおるわけであります。
#56
○鈴木壽君 地方債でまかなっていくといっても、見てやるといっても、その地方債の増額、これはあれですか、二十三億でございますか、二十一億ですか、その額で今度の文教施設のものと、それから住宅とですね、今までいわば市町村の超過負担という形になっておった、それが全部解消できますか。
#57
○政府委員(奧野誠亮君) 従来の地方債計画の立て方に従いまして増額を行なったわけでございます。義務教育について申し上げますと、今回国庫補助金の増額になりましたのは十五億二千三百万円でございます。これに伴ないます地方負担額が十三億千二百万円になっております。これは私たちは七割分が公共事業で、三割分が単独事業だ、こういうふうな計算をしておりますので、それに見合います単独事業分が十億円程度である、こう思っているわけでございます。そういたしますると、この十億と、今申し上げました十三億、合計しますと二十三億円でありますが、二十三億円の八割を地方債で充当していくという計算から、十八億円と、こう考えておるわけでございます。このほかに公営住宅の分が三億円ございますので、合わせまして二十一億円の増額をこの部分で行なったわけでございます。
#58
○鈴木壽君 そこで今、市町村で非常に問題になっておるのは、公営住宅と学校の建築単価が非常に実際の事情と合わないということ、まあ言ってみると、補助の単価も安過ぎる、こういうことで市町村の持ち出しが非常に多いわけですね。場合によっては、だれも工事の引き受け手がない。したがって、予算の追加更正をしてようやくやる。その持ち出しというものは、非常に大きくなっておることは、今さら指摘するまでもないわけでございます。そういう点からいって、もし今回の地方債による措置が、私は、少なくとも町村が今困っておる超過負担というものの額に大体見合うような額であれば、非常に助かると思うのです。そういう意味から、この程度にいっておるかどうかという、こういうことを聞いておるわけなんであります。
#59
○政府委員(奧野誠亮君) 御指摘のように、市町村は小中学校の建築問題に非常に頭を痛めておるわけでございます。単価の問題もございますし、学校の規模の問題もあるかと思うのでございます。さきの国会の当委員会におきましても、この問題についていろいろ御議論がございました。地方債を増額するかというお話もございましたが、私たち、国費とあわせて国がどうするかということをきめてもらいたいのだと、こういう希望を申し述べたことがございます。幸にして、自治大臣がたいへん熱心に閣議でも主張して下さいまして、単価補正の問題もできたわけでありまして、これだけで全部解決するかと申しますと、私は率直に申し上げまして、これだけでは解決しないのじゃないかと思います。おそらく地方団体は非常なやりくりをやっていかなければならないのじゃないかと考えますが、今申しましたように、単価是正の問題と規模是正の両方あるのじゃないかと思うのでございます。規模是正の問題は、今回は解決しておりませんけれども、来年度以降におきましては、ぜひ私たちとしては、文部省にも努力していただきたいし、私たちもそういう主張をして参りたいと、こういう考え方で今おるわけでございます。
#60
○鈴木壽君 今回の単価の改定にあたって、自治省と文部省あるいは建設省との間に、いろいろこれは協議をなさったのじゃないかと思うので、今まで協議をなされたのかどうかということをまず伺いたい。
#61
○政府委員(奧野誠亮君) 単価是正を行なってもらいたい、また、そういう意味において大蔵省と折衝してもらいたいと、私たちはまたそういうことを建設省や文部省に注文いたしますほかに、大蔵省に対しましても、強くそういう意見をずっと述べ続けて参ったのでございますが、最終的に何%上げるかという点につきましては、率直に申し上げまして、十分な協議をして自治省も同意したのだという姿にはなっております。閣議ではもちろんきまったことでございまして、最終的にはもちろん自治省が承知したと、こういうことでございましょうけれども、交渉の過程において、そこまでの協議はいたしませんでした。
#62
○鈴木壽君 今回の単価の改定を見まして、例を校舎建築にとりますと、木造の場合は、まあまあといっていい程度だと思うのです。これは土地によって、地域によっていろいろ違いもあると思いますが、大体木造の場合は、まあこれでまずというようなところ、ところが、鉄筋とか、ああいう木造以外のものになりますと、今回の改定単価そのものがまだ低いと、こういうことが言えると思うのですが、何かそういう問題について、さっきから言っているように、地方自治団体の財政の面からやっぱりこの程度にすべきじゃないか、事情はこうだし、これだけは確保しなければならぬじゃないかというようなお話でも何かあったんじゃないだろうかというふうに私想像しておったわけですが、そこまではいっておりませんか。
#63
○政府委員(奧野誠亮君) こまかい引き上げ率の最終段階については、一々口を入れてはおりませんのです。
#64
○鈴木壽君 校舎建築が最近木造よりもむしろ鉄筋とか、そういう永久的なものになってきていることは御承知のとおりでありまして、これから年々そういう木造との比率をとった場合には、木造のほうが下がっていくのではなかろうか、そして鉄筋等がふえていく、そういう傾向が明らかに出てきていると思うのですが、そういう場合ですから、私は特に今回の単価改定では、そういう面について実は注意をしておったわけなのであります。ところが、今申しましたように、どうもそっちのほうはあまりふえておらない、これではとてもやれないのだと、こういうことになってきているわけであります。単に地方のああいう建築のものの実際を見ますと、木造が上がったということだけでなしに、鉄材も非常に上がっている、その他の労力費も非常に上がっているものですからね、とても今の単価では間に合わないと思うのですが、今後ひとつ、これは私は要望として申し上げたいと思うのですが、文部省あるいは建設省に対して、もっとあなた方の手で地方の事情をよく調べた上でやっぱりこの程度はぜひ確保するようにというようなことを一緒に話し合いをするなり協議をして、あるいはまた大蔵省に対しても、そういう要求をするということでいってもらいたいと思うのですが、その点、心がまえとしてどうでございましょう。
#65
○政府委員(奧野誠亮君) そういうような気持で努力をしていきたいと思います。
#66
○鈴木壽君 一言大臣。
#67
○国務大臣(安井謙君) ちょっと……
#68
○鈴木壽君 それじゃ大臣にもう一度申し上げます。今、奥野局長にことしの文教施設なり、あるいは住宅の単価の引き上げですね、これはある程度今回の補正でなされたわけでありますが、まだ実情からしますと、低いと言わざるを得ない。特に校舎建築に例をとってみますと、木造建築の場合は、ややいいところまでいっておりますけれども、その他の鉄筋とか鉄骨とか、そういうものになりますと、そうじゃないわけなのでありますから、今度のまあこれからの、特に来年度の予算の場合に、自治省としては、文部省なり建設省なりとよく話し合いをして、事情はこうだ、だから、この程度はぜひしなければならぬということを強く打ち出してもらいたい、大蔵省にも要求してもらいたいと、こういうことで、今、局長さんは、そういう考え方でおりますというお話がありましたが、大臣についても私ひとつ要望がてらお尋ねをしながら申し上げたいと、こう思うわけです。
#69
○国務大臣(安井謙君) 今年度ですか。
#70
○鈴木壽君 今後の問題です。
#71
○国務大臣(安井謙君) お話のような物価値上がりによるいろいろな公共事業の推進が相当障害があることも事実でございます。建物関係の中でも、学校と住宅については、御承知のとおりのような措置をとりましたが、将来予算を組むというような建前からは、その他の面につきましても、できるだけ十分に、ひとつ合理的に単価も構成するように強く押したいと思っております。
#72
○鈴木壽君 お話は承りましたから最後としてやめますが、今地方自治団体との一番痛い問題は、今のこの施設の国が当然負担すべきものの単価が低いために起こる地方財政へのしわ寄せ、それからいま一つは、その他のいろんないわば国の委任事務みたいな、ああいうことに対する市町村あるいはまた地方自給団体の超過負担の問題ですね、これが一番痛い問題なんであります。この点を私今後の問題として、やっぱりあなた方にも強く取り組んでもらわないと、いろいろな面で、たとえば交付税の、面とか、いろいろな面で是正措置がとられたといっても、なお残る問題はそういうところにあるのですから、その点をひとつぜひ今後の問題として真剣に取り組んで、そういうことをなくすると、はっきり言うと、こういうことにひとつがんばってもらいたいというふうに考えます。
#73
○国務大臣(安井謙君) できるだけ……。
#74
○秋山長造君 大臣、時間がちょっと半端になるかとも思うのですが、できるだけお答え願いたいと思うのですが、せんだって新聞で拝見したので、すけれども、自治省は来年度の重要施策ということで数項目大きな柱を立てて強力な予算折衝を展開されているようですが、その重要な項目として、地方財政を画期的に強化して、そして行政水準の飛躍的な向上をはかるということになっている。その問題を初めとして――全部がその問題に含まれるところなんですけれども、自治省としての来年度におけるもろもろの施策について、その具体的な方針のようなものを御開陳願えたらと思います。
#75
○国務大臣(安井謙君) 今、来年度におきます重要施策ということになりますと、いろいろな段階も経なければなりませんし、また取り上げ方によって非常に具体的なもの、あるいは大きな目標といったもの、いろいろな表現の仕方もあろうと思いますが、基本的な考え方としておるものといたしましては、申すまでもございませんが、地方財政の健全化と行政水準向上あるいは地方開発を促進いたしまして地域の格差をなくする、これが大きな目標となろうかと思います。大体においてその方針に従いまして、まず地方の開発という点には一つの大きな重点を置きたいものだと思っております。これは早晩この法律を出しまして、そしてさらに具体化を進めたいというように考えておりますが、これはただ自治省だけでできる仕事じゃございません。各省協力のもとに地方の開発、地域格差の解消というものを促進しますために、地方産業の開発促進法といったような形のものを提案したいと思っておるわけであります。
 それからその次は、ことし御承知のとおりに公共事業に対する補助率のかさ上げ法律を出しまして、非常に後進地域の全体に対して公共事業のやりやすいような措置をとりましたが、今のような具体的な問題、さらに引き続いて一方企画庁から出ております工場分散計画といったような形のものによって、中小以下の都市あるいは町村の開発を進める、さらにもう一つは、辺陬地域の島嶼あるいは辺陣地に対する最低の行政水準といいますか、を確保するという点にまで施策を進めていきたいと思っておるわけであります。財政方面ではおかげさまで最近の財政力は相当伸びておりますし、それから交付税自体も相当増額が期待されるというようなことから、今まで不十分であった点、アンバランスであった点をまたこの財政標準ででき得る限り直していきたい。それに伴いまして税制の改正という問題も入ってこようと思います。しかし、税制の改正の問題につきましては、現在税制調査会で御審議を願っておりまして、御答申を待って私ども具体的な態度をきめたいと思っておりますが、大体の考え方としましては、地方税そのものについては、大幅な減税というようなことはとうてい期待はできない。今でもまだ地方税というものは、地方財源としては非常にまだ弱い立場にあるということが大前提になろうかと思う。しかし、全体の減税という問題も起こってくる際でありますから、税を調節するという意味において、減税も若干やらなければなるまい、というふうに考えております。しかし、これも具体的にはまだ今日めどもついておりません。
 それからなお、私ども町村合併という仕事が数年前から引き続いて行なわれておりまして、一定の時期が来てこれは終わったわけでありますが、日本の経済あるいは財政、行政を運営していきます建前上、単に市町村の一つのものだけを個々のものを対象にしておるのでは効率が上がらないというような意味から、総合的な行政、総合的な財政のあり方というものも考えなければなるまいと思っておりますが、それにつきましても、まだ合併を促進するということだけでなくて、自然に合併できるものはそれもけっこうでありますが、そうでなくて、むしろ行政上の作用として、広域にいろいろ各団体が総合的に協議をし、いろいろな施策を進めていくというような仕組みのものも、でき得ればぜひやりたいと考えておるわけであります。そのほか個々には、防災体制の強化、これは現在御審議願っております防災基本法をもとにしまして、さらに防災体制を強力に推進していきたい。消防関係職員の表彰等につきましても、これはまだ今のところ、非常に低いレベル――ことに人命救助等におもむいて自分が逆に一命を捨てるというような場合に、その表彰の仕方等はまだ甘いと思っております。低いと思っておりますので、そういう点についても、法の改善をしていきたい。大ざっぱに申しまして、そういうふうな線でものを考えております。
#76
○秋山長造君 今おっしゃた中で、特に今非常に大きな問題になっておるのは、地方開発の問題だと思うのです。自治省は、地方開発基幹都市促進法というようなものを準備されておったし、それから従来建設省だとか、通産省、企画庁あたりでそれぞれの類似した法案なり、あるいは構想なりを準備されておったようですが、それらのものと、それから自治省が準備されておる地方開発基幹都市建設促進法というものとは、似たようなものではあるが、内容を読んでみると、相当やはり、どう言いますか、ニュアンスが違っておったと思うのです。ところが、それがまた整備されて、今度は新産業都市建設促進法ですか、こういうものに一本化されるというように承知しておるのですが、これを読んでみますと、大臣が今おっしゃり、また自治省で従来地方開発として考えておったあり方というものと、だいぶやっぱりずれてきておるのじゃないかという気がするのですね。それで、たとえば地方開発基幹都市建設法案の素案でしょうけれども、それなんかを読んでみますと、やっぱり、ただ地方に工場地帯を作るとか、あるいは企業を誘致するとかいうことだけでなしに、その前提として、やはり地域における雇用の問題とか、あるいはその地域帯地だけでなしに、農村部、あるいは農山村部との関連というようなことに相当の自治省の案では考慮が払われておったと思うのです。ところが、建設省や通産省が従来準備しておったものには、そういうことがあまり重く取り上げられておらない。それは、それぞれの役所の性格からして無理からぬ点があるかもしれませんが、それらのいろいろな案の集大成と称する新産業都市建設促進法案なるものの内容を見ましても、たとえば地域における雇用の増加だとか、あるいは農山村地帯と新産業都市建設との関連というようなことが、非常に姿が消えてしまっているのですね。そこらにどうも、私は役所同士のなわ張り争いみたようなことに別に介入しようとは思いませんけれども、やはり自治省が当初考えておった地方開発というようなものは、もちろん地方開発の半面は地方自治の確立ということが、当然車の両輪のようについておったと思うのです、ある程度。まあわれわれは相当批判もありますけれども、ある種度ついておったと思うのです。そういう面がどうも片輪がはずれてしまって、もっぱら今の高度経済成長というようなことと歩調を合わして、もっぱら大企業を、どんどん地方に持っていって、そうしていわば東京、大阪というようなところだけでなしに、小東京、小大阪というようなものをさらに何カ所かあっちこっちに作っていくというようなことで、結局今、大臣がおっしゃったような地域における格差、地域間の格差をなくしていく、均衡のとれた地方開発をやっていくというようなこととはずれて、なるほど東京と地方という関係ではわかりますけれども、地方の地域々々をとった場合に、やはり地域格差というものは、東京と地方とに今あると同じようなことが、また地方同士でできてくるのではないか。やはり大都市への人口集中だとかいろいろなものの集中、したがって、農山村方面は、ますます立ちおくれていくというようなことになってしまって、なるほど工業の発展だとかなんか、そういう面からはいいかもしれませんけれども、地方自治の確立とか、均衡のとれた地方自治体の育成というような角度から考えた場合に、ちっとも問題は解決せぬことになるのではないかというふうに思うのですが、その点はどういうように考えておられるか。
#77
○国務大臣(安井謙君) もともと産業開発といいますか、基幹都市構想といいますか、地方開発の仕事につきましては、自治省だけでできるものでもございませんし、また各省ともそれぞれ有機的な関係を持っておるわけでございまして、建設省が何といっても公共施設に対する重点施策をやらなければならない。あるいはそこの土地を繁栄させますためには、どうしても工場誘致が必要であるので、これは通産省がその面で働かなければならないし、運輸省も港湾で協力してもらわなければならない。また自治省はそれらの総合的な立場で自治体を中心に、いかに自治体がそういう計画の線に沿ってうまく運営できるかというものを指導しなければならない立場なんでありまして、そういういろいろな……各省はそれぞれ目標は一つでありますが、やるべき分担において、それぞれの方策といいますか、施策を立てておったことは事実であります。そこで各省としては、できるだけ自分のほうで主導権をとりたいということは、これは当然の人情であったかと思いますが、それは相当各省問で調節ができまして、各省のそれぞれの特徴を生かして一本の法律にするという今日段階まできておるわけであります。法案の内容の具体的なものにつきましては、まだちょっと成案を得ておりませんので、あまり具体的に触れるわけに参りませんが、従来自治省が考えておりました地方の開発というものについては、相当主要な部分、しかも自治体の主張、自治体の本意を生かしながら、自治体の主体性においてやっていこうという線は十分に今度の法案でも生きておるものと、私どもは確信をしております。それから雇用関係その他につきましても、当然その地域の都市が繁栄することによって、雇用関係がよくなっていくというふうに考えられる。これは農業基本法なんかと相待って、一つの政策の推進になろうかと思うのでありまして、そこで、しかし、これは何か小東京、小大阪を作るような考え方であって、全体の地域開発にならぬのじゃないかという御懸念につきましては、私ども大体こういうふうに考えておる。初年度におきまして、公共事業のかさ上げを後進地域にはやった。これは県単位のレベルを引き上げていこうということでありますが、今後考えられますのは、まず大都市における過度集中をいかにしてやわらげていくかという問題が一つ、その次には、中小都市をいかにして繁栄させていくかということで産業振興――今度新しく出ようとしている産業振興関係の法律のねらいは、そこに重点があるのでありまして、地方の中小都市を隣近辺の自治体と総合的に開発をしていこうということで、三つや四つの全国的に大都市を作ろうというような構想ではありませんので、各都道――東京都なんかは別にして、むしろ各道府県のそれぞれの地域にそれぞれ一つずつ、少なくとも一つずつ、そういうような拠点を作っていこうということで、相当幅の広いものになろうかと思っております。しかして、それでもまだその現在の地域では中心地帯が限られるというので、それにエリアを広げた意味では、特別な政策をやらなくても、工場を建てる、中小企業を誘致するのに便利な地域というものについては、小都市中心に工場の配置計画というものが、もう一つ法律として出ているわけであります。さらに自治省はその外側の辺陬地域あるいは離島といったものにつきましても、今度は少なくとも最低の行政水準の保持というものに心がけまして、これに対する積極的ななひとつ施策を打ち出したい。そういうふうな形で順次その場所々々に応じて全般的にこの地域開発の道なり、全体の自治体の発展というものを政府全体としても考えていっているわけであります。
#78
○秋山長造君 そうしますと、政府としては、ただ従来の現状のままで立地条件は何とかということでなしに、全国的に立地条件を新しく作っていって、そうしてそれにほぼ均衡のとれた形で工場その他を配置していこう、こういうことなんですか。どうもせんだって新聞に地図まで出て、たとえば自治省が基幹都市建設促進法の予定地として調査をされているとかという地域がずっと書き込んでありましたが、これを見ましても、また自治省が新年度の予算要求をされている資料を見ましても、大体現在すでに立地条件その他からして、工場誘致その他に非常に有利な地域と認められておるようなところにやはり集中している。もっと端的にいいますと、太平洋岸にほとんど集中されておる。たとえば東北だとか、日本海方面はほんとうにぽつんぽつんというくらいなことになっているのです。これはどうせ企業は、幾ら国で指示してみたところ、企業自体の採算ベースでやっていくことでしょうし、また同じ投資にしても、投資の効率ということを考えてやるわけですから、ただ工業用地なんかを幾ら国なり、地方公共団体なりが熱意を入れて造成してみたところで、国が企業の計画配置というようなことについて、強い計画的な規制でも加えぬ限りは、これは国が何と考えようとも、また地方団体が何と考えようと、やはり企業というものは、どこかそういう特殊な地帯に集中してしまって、ちっともおっしゃるような趣旨には沿わぬことに結果的にはなる。やはりおくれた県は、少々補助率のかさ上げをやってみたところで、おくれた地区というのは、補助率を上げても、どうせそういうようなところには公共事業なんというものはあまりいかぬでしょうし、公共事業そのものが、企業がいくのに有利なところに片寄っていくということになって、やはりおくれた地域と進んだ地域との格差というものはますますびどくなっていって、地方自治の面での問題というのは、ちっとも根本的な解決はされぬということになる。
#79
○国務大臣(安井謙君) きょうは時間がございませんので、詳しく御答弁するひまもなくてまことに恐縮でございますが、今御指摘のような点は、これは一面あると思いまして、企業誘致をいたす以上は、相当な自然条件を備えていなければならぬということは、これはどうしても前提になる。しかし、それだけにたよるのではなくて、相当可能性のある地域を、それぞれ少なくも各県に見つけて、各県の中でそれに適応したような、相当政府もてこ入れをいたしまして、立地条件の改良等をはかった上で積極的に振興をはかっていこうということでございまして、計画経済をぴちっとやるようなふうには、御承知のように自由経済の建前でありますから、いきませんが、それをさらにより合理的に伸ばしていき得るような積極的な施策をぜひやっていきたいと思っております。ことにそれをやるには、どうしてもやってもだめだというような僻陬地というようなものについては、また特別の別個の顧慮を払っていきたいということで、ただもう自然に条件のいいところだけが発展していくようにさせるという意味じゃなくて、それには条件を少しでも引っぱり出してきて、さらにそれをいい条件に仕上げていって均等に発展をさせていこうという相当積極的な努力をやるつもりでありますので、またいずれ法案でも提案になりました際には、いろいろと答弁なり御説明申し上げる機会もあろうかと思いますので、きょうはこの程度でごかんべん願います。
#80
○理事(西田信一君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#81
○理事(西田信一君) 速記を始めて。
 本案については、残余の質疑を次回に譲ります。
 次回は十月二十四日午前十時より開会することにいたしまして、本日はこれで散会いたします。
   午後零時四十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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