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1961/10/10 第39回国会 参議院 参議院会議録情報 第039回国会 大蔵委員会 第3号
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1961/10/10 第39回国会 参議院

参議院会議録情報 第039回国会 大蔵委員会 第3号

#1
第039回国会 大蔵委員会 第3号
昭和三十六年十月十日(火曜日)
  午後一時三十八分開会
   ――――――――――
  委員の異動
十月三日委員前田佳都男君及び山本米
治君辞任につき、その補欠として田中
茂穂君及び二見甚郷君を議長において
指名した。
十月五日委員戸叶武君辞任につき、そ
の補欠として森元治郎君を議長におい
て指名した。
十月六日委員成瀬幡治君辞任につき、
その補欠として重盛壽治君を議長にお
いて指名した。
十月九日委員重盛壽治君辞任につき、
その補欠として成瀬幡治君を議長にお
いて指名した。
   ――――――――――
 出席者は左の通り。
   理事
           上林 忠次君
           佐野  廣君
           成瀬 幡治君
           市川 房枝君
   委員
           大谷 贇雄君
           梶原 茂嘉君
           木暮武太夫君
           西川甚五郎君
           林屋亀次郎君
           堀  末治君
           前田 久吉君
           荒木正三郎君
           木村禧八郎君
           野溝  勝君
           天田 勝正君
           原島 宏治君
           須藤 五郎君
  政府委員
   大蔵政務次官  堀本 宜実君
   大蔵省主計局法
   規課長     上林 英男君
   大蔵省理財局長 宮川新一郎君
   大蔵省銀行局長 大月  高君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       木村常次郎君
  説明員
   大蔵大臣官房財
   務調査官    有吉  正君
   ――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事の補欠互選の件
○会計法の一部を改正する法律案(内
 閣提出)
○租税及び金融等に関する調査
 (金融行政及び証券行政に関する
 件)
   ――――――――――
#2
○理事(上林忠次君) ただいまから委員会を開きます。
 本日は、都合により私が委員長の職務を勤めさしていただきます。
 まず、委員の異動について申し上げます。十月三日付をもって前田佳都男君及び山本米治君が辞任され、その補欠として田中茂穂君及び二見甚郷君が委員に選任されました。十月六日付をもって成瀬幡治君が辞任され、その補欠として重盛壽治君が委員に選任されました。十月九日付をもって重盛君が辞任され、その補欠として成瀬君が委員に選任されました。
   ――――――――――
#3
○理事(上林忠次君) 右の結果、理事が一名欠けることになりましたので、委員長は、この際、先例に従って、成規の手続を省略し、理事に成瀬君を指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○理事(上林忠次君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。
   ――――――――――
#5
○理事(上林忠次君) 本日は、会計法の一部を改正する法律案につきまして、補足説明を聴取することといたします。
#6
○政府委員(上林英男君) ただいま議題となりました会計法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由につき補足説明を申し上げます。
 この法律案は、提案理由により御説明申し上げましたように、国の契約制度につきまして、契約方式、落札方式、国の検査、監督などにつきまして所要の改正を加え、その整備をはかろうとするものでございまして、前国会に提出いたしまして、本委員会におきまして慎重御審議いただき、御賛成を得まして参議院を通過いたしましたが、衆議院におきまして審議未了となったものでございます。
 その内容は、前回御審議をいただきましたものと全く同一でございまするし、その概要につきましても、提案理由によって御説明申し上げたところに尽きていると考えまするが、簡単に御説明申し上げますると、まず第一は、契約方式に関する規定でございます。提案理由で御説明いたしましたように、現行会計法は、一般競争を原則といたしまして、指名競争及び随意契約を例外といたしておりますが、その運営の実際は、一般競争を実施している場合がきわめて少ない状況でございます。財政制度審議会におきましても、当初は、かかる現実に即した制度を考えたらどうかというような御意見を示された方もあったのでありまするが、また一方、一般競争の方式は国の契約方式としては公正及び機会均等の観点からすぐれた制度であり、一般競争の原則を維持するべきであるという強い御意見もございまして、種々御討議を願いました結果、現行法はすべての場合に一般競争が原則となっておりまするが、契約の性質や目的によりましては一般競争を許さない場合がありまするので、そういう場合には当然に指名競争や随意契約によるべきである。それ以外の場合につきましては、原則として一般競争によろうという建前をとることにいたしておるわけでございます。
 第二は、落札方式に関する問題でございます。現行会計法によりますると、公告は学説及び判例によりまして申し込みと解されております。予定価格の範囲におきまして、開札により自動的に落札が決定されるものということになっております。したがいまして、たとえば、申し込みによりまする価格によっては、当該契約の内容に適合した履行がなされないおそれがあると認められるような場合におきましても、その落札者を排除する道がないわけでありまするので、このような場合には、一定の加重されました手続を経まして、次順位の者を契約の相手方とすることができる道を開くものでございます。
 第三は、監督及び検査に関する問題でございます。従来監督、検査に関しましては、予決令によりまして契約代価支払い前に監督及び検査をした職員に調書を作成させるという旨の規定があるだけでございます。監督及び検査に関する規定が整備されていなかったわけであります。財政制度審議会におきましても、監督及び検査の適正な執行がある意味では契約制度の核心である、したがってまた、これによって国の利益も確保されるという一致した意見がございましたので、監督及び検査の規定の整備をはかるのが第三点でございます。
 そのほか、契約書の問題、あるいは入札保証金の問題、契約保証金の問題、その他につきまして、契約制度につきまする整備をはかっているのでございます。
 以上がこの法律案の提案理由についての補足説明でございます。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成下さいますようお願い申し上げます。
#7
○理事(上林忠次君) 本件は、これを後日に回します。
   ――――――――――
#8
○理事(上林忠次君) 次に、金融行政に関する件、証券行政に関する件、及び設備投資に関する件を議題といたします。
 質疑のある方は御発言願います。
#9
○野溝勝君 この際お伺いしますが、政府委員の方、どなたがお見えになっていますか。
#10
○理事(上林忠次君) 政府委員を御紹介申し上げます。堀本政務次官、高橋銀行局検査部長、佐竹財務調査官が出席しておられます。
 ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#11
○理事(上林忠次君) それでは、速記をつけて。
#12
○野溝勝君 銀行局長にお伺いするのですが、最近銀行の不当融資の問題について、特に埼玉銀行の不当融資の問題が頂点にございますが、こういう声を至るところで聞いておるのでございますが、これはどういうことでこういう不当融資が行なわれるのか、その点を一つお伺いしたいと思うのです。特に千葉銀行の不当融資問題以来、当局といたしましてはその当時、今後の検査あるいは監査については厳重にして、かようなことがないようにすると言われておったのでございますけれども、またまたこういう問題が起こってきておるわけでございますけれども、これらの点についてひとつ大蔵当局から、どういうところに欠陥があったのか、どういうところに注意が足りなかったのか、そのような点についてお答えを願いたいと思うのです。さらに、金融事業であるだけに非常に敏感だと思うのですね。そういう点でひとつ特に責任のある銀行局長からお伺いしておきたいと思います。
#13
○政府委員(大月高君) ただいまの不当融資に対してどう考えるかというお話でございますが、まず千葉銀行の問題と今般の問題と比べて考えてみますと、千葉銀行の場合には某々カフエーあるいはキャバレーの経営者あるいはその他に対していわゆる不良貸し、つまり不良債権が生じた、つまり回収の困難な債権が生じたという問題でございまして、その結果千葉銀行の再建を必要とするというようなことで、経営陣の刷新も行なわれまして、ことに最近は軌道に乗っておる、こういうのが問題の本質だろうと思います。今般問題になっております問題はそれと性質を異にいたしておるわけでございまして、これは事実われわれといたしましては事実を確認いたしておらないわけでございまして、現に検察庁の取り調べの段階にございまして、事実は明らかでございませんが、伝えられるところによりますれば、特定の融資に関連いたしましてある特定の個人が収賄をしたのではないか、こういうようなことであろうと思うわけでございます。そういう意味におきまして、現在埼玉銀行の融資がわれわれの申しております不良債権、つまり回収の困難な債権になっておるという問題ではないわけでございまして、そういう意味におきまして、まず問題の本質が違っておるのだということを御了解願いたいと存じます。
 そういう意味におきまして、不当融資という御質問の意味がどういう点にあるかという点でございますが、われわれが考えておりますところでは、銀行検査ないしは銀行監督の第一の基本は、銀行といたしまして大切な預金者の金を預かっておる、それをいかにして健全に運用して貸し倒れを生じないようにするか、そういう不良債権を生じないようにするかという面について厳重な監督をするというのが、そもそも銀行検査の第一の目的でございます。そういう意味におきまして、われわれは不良債権が生じないように、またかりに不良債権ができました場合にはそれの整理回収に極力努力するようにというような指導をいたしておるわけでございます。
 第二の考えられる不当融資という問題は、たとえば融資準則等におきまして、国民経済上緊要なものについては、なるべくこれを資金を確保するように金を貸す、しかし優先順位の落ちている不要不急のものについては、できるだけこの融資を避けるという、こういうようなこれは指導がございます。単に融資準則のみならず、一般の行政指導におきましても、そういう点をやかましく言っているわけでございます。そういうような考え方に対しまして、特定の銀行が非常に不要不急の方面に対して金を貸したんじゃないかというような問題がかりにございますれば、これもわれわれのやはり関心事でございまして、全体といたしまして、銀行の融資が不要不急の方面に流れないように、極力それを少なからしめるように指導いたしておるわけでございます。その現状につきましては、大体において融資準則丙、つまり不要不急という貸し出しは、全国の銀行の平均におきまして、貸し出し総額のせいぜい四%程度でございまして、特に現在のところ問題はないと考えております。
 それから、第三に、不当融資といわれる場合に、想像されますことは、融資に関連いたしまして収賄をするとかというような、そういう個人の問題、徳義の問題、あるいは経済罰則に関する法律に触れるような行為、そういう問題に関連することかと思いますが、この点に関しましては、われわれの銀行監督の面から申しますると、らち外の問題でございまして、もっぱら検察当局の御処置に待つ、こういうことでございます。そういう意味におきまして、われわれ、銀行行政の範囲あるいは銀行監督の範囲におきましては、極力銀行経営を健全ならしめるように努力いたしておるというのが、こういうのが現在の実情でございます。
#14
○野溝勝君 融資先の問題が、もちろん融資準則に違っておっても、当局の見解は、その債権に対して回収できればそれで銀行の目的は達するのだというような考え方らしいのでございますが、それでは回収ができればどこへでも融資するということなんですが、これには疑義がある。特に金融機関、地方銀行は地方の産業経済の発展ということが中心に考えられておるのであって、それが市中銀行並みに大量融資による利潤獲得、要するに金利の確保というようなねらいが最近非常に多くなってきておるのであって、むしろそういう点では、先ほど予算委員会においても高田委員からの質問にありましたとおり、相当問題になっておるわけなんです。もちろん金融は、御承知のとおり、大衆への影響が敏感ですから、それも債権の回収ができるといっても、すでに問題になっておりまする東洋精糖の株を担保に融資するなんということは、留意すべきである。這般の白木屋乗っ取り事件、横井産業事件、強盗慶太事件以来、金融界では問題になっておる。そうしたいきさつは知っておるわけだ。ことに緻密な金融業者がそういうものに融資をするというような事態は相当警戒しなければならぬと思うのですけれども、こういう点について、回収ができるからそれで銀行行政としては差しつかえないのだというこの考え方は、これは監督庁の銀行当局としては軽卒であって、それはあまりにも事務的だと思うのでございますが、そういう点について反省されてはどうか。
#15
○政府委員(大月高君) 当初私が申し上げましたのは、今の銀行法の基本精神がそういうようになっておるということを申し上げたのでございまして、現在の行政指導の方向といたしましては、一つは不良債権をこしらえないような健全な融資を確保する、これがどうしても第一段でございまして、この原則がくずれるならば銀行自体の存立を危うくする、ひいて預金者に非常な迷惑を及ぼし金融秩序を乱す、こういうことになるわけでございまして、どういう事態がございましても、まずこの不良債権を生じないということを絶対の原則にせざるを得ない。統制経済が行なわれます以前におきましては、いわゆる不要不急というような感覚はなくして、銀行行政のポイントは今の不良債権を生じないという一点に集約されておったわけでございます。その後昭和の年代から次第に、準戦時体制、あるいは戦時中、あるいは戦後の極端な物資不足、こういうような段階になりまして、銀行の金というものも、単にそういう健全性ということだけではなしに、国民経済全体の感覚から優先順位を考えるべきだ、こういう思想が出て参りまして、現に金融機関資金融通準則という制度が、昭和二十二年の立法だと思いますが、そういう優先順位を規定した立法ができ、その後もわれわれ銀行行政の指導面におきまして、極力国民経済の観点から融資を実行するように、こういうような指導をやっておるということでございます。
 それで、ただいまお話のございました東洋精糖の株式の買い取り資金を融資したという問題をかりに例にとって考えますと、その事実自体は、先ほども衆議院予算委員会で御質問がございまして、それを知っておるはずじゃないかというお話でございましたが、昭和三十四年の七月に埼玉銀行に対する銀行検査をいたしまして、その後の事件だろうと思います。その当時にはまだその金は出ておらないというのが事実でございます。
 ただ、仮定の事実といたしまして、株式の買い取り資金に対して融資をすることがいいことか悪いことかという面で考えますと、現在資金融通準則におきましては、株式の買い取り資金に対する融資及び増資の払い込み資金に対する融資は、いずれも優先順位の甲となっております。これは御承知のように、戦後の経済におきましてはいわゆる事業会社の自己資本が非常に少ない、それでオーバー・ローンになっているということでございまして、できるだけ会社が自己資本で仕事をやる体制に持っていきたい、戦前の比率の方向に持っていきたい、こういうことで特別に株式関係の順位は甲になっている。運転資金の貸付は甲になっている、これが現状でございます。
 それで、ただ、かりに東洋精糖についての問題を現実に考えまして、非常に多額の金が会社の株買い占めというようなものに向けられたかどうかという具体的な話になりますと、これは社会的感触として適当ではないと感じます。それは具体的に、一体貸しました株式に対する融資がどういう用途に使われどういう目的であったかという具体的な判定を下す必要があるのでありまして、その具体的な判定につきましては、ここで申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
#16
○野溝勝君 あくまであなたは事務的に判断をされておると思うのです。莫大な資金が、特に問題のある人に、それからたまたま問題があった融資先事業です、そういうようなものに資金を出すこと自体が、事務的にはそれは間違いないといたしましても、本来の金融機関そのものから見ると、金融機関の信用地に落ちると思うのです。そういう点を私はあなたに聞いているのでございます。あなた自体が事務的な答弁によってそれを差しつかえないというような判断であるとすると、今後金融行政の面に不信を抱き、問題が起こると思うのです。特にそういうようなことであるならば、銀行法の監査制度など無用の長物であって、必要ないと思うのです。むしろ自治制にまかせるというならば……。監査制度が銀行法の第十条あるいは二十一条等において毅然としてうたってあるのでございます。一つの条文から見ても、その精神から見ても、いかに金融機関が国民の経済上、生活上重大な機関であるかということはおわかりだと思います。そういう点から、こうした問題がたびたび起こるというようなことになりますと、日本の産業経済にも金融財政にも弊害をもたらすと思うのです。こういう点について、たびたびあることなんですが、それも私は不当融資だとは思わないでやったことが不当融資ということになる場合もあると思いますが、そういうような問題は、今回起こったような埼玉銀行の融資の問題等につきましては、前々から世間往々問題になっておったのです。なお、当行は大口取引に中心を置き、埼玉銀行といえば市中銀行以上の資金量を持って金融上に君臨しているという、こういううわさはみんな耳に入っておったのでございますから、この機会に当局は銀行法に対する再検討をしてみる私は段階になってきておると思うのでございますが、これをどういうふうに考えますか。
#17
○政府委員(大月高君) 先ほどの株式の買い取り資金の問題につきましては若干補足さしていただきますと、建前として、株式に対する融資は優先順位が甲で融通されておるわけでございますが、お尋ねの問題のように、かりにその金が会社の乗っ取りの資金に使われておるとか、いろいろの社会的に穏当でないという面が具体的にございましたならば、それは検査の結果回収を命ずるとかあるいは善後措置を命ずると、こういうことになるわけでございまして、私が先ほど申し上げましたのは、その具体的なケースにつきましては三十四年七月の検査の際にはまだ現存しておらなかったのでございまして、具体的な事情を調べもしないで仮定の上でいいとか悪いとかいうことを、それはまあ議論できないということを申し上げたのでございますので、一言補足さしていただいた次第でございます。
 それから、銀行全体のあり方につきましてこの際考え直す必要はないかと、こういうことでございますが、先ほどから申し上げております健全金融を確保するという問題、社会的、公共的な立場において国民経済上有用な方面に極力融資をする必要があるという問題、こういう基本理念につきましては全然改める必要はないと、これは確信いたしております。ただ、具体的な問題といたしまして、そういう基本原則に反して個々の銀行がいろいろな問題をかりに起こすというようなことがございましたならば、その銀行に対する監督ないし指導については十分原則に合うように厳重に指導して参りたい、このように考えております。
#18
○野溝勝君 もっと具体的にいえばですね、東洋精糖乗っ取り事件の問題以来、金融機関といたしましては警戒しておったわけなんです。それを埼玉銀行がその警戒しておった株の買い取り資金として出すというようなことは、事務的にはどうあろうとも、誤解を生むことは当然なんでございまして、また誤解を生むようなことが結果において現われてきておるのですから、そういう点について銀行局長は、三十四年七月検査をした、そのときはまだそういう問題はなかった、こう言われておるのでございますが、その後必ずうわさが耳に入ったに違いないと思うのです。全然知らぬというのはおかしいと思うのです。この点についてその後そういううわさなりあるいは予報なりを受けて、一応埼玉銀行に警告か、さもなければ調査したというようなことはあるかないか、それをお伺いしておきたい。
#19
○政府委員(大月高君) 個別の銀行の個々の融資に関しましては、われわれは事前の審査とかあるいは事前の相談には預からない。むしろ積極的にそれを避けるという態度をとっております。それは銀行自体の責任と判断におきまして健全経営をやらすというのが眼目でございまして、それを第三者たる政府において、ここに金を貸せ、ここへ金を貸してはいけないということは、逆のむしろ弊害がある、こういう原則を立てておるわけでございます。そういう意味におきまして、もし仰せのような事実がございますれば、それは事後の検査あるいは監査において処置せらるべきものでございます。
 で、銀行検査自体につきましては、原則として大体二年に一回程度やるということになっております。そのうち特に資産の内容に問題があると思われるようなものにつきましては、その二年の周期を短縮いたしまして、一般原則よりもひんぱんに検査をやる、比較的問題がないと認めます銀行につきましては、その周期を延ばす、というような弾力的な運営をやっております。埼玉銀行につきましては、三十四年七月、ちょうど二年前に検査をしたところでございまして、いずれ検査の機会もあると思いますので、今のお話がございました点も十分注意して検査してみたいと存じます。
#20
○野溝勝君 局長、今お話しのように、銀行に対しては事前にあまり意見を吐くことはできないというようなお話ですが、私は自主性をやめよと言うのではない。しかし、それにも限度があると思うのです。金融機関でございますから、あまり干渉がましいことを一々言うのはどうかと思うのですが、何も放任しておく手はないというのです。特に銀行局といたしましては、金融機関のいかに重大性があるかということは当局自身がわかっていると思う。でありますだけに、必ず、先ほど申し上げましたようなうわさがあったわけです。また埼玉銀行としては大口取引を中心としておるのです。だから、こういうようなことが耳に入っている以上は、それは幾ら自主性を尊重するといえども、監督官庁の立場から、表に出さぬまでも、注意してしかるべきものだと思う。これには金融機関の圧力も相当強いのでございますから、うっかり意見を出したり手を出したりすると、銀行局長が政治的にまた圧力を受けるようなことがあるから、かげんをするのだろうと思う。だが、こういう点を、この際もっと銀行局が監督官庁として、こうした場合それに対するあやまちなきように期することの注意なり警告なり反省なりをさせることが必要だと思うのです。その点について銀行法というものを再検討する気持はないかと、こう私は言うのです。
#21
○政府委員(大月高君) お話のように、社会的に不当な事態をできるだけ生ぜしめぬように、またそういう事態が起きましたら、極力それを整理回収せしめ、是正せしめる努力をいたしたいと存じます。
#22
○木村禧八郎君 関連して。先ほどの融資準則についてちょっと伺いたいのですが、今どういうふうになっているのですか。昭和二十二年の改正によるあれは、まだ生きているのかどうか。あれは戦時中の法律でありますからね。先ほどのお話では、あの融資準則に基づいて現在では行政指導をしている。――その内容を具体的に伺いたいのです。戦時中の融資準則というのは、これは甲、乙、丙というふうに順位がありましたが、それは戦時中の順位でありまして、それを、現在それに基づいて行政指導をしているということがどうもわからぬのです。それが一点と、その具体的な指導の方法を伺ってから、もう一点伺います。
#23
○政府委員(大月高君) 金融機関資金融通準則は、これは戦後の立法でございます。占領下におきまして、当時、昭和二十二年、肥料の不足、食糧の不足、石炭の不足と、そういうような事態がございまして、どうしても傾斜生産をやらなくちゃいかぬ、そういう意味で、緊急な方面に資金を確保いたしますために、順位を甲、乙、丙といたしまして、それを運転資金と設備資金とに分けましてそれを作って、緊要度の高いものに回すという制度をとったわけでございます。
 で、その場合の運用のやり方といたしましては、当初一、二年の間は相当厳重に規制をいたしておったわけでございますが、御存じのように、経済情勢が次第に変わって参ります。具体的に考えてみますと、肥料は今大体過剰生産、石炭も別の面においていろいろな問題が起きておる、こういうようなことでございまして、経済情勢は変わっておる。そういう経済の変遷に応じまして、資金融通準則自体の運用も次第に緩和して参りました。たとえば丙種の貸し出しにつきましては、現在貸し出しの一五%以内に丙種の貸し出しをとどめろ、こういうようにいたしておるわけでございます。で、特殊な事情によりまして一五%をこえる必要がある場合には、日本銀行に一件々々協議をしてもらう、それによってよろしいということになれば貸すと、こういう制度でございます。したがいまして、一五%以内でありますならば、銀行の自主的判断にまかす。先ほど申し上げましたように、全国銀行の平均は大体四%程度でございまして、この丙種貸し出しについて、絶対の量として特に今問題になる点はないということでございます。そういう意味で、丙種貸し出しの一件々々の内容を審査するということは、必要もございませんので、現に審査もしておらない。しかし、融通準則自体は、そういうように緩和された格好ではございますけれども、法規に基づいて運用いたしております。別途われわれは、最近の経済情勢を考えまして、たとえば料飲店、カフエー、キャバレー、そういうようなところに金を貸すのは適当ではないのではないかというような感覚もございます。そういう意味におきまして、別途銀行協会の中に資金調整委員会という委員会を設けまして、そういう不要不急の融資については厳に自粛してもらうという機構を作り、それを運用いたしておる。これは資金融通準則と別途の面において運用しておる。二本立で不要不急の融資を押えておる。これが現状でございます。
#24
○木村禧八郎君 その今の資金融通準則ですね、それには強制力があるのですか。
#25
○政府委員(大月高君) ただいま申し上げましたような一五%という意味において強制力をつけておるわけでございまして、甲と乙との分界は、当初一、二年の間それを厳重にやっておりましたけれども、現に考え方といたしましても、特に緊要度の高いものを甲といたし、乙はその次の順位において緊要度の高いもの、こういう表現でございますので、その間、甲であるか乙であるかというような区別をする実体的な意味がだんだんなくなって参りましたので、甲、乙の区別は現に運用上やっておらない。丙種だけを一五%という線において規制いたしておるというのが実態でございます。
#26
○木村禧八郎君 その場合、たとえば最近の設備投資が非常に行き過ぎたというような場合、この融通準則に基づいて調整するというようなことはできないのですか。
#27
○政府委員(大月高君) 法律的な面から申しますれば、やろうと思えばできないことはないのであります。法的根拠としてはございます。ただ、現在の実態から申しまして、各業種をきわめて詳細に分類いたしまして、それを甲、乙、丙というように分類して指導することが実態に合うかどうかという問題と、それから何分二十二年は占領下でございまして、占領下、しかも物資のきわめて不足しておった時代の緊急措置、金融緊急措置令に基づいてできたものでございますので、そういういわば緊急事態における立法を今の時代にそのまま運用することが法律の制度、精神としていかがであろうかという、こういうことでございますので、できるだけその運用は緩和した形態においてやっておる。したがいまして、現在の国際収支改善対策に対する措置といたしましては、やはり実体面の指導は通産省その他関係官庁にお頼みいたしまして、金融面においてはその行政指導を、側面からその行政指導に即して協力をして参る、こういう態勢をとっておるわけでございます。
#28
○木村禧八郎君 そうしますと、それは行政指導でやるだけであって、それは結局銀行の自主性に待つわけですね。そうすると、行き過ぎがあっても、強制的にこれを調整することはできないわけですね。そういうことになっているのでしょう。
#29
○政府委員(大月高君) 事柄の性質といたしまして、現在のような設備投資の行き過ぎというものを法律で押えることが適当であるかどうかという政策判断も一面ございます。それから、緊急措置令の性格もございまして、われわれとしてはそれによって法律的に強制するのでなしに、銀行の協力を待ってこの問題に対処いたしたいと考えております。
#30
○木村禧八郎君 その甲、乙、丙という融資準則に基づく業種の内容ですか、そういうものを資料として出していただけますか。
#31
○政府委員(大月高君) これは実は一冊の本になって印刷したものがございます。ただ、それは古いものでございまして、しばしば改正になっておりまして、今のように甲、乙の分類も厳重に運用しておらない、丙種につきましても一五%という総ワクで考えておる程度でございますので、特に正確な表として今作るのはたいへんでございますので、実はお出しできにくいかと思うのでございますが、現に印刷されておるものがどういうものであるかという意味で、お目にかけることは可能だと思います。
#32
○野溝勝君 それから、ひとつ聞いておきたいのですが、銀行法を見ても市中銀行だ、地方銀行だということはないのですが、市中銀行、地方銀行という区別はどこに根拠があるのか、またどうしてああいう名前を出しているのですか。
#33
○政府委員(大月高君) 銀行法上の取り扱いは一本でございまして、これは法律的には銀行と申しております。市中銀行、あるいは都市銀行、地方銀行というような名称は、いずれも金融界において便宜上分類しておるものでございまして、主として統計上の必要から出ておる。で、現実に市中銀行と申しますときには、全国にございます都市銀行も地方銀行も、それから長期信用銀行も、全部入れて市中銀行というように申しております。それから都市銀行は、六大都市の中で、京都と神奈川県、その二つを除いた東京、大阪、名古屋、神戸、ここに本店を持っておる大きな規模の銀行でございまして、その店舗網が主として大都会に分布されておる、こういうものを都市銀行といたしております。その他の銀行を地方銀行というように申しておるわけでございます。
#34
○野溝勝君 大きな銀行というのは、資本金をさすのか、資金量をさすのか、どちらをさすのですか。
#35
○政府委員(大月高君) これは市中で慣例的にきめておるわけでございまして、資本金におきましても、資金量におきましても、いずれにおいても格段の差がついております。
#36
○野溝勝君 そうすると、今日のような経済情勢になってくれば、以上の考え方はナンセンスである。ですから、この際そういう意味からも銀行法を再検討しなければならぬ時期に来ておると思うのです。ですから、先ほどから私が申し上げた銀行法を再検討されたいという理由の中には今のような理由も入っておるわけですから、そういう点を十分含んで御勘考願いたいと思うのです。
#37
○政府委員(大月高君) 銀行法の建前から申しますれば、一本でございます。そういう意味におきまして、大蔵省におきましては経済の実情に応じた指導をやっておるわけでございますが、それが大体において都市銀行、地方銀行という分類にのっとってやるのが実情になっているという今の感覚でございます。しかし、ただいまお話のございましたように、経済はどんどん変わっております。地域的の発展の度合いも違っておりますし、二重構造の是正というような問題もございます。具体的にたとえば埼玉銀行の場合を考えてみましても、これは地盤といたしておりますのは必ずしも埼玉県だけではなしに、歴史的に三多摩地方は当然埼玉銀行の地盤である。それから、東京のごく近辺にあるというようなことからいたしまして、たとえば東京に本社のある工場が埼玉県下にまあ相当ある。こういうようなことになって参りますれば、埼玉銀行の融資は東京支店においてその本社に対してやるほうが便利だ、こういうような問題もあろうかと思います。そういうような銀行の具体的な事情に応じまして、われわれは指導いたしております。大きな意味の分類として、都市銀行、地方銀行というように考え、地方銀行は地方に帰れ、地方の産業の育成、中小企業のためにやってほしいという基本原則を立てながら、一方、具体的な銀行については実情に応じて指導をいたしておるというのが実態でございまして、お話のように、経済が次第に変遷して参りますので、銀行の構造あるいは分類につきましても、よく実態に即しまして、時代の変遷に即応し得るよう十分考えて参りたいと思います。
#38
○野溝勝君 これは再検討への参考ですから御答弁願わぬでもいいのですが、全国各地域に工場がふえた関係から、取引が中央地方混合されてきています。だから、金融機関が複雑になってきた。この点やはり考えなければならぬ時期じゃないか、こう思っております。
 次にお伺いしておきたいことは、相互銀行のほうにおいては、自己資本の一割というものが融資額になっておる。どうして他の普通銀行は制限規定がないのですか。
#39
○政府委員(大月高君) 金融行政の基本理念は、やはり大口集中を避けるということにございます。これは一つの企業に対しまして巨額の貸付をいたしますと、とかく情実に流れたり、あるいはかりにその企業に不幸な事態が起きますれば、一挙に債権が不良化して銀行自体の死命を制する、こういうことになりますので、危険分散の意味におきまして、極力大口融資を避けるように、これが一つの金融行政のプリンシプルになっております。
 そういう意味におきまして、実は昭和二年に現在の銀行法が制定されたわけでございますが、現在アメリカもやはり自己資本の十分の一という限度ができておりますし、立法上、法律でそういう規制をしたらどうかという意見が、そのときの改正のための委員会で非常にまあ有力であったわけでございます。しかし、御存じのように、わが国の実態から申しまして、それだけの、かりに規制を厳重にやりますと、日本経済の伸びというものを押えてしまうのじゃないか。自己資本が非常に少ない経済におきまして、やはりある程度その点は是認せざるを得ない面があるんじゃないかということで、法律で十分の一ということを書くことはやめた。しかし、その銀行経営の健全性を保つという意味におきましては、どうしても危険分散の意味で、少なくとも資本金十分の一ぐらいを標準にして押えるべきだという思想でございましたので、当時の施行規則におきまして、各銀行から自己資本の十分の一をこえる融資につきましては全部報告をとる、こういう制度になって発足いたしたわけでございます。その後、まあ戦争になりまして、いわゆる一つの企業に対しては一つの銀行が責任を持つという集中融資の方式を立法化いたしまして、これは終戦直前でございますが、そういうようなことから申しますと、今の十分の一の規制を厳格にやるわけにはいかないという、まあ現実論が起きまして、その規制を撤廃いたしました。戦後におきましては、御存じのように、資本蓄積がまだ非常に少ないということから、この規制を厳格に実行するのはなかなかむずかしいということで、われわれはどういうようにやっていったらいいか、大いに苦慮いたしておるのが真実でございます。ただ、精神といたしましては、極力大口融資を避けるように、銀行検査のときには、常に全部それをピックアップいたしまして、実情を見まして、ほんとうにやむを得ないものか、あるいはそれが情実貸し出しに類するものであって極力整理すべきものかということを判定いたしまして、その実情に応じた指導をやっております。
 相互銀行、信用金庫におきましては、法律の制度でもってこの規制ができておりますのは、昭和二十七年の新しい戦後の立法でございますので、相互銀行の対象を特に融資の面でオーバー・ローンにするという必要もなし、かつ、それはまた適当でない、相互銀行の健全性という面で適当でないということから、厳格に立法で措置した。これが歴史的な理由でございます。
#40
○野溝勝君 銀行局長の言葉じりをとらえてどうこうというわけじゃないのですが、金融行政というものは健全なる指導をしなければならぬ。それには、大口融資というものは警戒をしなければならぬと思うのですが、さっきの埼玉銀行の東洋精糖株買い取り融資に対しては、これは大口融資である。その点から見ても、大いに銀行運営のやり方について不審を抱く。それはそれとして、そこで、どうなんですか、先ほど局長も言われましたように、経済情勢が最近著しく変わってきて、いわば資金量なども非常に多くなってきたこの際、一方においては野放しのような形にし、一方においてはあくまでも当初と同じように十分の一の規制をやっていく、ここに古い経済流通観念がある。銀行当局として考えなければならぬ点があると思うのです。当局は現下経済情勢の変化を認識しながらその対策をとらないのはどうしたのか。その点では、金融機関の力関係、そういうのを当局はわかっているから、十分照応して、融資額も時代的に改変し中小商工業者の便宜を考えたらどうか。あなたの意見からすれば私の考えと違わぬように思うのでございますけれども、一応あなたの御所見を聞いておきたいと思います。
#41
○政府委員(大月高君) 相互銀行、信用金庫につきましては、実は行政指導をもちまして、今の法律上の規制十分の一まで認めるということでなしに、最高限度融資額一千万円というようにいたしておるわけでございます。これは法律上の限度よりもむしろさらに低いということでございまして、中小企業に対してできるだけ資金を分散するようにという精神から出ております。ただ、この一千万円という数字が、最近の経済の拡大に比例いたしまして、ややきつきに過ぎるのじゃないかという意見がございまして、これをもっとふやしてほしい、たとえば三千万円とか五千万円まで増額してほしいという要望がございます。しかし、この問題は、一方、一つの、たとえば相互銀行として資金量がそうふえないのに、一件に対する貸し出しの上限がふえますと、下のほう、非常に小さい企業に対して酷になる。つまり、金が足りなくなって、非常に小さいところはもう金が回らなくなるというような矛盾も生ずると思います。そういう意味で、中小企業といううちの中に対する対策と、零細な小企業に対する対策と、あわせてどういうようにこれをかみ合わせるかという非常にむずかしい問題もございますので、現在どうすれば一番実態に合うか、中小企業庁とも、御相談しながら検討いたしておるのでございます。
#42
○野溝勝君 そこで、先ほどの予算委員会で聞いておりますると、中小企業の金融資金といたしまして、政府は五百五十億円の増資金を用意しておる、そのほかの金融については銀行並びに相互銀行をしてこれに協力してもらうと、こういうことを言われております。その意味は私はよくわからぬのですが、通産大臣の答弁では、これは大蔵当局とすでに話し合いができておるというのです。そうすると、結局中水企業融資のために、足らずめを普通・相互銀行に協力をさせるという政府の考えならば、金融政策についても両銀行界に不平等のないような取り扱いをしなけりゃならぬと思うんです。もちろんそれには内容的な調査もしなきゃならぬが、それを理由に不平等の施策を続けることは誤りである。政府が協力をしてもらうということを言っておりながら、銀行法による特殊銀行あるいは普通銀行というような別扱いする、この考え方ももう再検討しなきゃならぬ時期に来ておると思うが、当局はどう考えているか。
#43
○政府委員(大月高君) これは相互銀行と普通銀行、これを別個に取り扱うのがいいのかどうかという問題でございますが、設立の歴史から申しましても、相互銀行はいわゆる無尽組織から発生いたしておるわけでございまして、お互いの金を持ち寄って、それを掛金としてみなで供出いたしまして、それをまたお互いに使おうじゃないかという感覚でできておる組織でございます。で、銀行が預金を取って貸し出しをやっておるというのと、歴史的にも考え方にも相違がございますので、やはり金融の機構といたしましては、その特色を発揮するという方向で指導するのがいいのではないか。特に相互銀行の相互掛金というような制度は、長期にも使えるわけでございますし、特に中小企業がこの制度を使うについてはきわめて実態に合った金融のやり方であろうかと考えておる次第でございます。
#44
○野溝勝君 大月さん、相互無尽組織というが、そのことは過去のことでして、今日はやっぱり預金はじめ一般銀行業務もやっておるわけです。そして銀行法に基づく機構内容に改変されておるわけなんです。もうそんな昔の考えは大きく違ってきておるわけなんです。御承知のごとく、もう四百億以上の資金量が十近くもあるというような情勢になってきておる。ですから、単に昔はこうだったからということは、それは今日通用しない。相銀は中小企業の金融機関としては資金量の九六%近くまでやっておるわけでしょう。この事実を正しく見るべきであると思う。この際、年度末中小企業の資金の調整にあたりましても、今の経済界から見ると心配なんでして、そのときに一そうの協力を得なけりゃならぬのでございますから、一段と当局は金融業の総合的な再検討をし、成案を早期に作る段階だと思う。金融上における違算なきを期し、進んで政府に協力するの気持を持たせることが必要だと思うんです。御所見を承りたい。
#45
○政府委員(大月高君) 相互銀行その他信用金庫、中小金融機関に対しましては、中小企業金融について全幅の信頼をし、これによっておるわけでございます。都市銀行、地方銀行はその一部を中小企業に回しておるわけでございますが、相互銀行、信用金庫自体は全貸し出しが中小企業に回る組織でございますので、そういう意味において非常に価値もあり、独立の存在として認められる値打があるのではあるまいか一そういう意味で、われわれは今般中小企業金融公庫、国民公庫、あるいは商工中金に五百五十億の資金を追加をいたしまして、これの代理店として大いに活用するということも考える。また、二百億の金融債の買い上げによりまして中小企業金融の金を民間に流そうといっておりますが、その場合に活用いたします民間の金融機関としては、銀行と、相互銀行、信用金庫、この三本を考えているわけでございまして、いずれも政府の出資いたします中小企業金融対策の中に、この相互銀行、信用金庫、こういうものを大いに重視いたしまして、協力を依頼している、こういう事態でございます。
#46
○野溝勝君 最後にひとつ銀行局長からお伺いしておきたいのですが、ただいまお話にありました政府資金の扱い方について、中小金融公庫をしてその仕事をやらせる、こういうわけです。それについて今までの経緯を見ると、資金量配分は大銀行が多く取り扱っている。中小企業金融公庫資金の配分が大金融機関の方に多く扱われるということになると、不満が出るし、また中小企業といえども大企業の系列的なものが恩恵を多く受けられ、小さいものが名ばかりでないようなことに指導しなくてはならぬ。またそういうことであるといううわさも聞いております。これであっちゃ何のための中小企業対策融資かわからない。この点、不安なんでございまして、もっとあなたの考えているこの資金量の扱い方についての当局の考えをひとつお話し願いたいと思います。
#47
○政府委員(大月高君) 現在中小公庫、国民公庫の代理業務といたしまして、銀行、相互銀行、信用金庫、それぞれ協力を願っているわけでございますが、この具体的な数字を持っておりませんが、最もこの制度を活用しているのが信用金庫であったかと思います。その次が相互銀行、それから銀行、こういう順序でございまして、全体として相互銀行、信用金庫のこの面における比重は相当高いと思います。現に具体的な資金の配分につきましては、それぞれの公庫にまかしてあるわけでございますが、今のような実績から申しまして、公庫当局におきましても相当この二つの中小企業金融機関を重視して、代理店として活用しているように存じております。われわれとしても十分その点は関心を持ちまして、指導して参りたいと考えております。
#48
○野溝勝君 それでは、資料だけ要求しておきます。資金配分について取り扱い代理店に中小企業金融公庫から配分される実情を、資料をできたら次の委員会へ配付願いたいと思います。
#49
○政府委員(大月高君) さよう取り計らいます。
#50
○野溝勝君 次に、証券問題についてお伺いしておきたいと思います。
 理財局長にお伺いしますが、証券界が非常にこんとんとしているのでございますが、暴落したというようなことは、これは今まであまりにももうけ過ぎたということになってくるのでございまして、暴落したことばかり人は騒いでおりますけれども、いいときのことをあまり騒がないのでございますけれども、大体証券業界としては昨年から本年上半期約一年間近く暴騰に暴騰を重ねてきたのでございますが、商券業界全体としてどのくらいな一体利益を得たか。その数字を示してもらいたいと思うのです。暴落前までの利益。
#51
○政府委員(宮川新一郎君) おそくなって恐縮でございます。全国証券業者の最近の業績のうち、三十五年十月から三十六年七月までの利益金を年間換算いたしまして換算いたしました金額は、当座の損益は益が六百七億六百万円となっております。なお、年間換算いたさない七月までの計数で申し上げますと、五百億八千八百万円でございます。
#52
○野溝勝君 これは一般株式の利益ですか、投資信託のほうは別ですか。
#53
○政府委員(宮川新一郎君) 株式売買のみならず投資信託を含めまして、全体の株式会社としての運営上の利益でございます。
#54
○野溝勝君 この際お伺いいたしますが、最近の株式暴落に対する原因は、大体私どもも承知しておりますが、当局はどういうふうにこの見方をしておりますか。
#55
○政府委員(宮川新一郎君) 御承知のように、株価は、経済動向の先見性と申しますか、経済動向なり経済情勢によって動くものでございまして、最近の国際収支の状況から、政府といたしましても経済緊急対策を実施しているような状態でございまして、この辺のところをいや気がさしたと申しますか、将来に対する先行き不安を感じまして、株式が下がっておると思うのでございます。なお、株式市場内部の要因といたしましては、七月十八日のピーク時までにいろいろ株式信用取引いたしましたものの決済期が来ておるのでございますが、それが売りに出ているという関係がございます。ここに今日のような暴落状況を示したものと思います。
#56
○野溝勝君 このおもな暴落の原因といたしましては、国際情勢はもちろんでございますが、これは国の政治の結果にもあると思うのです。単に国際情勢といっただけでこれは片づけれない問題でございまして、特に最近における設備投資の問題やらあるいは物価高の問題やら、こうした問題もやはり国際情勢と関連はありますが、私は国内の政治経済の方針の行き過ぎにもあると思うのです。この結果、これを正常な位置に戻さなければならぬのでございますが、その正常な位置に戻すためにどういうようなことを考えておるか、正常な位置とはどの程度を一体さして言うのか、そういう点についてひとつお考えをお示し願いたいと思います。
#57
○政府委員(宮川新一郎君) 非常にむずかしい御質問でございまして、政府といたしましては、株価の高低に対して積極的に介入する意思を持っておりません。いかなる株価が適正であるかという判断もいたさないわけでございまして、ただ、非常に株価が暴騰いたしましたり、非常に下落するとか投機的な傾向があるとかいうような場合に、これをチェックする措置はとるつもりでございますけれども、株価を上げたり下げたりする、積極的にある水準に持っていくというような施策は、政府の立場としてとるべきじゃない、かように考えておる次第でございます。
#58
○野溝勝君 証券業は自由主義経済の象徴機関でございますから、私もあなたのお話わからぬのではないのです。しかし、証券法によりますと、投資家の保護ということをうたっておるのです。そうすると、今のような不安定にしておくことは必ずしも投資家の保護ということにはならぬと思うのです。そこで、干渉がましいことをせよという意味ではないが、この暴落の動きが、国際経済の動きから見てまだ続くと見ておるのです。そうすると、株式界は投資家が混乱するわけなんです。そういう場合に当局は、干渉はしなくとも、業界にある程度テコ入れ、すなわち善処方針を示すべきであると思う。そういう点はどうですか。ただぼうっと見ておるのですか。
#59
○政府委員(宮川新一郎君) いや、ぼうっと見ておるわけじゃございませんで、投資者の保護につきましては十分意を用いるべきだと考えておるのでございます。つきましては、こういう点につきましては、たとえば証券業の協会でありますとか、東京証券取引所というようなところの意見も聞きまして、たとえば信用取引の規制を厳重に行ない過ぎておる点がありまするならば、その緩和をはかりますとか、適時所要の措置は講じて参りたいと考えております。
#60
○野溝勝君 理財局長は就任早々でありますから、あまり深くタッチしておらないのでございますから、もし理財局長で答弁がしにくかったら他の人でもよろしゅうございます。大体株式界の足取りを見れば、三十五年初めから上がり始めて、市場はわずかの保合を除いたほかは長期にわたって三十五年八月まで上げ調であったのです。それで当時はダウ平均が千百五十円、三十六年二月末まで千五百八十七円六十七銭、棒上げの一途をたどったわけです。大体このころ国際収支の悪化の兆があったわけなんです。すでに貿易の減退から、あるいはユーロ・ダラーの引き揚げ、短期資金の引き揚げ、こういう動きがあったわけです。そのときに大蔵省では一応警告を発したということを私は聞いておるのでございますが、この間のいきさつを伺っておきたいと思います。
#61
○説明員(有吉正君) お話のように、株価につきましては、三十六年に入りまして、三月におきまして平均株価がダウにおきまして千五百八十七から、四月におきましてもさらに高騰を続けました。七月に至りまして千七百四十五を月平均とし、七月の十八日をピークにしておるのであります。その前におきまして、すでに国際収支につきましての問題等先見せられておったのじゃないかというお話でございます。私ども、株価の高低につきましては、これが当否の判断ということをいたすわけではございませんが、ここに過当な信用取引等が入って参りまして、それの原因によりまして株価の高騰を来たすというようなことに相なりますと、一般大衆の株に対する株価の公正なる形成ということを阻害するおそれもございますので、この点は十分に注意いたしてきておる次第でございます。たとえて申しますならば、信用取引につきましては、特定銘柄につきまして増し担保を取るとか、あるいはその他の銘柄につきまして値幅制限をするとか、あるいは報告をとるとか、こういうような措置をいたしております。なおまた、証券業協会の大会がありました際におきまして、大蔵大臣から特に証券業者に対しまして、投資者の保護に徹するためには投資態度というものについて十分考えなければいかぬ、また一般の投資家の皆様方においては自主的に株の判断をし、自主的に責任を持って投資するように、しばしば申し述べておった次第でありまして、この間におきましてもこういったような話をしたわけでございます。
#62
○野溝勝君 ただいまのは事務的なお答えだが、これも銀行と同じ金融機関でありますから、当局としましては率直な意見も吐けないでおるかとも思うのであります。しかし、ただこの注意をしたというだけでは、株界の安定にはならぬと思うのであります。戦後の証券業界が現物を中心とし思惑を抑制の方針であった。しかるに最近の株式界としてはどうかと思うのです。もっと具体的にいえば、一体ローンの取引が盛んになったが、これは非常に不明朗だと思うのです。現物取引の方が正当だと思うのです。それを六割も現金があれば一〇〇%買えるというような、こんなローンの取引をさせることがあやまちを起こす。思惑を起こして、大きなけがを起こすということになるのです。それは投資家が悪いといえば、その見方もやはりあるでしょう。しかし、そういうことは監督官庁である、行政庁であるあなた方のほうで弊害の多いというものに対しては押えるようにしていかなければならぬと思いますが、この点に対する見解はどうでしょうな。
#63
○説明員(有吉正君) 株式市場におきましては、これが流通市場を育成せしめるためにおきまして、増資の盛行、会社におきまして増資が盛んに行なわれるということを、特に株式市場を通じまして考えていかなければならぬという趣旨から申しまして、戦後特に現物の形におきまして、株式市場を現物取引を中心にして考えて参った次第であります。ただ、現物取引のみにおきましては、やはり需給の適正な形成ということに対しまして若干欠けるところもありますので、仮需給を導入するという意味におきまして、戦後しばらくいたしましてから信用取引を導入いたした次第でございますが、信用取引がこの全体の株式市場を引っぱっていくというような傾向は、これまた非常に好ましくないということでございますので、私どもといたしましては、株価の動勢を見まして、信用取引が過当になるというようなときにおきましては、先ほど申し上げましたような規制をやりまして、特に強くその点を監視して参る。この点は当然証券取引所という公正な機関においてはかられることでございますが、私どももあわせて監督して参りたいと、かように考えておるわけでございます。なお、信用取引が全体の株の取引に関しまして不当な割合を占めておるのだというふうには、現在のところ考えておりません。適正な割合のところで信用取引が行なわれておると、かように存じておる次第でございます。
#64
○野溝勝君 おそかりし感もありますけれども、そういう考えを当局が持つに至ったことは非常にけっこうだと思うのです。大体、証券業は金融業である。それが妙味があるとかうま味があるとかいうようなPRをして、そして今の信用取引で思惑をあふる。もうかったときはそれでいいけれども、こういう暴落でもしてきたときには、それは目も当てられないような状態になるので、そこら辺は行政の衝にある当局はこのローンの取引に対しては十分警戒をし、警戒をするだけでない、健全な証券業務からはずれたやり方だと思う。ですから、十分留意を願いたい。今当局がそれに対しては留意善処すると真剣に考えておるとのことでございますから、それ以上は私は申しません。
 特に最近の金融情勢から見るというと、金融難のために資金難に陥っている中小企業もできた。特に増資によって各事業家はこれを乗り越えようとしております。大体新聞なぞに出るところによると、七千億を突破するだろうということもいわれております。しかし、この増資も大きな銘柄といいましょうか、有力銘柄におきましては、ある程度増資によって金融難を乗り切ることもできるかもわかりませんが、小さいものは私は増資をしてもだめだと思います。そうなってくるとどういうことになるかというと、系列のない中小企業は倒れる以外にはないのでございます。そこで証券界として大事なことは、第二市場の設立による関係でございますが、この第二市場は大体有力銘柄のほうを扱わない。これにはいろいろ理由もあることでありましょう。玉整理も容易でないから無理もないと思いますが、しかし第二市場の動き、PRいかんによりましては、とんでもない大衆投資家に混乱が起こると思うのですが、こういうような点について当局は今後どういうふうに一体株価の安定とにらみ合わせ第二市場操作を考えておられるか。考えておらなければよろしゅうございますが、もし考えておるとしたら、この際お伺いしておきたいと思います。
#65
○説明員(有吉正君) 第二市場は、お説の通り、中堅会社におきますところの株式を取り扱うということで発足をいたして、中堅会社の今後の資金調達に資する意味を持っておる次第でございます。ただ、中堅企業の株式でございますので、何分にもその株式数も少額でございますし、その流通額も従来上場されておるものに比べまして少ないことは、これまた当然でございます。したがいまして、この第二市場に上場せられておりますところの株の値動きということにつきましては、これをこのまま放置いたしますとまた危険な状態があるということは、お説のとおりでございます。私どもといたしましては、この第二市場のいわゆる市場の売買管理と申しますか、この点につきまして特に意を用いた次第でございます。
 まずもって、第二市場といたしまして、現在市場第二部と呼んでおりますが、取引の中におきまして、従来の上場銘柄と区別をいたしまして、市場第二部と銘を打ちましたのもかかる意味でございまして、投資家の皆さん方に、この株は市場第二部の株である、すなわち従来から上場されておる株とは違うのだという印象をまずはっきりと打ち出したいということから、特に市場第二部というところに上場せしめた次第でございます。さらにまた、特にその売買管理につきましては、市場第一部とは異なりました、特に厳格な、機動性のある売買取引を、売買仕法を行なわしめておるのでございます。先ほど野溝先生から御指摘のございました信用取引というようなことにつきましては、市場第二部の銘柄については特にふさわしくないと判断いたしましたので、この信用取引を行なわせないということをまず第一にいたしまして、あるいは指定銘柄にいたします際におきましても、市場第一部の銘柄は一応予告をいたしましてから特別な扱いをいたしますが、市場第二部におきましては、機動的にこれを取り扱うという趣旨から、即日指定できるというようなことにいたしております。こういったような売買管理の方法ということにつきまして特に意を用いて、市場第二部におきますところの銘柄の値動きというものが、一般の投資家に対して不測の損害を与えない、こういうところに特に意を用いて参りたい、かように考えております。
#66
○野溝勝君 特に第二市場の株式については、むしろ大衆の投資家が多いと思うのです。というのは、変化があるからというような気持、この変化があるという気持が思惑気分を助長している。今調査官からお話がありまして、私は、その点非常に期待するところがありますから、それ以上は言いませんが、以上申したような危険性がありますから、十分そういう点に御留意願いたいと思う。
 それから、この際ひとつお伺いしておきたいのですが、投資信託の部分的解約が多くなって参りましたが、これはどういうわけですか。
#67
○説明員(有吉正君) 投資信託の解約と申しましても、投資信託には、実は株式の投資信託と公社債の投資信託と二つございまして、現在新聞紙上において投資信託の解約が多いといろいろいわれているのは、内容的に見ますれば、公社債の投資信託のほうでございます。この公社債の投資信託につきましては、一月に発足いたしまして、その当時相当人気化と申しますか、多量に売りさばくことができました。またその内容からいたしますと、本来個人の長期的な資金を集めるべきものが、たまたま当時の人気化によりまして、個人あるいは企業の短期性の資金が吸収されておった。かかる資金が、その後におきまして金融の逼迫から、やはり企業なり個人なりにおきまして資金の必要を生ずるということから、これが資金化をはかるために証券会社に振り向ける。証券会社がそれを手持ちにすることができないので、解約に回ってしまう。かような意味におきまして、投資信託におきまして特に公社債投資信託の解約がふえて参ったことは事実でございます。ただ、他方におきまして株式投資信託のほうでございますが、これは株価の低迷に従いまして、むしろ解約率は減少いたしております。実は七月までの解約率、つまりその月におきますところの解約に対する元本設定、元本増大の比率でございますが、これが七月までは二%をこえておったのですが、八月に至りまして一・九一%になっております。さらに九月に至りましては一・一一%と、非常に解約率は減ってきておるのでございます。これは今回だけの現象ではございませんで、三十二年におきましても株価の低迷が一時あったのでございます。その低迷期におきましては、その前の期よりも解約率は減っておったのでございます。かように株価の低迷期におきましては、むしろ個人の投資家は投資信託をそのまま、解約しないで値の上がるのを待っておられるということが多くなって、かように解約率が減ってくるのじゃなかろうかと私どもは考えておる次第でございます。
#68
○野溝勝君 調査官、三十二年のときもそうであったと言うのだが、三十二年のときは大体、危機というのは思惑輸入が主でした。今度の場合は米国の経済事情が主であるし、日本政治のやり方の誤まりで、その結果は金融の引き締めや物価の値上がり、こういうような点もあるのでして、三十二年のときよりは条件は相当複雑だと考えている。その意味から見て、明らかなのは公社債のみの解約であって、あとのは今のところ心配ないようだという意見は甘いと思っています。
 そこで、この際当局において考えたらいいと思うのは、投資信託も経済事情から見て頂点である。巨大証券会社の株式独占というこの方向は、この際改めた方がいいと思うのです。それはこの経済情勢に関心を持つ人ならばうなずけると思うのです。正常な取引をさせるために、利潤の追求とかあるいは巨大業界の支配とかというような金融独裁の方向は、改めなければならぬ時期だと思う。これは巨大業界自身反省し、十分考えなければならぬ時期だと思う。そういうことは、きょうは総理大臣を相手にする質疑じゃございませんから、あまり言いませんが、特に事務当局にあられるあなた方が一番日本財政の衝に当たっておられるのだし、真剣に考えておられると思うのです。上になればなるほど、いろいろなことがあって複雑になってくる。だから、国際収支の展望のあり方についても、局長や中堅諸君を呼ばってしっくり語る。この前大蔵大臣との質疑の節、水田君は六月の赤字は心配ない、七月から黒字になると。何が黒字になっているか知らぬけれど、政治的な答弁ではいかぬと思う。要するに中堅どころのあなた方がほんとうに日本の将来のため真剣に考えておられると思うのです。ですから、こういう際に私は、大臣なぞの答えよりは、まじめなあなた方と意見を交換し善処するということを願っておる。そこで、今投資信託の話をいたしましたが、株界がこうなった際に、全体を通して、投資家の安定のために、または日本経済を軌道に乗せるためにも、再検討の時期じゃないかと思う。これは銀行と同じように、金融界全般がそうだと思うのですが、特に証券業界に対してそういうことを感じておりますが、どうか。これは私見でもよろしゅうございますし、責任を別に問おうといたしません。
#69
○説明員(有吉正君) 証券取引法が施行されましてから相当な年月が経っておりまして、その間におきますところの証券業界の発展が、一時におきましては好況に恵まれまして相当すばらしいものがあったわけでございますけれども、ここに至りまして、まだ短期間ではございますが、若干低迷な状態を続けておるのでございます。この際において証券界全体を振り返ってみたらどうかということでございますが、特に問題は投資信託のほうに触れているかと思いますが、まず投資信託のほうから申しますと、投資信託はなるほど今日に至りまして相当大きな機関投資家の役割を果たすように相なったわけでございます。ただ、その内容から申しますと、まだ全体の株の時価総額に対しまして投信に組み入れられた比率と申しますものは一割をちょっとこえた程度でございます。まだまだ機関投資家といたしまして全体の株の趨勢をゆり動かすというような状態に相なっておらぬのでございます。ただ、いかに申しましても、機関投資家といたしまして、そこに少数の証券会社がこれを左右するというような状況につきましては、私どもとしては十分に注意をしていかなければならぬ問題であるとかねてから考えておる次第でございます。投資信託の全体の伸びが株の全体の伸びにふさわしいように、できるだけこれが指導をして参りたい。
 同時に、内部の運用につきましても、これはまさに一般の零細なる投資層のお金を集めまして運用いたしておる次第でございます。特に意を用いて参らなければならぬと、かように思っておるのでございます。従来におきましても、いろいろと投資信託の改革につきまして意を用いてきた次第でございますが、特に最近に至りまして、投資信託の業者の集まりでございますところの投資信託協会に指示いたしまして、大きな改革を行なってきたわけでございます。その内容につきまして、一々ここで申し上げるわけではございませんが、要するに、投資信託の内部におきますところの積む金、いわゆる内部留保の量をできるだけ多くする、売買益をあげて無理な運用をすることを押えて参る。あるいはこれは一例でございますが、十億円未満の株はこれを組み入れないというようなところにもその方針が現われておりますように、株価に対するところの動向にも十分に配慮して参る。かような気持でもって、投資信託の改革もいたしておるのでございます。この点につきまして、私どもとしましても、なお反省し、検討しなければならぬ問題が相当あるのでございますので、今後、証券取引審議会に――われわれの大蔵省の機関でございますが、ここにかけまして、投資信託制度の改革につきましても十分に検討して参りたいと、かように考えておる次第でございます。
 なお、投資信託のみを申し上げた次第でございますが、証券行政全般につきましても、あわせてこの証券取引審議会におきまして、流通市場の問題、あるいは発行市場の問題、全部を取り上げて個々に検討を続けて参る。従来、発行市場の問題等、相当に解決をいたした問題もございますし、今回、市場第二部というものの設置をいたしましたのも、この答申に従った次第でございます。今後におきましても、われわれといたしまして、株式市場の流通市場の問題を中心にいたしまして、証券行政の改革に努めて参りたいと、かように存じておる次第でございます。
#70
○野溝勝君 理財局長の御所見を……。
#71
○政府委員(宮川新一郎君) ただいま調査官が申しましたように、証券界は最近の好況から、御指摘のように、低迷状態に入っているのでございまして、私は、証券業界の持っておる使命と機能の重要性にかんがみまして、証券業界自体の全体の順調な発展と投資者の保護並びに証券業界の社会的地位の向上をはかるべきだと考えております。したがいまして、大証券中心主義の考えを排しまして、証券業全体の円満な発展をもたらすような方向で考えていきたいと考えております。つきましては、証券取引審議会も、十分その辺のところの問題の所在を示しまして、検討して参りたいと考えております。
#72
○野溝勝君 これはお答えを得ないでもけっこうなんですが、まじめなお答えを得ましたので、これは別に階級的の問題じゃないことですから、これ以上お伺いしませんが、大体投資信託は暴騰するときにはどんどん買い込んでおいて、今度は暴落するときには手も出さない。こんなばかなことはないのです。これでは金融事業として任務を忘れたもので、自分のことばかり考えておる……。まだたくさん、いろいろ証券界のことについては申し上げたいことは山ほどありますけれども、この問題は、時間の関係もありますので、私はこの程度で打ち切ります。今当局がお考えになっておるような点をひとつ十分御検討いただきまして、善処方を願いたいと思います。
#73
○天田勝正君 私は、埼玉銀行の問題につきましては、もし委員長がきょうこの程度でおやめになるお考えならば、次の機会でもよろしゅうございますから、これはきょうで終わったということでなしにしておいていただきたい、これは要望しておきます。
 それから、銀行局長見えられましたから、二点だけお伺いしておきたいのですが、お許し願いたいと思います。
 さっき大月局長は野溝さんの質問に対する答えで、銀行の業務というのはあまりに監査をするとかえって逆な面も出てくるから、事後に、あるいは二年おきに監査をする、こういうようなことにしておるのだ、こういうお話でありました。ところが、当委員会におきまして、従来銀行に関する、特に市中銀行どころか政府資金によって存立しておりまする銀行の資料でも、なかなかこれを提出してくれない。先般私が台湾、朝鮮両銀行の資料を要求いたしましても、よほどたってから、これは個人資料であるともったいをつけながら、中身を見るというと、貸借対照表なぞは見たこともないような人に出すような、人をばかにしたような資料である。これが実情であります。そうすると、銀行が、不正とはにわかに言いませんけれども、少なくとも不当の融資をしておるという場合に、どこでこれに注意を与えるのか。国会はできない。それで、大蔵当局のほうは、今申し上げたように二年にもならなければ監査をいたさない。二年もたっては――このごろ三年もたてば国際情勢までがくるっと変わってしまうような世の中で、このスピード時代に、二年目くらいに監査をしておったのでは、とても、これは不当不正の融資なぞというものはもう解消してしまう時分になる、こういうことになるのですがね。これで、銀行局長、よろしいのですか。これが第一問でございます。
 それから、埼銀につきましては、なるほど当時御存じなかった、こうおっしゃるけれども、私は埼銀なぞは特に大蔵当局が御存じになれる銀行だと、こう思っておる。それはなぜかといいますけれども、埼銀の悪いうわさについては、かねがね、埼玉でありますから、私は二年も前から聞いておる。だんだん、先般問題になりました武鉄の問題が耳に入ってきますし、それで調査方を依頼いたしたわけであります。この点についてはきょう深く言いません。過日、私の調査依頼を十分そのとおり受け取りかねたのでということで、大蔵大臣も謝罪されましたので、また私の方も名前を言い違えたりなぞして、あとで訂正したりした経緯もありますから、いいのですが、どっちにしても、非常に埼銀は大蔵当局からすれば手に取るようにわかる銀行であります。それは副頭取が秋元順朝君で、秋元君は専売局の長官をされて、それからまあ私の言葉でいえば、埼銀に天下っていった。これはいい面から判断しますと、大蔵当局が、大きな銀行で、地方銀行からもう抜け出ておる、こういうことからお目付役としてやったのだろう、こう私は判断しておる。何せ六十四地方銀行のうちでは、資本金も融資力もトップでありますとともに、十一大銀行の中に入れましても、大和銀行の次です。神戸銀行なんかより上だ。これは御承知のとおりです。何せ市中銀行の一番上は富士銀行でありますけれども、ここの融資力が七千六百億。それに対して二千四百六十三億円という金をかかえておるのですから、いかに力が強いか、日本一の銀行の三分の一だけあるのですから、こういう銀行でございます。それだから、私はまあ秋元君を――この人は埼玉には別に縁もゆかりもない群馬県の人で、館林の昔の藩主。縁もゆかりもない者がぽこんと行った。悪くいえば天下り人事だけれども、よくいえばお目付役。ですから、これがあの不正融資を知らないはずがない。だから、これは銀行局のほうでは、秋元君もあの事情を知らなかった、銀行局も知らなかった、これにはあぜんたらざるを得ない。私は、言いにくい面もあってお答えにならないのだろうと思うけれども、あれだけの事件が起きたら、それはかかる調査をしましたということを言うのがしかるべきだと思うのですが、この点どうなんでしょうか。これが第二点であります。
 特に申し添えておきますことは、過日の本会議で指摘することができないで、今もここに資料を持ってきておるわけじゃありませんけれども、三十三年の十二月二十九日、埼玉銀行東京支店、あなたのほうの帳簿ではそうなっております。ところが、御承知のとおり、あそこは東京本部と称している。これは珍しい銀行の制度だと思う。その三十三年十二月二十九日に、沿線の市町村長を全部集めて、頭取が出て、本院議員も出ております、そうして三菱銀行の重役も来ている、そういうところで協力会を作って、途中で手を引いたなんと言っているけれども、そういう銀行は、鉄道のかつての最高地位にある人、そういう人が研究した結果であるということが報告されておりますから、そこで秩父地方をあげて、草木もなびくがごとくで、武鉄ということになっちゃった。みんな手を引いたからといっても、そのほうは私らが手を引きましたからみんなも手を引いてくれと、こうやれば、これは親切だ。しかし、そういうことはやらない。そんなことまでしておるのを、どうして銀行局は監査をしないのか。
 特にさっき優先順位のことが、いろいろ僕が聞いておるとわからないような御答弁がありましたが、どっちにしても、武鉄というものは成立している会社じゃないのです。それに融資しておるのが明らかなんです。それは優先順位のどこに入るのですか。これは白雲観光もしかり。これは頭取個人の会社といってよいのです。これは埼栄会というものもなだれ込んでおりますけれども、そういうことなんです。その場所もほとんど、その買収するといっても、自分の山を高く売っているというようなもの。悪い言葉でいえば、そこへ資本金の四十二倍ほど貸しているはずです。二十一億円。こういうのを一体何とお考えになるのか。そうしてそういうものは外貨獲得の観光施設あるいはホテル、こういうようなものであれば、これは優先順位がいかがであろうと、厚く重く扱うのはしかるべきことでありましょう。しかし、あそこらのなにするのは、結局日本人のふところをねらうだけで、外貨なんというものは一つも入ってこない。だから、武鉄にせよ、白雲観光にせよ、みんなどっちにしろ優先順位からすれば下のほうであるべきはずなんです。近ごろ優先順位があってもなきがごとくになっているらしいのですが、こういうことについて、これは不正とは言わざるまでも、少なくとも不当の融資じゃないか。これが第三点。
 第四点は、具体的な事実があれば十分われわれも注意をいたしますと、こういうお話がありましたが、これはどうしても埼栄会という七十六の集団、こういうものを特別に組織を作れば、そちら側に融資がかたがるのは理の当然です。そういうものを作りながら、一向その融資もしてもらえないのなら、そんな団体はだれも作りませんよ。特別のめんどうを見てもらえるから、埼栄会なんという団体を作る。それで、中小企業もその中に入っておりますということを言っておるのだけれども、中小企業者のほうの発言権はない。これは七人のさむらいというようなところが、ほとんど支配しているのです、私の調べでは。そういう大きなところにかしがっちゃうものだから、中小企業はおろそかになる。埼玉県の中小企業の集団といえば、昔から川口と行田であって、この行田の地位が近ごろ羽生に移りまして、しかし川口あたりも参っている。継続融資の約束をしながらばたんととめられてしまう。こういう銀行が中小企業のめんどうを見るということは、ここで政治論や法律論を戦わせるのでなしに、きめのこまかい、要するにめんどうを見るということが大切なんだ。だんだん引き締めるということは、これは国の政策もありましょう。けれども、一挙にこれを切られたり、特にそれが材料仕入れ期に融資をとめられたりということは、これはもう破算ということなんです。具体例をあげろといえば私はあげますけれども、現実に今中小企業で埼玉あたりで一番いわゆる日が当たっているのは、あんまり業者が少ないからでありますけれども、絹の裏地業で、これはまことにもって日が当たっている。が、一時は悪いことがありました。そのうちの一人に、小川の田口勘造という人がいますが、私はなぜこの人の名前をあげるかというと、私どもや社会党のつながりのある中小企業者では、あるいは信用されない人があるかもしれないから、特に自民党の人をあげたのですけれども、この人は県会議員であります。そうしたところが、継続融資を約束しておりながら、金を返させてぴたりとめた。この人は破産しました。県会議員も棒にふった。こういう実例がある。だから、中小企業のめんどうを見ないとは、何もわれわれの系統とか知り合いとかのめんどうを見ないのではなくて、中小企業なるがゆえに、大きなところに融資するがゆえに、自民党の現職の県会議員のところでさえも冷酷に扱われている。こういう事情でございます。それで、それを半年間めんどうを見れば、今申し上げたように、まことにもって類例のないほど日が当たる。そういうことを見ても、これじゃ地方産業、中小企業のめんどうを見るとは言いがたい。
 今、大月さんに申し上げておきますが、お調べ下さればすぐわかります。埼玉県北部における中小企業者がどう取引銀行を変えているかというと、埼銀から群馬銀行、足利銀行、そうして大生相互であります。これに結んだものが、大体地方の中小企業で、どんどん地方にも工場ができておりますが、そういうところが大きくなっているというのは、これは事実です。私は、抽象論を言っているのではない。そういう事実がある。こういうことに対しては、これは四問でありますが、あなたは、あとで調べてお答えしますと、大蔵大臣も言っておりましたが、そこで、今御答弁の御用意がないのならば、ああいう事態も起きたんでありますから、直ちに調査をされて、適切なる処置をされるおつもりがあるのかどうか、その点だけきょうはお聞きしておきます。
#74
○政府委員(大月高君) 第一は、資料の問題でございまするが、銀行行政上知り得たいろいろな事実につきましては、特に銀行検査権という強力な権限をもって調べる結果のものが多いわけであります。融資先の秘密に関連するという意味におきまして、具体的な数字を申し上げることは差し控えておるのが今までの原則でございます。そういう意味におきまして、資料の御要求に対して十分なものが差し上げ得なかった事情があるかと思いますが、そういう事情でございますので、御了承願いたいと思います。
 なお、朝鮮銀行、台湾銀行の関係は管財局の関係でございますので、事実は承知いたしておりませんが、あるいは管財局のいろいろ理由があったのじゃないか……。
#75
○天田勝正君 お話し中ですが、それは例にあげただけで、そういうこともあり得ましょう。そうすると、あとになって大蔵省も調べるのだし、われわれもそういうほんとうの核心を突いた資料が得られない。そうすると、適切なるときに要するに適切なる指摘というか、批判というか、指導というか、そういうものはどこもかしこもできないことになるのじゃないですか。ここのところが質問のウエートですから。
#76
○政府委員(大月高君) われわれといたしましては、検査を二年に一回程度をやっておるわけでございます。ただ、それだけでいいかということでございますが、もちろん、何らか事件があり取り調べの必要がございますときには、直ちに実情の調査をいたしております。たとえば設備投資抑制の関係がございまして、これで前後二回調査をいたしておるわけでございます。ただ、個々の具体的な事例に関しまして、たとえば今度の武州鉄道事件がかりに起きたといたしますと、しかし、かりにわれわれの伝え聞いておりますところでは、その案件が特定の個人の融資に関連する収賄であるというようにわれわれも承っておるわけでございまして、そういう問題につきましては少なくとも検察当局の御調査に待つべきものであって、われわれとして銀行行政上取り上げるべきものでないという判断をいたしておるわけでございます。そういうような意味におきまして、われわれが、いろいろな聞き込みがあり、その他いろいろな投書があり、そういう問題が起きましたといたしましても、一々そういう個別の問題に立ち入るのがいいのかどうか。たとえば武州鉄道問題につきましても、いろいろ具体的には社会的な問題があると思いますけれども、しかし何を焦点に調べるかというような問題につきましては、ただいま申しましたように、今の司直の捜査の重点というものは収賄というような問題に向いておるわけでございまして、われわれとして特にこの問題だけを取り上げて調査する立場にはないというように考えておるわけでございます。
 ただ、銀行行政上何らかの必要があると判断いたしたものにつきましては、直ちに本人を招致するなり、あるいはこちらで検査官を派遣するなり、あるいは報告を徴するなり、適宜適切な措置をとって参っておるわけでございまして、そういう意味において、われわれとして必要な実態だけはつかんでおると存じております。ただ、お尋ねの案件につきましてわれわれが承知いたさなかったという問題については、それなりの特殊な事情があると考えておるわけでございます。ただ、この間調査の御依頼がございましたときには、まだこの武州鉄道問題というのは表面に出ておりませんし、お尋ねも特にそういう問題として御指摘もございませんですので、われわれといたしましては、可能な限りの調査をして御返事いたしました。その趣旨がお尋ねの焦点に当たっておらなかったということのようでございまして、その点ははなはだ遺憾であったと思います。ただ、そういうようなお尋ねにつきましても、はたして案件がどういうものであるかという点について、なかなか真相を調べるのはむずかしいと。銀行検査という範囲において銀行行政の届く範囲においては、調べ得るわけでございますが、何分強制調査権というものを持っておりません、司法権と違っておるわけでございますので、任意検査の建前をとっておりますので、犯罪的な感覚でもってわれわれは調査するわけにはいかないという一つの限界があることを御了承願いたいと思います。
 そういう意味におきまして、たとえば今お話がございました三十三年十二月の事件にだれだれがどこへ集まっていろいろ相談したというようなお話でございますが、これもわれわれの仕事としましてはそこまで立ち入っていいものかどうかというところに問題があると思います。ただ、お尋ねの武州鉄道の測量費あるいはその設立のための準備費用に対する融資につきましては、もちろん相手は形の上で個人でございますけれども、これは鉄道建設のための融資でございまして、融資準則上、これは設備は甲、運転資金は乙ということになっておりまして、何ら不当でないと見ております。それから、白雲観光の会社の定款によりますと、主として鉄道用地の買収を目的として設立されたものでございまして、この鉄道敷地に対する融資は順一位は甲になっております。そういう問題からいたしまして、結果においてわれわれはあとから、これ、調べたわけでございますけれども、融資準則上の問題はないのではなかろうか。
 ただ、特定の会社に対しまして非常に多額の融資をしておるという点がどうかという問題がありますが、これは数字を申し上げることは差し控えるといたしまして、埼玉銀行の資本金、実質資本が今百三十億前後だと思います。その一割の数字を出しますと十三億、こういうことでございまして、そういう数字に照らしまして、はたしてこの数字が多いのかどうかというところが私は問題であろうと思うわけでございますが、こういう事件を起こしました関係上、埼玉銀行のほうにおきましてもこの会社の持っておる不動産をどういうようにしたらいいのか、あるいはこの白雲観光に対する融資をどういうようにやったらいいのか、その他今後何らかの処置をすべきであるという立場において今検討中でございます。そういう意味におきまして、必ずしもそう妥当な融資であったかどうかという点には疑問を持っておりますが、こういう問題につきまして目下銀行側におきまして善処をしつつあると、こういうように御了解願いたいと思います。
 それから、埼玉銀行がとかく中小企業のほうに関心が薄くて不親切だという御批判がございますが、この親切であるかどうかという問題は、いろいろ相対的な問題でございまして、中小企業金融全体としては大いに私は地方銀行は貢献しておるのではないか。ただ、埼玉銀行がどの程度、特定の中小企業あるいは県下の中小企業にどの程度かゆいころに手の届くような融資をしておるのかどうか、微妙な問題につきましては、どうもわれわれ銀行行政のある意味ではらち外であると思います。そういうかりに実態がございますれば、当然他の銀行に得意は移っていくということにおきまして、業績上反映していくであろうかと思います。全体の銀行行政として、銀行が中小企業に対して全然冷淡であるということになりますと、われわれの問題だと思いますが、特定の銀行が特定の中小企業者に対してどのような態度をとったかというような問題までわれわれは立ち入る実はひまもないし、あるいはそういう人手もない。これが実態だと思います。
#77
○天田勝正君 やめたいと思っていたのですけれども、大月さん、あなたよく調べておられないのですよ。その白雲観光は当然に武鉄の用地を買収する会社だなんという御答弁だけれども、そういうふうに軽卒にしゃべっちゃだめなんだ。それは僕はきょう全部イエスかノーかでものをきめてしまおうと考えていないのです。あなた方のほうでお調べになって答弁してもらいたいと思うのです。その問題は、私は資料を持っているのです。武鉄の登記は東京法務局の武蔵野出張所へ登記している。ここへ私はそれを持ってきておれば、あなたに見せてあげるのだけれども、その目的の項をごらんになりましたか。完全なる、その目的は十三か書いてありますけれども、観光会社。観光会社に融資するのは当然だというお話ならば私はいいけれども、鉄道は乙であるとか、甲であるとか、ただそれに付随した事業だからどうかというのは的はずれなんですよ。私は、質問するのは、一ぺん形が埼銀と武鉄と切れたような格好になって、その後に直ちに白雲観光と類似した会社を滝島君が、やはり同じく東京法務局の武蔵野出張所、ここへ登記してあるんですね。その目的も何も全部持っておるんです。この間、本会議のときに時間がありさえすれば、その中も聞いて議員各位の理解を得たいと思って持って行ったんですが、あのつづりの中にそういうものも、関連会社の登記のものも全部私は持っておった。ですから、あなたがおっしゃるように、そういう目的ではない。実は、内々そういう武鉄の用地買収をやったかもしれないし、それが金もうけの一番の種になったかもしれない。けれども、会社の目的というものはそういうものじゃなく、観光会社としてが主である、こういうことです。いいですか、登記簿を見ましたか。
 それから、あなたのほうに出ているのは、私はこれは自分が見ていないんだから、今別に例としてあげないんでありますけれども、一方免許は運輸省でやるけれども、会社の事業計画、こういうものについては、武鉄の会社の事業計画は、今質問する必要ないから私は黙っておったんですが、モノレールとして出ておる。ところが、一方の認可にはそんなものは全然ない。そういう食い違いも幾つかあるんですよ。
 それから、それは不親切になれば業績に響いてぐるから、それはまあそれでいいじゃないか。そういう言葉は申しませんけれども、自殺行為だからよかろうというお考えのようです。そこまでこっちもちょっと手が回らないというお話のようでありますけれども、埼玉銀行という特殊な地帯におりますと、業績に響いたなんというようなことはちっともわからない。わからないというのは、一両年、三年前まで、埼玉県における一億以上の預金を持っておる農業協同組合はわずかに三つでございました。それが一年ぐらいたつうちに五十をこえました。そういうふうに他県の銀行が進出して、そっちへ預金をどんどん分けても、なおかつ預金がふえるという事態なんです。最近の事態じゃ。そういう事態でありますから、業績上は悪くなって困るだろうと言ったって、その業績の悪くなるというのはどこからも出てこない。だから、そういうことはですね、やはり地方銀行というものが業績が上がっても、中小企業に対する不親切という問題は、これはそのまま残ってくるというのが私の指摘であります。
 それから、まあなかなか調べてもわからない。この点については、私もさきにお断わりしたように、支店長これこれといった場合に、名前を原田支店長と初め言い違えて、あとで田中と訂正したり、また武鉄の名前を出すべきであったかもしらないが、これはことさら慎重に出さない。それは、そんなことはほかの議員諸君は聞きたくないかもしれないけれども、八月三十一日のこの大蔵委員会の開かれたこの場所なんです。私も銀行には勤めた経験がありますが、昔なら、あんなうわさが立ったら、うわさが立っただけで取付なんです。この取付でつぶれた例も私はたくさん見もし、自分も体験もしておる。そういう経験があるから、実はくれぐれも注意して、銀行局の係官の人がいるかといって聞いて、係官に対し私はこの委員会でこの問題を取り上げるつもりはないし、事情がわかったとしても軽々しく取り上げぬつもりである、こういう前置きをした。それはうっかりすると取付騒ぎになるし、そうすると結果において大衆に迷惑をかけることになる。こういうことになるから、直ちには取り上げない。それで、あなたにお会いできれば、武鉄のことなんだから、はっきり武鉄と言ったかもしれない。係の人が一人来ているだけだというから、そういう考えで、どうしても埼銀については二年前から盛んによからぬうわさが飛んでいるから、だから、その実態については軽率に取り上げないから、僕だけには正直に調べた結果をお話ししていただきたい。私は本会議だって、この委員会だって、言いたくない。埼銀の平沼頭取も私と一緒に当選して出ておる。僕も個人とすれば至って、どっちかといえば、知り合いも濃いほうの仲だけれども、さっき言ったように、出席している秩父セメントの重役にしても、個人的なつき合いさえする相手なんです。私の立場は、むしろ言いたくもないし、武鉄であろうと何であろうと、たんと交通機関が来てくれれば、これがいい。しかし、望ましくないならば望ましくないという御指摘がしかるべきだと思うから、注意をしながら依頼をした。
 それからすると、第一に、私はあなたが融資の金額なんかを注意をされるよりか、おかしいと思いませんか。秋元さんなどが大蔵省から、出向という言葉は妥当でないでしょうけれども、しかし埼銀と関係のない人が来るのに、大蔵省の高級官僚でなければ、だれが迎えますか。そんなばかなことはないですよ。普通のものが埼銀と無関係で、別にたいした金も持っているものでもないのに、埼玉銀行の重役になるというので、向こうが受け付けるわけはない。このことは何といっても、失礼だけれども、監督官庁である大蔵省の高級官僚をされたということが向こうの受け入れの条件になることは明らかだ。そういう人が行っておって、その人の全然知らない融資がどんどん行なわれていること自体が、この銀行運営は決して正常なものではない。そこだけでも、僕はあなた方が注意をされるのがしかるべきではないか、こういうことです。ですから、きょうは時間がおそくなったから、私も二度目の質問なんかしたくないとさえ思ったのです。もっとお調べがあってお答えがあれば、承りたい。
#78
○理事(上林忠次君) それでは、本日はこれにて散会いたします。
   午後三時五十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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